(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-09
(54)【発明の名称】導波管付き指向性マルチウェイスピーカー
(51)【国際特許分類】
H04R 1/26 20060101AFI20221101BHJP
H04R 1/28 20060101ALI20221101BHJP
H04R 9/06 20060101ALI20221101BHJP
H04R 1/30 20060101ALI20221101BHJP
H04R 1/02 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
H04R1/26
H04R1/28
H04R9/06 A
H04R1/30 A
H04R1/02 101B
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022514592
(86)(22)【出願日】2020-08-20
(85)【翻訳文提出日】2022-05-02
(86)【国際出願番号】 FI2020050543
(87)【国際公開番号】W WO2021044078
(87)【国際公開日】2021-03-11
(32)【優先日】2019-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508104732
【氏名又は名称】ゲネレク オーワイ
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【氏名又は名称】川内 英主
(74)【代理人】
【識別番号】100202119
【氏名又は名称】岩附 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイサネン,ユッシ
(72)【発明者】
【氏名】ホルム,ユハ
【テーマコード(参考)】
5D012
5D017
5D018
【Fターム(参考)】
5D012DA04
5D012GA02
5D017AD11
5D018AB15
5D018AC01
5D018AD17
5D018AD22
5D018AE02
(57)【要約】
本発明は、内部体積を画定する前部、側部及び後部を有する均一な筐体であって、前部が導波管表面として形成され、該導波管表面内に少なくとも1つのドライバを含み、スピーカーの主音響パワーを第1の音響軸の方向に放射可能である筐体と、該筐体に取り付けられた少なくとも1つの付加ドライバであって、該付加ドライバは、内部体積内において、付加ドライバと、該付加ドライバと前部との間のスペーサと、筐体の前部と、によって制限される副体積が形成されるように取り付けられる付加ドライバと、筐体の側部又は後部のいずれかに、副体積から周囲体積に向けて開口するように設けられる、少なくとも1つの第1のポートと、副体積に音響的に接続された少なくとも1つの共振器キャビティを含む少なくとも1つの共振器であって、副体積の望ましくない共振の少なくとも一つに同調される、少なくとも1つの共振器と、を備えるスピーカーに関する。そして、共振器は、均一な筐体と接続される分離されたユニットとして形成される。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部体積(27)を画定する前部(15)、側部(21)及び後部(25)を有する均一な筐体(2)であって、前記前部(15)は、導波管表面(8)として形成され、該導波管表面(8)内に少なくとも1つのドライバ(12,13)を有して、スピーカ(1)の主音響パワーを第1の音響軸(10)の方向に放射可能である、筐体(2)と、
前記筐体(2)に取り付けられた少なくとも1つの付加ドライバ(4)であって、前記付加ドライバ(4)は、前記内部体積(27)内において、前記ドライバ(4)と、前記ドライバ(4)と前記前部(15)との間のスペーサ(33)と、前記筐体(2)の前記前部(15)とによって制限される副体積(22)が形成されるように取り付けられる付加ドライバ(4)と、
前記筐体(2)の側部(22)又は後部(25)のいずれかに、前記副体積(22)から周囲体積(26)に向けて開口するように設けられる、少なくとも1つの第1のポート(20)と、
前記副体積(22)に音響的に接続された少なくとも1つの共振器キャビティ(46)を含む少なくとも1つの共振器(40)であって、前記副体積(22)の望ましくない共振の少なくとも一つに同調される、少なくとも1つの共振器(40)と、を備え、
前記共振器(40)は、前記均一なエンクロージャ(2)に接続された別個のユニット(51)として形成される、スピーカー(1)。
【請求項2】
前記共振器ユニット(51)は、プラスチック、木質系材料又は金属製である、請求項1に記載のスピーカー。
【請求項3】
前記共振器ユニット(51)は、前記筐体(2)の前部(15)の内面に接続される、請求項1又は2に記載のスピーカー。
【請求項4】
前記共振器ユニット(51)は、開口部(45)を有する1つ以上の湾曲したキャビティ(46)を含む、請求項1、2又は3に記載のスピーカー。
【請求項5】
前記共振器ユニット(51)の開口部(45)は、前記スピーカーの前記第1のポート(20)から遠ざかる方向に向けられている、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のスピーカー。
【請求項6】
前記共振器(40)は、広帯域特性を有する抵抗共振器である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のスピーカー。
【請求項7】
前記共振器(40)は、PESウール、オープンセルフォーム材料、ファイバーガラス、ミネラルウール、フェルト、又は他の繊維性材料、若しくはオープンセル材料又は多孔性材料のような、減衰材料(41)、又は、体積の代わりに製造される任意の固体材料を含み、その材料が、1μm(マイクロメートル)から1mm(ミリメートル)までの寸法範囲におけるセルサイズ又は繊維サイズを有するオープンセル構造又は繊維構造である、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のスピーカー。
【請求項8】
前記共振器(40)は、パネル共振器又はヘルムホルツ共振器のような反応性共振器である、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のスピーカー。
【請求項9】
前記副体積(22)は、幅(W)及び長さ(L)を有し、比(W/L)が1.2から2.5の範囲にあり、典型的には約1.8であることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のスピーカー。
【請求項10】
前部ポート(5)の平面(31)と第1のポート(20)の平面(32)とは、第一ポート(20)が後部(25)に位置していないときに、0度より大きい、好ましくは45度より大きい角度αを有する、請求項1乃至9のいずれか1項に記載のスピーカー。
【請求項11】
前記第2の音響軸(11)は、前記第1の音響軸(10)と非同軸である、請求項1乃至10のいずれか1項に記載のスピーカー。
【請求項12】
前記第2の音響軸(11)は、前記第1の音響軸と非平行である、請求項1乃至11のいずれか1項に記載のスピーカー。
【請求項13】
前記第1のドライバ(3)は、互いに同軸の2つのドライバ(12,13)を含む、請求項1乃至12のいずれか1項に記載のスピーカー。
【請求項14】
前記第1のドライバ(3)は、1つのドライバ(12,13)のみを含む、請求項1乃至13のいずれか1項に記載のスピーカー。
【請求項15】
前記スピーカー(1)は、バスレフ型スピーカーである、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の拡声器スピーカー。
【請求項16】
前記均一な筐体(2)は、金属による鋳造又は成型、プラスチック、又は木材をベースにした材料によって作られる、請求項1乃至15のいずれか1項に記載のスピーカー。
【請求項17】
前記均一な筐体(2)は、金属、プラスチック又は木材をベースとする材料の機械加工によって製造される、請求項1乃至16のいずれか1項に記載のスピーカー。
【請求項18】
前記少なくとも1つのドライバ(12、3)は、前記導波管表面(8)の中心に位置する、請求項1乃至17のいずれか1項に記載のスピーカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカーに関する。特に、本発明は、導波管を備えたスピーカーに関する。
正確には、本発明は、請求項1のプリアンブル部分に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、特に2つ以上のドライバを有するスピーカー(マルチウェイスピーカー)は、スピーカーの前面バッフル面(Face:表面)の不連続性によって生じる音の回折に問題があった。実際に、高周波ドライバ(ツイータ)は、この意味で最も重要な部分となる。本出願の出願人は、ツイータ及び/又はミッドレンジ・ドライバのためだけに、あるいは同軸ミッドレンジ・ツイータ・ドライバのために、ツイータの周囲が高域及び中域の周波数のオーディオ信号用の連続導波管として形成されるという解決策を提示している。
【0003】
この用途では、これらの種類の音源は導波管ドライバと呼ばれ、この三次元導波管構造の中心に位置する任意のドライバを含む。これらの解決策により、良好な音質と音響エネルギーの正確な指向性が達成される。しかしながら、放射の指向性を制御するための導波管の周波数範囲及び有効性は、導波管によって覆われる表面積によって大部分が決定される導波管のサイズ、従ってスピーカーの前面バッフル面(表面)のサイズに依存する。導波管面積が小さいと、指向性制御は、ツイータ範囲のような高周波数に制限される。導波路面積が大きいと、指向性制御の周波数範囲を、中域ドライバ周波数範囲のような、より低い周波数に拡張することができる。
【0004】
より小さいサイズのスピーカーが設計される場合、全てのドライバは、通常、導波管(例えば低周波ラジエーターやウーファー)の中心に配置することができず、これらの他のドライバ及びこれらドライバ自体によって取られる表面積は、導波管に利用可能なバッフル面積を制限するか、または、さらにオーディオエネルギーの有害な回折を生成し、視聴者に聞こえるオーディオ信号の品質の劣化を引き起こす。
【0005】
従来技術では、スピーカーの前面に1つ以上の導波管を備えたスピーカーを作成する試みがなされてきた。本出願の出願人は、例えばEP出願14168925.7及びPCT出願PCT/FI2014/050757において、様々な解決策を先に作成している。これらの用途では、非同軸ドライバが筐体の前面(表面)に形成された導波管形状を乱さないように配置され、同じ表面(筐体の前面(表面))に配置された場合、それらは、選択された周波数において固体表面として有利に機能し、且つ導波管が設計された音源によって放射された周波数の浸透を制限する材料で覆われ、より具体的には、非同軸ドライバによって放射された周波数、典型的にはウーファが放射する他の周波数を透過することができる。
【0006】
低周波ドライバをカバーすると、ドライバによる空気のボリューム変位による空気の流れを可能にするための十分な開口が必要となるため、ドライバの動的性能に問題が生じる場合がある。さらに、ウーファーの前の副体積(sub volume)が、不要な共鳴を引き起こすことがある。
【発明の概要】
【0007】
本発明によれば、上述した問題の少なくともいくつかは、鋳造筐体の別個の構成である抵抗共振器または反応共振器のいずれかをウーファーの副体積に音響的に接続することによって解決され、これにより、スピーカーの総体積は可能な限り小さく保たれる。好ましくは、これらの共振器は、少なくとも部分的に同軸要素の周囲に配置される。さらに、本発明の目的は、ウーファーの動的性能を改善することである。
【0008】
より具体的には、本発明に係るスピーカーは、請求項1の特徴部分に記載されている事項を特徴とする。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、スピーカーは、副体積に音響的に接続された少なくとも1つの共振器を含み、該共振器は、副体積の望ましくない共振のうちの少なくとも1つに同調される。
【0010】
本発明による利点により、種々の利点が得られる。
【0011】
本発明の一実施形態の助けを借りて、低周波数ドライバをカバーすることができ、さらに、ウーファの副体積によって生じる共振の問題を抑制することができる。いくつかの実施形態において、抑制は、異なる周波数に同調された複数の共振器によって複数の周波数で行われてもよい。
【0012】
本発明の助けを借りて、スピーカーの前面全体(表面)は、低音ドライバの副体積を形成する上で邪魔な共振を伴わずに、中及び高周波用の連続導波管として形成することができ、しかも、スピーカーの総体積を可能な限り小さく保つことができる。本解決策によって、18Hzから20000Hzまでの全音響範囲を正確に一つの「スイートスポット」に向けることができ、加えて、残りの音響エネルギーは、スピーカーの完全導波型によりリスニングルームに分配されるので、スピーカー筐体自体は、主方向以外の他の方向における周波数応答に本質的に影響を与えない。
【0013】
言い換えれば、完全なバッフルプレートが平面であるか又は導波管として部分的にしか湾曲していない従来のスピーカーでは、「スイートスポット」以外の方向に形成された信号は、制御されない方法でリスニングルームの壁から反射される。しかしながら、本発明は、音圧が全ての方向に最適に分配され、それによって壁反射音も人間の耳に自然に聞こえるような筐体を提供する。
【0014】
共振器は別個の部品であるため、鋳造エンクロージャとは異なる製造手順で異なる材料から加工することができる。これにより、曲線状又はらせん状の共振キャビティなど、より詳細なコンポーネントの製造が容易になる。さらに、これにより、同じ鋳造スピーカー筐体の代替ドライバ用に異なる種類の共振器を製造することが可能になる。また、共振器の材料は、プラスチックから木質系材料まで自由に選択することができ、金属であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
以下に、本発明の特定の好ましい実施形態を添付の図面を参照して説明する。
【
図4】従来技術によるウーファーキャビティ及び対応する共振器の周波数応答のグラフを示す。
【
図5】従来技術によるウーファー副体積の断面を示す。
【
図6】従来技術による第2のウーファー副体積の断面を示す。
【
図7】従来技術による第3の副体積の断面図を示す。
【
図8】
図8aは従来技術によるウーファーの正面図を示す。
図8bは
図7aのウーファーのA-A断面を示す。
【
図9】従来技術による第3のウーファー副の断面を示す。
【
図10】従来技術の一代替実施形態によるスピーカーの正面図である。
【
図12】従来技術によるスピーカーの正面図を示す。
【
図13】従来技術の好ましい一実施形態によるラウドスピーカーシステムの図を示す。
【
図14】従来技術の一つの好ましい具体例によるスピーカーの断面図を示す。
【
図16】スピーカー内部の筐体の前部に接続された本発明に係る共振器ユニットを示す。
【
図17】共振器ユニットが破線で示されるようにした、本発明に係るスピーカーを正面図として示す。
【
図18】共振器ユニットが破線で示されるようにした、本発明に係る他のスピーカーを正面図として示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1によれば、本発明に関連して少なくとも部分的に使用することができる従来技術におけるスピーカー1は、ツイータ12及びその周囲のミッドレンジ・ドライバ13を含む同軸導波管ドライバ3を含む。同軸ドライバ3は、三次元導波管表面8の中央に位置し、かつ筐体2の前部表面(前面)にも位置する。筐体は、典型的には鋳造金属製であり、有利にはアルミニウム製である。また、他の鋳造可能又は成形可能な材料、例えば、λチックの組み合わせを筐体の材料として使用してもよい。
【0017】
導波管表面8は、ドライバ3の主音響パワーを放射する。導波管8は、導波管ドライバ3の中心の周りに軸対称の特徴を有する滑らかな連続面を有する。筐体2及び狭いポート(開口)20内の導波管ドライバ3の両側には、2つのウーファードライバ4が対称的に配置されており、第1のポートは、筐体2から音響エネルギーを取り出すために、ウーファー4の導波管表面のすぐ後ろに形成されている。これらの第1のポート20は、この実施形態では、筐体2の狭い前端部にあり、これらのポートは、リスニング方向から部分的に見える。換言すれば、第1のポート20は、U字形スロットである。
【0018】
破線は、ウーファー4と、ウーファー副体積22と、ウーファー副体積22に接続された共振器40との概要を示す。共振器40の機能は、ウーファ副体積の共振を抑制することである。これらの共振器40は、部分的に同軸ドライバ3の後方に位置し、各副体積は、同軸ドライバ3の両側に2つの共振器を有する。副体積22は、幅W及び高さHを有し、その比W/H約1.8であり、典型的には1.0~5の範囲にある。共振器40は、典型的には、筐体の不可欠な部分である。
【0019】
共振器の寸法は、この時間長における最長寸法が、抑制される波長のλ/4又はλ/2となるように設定される。換言すれば、副体積22が波長λにおいて望ましくない共振を有する場合、共振器はλ/4の長さであるべきである。周波数領域では、これは共鳴F0でλ=v/f0を意味する。ここでvは音速である。好ましくは、共振器40は、PESウール、オープンセルフォーム材料、繊維ガラス、ミネラルウール、フェルト、又は他の繊維性又はオープンセル又はポーラス材料のような抑制材料41、又は体積の代わりに製造される任意の固体材料で充填され、その材料は、1μm(マイクロメートル)から1mm(ミリメートル)の寸法範囲におけるセルサイズまたは繊維サイズであるオープンセル又は繊維構造になる。
【0020】
図2を参照すると、共振器40は、同軸ドライバ3の少なくとも部分的に後方に配置されてもよい。
【0021】
図2及び
図3を参照すると、同軸ドライバの周りに対称的に配置された2つのウーファー4は、たとえウーファーが自身の音響軸11を有していても、実質的に導波管ドライバ3と同じ音響軸10に沿ってポート20を通って放射する同等の大きなウーファを形成する。
【0022】
換言すれば、スピーカー1は、第1の周波数帯域B1及び対応する第1の音響軸10を生成するように構成された第1のドライバ3と、第1の周波数帯域B1とは異なるがクロスオーバー領域でオーバーラップし得る第2の周波数帯域B2を生成するように構成され、該第2の周波数帯域B2が第2の音響軸11を有する第2のドライバ4とを含む。筐体2は、これらドライバ3,4を封入し、筐体2の前面に第1のドライバ3の周囲に配置された三次元導波管8を備える。
【0023】
上述したように、個々のウーファードライバの第2の音響軸11は、第1の音響軸10と非同軸であるが、互いに作用する複数の対称的なウーファー(同等のウーファードライバ)の結果として得られる軸は、同軸ドライバ、導波管ドライバ3と同じ音響軸を有する。しかしながら、この対称性は、本発明のすべての実施形態において要求されるわけではない。軸10及び11は平行であっても非平行であってもよい。
【0024】
図2及び
図3を参照すると、ウーファー4は、副体積22がウーファー4の前に形成され、ウーファー4自体および側壁23によって制限されるように、筐体2の内部に配置される。共振器40は、副体積22に音響的に接続される。望ましくない周波数をさらに減衰させるために、適切な抑制材料41を共振器40の内部に使用することができる。
【0025】
副体積(前方空間)22の側壁33は、ドライバ4と筐体2との間にスペーサを形成し、筐体2の内部体積27の残りの部分から副体積22をシールする。より詳細には、内部体積27は、筐体2の壁、すなわち前部15、側部21及び後部25によって制限される。
【0026】
典型的には、第1のポート20は、第1の軸10及び第2の軸11に関して実質的に直交して、最も好ましくは、これらの軸に関して60度から120度の範囲で方向付けられる。しかしながら、第1のポート20が、例えば導管によって筐体2の後部25に伝達される場合、第1のポート20の方向と軸10及び11との間の差は、180度であってもよい。
【0027】
第1のポート20の総面積は重要な特徴であり、従って、第1のポート20は、図に示されるように、各ウーファー4に対して単一の第1のポート20のみであってもよく、または単一のポートに対応する面積を有するグリッドのような複数の第1のポート20から形成されてもよい。
【0028】
第1のポート20は、三次元導波管表面8を乱すべきではなく、そのため、筐体2の側部21に有利に配置される。もちろん、これらの第1のポート20は、適切な管または導管(図示せず)によって筐体2の後部25に伝達されてもよい。換言すれば、第1のポート20は、筐体2の前部15の三次元導波管8の外側の領域への空気通路を形成する。
【0029】
図4のグラフは、f
0での1つの共振を有するウーファー4の副体積22の周波数応答(実線)と、副体積22に音響的に接続された共振器40の対応する周波数応答(破線)を示し、共振器40は、副体積22の望ましくない共振を補償する。
【0030】
図5は、副体積の2つの望ましくない周波数に対して異なる長さを有する2つの抵抗性共振器20を有する代替実施形態を示す。また、1つ又は2つの抵抗性広帯域共振器を使用してもよく、抑制材料で有利に充填される。この場合、共振器キャビティの機械的寸法(長さ、幅、深さ)は、共振器の同調周波数を規定する。
【0031】
図6は、一つの反応性ヘルムホルツ共振器40を有する別の実施形態を示す。一般に、反応性共振器は高いQ値を持ち、非常に有効な狭帯域共振器である。また、これらのタイプの共振器は、いくつかの鋭い不要な共振がある場合には、1つの副体積22内にいくつか設置することができる。このタイプの共振器はまた、望ましくない周波数又は周波数f
0に同調される。ヘルムホルツ共鳴器の寸法について以下に説明する。
【0032】
共振は、共振器40の音響空気質量の頚部と、共振器のチャンバの空気体積の音響迎合性によって作り出される直列共振回路との効果から生じる。共鳴周波数に近いヘルムホルツ共鳴器は、副体積22の望ましくない共鳴を減衰させる。共振器40の頚部-導管系は、共振器の導管の空気体積と、頚部の直径とその長さとから導出することができる。
【0033】
【数1】
ここで、f
0は共振周波数、cは音速、Aは頚部の断面積、Lは頚部の長さ、Vはチャンバの体積を表す。
【0034】
図7は、共振器として1つの反応性パネル共振器を有する代替実施形態を示す。この実施形態は、パネル50の単位当たりの質量及びキャビティの深さdに基づいて、以下のように寸法が決められる。
【0035】
パネル共振器/膜吸収体の共振周波数fは、以下のように定義される。
【数2】
ここで、m=パネル50の単位面積当たりの音響質量(kg/m
2)
d=キャビティの深さ
膜固定の剛性は無視できると仮定される。
【0036】
図8aは、平面カバー47と、ヘルムホルツ共鳴器を形成する短いチューブ48とを有するウーファー4を上面図として示しており、チューブは頚部であり、カバーとウーファー円錐との間の容積は、共振器の容積を形成する。
図8bでは、この解をA-A断面図として示している。同調原理は
図5及び
図6と同じである。
【0037】
図9は、別の代替解決策を示しており、ここでは、共振器40は、前面バッフル部分15とウーファーの副体積22との間に形成される。共振器は、ネック部を有しない抵抗型であってもよいし、副体積22への開口部をチューブとして形成する場合には、反応型であってもよい。チューニングの原理は前の図と同じである。
【0038】
典型的には、本発明によるスピーカーは、周知のバスレフ原理に従って機能し、低周波数ドライバ4は、筐体27内に収容された空気体積と、
図2の反射ポート34内に収容された空気体積との迎合性の助けを借りて共振状態で同調される。
【0039】
本発明で少なくとも部分的に使用することができる従来技術の一実施形態(
図10~
図11)は、以下のように説明することもできる。
【0040】
スピーカー1は、内部体積27を画成すると共に前部バッフル部(前部)15を含む筐体2を備え、前部バッフル部15は、筐体2の内部体積27と周囲体積26との間に流体通路を設けるための前部ポート5と、バッフル部15の周囲から後方に延びる側部21とを有する。側部21は、側壁又は筐体2を形成する。筐体はさらに、典型的には前面バッフル部分15と実質的に平行であり、筐体2の背面を形成する背面部25を含む。スピーカー1は、さらに、ドライバ4がバッフル部15から離間して配置され、スペーサ33によってドライバ4とバッフル部15との間に副体積22が形成されるように、筐体2内に副体積22が形成されるように筐体2に取り付けられたドライバ4を備え、前部ポート5は、筐体2の副体積22と周囲体積28との間の前部ポートとして機能する。この実施形態によれば、副体積22と周囲体積26とを相互に接続するために、筐体2の側部21又は後部25のいずれかに第1のポート20が形成される。
【0041】
図10によれば、本発明の一実施形態によれば、筐体2内の導波管ドライバ3の両側に2つのウーファードライバ4が配置され、筐体2から音響エネルギーを取り出すために、ウーファー4のための適切なポート(開口部)5が形成されている。
【0042】
図11を参照すると、開口部5は、導波管表面8の一部を形成する音響透過層6で覆われている。必要に応じて、音響透過層6を支持バー7で下から支持することができる。ウーファードライバ4は、典型的には、音響透過層6から間隔を置いて配置される。
【0043】
図10を参照すると、2つのウーファー4は、たとえウーファーがそれ自身の音響軸11を有していても、導波管ドライバ3と同じ音響軸10に沿って漸次放射する同等の大きなウーファーを形成する。
【0044】
換言すれば、スピーカー1は、第1の周波数帯域B1及び対応する第1の音響軸10を生成するように構成された第1のドライバ3と、第1の周波数帯域B1とは異なるがクロスオーバー領域でオーバーラップし得る第2の周波数帯域B2を生成するように構成され、該第2の周波数帯域B2が第2の音響軸11を有する第2のドライバ4とを含む。筐体2は、該ドライバ3,4を封入し、筐体2の前面に第1のドライバ3の周囲に配置された三次元導波管8を備える。三次元導波管8は、第1の音響軸10に対して傾斜した方向に伝搬する第1の周波数帯域B1の音波に対して音響的に本質的に反射する音響選択的透過部6を備え、導波管部6は、導波管部6を介して第2の音響軸の方向に伝搬する第2の周波数帯域B2の音波に対して本質的に透明であり、第2のドライバ4は、音響選択的透明部6の後方の筐体2内に位置する。
【0045】
上述したように、個々のウーファードライバの第2の音響軸11は、第1の音響軸10と非同軸であるが、一緒に作用する複数のウーファー(同等のウーファードライバ)の結果として得られる軸は、同軸ドライバ、導波管ドライバ3と同じ音響軸を有する。しかしながら、この対称性は、本発明のすべての実施形態において必要とされるわけではない。軸10及び11は平行であっても非平行であってもよい。
【0046】
図10及び11を参照すると、ウーファー4は、副体積22がウーファー4の前に形成され、ウーファー4自体、側壁23及び音響選択的透過層6によって制限されるように、筐体2の内部に配置される。副体積22には共振器40が接続されており、これは副体積22によって生成される望ましくない周波数に同調される。共振器40は、抵抗性であっても反応性であってもよい。抵抗共振器の抑制特性は広帯域型である。換言すれば、抵抗共振器によって形成された中心周波数f
0の周りのノッチは、反応共振器のようにそれほど鋭くない。副体積(前方空間)22の側壁33は、ドライバ4と筐体2との間にスペーサを形成し、筐体2の内部体積27の残りの部分から副体積22をシールする。より詳細には、内部体積27は、筐体2の壁、すなわち前部15、側部21及び後部25によって制限される。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態では、音響的に選択的な透過層6は、機械的に保護された格子によって置き換えられてもよく、この場合、格子は、内部体積27だけでなく、副体積も制限する。好ましくは、第1のポート20は、ウーファー4の動作を最適化するために、副体積22の側壁23及び筐体2の側部21に形成される。これらの第1のポート20がないと、ウーファー4の性能が損なわれる可能性がある。第1のポート20は、図に示されているように、側部21のいずれか、例えば、短い側部21上に、あるいは、長い側部21上に配置されてもよい。
【0048】
典型的には、第1のポート20は、第1の軸10及び第2の軸11に関して実質的に直交して、最も好ましくは、これらの軸に関して60度から120度の範囲で方向付けられる。しかしながら、第1のポート20が、例えばチャネルによって筐体2の後部25に伝達される場合、第1のポート20の方向と軸10及び軸11との間の差は、180度であってもよい。
【0049】
これらの第1のポート20の面積は、典型的には、ウーファー4のための開口部5の面積の5から50%であり、最も有利には、ウーファー4のための開口部5の面積の10から20%の範囲である。第1のポート20の総面積は重要な特徴であり、従って、第1のポート20は、図に示されるように、各ウーファー4に対して単一の第1のポート20のみであってもよく、又は単一のポートに対応する面積を有するグリッドのような複数の第1のポート20から形成されてもよい。
【0050】
第1のポート20は、三次元導波管表面8を乱すべきではなく、そのため、筐体2の側部21に有利に配置される。もちろん、これらの第1のポート20は、適切な管又はチャネル (図示せず) によって筐体2の後部25に伝達されてもよい。換言すれば、第1のポート20は、筐体2の前部15の三次元導波管8の外側の領域への空気通路を形成する。
【0051】
典型的には、第2のドライバ4は、音響的に選択的な透過部6の背後の筐体2の内部に配置され、該透過部6から間隔を置いて配置され、副体積22が筐体2の内部に形成され、ドライバ4と筐体2の前部15との間のスペーサとして形成された側壁23とによって内部体積27から分離される。
【0052】
音響的に選択的な透過層6に関して、本質的に反射するとは、音響エネルギーの少なくとも50から100%、好ましくは80から100%の範囲の反射又は吸収を意味する。
【0053】
同様に、本質的に透過とは、音響エネルギーの少なくとも50から100%、好ましくは80から100%の範囲の透過を意味する。
【0054】
以下に、音響的に選択的な透過層6のさらなる有利な特性を示す。
層6の厚さは、有利には、
・フェルト、厚さ約1から5mm
・厚さ約1から20mm、孔径1mm未満のオープンセルプラスチックフォーム
・層6の一部として又はそれ自体としての薄い織物
層6は、典型的には600Hzを超える周波数を意味する導波管ドライバ3の音響放射を減衰させるべきである。
【0055】
換言すれば、層6は、周波数の関数としての音響インピーダンス(又は吸収)を有し、したがって、以下のように音響フィルタとして機能すべきである。
・ウーファードライバ4からのサウンドが通過するときのローパス
・中及び高周波での音波の強い反射を引き起こす、導波管ドライバ3からの高周波の(例えば、乱流又は損失の大きい吸収によって引き起こされる)減衰
・ドライバ3の高周波数に対する高反射率
【0056】
好ましくは、層6は、以下の方法で孔、又は孔又はそれらの組み合わせから形成される。
・単一の層6を使用する場合、穴の直径は1mm未満とする
・直径が1mm未満の穴が複数の層6で使用されている場合は、機能する可能性がある
・直径が1mmを超える穴が複数の層6で使用されている場合はまた、機能する可能性がある(現状テストされず)
・フェルトやオープンセルプラスチック材料のような微細構造
【0057】
層6の理想的な材料特性は以下のとおりである。
・ガス透過性(=多孔質)
・クロスオーバー周波数Cまでの低音響損失(ウーファー4)
・クロスオーバー周波数Cをわずかに上回る高音響反射率
・上記の基準を満たす既知の材料:
・フェルト、厚さ約1から5mm
・厚さ約1から20mm、孔径1mm未満のオープンセルプラスチックフォーム
層6は、スピーカー前面(ツイータ12を除く)を覆ってもよいし、穴5のみを覆ってもよい。
【0058】
層6は、多孔性及び周波数特性に関する上記の要件に従って、1つ又は複数の層上にメッシュ又はグリッドのような金属構造として形成することもできる。この種の構造は、例えば、約0.2から2mmの厚さの穿孔金属シート又はプレートのスタックによって形成することができる。この種のスタックの特性は、孔又は孔の配置(分布)、孔又は孔のパーセンテージ(開口度)、及びプレートの相互間の間隔によって調整することができる。孔又は開口の直径は、典型的には約0.3から3mmに変化し得る。シート又はプレートの間の間隔は、典型的には約0.2から2mmである。
【0059】
上述した金属構造体は、その特性を自由に調整することができ、色のような外部特性を制限なく選択することができるので有利である。
クロスオーバー周波数Cは、一般に次のようになる。
・低周波f<600Hz(ウーファー出力範囲)
・高周波数f>600Hz(ミッドレンジ及び/又はツイータ出力範囲)
大導波管8と組み合わせた本発明によれば、
・ウーファー4は、導波管表面8の後ろに配置され
・2つ以上(例えば4つ)のウーファー4を使用して指向性を得ることができる場合は、同軸ドライバに対してウーファーを対称に配置してもよい。
【0060】
また、1つのウーファーのみを有する実施形態も可能であるが、低自由度に対する指向性は、スピーカー筐体の前部バッフルのサイズと組み合わせた、ウーファーの空気変位面のサイズによって提供されるものを超えては得られない。
【0061】
本発明の別の実施形態では、選択的透過部6は、選択的な透過性の完全な特性を有しない機械的に保護されたグリッドに置き換えられてもよい。
【0062】
図12によれば、共振器は、各々がそれ自身の共振周波数を有する複数の独立した副共振器40´に分割することができる。
【0063】
図13は、スピーカー1が聴取位置であるスイートスポット9に向けられる本発明におけるスピーカー1の典型的な配置を示す。筐体2の全面が導波管8として形成されているため、極めて良好な指向性が得られる。さらに、導波管型8は、リスニングルーム内のすべての方向にすべての周波数を均一に分配し、したがって、壁、天井、および床からの反射は、音の着色を生じない。
図13は、スピーカー1と筐体2の前部15、側部21及び後部25も示す。
【0064】
図14には、抑制材料41が共振器キャビティ40内に配置されたスピーカーが示されている。図中の上部キャビティ40のみが材料で充填されているが、実際には、上部及び下部キャビティ40の両方が抑制材料で充填される。
【0065】
図15によれば、共振器ユニット51は、典型的にはプラスチック製である。成形可能な木材や金属のような他の材料も使用することができる。
図15は、鋳造筐体の前面プレート15に取り付けられる共振器51の側面を示す。取り付けは、典型的には、取り付けラグ52からのネジによって行われる。共振器ユニットは、典型的には、ユニットの最も高い部分が共振器開口部45に近い中央にあり、ユニット51の縁部がそれに対応して低くなるように、円錐形である。共振器ユニット51は大きな鋳造金属筐体から分離しているので、詳細な構造を作ることもできる。この場合、共振器キャビティは、共振器ユニット51に対して可能な限り小さい総寸法で共振器キャビティの所望の長さを得るために、強く湾曲される。
【0066】
図16は、鋳造金属筐体、特に筐体の前部15に接続された共振器ユニット51を示し、共振器開口部45は、ツイータ12及びミッドレンジ・ドライバ13を含む同軸ドライバに向けられる。したがって、共振器ユニット51の開口部45は、スピーカーの第1のポート20から離れる方向に向けられる。
図16には、キャビティ内に配置され、キャビティの開口部45まで延びる抑制材料41も示されている。
【0067】
図17及び18は、破線として共振器ユニットの実施形態を示す。各スピーカーに対して1つの共振器ユニット51のみが提示されるが、もちろん、第2の共振器ユニットも各スピーカーの底部に配置される。
【0068】
共振器キャビティ46の寸法は、他の図、特に
図4から
図9に関連して説明したのと同じ原理で、
図15から
図18に関連して作成される。
【0069】
典型的には、均一なスピーカー筐体2は、金属、プラスチック又は木材をベースとする材料の鋳造又は成形によって製造される。
【符号の説明】
【0070】
1:スピーカー、
2:筐体
3:導波管ドライバ、同軸ドライバ、又は同軸ツイータ、
4:ウーファー、低周波ドライバ、又は付加ドライバ、
5:ウーファー、及び筐体2の表面の外側リムであって、前部ポートのリムの平面を確定する外側リムを有する低周波ドライバ用の前部ポート(開口部)、
6:音響選択的透過層、
7:音響透過層の支持構造
8:三次元導波管表面、及び導波管ドライバ3の中心の周りに軸方向に対称な特徴を有する滑らかな連続表面を有する主音響パワーを放射する筐体2の前面(Face)、
9:複数のスピーカーのスイートスポット、
10:第1の音響軸、
11:第2の音響軸、
12:ツイータ、
13:ミッドレンジ・ドライバ、
15:筐体前部(壁)(導波管表面8であってもよい)、前部バッフル部、主音響パワーを放射し、導波管表面8を含み、第1の音響軸10に垂直な平面28を有する前部、
B1:導波路ドライバ3の周波数帯域、
B2:非同軸ドライバ4の周波数帯域、
C:帯域B1と帯域B2との間のクロスオーバー周波数帯域、
d:パネル共振器のキャビティ深さ、
20:第1のポート、及び筐体表面上に第1のポート平面を画定する外側リムを有する側面開口、
21:筐体の側部(壁)、
22:副体積(sub volume)、ウーファーの前部スペース、低周波ドライバ、及び内部体積(inner volume)27の一部、
W:副体積の幅、
L:副体積の長さ、
23:ドライバ4と筐体2との間のスペーサを形成する副体積(前部空間)の側壁、該側壁23の中央における接線は、前部15の平面28に対して0度以外の角度、典型的には約90度の角度を有する。
25:筐体の後部、該後部25の中央に形成された接線によって画定される平面を有し、典型的には前部15の平面と平行であり、該後部25の平面は、本発明に従って様々な異なる角度を有することができる。
26:周囲体積、
27:筐体2の内部体積、
28:前部の平面、
29:側面21の平面であって、この部分の中心の接線によって決定される平面、
30:後部の平面であって、この部分の中心の接線によって決定される平面、
31;前部ポート5の平面、
32:第1のポート20の平面であって、前部ポート5の平面31及び第1のポート20の該平面は、第1のポート20が後部25上に位置していない場合、0度より大きい、好ましくは45度より大きい角度αを有する。
33:スペーサ、ウーファーと前部15との間の部分、及び筐体2の一体部分又は別個の要素、
34:反射ポート、
α:前部ポート5の平面31と第1のポート20の平面32との間の角、
40:共振器、
40’:サブ共振器、
41:共振器の抑制材料、
43:副体積の周波数応答、
44:共振器の周波数応答、
f0:共振周波数、
45:ヘルムホルツ共振器の開口部又はネック、
46:共振器又はヘルムホルツ共振器のキャビティ、
47:ウーファーカバー、
48:カバーチューブ、
50:パネル共振器のパネル、
51:共振器ユニット、
52:取り付けラグ
【手続補正書】
【提出日】2021-07-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部体積(27)を画定する前部(15)、側部(21)及び後部(25)を有する均一な筐体(2)であって、前記前部(15)は、導波管表面(8)として形成され、該導波管表面(8)内に少なくとも1つのドライバ(12,13)を有して、スピーカ(1)の主音響パワーを第1の音響軸(10)の方向に放射可能である、筐体(2)と、
前記筐体(2)に取り付けられた少なくとも1つの付加ドライバ(4)であって、前記付加ドライバ(4)は、前記内部体積(27)内において、前記ドライバ(4)と、前記ドライバ(4)と前記前部(15)との間のスペーサ(33)と、前記筐体(2)の前記前部(15)とによって制限される副体積(22)が形成されるように取り付けられる付加ドライバ(4)と、
前記筐体(2)の側部(22)又は後部(25)のいずれかに、前記副体積(22)から周囲体積(26)に向けて開口するように設けられる、少なくとも1つの第1のポート(20)と、
前記副体積(22)に音響的に接続された少なくとも1つの共振器キャビティ(46)を含む少なくとも1つの共振器(40)であって、前記副体積(22)の望ましくない共振の少なくとも一つに同調される、少なくとも1つの共振器(40)と、を備え、
前記共振器(40)は、前記均一なエンクロージャ(2)に接続された別個のユニット(51)として形成され
、
前記共振器ユニット(51)は、前記筐体(2)の前部(15)の内面に接続される、スピーカー(1)。
【請求項2】
前記共振器ユニット(51)は、プラスチック、木質系材料又は金属製である、請求項1に記載のスピーカー。
【請求項3】
前記共振器ユニット(51)は、開口部(45)を有する1つ以上の湾曲したキャビティ(46)を含む、請求項1
又は2に記載のスピーカー。
【請求項4】
前記共振器ユニット(51)の開口部(45)は、前記スピーカーの前記第1のポート(20)から遠ざかる方向に向けられている、請求項1乃至
3のいずれか1項に記載のスピーカー。
【請求項5】
前記共振器(40)は、広帯域特性を有する抵抗共振器である、請求項1乃至
4のいずれか1項に記載のスピーカー。
【請求項6】
前記共振器(40)は、PESウール、オープンセルフォーム材料、ファイバーガラス、ミネラルウール、フェルト、又は他の繊維性材料、若しくはオープンセル材料又は多孔性材料のような、減衰材料(41)、又は、体積の代わりに製造される任意の固体材料を含み、その材料が、1μm(マイクロメートル)から1mm(ミリメートル)までの寸法範囲におけるセルサイズ又は繊維サイズを有するオープンセル構造又は繊維構造である、請求項1乃至
5のいずれか1項に記載のスピーカー。
【請求項7】
前記共振器(40)は、パネル共振器又はヘルムホルツ共振器のような反応性共振器である、請求項1乃至
6のいずれか1項に記載のスピーカー。
【請求項8】
前記副体積(22)は、幅(W)及び長さ(L)を有し、比(W/L)が1.2から2.5の範囲にあり、典型的には約1.8であることを特徴とする、請求項1乃至
7のいずれか1項に記載のスピーカー。
【請求項9】
前部ポート(5)の平面(31)と第1のポート(20)の平面(32)とは、第一ポート(20)が後部(25)に位置していないときに、0度より大きい、好ましくは45度より大きい角度αを有する、請求項1乃至
8のいずれか1項に記載のスピーカー。
【請求項10】
前記第2の音響軸(11)は、前記第1の音響軸(10)と非同軸である、請求項1乃至
9のいずれか1項に記載のスピーカー。
【請求項11】
前記第2の音響軸(11)は、前記第1の音響軸と非平行である、請求項1乃至
10のいずれか1項に記載のスピーカー。
【請求項12】
前記第1のドライバ(3)は、互いに同軸の2つのドライバ(12,13)を含む、請求項1乃至
11のいずれか1項に記載のスピーカー。
【請求項13】
前記第1のドライバ(3)は、1つのドライバ(12,13)のみを含む、請求項1乃至
12のいずれか1項に記載のスピーカー。
【請求項14】
前記スピーカー(1)は、バスレフ型スピーカーである、請求項1乃至
13のいずれか1項に記載の拡声器スピーカー。
【請求項15】
前記均一な筐体(2)は、金属による鋳造又は成型、プラスチック、又は木材をベースにした材料によって作られる、請求項1乃至
14のいずれか1項に記載のスピーカー。
【請求項16】
前記均一な筐体(2)は、金属、プラスチック又は木材をベースとする材料の機械加工によって製造される、請求項1乃至
15のいずれか1項に記載のスピーカー。
【請求項17】
前記少なくとも1つのドライバ(12、3)は、前記導波管表面(8)の中心に位置する、請求項1乃至
16のいずれか1項に記載のスピーカー。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部体積(27)を画定する前部(15)、側部(21)及び後部(25)を有する均一な筐体(2)であって、前記前部(15)は、導波管表面(8)として形成され、該導波管表面(8)内に少なくとも1つのドライバ(12,13)を有して、スピーカ(1)の主音響パワーを第1の音響軸(10)の方向に放射可能である、筐体(2)と、
前記筐体(2)に取り付けられた少なくとも1つの付加ドライバ(4)であって、前記付加ドライバ(4)は、前記内部体積(27)内において、前記
付加ドライバ(4)と、前記
付加ドライバ(4)と前記前部(15)との間のスペーサ(33)と、前記筐体(2)の前記前部(15)とによって制限される副体積(22)が形成されるように取り付けられる付加ドライバ(4)と、
前記筐体(2)の側部(22)又は後部(25)のいずれかに、前記副体積(22)から周囲体積(26)に向けて開口するように設けられる、少なくとも1つの第1のポート(20)と、
前記副体積(22)に音響的に接続された少なくとも1つの共振器キャビティ(46)を含む少なくとも1つの共振器(40)であって、前記副体積(22)の望ましくない共振の少なくとも一つに同調される、少なくとも1つの共振器(40)と、を備え、
前記共振器(40)は、前記均一な
筐体(2)に接続された別個の
共振器ユニット(51)として形成され、
前記共振器ユニット(51)は、前記筐体(2)の前部(15)の内面に接続される、スピーカー(1)。
【請求項2】
前記共振器ユニット(51)は、プラスチック、木質系材料又は金属製である、請求項1に記載のスピーカー。
【請求項3】
前記共振器ユニット(51)は、開口部(45)を有する1つ以上の湾曲したキャビティ(46)を含む、請求項1又は2に記載のスピーカー。
【請求項4】
前記共振器ユニット(51)の開口部(45)は、前記スピーカーの前記第1のポート(20)から遠ざかる方向に向けられている、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のスピーカー。
【請求項5】
前記共振器(40)は、広帯域特性を有する抵抗共振器である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のスピーカー。
【請求項6】
前記共振器(40)は、PESウール、オープンセルフォーム材料、ファイバーガラス、ミネラルウール、フェルト、又は他の繊維性材料、若しくはオープンセル材料又は多孔性材料のような、減衰材料(41)、又は、体積の代わりに製造される任意の固体材料を含み、その材料が、1μm(マイクロメートル)から1mm(ミリメートル)までの寸法範囲におけるセルサイズ又は繊維サイズを有するオープンセル構造又は繊維構造である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のスピーカー。
【請求項7】
前記共振器(40)は、パネル共振器又はヘルムホルツ共振器のような反応性共振器である、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のスピーカー。
【請求項8】
前記副体積(22)は、幅(W)及び長さ(L)を有し、比(W/L)が1.2から2.5の範囲にあり、典型的には約1.8であることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のスピーカー。
【請求項9】
前記第
1のポート(20)が
前記後部(25)に位置していないときに、
前記第1のポート(20)の平面(32)と0度より大きい、好ましくは45度より大きい角度αを有する
前部ポート(5)の平面(31)を備える、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のスピーカー。
【請求項10】
前記第1の音響軸(10)と非同軸である
第2の音響軸(11)を更に備える、請求項1乃至9のいずれか1項に記載のスピーカー。
【請求項11】
前記第1の音響軸と非平行である
第2の音響軸(11)を更に備える、請求項1乃至10のいずれか1項に記載のスピーカー。
【請求項12】
前
記ドライバ(3)は、互いに同軸の2つのドライバ(12,13)を含む、請求項1乃至11のいずれか1項に記載のスピーカー。
【請求項13】
前
記ドライバ(3)は、1つのドライバ(12,13)のみを含む、請求項1乃至12のいずれか1項に記載のスピーカー。
【請求項14】
前記スピーカー(1)は、バスレフ型スピーカーである、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の拡声器スピーカー。
【請求項15】
前記均一な筐体(2)は、金属による鋳造又は成型、プラスチック、又は木材をベースにした材料によって作られる、請求項1乃至14のいずれか1項に記載のスピーカー。
【請求項16】
前記均一な筐体(2)は、金属、プラスチック又は木材をベースとする材料の機械加工によって製造される、請求項1乃至15のいずれか1項に記載のスピーカー。
【請求項17】
前記少なくとも1つのドライバ(12、
13)は、前記導波管表面(8)の中心に位置する、請求項1乃至16のいずれか1項に記載のスピーカー。
【国際調査報告】