(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-10
(54)【発明の名称】腫瘍においてIL-7融合タンパク質を用いてリンパ球数を増加させる方法
(51)【国際特許分類】
A61K 38/20 20060101AFI20221102BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20221102BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20221102BHJP
A61P 9/04 20060101ALI20221102BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20221102BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221102BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20221102BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20221102BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20221102BHJP
C07K 14/54 20060101ALN20221102BHJP
C07K 19/00 20060101ALN20221102BHJP
【FI】
A61K38/20
A61P35/00
A61P31/00
A61P9/04
A61P9/00
A61P43/00 111
A61P37/02
A61P35/02
A61P35/04
C07K14/54 ZNA
C07K19/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022514590
(86)(22)【出願日】2020-09-04
(85)【翻訳文提出日】2022-03-03
(86)【国際出願番号】 US2020049483
(87)【国際公開番号】W WO2021046404
(87)【国際公開日】2021-03-11
(32)【優先日】2019-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516351304
【氏名又は名称】ジェネクシン・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】GENEXINE, INC.
【住所又は居所原語表記】4F,Bldg. B,700,Daewangpangyo-ro,Bundang-gu,Seongnam-si,Gyeonggi-do 13488,Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】521208309
【氏名又は名称】ネオイミューンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】スン, ヨン チョル
(72)【発明者】
【氏名】ウ, ジュン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ホ, ミン キュ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, サン イン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, セファン
【テーマコード(参考)】
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA44
4C084DA12
4C084MA02
4C084NA14
4C084ZA36
4C084ZB07
4C084ZB26
4C084ZB27
4C084ZC41
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA41
4H045DA02
4H045DA75
4H045EA22
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
必要とする被験体においてリンパ球数を増加させる方法であって、(i)次の式(I)の変性インターロイキン-7:A-IL-7(ここで、Aは、1~10個のアミノ酸残基からなるオリゴペプチドであり、IL-7は、IL-7受容体に結合できるポリペプチドである);または(ii)(a)変性インターロイキン-7、(b)メチオニン、グリシンまたはこれらの組み合わせからなる1~10個のアミノ酸残基を有するオリゴペプチドを含有する第2ドメイン;および(c)インターロイキン-7融合タンパク質の半減期を延長する第3ドメインを含むインターロイキン-7融合タンパク質を被験体に投与することを含む、方法。
【選択図】
図4a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
必要とする被験体においてリンパ球数を増加させる方法であって、
(i)下記の式(I)の変性インターロイキン-7:
A-IL-7 式(I)
ここで、Aは、1~10個のアミノ酸残基からなるオリゴペプチドであり、
IL-7は、IL-7受容体に結合できるポリペプチドであり;または
(ii)次を含むインターロイキン-7融合タンパク質
(a)変性インターロイキン-7、
(b)メチオニン、グリシン、またはこれらの組み合わせからなる1~10個のアミノ酸残基を有するオリゴペプチドを含む第2ドメイン;および
(c)インターロイキン-7融合タンパク質の半減期を延長する第3ドメイン
を約600μg/kg超過の用量で被験体に投与することを含む方法。
【請求項2】
被験体は、がん;感染;心臓右心室の慢性不全;ホジキン病;胸管の漏出または破裂;抗がん剤(例えば、化学療法)、抗ウイルス剤、またはグルココルチコイドを含む処方薬の副作用;低タンパク質食による栄養失調、放射線療法、尿毒症、自己免疫疾患、免疫不全症候群、胸腺摘出術、またはこれらの組み合わせ;または特発性、急性放射線症候群(ARS)またはこれらの組み合わせを罹患している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
IL-7は、配列番号1~6からなる群から選ばれるアミノ酸配列を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
Aは、IL-7のN末端に連結される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
Aは、メチオニン、グリシン、メチオニン-メチオニン、グリシン-グリシン、メチオニン-グリシン、グリシン-メチオニン、メチオニン-メチオニン-メチオニン、メチオニン-メチオニン-グリシン、メチオニン-グリシン-メチオニン、グリシン-メチオニン-メチオニン、メチオニン-グリシン-グリシン、グリシン-メチオニン-グリシン、グリシン-グリシン-メチオニン、またはグリシン-グリシン-グリシンである、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
第3ドメインは、第1ドメインまたは第2ドメインのN末端またはC末端に連結される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
第3ドメインは、免疫グロブリンまたはその一部のFc領域、アルブミン、アルブミン結合ポリペプチド、Pro/Ala/Ser(PAS)、ヒト絨毛膜ゴナドトロピンのβサブユニットのC末端ペプチド(CTP)、ポリエチレングリコール(PEG)、アミノ酸の長い非構造化親水性配列(XTEN)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、アルブミン結合小分子、およびこれらの組み合わせからなる群から選ばれるいずれか一つである、請求項4から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
第3ドメインは、変性免疫グロブリンのFc領域を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
変性免疫グロブリンは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgD、IgEおよびこれらの組み合わせからなる群から選ばれる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
変性免疫グロブリンのFc領域は、N末端からC末端方向にヒンジ領域、CH2ドメインおよびCH3ドメインを含み、
ここで、ヒンジ領域は、ヒトIgDヒンジ領域を含み、
CH2ドメインは、ヒトIgDおよびヒトIgG4のCH2ドメインのアミノ酸残基の一部を含み、
CH3ドメインは、ヒトIgG4のCH3ドメインのアミノ酸残基の一部を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
変性免疫グロブリンのFc領域は、下記の式(I)で表される、請求項10に記載の方法:
式(I)
N’-(Z1)p-Y-Z2-Z3-Z4-C’
ここで、N’は、ポリペプチドのN末端であり、C’は、ポリペプチドのC末端であり;
pは、0または1の整数であり;
Z1は、配列番号7の90~98番目のアミノ酸残基のうち98番目のアミノ酸残基からN末端方向に連続した5~9個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列であり;
Yは、配列番号7の99~162番目のアミノ酸残基のうち162番目のアミノ酸残基からN末端方向に連続した5~64個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列であり;
Z2は、配列番号7の163~199番目のアミノ酸残基のうち163番目のアミノ酸残基からC末端方向に連続した4~37個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列であり;
Z3は、配列番号8の115~220番目のアミノ酸残基のうち220番目のアミノ酸残基からN末端方向に連続した71~106個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列であり;そして、
Z4は、配列番号8の221~327番目のアミノ酸残基のうち221番目のアミノ酸残基からC末端方向に連続した80~107個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列である。
【請求項12】
前記第3ドメインは、配列番号9~14からなる群から選ばれるアミノ酸配列を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
がんは、固形腫瘍、リンパ系がんまたは白血病である、請求項2に記載の方法。
【請求項14】
固形腫瘍は、滑膜肉腫、浸潤性導管がん、直腸がん、結腸がん、卵巣がん、上行結腸がん、肛門がん、浸潤性乳管癌、腺がん、大動脈周囲転移を伴う直腸がん、神経内分泌がん(子宮頸部)、S状結腸がん、または膠芽細胞腫である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
被験体は、手術、放射線および/または化学療法を含むがん治療のうち一つ以上をあらかじめ受けたか、同時に受けるか、または受ける予定である、請求項1、2、13または14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約600μg/kg超過~約2,000μg/kgの範囲の用量で投与される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項17】
(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約720μg/kg以上、約960μg/kg以上、約μg/kg以上、1,200μg/kg以上、約1,700μg/kg以上、または約2,000μg/kgの用量で投与される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項18】
(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約720μg/kg以上、約840μg/kg以上、または約1,440μg/kg以上の用量で投与される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項19】
(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約720μg/kg以上、約840μg/kg以上、約960μg/kg以上、約1,200μg/kg以上、約1,440μg/kg以上、約1,700μg/kg以上、または約2,000μg/kgの用量で投与される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項20】
(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、または15週間の間隔で2回以上投与される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項21】
(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、10日、20日、30日、40日、50日、60日、70日、80日、90日、または100日の間隔で2回以上投与される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項22】
(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、非経口的に、筋肉内に、皮下に、眼内に、静脈内に、腹腔内に、真皮内に、眼窩内に、大脳内に、頭蓋内に、脊椎内に、心室内に、髄腔内に、嚢内に、関節内に、または腫瘍内に投与される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項23】
(ii)インターロイキン-7融合タンパク質を投与することを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項24】
前記(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、配列番号24のアミノ酸配列を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
被験体は、有害事象共通用語規準(CTCAE)バージョン4.0によって定められる、血液1μl当たり約1000個のリンパ球細胞以下のリンパ球数を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項26】
リンパ球がT細胞である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、または約6週間の間隔で約720μg/kgの量で2回以上投与される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項28】
(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、または約6週間の間隔で約840μg/kgの量で2回以上投与される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項29】
(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、または約9週間の間隔で約960μg/kgの量で2回以上投与される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項30】
(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、または約10週間の間隔で約1,200μg/kgの量で2回以上投与される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項31】
(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間、約13週間、約14週間、約15週間、約2ヶ月、または約3ヶ月の間隔で約1,440μg/kgの量で2回以上投与される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項32】
(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約600μg/kg超過、約700μg/kg超過、約800μg/kg超過、約900μg/kg超過、約1,000μg/kg超過、約1,100μg/kg超過、約1,200μg/kg超過、約1,300μg/kg超過、約1,400μg/kg超過、約1,500μg/kg超過、約1,600μg/kg超過、約1,700μg/kg超過、約1,800μg/kg超過、約1,900μg/kg超過、または約2,000μg/kg超過の用量で投与される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項33】
(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約610μg/kg~約1,200μg/kg、約650μg/kg~約1,200μg/kg、約700μg/kg~約1,200μg/kg、約750μg/kg~約1,200μg/kg、約800μg/kg~約1,200μg/kg、約850μg/kg~約1,200μg/kg、約900μg/kg~約1,200μg/kg、約950μg/kg~約1,200μg/kg、約1,000μg/kg~約1,200μg/kg、約1,050μg/kg~約1,200μg/kg、約1,100μg/kg~約1,200μg/kg、約1,200μg/kg~約2,000μg/kg、約1,300μg/kg~約2,000μg/kg、約1,500μg/kg~約2,000μg/kg、約1,700μg/kg~約2,000μg/kg、約610μg/kg~約1,000μg/kg、約650μg/kg~約1,000μg/kg、約700μg/kg~約1,000μg/kg、約750μg/kg~約1,000μg/kg、約800μg/kg~約1,000μg/kg、約850μg/kg~約1,000μg/kg、約900μg/kg~~約1,000μg/kg、または約950μg/kg~約1,000μg/kgの用量で投与される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項34】
(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約700μg/kg~約900μg/kg、約750μg/kg~約950μg/kg、約700μg/kg~約850μg/kg、約750μg/kg~約850μg/kg、約700μg/kg~約800μg/kg、約800μg/kg~約900μg/kg、約750μg/kg~約850μg/kg、または約850μg/kg~約950μg/kgの用量で投与される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項35】
(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約650μg/kg、約680μg/kg、約700μg/kg、約720μg/kg、約740μg/kg、約750μg/kg、約760μg/kg、約780μg/kg、約800μg/kg、約820μg/kg、約840μg/kg、約850μg/kg、約860μg/kg、約880μg/kg、約900μg/kg、約920μg/kg、約940μg/kg、約950μg/kg、約960μg/kg、約980μg/kg、約1,000μg/kg、約1,020μg/kg、約1,040μg/kg、約1,060μg/kg、約1,080μg/kg、約1,100μg/kg、約1,120μg/kg、約1,140μg/kg、約1,160μg/kg、約1,180μg/kg、約1,200μg/kg、約1,220μg/kg、約1,240μg/kg、約1,260μg/kg、約1,280μg/kg、約1,300μg/kg、約1,320μg/kg、約1,340μg/kg、約1,360μg/kg、約1,380μg/kg、約1,400μg/kg、約1,420μg/kg、約1,440μg/kg、約1,460μg/kg、約1,480μg/kg、約1,500μg/kg、約1,520μg/kg、約1,540μg/kg、約1,560μg/kg、約1,580μg/kg、約1,600μg/kg、約1,620μg/kg、約1,640μg/kg、約1,660μg/kg、約1,680μg/kg、約1,700μg/kg、約1,720μg/kg、約1,740μg/kg、約1,760μg/kg、約1,780μg/kg、約1,800μg/kg、約1,820μg/kg、約1,840μg/kg、約1,860μg/kg、約1,880μg/kg、約1,900μg/kg、約1,920μg/kg、約1,940μg/kg、約1,960μg/kg、約1,980μg/kg、または約2,000μg/kgの用量で投与される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項36】
(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、9週間に1回、10週間に1回、11週間に1回、12週間に1回、13週間に1回、14週間に1回、または15週間に1回の投与頻度で投与される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項37】
T細胞は、CD4
+および/またはCD8
+T細胞である、請求項26に記載の方法。
【請求項38】
T細胞は、CD4
+/CD8
+T細胞である、請求項26に記載の方法。
【請求項39】
被験体は、血液1μl当たり約800個以下のリンパ球細胞のリンパ球数を有する、請求項25に記載の方法。
【請求項40】
被験体は、血液1μl当たり約500個以下のリンパ球細胞のリンパ球数を有する、請求項25に記載の方法。
【請求項41】
被験体は、血液1μl当たり約200個以下のリンパ球細胞のリンパ球数を有する、請求項25に記載の方法。
【請求項42】
被験体は、抗がん剤を投与されたか、同時に投与されるか、または投与される予定である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項43】
抗がん剤は、抗がん化合物である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
腫瘍内腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の数は、投与前の腫瘍内TILの数と比較して(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質の投与後に増加する、請求項25または42に記載の方法。
【請求項45】
TILは、CD4
+TILである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
TILは、CD8
+TILである、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
TILの数は、投与後に少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、少なくとも約250%、または少なくとも約300%まで増加する、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
必要とする被験体においてリンパ球数を増加させるための下記の(i)および/または(ii)の用途であって、
(i)下記の式(I)の変性インターロイキン-7:
A-IL-7 式(I)
ここで、Aは、1~10個のアミノ酸残基からなるオリゴペプチドであり、
IL-7は、IL-7受容体に結合できるポリペプチドであり;および/または
(ii)次を含むインターロイキン-7融合タンパク質
(a)変性インターロイキン-7と、
(b)メチオニン、グリシン、またはこれらの組み合わせからなる1~10個のアミノ酸残基を有するオリゴペプチドを含む第2ドメイン;および
(c)インターロイキン-7融合タンパク質の半減期を延長する第3ドメイン
を約600μg/kg超過の用量で被験体に投与することを含む用途。
【請求項49】
必要とする被験体においてリンパ球数を増加させるのに使用するための薬剤の製造における下記の(i)および/または(ii)の用途であって、前記薬剤は、約600μg/kg超過の用量で患者に投与される用途:
(i)下記の式(I)の変性インターロイキン-7:
A-IL-7 式(I)
ここで、Aは、1~10個のアミノ酸残基からなるオリゴペプチドであり、
IL-7は、IL-7受容体に結合できるポリペプチドであり;および/または
(ii)次を含むインターロイキン-7融合タンパク質
(a)変性インターロイキン-7と、
(b)メチオニン、グリシン、またはこれらの組み合わせからなる1~10個のアミノ酸残基を有するオリゴペプチドを含む第2ドメイン;および
(c)インターロイキン-7融合タンパク質の半減期を延長する第3ドメイン。
【請求項50】
必要とする被験体においてリンパ球数を増加させるための薬剤学的組成物であって、活性成分として、
(i)下記の式(I)の変性インターロイキン-7:
A-IL-7 式(I)
ここで、Aは、1~10個のアミノ酸残基からなるオリゴペプチドであり、
IL-7は、IL-7受容体に結合できるポリペプチドであり;および/または
(ii)次を含むインターロイキン-7融合タンパク質
(a)変性インターロイキン-7と、
(b)メチオニン、グリシン、またはこれらの組み合わせからなる1~10個のアミノ酸残基を有するオリゴペプチドを含む第2ドメイン;および
(c)インターロイキン-7融合タンパク質の半減期を延長する第3ドメイン
を含み、約600μg/kg超過の用量で被験体に投与される、薬剤学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年9月4日に出願された米国仮出願第62/895,787号および2019年11月15日に出願された米国仮出願第62/935,828号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
T細胞は、がん抗原を認識し、がん細胞を破壊し、記憶細胞へ分化および増殖してがんを攻撃する免疫反応に中枢的な役割をする。したがって、T細胞がん細胞で発現する多様な抗原を認識できる認識の多様性、がん特異的抗原に反応するT細胞クローンの拡張、およびがん組織での記憶T細胞への分化は、抗がん治療を最大化することができる。また、標準抗がん治療剤として使用される細胞毒性化学療法と放射線療法は、骨髄と血液内免疫細胞を破壊して、抗がん免疫機能に必須のT細胞を消失させて、免疫療法薬物の抗がん効果を相殺する。最近の報告によれば、がん患者においてT細胞の欠乏は、化学療法に対する反応率の減少および患者生存率の減少と関連する。現在まで、IL-2(Aldesleukin(登録商標))は、T細胞の増殖および機能亢進を誘導する治療剤として承認された唯一のサイトカイン治療剤である。しかしながら、IL-2投与は、免疫抑制を誘導する調節性T細胞の増殖によって効能が制限され、過度な免疫反応によるサイトカインストームおよび毛細血管漏出症候群のような深刻な副作用によってIL-2投与の実際臨床使用が制限される。
【0003】
その一方で、インターロイキン-7(IL-7)は、T細胞の重要な成長および活性化因子であり、がん細胞を破壊しつつ、抗原認識および標的化に関与するナイーブT細胞および記憶T細胞の分化、増殖および生存に主に関与する。エフェクターT細胞の活性化を抑制する調節性T細胞の増殖を誘導しない。また、体内でIL-7のレベルが増加すると、T細胞の増殖が起こり、増加したT細胞で主に発現するIL-7受容体(CD127)との結合を通じてIL-7が細胞内に移動する(トランスサイトーシス)。これは、恒常性を維持し、恒常性サイトカインとして知られている。したがって、他のサイトカイン治療の臨床安全性において主要問題であった過度な免疫反応によって引き起こされたサイトカインストームのような深刻な免疫関連副作用は、コード名CYT107の下にCytherisによる組換えヒトIL-7(rhIL-7)を用いた以前の臨床試験で報告されていない。
【0004】
IL-7は、遺伝子IL7によってコード化され、IL-7受容体(CD127)に結合する。IL-7は、B細胞およびT細胞によって媒介される免疫反応を促進できる免疫刺激性サイトカインである。IL-7は、適応免疫系において重要な役割をする。
【0005】
全体内容が参照により本願に援用される同時係留中の出願(米国出願第15/126,313号)には、発現および半減期が改善された変性IL-7タンパク質、変性IL-7を含有する融合タンパク質、およびこれらの生産方法が開示されている。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、変性IL-7または変性IL-7を含む融合タンパク質を用いてリンパ球数を増加させる方法を提供する。
【0007】
一実施形態は、変性IL-7またはその融合タンパク質を被験体に投与することを含む、必要とする被験体においてリンパ球数を増加させる方法を提供する。
【0008】
必要とする被験体は、がんまたは悪性腫瘍を罹患している哺乳動物でありうる。がんは、固形腫瘍でありうる。例示的な実施形態において、固形腫瘍は、局所進行性または転移性固形腫瘍または膠芽細胞腫でありうる。
【0009】
一実施形態において、被験体は、ヒトでありうる。
【0010】
一実施形態において、被験体は、あらかじめまたは同時にがん治療を受けることができる。
変性IL-7またはその融合タンパク質は、個別にまたは他の抗がん剤と同時に投与することができる。
【0011】
したがって、本開示の多様な態様は、次の実施形態を含む。
【0012】
1.必要とする被験体においてリンパ球数を増加させる方法であって、
(i)下記式(I)の変性インターロイキン-7:
A-IL-7 式(I)
ここで、Aは、1~10個のアミノ酸残基からなるオリゴペプチドであり、
IL-7は、IL-7受容体に結合できるポリペプチドであり;または
(ii)次を含むインターロイキン-7融合タンパク質
式(I)の変性インターロイキン-7を含む第1ドメインと、
メチオニン、グリシン、またはこれらの組み合わせからなる1~10個のアミノ酸残基を有するオリゴペプチドを含む第2ドメイン;および
インターロイキン-7融合タンパク質の半減期を延長する第3ドメイン
を600μg/kg超過の用量で被験体に投与することを含む方法。
【0013】
2.前記1において、被験体は、がん、感染、心臓右心室の慢性不全、ホジキン病およびリンパ系のがん、白血病、胸管の漏出または破裂、抗がん剤(例えば、化学療法)、抗ウイルス剤、およびグルココルチコイドを含む処方薬の副作用、低タンパク質食による栄養失調、放射線療法、尿毒症、自己免疫疾患、免疫不全症候群、高いストレスレベル、トラウマ、胸腺摘出術、またはこれらの組み合わせ;または特発性、急性放射線症候群(ARS)またはこれらの組み合わせを罹患している、方法。
【0014】
3.前記1または2において、前記IL-7は、配列番号1~6からなる群から選ばれるアミノ酸配列を有する、方法。
【0015】
4.前記1から3のいずれか一つにおいて、前記Aは、IL-7のN末端に連結される、方法。
【0016】
5.前記1から4のいずれか一つにおいて、Aは、メチオニン(M)、グリシン(G)、メチオニン-メチオニン、グリシン-グリシン、メチオニン-グリシン、グリシン-メチオニン、メチオニン-メチオニン-メチオニン、メチオニン-メチオニン-グリシン、メチオニン-グリシン-メチオニン、グリシン-メチオニン-メチオニン、メチオニン-グリシン-グリシン、グリシン-メチオニン-グリシン、グリシン-グリシン-メチオニン、グリシン-グリシン-グリシン、MMMM、MGMM、MGGM、MGGG、MGMG、GMMM、GMGG、GGGG、MMMMM、MMGMM、MMGGM、MGMMG、MMMMG、GGGGG、GGMMM、GGGMG、MGMGMG、MMMGGG、MMGGMM、GGMMGG、MGMGMGMG、MMMMGGGG、MMGGMMGG、MMMMGGGG、MGMGMGMGMG、および/またはMMMMMGGGGGである、方法。
【0017】
6.前記5において、第3ドメインは、第1ドメインまたは第2ドメインのN末端またはC末端に連結される、方法。一実施形態において、第3オメインは、第2ドメインのC末端に連結される。
【0018】
7.前記1から6のいずれか一つにおいて、第3ドメインは、免疫グロブリンまたはその一部のFc領域、アルブミン、アルブミン結合ポリペプチド、Pro/Ala/Ser(PAS)、ヒト絨毛膜ゴナドトロピンのβサブユニットのC末端ペプチド(CTP)、ポリエチレングリコール(PEG)、アミノ酸の長い非構造化親水性配列(XTEN)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、アルブミン結合小分子、およびこれらの組み合わせからなる群から選ばれるいずれか一つである、方法。
【0019】
8.前記1から7のいずれか一つにおいて、第3ドメインは、変性免疫グロブリンのFc領域を含む、方法。
【0020】
9.前記1から8のいずれか一つにおいて、変性免疫グロブリンは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgD、IgEおよびこれらの組み合わせからなる群から選ばれる、方法。
【0021】
10.前記1から9のいずれか一つにおいて、変性免疫グロブリンのFc領域は、N末端からC末端方向にヒンジ領域、CH2ドメインおよびCH3ドメインを含み、
ここで、ヒンジ領域は、ヒトIgDヒンジ領域を含み、
CH2ドメインは、ヒトIgDおよびヒトIgG4のCH2ドメインのアミノ酸残基の一部を含み、
CH3ドメインは、ヒトIgG4のCH3ドメインのアミノ酸残基の一部を含む、方法。
【0022】
11.前記1から10のいずれか一つにおいて、変性免疫グロブリンのFc領域は、下記式(I)で表される、方法:
式(I)
N’-(Z1)p-Y-Z2-Z3-Z4-C’
ここで、N’は、ポリペプチドのN末端であり、C’は、ポリペプチドのC末端であり;
pは、0または1の整数であり;
Z1は、配列番号7の90~98番目のアミノ酸残基のうち98番目のアミノ酸残基からN末端方向に連続した5~9個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列であり;
Yは、配列番号7の99~162番目のアミノ酸残基のうち162番目のアミノ酸残基からN末端方向に連続した5~64個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列であり;
Z2は、配列番号7の163~199番目のアミノ酸残基のうち163番目のアミノ酸残基からC末端方向に連続した4~37個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列であり;
Z3は、配列番号8の115~220番目のアミノ酸残基のうち220番目のアミノ酸残基からN末端方向に連続した71~106個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列であり;そして、
Z4は、配列番号8の221~327番目のアミノ酸残基のうち221番目のアミノ酸残基からC末端方向に連続した80~107個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列である。
【0023】
12.前記1から11のいずれか一つにおいて、前記第3ドメインは、配列番号9~14からなる群から選ばれるアミノ酸配列を有する、方法。
【0024】
13.前記2から12のいずれか一つにおいて、がんは、固形腫瘍、リンパ系がんまたは白血病である、方法。
【0025】
14.前記13において、固形腫瘍は、滑膜肉腫、浸潤性導管がん、直腸がん、結腸がん、卵巣がん、上行結腸がん、肛門がん、浸潤性乳管癌、腺がん、大動脈周囲転移を伴う直腸がん、神経内分泌がん(子宮頸部)、S状結腸がん、または膠芽細胞腫である、方法。
【0026】
15.前記1から14のいずれか一つにおいて、被験体は、手術、放射線、および/または化学療法を含むがん治療のうち一つ以上をあらかじめ受けたか、または同時に受ける、方法。
【0027】
16.前記1から15のいずれか一つにおいて、(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質が600μg/kg超過~約2,000μg/kgの範囲の用量で投与される、方法。
【0028】
17.前記1から16のいずれか一つにおいて、(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約720μg/kg以上、約960μg/kg以上、約1,200μg/kg以上、約1,700μg/kg以上、または約2,000μg/kgの用量で投与される、方法。
【0029】
18.前記1~16のいずれか一つにおいて、(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約720μg/kg以上、約840μg/kg以上、または約1,440μg/kg以上の用量で投与される、方法。
【0030】
19.前記1から16のいずれか一つにおいて、(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、720μg/kg以上、840μg/kg以上、960μg/kg以上、1,200μg/kg以上、1,440μg/kg以上、1,700μg/kg以上、または2,000μg/kgで投与される、方法。
【0031】
20.前記1から19のいずれか一つにおいて、(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、または12週間の間隔で2回以上投与される、方法。
【0032】
21.前記1から19のいずれか一つにおいて、(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、10日、20日、30日、40日、50日、60日、70日、80日、90日、または100日の間隔で2回以上投与される、方法。
【0033】
22.前記1から21のいずれか一つにおいて、(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、非経口的に、筋肉内に、皮下に、眼内に、静脈内に、腹腔内に、真皮内に、眼窩内に、大脳内に、頭蓋内に、脊椎内に、心室内に、髄腔内に、嚢内に、関節内に、または腫瘍内に投与される、方法。
【0034】
23.前記1から22のいずれか一つにおいて、(ii)インターロイキン-7融合タンパク質を投与することを含む、方法。
【0035】
24.前記1から23のいずれか一つにおいて、(i)変性インターロイキン-7は、配列番号18のアミノ酸配列を含み、(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、配列番号24のアミノ酸配列を含む、方法。
【0036】
25.前記1から24のいずれか一つにおいて、被験体は、有害事象共通用語規準(CTCAE)バージョン4.0によって定められる、血液および/または血清1μl当たり1000個以下のリンパ球細胞のリンパ球数を有する、方法。
【0037】
26.前記1から25のいずれか一つにおいて、リンパ球がT細胞である、方法。
【0038】
27.前記1から26のいずれか一つにおいて、(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約1週間、約2週間、約3週間、または約4週間の間隔で約720μg/kgの量で2回以上投与される、方法。
【0039】
28.前記1から26のいずれか一つにおいて、(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約2週間、約3週間、約4週間、または約5週間の間隔で約840μg/kgの量で2回以上投与される、方法。
【0040】
29.前記1から26のいずれか一つにおいて、(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、または約6週間の間隔で約960μg/kgの量で2回以上投与される、方法。
【0041】
30.前記1から26のいずれか一つにおいて、(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、または約8週間の間隔で約1200μg/kgの量で2回以上投与される、方法。
【0042】
31.前記1から26のいずれか一つにおいて、(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約10週間、または約12週間、または約2ヶ月または3ヶ月の間隔で約1440μg/kgの量で2回以上投与される、方法。
【0043】
32.前記1から26のいずれか一つにおいて、(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約600μg/kg超過、約700μg/kg超過、約800μg/kg超過、約900μg/kg超過、約1,000μg/kg超過、約1,100μg/kg超過、約1,200μg/kg超過、約1,300μg/kg超過、約1,400μg/kg超過、約1,500μg/kg超過、約1,600μg/kg超過、約1,700μg/kg超過、約1,800μg/kg超過、約1,900μg/kg超過、または約2,000μg/kgの用量で投与される、方法。
【0044】
33.前記1から26のいずれか一つにおいて、(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約610μg/kg~約1,200μg/kg、約650μg/kg~約1,200μg/kg、約700μg/kg~約1,200μg/kg、約750μg/kg~約1,200μg/kg、約800μg/kg~約1,200μg/kg、約850μg/kg~約1,200μg/kg、約900μg/kg~約1,200μg/kg、約950μg/kg~約1,200μg/kg、約1,000μg/kg~約1,200μg/kg、約1,050μg/kg~約1,200μg/kg、約1,100μg/kg~約1,200μg/kg、約1,200μg/kg~約2,000μg/kg、約1,300μg/kg~約2,000μg/kg、約1,500μg/kg~約2,000μg/kg、約1,700μg/kg~約2,000μg/kg、約610μg/kg~約1,000μg/kg、約650μg/kg~約1,000μg/kg、約700μg/kg~約1,000μg/kg、約750μg/kg~約1,000μg/kg、約800μg/kg~約1,000μg/kg、約850μg/kg~約1,000μg/kg、約900μg/kg~約1,000μg/kg、または約950μg/kg~約1,000μg/kgの用量で投与される、方法。
【0045】
34.前記1から26のいずれか一つにおいて、(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約700μg/kg~約900μg/kg、約750μg/kg~約950μg/kg、約700μg/kg~約850μg/kg、約750μg/kg~約850μg/kg、約700μg/kg~約800μg/kg、約800μg/kg~約900μg/kg、約750μg/kg~約850μg/kg、または約850μg/kg~約950μg/kgの用量で投与される、方法。
【0046】
35.前記1から26のいずれか一つにおいて、(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約650μg/kg、約680μg/kg、約700μg/kg、約720μg/kg、約740μg/kg、約750μg/kg、約760μg/kg、約780μg/kg、約800μg/kg、約820μg/kg、約840μg/kg、約850μg/kg、約860μg/kg、約880μg/kg、約900μg/kg、約920μg/kg、約940μg/kg、約950μg/kg、約960μg/kg、約980μg/kg、約1,000μg/kg、約1,020μg/kg、約1,040μg/kg、約1,060μg/kg、約1,080μg/kg、約1,100μg/kg、約1,120μg/kg、約1,140μg/kg、約1,160μg/kg、約1,180μg/kg、約1,200μg/kg、約1,220μg/kg、約1,240μg/kg、約1,260μg/kg、約1,280μg/kg、約1,300μg/kg、約1,320μg/kg、約1,340μg/kg、約1,360μg/kg、約1,380μg/kg、約1,400μg/kg、約1,420μg/kg、約1,440μg/kg、約1,460μg/kg、約1,480μg/kg、約1,500μg/kg、約1,520μg/kg、約1,540μg/kg、約1,560μg/kg、約1,580μg/kg、約1,600μg/kg、約1,620μg/kg、約1,640μg/kg、約1,660μg/kg、約1,680μg/kg、約1,700μg/kg、約1,720μg/kg、約1,740μg/kg、約1,760μg/kg、約1,780μg/kg、約1,800μg/kg、約1,820μg/kg、約1,840μg/kg、約1,860μg/kg、約1,880μg/kg、約1,900μg/kg、約1,920μg/kg、約1,940μg/kg、約1,960μg/kg、約1,980μg/kg、または約2,000μg/kgの用量で投与される、方法。
【0047】
36.前記32から35のいずれか一つにおいて、(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、9週間に1回、10週間に1回、11週間に1回、または12週間に1回の投与頻度で投与される、方法。
【0048】
37.前記26において、T細胞は、CD4+T細胞および/またはCD8+T細胞である、方法。
【0049】
38.前記26において、T細胞は、CD4+/CD8+T細胞である、方法。
【0050】
39.前記1から38のいずれか一つにおいて、被験体は、血液1μl当たり800個以下のリンパ球細胞のリンパ球数を有する、方法。
【0051】
40.前記1から39のいずれか一つにおいて、被験体は、血液1μl当たり500個以下のリンパ球細胞のリンパ球数を有する、方法。
【0052】
41.前記1から40のいずれか一つにおいて、被験体は、血液1μl当たり200個以下のリンパ球細胞のリンパ球数を有する、方法。
【0053】
42.前記15から41のいずれか一つにおいて、被験体は、抗がん剤と同時に投与される、方法。
【0054】
43.前記42において、抗がん剤は、抗がん化合物である、方法。
【0055】
44.前記1から43のいずれか一つにおいて、腫瘍内腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の数は、投与前の腫瘍内TILの数と比較して(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質の投与後に増加する、方法。
【0056】
45.前記1から44のいずれか一つにおいて、TILは、CD4+TILである、方法。
【0057】
46.前記1から44のいずれか一つにおいて、TILは、CD8+TILである、方法。
【0058】
47.前記44から46のいずれか一つにおいて、TILの数は、投与後に少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、少なくとも約250%、または少なくとも約300%まで増加する、方法。
【0059】
48.前記1から26のいずれか一つにおいて、(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約650μg/kg~680μg/kg、約680μg/kg~700μg/kg、約700μg/kg~720μg/kg、約720μg/kg~740μg/kg、約740μg/kg~750μg/kg、約750μg/kg~760μg/kg、約760μg/kg~780μg/kg、約780μg/kg~800μg/kg、約800μg/kg~~820μg/kg、約820μg/kg~840μg/kg、約840μg/kg~850μg/kg、約850μg/kg~860μg/kg、約860μg/kg~880μg/kg、約880μg/kg~900μg/kg、約900μg/kg~920μg/kg、約920μg/kg~940μg/kg、約940μg/kg~950μg/kg、約950μg/kg~960μg/kg、約960μg/kg~980μg/kg、約980μg/kg~1000μg/kg、約1,000μg/kg~1,020μg/kg、約1,020μg/kg~1,040μg/kg、約1,040μg/kg~1,060μg/kg、約1,060μg/kg~1,080μg/kg、約1,080μg/kg~1,100μg/kg、約1,100μg/kg~1,120μg/kg、約1,120μg/kg~1,140μg/kg、約1,140μg/kg~1,160μg/kg、約1,160μg/kg~1,180μg/kg、約1,180μg/kg~1,200μg/kg、約1,200μg/kg~1,220μg/kg、約1,220μg/kg~1,240μg/kg、約1,240μg/kg~1,260μg/kg、約1,260μg/kg~1,280μg/kg、約1,280μg/kg~1,300μg/kg、約1,300μg/kg~1,320μg/kg、約1,320μg/kg~1,340μg/kg、約1,340μg/kg~1,360μg/kg、約1,360μg/kg~1,380μg/kg、約1,380μg/kg~1,400μg/kg、約1,400μg/kg~1,420μg/kg、約1,420μg/kg~1,440μg/kg、約1,440μg/kg~1,460μg/kg、約1,480μg/kg、約1,480μg/kg~1,500μg/kg、約1,500μg/kg~1,520μg/kg、約1,520μg/kg~1,540μg/kg、約1,540μg/kg~1,560μg/kg、約1,560μg/kg~1,580μg/kg、約1,580μg/kg~1,600μg/kg、約1,600μg/kg~1,620μg/kg、約1,620μg/kg~1,640μg/kg、約1,640μg/kg~1,660μg/kg、約1,660μg/kg~1,680μg/kg、約1,680μg/kg~1,700μg/kg、約1,700μg/kg~1,720μg/kg、約1,720μg/kg~1,740μg/kg、約1,740μg/kg~1,760μg/kg、約1,760μg/kg~1,780μg/kg、約1,780μg/kg~1,800μg/kg、約1,800μg/kg~1,820μg/kg、約1,820μg/kg~1,840μg/kg、約1,840μg/kg~1,860μg/kg、約1,860μg/kg~1,880μg/kg、約1,880μg/kg~1,900μg/kg、約1,900μg/kg~1,920μg/kg、約1,920μg/kg~1,940μg/kg、約1,940μg/kg~1,960μg/kg、約1,960μg/kg~1,980μg/kg、または約1,980μg/kg~2,000μg/kgの用量で投与される、方法。
【0060】
49.前記48において、(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間、約13週間、約14週間、または約15週間の間隔で前記用量で2回、3回、4回、または5回投与される、方法。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【
図1a】
図1a、
図1bおよび
図1cは、それぞれラットにおいてIV、SCおよびIM経路による薬物動態プロファイルを示す。
【
図1b】
図1a、
図1bおよび
図1cは、それぞれラットにおいてIV、SCおよびIM経路による薬物動態プロファイルを示す。
【
図1c】
図1a、
図1bおよび
図1cは、それぞれラットにおいてIV、SCおよびIM経路による薬物動態プロファイルを示す。
【
図2a】
図2aおよび
図2bは、線形スケールおよびログスケールで示した用量別GX-I7濃度-時間プロファイルを示す。
【
図2b】
図2aおよび
図2bは、線形スケールおよびログスケールで示した用量別GX-I7濃度-時間プロファイルを示す。
【
図3a】
図3aおよび
図3bは、それぞれ血清露出(C
maxおよびAUC
last)対用量の相関関係を示す。
【
図3b】
図3aおよび
図3bは、それぞれ血清露出(C
maxおよびAUC
last)対用量の相関関係を示す。
【
図4a】
図4aおよび
図4bは、低用量(60-120μg/kg)、中用量(240-480μg/kg)および高用量(720-1,200μg/kg)グループにおいて基線値と比較した絶対リンパ球数(ALC)の変化を示す。
図4aは、固形がん患者群の結果を示し、
図4bは、膠芽細胞腫患者群の結果を示す。
【
図4b】
図4aおよび
図4bは、低用量(60-120μg/kg)、中用量(240-480μg/kg)および高用量(720-1,200μg/kg)グループにおいて基線値と比較した絶対リンパ球数(ALC)の変化を示す。
図4aは、固形がん患者群の結果を示し、
図4bは、膠芽細胞腫患者群の結果を示す。
【
図5a】
図5aおよび
図5bは、低用量(60-120μg/kg)、中用量(240-480μg/kg)および高用量(720-1,200μg/kg)グループにおいて基線と比較したCD3
+数の変化を示す。
図5aは、固形がん患者群の結果を示し、
図5bは、膠芽細胞腫患者群の結果を示す。
【
図5b】
図5aおよび
図5bは、低用量(60-120μg/kg)、中用量(240-480μg/kg)および高用量(720-1,200μg/kg)グループにおいて基線と比較したCD3
+数の変化を示す。
図5aは、固形がん患者群の結果を示し、
図5bは、膠芽細胞腫患者群の結果を示す。
【
図6a】
図6aおよび
図6bは、低用量(60-120μg/kg)、中用量(240-480μg/kg)および高用量(720-1,200μg/kg)グループにおいて基線値と比較したCD4
+数の変化を示す。
図6aは、固形がん患者群の結果を示し、
図6bは、膠芽細胞腫患者群の結果を示す。
【
図6b】
図6aおよび
図6bは、低用量(60-120μg/kg)、中用量(240-480μg/kg)および高用量(720-1,200μg/kg)グループにおいて基線値と比較したCD4
+数の変化を示す。
図6aは、固形がん患者群の結果を示し、
図6bは、膠芽細胞腫患者群の結果を示す。
【
図7a】
図7aおよび
図7bは、低用量(60-120μg/kg)、中用量(240-480μg/kg)および高用量(720-1,200μg/kg)グループにおいて基線値と比較したCD8
+数の変化を示す。
図7aは、固形がん患者群の結果を示し、
図7bは、膠芽細胞腫患者群の結果を示す。
【
図7b】
図7aおよび
図7bは、低用量(60-120μg/kg)、中用量(240-480μg/kg)および高用量(720-1,200μg/kg)グループにおいて基線値と比較したCD8
+数の変化を示す。
図7aは、固形がん患者群の結果を示し、
図7bは、膠芽細胞腫患者群の結果を示す。
【
図8a】
図8aおよび
図8bは、それぞれ非リンパ球減少症固形がん患者群(基線ALC≧1,000細胞/mm
3)およびリンパ球減少症(基線ALC<1,000細胞/mm
3)固形がん患者群における絶対リンパ球数(ALC)の変化を示し、これは、低用量(60-120μg/kg)、中用量(240-480μg/kg)、高用量(720-1,200μg/kg)グループに分けられる。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001対基線(0週)グループ(Wilcoxonマッチドペア符号順位検定による)。
【
図8b】
図8aおよび
図8bは、それぞれ非リンパ球減少症固形がん患者群(基線ALC≧1,000細胞/mm
3)およびリンパ球減少症(基線ALC<1,000細胞/mm
3)固形がん患者群における絶対リンパ球数(ALC)の変化を示し、これは、低用量(60-120μg/kg)、中用量(240-480μg/kg)、高用量(720-1,200μg/kg)グループに分けられる。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001対基線(0週)グループ(Wilcoxonマッチドペア符号順位検定による)。
【
図9a】
図9aおよび
図9bは、それぞれ非リンパ球減少症膠芽細胞腫患者群(基線ALC≧1,000細胞/mm
3)およびリンパ球減少症(基線ALC<1,000細胞/mm
3)固形がん患者群における絶対リンパ球数(ALC)の変化を示し、これは、低用量(60-120μg/kg)、中用量(240-480μg/kg)、高用量(720-1,200μg/kg)グループに分けられる。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001対基線(0週)グループ(Wilcoxonマッチドペア符号順位検定による)。
【
図9b】
図9aおよび
図9bは、それぞれ非リンパ球減少症膠芽細胞腫患者群(基線ALC≧1,000細胞/mm
3)およびリンパ球減少症(基線ALC<1,000細胞/mm
3)固形がん患者群における絶対リンパ球数(ALC)の変化を示し、これは、低用量(60-120μg/kg)、中用量(240-480μg/kg)、高用量(720-1,200μg/kg)グループに分けられる。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001対基線(0週)グループ(Wilcoxonマッチドペア符号順位検定による)。
【
図10a】
図10a、
図10bおよび
図10cは、IL-7融合タンパク質を低用量(60-120μg/kg)、中用量(240-480μg/kg)および高用量(720-1,200μg/kg)グループに投与した後の、CD4
+およびCD8
+細胞においてそれぞれKi67、CD127およびTreg比率の変化を示す。NS:有意差なし、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001対基線(0週)グループ(Wilcoxonマッチドペア符号順位検定による)。
【
図10b】
図10a、
図10bおよび
図10cは、IL-7融合タンパク質を低用量(60-120μg/kg)、中用量(240-480μg/kg)および高用量(720-1,200μg/kg)グループに投与した後の、CD4
+およびCD8
+細胞においてそれぞれKi67、CD127およびTreg比率の変化を示す。NS:有意差なし、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001対基線(0週)グループ(Wilcoxonマッチドペア符号順位検定による)。
【
図10c】
図10a、
図10bおよび
図10cは、IL-7融合タンパク質を低用量(60-120μg/kg)、中用量(240-480μg/kg)および高用量(720-1,200μg/kg)グループに投与した後の、CD4
+およびCD8
+細胞においてそれぞれKi67、CD127およびTreg比率の変化を示す。NS:有意差なし、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001対基線(0週)グループ(Wilcoxonマッチドペア符号順位検定による)。
【
図11】
図11は、サルモデルにおいて血液サンプリングのタイムラインの例示である。
【
図12a】
図12aおよび
図12bはそれぞれ、試験が実施されたサルの血液サンプルにおいてCD8
+およびCD4
+細胞におけるKi67の発現パターンを示す。
【
図12b】
図12aおよび
図12bはそれぞれ、試験が実施されたサルの血液サンプルにおいてCD8
+およびCD4
+細胞におけるKi67の発現パターンを示す。
【
図13a】
図13aおよび
図13bは、低用量(120μg/kg)グループ(
図13a)、中用量(360-600μg/kg)および高用量(840-1,440μg/kg)グループ(
図13b)においてゼロ時間(0週)から15週間までの時間にかけての反復投与による基線値と比較した絶対リンパ球数(ALC)の変化を示す。
【
図13b】
図13aおよび
図13bは、低用量(120μg/kg)グループ(
図13a)、中用量(360-600μg/kg)および高用量(840-1,440μg/kg)グループ(
図13b)においてゼロ時間(0週)から15週間までの時間にかけての反復投与による基線値と比較した絶対リンパ球数(ALC)の変化を示す。
【
図14a】
図14a、
図14bおよび
図14cは、それぞれTMZ(テモゾロマイド150mg/m2)、アバスチン/イリノテカン(A;アバスチン10mg/kg、I;イリノテカン100mg/m2)、およびPCV(PCV;CCNU240mg、ビンクリスチン2mg、プロカルバジン150mg&100mg、ビンクリスチン2mg)を使用する化学療法を受ける膠芽細胞腫患者における、8週間以上の間隔でのIL-7融合タンパク質の反復投与による基線値(0週)と比較した絶対リンパ球数(ALC)の変化を示す。
【
図14b】
図14a、
図14bおよび
図14cは、それぞれTMZ(テモゾロマイド150mg/m2)、アバスチン/イリノテカン(A;アバスチン10mg/kg、I;イリノテカン100mg/m2)、およびPCV(PCV;CCNU240mg、ビンクリスチン2mg、プロカルバジン150mg&100mg、ビンクリスチン2mg)を使用する化学療法を受ける膠芽細胞腫患者における、8週間以上の間隔でのIL-7融合タンパク質の反復投与による基線値(0週)と比較した絶対リンパ球数(ALC)の変化を示す。
【
図14c】
図14a、
図14bおよび
図14cは、それぞれTMZ(テモゾロマイド150mg/m2)、アバスチン/イリノテカン(A;アバスチン10mg/kg、I;イリノテカン100mg/m2)、およびPCV(PCV;CCNU240mg、ビンクリスチン2mg、プロカルバジン150mg&100mg、ビンクリスチン2mg)を使用する化学療法を受ける膠芽細胞腫患者における、8週間以上の間隔でのIL-7融合タンパク質の反復投与による基線値(0週)と比較した絶対リンパ球数(ALC)の変化を示す。
【
図15a】
図15aおよび
図15bは、IL-7融合タンパク質の投与後の、CD4
+およびCD8
+T細胞のサブセットの変化、およびケモカイン受容体CCRおよびその他免疫細胞(B細胞およびNK細胞)の変化を示す。NS:有意差なし、p>0.05、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001対基線(0週)グループ(Wilcoxonマッチドペア符号順位検定による)。
【
図15b】
図15aおよび
図15bは、IL-7融合タンパク質の投与後の、CD4
+およびCD8
+T細胞のサブセットの変化、およびケモカイン受容体CCRおよびその他免疫細胞(B細胞およびNK細胞)の変化を示す。NS:有意差なし、p>0.05、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001対基線(0週)グループ(Wilcoxonマッチドペア符号順位検定による)。
【発明を実施するための形態】
【0062】
定義
別途言及されるか、または文脈から暗示されない限り、下記用語および語句は、下記に提示される意味を含む。別途明示されるか、または文脈から明白でない限り、下記用語および語句は、当該用語または語句が当該分野において獲得した意味を排除しない。定義は、特定の実施形態の記載を助けるために提供され、本明細書に提供される態様の範囲は、請求範囲によってのみ限定されるので、本明細書に提供される態様を限定することを意図しない。別途定義されない限り、本明細書に使用されたすべての技術および科学用語は、本明細書に提供される態様の属する関連技術分野における通常の技術者によって通常理解されるところと同じ意味を有する。
【0063】
用語「薬剤学的組成物」は本明細書において、哺乳動物に影響を及ぼす特定疾患または病態を予防または治療するために哺乳動物に投与される少なくとも一つの治療剤を含有する混合物または溶液を指すものと定義される。実施形態において、哺乳動物は、ヒトでありうる。
【0064】
用語「薬剤学的に許容可能な」は本明細書において、健全な医療判断の範囲内で合理的なベネフィット/リスクの比率に相当する過度な毒性、刺激、アレルギー反応およびその他問題および合併症なしでヒト患者の組織と接触して使用するのに適した化合物、物質、組成物および/または投薬形態を指すものと定義される。
【0065】
本明細書において使用された用語「治療する」または「治療」は、ヒト患者において少なくとも一つの症状を軽減、減少、低減、緩和、または疾患の進行を遅延させる治療を含む。例えば、治療は、障害の一つまたはいくつかの症状の減少またはがんのような障害の完全な根絶でありうる。本開示内容の意味内で、用語「治療する」は、また、疾患の発病または悪化のリスクを停止、発病遅延(すなわち、疾患の臨床兆候以前の期間)および/または減少させることを示す。「保護する」という用語は、被験体において疾患の発達または持続または悪化を適切に予防、遅延、治療、またはそれら全部を意味するために本明細書において使用される。
【0066】
本明細書において使用された用語「予防する」、「予防の」または「予防」は、予防される病態、疾患または障害と関連する、またはこれによって引き起こされる少なくとも一つの症状の予防を含む。
【0067】
治療剤組み合わせの「薬剤学的有効量」または「臨床的有効量」という用語は、組み合わせで治療される障害の臨床的に観察可能な基準兆候および症状と比べて観察可能な改善を提供するのに十分な量である。
【0068】
本明細書に使用された「このような治療が必要なヒト患者」という語句は、確認された増殖性疾患と診断されたか、これを罹患しているヒト患者を指す。
【0069】
「約」または「概略」という用語は、所定の値または範囲の10%、9%、8%、7%、6%または5%以内の意味を有する。
【0070】
用語「減少した」または「減少させる」は、一般的に統計的に有意な量だけ減少を意味するために本明細書において使用される。一部の実施形態において、「減少した」または「減少させる」は、参照レベルと比較して少なくとも10%の減少、例えば、少なくとも約20%、または少なくとも約30%、または少なくとも約40%、または少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%の減少、または100%までの減少(例えば、基準レベルと比較して不在レベルまたは検出不可能なレベル)、または、参照レベルと比較して10-100%の間の任意の減少を意味する。マーカーまたは症状と関連してこのような用語は、このようなレベルの統計的に有意な減少を意味する。減少は、例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%以上であってもよく、好ましくは、所定の疾患のない個体に対して正常の範囲内で許容されるレベルまでである。
【0071】
変性IL-7
実施形態において使用できる変性IL-7は、次のような構造を有することができる:
A-IL-7 式(I)
ここで、Aは、1~10個のアミノ酸残基で構成されたオリゴペプチドであり、IL-7は、インターロイキン7,IL-7受容体に結合できるポリペプチド(CD127ともいう)、またはIL-7の活性またはこれと類似した活性を有するポリペプチドである。
【0072】
本明細書において使用された用語「IL-7の活性またはこれと類似した活性を有するポリペプチド」は、IL-7と同一または同様の配列および活性を有するポリペプチドまたはタンパク質を意味する。実施形態において別途明示されない限り、前記用語は、本明細書において相互交換的に使用されるIL-7融合タンパク質または変性IL-7融合タンパク質の第1ドメインと相互交換可能な概念として使用できる。
【0073】
IL-7は、配列番号1~6によって表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。さらに、IL-7は、配列番号1~6の配列と約70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の配列同一性を有することができる。ペプチド配列の配列同一性は、公知の配列アラインメントまたは比較ソフトウェアを用いて求めることができる。例えば、配列同一性は、デフォルト設定に従ってBLASTPプログラム(blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi?PAGE=Proteins)を用いて求めることができる。
【0074】
IL-7は、IL-7タンパク質またはその断片を含んでもよく、ここで、断片は、IL-7受容体に結合できる。本明細書において使用された「IL-7タンパク質」という用語は、「IL-7タンパク質およびその(IL-7受容体に結合できる)断片」を含む概念として使用できる。IL-7は、ヒト、ラット、マウス、サル、ウシまたはヒツジから得られたものでありうる。
【0075】
別途明示されない限り、「タンパク質」、「ポリペプチド」および「ペプチド」という用語は、相互交換可能な概念として使用できる。
【0076】
具体的に、ヒトIL-7は、配列番号1によって表されるアミノ酸配列(Genbankアクセッション番号P13232)を有することができ;ラットIL-7は、配列番号2によって表されるアミノ酸配列(Genbankアクセッション番号P56478)を有することができ;マウスIL-7は、配列番号3によって表されるアミノ酸配列(Genbankアクセッション番号P10168)を有することができ;サルIL-7は、配列番号4によって表されるアミノ酸配列(Genbankアクセッション番号NP_001279008)を有することができ;ウシIL-7は、配列番号5によって表されるアミノ酸配列(Genbankアクセッション番号P26895)を有することができ、そして、ヒツジIL-7は、配列番号6によって表されるアミノ酸配列(Genbankアクセッション番号Q28540)を有することができる。
【0077】
また、IL-7タンパク質またはその断片は、多様に変性されたタンパク質またはペプチド、すなわち変異体を含むことができる。前記変性は、IL-7の機能を変性させることなく、野生型IL-7に少なくとも一つのタンパク質を置換、欠失または付加する方法で行われ得る。これらの多様なタンパク質またはペプチドは、野生型タンパク質と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有することができる。
【0078】
通常、野生型アミノ酸残基は、アラニンで置換されるが、置換は、全体タンパク質電荷、すなわち極性または疎水性に影響を及ぼさないか、または弱い影響を与える保存的アミノ酸置換を行うことができる。
【0079】
保存的アミノ酸置換は、下記の表1を参照することができる。
【0080】
【0081】
各アミノ酸に対して、さらなる保存的置換は、アミノ酸の「同族体」を含む。特に、「同族体」は、アミノ酸側鎖のベータ位置の側鎖にメチレン基(CH2)が挿入されたアミノ酸を意味する。「同族体」の例としては、ホモフェニルアラニン、ホモアルギニン、ホモセリンなどが含まれ得るが、これらに限定されるものではない。
【0082】
A-IL-7の変性IL-7の構造で、モイエティAは、IL-7のN末端に直接連結されるか、リンカーを介して連結されてもよく、別途明示されない限り、当該用語は、IL-7融合タンパク質の第2ドメインと相互交換可能な概念として使用することができる。
【0083】
実施形態において、Aは、IL-7のN末端に連結されてもよい。Aは、1~10個のアミノ酸を含むことを特徴とし、前記アミノ酸は、メチオニン、グリシンおよびこれらの組み合わせからなる群から選ばれることができる。一実施形態において、Aが単一アミノ酸残基である場合、これは、グリシンである。
【0084】
メチオニンとグリシンは、人体で免疫反応を誘導しない。E.coliから生産されたタンパク質治療剤は、常にN末端にメチオニンが含まれているが、有害反応は報告されたことがない。また、グリシンは、GSリンカーとして広く使用され、デュラグルチドと同様に、市販製品で免疫反応を誘導しないことが報告されている(Cell Biophys.1993 Jan-Jun;22(103):189-224)。
【0085】
例示的な実施形態において、前記Aは、メチオニン(Met,M)、グリシン(Gly,G)およびこれらの組み合わせからなる群から選ばれる1~10個のアミノ酸を含むオリゴペプチドでありうる。一実施形態において、Aは、1~5個のアミノ酸からなるオリゴペプチドでありうる。例えば、Aは、メチオニン(M)、グリシン(G)、メチオニン-メチオニン、グリシン-グリシン、メチオニン-グリシン、グリシン-メチオニン、メチオニン-メチオニン-メチオニン、メチオニン-メチオニン-グリシン、メチオニン-グリシン-メチオニン、グリシン-メチオニン-メチオニン、メチオニン-グリシン-グリシン、グリシン-メチオニン-グリシン、グリシン-グリシン-メチオニン、グリシン-グリシン-グリシン、MMMM、MGMM、MGGM、MGGG、MGMG、GMMM、GMGG、GGGG、MMMMM、MMGMM、MMGGM、MGMMG、MMMMG、GGGGG、GGMMM、GGGMG、MGMGMG、MMMGGG、MMGGMM、GGMMGG、MGMGMGMG、MMMMGGGG、MMGGMMGG、MMMMGGGG、MGMGMGMGMG、または/およびMMMMMGGGGGGからなる群から選ばれるいずれか一つのN末端配列を有することができる。実施形態において、Aは、メチオニン、グリシン、メチオニン-メチオニン、グリシン-グリシン、メチオニン-グリシン、グリシン-メチオニン、メチオニン-メチオニン-メチオニン、メチオニン-メチオニン-グリシン、メチオニン-グリシン-メチオニン、グリシン-メチオニン-メチオニン、メチオニン-グリシン-グリシン、グリシン-メチオニン-グリシン、グリシン-グリシン-メチオニン、またはグリシン-グリシン-グリシンでありうる。
【0086】
変性IL-7の融合タンパク質または変性IL-7融合タンパク質
さらに他の態様は、IL-7の活性またはこれと類似した活性を有するポリペプチドを含む第1ドメインと;メチオニン、グリシンまたはこれらの組み合わせからなる1~10個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列を含む第2ドメイン;およびIL-7融合タンパク質の半減期を延長する第3ドメインを含むIL-7融合タンパク質を提供する。
【0087】
第3ドメインは、第1ドメインまたは第2ドメインのN末端またはC末端に連結されてもよい。また、第1ドメインおよび第2ドメインを含む変性IL-7は、第3ドメインの両末端に連結されてもよい。
【0088】
第3ドメインは、生体内半減期を増加させるための融合パートナーであってもよく、好ましくは、免疫グロブリンまたはその一部のFc領域、アルブミン、アルブミン結合ポリペプチド、Pro/Ala/Ser(PAS)、ヒト絨毛膜ゴナドトロピンのβサブユニットのC末端ペプチド(CTP)、ポリエチレングリコール(PEG)、アミノ酸の長い非構造化親水性配列(XTEN)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、アルブミン結合小分子、およびこれらの組み合わせからなる群から選ばれるいずれか一つを含んでもよい。
【0089】
第3ドメインは、免疫グロブリンのFc領域である場合、これは、変性免疫グロブリンのFc領域でありうる。特に、前記変性免疫グロブリンのFc領域は、Fc受容体および/または補体との結合親和度の変性によって抗体依存性細胞毒性(ADCC)または補体依存性細胞毒性(CDC)が弱化したものでありうる。変性免疫グロブリンは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgD、IgEおよびこれらの組み合わせからなる群から選ばれることができる。具体的に、変性免疫グロブリンのFc領域は、N末端からC末端までのヒンジ領域、CH2ドメインおよびCH3ドメインを含んでもよい。特に、ヒンジ領域は、ヒトIgDヒンジ領域を含んでもよく;CH2ドメインは、ヒトIgDのアミノ酸残基の一部およびヒトIgG4のCH2ドメインのアミノ酸残基の一部を含んでもよく;CH3ドメインは、ヒトIgG4のCH3ドメインのアミノ酸残基の一部を含んでもよい。
【0090】
また、二つの融合タンパク質は、二量体を形成できるが、例えば第3ドメインがFc領域である場合、Fc領域は、互いに結合して二量体を形成することができる。
【0091】
本明細書において使用される用語「Fc領域」、「Fc断片」または「Fc」は、免疫グロブリンの重鎖定常領域2(CH2)および重鎖定常領域3(CH3)を含むが、前記重鎖および軽鎖の可変領域および軽鎖定常領域(CL1)を含まず、重鎖定常領域のヒンジ領域をさらに含んでもよいタンパク質を指す。一実施形態において、ハイブリッドFcまたはそのハイブリッドFc断片は、「hFc」または「hyFc」と命名することができる。
【0092】
また、本明細書において使用される用語「Fc領域変異体」は、Fc領域のうちアミノ酸の一部を置換したり、異なる種類のFc領域を組み合わせて製造されたものを指す。Fc領域変異体は、ヒンジ領域でカットオフされるのを防止することができる。具体的に、配列番号9の144番目のアミノ酸および/または145番目のアミノ酸が変性されてもよい。好ましくは、変異体は、144番目のアミノ酸KがGまたはSで置換された変異体と145番目のアミノ酸EがGまたはSで置換された変異体でありうる。
【0093】
また、変性免疫グロブリンのFc領域またはFc領域変異体は、下記の式(I)で表され得る:
式(I)
N’-(Z1)p-Y-Z2-Z3-Z4-C’
【0094】
上記式(I)中、
N’は、ポリペプチドのN末端であり、C’は、ポリペプチドのC末端であり;
pは、0または1の整数であり;
Z1は、配列番号7の90~98番目のアミノ酸残基のうち98番目のアミノ酸残基からN末端方向に連続した5~9個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列であり;
Yは、配列番号7の99~162番目のアミノ酸残基のうち162番目のアミノ酸残基からN末端方向に連続した5~64個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列であり;
Z2は、配列番号7の163~199番目のアミノ酸残基のうち163番目のアミノ酸残基からC末端方向に連続した4~37個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列であり;
Z3は、配列番号8の115~220番目のアミノ酸残基のうち220番目のアミノ酸残基からN末端方向に連続した71~106個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列であり;
Z4は、配列番号8の221~327番目のアミノ酸残基のうち221番目のアミノ酸残基からC末端方向に連続した80~107個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列である。
【0095】
また、Fc断片は、天然形態に比べて天然糖鎖、増加した糖鎖または減少した糖鎖を有する形態であってもよく、脱糖化した形態であってもよい。免疫グロブリンFc糖鎖は、化学的方法、酵素的方法、微生物を用いた遺伝工学的方法など通常の方法によって変性可能である。Fc断片から糖鎖を除去すると、第1補体成分C1のC1q部分に対する結合親和度が急激に減少し、ADCCまたはCDCが減少または損失されて、生体内で不要な免疫反応を誘導しない。これと関連して、脱糖化または非糖化した形態の免疫グロブリンFc領域が薬物担体として一実施形態の目的にさらに適している場合がある。本明細書において用語「脱糖化」は、Fc断片から糖が酵素的に除去されたFc領域を指す。また、「非糖化」という用語は、Fc断片が原核生物、好ましくは、E.coliによって糖化しない形態で生産されることを意味する。
【0096】
さらに、変性免疫グロブリンのFc領域は、配列番号9(hyFc)、配列番号10(hyFcM1)、配列番号11(hyFcM2)、配列番号12(hyFcM3)、または配列番号13(hyFcM4)のアミノ酸配列を含んでもよい。また、変性免疫グロブリンのFc領域は、配列番号14のアミノ酸配列(非溶解性マウスFc)を含んでもよい。
【0097】
変性免疫グロブリンのFc領域は、米国特許第7,867,491号に記載されたものであってもよく、前記変性免疫グロブリンのFc領域の生産は、全体内容が参照により本明細書に援用されている米国特許第7,867,491号の開示内容を参照して行われ得る。
【0098】
第2ドメインは、第1ドメインのN末端に直接連結されるか、リンカーによって連結されてもよい。具体的に、結果は、第2ドメイン-第1ドメインまたは第2ドメイン-リンカー-第1ドメインの形態でありうる。
【0099】
第3ドメインは、第1ドメインまたは第2ドメインに直接連結されるか、リンカーによって連結されてもよい。具体的に、結果は、第2ドメイン-第1ドメイン-第3ドメイン、第3ドメイン-第2ドメイン-第1ドメイン、第2ドメイン-第1ドメイン-リンカー-第3ドメイン、第3ドメイン-リンカー-第2ドメイン-第1ドメイン、第2ドメイン-リンカー-第1ドメイン-リンカー-第3ドメイン、または第3ドメイン-リンカー-第2ドメイン-第1ドメインの形態でありうる。
【0100】
リンカーがペプチドリンカーである場合、連結は、すべての連結領域で発生することができる。これらは、当業界において公知となった架橋剤を用いて結合されてもよい。架橋剤の例は、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、例えば1,1-ビス(ジアゾアセチル)-2-フェニルエタン、グルタルアルデヒド、および4-アジドサリチル酸;ジスクシンイミジルエステルを含むイミドエステル、例えば3,3’-ジチオビス(プロピオン酸スクシンイミジル)、および二官能性マレイミド、例えばビス-N-マレイミド-1,8-オクタンを含むが、これらに限定されない。
【0101】
さらに、リンカーは、アルブミンリンカーまたはペプチドリンカーでありうる。ペプチドリンカーは、GlyおよびSer残基からなる10~20個のアミノ酸残基のペプチドでありうる。
【0102】
前記リンカーが化学結合からなる群から選ばれるいずれか一つによって形成される場合、前記化学結合は、ジスルフィド結合、ジアミン結合、スルフィド-アミン結合、カルボキシ-アミン結合、エステル結合および共有結合でありうる。
【0103】
変性IL-7は、IL-7の活性またはこれと類似した活性を有するポリペプチドおよび1~10個のアミノ酸からなるオリゴペプチドを含むA-IL-7の構造を有することができる。
【0104】
一実施形態において、変性IL-7は、配列番号15~20からなる群から選ばれるアミノ酸配列を有することができる。さらに、変性IL-7は、配列番号15、16、17、18、19、または20のアミノ酸配列と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する配列を有することができる。
【0105】
他の例示的な実施形態において、変性IL-7またはIL-7融合タンパク質は、IL-7の活性またはこれと類似した活性を有するポリペプチドを含む第1ドメインと;メチオニン、グリシンまたはこれらの組み合わせからなる1~10個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列を含む第2ドメイン;および第1ドメインのC末端に結合した変性免疫グロブリンのFc領域である第3ドメインを含む。
【0106】
IL-7融合タンパク質は、配列番号21~25からなる群から選ばれるアミノ酸配列を有することができる。さらに、IL-7融合タンパク質は、配列番号21、22、23、24、または25のアミノ酸配列と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する配列を有することができる。
【0107】
配列番号21~25のIL-7融合タンパク質は、配列番号29~39からなる群から選ばれるポリヌクレオチド配列によってコード化することができる。
【0108】
核酸分子は、シグナル配列またはリーダー配列をさらに含んでもよい。
【0109】
本明細書において「シグナル配列」という用語は、生物学的活性分子薬物および融合タンパク質の分泌を指示する断片を意味し、これは、宿主細胞で翻訳された後に切断される。
一実施形態のシグナル配列は、小胞体(ER)膜を貫通するタンパク質の移動を開始するアミノ酸配列をコード化するポリヌクレオチドである。一実施形態において有用なシグナル配列は、抗体軽鎖シグナル配列、例えば、抗体14.18(Gillies et al.,J.Immunol.Meth 1989.125:191-202)、抗体重鎖シグナル配列、例えばMOPC141および抗体重鎖シグナル配列(Sakano et al.,Nature、1980.286:676-683)、および当業界において公知となった他のシグナル配列(例えば、Watson et al.,Nucleic Acid Research、1984.12:5145-5164参照)を含む。
【0110】
シグナルペプチドの特性は、当業界においてよく知られており、シグナルペプチドは、通常、16~30個のアミノ酸を有するが、それより多いかまたは少ない数のアミノ酸残基を含んでもよい。既存のシグナルペプチドは、基本N末端領域、中央疎水性領域およびさらに極性のC末端領域の3個の領域からなる。
【0111】
中央疎水性領域は、未成熟ポリペプチドの転位中に膜脂質二重層を通じてシグナル配列を固定させる4~12個の疎水性残基を含む。開始後、シグナル配列は、シグナルペプチダーゼとして知られた細胞酵素によってERの内腔内で頻繁に切断される。特に、シグナル配列は、組織プラスミノーゲン活性化(tPa)のための分泌シグナル配列、単純ヘルペスウイルス糖タンパク質D(HSV gDs)のシグナル配列、または成長ホルモンでありうる。好ましくは、哺乳動物などをはじめとする高等真核細胞で使用される分泌シグナル配列を使用することができる。また、分泌シグナル配列として、野生型IL-7に含まれたシグナル配列を使用するか、または宿主細胞で発現頻度の高いコドンで置換して使用することができる。
【0112】
変性IL-7またはIL-7融合タンパク質をコード化する孤立核酸分子は、発現ベクターに含有されてもよい。
【0113】
本明細書において使用された「ベクター」という用語は、宿主細胞に導入され組換えされて宿主細胞のゲノムに挿入されるか、またはエピソームとして自発的に複製されうるヌクレオチド配列を含む核酸手段として理解される。ベクターは、線形核酸、プラスミド、ファージミド、コスミド、RNAベクター、ウイルスベクターおよびこれらの類似体を含んでもよい。ウイルスベクターの例は、レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルスを含むが、これらに限定されるものではない。
【0114】
本明細書において使用された用語「遺伝子発現」または標的タンパク質の「発現」は、DNA配列の転写、mRNA転写体の翻訳、および融合タンパク質生成物またはその断片の分泌を指すものと理解される。
【0115】
本明細書において使用された用語「宿主細胞」は、組換え発現ベクターが導入されうる原核細胞および真核細胞を指す。本明細書において使用された用語「形質導入された」、「形質転換された」および「形質感染された」は、当業界において公知となった技術を用いて核酸(例えば、ベクター)を細胞内に導入することを指す。
【0116】
本明細書において使用された用語「遺伝子発現」または標的タンパク質の「発現」は、DNA配列の転写、mRNA転写体の翻訳、およびFc融合タンパク質生成物または抗体またはその抗体断片の分泌を指すものと理解される。
【0117】
有用な発現ベクターは、RcCMV(Invitrogen,Carlsbad)またはその変異体でありうる。発現ベクターは、哺乳動物細胞において標的遺伝子の持続的な転写を促進するためのヒトサイトメガロウイルス(CMV)および転写後RNAの安定性状態を増加させるためのウシ成長ホルモンのポリアデニル化シグナル配列を含んでもよい。
例示的な実施形態において、発現ベクターは、RcCMVの変性形態であるpAD15である。
【0118】
発現ベクターは、実施形態のDNA配列の形質導入または形質感染によって標的タンパク質の発現および/または分泌に適合した適切な宿主細胞に含まれ得る。
【0119】
適切な宿主細胞の例は、不滅ハイブリドーマ細胞、NS/0骨髄腫細胞、293細胞、中国ハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ヒト羊水由来細胞(CapT細胞)、またはCOS細胞を含むが、これらに限定されるものではない
【0120】
変性IL-7タンパク質およびその融合タンパク質は、同時係留中の出願(米国出願第15/126,313号)に記述された方法によって生産することができ、その全体内容は参照により本明細書に援用される。
【0121】
組成物
全体内容が本明細書に参照により援用される米国出願第15/773,273号は、変性IL-7融合タンパク質を含有する剤形を開示している。一部の実施形態において、薬剤学的剤形は、(a)変性IL-7融合タンパク質;(b)10~50mM濃度の基本緩衝液;(c)2.5~5w/v%濃度の糖;および(d)0.05~6w/v%濃度の界面活性剤を含んでもよい。剤形は、アミノ酸、糖アルコール(例えば、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、マンニトール、またはこれらの混合物)をさらに含んでもよい。剤形は、約5のpHを有することができる。
【0122】
変性IL-7またはIL-7融合タンパク質を含む薬剤学的組成物は、直接投与(例えば、組織領域への注射、移植または局所投与を通した局所投与)または適切な手段を通じて系(例えば、非経口または経口で)によって被験体に投与することができる。組成物が静脈内に、皮下に、眼内に、腹腔内に、筋肉内に、経口で、直腸内に、眼窩内に、大脳内に、頭蓋内に、脊椎内に、心室内に、髄腔内に、嚢内に、関節内に、鼻腔内に、またはエアロゾル投与によって非経口で投与される場合、組成物は、好ましくは、体液の水性または生理学的に適用可能な懸濁液またはこれらの溶液の一部を含有する。このように生理学的に許される担体または輸送体を組成物に添加して患者に伝達することができ、これは、患者の電解質および/または体積均衡に否定的な影響を及ぼさない。したがって、生理学的に許容される担体または輸送体は、生理食塩水でありうる。
【0123】
また、変性IL-7またはIL-7融合タンパク質を含む核酸を含むDNA作製物(またはゲノム作製物)が遺伝子治療プロトコルの一部として使用できる。
【0124】
所望のタンパク質の機能を再構成したり補完するために、特定細胞で融合タンパク質を発現できる発現ベクターを生物学的に有効な担体とともに投与することができる。これは、所望のタンパク質またはIL-7融合タンパク質をコード化する遺伝子を生体内に細胞内に効率的に伝達できる任意の剤形または組成物でありうる。
【0125】
変性IL-7またはIL-7融合タンパク質をコード化する核酸を用いた遺伝子治療の目的で、対象遺伝子は、ウイルスベクター、組換えバクテリアプラスミドまたは組換え真核プラスミドに挿入されてもよい。前記ウイルスベクターは、組換えレトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、単純ヘルペスウイルス-1など、移植されたT細胞または増殖性インビトロで単離されたT細胞凝集体を含んでもよい。
【0126】
変性IL-7またはその融合タンパク質の使用および治療レジメン
増殖性疾患の治療に使用するための薬剤の製造における変性IL-7またはその融合タンパク質の用途であって、前記薬剤は、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、または15週間の間隔で治療が必要な被験体に2回以上投与される約600μg/kg超過~約2,000μg/kgの範囲の治療的有効用量を含む。
【0127】
実施形態において、増殖性疾患の治療に使用するための薬剤の製造における変性IL-7またはその融合タンパク質の用途であって、前記薬剤は、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、または15週間の間隔で治療が必要な被験体に2回以上投与される約600μg/kg超過~約2,000μg/kgの範囲の治療的有効用量を含む。
【0128】
1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、または15週間の間隔で、または10日、20日、30日、40日、50日、60日、70日、80日、90日、または100日の間隔で、治療が必要な被験体に変性IL-7またはその融合タンパク質を約720μg/kg以上、約960μg/kg以上、約1,200μg/kg以上、約1,700μg/kg以上、または約2,000μg/kgの治療的有効用量で式(I)の化合物またはその薬剤学的に許容可能な塩を2回以上投与することを含む、増殖性疾患の治療に使用するための変性IL-7またはその融合タンパク質の用途。
【0129】
1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、または15週間の間隔で、または10日、20日、30日、40日、50日、60日、70日、80日、90日、または100日の間隔で、治療が必要な被験体に変性IL-7またはその融合タンパク質を約720μg/kg以上、約960μg/kg以上、約1,200μg/kg以上、約1,700μg/kg以上、または約2,000μg/kgの治療的有効用量で式(I)の化合物またはその薬剤学的に許容可能な塩を2回以上投与することを含む、増殖性疾患の治療に使用するための薬剤の製造に使用するための変性IL-7またはその融合タンパク質の用途。
【0130】
1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、または15週間の間隔で、または10日、20日、30日、40日、50日、60日、70日、80日、90日、または100日の間隔で、治療が必要な被験体に変性IL-7またはその融合タンパク質を約720μg/kg以上、約840μg/kg以上、約960μg/kg以上、約1,200μg/kg以上、約1,440μg/kg以上、約1,700μg/kg以上、または約2,000μg/kgの治療的有効用量で式(I)の化合物またはその薬剤学的に許容可能な塩を2回以上投与することを含む、増殖性疾患の治療に使用するための変性IL-7またはその融合タンパク質の用途。
【0131】
1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、または15週間の間隔で、または10日、20日、30日、40日、50日、60日、70日、80日、90日、または100日の間隔で、治療が必要な被験体に変性IL-7またはその融合タンパク質を約720μg/kg以上、約840μg/kg以上、約960μg/kg以上、約1,200μg/kg以上、約1,440μg/kg以上、約1,700μg/kg以上、または約2,000μg/kgの治療的有効用量で式(I)の化合物またはその薬剤学的に許容可能な塩を2回以上投与することを含む、増殖性疾患の治療に使用するための薬剤の製造に使用するための変性IL-7またはその融合タンパク質の用途。
【0132】
必要な被験体においてリンパ球数またはリンパ球生産を増加させるのに使用するための薬剤の製造における変性IL-7またはその融合タンパク質の用途であって、前記薬剤は、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、または15週間の間隔で被験体に2回以上投与される約600μg/kg超過~約2,000μg/kgの範囲の治療的有効用量を含む。
【0133】
実施形態において、必要な被験体においてリンパ球数またはリンパ球生産を増加させるのに使用するための薬剤の製造における変性IL-7またはその融合タンパク質の用途であって、前記薬剤は、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、または15週間の間隔で被験体に2回以上投与される約600μg/kg超過~約2,000μg/kgの範囲の治療的有効用量を含む。
【0134】
1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、または15週間の間隔で、または10日、20日、30日、40日、50日、60日、70日、80日、90日、または100日の間隔で、被験体に変性IL-7またはその融合タンパク質を約720μg/kg以上、約960μg/kg以上、約1,200μg/kg以上、約1,700μg/kg以上、または約2,000μg/kgの治療的有効用量で式(I)の化合物またはその薬剤学的に許容可能な塩を2回以上投与することを含む、必要な被験体においてリンパ球数またはリンパ球生産を増加させるのに使用するための変性IL-7またはその融合タンパク質の用途。
【0135】
1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、または15週間の間隔で、または10日、20日、30日、40日、50日、60日、70日、80日、90日、または100日の間隔で、被験体に変性IL-7またはその融合タンパク質を約720μg/kg以上、約960μg/kg以上、1,200μg/kg以上、約1,700μg/kg以上、または約2,000μg/kgの治療的有効用量で式(I)の化合物またはその薬剤学的に許容可能な塩を2回以上投与することを含む、必要な被験体においてリンパ球数またはリンパ球生産を増加させるのに使用するための薬剤の製造に使用するための変性IL-7またはその融合タンパク質の用途。
【0136】
1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、または15週間の間隔で、または10日、20日、30日、40日、50日、60日、70日、80日、90日、または100日の間隔で、被験体に変性IL-7またはその融合タンパク質を約720μg/kg以上、約840μg/kg以上、約960μg/kg以上、約1,200μg/kg以上、約1,440μg/kg以上、約1,700μg/kg以上、または約2,000μg/kgの治療的有効用量で式(I)の化合物またはその薬剤学的に許容可能な塩を2回以上投与することを含む、必要な被験体においてリンパ球数またはリンパ球生産を増加させるのに使用するための変性IL-7またはその融合タンパク質の用途。
【0137】
1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、または15週間の間隔で、または10日、20日、30日、40日、50日、60日、70日、80日、90日、または100日の間隔で、被験体に変性IL-7またはその融合タンパク質を約720μg/kg以上、約840μg/kg以上、約960μg/kg以上、約1,200μg/kg以上、約1,440μg/kg以上、約1,700μg/kg以上、または約2,000μg/kgの治療的有効用量で式(I)の化合物またはその薬剤学的に許容可能な塩を2回以上投与することを含む、必要な被験体においてリンパ球数またはリンパ球生産を増加させるのに使用するための薬剤の製造に使用するための変性IL-7またはその融合タンパク質の用途。
【0138】
実施形態において、前記用途のための増殖性疾患は、がんまたは腫瘍であり、これは、固形腫瘍、リンパ系がん、または白血病でありうるが、これらに限定されない。
【0139】
固形腫瘍は、滑膜肉腫、浸潤性導管がん、直腸がん、結腸がん、卵巣がん、上行結腸がん、肛門がん、浸潤性乳管癌、腺がん、大動脈周囲転移を伴う直腸がん、神経内分泌がん(子宮頸部)、S状結腸がん、または膠芽細胞腫でありうる。
【0140】
実施形態において、被験体は、手術、放射線および化学療法を含むがん治療のうち一つ以上をあらかじめ受けたか、または、同時に受けることができる。
【0141】
(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質、またはこれを含有する薬剤学的組成物は、非経口的に、筋肉内に、皮下に、眼内に、静脈内に、鼻腔内に、真皮内に、眼窩内に、大脳内に、頭蓋内に、脊椎内に、心室内に、髄腔内に、嚢内に、関節内に、または腫瘍内に投与することができる。
【0142】
一部の態様において、被験体は、有害事象共通用語規準(CTCAE)バージョン4.0によって決定時に、血液μl当たり約1000個以下のリンパ球細胞のリンパ球数を有することができる。リンパ球は、T細胞でありうる。T細胞は、CD4+および/またはCD8+T細胞を含んでもよい。血液サンプルのリンパ球の測定には、全血または血清を使用することができる。したがって、リンパ球数と関連して使用される用語「血液」には、全血および/または血清が含まれる。
【0143】
さらに他の態様において、被験体は、血液1μl当たり800個以下のリンパ球細胞のリンパ球数、血液1μl当たり約500個以下のリンパ球細胞のリンパ球数、または血液1μl当たり約200個以下のリンパ球細胞のリンパ球数を有する。
【0144】
一態様において、腫瘍内腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の数は、(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質の投与後の腫瘍内TILの数と比較して投与後に増加する。TILは、CD4+TILおよび/またはCD8+TILでありうる。
【0145】
TILの数は、投与後に少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、少なくとも約250%、または少なくとも約300%まで増加することができる。
【0146】
一実施形態において、(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、または約8週間の間隔で約720μg/kgの量で2回以上投与することができる。
【0147】
一実施形態において、(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約2週間、約3週間、約4週間、または約5週間、約6週間、約7週間、または約8週間の間隔で約840μg/kgの量で2回以上投与することができる。
【0148】
他の実施形態において、(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、または約10週間の間隔で約960μg/kgの量で2回以上投与することができる。
【0149】
さらに他の実施形態において、(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、または約12週間の間隔で約1200μg/kgの量で2回以上投与することができる。
【0150】
さらに他の実施形態において、(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間、約13週間、約14週間、約15週間、約1ヶ月、約2ヶ月、または約3ヶ月の間隔で約1,440μg/kgの量で2回以上投与することができる。
【0151】
一実施形態によれば、(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、9週間に1回、10週間に1回、11週間に1回、12週間に1回、13週間に1回、14週間に1回、または15週間に1回の投与頻度で約600μg/kg超過、約700μg/kg超過、約800μg/kg超過、約900μg/kg超過、約1,000μg/kg超過、約1,100μg/kg超過、約1,200μg/kg超過、約1,300μg/kg超過、約1,400μg/kg超過、約1,500μg/kg超過、約1,600μg/kg超過、約1,700μg/kg超過、約1,800μg/kg超過、約1,900μg/kg超過、または約2,000μg/kg超過の用量で投与することができる。
【0152】
一部態様によれば、(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、9週間に1回、10週間に1回、11週間に1回、12週間に1回、13週間に1回、14週間に1回、または15週間に1回の投与頻度で約610μg/kg~約1,200μg/kg、約650μg/kg~約1,200μg/kg、約700μg/kg~約1,200μg/kg、約750μg/kg~約1,200μg/kg、約800μg/kg~約1,200μg/kg、約850μg/kg~約1,200μg/kg、約900μg/kg~約1,200μg/kg、約950μg/kg~約1,200μg/kg、約1,000μg/kg~約1,200μg/kg、約1,050μg/kg~約1,200μg/kg、約1,100μg/kg~約1,200μg/kg、約1,200μg/kg~約2,000μg/kg、約1,300μg/kg~約2,000μg/kg、約1,500μg/kg~約2,000μg/kg、約1,700μg/kg~約2,000μg/kg、約610μg/kg~約1,000μg/kg、約650μg/kg~約1,000μg/kg、約700μg/kg~約1,000μg/kg、約750μg/kg~約1,000μg/kg、約800μg/kg~約1,000μg/kg、約850μg/kg~約1,000μg/kg、約900μg/kg~約1,000μg/kg、または約950μg/kg~約1,000μg/kgの用量で投与することができる。
【0153】
さらに他の態様によれば、(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、9週間に1回、10週間に1回、11週間に1回、12週間に1回、13週間に1回、14週間に1回、または15週間に1回の投与頻度で約700μg/kg~約900μg/kg、約750μg/kg~約950μg/kg、約700μg/kg~約850μg/kg、約750μg/kg~約850μg/kg、約700μg/kg~約800μg/kg、約800μg/kg~約900μg/kg、約750μg/kg~約850μg/kg、または約850μg/kg~約950μg/kgの用量で投与することができる。
【0154】
さらに他の実施形態によれば、(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、9週間に1回、10週間に1回、11週間に1回、12週間に1回、13週間に1回、14週間に1回、または15週間に1回の投与頻度で約650μg/kg、約680μg/kg、約700μg/kg、約720μg/kg、約740μg/kg、約750μg/kg、約760μg/kg、約780μg/kg、約800μg/kg、約820μg/kg、約840μg/kg、約850μg/kg、約860μg/kg、約880μg/kg、約900μg/kg、約920μg/kg、約940μg/kg、約950μg/kg、約960μg/kg、約980μg/kg、約1,000μg/kg、約1,020μg/kg、約1,040μg/kg、約1,060μg/kg、約1,080μg/kg、約1,100μg/kg、約1,120μg/kg、約1,140μg/kg、約1,160μg/kg、約1,180μg/kg、約1,200μg/kg、約1,220μg/kg、約1,240μg/kg、約1,260μg/kg、約1,280μg/kg、約1,300μg/kg、約1,320μg/kg、約1,340μg/kg、約1,360μg/kg、約1,380μg/kg、約1,400μg/kg、約1,420μg/kg、約1,440μg/kg、約1,460μg/kg、約1,480μg/kg、約1,500μg/kg、約1,520μg/kg、約1,540μg/kg、約1,560μg/kg、約1,580μg/kg、約1,600μg/kg、約1,620μg/kg、約1,640μg/kg、約1,660μg/kg、約1,680μg/kg、約1,700μg/kg、約1,720μg/kg、約1,740μg/kg、約1,760μg/kg、約1,780μg/kg、約1,800μg/kg、約1,820μg/kg、約1,840μg/kg、約1,860μg/kg、約1,880μg/kg、約1,900μg/kg、約1,920μg/kg、約1,940μg/kg、約1,960μg/kg、約1,980μg/kg、または約2,000μg/kgの用量で投与することができる。
【0155】
一実施形態において、(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、9週間に1回、10週間に1回、11週間に1回、12週間に1回、13週間に1回、または10日に1回、20日に1回、30日に1回、40日に1回、50日に1回、60日に1回、90日に1回、または100日に1回の投与頻度で約650μg/kg~680μg/kg、約680μg/kg~700μg/kg、約700μg/kg~720μg/kg、約720μg/kg~740μg/kg、約740μg/kg~750μg/kg、約750μg/kg~760μg/kg、約760μg/kg~780μg/kg、約780μg/kg~800μg/kg、約800μg/kg~820μg/kg、約820μg/kg~840μg/kg、約840μg/kg~850μg/kg、約850μg/kg~860μg/kg、約860μg/kg~880μg/kg、約880μg/kg~900μg/kg、約900μg/kg~920μg/kg、約920μg/kg~940μg/kg、約940μg/kg~950μg/kg、約950μg/kg~960μg/kg、約960μg/kg~980μg/kg、約980μg/kg~1000μg/kg、約1,000μg/kg~1,020μg/kg、約1,020μg/kg~1,040μg/kg、約1,040μg/kg~1,060μg/kg、約1,060μg/kg~1,080μg/kg、約1,080μg/kg~1,100μg/kg、約1,100μg/kg~1,120μg/kg、約1,120μg/kg~1,140μg/kg、約1,140μg/kg~1,160μg/kg、約1,160μg/kg~1,180μg/kg、約1,180μg/kg~1,200μg/kg、約1,200μg/kg~1,220μg/kg、約1,220μg/kg~1,240μg/kg、約1,240μg/kg~1,260μg/kg、約1,260μg/kg~1,280μg/kg、約1,280μg/kg~1,300μg/kg、約1,300μg/kg~1,320μg/kg、約1,320μg/kg~1,340μg/kg、約1,340μg/kg~1,360μg/kg、約1,360μg/kg~1,380μg/kg、約1,380μg/kg~1,400μg/kg、約1,400μg/kg~1,420μg/kg、約1,420μg/kg~1,440μg/kg、約1,440μg/kg~1,460μg/kg、約1,480μg/kg、約1,480μg/kg~1,500μg/kg、約1,500μg/kg~1,520μg/kg、約1,520μg/kg~1,540μg/kg、約1,540μg/kg~1,560μg/kg、約1,560μg/kg~1,580μg/kg、約1,580μg/kg~1,600μg/kg、約1,600μg/kg~1,620μg/kg、約1,620μg/kg~1,640μg/kg、約1,640μg/kg~1,660μg/kg、約1,660μg/kg~1,680μg/kg、約1,680μg/kg~1,700μg/kg、約1,700μg/kg~1,720μg/kg、約1,720μg/kg~1,740μg/kg、約1,740μg/kg~1,760μg/kg、約1,760μg/kg~1,780μg/kg、約1,780μg/kg~1,800μg/kg、約1,800μg/kg~1,820μg/kg、約1,820μg/kg~1,840μg/kg、約1,840μg/kg~1,860μg/kg、約1,860μg/kg~1,880μg/kg、約1,880μg/kg~1,900μg/kg、約1,900μg/kg~1,920μg/kg、約1,920μg/kg~1,940μg/kg、約1,940μg/kg~1,960μg/kg、約1,960μg/kg~1,980μg/kg、または約1,980μg/kg~1,200μg/kgの用量で投与することができる。
【0156】
一実施形態において、被験体は、化学療法を受けたか、受けているか、または、受ける予定でありうる。化学療法剤および変性IL-7またはその融合タンパク質は、同時にまたは順次に投与することができる。
【0157】
参考実施例1.オリゴペプチドがIL-7に結合された変性IL-7タンパク質の製造
IL-7のN末端にオリゴペプチドが結合した変性IL-7を製造した。IL-7に対して、ヒトIL-7の配列(配列番号1)を使用し、オリゴペプチドとしては、メチオニン(M)、グリシン(G)、MM、GG、MG、GM、MMM、MMG、MGM、GMM、MGG、GMG、GGM、GGG、DDD、またはMMMM配列を使用した。
【0158】
図1aに示されたように、’A’-IL-7の構造を有する変性IL-7の多様な形態を製造した。本実施例では、メチオニン(M)、グリシン(G)、MM、GG、MG、GM、MMM、MMG、MGM、GMM、MGG、GMG、GGM、GGG、DDDまたはMMMM配列を2次ドメインとして使用した(オリゴペプチド、’A’)。また、MGMM、MGGM、MGGG、MGMG、GMMM、GMGG、GGGG、MMMMM、MMGMM、MMGGM、MGMMG、MMMMG、GGGGG、GGMMM、GGGMG、MGMGMG、MMMGGG、MMGGMM、GGMMGG、MGMGMGMG、MMMMGGGG、MMGGMMGG、MMMMGGGG、MGMGMGMGMGおよびMMMMMGGGGGは、"A"で生成される。
【0159】
オリゴペプチドに融合する第1ドメインであるIL-7に対して配列番号28の核酸配列を使用した。オリゴペプチドにIL-7が融合した形態の全体核酸配列を得た後、発現ベクターに挿入した。陰性対照群として、同じ方式でオリゴペプチド変性がないIL-7タンパク質を製造した。
【0160】
A-IL-7遺伝子を含む発現ベクターをHEK293細胞に形質感染させた。300 mLの懸濁培養物を基準として208.3ugのDNAと416.6ug(μL)のポリエチレンイミン(PEI)(w/w)を用いてポリプレックスを製造した後、HEK293F細胞に形質感染させた。形質感染6日後、細胞培養物を収得してウェスタンブロットを行い、標的タンパク質の発現率を評価した。以後、培養物を8,000rpmで30分間遠心分離し、培養残骸を除去し、0.22umの気孔サイズを有するボトルトップフィルターを用いてろ過した。その結果、M-IL-7、G-IL-7、MM-IL-7、GG-IL-7、MG-IL-7、GM-IL-7、MMM-IL-7、MMG-IL-7、MGM-IL-7、GMM-IL-7、MGG-IL-7、GMG-IL-7、GGM-IL-7、GGG-IL-7、DDD-IL-7、およびMMMM-IL-7の変性IL-7を含有する液体培養物を収得した。また、MGMM-IL-7、MGGM-IL-7、MGGG-IL-7、MGMG-IL-7、GMMM-IL-7、GMGG-IL-7、GGGG-IL-7、MMMMM-IL-7、MMGMM-IL-7、MMGGM-IL-7、MGMMG-IL-7、MMMMG-IL-7、GGGGG-IL-7、GGMMM-IL-7、GGGMG-IL-7、MGMGMG-IL-7、MMMGGG-IL-7、MMGGMM-IL-7、GGMMGG-IL-7、MGMGMGMG-IL-7、MMMMGGGG-IL-7、MMGGMMGG-IL-7、MMMMGGGG-IL-7、MGMGMGMGMG-IL-7、およびMMMMMGGGGG-IL-7が生産される。
【0161】
参考実施例2.IL-7のC末端にFc領域が結合されたIL-7融合タンパク質の製造
異種アミノ酸配列からなるポリペプチドが変性IL-7のC末端にさらに結合されたIL-7融合タンパク質、すなわち第2ドメイン-第1ドメイン-第3ドメインを製造した。第1ドメインの場合、ヒトIL-7の配列(配列番号1)を使用し、第2ドメインとして、M、G、MM、GG、MG、GM、MMM、MMG、MGM、GMM、MGG、GMG、GGM、GGG、DDD、またはMMMM配列を使用した。第3ドメインの場合、Fc領域の配列(配列番号9または14)を使用した。他の実施形態において、MGMM、MGGM、MGGG、MGMG、GMMM、GMGG、GGGG、MMMMM、MMGMM、MMGGM、MGMMG、MMMMG、GGGGG、GGMMM、GGGMG、MGMGMG、MMMGGG、MMGGMM、GGMMGG、MGMGMGMG、MMMMGGGG、MMGGMMGG、MMMMGGGG、MGMGMGMGMGまたはMMMMMGGGGGがIL-7のN末端に連結されるIL-7-Fc融合タンパク質が生成される。
【0162】
第2ドメイン、第1ドメインおよび第3ドメインからなる多様な形態のIL-7融合タンパク質を製造した。本実施例では、第2ドメインとして、メチオニン(M)、グリシン(G)、MM、GG、MG、GM、MMM、MMG、MGM、GMM、MGG、GMG、GGM、GGG、DDD、またはMMMM配列を使用し;第1ドメインとして、ヒトIL-7を使用し;および第3ドメインとして、ハイブリッドFc(hFc、hyFc)またはマウス非分解的Fcを使用した。さらなる実験で、MGMM、MGGM、MGGG、MGMG、GMMM、GMGG、GGGG、MMMMM、MMGMM、MMGGM、MGMMG、MMMMG、GGGGG、GGMMM、GGGMG、MGMGMG、MMMGGG、MMGGMM、GGMMGG、MGMGMGMG、MMMMGGGG、MMGGMMGG、MMMMGGGG、MGMGMGMGMG、またはMMMMMGGGGGは、変性IL-7融合タンパク質を生成するための第2ドメインとして使用される。
【0163】
特に、ハイブリッドFcに対して、米国特許第7,867,491号に開示されているhFc(hybrid Fc)を使用し、その全体内容が本明細書に参照として含まれる。
hFcは、生理的活性タンパク質と結合することができて、既存の変性免疫グロブリンのFc領域と比べて優れた生体内半減期を示す。
【0164】
参考実施例1と同じ方式で遺伝子発現ベクターを製造して形質感染させた後、細胞を培養して多様な形態のIL-7融合タンパク質を含有する培養液を製造した。その結果、G-IL-7-hyFc、M-IL-7-hyFc、MM-IL-7-hyFc、GG-IL-7-hyFc、MG-IL-7-hyFc、GM-IL-7-hyFc、MMM-IL-7-hyFc、MMG-IL-7-hyFc、MGM-IL-7-hyFc、GMM-IL-7-hyFc、MGG-IL-7-hyFc、GMG-IL-7-hyFc、GGM-IL-7-hyFc、GGG-IL-7-hyFc、DDD-IL-7-hyFc、またはMMMM-IL-7-hyFcタンパク質を含有する培養液を収得した。MGMM-IL-7-hyFc、MGGM-IL-7-hyFc、MGGG-IL-7-hyFc、MGMG-IL-7-hyFc、GMMM-IL-7-hyFc、GMGG-IL-7-hyFc、GGGG-IL-7-hyFc、MMMMM-IL-7-hyFc、MMGMM-IL-7-hyFc、MMGGM-IL-7-hyFc、MGMMG-IL-7-hyFc、MMMMG-IL-7-hyFc、GGGGG-IL-7-hyFc、GGMMM-IL-7-hyFc、GGGMG-IL-7-hyFc、MGMGMG-IL-7-hyFc、MMMGGG-IL-7-hyFc、MMGGMM-IL-7-hyFc、GGMMGG-IL-7-hyFc、MGMGMGMG-IL-7-hyFc、MMMMGGGG-IL-7-hyFc、MMGGMMGG-IL-7-hyFc、MMMMGGGG-IL-7-hyFc、MGMGMGMGMG-IL-7-hyFc、またはMMMMMGGGGG-IL-7-hyFcが生産される。
【0165】
一態様において、コード名GX-I7(配列番号24)を有する変性-IL-7-Fc融合タンパク質が使用できる。GX-17は、配列番号18の変性IL-7および変性IL-7のC末端に融合したhyFcを含む。
【0166】
一態様において、IL-7融合タンパク質は、約60μg/kg以上の用量で投与することができる。用量は、約60μg/kg~約2,000μg/kgの範囲でありうる。
用量は、約60μg/kg以上、約120μg/kg以上、約240μg/kg以上、約480μg/kg以上、約720μg/kg以上、約960μg/kg以上、約μg/kg以上、1,200μg/kg以上、約1,700μg/kg以上、または約2,000μg/kgでありうる。他の実施形態において、用量は、約60μg/kg以上、約360μg/kg以上、約600μg/kg以上、約840μg/kg以上、または約1440μg/kg以上でありうる。
【0167】
実施形態において、用量は、約60μg/kg以上、約120μg/kg以上、約240μg/kg以上、約360μg/kg以上、約480μg/kg以上、約600μg/kg以上、約720μg/kg以上、約840μg/kg以上、約960μg/kg以上、約1,200μg/kg以上、約1,440μg/kg以上、約1,700μg/kg以上、または約2,000μg/kgでありうる。
【0168】
一部の態様において、変性インターロイキン-7またはインターロイキン-7融合タンパク質は、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、または約8週間の間隔で約720μg/kgの量で2回以上投与される。一部の態様において、変性インターロイキン-7またはインターロイキン-7融合タンパク質は、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、または約8週間の間隔で約840μg/kgの量で2回以上投与される。他の態様において、変性インターロイキン-7またはインターロイキン-7融合タンパク質は、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、または9週間、または約10週間の間隔で約960μg/kgの量で2回以上投与される。一部の態様において、変性インターロイキン-7またはインターロイキン-7融合タンパク質は、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、または約12週間の間隔で約1200μg/kgの量で2回以上投与される。一部の他の態様において、変性インターロイキン-7またはインターロイキン-7融合タンパク質は、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間、約13週間、約14週間、または約15週間の間隔で約1440μg/kgの量で2回以上投与される。
【0169】
I.前臨床研究
A.ラットにおけるIL-7融合タンパク質の単一投与後の薬物動態学的試験
IL-7融合タンパク質の薬物動態学的特性を観察するために、正常ラットを用いて薬物動態学的試験を行った。薬物動態学的試験は、静脈内、皮下および筋肉内投与によって行われた。GX-17(配列番号24)をIL-7融合タンパク質として使用した。
【0170】
正常ラットにIL-7融合タンパク質を静脈内、皮下、筋肉内に1回投与したとき、薬物の生体内動力学および生体利用率を評価した試験結果。
【0171】
静脈内に投与時、AUClastおよびCmaxは、それぞれ、349.7(0.1mg /kg)、1,440.6(0.3mg/kg)、4,225.9(1.0mg/kg)h・ng/mLおよび34.3(0.1mg/kg)、86.7(0.3mg/kg)、324.5(1.0mg/kg)ng/mLであり、これは、用量依存的に増加することを確認した。Tmaxは、0.083時間であり、末端T1/2は、0.1、0.3、および1.0mg/kgの各投与群において22.6、22.6、および22.0時間であり、そして、平均末端T1/2は、22.4時間であった。生体利用率は、静脈内投与群の血中濃度を測定できる時点である72hr(0.1mg/kg)、120hr(0.3mg/kg)、および168hr(1.0mg/kg)を基準として計算された。
【0172】
皮下投与時、AUClastおよびCmaxは、それぞれ、363.8(0.1mg/kg)、1,675.9(0.3mg/kg)、9,765.4(1.0mg/kg)h・ng/mLおよび4.1(0.1mg/kg)、16.4(0.3mg/kg)、および105.9(1.0mg/kg)ng/mLであった。Tmaxは、0.1、0.3、および1.0mg/kgの各投与群において48.0、36.0、48.0時間に増加し、末端T1/2は、0.3および1.0mg/kgの各投与群において39.4、および24.3時間であることを確認した。生体利用率は、静脈内投与群の血中濃度を基準として104(0.1mg/kg)、116(0.3mg/kg)、および231(1.0mg/kg)であることが示された。
【0173】
筋肉内投与時、AUClastおよびCmaxは、それぞれ、732.3(0.1mg/kg)、2,898.3(0.3mg/kg)、11,027.8(1.0mg/kg)h・ng/mLおよび12.5(0.1mg/kg)、51.2(0.3mg/kg)、および147.9(1.0mg/kg)ng/mLであった。このような値は、用量依存的に増加することを確認した。Tmaxは、0.1、0.3および1.0mg/kgのすべての投与群において約10.0時間であり、末端T1/2は、0.1、0.3および1.0mg/kgの各投与群において48.3、39.0、25.6時間であった。生体利用率は、静脈内投与群の血中濃度を基準として209(0.1mg/kg)、201(0.3mg/kg)、および261(1.0mg/kg)であることが示された。
【0174】
興味深くにも、本実験では、筋肉内に投与された変性IL-7融合タンパク質は、静脈内投与より生体利用率が高いのに対し、既存の多くの薬物化合物は、静脈内投与より皮下または筋肉内投与時に低い生体利用率を示した。
図1a~
図1cを参照されたい。
【0175】
B.サルにおけるIL-7融合タンパク質の投与後の薬物動態学的試験
カニクイザルの薬物動態プロファイルは、4週間1回用量の毒性試験後に毒性動態を通じて確認された。0.6、2、6mg/kgのIL-7融合タンパク質の単一投与後、1週間毒性動態を測定した。その結果、AUClastおよびCmaxは、608(0.6mg/kg)、2,730(2mg/kg)、15,824(6mg/kg)h・ng/mLおよび6(0.6mg/kg)、29(2mg/kg)、172(6mg/kg)ng/mLであり、これは、用量依存的増加を示す。Tmaxは、22-40時間であり、末端T1/2は、0.6、2、および6mg/kgの投与群においてそれぞれ164、90および69時間であった。0.6mg/kg投与群の末端T1/2は、低い血中IL-7融合タンパク質濃度による生物学的変異として終末期の血中IL-7融合タンパク質濃度が若干増加する傾向に起因すると推測される。したがって、0.6mg/kg投与群を除いた残りの群の平均末端T1/2が計算され、約80時間であった。結果は、表2に示される。
【0176】
【0177】
C.正常ラットおよびサルを用いた安全性試験
【0178】
IL-7融合タンパク質の反復投与毒性に対する用量を設定するために、正常ラットとカニクイザルを用いて2週間試験を行い、薬物投与の設定された用量および投与期間での反復投与による(亜)慢性毒性を測定した。毒性現象の悪化、遅延発生、および可逆性を評価するために4週間反復毒性試験を行った。安全性薬理試験は、正常ラットにおいてIL-7融合タンパク質(GX-I7)で0、1.2、4、12mg/kg、およびカニクイザルにおいて0、0.6、2、6mg/kgの用量で行われた。正常ラットとカニクイザルの両方ともIL-7融合タンパク質(GX-I7)のすべての評価された用量は、試験動物の一般的な行動、神経系、呼吸器系および心血管系に有意な影響を示さなかった。
【0179】
IL-7融合タンパク質(GX-I7)を正常ラットに1週間に1回、合計4週間合計5回、最大12mg/kg/週の用量で皮下に投与される場合、薬物による毒性発見は観察されなかった。試験薬物に関連した症状が観察されたが、反復投与後に血液内薬物露出は観察されなかった。これは、薬物特異的抗体(抗薬物抗体)による遮蔽効果であると見られ、結果的に、正常ラットにおいて4週間1週間に1回IL-7融合タンパク質(GX-I7)の投与のための最大無毒性用量(NOAEL)が決定され得なかった。カニクイザルにおいて4週間繰り返された皮下毒性試験で6mg/kg/週までの用量でも薬物毒性が観察されなかったため、IL-7融合タンパク質(GX-I7)の最大無毒性用量(NOAEL)が6mg/kg/週に設定された。これは、ヒト等価用量(HED)に換算するとき、約2mg/kgに該当する。
【0180】
II.臨床研究
A.目的および人口統計
この臨床試験は、(a)局所進行性または転移性固形がん患者および(b)補助化学療法後に重症治療関連リンパ球減少症がある膠芽細胞腫患者に対して行われた。IL-7融合タンパク質を3週間ごと、4週間ごと、6週間ごと、8週間ごと、9週間ごと、または12週間ごとの間隔で投与して、安全性、耐薬性および絶対リンパ球数増加効果を評価した。
【0181】
(1)転移性固形がん患者群の用量段階的拡大に登録されたすべての被験体は、既存標準治療に失敗したことがあるか、または、組織学的に局所進行性、再発性または転移性非治癒性固形がんと診断された。患者は、がん診断および関連治療の履歴を通じて検証され、他の病歴および選別試験を通じて本研究の選択/除外基準に符合することを確認した。登録された21人の対象者は、結腸がん10(47.6%)、直腸がん5(23.8%)、乳がん2(9.5%)、卵巣がん1(4.7%)、滑膜肉腫1(4.7%)、肛門がん1(4.7%)、および子宮頸がん1(4.7%)で構成された。収集されたすべての安全性、薬物動態学/薬物動態学/免疫原性分析結果に基づいて、用量拡張段階(推奨2相用量、RP2D)で評価する用量と投与間隔を選択した。
【0182】
(2)膠芽細胞腫患者に対する臨床研究をコホート1-5用量増量段階に登録された患者(合計15人の患者)からの安全性、薬力学的/免疫原性分析結果に基づいて推奨2相用量(RP2D)を選択するために行った。深刻な毒性がなく、疾患進行の臨床的有意性のない被験体は、調査者の臨床的有意性およびリスク評価に基づいて試験薬物を続いて投与した。
【0183】
参加患者の年齢は、32歳から81歳間であり、女性と男性を両方含む。患者は、以前に滑膜肉腫、浸潤性導管がん、直腸がん、結腸がん、卵巣がん、上行結腸がん、肛門がん、浸潤性乳管癌、腺がん、大動脈周囲転移を伴う直腸がん、神経内分泌がん(子宮頸部)、S状結腸がん、または膠芽細胞腫と診断された。参加患者は、以前に手術、放射線および化学療法を含むがん治療のうち一つ以上を受けた。
【0184】
B.研究設計
用量増量段階(1周期当たり21、28、42、56、63または84日)に登録された局所進行性または転移性固形がんおよび膠芽細胞腫患者は、21、28、42、56、63または84日の間隔で各周期の初日に固定用量の変性IL-7融合タンパク質(GX-I7)を筋肉内に投与した。
【0185】
用量増量段階には、表3のように9段階(または5段階)用量(60、120、240、480、720、960、1,200、1,700、および2,000μg/kg;または60、360、600、840、1,440μg/kg)でIL-7融合タンパク質の筋肉内投与が含まれ、安全性、耐薬性、薬物動態学/薬力学的変化を評価した。筋肉内注射中に、注射部位当たり注射用量が2mLを超えないように注射部位を分けて投与する。
【0186】
【0187】
C.安全性
1.固形腫瘍患者
安全性は、用量増量段階被験体(局所進行性または転移性固形がんを有する合計21人の患者)の有害反応(実験室検査値の異常、被験体が訴える臨床症状および兆候、研究者評価など)を通じて評価した。結果は、表4に示される。
【0188】
全体有害反応のうち、21人中16人(76.2%)において「試験薬物と関連がある」と判断された44件の薬物有害反応(ADR)が発生した。等級がNCI-CTCAE(バージョン4.0)によって薬物有害反応(ADR)の重症度に対して分類されたとき、29件の事象が軽症であり(等級1)、15件の事象が重症であり(等級2)、等級3、4、5のADRが報告されなかった。合計3件の重篤な有害事象(SAE)が報告され、全部「試験薬物との関係なし」と評価された。報告されたADR頻度によれば、注射部位反応が最も頻繁に起こり、21人中14人(66.7%)において25件の事象が報告され、8件の発熱事象、4件の発疹または発疹丘疹事象、2件の食欲減少事象、および無力症、腰痛、便秘、インフルエンザ様疾患、および筋肉痛それぞれ1件ずつ報告された。これによって、薬物による深刻な有害反応がないことが確認された。
【0189】
【0190】
2.膠芽細胞腫患者
用量増量段階で報告された膠芽細胞腫患者15人を対象に有害反応(実験室検査値の異常、被験体が訴える臨床症状および兆候、研究者評価など)を通じて安全性を評価した。
表5を参照されたい。
【0191】
全体有害反応中、15人の被験体のうち13人(86.7%)において「試験薬物と関連がある」と判断された32件の薬物有害反応(ADR)が発生した。各群は、60μg/kg群の患者1人(33.3%、2件)、360μg/kg群の患者3人(100.0%、10件)および600μg/kg群の患者3人(100.0%、5件)、840μg/kg群の患者3人(100.0%、7件)、および1,440μg/kg群の患者3人(100.0%、8件)であった。等級がNCI-CTCAE(バージョン4.0)によって薬物有害反応(ADR)の重症度に対して分類されたとき、21件の事象が軽症であり(等級1)、11件の事象が重症であり(等級2)、等級3、4、5のADRが報告されなかった。ADRの報告された頻度によれば、注射部位反応が最も頻繁に発生し、15人中11人(66.0%)において9件が報告された。じんましん6件、掻痒症3件、熱感、発熱、および腫れそれぞれ2件および注射部位の痛み、筋肉痛、末梢浮腫、疲労、発疹それぞれ1件が報告された。これによって、薬物による深刻な有害反応がないことが確認された。
【0192】
【0193】
3.薬物動態学
薬物動態学的パラメーターの場合、各被験体に対して値を計算し、平均、標準偏差、最小値および最大値を各用量グループに対する技術的統計で表示した。
【0194】
変性IL-7融合タンパク質GX-I7の投与前(0時間)および投与後0.5、6、12、24、48、72、168、336、および504時間に血液を収集し、血液中のIL-7の濃度を市販のELISAキット(R&D Systems社製Human IL-7 Quantikine HS ELISA Kit HS750)を用いて分析し、結果を表(PKパラメーター)およびグラフに示した。
【0195】
各用量群において被験体別の血中濃度-時間曲線は
図2に示され、薬物動態学的パラメーターは表6に提示される。すべての用量群における投与前後のIL-7融合タンパク質の筋肉内投与による血中濃度測定結果。IL-7の血中濃度は、用量依存的に増加することが観察された。
【0196】
1次の筋肉内投与において、各用量の平均12~48時間以内に最も高い血中濃度に到達した後、変性IL-7融合タンパク質の血中濃度が低下し、半減期(t1/2)は33~147時間であった。間に差異があった。
【0197】
個体間に差異があるが、試験薬物の投与量が増加するにつれてC
maxおよびAUC
lastが増加する傾向があり、960μg/kgよりも1,200μg(kg)において増加した用量よりさらに増加した。パターンを示した。用量によるC
maxとAUC
last変化間の相関関係は、
図3aおよび
図3bに示されている。
【0198】
【0199】
4.薬力学(PD)特性
(a)固形がん患者に対する臨床試験
局所的に進行されたまたは転移性固形がんを有する患者においてIL-7融合タンパク質の活性に対する探索的薬力学的指標として適用できるバイオマーカーを評価するために、試験薬物を用量増量段階に登録された21人の被験体に投与した。前後に末梢血液を採取して、多様な免疫細胞の種類と血液内変化百分率を測定した。
【0200】
(b)膠芽細胞腫患者に対する臨床試験
膠芽細胞腫患者においてIL-7融合タンパク質の活性に対する探索的薬力学的指標として適用できるバイオマーカーの評価のための用量増量段階に登録された15人の被験体において試験薬物の投与前および後の末梢。血液を採取して、多様な免疫細胞類型および血液内比率変化を測定した。
【0201】
4.1 IL-7融合タンパク質の投与による絶対リンパ球数(ALC)の変化
絶対リンパ球数(ALC)を測定するために、全体患者群に対する各用量群(コホート)によってIL-7融合タンパク質の投与前と投与3週後に患者の血液を採取した。ALCの絶対値は、分析装置を用いて測定した。
【0202】
低用量(60-120μg/kg & 60μg/kg)、中用量(240-480μg/kg & 360-600μg/kg)、高用量(720-1,200μg/kg & 840-1,440μg/kg)グループにおいて固形がんおよび膠芽細胞腫患者群、および基線から3週間の絶対ALC値の変化は、
図4aおよび
図4bに示される。その結果、高用量群(720-1,440μg/kg)においてALCの絶対値変化が基準値と比べて4.4倍まで増加することを確認した。このパターンは、CD3
+、CD4
+およびCD8
+T細胞において同じ増加パターンを示すことが確認された。
図5a、
図5b、
図6a、
図6b、
図7aおよび
図7bを参照されたい。
【0203】
4.2 リンパ球減少症患者におけるALCの変化
すべての固形がん患者および膠芽細胞腫患者において、IL-7融合タンパク質の投与前に基線ALCレベルが1,000細胞/mm
3未満の患者をリンパ球減少症患者に分類し、IL-7融合タンパク質を3週間または6週間ごと(固形がん)および4週間ごと、8週間ごと、9週間ごと、または12週間ごと(GBM)の間隔で投与した。以後、リンパ球減少症および非リンパ球減少症患者の各群に対してALCの変化を観察し、その結果を
図8a、
図8b、
図9aおよび
図9bに示した。
【0204】
分析結果、非リンパ球減少症患者群においてALC値が有意に増加し、ALCが1,000細胞/mm3未満のリンパ球減少症患者群において投与3週後にALC値が正常範囲内に増加することを確認した。また、非リンパ球減少症患者群において基線値と比較して変化の大きさがリンパ球減少症患者群、特に高用量群において同様に増加することを確認した。
【0205】
4.3 Ki67、CD127(IL-7Rα)およびT細胞亜型(サブセット)分析結果
固形がん患者においてALC増加の主要指標としてKi67発現の変化から、CD4
+T細胞およびCD8
+T細胞の両方でのKi67発現の量がCD4
+T細胞およびCD8
+T細胞の両方で用量依存的方式で増加していることが確認された。一方、IL-7の受容体であるCD127の発現レベルは、高用量で基線レベルと比べて顕著に減少することを確認した。また、免疫系を調節する調節性T細胞(Treg細胞)と比較してCD4
+T細胞およびCD8
+T細胞(CD4
+/Treg比率およびCD8
+/Treg比率)数の変化は、CD4
+およびCD8
+T細胞がすべての用量グループにおいて基線と比較してTreg細胞の増加よりさらに多く増加したことを示す。
図10a、
図10bおよび
図10cを参照されたい。
【0206】
4.4 最適投与間隔設定のためのKi67発現およびALC変化の分析
4.4.A. 投与間隔を設定するための前臨床研究の結果
投与間隔設定のためのIL-7融合タンパク質の反応性を確認するために、サル実験で採取した血液サンプルを利用してin vitroの各時点でIL-7融合タンパク質の刺激7日後にKi67反応性を確認した。その採血時点を
図11に示した。
【0207】
その結果、IL-7融合タンパク質の投与14、10および3日前にPBMCで、IL-7融合タンパク質の刺激によってKi67の発現が増加したのに対し、IL-7融合タンパク質の投与後には、4日目、11日目、18日目に採取した血液サンプルで、IL-7融合タンパク質によるKi67の発現が減少することを確認した。このような傾向は、CD4+およびCD8+T細胞の両方で観察され、31日目、45日目、59日目、73日目に血液サンプルでKi67発現が増加することを確認した。
【0208】
結果は、IL-7融合タンパク質によるT細胞の第1増殖後に再増殖が現れるまで一定期間がかかりうることを示唆する。変曲点が増加することが予想される。また、一部の個体(ZC5M03)は、約5-6週に反応性を回復することが観察された。
図12aおよび
図12bを参照されたい。
【0209】
4.4.B. 投与間隔設定に対する臨床研究結果
【0210】
がん患者においてIL-7融合タンパク質の単一投与によるALC変化を測定した結果は、高用量群において第1投与によって増加したALCが最大12週間維持されることが示された。これは、投与間隔を設定するに際して、8~12週間以上(例えば、15週間)の間隔を維持することが可能であることを示唆する。
図13aおよび
図13bを参照されたい。
【0211】
膠芽細胞腫患者を対象とする研究で、実際IL-7融合タンパク質は、単独投与だけでなく、膠芽細胞腫患者の標準治療として、化学療法(TMZ)をはじめとする多様な抗がん薬物と併用投与した。ALCは、反復投与によって有意に増加した。結果は、既存の化学療法薬物によって一般的に減少する(これは、優先的に急速に増殖する細胞を死滅させる)絶対リンパ球数(ALC)の数がIL-7融合タンパク質の単一または反復投与によって特定レベル以上に維持できることを示す。したがって、IL-7融合タンパク質は、既存の抗がん治療を向上させるか、改善させることが期待される。
図14a、
図14bおよび
図14cを参照されたい。
【0212】
4.5 IL-7融合タンパク質の投与後のT細胞サブセット、NK細胞およびB細胞の変化
IL-7融合タンパク質としてGX-I7を投与された患者群のCD4
+T細胞とCD8
+T細胞の亜型分析結果、CD4
+T細胞とCD8
+T細胞の用量依存的増加が観察された。未接触CD4
+およびCD8
+T細胞の増加は、基線と比較して最も大きかった。これらのCCR5発現は、また、各用量で基線値と比較して増加したが、これは、IL-7融合タンパク質の投与がT細胞の腫瘍部位への移動を誘導できることを示唆する。NK細胞も、基線と比べて用量依存的増加を示した。しかしながら、基線と比較してB細胞の増加は観察されなかった。
図15aおよび
図15bを参照されたい。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2022-03-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
必要とする被験体においてリンパ球数を増加させる
ための組成物であって、
(i)下記の式(I)の変性インターロイキン-7:
A-IL-7 式(I)
ここで、Aは、1~10個のアミノ酸残基からなるオリゴペプチドであり、
IL-7は、IL-7受容体に結合できるポリペプチドであり;または
(ii)次を含むインターロイキン-7融合タンパク質
(a)変性インターロイキン-7、
(b)メチオニン、グリシン、またはこれらの組み合わせからなる1~10個のアミノ酸残基を有するオリゴペプチドを含む第2ドメイン;および
(c)インターロイキン-7融合タンパク質の半減期を延長する第3ドメイン
を
含み、(i)または(ii)は、約6
0μg/kg
以上の用量で被験体に投与
されるものであることを特徴とする、組成物。
【請求項2】
被験体は、がん;感染;心臓右心室の慢性不全;ホジキン病;胸管の漏出または破裂;抗がん剤(例えば、化学療法)、抗ウイルス剤、またはグルココルチコイドを含む処方薬の副作用;低タンパク質食による栄養失調、放射線療法、尿毒症、自己免疫疾患、免疫不全症候群、胸腺摘出術、またはこれらの組み合わせ;または特発性、急性放射線症候群(ARS)またはこれらの組み合わせを罹患している、請求項1に記載の
組成物。
【請求項3】
IL-7は、配列番号1~6からなる群から選ばれるアミノ酸配列を有する、請求項1または2に記載の
組成物。
【請求項4】
Aは、メチオニン、グリシン、メチオニン-メチオニン、グリシン-グリシン、メチオニン-グリシン、グリシン-メチオニン、メチオニン-メチオニン-メチオニン、メチオニン-メチオニン-グリシン、メチオニン-グリシン-メチオニン、グリシン-メチオニン-メチオニン、メチオニン-グリシン-グリシン、グリシン-メチオニン-グリシン、グリシン-グリシン-メチオニン、またはグリシン-グリシン-グリシンである、請求項3に記載の
組成物。
【請求項5】
第3ドメインは、変性免疫グロブリンのFc領域を含む、請求項
1に記載の
組成物。
【請求項6】
変性免疫グロブリンは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgD、IgEおよびこれらの組み合わせからなる群から選ばれる、請求項
5に記載の
組成物。
【請求項7】
変性免疫グロブリンのFc領域は、N末端からC末端方向にヒンジ領域、CH2ドメインおよびCH3ドメインを含み、
ここで、ヒンジ領域は、ヒトIgDヒンジ領域を含み、
CH2ドメインは、ヒトIgDおよびヒトIgG4のCH2ドメインのアミノ酸残基の一部を含み、
CH3ドメインは、ヒトIgG4のCH3ドメインのアミノ酸残基の一部を含む、請求項
6に記載の
組成物。
【請求項8】
変性免疫グロブリンのFc領域は、下記の式(I)で表される、請求項
7に記載の
組成物:
式(I)
N’-(Z1)p-Y-Z2-Z3-Z4-C’
ここで、N’は、ポリペプチドのN末端であり、C’は、ポリペプチドのC末端であり;
pは、0または1の整数であり;
Z1は、配列番号7の90~98番目のアミノ酸残基のうち98番目のアミノ酸残基からN末端方向に連続した5~9個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列であり;
Yは、配列番号7の99~162番目のアミノ酸残基のうち162番目のアミノ酸残基からN末端方向に連続した5~64個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列であり;
Z2は、配列番号7の163~199番目のアミノ酸残基のうち163番目のアミノ酸残基からC末端方向に連続した4~37個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列であり;
Z3は、配列番号8の115~220番目のアミノ酸残基のうち220番目のアミノ酸残基からN末端方向に連続した71~106個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列であり;そして、
Z4は、配列番号8の221~327番目のアミノ酸残基のうち221番目のアミノ酸残基からC末端方向に連続した80~107個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列である。
【請求項9】
前記第3ドメインは、配列番号9~14からなる群から選ばれるアミノ酸配列を有する、請求項1に記載の
組成物。
【請求項10】
がんは、固形腫瘍、リンパ系がんまたは白血病である、請求項2に記載の
組成物。
【請求項11】
固形腫瘍は、滑膜肉腫、浸潤性導管がん、直腸がん、結腸がん、卵巣がん、上行結腸がん、肛門がん、浸潤性乳管癌、腺がん、大動脈周囲転移を伴う直腸がん、神経内分泌がん(子宮頸部)、S状結腸がん、または膠芽細胞腫である、請求項1
0に記載の
組成物。
【請求項12】
被験体は、手術、放射線および/または化学療法を含むがん治療のうち一つ以上をあらかじめ受けたか、同時に受けるか、または受ける予定である、請求項1、2、1
0または1
1のいずれか一項に記載の
組成物。
【請求項13】
(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約6
0μg/kg
以上~約2,000μg/kgの範囲の用量で投与される
ものであることを特徴とする、請求項1または2に記載の
組成物。
【請求項14】
(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、または15週間の間隔で2回以上投与される
ものであることを特徴とする、請求項1または2に記載の
組成物。
【請求項15】
(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、非経口的に、筋肉内に、皮下に、眼内に、静脈内に、腹腔内に、真皮内に、眼窩内に、大脳内に、頭蓋内に、脊椎内に、心室内に、髄腔内に、嚢内に、関節内に、または腫瘍内に投与される
ものであることを特徴とする、請求項1または2に記載の
組成物。
【請求項16】
前記(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、配列番号24のアミノ酸配列を含む、請求項
1に記載の
組成物。
【請求項17】
(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約60μg/kg以上、約120μg/kg以上、約240μg/kg以上、約360μg/kg以上、約480μg/kg以上、約600μg/kg以上、約720μg/kg以上、約840μg/kg以上、約960μg/kg以上、約1,200μg/kg以上、約1,440μg/kg以上、約1,700μg/kg以上、または約2,000μg/kgの用量で投与されるものであり、
(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、9週間に1回、10週間に1回、11週間に1回、12週間に1回、13週間に1回、14週間に1回、または15週間に1回の投与頻度で投与される
ものであることを特徴とする、請求項1または2に記載の
組成物。
【請求項18】
腫瘍内腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の数は、投与前の腫瘍内TILの数と比較して(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質の投与後に増加する、請求項
10に記載の
組成物。
【請求項19】
必要とする被験体においてリンパ球数を増加させるのに使用するための薬剤の製造における下記の(i)および/または(ii)の用途であって、前記薬剤は、約6
0μg/kg
以上の用量で患者に投与される用途:
(i)下記の式(I)の変性インターロイキン-7:
A-IL-7 式(I)
ここで、Aは、1~10個のアミノ酸残基からなるオリゴペプチドであり、
IL-7は、IL-7受容体に結合できるポリペプチドであり;および/または
(ii)次を含むインターロイキン-7融合タンパク質
(a)変性インターロイキン-7と、
(b)メチオニン、グリシン、またはこれらの組み合わせからなる1~10個のアミノ酸残基を有するオリゴペプチドを含む第2ドメイン;および
(c)インターロイキン-7融合タンパク質の半減期を延長する第3ドメイン。
【請求項20】
必要とする被験体においてリンパ球数を増加させるための薬剤学的組成物であって、活性成分として、
(i)下記の式(I)の変性インターロイキン-7:
A-IL-7 式(I)
ここで、Aは、1~10個のアミノ酸残基からなるオリゴペプチドであり、
IL-7は、IL-7受容体に結合できるポリペプチドであり;および/または
(ii)次を含むインターロイキン-7融合タンパク質
(a)変性インターロイキン-7と、
(b)メチオニン、グリシン、またはこれらの組み合わせからなる1~10個のアミノ酸残基を有するオリゴペプチドを含む第2ドメイン;および
(c)インターロイキン-7融合タンパク質の半減期を延長する第3ドメイン
を含み、約6
0μg/kg
以上の用量で被験体に投与される、薬剤学的組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】
49.前記48において、(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間、約13週間、約14週間、または約15週間の間隔で前記用量で2回、3回、4回、または5回投与される、方法。
特定の実施形態では、例えば、以下が提供される:
(項目1)
必要とする被験体においてリンパ球数を増加させる方法であって、
(i)下記の式(I)の変性インターロイキン-7:
A-IL-7 式(I)
ここで、Aは、1~10個のアミノ酸残基からなるオリゴペプチドであり、
IL-7は、IL-7受容体に結合できるポリペプチドであり;または
(ii)次を含むインターロイキン-7融合タンパク質
(a)変性インターロイキン-7、
(b)メチオニン、グリシン、またはこれらの組み合わせからなる1~10個のアミノ酸残基を有するオリゴペプチドを含む第2ドメイン;および
(c)インターロイキン-7融合タンパク質の半減期を延長する第3ドメイン
を約600μg/kg超過の用量で被験体に投与することを含む方法。
(項目2)
被験体は、がん;感染;心臓右心室の慢性不全;ホジキン病;胸管の漏出または破裂;抗がん剤(例えば、化学療法)、抗ウイルス剤、またはグルココルチコイドを含む処方薬の副作用;低タンパク質食による栄養失調、放射線療法、尿毒症、自己免疫疾患、免疫不全症候群、胸腺摘出術、またはこれらの組み合わせ;または特発性、急性放射線症候群(ARS)またはこれらの組み合わせを罹患している、項目1に記載の方法。
(項目3)
IL-7は、配列番号1~6からなる群から選ばれるアミノ酸配列を有する、項目1または2に記載の方法。
(項目4)
Aは、IL-7のN末端に連結される、項目3に記載の方法。
(項目5)
Aは、メチオニン、グリシン、メチオニン-メチオニン、グリシン-グリシン、メチオニン-グリシン、グリシン-メチオニン、メチオニン-メチオニン-メチオニン、メチオニン-メチオニン-グリシン、メチオニン-グリシン-メチオニン、グリシン-メチオニン-メチオニン、メチオニン-グリシン-グリシン、グリシン-メチオニン-グリシン、グリシン-グリシン-メチオニン、またはグリシン-グリシン-グリシンである、項目3に記載の方法。
(項目6)
第3ドメインは、第1ドメインまたは第2ドメインのN末端またはC末端に連結される、項目5に記載の方法。
(項目7)
第3ドメインは、免疫グロブリンまたはその一部のFc領域、アルブミン、アルブミン結合ポリペプチド、Pro/Ala/Ser(PAS)、ヒト絨毛膜ゴナドトロピンのβサブユニットのC末端ペプチド(CTP)、ポリエチレングリコール(PEG)、アミノ酸の長い非構造化親水性配列(XTEN)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、アルブミン結合小分子、およびこれらの組み合わせからなる群から選ばれるいずれか一つである、項目4から6のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
第3ドメインは、変性免疫グロブリンのFc領域を含む、項目7に記載の方法。
(項目9)
変性免疫グロブリンは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgD、IgEおよびこれらの組み合わせからなる群から選ばれる、項目8に記載の方法。
(項目10)
変性免疫グロブリンのFc領域は、N末端からC末端方向にヒンジ領域、CH2ドメインおよびCH3ドメインを含み、
ここで、ヒンジ領域は、ヒトIgDヒンジ領域を含み、
CH2ドメインは、ヒトIgDおよびヒトIgG4のCH2ドメインのアミノ酸残基の一部を含み、
CH3ドメインは、ヒトIgG4のCH3ドメインのアミノ酸残基の一部を含む、項目9に記載の方法。
(項目11)
変性免疫グロブリンのFc領域は、下記の式(I)で表される、項目10に記載の方法:
式(I)
N’-(Z1)p-Y-Z2-Z3-Z4-C’
ここで、N’は、ポリペプチドのN末端であり、C’は、ポリペプチドのC末端であり;
pは、0または1の整数であり;
Z1は、配列番号7の90~98番目のアミノ酸残基のうち98番目のアミノ酸残基からN末端方向に連続した5~9個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列であり;
Yは、配列番号7の99~162番目のアミノ酸残基のうち162番目のアミノ酸残基からN末端方向に連続した5~64個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列であり;
Z2は、配列番号7の163~199番目のアミノ酸残基のうち163番目のアミノ酸残基からC末端方向に連続した4~37個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列であり;
Z3は、配列番号8の115~220番目のアミノ酸残基のうち220番目のアミノ酸残基からN末端方向に連続した71~106個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列であり;そして、
Z4は、配列番号8の221~327番目のアミノ酸残基のうち221番目のアミノ酸残基からC末端方向に連続した80~107個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列である。
(項目12)
前記第3ドメインは、配列番号9~14からなる群から選ばれるアミノ酸配列を有する、項目1に記載の方法。
(項目13)
がんは、固形腫瘍、リンパ系がんまたは白血病である、項目2に記載の方法。
(項目14)
固形腫瘍は、滑膜肉腫、浸潤性導管がん、直腸がん、結腸がん、卵巣がん、上行結腸がん、肛門がん、浸潤性乳管癌、腺がん、大動脈周囲転移を伴う直腸がん、神経内分泌がん(子宮頸部)、S状結腸がん、または膠芽細胞腫である、項目13に記載の方法。
(項目15)
被験体は、手術、放射線および/または化学療法を含むがん治療のうち一つ以上をあらかじめ受けたか、同時に受けるか、または受ける予定である、項目1、2、13または14のいずれか一項に記載の方法。
(項目16)
(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約600μg/kg超過~約2,000μg/kgの範囲の用量で投与される、項目1または2に記載の方法。
(項目17)
(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約720μg/kg以上、約960μg/kg以上、約μg/kg以上、1,200μg/kg以上、約1,700μg/kg以上、または約2,000μg/kgの用量で投与される、項目1または2に記載の方法。
(項目18)
(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約720μg/kg以上、約840μg/kg以上、または約1,440μg/kg以上の用量で投与される、項目1または2に記載の方法。
(項目19)
(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約720μg/kg以上、約840μg/kg以上、約960μg/kg以上、約1,200μg/kg以上、約1,440μg/kg以上、約1,700μg/kg以上、または約2,000μg/kgの用量で投与される、項目1または2に記載の方法。
(項目20)
(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、または15週間の間隔で2回以上投与される、項目1または2に記載の方法。
(項目21)
(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、10日、20日、30日、40日、50日、60日、70日、80日、90日、または100日の間隔で2回以上投与される、項目1または2に記載の方法。
(項目22)
(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、非経口的に、筋肉内に、皮下に、眼内に、静脈内に、腹腔内に、真皮内に、眼窩内に、大脳内に、頭蓋内に、脊椎内に、心室内に、髄腔内に、嚢内に、関節内に、または腫瘍内に投与される、項目1または2に記載の方法。
(項目23)
(ii)インターロイキン-7融合タンパク質を投与することを含む、項目1または2に記載の方法。
(項目24)
前記(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、配列番号24のアミノ酸配列を含む、項目23に記載の方法。
(項目25)
被験体は、有害事象共通用語規準(CTCAE)バージョン4.0によって定められる、血液1μl当たり約1000個のリンパ球細胞以下のリンパ球数を有する、項目1または2に記載の方法。
(項目26)
リンパ球がT細胞である、項目25に記載の方法。
(項目27)
(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、または約6週間の間隔で約720μg/kgの量で2回以上投与される、項目1または2に記載の方法。
(項目28)
(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、または約6週間の間隔で約840μg/kgの量で2回以上投与される、項目1または2に記載の方法。
(項目29)
(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、または約9週間の間隔で約960μg/kgの量で2回以上投与される、項目1または2に記載の方法。
(項目30)
(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、または約10週間の間隔で約1,200μg/kgの量で2回以上投与される、項目1または2に記載の方法。
(項目31)
(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間、約13週間、約14週間、約15週間、約2ヶ月、または約3ヶ月の間隔で約1,440μg/kgの量で2回以上投与される、項目1または2に記載の方法。
(項目32)
(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約600μg/kg超過、約700μg/kg超過、約800μg/kg超過、約900μg/kg超過、約1,000μg/kg超過、約1,100μg/kg超過、約1,200μg/kg超過、約1,300μg/kg超過、約1,400μg/kg超過、約1,500μg/kg超過、約1,600μg/kg超過、約1,700μg/kg超過、約1,800μg/kg超過、約1,900μg/kg超過、または約2,000μg/kg超過の用量で投与される、項目1または2に記載の方法。
(項目33)
(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約610μg/kg~約1,200μg/kg、約650μg/kg~約1,200μg/kg、約700μg/kg~約1,200μg/kg、約750μg/kg~約1,200μg/kg、約800μg/kg~約1,200μg/kg、約850μg/kg~約1,200μg/kg、約900μg/kg~約1,200μg/kg、約950μg/kg~約1,200μg/kg、約1,000μg/kg~約1,200μg/kg、約1,050μg/kg~約1,200μg/kg、約1,100μg/kg~約1,200μg/kg、約1,200μg/kg~約2,000μg/kg、約1,300μg/kg~約2,000μg/kg、約1,500μg/kg~約2,000μg/kg、約1,700μg/kg~約2,000μg/kg、約610μg/kg~約1,000μg/kg、約650μg/kg~約1,000μg/kg、約700μg/kg~約1,000μg/kg、約750μg/kg~約1,000μg/kg、約800μg/kg~約1,000μg/kg、約850μg/kg~約1,000μg/kg、約900μg/kg~~約1,000μg/kg、または約950μg/kg~約1,000μg/kgの用量で投与される、項目1または2に記載の方法。
(項目34)
(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約700μg/kg~約900μg/kg、約750μg/kg~約950μg/kg、約700μg/kg~約850μg/kg、約750μg/kg~約850μg/kg、約700μg/kg~約800μg/kg、約800μg/kg~約900μg/kg、約750μg/kg~約850μg/kg、または約850μg/kg~約950μg/kgの用量で投与される、項目1または2に記載の方法。
(項目35)
(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、約650μg/kg、約680μg/kg、約700μg/kg、約720μg/kg、約740μg/kg、約750μg/kg、約760μg/kg、約780μg/kg、約800μg/kg、約820μg/kg、約840μg/kg、約850μg/kg、約860μg/kg、約880μg/kg、約900μg/kg、約920μg/kg、約940μg/kg、約950μg/kg、約960μg/kg、約980μg/kg、約1,000μg/kg、約1,020μg/kg、約1,040μg/kg、約1,060μg/kg、約1,080μg/kg、約1,100μg/kg、約1,120μg/kg、約1,140μg/kg、約1,160μg/kg、約1,180μg/kg、約1,200μg/kg、約1,220μg/kg、約1,240μg/kg、約1,260μg/kg、約1,280μg/kg、約1,300μg/kg、約1,320μg/kg、約1,340μg/kg、約1,360μg/kg、約1,380μg/kg、約1,400μg/kg、約1,420μg/kg、約1,440μg/kg、約1,460μg/kg、約1,480μg/kg、約1,500μg/kg、約1,520μg/kg、約1,540μg/kg、約1,560μg/kg、約1,580μg/kg、約1,600μg/kg、約1,620μg/kg、約1,640μg/kg、約1,660μg/kg、約1,680μg/kg、約1,700μg/kg、約1,720μg/kg、約1,740μg/kg、約1,760μg/kg、約1,780μg/kg、約1,800μg/kg、約1,820μg/kg、約1,840μg/kg、約1,860μg/kg、約1,880μg/kg、約1,900μg/kg、約1,920μg/kg、約1,940μg/kg、約1,960μg/kg、約1,980μg/kg、または約2,000μg/kgの用量で投与される、項目1または2に記載の方法。
(項目36)
(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質は、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、9週間に1回、10週間に1回、11週間に1回、12週間に1回、13週間に1回、14週間に1回、または15週間に1回の投与頻度で投与される、項目1または2に記載の方法。
(項目37)
T細胞は、CD4
+
および/またはCD8
+
T細胞である、項目26に記載の方法。
(項目38)
T細胞は、CD4
+
/CD8
+
T細胞である、項目26に記載の方法。
(項目39)
被験体は、血液1μl当たり約800個以下のリンパ球細胞のリンパ球数を有する、項目25に記載の方法。
(項目40)
被験体は、血液1μl当たり約500個以下のリンパ球細胞のリンパ球数を有する、項目25に記載の方法。
(項目41)
被験体は、血液1μl当たり約200個以下のリンパ球細胞のリンパ球数を有する、項目25に記載の方法。
(項目42)
被験体は、抗がん剤を投与されたか、同時に投与されるか、または投与される予定である、項目1または2に記載の方法。
(項目43)
抗がん剤は、抗がん化合物である、項目42に記載の方法。
(項目44)
腫瘍内腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の数は、投与前の腫瘍内TILの数と比較して(i)変性インターロイキン-7または(ii)インターロイキン-7融合タンパク質の投与後に増加する、項目25または42に記載の方法。
(項目45)
TILは、CD4
+
TILである、項目44に記載の方法。
(項目46)
TILは、CD8
+
TILである、項目44に記載の方法。
(項目47)
TILの数は、投与後に少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、少なくとも約250%、または少なくとも約300%まで増加する、項目44に記載の方法。
(項目48)
必要とする被験体においてリンパ球数を増加させるための下記の(i)および/または(ii)の用途であって、
(i)下記の式(I)の変性インターロイキン-7:
A-IL-7 式(I)
ここで、Aは、1~10個のアミノ酸残基からなるオリゴペプチドであり、
IL-7は、IL-7受容体に結合できるポリペプチドであり;および/または
(ii)次を含むインターロイキン-7融合タンパク質
(a)変性インターロイキン-7と、
(b)メチオニン、グリシン、またはこれらの組み合わせからなる1~10個のアミノ酸残基を有するオリゴペプチドを含む第2ドメイン;および
(c)インターロイキン-7融合タンパク質の半減期を延長する第3ドメイン
を約600μg/kg超過の用量で被験体に投与することを含む用途。
(項目49)
必要とする被験体においてリンパ球数を増加させるのに使用するための薬剤の製造における下記の(i)および/または(ii)の用途であって、前記薬剤は、約600μg/kg超過の用量で患者に投与される用途:
(i)下記の式(I)の変性インターロイキン-7:
A-IL-7 式(I)
ここで、Aは、1~10個のアミノ酸残基からなるオリゴペプチドであり、
IL-7は、IL-7受容体に結合できるポリペプチドであり;および/または
(ii)次を含むインターロイキン-7融合タンパク質
(a)変性インターロイキン-7と、
(b)メチオニン、グリシン、またはこれらの組み合わせからなる1~10個のアミノ酸残基を有するオリゴペプチドを含む第2ドメイン;および
(c)インターロイキン-7融合タンパク質の半減期を延長する第3ドメイン。
(項目50)
必要とする被験体においてリンパ球数を増加させるための薬剤学的組成物であって、活性成分として、
(i)下記の式(I)の変性インターロイキン-7:
A-IL-7 式(I)
ここで、Aは、1~10個のアミノ酸残基からなるオリゴペプチドであり、
IL-7は、IL-7受容体に結合できるポリペプチドであり;および/または
(ii)次を含むインターロイキン-7融合タンパク質
(a)変性インターロイキン-7と、
(b)メチオニン、グリシン、またはこれらの組み合わせからなる1~10個のアミノ酸残基を有するオリゴペプチドを含む第2ドメイン;および
(c)インターロイキン-7融合タンパク質の半減期を延長する第3ドメイン
を含み、約600μg/kg超過の用量で被験体に投与される、薬剤学的組成物。
【国際調査報告】