(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-10
(54)【発明の名称】ピリミジニルビピリジン化合物の製造方法及びそのための中間体
(51)【国際特許分類】
C07D 401/14 20060101AFI20221102BHJP
【FI】
C07D401/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022514845
(86)(22)【出願日】2020-09-04
(85)【翻訳文提出日】2022-03-04
(86)【国際出願番号】 KR2020011996
(87)【国際公開番号】W WO2021045585
(87)【国際公開日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】10-2019-0110734
(32)【優先日】2019-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517273087
【氏名又は名称】ビヨンドバイオ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ミン,チャンヒ
(72)【発明者】
【氏名】ナ,キ-ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ソン,フン ヨン
【テーマコード(参考)】
4C063
【Fターム(参考)】
4C063AA05
4C063BB01
4C063CC29
4C063DD10
4C063EE05
(57)【要約】
本発明は、ピリミジニルビピリジン化合物を高価のシリカゲルを用いることなく高収率且つ高純度で製造する方法及びそれに用いられる中間体を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)下記の化学式2で表される化合物を下記の化学式3で表される化合物と鈴木(Suzuki)反応させて、下記の化学式4で表される化合物を収得するステップ;
(ii)下記の化学式4で表される化合物を脱保護反応させて、下記の化学式5で表される化合物を収得するステップ;
(iii)下記の化学式5で表される化合物をグアニジン化合物と反応させるステップを含む、下記の化学式1で表されるピリミジニルビピリジン化合物の製造方法。
【化1】
前記式中、
R
1は、ハロゲンを示し、
R
2は、水素又はC
1-C
6のアルキル基を示し、
R
3は、C
1-C
6のアルキル基を示す。
【請求項2】
前記ステップ(i)において鈴木反応が、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)とリン酸カリウムの存在下で行われる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記ステップ(ii)において脱保護反応が、トリフルオロ酢酸の存在下で行われる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記ステップ(iii)においてグアニジン化合物がグアニジン塩酸塩である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記ステップ(iii)において反応が、ピリジン溶媒下、炭酸カリウムの存在下で行われる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記ステップ(iii)で収得した化学式1で表されるピリミジニルビピリジン化合物をアセトンとエタノールで精製するステップを含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の製造方法によって製造された化学式1で表される化合物を酸と反応させるステップを含む、化学式1で表される化合物の薬剤学的に許容される塩の製造方法。
【請求項8】
前記酸は塩酸である、請求項7に記載の化学式1で表される化合物の三塩酸塩の製造方法。
【請求項9】
化学式1で表される化合物の三塩酸塩を水とアセトンで再結晶するステップを含む、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
下記の化学式4で表される化合物。
【化2】
前記式中、
R
1は、ハロゲンを示し、
R
2は、水素又はC
1-C
6のアルキル基を示し、
R
3は、C
1-C
6のアルキル基を示す。
【請求項11】
下記の化学式5で表される化合物。
【化3】
前記式中、
R
1は、ハロゲンを示し、
R
2は、水素又はC
1-C
6のアルキル基を示し、
R
3は、C
1-C
6のアルキル基を示す。
【請求項12】
R
1は、フッ素を示し、
R
2は、メチルを示し、
R
3は、i-プロピルを示す、請求項10又は11に記載の化合物。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、ピリミジニルビピリジン化合物の製造方法及びそのための中間体に関する。より詳しくは、本発明は、ピリミジニルビピリジン化合物を高価のシリカゲルを用いることなく高収率且つ高純度で製造する方法及びそれに用いられる中間体に関する。
〔背景技術〕
下記の化学式1で表されるピリミジニルビピリジン化合物は、サイクリン依存性キナーゼ(cyclin-dependent kinase、CDK)抑制剤として、大腸癌、肺癌、グリオーマのような癌、アルツハイマー疾患のような退行性脳疾患などの治療に有効であると知られている[大韓民国登録特許第10-1783642号参照]。
【0002】
【0003】
大韓民国登録特許第10-1783642号には、下記の反応式1のように、下記の化学式2で表されるジケトン化合物をグアニジン炭酸塩と反応させてピリミジニルピリジン化合物を収得し、これを下記の化学式3で表されるジオキサボロラン化合物と鈴木(Suzuki)反応させた後、O-脱メチル化(demethylation)させて、化学式1で表されるピリミジニルビピリジン化合物を製造する方法が開示されている。
【0004】
【0005】
しかし、前記製造方法では、中間体であるピリミジニルピリジン化合物の有機溶媒への溶解度が低いため後処理(work-up)及びシリカゲルカラム精製過程で収率が顕著に低下し、且つO-脱メチル化工程で不純物が生成されて純度が低下するという問題点があった。
〔発明の概要〕
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明者らは、化学式1で表されるピリミジニルビピリジン化合物の製造に際して前記した問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、化学式2で表されるジケトン化合物を先に化学式3で表されるジオキサボロラン化合物と鈴木(Suzuki)反応させた場合に溶解度に優れる中間体が生成され別途のO-脱メチル化工程を省略し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
したがって、本発明の目的は、化学式1で表されるピリミジニルビピリジン化合物を高価のシリカゲルを用いることなく高収率且つ高純度で製造する方法を提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、前記製造方法に用いられる中間体を提供することである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の一実施形態は、下記の化学式1で表されるピリミジニルビピリジン化合物の製造方法に関し、本発明の製造方法は、
(i)下記の化学式2で表される化合物を下記の化学式3で表される化合物と鈴木(Suzuki)反応させて、下記の化学式4で表される化合物を収得するステップ;
(ii)下記の化学式4で表される化合物を脱保護反応させて、下記の化学式5で表される化合物を収得するステップ;
(iii)下記の化学式5で表される化合物をグアニジン化合物と反応させるステップを含む。
【0008】
【0009】
前記式中、
R1は、ハロゲンを示し、
R2は、水素又はC1-C6のアルキル基を示し、
R3は、C1-C6のアルキル基を示す。
【0010】
本明細書において用いられるC1-C6のアルキル基は、炭素数1~6個からなる直鎖状若しくは分岐状の炭化水素を意味し、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、n-ペンチル、i-ペンチル、n-ヘキシルなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0011】
以下、本発明の製造方法を下記の反応式2を参照してより詳しく説明する。なお、下記の反応式2に記載された方法は代表的に用いられた方法を例示したものであるに過ぎず、反応試薬、反応条件などは場合に応じて適宜変更され得る。
【0012】
【0013】
第1ステップ:化学式4で表される化合物の合成
化学式4で表される化合物は、化学式2で表される化合物を化学式3で表される化合物と鈴木(Suzuki)反応させて収得してよい。
【0014】
前記鈴木(Suzuki)反応はパラジウム触媒と塩基の存在下で行われてよい。
【0015】
前記パラジウム触媒としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh3)4)、(1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム(II)ジクロリド(PdCl2(dppf)2)などを用いてよく、前記塩基としては、リン酸カリウム(K3PO4)、炭酸カリウム(K2CO3)などを用いてよい。
【0016】
このとき、反応溶媒としては、テトラヒドロフランと水との混合溶媒を用いることが好ましく、反応温度は還流条件が好適である。
【0017】
第2ステップ:化学式5で表される化合物の合成
化学式5で表される化合物は、化学式4で表される化合物を脱保護反応させて収得してよい。
【0018】
前記脱保護反応は、酸の存在下で行われてよい。
【0019】
前記酸としては、トリフルオロ酢酸(TFA)、塩酸(c-HCl)などを用いてよい。
【0020】
このとき、反応溶媒としては、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、アセトニトリルなどが好ましく、反応温度は-20℃~室温が好適である。
【0021】
第3ステップ:化学式1で表される化合物の合成
化学式1で表される化合物は、化学式5で表される化合物をグアニジン化合物と反応させて収得してよい。
【0022】
前記グアニジン化合物は、グアニジン塩酸塩(Guanidine HCl)、炭酸グアニジン(Guanidine Carbonate)などであってよい。
【0023】
前記反応は、ピリジン溶媒下、塩基の存在下で行われてよい。
【0024】
前記塩基としては、炭酸カリウム(K2CO3)、炭酸セシウム(Cs2CO3)などを用いてよい。
【0025】
このとき、反応温度は還流条件が好適である。
【0026】
このようにして製造された化学式1で表される化合物は、アセトンとエタノールで精製して純度99%以上の化合物を収得してよい。
【0027】
本発明の一実施形態は、前記製造方法にて収得した化学式1で表される化合物を酸と反応させて、化学式1で表される化合物の薬剤学的に許容される塩を製造する方法に関する。
【0028】
前記酸としては、無毒性の無機酸及び有機酸がいずれも用いられてよく、例えば、塩酸、リン酸、硫酸、硝酸、酒石酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、マレイン酸、コハク酸、シュウ酸、安息香酸、フマル酸、マンデル酸、プロピオン酸、乳酸、グリコール酸、グルコン酸、ガラクツロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、グルクロン酸、アルパラギン酸、アスコルビン酸、炭素酸、バニリン酸、ヨウ化水素酸、リンゴ酸、マロン酸などが用いられてよい。特に、塩酸が好ましい。
【0029】
このとき、反応溶媒としては、メタノール、1,4-ジオキサン(1,4-dioxane)などが好ましく、反応温度は室温が好適である。
【0030】
このようにして製造された化学式1で表される化合物の薬剤学的に許容される塩は、水とアセトンで再結晶して純度99%以上の化合物を収得してよい。
【0031】
本発明の一実施形態は、化学式1で表される化合物の製造中間体である下記の化学式4で表される化合物又は化学式5で表される化合物に関する。
【0032】
【0033】
前記式中、
R1は、ハロゲンを示し、
R2は、水素又はC1-C6のアルキル基を示し、
R3は、C1-C6のアルキル基を示す。
【0034】
本発明の一実施形態において、
R1は、フッ素を示し、
R2は、メチルを示し、
R3は、i-プロピルを示す。
〔発明の効果〕
本発明の製造方法によれば、溶解度に優れて後処理及び精製が容易な化学式4で表される中間体を用いて、化学式1で表されるピリミジニルビピリジン化合物を高価のシリカゲルを用いることなく高収率且つ高純度で大量生産することができる。
〔発明を実施するための形態〕
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明することにする。なお、これらの実施例は単に本発明を説明するためのものであって、本発明の範囲がこれらの実施例に局限されないことは当業者にとって自明である。
【0035】
製造例1:2-[3-フルオロ-4-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン-2-イル)-2-ピリジニル]-イミドジカルボン酸-1,3-ビス(1,1-ジメチルエチル)エステルの製造
【0036】
【0037】
製造例1-1:4-クロロ-3-フルオロ-ピリジン-2-カルボン酸の製造
反応器の内部を窒素で充填し、-78℃でジエチルエーテル(diethylether)に2.5M n-ブチルリチウムヘキサン溶液(n-BuLi(2.5M in Hexane))(502mL、1.254mol)を投入し2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(TMP)(213mL、1.254mol)を滴下した後、1時間撹拌した。4-クロロ-3-フルオロピリジン(150g、1.140mol)をゆっくり滴下し-78℃で1時間撹拌した。多数のドライアイスが細かく粉砕されたジエチルエーテルのある反応器に生成された反応液をゆっくり滴下した。滴下後、室温にゆっくり昇温させてから反応液を濃縮した。2N塩酸水溶液をゆっくり投入して固体を生成させ30分間撹拌してろ過した。水で固体を洗浄しろ過された固体化合物をn-ヘキサンを投入し30分間撹拌してろ過した。n-ヘキサンで洗浄し固体化合物を65℃の乾燥器で16時間乾燥した。乾燥された化合物をn-ヘキサン/ジエチルエーテルで精製し乾燥して、白色の標題化合物(150g、75%)を得た。
【0038】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 8.45 (d, J = 5.4 Hz, 1H), 7.93 (t, J = 5.4 Hz, 1H)
製造例1-2:(4-クロロ-3-フルオロ-ピリジン-2-イル)-カルバミン酸-tert-ブチルエステルの製造
4-クロロ-3-フルオロ-ピリジン-2-カルボン酸(1.23kg、7.007mol)とtert-ブタノールを反応器に投入した。トリエチルアミン(2.3L、16.116mol)を投入しジフェニルリン酸アジド(DPPA)(2.3L、10.511mol)を投入して昇温した。16時間還流反応させ温度を室温に冷却してから減圧濃縮した。1N塩酸水溶液と酢酸エチルを投入して1時間撹拌した。有機層を分離し飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でpHを中和した。有機層を分離し硫酸マグネシウム(MgSO4)と活性炭を投入し1時間撹拌して有機層の水分と色相を改善した。セライトろ過し酢酸エチルで洗浄し減圧濃縮して、明るい褐色の標題化合物(1.73kg、Quant.)を収得した。
【0039】
1H NMR (600 MHz CDCl3) δ 8.11 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 7.09 (br, 1H), 7.08 (t, J = 4.8 Hz, 1H), 1.52 (s, 9H)
製造例1-3:2-(3-フルオロ-4-クロロピリジニル)-イミドカルボン酸-1,3-ビス(1,1-ジメチルエチル)エステルの製造
(4-クロロ-3-フルオロ-ピリジン-2-イル)-カルバミン酸-tert-ブチルエステル(1.723kg、6.987mol)をアセトニトリルに溶解した後、ジ-tert-ブチルジカーボネート((Boc)2O)(3.05kg、13.784mol)、炭酸カリウム(K2CO3)(2.9kg、20.961mol)を添加してから撹拌した。4-ジメチルアミノピリジン(85g、0.699mol)をゆっくり投入した後、室温で16時間撹拌した。セライトろ過した後、酢酸エチルで洗浄し減圧濃縮した。1N塩酸水溶液、酢酸エチルを投入し1時間撹拌した後、有機層を分離した。飽和された炭酸水素ナトリウム水溶液を有機層に投入してpHを8に調整し1時間撹拌した。有機層を分離し硫酸マグネシウム(MgSO4)と活性炭を投入して有機層の水分と色相を改善した。セライトろ過後に、酢酸エチルで洗浄し減圧濃縮した。n-ヘキサン/ジエチルエーテルを投入し温度を0~4℃に冷却し撹拌して結晶化した。生成された固体をろ過しn-ヘキサンで洗浄及び乾燥して、明るい褐色の標題化合物(1.46kg、60%)を得た。
【0040】
1H NMR (600 MHz CDCl3) δ 8.20 (d, J = 5.4 Hz, 1H), 7.36 (t, J = 4.8 Hz, 1H), 1.43 (s, 18H)
製造例1-4:2-[3-フルオロ-4-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン-2-イル)-2-ピリジニル]-イミドジカルボン酸-1,3-ビス(1,1-ジメチルエチル)エステルの製造
2-(3-フルオロ-4-クロロピリジニル)-イミドカルボン酸-1,3-ビス(1,1-ジメチルエチル)エステル(150g、0.433mol)を1,4-ジオキサンに溶かした後、ビス(ピナコラート)ジボロン(241g、0.952mol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(19.8g、0.0216mol)、トリシクロヘキシルホスフィン(9.0g、0.0344mol)、酢酸カリウム(170g、1.730mol)を添加した後、16時間還流撹拌した。反応終結後、室温に冷却し反応器にセライトとジクロロメタンを投入して30分間撹拌した。セライトろ過によって固体残余物を除去してからジクロロメタンで洗浄した。ろ液を減圧濃縮しジクロロメタンを投入し炭酸水素ナトリウム水溶液を入れて30分間撹拌した。このとき、水層のpHは塩基性である必要がある。有機層を分離し硫酸マグネシウム(MgSO4)と活性炭を投入して有機層の水分と色相を改善した。セライトろ過後に、ジクロロメタンで洗浄し減圧濃縮した。n-ヘキサンを投入し結晶化をして、白色の標題化合物(133g、70%)を得た。
【0041】
1H NMR (600 MHz CDCl3) δ 8.29 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 7.57 (t, J = 4.8 Hz, 1H), 1.39 (s, 18H), 1.34 (s, 12H)
製造例2:メチル6-ブロモ-3-メトキシピコリネートの製造
【0042】
【0043】
製造例2-1:メチル 3-ヒドロキシピコリネートの製造
3-ヒドロキシピコリン酸(2.4kg、17.32mol)をメタノールに投入した後、硫酸(2.4L)を0℃でゆっくり滴下して24時間還流撹拌した。室温に冷却後に減圧濃縮した。水を投入し0℃に冷却後に、6N水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7~8に滴定した。酢酸エチルで抽出後に硫酸マグネシウム(MgSO4)を投入して有機層を乾燥及び減圧濃縮しn-ヘキサンを投入し結晶化して、微白色の標題化合物(2.0kg、75%)を得た。
【0044】
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 10.63 (s, 1H), 8.28 (s, 1H), 7.41 (t, J = 1.8 Hz, 1H), 7.37 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 4.06 (s, 3H)
製造例2-2:メチル 6-ブロモ-3-ヒドロキシピコリネートの製造
メチル 3-ヒドロキシピコリネート(1.2kg、7.833mol)を蒸留水(30L)に溶解した後、ピリジニウムトリブロミド(3.24kg、10.185mol)をゆっくり滴下した。投入完了後、室温で24時間撹拌した。生成された固体をろ過し水で十分に洗浄した。ろ過した固体をジクロロメタンに溶解した後、有機層を分離し硫酸マグネシウム(MgSO4)を投入して有機層を乾燥し減圧濃縮し真空乾燥して、微白色の標題化合物(1.46kg、80%)を得た。
【0045】
1H NMR (600 MHz CDCl3) δ 10.69 (s, 1H), 7.56 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.27 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 4.06 (s, 3H)
製造例2-3:メチル 6-ブロモ-3-メトキシピコリネートの製造
メチル 6-ブロモ-3-ヒドロキシピコリネート(230g、0.9912mol)をアセトニトリルに投入した。炭酸カリウム(274g、1.9825mol)、ヨードメタン(123mL、1.9825mol)を投入し温度を昇温した。16時間還流撹拌し室温に冷却した後に、セライトろ過した。酢酸エチルで洗浄した後にろ液を減圧濃縮した。濃縮液に水とジクロロメタンを用いて有機層を抽出し、有機層を分離して硫酸マグネシウム(MgSO4)を投入して有機層を乾燥し減圧濃縮した。濃縮液をn-ヘキサン/ジエチルエーテルで結晶化を進め、n-ヘキサンで洗浄して、微白色の標題化合物(190g、78%)を得た。
【0046】
1H NMR (600 MHz CDCl3) δ 10.69 (s, 1H), 7.57 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.26 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 3.95 (s, 3H), 3.91 (s, 3H)
製造例3:1-(1-イソプロピルピペリジン-4-イル)プロパン-1-オンの製造
【0047】
【0048】
製造例3-1:1-(tert-ブトキシカルボニル)ピペリジン-4-カルボン酸の製造
4-ピペリジンカルボン酸(70.0g、0.542mol)をテトラヒドロフラン(THF)に溶解した後、ジ-tert-ブチルジカーボネート((Boc)2O)(236.6g、1.084mol)、3N水酸化ナトリウム水溶液を投入した。室温で16時間撹拌した後、反応終結を確認して反応液を減圧濃縮した。濃縮液に3N塩酸水溶液を投入してpHを7~8に滴定した。ジクロロメタンを投入し有機層を分離した。分離された有機層を硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥しろ過した。ろ液を減圧濃縮した後にn-ヘキサンを投入し結晶化して、白色の標題化合物(121.8g、98.0%)を収得した。
【0049】
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 4.02 (br, 2H), 2.86 (br, 2H), 2.48 (m, 1H), 1.91 (br, 2H), 1.63 (m, 2H), 1.45 (s, 9H)
製造例3-2:tert-ブチル-4-(メトキシ(メチル)カルバモイル)ピペリジン-1-カルボキシレートの製造
1-(tert-ブトキシカルボニル)ピペリジン-4-カルボン酸(118g、0.515mol)をジクロロメタンに溶解した後、1,1'-カルボニルジイミダゾル(CDI)(108.6g、0.669mol)を投入した。投入が完了すると、室温で1~2時間撹拌した。N,O-ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(65.3g、0.669mol)、トリエチルアミン(Et3N)(67.7g、0.669mol)を投入し室温で16時間撹拌した。反応終結の確認後、飽和塩化アンモニウム(Sat.NH4Cl)を投入し有機層を分離した。分離された有機層に2N塩酸水溶液を投入し有機層を分離した。分離された有機層に飽和塩化ナトリウム(Brine)を投入し有機層を分離した。分離された有機層を硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥しろ過した。ろ液を減圧濃縮して、白色の標題化合物(137.8g、95.3%)を収得した。
【0050】
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 4.12 (br, 2H), 3.71 (s, 3H), 3.18 (s, 3H), 2.79 (br, 3H), 1.63 (m, 4H), 1.46 (s, 9H)
製造例3-3:tert-ブチル 4-プロピオニルピペリジン-1-カルボキシレートの製造
tert-ブチル-4-(メトキシ(メチル)カルバモイル)ピペリジン-1-カルボキシレート(132g、0.485mol)をテトラヒドロフラン(THF)に溶解した後、温度を4~10℃に冷却した。2Mエチルマグネシウムブロミド(2M EtMgBr)(727mL、1.454mol)をゆっくり投入し、30分間撹拌した後、室温で16時間撹拌した。反応終結の確認後、4~10℃に冷却し水をゆっくり投入した。2N塩酸水溶液を投入し有機層を分離した。分離された有機層を硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥しろ過した。ろ液を減圧濃縮して、黄色の標題化合物(109g、93%)を収得した。
【0051】
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 4.11 (br s, 2H), 2.77 (s, 2H), 2.52-2.42 (m, 3H), 1.79 (br s, 2H), 1.58-1.48 (m, 2H), 1.45 (s, 9H), 1.05 (t, J= 7.2 Hz, 3H)
製造例3-4:1-(ピペリジン-4-イル)プロパン-1-オンの製造
tert-ブチル 4-プロピオニルピペリジン-1-カルボキシレート(130g、0.539mol)をジクロロメタンに溶解した後、トリフルオロ酢酸(TFA)(301mL、3.932mol)をゆっくり投入し、室温で16時間撹拌した。反応終結の確認後、反応液を減圧濃縮した。濃縮液に3N水酸化ナトリウム水溶液とジクロロメタンを投入し有機層を分離した。分離された有機層を硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥しろ過した。ろ液を減圧濃縮して、褐色の標題化合物(68.4g、90%)を収得した。
【0052】
1H NMR (600MHz, CDCl3) δ 3.12 (d, J = 10.8 Hz 2H), 2.63 (t, J = 12 Hz, 2H), 2.48-2.42 (m, 3H), 1.80 (d, J = 13.2 Hz, 2H), 1.62 (s, 2H), 1.54-1.48 (m, 2H), 1.06-1.03 (m, 3H)
製造例3-5:1-(1-イソプロピルピペリジン-4-イル)プロパン-1-オンの製造
1-(ピペリジン-4-イル)プロパン-1-オン(76g、0.538mol)をアセトニトリルに溶解した後、炭酸カリウム(K2CO3)(223.1g、1.614mol)、ヨウ化イソプロピル(isopropyl iodide)(137.2g、0.807mol)を投入した。温度を昇温して16時間還流撹拌した。反応終結の確認後、温度を室温に冷却しセライトろ過をした。ろ液を減圧濃縮し水と酢酸エチルを投入して有機層を分離した。分離された有機層を硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥しろ過した。ろ液を減圧濃縮し高圧蒸留して、無色の標題化合物(68.4g、90%)を収得した。
【0053】
1H NMR (600MHz, CDCl3) δ 2.92-2.86 (m, 2H), 2.74-2.68 (m, 1H), 2.47 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 2.32-2.24 (m, 1H), 2.16 (t, J = 11.4 Hz, 2H), 1.87 (d, J = 13.2 Hz, 2H), 1.70-1.60 (m, 2H), 1.08-1.02 (m, 9H)
製造例4:1-(6-ブロモ-3-メトキシピリジン-2-イル)-3-(1-イソプロピルピペリジン-4-イル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオン(2a)の製造
【0054】
【0055】
製造例2で収得したメチル 6-ブロモ-3-メトキシピコリネート(615.15g、2.50mol)をテトラヒドロフラン(THF)に溶解した後、製造例3で収得した1-(1-イソプロピルピペリジン-4-イル)プロパン-1-オン(549.9g、3.00mol)を投入した。温度を-70~-78℃に冷却し1Mリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(1M LiHMDS)(5.00L、5.00mol)をゆっくり投入した。投入が完了すると、30分間撹拌し温度をゆっくり室温に昇温した。室温で3時間撹拌後、HPLCでメチル 6-ブロモ-3-メトキシピコリネートの割合が5~7%水準であると飽和アンモニウムクロリド(Sat.NH4Cl)をゆっくり投入し反応を終結した。有機層を分離し分離された有機層を硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥しろ過した。ろ液を減圧濃縮して、明るい褐色の標題化合物(537g、収率54%、純度>95%)を収得した。
【0056】
1H NMR (600MHz, CDCl3) δ 7.54 (d, J = 9 Hz, 1H), 7.27 (d, J = 9 Hz, 1H), 4.82-4.70 (m, 1H), 3.92 (s, 3H), 2.94 (d, J = 9 Hz, 2H), 2.85 (br s, 1H), 2.61 (br s, 1H), 2.40-2.22 (m, 2H), 2.10-1.90 (m, 2H), 1.80-1.60 (m, 4H), 1.35 (d, J = 7.2 Hz, 3H), 1.05 (d, J = 5.4 Hz, 6H)
実施例1:2'-アミノ-6-(2-アミノ-6-(1-イソプロピルピペリジン-4-イル)-5-メチルピリミジン-4-イル)-3'-フルオロ-[2,4'-ビピリジン]-5-オール(1a)の製造
【0057】
【0058】
実施例1-1:tert-ブチル(3'-フルオロ-5-ヒドロキシ-6-(3-(1-イソプロピルピペリジン-4-イル)-2-メチル-3-オキソプロパノイル)-[2,4'-ビピリジン]-2'-イル)ジカルバメート(4a)の製造
製造例4で収得した1-(6-ブロモ-3-メトキシピリジン-2-イル)-3-(1-イソプロピルピペリジン-4-イル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオン(2a)(795g、2.00mol)、製造例1で収得した2-[3-フルオロ-4-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン-2-イル)-2-ピリジニル]-イミドジカルボン酸-1,3-ビス(1,1-ジメチルエチル)エステル(1.23kg、2.80mol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh3)4)(115.6g、0.10mol)、リン酸カリウム(K3PO4)(1.27kg、6.00mol)をテトラヒドロフラン/水(3/2)に投入した。温度を昇温して16時間還流撹拌した。反応終結後、室温に冷却した。有機層を分離し有機層に飽和塩化ナトリウム(NaCl)水溶液を投入し有機層を再分離した。分離された有機層を硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥しろ過した。ろ液を減圧濃縮した後、濃縮液にリン酸カリウム(K3PO4)(1.27kg、6.00mol)とテトラヒドロフラン/水(3/2)を投入した。温度を昇温して16時間還流撹拌した。反応終結後、室温に冷却した。有機層を分離し有機層に飽和塩化ナトリウム(NaCl)水溶液を投入し有機層を再分離した。分離された有機層を硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥しろ過した。ろ液を減圧濃縮して、標題化合物(860g、収率70%、純度>95%)を得た。
【0059】
1H NMR (600MHz, CDCl3) δ 8.41 (d, J = 5.4 Hz, 1H), 8.21 (t, J = 5.4 Hz, 1H), 8.16 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.90 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 3.09 - 3.11 (m, 2H), 2.92 - 2.96 (m, 1H), 2.83 - 2.85 (m, 1H), 2.31 - 2.34 (m, 2H), 2.13 - 2.18 (m, 5H), 1.87 - 1.90 (m, 2H), 1.43 (s, 18H), 1.12 (d, J = 6.6 Hz, 6H)
実施例1-2:1-(2'-アミノ-3'-フルオロ-5-ヒドロキシ-[2,4'-ビピリジン]-6-イル)-3-(1-イソプロピルピペリジン-4-イル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオン(5a)の製造
tert-ブチル(3'-フルオロ-5-ヒドロキシ-6-(3-(1-イソプロピルピペリジン-4-イル)-2-メチル-3-オキソプロパノイル)-[2,4'-ビピリジン]-2'-イル)ジカルバメート(4a)(20g、0.03mol)をジクロロメタンに溶解した後、温度を-10~0℃に冷却しトリフルオロ酢酸(TFA)(37.4mL、0.49mol)をゆっくり投入した。投入が完了すると、室温で16時間撹拌した。反応終結後、反応液を減圧濃縮した。濃縮液に水と酢酸エチルを投入し2N水酸化ナトリウム水溶液でpHを12~14に調節した。このときに生成される固体をろ過して、褐色の標題化合物(9.4g、収率70%、純度>98%)を得た。
【0060】
1H NMR (600MHz, DMSO-d6) δ 8.23 (d, J = 9 Hz, 1H), 8.11 (d, J = 9 Hz, 1H), 7.84 (d, J = 5.4 Hz, 1H), 6.96 (t, J = 4.8 Hz, 1H), 6.40 (br s, 2H), 2.86 - 2.91 (m, 3H), 2.69 - 2.71 (m, 1H), 2.20 - 2.24 (m, 2H), 2.01 (s, 3H), 1.85 - 1.87 (m, 2H), 1.75 - 1.77 (m, 2H), 0.96 (d, J = 6.6 Hz, 6H)
実施例1-3:2'-アミノ-6-(2-アミノ-6-(1-イソプロピルピペリジン-4-イル)-5-メチルピリミジン-4-イル)-3'-フルオロ-「2,4'-ビピリジン」-5-オール(1a)の製造
1-(2'-アミノ-3'-フルオロ-5-ヒドロキシ-[2,4'-ビピリジン]-6-イル)-3-(1-イソプロピルピペリジン-4-イル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオン(5a)(100g、0.24mol)、グアニジン塩酸塩(Guanidine HCl)(230.48g、2.41mol)、炭酸カリウム(K2CO3)(666.91g、4.82mol)をピリジンに投入した。温度を昇温して24時間還流撹拌した。反応終結後、温度を50~60℃に冷却しろ過した。ろ液を減圧濃縮し水を投入した。温度を-10~-5℃に冷却し2N塩酸水溶液でpHを1~2に調節し、2N水酸化ナトリウムでpHを7~7.5に調節した。このときに生成された固体をろ過し水で洗浄し乾燥して、標題化合物(105g、収率99.5%)を得た。
【0061】
しかる後、前記で収得した標題化合物を精製するためにアセトン及びエタノールで精製工程を経て、標題化合物(80.7g、収率76.5%、純度>99%)を得た。
【0062】
1H NMR (600MHz, DMSO-d6) δ 7.79 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.77 (d, J = 5.4 Hz, 1H), 7.46 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.98 (t, J = 4.8 Hz, 1H), 6.61 (s, 2H), 6.27 (s, 2H), 2.95 (d, J = 11.4 Hz, 2H), 2.92 - 2.86 (m, 1H), 2.84 - 2.76 (m, 1H), 2.35 (t, J = 10.8 Hz, 2H), 2.25 (s, 3H), 1.90 - 1.80 (m, 2H), 1.70 (d, J = 12.6 Hz, 2H), 1.03 (d, J = 6.6 Hz, 6H)
実施例2:2'-アミノ-6-(2-アミノ-6-(1-イソプロピルピペリジン-4-イル)-5-メチルピリミジン-4-イル)-3'-フルオロ-「2,4'-ビピリジン」-5-オール 三塩酸塩の製造
実施例1で収得した2'-アミノ-6-(2-アミノ-6-(1-イソプロピルピペリジン-4-イル)-5-メチルピリミジン-4-イル)-3'-フルオロ-「2,4'-ビピリジン」-5-オール(1a)(56g、0.13mol)をメタノールで塩酸と反応させ、室温で24時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し水を投入して溶解させた。溶解液にアセトンをゆっくり投入して結晶化を進めた。生成された固体をろ過しアセトンで洗浄し乾燥した。乾燥された固体化合物の残留溶媒を完全に除去するために水に溶解しアセトンで結晶化して、標題化合物(63g、収率90%、純度>99%)を得た。
【0063】
1H NMR (600MHz, DMSO-d6) δ 8.41 (br s, 1H), 8.06 - 8.07 (m, 1H), 7.86 - 7.87 (m, 1H), 7.74 (m, 1H), 7.42 (m, 1H), 3.59 - 3.63 (m, 2H), 3.43 - 3.45 (m, 1H), 3.43 (m, 1H), 3.11 - 3.16 (m, 2H), 2.16 - 2.23 (m, 2H), 2.14 (s, 3H), 1.98 - 2.00 (m, 2H), 1.03 (d, J = 6.6 Hz, 6H)
【国際調査報告】