(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-09
(54)【発明の名称】貯槽からガスを分配するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
F17C 13/04 20060101AFI20221101BHJP
F17C 11/00 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
F17C13/04 301Z
F17C11/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022513877
(86)(22)【出願日】2020-09-02
(85)【翻訳文提出日】2022-03-01
(86)【国際出願番号】 US2020049062
(87)【国際公開番号】W WO2021046126
(87)【国際公開日】2021-03-11
(32)【優先日】2019-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522057814
【氏名又は名称】ニューマット・テクノロジーズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100172041
【氏名又は名称】小畑 統照
(74)【代理人】
【識別番号】100202854
【氏名又は名称】森本 卓行
(72)【発明者】
【氏名】アーノ,ホゼ
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA09
3E172AB16
3E172BA01
3E172BB04
3E172DA90
3E172EA10
3E172EB02
3E172FA09
3E172JA10
3E172KA02
3E172KA03
(57)【要約】
ガスを放出するノズルを備える貯槽からガスを分配するための弁組立体および方法が開示される。弁組立体の流路の第1の端部はノズルと連通しており、第2の端部は、ガスが貯蔵されている貯槽の内部と連通している。流路の上記第1の端部と第2の端部との間にガスが流れるのを阻止する、または可能にするために、流路に遮断弁が挿入される。偶発的な気体放電を防止するために、ノズルの口径に逆止弁が固定され得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯槽からガスを分配するための弁組立体であって、
前記貯槽からガスを分配するためのノズルと、
前記ノズルと連通している第1の端部および前記貯槽の内容積と連通している第2の端部を有する流路と、
前記流路の前記第1の端部と前記第2の端部との間にガスが通るのを阻止する、または可能にするために前記流路に挿入された遮断弁と、
前記ノズルの中に固定された逆止弁と
を備える弁組立体。
【請求項2】
前記逆止弁が、前記流路と連通するチャネルと前記チャネルと連通するチャンバとを画定する本体を備え、前記チャンバが含む可動閉塞物が、前記チャネルと係合して、流体が前記逆止弁を流れるのを防止したり、前記チャネルとの係合を解除して、流体が前記逆止弁を流れるのを可能にしたりするように、移動することができる、請求項1に記載の弁組立体。
【請求項3】
前記チャンバが前記チャネルよりも大きな横寸法を有する、請求項2に記載の弁組立体。
【請求項4】
前記閉塞物が前記チャンバに含まれている、請求項2に記載の弁組立体。
【請求項5】
前記チャネルが前記チャンバよりも前記流路に近い、請求項2に記載の弁組立体。
【請求項6】
前記チャネルが、前記チャンバよりも圧力が低いことにより、前記閉塞物に付勢して前記チャネルと係合させる、請求項2に記載の弁組立体。
【請求項7】
前記チャンバの中にばねをさらに備え、前記閉塞物に付勢して前記チャネルと係合させる、請求項2に記載の弁組立体。
【請求項8】
前記ノズルがガス管との雄接続のための雄ねじを有し、前記口径が前記逆止弁の雄ねじとの雌接続のための雌ねじを有する、請求項1に記載の弁組立体。
【請求項9】
前記流路を通るガスの流れを調整するために前記流路に挿入されたレギュレータをさらに備える、請求項1に記載の弁組立体。
【請求項10】
前記流路と連通する前記貯槽の中に吸着剤をさらに含む、請求項1に記載の弁組立体。
【請求項11】
貯槽からガスを分配するための方法であって、
チャンバの中の閉塞物に付勢してノズルの中のチャネルと係合させ、前記チャネルから前記チャンバへ流体が流れるのを防止するステップと、
前記貯槽の内容積を前記ノズルと連通させるステップと、
前記閉塞物を移動させて前記チャネルとの係合を解除し、前記チャネルから前記チャンバへの流体の流れを可能にするのに十分に、前記チャネル内の圧力未満まで前記チャンバ内の圧力を低下させるステップと
を含む方法。
【請求項12】
前記貯槽から、前記閉塞物を通り越して前記流路を通し、前記ノズルを通してガスを流すステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記付勢がばねによって与えられる、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記付勢が差圧によって与えられる、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記チャンバ内の圧力を低下させることにより、ポートを開くように屈曲する可撓性部材に圧力の低下が伝達され、前記貯槽内の流体が前記流路を流れることを可能にする、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記チャンバ内の圧力を低下させることにより、圧力の低下が前記貯槽内の吸着剤に伝達され、吸着している流体を脱着させ、前記貯槽内の流体が前記流路を流れることを可能にする、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記閉塞物が逆止弁に含まれており、前記貯槽を流体で満たすために、前記ノズルから前記逆止弁を除去して、前記ノズルにガス管を固定するステップさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
貯槽からガスを分配するための弁組立体であって、
前記貯槽からガスを分配するためのノズルであって、口径を画定するノズルと、
前記ノズルと連通している第1の端部および前記貯槽の内容積と連通している第2の端部を有する流路と、
前記流路の前記第1の端部と前記第2の端部との間にガスが流れるのを阻止する、または可能にするために前記流路に挿入された遮断弁と、
前記流路と連通するチャネルと前記チャネルと連通するチャンバとを画定する外側部分を備えて前記口径に固定された逆止弁とを備え、前記チャンバが可動閉塞物を含み、前記可動閉塞物が、前記チャネルと係合して、流体が前記逆止弁を流れるのを防止したり、前記チャネルとの係合を解除して、流体が前記逆止弁を流れるのを可能にしたりするように、移動することができる、弁組立体。
【請求項19】
前記チャネルが、前記チャンバよりも圧力が低いことにより、前記閉塞物に付勢して前記チャネルと係合させる、請求項18に記載の弁組立体。
【請求項20】
前記ノズルがガス管との雄接続のための雄ねじを有し、前記口径が前記逆止弁の雄ねじとの雌接続のための雌ねじを有する、請求項18に記載の弁組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、その全体が本明細書に組み込まれている、2020年9月5日に出願した米国特許仮出願第62/896,475号の優先権を主張するものである。
【0002】
[0002]技術分野は、製造用途で有用なガス貯槽用の弁組立体に関するものである。
【背景技術】
【0003】
[0003]様々な工業プロセスおよび用途において、プロセスガスの信頼できる供給源が必要とされている。そのようなプロセスおよび用途の領域は、半導体製造、イオン注入、フラットパネルディスプレイの製造、医療介入および治療、水処理、非常呼吸装置、溶接作業、宇宙ベースの液体および気体の送達などを含む。
【0004】
[0004]この業界では、準大気圧条件で、有毒ガス、可燃性ガス、および腐食性ガスを扱うための、安全かつ効果的なやり方を提供することが重要である。特に、これらのガスはドーパントガスを含む。一般に、ドーパントガスは、特定のガスの特性に依拠して、所与の圧力またはガス蒸気圧に等しい特定の圧力で圧縮ガスボンベに貯蔵される。これらのガスは、半導体デバイスを製造するためのドーパント材料の供給源として働く。これらのドーパントガスはイオン注入装置と呼ばれるツールにおいて使用される。イオン注入装置は、半導体製造プロセスに数百から数千もの人員が従事している半導体生産施設の製造エリア内に設置される。これらのツールは、一般的には数千キロボルトまでの非常に高い電圧で動作する。これらの高電圧のために、ドーパントガス源は、ツールに、またはツール自体の内部に設置する必要がある。ほとんどの他の半導体ツールは、人員領域または主要な生産エリアの外部にガス源を設置する。イオン注入ツールの明瞭な特徴の1つには、準大気圧で動作することがある。ボンベから生産物を送達するツールにおいて真空の存在を利用すると、真空を与えるまでボンベパッケージから生産物を取り出すことができないという点で、パッケージがより安全になる。この真空送達の概念は、加圧ガスに対する偶発的な被曝を防止するものである。
【0005】
[0005]ドーパントガスの安全な準大気圧送達のための技術の1つは、圧縮ガスボンベをビーズ活性炭などの物理的吸着剤で満たして、この吸着剤にドーパントガスを可逆的に吸着させることを含む。この概念は、SDS技術として一般に知られている。脱着プロセスは、吸着剤/ボンベに真空または熱を与えることを含む。
【0006】
[0006]ドーパントガスの安全な準大気圧送達のために機械式圧力レギュレータが使用され得る。この圧力レギュレータは、準大気圧または真空の状態が与えられたとき開くように設定される。一般的には、準大気圧状態を与えると、事前設定の圧力に達したとき可撓性材料が屈曲してガスの流れを可能にするように、調整弁を作動させる。調整弁は、従来のオン/オフ型ボンベ弁座機構の上流に設置される。この上流装置の正確な位置は、弁体の中、ボンベの首の空洞の中、ボンベ自体の内部、またはすべての3つの位置の組合せであり得る。
【0007】
[0007]貯蔵装置からガスを分配するための、さらに安全な装置を提供することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
[0008]ガスを放出するノズルを備える貯槽からガスを分配するための弁組立体が開示される。ノズルは口径を画定する。弁組立体には、2つの端部を有する流路がある。第1の端部はノズルと連通しており、第2の端部は、ガスが貯蔵されている貯槽の内部と連通している。流路の上記第1の端部と第2の端部との間にガスが流れるのを阻止する、または可能にするために、流路に遮断弁が挿入される。口径に逆止弁が固定されてよい。貯槽からガスを分配するための方法は、チャンバ内の閉塞物に付勢し、ノズルの中のチャネルと係合させて、チャネルからチャンバへ流体が流れるのを防止するステップを含む。貯槽の内部容積はノズルと連通している。チャンバ内の圧力がチャネル内の圧力未満まで十分に低下すると、閉塞物が移動してチャネルとの係合を解除し、上記チャネルから上記チャンバへの流体の流れを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】[0009]本開示の一実施形態による、ガスの貯蔵および分配のシステムの概略横断立面図である。
【
図2】[0010]
図1の代替弁組立体の等軸側視図である。
【
図3】[0011]本開示の逆止弁の断面図である。
【
図4】[0012]
図3の代替逆止弁の断面図である。
【
図5】[0013]本開示の実施形態が示したデータのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0014]ガス漏れを防止するために、貯槽のノズルの中の逆止弁を利用する弁組立体および方法が開示される。極めて毒性の強いガスが貯蔵されることもある。たとえば、アルシンの毒性限界は5wppbと低いものである。遮断弁が誤って開いたままになると、貯槽からの偶発的な漏れが問題になる。ガスを貯蔵するために吸着剤が使用されている貯槽の中に空気が漏れると、温度や圧力が変動して、貯蔵されたガスが吸着剤から脱着し、弁組立体のノズルから漏れる可能性がある。貯槽の内部または弁組立体の中に含まれている機械弁が故障した場合にも、貯蔵されたガスが漏れる可能性がある。
【0011】
[0015]空気がノズルから貯槽に流入して温度変動を引き起こすのを防止するとともに、貯蔵されたガスが貯槽からノズルを通って放出されるのを阻止するために、弁組立体のノズルにおいて逆止弁を使用することが提案される。逆止弁が、吸着剤にガスを貯蔵している貯槽からの偶発的放出を安全に防止することになる。機械弁を使用する貯槽において、機械弁の故障を保護して放出を防止するためにも、逆止弁が使用され得る。提案された逆止弁は、5wppbの限度を大幅に下回る放出レベルを保つはずである。
【0012】
[0016]ボンベの不適切なサイクル浄化または大気への偶発的な開放により、外部ガスが貯槽に入って汚染する可能性がある。逆止弁は、前述の安全性の利点に加えて、貯槽に外部ガスが入ることによる汚染をも防止することになる。
【0013】
[0017]この弁組立体は、たとえばBF3、F2などのハロ複合ガス、たとえばアルシン、ホスフィンなどの水素化物ガス、およびガス状の有機金属原材料などのガスをオンデマンド供給するために、半導体製造設備用に特別な適合性を有するガスの信頼できる供給源をもたらす。
【0014】
[0018]次に図面を参照して、
図1は、実例となる実施形態によるガス貯槽100の概略横断立面図である。貯槽100は、全体的に円筒形状の、流体の貯蔵および分配の容器でよく、円筒壁102の下端は床部材106によって閉じている。貯槽の上端に首108があって円筒状カラー110を含み、このカラーが貯槽100の上部の開放を画定し、かつ囲む。それによって、示されるように、壁102、床部材106および首108が貯槽100の内容積128を囲む。
【0015】
[0019]貯槽の首において、弁組立体114のねじ付きプラグ112が、貯槽100のカラー110の雌ねじ付き開口に対してねじ結合される。弁組立体114の流路120は、ノズル124と連通している第1の端部121と、貯槽100の内容積128と連通している第2の端部123とを有する。ノズル124により、貯槽100の内容積128が貯槽の外部環境と連通する。よって、ノズル124は、貯槽100からガスを分配するためのものであり、貯槽にガスを装填するように企図されている。ノズル124は、対応する雌ねじに取り付ける終端を有するガス管に対する雄接続のための雄ねじ154を有し得る。
【0016】
[0020]ノズル124は口径150を画定する。内容積128におけるガスがノズル124から非意図的に漏れるのをさらに防止するために、ノズル124の口径に逆止弁10が固定されている。
【0017】
[0021]流路120はいくつかの部分を有する。流路120の中央部分140は、遮断弁122とレギュレータ132との間を通る。流路120の第1の端部121と第2の端部123との間にガスが流れるのを阻止する、または可能にするために、流路120に遮断弁122が挿入されている。遮断弁122は、中央部分120に向かう側の弁座123にオリフィスを有して密封されている。可撓性部材144は緩んだ状態のときガスによって変位され、ガスは、遮断弁122を通り越して流れることができ、流路120の中央部分140とノズル部分146との間の連通を可能にする。手回し車126が時計回りに回されると、可撓性部材144が押し付けられて圧縮状態になり、ガスがオリフィスを通って遮断弁122を通り越すのを防止する。ノズル部分146は、中央部分140を、遮断弁122を通じてノズル124と連通させる流路120の一部である。
【0018】
[0022]弁組立体114は、充填ポート118と貯槽の内容積128とを連通させる充填流路116を特徴とし得る。それによって、貯槽100が加圧ガスで満たされ得、続いて、示されるように、充填ポートが閉じて蓋をかぶせられる。
【0019】
[0023]弁組立体114の中の中央の流路120の第2の端部123に接続流管130が結合されており、接続流管130にはレギュレータ132が結合されている。レギュレータ132は、貯槽から放出された流体を選択された圧力に保つように設定されている。レギュレータ130は特定の圧力に設定されている。レギュレータ130は機械弁138を含む。ノズル124の圧力が低下すると、レギュレータ132の圧力を、低下した圧力と等しくするように、遮断弁122が開かれてよい。可撓性材料製のベロー142が膨張してポペット146を下方へ変位させ、ガスが、内容積128からポペットのまわりのポート148を通ってレギュレータ132に流入し得る。次いで、ガスは流路120を通って第2の端部123へ進む。
【0020】
[0024]レギュレータの下端には管継手136が接合されており、管継手136は、たとえば突合せ溶接によってフィルタユニット134に結合され、フィルタユニット134は下端にディフューザの後端キャップ131を有する。フィルタユニットはステンレス鋼で形成されてよく、ディフューザ側板は、316Lステンレス鋼などの焼結ステンレス鋼から形成されている。フィルタユニットの壁は、システムからの標準的な30L/minのガス流量において、たとえば0.003μmよりも大きい所定直径のすべての粒子状物質を除去することができる気孔率を有する。
【0021】
[0025]使用において、貯槽100の内容積128には加圧ガスが含まれている。ガス圧レギュレータ132は、弁組立体114の中の弁が開いているときガスの流れを分配するように選択された目標植に設定されており、ガスは、フィルタユニット134、管継手136、レギュレータ132、接続流管130、弁組立体114の中の流路120、遮断弁、およびノズル124を通って流れる。弁組立体114は、本発明の所与の最終用途において好適または必要な、他の配管、コンジット、流量制御器、監視手段などに結合されてよい。
【0022】
[0026]
図2は、意図せぬ放出の回避を貯槽の中の吸着剤に頼る貯槽300の断面斜視図である。
図2は貯槽300の内部構造を示す。示されるように、貯槽300は貯槽の内容積352を囲む壁302を備え、壁302の中に微粒子の収着剤350を含む。貯槽の上端の弁組立体314において、ポート308は、収着剤の床からの粒子状固体の、分配されるガス中の飛沫同伴を防止するように働く多孔性の管360、または他の有孔もしくは気体透過性の構造が中央にあることを特徴とし得る。貯槽300は、ここからガスを分配したり、ここにガスを装填したりするためのノズル324をも含む。ノズル324の中に逆止弁10も固定されてよい。ノズル324は、対応する雌ねじに取り付ける終端を有するガス管に対する雄接続のための雄ねじ354を有し得る。
【0023】
[0027]弁組立体304はまた、ノズル324と連通している第1の端部321と、貯槽352の内容積と連通している第2の端部323とを有する流路320を含み、これは想像線で示されている。流路の第1の端部321と第2の端部323との間にガスが流れるのを阻止する、または可能にするために、流路320には、手回し車306によって操作される遮断弁322が挿入されている。準大気圧のガスの供給源に接続された管にノズル324を接続し、手回し車を回転させて遮断弁322を開き、準大気圧を吸着剤に等化することにより、ガスが吸着剤から脱着されてノズル324から分配される。
【0024】
[0028]
図1のノズル124および
図2のノズル324の中の各逆止弁10は、それぞれの貯槽100、302からの偶発的ガス放出を防止するように働く。
図3は、適切な逆止弁10を詳細に示すものである。逆止弁10はノズル124、324の中に固定されている。
【0025】
[0029]逆止弁10の本体12はチャネル14を画定し、逆止弁10がノズル124、324の中に固定されたとき、チャネル14は流路120、320と連通する。逆止弁10は、
図1示されたものなどの口径150においてノズル124の中に固定されてよい。逆止弁10は中空の円筒状でよく、口径150は対応する構成を有し得る。口径150は、
図3に示されるような逆止弁10の本体12の雄ねじ16と接続するために、
図1に示されるような雌ねじ152を有する。逆止弁10は、あるいは、ノズル124、324の口径150の中へ、加締めまたは摩擦ではめられてよい。逆止弁10は、流体放出中の弁組立体から流れ方向Fに関して、弁組立体114、314から近位に上流端8があり、遠位に下流端9がある。
【0026】
[0030]一実施形態では、本体12は、ダクトの所望の内部構成をもたらすための1つまたは複数の挿入物を伴う内部ダクト22を画定する外殻20を備え得る。流量制限チャネル18がチャネル14に先行し得る。流量制限チャネル18は細くなった内部径を有し得る。流量制限チャネル18は、逆止弁10の上流端8における通路22の中の管状挿入物24によってもたらされ得る。チャネル14は、流量制限チャネル18よりも大きな内径を有して、流量制限チャネル18に隣接し得る。チャネル14は2つの内径を有し、最も小さい内径は管状挿入物24によって画定されることも観察され得る。本体12は、チャネル14に隣接してこれと連通するチャンバ26を画定する。一実施形態では、チャンバ26およびチャネル18は、ダクト22の中に摩擦ばめされたカウンターボア挿入物28によってもたらされ得る。チャネル18は、管状挿入物24と環状フランジ30との間の適所にはさまれたカウンターボア挿入物28のより大きい外径の部分29によってもたらされ得る。チャンバ26は、カウンターボア挿入物28のより小さい外径の部分32によってもたらされ、環状フランジ30を通り越して逆止弁10の下流端9の方へ延在し得る。本体12のダクト22の下流端9に後部挿入物34が固定され得る。後部挿入物34も管状でよく、細くなった内径を通る流れを制限し得る。後部挿入物34は、ノズル124、324の中に逆止弁10を固定するのを容易にするためのねじ回しなどのマシンヘッドと結合するツール受けの凹部36を有し得る。逆止弁10の上流端8における環状凹部38は、ノズル124、324の内部の合わせ面との流体密封係合を助長するためにОリング40を受けてよい。
【0027】
[0031]チャンバ26は、チャネル14よりも大きな横寸法を有し得る。一実施形態では、チャンバ26の内径はチャネル14の内径よりも大きくてよい。チャンバ26の中には閉塞物42が含まれ得る。チャンバ26が含む可動閉塞物42は、チャネル14と係合して、流体が逆止弁10を流れるのを防止したり、チャネルとの係合を解除して、流体が逆止弁を流れるのを可能にしたりするように、移動することができる。閉塞物42の横寸法はチャネル14の横寸法よりも大きいので、閉塞物がチャネル26と係合すると、流体がチャネル14に入るのを遮ることができる。しかしながら、閉塞物42とチャネル14とは、閉塞物がチャネル14の中に完全に入ってしまうことのないように寸法設定される。一実施形態では、閉塞物がチャネルの下流端44と係合することにより、チャネル14とチャンバ26との境界面によって開口46を画定する。一実施形態では、閉塞物の外径はチャネル14の内径よりも大きい。
【0028】
[0032]図示の実施形態では、閉塞物42は金属の球体であり得る。チャネル14は円筒状でよい。球状の閉塞物42は、円筒状のチャネル14の下流端44と係合することができ、チャネルと係合している間はガス流れを防止する。閉塞物は、チャネル14と、具体的には開口44と係合して固定されたダイヤフラムでもよく、流れ方向Fと反対の上流への流れを防止する。
【0029】
[0033]チャネル14は、ノズル124、324の中でチャンバ26よりも流路120、320に近く、したがってチャンバ26よりも逆止弁10の上流端8に近く設置される。
【0030】
[0034]動作において、閉塞物42は、チャネル14と係合して、ガスが流れ方向Fと反対に貯槽100、300の中へ漏れるのを防止する。防止できないと、特に
図2の実施形態において遮断弁122、322が間違って開いたままになったとき、貯槽300の中の吸着剤からガスが脱着して大気中に漏れてしまう恐れがある。加えて、
図1の実施形態において万一機械弁138が故障すると、内容積128の準大気圧が、閉塞物に対して流れ方向Fと逆方向に作用する付勢力に負けて、漏れが生じる。
【0031】
[0035]一実施形態では、チャンバ26内で下流端を壁50に固定されたばね48の上流端が閉塞物42と係合し、閉塞物42に付勢してチャネル14の端部46と係合させる。壁50にはたとえばトンネル52があって、ガスを逆止弁10の下流端9へ通すことができる。
【0032】
[0036]ばねは、弁を閉状態に保つように、閉塞物に対して過不足ない付勢力をかけるべきである。そうしないと、ノズル124、324から逆止弁10を除去することなく貯槽100、300からすべてのガスを分配することはできないはずである。上流端8は下流端9よりも圧力が低いので、貯蔵ガスの適切な放出を保証するためには、上流端8に0.01Torr(0.0002プサイ(psi))(1.33Pa)~517Torr(10プサイ)(68.9kPa)の圧力を加えるべきである。
【0033】
[0037]
図4の代替実施形態は、閉塞物42をチャネル14と係合させるように付勢するばねは使用しないという点で、
図3の実施形態と異なるものである。代わりに、小さい圧力差が、付勢するように作用する。貯槽100、300の内容積128、352における圧力は、それぞれ
図1および
図2の逆止弁の上流端8において1~700Torr(0.133~93.3kPa)などの準大気圧である。逆止弁10の下流端9にはおよそ760Torr(101kPa)の大気圧がかかっているので、閉塞物をチャネル14の端部46に押し付けて係合させ、貯槽からのガス漏れを防止する。チャネル14はチャンバ26よりも圧力が低いので、閉塞物を付勢してチャネルと係合させる。ノズル124、324にラインが接続されると、弁組立体114、314には貯槽100、300の圧力よりも低い準大気圧がかかり、閉塞物42がチャネル14から下流端9の方へ変位して、貯槽100の内容積128や貯槽300の内容積352からのガスが、逆止弁10およびノズル124、324を通って流れることが可能になる。ガスは、非常に小さい差圧で、逆止弁10を通って流れることができる。一態様では、金属の閉塞物42を下流端9の方へ移動させて、ガスが逆止弁10を通っていずれかの方向に流れることを可能にするために、磁石も使用され得る。
【0034】
[0038]一般的な貯蔵では、逆止弁10のチャンバ26の中の閉塞物42が付勢され、ノズル124、324の中のチャネル14と係合して、チャネルからチャンバへの流体の意図せぬ通過を防止する。ばね48を使用することにより、または差圧によって、閉塞物に付勢してよい。貯槽100、300からガスを分配するために、貯槽100、300の内容積128、354がノズル124、324と連通する。これは、流路120の圧力を下げて等化することを可能にするように遮断弁122、322を開くことによって開始され得る。機械弁138の可撓性部材144に圧力が伝達され得て、可撓性部材144が屈曲してポート148が開き、貯槽100の中の流体が流路120を通過することが可能になる。別の実施形態では、内容積352におけるガスを吸着した吸着剤350に圧力が伝達され得てガスを脱着させ、貯槽300の中の流体が流路320を通過することを可能にする。加えて、閉塞物42を移動させ、チャネル14との係合を解除して、上記チャネル14から上記チャンバ26への流体の流れを可能にするために、チャンバ26内の圧力はチャネル14内の圧力未満まで十分に低下されなければならない。恐らくノズル124、324の雄ねじ154、354を利用して管を取り付け、貯槽100、300の内容積128、328の圧力よりも低い圧力をかけることにより、チャンバ26内の圧力が十分に低下され得て、ガスが逆止弁10を通って流れることが可能になる。ガスは、貯槽100、300から流路120、320を通り、閉塞物42を通り越してノズル124、324を通ることになる。
【0035】
[0039]ノズルによって、
図3および
図4における一般的な流れ方向Fと反対方向に流体を流して貯槽を満たすために、ノズル124、324から逆止弁10を除去してノズルにガス管を固定し得る。
【0036】
[0040]本開示は、はるかに安全に、汚染なしで、貯槽にガスを貯蔵する装置および方法を提供するものである。
【0037】
実例
[0041]逆止弁10を試験するために、
図2のものに類似のアルシンガス含有貯槽300の弁組立体314のノズル324の中に逆止弁を挿入した。内容積328の圧力は650Torr(86.7kPa)であった。遮断弁322を全開にして、2カ月にわたって放出濃度を測定した。結果を
図5に示す。温度変動は23℃±1℃であった。放出速度はほとんどゼロであり、通気は散発的でわずかなものであった。標準的な1.4m
3/分(標準的な50ft
3/分)の通気度において、アルシンガスの放出レベルは5ppbを大幅に下回るものであった。平均放出は0ppbで、最大ピークは1.5ppbであった。
【0038】
[0042]同一条件で逆止弁10なしの場合、遮断弁が開いたままのとき、アルシンガスの放出は5ppbを優に上回り、平均21.6ppb、最大ピーク81.3ppbであった。
【0039】
[0043]以下は、特定の実施形態に関連して説明されるが、この説明は例証することを意図しており、以前の説明および添付の特許請求の範囲を制限するものではないことが理解されよう。
【0040】
[0044]当業者なら、さらなる詳細なしで、以前の説明を使用して、本発明の本質的特質を容易に確認し、その趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明を最大限に利用したり、様々な変更および修正を加えて様々な用途および条件に適合させたりすることができると考えられる。したがって、以前の望ましい特定の実施形態は単なる例証であって、本開示の残りの部分を制限するものではなく、添付の特許請求の範囲に含まれる様々な修正形態および同等な機構を対象として含むものと解釈されるように意図されている。
【0041】
[0045]前述のことは、別段の指示がなければ、すべての温度は摂氏度で説明されており、すべての等分や割合は重さで説明されている。
【国際調査報告】