(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-10
(54)【発明の名称】モバイル最適化ソフトウェアツールを使用した空間ワーキングメモリの測定
(51)【国際特許分類】
G16H 10/00 20180101AFI20221102BHJP
G16H 50/30 20180101ALI20221102BHJP
G16B 50/00 20190101ALI20221102BHJP
【FI】
G16H10/00
G16H50/30
G16B50/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022514669
(86)(22)【出願日】2020-09-04
(85)【翻訳文提出日】2022-04-12
(86)【国際出願番号】 US2020049455
(87)【国際公開番号】W WO2021046386
(87)【国際公開日】2021-03-11
(32)【優先日】2019-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】リンデマン マイケル
(72)【発明者】
【氏名】リプスマイヤー フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】ノブズ デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】チェン ウェイ-イ
(72)【発明者】
【氏名】スレイター デイビッド アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】キルヘンマン ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】グーセンス クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ヒップ イェルク
(72)【発明者】
【氏名】チャサム クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】アポンテ エドゥアルド
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA01
5L099AA15
(57)【要約】
本開示の態様は、多様な臨床試験集団にわたって空間ワーキングメモリを測定するために展開および使用されることができるモバイル最適化ソフトウェアツールに関する。例えば、いくつかの態様は、自閉症スペクトラム障害(ASD)または他の神経学的状態(例えば、アルツハイマー病)に関する臨床試験のための新規な空間ワーキングメモリタスクの計算的最適化および参加型設計を記載している。本明細書に記載のソフトウェアツールは、空間ワーキングメモリに対する処置効果を測定するために、および/または患者の空間ワーキングメモリを改善するための処置を提供するために使用されることができる。デジタルバイオマーカーは、患者の空間ワーキングメモリに基づいて各患者について生成されることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルバイオマーカーを生成するコンピュータ実装方法であって、
神経学的状態を有する患者の評価のためのタスク難易度を判定するステップと、
前記タスク難易度で相互作用型タスクを生成するステップと、
モバイル装置上に表示するために、前記タスクを完了しようと試みている前記患者からのタスク入力を受信するためのグラフィカルユーザインターフェースを生成するステップと、
前記受信したタスク入力に基づいてタスク結果を判定するステップと、
前記受信したタスク入力に基づいて、修正されたタスク難易度を生成するステップと、
前記修正されたタスク難易度を使用して、以前の生成ステップおよび前記タスク結果の判定ステップを、所定の条件が満たされるまで反復するステップと、
前記所定の条件が満たされていることに基づいて、複数の前記受信したタスク入力および判定されたタスク結果を分析することによって前記患者についてのデジタルバイオマーカーを判定するステップと
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記所定の条件が、前記患者が所定の難易度で前記タスクを完了することを含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記所定の条件が、前記患者が任意のタスクを完了しようと試みている間に少なくとも所定数のエラーを起こすことを含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
前記相互作用型タスクが、ゲームボード上のオブジェクトを隠すことを含み、各難易度が、前記ゲームボード上の異なる数の相互作用型要素に関連付けられる、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
前記デジタルバイオマーカーを判定するステップが、タスク入力およびタスク結果を受信するように構成されたサーバ装置によって実行される、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記患者が、処置が投与された集団から選択され、
前記方法が、
前記集団の各患者についての履歴デジタルバイオマーカーを取得するステップと、
前記集団の各患者について、以前に記載されたステップを使用して、新たなデジタルバイオマーカーを生成するステップと、
各患者の前記履歴デジタルバイオマーカーと前記新たなデジタルバイオマーカーとの比較に基づいて、投与された前記処置の処置有効性を判定するステップと
をさらに含む、
請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
前記修正されたタスク難易度を生成するステップが、マルコフ連鎖モンテカルロシミュレーション、グリッド探索、およびベイズ推定からなる群から選択される反復手順を使用することを含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、
神経学的状態を有する患者の評価のためのタスク難易度を判定するステップと、
前記タスク難易度で相互作用型タスクを生成するステップと、
モバイル装置上に表示するために、前記タスクを完了しようと試みている前記患者からのタスク入力を受信するためのグラフィカルユーザインターフェースを生成するステップと、
前記受信したタスク入力に基づいてタスク結果を判定するステップと、
前記受信したタスク入力に基づいて、修正されたタスク難易度を生成するステップと、
前記修正されたタスク難易度を使用して、以前の生成ステップおよび前記タスク結果の判定ステップを、所定の条件が満たされるまで反復するステップと、
前記所定の条件が満たされていることに基づいて、複数の前記受信したタスク入力および判定されたタスク結果を分析することによって前記患者についてのデジタルバイオマーカーを判定するステップと
を含むステップを実行させる命令
を記憶する、非一時的機械可読媒体。
【請求項9】
前記所定の条件が、前記患者が所定の難易度で前記タスクを完了することを含む、請求項8に記載の非一時的機械可読媒体。
【請求項10】
前記所定の条件が、前記患者が任意のタスクを完了しようと試みている間に少なくとも所定数のエラーを起こすことを含む、請求項8に記載の非一時的機械可読媒体。
【請求項11】
前記相互作用型タスクが、ゲームボード上のオブジェクトを隠すことを含み、各難易度が、前記ゲームボード上の異なる数の相互作用型要素に関連付けられる、請求項8に記載の非一時的機械可読媒体。
【請求項12】
前記デジタルバイオマーカーを判定するステップが、タスク入力およびタスク結果を受信するように構成されたサーバ装置によって実行される、請求項8に記載の非一時的機械可読媒体。
【請求項13】
前記命令が、1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、
集団の各患者の履歴デジタルバイオマーカーを取得するステップであって、前記集団から選択された各患者に処置が投与されている、履歴デジタルバイオマーカーを取得するステップと、
前記集団の各患者について、以前に記載されたステップを使用して、新たなデジタルバイオマーカーを生成するステップと、
各患者の前記履歴デジタルバイオマーカーと前記新たなデジタルバイオマーカーとの比較に基づいて、投与された前記処置の処置有効性を判定するステップと
を含むステップをさらに実行させる、
請求項8に記載の非一時的機械可読媒体。
【請求項14】
前記修正されたタスク難易度を生成するステップが、マルコフ連鎖モンテカルロシミュレーション、グリッド探索、およびベイズ推定からなる群から選択される反復手順を使用することを含む、請求項8に記載の非一時的機械可読媒体。
【請求項15】
コンピュータ実装方法であって、
複数のモバイル装置の各モバイル装置が患者集団内の複数人の患者のうちの1人または複数人に関連付けられている、前記複数のモバイル装置から、複数のゲーム結果を取得するステップであって、
前記複数のゲーム結果における各ゲーム結果が、ゲームボードと、前記ゲーム結果を提供する前記モバイル装置への入力として患者によって提供される動きと、前記ゲームボードのそれぞれの難易度とを含み、
前記患者集団が、前記患者集団内の各患者間で共通の少なくとも1つの特性を含む、
複数のゲーム結果を取得するステップと、
前記複数のゲーム結果に基づいて、前記複数のゲーム結果のそれぞれについて前記患者によって提供された前記動き、および前記ゲーム結果における前記ゲームボードのそれぞれについての前記難易度、ソートされたゲーム結果を判定するステップと、
前記複数のゲーム結果のそれぞれについての代表パラメータを反復的に生成するステップと、
各患者について、前記患者に関連する前記反復的に生成された代表パラメータに基づいて、前記患者の空間ワーキングメモリスコアを判定するステップと
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項16】
前記患者集団が、処置が投与された前記集団のサブセットを含み、
前記方法が、
前記患者集団の前記サブセット内の各患者についての履歴メモリスコアを取得するステップと、
前記患者集団の前記サブセット内の各患者の前記履歴記憶スコアと前記空間ワーキングメモリスコアとの比較に基づいて、投与された前記処置の処置有効性を判定するステップと
をさらに含む、
請求項15に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項17】
前記患者集団の第2のサブセットに関連付けられた第2の複数のモバイル装置から、第2の複数のゲーム結果を取得するステップであって、
前記第2の複数のゲーム結果における各ゲーム結果が、ゲームボードと、前記ゲーム結果を提供する前記モバイル装置に関連付けられた患者によって提供される動きとを含み、
前記第2のサブセットが、第2の処置を投与された患者と、前記第2の患者集団の各患者間で共通する少なくとも1つの第2の特性とを含む、
第2の複数のゲーム結果を取得するステップと、
前記第2のサブセット内の各患者について、前記第2のサブセット内の各患者についての第2の空間ワーキングメモリスコアを判定するステップと、
前記患者集団の前記第2のサブセット内の各患者の前記第2の空間ワーキングメモリスコアにさらに基づいて、投与された前記処置の前記処置有効性を判定するステップと
をさらに含む、請求項16に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項18】
前記第2の処置がプラセボを含み、
前記第2の患者集団の前記少なくとも1つの第2の特性が、前記患者集団の少なくとも1つの特性と同じである、
請求項17に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項19】
前記投与される処置が、アルバクロフェン、バロバプタン、GABA-Aa5 PAM、GABA-A1モジュレーター、mGlu4/7 PAM、ドーパミン2受容体拮抗薬、特にリスペリドン、μオピオイド受容体拮抗薬、特にナロキソン、および/またはNMDAグルタミン酸受容体拮抗薬、特にメマンチン、ならびにその薬学的に許容される塩からなる群から選択される治療有効量の薬物を含む、請求項15に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項20】
前記代表パラメータが、マルコフ連鎖モンテカルロシミュレーション、グリッド探索、およびベイズ推定からなる群から選択される手順を使用して反復的に生成される、請求項15に記載のコンピュータ実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年9月5日に出願された「Measuring Spatial working memory across Diverse Clinical Trial Populations using Mobile-Optimized Software Tools」と題する米国仮特許出願第62/896,402号の優先権を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本明細書に記載の態様は、医療診断および分析のためのデジタル健康ツールに関する。特に、本明細書に記載の1つ以上の態様は、空間ワーキングメモリを測定するために展開および使用されることができるモバイル最適化ソフトウェアツールに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
自閉症スペクトラム障害(ASD)は、自閉症およびアスペルガー症候群を含む様々な神経発達状態を含む。ASDを有する個人は、社会的コミュニケーションおよび交流に問題を抱えていることがあり、および/または行動の制限されたおよび/または反復的なパターンを示すことがある。軽度範囲のASDは、独立して機能し得るが、中程度から重度範囲のASDは、日常生活において実質的な支援を必要とし得る。ASDを有する者は、社会的コミュニケーションに欠陥を経験し、反復的で制限された関心を有し、および/または感覚感受性を示すことがある。ASD患者の認知能力と密接に関連している中央実行機能は、空間ワーキングメモリ、すなわち、要求に応じて空間情報を保持および変換する能力である。しかしながら、空間ワーキングメモリを測定する既知の方法は、各評価を実行するために特別な機器および/または特別な訓練を受けた人員を必要とし、それによって評価および処置のコストを上昇させる。
【発明の概要】
【0004】
概要
以下、本明細書に記載の様々な態様の簡略化された概要を示す。本概要は、広範な概説ではなく、主要または重要な要素を特定したり、特許請求の範囲を詳細に説明したりすることを意図するものではない。以下の概要は、以下に提供されるより詳細な説明への導入の前置きとして、いくつかの概念を簡略化された形式で提示するにすぎない。対応する装置、システム、およびコンピュータ可読媒体も本開示の範囲内である。
【0005】
本明細書に記載の主題の一般的な導入として、本開示の態様は、多様な臨床試験集団にわたって空間ワーキングメモリを測定するために展開および使用されることができるモバイル最適化ソフトウェアツールに関する。例えば、いくつかの態様は、ASDにおける臨床試験のための新規な空間ワーキングメモリタスクの計算最適化および参加型設計を記載している。自閉症関連神経ペプチドバソプレシン(および/または他の処置)の投与は、プレイヤの空間的ワーキングメモリを増加させることができる。本明細書に記載のソフトウェアツールは、空間ワーキングメモリに対する処置効果を測定するために、および/または患者の空間ワーキングメモリを改善するための処置を提供するために使用されることができる。デジタルバイオマーカーは、患者の空間ワーキングメモリに基づいて各患者について生成されることができる。
【0006】
本開示の一態様では、コンピュータ実装方法は、患者集団の複数人の患者に関連付けられた複数のモバイル装置から、複数のゲーム結果を取得することであって、複数のゲーム結果における各ゲーム結果が、ゲームボード、およびモバイル装置に関連付けられた患者によって提供される動きを含み、ゲームボードのそれぞれおよび患者集団の難易度が、患者集団の各患者に投与される処置、および患者集団の各患者間で共通する少なくとも1つの特性を含む、複数のゲーム結果を取得することと、複数のゲーム結果に基づいて、複数のゲーム結果のそれぞれについて患者によって提供される動き、およびゲーム結果のゲームボードのそれぞれの難易度、ソートされたゲーム結果を判定することと、複数のゲーム結果のそれぞれについての代表パラメータを反復的に生成することと、各患者について、および患者に関連付けられた反復的に生成された代表パラメータに基づいて、患者の空間ワーキングメモリスコアを判定することと、を含む。
【0007】
本開示のさらに別の態様では、コンピュータ実装方法は、患者集団の各患者の履歴メモリスコアを取得することと、患者集団の各患者の履歴メモリスコアと空間ワーキングメモリスコアとの比較に基づいて、投与された処置の処置有効性を判定することと、をさらに含む。
【0008】
本開示のさらに別の態様では、投与される処置は、アルバクロフェン、バロバプタン、GABA-Aa5 PAM、GABA-A1モジュレーター、mGlu4/7 PAM、ドーパミン2受容体拮抗薬、特にリスペリドン、μオピオイド受容体拮抗薬、特にナロキソン、および/またはNMDAグルタミン酸受容体拮抗薬、特にメマンチン、ならびにその薬学的に許容される塩の群から選択される治療有効量の薬物を含む。
【0009】
本開示のさらに別の態様では、コンピュータ実装方法は、第2の患者集団の第2の複数人の患者に関連付けられた第2の複数のモバイル装置から、第2の複数のゲーム結果を取得することであって、第2の複数のゲーム結果の各ゲーム結果が、ゲームボードおよびゲーム結果を提供するモバイル装置に関連付けられた患者によって提供される動きを含み、第2の患者集団が、第2の複数人の患者の各患者に投与される第2の処置と、第2の患者集団の各患者の間で共通の少なくとも1つの第2の特性とを含む、第2の複数のゲーム結果を取得することと、第2の患者集団の各患者について、第2の患者集団の各患者の第2の空間ワーキングメモリスコアを判定することと、第2の患者集団の各患者の第2の第2の空間ワーキングメモリスコアにさらに基づいて、投与された処置の処置有効性を判定することと、をさらに含む。
【0010】
本開示のさらに別のさらなる態様では、第2の処置は、プラセボを含み、第2の患者集団の少なくとも1つの第2の特性が、患者集団の少なくとも1つの特性と同じである。
【0011】
本開示のさらに別のさらなる態様では、代表パラメータは、マルコフ連鎖モンテカルロシミュレーション、グリッド探索、およびベイズ推定の群から選択された手順を使用して反復的に生成される。
【0012】
本開示のさらに別のさらなる態様では、コンピュータ実装方法は、処置有効性に基づいて、患者集団の少なくとも1つの特性と共通の特性を有する患者に対する処置推奨を判定することをさらに含む。
【0013】
本開示のさらに別の態様は、プロセッサと、プロセッサと通信し、命令を記憶するメモリであって、命令が、プロセッサによって読み取られると、コンピューティング装置に、患者集団の複数人の患者に関連付けられた複数のモバイル装置から、複数のゲーム結果を取得させることであって、複数のゲーム結果における各ゲーム結果が、ゲームボード、およびモバイル装置に関連付けられた患者によって提供される動きを含み、ゲームボードのそれぞれおよび患者集団の難易度が、患者集団の各患者に投与される処置、および患者集団の各患者間で共通する少なくとも1つの特性を含む、複数のゲーム結果を取得させ、複数のゲーム結果に基づいて、複数のゲーム結果のそれぞれについて患者によって提供される動き、およびゲーム結果のゲームボードのそれぞれの難易度、ソートされたゲーム結果を判定させ、複数のゲーム結果のそれぞれについての代表パラメータを反復的に生成させ、各患者について、および患者に関連付けられた反復的に生成された代表パラメータに基づいて、患者の空間ワーキングメモリスコアを判定させる、メモリと、を含むコンピューティング装置を含む。
【0014】
本開示のさらに別の態様では、命令は、プロセッサによって読み取られると、コンピューティング装置に、さらに、患者集団の各患者の履歴メモリスコアを取得させ、患者集団の各患者の履歴メモリスコアと空間ワーキングメモリスコアとの比較に基づいて、投与された処置の処置有効性を判定させる。
【0015】
本開示のさらに別の態様では、投与される処置は、アルバクロフェン、バロバプタン、GABA-Aa5 PAM、GABA-A1モジュレーター、mGlu4/7 PAM、ドーパミン2受容体拮抗薬、特にリスペリドン、μオピオイド受容体拮抗薬、特にナロキソン、および/またはNMDAグルタミン酸受容体拮抗薬、特にメマンチン、ならびにその薬学的に許容される塩の群から選択される治療有効量の薬物を含む。
【0016】
本開示のさらに別の態様では、命令は、プロセッサによって読み取られると、コンピューティング装置に、さらに、第2の患者集団の第2の複数人の患者に関連付けられた第2の複数のモバイル装置から、第2の複数のゲーム結果を取得させることであって、第2の複数のゲーム結果の各ゲーム結果が、ゲームボードおよびゲーム結果を提供するモバイル装置に関連付けられた患者によって提供される動きを含み、第2の患者集団が、第2の複数人の患者の各患者に投与される第2の処置と、第2の患者集団の各患者の間で共通の少なくとも1つの第2の特性とを含む、第2の複数のゲーム結果を取得させ、第2の患者集団の各患者について、第2の患者集団の各患者の第2の空間ワーキングメモリスコアを判定させ、第2の患者集団の各患者の第2の第2の空間ワーキングメモリスコアにさらに基づいて、投与された処置の処置有効性を判定させる。
【0017】
本開示のさらに別のさらなる態様では、第2の処置は、プラセボを含み、第2の患者集団の少なくとも1つの第2の特性が、患者集団の少なくとも1つの特性と同じである。
【0018】
本開示のさらに別のさらなる態様では、代表パラメータは、マルコフ連鎖モンテカルロシミュレーション、グリッド探索、およびベイズ推定の群から選択された手順を使用して反復的に生成される。
【0019】
本開示のさらに別のさらなる態様では、命令は、プロセッサによって読み取られると、コンピューティング装置に、さらに、処置有効性に基づいて、患者集団の少なくとも1つの特性と共通の特性を有する患者に対する処置推奨を判定させる。
【0020】
本開示のさらに別の態様は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサに、患者集団の複数人の患者に関連付けられた複数のモバイル装置から、複数のゲーム結果を取得することであって、複数のゲーム結果における各ゲーム結果が、ゲームボード、およびモバイル装置に関連付けられた患者によって提供される動きを含み、ゲームボードのそれぞれおよび患者集団の難易度が、患者集団の各患者に投与される処置、および患者集団の各患者間で共通する少なくとも1つの特性を含む、複数のゲーム結果を取得することと、複数のゲーム結果に基づいて、複数のゲーム結果のそれぞれについて患者によって提供される動き、およびゲーム結果のゲームボードのそれぞれの難易度、ソートされたゲーム結果を判定することと、複数のゲーム結果のそれぞれについての代表パラメータを反復的に生成することと、各患者について、および患者に関連付けられた反復的に生成された代表パラメータに基づいて、患者の空間ワーキングメモリスコアを判定することと、を含むステップを実行させる命令を記憶する非一時的機械可読媒体を含む。
【0021】
本開示のさらに別の態様では、命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサに、さらに、患者集団の各患者の履歴メモリスコアを取得することと、患者集団の各患者の履歴メモリスコアと空間ワーキングメモリスコアとの比較に基づいて、投与された処置の処置有効性を判定することと、を含むステップを実行させる。
【0022】
本開示のさらに別の態様では、投与される処置は、アルバクロフェン、バロバプタン、GABA-Aa5 PAM、GABA-A1モジュレーター、mGlu4/7 PAM、ドーパミン2受容体拮抗薬、特にリスペリドン、μオピオイド受容体拮抗薬、特にナロキソン、および/またはNMDAグルタミン酸受容体拮抗薬、特にメマンチン、ならびにその薬学的に許容される塩の群から選択される治療有効量の薬物を含む。
【0023】
本開示のさらに別の態様では、命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサに、さらに、第2の患者集団の第2の複数人の患者に関連付けられた第2の複数のモバイル装置から、第2の複数のゲーム結果を取得することであって、第2の複数のゲーム結果の各ゲーム結果が、ゲームボードおよびゲーム結果を提供するモバイル装置に関連付けられた患者によって提供される動きを含み、第2の患者集団が、第2の複数人の患者の各患者に投与される第2の処置と、第2の患者集団の各患者の間で共通の少なくとも1つの第2の特性とを含む、第2の複数のゲーム結果を取得することと、第2の患者集団の各患者について、第2の患者集団の各患者の第2の空間ワーキングメモリスコアを判定することと、第2の患者集団の各患者の第2の第2の空間ワーキングメモリスコアにさらに基づいて、投与された処置の処置有効性を判定することと、を含むステップを実行させる。
【0024】
本開示のさらに別のさらなる態様では、第2の処置は、プラセボを含み、第2の患者集団の少なくとも1つの第2の特性が、患者集団の少なくとも1つの特性と同じである。
【0025】
本開示のさらに別のさらなる態様では、命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサに、さらに、処置有効性に基づいて、患者集団の少なくとも1つの特性と共通の特性を有する患者に対する処置推奨を判定することを含むステップを実行させる。
【0026】
本開示のさらに別の態様は、相互作用型ゲームをプレイするためのコンピュータ実装方法であって、相互作用型ゲームの現在のラウンドについてゲームボードを表示することであって、ゲームボードが複数の相互作用型要素および目標位置を含み、相互作用型要素の数がユーザの空間ワーキングメモリスコアに基づいて決定される、表示することと、ゲームボード内の第1のアイテム位置を判定することであって、第1のアイテム位置が複数の相互作用型要素のうちの第1の相互作用型要素に対応する、判定することと、第1のユーザの動きを取得することであって、第1のユーザの動きが複数の相互作用型要素内の相互作用型要素を識別する、取得することと、第1のユーザの動きにおいて識別された相互作用型要素が第1のアイテム位置に対応すると判定することと、相互作用型要素がアイテム位置に関連付けられていることを示すように第1のユーザの動きにおいて識別された相互作用型要素を更新することと、ゲームボード内の第2のアイテム位置を判定することであって、第2のアイテム位置が第1の相互作用型要素とは異なる複数の相互作用型要素の第2の相互作用型要素に対応する、判定することと、第2のユーザの動きを取得することであって、ユーザの動きが複数の相互作用型要素内の相互作用型要素を識別する、取得することと、第2のユーザの動きにおいて識別された相互作用型要素が第2のアイテム位置に対応すると判定することと、第2の相互作用型要素がアイテム位置に関連付けられていることを示すように第2のユーザの動きにおいて識別された相互作用型要素を更新することと、アイテム位置に関連付けられている複数の相互作用型要素の各相互作用型要素に基づいて相互作用型ゲームの現在のラウンドが終了したと判定することと、取得されたユーザの動きおよびゲームボードを遠隔サーバシステムに送信することと、相互作用型ゲームの現在のラウンドのゲーム概要を表示することと、を含む、コンピュータ実装方法を含む。
【0027】
本開示のさらに別の態様では、コンピュータ実装方法は、第1のユーザの動きにおいて識別された相互作用型要素が第1のアイテム位置に対応するとの判定に基づいて、第1のアイテム位置を目標位置に関連付ける第3のユーザの動きを取得することをさらに含む。
【0028】
本開示のさらに別の態様では、コンピュータ実装方法は、ユーザの空間ワーキングメモリスコアに基づいて第2のゲームボードを生成することと、ユーザが相互作用型ゲームの次のラウンドに進むことを望むことを示すユーザ入力を取得することと、第2のゲームボードを表示することと、をさらに含む。
【0029】
本開示のさらに別の態様では、ゲームボードは、相互作用型ゲームを提供するモバイル装置の特性に基づいてさらに生成され、モバイル装置の特性は、画面サイズ、画面解像度、ピクセル密度、および利用可能な入力装置の群から選択される。
【0030】
本開示のさらに別のさらなる態様では、コンピュータ実装方法は、ゲームボード、第1のユーザの動き、および第2のユーザの動きに基づいて、ユーザの更新された空間ワーキングメモリスコアを判定することと、空間ワーキングメモリスコアおよび更新された空間ワーキングメモリスコアに基づいて、ユーザの処置効果を測定することと、処置効果に基づいて、ユーザのための薬物の治療有効投与量を判定することと、ユーザに薬物の治療有効投与量を投与することと、をさらに含む。
【0031】
本開示のさらに別のさらなる態様では、薬物は、アルバクロフェン、バロバプタン、GABA-Aa5 PAM、GABA-A1モジュレーター、mGlu4/7 PAM、ドーパミン2受容体拮抗薬、特にリスペリドン、μオピオイド受容体拮抗薬、特にナロキソン、および/またはNMDAグルタミン酸受容体拮抗薬、特にメマンチン、ならびにその薬学的に許容される塩の群から選択される。
【0032】
本開示のさらに別のさらなる態様では、ユーザの空間ワーキングメモリスコアは、ユーザによってプレイされた履歴ゲームセッションの検索内エラーの数および検索間エラーの数に基づいて判定される。
【0033】
本開示のさらに別の態様は、プロセッサと、プロセッサと通信し、命令を記憶するメモリであって、命令が、プロセッサによって読み取られると、コンピューティング装置に、相互作用型ゲームの現在のラウンドについてゲームボードを表示させることであって、ゲームボードが複数の相互作用型要素および目標位置を含み、相互作用型要素の数がユーザの空間ワーキングメモリスコアに基づいて決定される、表示させ、ゲームボード内の第1のアイテム位置を判定させることであって、第1のアイテム位置が複数の相互作用型要素のうちの第1の相互作用型要素に対応する、判定させ、第1のユーザの動きを取得させることであって、第1のユーザの動きが複数の相互作用型要素内の相互作用型要素を識別する、取得させ、第1のユーザの動きにおいて識別された相互作用型要素が第1のアイテム位置に対応すると判定させ、相互作用型要素がアイテム位置に関連付けられていることを示すように第1のユーザの動きにおいて識別された相互作用型要素を更新させ、ゲームボード内の第2のアイテム位置を判定させることであって、第2のアイテム位置が第1の相互作用型要素とは異なる複数の相互作用型要素の第2の相互作用型要素に対応する、判定させ、第2のユーザの動きを取得させることであって、ユーザの動きが複数の相互作用型要素内の相互作用型要素を識別する、取得させ、第2のユーザの動きにおいて識別された相互作用型要素が第2のアイテム位置に対応すると判定させ、第2の相互作用型要素がアイテム位置に関連付けられていることを示すように第2のユーザの動きにおいて識別された相互作用型要素を更新させ、アイテム位置に関連付けられている複数の相互作用型要素の各相互作用型要素に基づいて相互作用型ゲームの現在のラウンドが終了したと判定させ、取得されたユーザの動きおよびゲームボードを遠隔サーバシステムに送信させ、相互作用型ゲームの現在のラウンドのゲーム概要を表示させる、メモリと、を含むコンピューティング装置を含む。
【0034】
本開示のさらに別の態様では、命令は、プロセッサによって読み取られると、コンピューティング装置に、さらに、第1のユーザの動きにおいて識別された相互作用型要素が第1のアイテム位置に対応するとの判定に基づいて、第1のアイテム位置を目標位置に関連付ける第3のユーザの動きを取得させる。
【0035】
本開示のさらに別のさらなる態様では、命令は、プロセッサによって読み取られると、コンピューティング装置に、さらに、ユーザの空間ワーキングメモリスコアに基づいて第2のゲームボードを生成させ、ユーザが相互作用型ゲームの次のラウンドに進むことを望むことを示すユーザ入力を取得させ、第2のゲームボードを表示させる。
【0036】
本開示のさらに別のさらなる態様では、ゲームボードは、相互作用型ゲームを提供するモバイル装置の特性に基づいてさらに生成され、モバイル装置の特性は、画面サイズ、画面解像度、ピクセル密度、および利用可能な入力装置の群から選択される。
【0037】
本開示のさらに別のさらなる態様では、命令は、プロセッサによって読み取られると、コンピューティング装置に、さらに、ゲームボード、第1のユーザの動き、および第2のユーザの動きに基づいて、ユーザの更新された空間ワーキングメモリスコアを判定させ、空間ワーキングメモリスコアおよび更新された空間ワーキングメモリスコアに基づいて、ユーザの処置効果を測定させ、処置効果に基づいて、ユーザのための薬物の治療有効投与量を判定させ、ユーザに薬物の治療有効投与量を投与させる。
【0038】
本開示のさらに別のさらなる態様では、薬物は、アルバクロフェン、バロバプタン、GABA-Aa5 PAM、GABA-A1モジュレーター、mGlu4/7 PAM、ドーパミン2受容体拮抗薬、特にリスペリドン、μオピオイド受容体拮抗薬、特にナロキソン、および/またはNMDAグルタミン酸受容体拮抗薬、特にメマンチン、ならびにその薬学的に許容される塩の群から選択される。
【0039】
本開示のさらに別のさらなる態様では、ユーザの空間ワーキングメモリスコアは、ユーザによってプレイされた履歴ゲームセッションの検索内エラーの数および検索間エラーの数に基づいて判定される。
【0040】
本開示のさらに別の態様は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサに、相互作用型ゲームの現在のラウンドについてゲームボードを表示することであって、ゲームボードが複数の相互作用型要素および目標位置を含み、相互作用型要素の数がユーザの空間ワーキングメモリスコアに基づいて決定される、表示することと、ゲームボード内の第1のアイテム位置を判定することであって、第1のアイテム位置が複数の相互作用型要素のうちの第1の相互作用型要素に対応する、判定することと、第1のユーザの動きを取得することであって、第1のユーザの動きが複数の相互作用型要素内の相互作用型要素を識別する、取得することと、第1のユーザの動きにおいて識別された相互作用型要素が第1のアイテム位置に対応すると判定することと、相互作用型要素がアイテム位置に関連付けられていることを示すように第1のユーザの動きにおいて識別された相互作用型要素を更新することと、ゲームボード内の第2のアイテム位置を判定することであって、第2のアイテム位置が第1の相互作用型要素とは異なる複数の相互作用型要素の第2の相互作用型要素に対応する、判定することと、第2のユーザの動きを取得することであって、ユーザの動きが複数の相互作用型要素内の相互作用型要素を識別する、取得することと、第2のユーザの動きにおいて識別された相互作用型要素が第2のアイテム位置に対応すると判定することと、第2の相互作用型要素がアイテム位置に関連付けられていることを示すように第2のユーザの動きにおいて識別された相互作用型要素を更新することと、アイテム位置に関連付けられている複数の相互作用型要素の各相互作用型要素に基づいて相互作用型ゲームの現在のラウンドが終了したと判定することと、取得されたユーザの動きおよびゲームボードを遠隔サーバシステムに送信することと、相互作用型ゲームの現在のラウンドのゲーム概要を表示することと、を含むステップを実行させる命令を記憶する非一時的機械可読媒体を含む。
【0041】
本開示のさらに別の態様では、命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサに、さらに、第1のユーザの動きにおいて識別された相互作用型要素が第1のアイテム位置に対応するとの判定に基づいて、第1のアイテム位置を目標位置に関連付ける第3のユーザの動きを取得することを含むステップを実行させる。
【0042】
本開示のさらに別の態様では、命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサに、さらに、ユーザの空間ワーキングメモリスコアに基づいて第2のゲームボードを生成することと、ユーザが相互作用型ゲームの次のラウンドに進むことを望むことを示すユーザ入力を取得することと、第2のゲームボードを表示することと、を含むステップを実行させる。
【0043】
本開示のさらに別のさらなる態様では、ゲームボードは、相互作用型ゲームを提供するモバイル装置の特性に基づいてさらに生成され、モバイル装置の特性は、画面サイズ、画面解像度、ピクセル密度、および利用可能な入力装置の群から選択される。
【0044】
本開示のさらに別のさらなる態様では、命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサに、さらに、ゲームボード、第1のユーザの動きおよび第2のユーザの動きに基づいて、ユーザの更新された空間ワーキングメモリスコアを判定することと、空間ワーキングメモリスコアおよび更新された空間ワーキングメモリスコアに基づいて、ユーザの処置効果を測定することと、処置効果に基づいて、ユーザに対する薬物の治療有効投与量を判定することであって、薬物が、アルバクロフェン、バロバプタン、GABA-Aa5 PAM、GABA-A1モジュレーター、mGlu4/7 PAM、ドーパミン2受容体拮抗薬、特にリスペリドン、μオピオイド受容体拮抗薬、特にナロキソン、および/またはNMDAグルタミン酸受容体拮抗薬、特にメマンチン、ならびにその薬学的に許容される塩の群から選択される、判定することと、処置有効投与量の薬物をユーザに投与することと、を含むステップを実行させる。
【0045】
本開示のさらに別のさらなる態様では、ユーザの空間ワーキングメモリスコアは、ユーザによってプレイされた履歴ゲームセッションの検索内エラーの数および検索間エラーの数に基づいて判定される。
【0046】
本開示のさらに別の態様は、デジタルバイオマーカーを生成するコンピュータ実装方法であって、神経学的状態を有する患者を評価するためのタスク難易度を判定することと、タスク難易度で相互作用型タスクを生成することと、タスクを完了しようと試みている患者からのタスク入力を受信するためのグラフィカルユーザインターフェースをモバイル装置上に表示するために生成することと、受信したタスク入力に基づいてタスク結果を判定することと、受信したタスク入力に基づいて、修正されたタスク難易度を生成することと、修正されたタスク難易度を使用して、以前の生成ステップおよびタスク結果の判定ステップを、所定の条件が満たされるまで繰り返すことと、所定の条件が満たされたことに基づいて、複数の受信したタスク入力および判定されたタスク結果を分析することによって患者についてのデジタルバイオマーカーを判定することと、を含む、コンピュータ実装方法を含む。
【0047】
本開示のさらに別の態様では、所定の条件は、患者が所定の難易度でタスクを完了することを含む。
【0048】
本開示のさらに別の態様では、所定の条件は、患者が任意のタスクを完了しようと試みている間に少なくとも所定数のエラーを起こすことを含む。
【0049】
本開示のさらに別の態様では、相互作用型タスクは、ゲームボード上のオブジェクトを隠すことを含み、各難易度は、ゲームボード上の異なる数の相互作用型要素に関連付けられる。
【0050】
本開示のさらに別のさらなる態様では、デジタルバイオマーカーを判定することは、タスク入力およびタスク結果を受信するように構成されたサーバ装置によって実行される。
【0051】
本開示のさらに別のさらなる態様では、患者は、処置が投与された集団から選択され、方法は、集団の各患者の履歴デジタルバイオマーカーを取得することと、以前に記載されたステップを使用して、集団の各患者の新たなデジタルバイオマーカーを生成することと、各患者の履歴デジタルバイオマーカーと新たなデジタルバイオマーカーとの比較に基づいて、投与された処置の処置有効性を判定することと、をさらに含む。
【0052】
本開示のさらに別のさらなる態様では、修正タスク難易度を生成することは、マルコフ連鎖モンテカルロシミュレーション、グリッド探索、およびベイズ推定からなる群から選択される反復手順を使用することを含む。
【0053】
本開示のさらに別の態様は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサに、神経学的状態を有する患者を評価するためのタスク難易度を判定することと、タスク難易度で相互作用型タスクを生成することと、タスクを完了しようと試みている患者からのタスク入力を受信するためのグラフィカルユーザインターフェースをモバイル装置上に表示するために生成することと、受信したタスク入力に基づいてタスク結果を判定することと、受信したタスク入力に基づいて、修正されたタスク難易度を生成することと、修正されたタスク難易度を使用して、以前の生成ステップおよびタスク結果の判定ステップを、所定の条件が満たされるまで繰り返すことと、所定の条件が満たされたことに基づいて、複数の受信したタスク入力および判定されたタスク結果を分析することによって患者についてのデジタルバイオマーカーを判定することと、を含むステップを実行させる命令を記憶する非一時的機械可読媒体を含む。
【0054】
本開示のさらに別の態様では、所定の条件は、患者が所定の難易度でタスクを完了することを含む。
【0055】
本開示のさらに別の態様では、所定の条件は、患者が任意のタスクを完了しようと試みている間に少なくとも所定数のエラーを起こすことを含む。
【0056】
本開示のさらに別の態様では、相互作用型タスクは、ゲームボード上のオブジェクトを隠すことを含み、各難易度は、ゲームボード上の異なる数の相互作用型要素に関連付けられる。
【0057】
本開示のさらに別のさらなる態様では、デジタルバイオマーカーを判定することは、タスク入力およびタスク結果を受信するように構成されたサーバ装置によって実行される。
【0058】
本開示のさらに別のさらなる態様では、命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサに、さらに、集団の各患者の履歴デジタルバイオマーカーを取得することであって、各患者が処置を投与された集団から選択される、取得することと、集団の各患者について、以前に記載されたステップを使用して新たなデジタルバイオマーカーを生成することと、各患者の履歴デジタルバイオマーカーと新たなデジタルバイオマーカーとの比較に基づいて、投与された処置の処置有効性を判定することと、を含むステップを実行させる。
【0059】
本開示のさらに別のさらなる態様では、修正タスク難易度を生成することは、マルコフ連鎖モンテカルロシミュレーション、グリッド探索、およびベイズ推定からなる群から選択される反復手順を使用することを含む。
【0060】
これらの特徴は、他の多くの特徴とともに、以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
本明細書に記載の態様およびそれらの利点のより完全な理解が、添付の図面を考慮して以下の説明を参照することによって得られることができる。添付の図面において、同様の参照符号は同様の特徴を示している。
【0062】
【
図1】本明細書に記載の1つ以上の例示的な態様を実装するために使用されることができるカスタムコンピューティングシステムおよびアーキテクチャを示している。
【
図2A】本明細書に記載の1つ以上の例示的な態様にかかるASDの評価を開発する際の1つ以上の設計トレードオフを示している。
【
図2B】本明細書に記載の1つ以上の例示的な態様にかかる空間ワーキングメモリの概念図である。
【
図3A】
図3A~Pは、本明細書に記載の1つ以上の例示的な態様にかかる、多様な臨床試験集団にわたって空間ワーキングメモリを測定するために展開および使用されることができるソフトウェアツールによって提示されることができる例示的なグラフィカルユーザインターフェースを示している。
【
図4A】本明細書に記載の1つ以上の例示的な態様にかかるソフトウェアツールを使用するためのプロセスを概念的に示すフローチャートである。
【
図4B】本明細書に記載の1つ以上の例示的な態様にかかるユーザインターフェースを動的に生成するためのプロセスを概念的に示すフローチャートである。
【
図4C】本明細書に記載の1つ以上の例示的な態様にかかる、個々のデータが与えられたワーキングメモリスコアを導出するためのプロセスを概念的に示すフローチャートである。
【
図4D】本明細書に記載の1つ以上の例示的な態様にかかる、個々のデータが与えられたワーキングメモリスコアを導出するためのプロセスを概念的に示す擬似コードである。
【
図4E】本明細書に記載の1つ以上の例示的な態様にかかる相互作用型ゲームをプレイしている患者によって提供される応答の概念図である。
【
図5A】本明細書に記載の1つ以上の例示的な態様にかかる空間ワーキングメモリを分析するためのプロセスを概念的に示すフローチャートである。
【
図5B】本明細書に記載の1つ以上の例示的な態様にかかる治療を投与するためのプロセスを概念的に示すフローチャートである。
【
図6】本明細書に記載の1つ以上の例示的な態様にかかる空間ワーキングメモリに関連することができる自閉症個人の課題のセットを示している。
【
図7】本明細書に記載の1つ以上の例示的な態様にかかる空間ワーキングメモリの神経心理学的試験に関連する例示的なデータを示している。
【
図8】
図8および9は、本明細書に記載の1つ以上の例示的な態様にかかる、多様な臨床試験集団にわたって空間ワーキングメモリを測定するために展開および使用されることができるソフトウェアツールに関連するフォーカスグループ所見を示している。
【
図9】
図8および9は、本明細書に記載の1つ以上の例示的な態様にかかる、多様な臨床試験集団にわたって空間ワーキングメモリを測定するために展開および使用されることができるソフトウェアツールに関連するフォーカスグループ所見を示している。
【
図10】
図10および11は、本明細書に記載の1つ以上の例示的な態様にかかる、多様な臨床試験集団にわたる空間ワーキングメモリを測定するために展開および使用されることができるソフトウェアツールに関連するモデル結果を示している。
【
図11】
図10および11は、本明細書に記載の1つ以上の例示的な態様にかかる、多様な臨床試験集団にわたる空間ワーキングメモリを測定するために展開および使用されることができるソフトウェアツールに関連するモデル結果を示している。
【
図12】本明細書に記載の1つ以上の例示的な態様にかかる、多様な臨床試験集団にわたる空間ワーキングメモリを測定するために展開および使用されることができるソフトウェアツールに関連するニューラルモデルを示している。
【発明を実施するための形態】
【0063】
詳細な説明
以下の様々な実施形態の説明においては、説明の一部を形成しており、本明細書に記載の態様が実施されることができる様々な実施形態を例示として示されている添付の図面が参照される。記載される態様および実施形態の範囲から逸脱することなく、他の実施形態が利用されることができ、構造的および機能的変更が行われることができることを理解されたい。本明細書に記載の態様は、他の実施形態で可能であり、様々な方法で実施または実行されることができる。本明細書で使用される表現および用語は、説明を目的とするものであり、限定的なものと見なされるべきではないことを理解されたい。むしろ、本明細書で使用される語句および用語には、最も広い解釈および意味が与えられるべきである。「含む」および「備える」ならびにこれらの変形の使用は、その後に列挙される項目およびそれらの均等物、ならびに追加の項目およびそれらの均等物を包含することを意味する。用語「取り付け」、「接続」、「結合」、「配置」、「係合」、および同様の用語の使用は、直接的および間接的の双方の取り付け、接続、結合、配置、および係合を含むことを意味する。
【0064】
本明細書に記載の主題の一般的な導入として、本開示の態様は、限定するものではないが、自閉症などの多様な臨床試験集団にわたる空間ワーキングメモリを測定するために展開および使用されることができるモバイル最適化ソフトウェアツールに関する。自閉症スペクトラム障害(ASD)は、社会的コミュニケーション、反復的で制限された関心、および/または感覚感受性の欠損によって定義される。さらに、認知欠損は一般的であり、ASD患者の幸福において重要な役割を果たす。例えば、これらの欠損は、日常生活機能および雇用可能性の障害を予測し、したがって患者およびその介護者に影響を及ぼす。したがって、中枢神経系の状態を処置するための治療法を考案する際には、認知機能に対するそのような治療法の効果を監視および評価することが最も重要である。実験室試験なしで監視および評価されることができる認知能力と密接に関連する中央実行機能は、空間ワーキングメモリ、すなわち視覚情報および空間情報をオンデマンドで保持、更新、および変換する能力である。
【0065】
視覚および/または空間ワーキングメモリを評価するために、既存の技術は、(患者が視覚的シーンの特徴を再現しなければならない)マッチングパラダイムの精度を測定し、メモリ符号化における注意力不足の影響を評価するために、(患者が一方の提示から他方の提示に変化する静的シーンの態様を識別するように求められる)変化検出試験にほとんど制限されている。これらの試験は、空間ワーキングメモリの動態を評価しておらず、すなわち、視覚的シーンの複雑さが増すにつれてアイテムがどのように記憶、検索、およびメモリから削除されるかはよく理解されておらず、患者がメモリ内のアイテムを記憶、削除、および更新する必要があるときに空間ワーキングメモリ容量をどのように測定するかを示唆する従来技術はない。
【0066】
離散スロットモデルは、変化検出タスクとしての単一試行タスクにおいて空間ワーキングメモリ(SWM)を説明することにおいて並外れて成功している。このアプローチは、視覚的メモリに記憶されたアイテムの精度を照会するパラダイムにまで首尾よく拡張されている。いくつかの試行にわたってアイテムの継続的な記憶および更新を必要とする状況におけるSWMの動態についてはあまり知られていない。本明細書に記載の計算分析は、以下の2つの一般的な点を明確に実証する:アイテムは2つのほぼ独立したストレージに記憶され、アイテムの検索は確率的である。検索内優先度モデルは、独立したストレージを仮定することなく、非常に異なるエラー率統計を生成することができる。さらに、限界エラー率は、困難性の線形関数ではない。SWMのスロットモデルは、通常、記憶および検索が決定論的操作であると仮定するが、記憶される内容はランダムであると考えられる。本明細書に記載される態様は、この仮説を最終的に除外する。特に、そのようなモデルによって予測される理論的エラー率は、本明細書に記載のシステムを使用して生成された現実世界のデータで観察されるよりも大きい。本明細書で提案されるモデルは、全てのアイテムがメモリに記憶されることを示唆しているが、これらは、固定された回数の場合にのみメモリから正しく検索されることができる。これは、アイテムがメモリから取得される失敗率が設定サイズにわたって比較的一定であることを示している。
【0067】
本開示の態様によれば、モバイル装置に特に最適化された相互作用型ゲームが、様々なタスクを実行するために使用される。相互作用型ゲームは、視覚的に魅力的であり、元のタスクの精神測定特性を改善するように設計されている。相互作用型ゲームの評価は、ユーザの行動を正確に取り込む空間ワーキングメモリの離散スロットモデルに基づく新規な計算手法を利用する。ユーザの行動に基づいて、投与された処置の有効性が判定されることができる。さらに、推奨される処置は、ユーザのSWMを改善するために判定および/またはユーザに投与されることができる。アルツハイマーなどの様々な障害および疾患もまた、患者の認知能力に効果を示すことがあることにも留意されたい。本明細書に記載のプロセスおよび技術は、ASDに関して記載されているが、記載されたプロセスおよび技術は、空間ワーキングメモリを評価し、患者の認知能力および/または脳活動に影響を及ぼす様々な障害および疾患のいずれかに罹患している患者に処置を提供するために使用されることができることに留意されたい。
【0068】
図1は、本明細書に記載の1つ以上の例示的な態様を実装するために使用されることができるカスタムネットワークアーキテクチャおよびデータ処理装置の一例を示している。様々なネットワークノード103、105、107、および109が、インターネットなどのワイドエリアネットワーク(WAN)101を介して相互接続されてもよい。プライベートイントラネット、企業ネットワーク、LAN、無線ネットワーク、パーソナルネットワーク(PAN)を含む他のネットワークもまた、または代わりに使用されてもよい。ネットワーク101は、説明のためのものであり、より少数または追加のコンピュータネットワークによって置き換えられてもよい。ローカルエリアネットワーク(LAN)は、任意の既知のLANトポロジのうちの1つ以上を有することができ、イーサネットなどの様々なプロトコルのうちの1つ以上を使用することができる。装置103、105、107、109および他の装置(図示せず)は、ツイストペアワイヤ、同軸ケーブル、光ファイバ、電波、または他の通信媒体を介して、ネットワークのうちの1つ以上に接続されてもよい。
【0069】
本明細書において使用されて図面に表される「ネットワーク」という用語は、遠隔記憶装置が1つ以上の通信経路を介して互いに結合されるシステムだけでなく、記憶機能を有するそのようなシステムに随時結合可能であるスタンドアロン装置も指す。したがって、「ネットワーク」という用語は、「物理ネットワーク」だけでなく、全ての物理ネットワークにわたって存在する-単一のエンティティに帰属する-データを含む「コンテンツネットワーク」も含む。
【0070】
構成要素は、データサーバ103、ウェブサーバ105、およびクライアント装置107、109を含むことができる。データサーバ103は、本明細書に記載の1つ以上の具体的な態様を実行するためのデータベースおよび制御ソフトウェアの全体的なアクセス、制御および管理を提供する。データサーバ103は、ユーザが対話し且つ要求されたデータを取得するウェブサーバ105に接続されることができる。あるいは、データサーバ103は、ウェブサーバ自体として機能し、インターネットに直接接続されてもよい(この場合、装置105は必要ない)。データサーバ103は、ネットワーク101(例えば、インターネット)を介して、直接的もしくは間接的な接続を介して、または他のいくつかのネットワークを介して、ウェブサーバ105に接続されてもよい。ユーザは、遠隔コンピュータ107、109を使用して、例えばアプリケーション、モバイルアプリ、またはウェブブラウザを使用してデータサーバ103と対話し、ウェブサーバ105によってホストされる1つ以上の外部に公開されたウェブサイトおよび/またはウェブサービスを介してデータサーバ103に接続することができる。クライアントコンピュータ107、109は、データサーバ103に記憶されたデータにアクセスするためにデータサーバと連携して使用されることができ、あるいは他の目的のために使用されることができる。例えば、クライアント装置107から、ユーザは、インターネットブラウザを使用して、またはコンピュータネットワーク(インターネットなど)を介してウェブサーバ105および/またはデータサーバ103と通信するソフトウェアアプリケーションを実行することによって、ウェブサーバ105にアクセスすることができる。
【0071】
サーバおよびアプリケーションは、同じ物理的機器上で組み合わせられ、別の仮想アドレスまたは論理アドレスを保持してもよく、あるいは別々の物理的機器上に存在してもよい。
図1は、使用可能なネットワークアーキテクチャの単なる一例を示しており、当業者であれば、本明細書にさらに記載されるように、使用される特定のネットワークアーキテクチャおよびデータ処理装置が様々であってもよく、それらが提供する機能に対して二次的であることを理解するであろう。例えば、ウェブサーバ105およびデータサーバ103によって提供されるサービスは、単一のサーバ上に組み合わせられてもよい。
【0072】
各構成要素103、105、107、109は、任意の種類のコンピュータ、サーバ、またはデータ処理装置であってもよい。データサーバ103は、例えば、データサーバ103の全体的な動作を制御するプロセッサ111を含むことができる。データサーバ103は、RAM113、ROM115、ネットワークインターフェース117、入出力インターフェース119(例えば、キーボード、マウス、ディスプレイ、プリンタなど)、およびメモリ121をさらに含むことができる。I/O119は、データまたはファイルの読み取り、書き込み、表示、および/または印刷を行うための様々なインターフェースユニットおよび駆動部を含むことができる。メモリ121は、データ処理装置103の全体的な動作を制御するためのオペレーティングシステムソフトウェア123、本明細書に記載の態様を実行するようにデータサーバ103に指示するための制御ロジック125、および本明細書に記載の他の態様と組み合わせて使用されてもよくあるいはされなくてもよい二次的なサポート機能および/または他の機能を提供する他のアプリケーションソフトウェア127をさらに記憶してもよい。制御ロジックは、本明細書ではデータサーバソフトウェア125と呼ばれることもある。データサーバソフトウェアの機能は、制御ロジックにコード化されたルールに基づいて自動的に行われる動作または判定、システムに入力を提供することによってユーザによって手動で行われる動作または判定、および/またはユーザ入力に基づく自動処理の組み合わせ(例えば、クエリ、データ更新など)を指すことができる。
【0073】
さらに、メモリ121は、第1のデータベース129および第2のデータベース131を含む、本明細書に記載の1つ以上の態様の実行に使用されるデータを記憶することができる。いくつかの実施形態では、第1のデータベースは、第2のデータベースを(例えば、別のテーブル、レポートなどとして)含んでもよい。すなわち、情報は、システムの設計に応じて、単一のデータベースに記憶されても、異なる論理、仮想、または物理データベースに分離されてもよい。装置105、107、および109は、装置103に関して説明したアーキテクチャと同様または異なるアーキテクチャを有することができる。当業者であれば、本明細書に記載のデータ処理装置103(または装置105、107、および109)の機能が複数のデータ処理装置に分散されて、例えば、処理負荷を複数のコンピュータに分散させたり、地理的位置、ユーザのアクセスレベル、サービスの質(QoS)などに基づいてトランザクションを分離したりすることができることを理解するであろう。
【0074】
本明細書に記載の1つ以上の態様は、本明細書に記載の1つ以上のコンピュータまたは他の装置によって実行される1つ以上のプログラムモジュールなどにおけるコンピュータにとって使用可能なまたは読み取り可能なデータおよび/またはコンピュータ実行可能命令に具現化されることができる。プログラムモジュールは、コンピュータまたは他の装置のプロセッサによって実行されると、特定のタスクを実行するか、または特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含むことができる。モジュールは、実行のために後にコンパイルされるソースコードプログラミング言語で書かれてもよく、HTMLまたはXML(ただし、これらに限定されない)などのスクリプト言語で書かれてもよい。コンピュータによって実行可能な命令は、ハードディスク、光ディスク、リムーバブルストレージメディア、ソリッドステートメモリ、RAMなどのコンピュータ読み取り可能な媒体に記憶されることができる。当業者であれば理解されるように、プログラムモジュールの機能は、様々な実施形態において所望されるように組み合わされたり、あるいは分配されたりすることができる。さらに、機能は、全部的にまたは部分的に、ファームウェアや、集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などのハードウェア均等物で具現化されることができる。特定のデータ構造は、1つ以上の態様をより効果的に実施するために使用されることができ、そのようなデータ構造は、本明細書に記載のコンピュータ実行可能命令およびコンピュータ使用可能データの範囲内で想定される。
【0075】
本開示の1つ以上の態様に従って、相互作用型ゲームおよび/または他のモバイル最適化ソフトウェアツールが展開および使用されて、多様な臨床および非臨床集団にわたる空間ワーキングメモリ(SWM)を測定することができる。例えば、そのようなツールは、多様な臨床試験集団に対するSWMの高感度で堅牢な測定値を作り出すことができる。追加的または代替的に、そのようなツールは、モバイル装置に対する頻繁なおよび/または遠隔の評価を介して測定データにおけるより高い信号対雑音比の達成を可能にすることができる。追加的または代替的に、そのようなツールは、臨床試験で使用するための個人による受容性を保証することができる。追加的または代替的に、そのようなツールは、評価プロセスにおいて生じることがある個人差および縦効果に対して検出力を最適化することができる。
【0076】
場合によっては、本開示の1つ以上の態様にかかる多様な臨床試験集団にわたって空間ワーキングメモリを測定するために展開および使用されることができるモバイル最適化ソフトウェアツールは、特定の方法を実装することができる。例えば、そのようなツールは、多国籍コンソーシアムおよび参加フォーカスグループに基づくプロトタイプを提供することができる。追加的または代替的に、そのようなツールは、(評価に関連付けられることができる)タスクパラメータをモバイル装置および広範囲の能力に適合させることができる。追加的または代替的に、そのようなツールは、モンテカルロ法を用いてSWMダイナミクスに対するタスクの感度を最適化することができる。追加的または代替的に、そのようなツールは、臨床集団および非臨床集団における観察試験および介入試験におけるタスクを検証することができる。
【0077】
本開示の1つ以上の態様は、モバイル装置に基づく遠隔配置のために最適化された空間ワーキングメモリの新規試験を提供する。さらに、本開示の1つ以上の態様は、7歳という若年、90歳という高齢、または70未満および/または140超の知的指数(IQ)を有するなどの認知的に多様な個人に適した空間ワーキングメモリの新規試験を提供する。さらに、本開示の1つ以上の態様は、薬剤ベースのモデルにおいて効率的で感受性があり、興奮性/阻害性バランスの神経生理学的モデリングに適しているSWMの新規試験を提供する。本開示の1つ以上の態様の根底にある1つの理論的根拠は、臨床試験において遠隔で頻繁な評価を提供することである。特に、個人差および介入に敏感であり、多様な認知能力に適しており、(例えば、モバイル装置を介した)グローバル展開に合わせて拡張可能であり、および/または厳密な検証および形式的モデリングによって十分に特徴付けられる評価を提供することが望ましい。
【0078】
臨床および非臨床集団のためのそのような評価を設計する際に、コア症状の生態学的に有効な発現とそれらの扱いやすさとの間の設計トレードオフに遭遇することがある。この設計トレードオフが
図2Aに示されている。本開示のいくつかの態様は、範囲の中間点の近くにあると見なされることができる適応型空間ワーキングメモリタスクに焦点を当てている。
図2Bは、本明細書に記載の1つ以上の例示的な態様にかかる空間ワーキングメモリ(SWM)の概念図である。SWMは、十分なスロットが利用可能である限り新たな情報が記憶される、離散スロットの有限のセットを含むことが提案されている。概念
図250は、時刻t0におけるブロック260のセットを含む。時刻t1において、ブロックのうちの1つは、ブロック262のセットに示すように色を変える。例えば、最右上のブロックは、時刻t0では濃い緑色から時刻t1では黒く変色した。時刻t0における空間ワーキングメモリ270は、ユーザがブロック260のセット内の6つ全てのブロックおよびそれらの色を見ることを示す。しかしながら、時刻t1において、空間ワーキングメモリ272は、ユーザが左端の3つのブロックの色のみを呼び出すことができ、右端の3つのブロック(「x」で示す)は未知の色であることを示す。すなわち、ユーザのSWMは3ブロックである。このため、ユーザは、時刻t0から時刻t1までの間に、どのブロックの色が変化したかを正確に識別することができない可能性がある。
【0079】
本明細書に記載の相互作用型ゲームを使用して実行されることができるタスクは、オブジェクトのセットから特定のプロパティを有するオブジェクトを識別することを含む。そのような相互作用型ゲームの1つは、
図3A~
図3Pに関して本明細書に記載された「卵を見つける」タスクを含む。2つのタイプのエラーは、通常、本明細書に記載されたタスクで発生する。検索間エラー(BSE)は、ターゲットを隠したアイテムが複数回選択されたときに発生する。検索内エラー(WSE)は、空のアイテム(以前にアイテムを含まなかった)が複数回選択された場合に発生する。ターゲットが発見された後、WSEを生成することができるアイテムのセットがリセットされることに留意されたい。
【0080】
場合によっては、相互作用型ゲーム用のグラフィカルユーザインターフェースは、モバイルコンピューティング装置によるソフトウェアツールの実行に基づいて、装置107などのモバイルコンピューティング装置によって生成および提示されてもよい。「卵を見つける」ソフトウェアツールを使用する際に、患者(例えば、ツールおよび/またはツールを実行するモバイルコンピューティング装置のユーザ)は、図示された各ニワトリをタップすることによって卵を見つけることができる。患者は、卵がどこで発見され、どこで発見されなかったかを覚えていなければならない。ソフトウェアツールは、患者が特定のエラーを犯すかどうかを評価するために特定のルールを実装する。例えば、各ニワトリは、ゲームラウンドごとに1つの卵しか産まなくすることができ、これは、ユーザが検索間エラーをコミットする可能性を可能にすることができる。さらに、一度に1つの卵のみを産まなくすることができ、これは、ユーザが検索内エラーを引き起こす可能性を可能にすることができる。患者は、画面上のニワトリをタップすることによって卵を見つけるように指示される。卵を産む前のニワトリを2回タップすることは、(検索間)エラーである。卵のないニワトリを2回タップすることは、(検索内)エラーである。卵が見つかると、別のニワトリが新たな卵を産む。タスクの難易度は、ユーザがラウンドを完了するにつれて変化することができる。
【0081】
図3A~
図3Pは、本明細書に記載の1つ以上の例示的な態様にかかる相互作用型ゲーム(例えば、「卵を見つける」ゲーム)のための例示的なグラフィカルユーザインターフェースを示している。
図3Aには、1つ以上の例示的な態様にかかるウェルカム画面が示されている。ウェルカム画面は、各ニワトリが卵を産み、各ニワトリが1つの卵のみを産むことを示す初期命令を提供する。ウェルカム画面はまた、ユーザが「卵を見つける」ゲームをプレイする方法に関する指示を取得することを可能にする第1のボタンと、ユーザが相互作用型ゲームのプレイを開始することを可能にする第2のボタンとを含む。
【0082】
図3Bは、1つ以上の例示的な態様にかかる第1の指示画面を示している。第1の指示画面は、4羽のニワトリ、バスケット、見つかった卵の数のカウント、および各ニワトリが卵を産み、ユーザのタスクが全ての卵を見つけることであると述べる指示を含む。第1の指示画面はまた、ユーザを相互作用型ゲームの次の画面に導くボタンを含む。
図3Cは、1つ以上の例示的な態様にかかる第2の指示画面を示している。第2の指示画面では、2×2のニワトリのアレイを有するゲームボードが提供される。左上のニワトリが強調表示され、強調表示されたニワトリをタップしてニワトリが卵を産卵したかどうかを確認するようユーザに促すプロンプトが提供される。
図3Dは、1つ以上の例示的な態様にかかる第3の指示画面を示している。第3の指示画面では、左上のニワトリ(まだ強調表示されている)がまだ卵を産んでいないことを示すプロンプトが提供される。第3の指示画面はまた、ユーザを次の画面に導くためのボタンを提供する。
図3Eは、1つ以上の例示的な態様にかかる第4の指示画面を示している。第4の指示画面では、各ニワトリが順番に卵を産むことの指示が提供される。すなわち、ラウンドあたり1匹のニワトリのみが卵を産む。したがって、ユーザは、卵を産んだゲームボード上の別のニワトリを見つけるまで、左上のニワトリと対話してはならない。
図3Fは、1つ以上の例示的な態様にかかる第5の指示画面を示している。第5の指示画面では、ゲームボード内の右上のニワトリが強調表示されている。さらに、プロンプトは、強調表示された右上のニワトリをタップするようにユーザに促すことである。
図3Gは、1つ以上の例示的な態様にかかる第6の指示画面を示している。第6の指示画面では、ユーザが右上のニワトリを選択したことに応じて、右上のニワトリが卵を産んだという指示が提供される。さらに、ユーザが卵をゲームボード上のバスケットにドラッグアンドドロップすべきであることを示すプロンプトが提供される。
【0083】
図3Hは、1つ以上の例示的な態様にかかる第7の指示画面を示している。第7の指示画面では、ユーザが以前に見つけた卵をバスケットにドラッグすると、左上のニワトリが再び強調表示される。第7の指示画面は、第2のニワトリが卵を産んだこと、および第2のニワトリがまだ卵を産んでいないゲームボード上の任意のニワトリであり得ることを示すプロンプトを提供する。第7の指示画面では、これらのニワトリは、左上のニワトリ、左下のニワトリ、右下のニワトリを含む。
図3Iは、1つ以上の例示的な態様にかかる第8の指示画面を示している。第8の指示画面では、第2の卵が左上のニワトリの下方に位置していたという指示が、卵をバスケットに引き込む指示とともに提供される。
図3Jは、1つ以上の例示的な態様にかかる第9の指示画面を示している。第9の指示画面には、最後の2個の卵がゲームボード内のニワトリの下方にあるという指示が提供される。第9の指示画面はまた、次の卵を見つけるためにユーザがニワトリを選択すべきという指示を提供する。
【0084】
図3Kは、1つ以上の例示的な態様にかかる第1のゲーム画面を示している。第1のゲーム画面は、ユーザが左下のニワトリを選択し、その下方に卵を産んだことを示している。第1のゲーム画面はまた、ユーザが新たに発見された卵をバスケットにドラッグすべきであるという指示を提供する。
図3Lは、1つ以上の例示的な態様にかかる第2のゲーム画面を示している。第2のゲーム画面において、ユーザは、左上のニワトリまたは右上のニワトリのいずれかを選択した。第2のゲーム画面は、各ニワトリが1ゲームラウンドにつき1つの卵しか産まないというリマインダを提供するとともに、ユーザが既に卵を収集したニワトリを選択したことを示す。
図3Mは、1つ以上の例示的な態様にかかる第3のゲーム画面を示している。第3のゲーム画面は、ユーザが右下のニワトリを選択し、最後の卵が右下のニワトリの下方に位置したことを示す。第3のゲーム画面はまた、ユーザがラウンドを終了するために最後の卵をバスケットにドラッグすべきであるという指示を提供する。
【0085】
図3Nは、1つ以上の例示的な態様にかかるタイムアウトスクリーンを示している。多くの実施形態では、相互作用型ゲームは、ゲームプレイタスク中のユーザのモバイル装置の使用を追跡する。ユーザが閾値時間内に入力を提供しなかった場合、ゲームを続けるようにユーザに促すプロンプトが提供されることができる。ユーザは、プロンプトを介してゲームを終了することをさらに選択することができる。
【0086】
図3Oは、1つ以上の例示的な態様にかかる第4のゲーム画面を示している。第4のゲーム画面は、卵がドラッグされることになるバスケットとともに、ゲームボード上に2×3アレイで6羽のニワトリを含む。2×2のゲームボードおよび2×3のゲームボードに示されているように、ニワトリは、一般に、相互作用型ゲームを提供するモバイル装置の表示領域内に等間隔で配置された列の行に配置される。
図3Pは、1つ以上の例示的な態様にかかる第5のゲーム画面を示している。第5のゲーム画面は、3×4アレイで12羽のニワトリを含む。しかしながら、第5ゲーム画面では、特に表示領域の右下の象限において、ニワトリの位置が縦列に並べられていない。第5のゲーム画面では、双方向ゲームの難易度を高め、および/またはニワトリ(例えば、相互作用型要素)をモバイル装置の表示領域内によりよく適合させるために、ニワトリの位置が修正されている。このようにして、相互作用型ゲーム用のゲームボードは、相互作用型ゲームを提供するモバイル装置のユーザのパフォーマンスおよび/または特性に基づいて動的に生成されることができる。
【0087】
図4Aは、本明細書に記載の1つ以上の例示的な態様にかかるソフトウェアツールを使用するためのプロセスを概念的に示すフローチャートである。プロセス400のステップの一部または全ては、本明細書に記載のような1つ以上のコンピューティング装置を使用して実行されることができる。様々な実施形態では、以下に説明するステップの一部または全部は、必要に応じて組み合わされ、および/またはサブステップに分割されてもよい。
【0088】
ステップ410において、ユーザインターフェースが表示されることができる。ユーザインターフェースは、相互作用型ゲーム用とすることができる。ユーザインターフェースは、本明細書に記載の「卵を見つける」相互作用型ゲームなどの複数の相互作用型要素を有するゲームボードを含むことができる。ユーザインターフェースは、本明細書に記載の相互作用型ゲームを提供するモバイル装置のディスプレイを使用して表示されることができる。様々な実施形態では、ユーザインターフェースは、
図4Bに関してより詳細に説明するように、ユーザおよび/またはモバイル装置の特性に基づいて動的に生成されることができる。
【0089】
ステップ412において、アイテム位置が判定されることができる。アイテム位置は、ゲームボード内の相互作用型要素の1つに対応することができる。アイテム位置は、ユーザによって見つけられるアイテムとすることができる。例えば、「卵を見つける」相互作用型ゲームでは、アイテム位置は、ニワトリとすることができ、アイテムは卵とすることができる。アイテム位置は、ランダムにおよび/または必要に応じて予め決定されてもよい。いくつかの実施形態では、アイテム位置は、アイテム位置が前のラウンドにおけるアイテムの位置に対応しないように、相互作用型ゲームの前のラウンドに基づいて生成される。例えば、前のラウンドが2×2のゲームボードを有し、アイテムがそれぞれ左上、右下、左下、および右上に配置された場合、現在のラウンドの最初のアイテム位置は、左上を除く2×2のゲームボード上の任意の位置とすることができる。このようにして、複数回にわたるゲームプレイにおける反復パターンが回避されることができる。
【0090】
ステップ414において、ユーザの動きが取得されることができる。ユーザの動きは、モバイル装置のタッチスクリーンを使用して取得されることができる。しかしながら、ユーザの動きは、本明細書に記載されるような任意の入力装置および/またはネットワーク接続を使用して取得されてもよいことに留意されたい。ユーザの動きは、ゲームボード上の相互作用型要素のうちの1つを示すことができる。
【0091】
ステップ416において、アイテムが配置された場合、ユーザは、配置されたアイテムをゲームボード上の目標位置にドラッグするように促されることができる。ユーザがゲームボード内のアイテムの位置を正常に特定すると、プロセスは、ステップ418に進む。アイテムが配置されていない場合、プロセスは、ステップ421に進むことができる。ユーザがゲームボード上のアイテムを見つけられなかったことを示すメッセージが表示されることができる。ユーザが以前に選択した位置を選択すると、ユーザは、ユーザがその位置を既に選択しており、後の順番までアイテムがそこに表示されない、および/または必要に応じてその位置でアイテムが既に見つかっているという指示を提供されてもよい。ステップ421において誤った選択の閾値数が行われていない場合、プロセスは、ステップ414に戻り、別のユーザの動きを取得する。多くの実施形態では、ユーザによる誤った選択の数を追跡することができ、ステップ421においてユーザが誤った選択の閾値数を超えた場合、プロセスは、ステップ422に進むことができる。
【0092】
ステップ418において、全てのアイテムが位置特定された場合、プロセスは、ステップ422に進む。全てのアイテムが配置されていない場合、プロセスは、ステップ420に進む。ステップ420において、次の位置が決定されることができる。次の位置は、以前に位置として選択されていないゲームボード上の任意の相互作用型要素を含むことができる。このようにして、ゲームボード上の各相互作用型要素は、ゲームラウンドごとに1回ユーザによって配置されるアイテムに関連付けられることができる。しかしながら、ラウンド中に全ての相互作用型要素をアイテムに関連付ける必要はなく、および/または相互作用型要素を必要に応じて複数回アイテムに関連付けることができることに留意されたい。次の位置が決定されると、プロセスは、ステップ414に戻り、次のユーザの動きを取得することができる。
【0093】
ステップ422において、ラウンドが完了することができる。ラウンドが完了すると、ユーザによる移動の総数、発見されたアイテムの数、ユーザによる誤った移動の数、ユーザがラウンドを完了するのに要した時間、現在のラウンドの数および/または再生されるラウンドの総数、および/または任意の他の関連情報を示す概要画面を表示することができる。空間ワーキングメモリスコアは、本明細書に記載され、概要画面に含まれるラウンド(および/または複数ラウンド)中に生成されたデータのいずれかに基づいて、ユーザについて計算されることができる。概要画面は、ユーザが次のラウンドに進むこと、および/または相互作用型ゲームに関連するタスクを必要に応じて完了することを可能にすることができる。ゲームセッションは、ユーザによってプレイされる相互作用型ゲームの1回または複数回を含むことができる。
【0094】
本明細書に記載の相互作用型ゲームの適応設計は、タスクをユーザにとって興味深いものに保ち、コンプライアンスを向上させ、天井効果を低減する。しかしながら、各ユーザは、ユーザのスキルおよび/またはユーザのモバイル装置の能力に基づいて決定される異なる数および種類の試行を有する。ユーザの技能は、本明細書に記載されるユーザの空間ワーキングメモリモデルに対応することができる。
【0095】
図4Bは、本明細書に記載の1つ以上の例示的な態様にかかるユーザインターフェースを動的に生成するためのプロセスを概念的に示すフローチャートである。プロセス450のステップの一部または全ては、本明細書に記載のような1つ以上のコンピューティング装置を使用して実行されることができる。様々な実施形態では、以下に説明するステップの一部または全部は、必要に応じて組み合わされ、および/またはサブステップに分割されてもよい。
【0096】
ステップ460において、ゲームデータが取得されることができる。ゲームデータは、相互作用型ゲームの現在のセッションの1回以上のラウンドを含むことができ、各ラウンドは、本明細書に記載される特定の数の相互作用型要素を含むゲームボードを含む。ラウンドのゲームデータはまた、ラウンド中にユーザによって行われた動きを含むことができる。ゲームデータは、ユーザによってプレイされた履歴ラウンドのセットをさらに含むことができる。ユーザの年齢、IQレベルなどのユーザを記述する様々なデータもまた、ゲームデータに含まれることができる。
【0097】
ゲームから収集されたデータは、数学的モデルを使用してさらに分析されて、患者のワーキングメモリを記述し、認知能力を測定するためにさらに使用されることができるスコアを生成し、臨床および非臨床集団のサブグループを検出し、薬理学的および非薬理学的介入によって引き起こされる変化を識別し、認知能力の自然な変化を経時的に追跡し、一般に患者の空間ワーキングメモリを特徴付けることができる。
【0098】
様々な試験には、一連の試験患者(例えば、ユーザ)に投与されたモバイル装置試験を使用してプレイされる「卵を見つける」などの相互作用型ゲームからのデータが提供されている。最初の訪問中に、試験看護師がプロトコルについて患者に指示し、モバイル装置を提供した。実験スケジュールに従って、タスクが4日毎に投与された。アイテム(例えば、ニワトリ)は、サイズ4、6、8、10、または12のセットの相互作用型ゲームで提示された。患者は、アイテムをタップすることによって隠されたターゲット(例えば卵)を見つけるように指示された。標的が発見されると、被験者は、ターゲットを画面の下部のバスケットに移動させるように指示された。新たな検索は、a)任意の所与の時間に1つのターゲットのみが隠され、b)アイテムがブロックごとに1つのターゲットのみを隠すことができるという制約を有するアイテムの下方にターゲットを生成することによって開始される。患者は、自分の成績に関する明示的なフィードバックを受けたことがない。セッションは、連続して投与されるいくつかのブロックを含んでいた。全てのターゲットが見つけられるとブロックが完了し、その場合、設定サイズが2つ増加された。患者が設定サイズ12のブロックを完了したとき、または3つを超える検索エラーが連続してコミットされたときに、セッションが停止された。タスクの難易度は、設定サイズ4を除いて、前のセッション中に達成された設定サイズを2つのアイテムだけ減らすことによって数日間にわたって調整され、その場合、難易度は一定のままであった。このタスク設計は、患者の関与を維持し、床および天井効果を低減するために使用された。
【0099】
様々な確率モデルが使用されてSWMを測定することができる。これらのモデルは、本明細書に記載されるように、相互作用型タスクにおいて異なる動き(例えば、アイテムをタップする)が行われる確率を定量化する。例えば、そのようなモデルの最初のインスタンス化では、タスク中に患者によってタップされた全てのアイテムがSWMに一緒に記憶されることができ、したがって、これらのアイテムは、リソースの同じプール、すなわちメモリスロットについて競合する。したがって、全てのアイテムがメモリプールと呼ばれる固定数のスロットに記憶されていると仮定されることができる。利用可能なスロット数は、メモリ容量
と呼ばれる。さらに、利用可能な容量がある限り、アイテムはメモリに記憶され、アイテムは、メモリから決定論的に記憶および検索され、メモリに記憶されていないアイテムのみが調査される(すなわち、相互作用型ゲーム内でタップされる)と仮定されることができ、これらのアイテムは、決定プールと呼ばれることができる。ユーザは、決定プールからアイテムをランダムに選択することができる。
【0100】
上記の仮定から、エラーは、(困難のために)メモリ
に記憶される必要がある以前にタップされたアイテムの数がメモリ容量
よりも大きい場合にのみ可能である。
が
よりも大きい場合、エラーの確率は、以前に選択されていない決定プール内のアイテムを選択する確率である。決定プールのサイズは、設定サイズ
からメモリ容量
を引いたものである。したがって、
(ここで、
は確率を表し、|の右のランダム変数は、条件集合である)と記述されることができる。
【0101】
患者のメモリ容量を記述するパラメータは
である。
は、上述したタスクから収集された患者の個々の応答から推定されることができる。決定プール内のアイテムのみがタップされるという仮定は、記憶プール内のアイテムを選択する確率
が小さいが正であると仮定することによって緩和されることができる。このモデルパラメータは、モデルが直接説明することができず、アテンションスリップなどの様々な要因によって引き起こされるエラーを考慮する。
【0102】
パラメータのセットおよびゲーム内のボードの状態が与えられた場合の検索間エラー(BSE)および検索内エラー(WSE)の確率は、さらなる仮定を追加することによって指定されることができ、これらの確率は、アプリから取得されたデータを処理するために使用されることができる。検索間アイテムは、ターゲット(「卵」)があった画面上のアイテム(「ニワトリ」)として定義される。検索間エラーは、患者が検索間アイテムをタップする動きとして定義される。検索内アイテムは、最後のターゲットが見つかってからタップされたが、検索間アイテムになかったアイテムとして定義される。検索内エラーは、検索内アイテムがタップされる移動として定義される。
【0103】
いくつかの実施形態では、これらの仮定は、全てのアイテムが記憶外に残される確率が同じであること、すなわち、全てのアイテムが同じ優先順位で記憶されることを含む。このことから、BSEの確率は、検索間アイテム
の数を難易度
で割ったものに等しい。
ここで、難易度
は、
と検索内アイテム
の数の和である。そこから、以下のようになる。
【0104】
上記のモデルは、検索間アイテムと検索内アイテムとの間が記憶内で等しく扱われるという仮定に基づいている。この前提は、検索内アイテムがメモリ内で優先されること、および/または検索間アイテムが優先されることのいずれかに置き換えられることができる。第1のケースでは、検索間アイテムは、検索内アイテムの全てが記憶された後にのみメモリに入れられる。したがって、WSEは、検索内アイテム
内の数がメモリ容量
を超えた場合にのみ可能である。
【0105】
これは、検索内優先モデルと呼ばれることがある。検索間優先度モデルは、以下の式によって定義される。
【0106】
上記のモデルはまた、単一のメモリ記憶装置が検索間および検索内アイテムを記憶するために使用されるという仮定を取り除くことによって修正されてもよい。これは、各タイプのアイテムの呼び出しに対するタスクによって課される要求が非常に異なるために行われることができる。検索内アイテムは、短時間だけ記憶される必要があることができ、新たなターゲットが発見されると定期的にメモリから除去されるが、検索間エラーは、より長い期間記憶されることができ、検索にわたって上書きされるべきではない。双方のタイプのアイテムが同じメモリスロットについて競合しない場合、検索間および検索内アイテムは、容量
および
の独立したメモリプールに記憶されることができる。
【0107】
以前のモデルと同様に、BSEは、検索間アイテム
の数が検索間メモリ容量
を超えた場合にのみ可能である。
【0108】
別の場合では、確率は以下によって与えられる。
分母は、決定プールのサイズに対応し、これは、設定サイズ
から任意のメモリ内のアイテムの総数
を引いたものである。また、以下のようになる。
【0109】
以前のモデルは、メモリの記憶および検索が決定的であるという仮定に基づいて構築されている。この仮定は、いくつかの方法で緩和されることができる。前述のように、メモリに記憶された多数のアイテムが常に正しく取り出されると仮定されることができる。残りの検索間アイテムはメモリに記憶されるが、それらの検索は、確率的であり、設定されたサイズとは無関係に率
で失敗する。
【0110】
以前のモデルと同様に、このモデルでは、メモリから正しく取得されたアイテムは、決定プールから除外される。形式的には、検索間メモリは、容量
を有する決定論的ストレージと可変容量
を有するファジーストレージとに分割されることができる。BSEの条件付き確率は、以下によって与えられる。
【0111】
正しい検索の確率
は、失敗率
およびファジーメモリ要素の最大容量
に依存する。
【0112】
未使用容量は、使用されているメモリ容量の精度を高めるために割り当てられてもよいし、割り当てられなくてもよい。他のスロットに割り当てられていない場合、BSEの限界確率は以下によって与えられる。
【0113】
この式は、異なるメモリサイズ
に対するBSEの限界確率に対応し、ここで、
アイテムは、率
で検索に失敗する。
【0114】
累積ワーキングメモリスコアは、例えば、決定論的メモリ容量とファジーメモリに記憶されたアイテムの予想数との和として計算されてもよい。
【0115】
による現実的な制限は、タスクが患者に
である困難を課すように明示的に設計されていない限り、一意に識別することができない場合があるということである。実際には、以下が仮定されることができる。
この方法は、最大セットサイズが最大メモリ容量よりも小さい場合でも、
を推定するのに有用である。
【0116】
ステップ462において、ユーザメモリが判定されることができる。ユーザメモリは、ユーザの空間ワーキングメモリスコアを含むことができる。空間ワーキングメモリスコアは、必要に応じてラウンドごとおよび/またはセッションごとに計算されることができる。本明細書に記載されているものを含む様々な技術のいずれかが使用されて、ユーザの空間ワーキングメモリスコアを判定することができる。いくつかの実施形態では、ユーザメモリは、現在のセッションおよび/または1つ以上の履歴セッションに対して判定されてもよい。様々な実施形態では、ユーザメモリは、1つ以上の空間ワーキングメモリスコアに基づいて判定される。例えば、ユーザメモリは、特定の時間枠および/またはゲームセッションの数にわたるユーザの空間ワーキングメモリスコアの移動平均として判定されてもよい。
【0117】
ステップ464において、装置プロパティが判定されることができる。装置プロパティは、ユーザインターフェースが表示される装置の任意の特性を含むことができる。これらの特性は、画面サイズ、画面解像度、ピクセル密度、入力装置の種類、オペレーティングシステムのバージョンなどを含むことができるが、これらに限定されない。ステップ466において、ユーザインターフェースが生成されることができる。ユーザインターフェースは、判定されたユーザメモリおよび/または判定された装置プロパティに基づいて生成されることができる。このようにして、ユーザインターフェースは、ユーザの相対的なスキルおよび相互作用型ゲームをプレイするために使用されている装置の特性に基づいて動的に生成されることができる。ユーザインターフェースは、ゲームボード内のいくつかの相互作用型要素および/または相互作用型要素のレイアウトを有するゲームボードを含むことができる。相互作用型要素の数は、ユーザメモリおよび/または装置プロパティに基づいて決定されることができる。様々な実施形態では、ユーザメモリスコアが増加するにつれて、より多くの相互作用型要素がゲームボードに含まれてもよい。例えば、ユーザメモリスコアが0から100の範囲である場合、ユーザメモリスコアが0から25の間であるとき、ゲームボードは、4つの相互作用型要素を含むことができる。ユーザメモリスコアが26から50の間である場合、ゲームボードは、6つの相互作用型要素、ユーザメモリスコアが51から75の間である場合、8つの相互作用型要素、およびユーザメモリスコアが76から100の間である場合、12の相互作用型要素を含むことができる。しかしながら、任意の数の相互作用型要素および/またはユーザメモリ評価が使用されて、必要に応じて相互作用型要素の数を決定することができることに留意されたい。
【0118】
ゲームボード上の相互作用型要素のレイアウトおよび/またはサイズは、ユーザメモリおよび/または装置プロパティに基づいて決定されることができる。例えば、装置が6インチの画面を有する場合、相互作用型要素は、1/2インチの正方形とすることができるが、相互作用型要素は、4インチの画面を有する装置上では1/4インチの正方形とすることができる。相互作用型要素のサイズはまた、相互作用型要素のサイズが様々な画面サイズおよび/または解像度の装置間で一貫したままであるように、ピクセル単位で装置のピクセル密度に基づいて決定されてもよい。相互作用型要素のサイズはまた、ゲームボードの一貫した量が特定のラウンドの相互作用型要素によって占められるように、ゲームボード上の相互作用型要素の数に基づいて決定されてもよい。同様に、ゲームボード内のスロットの位置は、装置プロパティおよび/または相互作用型要素の数に基づいて決定されてもよい。本明細書に記載されるように、ゲームボード内のスロットは、正方形の行および列に配置されてもよく、および/またはゲームボード全体に不均一に分散されてもよい。いくつかの実施形態では、スロットのレイアウトは、ユーザメモリに基づいて決定される。例えば、ユーザメモリが閾値を超える場合、ゲームボードのレイアウトは、ゲームボードのいくつかの領域が相互作用型要素でより密集し、それによってゲームボードのその部分内の特定のアイテムを記憶することの困難さを増大させるようなものであってもよい。このようにして、特定の相互作用型要素について混同可能な隣接者の数は、ユーザメモリおよび/または装置プロパティに基づいて動的に調整されることができる。相互作用型要素の最大密度は、利用可能な入力装置の種類、画面サイズ、相互作用型要素サイズ、および/またはパディングサイズに適宜基づいて決定されることができる。例えば、タッチスクリーンが典型的にはマウスよりも正確ではないため、タッチスクリーンを使用する装置よりも、タッチスクリーンを有する装置上の相互作用型要素間でより多くのパディングが必要とされることができる。このようにして、ゲームボード内の相互作用型要素のレイアウトは、各相互作用型要素が相対的な精度で選択されることを可能にすることができる。
【0119】
いくつかの実施形態では、ゲームボード内の相互作用型要素の数および/またはレイアウトは、1つ以上の機械分類器を使用して決定されることができる。(これらに限定されないが)決定木、k近傍、サポートベクターマシン(SVM)、ニューラルネットワーク(NN)、リカレントニューラルネットワーク(RNN)、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、および/または確率的ニューラルネットワーク(PNN)を含む様々な機械分類器が利用されることができることは、当業者にとって容易に明らかであろう。RNNは、さらに、(これらに限定されないが)完全リカレントネットワーク、ホップフィールドネットワーク、ボルツマンマシン、自己組織化マップ、学習ベクトル量子化、単純リカレントネットワーク、エコー状態ネットワーク、長期短期記憶ネットワーク、双方向RNN、階層RNN、確率的ニューラルネットワーク、および/または遺伝的スケールRNNを含むことができる。
【0120】
本開示の態様にかかる数学モデルは、これらに限定されないが、患者が以前に調査したアイテム、画面上のアイテムの数などに応じて、タスクにおける個々の応答の確率を指定することができる。
【0121】
図4Cは、本明細書に記載の1つ以上の例示的な態様にかかる、個々のデータが与えられたワーキングメモリスコアを導出するためのプロセスを概念的に示すフローチャートである。プロセス470のステップの一部または全ては、本明細書に記載のような1つ以上のコンピューティング装置を使用して実行されることができる。様々な実施形態では、以下に説明するステップの一部または全部は、必要に応じて組み合わされ、および/またはサブステップに分割されてもよい。
【0122】
ステップ472において、個々の応答が取得されることができる。個々の応答は、相互作用型ゲーム(例えば、「卵を見つける」または任意の他の同様のアプリまたは心理テスト)を患者に提供するモバイル装置によって取得されることができる。データサーバは、1つ以上のモバイル装置から個々の応答を取得することができる。多くの実施形態では、個々の応答は、反応時間、画面内のアイテムの数、以前に選択されたアイテムなど、個々の画面内でユーザによって選択された任意のアイテムおよび/またはその任意の関連情報を含む。
【0123】
ステップ474において、個々の応答は、例えば、画面上のアイテムの数、その個人の応答の履歴、以前のエラーの数、以前に発見されたアイテムなどに従ってソートされることができる。ステップ476において、(ソートされた)応答を使用して、モデルによって定義されたパラメータの確率が計算されることができる。パラメータの確率およびソートされた応答に基づく反復手順が使用されて、代表パラメータを計算することができる。反復手順は、マルコフ連鎖モンテカルロシミュレーション、グリッド探索、ベイズ推定、および/またはこれらの方法のいずれかまたは任意の他の同等の方法の混合を含むが、これらに限定されない。
図4Eに示すように、卵を見つけるをプレイしている単一の患者からの個々の応答490が、設定されたサイズおよび難易度に従ってソートされた。反復手順を使用して、ソートされた個々の応答(492)と比較してデータの尤度(494)を増加させることによって、代表パラメータが推定された。ステップ478において、空間ワーキングメモリスコアは、本明細書に記載の前記代表パラメータの数学的組み合わせとして計算されることができる。反復方法を使用して空間ワーキングメモリスコアを生成するための擬似コード480が
図4Dに示されている。本明細書に記載の様々なコンピューティング装置のいずれも、擬似コード480を具現化する命令を実行して、本明細書に記載の様々なプロセスのいずれかを実行することができる。
【0124】
様々な患者は、本明細書に記載されるように相互作用型ゲームをプレイするためにモバイル装置を利用することができる。いくつかの実施形態では、様々な患者からのデータを収集および分析して、処置の有効性を判定し、および/または患者に投与されることができる可能性のある処置を判定することができる。
【0125】
図5Aは、本明細書に記載の1つ以上の例示的な態様にかかる空間ワーキングメモリを分析するためのプロセスを概念的に示すフローチャートである。プロセス500のステップの一部または全部は、本明細書に記載のような1つ以上のコンピューティング装置を使用して実行されることができる。様々な実施形態では、以下に説明するステップの一部または全部は、必要に応じて組み合わされ、および/またはサブステップに分割されてもよい。
【0126】
ステップ510において、1つ以上の患者集団についての結果が取得されることができる。結果は、本明細書に記載の1つ以上の相互作用型ゲームをプレイし、および/またはタスクを完了するために患者によって使用されるモバイル装置などの様々なソースから取得されることができる。結果は、本明細書に記載されるように、各患者によってプレイされる相互作用型ゲームの1つ以上のセッションのゲームボードおよび/または動きのセットを含むことができる。ゲーム結果は、患者によってプレイされた1つ以上の履歴ゲームセッションを含むことができる。ゲーム結果はまた、ユーザの年齢、性別、IQレベルなど、各患者の様々な特性を含むことができる。特定の患者集団の患者は、1つ以上の特性を共通して有することができる。これらの特性は、年齢、現在の状態、疾患、精神能力、認知能力、SWMスコア、投与された処置などを含むことができるが、これらに限定されない。例えば、第1の患者集団のメンバーはASDを有することがあるが、第2の患者集団のメンバーはアルツハイマーを有することがある。別の例では、第1の患者集団の患者はASDを有しており、12歳未満であり得る一方で、第2の患者集団の患者もASDを有しているが、12歳を超えている。第3の例では、第1の患者集団の患者は第1の処置を処方され、第2の患者集団の患者は第2の処置を処方されることができる。しかしながら、患者集団を判定するために、任意の数の患者集団が使用されることができ、および/または特性の任意の特定の組み合わせが使用されることができることに留意されたい。このようにして、患者集団は、異なる集団の患者が適切に分析および/または比較されることができるように、共通の特性を有する1人または複数人の患者を含むことができる。
【0127】
ステップ512において、空間ワーキングメモリスコアが判定されることができる。空間ワーキングメモリスコアは、本明細書に記載の様々な数学モデルのいずれかを使用して、患者集団の患者のそれぞれについて判定されることができる。いくつかの実施形態では、特定の患者の空間ワーキングメモリスコアは、ユーザによってプレイされる複数のゲームセッションに基づく患者の時系列分析を含む。患者の空間ワーキングメモリスコアは、ユーザによってプレイされた最後のセッションに基づいて判定された現在の空間ワーキングメモリスコアおよび/または経時的な異なるゲームセッションの複数のスコアを含むことができる。多くの実施形態では、患者の時系列分析は、1つ以上のゲームセッションにおいてユーザによって提供された正しい動きの数、および/またはプレイヤがゲームセッションで1回または複数回の相互作用型ゲームをプレイするのにかかる時間に基づく。いくつかの実施形態では、時系列分析は、1つ以上のゲームセッションにおいてユーザによって提供された不正確な動きの数および/またはゲームセッションにおいてプレイヤが相互作用型ゲームの1回または複数回をプレイするのにかかる時間に基づく。例えば、時系列分析は、患者のゲームプレイの選択がゲームセッションごとにどのように変化する(または変化しない)かに基づいてもよい。これは、患者が同じ結果に到達するために各ゲームセッションで同じメモリ検索プロセスを実行するように、患者が1つのゲームセッションから次のゲームセッションまで学習しない可能性があるため、ASD患者が潜在的に同じ間違いをするためである。
【0128】
ステップ514において、処置有効性が判定されることができる。処置有効性は、必要に応じて、患者ごとにおよび/または患者集団ごとに判定されることができる。特定の患者の処置有効性は、患者の空間ワーキングメモリスコアに基づいて患者について判定されることができる。患者集団の処置有効性は、患者集団の各患者の空間ワーキングメモリスコアに基づいて判定されることができる。様々な統計的技術のいずれかが使用されて、必要に応じて処置有効性を判定することができる。例えば、患者集団の現在の空間ワーキングメモリスコアは、患者集団の1つ以上の履歴空間ワーキングメモリスコアと比較されることができる。現在の空間ワーキングメモリスコアと履歴空間ワーキングメモリスコアの1つ以上との間の差分、経時的な変化率、空間ワーキングメモリスコアの移動平均、および/または任意の他の統計的尺度が使用されて、処置有効性を評価することができる。処置有効性はまた、患者集団にわたって比較されることができる。例えば、患者の年齢に基づいて患者の空間ワーキングメモリスコアの改善に対する薬物の有効性を判定するために、年齢で分けられた患者集団に薬物が投与されることができる。第2の例では、第1の患者集団に第1の薬物が投与され、第2の患者集団にプラセボが投与されることができる。第1の患者集団と第2の患者集団との間の空間ワーキングメモリスコアの差の変化が使用されて、第1の薬物を含む処置の有効性を判定することができる。第3の例では、第1の患者集団に第1の薬物が投与され、第2の患者集団に第2の薬物が投与されることができる。第1の患者集団と第2の患者集団との間の空間ワーキングメモリスコアの差の変化が使用されて、第1の薬物および第2の薬物のいずれが空間ワーキングメモリを改善するのにより有効であるかを判定することができる。第4の例では、第1の患者集団には第1の投与量で薬物が投与されることができ、第2の患者集団には第2の投与量で同じ薬物が投与されることができる。患者集団の空間ワーキングメモリの改善の差(またはその欠如)が使用されて、薬物の特定の投与量の有効性を判定することができる。しかしながら、空間ワーキングメモリに影響を及ぼす異なる状態を有する患者集団間などの任意の比較が使用されて、必要に応じて処置有効性を判定することができることに留意されたい。
【0129】
ステップ516において、処置推奨が生成されることができる。処置推奨は、処置の有効性および/または特定の患者集団の特徴に基づいて生成されることができる。処置推奨は、特定の患者集団と共通の特定の特性を有する患者に対して一般化および/または標的化されることができる。例えば、特定の薬物が12歳未満のASD患者の空間ワーキングメモリを改善するのに有効である場合、生成された処置推奨は、12歳未満のASD患者の薬物の特定の投与量を含むことができる。同様に、特定の薬物が12歳を超えるASD患者および/またはアルツハイマー病患者の空間ワーキングメモリの改善に有効でない場合、処置推奨は、これらの特性を有する患者のための薬物を含まなくてもよい。患者集団について生成された処置推奨は、本明細書に記載の患者集団と共通の特性を有する特定の患者に処置を推奨および/または投与するために使用されることができる。
【0130】
図5Bは、本明細書に記載の1つ以上の例示的な態様にかかる治療を投与するためのプロセスを概念的に示すフローチャートである。プロセス550のステップの一部または全ては、本明細書に記載のような1つ以上のコンピューティング装置を使用して実行されることができる。様々な実施形態では、以下に説明するステップの一部または全部は、必要に応じて組み合わされ、および/またはサブステップに分割されてもよい。
【0131】
ステップ560において、ゲーム結果が取得されることができる。ゲーム結果は、本明細書に記載されるような相互作用型ゲームの1つ以上の現在のセッションについてのゲームボードおよび/またはユーザの動きを含むことができる。ゲーム結果は、ユーザによってプレイされた1つ以上の履歴ゲームセッションを含むことができる。ゲーム結果はまた、ユーザの年齢、性別、IQレベルなどのユーザの様々な特性を含むことができる。ステップ562において、空間ワーキングメモリは、本明細書に記載される数学的モデルを使用して判定されることができる。空間ワーキングメモリは、本明細書に記載されるように、ユーザによってプレイされている現在のセッションに対して判定されることができる。ステップ564において、履歴空間ワーキングメモリが取得されることができる。履歴空間ワーキングメモリは、本明細書に記載されるように、ユーザによってプレイされた1つ以上の履歴セッションについて判定されることができる。
【0132】
ステップ566において、処置効果が測定されることができる。処置効果は、空間ワーキングメモリスコアおよび/または履歴空間ワーキングメモリスコアまたは任意の他の臨床的に関連する方法に基づいて測定されることができる。例えば、現在のゲームセッションの空間ワーキングメモリスコアは、以前のゲームセッションで判定されたユーザの1つ以上の履歴空間ワーキングメモリスコアと比較されることができる。測定された処置効果は、現在の空間ワーキングメモリスコアと履歴空間ワーキングメモリスコアの1つ以上との間の差分、経時的な変化率、空間ワーキングメモリスコアの移動平均、および/または必要に応じて任意の他の統計的尺度を含むことができる。
【0133】
ステップ568において、特定の患者(または患者のクラス)を示すデジタルバイオマーカーが、患者のタスク結果および/またはSWMスコアに基づいて生成されることができる。タスク難易度は、本明細書に記載の神経学的状態を有する患者の評価のためのタスクについて判定されることができる。タスク難易度レベルでの相互作用型タスクは、本明細書に記載されるように患者に対して生成されることができる。本明細書に記載されるように、タスクを完了しようと試みている患者からのタスク入力を受信するためのモバイル装置用のユーザインターフェースが生成されることができる。タスク結果は、本明細書に記載されるように、受信したタスク入力に基づいて判定されることができる。修正されたタスク難易度は、本明細書に記載されるように受信したタスク入力に基づく。タスク結果ステップは、本明細書に記載されるように所定の条件が満たされるまで、修正されたタスク難易度を使用して反復的に生成されることができる。デジタルバイオマーカーは、本明細書に記載されるように、複数の受信したタスク入力および判定されたタスク結果を分析することによって患者について判定されることができる。
【0134】
所定の条件は、患者が所定の難易度でタスクを完了することを含んでもよい。所定の条件は、患者が任意のタスクを完了しようと試みている間に少なくとも所定数のエラーを発生させることを含むことができる。相互作用型タスクは、本明細書に記載されるようにゲームボード上のオブジェクトを隠すことを含むことができる。各難易度は、本明細書に記載されるように、ゲームボード上の異なる数の相互作用型要素に関連付けられることができる。デジタルバイオマーカーは、タスク入力およびタスク結果を受信するように構成されたサーバ装置などの任意のコンピューティング装置で判定されることができる。患者は、本明細書に記載の処置を投与された集団から選択されることができる。履歴デジタルバイオマーカーは、本明細書に記載の集団の各患者について取得されることができる。デジタルバイオマーカーは、本明細書に記載の集団の各患者について生成されることができる。各患者の履歴デジタルバイオマーカーおよび新たなデジタルバイオマーカーが比較されて、本明細書に記載の投与された処置の処置有効性を判定することができる。修正されたタスク難易度を生成することは、本明細書に記載されるように、マルコフ連鎖モンテカルロシミュレーション、グリッド探索、およびベイズ推定などの反復手順を使用することを含むことができる。
【0135】
ステップ570において、処置が判定されることができる。処置は、バロバプタンおよび/またはアルバクロフェンなどの医薬品、ならびにユーザのパフォーマンスを改善するように設計された特定のタスクを含むことができる。様々な実施形態では、判定された処置は、バソプレシン1a拮抗薬、より具体的には、アルバクロフェン、バロバプタン、GABA-Aa5 PAM、GABA-A1モジュレーター、mGlu4/7 PAM、ドーパミン2受容体拮抗薬、特にリスペリドン、μオピオイド受容体拮抗薬、特にナロキソン、および/またはNMDAグルタミン酸受容体拮抗薬、特にメマンチン、ならびにそれらの薬学的に許容される塩を含む。
【0136】
処置は、ユーザのデジタルバイオマーカー、特性、測定された処置効果、および/またはユーザの現在の空間ワーキングメモリスコアに基づいて判定されることができる。例えば、ユーザが特定の用量のバロバプタンを服用しており、ユーザの空間ワーキングメモリスコアが改善していない場合、代替処置(カルバクロフェンなど)が判定されることができる。特定の医薬品の投与量は、ユーザの空間ワーキングメモリスコアおよび/または空間ワーキングメモリスコアの所望の改善に基づいて治療有効用量であると判定されることができる。第2の例では、割り当てられたタスクの難易度が上昇するにつれて、ユーザが空間ワーキングメモリスコアの低下を経験している場合、判定された処置は、より困難なタスクを実行する際のユーザの自信を構築するために、追加のより単純なタスクをユーザに提供することを含むことができる。同様に、他のタスクおよび/または処置は、ユーザの空間ワーキングメモリを増大させるためにユーザにとって有用であると判定されてもよい。例えば、ユーザが「卵を見つける」相互作用型ゲームのプレイに基づいて判定された空間ワーキングメモリスコアの十分な量の改善を経験していない場合、ユーザは、異なる方法で空間ワーキングメモリを行使する異なる相互作用型タスクを規定されることができる。別の例では、現在の空間ワーキングメモリスコアが閾値を超え、履歴空間ワーキングメモリスコアに対する改善である場合、特定の薬物の投与量は、ユーザを過剰に薬剤投与することなくユーザの現在の空間ワーキングメモリスコアを維持するために減少されることができる。
【0137】
ステップ572において、処置が投与されることができる。提供される処置は、デジタルバイオマーカー、測定された処置効果、および/または必要に応じて判定された処置に基づいて決定されることができる。投与される処置は、ユーザの空間ワーキングメモリスコアを改善するための薬物の治療有効用量を含むことができる。例えば、治療有効用量のバロバプタンおよび/またはカルバクロフェンがユーザに投与されることができる。しかしながら、バソプレシン1a拮抗薬、より具体的には、アルバクロフェン、バロバプタン、GABA-Aa5 PAM、GABA-A1モジュレーター、mGlu4/7 PAM、ドーパミン2受容体拮抗薬、特にリスペリドン、μオピオイド受容体拮抗薬、特にナロキソン、および/またはNMDAグルタミン酸受容体拮抗薬、特にメマンチン、ならびにそれらの薬学的に許容される塩などの任意の適切な薬物が必要に応じて使用されることができることに留意されたい。同様に、特定の相互作用型タスクがユーザに提供されて、決定された処置に従って完了することができる。
【0138】
本開示の1つ以上の態様は、1つ以上の理由で空間ワーキングメモリ(SWM)に焦点を合わせる1つ以上の評価を実装することができる。例えば、SWMは、自閉症の個人にとって意味のある課題の根底にあり得る。これらの課題の1つ以上の例が
図6に示されている。追加的または代替的に、SWMの神経心理学的試験は、症例/対照比較で堅牢な効果サイズを示すことができる。これらの効果サイズの例が
図7に示されている。
【0139】
本開示の1つ以上の態様に関連するASDコミュニティからプロトタイプへのいくつかの反応は、自閉症の個人(および利用可能な場合はその介護者)を含む2つのフォーカスグループによる実験的試験を通して捕捉されている。フォーカスグループの目的、患者、およびフォーマットに関する詳細が
図8に示されている。さらに、フォーカスグループからの所見とそれを踏まえたアクションが
図9に示されている。続いて、1つ以上のエージェントベースのシミュレーションがフォーカスグループによって実行された。特に、経験的検証研究においてタスクを展開する前に、タスクの設計がその感度にどのように影響を及ぼし得るかを理解および/または確認する試みが行われた。具体的には、特定の数のエラー(例えば、3つのエラー、5つのエラー、7つのエラーなど)が発生した後にタスクが終了するかどうかに応じてエラータイプを判定するために終了規則が検査された。さらに、相互作用型要素(例えば、ニワトリ)の数がエラーの相対パターンに影響するかどうかを判定するために、設定サイズが検査された。エラータイプ自体に対する終了規則および設定サイズの影響が空間ワーキングメモリ容量に依存するかどうかを判定するために、空間ワーキングメモリ容量が検査された。これらの問題に対処するために、いくつかの重要な仮定の下で、タスクを実行することができる計算モデルが作成された。第一に、被験者は、以前に検索された卵が見つかった場所と卵が見つからなかった場所の2種類の場所を記憶しようと試みる。第二に、メモリがワーキングメモリ容量を超える場合、最も古いアイテムは忘れられる。第三に、混雑および戦略的「反転」効果は、ユーザのパフォーマンスにおいて大きな役割を果たさない。
【0140】
計算モデルは、特に上記の終了規則、設定サイズ、および空間ワーキングメモリ容量の問題に関して、タスクの設計がその感度にどのように影響を及ぼし得るかに関するいくつかの結果をもたらした。これらの結果が
図10および
図11に示されている。
図10および
図11に示すモデル結果に見られるように、終了規則に関係なく、セット間エラーは、それらのSWM容量に従ってユーザを強く区別することができる。さらに、終了規則に関係なく、SWM容量は、試行履歴を所与として、試行ごとの検索の確率の関数として表されることができる。したがって、患者の負担を最小限に抑えるために、タスクは、3つのエラーの終了規則および被験者ごとに決定された適応設定サイズで展開されてもよい。
【0141】
本開示の1つ以上の態様に関連するモデルへの神経拡張は、
図12に示すように、興奮抑制バランスの関数として空間密集効果を特徴付けられることができる。
図12に見られるように、神経モデルは、3位置刺激が提示された後の35×35興奮点ニューロンアレイの発火率(例えば、黄色のより高い割合)を示す。モデルおよびその関連するニューラル拡張は、本明細書に記載の様々な機械分類器のうちの1つ以上を使用して実装されることができる。忘却(右側)は、アトラクタの減衰によって生じる。興奮性コンダクタンスおよび阻害性コンダクタンスを調節することによって、このモデルは、GABA調節下での空間誤差を予測することを目的とする。GABA調節は、カルバクロフェンなどの様々な医薬品の投与によって影響を受けることがある。
【0142】
本発明は特定の態様で説明されてきたが、多くの追加の変更および変形が当業者にとって明らかであろう。特に、上述した様々なプロセスのいずれかは、特定の用途の要件により適した方法で同様の結果を達成するために、代替シーケンスでおよび/または並列に(異なるコンピューティング装置上で)実行されてもよい。したがって、本発明は、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、具体的に説明された以外の方法で実施されることができることを理解されたい。したがって、本発明の実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は、例示された実施形態によってではなく、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物によって決定されるべきである。
【国際調査報告】