(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-11
(54)【発明の名称】マルチレベルコンバータの制御方法
(51)【国際特許分類】
H02M 3/07 20060101AFI20221104BHJP
【FI】
H02M3/07
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568680
(86)(22)【出願日】2021-05-26
(85)【翻訳文提出日】2021-11-16
(86)【国際出願番号】 CN2021096055
(87)【国際公開番号】W WO2022083121
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】202011134919.1
(32)【優先日】2020-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512309093
【氏名又は名称】中国電子科技集団公司第十三研究所
【氏名又は名称原語表記】THE 13TH RESEARCH INSTITUTE OF CHINA ELECTRONICS TECHNOLOGY GROUP CORPORATION
【住所又は居所原語表記】NO.113 Cooperation Road,Xinhua District Shijiazhuang,Hebei 050051 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】顧 占彪
(72)【発明者】
【氏名】張 之梁
(72)【発明者】
【氏名】成 詩鵬
(72)【発明者】
【氏名】任 小永
(72)【発明者】
【氏名】徐 森鋒
(72)【発明者】
【氏名】譚 超
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA02
5H730AA20
5H730BB01
5H730DD04
5H730FD31
5H730FG05
(57)【要約】
本願は、電力技術分野に適用され、マルチレベルコンバータの制御方法を提供する。前記方法は、1駆動パルス周期内におけるLCフィルタのインダクタ電流を収集するステップと、インダクタ電流の立ち上がり期間の傾きに基づいて調節対象の第1スイッチ及び調節対象の第1スイッチのデューティ比調節量を決定し、調節対象の第1スイッチのデューティ比調節量に基づいて調節対象の第1スイッチのデューティ比を調節するステップと、インダクタ電流の立ち下がり期間の傾きに基づいて調節対象の第2スイッチ及び調節対象の第2スイッチのデューティ比調節量を決定し、調節対象の第2スイッチのデューティ比調節量に基づいて前記調節対象の第2スイッチのデューティ比を調節するステップと、を含む、本願は、LCフィルタのインダクタ電流を収集するだけでマルチレベルコンバータの各フライングキャパシタの電圧を均衡にするように制御することができ、実現方法が簡単であり、マルチレベルコンバータのレベル数の影響を受けない。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチレベルコンバータの制御方法であって、前記方法はマルチレベルコンバータに適用され、前記マルチレベルコンバータは直列に接続された少なくとも2つのスイッチ群、隣接する2つのスイッチ群の間に並列に接続されたフライングキャパシタ、及びLCフィルタを含み、各スイッチ群は第1スイッチ及び第2スイッチを含み、各スイッチ群の第1スイッチが直列に接続された第1端が外部電源の正極に接続され、各スイッチ群の第2スイッチが直列に接続された第1端が外部電源の負極に接続され、各スイッチ群の第1スイッチが直列に接続された第2端、各スイッチ群の第2スイッチが直列に接続された第2端がいずれもLCフィルタの入力端に接続され、LCフィルタの出力端が負荷を外部接続するために用いられ、ここで、隣接する2つのスイッチ群の間に並列に接続されたあるフライングキャパシタに対して、この隣接する2つのスイッチ群のそれぞれのスイッチ第1スイッチスイッチスイッチ同士の直列接続によって形成された直列接続点が当該フライングキャパシタの第1端に接続され、この隣接する2つのスイッチ群のそれぞれのスイッチ第2スイッチ同士スイッチスイッチの直列接続によって形成された直列接続点が当該フライングキャパシタの第2端に接続され、
前記マルチレベルコンバータの制御方法は、
1駆動パルス周期内における前記LCフィルタのインダクタ電流を収集するステップと、
前記インダクタ電流の立ち上がり期間の傾きに基づいて調節対象の第1スイッチ及び前記調節対象の第1スイッチのデューティ比調節量を決定し、前記調節対象の第1スイッチのデューティ比調節量に基づいて前記調節対象の第1スイッチのデューティ比を調節するステップと、
前記インダクタ電流の立ち下がり期間の傾きに基づいて調節対象の第2スイッチ及び前記調節対象の第2スイッチのデューティ比調節量を決定し、前記調節対象の第2スイッチのデューティ比調節量に基づいて前記調節対象の第2スイッチのデューティ比を調節するステップと、を含む、
ことを特徴とするマルチレベルコンバータの制御方法。
【請求項2】
前記インダクタ電流の立ち上がり期間の傾きに基づいて調節対象の第1スイッチ及び前記調節対象の第1スイッチのデューティ比調節量を決定する前記ステップは、
前記インダクタ電流の各立ち上がり期間の傾き、及び前記インダクタ電流の各立ち上がり期間の傾きの平均値を計算するステップと、
各立ち上がり期間の傾きと前記平均値との差をそれぞれ計算し、かつ最大差を決定するステップと、
前記最大差に基づいて調節対象の第1スイッチ及び前記調節対象の第1スイッチのデューティ比調節量を決定するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチレベルコンバータの制御方法。
【請求項3】
前記最大差に基づいて調節対象の第1スイッチを決定するステップは、
前記最大差に対応する立ち上がり期間を決定するステップと、
前記駆動パルス周期内における前記最大差に対応する立ち上がり期間の位置に基づいて調節対象の第1スイッチを決定するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載のマルチレベルコンバータの制御方法。
【請求項4】
前記最大差に基づいて前記調節対象の第1スイッチのデューティ比調節量を決定するステップは、
前記最大差を予め設定された比例積分制御器に入力し、前記調節対象の第1スイッチのデューティ比調節量を得るステップを含む、
ことを特徴とする請求項2に記載のマルチレベルコンバータの制御方法。
【請求項5】
1駆動パルス周期内における前記LCフィルタのインダクタ電流を収集する前に、
前記マルチレベルコンバータの予め設定された入力電圧及び予め設定された出力電圧に基づいて各第1スイッチの駆動パルスのデューティ比を設定するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチレベルコンバータの制御方法。
【請求項6】
前記マルチレベルコンバータの基準接地が外部電源の負極であれば、前記マルチレベルコンバータの予め設定された入力電圧及び予め設定された出力電圧に基づいて各第1スイッチの駆動パルスのデューティ比を設定する前記ステップは、
D=V
out/V
inを含み、
式中、Dは駆動パルスのデューティ比、V
inは予め設定された入力電圧、V
outは予め設定された出力電圧である、
ことを特徴とする請求項5に記載のマルチレベルコンバータの制御方法。
【請求項7】
前記マルチレベルコンバータの基準接地が外部電源の中間点であれば、前記マルチレベルコンバータの予め設定された入力電圧及び予め設定された出力電圧に基づいて各第1スイッチの駆動パルスのデューティ比を設定する前記ステップは、
D=V
out/V
in+0.5を含み、
式中、Dは駆動パルスのデューティ比、V
inは予め設定された入力電圧、V
outは予め設定された出力電圧である、
ことを特徴とする請求項5に記載のマルチレベルコンバータの制御方法。
【請求項8】
1駆動パルス周期内における前記LCフィルタのインダクタ電流を収集する前に、
直列に接続された各第1スイッチに対して、前記LCフィルタの入力端から前記外部電源の正極まで、360°/Nを遅延時間間隔として直列に接続された各第1スイッチの駆動パルスの位相を順次設定するステップであって、Nはスイッチ群の数であるステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチレベルコンバータの制御方法。
【請求項9】
1駆動パルス周期内における前記LCフィルタのインダクタ電流を収集する前に、
いずれかのスイッチ群に対して、第1スイッチの駆動パルスと第2スイッチの駆動パルスとを相補的に設定するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチレベルコンバータの制御方法。
【請求項10】
1駆動パルス周期内における前記LCフィルタのインダクタ電流を収集する前に、
いずれかのスイッチ群に対して、前記第1スイッチの駆動パルス及び前記第2スイッチの駆動パルスのデッドタイムを設定するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項9に記載のマルチレベルコンバータの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2020年10月21日に提出された、No.CN202011134919.1の中国特許出願の優先権を主張する。先の出願の開示は、その全体が参照により本願に組み込まれる。
【0002】
本願は、電力技術分野に属し、特に、マルチレベルコンバータの制御方法に関する。
【背景技術】
【0003】
マルチレベルコンバータは、フライングキャパシタを利用して入力電圧を直列に接続された各スイッチの間で均等に分配し、及び各スイッチの圧力を低下させる。
【0004】
しかしながら、入力電源が理想的な電圧源でないこと及びゲート駆動信号遅延が一致しないことなどの理由により、実際の動作時に、マルチレベルコンバータのフライングキャパシタの電圧が完全に均衡することができず、フライングキャパシタの電圧がその理論値からずれると、これに接続されたスイッチの応力が増大し、スイッチの破損を招きやすくなる。同時にバイアス電圧もインダクタ電流リップルを増大させ、出力電圧の品質を低下させる。現在、従来技術は主に各フライングキャパシタの電圧を直接検出する方法でバイアス電圧を制御・調整していたが、この方法ではフローティング電圧の検出が困難であり、レベル数が多い場合には検出回路が複雑になるなどの欠点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本願の実施例は、従来技術ではマルチレベルコンバータのフライングキャパシタの電圧均衡の制御が困難であるという問題を解決するために、マルチレベルコンバータの制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の実施例は、マルチレベルコンバータの制御方法を提供し、当該方法はマルチレベルコンバータに適用され、マルチレベルコンバータは直列に接続された少なくとも2つのスイッチ群、隣接する2つのスイッチ群の間に並列に接続されたフライングキャパシタ、及びLCフィルタを含み、各スイッチ群は第1スイッチ及び第2スイッチを含み、各スイッチ群の第1スイッチが直列に接続された第1端が外部電源の正極に接続され、各スイッチ群の第2スイッチが直列に接続された第1端が外部電源の負極に接続され、各スイッチ群の第1スイッチが直列に接続された第2端、各スイッチ群の第2スイッチが直列に接続された第2端がいずれもLCフィルタの入力端に接続され、LCフィルタの出力端が負荷を外部接続するために用いられ、ここで、隣接する2つのスイッチ群(以下、それぞれ「第1スイッチ群」及び「第2スイッチ群」と記すこともある)の間に並列に接続されたフライングキャパシタに対して、第1スイッチ群の第1スイッチと第2スイッチ群の第1スイッチとの直列接続によって形成された直列接続点が当該フライングキャパシタの第1端に接続され、第1スイッチ群の第2スイッチと第2スイッチ群の第2スイッチとの直列接続によって形成された直列接続点が当該フライングキャパシタの第2端に接続される。本明細書でいう「スイッチ」は、逆並列ダイオードの特徴を有するフルコントロールスイッチデバイスであってもよい。
【0007】
マルチレベルコンバータの制御方法は、
1駆動パルス周期内におけるLCフィルタのインダクタ電流を収集するステップと、
インダクタ電流の立ち上がり期間の傾きに基づいて調節対象の第1スイッチ及び調節対象の第1スイッチのデューティ比調節量を決定し、調節対象の第1スイッチのデューティ比調節量に基づいて調節対象の第1スイッチのデューティ比を調節するステップと、
インダクタ電流の立ち下がり期間の傾きに基づいて調節対象の第2スイッチ及び調節対象の第2スイッチのデューティ比調節量を決定し、調節対象の第2スイッチのデューティ比調節量に基づいて調節対象の第2スイッチのデューティ比を調節するステップと、を含む。
【0008】
選択可能に、インダクタ電流の立ち上がり期間の傾きに基づいて調節対象の第1スイッチ及び調節対象の第1スイッチのデューティ比調節量を決定するステップは、
インダクタ電流の各立ち上がり期間の傾き、及びインダクタ電流の各立ち上がり期間の傾きの平均値を計算するステップと、
各立ち上がり期間の傾きと平均値との差をそれぞれ計算し、かつ最大差を決定するステップと、
最大差に基づいて調節対象の第1スイッチ及び調節対象の第1スイッチのデューティ比調節量を決定するステップと、を含む。
【0009】
選択可能に、最大差に基づいて調節対象の第1スイッチを決定するステップは、
最大差に対応する立ち上がり期間を決定するステップと、
駆動パルス周期内における最大差に対応する立ち上がり期間の位置に基づいて調節対象の第1スイッチを決定するステップと、を含む。
【0010】
選択可能に、最大差に基づいて調節対象の第1スイッチのデューティ比調節量を決定するステップは、
最大差を予め設定された比例積分制御器に入力し、調節対象の第1スイッチのデューティ比調節量を得るステップを含む。
【0011】
選択可能に、1駆動パルス周期内におけるLCフィルタのインダクタ電流を収集する前に、
マルチレベルコンバータの予め設定された入力電圧及び予め設定された出力電圧に基づいて各第1スイッチの駆動パルスのデューティ比を設定するステップをさらに含む。
【0012】
選択可能に、マルチレベルコンバータの基準接地が外部電源の負極であれば、マルチレベルコンバータの予め設定された入力電圧及び予め設定された出力電圧に基づいて各第1スイッチの駆動パルスのデューティ比を設定するステップは、
D=Vout/Vinを含み、
式中、Dは駆動パルスのデューティ比、Vinは予め設定された入力電圧、Voutは予め設定された出力電圧である。
【0013】
選択可能に、マルチレベルコンバータの基準接地が外部電源の中間点であれば、マルチレベルコンバータの予め設定された入力電圧及び予め設定された出力電圧に基づいて各第1スイッチの駆動パルスのデューティ比を設定するステップは、
D=Vout/Vin+0.5を含み、
式中、Dは駆動パルスのデューティ比、Vinは予め設定された入力電圧、Voutは予め設定された出力電圧である。
【0014】
選択可能に、1駆動パルス周期内におけるLCフィルタのインダクタ電流を収集する前に、
直列に接続された各第1スイッチに対して、LCフィルタの入力端から外部電源の正極まで、360°/Nを遅延時間間隔として直列に接続された各第1スイッチの駆動パルスの位相を順次設定するステップであって、Nはスイッチ群の数であるステップをさらに含む。
【0015】
選択可能に、1駆動パルス周期内におけるLCフィルタのインダクタ電流を収集する前に、
いずれかのスイッチ群に対して、第1スイッチの駆動パルスと第2スイッチの駆動パルスとを相補的に設定するステップをさらに含む。
【0016】
選択可能に、1駆動パルス周期内におけるLCフィルタのインダクタ電流を収集する前に、
いずれかのスイッチ群に対して、第1スイッチの駆動パルス及び第2スイッチの駆動パルスのデッドタイムを設定するステップをさらに含む。
【発明の効果】
【0017】
本願の実施例で提供されるマルチレベルコンバータの制御方法は、1駆動パルス周期内におけるLCフィルタのインダクタ電流を収集し、かつインダクタ電流の立ち上がり期間及び立ち下がり期間の傾きに基づいて、調節が必要なスイッチ及び当該スイッチのデューティ比調節量を決定し、かつデューティ比調節量に基づいて調節が必要なスイッチのデューティ比を調整し、さらにスイッチに接続されたフライングキャパシタの電圧を変化させ、最終的にマルチレベルコンバータの各フライングキャパシタの電圧を均衡にする。本願で提供される制御方法はLCフィルタのインダクタ電流を収集するだけでマルチレベルコンバータの各フライングキャパシタの電圧を均衡にするように制御することができ、実現方法が簡単であり、マルチレベルコンバータのレベル数の影響を受けない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本願の実施例における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例又は従来技術の説明において必要とされる図面について簡単に説明するが、明らかなように、以下の説明における図面は、本願のほんの一部の実施例であり、当業者にとっては、創造的な労力を払うことなく、これらの図面から他の図面を得ることができる。
【
図1】本願の実施例で提供されるマルチレベルコンバータの構造を示す図である。
【
図2】本願の実施例で提供されるマルチレベルコンバータの制御方法の実現フローを示す図である。
【
図3】本願の実施例で提供される4レベルコンバータの構造を示す図である。
【
図4】本願の実施例で提供される4レベルコンバータの理想的な動作状態における駆動パルス及びキーパラメータ波形を示す図である。
【
図5】本願の実施例で提供される1駆動パルス周期内で4レベルコンバータを制御する前及び制御した後の駆動パルス及びキーパラメータ波形を示す図である。
【
図6】本願の実施例で提供される4レベルコンバータに対して複数の駆動パルス周期制御を行う駆動パルス及びキーパラメータ波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の説明では、限定ではなく説明のために、特定のシステム構造、技術などの特定の詳細が、本願の実施例を完全に理解するために提示される。しかしながら、本願は、これらの特定の詳細がない他の実施例においても実施され得ることは、当業者には明らかであろう。他の場合には、周知のシステム、装置、回路、及び方法の詳細な説明は、不要な詳細が本願の説明を妨げないように省略される。
【0020】
本願に記載された技術的解決手段を説明するために、以下、具体的な実施例を用いて説明する。
【0021】
本願の実施例は、マルチレベルコンバータの制御方法を提供し、当該方法はマルチレベルコンバータに適用され、
図1に示すように、マルチレベルコンバータは直列に接続された少なくとも2つのスイッチ群S
1-S
N(N≧2)、隣接する2つのスイッチ群の間に並列に接続されたフライングキャパシタC
1-C
N-1、及びLCフィルタを含む。各スイッチ群S
Nは第1スイッチS
Na及び第2スイッチS
Nbを含み、各スイッチ群の第1スイッチS
1a-S
Naが直列に接続された第1端が外部電源の正極に接続され、各スイッチ群の第2スイッチS
1b-S
Nbが直列に接続された第1端が外部電源の負極に接続され、各スイッチ群の第1スイッチS
1a-S
Naが直列に接続された第2端、各スイッチ群の第2スイッチS
1b-S
Nbが直列に接続された第2端がいずれもLCフィルタの入力端に接続され、LCフィルタの出力端が負荷Rを外部接続するために用いられる。ここで、隣接する2つのスイッチ群の間に並列に接続されたあるフライングキャパシタ、例えばC
1に対して、第1スイッチ群S
1の第1スイッチS
1aと第2スイッチ群S
2の第1スイッチS
2aとの直列接続によって形成された直列接続点が当該フライングキャパシタC
1の第1端に接続され、第1スイッチ群S
1の第2スイッチS
1bと第2スイッチ群S
2の第2スイッチS
2bとの直列接続によって形成された直列接続点が当該フライングキャパシタC
1の第2端に接続される。
【0022】
図2に示すように、本願の実施例で提供されるマルチレベルコンバータの制御方法は具体的には以下のステップを含む。
【0023】
ステップS101、1駆動パルス周期内におけるLCフィルタのインダクタ電流を収集する。
【0024】
本願の実施例では、電流センサを用いて1駆動パルス周期内におけるLCフィルタのインダクタ電流を収集することができ、直列抵抗の方式を採用し、電流サンプリング抵抗をRsense、サンプリングチップの利得をAV、コントローラアナログデジタル変換モジュールが測定した電圧をVADCとすると、インダクタ電流ILは、
IL=VADC/(Rsense*AV)である。
【0025】
ステップS102、インダクタ電流の立ち上がり期間の傾きに基づいて調節対象の第1スイッチ及び調節対象の第1スイッチのデューティ比調節量を決定し、調節対象の第1スイッチのデューティ比調節量に基づいて調節対象の第1スイッチのデューティ比を調節する。
【0026】
選択可能に、本願の実施例で提供されるマルチレベルコンバータの制御方法の具体的な一実施形態として、インダクタ電流の立ち上がり期間の傾きに基づいて調節対象の第1スイッチ及び調節対象の第1スイッチのデューティ比調節量を決定するステップは、
インダクタ電流の各立ち上がり期間の傾き、及びインダクタ電流の各立ち上がり期間の傾きの平均値を計算するステップと、
各立ち上がり期間の傾きと平均値との差をそれぞれ計算し、かつ最大差を決定するステップと、
最大差に基づいて調節対象の第1スイッチ及び調節対象の第1スイッチのデューティ比調節量を決定するステップと、を含む。
【0027】
選択可能に、本願の実施例で提供されるマルチレベルコンバータの制御方法の具体的な一実施形態として、最大差に基づいて調節対象の第1スイッチを決定するステップは、
最大差に対応する立ち上がり期間を決定するステップと、
駆動パルス周期内における最大差に対応する立ち上がり期間の位置に基づいて調節対象の第1スイッチを決定するステップと、を含む。
【0028】
選択可能に、本願の実施例で提供されるマルチレベルコンバータの制御方法の具体的な一実施形態として、最大差に基づいて調節対象の第1スイッチのデューティ比調節量を決定するステップは、
最大差を予め設定された比例積分制御器に入力し、調節対象の第1スイッチのデューティ比調節量を得るステップを含む。
【0029】
本願の実施例では、1駆動パルス周期内でフライングキャパシタにチャージされた電荷量とフライングキャパシタから放出された電荷量との総和がゼロであれば、即ちフライングキャパシタを流れる電流の積分がゼロであれば、フライングキャパシタ両端の電圧は変化しない。一方、移相PWM制御モードでは、1駆動パルス周期内の任意の時刻で、スイッチのノード電圧Vswは常にあるフライングキャパシタの電圧又はある2つのフライングキャパシタの電圧の和に対応し、かつ出力電圧がほぼ変化しないため、LCフィルタのインダクタL両端の電圧はフライングキャパシタの電圧状況を反映することができ、一方、インダクタL両端の電圧はインダクタ電流の変化率、つまりインダクタ電流ILの傾きに現れるため、インダクタ電流の傾きを制御することによりフライングキャパシタの電圧が均衡に達するように制御することができる。
【0030】
本願の実施例では、各フライングキャパシタの電圧が均衡に達すると、インダクタ電流の各立ち上がり期間の傾きは同一であるべきであり、各立ち下がり期間の傾きも同一であるべきであり、ある期間の傾きに差が生じると、当該期間に対応するフライングキャパシタの電圧が均衡しなくなることを示し、当該期間に対応するスイッチのデューティ比を調節することにより、不均衡なフライングキャパシタの電圧を調整することができる。
【0031】
ステップS103、インダクタ電流の立ち下がり期間の傾きに基づいて調節対象の第2スイッチ及び調節対象の第2スイッチのデューティ比調節量を決定し、調節対象の第2スイッチのデューティ比調節量に基づいて調節対象の第2スイッチのデューティ比を調節する。
【0032】
本願の実施例では、第2スイッチを調節する過程は、ステップS102と同様であり、即ちインダクタ電流の各立ち下がり期間の傾き、及びインダクタ電流の各立ち下がり期間の傾きの平均値を計算し、各立ち下がり期間の傾きと平均値との差をそれぞれ計算し、かつ最大差を決定し、最大差に基づいて調節対象の第2スイッチ及び調節対象の第2スイッチのデューティ比調節量を決定し、調節対象の第2スイッチのデューティ比調節量に基づいて調節対象の第2スイッチのデューティ比を調節する。具体的な実施過程は上記ステップS102を参照することができる。
【0033】
選択可能に、本願の実施例で提供されるマルチレベルコンバータの制御方法の具体的な一実施形態として、ステップS101の前に、
マルチレベルコンバータの予め設定された入力電圧及び予め設定された出力電圧に基づいて各第1スイッチS1a-SNaの駆動パルスのデューティ比を設定するステップS1001をさらに含む。
【0034】
選択可能に、本願の実施例で提供されるマルチレベルコンバータの制御方法の具体的な一実施形態として、マルチレベルコンバータの基準接地が外部電源の負極であれば、マルチレベルコンバータの予め設定された入力電圧及び予め設定された出力電圧に基づいて各第1スイッチS1a-SNaの駆動パルスのデューティ比を設定するステップは、
D=Vout/Vinを含み、
式中、Dは駆動パルスのデューティ比、Vinは予め設定された入力電圧、Voutは予め設定された出力電圧である。
【0035】
選択可能に、本願の実施例で提供されるマルチレベルコンバータの制御方法の具体的な一実施形態として、マルチレベルコンバータの基準接地が外部電源の中間点であれば、マルチレベルコンバータの予め設定された入力電圧及び予め設定された出力電圧に基づいて各第1スイッチS1a-SNaの駆動パルスのデューティ比を設定するステップは、
D=Vout/Vin+0.5を含み、
式中、Dは駆動パルスのデューティ比、Vinは予め設定された入力電圧、Voutは予め設定された出力電圧である。
【0036】
本願の実施例では、マルチレベルコンバータの予め設定された入力電圧及び予め設定された出力電圧に基づいて各第1スイッチS
1a-S
Naの駆動パルスのデューティ比を設定することにより、マルチレベルコンバータを、バイアス電圧を考慮しない場合の理想的な動作状態にする。また、
図1に示すように、マルチレベルコンバータの基準接地が外部電源の中間点であれば、入力電圧の中間点を得るために、外部電源の両端に直列に接続された2つのキャパシタC
i1及びC
i2を並列に接続する必要がある。
【0037】
選択可能に、本願の実施例で提供されるマルチレベルコンバータの制御方法の具体的な一実施形態として、ステップS101の前に、
直列に接続された各第1スイッチS1a-SNaに対して、LCフィルタの入力端から外部電源の正極まで、360°/Nを遅延時間間隔として直列に接続された各第1スイッチS1a-SNaの駆動パルスの位相を順次設定するステップS1002であって、Nはスイッチ群の数であるステップS1002をさらに含む。
【0038】
選択可能に、本願の実施例で提供されるマルチレベルコンバータの制御方法の具体的な一実施形態として、ステップS101の前に、
いずれかのスイッチ群Siに対して、第1スイッチSiaの駆動パルスと第2スイッチSibの駆動パルスとを相補的に設定し、かつ第1スイッチSiaの駆動パルス及び第2スイッチSibの駆動パルスのデッドタイムを設定するステップS1003をさらに含む。
【0039】
本願の実施例では、いずれかのスイッチ群Siに対して、第1スイッチSiaと第2スイッチSibとが常に相補的に導通し、かつ、相補的に導通する第1スイッチSiaと第2スイッチSibとの間にデッドタイムを設定することにより、デッドタイム内において、相補的に導通する第1スイッチSia及び第2スイッチSibがいずれもオフ状態となり、相補的に導通する第1スイッチSia及び第2スイッチSibが状態変化の瞬間に同時に導通し、フライングキャパシタが短絡してしまう恐れがあることを回避することができる。
【0040】
例示的には、以下、直流-直流変換の4レベルコンバータによって本願の実施例で提供されるマルチレベルコンバータの制御方法を説明する。
【0041】
図3に示すように、4レベルコンバータは3つのスイッチ群S
1、S
2、S
3を有し、当該4レベルコンバータの具体的なパラメータを表1に示す。
【0042】
【0043】
まず4レベルコンバータの第1スイッチS1a、S2a、S3a及び第2スイッチS1b、S2b、S3bの駆動パルスを設定し、以下を含み、
(1)第1スイッチS1a、S2a、S3aの駆動パルスのデューティ比を設定する。
4レベルコンバータの基準接地が外部直流電源の負極であるので、式D=Vout/Vinから駆動パルスのデューティ比を0.25と計算する。
(2)第1スイッチS1a、S2a、S3aの駆動パルスの位相関係をS2aがS1a120°遅れ、S3aがS2a120°遅れるように設定する。
(3)S1bの駆動パルスをS1aと相補的に設定し、S2bの駆動パルスをS2aと相補的に設定し、S3bの駆動パルスをS3aと相補的に設定し、かつ一定のデッドタイムを確保し、S1a、S2a、S3aの駆動パルスが決定されるので、S1b、S2b、S3bの駆動パルスも決定することができる。
【0044】
4レベルコンバータが理想的な状態で動作する場合、第1スイッチS
1a、S
2a、S
3aの駆動パルス及び4レベルコンバータにおけるキーパラメータ波形は
図4に示され、フライングキャパシタC
1及びC
2の電圧が均衡しているとき、即ちI
C1がフライングキャパシタC
1にチャージする電荷量とフライングキャパシタC
1から放出する電荷量とが等しく、I
C2がフライングキャパシタC
2にチャージする電荷量とフライングキャパシタC
2から放出する電荷量とが等しいとき、各スイッチのノード電圧V
swが同一であり、つまりフライングキャパシタC
1及びフライングキャパシタC
2の電圧が均衡しており、その分、インダクタ電流I
Lの各立ち上がり期間の傾きk
Lup1、k
Lup2、k
Lup3が同一であり、各立ち下がり期間の傾きk
Ldn1、k
Ldn2、k
Ldn3が同一であることが分かる。しかしながら、実際の応用では、入力電源が理想的な電圧源でないこと及びゲート駆動信号遅延が一致しないことなどの理由により、フライングキャパシタC
1及びフライングキャパシタC
2の電荷は完全に一致することができず、さらにインダクタ電流I
Lの傾きに差が生じてしまう。
【0045】
本願の実施例で提供される4レベルコンバータは、インダクタ電流の立ち下がり期間において、インダクタ両端の電圧がいずれも出力電圧であり、出力電圧が変化しないと考えられるため、インダクタ電流の立ち下がりの傾きが常に同一であるため、立ち上がり期間の傾きを制御すればよい。
【0046】
図5に示すように、1駆動パルス周期内における4レベルコンバータのLCフィルタのインダクタ電流を収集し、インダクタ電流の各立ち上がり期間の傾きk
Lup1、k
Lup2、k
Lup3、及びk
Lup1、k
Lup2、k
Lup3の平均値を計算し、k
Lup1、k
Lup2、k
Lup3と平均値との差をそれぞれ計算し、かつ最大差を決定することで、傾きk
Lup2に大きな差が生じることが分かるので、最大差を予め設定された比例積分制御器に入力し、デューティ比調節量を得て、かつデューティ比調節量に基づいて傾きk
Lup2に対応する第1スイッチS
2aのデューティ比を調節する。本実施例では、制御効率を向上させるために、デューティ比調節量に基づいてS
1a、S
2aのデューティ比を同時に調節し、即ちS
1aのデューティ比を小さくし、S
2aのデューティ比を大きくし、実際の応用ではS
2aのデューティ比のみを調節してもよい。
【0047】
図5から分かるように、1駆動パルス周期内において、S
1aの駆動パルスのデューティ比を小さくし、S
2aの駆動パルスのデューティ比を大きくすることにより、さらにフライングキャパシタC
1の電荷量Q
C1を増大させ、その分、傾きk
Lup2と傾きk
Lup1、k
Lup3との間の差も小さくなっている。
図6に示すように、複数の駆動パルス周期の調節により、各立ち上がり期間の傾きk
Lup1、k
Lup2、k
Lup3は徐々に等しくなり、最終的に電圧がシフトしたフライングキャパシタは理論的な定常値に補正される。
【0048】
なお、以上は直流-直流変換の4レベルコンバータの制御過程のみを示したが、直流-直流変換のマルチレベルコンバータ又は交流-直流変換のマルチレベルコンバータについても、本願の実施例で提供されるマルチレベルコンバータの制御方法を用いて制御することもでき、制御過程は上記実施例の制御過程と同様であるので、本願はここでは説明を省略する。
【0049】
以上のことから分かるように、本願の実施例で提供されるマルチレベルコンバータの制御方法は、1駆動パルス周期内におけるLCフィルタのインダクタ電流を収集し、かつインダクタ電流の立ち上がり期間及び立ち下がり期間の傾きに基づいて調節が必要なスイッチ及び当該スイッチのデューティ比調節量を決定し、及びデューティ比調節量に基づいて調節が必要なスイッチのデューティ比を調整し、さらにスイッチに接続されたフライングキャパシタの電圧を変化させ、最終的にマルチレベルコンバータの各フライングキャパシタ電圧を均衡にする。本願はLCフィルタのインダクタ電流を収集するだけでマルチレベルコンバータの各フライングキャパシタの電圧を均衡にするように制御することができ、実現方法が簡単であり、マルチレベルコンバータのレベル数の影響を受けない。
【0050】
上記実施例における各ステップのシーケンス番号の大きさは、実行順序の前後を意味するものではなく、各過程の実行順序は、その機能と内在する論理で決定されるべきであり、本願の実施例の実施過程を何ら限定するものではないことを理解されたい。
【0051】
上記の実施例は、本願の技術的解決手段を説明するためのものにすぎず、本願を限定するものではない。前述した実施例を参照して本願を詳細に説明したが、当業者であれば理解できるように、前述した各実施例に記載された技術的解決手段を変更してもよいし、その技術的特徴の一部を均等に置き換えてもよいが、これらの変更又は置き換えは、対応する技術的解決手段の本質を本願の各実施例の技術的解決手段の精神と範囲から逸脱させるものではなく、全て本願の保護範囲に含まれるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2022-05-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチレベルコンバータの制御方法であって、前記方法はマルチレベルコンバータに適用され、前記マルチレベルコンバータは直列に接続された少なくとも2つのスイッチ群、隣接する2つのスイッチ群の間に並列に接続されたフライングキャパシタ、及びLCフィルタを含み、各スイッチ群は第1スイッチ及び第2スイッチを含み、各スイッチ群の第1スイッチが直列に接続された第1端が外部電源の正極に接続され、各スイッチ群の第2スイッチが直列に接続された第1端が外部電源の負極に接続され、各スイッチ群の第1スイッチが直列に接続された第2端、各スイッチ群の第2スイッチが直列に接続された第2端がいずれもLCフィルタの入力端に接続され、LCフィルタの出力端が負荷を外部接続するために用いられ、ここで、隣接する2つのスイッチ群の間に並列に接続されたあるフライングキャパシタに対して、この隣接する2つのスイッチ群のそれぞれのスイッチ第1スイッチスイッチスイッチ同士の直列接続によって形成された直列接続点が当該フライングキャパシタの第1端に接続され、この隣接する2つのスイッチ群のそれぞれのスイッチ第2スイッチ同士スイッチスイッチの直列接続によって形成された直列接続点が当該フライングキャパシタの第2端に接続され、
前記マルチレベルコンバータの制御方法は、
1駆動パルス周期内における前記LCフィルタのインダクタ電流を収集するステップと、
前記インダクタ電流の立ち上がり期間の傾きに基づいて調節対象の第1スイッチ及び前記調節対象の第1スイッチのデューティ比調節量を決定し、前記調節対象の第1スイッチのデューティ比調節量に基づいて前記調節対象の第1スイッチのデューティ比を調節するステップと、
前記インダクタ電流の立ち下がり期間の傾きに基づいて調節対象の第2スイッチ及び前記調節対象の第2スイッチのデューティ比調節量を決定し、前記調節対象の第2スイッチのデューティ比調節量に基づいて前記調節対象の第2スイッチのデューティ比を調節するステップと、を含
み、
前記インダクタ電流の立ち上がり期間の傾きに基づいて調節対象の第1スイッチ及び前記調節対象の第1スイッチのデューティ比調節量を決定するステップは、
前記インダクタ電流の各立ち上がり期間の傾き、及び前記インダクタ電流の各立ち上がり期間の傾きの平均値を計算し、第1平均値を得るステップと、
各立ち上がり期間の傾きと前記第1平均値との差をそれぞれ計算し、得られた差のうちの最大値を第1最大差として決定するステップと、
前記駆動パルス周期内における前記第1最大差に対応する立ち上がり期間の位置に基づいて調節対象の第1スイッチを決定するステップと、
前記第1最大差を予め設定された比例積分制御器に入力し、前記調節対象の第1スイッチのデューティ比調節量を得るステップと、を含み、
前記インダクタ電流の立ち下がり期間の傾きに基づいて調節対象の第2スイッチ及び前記調節対象の第2スイッチのデューティ比調節量を決定するステップは、
前記インダクタ電流の各立ち下がり期間の傾き、及び前記インダクタ電流の各立ち下がり期間の傾きの平均値を計算し、第2平均値を得るステップと、
各立ち下がり期間の傾きと前記第2平均値との差をそれぞれ計算し、得られた差のうちの最大値を第2最大差として決定するステップと、
前記駆動パルス周期内における前記第2最大差に対応する立ち下がり期間の位置に基づいて調節対象の第2スイッチを決定するステップと、
前記第2最大差を予め設定された比例積分制御器に入力し、前記調節対象の第2スイッチのデューティ比調節量を得るステップと、を含む、
ことを特徴とするマルチレベルコンバータの制御方法。
【請求項2】
1駆動パルス周期内における前記LCフィルタのインダクタ電流を収集する前に、
前記マルチレベルコンバータの予め設定された入力電圧及び予め設定された出力電圧に基づいて各第1スイッチの駆動パルスのデューティ比を設定するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチレベルコンバータの制御方法。
【請求項3】
前記マルチレベルコンバータの基準接地が外部電源の負極であれば、前記マルチレベルコンバータの予め設定された入力電圧及び予め設定された出力電圧に基づいて各第1スイッチの駆動パルスのデューティ比を設定する前記ステップは、
D=V
out/V
inを含み、
式中、Dは駆動パルスのデューティ比、V
inは予め設定された入力電圧、V
outは予め設定された出力電圧である、
ことを特徴とする請求項
2に記載のマルチレベルコンバータの制御方法。
【請求項4】
前記マルチレベルコンバータの基準接地が外部電源の中間点であれば、前記マルチレベルコンバータの予め設定された入力電圧及び予め設定された出力電圧に基づいて各第1スイッチの駆動パルスのデューティ比を設定する前記ステップは、
D=V
out/V
in+0.5を含み、
式中、Dは駆動パルスのデューティ比、V
inは予め設定された入力電圧、V
outは予め設定された出力電圧である、
ことを特徴とする請求項
2に記載のマルチレベルコンバータの制御方法。
【請求項5】
1駆動パルス周期内における前記LCフィルタのインダクタ電流を収集する前に、
直列に接続された各第1スイッチに対して、前記LCフィルタの入力端から前記外部電源の正極まで、360°/Nを遅延時間間隔として直列に接続された各第1スイッチの駆動パルスの位相を順次設定するステップであって、Nはスイッチ群の数であるステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチレベルコンバータの制御方法。
【請求項6】
1駆動パルス周期内における前記LCフィルタのインダクタ電流を収集する前に、
いずれかのスイッチ群に対して、第1スイッチの駆動パルスと第2スイッチの駆動パルスとを相補的に設定するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチレベルコンバータの制御方法。
【請求項7】
1駆動パルス周期内における前記LCフィルタのインダクタ電流を収集する前に、
いずれかのスイッチ群に対して、前記第1スイッチの駆動パルス及び前記第2スイッチの駆動パルスのデッドタイムを設定するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項
6に記載のマルチレベルコンバータの制御方法。
【手続補正書】
【提出日】2022-10-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチレベルコンバータの制御方法であって、前記方法はマルチレベルコンバータに適用され、前記マルチレベルコンバータは直列に接続された少なくとも2つのスイッチ群、隣接する2つのスイッチ群の間に並列に接続されたフライングキャパシタ、及びLCフィルタを含み、各スイッチ群は第1スイッチ及び第2スイッチを含み、各スイッチ群の第1スイッチが直列に接続された第1端が外部電源の正極に接続され、各スイッチ群の第2スイッチが直列に接続された第1端が外部電源の負極に接続され、各スイッチ群の第1スイッチが直列に接続された第2端、各スイッチ群の第2スイッチが直列に接続された第2端がいずれもLCフィルタの入力端に接続され、LCフィルタの出力端が負荷を外部接続するために用いられ、ここで、隣接する2つのスイッチ群の間に並列に接続されたあるフライングキャパシタに対して、この隣接する2つのスイッチ群のそれぞれの
第1スイッチ同士の直列接続によって形成された直列接続点が当該フライングキャパシタの第1端に接続され、この隣接する2つのスイッチ群のそれぞれの
第2スイッチ同士の直列接続によって形成された直列接続点が当該フライングキャパシタの第2端に接続され、
前記マルチレベルコンバータの制御方法は、
1駆動パルス周期内における前記LCフィルタのインダクタ電流を収集するステップと、
前記インダクタ電流の立ち上がり期間の傾きに基づいて調節対象の第1スイッチ及び前記調節対象の第1スイッチのデューティ比調節量を決定し、前記調節対象の第1スイッチのデューティ比調節量に基づいて前記調節対象の第1スイッチのデューティ比を調節するステップと、
前記インダクタ電流の立ち下がり期間の傾きに基づいて調節対象の第2スイッチ及び前記調節対象の第2スイッチのデューティ比調節量を決定し、前記調節対象の第2スイッチのデューティ比調節量に基づいて前記調節対象の第2スイッチのデューティ比を調節するステップと、を含み、
前記インダクタ電流の立ち上がり期間の傾きに基づいて調節対象の第1スイッチ及び前記調節対象の第1スイッチのデューティ比調節量を決定するステップは、
前記インダクタ電流の各立ち上がり期間の傾き、及び前記インダクタ電流の各立ち上がり期間の傾きの平均値を計算し、第1平均値を得るステップと、
各立ち上がり期間の傾きと前記第1平均値との差をそれぞれ計算し、得られた差のうちの最大値を第1最大差として決定するステップと、
前記駆動パルス周期内における前記第1最大差に対応する立ち上がり期間の位置に基づいて調節対象の第1スイッチを決定するステップと、
前記第1最大差を予め設定された比例積分制御器に入力し、前記調節対象の第1スイッチのデューティ比調節量を得るステップと、を含み、
前記インダクタ電流の立ち下がり期間の傾きに基づいて調節対象の第2スイッチ及び前記調節対象の第2スイッチのデューティ比調節量を決定するステップは、
前記インダクタ電流の各立ち下がり期間の傾き、及び前記インダクタ電流の各立ち下がり期間の傾きの平均値を計算し、第2平均値を得るステップと、
各立ち下がり期間の傾きと前記第2平均値との差をそれぞれ計算し、得られた差のうちの最大値を第2最大差として決定するステップと、
前記駆動パルス周期内における前記第2最大差に対応する立ち下がり期間の位置に基づいて調節対象の第2スイッチを決定するステップと、
前記第2最大差を予め設定された比例積分制御器に入力し、前記調節対象の第2スイッチのデューティ比調節量を得るステップと、を含む、
ことを特徴とするマルチレベルコンバータの制御方法。
【請求項2】
1駆動パルス周期内における前記LCフィルタのインダクタ電流を収集する前に、
前記マルチレベルコンバータの予め設定された入力電圧及び予め設定された出力電圧に基づいて各第1スイッチの駆動パルスのデューティ比を設定するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチレベルコンバータの制御方法。
【請求項3】
前記マルチレベルコンバータの基準接地が外部電源の負極であれば、前記マルチレベルコンバータの予め設定された入力電圧及び予め設定された出力電圧に基づいて各第1スイッチの駆動パルスのデューティ比を設定する前記ステップは、
D=V
out/V
inを含み、
式中、Dは駆動パルスのデューティ比、V
inは予め設定された入力電圧、V
outは予め設定された出力電圧である、
ことを特徴とする請求項2に記載のマルチレベルコンバータの制御方法。
【請求項4】
前記マルチレベルコンバータの基準接地が外部電源の中間点であれば、前記マルチレベルコンバータの予め設定された入力電圧及び予め設定された出力電圧に基づいて各第1スイッチの駆動パルスのデューティ比を設定する前記ステップは、
D=V
out/V
in+0.5を含み、
式中、Dは駆動パルスのデューティ比、V
inは予め設定された入力電圧、V
outは予め設定された出力電圧である、
ことを特徴とする請求項2に記載のマルチレベルコンバータの制御方法。
【請求項5】
1駆動パルス周期内における前記LCフィルタのインダクタ電流を収集する前に、
直列に接続された各第1スイッチに対して、前記LCフィルタの入力端から前記外部電源の正極まで、360°/Nを遅延時間間隔として直列に接続された各第1スイッチの駆動パルスの位相を順次設定するステップであって、Nはスイッチ群の数であるステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチレベルコンバータの制御方法。
【請求項6】
1駆動パルス周期内における前記LCフィルタのインダクタ電流を収集する前に、
いずれかのスイッチ群に対して、第1スイッチの駆動パルスと第2スイッチの駆動パルスとを相補的に設定するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチレベルコンバータの制御方法。
【請求項7】
1駆動パルス周期内における前記LCフィルタのインダクタ電流を収集する前に、
いずれかのスイッチ群に対して、前記第1スイッチの駆動パルス及び前記第2スイッチの駆動パルスのデッドタイムを設定するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項6に記載のマルチレベルコンバータの制御方法。
【国際調査報告】