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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-10
(54)【発明の名称】車ランプ光学素子
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/27 20180101AFI20221102BHJP
   G02B 3/02 20060101ALI20221102BHJP
   F21W 102/13 20180101ALN20221102BHJP
【FI】
F21S41/27
G02B3/02
F21W102:13
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022513958
(86)(22)【出願日】2020-10-20
(85)【翻訳文提出日】2022-03-01
(86)【国際出願番号】 CN2020122163
(87)【国際公開番号】W WO2021078114
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】201921809909.6
(32)【優先日】2019-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520372939
【氏名又は名称】▲華▼域▲視▼▲覺▼科技(上▲海▼)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】祝 ▲賀▼
(72)【発明者】
【氏名】仇 智平
(72)【発明者】
【氏名】桑 文慧
(57)【要約】
車ランプ光学素子(1)であって、一端に複数の集光構造(11)が設けられ、他端に外側に突出する円弧面である光出射面(12)が設けられる。利点は以下のとおりである。1、従来技術の一次光学素子と二次光学素子を一体部品とすることで、取り付け時に両者の相対位置精度を保証する必要がなくなり、車ランプパータンの安定性をよりよく確保できるとともに、車ランプモジュールの寸法を減少させることができ、2、仕切り溝(2)を開設することによって、二次配光を実現し、3、従来の遮光板の代わりに尖った溝(3)を開設することで、車ランプモジュールの構造を簡素化し、全体の寸法を低減させ、4、ロービーム部(16)とハイビーム部(17)を設け、ハイビーム部(17)の底面に仕切り溝(4)を開設し、又は両者の間に楔形の隙間(5)を開設することにより、一体型車ランプ光学素子(1)において同時にハイビームとロービーム機能を実現し、車ランプ光学素子(1)の機能を多様化させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車ランプ光学素子(1)であって、一端に複数の集光構造(11)が設けられ、他端に外側に突出する円弧面である光出射面(12)が設けられ、上方に位置するロービーム部(16)と下方に位置するハイビーム部(17)を備え、両者の前記光出射面(12)から離れる一端にいずれも複数の前記集光構造(11)が設けられ、他端が一体として上下に接続されて共に前記光出射面(12)を形成し、前記ハイビーム部(17)の底面には、接続面(43)により接続されて対向して設けられた前側面(42)と後側面(41)を備える凹溝(4)が開設されることを特徴とする車ランプ光学素子。
【請求項2】
前記光出射面(12)は凸レンズ面または左右方向に沿って延在する円弧面であることを特徴とする請求項1に記載の車ランプ光学素子。
【請求項3】
前記集光構造(11)は、凹キャビティを有する集光カップ構造であり、その外部輪郭が後端から先端に向かって徐々に大きくなる曲面状構造であり、前記凹キャビティの開口は後端に向かって開設され、前記凹キャビティの底部には後端に突出する突起が設けられ、又は、
前記集光構造(11)は、外部輪郭が後端から先端に向かって徐々に大きくなる曲面状構造の中実体であり、その入光面は平面又は曲面であり、又は前記集光構造(11)は後端に突出する突起であることを特徴とする請求項1に記載の車ランプ光学素子。
【請求項4】
前記ロービーム部(16)の底面は前記ハイビーム部(17)の頂面に接続されることを特徴とする請求項1に記載の車ランプ光学素子。
【請求項5】
前記前側面(42)と前記後側面(41)は左右方向に沿って延在することを特徴とする請求項1に記載の車ランプ光学素子。
【請求項6】
前記接続面(43)と前記前側面(42)との接続箇所は、形状がロービームカットオフラインの形状に適合する前辺縁(44)であることを特徴とする請求項1に記載の車ランプ光学素子。
【請求項7】
前記ロービーム部(16)と前記ハイビーム部(17)はいずれも平板型を呈することを特徴とする請求項1に記載の車ランプ光学素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は2019年10月25日に提出された中国特許出願201921809909.6の権利を主張し、この出願の内容は引用により本願に組み込まれている。
【0002】
本発明は、車両照明の技術分野に関し、特に、車ランプ光学素子に関する。
【背景技術】
【0003】
車ランプの技術分野において、車ランプモジュールとは一般的に、プラスチック又はガラス材質のレンズ又はそれらに相当する構造を備えた部品を最終的な出光素子として、自動車の前照灯の照明に用いられる装置を指す。車ランプ光学素子は車ランプモジュールの重要な構成部分であり、光源から出射された光線は車ランプ光学素子を介して出射された後、所望の車ランプパータンを形成することができる。
【0004】
従来技術の車ランプモジュールは、一次光学素子と二次光学素子を有し、所望のパータンを得るように、一次光学素子と二次光学素子に対して二次配光調整を行う必要があり、二次配光調整は、1つの光学素子のみを設けた一次配光調整よりも柔軟であり、これは、2つの光学素子の配光パラメータを調整することで、パータンを調整することができるからであり、調整可能な配光パラメータが多く、例えば、一次光学素子の入光面、光出射面、二次光学素子の入光面または光出射面を調整することができる。
【0005】
従来技術には以下の欠点が存在する。
1、一般には、複数の集光構造を有する集光器を一次光学素子として採用し、同時にレンズを二次光学素子として設け、このように設置することで、車ランプモジュールにおける部品を増加させ、全体の寸法が大きくなり、また、2つの光学素子の間の相対位置の正確性を保証する必要があり、組み立ての精度に対する要求が高い。
2、集光器をロービーム光学素子として使用する場合、ロービームカットオフラインを形成するように、集光器の前方に遮光板を設ける必要があり、これは車ランプモジュールの構造が複雑になり、寸法が大きくなることをもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の欠点に対して、本発明が解決しようとする技術的課題は、一次光学素子と二次光学素子を一体化した車ランプ光学素子を提供し、組立による精度の問題を回避することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、一端に複数の集光構造が設けられ、他端に外側に突出する円弧面である光出射面が設けられる車ランプ光学素子を提供する。
【0008】
好ましくは、前記車ランプ光学素子に貫通する仕切り溝が開設され、前記仕切り溝は対向して設けられた出光面と入光面を備える。
【0009】
好ましくは、前記出光面と入光面の延在方向は前記光出射面の延在方向と同じである。
【0010】
好ましくは、前記車ランプ光学素子は平板型を呈する。
【0011】
好ましくは、前記車ランプ光学素子は、折り曲げ型を呈し、互いに接続される集光チャネルと導光チャネルを備え、両者の接続箇所に反射面が設けられ、前記集光チャネルの底端に複数の集光構造が設けられ、前記導光チャネルの先端に光出射面が設けられ、前記仕切り溝は前記導光チャネルを貫通する。
【0012】
好ましくは、前記車ランプ光学素子に縦断面がV型の尖った溝が開設され、前記尖った溝は、前記光出射面から離れる尖った溝反射面と前記光出射面に近い尖った溝側面を備える。
【0013】
好ましくは、前記尖った溝反射面と尖った溝側面との延在方向はいずれも前記光出射面の延在方向と同じである。
【0014】
好ましくは、前記尖った溝反射面と尖った溝側面との接続箇所の形状はパータンカットオフラインの形状に適合する。
【0015】
好ましくは、前記車ランプ光学素子は平板型を呈する。
【0016】
好ましくは、前記車ランプ光学素子は折り曲げ型を呈し、互いに接続される集光チャネルと導光チャネルを備え、両者の接続箇所に反射面が設けられ、前記集光チャネルの底端に複数の集光構造が設けられ、前記導光チャネルの先端に光出射面が設けられ、前記尖った溝は前記導光チャネルに開設される。
【0017】
好ましくは、前記光出射面は凸レンズ面または左右方向に沿って延在する円弧面である。
【0018】
好ましくは、前記車ランプ光学素子は、上方に位置するロービーム部と下方に位置するハイビーム部を備え、両者の前記光出射面から離れる一端にいずれも複数の集光構造が設けられ、他端が一体として上下に接続されて共に前記光出射面を形成する。
【0019】
好ましくは、前記ハイビーム部の底面には、接続面により接続されて対向して設けられた前側面と後側面を備える凹溝が開設される。
【0020】
好ましくは、前記ロービーム部とハイビーム部との間には楔形の隙間が設けられ、前記隙間の幅は後端から先端に向かって徐々に収縮する。
【0021】
好ましくは、前記集光構造は、凹キャビティを有する集光カップ構造であり、その外部輪郭が後端から先端に向かって徐々に大きくなる曲面状構造であり、前記凹キャビティの開口は後端に向かって開設され、前記凹キャビティの底部には後端に突出する突起が設けられ、又は、前記集光構造は、外部輪郭が後端から先端に向かって徐々に大きくなる曲面状構造の中実体であり、その入光面は平面又は曲面であり、又は前記集光構造は後端に突出する突起である。
【0022】
本発明の有益な点は以下のとおりである。
1、従来技術の一次光学素子と二次光学素子を一体部品とすることで、部品の数を効果的に減少させることができ、取り付け時に両者の相対位置精度を保証する必要がなくなり、車ランプパータンの安定性をよりよく確保できるとともに、車ランプモジュールの寸法を減少させることができる。
2、仕切り溝を開設することによって、一体的な光学素子において二次配光を実現し、配光の柔軟性を高めることができる。
3、従来の遮光板の代わりに尖った溝を開設することで、ロービームまたはハイビームカットオフラインを実現するとともに、車ランプモジュールの構造を簡素化し、全体の寸法を低減させる。
4、ロービーム部とハイビーム部を設け、ハイビーム部の底面に仕切り溝を開設し、又は両者の間に楔形の隙間を開設することにより、一体型車ランプ光学素子において同時にハイビームとロービーム機能を実現し、車ランプ光学素子の機能を多様化させる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施例1の斜視図である。
図2】実施例1の光路図である。
図3】実施例2の斜視図1である。
図4】実施例2の斜視図2である。
図5】実施例2の光路図である。
図6】実施例3の斜視図1である。
図7】実施例3の斜視図2である。
図8】実施例3の光路図である。
図9】実施例4の斜視図である。
図10】実施例4の光路図である。
図11】実施例5の斜視図1である。
図12】実施例5の斜視図2である。
図13】実施例5の断面図と光路図である。
図14】実施例6の光路図である。
図15】実施例7の光路図である。
図16】実施例8の光路図である。
図17】実施例9の斜視図である。
図18】実施例9の光路図である。
図19】実施例10の斜視図である。
図20】実施例10の光路図である。
図21】実施例11の斜視図である。
図22】実施例11の光路図である。
図23】実施例12の斜視図である。
図24】実施例12の光路図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながらさらに本発明の具体的な実施例を詳細に説明する。これらの実施例は単に本発明を説明するためのものであり、本発明を限定しない。
【0025】
なお、本発明の説明では、用語「縦」、「横」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「頂」、「底」、「内」、「外」などが示す方位または位置関係は、図面に示される方位または位置関係に基づくものであり、本発明の説明の便宜及び記載の簡素化のために過ぎず、係る装置又は素子が必ず特定の方位を有したり、特定の方位で構造・操作したりすることを指示又は示唆するものではなく、したがって、本発明を制限するものとして理解できない。
【0026】
なお、本発明の説明では、別途明確な規定や限定がない限り、「取り付け」、「連結」、「接続」のような用語は広義に理解すべきであり、たとえば、固定接続、取り外し可能な接続、または一体接続であってもよく、直接接続、または中間媒体を介する間接接続であってもよく、2つの素子の内部の連通であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本発明における上記用語の具体的な意味を理解できる。
【0027】
なお、本発明の説明では、「複数」とは、別途の記載がない限り、2以上を意味する。
【0028】
以下の説明では、図2の図面を方向の参考基準として、図面の紙面に沿って右向きの側、即ち光出射面12が位置する側を前方向とし、図面の紙面に沿って左向きの側を後方向とし、図面の紙面に沿って上向きの側を後方向とし、図面の紙面に沿って下向きの側を下方向とし、図面の紙面に垂直に内向きの側を左方向とし、図面の紙面に垂直に外向きの側を右方向とする。図中の一点鎖線はすべて光軸を示す。
【0029】
本発明は、車ランプ光学素子を提供し、該車ランプ光学素子1は、光透過性材料で製造され、一端に複数の集光構造11が設けられ、他端に外側に突出する円弧面である光出射面12が設けられ、該光出射面12は、図1図16に示す車ランプ光学素子1の左右方向に沿って延在する円弧面、又は、図17図22に示す凸レンズ面であってもよく、ここで、凸レンズ面とは、凸レンズの出光面カットオフラインを回転させて得られる回転面を指す。本発明は、従来の技術における一次光学素子と二次光学素子を一体に構成し、取り付ける時に両者の相対位置精度を保証する必要がなく、パータンの安定性をよりよく確保できるとともに、部品の数を減少させることができ、車ランプモジュールの小型化に有利である。具体的には、本発明の実施例1及び2を参照して理解することができる。
【0030】
実施例1
図1及び図2を参照して、車ランプ光学素子1は平板型を呈し、入射光線は、集光構造11から車ランプ光学素子1に入った後、光出射面12を介して出射されて車両の前方に投射される。
【0031】
実施例2
図3図5を参照して、車ランプ光学素子1は折り曲げ型を呈し、互いに接続される集光チャネル13と導光チャネル14を備え、両者の接続箇所に反射面15が設けられる。集光チャネル13は、ほぼ上下方向に沿って延在し、底端に複数の集光構造11が設けられ、導光チャネル14は、ほぼ前後方向に沿って延在し、先端に光出射面12が設けられる。集光構造11は入射光線を受光して集光することができ、集光された光線は、集光チャネル13に入って反射面15を介して反射された後、導光チャネル14の端部の光出射面12から出射されて車両の前方に投射される。反射面15に入射した光線の大部分はいずれも全反射する。
【0032】
該実施例の車ランプ光学素子では、光出射面12を外側に突出する円弧面として設け、即ち従来の技術における一次光学素子と二次光学素子を一体に構成するのは、両者の相対位置精度を保証する必要がなく、パータンの安定性をよりよく確保することができ、同時に、折り曲げ型の設置は、車ランプ光学素子1の前後方向の寸法を短縮させることに有利であり、車ランプモジュールの寸法をさらに減少させることができる。
【0033】
一体的に設けられた車ランプ光学素子を基に出射パータンをよりよく調整するために、本発明は、車ランプ光学素子1に貫通する仕切り溝2が開設され、仕切り溝2は対向して設けられた出光面21と入光面22を備え、好ましくは、出光面21と入光面22の延在方向は光出射面12の延在方向と同じであり、当然ながら、実際の必要に応じて、延在方向は異なってもよい。仕切り溝2により、一体的な車ランプ光学素子1を、前後の2つの光学部、即ち従来の二次光学素子に対応する前側に位置する光学部と従来の一次光学素子に対応する後側に位置する光学部に分けることで、車ランプ光学素子1は一体部品の利点を有するとともに二次配光を実現することができる。ここでは、仕切り溝2は上下に貫通して及び/又は左右に貫通してもよく、仕切り溝2の出光面21と入光面22は、例えば平面、凹面又は凸面等、様々な形態を有してもよい。具体的には、本発明の実施例3及び実施例4を参照して理解することができる。
【0034】
実施例3
図6図8に示すように、車ランプ光学素子1は平板型を呈し、直方体の溝である仕切り溝2と光出射面12とは、いずれも車ランプ光学素子1の左右方向に沿って延在する。入射光線は、集光構造11から車ランプ光学素子1に入って、順に出光面21、入光面22及び光出射面12を介して出射されて車両の前方に投射される。
【0035】
実施例4
該実施例の車ランプ光学素子は、実施例2を基にさらに改良されたものであり、図9および図10を参照して、仕切り溝2が導光チャネル14を上下に貫通し、光出射面12の延在方向と同じである。入射光線は、集光構造11から集光チャネル13に入って、反射面15を介して反射された後、導光チャネル14に入って、その後、順に出光面21、入光面22及び光出射面12を介して出射されて車両の前方に投射される。
【0036】
実施例3及び実施例4は、実施例1/2の一体部品の利点に加えて、仕切り溝2により二次配光を実現することができ、さらに理想的なパータンを得ることができる。
【0037】
遮光板が取り除かれるとともに、ロービーム又はハイビームカットオフラインを形成することができるために、好ましくは、本発明の車ランプ光学素子1に縦断面がV型の尖った溝3が開設され、尖った溝3は光出射面12から離れる尖った溝反射面31と光出射面12に近い尖った溝側面32を備え、尖った溝反射面31と尖った溝側面32の延在方向はいずれも光出射面12の延在方向と同じであり、同様に、異なってもよい。尖った溝反射面31と尖った溝側面32との接続箇所33の形状はロービーム又はハイビームカットオフラインの形状に適合し、ロービーム又はハイビームカットオフラインを形成するために用いられ、その形状はパータンカットオフラインの形状によって異なり、入射光線の一部は、接続箇所33によってカットオフされた後に光出射面12から出射され、ロービーム又はハイビームカットオフラインを形成し、それにより、遮光板を取り除き、車ランプモジュールの寸法を減少させるという目的を達成する。当業者であれば必要に応じて尖った溝反射面31と尖った溝側面32の傾斜角度を調整することができる。具体的には、本発明の実施例5~8を参照して理解することができる。
【0038】
実施例5
図11図13に示すように、該実施例の車ランプ光学素子1は、平板型を呈し、ロービーム又は補助ロービーム機能を実現するために、実施例1を基にさらに改良されたものである。その底面には上向きに凹んだ尖った溝3が開設され、尖った溝3は、傾斜して設けられた尖った溝反射面31と鉛直に設けられた尖った溝側面32を備え、尖った溝反射面31に入射した光線の大部分は全反射する。ここでは、入射光線の一部Aは、尖った溝反射面31に入射し、反射されて車ランプ光学素子1の頂面から出射され、入射光線のもう一部Bは、尖った溝反射面31に入射し、光出射面12に反射されて出射される。尖った溝反射面31と尖った溝側面32との接続箇所33(即ち、尖った溝3の頂部)の形状は、ロービームカットオフラインの形状に適合し、ロービームカットオフラインを形成するために用いられ、その形状はロービームカットオフラインの形状によって異なり、入射光線Cの一部は、接続箇所33によってカットオフされて光出射面12から出射され、ロービームカットオフラインを形成する。
【0039】
実施例6
図14に示すように、該実施例の車ランプ光学素子1は、ハイビーム又は補助ハイビーム機能を実現するために、実施例1を基にさらに改良されたものである。車ランプ光学素子1の頂面には下向きに凹んだ尖った溝3が開設され、入射光線の一部Aは尖った溝反射面31に入射し、反射されて車ランプ光学素子1の底面から出射され、入射光線のもう一部Bは、直接光出射面12から出射される。尖った溝反射面31と尖った溝側面32との接続箇所33(即ち尖った溝3の底部)の形状はハイビームカットオフラインの形状に適合し、ハイビームカットオフラインを形成ために用いられ、その形状はハイビームカットオフラインの形状によって異なり、入射光線Cの一部は、接続箇所33によってカットオフされて光出射面12から出射され、ハイビームカットオフラインを形成する。
【0040】
実施例7
該実施例の車ランプ光学素子は、ロービーム又は補助ロービーム機能を実現するために、実施例2を基にさらに改良されたものである。図15に示すように、導光チャネル14の底面には上向きに凹んだ尖った溝3が開設され、尖った溝3は、傾斜して設けられた尖った溝反射面31と尖った溝側面32を備え、尖った溝反射面31に入射した光線の大部分は全反射する。ここでは、入射光線の一部Aは、反射面15を介して反射された後、尖った溝反射面31を介して車ランプ光学素子1の頂面に反射されて出射され、入射光線のもう一部Bは、反射面15を介して反射された後、直接光出射面12から出射される。尖った溝反射面31と尖った溝側面32との接続箇所33(即ち尖った溝3の頂部)の形状は、ロービームカットオフラインの形状に適合し、ロービームカットオフラインを形成するために用いられ、その形状はロービームカットオフラインの形状によって異なり、入射光線Cの一部は、反射面15を介して反射された後、接続箇所33によってカットオフされて光出射面12から出射され、ロービームカットオフラインを形成する。
【0041】
実施例8
該実施例の車ランプ光学素子は、ハイビーム又は補助ハイビーム機能を実現するために、実施例2を基にさらに改良されたものである。図16に示すように、導光チャネル14の頂面には下向きに凹んだ尖った溝3が開設され、尖った溝反射面31に入射した光線の大部分は全反射する。尖った溝反射面31と尖った溝側面32との接続箇所33(即ち尖った溝3の底部)は、光線をカットオフしてハイビームカットオフラインを形成することができる。
【0042】
ハイ・ロービーム一体モードを実現するために、好ましくは、本発明の車ランプ光学素子1は、上方に位置するロービーム部16と下方に位置するハイビーム部17を備え、両者はいずれも平板型を呈し、光出射面12から離れる一端にいずれも複数の集光構造11が設けられ、他端が一体として上下に接続されて共に上記光出射面12を形成し、図17図22に示すように、該光出射面12は凸レンズ面であってもよく、当然ながら、車ランプ光学素子1の左右方向に沿って延在する円弧面であってもよい。具体的には、本発明の実施例9~12を参照して理解することができる。
【0043】
実施例9
図17及び図18に示すように、ロービーム部16の底面はハイビーム部17の頂面に接続され、ハイビーム部17の底面には、接続面43により接続されて対向して設けられた前側面42と後側面41を備える凹溝4が開設され、前側面42と後側面41は左右方向に沿って延在し、好ましくは、前側面42は後側面41に対して光出射面12により近い。接続面43と前側面42との接続箇所は、形状がロービームカットオフラインの形状に適合する前辺縁44であり、ロービームカットオフラインを形成するために用いられ、その形状はロービームカットオフラインの形状によって異なり、ここでは、ロービーム部16の集光構造11から入った入射光線のうち、入射光線の一部Aは直接光出射面12から出射され、入射光線のもう一部Bは前辺縁44によりカットオフされ、光出射面12から出射される。この2つの部分の光線A及び光線Bはロービームパータンを形成するために用いられる。ハイビーム部17の集光構造11から入った入射光線Cは後側面41に入射し、光線は前側面42に屈折され、さらに光出射面12に屈折された後に出射され、ハイビームパータンを形成し、上記ハイビームパータンと接続するために用いられる。
【0044】
実施例10
実施例10と実施例9の違いは以下のとおりである。図17および図18に示すように、実施例9の集光構造は、凹キャビティを有する集光カップ構造であり、その外部輪郭が後端から先端に向かって徐々に大きくなる曲面状構造であり、凹キャビティの開口が後端に向かって開設され、凹キャビティの底部に後端に突出する突起が設けられる。図19及び図20から分かるように、実施例10の集光構造11は後端に突出する突起である。その具体的な動作原理は実施例9と同様であり、ここでは説明を省略する。
実施例11
【0045】
図21及び図22に示すように、実施例11のロービーム部16とハイビーム部17とは、後端が分離し、先端が一体に接続され、ロービーム部16の底面とハイビーム部17の頂面との間には楔形の隙間5が設けられ、隙間5の幅は後端から先端に向かって徐々に収縮する。隙間5の最先端、即ちカットオフ部51は、形状がロービームカットオフラインの形状に適合し、ロービームカットオフラインを形成するために用いられ、その形状はロービームカットオフラインの形状によって異なる。ロービーム部16の集光構造11から入った入射光線のうち、入射光線の一部は直接光出射面12から出射され、入射光線のもう一部はカットオフ部51によりカットオフされ、光出射面12から出射される。この2つの部分の光線はロービームパータンを形成するために用いられる。ハイビーム部17の集光構造11から入った入射光線は、直接光出射面112から出射され、ハイビームパータンを形成し、ハイビームパータンと接続するために用いられる。
実施例12
【0046】
図23及び図24に示すように、実施例12のロービーム部16の底面とハイビーム部17の頂面とが接続され、両者の接続箇所に楔形の隙間5が開設され、隙間5の幅は後端から先端に向かって徐々に収縮する。隙間5の最先端、即ちカットオフ部51は、形状がロービームカットオフラインの形状に適合し、ロービームカットオフラインを形成するために用いられ、その形状はロービームカットオフラインの形状によって異なる。その具体的な動作原理は実施例11と同様であり、ここでは説明を省略する。
【0047】
上記実施例1乃至12では、集光構造11は、種々の表現形態を有し、例えば、実施例1における図1に示すような凹キャビティを有する集光カップ構造であってもよく、その外部輪郭が後端から先端に向かって徐々に大きくなる曲面状構造であり、その凹キャビティの開口は光出射面12から離れる側に向かって開設され、キャビティの底部に光出射面12から離れる側に突出する突起が設けられる。また、内部に凹キャビティが開設されず、外部輪郭のみが後端から先端に向かって徐々に大きくなる曲面状構造の中実体であってもよく、その入光面の形状は平面であってもよく、曲面であってもよい。また、実施例10における図20に示すような車ランプ光学素子1の端部に設けられる突起であってもよい。該集光構造11は、1列又は複数列に設けられてもよく、光源から出た光線をよく収集、コリメートすることができ、それにより光線の利用率を向上させる。
【0048】
以上のように、本発明の有益な点は、以下のとおりである。
1、従来技術の一次光学素子と二次光学素子を一体部品とすることで、部品の数を効果的に減少させることができ、取り付け時に両者の相対位置精度を保証する必要がなくなり、車ランプパータンの安定性をよりよく確保できるとともに、車ランプモジュールの寸法を減少させることができる。
2、仕切り溝を開設することによって、一体的な光学素子において二次配光を実現し、配光の柔軟性を高めることができる。
3、従来の遮光板の代わりに尖った溝を開設することで、ロービームまたはハイビームカットオフラインを実現するとともに、車ランプモジュールの構造を簡素化し、全体の寸法を低減させる。
4、ロービーム部とハイビーム部を設け、ハイビーム部の底面に仕切り溝を開設し、又は両者の間に楔形の隙間を開設することにより、一体型車ランプ光学素子において同時にハイビームとロービーム機能を実現し、車ランプ光学素子の機能を多様化させる。
【0049】
以上に説明されたのは本発明の好ましい実施例に過ぎず、当業者であれば本発明の技術的原理から逸脱せずにいくつかの改良および置換を行うこともでき、これらの改良および置換を本発明の保護範囲としても見なすと指摘すべきである。
【符号の説明】
【0050】
1 車ランプ光学素子
2 仕切り溝
3 尖った溝
4 凹溝
5 隙間
11 集光構造
12 光出射面
13 集光チャネル
14 導光チャネル
15 反射面
16 ロービーム部
17 ハイビーム部
21 出光面
22 入光面
31 尖った溝反射面
32 尖った溝側面
33 接続箇所
41 後側面
42 前側面
43 接続面
44 前辺縁
51 カットオフ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
【手続補正書】
【提出日】2022-03-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車ランプ光学素子(1)であって、一端に複数の集光構造(11)が設けられ、他端に外側に突出する円弧面である光出射面(12)が設けられ、上方に位置するロービーム部(16)と下方に位置するハイビーム部(17)を備え、両者の前記光出射面(12)から離れる一端にいずれも複数の前記集光構造(11)が設けられ、他端が一体として上下に接続されて共に前記光出射面(12)を形成し、前記ハイビーム部(17)の底面には、接続面(43)により接続されて対向して設けられた前側面(42)と後側面(41)を備える凹溝(4)が開設されることを特徴とする車ランプ光学素子。
【請求項2】
前記光出射面(12)は凸レンズ面または左右方向に沿って延在する円弧面であることを特徴とする請求項1に記載の車ランプ光学素子。
【請求項3】
前記集光構造(11)は、凹キャビティを有する集光カップ構造であり、その外部輪郭が後端から先端に向かって徐々に大きくなる曲面状構造であり、前記凹キャビティの開口は後端に向かって開設され、前記凹キャビティの底部には後端に突出する突起が設けられ、又は、
前記集光構造(11)は、外部輪郭が後端から先端に向かって徐々に大きくなる曲面状構造の中実体であり、その入光面は平面又は曲面であり、又は前記集光構造(11)は後端に突出する突起であることを特徴とする請求項1又は2に記載の車ランプ光学素子。
【請求項4】
前記ロービーム部(16)の底面は前記ハイビーム部(17)の頂面に接続されることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の車ランプ光学素子。
【請求項5】
前記前側面(42)と前記後側面(41)は左右方向に沿って延在することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の車ランプ光学素子。
【請求項6】
前記接続面(43)と前記前側面(42)との接続箇所は、形状がロービームカットオフラインの形状に適合する前辺縁(44)であることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の車ランプ光学素子。
【請求項7】
前記ロービーム部(16)と前記ハイビーム部(17)はいずれも平板型を呈することを特徴とする請求項1~6にいずれか一項に記載の車ランプ光学素子。
【国際調査報告】