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特表2022-547189デジタル磁力計を用いた可撓性カテーテルの磁気追跡システムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-10
(54)【発明の名称】デジタル磁力計を用いた可撓性カテーテルの磁気追跡システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/095 20060101AFI20221102BHJP
   A61B 34/20 20160101ALI20221102BHJP
【FI】
A61M25/095
A61B34/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515578
(86)(22)【出願日】2020-09-07
(85)【翻訳文提出日】2022-04-28
(86)【国際出願番号】 IL2020050972
(87)【国際公開番号】W WO2021048837
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】62/897,599
(32)【優先日】2019-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522089893
【氏名又は名称】マグニシティ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MAGNISITY LTD
【住所又は居所原語表記】16 Lotem Street, Hod-HaSharon, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バラク ロン
(72)【発明者】
【氏名】ビレンバウム アリエル
(72)【発明者】
【氏名】グリーンバーグ ベンジャミン
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA31
4C267BB03
4C267BB11
4C267BB26
4C267BB40
4C267BB44
4C267BB62
4C267CC08
4C267CC16
4C267CC21
4C267EE01
4C267EE07
4C267HH08
(57)【要約】
可撓性カテーテル装置または可撓性長尺装置の磁気追跡の方法であって、装置の可撓性チューブに沿って配置される複数のセンサのそれぞれにより検知される、局所磁場の複数の検知値であって、少なくとも1つの磁場生成器により生成された交流磁場と、ホストサーバにより与えられる各生成磁場のソースの振幅および周波数とのに少なくとも1つに起因する検知値をホストサーバにより受信するステップと、磁場の検知値と、与えられた各生成磁場のソースの振幅および周波数に基づいて、可撓性チューブの測定位置をホストサーバにより計算するステップと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性カテーテル装置または他の可撓性長尺装置の磁気追跡の方法であって、
装置の可撓性チューブに沿って配置される複数のセンサのそれぞれにより検知される、局所磁場の複数の検知値であって、少なくとも1つの磁場生成器により生成された交流磁場と、ホストサーバにより与えられる各生成磁場のソースの振幅および周波数とのに少なくとも1つに起因する検知値をホストサーバにより受信するステップと、
磁場の前記検知値と、与えられた各生成磁場の前記ソースの振幅および周波数に基づいて、前記可撓性チューブの測定位置を前記ホストサーバにより計算するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記ホストサーバは、前記センサのコントローラに含まれる、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
生成された前記磁場の瞬時位相値を、交流磁場の少なくとも1つの生成器からホストサーバにより受信するステップと、
前記瞬時位相値と、前記センサから受信した、磁場の前記検知値のいくつかのうちの少なくとも1つとの間で前記ホストサーバにより関連付けるステップと、
前記磁場の値および関連付けられた位相の値に基づいて、前記ホストサーバにより前記可撓性チューブの測定位置を計算するステップと、
を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記関連付けるステップは、前記磁場生成器、前記センサのコントローラ、および前記ホストサーバの間で共有される、対応するクロックの読み取り値に基づく、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記位相のデータは、前記少なくとも1つの生成器に配置される磁力計をフルレートにした状態とした前記少なくとも1つの生成器から受信される、
請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記クロックの読み取り値は、前記磁場生成器により、または、前記磁場生成器、前記センサのコントローラおよび前記ホストサーバの間で共有されるクロックソースにより共有される、
請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記計算するステップは、前記複数のセンサの、位置および方位の計算を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記計算するステップは、前記センサのデータを融合するための拡張カルマンフィルタを用いるステップと、計算に運動モデルまたは形状制約を課すステップとを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記計算は、全体としての前記可撓性チューブの位置、方位、または、曲線を計算するための前記センサ間の既知の構造的関係を組み込む、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記検知値は、対応する少なくとも2つの生成器により生成された、少なくとも2つの生成磁場に少なくとも部分的に起因し、
前記少なくとも2つの生成器は、同一のクロックを共有する、または、同期したクロックを有する、または、クロックソースを共有する、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも2つの生成磁場は、異なる周波数で動作する、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
可撓性カテーテル装置または可撓性長尺装置の磁気追跡のシステムであって、
交流磁場を生成するようにそれぞれ構成された少なくとも1つの生成器であって、それぞれの生成磁場が決定されたソースの振幅および周波数を有する、生成器と、
可撓性チューブと、前記可撓性チューブに沿って配置され、かつ、局所磁場の検知値であって前記生成磁場に少なくとも部分的に起因する検知値を通信するようにそれぞれ構成された複数のセンサとを有する装置と、
対応する前記センサから局所磁場の前記検知値を受信し、前記決定されたソースの振幅および周波数に基づいて、前記可撓性チューブの測定位置を計算するホストサーバと、
を備えるシステム。
【請求項13】
前記ホストサーバは、前記センサのコントローラに含まれる、
請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記ホストサーバは、
生成された磁場の瞬時位相値を、交流磁場の少なくとも1つの生成器から受信し、
前記瞬時位相値と、前記センサから受信した、磁場の検知値のいくつかのうちの少なくとも1つとの間で前記ホストサーバにより関連付け、
前記磁場の値および関連付けられた位相の値に基づいて、前記ホストサーバにより前記可撓性チューブの測定位置を計算する、
請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
関連付けることは、前記磁場の生成器、前記センサのコントローラ、および前記ホストサーバの間で共有される、対応するクロックソースの読み取り値に基づく、
請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記装置は、前記可撓性チューブに沿う可撓性PCBをさらに含み、
前記センサは、前記可撓性PCBに沿って配置される、
請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記可撓性PCBは、前記可撓性チューブの壁に螺旋状に巻き付けられている、
請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記装置は、前記複数のセンサから前記ホストサーバに向けて、前記検知値のデータをデジタル的に搬送するように構成された通信バスをさらに含む、
請求項12に記載のシステム。
【請求項19】
前記通信バスは、前記複数のセンサからデジタルデータの前記検知値を搬送し、前記複数のセンサに電力を供給可能な、最大で4つのワイヤラインを含む、
請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記少なくとも1つの生成器は、内部クロックを含み、前記センサおよび前記ホストサーバのそのクロック読み取り値を共有するように構成される、
請求項12に記載のシステム。
【請求項21】
前記少なくとも1つの生成器は、位相のデータを検知する磁力計を含む、
請求項12に記載のシステム。
【請求項22】
前記システムは、異なる周波数で動作可能な少なくとも2つの磁場をそれぞれ生成する少なくとも2つの生成器を含み、
前記少なくとも2つの生成器は、同一のクロックを共有する、または、同期したクロックを有する、または、クロックソースを共有する、
請求項12に記載のシステム。
【請求項23】
前記少なくとも1つの生成器は、少なくとも1つの永久磁石と、決定された周波数で磁石を回転させるモータ装置とを有する、
請求項12に記載のシステム。
【請求項24】
前記少なくとも1つの生成器は、特定の既知の周波数で正弦関数の磁場を生成する電磁コイルを有する、
請求項12に記載のシステム。
【請求項25】
前記装置は、前記センサ間に配置される複数の双極子磁石を含む、
請求項12に記載のシステム。
【請求項26】
前記双極子磁石は、前記可撓性チューブが真っ直ぐな状態である場合、センサの両側に配置される2つの磁石が反対の双極子方向を有するように、等しい距離および方位で配置される、
請求項25に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル磁力計を用いた可撓性カテーテルの磁気追跡システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
公知の電磁(EM)位置測定システムは、体内の小さなカテーテルを追跡するために医療分野で使用されることがある。EMシステムがこのような用途に非常に適している理由は、人体が近接電磁場に対して透過性であるからである。これにより、視線を必要とすることなく、またX線またはコンピュータ断層撮影(CT)などの潜在的に有害な撮像モダリティを使用することなく、体内(または体外)でカテーテルまたは任意の他のツールをリアルタイムで追跡することが可能になる。
【0003】
いくつかの公知のシステムは、電磁場センサ/受信機と、複数の異なる交流(「AC」)電磁場、例えば正弦電磁場を送信する電磁場生成器/送信機とを含んでもよい。受信機は、通常、送信機から複数の電磁場の組み合わせを受信し、例えば、高速フーリエ変換(FFT)および/または離散フーリエ変換(DFT)または任意の他の適切な方法を実行することによって、異なるフィールド間を区別する。位相および/または振幅を分析することによって、受信機は、特定の位置および方向、例えば、位置の3つの座標および方位の3つの角度など、特定の6自由度(6DOF)状態に関連する一意の電磁シグネチャを識別する。他のシステムでは、電磁シグネチャは、5自由度(5DOF)のみを回復するために使用される。これらのシステムでは、センサのロール角は通常存在しない。他のシステムでは、位置のみが解決され(3DOF)、センサの方位は未知のままである。
【0004】
受信されたフィールドの組み合わせの分解、及び/又は、受信されたフィールドの区別、及び監視対象のユニークな6DOF(又は5DOF)状態の識別を可能にするために、送信機は、例えば、正弦フィールド信号が互いに直交するように、注意深く選択された周波数で複数の電磁正弦フィールド信号を送信する必要がある。幾つかのシステムは、異なる幾何学的形状の電磁場を生成するN個の送信コイルを含むことができる。数Nは、監視対象の6DOF(または5DOF)状態の識別を可能にするのに十分な大きさでなければならない。他のシステムでは、直交(ソースで)および/またはそれ以外で非常に特徴的な電磁場信号を生成する、より少ない数のコイルが存在し得る。フィールド間の分離を容易にし、システムの稼動率を増加させるために、システムは、通常、kHzスケールの高周波電磁場を使用することができる。
【0005】
従来の電磁追跡カテーテルの設定では、カテーテルは、その先端に配置された1つ以上のマイクロコイルを有する。例えば、3つのマイクロサイズのコイルは、従来、直交する方法でカテーテルの先端に配置される必要があり、ワイヤは、外部DSPの外側に引っ張られる必要がある。いくつかの特殊なシステムでは、3つの直交コイルではなく1つのコイルが使用されるが、これは多くの異なるユニークな分野を生成するために特殊な電磁場生成器を必要とし、加えて、最大5自由度(ロール角が欠けている)の測定位置しか提供できない。一般に、ワンコイルシステムは、精度および全体的な安定性の点で劣る。電磁場生成器は、高周波(例えば、>1kHz)の交流磁場を発生させ、これはカテーテルのコイル上に起電力(EMF)を誘導するであろう(ファラデーの誘導法則による)。コイルは、誘導電圧を増幅し、次にそれをサンプリングする、例えばアナログ/デジタル(A2D)変換器を使用することを担当する外部デジタル信号プロセッサ(DSP)ユニットにワイヤを通して接続される。次いで、専用プロセッサは、検知された信号を分析し、FFTまたはDFT(または任意の他の適切な方法)を使用してそれを別個の正弦波振幅に分解し、DFT結果を別の処理段階に渡し、この処理段階は、計算された場の振幅を、フィールド生成器に対して、3次元空間内のセンサの位置および方位に変換する責任を負う。
【0006】
良好なSN比(Signal-Noise Ratio)でサンプリングできるようにA2D変換器用マイクロコイルに取り込まれる微小電圧を増幅するために、DSPユニットには高品質のローノイズアンプが含まれている必要がある。このようなコイルはすべて、専用の高品質アンプとA2D入力を備えた別々の処理チャンネルを必要とする。また、良好なSN比(SNR)は維持が困難であり、最も小さな雑音は増幅され、関心信号を不明瞭にする可能性がある。例えば、コイルをDSPに接続するワイヤは、ある程度の磁束が流れるループを形成し、それゆえ、送信されたフィールドからある量の寄生的で望ましくない信号を拾う。これは、ワイヤが、ツイストペア方式でカテーテルを横切って巻かれることを必要とする。ワイヤに加えて、カテーテルをDSPに接続するコネクタは、ある量の寄生信号を拾い上げ得る望ましくないループを形成することもある。したがって、従来のEMカテーテルは、特殊で複雑で高価な相補型DSPユニットを有する複雑な設計を伴う。このようなシステムの複雑さは、所望のセンサの数(コイルの数、ツイストペアワイヤの数、より高価な増幅器およびA2Dを含むDSP入力チャネルの数)と共にほぼ線形に増大する。これらの全ての理由から、非常に少数のEMセンサのみを有する従来のEMカテーテルを構築することが実質的に非実用的である理由を理解すべきである。
【0007】
携帯電話などのいくつかのデバイスは、デバイスの動きおよび姿勢の情報を提供する慣性測定ユニット(IMU)を含む。通常、IMUは、3軸加速度計や3軸ジャイロなどのデジタルセンサを含み、多くの場合、3軸磁力計も含んでいる。加速度計は、局所3D座標における加速度を検知する。通常の設定では、加速度計は、重力ベクトル(さらに、様々なセンサ-フュージョン法を用いてフィルタリングされ得るいくつかの局所的な直線加速度)を主に検知し、従って、装置のスクリーン(横向き/縦向き)のような部分的な方位の検出を可能にし得る。ジャイロスコープは、装置の角速度を検知する。多くのアプリケーションでは、加速度計とジャイロスコープから受信したデータを組み合わせて、装置のロバストな方位の追跡を提供する。これらの2つのセンサは、重力(これは空を指す)以外には基準を持たないので、加速度計とジャイロスコープから計算される方位は、通常、重力ベクトルの周りをゆっくりドリフトする。この意味で、加速度計とジャイロスコープだけに基づく方位の追跡は、安定した基準を持たないので、「ドリフティング」と見なされる。磁力計は、例えば、ホール効果センサ、磁気抵抗センサ、磁気誘導センサを使用して、および/または任意の他の適切なセンサタイプによって、直流の地球磁場を検知するために使用されてもよい。検知された直流の地球磁場は、地球座標における加速度計およびジャイロスコープ方位検出のドリフトを補正するために使用されてもよい。しかしながら、磁力計の読みは、しばしば、近くの金属(軟鉄、硬鉄の歪み)のような、その環境中の様々な要素によって歪められる。さらに、低コストの磁力計センサは、センサの内部バイアスが時間の経過と共にドリフトするバイアス較正問題を起こしやすい。したがって、多くのアプリケーションにおいて、磁力計データは無視され、方位は加速度計とジャイロスコープのみによって検出される。しかし、磁力計データは無視され、他のセンサは、方位用の追加の基準として使用されないので、特定された方位は、通常、地球の北に対してドリフトする。IMUは、主に方位検出のために使用されるが、相対的な位置決めのために使用されてもよい。センサフュージョン法を用いて、局所加速度は、加速度計の読みから(重力を差し引いて)抽出され得る。次いで、短時間にわたって積分して、装置の速度を計算することができる。二重積分は装置の相対位置を与える。しかしながら、これらの方法は、バイアス雑音に対して高感度であり、従って、通常、ハイエンドの高精度IMUセンサと共に、または非常に短い時間(例えば、動きジェスチャ検出のために)にわたってのみ使用される。IMUは、(加速度計、ジャイロスコープ、および磁力計の3つのセンサすべてからのデータを使用することによって)地球の座標に対する装置の絶対的な方位を計算するための通常の設定で使用することができるが、IMUの読み取り値のいずれも、絶対的な基準に対する装置の位置の情報を提供するものではない。IMUを正確な絶対測位に使用するためには、何らかの外部基準を追加しなければならない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のいくつかの実施形態の態様は、可撓性カテーテル装置または他の可撓性長尺装置の磁気追跡の方法を提供する。方法は、装置の可撓性チューブに沿って配置される複数のセンサのそれぞれにより検知される、局所磁場の複数の検知値であって、少なくとも1つの磁場生成器により生成された交流磁場と、ホストサーバにより与えられる各生成磁場のソースの振幅および周波数とのに少なくとも1つに起因する検知値をホストサーバにより受信するステップと、磁場の検知値と、与えられた各生成磁場の前記ソースの振幅および周波数に基づいて、可撓性チューブの測定位置をホストサーバにより計算するステップと、を含む。
【0009】
任意選択的に、本方法は、生成された磁場の瞬時位相値を、交流磁場の少なくとも1つの生成器からホストサーバにより受信するステップと、瞬時位相値と、センサから受信した、磁場の検知値のいくつかのうちの少なくとも1つとの間でホストサーバにより関連付けるステップと、磁場の値および関連付けられた位相値に基づいて、ホストサーバにより可撓性チューブの測定位置を計算するステップと、を含む。
【0010】
任意選択的に、関連付けるステップは、磁場発生器、センサのコントローラ、およびホストサーバの間で共有される、または、同期される対応するクロックの読み取り値に基づく。
【0011】
任意選択的に、位相のデータは、少なくとも1つの生成器に配置される磁力計をフルレートにした状態とした少なくとも1つの生成器から受信される。
【0012】
任意選択的に、クロックの読み取り値は、磁場生成器により、または、磁場生成器、センサのコントローラおよびホストサーバの間で共有されるクロックソースにより共有される。
【0013】
任意選択的に、本方法は、ソースにおいて、生成した磁場の振幅値を、少なくとも1つの生成器から受信するステップを含む。
【0014】
任意選択的に、計算するステップは、複数のセンサの、位置および方位の計算を含む。
【0015】
任意選択的に、計算するステップは、センサのデータを融合するための拡張カルマンフィルタを用いるステップと、計算に運動モデルまたは形状制約を課すステップとを含む。
【0016】
任意選択的に、少なくとも1つのセンサは、センサ束であり、計算は、センサ束に含まれる対応するセンサの加速度計またはジャイロスコープの読み取り値を組み込む。
【0017】
任意選択的に、計算は、全体としてのチューブの位置、方位、または、曲線を計算するためのセンサ間の既知の構造的関係を組み込む。
【0018】
任意選択的に、検知値は、少なくとも2つの対応する生成器により生成された、少なくとも2つの生成磁場に少なくとも部分的に起因する。
【0019】
任意選択的に、少なくとも2つの生成磁場は、異なる周波数で動作する。
【0020】
任意選択的に、少なくとも2つの生成器は、同一のクロックを共有する、または、同期したクロックを有する、または、クロックソースを共有する。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態の別の態様は、可撓性カテーテル装置または可撓性長尺装置の磁気追跡のシステムであって、システムは、交流磁場を生成するようにそれぞれ構成された少なくとも1つの生成器であって、それぞれの生成磁場が決定されたソースの振幅および周波数を有する、生成器と、可撓性チューブと、可撓性チューブに沿って配置され、かつ、局所磁場の検知値であって生成磁場に少なくとも部分的に起因する検知値を通信するようにそれぞれ構成された複数のセンサとを有する装置と、対応するセンサから局所磁場の検知値を受信し、決定されたソースの振幅および周波数に基づいて、可撓性チューブの測定位置を計算するホストサーバと、を備え、任意選択的に、ホストサーバは、センサのコントローラに含まれる。
【0022】
任意選択的に、ホストサーバは、生成された磁場の瞬時位相値を、交流磁場の少なくとも1つの生成器から受信し、瞬時位相値と、センサから受信した、磁場の検知値のいくつかのうちの少なくとも1つとの間でホストサーバにより関連付け、磁場値および関連付けられた位相の値に基づいて、ホストサーバにより可撓性チューブの測定位置を計算する。
【0023】
任意選択的に、関連付けることは、磁場生成器、センサのコントローラ、およびホストサーバの間で共有される、対応するクロックソースの読み取り値に基づく。
【0024】
任意選択的に、装置は、チューブに沿う可撓性PCBをさらに含み、センサは、可撓性PCBに沿って配置される。
【0025】
任意選択的に、可撓性PCBは、チューブの壁に螺旋状に巻き付けられている。
【0026】
任意選択的に、装置は、複数のセンサからサーバに向けて、検知値のデータをデジタル的に搬送するように構成された通信バスをさらに含む。
【0027】
任意選択的に、通信バスは、複数のセンサからデジタルデータの検知値を搬送し、複数のセンサに電力を供給可能な、最大で4つのワイヤラインを含む。
【0028】
任意選択的に、少なくとも1つの生成器は、内部クロックを含み、センサおよびホストサーバのそのクロック読み取り値を共有するように構成される。
【0029】
任意選択的に、少なくとも1つの生成器は、位相データを検知する磁力計を含む。
【0030】
任意選択的に、センサのうちの少なくとも1つは、加速度計またはジャイロスコープセンサを備えるセンサ束である。
【0031】
任意選択的に、システムは、異なる周波数で動作する少なくとも2つの磁場をそれぞれ生成する少なくとも2つの生成器を含む。
【0032】
任意選択的に、少なくとも2つの生成器は、同一のクロックを共有する、または、同期したクロックを有する、または、クロックソースを共有する。
【0033】
任意選択的に、少なくとも1つの生成器は、少なくとも1つの永久磁石と、決定された周波数で磁石を回転させるモータ装置とを有する。
【0034】
任意選択的に、少なくとも1つの生成器は、特定の既知の周波数で正弦関数の磁場を生成する電磁コイルを有する。
【0035】
任意選択的に、装置は、センサ間に配置される複数の双極子磁石を含む。
【0036】
任意選択的に、双極子磁石は、チューブが真っ直ぐな状態である場合、センサの両側に配置される2つの磁石が反対の双極子方向を有するように、等しい距離および方位で配置される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
開示された主題のいくつかの非限定的な例示的な実施形態または特徴が、以下の図面に示される。
図1図1は、本開示のいくつかの実施形態による、デジタル磁力計による追跡用のカテーテル追跡システムの概略図である。
図2図2は、本開示のいくつかの例示的な実施形態による、デジタル磁力計による追跡用の例示的な磁場生成器/送信機の概略図である。
図3図3は、本開示のいくつかの実施形態による、デジタル磁力計による追跡用の方法を示す概略フローチャートである。
図4図4は、本開示のいくつかの実施形態によるカテーテルの概略図である。
図5図5は、本開示のいくつかの他の実施形態による、カテーテル装置の概略図である。
図6図6は、本開示のいくつかの他の実施形態による、カテーテル装置の概略図である。
【0038】
ここで図面を詳細に特に参照すると、示される詳細は、例として、および本開示の実施形態の例示的な議論の目的のためであることが強調される。この点に関して、図面を用いて行われる説明は、本開示の実施形態がどのように実施され得るかを当業者に明らかにする。
【0039】
1つ以上の図面に現れる、同一または複製または同等または類似の構造、要素、または部分は、概して、同様のエンティティまたはエンティティの変形を区別するために、任意選択で追加の1つまたは複数の文字で、同じ参照番号でラベル付けされ、繰り返しラベル付けおよび/または説明されないことがある。以前に提示された要素への言及は、それらが現れる図面または説明を必ずしもさらに引用することなく暗示される。
【0040】
図面に示される構成要素および特徴の寸法は、提示の便宜または明確さのために選択され、必ずしも縮尺通りまたは真の遠近法で示されていない。便宜上または明確にするために、いくつかの要素または構造は、部分的にのみ、および/または異なる視点で、または異なる視点から示されていないか、または示されていない。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本開示の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本開示は、その出願において、以下の説明に記載され、および/または図面および/または実施例に示される構成要素および/または方法の構成および配置の詳細に必ずしも限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態が可能であり、または様々な方法で実施または実行されることが可能である。
【0042】
本開示のいくつかの実施形態は、完全曲線カテーテルの磁気追跡システムを提供する。本開示のいくつかの実施形態による磁場生成器/送信機は、可撓性カテーテルチューブに沿って配置された複数の磁力計に電磁場を誘導することができる。いくつかの実施形態では、提供されるシステムは、少なくとも1つの特別な磁場生成器を含んでもよく、および/または特別な磁場生成および/または送信方法を使用してもよい。本発明のいくつかの実施形態に従って提供される磁場生成器/送信機は、低コストの構成要素から構成されてもよい。
【0043】
提供されたシステムは、複数の磁力計から局所電磁場の値のセンサ読み取り値を受信し、受信した読み取り値に基づいて、その長さに沿った、カテーテルチューブの完全曲線測定位置を計算することができる。これは、通常、カテーテルの先端のみが追跡される従来のEMカテーテル追跡システムとは対照的である。いくつかの実施形態では、提供されるシステムは、磁場生成器に対する、その磁気センサの読み取り値に基づいて、各磁力計の6DOFの測定位置、例えば、3次元位置および方位を計算および/または特定することができる。いくつかの実施形態では、磁力計の検知半径は、約50センチメートルまでである。したがって、いくつかの実施形態では、複数の磁力計からの少なくとも1つの磁場生成器の距離は、最大50センチメートルである。
【0044】
いくつかの実施形態によれば、提供されるシステムは、複数のデジタル磁力計を含み、例えば、既製の磁気センサであって、例えば、IMUに含まれる磁力計と類似または同一のものを含む。いくつかの実施形態では、完全なIMUセンサ束が使用される。デジタル磁力計は、様々な体腔への挿入のためのカテーテルに適した、小さな設置面積および/またはサイズを有してもよい。例えば、磁力計は、カテーテルチューブおよび/または体腔および/またはカテーテルチューブ壁に挿入可能である。例えば、複数の磁力計は、カテーテルチューブに沿って可撓性プリント回路基板(PCB)上に、例えば集積回路および/またはシリコンダイ内に配置されてもよい。複数の磁力計は、例えば、超小型ウエハレベルBGA(ボールグリッドアレイ)パッケージ内にパッケージされてもよい。これにより、非常に薄い可撓性PCB上に配置できる可能性がある。
【0045】
本明細書全体を通して参照される磁力計は、通常、数百Hzの大きさのサンプリング速度、例えば、約100Hzおよび/または500Hz~1000Hzまでで動作する。直流(DC)磁力計(DC磁場を測定するもの)を交流(AC)磁気センサ(AC磁場と共に使用することを意図したもの)として使用するために、検知されたAC磁場は、磁力計のサンプリング速度よりもかなり小さい周波数、例えば、一桁小さい周波数であってもよい。検知される磁場は、直流磁力計によって検出可能な範囲にあるべきである。例えば、検知される磁場は、磁力計によって検出されるために、発生したときの磁力計の感度の約10倍であるべきであり、ノイズレベルも考慮に入れるべきである。例えば、DC磁力計は、数μT~数千μT(例えば、1~4000μT)の磁場を、約0.1μTの感度、例えば分解能で検出することができる。磁場の強さは、ダイポールソースと受信機との間の距離の3乗に反比例するので、検知範囲は、最小から最大の距離の間で例えば、10cmから1mまたは1mから10mなど、1つの要素に対して10倍程度の範囲を有するべきである。
【0046】
いくつかの実施形態によれば、複数の磁力計は、同じデータバスに沿って配置され、同じデータバスによって検知された値を送信する。データバスに沿って配置され、および/またはデータバスによってデータを送信する磁力計がいくつであっても、例えば、カテーテルチューブに沿って引っ張られたわずか4つ以下の電気ワイヤを必要とする。これは、磁気センサの数と共に線形に増大する多数のワイヤを必要とし得る従来のアナログカテーテル追跡システムとは対照的である。
【0047】
本開示のいくつかの実施形態は、30Hzを超えるレートでカテーテルの完全曲線測定位置を計算することができる測定位置計算のための方法を提供する。このレートは、ほとんどのリアルタイム医療用途に適している。したがって、本発明のいくつかの実施形態は、従来のEMセンサおよびDSPのコストを高くすることなく、小径カテーテルの完全曲線測定位置をリアルタイムで取得する問題に対する解決策を提供する。加えて、いくつかの実施形態では、提供されるシステムは、例えば、受信端および送信端の両方において、低電力消費を有し、これは、かなり小さいフットプリントの無線および/またはバッテリーで完全曲線カテーテル位置測定システムの動作を可能にし得る。
【0048】
本開示のいくつかの実施形態によって提供されるように、低コストで複雑でない構成で完全曲線追跡カテーテルを構築する能力は、多くの潜在的な医療用途にとって重要である。
【0049】
ここで、本開示のいくつかの実施形態による、デジタル磁力計によって追跡するためのカテーテル追跡システム100の概略図である図1を参照する。本開示のいくつかの実施形態によれば、システム100は、完全曲線カテーテル位置測定のための解決策を提供する。システム100は、カテーテル30と、ハードウェアホストサーバ10と、少なくとも1つの磁場生成器/送信機20、例えば、磁場生成器/送信機20aおよび20bとを含むことができる。本明細書に記載されているように、システム100は、カテーテル30をその長さに対する完全な曲線の位置測定を提供することができる。本開示のいくつかの実施形態では、ホストサーバ10は、カテーテル30内のコントローラに含まれ、例えば、本明細書で説明されるホストサーバ10のすべての機能は、カテーテル30内のコントローラによって実行される。用語「コントローラ」および「マイクロコントローラ」は、時には、本開示全体にわたって互換的に使用され、マイクロプロセッサを意味するか、または含むこともできる。
【0050】
送信機20は磁場を生成させることができる。例えば、送信機20は、例えば少なくとも1つの電磁コイルを含む磁場の電磁発電機である。各生成器20は、交流磁場を生成させることができる。各生成磁場は、決定されたソースの振幅および周波数を有する。いくつかの実施形態では、送信機20は、生成された電磁場の瞬時位相を検知するか、または同期された電磁場生成器ドライバを使用することによって生成された電磁場の瞬時位相を計算し、例えば周期的に、タイムスタンプと共に瞬時位相値をホストサーバ10に通信するセンサを含むことができる。
【0051】
本開示のいくつかの実施形態では、送信機20は、図2により詳細に示されるように、少なくとも1つの回転磁石を含んでもよい。本明細書でより詳細に説明するように、いくつかの実施形態では、送信機20は、回転磁石の瞬時位相を検知するか、または同期モータドライバを使用することによって回転磁石の瞬時位相を計算し、例えば、周期的に、タイムスタンプと共に瞬時位相値をホストサーバ10に通信するセンサを含んでもよい。
【0052】
カテーテル30は、マイクロコントローラ32と、可撓性チューブ36と、例えばチューブ36に沿って可撓性PCB(図4により詳細に示す)上に実装された複数の磁力計センサ31とを含むことができる。磁力計センサ31は、チューブ36に沿った所定の位置及び/又はそれらの間の所定の距離に配置することができる。いくつかの実施形態によれば、磁力計センサ31は、既製の磁気センサであってもよく、又はこれを含んでいてもよく、例えば、IMU又は独立型の既製の磁気センサに含まれる磁力計と同様の又は同じ磁力計であってもよい。いくつかの実施形態では、磁力計センサ31の各々は、完全なIMUセンサ束であってもよいし、それを含んでもよい。
【0053】
磁力計センサ31の各々は、送信機20によって生成された磁場から生じる対応する局所磁場値を検知することができる。ホストサーバ10/マイクロコントローラ32は、センサ31から磁場値を受信することができ、および/またはマイクロコントローラ32は、検知値をタイムスタンプと共にホストサーバ10/マイクロコントローラ32に通信することができる。マイクロコントローラ32は、カテーテル30の基端部、例えば、センサ31とホストサーバ10との間の通信経路に配置され得る。例えば、マイクロコントローラ32は、それぞれの少なくとも1つのセンサ31からの少なくとも1つの局所磁場値および瞬時磁場値、例えば、ある瞬間に検知された値を受信および/または収集し、収集された値を、例えば、USB、無線通信などを介して、対応するタイムスタンプと共に送信することができる。例えば、マイクロコントローラ32は、収集された検知値を、例えば各検知値に対する各検知センサ31の識別とともに通信することができる。本明細書でより詳細に説明するように、センサ31は、チューブ36に沿って配置された同じデータバス34によって、マイクロコントローラ32および/またはホストサーバ10に通信可能に接続することができる。本開示のいくつかの実施形態では、本明細書全体にわたって説明されるホストサーバ10の機能のうちの少なくともいくつかは、マイクロコントローラ32によって実行される。いくつかの実施形態では、ホストサーバ10のすべての機能は、図2を参照して説明したマイクロコントローラ32および/またはプロセッサ/コントローラ27によって実行される。
【0054】
可撓性チューブ36は、様々な位置に配置されてもよく、例えば、挿入される身体器官の形状に従って、および/またはカテーテルチューブが遭遇する障害物に従って、様々な瞬間的な曲線形状を有してもよい。
【0055】
ホストサーバ10/マイクロプロセッサ32は、少なくとも1つのハードウェアプロセッサ12および/または少なくとも1つのハードウェアメモリ14を含んでもよい。メモリ14は、プロセッサ12に本開示の態様を実行させるために、プロセッサ読み取り可能プログラム命令を記憶する有形の一時的でないプロセッサ読み取り可能記憶媒体を含んでもよい。システム100は、ホストサーバ10からデータおよび/または命令を受信し、受信したデータおよび/または命令に従って情報を表示するように構成された表示装置16を含むことができる。表示装置16は、例えば、体内の特定の関心点に到達するように医師に指示するためのナビゲーション指示を示すことができる。
【0056】
磁力計センサ31は、センサデジタル出力を提供するように構成されたデジタル磁力計であってもよく、及び/又は、デジタル磁力計を含んでいてもよく、及び/又は、低コストであってもよく、及び/又は小さな設置面積を有してもよい。いくつかの実施形態では、センサ31の各々は、磁力計、加速度計、および/またはジャイロスコープを含み得る標準IMUであり得るか、またはそれを含み得る。複数のセンサ31は、同じデジタル通信バス34に沿って配置されてもよく、および/または、同じデジタル通信バス34によってマイクロコントローラ32および/またはサーバ10にセンサデジタル出力を通信してもよい。例えば、センサ31は、チューブ36の曲線に沿って、局所的な電磁場値を同時に又は非常に短いミリ秒の期間内に検知することができ、及び/又は、これらの値を同じバス34によってマイクロコントローラ32及び/又はサーバ10に、例えば、同時に又は数ミリ秒又は数十ミリ秒までの非常に短い期間内に送信することができる。ホストサーバ10/マイクロプロセッサ32は、対応するセンサ31から検知された局所磁場値を受信することができ、および/または、例えば、検知された磁場値と、送信機20によって生成された磁場の決定されたソースの振幅および周波数とに基づいて、可撓性チューブ36の測定位置を計算することができる。
【0057】
各センサ31は、マイクロコントローラ32および/またはサーバ10によって別々に識別されてもよい。例えば、マイクロコントローラ32および/またはサーバ10は、受信した各電磁場値を、この値を検知したそれぞれのセンサ31に関連付けることができる。例えば、マイクロコントローラ32は、検知された値を、この値を検知したセンサを識別する識別子コードと共にサーバ10に送信することができる。いくつかの実施形態では、検知された値および/または識別子コードは、例えば、サンプルの読み取り時間を証明するタイムスタンプと共に送信される。本明細書でより詳細に説明するように、ホストサーバ10/マイクロプロセッサ32は、受信した検知値および/またはタイムスタンプ、および/または少なくとも1つの生成器20から受信した位相データに基づいて、それぞれのセンサの6DOFの測定位置を計算し、及び/または複数のセンサ31から受信した複数の検知値に基づいて、カテーテルチューブ36の完全曲線位置を計算することができる。例えば、計算は、幾つかの形状及び/又は曲率制約を課すことによって行われる。本発明のいくつかの実施形態では、システム100は、例えば、センサ31が同じデータバス34によって検知された値を送信するので、システムの複雑さを実質的に増加させることなく、チューブ36に沿って任意の適切な数のセンサ31を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、センサ31からマイクロコントローラ32および/またはサーバ10に磁気値を増幅し、サンプリングし、送信するために、DSP入力チャネルは必要とされない。
【0058】
いくつかの実施形態では、システム100は、同期式であり、例えば、その構成要素間で単一のクロックを共有する。例えば、生成器/送信機20は、本明細書でより詳細に説明するように、内部クロックを含むことができ、および/またはそのクロック読み取り値を、センサ31、マイクロコントローラ32、および/またはサーバ10、および/または他の生成器/送信機と共有することができる。本開示のいくつかの実施形態では、システム100の構成要素のうちの少なくともいくつかは、それらのそれぞれのクロックを外部クロックと同期させる。マイクロコントローラ32は、センサ31からそれぞれの検知値を受け取ることができる。例えば、マイクロコントローラ32は、データバス34を介して、センサ31によってサンプリングされ、データバス34に書き込まれた検知データを受け取ることができる。いくつかの実施形態では、マイクロコントローラ32は、例えば、対応するタイムスタンプと共に、データをホスト10に送信する。例えば、タイムスタンプは、送信機20から受信されたそれぞれのクロック読み取り値に対応するか、または別の共有クロックに基づく。サーバ10は、送信機20およびセンサ31からデータを受信し、および/またはタイムスタンプに従ってデータを同期させることができる。例えば、共有または外部クロックは、すべてのデバイスに物理的に接続された専用水晶発振器、USBハブに接続されたすべてのデバイス間で共有されるUSBハブクロック、RF(無線周波数)メインソースによって生成され、RFデバイス間で無線で共有されるクロック、またはシステム100内の少なくともいくつかのデバイスによって検知されるGPSクロックを含むことができる。
【0059】
いくつかの例示的な実施形態において、送信機20は、電磁コイルを使用して低周波磁場を生成してもよい。周波数は、センサ31のサンプリングレートによって完全に整合されるのに十分に低い(例えば、500Hzより低い)ことができ、例えば、センサ31は、検知された磁場に関して、例えば、振幅、周波数および/または位相などの必要な情報をすべて保持するために必要な少なくとも最小速度で、磁場をサンプリングすることができる。生成された磁場は、磁力計の感度および/または信号対雑音比(「SNR」)において、質の高いサンプルを得るために、センシング半径内で十分に強くてもよい(例えば、1μTより強い)。センサ31は、離散フーリエ変換(「DFT」)または同様のアルゴリズムを実行するのに十分なサンプルを収集して、生成された磁場を分離し、センサ31および/またはチューブ36の6DOFの測定位置を解くことができる。場合によっては、低レイテンシの高速6DOFの解を提供するために、位相情報が送信機20によって提供され、送信機20と、センサ31および/またはマイクロコントローラ32と、の間で同期されてもよい。このようにして、マイクロコントローラ32および/またはホストサーバ10は、生成された磁場の瞬間的な位相を知ることができ、(本明細書で説明されるように)拡張カルマンフィルタ設定において同期された位相情報およびタイムスタンプを使用することによって、迅速な6DOFの解を生成することができる。
【0060】
本明細書においてより詳細に説明するように、例えば、図2を参照して、本発明のいくつかの実施形態によれば、磁場生成器/送信機20は、回転磁石と、磁石回転の瞬時位相、例えば、磁石が所与の瞬間にその回転軌道内に位置する位置を検知する回転センサ(例えば、磁力計)とを含む。例えば、回転センサは、例えば、フルレートでのクロック読み取りのそれぞれのタイムスタンプと共に、瞬間位相情報をサーバ10に通信するように構成される。
【0061】
例えば、それらの一致するタイムスタンプに従って、サーバ10は、生成された磁場のある位相状態を、位相読み取りと同時に検出および/または送信されたセンサ31から受信された対応する局所磁場の読み取り値に関連付けることができる。磁場の読み取り値および関連する瞬時位相の読み取り値に基づいて、サーバ10/マイクロプロセッサ32は、例えばリアルタイムで、完全曲線カテーテルの測定位置を計算することができる。例えば、ホストサーバ10/マイクロプロセッサ32は、生成された磁場の瞬時位相値である交流磁場の少なくとも1つの生成器20から受信することができ、瞬時位相値と、センサ31から受信した検知磁場値の少なくとも一部との間に関連することができ、および/または、磁場値および関連する位相値に基づいて、可撓性チューブ36の測定位置を計算することができる。
【0062】
システム100は、複数のカテーテル30を含むことができ、サーバ10は、複数のカテーテル30について、例えば同時に、完全曲線カテーテルの測定位置を計算することができることが理解され得る。
【0063】
ここで、本開示のいくつかの例示的な実施形態による、デジタル磁力計によって追跡するための例示的な磁場生成器/送信機20の概略図である図2を参照する。生成器/送信機20は、少なくとも1つの永久磁石22と、内部クロック28および通信インターフェース29を有するプロセッサ/コントローラ27と、モータ装置21と、磁力計25と、電源24とを含んでもよい。
【0064】
図2に示され、本明細書で説明される生成器/送信機20の構成は、本発明のいくつかの実施形態によって必要とされず、本発明のいくつかの実施形態によれば、生成器/送信機20の他の適切な構成、構成要素、および/または構造が可能である。
【0065】
いくつかの実施形態では、生成器/送信機20は、例えば、約1μTの強度を有する、または送信機から例えば約1メートルのところでより強い、例えば60Hz未満の低周波電磁場を生成する。通常、アンペアの法則に従ってAC電流によってこのような強い電界を発生させるためには、非常に高い電力消費を持つ非常に大きな送信機が必要となる。しかしながら、本発明のいくつかの実施形態によれば、生成器/送信機20は、磁場を生成する少なくとも1つの永久磁石22を含む。少なくとも1つの永久磁石によって磁場を生成することによって、生成器/送信機20によって生成される磁場は、AC電流によって生成される磁場よりも約100倍も強く、同様の寸法の送信機によって生成され、結果として極めて低電力の送信機となる場合がある。磁石の材料は、生成器/送信機20のサイズと比較して生成磁場強度を最大にするように選択される。例えば、生成器/送信機20は、希土類磁石、例えば、ネオジム磁石または別の適切な材料の磁石を含むことができる。
【0066】
AC磁場を生成するために、本発明のいくつかの実施形態では、磁石22は、例えば、モータ装置21、例えば直流(DC)モータによって、または、加えられたトルクで磁石をその中心で回転させるのに十分な強さの、弱いAC磁場を生成する磁石22の周りに巻かれた電磁コイルによって、または、加えられたトルクで磁石を回転させるのに十分な強さの、弱いAC磁場を生成する磁石22の近くに配置される、既製の単一軸電磁コイルによって、または任意の他の適切な装置によって、所望の動作周波数fで、回転される軸上に取り付けられる。したがって、例えば回転磁石22は、周囲空間に交流磁場を生じる。回転磁石22によって生成される磁場は、周波数fおよび直交位相の2つのAC磁場の重ね合わせとして以下のように表すことができ、2つの別個の仮想コイルxおよびyによって生成される。
【数1】
ここで、Φ(t)は、磁石22の回転内の位相である。完全な設定Φ(t)=ωtでは、つまり、送信機は完全に固定された周波数ω=2πfを生成するが、より実際的なシナリオでは、これは次のように表すことができる近似値に過ぎない。
【数2】
Bxは、「x」仮想コイルによる磁気双極子磁場であり、Byは、「y」仮想コイルによる磁気双極子磁場である。換言すれば、Bx、Byは、回転磁石22の仮想「x」及び「y」軸にそれぞれ対応する2つの磁場である。本発明のいくつかの実施形態によれば、磁石22は、他の、例えば、より複雑な運動モデルに従って移動するように制御されてもよいことが理解され得る。例えば、磁石22は、時変軸方向を中心に回転されてもよい。例えば、磁石22の移動は、固定軸の周りの回転運動と、固定軸に平行な周期的な直線運動との組み合わせを含むことができる。他の運動モデルも本発明の範囲内である。いくつかの実施形態では、より複雑な運動モデルは、双極子場がBz(r→)で示され、位置および方向の計算を強化し得る、追加の直交仮想コイル「z」を追加し得る。これは、磁力計25が磁石22の瞬間的な位置、例えば位相を検出する能力を保持したままである。
【0067】
いくつかの実施形態では、磁石22は、受信機20によって検知されるより複雑な磁場を得、したがって、例えば、位置および方向の計算のためのより多くの情報を提供するために、追加の、二次的な、軸の周りを回転するように、生成器20によって制御されてもよい。磁力計25は、対応する生成磁場を感知し、それに応じて、第1軸および第2軸を中心とする回転運動における磁石22の瞬時位相を計算し、計算された瞬時位相を受信機20に送信することができる。例えば、磁石22の周期運動は、磁石22及び/又は第1のモータを第2のモータのカムシャフトに取り付けることによって生成される。例えば、第1および第2の軸を中心とする周期運動は、磁石22をシャフトに装着することによって磁石22に適用され、シャフトは自由に回転し、軸方向に移動し、周囲のスリーブ内の溝に係合する半径方向ピンを含む。任意に、溝はシャフト内にあり、ピンはスリーブから半径方向に溝内に延びる。
【0068】
プロセッサ/コントローラ27、例えばマイクロコントローラ/コントローラは、モータ21が作動する及び/又は磁石22が回転する永久的な所望の周波数fを維持することができる。例えば、所望の周波数fは、コントローラ27および/または送信機20のハードウェアに固有であり、および/またはその中に埋め込まれている。例えば、モータ装置21は、例えば、コントローラ27のクロック28に従って動作する、または、それ以外では実質的に一定の周波数を維持する、非常に安定したモータおよび/または特別に設計されたモータであってもよい。いくつかの実施形態では、コントローラ27は、例えば、モータ21に提供される対応する電圧レベルを送信機の磁力計25(回転センサ)との閉フィードバックループ内に維持することによって、様々な可能な周波数間で切り替えて、送信機20に所望の維持された周波数f内のAC場を生成させることができる。いくつかの実施形態では、コントローラ27は、周波数fを変更するためのハードウェアおよび/またはソフトウェアコンポーネントを含むことができる。維持された周波数fは、受信機/センサ20に、例えば、例えば、コントローラ27によって、通信インターフェース29によって通信することができる。通信インターフェース29は、低電力無線送信機/受信機、例えば、2.4GHz送信機/受信機、および/または低エネルギーブルートゥース(登録商標)装置、WiFi通信装置、USBケーブル、または任意の他の適切な通信装置を含み得る。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態によれば、磁力計25は、回転磁石22に対して固定された位置に配置されてもよい。磁力計25は、磁石22の回転周期を検知してもよく、周期において磁石22が位置する場所、例えば磁石22の瞬間的な回転位相Φ(t)を検知してもよい。本明細書でより詳細に示すように、磁石22の回転位相は、対応する1つまたは2つの軸を中心とする1つまたは2つの回転位相を含むことができる。例えば、磁力計25は、例えば、多くの回転期間にわたって収集された磁気サンプルの主成分分析(PCA)、例えば、磁石22を回転させることによって送信機20を中心とした局所座標系で引き出された楕円の軸を抽出することによって、磁石22の位相の推定を提供することができ、または、例えば、最適化の手段によって回転磁石の多くの期間にわたって収集されたサンプルに楕円を当てはめることによって、磁石22の位相を検出するための任意の他の適切な方法を提供することができる。本発明のいくつかの実施形態によれば、磁力計25は、回転磁石の回転軸に、および/または回転磁石の回転軸上に配置される。対称性のために、検知された磁場は、磁石が回転している間に、磁力計25の位置に近似の円または楕円を形成する。形成された楕円/円は、例えば、サーバ10/マイクロコントローラ32によって識別することができる。例えば、楕円/円は、例えば、ホストサーバ10/マイクロプロセッサ32によって、検知された磁場の周期的な曲線形状に適合され得る。例えば、サーバ10/マイクロプロセッサ32は、検知された磁場の周期的な曲線形状を円に近似し、および/またはこの円内で生成された磁場の瞬時位相状態を計算することができる。
【0070】
磁石22の回転周波数は、磁力計25のサンプリングレート、例えば、約100Hz~1000Hzの範囲のサンプリングレートに比べて著しく低くすることができ、これにより、例えば、磁石22の回転位相をより正確に推定することができる。従って、本発明のいくつかの実施形態では、磁石22の回転周波数は、磁力計25のサンプリングレートよりもはるかに低く、例えば、磁力計25のサンプリングレートによれば、一桁低い、例えば、約10Hz~100Hzまでである。したがって、プロセッサ/コントローラ27は、磁石22の回転位相を計算し、および/または、例えばインターフェース29によって、計算された位相を受信機サーバ10に通信することができる。磁力計25は、一部の実施形態では、センサ束、例えばIMUチップに含まれてもよい。
【0071】
本開示のいくつかの実施形態によれば、従来の磁場/電磁場送信ユニットとは異なり、送信機20は、磁場を誘導するために電流を使用せずに磁場を生成してもよい。送信機20は、永久磁石22によって生成された既に存在する場を利用する。従って、送信機20の電力消費は、従来の送信機ユニットと比較してはるかに低く、低消費は、例えば、数10時間の標準バッテリーで動作することを可能にする。従って、例えば、送信機10に電力を供給し得る電源24は、使い捨て及び/又は再充電可能バッテリー及び/又は任意の他の適切な低電力源のような低電力源であってもよい。標準的なDCモータを使用して、または磁石にトルクを加え、それを回転させる、磁石の近くのコイルによって生成される弱いAC磁場によって、磁石を回転させることは、標準的なEM送信機を使用して同じAC磁場を生成することよりも、はるかに少ない電力しか消費しない。
【0072】
次に、本開示のいくつかの実施形態による、デジタル磁力計による追跡のための方法300を示す概略的なフローチャートである、図3を参照する。ブロック310に示されるように、サーバ10は、生成された交流磁場の瞬時位相、例えば、永久磁石22の瞬間的な回転位相に関するデータを、例えば、クロック28の対応するクロック読み取りと共に、生成器/送信機20から受信してもよい。例えば、サーバ10は、所定の期間に、および/または磁力計25が生成された交流磁場の位相を検出するたびに、生成器/送信機20から位相データを受信することができる。さらに、サーバ10は、ソース、すなわち送信機20において、例えば磁力計25から、および/またはサーバ10に記憶された予め定義された較正データによって、生成された磁場の振幅および/または振幅を受信および/または抽出することができる。
【0073】
ブロック320に示すように、サーバ10は、生成器/送信機20によって生成される磁場を検知する可撓性チューブ36に沿ったセンサ31のうちの少なくとも1つによって検知される、局所磁場の検知値を受信してもよい。センサ31は、その局所座標系で生成された磁場を検知するので、磁場読み取り値は、生成器/送信機20に対するその方位に従って回転され、例えば、センサ31による次の磁場測定値をもたらす。
【数3】
ここで、Rは、生成器/送信機20の座標におけるセンサ31の方位を表す3×3マトリックスであり、M0は、センサ31のセンサバイアスであり、M(t)は、生成器/送信機20の座標における、例えば、センサ31の位置における環境磁場に加えて、生成された磁場である。
【0074】
システム100に含まれる単一の生成器/送信機20の場合、本発明のいくつかの実施形態では、センサ31のうちの1つの位置における局所磁場は、周波数fおよび直交位相の2つのAC磁場の重ね合わせとして表すことができ、送信機20の2つの別個の仮想コイルxおよびyによって生成される。
【数4】
ここで、B0は、環境磁場(例えば、地球の磁場)であり、Bx,Byは、生成器/送信機20の仮想コイルによる磁場であり、r(t→)は、センサ31の時刻における位置であり、Φ(t)は、時間における生成器/送信機20の検知された位相である(例えば、磁力計25によって検知される)。したがって、検知された磁場MRX(t)は、センサ31の位置および方位の、例えばサーバ10による抽出を伝送および/または可能にし、位相Φ(t)は、生成器/送信機20から受信され、時間tは、クロック28の共有読み出し、またはシステム100の構成要素の少なくとも一部の間で共有される外部クロックソースである。
【0075】
ブロック330に示されるように、サーバ10は、磁力計25および/または生成器/送信機20によって検知および/または通信された磁石22の検知瞬時位相と、対応するクロック28の共有クロック読み取り値、またはサーバ10およびセンサ31および/またはマイクロコントローラ32などのシステム100の構成要素間で共有される外部クロックソースの共有クロック読み取り値に基づいて、センサ31から受信された磁場の検知値とを関連付けることができる。
【0076】
ブロック340に示されるように、サーバ10は、受信した磁場の検知値および磁石22の関連する位相に基づいて、磁場の検知値、例えば、センサ31の各々の6DOFまたは5DOFの測定位置、および/またはチューブ36の全体的な位置、方位、および/または曲線を提供したセンサ31の位置および方位を計算することができる。いくつかの実施形態によれば、サーバ10は、本開示のいくつかの実施形態において、センサ31に含まれる対応するセンサの測定位置計算のために、加速度計および/またはジャイロスコープの読み取り値を使用してもよい。
【0077】
本開示のいくつかの実施形態によれば、センサ31は、最小サイズを有することが必要とされ、したがって、例えば、ジャイロスコープおよび/または加速度計および/または他の追加のセンサを含まなくてもよい。そのような場合、システム100は、例えば、6DOFまたは5DOFの測定位置のより正確な計算を可能にするために、複数の生成器/送信機20、例えば、生成器/送信機20aおよび20bを含んでもよい。
【0078】
生成器/送信機20aおよび20bは、両方とも、例えば異なる周波数(必ずしも直交していない)で交流磁場を生成してもよい。生成器/送信機20aおよび20bは、互いに対して固定された位置および方位に配置されてもよく、および/または生成器/送信機20aおよび20bの相対位置および/または方位は、例えば、手動および/またはコンピュータ化された較正によって、計算および/または調整されてもよい。
【0079】
単一の生成器/送信機20と同様に、生成器/送信機20a及び20bは、それぞれ磁場M1(t)、M2(t)を生成し、次式で表すことができる。
【数5】
【数6】
r1(t)、r2(t)は、それぞれ送信機20aと20bの座標におけるセンサ31の位置あり、Φ1(t)、Φ2(t)は、それぞれ送信機20aと20bの磁力計25によって追跡される位相であり、Bx1、By1は、送信機20aの仮想コイルによる磁場であり、Bx2、By2は、送信機20bの仮想コイルによる磁場である。生成器/送信機20aおよび20bは、同じクロックを共有し、および/または同期クロックを有することができる。
【0080】
センサ31によって検知される磁場は、次式で表すことができる。
【数7】
ここで、R1およびR2は、それぞれ、生成器/送信機20aおよび20bの座標におけるセンサ31の方位を表す3x3行列であり、B0は、環境磁場(例えば、地球の磁場)であり、M0は、センサ31のセンサバイアスである。生成器/送信機20aおよび20bの位置は互いに対して固定されているので、R2および/またはr2は、例えば、次の単純な関係によって、容易に導き出すことができ、および/または、その逆も可能である。
【数8】
ここで、T12は、送信機20aの座標を送信機20bの座標に、またはその逆に変換する既知の剛体変換である。従って、システム100が2つの生成器/送信機20a及び20bを含む場合、各センサ31に対して対応する2つの相対的位置及び2つの相対的方向を解く必要がない場合がある。第1の送信機に対する位置および方向を解決すれば十分であり、これは第2の送信機の座標系に変換され得る。したがって、サーバ10は、受信された検知磁場MRX (DUAL)および検知された磁場の位相、ならびに生成器/送信機20aおよび20bから受信されたクロック読み取り値に基づいて、センサ31の6DOF位置および方位を計算することができ、例えば、サーバ10/マイクロコントローラ32内に実装されたカテーテル位置測定アルゴリズムである。
【0081】
当然のことながら、センサ31及び/又はチューブ36の6DOFの測定位置のための解決策は十分に柔軟であり、空間内の種々の位置での瞬間的生成磁場が既知である限り、送信機20の任意の特定の実施、構造及び/又は構成に依存しない。一般的な設定では、センサ31による磁場の読み取り値は、次のように記述することができる。
【数9】
ここで、M(r→、t)は、点r→および時間tにおける生成器/送信機20の座標における既知の生成磁場がある。例えば、M(r→、t)は、異なる周波数を有する一般的な正弦波電磁コイル場の重ね合わせとして例えば、以下のようにモデル化することができる。
【数10】
ここで、Bi(r→)はi番目の電磁コイルによる磁場であり、fiは、i番目のEMコイルの動作周波数である。
【0082】
本開示のいくつかの実施形態では、カルマンフィルタを使用して、センサ31の位置および/または方位状態を追跡してもよい。カルマンフィルタアルゴリズムを使用することにより、センサ31の検出状態を更新するためのより速いリフレッシュレートと、より良い全体的な追跡性能とが得られ得る。センサ31のサンプリングレートが、例えば、100Hz~1000Hzであってもよい、低周波数磁力計に基づく位置測定システムでは、送信機20の磁場周波数は、約10~100Hzに制約されてもよいことが理解されよう。この場合、正弦波の全周期をフィールド振幅に分解することに依存する位置測定アルゴリズムは、リフレッシュレートが遅く、全体的な追跡性能が劣るため、ほとんどの医療用途では受け入れられない。本開示のいくつかの実施形態では、サーバ10は、そのカテーテル位置測定アルゴリズムに組み込まれたカルマンフィルタアルゴリズムを使用することによって、低速リフレッシュレートの問題を解決し、これは、いくつかの実施形態では、ほとんどの医療用途に十分に高速な、少なくとも100Hzのリフレッシュレートをもたらすことができる。
【0083】
サーバ10は、カテーテルチューブ36の運動を記述するために数学的モデルを使用することができる。いくつかの実施形態では、サーバ10は、各センサ31を独立して追跡することができる。例えば、サーバ10は、例えば、現在の時間フレームにおける状態に基づいて、および/または予測を補正するために使用され得るIMUセンサ束測定値に基づいて、次の時間フレームのセンサ31の状態を予測し得る。例えば、運動モデルは、センサ31の位置及び/又は方位に対して一定及び/又は減衰速度を使用することができる。例えば、サーバ10は、カルマンフィルタアルゴリズムのために、センサ31のための状態ベクトルを使用することができる。状態ベクトルは、例えば、それぞれが、センサバイアス、環境磁気バイアス、送信機20/20aの座標における位置、送信機20/20aの座標における方位(クォータニオンとして表される)、送信機20/20aの座標における速度、局所座標における角速度(送信磁場の周波数と混同されないように、また、時には、ωによって表される)である、以下のようなパラメータで構成されてもよい。
【数11】
M0、B0は、ゆっくりと変化し、一定またはほぼ一定としてモデル化される。一定速度からの逸脱、例えば、直線加速度および角加速度の存在、および/または一定環境磁場およびセンサバイアスからの逸脱は、例えば、対応する共分散行列を伴うプロセスノイズとしてモデル化することができる。
【0084】
状態ベクトルおよびその動的モデルを定義した後、サーバ10は、センサ31の状態ベクトルおよび/または連続するタイムフレーム間の状態共分散を予測することができる。次いで、状態ベクトルを予測に従って補正して、新たに得られたセンサ磁場読取りにより良好な適合をもたらすことができる。例えば、その磁気測定がMRX (DUAL)(t)としてモデル化されている追跡状態ベクトルは、最新の検知された磁気読取りからわずかな量のランダムノイズだけずれたベクトルを生じ得、その標準偏差は、その典型的な値に従って、例えば、それぞれの磁力計のデータシートから設定され得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、サーバ10によって使用される運動モデルは、モジュール式および/または拡張可能である。例えば、オプションの加速度計またはジャイロスコープセンサが、例えばセンサ31に存在すると、カルマンフィルタは、直線加速r・・→のための付加的な状態を含むように拡張することができる。加速度計-ジャイロスコープの読みは、重力加速度と直線加速度との間を分離するために、IMU融合フィルタで処理することができる。次いで、計算された直線加速度は、状態ベクトルを補正するときの測定値r・・→としてカルマンフィルタに供給され、一方、ジャイロスコープの読み値は、測定値ω→として機能することができる。余分な加速度計-ジャイロスコープの読み取り値は、フィルタのレイテンシを大幅に低減し、さらに高速で、より安定した位置測定を提供することができる。
【0086】
別の構成では、例えば、「古典的である」IMU-融合方位追跡と磁力計ベースの6DOF追跡との間を分離する代わりに、追加のIMUデータ(加速度計、ジャイロスコープ)を、単一の統一拡張カルマンフィルタにおける磁力計読み取り値と組み合わせることができる。このフィルタの状態は、(上述したように)次のようにすることができる。
【数12】
この統一フィルタは、その位置に対して一定の(または減衰した)加速モデルを使用することができる。各センサ31(磁力計、随意の加速度計及びジャイロスコープ)は、「更新」ステップのための測定に寄与することができ、このステップでは、フィルタの状態を用いて全ての測定を説明する必要がある。例えば、磁気測定は、M0、B0、r→、Qを使用して、MRX(DUAL)で説明され、加速度計測定(重力加速度と直線加速度との間の重ね合わせである)は、Q、r・・→を組み合わせることにより、示され、ジャイロスコープ測定は、ω→によって直接説明され得る。
【0087】
センサ31および/またはチューブ36の6DOFの測定位置を解くために拡張カルマンフィルタを使用することは、図2を参照して説明した送信機20に限定されず、任意のタイプの送信機20に対して容易に一般化することができる。各磁気測定がフィルタの状態を用いて説明できる限り、フィルタは完全に機能し、高速6DOFの解を提供することができる。これは拡張カルマンフィルタの優れた特性であり、状態の高品質の解のためにすべてが必要となるのは、それらの状態を用いて測定をモデル化できるようにすることである。
【0088】
例えば、電磁コイルにより磁場を生成する電磁生成器/送信機20を使用する場合には、次のようなより一般的な式に置き換えてもよい。
【数13】
【0089】
ここで、M(r→、t)は、使用される送信機20によって生成される磁場に依存する。これは、送信機の選択に対して不変なセンサ31/チューブ36の6DOFの測定位置の解のための拡張カルマンフィルタの使用を可能にし、これは多くの一般目的に対して極めて強力で柔軟である。
【0090】
本開示のいくつかの実施形態によれば、サーバ10は、例えば、センサ31の各々について別々に位置および/または方位を計算するのではなく、センサ31間の既知の構造的関係をカテーテル位置測定アルゴリズムにおいて使用して、チューブ36全体としての位置、方位、および/または曲線の推定値を計算することができる。
【0091】
ここで、本開示のいくつかの実施形態による、カテーテル30の概略図である図4を参照する。カテーテル30は、カテーテルチューブ36内および/またはカテーテルチューブに沿って配置された可撓性PCB33を含むことができる。PCB33は、例えば、少数のワイヤ線35、例えば、2つから4つのワイヤ35を含むことができる同じデータバス34によって、マイクロコントローラ32に通信接続することができる。例えば、集積回路間(I2C)は、PCB33に沿って設置されたマイクロコントローラ32とセンサ31との間のデジタル接続インターフェースとして使用される。いくつかの実施形態では、センサとマイクロコントローラ32との間でデータを交換するために2本のワイヤ35しか必要とせず、これは、ワイヤ数を少なく保つべき小さなカテーテルにとって有益であり得る。
【0092】
例示的な構成では、可撓性PCB33は、8つ、5つ、10つ、または任意の適切な数のセンサ31をその上に取り付けることができ、例えば、すべてが同じI2Cバス(例えば、シリアルデータおよびシリアルクロックライン)に接続される。いくつかの実施形態では、マイクロコントローラ32は、例えば電圧線および/または接地線を含む4線式シールドケーブルを使用して、可撓性PCB33に接続される。マイクロコントローラ32は、例えば、センサ31によるデジタル測定値の読み取りのための2つのデータラインに加えて、デジタルセンサ31のための電圧及び/又は接地を提供することができる。マイクロコントローラ32は、例えば、センサ31を順次読み取り、例えば、有線および/または無線通信を介して、センサ読み取り値をサーバ10に送信することができる。わずかに異なる構成では、マイクロコントローラ32と可撓性PCB33および/またはセンサ31との間を接続するために、5本のワイヤ35を使用することができる。例えば、追加のデータ行が追加されてもよい。例えば、センサ31のいくつかは第1のデータラインワイヤを使用することができ、他のセンサ31は第2のデータラインワイヤを使用することができる。従って、例えば、マイクロコントローラ32は、センサ31のいくつかを同時にサンプリング及び/又は読み取ることができ、これにより、例えば、全体的なI2Cサンプリング時間を短縮することができる。例えば、2本の並列データラインワイヤの場合、サンプリング時間が半減することがある。
【0093】
可撓性PCB33の設計及び/又はその上のセンサ31の位置決めは、例えば、PCB33が真っ直ぐであるときに、センサ31の位置及び/又は方位を提供することができる。例えば、製造工程中に、例えば、チューブ36に関するセンサ31の位置及び/又は方位を決定するような方法で、PCB33を内部及び/又はチューブ36沿いに取り付けることができる。サーバ10は、サーバ10に、センサ31の初期6DOF方位および/または位置、例えば、チューブ36が真っ直ぐであるときのセンサ31の6DOF方位および/または位置を提供するように較正されてもよい。最初の6DOF方位および/または位置データは、チューブ36の剛性および/または可撓性の限界についての情報と共に、形状の制約としてカテーテル位置測定アルゴリズムに組み込まれてもよい。例えば、組み込まれた形状制約に基づいて、2つの隣接するセンサ31は、反対方向を指すことができない。
【0094】
このようにして、形状制約を考慮に入れた、より洗練された位置測定アルゴリズムによって、システム100をコンパクトかつロバストなものとすることができる。カテーテルチューブ36の完全な曲線形状に物理的形状の制約を課しながら、全てのセンサ31の6DOF位置及び/又は方位を解くことは、運動モデルのパラメータの数を本質的に減少させることができ、従って、例えば、測定されたデータのオーバフィッティングを防止することができる。形状の制約を使用することによって、位置および/または方位の解が、例えば、隣接するセンサ31の位置および/または方位の解に従わなければならず、したがって、例えば、それらが一緒になって滑らかで物理的に妥当なカテーテルチューブ36を描写するので、サーバ10は、ノイズの多い、または歪んだ測定に起因して、センサ31の位置および/または方位を誤って計算することを控えることができる。
【0095】
電磁位置測定システムにおける共通の課題は、磁気歪みが存在する場合に、できるだけ正確であることである。低周波システムの場合、主な歪みは強磁性材料で作られた物体である。病院の現場では、これらは患者のベッドのフレームの中、または医療処置の間に医師によって使用される器具(例えば、外科用器具)の一部として見つかることがある。位置測定システムが磁気歪みを考慮しない場合、それは極めて不正確(位置誤差>1cm)であり、医療用途には適さないことがある。磁気歪み器は、システムに対する位置を固定され得る静的歪み器と、医学的処置間および/または処置中に移動し得る動的歪み器とに分けることができる。静的磁気歪み器は、位置測定システムの展開中に磁場生成器に対して固定することができる物体であり、位置測定システムの寿命期間使用中は永続的に固定されたままである。本開示のいくつかの実施形態では、静的歪みは、磁気マッピングのプロセスによって対処することができ、そこでは、送信機(複数可)20の周囲の検知半径内の磁場は、もはや完全な双極子場であると仮定されないが、むしろ、較正されたセンサ31を備えたオフラインプロセスで「マッピング」され、後に、歪んだ場の下でも正確な6DOF位置および方位のために解くために、リアルタイムソルバ(solver)によって使用される。いくつかの実施形態では、サーバ10は、例えば、正確な解を提供するために、位置測定アルゴリズムに歪みを組み込むことによって、動的歪みを考慮に入れることができる。
【0096】
動的磁気歪みを補償するために、異なる方法を使用することができる。1つの方法は、センサ31の検知された磁場のモデルの内部に物理的歪みモデルを組み込むことであろう。複数の送信機20の場合でさえも、6DOF及び歪みモデルパラメータを測定されたセンサ31データにオーバフィッティングさせるソルバの能力のために、パラメータのこの追加は、各センサ31が独立して解かれるならば、ロバスト性の低い解をもたらすことがある。このため、ソルバは、カテーテルチューブ36内のセンサ31の解かれた幾何学的形状及び歪み場の幾何学的特性の両方に関して、「機械的意味」を理由パラメータに制約されるべきである。動的歪みに対処する別の方法は、カテーテルチューブ36の全曲線形状に形状制約を課すことを含むことができる。サーバ10によって計算される6DOFの方位および位置の解は、例えば、上述のように、形状の制約によって正則化されるため、チューブ36の曲線に沿ったセンサ31の実際の位置および方位からあまり逸脱しない場合がある。動的歪みは、通常、位置および方位の計算を全く異なるように変形させる局所的なアーチファクトであるが、課せられた形状の制約は、複数のセンサ31の位置および/または方位の解が、カテーテルチューブ36の完全に解かれた曲線に関して、依然として意味のあるものであることを確実にするであろう。歪みの望ましくない効果は、単に形状の制約が課せられているために、自然に減少する。
【0097】
位置測定アルゴリズムに形状制約を課すためのいくつかの方法がある。1つの選択肢は、各セグメント37の端部に単一のセンサ31を有する1組のラインセグメント37としてカテーテルの形状を近似することである。各センサ31の、その周囲のカテーテルに対する方位、およびその隣接する受信機までの距離は、固定されており、例えば、位置測定アルゴリズムの較正によって知られていると仮定される。したがって、本開示のいくつかの実施形態によれば、カテーテル曲線全体は、センサ31のうちの1つ、例えば、チューブ36に沿った第1のセンサ31、例えば、サーバ10および/またはマイクロコントローラ32への通信経路において最も近い第1のセンサ31に属し得る6DOFの単一のセットによってモデル化され、センサ31と、センサ31の間のセグメント37内のカテーテルの屈曲に対応する2つの球面角度、および/または、対応するラインセグメント37内のチューブ36の内部ねじれを表すための追加の角度にすることができる。本発明のいくつかの実施形態では、PCB33は、例えば、センサ31の間に、例えば、センサ31が配置されるPCB33の部分よりも薄い、より薄い部分33aを含み、これは、例えば、部分33aにおけるPCB33の可撓性および/または屈曲性を向上させることを容易にするためである。
【0098】
ここで、本開示のいくつかの実施形態による、カテーテル30aの概略図である図5を参照する。いくつかの実施形態では、可撓性PCB33は、例えば、PCB33とともに、例えば、チューブ36のカテーテル30aの可撓性および/または屈曲性を向上させることを容易にするために、図5に示されるように、チューブ36の内壁または外壁上に、および/またはそれに沿って、らせん状に巻かれる。ここでより詳細に説明するように、例えば、図6を参照して、PCB33は、例えば、複数の双極子磁石であるセンサ31および/またはデータバス34に、さらに運ぶことができる。
【0099】
したがって、いくつかの実施形態では、カテーテルの形状におけるパラメータの数は、各センサ31についての6DOFの方位および位置から、第1のセンサ31についての6DOFの方位および位置に、各追加のセンサ31についての3つの角度を加えたものに、大幅に低減される。この方法では、解決されたセンサ31の方位及び位置は、例えば、センサ31間の固定された距離、例えば、チューブ36のある周囲のセグメントに対する各センサ31の固定された方位を仮定するハードな制約のために、オーバフィッティングを起こしにくい。代替案は、ソフトモデルを使用することであり、その中で、例えば、近隣のセンサ31に関するセンサ31の位置および方位は、例えば、パラメータをペナルティにするために、正則化項とともにパラメータ化される。
【数14】
ここで、ri、ri+1は、2つの連続するセンサ31のそれぞれの位置、およびDi(cal)は、2つの連続するセンサ31の間の較正された距離である。あるいは、不等式を使用して、解かれた距離を、例えば以下のような、ある範囲に制約することができる。
【数15】
センサ31のパラメータを考慮したこのようなモデルは、単一の拡張カルマンフィルタで形式化できる。
【0100】
別の可能な方法は、例えば独立したソルバを用いて、センサ31の方位および/または位置を解くことであり、これは、センサ31間のセグメント37内のカテーテルチューブ36の曲線に機械モデルを当てはめ、次いで、個々のセンサ31をチューブ36の曲線に沿ったその関連する位置および方位にできるだけ近づけることを含むことができる。これは、例えば、センサ31の解かれた位置の間に低度の多項式を当てはめ、次いで、センサ31のモデルの位置を(ノイズのある)位置測定として、独立したソルバに使用することによって達成することができる。これを達成するための別のより一般的な方法は、カテーテルの形状の制約(例えば、位置および方位の滑らかさの制約、連続するセンサ間の曲線に沿った距離など)を符号化し得る、あるエネルギー関数を有する一般的な曲線としてチューブ36の曲線を記述することによる。次に、チューブ36の曲線を、非線形最適化によってセンサ31の雑音の多い測定値または歪んだ測定値に適合させ、センサ31の誤差およびチューブ36の曲線のエネルギー関数を同時に最小限に抑えることができる。個々のセンサ31の測定位置計算と完全曲線の適合計算とを交互に行う方法は、計算を並行して実行することができるので、有益であり得る。潜在的に巨大な拡張カルマンフィルタの内側で全体としてチューブ36の全曲線形状を解く代わりに、タスクは、各センサ31の局所化を個別に解くなど、より小さなサブタスクに分割されてもよく、次いで、サブ結果は、最終的なカテーテルの曲線フィッティングの形成で一緒に接着されてもよい。
【0101】
いくつかの実施形態では、環境磁場(例えば、地球の磁場)がカテーテルの曲線に沿って均一であると仮定することによって、システムの自由度の数を低減することがさらに可能である。解決された環境磁場は、(送信機の座標系において)B0によって示され、カテーテルの各センサについて独立して解決される。環境磁場がカテーテルに沿って均一であると仮定することによって、B0は、カテーテルのすべてのセンサについて一緒に解決することができ、したがって、システムの自由度が低減され、オーバフィッティングの危険性が低減される。直感的に、センサ間でB0の共有は、センサ間の相対的方位に制約を課す(これは、完全なカテーテル形状-制約と共に、センサの相対的位置にも制約を課す)。B0がカテーテル全体に沿って均一であると仮定することは、磁気歪みが存在する場合には正しくないことがあり、これらの場合には、環境磁場は変形し、空間内で、特にカテーテル曲線に沿ってゆっくりと変化することがある。この場合、隣接するセンサ間でほぼ一定であると仮定して、より柔軟な仮定を利用することができる。この柔軟な仮定は、以下のようにエネルギー関数として表現され、最小二乗法の意味で最小化される(完全なカテーテルソルバ最適化の一部として)
【数16】
これは、隣接するセンサ(B0i、B0i+1)の解かれた環境磁場が互いに類似することを必要とする。上述した全ての場合において、解決されたB0は、もはやセンサ毎に独立ではなく、むしろカテーテルに沿ったセンサの中間方位に幾つかの制約を課すために一緒に縛られる。
【0102】
別の実施形態では、センサの解決された6DOFに制約を課すために自然環境磁場(例えば地球)を使用する代わりに、カテーテルの曲線に沿って小さな磁石を組み込むことによって、人工的な一定の磁場を作り出すことができる。既知の位置および方位に配置された磁石を用いて、完全なカテーテル曲線の任意の所与の構成についてB0を完全に予測することができる。また、(形状平滑性の制約によって、組み込まれた磁石の相対的な位置および方位も一意的に規定される)センサの相対的な位置および方位にB0が依存してもよい。なぜなら、そのような異なる構成の各々は、異なるように位置および方位に組み込まれた小型磁石によって、各センサに他の直流磁場(例えば、実質的にゼロ周波数を有する磁場)を曲線に沿って潜在的に流すことができるからである。各完全曲線の構成に対して組み込まれた各磁石の正確な位置と方位を知ることにより、各センサのB0の予測が可能となり、その結果、システムの自由度数がさらに減少する可能性がある。
【0103】
ここで、本開示のいくつかの実施形態による、カテーテル30bの概略図である図6を参照する。カテーテル30aは、例えば等距離でセンサ間に配置された複数の双極子磁石38を含むことができる。例えば、双極子磁石38は、チューブ36が直線状態にあるとき、センサ31の2つの側面に位置する2つの磁石38が反対の双極子方向を有するように方向づけられる。カテーテルチューブ36が直線の場合、各センサは、完全に整列した正および負の双極子場の重ね合わせを検知することができるので、センサ31の2つの側面に位置する2つの磁石の寄与を相殺することができ、したがって、例えば、センサ31によって検知されるB0は、実質的に地球の磁場のみを含むことができる。カテーテルが曲がり始めると、センサ31の2つの側面に位置する2つの磁石の寄与は、Csin(α)として直線的に成長する。αは曲がり角度であり、Cは磁石38の相対的位置および強度に応じて何らかの既知の定数である。この例では、B0が、隣接するセンサ間の相対的方位に関するより多くの情報をどのように符号化するかが明らかである。カテーテルに沿って磁石38を組み込むことにより、この例のように、(比較的強い磁石を組み込むことにより)SNRに関して、(組み込まれた磁石は、磁気歪みの傾向がはるかに少なく)信頼性、(注意深く選択された方位に磁石を位置させることにより、特定の用途に対して望まれるように制約をチューニングする)幾何学的形状に関して、地球の磁場を使用する場合よりも相対的なセンサの方位に関して、より効率的な制約が達成され得る。
【0104】
本発明のいくつかの実施形態では、システム100は、最小侵襲手術における臓器変形追跡のために使用されてもよい。例えば、何らかの外部手段によって内部器官に加えられる変形を追跡するために、完全曲線カテーテル測定位置が使用される。例えば、腹腔鏡処置の間、器官は、ライブ腹腔鏡ビデオにおいて器官のどの部分が見えるかを知ることが困難である程度まで、ツールを使用して操作され得る。その理由のため、視覚マーカーが時々利用され、処置の開始時に、および器官に任意の操作を適用する前に、マーカーは、既知の解剖学的標識点で器官の表面上に配置される。次いで、器官は、その初期の既知の状態と比較して高度に操作され、変形されても、ある種の解剖学的位置測定を可能にするために、処置全体にわたって視覚的に追跡され、位置合わせ基準として使用される。
【0105】
残念ながら、肺腹腔鏡検査のように、隠れた血管を同定するために測定位置が極めて重要な処置の一部では、肺の表面には、解剖学的マーカー(すなわち、解剖学的構造における位置がよく知られているマーカー)を配置するのに十分な視覚情報が含まれていない。さらに、肺の非常に柔軟な形態のために、肺の表面上の解剖学的特徴を追跡することは、気道および血管のような肺内部の重要な解剖学的特徴の追跡のために必ずしも十分に伸長せず、表面は、肺の内部状態を十分に予測しない。最後に、視覚マーカーおよび光学追跡システムは、閉塞、動きぼけ、二次元計算問題からの三次元、および他の問題を起こしやすく、これは、ほとんどの光学ベースのシステムを、高度に正確な腹腔鏡ガイダンスの目的に適さないものにする。
【0106】
新しく発明された完全曲線屈曲カテーテル追跡は、柔軟な位置合わせの問題に非常に容易に対処することができる。術前段階では、1つ以上の屈曲追跡カテーテルが、気管支鏡を使用して既知の気道に挿入される。各カテーテルは、(以下に説明するように)解剖学的構造に対して静止したままであり、何らかの関心領域(ROI)に近い気道のための完全な曲線状の測定位置を提供する。次いで、完全に追跡されたカテーテルと術前CTスキャンとの間のリアルタイム位置合わせを使用することによって、いくつかのROIにおけるすべての重要な解剖学的特徴をリアルタイムで表示することができる。腹腔鏡処置の間、カテーテル(または複数のカテーテル)は曲げられ、ねじられるが、依然として、何らかの既知の気道内にその解剖学的位置を保持する。次に、カテーテル(または複数のカテーテル)は、リアルタイムで完全に追跡され、肺の骨格としての役割を果たすことができ、術前CTからとった重要な解剖学的特徴とリアルタイムで変形する肺との間のスムーズでリアルタイムの柔軟な位置合わせを提供することができる。腹腔鏡カメラ上に追加のセンサを配置することによって、これらの解剖学的特徴をライブ腹腔鏡ビデオ上にオーバーレイとして表示することができ、したがって、肺における腹腔鏡処置のためのガイダンスを提供し、これは、その性質上、完全にリアルタイムであり、柔軟である。
【0107】
カテーテルが、特にチューブ(血管または気道)を含む器官において、解剖学的構造に対して静止して保持されるために、カテーテルは、解剖学的チューブに取り付けられるべきである。カテーテルがカテーテルの遠位点から器官を追跡し、器官が自由に伸縮できるように、遠位に取り付けるべきである。取り付けは、バルーンまたはフックを使用して、または組織との摩擦によって達成され得る。カテーテルを変形させることなく解剖学的構造に適合させるために、カテーテルは高度に可撓性である必要がある。可撓性は、カテーテルシャフトの構造に可撓性プラスチックチューブを使用することによって達成される。可撓性PCBの低剛性化も重要である。可撓性PCB材料の剛性は、ポリイミド剛性、PCB層の数、および使用される銅の量に由来する。可撓性の増加は、PCBの幾何学的設計によって、例えば、センサ31間のPCB33の幅を減少させることによって、および/または、曲がりくねった方法で導体をルーティングし、曲がりくねった経路に平行にPCB33を切断して回転剛性を減少させることによって、達成され得る。
【0108】
本発明のいくつかの実施形態では、システム100は、電磁ナビゲーション気管支鏡検査(ENB)に使用することができる。全曲線リアルタイム局所カテーテルは、ENB処置内の位置合わせ精度に関して大きな利点を有する。呼吸および心臓の動きに起因して非常に「ノイズが多い」カテーテル先端の過去のサンプルのみに頼る代わりに、カテーテル全体がシステム内で常に見え、送信機20の座標と気道マップとの間の位置合わせのために全体として使用することができる。カテーテルの気道内部での非常に特定曲げおよび形状は、気道内部での完全な曲線として、カテーテルの最も可能性の高い位置についてシステムに教示することができる。その形状は、マップに一致させることができ、気道内のその解剖学的位置についての固有のシグネチャとして使用することができる。最初の位置合わせのために、完全曲線の測定位置は、カテーテルの先端のみと比較して、肺における監視されていない調査の間に、より多くのサンプルを提供し、全体の経路は、送信機20の座標に描かれ得、監視されていない様式でマップにマッチングされ得、したがって、位置合わせの安定性および精度を改善する。適応位置合わせでは、最も可能性の高い気道が見つかるまで、完全に位置決めされたカテーテルの曲線を関心領域(ROI)内の気道に合わせることができる。これは、呼吸および身体姿勢の変化により良好に適応する。時間窓内の累積サンプルが経時的に異なる変形を受け得る履歴ベースのアプローチ(例えば、それらが呼吸の異なるフェーズの間に採取された場合)とは異なり、完全曲線の測定位置は、即座である。適応位置合わせの別の形態も可能であり、そこでは、完全曲線の測定位置は、肺の骨格化として使用され、柔軟な変形可能な肺モデルのための基本的な成分として役立つことができる。カテーテルの全曲線を分析することによって、カテーテルが通過する特定の主要気道がどのように変形されるかを理解し、次いで、何らかの外挿モデルを使用することによって、周囲領域がどのように変形されるかを結論付けることができる。
【0109】
さらに、カテーテルの操縦がより容易になることがあり、医師が肺の内側でカテーテルを用いて鋭い旋回を実行しようとする間に困難を経験することは珍しくない。次いで、医師は、システムから受け取る単一センサフィードバックに基づいてカテーテルを引っ張り、回転させ、押すように何度も試みる。完全曲線の測定位置により、医師は、カテーテルの完全な曲がりを見ることができ、加えられた力が、周囲の組織の応力下で、どのようにして遠位カテーテルの動きに変換されるかについてのより良好な理解を得ることができる。このはるかに有益なフィードバックに基づいて、ユーザは、試行錯誤をはるかに少なくして、正確な所望の遠位運動に変換される、より正確な操縦ジェスチャを生成することができる。
【0110】
さらに、完全曲線の測定位置は、蛍光透視法のような他の様式と位置合わせするのがはるかに容易である。X線透視法の間、カテーテルの放射線不透過性のために、カテーテルの全長がX線画像において見える。従来のEM位置測定システムでは、先端のみが見える。このような状況では、医師がX線透視画像と位置測定システムによって表示される画像とを一致させることは困難であろう。カテーテルの位置を完全に測定することにより、カテーテルの全長は、蛍光透視画像及び磁石の位置測定システムの両方において見ることができ、これにより、医師が異なるモダリティ間で整合することがはるかに容易になる。
【0111】
本開示のいくつかの実施形態では、システム100は、完全なカテーテル測定位置が有益であることが証明されている電磁誘導結腸鏡検査のために使用されてもよい。
【0112】
本発明のいくつかの実施形態は、必要とされる変更を伴って、任意の細長い可撓性本体に適用可能であり、カテーテルにのみ適用可能ではないことが理解される。
【0113】
本開示のいくつかの実施形態は、システム、方法、および/またはコンピュータプログラム製品を含むことができる。コンピュータプログラム製品は、プロセッサに本開示の態様を実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令をその上に有する有形の一時的でないコンピュータ可読記憶媒体(または複数の媒体)を含むことができる。本開示の操作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、または任意のオブジェクト指向プログラミング言語および/または従来の手続き型プログラミング言語を含む1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれたソースコードまたはオブジェクトコードであってもよい。
【0114】
本開示のいくつかの実施形態の文脈では、限定ではなく例として、「動作する」または「実行する」などの用語は、それぞれ「動作可能」または「実行可能」などの能力も暗示する。
【0115】
例として、「物の性質」のような共役用語は、その文脈から明らかに明らかでない限り、物の性質を意味する。
【0116】
用語「プロセッサ」または「コンピュータ」またはそのシステムは、本明細書では、汎用プロセッサ、スマートフォンまたはタブレットコンピュータなどの携帯機器、または、マイクロプロセッサ、または、RISCプロセッサまたはDSP等(メモリや通信ポートの追加要素を含む場合がある)の当技術分野の通常の文脈として使用される。オプションまたは追加で、「プロセッサ」または「コンピュータ」またはその派生語という用語は、提供又は組み込まれたプログラムを実行することができ、および/または、入力ポートや出力ポート等のデータ記憶装置および/または他の装置を制御および/またはアクセスすることができる装置を示す。「プロセッサ」または「コンピュータ」という用語は、接続された、および/またはリンクされた、および/または他の方法で通信し、おそらくメモリなどの他の1つ以上のリソースを共有する複数のプロセッサまたはコンピュータも示す。
【0117】
用語「ソフトウェア」、「プログラム」、「ソフトウェアプロシージャ」または「プロシージャ」または「ソフトウェアコード」または「コード」または「アプリケーション」は、その文脈に従って互換的に使用することができ、一般にアルゴリズムおよび/または他のプロセスまたは方法を表す一連の動作を実行するための1つまたは複数の命令またはディレクティブまたは電子回路を示す。プログラムは、RAM、ROM、またはディスクなどの媒体に記憶されるか、またはプロセッサまたは他の回路などの装置によってアクセス可能かつ実行可能な回路に埋め込まれる。プロセッサおよびプログラムは、少なくとも部分的に、FPGAまたはASICのような電子ゲートのアレイのような、プログラムされた一連の動作を実行するように設計された同じ装置を構成することができ、任意選択で、プロセッサまたは他の回路を備えるか、またはそれとリンクされる。
【0118】
目的のための「構成する」および/または「適合させる」という用語、またはその変形は、目的を達成するように設計され、かつ/または実装され、かつ/または動作可能であるか、または動作可能である、少なくともソフトウェアおよび/または電子回路および/または補助装置を使用することを意味する。
【0119】
プログラムおよび/またはデータを記憶および/または含む装置は、製品を構成する。特に明記しない限り、プログラムおよび/またはデータは、非一時的媒体にまたはその上に格納される。
【0120】
電気または電子機器が開示される場合、その操作のために適切な電源が使用されることが想定される。
【0121】
フローチャートおよびブロック図は、本開示の主題の様々な実施形態による、システム、方法、およびコンピュータプログラム製品の可能な実装のアーキテクチャ、機能、または操作を示す。この点に関して、フローチャートまたはブロック図の各ブロックは、指定された論理機能を実装するための1つまたは複数の実行可能命令を備える、プログラムコードのモジュール、セグメント、または部分を表すことができる。いくつかの代替的な実装では、同一または同等の効果を達成するために、図示または説明された操作が、異なる順序で、または組み合わせて、あるいは順次操作の代わりに並行操作として発生する可能性があることにも留意されたい。
【0122】
特許請求の範囲に記載した機能要素に加え全ての手段またはステップの対応する構造、材料、行為等は、特許請求の範囲に規定された他の構成要件との結合において当該機能を発揮する任意の構造、材料または行為を含むものである。本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が別段の明確な指示をしない限り、複数形も含むことを意図する。さらに、これらの用語の「備える」、「含む」、および/または「有する」という用語、および/または「有する」という他の活用形は、本明細書で使用される場合、述べられた特徴、整数、ステップ、操作、素子、および/または構成素子の存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、操作、素子、構成素子、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除しないことを理解されたい。
【0123】
本明細書で使用される用語は、特に指定されない限り、限定するものとして理解されるべきではなく、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、開示される主題事項を限定することを意図していない。開示された主題の特定の実施形態が図示され、説明されたが、本開示が本明細書に記載された実施形態に限定されないことは明らかであろう。多数の改変、変更、変形、置換および同等は、排除されない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】