(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-10
(54)【発明の名称】回転角度測定装置、回転角度測定システム、および電動モータ
(51)【国際特許分類】
G01D 5/245 20060101AFI20221102BHJP
G01D 5/12 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
G01D5/245 110W
G01D5/245 110L
G01D5/12 Q
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022514143
(86)(22)【出願日】2019-09-05
(85)【翻訳文提出日】2022-03-31
(86)【国際出願番号】 EP2019073736
(87)【国際公開番号】W WO2021043409
(87)【国際公開日】2021-03-11
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521387811
【氏名又は名称】フラバ ベー.フェー.
【氏名又は名称原語表記】FRABA B.V.
【住所又は居所原語表記】Jan Campertstraat 11,6416 SG Heerlen Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ローケン,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレス,カルメン アレハンドロ サンチェス
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077JJ01
2F077JJ07
2F077JJ23
2F077VV02
2F077WW04
(57)【要約】
【課題】コンパクトな回転角度測定システムを備えた回転角度測定装置を提供する。
【解決手段】シャフトと、回転角度測定システムと、を備えた回転角度測定装置であって、回転角度測定システムは、シャフトと回転可能に接続され、励起磁石を有する励磁ユニットと、縦方向シャフト軸に直交して配置される第1プリント基板部と、第1プリント基板部に対して角度をつけて配置され、接続デバイスを介して第1プリント基板部に接続される第2プリント基板部と、を有するプリント基板装置と、第1プリント基板部上に配置され、励起磁界を検出可能な第1磁界センサと、プリント基板装置上に配置され、第1磁界センサに接続される評価用電子装置と、を備える。第2プリント基板部は、縦方向シャフト軸に対して平行な縦方向平面への第2プリント基板部の平行投影と、縦方向平面への励磁ユニットの平行投影とが、少なくとも部分的に重なるように配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能なシャフト(12)と、
回転シャフト運動を検出する回転角度測定システム(14)と、
を備えた回転角度測定装置(10)であって、
前記回転角度測定システム(14)は、
前記シャフト(12)と同時回転可能に接続され、少なくとも1つの永久磁石の励起磁石(20)を有する励磁ユニット(16)と、
縦方向シャフト軸(L)に直交して配置される第1プリント基板部(30)と、前記第1プリント基板部(30)に対して角度をつけて配置され、接続デバイス(34)を介して前記第1プリント基板部(30)に電気的に接続される第2プリント基板部(32)と、を有するプリント基板装置(28)と、
前記第1プリント基板部(30)上に配置され、それにより、前記励磁ユニット(16)により生成された励起磁界を検出することが可能な第1磁界センサ(46)と、
前記プリント基板装置(28)上に配置され、前記第1磁界センサ(46)に電気的に接続される評価用電子装置(48)と、
を備え、
前記第2プリント基板部(32)は、前記縦方向シャフト軸(L)に対して平行な縦方向平面(E)への前記第2プリント基板部(32)の平行投影と、前記縦方向平面(E)への前記励磁ユニット(16)の平行投影とが、少なくとも部分的に重なるように配置されること、
を特徴とする回転角度測定装置(10)。
【請求項2】
前記第1プリント基板部(30)と前記第2プリント基板部(32)との間の角度は、70°~110°の角度範囲、好ましくは80°~100°の角度範囲であること、
を特徴とする請求項1に記載の回転角度測定装置(10)。
【請求項3】
前記第2プリント基板部(32)は、前記縦方向シャフト軸(L)に対して直交する横断面(Q)への前記第2プリント基板部(32)の平行投影と、前記横断面(Q)への前記第1プリント基板部(30)の平行投影とが、少なくとも部分的に重なるように配置されること、
を特徴とする先行する請求項のいずれか1項に記載の回転角測定装置(10)。
【請求項4】
前記接続デバイス(34)は、可撓性を有する第3プリント基板部により構成されること、
を特徴とする先行する請求項のいずれか1項に記載の回転角測定装置(10)。
【請求項5】
前記評価用電子装置(48)には、前記第1プリント基板部(30)と前記磁界センサ(46)との間に配置される少なくとも1つの電子部品(50a、50b)が設けられること、
を特徴とする先行する請求項のいずれか1項に記載の回転角測定装置(10)。
【請求項6】
前記回転角度測定システム(14)には、前記励磁ユニット(16)により生成された励起磁界を検出することが可能な第2磁界センサ(47)が備えられ、好ましくは、前記第1磁界センサ(46)および前記第2磁界センサ(47)は、前記第1プリント基板部(30)の対向する側にそれぞれ配置されること、
を特徴とする先行する請求項のいずれか1項に記載の回転角測定装置(10)。
【請求項7】
前記回転角度測定システム(14)には、前記第1プリント基板部(30)を第1軸方向側(31)で支持するプリント基板支持体(22)が設けられ、前記プリント基板支持体(22)には、前記第2プリント基板部(32)を前記プリント基板支持体(22)に対して形状による固定方式で取り付けるための第1スナップ装置(40)が設けられること、
を特徴とする先行する請求項のいずれか1項に記載の回転角測定装置(10)。
【請求項8】
前記回転角度測定システム(14)には、前記プリント基板支持体(22)に取り付けられ、前記第1軸方向側(31)と反対側の第2軸方向側(54)において、前記第1プリント基板部(30)を支持するプリント基板固定体(52)が設けられること、
を特徴とする先行する請求項のいずれか1項に記載の回転角測定装置(10)。
【請求項9】
前記回転角度測定システム(14)には、ポット形状の磁化可能なシールド体(62)が設けられ、前記磁界センサ(46)および前記第1プリント基板部(30)は、前記シールド体(62)内に完全に収まるように配置されること、
を特徴とする先行する請求項のいずれか1項に記載の回転角測定装置(10)。
【請求項10】
前記評価用電子装置(48)は、前記シールド体(62)内に完全に配置されること、
を特徴とする請求項7に記載の回転角度測定装置(10)。
【請求項11】
第2スナップ装置(66)が、前記プリント基板支持体(22)と前記プリント基板固定体(52)の両方またはいずれか一方において設けられることにより、前記シールド体(62)が、軸方向および回転方向に固定されること、
を特徴とする請求項7または8に記載の回転角度測定装置(10)。
【請求項12】
前記回転角度測定システム(14)には、前記シャフト(12)を半径方向に囲む磁化可能なシールドディスク(26)が設けられること、
を特徴とする先行する請求項のいずれか1項に記載の回転角測定装置(10)。
【請求項13】
前記回転角度測定システム(14)には、前記評価用電子装置(48)に電気的に接続されるコネクタプラグ(72)が設けられ、前記コネクタプラグ(72)は、前記第2プリント基板部(32)の半径方向外側(74)に配置されること、
を特徴とする先行する請求項のいずれか1項に記載の回転角測定装置(10)。
【請求項14】
先行する請求項のいずれか1つに記載の回転角度測定装置(10)のための回転角度測定システム(14)。
【請求項15】
請求項7から13のいずれか1項に記載の回転角度測定装置(10)を備える電動モータ(100)であって、前記シャフト(12)は前記電動モータ(100)により駆動され、前記プリント基板支持体(22)は、モータフランジ(24)に取り付けられる、ことを特徴とする電動モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転可能なシャフトと、回転シャフト運動を検出する回転角度測定システムと、を備えた回転角度測定装置に関する。この回転角度測定システムは、シャフトと同時回転可能に接続され、少なくとも1つの永久磁石の励起磁石を有する励磁ユニットと、縦方向シャフト軸に直交して配置される第1プリント基板部と、第1プリント基板部に対して角度をつけて配置され、接続デバイスを介して第1プリント基板部に電気的に接続される第2プリント基板部と、を有するプリント基板装置と、第1プリント基板部上に配置され、それにより、励磁ユニットにより生成された励起磁界を検出することが可能な第1磁界センサと、プリント基板装置上に配置され、第1磁界センサに電気的に接続される評価用電子装置と、を備える。
【背景技術】
【0002】
このような回転角度測定装置は、シャフトの回転運動を検出するために使用される。回転角度測定システムは、角度測定装置、回転角度センサ、またはロータリエンコーダとも呼ばれる。回転角度測定装置は、特に、機械、システム、または車両における電動モータ、特に、サーボモータを制御および監視するために使用されるが、適用に際し、回転角度測定システムのための設置スペースが制限されていることが多い。
【0003】
例えば、DE 10 2007 018 758 A1には、縦方向シャフト軸に対して直交して配置される第1プリント基板部と、第1プリント基板部に対して角度をつけて配置される第2プリント基板部と、可撓性を有し、第1プリント基板部を第2プリント基板部に電気的に接続する第3プリント基板部と、が設けられた回転角度測定システムを備える回転角度測定装置が開示されている。プリント基板部を角度づけして配置しているため、回転角度測定装置の半径方向の広がりは比較的小さいが、軸方向の広がりは比較的大きくなる。しかしながら、回転角度測定システムの設置スペースは、半径方向だけでなく、軸方向も制限されることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2007 018 758号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、比較的コンパクトな回転角度測定システムを備えた回転角度測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的は、請求項1に記載の特徴を備えた回転角度測定装置によって達成される。さらに、上述の目的は、請求項14に記載の特徴を備えた回転角度測定システムと、請求項15に記載の特徴を備えた電動モータとによって達成される。
【0007】
なお、本特許出願において言及される半径方向および軸方向の各方向は、回転角度測定システムによって検出されるシャフトのとり得る向きを常に示している。
【0008】
本発明によれば、第2プリント基板部は、縦方向シャフト軸に対して平行な縦方向平面への第2プリント基板部の平行投影と、この縦方向平面への励磁ユニットの投影とが少なくとも部分的に重なるように配置される。縦方向平面は、縦方向シャフト軸に平行な平面、すなわち、表面法線が縦方向シャフト軸に直交する平面である。このように、第2プリント基板部は、半径方向において、励磁ユニットに対して少なくとも部分的に隣接して配置されている。第2プリント基板部の、第1プリント基板部とは反対側の端部は、励磁ユニットの、第1プリント基板部とは反対側の端部より軸方向に突出しないことが好ましい。第2プリント基板部の一部が、励磁ユニットの、第1プリント基板部とは反対側の端部に対して軸方向に突出する場合にも、突出する部分は比較的少なく、第2プリント基板部の軸方向範囲において最大でも10%程度とすることが好ましい。
【0009】
第2プリント基板部を角度づけして配置したため、シャフトに本発明による回転角度測定システムを設置するために必要な半径方向のスペースは、比較的小さくて済む。第2プリント基板部は、半径方向において、励磁ユニットに少なくとも部分的に隣接して配置され、好ましくは、励磁ユニットより軸方向にわずかに突出するのみであるため、本発明による回転角度測定システムは、軸方向に比較的小さい設置スペースに設置することが可能である。結果として、比較的コンパクトな回転角度測定システムを備えた回転角度測定装置が実現される。
【0010】
好ましくは、第1プリント基板部と第2プリント基板部との間の角度は、70°~110°の角度範囲であり、より好ましくは、80°~100°の角度範囲である。このように構成することで、プリント基板装置の半径方向範囲を特に小さくすることが可能となり、したがって、特にコンパクトな回転角度測定システムを実現することができる。
【0011】
本発明の好ましい実施形態では、第2プリント基板部は、縦方向シャフト軸に直交する横断面への第2プリント基板部の平行投影と、この横断面への第1プリント基板部の平行投影とが、少なくとも部分的に重なるように配置される。横断面は、縦方向シャフト軸に対して横方向に延びる平面、すなわち、その表面法線が縦方向シャフト軸に対して平行な平面である。このように、第2プリント基板部は、軸方向において、第1プリント基板部に隣接して配置される。好ましくは、第2プリント基板部は、第2プリント基板部の横断面投影領域の少なくとも90%が、第1プリント基板部の横断面投影領域内にあるように配置される。より好ましくは、第2プリント基板部は、第2プリント基板部の横断面投影領域が、第1プリント基板部の横断面投影領域内に完全に位置するように配置される。このように構成することで、プリント基板装置の半径方向範囲を特に小さくすることが可能となり、したがって、特にコンパクトな回転角度測定システムを実現することができる。
【0012】
接続デバイスは、可撓性のある第3プリント基板部により構成されることが好ましく、さらに、いわゆる「スターフレックス(Starrflex)」プリント基板により構成されることがより好ましい。典型的には、第3プリント基板部には、第1プリント基板部から第3プリント基板部を通って第2プリント基板部に延びる導体トラックが設けられる。このように構成することで、はんだ接合やコネクタプラグを必要とせずに、第1プリント基板部と第2プリント基板部との間の電気的接続を確実に成立させることができる。さらに、第3プリント基板部が可撓性を有することで、特に、複雑な電気回路を容易に実現することができる。
【0013】
有利には、評価用電子装置は、第1プリント基板部と磁界センサとの間に配置される少なくとも1つの電子部品を備える。このように、少なくとも1つの電子コンポーネントが磁界センサの「下方」に配置されることで、プリント基板装置上に追加のスペースを設ける必要がなくなる。また、複数の評価用電子部品は、第2プリント基板部と磁界センサとの間に配置されることが好ましい。このように構成することで、求められるプリント基板面積が少なくて済み、これにより、特にコンパクトなプリント基板構成、さらには、特にコンパクトな回転角度測定システムを実現することができる。
【0014】
回転角度測定システムには第2磁界センサが設けられ、それにより、励磁ユニットによって生成された励起磁界を検出することができるように構成することが好ましい。第2磁界センサを設けることで、励起磁界を精密且つ確実に検出することが可能となり、したがって、特に正確な回転角度測定システムを実現することができる。典型的には、一方の磁界センサはいわゆるウィーガンドセンサであり、他方の磁界センサはいわゆるホールセンサである。さらに、第1磁界センサおよび第2磁界センサは、第1プリント基板部の対向する側にそれぞれ配置されることが好ましく、また、シャフトに対して実質的に同心に位置することが好ましい。このように構成することで、確実性が高くコンパクトな回転角度測定システムが実現される。
【0015】
本発明の有利な実施形態では、回転角度測定システムには、第1プリント基板部を第1軸方向側で支持するプリント基板支持体が設けられる。プリント基板支持体は、第2プリント基板部をプリント基板支持体に対して形状による固定方式で取り付けるために設けられる第1スナップ装置を備える。さらに好ましくは、プリント基板支持体は位置決め装置を備え、それにより、第1プリント基板部が半径方向および回転方向に位置決めされると共に固定される。また、プリント基板支持体は、略円筒形であり、少なくとも部分的に励磁ユニットを半径方向に取り囲み、スナップ装置によって第2回路基板部を固定するための凹部が設けられることが好ましい。組み立て時には、プリント基板装置は、第1プリント基板部を介して、プリント基板支持部材に軸方向に取り付けられ、第2プリント基板部は、単に、スナップ装置に挿入される。このように構成することで、回転角度測定システムを簡単に組み立てることができ、さらに、プリント基板構成全体、特に、角度がつけられた第2プリント基板部を含むプリント基板装置を、確実に取り付けて並べることができる。
【0016】
有利には、回転角度測定システムには、プリント基板支持体に取り付けられ、第1軸方向側の反対側に位置する第2軸方向側で第1プリント基板部を支持するプリント基板固定体が設けられる。典型的には、プリント基板固定体は、ねじ接続によってプリント基板支持体に取り付けられる。プリント基板固定体を設けることにより、プリント基板装置を簡単且つ確実に固定することができる。好ましくは、プリント基板固定体は略ポット形状であり、第1磁界センサと、より好ましくは2つの磁界センサを半径方向外側で実質的に完全に取り囲む。好ましくは、凹部をプリント基板固定体の底領域内の半径方向に設けて、その中に、磁界センサの、第1プリント基板部とは反対側の軸方向の端部を挿入する。このように、プリント基板固定体を設けることで、磁界感応センサを機械的に保護することができる。
【0017】
本発明の好ましい実施形態では、回転角度測定システムには、ポット形状の磁化可能なシールド体が設けられ、第1磁界センサ、より好ましくは、2つの磁界センサ、および第1プリント基板部が、シールド体内に完全に位置するように配置される。シールド体は、一般に、軟磁性金属で形成され、磁界センサを、磁界センサによるシャフト回転速度検出の確実性や精度を低下させる恐れのある外部磁界から遮蔽する。典型的には、シールド体は、回転角度測定システムの収容部を構成する。このように、シールド体を設けることで、確実性が高くコンパクトな回転角度測定システムを実現することができる。
【0018】
同様に、比較的感度の高い評価用電子装置をシールド体内に完全に収めるように配置し、外部磁界から遮蔽することがより好ましい。このように構成することで、特に確実性の高い回転角測定システムを実現することができる。
【0019】
本発明の有利な実施形態では、第2スナップ装置が、プリント基板支持体とプリント基板固定体の両方またはいずれか一方において設けられることにより、シールド体は、軸方向および回転方向に固定される。好ましくは、スナップ装置は、プリント基板支持体やプリント基板固定体の半径方向外側に設けられ、シールド体の円筒壁には、スナップ装置が係合する少なくとも1つの凹部が設けられる。スナップ装置を設けることで、シールド体を確実に位置合わせしたり取り付けたりすることができ、さらに、簡単な方法で搭載することが可能になる。
【0020】
回転角度測定システムには、シャフトを半径方向に囲む磁化可能なシールドディスクが設けられることが好ましい。シールドディスクは、一般に、軟磁性金属で形成され、磁界センサ、より好ましくは、2つの磁界センサおよび評価用電子装置を、外部磁界、特に、シャフトを駆動する電動モータの固定子や回転子により生成される磁界から遮蔽する。シールドディスクを設けることで、特に確実性の高い回転角測定システムを実現することができる。また、好ましくは、シールドディスクがアダプタ要素を構成すると、回転角度測定システムを、例えば、モータフランジといった所定の測定システム取り付け装置に容易に取り付けることができる。
【0021】
典型的には、回転角度測定システムには、外部電源用や、回転角度測定システムの読み出し/プログラミング用のコネクタプラグが設けられ、このコネクタプラグは、プリント基板装置上に配置され、評価用電子装置に電気的に接続される。通常、コネクタプラグは、プリント基板装置から実質的に垂直に突出する。有利には、コネクタプラグを、第2プリント基板部の半径方向外側に配置する。このように、コネクタプラグおよびコネクタプラグに接続可能な接続プラグを設置するにあたり、半径方向の設置スペースのみを必要とし、軸方向の設置スペースを必要としない。このように構成することで、特にコンパクトな回転角度測定装置を実現することができる。さらに、コネクタプラグは、第1磁界センサの半径方向および軸方向の延長線の外側に配置され、より好ましくは、2つの磁界センサの半径方向および軸方向の延長線の外側に配置される。そのため、磁界センサの延長線内のシールド体内に、コネクタプラグのための開口部を設けなくてもよい。このように構成することで、磁界センサを確実に遮蔽することができるため、特に確実性の高い回転角度測定システムが実現可能となる。
【0022】
本発明の技術的目的は、さらに、上述の特徴を有する回転角度測定システムによって達成される。なお、半径方向および軸方向とは、シャフトに取り付けられた回転角度測定システムにおいてシャフトのとり得る向きを示している。
【0023】
さらに、本発明の技術的目的は、上述の特徴を有する回転角度測定装置を備えた電動モータによって達成され、プリント基板支持体は、モータフランジに取り付けられる。このように構成することで、特にコンパクトな電動モータを実現することができる。プリント基板支持体は、モータフランジに直接取り付けるか、好ましくは、アダプタプレートを介してモータフランジに取り付けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明による回転角度測定装置を備えた、本発明による電動モータの部分断面図である。
【
図2】シールド要素がない状態の、
図1の回転角度測定装置の回転角度測定システムを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
添付の図面を参照して、本発明による回転角度測定装置を備えた、本発明による電動モータの実施形態を以下に説明する。
【0026】
図1は、電動モータ100の従動シャフト12の回転運動を検出する回転角度測定装置10を備えた電動モータ100を示す。回転角度測定装置10は、シャフト12と、シャフト12に配置された回転角度測定システム14とを備える。
【0027】
回転角度測定システム14は、励磁ユニット16を備える。励磁ユニット16には、シャフト12に対して同時回転可能に接続される磁石ホルダ18と、磁石ホルダ18に取り付けられ、それによりシャフト12に対して同時回転可能に接続される永久磁石の励起磁石20と、が設けられる。
【0028】
さらに、回転角度測定システム14は、ねじ接続によってモータフランジ24に取り付けられる略円筒状のプリント基板支持体22を備える。プリント基板支持体22とモータフランジ24との軸方向の間には、軟磁性金属のシールドディスク26が配置される。シールドディスク26は、シャフト12を半径方向に囲み、本実施形態では、さらに、回転角度測定システム14をモータフランジ24に簡単かつ確実に取り付けるためのアダプタ要素を構成している。
【0029】
さらに、回転角度測定システム14は、3つのプリント基板部30、32、34を有するプリント基板装置28を備える。第1プリント基板部30は、略円状の部分のような形状を有し、シャフト12の縦方向シャフト軸Lに対して直交して配置される。第1プリント基板部30は、励磁ユニット16に対向する第1軸方向側31においてプリント基板支持体22に支持されている。
【0030】
第2プリント基板部32は、略長方形の形状を有し、プリント基板支持体22内に形成される凹部36内に配置される。第2プリント基板部32は、2つのスナップフック38により構成される第1スナップ装置40を介して、形状による固定方式でプリント基板支持体22に取り付けられている。第2プリント基板部32は、回転角度測定装置10の横断面Qへの第2プリント基板部32の平行投影と、回転角度測定装置10の横断面Qへの第1プリント基板部30の平行投影とが、ほぼ完全に重なるように配置される。
【0031】
第2プリント基板部32は、第1プリント基板部30に対して90°の角度をなして、励磁ユニット16の半径方向に隣接して配置される。特に、第2プリント基板部32は、縦方向面Eへの第2プリント基板部32の平行投影と、励磁ユニット16の縦方向面Eへの平行投影とが重なるように配置される。なお、縦方向面Eは、縦方向シャフト軸Lに平行であって、縦方向シャフト軸Lを含む面である。さらに、第2プリント基板部32は、第2プリント基板部32の、第1プリント基板部30とは反対側の端部42が、励磁ユニット16の、第1プリント基板部30とは反対側の端部44より軸方向に突出しないように配置される。
【0032】
第2プリント基板部32は、接続デバイス34を介して第1プリント基板部30に電気的に接続されている。本実施形態では、接続デバイス34は、第3プリント基板部によって構成される。第3プリント基板部は可撓性を有し、詳細には示さない導体トラックを備える。接続デバイス34は、いわゆる「スターフレックス(Starrflex)」プリント基板により構成されることが好ましい。
【0033】
さらに、回転角度測定システム14は、本実施形態ではいわゆるウィーガンドセンサである第1磁界センサ46と、本実施形態ではいわゆるホールセンサである第2磁界センサ47とを備える。これらの磁界センサ46、47は、励磁ユニット16に対して軸方向の近傍において、第1プリント基板部30上に、シャフト12および励起磁石20とほぼ同心に配置される。このように配置することで、励磁ユニット16により生成された励起磁界を、磁界センサ46、47を用いて検出することができる。第1磁界センサ46および第2磁界センサ47は、第1プリント基板部30の軸方向に対向する側にそれぞれ配置される。
【0034】
さらに、回転角度測定システム14は、プリント基板装置28上に配置される複数の電子部品50a~50cにより構成される評価用電子装置48を備える。評価用電子装置48は、2つの磁界センサ46、47に電気的に接続され、磁界センサ46、47により生成されたセンサ信号を評価するように構成される。本実施形態では、評価用電子装置48の複数の電子部品50a、50bは、第1磁界センサ46の下方、すなわち、第1プリント基板部30と第1磁界センサ46との軸方向の間に配置される。
【0035】
さらに、回転角度測定システム14は、略ポット形状のプリント基板固定体52を備える。プリント基板固定体52は、ねじ接続によってプリント基板支持体22に取り付けられ、第1軸方向側31の反対側に位置する第2軸方向側54において第1プリント基板部30を軸方向に支持する。このように、第1プリント基板部30は、プリント基板固定体52とプリント基板支持体22とによって軸方向に固定される。ねじ接続部は、第1プリント基板部30の図示しない孔を通って軸方向に延在するため、第1プリント基板部30は、ねじ接続部によって半径方向および回転方向に固定される。本実施形態では、プリント基板固定体52のシリンダ壁56は、半径方向外側で2つの磁界センサ46、47を完全に囲み、プリント基板固定体52の底壁58には、第1磁界センサ46が挿入される凹部60が設けられる。
【0036】
さらに、回転角度測定システム14は、略ポット形状の軟磁性金属のシールド体62を備える。シールド体62は、第2スナップ装置66を介してプリント基板固定体52に取り付けられ、軸方向および回転方向に固定される。第2スナップ装置66は、複数のスナップ要素64a、64bにより構成され、シールド体62のシリンダ壁70に設けられた対応する凹部68a、68bに対して係合する。本実施形態では、シールド体62は、回転角度測定システム14において収容部を構成する。磁界センサ46、47および第1プリント基板部30は、シールド体62内に完全に収まるように配置されるため、シールド体62によって外部磁界から確実に遮蔽される。さらに、評価用電子装置48のすべての電子部品50a~50cも、シールド体62内に配置される。本実施形態では、シールド体62は、シールドディスク26に対して軸方向に当接し、シールドディスク26と共に、磁界センサ46、47および評価用電子装置48の全体を実質的に全ての空間方向に完全に取り囲むシールド装置71を構成する。すなわち、コネクタプラグ72用の凹部76、第2スナップ装置用の凹部78a、78b、およびシャフト12が延在する凹部73を除き、外部磁界から上述の部分を効果的に遮蔽している。
【0037】
さらに、回転角度測定システム14は、外部電源用、および回転角度測定システム14の読み出し/プログラミング用のコネクタプラグ72を備える。コネクタプラグ72は、第2プリント基板部32の半径方向の外側74に配置され、評価用電子装置48に電気的に接続される。シールド体62のシリンダ壁70には、コネクタプラグ72が延在する凹部76が設けられる。
【符号の説明】
【0038】
10 回転角度測定装置
12 シャフト
14 回転角度測定システム
16 励磁ユニット
18 磁石ホルダ
20 励起磁石
22 プリント基板支持体
24 モータフランジ
26 シールドディスク
28 プリント基板装置
30 第1プリント基板部
31 第1軸方向プリント基板部側
32 第2プリント基板部
34 接続デバイス
36 凹部
38 スナップフック
40 第1スナップ装置
42 プリント基板部端部
44 励磁ユニット端部
46 第1磁界センサ
47 第2磁界センサ
48 評価用電子装置
50a~50c 電子部品
52 プリント基板固定体
54 第2軸方向プリント基板部側
56 シリンダ壁
58 底壁
60 凹部
62 シールド体
64a,64b スナップ要素
66 第2スナップ装置
68a,68b 凹部
70 シリンダ壁
71 シールド装置
72 コネクタプラグ
73 凹部
74 シリンダ壁半径方向外側
76 凹部
100 電動モータ
E 縦方向平面
L 縦方向シャフト軸
Q 横断面
【国際調査報告】