IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 広州方邦電子股▲ふん▼有限公司の特許一覧

<>
  • 特表-回路基板及び電子機器 図1
  • 特表-回路基板及び電子機器 図2
  • 特表-回路基板及び電子機器 図3
  • 特表-回路基板及び電子機器 図4
  • 特表-回路基板及び電子機器 図5
  • 特表-回路基板及び電子機器 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-10
(54)【発明の名称】回路基板及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20221102BHJP
【FI】
H05K1/02 P
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515684
(86)(22)【出願日】2019-12-17
(85)【翻訳文提出日】2022-03-09
(86)【国際出願番号】 CN2019125927
(87)【国際公開番号】W WO2021047093
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】201910867306.X
(32)【優先日】2019-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521204482
【氏名又は名称】広州方邦電子股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGZHOU FANGBANG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】6/F,Building A5,11 Kaiyuan Avenue,New and Hi-tech Industrial Development Zone,Guangzhou,Guangdong 510660(CN)
(74)【代理人】
【識別番号】100142365
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100146064
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 玲子
(72)【発明者】
【氏名】スー,ジー
【テーマコード(参考)】
5E338
【Fターム(参考)】
5E338AA03
5E338AA16
5E338BB22
5E338BB25
5E338CC05
5E338CD23
5E338EE11
(57)【要約】
本出願は回路基板及び電子機器を開示する。回路基板は回路基板本体(10)、シールド膜層(11)、及び回路基板本体(10)とシールド膜層(11)との間に設けられる媒体層(12)を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板であって、回路基板本体、シールド膜層、及び前記回路基板本体と前記シールド膜層との間に設けられる媒体層を含む回路基板。
【請求項2】
前記媒体層の比誘電率範囲は1~10である請求項1に記載の回路基板。
【請求項3】
前記媒体層の比誘電率範囲は2~6である請求項2に記載の回路基板。
【請求項4】
前記媒体層の材質は、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ポリイミド、変性ポリイミド、熱可塑性ポリイミド、変性熱可塑性ポリイミド、ポリフェニレンエーテル、アクリル酸、変性アクリル酸、オレフィン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスチレン、ポリエステル、ゴム、変性ゴム、ポリウレタン及び液晶ポリマーのうちの少なくとも1つを含む請求項1に記載の回路基板。
【請求項5】
前記媒体層の厚さ範囲は1~100ミクロンである請求項1に記載の回路基板。
【請求項6】
前記媒体層の厚さ範囲は1~50ミクロンである請求項5に記載の回路基板。
【請求項7】
前記回路基板本体は基材層、前記基材層の少なくとも1側に設けられる配線層、及び前記配線層の、前記基材層から離れた側に設けられる被覆膜層を含み、前記配線層は複数本の伝送線を含み、前記伝送線は信号線及びアース線を含み、前記媒体層は前記被覆膜層の、前記基材層から離れた側に設けられる請求項1に記載の回路基板。
【請求項8】
前記被覆膜層は被覆層及び第1の接着膜層を含み、前記被覆層は前記第1の接着膜層によって、前記配線層の、前記基材層から離れた側の表面に貼合され、前記媒体層は前記被覆層と前記シールド膜層との間に設けられ、前記被覆層は前記媒体層と一体に形成される請求項7に記載の回路基板。
【請求項9】
前記被覆層の材質は前記媒体層の材質と異なる請求項8に記載の回路基板。
【請求項10】
前記シールド膜層は順次に積層された第2の接着膜層、シールド層及び絶縁層を含み、前記シールド膜層は前記第2の接着膜層によって、前記媒体層の、前記回路基板本体から離れた側の表面に貼合され、
前記シールド層の、前記第2の接着膜層に近接する側には突出構成が設けられ、前記突出構成は前記第2の接着膜層内に入り込む請求項1に記載の回路基板。
【請求項11】
前記第2の接着膜層の材質は導電性接着剤を含む請求項10に記載の回路基板。
【請求項12】
前記シールド膜層は順次に積層された導電性接着剤層、シールド層及び絶縁層を含み、前記シールド膜層は前記導電性接着剤層によって、前記回路基板本体の、前記媒体層から離れた側の表面に貼合される請求項1に記載の回路基板。
【請求項13】
前記シールド層には少なくとも1つの貫通孔が設けられる請求項10又は12に記載の回路基板。
【請求項14】
前記シールド層は接続孔によって前記回路基板本体におけるアース線に電気接続される請求項10又は12に記載の回路基板。
【請求項15】
電子機器であって、請求項1~14の何れか1項に記載の回路基板を含む電子機器。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2019年9月12日にて中国特許庁に提出され、出願番号が201910867306.Xである中国特許出願の優先権を主張し、以上の出願の全ての内容は本出願に援用される。
【技術分野】
【0002】
本開示は電子技術分野に関し、例えば、回路基板及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0003】
近年では、電子技術及び集積回路技術の発展に連れて、高周波信号の伝送は回路基板に対してより高い要求を提出し、従来の回路基板には、一般的に、伝送損失(挿入損失)が大きすぎるという欠陥が存在する。従って、従来の回路基板は使用需要をもう満たすことができず、従来の回路基板を改良する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回路基板が高周波信号を伝送する時、低い挿入損失、よい信号伝送完全性を具備するようにし、及び回路基板の製造工程が簡単で、製造コストが低いという技術効果を実現するように、本開示は回路基板及び電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施例は回路基板を提供し、前記回路基板は回路基板本体、シールド膜層、及び前記回路基板本体と前記シールド膜層との間に設けられる媒体層を含む。
【0006】
1つの実施形態において、前記媒体層の比誘電率範囲は1~10である。
【0007】
1つの実施形態において、前記媒体層の比誘電率範囲は2~6である。
【0008】
1つの実施形態において、前記媒体層の材質は、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ポリイミド、変性ポリイミド、熱可塑性ポリイミド、変性熱可塑性ポリイミド、ポリフェニレンエーテル、アクリル酸、変性アクリル酸、オレフィン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスチレン、ポリエステル、ゴム、変性ゴム、ポリウレタン及び液晶ポリマーのうちの少なくとも1つを含む。
【0009】
1つの実施形態において、前記媒体層の厚さ範囲は1~100ミクロンである。
【0010】
1つの実施形態において、前記媒体層の厚さ範囲は1~50ミクロンである。
【0011】
1つの実施形態において、前記回路基板本体は基材層、前記基材層の少なくとも1側に設けられる配線層、及び前記配線層の、前記基材層から離れた側に設けられる被覆膜層を含み、前記配線層は複数本の伝送線を含み、前記伝送線は信号線及びアース線を含み、前記媒体層は前記被覆膜層の、前記基材層から離れた側に設けられる。
【0012】
1つの実施形態において、前記被覆膜層は被覆層及び第1の接着膜層を含み、前記被覆層は前記第1の接着膜層によって、前記配線層の、前記基材層から離れた側の表面に貼合され、前記媒体層は前記被覆層と前記シールド膜層との間に設けられ、前記被覆層は前記媒体層と一体に形成される。
【0013】
1つの実施形態において、前記被覆層の材質は前記媒体層の材質と異なる。
【0014】
1つの実施形態において、前記シールド膜層は順次に積層された第2の接着膜層、シールド層及び絶縁層を含み、前記シールド膜層は前記第2の接着膜層によって、前記媒体層の、前記回路基板本体から離れた側の表面に貼合され、前記シールド層の、前記第2の接着膜層に近接する側には突出構成が設けられ、前記突出構成は前記第2の接着膜層内に入り込む。
【0015】
1つの実施形態において、前記第2の接着膜層の材質は導電性接着剤を含む。
【0016】
1つの実施形態において、前記シールド膜層は順次に積層された導電性接着剤層、シールド層及び絶縁層を含み、前記シールド膜層は前記導電性接着剤層によって、前記回路基板本体の、前記媒体層から離れた側の表面に貼合される。
【0017】
1つの実施形態において、前記シールド層には少なくとも1つの貫通孔が設けられる。
【0018】
1つの実施形態において、前記シールド層は接続孔によって前記回路基板本体におけるアース線に電気接続される。
【0019】
本開示の実施例は電子機器をさらに提供し、前記電子機器は上記の何れか実施例に記載の回路基板を含む。
【発明の効果】
【0020】
本開示は回路基板及び電子機器を開示し、回路基板は回路基板本体、シールド膜層、及び回路基板本体とシールド膜層との間に設けられる媒体層を含む。回路基板の回路基板本体とシールド膜層との間に媒体層を設置することで、回路基板が高周波信号を伝送する時、信号の減衰程度が低減され、回路基板の挿入損失を減少させ、回路基板が高周波信号を伝送する時、低い挿入損失、よい信号伝送完全性を具備するようにし、及び回路基板の製造工程が簡単で、製造コストが低いという技術効果を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本開示の実施例による回路基板の構成概略図である。
図2】本開示の実施例による、媒体層の追加前後の回路基板の挿入損失の比較折れ線グラフである。
図3】本開示の実施例による回路基板の回路基板本体の構成概略図である。
図4】本開示の実施例による回路基板の被覆膜層の構成図である。
図5】本開示の実施例による回路基板のシールド膜層の構成図である。
図6】本開示の実施例による別の回路基板のシールド膜層の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面及び実施例に基づいて、本開示を詳しく説明する。ここで説明される実施例は本開示に対する限定ではなく、ただ本開示を解釈するためのものである。また、説明を便利にするために、図面は、全ての構成ではなく、本開示に関する一部のみを示す。
【0023】
ここで、本開示の明細書、請求の範囲及び図面における「第1」、「第2」などの用語は、特定の順序を限定するものではなく、異なる対象を区別するためのものである。本開示の以下の各実施例は個別に実行されてもよく、各実施例の間は互いに結合されるように実行されてもよく、これに対して、本開示の実施例は限定していない。
【0024】
実施例1
図1は本開示の実施例による回路基板の構成概略図である。
【0025】
図1に示すように、本開示の実施例による回路基板は、回路基板本体10、シールド膜層11、及び回路基板本体10とシールド膜層11との間に設けられる媒体層12を含む。
【0026】
1つの実施形態において、図1に示すように、回路基板は回路基板本体10、媒体層12及びシールド膜層11を含み、媒体層12及びシールド膜層11は、回路基板本体10の正面又は裏面に順次に積層されて設けられ、媒体層12及びシールド膜層11は、回路基板本体10の正面及び裏面の両面に順次に積層されて設けられてもよく、相応的に、回路基板が片面基板、両面基板、多層基板又はリジッドフレックス基板であることに関わらず、媒体層12は実際必要に応じて、回路基板本体10に貼合されることができる。実験から証明できるように、回路基板本体10とシールド膜層11との間に媒体層12を設置することで、回路基板の挿入損失を効果的に低減させることができる。
【0027】
図2は本開示の実施例による、媒体層の追加前後の回路基板の挿入損失の比較折れ線グラフである。
【0028】
図2に示すように、折れ線21は媒体層12の追加前の回路基板の挿入損失図であり、折れ線22は媒体層12の追加後の回路基板の挿入損失図である。図2の2本の折れ線の間の比較から分かるように、媒体層12を追加した後、回路基板の挿入損失を効果的に低減させた。
【0029】
本開示の実施例において、回路基板の回路基板本体とシールド膜層との間に媒体層を設置することで、回路基板が高周波信号を伝送する時、信号の減衰程度が低減され、回路基板の挿入損失を減少させ、回路基板が高周波信号を伝送する時、低い挿入損失、よい信号伝送完全性を具備するようにし、及び回路基板の製造工程が簡単で、製造コストが低いという技術効果を実現する。
【0030】
1つの実施形態において、媒体層12の比誘電率範囲は1~10である。
【0031】
例えば、媒体層12の比誘電率範囲は2~6である。
【0032】
1つの実施形態において、回路基板の挿入損失を効果的に低減させるために、本出願において、選択された媒体層12の誘電率範囲は1~10であり、これに基づき、媒体層12の比誘電率範囲を2~6に制御すると、回路基板の挿入損失の低減に対して、より効果的である。明らかに、異なる材質の媒体層12の比誘電率範囲は異なって、実験から証明できるように、媒体層12として、比誘電率範囲2~6の材質を選択することで、回路基板の挿入損失をよりよく低減させることができる。実際の回路基板の製造過程では、必要に応じて、異なる比誘電率の媒体層12を選択して、回路基板本体10とシールド膜層11との間に設置してもよい。
【0033】
1つの実施形態において、媒体層12の材質は、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ポリイミド、変性ポリイミド、熱可塑性ポリイミド、変性熱可塑性ポリイミド、ポリフェニレンエーテル、アクリル酸、変性アクリル酸、オレフィン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスチレン、ポリエステル、ゴム、変性ゴム、ポリウレタン及び液晶ポリマーのうちの少なくとも1つを含む。
【0034】
1つの実施形態において、媒体層12の材質は単一の材質から形成されてもよいし、多種の材質を混合して形成されてもよい。明らかに、異なる材質の媒体層12の比誘電率は異なって、実際の回路基板の製造過程では、必要に応じて、選択してもよい。
【0035】
1つの実施形態において、媒体層の厚さ範囲は1~100ミクロンである。
【0036】
例えば、媒体層の厚さ範囲は1~50ミクロンである。
【0037】
1つの実施形態において、異なる厚さの媒体層12は、回路基板の挿入損失に対する低減効果は異なる。一定の範囲内で、媒体層12が厚いほど、回路基板の挿入損失が低くて、一方、媒体層12が薄いほど、相応的な回路基板の挿入損失の低減が少ない。実験から証明できるように、媒体層12の厚さ範囲を1~100ミクロンに設定し、当該厚さ範囲内で、回路基板の挿入損失を低減させることができるとともに、回路基板の厚さ全体を最適な範囲内に制御できる。例えば、媒体層12の厚さ範囲を1~50ミクロンに設定し、当該厚さ範囲内にある媒体層12は、回路基板の挿入損失をよりよく低減させることができる。表1は、実験による、媒体層の厚さ値と回路基板の挿入損失の平均低減値との間の関係を示し、表1のデータは14MHz~12GHzの周波数範囲内で実験することで得られる。
【0038】
【表1】
【0039】
図3は本開示の実施例による回路基板の回路基板本体の構成概略図である。
【0040】
1つの実施形態において、図3に示すように、回路基板本体10は基材層101、基材層101の少なくとも1側に設けられる配線層102、及び配線層102の基材層101から離れた側に設けられる被覆膜層103を含み、配線層102は複数本の伝送線1021を含み、伝送線1021は信号線及びアース線を含み、媒体層12は被覆膜層103の基材層101から離れた側に設けられる。
【0041】
1つの実施形態において、図3に示すように、回路基板本体10の基材層101の材質はPI(ポリイミド)であってもよく、基材層101の少なくとも1側を上記の配線層102である銅層で被覆し、銅層に対してエッチングを行って、伝送線1021を形成する。伝送線1021は信号線及びアース線を含む。銅層の基材層101から離れた側を膜層103で被覆し、媒体層12は被覆膜層103の基材層101から離れた側に設けられる。
【0042】
図4は本開示の実施例による回路基板の被覆膜層の構成図である。
【0043】
1つの実施形態において、図4に示すように、被覆膜層103は被覆層1032及び第1の接着膜層1031を含み、被覆層1032は第1の接着膜層1031によって、配線層102の基材層101から離れた側の表面に貼合され、媒体層12は被覆層1032とシールド膜層11との間に設けられる。被覆層1032は媒体層12と一体に形成される。
【0044】
1つの実施形態において、被覆層1032の材質は媒体層12の材質と異なる。
【0045】
本開示の実施例において、高倍率顕微鏡で観察すると、被覆膜層103は実際に、被覆層1032及び第1の接着膜層1031を含み、媒体層12は被覆層1032の第1の接着膜層1031から離れた側の表面に貼合され、一般的に、被覆層1032は、回路基板の伝送線1021と外界との接触による信号の伝送への影響を防止するためのPI膜である。回路基板の製造過程では、一般的に、被覆膜層103の厚さ範囲は12~100ミクロンであり、通常の被覆膜層13の厚さは、27.5ミクロン、37.5ミクロン、50ミクロン、70ミクロン又は80ミクロンのうちの1つである。媒体層12を被覆膜層103と配線層102の1側に貼り合わせる場合、媒体層12と被覆膜層103との厚さの総合が相変わらず12~100ミクロンという被覆膜層103の通常の厚さ範囲内にあるように、12~100ミクロンという厚さ範囲内で被覆膜層103の厚さを適切に調整し、このような調整によって、本出願の回路基板に媒体層12を追加した後も、回路基板の厚さは変化しなく、回路基板の挿入損失を低減させるとともに、線路板の厚さも増加されず、高周波信号を伝送する時、回路基板が低い挿入損失及びよい信号伝送完全性を具備するようにするという技術効果を達成し、積層構成を追加した場合でも、回路基板が相変わらず薄いという技術効果を実現する。
【0046】
ここで、高倍率顕微鏡で観察すると、媒体層12と被覆膜層103の被覆層1032との間には、必ず明らかな層化境界線が存在するとは限らない。媒体層12と被覆層1032との間に境界線が存在しない場合、被覆層1032と媒体層12とは一体構成とみなされてもよい、即ち、上記の被覆層1032は媒体層14と一体に形成される。両者の間に境界線がないが、被覆層1032と媒体層14との材質は、異なってもよい。
【0047】
実際の回路基板の製造過程では、媒体層12を基材層101と被覆膜層103との間に設置し、且つ媒体層12が各伝送線1021の表面を被覆する場合もある。このような設置には以下の問題が存在し、即ち、配線層102層は間隔をもって設置されるいくつかの伝送線1021を含み、媒体層12は伝送線1021及び伝送線1021の間の隙間内を被覆するため、各伝送線1021の厚さ及び伝送線1021の間のピッチの設定がそれぞれ異なる場合、各伝送線1021を被覆する媒体層12の厚さの不均一を容易に招致し、回路基板の高周波伝送性能に影響し、各伝送線1021での媒体層12の厚さが均一である回路基板を製造しようとすると、製造工程が複雑で、製造コストが高いという問題が存在する。従って、本出願において、媒体層12は被覆膜層103の基材層101から離れた側の表面に設けられるので、回路基板の製造過程では、媒体層12の厚さを均一に製造でき、回路基板の製造工程が簡単で、製造コストが低いという技術効果を実現する。
【0048】
また、媒体層12を基材層101と被覆膜層103との間に設置し、且つ媒体層12が各伝送線1021の表面を被覆すると、媒体層12におけるイオンが伝送線1021に移動する場合もあり、信号の伝送に影響する。本出願において、媒体層は被覆膜層103の基材層101から離れた側の表面に設けられるので、被覆膜層103の隔離によって、媒体層12におけるイオンが伝送線1021に移動することを防止し、よい信号伝送完全性を確保するという技術効果を実現する。
【0049】
図5は本開示の実施例による回路基板のシールド膜層の構成図である。
【0050】
1つの実施形態において、図5に示すように、シールド膜層11は順次に積層された第2の接着膜層1101、シールド層1102及び絶縁層1103を含み、シールド膜層11は第2の接着膜層1101によって、媒体層12の回路基板本体10から離れた側の表面に貼合され、シールド層1102の第2の接着膜層1101に近接する側には突出構成が設けられ、突出構成は第2の接着膜層1101内に入り込む。
【0051】
1つの実施形態において、第2の接着膜層1101の材質は導電性接着剤を含む。
【0052】
1つの実施形態において、図5に示すように、シールド膜層11は貼合作用を有する第2の接着膜層1101、第2の接着膜層1101の媒体層12から離れた側に貼合されるシールド層1102、及びシールド層1102の第2の接着膜層1101から離れた側に貼合される絶縁層1103を含む。一般的に、シールド層1102の厚さ範囲を0.1~10ミクロンに設定し、シールド層1102の第2の接着膜層1101に近接する側は滑らかで平らな構成ではなく、顕微鏡で観察すると突出構成(図5において、当該突出構成は図示されず)を有し、これらの突出構成は第2の接着膜層1101内に入り込むことができる。第2の接着膜層1101の材質は、導電性粒子を有する接着膜層、即ち、導電性接着剤であってもよい。
【0053】
図6は本開示の実施例による別の回路基板のシールド膜層の構成図である。
【0054】
1つの実施形態において、図6に示すように、シールド膜層11は順次に積層された導電性接着剤層1104、シールド層1102及び絶縁層1103を含み、シールド膜層11は導電性接着剤層1104によって、回路基板本体10の媒体層12から離れた側の表面に貼合される。
【0055】
1つの実施形態において、シールド膜層11は貼合作用を有する導電性接着剤層1104、導電性接着剤層1104の媒体層12から離れた側に貼合されるシールド層1102、及びシールド層1102の導電性接着剤層1104から離れた側に貼合される絶縁層1103を含む。一般的に、シールド層1102の厚さ範囲を0.1~10ミクロンに設定する。ここで、第2の接着膜層1101を有するシールド膜層11と違って、導電性接着剤層1104を有するシールド膜層11におけるシールド層1102は、導電性接着剤層1104に近接する側に、導電性接着剤層1104に入り込んだ突出構成を有していない。導電性接着剤層1104の材質は導電性接着剤である。
【0056】
実際の基板製造工程では、さらに、他のタイプのシールド膜層が存在し、本出願は、上記の実施例に記載のいくつかのタイプのシールド膜層の使用のみに限定されず、実際必要に応じて、他のタイプのシールド膜層を貼り合わせてもよく、これについて、本出願は贅言しない。
【0057】
本開示の実施例において、媒体層を追加した場合、貼合されるシールド膜層のタイプが異なると、回路基板の挿入損失の低減効果も異なり、媒体層の厚さが異なると、異なるタイプのシールド膜層を貼り合わせる場合、回路基板の挿入損失も異なり、媒体層の比誘電率値が異なると、異なるタイプのシールド膜層を貼り合わせる場合、回路基板の挿入損失も異なる。つまり、媒体層の比誘電率値、厚さ値及びシールド膜層のタイプはいずれも回路基板の挿入損失に影響し、実際の回路基板の設計製造過程では、回路基板の機能需要、又は製造コスト需要に応じて、異なる媒体層のタイプ及びシールド膜層のタイプを選択することで、回路基板がより効果的で、コストがより安いという効果を実現するようにする。
【0058】
1つの実施形態において、シールド層1102には少なくとも1つの貫通孔が設けられる。
【0059】
本開示の実施例において、シールド膜層11のシールド層1102には少なくとも1つの貫通孔が設けられ、シールド膜層11の貼合過程では、高温のため、接着膜層に揮発物が生じて、当該揮発物が気体揮発物であるので、シールド膜層に泡立ち及び層間剥離を発生させ、シールド膜層と回路基板の他の層との間の剥離を招致する恐れがある。シールド層1102に貫通孔を設置することで、高温の場合、接着膜層における揮発物はシールド層1102の貫通孔を介して排気を行って、これによって、高温の場合、接着膜層における揮発物を排出し難いこと、及びシールド膜層の剥離を避け、シールド膜層と他の層との間をよりよく貼り合わせる。
【0060】
1つの実施形態において、シールド層1102は接続孔によって、回路基板本体10のアース線に電気接続される。
【0061】
本開示の実施例において、複数本の伝送線1021は信号線及びアース線を含み、シールド層1102は接続孔によって、アース線との間の電気接続を実現し、さらに、シールド膜層11の接地を実現する。
【0062】
1つの実施形態において、接続孔は被覆膜層103及び媒体層12を貫通した貫通孔であり、シールド膜層11は、シールド層1102の第2の接着膜層1101に近接する側に突出構成が設けられ、第2の接着膜層1101が非導電性接着膜層のシールド膜層である場合、第2の接着膜層1101が接続孔内に流入し、シールド層1102は突出構成によって、第2の接着膜層1101を刺して、アース線に接続され、これによって、シールド膜層11の接地を実現し、第2の接着膜層1101が導電性粒子を有する接着膜層(即ち、導電性接着剤)である場合、導電性接着剤が接続孔内に流入し、シールド層1102は同時に導電性接着剤及び突出構成によって、導電性接着剤を刺して、アース線に接続されることで、シールド膜層11の接地を実現し、シールド膜層11は順次に積層された導電性接着剤層1104、シールド層1102及び絶縁層1103を含む場合、導電性接着剤層1104が接続孔内に流入し、シールド層1102は導電性接着剤層1104によって、アース線に接続されることで、シールド膜層11の接地を実現する。
【0063】
実施例2
本開示の実施例は電子機器をさらに提供し、当該電子機器は上記の実施例に記載の回路基板を含む。
【0064】
本開示の実施例において、電子機器は、媒体層を追加した回路基板を利用し、当該回路基板が高周波信号を伝送する時、信号の減衰程度が低減され、回路基板の挿入損失を減少させ、回路基板が高周波信号を伝送する時、低い挿入損失、よい信号伝送完全性を具備するようにし、及び回路基板の製造工程が簡単で、製造コストが低いという技術効果を実現するようにし、さらに、電子機器の性能をよりよくし、使用寿命をより長くする。
【0065】
本開示の実施例の説明において、特に明確な規定及び限定がない限り、用語「装着」、「連結」、「接続」に対して、広義的に理解すべきであり、例えば、固定接続、取り外し可能な接続、又は一体接続であってもよく、機械接続、電気接続であってもよく、直接的な接続、中間媒介による間接的な接続、さらに、2つの素子内部の連通であってもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて、上記用語の、本開示における具体的な意味を理解すればよい。
【0066】
最後、上記は本開示の一部の実施例及び応用技術原理のみである。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】