(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-10
(54)【発明の名称】トルクコンバータ
(51)【国際特許分類】
F16H 45/02 20060101AFI20221102BHJP
【FI】
F16H45/02 Y
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515532
(86)(22)【出願日】2020-07-17
(85)【翻訳文提出日】2022-03-08
(86)【国際出願番号】 KR2020009420
(87)【国際公開番号】W WO2021049747
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】10-2019-0111589
(32)【優先日】2019-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519225255
【氏名又は名称】ヴァレオ、カペック、カンパニー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】VALEO KAPEC CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100198029
【氏名又は名称】綿貫 力
(72)【発明者】
【氏名】カン、ジュソク
(57)【要約】
本発明は、従来に比べて簡素な構造を有することにより、製造コストが節減され、反共振ダンパの設置空間を最小化してトルクコンバータ全体のサイズを減少させることができ、ダンピング能力が向上したダンパ組立体を備えたトルクコンバータに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン出力側に連結されるフロントカバーと、前記フロントカバーに連結されて一体で回転するインペラと、流体を介して前記インペラから回転力を伝達されるタービンブレードおよび前記タービンブレードを支持するタービンシェルを備えるタービンと、前記フロントカバーと前記タービンの間に配置されるロックアップ装置と、前記ロックアップ装置に連結されるダンパ組立体と、前記ダンパ組立体に連結されて回転力を外部に伝達する出力ハブを含むトルクコンバータであって、
前記ダンパ組立体は、
前記ロックアップ装置から回転力が入力される入力部材;
前記入力部材に対して相対回転可能に備えられ、前記出力ハブに相対回転不可に連結される出力部材;
前記入力部材と前記出力部材を回転方向に対して弾力的に連結する第1ダンパスプリングおよび第2ダンパスプリング;
前記第1ダンパスプリングを介して前記入力部材に相対回転可能に連結され、前記第2ダンパスプリングを介して前記出力部材に相対回転可能に連結される中間部材;および
前記中間部材に直接設けられる反共振ダンパ;
を含み、
前記反共振ダンパは、前記第1ダンパスプリングおよび前記第2ダンパスプリングに対して半径方向外側に配置されることを特徴とする、トルクコンバータ。
【請求項2】
前記反共振ダンパは、
前記中間部材の前面に近接して配置されるリング形状の第1質量体プレート;
前記第1質量体プレートと相対回転不可に結合し、前記ダンパプレートの後面に近接して配置されるリング形状の第2質量体プレート;および
前記中間部材に収容され、前記第1質量体プレートおよび前記第2質量体プレートを前記中間部材に前記回転方向に対して弾力的に連結する第3ダンパスプリング;
を含み、
前記第1質量体プレートと前記第2質量体プレートは前記入力部材に対して半径方向外側に配置されることを特徴とする、請求項1に記載のトルクコンバータ。
【請求項3】
前記トルクコンバータの中心軸から前記反共振ダンパの半径方向最外側端部までの長さは、前記中心軸から前記ロックアップ装置の半径方向最外側端部までの長さの100%~105%になることを特徴とする、請求項2に記載のトルクコンバータ。
【請求項4】
前記トルクコンバータの中心軸から前記反共振ダンパの半径方向最外側端部までの長さは、前記中心軸から前記タービンシェルの半径方向最外側端部までの長さの110%~120%になることを特徴とする、請求項2に記載のトルクコンバータ。
【請求項5】
中心軸方向に前記第1質量体プレートの前方端部面から前記第2質量体プレートの後方端部面までの占有領域は、前記第1ダンパスプリングおよび前記第2ダンパスプリングの軸方向占有領域と少なくとも部分的に重なることを特徴とする、請求項2に記載のトルクコンバータ。
【請求項6】
中心軸方向に前記第1質量体プレートの前方端部面から前記第2質量体の後方端部面までの占有領域は、前記第1ダンパスプリングおよび前記第2ダンパスプリングの軸方向占有領域にすべて重なることを特徴とする、請求項2に記載のトルクコンバータ。
【請求項7】
前記反共振ダンパは、
前記第1質量体プレートと前記第2質量体プレートの間に配置され、前記第1質量体プレートおよび前記第2質量体プレートと一体で回転するように連結される追加質量体をさらに含むことを特徴とする、請求項2に記載のトルクコンバータ。
【請求項8】
前記反共振ダンパは、
前記第1質量体プレートまたは前記第2質量体プレートのうち少なくともいずれか一つを前記タービンシェルに相対回転不可の状態で連結する連結ブラケットをさらに含むことを特徴とする、請求項2に記載のトルクコンバータ。
【請求項9】
前記入力部材は、
前記中間部材の前面に近接して配置され、前記ロックアップ装置に相対回転不可に連結されるリング形状の第1プレート;および
前記中間部材の後面に近接して配置され、前記第1プレートと一体で回転するように連結されるリング形状の第2プレート;
を含み、
前記第1プレートと前記第2プレートは前記反共振ダンパに対して半径方向内側に配置されることを特徴とする、請求項2に記載のトルクコンバータ。
【請求項10】
前記第1プレートと前記第2プレートはそれぞれ前記第1ダンパスプリングと前記第2ダンパスプリングを収容するための円弧形状の第1スプリング孔を含み、
前記第1ダンパスプリングと前記第2ダンパスプリングは前記第1スプリング孔に同時収容されることを特徴とする、請求項9に記載のトルクコンバータ。
【請求項11】
前記第1ダンパスプリングと前記第2ダンパスプリングは前記第1スプリング孔の内部で同一半径に沿って円弧形状に配置されることを特徴とする、請求項10に記載のトルクコンバータ。
【請求項12】
前記第1ダンパスプリングは、前記第1スプリング孔の半径方向幅に対応する外径を有する第1コイルスプリングと、前記第1コイルスプリングの内部に配置される第2コイルスプリングを含み、
前記第2ダンパスプリングは、前記第1コイルスプリングの外径と同じ外径を有する第3コイルスプリングと、前記第3コイルスプリングの内部に配置される第4コイルスプリングを含むことを特徴とする、請求項11に記載のトルクコンバータ。
【請求項13】
前記中間部材は、
リング形状のメインプレート;
前記メインプレートの半径方向内側に形成され、前記第1スプリング孔に対応する円周方向長さを有して前記第1ダンパスプリングと前記第2ダンパスプリングが収容される円弧形状の第2スプリング孔;および
前記第2スプリング孔の半径方向外側に形成されて前記第3ダンパスプリングを収容する第3スプリング孔;
を含むことを特徴とする、請求項10に記載のトルクコンバータ。
【請求項14】
前記出力部材は、
前記出力ハブに固定される円板形状のボディ部;および
前記ボディ部から半径方向に延びて形成されるスプリング連結部;
を含み、
前記スプリング連結部は、前記第1ダンパスプリングの第1端部と前記第2ダンパスプリングの第1端部の間に延びて、
前記第1ダンパスプリングの第1端部と前記第2ダンパスプリングの第1端部は前記スプリング連結部によって同時に支持されることを特徴とする、請求項11に記載のトルクコンバータ。
【請求項15】
前記第1ダンパスプリングの第2端部は、前記第1スプリング孔および第2スプリング孔の半径方向一端部によって同時に支持され、
前記第2ダンパスプリングの第2端部は、前記第1スプリング孔および第2スプリング孔の半径方向他端部によって同時に支持されることを特徴とする、請求項14に記載のトルクコンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体式動力伝達装置のトルクコンバータに関し、より詳細には従来に比べて簡素な構造を有することにより製造コストが節減され、反共振ダンパの設置空間を最小化してトルクコンバータ全体のサイズを減少させながらも、ダンピング性能は向上させ得るトルクコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のエンジンで発生した動力を変速機に伝達する流体式動力伝達装置として、特にロックアップ装置を備えたトルクコンバータが広く適用されている。
【0003】
ロックアップ装置は、トルクコンバータのフロントカバーとタービンを機械的に連結してトルクを伝達するための装置であり、タービンとフロントカバーの間の空間に配置されている。このようなロックアップ装置によってインペラを経ずフロントカバーからタービンにトルクが直接伝達される。
【0004】
一般にロックアップ装置は、ピストンとダンパ機構を有している。
【0005】
ピストンは、中心軸方向に沿って移動可能に配置されており、フロントカバーに加圧されるとフロントカバーに係合して摩擦力によりフロントカバーからトルクの伝達を受けて回転することになる。
【0006】
ダンパ機構は、フロントカバーに伝達されたねじり振動を吸収し減衰して出力部材に伝達する役割をし、ピストンと一体で回転する入力部材と出力部材の間を弾力的に連結する弾性体、好ましくはコイルスプリングを含む。
【0007】
一方、ねじり振動の吸収および減衰を目的とするダンパ機構に追加し、共振周波数を実用回転速度以下に下げて振動減衰性能の向上を企てるための技術として、慣性質量体をトルク伝達経路上に設置して構成される反共振ダンパ(anti-resonance damper)と関連する技術が開発されて適用されている。
【0008】
これと関連して、先行文献として韓国公開特許第10-2017-0078607号公報には、慣性質量体が出力部材の外側端部にコイルスプリングで連結されて構成される反共振ダンパが開示されている。
【0009】
ただし、前記先行文献に開示された反共振ダンパは、ねじりダンパとして第1ダンパ機構に該当する外側コイルスプリングに対して半径方向外側に反共振ダンパが配置されてトルクコンバータの半径方向サイズが増加するという問題がある。
【0010】
また、前記先行文献に開示された反共振ダンパは、反共振ダンパの占有空間上の制約により慣性質量体に対する十分なサイズを確保することが難しく慣性質量体の慣性力が不足し、そのため反共振ダンパのダンピング性能が不十分になる問題がある。
【0011】
また、前記先行文献に開示された反共振ダンパは、出力部材の半径方向外側端部を延長して反共振ダンパに対する連結部を形成するように構成されて出力部材の形状が複雑になり、出力部材に対する製造コストが増加する問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2017-0078607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は前述した問題を解決するために案出されたものであって、中間部材に慣性質量体を直接設けるように構成し、連結部材を省略することによって構造を簡素化し、製造コストを節減できる反共振ダンパを備えたトルクコンバータを提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明は、ねじりダンパを構成するダンパスプリングに対して半径方向外側に慣性質量体を設けるようにして慣性質量体のための設置空間を節減して全体サイズを減少させることができ、追加的に慣性質量体としてタービンシェルを用いるようにしてダンピング性能が顕著に向上した反共振ダンパを備えたトルクコンバータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前述した課題を解決するために、本発明によるトルクコンバータは、エンジン出力側に連結されるフロントカバーと、前記フロントカバーに連結されて一体で回転するインペラと、流体を介して前記インペラから回転力を伝達されるタービンブレードおよび前記タービンブレードを支持するタービンシェルを備えるタービンと、前記フロントカバーと前記タービンの間に配置されるロックアップ装置と、前記ロックアップ装置に連結されるダンパ組立体と、前記ダンパ組立体に連結されて回転力を外部に伝達する出力ハブを含み、前記ダンパ組立体は、前記ロックアップ装置から回転力が入力される入力部材;前記入力部材に対して相対回転可能に備えられ、前記出力ハブに相対回転不可に連結される出力部材;前記入力部材と前記出力部材を回転方向に対して弾力的に連結する第1ダンパスプリングおよび第2ダンパスプリング;前記第1ダンパスプリングを介して前記入力部材に相対回転可能に連結され、前記第2ダンパスプリングを介して前記出力部材に相対回転可能に連結される中間部材;および前記中間部材に直接設けられる反共振ダンパを含み、前記反共振ダンパは、前記第1ダンパスプリングおよび前記第2ダンパスプリングに対して半径方向外側に配置されることを特徴とする。
【0016】
また、前記反共振ダンパは、前記中間部材の前面に近接して配置されるリング形状の第1質量体プレート;前記第1質量体プレートと相対回転不可に結合し、前記ダンパプレートの後面に近接して配置されるリング形状の第2質量体プレート;および前記中間部材に収容され、前記第1質量体プレートおよび前記第2質量体プレートを前記中間部材に前記回転方向に対して弾力的に連結する第3ダンパスプリングを含み、前記第1質量体プレートと前記第2質量体プレートは前記入力部材に対して半径方向外側に配置される。
【0017】
また、前記トルクコンバータの中心軸から前記反共振ダンパの半径方向最外側端部までの長さは、前記中心軸から前記ロックアップ装置の半径方向最外側端部までの長さの100%~105%となる。
【0018】
また、前記トルクコンバータの中心軸から前記反共振ダンパの半径方向最外側端部までの長さは、前記中心軸から前記タービンシェルの半径方向最外側端部までの長さの110%~120%となる。
【0019】
また、前記中心軸方向に前記第1質量体プレートの前方端部面から前記第2質量体プレートの後方端部面までの占有領域は、前記第1ダンパスプリングおよび前記第2ダンパスプリングの軸方向占有領域と少なくとも部分的に重なる。
【0020】
また、前記中心軸方向に前記第1質量体プレートの前方端部面から前記第2質量体の後方端部面までの占有領域は、前記第1ダンパスプリングおよび前記第2ダンパスプリングの軸方向占有領域にすべて重なる。
【0021】
また、前記反共振ダンパは、前記第1質量体プレートと前記第2質量体プレートの間に配置され、前記第1質量体プレートおよび前記第2質量体プレートと一体で回転するように連結される追加質量体をさらに含む。
【0022】
また、前記反共振ダンパは、前記第1質量体プレートまたは前記第2質量体プレートのうち少なくともいずれか一つを前記タービンシェルに相対回転不可の状態で連結する連結ブラケットをさらに含む。
【0023】
また、前記入力部材は、前記中間部材の前面に近接して配置され、前記ロックアップ装置に相対回転不可に連結されるリング形状の第1プレート;および前記中間部材の後面に近接して配置され、前記第1プレートと一体で回転するように連結されるリング形状の第2プレートを含み、前記第1プレートと前記第2プレートは前記反共振ダンパに対して半径方向内側に配置される。
【0024】
また、前記第1プレートと前記第2プレートはそれぞれ前記第1ダンパスプリングと前記第2ダンパスプリングを収容するための円弧形状の第1スプリング孔を含み、前記第1ダンパスプリングと前記第2ダンパスプリングは前記第1スプリング孔に同時収容される。
【0025】
また、前記第1ダンパスプリングと前記第2ダンパスプリングは前記第1スプリング孔の内部で同一半径に沿って円弧形状に配置される。
【0026】
また、前記第1ダンパスプリングは、前記第1スプリング孔の半径方向幅に対応する外径を有する第1コイルスプリングと、前記第1コイルスプリングの内部に配置される第2コイルスプリングを含み、前記第2ダンパスプリングは、前記第1コイルスプリングの外径と同じ外径を有する第3コイルスプリングと、前記第3コイルスプリングの内部に配置される第4コイルスプリングを含む。
【0027】
また、前記中間部材は、リング形状のメインプレート;前記メインプレートの半径方向内側に形成され、前記第1スプリング孔に対応する円周方向長さを有して前記第1ダンパスプリングと前記第2ダンパスプリングが収容される円弧形状の第2スプリング孔;および前記第2スプリング孔の半径方向外側に形成されて前記第3ダンパスプリングを収容する第3スプリング孔を収容する第3スプリング孔を含む。
【0028】
また、前記出力部材は、前記出力ハブに固定される円板形状のボディ部;および前記ボディ部から半径方向に延びて形成されるスプリング連結部を含み、前記スプリング連結部は、前記第1ダンパスプリングの第1端部と前記第2ダンパスプリングの第1端部の間に延びて、前記第1ダンパスプリングの第1端部と前記第2ダンパスプリングの第1端部は前記スプリング連結部によって同時に支持される。
【0029】
また、前記第1ダンパスプリングの第2端部は、前記第1スプリング孔および第2スプリング孔の半径方向一端部によって同時に支持され、前記第2ダンパスプリングの第2端部は、前記第1スプリング孔および第2スプリング孔の半径方向他端部によって同時に支持される。
【発明の効果】
【0030】
本発明によるトルクコンバータは、中間部材に慣性質量体を直接設けるように構成して連結部材を省略することによって構造を簡素化し、製造コストを節減できる効果を有する。
【0031】
また、本発明によるトルクコンバータは、ダンパ機構を構成するダンパスプリングに対して半径方向外側に慣性質量体を設けるようにして慣性質量体のための設置空間を節減して全体サイズを減少させることができ、追加的に慣性質量体としてタービンシェルを用いるようにしてダンピング性能を顕著に向上させる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の一実施形態による反共振ダンパを備えたトルクコンバータの中心軸方向の断面図である。
【
図5】
図3に示すダンパ組立体の分解斜視図である。
【
図6】
図3に示すダンパ組立体の分解斜視図である。
【
図7】
図3に示す入力部材を説明するための分解斜視図である。
【
図8】
図3に示すダンパ組立体の中心軸に垂直な方向への断面図である。
【
図9】本発明によるダンパ組立体の中間部材および出力部材を説明するための正面図である。
【
図12】タービンシェルに連結ブラケットが付着した状態を示す斜視図である。
【
図13】本発明によるトルクコンバータのトルク伝達過程を説明するための概略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付する図面を参照して詳細に説明する。
【0034】
本発明は、以下に開示する実施形態に限定されるものではなく多様な変更を加えることができ、互いに異なる多様な形態で実現することができる。単に本実施形態は本発明の開示を完全にし、通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供される。したがって、本発明は、以下に開示する実施形態に限定されるものではなく、いずれか一つの実施形態の構成と他の実施形態の構成を互いに置き換えたり付加することは勿論本発明の技術的思想と範囲に含まれるすべての変更、均等物ないし代替物を含むものとして理解しなければならない。
【0035】
添付する図面は本明細書に開示する実施形態の理解を深めるためのものであり、本明細書に開示された技術的思想は添付する図面によって制限されず、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物ないし代替物を含むものとして理解しなければならない。図面で構成要素は理解の便宜性などを考慮して大きさや厚さを誇張して大きくまたは小さく表現できるが、本発明の保護の範囲はこれによって制限的に解釈されるべきではない。
【0036】
本明細書で使用した用語は単に特定の実施形態や実施形態を説明するために使用され、本発明を限定しようとする意図ではない。そして単数の表現は文脈上明白に異なる意味を示さない限り、複数の表現を含む。明細書で「~含む」、「~からなる」どの用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するためである。すなわち、明細書で「~含む」、「~からなる」などの用語は一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらが組み合わせたものの存在または付加の可能性をあらかじめ排除しないものとして理解されなければならない。
【0037】
第1、第2などのように序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために使用されるが、前記構成要素は前記用語によって限定されない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的にのみ使用される。
【0038】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いる、または「接続されて」いると言及された時には、その他の構成要素に直接連結されているかまたは接続されていることもできるが、中間に他の構成要素が存在する場合もあると理解されなければならない。反面、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いる、または「直接接続されて」いると言及された時には、中間に他の構成要素が存在しないものとして理解されなければならない。
【0039】
本出願で使用した用語は単に特定の実施形態を説明するために使用されたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に異なる意味を示さない限り、複数の表現を含み得る。
【0040】
ある構成要素が他の構成要素の「上部にある」、または「下部にある」と言及された時には、その他の構成要素の真上に配置されている場合だけでなく中間に他の構成要素が存在し得るものとして理解されなければならない。
【0041】
本出願で、「含む」または「有する」などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するためであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加の可能性をあらかじめ排除しないものとして理解されることができる。
【0042】
他に定義のない限り、ここで用いられる技術用語および科学用語を含むすべての用語は本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。一般に用いられている辞書で定義されているような用語は関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本出願で明白に定義しない限り、理想的や過度に形式的な意味に解釈されない。
【0043】
便宜上本明細書における方向は次の通り定義する。
【0044】
前後方向または軸方向は回転軸と並んだ方向であって、前方は動力源であるいずれか一方向、たとえばエンジン側に向かう方向を意味し、後方は他の一方向、たとえば変速機側に向かう方向を意味する。したがって、前面とはその表面が前方を臨む面を意味し、後面とはその表面が後方を臨む面を意味する。
【0045】
半径方向または放射方向とは前記回転軸と垂直な平面上で前記回転軸の中心を通過する直線に沿って前記中心に近づく方向または前記中心から遠ざかる方向を意味する。前記中心から半径方向に遠ざかる方向を遠心方向といい、前記中心に近づく方向を求心方向という。
【0046】
円周方向とは前記回転軸の円周を巡る方向を意味する。外周とは外側周囲、内周とは内側周囲を意味する。したがって、外周面は前記回転軸に背を向ける方向の面であり、内周面は前記回転軸を臨む方向の面を意味する。
【0047】
円周方向側面とはその面の法線が概ね円周方向に向かう面を意味する。
【0048】
<トルクコンバータの全般的な構成>
図1はトルクコンバータ1の中心軸X-X方向の断面図であり、
図2は
図1の部分拡大図である。
図1および
図2を参照して本発明の一実施形態によるダンパ組立体DAを備えたトルクコンバータ1の全般的な構成について説明する。
【0049】
トルクコンバータ1は、図示していないエンジンのクランクシャフトから図示していないトランスミッションの入力シャフトにトルクを伝達するための装置として、クランクシャフトの回転力が入力されるフロントカバー2と、フロントカバー2に連結されたインペラ3と、出力ハブ43に連結されたタービン4と、インペラ3とタービン4の間に配置されるステータ5と、フロントカバー2とタービン4の間に配置されるロックアップ装置6と、ロックアップ装置6に連結されるダンパ組立体DAと、ダンパ組立体DAに連結されて回転力を外部に伝達する出力ハブ43を含んで構成される。
【0050】
フロントカバー2にはインペラ3が固定され、フロントカバー2とインペラ3により内部に流体室が形成される。
【0051】
タービン4は流体室の内部でインペラ3に対向するように配置されている。タービン4は、タービンシェル41と、タービンシェル41に固定された複数のタービンブレード42を含む。
【0052】
出力ハブ43は、トルクコンバータ1の外部に回転力を伝達できるように図示していないトランスミッションの入力シャフトに連結されている。出力ハブ43のフランジ43aには後述する出力プレート65がリベットR2により締結される。
【0053】
ステータ5は、タービン4からインペラ3への作動油の流れを調節するための機構であり、インペラ3とタービン4の間に配置されている。
【0054】
<ロックアップ装置の構成>
ロックアップ装置6は、必要に応じてフロントカバー2とタービン4を機械的に連結するための役割をし、
図1に示すように、フロントカバー2とタービン4の間の空間に配置される。
【0055】
より詳細には
図2に示すように、ロックアップ装置6はピストン61とドライブプレート62を備え、ドライブプレート62は後述するダンパ組立体DAの入力プレート63に一体で回転するように連結される。
【0056】
ピストン
ピストン61は、フロントカバー2とタービン4の間のトルク伝達経路を切り換えるための機能をし、油圧の作用によってフロントカバー2側に加圧されてフロントカバー2の内側面に密着すると摩擦力によりフロントカバー2のトルクを直接伝達されるように設けられる。
【0057】
このために、ピストン61の半径方向内側端部は出力ハブ43により中心軸X-X方向に移動可能に支持され、また、出力ハブ43に対して相対回転可能に支持されている。また、フロントカバー2の内側面に向かうピストン61の一側面には摩擦力を高めてフロントカバー2のトルクが効率よくピストン61に伝達されるようにするための手段として摩擦部材61aが設けられる。
【0058】
ドライブプレート
ドライブプレート62は、前述したピストン61に固定されてピストン61と共にトルク伝達経路を切り換える部材として機能する。
【0059】
ピストン61と共にトルク伝達経路切り換え部材として作用するように、ドライブプレート62のメインボディ部62aの半径方向内側端部はリベットR1により複数の箇所でピストン61に堅固に固定される。
【0060】
一方、メインボディ部62aの半径方向外側端部には後述する入力プレート63の連結突起63a-6に係合する外側掛かり部62bが歯形形態で備えられる。
【0061】
<ダンパ組立体の構成>
ダンパ組立体DAは、前述したロックアップ装置6を介して入力されるトルクに含まれた振動を吸収および減殺して出力ハブ43に伝達する役割をし、
図1に示すように、入力部材として入力プレート63、第1ダンパスプリングS1、中間部材として中間プレート64、第2ダンパスプリングS2および出力部材として出力プレート65を備えるねじりダンパTDと、中間部材の中間プレート64に直接連結される反共振ダンパDDを含んで構成される。
【0062】
入力部材-入力プレート
本発明の一実施形態により入力部材として機能する入力プレート63は、ロックアップ装置6のドライブプレート62からトルクが入力されるようにドライブプレート62に一体で回転するように連結される。
【0063】
入力プレート63の詳細な構成は
図5~
図7に示されている。
図5~
図7を参照すると、本発明の一実施形態による入力プレート63は、図面に示すように前述したドライブプレート62に隣接して配置されるリング形状の第1プレート63a、およびタービンシェル41に隣接して配置されて第1プレート63aと一体で回転するように連結されるリング形状の第2プレート63bを含んで構成される。
【0064】
第1プレート63aおよび第2プレート63bは金属板材をプレス加工によりリング形状に製造することができる。添付する図面には第1プレート63aに中心軸X-X方向に延びる連結突起63a-6が追加されることだけが異なり概ね同じ形状とサイズを有する第1プレート63aと第2プレート63bが対向し配置されて構成される実施形態が示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。便宜上以下では第1プレート63aと第2プレート63bが概ね同じ形状とサイズを有する実施形態を基準として説明する。
【0065】
入力プレート63はロックアップ装置6のドライブプレート62から入力されたトルクを第1ダンパスプリングS1を経て中間部材の中間プレート64に伝達する役割をする。このために第1プレート63aのボディ部63a-1と第2プレート63bのボディ部にはそれぞれ第1ダンパスプリングS1を収容するための第1スプリング孔63a-3,63b-3が備えられる。
【0066】
第1スプリング孔63a-3,63b-3は回転方向に沿って延びる円弧形状に加工される。添付する図面には合計3個の第1スプリング孔63a-3,63b-3が備えられる実施形態が示されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、必要に応じて多様に変形して適用できる。
【0067】
さらに、第1スプリング孔63a-3,63b-3には追加的に後述する中間プレート64と出力プレート65を連結する第2ダンパスプリングS2が同時に収容される。
【0068】
すなわち、第1スプリング孔63a-3,63b-3は、第1ダンパスプリングS1が収容される第1領域と第2ダンパスプリングS2が収容される第2領域に分割され、第1ダンパスプリングS1と第2ダンパスプリングS2の間に後述する出力プレート65のスプリング連結部65bが挿入される。より詳細には第1ダンパスプリングS1の第1端部S1-1と第2ダンパスプリングS2の第1端部S1-1,S2-1の間に出力プレート65のスプリング連結部65bが介在した状態で、第1ダンパスプリングS1の第1端部S1-1と第2ダンパスプリングS2の第1端部S1-1,S2-1は出力プレート65のスプリング連結部65bに同時に支持される。
【0069】
このように単一の第1スプリング孔63a-3,63b-3に第1ダンパスプリングS1と第2ダンパスプリングS2が同時に収容されるように構成することによって第1ダンパスプリングS1と第2ダンパスプリングS2がそれぞれ互いに異なる位置に形成される別の収容孔で収容される構成に比べて半径方向サイズが顕著に減少することができる。
【0070】
第1ダンパスプリングS1と第2ダンパスプリングS2の細部配置関係については
図8を参照して後述する。
【0071】
なお、第1プレート63aの第1スプリング孔63a-3と第2プレート63bの第2スプリング孔64dには第1ダンパスプリングS1と第2ダンパスプリングS2を効果的に収容し、これらの離脱を防止するための手段としてそれぞれスプリングホルダ63a-2,63b-2が形成される。これらスプリングホルダ63a-2,63b-2は、第1スプリング孔63a-3,63b-3を形成するためにボディ部63a-1,63b-1から切開された部分を折り曲げて形成される。したがって、別の追加部材を備えることなく第1ダンパスプリングS1と第2ダンパスプリングS2の中心軸X-X方向の離脱を効果的に防止する構造を達成できる。第1ダンパスプリングS1の第2端部S1-2と第2ダンパスプリングS2の第2端部はそれぞれ第1スプリング孔63a-3,63b-3の両端部に形成された第1スプリング掛かり部63a-4,63b-4に支持された状態で回転方向離脱が防止される。
【0072】
第1プレート63aと第2プレート63bは互いに一体で回転するようにリベットR4により連結される。第1プレート63aと第2プレート63bのボディ部63a-1,63b-1にはリベットR4のヘッド部R4-2が貫通して延びるリベット孔63b-5が形成される。ただし、後述するように本発明によるダンパ組立体DAは第1プレート63aと第2プレート63bの間に中間部材の中間プレート64が挿入される構造を有するので、第1プレート63aと第2プレート63bが所定の間隔を有するように離隔させる手段としてリベットR4は間隔維持部R4-1を備える。
【0073】
図7には間隔維持部R4-1が所定の軸方向幅Dを有する直六面体形状を有する実施形態が示されているが、これは例示に過ぎなく第1プレート63aと第2プレート63bが所定の間隔を有する状態で相互間締結させる手段であれば制限なく適用可能である。
【0074】
中間部材-中間プレート
本発明の一実施形態により中間部材として機能する中間プレート64は、第1ダンパスプリングS1を介して入力プレート63に相対回転可能に連結され、第2ダンパスプリングS2を介して後述する出力プレート65に相対回転可能に連結される。
【0075】
図9および
図10に示すように、中間プレート64は円板型金属板材をプレス加工により製造し、リング形状のメインプレート64aと、メインプレート64aに対して半径方向内側に形成されてリング形状を有するサブプレート64bと、メインプレート64aおよびサブプレート64bを連結する連結ブリッジ64cを含んで構成される。
【0076】
メインプレート64aの半径方向内側としてメインプレート64aとサブプレート64bの間には第1ダンパスプリングS1と第2ダンパスプリングS2が収容される第2スプリング孔64dが回転方向に沿って円弧形状で備えられる。添付する図面には第1スプリング孔63a-3,63b-3に対応して合計3個の第2スプリング孔64dが備えられる実施形態が示されているが、本発明はこれに限定されるのではなく、必要に応じて多様に変形して適用できる。
【0077】
第2スプリング孔64dは前述した第1スプリング孔63a-3,63b-3と同じ円周方向長さを有するように貫通形成され、第1スプリング孔63a-3,63b-3と同様に第2スプリング孔64dの両端部はそれぞれ第1ダンパスプリングS1と第2スプリングを支持する役割をする。したがって、ダンパ組立体DAにトルクが入力されない状態で、第1ダンパスプリングS1の第2端部S1-2は入力プレート63の第1スプリング孔63a-3,63b-3の一端部に形成される第1スプリング掛かり部63a-4,63b-4および中間プレート64の第2スプリング孔64dの一端部に形成される第2スプリング掛かり部64d-1に同時に接触および支持され、第2ダンパスプリングS2の第2端部は入力プレート63の第1スプリング孔63a-3,63b-3の他端部に形成される第1スプリング掛かり部63a-4,63b-4および中間プレート64の第2スプリング孔64dの他端部に形成される第2スプリング掛かり部64d-1に同時に接触および支持される。
【0078】
また、第2スプリング孔64dには前述した入力プレート63のリベットR4の間隔維持部R4-1が貫通して延びる部分であってリベットR4の回転通路として機能するガイド溝部64a-2が一体に形成される。
【0079】
第2スプリング孔64dの半径方向外側には後述する第3ダンパスプリングS3を収容する多数の第3スプリング孔64eが形成される。すなわち、第1ダンパスプリングS1と第2ダンパスプリングS2が配置される半径C1よりもさらに大きい半径C2に沿って第3ダンパスプリングS3が配置されるように第3スプリング孔64eが形成される。第3スプリング孔64eの回転方向両端部は第3ダンパスプリングS3を支持および加圧する第3スプリング掛かり部64e-1として作用する。添付する図面には合計3個のダンパスプリングおよび第3スプリング孔64eが等間隔で備えられる実施形態が示されているが、これは例示的なものに過ぎなく、必要に応じて多様に変形して適用できる。
【0080】
なお、回転方向に第3スプリング孔64eの間には半径方向内側に向かって凹んでいる収容溝部64a-1が形成される。収容溝部64a-1は後述する反共振ダンパDDの追加質量体69が収容される空間を形成する部分に該当する。
【0081】
第3ダンパスプリングS3および収容溝部64a-1を含んで反共振ダンパDDに関する詳細な構成は
図3~
図6を参照して後述する。
【0082】
出力部材-出力プレート
出力部材としての出力プレート65はダンパ組立体DAにより最終的に振動が減殺されたトルクを出力ハブ43に伝達する役割をするように、入力プレート63および中間プレート64それぞれに対して相対回転可能に備えられ、出力ハブ43に相対回転不可に連結される。
【0083】
図10に示すように、出力プレート65は出力ハブ43にリベットR2により固定される円板形状のボディ部65aと、ボディ部65aから半径方向に延びて形成されるスプリング連結部65bを含む。
【0084】
円板形状のボディ部65aには中央孔65a-1およびリベットR2が貫通して延びるように多数のリベット孔65a-2が形成されている。
【0085】
スプリング連結部65bは、ボディ部65aから半径方向外側に向かって延びて第2ダンパスプリングS2を介してトルクが伝達される部分に該当し、前述した通り第1ダンパスプリングS1の第1端部S1-1と第2ダンパスプリングS2の第1端部S2-1の間に延びてこれら第1端部S1-1,S2-1を同時に支持するスプリング連結突起65b-1を含む。
【0086】
スプリング連結突起65b-1の半径方向内側および外側端部には第1ダンパスプリングS1および第2ダンパスプリングS2の第1端部S1-1,S2-1が半径方向に離脱することを防止するための内側ガイド突起65b-2および外側ガイド突起65b-3が形成される。
【0087】
第1ダンパスプリングおよび第2ダンパスプリング
ねじりダンパTDを構成する第1ダンパスプリングS1と第2ダンパスプリングS2は、コイルスプリング形態で備えられ、前述した通り第1スプリング孔63a-3,63b-3および第2スプリング孔64dに同一半径に沿って円弧形状で同時に収容される。
【0088】
ただし、本発明による第1ダンパスプリングS1と第2ダンパスプリングS2はスプリングの幅を最小限に維持してダンパ組立体DAの中心軸X-X方向サイズを最小化するが、ダンピング性能を高めるために二重スプリング構造を有するように備えられる。
【0089】
より詳細には
図8および
図9に示すように、第1ダンパスプリングS1は第1スプリング孔63a-3,63b-3の半径方向幅に対応する外径を有する第1コイルスプリングS1aと、第1コイルスプリングS1aの内部に配置される第2コイルスプリングS1bを含み、第2ダンパスプリングS2は第1ダンパスプリングS1と同様に第1スプリング孔63a-3,63b-3の半径方向幅に対応する外径を有する第3コイルスプリングS1aと、第3コイルスプリングS1aの内部に配置される第4コイルスプリングS1bを含む。
【0090】
この場合に、製造コスト節減のために、第1コイルスプリングS1aと第3コイルスプリングS1aが同じ形状および長さを有し、第2コイルスプリングS1bと第4コイルスプリングS1bが同じ形状および長さ有するように構成されることが好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく他の設計変数を考慮して第1コイルスプリングS1aが第3コイルスプリングS1aより長く、第2コイルスプリングS1bが第4コイルスプリングS1bより長く構成されることもでき、このような変形例は本発明の範囲に当然属するといえる。
【0091】
図8および
図9にはこのように第1コイルスプリングS1aが第3コイルスプリングS1aより長く、第2コイルスプリングS1bが第4コイルスプリングS1bより長く構成された実施形態が図示されており、便宜上図示する実施形態を基準として説明する。
【0092】
慣性質量体
反共振ダンパDDを構成する慣性質量体として、中間プレート64の前面に近接して配置されるリング形状の第1質量体プレート66と、第1質量体プレート66と相対回転不可に結合し、ダンパプレートの後面に近接して配置されるリング形状の第2質量体プレート67を含む。
【0093】
図3~
図6に示すように、第1質量体プレート66および第2質量体プレート67は、中間プレート64の半径方向外側メインボディ部63aの形状と類似に板状のリング部材で形成され、それぞれ中間プレート64のメインボディ部63aの中心軸X-X方向に前面および後面にそれぞれ近接して設けられるように構成される。
【0094】
また、半径方向に第1ダンパスプリングS1と第2ダンパスプリングS2に対して半径方向外側の空間に、さらに入力プレート63に対して半径方向外側に配置され、中心軸X-X方向に第1質量体プレート66の前方端部面から第2質量体プレート67の後方端部面までの占有領域W2が第1ダンパスプリングS1および第2ダンパスプリングS2の軸方向占有領域W1と少なくとも部分的に、好ましくはすべて重なるように配置される。
【0095】
すなわち、従来の単一体で備えられた慣性質量体を分割してリング形状のプレート形態で中間プレート64の中心軸X-X方向前面および後面にそれぞれ配置し、慣性質量体が占める占有空間を最小化し、中心軸X-X方向に第1ダンパスプリングS1および第2ダンパスプリングS2が占有する領域W1を外れないように配置して反共振ダンパDDの中心軸X-X方向サイズを顕著に減少させることができる。
【0096】
さらに、
図2に示すように本発明による反共振ダンパDDは、中心軸X-Xから反共振ダンパDDの半径方向最外側端部までの長さd1が、中心軸X-Xからロックアップ装置6の半径方向最外側端部までの長さd2の100%~105%になるように、中心軸X-Xから前記タービンシェル41の半径方向最外側端部までの長さd3の110%~120%になるように設定される。このように、反共振ダンパDDが占有する半径方向長さをロックアップ装置6のピストン61とタービンシェル41の半径方向長さに対して相対的に制限することによって従来に比べてダンパ組立体DAの半径方向サイズを顕著に減少させることができる。
【0097】
一方、第1質量体プレート66と第2質量体プレート67は単一質量体と同じ効果を有するように前述したリベットR3により相互間締結されて一体で動作する。
【0098】
このために第1質量体プレート66のボディ部66aと第2質量体プレート67のボディ部67aにはそれぞれリベットR3が貫通して延びるリベット孔66d,67dが形成される。
【0099】
また、第1質量体プレート66と第2質量体プレート67は従来とは異なり中間連結部材なしで直接ダンパスプリングの第3ダンパスプリングS3に連結されるように構成される。
【0100】
このために、第1質量体プレート66と第2質量体プレート67は相互協力して第3ダンパスプリングS3を少なくとも部分的に収容できるようにそれぞれ第4スプリング孔66b,67bを備え、第4スプリング孔66b,67bそれぞれの両端部面は第3ダンパスプリングS3の両端部に接触してダンピング作用時第3ダンパスプリングS3の両端部を加圧する第4スプリング掛かり部66b-1,67b-1として作用する。
【0101】
図3~6には第1質量体プレート66と第2質量体プレート67にそれぞれ第4スプリング孔66b,67bが形成される実施形態が示されているが、これは例示的なものに過ぎなく、第1質量体プレート66および第2質量体プレート67のいずれか一つにのみスプリング孔が形成される実施形態も本発明の範囲に当然属する。これに限定されるものではないが、便宜上以下では第1質量体プレート66と第2質量体プレート67にそれぞれ第4スプリング孔66b,67bが形成される実施形態を基準として説明する。
【0102】
第4スプリング孔66b,67bは前述した中間プレート64の第3スプリング孔64eと概ね同じ回転方向幅を有するように形成される。
【0103】
このように、第1質量体プレート66および第2質量体プレート67は従来とは異なり、中間連結部材なしで直接第3ダンパスプリングS3に連結されるように構成して反共振ダンパDDの構造を簡素化し、製造コストを顕著に節減できる。
【0104】
また、
図2に示すように、第1質量体プレート66および第2質量体プレート67の第4スプリング孔66b,67bはそれぞれ入力プレート63に向かう内側開口部の半径方向幅が外側開口部の半径方向幅よりもさらに大きく形成され、外側開口部の半径方向幅は第3ダンパスプリングS3の外径よりさらに小さく形成される。
【0105】
したがって、第1質量体プレート66は第4スプリング孔66bを介して第3ダンパスプリングS3の中心軸X-X方向前面の全体でない一部分を外部に露出し、第2質量体プレート67は第4スプリング孔67bを介して第3ダンパスプリングS3の中心軸X-X方向後面の全体でない一部分を外部に露出する。
【0106】
このように、第1質量体プレート66および第2質量体プレート67の第4スプリング孔66b,67bの内側面の半径方向幅と外側面の半径方向幅の関係を設定することによって別途の追加的な部材を備えたり第1質量体プレート66および第2質量体プレート67に対する追加的な加工がなくとも第3ダンパスプリングS3の軸方向支持および離脱防止構造が具現される。
【0107】
さらに、前述した通り本発明によるダンパ組立体DAは、従来に比べて中心軸X-X方向および半径方向に減少したサイズを有するように構成されるので反共振ダンピング性能が低下する恐れがある。このために慣性質量体の慣性を増加させるための手段として本発明による反共振ダンパDDは、追加質量体69をさらに含み、タービンシェル41を質量体として用いるように構成される。
【0108】
先に、追加質量体69は、
図5および
図6に示すように、第1質量体プレート66および第2質量体プレート67の間の空間として前述した中間プレート64の収容溝部64a-1に挿入された状態で設けられる。
【0109】
ただし、ダンピング作用時追加質量体69と中間プレート64の間の相対移動を妨げないように追加質量体69と中間プレーの収容溝部64a-1は所定の角度範囲a1を有するように離隔させることが好ましい。該当角度範囲a1は追加質量体69が中間プレート64に対して最大に相手移動した状態、すなわち第3ダンパスプリングS3が最大に圧縮された状態の相対回転量よりは大きいかまたは同じであるように設定される。
【0110】
追加質量体69は前述した第1質量体プレート66および第2質量体プレート67と一体で回転するように前述したリベットR3により第1質量体プレート66および第2質量体プレート67に締結され、追加質量体69にはリベットR3が貫通して延びる貫通孔69aが形成される。
【0111】
次に、タービンシェル41を質量体として用いるための手段として本発明による反共振ダンパDDは、第1質量体プレート66または第2質量体プレート67の少なくともいずれか一つを前記タービンシェル41に相対回転不可の状態で連結する連結ブラケット7を含む。
【0112】
図12に示すように、連結ブラケット7はリング形状のボディ部71と、ボディ部71から中心軸X-X方向に突出および延びる多数の係合突起73と、ボディ部71からタービンシェル41の外形に対応するように折り曲げられて形成されてタービンシェル41の外面に溶接などの方式で締結される付着部72を含む。
【0113】
連結ブラケット7の係合突起73は第1質量体プレート66および第2質量体プレート67の半径方向外側端部に形成される連結溝部66c,67cに挿入される方式で歯形結合される。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、第1質量体プレート66または第2質量体プレート67のいずれか一つに係合突起が備えられ、連結ブラケット7に係合溝部が形成される実施形態も適用可能であり、このような変形例は本発明の範囲に当然属する。
【0114】
第3ダンパスプリング
第1質量体プレート66および第2質量体プレート67と中間プレート64を回転方向に対して弾力的に連結する第3ダンパスプリングS3は、中間プレート64の第3スプリング孔64eに挿入された状態で収容されて両端部は第3スプリング孔64eの第3スプリング掛かり部64e-1と、第1質量体プレート66および第2質量体プレート67の第4スプリング掛かり部66b-1,67b-1により回転方向に弾性変形可能に支持されて前述した半径C1よりもさらに大きい半径C2に沿って配置されている。
【0115】
したがって、中間プレート64と、第1質量体プレート66および第2質量体プレート67が相対回転すると、第3ダンパスプリングS3は回転方向に圧縮され、そのため中間プレート64に入力される振動と逆位相を有する振動が中間プレート64に加えられ、振動が減殺された状態のトルクが出力プレート65に伝達される。
【0116】
<トルクコンバータの作動>
以下、
図13を参照して本発明の一実施形態によるダンパ組立体DAを備えたトルクコンバータ1の作動について説明する。
【0117】
フロントカバー2およびインペラ3が回転している状態で、インペラ3からタービン4に作動油が流れて作動油によりインペラ3からタービン4にトルクが伝達される。タービン4に伝達されたトルクは第1質量体プレート66、第2質量体プレート67、中間プレート64および出力プレート65を経て出力ハブ43を介して図示されていない変速機の入力シャフトに伝達される。
【0118】
入力シャフトの回転速度が概ね一定に維持されると、ロックアップ装置6を介したトルク伝達が開始される。より詳細には、油圧の変化に応じてピストン61がエンジン側に移動し、ピストン61の摩擦部材61aがフロントカバー2の内側面に向かって加圧される。
【0119】
この結果、ピストン61がフロントカバー2と一体で回転し、フロントカバー2からピストン61を介してドライブプレート62にトルクが伝達される。
【0120】
ドライブプレート62にトルクが伝達されると、入力プレート63がドライブプレートと一体で回転が開始され、入力プレート63の第1スプリング掛かり部63a-4,63b-4と中間プレート64の第2スプリング掛かり部64d-1の間で一次的に第1ダンパスプリングS1が回転方向に圧縮されることによりねじり振動が減殺されたトルクが中間プレート64に伝達される。
【0121】
なお、中間プレート64にトルクが伝達されると、中間プレート64の第3スプリング掛かり部64e-1と、第1質量体プレート66および第2質量体プレート67の第4スプリング掛かり部66b-1,67b-1の間で第3ダンパスプリングS3が回転方向に圧縮され、中間プレート64に入力される振動と逆位相を有する反共振ダンパDDの振動が第3ダンパスプリングS3を介して中間プレート64に伝達される。
【0122】
次に、中間プレート64に伝達されたトルクは第2ダンパスプリングS2および出力プレート65を経て最終的に振動が減殺されたトルクが出力ハブ43に伝達される。
【0123】
このように、上述した本発明の技術的構成は本発明が属する技術分野の当業者が本発明のその技術的思想や必須特徴を変更せず他の具体的な形態で実施できることを理解することができる。
【0124】
したがって、上記一実施形態はすべての面で例示的なものであり、限定的なものではないものとして理解されなければならず、本発明の範囲は前述した詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味および範囲そしてその等価概念から導き出されるすべての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれると解釈されなければならない。
【符号の説明】
【0125】
1 トルクコンバータ
2 フロントカバー
3 インペラ
4 タービン
5 ステータ
6 ロックアップ装置
61 ピストン
62 ドライブプレート
63 入力プレート
64 中間プレート
65 出力プレート
S1 第1ダンパスプリング
S2 第2ダンパスプリング
S3 第3ダンパスプリング
66 第1質量体プレート
67 第2質量体プレート
69 追加質量体
【国際調査報告】