(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-10
(54)【発明の名称】口鼻患者インターフェース
(51)【国際特許分類】
A61M 16/06 20060101AFI20221102BHJP
【FI】
A61M16/06 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022515738
(86)(22)【出願日】2020-09-09
(85)【翻訳文提出日】2022-05-09
(86)【国際出願番号】 AU2020050953
(87)【国際公開番号】W WO2021046599
(87)【国際公開日】2021-03-18
(32)【優先日】2019-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(32)【優先日】2020-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】500046450
【氏名又は名称】レスメド・プロプライエタリー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・イーヴス
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・ジェームズ・ベイト
(72)【発明者】
【氏名】セバスティエン・デューベル
(72)【発明者】
【氏名】ポール・デリック・ワトソン
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ロビン・ウェルズ
(72)【発明者】
【氏名】ベン・ハイ・タン
(72)【発明者】
【氏名】チー・ケオン・オン
(72)【発明者】
【氏名】マーヴィン・スギ・ハルトノ
(72)【発明者】
【氏名】ハン・チェン・リン
(57)【要約】
第1のシール形成構造および第2のシール形成構造を治療的に有効な位置に維持するように構成された位置決めおよび安定化構造を含む患者インターフェース。この位置決めおよび安定化構造は、上記プレナムチャンバへ連結されたフレームを含む。このフレームは、上記キャビティの外部において上記プレナムチャンバへ連結された中央部を含む。このフレームは、上記中央部から離隔方向において上記第2のシール形成構造を通過して後方方向に延びる一対のアームも含む。上記一対のアームは、上記中央部よりも可撓性である。上記位置決めおよび安定化構造は、上記フレームへ連結されたヘッドギアストラップも含む。このヘッドギアストラップは、上記フレームを介して張力を上記第1のシール形成構造および上記第2のシール形成構造へ付加して上記患者の顔内に付加するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者インターフェースであって:
周囲空気圧力を超える少なくとも6cmH
2Oの治療圧力まで加圧可能であるプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバと、
患者の口への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置された第1のシール形成構造であって、これにより、前記治療圧力における空気流れが口に送達され、第1のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
患者の鼻への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置された第2のシール形成構造であって、これにより、前記治療圧力における空気流れが鼻に送達され、第2のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
前記患者が呼気した連続的ガス流れが前記プレナムチャンバの内部から周囲へ抜け出ることを可能にする通気構造であって、前記通気構造は、使用時に前記プレナムチャンバ内の前記治療圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気構造と、を含み、
前記患者インターフェースは、
第2のシール形成構造とプレナムチャンバの前壁部との間のインターフェースの対向する側部上に設けられた一対の支持部であってであって、支持部は、前後方向における圧縮を阻止するように構成される、一対の支持部をさらに含む、患者インターフェース。
【請求項2】
前記支持部は、前記第2のシール形成構造のうち使用時において前記患者の上唇をシールする部位へ接続される、請求項1の患者インターフェース。
【請求項3】
前記支持部は、使用時において前記患者の上唇を前記患者の鼻の下側角部の真下においてシールする前記第2のシール形成構造の部位へ接続される、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項4】
前記支持部は、矢状面に対して平行な断面からみたときに曲線状である、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項5】
前記支持部は、前額面に対して平行な断面からみたときに曲線状である、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項6】
前記プレナムチャンバは、口腔部および鼻部を含む、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項7】
各支持部は、前記口腔部の側方側壁部および前記鼻部の側方側壁部の境界に隣接する前記プレナムチャンバの口腔部へ接続される、請求項6の患者インターフェース。
【請求項8】
各支持部は、前記口腔部の前壁部および前記鼻部の前壁部の境界に隣接する前記プレナムチャンバの口腔部へ接続される、請求項6に記載の患者インターフェース。
【請求項9】
前記プレナムチャンバの側方側壁部は、前記鼻部との境界に隣接して内方に曲線状にされ、前記支持部の各々は、隣接する側方側壁部に実質的に隣接する、請求項7に記載の患者インターフェース。
【請求項10】
前記第2のシール形成構造は、空気流れを前記治療圧力において患者の鼻孔への入口へ送達させるように構成された少なくとも1つの鼻用アパチャを含み、使用時において、いずれの支持部のいずれの部分も、またはそれぞれの鼻用アパチャの直接下側に無い、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項11】
前記インターフェースは、前記シール形成構造を患者頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を発生させるように構成された位置決めおよび安定化構造と、をさらに含む、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項12】
前記プレナムチャンバは、シェルによって少なくとも部分的に形成され、前記通気構造は、シェルに設けられる、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項13】
前記支持部は、前記第2のシール形成構造へ接続され、前記プレナムチャンバの前壁へ接続される、請求項1の患者インターフェース。
【請求項14】
患者インターフェースであって:
周囲空気圧力を超える少なくとも6cmH
2Oの治療圧力まで加圧可能であるプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバと、
前記プレナムチャンバの口部位に接続された第1のシール形成構造であって、前記第1のシール形成構造は、患者の口への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置され、これにより、前記治療圧力における空気流れが口に送達され、第1のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
前記プレナムチャンバの鼻部位に接続された第2のシール形成構造であって、前記第2のシール形成構造は、患者の鼻への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置され、これにより、前記治療圧力における空気流れが鼻に送達され、第2のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造、および
前記患者が呼気した連続的ガス流れが前記プレナムチャンバの内部から周囲へ抜け出ることを可能にする通気構造であって、前記通気構造は、使用時に前記プレナムチャンバ内の前記治療圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気構造と、を含み、
ここで:
前記プレナムチャンバの口腔部との境界に隣接するプレナムチャンバの鼻部の第1の前壁部は、前記プレナムチャンバの口腔部の直接隣接する領域よりも可撓性であり、前記プレナムチャンバの鼻部の第2の前壁部は、第1の前壁部に直接隣接し、前記プレナムチャンバの口腔部との境界に対して第1の前壁部の反対側にあり、前壁部の直接隣接部よりも可撓性が低い、患者インターフェース。
【請求項15】
前記第1の前壁部は、前記プレナムチャンバの前記直接隣接部よりも肉薄である、請求項14の患者インターフェース。
【請求項16】
前記第2の前壁部は、前記プレナムチャンバの直接隣接部よりも肉厚である、請求項14に記載の患者インターフェース。
【請求項17】
前記第2の前壁部は、前記第1の前壁部を通過して延びるバンドを含み、前記プレナムチャンバを通じて前記患者へと延びるように構成される、請求項16に記載の患者インターフェース。
【請求項18】
前記プレナムチャンバ内の前記第1の前壁部と前記第2の前壁部との間の移行部は、実質的に段差面である、請求項17に記載の患者インターフェース。
【請求項19】
前記プレナムチャンバ外の前記第1の前壁部と前記第2の前壁部との間の移行部は、実質的に平滑な面である、請求項17に記載の患者インターフェース。
【請求項20】
前記第1の前壁部は、使用時において少なくとも前記バンドの一部よりもさらに上方に延びる、請求項17に記載の患者インターフェース。
【請求項21】
前記第1の前壁部および第2の前壁部は、同一材料により構成される、請求項14に記載の患者インターフェース。
【請求項22】
前記第1の前壁部は、前記プレナムチャンバの鼻部の幅全体に実質的にわたって延びる、請求項14に記載の患者インターフェース。
【請求項23】
前記第2の前壁部は、少なくとも前記プレナムチャンバの鼻部の幅の大部分にわたって延びる、請求項14に記載の患者インターフェース。
【請求項24】
前記第1の前壁部は、前記第2の前壁部の少なくとも1つの側方縁部周囲において上方向に延びる、請求項14に記載の患者インターフェース。
【請求項25】
前記第2の前壁部は、前記プレナムチャンバの鼻部の幅全体に実質的にわたって延びる、請求項14に記載の患者インターフェース。
【請求項26】
前記第1の前壁部の中央部は、前記第1の前壁部の側方部よりもさらに上方向に延びる、請求項14に記載の患者インターフェース。
【請求項27】
前記第1の前壁部の上側境界は、曲線状である、請求項14に記載の患者インターフェース。
【請求項28】
前記第1の前壁部の下側境界は、曲線状である、請求項14に記載の患者インターフェース。
【請求項29】
前記プレナムチャンバは、シェルによって少なくとも部分的に形成され、前記通気構造は、シェルに設けられる、請求項14に記載の患者インターフェース。
【請求項30】
患者インターフェースであって:
周囲空気圧力を超える少なくとも6cmH
2Oの治療圧力まで加圧可能であるプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバと、
前記プレナムチャンバの口部位に接続された第1のシール形成構造であって、前記第1のシール形成構造は、患者の口への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置され、これにより、前記治療圧力における空気流れが口に送達され、第1のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
前記プレナムチャンバの鼻部位に接続された第2のシール形成構造であって、前記第2のシール形成構造は、患者の鼻への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置され、これにより、前記治療圧力における空気流れが鼻に送達され、第2のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
前記患者が呼気した連続的ガス流れが前記プレナムチャンバの内部から周囲へ抜け出ることを可能にする通気構造であって、前記通気構造は、使用時に前記プレナムチャンバ内の前記治療圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気構造と、を含み、
ここで:
前記第2のシール形成構造の側方部の後面は、前記第1のシール形成構造および第2のシール形成構造の境界から上前方向に傾斜する、患者インターフェース。
【請求項31】
各側方部の傾斜により、20度~90度の角度がマスクの中央接触面と形成される、請求項30の患者インターフェース。
【請求項32】
前記患者インターフェースのいずれの部分も、使用時において前記患者の鼻翼頂上点と接触しない、請求項30に記載の患者インターフェース。
【請求項33】
前記患者インターフェースは、前記患者の鼻孔の閉塞を回避するように構成される、請求項30に記載の患者インターフェース。
【請求項34】
前記プレナムチャンバは、シェルによって少なくとも部分的に形成され、前記通気構造は、シェルに設けられる、請求項30に記載の患者インターフェース。
【請求項35】
患者インターフェースであって:
周囲空気圧力を超える少なくとも6cmH
2Oの治療圧力まで加圧可能であるプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバと、
前記プレナムチャンバの口部位に接続された第1のシール形成構造であって、前記第1のシール形成構造は、患者の口への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置され、これにより、前記治療圧力における空気流れが口に送達され、第1のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
前記プレナムチャンバの鼻部位に接続された第2のシール形成構造であって、前記第2のシール形成構造は、患者の鼻への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置され、これにより、前記治療圧力における空気流れが鼻に送達され、第2のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
前記患者が呼気した連続的ガス流れが前記プレナムチャンバの内部から周囲へ抜け出ることを可能にする通気構造であって、前記通気構造は、使用時に前記プレナムチャンバ内の前記治療圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気構造と、を含み、
ここで:
前記第1のシール形成構造と第2のシール形成構造との間の境界は、隆起部を含む、患者インターフェース。
【請求項36】
前記隆起部の曲率半径は、2mm未満である、請求項35の患者インターフェース。
【請求項37】
前記隆起部は、前記第1のシール形成構造と、前記第2のシール形成構造との間の境界全体に実質的にわたって延びる、請求項35に記載の患者インターフェース。
【請求項38】
使用時において、前記隆起部は、翼が上唇の上方の顔と出会う場所である鼻孔への入口の近隣の患者の顔と係合する、請求項35に記載の患者インターフェース。
【請求項39】
前記隆起部は、前記隆起部に隣接する前記第1のシール形成構造および/または第2のシール形成構造における皺形成に耐える、請求項35に記載の患者インターフェース。
【請求項40】
使用時において、前記プレナムチャンバは、シェルによって少なくとも部分的に形成され、前記通気構造は、前記シェルに設けられる、請求項35に記載の患者インターフェース。
【請求項41】
患者インターフェースであって:
周囲空気圧力を超える少なくとも6cmH
2Oの治療圧力まで加圧可能であるプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバと、
前記プレナムチャンバの口部位に接続された第1のシール形成構造であって、前記第1のシール形成構造は、患者の口への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置され、これにより、前記治療圧力における空気流れが口に送達され、第1のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
前記プレナムチャンバの鼻部位に接続された第2のシール形成構造であって、前記第2のシール形成構造は、患者の鼻への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置され、これにより、前記治療圧力における空気流れが鼻に送達され、第2のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
前記患者が呼気した連続的ガス流れが前記プレナムチャンバの内部から周囲へ抜け出ることを可能にする通気構造であって、前記通気構造は、使用時に前記プレナムチャンバ内の前記治療圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気構造と、を含み、
ここで:
前記プレナムチャンバの口腔部の少なくとも一部は、可撓性シェルを含み、可撓性シェルは、ヤング率が0.4GPa未満である材料から形成される、患者インターフェース。
【請求項42】
前記ヤング率は、0.1GPa未満である、請求項41の患者インターフェース。
【請求項43】
前記ヤング率は、0.3MPa~0.7MPaである、請求項41の患者インターフェース。
【請求項44】
少なくとも1つのコンポーネントが前記可撓性シェルへ接続され、少なくとも1つの前記コンポーネントは、前記可撓性シェルのうち前記コンポーネントに隣接する部位よりも硬質である、請求項41に記載の患者インターフェース。
【請求項45】
少なくとも1つの前記コンポーネントは、以下のうち1つ以上を含む:通気モジュール、ヘッドギアコネクタ、剛性化アームへ接続されたヘッドギアコネクタ、剛性化部材、より可撓性の低いシェル部、請求項44に記載の患者インターフェース。
【請求項46】
少なくとも1つの前記コンポーネントは、前記可撓性シェルへ解放可能に接続可能である、請求項44に記載の患者インターフェース。
【請求項47】
少なくとも1つの前記コンポーネントは、前記可撓性シェルへ恒久的に接続される、請求項44に記載の患者インターフェース。
【請求項48】
少なくとも1つの前記コンポーネントは、前記可撓性シェルへオーバーモールドされる、請求項47の患者インターフェース。
【請求項49】
少なくとも1つの前記コンポーネントは、硬化リブまたはバンドとして構成される、請求項44に記載の患者インターフェース。
【請求項50】
前記可撓性シェルは、前記可撓性シェルの直接隣接部よりも肉厚の硬化部を含む、請求項41に記載の患者インターフェース。
【請求項51】
前記プレナムチャンバの口腔部の中央部の剛直性は、前記プレナムチャンバの残り部分よりも高い、請求項41に記載の患者インターフェース。
【請求項52】
前記プレナムチャンバは、シェルによって少なくとも部分的に形成され、前記通気構造は、シェルに設けられる、請求項41に記載の患者インターフェース。
【請求項53】
患者インターフェースであって:
周囲空気圧力を超える少なくとも6cmH
2Oの治療圧力まで加圧可能であるキャビティを含むプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバと、
患者の口への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置された第1のシール形成構造であって、これにより、前記治療圧力における空気流れが口に送達され、第1のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
患者の鼻への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置された第2のシール形成構造であって、これにより、前記治療圧力における空気流れが鼻に送達され、第2のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
前記患者が呼気した連続的ガス流れが前記プレナムチャンバの内部から周囲へ抜け出ることを可能にする通気構造であって、前記通気構造は、使用時に前記プレナムチャンバ内の前記治療圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気構造と、
前記第1のシール形成構造および前記第2のシール形成構造を治療的に有効な位置に維持するように構成された位置決めおよび安定化構造と、を含み、前記位置決めおよび安定化構造は、
前記プレナムチャンバへ連結されたフレームであって、前記フレームは、
前記キャビティの外部において前記プレナムチャンバへ連結された中央部、および
前記中央部から離隔方向において前記第2のシール形成構造を通過して後方方向に延びる一対のアームであって、前記一対のアームは、前記中央部よりも可撓性である、一対のアームを含む、フレーム、および
前記フレームへ連結されたヘッドギアストラップであって、前記フレームを介して張力を前記第1のシール形成構造および前記第2のシール形成構造へ付加して前記患者の顔内に付加するように構成される、ヘッドギアストラップ、を含む、患者インターフェース。
【請求項54】
前記一対のアームの各アームは、前記フレームよりも可撓性である、請求項53に記載の患者インターフェース。
【請求項55】
前記中央部は、前記一対のアームの各アームよりも肉厚である、請求項54に記載の患者インターフェース。
【請求項56】
前記中央部および前記一対のアームの各アームは、同一材料から構築される、請求項55に記載の患者インターフェース。
【請求項57】
前記一対のアームの各アームは、第1の接続点を含み、前記ヘッドギアストラップは、各アームの前記第1の接続点へ連結される、請求項53に記載の患者インターフェース。
【請求項58】
第1の磁石が前記フレームの中央部上へオーバーモールドされ、前記ヘッドギアストラップは、前記第1の磁石へ取り外し可能に連結された第2の磁石を含む、請求項53に記載の患者インターフェース。
【請求項59】
前記プレナムチャンバは溝部を含み、前記中央部は、前記溝部内に位置決めされる、請求項53に記載の患者インターフェース。
【請求項60】
前記中央部は、前記溝部内において取り外し可能に位置決め可能である、請求項59に記載の患者インターフェース。
【請求項61】
前記溝部は、突出部を含み、前記中央部は、前記突出部を受容するように構成された相補型のスロットを含む、請求項59に記載の患者インターフェース。
【請求項62】
前記スロットは、テーパー状にされ、より幅広の開口部およびより幅狭の開口部を含み、前記突出部は、前記より幅狭の開口部に先行して前記より幅広の開口部を通じて受容されるように構成される、請求項61に記載の患者インターフェース。
【請求項63】
前記プレナムチャンバは、前記溝部に隣接して配置された突起部を含み、前記突起部は、前記中央部を前記溝部内に保持するように構成される、請求項59に記載の患者インターフェース。
【請求項64】
前記中央部の外面は、前記プレナムチャンバの外面と同一平面にあり、前記中央部の外面および前記プレナムチャンバの外面は、使用時において前記患者から離隔方向を向くように構成される、請求項59に記載の患者インターフェース。
【請求項65】
前記中央部は、環状形状を含み、前記プレナムチャンバ入口ポートは、前記フレームが前記プレナムチャンバへ連結されている状態において前記中央部内においてラジアル方向に配置される、請求項53に記載の患者インターフェース。
【請求項66】
前記プレナムチャンバ入口ポートは、エルボーを受容するように構成され、前記エルボーは、前記プレナムチャンバ入口ポート内に受容されている状態で前記中央部から間隔を開けて配置されるように構成される、請求項53に記載の患者インターフェース。
【請求項67】
前記一対のアームの各アームは、ピボット点周囲において前記中央部に対して旋回可能である、請求項53に記載の患者インターフェース。
【請求項68】
各ピボット点は、リビングヒンジである、請求項67に記載の患者インターフェース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1 関連出願の相互参照
本出願は、米国仮出願第63/058,001号(出願日:2020年7月29日)および豪州仮出願第2019903360号(出願日:2019年9月10日)の恩恵を主張する。本明細書中、同文献全体の内容が本明細書に参照により組み込まれる。
【0002】
2 技術の背景
2.1 技術の分野
本技術は、呼吸関連疾患のスクリーニング、診断、監視、治療、予防および改善のうち1つ以上に関する。本技術はまた、医療デバイスまたは装置と、その使用とに関する。
【背景技術】
【0003】
2.2 関連技術の説明
2.2.1 ヒトの呼吸器系およびその疾患
身体の呼吸器系は、ガス交換を促進させる。鼻および口腔は、患者の気道への入口を形成する。
【0004】
これらの気道は、一連の分岐する管を含み、これらの管は、肺の奥深くに進むほど狭く、短くかつ多数になる。肺の主要な機能はガス交換であり、空気から酸素を静脈血中へ取り入れさせ、二酸化炭素を退出させる。気管は、右および左の主気管支に分かれ、これらの主気管支はさらに分かれて、最終的に終末細気管支となる。気管支は、伝導のための気道を構成するものであり、ガス交換には関与しない。気道がさらに分割されると呼吸細気管支となり、最終的には肺胞となる。肺の肺胞領域においてガス交換が行われ、この領域を呼吸ゾーンと呼ぶ。以下を参照されたい:「Respiratory Physiology」, by John B. West, Lippincott Williams & Wilkins, 9th edition published 2011。
【0005】
一定範囲の呼吸器疾患が存在している。特定の疾患は、特定の発症(例えば、無呼吸、呼吸低下および過呼吸)によって特徴付けられ得る。
【0006】
呼吸器疾患の例には、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)、チェーン・ストークス呼吸(CSR)、呼吸不全、肥満過換気症候群(OHS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、神経筋疾患(NMD)および胸壁疾患が含まれる。
【0007】
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、睡眠呼吸障害(SDB)の1つの形態であり、睡眠時の上通気道の閉鎖または閉塞などの発症によって特徴付けられる。睡眠時の異常に小さな上側気道および舌領域における筋緊張の正常欠損、軟口蓋および後中咽頭壁の組み合わせに起因する。このような状態に起因して、罹患患者の呼吸停止が典型的には30~120秒にわたり、ときには一晩に200~300回も呼吸が停止する。その結果、日中の眠気が過度になり、心血管疾患および脳損傷の原因になり得る。この症候は一般的な疾患であり、特に中年の過体重の男性に多いが、患者に自覚症状は無い。特許文献1(米国特許第4,944,310号:Sullivan)を参照されたい。
【0008】
チェーン・ストークス呼吸(CSR)は、別の形態の睡眠呼吸障害である。CSRは、患者の呼吸調節器の疾患であり、CSRサイクルとして知られる換気の漸増および漸減が交互に周期的に続く。CSRは、動脈血の脱酸素および再曝気の繰り返しによって特徴付けられる。反復低酸素症のため、CSRは有害であり得る。患者によっては、CCRは、重症不眠、交感神経活動の増加、および後負荷の増加の原因となる、反復性睡眠覚醒を随伴する。特許文献2(米国特許第6,532,959号:Berthon-Jones)を参照されたい。
【0009】
呼吸不全とは、呼吸器障害の総称であり、患者の需要を満たすための充分な酸素吸気または充分なCO2呼気を肺が行うことができていないことを指す。呼吸不全は、以下の疾患のうちいくつかまたは全てを包含し得る。
【0010】
呼吸不全(一種の呼吸不全)の患者は、運動時に異常な息切れを経験することがある。
【0011】
肥満過換気症候群(OHS)は、低呼吸の原因が他に明確に無い状態における、深刻な肥満および覚醒慢性高炭酸ガス血症の組み合わせとして定義される。症状には、呼吸困難、起床時の頭痛と過剰な日中の眠気が含まれる。
【0012】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、特定の共通する特性を有する下気道疾患のグループのうちのいずれも包含する。これには空気の動きに対する抵抗の増加、呼吸の呼気相の延長および肺における正常な弾性の減少が含まれる。COPDの例として、気腫および慢性気管支炎がある。COPDの原因としては、慢性喫煙(第一危険因子)、職業被ばく、空気汚染および遺伝因子がある。症状を挙げると、労作時の呼吸困難、慢性咳および痰生成がある。
【0013】
神経筋疾患(NMD)は、内在筋病理を直接介してまたは神経病理を間接的に介して筋肉機能を損なう多数の疾病および病気を包含する広範な用語である。NMD患者の中には、進行性の筋肉障害によって特徴付けられる者もあり、結果的に歩行不可能、車椅子への束縛、嚥下困難、呼吸筋力低下に繋がり、最終的には呼吸不全による死亡に繋がる。神経筋肉障害は、以下の急速進行性と緩徐進行性とに区分され得る:(i)急速進行性障害:数ヶ月かけて悪化する筋肉障害によって特徴付けられ、数年内に死亡に繋がる(例えば、ティーンエージャーにおける筋萎縮性側索硬化症(ALS)およびデュシェンヌ筋ジストロフィー(DMD))、(ii)可変性または緩徐進行性障害:数年かけて悪化する筋肉障害によって特徴付けられ、平均余命が若干低減するだけである(例えば、肢帯、顔面肩甲上腕型および筋強直性筋ジストロフィー)。NMDにおける呼吸不全症状を以下に挙げる:全身衰弱の増加、嚥下障害、労作および安静時の呼吸困難、疲労、眠気、起床時の頭痛、および集中および気分の変化の困難。
【0014】
胸壁障害は、胸郭変形の1つのグループであり、呼吸筋肉と胸郭との間の連結の無効性の原因となる。これらの障害は、拘束性障害によって主に特徴付けられ、長期の炭酸過剰性呼吸不全の可能性を共有する。脊柱側弯症および/または後側弯症は、重篤な呼吸不全を発症することがある。呼吸不全の症状を以下に挙げる:労作時の呼吸困難、末梢浮腫、起座呼吸、反復性胸部感染症、起床時の頭痛、疲労、睡眠の質の低下、および食欲不振。
【0015】
このような状態を治療または改善するために、一定範囲の治療が用いられている。さらに、その他の点では健康な個人も、呼吸疾患の予防治療を有利に利用することができる。しかし、これらにおいては、複数の欠陥がある。
【0016】
2.2.2 療法
多様な呼吸療法(例えば、持続的気道陽圧(CPAP)治療法、非侵襲的換気(NIV)、侵襲的換気(IV)、および高流量療法(HFT))が上記の呼吸器疾患の1つ以上の治療のために用いられている。
【0017】
2.2.2.1 呼吸圧力治療
呼吸圧力治療とは、患者の呼吸サイクル全体にかけて雰囲気に対して通常陽圧である制御された目標圧力において気道の入口へ空気を供給することの適用である。
【0018】
持続陽圧呼CPAP)療法が、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の治療において用いられている。その作用機構としては、例えば軟口蓋および舌を押して後口咽頭壁へ前進または後退させることにより、持続陽圧呼吸療法が空気スプリントとして機能し、これにより上気道の閉鎖を防止し得る。CPAP治療によるOSAの治療は自発的なものであり得るため、このような患者が治療の提供に用いられるデバイスについて以下のうち1つ以上に気づいた場合、患者が治療を遵守しないことを選択する可能性がある:不快、使用困難、高価、美観的な魅力の無さ。
【0019】
非侵襲的換気(NIV)は、換気補助を上気道を通じて患者へ提供して、呼吸機能の一部または全体を行うことにより患者の呼吸の補助および/または身体中の適切な酸素レベルの維持を提供する。換気補助が、非侵襲的患者インターフェースを介して提供される。NIVは、OHS、COPD、NMD、および胸壁障害などの形態のCSRおよび呼吸不全の治療に用いられている。いくつかの形態において、これらの治療の快適性および有効性が向上し得る。
【0020】
侵襲的換気(IV)は、自身で有効に呼吸することができなくなった患者に対して換気補助を提供し、気管切開管を用いて提供され得る。いくつかの形態において、これらの治療の快適性および有効性が向上し得る。
【0021】
2.2.2.2 流れ療法
全ての呼吸治療において、規定の治療圧力の送達が意図されているわけではない。いくつかの呼吸治療においては、(恐らくは正のベースライン圧力上に重畳された)吸気流量プロファイルの送達を目標継続期間にわたって行うことによる規定呼吸量の送達が、企図されている。他の場合において、患者の気道へのインターフェースが「開放」(シール解除)されており、調整ガスまたは高濃度ガスの流れによる呼吸治療は、患者自身の自発呼吸の補助としてのみ用いられ得る。一実施例において、高流量療法(HFT)とは、連続的な、加熱された、加湿された空気流れをシールされていないかまたは開口した患者インターフェースを通じて、呼吸サイクル全体にかけてほぼ一定に保持される「治療流量」で提供することである。治療流量は、患者のピーク吸気流量を超えるようにノミナル設定されている。HFTは、OSA、CSR、呼吸不全、COPDおよび他の呼吸障害の治療のために用いられている。1つの作用メカニズムとして、患者の解剖学的死腔から呼気されたCO2のフラッシングまたは押し流しが可能になるため、高流量の空気を気道入口へ提供すると、換気効率が向上する。そのため、HFTは、死腔治療(DST)と呼ばれる場合がある。他の恩恵を挙げると、(恐らくは分泌制御の恩恵による)暖かさおよび加湿の向上や、気道圧力の緩やかな上昇の可能性がある。一定の流量の代替例として、治療流量は、呼吸サイクルにわたって変動するプロファイルに追随し得る。
【0022】
別の形態の流れ治療として、長期酸素治療(LTOT)または酸素補充治療がある。医師は、酸素富化ガスの連続流れを指定酸素濃度(周囲空気中の酸素分率が21%~100%)において指定流量(例えば、1リットル/分(LPM)、2LPM、3LPM)において患者気道へ送達させる旨を処方し得る。
【0023】
2.2.2.3 補充酸素
特定の患者の場合、補助酸素を加圧空気流れへ付加することにより、酸素治療と呼吸圧力治療またはHFTとの組み合わせが得られ得る。呼吸圧力治療へ酸素を付加した場合、これは、補助酸素を用いたRPTと呼ばれる。HFTへ酸素を付加した場合、その結果得られる治療は、補助酸素を用いたHFTと呼ばれる。
【0024】
2.2.3 呼吸治療システム
これら呼吸治療は、呼吸治療システムまたはデバイスによって提供され得る。このようなシステムおよびデバイスは、疾患を治療することなくスクリーニング、診断、または監視するためにも、用いられ得る。
【0025】
呼吸治療システムは、呼吸圧力治療デバイス(RPTデバイス)、空気回路、加湿器、患者インターフェース、酸素呼吸源、およびデータ管理を含み得る。
【0026】
別の形態の療法システムとして、下顎再位置決めデバイスがある。
【0027】
2.2.3.1 患者インターフェース
患者インターフェースは、例えば気道入口への空気流れを提供することにより呼吸装具へのインターフェースを装着者へ提供するために、用いられ得る。空気流れは、鼻および/または口腔へのマスク、口腔への管、または患者気管への気管切開管を介して提供され得る。適用される療法に応じて、患者インターフェースは、例えば患者の顔の領域との密閉部を形成し得、これにより、療法実行のための雰囲気圧力と共に充分な分散の圧力において(例えば、例えば雰囲気圧力に対して約10cmH2Oの陽圧において)ガス送達を促進する。酸素送達などの他の治療形態において、患者インターフェースは、約10cmH2Oの陽圧において気道へのガス供給の送達を促進するのに充分な密閉を含まない場合がある。鼻HFTなどの流れ治療の場合、患者インターフェースは、鼻孔への送気を行い(かつ完全なシールを明確に回避する)ように、構成される。このような患者インターフェースの一例として、鼻カニューレがある。
【0028】
特定の他のマスクシステムは、本分野において機能的に不適切であり得る。例えば、純然たる装飾目的のマスクの場合、適切な圧力を維持することができない場合がある。水中水泳またはダイビングに用いられるマスクシステムは、外部からのより高い圧力からの水侵入から保護することと、周囲よりも高い圧力において内部の空気を維持しないこととを行うように、構成され得る。
【0029】
特定のマスクは、本技術において臨床的に好ましく無い場合があり得る(例えば、マスクが鼻を介して気流を遮断し、口を介した気流のみを通過させる場合)。
【0030】
特定のマスクにおいて、患者がマスク構造の一部を口に挿入し、唇を介して密閉状態を生成および維持しなければならない場合、本技術において不快であるかまたは非実際的である場合がある。
【0031】
特定のマスクは、睡眠時(例えば、横向きにベッドに寝て枕の上に頭を置いた状態で睡眠する場合)における使用においては非実際的である場合がある。
【0032】
患者インターフェースの設計においては、複数の課題がある。顔は、複雑な三次元形状を有する。鼻および頭のサイズおよび形状は、個人によって大きく異なる。頭部には骨、軟骨および軟組織が含まれるため、顔の異なる領域は、機械的力に対して異なる反応を示す。すなわち、顎部または下顎は、頭蓋骨の他の骨に相対して動き得る。頭部全体は、呼吸治療期間を通じて動き得る。
【0033】
これらの課題に起因して、いくつかのマスクの場合、特に装着時間が長い場合または患者がシステムに不慣れである場合、押しつけがましい、美観的に望ましくない、コストが高い、フィット感が悪い、使用が困難、および不快感があるなどの理由のうち1つ以上がある。誤ったサイズのマスクが用いられた場合、コンプライアンスの低下、快適性の低下および患者予後の低下に繋がり得る。飛行士専用のマスク、個人用保護装具(例えば、フィルターマスク)、SCUBAマスクの一部として設計されたマスク、または麻酔投与用マスクは、その元々の用途には耐えられるものの、このようなマスクの場合、長時間(例えば、数時間)にわたって装着するには望ましくないほど不快な場合がある。このような不快感に起因して、治療に対する患者の承諾が低下する可能性がある。これは、マスクを睡眠時に装着する必要がある場合、特に当てはまる。
【0034】
CPAP治療は、患者が治療を承諾している場合、特定の呼吸疾患の治療においては極めて効果的である。マスクが不快である場合または使用が難しい場合、患者は、治療を承諾しない場合がある。患者はマスクを定期的に洗浄するよう推奨されることが多いため、マスクの清浄が難しい(例えば、組立または分解が困難である場合)、患者は、マスクを清浄することができず、患者の承諾に影響が出る場合がある。
【0035】
他の用途(例えば、飛行士)用のマスクの場合、睡眠呼吸障害の治療の使用には不適である場合があるため、睡眠呼吸障害の治療の使用のために設計されたマスクは、他の用途に適している場合がある。
【0036】
これらの理由のめ、睡眠時のCPAP送達のための患者インターフェースは、明瞭な分野を形成する。
【0037】
2.2.3.1.1 シール形成構造
患者インターフェースは、シール形成構造を含み得る。患者インターフェースは、患者の顔と直接接触するため、シール形成構造の形状および構成は、患者インターフェースの有効性および快適性に直接影響を持ち得る。
【0038】
患者インターフェースは、使用時にシール形成構造を顔と係合させる場所の設計意図に従って、部分的に特徴付けられ得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、左鼻孔の周囲にシールを形成するための第1のサブ部分と、右鼻孔の周囲にシールを形成するための第2のサブ部分とを含み得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、使用時において双方の鼻孔を包囲する単一の要素を含み得る。このような単一の要素は、例えば顔の上唇領域および鼻梁領域上に載置されるように、設計され得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、使用時に例えば顔の下唇領域上にシールを形成することにより口領域を包囲する要素を含み得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、使用時に双方の鼻孔および口領域を包囲する単一の要素を含み得る。これらの異なる種類の患者インターフェースは、その製造業者によって鼻マスク、フルフェイスマスク、鼻枕、鼻パフおよび口鼻マスクなどの多様な名称によって公知であり得る。
【0039】
患者の顔の一領域において有効であり得るシール形成構造は、例えば患者の顔の異なる形状、構造、変化性および感受性領域に起因して、別の領域において不適切であり得る。例えば、患者の額上に載置される水泳用ゴーグルの密閉部は、患者の鼻上における使用には不適切である場合がある。
【0040】
特定のシール形成構造は、広範囲の異なる顔形状およびサイズに対して1つの設計が適合し、快適でありかつ有効になるように、大量製造用に設計され得る。密閉部を形成するためには、患者の顔の形状と、大量製造された患者インターフェースのシール形成構造との間の不整合がある範囲まで、一方または双方を適合させる必要がある。
【0041】
1つの種類のシール形成構造は、患者インターフェースの周囲を包囲して延び、シール形成構造が患者の顔に対向して係合している状態で力が患者インターフェースへ付加された際、患者の顔を密閉することを意図する。このシール形成構造は、空気または流体充填クッションを含み得るか、または、ゴムなどのエラストマーによって構成された弾力性のある密閉要素の成形されたかまたは形成された表面を含み得る。この種のシール形成構造により、フィット感が不適切である場合、シール形成構造と顔との間に隙間が発生し、密閉を達成するには、患者インターフェースを顔に押しつけるためにさらなる力が必要になる。
【0042】
別の種類のシール形成構造は、陽圧がマスク内に付加された際に患者の顔に対して自己気密作用を提供するように、マスクの周囲の周辺に配置された薄材のフラップシールを使用する。先述の種類の密閉形成部分と同様に、顔とマスクとの間の整合が良くない場合、密閉を達成するために必要なさらなる力が必要になり得るか、またはマスクから漏洩が発生し得る。さらに、シール形成構造の形状が患者の形状と整合しない場合、使用時においてシール形成部分に折り目または座屈が発生し、漏洩の原因になる。
【0043】
別の種類のシール形成構造は、例えば鼻孔中へ挿入される摩擦嵌め要素を含み得るが、これらのシール形成部分を不快であると感じる患者も存在する。
【0044】
別の形態のシール形成構造は、密閉を達成するために接着部を用い得る。患者の中には、常に接着部を自身の顔に貼り付けるかまたは取り外すことが不便であると感じる患者もいる。
【0045】
一定範囲の患者インターフェースシール形成構造の技術について、(ResMed Limitedへ譲渡された以下の特許出願:WO1998/004,310、WO2006/074,513、WO2010/135,785)に開示がある。
【0046】
鼻枕の一形態が、Puritan Bennettによって製造されたAdam回路において見受けられる。別の鼻枕または鼻パフが、Puritan-Bennett Corporationへ譲渡された米国特許第4、782、832号(Trimbleら)の主題になっている。
【0047】
ResMed Limitedは、鼻枕を用いた以下の製品を製造している:SWIFT(登録商標)鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)II鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)LT鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)FX鼻枕マスクおよびMIRAGELIBERTY(登録商標)フルフェイス型マスク。ResMed Limitedへ譲渡された以下の特許出願において、鼻枕マスクの実施例についての記載がある:国際特許出願WO2004/073、778号(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)鼻枕の様相を記載)、米国特許出願第2009/0044808号(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)LT鼻枕の様相を記載)、国際特許出願WO2005/063、328号およびWO2006/130、903号(特に、ResMed LimitedのMIRAGE LIBERTY(登録商標)フルフェイス型マスクの様相を記載)、国際特許出願WO2009/052、560号(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)FX鼻枕の様相を記載)。
【0048】
2.2.3.1.2 位置決めおよび安定化
陽圧空気治療に用いられる患者インターフェースのシール形成構造は、密閉を妨害する空気圧力の対応する力を受ける。そのため、シール形成構造を位置決めすることと、顔の適切な部分に対して密閉を維持することとを行うために、多様な技術が用いられている。
【0049】
1つの技術において、接着部が用いられる。例えば、米国特許出願公開US2010/0000534号を参照されたい。しかし、接着部を用いた場合、不快感がある場合がある。
【0050】
別の技術において、1つ以上のストラップおよび/または安定化ハーネスが用いられる。多数のこのようなハーネスの場合、フィット感が悪い、かさばる、不快および扱いにくいなどの点のうち1つ以上が当てはまる。
【0051】
2.2.3.2 呼吸圧力治療(RPT)デバイス
呼吸圧力治療(RPT)デバイスは、例えばデバイスを作動させて気道へのインターフェースへの空気送達流れを生成することにより、上記した複数の治療のうち1つ以上の送達に個別的に、またはシステムの一部として用いられ得る。空気流れは、(呼吸圧力治療のために)圧力制御され得るかまたは(HFTなどの流れ治療のために)流れ制御され得る。そのため、RPTデバイスは、流れ治療デバイスとしても機能し得る。RPTデバイスの例を挙げると、CPAPデバイスおよび人工呼吸器がある。
【0052】
2.2.3.3 空気回路
空気回路は、使用時において空気流れが呼吸治療システムの2つのコンポーネント(例えば、RPTデバイスおよび患者インターフェース)間に移動するように、構築および配置された導管またはチューブである。いくつかの場合において、吸息および呼息のための空気回路の別個の肢があり得る。他の場合において、吸息と呼息との両方のために単一の肢空気回路が用いられる。
【0053】
2.2.3.4 加湿器
空気流れの送達を加湿無しで行った場合、気道の乾燥に繋がり得る。加湿器をRPTデバイスおよび患者インターフェースと共に用いた場合、加湿ガスが生成されるため、鼻粘膜の乾燥が最小化され、患者気道の快適性が増加する。加えて、より冷涼な気候においては、概して患者インターフェースの周囲の顔領域へ温風を付加すると、冷風の場合よりも快適性が高まる。そのため、加湿器は、空気流れを加熱する能力だけでなく、空気流れを加湿する能力を持つことが多い。
【0054】
2.2.3.5 酸素源
この分野の専門家は、呼吸不全患者が運動すると、疾病進行を遅らせ、生活の質を高め、患者の寿命を延ばす長期的恩恵が得られると認識してきた。しかし、トレッドミルおよび定置式自転車などの定置型の運動は、これらの患者にとって激し過ぎる。そのため、可動性の必要性が、長く認識されている。最近まで、この移動性は、台車に載せた小型の圧縮酸素タンクまたはボンベを使用して促されてきた。これらのタンクの欠点は、格納できる酸素の量が限られていることと、搭載時の重量が約50ポンドと重いことである。
【0055】
酸素濃縮器は、呼吸治療用の酸素供給のためにおよそ50年間にわたって使用されている。従来の酸素濃縮器の場合、嵩高かつ高重量であるため、酸素濃縮器を装着しながら通常の歩行活動を行うことは、困難かつ非実際的である。最近、大型の定置型酸素濃縮器の製造会社は、ポータブル酸素濃縮器(POC)の開発を開始している。POCの利点として、理論的には酸素をエンドレスに供給できる点がある。これらのデバイスを可動性のために小型にするために、酸素富化ガス生成に必要な多様なシステムが高密度化されている。重量、サイズおよび消費電力を最小限にするためには、POCは、生成された酸素の使用をできるたけ効率化する必要が有る。これは、酸素を一連のパルスまたは「ボーラス」として送達させることによって達成され得、各ボーラスは、吸気開始と一致するようなタイミングに設定される。この治療モードは、パルス型または要求(酸素)型の送達(POD)として公知であり、従来の連続流れ送達よりも、据え付け型酸素濃縮器により適している。
【0056】
2.2.3.6 データ管理
臨床的理由により、呼吸治療が処方された患者が「コンプライアンスを遵守している」(例えば、患者が自身のRPTデバイスを1つ以上の「コンプライアンスルール」に則っているか)を決定するためのデータを入手する場合がある。CPAP治療についてのコンプライアンスルールの一例として、患者がコンプライアンスを遵守しているとみなすためには、患者が連続30日間のうち少なくとも21日間にわたってRPTデバイスを一晩あたり少なくとも4時間にわたって使用する必要がある。患者のコンプライアンスを決定するためには、RPTデバイスのプロバイダ(例えば、ヘルスケアプロバイダ)は、RPTデバイスを用いた患者の治療を記述するデータを手作業で入手し、所定期間にわたる使用率を計算し、これをコンプライアンスルールと比較し得る。ヘルスケアプロバイダが患者が自身のRPTデバイスをコンプライアンスルールに則って使用したと決定すると、当該ヘルスケアプロバイダは、患者がコンプライアンスを遵守している旨を第三者に通知し得る。
【0057】
患者の治療において、治療データの第三者または外部システムへの通信から恩恵を受ける他の態様があり得る。
【0058】
このようなデータを通信および管理するための既存のプロセスの場合、高コスト、時間がかかること、エラーの発生し易さのうち1つ以上が発生し得る。
【0059】
2.2.3.7 下顎の再位置決め
下顎再位置決めデバイス(MRD)または下顎前方固定デバイス(MAD)は、睡眠時無呼吸およびいびきの治療選択肢の1つである。これは、歯科医または他の供給業者から利用可能である調節可能な口腔用器具であり、下顎部(下顎)を睡眠時に前方位置に保持する。MRDは、取り外し可能なデバイスであり、患者の睡眠前に口腔内に挿入され、睡眠後に取り外される。そのため、MRDは、常時装着用途を想定した設計はされていない。MRDは、カスタム仕様にしてもよいし、あるいは、標準形態で製造してもよく、患者の歯に適合するように設計された咬合印象部位を含む。この下顎からの機械的突出部は、舌の後ろ側の空間を拡張させ、咽頭壁上へ張力を付加して、気道崩壊を低減させ、口蓋振動を低減させる。
【0060】
特定の実施例において、下顎前方固定デバイスは、上顎または上顎骨上の歯と係合するかまたは嵌め合うように意図された上側スプリントと、上顎または下顎上の歯と係合するかまたは嵌め合うように意図された下側スプリントとを含み得る。上側スプリントおよび下側スプリントは、一対の接続ロッドを介して相互に横方向に接続される。この1組の接続ロッドは、上側スプリントおよび下側スプリント上において対称に固定される。
【0061】
このような設計において、接続ロッドの長さは、MRDが患者の口腔中に配置されたときに下顎が前方位置に保持されるように、選択される。接続ロッドの長さは、下顎の突出レベルを変化させるように、調節され得る。歯科医は、突出レベルを下顎に合わせて決定することができ、その結果、接続ロッドの長さが決定される。
【0062】
下顎を上顎骨に対して前方に押し出すように構成されているMRDもあれば、ResMed Narval CC(登録商標)MRDなどの他のMADのように、下顎を前方位置に保持するように設計されているものもある。このデバイスにより、歯科的副作用および側頭/下顎間の関節(TMJ)の副作用も低下または最小化される。そのため、このデバイスは、歯のうち1つ以上の任意の移動を最小化または防止するように構成される。
【0063】
2.2.3.8 通気技術
いくつかの形態の治療システムは、吐き出された二酸化炭素を押し出すための通気部を含み得る。この通気部により、患者インターフェースの内部空間(例えば、プレナムチャンバ)から患者インターフェースの外部(例えば、周囲)へのガス流れが可能になり得る。
【0064】
この通気部は、オリフィスを含み得、マスク使用時において、ガスがオリフィスを通じて流れ得る。多数のこのような通気部の場合、音がうるさい。他の場合、使用時において閉塞し得るため、押し出しが不十分になる。いくつかの通気部の場合、例えば音または気流集中に起因して、患者1000と同床者1100の睡眠を妨げる場合がある。
【0065】
ResMed Limitedは、複数の向上したマスク通気技術を開発している。下記を参照されたい:国際特許出願公開第WO1998/034、665、国際特許出願公開第WO2000/078、381、米国特許第6、581、594号、米国特許出願公開第US2009/0050156、米国特許出願公開第2009/0044808。
【0066】
従来のマスクのノイズの表(ISO17510-2:2007、1mにおける10cmH
2O圧力)
【表1】
【0067】
(*試料1個のみをISO3744に指定の試験方法を用いてCPAPモードにおいて10cmH2Oにて測定)
【0068】
【0069】
2.2.4 スクリーニング、診断システムおよびモニタリングシステム
睡眠ポリグラフ(PSG)は、心肺疾患の診断および監視のための従来のシステムであり、典型的には、システム適用のために専門家臨床スタッフを必要とすることが多い。PSGにおいては、多様な身体信号(例えば、脳波検査(EEG)、心電図検査(ECG)、電気眼球図記録(EOG)、筋電図描画法(EMG))を記録するために、典型的には15~20個の接触覚センサを人体上に配置する。睡眠時呼吸障害のPSGのめには、患者を専門病院において二晩にわたって観察する必要があった。すなわち、第一夜は純然たる診断のためであり、第二夜は、臨床医による治療パラメータのタイトレーションのために必要であった。そのため、PSGは高コストであり、利便性も低い。睡眠呼吸障害のスクリーニング/診断/監視は家庭において特に不向きである。
【0070】
一般に、スクリーニングおよび診断は、疾患の兆候と症状によって疾患を特定することである。通常、スクリーニングは、患者のSDBがさらなる調査を求める程であるかないかを示す真/偽結果を出すいっぽう、診断は、臨床で実行可能な情報を出すことが多い。スクリーニングおよび診断は、一回性手続きになる傾向であることに反して、疾患の経過をモニタリングすることは無限定に続けられる。いくつかのスクリーニング/診断システムは、スクリーニング/診断にのみ適合されているが、いくつかはモニタリングにも使用することができる。
【0071】
臨床専門家は、患者のスクリーニング、診断またはモニタリングをPSG信号の視覚的観察に基づいて適切に行い得る。しかし、臨床専門家が居ないまたは臨床専門家への支払いができない状況がある。患者の状態について臨床専門家によって意見が異なる場合がある。さらに、或る臨床専門家は、時期によって異なる基準を適用し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0072】
【特許文献1】米国特許第4,944,310号明細書
【特許文献2】米国特許第6,532,959号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0073】
3 技術の簡単な説明
本技術は、呼吸器疾患のスクリーニング、診断、モニタリング、改善、治療または予防において用いられる医療機器の提供に関連し、これらの医療機器は、向上した快適性、コスト、有効性、使い易さおよび製造可能性のうち1つ以上を有する。
【0074】
本技術の第1の態様は、呼吸器疾患のスクリーニング、診断、監視、改善、治療または予防に用いられる装置に関連する。
【0075】
本技術の別の態様は、呼吸障害のスクリーニング、診断、監視、改善、治療または予防において用いられる方法に関連する。
【0076】
本技術の特定の形態の一態様は、呼吸治療についての患者の承諾を向上させる方法および/または装置を提供することである。
【0077】
本技術の一形態は、患者インターフェースを含む。患者インターフェースは:
周囲空気圧力を超える少なくとも6cmH2Oの治療圧力まで加圧可能であるプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバと、
患者の口への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置された第1のシール形成構造であって、これにより、前記治療圧力における空気流れが口に送達され、第1のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
患者の鼻への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置された第2のシール形成構造であって、これにより、前記治療圧力における空気流れが鼻に送達され、第2のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
前記患者が呼気した連続的ガス流れが前記プレナムチャンバ内部から周囲に抜け出ることを可能にする通気構造であって、前記通気構造は、使用時に前記プレナムチャンバ内の前記治療圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気構造と、を含み、
上記患者インターフェースは、以下をさらに含む:
第2のシール形成構造とプレナムチャンバの前壁部との間のインターフェースの対向する側部上に設けられた一対の支持部であってであって、支持部は、前後方向における圧縮を阻止するように構成される、一対の支持部をさらに含む、患者インターフェース。
【0078】
実施形態において:
【0079】
a)支持部は、第2のシール形成構造のうち使用時において患者の上唇をシールする部位へ接続され、
【0080】
b)支持部は、第2のシール形成構造のうち使用時において患者の鼻の下側角部の直接下側において患者の上唇をシールする部位へ接続され、
【0081】
c)支持部は、矢状面に対して平行な断面からみたときに曲線状であり、
【0082】
d)支持部は、前額面に対して平行な断面からみたときに曲線状であり、
【0083】
e)プレナムチャンバは、口腔部および鼻部を含み、
【0084】
f)各支持部は、口腔部の側方側壁部および鼻部の側方側壁部の境界に隣接するプレナムチャンバの口腔部へ接続され、
【0085】
g)各支持部は、口腔部の前壁部および鼻部の前壁部の境界に隣接するシェルの口腔部へ接続され、
【0086】
h)プレナムチャンバの側方側壁部は、鼻部との境界に隣接して内方に曲線状にされ、各支持部は、隣接する側方側壁部に実質的に隣接し、
【0087】
i)第2のシール形成構造は、空気流れを前記治療圧力において患者の鼻孔への入口へ送達させるように構成された少なくとも1つの鼻用アパチャを含み、使用時において、いずれの支持部のいずれの部分も、またはそれぞれの鼻用アパチャの直接下側に無く、
【0088】
j)前記インターフェースは、前記シール形成構造を患者頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を発生させるように構成された位置決めおよび安定化構造と、をさらに含み、
【0089】
k)プレナムチャンバは、シェルによって少なくとも部分的に形成され、通気構造は、シェルへ設けられ、かつ/また
【0090】
l)上記支持部は、上記第2のシール形成構造へ接続され、上記プレナムチャンバの前壁へ接続される。
【0091】
本技術の別の形態は、患者インターフェースを含む。患者インターフェースは:
周囲空気圧力を超える少なくとも6cmH2Oの治療圧力まで加圧可能であるプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバと、
前記プレナムチャンバの口部位に接続された第1のシール形成構造であって、前記第1のシール形成構造は、患者の口への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置され、これにより、前記治療圧力における空気流れが口に送達され、第1のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
前記プレナムチャンバの鼻部位に接続された第2のシール形成構造であって、前記第2のシール形成構造は、患者の鼻への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置され、これにより、前記治療圧力における空気流れが鼻に送達され、第2のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
前記患者が呼気した連続的ガス流れが前記プレナムチャンバ内部から周囲へ抜け出ることを可能にする通気構造であって、前記通気構造は、使用時に前記プレナムチャンバ内の前記治療圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気構造と、を含み、
ここで:
プレナムチャンバの口腔部との境界に隣接するプレナムチャンバの鼻部の第1の前壁部は、プレナムチャンバの口腔部の直接隣接する領域よりも可撓性であり、プレナムチャンバの鼻部の第2の前壁部は、第1の前壁部に直接隣接し、プレナムチャンバの口腔部との境界に対して第1の前壁部の反対側にあり、前壁部の直接隣接部よりも可撓性が低い。
【0092】
実施例において、
【0093】
a)第1の前壁部は、プレナムチャンバ壁部の直接隣接部よりも肉薄であり、
【0094】
b)第2の前壁部は、プレナムチャンバ壁部の直接隣接部より肉厚であり、
【0095】
c)第1の前壁部および第2の前壁部は、同一材料製であり、
【0096】
d)第1の前壁部は、プレナムチャンバの鼻部の全体幅に実質的にわたって延び、
【0097】
e)第2の前壁部は、プレナムチャンバの鼻部の幅の少なくとも大部分にわたって延び、
【0098】
f)第1の前壁部は、上方向において第2の前壁部の少なくとも1つの側方縁部の周囲に延び、
【0099】
g)第2の前壁部は、プレナムチャンバの鼻部の全体幅に実質的にわたって延び、
【0100】
h)第1の前壁部の中央部は、第1の前壁部の側方部よりも上方向にさらに延び、
【0101】
I)第1の前壁部の上側境界は、曲線状であり、
【0102】
j)第1の前壁部の下側境界は、曲線状であり、
【0103】
k)プレナムチャンバは、シェルによって少なくとも部分的に形成され、通気構造は、シェルへ設けられ、
【0104】
l)上記第2の前壁部は、上記第1の前壁部を通過して延びるバンドを含み、上記プレナムチャンバを通じて上記患者へと延びるように構成され、
【0105】
m)上記プレナムチャンバ内の上記第1の前壁部と上記第2の前壁部との間の移行部は、実質的に段差面であり、
【0106】
n)上記プレナムチャンバ外の上記第1の前壁部と上記第2の前壁部との間の移行部は、実質的に平滑な面であり、かつ/または
【0107】
o)上記第1の前壁部は、使用時において少なくとも上記バンドの一部のさらに上方に延びる。
【0108】
本技術の別の形態は、患者インターフェースを含む。患者インターフェースは:
周囲空気圧力を超える少なくとも6cmH2Oの治療圧力まで加圧可能であるプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバと、
前記プレナムチャンバの口部位に接続された第1のシール形成構造であって、前記第1のシール形成構造は、患者の口への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置され、これにより、前記治療圧力における空気流れが口に送達され、第1のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
前記プレナムチャンバの鼻部位に接続された第2のシール形成構造であって、前記第2のシール形成構造は、患者の鼻への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置され、これにより、前記治療圧力における空気流れが鼻に送達され、第2のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
前記患者が呼気した連続的ガス流れが前記プレナムチャンバ内部から周囲へ抜け出ることを可能にする通気構造であって、前記通気構造は、使用時に前記プレナムチャンバ内の前記治療圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気構造と、を含み、
ここで:
第2のシール形成構造の側方部の後面は、第1のシール形成構造および第2のシール形成構造の境界から上前方向に傾斜する。
【0109】
実施例において、
【0110】
a)各側方部の傾斜は、マスクの中央接触面と20度~90度の角度を形成し、
【0111】
b)使用時において、患者インターフェースのいずれの部分も患者の鼻翼頂上点と接触せず、
【0112】
c)インターフェースは、患者の鼻孔の閉塞を回避させるかまたは関連技術のインターフェースに対する閉塞を少なくとも低減させるように構成され、かつ/または
【0113】
d)プレナムチャンバは、シェルによって少なくとも部分的に形成され、通気構造は、シェルに設けられる。
【0114】
本技術の別の形態は、患者インターフェースを含む。患者インターフェースは:
周囲空気圧力を超える少なくとも6cmH2Oの治療圧力まで加圧可能であるプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバと、
前記プレナムチャンバの口部位に接続された第1のシール形成構造であって、前記第1のシール形成構造は、患者の口への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置され、これにより、前記治療圧力における空気流れが口に送達され、第1のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
前記プレナムチャンバの鼻部位に接続された第2のシール形成構造であって、前記第2のシール形成構造は、患者の鼻への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置され、これにより、前記治療圧力における空気流れが鼻に送達され、第2のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
前記患者が呼気した連続的ガス流れが前記プレナムチャンバ内部から周囲へ抜け出ることを可能にする通気構造であって、前記通気構造は、使用時に前記プレナムチャンバ内の前記治療圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気構造と、を含み、
ここで:
第1のシール形成構造と第2のシール形成構造との間の境界は、隆起部を含む。
【0115】
実施例において、
【0116】
a)隆起部の曲率半径は、2mm未満であり、
【0117】
b)隆起部は、第1のシール形成構造と第2のシール形成構造との間の境界全体に実質的にわたって延び、
【0118】
c)使用時において、隆起部は、(翼が上唇の上方の顔と出会う場所である)鼻孔への入口の近隣の患者の顔と係合し、
【0119】
d)隆起部は、隆起部の近隣の第1のシール形成構造および/または第2のシール形成構造における皺形成に耐え、および/または
【0120】
e)使用時において、プレナムチャンバは、シェルによって少なくとも部分的に形成され、通気構造は、シェルに設けられる。
【0121】
本技術の別の形態は、患者インターフェースを含む。患者インターフェースは:
周囲空気圧力を超える少なくとも6cmH2Oの治療圧力まで加圧可能であるプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバと、
前記プレナムチャンバの口部位に接続された第1のシール形成構造であって、前記第1のシール形成構造は、患者の口への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置され、これにより、前記治療圧力における空気流れが口に送達され、第1のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
前記プレナムチャンバの鼻部位に接続された第2のシール形成構造であって、前記第2のシール形成構造は、患者の鼻への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置され、これにより、前記治療圧力における空気流れが鼻に送達され、第2のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
前記患者が呼気した連続的ガス流れが前記プレナムチャンバ内部から周囲へ抜け出ることを可能にする通気構造であって、前記通気構造は、使用時に前記プレナムチャンバ内の前記治療圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気構造と、を含み、
ここで:
プレナムチャンバの口腔部の少なくとも一部は、可撓性シェルを含み、可撓性シェルは、ヤング率が0.4GPa未満である材料から形成される。
【0122】
実施例において、
【0123】
a)可撓性シェルは、ヤング率が0.1GPa未満(好適には0.3~0.7MPa)の材料から形成される。
【0124】
b)少なくとも1つのコンポーネントは、可撓性シェルへ接続され、少なくとも1つのコンポーネントは、可撓性シェルのうちコンポーネントに隣接する部位よりも硬質であり、
【0125】
c)少なくとも1つのコンポーネントは、以下のうち1つ以上を含み:通気モジュール、ヘッドギアコネクタ、剛性化アームへ接続されたヘッドギアコネクタ、剛性化部材部材、より可撓性の低いシェル部、
【0126】
d)少なくとも1つのコンポーネントは、可撓性シェルへ解放可能に接続可能であり、
【0127】
e)少なくとも1つのコンポーネントは、可撓性シェルへ恒久的に接続され、
【0128】
f)少なくとも1つのコンポーネントは、可撓性シェルへオーバーモールドされ、
【0129】
g)可撓性シェルは、可撓性シェルの直接隣接部よりも肉厚である硬化部を含み、
【0130】
h)少なくとも1つのコンポーネントは、硬化リブまたはバンドとして構成され、
【0131】
i)プレナムチャンバの口腔部の中央部は、プレナムチャンバの残り部分よりも高い剛直性を有し、かつ/または
【0132】
j)プレナムチャンバは、シェルによって少なくとも部分的に形成され、通気構造は、シェルに設けられる。
【0133】
本技術の別の形態は、患者インターフェースを含む。患者インターフェースは:
周囲空気圧力を超える少なくとも6cmH2Oの治療圧力まで加圧可能であるキャビティを含むプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバと、
患者の口への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置された第1のシール形成構造であって、これにより、前記治療圧力における空気流れが口に送達され、第1のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
患者の鼻への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置された第2のシール形成構造であって、これにより、前記治療圧力における空気流れが鼻に送達され、第2のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
前記患者が呼気した連続的ガス流れが前記プレナムチャンバ内部から周囲へ抜け出ることを可能にする通気構造であって、前記通気構造は、使用時に前記プレナムチャンバ内の前記治療圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気構造と、
上記第1のシール形成構造および上記第2のシール形成構造を治療的に有効な位置に維持するように構成された位置決めおよび安定化構造と、を含み、上記位置決めおよび安定化構造は、
上記プレナムチャンバへ連結されたフレームであって、上記フレームは、
上記キャビティの外部において上記プレナムチャンバへ連結された中央部、および
上記中央部から離隔方向において上記第2のシール形成構造を通過して後方方向に延びる一対のアームであって、上記一対のアームは、上記中央部よりも可撓性である、一対のアームを含む、フレーム、および
上記フレームへ連結されたヘッドギアストラップであって、上記ヘッドギアストラップは、上記フレームを介して張力を上記第1のシール形成構造および上記第2のシール形成構造へ付加して上記患者の顔内に付加することように構成される、ヘッドギアストラップ、を含む。
【0134】
実施例において、
【0135】
a)上記一対のアームの各アームは、上記フレームよりも可撓性であり、
【0136】
b)上記中央部は、上記一対のアームの各アームよりも肉厚であり、
【0137】
c)上記中央部および上記一対のアームの各アームは、上記同一材料から構築され、
【0138】
d)上記一対のアームの各アームは、第1の接続点を含み、上記ヘッドギアストラップは、各アームの上記第1の接続点へ連結され、
【0139】
e)上記第1の接続点はループであり、上記ヘッドギアストラップを上記ループへ連結させることにより、上記ストラップが各ループの縁部に対して垂直おtなりかつ上記ストラップから上記縁部に対して垂直な力ベクトルが付加され、
【0140】
f)上記第1の接続点はループであり、肉薄の厚さの領域を含み、ヘッドギアストラップは、上記肉薄の厚さの領域と接触し得、
【0141】
g)第1の磁石が上記フレームの中央部上にオーバーモールドされ、上記ヘッドギアストラップは、上記第1の磁石へ取り外し可能に連結された第2の磁石を含み、
【0142】
h)上記第1の磁石は、磁性材料を少なくとも部分的に封入する外側ケーシングを含み、上記外側ケーシングは、平面表面および上記平面表面から延びるリップを含み、
【0143】
i)オーバーハングは、上記第2の磁石から間隔を開けて配置され、上記第2の磁石が上記磁性材料へ連結された際に上記リップと係合するように構成され、
【0144】
j)上記プレナムチャンバは、溝部を含み、上記中央部は、上記溝部内に位置決めされ、
【0145】
k)上記中央部は、上記溝部内において取り外し可能に位置決め可能であり、
【0146】
l)上記溝部は突出部を含み、上記中央部は、上記突出部を受容するように構成された相補型スロットを含み、
【0147】
m)上記スロットは、テーパー状にされ、より幅広の開口部およびより幅狭の開口部を含み、上記突出部は、上記より幅狭の開口部に先行して上記より幅広の開口部を通じて受容されるように構成され、
【0148】
n)上記突出部は、上記スロット上に延びかつ上記フレームを上記プレナムチャンバに相対して保持するように構成されたオーバーハングを含み、
【0149】
o)上記プレナムチャンバは、上記溝部に隣接して配置された突起部を含み、上記突起部は、上記中央部を上記溝部内に保持するように構成され、
【0150】
p)上記中央部の外面は、上記プレナムチャンバの外面と同一平面にあり、上記中央部の外面および上記プレナムチャンバの外面は、使用時において上記患者から離隔方向を向くように構成され、
【0151】
q)上記中央部は、環状形状を含み、上記プレナムチャンバ入口ポートは、上記中央部内にラジアル方向に配置される一方、上記フレームは、上記プレナムチャンバへ連結され、
【0152】
r)上記プレナムチャンバ入口ポートは、エルボーを受容するように構成され、上記エルボーは、上記プレナムチャンバ入口ポート内に受容された状態で上記中央部から間隔を開けて配置されるように構成され、
【0153】
s)各アームは、上記中央部に相対してカンチレバー型構造として形成され、
【0154】
t)各アームの厚さは、固定端から自由端に近づくにつれて低減し、
【0155】
u)上記アームは、上記患者の皮膚に対向するように構成されたスカロップ状領域を内面上に含み、
【0156】
v)各アームは、ピボット点周囲において上記中央部に対して旋回可能であり、かつ/または
【0157】
w)上記ピボット点は、リビングヒンジである。
【0158】
本技術の別の形態は、患者インターフェースを含む。患者インターフェースは:
周囲空気圧力を超える少なくとも6cmH2Oの治療圧力まで加圧可能であるキャビティを含むプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバと、
患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、これにより、前記治療圧力における空気流れが気道に送達され、シール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
前記シール形成構造を治療的に有効な位置に保持するように構成された位置決めおよび安定化構造とを含む。
【0159】
本技術の一形態の別の態様は、よりコンパクトでありかつ上記患者にとって目障さが低い口腔鼻患者インターフェースである。
【0160】
本技術の一形態の別の態様は、口腔鼻患者インターフェースであり、上記鼻の下角部に対するフィット感向上を可能にする鼻クッション部を有する。
【0161】
本技術の一形態の別の態様は、上記鼻上における閉塞接触を低減させる口腔鼻患者インターフェースである。
【0162】
本技術の一形態の別の態様は、多様な鼻唇角度の患者に対応するように自己調節することが可能な口腔鼻患者インターフェースである。
【0163】
本技術の一形態の別の態様は、比較的可撓性のシェルを有する口腔鼻患者インターフェースである。
【0164】
本技術の一形態の別の態様は、意図される装着者の形状に対して相補的である周辺形状と共に成形または他の場合に構築された患者インターフェースである。
【0165】
本技術の一形態の一態様は、装置の製造方法である。
【0166】
本技術の特定の形態の一態様は、例えば医療トレーニングを受けたことの無い人、あまり器用ではない人や洞察力の欠いた人、またはこの種の医療デバイスの使用経験が限られた人にとって使い易い医療デバイスである。
【0167】
本技術の一形態の一態様は、人間が(例えば、自宅周囲において)持ち運び可能な、携帯用RPTデバイスである。
【0168】
本技術の一形態の一態様は、患者の家庭において例えば石けん水などによって洗浄することが可能な患者インターフェースであり、特殊な清浄器具は不要である。本技術の一形態の一態様は、患者の家庭において例えば石けん水などによって洗浄することが可能な患者インターフェースであり、特殊な清浄器具は不要である。
【0169】
記載される方法、システム、デバイスおよび装置により、プロセッサにおける機能(例えば、特定目的用コンピュータのプロセッサ、呼吸モニターおよび/または呼吸治療装置の機能)の向上が可能となるように具現され得る。さらに、記載の方法、システム、デバイスおよび装置により、呼吸状態(例えば、睡眠障害呼吸)の自動管理、監視および/または治療の技術分野における向上が可能になる。
【0170】
もちろん、上記様態の一部は、本技術の下位様態を形成し得る。また、下位様態および/または様態のうち多様な1つを多様に組み合わせることができ、本技術のさらなる様態または下位様態も構成し得る。
【0171】
本技術の他の特徴は、以下の詳細な説明、要約、図面および特許請求の範囲中に含まれる情報に鑑みれば明らかになる。
【0172】
本技術を、添付図面中に非限定的に一実施例として例示する。図面中、類似の参照符号は、以下の類似の要素を含む:
【図面の簡単な説明】
【0173】
【
図1A】4.1 呼吸治療システム:患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを示す。このシステムは、鼻枕の形態をとり、RPTデバイス4000から供給される陽圧の空気を受容する。RPTデバイス4000からの空気は、加湿器5000によって調節され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。一緒に寝る人1100も図示される。患者は、仰臥位睡眠位置において睡眠している。
【
図1B】患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを示す。このシステムは、鼻マスクの形態をとり、RPTデバイス4000から供給される陽圧の空気を受容する。RPTデバイスからの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。
【
図1C】患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを含む。患者インターフェース3000は、フルフェイスマスクをとり、陽圧の空気供給をRPTデバイス4000から受容する。RPTデバイスからの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。患者は、側臥位睡眠位置において睡眠している。4.2 呼吸システムおよび顔の解剖学的構造
【
図2A】鼻腔および口腔、喉頭、声帯ひだ、食道、気管、気管支、肺、肺胞嚢、心臓および横隔膜を含むヒト呼吸器系の概要を示す。
【
図2B】鼻腔、鼻骨、外側鼻軟骨、大鼻翼軟骨、鼻穴、上唇、下唇、喉頭、硬口蓋、軟口蓋、口咽頭、舌、喉頭蓋、声帯ひだ、食道および気管を含むヒトの上気道の図である。
【
図2C】上唇、上唇紅、下唇紅、下唇、口の幅、内眼角、鼻翼、鼻唇溝および口角点を含む表面解剖学的構造のいくつかの特徴を含む顔の正面図である。上側、下側、ラジアル内方およびラジアル外方の方向も記載される。
【
図2D】眉間、セリオン、鼻尖点、鼻下点、上唇、下唇、スプラメントン、鼻堤、鼻翼頂上点、上耳底点および下耳底点を含む表面解剖学的構造のいくつかの特徴を含む頭部の側面図である。上側および下側と、前方および後方との方向も記載される。
【
図2E】頭部のさらなる側面図である。フランクフォート水平および鼻唇角の大まかな位置が記載されている。前額面も記載される。
【
図2F】鼻唇溝、下唇、上唇紅、鼻孔、鼻下点、鼻柱、鼻尖点、鼻孔の主軸および正中矢状面を含むいくつかの特徴を含む鼻の底面図である。
【
図2H】外側鼻軟骨、鼻中隔軟骨、大鼻翼軟骨、小鼻翼軟骨、鼻種子軟骨、鼻骨、表皮、脂肪組織、上顎骨の前頭突起および線維性脂肪組織を含む鼻の皮下構造を示す。
【
図2I】正中矢状面から約数ミリメートルの位置における鼻の中間切開を示し、特に鼻中隔軟骨および大鼻翼軟骨の内側脚を示す。
【
図2J】前頭骨、鼻骨および頬骨を含む頭蓋骨の骨正面図である。鼻甲介が上顎骨および下顎と共に図示されている。
【
図2K】頭蓋骨を頭部表面の外形およびいくつかの筋肉と共に示す側面図である。以下の骨が図示されている:前頭、蝶形骨、鼻、頬骨、上顎骨、下顎、頭頂、側頭および後頭。オトガイ隆起が図示されている。以下の筋肉が図示されている:二腹、咬筋、胸鎖乳突筋および僧帽筋。
【
図2L】鼻の前外側を示す。4.3 患者インターフェース
【
図3A】本技術の一形態による鼻マスクの形態の患者インターフェースを示す。
【
図3B】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、正の符号と、3Cに示す曲率の大きさと比較して比較的大きな大きさとを有する。
【
図3C】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、正の符号と、
図3Bに示す曲率の大きさと比較して比較的小さな大きさとを有する。
【
図3D】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率の値はゼロである。
【
図3E】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、負の符号と、
図3Fに示す曲率の大きさと比較して比較的小さな大きさとを有する。
【
図3F】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、負の符号と、
図3Eに示す曲率の大きさと比較して比較的大きな大きさとを有する。
【
図3G】2つの枕を含むマスク用クッションを示す。クッションの外面が図示される。表面の縁部が図示される。ドーム領域および鞍状領域が図示される。
【
図3H】マスク用クッションを示す。クッションの外面が図示される。表面の縁部が図示される。点Aと点Bとの間の表面上の経路が図示される。is図示される。AとBとの間の直線距離が図示される。2つの鞍状領域およびドーム領域が図示される。
【
図3I】構造の表面を示し、この表面中には一次元穴が開いている。図示の平面曲線は、一次元穴の境界を形成する。
【
図3J】
図3Iの構造を通じた断面図である。図示の表面は、
図3Iの構造中の二次元穴を境界付ける。
【
図3K】二次元穴および一次元穴を含む
図3Iの構造の斜視図である。また、
図3Iの構造中の二次元穴を境界付ける表面が図示される。
【
図3L】クッションとしての可膨張性ブラダーを有するマスクを示す。
【
図3M】
図3Lのマスクの断面図であり、ブラダーの内面を示す。内面により、マスク中の二次元穴が境界付けられる。
【
図3N】
図3Lのマスクを通じたさらなる断面を示す。内面も図示される。
【
図3T】マスクの異なる領域内の密閉膜の縁部によって規定された空間曲線のねじれのサインを含むマスクの図である。
【
図3U】正中矢状面および中央接触面を示す、プレナムチャンバ3200の図である。
【
図3V】
図3Uのプレナムチャンバの後方の図である。図中の方向は、中央接触面に対して垂直である。
図3V中、正中矢状面により、プレナムチャンバが左手側および右手側に二等分される。
【
図3W】
図3Vのプレナムチャンバを通じた断面図であり、この断面は、
図3Vに示す正中矢状面においてとられる。「中央接触」面が図示される。中央接触面は、正中矢状面に対して垂直である。中央接触面の方位は、腱3210の方位に対応する。腱3210は、正中矢状面上に載置され、正中矢状面上の2点(すなわち、上点3220および下点3230)においてプレナムチャンバのクッションのみと接触する。この領域におけるクッションのジオメトリに応じて、中央接触面は、上点および下点双方に接し得る。口部および鼻部を別個に有するプレナムチャンバと共に構成された口鼻インターフェースの場合、例えば超小型フルフェイス(UCFF)マスク、上方点および下方点が、マスクの口腔部のシール形成構造上に設けられる。
【
図3X】
図3Uのプレナムチャンバ3200が顔面上の使用位置にある状態を示す。プレナムチャンバ3200の正中矢状面は、プレナムチャンバが使用位置にあるとき、顔の正中矢状面と概して一致する。中央接触面は、プレナムチャンバが使用位置にあるとき、「顔の面」に概して対応する。
図3Xにおいて、プレナムチャンバ3200は鼻マスクのものであり、上点3220はほぼセリオン上に載置され、下点3230は上唇上に載置される。4.4 RPTデバイス
【
図4A】本技術の一形態によるRPTデバイスを示す。
【
図4B】本技術の一形態に従ったRPTデバイスの空気回路の概略図である。上流および下流の方向が、送風機および患者インターフェースに対して示される。任意の特定の瞬間における実際の流れ方向に関係無く、送風機は患者インターフェースの上流にあるものとして規定され、患者インターフェースは送風機の下流にあるものとして規定される。送風機と患者インターフェースとの間の空気圧経路内に配置されたアイテムは、送風機の下流および患者インターフェースの上流にある。4.5 加湿器
【
図5A】本技術の1つの形態による加湿器の等角図を示す。
【
図5B】本技術の1つの形態による加湿器の等角図を示し、加湿器リザーバ5110が加湿器リザーバドック5130から取り外された様子を示す。4.6 呼吸波形
【
図6】睡眠時のヒトの典型的な呼吸波形のモデルを示す。4.7 本技術の患者インターフェースの実施例
【
図7】本技術の一形態によるプレナムチャンバの後斜視図であり、入口ポートは図示していない。
【
図12】平面12-12を通るプレナムチャンバの断面である。
【
図14】平面14-14を通るプレナムチャンバの断面である。
【
図15】平面15-15を通るプレナムチャンバの断面である。
【
図16】平面16-16を通るプレナムチャンバの断面である。
【
図16-1】平面16-1-16-1を通るプレナムチャンバの断面である。
【
図16-2】
図16-1のプレナムチャンバの断面図であり、プレナムチャンバが変形位置にある様子が図示される。
【
図17】平面17-17を通るプレナムチャンバの断面である。
【
図18】平面18-18を通るプレナムチャンバの断面である。
【
図18-1】平面18-1-18-1を通るプレナムチャンバの断面である。
【
図18-2】平面18-2-18-2を通るプレナムチャンバの断面である。
【
図19】プレナムチャンバが患者の顔上の使用時位置にある場合の側面図であり、プレナムチャンの輪郭を明確さのために図示している。
【
図20】記載のシール形成構造による患者の顔との特定の係合領域を示す。
【
図21】別の形態の本技術による患者インターフェースの正面斜視図である。
【
図21-1】別の形態の本技術による患者インターフェースの正面斜視図である。
【
図22】本技術のさらに別の形態による患者インターフェースの正面斜視図であり、通気部は除去されている。
【
図23】ヘッドギアストラップをプレナムチャンバへ接続させるフレームを有する患者インターフェースの前方斜視図である。
【
図25】本技術の一形態による、フレームおよびプレナムチャンバの正面図である。
【
図26】本技術の別の形態による、フレームおよびプレナムチャンバの正面図である。
【
図26-1】
図26のフレームおよびプレナムチャンバの側方斜視図である。
【
図26-2】断面26-26に沿ってみたときの
図26-1のフレームおよびプレナムチャンバの断面図である。
【
図26-3】
図26のフレームおよびプレナムチャンバの上面図である。
【
図26-4】
図26のフレームおよびプレナムチャンバの斜視図であり、フレームのアームが第1の位置と第2の位置との間において可動である様子を示す。
【
図26-5】
図26-4のフレームおよびプレナムチャンバの後方斜視図であり、プレナムチャンバの第2の位置における屈曲を示す。
【
図27】
図26のフレームの背面図であり、テーパー状にされた開口部を示す。
【
図27-1】
図26のフレームの上方斜視図であり、フレームのアームの厚さの低減を示す。
【
図27-2】
図26のフレームの斜視図であり、フレームの自由端上のループを示す。
【
図28】本技術の別の形態によるフレームおよびプレナムチャンバの正面図である。
【
図28-1】本技術の一形態においてフレームと共に2次接続点の斜視図である。
【
図28-2】
図28のフレームおよびプレナムチャンバの断面図であり、
図28-1の磁石と2次接続点との間の接続を示す。
【発明を実施するための形態】
【0174】
5 技術の実施例の詳細な説明
本技術についてさらに詳細に説明する前に、本技術は、本明細書中に記載される異なり得る特定の実施例に限定されるのではないことが理解されるべきである。本開示中に用いられる用語は、本明細書中に記載される特定の実施例を説明する目的のためのものであり、限定的なものではないことも理解されるべきである。
【0175】
以下の記載は、1つ以上の共通の特性および/または特徴を共有し得る多様な実施例に関連して提供される。任意の1つの実施例の1つ以上の特徴は、別の実施例または他の実施例の1つ以上の特徴と組み合わせることが可能であることが理解されるべきである。加えて、これらの実施例のうちのいずれかにおける任意の単一の特徴または特徴の組み合わせは、さらなる実施例を構成し得る。
【0176】
本技術の態様および例の記載において解剖学的な方向を示す用語が用いられる(例えば、「前方」、「後方」、「上側」など)が、これらの方向は、患者による使用時において本技術の文脈において読解される。例えば、患者インターフェースの前側部は、患者が患者インターフェースを意図される様態で着用したときに患者に対して前方にある患者インターフェースの側部を指す。
【0177】
表面または部位がいずれかの方向を向いている様子を記述する際(例えば、「上方を向く」、「前方を向く」)、文脈から明確に分からない限り、当該表面または部位は少なくとも部分的に特定の方向を向いているものとして理解されるものとする。ある部位が概して上方を向いている場合、当該部位は、部分的に別の方向にも向いている場合であっても「上方を向く」と言っていい。
【0178】
5.1 治療
一形態において、本技術は、呼吸器疾患の治療方法を含む。本方法は、患者1000の気道の入口へ陽圧を付加することを含む。
【0179】
本技術の特定の実施例において、陽圧における空気供給が鼻孔の片方または双方を介して患者の鼻通路へ提供される。
【0180】
本技術の特定の実施例において、口呼吸が制限されるか、限定されるかまたは妨げられる。
【0181】
5.2 呼吸治療システム
一形態において、本技術は、呼吸器疾患の治療のための呼吸治療システムを含む。呼吸治療システムは、空気流れを空気回路4170および患者インターフェース3000を介して患者1000へ供給するRPTデバイス4000を含み得る。
【0182】
5.3 患者インターフェース
本技術の一態様による非侵襲的患者インターフェース3000は、以下の機能様態を含む:シール形成構造3100、プレナムチャンバ3200、位置決めおよび安定化構造3300、通気部3400、空気回路4170への接続のための一形態の接続ポート3600、および前額支持部3700。いくつかの形態において、機能様態が、1つ以上の物理的コンポーネントによって提供され得る。いくつかの形態において、1つの物理的コンポーネントは、1つ以上の機能様態を提供し得る。使用時において、シール形成構造3100は、患者1000の気道への入口(複数可)において陽圧を維持するように、患者の気道の入口を包囲するように配置される。よって、シールされた患者インターフェース3000は、正の圧力治療の送達に適している。
【0183】
本技術のいくつかの例において、プレナムチャンバは、シェル3250によって少なくとも部分的に形成される。例において、シェル3250またはシェル3250の一部は、以下にさらに述べるように、一定の可撓性を有し得る。
【0184】
本技術のいくつかの例において、患者インターフェースは、口腔鼻患者インターフェースである。この患者インターフェースは、患者の鼻気道および口気道双方の周囲を密閉するように構成される。いくつかの例において、患者インターフェースは、鼻気道および口腔気道それぞれの周囲の別個のシールを含む。
【0185】
図7~
図22に示す例において、鼻部位におけるシール形成構造は、患者の顔の鼻梁領域または鼻堤領域上に配置されるのではなく、患者の鼻の下面をシールする。
【0186】
患者インターフェースが最低レベルの陽圧を快適に気道へ送達できない場合、患者インターフェースは呼吸圧力治療に不適切であり得る。
【0187】
本技術の一形態による患者インターフェース3000は、周囲に対して少なくとも6cmH2Oの陽圧で空気供給を提供できるように構築および配置される。
【0188】
本技術の一形態による患者インターフェース3000は、周囲に対して少なくとも10cmH2Oの陽圧で空気供給を提供できるように構築および配置される。
【0189】
本技術の一形態による患者インターフェース3000は、周囲に対して少なくとも20cmH2Oの陽圧で空気供給を提供できるように構築および配置される。
【0190】
5.3.1 シール形成構造
本技術の一形態において、シール形成構造3100は、目標シール形成領域を提供し、クッション機能をさらに提供し得る。目標シール形成領域は、シール形成構造3100において密閉が発生し得る領域である。密閉が実際に発生する領域(すなわち、実際の密閉面)は、一定範囲の要素(例えば、顔面上の患者インターフェースの配置位置、位置決めおよび安定化構造における張力、および患者の顔の形状)に応じて、所与の治療セッションにおいて患者によって日々変化し得る。
【0191】
以下にさらに詳細に述べるように、本発明の特定の形態において、シール形成構造3100は、第1のシール形成構造3101と、第2のシール形成構造3102とを含む。第1のシール形成構造3101は、プレナムチャンバの口腔部3201へ接続され、患者の口への入口を包囲する患者の顔の領域と共にシールを形成するように構築および配置される。第2のシール形成構造3102は、患者の鼻への入口を包囲する患者の顔の領域と共にシールを形成するように構築および配置されたプレナムチャンバ3200の鼻部3202へ接続される。本明細書中、「接続される」という文言は、単一ピースとして形成された部位またはコンポーネントならびに別個に形成された後に共に接合される部位またはコンポーネントを指す。いくつかの場合において、コンポーネントは、中間コンポーネントによって接続され得る。
【0192】
特定の形態において、第1のシール形成構造3101は、第2のシール形成構造3102ではなく患者の顔を独立的にシールする。
【0193】
特定の形態において、第1のシール形成構造3101および第2のシール形成構造3102は、協働して単一の共通シールを患者の顔に対して形成する。
【0194】
一形態において、目標シール形成領域が、シール形成構造3100の外面上に配置される。
【0195】
本技術の特定の形態において、シール形成構造3100は、生体適合性材料(例えば、シリコーンゴム)から構成される。
【0196】
本技術によるシール形成構造3100は、柔らかく、可撓性でありかつ弾力性のある材料(例えば、シリコーン)から構成され得る。
【0197】
本技術の特定の形態において、1つよりも多くのシール形成構造3100を含むシステムが提供される。各シール形成構造3100は、異なるサイズおよび/または形状範囲に対応するように構成される。例えば、システムは、小さなサイズの頭ではなく大きなサイズの頭に適したシール形成構造3100の一形態および大きなサイズの頭ではなく小さなサイズの頭に適した別のものを含み得る。
【0198】
5.3.1.1 密閉機構
一形態において、シール形成構造3100は、圧力アシスト密閉機構を用いるシーリングフランジを含む。使用時において、シーリングフランジは、プレナムチャンバ3200内のシステム陽圧に容易に応答してその下側上に作用して、面と緊密な密閉係合を形成させ得る。圧力アシスト機構は、位置決めおよび安定化構造における弾性張力と共に作用し得る。
【0199】
一形態において、シール形成構造3100は、シーリングフランジおよび支持フランジを含む。シーリングフランジは、厚さが約1mm未満(例えば、約0.25mm~約0.45mm)の比較的肉薄の部材を含む。この部材は、プレナムチャンバ3200の縁部長さの周囲に延びる。支持フランジは、密閉フランジよりも比較的肉厚であり得る。支持フランジは、密閉フランジと、プレナムチャンバ3200の周縁部との間に配置され、周辺長さの周囲の少なくとも一部に延びる。支持フランジは、バネ様要素であるかまたはバネ様要素を含み、密閉フランジを使用時に座屈しないように支持するよう機能する。座屈発生を制限すると、シール形成構造3100において、治療圧力の漏洩および損失に繋がり得る皺形成が制限され得る。
【0200】
一形態において、シール形成構造3100は、圧縮シーリング部またはガスケットシーリング部を含み得る。使用時において、圧縮密閉部またはガスケット密閉部は、例えば位置決めおよび安定化構造における弾性張力に起因して圧縮状態となるように、構築および配置される。
【0201】
一形態において、シール形成構造3100は、張力部を含む。使用時において、張力部は、例えばシーリングフランジの隣接領域により、ぴんと張られた状態で保持される。
【0202】
一形態において、シール形成構造3100は、粘着面または接着面を有する領域を含む。
【0203】
本技術の特定の形態において、シール形成構造3100は、圧力アシストシーリングフランジ、圧縮シーリング部、ガスケットシーリング部、張力部、および粘着面または接着面を有する部位のうち1つ以上を含み得る。
【0204】
5.3.1.2 鼻領域
次に、
図7~
図18を参照して、本技術のいくつかの形態において、第2のシール形成構造3102は、使用時において患者の鼻の表面をシールするように構成された中央部3110を含む。中央部は、患者の鼻の下側周辺部(例えば、患者の鼻孔の周囲および患者の上唇)をシールし得る。例において、シール形成構造の一部は、患者の隔壁と係合し得る。第2のシール形成構造3102は、側方部3111を中央部3110の側方側にさらに含み得る。例において、シール形成構造3102は、鼻梁の下側または鼻尖点の下側において患者の顔と接触するように構成され得る。
【0205】
図10および
図16~
図19から分かるように、側方部3111の後面3112は、第1のシール形成構造3101および第2のシール形成構造3102の境界3103から上前方向に前方に傾斜して、マスクの鼻部分の後側の外形を前方に傾斜させる。
【0206】
(以下にさらに述べるような)隆起部3120を用いた実施形態において、側方部3111の後面3112は、隆起部3120から前方に傾斜し得る。
【0207】
本技術のいくつかの形態において、側方部3111の後面3112は、マスクの中央接触面と20°~90°の角度を形成する。中央接触面は、矢状面に対して垂直であり得、隆起部3120の長さおよび弦部3210に実質的に沿って延び得る。
【0208】
図19に示すように、いくつかの実施形態において、側方部3111は、使用時において患者インターフェース3000のいずれの部分も患者の鼻翼頂上点1020と接触しないように構成される。
【0209】
側方部3111をこのように傾斜させることにより、インターフェース3000の鼻部分のより小さい部位を(関連技術のいくつかの類似のインターフェースよりも)翼の側部上に延ばすことが可能になる。その結果、本技術のいくつかの形態において、翼のうちシール形成構造3100と接触する部位が、後方に患者の顔へと傾斜した側方部を備えたインターフェースに相対して低減するため、(例えば、インターフェースが枕と接触している状態で患者が横向きに就寝している場合に)シール形成構造3100に起因して変形および閉塞し得る翼も相応に低減する。
【0210】
5.3.1.3 口領域および鼻領域の境界
特に
図7、
図8、
図16~
図18を参照して、本技術の一形態において、第1のシーリング形成構造3101と第2のシール形成構造3102との間の境界は、角部または隆起部3120を形成するかまたは含む。使用時において、角部または隆起部3120は、上唇の上方かつ鼻の真下において患者の顔と係合し得る。
【0211】
実施形態において、角部または隆起部3120は、関連技術(例えば、PCT出願第PCT/AU2019/050278号に記載のもの)のいくつかの口腔鼻マスクの相当する部位または領域よりも鋭角の角度を形成する。
【0212】
このようなより鋭角の角度により、マスクが着用されて治療が適用される際に角部または隆起部3120上または角部または隆起部3120に隣接する第1のシール形成構造3101および/または第2のシール形成構造3102内に皺が形成される可能性が低下する。このような構造を用いないいくつかの口腔鼻患者インターフェースの場合、(折り目耐性が低い可能性のある)極めて肉薄の円形の形成がこの領域において必要になり得る。これと対称的に、角部または隆起部3120は、より硬質であり得、このようなインターフェースよりも自身の形状をより良く保持し得るため、患者の鼻周囲に存在する凹部および皺をより良好にシールし得る。この効果は、この領域の圧縮に耐えるかまたはこの領域の圧縮を阻止する支持部(例えば、本明細書中に記載の支持部3260)を備えた実施形態において向上され得る。
【0213】
本技術のいくつかの形態において、角部または隆起部3120の半径は、2mm未満(例えば、約1.75mm)であり得る。本技術の一形態において、半径は、隆起部の中心におけるおよそ1.75mmから側方部におけるおよそ0.75mmへ変化し得る。
【0214】
第1のシーリング構造および第2のシーリング構造によって形成される角度は、20度~90度(例えば、36度)であり得る。
【0215】
本技術のいくつかの形態において、角部または隆起部3120は、第1のシール形成構造3101と第2のシール形成構造3102との間の境界3103全体に実質的にわたって延び得る。実施形態において、角部または隆起部3120は、
図20中の領域1010によって示すような鼻孔への入口(例えば、翼が上唇の上方の顔と出会う場所)の少なくとも近隣において患者の顔と係合し得る。
【0216】
5.3.1.4 口領域
したように、一形態において、非侵襲的な患者インターフェース3000は、第1のシール形成構造3101を含む。第1のシール形成構造6101、使用時において患者の口周囲にシールを形成する。第1のシール形成構造3101は、患者の顔の顎領域上にシールを形成し得る。
【0217】
一形態において、シール形成構造は、使用時において患者の顔の顎領域上にシールを形成するように構築された鞍状領域を含む。
【0218】
シール形成構造3100は、下唇部3130を含む。下唇部3130は、患者の顎領域ならびに/あるいは患者の下唇および/またはオトガイに対してシールを形成する。
図16に示すように、下唇部3130は、口腔周囲部3132を介して上唇部3131へ接続され得る(例えば、上唇部3131に隣接し得る)。
【0219】
シール形成構造3100は、(インターフェースの他の部位と比較して)比較的小さな壁厚さ(例えば、0.7mm未満)を、口腔周囲部3132と、顎領域に対して配置されたシール形成構造の下唇部3130と、少なくとも下唇部3130の中心とに対して配置される。これらの位置における壁厚さを薄くすることにより、有効かつ快適なシールの達成が支援される。これらの領域内のシール形成構造は、任意の複雑なジオメトリに容易に適合することができる。
【0220】
本技術のいくつかの形態において、口腔穴部3133は、楕円形または長円形ではなく実質的に台形であり、患者の鼻の形状により高精度に対応する。口腔穴部をこのような形状にすることにより、インターフェース3000を特にコンパクトにすることが可能になりかつ患者の鼻孔幅よりも実質的に幅広にならないようにすることが可能になり得る。
【0221】
5.3.1.5 鼻枕
一形態において、非侵襲的患者インターフェース3000のシール形成構造は、一対の鼻パフまたは鼻枕を含む。各鼻パフまたは鼻枕は、患者の鼻の各鼻孔とのシールを形成するように構成および配置される。
【0222】
本技術の一態様による鼻枕は、円錐台を含む。円錐台のうち少なくとも一部は、患者の鼻の下側、柄部、円錐台の下側上の可撓性領域上に密閉を形成し、円錐台を柄部へ接続させる。加えて、本技術の鼻枕が接続される構造は、柄部のベースに隣接する可撓性領域を含む。可撓性領域は、自在接合構造を促進するように機能し得る。自在接合構造は、円錐台の変位および角度双方と、鼻枕が接続される構造との相互移動に対応する。例えば、円錐台は、柄部が接続された構造に向かって軸方向に変位し得る。
【0223】
5.3.2 プレナムチャンバ
いくつかの形態において、プレナムチャンバ3200(またはプレナムチャンバ3200の少なくとも一部)およびシール形成構造3100は、単一の均質的材料ピース(例えば、成型されたシリコーン)から形成される。シール形成構造3100およびプレナムチャンバ3200の組み合わせは、クッションとみなされ得る。
【0224】
5.3.2.1 鼻部角度の調節可能性
特に
図9、
図10および
図16~
図18-2を参照して、本技術の一形態において、プレナムチャンバ3200の鼻部3202の第1の前壁部3240は、口腔部3201の直接隣接する領域よりも可撓性である。第1の前壁部3240は、プレナムチャンバ3200の鼻部および口腔部の境界3241に隣接して設けられ得る。実施形態において、第1の前壁部3240は、正中矢状面周囲において対称であり得、プレナムチャンバの鼻部3202の幅の少なくとも50%(例えば、少なくとも80%)にわたって延び得る。いくつかの実施形態において、第1の前壁部3240は、実質的にプレナムチャンバの鼻部3202の幅全体にわたって延び得る。
【0225】
本技術のいくつかの形態において、第2の前壁部3242は、前壁部の直接隣接部よりも可撓性が低い。いくつかの実施形態において、第2の前壁部3242は、プレナムチャンバの鼻部および口腔部の境界3241と反対側の第1の前壁部3240に直接隣接する。実施形態において、第2の前壁部3242は、正中矢状面周囲において対称であり得、プレナムチャンバの鼻部3202の幅の少なくとも50%(例えば、少なくとも80%)にわたって延び得る。いくつかの実施形態において、第2の前壁部3242は、実質的にプレナムチャンバの鼻部3202の幅全体にわたって延び得る。
【0226】
可撓性の第1の前壁部3240により、第2のシール形成構造3102の患者接触部3110がインターフェース3000の後側の領域の周囲において旋回するかまたはヒンジ状に動くことが可能になり得る。これにより、鼻下部と上唇との間の多様な角度(すなわち、鼻唇角度)を有する患者に対してインターフェースが対応することを可能にすることが支援され得る。
【0227】
例えばしたような第1のシール形成構造3101と第2のシール形成構造3102との間に角部または隆起部3120が設けられた実施形態において、患者接触部3110は、角部または隆起部3120またはその近隣の領域周囲において旋回または品二乗に動き得る。(以下にさらに述べる)1つ以上の支持部3260を備えた実施形態、ヒンジ状動作領域または旋回領域は、支持部3260の真上に設けられ得る。
【0228】
図9に示すように、第1の前壁部3240は、上側境界3243および下側境界3244を有し得る。上側境界3243および下側境界3244の一方または双方は、例えば図示のように境界の中央部が側方部の下方に設けられるように、曲線状にされ得る。第1の前壁部3240は、自身の幅にわたって実質的に同じ高さであり得(すなわち、上側境界および下側境界は、実質的に平行であり得る)か、または、高さは、
図9中の実施形態に示すように例えば第1の前壁部3240の中央部の高さが側方部の高さよりも高くなるように、幅にわたって変動し得る。第1の前壁部3240の境界3243および3244ならば/または高さの一方または双方の曲率が変化すると、第1の前壁部3240の剛直性(すなわち、第2のシール形成構造3102の患者接触部3110への力に応答して座屈または折り曲げに対する耐性)も変化し得る。
【0229】
同様に、第2の前壁部3242は、上側境界3247および下側境界3248を有し得る。本技術のいくつかの形態において、第2の前壁部3242の下側境界3248は、第1の前壁部3240の上側境界3243と同一である。第2の前壁部3242の上側境界3247および下側境界3248は双方とも曲線状であり得るため、例えば、境界の中央部は、側方部の下側に設けられる。第2の前壁部3242は、自身の幅にわたって実質的に同じ高さであり得る(すなわち、上側境界および下側境界は、実質的に平行であり得る)か、または、高さを幅にわたって変化させてもよく、これにより、例えば第2の前壁部3242の中心部の高さは、側方部の高さ未満である。
【0230】
本技術のいくつかの形態において、第1の前壁部3240に必要な剛直性を持たせるための他の構成方法が、曲線状の境界に加えてまたは曲線状の境界の代わりに用いられ得る。例えば、第1の前壁部3240の厚さは、必要な剛直性が得られるように選択され得る。例において、第1の前壁部3240は、プレナムチャンバ壁部の直接隣接部よりも肉薄であり得る。さらにおよび/またはあるいは、第1の前壁部3240は、
図21に示すように第2の前壁部3242の側方縁部の周囲において上方向に延び得るため、第1の前壁部3240がこのような形状にされていない実施形態と比較して、圧縮または座屈に対する剛直性/耐性が低下する。
【0231】
第2の前壁部3242(例えば、バンド3270)は、鼻部3202の座屈の回避を支援し得、(典型的には比較的肉薄である)第2のシール形成構造3102の患者接触部3110に対して支持を提供し得る。患者接触部の支持が不十分である場合、患者の顔とのシーリング係合の破裂に繋がり得る。一形態において、第2の前壁部3242は、プレナムチャンバ壁部の直接隣接部よりも肉厚である。特定の形態において、第2の前壁部3242は、
図16~
図19に示すように肉厚材料3270のバンドとして設けられる。第1の前壁部3240および第2の前壁部3242は、同一材料から(例えば、一体形成されたシェル3250の一部として)構成され得る。
【0232】
いくつかの形態において、第1の前壁部3240および第2の前壁部3242は、異なる厚さを含み得る。例えば、第2の前壁部3242の厚さは、第1の前壁部3240の厚さよりも大きくすることができるため、(例えば、第1の前壁部3240と比較した際の)第2の前壁部3242の剛性増大に繋がり得る。詳細には、第2の前壁部3242はバンド3270であり得、プレナムチャンバ3200のキャビティ3272内に延び得る。例えば、バンド3270は、第1の前壁部3240を通過して延び得、患者インターフェース3000を着用している患者に向かって延び得る。鼻部3202の外面は、実質的に平滑であり得、(例えば、キャビティ3272内の)鼻部の内面は、段状であり得る(かまたは不連続部を含み得る)。
【0233】
図16-1および
図16-2に示すように、第1の前壁部3240は、ヒンジとして機能し得、鼻部3202の屈曲を可能にし得る。第1の前壁部3240は、鼻部3202の最も肉薄の領域であり得るため、曲げモーメントを最も受けやすくなり得る。このようなバンド3270の厚さ増大により、曲げモーメントが第2の前壁部3242から離隔方向に方向付けられ、より肉薄の第1の前壁部3240へ方向付けられる。バンド3270の高さの増大(すなわち、上方境界3247と下方境界3248との間の距離の増大)により、鼻部3202も高剛性になり得、第1の前壁部3240周囲における曲げ抑制が可能になり得る。第1の前壁部3240および第2の前壁部3242は、曲げ発生と共に、前方方向(例えば、患者から離隔方向)に移動し得る。
【0234】
図18-1および
図18-2に示すように、第1の前壁部3240の上方境界3243は、第2の前壁部3242の下方境界3248と同一ではない。その代わりに、上方境界3243は、下方境界3248よりも少なくとも部分的により上方にあり、第2の前壁部3242の上方境界3247と少なくとも部分的に整列され得る。これにより、第1の前壁部3240を少なくとも部分的にバンド3270に沿って配置する(例えば、2つ以上の側部のバンド3270を包囲する)ことが可能になる。換言すると、第1の前壁部3240は、バンド3270の端部のうち少なくとも1つ上に配置され得る。これにより、第1の前壁部3240の可撓性増大に繋がり得、鼻部3202の(例えば、前方方向における)さらなる屈曲が可能になる。
【0235】
図21-1に示すように、鼻部3202は、ヒンジ無しに形成してもよい。換言すると、バンドは第2の前壁部3242上に形成されない場合があり、これにより、第1の前壁部3240および第2の前壁部3242の厚さが実質的に均等になる。鼻部3202はシリコーン製であり得るため、バンド無しでも屈曲可能であり得、これにより、鼻部3202における一定のコンプライアンスが得られて、異なる鼻唇角度に対する対応が可能になる。
【0236】
5.3.2.2 可撓性シェル
本技術のいくつかの形態において、シェル3250は、ポリカーボネートなどの剛性材料から構成され得る。しかし、本技術の他の形態において、シェル3250またはシェル3250の一部に一定の可撓性を持たせてもよい。例えば、例において、シェル3250は、ヤング率が0.4GPa以下である材料(例えば、発泡体他の形態から形成され得る。本技術のいくつかの形態において、シェル3250は、ヤング率が0.1GPa以下の材料(例えば、ゴム)から構成され得る。本技術の他の形態において、シェル3250は、ヤング率が0.7MPa以下の材料(例えば、0.7MPa~0.3MPa)から構成され得る。そのような材料の一例として、シリコーンがある。
【0237】
例において、シェル3250と、第1のシール形成構造3101および第2のシール形成構造3102の一方または双方は、同一材料(例えば、シリコーン、織物など)から形成され得る。
【0238】
本技術のいくつかの形態において(例えば、
図23~
図28-2を参照)、シェル3250は、可撓性材料から実質的に全体的に構築され得、これにより、シェル3250の動きの自由度が最大になり得る(すなわち、屈曲が制限される剛性が実質的に無くなりかつ/または肉厚部が実質的に無くなる)。シェル3250は、十分な可撓性を有し得るため、1つ以上のコンポーネントを追加して、シェル3250の1つ以上の範囲または領域(例えば、領域1010と接触する領域)において必要な剛直性を提供する。例えば、コンポーネントに隣接する領域におけるプレナムチャンバ3200の剛直性を例えば以下にさらに述べるように増加させるように、通気モジュール、接続ポート、ヘッドギアコネクタ、剛性化アームおよび剛性化部材へ接続されたヘッドギアコネクタのうち1つ以上がシェル3250へ接続され得る。本技術のいくつかの形態において、このようなコンポーネントは、可撓性シェル3250へ解放可能に接続可能であり得る。追加的にまたは代替的に、1つ以上のコンポーネントが、例えば接着および/またはオーバーモールドによりシェル3250へ恒久的に接続され得る。剛性付与部材は、剛性の増大および/またはシール形成構造3100の形状支持の機能も行い得る。
【0239】
本技術のいくつかの形態において、シェル3250は、概して可撓性であり得るが、シェル3250の直接隣接部よりも肉厚である硬化部を含み得る。このような硬化部は、リブまたはバンドとして構成され得、例えばシェルにわたって側方に延びかつ/または上下方向に延びるが、他の多数の構成も可能である。いくつかの形態において、シェルは、例えばポリカーボネートから製造された実質的に剛性の部位と、一定の可撓性を有する部位とを含み得る。
【0240】
本技術のいくつかの形態において、プレナムチャンバの口腔部3201の前側の中央部3251にプレナムチャンバ3200の残り部分よりも高い剛直性を持たせると好適であり得る。本技術のいくつかの形態において、より高い剛直性を有する領域は、
図21に示しかつ以下にさらに述べるように鼻部3202の真下に設けてもよく、かつ/または、口腔部3201の真上に設けてもよい。本技術の一形態において、第1の前壁部3240の一部または全体は、より高い可撓性を有する領域ではなくより高い剛直性を有する領域であり得る。これらの領域のうち1つ以上により高い剛直性を持たせることにより、形状安定性が得られ得、ヘッドギア力に起因してシェル3250が変形する範囲が制限され得る。過度な変形が発生した場合、第2のシール形成構造3102によって鼻孔が閉塞される事態に繋がり得る。このような変形を回避することは、比較的幅広の鼻の患者にとって特に有利であり得、幅狭の鼻の患者にとってはそれほど重要ではないかまたは場合によっては望ましくない場合がある。加えて、記載のより高い剛直性を有する領域により、インターフェースの捻り変形の低減が支援され得る。インターフェースの捻り変形が発生した場合、第2のシール形成構造3102の片側と患者の鼻との接触が失われ得、その結果漏洩路発生に繋がり得る。
【0241】
図21および
図21-1に示すように、本技術の一形態において、シェル3250に剛性部位3263が設けられ得、あるいは、シェル3250の少なくとも一部に対し、1つ以上の接続ポート3600が設けられた(例えば、成形された)シェルの残り部分よりも高い剛性を付与する。本技術の一形態において、剛性部位3263は、ポリカーボネート製であり得る。これにより、シリコーンのみによって構成されたシェルよりも高い剛性が得られ得る。本技術の一形態において、通気部3400を形成する穴は、剛性部位3263内に成形される。本技術のいくつかの形態において、位置決めおよび安定化構造のためのコネクタ3310は、シェルへ一定の剛性を付与するアーム3320上に取り付けられる。
【0242】
本技術の一形態において、剛性部位3263は、第1の前壁部3240の上側境界の近隣(例えば、第2の前壁部3242の真下)のプレナムチャンバの前方にわたって側方に延びる。剛性部3263は、接続ポート3600間において連続的に延び得、加圧空気の流れを接続ポート3600を通じてプレナムチャンバ3200に進入することを可能にする空気流路を提供し得る。
【0243】
本技術のいくつかの形態において、接続ポート3600は、実質的に長円形の断面を有し得る。接続ポート3600は、各ポートの中心線がポートに隣接するプレナムチャンバの外面に対して実質的に平行になるように、方向付けられ得る。
【0244】
本技術のいくつかの形態において、剛性部位3263は、第1の前壁部3240の隣接面に対して前方に突出し得、耐屈曲性を高めるような形状にされ得る。
【0245】
本技術のいくつかの形態において(例えば、
図21を参照)、コネクタ3310およびアーム3320は、接続ポート3600の下側においてプレナムチャンバ3200の側方縁部へと設けられる。コネクタ3310は、アーム3320の側方端部に設けられ得る。コネクタ3310により、さらなる剛性がプレナムチャンバ3200および/またはシール形成構造3100へ提供され得る。
【0246】
本技術のいくつかの形態において(例えば、
図21-1を参照)、コネクタ3310は、アーム3320を含まず、プレナムチャンバ3200へ直接接続される。これにより、プレナムチャンバ3200は、
図21のプレナムチャンバ3200よりも可撓性にされ得る。
【0247】
図22は、通気部取付アパチャ3410を含むプレナムチャンバ3200を示す。通気部取付アパチャ3410内に、適切な通気部またはモジュールが挿入され得る。プレナムチャンバの剛直性を高めるために、通気部は、比較的剛直性の材料から構成され得る。本技術のいくつかの形態において、通気部取付アパチャ3410は、実質的に長円状であり得、長円形の短軸は、矢状面に対して実質的に平行である。
【0248】
図22に示す実施形態において、通気部取付アパチャは、プレナムチャンバ3200の口部位3201の上側境界へと設けられる。
【0249】
図22に示す実施形態において、位置決めおよび安定化構造のためのコネクタ3310が設けられる。コネクタ3310は、シェル3250の比較的より肉厚の領域内に取り付けられ得る。図示の実施形態において、コネクタ3310は、通気部取付アパチャ3410の下側においてプレナムチャンバ3200の側方側へと設けられる。本技術のいくつかの形態において、コネクタ3310は、実質的に円形の磁気ヘッドギアコネクタである。
【0250】
図7~
図19に示すプレナムチャンバの図面中に入口または接続ポートは図示していないが、当業者であれば、実際には1つ以上の入口ポートが設けられることを理解する(例えば、
図21および
図22に示すような入口ポート3600)。入口ポート3600により、本明細書中にさらに記載のように、インターフェースの空気回路4170への接続が可能になる。本技術のいくつかの形態において、空気回路4170の1つ以上のコンポーネントも、位置決めおよび安定化構造のコンポーネントとして機能し得る。
【0251】
本技術の特定の形態において、プレナムチャンバ3200は、透明材料(例えば、透明ポリカーボネート)から構築される。透明材料の利用により、患者インターフェースの押しつけがましさが低減され得、治療へのコンプライアンスの向上が補助され得る。透明材料の利用により、臨床医が患者インターフェースの配置様態および機能を確認することが補助され得る。
【0252】
本技術の特定の形態において、プレナムチャンバ3200は、半透明材料、例えば、半透明シリコーンから構成される。半透明材料を用いることにより、患者インターフェースの押しつけがましさを低減することができ、治療へのコンプライアンスの向上を補助することができる。
【0253】
本技術の特定の形態において、専用の補剛部材または剛性付与部材(例えば、他の機能無しのもの)が、プレナムチャンバ3200上に設けられ得る。これらの部材は、プレナムチャンバ3200よりも高剛性の(例えば、シリコーンよりも高剛性の)材料から形成され得る。専用の補剛部材をプレナムチャンバ3200にオーバーモールドすることにより、シェル3250の剛性部3263またはアーム3320よりも高い剛性が得られる。
【0254】
5.3.3 支持部位
図12および
図14~
図18に最良に示すように、本技術の一形態において、支持部3260が、第2のシール形成構造3102とプレナムチャンバ3200の前壁部との間のインターフェース3000の反対側に設けられる。
図12に示すように、例において、各支持部3260は、インターフェースの側方縁部へ延びる。
【0255】
支持部3260は、アンダークッションとして機能するのではなく、前後方向における圧縮に耐えるまたは前後方向における圧縮を抑制するように構成される。これにより、支持部3260は、第2のシール形成構造3102の患者の上唇と係合する部位を支持しかつ/または硬化させる。詳細には、支持部3260により、
図20に示すように、(鼻翼が上唇の上方の領域に出会う場所である)鼻孔への入口近隣において患者の顔の領域1010に接触し得る第2のシール形成構造3102の領域が支持かつ/または硬化され得る。換言すると、領域1010は、患者の鼻の下角部それぞれの直接下方に設けられ得る。
【0256】
これらの支持部3260により、シール形成構造3100における皺形成の確実な防止が支援される。シール形成構造における皺は、シール形成構造の可撓性が極めて高く、曲率半径も大きいために患者の顔に適合することに起因して、発生し得る。シール形成構造の可撓性が高すぎる場合、シール形成構造同士が折り畳まれ得るかまたは皺が発生し得、その結果、シール形成構造における漏洩に繋がる。皺が特に懸念になり得る場合として、シール形成構造が患者の顔の領域1010に対してシールされる場合がある。シール形成構造が本明細書中に記載のような角部および/または隆起部3120を生成するように構成されている場合、支持部3260は特に有利であり得る。角部および/または隆起部3120は、支持部3260の無いシール形成構造と比較して、より鋭角の曲線(例えば、曲率半径がより小さな曲線)であり得る。支持部3260によって追加される支持および/または剛性により、第2のシール形成構造3102が患者の顔に適合する能力が低下する。患者の快適性の保持のために、角部および/または隆起部3120は、患者の顔のジオメトリ(例えば、外形)に実質的に整合するように選択されかつ/またはサイズにされる。例えば、特定の患者用のシール形成構造3100は、鼻翼領域(すなわち、領域1010の近隣)に実質的に適合するように、多様なサイズから選択され得る。このようなより鋭角の曲率により、第2のシール形成構造3102を患者の鼻周囲の多様な隙間に対して密閉することが可能になり、皺形成の可能性も低下する。
【0257】
特に
図14~
図16から分かるように、本技術の一形態において、支持部3260は、口腔部3201および鼻部3202の境界3241に隣接するプレナムチャンバの口腔部3201の前側へ接続される。いくつかの実施形態において、支持部3260は、(
図16~
図18に示すように)矢状面に対して平行な断面からみた場合に曲線状であり得、かつ/または、(
図14および
図15に示すように)前額面に対して平行な断面からみた場合に曲線状であり得る。曲率は、正または負であり得る。図示の例において、曲率は、(例えば、患者の鼻に対して)負であり得る。いくつかの例において、プレナムチャンバ3200の側方側壁部3245は、鼻部3202との境界3241に隣接して内方に曲線状にされ得、支持部3260は、隣接する側方側壁部3245と実質的に隣接し得る。
図18に示すように、矢状面に対して平行な断面からみると、支持部3260のうち少なくとも一部は、プレナムチャンバ3200の前壁部に隣接する第1の端部3261と、シール形成構造3100に隣接する第2の端部3262との間の厚さが肉薄にされ得る。例えば、支持部3260は、第1の端部3261の近隣においてより肉厚であり得るため、第2のシール形成構造3102へ提供される支持および/または剛性の増加が支援され得る。いくつかの例において、支持部3260は、(例えば、第2の端部3262の近隣における)厚さ0.1mmと、(例えば、第1の端部3261の近隣における)厚さ3.5mmとの間において変動し得る。いくつかの例において、支持部3260は、(例えば、第2の端部3262の近隣における)厚さ0.3mmと、(例えば、第1の端部3261の近隣における)厚さ3mmとの間において変動し得る。いくつかの例において、支持部3260は、(例えば、第2の端部3262の近隣における)厚さ1.3mmと、(例えば、第1.3の端部3261の近隣における)厚さ2.5mmとの間において変動し得る。
【0258】
ジオメトリの異なる支持部3260が、異なる患者のために用いられ得る。例えば、患者に対して第2のシール形成構造3102における支持および/または剛性の増加が必要な場合、シール形成構造3100が、(例えば、第1の端部3261の近隣および/または長さに沿った任意の位置において)より肉厚にされかつ/またはより曲線度の高い(例えば、より小さな曲率半径)の支持部3260と共に用いられ得る。例えば、患者がより可撓性の第2のシール形成構造3102を必要とする場合、シール形成構造3100が、より肉薄の(例えば、第1の端部3261の近隣および/または長さに沿った任意の位置において)より肉薄にされかつ/またはより曲線度の低い(例えば、より大きな曲率半径)の支持部3260と共に用いられ得る。
【0259】
特に
図14および
図15から分かるように、本技術の一形態において、支持部3260は、口腔部3201の側方側壁部3245と鼻部3202の側方側壁部3246との境界に隣接するプレナムチャンバの口腔部3201へ接続される。
【0260】
本技術のいくつかの形態において、支持部3260の形状は、プレナムチャンバの口腔部3201から鼻用アパチャ(複数可)3135への実質的に清浄な流路を提供するような形状にされる。本技術のいくつかの形態において、いずれの支持部3260のいずれの部分も、鼻用アパチャ(複数可)3135の真下には設けられない。
【0261】
5.3.4 位置決めおよび安定化構造
本技術の患者インターフェース3000のシール形成構造3100は、使用時において位置決めおよび安定化構造3300によって密閉位置において保持され得る。
【0262】
一形態において、位置決めおよび安定化構造3300により、顔から浮き上がるためのプレナムチャンバ3200中の陽圧の効果に打ち勝つのに少なくとも充分な保持力が得られる。
【0263】
一形態において、位置決めおよび安定化構造3300により、患者インターフェース3000上への引力に打ち勝つだけの保持力が得られる。
【0264】
一形態において、位置決めおよび安定化構造3300により、患者インターフェース3000上への破壊的作用の可能性(例えば、管引き摺りまたは患者インターフェースとの不慮の干渉に起因するもの)を解消するための安全マージンとして保持力が得られる。
【0265】
本技術の一形態において、患者が睡眠時に装着されるように構成された位置決めおよび安定化構造3300が提供される。一実施例において、位置決めおよび安定化構造3300は、装置の感知される嵩または実際の嵩を低減するように、目立たない外形または断面厚さを有する。一実施例において、位置決めおよび安定化構造3300は、矩形断面を有する少なくとも1つのストラップを含む。一実施例において、位置決めおよび安定化構造3300は、少なくとも1つの平坦ストラップを含む。
【0266】
本技術の一形態において、患者が患者の頭部の後部領域を枕に載せた状態で仰臥位睡眠位置において寝る際の妨げとなるような過度に大きいまたは嵩張るサイズにならないように構成された位置決めおよび安定化構造3300が提供される。
【0267】
本技術の一形態において、患者が患者の頭部の側部領域を枕に載せた状態で側臥位睡眠位置において寝る際の妨げとなるような過度に大きいまたは嵩張るサイズにならないように構成された位置決めおよび安定化構造3300が提供される。
【0268】
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、位置決めおよび安定化構造3300の前方部位と位置決めおよび安定化構造3300の後方部位との間に配置された結合解除部位を備える。この結合解除部位は、圧縮に耐えず、例えば可撓性またはぺらぺらのストラップであり得る。結合解除部は、患者が頭を枕に載せて横たわったときに結合解除部の存在により後部への力が位置決めおよび安定化構造3300に沿って伝達されてシールが妨害される事態を回避できるように、構築および配置される。
【0269】
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、織物患者接触層、発泡材料内側層および織物外側層の積層物から構成されたストラップを含む。一形態において、発泡材料は、湿気(例えば、汗)がストラップを通過できるような多孔性である。一形態において、織物外側層は、フック材料部分と係合するループ材料を含む。
【0270】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、伸張可能である(例えば、弾力性と共に伸張可能である)ストラップを含む。例えば、ストラップは、使用時にはピンと張った状態にされて、シール形成構造を患者の顔の一部と密着させる力を方向付けるように、構成され得る。一実施例において、ストラップは、タイとして構成され得る。
【0271】
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造は第1のタイを含み、第1のタイは、使用時においてその下縁部の少なくとも一部が上を通過して患者の頭の上耳底点へ移動し、後頭骨を被覆することなく頭頂骨の一部を被覆するように、構築および配置される。
【0272】
鼻専用マスクまたはフルフェイスマスクに適した本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造は、第2のタイを含む。第2のタイは、使用時においてその上縁部の少なくとも一部が患者頭部の下側の下耳底点の下側を通過し、患者頭部の後頭骨を被覆するかまたは患者頭部の後頭骨の下側に載置されるように、構築および配置される。
【0273】
鼻専用マスクまたはフルフェイスマスクに適した本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造は、第1のタイおよび第2のタイが相違に離隔方向に移動する傾向を低減させるように第1のタイおよび第2のタイを相互接続させるように構築および配置された第3のタイを含む。
【0274】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、屈曲可能であり例えば非剛性であるストラップを含む。本態様の利点として、患者が睡眠時に体を横たえたときにストラップがより快適になっている点がある。
【0275】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、内部を水蒸気が通過できるように呼吸可能なように構成されたストラップを含む。
【0276】
本技術の特定の形態において、1つよりも多くの位置決めおよび安定化構造3300を含むシステムが提供される。各位置決めおよび安定化構造3300は、異なるサイズおよび/または形状範囲に対応するための保持力を提供するように構成される。例えば、システムは、小さなサイズの頭ではなく大きなサイズの頭に適しかつ大きなサイズの頭ではなく小さなサイズの別の頭に適した位置決めおよび安定化構造3300の一形態を含み得る。
【0277】
図21および
図22に示す実施形態において、位置決めおよび安定化構造への接続のためのコネクタ3310(例えば、磁石コネクタ)が設けられる。
【0278】
5.3.4.1 フレーム
図23~
図28-2に示すように、フレーム3350は、プレナムチャンバ3200へ連結され、シール形成構造3100の治療的に有効な位置の維持を支援する。
図23~
図28-2に示すプレナムチャンバ3200は詳細には、患者の顔の前方に接続されたエルボー3500を示すが、フレームは、他の型のプレナムチャンバ3200(例えば、導管ヘッドギアと共に用いられる
図21-22のプレナムチャンバ3200)と共に用いられ得る。
【0279】
いくつかの形態において、フレーム3350は、剛性材料または半剛性材料から構築され、シール形成構造3100および/またはプレナムチャンバ3200へ支持を提供する。例えば、フレーム3350は、シール形成構造3100が患者の顔と係合した際の折れおよび/または皺に起因する加圧空気の漏洩の低減のために、シール形成構造3100および/またはプレナムチャンバ3200の形状維持を支持し得る。
【0280】
いくつかの形態において、フレーム3350によって提供される少なくとも1つの接続点3352により、ヘッドギアストラップ3354のプレナムチャンバ3200および/またはシール形成構造3100への間接的接続が支援され得る。接続点3352は、(例えば、周囲が完全に形成された)ループであり得、ヘッドギアストラップ3354の一部を受容する。例えば、左の上方ヘッドギアストラップ3356の長さは、第1のループ3352aを通じて延び得、プレナムチャンバ3200から離隔方向に牽引されて、張力を左の上方ヘッドギアストラップ3356を通じて付加する。左上方のヘッドギアストラップ3356は、自身の上に折りたたまれ得、(例えばベルクロ、磁石、接着剤などにより)選択された長さで保持され得、これにより、付加された張力が維持される。類似のステップが、右上のヘッドギアストラップ3358の張力の第2のループ3352bにおける調節において行われ得る。
【0281】
いくつかの形態において、各ループ3352aおよび3352bの方向付けは、各上方ヘッドギアストラップ3356および3358から付加される力ベクトルが上方ヘッドギアストラップ3356および3358と接触しているループ内面3351に対して実質的に垂直となるように、行われ得る。
図23に示すように、右上のヘッドギアストラップ3358は、ループ内面3351の実質的に中央においてループ3352bと係合する。右上のヘッドギアストラップ3358が締結されると、力ベクトルが実質的に直線方向において付加され、ループ内面3351に対して斜め方向にされない。これによりシール形成構造3100のシーリングが向上し得る理由として、アーム3362に沿って方向付けられる力は、アーム3362に対して斜め方向ではないため、(例えば、患者快適性を犠牲にして)同じシーリング効果を得るためには上方ヘッドギアストラップ3356および3358をさらに締結する必要がありかつ/または(例えば、漏洩に繋がる)シール形成構造3100と患者の顔との適切な係合が妨げられる点がある。
【0282】
図27-2に示すように、ループ3352aおよび3352bの特定の形態は、アイレットカット3353を含み得る。アイレットカット3353は、各ループ3352aおよび3352bの患者側(例えば、使用時における患者の皮膚の近隣)に形成され得る。アイレットカット3353により、各ループ3352aおよび3352bの周囲に沿って領域of肉薄の厚さの領域が形成され得る。アイレットカット3353は、ループ3352aおよび3352bの周囲の一部の周りに延び得る(例えば、360°未満)。図示の例において、各ヘッドギアストラップ3354は、ループ3352aおよび3352bを通じて受容された際に、アイレットカット3353と接触し得る。アイレットカット3353の厚さ低減により、ループ3352aおよび3352bの製造に用いられる材料低減に繋がり得、製造回数および/または製造コストの低減に繋がり得る。アイレットカット3353により、皮膚痕の低減および患者快適性の向上が追加的にまたは代替的に得られ得る。
【0283】
一形態において、ループ3352aおよび3352bのうち少なくとも1つは、外側周囲の周りに完全には形成されない場合がある。換言すると、ループ3352aおよび3352bは、C字型かつ/またはU字型であり得る。左上のヘッドギアストラップ3356および/または右上のヘッドギアストラップ3358は、自身の上に個別に折りたたまれ得、その後、ループ3352aおよび3352bを通じて挿入され得る。これにより、(シール形成構造3100が治療的に有効な位置から除去されている場合に)患者が各上方ヘッドギアストラップ3356および3358において同一の長さ調整を維持することが可能になる。
【0284】
いくつかの形態において、フレーム3350は、プレナムチャンバ3200へ連結された中央部3360を含む。中央部3360は、環状形状を有し得、プレナムチャンバ3200の形状に対応する外形を有し得る(例えば、正のドーム状の曲率に近似するもの)。
【0285】
一形態において、単一のサイズの中央部3360が、多様なサイズのプレナムチャンバ3200および/またはシール形成構造3100と共に用いられ得る。例えば、シール形成構造3100は、多様な顔形状の患者に対するより良好なシールのために複数のサイズにされ得る(例えば、小型、中型、大型)および/または形状(例えば、幅狭、幅広)。中央部3360の係合領域は、プレナムチャンバ3200および/またはシール形成構造3100のサイズに関係無く実質的に同一のままであり得る。よって、中央部3360は、多様な形状および/またはサイズのクッションへ連結され得、実質的に同じ支持を提供し得る。
【0286】
一形態において、中央部3360は、プレナムチャンバ3200へ取り外し可能に連結され得る。患者は、同一フレーム3350を複数のプレナムチャンバ3200と共に用い得る。このようにすると、患者が先ず治療を開始する際に、異なるサイズのプレナムチャンバ3200を試してみて適切なフィットを探す際において有用であり得る。フレーム3350を取り外すと、患者インターフェース3000の異なる要素の清掃を別個に行うことが可能になり得、より念入りな清掃が確実に支援されるため、患者インターフェース3000の清掃の際にも有用であり得る。
【0287】
いくつかの形態において、フレーム3350は、中央部3360から離隔方向に延びるアーム3362を含む。ループ3352aおよび3352bは、アーム3362の端部において形成される。使用時において、アーム3362は、後方方向において少なくとも部分的に延び得、これにより、ループ3352aおよび3352bがプレナムチャンバ3200および/またはシール形成構造3100よりも後方に位置決めされ得る。アーム3362は、患者の顔の外形に概して沿って横方向(例えば、左または右それぞれ)に延びてもよい。
【0288】
いくつかの形態において、患者インターフェース3000が患者によって着用されている間、アーム3362は、患者の顔の一部と係合する。例えば、アーム3362は、患者の頬に接触し得る。アーム3362は、患者の顔の曲率に対応するような形状にされ得る(例えば、後方向および横方向に延びる)。
【0289】
いくつかの形態において、アーム3362は、ループ3352aおよび3352bを介して各ヘッドギアストラップ3356および3358から付加される張力に起因して実質的に伸長することができない(例えば、アーム3362は、リジダイザであり得かつ/または非伸長性であり得る)。治療的に有効な圧力の維持および漏洩発生の防止のために、張力は、アーム3362に沿ってプレナムチャンバ3200および/またはシール形成構造3100へ移送され得る。
【0290】
一形態において、アーム3362は、中央部3360の構築に用いられる材料よりも可撓性の高い材料から構築される。これらの材料を共に成型することにより、フレーム3350を一体のワンピース構造として構築する。アーム3362は、自身の形状維持を支援するための一定の剛性を有し得る。しかし、アーム3362は屈曲可能であるため、患者は、自身の顔構造に対応するようにアーム3362の形状を調節することができ得る。患者がアーム3362の形状を調節することが可能であるため、患者の経験する快適性増加に繋がり得、患者の治療コンプライアンス増加に繋がり得る。このようにして、アーム3362は、(例えばカンチレバー型構成に起因して)中央部3360に相対して屈曲するかまたは撓むことができ得るが、(例えば、非伸長性に起因して)後方方向において伸長することはできなくされ得る。さらに、アーム3362それぞれの構築において比較的可撓性の材料が用いられるため、顔の痕の低減および患者快適性の増大が支援され得る。
【0291】
一形態において、アーム3362および中央部3360は、同一材料から構築される。この材料により、形状調整を可能にするだけの十分な可撓性が得られ、調節された形状を維持するための十分な剛性も得られる。中央部3360は、プレナムチャンバ3200へ連結されているため、アーム3362よりも高剛性になり得る。追加的にまたは代替的に、中央部3360はアーム3362よりも肉厚にされ得、これによっても、中央部3360の剛性増加に繋がり得る。各アーム3362は、カンチレバー型形状として形成されるため、ループ3352aおよび3352bの近隣の端部は支持されない。さらに、フレーム3350の厚さは、ループ3352aおよび3352bの方向において各アーム3362の長さに沿って低減され得る(例えば、
図27-1を参照)。これにより、患者の顔の形状(例えば、頬)に実質的に対応するように屈曲および/または形状形成されるために必要な可撓性が各アーム3362へ付与され得る。各アーム3362の幅の低減により、各アーム3362と患者の頬との間の頬の接触も低減され得、これにより、患者快適性の向上に繋がり得る。各アーム3362の長さに沿った幅の低減により、各ループ3352aおよび3352bの近隣の可撓性の増大も得られ得る。
【0292】
いくつかの形態において、各アーム3362の固定端の厚さは、およそ2mm~およそ7mmであり得る。いくつかの形態において、各アーム3362の固定端の厚さは、およそ2.5mm~およそ6mmであり得る。いくつかの形態において、各アーム3362の固定端の厚さは、およそ3mm~およそ5mmであり得る。いくつかの形態において、各アーム3362の固定端の厚さは、およそ4mmであり得る。
【0293】
いくつかの形態において、各アーム3362の自由端の厚さは、およそ0mm~およそ4mmであり得る。いくつかの形態において、各アーム3362の固定端の厚さは、およそ0.5mm~およそ3mmであり得る。いくつかの形態において、各アーム3362の固定端の厚さは、およそ1mm~およそ2.5mmであり得る。いくつかの形態において、各アーム3362の固定端の厚さは、およそ2mmであり得る。
【0294】
図27-3に示すように、各アーム3362の断面のいくつかの形態は、実質的に矩形であり得る。実質的に矩形形状の角部(例えば、1つの角部、2つの角部、4つの角部)が、曲線状にされ得る。これにより、患者の皮膚と接触する鋭角な表面が低減されるため、患者快適性の向上が支援され得る。各アーム3362は、自身の厚さよりも大きな高さも有し得る。この高さは、(患者の周辺視野の妨害無くまたは他の場合に患者不快感を引き起こすこと無く)圧力を患者の皮膚にわたって(例えば、高さ増大により)快適に分布させるように設計され得る。
【0295】
いくつかの形態において、各アーム3362の高さは、およそ5mm~およそ15mmであり得る。いくつかの形態において、各アーム3362の高さは、およそ6.5mm~およそ13.5mmであり得る。いくつかの形態において、各アーム3362の高さは、およそ8mm~およそ12mmであり得る。いくつかの形態において、各アーム3362の高さは、およそ9.5mm~およそ10.5mmであり得る。いくつかの形態において、各アーム3362の高さは、およそ10mmであり得る。
【0296】
図26-4および
図26-5に示すように、フレーム3350の特定の形態により、各アーム3362と中央部3360との間の旋回可能な動きが得られ得る。この旋回可能な動きは、ピボット点6012により各アーム3362を中央部3360、へ接続させることができかつ全体アーム3362が同一の角度距離だけ実質的に動くことを可能にする点において、上記した屈曲動きと異なり得る。上記したように、各アーム3362は、旋回に加えて屈曲も可能であり得る。
【0297】
一形態において、ピボット点6012は、フレーム3350のいずれかの側部において同一位置に配置される。換言すると、各アーム3362は、各アーム3362は、中央部3360へ接続され得、各アーム3362は、ピボット点6012を通過して同じ長さだけ延び得る。これにより、患者がアーム3362のミラー型調整を行うことが可能になり得る。次に、患者は、各アームを個別に撓ませるかまたは屈曲させて、特定の片側への調整を行うことができ得る。
【0298】
一形態において、各ピボット点6012は、リビングヒンジである。換言すると、フレーム3350は、実質的に均一の材料から構築され得るか(または各アーム3362と中央部3360との間の移行部は、実質的に均一の材料から構築され得る)。各ヒンジ6012における厚さは、アーム3362およびヒンジ6012に直接隣接する中央部3360の厚さよりも有意に小さくされ得る。例えば、ヒンジ6012は、フレーム3350の面上の溝部として形成され得、使用時において患者から離隔方向を向く。ヒンジ6012をアーム3362および中央部3360と実質的に同じ材料から均一かつ一体に構築することにより、(例えば、異なる材料によって構築されたヒンジを設けた場合と比較して)製造コストの低減が支援され得る。
【0299】
各アーム3362は、第1の位置と第2の位置との間の各ヒンジ6012周囲において旋回可能であり得る。ループ3352aおよび3352bは、第1の位置ではなく第2の位置において共に狭い間隔で密集して配置され得る。
【0300】
一形態において、第1の位置は弛緩位置であり得、第2の位置は付勢位置であり得る。アーム3362は、外力が付加された際に第2の位置へ移動し得、外力が無くなった際に第1の位置に戻り得る。
【0301】
一形態において、外力の継続的付加無しにアーム3362を第1の位置または第2の位置に位置決めしてもよい。アーム3362を第2の位置へ移動させると、アーム3362は(例えば、眼鏡のように)相互に重複し得る。これにより、パッケージングおよび/または保存のための占有面積の低減が支援され得る。
【0302】
他の形態(図示せず)において、各アーム3362は、中央部3360から分離され得、回転ヒンジ(例えば、ピンジョイント)により中央部3360へ連結され得る。さらに他の形態において、各アーム3362は、可撓性を間にオーバーモールドすることにより中央部3360へ連結され得、これにより、一定の旋回可能な動きが可能になり得る。
【0303】
いくつかの形態において、フレーム3350は、ループ3352aおよび3352bから間隔を空けて配置された少なくとも1つの2次接続点3364をさらに含む。2次接続点(複数可)3364により、さらなる接続位置が得られ、これにより、ヘッドギアストラップ3354のプレナムチャンバ3200および/またはシール形成構造3100への間接的接続がさらに支援され得る。
【0304】
特定の形態において、フレーム3350は、2つの2次接続点3364を含む(例えば、左2次接続点3364aおよび右2次接続点3364b)。2次接続点3364aおよび3364bは、患者が患者インターフェース3000を着用している状態においてループ3352aおよび3352bの下方に配置され得る。ヘッドギアストラップ3354は、左下ヘッドギアストラップ3366および右下ヘッドギアストラップ3368をさらに含み得る。左下ヘッドギアストラップ3366および右下ヘッドギアストラップ3368はそれぞれ、各2次接続点3364aおよび3364bへ連結するように構成される。次に、ヘッドギア3354全体により、シール形成構造3100および/またはプレナムチャンバ3200の上方領域および下方領域へ力を提供することが可能になり得る。
【0305】
特定の形態において、2次接続点3364aおよび3364bは、中央部3360上に直接に形成される。患者が患者インターフェース3000を着用している状態において、2次接続点3364aおよび3364bは、ループ3352aおよび3352bよりも前方に設けられ得る。
【0306】
特定の形態において、2次接続点3364aおよび3364bは、単一のコンポーネントから構築され得、これにより、加工工具コストおよび/または製造コストの低減が支援され得る。
【0307】
特定の形態において、左ヘッドギアストラップ3366および/または右下ヘッドギアストラップ3368は、各2次接続点3364aおよび3364bへ取り外し可能に連結される。2次接続点3364aおよび3364bは磁石性であり得、左ヘッドギアストラップ3366および/または右下ヘッドギアストラップ3368は、2次接続点3364aおよび3364bと反極性である磁石3370を通じて設けられ得る。左ヘッドギアストラップ3366および/または右下ヘッドギアストラップ3368の長さは、(例えば、左ヘッドギアストラップ3356および/または右上のヘッドギアストラップ3358と同様に)各ストラップ3366および3368を自身の上に折り畳むことにより、調節され得る。各磁石3370の各2次接続点3364aおよび3364bからの取り外しは、左ヘッドギアストラップ3366および/または右下ヘッドギアストラップ3368の長さ調整の変更無く行われ得る。患者は、患者インターフェース3000の脱ぎ着を磁石3370を各2次接続点3364aおよび3364bから取り外すだけで(例えば、左ヘッドギアストラップ3356および/または右上のヘッドギアストラップ3358を各ループ3352aおよび3352bから取り外す必要無く)行うことができ得る。
【0308】
図28-1および
図28-2に示すように、各2次接続点3364aおよび3364bは、各磁石3370による保持を向上させるように構築され得る。各2次接続点3364aおよび3364bの外側ケーシング3376は、実質的に平面状(例えば、平坦な)表面3378と、平面表面3378から延びるリップ3380とを含み得る。
【0309】
図示の例において、外側ケーシング3376は、実質的に楕円形形状を有し得、リップ3380は、平面表面3378の頂点の近隣に延び得る。リップ3380は、平面表面3378の一部のみの周囲に延びてもよい(例えば、360°未満)。いくつかの例において、リップ3380は、平面表面3378の周囲において180°未満において延び得る(例えば、リップ3380は、実質的に楕円形の平面表面3378のいずれかの共頂点に延びなくてよい)。
【0310】
図28-2に示すように、各2次接続点3364aおよび3364bは、リップ3380がフレーム3350の中心の近隣に配置されるように、フレーム3350へ連結され得る。換言すると、各2次接続点3364aおよび3364bは、(フレーム3350がプレナムチャンバ3200へ連結された際に)リップ3380がエルボー3500の近隣に配置されるように、方向付けられ得る。
【0311】
磁石3370は、外側ケーシング3376の実質的に平面の表面3378と係合し得る実質的に平面の表面を含む。平面表面3378と係合している間、磁石3370は、2次接続点3364aおよび3364bの磁性要素3382へ磁性的に連結され得る。オーバーハング3384は、磁石3370から間隔を開けて配置され得る。図示のように、オーバーハング3384は、リップ3380の片側(例えば、内側)に位置決めされ得、磁石3370は、リップ3380の他方側(例えば、外側)に位置決めされ得る。使用時において、患者は、各下方ヘッドギアストラップ3366および3368の長さを調節し得る。下方ヘッドギアストラップ3366および3368のうち1つが締結されると、フレーム3350の中心から離隔方向に(例えば、横方向に外方に)方向付けられた力が付加され得る。この力は、磁石3370と磁性要素3382との間の磁力よりも高くされ得、この力に起因して、磁石3370は、平面表面3378に相対して移動し得る。
【0312】
オーバーハング3384により、各下方ヘッドギアストラップ3366および3368の締結の結果、磁石3370が磁性材料3382から係合解除される事態が回避され得る。磁石3370の移動開始と共に、オーバーハング3384はリップ3380と接触し得るため、フレーム3350の中心からの離隔方向におけるさらなる移動が制限され得る。よって、リップ3380とオーバーハング3384との間の係合により、(各下方ヘッドギアストラップ3366および3368の締結時において)磁石3370が各2次接続点3364aおよび3364bから偶発的に断線する事態の低減が支援され得るが、患者が(例えば、位置決めおよび安定化構造3300を取り外すために)磁石3370をフレーム3350に対して実質的に垂直に移動させる能力は制限されない。
【0313】
図24に示すように、プレナムチャンバ3200の係合領域は、溝部3280を含み得る。図示の例において、溝部3280は、プレナムチャンバ3200の口腔部3201上に設けられ得、中央部3251の外側にラジアル方向に設けられ得る。フレーム3350の中央部3360は、溝部3280内に位置決めされ得る。中央部3360の形状は、溝部3280の形状に実質的に対応し得るため、(例えば、フレーム3350がプレナムチャンバ3200へ取り外し可能に連結された例において)患者がフレーム3350をプレナムチャンバ3200に対して適切に方向付けることが支援され得る。
【0314】
いくつかの形態において、溝部3280は、完全に形成された周囲を実質的に環状形状と共に有し得る。この周囲は、任意のサイズのクッションにおいて実質的に同じ長さを有し得る。
【0315】
いくつかの形態において、溝部3280は、プレナムチャンバ3200の外面の残り部分に相対して凹状にされる。凹状溝部3280は、プレナムチャンバ3200内に実質的に延び得ず、患者の顔を妨害しない。溝部3280は、自身の周囲全体において実質的に同じ深さを有し得る。
【0316】
いくつかの形態において、溝部3280の長さは、フレーム3350の中央部3360の幅よりも小さくされ得る。クッションのコンプライアント性により、より幅広の中央部3360を溝部3280内に受容することが可能になり得る。これにより、中央部3360を(圧入、摩擦嵌めおよび/またはスナップフィットを介して)溝部3280へ連結させることが可能になり得る。溝部3280と中央部3360との係合により、プレナムチャンバ3200および/またはシール形成構造3100への剛性付与が支援され得る理由として、(例えば、プレナムチャンバ3200と比較して)フレーム3350の剛性によりプレナムチャンバ3200単独の一定の可撓性に制限され得る点がある。
【0317】
いくつかの形態において、クッションは、成型プロセス時に溝部3280が生成され得るように、フレーム3350へ成型され得る。プレナムチャンバ3200の材料(例えば、シリコーン)は、少なくとも部分的にフレーム3350の中央部3360の周囲において成型され得、中央部3360が溝部3280から除去される事態を制限し得る。
【0318】
図25に示すように、フレーム3350は、複数のピースから構築され得る(例えば、それぞれが異なる材料から構築される)。例えば、中央部は、第1の材料(例えば、硬質プラスチック)から構築され得る。アーム3362は、中央部3360へ連結され得(例えば、接着剤、成形など)、第1の材料よりも可撓性である第2の材料(例えば、可撓性プラスチック、発泡体など)から構築され得る。第3の材料は、磁性材料であり得、(例えば、接着剤を介して)中央部3360へ連結され得る。相互に連結された後、アーム3362は、上記したような一体型のワンピース構造と同様に動くことが可能になり得る。
【0319】
図26および
図27に示すように、フレーム3350は、単一の材料ピースから構築され得る。例えば、フレーム3350は、HytrelなどのTPE材料から構築され得る。上記したように、フレーム3350の構築に用いられる材料により、剛性および可撓性双方がフレーム3350へ付与され得る。磁石3370は、中央部3360へオーバーモールドされ得る(かまたは他の様態で連結され得る)。
【0320】
いくつかの形態において、中央部3360は、スロット3372を含む。これらのスロット3372は、中央部3360のいずれかの側方に形成され得る。スロット3372は、概して細長の形状(例えば、矩形、楕円形)を有し得、中央部3360の境界内に完全に形成され得る。
【0321】
図27に示すように、いくつかの形態の中央部3360はテーパー状にされたスロット3372を含み得る。詳細には、スロット3372に対する開口部は、中央部3360の後面(例えば、プレナムチャンバ3200と接触する面)の近隣においてより幅広にされ得る。スロット3372に対する開口部は、中央部3360の前面に近づくにつれて均等に低減し得る。
【0322】
図27は、いくつかの形態のアーム3362a(またはアーム3362b)が凹み部またはスカロップ3373を含み得ることも示す。スカロップ3373は、アーム3362aの内面上に形成され得、(患者が位置決めおよび安定化構造3300を着用している際に)患者の皮膚の近隣に設けられるように位置決めされ得る。スカロップ3373により、アーム3362aの一部に沿った厚さが低減され、製造プロセス(例えば、(例えば、射出成型))時においてアーム3362a内にシンクマークが発生する可能性が低下され得る。スカロップ3373により、アーム3362aの製造に用いられる材料に低減にも繋がり得、製造回数の低減および/または製造コストの低減に繋がり得る。
【0323】
図26~
図26-2を参照して、プレナムチャンバ3200は、突出部3284を口腔部3201上に含み得る。これらの突出部は細長であり得、スロット3372と類似の形状を有し得る(例えば、テーパー状にされ得る)。突出部3284は、組立時においてフレーム3350と協働するように溝部3280内に配置され得る。
【0324】
図26-2に示すように、いくつかの形態の突出部3284は、溝部3280上に少なくとも部分的に延びるオーバーハング6000を含み得る。オーバーハング6000は、突出部3284の周囲において非対称に形成され得る。換言すると、オーバーハング6000は、他方側以外の片方において溝部3280上にさらに延び得る。
【0325】
いくつかの形態において、溝部3280も、非対称であり得る。溝部3280は、突出部3284の片側におけるアンダーカット6004と、傾斜面6008とを含み得る。オーバーハング6000は、傾斜面6008上においてよりもアンダーカット6004上においてさらに延び得る。アンダーカット6004上に延びるオーバーハング6000の長さにより、フレーム3350がプレナムチャンバ3200から垂直方向において取り外される可能性が制限され得る。傾斜面6008の角度は、オーバーハング6000に向けて方向付けられ得、フレーム3350が斜め方向に取り外される可能性を制限し得る。
【0326】
フレーム3350が(例えば、圧入、摩擦嵌め、スナップフィットなどを介して)プレナムチャンバ3200へ組み付けられているとき、患者は、突出部3284をスロット3372と整列させて、突出部3284を使用時においてスロット3372内に受容させ得る。後面の近隣のスロット3372のより幅広の開口部により、患者と各スロット3372内の各突出部3284との整列が支援され得る。突出部3284は、各スロット3372の前方開口部よりも若干幅広であり得るが、プレナムチャンバ3200の可撓性(例えば、シリコーンなどの弾性材料によって構築されていること)により、スロット3372内に受容可能である。突出部3284は、各スロット3372へ進入する際に(例えば、スロット3372が幅狭になることにより)若干変形し得る。
【0327】
突出部3284がスロット3372を通過した後、突出部3284は、自身の元々の形状へ実質的に戻り得る。例えば、オーバーハング6000は、(スロット3372が突出部3284を受容する際に)変形(例えば、弾性変形)し得、中央部3360が溝部3280内に受容された後に自身の初期位置に戻り得る。患者は、フレーム3350とプレナムチャンバ3200との間の適切な接続をより容易に観察するために、この変形を触覚応答として経験し得る。突出部3284のオーバーハング6000は、弛緩位置または初期位置において、各スロット3372の前方開口部よりも幅広であり得る。
【0328】
さらに、アンダーカット6004の幅は、中央部3360と実質的に同一であり得るため、フレーム3350は、溝部3280内にぴったりと受容される。プレナムチャンバ3200の可撓性材料により、アンダーカット6004が中央部3360よりも若干小さくされ得るため、アンダーカット6004が撓み得、(圧入、摩擦嵌め、スナップフィットなどを介して)フレーム3350を受容し得る。
【0329】
よって、フレーム3350がプレナムチャンバ3200から容易に外れなくなり得る。患者は、フレーム3350を溝部3280から取り外すために、力をフレーム3350へ付加する必要があり得る。このユーザから付加された力により、フレーム3350の垂直方向または斜め方向における移動が可能になり得、オーバーハング6000から提供される保持を乗り越え得る。例えば、患者は、フレーム3350をプレナムチャンバ3200から係合解除させるための力を提供するために、中央部3360のうち傾斜面6008と接触する領域からフレーム3350を持ち上げ得る。
【0330】
この力は、プレナムチャンバ3200および/またはシール形成構造3100の通常の動きに起因して発生する力を超え得る。換言すると、シール形成構造3100および/またはプレナムチャンバ3200は、突出部3284が各スロット3372内に受容されている間、フレーム3350に相対して移動し得る。これにより、シール形成構造3100および/またはプレナムチャンバ3200が撓んで、(フレーム3350から緩んで外れること無くかつスロット3372が不意に突出部3284から係合解除されること無く)患者の顔に適合することが可能になり得る。
【0331】
他の形態において、プレナムチャンバ3200は、フレーム3350へ成型され得、突出部3284は、フレーム3350の位置をプレナムチャンバ3200に相対して恒久的に保持するための成型プロセスから得られ得る。
【0332】
図26-3に示すように、いくつかの形態のフレーム3350は、接続されたフレーム3350およびプレナムチャンバ3200が患者によって着用されている間の頬との接触を低減するように方向付けられ得る。例えば、アーム3362aおよび3362bは、患者の顔のうち少なくとも一部(例えば、頬)において実質的にコンプライアントとなるように方向付けられ得る(例えば、曲線状にされ得る)。しかし、いくつかの例において、各アーム3362の長さ全体は、患者が自身の頬と異物が接触することが不快であると感じる場合があるため、患者の皮膚と接触しない場合がある。その代わりに、各アーム3362の一部が患者の顔から間隔を開けて配置され得、これにより、アーム3362のうち患者の顔と接触する面が低減され得る。各アーム3362において実質的に同じ曲率を維持しつつ、各アーム3362とプレナムチャンバ3200との間に(例えば、製造プロセスを介して)接触点を移動させると、患者の顔と接触する各アーム3362の長さ全体が変化され得る。例えば、各アーム3362がエルボー3500により近接するプレナムチャンバ3200に接触した場合、各アーム3362と患者の顔との間の最大の隙間が増大する。すなわち、各アーム3362のうちより大きな部分が、(各アーム3362がエルボー3500から遠位方向にあるプレナムチャンバ3200と接触した場合と対照的に)患者の顔から間隔を開けて配置される。各アーム3362と患者の顔との間の接触低減により、患者快適性の向上に繋がり得る。
【0333】
さらに、エルボーの近隣の(およびよって後面3112から遠位方向の)プレナムチャンバ3200と各アーム3362が接触することにより、(例えば、剛性または半剛性のアームの側部3111との係合が低減することに起因して)プレナムチャンバ3200の側部3111における支持が低下し得る。よって、側部3111は、より高レベルの可撓性を有し得、患者の鼻の形状により良好に適合することができ、有効なシールを生成することができ得る。
【0334】
図26-4および
図26-5に示すように、いくつかの形態のフレーム3350は、ヒンジ6012を各アーム3362と中央部3360との間に含み得る。ヒンジ6012により、アーム3362の動き(例えば、旋回可能な動き)が(フレーム3350とプレナムチャンバ3200との間の接続に影響を与えること無く)可能になり得る。換言すると、いずれかのアーム3362を各ヒンジ6012周囲において旋回させても、突出部3284はスロット3372から係合解除されない。
【0335】
いくつかの形態において、患者は、より良好なフィットを得るために、アーム3362を第2の位置へ移動させ得る。例えば、第1の位置におけるループ3352aと3352bとの間の距離は、平均的な患者の頭部のサイズよりも大きくされ得る。そのため、患者は、適切なフィット感(例えば、アーム3362と患者頭部との間の接触)を得るために、アーム3362を第2の位置へ移動させ得る。アーム3362は、上方ヘッドギアストラップ3356および3358の調整によって第2の位置において保持され得る(すなわち、上方ヘッドギアストラップ3356および3358から、外力が得られ得る)。
【0336】
アーム3362と同様に、プレナムチャンバ3200および/またはシール形成構造3100は、平均的な患者の顔のサイズよりも大きくされ得る。例えば、シール形成構造3100は、患者の口および/または鼻とぴったりと係合しない場合がある。プレナムチャンバ3200および/またはシール形成構造3100は、個々の患者の顔との係合の向上のために、よりコンパクトな位置へ移動させることもでき得る。
【0337】
図26-5に示すように、アーム3362を第2の位置へ移動させると、シール形成構造3100および/またはプレナムチャンバ3200は、よりコンパクト位置へ直接的に移動し得る。アーム3362は、プレナムチャンバ3200と第2の前壁部3242に沿って接触し得る。アーム3362は、プレナムチャンバ3200の中心の近隣にありかつ側部3111に対して遠位にある第2の前壁部3242とも接触し得る。
【0338】
各アーム3362をヒンジ6012の周囲において旋回的に移動させることにより、内方に方向付けられた力がプレナムチャンバ3200へ提供され得る。これにより、第2のシール形成構造3102の側部3111間の距離が低減され得、およびsnuggly位第2のシール形成構造3102が患者の鼻に対してぴったりと位置決めされ得る。シール形成構造3100および/またはプレナムチャンバ3200を圧縮すると、(例えば、漏洩発生の制限により)患者の顔に対するシール向上に繋がり得る。さらに、(例えば、
図26-3について述べたように)内方に方向付けられた力をプレナムチャンバ3200の中心の近隣において付加すると、プレナムチャンバ3200の圧縮合計が制限されるため、シール形成構造3100における皺発生が制限され得る。
【0339】
図28に示すように、フレーム3350は、
図26および
図27中のフレームと同様の形状にされ得る。換言すると、フレーム3350は、単一の材料(例えば、半剛性のもの)から構築され得る。フレーム3350は、中央部3360の近隣においてより肉厚であり得、各ループ3352aおよび3352bに近づくにつれて肉薄にされ得る。
【0340】
いくつかの形態において、フレーム3350の中央部3360は、全体的に実質的に固体であり得、スロット3372を含まなくてよく、プレナムチャンバ3200は、突出部3284を溝部3280内に含まない場合がある。その代わりに、プレナムチャンバ3200は、溝部3280のラジアル方向に内側に配置された突起部3288を含み得る。突起部3288は、プレナムチャンバ3200の前面の残り部分から隆起され得る。突起部3288はまた、ラジアル方向に外方に少なくとも部分的に延び得る。換言すると、突起部3288は、溝部3280上に少なくとも部分的に延び得る(例えば、突起部3388は、溝部3280から間隔を開けて配置される)。
【0341】
取り外し可能なフレーム3350をプレナムチャンバ3200へ組み付けている間、フレーム3350が溝部3280内かつ突起部3288の下側に延びるようにフレーム3350を位置決めする必要があり得る。中央部3260の位置決めの後、突起部3288により、中央部3360の所定位置への保持が支援され得る。フレーム3350をプレナムチャンバ3200から連結解除させるために、患者は、突起部3288のうち少なくとも1つを(例えば、その他の突起部3288に近づく横方向において)押圧し得、これにより、突起部が溝部3280上に延びないようにすることができ得る。他の形態において、プレナムチャンバ3200は、フレーム3350へ成型され得、突起部3288により、中央部3360の取り外しが回避され得る。
【0342】
いくつかの形態において、上記例のうちいずれかのフレーム3350は、溝部3280内に位置決めされた際、プレナムチャンバ3200の外面と実質的に同一平面にあり得る。溝部3280の深さは、中央部3360の厚さに実質的に対応する。同様に、中央部の形状は、上記したようにクッションの形状に実質的に近似され得る。その結果得られたアセンブリは、実質的に均一の面を有し得る。これにより、(フレーム3350が患者の視線の妨害になり得る)クッションの前方においてフレーム3350が突出しなくなるため、患者インターフェース3000の外観を目立たなく維持することが支援される。
【0343】
5.3.5 通気
一形態において、患者インターフェース3000は、吐き出されたガス(例えば、二酸化炭素)の押し出しを可能にするように構成および配置された通気部3400を含む。
【0344】
特定の形態において、通気3400は、プレナムチャンバ内の圧力が雰囲気に対して正であるときにプレナムチャンバ3200の内部から雰囲気への連続的通気流れを可能にするように構成される。通気部3400は、使用時においてプレナムチャンバ内の治療圧力を維持しつつ、通気流量の大きさが呼気されたCO2の患者による再呼吸を低減できるだけの充分な大きさになるように、構成される。
【0345】
本技術による一形態の通気部3400は、複数の穴(例えば、約20個~約80個の穴または約40個~約60個の穴または約45個~約55個の穴)を含む。
【0346】
通気部3400は、プレナムチャンバ3200内に配置され得る。あるいは、通気部3400は、結合解除構造(例えば、回り継ぎ手)内に配置される。
【0347】
図7~
図18中には通気構造を図示していないが、
図7~
図18に示す本技術の実施形態は、適切な通気構造を例えばプレナムチャンバに備え得る(その一例を
図21に示す)。
【0348】
5.3.6 結合解除構造(複数可)
一形態において、患者インターフェース3000は、少なくとも1つの結合解除構造3500(例えば、スイベルまたは球窩)を含む。いくつかの例において、連結解除構造は、プレナムチャンバ3200(例えば、プレナムチャンバ入口ポート)へ接続(例えば、取り外し可能に接続、恒久的に接続)されたエルボー3500であり得る。
【0349】
図23-28に示すように、フレーム3350の中央部3360は環状形状を有するため、プレナムチャンバ3200の口腔部3201の中央領域は、フレーム3350によって被覆されない。いくつかの例において、口腔部3201は、エルボー3500を受容する開口部を含む。開口部は、エルボー3500を受容する開口部有意により幅広であり得るため、フレーム3350は、開口部から完全に間隔を開けて配置される。換言すると、中央部3360の内縁と、エルボー3500を受容する開口部との間において、長さが存在する。アーム3362a押圧3362bならびに2次接続部3342aおよび3342bはそれぞれ、開口部およびエルボー3500から間隔を開けて配置されるため、ヘッドギアストラップ3358は、エルボーの動き(例えば、回転)に干渉しない。
【0350】
図7-19に示すプレナムチャンバの図中には明示的に図示していないが、当業者であれば、実際は、(例えば、
図23に示すように)エルボー3500が設けられ得、インターフェースの空気回路4170への接続を可能にし得ることを理解する。
【0351】
5.3.7 接続ポート
接続ポート3600により、空気回路4170への接続(例えば、スナップフィット、恒久的接続などを介した取り外し可能な接続)が可能になる。患者インターフェース3000は、2つの接続ポート3600をプレナムチャンバ3200のいずれかの側に含み得る。導管は、加圧された呼吸可能なガスを患者へ搬送させるように、接続ポート3600へ接続し得る。いくつかの形態において、これらの導管は、導管ヘッドギアであり得、患者頭部に接触し得る。これらの導管は、(連結解除構造3500が配置される場所である)患者頭頂部へと延び得る。
【0352】
5.3.8 前額支持部
一形態において、患者インターフェース3000は、前額支持部3700を含む。
【0353】
5.3.9 窒息防止弁
一形態において、患者インターフェース3000は、窒息防止弁を含む。
【0354】
5.3.10 ポート
本技術の一形態において、患者インターフェース3000は、プレナムチャンバ3200内の量へのアクセスを可能にする1つ以上のポートを含む。一形態において、これにより、臨床医が補充酸素を供給することが可能になる。一形態において、これにより、プレナムチャンバ3200内のガス(例えば、圧力)の特性を直接測定することが可能になる。
【0355】
5.4 RPTデバイス
本技術の一態様によるRPTデバイス4000は、機械、空気圧式、および/または電気部品を含み、1つ以上のアルゴリズム4300(例えば全体的にせよ部分的にせよ本明細書に記載の方法のうちいずれか)を実行するように構成される。RPTデバイス4000は、例えば本文書中のいずれかに記載の呼吸状態のうち1つ以上の治療のために患者の気道へ送達される空気流れを生成するように構成され得る。
【0356】
一形態において、RPTデバイス4000は、少なくとも6cmH2Oまたは少なくとも10cmH2Oまたは少なくとも20cmH2Oの陽圧を維持しつつ、空気流れを-20L/分~+150L/分の範囲で送達できるように構築および配置される。
【0357】
5.4.1.1 RPTデバイスアルゴリズム
上記したように、本技術のいくつかの形態において、中央制御装置4230は、非一時的なコンピュータで読出可能な記録媒体(例えば、メモリ4260)中に記録されたコンピュータプログラムとして表現された1つ以上のアルゴリズム4300を具現するように構成され得る。このアルゴリズム4300は、モジュールと呼ばれるグループにグループ付けられることが一般的だ。
【0358】
本技術の他の形態においては、アルゴリズム4300の一部または全部が、ローカル外部デバイス4288またはリモート外部デバイス4286などの外部デバイスのコントローラによって具現され得る。かかる形態においては、アルゴリズム4300のうち外部デバイスで実行される部分に必要な入力信号および/または中間アルゴリズム出力を表すデータが、ローカル外部通信ネットワーク4284またはリモート外部通信ネットワーク4282を介して外部デバイスへと通信され得る。かかる形態においては、アルゴリズム4300のうち外部デバイスで実行される部分が、外部デバイスのコントローラにとってアクセス可能な非一時的コンピュータ可読記憶媒体に格納されたコンピュータプログラムとして表現され得る。かかるプログラムは、外部デバイスのコントローラを、アルゴリズム4300の一部を実行するように構成する。
【0359】
かかる形態においては、治療エンジンモジュール4320を介して外部デバイスによって生成された治療パラメータが(かかる形態においては、アルゴリズム4300の部分の一部が、外部デバイスによって実行される)、中央コントローラ4230に伝達されて治療制御モジュール4330に渡され得る。
【0360】
5.5 空気回路
本技術の一態様による空気回路4170は、使用時において空気流れが2つのコンポーネント(例えば、RPTデバイス4000および患者インターフェース3000)間に移動するように、構築および配置された導管またはチューブである。
【0361】
詳細には、空気回路4170は、空気圧ブロック4020の出口および患者インターフェースと流体接続し得る。空気回路は、空気送達チューブと呼ばれ得る。いくつかの場合において、吸息および呼気のための回路の別個の肢があり得る。他の場合において、単一の肢が用いられる。
【0362】
いくつかの形態において、空気回路4170は、(例えば空気温度の維持または上昇のために)空気回路中の空気を加熱するように構成された1つ以上の加熱要素を含み得る。加熱要素は、加熱ワイヤ回路の形態をとり得、1つ以上の変換器(例えば、温度センサー)を含み得る。一形態において、加熱ワイヤ回路は、空気回路4170の軸周囲にらせん状に巻かれ得る。加熱要素は、コントローラ(例えば、中央コントローラ4230)と連通し得る。加熱ワイヤ回路を含む空気回路4170の一実施例について、米国特許出願第8,733,349号に記載がある。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【0363】
5.5.1 補充用ガス送達
本技術の一形態において、補充用ガス、例えば、酸素4180が、空気圧経路における1つ以上のポイント(例えば、空気圧ブロック4020の上流)、空気回路4170および/または患者インターフェース3000へ送達され得る。
【0364】
5.6 加湿器
5.6.1 加湿器の概要
本技術の一形態において、患者へ送達されるべき空気またはガスの絶対湿度を周囲空気に相対して変化させるための加湿器5000が提供される(例えば、
図5Aに示すようなもの)。典型的には、加湿器5000は、患者気道へ送達される前に空気流れの(周囲空気に相対する)絶対湿度を増加させかつ温度を増加させるために、用いられる。
【0365】
加湿器5000は、加湿器リザーバ5110と、空気流れを受容する加湿器入口5002と、加湿された空気流れを送達させるための加湿器出口5004とを含み得る。
図5Aおよび
図5Bに示すようないくつかの形態において、加湿器リザーバ5110の入口および出口はそれぞれ、加湿器入口5002および加湿器出口5004であり得る。加湿器5000は、加湿器ベース5006をさらに含み得る。加湿器ベース5006は、加湿器リザーバ5110を受容するように適合され得、加熱要素5240を含み得る。
【0366】
5.7 呼吸波形
図6は、睡眠時のヒトの典型的な呼吸波形のモデルを示す。水平軸は時間であり、垂直軸は呼吸流量である。パラメータ値は変動し得るため、典型的な呼吸は、以下のおおよその値を持ち得る:一回換気量、Vt、0.5L、吸息時間、Ti、1.6秒、ピーク吸気流量、Qピーク、0.4L/秒、呼息時間、Te、2.4s、ピーク呼気流量、Qピーク、-0.5L/秒。呼吸の全持続時間Ttotは約4秒である。人間は典型的には、1分あたり呼吸を約15回行い(BPM)、換気Ventは約7.5L/minである。典型的な負荷サイクル、TiとTtotの比は約40%である。
【0367】
5.8 呼吸治療モード
多様な呼吸治療モードは、CPAP治療およびバイレベル治療を含めて開示した呼吸治療システムによって実行され得る。
【0368】
5.9 用語集
本技術の開示目的のため、本技術の特定の形態において、以下の定義のうち1つ以上が適用され得る。本技術の他の形態において、別の定義も適用され得る。
【0369】
5.9.1 一般
空気:本技術の特定の形態において、空気は大気を意味し得、本技術の他の形態において、空気は、他の呼吸可能なガスの組み合わせ(例えば、酸素を豊富に含む大気)を意味し得る。
【0370】
雰囲気:本技術の特定の形態において、「雰囲気」という用語は、(i)治療システムまたは患者の外部、および(ii)治療システムまたは患者を直接包囲するものを意味するものとしてとられるべきである。
【0371】
例えば、加湿器に対する雰囲気湿度とは、加湿器を直接包囲する空気の湿度であり得る(例えば、患者が睡眠をとっている部屋の内部の湿度)。このような雰囲気湿度は、患者が睡眠をとっている部屋の外部の湿度と異なる場合がある。
【0372】
別の実施例において、雰囲気圧力は、身体の直接周囲または外部の圧力であり得る。
【0373】
特定の形態において、雰囲気(例えば、音響)ノイズは、例えばRPTデバイスから発生するかまたはマスクまたは患者インターフェースから発生するノイズ以外の、患者の居る部屋の中の背景ノイズレベルとみなすことができる。雰囲気ノイズは、部屋の外の発生源から発生し得る。
【0374】
自動的な気道陽圧(APAP)療法:SDB発症の兆候の存在または不在に応じて、例えば、呼吸間に最小限界と最大限界との間で治療圧力を自動的に調節することが可能なCPAP療法。
【0375】
持続的気道陽圧(CPAP)療法:治療圧力が患者の呼吸サイクルを通じてほぼ一定である呼吸圧療法。いくつかの形態において、気道への入口における圧力は、呼息時において若干上昇し、吸息時において若干低下する。いくつかの形態において、圧力は、患者の異なる呼吸サイクル間において変動する(例えば、部分的な上気道閉塞の兆候の検出に応答して増加され、部分的な上気道閉塞の通知の不在時において低減される)。
【0376】
流量:単位時間あたりに送出される空気の瞬時の量(または質量)。流量とは、瞬間の量を指し得る。場合によっては、流量について言及した場合、スカラー量(すなわち、大きさのみを有する量)を指す。他の場合において、流量について言及した場合、ベクトル量(すなわち、大きさおよび方向両方を持つ量)を指す。流量には、符号Qが付与され得る。「流量」を簡略的に「流れ」と呼ぶ場合もある。
【0377】
患者の呼吸の実施例において、流量は、患者の呼吸サイクルの吸気部分に対してノミナルに陽圧であり得るため、患者の呼吸サイクルの呼気部分に対して負であり得る。デバイス流量Qdは、RPTデバイスから退出する空気の流量である。総流量Qtは、空気回路を介して患者インターフェースへと到達する空気および任意の補充用ガスの流量である。通気孔流量Qvは、吐き出されたガスの流出を可能にするために通気孔から退出する空気の流量である。漏洩流量Qlは、患者インターフェースシステムまたは他の場所からの漏洩の流量である。呼吸流量Qrは、患者の呼吸器系中に受容される空気の流量である。
【0378】
流量療法:患者の呼吸サイクル全体にかけて通常陽圧である治療流量と称される制御された流量において気道への入口に空気流れを送達することを含む、呼吸治療。
【0379】
加湿器:「加湿器」という単語は、患者の医療呼吸状態を改善するために治療上有益な量の水(H2O)蒸気を空気流れへ提供することが可能な物理的構造を備えて構築、配置または構成された加湿装置を意味するものとして解釈される。
【0380】
漏洩:「漏洩」という用語は、意図しない空気流れとしてとられる。一実施例において、漏洩は、マスクと患者の顔との間のシールが不完全であることに起因して発生し得る。別の実施例において、漏洩は、周囲に対する回りエルボーにおいて発生し得る。
【0381】
ノイズ伝導(音響):本文書において、伝導ノイズとは、空気圧式経路(例えば、空気回路および患者インターフェースおよびその内部の空気)によって患者へ搬送されるノイズを指す。一形態において、伝導ノイズは、空気回路の端部における音圧レベルを測定することにより、定量化され得る。
【0382】
ノイズ放射(音響):本文書において、放射ノイズとは、周囲空気によって患者へ搬送されるノイズを指す。一形態において、放射ノイズは、当該対象の音響パワー/圧力レベルをISO3744に従って測定することにより、定量化され得る。
【0383】
ノイズ通気(音響):本文書において、通気ノイズとは、任意の通気(例えば、患者インターフェース中の通気孔)を通じた空気流れにより生成されるノイズを指す。
【0384】
患者:呼吸器疾患に罹患しているかまたはしていない人。
【0385】
圧力:単位面積あたりの力。圧力は、多様な単位で表現され得る(例えば、cmH2O、g-f/cm2、およびヘクトパスカル)。1cmH2Oは、1g-f/cm2に等しく、およそ0.98ヘクトパスカル(1ヘクトパスカル=100Pa=100N/m2=1millibar~0.001atm)である。本明細書において、他に明記無き限り、圧力はcmH2Oの単位で付与される。
【0386】
患者インターフェース中の圧力には記号Pmが付与され、現時点においてインターフェース圧力Pmが達成すべき目標値を表す治療圧力には記号Ptが付与される。
【0387】
呼吸圧力治療(RPT):雰囲気に対して典型的には陽圧である治療圧力における空気供給の気道入口への付加。
【0388】
人工呼吸器:患者が呼吸動作の一部または全てを行い際に圧力補助を提供する機械的デバイス。
【0389】
5.9.1.1 材料
シリコーンまたはシリコーンエラストマー:合成ゴム。本明細書において、シリコーンについて言及される場合、液体シリコーンゴム(LSR)または圧縮成形シリコーンゴム(CMSR)を指す。市販のLSRの一形態として、Dow Corningによって製造されるSILASTIC(この登録商標下において販売される製品群に含まれる)がある。別のLSR製造業者として、Wackerがある。他に逆の明記無き限り、例示的形態のLSRのASTMD2240によって測定した場合のショアA(またはタイプA)押込み硬さは、約35~約45である。
【0390】
ポリカーボネート:ビスフェノールAカーボネートの熱可塑性ポリマーである。
【0391】
5.9.1.2 機械的特性
弾性:弾性変形時にエネルギーを吸収することおよび除荷時にエネルギーを解放することが可能な材料の能力。
【0392】
弾性のある:除荷時に実質的に全てのエネルギーを解放する。例えば特定のシリコーンおよび熱可塑性エラストマーを含む。
【0393】
硬度:材料自体の変形に抵抗する能力(例えば、ヤング係数または規格化されたサンプルサイズ上において測定された押込硬さスケールによって記述されたもの)。
・ 「軟性」材料は、シリコーンまたは熱可塑性エラストマー(TPE)を含み得、例えば指圧力下において容易に変形し得る。
・ 「硬質」材料は、ポリカーボネート、ポリプロピレン、鋼またはアルミニウムを含み得、例えば指圧力下において容易に変形し得ない。
【0394】
構造または構成要素の剛度(または剛性):構造または構成要素が負荷を受けたときに変形に抵抗する能力。負荷は、力またはモーメントであり得る(例えば、圧縮、伸張、屈曲またはねじれ)。構造または構成要素は、異なる方向において異なる抵抗を提供し得る。剛性の反義語は、可撓性である。
【0395】
フロッピー構造または構成要素:自重を支持させられた際に比較的短期間(例えば、1秒)以内に形状を変化させる(例えば、屈曲する)構造または構成要素。
【0396】
剛性の構造または構成要素:使用時において典型的に遭遇する負荷を受けた際に実質的に形状変化の無い構造または構成要素。このような用途の実施例として、患者インターフェースを例えばおよそ20~30cmH2Oの圧力の負荷において患者気道入口に対して密閉した様態でセットアップおよび維持することがあり得る。
【0397】
一実施例として、I形ばりは、第2の直交方向と比較した第1の方向において、異なる曲げ剛性(曲げ負荷に対する抵抗)を含み得る。別の実施例において、構造または構成要素は、第1の方向においてはフロッピーであり得、第2の方向においては剛性であり得る。
【0398】
5.9.2 呼吸サイクル
無呼吸:いくつかの定義によれば、無呼吸とは、所定の閾値を下回った流れが例えば10秒間の継続期間にわたって継続した場合に発生したと言われる。閉塞性無呼吸とは、患者の労作にもかかわらず、何らかの気道閉塞により空気の流れが許されないときに発生すると言われる。中枢性無呼吸とは、気道が開通しているにも関わらず呼吸努力の低下または呼吸努力の不在に起因して無呼吸が検出された状態を指すと言われる。混合無呼吸とは、呼吸努力の低下または不在が気道閉塞と同時発生した状態を指すと言われる。
【0399】
呼吸速度:患者の自発呼吸速度であり、通常は毎分あたりの呼吸回数で測定される。
【0400】
負荷サイクル:吸息時間Tiの合計呼吸時間Ttotに対する比。
【0401】
労作(呼吸):呼吸努力は、呼吸しようとしている人の自発呼吸によって行われる動きを指すと言われる。
【0402】
呼吸サイクルの呼気部分:呼気流れの開始から吸気流れの開始までの期間。
【0403】
流れ制限:流れ制限は、患者による労作の増大が流量の対応する増大を引き起こさない患者の呼吸における状況であると解釈される。呼吸サイクルの吸気部分において流量制限が発生した場合、当該流量制限は吸気流量制限と称することができる。呼吸サイクルの呼気部分において流量制限が発生した場合、当該流量制限は呼気流量制限と称することができる。
【0404】
流れ制限吸気の波形の種類:
(i)平坦化:上昇の後に比較的平坦な部位が続いた後、下降が発生すること。
(ii)M字型:立ち上がりにおいて1つおよび立ち下がりにおいて1つの2つの局所的ピークを持ち、これら2つのピークの間に比較的平坦な部位がある。
(iii)椅子状:単一の局所的ピークを持ち、このピークが立ち上がり部分に発生した後、比較的平坦な部位が続く。
(iv)逆椅子状:比較的平坦な部位の後に単一の局所的ピークが続き、このピークが立ち下がり部分に発生する。
【0405】
呼吸低下:一部の定義によれば、呼吸低下は、流れの中断ではなく、流れの低下を意味する。一形態において、閾値速度を下回った流れ低下が継続期間にわたって続いた場合、呼吸低下が発生したと言われる。呼吸努力の低下に起因して呼吸低下が検出された場合、中枢性呼吸低下が発生したと言われる。成人の一形態において以下のうちいずれかが発生した場合、呼吸低下と見なされ得る:
(i)患者呼吸の30%の低下が少なくとも10秒+関連する4%の脱飽和、または、
(ii)患者呼吸の(50%未満の)低下が少なくとも10秒間継続し、関連して脱飽和が少なくとも3%であるかまたは覚醒が発生する。
【0406】
過呼吸:流れが通常の流量よりも高いレベルまで増加すること。
【0407】
呼吸サイクルの吸気部分:吸気流れの開始から呼気流れの開始までの期間が、呼吸サイクルの吸気部分としてとられる。
【0408】
開通性(気道):気道が開いている度合いまたは気道が開いている範囲。気道開通性とは、開口である。気道開通性の定量化は、開通性を示す値(1)と、閉鎖(閉塞)を示す値(0)と共に行われ得る。
【0409】
呼吸終末陽圧(PEEP):肺中の大気を越える圧力であり、呼気終了時に存在する。
【0410】
ピーク流量(Qpeak):呼吸流れ波形の吸気部分における流量最大値。
【0411】
呼吸気流量、空気流量、患者の空気流量、呼吸気空気流量(Qr):これらの用語は、RPTデバイスの呼吸空気流量の推定を指すものとして理解され得、通常リットル/分で表される患者の実際の呼吸流量である「真の呼吸流量」または「真の呼吸気流量」と対照的に用いられる。
【0412】
1回換気量(Vt):余分な努力をせずに通常の呼吸時に吸い込まれたかまたは吐き出された空気の量である。原則的に、吸気量Vi(吸気された空気の量)は、呼気量Ve(呼気された空気の量)に等しいため、単一の一回換気量Vtは、いずれかの量に等しいものとして規定され得る。実際には、一回換気量Vtは、何らかの組み合わせ(例えば、吸気量Viと呼気量Veの平均)として推定される。
【0413】
(吸息)時間(Ti):呼吸流量波形の吸気部分の継続期間。
【0414】
(呼息)時間(Te):呼吸流量波形の呼気部分の継続期間。
【0415】
(合計)時間(Ttot):呼吸流量波形の一つの吸気部分の開始と呼吸流量波形の次の吸気部分の開始との間の合計継続期間。
【0416】
典型的な最近の換気:所定の時間スケールにわたる換気Ventの直近値が密集する傾向となる換気値(すなわち、換気の直近値の中心の傾向の度合い)。
【0417】
上気道閉塞(UAO):部分的な上気道閉塞および合計上気道閉塞両方を含む。上気道上の圧力差の増加(スターリングレジスタ挙動)と共に流量がわずかに増加するかまたは低下し得る流れ制限の状態と関連し得る。
【0418】
換気(Vent):患者の呼吸器系によって行われるガス交換率の測定。換気の測定は、単位時間あたりの吸気および呼気流のうち片方または双方を含み得る。1分あたりの体積として表される場合、この量は、「分換気」と呼ばれることが多い。分換気は、単に体積として付与されることもあり、1分あたりの体積として理解される。
【0419】
5.9.3 換気
適応サーボ人工呼吸器(ASV):一定の目標換気を持つのではなく変更が可能なサーボ人工呼吸器。変更可能な目標換気は、患者の何らかの特性(例えば、患者の呼吸特性)から学習され得る。
【0420】
バックアップレート:人工呼吸器のパラメータであり、(自発呼吸努力によってトリガされない場合に)人工呼吸器から患者へ送達される最小呼吸速度(典型的には、1分あたりの呼吸数)を確立させる。
【0421】
サイクル:人工呼吸器の吸気フェーズの終了。自発呼吸をしている患者へ人工呼吸器から呼吸を送達する場合、呼吸サイクルの吸気部分の終了時において、当該人工呼吸器は、呼吸送達を停止するようサイクルされると言われる。
【0422】
呼気の気道陽圧(EPAP):人工呼吸器が所与の時期に達成しようとする所望のインターフェース圧力の生成のために、呼吸内において変化する圧力が付加されるベース圧力。
【0423】
終了時呼気圧力(EEP):呼吸の呼気部分の終了時において人工呼吸器が達成しようとする所望のインターフェース圧力。圧力波形テンプレートΠ(Φ)が呼気終了時にゼロの値である(すなわち、Φ=1のときにΠ(Φ)=0である場合)、EEPはEPAPに等しい。
【0424】
吸息の気道陽圧(IPAP):呼吸の吸気部分時に人工呼吸器が達成しようとする最大の所望のインターフェース圧力。
【0425】
圧力補助:人工呼吸器吸気時における当該人工呼吸器呼気時における圧力増加を示す数であり、吸気時の最大値と、基本圧力との間の圧力差を主に意味する(例えば、PS=IPAP-EPAP)。いくつかの文脈において、圧力補助とは、(人工呼吸器が実際に達成する差ではなく)人工呼吸器が達成しようとする差を意味する。
【0426】
サーボ人工呼吸器:患者換気を有しかつ目標換気を有する人工呼吸器であり、患者換気を目標換気に近づけるために圧力補助レベルを調節する。
【0427】
自発/タイミング(S/T):自発呼吸している患者の呼吸の開始を検出しようとする、人工呼吸器または他のデバイスのモード。しかし、デバイスが所定期間の間に呼吸を検出できない場合、デバイスは、呼吸送達を自動的に開始する。
【0428】
スイング:圧力補助に相当する用語。
【0429】
トリガ:人工呼吸器が自発呼吸する患者へ空気の呼吸を送達する場合、患者自身が呼吸サイクルの呼吸部分を開始したとき、当該人工呼吸器が呼吸送達を行うようトリガされたと言う。
【0430】
5.9.4 解剖学的構造
5.9.4.1 顔の解剖学的構造
翼(Ala):外部の外壁または各鼻穴の「翼」(複数形:alar)
【0431】
Alare:鼻翼上の最外側の点。
【0432】
翼曲率(または鼻翼頂上)点:各翼の曲線状基準線における最後方点であり、翼および頬の結合によって形成される折り目において見受けられる。
【0433】
耳介:耳の視認できる部分全体。
【0434】
(鼻)骨格:鼻の骨格は、鼻骨、上顎骨の前頭突起および前頭骨の鼻部分を含む。
【0435】
(鼻)軟骨格:鼻の軟骨格は、中隔軟骨、外側軟骨、大軟骨および小軟骨を含む。
【0436】
鼻柱:鼻孔を分離する皮膚片であり、鼻尖点から上唇へ延びる。
【0437】
鼻柱角度:鼻穴の中点を通じて引かれる線と、鼻下点と交差しつつフランクフルト水平に対して垂直に引かれる線との間の角度。
【0438】
フランクフォート水平面:眼窩縁の最下側点から左耳点へ延びる線。耳点は、ノッチ上側から耳介の耳珠への最も深い点である。
【0439】
眉間:軟組織中に配置され、前額部の正中矢状において最も顕著な点。
【0440】
外側鼻軟骨:軟骨の概して三角形の板。その上側周縁は鼻骨および上顎骨の前頭突起へ取り付けられ、その下側周縁は大鼻翼軟骨へ接続される。
【0441】
下唇(ラブラーレ‐インフェリウス):口と頤との間の顔上の点であり、正中矢状平面内に存在する。
【0442】
上唇(ラブラーレ‐スーペリウス):口と鼻との間の顔上の点であり、正中矢状平面内に存在する。
【0443】
大鼻翼軟骨:軟骨の板であり、外側鼻軟骨の下側に配置される。これは、鼻孔の前方部分の周囲において曲線状になる。その後端は、3つまたは4つの翼の小軟骨を含む強靱な線維膜により、上顎骨の前頭突起へ接続される。
【0444】
鼻孔(小鼻):概して楕円体の翼穴であり、鼻腔への入口を形成する。鼻孔の単数形は鼻孔(小鼻)である。これらの鼻孔は、鼻隔膜によって分離される。
【0445】
鼻唇溝または鼻唇折り目:皮膚の折り目または溝であり、鼻の各側から口の角部へ延びて、頬を上唇から分離させる。
【0446】
鼻唇角:鼻柱と上唇との間の角度であり、鼻下点と交差する。
【0447】
下耳底点:耳介の顔の皮膚への取り付けの最低点。
【0448】
上耳底点:耳介の顔の皮膚への取り付けの最高点。
【0449】
鼻尖点:鼻の最も突出した点または先端であり、頭部の部分の残り部分の側面図中に確認され得る。
【0450】
人中:鼻中隔の下側境界から上唇領域中の唇の上部へ延びる正中線溝。
【0451】
ポゴニオン:軟組織上に配置された、顎の最前方中点。
【0452】
(鼻)堤:鼻堤は、鼻の正中線隆起であり、セリオンから鼻尖点へ延びる。
【0453】
矢状面:前方(前)から後方(後)へ続く垂直面である。正中矢状面は、右半分および左半分に分割する矢状面である。
【0454】
セリオン:軟組織上に配置された、前頭鼻骨縫合の領域上の最も凹状の点である。
【0455】
中隔軟骨(鼻):鼻中隔軟骨は、隔膜の一部であり、鼻腔の前部分を分割する。
【0456】
鼻翼最下点:翼ベースの下側周縁における点であり、翼ベースは上(上)唇の皮膚と接合する。
【0457】
鼻下点:軟組織上に配置され、鼻柱が正中矢状における上唇と合体する点。
【0458】
スプラメントン:下唇中点と軟組織ポゴニオンとの間の下唇の正中線中の最も凹状の点。
【0459】
5.9.4.2 頭蓋骨の解剖学的構造
前頭骨:前頭骨は、前額部として知られる領域に対応する大型垂直部分である前頭鱗を含む。
【0460】
下顎骨:下顎骨は、下側顎部を形成する。オトガイ隆起は、顎部の骨隆起であり、顎を形成する。
【0461】
上顎骨:上顎骨は、上側顎部を形成し、下顎の下側および眼窩の下側に配置される。上顎骨の前頭突起は、鼻の側部によって上方に突出し、その外側境界の部分を形成する。
【0462】
鼻骨:鼻骨は、2つの小さな長方形骨であり、個人によってサイズおよび形態が異なる。鼻骨は、顔の中間部分および上部分に並んで配置され、その接合により鼻の「ブリッジ」を形成する。
【0463】
鼻根点:前頭骨および2本の鼻骨の交差であり、眼と鼻のブリッジの上側との間に直接設けられた凹領域である。
【0464】
後頭骨:後頭骨は、頭蓋の裏および下側部分に配置される。後頭骨は、楕円穴である大後頭孔を含み、この穴を通じて、頭蓋内腔が椎管と連痛する。大後頭孔の後側の曲面板は、後頭鱗である。
【0465】
眼窩:頭蓋骨中の骨空洞であり、眼球を含む。
【0466】
頭頂骨:頭頂骨は、相互に接合されると頭蓋の頂部および側部を形成する骨である。
【0467】
側頭骨:側頭骨は、頭蓋骨のベースおよび側部上に配置され、こめかみとして知られる顔の部分を支持する。
【0468】
頬骨:顔に含まれる2つの頬骨は、顔の上側部分および外側部分中に配置され、頬の隆起を形成する。
【0469】
5.9.4.3 呼吸器系の解剖学的構造
横隔膜:シート状の筋肉であり、胸郭下部上に延びる。横隔膜は、心臓、肺および肋骨を含む胸腔を腹腔から分離させる。横隔膜が収縮すると、胸腔の容量が増加し、肺中に空気が引き込まれる。
【0470】
喉頭:声帯ひだを収容する喉頭または発声器であり、咽頭の下部(下咽頭)を気管へ接続させる。
【0471】
肺:ヒトにおける呼吸臓器。肺の伝導性ゾーンは、気管、気管支、気管支、および終末細気管支を含む。呼吸ゾーンは、呼吸気管支、肺胞管および肺胞を含む。
【0472】
鼻腔:鼻腔(または鼻窩)は、顔の中央の鼻の上方および後方の空気が充填された大きな空間である。鼻腔は、鼻中隔と呼ばれる垂直フィンによって2つに分割される。鼻腔の側部には、鼻甲介または鼻介骨と呼ばれる3つの水平伸長物がある。鼻腔の前方には鼻があり、後方は後鼻孔を介して鼻咽頭内に繋がる。
【0473】
咽頭:鼻腔の直接下側(下方)に配置されかつ食道および喉頭の上方に配置された咽喉の部分。咽頭は、従来から以下の3つの部分へ区分される:鼻咽頭(上咽頭)(咽頭の鼻部分)、中咽頭(中咽頭)(咽頭の口部分)、および咽喉(下咽頭)。
【0474】
5.9.5 患者インターフェース
窒息防止弁(AAV):マスクシステムの構成要素またはサブアセンブリであり、フェールセーフ様態での雰囲気中への開口により、患者による過度のCO2の再呼吸の危険性を低減させる。
【0475】
エルボー:エルボーは、内部を移動する空気の流れの軸を方向付けて、角度を通じて方向を変化させる構造の実施例である。一形態において、角度はおよそ90度であり得る。別の形態において、角度は、90度超過または未満であり得る。エルボーは、ほぼ円形の断面を持ち得る。別の形態において、エルボーは、楕円または矩形の断面を持ち得る。特定の形態において、エルボーは、噛み合い構成要素に対して例えば約360度で回転可能であり得る。特定の形態において、エルボーは、噛み合い構成要素から例えばスナップ接続を介して取り外すことが可能であり得る。特定の形態において、エルボーは、製造時にワンタイムスナップを介して噛み合い構成要素へ組み付けることが可能である一方、患者が取り外すことはできない。
【0476】
フレーム:フレームは、ヘッドギアを接続する2つ以上の点間の引張荷重を支持するマスク構造を意味するものとしてとられる。マスクフレームは、マスク中の非気密負荷支持構造であり得る。しかし、いくつかの形態のマスクフレームは、気密であってもよい。
【0477】
ヘッドギア:ヘッドギアは、頭部上において使用されるように設計された、一形態の位置決めおよび安定化構造を意味するものとしてとられる。例えば、ヘッドギアは、患者インターフェースを呼吸治療の送達のために患者の顔上の所定位置に配置および保持するように構成された1つ以上の支柱、タイおよび補剛材の集合を含み得る。いくつかのタイは、柔らかい可撓性の弾性材料(例えば、発泡材料および織物の層状複合材)によって形成される。
【0478】
膜:膜は、典型的には肉薄の要素を意味するものとしてとられ、好適には屈曲に対して実質的に抵抗せずかつ伸縮に対しては抵抗する。
【0479】
プレナムチャンバ:マスクプレナムチャンバは、空間の容積を少なくとも部分的に封入する壁を有する患者インターフェースの一部を意味するものとしてとられ、容積中の空気は、加圧されて使用時において気圧を超える。シェルは、マスクプレナムチャンバの壁の一部を形成し得る。
【0480】
シール:名詞(「シール」)として用いられる場合は構造を指し得、動詞(「密閉(する)」)として用いられる場合はその効果を指し得る。2つの要素は、別個の「シール」要素自体を必要とすることなく両者間において「シール」するかまたは「密閉」効果を得るように、構築および/または配置され得る。
【0481】
シェル:シェルは、若干の屈曲、引っ張りおよび圧縮剛性を有する曲線状の比較的肉薄構造を意味するものとしてとられる。例えば、マスクの曲線状構造壁は、シェルであり得る。いくつかの形態において、シェルまたはシェルの一部は、非剛性であり得る。いくつかの形態において、シェルはファセットされ得る。いくつかの形態において、シェルは気密であり得る。いくつかの形態において、シェルは気密でない場合もある。
【0482】
補剛材:補剛材は、別の構成要素の剛軟度を少なくとも1つの方向において増加させるように設計された構造構成要素を意味するものとしてとられる。
【0483】
支柱:支柱は、別の構成要素の圧縮抵抗を少なくとも1つの方向において増加させるように設計された構造構成要素を意味するものとしてとられる。
【0484】
スイベル(名詞):構成要素のサブアセンブリであり、共通軸の周囲において好適には独立して好適には低トルク下において回転するように構成される。一形態において、回り継ぎ手は、少なくとも360度の角度で回転するように構成され得る。別の形態において、回り継ぎ手は、360度未満の角度で回転するように構成され得る。空気送達導管の文脈において用いられる場合、構成要素のサブアセンブリは好適には、一対組み合わせの円筒導管を含む。使用時において、回り継ぎ手からの空気漏れはほとんど無い。
【0485】
タイ(名詞):張力に抵抗するように設計された構造。
【0486】
通気:(名詞):マスクまたは導管の内部の周囲空気への空気流れを可能にする構造であり、吐き出されたガスの臨床的に有効な洗い流しを可能にする。例えば、臨床的に有効な洗い流しにおいては、約10リットル/分~約100リットル/分の流量がマスク設計および治療圧力に応じて用いられ得る。
【0487】
5.9.6 構造の形状
本技術による製品は、1つ以上の三次元機械構造(例えば、マスククッションまたはインペラ)を含み得る。三次元構造は、二次元表面によって制限され得る。これらの表面は、関連付けられた表面の方向、位置、機能または他の何らかの特性を記述するためのラベルを用いて区別され得る。例えば、構造は、前表面、後表面、内面および外面のうち1つ以上を含み得る。別の実施例において、シール形成構造は、顔接触(例えば、外側の)表面と、別個の非顔接触(例えば、下側または内側の)表面を含み得る。別の実施例において、構造は、第1の表面および第2の表面を含み得る。
【0488】
三次元構造の形状および表面の説明を容易にするために、構造の表面を通じた点pにおける断面について先ず検討する。
図3B~
図3Fを参照されたい。
図3B~
図3Fは、表面上における点pにおける断面例と、その結果得られる平面曲線の例とを示す。
図3B~
図3Fは、pにおける外向き法線ベクトルも示す。pにおける外向き法線ベクトルは、表面から離隔方向に延びる。いくつかの実施例において、架空の小さな人が表面上に直立している観点から、この表面について説明する。
【0489】
5.9.6.1 一次元における曲率
pにおける平面曲線の曲率は、符号(例えば、正、負)および大きさ(例えば、pにおいて曲線に接する円形の1/半径)を持つものとして記述され得る。
【0490】
正の曲率:pにおける曲線が外向き法線に向かって曲がる場合、その点における曲率は、正の値を持つものとしてとられる(この架空の小さな人が点pから立ち去る場合、上り坂を歩行する必要がある)。
図3B(
図3Cと比較して比較的大きな正の曲率)および
図3C(
図3Bと比較して比較的小さな正の曲率)を参照されたい。このような曲線を、凹状と呼ぶことが多い。
【0491】
ゼロ曲率:pにおける曲線が直線である場合、曲率はゼロとしてとられる(この架空の小さな人が点pから立ち去る場合、上向きでも下向きでもない水平面を歩行することができる)。
図3Dを参照されたい。
【0492】
負の曲率:pにおける曲線が外向き法線から離隔方向に曲がる場合、その点およびその方向における曲率は、負の値を持つものとしてとられる(この架空の小さな人が点pから立ち去る場合、下り坂を歩行する必要がある)。
図3E(
図3Fと比較して比較的小さな負の曲率)および
図3F(
図3Eと比較して比較的大きな負の曲率)を参照されたい。このような曲線は、凸状と呼ばれることが多い。
【0493】
5.9.6.2 二次元表面の曲率
本技術による二次元表面上の所与の点における形状の記述は、複数の垂直断面を含み得る。複数の断面は、外向き法線(「法平面」)を含む面において表面を切断し得、各断面は、異なる方向においてとられ得る。各断面の結果、対応する曲率を有する平面曲線が得られる。その点における異なる曲率は、同一符号または異なる符号を持ち得る。その点における曲率はそれぞれ、(例えば、比較的小さな)大きさを有する。
図3B~
図3F中の平面曲線は、特定の点におけるこのような複数の断面の例であり得る。
【0494】
主要な曲率および方向:曲線の曲率が最大値および最小値をとる法平面の方向を主要な方向と呼ぶ。
図3B~
図3Fの実施例において、最大曲率は
図3Bにおいて発生し、最小は
図3Fにおいて発生するため、
図3Bおよび
図3Fは、主要な方向における断面である。pにおける主要な曲率は、主要な方向における曲率である。
【0495】
表面の領域:表面上の連結された点の集合。領域内のこの1組の点は、類似の特性(例えば、曲率または符号)を持ち得る。
【0496】
鞍状領域:(上り坂または下り坂を歩行し得る架空の人が向く方向に応じて)各点において主要な曲率が反対の符号(すなわち、片方が正の符号および他方が負の符号)を有する領域。
【0497】
ドーム領域:各点において主要な曲率が同一符号(双方とも正(「凹状ドーム」)または双方とも負(「凸状ドーム」))を持つ領域。
【0498】
円筒領域:1つの主要な曲率がゼロ(または例えば製造交差内のゼロ)をとり、他方の主要な曲率が非ゼロである領域。
【0499】
平面領域:主要な曲率双方がゼロであるか(または例えば製造交差内のゼロである)表面の領域。
【0500】
表面の縁部:表面または領域の境界または限界。
【0501】
経路:本技術の特定の形態において、「経路」は、数学的-トポロジー的意味合いにおける経路(例えば、表面上におけるf(0)からf(1)への連続空間曲線)を意味するものとしてとられる。本技術の特定の形態において、「経路」は、例えば表面上の1組の点を含むルートまたはコースとして記述され得る。(架空の人の経路は、表面上において歩行する場所であり、庭の経路に類似する)。
【0502】
経路長さ:本技術の特定の形態において、「経路長さ」とは、表面に沿ったf(0)からf(1)への距離(すなわち、表面上の経路に沿った距離)を指すものとしてとられる。表面上の2つの点間において1つよりも多くの経路があり得、このような経路は、異なる経路長さを持ち得る。(架空の人の経路長さは、表面上を経路に沿って歩行する距離である)。
【0503】
直線距離:直線距離は、表面上の2つの点間の距離であるが、表面は考慮しない。平面領域上において、表面上の2つの点間の直線距離と同一の経路長さを有する表縁上の距離がある。非平面表面上において、2つの点間の直線距離と同一の経路長さを有する経路は存在し得ない。(架空の人にとって、直線距離は、「カラスが飛ぶ」距離に対応する)。
【0504】
5.9.6.3 空間曲線
空間曲線:平面曲線と異なり、空間曲線は、任意の特定の平面内に必ずしも存在しない。空間曲線は閉鎖され得る。すなわち、終点を有さない。空間曲線は、三次元空間の一次元ピースとみなされ得る。DNA螺旋の鎖上を歩行している架空の人物は、空間曲線に沿って歩行する。典型的なヒトの左耳は、左手螺旋を含む(
図3Qを参照)。典型的なヒトの右耳は、右手螺旋を含む(
図3Rを参照)。
図3Sは、右手螺旋を示す。構造の縁部(例えば、膜またはインペラの縁部)は、空間曲線をたどり得る。一般的に、空間曲線は、空間曲線上の各点における曲率およびねじれによって記述され得る。ねじれとは、平面から発生する曲線の様態の尺度である。ねじれは、符号および大きさを有する。空間曲線上の点におけるねじれは、当該点における接線ベクトル、法線ベクトルおよび従法線ベクトルに対して特徴付けられ得る。
【0505】
接線単位ベクトル(または単位接線ベクトル):曲線上の各点について、当該点におけるベクトルは、当該点からの方向および大きさを指定する。接線単位ベクトルとは、当該点における曲線と同じ方向を向く単位ベクトルである。架空の人物が曲線に沿って飛行しており、特定の点において自身の車両から落ちた場合、接線ベクトルの方向は、その人物が移動しているはずの方向である。
【0506】
単位法線ベクトル:架空の人物が曲線に沿って移動している場合、この接線ベクトルそのものが変化する。接線ベクトルが変化している方向と同じ方向を向く単位ベクトルは、単位主法線ベクトルと呼ばれる。これは、接線ベクトルに対して垂直である。
【0507】
従法線単位ベクトル:従法線単位ベクトルは、接線ベクトルおよび主法線ベクトル双方に対して垂直である。その方向は、右手の法則(例えば
図3Pを参照)または表すあるいは左手の法則(
図3O)によって決定され得る。
【0508】
接触平面:単位接線ベクトルおよび単位主法線ベクトルを含む平面。
図3Oおよび
図3Pを参照されたい。
【0509】
空間曲線のねじれ:空間曲線の点におけるねじれとは、当該点における従法線単位ベクトルの変化速度の大きさである。これは、曲線の接触平面からの逸脱の程度を測定する。平面内にある空間曲線のねじれはゼロである。空間曲線の接触平面からの逸脱が比較的少量である場合、その空間曲線のねじれの大きさは比較的小さい(例えば、緩やかに傾斜する螺旋状経路)。空間曲線の接触平面からの逸脱が比較的大量である場合、その空間曲線のねじれの大きさは比較的大きい(例えば、急勾配に傾斜する螺旋状経路)。
図3Sを参照して、T2>T1であるため、
図3Sの螺旋の最上部コイルの近隣のねじれの大きさは、
図3Sの螺旋の最下部コイルのねじれの大きさよりも大きい。
【0510】
図3Pの右手の法則を参照して、右手従法線の方向に向かって曲がる空間曲線は、右手方向に正のねじれとしてみなされ得る(例えば、
図3Sに示すような右手螺旋)。右手従法線方向から離隔方向を向く空間曲線は、右手の負のねじれを持つものとしてみなされ得る(例えば、左手螺旋)。
【0511】
同様に、左手の法則(
図3Oを参照)を参照して、左手従法線方向を向く空間曲線は、左手の正のねじれ(例えば、左手螺旋)を持つものとしてみなされ得る。よって、左手の正の方向は、右手の負の方向に相当する。
図3Tを参照されたい。
【0512】
5.9.6.4 穴
表面は、一次元穴を持ち得る(例えば、平面曲線または空間曲線によって境界付けられた穴)。穴を含む肉薄構造(例えば、膜)の場合、この構造は、一次元穴を有するものとして記述され得る。例えば、
図3Iに示す構造の表面中の一次元穴が平面曲線によって境界付けられる様子を参照されたい。
【0513】
構造は、二次元穴(例えば、表面によって境界付けられた穴)を持ち得る。例えば、可膨張性タイヤは、タイヤ内面によって境界付けられた二次元穴を有する。別の実施例において、空気またはゲルのための空洞を備えたブラダーは、二次元穴を持ち得る。例えば
図3Lのクッション、および二次元穴を境界付ける内面が示される
図3Mおよび
図3Nにおける
図3Lの例示的断面を参照されたい。さらに別の実施例において、導管は、(例えばその入口またはその出口において)一次元穴を含み得、導管の内面によって境界付けられた二次元穴を含み得る。
図3Kに示す構造を通じておりかつ図示のように表面によって境界付けられた二次元穴も参照されたい。
【0514】
5.10 他の注意事項
本特許文書の開示の一部は、著作権保護が与えられる内容を含む。著作権所有者は、何者かが本特許文書または本特許開示をファックスにより再生しても、特許庁の特許ファイルまたは記録に記載されるものであれば目的のものであれば異論は無いが、その他の目的については全ての著作権を保持する。
【0515】
他に文脈から明確に分かる場合および一定の範囲の値が提供されていない限り、下限の単位の1/10、当該範囲の上限と下限の間、および記載の範囲の他の任意の記載の値または介入値に対する各介入値は本技術に包含されることが理解される。介入範囲中に独立的に含まれるこれらの介入範囲の上限および下限が記載の範囲における制限を特に超えた場合も、本技術に包含される。記載の範囲がこれらの制限のうち1つまたは双方を含む場合、これらの記載の制限のいずれかまたは双方を超える範囲も、本技術に包含される。
【0516】
さらに、本明細書中に値(複数可)が本技術の一部として実行される場合、他に明記無き限り、このような値が近似され得、実際的な技術的実行が許容または要求する範囲まで任意の適切な有効桁までこのような値を用いることが可能であると理解される。
【0517】
他に明記しない限り、本明細書中の全ての技術用語および科学用語は、本技術が属する分野の当業者が一般的に理解するような意味と同じ意味を持つ。本明細書中に記載の方法および材料に類似するかまたは等しい任意の方法および材料を本技術の実践または試験において用いることが可能であるが、限られた数の例示的方法および材料が本明細書中に記載される。
【0518】
特定の材料が構成要素の構築に好適に用いられるものとして記載されているが、特性が類似する明白な代替的材料が代替物として用いられる。さらに、それとは反対に記載無き限り、本明細書中に記載される任意および全ての構成要素は、製造可能なものとして理解されるため、集合的にまたは別個に製造され得る。
【0519】
本明細書中及び添付の特許請求の範囲において用いられるように、単数形である「a」、「an」および「the」は、文脈から明らかにそうでないことが示されない限り、その複数の均等物を含む点に留意されたい。
【0520】
本明細書中に記載される公開文献は全て、これらの公開文献の対象である方法および/または材料の開示および記載、参考のために援用される。本明細書中に記載の公開文献は、本出願の出願日前のその開示内容のみのために提供するものである。本明細書中のいずれの内容も、本技術が先行特許のためにこのような公開文献に先行していない、認めるものと解釈されるべきではない。さらに、記載の公開文献の日付は、実際の公開文献の日付と異なる場合があり、個別に確認が必要であり得る。
【0521】
「comprises」および「comprising」という用語は、要素、構成要素またはステップを非排他的な意味合いで指すものとして解釈されるべきであり、記載の要素、構成要素またはステップが明記されていない他の要素、構成要素またはステップと共に存在、利用または結合され得ることを示す。
【0522】
詳細な説明において用いられる見出しは、読者の便宜のためのものであり、本開示または特許請求の範囲全体において見受けられる内容を制限するために用いられるべきではない。これらの見出しは、特許請求の範囲または特許請求の範囲の制限の範囲の解釈において用いられるべきではない。
【0523】
本明細書中の技術について、特定の実施例を参照して述べてきたが、これらの実施例は本技術の原理および用途を例示したものに過ぎないことが理解されるべきである。いくつかの場合において、用語および記号は、本技術の実施に不要な特定の詳細を示し得る。例えば、「first(第1の)」および「second(第2の)」(など)という用語が用いられるが、他に明記無き限り、これらの用語は任意の順序を示すことを意図しておらず、別個の要素を区別するために用いられる。さらに、本方法におけるプロセスステップについての記載または例示を順序付けて述べる場合があるが、このような順序は不要である。当業者であれば、このような順序が変更可能でありかつ/またはその様態を同時にまたはさらに同期的に行うことが可能であることを認識する。
【0524】
よって、本技術の意図および範囲から逸脱することなく、例示的な実施例において多数の変更例が可能であり、また、他の配置構成が考案され得ることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0525】
1000 患者
1010 鼻翼の近隣領域
1020 翼頂
1100 同床者
3100 シール形成構造
3101 第1のシール形成構造
3102 第2のシール形成構造
3103 境界
3110 中央部
3111 側方部
3112 側方部の後面
3120 隆起
3130 下唇部
3131 上唇部
3132 周辺部
3133 口用孔
3135 鼻孔(複数可)
3200 プレナムチャンバ
3201 プレナムチャンバの口腔部
3202 プレナムチャンバの鼻部
3210 腱
3220 上点
3230 下点
3240 第1の前壁部
3241 口部位および鼻部位の境界
3242 第2の前壁部
3243 第1の前壁部上方境界
3244 第1の前壁部下方境界
3245 横側壁部
3246 横側壁部
3247 第2の前壁部上方境界
3248 第2の前壁部下方境界
3250 シェル
3251 中央部
3260 支持部位
3261 支持部の第1の端部
3262 支持部の第2の端部
3263 剛性部
3270 バンド
3272 キャビティ
3280 溝部
3284 突起
3288 突起
3300 位置決めおよび安定化構造
3310 コネクタ
3320 アーム
3350 フレーム
3351 ループ内面
3352 接続点
3352a 第1のループ
3352b 第2のループ
3353 アイレットカット
3354 ヘッドギアストラップ
3356 左上のヘッドギアストラップ
3358 右上のヘッドギアストラップ
3360 中央部
3362 アーム
3364 第2の接続点
3364a 左の2次接続点
3364b 右の2次接続点
3366 左下ストラップ
3368 右下ストラップ
3370 磁石
3372 スロット
3373 スカロップ
3376 外側ケーシング
3378 平面
3380 リップ
3382 磁性部材
3384 オーバーハング
3400 通気
3410 通気部取付用アパチャ
3600 接続ポート
3700 前額支持部
4000 RPTデバイス
4010 外部ハウジング
4012 上部
4014 下部
4015 パネル
4016 シャーシ
4018 ハンドル
4020 空気圧ブロック
4110 空気フィルタ
4112 入口空気フィルタ
4120 マフラー
4124 出口マフラー
4140 圧力生成器
4142 送風機
4144 モータ
4160 アンチスピルバック弁
4170 空気回路
4180 補充用ガス
4200 電気コンポーネント
4202 PCBA
4210 電源
4220 入力デバイス
4270 変換器
5000 加湿器
5002 加湿器入口
5004 加湿器出口
5006 加湿器ベース
5110 加湿器リザーバ
5120 伝導性部位
5130 リザーバドック
5135 ロックレバー
5150 水位インジケータ
5240 加熱要素
6000 オーバーハング
6004 アンダーカット
6008 傾斜面
6012 旋回点
【手続補正書】
【提出日】2022-05-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者インターフェースであって:
周囲空気圧力を超える少なくとも6cmH
2Oの治療圧力まで加圧可能であるプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバと、
患者の口への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置された第1のシール形成構造であって、これにより、前記治療圧力における空気流れが口に送達され、第1のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
患者の鼻への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置された第2のシール形成構造であって、これにより、前記治療圧力における空気流れが鼻に送達され、第2のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
前記患者が呼気した連続的ガス流れが前記プレナムチャンバの内部から周囲へ抜け出ることを可能にする通気構造であって、前記通気構造は、使用時に前記プレナムチャンバ内の前記治療圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気構造と、を含み、
前記患者インターフェースは、
前記プレナムチャンバの内部に配置され、かつ前記患者インターフェースの対向する側部上に設けられた一対の支持部であって
、前記一対の支持部は、前記第2のシール形成構造と前記プレナムチャンバの前壁部との間で接触して延在し、前記一対の支持部は、前後方向における圧縮を阻止するように構成される、一対の支持部をさらに含む、患者インターフェース。
【請求項2】
前記支持部は、前記第2のシール形成構造のうち使用時において前記患者の上唇をシールする部位へ接続される、請求項1の患者インターフェース。
【請求項3】
前記支持部は、使用時において前記患者の上唇を前記患者の鼻の下側角部の真下においてシールする前記第2のシール形成構造の部位へ接続される、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項4】
前記支持部は、矢状面に対して平行な断面からみたときに曲線状である、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項5】
前記支持部は、前額面に対して平行な断面からみたときに曲線状である、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項6】
前記プレナムチャンバは、口腔部および鼻部を含む、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項7】
各支持部は、前記口腔部の側方側壁部および前記鼻部の側方側壁部の境界に隣接する前記プレナムチャンバの口腔部へ接続される、請求項6の患者インターフェース。
【請求項8】
各支持部は、前記口腔部の前壁部および前記鼻部の前壁部の境界に隣接する前記プレナムチャンバの口腔部へ接続される、請求項6に記載の患者インターフェース。
【請求項9】
前記プレナムチャンバの側方側壁部は、前記鼻部との境界に隣接して内方に曲線状にされ、前記支持部の各々は、隣接する側方側壁部に実質的に隣接する、請求項7に記載の患者インターフェース。
【請求項10】
前記第2のシール形成構造は、空気流れを前記治療圧力において患者の鼻孔への入口へ送達させるように構成された少なくとも1つの鼻用アパチャを含み、使用時において、いずれの支持部のいずれの部分も、またはそれぞれの鼻用アパチャの直接下側に無い、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項11】
前記患者インターフェースは、前記シール形成構造を患者頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を発生させるように構成された位置決めおよび安定化構造と、をさらに含む、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項12】
前記プレナムチャンバは、シェルによって少なくとも部分的に形成され、前記通気構造は、シェルに設けられる、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項13】
前記支持部は、前記第2のシール形成構造へ接続され、前記プレナムチャンバの前壁へ接続される、請求項1の患者インターフェース。
【請求項14】
患者インターフェースであって:
周囲空気圧力を超える少なくとも6cmH
2Oの治療圧力まで加圧可能であるプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバと、
前記プレナムチャンバの口部位に接続された第1のシール形成構造であって、前記第1のシール形成構造は、患者の口への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置され、これにより、前記治療圧力における空気流れが口に送達され、第1のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
前記プレナムチャンバの鼻部位に接続された第2のシール形成構造であって、前記第2のシール形成構造は、患者の鼻への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置され、これにより、前記治療圧力における空気流れが鼻に送達され、第2のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造、および
前記患者が呼気した連続的ガス流れが前記プレナムチャンバの内部から周囲へ抜け出ることを可能にする通気構造であって、前記通気構造は、使用時に前記プレナムチャンバ内の前記治療圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気構造と、を含み、
ここで:
前記プレナムチャンバの口腔部との境界に隣接するプレナムチャンバの鼻部の第1の前壁部は、前記プレナムチャンバの口腔部の直接隣接する領域よりも可撓性であり、前記プレナムチャンバの鼻部の第2の前壁部は、第1の前壁部に直接隣接し、前記プレナムチャンバの口腔部との境界に対して第1の前壁部の反対側にあり、前壁部の直接隣接部よりも可撓性が低い、患者インターフェース。
【請求項15】
前記第1の前壁部は、前記プレナムチャンバの前記直接隣接部よりも肉薄である、請求項14の患者インターフェース。
【請求項16】
前記第2の前壁部は、前記プレナムチャンバの直接隣接部よりも肉厚である、請求項14に記載の患者インターフェース。
【請求項17】
前記第2の前壁部は、前記第1の前壁部を通過して延びるバンドを含み、前記プレナムチャンバを通じて前記患者へと延びるように構成される、請求項16に記載の患者インターフェース。
【請求項18】
前記プレナムチャンバ内の前記第1の前壁部と前記第2の前壁部との間の移行部は、実質的に段差面である、請求項17に記載の患者インターフェース。
【請求項19】
前記プレナムチャンバ外の前記第1の前壁部と前記第2の前壁部との間の移行部は、実質的に平滑な面である、請求項17に記載の患者インターフェース。
【請求項20】
前記第1の前壁部は、使用時において少なくとも前記バンドの一部よりもさらに上方に延びる、請求項17に記載の患者インターフェース。
【請求項21】
前記第1の前壁部および第2の前壁部は、同一材料により構成される、請求項14に記載の患者インターフェース。
【請求項22】
前記第1の前壁部は、前記プレナムチャンバの鼻部の幅全体に実質的にわたって延びる、請求項14に記載の患者インターフェース。
【請求項23】
前記第2の前壁部は、少なくとも前記プレナムチャンバの鼻部の幅の大部分にわたって延びる、請求項14に記載の患者インターフェース。
【請求項24】
前記第1の前壁部は、前記第2の前壁部の少なくとも1つの側方縁部周囲において上方向に延びる、請求項14に記載の患者インターフェース。
【請求項25】
前記第2の前壁部は、前記プレナムチャンバの鼻部の幅全体に実質的にわたって延びる、請求項14に記載の患者インターフェース。
【請求項26】
前記第1の前壁部の中央部は、前記第1の前壁部の側方部よりもさらに上方向に延びる、請求項14に記載の患者インターフェース。
【請求項27】
前記第1の前壁部の上側境界は、曲線状である、請求項14に記載の患者インターフェース。
【請求項28】
前記第1の前壁部の下側境界は、曲線状である、請求項14に記載の患者インターフェース。
【請求項29】
前記プレナムチャンバは、シェルによって少なくとも部分的に形成され、前記通気構造は、シェルに設けられる、請求項14に記載の患者インターフェース。
【請求項30】
患者インターフェースであって:
周囲空気圧力を超える少なくとも6cmH
2Oの治療圧力まで加圧可能であるプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバと、
前記プレナムチャンバの口部位に接続された第1のシール形成構造であって、前記第1のシール形成構造は、患者の口への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置され、これにより、前記治療圧力における空気流れが口に送達され、第1のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
前記プレナムチャンバの鼻部位に接続された第2のシール形成構造であって、前記第2のシール形成構造は、患者の鼻への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置され、これにより、前記治療圧力における空気流れが鼻に送達され、第2のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
前記患者が呼気した連続的ガス流れが前記プレナムチャンバの内部から周囲へ抜け出ることを可能にする通気構造であって、前記通気構造は、使用時に前記プレナムチャンバ内の前記治療圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気構造と、を含み、
ここで:
前記第2のシール形成構造の側方部の後面は、前記第1のシール形成構造および第2のシール形成構造の境界から上前方向に傾斜
し、かつ前記患者インターフェースのいずれの部分も、使用時において前記患者の鼻翼頂上点と接触しない、患者インターフェース。
【請求項31】
各側方部の傾斜により、20度~90度の角度がマスクの中央接触面と形成される、請求項30の患者インターフェース。
【請求項32】
前記患者インターフェースは、前記患者の鼻孔の閉塞を回避するように構成される、請求項30に記載の患者インターフェース。
【請求項33】
前記プレナムチャンバは、シェルによって少なくとも部分的に形成され、前記通気構造は、シェルに設けられる、請求項30に記載の患者インターフェース。
【請求項34】
患者インターフェースであって:
周囲空気圧力を超える少なくとも6cmH
2Oの治療圧力まで加圧可能であるプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバと、
前記プレナムチャンバの口部位に接続された第1のシール形成構造であって、前記第1のシール形成構造は、患者の口への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置され、これにより、前記治療圧力における空気流れが口に送達され、第1のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
前記プレナムチャンバの鼻部位に接続された第2のシール形成構造であって、前記第2のシール形成構造は、患者の鼻への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置され、これにより、前記治療圧力における空気流れが鼻に送達され、第2のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
前記患者が呼気した連続的ガス流れが前記プレナムチャンバの内部から周囲へ抜け出ることを可能にする通気構造であって、前記通気構造は、使用時に前記プレナムチャンバ内の前記治療圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気構造と、を含み、
ここで:
前記第1のシール形成構造と第2のシール形成構造との間の境界は、隆起部を含む、患者インターフェース。
【請求項35】
前記隆起部の曲率半径は、2mm未満である、請求項
34の患者インターフェース。
【請求項36】
前記隆起部は、前記第1のシール形成構造と、前記第2のシール形成構造との間の境界全体に実質的にわたって延びる、請求項
34に記載の患者インターフェース。
【請求項37】
使用時において、前記隆起部は、翼が上唇の上方の顔と出会う場所である鼻孔への入口の近隣の患者の顔と係合する、請求項
34に記載の患者インターフェース。
【請求項38】
前記隆起部は、前記隆起部に隣接する前記第1のシール形成構造および/または第2のシール形成構造における皺形成に耐える、請求項
34に記載の患者インターフェース。
【請求項39】
使用時において、前記プレナムチャンバは、シェルによって少なくとも部分的に形成され、前記通気構造は、前記シェルに設けられる、請求項
34に記載の患者インターフェース。
【請求項40】
患者インターフェースであって:
周囲空気圧力を超える少なくとも6cmH
2Oの治療圧力まで加圧可能であるプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバと、
前記プレナムチャンバの口部位に接続された第1のシール形成構造であって、前記第1のシール形成構造は、患者の口への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置され、これにより、前記治療圧力における空気流れが口に送達され、第1のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
前記プレナムチャンバの鼻部位に接続された第2のシール形成構造であって、前記第2のシール形成構造は、患者の鼻への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置され、これにより、前記治療圧力における空気流れが鼻に送達され、第2のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
前記患者が呼気した連続的ガス流れが前記プレナムチャンバの内部から周囲へ抜け出ることを可能にする通気構造であって、前記通気構造は、使用時に前記プレナムチャンバ内の前記治療圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気構造と、を含み、
ここで:
前記プレナムチャンバの口腔部の少なくとも一部は、可撓性シェルを含み、
前記可撓性シェルは、ヤング率が
0.3MPa~0.7MPaである材料から形成され、
少なくとも1つのコンポーネントが前記可撓性シェルへ接続され、少なくとも1つの前記コンポーネントは、前記可撓性シェルのうち前記コンポーネントに隣接する部位よりも硬質であり、少なくとも1つの前記コンポーネントは、剛性化アームに接続されるヘッドギアコネクタとして構成されており、前記剛性化アームは、第1の位置と第2の位置との間のヒンジの周囲において旋回するよう構成されており、前記剛性化アームは、前記可撓性シェルに解放可能に接続可能である、患者インターフェース。
【請求項41】
少なくとも1つの前記コンポーネントは、以下のうち1つ以上を含む:通気モジュール、ヘッドギアコネク
タ、剛性化部材、より可撓性の低いシェル部、請求項
40に記載の患者インターフェース。
【請求項42】
少なくとも1つの前記コンポーネントは、前記可撓性シェルへオーバーモールドされる、請求項
40の患者インターフェース。
【請求項43】
少なくとも1つの前記コンポーネントは、硬化リブまたはバン
ドをさらに備える、請求項
40に記載の患者インターフェース。
【請求項44】
前記可撓性シェルは、前記可撓性シェルの直接隣接部よりも肉厚の硬化部を含む、請求項
40に記載の患者インターフェース。
【請求項45】
前記プレナムチャンバの口腔部の中央部の剛直性は、前記プレナムチャンバの残り部分よりも高い、請求項
40に記載の患者インターフェース。
【請求項46】
前記プレナムチャンバは、シェルによって少なくとも部分的に形成され、前記通気構造は、シェルに設けられる、請求項
40に記載の患者インターフェース。
【請求項47】
患者インターフェースであって:
周囲空気圧力を超える少なくとも6cmH
2Oの治療圧力まで加圧可能であるキャビティを含むプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバと、
患者の口への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置された第1のシール形成構造であって、これにより、前記治療圧力における空気流れが口に送達され、第1のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
患者の鼻への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置された第2のシール形成構造であって、これにより、前記治療圧力における空気流れが鼻に送達され、第2のシール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
前記患者が呼気した連続的ガス流れが前記プレナムチャンバの内部から周囲へ抜け出ることを可能にする通気構造であって、前記通気構造は、使用時に前記プレナムチャンバ内の前記治療圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気構造と、
前記第1のシール形成構造および前記第2のシール形成構造を治療的に有効な位置に維持するように構成された位置決めおよび安定化構造と、を含み、前記位置決めおよび安定化構造は、
前記プレナムチャンバへ連結されたフレームであって、前記フレームは、
前記キャビティの外部において前記プレナムチャンバへ連結された中央部、および
前記中央部から離隔方向において前記第2のシール形成構造を通過して後方方向に延びる一対のアームであって、前記一対のアームは、前記中央部よりも可撓性である、一対のアームを含む、フレーム、および
前記フレームへ連結されたヘッドギアストラップであって、前記フレームを介して張力を前記第1のシール形成構造および前記第2のシール形成構造へ付加して前記患者の顔内に付加するように構成される、ヘッドギアストラップ、を含む、患者インターフェース。
【請求項48】
前記一対のアームの各アームは、前記フレームよりも可撓性である、請求項
47に記載の患者インターフェース。
【請求項49】
前記中央部は、前記一対のアームの各アームよりも肉厚である、請求項
48に記載の患者インターフェース。
【請求項50】
前記中央部および前記一対のアームの各アームは、同一材料から構築される、請求項
47に記載の患者インターフェース。
【請求項51】
前記一対のアームの各アームは、第1の接続点を含み、前記ヘッドギアストラップは、各アームの前記第1の接続点へ連結される、請求項
47に記載の患者インターフェース。
【請求項52】
第1の磁石が前記フレームの中央部上へオーバーモールドされ、前記ヘッドギアストラップは、前記第1の磁石へ取り外し可能に連結された第2の磁石を含む、請求項
47に記載の患者インターフェース。
【請求項53】
前記プレナムチャンバは溝部を含み、前記中央部は、前記溝部内に位置決めされる、請求項
47に記載の患者インターフェース。
【請求項54】
前記中央部は、前記溝部内において取り外し可能に位置決め可能である、請求項
53に記載の患者インターフェース。
【請求項55】
前記溝部は、突出部を含み、前記中央部は、前記突出部を受容するように構成された相補型のスロットを含む、請求項
53に記載の患者インターフェース。
【請求項56】
前記スロットは、テーパー状にされ、より幅広の開口部およびより幅狭の開口部を含み、前記突出部は、前記より幅狭の開口部に先行して前記より幅広の開口部を通じて受容されるように構成される、請求項
55に記載の患者インターフェース。
【請求項57】
前記プレナムチャンバは、前記溝部に隣接して配置された突起部を含み、前記突起部は、前記中央部を前記溝部内に保持するように構成される、請求項
53に記載の患者インターフェース。
【請求項58】
前記中央部の外面は、前記プレナムチャンバの外面と同一平面にあり、前記中央部の外面および前記プレナムチャンバの外面は、使用時において前記患者から離隔方向を向くように構成される、請求項
53に記載の患者インターフェース。
【請求項59】
前記中央部は、環状形状を含み、前記プレナムチャンバ入口ポートは、前記フレームが前記プレナムチャンバへ連結されている状態において前記中央部内においてラジアル方向に配置される、請求項
47に記載の患者インターフェース。
【請求項60】
前記プレナムチャンバ入口ポートは、エルボーを受容するように構成され、前記エルボーは、前記プレナムチャンバ入口ポート内に受容されている状態で前記中央部から間隔を開けて配置されるように構成される、請求項
47に記載の患者インターフェース。
【請求項61】
前記一対のアームの各アームは、ピボット点周囲において前記中央部に対して旋回可能である、請求項
47に記載の患者インターフェース。
【請求項62】
各ピボット点は、リビングヒンジである、請求項
61に記載の患者インターフェース。
【国際調査報告】