(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-10
(54)【発明の名称】カンナビジオールを含む局所製剤、組成物の調製方法およびその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/05 20060101AFI20221102BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20221102BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20221102BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20221102BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20221102BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20221102BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20221102BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20221102BHJP
A61K 47/14 20060101ALI20221102BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20221102BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20221102BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20221102BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20221102BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
A61K31/05
A61P19/02
A61P29/00
A61K47/02
A61K47/10
A61K47/32
A61K47/36
A61K47/38
A61K47/14
A61K47/20
A61K9/06
A61P25/00
A61P17/06
A61K8/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022507635
(86)(22)【出願日】2020-07-31
(85)【翻訳文提出日】2022-03-15
(86)【国際出願番号】 DK2020050222
(87)【国際公開番号】W WO2021023351
(87)【国際公開日】2021-02-11
(32)【優先日】2019-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(32)【優先日】2020-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522048627
【氏名又は名称】シーエス メディカ アー/エス
【氏名又は名称原語表記】CS MEDICA A/S
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリクセン,ロン
(72)【発明者】
【氏名】ダウアー,ローズマリー
(72)【発明者】
【氏名】デュジーヌ,マリア アウグスティナ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076BB31
4C076CC04
4C076CC18
4C076DD23
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4C083AD282
4C083AD352
4C083AD532
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4C083AD662
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA19
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4C206MA05
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4C206MA83
4C206NA10
4C206NA11
4C206ZA08
4C206ZA89
4C206ZA96
4C206ZB15
(57)【要約】
乾癬または関節炎の症状、例えば関節炎疾患および/もしくは乾癬性関節炎に起因する疼痛、ならびに/または神経学的疼痛、例えば対象における硬化症、例えば多発性硬化症に起因する疼痛を緩和するための水性アルコールゲル組成物が開示される。そのような組成物は、とりわけ、0.1~20%のカンナビジオールと、皮膚浸透促進剤と、エタノールと、1種または複数種の増粘剤および/またはゲル化剤とを含み得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性アルコールゲル組成物であって、
a.0.1~20%、例えば0.1~10%またはより好ましくは0.2~5%(重量基準)の量で存在するカンナビジオールであって、任意選択で、結晶形態または純粋な形態で提供されるカンナビジオールと、
b.0.5~1.5%(重量基準)の量で存在する皮膚浸透促進剤と、
c.10~30%(重量基準)の量で存在するエタノールと、
d.0.4~2%(重量基準)の総量で存在する1種または複数種の増粘剤またはゲル化剤と、
e.前記組成物に対して合計100%(重量基準)までの量の水と、
を含む水性アルコールゲル組成物。
【請求項2】
前記ゲルの調製に使用されるカンナビジオールが結晶形態または純粋な形態で提供される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記カンナビジオールが、1.5%、1.0%または0.5%(重量基準)未満の、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビノール(CBN)のいずれか1つ、および/または1.0%未満のテトラヒドロカンナビノール(THC)を含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
2.0、1.0%、0.5、または0.1%(重量基準)未満の油、例えば植物油および/または鉱油を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
10~25%(重量基準)の塩化ナトリウム、特に海塩、またはより好ましくは死海塩をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
i.0.01~1%(重量基準)のアロエバルバデンシス(aloe barbadensis)葉の抽出物、
ii.1~5%(重量基準)のパンテノール、
iii.0.1~1~5%(重量基準)のパルミチン酸レチニル、
iv.0.5~5%(重量基準)のグリセリン、
またはそれらの任意の組み合わせから選択される1種または複数種のスキンケアまたは皮膚保水/保湿剤をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
0.5~5%(重量基準)のメントールおよび/または0.1~2%(重量基準)の樟脳および/または0.5~1.5%(重量基準)のユーカリ油から選択される1つまたは複数のさらなる成分をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記皮膚浸透促進剤が、ミリスチン酸イソプロピル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、尿素、またはそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記増粘剤および/またはゲル化剤が、アクリレートクロスポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガムおよび/またはそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
酸化防止剤、乳化剤、pH調整剤、例えば酸もしくは塩基、安定剤、着色剤またはそれらの任意の組み合わせから選択される1種または複数種の薬学的に許容されるアジュバントをさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
局所組成物である、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
化粧品用の皮膚保水またはスキンケア組成物である、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
ヒト、哺乳動物または他の動物等の対象における、関節炎、特に関節リウマチ、変形性関節症、若年性関節リウマチおよび/もしくは乾癬性関節炎に起因する症状、特に疼痛、ならびに/または神経学的疼痛、例えば硬化症、例えば多発性硬化症に起因する疼痛の処置または緩和での局部的な局所適用における医薬組成物として使用するための、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
ヒト、哺乳動物または他の動物等の対象における1つまたは複数の熱関節および/または腫脹関節に関連する疼痛状態を緩和するための医薬組成物として使用するための、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
ヒト、哺乳動物または他の動物等の対象における乾癬、特に発赤、乾燥、痒み、および/または鱗状皮膚の症状の処置または緩和での局部的な局所適用における医療用組成物として使用するための、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
ヒト、哺乳動物または他の動物等の対象における1つまたは複数の発赤、乾燥、痒み、および/または鱗状皮膚に関連する疼痛状態を緩和するための医療用組成物として使用するための、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記局所ゲル組成物が、ヒト、哺乳動物または他の動物等の対象の局部皮膚領域に1日1~5回局所的に適用される、請求項10から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記局所ゲル組成物が、1回の適用あたり5~100または10~50mg/cm
2の量で対象の局部皮膚領域に局所的に適用される、請求項10から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
容器内の請求項1から18のいずれか一項に記載の組成物と、任意選択で使用説明書とを含むキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品剤として使用するための、ならびに/あるいは哺乳動物における乾癬の症状、または関節炎および/もしくは乾癬性関節炎および/もしくは神経学的疼痛に起因する疼痛、例えば硬化症、例えば多発性硬化症に起因する疼痛等の症状の処置または緩和における局部的な局所適用での医薬組成物を製造するためのカンナビジオールを含む局所水性アルコールゲル組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
様々なカンナビノイドの臨床的有用性は、鎮痛および神経保護を提供し、悪心および嘔吐を軽減するのを助け、てんかん、不安障害、および緑内障を処置することが周知である。
【0003】
カンナビジオール(「CBD」)もまた、特にその穏やかな鎮痛効果ならびにその抗炎症効果がよく認識されている。さらに、カンナビジオールは、Δ<9>-テトラヒドロカンナビノール(THC)を含む他のカンナビノイドの多くに見られる精神賦活作用を欠くことも周知である。後者(THC)は、現在、商品名Marinol(登録商標)で販売されている経口剤形で入手可能である。
【0004】
多くの疾患は、個体において免疫系によって調節される炎症過程に関する。炎症は、アレルギー反応または皮膚炎等の過活動免疫応答、ある特定の形態の多発性硬化症、炎症性腸障害および関節炎等の自己免疫応答に起因し得る。炎症の根本原因にかかわらず、これらの状況下では、免疫系を調節し、これらの疾患につながる炎症応答を低下させることが治療上望ましい。
【0005】
乾癬は、異常な皮膚の斑点、典型的には、発赤、乾燥、痒み、および/または鱗状の皮膚の小さな局部的斑点またはより大きな領域(例えば全身に)を特徴とする、非伝染性の長期持続性自己免疫疾患である。皮膚への損傷は、乾癬性皮膚変化(ケブナー現象)を引き起こす可能性がある。
【0006】
根底にある機構は、ケラチノサイトの過剰増殖をもたらす皮膚細胞に反応する免疫系が関与すると考えられている。ケラチノサイトは表皮の約90%を構成する。正常な皮膚では、表皮細胞の細胞増殖は約30日間の再生サイクルをもたらすが、乾癬に罹患した皮膚領域では、細胞増殖はわずか3~5日間の再生サイクルを有する。
【0007】
乾癬には、尋常性、滴状、逆型、膿疱性、および紅皮性の5つの主なタイプがある。尋常性乾癬は、典型的には、上部に白い鱗屑を有する発赤の斑点として現れる。患部は、典型的には、前腕の後ろ、すね、へそ領域、および頭皮または顔である。手指および足の爪もまた、ある時点で乾癬の影響を受けることが多く、爪の窪みおよび/または爪の色の変化を引き起こすことがある。膿疱性乾癬は、小さな(非感染性の)膿で満たされた水疱として見られる。逆型乾癬は、皮膚のひだに赤い斑点を形成する。乾癬性紅皮症は、他の種類のいずれからも発症する可能性があり、典型的には発疹が非常に広範囲に広がると発生する。
【0008】
乾癬は、一般に、環境要因によって引き起こされる遺伝性疾患であると考えられている。遺伝的要因が乾癬の素因となることが示唆される。症状は、冬の間およびβ遮断薬またはNSAID等のある特定の薬物の摂取/使用によって悪化し得る。感染症および心理的ストレスも一因となり得る。
【0009】
現在、乾癬の治療法はないが、様々な処置が症状の制御に役立ち得る。処置には、ステロイドクリーム、ビタミンD3クリーム、紫外線および免疫系抑制薬(例えばメトトレキサート)が含まれる。しばしば、乾癬の症状は、クリームだけで管理することができる。乾癬は、乾癬性関節炎、リンパ腫、心血管疾患、クローン病およびうつ病のリスク増加に関連する。乾癬性関節炎は、乾癬を有する個体の最大30%が罹患する
【0010】
関節リウマチ、乾癬性関節炎および変形性関節症は、罹患した関節に疼痛を引き起こし、関節リウマチに関連する疼痛は機能障害をもたらし得る。
【0011】
ある特定のカンナビノイドは、免疫応答の様々な段階を調節することが示されており、ある特定の炎症性疾患の処置においてある程度の治療上の利益を示し得る。
【0012】
カンナビノイドは、関節リウマチ、乾癬性関節炎および変形性関節症、ならびに炎症性腸疾患、多発性硬化症および全身性エリテマトーデス等の他の自己免疫疾患に続発する関節痛の補助処置として有用であることが分かっている。
【0013】
カンナビノイドは通常経口投与され、したがって個体の全身に影響を及ぼす。上記の治療上の利益に加えて、カンナビノイドは、抗炎症、抗痙攣、抗精神病、抗酸化、神経保護、抗がんおよび免疫調節効果を含むがこれらに限定されない様々な薬理学的利益を提示する。
【0014】
これらの全身治療上の利点を考慮すると、カンナビジオール(CAS番号3956-29-1)が全身送達されて患者において治療上有効な血漿濃度を達成する組成物を開発することが有利であろう。しかしながら、カンナビジオールを含むカンナビノイド経口剤形は、全身濃度を達成するためにいくつかの障害を克服しなければならない。第1に、カンナビジオールを含むカンナビノイドは、一般に親油性が高い。それにより、それらの限られた水溶性は、胃腸管での吸収に利用可能なカンナビノイドの量を制限する。
【0015】
カンナビジオールは、他のカンナビノイドと同様に、ヒトの消化管から吸収されると代謝される。したがって、カンナビジオール等の経口投与されたカンナビノイドの個体への全体的な効果的取り込みは個体ごとに異なり、その投薬量を制御することは困難である。したがって、実際には、カンナビノイドの経口投与によって、患者において治療有効血漿濃度を達成することは非常に困難であり、これにより、一部の個体は高すぎる用量で処置され、他の個体は治療有効血漿濃度を達成するのに必要な用量よりも低い用量が投与される。
【0016】
したがって、上記のように、哺乳動物の消化管からの吸収に依存せず、消化管からの吸収時に初回通過代謝を受けない投与経路を提供することによって、カンナビジオールに応答する1つまたは複数の医学的状態、特に乾癬に関連する皮膚状態または関節炎に関連する疼痛の局部処置のために、それ必要とする哺乳動物に治療有効量のカンナビジオールを送達する送達方法を提供することが望ましいであろう。カンナビジオールの全身送達のための1つの非経口投与経路は、経皮投与である。
【0017】
残念なことに、カンナビジオールはその極めて疎水性の性質のために、ヒトを含む哺乳動物の皮膚等の膜を通して吸収されにくい。したがって、合理的な時間枠内で治療有効量のカンナビジオールをそのような処置を必要とする哺乳動物に成功裏に経皮投与することは、かなり制限される。
【0018】
皮膚浸透を増加させるために、カンナビジオールおよび/または他のカンナビノイドのプロドラッグを投与することが提案されている。次いで、プロドラッグは、表皮への浸透時に表皮で部分的に代謝され、次いで表皮に浸透した後は、例えばカンナビジオールおよび副産物に変換される。しかしながら、これらの副産物は、生理学的効果が未知であり、未知のまたは望ましくない副作用を引き起こす可能性があるため、望ましくない。
【0019】
したがって、皮膚の美容的コンディショニングのための局所組成物に適した組成物の開発における著しい進歩が依然として必要とされている。
【0020】
特に、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、変形性関節症および/または乾癬性関節炎等の乾癬または関節炎の局部症状を軽減または緩和するのに必要な治療有効量の哺乳動物の局部投与部位でのカンナビジオールの利用可能性を改善するためのカンナビジオールの局所送達に適した組成物の開発の著しい進歩が依然として必要とされている。
【0021】
驚くべきことに、予想外にも、本発明者らは、従来技術の現在の必要性および制限を解決する組成物を提供することができた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
したがって、本発明の目的は、新規な組成物、例えば局所組成物、特に、
(I)保湿/保水、乾燥、赤み、「冬になりやすい」皮膚の傾向の減少、および/またはしわの形成の減少、および/またはヒト、哺乳動物もしくは他の動物等の対象におけるそれ以外には健康な皮膚のしわのさらなる発生の減少等の、全体的な化粧学的外観または状態を改善するための化粧品組成物、
(II)ヒト、哺乳動物または他の動物等の対象の局部投与部位における、乾癬および/もしくは関節炎、例えば関節リウマチ、若年性関節リウマチ、変形性関節症もしくは乾癬性関節炎、ならびに/または神経学的疼痛、例えば硬化症、特に多発性硬化症に起因する疼痛の局部症状を軽減または緩和するのに必要な治療有効量での、カンナビジオール、メントール、樟脳および/またはユーカリ油を含む活性成分の利用可能性を改善するための活性成分の局所送達のための医薬組成物、ならびに
(III)皮膚または関節の炎症、局部疼痛、発赤、乾燥および/または刺激性皮膚、掻痒症等の局部症状を軽減または緩和するのに必要な治療有効量での、ヒト、哺乳動物または他の動物等の対象の局部投与部位における活性成分の利用可能性を改善するための、カンナビジオール、メントール、樟脳および/またはユーカリ油を含む活性成分の局所送達に適した医薬組成物
の提供とみなすことができる。
【課題を解決するための手段】
【0023】
第1の態様において、本発明は、水性アルコールゲル組成物であって、
a.0.1~20%、例えば0.1~10%またはより好ましくは0.2~5%(重量基準)の量で存在するカンナビジオールと、
b.0.5~1.5%(重量基準)の量で存在する皮膚浸透促進剤と、
c.10~30%(重量基準)の量で存在するエタノールと、
d.0.4~2%(重量基準)の総量で存在する1種または複数種の増粘剤またはゲル化剤と、
e.組成物に対して合計100%(重量基準)の量の水と、
を含む水性アルコールゲル組成物に関する。
【0024】
いくつかの実施形態において、カンナビジオールは、結晶形態または純粋な形態で提供され、例えば、カンナビジオール調製物は、1.5%、1.0%または0.5%(重量基準)未満の、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビノール(CBN)のいずれか1つ、および/または1.0%未満のテトラヒドロカンナビノール(THC)を含む。
【0025】
第2の態様において、本発明は、ヒト、哺乳動物または他の動物等の対象における、関節炎、特に関節リウマチ、変形性関節症、若年性関節リウマチおよび/もしくは乾癬性関節炎に起因する症状、例えば疼痛、ならびに/または神経学的疼痛、例えば硬化症、例えば多発性硬化症に起因する疼痛の処置または緩和での局部的な局所適用における医薬組成物として使用するための第1の態様による組成物に関する。
【0026】
第3の態様において、本発明は、医薬としての、例えばヒト、哺乳動物または他の動物等の対象における、関節炎、特に関節リウマチ、変形性関節症、若年性関節リウマチおよび/もしくは乾癬性関節炎に起因する症状、例えば疼痛、ならびに/または神経学的疼痛、例えば硬化症、例えば多発性硬化症に起因する疼痛の処置または緩和のための医薬としての、第1または第2の態様による組成物の使用に関する。
【0027】
第4の態様において、本発明は、使用説明書を含む、第1または第2の態様による組成物を含むキットに関する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
発明の詳細な説明
定義:
本発明の文脈において、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、単語の単数形は複数を含むことができ、逆もまた同様である。したがって、「a、」、「an」、および「the」という言及は、一般に複数のそれぞれの用語を含む。例えば、「成分(ingredient)」または「方法(method)」への言及は、複数のそのような「成分」または「方法」を含むことができる。
【0029】
同様に、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、および「含む(comprising)」という単語は、排他的ではなく包括的に解釈されるべきである。本開示によって提供される実施形態は、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素を欠いていてもよい。したがって、「含む(comprising)」という用語を使用して定義された実施形態の開示は、「開示された構成要素から本質的になる(consisting essentially of)」実施形態および「開示された構成要素からなる(consisting of the disclosed components)」実施形態の開示でもある。本明細書で使用される場合、特に用語のリストが続く場合、「例えば(for example)」、「例えば(e.g.)」または「等(such as)」のような用語は、単なる例示および実例であり、排他的または包括的であると見なされるべきではない。本明細書に開示される任意の実施形態は、本明細書に開示される任意の他の実施形態と組み合わせることができる。
【0030】
「いくつかの実施形態において(in some embodiments)」という語句は、「1つまたは複数の実施形態において(in one or more embodiments)」と互換的に使用することができる。
【0031】
他に示されない限り、本明細書に示される全てのパーセンテージは、組成物の総重量の重量基準である。
【0032】
本明細書で使用される場合、「約(about)」は、数値の範囲内の数字、例えば、参照される数字の+/-10、+/-5、+/-2、+/-1、+/-0.5、+/-0.1%の範囲内の数字を指すと理解される。いくつかの実施形態において、範囲は、参照される数字の+/-20%である。さらに、本明細書におけるすべての数値範囲は、その範囲内のすべての整数、全数または分数を含むと理解されるべきである。「約」はまた、当分野で慣習的な変動および/または不確実性を示し得る。
【0033】
「対象(subject)」は、例えば、ヒトまたは動物、例えば哺乳動物、鳥類、爬虫類、家畜またはペットであり得る。本開示は、特定の動物、ヒトおよび/または人口統計に限定されると解釈されるべきではない。いくつかの実施形態において、対象はヒトである。いくつかの実施形態において、対象は動物である。いくつかの実施形態において、動物は、ネコ、イヌ、またはウマ等の哺乳動物である。いくつかの実施形態において、動物は、鳥類、爬虫類、家畜またはペットである。いくつかの実施形態において、対象は、ヒト、例えば乳児、小児、青年、成人または高齢者である。
【0034】
本組成物は、乾癬を起こしやすい皮膚領域の正常化罹患皮膚に対してプラスの効果を有する。したがって、一定期間にわたる本発明による組成物の局部適用は、患部における乾癬の症状(紅斑、痒み/掻痒および鱗状皮膚)を軽減する、またはさらに排除する。最初の試験は、罹患した皮膚領域への水性アルコールゲルの1日1~5回の適用による1日1~3週間の期間の局所使用が、皮膚の赤み、斑点の鱗状の外観を減少させ、罹患した皮膚領域の痒み/掻痒症を大幅に減少させることを示している。水性アルコールゲルは、増殖活性阻害を引き起こす。乾癬は、ケラチノサイトの過剰増殖を生じる炎症性皮膚疾患であるため、本発明による水性アルコールゲルは、この疾患の治療に有益であり得る。
【0035】
本組成物はさらに、リウマチの局部処置においてプラスの効果を有するようである。したがって、本発明による組成物の局部適用は、リウマチに罹患した関節からの疼痛を軽減する。したがって、本組成物は、局部適用される軽度の鎮痛薬として使用され得、したがって、患者の他のNSAIDまたはリウマチに対する他の処方薬の摂取を減少させ得る。軽度のリウマチの場合、または患者の疼痛レベルが低い期間において、本組成物はさらに、患者のリウマチに対して服用されるNSAIDまたは他の薬物を置き換えることができる。同様に、本組成物はさらに、硬化症、例えば多発性硬化症に起因する疼痛等の神経学的疼痛の局部処置にプラスの効果を有すると思われる。
【0036】
本組成物は、哺乳動物等の対象、特にヒトの状態の処置、緩和および/または軽減にプラスの効果を有する。上記状態は、乾癬および/または乾癬関連状態、例えば関節炎、リウマチならびに/または関節炎および/もしくはリウマチ関連状態、例えば関節痛、腫脹した関節等を含み得る。関節炎および/または乾癬関連症状に対するCBDの主な効果を表Aに示す。
【表1】
【0037】
水性アルコールゲルはさらに非毒性であり、皮膚への局部適用においてカンナビジオールの経皮送達を増加させる。皮膚/表皮を通じたカンナビジオールの吸収は、適用されたカンナビジオールの46%を超えるほど高くなり得る。比較として、カンナビジオールを経口投与した場合、10%未満が胃腸通路を通して吸収される。
【0038】
それにより、カンナビジオールは、水性アルコールゲルが適用される表皮および/または皮膚の下の組織、例えば腱、筋肉、軟骨等の局部領域でより容易に利用可能になる。これは、乾癬および/または異なるタイプの関節炎からの症状の緩和に関連してカンナビジオールの局部的な効果を低下させることなく、(経口投与と比較して)ヒトに局所的および局部的に投与されるカンナビジオールの量が大幅に減少するため、経口投与によって引き起こされる副作用を軽減または排除し、コストを削減する。
【0039】
カンナビジオールは親油性であり、したがってエタノールに容易に溶解するが、カンナビジオールは水性媒体にほとんど溶解しないため、水性アルコールゲルはカンナビジオールの溶解にも優れている。したがって、カンナビジオールの溶解は、最初にカンナビジオールをエタノールに溶解し、次いでカンナビジオール含有エタノール画分を残りの成分を含む水性画分と混合して水性アルコールゲルを調製することによって行うことができる。さらに、エタノールはカンナビジオールの良好な溶媒であるため、水性アルコールゲル中のエタノールの存在は、カンナビジオールの皮膚浸透促進剤としても作用する。
【0040】
カンナビジオールは、0.1~20%、例えば0.1~10%の量で存在する。インビトロ実験では、水性アルコールゲル中の0.1~5%(重量基準)、特に1%以上のカンナビジオールの濃度が上記の治療効果を提供することが示されている。
【0041】
水性アルコールゲルは、極めて親油性のカンナビジオール、ならびに/またはメントール、樟脳および/もしくはユーカリ油を含む他の活性成分の皮膚浸透をさらに増強するために、0.5~1.5%(重量基準)の量で存在する少なくとも1種の皮膚浸透増強剤をさらに含む。したがって、好ましい浸透促進剤は油性物質である。好ましい浸透促進剤は、例えば、ミリスチン酸イソプロピル(Cas登録番号:110-27-0)、g.ジメチルスルホキシド(DMSO)(Cas登録番号:67-68-5)、尿素/カルバミド(Cas登録番号:57-13-6)またはそれらの任意の組み合わせを含む。最も好ましい浸透促進剤は、ミリスチン酸イソプロピルである。いくつかの実施形態において、水性アルコールゲルは、ミリスチン酸イソプロピル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、尿素、およびそれらの任意の組み合わせから選択される0.5~1.5%(重量基準)の皮膚浸透促進剤を含む。
【0042】
水性アルコールゲル中に存在するミリスチン酸イソプロピルおよびエタノールの特定の組み合わせは、カンナビジオールの皮膚浸透を大幅に増強する。エタノールもまた、カンナビジオールの皮膚浸透を促進している。エタノールとの皮膚接触は、皮膚に微小亀裂を生じさせると考えられる。微小亀裂の形成は、以下にさらに記載されるような他の浸透促進剤、例えばミリスチン酸イソプロピルおよび/または樟脳、メントール等が増加した皮膚浸透を示すことを可能にする。それにより、カンナビジオールの皮膚浸透もさらに増加する。
【0043】
水性アルコールゲル中に10~30%(重量基準)の量で存在するエタノール。好ましくは、水性アルコールゲルは、15~25%(重量基準)のエタノールを含む。
【0044】
水性アルコールゲルのゲルまたはゲル様の質感を提供するために、1種以上の増粘剤またはゲル化剤が、0.4~2%(重量基準)の総量で存在する。好ましい増粘剤/ゲル化剤は、アクリレートクロスポリマー、特にC10~C30アルキルアクリレートクロスポリマー(例えば、Carbopol(登録商標)の商品名で一般的に市販されている)、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガムおよび/またはそれらの任意の組み合わせから選択される。言及される増粘剤の量は、適用中にゲルが流れ落ちないことを確実にするのに十分である。いくつかの実施形態において、水性アルコールゲルは、アクリレートクロスポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガムおよび/またはそれらの任意の組み合わせから選択される増粘剤および/またはゲル化剤を含む。
【0045】
水性アルコールゲルはまた、1種または複数種の薬学的に許容されるアジュバント、例えば抗酸化剤、乳化剤、pH調整剤、例えば酸、塩基もしくはその塩、安定剤、着色剤、またはそれらの任意の組み合わせの1種または複数種を含み得る。
【0046】
さらなる1種または複数種の乳化剤を使用して、ゲル中に存在する水相および油性物質のエマルジョンを提供することができる。適切な乳化剤は、例えば、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム(例えば、Carbopol(登録商標)として市販されている)である。乳化剤は、好ましくは0.01~0.03%(重量基準)の総量で存在する。そのような適切なステアロイルグルタミン酸ナトリウム乳化剤の例は、商品名Carbopol980、Carbopol974pまたはCarbopol9409で示されている。
【0047】
水性アルコールゲルは、合計100%となるように組成物としての量の残部の水を含む。特に明記しない限り、水は、飲料水品質、MilliQ水(例えば、少なくとも18.2MΩ.cm(25℃)の抵抗率および5ppb未満のTOC値を有する精製水)、または蒸留水である。
【0048】
水性アルコールゲルは、好ましくは10~25%(重量基準)の塩化ナトリウム、特に海塩、またはより好ましくは死海塩をさらに含み得る。塩化ナトリウムは長期の掻痒症および/または死んだ皮膚細胞を皮膚表面から除去するのを助けるため、水性アルコールゲル中の塩化ナトリウムの存在は乾癬に関してプラスの効果を有する。いくつかの実施形態において、組成物は、10~15、15~20、または20~25%(重量基準)の塩化ナトリウム、例えば死海塩を含む。
【0049】
乾癬を起こしやすい皮膚への皮膚保湿剤の適用は、乾癬を起こしやすい皮膚をさらに鎮静させ、症状、特に発赤の鱗状皮膚および/または痒み/掻痒症を軽減するため、組成物は、好ましくは、
i.0.01~1%(重量基準)のアロエバルバデンシス(aloe barbadensis)葉の抽出物、
ii.1~5%(重量基準)のパンテノール、
iii.0.1~1~5%(重量基準)のパルミチン酸レチニル、
iv.0.5~5%(重量基準)のグリセリン、
またはそれらの任意の組み合わせから選択される1種または複数種のスキンケアまたは皮膚保水剤/保湿剤をさらに含み得る。保湿剤はまた、水性アルコールゲル中に存在するエタノールの適用から生じる皮膚の乾燥(ひいては皮膚上の保護脂肪層の潜在的な除去)を和らげることができる。さらに、カンナビジオールは上述の1種以上の保湿剤の効果を増強する、またはその逆も成り立つように見え、したがって実際には、組成物が適用される皮膚の再生および/または補水/保湿において相乗効果を提供し得る。
【0050】
特に明記しない限り、「アロエバルバデンシス(aloe barbadensis)葉」は、通常粉末の形態の凍結乾燥された葉を指す。
【0051】
1種または複数種のスキンケアまたは皮膚保水剤/保湿剤の好ましい量を以下に列挙する。
i.0.01~0.5%(重量基準)、またはより好ましくは0.01~0.2%(重量基準)のアロエバルバデンシス(aloe barbadensis)葉の抽出物、
ii.1~5%(重量基準)、またはより好ましくは2~3%(重量基準)のパンテノール、
iii.0.1~1%(重量基準)、またはより好ましくは0.1~0.5%(重量基準)のパルミチン酸レチニル、
iv.0.5~5%(重量基準)、またはより好ましくは0.5~2.5%(重量基準)のグリセリン。
【0052】
局所組成物は、好ましくは、0.5~5%(重量基準)のメントールおよび/または0.1~2%(重量基準)の樟脳から選択される1つまたは複数のさらなる成分をさらに含み得る。好ましくは、メントールは、1~4重量%またはより好ましくは1.5~3%(重量基準)の量で存在する。樟脳は、好ましくは0.2~1.0%(重量基準)またはより好ましくは0.4~0.8重量%の量で存在する。さらに、極めて親油性のカンナビジオールの皮膚浸透性をさらに高めるために、好ましくは0.5~1.5%(重量基準)、またはより好ましくは0.4~0.8重量%の量でユーカリ油を添加することができる。
【0053】
メントール、樟脳および/またはユーカリ油は、皮膚に適用されたときに冷却感を提供し、それによりリウマチに罹患している関節の痛みのレベルを軽減または低減することができる。さらに、樟脳、メントールおよび/またはユーカリ油はまた浸透促進剤として作用し、カンナビジオールの皮膚浸透をさらに改善する。いくつかの実施形態において、水性アルコールゲルは、0.5~5%(重量基準)のメントール、0.1~2%(重量基準)の樟脳および/または0.5~1.5%(重量基準)のユーカリ油を含む。
【0054】
局所組成物は、好ましくは、酸化防止剤、pH調整剤、例えば酸もしくは塩基、安定剤、着色剤またはそれらの任意の組み合わせから選択される1種または複数種の薬学的に許容されるアジュバントをさらに含み得る。
【0055】
好ましい酸化防止剤は、ビタミンE(トコフェロール)またはその1つもしくは複数の誘導体、関節型酢酸トコフェリル(articular tocopheryl acetate)(CAS番号58-95-7)である。酢酸トコフェリル等の酸化防止剤は、1~3%(重量基準)の総量で存在し得る。さらに、酢酸トコフェロールは、創傷治癒を改善し、局所適用した場合に瘢痕組織の形成を減少させることが知られており、これは乾癬の処置または症状の軽減に関して非常に有益であろう。
【0056】
他の適切な酸化防止剤の例としては、クエン酸、アスコルビン酸および/またはそれらの組み合わせが挙げられ得る。後者はpH調整剤としても作用する。リン酸もまたpH調整剤として適用されてもよく、水性アルコールゲル中にリン酸緩衝系を提供するため、水性アルコールゲル中で安定なpHを確保し得る。
【0057】
例えば、フィチン酸(CAS番号:83-86-3)が加えられてもよい。フィチン酸は、リン酸イオンを遊離させることができ、したがって、ゲルにおけるリン酸緩衝効果の生成に起因してpH安定性を提供することができる。
【0058】
アルカリ性pH調整剤には、一般的に使用される水溶性および非毒性塩基、例えば水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムが含まれる。
【0059】
好ましくは、水性アルコールゲル中のpHは5~9、または好ましくは6~8.5である。いくつかの実施形態において、ゲルのpHは、皮膚のpH、例えばわずかに酸性のpHを模倣する。したがって、いくつかの実施形態において、pHは4.5~6.5である。いくつかの実施形態において、水性アルコールゲルのpHは、4.5~5.5、5.0~6.0、5.5~6.5、6.0~7.0、6.5~7.5、7.0~8.0、7.5~8.5、または8.0~9.0である。
【0060】
水性アルコールゲルの調製に使用されるカンナビジオールは、結晶性粉末であってもよい。結晶性カンナビジオール粉末は、天然大麻植物から得られ、全身性の精神賦活作用はゲルの局部投与の望ましくない副作用であるため、他の天然に存在するカンナビノイド、特にTHC等の精神賦活作用を有するカンナビノイドの非常に高い純度および非常に低いまたは超低レベルの残留痕跡を有する。
結晶性カンナビジオールは、合計で2%(重量基準)未満の他のカンナビノイドの非常に低レベルの痕跡を有し、0.1%(重量基準)未満のTHCを含む。
【0061】
いくつかの実施形態において、結晶性CBDは以下のように特徴付けられ得る(表B)。
【表2】
CBDV=カンナビジバリン(カンナビジバロールとも呼ばれる)、CBDA=カンナビジオール酸、CBG=カンナビゲロール、CBN=カンナビノール、THC=テトラヒドロカンナビノール。
カンナビジオール(CBD)にはCAS番号13956-29-1が割り当てられている。その実験式はC
21H
30O2である。CBDの化学構造を以下に示す。
【化1】
構造I:カンナビジオール
【0062】
驚くべきことに、予想外にも、本発明者らは、「結晶性CBD」等の高純度のCBDの使用が、本明細書に開示される水性アルコールゲルの製剤化および使用において1つまたは複数の利点を提供することを見出した。第1に、CBDは、通常、植物油、例えばヤシ油または麻種子油等のキャリア油に溶解して提供される。一般に、そのような「CBD油」は、約10%(重量基準)の濃度のCBDを含む。したがって、CBD油の使用は、大量の(植物)油を含む製剤をもたらす。例えば、1%のCBD濃度で製剤化されたゲルは、10%の油を含む。いくつかの実施形態において、植物油等の油の使用および/または存在は、油がアレルギー反応を引き起こす可能性があるため、製剤中では望ましくない。いかなる理論にも束縛されることを望まないが、軟膏、例えば疼痛緩和軟膏を含む局所組成物を含む多くの植物油を考慮すると、植物油を含む製剤は、本明細書に開示される植物油を含まない製剤よりも効率が低いことは驚くべきことである。第2に、CBD油からCBDを提供することは、同様および/または同等の効果を提供するために、結晶CBD等の純粋なCBDと比較して、有意により高いCBD用量を必要とした。先行技術は、CBD油中等のより粗製のCBD製剤中のさらなる活性成分の存在が有益な相乗効果を提供することを教示しているため、これは非常に驚くべきことである。
【0063】
いくつかの実施形態において、純粋な結晶性CBDを含む製剤と比較した場合、同様の効果を提供するために、CBD油からの少なくとも10、20、50%またはさらには100%以上のCBDが必要である。
【0064】
いくつかの実施形態において、水性アルコールゲル組成物は、植物油および/または鉱油を含まない。いくつかの実施形態において、組成物は、5、1、または0.1%(重量基準)未満の油、例えば植物油および/または鉱油を含む。
【0065】
いくつかの実施形態において、CBDは、「純粋な」または「結晶性」CBD、例えば、1.5%(重量基準)未満のカンナビジバリン(CBDV)、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビノール(CBN)のいずれか1つ、および/または1.0%(重量基準)未満のテトラヒドロカンナビノール(THC)を含むCBD組成物である。いくつかの実施形態において、「純粋な(pure)」または「結晶性(crystalline)」CBDは、1.0%(重量基準)未満のCBDV、CBDA、CBG、CBNおよび/またはTHCのいずれか1つを含む。いくつかの実施形態において、「純粋な」または「結晶性」CBDは、0.50、0.2、または0.1%(重量基準)未満のCBDV、CBDA、CBG、CBNおよび/またはTHCのいずれか1つを含む。いくつかの実施形態において、CBDV、CBDA、CBGおよびCBNのいずれも1.5%(重量基準)超の濃度で存在せず、THCは1%(重量基準)超の濃度で存在しない。いくつかの実施形態において、CBDV、CBDA、CBG、CBNおよびTHCのいずれも、1.0、0.5、0.2または0.1%(重量基準)超の濃度で存在しない。
【0066】
組成物はまた、表皮に保水/保湿効果を提供する化粧品スキンケア製品としての使用にも適用可能である。さらに、抗菌剤としてのカンナビジオールの特性はまた、軽度の感染から皮膚表面を保護し得る。
【0067】
本明細書に記載の組成物はまた、乾癬の症状を処置、軽減および/または緩和するのに適し得る。一般に、乾癬の重症度は、「軽度」(すなわち皮膚表面の3%未満が乾癬を有する)、「中等度」(皮膚表面の3~10%が乾癬を有する)、および「重度」(皮膚表面の10%超が乾癬を有する)に分けることができる
【0068】
いくつかの実施形態において、水性アルコールゲル組成物は、軽度の乾癬症状の処置、軽減および/または緩和に適している。
【0069】
いくつかの実施形態において、水性アルコールゲル組成物は、中等度の乾癬症状の処置、軽減および/または緩和に適している。
【0070】
いくつかの実施形態において、水性アルコールゲル組成物は、重度の乾癬症状の処置、軽減および/または緩和に適している。
【0071】
いくつかの実施形態において、水性アルコールゲル組成物は、軽度、中等度および/または重度の乾癬症状、すなわち、軽度、中等度および/または重度の乾癬症状の任意の組み合わせの処置、軽減および/または緩和に適している。
【0072】
乾癬の症状を軽減または緩和する目的での局部的な局所適用のための水性アルコールゲル組成物は、本明細書において「乾癬ゲル(psoriasis gel)」とも呼ばれ得る。
【0073】
乾癬からの症状を軽減または緩和する目的での局部的な局所適用のための水性アルコールゲル組成物は、例えば、塩、例えば海塩、例えば死海塩、エタノール、水、パンテノール、酢酸トコフェリル、ヒドロキシセルロース、カンナビジオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸レチニル、グリセリンF、アロエバルバデンシス(Aloe barbadensis)葉およびクエン酸を含み得る。
【0074】
いくつかの実施形態において、乾癬ゲルは、死海塩、グリセリンF、変性エタノール96%、ミリスチン酸イソプロピル、アロエバルバデンシス(Aloe barbadensis)葉、水、パンテノール、ヒドロキシエチルセルロース、カンナビジオールCBD、キサンタン、パルミチン酸レチニル、酢酸トコフェリルおよび任意選択で水酸化ナトリウム、例えば水酸化ナトリウム水溶液を含む。
【0075】
乾癬の処置/軽減および/または緩和に適した乾癬ゲルのさらなる例は、それぞれの成分の適切な範囲を含めて、上記および/または下記に示される。
【0076】
乾癬からの症状を軽減または緩和する目的での局部的な局所適用のために特に調製されるより好ましい水性アルコールゲル組成物は、
0.1~20%(重量基準)またはより好ましくは0.1~10%(重量基準)のカンナビジオール、
0.5~1.5%(重量基準)の皮膚浸透促進剤、特にミリスチン酸イソプロピル、
0.5~1.5%(重量基準)のグリセリン、
10~30%(重量基準)のエタノール、
上述のように合計で0.4~2%(重量基準)の1種または複数種の増粘剤またはゲル化剤、
12~18%(重量基準)の塩化ナトリウム、特に海塩、またはより好ましくは死海塩、
0.01~1%(重量基準)のアロエバルバデンシス(aloe barbadensis)葉の抽出物、
1~5%(重量基準)のパンテノール、
0.1~1.5%(重量基準)のパルミチン酸レチニル、
0.5~5%(重量基準)のグリセリン、および
組成物に対して合計100%までの量の水
を含む、それらから本質的になる、および/またはそれらを組み合わせることにより提供され得る。
【0077】
乾癬からの症状を軽減または緩和する目的での局部的な局所適用のために特に調製されるさらなる水性アルコールゲル組成物は、
0.5~2.0%(重量基準)またはより好ましくは約1.0%(重量基準)のカンナビジオール、
0.3~1.5%(重量基準)またはより好ましくは約0.9%(重量基準)の皮膚浸透促進剤、特にミリスチン酸イソプロピル、
0.1~0.5%(重量基準)またはより好ましくは約0.2%(重量基準)のグリセリン、
10~30%(重量基準)のエタノールまたはより好ましくは約15%(重量基準)のエタノール、特に96%エタノール、例えば96%変性エタノール、
0.5~2.5%(重量基準)またはより好ましくは約1.5%(重量基準)の1種または複数の増粘剤またはゲル化剤、特にヒドロキシエチルセルロース、
10~20%(重量基準)またはより好ましくは約15.0%(重量基準)の塩化ナトリウム、特に海塩、またはより好ましくは死海塩、
0.01~1%(重量基準)またはより好ましくは約0.05%(重量基準)のアロエバルバデンシス(aloe barbadensis)葉の抽出物、
1.5~4.0%(重量基準)またはより好ましくは約2.75%(重量基準)のパンテノール、
0.1~0.5%(重量基準)またはより好ましくは約0.3%(重量基準)のパルミチン酸レチニル、
0.1~0.3重量%(重量基準)またはより好ましくは約0.2%(重量基準)のグリセリン、
0~01~0~03%(重量基準)またはより好ましくは約0.02%(重量基準)の抗酸化剤、例えばクエン酸、特にクエン酸一水和物、および
組成物に対して合計100%(重量基準)までの量、例えば75.88~53.83%(重量基準)、より好ましくは約61.28%(重量基準)の量の水であって、好ましくは飲料水品質の水である水
を含み得る、それらから本質的になり得る、および/またはそれらを組み合わせることにより提供され得る。
【0078】
乾癬ゲルは、増殖活性阻害を引き起こす。乾癬は、ケラチノサイトの過剰増殖を生じる炎症性皮膚疾患であるため、試験物質は、以下に記載の実施例に示されるように、この疾患の処置に有益であり得る。
【0079】
1つもしくは複数の関節におけるリウマチに起因する局部症状、例えば疼痛を軽減もしくは緩和する、および/または1つもしくは複数の関節における炎症レベルを低下させる、および/または硬化症、例えば多発性硬化症に起因する疼痛等の神経学的疼痛を軽減する目的での局部的局所適用のために特に調製される極めて好ましい水性アルコールゲル組成物は、
0.1~10%(重量基準)のカンナビジオール、またはより好ましくは0.~2.0%(重量基準)のカンナビジオール、
0.5~1.5%(重量基準)の皮膚浸透促進剤、特にミリスチン酸イソプロピル、
20~30%(重量基準)のエタノール、
上述のように合計で0.5~1.5%(重量基準)、またはより好ましくは合計で0.8~1.2%(重量基準)の1種または複数種の増粘剤またはゲル化剤、
1.5~2.5%(重量基準)のメントール、
0.4~0.7%(重量基準)の樟脳、および
組成物に対して合計100%までの量の水を
含む。
【0080】
乾癬からの症状を軽減または緩和する目的での局部的な局所適用のために特に調製される極めて好ましい水性アルコールゲル組成物は、
0.1~10%(重量基準)またはより好ましくは0.5~2.0%(重量基準)のカンナビジオール、
0.5~1.5%(重量基準)の皮膚浸透促進剤、特にミリスチン酸イソプロピル、
0.5~1.5%(重量基準)のグリセリン、
10~20%(重量基準)のエタノール、
上述のように合計で0.4~2%(重量基準)の1種または複数種の増粘剤またはゲル化剤、
12~18%(重量基準)の塩化ナトリウム、特に海塩、またはより好ましくは死海塩、
0.01~1%(重量基準)のアロエバルバデンシス(aloe barbadensis)葉の抽出物、
2~3%(重量基準)のパンテノール、
0.1~0.5%(重量基準)のパルミチン酸レチニル、
1~5%(重量基準)のグリセリン、および
組成物に対して合計100%までの量の水
を含む。
【0081】
いかなる理論にも束縛されることを望まないが、乾癬ゲルは、増殖活性阻害を引き起こすと考えられている。乾癬は、ケラチノサイトの過剰増殖を生じる炎症性皮膚疾患であるため、試験物質は、以下に記載の実施例に示されるように、この疾患の処置に有益であり得る。
【0082】
軽度、中等度および/または重度の乾癬等の乾癬の処置は、
適切な量のゲルを処置される身体の部分に(例えば、0.25g~豆粒大を手、手首もしくは肘に(約25cm2)、または0.5gサイズの豆粒2つ分を足、足首または膝に(約50cm2))優しくマッサージすることによる皮膚表面への乾癬の適用を含み得る。
【0083】
投薬量:1日1~5回、好ましくは1日1~3回、より好ましくは1日1~2回。
【0084】
いくつかの実施形態において、ゲルは、一定時間後に皮膚表面から洗浄される。スキンケア製品として、ある特定の皮膚-アフィン(skin-affine)化粧品物質が残存し得ると考えられる。
【0085】
遅くとも約30分、45分または一時間後、主に過剰な塩を除去するために、皮膚を温かい水道水等の水で濯ぐ、または洗浄する。
【0086】
1つもしくは複数の関節におけるリウマチに起因する症状、例えば疼痛を軽減もしくは緩和する、および/または1つもしくは複数の関節における炎症レベルを低下させる目的での局部的な局所適用のための水性アルコールゲル組成物は、本明細書において「関節炎ゲル(arthirits gel)」とも呼ばれ得る。
【0087】
1つもしくは複数の関節におけるリウマチに起因する局部症状、例えば疼痛を軽減もしくは緩和する、および/または1つもしくは複数の関節における炎症レベルを低下させる目的での局部的局所適用のために特に調製される最も好ましい水性アルコールゲル組成物は、
0.2~5%(重量基準)、またはより好ましくは0.2~2%(重量基準)のカンナビジオール、
0.7~1.1%(重量基準)の皮膚浸透促進剤、特にミリスチン酸イソプロピル、
20~30%(重量基準)のエタノール、
上述のように合計で0.5~1.5%(重量基準)、またはより好ましくは合計で0.8~1.2%(重量基準)の1種または複数種の増粘剤またはゲル化剤、
1.5~2.5%(重量基準)のメントール、0.4~0.7%(重量基準)の樟脳、
0.05~0.3%(重量基準)のフィチン酸(50%純度)および
組成物に対して合計100%までの量の水
を含む。
【0088】
乾癬からの症状を軽減または緩和する目的での局部的な局所適用のために特に調製される最も好ましい水性アルコールゲル組成物は、
0.2~5%(重量基準)またはより好ましくは0.2~2.0%(重量基準)のカンナビジオール、
0.7~1.1%(重量基準)の皮膚浸透促進剤、特にミリスチン酸イソプロピル、
0.5~1.5%(重量基準)のグリセリン、
10~20%(重量基準)のエタノール、
上述のように合計で0.4~2%(重量基準)の1種または複数種の増粘剤またはゲル化剤、
12~18%(重量基準)の塩化ナトリウム、特に海塩、またはより好ましくは死海塩、
0.01~0.1%(重量基準)のアロエバルバデンシス(aloe barbadensis)葉の抽出物、
2~3%(重量基準)のパンテノール(75%純度)、
1.0~3.0%(重量基準)の酢酸トコフェロール
0.1~0.5%(重量基準)のパルミチン酸レチニル、
1~3%(重量基準)のグリセリン、
0.01~0.03%(重量基準)のステアロイルグルタミン酸ナトリウム(O/W型乳化剤)
0.01~0.03%(重量基準)のクエン酸(一水和物)および
組成物に対して合計100%までの量の水
を含む。
【0089】
乾癬ゲルは、増殖活性阻害を引き起こす。乾癬は、ケラチノサイトの過剰増殖を生じる炎症性皮膚疾患であるため、試験物質は、以下に記載の実施例に示されるように、この疾患の処置に有益であり得る。
【0090】
上述の組成物は、対象、例えばヒト、哺乳動物または他の動物、例えばネコ、イヌまたはウマにおける関節炎、特に関節リウマチ、変形性関節症、若年性関節リウマチおよび/または乾癬性関節炎から生じる症状、特に疼痛の処置または緩和での局部的な局所適用における医薬組成物としての使用に適用可能である。
【0091】
いくつかの実施形態において、上述の組成物は、ヒト、哺乳動物または他の動物等の対象における乾癬、特に発赤、乾燥、痒み、および/または鱗状皮膚の症状の処置または緩和での局部的な局所適用における医療用組成物としての使用に適用可能である。
【0092】
局所ゲル組成物は、ヒト、哺乳動物または他の動物等の対象の表皮の局部領域に1日1~5回局所的に適用される。いくつかの実施形態において、ゲル組成物は、1日に1回または2回適用される。いくつかの実施形態において、組成物は、1日に3回、4回またはそれ以上適用される。ヒト等の対象に適した投薬量は、例えば手、手首または肘、例えば約25cm2の面積に0.25g(およそ豆粒大)であるか、または0.5gサイズの豆粒2つ分を足、足首または膝に適用する(例えば50cm2)。
【0093】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるゲル組成物は、1回の適用あたり2~250、5~100または10~50mg/cm2の量で対象の局部皮膚領域に局所的に適用される。
【0094】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される1つまたは複数の局所ゲル組成物は、関節炎ならびに/または1つもしくは複数の熱および/もしくは腫脹した関節に関連する疼痛状態を緩和するために適用される。
【0095】
一般に、別段の指示がない限り、本明細書に開示される組成物は局所組成物である。
【0096】
本明細書に開示される組成物はまた、化粧品組成物であってもよい。いくつかの実施形態において、組成物は、化粧品用皮膚保水剤またはスキンケア組成物である。
【0097】
一般に、本発明による組成物中のアルコールの存在は、処置された皮膚表面に対する冷却効果を許容する急速な蒸発を介して対象に有益な効果を提供し得ると考えられる。
【0098】
本明細書に開示されるゲルの使用説明書の例は、実施例11および12に示されている。
【0099】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組成物は、実施例11または12に開示される使用説明書等の使用説明書を含むキットの一部である。多くの場合、組成物は、繰り返し開閉することができる容器または使い捨て容器等の適切な容器に包装される。いくつかの実施形態において、容器は、密封バッグ等の使い捨て容器である。いくつかの実施形態において、容器は、蓋を有するガラスまたはプラスチック容器である。いくつかの実施形態において、容器は、チューブ、例えばスクイーズおよび/もしくは折り畳み式、または当技術分野で公知の別の折り畳み式パッケージである。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組成物は、使用説明書も含み得るキット等の容器に提供される。
【0100】
本発明のさらなる実施形態は、以下の実施例および図にも開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【実施例】
【0102】
略語
NaF:フッ化ナトリウム
LPS:リポ多糖
IL:インターロイキン
TNF:腫瘍壊死因子
PGE2:プロスタグランジンE2
r.l.u.:相対光単位
SD:標準偏差
DMEM:ダルベッコ改変イーグル培地
FBS:ウシ胎仔血清
EF-1α:伸長因子1α
【0103】
実施例1 インビトロ試験のための乾癬水性アルコールゲルおよびプラセボ乾癬ゲルの調製
【0104】
乾癬ゲルおよびプラセボゲルを、以下の組成物を用いて生成した。
【表3】
表1.乾癬ゲルおよび対応するプラセボゲルの組成
【0105】
エタノールを室温でカンナビジオール、グリセリンおよびミリスチン酸イソプロピルと混合した。
【0106】
水を残りの成分と同じく室温で混合した。次いで、エタノール画分を水性画分に注ぎ、均質な混合物が得られるまで撹拌した。増粘剤を、エタノール画分と混合する前の水性画分に、および/またはエタノール画分と水画分との混合物に添加する。
【0107】
プラセボゲルについては、すべての成分を室温で完全に混合した。
【0108】
実施例2 インビトロ試験のための関節炎水性アルコールゲルおよびプラセボ関節炎ゲルの調製
【0109】
関節炎ゲルおよびプラセボ関節炎ゲルを、以下の組成物を用いて実施例1に記載されるように製造した。
【表4】
【0110】
実施例3 ヒト単球の生存率に対する関節炎ゲル/プラセボの効果
【0111】
単球細胞培養
ヒト初代単球を、標準化された手順に従って、健康なヒト血液ドナーのバフィーコートから調製した。
【0112】
単球細胞処理およびAlamar-Blueアッセイ
生存率測定のために、細胞を96ウェルプレートに220,000細胞/ウェルの密度で播種した。
【0113】
関節炎ゲルおよびプラセボ関節炎ゲル(実施例2で作製した試験品)をそれぞれ細胞培養培地に溶解した。ウェル(100μl)あたり1μlの原液または希釈液を添加した。単球を96ウェルに播種し、NaF(100μg/ml)陽性対照、培地対照および漸増濃度の試験項目と共にインキュベートした。
【0114】
単球を96ウェルに播種し、8つの異なる濃度の試験項目と共にインキュベートした。
【0115】
NaFを陽性対照として使用し、非処理細胞を陰性対照として使用した。試験項目の試験濃度を
図1に示す。
【0116】
24時間のインキュベーション後、10μlのAlamarBlue(登録商標)(Biosource、米国)を各ウェルに添加した。2時間後、544EX nm/590 EM nmフィルター設定を使用して、蛍光分光光度計で蛍光を測定した。蛍光の量は生細胞の数に比例し、細胞の代謝活性に対応する。損傷細胞および非生存細胞は、自然代謝活性がより低く、したがって健康な細胞よりも比例的に低いシグナルを生成する。
【0117】
alamarBlue(登録商標)(レサズリン)の有効成分は、青色で実質的に蛍光性でない非毒性の細胞透過性化合物である。細胞に入ると、レサズリンはレゾルフィンに還元され、これは非常に明るい赤色蛍光を生じる。生存細胞は、レサズリンをレゾルフィンに連続的に変換し、それによって生存率および細胞傷害性の定量的尺度を生成する。
【0118】
ヒト単球における細胞生存率に対する効果を
図1に示す。結果は、対照(100%)と比較した%生存率として表される(平均:n=4±標準偏差)。
【0119】
最大500μg/mlの試験項目、すなわち関節炎ゲルもプラセボ関節炎ゲルも細胞毒性ではなかった。
【0120】
実施例4 ヒト単球の生存率に対する乾癬ゲル/プラセボの効果
【0121】
ヒト単球に対する乾癬ゲルおよびプラセボ乾癬ゲルの細胞毒性を試験するために、実施例1で調製した試験項目に対して実施例3の試験を繰り返した。
【0122】
ヒト単球における細胞生存率に対する効果の結果を
図2に示す。結果は、対照と比較した%生存率として表される(平均:n=4±標準偏差)。
【0123】
最大1000μg/mlの試験項目は、いずれも細胞傷害性ではなかった。
【0124】
500μg/mlの以上の濃度で、プラセボは「より高い生存率」を示すが、これは蛍光測定との干渉に起因する可能性がある。
【0125】
実施例5 LPS誘導性IL-6放出およびPGE2放出に対する関節炎ゲルの効果
【0126】
ヒト初代単球を、3人の健康なヒト血液ドナーのバフィーコートから単離した。
【0127】
ELISA測定のために、細胞を24ウェルプレートに2,200,000細胞/ウェルの密度で播種した。
【0128】
単球を実施例2で調製した試験項目(5つの異なる濃度、使用された濃度を
図3に示す)と共に24時間インキュベートした。
【0129】
LPS(10ng/ml、ネズミチフス菌SL1181)を、試験項目による処置の開始から30分後に添加した。
【0130】
24時間後、上清を除去し、遠心分離し、製造業者のプロトコル(n=6、3人の異なるドナー)を使用してELISAでIL-6(
図3)濃度について調査した。
【0131】
図3に示される結果は、LPS値の%として表される(LPS=100%、平均:n=6±標準偏差)。
【0132】
両方の試験項目(プラセボおよび関節炎ベラム)は、ヒト単球におけるLPS誘導性IL-6放出に影響を及ぼさなかった。
【0133】
【0134】
結果は、LPS値の%として表される(LPS=100%、平均:n=6±標準偏差)。
【0135】
試験した最高濃度では、関節炎ゲル(ベラム)はLPS誘導PGE2放出を阻害したが、関節炎プラセボゲルはLPS誘導PGE2放出をわずかに増強した。
【0136】
実施例6 LPS誘導TNF放出に対する乾癬ゲルの効果
【0137】
3人の異なるドナーのヒト単球をLPS(10ng/ml)で刺激し、実施例1で作製した漸増濃度の試験項目、すなわち乾癬ゲルおよびプラセボ乾癬ゲルと共にインキュベートした。試験項目の使用された濃度を
図5に示す。結果は、LPS値の%として表される(LPS=100%、平均:n=6±標準偏差)。
【0138】
両方の試験項目(乾癬ゲル(ベラム)およびプラセボ)は、LPS誘導TNFα放出に影響を及ぼさなかった。
【0139】
実施例7 ケラチノサイトの増殖に対する乾癬ゲルの効果。
【0140】
乾癬ゲル(PG)およびプラセボ乾癬ゲル(PPG)を、ケラチノサイトの増殖に対する効果について試験した。
【0141】
増殖に対する効果に関して以下の濃度を調査した:10、25、50、100、250、500、1000μg/ml。
【0142】
ケラチノサイト細胞培養:
細胞株HaCaTおよびHaCaT-NucLight-Red(ケラチノサイト)を、10%FBSおよび1%抗生物質ペニシリン/ストレプトマイシンを含有する補充DMEM培地(DMEM完全培地)中、37℃、5%CO2の加湿雰囲気で培養した。本発明者らの研究室において、HaCaT-NucLight-Red細胞を、EF-1αプロモーター下の核制限赤色蛍光タンパク質をコードするレンチウイルスによる感染によって作製した。
【0143】
増殖アッセイ
NucLight試薬と組み合わせたIncuCyte(商標)生細胞画像化システムは、増殖の測定のための生細胞動態アッセイを提供する(Essen BioScience)。HaCaT-NucLight-Red細胞を、5%CO2の加湿雰囲気下、37℃で96ウェルプレートに5×103細胞/ウェルの密度で播種した。次いで、細胞培養物を、FBS10%を含有するDMEM培地中の選択された濃度の試験物質で処理し、プレートをIncuCyte ZOOM生細胞顕微鏡(Essen BioScience)に導入し、24時間ごとにさらに72時間画像を撮影した。データを、ライブコンテンツ細胞画像化システム(live content cell imaging system)IncuCyte HD(Essen BioScience、Hertfordshire、英国)の全積分強度(RCU×μm2×ウェル)によって分析した。試験項目の各濃度のアッセイを3通りのウェルで行った。
【0144】
HaCaT-NucLight-Red細胞を、24、48および72時間表示用量の試験物質またはプラセボで処理した。増殖活性を、IncuCyte ZOOM生細胞画像化システムによって評価した。結果を表7に示す。
【0145】
試験物質は、
図7に見られるように、24、48および72時間後に1000μg/mlの用量でプラセボと比較して増殖を減少させる。残りの用量については有意な変化は見られなかった(
図7)。
【0146】
実施例8 乾癬ゲルのヒト試験
【0147】
4人の被験者(すべて女性)が、実施例1に従って調製された乾癬ゲル(ベラム/プラセボ)の試験を受けた。
【0148】
以下の表3に示すように、4人すべてが活動性乾癬斑を有していた。試験期間中、被験者のいずれも他の薬剤を服用しなかった。
【0149】
各被験者は、ゲルを試験する前、および試験中、すなわち表3に記載の乾癬スポットにゲルを適用してから1時間後、また1日の平均として、0~10スケール(0=無症状、10=乾癬でこれまで経験した最悪の症状)で症状を評価するように要求された。表3に記載の日数の間ゲルを試験した後も同様である。
【0150】
各被験者は、試験期間(表3に記載の期間)中、1日2回、指定されたスポットにわたって乾癬ゲル(ベラムまたはプラセボ)を適用した。
【0151】
被験者1、2および4は、ゲルの適用後約1時間で塩層が出現したと報告した。塩層は、濡れた布で容易に除去された。
【0152】
被験者1、2および4はすべて、適用後10~20分以内に痒みが消失したと報告した。被験者1および4は、ゲルの適用直後に熱感を経験したと報告した。
【表5】
【0153】
この試験は、ベラム乾癬ゲルが、1日2回適用された場合、乾癬の痒み、鱗状形成、発赤および持続期間を減少させることを明確に示している。プラセボゲルは、痒み、鱗状形成または発赤の症状の有意な減少をもたらさない。
【0154】
実施例9
【0155】
3人の被験者が関節炎ゲルを試験した。2人の被験者は右肘から変形性関節症の症状を有し、3人目の被験者は首からの症状を有していた。
【0156】
各被験者は、ゲルを試験する前、および試験中、すなわち肘/首にゲルを適用してから1時間後、1日の平均として、0~10スケール(0=無症状、10=関節炎によりこれまで経験した最悪の疼痛)で症状を評価するように要求された。日数の間ゲルを試験した後も同様である。
【0157】
被験者のいずれも、変形性関節症に対する処方薬を服用しなかった。試験期間の開始時に3人の被験者全員が市販の鎮痛剤を服用した。被験者1および2は、試験期間中、イブプロフェンを1日3回(400mg)摂取し、試験者3はパラセタモールを1日4回2×500mgを摂取した。
【0158】
各被験者は、試験期間(表4に記載の期間)中または疼痛が現れたら、関節炎ゲル(ベラム)を上記の関節に1日2回適用した。
【0159】
3人の被験者全員が、ゲルの適用後数分以内にわずかな疼痛緩和があり、1~2時間後に疼痛が0に近かったことを報告した。
【表6】
【0160】
この試験は、ベラム関節炎ゲルが1日2回適用された場合に関節から疼痛を軽減することを明確に示している。
【0161】
実施例10
【0162】
軽度の多発性硬化症(MS)に罹患している2人の被験者が、関節炎ゲル相対物およびMSによって引き起こされる局部神経学的疼痛に対する効果を試験した。両方の被験者は、腕にMSによって引き起こされる疼痛を有していた。1人の被験者は右腕のみにMS関連疼痛を経験し、1人の被験者は両腕にMS関連疼痛を経験した。
【0163】
各被験者は、ゲルを試験する前、および試験中、すなわち右腕にゲルを適用してから1時間後、1日の平均として、0~10スケール(0=無症状、10=関節炎によりこれまで経験した最悪の疼痛)で神経学的疼痛を評価するように要求された。数日間ゲルを試験した後も同様である。
【0164】
両方の被験者は、MSに対する医薬、両方の場合においてRebif22(登録商標)(インターフェロンベータ-1a(CHO-ゼレン、22mg)を、両方の場合において週に3回投薬された。試験中にその毎週の用量を減少させた者はいなかった。疼痛発作がある期間中、両方の被験者はイブプロフェン400mgを1日3回服用した。
【0165】
各被験者は、試験期間(表5に記載の期間)中、関節炎ゲル(ベラム)を右腕に1日2回適用した。第2の被験者の左腕は処置しなかった。第1の被験者は、14日間でMS発作を起こした。第2の被験者は、60日間でMS発作を起こした。両方の被験者は14日間関節炎ゲルを試験した。
【0166】
両方の被験者は、ゲルの適用後数分以内にある程度の疼痛緩和があったことを報告し、2時間後、疼痛は右腕で0に近かったが、第2の被験者の左腕では疼痛は軽減されなかった。
【表7】
【0167】
試験結果に関する結論:
【0168】
関節炎ゲルプラセボおよび関節炎ゲル(ベラム):
【0169】
試験した最高濃度(500μg/ml)では、関節炎ゲルAT-0918-400-02ベラムはLPS誘導PGE2放出を阻害したが、プラセボはLPS誘導PGE2放出をわずかに増強した。
【0170】
プロスタグランジンE2(PGE-2)は、通常、感染または炎症に応答して血管壁によって放出され、脳に作用して発熱および/または疼痛の感知を誘発する。したがって、LPS誘導PGE2放出を阻害することによって、ベラム関節炎ゲルは、局部処置領域の温度上昇および感知される疼痛のレベルを低下させるのにも役立ち得る。
【0171】
さらに、樟脳およびメントールは、カンフルおよび/またはメントールが局所的に適用される皮膚領域の血液循環を改善することが知られている。したがって、水性エタノールゲル中のメントール、樟脳およびカンナビジオールの組み合わせは、カンナビジオールの皮膚浸透を改善するだけでなく、互いに増強し、関節炎ゲルで処置された局部的な局所領域の近傍の痛みの軽減を促進するようである。
【0172】
実施例9における被験者による試験は、ベラム関節炎ゲルが関節から疼痛を軽減することを明確に示している。この効果は、少なくとも1日2回適用した場合に見られる。
【0173】
プラセボ乾癬ゲルおよび乾癬ゲル(ベラム):
【0174】
両方の試験項目(プラセボおよびベラム)は、LPS誘導TNFα放出に影響を及ぼさなかった。
【0175】
生存率HaCaTに対する試験項目の効果を予備的に分析した。最大1000μg/mlの試験項目は、いずれも細胞傷害性ではなかった。
【0176】
したがって、増殖に対する効果に関して以下の濃度を調査した:10、25、50、100、250、500、1000μg/ml。
【0177】
乾癬ゲル(ベラム)は、増殖活性阻害を引き起こす。しかしながら、これらの効果はプラセボでも観察されるが、ベラムよりも低い程度であることが考慮されるべきである。乾癬は、ケラチノサイトの過剰増殖を生じる炎症性皮膚疾患であるため、試験物質はこの疾患の処置に有益であり得る。
【0178】
さらに、実施例8の被験者(複数)に対して試験した場合、試験は、ベラム乾癬ゲルが、乾癬の痒み、鱗状形成、発赤および持続期間を減少させることを明確に示している。この効果は、少なくとも1日2回適用した場合に見られる。プラセボゲルは、痒み、鱗状形成または発赤の症状の有意な減少をもたらさない。
【0179】
MSからの神経学的疼痛に対する関節炎ゲル(ベラム)の効果:
実施例10における試験は、ベラム関節炎ゲルがMSの発作からの疼痛を軽減することを明確に示している。この効果は、少なくとも1日2回適用した場合に見られる。
【0180】
実施例11
使用説明書-関節炎ゲル
関節炎ゲルはどのように機能するのか?
関節炎ゲルは、アルコール/水混合物を含むゲル調製物であり、
-関節リウマチで起こる疼痛状態を軽減し、
-伝導性の冷却効果をもたらす。
関節炎ゲルは医療機器である。有効性および安全性は、欧州医療機器指令(European Directive on Medical Devices)(93/42/EEC)に従って試験されている。
関節炎ゲルの作用原理:
関節炎ゲルは、熱関節および腫脹した関節の疼痛状態において、ゲル調製物の形態で外部に適用される。これは、関節炎の外部処置を補助し、これらの患者に生じる疼痛状態を軽減するために使用される。主な物理的効果は、アルコール/水混合物によってもたらされる。ゲルが皮膚に適用されると、アルコールが蒸発し、処置された皮膚表面に対してより速い伝導性の冷却効果をもたらす。
適用領域
医療機器は、関節炎の外部処置を補助し、また熱関節および腫脹した関節の疼痛状態を軽減するために使用される。
投薬方法、適用の種類および期間
いつ、どれ程の頻度で、どれ程の期間関節炎ゲルを使用すべきか?
必要に応じて、チューブから1日に数回使用し、関連する身体領域に適用し、マッサージすることができる。投薬量の推奨:手、手首または肘に0.25gサイズの豆粒大を適用し、足、足首または膝に0.5gサイズの豆粒2つ分を適用する。処置開始後2~3日以内に改善が見られない場合、または症状が著しく悪化している場合は、医師に相談すること。
本製品は一時的使用のためのものである。
アルコールまたは成分にアレルギーがある人は使用しないこと。
注意
子供の手の届かないところに保管すること。
妊娠中または授乳中のゲル使用に対する証拠はない。
禁忌
関節炎ゲルは、成分のいずれかに対する過敏症が知られている場合は使用すべきではない。本製品を他の製品と同時に肌面に使用しないこと。
相互作用
薬物相互作用を避けるために、1~2時間間隔で薬剤を適用するか、または医師に相談するべきである。
医療機器の耐久性に関する説明および情報
関節炎ゲルは、カートンに「使用期限」と記された日付までしか使用することができない。
医薬形態および含有量
原包装は50mlゲルである。
組成
活性成分:アルコール/水混合物
他の成分:
メントール、水酸化ナトリウム溶液、カンナビジオール、アクリレートクロスポリマー、ミリスチン酸イソプロピル、樟脳、フィチン酸
防腐剤不使用。
涼しく乾燥した日光の当たらない場所に保管すること。小さな色の変化は、本製品の有効性に影響しない。開封したチューブは30日以内に使用すること。
【0181】
実施例12
使用説明書-乾癬ゲル
乾癬ゲルはどのように機能するのか?
乾癬ゲルは、死海塩を含むゲル調製物であり、
-乾癬の外部処置を緩和および補助し、
-落屑プロセスならびにフケおよび乾燥関連の発赤の低減を促進する。
乾癬ゲルは医療機器である。有効性および安全性は、欧州医療機器指令(European Directive on Medical Devices)(93/42/EEC)に従って試験されている。
乾癬ゲルの作用原理
乾癬ゲルは、皮膚に適用されるゲルの形態の死海塩の局所製剤である。医療機器の意図される効果は、死海塩によってもたらされる。作用様式は、落屑プロセスを促進し、フケおよび乾燥関連の発赤を低減することである。ゲルを適用した後、浸透圧および保湿効果(水分保持効果)が生じる。この場合、水は高張性生理食塩水によってゲルに吸収および保持される。これは、エタノールからの物理的伝導性冷却効果によって補助される。さらに、乾癬ゲルは、医療機器内の主成分を含み、皮膚の保水を改善し、したがって新たなフケに対抗する。
適用領域
乾癬ゲルは、典型的な症状、例えば乾燥した、赤みを帯びた、およびふけが多い皮膚を有する乾癬の外部処置を軽減および補助するために使用される。
投薬方法、適用の種類および期間
いつ、どれ程の頻度で、どれ程の期間乾癬ゲルを塗布すべきか?
必要に応じて、チューブから対応する量を1日に数回取り出し、関連する身体領域に適用し、マッサージすることができる。
投薬量の推奨:手、手首または肘に0.25g(豆粒大)を適用し、足、足首または膝に0.5g(豆粒2つ分)を適用する。
ゲルは、(塩を除去するために)最大1時間以内に皮膚の表面から洗い流さなければならない。皮膚表面への適用および連続適用は、30日間まで可能である。
処置開始後2~3日以内に改善が見られない場合、または症状が著しく悪化している場合は、医師に相談すること。
本製品は一時的使用のためのものである。
成分にアレルギーがある人は使用しないこと。
注意
子供の手の届かないところに保管すること。
妊娠中または授乳中のゲル使用に対する証拠はない。
禁忌
乾癬ゲルは、成分のいずれかに対する過敏症が知られている場合は使用すべきではない。本製品を他の製品と同時に肌面に使用しないこと。
相互作用
薬物相互作用を避けるために、1~2時間間隔で薬剤を適用するか、または医師に相談するべきである。
医療機器の耐久性に関する説明および情報
乾癬ゲルは、カートンに「使用期限」と記された日付までしか使用することができない。
医薬形態および含有量
原包装は50mlゲルである。
組成
活性成分:死海塩
他の成分:
エタノール/水、パンテノール、酢酸トコフェリル、ヒドロキシエチルセルロース、カンナビジオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸レチニル、グリセリンF、アロエバルバデンシス(Arloe Barbadensis)葉、クエン酸
ゲルはアルコールを含む。
本ゲルは、その中成分のいずれかに対するアレルギーが知られている人への使用には禁忌である。
涼しく乾燥した光の当たらない場所に保管すること。
【手続補正書】
【提出日】2021-03-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性アルコールゲル組成物であって、
a.0.1~20%、例えば0.1~10%またはより好ましくは0.2~5%(重量基準)の量で存在するカンナビジオール
と、
b.0.5~1.5%(重量基準)の量で存在する皮膚浸透促進剤と、
c.10~30%(重量基準)の量で存在するエタノールと、
d.0.4~2%(重量基準)の総量で存在する1種または複数種の増粘剤またはゲル化剤と、
e.前記組成物に対して合計100%(重量基準)の量の水と、
f.10~25%(重量基準)の塩化ナトリウムと、
を含む水性アルコールゲル組成物。
【請求項2】
前記塩化ナトリウムが海塩である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記塩化ナトリウムが死海塩である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ゲルの調製に使用されるカンナビジオールが結晶形態または純粋な形態で提供される、
請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記カンナビジオールが、1.5%、1.0%または0.5%(重量基準)未満の、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビノール(CBN)のいずれか1つ、および/または、1.0%未満
もしくは0.1%未満のテトラヒドロカンナビノール(THC)を含む、
請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
2.0、1.0%、0.5、または0.1%(重量基準)未満の油、例えば植物油および/または鉱油を含む、請求項1から
5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
i.0.01~1%(重量基準)のアロエバルバデンシス(aloe barbadensis)葉の抽出物、
ii.1~5%(重量基準)のパンテノール、
iii.0.1~1~5%(重量基準)のパルミチン酸レチニル、
iv.0.5~5%(重量基準)のグリセリン、
またはそれらの任意の組み合わせから選択される1種または複数種のスキンケアまたは皮膚保水/保湿剤をさらに含む、請求項1から
6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記皮膚浸透促進剤が、ミリスチン酸イソプロピル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、尿素、またはそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記増粘剤および/またはゲル化剤が、アクリレートクロスポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガムおよび/またはそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
酸化防止剤、乳化剤、pH調整剤、例えば酸もしくは塩基、安定剤、着色剤またはそれらの任意の組み合わせから選択される1種または複数種の薬学的に許容されるアジュバントをさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
局所組成物である、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
化粧品用の皮膚保水またはスキンケア組成物である、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
ヒト、哺乳動物または他の動物等の対象における乾癬、特に発赤、乾燥、痒み、および/または鱗状皮膚の症状の処置または緩和での局部的な局所適用における医療用組成物として使用するための、請求項1から
12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
ヒト、哺乳動物または他の動物等の対象における1つまたは複数の発赤、乾燥、痒み、および/または鱗状皮膚に関連する疼痛状態を緩和するための医療用組成物として使用するための、請求項1から
13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記局所ゲル組成物が、ヒト、哺乳動物または他の動物等の対象の局部皮膚領域に1日1~5回局所的に適用される、請求項
11から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記局所ゲル組成物が、1回の適用あたり5~100または10~50mg/cm
2の量で対象の局部皮膚領域に局所的に適用される、請求項
11から
15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
軽度、中等度および/または重度の乾癬の処置のための請求項11から16のいずれか一項に記載の組成物であって、前記処置は、適切な量の前記ゲルを処置される身体の部分に(例えば、0.25g~豆粒大を手、手首もしくは肘に(約25cm
2
)、または0.5gサイズの豆粒2つ分を足、足首または膝に(約50cm
2
))優しくマッサージすることによる皮膚表面への乾癬の適用を含む組成物。
【請求項18】
軽度、中等度および/または重度の乾癬の処置のための請求項11から17のいずれか一項に記載の組成物であって、前記処置は、1回の適用あたり2~250、5~100、または10~50mg/cm
2
の量での対象の局部皮膚領域への前記組成物の局所適用を含む組成物。
【請求項19】
前記投薬が、1日当たり1~5回、1日当たり1~3回、または1日当たり1~2回である、請求項17に記載の組成物。
【請求項20】
前記処置が、前記ゲルの適用後最大1時間以内に、温かい水道水等の水で前記皮膚を濯ぐことを含む、請求項11から18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
容器内の請求項1から
20のいずれか一項に記載の組成物と、任意選択で使用説明書とを含むキット。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
特に、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、変形性関節症および/または乾癬性関節炎等の乾癬または関節炎の局部症状を軽減または緩和するのに必要な治療有効量の哺乳動物の局部投与部位でのカンナビジオールの利用可能性を改善するためのカンナビジオールの局所送達に適した組成物の開発の著しい進歩が依然として必要とされている。
米国特許出願公開第2010/0273895号は、カンナビジオールと浸透促進剤を含む局所投与用の医薬組成物に関する。
【国際調査報告】