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特表2022-547247循環器系にドッキングするための適応可能なデバイスおよびシステム、並びに、その方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-11
(54)【発明の名称】循環器系にドッキングするための適応可能なデバイスおよびシステム、並びに、その方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20221104BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576673
(86)(22)【出願日】2020-09-10
(85)【翻訳文提出日】2021-12-23
(86)【国際出願番号】 US2020050059
(87)【国際公開番号】W WO2021050637
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】62/900,059
(32)【優先日】2019-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500218127
【氏名又は名称】エドワーズ ライフサイエンシーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Edwards Lifesciences Corporation
【住所又は居所原語表記】One Edwards Way, Irvine, CALIFORNIA 92614, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ニコライ・グロヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ブキン
(72)【発明者】
【氏名】ボアズ・マナッシュ
(72)【発明者】
【氏名】イーソン・マイケル・アボット
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ジェイ・デロシアーズ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティーヌ・マリー・ヘイニンク-ヤンツ
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB01
4C097BB09
4C097CC05
4C097CC16
4C097DD09
4C097DD10
4C097SB03
(57)【要約】
様々な血管系形態内にデバイスを配置するためのデバイス、システム、およびその方法が提供される。拡張可能なデバイスは、局所的な血管系の形態に適応することができ、それでも制御された内径を提供することができる。下大静脈および上大静脈内に配置するためのデバイスが記載されている。デバイスを利用するためのシステムおよび方法についても説明されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管系内に移植するための拡張可能なデバイスであって、
多数のセルを形成する多数の支柱を備えた中央コアであって、前記セルが中央コアを取り囲む円周を形成し、
該中央コアが、半径方向外向きに非拡張状態から拡張状態に拡張することができ、
該中央コアが拡張状態である場合に、該中央コアが制御された内径を有する、
中央コアと、
前記中央コアから離れて延在する複数の付属肢であって、それぞれの付属肢が、少なくとも1つの支柱によって形成され、他の付属肢から独立しており、
それぞれの付属肢の先端が前記中央コアの外周を越えて半径方向外向きに延在するように、それぞれの付属肢が、半径方向外向きに非拡張状態から拡張状態に独立して拡張することができる、
複数の付属肢と、
を含んでなることを特徴とする、拡張可能なデバイス。
【請求項2】
拡張状態における前記中央コアの制御された内径が15から35mmの間であることを特徴とする、請求項1に記載の拡張可能なデバイス。
【請求項3】
拡張状態における前記中央コアの制御された内径が、15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、20mm、21mm、22mm、23mm、24mm、25mm、26mm、27mm、28mm、29mm、30mm、31mm、32mm、33mm、34mm、または35mmであることを特徴とする、請求項1または2に記載の拡張可能なデバイス。
【請求項4】
非拡張状態における前記中央コアの長さは、拡張状態より長いことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の拡張可能なデバイス。
【請求項5】
少なくとも1つの前記支柱の幅または厚さが変化することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の拡張可能なデバイス。
【請求項6】
少なくとも1つの前記付属肢が単一の支柱によって形成されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の拡張可能なデバイス。
【請求項7】
少なくとも1つの前記付属肢が、前記付属肢の先端で接続する少なくとも2つの支柱によって形成されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の拡張可能なデバイス。
【請求項8】
少なくとも1つの前記付属肢がV字形を形成していることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の拡張可能なデバイス。
【請求項9】
少なくとも1つの前記付属肢がY字型を形成していることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の拡張可能なデバイス。
【請求項10】
少なくとも1つの前記付属肢が先端にオリフィスを有していることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の拡張可能なデバイス。
【請求項11】
少なくとも1つの前記付属肢が先端にフックを有していることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の拡張可能なデバイス。
【請求項12】
前記中央コアまたは付属肢内に放射線不透過性部分をさらに含むことを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の拡張可能なデバイス。
【請求項13】
前記中央コアおよび付属肢が、高ラジアル強度材料で作成されていることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の拡張可能なデバイス。
【請求項14】
前記高ラジアル強度材料がコバルトクロムまたはステンレス鋼であることを特徴とする、請求項13に記載の拡張可能なデバイス。
【請求項15】
前記中央コアおよび付属肢が自己拡張性材料で作成されていることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の拡張可能なデバイス。
【請求項16】
前記自己拡張性材料がニチノールであることを特徴とする、請求項15に記載の拡張可能なデバイス。
【請求項17】
カバーが前記中央コア内に組み込まれていることを特徴とする、請求項1~16のいずれか一項に記載の拡張可能なデバイス。
【請求項18】
前記カバーが中央の支柱に固定されていることを特徴とする、請求項17に記載の拡張可能なデバイス。
【請求項19】
前記カバーが血液に対して不浸透性であることを特徴とする、請求項17または18に記載の拡張可能なデバイス。
【請求項20】
前記カバーが生体適合性布であることを特徴とする、請求項17~19のいずれか一項に記載の拡張可能なデバイス。
【請求項21】
前記カバーが人工生体組織であることを特徴とする、請求項17~19のいずれか一項に記載の拡張可能なデバイス。
【請求項22】
前記カバーが、複数の付属肢内にさらに組み込まれ、展開部位で内壁に係合することができるシール部分を含むことを特徴とする、請求項17~21のいずれか一項に記載の拡張可能なデバイス。
【請求項23】
前記中央コアがプロテーゼと係合するように構成されていることを特徴とする、請求項1~22のいずれか一項に記載の拡張可能なデバイス。
【請求項24】
前記中央コアが、人工弁を配置するように構成された弁座を含むことを特徴とする、請求項1~23のいずれか一項に記載の拡張可能なデバイス。
【請求項25】
前記人工弁の外周が前記中央コアの内周と互換性があることを特徴とする、請求項24に記載の拡張可能なデバイス。
【請求項26】
前記人工弁の外径が、15mmから35mmの間であることを特徴とする、請求項24または25に記載の拡張可能なデバイス。
【請求項27】
前記人工弁の外径が、15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、20mm、21mm、22mm、23mm、24mm、25mm、26mm、27mm、28mm、29mm、30mm、31mm、32mm、33mm、34mm、または35mmであることを特徴とする、請求項24~26のいずれか一項に記載の拡張可能なデバイス。
【請求項28】
前記中央コアおよび複数の付属肢が圧着状態にあるとき、前記中央コアおよび複数の付属肢が、カテーテル内に挿入されるように構成されていることを特徴とする、請求項1~27のいずれか一項に記載の拡張可能なデバイス。
【請求項29】
前記拡張状態にあるとき、それぞれの付属肢の先端が、展開部位で内壁に係合することができることを特徴とする、請求項1~28のいずれか一項に記載の拡張可能なデバイス。
【請求項30】
前記内壁が血管系の管腔壁であることを特徴とする、請求項29に記載の拡張可能なデバイス。
【請求項31】
展開部位の血管系が膨張されていることを特徴とする、請求項30に記載の拡張可能なデバイス。
【請求項32】
展開部位の血管系が動脈瘤を経験していることを特徴とする、請求項31に記載の拡張可能なデバイス。
【請求項33】
拡張可能なデバイスを埋め込む方法であって、
拡張可能なデバイスを展開部位に送達するステップであって、
前記拡張可能なデバイスが、中央コアと前記中央コアから離れて延在する複数の付属肢とを備え、
前記中央コアが、多数のセルを形成する多数の支柱を含み、前記セルが前記中央コアを取り囲む円周を形成し、
それぞれの付属肢が、少なくとも1つの支柱によって形成され、他の付属肢から独立しており、
前記拡張可能なデバイスが、非拡張状態で送達される、
前記拡張可能なデバイスを送達するステップと、
前記拡張可能なデバイスを非拡張状態から拡張された状態に拡張するステップであって、前記中央コアが制御された内径に拡張され、前記複数の付属肢のそれぞれの付属肢の各先端が前記中央コアの外周を越えて拡張されるように、前記拡張可能なデバイスを拡張するステップと、
を含んでなることを特徴とする、方法。
【請求項34】
拡張状態における前記中央コアの制御された内径が、15から35mmの間であることを特徴とする、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
拡張状態における前記中央コアの制御された内径が、15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、20mm、21mm、22mm、23mm、24mm、25mm、26mm、27mm、28mm、29mm、30mm、31mm、32mm、33mm、34mm、または35mmであることを特徴とする、請求項33または34に記載の方法。
【請求項36】
非拡張状態における前記中央コアの長さが、拡張状態より長いことを特徴とする、請求項33~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記拡張可能なデバイスの放射線不透過性部分を利用して前記拡張可能なデバイスの拡張を監視するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項33~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記拡張可能なデバイスが膨張可能なバルーンによって拡張されることを特徴とする、請求項33~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記拡張可能なデバイスが機械的に拡張されることを特徴とする、請求項33~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記拡張可能なデバイスが自己拡張可能であることを特徴とする、請求項33~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記展開部位が哺乳動物の血管系内にあることを特徴とする、請求項33~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記展開部位が擬人化されたファントム内にあることを特徴とする、請求項33~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記複数の付属肢のうちの少なくとも1つの付属肢を前記展開部位で内壁に係合させることをさらに含むことを特徴とする、請求項33~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
人工弁の外側が前記中央コア内の弁座と係合するように、前記中央コアの内周内で前記人工弁を拡張させるステップをさらに含むことを特徴とする、請求項33~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
多数のセルを形成する多数の支柱を備えた中央セクションであって、前記セルが中央セクションを取り囲む円周を形成し、
該中央セクションが、半径方向外向きに非拡張状態から拡張状態に拡張することができ、
該中央セクションが拡張状態である場合に、該中央セクションが内径を有する弁座を含む、
中央セクションと、
流入セクションと、
肘のような構造に外側に曲げられたアームを組み込んだ流出セクションと、
を含んでなる、血管系内に移植するためのドッキングステーションにおいて、
前記中央セクションは、前記流入セクションと前記流出セクションとに接続され、それらの間に接続され、
前記流入セクションおよび前記流出セクションは、半径方向外向きに非拡張状態から拡張状態に拡張することができ、
前記流入セクションおよび前記流出セクションの外周は、それぞれ前記中央セクションの外周よりも大きいことを特徴とする、ドッキングステーション。
【請求項46】
拡張状態における前記弁座の内径が、15から35mmの間であることを特徴とする、請求項45に記載のドッキングステーション。
【請求項47】
拡張状態における前記弁座の内径が、15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、20mm、21mm、22mm、23mm、24mm、25mm、26mm、27mm、28mm、29mm、30mm、31mm、32mm、33mm、34mm、または35mmであることを特徴とする、請求項45または46に記載のドッキングステーション。
【請求項48】
非拡張状態における前記ドッキングステーションの長さが、拡張状態より長いことを特徴とする、請求項45~47のいずれか一項に記載のドッキングステーション。
【請求項49】
少なくとも1つの前記支柱の幅または厚さが変化することを特徴とする、請求項45~48のいずれか一項に記載のドッキングステーション。
【請求項50】
前記アームが多数の支柱によって形成されたセルであることを特徴とする、請求項45~49のいずれか一項に記載のドッキングステーション。
【請求項51】
前記流出セクションが、多数のセルを形成する多数の支柱を含み、前記セルが前記流出セクションにギャップが形成されるように前記流出セクションを部分的に取り囲む円周を形成していることを特徴とする、請求項45~50のいずれか一項に記載のドッキングステーション。
【請求項52】
前記アームが前記ギャップ内に配置されていることを特徴とする、請求項51に記載のドッキングステーション。
【請求項53】
前記流入セクションが、多数のセルを形成する多数の支柱を含み、前記セルが前記流入セクションを取り囲む円周を形成していることを特徴とする、請求項45~52のいずれか一項に記載のドッキングステーション。
【請求項54】
当該ドッキングステーション内に統合された少なくとも1つの放射線不透過性部分をさらに含むことを特徴とする、請求項45~53のいずれか一項に記載のドッキングステーション。
【請求項55】
前記少なくとも1つの放射線不透過性部分が、湾曲したアームがX線撮影を使用して識別できるように組み込まれていることを特徴とする、請求項54に記載のドッキングステーション。
【請求項56】
当該ドッキングステーションが自己拡張性材料で作成されていることを特徴とする、請求項46~55のいずれか一項に記載のドッキングステーション。
【請求項57】
前記自己拡張性材料がニチノールであることを特徴とする、請求項56に記載のドッキングステーション。
【請求項58】
カバーが当該ドッキングステーション内に組み込まれていることを特徴とする、請求項45~57のいずれか一項に記載のドッキングステーション。
【請求項59】
前記カバーが、前記中央セクションの支柱に固定され、さらに、縫合糸を介して前記流入セクションに固定されていることを特徴とする、請求項58に記載のドッキングステーション。
【請求項60】
前記カバーが血液に対して不浸透性であることを特徴とする、請求項58または59に記載のドッキングステーション。
【請求項61】
前記カバーが生体適合性布であることを特徴とする、請求項58~60のいずれか一項に記載のドッキングステーション。
【請求項62】
前記カバーが人工生体組織であることを特徴とする、請求項58~60のいずれか一項に記載のドッキングステーション。
【請求項63】
展開部位において内壁と係合し得るシール部分が、前記カバー上に形成されていることを特徴とする、請求項58~62のいずれか一項に記載のドッキングステーション。
【請求項64】
前記弁座が人工弁を配置するように構成されていることを特徴とする、請求項46~63のいずれか一項に記載のドッキングステーション。
【請求項65】
前記人工弁の外周が前記弁座の内周と互換性があることを特徴とする、請求項64に記載のドッキングステーション。
【請求項66】
前記人工弁の外径が、15mmから35mmの間であることを特徴とする、請求項64または65に記載のドッキングステーション。
【請求項67】
前記人工弁の外径が、15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、20mm、21mm、22mm、23mm、24mm、25mm、26mm、27mm、28mm、29mm、30mm、31mm、32mm、33mm、34mm、または35mmであることを特徴とする、請求項64~66のいずれか一項に記載のドッキングステーション。
【請求項68】
当該ドッキングステーションが圧着状態にあるとき、当該ドッキングステーションがカテーテル内に挿入されるように構成されていることを特徴とする、請求項45~67のいずれか一項に記載のドッキングステーション。
【請求項69】
拡張状態にあるとき、前記流入セクションおよび前記流出セクションが、展開部位で内壁に係合することができることを特徴とする、請求項46~68のいずれか一項に記載のドッキングステーション。
【請求項70】
前記内壁が血管系の管腔壁であることを特徴とする、請求項69に記載のドッキングステーション。
【請求項71】
展開部位の血管系が下大静脈または上大静脈であることを特徴とする、請求項70に記載のドッキングステーション。
【請求項72】
前記アームが右心房内の壁と係合するように構成されていることを特徴とする、請求項71に記載のドッキングステーション。
【請求項73】
ドッキングステーションを移植する方法であって、
ドッキングステーションを展開部位に送達するステップであって、
前記ドッキングステーションが、中央セクション、流入セクション、流出セクション、およびアームを含み、
前記中央セクションが、多数のセルを形成する多数の支柱を含み、前記セルが前記中央セクションを取り囲む円周を形成し、
前記流入セクションが、多数のセルを形成する多数の支柱を含み、前記セルが前記流入セクションを取り囲む円周を形成し、
前記流出セクションが、多数のセルを形成する多数の支柱を含み、前記流出セクションにギャップが形成されるように、前記セルが前記流出セクションを部分的に取り囲む円周を形成し、
前記アームが前記ギャップの中に配置され、肘のような形に曲げることができ、
前記中央セクションは、前記流入セクションと前記流出セクションとに接続され、それらの間に接続されており、
拡張可能なデバイスが、非拡張状態で送達される、
ドッキングステーションを送達するステップと、
前記ドッキングステーションを非拡張状態から拡張された状態に拡張するステップであって、前記中央セクションが拡張されて内径を有する弁座を形成し、さらに、前記流入セクションおよび前記流出セクションの外周がそれぞれ前記中央セクションの外周よりも大きくなるように、前記ドッキングステーションを拡張するステップと、
を含んでなることを特徴とする、方法。
【請求項74】
拡張状態における前記弁座の内径が、15から35mmの間であることを特徴とする、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
拡張状態における前記弁座の内径が、15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、20mm、21mm、22mm、23mm、24mm、25mm、26mm、27mm、28mm、29mm、30mm、31mm、32mm、33mm、34mm、または35mmであることを特徴とする、請求項73または74に記載の方法。
【請求項76】
非拡張状態における前記ドッキングステーションの長さは、拡張状態より長いことを特徴とする、請求項73~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記拡張可能なデバイスの放射線不透過性部分を利用してドッキングステーションの拡張を監視するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項73~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記拡張可能なデバイスが自己拡張可能であることを特徴とする、請求項73~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記展開部位が哺乳動物の血管系内にあることを特徴とする、請求項73~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記展開部位が下大静脈または上大静脈であることを特徴とする、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記展開部位で内腔壁を流入セクションと係合させ、右心房壁を前記アームと係合させるステップをさらに含むことを特徴とする、請求項73~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記展開部位が擬人化されたファントム内にあることを特徴とする、請求項73~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記展開部位の内腔内壁を前記流入セクションと係合させるステップをさらに含むことを特徴とする、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
人工弁の外壁が前記弁座と係合するように前記弁座内で前記人工弁を拡張するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項73~83のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、概して、循環系内にドッキングするためのデバイスおよびシステムに向けられ、より具体的には、形状を局所環境に適応させるデバイスおよびシステムに向けられる。
【背景技術】
【0002】
様々な心臓および循環障害を治療するために、いくつかのプロテーゼが利用され得る。例えば、人工心臓弁は、弁閉鎖不全症などの弁膜症を治療するために利用され得る。同様に、プロテーゼは動脈瘤の修復またはバイパスに役立ち得る。
【0003】
侵襲性が低く、様々な外科的処置(例えば、開心術)に関連する合併症を軽減し得る方法で、カテーテルを使用してプロテーゼを導入および移植するための経カテーテル技術がある。この技術では、プロテーゼを圧着状態でカテーテルの端部に取り付け、プロテーゼが移植部位に到達するまで患者の血管を通って前進させることができる。次に、カテーテル先端のプロテーゼは、バルーンを膨張させたり、自己拡張型のステントまたはフレームを利用することによって、修復部位でその機能的なサイズに拡張され得る。任意選択で、プロテーゼは、バルーン拡張可能、自己拡張可能、機械的に拡張可能なフレーム、および/または複数の方法または組み合わせた方法で拡張可能なフレームを有し得る。経カテーテル技術において利用される一般的なプロテーゼの1つが、心臓弁(THV)である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
多くの実施形態は、血管系内に移植し、局所環境の形状に適応することができるデバイスに向けられている。
【0005】
血管系内に移植するための拡張可能なデバイスの実施形態では、拡張可能なデバイスは、多数のセルを形成する多数の支柱を含む中央コアを含み、セルは中央コアを取り囲む円周を形成する。中央コアは、非拡張状態から半径方向外向きに拡張状態に拡張され得る。中央コアが拡張状態の場合、中央コアは制御された内径を有します。拡張可能なデバイスは、中央コアから離れて延在する複数の付属肢を含み、それぞれの付属肢は、少なくとも1つの支柱によって形成され、他の付属肢から独立している。それぞれの付属肢は、非拡張状態から半径方向外向きに拡張状態に独立して拡張することができ、その結果、それぞれの付属肢の先端は、中央コアの外周を超えて半径方向外向きに延在する。
【0006】
別の実施形態では、拡張状態における中央コアの制御された内径は、15から30mmの間である。
【0007】
さらに別の実施形態では、拡張状態における中央コアの制御された内径は、15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、20mm、21mm、22mm、23mm、24mm、25mm、26mm、27mm、28mm、29mmまたは30mmであり得る。
【0008】
さらなる実施形態では、非拡張状態における中央コアの長さは、拡張状態より長い。
【0009】
さらに別の実施形態では、少なくとも1つの支柱の幅または厚さが変化する。
【0010】
さらに別の実施形態では、少なくとも1つの付属肢は、単一の支柱によって形成される。
【0011】
さらに別の実施形態では、少なくとも1つの付属肢は、付属肢の先端で接続する少なくとも2つの支柱によって形成される。
【0012】
さらに別の実施形態では、少なくとも1つの付属肢がV字形を形成する。
【0013】
さらに別の実施形態では、少なくとも1つの付属肢がY字型を形成する。
【0014】
さらにさらに別の実施形態では、少なくとも1つの付属肢は、先端にオリフィスを有する。
【0015】
さらに別の実施形態では、少なくとも1つの付属肢は、先端にフックを有する。
【0016】
さらに別の実施形態では、拡張可能なデバイスは、中央コアまたは少なくとも1つの付属肢内に放射線不透過性部分をさらに含む。
【0017】
さらに別の実施形態では、中央コアおよび付属肢は、高半径方向強度材料で作成されている。
【0018】
さらに別の実施形態では、高半径方向強度材料は、コバルトクロムまたはステンレス鋼である。
【0019】
さらに別の実施形態では、中央コアおよび付属肢は、自己拡張性材料で作成されている。
【0020】
さらに別の実施形態では、自己拡張性材料はニチノールである。
【0021】
さらに別の実施形態では、カバーが中央コア内に組み込まれる。
【0022】
さらに別の実施形態では、カバーは中央コアの支柱に固定されている。
【0023】
さらに別の実施形態では、カバーは血液に対して不浸透性である。
【0024】
さらに別の実施形態では、カバーは生体適合性布である。
【0025】
さらに別の実施形態では、カバーは人工生体組織である。
【0026】
さらに別の実施形態では、カバーは、複数の付属肢内にさらに組み込まれ、展開部位で内壁に係合することができるシール部分を含む。
【0027】
さらに別の実施形態では、中央コアは、プロテーゼと係合するように構成される。
【0028】
さらに別の実施形態では、中央コアは、人工弁を配置するように構成された弁座を含む。
【0029】
さらに別の実施形態では、人工弁の外周は、中央コアの内周と互換性がある。
【0030】
さらに別の実施形態では、人工弁の外径は15mmから30mmの間である。
【0031】
さらに別の実施形態では、人工弁の外径は、15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、20mm、21mm、22mm、23mm、24mm、25mm、26mm、27mm、28mm、29mm、または、30mmであり得る。
【0032】
さらに別の実施形態では、中央コアおよび複数の付属肢が圧着状態にあるとき、中央コアおよび複数の付属肢は、カテーテル内に挿入されるように構成される。
【0033】
さらに別の実施形態では、拡張状態にあるとき、それぞれの付属肢の先端は、展開部位で内壁に係合し得る。
【0034】
さらに別の実施形態では、内壁は血管系の管腔壁である。
【0035】
さらに別の実施形態では、展開部位の血管系が拡張される。
【0036】
さらに別の実施形態では、展開部位の血管系は動脈瘤を経験している。
【0037】
拡張可能なデバイスを移植する方法の一実施形態では、拡張可能なデバイスは、展開部位に送達される。拡張可能なデバイスは、中央コアと、中央コアから離れて延在する複数の付属肢とを含む。中央コアは、多数のセルを形成する多数の支柱を含み、セルは、中央コアを取り囲む円周を形成する。それぞれの付属肢は、少なくとも1つの支柱で形成され、他の付属肢から独立している。拡張可能なデバイスは、非拡張状態で送達される。拡張可能なデバイスは、中央コアが制御された内径に拡張され、複数の付属肢のそれぞれの付属肢の各先端が中央コアの外周を超えて拡張するように、非拡張状態から拡張された状態に拡張される。
【0038】
別の実施形態では、拡張状態における中央コアの制御された内径は、15から30mmの間である。
【0039】
さらに別の実施形態では、拡張状態における中央コアの制御された内径は、15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、20mm、21mm、22mm、23mm、24mm、25mm、26mm、27mm、28mm、29mmまたは30mmであり得る。
【0040】
さらなる実施形態では、非拡張状態における中央コアの長さは、拡張状態より長い。
【0041】
さらに別の実施形態では、拡張可能なデバイスの拡張は、拡張可能なデバイスの放射線不透過性部分を利用して監視される。
【0042】
さらに別の実施形態では、拡張可能なデバイスは、膨張可能なバルーンによって拡張される。
【0043】
さらに別の実施形態では、拡張可能なデバイスは機械的に拡張される。
【0044】
さらに別の実施形態では、拡張可能なデバイスは自己拡張可能である。
【0045】
さらに別の実施形態では、展開部位は哺乳動物の血管系内にある。
【0046】
さらに別の実施形態では、展開部位は、擬人化されたファントム(人体模型)内にある。
【0047】
様々な実施形態において、方法は、生きている動物または生きていない死体、死体の心臓、シミュレータ(例えば、シミュレートされた、身体の部分、組織などを備えている)、擬人化されたファントムなどに対して実行され得る。
【0048】
さらにさらに別の実施形態では、展開部位の内壁は、複数の付属肢のうちの少なくとも1つの付属肢と係合している。
【0049】
さらに別の実施形態では、人工弁の外側が中央コア内の弁座と係合するように、人工弁が中央コアの内周内で拡張される。
【0050】
血管系内に移植するためのドッキングステーションの実施形態では、多数のセルを形成する多数の支柱を含む中央セクションを組み込んだドッキングステーションであり、セルは中央セクションを取り囲む円周を形成する。中央セクションは、非拡張状態から半径方向外向きに拡張状態に拡張され得る。中央セクションが拡張状態の場合、中央セクションは内径を有した弁座を含む。ドッキングステーションには、流入セクションが含まれる。ドッキングステーションは、外向きに湾曲して肘のような形状になるアームを組み込んだ流出セクションを含む。中央セクションは、流入セクションと流出セクションに接続され、それらの間に接続されている。流入セクションおよび流出セクションは、非拡張状態から半径方向外向きに拡張された状態に拡張され得る。流入セクションおよび流出セクションの外周は、それぞれ中央セクションの外周よりも大きくなっている。
【0051】
別の実施形態では、拡張状態における弁座の内径は、15から30mmの間である。
【0052】
さらに別の実施形態では、拡張状態における弁座の内径は、15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、20mm、21mm、22mm、23mm、24mm、25mm、26mm、27mm、28mm、29mm、または30mmであり得る。
【0053】
さらなる実施形態では、ドッキングステーションの長さは、拡張状態と比較して、非拡張状態ではより長い。
【0054】
さらに別の実施形態では、少なくとも1つの支柱の幅または厚さが変化する。
【0055】
さらに別の実施形態では、アームは、いくつかの支柱によって形成されたセルである。
【0056】
さらに別の実施形態では、流出セクションは、いくつかのセルを形成するいくつかの支柱を含み、セルは、流出セクションにギャップが形成されるように、流出セクションを部分的に取り囲む円周を形成する。
【0057】
さらに別の実施形態では、アームはギャップ内に配置されている。
【0058】
さらに別の実施形態では、流入セクションは、いくつかのセルを形成するいくつかの支柱を含み、セルは、流入セクションを取り囲む円周を形成する。
【0059】
さらに別の実施形態では、ドッキングステーションは、ドッキングステーションに接続された放射線不透過性部分を含む。
【0060】
さらに別の実施形態では、少なくとも1つの放射線不透過性部分は、湾曲したアームがX線撮影を使用して識別できるように統合されている。
【0061】
さらに別の実施形態では、ドッキングステーションは、自己拡張性材料で作成されている。
【0062】
さらに別の実施形態では、自己拡張性材料はニチノールである。
【0063】
さらに別の実施形態では、カバーがドッキングステーション内に組み込まれている。
【0064】
さらに別の実施形態では、カバーは、中央セクションの支柱に固定され、縫合糸を介して流入セクションに固定されている。
【0065】
さらに別の実施形態では、カバーは血液に対して不浸透性である。
【0066】
さらに別の実施形態では、カバーは生体適合性布である。
【0067】
さらに別の実施形態では、カバーは人工生体組織である。
【0068】
さらに別の実施形態では、展開部位で内壁と係合し得るシール部分がカバー上に形成されている。
【0069】
さらに別の実施形態では、弁座は、人工弁を配置するように構成される。
【0070】
さらに別の実施形態では、人工弁の外周は、弁座の内周と互換性がある。
【0071】
さらに別の実施形態では、人工弁の外径は15mmから30mmの間である。
【0072】
さらに別の実施形態では、人工弁の外径は、15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、20mm、21mm、22mm、23mm、24mm、25mm、26mm、27mm、28mm、29mm、または、30mmであり得る。
【0073】
さらに別の実施形態では、ドッキングステーションが圧着状態にあるとき、ドッキングステーションは、カテーテル内に挿入されるように構成される。
【0074】
さらに別の実施形態では、拡張状態にあるとき、流入セクションおよび流出セクションは、展開部位で内壁と係合し得る。
【0075】
さらに別の実施形態では、内壁は血管系の管腔壁である。
【0076】
さらに別の実施形態では、展開部位の血管系は、下大静脈または上大静脈である。
【0077】
さらに別の実施形態では、アームは、右心房内の壁と係合するように構成される。
【0078】
ドッキングステーションを移植する方法の一実施形態では、ドッキングステーションは、展開部位に送達され、ドッキングステーションは、中央セクション、流入セクション、および流出セクション、ならびにアームを含む。中央セクションは、多数のセルを形成する多数の支柱を含み、セルは、中央セクションを取り囲む円周を形成する。流入セクションは、多数のセルを形成する多数の支柱を含み、セルは、流入セクションを取り囲む円周を形成する。流出セクションは、多数のセルを形成する多数の支柱を含み、セルは、流出セクションにギャップが形成されるように、流出セクションを部分的に取り囲む円周を形成する。アームはギャップの中に配置され、肘のような形に曲げられ得る。中央セクションは、流入セクションおよび流出セクションに接続され、それらの間に接続される。拡張可能なデバイスは、非拡張状態で送達される。ドッキングステーションは、非拡張状態から拡張された状態に拡張され、中央セクションが拡張されて内径を有する弁座を形成し、流入セクションおよび流出セクションの外周がそれぞれ中央セクションの外周よりも大きくなる。
【0079】
別の実施形態では、拡張状態の弁座の内径は、15から30mmの間である。
【0080】
さらに別の実施形態では、拡張状態の弁座の内径は、15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、20mm、21mm、22mm、23mm、24mm、25mm、26mm、27mm、28mm、29mm、または30mmであり得る。
【0081】
さらなる実施形態では、非拡張状態におけるドッキングステーションの長さは、拡張状態より長い。
【0082】
さらに別の実施形態では、ドッキングステーションの拡張は、拡張可能なデバイスの放射線不透過性部分を利用して監視される。
【0083】
さらに別の実施形態では、拡張可能なデバイスは自己拡張可能である。
【0084】
さらに別の実施形態では、展開部位は哺乳動物の血管系内にある。
【0085】
さらに別の実施形態では、展開部位は、下大静脈または上大静脈である。
【0086】
さらに別の実施形態では、展開部位の内腔壁が流入セクションと係合し、右心房壁がアームと係合する。
【0087】
さらに別の実施形態では、展開部位は、擬人化されたファントム内にある。
【0088】
様々な実施形態において、方法は、生きている動物または生きていない死体、死体の心臓、シミュレータ(例えば、シミュレートされた身体の部分、組織などを備えている)、擬人化されたファントムなどに対して実行され得る。
【0089】
さらに別の実施形態では、展開部位の内壁は、流入セクションと係合している。
【0090】
さらに別の実施形態では、人工弁の外壁が弁座と係合するように、人工弁が弁座内で拡張される。
【図面の簡単な説明】
【0091】
明細書および特許請求の範囲は、本発明の例示的な実施形態として提示され、本発明の範囲の完全な列挙として解釈されるべきではなく、以下の図およびデータグラフを参照してより完全に理解される。
【0092】
図1】人間の心臓の図解を示す。
図2A】まっすぐな血管系の形態を示す。
図2B】わずかに膨張した血管系の形態を示す。
図2C】曲がりくねった血管系の形態を示す。
図2D】紡錘状の動脈瘤を含む血管系の形態を示す。
図2E】嚢状の動脈瘤を含む血管系の形態を示す。
図3A】一実施形態による、独立した付属肢を備えた拡張可能なデバイスの斜視図である。
図3B】一実施形態による、中央コアに複数列のセルを備えた拡張可能なデバイスの斜視図である。
図3C】一実施形態による、単一の支柱付属肢を備えた拡張可能なデバイスの斜視図である。
図3D】一実施形態による付属肢の先端におけるオリフィスの拡大図である。
図3E】一実施形態による付属肢の先端におけるフックの拡大図である。
図4】一実施形態による、非拡張形態における拡張可能なデバイスの斜視図である。
図5A】一実施形態による、全長カバーを備えた拡張可能なデバイスの斜視図である。
図5B】一実施形態による、部分的カバーを備えた拡張可能なデバイスの斜視図である。
図6】一実施形態による、人工弁を備えた拡張可能なデバイスの斜視図である。
図7A】本発明の様々な実施形態による、まっすぐな血管系の形態における拡張可能なデバイスの図である。
図7B】本発明の様々な実施形態による、わずかに膨張した血管系の形態における拡張可能なデバイスの図である。
図7C】本発明の様々な実施形態による、曲がりくねった血管系の形態における拡張可能なデバイスの図である。
図7D】本発明の様々な実施形態による、紡錘状の動脈瘤を含む血管系の形態における拡張可能なデバイスの図である。
図7E】本発明の様々な実施形態による、嚢状の動脈瘤を含む血管系の形態における拡張可能なデバイスの図である。
図8A】一実施形態による、湾曲したアームを備えたドッキングステーションの側面図である。
図8B】一実施形態による、湾曲したアームを備えたドッキングステーションの側面図である。
図9】一実施形態による、非拡張形態における湾曲したアームを備えたドッキングステーションの側面図である。
図10A】一実施形態による、全長カバーを備えた湾曲したアームを含むドッキングステーションの斜視図である。
図10B】一実施形態による、部分的なカバーを備えた湾曲したアームを含むドッキングステーションの斜視図である。
図11】一実施形態による、人工弁を備えた湾曲したアームを含むドッキングステーションの斜視図である。
図12A】様々な実施形態による、下大静脈内に配置された湾曲したアームを備えたドッキングステーションの図である。
図12B】様々な実施形態による、下大静脈内に配置された湾曲したアームを備えたドッキングステーションの図である。
図12C】様々な実施形態による、下大静脈内に配置された湾曲したアームを備えたドッキングステーションの図である。
【発明を実施するための形態】
【0093】
ここで図面に目を向けると、本発明の様々な実施形態に基づいて、循環系内にドッキングするためのデバイスおよびシステムが記載されている。多くの実施形態では、静脈、動脈、弁腔、または循環系の他の構成要素内にドッキングステーションを提供するためのデバイスおよび方法が記載されている。いくつかの実施形態では、ドッキングステーションは、プロテーゼ(例えば、人工心臓弁)をドッキングするように構成される。
【0094】
記載された方法、システム、およびデバイスは、いかなる方法においても限定的に解釈されるべきではない。その代わりに、本開示は、単独で、および互いに様々な組み合わせおよび一部の組み合わせにおいて、様々な開示された実施形態のすべての新規で非自明な特徴および態様に向けられる。開示された方法、システム、およびデバイスは、特定の態様、特徴、またはそれらの組み合わせに限定されず、開示された方法、システム、およびデバイスは、任意の1つまたは複数の特定の効果が存在すること、または問題が解決されることを必要としない。
【0095】
ドッキングステーション/デバイスの様々な実施形態、さらに人工弁または経カテーテル弁の例が本明細書に開示されており、特に除外されない限り、これらのオプションの任意の組み合わせを行うことができる。例えば、開示されたドッキングステーション/デバイスのいずれも、特定の組み合わせが明示的に記載されていない場合でも、任意のタイプの弁、および/または任意の送達システムを使用することができる。同様に、ドッキングステーション/デバイスおよび弁(バルブ)の異なる構造および機能は、明示的に開示されていない場合でも、ドッキングステーションのタイプ/機能、弁(バルブ)のタイプ/機能、組織カバー等と組み合わせることによって、混合および嵌合して使用され得る。要するに、開示されたシステムの個々の構成要素は、相互に排他的または物理的に不可能でない限り、組み合わせることができる。
【0096】
開示された方法のいくつかの動作は、便宜上、特定の順序で記載されているが、この記載された方法は、以下に示す特定の用語によって特定の順序が要求されない限り、再配置を含むことも理解されたい。例えば、順番に記載された操作は、場合によっては、再配置されたり、同時に実行されたりし得る。さらに、簡単にするために、添付の図は、開示された方法、システム、およびデバイスを他のシステム、方法、およびデバイスと組み合わせて使用することができる様々な方法を示していない場合もある。
【0097】
「心臓および循環器の解剖学的概要」
図1は、拡張期のヒトの心臓の断面図である。右心室(RV)および左心室(LV)は、それぞれ、三尖弁101および僧帽弁103、すなわち房室弁によって、右心房(RA)および左心房(LA)から分離されている。さらに、大動脈弁105は、LV(左心室)を上行大動脈(AO)から分離し、肺動脈弁107は、RV(右心室)を肺動脈(PA)から分離する。これらのバルブ(弁)のそれぞれには、それぞれのオリフィス(開口部)を横切って内側に延在する柔軟なリーフレット(弁尖)があり、これらは一緒になって血液の流れにおいて「結合」し、一方向の流体閉塞面を形成する。本出願のドッキングステーションおよび弁は、例示のために、下大静脈(IVC)、上大静脈(SVC)、大動脈/大動脈弁、または他の部位で利用され得る。欠陥のある大動脈弁は、例えば、狭窄性大動脈弁である可能性があり、さらに/或いは、機能不全、さらに/或いは、逆流に苦しむ可能性がある。大動脈、IVC、SVC、肺動脈などの血管は、健康であるか、拡張、歪曲、肥大、動脈瘤、またはその他の障害があり得る。RA、RV、LA、およびLVの解剖学的構造について詳しく説明する。本明細書に記載のデバイスは、本明細書に明示的に記載されているかどうかにかかわらず、例えば、IVCおよび/またはSVC、大動脈、および欠陥のある弁、動脈瘤の領域、および他の循環障害の治療としての他の部位で、或いは、様々な領域で使用され得る。
【0098】
RAは、SVCおよびIVCを介して静脈系から脱酸素化された血液を受容し、前者は上からRAに入り、後者は下から入る。図1に示す拡張期、つまり拡張状態において、IVCからの脱酸素化された血液、および右心房RAに収集されたSVCは、RVが拡張するにつれてTVを通過してRVに入る。収縮期または収縮状態において、右心室RVが収縮して、RVに収集された脱酸素化された血液が肺動脈弁PVおよび肺動脈を通って肺に押し込まれる。さらに、脱酸素化された血液を肝臓からIVCに移送する肝静脈109も示されている。
【0099】
「制御された内径を備えた適応デバイス」
図2A図2Eを参照すると、網羅的ではない例は、血管系が多種多様な異なる形状およびサイズを有し得ることを示している。例えば、図2A図2Eに示されるように、長さ、直径、曲率または輪郭は、特にIVC、SVC、および大動脈内において、さまざまな患者の血管系において大きく異なり得る。これらの違いは、動脈瘤などの特定の状態に苦しむ血管系ではさらに重要になり得る。例えば、(図2Dに示されている)紡錘状動脈瘤および(図2Eに示されている)嚢状動脈瘤は、奇妙な形状および膨張した血管壁をもたらし、しばしば対称性欠如をもたらし得る。
【0100】
したがって、血管系内に固定された形状および直径を有するドッキングステーションおよび/またはデバイスを移植することは、個々の相違のために困難になり得る。様々な血管形態の問題を克服するために、局所的な血管の寸法に適応し得るデバイスが本明細書に記載されている。
【0101】
いくつかの実施形態によれば、制御された内径を維持しながら、血管系内の局所環境の大きさ、輪郭、および寸法に適応し得る、拡張可能なデバイスが記載されている。多くの実施形態では、拡張可能なデバイスは円筒形フレームであり、中央部に中央コアを有し、円筒形フレームの長さに沿って中央コアから遠位側に延在する2つのセクションを有する。多くの実施形態では、拡張されると、中央コアは制御された内径を有する。複数の実施形態では、2つの遠位セクションのそれぞれは、中央コアから離れて、そして円筒形フレームの長さに沿って延在する多数の付属肢を有する。多くの実施形態によれば、拡張可能なデバイスは、中央コアが半径方向外向きに制御された内径まで拡張し、付属肢がそれぞれ独立して半径方向外向きに拡張して、先端が中央コアの外周を越えるように、非拡張形態から半径方向外向きに拡張し得る。いくつかの実施形態では、拡張可能なデバイスが展開部位の局所的な寸法に適合し、制御された内径を維持するように、多数の付属肢が、展開部位(例えば、血管系内)で内腔壁に向かって半径方向外向きに独立して拡張する。
【0102】
いくつかの実施形態では、中央コアは、多数のセルを形成するためのいくつかの相互接続支柱から構成される。多くの実施形態では、中央コア内のそれぞれのセルは、別のセルに接続および/または隣接してセルの列を形成し、セルの列は、中央コアの円周を取り囲む。いくつかの実施形態では、中央コアは、複数のセルの列を含み、それぞれの列が、中央コアの周囲を循環している。セルを形成する支柱の長さに応じて、セルの周囲が変化し得ることを理解されたい。支柱の厚さおよび/または幅は変化し、これは、支柱のいくつかの部分に沿った剛性または展性を提供するのに有益であり得ることをさらに理解されたい。
【0103】
多くの実施形態において、拡張可能なデバイスは、拡張された構成と比較して、典型的には細長い長さおよびはるかに小さい円周を有する、拡張されていない構成を有する。様々な実施形態において、拡張可能なデバイスが外側に拡張されるとき、デバイスの長さは短縮され、デバイスの円周は増加する。換言すれば、様々な実施形態において、中央コアの長さは、拡張された状態と比較して、非拡張状態においてより長い。したがって、いくつかの実施形態では、拡張可能なデバイスは、血管系の管腔壁などの部位の内壁に向かって外側に達するように拡張されるように、展開部位で拡張し得る。多くの実施形態では、中央コアは、展開部位での管腔形状および円周に関係なく、中央コアの内径が制御されるように制限される、拡張された円周を有する。直径サイズを制御することは、例えば、拡張可能なデバイスが人工器官のドッキングステーションとして使用される場合、または拡張領域(動脈瘤など)を介して血流を進めるために使用される場合のように、特に特定の直径が様々な用途に役立つ場合に、有益であり得る。
【0104】
多くの実施形態では、拡張可能なデバイスは、制御された内径を備えた中央コアを有し、内径は15mmから35mmの間である。様々な実施形態において、内径は、およそ、15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、20mm、21mm、22mm、23mm、24mm、25mm、26mm、27mm、28mm、29mm、30mm、31mm、32mm、33mm、34mm、または35mmの一つである。しかしながら、制御された内径は、プロテーゼを収容するため、または拡張領域を通る血流を促進するために、任意の適切なサイズであり得ることが理解されるべきである。
【0105】
様々な実施形態において、拡張可能なデバイスのいくつかの付属肢は、中央コアからの長さに沿って一方または両方の端部で遠位に延在する。したがって、付属肢の最も遠位の点は、上端および/または下端を形成し、それぞれの端部が、円周および直径を有する。説明を容易にするために、拡張可能なデバイスが血管系内に挿入されるとき、下端は流入端を与え、上端は血液の流れに従って流出端を与えることに留意されたい。いくつかの実施形態では、上部および/または下部の直径は、中央コアの直径よりも大きく、「犬の骨」の形状を与える。言い換えれば、いくつかの実施形態では、付属肢の先端は、中央コアの円周を越えて外向きに拡張することができ、これは、拡張および/または動脈瘤性である血管系の管腔壁などの展開領域の内壁に到達するのに有益であり得る。多くの実施形態では、拡張可能なデバイスのいくつかの付属肢は、分離された付属肢が単独で外側に拡張し得るように、他の付属肢から分離されている。いくつかの実施形態では、拡張可能なデバイスのそれぞれの付属肢は、それぞれの付属肢が単独で外側に拡張し得るように、他の付属肢から隔離されている。したがって、上下の円周は円ではない場合があるが、それぞれの付属肢が外側にどれだけ拡張するかによって異なる。付属肢は、様々な実施形態によれば、単一の支柱、複数の支柱(例えば、遠位先端に延在してV字形を形成する2つの支柱)、またはそれらの任意の組み合わせ(例えば、2本の支柱が接続点に到達し、3本目の支柱が外側に延在してY字型を形成する)によって対処され得る。付属肢の長さと幅は、付属肢を形成するために使用される支柱の寸法に応じて変化し得ることを理解する必要がある。さらに、支柱の厚さおよび/または幅は変化し、これは、支柱のいくつかの部分に沿った剛性または展性をもたらすのに有益であり得ることをさらに理解されたい。
【0106】
多くの実施形態において、付属肢は、少なくとも40mmから少なくとも55mmの直径まで遠位方向に延在する。いくつかの実施形態では、付属肢は、少なくとも40mm、41mm、42mm、43mm、44mm、45mm、46mm、47mm、48mm、49mm、50mm、51mm、52mm、53mm、54mm、または55mmの直径まで遠位方向に到達する。しかしながら、遠位付属肢の到達範囲は、移植部位の内腔壁内に適合し、それに到達するための任意の適切な大きさであり得ることを理解するべきである。さらに、遠位付属肢の到達範囲は不均一である可能性があり、これは、一部の付属肢が他の付属肢よりもさらに大きな直径に到達できることを意味することを理解されたい。
【0107】
多くの実施形態では、付属肢は、展開部位における拡張可能なデバイスの位置および位置を確保するための手段を有し、これは、拡張および移植されたデバイスが展開部位から滑るおよび/または外れるのを軽減し得る。いくつかの実施形態では、少なくともいくつかの付属肢は、縫合に有用であり得る遠位端の近くにオリフィスを有する。いくつかの実施形態では、付属肢の遠位端にあるネジ付きオリフィスは、付属肢の拡張を制御することを可能にし、これは、付属肢の直径を制御するのに役立ち得る。いくつかの実施形態では、拡張可能なデバイスは、展開部位で縫合される。多くの実施形態では、少なくともいくつかの付属肢は、遠位端の近くにフックを有し、これは、展開部位で内壁を把持するのに有用であり得る。いくつかの実施形態では、付属肢は、遠位端の近くにオリフィスおよびフックを有するであろう。オリフィスおよびフックは、展開部位に付属肢を固定するための手段として説明されているが、当技術分野において理解されるように、他の手段も使用でき、本発明のいくつかの実施形態に含まれ得ることを理解されたい。
【0108】
いくつかの実施形態では、付属肢は、適切な放射線画像技術(例えば、超音波検査)を利用して付属肢を容易に認識できるように、遠位先端を含む、付属肢に沿った様々な点において成形され、さらに/或いは、放射線不透過性を有し得る。付属肢の視覚化を容易にすることは、付属肢がユーザーの希望に応じて外側に拡張することを保証するのに役立ち得る。
【0109】
いくつかの実施形態では、拡張可能なデバイスは、展開部位で拡張し得る弾力性があって順応性を備えた材料から構成される。いくつかの実施形態では、拡張可能なデバイスは、(例えば)コバルトクロムまたはステンレス鋼などの高ラジアル強度材料(high radial strength material)で作成されている。高ラジアル強度材料を使用することで、拡張可能なデバイスの中央コアの内径を制御するのに役立ち得る。いくつかの実施形態では、拡張可能なデバイスは、(例えば)ニチノールなどの自己拡張性材料で作られている。自己拡張性材料は、展開部位内で拡張し続け、半径方向の拡張力によってその部位内に留まるのに役立つ。いくつかの実施形態では、拡張可能なデバイスは、複数の材料で構成される。例えば、いくつかの実施形態では、拡張可能なデバイスの中央コアは、弾力性があり順応性を備えた材料(例えば、コバルトクロムまたはステンレス鋼)で作成され、付属肢は、自己拡張性材料(例えば、ニチノール)で作成されている。
【0110】
多くの実施形態では、スカートカバーは、壁がデバイスの長さに沿って外周の周りに形成され、管腔がカバー内に形成され、拡張可能なデバイスの両端に開口部を有するように、拡張可能なデバイスに取り付けられる。多くの実施形態では、カバーが端から端まで延在するように、カバーは、拡張可能なデバイスの端に取り付けられて固定される。いくつかの実施形態では、カバーはまた、中央コアの円周に沿って取り付けられる。いくつかの実施形態では、カバーは、拡張可能なデバイスの長さに沿った一部分のみのために壁が形成されるように、拡張可能なデバイスの一部分のみに取り付けられる。いくつかのそのような実施形態では、部分的カバーは、流入端および/または流出端および/または中央コアを覆う。いくつかの実施形態では、部分的カバーが流入端および中央コアを覆い、流出端を比較的に開いた状態のままにする。いくつかの実施形態では、カバーが拡張可能なデバイスの内壁に取り付けられている。いくつかの実施形態では、カバーが拡張可能なデバイスの外壁に取り付けられている。いくつかの実施形態では、カバーは、拡張可能なデバイスの内壁および外壁の両方に取り付けられている。
【0111】
多くの実施形態において、カバーは、血液および循環器系の構成要素に対して不浸透性または半浸透性である。いくつかの実施形態では、カバーは、生体適合性布(例えば、ペット布)または人工生体組織である。人工生体組織の例には、動物の心膜および小腸粘膜下組織(SIS)が含まれる(但し、これらに限定されない)。人工生体組織は、ウシ、ブタ、ヒツジ、トリ、およびヒトのドナーを含む(但し、これらに限定されない)任意の適切な動物源に由来し得る。
【0112】
不浸透性カバーを利用する様々な実施形態において、カバーのシール部分を利用して、拡張可能なデバイスを内壁にシールすることができ、これは、血管系内に位置する場合、血液がデバイスの周囲ではなくデバイス通過して流れることを保証する。いくつかの実施形態では、シール部分は、カバーを備えた拡張可能なデバイスの本体上に一体的に形成され、展開部位で拡張されると、カバーの一部が管腔壁と接触する。多くの実施形態において、シール部分は、デバイスの流入端で利用される。いくつかの実施形態では、シール部分がデバイスの流出端で利用される。拡張可能なデバイスのシール部分を備えたカバーを利用することは、血管系の膨張領域をバイパスすること、および/または人工弁などの人工デバイスが配置され得る中央コアを通って血液が流れることに有益であり得る。
【0113】
いくつかの実施形態では、拡張可能なデバイスをドッキングステーションとして利用して、展開部位内の特定の位置にプロテーゼを配置し得る。多くの実施形態において、人工弁は、拡張可能なデバイスと共に利用され、血液の流れを制御し、特に膨張された血管系の領域において逆流を軽減するのに役立つ。複数の実施形態では、拡張可能なデバイスの中央コアは、弁が中央コアに配置され得るように、弁座として利用される。いくつかの実施形態では、拡張可能なデバイスの中央コアの制御された内径は、プロテーゼの外径と互換性がある。制御された内径を有することは、標準的な直径を有して製造された人工弁が、局所環境の大きさ、輪郭、および寸法にかかわらず、あらゆる局所血管環境で機能することを保証するのに役立ち得る。
【0114】
多くの実施形態では、補綴デバイスは外径を有し、外径は15mmから35mmの間である。様々な実施形態において、外径は、およそ、15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、20mm、21mm、22mm、23mm、24mm、25mm、26mm、27mm、28mm、29mm、30mm、31mm、32mm、33mm、34mm、または35mmであり得る。しかしながら、補綴デバイスの外径は任意の適切な大きさにすることができ、ドッキングステーションの内径を利用して、補綴デバイスの外径と適合させることができることを理解されたい。
【0115】
いくつかの実施形態では、補綴デバイスは自己拡張型であり、半径方向の力を利用して、ドッキングステーションの中央コア内にそれ自体を固定する。いくつかの実施形態では、機構は、(例えば)ラッチまたはフックなど、ドッキングステーションの中央コアを備えた補綴デバイスを固定するために利用される。
【0116】
機械式で組織ベースの弁を含む(但し、これらに限定されない)多数の人工弁が拡張デバイスと共に利用され得る。米国特許第8,002,825号、国際公開第2000/42950号、米国特許第5,928,281号、米国特許第6,558,418号、米国特許第6,540,782号、米国特許第3,365,728号、米国特許第3,824,629号、および米国特許第5,814,099号に記載されている弁を含む、多数の人工弁が記載されており、それらを利用することができ、それらの開示は、この参照によってそれぞれの特許または刊行物の全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、エドワーズライフサイエンス社のSAPIEN経カテーテル心臓弁が利用される。本明細書に記載されるように、拡張可能なデバイス内に適合することができる任意の適切な弁が、本発明の様々な実施形態に従って利用され得ることに留意されたい。
【0117】
多くの実施形態において、拡張可能なデバイスは、経カテーテル送達デバイス内に挿入され得る。したがって、圧着された状態の拡張可能なデバイス(例えば、非拡張形態)は、拡張可能なデバイスが経カテーテルアプローチを介して実施部位へ送達され得るように、カテーテル内に挿入される。任意の適切な経カテーテル送達システムが使用され得る。いくつかの実施形態では、拡張可能なデバイスは、米国特許公開第2017/0231756号に記載されている経カテーテル送達システムを利用し、その開示は、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0118】
図3A図3Eに示されるのは、制御された内径を維持しながら、血管系内の局所環境の大きさ、輪郭、および寸法に適応する拡張可能なデバイスの様々な実施形態である。図3Aに示されるように、拡張可能なデバイス300は、その拡張された形態で示されている。拡張可能なデバイス300は、複数の支柱305によって形成された多数のセル303を有する中央コア308を有する。中央コア308内のセル303は、中央コアの周囲を取り囲むセル列が互いに隣接するように互いに隣接している。中央コア310から延在するのは、それぞれが他の付属肢から独立しているいくつかの付属肢307であり、これにより、それぞれの付属肢は、それ自体で外側に拡張し得る。特に、両方向の付属肢307の遠位先端311に形成された直径309は、中央コア310の内径よりも大きい。中央コア310の内径は、制御された長さに拡張される。
【0119】
図3Bに示されるように、拡張可能なデバイス330は、複数の支柱335を形成する多数のセル333を有する中央コア331を有する。この実施形態では、中央コア331は、中央コアの周囲を取り囲む2列のセル333を有する。
【0120】
図3Aに戻ると、付属肢307は、それぞれ、遠位先端311で結合する2つの支柱によって形成される。図3Cに示されるように、拡張可能なデバイス360は、それぞれが延在する単一の支柱によってそれぞれ形成される付属肢361を含む。図3Dは、オリフィス313を有する遠位先端311を示している。図3Eは、フック315を有する遠位先端311を示している。
【0121】
図4に示されているのは、拡張されていない構成および/または圧着された状態の拡張可能なデバイス300である。図示されているように、円筒形の直径は減少し、デバイスの長さは拡大する。圧着状態の拡張可能なデバイス300は、経カテーテルアプローチによって送達され得るように、カテーテル内に挿入され得る。
【0122】
図5Aおよび図5Bは、その上にカバーが取り付けられた拡張可能なデバイス300を写している。遠位先端311から反対側の遠位先端311まで延在する全長カバー501が図5Aに示されている。あるいは、遠位先端311から中央コア310をわずかに越えて延在する部分的な(長さの)カバー551が図5Bに示されている。全長カバー501および部分長カバー551は、縫合503または他の任意の適切な手段を介して、フレーム先端311および/または中央コア310の周囲に取り付けられ得る。カバー501、551は、(例えば)生体適合性布(例えば、PET布)または人工生体組織(例えば、動物の心膜または小腸粘膜下組織)などの適切な材料で作られ得る。さらに、カバー501、551は、血液およびその構成要素に対して不浸透性にされ、その結果、血液が中央コア308を通って流れるように導かれ得る。
【0123】
シール部分505は、遠位端に向かってカバー501および551上に形成される。シール部分505は、展開部位で内壁と係合し得る。シール部分505を管腔壁と係合させることにより、血液が中央コア310を通って流れ、バイパスしないことを確実にするシールを形成する。
【0124】
図6に示されるのは、人工弁601を支持するためのドッキングステーションとして利用される拡張可能なデバイス300である。弁601は、中央コア310内に配置される。中央コア310の内周は、それが人工弁601の外周と互換性があるように制御され得る。人工弁601は、自己拡張型であり、半径方向の力を利用してそれ自体を中央コア310内に固定することができ、或いは、(例えば)ラッチまたはフックなどの機構を利用して、人工弁601を固定し得る。機械式で組織ベースの弁を含む(但し、これらに限定されない)任意の適切な人工弁601が利用され得る。人工弁601は、人工弁を通る血流を案内するのに役立つカバー501または551を有する拡張可能なデバイス300内に組み込まれ得ることに留意されたい。
【0125】
図7A図7Eは、様々な血管系に挿入された拡張可能なフレーム300を描写している。展開部位に挿入されると、付属肢307は外側に拡張し、管腔壁701と係合する。それぞれの付属肢307は、それ自体で外向きに拡張することができ、これにより、局所血管系が、膨張した、曲がりくねった、紡錘状の動脈瘤および嚢状の動脈瘤の構成を含む(但し、これらに限定されない)不規則な形状を有する場合でも、管腔壁701と係合し得る。付属肢は、半径方向の力および/または取り付け機構を利用して管腔壁に固定され得る。取り付け機構には、オリフィス313と縫合糸またはフック315の利用が含まれる(但し、これらに限定されない)。様々な血管系内への挿入にもかかわらず、中央コア310は、制御された内径を維持し得る。図7A図7Eには示されていないが、人工弁601およびカバー501または551も利用され得る。
【0126】
いくつかの実施形態は、展開可能なデバイスを展開部位に送達する方法に向けられる。当技術分野で理解されるように、方法は、ヒト、他の哺乳動物(例えば、ブタ)、死体、または擬人化されたファントム(人体模型)を含む(但し、これらに限定されない)任意の適切なレシピエントに対して実施され得る。したがって、送達の方法は、治療の方法(例えば、ヒト対象の治療)および訓練および/または実践の方法(例えば、方法を実行するためにヒトの血管系を模倣する擬人化ファントムを利用する)の両方を含む。様々な実施形態では、この方法は、死体の心臓、シミュレータ(例えば、体の部分、組織などがシミュレートされている)、擬人化されたファントムなどで実行され得る。
【0127】
経カテーテル送達システムが使用される場合、経大腿、鎖骨下、経心尖、または経大動脈アプローチを含む(但し、これらに限定されない)展開部位に到達するために任意の適切なアプローチが利用され得る。いくつかの実施形態では、拡張可能なデバイスを含むカテーテルは、圧着状態で、ガイドワイヤを介して展開部位に送達される。展開部位において、多くの実施形態によれば、拡張可能なデバイスは、カテーテルから解放され、次いで、中央コアが制御された内径を有し、付属肢が管腔壁に向かって外側に拡張するような形態に拡張される。(例えば)膨張可能なバルーン、機械的拡張、または自己拡張メカニズムの利用など、多数の拡張メカニズムが利用され得る。いくつかの実施形態では、拡張可能なデバイスの中央コアは、拡張に対してより高い抵抗を有し、これは、中央コアが制御された内径に到達するのを助けるが、それを越えて拡張しないようにし得る。フレームおよび/またはカバー上の特定の形状設計および放射線不透過性領域を利用して、拡張および移植が監視され得る。
【0128】
拡張可能なデバイスが拡張されると、いくつかの実施形態によれば、拡張可能なデバイスの遠位付属肢は、半径方向の力および/または取り付けを介して管腔壁と係合する。不浸透性カバーを利用する様々な実施形態では、シール部分は、半径方向の力および/または取り付けを介して管腔壁と係合する。補綴デバイスを利用する様々な実施形態では、デバイスが半径方向の力および/または取り付けを介して内部コア(例えば、弁座)と係合するように、デバイスは、カテーテルによって展開部位に送達され、解放され、ドッキングステーションの中央コア内で拡張され得る。
【0129】
拡張可能なデバイスの送達および使用は、様々な用途で利用され得る。いくつかの実施形態では、拡張可能なデバイスは、動脈瘤、特に大動脈瘤を経験している部位に送達される。様々な実施形態において、拡張可能なデバイスは、不浸透性カバーと共に利用される場合、移植片として使用され、血流を誘導して動脈瘤部位をバイパスすることができ、これが、血管壁の切開および/または破裂を防止するのに役立ち得る。いくつかの実施形態では、不浸透性の布を備えた拡張可能なデバイスは、膨張した上行大動脈を有する個体のための大動脈移植片として利用され得る。いくつかの実施形態では、拡張可能なデバイスを利用して、特に膨張された部位で人工弁を展開し得る。
【0130】
「湾曲したアームを備えたドッキングステーション」
湾曲したアームを有するドッキングステーションデバイスの様々な実施形態が記載されている。いくつかの実施形態では、湾曲したアームを備えたドッキングデバイスが、欠陥のある三尖弁の機能を補うため、および/または右心房(RA)に過度の圧力が蓄積するのを防ぐために、人工弁とともに使用される(図1を参照)。収縮期には、正常に機能している三尖弁(TV)の弁尖が閉じて、静脈血が右心房(RA)に逆流するのを防止する。三尖弁が正常に機能しない場合、血液は右心房(RA)、下大静脈(IVC)、上大静脈(SVC)、および/または収縮期の他の血管に逆流または逆流する可能性がある。血液が右心房に逆流すると、心房と心臓に血液を送る血管との血液量が増加する。これにより、右心房が拡大し、そして、右心房および血管内の血圧が上昇し、これにより、肝臓、腎臓、脚、その他の臓器の損傷や腫れを引き起こし得る。下大静脈(IVC)および/または上大静脈(SVC)に埋め込まれた経カテーテル弁またはTHVは、下大静脈(IVC)および/または収縮期における上大静脈(SVC)への血液の逆流を防止または阻害し得る。
【0131】
いくつかの実施形態によれば、湾曲したアームを備えたドッキングステーションは、RAとのインターフェースで、IVCおよび/またはSVC内に適応して配置され得る。多くの実施形態では、湾曲したアームを備えたドッキングステーションは、一方の遠位端に流入セクション、もう一方の遠位端に流出セクション、そして、それらの間の中央セクションを備えた拡張可能な円筒形フレームを有する。多くの実施形態では、拡張されると、流出セクションは、外側に延在し、曲げられて肘のような構造を形成するアームを有し、これを利用して、移植時に内RA壁の一部に係合し得る。複数の実施形態において、湾曲したアームを有する流出セクションは、概して開いており、これは、血液が自由に流れることを可能にするはずである。多くの実施形態によれば、湾曲したアームを備えたドッキングステーションは、流入部がIVC(肝静脈の上)またはSVCの管腔壁に拡張し得るように、非拡張形態から半径方向外向きに拡張することができ、さらに拡張は、湾曲したアームを解放し、所定の位置に配置し得る。拡張すると、多くの実施形態では、ドッキングステーションはSVC/RAまたはIVC/RAインターフェースに適合し、その結果、流入セクションがSVCまたはIVC内にあり、流出セクションがRAの内壁と係合できる湾曲したアームを介してRAに到達する。
【0132】
いくつかの実施形態では、湾曲したアームを備えたドッキングステーションは、湾曲したアームを含むいくつかの相互接続支柱から形成されて、多数のセルを形成する。多くの実施形態では、ドッキングステーション内のそれぞれのセルは、別のセルに接続および/または隣接して、セルの列を形成し、セルの各列は、ドッキングステーションの周囲を循環している。いくつかの実施形態では、流出セクションは、ドッキングステーションの周囲に部分的にのみセルを形成し、湾曲したアームが配置され得るギャップを残す。湾曲したアームが配置されている流出セクション内にギャップがあると、配置されたときにRAへの血流が促進され得る。セルの大きさおよび形状に関しては、セルを形成する支柱の長さに応じて、セルの周囲が変化し得ることを理解する必要がある。支柱の幅または厚さは変化する可能性があり、支柱のいくつかの部分に沿って剛性または展性をもたらすのに有益であり得ることをさらに理解されたい。
【0133】
多くの実施形態では、ドッキングステーションの湾曲したアームは、ドッキングステーションの中央セクションから上方に延在し、外側に湾曲する細長いセルである。湾曲したアームの大きさおよび形状は、SVC/RAまたはIVC/RAインターフェースに係合できる限り、様々である。SVC/RAまたはIVC/RAインターフェースで曲がるように湾曲部の長さおよび位置を考慮することが重要であるが、三尖弁の機能を妨げるほど長くはない。
【0134】
多くの実施形態では、ドッキングステーションのセルは、非拡張形態および/または圧着状態に収縮することができ、典型的には、長さが長くなり、円周が短くなる。多くの実施形態では、ドッキングステーションが非拡張形態である場合、湾曲したアームは真っ直ぐになり、伸ばされる。様々な実施形態では、ドッキングが非拡張形態から外向きに拡張されると、長さが短くなり、デバイスの円周が増加し、アームが所定の位置に湾曲する。したがって、いくつかの実施形態では、流入セクションが拡張されてSVCまたはIVCの内腔壁(肝静脈の上)に到達し、湾曲したアームがSVC/RAまたはIVC/RAインターフェースに係合するように、湾曲したアームを備えたドッキングステーションは、展開部位で拡張され得る。多くの実施形態では、中央セクションは、SVCまたはIVC管腔サイズに関係なく中央セクションの内径が制御されるように、制限された拡張円周を有する。
【0135】
いくつかの実施形態において、ドッキングデバイスの中央セクションは、拡張可能性が低く、その結果、中央セクションは、拡張されたときに、流入セクションまたは流出セクションよりも狭い。多くの実施形態において、狭い中央セクションは、その中に弁を配置し得る弁座として利用される。いくつかの実施形態では、中央セクションの内径は、人工弁の外径と互換性がある。内径を制御することで、SVCまたはIVCの大きさ、輪郭、および寸法に関係なく、標準の直径を有して製造された弁が任意の局所血管環境で機能することの保証に役立ち得る。
【0136】
多くの実施形態において、中央セクションの内径は、15mmから35mmの間である。様々な実施形態において、内径は、およそ、15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、20mm、21mm、22mm、23mm、24mm、25mm、26mm、27mm、28mm、29mm、30mm、31mm、32mm、33mm、34mm、または35mmであり得る。しかしながら、制御された内径は、プロテーゼを収容するための任意の適切な大きさであり得ることが理解されるべきである。
【0137】
様々な実施形態において、流入セクションの直径および/または流出セクションの直径は、中央セクションの直径よりも大きく、「砂時計」の形状を与える。言い換えれば、いくつかの実施形態では、流入セクションおよび/または流出セクションは、中央セクションの円周を越えて外向きに拡張することができ、これは、SVCまたはIVCの管腔壁に到達するのに有用であり得る。
【0138】
多くの実施形態において、拡張された流入セクションおよび/または拡張された流出セクションは、湾曲したアームと共に、埋め込まれたデバイスをSVC/RAまたはIVC/RAインターフェースに固定するのを助け、移植部位からの滑りおよび/または脱落を軽減する。いくつかの実施形態では、位置固定を助けるために、拡張された流入セクションおよび/または拡張された流出セクションは、管腔壁との接触において半径方向の力を提供する。多くの実施形態では、湾曲したアームがRAの壁と係合して、ドッキングステーションがSVC/RAまたはIVC/RAインターフェースから離滑するのを防止する。IVC内での滑りを防ぐことで、ドッキングステーションが肝静脈とIVCとの間の相互接続をカバーするのを防止し得る。
【0139】
いくつかの実施形態では、ドッキングの支柱は、ドッキングステーションの向きおよび配置は、適切な放射線画像技術(例えば、超音波検査)を利用して容易に認識され得るように、支柱に沿った様々な点において成形され、さらに/或いは、放射線不透過性を有し得る。ドッキングの視覚化を容易にすることは、流入セクションおよび流出セクションが管腔壁に適切に係合し、湾曲したアームがRA壁に適切に係合することを保証するのに役立ち得る。いくつかの実施形態では、形状および/または放射線不透過性部分は、湾曲したアームの識別を助けるために統合される。例えば、いくつかの実施形態では、特定の形状および/または放射線不透過性部分が、湾曲したアームの真下および/または反対側のドッキングステーションに統合され得る。
【0140】
いくつかの実施形態では、湾曲したアームを備えたドッキングステーションは、展開部位で拡張し得る弾力性があり順応性のある材料で構成されている。いくつかの実施形態では、ドッキングステーションは、(例えば)ニチノールなどの自己拡張性材料で作成されている。自己拡張性材料は、展開部位内で拡張し続け、半径方向の拡張力によってその部位内に留まるのに役立ち得る。いくつかの実施形態では、ドッキングステーションは、コバルトクロムまたはステンレス鋼でできている。
【0141】
多くの実施形態では、スカートカバーは、壁がドッキングステーションの長さに沿って外周の周りに形成され、管腔がカバー内に形成されて拡張可能なデバイスの両端にある開口部を有するように、湾曲したアームでドッキングステーションに取り付けられる。多くの実施形態では、流入端にカバーが取り付けられている。いくつかの実施形態では、カバーも中央セクションの円周に沿って取り付けられる。いくつかの実施形態では、カバーは、ドッキングステーションの長さに沿った一部分のみのために壁が形成されるように、ドッキングステーションの一部分のみに取り付けられている。いくつかの実施形態では、部分的なカバーは、流入端および/または流出端および/または中央コアを覆う。いくつかの実施形態では、部分的なカバーが流入端および中央コアを覆い、流出端を比較的に開いたままにする。いくつかの実施形態では、カバーがドッキングステーションの内壁に取り付けられている。いくつかの実施形態では、カバーがドッキングステーションの外壁に取り付けられている。いくつかの実施形態では、カバーは、ドッキングステーションの内壁および外壁の両方に取り付けられている。
【0142】
いくつかの実施形態では、カバーは、放射線不透過性部分を含み得る。いくつかの実施形態において、放射線不透過性部分は、カバー内に統合されている。いくつかの実施形態では、放射線不透過性部分は、カバー上および/またはカバー内に縫合されている。いくつかの実施形態では、放射線不透過性部分は、カバー上および/またはカバー内に結合されている。
【0143】
多くの実施形態において、カバーは、血液および循環器系の構成要素に対して不浸透性である。いくつかの実施形態では、カバーは、生体適合性布(例えば、ペット布)または人工生体組織である。人工生体組織の例には、動物の心膜および小腸粘膜下組織(SIS)が含まれる(但し、これらに限定されない)。人工生体組織は、ウシ、ブタ、ヒツジ、トリ、およびヒトのドナーを含む(但し、これらに限定されない)任意の適切な動物源に由来し得る。
【0144】
不浸透性カバーを利用する様々な実施形態において、カバーのシール部分を利用して、ドッキングステーションを管腔壁にシールし、血液がドッキングステーションの周囲ではなくドッキングステーションを通過することを確実にし得る。いくつかの実施形態では、シール部分は、カバーを備えたドッキングステーションの本体上に一体的に形成され、展開部位で拡張されると、カバーの一部分が内壁と接触する。多くの実施形態において、シール部分は、デバイスの流入端で利用される。いくつかの実施形態では、シール部分がデバイスの流出端で利用される。ドッキングのシール部分を備えたカバーを利用すると、血液が中央セクションおよび人工弁を通過して流れるのを保証し、これにより、RAからSVCまたはIVCへの逆流を軽減し得る。
【0145】
いくつかの実施形態では、ドッキングステーションを利用して、SVC/RAまたはIVC/RAインターフェースで人工弁を配置する。多くの実施形態において、人工弁は、血液の流れを制御し、逆流を軽減するのを助けるために利用される。複数の実施形態では、ドッキングステーションの中央セクションは、弁座として利用される。いくつかの実施形態では、ドッキングステーションの中央セクションの内径は、人工弁の外径と互換性がある。制御された内径を有することは、標準的な直径を有して製造された弁が、局所環境の大きさ、輪郭および寸法にかかわらず、あらゆる局所血管環境で機能することを保証するのに役立ち得る。
【0146】
多くの実施形態では、補綴デバイスは外径を有し、外径は15mmから35mmの間の大きさである。様々な実施形態において、外径は、およそ、15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、20mm、21mm、22mm、23mm、24mm、25mm、26mm、27mm、28mm、29mm、30mm、31mm、32mm、33mm、34mm、または35mmであり得る。しかしながら、補綴デバイスの外径は任意の適切なサイズにすることができ、ドッキングステーションの内径を利用して、補綴デバイスの外径と適合させることができることを理解されたい。
【0147】
いくつかの実施形態では、補綴デバイスは自己拡張型であり、半径方向の力を利用して、ドッキングステーションの中央セクション内にそれ自体を固定する。いくつかの実施形態では、機構は、(例えば)ラッチまたはフック等、ドッキングステーションの中央コアを備えた補綴デバイスを固定するために利用される。
【0148】
機械式で組織ベースの弁を含む(但し、これらに限定されない)多数の人工弁がドッキングステーションと共に利用され得る。米国特許第8,002,825号、国際公開第2000/42950号、米国特許第5,928,281号、米国特許第6,558,418号、米国特許第6,540,782号、米国特許第3,365,728号、米国特許第3,824,629号、および米国特許第5,814,099号に記載されている弁を含む、多数の人工弁が記載されており、それらを利用することができ、それらの開示は、この参照によってそれぞれの特許または刊行物の全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、エドワーズライフサイエンス社のSAPIEN経カテーテル心臓弁が利用される。本明細書に記載されるように、拡張可能なデバイス内に適合することができる任意の適切な弁が、本発明の様々な実施形態に従って利用され得ることに留意されたい。
【0149】
多くの実施形態において、湾曲したアームを備えたドッキングステーションは、経カテーテル送達デバイス内に挿入され得る。したがって、非拡張形態で圧着された状態のドッキングステーションは、ドッキングステーションが経カテーテルアプローチを介して実施部位へ送達され得るように、カテーテル内に挿入される。任意の適切な経カテーテル送達システムが使用され得る。いくつかの実施形態では、ドッキングステーションは、米国特許公開第2017/0231756号に記載されている経カテーテル送達システムを利用し、その開示は、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0150】
図8Aおよび図8Bに示されるのは、拡大された形態で示された、湾曲したアーム801を有するドッキングステーション800の側面図および上面図である。図示されているように、ドッキングステーション800は、中央セクション803、流入端805、および流出端807を備えた円筒形/砂時計の形状を有する。流入端805および流出端807は、中央セクション803よりもさらに外側に拡張し、流入端および流出端が展開部位で内壁に接触および係合することを可能にする。流出端807は、ギャップ809およびギャップ内の湾曲したアーム801を含む。ドッキングステーション800は、ドッキングステーションが拡張および収縮することを可能にする多数のセル813を形成する多数の相互接続支柱811によって形成される。図示されるように、ドッキングステーション800は、フレームの一部として含まれる多数の放射線不透過性形状部815を含み、これが、標的部位における移植中にドッキングステーションの視覚化を容易にし得る。
【0151】
図9は、拡張されていない構成のドッキングステーション800を描写している。図示されているように、円筒形の直径は減少し、デバイスの長さは拡大する。圧着状態の拡張可能なデバイス300は、経カテーテルアプローチによって送達され得るように、カテーテル内に挿入され得る。図示されるように、アーム801は、それがカテーテル内に収まり得るように真っ直ぐにされ、引き伸ばされている。アーム801は、ドッキングステーション800がカテーテル内に適合することを可能にする任意の適切な構成に凝縮され得ることに留意されたい。
【0152】
図10Aおよび図10Bは、その上にカバーが取り付けられたドッキングステーション800を描写している。流入端805から流出端807まで延在する全長カバー1001が図10Aに示されている。あるいは、流入端805から中央セクション803をわずかに越えて、流出セクション807のギャップ809まで延在する部分的な長さのカバー1051が図10Bに示されている。全長カバー1001および部分長カバー1051は、ステッチ1003または他の任意の適切な手段を介してフレームの支柱811に取り付けられ得る。カバー1001および1051は、(例えば)生体適合性布(例えば、PET布)または人工生体組織(例えば、動物の心膜または小腸粘膜下組織)などの適切な材料で作られ得る。さらに、カバー1001および1051は、血液およびその構成要素に対して不浸透性にされ、その結果、血液が中央コア308を通って流れるように導かれ得る。
【0153】
シール部分1005は、流入端803および流出端805に向かってカバー1001および1051上に形成される。シール部分1005は、展開部位で内壁と係合し得る。シール部分1005を管腔壁と係合させることにより、血液が中央セクション803を通って流れ、バイパスしないことを保証するシールを形成する。
【0154】
図11に示されるのは、人工弁1101を支持するドッキングステーション800である。弁1101は、中央セクション803内に配置されている。中央セクション803の内周は、人工弁1101の外周と互換性があるように制御され得る。人工弁1101は、自己拡張型であり、半径方向の力を利用してそれ自体を中央コア803内に固定することができ、或いは、(例えば)ラッチまたはフックなどの機構を利用して、人工弁601を固定し得る。機械式で組織ベースの弁を含む(但し、これらに限定されない)任意の適切な人工弁601が利用され得る。人工弁1101は、人工弁を通る血流を案内するのに役立つカバー1001または1051を有するドッキングステーション800内に組み込まれ得ることに留意されたい。
【0155】
図12A図12Cは、SVCおよびRAの相互接続内に挿入されたドッキングステーション800を描写している。展開部位に挿入されると、流入端803は外側に拡張し、SVCの管腔壁1201と係合する。ギャップ809の反対側の流出端805は、管腔壁と係合することができ、一方、湾曲したアーム801は、それ自体をRAに挿入し、RAの壁1203と係合し得る。流入端803および流出端805ならびに湾曲したアーム801は、半径方向の力および/または取り付け機構を利用して管腔壁に固定され得る。取り付け機構には、オリフィスと縫合糸またはフックの利用が含まれる(但し、これらに限定されない)。湾曲したアーム801は、ドッキングステーション800がSVCに逆流して肝静脈を覆うのを軽減するのに役立ち得る。図12Cは、人工弁1101を組み込んだドッキングステーション800を示している。図12A図12Cには示されていないが、カバー1001または1051も利用され得る。ドッキングステーション800は、SVCおよびRA相互接続内でも使用され得ることを理解されたい。
【0156】
いくつかの実施形態は、湾曲したアームを備えたドッキングステーションを展開部位に送達する方法に向けられる。当技術分野で理解されるように、この方法は、ヒト、他の哺乳動物(例えば、ブタ)、死体、または擬人化されたファントムを含む(但し、これらに限定されない)任意の適切なレシピエントに対して実施され得る。したがって、送達の方法は、治療方法(例えば、ヒト対象の治療)と訓練および/または実践の方法(例えば、人間の血管系を模倣する擬人化ファントムを利用してメソッドを実行する)の両方を含む。様々な実施形態では、この方法は、死体の心臓、シミュレータ(例えば、体の部分、組織などがシミュレートされている)、擬人化されたファントムなどで実行され得る。
【0157】
経カテーテル送達システムが使用される場合、経大腿、鎖骨下、経心尖、または経大動脈アプローチを含む(但し、これらに限定されない)展開部位に到達するために任意の適切なアプローチが利用され得る。いくつかの実施形態では、ドッキングステーションを含むカテーテルは、ガイドワイヤを介して展開部位に送達される。展開部位で、多くの実施形態によれば、ドッキングステーションがカテーテルから解放され、次いで、流出端が内腔壁に向かって外側に拡張し、湾曲したアームがRAの内壁に係合し、続いて中央セクションと流入端に係合するような形態に拡張される。(例えば)膨張可能なバルーン、機械的拡張、または自己拡張型デバイスの利用など、多数の拡張機構が利用され得る。いくつかの実施形態では、ドッキングステーションの中央セクションは、人工弁を配置するための適切な内径を提供するように、遠位端まで拡張しない。特定の形状設計とフレーム上の放射線不透過性領域とが、拡張および移植の監視に利用され得る。
【0158】
ドッキングステーションが拡張されると、いくつかの実施形態によれば、ドッキングステーションの遠位端は、半径方向の力および/または取り付けを介して管腔壁と係合する。不浸透性カバーを利用する様々な実施形態では、シール部分は、半径方向の力および/または取り付けを介して管腔壁と係合する。補綴デバイスを利用する様々な実施形態では、デバイスが半径方向の力および/または取り付けを介して内部コア(例えば、弁座)と係合するように、デバイスは、カテーテルによって展開部位に送達され、解放され、ドッキングステーションの中央セクション内で拡張され得る。
【0159】
「均等論」
上述した説明は、本発明の多くの特定の実施形態を含むが、これらは、本発明の範囲に対する制限として解釈されるべきではなく、むしろその一実施形態の例として解釈されるべきである。したがって、本発明の範囲は、例示された実施形態によってではなく、添付の特許請求の範囲およびそれらの同等物によって決定されるべきである。
【符号の説明】
【0160】
101 三尖弁
103 僧帽弁
105 大動脈弁
107 肺動脈弁
300、330、360 拡張可能なデバイス
303、333、813 セル
305、335 支柱
307、361 付属肢
308、310、331 中央コア
309 直径
311 遠位先端
313 オリフィス
315 フック
501、551 カバー
503 縫合
505、1005 シール部分
601、1101 人工弁
800 ドッキングステーション
801 湾曲したアーム
803 中央セクション
805 流入端
807 流出端
809 ギャップ
811 相互接続支柱
815 放射線不透過性形状部
1001 全長カバー
1051 部分長カバー
1003 ステッチ
RA 右心房
RV 右心室
LA 左心房
LV 左心室
IVC 下大静脈
SVC 上大静脈
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図12C
【国際調査報告】