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特表2022-546853MAGL阻害剤としての4,4A,5,7,8,8A-ヘキサピリド[4,3-B][1,4]オキサジン-3-オン化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-09
(54)【発明の名称】MAGL阻害剤としての4,4A,5,7,8,8A-ヘキサピリド[4,3-B][1,4]オキサジン-3-オン化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 519/00 20060101AFI20221101BHJP
   C07D 498/04 20060101ALI20221101BHJP
   A61K 31/5383 20060101ALI20221101BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20221101BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20221101BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221101BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20221101BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20221101BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20221101BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20221101BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20221101BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20221101BHJP
   A61P 25/06 20060101ALI20221101BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20221101BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20221101BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
C07D519/00 301
C07D498/04 112T
C07D519/00 CSP
A61K31/5383
A61P25/00
A61P25/04
A61P35/00
A61P25/18
A61P29/00
A61P1/04
A61P25/28
A61P25/16
A61P25/08
A61P25/06
A61P25/22
A61P25/24
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515504
(86)(22)【出願日】2020-09-07
(85)【翻訳文提出日】2022-04-19
(86)【国際出願番号】 EP2020074897
(87)【国際公開番号】W WO2021048036
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】19196089.7
(32)【優先日】2019-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】グレター,ウーヴェ
(72)【発明者】
【氏名】ホルンスペルガー,ブノワ
(72)【発明者】
【氏名】クロール,カールステン
(72)【発明者】
【氏名】クーン,ベルント
(72)【発明者】
【氏名】ルッツ,マリウス・ダニエル・リナルド
(72)【発明者】
【氏名】オハラ,フィオン
(72)【発明者】
【氏名】リヒター,ハンス
【テーマコード(参考)】
4C072
4C086
【Fターム(参考)】
4C072AA01
4C072BB02
4C072CC02
4C072CC11
4C072EE07
4C072FF07
4C072GG07
4C072GG09
4C072HH02
4C072HH07
4C072MM01
4C072MM10
4C072UU01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086CB22
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA06
4C086ZA08
4C086ZA12
4C086ZA16
4C086ZA18
4C086ZA68
4C086ZB11
4C086ZB26
4C086ZC20
(57)【要約】
本発明は、一般式(I):

(式中、A、B、L、X、R、R、RおよびRは本明細書に記載の通りである)
を有する新規の複素環化合物、前記化合物を含む組成物、前記化合物を製造する方法および前記化合物をモノアシルグリセロールリパーゼ(MAGL)阻害剤として使用する方法を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、
Xは、NまたはC-Rであり、
Lは、共有結合、-(CH-O-、-O-(CH-、および-SO-から選択され、
nは、0、1、2、および3から選択される整数であり、
pは、1、2、および3から選択される整数であり、
Aは、
(i)R、R、およびRで置換された-C6-14-アリール、または
(ii)R、R10、およびR11で置換された5~14員ヘテロアリールであるか、または
Bは、架橋二環式複素環であり、
は、水素またはC1-6-アルキルであり、
は、水素またはC1-6-アルキルであり、
は、水素、C1-6-アルキル、ハロ-C1-6-アルキル、ハロゲンまたはヒドロキシであり、
は、水素、C1-6-アルキル、ハロ-C1-6-アルキル、ハロゲンまたはヒドロキシであり、
は、水素、C1-6-アルキル、ハロ-C1-6-アルキル、ハロゲンまたはヒドロキシであり、
、R、R、R、R10、およびR11は、独立して、水素、C1-6-アルキル、ハロ-C1-6-アルキル、ハロゲン、C1-6-アルコキシ、ハロ-C1-6-アルコキシ、SF、C1-6-アルキルスルホニル、シアノ、C3-10-シクロアルキル、C6-14-アリール、および5~14員ヘテロアリールから選択され、前記C3-10-シクロアルキル、C6-14-アリール、および5~14員ヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、SF1-6-アルキル、C1-6-アルコキシ、ハロ-C1-6-アルキル、およびハロ-C1-6-アルコキシから選択される1~2個の置換基によって場合により置換される)
の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項2】
が水素である、請求項1に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項3】
が水素である、請求項1または2に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項4】
が水素である、請求項1~3のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項5】
が水素である、請求項1~4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項6】
が水素である、請求項1~5のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項7】
が、水素、C1-6-アルキル、ハロ-C1-6-アルキルおよびハロゲンから選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項8】
が、ハロ-C1-6-アルキルおよびハロゲンから選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項9】
が、CF、クロロ、およびフルオロから選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項10】
が、水素およびハロゲンから選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項11】
が水素である、請求項1~9のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項12】
が、フルオロまたはクロロである、請求項1~9のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項13】
が水素である、請求項1~12のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項14】
が、水素、C3-10-シクロアルキル、およびC6-14-アリールから選択され、前記C6-14-アリールが、ハロゲンおよびハロ-C1-6-アルキルから選択される1~2個の置換基で置換されている、請求項1~13のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項15】
10が、水素およびハロゲンから選択される、請求項1~14のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項16】
11が水素である、請求項1~15のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項17】
XがC-Rである、請求項1~16のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項18】
Lが-(CH-O-および-O-(CH-から選択される、請求項1~17のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項19】
nが0および1から選択される整数である、請求項1~18のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項20】
pが1である、請求項1~19のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項21】
Aが、R、R、およびRで置換されたC6-14-アリールである、請求項1~20のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項22】
Aが、R、R、およびRで置換されたフェニルである、請求項1~20のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項23】
Bが、N、S、およびOから選択される1~3個のヘテロ原子を含む6~14員架橋二環式複素環である、請求項1~22のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項24】
Bが、NおよびOから選択される1~2個のヘテロ原子を含む6~9員架橋二環式複素環である、請求項1~22のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項25】
Bが、1個の窒素原子を含む6~8員架橋二環式複素環である、請求項1~22のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項26】
Bが、8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル(a);3,3a,4,5,6,6a-ヘキサヒドロ-1H-シクロペンタ[c]ピロール-2-イル(b)、3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-イル(c)、および2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(d):
【化2】

(式中、波線は、式(I)のヘキサヒドロピリドオキサジノンコアへBを架橋するカルボニル架橋への結合点を示す)
から選択される、請求項1~22のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項27】
前記式(I)の化合物が、式(II):
【化3】

(式中、
Xは、NまたはCHであり、
Lは、共有結合、-(CH-O-、-OCH-、および-SO-から選択され、
nは、0および1から選択される整数であり、
Aは、
(i)RおよびRで置換されたC6-14-アリール、または
(ii)RおよびR10で置換された5~14員ヘテロアリールであるか、または
Bは、NおよびOから選択される1~2個のヘテロ原子を含む6~9員架橋二環式複素環であり、
は、水素、C1-6-アルキル、ハロ-C1-6-アルキル、およびハロゲンから選択され、
は、水素およびハロゲンから選択され、
は、水素、C3-10-シクロアルキル、およびC6-14-アリールから選択され、前記C6-14-アリールは、ハロゲンおよびハロ-C1-6-アルキルから選択される1~2個の置換基で置換されており、
10は、水素およびハロゲンから選択される)
の化合物である、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項28】
前記式(I)の化合物が、式(III):
【化4】

(式中、
Lは、-(CH-O-および-OCH-から選択され、
nは、0および1から選択される整数であり、
Aは、RおよびRで置換されたC6-14-アリールであり、
Bは、1個の窒素原子を含む6~8員架橋二環式複素環であり、
は、ハロ-C1-6-アルキルおよびハロゲンから選択され、
は、ハロゲンである)
の化合物である、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項29】
前記式(I)の化合物が、式(III):
【化5】

(式中、
Lは、-(CH-O-および-OCH-から選択され、
nは、0および1から選択される整数であり、
Aは、RおよびRで置換されたフェニルであり、
Bは、8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル(a)、3,3a,4,5,6,6a-ヘキサヒドロ-1H-シクロペンタ[c]ピロール-2-イル(b)、3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-イル(c)、および2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(d)、
【化6】

(式中、波線は、式(I)のヘキサヒドロピリドオキサジノンコアへBを架橋するカルボニル架橋への結合点を示す)
から選択され、
は、CF、クロロ、およびフルオロから選択され、
は、フルオロまたはクロロである)
の化合物である、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項30】
前記式(I)の化合物が、表1に記載の化合物から選択される、請求項1~29のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項31】
前記式(I)の化合物が、
(4aR,8aS)-6-[(1R,5S,6r)-6-[(2-クロロ-4-フルオロ-フェノキシ)メチル]-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボニル]-4,4a,5,7,8,8a-ヘキサヒドロピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン;
(4aR,8aS)-6-[5-(2-クロロ-4-フルオロ-フェノキシ)-3,3a,4,5,6,6a-ヘキサヒドロ-1H-シクロペンタ[c]ピロール-2-カルボニル]-4,4a,5,7,8,8a-ヘキサヒドロピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン;
(4aR,8aS)-6-[rel-(1R,4R,5S)-5-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]-2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボニル]-4,4a,5,7,8,8a-ヘキサヒドロピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン;および
(4aR,8aS)-6-[(1S,5R)-3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボニル]-4,4a,5,7,8,8a-ヘキサヒドロピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン
からなる群から選択される、請求項1~29のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項32】
請求項1~31のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を製造する方法であって、
(a)式1:
【化7】

(式中、RおよびRは、請求項1~31のいずれか一項に記載の通りである)
の第1のアミンを、塩基および尿素形成試薬の存在下において、第2のアミン2:
【化8】

(式中、A、B、L、X、R、およびRは、請求項1~31のいずれか一項に記載の通りである)
と反応させて、前記式(I)の化合物を形成すること;および場合により
(b)前記式(I)の化合物を、その薬学的に許容され得る塩に変換すること
を含む、方法。
【請求項33】
請求項32に記載の方法にしたがって製造された場合の、請求項1~31のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項34】
治療活性物質として使用するための、請求項1~31、および33のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項35】
請求項1~31、および33のいずれか一項に記載の式(I)の化合物と、治療的に不活性な担体とを含む、医薬組成物。
【請求項36】
哺乳動物における神経炎症、神経変性疾患、疼痛、がん、精神障害、および/または炎症性腸疾患の処置または予防のための、請求項1~31、および33のいずれか一項に記載の式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩または請求項35に記載の医薬組成物の使用。
【請求項37】
哺乳動物における多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、神経毒性、脳卒中、てんかん、不安症、偏頭痛、鬱病、肝細胞がん、結腸がん発生、卵巣がん、神経障害性疼痛、化学療法誘発性神経障害、急性疼痛、慢性疼痛、疼痛に関連する痙縮、腹痛、過敏性腸症候群に関連する腹痛、および/または内臓痛の処置または予防のための、請求項1~31、および33のいずれか一項に記載の式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩または請求項35に記載の医薬組成物の使用。
【請求項38】
哺乳動物における神経炎症、神経変性疾患、疼痛、がん、精神障害、および/または炎症性腸疾患の処置または予防において使用するための、請求項1~31、および33のいずれか一項に記載の式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩または請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項39】
哺乳動物における多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、神経毒性、脳卒中、てんかん、不安症、偏頭痛、鬱病、肝細胞がん、結腸がん発生、卵巣がん、神経障害性疼痛、化学療法誘発性神経障害、急性疼痛、慢性疼痛、疼痛に関連する痙縮、腹痛、過敏性腸症候群に関連する腹痛、および/または内臓痛の処置または予防において使用するための、請求項1~31、および33のいずれか一項に記載の式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩または請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項40】
哺乳動物における神経炎症、神経変性疾患、疼痛、がん、精神障害、および/または炎症性腸疾患の処置または予防のための医薬の調製のための、請求項1~31、および33のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩の使用。
【請求項41】
哺乳動物における多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、神経毒性、脳卒中、てんかん、不安症、偏頭痛、鬱病、肝細胞がん、結腸がん発生、卵巣がん、神経障害性疼痛、化学療法誘発性神経障害、急性疼痛、慢性疼痛、疼痛に関連する痙縮、腹痛、過敏性腸症候群に関連する腹痛、および/または内臓痛の処置または予防のための医薬の調製のための、請求項1~31、および33のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、もしくはその薬学的に許容され得る塩の使用。
【請求項42】
哺乳動物における神経炎症、神経変性疾患、疼痛、がん、精神障害、および/または炎症性腸疾患の処置または予防のための方法であって、有効量の、請求項1~31、および33のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、もしくはその薬学的に許容され得る塩、または請求項35に記載の医薬組成物を、前記哺乳動物に投与することを含む、方法。
【請求項43】
多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、神経毒性、脳卒中、てんかん、不安症、偏頭痛、鬱病、肝細胞がん、結腸がん発生、卵巣がん、神経障害性疼痛、化学療法誘発性神経障害、急性疼痛、慢性疼痛、哺乳動物の疼痛に関連する痙縮、腹痛、過敏性腸症候群に関連する腹痛、および/または内臓痛の処置または予防のための方法であって、有効量の、請求項1~31、および33のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、もしくはその薬学的に許容され得る塩、または請求項35に記載の医薬組成物を、前記哺乳動物に投与することを含む、方法。
【請求項44】
上述の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳動物における治療または予防に有用な有機化合物、特に哺乳動物における神経炎症、神経変性疾患、疼痛、がん、精神障害、多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、神経毒性、脳卒中、てんかん、不安、片頭痛、鬱病、炎症性腸疾患、腹痛、過敏性腸症候群に関連する腹痛、および/または内臓痛を処置または予防するためのモノアシルグリセロールリパーゼ(MAGL)阻害剤に関する。
【背景技術】
【0002】
エンドカンナビノイド(EC)は、カンナビノイド受容体(CBR)であるCB1およびCB2と相互作用することによって生物学的作用を発揮する、シグナル伝達脂質である。これらは、神経炎症、神経変性および組織再生を含む複数の生理的過程を調節する(Iannotti,F.A.,et al.,Progress in lipid research2016,62,107-28)。脳では、主なエンドカンナビノイドである2-アラキドノイルグリセロール(2-AG)は、ジアシルグリセロールリパーゼ(DAGL)により産生され、モノアシルグリセロールリパーゼであるMAGLにより加水分解される。MAGLは2-AGの85%を加水分解し、残りの15%は、ABHD6およびABDH12により加水分解される(Nomura,D.K.,et al.,Science2011,334,809)。MAGLは脳全体、ならびにニューロン、アストロサイト、オリゴデンドロサイトおよびミクログリア細胞を含むほとんどの脳細胞型で発現する(Chanda,P.K.,et al.,Molecular pharmacology2010,78,996、Viader,A.,et al.,Cell reports2015,12,798)。2-AGの加水分解はプロスタグランジン(PG)およびロイコトリエン(LT)の前駆体であるアラキドン酸(AA)の形成をもたらす。AAの酸化的代謝は、炎症組織で増加する。炎症過程に関与するアラキドン酸の酸化の2つの主要な酵素経路には、PGを産生するシクロオキシゲナーゼ、およびLTを産生する5-リポキシゲナーゼが存在する。炎症時に形成される種々のシクロオキシゲナーゼ産物の中で、PGE2は最も重要なものの1つである。これらの産物は、炎症部位、例えば神経変性障害に罹患している患者の脳脊髄液中で検出されており、炎症応答および疾患進行に寄与すると考えられている。MAGL(Mgll-/-)を欠くマウスは、神経系で2-AGヒドロラーゼ活性の劇的な低下、および2-AGレベルの劇的の上昇を示すが、一方でアナンダミド(AEA)を含む他のアラキドノイル含有リン脂質および中性脂質種、ならびに他の遊離脂肪酸は変化しなかった。逆に、AAおよびAA由来プロスタグランジン、ならびにプロスタグランジンE2(PGE2)、D2(PGD2)、F2(PGF2)を含む他のエイコサノイド、ならびにトロンボキサンB2(TXB2)のレベルは大きく低下する。ホスホリパーゼA(PLA)酵素はAAの主要な供給源と考えられてきたが、cPLA欠損マウスはそれらの脳においてAAレベルを変化させず、AA産生および脳炎症過程の調節に対する脳におけるMAGLの役割の重要性が高まっている。
【0003】
神経炎症は、以下に限定されるものではないが、神経変性疾患(例えば、多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、神経毒性、脳卒中、てんかん、ならびに不安症および片頭痛などの精神障害)を含む、脳の疾患の一般的な病理学的変化の特徴である。脳では、エイコサノイドおよびプロスタグランジンの産生が神経炎症過程を制御する。炎症誘発物質リポ多糖(LPS)は、Mgll-/-マウスにおいて顕著に鈍化した脳エイコサノイドのロバストで時間依存的な増加を生じる。LPS処置はまた、Mgll-/-マウスで抑えられるインターロイキン-1-a(IL-1-a)、IL-1b、IL-6、および腫瘍壊死因子-a(TNF-a)を含む炎症性サイトカインの広範な上昇も誘導する。
【0004】
神経炎症は、中枢神経系、ミクログリアおよびアストロサイトの自然免疫細胞の活性化により特徴付けられる。抗炎症薬は、前臨床モデルにおいて、グリア細胞の活性化ならびにアルツハイマー病および多発性硬化症を含む疾患の進行を抑制し得ることが報告されている(Lleo A.,Cell Mol Life Sci.2007,64,1403)。重要なことに、MAGL活性の遺伝的および/または薬理学的破壊はまた、脳におけるミクログリア細胞のLPS誘導活性化も阻害する(Nomura,D.K.,et al.,Science2011,334,809)。
【0005】
その上、MAGL活性の遺伝的および/または薬理学的破壊は、以下に限定されるものではないが、アルツハイマー病、パーキンソン病および多発性硬化症を含む神経変性のいくつかの動物モデルにおいて保護的であることが示された。例えば、不可逆的なMAGL阻害剤は、神経炎症および神経変性の前臨床モデルにおいて広く使用されている(Long,J.Z.,et al.,Nature chemical biology2009,5,37)。このような阻害剤の全身注射は,脳におけるMgll-/-マウス表現型を再現し、これは2-AGレベルの増加、AAレベルおよび関連するエイコサノイド産生の減少、ならびにLPS誘導神経炎症後のサイトカイン産生およびミクログリア活性化の抑制を含み(Nomura,D.K.,et al.,Science2011,334,809)、これらは共にMAGLが新薬につながるような標的であることを確認している。
【0006】
MAGL活性の遺伝的および/または薬理学的破壊に続き、脳においてMAGL天然基質、2-AGの内因性レベルが増加する。2-AGは、例えばマウスにおける抗侵害受容効果による疼痛に対して有益な効果を示すことが報告されている(Ignatowska-Jankowska B.et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.2015,353,424.)and on mental disorders,such as depression in chronic stress models(Zhong P.et al.,Neuropsychopharmacology2014,39,1763)。
【0007】
さらに、中枢神経系のミエリン化細胞であるオリゴデンドロサイト(OL)およびその前駆体(OPC)は、その膜上にカンナビノイド受容体2(CB2)を発現する。2-AGは、CB1およびCB2受容体の内因性リガンドである。カンナビノイドとMAGLの薬理学的阻害との両方が、興奮毒性傷害に対するOLおよびOPCの脆弱性を弱め、よって、神経保護的であり得ることが報告されている(Bernal-Chico,A.,et al.,Glia2015,63,163)。加えて、MAGLの薬理学的阻害はマウスの脳におけるミエリン化OLの数を増加させ、MAGL阻害がインビボでミエリン化OLにおけるOPCの分化を促進する可能性を示唆している(Alpar,A.,et al.,Nature communications2014,5,4421)。MAGLの阻害はまた、進行型多発性硬化症のマウスモデルにおいて再ミエリン化および機能回復を促進することも示された(Feliu A.et al.,Journal of Neuroscience2017,37(35),8385)。
【0008】
さらに、近年では、代謝、特に脂質代謝ががん研究において非常に重要視されている。研究者らは、新規の脂肪酸合成が腫瘍の発生に重要な役割を果たすと考えている。多くの研究は、エンドカンナビノイドが、抗増殖、アポトーシス誘導および抗転移効果を含む、抗腫瘍作用を有することを示した。脂質代謝およびエンドカンナビノイド系の両方に対する重要な分解酵素としてのMAGLは、さらに、遺伝子発現サインの一部として、膠芽腫におけるものを含む、腫瘍形成の様々な側面に寄与する(Qin,H.,et al.,Cell Biochem.Biophys.2014,70,33、Nomura DK et al.,Cell2009,140(1),49-61、Nomura DK et al.,Chem.Biol.2011,18(7),846-856,Jinlong Yin et al,Nature Communications2020,11,2978)。
【0009】
内在性カンナビノイド系はまた、多くの胃腸の生理学的作用および生理病理学的作用に関与するMarquez L.et al.,PLoS One2009,4(9),e6893)。これらの効果はすべて、主にカンナビノイド受容体(CBR)、CB1およびCB2を介して促進される。CB1受容体は、動物および健康なヒトの消化管全体、特に腸神経系(ENS)および上皮内層、ならびに結腸壁の血管の平滑筋細胞に存在する(Wright K.et al.,Gastroenterology 2005,129(2),437-453、Duncan,M.et al.,Aliment Pharmacol Ther2005,22(8),667-683)。CB1の活性化は、制吐作用、抗運動性および抗炎症効果をもたらし、疼痛を調節するのに役立つ(Perisetti,A.et al.,Ann Gastroenterol 2020,33(2),134-144)。CB2受容体は、形質細胞およびマクロファージ等の免疫細胞、消化管の粘膜固有層(Wright K.et al.,Gastroenterology2005,129(2),437-453)、および主に炎症性腸疾患(IBD)に関連するヒト結腸組織の上皮で発現される。CB2の活性化は、炎症促進性サイトカインを減少させることによって抗炎症効果を発揮する。MAGLの発現はUC患者の結腸組織で上昇し(Marquez L.et al.,PLoS One2009,4(9),e6893)、2-AGレベルはIBD患者の血漿で上昇する(Grill,M.et al.,Sci Rep 2019,9(1),2358)。いくつかの動物研究は、IBDの対症処置のためのMAGL阻害剤の可能性を実証している。MAGL阻害は、TNBS誘発マウス大腸炎を予防し、CB1/CB2 MoAを介して局所および循環炎症マーカーを減少させる(Marquez L.et al.,PLoS One2009,4(9),e6893)。さらに、MAGL阻害は、CB1駆動MoA(Wang,J.et al.,Biochem Biophys Res Commun2020,525(4)、962-967)を介して腸壁の完全性および腸透過性を改善する(Wang,J.et al.,Biochem Biophys Res Commun2020,525(4),962-967)。
【0010】
結論として、MAGLの作用および/または活性化を抑制することは、神経炎症、神経変性疾患、疼痛、がん、精神障害、炎症性腸疾患、腹痛、および過敏性腸症候群に関連する腹痛を処置または予防するための有望な新しい治療戦略である。さらに、MAGLの作用および/または活性化の抑制は、神経保護およびミエリン再生をもたらすための有望な新しい治療戦略である。したがって、新しいMAGL阻害剤に対するアンメット・メディカル・ニーズは高い。
【発明の概要】
【0011】
第1の態様において、本発明は、式(I):
【化1】

(式中、A、B、L、X、およびR~Rは、本明細書に記載される通りである)
の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0012】
一態様において、本発明は、本明細書に記載される式(I)の尿素化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を製造する方法であって、
(a)式1:
【化2】

(式中、RおよびRは、本明細書に記載の通りであり、好ましくは、RおよびRは、水素である)
の第1のアミンを、塩基および尿素形成試薬の存在下で、第2のアミン2:
【化3】

(式中、A、B、L、X、RおよびRは、本明細書に記載の通りである)
と反応させて、前記式(I)の化合物を形成すること、および場合により、
(b)前記式(I)の化合物をその薬学的に許容され得る塩に変換すること
を含む、方法を提供する。
【0013】
さらなる態様において、本発明は、本明細書に記載のプロセスに従って製造される場合の、本明細書に記載の式(I)の化合物を提供する。
【0014】
さらなる態様において、本発明は、治療活性物質としての使用のための、本明細書に記載の式(I)の化合物を提供する。
【0015】
さらなる態様において、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物と治療上の不活性担体とを含む医薬組成物を提供する。
【0016】
さらなる態様において、本発明は、哺乳動物におけるモノアシルグリセロールリパーゼ(MAGL)を阻害するための、本明細書に記載される式(I)の化合物または本明細書に記載される医薬組成物の使用を提供する。
【0017】
さらなる態様において、本発明は、哺乳動物における神経炎症、神経変性疾患、疼痛、がん、精神障害、および/または精神障害の処置または予防のための、本明細書に記載の式(I)の化合物または本明細書に記載の医薬組成物の使用を提供する。
【0018】
さらなる態様において、本発明は、多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、神経毒性、脳卒中、てんかん、不安、片頭痛、鬱病、肝細胞がん、結腸がん発生、卵巣がん、神経因性疼痛、化学療法誘発性神経障害、急性疼痛、慢性疼痛、哺乳動物の疼痛に関連する痙縮、腹痛、過敏性腸症候群に関連する腹痛、および/または内臓痛の治療または予防のための本明細書に記載の式(I)の化合物または本明細書に記載の医薬組成物の使用を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
定義
本発明の特定の態様、実施形態または実施例に関連して記載される特徴、整数、特色、化合物、化学的部分または基は、それらと両立しない場合を除き、本明細書に記載の任意の他の態様、実施形態または実施例に適用可能であると理解されるべきである。本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約および図面を含む)に開示された特徴の全て、および/またはそのように開示された任意の方法もしくはプロセスの工程の全ては、そのような特徴および/または工程の少なくとも一部が相互に排他的である組合せを除き、任意の組合せで組み合わせることができる。本発明は、前述のいずれの実施形態の詳細にも限定されない。本発明は、本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約および図面を含む)に開示された特徴の任意の新規なものもしくは任意の新規な組合せ、またはそのように開示された任意の方法もしくはプロセスの工程の任意の新規なものもしくは任意の新規な組合せに及ぶ。
【0020】
用語「アルキル」は、1~6個の炭素原子、例えば、1、2、3、4、5、または6個の炭素原子の、一価または多価の、例えば、一価または二価の、直鎖または分岐の飽和炭化水素基を指す(「C-C-アルキル」)。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1~3個の炭素原子、例えば、1、2または3個の炭素原子を含む。アルキルのいくつかの非限定的な例としては、メチル、エチル、プロピル、2-プロピル(イソプロピル)、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、および2,2-ジメチルプロピルが挙げられる。アルキルの特に好ましいが非限定的な例は、メチルである。
【0021】
用語「アルコキシ」とは、酸素原子を介して親分子部分に結合した、上で定義されたアルキル基を指す。特段ことわらない限り、アルコキシ基は、1~6個の炭素原子を含む(「C-C-アルコキシ」)。いくつかの好ましい実施形態において、アルコキシ基は、1~4個の炭素原子を含む。さらに他の実施形態では、アルコキシ基は、1~3個の炭素原子を含む。アルコキシ基のいくつかの非限定的な例には、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシおよびtert-ブトキシが含まれる。アルコキシの特に好ましいが非限定的な例は、メトキシである。
【0022】
用語「ハロゲン」または「ハロ」とは、フルオロ(F)、クロロ(Cl)、ブロモ(Br)、またはヨード(I)を指す。好ましくは、用語「ハロゲン」または「ハロ」とは、フルオロ(F)、クロロ(Cl)またはブロモ(Br)を指す。「ハロゲン」または「ハロ」の特に好ましいが非限定的な例は、フルオロ(F)およびクロロ(Cl)である。
【0023】
用語「架橋二環式複素環」は、本明細書で定義される2つのヘテロシクリル部分からなる化学的実体、または2つの環原子を共通して有する1つのヘテロシクリルおよび1つのシクロアルキル部分の組合せを指し、すなわち、2つの環を分離する架橋は、単結合または1つもしくは2つの環原子鎖のいずれかである。いくつかの実施形態において、架橋二環式複素環は、N、S、およびOから選択される1~3個のヘテロ原子を含む6~14員架橋二環式複素環である。いくつかの実施形態において、架橋二環式複素環は、NおよびOから選択される1~2個のヘテロ原子を含む6~9員架橋二環式複素環である。いくつかの特に好ましい実施形態において、架橋二環式複素環は、1個の窒素原子を含む6~8員架橋二環式複素環である。架橋二環式複素環のいくつかの好ましいが非限定的な例としては、8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-イル、3,3a,4,5,6,6a-ヘキサヒドロ-1H-シクロペンタ[c]ピロリル、3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-イル、3-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-イル、2,3,3a,4,6,6a-ヘキサヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピロリル、3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-イル、および3-アザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-イルが挙げられる。
【0024】
用語「ヘテロシクリル」は、飽和または部分不飽和の3~10個の環原子,好ましくは3~8個の環原子の単環式環系を指し、ここで、前記環原子の1、2、または3個はN、OおよびSから選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子は炭素である。好ましくは、前記環原子の1~2個はNおよびOから選択され、残りの環原子は炭素である。ヘテロシクリル基のいくつかの非限定的な例としては、アゼチジン-3-イル、アゼチジン-2-イル、オキセタン-3-イル、オキセタン-2-イル、2-オキソピロリジン-1-イル、2-オキソピロリジン-3-イル、5-オキソピロリジン-2-イル、5-オキソピロリジン-3-イル、2-オキソ-1-ピペリジル、2-オキソ-3-ピペリジル、2-オキソ-4-ピペリジル、6-オキソ-2-ピペリジル、6-オキソ-3-ピペリジル、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、4-ピペリジニル、モルホリノ、モルホリン-2-イル、およびモルホリン-3-イルが挙げられる。
【0025】
本明細書で使用する用語「シクロアルキル」は、3~10個の環炭素原子の、飽和または部分不飽和の、単環式炭化水素基を指す(「C-C10-シクロアルキル」)。いくつかの好ましい実施形態では、シクロアルキル基は、3~8個の環炭素原子の飽和単環式炭化水素基である。好ましくは、シクロアルキル基は、3~6個の環炭素原子、例えば、3、4、5または6個の炭素原子の飽和単環式炭化水素基である。シクロアルキルのいくつかの非限定的な例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチルが挙げられる。シクロアルキルの特に好ましい,但し非限定的な例は、シクロプロピルである。
【0026】
用語「アリール」は、計6~14環員(「C-C14-アリール」)、好ましくは、6~12環員、より好ましくは6~10環員を有する単環式、二環式、または三環式の炭素環式環系であり、ここで、系の少なくとも1つの環は芳香族である。アリールの特に好ましい、但し非限定的な例はフェニルである。
【0027】
用語「ヘテロアリール」は、合計5~14環員、好ましくは、5~12環員、より好ましくは5~10環員を有する、一価または多価の、単環式または二環式、好ましくは二環式の環系を指し、ここで、系の少なくとも1つの環は芳香族であり、系の少なくとも1つの環は1つ以上のヘテロ原子を含む。好ましくは、「ヘテロアリール」は、独立してO、S、およびNから選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含む5~10員のヘテロアリールを指す。最も好ましくは、「ヘテロアリール」は、独立してOおよびNから選択される1~2個のヘテロ原子を含む5~10員のヘテロアリールを指す。ヘテロアリールのいくつかの非限定的な例としては、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、インドール-1-イル、1H-インドール-2-イル、1H-インドール-3-イル、1H-インドール-4-イル、1H-インドール-5-イル、1H-インドール-6-イル、1H-インドール-7-イル、1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル、1,2-ベンゾオキサゾール-4-イル、1,2-ベンゾオキサゾール-5-イル、1,2-ベンゾオキサゾール-6-イル、1,2-ベンゾオキサゾール-7-イル、1H-インダゾール-3-イル、1H-インダゾール-4-イル、1H-インダゾール-6-イル、1H-インダゾール-7-イル、ピラゾール-1-イル、1H-ピラゾール-3-イル、1H-ピラゾール-4-イル、1H-ピラゾール-5-イル、イミダゾール-1-イル、1H-イミダゾール-2-イル、1H-イミダゾール-4-イル、1H-イミダゾール-5-イル、オキサゾール-2-イル、オキサゾール-4-イル、オキサゾール-5-イル、5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリン-1-イル、5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリン-3-イル、5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリン-4-イル、5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリン-5-イル、5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリン-6-イル、5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリン-7-イル、および5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリン-8-イルが挙げられる。ヘテロアリールの特に好ましいが非限定的な例は、2-ピリジル、1H-ピラゾール-3-イルおよび5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリン-3-イルである。
【0028】
用語「ヒドロキシ」は、-OH基を指す。
【0029】
用語「シアノ」は、-CN(ニトリル)基を指す。
【0030】
用語「アルキルスルホニル」は、SO部分を介して親分子部分に結合した、上で定義されたアルキル基を指す。アルキルの特に好ましいが非限定的な例は、メチルスルホニルである。
【0031】
用語「ハロアルキル」とは、アルキル基の少なくとも1個の水素原子が、ハロゲン原子、好ましくはフルオロによって置き換えられている、アルキル基を指す。好ましくは、「ハロアルキル」とは、アルキル基の1、2または3個の水素原子が、ハロゲン原子、最も好ましくはフルオロによって置き換えられている、アルキル基を指す。ハロアルコキシの特に好ましいが非限定的な例は、トリフルオロメチル(CF)である。
【0032】
用語「ハロアルコキシ」とは、アルコキシ基の少なくとも1個の水素原子が、ハロゲン原子、好ましくはフルオロによって置き換えられている、アルコキシ基を指す。好ましくは、「ハロアルコキシ」とは、アルコキシ基の1、2または3個の水素原子が、ハロゲン原子、最も好ましくはフルオロによって置き換えられている、アルコキシ基を指す。ハロアルコキシの特に好ましいが非限定的な例は、トリフルオロメトキシ(-OCF)である。
【0033】
用語「薬学的に許容され得る塩」とは、生物学的にまたは別様に望ましくないものではない、遊離塩基または遊離酸の生物学的有効性および特性を保持する塩を指す。塩は、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など、特に塩酸、ならびに有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、N-アセチルシステインなどにより形成される。加えて、これらの塩は、無機塩基または有機塩基を遊離酸に添加することにより調製され得る。無機塩基に由来する塩には、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウムおよびマグネシウム塩などが含まれるがこれらに限定されない。有機塩基に由来する塩には、第一級、第二級、および第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環式アミンおよび塩基性イオン交換樹脂、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、リジン、アルギニン、N-エチルピペリジン、ピペリジン、ポリイミン樹脂などの塩が含まれるがこれらに限定されない。式(I)の化合物の特定の薬学的に許容され得る塩は、塩酸塩である。
【0034】
用語「保護基」(PG)とは、化学反応が、合成化学の関連する慣用的な意味において、別の保護されていない反応性部位で選択的に行われ得るように、多官能性化合物中の反応部位を選択的にブロックする基を意味する。保護基は適切な時に除去され得る。例示的な保護基は、アミノ保護基、カルボキシ保護基またはヒドロキシ保護基である。特定の保護基は、tert-ブトキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)およびベンジル(Bn)である。さらなる特定の保護基は、tert-ブトキシカルボニル(Boc)およびフルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)である。より特定の保護基は、tert-ブトキシカルボニル(Boc)である。例示的な保護基および有機合成におけるそれらの用途は、例えば、「Protective Groups in Organic Chemistry」、T.W.GreeneおよびP.G.M.Wutts著、第5版、2014年、John Wiley&Sons、ニューヨークに記載されている。
【0035】
用語「尿素形成試薬」は、第1のアミンを第2のアミンと反応させ、それによって尿素誘導体を形成する種にすることができる化合物を指す。尿素形成試薬の非限定的なとしては、ビス(トリクロロメチル)カーボネート、ホスゲン、クロロ蟻酸トリクロロメチル、(4-ニトロフェニル)カーボネート、および1,1’-カルボニルジイミダゾールが挙げられる。G.Sartori et al.,Green Chemistry2000,2,140に記載されている尿素形成試薬は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0036】
式(I)の化合物は、数個の不斉中心を含むことができ、光学的に純粋なエナンチオマー、例えばラセミ体などのエナンチオマーの混合物、光学的に純粋なジアステレオ異性体、ジアステレオ異性体の混合物、ジアステレオ異性のラセミ体またはジアステレオ異性のラセミ体の混合物として存在することができる。好ましい実施形態にいて、本発明による式(I)の化合物は、本明細書に記載されるように、それぞれ、式(Ia)または(Ib)のcis-エナンチオマーである。
【0037】
Cahn-Ingold-Prelog則により、不斉炭素原子は、「R」または「S」配置のものであり得る。
【0038】
略語「MAGL」とは、酵素モノアシルグリセロールリパーゼを指す。用語「MAGL」および「モノアシルグリセロールリパーゼ」とは、本明細書において互換的に使用される。
【0039】
用語「処置」とは、本明細書で使用される場合、以下を含む:(1)症状、障害または状況を抑制すること(例えば、維持処置の場合、その少なくとも1つの臨床的症状または無症状の疾患の発症または再発の停止、低減または遅延させること);および/または(2)状況を緩和すること(すなわち、症状、障害もしくは状況、またはその臨床的症状もしくは無症状のうちの少なくとも1つの退行を引き起こすこと)。処置されるべき患者に対する利益は、統計的に有意であるか、または少なくとも患者もしくは医師にとって認識可能であるかのいずれかである。しかしながら、疾患を処置するために患者に医薬が投与される場合、転帰は必ずしも有効な処置でなくともよいことが理解されるであろう。
【0040】
用語「予防」とは、本明細書で使用される場合、哺乳動物において、特に、状態、障害もしくは状況に罹患しているかまたは罹患しやすいが、その状態、障害もしくは状況の臨床的症状または無症状をまだ経験していないかまたは示していないヒトにおいて発症する状態、障害または状況の臨床的症状の出現を防止または遅延させることを含む。
【0041】
用語「神経炎症」は、本明細書で使用される場合、中枢神経系(central nervous system:CNS)の脳および脊髄、ならびに末梢神経系(peripheral nervous system:PNS)の分岐末梢神経神経系である、2つの部分の主要な組織成分である神経組織の急性および慢性炎症に関する。慢性神経炎症は、アルツハイマー病、パーキンソン病および多発性硬化症などの神経変性疾患と関連している。急性神経炎症は、通常、例えば外傷性脳損傷(TBI)の結果として、中枢神経系の損傷直後に起こる。
【0042】
用語「外傷性脳損傷」(「TBI」、「頭蓋内損傷」としても公知)は、急速な加速もしくは減速、衝撃、爆風、または発射体による貫通などの外部の機械的力に起因する、脳の損傷に関する。
【0043】
用語「神経変性疾患」は、ニューロンの死を含む、ニューロンの構造または機能の進行性喪失に関連する疾患に関連する。神経変性疾患の例としては、以下に限定されるものではないが、多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病および筋萎縮性側索硬化症が挙げられる。
【0044】
用語「精神障害」(精神疾病または精神系障害とも呼ばれる)とは、生活において苦痛または機能不良を引き起こす可能性のある行動または精神パターンに関する。このような特徴は、持続性、再発性および寛解性、または単回エピソードとして生じることがある。精神障害の例としては、不安症およびうつ病が挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
用語「疼痛」とは、実際のまたは潜在的な組織損傷に関連する不快な感覚的および感情的経験に関する。疼痛の例としては、侵害受容性疼痛、慢性疼痛(特発性疼痛を含む)、化学療法誘発性神経障害を含む神経障害性疼痛、幻肢痛および心因性疼痛が挙げられるが、これらに限定されない。疼痛の特定の例は、神経障害性疼痛であり、これは、身体的感情(すなわち、体性感覚系)に関与する神経系のいずれかの部分に影響を及ぼす損傷または疾患によって引き起こされる。一実施形態では、「疼痛」は、切断術または開胸術から生じる神経障害性疼痛である。一実施形態では、「疼痛」は、化学療法誘発性神経障害である。
【0046】
用語「神経毒性」とは、神経系における毒性に関連する。これは、天然または人工の毒性物質(神経毒)に曝されると、神経系の正常な活動が変化して、神経組織に損傷が生じることで発生する。神経毒性の例としては、化学療法、放射線処置、薬物療法、薬物乱用、および臓器移植に使用される物質への曝露、ならびに重金属、ある特定の食品および食品添加物、農薬、工業用および/または洗浄用溶媒、化粧品、およびいくつかの天然に存在する物質への曝露から生じる神経毒性が挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
用語「がん」とは、新生物または腫瘍の存在によって特徴付けられる疾患であって、細胞の異常で制御不能な増殖に起因する疾患を指す(そのような細胞は「がん細胞」である)。本明細書で使用される場合、がんという用語は、明示的に、肝細胞癌腫、結腸癌発生および卵巣がんを含むが、これらに限定されない。
【0048】
用語「哺乳動物」には、本明細書で使用される場合、ヒトおよび非ヒトの両方が含まれ、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ネズミ、ウシ、ウマ、およびブタが含まれるが、これらに限定されない。特に好ましい実施形態では、用語「哺乳動物」とは、ヒトを指す。
本発明の化合物
【0049】
第1の態様(A1)において、本発明は、式(I):
【化4】

(式中、
Xは、NまたはC(R)であり、
Lは、共有結合、-(CH-O-、-O-(CH-および-SO-から選択され、
nは、0、1、2、および3から選択される整数であり、
pは、1、2、および3から選択され、
Aは、
(i)R、R、およびRで置換されたC6-14-アリール、
(ii)R、R10、およびR11で置換された5~14員ヘテロアリールであるか、または
Bは、架橋二環式複素環であり、
は、水素、またはC1-6-アルキルであり、
は、水素またはC1-6-アルキルであり、
は、水素、C1-6-アルキル、ハロ-C1-6-アルキル、ハロゲンまたはヒドロキシであり、
は、水素、C1-6-アルキル、ハロ-C1-6-アルキル、ハロゲンまたはヒドロキシであり、
は、水素、C1-6-アルキル、ハロ-C1-6-アルキル、ハロゲンまたはヒドロキシであり、
、R、R、R、R10およびR11は、独立して、水素、C1-6-アルキル、ハロ-C1-6-アルキル、ハロゲン、C1-6-アルコキシ、ハロ-C1-6-アルコキシ、SF、C1-6-アルキルスルホニル、シアノ、C3-10-シクロアルキル、C6-14-アリールおよび5~14員ヘテロアリールから選択され、前記C3-10-シクロアルキル、C6-14-アリールおよび5~14員ヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、SF1-6-アルキル、C1-6-アルコキシ、ハロ-C1-6-アルキル、およびハロ-C1-6-アルコキシから選択される1~2個の置換基によって所望に置換される)
の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0050】
本発明はまた、本発明の第1の態様(A1)の以下の列挙された実施形態(E)を提供する。
【0051】
E1.Rが水素である、A1に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【0052】
E2.Rが水素である、A1またはE1に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【0053】
E3.Rが水素である、A1およびE1~E2のいずれか1つに記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【0054】
E4.Rが水素である、A1およびE1~E3のいずれか1つに記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【0055】
E5.Rが水素である、請求項A1およびE1~E4のいずれか1つに記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【0056】
E6.Rが、水素、C1-6-アルキル、ハロ-C1-6-アルキル、およびハロゲンである、A1およびE1~E5のいずれか1つに記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【0057】
E7.Rが、ハロ-C1-6-アルキル、およびハロゲンである、A1およびE1~E5のいずれか1つに記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【0058】
E8.Rが、CF、クロロ、およびフルオロである、A1およびE1~E5のいずれか1つに記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【0059】
E9.Rが、水素、およびハロゲンである、A1およびE1~E8のいずれか1つに記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【0060】
E10.Rがハロゲンである、A1およびE1~E8のいずれか1つに記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【0061】
E11.Rが、フルオロまたはクロロである、A1およびE1~E8のいずれか1つに記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【0062】
E12.Rがフルオロである、A1およびE1~E8のいずれか1つに記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【0063】
E13.Rが水素である、A1およびE1~E12のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【0064】
E14.Rが、水素、C3-10-シクロアルキル、およびC6-14-アリールから選択され、前記C6-14-アリールが、ハロゲンおよびハロ-C1-6-アルキルから選択される1~2個の置換基で置換されている、A1およびE1~E13のいずれか1つに記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【0065】
E15.R10が、水素およびハロゲンから選択される、A1およびE1~E14のいずれか1つに記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【0066】
E16.R11が水素である、A1およびE1~E15のいずれか1つに記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【0067】
E17.XがC-Rである、A1およびE1~E16のいずれか1つに記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【0068】
E18.Lが-(CH-O-および-O-(CH-から選択される、A1およびE1~E17のいずれか1つに記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【0069】
E19.nが0および1から選択される整数である、A1およびE1~E18のいずれか1つに記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【0070】
E20.pが1である、A1およびE1~E19のいずれか1つに記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【0071】
E21.Aが、R、R、およびRで置換されたC6-14-アリールである、A1およびE1~E20のいずれか1つに記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【0072】
E22.Aが、R、R、およびRで置換されたフェニルである、A1およびE1~E20のいずれか1つに記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【0073】
E23.Bが、N、S、およびOから選択される1~3個のヘテロ原子を含む6~14員架橋二環式複素環である、A1およびE1~E22のいずれか1つに記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【0074】
E24.Bが、NおよびOから選択される1~2個のヘテロ原子を含む6~9員架橋二環式複素環である、A1およびE1~E22のいずれか1つに記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【0075】
E25.Bが、1個の窒素原子を含む6~8員架橋二環式複素環である、A1およびE1~E22のいずれか1つに記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【0076】
E26.Bが、8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル(a)、3,3a,4,5,6,6a-ヘキサヒドロ-1H-シクロペンタ[c]ピロール-2-イル(b)、3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-イル(c)、2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(d)、3-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル(e)、2,3,3a,4,6,6a-ヘキサヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピロール-5-イル(f)、3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-イル(g)、および3-アザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル(h):
【化5】

(式中、波線は、式(I)のヘキサヒドロピリドオキサジノンコアへBを架橋するカルボニル架橋への結合点を示す)
から選択される、A1およびE1~E22のいずれか1つに記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【0077】
E27.Bが、8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル(a)、3,3a,4,5,6,6a-ヘキサヒドロ-1H-シクロペンタ[c]ピロール-2-イル(b)、3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-イル(c)、および2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(d):
【化6】

(式中、波線は、式(I)のヘキサヒドロピリドオキサジノンコアへBを架橋するカルボニル架橋への結合点を示す)
から選択される、請求項1~22のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【0078】
E28.前記式(I)の化合物が、式(II):
【化7】

(式中、
Xは、NまたはCHであり、
Lは、共有結合、-(CH-O-、-OCH-および-SO-から選択され、
nは、0~1の範囲の整数であり、
Aは、
(i)RおよびRで置換されたC6-14-アリール、または
(ii)RおよびR10で置換された5~14員ヘテロアリールであるか;または
Bは、NおよびOから選択される1~2個のヘテロ原子を含む6~9員架橋二環式複素環であり、
は、水素、C1-6-アルキル、ハロ-C1-6アルキル、およびハロゲンから選択され、
は、水素およびハロゲンから選択され、
は、水素、C3-10-シクロアルキル、およびC6-14-アリールから選択され、前記C6-14-アリールは、ハロゲンおよびハロ-C1-6-アルキルから選択される1~2個の置換基で置換されており、
10は、水素およびハロゲンから選択される)
の化合物である、A1に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【0079】
E29.前記式(I)の化合物が、式(III):
【化8】

(式中、
Lは、-(CH-O-および-OCH-から選択され、
nは、0および1から選択される整数であり、
Aは、R、およびRで置換されたC6-14-アリールであり、
Bは、1個の窒素原子を含む6~8員架橋二環式複素環であり、
は、ハロ-C1-6-アルキル、およびハロゲンから選択され、
はハロゲンである)
の化合物である、A1に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【0080】
E30.前記式(I)の化合物が、式(III):
【化9】

(式中、
Lは、-(CH-O-および-OCH-から選択され、
nは、0および1から選択される整数であり、
Aは、RおよびRで置換されたフェニルであり、
Bは、アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル(a)、3,3a,4,5,6,6a-ヘキサヒドロ-1H-シクロペンタ[c]ピロール-2-イル(b)、3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-イル(c)、および2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(d):
【化10】

(式中、波線は式(I)のヘキサヒドロピリドオキサジノンコアへBを架橋するカルボニル架橋への結合点を示す)
から選択され、
は、CF、クロロ、およびフルオロから選択され、
は、フルオロまたはクロロである)
の化合物である、A1に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【0081】
E31.前記式(I)の化合物が、表1に記載の化合物から選択される、A1およびE1~E30のいずれか1つに記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【0082】
E32.前記式(I)の化合物が、
(4aR,8aS)-6-[(1R,5S,6r)-6-[(2-クロロ-4-フルオロ-フェノキシ)メチル]-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボニル]-4,4a,5,7,8,8a-ヘキサヒドロピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン、
(4aR,8aS)-6-[5-(2-クロロ-4-フルオロ-フェノキシ)-3,3a,4,5,6,6a-ヘキサヒドロ-1H-シクロペンタ[c]ピロール-2-カルボニル]-4,4a,5,7,8,8a-ヘキサヒドロピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン、
(4aR,8aS)-6-[rel-(1R,4R,5S)-5-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]-2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボニル]-4,4a,5,7,8,8a-ヘキサヒドロピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン、および
(4aR,8aS)-6-[(1S,5R)-3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボニル]-4,4a,5,7,8,8a-ヘキサヒドロピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オンから選択される、A1およびE1~E30のいずれか1つに記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【0083】
E33.RおよびRが共に水素である、A1およびE1~E30のいずれか1つに記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【0084】
E34.Xが、NまたはCHであり、
およびRが、共に水素であり、
Bが、NおよびOから選択される1~2個のヘテロ原子を含む6~9員架橋二環式複素環である、A1およびE1~E30のいずれか1つに記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【0085】
E35.Xが、CHであり、
およびRが、共に水素であり、
Bが、1個の窒素原子を含む6~8員架橋二環式複素環である、A1およびE1~E30のいずれか1つに記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【0086】
E36.Xが、CHであり、
およびRが、共に水素であり、
Bが、8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル(a)、3,3a,4,5,6,6a-ヘキサヒドロ-1H-シクロペンタ[c]ピロール-2-イル(b)、3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-イル(c)、および2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル(d):
【化11】

(式中、波線は、式(I)のヘキサヒドロピリドオキサジノンコアへBを架橋するカルボニル架橋への結合点を示す)
から選択される、A1およびE1~E30のいずれか1つに記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【0087】
E37.Lが、共有結合、-(CH-O-、-OCH-および-SO-から選択され、
nが、0および1から選択される整数であり、
Aが、
(i)RおよびRで置換されたC6-14-アリールであるか、または
(ii)RおよびR10で置換された5~14員ヘテロアリールであり、
が、水素、C1-6-アルキル、ハロ-C1-6-アルキルおよびハロゲンから選択され、
が、水素およびハロゲンから選択され、
が、水素、C3-10-シクロアルキル、およびC6-14-アリールから選択され、前記C6-14-アリールが、ハロゲンおよびハロ-C1-6-アルキルから選択される1~2個の置換基で置換されており、
10が、水素およびハロゲンから選択される、A1およびE1~E30のいずれか1つに記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【0088】
E38.Lが、-(CH-O-および-OCH-から選択され、
nが、0および1から選択される整数であり、
Aが、RおよびRで置換されたC6-14-アリールであり、
が、ハロ-C1-6-アルキル、およびハロゲンから選択され、
が、ハロゲンである、A1およびE1~E30のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【0089】
E39.Lが、-(CH-O-および-OCH-から選択され、
nが、0および1から選択される整数であり、
Aが、RおよびRで置換されたフェニルであり、
が、CF、クロロ、およびフルオロから選択され、
が、フルオロまたはクロロである、A1およびE1~E30のいずれか1つに記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【0090】
特定の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の式(I)に係る化合物の薬学的に許容され得る塩、特に塩酸塩を提供する。さらに特定の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の式(I)にかかる化合物を遊離塩基として提供する。
【0091】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、異なる原子質量または質量数を有する原子によって置き換えられる1個または複数の原子をその中に有することにより同位体標識される。このような同位体標識された(すなわち、放射性標識された)式(I)の化合物は、本開示の範囲内であると考えられる。式(I)の化合物に組み込むことができる同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、塩素、およびヨウ素の同位体、それぞれ、例えばH、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Cl、123I、および125Iが挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の同位体標識された式(I)の化合物、例えば、放射性同位体を組み込んでいるものは、薬物および/または基質の組織分布研究に有用である。放射性同位体トリチウム、すなわち、Hおよび炭素-14、すなわち、14Cは、それらの組込みの容易さおよび即時検出手段を考慮すると、この目的に対して特に有用である。例えば、式(I)の化合物は、所与の同位体の1、2、5、10、25、50、75、90、95、または99%で濃縮することができる。
【0092】
より重い同位体、例えば重水素、すなわちH等による置換を行うと代謝安定性がより高くなり、例えば、インビボ半減期が長くなるかまたは必要な投与量が少なくなることにより、特定の治療的利点が得られ得る。
【0093】
11C、18F、15Oおよび13N等の陽電子放出同位体による置換は、基質の受容体占有を検査するための陽電子放出断層撮影(PET)研究において有用であり得る。同位体標識された式(I)の化合物は、一般的に、当業者に公知の従来の技法により、または前に用いられた同位体標識されていない試薬の代わりに適切な同位体標識された試薬を使用して、以下に記述される実施例に記載されるものに類似するプロセスにより調製され得る。
製造プロセス
【0094】
本発明の式(I)の化合物の調製は、逐次的または収束的な合成経路で行うことができる。本発明の合成を以下の一般的なスキームに示す。得られる生成物の反応および精製を行うために必要な技能は、当業者に公知である。以下のプロセスの説明において使用される置換基およびインデックスは、正反対に示されない限り、本明細書で与えられる意義を有する。
【0095】
出発物質、中間体または式(I)の化合物のうちの1つが、1つまたは複数の反応工程の反応条件下で安定でないかまたは反応性である1つまたは複数の官能基を含む場合、適切な保護基(「Protective Groups in Organic Chemistry」、T.W.GreeneおよびP.G.M.Wutts著、第5版、2014、John Wiley&Sons、N.Y.に記載されているような)を、重要な工程の前に、当技術分野で周知の方法を適用して導入することができる。このような保護基は、文献に記載の標準的な方法を使用して、合成の後の段階で除去することができる。
【0096】
出発物質または中間体が立体中心を含む場合、式(I)の化合物はジアステレオマーまたはエナンチオマーの混合物として得ることができ、これは、当技術分野で周知の方法、例えばキラルHPLC、キラルSFCまたはキラル結晶化によって分離することができる。ラセミ化合物は、例えば、光学的に純粋な酸との結晶化によって、またはキラル吸着剤もしくはキラル溶出剤のいずれかを使用する特異的なクロマトグラフ方法により対掌体を分離することによって、ジアステレオマー塩を介してそれらの対掌体に分離することができる。立体中心を含む出発物質および中間体を分離して、ジアステレオマー的/エナンチオマー的に濃縮された出発物質および中間体を得ることも、同様に可能である。式(I)の化合物の合成において、このようなジアステレオマー的/エナンチオマー的に濃縮された出発物質および中間体を使用すると、一般的には、式(I)のそれぞれのジアステレオマー的/エナンチオマー的に濃縮された化合物が得られる。
【0097】
当業者は、式(I)の化合物の合成において(そうでなければ望まない限り)、「直交保護基戦略(orthogonal protection group strategy)」を適用することで、分子中の他の保護基に影響を与えることなく、いくつかの保護基を一度に1つずつ切断することができることを認識するであろう。直交保護の原理は当技術分野で周知であり、また、文献にも記載されている(例えば、Barany and R.B.Merrifield,J.Am.Chem.Soc.1977,99,7363、H.Waldmann et al.,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.1996,35,2056)。
【0098】
当業者は、反応の順序が中間体の反応性および性質に応じて変化し得ることを認識するであろう。
【0099】
より詳細には、式(I)の化合物は、以下に示す方法、実施例に示す方法、または類似の方法によって製造することができる。個々の反応工程のための適切な反応条件は、当業者に公知である。また、記載された反応に影響を及ぼす文献に記載の反応条件については、例えば、以下を参照されたい:Comprehensive Organic Transformations:A Guide to Functional Group Preparations、第2版、Richard C.Larock.John Wiley&Sons、New York、NY.1999)。溶媒の有無にかかわらず、反応は容易に行うことができた。用いた溶媒の性質に関しては、それが反応または関与する試薬に悪影響を及ぼさず、かつそれが試薬を少なくともある程度溶解することができるならば、特に制限はない。記載された反応は広範囲の温度にわたって起こる可能性があり、正確な反応温度は本発明にとって重要ではない。-78℃~還流までの温度範囲で、記載された反応を行うのが好都合である。反応に要する時間もまた、多くの要因、特に反応温度および試薬の性質に依存して、大きく変動し得る。しかしながら、記載された中間体および化合物を得るには、通常、0.5時間~数日の期間で十分である。反応順序はスキームに示された順序に限定されないが、出発物質およびそれらそれぞれの反応性に応じて、反応工程の順序を自由に変更することができる。
【0100】
出発物質もしくは中間体が市販されていない場合、またはそれらの合成が文献に記載されていない場合には、類似のアナログについての既存の手順と同様に、または実験の項目で概説されているように、調製することができる。
本明細書では以下の略語が使用される:
【0101】
AcOH=酢酸、ACN=アセトニトリル、Bn=ベンジル、Boc=tert-ブチルオキシカルボニル、CAS RN=Chemical Abstracts登録番号、Cbz=ベンジルオキシカルボニル、CsCO=炭酸セシウム、CO=一酸化炭素、CuCl=塩化銅(I)、CuCN=シアン化銅(I)、CuI=ヨウ化銅(I)、DAST=三フッ化(ジエチルアミノ)硫黄、DBU=1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデク-7-エン、DCM=ジクロロメタン、DEA=ジエチルアミン、DEAD=アゾジカルボン酸ジエチル、DIAD=アゾジカルボン酸ジイソプロピル、DMAP=4-ジメチルアミノピリジン、DME=ジメトキシエタン、DMEDA=N,N’-ジメチルエチレンジアミン、DMF=N,N-ジメチルホルムアミド、DIPEA=N,N-ジイソプロピルエチルアミン、dppf=1,1ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、EDC.HCl=N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩、EI=電子衝撃、ESI=エレクトロスプレイイオン化、EtOAc=酢酸エチル、EtOH=エタノール、h=時間、FA=蟻酸、HO=水、HSO=硫酸、HATU=1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム-3-オキシドヘキサフルオロホスファート、HBTU=O-ベンゾトリアゾール-N,N,N’,N’-テトラメチル-ウロニウム-ヘキサフルオロ-ホスファート、HCl=塩化水素、HOBt=1-ヒドロキシ-1H-ベンゾトリアゾール;HPLC=高速液体クロマトグラフィー、iPrMgCl=イソプロピルマグネシウムクロリド、I=ヨウ素、IPA=2-プロパノール、ISP=正イオンスプレー(モード)、ISN=負イオンスプレー(モード)、KCO=炭酸カリウム、KHCO=炭酸水素カリウム、KI=ヨウ化カリウム、KOH=水酸化カリウム、KPO=リン酸三カリウム、LiAlHまたはLAH=水素化アルミニウムリチウム、LiHMDS=リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、LiOH=水酸化リチウム、MgSO=硫酸マグネシウム、min=分、mL=ミリリットル、MPLC=中圧液体クロマトグラフィー、MS=質量スペクトル、nBuLi=n-ブチルリチウム、NaBHCN=シアノ水素化ホウ素ナトリウム、NaH=水素化ナトリウム、NaHCO=炭酸水素ナトリウム、NaNO=亜硝酸ナトリウム、NaBH(OAc)=トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、NaOH=水酸化ナトリウム、NaCO=炭酸ナトリウム、NaSO=硫酸ナトリウム、Na=チオ硫酸ナトリウム、NBS=N-ブロモスクシンイミド、nBuLi=n-ブチルリチウム、NEt=トリエチルアミン(TEA)、NHCl=塩化アンモニウム、NMP=N-メチル-2-ピロリドン、OAc=アセトキシ、TP=プロピルホスホン酸無水物、PE=石油エーテル、PG=保護基、Pd-C=パラジウム-活性炭素、PdCl(dppf)-CHCl=1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン-パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン錯体、Pd(dba)=トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、Pd(OAc)=酢酸パラジウム(II)、Pd(OH)=水酸化パラジウム、Pd(PPh=テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、PTSA=p-トルエンスルホン酸、R=任意の基、RT=室温、SFC=超臨界流体クロマトグラフィー、S-PHOS=2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル、TBAI=テトラブチルアンモニウムヨージド、TEA=トリエチルアミン、TFA=トリフルオロ酢酸、THF=テトラヒドロフラン、TMEDA=N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、ZnCl=塩化亜鉛、Hal=ハロゲン。
【0102】
A、L、X、R1、R、RおよびRが本明細書に記載の通りである式の化合物は、文献手順と同様に、および/または例えばスキーム1に示されるように合成することができる。
【化12】
【0103】
したがって、4a,5,6,7,8,8a-ヘキサヒドロ-4H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン1を、ビス(トリクロロメチル)カーボネートのような尿素形成試薬の存在下において、好適な塩基、および溶媒、例えばDCM中の炭酸水素ナトリウムを用いて中間体2と反応させて、式Iの化合物を得る(工程a)。さらなる尿素形成試薬としては、ホスゲン、クロロ蟻酸トリクロロメチル、(4-ニトロフェニル)カーボネート、1,1’-カルボニルジイミダゾール、または1,1′-カルボニル-ジ-(1,2,4-トリアゾール)が挙げられるが、これらに限定されない。この種の反応およびこれらの試薬の使用は、文献に広く記載されている(例えば、G.Sartori et al.,Green Chemistry2000,2,140)。当業者は、中間体として形成された塩化カルバモイルの反応性および安定性のために、並びに望ましくない対称的な尿素副産物の形成を回避するために、試薬の添加順序がこの種の反応において重要であり得ることを認識するであろう。
【0104】
中間体1は、例えばスキーム2に示す通りに、および/または文献に記載される方法と同様に、合成することができる。
【化13】
【0105】
したがって、「PG」がCbzまたはBoc保護基等の好適な保護基を示し、Rが本明細書で定義する通りである、3-アミノピペリジン-4-オール誘導体3は、例えば塩化アシル4でアシル化することができ、ここで、Rは、本明細書で定義する通りであり、「LG」は好適な脱離基(例えば、ClまたはBr)を示し、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウム、水酸化ナトリウムまたは酢酸ナトリウム等の好適な塩基を、THF、水、アセトン、またはその混合物等の適切な溶媒中で使用して、中間体5を提供する(工程a)。中間体4は、市販されているか、または文献の方法にしたがって、アキラル(R=H)ラセミ体(RはHではない)またはエナンチオマー的に純粋な形態(RはHではない)のいずれかで調製することができる。
【0106】
中間体5は、当技術分野で周知の方法を用いて、例えば、5をTHF中の水素化ナトリウムまたはIPAおよび水中のカリウムtert-ブトキシドで処理することによって、中間体6に環化することができる(工程b)。そのタイプの反応は、文献(例えば、Z.Rafinski et al.,J.Org.Chem.2015,80,7468、S.Dugar et al.,Synthesis2015,47(5),712;国際公開第2005/066187号)に記載されている。
【0107】
中間体6中の保護基を除去し、当技術分野で公知の方法(例えば、0℃~室温の温度でDCM中のTFAを用いるBoc基、MeOH、EtOH、EtOAc、またはその混合物等の好適な溶媒中の木炭上のPdまたはPd(OH)好適等の触媒の存在下で水素を用いるCbz基、および、例えば、「Protective Groups in Organic Chemistry」、T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts,4th Ed.,2006,Wiley N.Yに記載されているものを適用し、中間体1が得られる(工程c)。
【0108】
中間体1は、ラセミ混合物またはエナンチオマー的に純粋な形態のシス-もしくはトランス-3-アミノピペリジン-4-オール誘導体3および酸塩化物4(RがHでない場合)がそれらの合成に使用されるかどうかに応じて、それぞれジアステレオマーおよびエナンチオマーの混合物として、または単一の立体異性体として得ることができる。3から5への変換(工程a)および/または5から6への変換(工程b)中にRを有する立体中心でラセミ化が起こる場合、得られたジアステレオ異性体をクロマトグラフィー(例えば、HPLC、キラルHPLC)または当技術分野で公知の他の方法によって分離することができる。中間体3は市販されており、その合成は文献(例えば、国際公開第2005/066187号、国際公開第2011/0059118号、国際公開第2016/185279号)にも記載されている。光学的に純粋なcis-構成中間体1Bおよび1Cは、例えばスキーム3にしたがって、当技術分野で公知の方法、例えばジアステレオマー塩結晶化またはキラルクロマトグラフィーを用いて、市販のrac-(4aR,8aS)-4a,5,6,7,8,8a-ヘキサヒドロ-4H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン(1A)(場合により、例えば塩酸塩等の塩の形態)をキラル分離することによって、得ることができる(工程a)。
【化14】
【0109】
いくつかの実施形態において、中間体2は、タイプAの中間体である。A、B、R、およびRが本明細書に記載の通りであり、Rが水素、C1-6-アルキルまたはハロ-C1-6-アルキルであるタイプAの中間体は、当業者に周知の方法によって、スキーム4に概説される一般的な合成手順によって例示されるように調製することができる。
【化15】
【0110】
PGがBoc、CbzまたはBn保護基(市販されているか、または文献、例えばEur.J.Org.Chem.2017,36,5316、Topics in Het.Chem.2014,35,189;World Journal of Pharmacy and Pharmaceutical Sciences 2014,3(12),536、Chem.Rev.2014,114(16),8257-8322に記載されているように調整される)等の適切な保護基を意味する二環式化合物7を、THF等の適切な溶媒中、トリフェニルホスフィン等の適切なホスフィンおよびDEADまたはDIAD等のジアルキルアゾジカルボキシレートを使用して、アルコール誘導体8と光延反応させて、中間体9を得ることができる(工程a)。そのタイプの光延反応は、文献(例えば、Org.Chem.Front.2015,2,739、Chem.Rev.2009,109(6),2551)に広く記載されている。
【0111】
中間体9から保護基を除去し、当技術分野で公知の方法(例えば、0℃~室温の温度でDCM中TFAまたはジオキサン中の4MのHClを用いるBoc基、MeOH、EtOH、EtOAc、またはそれらの混合物等の好適な溶媒中の木炭上のPdまたはPd(OH)等の好適な触媒の存在下で水素を用いるBnまたはCbz基、および、例えば、「Protective Groups in Organic Chemistry」、T.W.Greene and P.G.M.Wuts,4th Ed.,2006,Wiley N.Y.に記載のようなもの)を適用すると、中間体Aが得られる(工程b)。
【0112】
あるいは、中間体9は、0℃~溶媒の沸点の温度で、適切な塩基および適切な溶媒(例えば、DMF中の水素化ナトリウムまたはTHF中のカリウムtert-ブトキシド)を使用して、LGが塩素、臭素、ヨウ素、OSO2アルキル(例えば、メシラート(メタンスルホネート)、OSO2フルオロアルキル(例えば、トリフラート(トリフルオロメタンスルホネート))またはOSOアリール(例えば、トシラート(p-トルエンスルホネート)等の適切な脱離基を意味するスピロ環式誘導体10(市販されているか、または当技術分野で公知の方法によって調製される)で化合物をアルキル化することによって調製されてもよい(工程c)。
【0113】
いくつかの実施形態では、中間体2は、タイプBの中間体である。A、B、R3およびRが本明細書に記載の通りであり、Rが水素、C1-6-アルキルまたはハロ-C1-6-アルキルであるタイプの中間体は、当技術分野で周知の方法によって、スキーム5に概説される一般的な合成手順によって例示されるように調製することができる。
【化16】
【0114】
あるいは、PGが適切な保護基である二環式化合物7を、0℃~溶媒の沸点の温度で適切な塩基および適切な溶媒(例えば、DMF中の水素化ナトリウムまたはTHF中のカリウムtert-ブトキシド)を使用して(工程c)、LGが適切な脱離基、例えば塩素、臭素、ヨウ素、メタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネートまたはp-トルエンスルホネート(例えば化合物11から文献の方法によって調製される)である化合物13でアルキル化して、中間体12を得ることができる(工程a)。
【0115】
当技術分野で公知の方法、または下記スキーム4、工程bに記載した方法を適用することによって、中間体12から保護基を除去することによって、中間体Bが得られる(工程b)。
【0116】
あるいは、中間体12は、例えばスキーム4、工程a(工程c)に記載の条件を適用して、中間体7および化合物11から光延反応によって調製し得る。
【0117】
さらに、中間体12はまた、化合物7を化合物10でアルキル化し、例えばスキーム4、工程c(工程d)に記載の条件を使用することによって調製し得る。
【0118】
中間体10は、ヒドロキシ官能基を適切な脱離基、例えばアルキルハライド(例えば、PBrの使用による臭素、SOClの使用による塩素)またはアルキル-もしくはアリール-スルホネート、例えばメタンスルホネート(塩化メシルを使用)またはp-トルエンスルホネート(塩化トシルを使用)に変換して化合物7から合成することができる。そのタイプの反応は文献に広く記載されており、当技術分野で周知である。
【0119】
いくつかの実施形態において、中間体2は、タイプCの中間体である。Aがアリール、B、RおよびR、R12、R13が本明細書において記載する通りであり、Rが水素であるタイプCの中間体;C1-6-アルキルまたはハロ-C1-6-アルキルは、当技術分野で周知の方法によって、スキーム6に概説され、J.Med.Chem.2018,61,3008-3026に記載されている。
【化17】
【0120】
一態様において、本発明は、本明細書に記載される式(I)の尿素化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を製造する方法であって、
(a)式1:
【化18】

(RおよびRは、本明細書に記載の通りである、好ましくは、RおよびRは、水素である)
の第1のアミンを、塩基および尿素形成試薬の存在下で、第2のアミン2:
【化19】

(A、B、L、X、RおよびRは、本明細書に記載の通りである、)
と反応させて、前記式(I)の化合物を形成すること、および場合により、
(b)前記式(I)の化合物をその薬学的に許容され得る塩に変換すること
を含む、方法を提供する。
【0121】
一実施形態では、前記塩基が炭酸水素ナトリウムである、本発明にかかる方法が提供される。
【0122】
一実施形態では、前記尿素形成試薬が、ビス(トリクロロメチル)カーボネート、ホスゲン、クロロ蟻酸トリクロロメチル、(4-ニトロフェニル)カーボネート、および1,1’-カルボニルジイミダゾールから選択され、好ましくは前記尿素形成試薬がビス(トリクロロメチル)カーボネートである、本発明にかかる方法が提供される。
【0123】
一態様では、本発明は、本明細書に記載のプロセスのいずれか1つに従って製造される場合、本明細書に記載の式(I)の化合物を提供する。
MAGL阻害活性
【0124】
本発明の化合物は、MAGL阻害剤である。したがって、一態様において、本発明は、哺乳動物におけるMAGLを阻害するための、本明細書に記載の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0125】
さらなる態様において、本発明は、哺乳動物におけるMAGLを阻害する方法で使用するための、本明細書に記載の式(I)の化合物を提供する。
【0126】
さらなる態様において、本発明は、哺乳動物におけるMAGLを阻害する医薬の調製のための、本明細書に記載の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0127】
さらなる態様において、本発明は、哺乳動物におけるMAGLを阻害するための方法であって、有効量の、本明細書に記載の式(I)の化合物を哺乳動物に投与することを含む、方法を提供する。
【0128】
アラキドン酸を生じる天然基質である2-アラキドノイルグリセロールの加水分解に続いて酵素活性を検出することで、MAGL阻害活性について化合物をプロファイリングし、続いて、質量分析を行ってもよい。このアッセイを、以下「2-AGアッセイ」と略記する。
【0129】
2-AGアッセイを、384ウェルのアッセイプレート(PP、Greiner、カタログ番号784201)中で、総体積20μLで実施した。化合物希釈物を、ポリプロピレンプレート中、100%DMSO(VWR Chemicals 23500.297)中にて3倍希釈ステップで作成して、アッセイにおける最終濃度範囲を12.5μM~0.8pMとした。0.25μLの化合物希釈物(100%DMSO)を、アッセイ緩衝液(50mM TRIS(GIBCO、15567-027)、1mM のEDTA(Fluka、03690-100ml)、0.01%(v/v)Tween)中の9μLのMAGLに添加した。振盪後、プレートを室温で15分間インキュベートした。反応を開始するために、アッセイ緩衝液中の10μLの2-アラキドノイルグリセロールを添加した。アッセイにおける最終濃度は、50pM MAGLおよび8μM 2-アラキドノイルグリエロール(arachidonoylglyerol)であった。振盪後、室温で30分間インキュベーションした後、4μMのd8-アラキドン酸を含有する40μLのアセトニトリルを添加して、反応をクエンチした。アラキドン酸の量を、オンラインSPEシステム(Agilent Rapidfire)をトリプル四重極質量分析計(Agilent 6460)と組み合わせて追跡した。C18 SPEカートリッジ(G9205A)を、アセトニトリル/水液体セットアップで使用した。質量分析計は、アラキドン酸について303.1→259.1、d8-アラキドン酸について311.1→267.0の質量遷移に従って、負エレクトロスプレーモードで操作した。化合物の活性は、強度比[アラキドン酸/d8-アラキドン酸]に基づいて算出した。
【表1】






【0130】
一態様において、本発明は、式(I)の化合物、および本明細書に記載のその薬学的に許容され得る塩またはエステルを提供し、ここで、前記式(I)の化合物およびその薬学的に許容され得る塩またはエステルは、本明細書に記載のMAGLアッセイで測定した場合、MAGL阻害に対するIC50が25μM未満、好ましくは10μM未満、より好ましくは5μM未満である。
【0131】
一実施形態において、式(I)の化合物および本明細書に記載のその薬学的に許容され得る塩またはエステルは、本明細書に記載のMAGLアッセイで測定した場合、IC50(MAGL阻害)値が0.000001μM~25μMであり、特定の化合物はIC50値が0.000005μM~10μMであり、さらに特定の化合物はIC50値が0.00005μM~5μMである。
本発明の化合物の使用
【0132】
一態様において、本発明は、治療活性物質としての使用のための、本明細書に記載の式(I)の化合物を提供する。
【0133】
さらなる態様において、本発明は、哺乳動物における神経炎症、神経変性疾患、疼痛、がん、精神障害、および/または炎症性腸疾患の処置または予防のための、本明細書に記載の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0134】
一実施形態において、本発明は、哺乳動物における神経炎症および/または神経変性疾患の処置または予防のための、本明細書に記載の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0135】
一実施形態において、本発明は、哺乳動物における神経変性疾患の処置または予防のための、本明細書に記載の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0136】
一実施形態において、本発明は、哺乳動物におけるがんの処置または予防のための、本明細書に記載の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0137】
一実施形態において、本発明は、哺乳動物における炎症性腸疾患の処置または予防のための、本明細書に記載の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0138】
一実施形態において、本発明は、哺乳動物における疼痛の処置または予防のための、本明細書に記載の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0139】
一態様において、本発明は、哺乳動物における多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、神経毒性、脳卒中、てんかん、不安症、片頭痛、鬱病、肝細胞がん、結腸がん発生、卵巣がん、神経障害性疼痛、化学療法誘発性神経障害、急性疼痛、慢性疼痛、疼痛に伴う痙縮、腹痛、過敏性腸症候群に関連する腹痛、および/または内臓痛の処置または予防のための、本明細書に記載の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0140】
好ましい実施形態において、本発明は、哺乳動物における多発性硬化症、アルツハイマー病および/またはパーキンソン病の処置または予防のための、本明細書に記載の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0141】
特に好ましい実施形態において、本発明は、哺乳動物における多発性硬化症を処置または予防するための、本明細書に記載の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0142】
一態様において、本発明は、哺乳動物における神経炎症、神経変性疾患、疼痛、がん、精神障害、および/または炎症性腸疾患の処置または予防において使用するための、本明細書に記載の式(I)の化合物を提供する。
【0143】
一実施形態において、本発明は、哺乳動物における神経炎症および/または神経変性疾患の処置または予防において使用するための、本明細書に記載の式(I)の化合物を提供する。
【0144】
一実施形態において、本発明は、哺乳動物におけるがんの処置または予防において使用するための、本明細書に記載の式(I)の化合物を提供する。
【0145】
一実施形態において、本発明は、哺乳動物における神経変性疾患の処置または予防において使用するための、本明細書に記載の式(I)の化合物を提供する。
【0146】
一実施形態において、本発明は、哺乳動物における炎症性腸疾患の処置または予防において使用するための、本明細書に記載の式(I)の化合物を提供する。
【0147】
一実施形態において、本発明は、哺乳動物におけるがんの処置または予防において使用するための、本明細書に記載の式(I)の化合物を提供する。
【0148】
一態様において、本発明は、多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、神経毒性、脳卒中、てんかん、不安症、片頭痛、鬱病、肝細胞がん、結腸がん発生、卵巣がん、神経因性疼痛、化学療法誘発性神経障害、急性疼痛、慢性疼痛、哺乳動物の疼痛に関連する痙縮、腹痛、過敏性腸症候群に関連する腹痛、および/または内臓痛の処置または予防において使用するための本明細書に記載の式(I)の化合物を提供する。
【0149】
好ましい実施形態において、本発明は、哺乳動物における多発性硬化症、アルツハイマー病、および/またはパーキンソン病の処置または予防において使用するための、本明細書に記載の式(I)の化合物を提供する。
【0150】
特に好ましい実施形態において、本発明は、哺乳動物における多発性硬化症の処置または予防において使用するための、本明細書に記載の式(I)の化合物を提供する。
【0151】
一態様において、本発明は、哺乳動物における神経炎症、神経変性疾患、疼痛、がん、精神障害、および/または炎症性腸疾患の処置または予防のための医薬を調製するための、本明細書に記載の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0152】
一実施形態において、本発明は、哺乳動物における神経炎症および/または神経変性疾患の処置または予防のための医薬を調製するための、本明細書に記載の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0153】
一実施形態において、本発明は、哺乳動物における神経変性疾患の処置または予防のための医薬を調製するための、本明細書に記載の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0154】
一実施形態において、本発明は、哺乳動物におけるがんの処置または予防のための医薬を調製するための、本明細書に記載の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0155】
一実施形態において、本発明は、哺乳動物における炎症性腸疾患の処置または予防のための医薬を調製するための、本明細書に記載の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0156】
一実施形態において、本発明は、哺乳動物における疼痛の処置または予防のための医薬を調製するための、本明細書に記載の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0157】
さらなる態様において、本発明は、多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、神経毒性、脳卒中、てんかん、不安症、片頭痛、鬱病、肝細胞がん、結腸がん発生、卵巣がん、神経因性疼痛、化学療法誘発性神経障害、急性疼痛、慢性疼痛、哺乳動物の疼痛に関連する痙縮、腹痛、過敏性腸症候群に関連する腹痛、および/または内臓痛を処置または予防するための医薬品を調製するための本明細書に記載の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0158】
好ましい実施形態において、本発明は、哺乳動物における多発性硬化症、アルツハイマー病および/またはパーキンソン病の処置または予防のための医薬を調製するための、本明細書に記載の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0159】
特に好ましい実施形態において、本発明は、哺乳動物における多発性硬化症の処置または予防のための医薬を調製するための、本明細書に記載の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0160】
一態様において、本発明は、哺乳動物における神経炎症、神経変性疾患、疼痛、がん、精神障害、および/または精神障害の処置または予防のための方法であって、有効量の、本明細書に記載の式(I)の化合物を哺乳動物に投与することを含む、方法を提供する。
【0161】
一実施形態において、本発明は、哺乳動物における神経炎症および/または神経変性疾患の処置または予防のための方法であって、有効量の本明細書に記載の式(I)の化合物を哺乳動物に投与することを含む、方法を提供する。
【0162】
一実施形態において、本発明は、哺乳動物における神経変性疾患の処置または予防のための方法であって、有効量の本明細書に記載の式(I)の化合物を哺乳動物に投与することを含む、方法を提供する。
【0163】
一実施形態において、本発明は、哺乳動物におけるがんの処置または予防のための方法であって、有効量の本明細書に記載の式(I)の化合物を哺乳動物に投与することを含む、方法を提供する。
【0164】
一実施形態において、本発明は、哺乳動物における炎症性腸疾患の処置または予防のための方法であって、有効量の本明細書に記載の式(I)の化合物を哺乳動物に投与することを含む、方法を提供する。
【0165】
一実施形態において、本発明は、哺乳動物における疼痛の処置または予防のための方法であって、有効量の本明細書に記載の式(I)の化合物を哺乳動物に投与することを含む、方法を提供する。
【0166】
さらなる態様において、本発明は、多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、神経毒性、脳卒中、てんかん、不安症、片頭痛、鬱病、肝細胞がん、結腸がん発生、卵巣がん、神経因性疼痛、化学療法誘発性神経障害、急性疼痛、慢性疼痛、哺乳動物の疼痛に関連する痙縮、腹痛、過敏性腸症候群に関連する腹痛、および/または内臓痛を処置または予防する方法であって、有効量の本明細書に記載の式(I)の化合物を哺乳動物に投与することを含む、方法を提供する。
【0167】
好ましい実施形態において、本発明は、哺乳動物における多発性硬化症、アルツハイマー病および/またはパーキンソン病の処置または予防のための方法であって、有効量の本明細書に記載の式(I)の化合物を哺乳動物に投与することを含む、方法を提供する。
【0168】
特に好ましい実施形態において、本発明は、哺乳動物における多発性硬化症の処置または予防のための方法であって、有効量の本明細書に記載の式(I)の化合物を哺乳動物に投与することを含む、方法を提供する。
医薬組成物および投与
【0169】
一態様では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物および治療上の不活性担体を含む医薬組成物を提供する。
【0170】
式(I)の化合物を含む可能な医薬組成物の例示的であるが非限定的な例は、実施例29および30に記載されている。
【0171】
式(I)の化合物ならびにそれらの薬学的に許容され得る塩およびエステルは、医薬として(例えば、医薬製剤の形態で)使用することができる。医薬製剤は、経口(例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬質ゼラチンカプセル剤および軟質ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤または懸濁剤の形態)、経鼻(例えば、点鼻スプレー剤の形態)、または直腸(例えば、坐剤の形態)などで、体内に投与することができる。しかしながら、投与は、筋肉内または静脈内(例えば、注射液の形態)などで親的に行うこともできる。
【0172】
式(I)の化合物ならびにそれらの薬学的に許容され得る塩およびエステルを、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、および硬質ゼラチンカプセル剤の生産のために薬学的に不活性な無機または有機アジュバントで処理することができる。ラクトース、コーンスターチまたはそれらの誘導体、タルク、ステアリン酸またはその塩などは、例えば、錠剤、糖衣錠および硬質ゼラチンカプセル剤のアジュバントとして使用することができる。
【0173】
軟質ゼラチンカプセルに適したアジュバントは、例えば、植物油、ワックス、脂肪、半固体物質および液体ポリオールなどである。
【0174】
液剤およびシロップ剤の生産に適したアジュバントは、例えば、水、ポリオール、サッカロース、転化糖、グルコースなどである。
【0175】
注射液に適したアジュバントは、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油などである。
【0176】
座剤に適したアジュバントは、例えば、天然または硬化油、ワックス、脂肪、半固体または液体ポリオールなどである。
【0177】
さらに、医薬製剤は、防腐剤、可溶化剤、粘度増加物質、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、着香剤、浸透圧を変化させるための塩、緩衝剤、マスキング剤、または酸化防止剤を含むことができる。また、さらに他の治療上有用な物質を含有することもできる。
【0178】
投与量は広範に変化させることができ、当然、各特定の症例における個々の要件に適合させる。一般に、経口投与の場合、約0.1mg~20mg/kg体重、好ましくは約0.5mg~4mg/kg体重(例えば、約300mg/人)の毎日の投与量を、好ましくは1~3の個々の投与量に分けて、例えば同じ量で構成し得るのが適切であろう。しかしながら、示されている場合には、本明細書で与えられる上限を超えることができることは明らかである。
【実施例
【0179】
本発明は、以下の実施例を参照することにより、より完全に理解されるであろう。しかしながら、特許請求の範囲は、本実施例の範囲に限定されるものと解釈されるべきではない。
【0180】
調製例がエナンチオマーの混合物として得られる場合、純粋なエナンチオマーは、本明細書に記載の方法によって、または当業者に公知の方法、例えばキラルクロマトグラフィー(例えば、キラルSFC)もしくは結晶化などによって、分離することができる。
【0181】
特に記載のない場合、全ての反応例および中間体は、アルゴン雰囲気下で調製した。
一般的な方法
A1(実施例3に示す)
【0182】
ビス(トリクロロメチル)カーボネート(28.8mg、97.1μmol)のDCM(1.83ml)中氷冷溶液に、重炭酸ナトリウム(46.6mg、555μmol)および(4aR,8aS)-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3(4H)-オンアセテート(BB1、30mg、139μmol)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。懸濁液に、(3aR,6aS)-2-(フェニルスルホニル)オクタヒドロピロロ[3,4-c]ピロールヒドロクロリド(BB5、40.1mg、139μmol)およびDIPEA(71.7mg、96.9μl、555μmol)を添加した。懸濁液を、室温で1.5日撹拌した。反応混合物を水と酢酸エチルに注ぎ、層を分離した。水層をDCMで3回抽出した。有機層を水で2回洗浄し、MgSO上で乾燥し、フィルタにかけ、シリカゲルで処理し、蒸発させた。化合物を分取HPLC(方法B3)によって精製すると、所望の化合物を白色固体として得た(44mg、73%)。LC/MS(ESI):[M+H=435.2m/z
A2(実施例1に示す)
【0183】
5-(2-クロロフェノキシ)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロールHCl(CAS1889054-91-4、45mg、164μmol)をアセトニトリル(0.5ml)に溶解した。4-ニトロフェニル(4aR,8aS)-3-オキソヘキサヒドロ-2H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-6(5H)-カルボキシレート(BB2、52.7mg、164μmol)およびDIPEA(63.6mg、86μl、492μmol)を室温で添加し、引き続いて80℃で20時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、逆相HPLC(方法B1)によって精製した。精製生成物を真空中で濃縮すると、(4aR,8aS)-6-(5-(2-クロロフェノキシ)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール-2-カルボニル)ヘキサヒドロ-2H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3(4H)-オン(5mg、収率7.26%)を無色固体として得た。LC/MS(ESI):[M+H=420.2m/z
A3(実施例12に示す)
【0184】
マイクロウェーブバイアルをヒートガンで乾燥し、ビス(トリクロロメチル)カーボネート(26.6mg、89.6μmol)および炭酸水素ナトリウム(32.3mg、384μmol)を充填した。フラスコをアルゴン下に配置し、DCM(1ml)を添加して、懸濁液を得た。懸濁液を氷浴によって冷却し、(1R,5S,6r)-6-((2-クロロ-4-フルオロフェノキシ)メチル)-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサンヒドロクロリド(BB13、35.6mg、128μmol)を反応物に添加した。混合物を0℃で15分間撹拌し、室温で一晩撹拌した。懸濁液は一晩で透明な溶液になった。反応混合物を氷浴中で冷却し、DCM(500μl)およびDIPEA(49.7mg、67.1μl、384μmol)を添加し、続いて(4aR,8aS)-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3(4H)-オン(BB1、20mg、128μmol)を添加した。得られたオフホワイトの懸濁液を室温で6時間撹拌した。
【0185】
反応混合物を水と酢酸エチルに注ぎ、層を分離した。水層をDCMで2回抽出した。合わせた有機層をMgSO上で乾燥させ、フィルタにかけ、蒸発させて、橙色の油状物を得た(60mg)。粗生成物を逆相HPLC(方法B7)によって精製すると、凍結乾燥後に、24mg(44.2%)の(4aR,8aS)-6-[(1R,5S,6r)-6-[(2-クロロ-4-フルオロ-フェノキシ)メチル]-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボニル]-4,4a,5,7,8,8a-ヘキサヒドロピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オンを白色固体として得た。LC/MS(ESI):[M+H=424.2m/z
HPLC方法B1
YMC-Triart C18、12nm、5μm、100×30mm、15分のランタイム、勾配15-35-50-100%ACN水溶液+0.1% HCOOH
HPLC法B2
YMC-Triart C18、12nm、5μm、100×30mm、15分のランタイム、勾配30-50-65-100%ACN水溶液+0.1% HCOOH
HPLC法B3
Gemini NX、12nm、5μm、100×30mm、15分勾配、ACN/水+0.1% TEA
HPLC法B4
YMC-Triart C18、12nm、5μm、100×30mm、11分のランタイム、勾配15-35-50-100%ACN水溶液+0.1% TEA
HPLC法B5
YMC-Triart C18、12nm、5μm、100×30mm、9分のランタイム、勾配40-60-80-100%ACN水溶液+0.1% HCOOH
HPLC法B6
YMC-Triart C18、12nm、5μm、100×30mm、11分のランタイム、勾配20-40-55-100%ACN水溶液+0.1% HCOOH
HPLC法B7
Gemini NX、12nm、5μm、100×30mm、15分勾配、ACN/水+0.1% HCOOH
HPLC法B8(キラル)
Chiralpak AD、順相(アイソクラティック):65%ヘプタン;35%エタノール+NH4Oac
HPLC法B9
Gemini NX、12nm、5μm、100×30mm、15分のランタイム、勾配30-50-65-100%ACN水溶液+0.1% HCOOH
キラルSFC法C1
OD-H、12nm、5μm、250×4.6mm、30% iPrOH
キラルSFC法C2
AD-H、12nm、5μm、250×4.6mm、40% MeOH
キラルSFC法C3
OZ-H、12nm、5μm、250×4.6mm、35% iPrOH+0.2% DEA
キラルSFC法C4
IB、12nm、5μm、250×4.6mm、9%MeOH、100ml/分
キラルSFC法C5
IC、12nm、5μm、250×4.6mm、30% MeOH
【表2】




構成要素の合成
BB1aおよびBB1b
【0186】
(+)-cis-4a,5,6,7,8,8a-ヘキサヒドロ-4H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン
ならびに
(-)-cis-4a,5,6,7,8,8a-ヘキサヒドロ-4H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン
【化20】
【0187】
rac-(4aR,8aS)-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3(4H)-オンジヒドロクロリド(BB1、CAS 1909295-00-6、500mg、2.18mmol)のエナンチオマーを、分取キラルHPLC(ReprosilChiral NRカラム)によってEtOH(0.05%のNHOAc含有):n-ヘプタン(30:70)の均一濃度混合物を用いて分離した。
第1の溶出エナンチオマー:(+)-cis-4a,5,6,7,8,8a-ヘキサヒドロ-4H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン(BB1a)。黄色固体(0.150g;44.0%)。MS(ESI):m/z=157.1[M+H]
第2の溶出エナンチオマー:(-)-cis-4a,5,6,7,8,8a-ヘキサヒドロ-4H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン。(BB1b)。黄色固体(0.152g;44.6%)。MS(ESI):m/z=157.1[M+H]
BB2aおよびBB2b
【0188】
(4-ニトロフェニル)(4aR,8aS)-3-オキソ-4,4a,5,7,8,8a-ヘキサヒドロピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-6-カルボキシレート
ならびに
(4-ニトロフェニル)(4aS,8aR)-3-オキソ-4,4a,5,7,8,8a-ヘキサヒドロピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-6-カルボキシレート
【化21】
【0189】
rac-(4aR,8aS)-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3(4H)-オンジヒドロクロリド(BB1、4.5g、19.6mmol)の乾燥DCM(125ml)中懸濁液を0°Cに冷却し、DIPEA(6.35g、8.58ml、49.1mmol)を添加し、引き続いて4-ニトロフェニルカルボノクロリデート(4.35g、21.6mmol)を添加した。反応混合物を0°Cで10分間および室温で2時間撹拌した。粗反応物をジクロロメタンで希釈し、飽和NaCO水溶液で抽出するために分液漏斗に移した。有機相を回収し、水相をジクロロメタンで逆抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発乾固させて、6.62 gの粗製ラセミ生成物を黄色固体として得た。粗製物質をキラルSFC分離(方法C4)に直接供して、2つのエナンチオマー:
第2のエナンチオマーで汚染されている、第1の溶出エナンチオマー、淡ベージュ色固体(3.25g)を得た。この画分を他のSFCキラル分離(方法C5)に供して、2.71gの所望のエナンチオマー(BB2a)を得た。
第2の溶出エナンチオマー、黄色固体(BB2b、2.72g)
BB9
【0190】
(1R,5S,6r)-6-[1-[4-フルオロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]ピラゾール-3-イル]-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン2,2,2-トリフルオロアセタート
【化22】
【0191】
アルゴン下の20ml管中で、tert-ブチル(1R,5S,6r)-6-(1-(4-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボキシレート(120mg、349μmol)をDCM(2ml)に溶解し、TFA(239mg、162μl、2.1mmol)を添加し、反応物を室温で16時間撹拌し、次いで、真空中で濃縮して(トルエンとの共沸)、所望の生成物(122mg、98%)を得た。次のステップで直接使用される。LC-MS(ESI):m/z=244.2[M+H
a)tert-ブチル(1R,5S,6r)-6-((E)-3-(ジメチルアミノ)アクリロイル)-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボキシレート
tert-ブチル(1R,5S,6r)-6-アセチル-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボキシレート(CAS2075712-96-6、990mg、4.39mmol)をN,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(3.24g、3.64ml、26.4mmol)と合わせ、100℃で一晩15時間加熱した。混合物を室温に冷却し、真空中で直接蒸発させた。残渣を酢酸エチル/水、食塩水で抽出し、有機画分を合わせ、MgSO上で乾燥させ、フィルタにかけ、減圧下で濃縮すると、所望の生成物(1.21g、98%)を黄色油として得た、LC-MS(ESI):m/z=281.3[M+H
b)tert-ブチル(1R,5S,6r)-6-(1H-ピラゾール-3-イル)-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボキシレート
【0192】
20mlチューブ内で、tert-ブチル(1R,5S,6r)-6-((E)-3-(ジメチルアミノ)アクリロイル)-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボキシレート(1.21g、4.32mmol)をエタノール(6ml)に溶解し、ヒドラジン水和物(302mg、293μl、6.04mmol)を添加した。反応混合物を80℃で1時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、分取SFC(Princeton 2-エチルピリジンカラム、30×250mm、5% EtOH+0.2% DEA)による精製により、所望の生成物を黄色の粘性油(890 mg、83%)として得た。LC-MS(ESI):m/z=250.1[M+H
c)tert-ブチル(1R,5S,6r)-6-(1-(4-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イル)-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボキシレート
【0193】
アルゴン下の100mlフラスコ中で、tert-ブチル(1R,5S,6r)-6-(1H-ピラゾール-3-イル)-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボキシレート(300mg、1.2mmol)をDMF(8ml)に懸濁し、ピリジン(381mg、389μl、4.81mmol)、(4-フルオロフェニル)ボロン酸(219mg、1.56mmol)および酢酸銅(II)(328mg、1.8mmol)を添加した。緑色溶液を室温で60時間撹拌した。溶媒を真空中で除去し、粗製生成物をエチルアセタート/水/飽和NaClで抽出し、有機画分をMgSO上で乾燥させ、フィルタにかけ、溶媒を除去した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO、ヘプタン/酢酸エチル40分で0~40%)による精製によって、所望の生成物が無色固体(317mg、77%)として得られた。LC-MS(ESI):m/z=288.1 [M-56+H
BB10
【0194】
(1R,5S,6r)-6-[1-[2-クロロ-4-フルオロ-フェニル]ピラゾール-3-イル]-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン2,2,2-トリフルオロアセタート
【化23】
【0195】
BB10を、BB9について記載したのと同様に、工程c)においてtert-ブチル(1R,5S,6r)-6-(1H-ピラゾール-3-イル)-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボキシレートおよび(2-クロロ-4-フルオロフェニル)ボロン酸を用いて調製した。
LC-MS(ESI)for BB10:m/z=278.2[M+H
BB11
【0196】
rac-3-((((1R,4R,5S)-2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル)オキシ)メチル)-5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリンビス(2,2,2-トリフルオロアセタート)
【化24】
【0197】
アルゴン下の20ml管中で、rac-tert-ブチル(1R,4R,5S)-5-((5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリン-3-イル)メトキシ)-2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボキシレート(40mg、112μmol)をDCM(1ml)に溶解し、TFA(69μl、0.89mmol)を添加し、反応物を室温で24時間撹拌し、次いで、真空中で濃縮して(トルエンとの共沸)、所望の生成物(60mg、純度90%、99.5%)を淡黄色油として得た。次のステップで直接使用される。LC-MS(ESI):m/z=259.3[M+H
a)3-(ブロモメチル)-5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリン
【0198】
アッペル反応:(5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリン-3-イル)メタノール(169mg、1.04mmol)の無水DCM(2.91ml)中溶液に、CBr(412mg、1.24mmol)を添加し、混合物を0~3°Cに冷却し、10分以内に1mlの無水DCM中のトリフェニルホスフィン(353mg、1.35mmol)を添加した。撹拌を2~4℃で1時間続け、次いで、20mlのDCMおよびシリカゲルを添加し、溶媒を真空中で除去し、粗製生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、ヘプタン/酢酸エチル40分で0~50%)によって精製した。所望の生成物が、190mg(81%)の淡赤色固体として得られた。LC-MS(ESI):m/z=226.1[M+H
b)rac-tert-ブチル(1R,4R,5S)-5-((5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリン-3-イル)メトキシ)-2-アザビシクロ [2.2.1] ヘプタン-2-カルボキシレート
【0199】
rac-tert-ブチル(1S,4S,5R)-5-ヒドロキシ-2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボキシレート(CAS198835-03-9、197mg、924μmol)を含む乾燥THF(2.79ml)中の溶液に、カリウムtert-ブトキシド1Mを含むTHF(924μl、924μmol)を添加し、濁った反応混合物を室温で30分間撹拌し、次いで、3-(ブロモメチル)-5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリン(190mg、840μmol)を0~2℃で添加した。反応混合物を3~6℃で3時間撹拌し、次いで、酢酸エチルで希釈し、水で抽出し、有機相を回収し、水相を酢酸エチルで逆抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発乾固させた。粗製物質を分取によって精製した。HPLC(Gemini NX、12nm、5μm、100×30mm、ACN/水+0.1% TEA)により、所望の生成物(40mg、13.3%)が淡褐色固体として得られた。LC-MS(ESI):m/z=359.3[M+H
BB12
rac-(1R,4R,5S)-5-[(5-クロロ-4-シクロプロピル-2-ピリジル)メトキシ]-2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタンビス(2,2,2-トリフルオロアセタート)
【化25】
【0200】
アルゴン下の20ml管中で、rac-tert-ブチル(1R,4R,5S)-5-((5-クロロ-4-シクロプロピルピリジン-2-イル)メトキシ)-2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボキシレート(272mg、718μmol)をDCM(2ml)に溶解し、TFA(332μl、0.4.3mmol)を添加し、反応物を室温で24時間撹拌し、次いで、真空中で濃縮して(トルエンとの共沸)、所望の生成物(381mg、純度90%、94%)を淡黄色油状物として得た。次のステップで直接使用される。LC-MS(ESI):m/z=279.2[M+H
a)2-(ブロモメチル)-5-クロロ-4-シクロプロピルピリジン
【0201】
アッペル反応:(5-クロロ-4-シクロプロピルピリジン-2-イル)メタノール(290mg、1.58mmol)の乾燥DCM(5ml)中溶液に、CBr(628mg、1.9mmol)を添加し、混合物を0~3℃に冷却し、10分以内に1mlの乾燥DCM中のトリフェニルホスフィン(538mg、2.05mmol)を添加した。撹拌を2~4℃で1時間続け、次いで、20mlのDCMおよびシリカゲルを添加し、溶媒を真空中で除去し、粗製生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、ヘプタン/酢酸エチル40分で0~40%)によって精製した。所望の生成物を、345mg の淡赤色半固体として得た(90%純度、80%)。LC-MS(ESI):m/z=248.0[M+H
b)rac-tert-ブチル(1R,4R,5S)-5-((5-クロロ-4-シクロプロピルピリジン-2-イル)メトキシ)-2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボキシレート
【0202】
tert-ブチル5-ヒドロキシ-2-アザビシクロ [2.2.1]ヘプタン-2-カルボキシレート(CAS 198835-03-9、324mg、1.52mmol)の乾燥THF(5ml)中溶液に、THF中の1Mのカリウムtert-ブトキシド(1.52ml、1.52mmol)を添加し、濁った反応混合物を室温で撹30分間攪拌し、次いで、2-(ブロモメチル)-5-クロロ-4-シクロプロピルピリジン(340mg、1.38mmol)を0~2℃で添加した。反応混合物を3~6℃で3時間撹拌し、次いで、酢酸エチルで希釈し、水で抽出し、有機相を回収し、水相を酢酸エチルで逆抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発乾固させた。粗製材料をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘプタン中EtOAc中、40分、0%~50%)により精製し、所望の化合物を淡褐色の油状物として得た(272mg、純度95%、49.4%)。LC-MS(ESI):m/z=379.2[M+H
BB13
(1R,5S,6r)-6-[(2-クロロ-4-フルオロ-フェノキシ)メチル]-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;ヒドロクロリド
【化26】
【0203】
tert-ブチル(1R,5S,6r)-6-[(2-クロロ-4-フルオロ-フェノキシ)メチル]-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボキシレート(150.0mg、0.440mmol)のEtOAc(2mL)中溶液に、9M HClのEtOAc中溶液(0.4mL、3.6mmol)を0℃で添加した。溶液を15℃で2.5時間撹拌した。溶液を濃縮し、次いで、真空中での凍結乾燥によって乾燥させると、所望の生成物(1R,5S,6r)-6-[(2-クロロ-4-フルオロ-フェノキシ)メチル]-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサンヒドロクロリド(56.2mg、0.200mmol、収率44.94%を、白色固体として得た。LC-MS(ESI):m/z=242.0[M+H
a)tert-ブチル(1R,5S,6r)-6-[(2-クロロ-4-フルオロ-フェノキシ)メチル]-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボキシレート
【0204】
tert-ブチル(1R,5S,6r)-6-(メチルスルホニルオキシメチル)-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボキシレート(CAS958633-11-9、294mg、1.01mmol)のDMF(3mL)中の溶液に、炭酸セシウム(493.16mg、1.51mmol)、2-クロロ-4-フルオロフェノール(0.11mL、1.11mmol)を15℃で添加した。溶液を85℃に加熱し、16時間撹拌した。混合物を0℃で水(5mL)でクエンチし、次いで、EtOAc(5mL)で3回抽出し、NaSO上で乾燥させた。有機層を合わせ、真空中で濃縮して、粗製生成物を黄色油状物として得た。粗製生成物を分取HPLCによって精製し、凍結乾燥によって乾燥させると、所望の生成物tert-ブチル(1R,5S,6r)-6-[(2-クロロ-4-フルオロ-フェノキシ)メチル]-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボキシレート(150mg、0.440mmol、収率43.4%)を淡黄色油状物として得た。LC-MS(ESI):m/z=286.0[M-56+H
BB14
【0205】
8-[(2-クロロ-4-フルオロ-フェノキシ)メチル]-3-アザビシクロ[3.2.1]オクタン2,2,2-トリフルオロアセタート
【化27】
【0206】
Boc脱保護を、例えばBB12について記載されるように行った。粗製生成物を淡黄色油状物として得て、次の工程に直接使用した(収率99%、純度80%)。LC-MS(ESI):m/z=270.2[M+H
a)tert-ブチル8-((2-クロロ-4-フルオロフェノキシ)メチル)-3-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-カルボキシレート
【0207】
2-クロロ-4-フルオロフェノール(65.6mg、48.8μl、448μmol)、tert-ブチル8-(ヒドロキシメチル)-3-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-カルボキシレート(108mg、448μmol)およびトリフェニルホスフィン(117mg、448μmol)のDCM(2.24ml)中の溶液に、DIAD(99.5mg、95.7μl、492μmol)を滴下し、反応物を室温で19時間撹拌した。反応混合物を飽和NaHCO水溶液の添加によってクエンチした。相を分離し、水相をDCMで3回抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、フィルタにかけ、濃縮乾固して、褐色油状物を得た。粗製生成物をIsolute上に固定化し、カラムクロマトグラフィー(SiO、0~30%ヘプタン中EtOAc)によって精製し、tert-ブチル8-((2-クロロ-4-(フルオロフェノキシ)メチル)-3-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-カルボキシレートを黄色油状物として得た(45.9mg、26.3%)。LC-MS(ESI):m/z=314.2 [M-56+H
BB15
【0208】
5-(2-クロロ-4-フルオロフェノキシ)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール2,2,2-トリフルオロアセテート
【化28】
【0209】
2-クロロ-4-フルオロフェノール(64.5mg、440μmol)およびtert-ブチル5-ヒドロキシヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール-2(1H)-カルボキシレート(100mg、440μmolから出発してBB14について記載するように合成を行った。生成物を淡褐色油状物として得、Boc脱保護後の収率は149.8mg(純度82%)であった。LC-MS(ESI):m/z=256.2[M+H
BB16
【0210】
5-((2-クロロ-4-フルオロベンジル)オキシ)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール2,2,2-トリフルオロアセテート
【化29】
【0211】
BB16を、BB11(工程bおよびBoc脱保護)について記載したのと同様に、tert-ブチル5-ヒドロキシヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール-2(1H)-カルボキシレートおよび1-(ブロモメチル)-2-クロロ-4-フルオロベンゼンを用いて調製した。
LC-MS(ESI)for BB16:m/z=270.2[M+H
BB17
【0212】
5-((2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール2,2,2-トリフルオロアセタート
【化30】
【0213】
BB17を、BB11について記載したのと同様に(工程bおよびBoc脱保護)、tert-ブチル5-ヒドロキシヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール-2(1H)-カルボキシレートおよび1-(ブロモメチル)-2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンゼンを用いて調製した。
BB17のLC-MS(ESI):m/z=304.2[M+H
BB18
【0214】
5-(2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェノキシ)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール2,2,2-トリフルオロアセタート
【化31】
【0215】
アルゴン下の20ml管中で、tert-ブチル5-(2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェノキシ)ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール-2(1H)-カルボキシレート(0.290g、745μmol)をDCM(4ml)に溶解し、TFA(574μl、7.45mmol)を添加し、反応物を室温で1時間撹拌し、次いで、真空中で濃縮して(トルエンとの共沸)、所望の生成物(321mg、純度90%、96%)を無色油状物として得た。次のステップで直接使用される。LC-MS(ESI):m/z=290.2[M+H
a)tert-ブチル5-(2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェノキシ)ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール-2(1H)-カルボキシレート
【0216】
アルゴン下、25mlの四つ口フラスコ中で、tert-ブチル5-ヒドロキシヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール-2(1H)-カルボキシレート(0.250g、1.1mmol)をTHF(5ml)に溶解し、2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェノール(198mg、138μl、1.1mmol)およびトリフェニルホスフィン(317mg、1.21mmol)を添加した。透明な溶液を室温で5分間撹拌し、次いで、0~2℃に冷却し、10分以内にゆっくりとDEAD(211mg、192μl、1.21mmol)を添加し、撹拌を2~4℃で1時間および室温で一晩続けた。ジエチルエーテル50mlを反応混合物に添加し、これを水2×25ml、飽和NaOH 2×20mlおよびブライン1×20mlで抽出した。有機画分をMgSO上で乾燥させ、溶媒を真空中で除去した。粗製材料をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、0%~30%ヘプタン中EtOAc)により精製して、所望の生成物を無色油状物として得た(290mg、67.7%)。LC-MS(ESI):m/z=334.2 [M-56+H
BB19
【0217】
Rac-(1S,4R,6R)-6-((2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)-2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン2,2,2-トリフルオロアセテート
【化32】
【0218】
Boc脱保護を、例えばBB18について記載されるように行った。粗製生成物を淡黄色油状物として得て、次の工程に直接使用した(収率87%)。LC-MS(ESI):m/z=290.3[M+H
a)rac-tert-ブチル(1R,4S,6S)-6-((2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)-2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボキシレート
【0219】
rac-tert-ブチル(1R,4S,6S)-6-ヒドロキシ-2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボキシレート(Synthonix、CAS 198835-05-1;0.300g、1.41mmol)のTHF(5ml)中溶液に、カリウムtert-ブトキシドのTHF中の1M溶液(1.48ml、1.48mmol)を添加し、濁った反応混合物を室温で15分間攪拌し、続いて1-(ブロモメチル)-2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンゼン(362mg、1.41mmol)を添加した。次いで、反応混合物を室温で60時間撹拌した。粗製反応物を酢酸エチルで希釈し、水で抽出し、有機相を集め、水相を酢酸エチルで逆抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発乾固させた。粗製材料をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、0%~80%ヘプタン中EtOAc)により精製して、所望の生成物を無色油状物として得た(237mg、43%)。LC-MS(ESI):m/z=334.2 [M-56+H
BB20
【0220】
Rac-(1S,4R,6S)-6-((2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)-2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン2,2,2-トリフルオロアセテート
【化33】
【0221】
BB20を、BB19について記載したのと同様に、rac-tert-ブチル(1R,4S,6R)-6-ヒドロキシ-2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボキシレート(Combi-Blocks QE-8592、CAS:207405-59-2)および1-(ブロモメチル)-2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンゼンを用いて調製した。
LC-MS(ESI)for BB20:m/z=290.3[M+H
BB21
【0222】
Rac-(1R,4R,5S)-5-((2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)-2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン2,2,2-トリフルオロアセテート
【化34】
【0223】
BB21を、BB19について記載したのと同様に、rac-tert-ブチル(1R,4R,5S)-5-ヒドロキシ-2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボキシレート(AbovChem、CAS:198835-03-9)および1-(ブロモメチル)-2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンゼンを用いて調製した。
LC-MS(ESI)for BB21:m/z=290.3[M+H
BB22
【0224】
6-((2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)-3-アザビシクロ[3.1.1]ヘプタン2,2,2-トリフルオロアセテート
【化35】
【0225】
BB22を、BB19について記載したのと同様に、tert-ブチル6-ヒドロキシ-3-アザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-カルボキシレート(Spirochem、CAS:1357353-36-6)および1-(ブロモメチル)-2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンゼンを用いて調製した。
LC-MS(ESI)for BB21:m/z=290.2[M+H
BB23
【0226】
(1R,5S,7s)-7-((2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン2,2,2-トリフルオロアセテート
【化36】
【0227】
BB23を、BB19について記載したのと同様に、tert-ブチル(1R,5S,7s)-7-ヒドロキシ-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシレート(endo、Spirochem、CAS:1148006-31-8)および1-(ブロモメチル)-2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンゼンを用いて調製した。
LC-MS(ESI)for BB21:m/z=320.2[M+H
BB24
【0228】
(1R,3R,5S)-3-((2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン2,2,2-トリフルオロアセテート
【化37】
【0229】
BB24を、BB19について記載したのと同様に、tert-ブチル(1R,3r,5S)-3-ヒドロキシ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート(endo、Spirochem、CAS:143557-91-9)および1-(ブロモメチル)-2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンゼンを用いて調製した。
BB21についてのLC-MS(ESI):m/z=304.2[M+H
BB25
【0230】
(1R,5S,6r)-6-((2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェノキシ)メチル)-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン2,2,2-トリフルオロアセテート
【化38】
【0231】
BB25を、BB18について記載したのと同様に、tert-ブチル(1R,5S,6r)-6-(ヒドロキシメチル)-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボキシレートおよび2-クロロ-4-フルオロフェノールを用いて調製した。
BB25についてのLC-MS(ESI):m/z=276.2[M+H
BB26
3-((2-クロロ-4-フルオロフェノキシ)メチル)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタンヒドロクロリド
【化39】
【0232】
BB26を、BB13について記載したのと同様に、tert-ブチル8-(メチルスルホニルオキシメチル)-3-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-カルボキシレートおよび2-クロロ-4-フルオロフェノールを用いて調製した。
BB26についてのLC-MS(ESI):m/z=270.0[M+H
実施例29
【0233】
式(I)の化合物は、以下の組成の錠剤を製造するために、有効成分として、それ自体公知の様式で使用することができる。
錠剤あたり
有効成分 200mg
微結晶セルロース 155mg
コーンスターチ 25mg
タルク 25mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 20mg
425mg
実施例30
【0234】
式(I)の化合物は、以下の組成のカプセル剤を製造するために、有効成分として、それ自体公知の様式で使用することができる。
カプセル剤あたり
有効成分 100.0mg
コーンスターチ 20.0mg
ラクトース 95.0mg
タルク 4.5mg
ステアリン酸マグネシウム 0.5mg
220.0mg
【国際調査報告】