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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-09
(54)【発明の名称】格納式シールド付きペンニードル
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/32 20060101AFI20221101BHJP
   A61M 5/50 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
A61M5/32 510K
A61M5/32 500
A61M5/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022514727
(86)(22)【出願日】2020-08-27
(85)【翻訳文提出日】2022-05-06
(86)【国際出願番号】 US2020048084
(87)【国際公開番号】W WO2021045950
(87)【国際公開日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】62/896,860
(32)【優先日】2019-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522179943
【氏名又は名称】エンベクタ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ポガンスキ
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066FF06
4C066KK08
4C066LL25
(57)【要約】
送達デバイス用のペンニードル(30)は、ニードル(54)を支持するハブ(32)と、注入中にニードルを露出させ、使用後に伸長位置に戻り、伸長位置にロックしてニードルを覆うことができる遠位ニードルシールド(70)とを含む。近位ニードルシールド(102)は、ニードルハブが送達デバイスから分離されるとき、ニードルの近位端をシールドまたは覆うために、ハブに対して格納位置から伸長位置に移動する。ばね(130)が遠位ニードルシールドと近位ニードルシールドとの間に延在し、各ニードルシールドをそれぞれの伸長位置に付勢する。遠位ニードルシールド(70)は、ばね(130)を圧縮状態に保持するために、初期位置で近位ニードルシールド(102)に結合される。遠位ニードルシールド(70)は、近位ニードルシールド(102)から遠位ニードルシールドを外すために押し下げられ、ばねが伸長状態に膨張し、シールドを伸長位置に移動させる。ロック部材(142、156)は、近位ニードルシールド(70)及び遠位ニードルシールド(102)を伸長位置にロックするために、設けられることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端と、送達デバイスに取り付けるための近位端と、を有するハブと、前記ハブに結合され、前記ハブの前記遠位端から延在する遠位端と、前記送達デバイスに接続するための前記ハブに対して近位に延在する近位端とを有するニードルと、
前記ニードルの前記遠位端を遮蔽するための第1の伸長位置と、患者に物質を注入するための前記ニードルの前記遠位端を露出させるための格納位置と、前記ニードルの前記遠位端を遮蔽する第2の伸長位置との間で摺動するために前記ハブに結合される、遠位ニードルシールドと、
前記ニードルの前記近位端が伸長位置に露出する格納位置から摺動するために前記ハブに結合された近位ニードルシールドであって、前記近位ニードルシールドを前記格納位置に保持するために前記遠位ニードルシールドに結合され、前記遠位ニードルシールドが、前記遠位ニードルシールドを前記近位ニードルシールドから切り離すために、前記第1の位置から前記第2の位置への前記ハブに対する軸方向の移動によって回転可能である、近位ニードルシールドと、を備える、ペンニードル。
【請求項2】
前記遠位ニードルシールドを前記伸長位置に付勢するための第1の端部と、前記近位ニードルシールドを前記伸長位置に付勢するための第2の端部と、を有するばねをさらに備える、請求項1に記載のペンニードル。
【請求項3】
前記ばねの前記第1の端部が、前記遠位ニードルシールドの近位端に接触し、前記第2の端部が、前記近位ニードルシールドのベースに接触する、請求項2に記載のペンニードル。
【請求項4】
前記遠位ニードルシールドが、遠位端と、近位端と、および前記近位ニードルシールドと結合するように構成される前記近位端における少なくとも1つの結合部材と、を有する、請求項1に記載のペンニードル。
【請求項5】
前記遠位ニードルシールドが前記第1の前記伸長位置にあり、前記近位ニードルシールドが前記格納位置にあるとき、前記近位ニードルシールドは、前記遠位ニードルシールドの前記結合部材に解放可能に結合される結合部材を有する、請求項4に記載のペンニードル。
【請求項6】
前記遠位ニードルシールドと前記近位ニードルシールドとの間に延在するばねをさらに備え、前記遠位ニードルシールドが前記近位ニードルシールドに結合されるとき、前記ばねが圧縮状態にある、請求項5に記載のペンニードル。
【請求項7】
前記遠位ニードルシールドが前記伸長位置にあり、前記近位ニードルシールドが前記伸長位置にあるとき、前記ばねが伸長状態にある、請求項6に記載のペンニードル。
【請求項8】
前記遠位ニードルシールドは、前記格納位置への軸方向移動によって、前記ハブに対して回転するように構成され、前記遠位ニードルシールドの回転は、前記遠位ニードルシールドの前記結合部材を前記近位ニードルシールドの前記結合部材から非係合する、請求項5に記載のペンニードル。
【請求項9】
前記ハブは、側壁および前記ハブの軸に対して横方向に配向され、前記遠位端と前記ハブの前記近位端との間に間隔を置かれた内壁を有し、前記内壁は、前記近位ニードルシールドの端部を受容されるように構成される開口部を有する、請求項8に記載のペンニードル。
【請求項10】
前記近位ニードルシールドは、前記内壁の遠位側に配向されるベースと、前記近位ニードルシールドが前記伸長位置に移動するとき、前記内壁内の前記開口部を通って延在するように配向されるシールド部材とを有し、前記シールド部材は、前記ニードルの前記近位端を遮蔽する軸方向の長さを有する、請求項9に記載のペンニードル。
【請求項11】
前記ハブの前記内面は、前記遠位ニードルシールドが前記ハブの前記遠位端に向かって移動するとき、前記遠位ニードルシールドを回転させる回転機構を有する、請求項8に記載のペンニードル。
【請求項12】
前記内壁が、前記ニードルの前記近位端の周りに間隔を置かれた複数の開口部を有し、前記近位ニードルシールドの前記ベースが、前記内壁内のそれぞれの開口部を通って延在する複数の前記シールド部材を有し、前記シールド部材が、前記ニードルの前記近位端を遮蔽するための軸方向の長さを有する、請求項10に記載のペンニードル。
【請求項13】
前記ハブの前記内壁は、前記ハブの前記遠位端に向かって延在するポストを備え、前記近位ニードルシールドの前記ベースは、前記ポスト上で軸方向に摺動するように構成される開口部を有する、請求項12に記載のペンニードル。
【請求項14】
前記近位ニードルシールドは、前記近位ニードルシールドのベースの遠位側から延在する複数の結合部材を備え、前記遠位ニードルシールドは、前記近位ニードルシールドのそれぞれの結合部材と結合するように構成される複数の結合部材を含む、請求項1に記載のペンニードル。
【請求項15】
前記遠位ニードルシールドの前記結合部材は、結合タブを含み、前記近位ニードルシールドの前記結合部材は、前記遠位ニードルシールドのそれぞれの結合タブと結合して前記近位ニードルシールドを前記格納位置に保持するための結合タブを含む、請求項14に記載のペンニードル。
【請求項16】
前記遠位ニードルシールドは、前記遠位ニードルシールドが前記第1の伸長位置にあるとき、前記ハブ上の戻り止めを係合するように構成される突起を備え、前記遠位ニードルシールド上の前記突起は、前記遠位ニードルシールドが前記ハブの前記近位端に向かって移動し、前記遠位ニードルシールドの前記結合タブを前記近位ニードルシールドの前記結合タブから分離するとき、前記遠位ニードルシールド上の前記戻り止めを係合して前記遠位ニードルシールドを回転させる、請求項15に記載のペンニードル。
【請求項17】
前記遠位ニードルシールド上の前記突起がカム表面を備え、前記ハブ上の前記戻り止めがカム表面を備え、それによって、前記ハブに対する前記遠位ニードルシールドの軸方向の移動が、前記ハブに対する前記遠位ニードルシールドの回転を引き起こして、前記遠位ニードルシールドを前記近位ニードルシールドから分離させる、請求項16に記載のペンニードル。
【請求項18】
前記遠位ニードルシールド上の前記突起が、前記遠位ニードルシールドの軸に対して半径方向外向きに突出し、前記ハブ上の前記戻り止めが半径方向内向きに突出する、請求項17に記載のペンニードル。
【請求項19】
前記遠位ニードルシールドが、前記遠位ニードルシールドを第2の伸長位置にロックするロック部材を備え、前記側壁が、前記近位ニードルシールドを前記伸長位置にロックするロック部材を備える、請求項18に記載のペンニードル。
【請求項20】
前記ハブが、側壁と、開口を有する前記側壁に対して横方向に延在する内壁とを有し、前記近位ニードルシールドが前記内壁の前記開口を通って延在氏、前記近位ニードルシールドが、付勢部材と係合するために前記内壁の第1の側の遠位端と、前記ニードルの前記近位端と遮蔽するために前記内壁の第2の側の近位端と、を有する請求項1記載のペンニードル。
【請求項21】
側壁と、前記側壁に対して横方向に延在する内壁と、送達デバイスに取り付けるための近位端と、および遠位端と、を有するハブと、前記ハブに結合され、前記ハブの前記遠位端から延在する遠位端と、前記ハブの近位端にある近位端と、を有するニードルと、
前記ニードルの前記遠位端を遮蔽するための第1の伸長位置と、前記ニードルの前記遠位端を露出させるための格納位置と、前記ニードルの前記遠位端を遮蔽するための第2の伸長位置と、の間で前記ハブに対して摺動するために前記ハブに結合される遠位ニードルシールドであって、第1の結合部材を有する、遠位ニードルシールドと、
前記ハブの前記近位端にあり、内壁の遠位側にベースと、前記ハブの前記内壁の開口部を通して前記ハブの前記近位端に向かって延在するシールド部材と、を有する近位ニードルシールドであって、前記近位ニードルシールドは、前記ニードルの前記近位端が露出している格納位置と、前記ニードルの前記近位端に対する伸長位置と、から移動可能であり、前記遠位ニードルシールドの前記第1の結合部材に結合し、前記近位ニードルシールドを前記格納位置に保持するように構成される第2の結合部材を有する、近位ニードルシールドと、
前記遠位ニードルシールドを前記第2の伸長位置に対して遠位方向に付勢するために前記遠位ニードルシールドに接触する第1の端部と、前記近位ニードルシールド及び前記シールド部材を前記伸長位置に付勢するために前記近位ニードルシールドの前記ベースに接触する第2の端部と、を有するばねと、を備えるペンニードル。
【請求項22】
前記遠位ニードルシールドが前記近位ニードルシールドに結合されるとき、前記ばねが圧縮状態にある、請求項21に記載のペンニードル。
【請求項23】
前記遠位ニードルシールドが前記ハブの前記近位端に向かって軸方向移動することによって、前記ハブに対して回転し、前記第1の結合部材を前記第2の結合部材から分離するように構成される、請求項23に記載のペンニードル。
【請求項24】
前記遠位ニードルシールドは、突起を有し、前記ハブの前記側壁は、前記遠位ニードルシールド上の前記突起と係合して、前記遠位ニードルシールドを前記第1の伸長位置に保持し、前記遠位ニードルシールドの軸方向の移動によって前記遠位ニードルシールドを回転させるように構成された戻り止めを有する、請求項23に記載のペンニードル。
【請求項25】
前記第1の結合部材は、第1の結合タブを備え、前記第2の結合部材は、前記第1の結合タブに取り外し可能に結合するように構成される第2の結合タブを備える、請求項24に記載のペンニードル。
【請求項26】
前記近位ニードルシールドが、前記ベースの近位側から延在する複数のシールド部材を有し、前記近位ニードルシールドが伸長位置にあるとき、前記内壁の開口部を通って延在するように構成され、前記シールド部材が前記ニードルの前記近位端の先端を囲む、請求項25に記載のペンニードル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬剤送達ペンなどの薬剤送達デバイスへの取り付けに適合されるペンニードルに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2019年9月6日に出願された米国仮特許出願第62/896,860号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
一実施形態のペンニードルは、少なくとも1つの格納式ニードルシールドを備えるニードルハブを有し、ニードルシールドは、使用中に格納され、使用後に延長されて、ハブに取り付けられたニードルを遮蔽または覆うことができる。ペンニードルの使用後、ニードルシールドを伸長位置にロックして、ニードルの少なくとも1つの端部を遮蔽することができる。ペンニードルは、使用後にニードルの遠位患者端を遮蔽するための遠位ニードルシールドと、送達デバイスからの分離後にニードルの近位非患者端を覆うための近位ニードルシールドと、を含むことができる。
【0004】
ペンニードルは、投薬ペンに取り付けるために使用され、インスリンなどの自己投与注射薬を送達するのに特に役立つ。1つの既知の市販のデバイスでは、ニードル支持ハブは、漏斗形の外側カバーの内側に提供され、「外側シールド」または単に「カバー」と呼ばれることもある。カニューレまたはニードルは、ハブの軸方向の穴に固定され、一端は患者を注射するためにハブの遠位または「患者側」から突き出ており、ニードルの他端は近位または「非」の空洞に埋め込まれている。ハブの「患者」側であり、投薬ペンへの取り付けに適合している。紙とホイルの「ティアドロップ」ラベルは、漏斗状の外側カバーの開放端の端にヒートシールされている。さらに、投薬ペンは、ペンニードルが設置される投薬ペンの遠位端の上に受容されるキャップを有してもよい。ペンニードルを投薬ペンに取り付けるには、ユーザは投薬ペンのキャップを取り外す。次に、ユーザはペンニードルの外側カバーのラベルをはがし、外側カバーを持ってハブを取り付ける。通常、ハブをペンにねじ込む。ハブが投薬ペンに取り付けられたら、外側カバーをハブから遠位に引っ張ることによって外側カバーを取り外すことができる。別の内側のニードルシールドが、ニードルの上にあり、ユーザは注射を行うためにこれを取り外す必要がある。内側のシールドは通常ハブ上にあり、ユーザが無菌バリアを形成することなくニードルを見つけるのに役立つ。使用後、ユーザは外側のカバーを使用してハブをペンから外し、ペンのニードルを廃棄することができる。
【0005】
投薬ペンおよび関連するペンニードルは、特許文献1、特許文献2、及び、特許文献3に開示されている。これらはすべて、ペンニードルの設計および構造の教示のためにその全体が参照により組み込まれている。放出可能なペンニードルを注射ペン上に配置し、ペンニードルを嵌合する貯蔵または廃棄容器に放出するためのデバイスは、特許文献4に開示されている。また、この教示のために参照により組み込まれる。
【0006】
ペンニードルには、再利用や偶発的なニードル刺しを防ぐために、ニードルの端を覆うカバーまたはシールドを含めることができる。ペンニードルが送達デバイスから分離されたときに、ニードルの近位端を覆うためのシールドを有するペンニードルも知られている。
従来のデバイスは、一般に意図された用途に適しているが、業界ではペンニードルの改良が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7,645,264号
【特許文献2】米国特許出願公開第2009/0069755号
【特許文献3】米国特許出願公開第2012/0022460号
【特許文献4】米国特許第8,057,444号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
薬剤を患者に注入するために、送達ペンなどの薬剤送達デバイスと共に使用するためのペンニードルが提供される。一実施形態のペンニードルは、使用中に引っ込めてニードルを露出させ、使用後にニードルの遠位端を覆うように延在することができる、カニューレまたはニードルおよび遠位ニードルシールドを備えるハブを有する。一実施形態では、ニードルシールドは、遠位ニードルシールドを伸長位置にロックし、再利用を防止するためのロック機構を有することができる。ペンニードルの1つの特徴は、使用中に格納してニードルを露出させ、使用後にニードルを覆うために伸長位置に摺動させることができる格納可能な遠位ニードルシールドと、遠位ニードルシールドが伸長位置にあり、近位ニードルシールドが格納位置にあるときに、遠位ニードルシールドに結合される近位ニードルシールドと、である。ばねなどの付勢部材は、遠位ニードルシールドおよび近位ニードルシールドをそれぞれの伸長位置に付勢するために含まれる。
【0009】
ペンニードルは、ペンニードルが使用後にニードルの非患者側端部を覆うために所定の位置にロックすることができる、近位ニードルシールドを含む、送達ペンまたは他の送達デバイスに取り付けることができる。非患者側端部の近位ニードルシールドは、使用前は格納位置にあり、再利用を抑制するためにニードルハブ内のニードルの非患者近位端を覆うように送達デバイスから分離した後、伸長位置に移動する。
【0010】
一実施形態のペンニードルは、ニードルまたはカニューレを支持するハブを含む。着脱可能なカバーは、ハブの端部にカバーを取り付けて、使用する準備ができるまで保管中にペンニードルを覆うように適合させることができる。可動遠位ニードルシールドは、使用中に引っ込めてニードルの患者側端部を露出させることができ、使用後に外側に移動または摺動させることで展開して、ニードルの患者側端部を覆い、さらなる使用または偶発的なニードル刺しを防止できるようハブに結合される。近位ニードルシールドは、ハブに結合され、ニードルの近位、非患者端部を遮蔽するように移動する。ばね部材などの付勢部材は、遠位ニードルシールドと近位ニードルシールドとの間に配置して、ニードルシールドを遠位方向に外側に付勢することができる。
【0011】
一実施形態では、近位ニードルシールドは、ニードルシールドが使用前の初期位置にあるときに遠位ニードルシールドに結合される。結合部材は、遠位ニードルシールドを近位ニードルシールドに結合し、結合部材がシールドを伸長位置に展開するように遠位ニードルシールドを近位ニードルシールドから分離することができる。遠位ニードルシールドをニードルの遠位端を覆う伸長位置に外側に付勢し、第2の近位ニードルシールドを外側に付勢してニードルの近位端を覆うために、付勢部材がハブ内に提供される。一実施形態では、単一のばね部材が、遠位ニードルシールドおよび近位ニードルシールドをそれぞれの伸長位置に付勢する。
【0012】
一実施形態では、ペンニードルは、ニードルの遠位端部を覆う第1の伸長位置とニードルの遠位端部を露出させる格納位置との間で、ハブに対して相対的に摺動することができる遠位ニードルシールドを有するハブを含む。近位ニードルシールドは、ペンニードル内に設けられ、遠位ニードルシールドに結合される。遠位ニードルシールドは、ハブの近位端部に向かって遠位ニードルシールドの軸方向の移動によって近位ニードルシールドから切り離される。一実施形態では、遠位ニードルシールドは、付勢部材が近位ニードルシールドを伸長位置に摺動させ、遠位ニードルシールドを伸長位置に付勢する近位ニードルシールドから分離するように軸方向の移動によって回転する。
【0013】
一実施形態では、ペンニードルは、ハブの遠位端から延びる遠位端と、ハブの近位端にある近位端と、を有するニードルを備えるハブを有する。遠位ニードルシールドは、ニードルを覆うための第1の伸長位置とニードルを露出させるための格納位置との間でハブに対して移動可能である。遠位ニードルシールドは、第2の伸長位置に付勢される。近位ニードルシールドは、ペンニードルが送達デバイスから分離されたときにニードルの近位端を覆うために、格納位置から伸長位置に付勢される。ばねは、遠位ニードルシールドと係合して遠位ニードルシールドを伸長位置に付勢する遠位端と、近位端が近位ニードルシールドを伸長位置に付勢する近位端とを有する。
【0014】
一実施形態における第1の遠位ニードルシールドは、近位ニードルシールド上の相補的なタブと係合する1つ以上の可撓性カップリングタブを含むことができる。ばねは、遠位ニードルシールドおよび近位ニードルシールドをそれぞれの伸長位置に付勢することができるように、タブが近位ニードルシールドのタブから分離して格納されるとき、遠位ニードルシールドを使用している間は回転する。
【0015】
ペンニードルは、送達デバイスに取り付けるための近位端および遠位端を有するハブを含む。ニードルはハブに結合され、ハブの遠位端から延びる遠位端を有する。遠位ニードルシールドは、ニードルの遠位端を遮蔽する伸長位置とニードルの遠位端を露出させる後退位置との間を摺動するためにハブに結合される。近位ニードルシールドは、ハブおよび遠位ニードルシールドに結合される。ニードルシールドが遠位ニードルシールドを近位ニードルシールドから分離するように近位端に向かって移動するとき、遠位ニードルシールドは、第1の角度位置から第2の角度位置まで回転可能である。
【0016】
ペンニードルの特徴は、ハブに結合されたニードルを有し、ハブの遠位端から延在する遠位端部と、送達デバイスに接続するための近位端とを有する、ハブを含む。遠位ニードルシールドは、ニードルの遠位端を遮蔽するための第1の伸長位置と、患者に物質を注入するためのニードルの遠位端を露出させるための格納位置と、ニードルの遠位端を遮蔽する第2の伸長位置との間で摺動するためにハブに結合される。近位ニードルシールドは、ニードルの近位端が伸長位置に露出する格納位置から摺動するためにハブに結合される。近位ニードルシールドは、格納位置で遠位ニードルシールドに結合される。遠位ニードルシールドは、遠位ニードルシールドを近位ニードルシールドから切り離すために、第1の位置から第2の位置へのハブに対する軸方向の動きによって回転可能である。
【0017】
患者に物質を注入するためなど、ペンニードルを使用する方法もまた提供される。本方法は、ニードルシールドを第1の伸長位置から格納位置に格納し、ニードルを露出させ、近位ニードルシールドから係合を解除する。次いで、遠位ニードルシールドは、ニードルシールドを伸長位置にロックするために、ニードルを遮蔽する第2の伸長位置に移動する。近位ニードルシールドは、ニードルの近位端を遮蔽するために伸長位置に移動する。
【0018】
ペンニードルは、遠位端を有するハブと、送達デバイスに取り付けるための近位端と、ハブに結合され、ハブの遠位端から延在する遠位端を有するニードルと、を備える。遠位ニードルシールドはハブに結合され、ニードルの遠位端を覆うための第1の伸長位置と、患者に物質を注入するためのニードルの遠位端を露出させるための格納位置と、ニードルの遠位端を遮蔽する第2の伸長位置と、の間で摺動可能である。
【0019】
別の実施形態では、ペンニードルは、側壁、送達デバイスに取り付けるための近位端、および遠位端を有するハブを含む。ニードルは、ハブに結合され、ハブの遠位端から延在する遠位端と、ハブの近位端にある近位端と、を有する。ニードルは、ハブに結合され、ハブの遠位端から延在する遠位端と、ハブの近位端にある近位端と、を有する。遠位ニードルシールドは、ニードルの遠位端を覆う第1の伸長位置と、ニードルの遠位端を露出させる格納位置と、ニードルの遠位端を覆う第2の伸長位置との間でハブに対して摺動するようにハブに結合される。遠位ニードルシールドは、第1の結合部材を有する。近位ニードルシールドは、ハブの近位端に含まれ、内壁の遠位側にベースと、ハブの内壁の開口部を通してハブの近位端に向かって延在する突起と、を有する。近位ニードルシールドは、ニードルの近位端が露出する格納位置と、ニードルの近位端に対して伸長位置とに移動可能である。近位ニードルシールドは、遠位ニードルシールドの第1の結合部材に結合するように構成された第2の結合部材を有する。ばねは、遠位ニードルシールドを第2の伸長位置に対して遠位方向に付勢するために遠位ニードルシールドに接触する第1の端部と、近位ニードルシールドおよび突起を伸長位置に対して近位方向に付勢するための近位ニードルシールドのベースに接触する第2の端部とを有する。
【0020】
ペンニードルのこれらおよび他の態様および特徴は、本発明および図面の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0021】
以下は、図面の簡単な説明である。
【0022】
図は縮尺どおりではなく、他の機能をわかりやすく説明するために、特定のビューでは一部の機能が省略されている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、ペンニードル及び送達ペンデバイスの側面図である。
図2図2は、図1のペンニードルの断面側面図である。
図3図3は、初期位置における遠位ニードルシールド及び近位ニードルシールドを示す部分断面のペンニードルの斜視図である。
図4図4は、図3のペンニードルの断面図である。
図5図5は、遠位ニードルシールド及び近位ニードルシールドの結合部材を示すペンニードルの断面図である。
図6図6は、遠位ニードルシールド及び近位ニードルシールドを示す部分断面図である。
図7図7は、送達デバイスに接続されたペンニードルと、ニードルを露出させるように格納された遠位ニードルシールドと、を示す部分断面図である。
図8図8は、遠位ニードルシールド及びハブ上の戻り止めの概略図である。
図9図9は、伸長位置及びロック位置に展開されたニードルシールドを示す断面図である。
図10図10は、ペンニードルの代替の実施形態の部分斜視図である。
図11図11は、図10のペンニードルを示す斜視図である。
図12図12は、展開位置にある図10のペンニードルの斜視側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書で使用される場合、「遠位」方向は注射部位の方向であり、「近位方向」は反対方向である。「軸方向」は、デバイスの縦軸(longitudinal axis)に沿った方向である。ニードルカニューレは、一般に、デバイス内で軸方向に配置される。「半径方向」は、軸方向に垂直な方向である。したがって、「半径方向内側(radially inward)」とは、一般に、ニードルの軸方向に近いことを意味する。「円周方向(Circumferentially)」とは、ねじ込み継手の端に円周方向にねじ山が配置されるように、円周方向に配置することを指す。ペンニードルの「上面」の図は、ニードルの先の尖った端部を見ている。本明細書では、投薬送達ペンまたは送達デバイスを使用して、通常、複数回投与の投薬を含む投薬コンパートメント、および別個のペンニードルを有するデバイスを指す。「ペンニードル」という用語は、ペンニードルアセンブリの近位端が投薬コンパートメントにアクセスし、遠位端が1回以上の注射を実行するために、注射部位への挿入に適合されるように、投薬送達ペン本体に取り付けられるニードル支持アセンブリを指す。「ニードル」および「カニューレ」という用語は、本明細書では互換的に使用され、対象の注入部位に挿入するための鋭利な端部を有する細い管状部材を指す。ニードルまたはカニューレは、患者への薬剤の送達および注入のための管腔を有する。
【0025】
実施形態の異なる特徴は、組み合わされた部品がデバイスおよびアセンブリの動作と矛盾しないか、または干渉しない限り、他の実施形態と組み合わせて使用され、使用され得る。この開示は、その適用において、以下の説明に示されるか、または図面に示される構成の詳細および構成要素の配置に限定されない。本明細書の実施形態は、様々な方法で修正、実施、または実行することができる。また、本明細書中で使用する表現および用語は、説明のためのものであって、限定するものと見なすべきではない。本明細書における「含む」、「備える」、または「有する」、およびそれらの変形例の使用は、追加の項目と同様に、その後に列挙される項目、およびその均等物を包含することである。特に限定されない限り、本明細書における「接続」、「結合」、および「取り付け」という用語、およびそれらの変形例は、広範囲に用いられ、直接的および間接的な接続、結合、および取り付けを包含する。追加的に、「接続された」および「結合された」という用語、およびそれらの変形例は、物理的または機械的な、接続または結合に限定されない。さらに、上、下、下、上などの用語は相対的であり、図示を助けるためのものであるが、限定するものではない。実施形態は相互に排他的であることを意図しておらず、一実施形態の特徴は、それらが互いに矛盾しない限り、他の実施形態と組み合わせることができる。「実質的に」、「約」および「約」のような程度の用語は、当技術分野に熟練した者によって、所与の値の周囲およびそれを含む合理的な範囲、ならびに所与の値の外側の範囲、例えば、実施形態の製造、組立、および使用に関連する一般的な許容範囲を指すように理解される。構造または特性を指す場合の「実質的に」という用語は、構造内に大部分または完全に存在する特性を含む。
【0026】
一実施形態では、送達デバイスは、図1に示されるように、ペンニードル送達デバイス10であり、これは、典型的には、投与ノブ/ボタン、外側スリーブ12、ペンニードル18に結合するためのねじ付き端部14、及びキャップを備える。投与ノブ/ボタンは、ユーザが注入される薬剤の投与量を設定することを可能にする。外側スリーブ12は、薬剤を注入する場合、ユーザによって把持される。キャップは、ペンニードルデバイス10をシャツのポケットの中、または他の適切な場所の中に確実に保持するためにユーザによって使用され、偶発的なニードルによる怪我からのカバー/保護を提供する。
【0027】
標準的なペンニードルデバイスにおいて、投与、および送達機構は、外側スリーブ12内にあり、当業者には理解されているため、ここではより詳細に説明しない。薬剤カートリッジは、典型的には、既知の取り付け機構によって標準的なペン型注射器ハウジングに取り付けられる。薬剤カートリッジ内でのプランジャー、またはストッパの遠位移動により、薬剤がリザーバハウジングへと押し込まれる。薬剤カートリッジは、隔壁によって密封され、リザーバまたはハウジング内に配置される隔壁貫通ニードルカニューレによって穴が開けられる。他の取り付け機構を使用することが可能であるが、リザーバハウジングは、好ましくは薬剤カートリッジにねじ止めされる。ペンニードル送達デバイスは、業界で既知である標準的なペン送達デバイスであることができることから、ペンニードル送達デバイスは、詳細には示されていない。図2に示されるように、ペンニードル送達アセンブリ18は、カニューレ20を支持するニードルハブ16と、外部カバー22と、内部シールド24とを含む。図2に示されるように、保護シール26は、外部カバーの開口端に取り付けられ、ニードルハブ、およびカニューレを封入し、清潔、且つ無菌状態を維持する。シール26は、使用中に、ニードルハブにアクセスするよう外部カバーから容易に剥がすことが可能であるラベル、または他の封止部材であってよい。
【0028】
図3に示される実施形態では、ペンニードル30は、ハブ32、遠位ニードルシールド70、近位ニードルシールド102、及びニードルシールドを付勢するためのばね130を含む。ハブ32は、患者に接触するための遠位端34と、送達ペンに接続するための近位端36とを有する。ハブ32は、一体型のユニットにすることも、一緒に結合された個別のコンポーネントから作成することもできる。示される実施形態では、ハブ32は、実質的に円筒形の構成を備える側壁38を有する。開口近位端36は、送達ペン10または他の送達デバイスに結合するための形状および構成を有する。示される実施形態では、内部ねじ40は、既知の方法で送達デバイスに接続するために側壁の近位端に設けられる。ペンニードル30は、インスリンまたは他の薬剤などの物質を患者に送達するように構成される。一実施形態では、ペンニードル及び送達ペンは、制御された用量のインスリンを患者に送達するように構成される。
【0029】
ハブ32を形成する側壁38の遠位端は、ハブ32の開口遠位端を形成する開口部44を有する端壁42を有する。開口部44は、側壁38の直径よりも小さい寸法を有する。内壁46は、側壁38によって画成されるハブ32の内部空洞内に配置され、ハブ30及び側壁38の長手方向軸に実質的に垂直な平面内に延在する。内壁は、ペンニードルの使用中に側壁38に対して固定される。内壁46は、側壁の反対側の間に延在し、好適な結合機構によって側壁に結合される。図3に示されるように、内壁46は、遠位端から内側に離間し、側壁の近位端から内側に離間して、内壁46の各側面に空洞を形成する。内壁は、側壁の遠位端における遠位空洞の底部と、開口近位端36における近位空洞とを画成する。示される実施形態では、内壁46は、側壁38から半径方向内側に延在する2つの離間した半径方向リブ48の間に受容され、内壁46を受容して捕捉する寸法を有するリブの間に凹部を形成する。他の実施形態では、内壁は、接着剤、熱接合または溶接によって取り付けることができる。示される実施形態では、内壁46は別個の部材であるが、内壁46は、単一の一体型ユニットとして側壁と一体的に形成または成形することができる。
【0030】
図4および5に示されるように、内壁46は、ニードル54を支持する軸方向通路52を備える遠位方向に延在する中央ポスト50を有する。ポスト50は、内壁の近位面58と反対側の内壁46の遠位側面56から延在する。ポスト50は、ハブ32の遠位端に向かって軸方向に延在し、側壁38によって形成される遠位空洞に入る。軸方向通路52は、当技術分野で知られているような接着剤の使用によってニードル54を受容され、支持する寸法を有する。内壁46は、開口部が遠位面56と近位面58との間の内壁を通って延在する中央ポスト50の周りに間隔を置いて配置された開口部60を含む。他の実施形態では、内壁は、単一の開口部を有することができる。
【0031】
ニードル54は、一般に、遠位端62に鋭利な先端を有する、スチールニードルなどの中空のニードルである。ニードルの遠位端または患者側の端は、所望の深さまで皮膚を貫通し、患者に薬剤を送達するためのゲージおよび長さを有する。ハブ30の近位端の近位端64は、通常の方法で送達デバイスから薬剤または薬剤を受け取るために、送達デバイス内の隔壁を貫通するように配置される。遠位端62は、約3~10mm、典型的には約4~6mmの注入中に、側壁38の遠位端およびハブから延在する露出した長さを有することができる。ニードルは、32ゲージから36ゲージの範囲のゲージを有することができる。ニードルの近位端64は、ハブの近位端に向かって延在する長さと、送達ペンの隔壁を貫通して送達ペンとニードル54との間に流体連通を提供する長さとを有する。
【0032】
図3図6を参照すると、ペンニードル30は、ハブ32及びニードル54に対して移動するための遠位ニードルシールド70及び近位ニードルシールド102を含む。遠位ニードルシールド70は、ペンニードルの使用後の再使用を防止し、使用前後の不用意なニードル刺しを防止するために、ニードル54の遠位端62のためのシールドまたはカバーを形成する。示される実施形態における遠位ニードルシールド70は、ハブ32の端壁42内の側壁38および開口部44内で摺動するように構成される。遠位ニードルシールドは、図3に示される伸長位置と図7に示される格納位置との間を摺動して、患者に注入するためのニードル54を露出させる。
【0033】
示される実施形態では、遠位ニードルシールド70は、ハブ32の側壁38及び側壁38の開口遠位端に対して摺動するように構成される。遠位ニードルシールド70は、ハブ32の端壁42の開口部44を通って突出する本体74を有する。示される実施形態における本体74は、実質的に円筒形の構成を有する。半径方向に延在するフランジ76は、本体74から外向きに延在し、側壁38の内部で摺動する構成を有する。フランジ76は、遠位シールド70の遠位移動を制限し、ハブ32の側壁38内の遠位ニードルシールド70を捕捉するために、端壁42に接触する遠位面を有する。遠位シールド70の本体74は、軸方向通路78と、患者を注入するためにニードル54の遠位端を露出させる距離を格納する軸方向長さと、図3に示される伸長位置に移動したときにニードル54の遠位端をシールドし、覆う長さとを有する。遠位ニードルシールド70の本体74は、皮膚接触面を形成する外側遠位面81に端壁80を有する。本体74は、フランジ76の半径方向の幅未満の幅を有し、それによって本体74は、開口部44内で摺動することができる。遠位面81および端壁は、注入中にニードル54が通過することを可能にするための開口部83を有する平坦な表面として示される。他の実施形態では、表面は、皮膚へのニードルの貫通の深さを制御するための凸形状を有することができる。遠位ニードルシールド70は、ユーザがニードルの先端に接触するのを防止するような方法でニードルを遮蔽し、覆う寸法を有する。
【0034】
フランジ76は、戻り止めまたは突起84として示される回転部材を備える半径方向表面82を有する。示される実施形態では、複数の離間した突起84がフランジ上に設けられる。示される実施形態における突起84は、半径方向表面82から半径方向外向きに突出する。突起84は、凸形状を有する曲面を備える近位端86を有する。曲面は、遠位シールドの長手方向の寸法に対して傾斜した表面を形成し、ハブ32内の遠位シールド内の軸方向の移動方向に対して傾斜する。突起84は、ハブ32の長手方向軸に対して傾斜して配向された先頭面88を有する。ハブ32の側壁38の内面39は、図8に示されるように、フランジ76の突起84と協働する戻り止め90として示される補完的な回転部材を有する。戻り止め90は、遠位ニードルシールドの軸方向移動によって戻り止め84に接触するように、側壁38の軸方向通路内に内向きに突出する。戻り止め90は、ハブ32の軸に対して傾斜した補完傾斜面92を有する。戻り止め90は、側壁38に対して固定され、遠位ニードルシールド70を近位方向に軸方向に移動させることによって遠位ニードルシールド70を回転させるためのカム表面を画定する。
【0035】
フランジ76が端壁42の内面に接触してニードルを覆うように遠位ニードルシールド70が伸長位置に配置されるとき、戻り止め90は、遠位ニードルシールド70上の突起84の位置に対応する距離で端壁42から離間される。遠位ニードルシールド70が使用前に図3に示される初期位置にあるとき、戻り止め90は、それぞれの突起84に接触する。戻り止め90は、使用の準備ができるまで遠位ニードルシールド70を初期の伸長位置に保持するために、突起84に接触することができる。遠位ニードルシールド70のハブ32の近位端への軸方向移動は、突起84が戻り止め90から分離するまで突起84の表面が戻り止め90の傾斜面上を摺動することによって、遠位ニードルシールド70をハブの軸を中心に回転させる。次いで、遠位ニードルシールド70は、図7に示されるように、ハブの近位端に向かって摺動して、ニードルの遠位端を露出させることができる。
【0036】
遠位ニードルシールド70のフランジ76は、結合部材94を含む。示される実施形態では、フランジは、2つの結合部材94を含む。示される実施形態では、結合部材94は、遠位ニードルシールドに対して近位に延在する軸方向に延在する脚部96を含む。タブ98は、脚部から突出し、フランジ76の平面に平行であり、遠位シールドの中心軸に垂直である平面に配向された遠位面100を含む。タブ98は、図示のように傾斜した近位面を有する。一実施形態では、タブ98は、半径方向外向きに突出する。
【0037】
近位ニードルシールド102は、図3に示される格納位置から図9に示される伸長位置に摺動するためにハブ32内に配置される。近位ニードルシールド102は、内壁46の遠位側に配向され、側壁38の遠位端と内壁46との間に間隔を置かれたベース104を含む。示される実施形態におけるベース104は、側壁38の円筒形の内面39を補完する円形外側エッジを備える実質的に平坦な構成を有する。結合部材106は、ベース104から遠位方向に遠位ニードルシールド70に向かって延在する。示される実施形態では、一対の結合部材106は、遠位ニードルシールド70のそれぞれの結合部材94と嵌合するために提供される。結合部材106は、それぞれの脚部108の遠位端に結合タブ110を有する軸方向に延在する脚部108を含む。タブ110は、ハブの長手方向軸に実質的に垂直な平面内に配向されたアンダーカット面111を形成する。図5および図6に示されるように、タブ110の面111は、タブ98の面100と係合し、遠位ニードルシールド70を近位ニードルシールド102に結合する。示される実施形態におけるタブ110の遠位面は、タブ98の傾斜面118を補完して、組み立て中にタブが互いを通過して摺動することを可能にする傾斜面116を有する。結合部材94及び106は、インターロック結合タブとして示される。遠位ニードルシールド及び近位ニードルシールドを結合及び解除することができる他の結合機構を使用することができる。
【0038】
近位ニードルシールド70のベース104は、ポスト50上で摺動するための寸法を有する中央開口部120を有する。示される実施形態では、ベース104は、ポスト50上のベースをガイドするために開口部120の周りに遠位方向に延在する環状カラー122を有する。
【0039】
ベース104は、ニードル54の近位端を遮蔽し、患者への露出を制限するために、内壁46内の開口部44を通って伸長位置まで通過することができる遮蔽部材を有する近位側部124を有する。示される実施形態では、近位ニードルシールド102は、ハブ32に対して近位方向にベース104から軸方向に延在する複数のシールド部材126を含む。示される実施形態では、4つのシールド部材126が提供されるが、シールド部材の数は、ニードル54の近位端によるニードル刺しからの適切な保護を提供するために変化させることができる。シールド部材126は、図8に示されるように、ユーザによるニードルとの接触を制限するために展開位置に移動したときに、ニードル54の近位端を囲むようにベース104内の中央開口部120の周りに間隔をあけて配置される。各シールド部材126は、シールド部材126がニードル54の近位端を囲むように通過することを可能にするために、内壁46に形成されたそれぞれの開口部60と整列される。シールド部材126は、ペンニードルの使用後、及びペンニードルが送達ペンから分離された後に展開される。近位ニードルシールド102は、シールド部材126がハブの開放端をブロックし、ハブの内部スレッドへのアクセスをブロックしてニードルハブが送達ペンに取り付けられるのを防止する側壁上のロック部材156によって展開された伸長位置でロックすることができる。
【0040】
付勢部材は、遠位ニードルシールド70及び近位ニードルシールド102をそれぞれの伸長位置に対して軸方向に付勢するために含まれる。示される実施形態では、付勢部材は、ニードルシールド70及び近位ニードルシールド102を軸方向外向きにそれぞれの伸長位置まで付勢するために、ハブ32の側壁38内に配置されたばね130である。図3図6及び図8に示されるように、ばね130は、遠位ニードルシールド70に係合する第1の端部132と、近位ニードルシールド102に係合する第2の端部134とを有する。遠位ニードルシールド70の端壁42の内面は、ばね130の遠位端を安定させるための環状カラー138を含む。ばね130は、遠位ニードルシールド70と近位シールド102との間に延在し、ニードル54を取り囲むコイルばねとして示されているが、ニードルシールドを伸長位置に付勢するために他の付勢部材を使用することができる。代替の実施形態では、遠位ニードルシールドと近位ニードルシールドを付勢するために、別々の付勢部材を使用することができる。図示の実施形態では、構造を簡素化し、部品の数を減らすために単一のばねが使用される。
【0041】
図8を参照すると、側壁38の内面は、スリーブの長手方向軸に対して傾斜した傾斜カム面を形成する戻り止め90を含む。表面92は、ハブ32の軸に対して傾斜して形成され、突起84の傾斜面86と係合するように配向される。図7に示されるように、ニードルシールド70上の突起は、表面92と係合し、それによって、ニードルシールド70を側壁42に対して軸方向内向きに移動させることにより、突起84は、傾斜面と係合し、ペンニードルの長手方向軸を中心にニードルシールド70を回転させる。遠位ニードルシールド70は、近位ニードルシールド102に対して回転して、遠位ニードルシールド70の結合タブ98を近位ニードルシールド102の結合タブ112から分離し、ばね130が近位ニードルシールドをハブ32の近位端に向かって付勢することを可能にする。シールド部材126は、内壁46に対する近位シールド102の回転運動を防止するために、それぞれの開口部58に配置される近位端を有する。このようにして、近位シールド102は、格納位置から伸長位置への軸方向の摺動を可能にしながら、ハブ32内に回転可能に固定される。遠位ニードルシールド70は、ペンニードル30及び近位ニードルシールド102の長手方向軸を中心に回転することができる。
【0042】
図3図6及び図8に示されるように、遠位ニードルシールド70は、使用後に遠位ニードルシールド70を固定位置にロックするためのロック部材140を含む。示される実施形態では、2つのロック部材140が提供され、各ロック部材は、遠位ニードルシールド70の近位端から軸方向に延在する可撓性脚部142を有する。脚部142は、外向きに延在するタブ144を含む。タブ144は、図9に示されるように、使用後に遠位ニードルシールド70を伸長位置に保持するために、側壁38の内面上のロック部材146と嵌合するように配向される。示される実施形態では、側壁38上のロック部材146は、タブ144と係合するように配置される戻り止めである。ロック部材146は、タブ144と係合し、遠位ニードルシールドの移動または格納を防止するために側壁38から半径方向内側に突出する戻り止めとして示される。あるいは、ロック部材は、タブ144を捕捉するために側壁に形成された凹部であることができる。
【0043】
凹部146は、使用後に遠位ニードルシールド70が伸長展開位置にあるときに、遠位ニードルシールドがペンニードルの再使用を防止するために後退しないように、側壁38の遠位端から軸方向に間隔をあけて配置される。凹部146は、遠位ニードルシールド70と近位ニードルシールド102が図3に示すように初期位置で結合されたときに結合タブ144から円周方向に間隔を置くように側壁38の内面上に配向され、注入中にニードルの遠位端を露出するために遠位ニードルシールドが後退できるようにされている。遠位ニードルシールド70が突起84および戻り止め90のカム面によって回転するとき、タブ144は、ロックタブ144と軸方向に整列する。タブ144は、遠位ニードルシールド70の回転及び軸方向の移動を阻害し、ペンニードルの再使用を防止するためにロック部材146と係合するように半径方向外向きにはねる。ロック部材146の戻り止めは、タブ144を捕捉して側壁38に対する遠位ニードルシールドの回転を防止するために、間隔をあけて離れた長手方向に延在するリブを有することができる。
【0044】
使用中、ハブ32は、ニードル54の近位端が送達ペンの隔壁を貫通し、送達ペン内の薬剤リザーバとの流体連通を提供するねじ接続によって送達ペンに取り付けられる。遠位ニードルシールド70は、図3に示される第1の伸長位置にあり、ニードル28が患者の皮膚を貫通するように、ニードル及び側壁38に対してニードルシールド70を図7に示される格納位置に格納するように患者の皮膚に押し付けられる。
【0045】
図8に示されるように、遠位ニードルシールド70の戻り止め84は、側壁38の内面上の戻り止め90の傾斜面92と係合し、近位ニードルシールド102及び側壁38に対する遠位ニードルシールド70の回転を引き起こす。近位ニードルシールド70の軸方向の回転は、図7に示されるように、遠位ニードルシールド70の結合部材94を近位ニードルシールド102の結合部材106から分離する。シールド部材126は、送達ペンがペンニードルから分離されるまで近位シールド102が格納位置に留まるように、送達ペンの端部と係合するように、内壁46内のそれぞれの開口部60を通って延びる。送達ペンが送達ペンから分離されるとき、ばね130は、図9に示されるように、近位ニードルシールド102を、シールド部材126が内壁の開口部を通ってニードルの近位端の周りの伸長位置に通る伸長位置に付勢する。近位ニードルシールドのベース104は、側壁上のロック部材156上を摺動し、ロック部材156は、図9に示される伸長展開位置で近位ニードルシールド102をロックする。示される実施形態では、側壁38の内面39上のロック部材156は、傾斜遠位面158および近位ロック面160を有する戻り止めである。傾斜遠位面158は、ベース104が近位方向に各部材156上を摺動し、ベース104が遠位方向に摺動するのを防止することを可能にするラチェット状部材を形成する。患者の皮膚に押し付けることによって遠位ニードルシールド70を格納することにより、突起84および戻り止め90は、遠位ニードルシールドを回転させて、結合部材94および106を分離し、タブ144をロック部材146と軸方向に整列させる。ニードルが患者から引き抜かれるとき、遠位ニードルシールドは、図9に示される第2の伸長位置に軸方向に摺動して、そこでタブ144は、それぞれの凹部146に摺動して、ハブに対する遠位ニードルシールドの軸方向および回転方向の移動を阻害する。
【0046】
図10図12は、ハブ32の側壁38に対して遠位ニードルシールド70を回転させるためのカム機構の代替実施形態を示す。示される実施形態では、遠位ニードルシールド70のフランジ76は、突起150が傾斜面152を有する、半径方向外向きに延在する突起150を有する。側壁38の内面39は、遠位ニードルシールド70の突起150に接触するために半径方向内側に延在する同様の突起154を有する。突起154は、遠位ニードルシールドが使用前の初期位置にあるときに、遠位ニードルシールドの傾斜面と嵌合する同様の傾斜面156を有する。接触傾斜面は、カム面を形成し、遠位ニードルシールド70の側壁38内への軸方向移動により、遠位ニードルシールド70を回転させ、遠位ニードルシールドの結合部材94を近位ニードルシールドの結合部材106から分離させる。
【0047】
実施形態では、ハブおよびシールドの構成要素は、典型的には、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの射出成形プラスチックである。ニードルは外科用グレードのステンレス鋼にすることができる。投薬ペン技術の当業者に知られている他の材料および製造方法は、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書での使用に適合させることができる。部品を組み立てるには、ハブアセンブリをニードルで個別に構築し、インターフェイス領域に接着剤を塗布してカニューレをハブに固定し、このサブアセンブリを他のコンポーネントと組み立てる。
【0048】
好ましい実施形態の前述の説明は、以下の特許請求の範囲によって定義される本発明を限定すると見なされるべきではない。前述の説明は、当業者に、説明された実施形態の変形を実践するのに十分な情報を提供するはずである。従属請求項に記載されている、または一実施形態に関連して記載されている特徴および改善は、本発明の範囲から逸脱することなく、それらと矛盾しない限り、別の独立請求項または別の実施形態のものと組み合わせることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】