(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-09
(54)【発明の名称】透明脆性材料のレーザービーム機械加工方法および同方法を実施する装置
(51)【国際特許分類】
B23K 26/53 20140101AFI20221101BHJP
B23K 26/082 20140101ALI20221101BHJP
【FI】
B23K26/53
B23K26/082
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515061
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(85)【翻訳文提出日】2022-05-02
(86)【国際出願番号】 EP2020058826
(87)【国際公開番号】W WO2021043450
(87)【国際公開日】2021-03-11
(32)【優先日】2019-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522086995
【氏名又は名称】オーオーオー エヌティーオー アイアールイー-ポラス
【氏名又は名称原語表記】OOO NTO IRE-Polus
【住所又は居所原語表記】Vvedenskogo Sq. 1, p. 3, Fryazino 141190, Russian Federation
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ティムール エイ. アリエフ
(72)【発明者】
【氏名】ニコライ エヌ. イェフティキィエフ
(72)【発明者】
【氏名】ミハイル オー. カプタコフ
(72)【発明者】
【氏名】イヴァン ヴィ. オブロノフ
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AE01
4E168CB04
4E168CB19
4E168DA28
4E168DA45
4E168DA46
4E168EA15
4E168EA16
4E168JA12
4E168JA13
4E168JA14
4E168JA17
(57)【要約】
本発明は、レーザー器具、特に脆性基材を切断するために使用されるパルススキャニングレーザーに関する。著者らは、基材の割断のために、基材に、応力が加えられるエッジを形成する方法および装置を提案し、このために、基材の長さに沿った長手方向の移動を伴う、レーザービームの角度が付けられたスキャニングの過程の間の、固定された焦点距離を有する集束レーザービームによる照射中に、材料の本体内に、光学的に誘起された破壊を通じてキャビティのトラックが形成される。技術的な結果として、製品の強度パラメータが改善され、基材割断中に形成される直線状のエッジおよび斜めのエッジの質が良くなり、欠けおよびマイクロクラックが存在せず、応力が加えられる割断エッジの形成が高速になり、これはより迅速なレーザー切断を意味する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザービームに対して透過性の材料で作製された基材の割断のために、応力が加えられるエッジを形成する方法であって、このために、
前記基材の長さに沿った長手方向の移動を伴う、前記レーザービームの角度が付けられたスキャニングの過程の間の、固定された焦点距離を有する集束レーザービームによる照射中に、前記基材の本体内に、局所的に光学的に誘起された、前記材料の破壊を通じてキャビティのトラックを形成し、これによって、
・前記基材の一方の表面から反対側の表面へと向かう方向における前記ビームの1回の通過において、前記材料の本体内に、狭い間隔のキャビティ(各パルスにつき少なくとも1つのキャビティ)の実質的に角度を有する線形の連鎖が形成され、かつ
・前記ビームの他の通過の間、前記ビームと前記基材との相対的な漸進的な長手方向の移動の結果、次の狭い間隔のキャビティの連鎖が形成され、
漸進的な長手方向の移動の前記プロセスおよび同じ面における、前記ビームの、角度が付けられた周期的なスキャニングによって最終的な結果として、内部で泡状に応力が加えられるエッジの形態の、光学的に誘起されたキャビティの実質的に連続したトラックが得られ、これに沿って、チッピング欠陥を伴わずに、前記基材が割断される、
方法。
【請求項2】
前記ビームの前記他の通過は、前記応力が加えられるエッジが形成されている領域に対する先導を伴う、所定の位置に固定された基材にわたって同じ方向において連続的に実行される、前記ビームの漸進的な長手方向の移動の間の前記ビームの逆方向の通過または戻り方向の通過である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記応力が加えられるエッジの前記トラックは実質的に、前記基材の本体全体にわたって、マイクロメートル範囲での、光学的に誘起された破壊キャビティ間の距離を伴って形成され、前記距離を、キャビティの寸法と、角度が付けられた横断方向および長手方向の両方におけるスキャニングの速度とによって決定する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記割断エッジが形成される面は、前記表面に対して直交している、または斜めの割断エッジを形成するために少なくとも45°の角度で傾斜している、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記材料の光学的に誘起された破壊のために十分なパルスエネルギを伴って、パルスフェムト秒集束レーザービーム源またはパルスピコ秒集束レーザービーム源またはパルスナノ秒集束レーザービーム源を使用し、前記レーザービーム源は、固体レーザーまたはファイバレーザーをベースとする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記レーザービームに対して透過性の材料は、ガラス、石英、半導体、誘電体、ポリマ材料、結晶、サファイア、ダイヤモンドライクフィルムから選択される材料の1つまたは複数の層を含んでいる、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
透明材料で作製された前記基材を、情報表示装置、特にフラットスクリーンまたはTVスクリーンを作製する目的で、または窓ガラス板、ミラー、ラミネートされた車の窓、防護ガラスまたは透明セラミックスの切断のために選択する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記方法を使用して、割断されるべき透明材料の本体内の所定の面に、応力が加えられるエッジを形成する装置であって、前記装置は、
・コリメートされたビームエミッタを伴うパルスレーザー光源と、
・基材表面に対する空間におけるビーム配向のためのシステムと、
・前記基材に対する横断方向における、1つの面での高速ビームスキャニングのための角度を有するスキャニングシステムと、
・前記基材の表面に沿った、角度が付けられたビームの一方向での漸進的な移動のためのアクチュエータと、
・光学集束系と、
を含む、装置。
【請求項9】
前記光学集束系は、最大30mmの厚さの、応力が加えられるエッジが形成されている場合、ビーム焦点を変えない、請求項8記載の装置。
【請求項10】
前記応力が加えられるエッジの形成中の、表面法線に対する前記ビームの入射角度は、(まっすぐな面を形成するために)直交面において60°未満であってよく、または(斜めの面を形成するために)最大45°の角度での他の任意の角度が付けられた面にあってよい、請求項8または9記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、レーザー技術の分野に関し、特に、脆性基材を切断するために使用されるパルススキャニングレーザーに関する。
【0002】
発明の背景
パルスレーザーは、半導体産業において、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素およびその他の半導体でできた基材、ならびにセラミック基材およびガラス基材の、最大1mmの薄さのスクライビングのために広く使用されている。従来技術には、レーザースクライビングの間のV字型の溝から、その上面または下面での材料のアブレーションまたは溶融まで、割断線を形成する種々の方法が記載されている(米国特許出願公開第2019/0169062号明細書)。しかし、この操作後に、レーザー処理された材料に機械的な力を加えるか、またはこの材料を加熱(または局所冷却)することによって熱変形波を形成する必要が生じる。これらの行動のいずれも、必ずしも良好な結果、すなわち欠け、マイクロクラックおよび欠陥を伴わない割断を有するとは限らない。
【0003】
フェムト秒レーザーおよびピコ秒レーザーは、ガラス製の厚い基材を含む基材を、割断のために準備するために使用される。従来技術(米国特許第10233112号明細書)には、ピコ秒レーザーを使用した、スマートフォンおよびディスプレイスクリーンとして使用される薄いガラス基材の穿孔方法が記載されており、これは、ガラスに穿孔を施し、次いで穿孔線を第2のレーザー、すなわち高出力CO2レーザーによって加熱することで、クラックを誘発し、ガラスを割断する。この方法は、厚いガラスには適用できない。それと同時に、付加的な高出力レーザーの使用は、このプロセスを複雑にする。このような切断の問題は、店舗用の厚い窓ガラス板、ラミネートされ、強化された車の窓、保護コーティングが施されたガラスおよび防護ガラスの機械加工中に生じる。
【0004】
従来技術では、ガラス内に非線形作用が存在することに起因するレーザービームの自己集束の結果としてフィラメント(トラック)のグリッドを形成することによってガラスを切断する方法が教示されている。ビームフィラメント形成中に、基材の本体内に数百マイクロメートルの長さの中空トラックが形成され(ロシア国特許出願公開第2013102422号明細書または国際公開第2012/006736号ならびに米国特許第9757815号明細書における)、これによって、割断用に基材を準備するために、背面付近を含めて、一連のトラックを形成することができる。フィラメント方法は、厚いガラスの切断にも制限を課す。すなわち、これは、光学系の形状に起因して、6mm以上の厚さを有するガラスに適用され得ない(これは、焦点距離が短いマイクロレンズを必要とする、または長い焦点およびガラス本体内の干渉パターン、すなわちベッセルビームを保証することができる専用の光学系を必要とする)。表面付近の領域における破壊を排除するために、レーザービームウエストを、基材の本体内の比較的深くに形成しなければならない。トラックのアレイが連続的ではないという事実に照らして、トラックの形成中に特定の基本的な制限が適用される。すなわち、集束および自己集束の間、近くの不規則性およびフィラメントからの、いかなる境界干渉も存在してはならない。ガラスの厚さに関する制限も適用される。すなわち、(フィラメントの形成条件に起因する)互いに遠く離れたフィラメントによって基材本体を満たすために、基材の表面に沿ったマルチパススキャニングが必要であり、これは、フィラメントグリッドのアレイのアライメント精度に制限を課す。輪郭精度は少なくとも4マイクロメートルであるべきである。この方法は、移動軌道の追跡および軌道の再現性のために、複雑かつ高精度のシステムを用いることを要求する。すなわち、マルチパス切断の間、これは切断の質に悪影響を及ぼし、これによって、フィラメント方法を使用した切断のあとのガラス基材の不可避の最終的な分割の間に欠けが生じることがある。これら全てが、機械的な力を加えずに材料を割断することを不可能にし、この方法の産業上の利用可能性に制限を課す。
【0005】
発明の開示
本発明は、レーザーによって誘起された材料破壊の結果として形成される、基材の本体内の実質的に連続的に応力が加えられるエッジに沿った、レーザービームに対して透過性であり、レーザービームを過度に吸収しない、基材の脆性材料を割断する方法を提案する。この方法の作用を、20mm以上~最大30mmの厚さを有する厚いガラスの切断の例を使用して容易に説明することができる。この割断、すなわち実質的に連続的に応力が加えられるエッジは、複数のマイクロキャビティから成る。これらは、基材の本体内に集束されたレーザービームによって引き起こされる、誘起された破壊の結果として形成される。レーザービームは、表面に沿って漸進的に移動しながら、所定の角度で本体の表面に入射する。この漸進的な移動と同時に、ビームは、ビームが漸進的に移動している同じ面内で連続的かつ高速で振動している。これは、ビームによる基材部分全体の連続的なスキャニングを保証する。この方法は、基材の上面または下面からの基材部分におけるビーム移動の方向に左右されない。重要なことに、集束レーザービームは周期的に、基材本体の厚さ全体を貫通し、これは光学系のレンズの一回選択される長焦点(150~350mm)距離を考慮する上で特に重要である。この長焦点距離は、それが完了すると、基材の割断のために応力が加えられるエッジを形成するプロセス全体を通して不変のままである。
【0006】
これによって技術的な結果として、制御不能な欠けおよびマイクロクラックが存在しない、基材の割断の直線状のエッジ、曲線状のエッジまたは角度が付けられたエッジの質がより良くなり、応力が加えられる割断エッジの形成が高速になり、これはより迅速なレーザー切断を意味し、これは
・基材本体の深さ全体にわたるスキャニング中にレーザービームを集束させるための光学系の再構成
・基材の上面または下面からのビーム移動の方向にかかわらず、基材本体内の応力が加えられるエッジの層の形成の深さを再構成するためのプロセスの中断
が無いことによる。さらに、
基材の長さに沿ってスキャニングシステムが漸進的に連続的に移動する間に、基材の本体の材料内に光学的に誘起される破壊キャビティの可能な最大数が存在することによって、これは概して、提案された方法を使用して割断された基材から作製される製品の強度特性を改善する。
【0007】
ビームと基材との相対的な変位は、線形経路または曲線経路だけに制限されない。本発明の範囲は、ビームと基材との相対的な回転変位を含み、これは線形変位と組み合わせて基材に孔を形成する。さらに、上で開示したように、本発明によるシステムは、角度が付けられたエッジまたは湾曲したエッジを形成することができる。処理された基材が完全に分割されていない場合、切断された基材片をそれぞれの滑らかなエッジによって分離させる最終的な「接触」を提供するために、ツリウム(Tm)レーザー、好ましくは、ただし必須ではないが、Tmファイバレーザーを使用することができる。
【0008】
提案された発明のその他の利点および顕著な特徴は、添付の図面を参照して、以降のその本質の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】正面から見た、所定の角度に配置されているレーザービームによって、基材の本体において、応力が加えられる割断エッジを形成するプロセスの概略図である。
【0010】
発明の実施形態
特許請求される発明の本質は、以降の特徴および詳細に反映される。
【0011】
本発明の全般的な詳細は図面によって示されており、本発明による方法および本発明による方法を実施する装置(100)に関する。レーザービームに対して透過性の材料で作製された基材(2)内に、応力が加えられるエッジ(1)を提供するために、ビームの角度が付けられたスキャニングの過程の間、固定された焦点距離を有する集束レーザービームを、基材(2)に入射させる。ビームと基材(2)とが相対的に線形に移動すると、その照射中に局所的に光学的に誘起された、材料の破壊を通じて、基材本体内にキャビティのトラックが形成される。上で開示した様式で、ビームによって基材が照射されると、次のことが行われる:
・基材の一方の表面から反対側の表面へと向かう方向におけるビーム(3)の1回の通過において、材料の本体内に、狭い間隔のキャビティ(各パルスにつき少なくとも1つのキャビティ)の実質的に線形の連鎖(4)が形成され、かつ
・ビームの他の(連続した)通過の間、ビームと基材との相対的な漸進的な長手方向の移動の結果、次の狭い間隔のキャビティの連鎖が形成される。
漸進的な長手方向の移動およびこの移動の面における、ビームの、角度が付けられた周期的なスキャニングによって最終的な結果として、内部で泡状に応力が加えられるエッジ(internal bubbly stressed edge)(1)の形態の、光学的に誘起されたキャビティの実質的に連続したトラックが得られ、これに沿って基材が割断され、ここで、基材(2)の全長に沿って、ビームの長手方向の移動のプロセスの完了時にチッピング欠陥が生じることはない。
【0012】
上で開示した本発明の方法を実施する装置は、パルスレーザー源(5)によって構成される。これは、固体レーザーまたはファイバレーザーから選択され得る。出射されたレーザービームは、コリメータ(6)においてコリメートされ、その後、ビーム偏向系またはスキャナ(7)に入射する。スキャナ(7)は、上面から反対側の面へ、またはその逆で(方向(正または逆)は無関係なので)、基材の厚さを通るビームの周期的なスキャニングを保証する。光学集束系(8)はビーム集束を保証し、機械加工プロセス全体を通して変わらない設定を有している。このプロセス中、表面へのレーザービームの入射角度は、基材の表面に対する法線に対する割断の所望の形状に応じて90°~約40.5°で変化する。たとえば、直線状の割断を形成する場合、この角度は60°より僅かに小さくてよい。割断が斜め、または面取りされる場合、最大45°の小さい入射角度が必要である。入射角度が増すにつれて、より大きな角度での偏向に起因して光損失も増すことに留意されたい。基材の表面に対して切断が形成される角度は、好ましくは45°~90°の範囲に制限されるべきであることが判明している。所望の角度は、ビーム空間配向系(9)によって、基材の表面に対する空間軸線XYZに沿って設定される。基材(2)の表面に沿ったビーム(3)の長手方向の漸進的な移動はアクチュエータ(10)によって保証され、このアクチュエータ(10)は、応力が加えられるエッジが形成される領域の前方の先導(lead)を伴う、固定された基材にわたった、軸線Xに沿った一方向の漸進的な移動を担う。スキャナ(7)および光学集束系(8)が、図示されている角度と比べて、ワークピースの表面に対する異なる角度で配置されてもよいことに留意されたい。
【0013】
基材(2)に対して横断方向でのビーム(3)の高速スキャニングのために、最低でも1つの面において一軸でスキャンを行う偏向系(7)が、ガルバノスキャナおよびポリゴンスキャナの両方に基づいて実装され得ることに留意することが重要である。ポリゴンスキャナは、光学的に誘起された破壊キャビティの均一な分布を保証するので、これは好ましい解決策である。
【0014】
特に、応力が加えられるエッジ(最大30mmの厚さ)は実質的に、厚い基材の本体全体にわたって、マイクロメートル範囲での、光学的に誘起された破壊キャビティ間の距離を伴って形成される。この距離は、キャビティの寸法と、角度が付けられた横断方向および長手方向の両方におけるスキャニングの速度とによって決定される。
【0015】
特に、光学的に誘起された破壊は、材料の光学的に誘起された破壊のために十分なパルスエネルギを伴うパルスフェムト秒集束レーザービーム源またはパルスピコ秒集束レーザービーム源またはパルスナノ秒集束レーザービーム源(a pulsed femto- or pico- or nano-second focused laser beam source)によって実現される。これは、紫外波から赤外波の範囲における波長を伴うが、機械加工される材料において、この波長の吸収が弱いことが条件である。
【0016】
重要なことに、レーザービームに対して透過性の材料は、1つまたは複数の層を含むことができ、ガラス、石英、半導体、誘電体、ポリマ材料、結晶、サファイアおよび/またはダイヤモンドライクフィルムから選択され得る。工学において、透明材料で作製された基材は、情報表示装置(フラットスクリーンまたはTVスクリーン)を作製する目的で、または窓ガラス板、ミラー、車の窓用の合わせガラス、防護窓ガラスまたは透明セラミックスの切断のために選択される。
【0017】
本発明は、YLPP-50-10-100-R ピコ秒ファイバイッテルビウムレーザー(IRE-Polys,https://www.ipgphotonics.com/ru_)を用いた、合わせガラスを含む、4~20mmの厚さのガラスの切断での実験に成功した。
【0018】
パルス長は、10~20psであり、パルスエネルギは最大100μJであり、パルス繰り返し率は最大2MHzである。ガルバノスキャナをベースとしたスキャニングシステムを用いて、厚さ20mmのガラスが切断された。ビーム入射角度は40.5°であり、偏向角度は±4.5°であり、Fシータレンズをベースとした集束系の焦点距離は260mmであり、ガラス表面からの反射係数は4.6~5.2%の範囲にあり、長手方向の移動の速度は最大40mm/sである。しかし、特に波長、パルスエネルギ、パルス繰り返し率および/またはパルス持続時間に関する、上述の設定のその他の構成または修正が、たとえば米国特許第9296066号明細書または米国特許第10399184号明細書に記載されているように、当業者によって選択されてもよい。
【0019】
レーザービームと基材とは、基材に穴を開けるために相対的に回転することができる。さらに、開示されたシステムは、湾曲したエッジを形成することができる。処理された基材が完全に割断されていない場合、切断された基材片をそれぞれの滑らかなエッジによって分離させる最終的な「接触」を提供するために、ツリウム(Tm)レーザー、好ましくは、ただし必須ではないが、Tmファイバレーザーを使用することができる。
【0020】
本技術分野の当業者には、本発明が上記の実施形態の選択肢に限定されず、本発明の特許請求の範囲の範囲内で変更され得ることが明らかである。他の顕著な特徴とともに説明に示された複数の顕著な特徴を、必要に応じて互いに別個に使用することもできる。
【国際調査報告】