(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-10
(54)【発明の名称】フラックスレスろう付けのための改良されたアルミニウム合金ろう付けシート
(51)【国際特許分類】
B23K 35/22 20060101AFI20221102BHJP
B23K 35/28 20060101ALI20221102BHJP
C22C 21/00 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
B23K35/22 310E
B23K35/28 310B
C22C21/00 D
C22C21/00 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022514466
(86)(22)【出願日】2020-09-28
(85)【翻訳文提出日】2022-03-03
(86)【国際出願番号】 US2020053022
(87)【国際公開番号】W WO2021067166
(87)【国際公開日】2021-04-08
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520119242
【氏名又は名称】アーコニック テクノロジーズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】ARCONIC TECHNOLOGIES LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】特許業務法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クロビッツ,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ,タオ
(72)【発明者】
【氏名】レン,バオルート
(72)【発明者】
【氏名】ゾンカー,ハリー アール.
(57)【要約】
新規アルミニウム合金ろう付けシートが開示される。新規アルミニウム合金ろう付けシートは、コアと、コアに隣接する中間ライナー層と、中間ライナー層に隣接するろう付けライナーとを含み得る。中間ライナー層は、少なくとも0.35重量%のSiと、0.05~2.0重量%のMgと、を有する第1のアルミニウム合金を含み得る。ろう付けライナーは、0.05~2.0重量%のMgを有する第2のアルミニウム合金を含み得る。第1のアルミニウム合金および第2のアルミニウム合金は、T
固相線(IL)≧5℃ T
液相線(BL)を達成するために十分な量のマグネシウムを含み得る。新規アルミニウム合金ろう付け製品は、例えばフラックスフリーろう付けにおいて有用であり得る。
【選択図】
図1a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ろう付けシートであって、
(a)アルミニウム合金のコアと、
(b)前記コアに隣接する中間ライナー層(IL)であって、
前記中間ライナー層(IL)が、第1のアルミニウム合金を含み、前記第1のアルミニウム合金が、少なくとも0.35重量%のSiと、0.05~2.0重量%のMgと、を含む、中間ライナー層(IL)と、
(c)前記中間ライナー層(IL)に隣接するろう付けライナー(BL)であって、
前記ろう付けライナー(BL)が、第2のアルミニウム合金を含み、前記第2のアルミニウム合金が、前記第1のアルミニウム合金とは異なり、前記第2のアルミニウム合金が、0.05~2.0重量%のMgを含む、ろう付けライナー(BL)と、を含み、
前記第1のアルミニウム合金および前記第2のアルミニウム合金が、T
固相線(IL)≧5℃ T
液相線(BL)を達成するために十分な量のマグネシウムを含む、ろう付けシート。
【請求項2】
前記第1のアルミニウム合金が、1:2(重量%のSi:重量%のMg)以下のシリコン対マグネシウムの重量比を有する、請求項1に記載のろう付けシート。
【請求項3】
前記第1のアルミニウム合金と前記第2のアルミニウム合金の両方が、少なくとも0.10重量%のMgを含む、請求項1に記載のろう付けシート。
【請求項4】
前記第1のアルミニウム合金および前記第2のアルミニウム合金中のマグネシウムの組み合わされた量が、1.5重量%以下のMgである、請求項3に記載のろう付けシート。
【請求項5】
前記第1のアルミニウム合金が、0.01~0.12重量%のBiを含む、請求項1に記載のろう付けシート。
【請求項6】
前記第2のアルミニウム合金が、0.01~0.12重量%のBiを含む、請求項1または5に記載のろう付けシート。
【請求項7】
前記第1のアルミニウム合金および前記第2のアルミニウム合金中のビスマスの組み合わされた量が、0.01~0.12重量%のBiである、請求項1または5~6に記載のろう付けシート。
【請求項8】
前記第1のアルミニウム合金が、T
固相線(IL)≧5℃ T
液相線(BL)であるように十分な量のシリコンを含む、請求項1に記載のろう付けシート。
【請求項9】
前記第1のアルミニウム合金が、1.0重量%以下のSiを含む、請求項8に記載のろう付けシート。
【請求項10】
前記第1のアルミニウム合金が、0.6重量%以下のMgを含む、請求項9に記載のろう付けシート。
【請求項11】
前記第1のアルミニウム合金が、前記第2のアルミニウム合金よりも、少ないマグネシウムを含む、請求項10に記載のろう付けシート。
【請求項12】
前記第1のアルミニウム合金が、
最大0.12重量%のBiと、
最大2.0重量%のZnと、
最大1.15重量%のMnと、
最大0.4重量%のFeと、
最大0.1重量%のCuと、
最大0.05重量%のTiと、を含む、請求項1に記載のろう付けシート。
【請求項13】
前記第2のアルミニウム合金が、4xxxアルミニウム合金である、請求項9に記載のろう付けシート。
【請求項14】
前記アルミニウム合金のコアが、2xxx、3xxx、5xxx、および6xxxのアルミニウム合金のうちの1つを含む、請求項13に記載のろう付けシート。
【請求項15】
前記コアが、少なくとも0.05重量%のMgを含む、請求項14に記載のろう付けシート。
【請求項16】
前記コアが、十分な量のマグネシウムを含み、これにより、ろう付けサイクル中に前記コアの前記マグネシウムが、(a)前記ろう付けシートの表面上に生成されたAl
2O
3を溶解するか、(b)前記ろう付けサイクルの雰囲気中へ蒸発して酸素と反応するか、または(c)(a)および(b)の両方である、請求項15に記載のろう付けシート。
【請求項17】
前記コアが、0.10~1.0重量%のMgを含む、請求項16に記載のろう付けシート。
【請求項18】
前記第2のアルミニウム合金が、50~500ppmのナトリウム(Na)、ストロンチウム(Sr)、アンチモン(Sb)、またはそれらの組み合わせを含む、請求項13に記載のろう付けシート。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
アルミニウム合金のろう付けは、溶融したフィラー金属が(例えば、毛細管作用によって)隣接部品間の界面に流入して、冷却されると硬化して金属部品を接合するように、フィラー金属を溶融することを伴う。アルミニウム合金を首尾よくろう付けするために、接合される面およびフィラー金属を酸化から保護する必要がある。真空ろう付けは、ろう付けから酸素の大部分を効果的に除去することによって、部品を酸化から保護する炉接合技術である。今日、主要な炉ろう付け方法は雰囲気制御ろう付け(CAB)であり、部品が、比較的低い酸素含有量で保護不活性ガス雰囲気(窒素など)下でマッフル炉において加熱される。CABろう付けでは、接合する部品から酸化物を除去し、その後、清浄な金属表面を炉内の残留酸素による酸化から保護するために、フラックスを使用しなければならない。残留フラックスがろう付けされた部品上に残っている場合、環境安全衛生(EHS)の懸念が生じ得る。
【図面の簡単な説明】
【0002】
【
図1a】3層ろう付けシートの一実施形態の断面概略図である。
【0003】
【
図1b】5層ろう付けシートの一実施形態の断面概略図である。
【0004】
【
図1c】4層ろう付けシートの一実施形態の断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
概して、本特許出願は、改良されたアルミニウム合金ろう付けシート製品に関する。例として、ここで
図1aを参照すると、ろう付けシート(100)は、コア(120)と、中間ライナー層(「中間ライナー」または「IL」)(140)と、ろう付けライナー層(「ろう付けライナー」または「BL」)(160)とを含み得る。一実施形態では、ろう付けシート(100)は、フラックスフリーCABろう付けのためのシート材料である。例示されている実施形態では、コア(120)は、中間ライナー(140)の第1の側にすぐ隣接して配置され、ろう付けライナー(160)は、中間ライナー(140)のもう一方の側にすぐ隣接して配置される。中間ライナー(140)は、第1のアルミニウム合金を含む。第1のアルミニウム合金は、少なくとも0.35重量%のSiと、0.05~2.0重量%のMgとを含む。ろう付けライナー(160)は、第2のアルミニウム合金を含み、第2のアルミニウム合金は、第1のアルミニウム合金とは異なる組成物である。第2のアルミニウム合金は、0.05~2.0重量%のMgを含む。第1のアルミニウム合金および第2のアルミニウム合金は両方とも、T
固相線(IL)≧5℃ T
液相線(BL)を達成するために十分な量のマグネシウムを含む。すなわち、中間ライナー層(140)とろう付けライナー(160)の両方において適切な量のマグネシウムを使用することにより、中間ライナーの固相線温度(T
固相線(IL))は、ろう付けライナーの液相線温度(T
液相線(BL))よりも少なくとも5℃高いように調整され得る。したがって、中間ライナー(IL)のあらゆる溶融は、ろう付けライナーがその液相線温度に達した後に起こる。例えば、ろう付けサイクルの最大温度をT最大値(ろう付けサイクル)と仮定すると、T
固相線(IL)>T
最大値(ろう付けサイクル)の場合、中間ライナーは常に固体のままである。T
最大値(ろう付けサイクル)>T
固相線(IL)>T
液相線(BL)の場合、中間ライナーは、ろう付けライナーがその液相線温度に達した後まで固体のままである。したがって、改良されたフラックスフリーろう付けシート製品が提供され、その製品は概して、(a)コアの早期溶解/腐食、(b)1つの層から別の層への要素の早期拡散、または(c)(a)および(b)の両方を回避する。
【0006】
本特許出願で使用される場合、「フラックスフリーろう付け」およびこれに類するものは、残留酸素を有する不活性雰囲気下ではあるがフッ化物または他の非金属系フラックス剤の意図的な使用を伴わずに、ろう付けすることを意味する。炉内に存在する残留フラックスは、(望ましくないが)許容され得る。フラックス剤は、典型的には、ろう付けシート(部品)それ自体へのフラックスの直接適用によって、またはフラックス剤のろう付け合金への組み込みによって適用される。典型的なフラックス剤としては、KAlF4およびCsAlF4が挙げられる。フラックスろう付けで使用される典型的なフラックス剤レベルは、平方メートル当たり約4~6グラムである。
【0007】
<i.中間ライナー>
上述の通り、中間ライナー(140)は、一般的に、第1のアルミニウム合金を含み、第1のアルミニウム合金は、少なくとも0.35重量%のSiと、0.05~2.0重量%のMgとを含む。マグネシウムは、例えば、第1のアルミニウム合金の適切な固相線温度を少なくとも部分的に促進し得る。マグネシウムはまた、例えば、ろう付けサイクル中に、Al2O3形成を制限/防止することおよび/または遊離酸素をスカベンジングすることによって、フラックスフリーろう付けを促進し得る。一実施形態では、第1のアルミニウム合金は、少なくとも0.10重量%のMgを含む。別の実施形態では、第1のアルミニウム合金は、少なくとも0.15重量%のMgを含む。別の実施形態では、第1のアルミニウム合金は、少なくとも0.20重量%のMgを含む。一実施形態では、第1のアルミニウム合金は、1.5重量%以下のMgを含む。別の実施形態では、第1のアルミニウム合金は、1.0重量%以下のMgを含む。さらに別の実施形態では、第1のアルミニウム合金は、0.8重量%以下のMgを含む。別の実施形態では、第1のアルミニウム合金は、0.6重量%以下のMgを含む。
【0008】
第1のアルミニウム合金のシリコンは、例えば、圧延接合、コアへのシリコンの制御された拡散(例えば、コアの腐食を制限/防止し得るコア内のAlSiMn粒子の形成を可能にする)、および/または第1のアルミニウム合金の適切な固相線温度を容易にし得る。一実施形態では、第1のアルミニウム合金は、少なくとも0.35重量%のSiを含み、T固相線(IL)≧5℃ T液相線(BL)であるように十分な量である。一実施形態では、第1のアルミニウム合金は、1.0重量%以下のSiを含む。一実施形態では、第1のアルミニウム合金のシリコン対マグネシウムの重量比は、1:2(重量%のSi:重量%のMg)以下である。1:2以下のシリコン対マグネシウムの重量比によって、例えば、圧延接合が促進され得る。
【0009】
第1のアルミニウム合金は、任意に他の要素を含んでもよい。例えば、一実施形態では、第1のアルミニウム合金は、ビスマスを含む。ビスマスの使用によって、例えば、約580℃のソルバス温度を有するMg3Bi2化合物の形成が促進され得る。したがって、いくつかの実施形態では、第1のアルミニウム合金は、最大0.12重量%のBiを含む。一実施形態では、第1のアルミニウム合金は、0.01~0.12重量%のBiを含む。
【0010】
第1のアルミニウム合金は、任意に最大2.0重量%のZnを含んでもよい。亜鉛は、例えば、一部のろう付けシート製品において耐食性を改善し得る。第1のアルミニウム合金は、最大1.15重量%のMn、および/または最大0.40重量%のFeを含んでもよい。一実施形態では、第1のアルミニウム合金は、(例えば、固溶体中のシリコンを制限し得る、Alx(Mn,Fe)ySiZ化合物または類似のものの形成を通して)第1のアルミニウム合金の固相線を高めるのに十分な量のマンガンおよび鉄を含む。一実施形態では、第1のアルミニウム合金は、少なくとも0.05重量%のMnを含む。別の実施形態では、第1のアルミニウム合金は、少なくとも0.10重量%のMnを含む。一実施形態では、第1のアルミニウム合金は、少なくとも0.05重量%のFeを含む。別の実施形態では、第1のアルミニウム合金は、少なくとも0.10重量%のFeを含む。第1のアルミニウム合金は、最大0.1重量%のCu、および/または最大0.05重量%のTiを含んでもよい。
【0011】
一実施形態では、第1のアルミニウム合金は、
(上記のMg量のいずれかなどの)0.05~2.0重量%のMgと、
(上記のSi量のいずれかなどの)0.35~1.0重量%のSiと、
(上記のBi量のいずれかなどの)最大0.12重量%のBiと、
最大2.0重量%のZnと、
(上記のMn量のいずれかなどの)最大1.15重量%のMnと、
(上記のFe量のいずれかなどの)最大0.4重量%のFeと、
最大0.1重量%のCuと、
最大0.05重量%のTiと、を含み、
残部は、アルミニウム、付随成分、および不純物である。
【0012】
本明細書で使用される場合、「付随成分」とは、上記で列挙されたもの以外の、任意に合金に添加して合金の製造を支援し得る成分または材料を意味する。付随成分の例としては、結晶粒微細化剤および脱酸剤などの鋳造助剤が挙げられる。
【0013】
<ii.ろう付けライナー>
上述の通り、ろう付けライナー(160)は、概して、0.05~2.0重量%のMgを有する第2のアルミニウム合金を含む。第1のアルミニウム合金と同様に、第2のアルミニウムのマグネシウムは、例えば、第2のアルミニウム合金の適切な液相線温度を少なくとも部分的に促進し得る。マグネシウムはまた、例えば、ろう付けサイクル中に、Al2O3形成を制限/防止することおよび/または遊離酸素をスカベンジングすることによって、フラックスフリーろう付けを促進し得る。一実施形態では、第2のアルミニウム合金は、少なくとも0.10重量%のMgを含む。別の実施形態では、第2のアルミニウム合金は、少なくとも0.15重量%のMgを含む。別の実施形態では、第2のアルミニウム合金は、少なくとも0.20重量%のMgを含む。一実施形態では、第2のアルミニウム合金は、1.5重量%以下のMgを含む。別の実施形態では、第2のアルミニウム合金は、1.0重量%以下のMgを含む。さらに別の実施形態では、第2のアルミニウム合金は、0.8重量%以下のMgを含む。別の実施形態では、第2のアルミニウム合金は、0.6重量%以下のMgを含む。
【0014】
一実施形態では、第1のアルミニウム合金と第2のアルミニウム合金の両方が、少なくとも0.10重量%のMgを含む。一実施形態では、第1のアルミニウム合金および第2のアルミニウム合金中のマグネシウムの組み合わされた量は、1.5重量%以下のMg、すなわち、重量%Mg(IL)+重量%Mg(BL)≦1.5重量%である。別の実施形態では、第1のアルミニウム合金および第2のアルミニウム合金中のマグネシウムの組み合わされた量は、1.0重量%以下のMg、すなわち、重量%Mg(IL)+重量%Mg(BL)≦1.0重量%である。
【0015】
第2のアルミニウム合金は、他の要素を任意に含んでもよい。例えば、一実施形態では、第1のアルミニウム合金と同様に、第2のアルミニウム合金はビスマスを含んでもよく、このビスマスはMg3Bi2化合物の形成を促進し得、この化合物は約580℃のソルバス温度を有する。したがって、いくつかの実施形態では、第2のアルミニウム合金は、最大0.12重量%のBiを含む。一実施形態では、第2のアルミニウム合金は、0.01~0.12重量%のBiを含む。一実施形態では、第1のアルミニウム合金および第2のアルミニウム合金のうちの1つのみがビスマスを含む。別の実施形態では、第1のアルミニウム合金および第2のアルミニウム合金の両方が、ビスマスを含み、第1のアルミニウム合金および第2のアルミニウム合金中のビスマスの組み合わされた量は、0.01~0.12重量%のBiである。
【0016】
一実施形態では、第2のアルミニウム合金は、the Aluminum Associationによって発行された「International Alloy Designations and Chemical Composition Limits for Wrought Aluminum and Wrought Aluminum Alloys」(2015)、別名「the Teal Sheets」によって定義されている4xxxアルミニウム合金である。このような4xxxアルミニウム合金は、本明細書に開示されるマグネシウムおよびビスマス量のうちのいずれかを含み得る。このような4xxxアルミニウム合金はまた、例えば、50ppm~500ppmのナトリウム(Na)、ストロンチウム(Sr)、アンチモン(Sb)、またはそれらの組み合わせを含み得、これらの成分は、適用可能な4xxxアルミニウム合金のシリコン共晶の精製を促進し得る。一実施形態では、4xxxアルミニウム合金は、少なくとも80ppmのナトリウム、ストロンチウム、アンチモン、またはそれらの組み合わせを含み得る。別の実施形態では、4xxxアルミニウム合金は、少なくとも100ppmのナトリウム、ストロンチウム、アンチモン、またはそれらの組み合わせを含み得る。一実施形態では、4xxxアルミニウム合金は、400ppm以下のナトリウム、ストロンチウム、アンチモン、またはそれらの組み合わせを含み得る。別の実施形態では、4xxxアルミニウム合金は、300ppm以下のナトリウム、ストロンチウム、アンチモン、またはそれらの組み合わせを含み得る。一実施形態では、第2のアルミニウム合金は、上記のレベルのマグネシウム、ビスマス、ナトリウム、ストロンチウム、またはアンチモンのうちのいずれかを有する4045、4047、または4343型アルミニウム合金のうちの1つである。
【0017】
<iii.コア>
コア(120)は、一般的に、アルミニウム合金である。一実施形態では、コア(120)は、Teal Sheetsによって定義される2xxx、3xxx、5xxx、または6xxxアルミニウム合金のうちの1つを含む。一実施形態では、コア(120)は、3xxxアルミニウム合金である。一実施形態では、コア(120)は、3003型アルミニウム合金である。一実施形態では、コアは、マグネシウムを本質的に含まない、すなわち、0.05重量%未満のMgしか含まない。他の実施形態では、コア(120)は、少なくとも0.05重量%のMgを含む。一実施形態では、コア(120)は、ろう付けサイクル中にコアのマグネシウムが(a)ろう付けシートの表面上に生成されたAl2O3を溶解するか、(b)ろう付けサイクルの雰囲気中へ蒸発して酸素と反応するか、または(c)(a)および(b)の両方であるように、十分な量のマグネシウムを含む。一実施形態では、コア(120)は、0.10~1.0重量%のMgを含む。
【0018】
<iv.ろう付けシート製品>
上述の通り、一実施形態では、ろう付けシート(100)は、フラックスフリーCABろう付けのためのシート材料であり得る。一実施形態では、コアはシート材料の合計の厚さの60%~90%を有し、中間ライナー層はシート材料の合計の厚さの3%~20%であり、ろう付けライナー層はシート材料の合計の厚さの3%~20%である。
【0019】
一実施形態では、構造は、アルミニウムから作られた第1の部分と、ろう付けシート(100)から作られた第2の部分とを含み、第1の部分および第2の部分は、第2の部分のろう付けライナー層から少なくとも部分的に形成されるろう付けされた接合部によって一緒に接合される。別の実施形態では、構造は、オイルクーラーまたはラジエーターなどの熱交換器の一部である。
【0020】
ここで
図1bを参照すると、ろう付けシート(100’)の別の実施形態が示されている。このろう付けシート(100’)は、コア(120)と、コア(120)の各側上の2つの中間ライナー(140)と、各々が中間ライナーそれぞれに隣接する、2つのろう付けライナー(160)とを含む。コア(120)、中間ライナー(140)、およびろう付けライナー(160)は、上記のセクション(i)~(iii)に記載されているもののうちいずれかであってもよい。
【0021】
ここで
図1cを参照すると、ろう付けシート(100”)の別の実施形態が示されている。このろう付けシート(100”)は、コア(120)と、コア(120)の第1の側にある中間ライナー(140)と、この中間ライナーに隣接するろう付けライナー(160)とを含む。中間ライナー(140)またはろう付けライナー(160)のいずれかが、コア(120)の第2の側に隣接して位置する。コア(120)、中間ライナー(140)、およびろう付けライナー(160)は、上記のセクション(i)~(iii)に記載されているもののうちのいずれかであってもよい。
【0022】
この新規技術のこれら態様および他の態様、利点、ならびに新規の特徴は、以下に続く、以下の説明および図面の考察により当業者に明らかになることとなる説明において一部記載されており、または本開示によって提供される技術の1つまたは複数の実施形態を実施することによって学習され得る。
【0023】
図は、本明細書の一部を構成し、本開示の例示的な実施形態を含み、様々な対象物およびその特徴を例示する。加えて、図に示されるあらゆる測定値、仕様、およびこれに類するものは、例示的であり、限定的ではないことを意図する。したがって、本明細書に開示される特定の構造的および機能的詳細は、限定として解釈されるべきではなく、本発明を様々に用いることを当業者に教示するための単に代表的な根拠として解釈されるべきである。
【0024】
開示されているそれら利点および改良点の中でも、本発明の他の目的および利点は、添付の図面と共に以下の説明から明らかになることとなる。本発明の詳細な実施形態は、本明細書に開示されているが、しかしながら、開示された実施形態は、様々な形態で具現化され得る本発明を単に例示するものであることを理解されたい。さらに、本発明の様々な実施形態に関連して与えられる例の各々は、例示的であること、および限定的ではないことが意図される。
【0025】
明細書および特許請求の範囲全体を通して、以下の用語は、文脈において別段の明らかな指示がない限り、本明細書に明示的に関連する意味を取る。本明細書で使用する句「一実施形態では」および「いくつかの実施形態では」は、必ずしも同じ実施形態を指さないが、同じ実施形態を指す場合もある。さらに、本明細書で使用する句「別の実施形態では」および「いくつかの他の実施形態では」は、必ずしも異なる実施形態を指さないが、異なる実施形態を指す場合もある。したがって、以下に説明するように、本発明の様々な実施形態を、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、容易に組み合わせてもよい。
【0026】
加えて、本明細書で使用される場合、「または」という用語は、包括的な「または」の機能語であり、文脈において別段の明らかな指示がない限り、「および/または」の語と同等である。「に基づく」という語は、排他的ではなく、文脈において別段の明らかな指示がない限り、記述されていない追加的な要素に基づくことができる。さらに、本明細書全体を通して、「a(1つの)」、「an(1つの)」、および「the(その)」は、文脈において別段の明らかな指示がない限り、複数形の意味を含む。「in(において)」の意味は、文脈において別段の明らかな指示がない限り、「in(において)」および「on(において)」を含む。
【0027】
本明細書に記載の新規技術の様々な実施形態を詳細に説明してきたが、当業者がそれら実施形態の改変および適合を想到することになるのは明らかである。しかし、このような改変および適合が本開示の技術の趣旨および範囲内であることは、明白に理解されるべきである。
【国際調査報告】