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特表2022-547224ナノ粒子がコンジュゲートした抗ヌクレオリン剤・PEG
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-10
(54)【発明の名称】ナノ粒子がコンジュゲートした抗ヌクレオリン剤・PEG
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/69 20170101AFI20221102BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221102BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20221102BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221102BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20221102BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20221102BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20221102BHJP
   A61K 47/56 20170101ALI20221102BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20221102BHJP
   A61B 6/00 20060101ALI20221102BHJP
   B82Y 5/00 20110101ALI20221102BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
A61K47/69
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K47/64
A61K47/68
A61K47/56
A61B5/055 383
A61B6/00 331A
B82Y5/00
A61K47/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515728
(86)(22)【出願日】2020-09-10
(85)【翻訳文提出日】2022-04-15
(86)【国際出願番号】 US2020050261
(87)【国際公開番号】W WO2021050779
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】62/898,527
(32)【優先日】2019-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513036860
【氏名又は名称】ユニヴァーシティー・オブ・ルイスヴィル・リサーチ・ファウンデイション・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】アレン ニコラス シー.
(72)【発明者】
【氏名】バテス ポーラ ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】オトゥール マーティン ジー.
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C093
4C096
【Fターム(参考)】
4C076AA65
4C076AA95
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE17
4C076EE41
4C076EE59
4C084AA19
4C084MA02
4C084NA13
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB27
4C084ZC751
4C093AA21
4C093EE20
4C096AA11
4C096AD19
4C096FC14
(57)【要約】
組成物は、ナノ粒子がコンジュゲートした抗ヌクレオリン剤及びPEGを含む。好ましくは、ナノ粒子が、1~50nmの平均直径を有する。好ましくは、ナノ粒子が、金属、元素及び酸化物からなる群から選択される少なくとも1つの無機材料を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ粒子がコンジュゲートした抗ヌクレオリン剤及びPEGを含む組成物であって、前記ナノ粒子が、1~50nmの平均直径を有する、前記組成物。
【請求項2】
ナノ粒子がコンジュゲートした抗ヌクレオリン剤及びPEGを含む組成物であって、前記ナノ粒子が、金属、元素及び酸化物からなる群から選択される少なくとも1つの無機材料を含む、前記組成物。
【請求項3】
ナノ粒子が金を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
抗ヌクレオリン剤が、抗ヌクレオリンオリゴヌクレオチドを含む、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
抗ヌクレオリン剤が、抗体を含む、請求項1~4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
抗ヌクレオリン剤が、ヌクレオリン標的タンパク質を含む、請求項1~5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
抗ヌクレオリン剤が、GROを含む、請求項1~6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
抗ヌクレオリン剤が、配列番号1~7;配列番号9~16;配列番号19~30及び配列番号31からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項1~7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
抗ヌクレオリン剤が、AS1411を含む、請求項1~8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
シアニン色素をさらに含む、請求項1~9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
ナノ粒子が、1~50nmの平均直径を有する、請求項1~10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
ナノ粒子が、1~20nmの平均直径を有する、請求項1~11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
ナノ粒子が、金、プラチナ、イリジウム及びパラジウムからなる群から選択される少なくとも1つの金属を含む、請求項1~12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
ガドリニウムをさらに含む、請求項1~13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
請求項1~14のいずれかに記載の組成物と、薬学的に許容される担体とを含む、がんを治療するための組成物。
【請求項16】
ガドリニウムが、ガドリニウム(III)の錯体として存在する、請求項1~15のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
ガドリニウムが、ガドリニウムイオン(Gd-DO3A-SH)に配位した10-(2-スルファニルエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-三酢酸(H3-DO3A-SH)として存在する、請求項1~16のいずれかに記載の組成物。
【請求項18】
がんを治療する方法であって、有効量の請求項1~17のいずれかに記載の組成物をそれを必要とする患者に投与することを含む、前記方法。
【請求項19】
がんを治療する方法であって、有効量の請求項1~17のいずれかに記載の組成物をそれを必要とする患者に投与し、その後放射線療法を行うことを含む、前記方法。
【請求項20】
がんが、黒色腫、リンパ腫、形質細胞腫、肉腫、グリオーマ、膠芽腫、胸腺腫、白血病、乳がん、前立腺がん、結腸がん、肝がん、食道がん、脳がん、肺がん、卵巣がん、子宮内膜がん、膀胱がん、腎がん、子宮頸がん、及び肝細胞がんからなる群から選択される、請求項18又は19に記載のがんを治療する方法。
【請求項21】
がんが、乳がん、前立腺がん、結腸がん、膠芽腫、及び肺がんからなる群から選択される、請求項18~20のいずれかに記載のがんを治療する方法。
【請求項22】
ビノレルビン、マイトマイシン、カンプトテシン、シクロホスファミド、メトトレキセート、クエン酸タモキシフェン、5-フルオロウラシル、イリノテカン、ドキソルビシン、フルタミド、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンブラスチン、メシル酸イマチニブ、アントラサイクリン、レトロゾール、三酸化ヒ素、アナストロゾール、トリプトレリンパモ酸塩、オゾガマイシン、塩酸イリノテカン、BCG生菌、酢酸ロイプロリドインプラント(Viadur)、ベキサロテン、エキセメスタン、トポテカン塩酸塩、ゲムシタビンHCL、ダウノルビシン塩酸塩、ゲムシタビンHCL、クエン酸トレミフェン(Fareston)、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン及び任意のその他のプラチナ含有腫瘍薬物、トラスツズマブ、ラパチニブ、ゲフィチニブ、セツキシマブ、パニツムマブ、テムシロリムス、エベロリムス、バンデタニブ、ベムラフェニブ、クリゾチニブ、ボリノスタット、ベバシズマブ、放射線療法、温熱療法、遺伝子治療、並びに光力学療法からなる群から選択される第2のがん治療を施すことをさらに含む、請求項18~21のいずれかに記載のがんを治療する方法。
【請求項23】
MRI及び/又はX線画像化技術によってインビボでがんを画像化する方法であって、
請求項1~17のいずれかに記載の組成物を対象に投与することと、
MRI及び/又はX線画像化技術によって前記対象中に存在する前記組成物の画像を形成することと
を含む、前記方法。
【請求項24】
投与することが、形成することの24時間超前に行われる、請求項24に記載のがんを画像化する方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ヌクレオリン(Bandman O, Yue H, Corley N C, Shah P, "Human Nucleolin-like Protein" U.S. Pat. No. 5,932,475 (3 Aug. 1999))は、リボソーム遺伝子転写及びプレリボソームRNAのパッケージングの場所である核小体の豊富な非リボソームタンパク質である。この710アミノ酸のリンタンパク質は、ヒストン様N末端、4つのRNA認識モチーフを含有する中心ドメイン及びグリシン/アルギニンが豊富なC末端からなるマルチドメイン構造を有し、110kDの見かけ上の分子量を有する。ヌクレオリンはすべての有核細胞に見られるが、細胞表面におけるヌクレオリンの発現は、新生物細胞の存在及び攻撃性と相関関係があるとされてきた(Bates P J, Miller D M, Trent J O, Xu X, "A New Method for the Diagnosis and Prognosis of Malignant Diseases" International Application, Int'l Pub. No. WO 03/086174 A2 (23 Oct. 2003))。
【0002】
細胞表面ヌクレオリンの存在と新生物細胞との相関関係は、形質膜上のヌクレオリンの存在を検出することによって細胞の新生物状態を判断する方法に使用されてきた(Bates P J, Miller D M, Trent J O, Xu X, "A New Method for the Diagnosis and Prognosis of Malignant Diseases" International Application, Int'l Pub. No. WO 03/086174 A2 (23 Oct. 2003))。この知見は、ヌクレオリンを特異的に標的とする化合物を投与することに基づく新規のがん治療戦略も提供した(Bates P J, Miller D M, Trent J O, Xu X, "Method for the Diagnosis and Prognosis of Malignant Diseases" U.S. Patent App. Pub., Pub. No. US 2005/0053607 A1 (10 Mar. 2005))。
【0003】
核酸アプタマーは、特定の標的タンパク質によって認識され得る固有の三次元構造に折り畳まれる短い合成オリゴヌクレオチドである。したがって、核酸アプタマーの標的メカニズムはモノクローナル抗体と同様であるが、核酸アプタマーはインビボにおけるより急速なクリアランス、より良好な腫瘍浸透、非免疫原性、並びにより容易な合成及び保存を含む、モノクローナル抗体にまさる大きな利点を有する場合もある。
【0004】
三重らせん形成のために設計されたグアノシンが豊富なオリゴヌクレオチド(GRO,guanosine-rich oligonucleotide)は、ヌクレオリンと結合することが知られている。ヌクレオリンと結合するこの能力は、培養された前立腺がん細胞の抗増殖性を生じさせる予想外の能力をもたらすことが示された(Bates P J, Kahlon J B, Thomas S D, Trent J O, Miller D M, "Antiproliferative Activity of G-rich Oligonucleotides Correlates with Protein Binding" J. Biol. Chem. 274:26369-77 (1999))。抗増殖効果は、三重性が媒介するメカニズム又はアンチセンスメカニズムとは一致せず、GROは別の作用様式によって増殖を阻害するようである。G四重鎖を含有する高次構造を形成する傾向を示すGROは、GRO構造の形状特異的認識のためにヌクレオリンとの結合を必要とするアプタマーメカニズムによって働き、その後、細胞表面ヌクレオリンとの結合がアポトーシスを誘導することが推測された。GROの抗増殖効果は、前立腺(DU145)、乳房(MDA-MB-231、MCF-7)、又は頸部(HeLa)がん由来の細胞株で示され、細胞表面ヌクレオリンと結合するGROの能力と相関関係にある(Bates P J, Kahlon J B, Thomas S D, Trent J O, Miller D M, "Antiproliferative Activity of G-rich Oligonucleotides Correlates with Protein Binding" J. Biol. Chem. 274:26369-77 (1999))。
【0005】
がん細胞に対して抗増殖活性を有し、非悪性細胞にはほとんど影響のないGROヌクレオリン結合DNAアプタマーであるAS1411(GRO26B、配列番号10)が以前に開発された。AS1411の取り込みは、がん細胞ではマクロピノサイトーシスによって行われるようであるが、非悪性細胞では非マクロピノサイトーシス経路によって行われるようであり、結果として非悪性細胞の生存能力に影響を及ぼすことなく、がん細胞の選択的な死滅をもたらす(Reyes-Reyes E M, Teng Y, Bates P J, "A New Paradigm for Aptamer Therapeutic AS1411 Action: Uptake by Macropinocytosis and Its Stimulation by a Nucleolin-Dependent Mechanism" Cancer Res 70(21): 8617-29 (2010))。AS1411は、ヒトにおいて試験された最初の抗がん性アプタマーであり、AS1411の(腎細胞がん又は急性骨髄性白血病の患者における第II相試験を含む)臨床試験の結果は、深刻な副作用の証拠はなく有望な臨床活性を示している。いくつかの非常に効果的な長続きする臨床応答にもかかわらず、AS1411に対する総応答率は低く、これは、AS1411の低い効力のためである可能性があった。
【0006】
金ナノ粒子がコンジュゲートアプタマーなどの粒子がコンジュゲートした抗ヌクレオリン剤は、がん及び腫瘍に対して抗増殖効果を有する。2012年6月1日に出願されたBates et alの「ANTI-NUCLEOLIN AGENT-CONJUGATED NANOPARTICLES」という名称の国際出願公開第2012/167173号パンフレットを参照。アプタマーがコンジュゲートした金ナノ粒子は、特に、アプタマー(抗ヌクレオリンオリゴヌクレオチド)単独と同様又はそれ以上の抗増殖効果を有し、1/10~1/100の投与量だけで同様の効果を示す。さらに、好ましくは、粒子がコンジュゲートした又は抗ヌクレオリン剤が結合した蛍光色素を有するこれらの同じ薬剤はまた、インビボ及びエクスビボの両方で造影剤としても使用することができる。(Malik, M. T., et al. AS1411-conjugated gold nanospheres and their potential for breast cancer therapy. Oncotarget 6(26) pp. 22270-22281 (2015))も参照。
【0007】
金ナノ粒子がコンジュゲートしたアプタマーなどの金属を含む粒子がコンジュゲートした抗ヌクレオリン剤は、がんを治療するために有効な放射線増感剤である。ナノ粒子は、がん細胞によって選択的に取り込まれ、そうした細胞に対するRTの効果を増強させる。これは、RTの有効性を増強する、及び/又はRTの間に使用される放射線の低い有効量を可能にする。さらに、ナノ粒子は、ガドリニウムも含んでもよく、MRIスキャン中に近くの水分子の緩和度を増大させ(緩和速度を上げる)、スキャンされる試料中に存在する場合、コントラストを増加させることができる。さらに、金ナノ粒子及びGdイオンはともに、CTスキャン法などのX線ベースの画像化技術を使用してスキャン又は画像化される試料中に存在する場合、X線の吸収及び散乱を増大させ、コントラストを増加させる。抗ヌクレオリン剤(がんを標的とする)及びガドリニウム(MRIコントラスト増強)の組合せは、一緒になってがんを標的とするMRIコントラスト剤をもたらす。さらに、抗ヌクレオリン剤(がんを標的とする)及び金ナノ粒子(X線コントラスト増強)並びに任意にガドリニウム(MRIコントラスト増強及びX線コントラスト増強)の組合せは一緒になって、がんを標的とするMRI及びX線(CTスキャン)コントラスト剤をもたらす。2016年5月5日に出願されたBates et alの「ANTI-NUCLEOLIN AGENT-CONJUGATED NANOPARTICLES AS RADIO-SENSITIZERS AND MRI AND/OR X-RAY CONTRAST AGENTS」という名称の国際出願公開第2016/179394号パンフレットを参照。
【0008】
AS1411は、抗がん薬物又は複合体とともにがん細胞の選択的な治療のための、がんを標的とする薬剤として使用されてきた。例えば、PLGAナノ粒子を含有する薬物が、AS1411で機能化され、ポリ(エチレングリコール)(PEG,poly(ethylene glycol))とコンジュゲートし、がん細胞を特異的に標的とし、PLGAは、その後、細胞内で分解されるときに薬物を放出する(Guo, J. et al., Aptamer-functionalized PEG-PLGA nanoparticles for enhanced anti-glioma drug delivery. Biomaterials 32 (2011) 8010-8020、Aravind, A. et al., AS1411 Aptamer Tagged PLGA-Lecithin-PEG Nanoparticles for Tumor Cell Targeting and Drug Delivery. Biotechnology and Bioengineering 109(11) pp. 2920-2931 (November 2012))。
【0009】
PEG化と呼ばれることも多い薬物のポリ(エチレングリコール)(PEG)修飾は、薬物の急速な腎クリアランスを妨げることによって溶解性及びインビボ安定性を向上させるために広く使用されてきた。さらに、PEG化は、免疫系から薬物を隠すのに役立ち、その結果、患者が(生体工学によって作られた酵素及び抗体などの高分子量薬物を用いた場合に特に問題となる)治療の過程において薬物の効力を中和する免疫応答を生じる可能性を低くする。さらに、PEG化は、腫瘍の漏れやすい血管系及び効果的なリンパ排出の欠如を利用して、効果的な腫瘍標的を向上させる血管透過性・滞留性亢進(EPR,enhanced permeability and retention)効果を腫瘍にもたらす。例えば、キレート化基で修飾され、Cuイオンとキレート化され、その後、AS1411と複合体を形成したPEGが腫瘍細胞を標的とするために研究された(Takafuji, Y., Jo, J-I and Tabata, Y. Simple PEG Modification of DNA Aptamer Based on Copper Ion Coordination for Tumor Targeting. J. Biomaterials Science 22 (2011) 1179-1195)。
【0010】
膠芽腫(GBM,Glioblastomas)は最も多い成人の原発性脳腫瘍であり、一般に14か月の予後を有し、5年生存率は<5%である(Deorah, S., et al., Trends in brain cancer incidence and survival in the United States: Surveillance, Epidemiology, and End Results Program, 1973 to 2001. Neurosurg Focus, 2006. 20(4): p. E1、Mujokoro., B., Nano-structures mediated co-delivery of therapeutic agents for glioblastoma treatment: A review. In Materials Science and Engineering 2016、QT., O., CBTRUS Statistical Report: Primary Brain and Central Nervous System Tumors Diagnosed in the United States in 2008-2012. . Neuro. Oncol. , 2015、Reardon, D.A., et al., Bevacizumab continuation beyond initial bevacizumab progression among recurrent glioblastoma patients. British Journal of Cancer, 2012. 107(9): p. 1481-1487、Zhang Y, C.N., Pahuski M, et al., Noncoding RNAs in Glioblastoma. In: De Vleeschouwer S, editor. 2017)。最も有望な治療は、化学療法及び放射線療法と組み合わせた手術である(Tamimi AF, J.M., Epidemiology and Outcome of Glioblastoma. In: De Vleeschouwer S, editor. Glioblastoma [Internet]. 2017 Sep 27、Stupp, R., et al., Radiotherapy plus concomitant and adjuvant temozolomide for glioblastoma. N Engl J Med, 2005. 352(10): p. 987-96)。完全切除がいつも利用可能なわけではなく、化学/放射線療法による治療は毒性の可能性がある(Ahmed, R., et al., Malignant gliomas: current perspectives in diagnosis, treatment, and early response assessment using advanced quantitative imaging methods. Cancer Manag Res, 2014. 6: p. 149-70、Wadajkar, A.S., et al., Tumor-targeted nanotherapeutics: overcoming treatment barriers for glioblastoma. Wiley Interdiscip Rev Nanomed Nanobiotechnol, 2017. 9(4)、Fernandes, C., et al., Current Standards of Care in Glioblastoma Therapy, in Glioblastoma, S. De Vleeschouwer, Editor. 2017, Codon Publications、Hart, M.G., et al., Temozolomide for high grade glioma. Cochrane Database of Systematic Reviews, 2013(4))。GBMは、GBMの増殖、移動、及び生存の乗っ取りを可能にさせる、シグナル伝達経路の異常な改変を特徴とする(Zhang Y, C.N., Pahuski M, et al., Noncoding RNAs in Glioblastoma. In: De Vleeschouwer S, editor. 2017、Lee, Y.S. and A. Dutta, MicroRNAs in cancer. Annu Rev Pathol, 2009. 4: p. 199-227、Moller, H.G., et al., A systematic review of microRNA in glioblastoma multiforme: micro-modulators in the mesenchymal mode of migration and invasion. Mol Neurobiol, 2013. 47(1): p. 131-44、Shea, A., et al., MicroRNAs in glioblastoma multiforme pathogenesis and therapeutics. Cancer Med, 2016. 5(8): p. 1917-46、Comprehensive genomic characterization defines human glioblastoma genes and core pathways. Nature, 2008. 455(7216): p. 1061-8)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際出願公開第2012/167173号パンフレット
【特許文献2】国際出願公開第2016/179394号パンフレット
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Bandman O, Yue H, Corley N C, Shah P, "Human Nucleolin-like Protein" U.S. Pat. No. 5,932,475 (3 Aug. 1999)
【非特許文献2】Bates P J, Miller D M, Trent J O, Xu X, "A New Method for the Diagnosis and Prognosis of Malignant Diseases" International Application, Int'l Pub. No. WO 03/086174 A2 (23 Oct. 2003)
【非特許文献3】Bates P J, Miller D M, Trent J O, Xu X, "Method for the Diagnosis and Prognosis of Malignant Diseases" U.S. Patent App. Pub., Pub. No. US 2005/0053607 A1 (10 Mar. 2005)
【非特許文献4】Bates P J, Kahlon J B, Thomas S D, Trent J O, Miller D M, "Antiproliferative Activity of G-rich Oligonucleotides Correlates with Protein Binding" J. Biol. Chem. 274:26369-77 (1999)
【非特許文献5】Reyes-Reyes E M, Teng Y, Bates P J, "A New Paradigm for Aptamer Therapeutic AS1411 Action: Uptake by Macropinocytosis and Its Stimulation by a Nucleolin-Dependent Mechanism" Cancer Res 70(21): 8617-29 (2010)
【非特許文献6】Malik, M. T., et al. AS1411-conjugated gold nanospheres and their potential for breast cancer therapy. Oncotarget 6(26) pp. 22270-22281 (2015)
【非特許文献7】Guo, J. et al., Aptamer-functionalized PEG-PLGA nanoparticles for enhanced anti-glioma drug delivery. Biomaterials 32 (2011) 8010-8020
【非特許文献8】Aravind, A. et al., AS1411 Aptamer Tagged PLGA-Lecithin-PEG Nanoparticles for Tumor Cell Targeting and Drug Delivery. Biotechnology and Bioengineering 109(11) pp. 2920-2931 (November 2012)
【非特許文献9】Takafuji, Y., Jo, J-I and Tabata, Y. Simple PEG Modification of DNA Aptamer Based on Copper Ion Coordination for Tumor Targeting. J. Biomaterials Science 22 (2011) 1179-1195
【非特許文献10】Deorah, S., et al., Trends in brain cancer incidence and survival in the United States: Surveillance, Epidemiology, and End Results Program, 1973 to 2001. Neurosurg Focus, 2006. 20(4): p. E1
【非特許文献11】Mujokoro., B., Nano-structures mediated co-delivery of therapeutic agents for glioblastoma treatment: A review. In Materials Science and Engineering 2016
【非特許文献12】QT., O., CBTRUS Statistical Report: Primary Brain and Central Nervous System Tumors Diagnosed in the United States in 2008-2012. . Neuro. Oncol. , 2015
【非特許文献13】Reardon, D.A., et al., Bevacizumab continuation beyond initial bevacizumab progression among recurrent glioblastoma patients. British Journal of Cancer, 2012. 107(9): p. 1481-1487
【非特許文献14】Zhang Y, C.N., Pahuski M, et al., Noncoding RNAs in Glioblastoma. In: De Vleeschouwer S, editor. 2017
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【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の態様において、本発明は、ナノ粒子がコンジュゲートした抗ヌクレオリン剤及びPEGを含む組成物である。ナノ粒子が、1~50nmの平均直径を有する。
【0014】
第2の態様において、本発明は、ナノ粒子がコンジュゲートした抗ヌクレオリン剤及びPEGを含む組成物である。ナノ粒子が、金属、元素及び酸化物からなる群から選択される少なくとも1つの無機材料を含む。
【0015】
第3の態様において、本発明は、がんを治療する方法であって、有効量の上記の組成物のいずれかをそれを必要とする患者に投与することを含む、前記方法である。
【0016】
第4の態様において、本発明は、がんを治療する方法であって、有効量の上記の組成物のいずれかをそれを必要とする患者に投与し、その後放射線療法を行うことを含む、前記方法である。
【0017】
第5の態様において、本発明は、MRI及び/又はX線画像化技術によってインビボでがんを画像化する方法であって、上記の組成物のいずれかを対象に投与することと、MRI及び/又はX線画像化技術によって対象中に存在する組成物の画像を形成することとを含む、前記方法である。
【0018】
定義
「コンジュゲートした」という用語は、「化学的に結合した」ことを意味する。
【0019】
「抗ヌクレオリンオリゴヌクレオチド」という用語は、ヌクレオリンに結合するオリゴヌクレオチドを指す。
【0020】
「当量アプタマー濃度」という用語は、コンジュゲート物中に存在する抗ヌクレオリンオリゴヌクレオチドの濃度を指す。
【0021】
PEGとも呼ばれるポリ(エチレングリコール)は、薬物、ナノ粒子又はその他の物質とコンジュゲートしてもよい。PEGにコンジュゲートする場合、それらは、PEG化されると呼ばれることが多く、-(CHCHO)-部分を含有することになる。PEGの分子量は、他に指定がない限り、好ましくは、製造業者又は販売業者によってラベルに表示されているとおり、結合前のPEGの数平均分子量(M)であると理解される。
【0022】
腫瘍及びがんとしては、固形、異常増殖性組織変化及び散在性腫瘍が挙げられる。腫瘍及びがんの例としては、黒色腫、リンパ腫、形質細胞腫、肉腫、グリオーマ、膠芽腫、胸腺腫、白血病、乳がん、前立腺がん、結腸がん、肝がん、食道がん、脳がん、肺がん、卵巣がん、子宮内膜がん、膀胱がん、腎がん、子宮頸がん、肝細胞がん、及びその他の新生物が挙げられる。腫瘍及びがんのさらなる例に関しては、例えば、Stedmanを参照(Stedman, T.L. 2000. Stedman's medical dictionary. Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia. xxxvi, [127], 2098)。
【0023】
「腫瘍を治療すること」又は「がんを治療すること」は、腫瘍若しくはがんの増殖及び/若しくは転移を著しく阻害すること、並びに/又はがん細胞を死滅させることを意味する。増殖阻害は、腫瘍体積の縮小又は転移の発生の減少によって示すことができる。腫瘍増殖は、例えば、(ダイヤルノギスにより二次元測定値を得ることなどの)通常の手順により腫瘍体積を調べることによって判定することができる。転移は、二次部位の腫瘍細胞を検査すること又はインビトロにおいて生検腫瘍細胞の転移の可能性を調べることによって判定することができる。
【0024】
「化学療法剤」は、ヒトでがんを治療するために効果的に使用することができる化学的化合物である。
【0025】
「薬学的に許容される担体」としては、薬学的投与に適合した任意及びすべての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌及び抗真菌剤、等張化剤並びに吸収遅延剤が挙げられる。そのような担体又は希釈剤の好適な例としては、水、生理的食塩水、リンゲル液及びデキストロース溶液が挙げられる。追加の活性化合物も組成物に組み込まれてもよい。
【0026】
「医薬」、「治療用組成物」及び「医薬組成物」は、同義に使用されて、対象において治療効果を発揮する化合物、物質、混合物又は調製物を示す。
【0027】
「抗体」は、最も広い意味で使用され、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多特異性抗体、抗体フラグメント及び化学修飾抗体を指し、この化学修飾は、実質的に抗体又は抗体フラグメントの選択性及び特異性に干渉しない。
【0028】
「抗ヌクレオリン剤」としては、ヌクレオリンと相互作用するあらゆる分子又は化合物が挙げられる。そのような薬剤としては、例えば、抗ヌクレオリン抗体、GROなどのアプタマー及びヌクレオリン標的タンパク質が挙げられる。
【0029】
「X線ベースの画像化技術」としては、例えば、CTスキャン(X線コンピューター断層撮影又はコンピューター体軸断層撮影スキャン(CAT(computerized axial tomography)スキャン)とも呼ばれる)を含む、X線を使用して、直接的又は間接的に画像を形成するあらゆる画像化技術が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】共コンジュゲート金ナノ粒子のカトゥーン表示を示す図である。
図2A】PEGに対するさまざまな比のAS1411のゼータ電位(mV)のグラフである。図2Aは、2つの独立した粒子合成物の平均を表し、値は平均±標準偏差として報告される。
図2B】PEGに対するさまざまな比のAS1411の流体力学的サイズ(nm)のグラフである。図2Bは、2つの独立した粒子合成物の平均を表し、値は平均±標準偏差として報告される。
図2C】PEGに対するさまざまな比のAS1411の多分散指数のグラフである。図2Cは、2つの独立した粒子合成物の平均を表し、値は平均±標準偏差として報告される。
図2D】コンジュゲートしたオリゴヌクレオチドのDTT分離及び分離前後のUV-VISスペクトル分析に基づく金ナノ粒子に搭載されたAS1411分子の推定数のグラフである。図2Dは、2つの独立した粒子合成物の平均を表し、値は平均±標準偏差として報告される。
図2E】210~450nmの粒子吸収を示す粒子合成物のUV-VIS分析のグラフである。
図2F】450~1000nmの粒子吸収を金の表面プラズモン共鳴波長とともに示す粒子合成物のUV-VIS分析のグラフである。
図3】共コンジュゲートAuNP粒子による処理後のU87MGのインビトロ代謝活性を示すグラフである。データは、平均±標準偏差として示す(n=3)。棒は、U87MG生存率と比例して関連する処理されたU87MGのXTT絶対吸光度を表す。6×粒子及び9×粒子の統計学的に有意な細胞傷害性は、二元配置ANOVA分析によって判定され、α=0.05、*は、0及び10μMのAS群と比較した場合のp<0.0001を示す。有意性は、Graph Pad Prismソフトウェアを使用して判定される。
図4】有意な6×粒子及び9×粒子のEC50分析を示すグラフである。曲線は、各群に対して最も適合した非線形回帰線を表す。EC50値は、それぞれ9×粒子及び6×粒子に対して1303nM(r2=0.8722)及び212nM(r2=0.9181)オリゴであると求められた。分析はGraph Pad Prismソフトウェアを用いて完了された。
図5】72時間後の細胞の形態及び密度を示す粒子処理U87MGの10×明視野画像を示す図である。画像は、Nikon社落射蛍光顕微鏡及びNIS elementsソフトウェアを使用して取得された。AuNP処理は、10μMのAS1411条件を除いて、約1000nMのオリゴ濃度である。スケールバーは、100ミクロンを示す。
図6】9×AS/CRO AuNPによる処理後のU87MGのインビトロ代謝活性を示すグラフである。データは、平均±標準偏差として示す(n=5)。棒は、U87MG生存率と比例して関連する処理されたU87MGのXTT絶対吸光度を表す。9×粒子の統計学的に有意な特異性は、二元配置ANOVA分析によって判定され、α=0.05、*は、9×が同等のCRO群と比較された場合のp<0.001を示す。有意性は、Graph Pad Prismソフトウェアを使用して判定される。
図7】9×共コンジュゲートAuNP粒子のEC50分析を示すグラフである。曲線は、最良適合の非線形回帰線を表す。EC50値は、935nMオリゴ(r2=0.7015)であると求められ、CRO曲線は得られなかった。分析はGraph Pad Prismソフトウェアを用いて完了された。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、がん及び腫瘍に対して抗増殖効果を有する、粒子がコンジュゲートした抗ヌクレオリン剤及びPEG、例えば、金ナノ粒子がコンジュゲートしたアプタマー及びPEGを利用する。PEG/抗ヌクレオリン剤コンジュゲート物はまた、共コンジュゲート物と呼ばれることもある。共コンジュゲート物としてPEGの付加は、循環半減期を延長することによってなど、ナノ粒子がコンジュゲートした抗ヌクレオリン剤の薬物動態を向上させて、インビボにおける効力をさらに改善することができるか、又は肝臓及び/若しくは肺などの臓器における蓄積を避けることができる。さらに、アプタマー/PEGがコンジュゲートした金ナノ粒子は、特にアプタマー(抗ヌクレオリンオリゴヌクレオチド)単独、又はさらに金ナノ粒子がコンジュゲートしたアプタマーと同様又はそれ以上の抗増殖効果を有し、1/10~1/100の投与量だけで同様の効果を示すことができる。さらに、これらの同じ薬剤、好ましくは、粒子がコンジュゲートした、又は抗ヌクレオリン剤若しくはPEGに結合した蛍光色素を有する薬剤は、インビボ及びエクスビボの両方で造影剤として使用することもできる。これらはまた、放射線療法(RT,radiation therapy)を増強するための薬剤として並びにX線及びCTスキャン用のコントラスト剤としても使用することができる。最後に、ガドリニウムともコンジュゲートする場合、これらは、MRIスキャンのコントラストを増強させるために使用することができる。
【0032】
ナノ粒子がコンジュゲートしたPEG及び抗ヌクレオリン剤のモル比は変動してもよい。例えば、抗ヌクレオリン剤:PEGの比は、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1又は12:1であってもよい。或いは、PEG:抗ヌクレオリン剤の比は、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1又は12:1であってもよい。好ましくは、抗ヌクレオリン剤は、AS1411である。好ましくは、ナノ粒子は、4、5、10、15、20、又は100nmの直径を有する金ナノ粒子である。膠芽腫又はその他の脳がんを治療するためには、血液脳関門を通る浸透を向上させるためにナノ粒子が4、5又は10nmの直径を有するのが好ましい。
【0033】
(AS1411などの)抗ヌクレオリン剤及び/又はPEGを(金ナノ粒子などの)ナノ粒子にコンジュゲートする場合、一般に、ナノ粒子の表面は、表面にコンジュゲートした薬剤で飽和状態にされる。したがって、(AS1411及びPEGなどの)薬剤の混合物が形成されるとき、薬剤の比が制御され、これが、ナノ粒子がコンジュゲートした薬剤の比、及び各ナノ粒子上の各薬剤の数を制御する。例えば、AS1411及びPEGとコンジュゲートする4nmの金ナノ粒子の場合、コンジュゲートする薬剤分子の総数は12個となるため、ナノ粒子がコンジュゲートするAS1411及びPEG分子の合計が12個になる。AS1411:PEGの比を特定するために使用される用語は、ナノ粒子がコンジュゲートしたAS1411分子の総数に基づく。4nmの金ナノ粒子の場合、「12×」は、12個のAS1411分子、及び12:0のAS1411:PEG比を意味し、同様に、「9×」、「6×」、「3×」及び「0×」は、それぞれ9、6、3及び0個のAS1411分子、並びにそれぞれ9:3、6:6、3:9及び0:12(或いは、それぞれ3:1、1:1、1:3及び0)のAS1411:PEG比を有する。5nm又は10nmの金ナノ粒子などのさらに大きな金ナノ粒子を用いる場合、コンジュゲートすることができる薬剤の総量がさらに多くなるため、「9×」は、さらに小さなAS1411:PEG比を意味するであろう。合成中にコンジュゲート物の分散が生じるが、最も主要な結合比から外れたそれらのナノ粒子は、異なる結合比のナノ粒子の異なるゼータ電位を利用した「塩析」によって分離することができる。
【0034】
任意のPEGの分子量が使用されてもよい。好ましくは、PEG分子量は、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000及び9000、並びにその間の値を含む、200~20,000、より好ましくは、1000~10,000である。当こうした分子量の値は、測定の精度の有効数字まで表される値を表す数平均分子量であり、そのような組成物は、報告された分子量付近のPEG分子の分布を有することが理解される。
【0035】
放射線治療(RT)は、X線(例えば、メガボルトエネルギーX線)、ブラキセラピー、陽子線、及び中性子線などの放射線の任意の形態によるものであってもよい。通常、臨床以下と考えられるであろうRTの線量及び/又はエネルギーを使用することも可能であり、ナノ粒子がコンジュゲートした抗ヌクレオリン剤・PEGがRTの有効性を増強するため、その放射線量が、がん細胞及び腫瘍を死滅させるか、又はその増殖を低減するのに有効である。
【0036】
ガドリニウムを含有する、ナノ粒子がコンジュゲートした抗ヌクレオリン剤・PEGは、有効なMRIコントラスト剤であり、個々のがん細胞を含むがん細胞を画像化するためにも使用することができる。例えば、ガドリニウムを含有する、ナノ粒子がコンジュゲートした抗ヌクレオリン剤・PEGは、がん細胞がリンパ節に存在するかどうかを判断するために患者に投与されてもよく、それにより、リンパ節ががん細胞を含有するかどうかを判断するためだけにリンパ節を除去することを回避する。別の使用は、バイオプシーの必要性を回避することである場合がある。ガドリニウムを含有する、ナノ粒子がコンジュゲートした抗ヌクレオリン剤・PEGは、がんがしこりに存在するか、身体の他の位置に転移したかどうかを判断するため、又は手術中に腫瘍からすべてのがんが除去されたかどうかを判断するために患者に投与されてもよい。
【0037】
ガドリニウムを含有してもよい、ナノ粒子がコンジュゲートした抗ヌクレオリン剤・PEGは、効果的なX線コントラスト剤であり、個々のがん細胞を含むがん細胞を画像化するために使用されてもよい。例えば、ガドリニウムを含有してもよい抗ヌクレオリン剤・PEG結合ナノ粒子は、がん細胞がリンパ節に存在するかどうかを判断するために患者に投与されてもよく、それにより、リンパ節ががん細胞を含有するかどうかを判断するためだけにリンパ節を除去することを回避する。別の使用は、バイオプシーの必要性を回避することである場合がある。ガドリニウムを含有してもよい、ナノ粒子がコンジュゲートした抗ヌクレオリン剤・PEGは、がんがしこりに存在するか、身体の他の位置に転移したかどうかを判断するため、又は手術中に腫瘍からすべてのがんが除去されたかどうかを判断するために患者に投与されてもよい。
【0038】
抗ヌクレオリン剤としては、(i)アプタマー、例えば、GRO;(ii)抗ヌクレオリン抗体;及び(iii)ヌクレオリン標的タンパク質が挙げられる。アプタマーの例としては、グアノシンが豊富なオリゴヌクレオチド(GRO)が挙げられる。適切なオリゴヌクレオチド及びアッセイの例は、Miller et al.(Miller D M, Bates P J, Trent J O, Xu X, "Method for the Diagnosis and Prognosis of Malignant Diseases" U.S. Patent App. Pub., Pub. No. US 2003/0194754 A1 (16 Oct. 2003))において示されている。GROの特徴としては、
(1)少なくとも1つのGGTモチーフを有すること、
(2)多くのさらなるヌクレオチドを有するGROが可能であるが、好ましくは、4~100ヌクレオチドを有すること、
(3)安定性を向上させるための化学修飾を有してもよいこと
が挙げられる。
【0039】
特に有用なGROは、295nmでの可逆性の熱変性/再生プロファイルによって示されるG四重鎖構造を形成する(Bates P J, Kahlon J B, Thomas S D, Trent J O, Miller D M, "Antiproliferative Activity of G-rich Oligonucleotides Correlates with Protein Binding" J. Biol. Chem. 274:26369-77 (1999))。好適なGROはまた、電気泳動移動度シフトアッセイにおいて標的細胞タンパク質との結合に関してテロメアオリゴヌクレオチドと競合する(Bates P J, Kahlon J B, Thomas S D, Trent J O, Miller D M, "Antiproliferative Activity of G-rich Oligonucleotides Correlates with Protein Binding" J. Biol. Chem. 274:26369-77 (1999))。ある場合には、GROヌクレオチドをより大きな核酸配列に組み込むことが有利な場合もあり、例えば、ヌクレオリン結合部位を変性させることなくGRO核酸の基質との結合を促進する。オリゴヌクレオチドの例を表1に示す。好適なオリゴヌクレオチドとしては、表1の配列番号1~7;9~16;19~30及び31が挙げられる。
【0040】
【表1】
【0041】
ヌクレオリンと結合する任意の抗体も使用されてもよい。特定の例において、モノクローナル抗体は、単一の特異的な定義されたエピトープと結合するため好適である。ただし、その他の例において、ヌクレオリン上の2つ以上のエピトープと相互作用することができるポリクローナル抗体が使用されてもよい。多くの抗ヌクレオリン抗体が商業的に入手可能であり、そうでなければ、容易に作製される。例えば、Sutkowski et alの米国特許出願公開第2013/0115674号明細書を参照。表2は、少数の商業的に入手可能な抗ヌクレオリン抗体を列記する。
【0042】
【表2】
【0043】
ヌクレオリン標的タンパク質は、ヌクレオリンと特異的及び選択的に結合する抗体以外のタンパク質である。例としては、リボソームタンパク質S3、腫瘍ホーミングF3ペプチド(Cooper et al. [2014], Front. Chem. 14, 2, 86、Alkilany, A.M. and C.J. Murphy, Toxicity and cellular uptake of gold nanoparticles: what we have learned so far? Journal of Nanoparticle Research, 2010. 12(7): p. 2313-2333)及びミオシンH9(腫瘍形成過程における新生血管中の内皮細胞の細胞表面ヌクレオリンと結合する非筋肉ミオシン)が挙げられる。
【0044】
抗ヌクレオリン剤は、(1)金属及び元素;(2)酸化物;(3)半導体;並びに(4)ポリマーを含む、さまざまな固体材料でできた粒子とコンジュゲートしてもよい。金属及び元素、好ましくは、非磁性金属及び元素としては、金、銀、パラジウム、イリジウム、プラチナ及びそれらの合金が挙げられ、元素としては、ケイ素、ホウ素及び炭素(例えば、ダイヤモンド、グラフェン及びカーボンナノチューブ)、並びにそれらの固体化合物が挙げられる。酸化物としては、二酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム及びそれらの複合酸化物、例えば、チタン酸バリウムが挙げられる。半導体としては、量子ドット、硫化亜鉛、ケイ素/ゲルマニウム合金、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、及びそれらの固溶体が挙げられる。ポリマーとしては、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート及びポリメタクリレート、並びにポリシロキサンが挙げられる。好ましくは、粒子は、無毒性である。粒子は、好ましくは、4、5、6、7、8、9、10、12、15、18、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90及び95nmを含む、1~100nm、より好ましくは、1~50nmの平均粒子径(average particle diameter)を有するナノ粒子である。
【0045】
オリゴヌクレオチド及びタンパク質は、さまざまな技術によって金属及び元素、酸化物、半導体及びポリマーなどの固体材料に結合させられてきた。これらの同じ技術が、抗ヌクレオリン剤を粒子に結合させるために使用することができる。ナノ粒子がコンジュゲートした抗ヌクレオリン剤・PEG(コンジュゲート物)とのシアニン色素などの色素のさらなる結合は、コンジュゲート物がインビボ及びエクスビボの両方で造影剤として使用されるのを可能にする。
【0046】
ナノ粒子がコンジュゲートした抗ヌクレオリン剤・PEGは、ナノ粒子がコンジュゲートした抗ヌクレオリン剤・PEGと、薬学的に許容される担体との混合物、例えば、医薬組成物を形成することによって、がん及び腫瘍を治療し、細胞表面ヌクレオリンを発現するがん細胞を標的とするための医薬組成物を製剤化するために使用されてもよい。対象のがんを治療する方法は、治療有効量の、ナノ粒子がコンジュゲートした抗ヌクレオリン剤・PEGを投与することを含む。
【0047】
特に好適な組成物は、金ナノ粒子がコンジュゲートしたアプタマーである。金ナノ粒子(GNP,gold nanoparticle)は、低毒性、多機能な表面化学、光吸収/散乱特性、及び調節可能なサイズを示す。アプタマーは、効果的に金粒子を覆い、凝集を防ぎ、安全で、安定であり、合成が容易で、非免疫原性である。GNPがコンジュゲートしたアプタマーは、がん細胞においてAS1411単独よりも増大した抗増殖活性及びインビボにおける改善された効果などの代替的なアプローチにまさる多くの利点を提供して、副作用の徴候なく、マウスにおいて確立された乳がん異種移植の持続的な退縮をもたらす。GNPがコンジュゲートしたアプタマーは、正常な細胞よりもがん細胞に対して極めて選択的であり、例えば、Cy2、Cy3、Cy5、Cy(登録商標)5.5、Cy7、Alexa Fluor(登録商標)680、Alexa Fluor(登録商標)750、IRDye(登録商標)680、及びIRDye(登録商標)800CW(LI-COR Biosciences社、リンカン、NE)などのシアニン色素と結合させられた場合、優れた造影剤である。GNPがコンジュゲートしたアプタマーは、造影剤として使用されてもよく、薬学的に許容される担体をさらに含有する組成物として投与されてもよい。造影剤は、インビボにおいてがんを画像化する方法において、対象中に存在する造影剤の画像を形成するために対象に投与されてもよい。
【0048】
本明細書に記載されている組成物の量及び比はすべて、別に明記されない限り重量による。したがって、1ナノ粒子当たりの抗ヌクレオリン剤の数は、ナノ粒子の重量が変動すると、当量抗ヌクレオリン剤濃度(又は当量アプタマー濃度)が別に同じであっても、変化することがある。例えば、1ナノ粒子当たりの抗ヌクレオリン剤分子の数は、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800及び900を含む、2~10,000、又は10~1000で変化することもある。
【0049】
医薬組成物は、静脈内、皮内、皮下、経口、吸入、経皮、経粘膜、及び直腸投与を含む意図される投与経路と適合するよう製剤化される。非経口、皮内又は皮下適用に使用される溶液及び懸濁液は、滅菌した希釈剤、例えば、注射用水、生理食塩水、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又はその他の合成溶媒;抗菌剤、例えば、ベンジルアルコール又はメチルパラベン;酸化防止剤、例えば、アスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウム;緩衝剤、例えば、酢酸塩、クエン酸塩又はリン酸塩、及び張性の調節のための薬剤、例えば、塩化ナトリウム又はデキストロースを含んでもよい。塩酸若しくは水酸化ナトリウムなどの酸又は塩基でpHが調節されてもよい。
【0050】
注射に適切な医薬組成物としては、滅菌した注射可能な溶液又は分散液の即席の調製のための滅菌水溶液又は分散液が挙げられる。静脈内投与に適切な担体としては、生理的食塩水、静菌水、CREMOPHOR EL(登録商標)(BASF社;パーシッパニー、NJ)又はリン酸緩衝食塩水(PBS,phosphate buffered saline)が挙げられる。あらゆる場合において、組成物は、滅菌されていなければならず、シリンジを使用して投与されるよう流体であるべきである。そのような組成物は、製造及び保管の間、安定でなければならず、好ましくは、細菌及び真菌などの微生物の汚染から保護される。担体は、例えば、水、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール)、及びその他の適合した適切な混合物を含有する分散媒であってもよい。さまざまな抗菌及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、及びチメロサールは、微生物汚染を阻止することができる。糖、ポリアルコールなどの等張化剤、例えば、マンニトール、ソルビトール、及び塩化ナトリウムが組成物中に含まれてもよい。吸収を遅延させることができる組成物としては、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなどの薬剤が挙げられる。
【0051】
滅菌した注射可能な溶液は、活性薬剤、及び他の治療用構成成分を、必要とされる量で適切な溶媒に、必要に応じて、1つの成分又はその組合せとともに混合し、続いて滅菌することによって調製することができる。滅菌した注射可能な溶液の調製のための滅菌固体の調製の方法としては、固体を得るための真空乾燥及びフリーズドライが挙げられる。
【0052】
本明細書に記載されている医薬組成物は、その他の治療的に活性な化合物をさらに含んでもよく、及び/又はがん及び腫瘍の治療に適切な本明細書において述べたとおりの理学的技術と併せて使用されてもよい。一般的に使用される治療的に活性な化合物の例としては、ビノレルビン(Navelbine(登録商標))、マイトマイシン、カンプトテシン、シクロホスファミド(Cytoxin(登録商標))、メトトレキセート、クエン酸タモキシフェン、5-フルオロウラシル、イリノテカン、ドキソルビシン、フルタミド、パクリタキセル(Taxol(登録商標))、ドセタキセル、ビンブラスチン、メシル酸イマチニブ(Gleevec(登録商標))、アントラサイクリン、レトロゾール、三酸化ヒ素(Trisenox(登録商標))、アナストロゾール、トリプトレリンパモ酸塩、オゾガマイシン、塩酸イリノテカン(Camptosar(登録商標))、BCG生菌(Pacis(登録商標))、酢酸ロイプロリドインプラント(Viadur)、ベキサロテン(Targretin(登録商標))、エキセメスタン(Aromasin(登録商標))、トポテカン塩酸塩(Hycamtin(登録商標))、ゲムシタビンHCL(Gemzar(登録商標))、ダウノルビシン塩酸塩(Daunorubicin HCL(登録商標))、ゲムシタビンHCL(Gemzar(登録商標))、クエン酸トレミフェン(Fareston)、カルボプラチン(Paraplatin(登録商標))、シスプラチン(Platinol(登録商標)及びPlatinol-AQ(登録商標))オキサリプラチン及び任意のその他のプラチナ含有腫瘍薬物、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))、ラパチニブ(Tykerb(登録商標))、ゲフィチニブ(Iressa(登録商標))、セツキシマブ(Erbitux(登録商標))、パニツムマブ(Vectibix(登録商標))、テムシロリムス(Torisel(登録商標))、エベロリムス(Afinitor(登録商標))、バンデタニブ(Zactima(商標))、ベムラフェニブ(Zelboraf(商標))、クリゾチニブ(Xalkori(登録商標))、ボリノスタット(Zolinza(登録商標))、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、放射線療法、温熱療法、遺伝子治療並びに光力学療法が挙げられる。
【0053】
がんの治療において、治療用薬剤の適切な投与量レベルは、一般に1日当たり患者の体重1kgにつき約0.01~500mgになり、これは、単回又は複数用量で投与されてもよい。好ましくは、投与量レベルは、1日当たり約0.1~約250mg/kg、より好ましくは、1日当たり約0.5~約100mg/kgになる。適切な投与量レベルは、1日当たり約0.01~250mg/kg、1日当たり約0.05~100mg/kg、又は1日当たり約0.1~50mg/kgであってもよい。この範囲内で、投与量は、1日当たり0.05~0.5、0.5~5又は5~50mg/kgであってもよい。化合物は、1日1~4回、好ましくは、1日1回又は2回のレジメンで投与されてもよい。継続的な注入による投与も好ましい。
【0054】
医薬調製物は、そのまま投与できる形態に、単位剤形と呼ばれる単回投与に適した単回投与量と一致する量で予め包装されていてもよい。単位剤形は、ガラス又はプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジ又はバイアルに密封されてもよい。
【0055】
ただし、任意の特定の患者のための投与量の特定の用量レベル及び頻度は、変動することもあり、利用される特定の化合物の活性、その化合物の代謝安定性及び作用の長さ、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与の様式及び時間、排出の速度、薬物の組合せ、特定の状態の重症度、並びに治療を受けている患者を含む、さまざまな要因により決まることになる。
[実施例]
目的:GBMを標的とする能力を示すと同時に膠芽腫細胞型に対する組合せ治療の追加を可能にする共コンジュゲートPEG:AS1411金ナノ粒子(AuNP)を合成及び最適化する。
【0056】
材料
HAuCl・3HOを、Alfa Aesar社(チュークスベリ、MA)から購入した。クエン酸三ナトリウム塩(Na)、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)、ジチオスレイトール(DTT)及び無水炭酸水素ナトリウム(NaHCO)をSigma Aldrich社(セントルイス、MO)から購入した。10.0×リン酸緩衝液(pH7.4)。すべての水溶液を調製するためにNanopure超純水(Barnstead社、18.2MΩ・cmの抵抗率)を使用した。塩酸(HCl)及び硝酸(HNO)は、分析グレードであり、VWR社(ランドール、PA)から購入した。GNP合成のためのすべてのガラス製品をきれいにするために王水溶液(3部のHCl及び1部のHNO)を使用した。チオールポリエチレングリコール-4-アルコール(SH-PEG-OH;分子量210.3g/mol;95%純度)を、BroadPharm社(サンディエゴ、CA)から購入し、企業の仕様書により調製した。規則的なDNA主鎖(リン酸ジエステル)、5’-チオール C6 S-S修飾(チオ-MC6-D)、5’-6Tスペーサー(AS1411及びCROに対する)を有するオリゴヌクレオチド及び高速液体クロマトグラフィー精製は、Integrated DNA Technologies社(コーラルビル、IA)によって供給された。使用したオリゴヌクレオチド配列は、5'-GGTGGTGGTGGTTGTGGTGGTGGTGG(AS1411;配列番号10)及び5’-CCTCCTCCTCCTTCTCCTCCTCCTCC(CRO;配列番号17)であり、それぞれ5’末端が6つのチミン塩基で修飾され、3’末端が3つのチミン塩基で修飾されていた。フルオロフォア修飾オリゴヌクレオチド(Cy5-AS1411及びCy5-CRO)は構造的に類似しており、3’修飾蛍光シアニン-5(Cy5)を有するオリゴヌクレオチドをIntegrated DNA Technologies社から入手した。Illustra NAP-25 DNAサイズ排除クロマトグラフィーグラビティカラムを、GE Healthcare Life Sciences社(ピッツバーグ、PA)から入手した。Ultracel-30(30000MWCO)を備えたAmicon Ultra 15.0ml遠心フィルターを、Merck Millipore社(ビレリカ、MA)から購入した。ナノ粒子配合物及びオリゴのUV吸収スペクトルをUV可視分光計(Varian Cary 50 BIO UV、Agilent Technologies社、サンタクララ、CA)で測定した。ナノ粒子配合物に対する動的光散乱及びゼータ電位測定値を、NanoBrook Zeta PALS Zeta Potential Analyzer(Brookhaven Instruments社、ホルツビル、NY)を使用して得た。U87MG膠芽腫がん細胞を、ATCC(マナッサス、VA)から購入した。ダルベッコ変法イーグル培地、熱失活ウシ胎仔血清、10×トリプシン、ペニシリン/ストレプトマイシンを、Thermo Fisher Scientific社(ウォルサム、MA)から購入した。GBM細胞を、Corning Incorporated社(チュークスベリ、MA)のT25又はT75滅菌培養プレートにおいて継代培養した。U87MGを、明視野顕微鏡法及び代謝研究のためにVWR社(ラドノー、PA)の滅菌培養プレートにおいて、又は共焦点研究のためにMatTek Life Sciences社(アシュラン、MA)から購入した10mmのガラス底、ポリ-d-リジンコーティングMatTek社ディッシュにおいて培養した。ナノ粒子又は対照処理U87MGに関する代謝活性を、Biotum社(フリーモント、CA)から入手した(2,3-ビス-(メトキシ-4-ニトロ-5-スルホフェニル-2H-テトラゾリウム-5-カルボキシアニリド)(XTT)の分光光度測定を使用して測定した。
【0057】
共コンジュゲートAS1411及びPEG GNP合成
4ナノメートル(nm)のクエン酸キャッピングGNPを、以前に報告されたプロトコルを使用して滅菌的に合成した(Kim, H., et al., Integrative genome analysis reveals an oncomir/oncogene cluster regulating glioblastoma survivorship. Proc Natl Acad Sci U S A, 2010. 107(5): p. 2183-8、Li, Y., et al., MicroRNA-34a inhibits glioblastoma growth by targeting multiple oncogenes. Cancer Res, 2009. 69(19): p. 7569-76)。チオール修飾AS1411(SH-AS1411)は、購入時には保存及び安定性のためのジスルフィド結合を含み、これを、SH-AS1411、1.0M DTT、0.25Mリン酸バッファー(PB,phosphate buffer)、及びNanopure超純水の所望の混合物の1時間沸騰させることに続いてさらに1時間冷却することにより結合に先立って切断した。SH-AS1411を、Illustra NAP-25 DNAグラビティカラム及び溶離液として0.1M PBを使用したサイズ排除クロマトグラフィーにより単離した。SH-PEGアルコールを、製造仕様書に従ってDMSO中で希釈した。その後、切断及び精製したSH-AS1411及びSH-PEGアルコールを、さまざまな比(次の段落を参照)でGNPとコンジュゲートして、二構成成分AS1411/PEGコーティングを形成した。96時間の期間にわたる1×濃度までの10×リン酸緩衝食塩水(PBS)の段階的な添加に続く、水浴における10分間の最大超音波処理。13,500gでの20分間の遠心分離に続く3回の1×PBS洗浄及び各洗浄後の再遠心分離により、いかなる非コンジュゲート構成成分も除去した。
【0058】
PEG及びAS1411の搭載比によって異なる複数のPEG/AS1411共コンジュゲートGNP配合物を合成した。GNPへのAS1411の可能な最大搭載は、紫外可視(UV-VIS,ultraviolet visible)スペクトロメトリーによって測定される場合、コロイド溶液内に存在する金の濃度の12倍(12×と表される)で一定に保った。この12×搭載を、PEG:AS1411の複数の比に分割し、この文書全体を通して保持される以下の実験条件を得た:PEGを搭載せず、AS1411最大搭載(0:1又は12×)、PEG最大搭載でAS1411を搭載せず(1:0又は0×)、及びAS1411:PEGの3つの異なる搭載比(1:3又は3×、1:1又は6×、及び3:1又は9×)。12×AS1411の最大未満の配合物に関して、PEGは、12×の最大搭載要件を満たすよう組み込んだ。最適な搭載比が求められたら、SH-PEG及びCRO配列を担持する共コンジュゲートGNP並びに蛍光共コンジュゲート及び対照GNP(それぞれ、SH-AS1411-Cy5又はSH-CRO-Cy5、励起/発光 650/670)を、上で明記されるのと同様に合成した。
【0059】
ナノ粒子の特徴付け
すべてのナノ粒子タイプに関して、ZetaPALSソフトウェアを実行してNanoBrook Zeta PALS Zeta Potential Analyzer(Brookhaven Instruments社、ホルツビル、NY)で(ナノメートル単位で測定される)粒子サイズ、(ミリボルト単位で測定される)ゼータ電位、及び多分散指数(単位なし)を測定した。Varian Cary 50 BIO UV(Agilent Technologies社、サンタクララ、CA)分光計から報告された吸収スペクトルが結合を実証した。1.0M DTTを含む1×PBSの混合物中における処理によるGNPからオリゴの72時間の切断に続く、切断及び単離されたオリゴのUV-VIS測定(溶離液として0.1Mリン酸バッファーを用いたIllustra NAP-25 DNAグラビティカラムによる)により各GNP配合物に関するオリゴ搭載を評価した。ベールの法則を使用してUV測定値からオリゴのモルを計算し、コロイド溶液中に存在する金のモルと比較して、1GNP当たりの平均AS1411又はCROを求めた。
【0060】
細胞培養
U87MGを、10%熱失活ウシ胎仔血清及び1%ペニシリン/ストレプトマイシンを含むダルベッコ変法イーグル培地(DMEM,Dulbecco's Modified Eagle's Medium)において培養した。すべての継代培養は、0.25%トリプシンを使用して継代し、5000細胞/cmの最小密度で播いた。U87MGを、1000細胞/ウェルに相当する密度で滅菌した透明なポリスチレン96ウェルプレート又は10mmのMatTek社ガラス底ディッシュに播いた。ガラス底ディッシュに播いた細胞を、培養に先立って1時間付着させた。プレート又はディッシュに播いたU87MGを、細胞を培養条件に慣らさせるためにGNP処理に先立って2日間培養した。
【0061】
細胞傷害性及び特異性研究
96ウェルプレート中の細胞及び対照ウェルを、0~5000マイクロモル濃度(μM)のAS1411の範囲でDMEMと混合したナノ粒子配合物とともに培地を変えずに72時間インキュベートした。対照細胞を、10μMのAS1411、最高の金濃度を示す裸のGNPにより処理するか、又は未処理とした。XTT吸光度データを、SoftMaxPro7.0ソフトウェアを実行してMolecular Devices社SpectraMax M2分光計から得、細胞プレートによるGNP干渉に関してベースライン補正をした。U87MGに対するGNP配合物の統計学的に有意な細胞傷害性を、二元配置ANOVA分析により判定した。最適に決定されたAS1411を担持する共コンジュゲートGNPの細胞傷害性を、CROを担持するものの細胞傷害性と比較することによってAS1411の特異性を実証した。Windows用GraphPad Prismバージョン7.0.0、GraphPad Software社(サンディエゴ、カリフォルニア;www.graphpad.com)を使用したIC50(又は50%の生存を効果的に阻害する濃度)分析は、最適な共コンジュゲートGNPの有効性を確認した。
【0062】
顕微鏡研究
NIS Elementsソフトウェアを用いて使用可能なCoolsnap HQ CCDカメラ(Roper社、ダルース、GA)を備えたNikon社TE200落射蛍光顕微鏡(メルビル、NY)を使用して、XTT処理に先立ってGNP配合物及び対照で72時間処理したU87MGに対する10×明視野画像を、96ウェルプレートにおいて取得した。共コンジュゲートCy5-AS1411又はCy5-CRO GNPの細胞取り込み及び細胞傷害性を、生細胞チャンバーを備えたNikon社A1Rスペクトル共焦点顕微鏡を使用して検証した。MatTek社ディッシュに播いたU87MGを、細胞傷害性研究から報告された以前に求めたIC50で処理し、30分当たり1画像の割合で72時間、20×倍で画像化した。画像は、各条件に対して5つの別個のxy位置から取得した。Nikon社Elementsソフトウェアを使用して、その後、画像を、.aviビデオに変換し、粒子の分布を確認した。代表的な写真を、すべての条件に対して0、24、48、及び72時間に関して選択した。
【0063】
統計分析
全データを収集し、Microsoft社Excelで処理した。α=0.05の有意レベルを使用し、GraphPad Prismを使用して適切な統計検定を完了した。データは、平均値+/-標準偏差として示す。報告した統計検定は、ボンフェローニ事後検定を伴う二元配置ANOVAである。サンプル規模は、必要とされる場合、記載される。
【0064】
結果
GBM適用のためのPEG・AS1411・GNPの最適な構成を決定するために、ヒトGBMを代表する細胞株(U87MG)を、PEG及びAS1411構成成分の搭載比が異なるGNPに曝露した。PEG及びAS1411の搭載比によって異なる複数のPEG/AS1411共コンジュゲートGNP配合物を合成した。PEGは、汚損防止分子であり、それにより粒子をタンパク質凝集から保護し、GNPのさらなる修飾を可能にする表面改質剤として、追加の抗GBM療法とともに使用される。GNPへのAS1411及びPEGの可能な最大搭載は、UV-VISスペクトロメトリーによって測定される場合、コロイド溶液内に存在する金の濃度の12倍(12×と表される)で一定に保たれた。この12×搭載を、PEG:AS1411の複数の比に分割し、この結果を通して保持される以下の実験条件を得た:PEGを搭載せず、AS1411最大搭載(0:1又は12×)、PEG最大搭載でAS1411を搭載せず(1:0又は0×)、及びAS1411:PEGの3つの異なる搭載比(1:3又は3×、1:1又は6×、及び3:1又は9×)。12×AS1411の最大未満の配合物に関して、PEGは、最大搭載要件を満たすよう組み込んだ。GNPの概略図(図1)は、提案される構造の特徴を示す。その後、細胞傷害性及び明視野画像化を完了し、GBM適用のための最良の粒子設計を決定するために粒子合成物の特徴と併せて利用した。最適化した粒子上でのAS1411の特異性の保持を検証するために、AS1411又は対照オリゴヌクレオチド配列であるCROのいずれかを担持する最適なGNP配合物を用いて細胞傷害性研究を完了した。その後、生細胞画像化研究を完了して、最適に設計されたPEG・AS1411・GNPの全体的な取り込み及び分布を検証した。
【0065】
ゼータ電位(mV)及び流体力学的サイズ(nm)の測定値を、それぞれ図2A及び図2Bに示す。10を超える大きさは、より安定した合成物を示す。データは、最小限のサイズ変動を示す。
【0066】
多分散指数を図2Cに示す。多分散性は、単位はなく、0~1で評価される。1AuNP当たりのAS1411を図2Dに示す。
【0067】
DTTは、コンジュゲートしたAS1411を分離させる。分離前後のUV-VISスペクトル分析を、それぞれ図2E及び図2Fに示す。UV-VISスペクトルは、金の表面プラズモン共鳴(約520nm)及び搭載を実証するDNA(約260nm)を示す。
【0068】
U87MG細胞の代謝活性に対する共コンジュゲート(AS1411及びPEG)AuNPの効果を図3に示す。共コンジュゲートAuNPの同じ細胞に対するEC50分析を図4に示す。粒子処理U87MG細胞の10×明視野画像を図5に示す。XTT吸光度が低いほど、代謝活性が低く、細胞死滅効果が大きい。
【0069】
9×AS/CRO AuNPによる処理後のU87MGのインビトロ代謝活性を図6に示す。図7は、9×共コンジュゲートAuNP粒子のEC50分析を示すグラフである。
【0070】
この結果は、ナノ粒子がコンジュゲートした抗ヌクレオリン剤と比較して、ナノ粒子がコンジュゲートした抗ヌクレオリン剤・PEGの驚くべき予想外の改善を示す。特にAS1411の2500nm及び5000nm濃度において、ナノ粒子がコンジュゲートした抗ヌクレオリン剤・PEGのすべての形態は、図3に示されるとおり、細胞を死滅させることにおいてナノ粒子抗ヌクレオリン剤結合と比較してほぼ2倍効果的であった。これは、驚くべき予想外のことであり、それは、PEG化の利点は、ここで示されるような、インビトロではなくインビボにおいてのみ予想されたためである。さらに、生細胞共焦点研究は、ナノ粒子がコンジュゲートした抗ヌクレオリン剤・PEGの選択性を立証した。同様の結果が他のタイプのがんにおいても見込めるであろう。
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図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】