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特表2022-547171温度に敏感な保存容器用の温度監視システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-10
(54)【発明の名称】温度に敏感な保存容器用の温度監視システム
(51)【国際特許分類】
   G01J 5/48 20220101AFI20221102BHJP
   G01J 5/00 20220101ALI20221102BHJP
   G08B 21/18 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
G01J5/48 A
G01J5/00 101Z
G08B21/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515545
(86)(22)【出願日】2020-09-10
(85)【翻訳文提出日】2022-04-26
(86)【国際出願番号】 US2020050044
(87)【国際公開番号】W WO2021050624
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】62/898,176
(32)【優先日】2019-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/013,188
(32)【優先日】2020-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.HDMI
(71)【出願人】
【識別番号】522089435
【氏名又は名称】クリオ センチネル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】CRYO SENTINEL LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【弁理士】
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】トーマス エリオット
【テーマコード(参考)】
2G066
5C086
【Fターム(参考)】
2G066AC20
2G066BA14
2G066BC15
5C086AA05
5C086BA07
5C086CA12
5C086CA28
5C086CB36
5C086DA33
5C086EA04
5C086FA06
5C086FA11
5C086FA15
5C086FA17
(57)【要約】
温度監視システムの例示的な態様が開示されている。温度監視システムは、外壁及び内壁を有し、内壁内に低温液体が収容され、外壁と内壁との間に真空が形成された低温保存容器と、関心領域内の温度を測定するよう構成された赤外線カメラであって、低温保存容器が、関心領域内に配向され、赤外線カメラが、低温保存容器における外壁の外部温度を測定し、赤外線カメラが、外部温度のサーモグラフィビデオを生成するよう構成されたカメラソフトウェアを更に有する、上記赤外線カメラと、サーモグラフィビデオを表示する表示装置と、低温保存容器の外部温度が予め選択されたトリガ温度を下回ったときに、アラートを作動させるよう構成されたアラームユニットとを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温保存容器における真空破壊を監視するための温度監視システムであって、
・外壁及び内壁を有し、前記内壁内に低温液体が収容され、前記外壁と前記内壁との間に真空が形成される低温保存容器と、
・関心領域内の温度を測定するよう構成されるサーマルイメージングカメラであって、前記低温保存容器が、前記関心領域内に配向され、前記サーマルイメージングカメラが、前記低温保存容器における前記外壁の外部温度を測定し、前記サーマルイメージングカメラが、前記外部温度のサーモグラフィビデオを生成するよう構成されるカメラソフトウェアを更に有する、前記サーマルイメージングカメラと、
・前記サーモグラフィビデオを表示する表示装置と、
・前記低温保存容器の前記外部温度が予め選択されたトリガ温度を下回ったときに、前記低温保存容器の真空破壊を示唆するアラートを作動させるよう構成されるアラームユニットと、
を備える温度監視システム。
【請求項2】
請求項1に記載の温度監視システムであって、前記サーモグラフィビデオ及びサーモグラフィ画像のうちの1つを受信するよう構成されたインターネット対応デバイスを更に備える温度監視システム。
【請求項3】
請求項1に記載の温度監視システムであって、前記アラートが、視覚アラート、音声アラート及び通信アラートのうちの少なくとも1つを含む温度監視システム。
【請求項4】
請求項3に記載の温度監視システムであって、前記視覚アラートが、光を含み、前記音声アラートが、ホーン及びサイレンのうちの少なくとも1つを含み、前記通信アラートが、電子メール、テキストメッセージ及び電話のうちの少なくとも1つを含む温度監視システム。
【請求項5】
請求項1に記載の温度監視システムであって、前記サーマルイメージングカメラから前記アラームユニットに温度データを転送するよう構成されたケーブルを更に備える温度監視システム。
【請求項6】
請求項5に記載の温度監視システムであって、パワー・オーバー・イーサネットスイッチを更に備え、前記ケーブルが、イーサネットケーブルであり、電力が、前記パワー・オーバー・イーサネットスイッチにより、前記イーサネットケーブルを介して前記サーマルイメージングカメラに供給される温度監視システム。
【請求項7】
請求項1に記載の温度監視システムであって、前記サーマルイメージングカメラが、前記関心領域内の赤外線を検出するよう構成されたセンサを有し、前記カメラソフトウェアが、前記検出された赤外線を処理して前記関心領域内の温度を測定するよう構成されている温度監視システム。
【請求項8】
請求項1に記載の温度監視システムであって、前記サーマルイメージングカメラが、前記サーマルイメージングカメラによって検出されると共に、温度を表す信号を生成するよう構成され、前記温度監視システムが、前記信号を変換すると共に、変換した前記信号を前記アラームユニットに送信するよう構成されたデジタル入出力装置を更に備える温度監視システム。
【請求項9】
請求項1に記載の温度監視システムであって、前記アラームユニットは、前記低温保存容器の外部温度が予め選択されたトリガ温度を上回ったときに、アラートを作動させるよう更に構成されている温度監視システム。
【請求項10】
請求項9に記載の温度監視システムであって、監視ハウジングユニットが、ハウジングエンクロージャ及びハウジングドアを有し、前記ハウジングエンクロージャが、内部キャビティ及び開放端を規定し、前記ハウジングドアが、閉鎖状態では前記開放端を覆い、開放状態では前記開放端を覆わずに前記内部キャビティへのアクセスを可能にするよう構成されている温度監視システム。
【請求項11】
低温保存容器の真空破壊を監視するための方法であって、
・外壁、内壁及びそれらの間に形成された真空を有する低温保存容器を、サーマルイメージングカメラの視野内に配置するステップと、
・前記サーマルイメージングカメラにより、前記視野内にて、前記低温保存容器の外部温度を含む温度を測定するステップと、
・前記サーマルイメージングカメラにより、検出した前記温度を表す信号を生成するステップと、
・前記信号を、アラームユニットに転送するステップと、
・前記低温保存容器の前記外部温度が予め選択されたトリガ温度を下回ったときに、アラームユニットでアラートを作動させるステップと、
を含む方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、前記サーマルイメージングカメラのカメラソフトウェアにより、サーモグラフィビデオを生成すること、及び前記サーモグラフィビデオを、表示装置上に表示することを更に含み、前記サーモグラフィビデオが、前記サーマルイメージングカメラで測定した温度を表す色を含む方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、前記サーマルイメージングカメラの視野内で測定した最高温度、最低温度及び平均温度のうちの少なくとも1つを前記表示装置上に表示することを更に含む方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、前記サーモグラフィビデオのライブフィードを、インターネット対応デバイスに送信して、前記サーモグラフィビデオの遠隔視認を可能にすることを更に含む方法。
【請求項15】
請求項12に記載の方法であって、前記サーモグラフィビデオを保存し、保存した前記サーモグラフィビデオに後の時点でアクセスすることを更に含む方法。
【請求項16】
請求項12に記載の方法であって、低温保存容器の真空破壊を示唆する視野内の温度変化を識別するために、前記サーモグラフィビデオにおける色の変化を視覚的に監視することを更に含む方法。
【請求項17】
請求項11に記載の方法であって、イーサネットケーブルを介して前記サーマルイメージングカメラに電力供給することを更に含み、前記イーサネットケーブルへの電力供給を、パワー・オーバー・イーサネット(POE)スイッチによって制御する方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、信号をアラームユニットに転送する前に、該信号をデジタル入出力(I/O)装置で変換することを更に含む方法。
【請求項19】
請求項11に記載の方法であって、前記低温保存容器の外部温度が予め選択されたトリガ温度を下回ったときに、アラームユニットでアラートを作動させることは、前記外部温度が所定の時間遅延後に、前記予め選択されたトリガ温度未満に留まる場合にのみ前記アラートを作動させることを含む方法。
【請求項20】
請求項11に記載の方法であって、カメラソフトウェアプログラムを介して、前記視野内の関心領域に前記サーマルイメージングカメラの焦点を合わせることを更に含む方法。
【請求項21】
低温保存容器における真空破壊を監視するための温度監視システムであって、
外壁、内壁及び前記外壁と前記内壁との間に形成された真空を有する低温保存容器と、
視野内の赤外線を検出するよう構成されたセンサ及びカメラソフトウェアを有し、前記低温保存容器が、前記視野内に配置され、前記赤外線が、前記低温保存容器における前記外壁から放射される赤外線を含み、前記カメラソフトウェアが、前記外壁の外部温度を測定するために、赤外線データを処理するよう構成されている、サーマルイメージングカメラと、
・前記低温保存容器の前記外部温度が予め選択されたトリガ温度を下回ったときに、アラートを作動させるよう構成されるアラームユニットと、
を備える温度監視システム。
【請求項22】
温度監視システムであって、
・外壁を有する温度感受性保存容器と、
・前記温度感受性保存容器における前記外壁の外部温度を測定するよう構成されるサーマルイメージングカメラと、
・前記温度感受性保存容器の前記外部温度が予め選択されたトリガ温度を下回ったときに、アラートを作動させるよう構成されるアラームユニットと、
を備える温度監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、温度に敏感な保存に関する。より具体的には、本開示は、温度感受性保存容器用の温度監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
低温保存は、生体試料を長期にわたって安全に保存するために多くの分野で利用されている。体外受精業界において、これら生体試料は、卵、精子及び胚を含み得る。
【0003】
しかしながら、(極)低温保存容器は、完全ではなく故障することもあるため、保存された試料が失われるという重大な結果が生じる可能性がある。
【0004】
低温保存においては通常、極めて低温の液体、多くの場合は液体窒素が使用され、試料が極めて長期にわたって変化しない状態で保存される。低温保存容器は通常、外壁及び内壁を有し、その間が真空になっている。この真空によって熱伝達が抑制され、容器が低温液体及び保存試料の保持や維持をするのに適したものになる。
【0005】
真空破壊(故障)が生じた場合、低温容器は、温度を保持できなくなり、容器内の低温液体が沸騰して気体に変化し始める。この場合、時間の経過とともに気体が抜けて容器が空になる。低温液体がない状態においては、低温容器が温まり始め、保存された試料が危険に晒されるか又は破壊される。
【0006】
低温容器用の監視システムは既に存在しており、通常は低温容器内に配置される温度プローブを備える。プローブは、通常の使用条件下において、低温液相と気相との間の温度差を検出することができる。しかしながら、低温保存容器が壊滅的に破壊されて真空が失われると、液体が激しく沸騰して内部の気体が過冷却される。この場合、気体が過冷却されて通常の気相よりも温度が大幅に低いため、温度差が検出される頃には、手遅れになって保存された試料が失われてしまうことが多い。従って、真空が失われることに起因して低温保存容器が突然故障した場合、この内部プローブによる方法は役に立たない。
【0007】
これらシステムにおいては、極低温に起因してセンサが故障することがよくあり、誤ったアラームが生じることも多い。また、低温保存容器ごとに個別の温度センサが必要である。更に、センサとメインシステムとの間の無線通信が失われるか又はバッテリーが消耗することも多く、そのような状況のたびにアラームが生じる。誤ったアラートが多いと、アラーム疲れが生じ、誤ったアラームではない本当のアラームが無視されてしまう可能性がある。重要でないアラート又は誤ったアラートを減らし、アラーム疲れを克服することは極めて重要な課題である。
【0008】
保存容器内における低温液体の量を判定するための他の方法においては、フローティングスイッチにより又は液体・気体窒素の誘電率測定などにより、深さが測定される。これらシステムは、窒素レベルが設定値を下回った場合に使用者に警告する。しかしながら、これらシステムも、低温保存容器ごとに個別のセンサを必要とし、依然として信頼性が低く及び/又は高価であると共に、氷の蓄積及び熱応力など極低温に関連する問題を生じやすい。更に、容器が故障した場合、アラームが作動するレベルまで低温液体が低下するのに時間がかかる場合があるため、このような状況で貴重な時間が無駄になり、対策を講じるのに利用可能な時間が制限される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本概要は、本開示の広範な概要ではないことを理解されたい。本概要は、例示的であり、限定的ではなく、本開示における重要な要素を特定したり、その範囲を明確にしたりすることも意図しない。本概要の唯一の目的は、以下における完全で広範な詳細説明への導入として、本開示における特定の概念を説明し例示することである。
【0010】
低温保存容器における真空破壊を監視するための本開示の温度監視システムは、外壁及び内壁を有し、内壁内に低温液体が収容され、外壁と内壁との間に真空が形成された低温保存容器と、関心領域内の温度を測定するよう構成された赤外線カメラ(サーマルイメージングカメラ)であって、低温保存容器が、関心領域内に配向され、赤外線カメラが、低温保存容器における外壁の外部温度を測定し、赤外線カメラが、外部温度のサーモグラフィビデオを生成するよう構成されたカメラソフトウェアを更に有する、上記赤外線カメラと、サーモグラフィビデオを表示する表示装置と、低温保存容器の外部温度が予め選択されたトリガ温度を下回ったときに、アラートを作動させるよう構成されたアラームユニットとを備える。
【0011】
更に、低温保存容器の真空破壊を監視するための方法が開示され、その方法は、外壁、内壁、及びその間に形成された真空を有する低温保存容器を、赤外線カメラの視野内に配置するステップと、赤外線カメラにより、視野内にて、低温保存容器の外部温度を含む温度を測定するステップと、赤外線カメラにより、検出した温度を表す信号を生成するステップと、信号を、アラームユニットに転送するステップと、低温保存容器の外部温度が予め選択されたトリガ温度を下回ったときに、アラームユニットでアラートを作動させるステップとを含む。
【0012】
低温保存容器における真空破壊を監視するための温度監視システムが開示され、その温度監視システムは、外壁、内壁及び外壁と内壁との間に形成された真空を有する低温保存容器と、視野内の赤外線を検出するよう構成されたセンサ及びカメラソフトウェアを有し、低温保存容器が、視野内に配置され、赤外線が、低温保存容器における外壁から放射される赤外線を含み、カメラソフトウェアが、外壁の外部温度を測定するために、赤外線を処理するよう構成されている、赤外線カメラと、低温保存容器の外部温度が予め選択されたトリガ温度を下回ったときに、アラートを作動させるよう構成されたアラームユニットとを備える。
【0013】
また、温度監視システムが開示され、その温度監視システムは、外壁を有する温度感受性保存容器と、温度感受性保存容器における外壁の外部温度を測定するよう構成された赤外線カメラと、温度感受性保存容器の外部温度が予め選択されたトリガ温度を下回ったときに、アラートを作動させるよう構成されたアラームユニットとを備える。
【0014】
低温保存容器における真空破壊を監視するための温度監視システムが開示され、その温度監視システムは、設定中に決定された視野内又は関心領域内の温度を監視するための赤外線(熱画像)カメラ/センサを備える。赤外線(熱)カメラ/センサからの出力は、任意的に、ローカルモニタ上で視認することができる。最低温度が所定の閾値を下回った場合、アラーム状態を作動させることができる。アラーム状態により、問題が検出されたことを担当者に認識させるための一連の事象が開始する。これらアラートには、サイレン或いはホーン、ストロボライト或いは同様の警告ライト、電子メール、テキストメッセージ、又は電話が含まれるが、これらに限定されない。更に、赤外線カメラ/センサからのライブビデオフィード又は画像が、コンピュータ又はモバイルデバイスで遠隔視認するために、ネットワーク又はインターネットを介して利用可能である。
【0015】
本開示に記載された様々な実施形態は、付加的なシステム、方法、特徴及び利点を含み得る。これらは必ずしも本明細書に明示的に開示されていないかもしれないが、以下の詳細な説明及び添付図面を検討すれば当業者にとって自明であろう。そのようなシステム、方法、特徴及び利点の全ては本開示に含まれると共に、添付の特許請求の範囲によって保護されることが意図されている。
【0016】
以下の各図の特徴及び構成要素は、本開示の一般原理を強調するために示されている。各図における対応の特徴及び構成要素には、一貫性及び明瞭性を高めるために、同じ参照符号が付されている場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示の一態様に係る、低温保存容器を監視するための温度監視システムを示す説明図である。
図2図1における低温保存容器の一部又は全部に焦点を合わせるよう設定された図1における温度監視システムの赤外線カメラを示す説明図である。
図3図1における温度監視システムの監視ハウジングユニットを含む監視ステーションを示す正面図である。
図4図3における監視ステーションで表示される画像のカラー写真を示す説明図である。
図5図3における監視ハウジングユニットの内部キャビティを示す正面図である。
図6図3における監視ハウジングユニットのハウジングドアを示す背面図である。
図7図1における低温保存容器を、図1における温度監視システムで監視する方法を示すフローチャートである。
図8】本開示の他の態様に係る監視ハウジングユニットを示す正面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示は、以下の詳細な説明、実施例、図面、特許請求の範囲、並びに上記及び下記の記載を参照することにより、より容易に理解することができる。ただし、本発明の装置、システム及び/又は方法を、開示及び説明する前に、本開示が、特に明記されていない限り、開示された装置、システム及び/又は方法に限定されず、従って当然ながら変更を加えることができることを理解されたい。また、本明細書で使用されている用語は、特定の態様を説明するためのものに過ぎず、限定的でないことを理解されたい。
【0019】
以下の説明は、本発明の装置、システム及び/又は方法を、現在知られている態様について最適に実現可能とする教示として提供されるものである。この目的のために、当業者であれば、本開示の利点を依然として享受しつつ、本明細書に記載された装置、システム及び/又は方法の様々な態様に多くの変更を加えることができることを認識し理解するであろう。また、本開示における所望の利点の幾つかは、本開示における他の特徴を利用することなく本開示の特徴の幾つかを選択することによって得られることが明らかであろう。従って、当業者であれば、本開示に多くの修正及び変更を加えることができ、それが特定の状況においては望ましくもあり、本開示の一部を構成することを認識するであろう。このように、以下の説明は、本開示の原理を例示するものであり、限定するものではない。
【0020】
本明細書を通して、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明らかに他の解釈を指示していない限り、複数形を含む。従って、例えば「要素」について言及されている場合、文脈が他のことを示唆していない限り、そのような要素を2個以上含み得る。
【0021】
本明細書において、範囲は、1つの特定の「おおよその」値から及び/又は他の1つの特定の「おおよその」値までを表し得る。そのような範囲が表されている場合、他の態様は、その1つの特定の値から及び/又はその他の1つの特定の値までを含む。同様に、先行詞「約(おおよそ)」の使用により、値が近似値として表されている場合、その特定の値が他の態様を示すことが理解されるであろう。更に、各範囲の端点は、他の端点との関連においてのみならず、他の端点から独立している場合も重要であることが理解されるであろう。
【0022】
本開示の目的のために、特定の測定スケールで約X又は実質的にXを測定する材料特性又は寸法は、指定測定値に関して業界標準におけるXの上限公差と指定測定値に関して業界標準の下限公差との間の範囲内で測定される。公差は、異なる材料間、プロセス間及びモデル間によって異なり得るため、特定の構成要素における特定の測定値が広範な公差範囲内に収まる場合がある。
【0023】
本明細書における「任意」又は「任意的」という用語は、その後に説明する事象又は状況が生じ得るか又は生じ得ないことを意味すると共に、説明にその事象又はその状況が生じ得る例及び生じ得ない例が含まれることを意味する。
【0024】
本明細書で使用されている用語「又は」は、特定のリストにおける任意の1個の部材を意味すると共に、そのリストにおける任意の組み合わせを含むことを意味する。更に、条件付き用語、例えば、「できる」、「できた」、「してもよい」、「可能である」は、特に明記されていない限り又は文脈から他の意味として理解されない限り、基本的に、特定の態様が特定の特徴、要素及び/又はステップを含むことを意味するのに対して、他の態様が特定の特徴、要素及び/又はステップを含まないことを意味することに留意されたい。即ち、そのような条件付き用語は、基本的に、特徴、要素及び/若しくはステップが1つ以上の特定の態様に何らかの形で必要であること、又は1つ以上の特定の態様に(使用者による入力又はプロンプトの有無にかかわらず)これら特徴、要素及び/若しくはステップが含まれるか又は実施されるべきかを決定するためのロジックを必然的に含むことを意味しない。
【0025】
本明細書には、開示された方法及びシステムを実行するのに使用可能な構成要素が開示されている。本明細書には、これら及び他の構成要素が開示されており、これら構成要素の組み合わせ、サブセット、相互作用、グループなどが開示されている場合、様々な個別的及び集合的な組み合わせや変形は明示されないかもしれないが、そのそれぞれは、全ての方法及びシステムに関して具体的に考慮されると共に、記載されていることを理解されたい。これは、開示された方法のステップを含むが、それに限定されることはなく本出願の全ての態様に適用される。従って、実行可能な様々な付加的ステップがある場合、開示された方法における任意かつ特定の態様又は態様の組み合わせと共に実行可能であることを理解されたい。
【0026】
本明細書における用語は、特定の態様を説明するためだけのものであり、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書における用語「及び/又は」は、列挙された項目の1つ以上の任意かつ全ての組み合わせを含む。更に、本明細書における用語「備える」及び/又は「含む」は、記載された特徴、ステップ、操作、要素、及び/又は、構成要素の存在を規定するが、1つ以上の他の特徴、ステップ、操作、要素、構成要素、及び/又は、それらのグループの存在又は付加が排除されることはない。
【0027】
他に定義されない限り、本明細書における全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、当業者が一般的に理解するのと同じ意味を有する。更に、例えば一般的な辞書で定義されている用語は、関連技術及び本開示の文脈における意味と同じ意味を有するものと解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されない限り、理想化された意味か又は過度に形式的な意味で解釈されるべきでないことを理解されたい。
【0028】
本発明の説明において、多くの技術及びステップが開示されていることが理解されるであろう。これら技術及びステップのそれぞれは、個々の利点を有すると共に、開示された他の技術の1つ以上、又は場合によっては全てと組み合わせて利用することができる。従って、本明細書においては、明瞭性を高めるために、実現可能な個々のステップの組み合わせの全てを不必要に繰り返すことはしない。それにもかかわらず、そのような組み合わせが本発明及び特許請求の範囲に含まれることを理解しつつ、本明細書及び特許請求の範囲が読まれるべきである。
【0029】
本明細書においては、赤外線画像及び非接触温度測定を使用する新規な監視システムが、関連する方法、システム、デバイス及び様々な装置と共に開示されている。以下の説明においては、本発明を完全に理解するために、多くの具体的な詳細が記載されている。ただし、当業者であれば、本発明の温度監視システムが多くの例示的な態様のうちの幾つかだけで説明され、これら具体的な詳細がなくても実施できることが明らかであろう。本開示は、本発明の例示として見なされるべきであり、本発明を各図又は以下の説明によって例示される特定の実施形態に限定すべきではない。如何なる特定の用語又は説明も、本開示又は本開示に関連する特許請求の範囲を限定するものと見なされるべきではない。
【0030】
図1は、本開示の例示的な態様に係る温度監視システム100を示す。監視システム100は、図示のように、温度感受性保存容器110、例えば標準的な低温保存容器115又は容器を監視するよう構成することができる。低温保存容器115の例示的な態様は、図示のように、低温保存フリーザ又は低温保存デュワー117であり得る。温度感受性材料、例えば生体試料は、温度感受性保存容器110に収容することができる。温度感受性保存容器110の形状、大きさ、タイプは他にもあり得るし、それら容器110にも本発明の監視システム100を適用することができる。例示的な態様によれば、各低温保存容器115は、外壁119、内壁(図示せず)、及びその間に形成された真空を有する低温保存デュワー117とすることができる。極低温液体、例えば液体窒素は、内壁内に収容することができ、内壁と外壁119との間の真空は、内壁内に収容された極低温液体の温度が維持可能となるよう熱伝達を抑制することができる。
【0031】
例示的な態様によれば、低温保存容器115は、個別に又はグループとして監視することができる。例えば、本態様に示すように、低温保存容器115のうちの2個は、赤外線カメラ120及び/又は温度センサによって監視することができる。本態様において、赤外線カメラ120はFLIR AX8赤外線カメラとすることができるが、他の態様において、赤外線カメラ120は、当該技術分野で知られている他の任意の適切な赤外線カメラ120であってもよい。図1の態様においては、低温保存容器115のうちの2個が赤外線カメラ120によって監視されている。他の態様においては、より多くの又はより少ない低温保存容器115を、1個以上の赤外線カメラ120及び/又は温度センサによって監視することができる。例示的な態様によれば、赤外線カメラ120は、低温保存容器115から放射された赤外線を検出するよう構成されたセンサ122を有することができる。例示的な態様において、低温保存容器115は、高い放射率(赤外線エネルギーを放射する物体の能力の尺度)を有する材料を含むことができる。ただし、他の例示的な例において、低温保存容器115の幾つか又は全ては、容器115の材料の反射特性に起因して低い放射率を有することができる(例えば低温保存容器115は、幾つかの態様において、アルミニウム又はステンレス鋼を含むことができる)。そのような態様において、低温保存容器115は、容器115の反射率を低下させて赤外線カメラ120及び/又はセンサによって受け取られる温度情報をより正確かつ使用可能にするために、高い放射率を有する塗料又は他の材料で塗装するか又はコーティングを施すことができる。
【0032】
赤外線カメラ120は、視野230(図2参照)又は視野230内の関心領域235(図2参照)内における低温保存容器115のそれぞれの温度を表すサーモグラフィビデオ125又はサーモグラフィ画像を提供することができる。例示的な態様において、赤外線カメラ120は、検出された赤外線を処理して視野230又は関心領域235内の温度を測定するよう構成されたカメラソフトウェアを有することができる。カメラソフトウェアは更に、サーモグラフィビデオ125又は画像を生成するよう構成することができる。サーモグラフィビデオ125又は画像は、使用者が見ることができるよう表示装置130上に表示することができる。例示的な態様によれば、視野230又は関心領域235は、監視すべき所望の低温保存容器115に赤外線カメラ120の焦点を合わせる/構成することにより、監視システム100のセットアップ中に使用者が設定することができる。本態様において、赤外線カメラ120は、使用者により、カメラソフトウェアを介して1つ以上の関心領域235に焦点を選択的に合わせることができる。例えば幾つかの態様において、カメラソフトウェアは、インターネット又はローカルネットワークに接続することができ、使用者は、コンピュータ、携帯電話、又はインターネット或いはネットワーク対応デバイス上のアプリ或いはウェブサイトを介して、カメラソフトウェアにアクセスして所望の関心領域235を選択することができる。他の態様において、赤外線カメラ120は、赤外線カメラ120のレンズを手動で調整することによって手動で焦点を合わせることができる。幾つかの態様においては、特定の関心領域(又は複数の領域)235に赤外線カメラ120の焦点を合わせるか又は構成することにより、使用者は、視野230内における不所望な領域、例えば非関心領域及び/又はアラームユニット150を誤作動させて誤った警告が出される領域を遮断することができる。監視システム100は、単一の赤外線カメラ120又は複数の赤外線カメラ120(及び/又は単一の温度センサ若しくは複数の温度センサ)を備えることができる。複数の赤外線カメラ120が使用される態様において、複数の赤外線カメラ120は、同じ部屋か又は同じ領域に配置されてもよく、又は異なる部屋/領域に配置されてもよい。例示的な態様によれば、カメラ120は、ネットワークにアクセス可能な場所であればどこにでも配置することができる。
【0033】
例示的な態様によれば、赤外線カメラ120及び/又はセンサは、温度感受性保存容器110(例えば低温保存容器115)に関して所望の有効範囲を得るために、壁、天井、又は他の任意の適切な固定具に取り付けることができる。赤外線カメラ120及び/又はセンサは更に、温度感受性保存容器に関して所望の視野を与えるために、取り付けられたときに所望の角度で配置することができる。
【0034】
例示的な態様において、赤外線カメラ120によって提供されるサーモグラフィビデオ125又は画像は、各温度感受性保存容器110の温度を表すことができる。幾つかの態様において、温度は、温度を示す色によって表すことができる。本態様において、観察者に表示されている温度情報の理解を単純化するために、カラースケール440(図4参照)を提供することができる。例えば、カラースケール440は、寒色(青、紫など)が低温を表し、暖色(赤、黄、オレンジなど)がより高温を表すことができる。他の態様において、カラースケール440は、他の任意の適切な色を含むことができる。
【0035】
サーモグラフィビデオ125又は画像の形態でのこの視覚表示は、低温保存容器115全体の健全性を評価するのに利用することができる。なぜなら、幾つかの態様において、真空が破壊されている最初の兆候は、外壁119が冷却し、従ってサーモグラフィビデオ125又は画像に表示されたときに周囲の低温保存容器115とは異なる色として表される場合があるからである。
【0036】
サーモグラフィビデオ125又は画像は、表示装置130上に表示することができ、この表示装置は、例えば、図示のようにテレビ画面135、コンピュータモニタ、統合されたコンピュータ/画面、携帯電話、又は指定された視野230或いは関心領域235(例えば部屋)内の低温保存容器115における温度の全体像を使用者に提供するよう構成された他の任意の適切な電子デバイスとすることができる。
【0037】
幾つかの例示的な態様において、赤外線カメラ120及び/又はセンサは、その視野230又は関心領域235内の最高温度450(図4参照)、最低温度455(図4参照)、及び/又は、平均温度460(図4参照)を含む特定の温度情報を検出することができる。監視システム100の処理ユニット140は、赤外線カメラ120から特定の温度情報を受信し、その特定の温度情報を処理及び報告するよう構成することができる。例えば、図4に示すように、最高温度、最低温度、及び平均温度450,455,460は、表示装置130上に表示することができる。
【0038】
例示的な態様によれば、アラームユニット150は、部屋、視野230、又は関心領域235内の温度が所定の低トリガ温度に達するか又は下回ったときにアラートを作動させることができる。他の態様において、アラームユニット150は、代替的に、検出された温度が所定の高トリガ温度に達するか又は上回ったときにアラートを作動させることができる。使用者は、所定の低トリガ温度を選択することができ、その低トリガ温度は、本態様において、部屋、視野230、又は関心領域235内の低温保存容器115の通常の外部温度よりも低くすることができる。例示的な態様によれば、所定の低トリガ温度は、低温保存容器115の故障又は故障予兆、例えば内壁と外壁119との間の真空の破壊又は破壊予兆を示唆することができる。このように、幾つかの態様において、監視システム100は、低温保存容器115の差し迫った故障又は潜在的に差し迫った故障を予測するよう構成することができる。真空が破壊されるか又は破壊され始めると、外壁119は直ちに冷却され、赤外線カメラ120によってその低温が容易に検出可能である。幾つかの態様において、低温保存容器115の故障又は故障予兆を示唆し得る温度が検出された場合、アルゴリズムによってアラーム状態を生成することができる。検出された温度が低トリガ温度に達するか又は下回った場合、アラームユニット150は、アラートを作動させることができる。更に、幾つかの態様において、検出された温度が高トリガ温度に達するか又は上回った場合、アラームユニット150は、やはりアラートを作動させることができる。例示的な態様において、低トリガ温度及び/又は高トリガ温度は、監視システム100の用途に応じて、温度感受性容器110の所望の温度又は温度範囲外における任意の温度として設定することができる。例示的な態様によれば、単一のトリガ温度、例えば低トリガ温度、又は複数のトリガ温度、例えば所望の温度或いは温度範囲よりも高い高トリガ温度及び所望の温度又は温度範囲よりも低い低トリガ温度の両方を設定することができる。
【0039】
例示的な態様によれば、低温保存容器115が故障する以外の様々な事象により、低トリガ温度以下又は高トリガ温度以上の温度を生じさせる可能性がある。例えば、生体試料を取り出すか又は追加するために低温保存容器115の1個を開けた場合、低トリガ温度以下であり得る低温空気が環境中に放出される。従って、幾つかの例示的な態様において、アラームユニット150は、所定の時間遅延で作動するよう構成することができる。例えば、特定の態様において、アラームユニット150は、1時間の時間遅延で作動するよう構成することができる。そのような態様において、アラームユニット150は、赤外線カメラ120が低トリガ温度以下の温度を検出した直後にアラートを作動させない。むしろ、アラームユニット150は、所定の時間遅延(例えば1時間)の終了までアラートの作動を遅延させ、検出された温度が低トリガ温度以下(又は幾つかの態様においては高トリガ温度以上)に留まる場合にのみアラートを作動させる。例示的な態様によれば、使用者は、アラートが作動する前に、サーモグラフィビデオ125又は画像における色の変化を視覚的に監視することもできる。なぜなら、極めて小さな温度変化が色の変化に反映されるからである。従って、サーモグラフィビデオ125又は画像により、温度が低トリガ温度を下回っていないか又は高トリガ温度を上回っていない場合であっても、通常よりも低い温度又は高い温度を使用者に視覚的に警告することができる。このように、サーモグラフィビデオ125又は画像は、アラームユニット150に加えて、潜在的な真空破壊の予防的かつ視覚的警告を提供することができる。また、幾つかの態様においては、人工知能をプログラム又は訓練して、サーモグラフィビデオ125又は画像における色の変化を視覚的に監視することができる。更に、幾つかの態様において、温度監視システム100は、2個以上の低温保存容器115に関して検出された外部温度を比較し、容器115の1個が故障したか否かを検証するよう構成することができる。
【0040】
低温保存容器115及び視野230又は関心領域235内の周辺領域の温度は、赤外線カメラ120によって検出することができ、温度情報を表す信号は、赤外線カメラ120から処理ユニット140に送信することができる。例示的な態様において、赤外線カメラ120(又は温度センサ)は、バッテリー、他の電源、又はパワー・オーバー・イーサネット(POE)スイッチ540(図5参照)によって電力供給される。更に、赤外線カメラ120から処理ユニット140への温度情報を表す信号の転送は、ケーブル又は無線で行うことができる。本態様において、信号は、イーサネットケーブル550(図5参照)を介して転送され、赤外線カメラ120は、イーサネットケーブル550を介して電力供給を受けることができ、イーサネットケーブルに供給される電力は、POEスイッチ540によって制御することができる。幾つかの態様において、赤外線カメラ120から受信した温度情報を表す信号は、アラームユニット150の回路が信号を処理及び/又は理解できるよう変換しなければならない場合がある。温度情報が変換される場合、変換される温度情報は、4‐20 mA信号、MODBUS信号、又はアラームユニット150によって認識及び処理可能な他の任意の適切な種類の信号に変換することができる。信号の変換に関しては、以下において更に詳細に説明する。幾つかの実施形態によれば、アラームユニット150は、監視システム100に統合することができ、又は別個のサードパーティー・アラームユニットとすることができる。
【0041】
赤外線カメラ120からの信号が低トリガ温度以下又は高トリガ温度以上である場合、アラームユニット150は、アラートを作動させることができる。幾つかの例示的な態様において、アラートは、例えば、ストロボライト153などの光、又は他の適切な視覚アラート152として表すことができる。更に、幾つかの例示的な態様において、アラートは、例えば、サイレン155又はホーンなどの音声アラート154として表すか、又は他の音声装置が可聴音を鳴らすよう設定することができる。図1に示すように、幾つかの態様において、ホーン又はサイレン155などの音声アラート154及びストロボライト153などの視覚アラート152は、単一のアラートを示すよう一緒に機能することができ、又は異なるアラーム状態を示すよう独立して機能することができる。更に、幾つかの態様において、アラームユニット150は、1つ以上の通信アラート156、例えば、電話音、テキストメッセージ、及び/又は、電子メールメッセージを使用者に直接的に送信することができる。例えば、通信アラート156は、使用者の電話157、コンピュータ、タブレット、モバイルデバイスなどに送信することができる。電子メールメッセージ、テキストメッセージ、及び/又は、電話は、アラートを作動させた状態の本質、懸念される低温保存容器115の位置、及び他の有用な詳細を判定するのに十分な情報を含むことができる。更に、幾つかの態様において、特定のアラートは、他のアラートよりも早く作動し得る。例えば、特定の態様において、視覚アラート152(例えばストロボライト153)及び/又は音声アラート154(例えばサイレン155)は、通信アラート156が作動する前に作動可能であり、これによりアラームユニット150近傍の人員に最初に警告が出される。
【0042】
上述したように、表示装置130上にサーモグラフィビデオ125又は画像を表示することに加えて、監視システム100の例示的な態様においては、赤外線カメラ120及び/又は温度センサからネットワーク及び/又はインターネットへライブビデオフィードを提供することもできる。遠隔において、このライブビデオフィードは、ウェブページ、モバイルアプリ、又は赤外線カメラ120からのサーモグラフィビデオ125或いは画像データをインターネット対応デバイス160及び/又はネットワーク接続デバイスに転送可能な当該技術分野で既知の他の適切な機構の何れかを介して、任意のインターネット対応デバイス及び/又はネットワーク接続デバイス上で観察することができる。例示的な態様において、インド対応デバイス160及び/又はネットワーク接続デバイスは、コンピュータモニタ162、携帯電話164、テレビ画面、及び/又は、同様のものを含むことができる。幾つかの態様において、ライブフィードは、複数のインターネット対応デバイス160及び/又はネットワーク接続デバイス上に表示することができる。更に、様々な例示的な態様において、監視システム100は、サーモグラフィビデオ125又は画像のコピーをネットワーク又は電子デバイス、例えばコンピュータ520(図5参照)に一定期間又は無期限に保存するよう構成することができ、サーモグラフィビデオ125又は画像の保存されたコピーは、後の時点でアクセスしてレビューすることができる。
【0043】
監視システム100は、サーモグラム(即ち、温度変化を表す画像)を提供して熱分布を検討できるため、低温保存容器115の監視又は警報システムのための他の方法よりも優れている。例示的な態様において、検出された最大、最小、及び/又は、平均温度450,455,460を含む、赤外線ビデオ125又は赤外線カメラ120によってキャプチャされた画像は、表示装置130上又はネットワーク接続されたデバイス上或いはインターネット対応デバイス160上にて遠隔で見ることができる。更に、監視システム100における構成要素の何れもが低温液体と接触することがないため、他の一般的なセンサに影響を及ぼし得る様々な問題に影響されない。本発明の監視システム100は、1個以上の低温保存容器115を一度に監視するよう構成することもできる。また、本発明の監視システム100は、低温保存容器115の外壁119の温度を外部から検出するため、低温液体内及びその周辺の過酷な条件による損傷の可能性を排除することができる。更に、低温保存容器115の外部温度を監視することにより、内部温度測定よりも故障を迅速に検出することができる。
【0044】
図2は、赤外線カメラ120における特定の関心領域235又は視野230全体において、1個以上の低温保存容器115を監視するのに赤外線カメラ120が如何に構成され得るかを示す。他の態様において、赤外線カメラ120は、複数の関心領域235を一度に監視するよう構成することができる。図示のように、本態様において、特定の関心領域235は、低温保存容器215のうちの第1低温保存容器を含むことができるのに対して、視野230は、第1低温保存容器215及び複数の付加的な低温保存容器115を含むことができる。
【0045】
図3は、本開示の例示的な態様に係る監視ステーション300を示す。本態様において、監視ハウジングユニット310は、監視システム100(図1参照)の様々な構成要素を収容するよう構成できると共に、監視ステーション300に配置することができる。本態様の監視ハウジングユニット310は、内部キャビティ515(図5参照)を規定するハウジングエンクロージャ512(図5参照)、並びにハウジングエンクロージャ512の開放端517(図5参照)を覆うよう構成されたハウジングドア314を有することができる。幾つかの態様において、監視ハウジングユニット310は、図示のように、ハウジングドア314を閉鎖状態で固定するためのロック315を有することができる。監視ステーション300の例示的な態様は、監視ハウジングユニット310に近接配置されると共に、本態様においてコンピュータモニタ330であり得る表示装置130を更に有することができる。他の態様において、表示装置130は、監視ハウジングユニット310の近傍に配置されなくてもよい。図示のように、赤外線カメラ120(図1参照)によってキャプチャされたサーモグラフィビデオ125は、使用者が見やすいように表示装置130上に表示することができる。本態様においては、複数の赤外線カメラ120によってキャプチャされた複数のサーモグラフィビデオ125を単一のコンピュータモニタ330上に表示し、複数の視野230(図2参照)又は関心領域235(図2参照)を一度に見ることができる。表示装置ケーブル、例えば表示装置HDMIケーブル316は、以下において更に詳細に説明するように、監視ハウジングユニット310を表示装置130に接続することができる。例えば、HDMIケーブル316は、監視ハウジングユニット310のHDMIポート816(図8参照)と係合するよう構成することができる。更に、本態様において、キーボードケーブル318は、監視ハウジングユニット310をキーボード320に接続することができ、マウスケーブル322は、監視ハウジングユニット310をマウス又はマウスパッド324に接続することができる。図示のように、幾つかの態様において、監視ハウジングユニット310は、壁350に取り付けることができ、表示装置130は、テーブルトップ360又はデスクトップなどの支持面上に載るよう構成することができる。他の態様において、表示装置130は、監視ハウジングユニット310に組み込むことができ(例えば、ハウジングエンクロージャ512或いはハウジングドア314の外部に取り付け、又は内部キャビティ515に取り付け)、壁350に取り付けることができ、又は他の任意の適切な場所に配向させることができる。更に、他の態様において、監視ハウジングユニット310は、支持面上に載るよう構成することができ、又は他の任意の適切な場所に配向させることができる。
【0046】
図4は、本開示の例示的な態様に係る、表示装置130(図1参照)上に表示可能なサーモグラフィビデオ125又は画像における静止画像425のカラー写真を示す。例示的な態様において、カラースケール440は、サーモグラフィビデオ125上における画像425の右側427に表示することができるが、他の態様において、カラースケール440は、サーモグラフィビデオ125上の他の場所に表示することができる。本態様において、より暖かく明るい色(赤、黄、オレンジなど)はより高い温度を示すことができるのに対して、より冷たく暗い色(青、紫、黒など)はより低い温度を示すことができる。他の態様においては、任意の色を使用して様々な温度を示すことができる。更に、本態様においては、赤外線カメラ120(図1参照)によってキャプチャされた視野230(図2参照)(又は図2に示す関心領域235)において検出された最大及び最小温度450,455、並びに視野230において検出された平均温度460は、サーモグラフィビデオ125上における画像425の左上隅429に表示することができる。他の態様においては、カラースケール440及び/又は表示装置130上に表示される最大、最小、並びに平均温度450,455,460を含んでもよいし含まなくてもよい。更に、他の態様においては、表示装置130上に表示される付加的情報を含むことができる。
【0047】
赤外線カメラ120によってキャプチャされた視野230内には、低温保存容器115の1個以上が存在し得る。例えば、本態様においては、低温保存容器のうちの5個115a,b,c,d,eがカメラ120によってキャプチャされると共に、サーモグラフィビデオ125に表示され得るが、他の態様においては、より多くの又はより少ない低温保存容器115が視野230内に存在し得る。図示のように、低温保存容器115a,c,d,eのそれぞれは、紫色で表示され、これは低温保存容器115a,c,d,eのそれぞれが同じ温度付近にあり得ることを示唆している。本態様において、低温保存容器115a,c,d,eの紫色は、これら低温保存容器115a,c,d,eの外壁119が所望の温度範囲内にあることも示唆している。ただし、低温保存容器115bは黒色で表示されており、これは低温保存容器115bの外壁119が他の低温保存容器115a,c,d,eよりも遥かに低い温度にあることを示唆している。低温保存容器115bの温度が低トリガ温度以下にある場合(又は幾つかの態様において、高トリガ温度以上である場合)、アラームユニット150(図1参照)は、アラート(例えば、音声アラート154、視覚アラート152、通信アラート156、又は図1に示すようにその組み合わせ)を作動させることができる。
【0048】
図5は、監視ハウジングユニット310のハウジングドア314を、監視ハウジングユニット310の内部キャビティ515を視認可能とするために開放状態で示す。図示のように、監視ハウジングユニット310は、監視システム100(図1参照)の様々な構成要素を内部キャビティ515内に収容するよう構成することができる。例えば、本態様においては、処理ユニット140(図1参照)を含むコンピュータ520を監視ハウジングユニット310内に収容することができる。コンピュータ520は、サーモグラフィビデオ125(図1参照)又は画像を表示装置130(図1参照)に送信するためのビデオ処理ソフトウェアを実行するよう構成することができる。ビデオ処理ソフトウェアは、ウェブページ、モバイルアプリなどを介した遠隔視認をするために、サーモグラフィビデオ125又は画像をインターネット対応デバイス160(図1参照)又はネットワーク接続デバイスに送信するよう構成することもできる。例示的な態様においては、電力変換器530を提供することができ、その電力変換器530は、監視システム100の様々な構成要素間で電気エネルギーの種類を変換するか又は電気エネルギーの電圧を調整するよう構成することができる。
【0049】
上述したように、例示的な態様において、電力は、イーサネットケーブル550を介してPOEスイッチ540によって赤外線カメラ120(図1参照)に送ることができる。更に、赤外線カメラ120によって検出されると共に温度を表す信号は、イーサネットケーブル550を介してコンピュータ520及び/又はアラームユニット150に転送することができる。幾つかの例示的な態様によれば、赤外線カメラ120によって送信されると共に温度情報を表す信号は、視覚データ及び温度データの両方を含むことができる。視覚データは、サーモグラフィビデオ125又は画像を含むと共にコンピュータ520に送信でき、表示装置130(図3参照)上に表示するためにビデオ処理ソフトウェアによって処理することができる。例示的な態様において、ビデオ処理ソフトウェアは、表示装置HDMIケーブル316(図3参照)を介してサーモグラフィビデオ125を表示装置に転送することができる。温度データは、低温保存容器115の特定の外部温度値を含むと共にアラームユニット150に送信することができ、アラームユニットの回路は、温度データを処理して、検出された温度が通常の温度範囲内にあるか否かを判定することができる。幾つかの例示的な態様において、監視システム100は、イーサネットケーブル550を介して赤外線カメラ120によって送信された信号を変換し、これによりアラームユニット150(図1参照)が信号を理解できるよう構成することができる。図示のように、本態様においては、必要に応じて信号を変換するために、デジタル入出力(I/O)装置560を設けることができる。例えば、デジタルI/O装置560は、信号を、バイナリ信号、4‐20 mA信号、MODBUS信号、又はアラームユニット150が理解可能な他の任意の種類の信号に変換することができる。他の態様において、イーサネットケーブル550を介して赤外線カメラ120によって送信された信号の種類は、変換しなくてもアラームユニット150が理解可能であり得、そのような態様において、監視システム100は、デジタルI/O装置560を備えなくてもよく、又はデジタルI/O装置560をバイパスしてもよい。例えば、特定の態様において、赤外線カメラ120は、イーサネットケーブル550を介してMODBUS信号を送信するよう構成することができ、MODBUS信号は、変換しなくてもアラームユニット150によって理解することができる。更に他の態様において、監視システム100は、アラームユニット150を備えなくてもよく、コンピュータ520がアラームソフトウェアプログラムを実行するよう構成可能であり、そのプログラムは、赤外線カメラ120から受信した信号を処理できると共に、必要に応じて(図1に示すように、例えば、音声アラート154、視覚アラート152、及び/又は、通信アラート156)を作動させることができる。図示のように、本態様においては、付加的なイーサネットケーブル555を設けることができ、これらケーブルは、監視ハウジングユニット310を付加的な赤外線カメラ120に接続することができる。
【0050】
図示のように、幾つかの例示的な態様において、ストロボライト153又は他の視覚インジケータは、監視ハウジングユニット310の外部に取り付けることができる。ストロボライト153は、図3に示すように、ハウジングドア314が閉鎖状態にあるときに視覚アラート152を視認できるよう、外部に取り付けることができる。更に、アラームユニット配線570は、アラームユニット150(図6参照)を電力変換器530及びデジタルI/O装置560の両方に接続するよう構成することができる。アラームユニット配線570は、変換された信号をデジタルI/O装置560からアラームユニット150に転送するよう構成することができる。
【0051】
図6に示すように、例示的な態様において、アラームユニット150は、ハウジングドア314の内面614に取り付けることができる。他の態様において、アラームユニット150は、監視ハウジングユニット310における内部キャビティ515(図5参照)の他の場所に取り付けてもよく、又は監視ハウジングユニット310の外部にあってもよい。本態様において、赤外線カメラ120(図1参照)によって監視される低温保存容器115(図1参照)の何れかの外部温度が低トリガ温度以下に低下する(又は高トリガ温度以上に上昇する)場合、アラームユニット150は、ストロボライト153(図5参照)、及び/又は、他の任意の適切なアラート(例えば、図1に示す、視覚アラート、音声アラート、及び/又は、通信アラート152,154,156)を作動させて、低温保存容器115の故障又は差し迫った故障を使用者に警告することができる。その後、使用者は、低温保存容器115に収容された生体試料又は他の温度感受性材料を保存するのに必要な行動をとることができる。
【0052】
図7は、本開示の例示的な態様に係る、温度感受性保存容器110(例えば、低温保存容器115)を監視する方法を示すフローチャートである。本発明における方法の例示的な態様は、温度感受性保存容器110の1個を赤外線カメラ120の視野230内に配置する第1ステップ700と、カメラ120のセンサ122で赤外線を測定し、その赤外線データをカメラ120のカメラソフトウェアで処理することにより、赤外線カメラ120で視野230内の温度を測定するステップ705とを含むことができる。この場合、温度は、温度感受性保存容器110の外部温度を含むことができる。本発明の方法は、赤外線カメラ120で検出された温度を表す信号を生成するステップ710と、信号をアラームユニット150に転送するステップ715と、温度感受性保存容器110の外部温度が予め選択された低トリガ温度に達するか或いは下回ったとき、又は予め選択された高トリガ温度に達するか或いは上回ったときにアラームユニット150でアラートを作動させるステップ720とを更に含むことができる。
【0053】
本発明における方法の例示的な態様は、赤外線カメラ120からの信号をビデオ処理ソフトウェアで処理し、そのビデオ処理ソフトウェアでサーモグラフィビデオ125を生成するステップ725と、サーモグラフィビデオ125を表示装置130上に表示するステップ730とを更に含むことができる。この場合、サーモグラフィビデオ125は、赤外線カメラ120で検出された温度を表す色を含むことができる。本発明の方法は、赤外線カメラ120で検出された最高温度450、最低温度455、並びに平均温度460のうちの少なくとも1つを表示装置130上に表示することを更に含むことができる。本発明における方法の幾つかの態様は、サーモグラフィビデオ125のライブフィードをインターネット対応デバイス160に送信して、サーモグラフィビデオ125の遠隔視認を可能にするステップ735を更に含むことができる。本発明における方法の幾つかの態様は、サーモグラフィビデオ125のコピーをネットワーク又は電子デバイス、例えばコンピュータ520に保存し、サーモグラフィビデオ125の保存されたコピーに後の時点でアクセスするステップ740を更に含むことができる。本発明における方法の例示的な態様は、イーサネットケーブル550を介して赤外線カメラ120に電力供給するステップ745を更に含むことができる。この場合、イーサネットケーブル550への電力供給は、パワー・オーバー・イーサネット(POE)スイッチ540によって制御可能である。例示的な態様によれば、本発明の方法は、信号をアラームユニット150に転送する前に、赤外線カメラ120からの信号を(I/O)装置560で変換するステップ750を更に含むことができる。幾つかの態様において、アラームユニット150でアラートを作動させることは、視覚アラート152、音声アラート154、並びに通信アラート156のうちの少なくとも1つを作動させることを含み得る。更に、例示的な態様において、温度感受性保存容器110の外部温度が予め選択された低トリガ温度に達するか又は下回ったときにアラームユニット150でアラートを作動させることは、外部温度が所定の時間遅延後に、予め選択された低トリガ温度以下に留まる場合にのみアラートを作動させるステップ755を含むことができる。幾つかの態様において、本発明の方法は、代替的に、温度感受性保存容器110の外部温度が予め選択された高トリガ温度に達するか又は上回ったときにアラームユニット150でアラートを作動させることを含むことができ、また幾つかの態様において、アラートを作動させることは、外部温度が所定の時間遅延後に、予め選択された高トリガ温度以上に留まる場合にのみアラートを作動させることを含むことができる。本発明における幾つかの例示的な態様は、カメラソフトウェアを介して、視野230内の関心領域235に赤外線カメラ120の焦点を合わせるステップ760を更に含むことができる。他の態様において、赤外線カメラ120は、関心領域235に手動で焦点を合わせることができる。
【0054】
図8は、本開示の他の例示的な態様に係る監視ハウジングユニット310の正面斜視図を示す。監視ハウジングユニット310は、ハウジングエンクロージャ512及びハウジングドア314を有することができる。例示的な態様において、ハウジングエンクロージャ512は、暖かい空気又は熱い空気を内部キャビティ515(図5参照)から周辺環境に逃がすよう構成された1つ以上の通気口810を有することができる。図示のハウジングドア314は、閉鎖状態で示されており、ハウジングエンクロージャ512の開放端517(図5参照)は、ハウジングドア314によって覆うことが可能である。本態様においては、ロック315のうちの2つは、ハウジングドア314を閉鎖状態で固定するのに提供することができる。図示のように、幾つかの態様において、表示装置130又は複数の表示装置130のうちの1つは、監視ハウジングユニット310に取り付けることができる。例えば、本態様において、表示装置130は、ハウジングドア314に取り付けることができ、これにより表示装置130上に表示されるサーモグラフィビデオ125又は画像を、ハウジングドア314が閉鎖された状態で監視ハウジングユニット310の外部から視認することができる。例示的な態様によれば、表示装置130は、図示のように、テレビ画面135、コンピュータモニタ、タブレット、携帯電話、又は他の任意の適切な電子表示装置130とすることができる。幾つかの態様において、表示装置130は、監視ハウジングユニット310の外部に取り付けることが可能であるのに対して、他の態様において、表示装置130は、監視ハウジングユニット310を通して形成された開口内に取り付けることができるため、表示装置130の一部が内部キャビティ515内に収容される。図示のように、幾つかの例示的な態様において、ハウジングドア314は、温度監視システム100における様々な構成要素をオン/オフするための1個以上のスイッチ802,804を更に有することができる。例えば、これらスイッチ802,804は、アラームユニット150、コンピュータ520、赤外線カメラ120、デジタルI/O装置560、又は他の任意の構成要素をオン/オフするよう構成することができる。更に、幾つかの例示的な態様において、ハウジングドア314は、温度監視システム100における様々な態様の状態を示すよう構成されたインジケータライト806(例えばLED)を有することができる。例えば、インジケータライト806は、赤外線カメラ120が温度感受性保存容器110を能動的に監視しているか否か、アラームユニット150によってアラートが作動されたか否か、又は温度監視システム100における他の任意の状態を示すことができる。
【0055】
例示的な態様において、低温保存容器における真空破壊を監視するための温度監視システムは、外壁及び内壁を有し得る低温保存容器を備えることができる。冷たく低温の液体は、内壁内に収容可能であり、真空は、外壁と内壁との間に形成することができる。温度監視システムは、関心領域内の温度を測定するよう構成された赤外線カメラも備えることができる。低温保存容器は、関心領域内に配向可能であり、赤外線カメラは、低温保存容器の外壁の外部温度を測定することができる。温度監視システムは、外部温度のサーモグラフィビデオを生成するよう構成されたカメラソフトウェアと、サーモグラフィビデオを表示する表示装置と、低温保存容器の外部温度が、容器の真空破壊を示唆する予め選択されたトリガ温度を下回ったときにアラートを作動させるよう構成されたアラームユニットとを更に備えることができる。
【0056】
更なる例示的な態様において、温度監視システムは、サーモグラフィビデオ又はサーモグラフィ画像のうちの1つのライブフィードを受信するよう構成されたインターネット対応デバイスを更に備えることができる。更なる例示的な態様において、アラートは、視覚アラート、音声アラート、並びに通信アラートのうちの少なくとも1つを含むことができる。更なる例示的な態様において、視覚アラートは、ライトを含むことができ、音声アラートは、ホーン及びサイレンのうちの少なくとも1つを含むことができ、通信アラートは、電子メール、テキストメッセージ及び電話のうちの少なくとも1つを含むことができる。更なる例示的な態様において、温度監視システムは、赤外線カメラからアラームユニットに温度データを転送するよう構成されたケーブルを更に備えることができる。更なる例示的な態様において、温度監視システムは、パワー・オーバー・イーサネットスイッチを更に備えることができる。ケーブルは、イーサネットケーブルとすることができ、電力は、パワー・オーバー・イーサネットスイッチにより、イーサネットケーブルを介して赤外線カメラに送ることができる。更なる例示的な態様において、赤外線カメラは、関心領域内の赤外線を検出するよう構成されたセンサを有することができ、カメラソフトウェアは、検出された赤外線を処理して関心領域内の温度を測定するよう構成することができる。更なる例示的な態様において、赤外線カメラは、赤外線カメラによって検出された温度を表す信号を生成するよう構成でき、温度監視システムは、信号を変換し、その変換された信号をアラームユニットに送信するデジタル入出力装置を更に備えることができる。更なる例示的な態様において、アラームユニットは、低温保存容器の外部温度が予め選択されたトリガ温度を上回ったときにアラートを作動させるよう更に構成することができる。更なる例示的な態様において、監視ハウジングユニットは、ハウジングエンクロージャ及びハウジングドアを有することができる。この場合、ハウジングエンクロージャは、内部キャビティ及び開放端を規定することができ、ハウジングドアは、閉鎖状態では開放端を覆い、開放状態では開放端を覆わずに内部キャビティへのアクセスを可能にするよう構成することができる。
【0057】
他の例示的な態様において、低温保存容器の真空破壊を監視するための方法は、低温保存容器を赤外線カメラの視野内に配置することを含む。低温保存容器は、外壁、内壁、及びそれらの間に形成された真空を有することができる。本発明の方法は、赤外線カメラで視野内の温度を測定することを更に含むことができる。温度には、低温保存容器の外部温度が含まれ得る。本発明の方法は、赤外線カメラで検出された温度を表す信号を生成すること、信号をアラームユニットに転送すること、並びに低温保存容器の外部温度が予め選択されたトリガ温度を下回ったときにアラームユニットでアラートを作動させることを更に含むことができる。
【0058】
更なる例示的な態様において、本発明の方法は、赤外線カメラのカメラソフトウェアでサーモグラフィビデオを生成すること、及びサーモグラフィビデオを表示装置上に表示することを更に含むことができる。サーモグラフィビデオは、赤外線カメラで測定された温度を表す色を含むことができる。更なる例示的な態様において、本発明の方法は、赤外線カメラの視野内で測定された最高温度、最低温度及び平均温度のうちの少なくとも1つを表示装置上に表示することを更に含むことができる。更なる例示的な態様において、本発明の方法は、サーモグラフィビデオのライブフィードをインターネット対応デバイスに送信して、サーモグラフィビデオの遠隔視認を可能にすることを更に含むことができる。更なる例示的な態様において、本発明の方法は、サーモグラフィビデオを保存し、保存されたサーモグラフィビデオに後の時点でアクセスすることを更に含むことができる。更なる例示的な態様において、本発明の方法は、低温保存容器の真空破壊を示唆し得る視野内の温度変化を識別するために、サーモグラフィビデオにおける色の変化を視覚的に監視することを更に含むことができる。更なる例示的な態様において、本発明の方法は、イーサネットケーブルを介して赤外線カメラに電力供給することを更に含むことができる。イーサネットケーブルへの電力供給は、パワー・オーバー・イーサネット(POE)スイッチによって制御することができる。更なる例示的な態様において、本発明の方法は、信号をアラームユニットに転送する前に、信号をデジタル入出力(I/O)装置で変換することを更に含むことができる。更なる例示的な態様において、低温保存容器の外部温度が予め選択されたトリガ温度を下回ったときにアラームユニットでアラートを作動させることは、外部温度が所定の時間遅延後に、予め選択されたトリガ温度未満に留まる場合にのみアラートを作動させることを含むことができる。更なる例示的な態様において、本発明の方法は、カメラソフトウェアプログラムを介して、視野内の関心領域に赤外線カメラの焦点を合わせることを更に含むことができる。
【0059】
他の例示的な態様において、低温保存容器における真空破壊を監視するための温度監視システムは、外壁、内壁、及びそれらの間に形成された真空を有し得る低温保存容器を備えることができる。温度監視システムは、センサ及びカメラソフトウェアを含み得る赤外線カメラを備えることもできる。センサは、視野内の赤外線を検出するよう構成することができ、低温保存容器は、視野内に配置することができ、赤外線は、低温保存容器の外壁によって放射された赤外線を含むことができる。カメラソフトウェアは、赤外線データを処理して、外壁の外部温度を測定するよう構成することができる。温度監視システムは、低温保存容器の外部温度が予め選択されたトリガ温度を下回ったときにアラートを作動させるよう構成可能なアラームユニットを備えることもできる。
【0060】
他の例示的な態様において、温度監視システムは、外壁を有する温度感受性保存容器を備えることができる。温度監視システムは、温度感受性保存容器の外部温度を測定するよう構成された赤外線カメラを備えることができると共に、温度感受性保存容器の外部温度が予め選択されたトリガ温度を下回ったときにアラートを作動させるよう構成されたアラームユニットも備えることができる。
【0061】
本開示は、好適な実施形態及びその具体例を参照しつつ本明細書に図示及び説明したが、当業者であれば、他の実施形態及び例が同様の機能を果たし、及び/又は、同様の結果を達成し得ることは自明のことであろう。そのような同等の実施形態及び例は全て、本開示の趣旨内にあり、本開示によって考慮され、本開示の対象である。
【0062】
条件付き用語、例えば、「できる」、「できた」、「してもよい」、「可能である」は、特に明記されていない限り又は文脈から他の意味として理解されない限り、基本的に、特定の実施形態が特定の特徴、要素及び/又はステップを含むことを意味するのに対して、他の実施形態が特定の特徴、要素及び/又はステップを含まないことを意味することに留意されたい。即ち、そのような条件付き用語は、基本的に、特徴、要素及び/又はステップが1つ以上の特定の実施形態に何らかの形で必要であること、又は1つ以上の特定の実施形態に(使用者による入力又はプロンプトの有無にかかわらず)これら特徴、要素及び/又はステップが含まれるか又は実施されるべきかを決定するためのロジックを必然的に含むことを意味しない。
【0063】
上述した実施形態は、本開示の原理を明確に理解するために記載された単なる実施可能な例であることを理解されたい。フローチャートにおける任意のプロセスの記載又はブロックは、プロセスにおける特定の論理的な機能又はステップを実施するための1つ以上の実施可能命令を含むコードのモジュール、セグメント、又は部分を表すものとして理解されるべきであり、また代替的な実装は、機能が全く含まれ得ないか又は実行され得ず、本開示の当業者であれば理解されるように、関連する機能に応じて、実質的に同時又は逆の順序を含めて、図示又は記載されたのとは異なる順序で実行され得る。本開示の趣旨及び原理から実質的に逸脱することなく、上述した実施形態に対して多くの変形及び修正を施すことができる。更に、本開示の範囲は、上述した全ての要素、特徴及び態様の任意及び全ての組み合わせ及び下位の組み合わせを網羅することを意図している。そのような修正及び変形の全ては、本開示の範囲内で本明細書に含まれ、個々の態様又は要素又はステップの組み合わせに関する実現可能なクレームの全ては、本開示によってサポートされている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】