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  • 特表-金属窒化物薄膜の形成方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-09
(54)【発明の名称】金属窒化物薄膜の形成方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/34 20060101AFI20221101BHJP
   H01L 21/318 20060101ALI20221101BHJP
   H01L 21/285 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
C23C16/34
H01L21/318 B
H01L21/285 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022514271
(86)(22)【出願日】2020-07-24
(85)【翻訳文提出日】2022-05-02
(86)【国際出願番号】 KR2020009806
(87)【国際公開番号】W WO2021045385
(87)【国際公開日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】10-2019-0108609
(32)【優先日】2019-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518176264
【氏名又は名称】イージーティーエム カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002398
【氏名又は名称】弁理士法人小倉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ,グン ス
(72)【発明者】
【氏名】パク,ギル ジェ
(72)【発明者】
【氏名】ホン,ジョン テ
(72)【発明者】
【氏名】シン,チョル ヒ
【テーマコード(参考)】
4K030
4M104
5F058
【Fターム(参考)】
4K030AA02
4K030AA05
4K030AA09
4K030AA11
4K030AA13
4K030AA16
4K030AA18
4K030BA13
4K030BA17
4K030BA19
4K030BA20
4K030BA38
4K030EA01
4K030FA10
4K030HA01
4K030JA10
4K030LA15
4K030LA24
4M104BB36
4M104DD43
5F058BA09
5F058BC09
5F058BF02
5F058BF22
5F058BF30
5F058BF34
(57)【要約】
本発明の一実施形態によれば,金属窒化物薄膜を形成する方法は,基板に金属前駆体を供給して前記基板の表面に選択的に堆積させる堆積工程; 前記基板にハロゲンガスを供給して前記基板の表面に金属ハロゲン化合物を形成するハロゲン処理工程; 前記基板に窒素源を供給して前記金属ハロゲン化合物と反応させ,金属窒化物を形成する窒化工程を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属窒化物薄膜を形成する方法において,
基板に金属前駆体を供給して前記基板の表面に選択的に堆積させる堆積工程;
前記基板にハロゲンガスを供給して前記基板の表面に金属ハロゲン化合物を形成するハロゲン処理工程;及び
前記基板に窒素源を供給して前記金属ハロゲン化合物と反応させ,金属窒化物を形成する窒化工程を含む,金属窒化物薄膜を形成する方法。
【請求項2】
前記金属窒化物は,Mab(MはV,Nb,Ta,Wのうちの1つ,1≦a≦4,1≦b≦5)である,請求項1記載の金属窒化物薄膜を形成する方法。
【請求項3】
前記金属前駆体は,MXn(NR125-n(1≦n≦4),MX(NR122NR3,MX2(NR12)NR3及び,M(NR122(NR3)R4のいずれか一つ以上である,請求項1記載の金属窒化物薄膜を形成する方法。
【請求項4】
前記MXn(NR125-nにおいて,MはV,Nb,Ta,Wのうちの1つであり,XはF,Cl,Br,Iを含む17族のうちの1つであり,R1,R2はそれぞれ互いに独立して炭素数1~10の直鎖状の炭化水素,枝分かれ状の炭化水素又は,環状の炭化水素のうちの1つであり,互いに同一又は異なる,請求項3記載の金属窒化物薄膜を形成する方法。
【請求項5】
前記MX(NR122NR3において,MはV,Nb,Ta,Wのうちの1つであり,XはF,Cl,Br,Iを含む17族のうちの1つであり, R1,R2,R3はそれぞれ互いに独立して炭素数1~10の直鎖状の炭化水素,枝分かれ状の炭化水素,環状の炭化水素のうちの1つであり,互いに同一又は異なっており,下記<化学式1>で表される,請求項3記載の金属窒化物薄膜を形成する方法。
【請求項6】
前記MX2(NR12)NR3において,MはV,Nb,Ta,Wのうちの1つであり,XはF,Cl,Br,Iを含む17族のうちの1つであり, R1,R2,R3はそれぞれ互いに独立して炭素数1~10の直鎖状の炭化水素,枝分かれ状の炭化水素,環状の炭化水素のうちの1つであり,互いに同一又は異なっており,下記<化学式2>で表される,請求項3記載の金属窒化物薄膜を形成する方法。
【請求項7】
前記M(NR122(NR3)R4において,MはV,Nb,Ta,Wのうちの1つであり,XはF,Cl,Br,Iを含む17族のうちの1つであり, R1,R2,R3,R4は,それぞれ独立して炭素数1~10の直鎖状の炭化水素,枝分かれ状の炭化水素,環状の炭化水素のうちの1つであり,互いに同一又は異なっており,下記<化学式3>で表される,請求項3記載の金属窒化物薄膜を形成する方法。
【請求項8】
前記金属前駆体はキャリアガスと共に供給され,前記キャリアガスは窒素(N2),アルゴン(Ar),ヘリウム(He)を含む不活性ガスのうちの少なくとも1つである,請求項1~7いずれか1項記載の金属窒化物薄膜を形成する方法。
【請求項9】
前記ハロゲンガスは,X2,HXのうちの少なくとも1つである,請求項1~7いずれか1項記載の金属窒化物薄膜を形成する方法。
【請求項10】
前記窒素源は,NH3 ,NHR2 (RはC1 ~C5の直鎖状のアルキル基,枝分かれ状のアルキル基又は,芳香族アルキル基のうちの少なくとも1つ),NH2R(RはC1~C5の直鎖状のアルキル基 ,枝分かれ状のアルキル基又は,芳香族アルキル基のうちの少なくとも1つ),NR3(RはC1~C5の直鎖状のアルキル基,枝分かれ状のアルキル基又は,芳香族アルキル基のうちの少なくとも1つ),ヒドラジン(Hydrazine,H42),R-ヒドラジン(RはC1~C5の直鎖状のアルキル基,枝分かれ状のアルキル基又は,芳香族アルキル基のうちの少なくとも1つ),H2プラズマ,N2プラズマ又は,NH3プラズマのうちの1つ以上である,請求項1~7いずれか1項記載の金属窒化物薄膜を形成する方法。
【請求項11】
前記堆積工程,前記ハロゲン処理工程及び,前記窒化工程は,250~600℃でそれぞれ進行させる,請求項1~7いずれか1項記載の金属窒化物薄膜を形成する方法。
【請求項12】
前記堆積工程,前記ハロゲン処理工程及び,前記窒化工程は1サイクルを形成し,前記サイクルを繰り返す,請求項1~7いずれか1項記載の金属窒化物薄膜を形成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,金属窒化物薄膜の形成方法に関し,特にハロゲンガスを用いた金属窒化物薄膜の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ニオブナイトライド(窒化ニオブ,NbNx,式中xは約1である)などの金属ナイトライドフィルム(金属窒化フィルム)が様々な技術分野で広く利用されてきた。
【0003】
従来,これらのナイトライド(窒化物)はハードコーティング及び装飾コーティングとして適用されてきたが,ここ数十年間,これらはマイクロエレクトロニクスデバイスにおいて徐々に拡散障壁(diffusion barrier)及び接着(グルー)層(glue layer)として利用されてきた[Applied Surface Science 120 (1997)199-212]。
【0004】
例えば,NbCl5はNbNの原子層エピタキシャル成長のニオブ源として調査されたが,この方法は還元剤としてZnを要求した[Applied Surface Science 82/83 (1994) 468-474]。 NbNxフィルムはまた,NbCl5及びNH3を用いた原子層堆積によって堆積された[Thin Solid Films 491(2005)235-241]。 500℃で堆積したフィルムはほぼ塩素が不在であるように,塩素含有量は強い温度依存性を示したが,堆積温度が250℃ほど低い場合,塩素含有量は8%であった(上記文献)。 NbCl5の高融点はまた,前駆体を蒸着プロセスで使用するのが難しい。
【0005】
Gust et alは,ピラゾラート配位子を保持するニオブ及びタンタルイミド錯体の合成,構造及び特徴,並びに,CVDによる窒化タンタル膜(tantalum nitride films)の成長のためのそれらの潜在的な使用が開示されている。 Elorriaga et alは,アミンの触媒的グアニル化における中間体としての非対称ニオブグアニジネートが開示されている(Dalton Transactions,2013,Vol. 42,Issue 23 pp. 8223-8230)。
【0006】
Tomson et alは,カチオン性Nb及びTaモノメチル錯体[(BDI)MeM(NtBu)][X](BDI=2,6-iPr2C6H3-N-C(Me)CH-C(Me)-N(2,6-iPr2C6H3); X = MeB(C6F53又はB(C6F54)の合成及び反応性が開示されている(Dalton Transactions 2011 Vol. 40,Issue 30,pp. 7718-7729)。
【0007】
DE102006037955(Starck)は式R4R5R6M(R1NNR2R3)2(ここで,MはTa又はNbであり;R1-R3=C1-12アルキル,C5-12シクロアルキル,C6-10アリール,アルケニル,C1-4トリオルガノシリルであり;R4-R6=ハロ,(シクロ)アルコキシ,アリールオキシ,シロキシ,BH4,アリル,インデニル,ベンジル,シクロペンタジエニル,CH2SiMe3,シリルアミド,アミド又はイミノ)を有するタンタル化合物及びニオブ化合物を開示している。
【0008】
Maestre et alは,NbCp(NH(CH2)2-NH2)Cl3及びNbCpCl2(N-(CH2)2-N)を形成するシクロペンタジエニル-シリル-アミドチタン化合物と第5族金属モノシクロペンタジエニル錯体の反応を開示している。
【0009】
高温で厚さ及び組成制御を伴う気相フィルム堆積に適した,新規の液体又は低融点(標準圧力で<50℃)であり,高熱安定性を有数V族含有前駆体分子の開発が依然として必要とされている。また,微細な金属配線等を形成するためにスパッタリング(sputtering)のような物理的蒸着法が用いられたが,このような物理的蒸着法の場合には段差被覆性(step coverage)が不良である。
【0010】
近年,半導体素子の超集積化,超薄膜化傾向に伴い,均一な蒸着特性と段差被覆性を有する薄膜蒸着技術で化学気相蒸着法(Chemical vapor deposition,CVD)が開発された。 しかし,化学気相蒸着法の場合,薄膜形成に必要な全ての物質が同時にプロセスチャンバ内に供給され,所望の組成比の物性を有する膜を形成することが難しく,高温でプロセスが進行するため,素子の電気的特性を劣化させたり,蓄電容量を低下させたりする。 これらの問題を解決するために,プロセスガスを連続的に供給せずに独立して供給する原子層堆積法(ALD)が開発された。
【0011】
発明の詳細な説明
技術的課題
本発明の目的は,金属窒化物薄膜を効果的に形成することができる方法を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は,下記発明の詳細な説明と添付した図面からより明確にされる。
【0013】
課題解決手段
本発明の一実施形態によれば,金属窒化物薄膜を形成する方法は,基板に金属前駆体を供給して前記基板の表面に選択的に堆積させる堆積工程; 前記基板にハロゲンガスを供給して前記基板の表面に金属ハロゲン化合物を形成するハロゲン処理工程; 前記基板に窒素源を供給して前記金属ハロゲン化合物と反応させ,金属窒化物を形成する窒化工程を含む。
【0014】
前記金属前駆体は,MXn(NR125-n(1≦n≦4),MX(NR122NR3,MX2(NR12)NR3及び,M(NR122(NR3)R4のいずれか一つ以上であってもよい。
【0015】
前記MXn(NR125-nにおいて,MはV,Nb,Ta,Wのうちの1つであり,XはF,Cl,Br,Iを含む17族のうちの1つであり,R1,R2はそれぞれ互いに独立して炭素数1~10の直鎖状の炭化水素,枝分かれ状の炭化水素又は,環状の炭化水素のうちの1つであり,互いに同じでも異なっていてもよい。
【0016】
前記MX(NR122NR3において,MはV,Nb,Ta,Wのうちの1つであり,XはF,Cl,Br,Iを含む17族のうちの1つであり, R1,R2,R3はそれぞれ互いに独立して炭素数1~10の直鎖状の炭化水素,枝分かれ状の炭化水素又は,環状の炭化水素のうちの1つであり,互いに同一又は異なっており,下記<化学式1>で表される。
【化1】
【0017】
前記MX2(NR12)NR3において,MはV,Nb,Ta,Wのうちの1つであり,XはF,Cl,Br,Iを含む17族のうちの1つであり, R1,R2,R3はそれぞれ互いに独立して炭素数1~10の直鎖状の炭化水素,枝分かれ状の炭化水素又は,環状の炭化水素基のうちの1つであり,互いに同一又は異なっており,下記<化学式2>で表される。
【化2】
【0018】
前記M(NR122(NR3)R4において,MはV,Nb,Ta,Wのうちの1つであり,XはF,Cl,Br,Iを含む17族のうちの1つであり, R1,R2,R3,R4は,それぞれ独立して炭素数1~10の直鎖状の炭化水素,枝分かれ状の炭化水素又は,環状の炭化水素のうちの1つであり,互いに同一又は異なっており,下記<化学式3>で表される。
【化3】
【0019】
前記金属前駆体はキャリアガスと共に供給され,前記キャリアガスは窒素(N2),アルゴン(Ar),ヘリウム(He)を含む不活性ガスのうちの1つ以上であっても良い。
【0020】
前記ハロゲンガスは,X2,HXのうちの1つ以上であっても良い。
【0021】
前記窒素源は,NH3 ,NHR2 (RはC1~C5の直鎖状のアルキル基,枝分かれ状のアルキル基又は,芳香族アルキル基のうちの少なくとも1つ),NH2R(RはC1~C5の直鎖状のアルキル基,枝分かれ状のアルキル基又は,芳香族アルキル基のうちの少なくとも1つ),NR3(RはC1~C5の直鎖状のアルキル基,枝分かれ状のアルキル基又は,芳香族アルキル基のうちの少なくとも1つ),ヒドラジン(Hydrazine,H42),R-ヒドラジン(RはC1~C5の直鎖状のアルキル基,枝分かれ状のアルキル基,芳香族アルキル基のうちの少なくとも1つ),H2プラズマ,N2プラズマ,NH3プラズマのうちの1つ以上であっても良い。
【0022】
前記堆積工程,前記ハロゲン処理工程及び,前記窒化工程は,250~600℃でそれぞれ進行させることができる。
【0023】
前記堆積工程,前記ハロゲン処理工程及び,前記窒化工程は1サイクルを形成し,前記サイクルを繰り返すことができる。
【0024】
発明の効果
本発明の一実施形態によれば,前記金属前駆体は,金属窒化物(例えば,ニオブ薄膜)を蒸着に適していることを確認することができ,前記金属前駆体が持続的な加温でも特性が劣化しない高い熱的安定性とともに高い蒸気圧(vapor pressure)を有することにより,有機金属化学気相蒸着法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition, MOCVD)及び原子層堆積法(Atomic Layer Deposition,ALD)を用いた金属窒化物薄膜を蒸着する半導体製造工程に有用に適用できることが分かる。
【0025】
また,金属前駆体を用いた金属窒化物薄膜の形成方法は,炭素及びハロゲン不純物のない金属窒化物薄膜の形成に有利に適用できることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態による金属窒化物薄膜の形成方法を概略的に示すフローチャートである。
図2】本発明の一実施形態による金属窒化物薄膜の形成過程を概略的に示す図である。
図3】本発明の一実施形態による金属窒化物薄膜の形成過程を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下,本発明の好ましい実施例を添付した図1及び図3を参照してより詳細に説明する。本発明の実施例は様々な形態に変形されてもよく,本発明の範囲が以下で説明する実施例に限定されるものと解釈されてはならない。本実施例は,当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に本発明をより詳細に説明するために提供されるものである。よって,図面に示した各要素の形状はより明確な説明を強調するために誇張されて表現されている可能性がある。
【0028】
まず,従来使用されている前駆体NbCl5は固体であるため,蒸着装置内の配管の目詰まりが発生し,気体に昇華させて一定量を蒸着チャンバへ搬送することに困難がある。また,他の有機金属前駆体は炭素含有量が多く,不純物が膜質に影響を与える問題点を有している。
【0029】
以下で説明する金属(V)窒化物薄膜の形成方法は,原子層堆積法(ALD)又は有機金属化学気相蒸着法を介して基板の表面に薄膜を形成する方法であり,以下の一般式は,液体前駆体を用いても,既存の固体前駆体を使用した場合と比較して,炭素及びハロゲンの不純物のない薄膜を形成する反応式を示す。
【0030】
図1は 本発明の一実施形態による金属窒化物薄膜の形成方法を概略的に示すフローチャートであり,図2及び図3は本発明の一実施形態による金属窒化物薄膜の形成過程を概略的に示す図である。
【化4】
M=V,Nb,Ta,W(前記Mの酸化状態は(I~V)又は混合(Mixed)状態)。
X=F,Cl,Br,Iを含む周期律表上の17族のうちの1つ。
1,R2=それぞれ互いに独立して炭素数1~10の直鎖状のアルキル基,枝分かれ状のアルキル基又は,環状のアルキル基のうちの1つであり,互いに同じでも異なっていてもよい。
1≦n≦4
1≦a≦4
1≦b≦5
【0031】
前記MXn(NR12)5-nは,金属窒化物薄膜を形成するための金属(V)前駆体である。図1図3に示すように(M=Nbの場合),基板はチャンバ内に供給され(「基板供給工程」),前記金属前駆体がチャンバ内の前記基板に供給され,前記基板の表面に選択的に堆積される(「堆積工程」)。前記金属前駆体は,液体供給装置(Liquid Delivery System)を介して前記チャンバ内に供給することができ,その時点で適切な温度で気化して均一なガス状に送達することができる。
【0032】
このほか,バブリング方式,気相(vapor phase)マスフローコントローラ(mass flow controller),直接液体注入(DLI:Direct Liquid Injection)や前駆体化合物を有機溶媒に溶かして移送する液体移送方法を含む様々な供給方法を適用することができる。前記金属前駆体を供給するためのキャリアガスとして,窒素(N2),アルゴン(Ar),ヘリウム(He)又は水素(H2)のうちの1つ又は2つ以上の混合物を使用することができる。
【0033】
その後,ハロゲンガス(X2又はHX)が前記チャンバ内の前記基板に供給され,前記ハロゲンガスは前記基板の表面に金属ハロゲン化合物を形成すると同時に例えばR-Clの形態で不純物を除去することができる(ハロゲン処理工程)。
【0034】
その後,前記基板に窒素源を供給して反応副生成物及び未反応物質を除去すると同時に,前記金属ハロゲン化合物と反応して金属窒化物を形成する(「窒化工程」)。前記窒素源はNH3 ,NHR2 (RはC1~C5の直鎖状のアルキル基,枝分かれ状のアルキル基又は,芳香族アルキル基のうちの少なくとも1つ),NH2R(RはC1~C5の直鎖状のアルキル基 ,枝分かれ状のアルキル基又は,芳香族アルキル基のうちの少なくとも1つ),NR3(RはC1~C5の直鎖状のアルキル基,枝分かれ状のアルキル基又は,芳香族アルキル基のうちの少なくとも1つ),ヒドラジン(Hydrazine,H42),R-ヒドラジン(RはC1~C5の直鎖状のアルキル基,枝分かれ状のアルキル基又は,芳香族アルキル基のうちの少なくとも1つ),H2/N2混合プラズマ,NH3 プラズマの1つ以上を使用することができ,不純物は(R3N)-HCl塩で除去することができる(R=炭素数1~5の直鎖状のアルキル基,枝分かれ状のアルキル基又は,環状のアルキル基)。
【0035】
一方,前記堆積工程,前記ハロゲン処理工程及び,前記窒化工程は,250~600℃でそれぞれ進行させることができる。さらに,前記堆積工程,前記ハロゲン処理工程及び,前記窒化工程は1サイクルを形成し,サイクルは数回繰り返すことができる。
【化5】
M=V,Nb,Ta,W(前記Mの酸化状態は(I~V)又は混合(Mixed)状態)。
X=F,Cl,Br,Iを含む周期律表上の17族のうちの1つ。
1,R2,R3=それぞれ互いに独立して炭素数1~10の直鎖状のアルキル基,枝分かれ状アルキル基又は,環状のアルキル基のうちの1つであり,互いに同じでも異なっていてもよい。
1≦n≦4
1≦a≦4
1≦b≦5
【0036】
前記MX(NR122NR3は,金属窒化物薄膜を形成するための金属(V)前駆体であり,下記<化学式1>で表される。
【化6】
【化7】
M=V,Nb,Ta,W(前記Mの酸化状態は(I~V)又は混合(Mixed)状態)。
X=F,Cl,Br,Iを含む周期律表上の17族のうちの1つ。
1,R2,R3=それぞれ互いに独立して炭素数1~10の直鎖状のアルキル基,枝分かれ状のアルキル基又は,環状のアルキル基のうちの1つであり,互いに同じでも異なっていてもよい。
1≦n≦4
1≦a≦4
1≦b≦5
【0037】
前記MX2(NR12)NR3は,金属窒化物薄膜を形成するための金属(V)前駆体であり,下記<化学式2>で表される。
【化8】
【化9】
M=V,Nb,Ta,W(前記Mの酸化状態は(I~V)又は混合(Mixed)状態)。
X=F,Cl,Br,Iを含む周期律表上の17族のうちの1つ。
1,R2,R3,R4=それぞれ互いに独立して炭素数1~10の直鎖線状のアルキル基,枝分かれ状のアルキル基又は,環状のアルキル基のうちの1つであり,互いに同じでも異なっていてもよい。
1≦n≦4
1≦a≦4
1≦b≦5
【0038】
前記M(NR122(NR3)R4は,金属窒化物薄膜を形成するための金属(V)前駆体であり,下記<化学式3>で表される。
【化10】
【0039】
以上,本発明を実施例を通じて詳細に説明したが,他の形態の実施形態も可能である。したがって,以下に記載される特許請求の範囲の技術的思想と範囲は実施形態に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は,多様な形態の半導体の製造方法に応用される。

図1
図2
図3
【国際調査報告】