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特表2022-547237フィットネストレーニング装置及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-10
(54)【発明の名称】フィットネストレーニング装置及びシステム
(51)【国際特許分類】
   A63B 21/005 20060101AFI20221102BHJP
【FI】
A63B21/005
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022541715
(86)(22)【出願日】2020-09-09
(85)【翻訳文提出日】2022-04-28
(86)【国際出願番号】 AU2020050950
(87)【国際公開番号】W WO2021046596
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】2019903351
(32)【優先日】2019-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522093317
【氏名又は名称】ウィトルウィアン インベストメンツ プロプライエタリー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー,ジョナサン チャールズ
(57)【要約】
フィットネストレーニング装置は:ベースと、ベース内又はベース上に設けられた少なくとも1つの引込み可能なラインと、少なくとも1つの引込み可能なラインに選択的に調整可能な付加を印加するためにベース内又はベース上に設けられた負荷発生器とを有する。引込み可能なラインは、ユーザによる操作のための自由端領域を有し、少なくとも1つの引込み可能なラインは、ユーザによる引込み可能なラインの自由端領域への力の印加に応じて、ベース内又はベース上の引込み状態から延長状態に延ばされるように構成及び配置される。負荷発生器によって引込み可能なラインに印加される負荷は、引込み可能なラインを引込み状態から延長状態に延ばすために、ユーザによって自由端領域に印加される力に抵抗する又はそれに抗して作用する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと;
前記ベース内又は前記ベース上に設けられた少なくとも1つの引込み可能なラインであって、前記引込み可能なラインはユーザによる操作のための自由端領域を有し、前記少なくとも1つの引込み可能なラインは、前記ユーザによる前記引込み可能なラインの前記自由端領域への力の印加に応じて、前記ベース内又は前記ベース上の引込み状態から延長状態に延ばされるように構成及び配置される、少なくとも1つの引込み可能なラインと;
前記少なくとも1つの引込み可能なラインに選択的に調整可能な負荷を印加するために前記ベース内又は前記ベース上に設けられた負荷発生器であって、前記負荷発生器によって前記引込み可能なラインに印加される前記負荷は、前記引込み可能なラインを前記引込み状態から前記延長状態に延ばすために前記ユーザによって前記自由端領域に印加される力に抵抗するか又はそれに抗して作用する、負荷発生器と;
前記引込み可能なラインに印加される前記負荷を測定する力測定装置と;
を有し、
前記負荷発生器によって前記引込み可能なラインに印加される前記負荷は、前記力測定装置によって測定された前記負荷に基づいて修正される、
フィットネストレーニング装置。
【請求項2】
前記ベースは、前記ユーザのためのトレーニングプラットフォームを提供し、前記トレーニングプラットフォームの上に、前記ユーザは、トレーニングエクササイズを行う間、立つ、座る、又は横たわることができ、前記トレーニングプラットフォームは、好ましくは、約100mmから約300mmの範囲の高さを有するステップとして構成される、
請求項1に記載のフィットネストレーニング装置。
【請求項3】
前記ベースは、好ましくは500mmから900mmの範囲の長さを有する、前記ユーザのためのトレーニングベンチを形成するために取り外し可能又は分離可能である部分を含む、
請求項1又は2に記載のフィットネストレーニング装置。
【請求項4】
前記負荷発生器は、少なくとも1つの電気モータ、好ましくはトルクモータを有し、前記電気モータは、前記少なくとも1つの引込み可能なラインに前記選択的に調整可能な負荷を印加するためにある範囲のトルクを生成するように可変的に動作可能である、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のフィットネストレーニング装置。
【請求項5】
前記負荷発生器が、前記選択的に調整可能な負荷を前記少なくとも1つの引込み可能なラインに印加するためにある範囲のトルクを生成するように可変的に動作可能なダイレクトドライブモータを有する、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のフィットネストレーニング装置。
【請求項6】
前記力測定装置は、ひずみゲージである、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のフィットネストレーニング装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの引込み可能なラインは、可撓性であり、前記引込み状態で巻かれた又はコイル状にされた構成に、好ましくは前記ベース内又は前記ベース上に設けられたスプール又はドラム上に、引込まれるように配置され、前記少なくとも1つの引込み可能なラインは、好ましくは、ケーブル、コード、ロープ、ストラップ、又はバンドのうちのいずれか1つを含む、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のフィットネストレーニング装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの引込み可能なラインは、前記ベースから離れる方向に、好ましくは上向き若しくは垂直方向に、又は前記垂直方向に対して任意の範囲の角度を通って、或いは水平方向に、前記引込み状態から延ばされるように構成及び配置される、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のフィットネストレーニング装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの引込み可能なラインは、前記ユーザによる手動操作のために、前記自由端領域においてハンドルを取り付けるように構成される、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のフィットネストレーニング装置。
【請求項10】
前記負荷発生器は、前記引込み可能なラインの前記延長状態への延長中及び/又は前記引込み可能なラインの前記引込み状態への引込み中に前記少なくとも1つの引込み可能なラインに印加される前記負荷を調整するように構成又は制御される、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載のフィットネストレーニング装置。
【請求項11】
前記ベース内又は前記ベース上に設けられた2つの引込み可能なラインと、2つの負荷発生器とを有し、各前記負荷発生器は、前記引込み可能なラインのそれぞれ1つと動作可能に関連付けられる、
請求項1乃至10のいずれか一項に記載のフィットネストレーニング装置。
【請求項12】
前記引込み可能なラインは、好ましくは、約1.0m~2.0mの範囲の距離だけ互いに離間して配置され、前記ベースは、好ましくは、前記引込み可能なラインが互いに離間する前記距離を変化させるように調整可能である、
請求項11に記載のフィットネストレーニング装置。
【請求項13】
前記各引込み可能なラインは、前記ベースに設けられる又は前記ベースに組み込まれ、前記各引込み可能なラインの前記自由端は、前記ユーザによるアクセス及び操作のために前記ベースの外側表面から出る、
請求項1乃至12のいずれか一項に記載のフィットネストレーニング装置。
【請求項14】
各前記引込み可能なラインの移動の経路は、前記ベース内又は前記ベース上に取り付けられた1つ又は複数のプーリによって案内され、前記引込み状態への前記各引込み可能なラインの前記移動の経路を案内する前記プーリは、引込むときに前記ラインの均等な巻き取りを促進するように旋回又は回転するように構成される、
請求項1乃至13のいずれか一項に記載のフィットネストレーニング装置。
【請求項15】
各前記引込み可能なラインの現在位置、動き、速度及び/又は延長などの
前記引込み可能なライン又は前記各引込み可能なラインの使用又は動作を感知するための1つ乃至複数のセンサを有する前記ベース内又は前記ベース上に設けられた制御装置であって、前記制御装置は、前記引込み可能なライン又は前記各引込み可能なラインの使用又は動作に応じて、各前記負荷発生器によって前記各引込み可能なラインに印加される前記負荷を調整するように構成される、
請求項1乃至14のいずれか一項に記載のフィットネストレーニング装置。
【請求項16】
前記制御装置は、前記ユーザによるトレーニング設定の入力及び/又はトレーニング中に前記ユーザにトレーニング情報を表示するために、スマートフォン及び/又は表示モニタなどのユーザデバイスと通信するように構成され、前記制御装置は、好ましくは、プロセッサ、電子データ記憶装置、及び無線通信ハードウェアを含む、
請求項15に記載のフィットネストレーニング装置。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれか一項に記載のフィットネストレーニング装置と;
前記ユーザによるトレーニング設定の入力及び/又はトレーニング中に前記ユーザにトレーニング情報を表示するために、
前記装置と、好ましくは前記装置の制御装置と通信するための、スマートフォン又はディスプレイモニタなどのユーザデバイスと;
を有する、
フィットネストレーニングシステム。
【請求項18】
前記トレーニング設定の入力及び/又は前記トレーニング情報の前記ユーザへの表示のために前記装置と通信するための前記ユーザデバイスにインストールするためのソフトウェアアプリケーションをさらに含む、
請求項17に記載のフィットネストレーニングシステム。
【請求項19】
前記装置の前記制御装置は、前記ユーザデバイスへの表示のために前記制御装置の1つ又は複数のセンサによって感知又は検出される前記引込み可能なライン又は前記各引込み可能なラインの使用又は動作からトレーニングパフォーマンスを計算するように構成される、
請求項17又は18に記載のフィットネストレーニングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィットネストレーニング装置及び関連するフィットネストレーニングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
個人の健康と幸福の維持と改善のためのフィットネストレーニングは、ここ数年、先進社会でますます人気が高まっている。また、この期間には、ランニング、サイクリング及びローイング(rowing)のような人気の運動をトレーニングするための機器や装置の開発も伴っている。特に、幅広い種類のトレッドミル、トレーニングサイクル、及びローイングマシンが、個人又はグループトレーニングクラスのために家庭及びフィットネススタジオの両方で使用するために開発されている。
【0003】
おそらく人気のエクササイズのための新しい機器や装置の開発があまり進んでいないフィットネストレーニングの1つの分野に、ウエイトトレーニングがある。この点に関して、フリーウェイト(ダンベル、バーベル、ケトルベルなど)がフィットネススタジオでは依然として一般的である。また、幅広い種類のウエイトマシンも知られているが、これらのそれぞれは、通常、少数の特定のグループのエクササイズのみを行うために設計され、一般的な又は「オールラウンド(all-round)」なワークアウトに必要な異なるウエイトマシンのコレクションを作る。
【0004】
従って、種々の既知のウエイトトレーニング機器を置き換える又は代替することができる、新しい改良されたフィットネストレーニング装置が必要とされている。また、グループ又はクラスのトレーニング環境及び/又はインターネットが可能な接続されたフィットネス環境で使用することができるような装置を提供することが望ましい。上記の観点から、新しい改良されたフィットネストレーニング装置及び関連するフィットネストレーニングシステムを提供することは有用である。
【発明の概要】
【0005】
1つの広い態様によれば、本発明は、以下を含むフィットネストレーニング装置を提供する:
ベース;
ベース内又はベース上に設けられた少なくとも1つの引込み可能なライン(retractable line)であって、引込み可能なラインは、ユーザによる操作のための自由端領域を有し、少なくとも1つの引込み可能なラインは、ユーザによる引込み可能なラインの自由端領域への力の印加に応じて、ベース内又はベース上の引込み状態から延長状態(extended state)に延ばされるように構成及び配置される、少なくとも1つの引込み可能なライン;及び
少なくとも1つの引込み可能なラインに選択的に調整可能な負荷を印加するためにベース内又はベース上に設けられた負荷発生器であって、負荷発生器によって引込み可能なラインに印加される負荷は、引込み可能なラインを引込み状態から延長状態に延ばすためにユーザによって自由端領域に印加される力に抵抗する又はそれに抗して作用する(acts against)、負荷発生器。
【0006】
このようにして、本発明は、それを用いてユーザが負荷発生器によって提供される選択的に調節可能な負荷に対してエクササイズ(運動(exercises))を行うことができる、少なくとも1つの引込み可能なラインを有するフィットネストレーニング装置を提供する。特に、引込み状態から延長状態に引込み可能なラインを延ばすためにユーザが自由端領域に印加するために使用中に典型的に必要とされる力は、負荷発生器によって引込み可能なラインに印加されている負荷を超える。また、少なくとも1つの引込み可能なラインは、好ましくは、負荷発生器によって印加される負荷によって、延長状態から引込み状態に引込みされるように構成される。従って、使用時には、エクササイズを行う間にユーザによって引込み可能なラインに印加される力は、典型的には、引込み可能なラインを引込み状態に引込みするために負荷発生器によって印加される負荷に対抗及び/又は抵抗する。
【0007】
好ましい実施形態では、フィットネストレーニング装置のベースは、例えば、トレーニングルームの床であり得る支持面上で装置を支持するように適合される又は設計される。この文脈では、ベースは、ユーザがトレーニングルームの床の上で装置を移動させるのを助けるためのホイール又はキャスタを含み得る。しかし、トレーニング装置の意図された用途に応じて、ベースは、壁のような垂直支持面上に装置を支持するように適合され得る又は設計され得る。この点に関し、ベースは、支持面にしっかりと固定又は取り付けられるように構成され得る。
【0008】
好ましい実施形態では、フィットネストレーニング装置のベースは、ユーザのためのトレーニングプラットフォームを提供する。この点に関し、ベースは、ユーザがトレーニングエクササイズを行う間、ユーザをサポートするように構成され得る。換言すれば、ユーザは、トレーニングエクササイズを実行する間、トレーニングプラットフォームとしてベース上に立つ、座る、又は横たわり得る。特に好ましい実施形態では、ベース又はトレーニングプラットフォームは、トレーニングエクササイズを実行する際にユーザが立ち得るステップ又はプラットフォームとして構成される。ステップは、好ましくは約100mmから約400mmの範囲、より好ましくは約200mmから約300mmの範囲にある高さを有する。このようにして、少なくとも1つの引込み可能なラインは、好ましくは、ベースから離れる方向に、好ましくは上向き若しくは垂直方向に、又は垂直方向に対して任意の範囲の角度を通って、引込み状態から延びるように構成され、配置される。
【0009】
好ましい実施形態では、フィットネストレーニング装置のベースは、ユーザのためのトレーニングベンチを形成するために取り外し可能又は分離可能な部分を含む。トレーニングベンチを形成するためのベースの部分は、好ましくは、約500mmから約1000mmの範囲の長さを有する。トレーニングベンチを形成するためのベースの部分はまた、好ましくは、折りたたみ可能な脚部を有する。
【0010】
好ましい実施形態では、フィットネストレーニング装置のベースは、その上に負荷発生器を取り付け支持するためのフレームと、負荷発生器及び少なくとも1つの引込み可能なラインをその引込み状態において取り囲み収容するためのケーシングとを含む。
【0011】
好ましい実施形態では、少なくとも1つの引込み可能なラインは、可撓性(flexible)であり、例えばベースのフレームに取り付けられ支持されているように、好ましくはベース内又はベース上に設けられたスプール又はドラム上に、引込み状態で、巻かれた(wound)又はコイル状にされた(coiled)構成に引込まれるように配置される。少なくとも1つの引込み可能なラインは、好ましくは、ケーブル、コード、ロープ、ストラップ、又はバンドのいずれか1つを含む。少なくとも1つの引込み可能なラインは、ユーザによる手動操作のために、その自由端領域にハンドルを取り付けるように構成される。この目的のために、引込み可能なラインの自由端領域は、トレーニング中にユーザによって把持されることになるハンドルを取り付けるための;すなわち、伸張及び引込みされるように引込み可能なラインに力(張力)を加えるための、クリップ又は留め具(clasp)を含み得る。ハンドルは、引込み可能なラインの片手操作のためにサイズ決定又は構成されたハンドグリップを有し得る。代替として、ハンドルは、引込み可能なラインの両手操作のためにサイズ決定された又は構成されたハンドグリップを有し得る。ハンドルは、また、単一の引込み可能なライン、又は複数の引込み可能なライン(例えば、2つの引込み可能なライン1つがバーの両端部のそれぞれに接続されている)のいずれかと接続するためのバーの形態で提供され得る。
【0012】
好ましい実施形態では、フィットネストレーニング装置の負荷発生器は、少なくとも1つの電気モータ、望ましくはトルクモータを有し、これは、選択的に調整可能な負荷を少なくとも1つの引込み可能なラインに印加するためにある範囲のトルクを生成するように可変的に動作可能である。トルクモータは、停止している(stalled)間に、すなわちロータが回転しないようになっている間に作動することができる、特殊な形態の電気モータである。この動作モードでは、モータは定常トルクを印加し続ける。好ましい実施形態では、引込み可能なラインが引込み状態において巻かれた又はコイル状にされたスプール又はドラムは、少なくとも1つの電気モータのロータと結合されたシャフトに設けられる又は取り付けられる。シャフトは、ロータに直接結合され得る、又は伝動装置(transmission)、例えばベルト及びプーリ伝動装置、より好ましくは歯付きベルト(又はチェーン)及びスプロケット伝動装置を介して結合され得る。
【0013】
好ましい実施形態では、フィットネストレーニング装置の負荷発生器は、引込み可能なラインの延長状態への延長中及び/又は引込み可能なラインの引込み状態への引込み中に、少なくとも1つの引込み可能なラインに印加される負荷を調整するように構成又は制御される。このようにして、負荷発生器によって(例えば、少なくとも1つの電気モータを介して)引込み可能なラインに印加される負荷は、ラインがユーザによって印加される力の下で延ばされるとき、及び/又はラインがユーザによって印加される抵抗力に抗して引込みされるとき、一定に保たれ得る、増加され得る、及び/又は減少され得る。このように、引込み可能なラインのストローク又は動きにわたる負荷の調整可能性により、トレーニングを、個々の人だけでなく、トレーニングされる特定のエクササイズ及びそれに関連する生体力学にも合わせることができる。従って、負荷発生器は、エキセントリック(eccentric)負荷、コンセントリック(concentric)負荷、及び/又はアイソメトリック負荷を提供するように制御することができる。この点に関し、フィットネストレーニング装置は、好ましくは、各引込み可能なラインの現在位置、動作、速度、力、及び/又は伸長(extension)のような、引込み可能なライン又は各引込み可能なラインの使用又は動作を感知するための1つ以上のセンサを有する制御装置(例えば、ベース内又はベース上に設けられる)を有する。制御装置は、それぞれの負荷発生器によって、引込み可能なライン又は各引込み可能なラインの使用又は動作に応じて、引込み可能なライン又は各引込み可能なラインに印加される負荷を調整するように構成され得る。
【0014】
好ましい実施形態では、制御装置は、ユーザによるトレーニング設定の入力及び/又はトレーニング中にユーザにトレーニング情報を表示するために、スマートフォン及び/又はディスプレイモニタなどのユーザデバイスと通信するように構成される。制御装置は、好ましくは、プロセッサ、電子データ記憶装置、及び/又は無線通信ハードウェアを含む。
【0015】
特に好ましい実施形態では、フィットネストレーニング装置は、ベース内又はベース上に設けられた2つの引込み可能なラインと、ベース内又はベース上に設けられた2つの負荷発生器とを有し、各負荷発生器は、2つの引込み可能なラインのそれぞれの1つに動作可能に関連付けられる。引込み可能なラインは、特に、ベースが、ユーザがトレーニングエクササイズを行う際に立つことができるステップ又はプラットフォームとして構成されている場合には、約0.8m~1.6m、好ましくは約1.0m~1.4mの範囲の距離だけ互いに離間して配置され得る。ベースは、引込み可能なラインが互いに離間する距離を変化させるように調整可能であり得る。
【0016】
従って、少なくとも1つの実施形態によれば、本発明は、以下を含むフィットネストレーニング装置を提供する:
トレーニングを行う際にユーザが立つことができるプラットフォームとして構成されたベース;
ベース内又はベース上に設けられた2つの引込み可能なラインであって、各引込み可能なラインは、ユーザによる操作のための自由端領域を有し、各引込み可能なラインは、ユーザによるそれぞれの引込み可能なラインの自由端領域への力の印加に際して、ベース内又はベース上の引込み状態から延長状態に延長されるように構成及び配置される、2つの引込み可能なライン;及び
ベース内又はベース上に設けられた2つの負荷発生器であって、各負荷発生器は、各引込み可能なラインに選択的に調整可能な負荷を印加するために、2つの引込み可能なラインのそれぞれの1つに動作可能に関連付けられ、それぞれの負荷発生器によって各引込み可能なラインに印加される負荷は、引込み可能なラインを引込み状態から延長状態に延長するために、ユーザによって自由端領域に使用中に印加される力に抵抗する又はそれに抗して作用する、2つの負荷発生器。
【0017】
好ましい実施形態では、各引込み可能なラインは、ベースに設けられる又はベースに組み込まれ、各引込み可能なラインの自由端は、ユーザによるアクセス及び操作のために、ベースの外側(例えば、上側)表面から出る。各引込み可能なラインの移動の経路は、ベース内又はベース上に取り付けられた1つ以上のプーリによって案内される。引込み状態への引込み可能なラインの移動の経路を案内するプーリが、好ましくは、引込むときにラインの均等な巻き取り(spooling)を促進するように旋回する(pivot)又は回転する(swivel)ように構成される。
【0018】
別の態様によれば、本発明は、以下を含むフィットネストレーニングシステムを提供する:
上記の実施形態のうちのいずれか1つに記載の本発明のフィットネストレーニング装置、及び
ユーザによるトレーニング設定の入力及び/又はトレーニング中のユーザに対するトレーニング情報を表示するために、装置と、好ましくは装置の制御装置と通信するための、スマートフォン又はディスプレイモニタなどの、ユーザデバイス。
【0019】
従って、本発明のフィットネストレーニングシステムは、好ましくは、フィットネストレーニング装置(例えば、装置の制御装置)自体を介して、又は、ユーザデバイスが通信しているスマートフォン及び/又はディスプレイモニタなどのユーザデバイスを介して、インターネット接続可能である(internet-enabled)。このようにして、システムは、ユーザをインタラクティブなフィットネス環境に接続し得る。例えば、ユーザは、ユーザデバイスを介して、1つ以上のトレーニングレジーム((トレーニング計画)training regime)のための音声及び/又は視覚入力を受け取り得る。さらに、ユーザは、ユーザデバイスを介して、リアル(real)又は仮想のいずれかのグループ又はクラストレーニング環境に接続され得る。
【0020】
好ましい実施形態では、フィットネストレーニングシステムは、トレーニング設定の入力及び/又はトレーニング情報のユーザへの表示のために装置と通信するための、ユーザデバイス上にインストールするためのソフトウェアアプリケーションを含む。この方法では、ソフトウェアアプリケーションは、装置の使用中に、フィットネストレーニング装置のユーザにユーザ入力(すなわち、オーディオ及び/又はビジュアルユーザ入力)を提供するように構成される。この入力は、例えば、いくつかの特定のトレーニングレジームのうちのいずれか1つの指導(instruction)及び/又は動機付け(motivation)の形であり得る。この目的のために、フィットネストレーニング装置の制御装置及び/又はユーザデバイスは、好ましくは:ユーザデバイスを介してユーザに表示するために情報をダウンロードすること、及び、ユーザに表示するために及び/又はグループ又はクラストレーニング環境の共同参加者に送信するために、装置から及び/又はユーザのトレーニング領域から情報をアップロードすることの、いずれか又は両方のために、インターネットに接続するように構成される。
【0021】
従って、本発明のフィットネストレーニングシステムは、好ましくは、ユーザをトレーニング指導、トレーニング動機付け、及び/又は、リアルのものであろうと仮想的なものであろうと、グループ又はクラスのトレーニング環境と接続することによって、ユーザのための全体的なトレーニング経験を向上させるように構成される。
【0022】
好ましい実施形態では、フィットネストレーニングシステムは、ユーザ入力のための(カメラ及び/又はマイクロホンなど)及び/又はユーザへの出力のための(スピーカ及び/又は照明など)の1つ以上の付属(accessory)装置を有する。付属装置は、ユーザデバイス内に一体化され得る又は別体であり得る。また、フィットネストレーニングシステムは、ユーザがフィットネストレーニング装置の使用中にユーザデバイス及び/又は付属装置(複数可)をリモートで操作するために、オプションでIR入力を備えたリモートコントロール(例えば、タッチスクリーン作動に加えて)及び電源/ボリュームコントロールを含み得る。
【0023】
好ましい実施形態では、装置の制御装置は、ユーザデバイスへの表示のために制御装置の1つ以上のセンサ(複数可)によって感知又は検出される、引込み可能なライン又は各引込み可能なラインの使用又は動作からトレーニングパフォーマンスを計算するように構成される。この方法では、制御装置は、トレーニング中にユーザに表示するために、ユーザデバイスに情報を出力し得、それによって、有用なトレーニングフィードバックを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明及びその利点をより完全に理解するために、本発明の例示的な実施形態が、添付の図面を参照して、以下の説明においてより詳細に説明される。ここで、同様の参照符号は、同様の部分を示す。
図1】本発明の1つの好ましい概念的実施形態によるフィットネストレーニング装置の概略断面図である。
図2】本発明の好ましい実施形態によるフィットネストレーニング装置の斜視図である。
図3図2のフィットネストレーニング装置の正面図であり、ベースの上部の分離を示す。
図4図2のフィットネストレーニング装置の斜視図であり、ベンチに変換されたベースの上部を示す。
図5】1つの好ましい実施形態による、トレーニング装置のベースの内部の斜視図である。
図6】別の好ましい実施形態による、トレーニング装置のベースの内部の斜視図である。
図7】さらなる好ましい実施形態による、トレーニング装置のベースの内部の斜視図である。
図8】さらに別の好ましい実施形態による、トレーニング装置のベースの内部の斜視図である。
図9図8の実施形態によるフィットネストレーニング装置の断面斜視図である。
図10図9に示すフィットネストレーニング装置の部分斜視下面図である。
図11】ダイレクトドライブモータを利用する、本発明の一実施形態によるフィットネストレーニング装置の概略図である。
【0025】
添付の図面は、本発明のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。図面は、本発明の特定の実施形態を例示し、説明と共に、本発明の原理を説明するのに役立つ。本発明の他の実施形態及び付随する利点の多くは、以下の詳細な説明を参照してよりよく理解されるようになるとき、容易に理解されるであろう。
【0026】
商業的に実現可能な実施形態において有用又は必要であり得る共通及び/又は十分に理解された要素は、実施形態のより抽象的な見方を容易にするために必ずしも示されていないことが理解されるであろう。図面の要素は、必ずしも相互に相対的な縮尺で示されているわけではない。また、方法の実施形態における特定のアクション及び/又はステップは、特定の発生の順番で記載又は描写され得るが、当業者は、順序に関するそのような特異性が実際には必要でないことを理解するであろう。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図面の図1図4を参照して、本発明の好適な実施形態によるフィットネストレーニング装置100を、図1の概念設計及び図2図4の好適な構成の両方を参照して説明する。
【0028】
まず、図1及び図2を参照すると、フィットネストレーニング装置100は、トレーニングエクササイズを行う間にユーザ(図示せず)が立つ、座る、横たわることができるプラットフォーム又はステップとして構成されるベース10を有する。ベース10の上面11は、グリップを提供し、オプションで、ユーザが上面11に立つ、座る、又は横たわるときに、ある程度のクッション(cushioning)及び/又は快適さを提供するゴム引材料(rubberised material)の層12を有する。この例では、フィットネストレーニング装置100のベース10は、トレーニングルームの床のようなほぼ水平の支持面S上で装置を支持するように適合される又は設計される。ベースは、ユーザがトレーニングルームのフロア上で装置100を移動させるのを補助するホイール又はキャスタ13を含む。
【0029】
フィットネストレーニング装置100は、ベース10に設けられた2つの引込み可能なライン20を有する。この実施形態では、引込み可能な各ライン20は、プラスチックのシースで被覆又は覆われたほぼ円形の断面の薄い可撓性のケーブル21を含むが、コード又はロープも同様に適し得る。各引込み可能なライン20(すなわち、ケーブル21)は、ベース10内に設けられた、すなわち、ベース10のフレーム14上に取り付けられ支持されたスプール又はドラム22上に引込み状態において、巻かれた又はコイル状にされた構成に引込まれるように構成及び配置される。各ケーブル21は、典型的には、2メートル以下の巻き戻し長さを有する。この方法では、各引込み可能なライン20はベース10に設けられ、各引込み可能なライン又はケーブルの自由端領域23が、ユーザによるアクセス及び操作のためにベース10の上面11から出ている。この目的のために、各ケーブル21の自由端領域23は、ユーザによる手動操作のためのハンドル24の取り外し可能な取り付けのために(例えば、クリップ又は留め具を備えて)構成される。この例では、ハンドル24の各々は、引込み可能なラインの片手動作のためのサイズ決定又は構成されたハンドグリップ25を有する。この方法では、各引込み可能なライン20は、ユーザによるそれぞれの引込み可能なライン20の自由端領域23への力(すなわち、張力)の印加に応じて、ベース10内の引込み状態から延長状態に延ばされるように構成される。引込み可能なライン20は、ユーザがベース10の上面11に立つ、座る、又は横たわっているときに、ユーザの各手及び/又は腕による快適な人間工学的操作のために、約1.0m~1.2mの範囲の、好ましくは約1.1mの距離だけ互いに離間されてベース10内に配置される。
【0030】
依然として図1及び図2を参照すると、フィットネストレーニング装置100はまた、ベース10に設けられた2つの負荷発生器30を有し、負荷発生器30の各々は、選択的に調整可能な負荷を該引込み可能なライン20に印加するために、2つの引込み可能なライン20のそれぞれの1つと動作可能に関連付けられる。この目的のために、フィットネストレーニング装置100の各負荷発生器30は、選択的に調整可能な負荷をそれぞれの引込み可能なライン20に印加するためにある範囲のトルクを生成するように可変的に動作可能である、トルクモータなどの、少なくとも1つの電気モータ31を有する。引込み可能なライン20が引込み状態で巻かれた又はコイル状にされたスプール又はドラム22は、少なくとも1つの電気モータ31のロータと結合されたシャフト32上に取り付けられる。それぞれの負荷発生器30によって各引込み可能なライン20に印加される負荷は、引込み可能なライン20を引込み状態から延長状態に延ばすためにユーザによって自由端領域23に加えられた力に抵抗する又はそれに抗して作用する。この方法では、フィットネストレーニング装置100のユーザは、負荷発生器30によって提供される選択的に調整可能な負荷に対して、引込み可能なライン20を用いてエクササイズを行うことができる。各ケーブル21をその引込み状態からその延長状態に延ばすためにユーザによる自由端領域23への印加のために使用中に典型的に必要とされる力は、それぞれの負荷発生器30によってケーブル21に印加される負荷を超える。また、ケーブル21は、電気モータ31によって印加される負荷によって、その延長状態から引込み状態に引込まれるように構成されているので、エクササイズを行うユーザによってケーブル21に印加される力は、引込み可能なライン20を引込み状態に引込むためにモータ31によって印加される負荷に対抗及び/又は抵抗する。
【0031】
図面の図3乃至図4も参照すると、本実施形態のフィットネストレーニング装置100のベース10は、引込み可能なライン20(すなわち、引込み状態において)及び負荷発生器30を取り付け支持するための内部フレーム14と、ベースの上面11を提供し、引込み可能なライン20及び負荷発生器30を取り囲み収容する外側ケーシング15とを有することが理解されるであろう。上述のように、この実施形態のベース10は、トレーニングエクササイズを行う間にユーザがその上に立つ、座る、又は横たわることができるプラットフォーム又はステップとして構成される。ステップは、約100mm~300mmの範囲の、好ましくは約200mmの高さHを有する。ステップの長さLは、約1.2m~1.4mの範囲にある、好ましくは約1.3mであり、ステップの深さDは、約400mm~600mmの範囲にある、好ましくは約500mmである。引込み可能なライン20は、ベース10から離れる方向、好ましくは上方もしくは垂直方向、又は垂直方向に対して任意の範囲の角度を通って、又は図4に見られるように、水平に、引込み状態から延ばされるように構成され、配置される。この目的のために、各引込み可能なライン20の移動の経路は、ベース10内又はベース10上に取り付けられた1つ以上のプーリ26によって案内される。
【0032】
フィットネストレーニング装置100のベース10は、ユーザのためのトレーニングベンチを形成するために取り外し可能又は分離可能な部分16を含む。ベース10の分離可能な部分16は、グリップとユーザにある程度のクッション及び/又は快適さを提供するゴム引材料の層12を組み込んだベンチパネル17、及び、図4に示すようにベンチを支持するように展開するためにベンチパネル17の両端へのヒンジ付き取り付けの折りたたみ可能な脚部18を有する。ベンチパネル17は、約500mmから約800mmの範囲の、好ましくは600mmの長さを有し、使用していない場合、装置100のハンドル24又はバーを格納するためのスペースを含み得る(例えば、ベンチパネル17の下)。図4に示すように、ベース10は、引込み可能なライン20の各々及び負荷発生器30をそれぞれ収容するベース10の両端部の間に凹んだ分離可能な部分16の下方の領域において、グリップ及びユーザのためのある程度のクッション及び/又は快適さのためのゴム引材料の二次層12’を有する二次上面11’を含む。
【0033】
図面の図5図10を次に参照すると、引込み可能なライン20及び負荷発生器30とのその結合のための別の構成が示されている。上述のように、負荷発生器30の各々は、少なくとも1つの電気モータ31を有する。しかしながら、これらの実施形態の各々では、二重の(dual)電気モータ31(トルクモータ)が好ましい。二重の、結合されていないモータ31は、後述するように、装置100がより弱い側に調整することを可能にする。また、二重のモータ31は、トルク生成を助け、各モータ31は、全負荷に対してトルクの半分の量のみを生成する必要がある。モータ31の電力出力は、1秒間に2メートルの距離だけ100kgまで移動するという要件に基づいており、それによって約2kWの電力要件を与える。若干の損失を考慮して、各々1.2kWの最大電力出力を有する2つのモータが考えられる。ケーブル21のためのスプール又はドラム22が直径50mmを有する場合、スプール22のシャフト速度764rpmは、ケーブル21の1秒間の2mの延長に等しい。50mmスプールのトルクは、モータあたり12.5Nmに等しい。5mmの直径を有するケーブル21を伴う直径50mmのスプール22は、約65mmのスプール長さ(すなわち、並んだケーブル21の12.7巻き(wraps))を必要とする。必要に応じて、より小さいスプール22が、シャフト速度(rpm)のより大きい範囲のために考慮され得る。RMS一定トルク値は、(ピークトルクではなく)適切な動作値と見なされる。プーリ25の直径は、このトルク目標点、及び1000Nの最大ユーザ力に適合するように計算される。
【0034】
図5乃至図8の各々は、ベース10のフレーム14に取り付けられ、引込み可能なライン20に結合された負荷発生器30の二重電気モータ31を示す。フレーム14は、その上に引込み可能なライン20と負荷発生器30がベース10に取り付けられるプレート19及び細長いフレーム部材19’を含む。
【0035】
図5は、引込み可能なライン20がケーブル21の代わりに可撓性ストラップ21’を含む実施形態を示す。ストラップ21’は、非常に小さな曲げ半径を達成することができ、スプール又はドラム22に巻き付けたときに滑り又は移動する可能性がほとんど又は全くない非常に柔軟な力移動材料(force translation material)であるという利点を有する。ストラップはまた、それが延ばされる又は引込まれるとき、滑らかな移動と品質の知覚を提供する。しかし、ストラップがスプール22の上にそれ自体の上に巻かれるにつれて、モータのトルクはスプールの直径が変化するにつれて変化する必要がある。ストラップはまた、拘束されない場合、望ましくないねじれを生じる可能性がある。図6は、引込み可能なライン20、特にケーブル21が円錐形スプール22に巻かれている実施形態を示す。この例では、ケーブルは円形であるため(すなわち、以前と同じように)、ストラップのようにインラインねじれ(inline twisting)の問題はない。ケーブル21は、小さい断面(profile)を有し、スプール22上のケーブルのセルフアライメント(自己整合(self-alignment))を促進する円錐形状により、並べて巻くことができる。従って、ストラップ21’に必要とされる如何なる入口ストレーナ(修正機(straightener)も必要とされない。図7は、負荷発生器30のモータ31をスプールから分離するキャプスタン27を介してケーブル21を巻く実施形態を示す。この場合も、ケーブル21は円形であり、従って、インラインねじれの見込みはほとんど又は全くなく、ケーブルは、コンパクトな方法で並べて巻き取るための小さい断面を有する。
【0036】
図8は、引込み可能なライン20、特にケーブル又はコード21が螺旋状スプール(helical spool)22に巻かれている実施形態を示す。従って、スプール22は、ケーブルの各巻き(winding)に対して確実な位置(positive location)を提供する螺旋溝を有し、ケーブル21は、インラインねじれの可能性がほとんどない円形である。さらに、ケーブル21は、小さな断面を有し、変化する負荷計算の必要なしに並べて巻く取ることができる。螺旋状スプール22がケーブルプリテンショナ28への近接のため、スプール22の長さにわたって巻き取るためには、比較的大きな移動の角度が必要とされる。この目的のために、プリテンショナのガイドプーリ26は、均一な巻き取り及びジャミング/ウェッジング(jamming/wedging)が無いことを達成するために、スプール22上のケーブル21の「ジャンプ」又はオーバーワインディングを防止するように、ケーブル21が巻かれる及び巻き戻されるときに、スプール22に沿ってケーブル21を案内するために垂直軸周りに旋回又は回転するように配置される。この実施形態は、図9及び図10にさらに示されている。この実施形態では、スプール22は、伝動装置、特に歯付きベルト(又はチェーン)33及びスプロケット34を含む伝動装置を介して、各モータ31のロータと結合されたシャフト32に取り付けられる。
【0037】
図8図10(及び図1)に示すように、フィットネストレーニング装置100はまた、ベース10のフレーム14に取り付けられた又は支持された制御装置40を有する。制御装置40は、電源回路及びハードウェア41と、プロセッサ42と、無線通信ハードウェアと、各引込み可能なライン20の使用又は動作を感知するための1つ以上のセンサ43とを含む。センサ43は、ケーブル21がスプール22から延ばされる又はスプール22に引込まれるときの各ケーブル21の移動の位置及び速度を決定するために、スプール22の回転を感知/検出するためのロータリエンコーダ(例えば、Broadcomインクリメンタルエンコーダモジュール、500 CPR)を含む。制御装置40は、各引込み可能なライン20の使用又は動作に応じて、負荷発生器30のモータ31によって各ケーブル21に印加される負荷を調整するように構成される。すなわち、装置100の負荷発生器30は、ケーブル21の延長状態への延長中及び/又はケーブル21の引込み状態への引込み中にケーブル21に印加される負荷を調整するために制御装置40を介して制御される。この方法では、電気モータ31によってケーブル21に印加される負荷は、ユーザによって印加される力の下でケーブル21が延ばされるとき、及び/又はユーザによって印加される抵抗力に抗してケーブル21が引込まれるとき、一定に保持され得る、及び/又は増加され得る、及び/又は減少され得る。この方法で、ケーブル21のストローク又は動きにわたる負荷の調整可能性は、トレーニングを、個々のユーザに合わせることを可能するが、トレーニングされる特定のエクササイズ及びその生体力学に合わせることもできる。従って、各負荷発生器30は、必要に応じて、エキセントリック負荷、コンセントリック負荷、及び/又はアイソメトリック負荷を提供するように制御することができる。
【0038】
本発明のさらなる実施形態によれば、力測定装置(図示せず)がケーブル21に印加される力を測定するために使用され得る。適当な力測定装置の一例はひずみゲージであるが、物体に印加される力を測定する他の装置も適当である。使用時には、制御装置40は、ケーブル21に張力を印加するモータ31の出力を制御する。力測定装置は、ケーブル21への力を測定し、そのような測定値を制御装置40に伝達する。次いで、制御装置40は、必要に応じてケーブル21の張力を増減させるために、モータ31に対する命令を調整し得る。力測定装置による測定は、連続的に、又は設定された間隔(例えば、装置100の始動又はシャットダウン時)で行われ得る。さらに、モータ31の出力の調整は、一定の間隔で、又は制御装置40によって決定される離散時間で行われ得る。
【0039】
フィットネストレーニング装置100Pの別の実施形態によれば、ストラップ21(図4に示されるように)が、ユーザが「スクワット」エクササイズを行うために、バー29の端部に接続され得る。さらに、ハンドル24は、「アームカール」エクササイズを行うためにユーザの前腕で使用するためのカフの形態であり得る。
【0040】
本発明の更なる改良では、フィットネストレーニング装置100は、ディスプレイモニタ及び/又はスマートフォンなどのユーザデバイスと組み合わせることができる。ユーザデバイスは、ユーザによるトレーニング設定の入力のため(例えば、スマートフォン又は類似のデバイスを介して)、及び/又はトレーニング中にユーザに対するトレーニング情報を表示するために、好ましくは制御装置を介して、装置100と通信するように構成される。これに関して、ソフトウェアアプリケーションが、トレーニング設定の入力及びユーザに対するトレーニング情報の表示のために装置100との通信のためにユーザデバイスにインストールされる。さらに、装置100の制御装置40、特にプロセッサ41は、ユーザデバイス200上にパフォーマンス情報を表示するために、制御装置40のセンサ43によって感知又は検出された各ケーブル21の使用に基づいて、トレーニングパフォーマンスを計算するように構成される。この方法では、制御装置40は、トレーニング中にユーザに表示するためにユーザデバイスに情報を出力し得、それによって有用なトレーニングフィードバックを提供する。
【0041】
「速度目標(velocity targeting)」トレーニングモードでは、ケーブル21の動きに対する速度バンド又は速度範囲が、ワークアウトが高強度か低強度かを設定又は決定するために使用される。速度目標が低いほど、ユーザが持ち上げている(負荷)は遅く重くなる。この点に関して、特定の数字よりもむしろバンド又は範囲を目標にすること、又は負荷が目標の周りで上下に振れる傾向があることが有用である。速度は、好ましくは、1msのpwm信号で設定され、速度は、50ms毎に感知され、調整される。これは、オプションで下げることもできる。負荷は、リニアに、又は動きが目標バンドから外れた場合には、別の関数(例えば、ログ関数)に従って変化し得る。また、以前の設定を保存して、出発点として使用することもできる。
【0042】
本発明は、装置100内の制御装置40を介して及び/又はユーザデバイスにインストールされたソフトウェアアプリケーションを介したインターネット接続性のために構成され得る。これは、フィットネストレーニング装置100のユーザをインタラクティブフィットネス環境に接続することを可能にする。すなわち、ユーザは、ユーザデバイスを介して、1つ又は複数のトレーニングレジームのための音声及び/又は視覚入力を受信することができ、ユーザは、ディスプレイモニタを介して、リアル又は仮想のいずれかのグループ又はクラスのトレーニング環境に接続し得る。ユーザへのこの入力は、例えば、ユーザによって選択され得る種々のトレーニングレジームのいずれかのためにディスプレイモニタ上に送信される指導及び動機付けを提供するインストラクタ画像(事前に録画された又はリアルタイムのビデオ)の形態であり得る。本発明はまた、バイオメトリクスレビュー(例えば、体重、BMI、心拍数)のための第三者パートナーデバイス(例えば、Fitbit(商標)、Apple(商標)、Android(商標))とのインタラクションのためのインターフェースを有し得る。
【0043】
本発明は、ユーザ入力(カメラ及び/又はマイクロホンなど)及び/又はユーザへの出力(ラウドスピーカ及び/又は照明など)のための1つ以上の付属装置を含み得る。この点に関し、カメラは、外部監視及び/又はレビュー又は社会的インタラクションを可能にし、マイクロホンは、トレーニング中にユーザによるトレーニングパートナーとの言葉によるコミュニケーションを提供する。付属装置は、ユーザデバイス内に一体化され得る又は別体化され得る。本発明はまた、オプションでIR入力を備えるリモートコントロール(例えば、タッチスクリーン作動に加えて)と、ユーザが、フィットネストレーニング装置100の使用中に、ユーザデバイス及び/又は付属装置(複数可)をリモートで操作するための電力/音量制御装置とを含み得る。
【0044】
フィットネストレーニング装置100は、オプションで、異なる負荷能力(例えば、軽負荷及び重負荷)を有する一連のモデルで製造することができる。この目的のために、モデルは、同じベース10(すなわち、同じフレーム14及びケーシング15)を有するが、異なるモータ31、例えば、ケーブル21当たり500N(例えば、約50kg)の力容量を有する又はケーブル21当たり1000N(例えば、約100kg)の力容量を有することができる。この実施形態の装置100は、好ましくは:トルク追従モードのTeknic MCVC一体型HP単相サーボモータ31;Velocio PLC及びHMIスクリーン;US Digital E6オプティカルインクリメンタルエンコーダ;T10 16mmスチールコア同期ポリウレタンベルト及びスプロケット;アルミニウムフレーム部材19、19’を使用する。ケーブル接続ポート(HDMI(登録商標)、USB)が設けられ得る。例えば、飲料ボトル、タオル、電話、鍵等のために、付属の棚又はポケットが設けられ得る。
【0045】
本発明のさらなる改良では、照明又は他の可視マーカーが、フィットネストレーニング装置100の外側ケーシングに設けられ得る。これらの可視マーカーは、フィットネストレーニング装置の状態をユーザ又は観察者に伝達するのに役立ち得る。例えば、照明の場合、照明の強度又は色は、エクササイズのセット又は反復におけるユーザの進行を示し得る。
【0046】
図11に示す本発明のさらなる改良では、モータ31の代わりにダイレクトドライブモータ300が利用され得る。ダイレクトドライブモータ300は、ギアボックス又はプーリ26を必要としないモータの一形態である。引込み可能なライン20は、ダイレクトドライブモータ300から直接駆動される。このようなシステムの利点には、従来のモータに対する摩擦の減少による効率の向上、ノイズの減少、より長い寿命、及び低い毎分回転数におけるが高いトルクが含まれる。フレームレストルクモータ、ブラシレス永久磁石同期モータ、サーボモータ、及びリニアモータを含むが、これらに限定されない、多くの形態のダイレクトドライブモータが本発明に適している。
【0047】
上述の本発明は、健康及びフィットネス分野での使用に直接適用可能であると理解されるが、身体的リハビリテーションの分野(例えば、外科手術又は事故からの回復後)、ならびに研究分野、特に生体力学及びスポーツ科学に適用可能であるか又は有用であることも理解されよう。
【0048】
本発明の特定の実施形態が図示され、本明細書に記載されているが、当業者には、種々の代替の及び/又は均等の実装が存在することが理解されるであろう。各例示的な実施形態は、一例に過ぎず、いかなる方法でも、範囲、適用性、又は構成を限定することを意図していないことが理解されるべきである。むしろ、前述の概要及び詳細な説明は、少なくとも1つの例示的な実施形態を実施するための便利なロードマップを当業者に提供し、添付の特許請求の範囲及びそれらの法的均等物に記載された範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態に記載された要素の機能及び配置に様々な変更を加えることができることが理解される。一般に、本出願は、本明細書中で議論される特定の実施形態の任意の適合又は変形をカバーすることを意図している。
【0049】
また、本文書で使用される用語「備える」、「備えている」、「含む」、「含んでいる」、「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」及びその変形例は、包括的(すなわち、非排他的)意味で理解されることを意図したものであり、その結果、本明細書に記載されるプロセス、方法、デバイス、装置、又はシステムは、記載される特徴、整数、部分、要素、又はステップに限定されるものではなく、明示的に列挙されない、及び/又はそのようなプロセス、方法、プロセス、方法、デバイス、装置、又はシステムに固有の他の特徴、整数、部分、要素、又はステップを含み得ることが理解されるであろう。さらに、本明細書中で使用される用語「1つの(「a」及び「an」)」は、明示的に別段の記載がない限り、1つ以上を意味するものとして理解されることが意図される。さらに、用語「第1」、「第2」、「第3」などは、単にラベルとして使用されるに過ぎず、それらのオブジェクトの重要度の一定のランク付けに数値的要件を課すことを意図するものではない。加えて、上述の説明で使用される「下方」及び「上方」などの位置用語への言及は、図に示される実施形態の文脈で解釈されるべきであり、本発明を用語の文字通りの解釈に限定するものではなく、むしろ適切な文脈で当業者によって理解されるように解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】