(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-10
(54)【発明の名称】電力分配のための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
H02J 3/38 20060101AFI20221102BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20221102BHJP
H02J 3/04 20060101ALI20221102BHJP
H02J 3/46 20060101ALI20221102BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
H02J3/38 130
H02J3/32
H02J3/04
H02J3/46
H02J13/00 301A
H02J13/00 311R
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515095
(86)(22)【出願日】2020-09-04
(85)【翻訳文提出日】2022-04-27
(86)【国際出願番号】 AU2020050927
(87)【国際公開番号】W WO2021042167
(87)【国際公開日】2021-03-11
(32)【優先日】2019-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522087741
【氏名又は名称】エフォ ピーティーワイ エルティーディー
(71)【出願人】
【識別番号】522087752
【氏名又は名称】シーメンス エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハートレイ オリバー
(72)【発明者】
【氏名】バターワース ルーク
(72)【発明者】
【氏名】ヒューケル マティアス
(72)【発明者】
【氏名】モレイラ ロドリゲス ホセ ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】チボウォラ ムサ
(72)【発明者】
【氏名】サリナス ジャンルイ フランシスコ デ ジェロニモ
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
5G064AC09
5G064CB11
5G064CB12
5G066HA15
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA07
5G066JB03
(57)【要約】
複数の電源のうちの各自の電源を、第1の負荷の第1の入力ノードと、第2の負荷の第2の入力ノードとの間で切り替えるようにそれぞれ動作可能な複数のスイッチと、複数のスイッチを介して複数の電源から第1の入力ノードに供給される第1の電力を特定するように構成された第1の電力メータと、第1の負荷の消費電力を特定するように構成された第2の電力メータと、第1の負荷に関する特定された第1の電力及び特定された消費電力に応じて、スイッチを制御して第1の負荷と第2の負荷との間で電力を分配するように構成された制御モジュールと、を備えた電力分配装置が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電源のうちの各自の電源を、第1の負荷の第1の入力ノードと、第2の負荷の第2の入力ノードとの間で切り替えるようにそれぞれ動作可能な複数のスイッチと、
前記複数のスイッチを介して前記複数の電源から前記第1の入力ノードに供給される第1の電力を特定するように構成された第1の電力メータと、
前記第1の負荷の消費電力を特定するように構成された第2の電力メータと、
前記第1の負荷に関する前記特定された第1の電力及び前記特定された消費電力に応じて、前記スイッチを制御して前記第1の負荷と前記第2の負荷との間で電力を分配するように構成された制御モジュールと、
を備える電力分配装置。
【請求項2】
前記複数のスイッチのそれぞれは、各自の電源を、前記第1の負荷及び前記第2の負荷のうちの1つから機械的に分離するように構成される、請求項1に記載の電力分配装置。
【請求項3】
それぞれの電源は、1つ以上の太陽光電池及び/または1つ以上の蓄電デバイスを備える、請求項1または2に記載の電力分配装置。
【請求項4】
前記第1の負荷はローカル負荷であり、前記第2の負荷は電力系統である、先行請求項のいずれか1項に記載の電力分配装置。
【請求項5】
前記第1の負荷は、第3のノードを介して前記電力系統に接続される、請求項4に記載の電力分配装置。
【請求項6】
前記第3のノードと前記電力系統との間に接続された第1の電気メータと、前記第2の入力ノードと前記電力系統との間に接続された第2の電気メータと、をさらに備える、請求項5に記載の電力分配装置。
【請求項7】
前記第1の電気メータ及び前記第2の電気メータは、共通の変圧器を介して前記電力系統に接続される、請求項6に記載の電力分配装置。
【請求項8】
前記第1の電気メータ及び前記第2の電気メータは、別個の変圧器を介して前記電力系統に接続される、請求項6に記載の電力分配装置。
【請求項9】
前記第2の入力ノードと前記第3のノードとの間に接続された第1の電気メータと、前記第3のノードと前記電力系統との間に接続された第2の電気メータと、をさらに備える、請求項4に記載の電力分配装置。
【請求項10】
前記第2の電力メータにより特定された前記消費電力は、前記第1の負荷の総消費電力である、先行請求項のいずれか1項に記載の電力分配装置。
【請求項11】
前記第2の電力メータにより特定された前記消費電力は、前記第3のノードで測定された前記電力系統からの前記第1の負荷の前記消費電力である、請求項4~9に記載の電力分配装置。
【請求項12】
前記コントローラは、前記第1の入力ノードに提供される前記第1の測定電力が、前記第1の負荷の前記測定消費電力以上になるように、前記複数のスイッチを制御するように構成される、先行請求項のいずれか1項に記載の電力分配装置。
【請求項13】
前記コントローラは、前記第1の入力ノードに提供される前記第1の測定電力が、前記第1の負荷の前記測定消費電力と実質的に一致するように、前記複数のスイッチを制御するように構成される、先行請求項のいずれか1項に記載の電力分配装置。
【請求項14】
前記電力分配装置はさらに、前記複数のスイッチを介して前記複数の電源により前記第2の入力ノードに供給される電力を測定するように構成された第3の電力メータを備え、
前記制御モジュールは、前記第2の入力ノードに供給される前記測定電力に応じて、前記スイッチを制御して前記第1の負荷と前記第2の負荷との間で電力を分配するように構成される、先行請求項のいずれか1項に記載の電力分配装置。
【請求項15】
前記複数の電源は、直流(DC)電源であり、前記装置はさらに、DCを交流(AC)に変換するために、前記それぞれの電源と前記複数のスイッチとのそれぞれの間に接続されたインバータを備える、先行請求項のいずれか1項に記載の電力分配装置。
【請求項16】
先行請求項のいずれか1項に記載の前記電力分配装置と、
前記複数の電源と、
を備えるシステム。
【請求項17】
複数の電源から第1の負荷と第2の負荷との間で電力を分配する方法であって、前記複数の電源のそれぞれは、複数のスイッチのうちの各自のスイッチにより、前記第1の負荷と前記第2の負荷との間で切り替え可能であり、前記方法は、
前記複数の電源から前記第1の入力ノードに供給される第1の電力を特定することと、
前記第1の負荷の消費電力を特定することと、
前記第1の負荷に関する前記第1の電力の特定及び前記電力需要の特定に応じて、前記複数のスイッチを制御して前記第1の負荷と前記第2の負荷との間で電力を分配することと、
を含む、前記方法。
【請求項18】
前記複数のスイッチのそれぞれは、各自の電源を、前記第1の負荷及び前記第2の負荷のうちの1つから機械的に分離するように構成される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
それぞれの電源は、1つ以上の太陽光電池及び/または1つ以上のバッテリを備える、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の負荷はローカル負荷であり、前記第2の負荷は電力系統である、請求項17~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の負荷は、第3のノードを介して前記電力系統に接続される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の負荷の前記特定された消費電力は、前記第1の負荷の総消費電力を含む、請求項17~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の負荷の前記消費電力を特定することは、前記第3のノードを介して前記第1の負荷に供給される電力を測定することを含む、請求項17~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記方法はさらに、前記複数のスイッチを介して前記複数の電源により前記第2の入力ノードに供給される電力を測定することを含み、
前記スイッチは、前記第2の入力ノードに供給される前記測定電力に応じて制御される、請求項17~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記複数のスイッチは、前記第1の入力ノードに提供される前記第1の測定電力が、前記第1の負荷の前記測定消費電力以上になるように制御される、請求項17~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記複数のスイッチは、前記第1の入力ノードに提供される前記第1の測定電力が、前記第1の負荷の前記測定消費電力と実質的に一致するように制御される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
個々にまたは集合的に、本明細書で開示された、または本出願の明細書に示されたステップ、特徴、整数、組成物、及び/または化合物、並びに前記ステップまたは特徴のうちの2つ以上の任意または全ての組み合わせを含む発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力、具体的には複数の太陽光発電機により生成された太陽光電力を分配するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非住宅型の太陽光発電の大部分は、遠隔農村地域の低コストの土地に建設された大規模な太陽光発電ファームにより提供されている。これらの発電ファームは、大量のエネルギーを生成することができるが、エネルギーが必要な場所から遠く離れているため、これらの拠点で生成された電気は、架空送電線で長距離伝送する必要があり、大きな損失を生じている。さらに、農地及び他の土地を太陽光発電に転用することは、地域のコミュニティ及び動植物に悪い社会経済的影響を与え得る。
【0003】
安価で効率的な太陽光電池の可用性の高まりにより、太陽光発電技術は、都市の近くでより広く採用されるようになり、商業ビルの所有者は、建物の屋根に「電力需要家側(behind-the-meter)」太陽光システムを設置し、これにより、電力系統から建物における消費電気量が削減される。これらのシステムにより、地主またはシステム運用者は少しの収入源を得ることができるが、これらのシステムにより生成されたいずれの余剰太陽光電気も、システム運用者の管轄外であるテナントのメータを介して送出されるため、国家エネルギー市場(NEM)または電力卸売市場でエネルギーを選択的に販売することは、歴史的に困難であった。よって、屋根に設置される太陽光システムは、通常、太陽光システムの出力が建物の日中の消費電気量と一致するように、非常に大きな屋根であっても、サイズが制限される。このため、これまで、都市部の産業用建築物の大きな屋上は、太陽光発電に十分に活用されてこなかった。
【0004】
本明細書に含まれる文書、行為、材料、デバイス、または物品などに関するいかなる論述も、これらの事項のいずれかまたは全てが、添付の特許請求の範囲の各請求項の優先日より前に存在していた先行技術の基礎の一部を成す、または本開示に関連する分野の共通の一般的知識であったと認められると、みなされるべきではない。
【発明の概要】
【0005】
本開示の第1の態様によれば、複数の電源のうちの各自の電源を、第1の負荷の第1の入力ノードと、第2の負荷の第2の入力ノードとの間で切り替えるようにそれぞれ動作可能な複数のスイッチと、複数のスイッチを介して複数の電源から第1の入力ノードに供給される第1の電力を特定するように構成された第1の電力メータと、第1の負荷の消費電力を特定するように構成された第2の電力メータと、第1の負荷に関する特定された第1の電力及び特定された消費電力に応じて、スイッチを制御して第1の負荷と第2の負荷との間で電力を分配するように構成された制御モジュールと、を備えた電力分配装置が提供される。
【0006】
複数のスイッチのそれぞれは、各自の電源を、第1の負荷及び第2の負荷のうちの1つから機械的に分離するように構成され得る。
【0007】
それぞれの電源は、1つ以上の太陽光電池及び/または1つ以上の蓄電デバイスを備え得る。
【0008】
いくつかの実施形態では、第1の負荷は、ローカル負荷である。例えば、ローカル負荷は、複数の電源に近接した倉庫または他の商業ビルであり得る。いくつかの実施形態では、第2の負荷は、電力系統などである。いくつかの実施形態では、第1の負荷は、第3のノードを介して電力系統に接続される。
【0009】
いくつかの実施形態では、電力分配装置はさらに、第3のノードと電力系統との間に接続された第1の電気メータを備え得る。付加的または代替的に、電力分配装置は、第2の入力ノードと電力系統との間に接続された第2の電気メータを備え得る。いくつかの実施形態では、第1の電気メータ及び第2の電気メータは、共通の変圧器を介して電力系統に接続され得る。別の実施形態では、第1の電気メータ及び第2の電気メータは、別個の変圧器を介して電力系統に接続される。
【0010】
いくつかの実施形態では、電力分配装置はさらに、第2の入力ノードと第3のノードとの間に接続された第1の電気メータと、第3のノードと電力系統との間に接続された第2の電気メータと、を備え得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、第2の電力メータにより特定された第1の負荷の消費電力は、第1の負荷の総消費電力である。別の実施形態では、第2の電力メータにより特定された消費電力は、例えば第3のノードで測定された、第1の負荷が第2の負荷(例えば電力系統)から消費した電力である。
【0012】
コントローラは、第1の入力ノードに提供される第1の測定電力が、第1の負荷の測定消費電力以上になるように、複数のスイッチを制御するように構成され得る。
【0013】
コントローラは、第1の入力ノードに提供される第1の測定電力が、第1の負荷の測定消費電力と実質的に一致するように、複数のスイッチを制御するように構成され得る。
【0014】
電力分配装置はさらに、複数のスイッチを介して複数の電源により第2の入力ノードに供給される電力を測定するように構成された第3の電力メータを備え得る。制御モジュールは、第2の入力ノードに供給される測定電力に応じて、スイッチを制御して第1の負荷と第2の負荷との間で電力を分配するように構成され得る。
【0015】
複数の電源は、直流(DC)電源であり得る。装置はさらに、DCを交流(AC)に変換するために、それぞれの電源と複数のスイッチとのそれぞれの間に接続されたインバータを備え得る。
【0016】
本開示の別の態様によれば、前述のような電力分配装置と、複数の電源と、を備えたシステムが提供される。
【0017】
本開示の別の態様によれば、複数の電源から第1の負荷と第2の負荷との間で電力を分配する方法が提供され、複数の電源のそれぞれは、複数のスイッチのうちの各自のスイッチにより、第1の負荷と第2の負荷との間で切り替え可能であり、方法は、複数の電源から第1の入力ノードに供給される第1の電力を特定することと、第1の負荷の消費電力を特定することと、第1の負荷に関する第1の電力の特定及び電力需要の特定に応じて、複数のスイッチを制御して第1の負荷と第2の負荷との間で電力を分配することと、を含む。
【0018】
複数のスイッチのそれぞれは、各自の電源を、第1の負荷及び第2の負荷のうちの1つから機械的に分離するように構成される。
【0019】
それぞれの電源は、1つ以上の太陽光電池及び/または1つ以上のバッテリを備える。
【0020】
いくつかの実施形態では、第1の負荷は、ローカル負荷である。例えば、ローカル負荷は、複数の電源に近接した倉庫または他の商業ビルであり得る。いくつかの実施形態では、第2の負荷は、電力系統などである。いくつかの実施形態では、第1の負荷は、第3のノードを介して電力系統に接続される。
【0021】
いくつかの実施形態では、第2の電力メータにより特定された第1の負荷の消費電力は、第1の負荷の総消費電力である。別の実施形態では、第2の電力メータにより特定された消費電力は、例えば第3のノードで測定された、第1の負荷が第2の負荷(例えば電力系統)から消費した電力である。
【0022】
第1の負荷の消費電力を特定することは、第3のノードを介して第1の負荷に供給される電力を測定することを含み得る。
【0023】
方法はさらに、複数のスイッチを介して複数の電源により第2の入力ノードに供給される電力を測定することを含み得る。スイッチは、第2の入力ノードに供給される測定電力に応じて制御され得る。
【0024】
第1の入力ノードに提供される第1の測定電力が、第1の負荷の測定消費電力以上になるように、複数のスイッチは制御され得る。
【0025】
第1の入力ノードに提供される第1の測定電力が、第1の負荷の測定消費電力と実質的に一致するように、複数のスイッチは制御され得る。
【0026】
本明細書を通して、単語「含む/備える(comprise)」、または「含む/備える(comprises)」もしくは「含む/備える(comprising)」などの変形は、記載される要素、整数、もしくはステップ、または要素群、整数群、もしくはステップ群を包含することを意味するが、任意の他の要素、整数、もしくはステップ、または要素群、整数群、もしくはステップ群を除外することを意味するわけではないことが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本開示の実施形態による、電力分配装置を備えたシステムの概略図である。
【
図2】本開示の実施形態による、
図1の電力分配装置のスイッチバンクをより詳細に示す概略図である。
【
図3】本開示の実施形態による、
図1の電力分配装置のスイッチバンクをより詳細に示す概略図である。
【
図4】本開示の実施形態による、
図1の電力分配装置の制御モジュールをより詳細に示す概略図である。
【
図5】本開示の実施形態による、
図1の電力分配装置への電力系統接続の例を詳細に示す概略図である。
【
図6】本開示の実施形態による、
図1の電力分配装置への電力系統接続の別の例を詳細に示す概略図である。
【
図7】本開示の実施形態による、
図1の電力分配装置への電力系統接続の別の例をさらに詳細に示す概略図である。
【
図8】
図1の電力分配装置により実行されるプロセスのフロー図である。
【
図9】
図1の電力分配装置により実行されるプロセスのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本開示の実施形態は、建物の電気消費を、屋根に設置することができる太陽光システムのサイズから切り離すことにより、前述の問題の1つ以上に対処する、または少なくとも改善する。太陽光システムの運用者が、太陽光アレイにより生成された電気を建物間で効率的に分配すること、ローカルの消費電気を相殺すること、及び登録済みの市場参加者として国内エネルギー市場を利用することを可能にすることにより、産業用及び商業用建築物の屋根領域全体及び周辺の土地を、市場参加型のローカル太陽光発電所に変えることができる。都市部で配電ネットワーク需要の近くに存在する産業倉庫は、遠隔の太陽光発電ファームと比較した場合、全体的な電力系統の安定性が向上し、限界送電損失率(MLF)の低下による潜在的なリスクが軽減され得る。この利点において、都市ベースの「屋根発電ファーム」は、遠隔農村地域の大規模太陽光発電ファームと一線を画す。さらに、このような屋根発電ファームを介して生成される太陽光電力は、追加の土地を全く必要としないため、社会的影響または環境的影響が軽減される。
【0029】
本開示の実施形態は、建物(例えば「電力需要家側(behind-the-meter)」)と、登録済みのネットワークメータ(NEMメータ)との間で、太陽光システムにより生成された電力の動的分配を可能にする。このように生成された電気を2つの別個のノードに分離することにより、太陽光システムは、オーストラリアのEndeavour Energy並びにAustralian Energy Market Operator(AEMO)などの配電ネットワークサービスプロバイダ(DNSP)の電力系統接続のいずれの制約にも準拠することが可能となる。
【0030】
図1は、複数の太陽光パネル104a~104nを含む太陽光アレイ104、太陽光アレイ104へのローカル負荷などの第1の負荷106、及び電力系統接続109を介した電力系統などの第2の負荷108に加えて、本開示の様々な実施形態による電力分配装置102を備えたシステム100の概略図である。第1の負荷106及び/または第2の負荷108は、電力を消費するだけでなく、システムの状態に応じて電力を供給するようにも構成され得る。例えば、第2の負荷108が電力系統である場合、電力は、第2の負荷から消費され、及び/または第2の負荷108に供給し戻され得る。電力分配装置102は、複数の太陽光アレイ(または電池)から生成された電力を、第1の負荷106の入力ノードに接続され得る第1の出力ノード111と、第2の負荷108の入力ノードに接続され得る第2の出力ノード113に分配するように構成される。
【0031】
いくつかの実施形態では、第1の負荷106は、太陽光アレイ104が配置された建物の負荷の全てを実質的に含み得る。例えば、太陽光アレイ104は、建物の屋根に固定され得、第1の負荷106は、建物により使用される電気の一部または全部を表し得る。別の実施形態では、第1の負荷106は、太陽光アレイ104の近くにある複数の建物または電気デバイスからの負荷を含み得る。
【0032】
電力分配装置102は、スイッチバンク110と、制御モジュール112とを備える。さらに、システム100内の様々なノードに供給される電力(すなわち電圧または電流)を測定するために、1つ以上の電力メータ114、116、118、120が設けられ得る。例えば、第1の電力メータ114は、太陽光アレイ104からスイッチバンク110を介して第1の出力ノード111に供給される電力を測定するために設けられ得る。例えば、第2の電力メータ116は、第1の負荷106の電力需要を測定するために設けられ得る。例えば、第3の電力メータ118は、第2の出力ノード113に供給される電力を測定するために設けられ得る。例えば、第4の電力メータ120は、第2の負荷108(例えば電力系統)から第1の負荷106に供給される電力を測定するために設けられ得る。
【0033】
スイッチバンク110は、制御モジュール112から1つ以上の制御信号122を受信すると、太陽光アレイ104内の各パネル104a~104nの電気出力を、第1の負荷106と第2の負荷108との間で切り替えるように動作可能であり得る。制御信号122は、スイッチバンク110内の各スイッチに直接または間接的に適用され得る。電力メータ114、116、118、120のうちの1つ以上からの測定電力は、制御モジュール112に提供され得、制御モジュール112は次に、この情報を使用して、太陽光アレイ104から第1の負荷106と第2の負荷108との間で、スイッチバンク110を使用した電力分配を制御し得る。
【0034】
図2は、
図1に示されるスイッチバンク110のより詳細な概略図である。スイッチバンク110は、複数のスイッチ124を含み、これらはそれぞれ、各自の電源を、第1の負荷及び第2の負荷のうちの1つから機械的に分離するように動作可能であり得る。いくつかの実施形態では、複数のスイッチは、機械的インターロックスイッチまたは他の同様のスイッチであり、いかなる時点でも第1の負荷106と第2の負荷108との間で完全な電気的絶縁を可能にする。
【0035】
図2のスイッチバンク110は、第1のノード111と第2のノード113との間で交流(AC)を切り替えるように構成される。本発明者は、(直流(DC)電力とは対照的に)AC電力の切り替えでは、DC切り替えと比べて、スイッチ制御が改善され、スイッチギアの摩耗が減少することを発見した。よって、スイッチバンク110はさらに複数のインバータ126を備え、複数のインバータ126はそれぞれ、アレイ104の各自の太陽光パネル104a~104nから受信した直流(DC)電力信号を交流(AC)電力信号に変換するように構成される。示される実施形態では、インバータ126は、電力分配装置110の一部として実装される。代替的な実施形態では、インバータ126は、太陽光アレイの太陽光パネル104a~104nと統合され得る。
【0036】
各インバータ126a~126nから出力されたAC電力信号はその後、任意で断路スイッチ128を介して、スイッチ124のうちの各自のスイッチの入力ノードに提供される。断路スイッチ128a~128nは、太陽光パネル104a~104nのそれぞれが、残りのシステム100から電気的に絶縁されることを可能にするために設けられ得る。断路スイッチ128a~128nは、太陽光アレイ124の近くに配置され得る手動スイッチであってもよい。あるいは、断路スイッチ128a~128nは、制御モジュール112により制御されてもよい。
【0037】
スイッチ124のそれぞれは、電力分配装置102の第1のノード111及び第2のノード113にそれぞれ接続された第1のスイッチバス130と第2のスイッチバス132との間で切り替え可能である。よって、各スイッチ124は、各自のインバータ126から受け取ったAC電力を、第1のスイッチバス130を介して第1のノード111、または第2のスイッチバス132を介して第2のノード113のいずれかに送るように構成可能である。そうすることで、スイッチバンク110は、太陽光アレイ104から生成された電力を複数の負荷間で分配する効率的な方法を提供する。さらに、第1のノード111及び第2のノード113のそれぞれに提供される電力の分配は、機械的インターロックスイッチの使用により、完全に電気的に絶縁される。
【0038】
図3は、
図2に示されるスイッチバンク110の変形形態であるスイッチバンク210の概略図である。前述のスイッチバンク110とは対照的に、
図3のスイッチバンク210は、DCを切り替えるように動作可能である。スイッチバンク210は、複数のスイッチ224と、第1のインバータ226a及び第2のインバータ226bと、任意で複数の断路スイッチ228と、を備える。アレイ104内の各太陽光パネル104a~104nからのDC出力は、任意の断路スイッチ228を介して、スイッチ224の各自の入力ノードに提供される。
図2のスイッチバンク110の断路スイッチ128と同様に、断路スイッチ228は、太陽光パネル104a~104nのそれぞれが、スイッチバンク210から電気的に絶縁されることを可能にするために設けられる。スイッチ224のそれぞれは、第1のインバータ226a及び第2のインバータ226bのDC入力にそれぞれ接続された第1のスイッチバス230と第2のスイッチバス232との間で切り替え可能である。次に、第1のインバータ226a及び第2のインバータ226bはそれぞれ、第1のスイッチバス230及び第2のスイッチバス232上の集約されたDC電力信号を、AC出力信号に変換し、AC出力信号は、電力分配装置102の第1の出力ノード111及び第2の出力ノード113にそれぞれ提供される。よって、各スイッチ224は、各自の太陽光パネル104a~104nから受け取ったDC電力を、第1のインバータ226aを介して第1の出力ノード111、または第2のインバータ226bを介して第2の出力ノード113のいずれかに送るように構成可能である。この場合も、
図2に示されるスイッチバンク110のように、第1の出力ノード111及び第2の出力ノード113は、スイッチ224の性質により、互いに完全に電気的に絶縁される。
【0039】
本開示の実施形態による制御モジュール112の例示的な構成が、
図4に示される。制御モジュール112は、中央処理装置(CPU)402と、メモリ404と、CPU402及びメモリ404のうちの1つ以上と通信可能に接続された入力/出力(I/O)バス406と、を備え得る。制御モジュール112は、それぞれの第1の電力メータ114、第2の電力メータ116、第3の電力メータ118、及び第4の電力メータ120からの信号をI/Oバスで受信し、受信した信号に基づいて、スイッチバンク110内のスイッチを制御して太陽光パネル104a~104nのそれぞれを第1の負荷106と第2の負荷108との間で切り替える切り替え信号122を生成するように、構成される。各電力メータ114、116、118、120は、電力信号を測定及び/または分析するために、1つ以上の増幅器及びデジタル信号処理回路を含み得る。いくつかの実施形態では、電力メータ114、116、118、120のいくつかまたは全ての要素は、処理装置402内に統合され得る。電力メータ114、116、118、120とI/Oポートとの通信は、有線であり得る、または無線リンク、例えば誘導結合、WiFi(RTM)、もしくはBluetooth(RTM)などを介し得る。
【0040】
制御モジュール112は、1つ以上の入力デバイス408及び/または1つ以上の出力デバイス410に接続され得る。入力デバイス408は、キーボード、マウス、タッチパッド、及びタッチスクリーンのうちの1つ以上を含み得るが、これらに限定されない。出力デバイスの例として、ディスプレイ、タッチスクリーン、ライトインジケータ(例えば発光ダイオード(LED))、音声発生器、及び触覚発生器が挙げられる。入力デバイス408及び/または出力デバイス410は、例えば第1のノード111及び第2のノード113のそれぞれにおける現在の電力状況及び第1の負荷106の消費電力に関して、情報またはフィードバック(例えば視覚、聴覚、または触覚のフィードバック)をユーザに提供するように構成され得る。そのために、入力デバイス408のうちの1つ以上は、出力デバイス410、例えばタッチスクリーンでもあり得る。入力デバイス408及び出力デバイス410はまた、制御モジュール112に有線または無線で接続され得る。入力デバイス408及び出力デバイス410は、システム100のユーザに、第1の負荷106と第2の負荷108との間の電力分配の制御を提供するように構成され得る。
【0041】
制御モジュール112は、システムオペレータの所望の動作に応じて、いくつかの方法でスイッチ124を制御するように動作可能であり得る。いくつかの実施形態では、制御モジュール112は、太陽光アレイ104から第1の負荷106に提供されるエネルギー量を最大化するように動作し得、太陽光アレイが第1の負荷106のエネルギー要求を完全に満たしていることが確認された場合にのみ、電力を第2の負荷108に送る。例えば、制御モジュール112は、第1の電力メータ114及び第2の電力メータ116を使用して、太陽光アレイ104により第1の入力ノード111に提供される電力と、第1の負荷106の消費電力とを比較し、第1の負荷106の消費電力と、第1の入力ノード111に供給される電力とを実質的に一致させるように、スイッチを制御し得る。第2の電力メータ116により測定される第1の負荷106の消費電力が増加した場合、制御モジュール112は、複数のスイッチ124のうちの1つ以上を切り替えることにより、第1の入力ノード111に電力を供給する太陽光パネル104a~104nの数を増やし得る。付加的または代替的に、第2の負荷108と第1の負荷106との間に第3のノード115を介して接続が存在する場合、制御モジュール112は、第2の負荷108により第1の負荷106に提供される電力を第4の電力メータ120を使用して測定することにより、太陽光アレイ内の太陽光パネル104a~104nの切り替えを制御し得る。例えば、第3のノード115で提供される測定電力が、ある閾値T、例えばゼロを超えた場合、制御モジュール112は、第1の入力ノード111に切り替えられた太陽光パネル104a~104nの数を増やして、太陽光アレイ104により第1の負荷106に提供される電力を増やし、よって、第2の負荷108から第1の負荷106に提供される電力を減らすように構成され得る。上記の例では、第3の電力メータ118を使用して、太陽光アレイ104により第2の負荷108に提供されるエネルギーが測定され得る。
【0042】
電力メータ114、116、118、120のうちの1つ以上から受け取った測定電力を使用することに加えて、またはその代わりに、制御モジュール112は、エネルギーの現在の卸売市場価格及び/または住宅発電市場価格に関する情報を受信し得る。この場合、制御モジュール112は、特に第2の負荷108が電力系統である場合、第2の負荷108とエネルギーを取引することの費用便益に応じて、エネルギーを第1の負荷106または第2の負荷108のどちらに送るかを決定し得る。例えば、システム運用者は、太陽光アレイ104を使用して第1の負荷106のエネルギー需要の一部に対応し、太陽光アレイ104により生成された残りのエネルギーを第2の負荷108を介して販売することを選択してもよく、よって、第1の負荷106は、自身のエネルギー不足分を第3のノード115を介して第2の負荷108から取り込む必要がある。
【0043】
再び
図1を参照すると、電力分配装置102は、第2の出力ノード113を介し、電力系統接続109を介して、電力系統などの第2の負荷108に電力を分配することが示される。国または地域の電力系統には、通常、電力系統接続への接続を管理する一定の規制があることが理解されよう。これらには、例えば、電力系統接続を介して電力系統に出入りする電力を測定及び/または調整するように動作可能な登録済みのネットワークメータを介した接続が挙げられ得る。また、異なる電力系統には、このような接続の異なる管理規則があり得ることも理解されよう。従って、電力系統接続109は、これらの規制に応じて、様々な形態をとり得る。
図5~
図7は、本開示の実施形態による電力系統接続109のいくつかの例示的な構成を提供する。明確にするために、電力分配装置102の電力メータ114、116、118、120の接続は、これらの図から省略されている。
【0044】
図5を参照すると、いくつかの実施形態では、第2の負荷108と第1の負荷106のそれぞれと太陽光アレイ104との間の電力系統接続109は、第1の電気メータ502、第2の電気メータ504、第1の変圧器506、及び第2の変圧器508を備え得る。
【0045】
第2の負荷108は、第1の(降圧)変圧器506及び第1の電気メータ502を介して、第1の負荷106に接続される。第1の電気メータ502は、第2の負荷108から第1の負荷106に提供されるエネルギーを計測するための従来の小売電気メータであり得る。言い換えると、第1の電気メータ502は、ゼロ送出メータであり得る。よって、第2の負荷108と第1の負荷106との間の接続は、電力が第1の負荷106に(一方向に)供給される従来の接続であり得る。
【0046】
太陽光アレイ104は、電力分配装置102、第2の電気メータ504、その後に第2の(昇圧)変圧器508を介して、第2の負荷108に接続され得る。第2の電気メータ504は、太陽光アレイ104から第2の負荷108に提供される電気の量を計測するように構成される。
【0047】
太陽光アレイ104から第1の負荷106への接続は、「電力需要家側(behind the meter)」で行われる。太陽光アレイ104の所有者と第1の負荷106の責任者が異なる場合、太陽光アレイ104から第1の負荷106に提供されるエネルギーは、1つ以上の買電契約(PPA)を介して、第1の負荷106の責任者に販売され得る。
【0048】
図6は、第2の負荷108と第1の負荷106のそれぞれと太陽光アレイ104との間の電力系統接続109の別の実施態様を示し、電力系統接続109は、第1の電気メータ602、第2の電気メータ604、及び第1の変圧器606を備える。
図5に示される実施態様のように、第1の負荷106は、第1の電気メータ602を介して第2の負荷108に接続され、太陽光アレイ104は、第2の電気メータ604を介して第2の負荷108に接続される。ただし、
図5に示される実施態様とは対照的に、第1の電気メータ602及び第2の電気メータ604は、共通の変圧器である第1の変圧器606に送出されて、第2の負荷108に接続される。第1の負荷106が建物または建物群に関連付けられたローカル負荷である場合、変圧器606は、建物を小売電気ネットワークに接続するために使用される変圧器と同じであり得る。よって、送電に同じ変圧器を使用しながら、それぞれが市場に参加し得る第1の電気メータ602及び第2の電気メータ604が設けられる。
【0049】
図7は、第2の負荷108と第1の負荷106のそれぞれと太陽光アレイ104との間の電力系統接続109のさらに別の実施態様を示し、電力系統接続109は、第1の電気メータ702、第2の電気メータ704、及び変圧器706を備える。この実施態様では、第1の電気メータ702と第2の電気メータ704とは、直列に接続される。第1の負荷106は、第2の電気メータ704及び変圧器706を介して、第2の負荷108に接続される。太陽光アレイ104は、第1の電気メータ702、第2の電気メータ704、及び同じ変圧器706を介して、第2の負荷108に接続される。よって、第2の負荷108の観点からすると、システム100は単一の参加者とみなされ得、第2の電気メータ704は、第2の負荷108の電気の正味消費、すなわち第2の負荷108への電気の正味出力を監視する。次に、(例えば第2の負荷108が電力系統である場合)市場参加者として太陽光アレイ104から第2の負荷108に提供する電気を測定するために、第1の電気メータ702が設けられ得る。
【0050】
ここで、第1の負荷106と第2の負荷108との間の電力分配を制御するための電力分配装置102により実施される例示的なプロセス800が、
図8を参照して説明される。このプロセス800において、制御モジュール112は、第1の負荷106が必要とする量のエネルギーを、太陽光アレイ104によりいつの時点でも提供できるようにするという目的で動作し得る。ステップ802にて、第1の電力メータ114を使用して、第1の入力ノードにおける電力が測定される。第1の電力メータ114は、第1の入力ノード111における電圧及び/または電流を測定し得る。第1の入力ノード111における測定電力(電圧及び/または電流)は、任意の適切な方法で制御モジュール112に提供され得る。ほぼ同時に、ステップ804にて、第1の負荷106の電力需要すなわち消費電力が特定され得る。例えば、第2の電力メータ116は、第1の負荷106の総消費電力を測定し得る。第1の負荷106が第2の負荷108にも接続される場合、総消費電力は、第1の入力ノード111に提供される電力と、第3のノード115に/第3のノード115から提供される電力との合計であり得る。付加的または代替的に、第4の電力メータ120が、第3のノード115に提供される電力を測定して、第1の負荷106の消費電力は特定され得る。第2の電力メータ116及び/または第4の電力メータ120は、第1の負荷106の電圧及び/または電流の需要を測定し得、このような情報は、任意の適切な方法で制御モジュール112に提供される。ステップ806にて、制御モジュール112は次に、第1の電力メータ114から受信した電力データと、第2の電力メータ116及び第4の電力メータ120のうちの1つ以上から受信した電力データと使用して、スイッチバンク110を制御し、第1の負荷106と第2の負荷108との間で電力を分配し得る。
【0051】
図9は、本開示の実施形態による、プロセス800の制御ステップ806の例示的なプロセス900を示す。任意の設定ステップであるステップ902にて、太陽光アレイの太陽光パネル104a~104nのうちの最初のN個が第1の入力ノード111へのスイッチとなるように、制御モジュール112によりスイッチバンク110のスイッチ124が切り替えられ得る。例えば、太陽光アレイが偶数のn個の太陽光パネル104a~104nを含む場合、第1の入力ノード111と第2の入力ノード113とに、同数のスイッチ124が接続され得る。太陽光パネル104a~104nの個数nが奇数である場合、第1の入力ノード111に接続されるスイッチ124の個数Nは、スイッチの数nを2で割って最も近い整数に四捨五入された数と等しくなり、すなわちN=「n/2」となり得る。もちろん、このステップ902は省略されてもよい。
【0052】
ステップ904にて、制御モジュール112は、第1の電力メータ114により第1の入力ノード111で測定された電力値P1を受信し得る。ステップ906にて、制御モジュール112は、第1の負荷106の総電力需要すなわち総消費電力を表す、第2の電力メータ116により測定された電力値P2を受信し得る。
【0053】
ステップ908にて、第1の入力ノード111に提供される電力が、第1の負荷106を使用するのに実質的に十分であるように、制御モジュール112は、第1の負荷106に供給される電力P1が、第1の負荷106の消費電力P2の閾値T内であるか否かを判定し得る。いくつかの実施形態では、閾値Tはゼロであり得る。別の実施形態では、第3のノード115を介して第2の負荷108に電力を供給することができない場合、閾値Tは正の値であり得、第1の負荷106が必要とするエネルギーより多くのエネルギーが第1の入力ノード111を介して提供されないように、バッファが設けられる。このバッファは、第1の負荷から第2の負荷108へのエネルギー送出がエネルギー調整器により禁止されている場合に、必要となり得る。閾値Tは、バッファを設けて、スイッチ開閉頻度を低減し、よってスイッチギアの摩耗を軽減するためにも、提供され得る。
【0054】
ステップ908の条件が満たされる場合、プロセス900は、ステップ904に戻る。
【0055】
このような条件が満たされない場合、プロセス900はステップ910に進み、制御モジュール112は、第1の入力ノード111に提供される電力P1が、第1の負荷106の消費電力P2未満である閾値Tを上回る否かを判定する。この条件が満たされた場合、ステップ912にて、制御モジュール112は、全ての太陽光パネル104a~104nが第1の負荷106に切り替えられているか否かを判定する。そうではない場合、ステップ914にて、制御モジュール112は、第1の入力ノード111に切り替えられた太陽光パネル104a~104nの数を増やすように、スイッチバンク110のスイッチ124のうちの1つを切り替え得る。次に、このプロセスは、ステップ908に戻る。
【0056】
ステップ912にて、全てのスイッチ124が第1の入力ノード111に切り替えられていると判定された場合、ステップ916にて、制御モジュール112は、太陽光アレイ104により提供される電力と、第1の負荷106の消費電力P2との間に、電力不足が存在することを示す出力を提供し得る。第1の負荷106が第3のノード115を介して第2の負荷108にも接続される場合、制御モジュール112は同様に、第3のノード115を介して第2の負荷108から第1の負荷106に供給される電力により、電力不足が生じていることを示し得る。次に、プロセス900は、ステップ904に戻り得る。
【0057】
ステップ910に戻ると、第1の入力ノード111における電力が、第1の負荷106の消費電力未満である閾値T以下であると判定された場合、第1の入力ノード111に提供される電力P1は、第1の負荷106の消費電力よりも多いということになり、これは、太陽光アレイ104により第1の負荷106に提供される電力は、第1の負荷106が必要とする電力よりも多いということを意味する。次に、制御モジュール112は、ステップ918にて、全てのスイッチ124が第2の入力ノード113に切り替えられているか否か(すなわちN=0か否か)をまず確認し、次に、ステップ920にて、第1の入力ノード111に切り替えられたスイッチ124の数を減らして、太陽光アレイ104により第1の負荷106に提供される電力を減らす。
【0058】
本開示の実施形態では、電力分配装置102は、太陽光パネル(もしくは電池)または太陽光アレイを切り替えることが示される。しかしながら、本明細書で説明される電力分配装置は、太陽光発電機の切り替えに限定されず、蓄電デバイス(例えばバッテリ、コンデンサなど)、または風力発電機などの他の電源を切り替えるためにも使用され得ることが理解されよう。
【0059】
本明細書で説明される、とりわけ図に関連して説明される様々な動作は、他の回路または他のハードウェア構成要素で実施されてもよいことを、特に本開示の恩恵を受ける当業者には理解されたい。所与の方法の各動作が実行される順序は、変更されてもよく、本明細書に例示されるシステムの様々な要素の追加、並べ替え、組み合わせ、省略、修正などが行われてもよい。本開示はこのような修正及び変更を全て包含することが意図され、従って、上記の説明は、限定的な意味ではなく、例示的な意味として考慮されるべきである。
【0060】
同様に、本開示は特定の実施形態を参照しているが、本開示の範囲及び対象から逸脱することなく、これらの実施形態に対して特定の修正及び変更を行うことができる。さらに、特定の実施形態に関して本明細書で説明されるいずれの恩恵、利点、または問題に対する解決策も、重要な、必須の、または本質的な特徴または要素として解釈されることを意図するものではない。
【0061】
同様に本開示の恩恵を受けるさらなる実施形態及び実施態様は、当業者には明らかであり、このような実施形態は、本明細書に含まれるものとして見なされるべきである。さらに、当業者は、論述された実施形態の代わりに、または論述された実施形態と組み合わせて、様々な同等の技術が適用され得ることを認識し、全てのそのような同等物は、本開示に含まれるものとして見なされるべきである。
【0062】
前述の装置及び方法のいくつかの態様、例えば発見及び構成方法は、プロセッサ制御コードとして、例えばディスク、CD-ROM、もしくはDVD-ROMなどの不揮発性キャリア媒体、読み出し専用メモリ(ファームウェア)などのプログラムメモリ、または光信号キャリアもしくは電気信号キャリアなどのデータキャリア上で具現化され得ることを、当業者は認識するであろう。多くのアプリケーションに関して、本発明の実施形態は、DSP(デジタル信号プロセッサ)、ASIC(特定用途向け集積回路)、またはFPGA(フィールドプログラム可能ゲートアレイ)上で実施される。よって、コードには、従来のプログラムコードまたはマイクロコード、あるいは、例えばASICまたはFPGAを設定または制御するためのコードが含まれ得る。コードにはまた、再プログラム可能な論理ゲートアレイなどの再構成可能な装置を動的に構成するためのコードも含まれ得る。同様に、コードには、Verilog TMまたはVHDL(超高速集積回路ハードウェア記述言語)などのハードウェア記述言語のコードが含まれ得る。当業者には理解されるように、コードは、相互通信を行う複数の接続された構成要素間で、分散され得る。必要に応じて、実施形態はまた、アナログハードウェアを構成するために、フィールド(再)プログラム可能なアナログアレイまたは同様のデバイス上で実行されるコードを使用しても実施され得る。
【0063】
本明細書で使用されるモジュールという用語は、カスタム定義された回路などの専用ハードウェア構成要素により少なくとも部分的に実施され得る、及び/または適切な汎用プロセッサなどで実行される1つ以上のソフトウェアプロセッサもしくは好適なコードにより少なくとも部分的に実施され得る機能ユニットまたは機能ブロックを指すために使用されることに、留意されたい。モジュール自体は、他のモジュールすなわち機能ユニットを含み得る。モジュールは、複数の構成要素またはサブモジュールにより提供され得、これらは、同じ場所に配置する必要がなく、異なる集積回路上に設けること、及び/または異なるプロセッサ上で実行することができる。
【0064】
上記の実施形態は、本発明を限定するものではなく例示するものであり、当業者は、添付の特許請求の範囲または実施形態から逸脱することなく、多くの代替的な実施形態を設計することができることに、留意されたい。単語「備える/含む(comprising)」は、特許請求の範囲または実施形態に記載される要素またはステップ以外の要素またはステップの存在を除外するものではなく、「a」または「an」は複数を除外するものではなく、単一の特徴または他のユニットが、特許請求の範囲または実施形態に挙げられるいくつかのユニットの機能を果たしてもよい。特許請求の範囲または実施形態におけるいかなる参照番号またはラベルも、それらの範囲を限定するものとして解釈されてはならない。
【国際調査報告】