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特表2022-547029ヌルステアリングビームフォーミングのための方法、コンピュータプログラムおよび無線ネットワークノード
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-10
(54)【発明の名称】ヌルステアリングビームフォーミングのための方法、コンピュータプログラムおよび無線ネットワークノード
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/08 20090101AFI20221102BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20221102BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20221102BHJP
   H04B 7/06 20060101ALI20221102BHJP
   H04B 7/08 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
H04W28/08
H04W16/28
H04W84/12
H04B7/06 950
H04B7/08 800
H04B7/06 152
H04B7/08 422
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022514185
(86)(22)【出願日】2019-09-06
(85)【翻訳文提出日】2022-04-20
(86)【国際出願番号】 EP2019073859
(87)【国際公開番号】W WO2021043420
(87)【国際公開日】2021-03-11
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100161470
【弁理士】
【氏名又は名称】冨樫 義孝
(74)【代理人】
【識別番号】100194294
【弁理士】
【氏名又は名称】石岡 利康
(74)【代理人】
【識別番号】100194320
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 亮
(74)【代理人】
【識別番号】100150670
【弁理士】
【氏名又は名称】小梶 晴美
(72)【発明者】
【氏名】グントゥパリ, ラクシュミカンテ
(72)【発明者】
【氏名】スンドマン, デニス
(72)【発明者】
【氏名】ウィルヘルムソン, レイフ
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA28
5K067DD11
5K067EE02
5K067EE10
5K067KK02
(57)【要約】
本発明は、ビームパターンに第1の無線ネットワークノードからのヌルステアリングビームフォーミングを割り当てることに関する。方法は、近接する第2の無線ネットワークノードへの方向を決定することと、第2の無線ネットワークノードのトラフィック負荷に関する指示を決定することと、方向およびトラフィック負荷から、ヌルステアリングビームフォーミングのヌルのための方向を決定することとを含む。コンピュータプログラムおよび無線ネットワークノードも開示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビームパターンに第1の無線ネットワークノードからのヌルステアリングビームフォーミングを割り当てる方法であって、
近接する第2の無線ネットワークノードへの方向を決定すること(102)と、
前記第2の無線ネットワークノードのトラフィック負荷に関する指示を決定すること(104)と、
前記方向および前記トラフィック負荷から、前記ヌルステアリングビームフォーミングのヌルのための方向を決定すること(106)と
を含む方法。
【請求項2】
前記方向を前記決定すること(106)が前記第2の無線ネットワークノードからのビーコンの受信からなされる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方向を前記決定すること(106)が前記第1の無線ネットワークノードと前記第2の無線ネットワークノードとの間のシグナリングインターフェースからなされる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記トラフィック負荷に関する前記指示を前記決定すること(104)が前記第2の無線ネットワークノードからのビーコン中の情報からなされる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ビーコン中の前記情報が、
前記第2の無線ネットワークノードに関連付けられたステーションの数、および
チャネル利用
のうちのいずれか1つを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記トラフィック負荷に関する前記指示を前記決定すること(104)が前記第1の無線ネットワークノードと前記第2の無線ネットワークノードとの間のシグナリングインターフェースからなされる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ヌルのための前記方向を前記決定すること(106)が、複数の近接するネットワークノードに向かう方向のうち、1つの方向に優先度を付けることを含み、前記優先度を付けることが、近接する無線ネットワークノードからのビーコンの受信に基づいて、前記近接する無線ネットワークノードからの推定された距離に基づいて前記方向に優先度を付けることを含み、推定されたより大きい距離よりも、推定されたより小さい距離に優先度が付けられる、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の無線ネットワークノードおよび近接する前記第2の無線ネットワークノードの各々が基本サービスセット(BSS)を形成し、第1のネットワークノードと第2のネットワークノードとが無線ローカルエリアネットワークサービスのための通信システム中に重複BSS(OBSS)を形成する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
サイクリック遅延ダイバーシティを使用した全方向送信のために、
ヌルのための決定された方向に前記ヌルを割り当てること(107)と、
前記ヌルのための少なくとも1つの方向以外の方向のためのサブキャリアをランダム化すること(109)と
を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
無線ネットワークノードからの信号送信の方法であって、
送られるべきフレームを構成すること(101)と、
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法に従ってビームパターンにヌルステアリングビームフォーミングを割り当てることと、
割り当てられた前記ビームパターンを用いて前記フレームを送信すること(111)と
を含む方法。
【請求項11】
無線ネットワークノードのプロセッサ上で実行されたとき、前記無線ネットワークノードに請求項1から10のいずれか一項に記載の方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項12】
近接する第2の無線ネットワークノード(AP2)に向かってビームパターンにヌルステアリングビームフォーミングを割り当てるように構成された第1の無線ネットワークノード(AP1、200)であって、コントローラ(208)とトランシーバ(204、206)とを備え、前記コントローラ(208)が、
送られるべきフレームを構成することと、
前記第2の無線ネットワークノードへの方向を決定することと、
前記第2の無線ネットワークノードのトラフィック負荷に関する指示を決定することと、
前記方向および前記トラフィック負荷から、前記ヌルステアリングビームフォーミングのヌルのための方向(602)を決定することと
を行うように構成され、
前記トランシーバ(206)が、前記フレームを信号によって送信するように構成され、前記信号が前記方向(602)にヌルステアリングビームフォーミングを有する、第1の無線ネットワークノード(AP1、200)。
【請求項13】
前記トランシーバ(204)による、前記第2の無線ネットワークノード(AP2)からのビーコンの受信から前記方向を決定するように構成された、請求項12に記載の第1の無線ネットワークノード(AP1、200)。
【請求項14】
前記第1の無線ネットワークノード(AP1、200)と前記第2の無線ネットワークノード(AP2)との間のシグナリングインターフェース(210、212)から前記方向を決定するように構成された、請求項12に記載の第1の無線ネットワークノード(AP1、200)。
【請求項15】
前記トランシーバ(204)によって受信された、前記第2の無線ネットワークノード(AP2)からのビーコン中の情報からトラフィック負荷に関する前記指示を決定するように構成された、請求項12から14のいずれか一項に記載の第1の無線ネットワークノード(AP1、200)。
【請求項16】
前記ビーコン中の前記情報が、
前記第2の無線ネットワークノード(AP2)に関連付けられたステーション(600)の数、および
チャネル利用
のうちのいずれか1つを含む、請求項15に記載の第1の無線ネットワークノード(AP1、200)。
【請求項17】
前記第1の無線ネットワークノード(AP1、200)と前記第2の無線ネットワークノード(AP2)との間のシグナリングインターフェース(210、212)からトラフィック負荷に関する前記指示を決定するように構成された、請求項12から14のいずれか一項に記載の第1の無線ネットワークノード(AP1、200)。
【請求項18】
ヌルのための前記方向の前記決定が、複数の近接するネットワークノード(AP2、AP3)に向かう方向のうち、1つの方向に優先度を付けることを含み、前記優先度を付けることが、前記トランシーバ(204)による、近接する無線ネットワークノード(AP2、AP3)からのビーコンの受信に基づいて、前記近接する無線ネットワークノード(AP2、AP3)からの推定された距離に基づいて前記方向に優先度を付けることを含み、推定されたより大きい距離よりも、推定されたより小さい距離に優先度が付けられる、請求項12から17のいずれか一項に記載の第1の無線ネットワークノード(AP1、200)。
【請求項19】
前記第1の無線ネットワークノード(AP1、200)および近接する前記第2の無線ネットワークノード(AP2)の各々が基本サービスセット(BSS)を形成し、第1のネットワークノード(AP1、200)と第2のネットワークノード(AP2)とが無線ローカルエリアネットワークサービスのための通信システム中に重複BSS(OBSS)を形成する、請求項12から18のいずれか一項に記載の第1の無線ネットワークノード(AP1、200)。
【請求項20】
サイクリック遅延ダイバーシティを使用した全方向送信のために、前記第1の無線ネットワークノード(AP1、200)が、
ヌルのための決定された方向(602)に前記ヌルを割り当てることと、
前記ヌルのための少なくとも1つの方向以外の方向のためのサブキャリアをランダム化することと
を行うように構成された、請求項12から19のいずれか一項に記載の第1の無線ネットワークノード(AP1、200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、無線ネットワークノードのための方法、方法を実装するためのコンピュータプログラム、および無線ネットワークノードに関する。特に、本発明は、近接する第2の無線ネットワークノードに向かってビームパターンにヌルステアリングビームフォーミングを割り当てるように構成された方法と第1の無線ネットワークノードとに関する。
【背景技術】
【0002】
2.45GHz ISM(工業、科学、医療)帯域および5GHz帯域のような、ライセンス不要帯域を使用することへの関心が高まっている。ある規格を使用する異なるデバイス間、ならびに異なる規格を使用するデバイス間の共存を保証するために、ある種類の共存機構が採用される必要がある。1つの一般的に使用されている共存機構は、キャリア検知多重アクセス/衝突回避(CSMA/CA)としても知られるリッスンビフォアトーク(LBT)である。CSMA/CAでは、送信のために無線媒体を利用することを意図するデバイスがチャネルを検知し、チャネルがビジーである(使用中または占有されている)かアイドルである(占有されていない)かを決定する。チャネルがビジーであると決定された場合、送信は延期されるが、チャネルがアイドルであると決定された場合、送信は開始される。まさに名前が示唆しているように、CSMA/CAのアイデアは、チャネルがビジーでないときに送信を開始することのみによって衝突を回避することである。
【0003】
従来、5GHz帯域は、ほとんどもっぱらIEEE802.11規格、たとえばIEEE802.11a、IEEE802.11n、およびIEEE802.11acによって使用された。IEEE802.11acの導入前は、すべての送信が1つの送信機と1つの受信機との間であった。さらに、チャネルアクセスは、一般に、分散協調機能(DCF)を使用して分配された。送るものがあるとき個々のデバイスにチャネルを競わせることはシステム設計を簡略化する。しかしながら、スペクトルの使用の増加とともに、よりスケジュールされた手法がより高いスペクトル効率を与え得ることが明らかになった。特に、1つの送信機から多くの受信機への送信、ならびに多くの送信機から1つの受信機への送信をサポートすることが望ましい。
【0004】
無線では、多入力多出力(MIMO)が、複数の送信アンテナと受信アンテナとを使用して無線リンクの容量を増加させるための方法である。MIMOは、様々な無線通信規格においてよく使用される要素になった。
【0005】
IEEE802.11acでは、1つの送信機から最高4つの受信機への送信が、ダウンリンク(DL)における、すなわち、アクセスポイント(AP)からステーション(STA)へのマルチユーザMIMO(MU-MIMO)によってサポートされる。IEEE802.11axの導入により、多くの送信機から1つの受信機への送信もアップリンク(UL)MU-MIMOによって可能になった。さらに、IEEE802.11axでは、直交周波数分割多元接続(OFDMA)がDLとULの両方について使用され、ULとDLの両方におけるマルチユーザ送信が可能になる。OFDMはまた、いくつかのサブチャネルがMU-MIMOのために使用され得、他のサブチャネルがシングルユーザ送信のために使用されるように、MU-MIMOと組み合わせられ得る。
【0006】
マルチユーザUL送信は、異なる送信された信号が時間、周波数、および電力において合理的に整合されて受信されるべきであることにより、必然的に、APによるスケジューリングを必要とする。MU-DL送信は、デフォルト設定でAPによってスケジュールされる。より多くのMU送信を採用する方向に移行することの影響は、APが、チャネルアクセスと、どのような送信が行われるべきかとをますます制御するようになることである。IEEE802.11規格は、基地局がすべての送信を制御する、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)において開発されたセルラー規格により近づく方向に向かっていると言ってもよいだろう。
【0007】
セルラー規格と同じ趣旨に従う、よりスケジュールされた手法は、潜在的に、より高いスペクトル効率をもたらすことができるが、基本な差は、セルラー規格は認可スペクトルにおける動作のために開発されたということである。認可スペクトルにおいて動作するシステムにも、他のセルからの干渉、同一チャネル干渉と隣接チャネル干渉の両方の問題があるが、干渉レベルはある程度まで知られており、制御下にある。
【0008】
さらに、無線通信ネットワークにおいて高い容量と信頼できる送信とを達成する際に、多重アンテナ機能が極めて重要な役割を果たす。高い容量は、空間多重化などの技法を採用することによって達成されるが、信頼性は空間ダイバーシティによる送信により改善する。一般に、干渉は、容量と信頼性とを制限する主要な妨害要因のうちの1つである。ビームフォーミングは、マルチアンテナシステムにおける干渉の影響を制限するために採用され得る普及している技法である。ビームフォーミングは、エネルギーをある方向に向けるためにアンテナアレイ中の重みを調整するために、空間信号処理を使用する。同様に、ビームフォーミング重みは、異なる方向にヌルを配置するように調整され得る。しかしながら、ヌルを配置することは、一般に、かなり特定の知識に基づく、たとえばUL/DL構造に基づくであろう。
【0009】
米国特許出願公開第2018/0026362(A1)号は、少なくとも1つの方向において低下したアンテナ利得を与えるための手法を開示している。方向は、セル計画を行うときに決定され得る。
【0010】
干渉の影響を低減するための既存の解決策の問題は、既存の解決策は、送信が始まってから、または送信中に、セルまたはセルが属する基本サービスセット(BSS)に対してのみ技法を適用することである。しかしながら、重複するセルまたはBSSに対してうまく挙動することは同様に行われ得ない。その上、それらの技法は、限定された情報に依拠する。その場合、それらの技法は適切に機能しないことがある。したがって、そのような重複について、リンクパフォーマンスならびにシステムパフォーマンスが改善することが可能であると予想され得る。
【0011】
この背景技術セクションにおいて開示されている上記の情報は発明の背景の理解の向上のためのものにすぎず、したがって、上記の情報は、当業者にすでに知られている従来技術を形成しない情報を含んでいることがある。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、十分にロードされた近接するノードに向かうAPのアンテナのヌルの調整は、それらのノードによる同時送信のために、干渉が回避または少なくとも低減され得ることに備え得るという、発明者の理解に基づく。
【0013】
第1の態様によれば、ビームパターンに第1の無線ネットワークノードからのヌルステアリングビームフォーミングを割り当てる方法が提供される。本方法は、近接する第2の無線ネットワークノードへの方向を決定することと、第2の無線ネットワークノードのトラフィック負荷に関する指示を決定することと、方向およびトラフィック負荷から、ヌルステアリングビームフォーミングのヌルのための方向を決定することとを含む。
【0014】
方向を決定することは、第2の無線ネットワークノードからのビーコンの受信からなされ得る。代替的に、方向を決定することは、第1の無線ネットワークノードと第2の無線ネットワークノードとの間のシグナリングインターフェースからなされ得る。
【0015】
トラフィック負荷に関する指示を決定することは、第2の無線ネットワークノードからのビーコン中の情報からなされ得る。ビーコン中の情報は、第2の無線ネットワークノードに関連付けられたステーションの数、およびチャネル利用のうちのいずれか1つを含み得る。
【0016】
トラフィック負荷に関する指示を決定することは、第1の無線ネットワークノードと第2の無線ネットワークノードとの間のシグナリングインターフェースからなされ得る。
【0017】
ヌルのための方向を決定することは、複数の近接するネットワークノードに向かう方向のうち、1つの方向に優先度を付けることを含み得、優先度を付けることは、近接する無線ネットワークノードからのビーコンの受信に基づいて、近接する無線ネットワークノードからの推定された距離に基づいて方向に優先度を付けることを含み、推定されたより大きい距離よりも、推定されたより小さい距離に優先度が付けられる。
【0018】
第1の無線ネットワークノードおよび第2の近接する無線ネットワークノードの各々は基本サービスセット(BSS)を形成し得、第1のネットワークノードと第2のネットワークノードとは無線ローカルエリアネットワークサービスのための通信システム中に重複BSS(OBSS)を形成し得る。
【0019】
サイクリック遅延ダイバーシティを使用した全方向送信のために、本方法は、ヌルのための決定された方向にヌルを割り当てることと、ヌルのための少なくとも1つの方向以外の方向のためのサブキャリアをランダム化することとを含み得る。
【0020】
第2の態様によれば、無線ネットワークノードからの信号送信の方法が提供される。本方法は、送られるべきフレームを構成することと、第1の態様に従ってビームパターンにヌルステアリングビームフォーミングを割り当てることと、割り当てられたビームパターンを用いてフレームを送信することとを含む。
【0021】
第3の態様によれば、無線ネットワークノードのプロセッサ上で実行されたとき、無線ネットワークノードに第1および第2の態様のいずれかによる方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラムが提供される。
【0022】
第4の態様によれば、近接する第2の無線ネットワークノードに向かってビームパターンにヌルステアリングビームフォーミングを割り当てるように構成された第1の無線ネットワークノードが提供される。第1の無線ネットワークノードはコントローラとトランシーバとを備える。コントローラは、送られるべきフレームを構成することと、第2の無線ネットワークノードへの方向を決定することと、第2の無線ネットワークノードのトラフィック負荷に関する指示を決定することと、方向およびトラフィック負荷から、ヌルステアリングビームフォーミングのヌルのための方向を決定することとを行うように構成される。トランシーバは、フレームを信号によって送信するように構成され、信号は方向にヌルステアリングビームフォーミングを有する。
【0023】
第1の無線ネットワークノードは、トランシーバによる、第2の無線ネットワークノードからのビーコンの受信から方向を決定するように構成され得る。代替的に、第1の無線ネットワークノードは、第1の無線ネットワークノードと第2の無線ネットワークノードとの間のシグナリングインターフェースから方向を決定するように構成され得る。
【0024】
第1の無線ネットワークノードは、トランシーバによって受信された、第2の無線ネットワークノードからのビーコン中の情報からトラフィック負荷に関する指示を決定するように構成され得る。ビーコン中の情報は、第2の無線ネットワークノードに関連付けられたステーションの数、およびチャネル利用のうちのいずれか1つを含み得る。
【0025】
第1の無線ネットワークノードは、第1の無線ネットワークノードと第2の無線ネットワークノードとの間のシグナリングインターフェースからトラフィック負荷に関する指示を決定するように構成され得る。
【0026】
ヌルのための方向の決定は、複数の近接するネットワークノードに向かう方向のうち、1つの方向に優先度を付けることを含み得、優先度を付けることは、トランシーバによる、近接する無線ネットワークノードからのビーコンの受信に基づいて、近接する無線ネットワークノードからの推定された距離に基づいて方向に優先度を付けることを含み得、推定されたより大きい距離よりも、推定されたより小さい距離に優先度が付けられ得る。
【0027】
第1の無線ネットワークノードおよび第2の近接する無線ネットワークノードの各々は基本サービスセット(BSS)を形成し得、第1のネットワークノードと第2のネットワークノードとは無線ローカルエリアネットワークサービスのための通信システム中に重複BSS(OBSS)を形成し得る。
【0028】
サイクリック遅延ダイバーシティを使用した全方向送信のために、第1の無線ネットワークノードは、ヌルのための決定された方向にヌルを割り当て、ヌルのための少なくとも1つの方向以外の方向のためのサブキャリアをランダム化するように構成され得る。
【0029】
本発明の上記ならびに追加の目的、特徴および利点は、添付の図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態の以下の例示的で非限定的な詳細な説明によってより良く理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】実施形態による方法を示すフローチャートである。
図2】一実施形態による、ネットワークノードを概略的に示すブロック図である。
図3】コンピュータ可読媒体と処理デバイスとを概略的に示す図である。
図4】近接するネットワークノードに関するヌル調整を概略的に示す図である。
図5】ヌル調整が利益を与える例を概略的に示す図である。
図6】トラフィック負荷を考慮に入れたヌル調整の例を概略的に示す図である。
図7】全方向送信を与えるサイクリックシフトダイバーシティ事例におけるヌル調整の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
IEEE802.11axでは、APがULとDLの両方をスケジュールしていることが好ましい。APは必然的にDLをスケジュールするが、ULにおけるMU送信を可能にするために、ULもAPによってスケジュールされなければならない。
【0032】
IEEE802.11axでは、ULスケジューリングがいわゆるトリガフレーム(TF)によって達成される。TFが、APから、UL送信のためにスケジュールされたSTAに送られ、UL送信のための本質的パラメータを示す。そのような本質的パラメータは、たとえば、どのULリソースを使用するべきか、およびどの送信電力を使用するべきかであり得る。
【0033】
DL送信をスケジュールする前に、APは、APのDLデータを送る対象であるSTAに送信要求(request-to-send)(RTS)パケットを送り得る。このRTSパケットによってアドレス指定され、このRTSパケットを復号することが可能であるSTAは送信可(clear-to-send)(CTS)パケットで応答する。このRTS-CTS交換の理由は、APからのDL送信は、APに関連しないSTAによって聞かれないことがあり、これらのSTAは、その場合、DL送信と干渉するであろう送信を潜在的に開始し得るためである。異なるアドレス指定されたSTAから送られたCTSパケットは同等であり、APは、したがって、一般的なケースでは、アドレス指定されたSTAのうちのどれがCTSで応答したかを正確に識別することができず、少なくとも1つの応答が受信されたかどうかのみを識別することができる。このプロシージャは、IEEE802.11規格の前のバージョンに存在するシングルユーザRTS-CTS機構を拡張し、マルチユーザRTS-CTS(MU-RTS-CTS)と呼ばれる。
【0034】
上記で説明したように送信を実行することにはいくつかの欠点がある。第1の欠点は、APはDL送信の方向において近接するBSSに対して干渉を引き起こし得、STAもUL送信中に干渉を生成し得ることである。近接するBSSに属するSTAが送信の方向にある場合、STAは干渉を受け得る。それによって、それらの周囲BSSにおける送信は失敗し得る。第2の欠点は、近接するBSS中のSTAが、チャネルがビジーであると決定されるような干渉レベルを経験し得ることである。干渉による失敗により、現在のデータフレームが配信されるまで、再送信が実行されなければならないことがある。これにより、ノードは同じ古いデータを長い間有することになる。したがって、STAは常にチャネルを取り合っている。上述の欠点に対処するために、本開示は、APがおそらく干渉を引き起こし得る方向においてAPによってヌル調整(NA)を実行することを提案する。
【0035】
図1は、実施形態による方法を示すフローチャートである。一点鎖線のボックスは、以下のいくつかの例示的な実施形態において様々な組合せで使用される随意の特徴を示す。
【0036】
一実施形態によれば、ビームパターンに、近接する第2の無線ネットワークノードに関する第1の無線ネットワークノードからのヌルステアリングビームフォーミングを割り当てる方法が提供される。コンテキストは、近接する無線ネットワークノードが何らかのセル計画を通して互いに気づいておらず、第1の無線ネットワークノードが受信と送信の両方のためのある種のアンテナアレイ構成を有し、近接する無線ネットワークノードがライセンス不要帯域において動作することである。すなわち、第1のネットワークノードは、情報を収集し、その情報に基づいて作動する必要がある。これは、第1の無線ネットワークノードが第2の無線ネットワークノードへの方向を決定した102ときに、第1の無線ネットワークノードによって実行される。この決定は、第2の無線ネットワークノードからの送信、たとえば、第2の無線ネットワークノードによって送信されたビーコンをリッスンすることによって第1の無線ネットワークノードによって行われ得る。方向は、アレイアンテナにおける受信の位相関係を観測することによって決定され得る。ここでは、より容易な理解のために、第2の無線ネットワークノードとの関係についての説明が与えられるが、同じ原理は複数の近接する無線ネットワークノードとの関係について当てはまる。すなわち、第1の無線ネットワークノードは複数の無線ネットワークノードから信号を受信し得るが、複数の無線ネットワークノードのすべてが何らかのアクションを取る必要はないことがある。近接する無線ネットワークノードは、たとえば、実際的な影響を及ぼすには遠すぎることがある、すなわち、近接する無線ネットワークノードへの/からの信号は弱い。さらに、無線ネットワークノードがより近くにあることをも考えると、アクティブな送信が起こっていない場合、何らかの特殊なアクションを取る実際的な理由はないことがある。発明者らは、したがって、近接する無線ネットワークノードのネットワーク負荷が考慮されるべきであることを本開示において示唆する。したがって、第1の無線ネットワークノードは第2の無線ネットワークノードのトラフィック負荷を決定する104。たとえば、無線ネットワークノードによって与えられるビーコンは、関連付けられたSTAの数と、たとえば、チャネルが使用される時間の割合として表されるチャネル利用とについての情報を与え得る。そのような与えられる情報のうちの1つまたは複数は、近接する無線ネットワークノードのトラフィック負荷のためのメトリックとして取られ得る。第1の無線ネットワークノードは、決定されたトラフィック負荷から、何らかのアクションが取られるべきであるかどうかを決定し得る、すなわち、しきい値を下回るトラフィック負荷を有する近接する無線ネットワークノードは無視され得る。たとえば、しきい値を超えるトラフィック負荷を有する近接する無線ネットワークノードの場合、取られるアクションは、決定されたトラフィック負荷に基づいて適応され得る。したがって、ビームフォーミングによる送信電力の低減のための、近接する無線ネットワークノード、この例では第2の無線ネットワークノードに向かう方向が決定される106。そのような近接する無線ネットワークノード、この例では第2の無線ネットワークノードについて、低減された信号電力の特性が近接する無線ネットワークノードの方向において割り当てられる。決定された方向における減衰および角度幅という意味での、低減の特性は、決定されたトラフィック負荷に基づき得る。
【0037】
一実施形態によれば、第1の無線ネットワークノードによる送信は全方向的に実行されるべきであり、それは、各サブキャリアがランダムな方向においてビームフォーミングされることを可能にするサイクリックシフトダイバーシティを適用することによって実行され得る。しかしながら、方向の決定102と、近接する無線ネットワークノードのトラフィック負荷の決定104と、低減された送信の方向の決定106とは上記のように実行されることについて考える。その場合、全方向送信と、決定された方向において低減された送信の両方を与えることが望まれる。これは、決定された方向において低減された送信、たとえばヌルを割り当てること107と、すべての他の方向をランダム化すること109とによって達成される。
【0038】
図1のフローチャートはまた、フレームの送信の方法を示す。第1の無線ネットワークノードは、送られるべきフレームを構成する101。方向の決定102と、近接する無線ネットワークノードのトラフィック負荷の決定104と、低減された送信の方向の決定106とは、所望のビームパターンを割り当てるために上記で示されたように実行される。フレームは、次いで、割り当てられたビームパターンを用いて送信される111。ビームパターンを割り当てることは、たとえば、決定された方向において低減された送信、たとえばヌルを割り当てること107と、フレームのほとんど全方向の送信を与えるために、上記で示されたように、すべての他の方向のためのサブキャリアをランダム化すること109とに関して示されたように行われ得る。
【0039】
図2は、一実施形態による無線ネットワークノードを概略的に示すブロック図である。無線ネットワークノードは、アンテナ構成202と、アンテナ構成202に接続された受信機204と、アンテナ構成202に接続された送信機206と、1つまたは複数の回路を備え得る処理要素208と、1つまたは複数の入力インターフェース210と、1つまたは複数の出力インターフェース212とを含む。インターフェース210、212はオペレータインターフェースおよび/または信号インターフェース、たとえば、電気インターフェースまたは光インターフェースであり得る。無線ネットワークノード200は、基本サービスセットまたはセルに基づいて通信ネットワーク中で動作するように構成され得る。特に、図1を参照しながら示された実施形態を実行するように構成された処理要素208によって、無線ネットワークノードは、近接するBSSまたはセルとの干渉を低減することが可能である。処理要素208はまた、処理要素208が受信機204と送信機206とに接続されているので、受信と送信とを可能にするための信号処理から、アプリケーションを実行すること、インターフェース210、212を制御することなどにわたる、多数のタスクを実現することができる。
【0040】
本発明による方法は、コンピュータおよび/またはプロセッサなどの処理手段の助けを用いた実装のために、特に、上記で示された処理要素208が、上記で説明したように、方向の決定を処理し、ヌルを制御するプロセッサを含むケースのために好適である。したがって、処理手段、プロセッサ、またはコンピュータに、図1図6を参照しながら説明した実施形態のいずれかによる方法のいずれかのステップを実行させるように構成された命令を含む、コンピュータプログラムが提供される。コンピュータプログラムは、好ましくは、図3に示されているように、コンピュータ可読媒体300に記憶されたプログラムコードを含み、プログラムコードは、好ましくは、図1を参照しながら説明した実施形態のいずれかのように、それぞれ処理手段、プロセッサ、またはコンピュータ302に本発明の実施形態による方法を実行させるために、処理手段、プロセッサ、またはコンピュータ302によってロードされ、実行され得る。コンピュータ302およびコンピュータプログラム製品300は、方法のいずれかのアクションが段階的に実行される場合、プログラムコードを連続的に実行するように構成され得る。処理手段、プロセッサ、またはコンピュータ302は、好ましくは、通常、埋込みシステムと呼ばれるものである。したがって、図3に示されコンピュータ可読媒体300およびコンピュータ302は、原理の理解を与えるための説明のためのものにすぎないと解釈されるべきであり、要素の直接的な例として解釈されるべきではない。
【0041】
上記で示された方法、デバイス、およびコンピュータプログラムを考慮して、示唆された手法の特徴および利益のさらなる理解のために、以下に数例を与える。例の説明における文言のより容易な流れのために、決定された方向において低減された送信は、「ヌル」、「ヌリング」などと呼ばれるが、低減と考えられるべきであり、低減された送信はまた、その最終的な形態において、その方向において電力が与えられないことを含むが、また、著しい低減を含み得る。
【0042】
図4は、近接するネットワークノードに関するヌル調整(NA)を概略的に示す。具体的な例を与えるために、NAを実行する可能性をもつ3つのアクセスポイント(AP)を用いたWiFiシナリオが示されている。一般に、IEEE802.11APがBSS中にビーコンBフレームを周期的に送る。このビーコンBフレームはサービスセット識別番号(SSID)などのネットワーク情報を含んでいる。これらのフレームを送る主要な目的は、関連するSTAをフレームと同期させることである。OBSSのケースでは、1つのAPから送られたBフレームは、APまたはOBSSの非AP STAが互いに送信範囲内にある場合、APまたはOBSSの非AP STAによって聞かれ得ることが可能である。その場合、マルチアンテナ対応APは、マルチアンテナ対応APの近接するAPから直接情報を取得することができ、マルチアンテナ対応APのアンテナヌルを、他のAPに関連付けられたSTAが干渉され得る方向に向けて調整する。結果として、近接するAPにおける干渉が緩和され、同時送信を実行する余地が与えられる。もちろん、それ自体のSTAへの送信のために、ヌルがOBSS中のSTAに調整される間、指向性ビームフォーミングが使用される。
【0043】
データ送信の開始の前に、APは、干渉が最大の危害を及ぼすと考えられるこれらの方向において干渉を低減するために、最初にAPのヌルを配置する場所のための方向を決定する。ヌルを調整するためのプロシージャの一例について以下で説明する。
【0044】
1.すべてのAPはビーコンBメッセージを周期的に、一般的には100msごとにブロードキャストする。ビーコンBは、ソースAPに関連するSTAの数、ならびに負荷およびチャネル利用の情報を含んでいる。
【0045】
2.ビーコンBを受信した後に、APはOBSSの他のAPについての情報を学習する。またここで、APは、ビーコンBを受信したとき、ビーコンBを送っている対応するAPがどの方向にあるかの情報を取得することができると仮定される。
【0046】
3.負荷とOBSSのチャネル利用とについての情報に基づいて、APは、近接するAPに対してどのようにヌル調整を実行するかを決定する。特に、APは、OBSSアクティビティが十分に高い方向にのみヌルを配置し、OBSS中のアクティビティが一定のレベルを下回る場合はまったく何もしないことを決定し得る。
【0047】
NAは、多くの既存の方法のうちの1つで、たとえばゼロフォーシングアルゴリズムを使用して実行され得る。提案されている解決策は、ヌリングがどのように実行されるかには関係せず、ヌルをどの方向に配置するかをどのように決定するかにのみ関係する。したがって、本発明は、NAがどのように実行されるかにかかわらず適用可能である。
【0048】
NAによってもたらされ得る1つの利益は近接するAPのための干渉緩和である。NAは、UL送信とDL送信の両方のためにAPによって実行され得る。DL送信の場合、NAを採用する目的は、近接するAPに向かう干渉を最小にすることである。図5では、AP1はAP2およびAP3のためにNAを実行する。ここで、STA-1は、AP1に関連するSTAを示し、STA-2は、AP2に関連するSTAを示すなどである。AP2の方向において、STA-2に近いSTA-1 500と、STA-3に近いSTA-1 501とにおける送信は不可能であるので、そのSTA-1 500、501による干渉は最小にされる。
【0049】
同様に、UL送信のために、NAを利用することは、実行しているAPにおいて、決定された方向から受ける干渉を低減するのを助ける。いかなる場合も、NA方向は、送信の前に決定される必要がある。
【0050】
与えられ得るもう1つの利益は、BSSの内部のチャネルアクセスについての競合を低減することである。NAの方向におけるSTAは、APから送信および受信することができないので、それらのSTAはAPへのまたはAPからの送信に影響を及ぼさない。その場合、チャネルについての競合は、主に、NA方向にないノード間にある。したがって、競合するSTAの衝突確率が減少し得、それにより、おそらくスループットが向上し得る。図5では、STA-1 502のみがAP1への/からのチャネルにアクセスするために競合している。
【0051】
1つの利益は、NA方向を効率的に利用することによって他のAPがパフォーマンスを改善する機会を与えることであり得る。APを実行するNAから助けを得ているAPは、同じ方向に指向性ビームフォーミングを配置することによって、APのパフォーマンス、たとえばスループットを改善することさえできる。図5に示されているように、AP2は、AP2のメインローブをAP1からのNAの方向に配置することによってより多くの利益を得る。同様に、AP3もより多くの利益を得ることができる。これは、たとえば、AP1が、AP2および/またはAP3に向かう方向においてAP1のビーコンの送信を制限することによる結果であり得る。
【0052】
上記で説明した実施形態のうちのいくつかでは、APは、OBSS中の他のAPに向けて、その方向におけるSTAにおけるトラフィック条件を考慮することなしに、NAを実行する。その上、近接するAPの方向において電力の制限を与えることによってAPが助けることができるよりも多くの近接するAPがある場合、APは、助けるべき近接するAPをランダムに、または近接するAPが検出された順に選択し得る。実際に、NAがそのために実行されるAPの数は、アンテナによってサポートされるヌルの数、たとえば、放射パターンを形成するためのアンテナ要素および対応する処理手段の数に基づいて決定され得る。APが、OBSS中の利用可能な近接するAPのセットから近接するAPのセットをランダムに選択する場合、選択された近接するAPが多くのSTAを有さず、トラフィック負荷がその方向において極めて低く、NAによる性能限界が、近接するBSSにおいて得られる利益を超え得る場合、実行されたNAは十分に利用されない。
【0053】
したがって、NAから取得される利益をさらに改善するために、本開示は、トラフィック負荷に基づいて方向を選択するための実施形態を提案する。多くのOBSSがあり得るので、対応するOBSSにおける負荷に基づいて、ある方向にヌルを配置することが必要であるかどうかを決定するために、それぞれのビーコンから取得される情報が使用され得る。ブロードキャスティングメッセージBは、近接するAPに関連するSTAの数の情報を含んでいることがあるので、APは、より大きいトラフィック負荷をもつ近接するAPに向かう方向を選定することができる。その場合、その方向における共通BSS(co-BSS)のパフォーマンスは最大になり得る。同様に、UL送信において、NAを実行するAPは、そのAPがSTAからフレームを受信している間、干渉緩和を利用することができる。
【0054】
トラフィック負荷適応NAは、ネットワークパフォーマンスの向上を与えることが予想される。図6に示されているように、AP1は、示された方向602において4つのSTA-2 600に関連しているので、AP1は、AP2に向かう方向においてNAを実行することがより良い。一般に、STA密度が高くなると、DL送信においてより多くの干渉が生じる。DL送信中に、NAを実行することは、OBSS中のターゲットにされたAPについての干渉を軽減する。同様に、UL送信において、より多くのSTAがあるエリアはより多くの利益を得る。したがって、重トラフィック負荷エリアにおいてNAを実装することは意味がある。同図では、AP3はSTA-3 604をほとんど有さず、この方向においてNAを行うことは、AP2に向かう方向602とAP3に向かう方向606の両方においてNAを実行することにあまり利益をもたらさないであろう。したがって、ローブ608と方向線606の交差610とによって示されているように、AP3に向かう方向606においてNAは実行されない。
【0055】
IEEE802.11の任意の送信において、ある送信は一様に送信される。そのような送信の例は、各パケットのプリアンブル、ビーコン、制御フレーム、たとえば肯定応答(ACK)およびクリアチャネルアセスメント(CCA)である。送信機が複数のアンテナを有する場合、一様な送信は送信ダイバーシティによって取得され得る。送信ダイバーシティを用いると、意図しないビームフォーミングがサイクリックシフトダイバーシティ(CSD)によって回避され得る。CSDの効果は、あらゆるサブキャリアがランダムな方向においてビームフォーミングされることである。
【0056】
いくつかの実施形態では、一様な送信を修正するために近くのBSSの指示情報が使用される。ヌルは、残りの利用可能な方向のためのサブキャリアをランダム化しながら、近くのBSSに向かう方向に配置される。これは、従来より、いくつかのビーコンなど、他のAPを検出するためにAPによって使用されるフレームを除く、送信ダイバーシティを使用するすべての送信のために行われている。STAが適切なAPに関連するように、標準ビーコンはヌルを使用して送信されるべきであることに留意されたい。他のAPの方向を検出するために使用されるフレームは、ビーコンの一部、すなわち、STAによって使用されない一部であり得る。図7は、近接するAPに向かってヌルを与えるために、CSDを使用したレガシー送信がどのように修正されるかの例を示す。左側にはレガシービームパターンが示されており、右側には、適応されたビームパターンが示されている。すなわち、適応されたビームフォーミングパターンにおいて、アンテナシステムが適切に較正される場合、たとえば、ヌルが近接するAPの方向700、702に配置されるように、CCAが実行され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】