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▶ フレゼニウス メディカル ケア ドイッチェランド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-09
(54)【発明の名称】切断時に自動密封する医療コネクタ
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/28 20060101AFI20221101BHJP
   A61M 1/36 20060101ALI20221101BHJP
   A61M 39/18 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
A61M1/28 120
A61M1/36 141
A61M39/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022514672
(86)(22)【出願日】2020-09-01
(85)【翻訳文提出日】2022-03-04
(86)【国際出願番号】 EP2020074284
(87)【国際公開番号】W WO2021043737
(87)【国際公開日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】102019123806.4
(32)【優先日】2019-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597075904
【氏名又は名称】フレゼニウス メディカル ケア ドイッチェランド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【弁理士】
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】ヴェーバー トビアス
(72)【発明者】
【氏名】ベルリヒ ローベルト
【テーマコード(参考)】
4C066
4C077
【Fターム(参考)】
4C066JJ05
4C077AA05
4C077AA06
4C077BB01
4C077DD23
4C077EE01
4C077KK09
(57)【要約】
本発明は、切断時の自動密封を有する医療コネクタ及び医療コネクタを接続/切断する方法に関する。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のコネクタ部品であって、
流体を誘導するための内腔を備えた細長ベース本体と、
前記ベース本体の外側に配置され、かつ相応に適合する第2のコネクタ部品への第1のコネクタ部品の解除可能な接続を可能にする第1の螺合部分と、
前記内腔の側で前記ベース本体の内側に配置され、かつ相応に適合する密封ピンへの第1のコネクタ部品の解除可能な接続を可能にする第2の螺合部分であって、前記第1の螺合部分のネジ山ピッチが、該第2の螺合部分のネジ山ピッチとは異なっている前記第2の螺合部分と、
を有することを特徴とする第1のコネクタ部品。
【請求項2】
内腔を有する密封ピンが、該密封ピンと第1のコネクタ部品の前記細長ベース本体の前記内腔とを通って及び/又はその周りを流体が流れることができるように第1のコネクタ部品の該内腔に配置されることを特徴とする請求項1に記載の第1のコネクタ部品。
【請求項3】
密封ピンが、その外側で、第1のコネクタの前記第2の螺合部分との螺合係合に入るようになった螺合部分を有することを特徴とする請求項1から2のいずれか一項に記載の第1のコネクタ部品。
【請求項4】
密封ピンが、該密封ピンの回転を一方向に制限する好ましくは歯付きブロックの形態の抑制要素を更に有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の第1のコネクタ部品。
【請求項5】
密封ピンが、好ましくは、抑制手段の反対端に固定要素を有し、該固定要素を用いて、該密封ピンは、好ましくはラッチ接続を通じて及び/又は刻み目を通じて閉鎖要素に解除可能に又は解除不能に固定することができることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の第1のコネクタ部品。
【請求項6】
第2のコネクタ部品であって、
流体を誘導するための内腔を備えた細長ベース本体と、
第1のコネクタ部品のベース本体の外側に配置された第1の螺合部分を受け入れるために前記内腔を好ましくは同心的に取り囲む受け入れセクションであって、第2のコネクタ部品の該受け入れセクションが、該第1のコネクタ部品の該第1の螺合部分との螺合係合に入るようになった螺合部分を有する前記受け入れセクションと、
を有することを特徴とする第2のコネクタ部品。
【請求項7】
好ましくは歯付きブロックの形態の抑制要素が、前記内腔の側で該内腔の内側に設けられ、かつ密封ピンの対応する抑制要素と該密封ピンの回転を一方向に制限するために協働するようになっていることを特徴とする請求項6に記載の第2のコネクタ部品。
【請求項8】
前記抑制要素は、前記細長ベース本体に沿って軸線方向に延びる複数のリブとして形成されることを特徴とする請求項7に記載の第2のコネクタ部品。
【請求項9】
内腔を有する密封ピンが、該密封ピンと第2のコネクタ部品の前記細長ベース本体の前記内腔とを通って流体が流れることができるように第2のコネクタ部品の該内腔に配置されることを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載の第2のコネクタ部品。
【請求項10】
請求項1から5のいずれか一項に記載の第1のコネクタ部品を有し、かつ請求項6から9のいずれか一項に記載の第2のコネクタ部品を有するコネクタであって、
前記第1のコネクタ部品は、好ましくは、螺合係合を用いて前記第2のコネクタ部品に解除可能に接続される、
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項11】
密封ピンが、前記第1及び第2のコネクタ部品の前記内腔によって形成された共通内腔に配置され、該密封ピンは、該密封ピンが該共通内腔を通る流体流れを可能にする開放位置と該密封ピンが該共通内腔を通る該流体流れを遮断する閉鎖位置との間の該第2のコネクタ部品に対する該第1のコネクタ部品の相対移動によって移動可能であることを特徴とする請求項10に記載のコネクタ。
【請求項12】
全体的に又は部分的に血液処理装置と使い捨て物品の間の接続の要素であることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項13】
前記第1又は第2のコネクタ部品は、チューブと流体連通しており、該コネクタ部品の他方のものが、透析装置と流体連通していることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項14】
医療コネクタを流体的に接続する及び/又は切断する方法であって、
請求項1から5のいずれか一項に記載の第1のコネクタ部品を請求項6から9のいずれか一項に記載の第2のコネクタ部品に好ましくは該第1のコネクタ部品の前記第1の螺合部分を該第2のコネクタ部品の前記第1の螺合部分にねじ込むことによって解除可能に接続する段階であって、該第1のコネクタ部品が、密封ピンを有し、流体を誘導するための共通内腔が、該第1のコネクタ部品により、該第2のコネクタ部品により、かつ該密封ピンの前記内腔によって形成される前記解除可能に接続する段階と、
前記第1のコネクタ部品を前記第2のコネクタ部品から該第2のコネクタ部品に対する該第1のコネクタ部品の回転移動によって解除する段階であって、それにより、該第1のコネクタ部品が該第2のコネクタ部品から解除された時に、前記密封ピンが、閉鎖位置の中に移動されて該第2のコネクタ部品に留まる前記解除する段階と、
特に閉鎖キャップの形態の閉鎖要素を前記第2のコネクタ部品に解除可能に接続する段階であって、それにより、前記密封ピンが、該第2のコネクタ部品の前記内腔の中に軸線方向に押圧され、それにより、該第2のコネクタ部品の該内腔が、外側に対して液密方式で密封される前記解除可能に接続する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
ラッチ接続を通じて及び/又は刻み目を通じて好ましくは前記閉鎖要素の対応するレシーバに固定された前記密封ピンの前記固定要素を用いて該密封ピンを該閉鎖要素に固定する段階と、
前記閉鎖要素を前記コネクタ部品から解除する段階であって、該閉鎖要素の該解除と同時に、それに接続された前記密封ピンも該第2のコネクタ部品から解除され、それにより、該第2のコネクタ部品の前記内腔が流体的に開かれる前記解除する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断時に自動密封する医療コネクタ及び医療コネクタを接続及び切断する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な流体接続は、患者に複数の液体、例えば、輸液、補充液、透析液、液体薬剤、又は栄養液を供給するために医療分野に特に病院の集中治療室に必要である。これに加えて、異なる治療システム又は治療装置も、適切なコネクタを通じて互いに流体的に接続されなければならない。
【0003】
これらの接続のうちの全ての欠点は、固定位置ユニット(機械での又は患者での)を新たな無菌製品の接続後に手動で再び閉じなければならないことである。これは、この接続が他に環境に開いて汚染される可能性があると考えられるので必要不可欠な段階である。
【0004】
この部品は新たな無菌部品によって交換されるのではなく、むしろ機械に又は患者に留まるので、汚染後の微生物増殖のリスクは特に高い。
【0005】
典型的な適用は、固定アクセスポートが慣例として入院時に既に患者に適用されているということである。このアクセスポートは、閉鎖キャップが取り外されて対応する流体接続が次に確立されるという点で流体薬液の供給のために開かれる。典型的な標準タイプの接続は、ルアー接続である。
【0006】
薬液の供給の終了後に、患者アクセスポートは、その上に閉鎖キャップが再び螺合されて戻されるという点で再び閉じられる。
【0007】
患者アクセスポート(血管アクセスポート、腹膜アクセスポートなど)は、ここでは身体に留まっており、無菌閉鎖が再確立されない場合に、空気を通じて又は直接接触を通じて移送された細菌が増殖する可能性がある。これにより、細菌が、閉鎖キャップに定着することができるようになっている場合があり、かつ血液循環、腹部、消化管の中に又は患者の身体組織の中に進んでいく可能性があるので、患者アクセスポートの汚染/感染が発生する可能性がある。
【0008】
この問題は、無菌閉鎖キャップが使用されるか又は殺菌剤(ヨウ化物、アルコールなど、例は3Mから)で飽和されたキャップという点で最小にすることができる。しかし、最少量の殺菌剤がこの工程に入る場合がある。これに加えて、それは、対応する追加労力を材料及び殺菌工程にもたらす。また、そのような無菌閉鎖キャップが必要な時に常に存在することが組織的様相からも保証されなければならない。
【0009】
しかし、それは、機械へのアクセスポートである可能性もあり、及び/又はより長い期間にわたって機械内に又は機械に留まって治療間又は治療段階間で確実に閉られなければならない使い捨て品へのアクセスポートである可能性もある。
【0010】
医療コネクタは、従って、血液透析、腹膜透析に対して及び連続腹膜透析(CAPD)に対して特に並外れて適している。
【0011】
患者アクセスポートの接続/切断時の無菌性の継続的保証は、腹膜透析(PD)では、患者が数年間にわたって1日に4回まで手動で又は対応する治療機械を通じて無菌溶液バッグに接続される又はそこから切断されるので特に不可欠である。
【0012】
これに加えて、腹膜区域での免疫力が相対的に低く、細菌が混入した場合に腹膜炎を起こす可能性が非常に高く、かつ腹膜の透析機能が失われるまでの深刻な事態が起こる可能性があるという腹膜透析に関する問題がある。
【0013】
このような理由のために、閉鎖キャップが、腹膜透析の一部として腹膜透析液の投与後に典型的に使用され、これは、ヨウ化物を染み込ませたものであり、かつ腹部にPD液が残っている期間にわたって閉鎖キャップ及び患者アクセスポートの無菌性を可能な限り良好に保証すべきものである。しかし、この処理で少量の殺菌剤が腹膜腔の中に入る可能性もある。
【0014】
これに代えて、切断時に患者アクセスポートを自動的に閉じるコネクタを使用することもできる。これに関して、治療の進行、特に、新たな透析液の投与及び消費/使用された透析液の排出もコネクタを通じて制御される。しかし、このソリューションでは、比較的大きくて嵩張り、かつそれに加えてコスト集中的である複雑な機械構造がそれには必要であることが欠点である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
すなわち、従来技術から公知の欠点を緩和又は是正することが本発明の基本的な目的である。具体的には、患者アクセスポート内の細菌による汚染のリスクを低減する単純な医療コネクタを提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的は、第1のコネクタ部品と第2のコネクタ部品を有する本発明によるコネクタによって達成される。本発明は、更に、医療コネクタの細菌低減式接続/切断の方法に関する。
【0017】
接続/切断手順に対する取り扱いは、コネクタの有利な設計に起因して実質的に簡素化される。更に、流体接続が切断毎に新たな密封ピンによって閉じられることが保証される。
【0018】
本発明による医療コネクタは、流体を誘導するための内腔を備えた細長ベース本体を有し、ベース本体の外側に配置されて第1のコネクタ部品の相応に適合する第2のコネクタ部品との解除可能な接続を可能にする第1の螺合部分を有し、かつベース本体の内側で内腔側に配置されて第1のコネクタ部品の相応に適合する密封ピンとの解除可能な接続を可能にする第2の螺合部分を有する第1のコネクタ部品を有する。第1の螺合部分のネジ山ピッチは、ここでは第2の螺合部分のネジ山ピッチとは異なっている。
【0019】
第2の螺合部分のネジ山ピッチは、第1のネジ山ピッチよりも大きいことが好ましい。しかし、それは、第1の螺合部分のネジ山ピッチの倍数とすることもできる。第2の螺合部分は、第1のものよりも大きいことが好ましい。
【0020】
更に、流体が密封ピンと第1のコネクタ部品の細長ベース本体の内腔とを通って流れることができるように、内腔を有する遮断要素又は密封ピンが第1のコネクタ部品の内腔に配置される場合に有利であることが見出されている。これに代えて又はこれに加えて流体がその周りを流れる密封ピンも想定されており、かつ本発明によって網羅される。すなわち、それを通って流れること及び/又はその周りを流れることが想定される。
【0021】
密封ピンは、流体がコネクタの及び密封ピンの内腔を通って流れることができ、すなわち、患者に供給することができる開放位置を採用することができる。密封ピンは、これに加えて、密封ピンがコネクタを通る流体流れを遮断し、すなわち、例えば、患者アクセスポートを液密方式で密封し、すなわち、細菌に対してかつ任意的な殺菌剤の侵入に対して密封する遮断/閉鎖位置を採用することができる。
【0022】
密封ピンは、その外側に第1のコネクタの第2の螺合部分との螺合係合に入るようになった螺合部分を有することが好ましい。
【0023】
代替実施形態では、密封ピンが内腔を持たない及び流体が密封ピンを通り越して流れることができるという規定を為すことができる。
【0024】
密封ピンは、更に、第1のコネクタ部品に対する及び/又はコネクタに/第2のコネクタ部品に対する密封ピンの回転を一方向に制限する抑制要素を好ましくは歯付きブロックの形態で有することが好ましい。
【0025】
更に、密封ピンが好ましくは抑制手段の反対端に固定要素を有し、この固定要素を用いて密封ピンを閉鎖要素に好ましくはラッチ式接続を通じて及び/又は刻み目を通じて解除可能又は解除不能に固定することができる場合に実用上有利であることが判明している。密封ピンは、例えば、固定要素を用いて患者アクセスポートの閉鎖キャップに保持することができる。
【0026】
本発明によるコネクタは、更に、好ましくは、流体を誘導するための内腔を備えた細長ベース本体を有し、かつ第1のコネクタ部品のベース本体の外側に配置された第1の螺合部分を受け入れるために好ましくは内腔を同心的に取り囲む受け入れセクションを有する第2のコネクタ部品を有する。第2のコネクタ部品の受け入れセクションは、第1のコネクタ部品の第1の螺合部分との螺合係合に入るようになった螺合部分を有する。
【0027】
好ましくは歯付きブロックの形態の抑制要素は、好ましくは、第2のコネクタ部品の内腔の内側で内腔側に設けられ、かつ密封ピンの回転を一方向に制限するために密封ピンの対応する抑制要素と協働するようになっている。
【0028】
抑制要素は、好ましくは、細長ベース本体に沿って軸線方向に延びる複数のリブとして形成され、それに沿って、第2のコネクタ部品に受け入れられた密封ピンは、好ましくは軸線方向に変位可能である。
【0029】
内腔を有する密封ピンは、好ましくは、流体が密封ピンと第2のコネクタ部品の細長ベース本体の内腔とを通って例えば患者まで流れることができるように第2のコネクタ部品の内腔に配置される。
【0030】
本発明によるコネクタは、好ましくは、第1のコネクタ部品と第2のコネクタ部品を有し、第1のコネクタ部品は、好ましくは、螺合係合を用いて第2のコネクタ部品に解除可能に接続される。
【0031】
更に、密封ピンが第1及び第2のコネクタ部品の内腔によって形成された共通内腔に配置される場合に有利であることが判明している。密封ピンは、これに関して、好ましくは、密封ピンが共通内腔を通る流体流れを可能にする開放位置と密封ピンが共通内腔を通る流体流れを遮断する閉鎖位置の間で第2のコネクタ部品に対する第1のコネクタ部品の相対移動によって移動可能である。
【0032】
更に別の代替実施形態では、流量又は流れの量は、密封ピンの変位によって調整又は制御することができる。
【0033】
本発明の別の態様は、医療コネクタを流体的に接続及び/又は切断する方法に関連し、この方法は以下の段階を含む。
【0034】
第1のコネクタ部品を第2のコネクタ部品に好ましくは第1のコネクタ部品の第1の螺合部分を第2のコネクタ部品の第1の螺合部分の上にねじ込むことによって解除可能に接続する段階。ここでの第1のコネクタ部品は、流体を誘導するための共通内腔が第1のコネクタ部品と第2のコネクタ部品と密封ピンの内腔とによって形成されるように、第1のコネクタ部品の内腔に配置された密封ピンを有する。この配置では、第1のコネクタ部品は、例えば、供給ラインに配置することができ、第2のコネクタ部品は、患者アクセスポートに配置することができる。流体は、すなわち、供給ラインによって患者に供給することができる。
【0035】
患者への流体の供給の終了後に、第2のコネクタ部品からの第1のコネクタ部品の解除は、第2のコネクタ部品に対する第1のコネクタ部品の相対移動、例えば、回転移動によって行われ、それにより、密封ピンは、第1のコネクタ部品が第2のコネクタ部品から解除された時に閉じた位置の中に移動し、かつ第2のコネクタ部品内に留まる。第2のコネクタ部品の及び密封ピンの抑制要素の相互作用は、密封ピンが第1のコネクタ部品の回転と共に任意に回転することを防止する。
【0036】
ピンは、この共回転に起因して閉鎖位置の中に移動しないと考えられる。歯付きブロックではなく防止キャップが、閉鎖位置に留まることを保証する。
【0037】
ピンは、それによって閉鎖位置の中に押圧される。閉鎖位置では、密封ピンは、第2のコネクタ部品の内腔に留まる。第2のコネクタ部品の内腔は、すなわち、外側から侵入する細菌及び/又は殺菌剤から遮蔽される。
【0038】
特に閉鎖キャップの形態の閉鎖要素の第2のコネクタ部品への解除可能な接続は、その後すぐに行うことができる。閉鎖キャップは、例えば、患者アクセスポートの上にねじ込まれる。密封ピンは、第2のコネクタ部品に対する閉鎖キャップの移動によって軸線方向に第2のコネクタ部品の内腔の中に押圧され、それにより、第2のコネクタ部品の内腔は、液密方式で外側に対して密封される。閉鎖キャップは、更に、例えば振動に起因してピンがその閉鎖位置から再び移動することができることを防止する。
【0039】
この段階は任意である。ピンの前方移動が回転移動と共に終了して「停止する」まで移動する事例も想定され、かつ本発明によって網羅される。キャップは、次に、スナップインするだけである。患者/機械コネクタの中へのピンの更に別の前方移動は、ピンをより深い位置でロックするための安全機能である。
【0040】
密封ピンは、好ましくは、第2のコネクタ部品への閉鎖要素の接続時に密封ピンの固定要素を用いて閉鎖要素に固定される。この実施形態は、第2のコネクタ部品の新たな接続(例えば、患者接続)のために閉鎖要素を引き続いて取り外す際に密封ピンが閉鎖要素と同時に取り外され、それにより、第2のコネクタ部品の内腔が流体的に開かれるという利点を有する。密封ピンの閉鎖要素への固定は、好ましくは、ラッチ接続を通じて及び/又は閉鎖要素の対応するレシーバでの刻み目を通じて行われる。密封ピンは、すなわち、好ましくは、形状適合を用いて閉鎖要素に保持される。
【0041】
第2のコネクタ部品からの閉鎖要素の解除は、その後すぐに行われ、閉鎖要素の解除と同時に、それに接続された密封ピンも第2のコネクタ部品から解除され、それにより、第2のコネクタ部品の内腔は、流体的に開かれて再び供給ラインに接続することができる。
【0042】
本発明によるコネクタは、更に、治療毎に新しい密封ピンが提供され、それにより、汚染のリスクをかなり低減することができることを保証する。
【0043】
本発明の更に別の利点、特徴、及び効果は、好ましい実施形態の以下の説明から及び図の参照によってもたらされる。同じか又は類似である構成要素は、図に同じ参照番号で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】第1及び第2のコネクタ部品を有する本発明によるコネクタを示す図である。
図2a図1のコネクタの分解組立図である。
図2b】閉鎖キャップの分解組立図である。
図3a】第1のコネクタ部品の断面図である。
図3b】第1のコネクタ部品の断面図である。
図4a】密封ピンを示す図である。
図4b】密封ピンを示す図である。
図4c】密封ピンを示す図である。
図5】第2のコネクタ部品の断面図である。
図6】密封ピンが開放位置にある本発明によるコネクタの断面図である。
図7a】切断時の本発明によるコネクタの断面図である。
図7b】切断時の本発明によるコネクタの断面図である。
図8a】閉鎖キャップ上にねじ止めされた第2のコネクタ部品の断面図である。
図8b】閉鎖キャップを有する密封ピンの取り外しを示す図である。
図9】体外血液処理装置と使い捨て物品の間の本発明による第2のコネクタの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1は、互いに解除可能に接続された/ねじ込まれた第1のコネクタ部品1及び第2のコネクタ部品2を有する本発明によるコネクタを示している。
【0046】
図2に示すように、本発明によるコネクタは、第1及び第2のコネクタ部品1,2の共通内腔に配置された密封ピン3を含む。これに加えて、第1のコネクタ部品の代わりに第2のコネクタ部品の上にねじ込むことができる閉鎖キャップ4の形態の閉鎖要素が図2に示されている。密封ピン3と第1及び第2のコネクタ部品1,2との間の中間空間は、例えばOリング5の形態のシール要素を用いて液密方式で密封される。
【0047】
図3に示すように、第1のコネクタ部品は、流体を誘導するための内腔7を備えた細長ベース本体6を有する。相応に適合する2のコネクタ部品2との第1のコネクタ部品1の解除可能な接続を可能にする第1の螺合部分8は、ベース本体6の外側に配置される。対応する螺合部分10を有する相応に適合する密封ピン3への第1のコネクタ部品1の解除可能な接続を可能にする第2の螺合部分9は、内腔側でベース本体6の内側に配置される。第1の螺合部分7のネジ山ピッチは、第2の螺合部分9のネジ山ピッチとは異なっている。螺合部分9は、好ましくは、螺合部分7と比較して2倍のネジ山ピッチを有する。
【0048】
図4は、密封ピンを詳細に示している。図4bは、密封ピン3の側面図を示している。周囲螺合部分10は、図4では容易に可視である。密封ピンは、第1の軸端(図4aでは右側)に歯付きブロック11の形態の抑制要素を有する。密封ピン3は、更に、Oリングをその間に配置することができる2つの周囲突起から例えば構成される密封セクション12を有する。密封ピン3は、図4aに矢印で示すように流体が密封ピン3の内腔を通って流れることができるように、その内部で中空として形成されるか又は少なくとも1つの内腔を含む。
【0049】
他方の軸端(図4aでは左側)では、密封ピン3は、この実施形態ではラッチボタン13の形状を有する固定要素を有する。ラッチボタン13は、閉鎖キャップ4の対応するレシーバの中に導入することができ、かつそれとラッチすることができ、そのためにピン3は、閉鎖キャップ4において確実に保持される。
【0050】
図4bは、図4aの左側からの密封ピン3の図を示している。密封ピン3の内腔14は、この図では明確に認識可能である。歯付きブロック11は、図4cでは特に容易に認識可能である。
【0051】
図5は、本発明によるコネクタの第2のコネクタ部品2を示している。第2のコネクタ部品は、好ましくは後退内側ドームを有する。そのようなコネクタ部品2は、例えば、患者アクセスポートに設けることができる。第2のコネクタ部品2は、内側スリーブ16によって定められる流体を誘導するための内側内腔15を含む。第2のコネクタ部品は、これに加えて、外側スリーブ17を含む。複数の軸線方向リブ及び/又は切り欠き18の形態の抑制要素は、内腔側で内側スリーブ16の面に配置され、このリブ及び/又は切り欠き18は、密封ピン3の回転移動を制限するために密封ピン3の歯付きブロック11と協働する。密封ピン3は、本発明によるコネクタに好ましくはリブ及び/又は切り欠き18に沿って軸線方向に変位可能に配置される。
【0052】
図6は、接続状態にある、すなわち、コネクタを通した流体供給中の本発明によるコネクタを示している。流体は、図6に矢印に示すようにコネクタを通って流れる。この状態にある密封ピン3の密封セクション12は、流体が流れることができるように第2のコネクタ部品2と接触していない。
【0053】
図7は、本発明によるコネクタの切断の手順を解説している。第1のコネクタ部品1は、矢印の方向に回転され、かつそれによって第2のコネクタ部品2からねじり外される。密封ピン3と第1のコネクタ部品1の間の螺合係合に起因して、密封ピン3も、その回転が歯付きブロック11の第2のコネクタ部品の切り欠き/リブ18の中への係合によって制限/停止されるまで回転される。同時に、密封ピン3、特にその密封セクション12は、内腔15がOリング5を用いて液密方式で密封されるように第2のコネクタ部品2の内腔15の中に押圧される。第1のコネクタ部品1は、その後すぐに第2のコネクタ部品2から解除され、密封ピンは、第2のコネクタ部品2内に/そこに留まっている。
【0054】
更に別の実施形態では、密封ピンは、2つのコネクタ部品の解除後に第2のコネクタ部品の外壁によってその上に突出され、すなわち、接触に対する保護を表すという規定を為すことができる。
【0055】
図8に示すように、好ましくは殺菌剤を含有する閉鎖キャップ4は、切断後に第1のコネクタ部品1の上に置く/ねじ込むことができる。閉鎖キャップは、この目的のために対応する螺合部分19を有する。この実施形態での閉鎖キャップ4は、閉鎖キャップ4が第2のコネクタ部品2に軸線方向に付加された時に密封ピンのラッチボタン13が受け入れられる周囲ラッチノーズ20を備えたレシーバを有する。密封ピンは、この位置で閉鎖キャップ4に係止される。密封ピン3を含む閉鎖キャップ4が第2のコネクタ部品2から引き抜かれる場合に、第2のコネクタ部品の内腔15は、流体的に開かれて新しい接続に対して待機する。
【0056】
以上の説明では、本発明によるコネクタの使用は、例えば、腹膜透析での患者接続の例を参照して例示した。図9に模式的に示すように、本発明によるコネクタはまた、体外血液処理装置21、特に、血液透析装置と使い捨て物品22の間の接続の要素とすることができ、又は血液透析に使用することができる2つの使い捨て物品間の接続の要素とすることができる。使い捨て物品は、ここでは、体外血液処理装置に恒久的に接続されるようには提供されず、むしろ、処理毎の後に又は複数の処理の後に交換されることになる物品の意味を有する。使い捨て物品は、特に、治療中に使い切る消耗品を有する全ての物品を含む。
【0057】
そのような使用からもたらすことができる利点は、密封ピン3が、最初に第1のコネクタ部品1に対する材料23、特に流体のための及び粉末又は顆粒のような固体要素のためのその両方の流出保護として機能することができ、かつ第2のコネクタ部品2への移送後に第2のコネクタ部品2に対する流出保護として機能することができることを含む。キャップ4の使用に関して、流出ピン3は、次に、第2のコネクタ部品2から再び取り外すことができ、同じく第2のコネクタ部品2に関しても開始状況が再確立される。
【0058】
実施形態では、第1のコネクタ部品1は、濃縮容器の形態の使い捨て物品23の要素とすることができ、又はそれに接続することができる。容器は、可撓性バッグであるか、又は空間的に固定された壁を有する容器とすることができる。乾燥した又は液体の濃縮物は、バッグに位置付けることができる。この濃縮物は、例えば、重炭酸ナトリウムである又はそれを含むことができる。第1のコネクタ部品1は、バッグの内部への2又は3以上のアクセスポートを提供するコネクタ構成要素の一部とすることができ、第1のコネクタ部品1は、アクセスポートの第1のアクセスポートを形成する。ここでの“ポート“は、どの方向も含み、すなわち、材料は、このポートを通じて容器の中に及び/又は容器から移送することができる。更に別の実施形態では、2つのアクセスポート又は全てのアクセスポートは、第1のコネクタ部品1に従って形成することができる。コネクタ部品1の1又は2以上又は全ては、各々が密封ピンを有することができる。以上の説明から分るように、第1のコネクタ部品1の第2のコネクタ部品2への接続は、ねじ込み移動を用いて行うことができる。互いに直接的又は間接的に接続された2つの第1のコネクタ部品1を設ける時にこれが可能であるように、第1のコネクタ部品1は、容器に回転可能に取り付けることができる。第1のコネクタ部品1は、それにより、容器に対して自由に回転可能とすることができる。
【0059】
濃縮容器の使用時に、それは、体外血液処理装置、特に血液透析装置の流体ラインに第2のコネクタ部品2を通じて接続することができる。体外血液処理装置は、第2のコネクタ部品2を含むこの目的のためのポートを有する。これに代えて、処理装置はまた、各々が第2のコネクタ部品2を含む2又は3以上のポートを有することができる。第2のコネクタ部品2は、ポートに回転可能に取り付けることができる。第2のコネクタ部品1は、それにより、ポートに対して又は体外血液処理装置の本体に対して自由に回転可能とすることができる。機械側での第2のコネクタは、特に自由に回転可能とすることができ、一方で容器側での第1のコネクタ部品1は、容器に剛的に接続することができる。これは、使い捨て物品をより廉価に製造することができ、かつ再使用ために提供される第2のコネクタ部品2がより複合的な設計を有するという利点を有することができる。更に別の実施形態では、第1のコネクタ部品1は、容器に対して回転可能であり、機械側での第2のコネクタ部品2は、ポートに対して剛的に配置される。
【0060】
接続を分離するために、図7に模式的に示すように、体外血液処理装置は、自動切断ユニットを有することができ、その起動時に、第1のコネクタ部品1と第2のコネクタ部品2は、回転移動で分離可能である。切断ユニットは、モータ及び固定要素を有することができ、モータは、固定ユニットを回転させるドライブとして構成され、固定ユニットは、第1のコネクタ部品1及び/又は第2のコネクタ部品2を保持して回転させるように構成される。モータの代わりに、固定ユニットの上に力を伝達するようになった手動ユニットを設けることもできる。
【0061】
同じ切断ユニット又は第2の切断ユニットを血液処理装置に設けて流出ピン3を第2のコネクタ部品3から分離することができる。流出ピン3のための切断ユニットは、流出ピン3において直接に係合するように又は切断補助具、例えば、キャップ4又は密封ピン3との係合に入れることができる別の構成要素を通じて係合するように適応させることができる。第2の切断ユニットは、第1の切断ユニットと同様に、あるモータ又はそのモータによって自動的に作動可能とすることができ、又は手動で作動可能とすることができる。
【0062】
更に別の実施形態では、第1のコネクタ部品1は、チューブに接続され、かつ第2のコネクタ部品2は、透析装置に接続され、又は第2のコネクタ部品2は、チューブに接続され、かつ第1のコネクタ部品1は、透析装置に接続される。すなわち、最初に第1のコネクタ部品を通じて透析装置から流体が逃げることなく透析装置を流体で充填し、次にチューブとの接続を確立して同様に後者を流体で充填し、かつ処理の完了後に第2のコネクタを通じてチューブから流体が逃げることなく透析装置をチューブから分離することが可能とすることができる。
【0063】
更に別の実施形態では、第1のコネクタ部品1は、チューブに接続され、第2のコネクタ部品2は、機械側でポートに接続される。
【0064】
更に別の実施形態は、切断装置の1又は2以上を有する体外血液処理装置に関連して組み合わせる又は組合せ可能とすることができる。
【0065】
体外血液処理装置は、接続装置を有することができ、又は切断装置は、接続装置として使用可能とすることもできる。
【0066】
本発明による接続システムの使用の利点は、使い捨て物品が最初に密封ピンによって密封され、例えば搬送中に消耗品を失うことができないことを含むことができる。体外血液処理装置のポートまでの密封ピンの移動の後に、例えば、それに接続されて液体殺菌剤による消毒のような更に別の処理に対してアクセス可能である領域がコネクタを通って流体が処理装置から出ることができることなく生成される。
【符号の説明】
【0067】
1 第1のコネクタ部品
2 第2のコネクタ部品
3 密封ピン
5 Oリング
15 内腔
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図4c
図5
図6
図7a
図7b
図8a
図8b
図9
【国際調査報告】