IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サフラン・エレクトロニクス・アンド・ディフェンス・アクチュエーションの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-10
(54)【発明の名称】非戻り回転伝達デバイス
(51)【国際特許分類】
   F16D 41/08 20060101AFI20221102BHJP
   F16D 41/10 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
F16D41/08 A
F16D41/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022514976
(86)(22)【出願日】2020-09-03
(85)【翻訳文提出日】2022-05-02
(86)【国際出願番号】 EP2020074661
(87)【国際公開番号】W WO2021043934
(87)【国際公開日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】1909786
(32)【優先日】2019-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521561938
【氏名又は名称】サフラン・エレクトロニクス・アンド・ディフェンス・アクチュエーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョフリー・デロング
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンサン・ロンギノッティ
(57)【要約】
同軸回転伝達のための前記非戻りデバイスは、2本の同軸のインプットシャフト(2)およびアウトプットシャフト(3)と、シャフト(2、3)の回転を案内するためのフレーム(4)と、径方向係止位置と径方向係止解除位置との間でアウトプットシャフト(3)のチャネル(31)を通って径方向に並進するように付勢される係止要素(5)であって、径方向係止位置では係止要素(5)はフレーム(4)に当接することによりアウトプットシャフト(3)の回転を妨げるようにチャネル(31)から突出し、径方向係止解除位置では係止要素(5)はアウトプットシャフト(3)の軸回転を可能にするように引っ込められ、インプットシャフト(2)はそれの係止位置と係止解除位置との間で係止要素を径方向に切り替えるための手段(21)を備える、係止要素と、を具備する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転運動を伝達するための非戻りデバイス(1)であって、
2本の同軸のインプットシャフト(2)およびアウトプットシャフト(3)と、
前記インプットシャフト(2)および前記アウトプットシャフト(3)の回転を案内するためのフレーム(4)と、
係止位置と径方向係止解除位置との間で前記アウトプットシャフト(3)のチャネル(31)を通って径方向に並進移動することができる係止要素(5)であって、前記係止位置では前記係止要素(5)は前記アウトプットシャフト(3)の回転を妨げるように前記チャネル(31)から突出し、前記径方向係止解除位置では前記係止要素(5)は前記アウトプットシャフト(3)の軸回転を可能にするように引っ込められ、前記インプットシャフト(2)は前記係止位置と前記径方向係止解除位置との間で前記係止要素を切り替えるための切り替え手段(21)を備える、係止要素(5)と、を具備し、
前記係止要素(5)の前記切り替え手段(21)は、前記インプットシャフト(2)の回転時に前記係止要素(5)を径方向に移動させるように適合されている輪郭(23)を有するカム(22)を備え、
前記インプットシャフト(2)は、前記アウトプットシャフト(3)を回転させるために前記アウトプットシャフト(3)の平坦部(33)に当接する段部(25)を備え、前記インプットシャフト(2)の回転時に前記段部(25)が当接に至ることは、前記カム(22)により前記係止要素(5)が前記径方向係止解除位置に置かれることと角度的に一致することを特徴とする、回転運動を伝達するための非戻りデバイス(1)。
【請求項2】
前記カム(22)は、前記インプットシャフト(2)の雄端部(24)に設けられ、前記雄端部(24)は前記アウトプットシャフト(3)の雌端部(32)に係合される請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記係止要素(5)の前記切り替え手段(21)は、前記カム(22)と前記係止要素(5)との間に挟装される係止解除キー(6)を備え、前記係止解除キー(6)は前記アウトプットシャフト(3)の前記チャネル(31)を通して並進するように接続される請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記係止解除キー(6)は、前記径方向係止解除位置で前記アウトプットシャフト(3)の前記チャネル(31)内に完全に収納される請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記係止要素(5)の前記係止位置への弾性戻り手段(7)を備え、圧縮すると働き、前記係止要素(5)を、前記カム(22)に対抗して、または適切な場合には前記係止解除キー(6)に対抗して、前記インプットシャフト(2)および前記アウトプットシャフト(3)の軸の方へ押す請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記係止位置への前記弾性戻り手段(7)は、前記フレーム(4)に接続されたバネ(71)を含む請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記フレーム(4)は、前記係止位置で前記アウトプットシャフトの前記チャネル(31)と一致する通路(41)を備え、前記係止要素(5)および前記係止解除キー(6)は前記係止位置において前記通路(41)を通って径方向に並進移動することができる請求項5または6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記インプットシャフト(2)による前記アウトプットシャフト(3)の回転および前記径方向係止解除位置への移動は、前記インプットシャフト(2)が少なくとも1/4回転した後に実質的に同時に行われる請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプットシャフトから従動アウトプットシャフトに至る一方向の回転運動の伝達を可能にする回転伝達デバイスに関するものである。
【0002】
本発明は、1つまたは2つの回転方向において、多数の既存の回転駆動デバイスのためのアタッチメントを提供することを目的とする。
【背景技術】
【0003】
インプットシャフトからアウトプットシャフトへの一方向の回転運動の伝達を可能にする回転を伝達するための知られているデバイスは、一般的に、摩擦デバイスであり、これらが挿入されるシステムの動作を妨げ、アウトプットシャフトの回転における停止要素のロバスト性を可能にしない。さらに、知られているデバイスは、多くの場合に、非戻り(non-return)機能のために外部エネルギーの入力を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上述の欠点の少なくとも1つを克服し、完全に機械的であり、ロバスト性、適応性、およびコンパクト性という利点を組み合わせることができる、2本のシャフト間で同軸回転運動を伝達するための非戻りデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記に鑑み、本発明の目的は、2本の同軸のインプットおよびアウトプットシャフトと、シャフトの回転を案内するためのフレームと、係止位置と係止解除位置との間でアウトプットシャフトのチャネルを通って径方向に並進移動することができる係止要素であって、係止位置では前記係止要素はアウトプットシャフトの回転を妨げるように前記チャネルから突出し、係止解除位置では係止要素はアウトプットシャフトの軸回転を可能にするように引っ込められ、インプットシャフトはその係止位置と係止解除位置との間で係止要素を切り替えるための手段を備える、係止要素と、を具備する回転運動を伝達するための非戻りデバイスである。
【0006】
好ましくは、係止要素の切り替え手段は、インプットシャフトの回転時に係止要素を径方向に移動させるように設計された輪郭を有するカムを備える。
【0007】
たとえば、カムは、インプットシャフトの雄端部に設けられ、前記雄端部はアウトプットシャフトの雌端部に係合される。
【0008】
有利には、インプットシャフトは、アウトプットシャフトを回転させるためにアウトプットシャフトの平坦部に当接する段部を備え、インプットシャフトの回転時に段部が当接に至ることは、カムにより係止要素が係止解除位置に置かれることと角度的に一致する。
【0009】
一実施形態によれば、係止要素の切り替え手段は、カムと前記係止要素との間に挟装される係止解除キーを含み、前記キーはアウトプットシャフトのチャネルを通して並進するように接続される。
【0010】
一実施形態において、係止解除キーは、係止解除位置でアウトプットシャフトのチャネル内に完全に収納される。
【0011】
有利には、このデバイスは、係止要素の係止位置への弾性戻り手段を含み、圧縮すると働き、前記係止要素を、カムに対抗して、または適切な場合には係止解除キーに対抗して、シャフトの軸の方へ押す。
【0012】
好ましくは、係止位置への弾性戻り手段は、フレームに接続されたバネを含む。
【0013】
さらに、フレームは、係止位置においてアウトプットシャフトのチャネルと一致する通路を備えることができ、係止要素および係止解除キーは係止位置において前記通路(41)を通って径方向に並進移動することができる。
【0014】
本発明は、また、インプットシャフトによるアウトプットシャフトの回転および係止解除位置への移動は、前記インプットシャフトが少なくとも1/4回転した後に実質的に同時に行われるデバイスに関するものでもある。
【0015】
本発明は、非限定的な方式で選ばれた、添付の図に例示されている、いくつかの実施形態を詳細に研究することよってよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A】第1の実施形態による回転の同軸伝達のための非戻りデバイスを示す図である。
図1B図1Aのデバイスを示す分解図である。
図2A】係止位置にある図1Aのデバイスを示す縦断面図である。
図2B図2Aの係止されたデバイスを示す第1の断面図である。
図2C図2Aの係止されたデバイスを示す第2の断面図である。
図3A】係止解除位置にある図1Aのデバイスを示す縦断面図である。
図3B図3Aの係止解除されたデバイスを示す第1の断面図である。
図3C図3Aの係止解除されたデバイスを示す第2の断面図である。
図4】回転の同軸伝達のための非戻りデバイスの第2の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、回転運動を伝達するための非戻りデバイス1を例示している。
【0018】
このデバイス1は、非戻り機能、言い換えれば、インプットシャフトのアウトプットシャフトからの回転の伝達を妨げる機能を実装することによって、2本のシャフトの間で回転を伝達することを意図されている。
【0019】
この非戻りデバイス1は、同軸上に配置構成されている、インプットシャフト2およびアウトプットシャフト3と、シャフト2、3の回転を案内するフレーム4と、を備える。
【0020】
シャフト2、3は、たとえば、既存のシステム(図示せず)に挿入され得、システムは、インプットシャフト2およびアウトプットシャフト3がそれぞれ接続される、非戻り機能を付加することが望まれている回転するように駆動されるシャフトと、従動シャフトと、を備える。
【0021】
シャフトは、一方から他方へ軸回転運動を伝達する相互連携のための手段を備える。インプットシャフト2は、特に、アウトプットシャフト3を駆動することを意図されている。
【0022】
たとえば、インプットシャフトは、アウトプットシャフト3の雌端部32に係合する雄端部24を備える。
【0023】
図2Aに例示されているように、フレーム4は、たとえば、滑り軸受または転がり軸受によって、シャフト2、3の回転を支持し、案内することができる。
【0024】
係止要素5が、アウトプットシャフト3の横方向チャネル31内に挿入される。係止要素5は、係止位置と称される径方向の位置と、係止解除位置と称される径方向の位置と、の間で、前記チャネル31を通って径方向に並進することができる。
【0025】
図2A図2B、および図2Cに例示されている係止位置では、係止要素5は、チャネル31から突出する。したがって、これはフレーム4に当接することによってアウトプットシャフト3の回転を妨げる。
【0026】
図3A図3B図3C、および図4に例示されている係止解除位置では、係止要素5は引っ込められ、フレームに当接せず、アウトプットシャフト3の軸回転を可能にする。
【0027】
たとえば、フレームは、係止解除位置において係止要素5が引っ込められる通路41を備える。係止位置では、通路41は、アウトプットシャフト3のチャネル31と一致し、次いで、係止要素5は、引っ込みかつアウトプットシャフト3の回転を可能にするように、前記通路41を通って径方向に並進することができる。
【0028】
インプットシャフト2は、アウトプットシャフト3の駆動手段と、前記インプットシャフト2の回転運動を通じた径方向係止位置と係止解除位置との間の係止要素5の径方向切り替え手段21と、をさらに備える。対照的に、アウトプットシャフトは、係止要素5の切り替え手段を有していない。
【0029】
インプットシャフト2を回転させると、アウトプットシャフト3の回転および係止要素5の係止解除位置への移動を実質的に同時に駆動する。
【0030】
図2Bおよび図3Bを参照すると、インプットシャフト2は、たとえば、アウトプットシャフト3を回転させるためにアウトプットシャフト3の平坦部33に当接する段部25を備えている。インプットシャフト2の回転時に段部25が当接に至ることは、切り替え手段21を使用して係止要素5を係止解除位置に置くことと角度的に一致する。
【0031】
たとえば、係止要素5の切り替え手段21は、インプットシャフト2の回転時に係止要素5を径方向に移動させるように設計されている輪郭23を有するカム22を備える。
【0032】
有利には、カム22は、インプットシャフト2の雄端部24に設けられ、前記雄端部24はアウトプットシャフト3の雌端部32に係合される。カム22は、アウトプットシャフト内に係合し、それにより、係止要素5をチャネル31の内側からアウトプットシャフト3の外側の方へ径方向に押す。
【0033】
輪郭23は、たとえば、多角形である。多角形の頂点の数を増やすことで、デバイス1の係止解除位置の数を増加させることが可能である。
【0034】
図2Cおよび図3Cに例示されている第1の実施形態において、輪郭23は、ひし形の形状を有し得る。次いで、係止位置(図2C)は、カム22が係止要素5を最小になるまで、その最小寸法だけ、すなわちひし形23の小高(small height)だけ径方向に押したときに到達し、係止解除位置(図3C)は、カム22が係止要素5を最大になるまで、その最大寸法だけ、すなわちひし形23の大高(large height)だけ径方向に押したときに到達する。
【0035】
図4に例示されている第2の実施形態において、輪郭23は、六角形の切断面を有し得る。次いで、カム22が六角形23の頂点によって係止要素5を径方向に押したときに例示されているような係止解除位置に到達する。
【0036】
したがって、第1の実施形態では、アウトプットシャフト3を係止解除して回転させるために、インプットシャフト2を少なくとも1/4回転させることが必要であり、第2の実施形態では、20度の角度だけ回転させることが十分である。
【0037】
係止要素5の切り替え手段21は、カム22と係止要素5との間に挟装される係止解除キー6をさらに備えることができる。次いで、キー6は、アウトプットシャフト3のチャネル31を通る並進で接続される。これは、チャネル31から係止要素5を径方向に押し出す機能を有する。
【0038】
係止位置(図2C)では、キー6は、チャネル31とアウトプットシャフト3との間に配置され、チャネル31から係止要素5を外すことはない。
【0039】
係止解除位置(図3C)では、キーは、全体がチャネル31内に収納され、チャネル31から係止要素5を完全に外す。次いで、キー6は、回転が許されている、アウトプットシャフト3と一体で、シャフトの軸の周りに回転することができる。
【0040】
キー6は、チャネル31に外接したまま、チャネル31から突出しないように、また係止解除位置でフレーム4に当接しないように、チャネル31に相補的な湾曲形状を有することができる。
【0041】
それに加えて、デバイス1は、係止要素5の係止位置への弾性戻り手段7を含み、圧縮すると働き、係止要素5を、カム22に対抗してシャフト2、3の軸の方へ押す。
【0042】
たとえば、係止位置への弾性戻り手段7は、フレーム4に接続されたバネ71を含む。
【0043】
したがって、係止解除位置(図3Cおよび図4)から、インプットシャフト2に対するアウトプットシャフト3の角度位置が、チャネル31が通路41と揃う位置に来た後、戻り手段7は、チャネル31内のキー6に対して係止要素5を押し付ける。次いで、係止位置は、チャネル31と通路41との間の係止要素5の突出位置決めによって係合され、これによりアウトプットシャフト3の回転を妨げることが可能である。
【0044】
したがって、デバイスは、係止解除位置において、インプットシャフト2とアウトプットシャフト3との間の異種運動回転(heterokinetic rotation)の伝達、言い換えれば、インプットシャフト2の駆動手段ではなくアウトプットシャフトによって駆動される伝達により、チャネル31と通路41とを整列させ、したがって、戻り手段7を使用する係止位置への戻りを可能にする。
【0045】
そこで、インプットシャフト2の回転が係止手段5を係止解除し、回転運動を駆動手段25、33によって駆動されるアウトプットシャフト3に同軸的に伝達し、その一方でアウトプットシャフト3の回転がインプットシャフトを回転させず、デバイス1の係止位置への戻りをトリガーする、非戻りデバイスが作製される。
【符号の説明】
【0046】
1 非戻りデバイス
2 インプットシャフト
3 アウトプットシャフト
4 フレーム
5 係止要素
6 係止解除キー
7 弾性戻り手段
21 径方向切り替え手段
22 カム
23 輪郭
24 雄端部
25 段部
31 チャネル
32 雌端部
33 平坦部
41 通路
71 バネ
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4
【国際調査報告】