(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-10
(54)【発明の名称】燃料電池システムのための蒸気発生器
(51)【国際特許分類】
F22B 27/16 20060101AFI20221102BHJP
H01M 8/04007 20160101ALI20221102BHJP
H01M 8/0606 20160101ALI20221102BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20221102BHJP
F22B 1/18 20060101ALI20221102BHJP
B05B 1/20 20060101ALI20221102BHJP
H01M 8/12 20160101ALN20221102BHJP
【FI】
F22B27/16
H01M8/04007
H01M8/0606
H01M8/04 N
F22B1/18 K
B05B1/20 101
H01M8/12 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022513324
(86)(22)【出願日】2020-08-26
(85)【翻訳文提出日】2022-04-07
(86)【国際出願番号】 EP2020073879
(87)【国際公開番号】W WO2021037928
(87)【国際公開日】2021-03-04
(32)【優先日】2019-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508359550
【氏名又は名称】セレス インテレクチュアル プロパティー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・バラード
(72)【発明者】
【氏名】コリン・ベネット
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア・ライリー
(72)【発明者】
【氏名】マーティン・シュミット
(72)【発明者】
【氏名】オリヴァー・ポスルスウェイト
(72)【発明者】
【氏名】ポール・バーナード
(72)【発明者】
【氏名】シモーネ・ドジオ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ドマンスキー
【テーマコード(参考)】
4F033
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
4F033AA13
4F033BA04
4F033DA02
4F033EA06
4F033LA09
4F033NA01
5H126BB06
5H127AA07
5H127BA02
5H127BA03
5H127BA05
5H127BA12
5H127BA45
5H127BB02
5H127BB25
5H127EE12
(57)【要約】
燃料電池システムのための蒸気発生器は内部熱交換表面を備えた熱交換器34と、水流入パイプ46と、当該パイプ46に接続された流路を備えたドリッパーヘッド52とを有する。ヘッド52は蒸気への変換のために熱交換表面上に水を下に給送するために熱交換表面上方において熱交換器内側に延在している。ヘッド52は流路に沿って配置された出口孔部56を有し、隣接する出口孔部56間においてヘッドは、少なくともその下面に段差付きのプロファイルを有し、隣接する孔部からの液滴が合体することを防止する。燃料流入パイプはパイプ46の一部に同軸に装着されたセクションを有することが可能である。燃料流入パイプのセクションは水流入パイプの一部を取り囲むことが可能である。燃料電池システムにおいて蒸気発生器は、燃料流入パイプと、蒸気および燃料の複合出口部とを含むことが可能であり、改質装置が蒸気発生器下流に直接または間接的に接続されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池システムのための蒸気発生器であって、前記蒸気発生器は、
少なくとも1つの内部熱交換表面を備えた熱交換器と、
水流入パイプと、
前記水流入パイプに流体接続された流路を含むドリッパーヘッドであって、前記ドリッパーヘッドは、蒸気への変換のために前記熱交換表面の上に水を下に給送するために、前記熱交換表面の上方において、前記熱交換器の内側に延在している、ドリッパーヘッドと
を含み、
前記ドリッパーヘッドは、前記流路の長さに沿って間隔を置いて配置された複数の出口孔部を含み、
隣接する出口孔部の間において、前記ドリッパーヘッドは、断面で見たときに、少なくともその下面に段差付きのプロファイルを有し、隣接する孔部からの液滴が合体することを防止する、蒸気発生器。
【請求項2】
隣接する出口孔部の間の前記段差付きのプロファイルは、前記熱交換表面の上方の異なる高さにおいて、少なくとも2つの段差表面を含む、請求項1に記載の蒸気発生器。
【請求項3】
前記隣接する出口孔部は、段差表面の上にそれぞれ提供されており、少なくとも1つの段差表面が、それらの表面の間にあり、すなわち、前記熱交換表面の上方の異なる高さにある、請求項2に記載の蒸気発生器。
【請求項4】
前記隣接する出口孔部は、段差表面の上にそれぞれ提供されており、前記段差表面は、下方の前記熱交換表面に向けて外向きに突き出している構造体の一部を形成しており、前記段差表面は、随意的に、適切なサイズの液滴の成長を促すために選択されたサイズおよび形状のものである、請求項3に記載の蒸気発生器。
【請求項5】
前記隣接する出口孔部は、それぞれの突き出た構造体の中に提供されており、前記突き出た構造体は、前記ドリッパーヘッドと一体的に形成されており、溝部またはチャネルによって互いに分離されている、請求項4に記載の蒸気発生器。
【請求項6】
それぞれの出口孔部は、前記出口孔部に対して外向きに突き出ている少なくとも1つのバッフルによって、隣接する出口孔部から隔離されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の蒸気発生器。
【請求項7】
それぞれの出口孔部は、それに関連付けられるそれぞれのペアのバッフルを有しており、これらは、それぞれの孔部の両側に、軸線方向に前記ドリッパーヘッドに沿って配置されており、隣接する孔部からそれを隔離する、請求項6に記載の蒸気発生器。
【請求項8】
前記ペアのバッフルは、平行な側壁部を含む、請求項7に記載の蒸気発生器。
【請求項9】
前記バッフルは、前記ドリッパーヘッドの一体的な構造体である、請求項6から8のいずれか一項に記載の蒸気発生器。
【請求項10】
前記バッフルは、前記ドリッパーヘッドの周囲部または周辺の周りに部分的に延在している、請求項6から9のいずれか一項に記載の蒸気発生器。
【請求項11】
前記バッフルは、外向きに突き出た円弧形状のショルダー部を画定している、請求項10に記載の蒸気発生器。
【請求項12】
前記バッフルは、前記ドリッパーヘッドの周囲部または周辺の全体に延在している、請求項6から9のいずれか一項に記載の蒸気発生器。
【請求項13】
前記バッフルは、前記ドリッパーヘッドの上に装着された別個のコンポーネントを含む、請求項6から8のいずれか一項に記載の蒸気発生器。
【請求項14】
前記ドリッパーヘッドは、チューブ状の端部セクションを含み、前記バッフルは、前記チューブ状の端部セクションの上に装着されたワッシャーのペアを含み、それぞれのペアのうちの一方は、その出口孔部の近位にあり、それぞれのペアのうちの他方は、その出口孔部の遠位にある、請求項13に記載の蒸気発生器。
【請求項15】
前記ドリッパーヘッドは、除去可能なまたは交換可能なコンポーネントである、請求項1から14のいずれか一項に記載の蒸気発生器。
【請求項16】
前記出口孔部は、前記ドリッパーヘッドの下側半分または下面に沿って、間隔を置いて配置された軸線方向の位置に提供されている、請求項1から15のいずれか一項に記載の蒸気発生器。
【請求項17】
前記蒸気発生器は、燃料流入パイプをさらに含み、前記蒸気発生器は、使用の間に前記蒸気発生器の内側の蒸気と燃料を組み合わせるように構成されている、請求項1から16のいずれか一項に記載の蒸気発生器。
【請求項18】
前記燃料流入パイプは、前記水流入パイプの一部に同軸に装着されたセクションを有している、請求項17に記載の蒸気発生器。
【請求項19】
前記燃料流入パイプのセクションは、前記水流入パイプの一部を取り囲む、請求項18に記載の蒸気発生器。
【請求項20】
燃料電池システムのための蒸気発生器であって、前記蒸気発生器は、
少なくとも1つの内部熱交換表面を備えた熱交換器と、
水流入パイプと、
燃料流入パイプと、
前記水流入パイプに流体接続されたドリッパーヘッドであって、前記ドリッパーヘッドは、蒸気への変換のために前記熱交換表面の上に水を下に給送するために、前記熱交換表面の上方において、前記熱交換器の内側に延在している、ドリッパーヘッドと
を含み、
前記燃料流入パイプは、前記熱交換器の外側壁部においてまたはそれに隣接して前記水流入パイプの一部を取り囲むセクションを有しており、前記熱交換器の外側壁部を通って延在するようになっており、前記燃料流入パイプのセクションおよび使用の間のその中の前記燃料が、前記水流入パイプの取り囲まれた前記一部を前記熱交換器の熱から断熱するように作用するようになっている、蒸気発生器。
【請求項21】
請求項1から19のいずれか一項に記載の蒸気発生器にさらにしたがう、請求項20に記載の蒸気発生器。
【請求項22】
請求項1から21のいずれか一項に記載の蒸気発生器を含む、燃料電池システム。
【請求項23】
前記蒸気発生器は、燃料流入パイプと、蒸気および燃料の複合出口部とを含み、改質装置が、前記燃料電池システムの中の前記蒸気発生器の下流に直接的にまたは間接的に接続されている、請求項22に記載の燃料電池システム。
【請求項24】
燃料電池システムであって、前記燃料電池システムは、燃料電池スタックと、燃料流入パイプと、水流入パイプと、空気または酸化剤流入パイプと、蒸気発生器と、水素または合成ガスを前記燃料電池スタックに提供するために前記蒸気発生器に接続されている随意的な改質装置と、前記燃料電池スタックの流出から加熱された流体を直接的にまたは間接的に取り込むための熱交換器とを含み、その熱は、前記熱交換器の少なくとも1つの内部熱交換表面を加熱するために使用され、前記少なくとも1つの内部熱交換表面は、ドリッパーヘッドを介して前記水流入パイプからの水から蒸気を発生させるために使用され、前記蒸気発生器は、請求項1から21のいずれか一項に定義されたようなものである、燃料電池システム。
【請求項25】
前記燃料電池システムの燃料電池スタックに入って来る燃料/蒸気混合物における燃料側の組成変化または圧力変化に起因するスタック電圧の変動を最小化するための、請求項22から24のいずれか一項に記載の燃料電池システムの使用。
【請求項26】
請求項1から21のいずれか一項に記載の蒸気発生器を使用して蒸気を発生させる方法であって、水が、前記水流入パイプおよび前記ドリッパーヘッドを通して前記熱交換表面へ給送され、蒸気に変換され、随意的に、燃料が、同時に前記熱交換器の中へ給送され、前記燃料は、前記蒸気と混合して加熱される、方法。
【請求項27】
蒸気発生の間に蒸気発生器の中の圧力脈動を最小化する方法であって、前記蒸気発生器は、少なくとも1つの内部熱交換表面を備えた熱交換器と、水流入パイプと、前記水流入パイプに流体接続された流路を含むドリッパーヘッドであって、前記ドリッパーヘッドは、蒸気への変換のために前記熱交換表面の上に水液滴を下に給送するために、前記熱交換表面の上方において、前記熱交換器の内側に延在している、ドリッパーヘッドとを含み、前記ドリッパーヘッドは、前記流路の長さに沿って間隔を置いて配置された複数の出口孔部を含み、隣接する出口孔部の間において、前記ドリッパーヘッドは、断面で見たときに、少なくともその下面に段差付きのプロファイルを有しており、前記方法は、水の流量を選択された流量に調節するステップを含み、それによって、前記段差付きのプロファイルは、隣接する孔部からの液滴が合体することを防止する、方法。
【請求項28】
燃料電池システムのための蒸気発生器を動作させる方法であって、前記蒸気発生器は、
少なくとも1つの内部熱交換表面を備えた熱交換器と、
水流入パイプと、
前記水流入パイプに流体接続された流路を含むドリッパーヘッドであって、前記ドリッパーヘッドは、蒸気への変換のために前記熱交換表面の上に水を下に給送するために、前記熱交換表面の上方において、前記熱交換器の内側に延在している、ドリッパーヘッドと
を含み、
前記ドリッパーヘッドは、前記流路の長さに沿って間隔を置いて配置された複数の出口孔部を含み、隣接する出口孔部の間において、前記ドリッパーヘッドは、断面で見たときに、少なくともその下面に段差付きのプロファイルを有し、隣接する孔部からの液滴が合体することを防止し、
前記方法は、
前記水流入パイプを通して前記ドリッパーヘッドへ水を給送するステップと、
蒸気またはスプレーとしてではなく、水液滴として、前記出口孔部を介して、前記ドリッパーヘッドから水をドリップさせるステップであって、前記水液滴は、蒸気への変換のために前記熱交換表面の上にドリップする、ステップと
を含む、方法。
【請求項29】
前記蒸気発生器は、燃料電池システムの一部を形成しており、前記燃料電池システムの中の燃料電池入口部に供給される蒸気を発生させる、請求項26から28のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムのための蒸気発生器、蒸気発生器または蒸気燃料加熱器を含む燃料電池システム、および、蒸気発生器を使用して、蒸気または加熱された蒸気および燃料を発生させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムは、典型的に、燃料電池スタックと、(水素または合成ガス(改質物)が燃料電池スタックに供給されることを可能にするために)入口燃料を完全にまたは部分的に改質するための改質装置と、蒸気および燃料を改質装置に給送するための蒸気発生器とを含む。改質物は、酸化剤とともにスタックに供給されると、それぞれ、燃料電池スタックの中の燃料電池の電気化学的に活性な層のいずれかの側において、電気化学反応を受け、熱(高温流出ガス)および電気の両方を生産する。
【0003】
多くの燃料電池システムにおいて、発生させられる熱は、熱交換器を介して、蒸気発生器および改質装置の両方を動作させるために使用される。
【0004】
いくつかの燃料電池システムでは、別個の改質装置がなく、その代わりに、改質がスタックの中で起こる。
【0005】
燃料電池スタックから発生させられる電気の量は、制御可能である必要がある。電気出力を増加させるために、より多くの燃料または改質物が燃料電池スタックに供給される必要があり、または、スタックの中の動作条件が(たとえば、その効率を増加させるために)変更される必要がある。前者のアプローチに関して、燃料または改質物が、過度の圧力脈動なしに、蒸気に対する燃料の一貫した比率で、幅広い温度変化なしに供給されることを保証することが重要である。そのうえ、改質物または燃料が、最小のタイムラグで、(要求に応じて変化可能な)制御可能な速度で供給されることが好適である。これを実現するために、改質装置は(存在する場合)、最小の圧力脈動を伴って、および、タイムラグなしで、加熱された燃料および蒸気を供給される必要がある。したがって、本発明は、燃料側の組成変化または圧力変化に起因するスタック電圧の最小変動を最良に可能にするために、改質装置または燃料電池スタックへの燃料/蒸気混合物の制御可能なおよび均質な送達を実現するための改善された蒸気発生器の提供に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2015/136295号パンフレット
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、燃料電池システムのための蒸気発生器であって、蒸気発生器は、
少なくとも1つの内部熱交換表面を備えた熱交換器と、
水流入パイプと、
水流入パイプに流体接続された流路を含むドリッパーヘッドであって、ドリッパーヘッドは、蒸気への変換のために熱交換表面の上に水を下に給送するために、熱交換表面の上方において、熱交換器の内側に延在している、ドリッパーヘッドと
を含み、
ドリッパーヘッドは、流路の長さに沿って間隔を置いて配置された複数の出口孔部を含み、
隣接する出口孔部の間において、ドリッパーヘッドは、断面で見たときに、少なくともその下面に段差付きのプロファイルを有し、隣接する孔部からの液滴が合体することを防止する、蒸気発生器が提供される。
【0008】
「少なくともその下面の段差付きのプロファイル」によって、それは、少なくともドリッパーヘッドの下側半分において異なる高さに段差付きの表面が存在しているということを意味している。段差付きの表面または段差(たとえば、角部またはショルダー部によって描かれたレベル)は、表面張力効果を促し、表面張力効果は、液滴が段差表面を越えて広がることを防止することが可能であり、たとえば、液滴は、それが表面張力によって液滴として保持されているときに、それに対する引力に起因して上向きに登る傾向がないこととなる。
【0009】
角部またはショルダー部は、凸形の角部またはショルダー部を含むことが可能であり、好ましくは、鋭い角部またはショルダー部を含むことが可能である。それらは、2つの(好ましくは、平面的な)表面の交差によって形成され得、2つの表面は、下側表面(半径方向外側の表面)および上昇表面(たとえば、下側表面からドリッパーヘッドの軸線に向けて「上向きに」延在する表面(液滴は、下側表面の上に液滴を維持する傾向がある重力に起因して、下側表面の上に登る傾向がないこととなる))である。
【0010】
下側表面は、内側ショルダー部(孔部に最も近い)および外側ショルダー部(孔部から離れる方に面する)を有することが可能である。次いで、それは、2つの凸形角部を有することが可能である。水液滴は、それが孔部を退出するときに、内側ショルダー部に対抗して形成することとなり、外側ショルダー部に到達する前に、下側表面の上に成長することが可能である。しかし、液滴は、そのような進行に対する重力バリアを形成するその外側ショルダー部から上向きに延在する上昇表面に起因して、外側ショルダー部をはるかに越えて広がる傾向はないこととなる。
【0011】
他の実施形態において、孔部は、下側表面の中にあることが可能であり、それによって、(孔部から離れる方に面する)下側表面の側に、単一の凸形ショルダー部が存在することが可能である。単一の凸形ショルダー部は、孔部の周りに環状になっていることが可能であり、または、それは、ドリッパーヘッドの軸線に沿って間隔を置いて配置された、孔部の両側の1ペアのショルダー部のうちの1つであることが可能である。
【0012】
実際には、そのまたはそれぞれの凸形の交差、角部、またはショルダー部は、丸みを帯びていることが可能であるが、それは、実質的に角張っている(すなわち、鋭くなっている)ことが好適である。しかし、交差は、多かれ少なかれ丸みを帯びている可能性がある。交差の(すなわち、角部またはショルダー部の)角張り度または鋭さは、断面における交差/角部/ショルダー部の曲率半径によって、または、その知覚される鋭さによって(すなわち、(断面で)湾曲した角部ではなく、交差の線のように見える)、定義され得る。それが所定の半径を有するものとして知覚され得る場合に、理想的には、それは、0.5mm未満の断面における半径を有することとなる。しかし、その代わりに、より丸みを帯びた交差、角部、またはショルダー部が提供され得る(たとえば、それが関連付けられる孔部の直径または最も長い幅の半分までの(断面における)半径)。
【0013】
代替的に、それは、ドリッパーヘッドの軸線に対して垂直に(または、孔部の軸線に対して平行に)測定されるときに、段差の高さの最大で40%までの半径を有することが可能である。しかし、より好ましくは、交差、角部、またはショルダー部の半径は、その高さの20%以下であることとなり、または、その高さの10%もしくは5%以下であることとなる。
【0014】
段差表面は、選択されたサイズおよび形状のものであり、適切なサイズまでの液滴の成長を可能にすることができ、蒸気発生が制御されて応答性が良いようになっているが、過度の液滴サイズを防止しながら、したがって、近隣の孔部からの液滴同士の間の任意の合体の可能性を防止するかまたは最小化する。また、これは、選択された範囲の水流量および選択された孔部サイズを要求することによって制御され得る。
【0015】
使用時に、孔部は、好ましくは、ドリッパーヘッドに沿って横方向に、または、熱交換器の中に、選択的に位置決めされ、液滴がその上に降下されることが望まれるそれぞれの熱交換表面の上方に位置決めされており、すなわち、孔部は、熱交換表面が孔部の下方になるように位置決めされており、したがって、熱交換表面の上に直接的に液滴をドリップすることを可能にする。
【0016】
孔部は、水の液滴を提示するために提供されており、そうであるので、典型的に、少なくとも0.2mmの直径を有しており、より好ましくは、少なくとも0.3mmの直径を有している。それによって形成された液滴は、孔部直径よりも大きくなることとなり、したがって、それらが蒸気への変換のために孔部から熱交換表面に向けて重力下で落下するときに、典型的に、少なくとも0.5mm幅になっており、より一般的には、少なくとも1mm幅になっている。液滴は、噴霧された水のスプレーではない。また、液滴は蒸気でもない。(出口孔部を備えたヘッドは、ドリッパーヘッドであり、結局のところ、噴霧器またはスプレーノズルではなく、それによって、水が、重力の影響下で、ガスではなく液体として、および、スプレーではなくドリップとして、それからドリップする。)
【0017】
隣接する出口孔部の間の段差付きのプロファイルは、熱交換表面の上方の異なる高さにおいて、少なくとも2つの段差表面であることが可能である。通常は、隣接する出口孔部は、段差表面の上にそれぞれ提供されており、少なくとも1つの段差表面が、それらの表面の間にあり、すなわち、熱交換表面の上方の異なる高さにある。通常は、隣接する出口孔部は、熱交換表面の上方の同じ高さにおいて、段差表面の上にそれぞれ提供されている。
【0018】
凸形の交差、角部、またはショルダー部に加えて、隣接する孔部の間でドリッパーヘッドの軸線に対して概して平行に延在する上側表面を画定する凹形の角部または交差が存在することが可能である。同様に、凹形の角部は、凸形の交差、角部、またはショルダー部と同様に、鋭くなっているかもしくは角張っており、または、半径を付けられ得、近隣の凸形の交差、角部、またはショルダー部に対して、断面に関して同じ角張り度もしくは半径を備えているか、または、断面に関して異なる半径もしくは角張り度を備えているかのいずれかである。しかし、好ましくは、同様の半径限界内に入ることとなる。
【0019】
ほとんどの例において、上側表面の長さは、ドリッパーヘッドの中の隣接する孔部の隣接する段差の対向する上昇表面の間に広がっている。その広がりは、隣接する段差の対向する上昇表面の間にギャップを画定している(通常は、>2mmまたは>3mm)。
【0020】
上側表面は、1つもしくは複数の平面的な表面を含むことが可能であり、または、それは、ドリッパーヘッドの軸線の周りに湾曲していることが可能である。
【0021】
好ましくは、それぞれの段差の高さは、その上側表面からその下側表面へ垂直方向に(ドリッパーヘッドの軸線に対して垂直に)測定される。上側表面または下側表面が、ドリッパーヘッドの軸線の周りに湾曲している場合に、高さは、それぞれの孔部の中心線を通って延在するドリッパーヘッドの矢状面を通して測定される。好ましくは、高さは、孔部の直径よりも大きい。より好ましくは、高さは、孔部の直径の少なくとも2倍または3倍である。
【0022】
ドリッパーヘッドの軸線に対して平行に、上昇表面の中間高さ(上側表面と下側表面との間の途中にある)において測定される、隣接する孔部の隣接する段差の対向する上昇表面の間のギャップの長さは、好ましくは、ギャップの端部にある2つの段差のうちの短い方の高さに等しいかまたはそれよりも大きいが、好ましくは、2つの段差は、同じ高さを有している。繰り返しになるが、これは、表面がドリッパーヘッドの軸線の周りに湾曲を有する場合には、その矢状面の中で測定され得る。より好ましくは、ギャップは、ギャップの端部にある2つの段差のうちの短い方の高さの少なくとも2倍または3倍である。
【0023】
段差に関するこれらの寸法によって、段差付きの表面同士の間のプロファイルおよび間隔は、隣接する孔部の間の液滴の合体を最小化するかまたは排除する傾向があることとなる。したがって、液滴は、使用時に、孔部の下方でドリッパーヘッドから垂直方向に下向きに落下する傾向があることとなる。
【0024】
通常は、ドリッパーヘッドは、その長さに沿って軸線方向に間隔を置いて配置された孔部を含む流路を備えて細長くなっている。
【0025】
1つの実施形態では、隣接する出口孔部は、段差表面の上にそれぞれ提供されており、段差表面は、下方の熱交換表面に向けて外向きに突き出している構造体の一部を形成している。段差表面は、随意的に、適切なサイズの液滴の成長を促すために選択されたサイズおよび形状のものであることが可能である。
【0026】
構造体は、副経路を含むことが可能であり、副経路は、流路から離れるように横方向に延在しており、段差表面の上の出口孔部につながっている。副経路は、ネジ山付きになっていることが可能であり、所望の断面およびしたがって流量を提供するように選択された直径のボアを備えた中空のスクリューを受け入れるようになっている。したがって、孔部サイズは、特定の中空のスクリューの使用によって変更または選択され得る。
【0027】
隣接する出口孔部は、それぞれの突き出た構造体の中に提供され得、突き出た構造体は、ドリッパーヘッドと一体的に形成されており、溝部またはチャネルによって互いに分離されている。
【0028】
代替的に、構造体は、ペグであることが可能であり、すなわち、底部に孔部を備えた概して平坦な底部を備えた円筒状の形状であることが可能であり、ショルダー部は、底部の縁部の周りにある。
【0029】
代替的に、それぞれの出口孔部は、出口孔部に対して外向きに突き出ている少なくとも1つのバッフルによって、隣接する出口孔部から隔離され得る。バッフルという用語は、突き出た構造体または(たとえば、横方向の)パーティションを意味するために使用されており、それは、液体のフローを制限し、たとえば、それが特定の方向に広がることを防止するようになっている。バッフルは、上記に定義されているような角部/ショルダー部を備えた幅の狭いまたは幅の広い構造体またはパーティションであることが可能である。
【0030】
隣接する孔部の隔離を提供することによって、熱交換器の中へ提供される出口孔部からの水液滴は、制御されたサイズのものであり、(熱交換表面の上方の)正しい位置に位置付けされ得(すべてが許容可能なパラメーターの中にある)、熱交換表面の上への水ストリームの蒸発が連続的で着実なレジームで起こることを保証し、熱交換器の加熱された蒸気(および、随意的に、燃料ガス)流出ポートから出力される蒸気-燃料ストリームの中の圧力脈動を低減させるかまたは最小化するようになっている。
【0031】
以前に説明されているように、制御された水液滴サイズは、好ましくは、それが重力の影響下で熱交換表面に向けて降下するときに、少なくとも直径0.5mm(すなわち、好適な最小液滴サイズ)であり、より好ましくは、少なくとも直径1mmであり、すなわち、(その最も幅の広いポイントにおいて)少なくとも0.5mmまたはより好ましくは少なくとも1mmの直径を有している。
【0032】
好ましくは、それぞれの出口孔部は、それぞれの孔部の両側に軸線方向にドリッパーヘッドに沿って配置されているそれぞれの関連のペアのバッフルによって、隣接する孔部から隔離されている。それらのバッフルは、好ましくは、間隔を離して配置され、少なくとも2mmのギャップをそれらの間に画定しており、水が、その中に収集し、液滴を形成することが可能である。
【0033】
出口孔部が十分に近くに間隔を置いて配置されている実施形態では、ドリッパーヘッドは、出口孔部およびバッフル(または、段差)を含むことが可能であり、それらは、ドリッパーヘッドに沿って間隔を置いて配置された軸線方向の間隔で交互に配置されており、隣接する孔部の間に単一のバッフルまたは段差のみが提供されるようになっている。しかし、好ましくは、2つの間隔を置いて配置されたバッフルが、隣接する孔部の間に存在し、一連の段差を生成させ、また、隣接するバッフルの間に、孔部同士の間に、スペースまたはギャップを生成させる。これは、隣接する出口孔部からのドリップが一緒に融合することをさらに防止し、または、それがその他の方法で互いに相互作用し、熱交換器の中に液体の滞留を形成することをさらに防止することに役立つ(水が滞留する可能性がある場合には、水はよりゆっくりと蒸発することとなり、それは、過渡的な入口フロー条件の下では、蒸気発生器からの蒸気流量の応答の遅れをもたらすこととなる)。また、それは、意図した熱交換表面から離れるように液滴がドリップすることを引き起こす可能性がある。また、それは、シャットダウン事象の間または後に水が収集することを可能にすることができる。その理由は、それが事前に十分に容易に蒸発することとならないからであり、それは、燃料電池システムを再起動するときに困難を引き起こす可能性があり、または、(蒸発の後に)局所的な酸化または堆積物までも引き起こす可能性があり、それは、メンテナンスの問題をもたらす。したがって、近隣の出口孔部の間でのドリッパーヘッドにおける水の合体ではなく(それは、不規則なまたは制御されないドリップにつながる可能性があり、したがって、所望の(制御された)水の液滴ではなく、熱交換器の過度の滞留につながる可能性がある)、それぞれの出口部からの液滴の着実なドリッピングが意図されている。
【0034】
滞留は、それが熱交換器のベース(そこでは、高温ガスが最初に熱交換器に進入する)に向けて起こる場合には、とりわけ問題になる可能性がある。その理由は、不安定な水沸騰を結果として生じさせる可能性があり、蒸気流出の中の望ましくない(および、重大な)圧力脈動をもたらすからである。したがって、大きい水液滴を回避することが、重要である。これは、とりわけ、真実である。その理由は、重力に起因して、任意の沸騰していない水が、熱交換器のベースに自然に収集することとなるからである。
【0035】
出口孔部に対して外向きに突き出ている、突き出た構造体、バッフル、または段差は、一体的な構造体またはフィットされる構造体であることが可能である。それは、好ましくは、出口孔部から横方向に間隔を置いて配置された(たとえば、円弧形状の)ショルダー部を画定する。それは、フランジもしくはワッシャー、または、ドリッパーヘッドの壁部の中の溝部から形成され得、出口孔部が、溝部によって形成された凹部の中に位置決めされている。
【0036】
ドリッパーヘッドは機械加工され得、したがって、溝部が、ドリッパーヘッドの壁部の中へ切り込まれ得、または、構造体は、ドリッパーヘッドの上に作製されるか、もしくは、ドリッパーヘッドの上に一体的に形成され得る。
【0037】
構造体は、ドリッパーヘッドの周囲部もしくは周辺の周りに部分的に延在するか、または、全体に延在することが可能である。全体に延在すことは、水が複数の出口孔部を横切って滞留する可能性をより低くする。その理由は、それぞれの滴が垂直方向におよび水平方向に封じ込められるからである。
【0038】
好ましくは、出口孔部は、ドリッパーヘッドの長手方向軸線に対して半径方向に延在している。理想的には、それらは、下向きになっている。
【0039】
ドリッパーヘッドは、除去可能なまたは交換可能なコンポーネントであることが可能であり、それは、好ましくは、水流入パイプの端部の上に、または、その端部におけるコネクターにスクリューフィットされている。
【0040】
ドリッパーヘッドは、一般的に、ドリッパーヘッドに沿って間隔を置いて配置された軸線方向の間隔で、2つ以上の出口孔部を含み、それぞれの出口孔部は、それぞれの関連のペアのパーティションによって、隣接する孔部から隔離されており、それぞれの関連のペアのパーティションは、それぞれの孔部の両側に、ドリッパーヘッドに沿って軸線方向に配置されており、隣接する孔部の間に、少なくとも2つのパーティションが提供されるようになっている。隣接する孔部の間に2つのパーティションを提供することによって、水は、隣接する孔部からの対応する滞留と相互作用する様式で、パーティションの外側縁部を越えて滞留することとはならならず、隣接するパーティションの間のギャップは、任意のそのような滞留を分離する。
【0041】
熱交換表面は、熱交換器のプレートまたはチューブ状の表面であることが可能である。熱交換器の中に延在し、典型的に、熱交換器の中のプレートまたはチューブ状の表面から延在する、フィンまたは他の非平坦の部材が追加的に提供され得る。たとえば、熱交換器の中に、ランス付き(lanced)オフセットフィン配置が存在することが可能である。これらは、蒸気発生器の水/蒸気経路の中の任意の直線状の経路を回避することを助ける。したがって、水が下降するとき、出口孔部の直ぐ下方の熱交換表面に当たったときに迅速に蒸発されない場合にも、複数のサイトおよび表面が、水への熱伝達のために熱交換器の中に提示されており、滞留が熱交換器のベースに起こり得る前に、水の蒸発が起こるようになっている。
【0042】
好ましくは、蒸気発生器が、また、燃料流入パイプを有しており、燃料流入パイプは、蒸気との混合のために、燃料が蒸気発生器の中へ給送されることを可能にするためのものであり、流出する蒸気が、改質装置に給送するかまたは燃料電池スタックに直接的に給送するかのいずれかに適切な加熱された蒸気燃料ガスになるようになっている。好ましくは、ガス状の燃料が、水とともに蒸気発生器の中へ給送される。それは、水流入パイプを取り囲むことが可能である。
【0043】
ドリッパーヘッドからの液滴は、出口孔部から所望のまたは制御可能な速度で形成する。それらは、水給送圧力によって、または、フロー制御弁によって制御され得、可変であることによって、異なる蒸気供給速度が、蒸気発生器から実現され得る。水は、それが出口孔部に到着するときに、依然として液体水であり、すなわち、時期尚早の(すなわち、ドリッパーノズルから熱交換表面の上へのドリッピングの前の)蒸気の形成を回避するために、条件のアクティブ制御が存在している。本発明は、蒸気発生器からの所望の蒸気出力を実現するために、ドリッパーヘッドの出口孔部からの特定の規則性およびサイズの制御されたドリップを提供することを目標とする。したがって、水は、液体水として出口孔部に到着し、また、液体水の液滴としてドリッパーヘッドを離れ、それが、重力下でドリッパーヘッドの下方の熱交換表面に落下するようになっている。したがって、本発明は、ドリッパーヘッドまたは出口孔部から蒸気または噴霧されたスプレーをベントするのではなく、その代わりに、重力の影響下で落下することとなる液滴をドリップする。
【0044】
出口孔部は、ドリッパーヘッドの下側半分または下面に沿って、間隔を置いて配置された軸線方向の位置に提供されている。したがって、重力は、出口孔部同士の間の液滴の滞留を回避することを助ける。
【0045】
出口孔部の両側のパーティショニング構造体は、ドリッパーヘッドの全周囲部の周りにギャップを形成することが可能であり、好ましくは、それは、環状のギャップである。
【0046】
パーティショニング構造体のうちの少なくとも1つは、ドリッパーヘッドの周りに環状の形態を有することが可能である。
【0047】
両方のパーティショニング構造体が、出口孔部のうちの少なくとも1つの両側において、ドリッパーヘッドの周りに環状の形態を有することが可能である。
【0048】
パーティショニング構造体は、パーティショニング構造体の幅よりも高い、ドリッパーヘッドの長手方向軸線に関して半径方向外向きの方向に延在する高さを有することが可能である。
【0049】
パーティショニング構造体またはバッフルは、ドリッパーヘッドの上に装着された別個のコンポーネントを含むことが可能である。
【0050】
ドリッパーヘッドは、チューブ状の端部セクションを含むことが可能であり、パーティショニング構造体のペアは、チューブ状の端部セクションの上に装着されている1ペアのワッシャーを含むことが可能であり、一方は、チューブ状の端部セクションに関して、出口孔部の近位にあり、他方は、出口孔部の遠位にある。この簡単な構造は、非常にコスト効率が良い。
【0051】
好ましくは、ワッシャーは、チューブ状の端部セクションの上に圧入される。これは、チューブ状の端部セクションの外側とワッシャーの内側との間のギャップを最小化し、したがって、それらの間で水が漏れる機会を最小化し、その漏れる水は、隣接する流出孔部の間での水の滞留を促進させる可能性がある。
【0052】
好ましくは、パーティショニング構造体のペアは、たとえば、一体的なフランジまたはショルダー部として、チューブ状の端部セクションと一体的に形成されている。
【0053】
構造体は、平行な側壁部を画定することが可能であり、蒸気発生器の使用の間に、水が、その出口孔部から平行な側壁部間に給送される。
【0054】
いくつかの実施形態において、平行な側壁部は、ノズルの長手方向軸線に対して垂直になっている。
【0055】
通常は、平行な側壁部のそれぞれのペアの間に、1つだけの出口孔部が提供されている。
【0056】
いくつかの実施形態において、ドリッパーヘッドは、ワンピースの構造体である。
【0057】
水がドリッパーヘッドを通して給送されることを可能にするために、ドリッパーヘッドは、水流入パイプおよび出口孔部の両方に流体接続された中心ボアを有している。端部は出口孔部でないことが好適であるので、ドリッパーヘッドは、一般的に、閉じた遠位端部を有している。
【0058】
構造体が、ドリッパーヘッドの側部の中の横方向のカットまたは溝部によって形成されており、出口孔部が、横方向のカットまたは溝部のベースにある場合に、パーティションは、出口孔部の両側に円弧形状のショルダー部を画定することが可能である。
【0059】
側壁部は、平行である必要はなく、いくつかの実施形態では、それらは、外向きにテーパー付きになっており、外側においてより幅広くなっている。
【0060】
ドリッパーヘッドは、その長さの少なくとも一部に沿って六角形のセクションを有することが可能であり、好ましくは、その近位端部において、ネジ山付きボアを有し、水流入パイプの端部へのノズルの取り付けを促進させる。
【0061】
好ましくは、蒸気発生器は、燃料電池システムの改質装置に接続されている蒸気出口部を有している。
【0062】
好ましくは、蒸気出口部は、熱交換器の底部にあるかまたはその近くにあり、ドリッパーヘッドは、熱交換器の上部においてまたはその近くにおいて、熱交換器の中に据え付けられている。
【0063】
好ましくは、燃料は、蒸気発生器の中の蒸気と組み合わせられる。
【0064】
いくつかの実施形態において、蒸気発生器は、燃料電池システムのための組み合わせられた蒸気発生器および燃料加熱器である(たとえば、蒸気および燃料がその中で混合および加熱される蒸気燃料加熱器)。
【0065】
好ましくは、燃料電池システムは、固体酸化物燃料電池システムである。好ましくは、それは、燃料電池の少なくとも1つのスタックをその中に有している。好ましくは、スタックのうちの少なくとも1つは、金属で支持された固体酸化物燃料電池によって形成されている。固体酸化物燃料電池(または、そのスタック)は、WO2015136295に説明されているようなものであることが可能であり、その内容全体は、純粋に参照により本明細書に組み込まれている。
【0066】
いくつかの実施形態において、燃料流入パイプは、水流入パイプの一部に同軸に装着されたセクションを有している。好ましくは、流体(燃料)流入パイプのセクションは、水流入パイプの一部を取り囲む。好ましくは、この配置は、蒸気発生器の中への両方のパイプの進入のポイントに提供されている。
【0067】
セクションおよび一部は、熱交換器の外側壁部においてもしくはそれに隣接して位置付けされており、または、熱交換器の外側壁部を通して燃料および水フローを延在させることが可能である。通常は、水流入パイプは、熱交換器の外側壁部に対して垂直に装着されている。同様に、燃料流入パイプは、通常は、熱交換器の外側壁部に対して垂直に装着されている。
【0068】
燃料流入および水流入を組み合わせることは、好適な配置が提供されることを可能にする。
【0069】
本発明のこの態様によれば、燃料電池システムのための蒸気発生器であって、蒸気発生器は、
少なくとも1つの内部熱交換表面を備えた熱交換器と、
水流入パイプと、
燃料流入パイプと、
水流入パイプに流体接続されたドリッパーヘッドであって、ドリッパーヘッドは、蒸気への変換のために熱交換表面の上に水を下に給送するために、熱交換表面の上方において、熱交換器の内側に延在している、ドリッパーヘッドと
を含み、
燃料流入パイプは、熱交換器の外側壁部においてまたはそれに隣接して水流入パイプの一部を取り囲むセクションを有しており、熱交換器の外側壁部を通って延在し、燃料流入パイプのセクションおよび使用の間のその中の燃料が、水流入パイプの取り囲まれた一部を熱交換器の熱から断熱するように作用するようになっている、蒸気発生器が提供される。
【0070】
また、この蒸気発生器は、本発明の第1の態様の蒸気発生器と同じ特徴を有することが可能である。
【0071】
また、本発明は、燃料電池システムであって、燃料電池システムは、燃料電池スタックと、燃料流入パイプと、水流入パイプと、空気または酸化剤流入パイプと、燃料流入パイプおよび水流入パイプに接続されている組み合わせられた蒸気発生器および燃料加熱器と、水素または合成ガスを燃料電池スタックに提供するために、組み合わせられた蒸気発生器および燃料加熱器に接続されている随意的な改質装置と、燃料電池スタックの流出から加熱された流体を直接的にまたは間接的に取り込むための熱交換器とを含み、その熱は、熱交換器の少なくとも1つの内部熱交換表面を加熱するために使用され、少なくとも1つの内部熱交換表面は、ドリッパーヘッドを介して水流入パイプからの水から蒸気を発生させるために使用され、組み合わせられた蒸気発生器および燃料加熱器は、上記に定義されるような蒸気発生器であり、燃料流入パイプおよび水流入パイプの両方を含み、燃料は、蒸気発生器の中の蒸気と混合して加熱される、燃料電池システムを提供する。
【0072】
加熱された流体は、スタックからの燃料電極ガスまたは空気電極ガスであることが可能である。
【0073】
本発明の別の態様によれば、燃料電池システムの燃料電池スタックに入って来る燃料/蒸気混合物における燃料側の組成変化または圧力変化に起因するスタック電圧の変動を最小化するための、上記の燃料電池システムの使用が開示されている。
【0074】
また、本発明は、上記に定義されているような蒸気発生器を使用して蒸気を発生させる方法であって、水が、水流入パイプおよびドリッパーヘッドを通して熱交換表面へ給送され、その後に、水は、蒸気に変換する、方法を提供する。好ましくは、方法は、上記に定義されているようなドリッパーヘッドを使用して、ドリッパーヘッドからの液滴サイズを制御することを通して、生産される蒸気の中の圧力脈動を最小化する。
【0075】
追加的に、これは、その下面に段差付きのプロファイルを備えたドリッパーヘッドの使用によって(たとえば、選択的な位置決めによって)、熱交換器表面の上にドリップを位置付けすることによって実現され得る。
【0076】
本発明によれば、また、蒸気発生の間に蒸気発生器の中の圧力脈動を最小化する方法であって、蒸気発生器は、少なくとも1つの内部熱交換表面を備えた熱交換器と、水流入パイプと、水流入パイプに流体接続された流路を含むドリッパーヘッドであって、ドリッパーヘッドは、蒸気への変換のために熱交換表面の上に水液滴を下に給送するために、熱交換表面の上方において、熱交換器の内側に延在している、ドリッパーヘッドとを含み、ドリッパーヘッドは、流路の長さに沿って間隔を置いて配置された複数の出口孔部を含み、隣接する出口孔部の間において、ドリッパーヘッドは、断面で見たときに、少なくともその下面に段差付きのプロファイルを有しており、方法は、水の流量を選択された流量に調節するステップを含み、それによって、段差付きのプロファイルは、(たとえば、選択される孔部サイズとともに)隣接する孔部からの液滴が合体することを防止する、方法が提供される。
【0077】
段差付きのプロファイルは、上記に定義されているような角部またはショルダー部を有することが可能である。
【0078】
ドリッパーヘッドが長手方向軸線を有する場合に、段差付きのプロファイルに関する断面は、ドリッパーヘッドの垂直方向の矢状面を通っており、長手方向軸線を通って延在している。
【0079】
段差付きのプロファイルは、上昇表面を提供しており、水液滴は、上昇表面の上に上昇しない傾向があることとなり、それによって、隣接する上昇表面の上の水液滴は相互作用しないこととなり、したがって、それらは合体することができない。
【0080】
好ましくは、ドリッパーヘッドの孔部は、液滴がそれらの熱交換器表面の上に着地するときの液滴の急速な蒸発のために、熱交換器のそれぞれの熱交換表面の上方に垂直方向に位置付けされている。
【0081】
随意的に、同時に、燃料は、燃料流入パイプを通して熱交換器の中へ給送され、燃料は、熱交換器の中の蒸気と混合して加熱される。
【0082】
一層さらなる態様において、燃料電池システムのための蒸気発生器であって、蒸気発生器は、
少なくとも1つの内部熱交換表面を備えた熱交換器と、
水流入パイプと、
水流入パイプに流体接続されたドリッパーヘッドであって、ドリッパーヘッドは、蒸気への変換のために熱交換表面の上に水を下に給送するために、熱交換表面の上方において、熱交換器の内側に延在している、ドリッパーヘッドと
を含み、
ドリッパーヘッドは、ドリッパーヘッドに沿って軸線方向に間隔を置いて配置された複数の横方向の出口孔部を含み、それぞれの孔部は、横方向の出口孔部に対して外向きに突き出ている少なくとも1つの構造体によって、隣接する孔部から隔離されている、蒸気発生器が提供される。
【0083】
さらなる別の態様において、燃料電池システムのための蒸気発生器であって、蒸気発生器は、
少なくとも1つの内部熱交換表面を備えた熱交換器と、
水流入パイプと、
水流入パイプに流体接続された流路を含むドリッパーヘッドであって、ドリッパーヘッドは、蒸気への変換のために熱交換表面の上に水を下に給送するために、熱交換表面の上方において、熱交換器の内側に延在している、ドリッパーヘッドと
を含み、
ドリッパーヘッドは、流路の長さに沿って間隔を置いて配置された複数の出口孔部を含み、蒸気発生器は、使用時に、蒸気またはスプレーではなく、水液滴として、水がドリッパーヘッド出口孔部から出現するように構成されており、その液滴は、蒸気への変換のために、熱交換表面に向けて、重力下で降下し、
隣接する出口孔部の間において、ドリッパーヘッドは、断面で見たときに、少なくともその下面に段差付きのプロファイルを有し、隣接する孔部からの液滴が合体することを防止する、蒸気発生器が提供される。
【0084】
ドリッパーヘッドからの水液滴は、重力の影響下で落下し、一方では、蒸気(ガスまたは噴霧されたスプレーである)(ガス粒子の小さいサイズに起因してガスのように作用し、また、スプレー粒子に付随するガスのように作用する)は、浮遊したままになる傾向があることとなり、または、主に重力の影響を受けるのではなく、出口孔部からの放出力(すなわち、スプレーに付随するガスのフロー)によって動力を与えられることとなる。
【0085】
また、本発明は、燃料電池システムのための蒸気発生器を動作させる方法であって、蒸気発生器は、
少なくとも1つの内部熱交換表面を備えた熱交換器と、
水流入パイプと、
水流入パイプに流体接続された流路を含むドリッパーヘッドであって、ドリッパーヘッドは、蒸気への変換のために熱交換表面の上に水を下に給送するために、熱交換表面の上方において、熱交換器の内側に延在している、ドリッパーヘッドと
を含み、
ドリッパーヘッドは、流路の長さに沿って間隔を置いて配置された複数の出口孔部を含み、隣接する出口孔部の間において、ドリッパーヘッドは、断面で見たときに、少なくともその下面に段差付きのプロファイルを有し、隣接する孔部からの液滴が合体することを防止し、
方法は、
水流入パイプを通してドリッパーヘッドへ水を給送するステップと、
蒸気またはスプレーとしてではなく、水液滴として、出口孔部を介して、ドリッパーヘッドから水をドリップさせるステップであって、水液滴は、蒸気への変換のために熱交換表面の上にドリップする、ステップと
を含む、方法を提供する。
【0086】
いくつかの実施形態において、蒸気発生器は、燃料電池システムの一部を形成しており、燃料電池システムの中の燃料電池入口部に供給される蒸気を発生させる。
【0087】
本発明の方法によって、水が出口孔部に到着するときに、および、水が熱交換表面の上にドリップするときに、水が依然として液体水であることを保証することを意図している。したがって、好適な実施形態において、方法は、ドリッパーヘッドの上流の条件をアクティブに制御し、時期尚早の蒸気の形成を回避する。たとえば、蒸気発生器は、制御システムを含むことが可能であり、制御システムは、液体水を適切な温度および質量流量で出口孔部に送達するように構成されており、液体水が、重力下で降下する液滴を形成するようになっている。たとえば、これは、これを実現するために、センサー(たとえば、温度/圧力/フローセンサー)ならびにアクチュエーター(たとえば、制御弁および/または質量流量コントローラー)と動作可能に通信する、蒸気発生器の中のコントローラーを含むことが可能である。したがって、本発明は、好適な規則性およびサイズの制御されたドリップを得ることが可能である。液体水は、液体水として出口孔部に到着し、また、重力下で熱交換表面に落下する一連の液体水の液滴としてドリッパーヘッドを離れ、その後に、それは、熱交換表面における熱によって、蒸気へと変換される。したがって、本発明は、水をドリッパーヘッドから蒸気として出て来ないようにさせる。また、本発明は、水をドリッパーヘッドから噴霧スプレー(たとえば、重力の影響下において降下しない小さな液滴)として出て来ないようにもさせる。
【0088】
本発明者らは、ドリッパーヘッドが、水の液滴を供給するべきであり、水の液滴は、ドリッパーヘッドの上に非連続的に形成し、次いで、それらが重力の影響下で降下または落下するのに十分に大きくなるまで成長するということを認識した。これは、蒸気とは異なっており、同様に、それは、噴霧スプレーとも異なっており、噴霧スプレーでは、小さな液滴が、水粒子および支持するガスフローの精密に混合されたスプレーとして、ガスフローの中に連続的に出現し、その小さな粒子は、ガスフロー(通常は、空気)の中に浮遊しており、したがって、それらは、重力の影響下で落下する傾向がない。
【0089】
本発明の方法は、液滴が提示されることを保証するために、複数のパラメーターを使用する。第1に、出口孔部は、スプレー孔部ではなく、ドリッパー孔部として提供されており、したがって、スプレーではなくドリッピングに適切なサイズおよび形状を有している。さらに、水圧力(質量フロー送達速度)、水温度、周囲の熱交換器空気温度、および空気圧力が、すべて、重力下で落下する水液滴を発生させるために一緒に動作するように、ドリッパーヘッドは動作する。したがって、方法は、空中噴霧された水スプレーの発生を回避し、同様に、ドリッパーヘッドおよび水流入パイプの中の時期尚早の蒸気発生を回避し、液体水が、ドリッパーヘッドからの液滴として降下する機会を有する前に、気化しないようになっている。
【0090】
ここで、本発明のこれらのおよび他の特徴は、添付の図面を参照して、純粋に例として、さらに詳細に説明されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【
図1】本発明による蒸気発生器を含む燃料電池システムを概略的に図示する図である。
【
図2】燃料電池システムのための蒸気発生器の第1の実施形態を概略的に図示する図である。
【
図3】蒸気発生器に接続されている代替的なドリッパーヘッド配置を示す図である。
【
図4】
図3のドリッパーヘッド配置をより詳細に示す図である。
【
図5a】ドリッパーヘッドおよび水および燃料の給送の詳細を示す、2つの代替的な蒸気発生器を通る概略的な部分断面図である。
【
図5b】ドリッパーヘッドおよび水および燃料の給送の詳細を示す、2つの代替的な蒸気発生器を通る概略的な部分断面図である。
【
図6】さらなるドリッパーヘッド配置を示す図である。
【
図7】さらなるドリッパーヘッド配置を示す図である。
【
図8a】
図7のドリッパーヘッドの斜視図および断面図を示す図である。
【
図8b】
図8aのドリッパーヘッドの変形例の対応する図を示す図である。
【
図8c】
図8aのドリッパーヘッドの変形例の対応する図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0092】
最初に
図1を参照すると、基本的な燃料電池システム(たとえば、固体酸化物燃料電池システム)が、概略的に図示されている。見ることができるように、燃料電池システム10は、燃料電池14のスタック12を含む。
【0093】
燃料電池は、電気化学的に活性な層を有しており、スタックは、電気化学的に活性な層の両側に燃料流路および酸化剤流路を有しており、電気化学的に活性な層を横切って電気化学的な反応を起こすことを可能にし、セル(ひいては、スタック)から、電気16および熱の両方を生産するようになっており、熱は、加熱されたアウトガス18の形態になっており、その加熱されたアウトガスは、スタックの排気から退出する燃料電極ガスおよび空気電極ガスの組み合わせであることとなる。
【0094】
加熱されたアウトガス18は、複数の目的のために、燃料電池システム10によって使用され得る。これらのうちの1つは、空気加熱器(第1の熱交換器20)を使用して、スタック12の中へ給送される酸化剤(通常は、空気27)を予熱することである。酸化剤は、通常は空気であるが、他の酸化剤ガスも使用され得る(たとえば、酸素を豊富に含んだガスなど)。典型的に、400℃から600℃の間の温度で動作する固体酸化物燃料電池に関して、酸化剤27は、第1の熱交換器20によって加熱され、おおよそ300℃から500℃で出力されることとなる。示されているように、これは、カソード(酸化剤)オフガス18aがスタック12を離れた後に、カソード(酸化剤)オフガス18aからの高位熱を使用して実現され得る。
【0095】
また、加熱されたアウトガス18は、燃料26および水28を予熱するために使用され、加熱された蒸気および燃料混合物30を生産することが可能である。すなわち、空気加熱器20の中でいくらかの熱を失った後に、カソード(酸化剤)オフガス18bは、次いで、より低位の熱を燃料26および水28に伝達することが可能である。結果として生じる加熱された蒸気および燃料混合物30は、典型的に、改質装置24に給送されることとなるが、いくつかの燃料電池システムでは、改質は、スタック12の中で実施される。改質プロセスは、恐らく改質装置24の中で部分的に実施され、次いで、スタック12の中で継続されることとなる。その理由は、改質装置24からの流出が、一般に、合成ガス25(水素および一酸化炭素)へと部分的にのみ改質されるからであり、それは、また、未改質の燃料および蒸気とも混合されているからである。
【0096】
蒸気および燃料混合物30を生産する目的のために、蒸気発生器22(第2の熱交換器34)が提供されており、その第2の熱交換器34は、入口部端部において、燃料26および水28の両方を受け入れ、その水28は、蒸気発生器22の中で蒸気に変換され、その燃料26は、蒸気の中に同伴されるかまたは蒸気と混合されて加熱され、混合物30が、加熱された蒸気および燃料ガス混合物30として出力され得るようになっている。400℃から600℃の間の温度で動作する固体酸化物燃料電池に関して、蒸気および燃料混合物は、第2の熱交換器22によって加熱され、おおよそ200℃から500℃(通常は、250℃から350℃)で出力されることとなる。次いで、加熱された蒸気および燃料ガス混合物30は、改質装置24の中へ給送され、改質装置24は、同様に、アウトガス18によって加熱され得る。次いで、その改質装置24は、改質物(または、合成ガス)混合物25を出力し、それは、少なくとも水素および一酸化炭素を含む。次いで、その合成ガスは、第1の熱交換器20からの加熱された空気32とともに、スタック12の中へ給送され、燃料電池スタック12の中の燃料電池14によって電気化学的な処理を受けることが可能である。
【0097】
いくつかの燃料電池システムでは、その代わりに、蒸気が最初に生産され、次いで、燃料が(恐らく、改質装置の中で、または、別個の混合チャンバー(それは、さらなる熱交換器を有することが可能である)の中で)その中に別々に混合される。
【0098】
典型的な燃料電池システムでは、燃料は、メタン、プロパン、またはエタノールとして供給される。
【0099】
さらに、蒸気を作製するために供給される水は、水道水、または、より好ましくは、蒸留水であることが可能である。その理由は、蒸留水が、蒸発時により少ない堆積物を形成することとなるからである。
【0100】
上記は、単に、燃料電池システムの中の熱交換器の1つの配置に過ぎない。また、加熱されたアノードオフガスは、入って来るガスへの熱の伝達のために、熱交換器を通過することが可能であり、熱交換器は、他の順序で配置され得る。加熱された空気および合成ガスが適切な温度でスタックの中へ給送されることを保証するために、ならびに、同様に、第1および第2の熱交換器に提供される熱が、蒸気発生器からの空気加熱器の動作に適当であること、および、同様に改質装置に適当であることを保証するために、燃料電池システムの中に追加的な熱交換器も存在することが可能である。
【0101】
次に
図2を参照すると、蒸気発生器22の概略的な例が示されている。見ることができるように、蒸気発生器22は、流入ポートおよび流出ポートを備えた熱交換器部分34を含む。これらは、燃料および水の複合流入ポート36、熱供給流体流入ポート38、熱供給流体流出ポート40、ならびに、加熱された蒸気および燃料ガス流出ポート42を含む。
【0102】
燃料および水の複合流入ポート36は、熱交換器部分34の側部の上にマニホールドを介して取り付けられ得、好ましくは、断熱されたガスケットを備えており、ジョイントを横切る漏出を回避し、また、熱交換器部分34からマニホールドへの熱遮蔽を提供する。ガスケットは、サーミキュライト(thermiculite)ガスケットであることが可能である。
【0103】
燃料および水の複合流入ポート36の上流に、この実施形態は、T字ジャンクション44を有しており、そのT字ジャンクション44は、貫流型の水流入パイプ46およびサイドポート型の燃料流入パイプ48を有している。T字ジャンクションに起因して、水流入および燃料流入は、後の実施形態を参照してさらに詳細に説明されることとなるように、単一の流入ポート36に組み合わせられ得る。
【0104】
示されているように、この熱交換器34は、対向流熱交換器である。これは、好適な配置である。図示されている配置では、燃料および水の複合流入ポート36は、熱交換器部分34の上部に向けて装着されており、加熱された蒸気および燃料ガス流出ポート42は、熱交換器部分34の底部に向けて位置決めされており、液体水が、熱交換器部分の上部に進入し、熱交換器部分34の底部から蒸気として退出するようになっており、一方では、熱供給流入ポート38は、熱交換器部分34の底部に提供されており、熱供給流出ポート40は、熱交換器部分34の上部に提供されている。水および蒸気の生産のフローの方向に対して熱供給のこの対向流を有することは、熱交換器部分34の中の熱交換器機能の効率的な動作を提供する。
【0105】
次に
図3および
図4(拡大図)を参照すると、蒸気発生器22のための代替的なドリッパーヘッド配置が示されている。この実施形態では、サイドポート型の燃料流入パイプ48を備えたT字ジャンクション44が、蒸気発生器からさらに上流にあり、より長い長さの水流入パイプ26が、同心円状の外側燃料流入パイプ48によって取り囲まれるようになっている。熱交換器部分34は、依然として、同じ対向流配置を有することが可能であり、ポートが以前のものと同じ位置にあり、ドリッパーヘッドが蒸気発生器の上部にある。しかし、その図は、熱交換器34の加熱された内部プレート50も示しており、それは、加熱されたアウトガス18の貫流によって加熱される。これらの加熱された内部プレート50は、熱交換器部分34の内部の初期の熱交換表面を提供し、水28(燃料および水の複合流入ポート36を介して熱交換器34の中へ供給される)が、通常はドリッピングによって、その上に給送され得る。
【0106】
図4から見ることができるように、ドリッパーヘッド52は、水流入パイプ46の遠位端部に提供されている。それは、熱交換器部分34の中へ延在しており、出口孔部56(後の実施形態において、より良好に見られる)をプレート50の上方に位置決めし、その上に水をドリップする。この実施形態では、出口孔部は、横方向に(ドリッパーヘッドの軸線に対して垂直に)延在している。ドリッパーヘッド52が蒸気発生器22の中にそのように据え付けられることを可能にするために、プレート50は、それらを通るアパーチャー54を有しており、ドリッパーヘッド52がその中へ挿入される。しかし、ドリッパーヘッド52は、単に、プレート50の上部壁部の上方に装着され得る。
【0107】
見ることができるように、この実施形態では、プレート50の中のアパーチャー54は、挿入しやすくすること、および、プレート50とドリッパーヘッド52との間の直接接触を防止することの両方のために、ドリッパーヘッド52よりも大きくなるようにサイズ決めされている。そのような直接接触は、プレート50からドリッパーヘッド52への伝導性熱伝達を可能にすることとなり、それは、ドリッパーヘッド52の過熱、および、ドリッパーヘッド52の出口孔部56からのドリッピングの前にドリッパーヘッド52の中の水が結果的に沸騰することを結果として生じさせる可能性がある。そして、それは、ドリッパーヘッド52を通る水フローの失速を生成させ、ひいては、蒸気発生器22から出力される蒸気の圧力変化を生成させる可能性があり、それは、(閉じたスペースの中の水の蒸発に起因する)ドリッパーヘッドの中の内部堆積物の可能性を伴い、それは、最終的に築き上がり、ドリッパーヘッドを閉塞させる可能性がある。それらの兆候のすべては、望ましくないこととなる。したがって、本発明の配置は、そのような過熱の発生を最小化するように設計されている。次いで、これは、閉塞のリスクを最小化し、任意の圧力変化または圧力スパイクもしくは圧力トラフを最小化する(その理由は、水フローの停止が、圧力を降下させることとなり、一方では、フローを再開させることは、システムの中への過剰な水を生成させ、ひいては、蒸気圧力の中にスパイクを生成させる可能性があるからである)。
【0108】
本発明は、熱交換器の内側まで、および、ドリッパーヘッドからドリップするまで、水が液体として(すなわち、蒸気ではなく)留まることを保証することを試みることによって、プレート(または、提供され得るそのような他の加熱された熱交換表面)の上に液体水を給送することを目指す。
【0109】
この実施形態では、ドリッパーヘッド52は、出口孔部56の両側の外向きに突き出た構造体と、閉じた遠位端部とを有している。外向きに突き出た構造体は、2つの下向きに面する出口孔部56を隔離し、水が出口孔部56から孔部56の下方のプレート50の上にドリップするときに、水の滞留のリスクを防止するかまたは最小化する。したがって、水は、それぞれの出口孔部56の下にあるプレート50の上への制御されたドリップとして、直接的に降下または給送する傾向があることとなる。
【0110】
この実施形態では、2つのプレート50が存在しており、また、2つの孔部56が存在している。たとえば、すべてのプレートが水ドリップの給送を受け取るためのものでない場合には、他の実施形態は、孔部よりも多くのプレートを有することが可能である。好ましくは、孔部は、蒸気発生を最適化するために、蒸気発生器の内部熱交換表面に対して選択的に位置決めされている。
【0111】
次に
図5aおよび
図5bを参照すると、これらは、蒸気発生器の熱交換器部分34の上部の中へ挿入された2つの代替的なドリッパーヘッド52を示す概略的な部分断面図である。それぞれの図は、熱交換器部分34の部分的なセクションのみを示しており、2つの加熱されたプレート50が、再び見られ得る。そのうえ、ドリッパーヘッド52は、出口孔部56とともに見られ得、出口孔部56は、ここでは、細長いドリッパーヘッドの下側半分の上に明確に見ることができる。
【0112】
出口孔部56は、水流入パイプ46の内部チャネル58に流体接続し、流入する水28が、水供給部から水流入パイプ46の内部チャネル58を通って給送し、ドリッパーヘッド52の中の出口孔部を通って、プレート50の上に出て行くことができるようになっている。プレート50は高温であるので、プレート50の上に着地すると、水は、加熱および蒸発し始め、蒸気を形成することとなり、蒸気(および、任意の液体水)が、熱交換器部分34を通って、加熱された蒸気および燃料ガス流出ポート42(この図では示されていない)に向けて下へ同伴することとなる。それが熱交換器部分34を通って下へ通過する間に、水または蒸気は、フィンまたは他の織り交ぜられた部材もしくは非平坦の部材60を通過してトラベルすることが可能であり、好ましくは、水-燃料流路は、複数の遮断を有しており、フロー方向は、一般的に、内部フィンに起因して変化し、蒸発のための熱交換面積を増加させ、それは、完全に混合された出口ストリームを最終的に推進する。また、これらの部材またはフィン60は、(通常は、それらが接続しているプレート50の熱から)高温になることとなる。したがって、この配置は、水の蒸発のための大きい接触面積を保証し、ひいては、急速な蒸気形成を保証する。また、それは、蒸気発生器の中の蒸気圧力の一貫した維持を提供し、加熱された表面の上への水ドリッピングの結果として起こる任意の圧力脈動が、蒸気出口部42において低いレベルで維持され得るようになっている。
【0113】
この好適な入り組んだ流路配置によって、および、プレート(または、熱交換器部分の中の他のそのような熱交換表面)の上への(好ましくは、そのようなプレートに対して選択された位置に(たとえば、真上に)位置付けされている孔部からの)水のドリッピングによって、その蒸気生産速度を迅速におよび容易に一時的に変化させる蒸気発生器22の能力が最適化される。これは、水が依然として出口部42によって完全に蒸発することとなることを保証しながら、熱交換器の中への水(および、燃料)の流量を単に変化させることによって実現され得る。
【0114】
追加的に、熱交換器34の中のフィンまたは非平坦の部材60は、蒸気が生産されるときに、蒸気が複数の方向に膨張するように促し、したがって、熱交換器部分34の中の任意の圧力変化を均一にし、したがって、繰り返しになるが、低い圧力脈動を提供することを助ける。これは、利益を有する。その理由は、熱交換器34の中の高い圧力脈動が、変動する蒸気/燃料混合物(潜在的に、不均一に混合された蒸気および燃料を伴う)を改質装置24が受け入れることを結果として生じさせるからであり、それは、改質装置24の効率に影響を与えることとなる。そして、それは、それぞれの燃料電池の動作にも影響を与える可能性がある。
【0115】
したがって、本発明は、蒸気発生器22から改質装置24の中へ出力される均一なおよび一貫した蒸気および燃料を生成させるために、低い圧力脈動を提供することを目指す。結局のところ、燃料改質装置24によって受け入れられることとなる流出するストリーム30は、液体水を含有しない過熱蒸気-燃料混合物であるべきである。
【0116】
ドリッパーヘッド52は、滞留された水または大きい液滴を形成するのではなく、プレート50の上に一貫してドリップするように設計されている。この目的のために、ドリッパーヘッドは、隣接する孔部の間に段差付きのプロファイルを有しており、段差(すなわち、異なる高さの段差)同士の間の鋭い角部が、表面張力効果が隣接する孔部からの液滴が合体することを妨げるように構成されている。とりわけ、構造体は、異なる出口孔部を互いから隔離するために、ドリッパーヘッド52のそれぞれの出口孔部56の両側に提供され得る。
図5aの実施形態では、構造体は、外向きに延在するフランジ62を含む。外向きに延在するフランジ62は、ドリッパーヘッド52の上に一体的に形成されており、そして、ドリッパーヘッド52は、水流入パイプ46の上に一体的に形成されている。
【0117】
構造体62は、水流入パイプ46の周辺(または周囲部)(全体)の周りに延在する連続的なリングフランジである。それらは、おおよそ出口孔部の直径だけ出口孔部56から離れるように軸線方向に間隔を置いて配置されているが、他の距離も同様に可能である。また、それらは、孔部の直径の1倍から2倍の間の距離だけ、出口孔部56から外向きに横方向に延在しているが、他の長さも同様に可能である。
【0118】
図5bの実施形態では、構造体は、また、外向きに延在するフランジ62を含み、外向きに延在するフランジ62は、ドリッパーヘッド52の上に一体的に形成されており、そして、ドリッパーヘッド52は、水流入パイプ46の上に一体的に形成されている。しかし、この実施形態では、構造体は、水流入パイプ46の周辺の下側部の周りのみに延在している。孔部がドリッパーヘッドの下面のみに提供されている場合、重力および表面張力の効果は、液滴を閉じ込めるために必要とされるのは、部分的なフランジ付きの構造体だけである可能性があるということを意味しており、一方では、ドリッパーヘッドの上側半分の上に提供されている孔部は、連続的なリング構造体によって閉じ込められることを必要としない可能性がある。
【0119】
図5aおよび
図5bの両方に示されている実施形態では、それぞれの出口孔部56のために提供されている2つのそのようなフランジ62が存在しており、また、2つのそのような出口孔部56が存在している。したがって、4つのそのようなフランジ62が存在している。また、フランジ62は、水流入パイプ46(または、より具体的には、ドリッパーヘッド52)の中心軸線に対して垂直に延在している。この実施形態では、ドリッパーヘッド52の遠位端部に最も近いフランジ62は、遠位端部から間隔を置いて配置されており、遠位端部は閉じられている。
【0120】
熱交換器部分34の外部において、水流入パイプ46を取り囲んでいるのは、T字マニホールド64である。このT字マニホールド64は、水流入パイプ46の一部を覆っており、好ましくは、それに対するタイトシールを提供するためのガスケットを用いてではあるが、任意の従来の手段によって、熱交換器部分34の外側壁部に取り付けられ得る。ガスケットは、断熱ガスケット(たとえば、サーミキュライトガスケットなど)であり、熱交換器34の側部からT字マニホールド64への伝導性熱伝達を最小化することが可能である。
【0121】
T字マニホールド64は、水流入パイプ46(または、それを通って延在するその一部)よりも大きい直径を有する内部通路を有している。したがって、これは、T字マニホールドの内側壁部と水流入パイプ46の一部の外側壁部との間に環状のギャップを提供している。この環状のギャップは、燃料26のための流路を提供している。燃料26は、サイドブランチ66を介してT字マニホールド64に進入する。この配置によって、燃料は、水流入パイプ46の周りの(同心円状の)シュラウドとして熱交換器部分34に進入し、次いで、熱交換器部分34の中に発生させられた蒸気とその後に混合することが可能である。
【0122】
燃料26によって水流入パイプ46を覆うことは、熱交換器に近い任意の固体表面から離れるように水入口部パイプを吊り下げる効果を与え、水流入パイプは、左端においてのみ取り付けられ得る。これは、熱交換器34の構造体から水流入パイプ46の中への熱の任意の直接的な伝導を防止する。これは、すべて、ドリッパーヘッド52からドリップされるまで、水流入パイプ46の中の水を液体状態で維持することを助ける。その理由は、熱交換器部分34からの熱が、それが水流入パイプ46の中の水28の温度を上昇させることができる前に、最初に燃料26の温度を上昇させることを必要とすることとなるが、しかし、その燃料26は、蒸気発生器22が動作している間に、冷却器燃料供給からリフレッシュし続けるからである。そうであるので、この配置によって、蒸気発生器22の動作の間に出口孔部56を退出する水は、蒸気をベントするのではなく、出口孔部56から水をドリップさせる傾向があることとなり、したがって、水流入パイプ46またはドリッパーヘッド52の中での蒸気閉塞の発生を最小化し(そうでなければ、それが起こる可能性があり、圧力変動をもたらす)、また、それは、ドリッパーヘッド52または水流入パイプ46の中で起こる蒸発堆積物を低減させるかまたは排除する(蒸発堆積物は、一掃することが困難であり、また、蒸気発生器22の故障につながる可能性がある)。ジャンクション、すなわち、ガスシュラウドの開始は、以前の
図3(たとえば、より長い長さが覆われていることを示している)から変化することが可能である。
【0123】
蒸気発生器22のこの配置によって、水28および燃料26は、熱交換器34に進入する前に混合されるのではなく、水が沸騰して蒸気に変換するときに、熱交換器234の内側で混合される。これは、燃料および水を予混合するよりも利点を有する可能性があり、熱交換器を通る同じ通路を通って流れる比較的に乾燥した燃料ガスは、ガスストリームの中へ水を蒸発させることを助ける。
【0124】
次に
図6を参照すると、本発明の別の実施形態が示されている。
図5aのものと同様であるが、この実施形態では、一体的なフランジ62ではなく、ワッシャー72のペアが、パイプの上にフィットさせられ、それぞれの下向きに面する出口孔部56の両側に位置決めされるようになっており、ギャップ78がワッシャーのペアの間にあり、それは、ワッシャーに対して凹んだセクションを形成している。これらのワッシャー72は、水流入パイプ46の自由端部の上に押し込み嵌めされ得る。
【0125】
図6に見ることができるように、水が出口孔部56から流出するときに、水液滴74が形成するが、表面張力に起因して、滴74は、出口孔部56の両側の隣接するワッシャー72同士の間のギャップの中に保持され、その周りに広がる。とりわけ、表面張力効果は、隣接するギャップ78の中へ、ワッシャーの突き出た外側ショルダー部(の鋭い角部)の周りに、液滴が広がらないということを意味している。一方では、ワッシャー72がないときには、滴74は、水流入パイプ46に沿って広がることが可能であり、ワッシャー72は、出口孔部56に対してローカルに滴74を保って位置付けする。また、隣接する出口孔部56の滴は、離して保持されており、結合または混合しないので、それらのサイズが制御され得る。結果として、水液滴74は、より大きい水液滴を生成させるために結合することができず、そのより大きい水液滴は、水が着実に蒸発するのではなく熱交換器の交換表面の上に着座するとすれば、蒸気発生器の中の圧力脈動の増加を生成させる傾向がある可能性がある。また、下方の熱交換表面に対して所望の位置において液滴が成長することを保証することによって、これは、それらがランダムな様式で落下することを防止することが可能である。たとえば、それらは、プレートの側部に落下し、したがって、熱交換表面の異なる部分の上に着地する可能性があり、次いで、(十分に大きい場合には)潜在的に熱交換器を通って流れ落ち、熱交換器のベースに滞留する可能性があり、したがって、熱交換器部分34の出口または加熱された蒸気および燃料ガス流出ポート42に向けて、より大きい圧力脈動の可能性を生成させる(その理由は、最も高温の部分が底部(そこでは、加熱された流体が熱交換器に進入する)にあるからである)。
【0126】
熱交換器34の中の非平坦の部材60は、そのような液体滞留に抵抗する傾向があることとなるが、ドリッパーヘッド52からのより大きい水液滴を回避することは、依然として、本発明の重要な特徴である。その理由は、水滞留が、次いで実質的に排除され、したがって、望ましくは、蒸気発生器の中の低い圧力脈動を結果として生じさせることができるからである。
【0127】
次に
図7を参照すると、ドリッパーヘッド52の別の実施形態が示されている。この実施形態では、ドリッパーヘッド52は、交換可能なドリッパーヘッドであり、水流入パイプ46の端部の上にフィットさせられ得る。これは、水流入パイプ46のネジ山付き端部、および、ドリッパーヘッド52の近位端部における内部ネジ山付き孔部によって行われ得る。
【0128】
ネジ山の上へのドリッパーヘッド52の締め付けを促進させるために、ドリッパーヘッド52の断面は、少なくともドリッパーヘッドの一部において(本明細書では、その近位端部において)、ナットのように六角形になっていることが可能である。六角形の断面は、スパナが水流入パイプ46の上にノズルを締め付けることを可能にする。
【0129】
この実施形態では、出口孔部56は、繰り返しになるがドリッパーヘッドの下面に提供されており、それぞれが、その両側に構造体を備えており、その構造体は、この実施形態では、鋭い角部を備えた円弧形状のフランジ76である。このドリッパーヘッド52は、ドリッパーヘッド52の側壁部の一部分を切り取ることによって、または、成形することによって製作され得る。したがって、流出孔部56の両側のショルダー部は、水滴を封じ込めるために、および、横方向への広がりに抵抗するために提供されている。この実施形態では、フランジは、ドリッパーヘッド52の周囲部の全体に延在していないが、それらは、
図6に図示されているように、隣接する出口孔部56からの滴の接合を防止するという同じ機能を依然として果たすことが可能である。
【0130】
この実施形態では、さらなる横方向のカットが提供されている。1つは、2つの出口孔部56の間にあり、出口孔部56同士の間に位置付けされている2つの円弧形状のフランジ76同士の間の凹部78を生成させるようになっており、さらに2つが、他の2つの「外側の」円弧形状のフランジ76の外側にあり、円弧形状のフランジ76の外側を画定している。
【0131】
したがって、出口孔部56のそれぞれ1つの両側にペアになってそれぞれ位置付けされている4つの円弧形状のフランジ76は、そのペアの間にギャップ78を有しており、その内側ギャップは、隣接する出口孔部の間の水液滴が融合することができないことを保証することを助ける。その理由は、それを行うためには、それらがそのギャップを埋めなければならないこととなるからである。
【0132】
次に
図8aから
図8cを参照すると、これらは、ドリッパーヘッドの3つの代替的な実施形態を示しており、それぞれ、ドリッパーヘッドの下面の斜視図を左側に含み、孔部が下向きに配向させられた状態のその動作配向におけるヘッド(180度にわたって回転させられている)の断面図を右側に含む。
図8aは、
図7を参照して説明されているようなドリッパーヘッド52を示しており、出口孔部56は、その両側に構造体をそれぞれ備えており、その構造体は、この実施形態では、一体的に形成された円弧形状のフランジ76である。
【0133】
図8bは、さらなるドリッパーヘッド152を示しており、
図7および
図8aを参照して説明されているドリッパーヘッド52の変形例である。ドリッパーヘッド52および152は、実質的に同様であり、違いのみが説明されるものとする。円弧形状のフランジの代わりに、この変形例のドリッパーヘッド152は、主流体経路から離れる横方向のパイプセクション176を提供されている。出口孔部56は、それぞれの横方向のパイプセクションの端部に提供されている。それぞれの横方向のパイプセクション176は、ドリッパーヘッド152に対して横方向または半径方向に下向きに延在しており、それは、ドリッパーヘッド52の円弧形状のフランジ76の深さと同様の深さになっている。横方向のパイプセクション176の端部は、出口孔部の直径よりもはるかに大きくなっており、平坦な端部表面を表しているか、または、パイプセクション同士の間の凹んだ段差またはセクション178に対して突き出ている鋭い角部を備えた段差を表している。液滴がその上に形成する平坦な端部表面は、成長する液滴を支持するのに適切なサイズのものとなるように選択され得、一方では、重力および表面張力の効果は、液滴が鋭い角部の周りに横方向に広がることを妨げ、したがって、液滴がギャップを埋めることおよび(より高い)凹んだセクション178の中の隣接する液滴と合体することを妨げる。横方向のパイプセクション176は、断面が円形として示されており、他の断面(たとえば、正方形、五角形、または六角形)も使用され得る。
【0134】
図8cは、さらなるドリッパーヘッド252の図を示しており、それは、ドリッパーヘッド52のさらなる変形例である。ドリッパーヘッド52、152、および252は、実質的に同様であり、違いのみが説明されるものとする。円弧形状のフランジの代わりに、この変形例のドリッパーヘッド252は、その下面において、一体的な湾曲したまたは円弧形状の表面276を提供されており、円弧形状の垂直方向の縁部表面277が、鋭い角部を画定している。下向きに面する円弧形状の表面276は、ドリッパーヘッド252の側壁部の概して円筒形の形状の周囲部の継続部であることが可能であり、ドリッパーヘッド252の側壁部の周囲部分を切り取ることによって、または、成形することによって形成され得る。繰り返しになるが、主経路から離れた横方向の側部経路は、円弧形状の表面276の中に提供されている出口孔部56につながっており、液滴が、円弧形状の表面276の上に形成することが可能である。したがって、出口孔部56は、ドリッパーヘッド252の下向きに突き出たセクション276の中に提供されており、下向きに突き出たセクション276は、鋭い角部によって画定されており、また、繰り返しになるが、凹んだ(より高い)セクション278によって分離されており、凹んだ(より高い)セクション278は、重力および表面張力の効果を通して、隣接する出口孔部からの水液滴がギャップ278を埋めることおよび融合することを妨げる。
【0135】
図8cに示されているように、ドリッパーヘッド252の出口孔部56は、ドリッパーヘッド52および152のものと比較して大きい直径を有している。より大きい直径は、ドリッパーヘッド252の出口孔部56の中に提供されているスクリューネジ山57の使用によって、ドリッパーヘッド252のカスタマイズを促進させる。スクリューネジ山57は、ボアを備えたグラブスクリューの挿入によって、ドリッパーヘッド出口孔部のカスタマイズを可能にし、ボアサイズは、流量を制御するためにカスタマイズ可能である。同様に、スクリューネジ山は、パイプセクション176と形状および機能が同様のパイプセクションを追加するために使用され、出口孔部56の直径を位置決めおよび調整することが可能である。代替的に、ドリッパーヘッド252の出口孔部56は、
図8aおよび
図8bに示されている出口孔部と同様の直径の孔部であることが可能である。
【0136】
したがって、本発明は、純粋に例として上記に説明されてきた。本明細書に添付されている特許請求の範囲の中で、本発明に対して詳細の修正が行われ得る。
【符号の説明】
【0137】
10 燃料電池システム
12 スタック
14 燃料電池
16 電気出力
18 加熱されたアウトガス
18a アウトガスの流路
20 第1の熱交換器
22 蒸気発生器
24 改質装置
25 合成ガス
26 燃料
27 空気
28 水
30 加熱された蒸気および燃料混合物
32 加熱された空気
34 第2の熱交換器
36 水流入ポート
38 熱供給流入ポート
40 熱供給流出ポート
42 加熱された蒸気および燃料ガス流出ポート
44 T字ジャンクション
46 水流入パイプ
48 燃料流入パイプ
50 加熱された内部プレート
52 ドリッパーヘッド
54 アパーチャー
56 出口孔部
57 スクリューネジ山
58 内部チャネル
60 フィン
62 フランジ
64 T字マニホールド
66 サイドブランチ
72 ワッシャー
74 水液滴
76 円弧形状のフランジ
78 凹んだセクション
152 ドリッパーヘッド
176 横方向のパイプセクション
178 凹んだセクション
252 ドリッパーヘッド
276 円弧形状の表面
277 円弧形状の縁部
278 凹んだセクション
【国際調査報告】