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特表2022-547019バッテリー管理装置、バッテリー管理方法及びバッテリーパック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-10
(54)【発明の名称】バッテリー管理装置、バッテリー管理方法及びバッテリーパック
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/367 20190101AFI20221102BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20221102BHJP
   G01R 31/3842 20190101ALI20221102BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20221102BHJP
   G06N 3/02 20060101ALI20221102BHJP
   G01R 31/382 20190101ALI20221102BHJP
【FI】
G01R31/367
H01M10/48 P
G01R31/3842
H02J7/00 Y
G06N3/02
G01R31/382
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022514025
(86)(22)【出願日】2020-10-20
(85)【翻訳文提出日】2022-03-03
(86)【国際出願番号】 KR2020014353
(87)【国際公開番号】W WO2021096087
(87)【国際公開日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】10-2019-0147025
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リム、ボ-ミ
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
2G216BA04
2G216BA07
2G216BA17
2G216CB05
2G216CB51
5G503BB01
5G503EA08
5G503GD02
5G503GD06
5H030AA10
5H030AS08
5H030FF22
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
(57)【要約】
バッテリー管理装置、バッテリー管理方法及びバッテリーパックが提供される。前記バッテリー管理装置は、バッテリーセルの外部から観測可能な外部変数に関わる複数の観測データセット及び前記バッテリーセルの外部から観測できない内部変数に関わる複数の希望データセットを活用して、各内部変数に対して前記複数の外部変数の少なくとも一つを有効外部変数に設定する。各有効外部変数に関わる観測データセットは、各内部変数の推定に必要なサブ多層パーセプトロンを機械学習させるのに活用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1~第pの観測データセット及び第1~第nの希望データセットを保存するように構成され、pとnが各々2以上の整数であるメモリ部と、
前記メモリ部に動作可能に結合する制御部と、を含み、
前記第1~第pの観測データセットは、バッテリーセルの外部から観測可能なp個の外部変数に各々関連付けられ、
前記第1~第pの観測データセットの各々は、所定の個数の入力値を含み、
前記第1~第nの希望データセットは、前記バッテリーセル内部の化学的状態に依存する第1~第nの内部変数に各々関連付けられ、
前記第1~第nの希望データセットの各々が、前記所定の個数の目標値を含み、
前記制御部は、
前記第1~第pの観測データセットからデータフィルタリングによって抽出されたm個の観測データセットを第1~第mの入力データセットとして設定し、mは1以上p以下の整数であり、
前記第1~第mの入力データセット及び前記第1~第nの希望データセットに基づき、前記第1~第nの内部変数の各々に対し、第1~第mの外部変数のうち少なくとも一つを有効外部変数として設定するように構成され、
前記第1~第mの外部変数は、前記p個の外部変数のうち、前記m個の観測データセットに関連付けられたm個の外部変数である、バッテリー管理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
qが1からp-1までの整数であるとき、第qの観測データセットと第q+1の観測データセットとの多重相関係数を決定し、
前記多重相関係数の絶対値が所定のフィルタリング値未満である場合、前記第qの観測データセットを前記第1~第mの入力データセットのうち一つとして設定するように構成される、請求項1に記載のバッテリー管理装置。
【請求項3】
前記メモリ部は、
前記第1~第mの外部変数と前記第1~第nの内部変数との対応関係を規定するメイン多層パーセプトロンをさらに保存するように構成され、
前記制御部は、
前記第1~第mの入力データセットを前記メイン多層パーセプトロンの入力層に含まれた第1~第mの入力ノードに提供し、前記メイン多層パーセプトロンの出力層に含まれた第1~第nの出力ノードから第1~第nの出力データセットを得、前記第1~第nの出力データセットの各々は、前記所定の個数の結果値を含み、
前記第1~第nの出力データセット及び第1~第nの希望データセットに基づいて、第1~第nのエラーファクターを決定し、
前記第1~第nのエラーファクターの各々を臨界エラーファクターと比較して、第1~第nの基準値を決定するように構成される、請求項1または2に記載のバッテリー管理装置。
【請求項4】
前記制御部は、
jが1からnまでの整数であるとき、第jの希望データセットに対する第jの出力データセットの誤差率と同一に第jのエラーファクターを決定するように構成される、請求項3に記載のバッテリー管理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第jのエラーファクターが前記臨界エラーファクターよりも小さい場合、前記第jの基準値を第1の所定値と同一に設定するように構成される、請求項4に記載のバッテリー管理装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記第jのエラーファクターが前記臨界エラーファクター以上である場合、前記第jの基準値を第2の所定値と同一に設定するように構成され、
前記第2の所定値が、前記第1の所定値よりも小さい、請求項5に記載のバッテリー管理装置。
【請求項7】
前記制御部は、
iが1からmまでの整数であり、jが1からnまでの整数であるとき、第iの入力データセット、第jの希望データセット及び第jの基準値に基づいて、前記第1~第mの外部変数のうち第iの外部変数を、第jの内部変数に対する有効外部変数として設定するか否かを決定し、
前記第iの外部変数が、前記第jの内部変数に対する前記有効外部変数として設定された場合、前記第iの入力データセットをトレーニングデータとして活用して前記第jの内部変数に関連付けられたサブ多層パーセプトロンを学習させるように構成される、請求項3から6のいずれか一項に記載のバッテリー管理装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記第iの入力データセットと前記第jの希望データセットとの多重相関係数を決定し、
前記多重相関係数の絶対値が前記第jの基準値よりも大きい場合、前記第iの外部変数を前記第jの内部変数に対する前記有効外部変数として設定するように構成される、請求項7に記載のバッテリー管理装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記多重相関係数の絶対値が前記第jの基準値以下である場合、前記第iの外部変数を前記第jの内部変数に対する非有効外部変数として設定するように構成される、請求項8に記載のバッテリー管理装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の前記バッテリー管理装置を含む、バッテリーパック。
【請求項11】
第1~第pの観測データセット及び第1~第nの希望データセットを保存する段階であって、pとnは各々2以上の整数であり、前記第1~第pの観測データセットは、バッテリーセルの外部から観測可能なp個の外部変数に各々関連付けられ、前記第1~第pの観測データセットの各々は、所定の個数の入力値を含み、前記第1~第nの希望データセットは、前記バッテリーセル内部の化学的状態に依存する第1~第nの内部変数に各々関連付けられ、前記第1~第nの希望データセットの各々は、前記所定の個数の目標値を含む段階と、
前記第1~第pの観測データセットからデータフィルタリングによって抽出されたm個の観測データセットを第1~第mの入力データセットとして設定する段階であって、mは1以上p以下の整数である段階と、
前記第1~第mの入力データセット及び前記第1~第nの希望データセットに基づいて、前記第1~第nの内部変数の各々に対して第1~第mの外部変数のうち少なくとも一つを有効外部変数として設定する段階と、を含み、
前記第1~第mの外部変数は、前記p個の外部変数のうち、前記m個の観測データセットに関連付けられたm個の外部変数である、バッテリー管理方法。
【請求項12】
前記m個の観測データセットを前記第1~第mの入力データセットとして設定する段階は、
qが1からp-1までの整数であるとき、第qの観測データセットと第q+1の観測データセットとの多重相関係数を決定する段階と、
前記多重相関係数の絶対値が所定のフィルタリング値未満である場合、前記第qの観測データセットを前記第1~第mの入力データセットのうち一つとして設定する段階と、を含む、請求項11に記載のバッテリー管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーセル内部の化学的状態に依存する外部変数と内部変数との相関性を分析する技術に関する。
【0002】
本出願は、2019年11月15日出願の韓国特許出願第10-2019-0147025号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
最近、ノートブックPC、ビデオカメラ、携帯電話などのような携帯用電子製品の需要が急増し、電気車両、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星などの開発が本格化するにつれ、反復的な充放電の可能な高性能バッテリーについての研究が活発に進行しつつある。
【0004】
現在、商用化したバッテリーとしては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウムバッテリーなどがあり、このうち、リチウムバッテリーは、ニッケル系のバッテリーに比べてメモリ効果がほとんど起こらず、充放電が自由で、自己放電率が非常に低くてエネルギー密度が高いという長所から脚光を浴びている。
【0005】
バッテリーセルは、反復的な充放電などによって時間が経過するにつれ、徐々に退化していく。バッテリーセルが退化していきながらバッテリーセル内部の化学的状態も変化する。ところが、バッテリーセル内部の化学的状態を示す内部変数(例えば、正極活物質の電気伝導度)は、バッテリーセルの外部から観測できない。
【0006】
一方、バッテリーセル内部の化学的状態は、バッテリーセルの外部から観測可能な外部変数(例えば、バッテリーセルの電圧、温度)の変化を誘発する。これによって、外部変数に基づいて内部変数を推定しようとする試みがある。
【0007】
ところが、内部変数のうち一部と外部変数のうち一部とは、互いに相関性が非常に低いことがある。したがって、内部の変数と各外部変数との相関性を考慮しない場合、外部変数を活用して推定された内部変数は、バッテリーセル内部の実際の化学的状態と大きい差を示し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、バッテリーセルの内部変数と外部変数との相関性を分析可能なバッテリー管理装置、バッテリー管理方法及びバッテリーパックを提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、外部変数のうち各内部変数との相関性が一定水準以上であるもののみを、各内部変数の推定のために必要なサブ多層パーセプトロンのモデリングに活用可能なバッテリー管理装置、バッテリー管理方法及びバッテリーパックを提供することを他の目的とする。
【0010】
本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解でき、本発明の実施例によってより明らかに理解されるであろう。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示される手段及びその組合せによって実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一面によるバッテリー管理装置は、 第1~第pの観測データセット及び第1~第nの希望データセットを保存するように構成され、pとnが各々2以上の整数であるメモリ部と、前記メモリ部に動作可能に結合する制御部と、を含む。前記第1~第pの観測データセットは、バッテリーセルの外部から観測可能なp個の外部変数に各々関連付けられる。前記第1~第pの観測データセットの各々は、所定の個数の入力値を含む。前記第1~第nの希望データセットは、前記バッテリーセルの外部から観測できない前記バッテリーセル内部の化学的状態に依存する第1~第nの内部変数に各々関連付けられる。前記第1~第nの希望データセットの各々は、前記所定の個数の目標値を含む。前記制御部は、前記第1~第pの観測データセットからデータフィルタリングによって抽出されたm個の観測データセットを第1~第mの入力データセットとして設定するように構成される。ここで、mは1以上p以下の整数である。前記制御部は、前記第1~第mの入力データセット及び前記第1~第nの希望データセットに基づき、前記第1~第nの内部変数の各々に対し、第1~第mの外部変数のうち少なくとも一つを有効外部変数として設定するように構成される。前記第1~第mの外部変数は、前記p個の外部変数のうち、前記m個の観測データセットに関連付けられたm個の外部変数である。
【0012】
qが1からp-1までの整数であるとき、前記制御部は、第qの観測データセットと第q+1の観測データセットとの多重相関係数を決定され得る。前記制御部は、前記多重相関係数の絶対値が所定のフィルタリング値未満である場合、前記第qの観測データセットを前記第1~第mの入力データセットのうち一つとして設定するように構成され得る。
【0013】
前記メモリ部は、前記第1~第mの外部変数と前記第1~第nの内部変数との対応関係を規定するメイン多層パーセプトロンをさらに保存するように構成され得る。前記制御部は、前記第1~第mの入力データセットを前記メイン多層パーセプトロンの入力層に含まれた第1~第mの入力ノードに提供し、前記メイン多層パーセプトロンの出力層に含まれた第1~第nの出力ノードから第1~第nの出力データセットを獲得するように構成され得る。前記第1~第nの出力データセットの各々は、前記所定の個数の結果値を含み得る。前記制御部は、前記第1~第nの出力データセット及び第1~第nの希望データセットに基づいて、第1~第nのエラーファクターを決定するように構成され得る。前記制御部は、前記第1~第nのエラーファクターの各々を臨界エラーファクターと比較し、第1~第nの基準値を決定するように構成され得る。
【0014】
jが1からnまでの整数であるとき、前記制御部は、第jの希望データセットに対する第jの出力データセットの誤差率と同一に第jのエラーファクターを決定するように構成され得る。
【0015】
前記制御部は、前記第jのエラーファクターが前記臨界エラーファクターよりも小さい場合、前記第jの基準値を第1の所定値と同一に設定するように構成され得る。
【0016】
前記制御部は、前記第jのエラーファクターが前記臨界エラーファクター以上である場合、前記第jの基準値を第2の所定値と同一に設定するように構成され得る。前記第2の所定値は、前記第1の所定値よりも小さくてもよい。
【0017】
iが1からmまでの整数であり、jが1からnまでの整数であるとき、前記制御部は、第iの入力データセット、第jの希望データセット及び第jの基準値に基づいて、前記第1~第mの外部変数のうち第iの外部変数を第jの内部変数に対する有効外部変数として設定するか否かを決定し得る。前記制御部は、前記第iの外部変数が前記第jの内部変数に対する前記有効外部変数として設定された場合、前記第iの入力データセットをトレーニングデータに活用して、前記第jの内部変数に関連付けられたサブ多層パーセプトロンを学習させるように構成され得る。
【0018】
前記制御部は、前記第iの入力データセットと前記第jの希望データセットとの多重相関係数を決定するように構成され得る。前記制御部は、前記多重相関係数の絶対値が前記第jの基準値よりも大きい場合、前記第iの外部変数を前記第jの内部変数に対する前記有効外部変数として設定するように構成され得る。
【0019】
前記制御部は、前記多重相関係数の絶対値が前記第jの基準値以下である場合、前記第iの外部変数を前記第jの内部変数に対する非有効外部変数として設定するように構成され得る。
【0020】
本発明の他面によるバッテリーパックは、前記バッテリー管理装置を含む。
【0021】
本発明のさらに他面によるバッテリー管理方法は、第1~第pの観測データセット及び第1~第nの希望データセットを保存する段階であって、pとnは各々2以上の整数であり、前記第1~第pの観測データセットは、バッテリーセルの外部から観測可能なp個の外部変数に各々関連付けられ、前記第1~第pの観測データセットの各々は、所定の個数の入力値を含み、前記第1~第nの希望データセットは、前記バッテリーセルの外部から観測できない前記バッテリーセル内部の化学的状態に依存する第1~第nの内部変数に各々関連付けられ、前記第1~第nの希望データセットの各々は、前記所定の個数の目標値を含む段階と、前記第1~第pの観測データセットからデータフィルタリングによって抽出されたm個の観測データセットを第1~第mの入力データセットとして設定する段階であって、mは1以上p以下の整数である段階と、前記第1~第mの入力データセット及び前記第1~第nの希望データセットに基づいて、前記第1~第nの内部変数の各々に対して第1~第mの外部変数のうち少なくとも一つを有効外部変数として設定する段階と、を含む。前記第1~第mの外部変数は、前記p個の外部変数のうち、前記m個の観測データセットに関連付けられたm個の外部変数である。
【0022】
前記m個の観測データセットを前記第1~第mの入力データセットとして設定する段階は、qが1からp-1までの整数であるとき、第qの観測データセットと第q+1の観測データセットとの多重相関係数を決定する段階と、前記多重相関係数の絶対値が所定のフィルタリング値未満である場合、前記第qの観測データセットを前記第1~第mの入力データセットのうち一つとして設定する段階と、を含む。
【発明の効果】
【0023】
本発明の実施例のうち少なくとも一つによると、バッテリーセルの内部変数と外部変数との相関性を分析することができる。
【0024】
本発明の実施例の少なくとも一つによると、二つの外部変数間の相関性が一定の水準以上である場合、二つの外部変数のうち一つに対する観測データセットのみを抽出し、抽出された観測データセットをサブ多層パーセプトロンのモデリングに活用することができる。
【0025】
また、本発明の実施例のうち少なくとも一つによると、外部変数のうち各内部変数との相関性が一定水準以上であるもののみを、各内部変数の推定のために必要なサブ多層パーセプトロンのモデリングに活用することができる。
【0026】
本発明の他の目的及び長所は、下記する説明によって理解でき、本発明の実施例によってより明らかに分かるであろう。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示される手段及びその組合せによって実現することができる。
【0027】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施例によるバッテリー管理装置を含むバッテリーパックの構成を例示的に示した図である。
図2図1のバッテリー管理装置によって活用されるメイン多層パーセプトロンを例示的に示した図である。
図3】サブ多層パーセプトロンを例示的に示した図である。
図4図1のバッテリー管理装置によって実行可能な第1方法を例示的に示したフローチャートである。
図5図1のバッテリー管理装置によって実行可能な第2方法を例示的に示したフローチャートである。
図6図1のバッテリー管理装置によって実行可能な第3方法を例示的に示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0030】
したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0031】
第1、第2などのように序数を含む用語は、多様な構成要素のうちいずれか一つを残りと区別する目的として使用され、このような用語によって構成要素が限定されることではない。
【0032】
なお、明細書の全体にかけて、ある部分が、ある構成要素を「含む」とするとき、これは特に反する記載がない限り、他の構成要素を除くことではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。また、明細書に記載の「制御部」のような用語は、少なくとも一つの機能や動作を処理する単位を示し、これはハードウェアやソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの結合せにより具現され得る。
【0033】
さらに、明細書の全体に亘って、ある部分が他の部分と「連結(接続)」されているとするとき、これは、「直接的に連結(接続)」されている場合のみならず、その中間に他の素子を介して「間接的に連結(接続)」されている場合も含む。
【0034】
図1は、本発明によるバッテリー管理装置100を含むバッテリーパック1の構成を例示的に示した図であり、図2は、図1のバッテリー管理装置100によって活用されるメイン多層パーセプトロンを例示的に示した図であり、図3は、サブ多層パーセプトロンを例示的に示した図である。
【0035】
図1を参照すると、バッテリーパック1は、バッテリーセル10、スイッチ20及びバッテリー管理装置100を含む。
【0036】
バッテリーパック1は、電気車両のような電力装置に装着され、電力装置の駆動に求められる電気エネルギーを供給する。バッテリー管理装置100は、バッテリーセル10の正極端子及び負極端子に電気的に接続可能に提供される。
【0037】
バッテリーセル10は、リチウムイオンセルであり得る。勿論、反復的な充放電が可能であれば、バッテリーセル10がリチウムイオンセルに限定されることではない。
【0038】
バッテリーセル10は、バッテリーパック1の電源端子(+、-)によって外部装置に電気的に結合し得る。外部装置は、例えば、電気車両などの電気負荷(例えば、モーター)、DC-ACインバーター、充電器などであり得る。
【0039】
スイッチ20は、バッテリーセル10の正極端子と電源端子(+)とを接続する電流経路またはバッテリーセル10の負極端子と電源端子(-)とを接続する電流経路に設けられる。スイッチ20が開動作状態であるとき、バッテリーセル10の充放電は中断される。スイッチ20が閉動作状態であるとき、バッテリーセル10の充放電が可能になる。
【0040】
バッテリー管理装置100は、インターフェース部110、メモリ部120及び制御部130を含む。バッテリー管理装置100は、センシング部140をさらに含み得る。
【0041】
センシング部140は、電圧センサー141、電流センサー142及び温度センサー143を含む。電圧センサー141は、バッテリーセル10の両端にかかった電圧を測定するように構成される。電流センサー142は、バッテリーセル10を通して流れる電流を測定するように構成される。温度センサー143は、バッテリーセル10の温度を測定するように構成される。センシング部140は、測定された電圧、測定された電流及び測定された温度を示すセンシングデータを制御部130に伝送し得る。
【0042】
インターフェース部110は、外部装置に通信可能に結合し得る。外部装置は、例えば、充電設備、電気負荷、モバイル機器などであり得る。インターフェース部110は、制御部130と外部装置との有線通信または無線通信を支援するように構成される。有線通信は、例えば、CAN(Controller area network)通信であり得、無線通信は、例えば、ジグビーやブルートゥース(登録商標)通信であり得る。インターフェース部110は、制御部130によって行われる各動作の結果をユーザが認識可能な形態で提供するディスプレイや、スピーカーなどのような出力デバイスを含み得る。インターフェース部110は、ユーザのデータが入力されるマウス、キーボードなどのような入力デバイスを含み得る。
【0043】
メモリ部120は、インターフェース部110、制御部130及びセンシング部140のうち少なくとも一つに動作可能に結合する。メモリ部120は、制御部130によって行われる各動作の結果を保存し得る。メモリ部120は、フラッシュメモリタイプ(flash(登録商標) memory type)、ハードディスクタイプ(hard disk type)、SSDタイプ(Solid State Disk type,ソリッドステートディスクタイプ)、SDDタイプ(Silicon Disk Drive type,シリコンディスクドライブタイプ)、マルチメディアカードマイクロタイプ(multimedia card micro type)、RAM(random access memory,ランダムアクセスメモリ)、SRAM(static random access memory,スタティックランダムアクセスメモリ)、ROM(read-only memory,リードオンリメモリ)、EEPROM(electrically erasable programmable read‐only memory,エレクトリカリーイレーサブルリードオンリメモリ)、PROM(programmable read-only memory,プログラマブルリードオンリメモリ)のうち少なくとも一つのタイプの保存媒体を含み得る。
【0044】
メモリ部120は、バッテリーセル10の内部の化学的状態を推定するのに求められる多様なデータを保存するように構成される。詳しくは、メモリ部120は、第1個数の観測データセット及び第2個数の希望データセットを保存している。例えば、第1~第pの観測データセット及び第1~第nの希望データセットを含む情報は、インターフェース部110によって外部装置から受信される。メモリ部120は、メイン多層パーセプトロンをさらに保存し得る。以下では、pが第1個数を示す2以上の整数であり、nが第2個数を示す2以上の整数であると仮定する。
【0045】
第1~第pの観測データセットは、バッテリーセル10の外部から観測可能なp個の外部変数に各々関連付けられる。各観測データセットは、所定の第3個数(例えば、10,000)の入力値を含む。例えば、p個の外部変数の一つに対する第3個数の入力値が第qの観測データセットに含まれる。
【0046】
制御部130は、インターフェース部110、メモリ部120及びセンシング部140のうち少なくとも一つに動作可能に結合する。制御部130は、ハードウェア的に、ASICs(application specific integrated circuits)、DSPs(digital signal processors)、DSPDs(digital signal processing devices)、PLDs(programmable logic devices)、FPGAs(field programmable gate arrays)、マイクロプロセッサー(microprocessors)、その他の機能の遂行のための電気的ユニットの少なくとも一つを用いて具現され得る。
【0047】
制御部130は、データフィルタリングによって、第1~第pの観測データセットからm個を抽出し、m個の観測データセットを抽出順に第1~第mの入力データセットとして設定する。mは、1以上p以下の整数である。m個の観測データセットを抽出するプロセスについては、図4を参照して後述する。
【0048】
本明細書において、Xは、第iの外部変数に関わる第iの入力データセットを指し、X(k)は第iの入力データセットのk番目の入力値を指す。
【0049】
例えば、m=16の場合、第1~第16の外部変数は、下記のように規定され得る。
【0050】
第1の外部変数は、バッテリーセル10の充電状態(SOC:State Of Charge)が第1の充電状態(例えば、100%)と同一の時点からバッテリーセル10を第1の温度で第1の電流レート(例えば、1/3C)の電流で放電させる第1のテストによって、バッテリーセル10の電圧が第1の電圧(例えば、3.0V)に到達する時点までの時間を示し得る。
【0051】
第2の外部変数は、バッテリーセル10の充電状態が第2の充電状態(例えば、50%)と同一時点からバッテリーセル10を第2の温度で第2の電流レート(例えば、200A)の電流で放電させる第2のテストが第1の基準時間(例えば、0.1 秒)の間に行われた時点におけるバッテリーセル10の電圧を示し得る。
【0052】
第3の外部変数は、前記第2のテストが前記第1の基準時間よりも長い第2の基準時間(例えば、1.0秒)の間に行われた時点におけるバッテリーセル10の電圧を示し得る。
【0053】
第4の外部変数は、前記第2のテストが前記第2の基準時間よりも長い第3の基準時間(例えば、10.0秒)の間に行われた時点におけるバッテリーセル10の電圧を示し得る。
【0054】
第5の外部変数は、前記第2のテストが前記第3の基準時間よりも長い第4の基準時間(例えば、30.0秒)の間に行われた時点におけるバッテリーセル10の電圧を示し得る。
【0055】
第6の外部変数は、バッテリーセル10を第3の温度で第3電の流レート(例えば、1.0C)の電流で放電させる第3のテストによって、バッテリーセル10の充電状態が第3の充電状態(例えば、100%)と同一の時点からバッテリーセル10の電圧が第2の電圧(例えば、3.8V)に到達する時点までの時間を示し得る。
【0056】
第7の外部変数は、前記第3のテストによって、バッテリーセル10の電圧が前記第2の電圧よりも低い第3の電圧(例えば、3.5V)に到達する時点までの時間を示し得る。
【0057】
第8の外部変数は、前記第3のテストによって、バッテリーセル10の電圧が前記第の2電圧から前記第3の電圧に低下するのに経過した時間を示し得る。
【0058】
第9の外部変数は、バッテリーセル10を第4の温度で第4の電流レート(例えば、1.0C)の電流で放電させる第4のテストが、バッテリーセル10の充電状態が第4の充電状態(例えば、10%)と同一の時点から第5の基準時間(例えば、0.1秒)の間に行われた時点におけるバッテリーセル10の電圧を示し得る。
【0059】
第10の外部変数は、前記第4のテストが前記第5の基準時間よりも長い第6の基準時間(例えば、1.0秒)の間に行われた時点におけるバッテリーセル10の電圧を示し得る。
【0060】
第11の外部変数は、前記第4のテストが前記第6の基準時間よりも長い第7の基準時間(例えば、10.0秒)の間に行われた時点におけるバッテリーセル10の電圧を示し得る。
【0061】
第12の外部変数は、前記第4のテストが前記第7の基準時間よりも長い第8の基準時間(例えば、30.0秒)の間に行われた時点におけるバッテリーセル10の電圧を示し得る。
【0062】
第13の外部変数は、前記第4のテストが前記第8の基準時間よりも長い第9の基準時間(例えば、100.0秒)の間に行われた時点におけるバッテリーセル10の電圧を示し得る。
【0063】
第14の外部変数は、バッテリーセル10の充電状態が第5の充電状態(例えば、10%)と同一の時点からバッテリーセル10を第5の温度で第5の電流レート(例えば、1.0C)の電流で充電する第5のテストによる、第1の期間(例えば、0.0~0.1秒)のバッテリーセル10の電圧変化と第2の期間(例えば、20.0~20.1秒)のバッテリーセル10の電圧変化との割合を示し得る。
【0064】
第15の外部変数は、バッテリーセル10の充電状態が第6の充電状態(例えば、0%)と同一の時点からバッテリーセル10を第6の温度で第6の電流レート(例えば、0.04C)の電流で充電する第6のテストによって得られたバッテリーセル10の微分容量カーブにおける一番目のピークの電圧を示し得る。V、dV及びdQが各々、バッテリーセル10の電圧、バッテリーセル10の電圧変化及びバッテリーセル10の容量変化であるとき、前記微分容量カーブは、VとdQ/dVとの対応関係を示す。前記微分容量カーブを「V-dQ/dVカーブ」と称し得る。前記一番目のピークは、前記微分容量カーブにおける複数のピークのうちVが最小であるピークであり得る。
【0065】
第16の外部変数は、前記一番目のピークの電圧と基準電圧との差を示し得る。前記基準電圧は、バッテリーセル10がBOL(Beginning Of Life)であったときに得られた微分容量カーブにおける一番目のピークの電圧として予め決められたものであり得る。
【0066】
第1~第nの希望データセットは、バッテリーセル10の外部から観測できない第1~第nの内部変数に各々関連付けられる。即ち、第2インデックスjが1からnまでの整数であるとき、第jの希望データセットは、第jの内部変数に関連付けられる。各内部変数は、バッテリーセル10の内部の化学的状態を示す。各希望データセットは、前記第3個数の目標値を含む。例えば、第jの内部変数として予め決められた第3個数の値が第jの希望データセットに含まれる。
【0067】
本明細書において、Yは第jの希望データセットを指し、Y(k)は第jの希望データセットのk番目の目標値を指す。
【0068】
(k)~Y(k)は、バッテリーセル10が特定の退化状態を有するときの第1~第nの内部変数として期待される値を示す。X(k)~X(k)は、バッテリーセル10が特定の退化状態を有するときのY(k)~Y(k)に依存する第1~第mの外部変数として期待される値を示す。
【0069】
バッテリーセル10の退化状態は、バッテリーセル10の使用環境によって変化し、各退化状態は、第1~第nの内部変数の組合せによって規定され得る。a≠bの場合、X(a)~X(a)及びY(a)~Y(a)は、第aの退化状態に関連付けられ、X(b)~X(b)及びY(b)~Y(b)は、バッテリーセル10の第aの退化状態とは異なる第bの退化状態に関連付けられる。
【0070】
例えば、n=14の場合、第1~第14の内部変数は、以下のように規定され得る。
【0071】
第1の内部変数は、バッテリーセル10の正極の電気伝導度(electrical conductivity)であり得る。
【0072】
第2の内部変数は、バッテリーセル10の正極活物質のイオン拡散度(ionic diffusivity)であり得る。
【0073】
第3の内部変数は、バッテリーセル10の正極活物質の交換電流密度(exchange current density)の速度定数(rate constant)であり得る。
【0074】
第4の内部変数は、バッテリーセル10の負極活物質のイオン拡散度であり得る。
【0075】
第5の内部変数は、バッテリーセル10の負極活物質の交換電流密度の速度定数であり得る。
【0076】
第6の内部変数は、バッテリーセル10の負極の屈曲度(tortuosity)であり得る。屈曲度とは、二つの地点間の直線距離に対してイオンが一地点から他地点まで実際に移動した距離の割合を示す。
【0077】
第7の内部変数は、バッテリーセル10の負極の孔隙率(porosity)であり得る。
【0078】
第8の内部変数は、バッテリーセル10の電解質のイオン濃度であり得る。
【0079】
第9の内部変数は、バッテリーセル10の電解質の初期イオン伝導度(ionic conductivity)に掛けられるスケールファクターであり得る。初期イオン伝導度は、バッテリーセル10がBOLのときのバッテリーセル10の電解質のイオン伝導度を示す、予め決められた値であり得る。
【0080】
第10の内部変数は、バッテリーセル10の電解質の初期イオン拡散度に掛けられるスケールファクターであり得る。初期イオン拡散度は、バッテリーセル10がBOLのときのバッテリーセル10の電解質のイオン拡散度を示す予め決められた値であり得る。
【0081】
第11の内部変数は、バッテリーセル10の電解質の陽イオンの輸率(transference number)であり得る。輸率は、電解質の電気伝導度のうち陽イオン(例えば、Li+)が寄与する割合を示す。
【0082】
第12の内部変数は、バッテリーセル10のLLI(Loss of Lithium Inventory)であり得る。LLIは、バッテリーセル10のリチウムがBOLに対してどれぐらい減少したかを示す。
【0083】
第13の内部変数は、バッテリーセル10の正極のLAM(Loss of Active Material)であり得る。正極のLAMは、バッテリーの正極活物質がBOLに対してどれぐらい減少したかを示す。
【0084】
第14の内部変数は、バッテリーセル10の負極のLAMであり得る。負極の LAMは、バッテリーの負極活物質がBOLに対してどれぐらい減少したかを示す。
【0085】
第1~第mの入力データセット及び第1~第nの希望データセットは、バッテリーセル10と電気化学的に同じ仕様を有し、退化状態が相異なる複数のバッテリーセルに対するシミュレーション結果から予め決められたものであり得る。
【0086】
制御部130は、メモリ部120に保存されているメイン多層パーセプトロン200を活用して、第1~第nのサブ多層パーセプトロンをモデリングするのに求められる第1~第nの基準値を決定し得る。
【0087】
図2を参照すると、メイン多層パーセプトロン200は、入力層201、所定の個数の中問層202及び出力層203を含む。メイン多層パーセプトロン200において、各層に含まれたノード(「ニューロン」とも称し得る。)の個数、ノード同士の接続、各中問層に含まれた各ノードの関数などは、予め決められていてもよい。各接続の加重値などは、所定のトレーニングデータを活用して決められ得る。
【0088】
入力層201は、第1~第mの入力ノードI~Iを含む。第1~第mの入力ノードI~Iは、第1~第mの外部変数に各々関連付けられる。第iの入力デートセットXに含まれた各入力値が、第iの入力ノードIに提供される。
【0089】
出力層203は、第1~第nの出力ノードO~Oを含む。第1~第nの出力ノードO~Oは、第1~第nの内部変数に各々関連づけられる。
【0090】
第1~第mの入力データセットX~X各々のk番目の入力値が第1~第mの入力ノードI~Iに各々入力されると、第1~第nの出力データセットZ~Z各々のk番目の結果値が第1~第nの出力ノードO~Oから各々出力される。
【0091】
制御部130は、第1~第mの入力デートセットX~Xにおいて同順のm個の入力値(例えば、X(k)~X(k))を第1~第mの入力ノードI~Iに各々入力する過程を繰り返すことで、各々前記第3個数の結果値を有する第1~第nの出力データセットZ~Zを生成し得る。本明細書において、Zは、第jの出力データセットを指し、Z(k)は、第jの出力データセットのk番目の結果値を指す。第1~第nの出力データセットにおいて、n個の結果値であるZ(k)~Z(k)は、同順に整列されているといえる。
【0092】
制御部130は、第1~第nの出力データセットと第1~第nの希望データセットに基づいて、第1~第nのエラーファクターを決定し得る。即ち、制御部130は、第jの出力データセットと第jの希望データセットとを比較して、第jのエラーファクターを決定し得る。具体的に、制御部130は、下記の数式1を用いて、第jのエラーファクターを決定することができる。
【0093】
【数1】
【0094】
数式1において、uは前記第3個数、Ferror_jは第jのエラーファクターである。即ち、第jのエラーファクターは、第jの希望データセットに対する第jの出力データセットの誤差率と同一に決定され得る。
【0095】
制御部130は、第1~第nのエラーファクターを各々臨界エラーファクターと比較して、第1~第nの基準値を決定し得る。臨界エラーファクターは、3%のように予め決められた値であり得る。具体的には、制御部130は、第jのエラーファクターが臨界エラーファクターよりも小さい場合、第jの基準値を第1の所定値と同一に決定し得る。これに対し、制御部130は、第jのエラーファクターが臨界エラーファクター以上である場合、第jの基準値を第2の所定値と同一に決定し得る。第2の所定値(例えば、0.25)は、第1の所定値(例えば、0.50)よりも小さく設定され得る。第1~第nの基準値が決定されることで、メイン多層パーセプトロン200を活用したプロセスは完了し得る。または、第1~第nの基準値の各々は、第1の所定値または第2の所定値として予め決められていてもよい。この場合、メイン多層パーセプトロン200を活用したプロセスは省略してもよい。
【0096】
制御部130は、第1~第nのサブ多層パーセプトロンを決定するためのプロセスを行う。
【0097】
制御部130は、第1~第nの希望データセットの各々と第1~第mの入力データセットの各々との多重相関係数(multiple correlation coefficient)を決定する。第iの入力データセットと第jの希望データセットとの多重相関係数は、下記の数式2から決定することができる。
【0098】
【数2】
【0099】
数式2において、Nは前記第3個数、ri,jは第iの入力データセットと第jの希望データセットとの多重相関係数である。各希望データセットに対してm個の多重相関係数が決定されるので、合計m×n個の多重相関係数が決定され得る。
【0100】
多重相関係数ri,jの絶対値が第jの基準値よりも大きいことは、第iの外部変数と第jの内部変数との高い相関性を示す。制御部130は、多重相関係数ri,jの絶対値が第jの基準値よりも大きい場合、第iの入力データセットを前記第jのサブ多層パーセプトロンのモデリングのために活用することに決定し得る。制御部130は、多重相関係数ri,jの絶対値が第jの基準値よりも大きい場合、第iの外部変数を第jの内部変数に対する有効外部変数として設定し得る。
【0101】
一方、多重相関係数ri,jの絶対値が第jの基準値以下であることは、第iの外部変数と第jの内部変数との低い相関性を示す。制御部130は、多重相関係数ri,jの絶対値が第jの基準値以下である場合、第iの入力データセットを前記第jのサブ多層パーセプトロンのモデリングのために活用しないことに決定し得る。即ち、制御部130は、第iの外部変数を第jの内部変数に対する有効外部変数から除外し得る。
【0102】
制御部130は、第1~第nの内部変数の各々に関連づけられた第1~第nのサブ多層パーセプトロンを生成し得る。即ち、第jの内部変数と第jのサブ多層パーセプトロンとは、相互に関連付けられる。第jのサブ多層パーセプトロンは、第jの内部変数の値を推定するのに活用される。
【0103】
図3を参照すると、第jのサブ多層パーセプトロン300は、入力層301、所定の個数の中問層302及び出力層303を含む。各中問層302に含まれた各ノードの関数などは、予め決められていてもよい。出力層303は、第jの内部変数に関連づけられた単一の出力ノードを有する。
【0104】
制御部130は、第jの内部変数に対して設定された有効外部変数の個数と同一に、第jのサブ多層パーセプトロンの入力層301の入力ノードを生成し得る。図3は、第1、3、5の外部変数各々が、第jの内部変数に対する有効外部変数に設定された場合を例示する。
【0105】
第jのサブ多層パーセプトロンの入力層301は、三つの入力ノードIj1~Ij3を有する。三つの外部変数に各々関連づけられた第1、第3及び第5の入力データセットが、三つの入力ノードIj1~Ij3の各々にトレーニングデータとして提供され、第jのサブ多層パーセプトロンの出力層303から得られるデータセットWの結果値と第jの希望データセットの目標値との比較によって第jのサブ多層パーセプトロン300の学習が行われる。
【0106】
第jのサブ多層パーセプトロン300の学習が完了した後、制御部130は、センシング部140を用いてバッテリーセル10の電圧、電流及び温度を測定し得る。制御部130は、センシング部140からのセンシングデータに基づいて三つの外部変数の値を決定し得る。その後、制御部130は、三つの外部変数の値を第jのサブ多層パーセプトロン300の三つの入力ノードIj1~Ij3に各々入力し、第jのサブ多層パーセプトロン300の出力層303から結果値を得ることができる。当該結果値は、三つの外部変数の値に対応する退化状態に関連づけられた第jの内部変数の推定値である。第jの内部変数の推定値が、所定の第jの安全範囲から外れる場合、制御部130は、バッテリーセル10を保護するためにスイッチ20を開動作状態に制御し得る。
【0107】
図4は、図1のバッテリー管理装置100によって実行可能な第1方法を例示的に示すフローチャートである。図4による第1方法は、第1~第pの観測データセットから少なくとも一つを入力データセットとして抽出するためのデータフィルタリング方法である。
【0108】
図1図4を参照すると、段階S410において、制御部130は、第1~第pの観測データセット及び第1~第nの希望データセットをメモリ部120に保存する。
【0109】
段階S420において、制御部130は、第1インデックスq及び第2インデックスmを各々1として設定する。
【0110】
段階S430において、制御部130は、第qの観測データセットと第q+1の観測データセットとの多重相関係数を決定する。例えば、q=1である場合、第1の観測データセットと第2の観測データセットとの多重相関係数が決定される。第qの観測データセットと第q+1の観測データセットとの多重相関係数は、下記の数式3によって決定できる。本明細書において、Pは、第qの観測データセットを指す。
【0111】
【数3】
【0112】
数式3において、Nは前記第3個数、P(k)は第qの観測データセットのk番目の入力値、Pq+1(k)は第q+1の観測データセットのk番目の入力値、Rq,q+1は、第qの観測データセットと第q+1の観測データセットとの多重相関係数である。
【0113】
段階S440において、制御部130は、多重相関係数Rq,q+1の絶対値が所定のフィルタリング値(例えば、0.75)未満であるか否かを判定する。段階S440の値が「はい」ということは、第qの観測データセットと第q+1の観測データセットとの相関度が充分に高くないということを意味する。したがって、第qの観測データセットが入力データセットに設定される必要性が高い。段階S440の値が「はい」であれば、段階S450へ進む。一方、段階S440の値が「いいえ」であれば、第qの観測データセットと第q+1の観測データセットとの相関度が充分に高いということを意味する。したがって、第qの観測データセットが入力データセットとして設定される必要性が低い。段階S440の値が「いいえ」であれば、段階S470へ進む。
【0114】
段階S450において、制御部130は、第qの観測データセットを第mの入力データセットとして設定する。例えば、q=1、m=1である場合、第1の入力データセットは、第1の観測データセットと同一である。他の例で、q=3、m=2である場合、第2の入力データセットは、第3の観測データセットと同一である。
【0115】
段階S460において、制御部130は、第2のインデックスmを1だけ増加させる。
【0116】
段階S470において、制御部130は、第1のインデックスqがp-1と同一であるか否かを判定する。pは、観測データセットの個数である。段階S470の値が「いいえ」であれば、段階S480へ進む。段階S470の値が「はい」であれば、段階S490へ進む。
【0117】
段階S490において、制御部130は、第q+1の観測データセットを第mの入力データセットとして設定する。段階S490によって、第1~第pの観測データセットのうち少なくとも第pの観測データセットは、入力データセットとして設定される。
【0118】
図4の段階S430~S450によって、二つの観測データセットが互いに強い相関性を有すれば、このうち一つのみが入力データセットとして抽出される。これによって、全ての観測データセットを無条件に入力データセットとして活用する場合に比べて、第1~第nのサブ多層パーセプトロンをモデリングするのに求められる演算量を低減し、演算速度を高めることができる。
【0119】
制御部130は、図4の方法によって第1~第mの入力データセットが決定された後、図5の方法を行い得る。または、制御部130は、図4による方法を行わず、第1~第pの観測データセットを第1~第mの入力データセットとして用いることができ、この場合、p=mである。
【0120】
図5は、図1のバッテリー管理装置100によって実行可能な第2方法を例示的に示すフローチャートである。
【0121】
図1図5を参照すると、段階S510において、制御部130は、メイン多層パーセプトロン200を用いて、第1~第mの入力データセットから第1~第nの出力データセットを得る。
【0122】
段階S520において、制御部130は、第3インデックスjを1として設定する。
【0123】
段階S530において、制御部130は、第jの出力データセット及び第jの希望データセットに基づいて、第jのエラーファクターを決定する。
【0124】
段階S540において、制御部130は、第jのエラーファクターが臨界エラーファクター未満であるか否かを判定する。段階S540の値が「はい」であれば、段階S550へ進む。段階S540の値が「いいえ」であれば、段階S560へ進む。
【0125】
段階S550において、制御部130は、第jの基準値を第1の所定値と同一に設定する。
【0126】
段階S560において、制御部130は、第jの基準値を第2の所定値と同一に設定する。
【0127】
段階S570において、制御部130は、第3インデックスjがnと同一であるか否かを判定する。nは、希望データセットの個数である。段階S570の値が「いいえ」であれば、段階S580へ進む。
【0128】
段階S580において、制御部130は、第2インデックスjを1だけ増加させる。段階S580後、段階S530へ戻る。
【0129】
制御部130は、図5の方法によって第1~第nの基準値が決定された後、図6の方法を行い得る。または、前述したように第1~第nの基準値が予め決められてメモリ部120に保存されている場合、制御部130は、図5の方法を行わず、図6の方法を行い得る。
【0130】
図6は、図1のバッテリー管理装置100によって実行可能な第3方法を例示的に示すフローチャートである。図6による第3方法は、第1~第mの入力データセットから各サブ多層パーセプトロンの機械学習に活用する入力データセットを抽出するためのデータフィルタリング方法であり得る。
【0131】
図1図6を参照すると、段階S610において、制御部130は、第3インデックスjと第4インデックスiを各々1として設定する。
【0132】
段階S620において、制御部130は、第iの入力データセットと第jの希望データセットとの多重相関係数を決定する。
【0133】
段階S630において、制御部130は、多重相関係数の絶対値が第jの基準値よりも大きいか否かを判定する。段階S630の値が「はい」であれば、段階S640へ進む。段階S630の値が「いいえ」であれば、段階S650へ進む。
【0134】
段階S640において、制御部130は、第iの外部変数を第jの内部変数に対する有効外部変数として設定する。
【0135】
段階S650において、制御部130は、第4インデックスiがmと同一であるか否かを判定する。mは、入力データセットの個数である。段階S650の値が「いいえ」であれば、段階S660へ進む。段階S650の値が「はい」であれば、段階S670へ進む。
【0136】
段階S660において、制御部130は、第4インデックスiを1だけ増加させる。段階S660の後、段階S620へ戻る。
【0137】
段階S670において、制御部130は、第3インデックスjがnと同一であるか否かを判定する。段階S670の値が「いいえ」であれば、段階S680へ進む。
【0138】
段階S680において、制御部130は第3インデックスjを1だけ増加させ、第4インデックスiを1として設定する。段階S680の後、段階S620へ戻る。
【0139】
段階S650の値が「はい」であることは、第jの内部変数に対する有効外部変数の設定が完了したことを示す。制御部130は、段階S650の値が「はい」である度に、第jの内部変数の値を推定するのに活用する第jのサブ多層パーセプトロンを生成し得る。
【0140】
以上で説明した本発明の実施例は、必ずしも装置及び方法を通じて具現されることではなく、本発明の実施例の構成に対応する機能を実現するプログラムまたはそのプログラムが記録された記録媒体を通じて具現され得、このような具現は、本発明が属する技術分野における専門家であれば、前述した実施例の記載から容易に具現できるはずである。
【0141】
以上、本発明を限定された実施例と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【0142】
また、上述の本発明は、本発明が属する技術分野における通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想から脱しない範囲内で多様な置換、変形及び変更が可能であるため、上述の実施例及び添付された図面によって限定されず、多様な変形が行われるように各実施例の全部または一部を選択的に組み合わせて構成可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】