(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-11
(54)【発明の名称】冷却機能付き密封装置
(51)【国際特許分類】
F16J 15/324 20160101AFI20221104BHJP
【FI】
F16J15/324
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022511349
(86)(22)【出願日】2020-08-25
(85)【翻訳文提出日】2022-02-21
(86)【国際出願番号】 EP2020073718
(87)【国際公開番号】W WO2021043630
(87)【国際公開日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】102019123608.8
(32)【優先日】2019-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520400139
【氏名又は名称】クラウスマッファイ エクストュルージョン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】KraussMaffei Extrusion GmbH
【住所又は居所原語表記】An der Breiten Wiese 3-5 30625 Hannover Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ティーベン,ミヒャエル
【テーマコード(参考)】
3J043
【Fターム(参考)】
3J043AA16
3J043CB13
3J043DA01
(57)【要約】
本発明は、ハウジング(200)と、当該ハウジングに回転可能に取り付けられたシャフト(310)との間の中間空間を封止するための密封装置(100)であって、前面と、背面と、前面から背面に延び、シャフト(310)の供給に適した第1の開口部(120)とを有する板状の第1の本体(110)と、冷媒の流通に適した、本体(110)内を走る冷却ライン(170)と、を備える密封装置(100)に関する。第1の本体(110)は、ハウジング(200)に回転可能に取り付けられたシャフト(310)が第1の開口部(120)を介して導かれるように、ハウジング(200)にしっかりと固定されるのに適している。第1の開口部(120)は、封止材(140)が、シャフト(310)と第1の本体(110)との間の中間空間を封止するように、封止材(140)を導入するのに適している。冷却ライン(170)は、シャフト(310)の回転によって発生する熱が冷媒によって空間的に均質に放散可能なように、冷媒用の冷却ライン入口(172)と冷却ライン出口(174)との間で第1の開口部(120)の周りに設けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(200)と、当該ハウジングに回転可能に取り付けられたシャフト(310)との間の中間空間を封止するための密封装置(100)であって、
前面と、背面と、前記前面から前記背面に延び、前記シャフト(310)の供給に適した第1の開口部(120)とを有する板状の第1の本体(110)と、
冷媒の流通に適した、前記本体(110)内を走る冷却ライン(170)と、
を備え、
前記第1の本体(110)は、前記ハウジング(200)に回転可能に取り付けられた前記シャフト(310)が前記第1の開口部(120)を介して導かれるように、前記ハウジング(200)に緊密に固定されるのに適しており、
前記第1の開口部(120)は、封止材(140)が、前記シャフト(310)と前記第1の本体(110)との間の中間空間を封止するように、封止材(140)を導入するように構成されており、
前記冷却ライン(170)は、前記シャフト(310)の回転によって発生する熱が前記冷媒によって空間的に均質に放散可能なように、冷媒用の冷却ライン入口(172)と冷却ライン出口(174)との間で前記第1の開口部(120)の周りに連続的に設けられる、
密封装置。
【請求項2】
前記第1の本体(110)は、特に、付加製造方式で、一体的に形成される、
請求項1に記載の密封装置(100)。
【請求項3】
前記冷却ライン(170)は、六角形の断面を有する、
先行する請求項のうちいずれか一項に記載の密封装置(100)。
【請求項4】
前記冷却ライン(170)は、前記第1の本体(110)の内部で複数の部分ラインに分岐する、
先行する請求項のうちいずれか一項に記載の密封装置(100)。
【請求項5】
前記封止材(140)はスタッフィングボックスとして構成されている、
先行する請求項のうちいずれか一項に記載の密封装置(100)。
【請求項6】
前記本体(110)内を走り、液体または気体の封止媒体の流通に適した封止ライン(130)をさらに備え、
前記封止ライン(130)は、少なくとも1つの迂回路(134)および/または少なくとも1つの分岐(136)を介して入口(132)に接続され、前記第1の開口部(120)に向けて半径方向に対称につながる複数の出口(138)を有しており、
記第1の開口部(120)に導入される前記封止材(140)は、前記封止ライン(130)の前記複数の出口(138)を塞ぐことなく、前記シャフト(310)と前記第1の本体(110)との間の中間空間を封止する、
先行する請求項のうちいずれか一項に記載の密封装置(100)。
【請求項7】
前記第1の本体(110)は、さらなるシャフト(320)の供給に適したさらなる開口部(160)を備える、
先行する請求項のうちいずれか一項に記載の密封装置(100)。
【請求項8】
前記第1の本体(110)と同様に構成される、さらなる本体(510)であって、前記第1の本体(110)の前記第1の開口部(120)が前記さらなる本体(510)のさらなる開口部(560)と重なり、前記シャフト(310)の供給を可能にし、および、前記第1の本体(110)のさらなる開口部(160)が前記さらなる本体(510)の第1の開口部(520)と重なり、前記さらなるシャフト(320)の供給を可能とするように、前記第1の本体(110)に緊密に固定されるのに適したさらなる本体(510)をさらに備え、
前記第1の本体(110)の冷却ライン(170)は、前記さらなる本体(510)の冷却ライン(570)に接続されており、両方の冷却ライン(170、570)が共有の入口を介して供給を受けるようになっている、
請求項7に記載の密封装置(100)。
【請求項9】
シャフト(310)によってハウジング(200)内に回転可能に取り付けられた押出スクリューと、
前記ハウジング(200)と前記シャフト(310)との間の中間空間を封止するための、先行する請求項のいずれか一項に記載の密封装置(100)と、
を備える押出成形機。
【請求項10】
第1のシャフト(310)および第2のシャフト(320)によってハウジング(200)内に回転可能に取り付けられた2つの押出スクリューと、
前記ハウジング(200)と前記第1のシャフト(310)および前記第2のシャフト(320)との間の中間空間を封止するための請求項7または8に記載の密封装置(100)と、
を備える多軸押出成形機。
【請求項11】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の密封装置を製造する方法であって、
前記第1の本体を、付加製造方式、特に、3Dプリンティングによって製造するステップを備える、
製造方法。
【請求項12】
付加製造用の装置で実行されると、当該装置に上記方法を実行させるコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転可能に取り付けられたシャフトを密封し、摩擦によって発生する熱を放散するための密封装置に関する。さらに、本発明は、そのような密封装置を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な機械において、回転運動の伝達にはシャフトが使用される。特に、混合装置の回転にドライブシャフトを使用することが知られている。このため、ドライブシャフトは、ギアおよび/またはモーターからハウジングへと導かれ、ハウジング内で混合装置に接続されて、混合装置を動作させる。このような機械の例として、押出システムがあり、ここでは、ハウジング内で回転する押出機のスクリューが、押出材を完全に加工または混合する。このような押出スクリューは、押出システムのハウジングから外に突き出すドライブシャフトに接続される。
【0003】
このような混合装置では、混合処理(例えば、摩耗)や、混合に使用される材料(例えば、チョーク、タルカム、カラーパウダーなどの粉末状の材料や混合添加剤)によって、大量の粉塵が発生し得る。混合装置のハウジングとハウジングから突き出たシャフトとの間の中間空間が封止されていないと、操作中に大量の汚染が発生する。さらに、漏れ出る粉塵は健康に害を及ぼす可能性があり、また、過度の粉塵の堆積により、モーター、ギア、または駆動列の損傷につながる可能性もある。
【0004】
密封に使用される装置は、少なくとも1つのハウジング要素と、その内部に配置された封止材(例えば、プレス封止、Oリング、ラジアルシャフトシールリング、スタッフィングボックスなど)で構成され得る。この場合、ハウジング要素に冷却ラインを追加して、シャフトと封止材またはハウジング要素との間で発生する摩擦熱を封止アセンブリから導出させることが有利である。冷却ラインは、冷却効果を最大化するために、熱が発生する摩擦点に可能な限り近いところを通るようにする。
【0005】
通常、このために、ラインはドリルにより形成されて、開口端は再びストッパーで閉じられる。この場合、1つの入口開口と1つの出口開口だけは開口しておく。しかし、そうすると、次のような問題が発生する。
【0006】
ひとつには、機械加工による製造プロセスでは、冷却ラインが幾何学的な制約を受け、ほとんどの場合、均質な、すなわち空間的に均一な放熱ができない。このため、シーリングの不均一な加熱や、封止材のオーバーヒートが発生し、シーリングの損傷につながる可能性がある。
【0007】
さらに、複数の処理工程を伴う製造プロセスは工数がかかる。また、ハウジング要素には、比較的大きな、または複数の封止領域があるため、冷媒の漏洩が発生する可能性がある。その結果、冷却材の過剰な消費やシステムの汚染が発生する可能性がある。
【0008】
設置スペースが限られている場合や,シーリングのハウジング要素へのアクセスがしづらい場合には、単純な構成の冷却ラインしかハウジング要素に導入することができないことが多い。しかし、このラインでは冷却すべきすべての領域に到達することはできない。このため、オーバーヒートによるシーリングの損傷が発生する可能性がある。
【0009】
また、機械加工処理による製造中に発生した削り屑が冷却ラインに残り、冷媒の流れを妨げることがある。これにより、冷却性能が低下し、使用している封止材の寿命が短くなることがある。
【発明の概要】
【0010】
本発明の課題は、上述した問題が発生しない、回転可能に取り付けられたシャフトのための密封装置を創出することである。特に、密封装置内で発生する摩擦熱の、空間的に均一な除去を保証する密封装置を創出することである。
【0011】
この問題は、独立請求項の主題によって解決される。有利なさらなる発展形は、従属請求項において定義されている。
【0012】
ハウジングと、ハウジング内に回転可能に取り付けられたシャフトとの間の中間空間を封止する密封装置は、前面と、背面と、および前面から背面まで延び、シャフトの供給に適した第1の開口部を有する板状の第1の本体と、本体内を走る冷却ラインであって、冷媒の流通に適した冷却ラインとを備えることができる。ここで、第1の本体は、ハウジングに回転可能に取り付けられたシャフトが第1の開口部を介して導かれるように、ハウジングにしっかりと固定されるのに適している。第1の開口部は、シャフトと第1の本体との間の中間空間を封止するように封止材を導入するのに適している。冷却ラインは、冷媒の冷却ライン入口と冷却ライン出口との間で、第1の開口部の周囲に設けられており、シャフトの回転により生じる熱が、冷媒によって空間的に均質に放散されるようになっている。
【0013】
封止材を受け入れる、シャフト用の開口部と、冷却ラインとの両方が、密封装置の同じ構造要素に配置される。板状の構造を有するため、この封止板または第1の本体は、ハウジングにしっかりと固定されるのに適しており、ハウジング内にある材料は、第1の本体の開口部を介してのみ、シャフトに沿ってハウジングから出ることが可能となる。
【0014】
同時に、開口部に封止材が配置されるため、密封装置の開口部の領域でのみ摩擦が発生する。この局所化により、摩擦箇所に沿って十分に近く、つまり開口部に十分に近く冷却ラインを配置することが可能である。冷却ラインの開口部からの距離は、0.5cm~10cmの範囲で、例えば、1cm、2cm、5cm、または、7cmとすることができる。この距離は、冷却ラインのコース内で可変であってもよい。なお、この距離は一定でもよい。
【0015】
冷却ラインは、例えば、開口部の周囲を連続的に走るようにしてもよい。これにより、特に第1の本体が熱伝導率の高い材料、例えばアルミニウム、鉄、または銅などの金属で構成されている場合には、熱の最適な除去が可能となる。冷却ラインが連続的であるため、特に、熱の除去が空間的に均質となる。すなわち、開口部に挿入された封止材において摩擦によって発生した熱は、開口部の端から全方向に向けて均一に放散される。
【0016】
これにより、密封装置やそれに挿入された封止材、あるいはシャフトの不均一な加熱やオーバーヒートが抑制され、封止材の早期老化や損傷の防止が可能となる。
【0017】
第1の本体は、特に付加製造方式(additive manufacturing method)によって一体的に形成してもよい。よって、第1の本体は、例えば、プレートと、フライス加工された冷却ラインとを組み合わせ、当該冷却ラインをさらに別のプレートで覆うというような、複数の従属要素で構成されることなく、単一の要素のみで構成される。
【0018】
3Dプリンティングなどの付加製造の場合、第1の本体は層ごとに構築される。冷却ラインや第1の開口部などの第1の本体に設けられる空洞は、製造過程で設けられる。このため、後から機械加工をする必要がない。よって、削り屑が冷却ラインを塞ぐおそれもない。
【0019】
さらに、付加製造方式による製造では、すべての空洞、特に冷却ラインおよび開口部の形状と位置を、コースと断面の両方について自由に選択できるという利点がある。特に、冷却ラインは、円形、楕円形、角張った形状など、任意の断面に形成可能である。また、冷却ライン内で断面積を変えることもできる。同様に、所望の有利なラインレイアウトを実現することが可能であり、特に任意の数の分岐および/または支流、あるいは迂回路を形成することが可能である。これにより、ライン内の圧力損失を最適に設定することができ、冷媒の消費量の抑制、迅速かつより良好な放熱、および/または、エネルギーの節約が実現される。
【0020】
第1の本体は、封止板としての使用に十分な強度を持つ任意の材料から製造することができる。第1の本体は、金属、例えばアルミニウムから作られるのが好ましい。
【0021】
ここで、冷却ラインが六角形の断面形状を有している場合、特に有利である。これにより、付加製造方式を用いて密封装置の製造を簡略化することができる。ライン断面を例えば正六角形また長六角形などの六角形とすることで、第1の本体の層構造において、隣り合う層の重量に対して過度に不安定となる張り出しが発生しないようにして、冷却ラインのダクトの崩壊を防止する。
【0022】
特にここでは、六角形の頂点が第1の本体の前面と背面の方向を向くライン断面を選択するのが有利である。そして、第1の本体の製造時に、まず、V字型の切り欠きを空けておき、切り欠きの各辺の長さよりも長い垂直壁が続くようにしてもよい。冷却ラインを閉じる際には、鏡面反転のV字型の切り欠きに対応可能な、上向きのくさび(∧)形状のクロージャでこれらを覆ってもよい。この形状は、積層されていく層の並びに対して十分に安定するからである。
【0023】
さらに、六角形状は、180°回転対称または鏡面反転対称でもよい。そして、第1の本体は、前面から、あるいは背面から製造してもよい。これにより、製造の自由度が高まり、その結果、製造が容易になる。
【0024】
冷却ラインは、第1の本体内で複数の部分ラインに分岐させてもよい。これにより、確実に、発生した摩擦熱の放散が向上する。
【0025】
封止材はスタッフィングボックスとして構成することができる。これは、簡単に実現可能な、回転可能シャフトのシーリングである。さらに、スタッフィングボックスを用いることで、初期段階の漏洩が発生した場合にシールの再調整が可能とする。すなわち、封止材を交換することなく、可能な限り長く使用することが可能となる。
【0026】
さらに、密封装置は、液体または気体の封止媒体を導くのに適した、本体内を走る封止ラインを有することができる。ここで、封止ラインは、少なくとも1つの迂回路および/または少なくとも1つの分岐を介して入口と接続された複数の出口を有しており、これらの出口は、半径方向に対称に第1の開口部につながる。第1の開口部に導入された封止材は、封止ラインの出口を塞ぐことなく、シャフトと第1の本体との間の中間空間を封止する。
【0027】
この場合、密封装置は、封止材と封止媒体の組み合わせによる封止に適している。これにより、密封装置の封止特性が向上する。特に、封止媒体を半径方向に対称的に導入することで、信頼性の高い封止を確実に行うために、特に、開口部に位置するシャフトが封止媒体で完全に包囲されることが保証される。
【0028】
第1の本体には、さらなるシャフトの供給に適したさらなる開口部を設けてもよい。これにより、密封装置を、複数の、特に平行なシャフトを有する装置にも利用することが可能となる。特に、このような密封装置は、多軸押出機での使用に適している。
【0029】
さらに、密封装置は、第1の本体と同様に構成される、さらなる本体を有することができる。さらなる本体は、第1の本体の第1の開口部がさらなる本体のさらなる開口部と重なってシャフトの供給を可能にし、および、第1の本体のさらなる開口部がさらなる本体の第1の開口部と重なってさらなるシャフトの供給を可能とするように、第1の本体との緊密な接続に適したさらなる本体を有することができる。第1の本体の冷却ラインは、さらなる本体の冷却ラインと接続することができ、両方の冷却ラインは、共有の入口を介して供給を受けるようになっている。
【0030】
このため、第1の本体と第3の本体とは実質的に同じ構造であり、すなわち、同じタイプの開口部とラインを有する。いずれの本体にも、封止材が挿入可能な、封止動作中に冷却が必要な第1の開口部と、さらなる開口部とを有する。いずれの本体も、動作中に発生する摩擦熱を放散させるために、第1の開口部の周囲に冷却ラインが走っている。
【0031】
いずれの開口部にもシャフトを通すことができる。ただし、封止材の入った開口部は互いに重ならず、それぞれ別のシャフトに割り当てられる。これにより、例えば二軸押出機のように、平行して走る2つのシャフトの密封を実現可能である。
【0032】
一方の本体の冷却ラインの入口を、他方の本体の冷却ラインの出口に接続することで、閉冷却回路を作ることができる。これにより、2つの回転シャフトを有するシステムを効率的に密封することができる。
【0033】
また、封止板に複数の開口部を設け、その周囲を前述のように冷却ラインで囲むことも考えられる。これにより、任意の所望の数のシャフトを有する多軸システムを効果的に密封することができる。さらに、前述したような複数の封止板を互いに固定して使用し、対応する貫通孔を追加することで、任意の所望の数のシャフトを持つシステムを密封してもよい。
【0034】
押出装置は、上述したように、シャフトによって回転可能にハウジング内に取り付けられた押出スクリューと、ハウジングとシャフトの間の中間空間を封止する密封装置とを備えることができる。したがって、このような押出装置は、スクリュー駆動方向に押出成形物および/または特に微粉状の混合添加物が漏れ出るのを効果的に封止する。同時に、密封装置が冷却されるから、使用される封止材の寿命が延びる。
【0035】
多軸押出機は、上述したように、第1のシャフトおよび第2のシャフトによってハウジングに回転可能に取り付けられた2つの押出スクリューと、複数のシャフトのための密封装置とを備えることができる。これにより、スクリュー駆動方向における押出成形物および/または特に微粉状の混合添加物の漏洩に対して、多軸押出機を効果的な方法で封止することができる。同時に、密封装置が冷却されるから、使用される封止材の寿命が延びる。
【0036】
上述したような密封装置の製造方法は、付加製造方式、特に、3Dプリンティングによって第1の本体を製造するステップを備えてもよい。上述したように、これにより、密封装置を、できるだけ効率的かつ合目的的に製造することができる。
【0037】
コンピュータプログラム製品は、付加製造用の装置上で実行されることにより、付加製造用の装置に上記方法を実行させることができる。
【0038】
以下、本発明を添付の図を参照して詳細に説明する。この説明が例示に過ぎないことは明らかである。本発明の主題は、特許請求の範囲を通じてのみ定義される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明を、二軸押出機用の密封装置100を参照して説明する。ただし、本発明はこの態様に限定されるものではない。特に、スクリューを1個のみまたは2を超えるスクリューを有する押出機用の密封装置への以下の説明の一般化、および、ハウジングに対して密封されるべき1または複数のシャフトを有する他の機械用の密封装置への以下の説明の一般化は、特許請求の範囲の主題の範囲にある限り、本発明に含まれるものとする。
【0041】
図1は、ハウジングと、当該ハウジングに回転可能に取り付けられたシャフトとの間の中間空間を封止するための密封装置100の概略図である。
【0042】
密封装置100は、板状の第1の本体110を有する。密封装置100は、実質的に第1の本体110で構成することができる。ただし、
図2Aおよび
図2Bを参照して例として以下に説明するように、複数の部品から構成することも可能である。
【0043】
第1の本体110は、カバープレートとして構成されている。すなわち、2つの方向における広がりは、第3の方向における広がりよりも大きい。第1の本体220は、ここでは、例えば、ねじ接続、リベット留め、溶接などによって、封止されるべきハウジングの表面に強固にかつ面一に取り付け可能に構成されている。ハウジングから漏れ出る材料がハウジングと第1の本体110との間の接続箇所に沿って外部に出ないように、ハウジングと第1の本体110との間の接触が緊密であることが保証される限り、ハウジングと接触する第1の本体110の表面は、任意の所望の方法で構成してもよい。同様の方法で、ハウジングとシャフトとの間の所望の密封は、第1の本体110とシャフトとの間でも実現される。
【0044】
ハウジングと第1の本体110との間の密封は、所望の方法で行うことができる。例えば、ねじ留め、リベット留めなどの手段によって互いに向き合う構成要素を単にプレス接続してもよいし、例えばゴム製の封止要素などの追加の封止材、または、例えばグリースなどの封止媒体によって接続してもよい。あるいは第1の本体110とハウジングとを溶接によって接続してもよい。
【0045】
図2を参照して説明するように、ハウジングと第1の本体110(さらなる構成要素を含む)との接続が全体として緊密である限り、ハウジングと第1の本体110との間にさらなる構成要素を配置してもよい。
【0046】
第1の本体110は、ここでは、さらに後述する形態での形成に適した、ハウジングに接続可能な、十分な強度を有する任意の材料で構成することができる。特に、第1の本体110は、例えば、アルミニウムや鉄などの金属で構成してもよい。ただし、第1の本体110は、十分に硬いプラスチックまたはセラミックから構成されてもよい。
【0047】
第1の本体110には、第1の本体110の背面と前面との間に延びる(第1の)開口部120が設けられている。第1の開口部120は、密封装置100または第1の本体110がハウジングに接続されたときに、ハウジングから突出するシャフトが開口部を通ることができるように、十分な大きさを有する。例えば、開口部120は、10cm~100cm、またはそれ以上の直径を有することができ、例えば20cm、40cm、60cmまたは80cmである。したがって、第1の開口部120は、密封装置100とハウジングとが互いに接続されているときに、シャフトの回転を可能にする。
【0048】
ハウジングと第1の本体110との間を強固かつ緊密に接続することにより、ハウジング内に位置する被封止材料(例えば、チョーク、タルカム、カラーパウダーなどの粉体)が漏れ出る領域が、第1の本体110とシャフトとの間の中間空間に移行する。したがって、密封の際には、開口部120のうち、シャフトが占有しない領域を密封すれば十分である。
【0049】
したがって、開口部120は、(第1の)封止材140を挿入可能なように構成されており、これにより、第1の本体110とシャフトとの間の領域で開口部120を完全に封止することができる。封止材140としては、第1の本体110と回転シャフトとの間の中間空間を封止するのに適した任意の所望の形状を採用することができる。例えば、封止材140は、Oリング、ラジアルシャフトシールリングなど、あるいはそれらの組み合わせであってもよい。好ましくは、封止材140はスタッフィングボックスとして構成され、これにより、漏れが生じた場合の再調整が可能となる。封止材140は、典型的には、ゴム、天然ゴムなどで構成される。開口部120は、例えば階段状に構成することができ、これにより、段差に対して封止材140を押し込んで広げることができ、その結果封止材140が回転可能シャフトに押し付けられて、密封性が向上するようになっている。
【0050】
効果的な密封のためには、封止材140がシャフトと第1の本体に対して密着しなければならないため、シャフト、封止材140、および/または第1の本体110の間で摩擦が生じ、それゆえに熱が発生する。同様に、第1の本体110の対応する構成により、シャフトと第1の本体110との間にも摩擦、ひいては発熱が起こり得る。この摩擦熱は、シャフトの動作時間が長くなるとかなりの熱となり、冷却しないと、封止材140、シャフト、および/または、密封装置100に損傷を与える可能性がある。
【0051】
このため、第1の本体110は、冷却ライン入口172から冷却ライン出口174に至る冷却ライン170を有している。この冷却ライン170は、例えば、空気、水、または他の既知の冷却流体などの冷媒を通すのに適している。冷却ライン170は、特に、内部に封止材140が挿入された第1の開口部120を取り囲む。このため、冷却ライン170は、連続的な迂回路および/または複数の分岐を有しており、これにより、冷却ライン170は、摩擦熱が発生し得るすべての箇所の近くを常に通っている。したがって、冷却ライン170は、発生した摩擦熱を空間的に均質な方法で放散することができる。
【0052】
冷却ライン170は、
図1に示すように、ここでは円状に走ることができ、数センチを除いて閉じた円を形成することができる。したがって、冷却ライン170は、第1の本体110の全周を冷却する。これにより、開口部120から第1の本体110を介して伝わる熱を、特に効果的な方法で、均一に放散することができる。
【0053】
ただし、一般的には、冷却ライン170のラインレイアウトは任意の所望のものでよく、これにより、発生した摩擦熱を第1の本体110から均一に放散することができる。例えば、冷却ライン170は、複数の分岐を有する星型のコースであってもよい。また、有利と考えられる場合には、第1の本体110に複数の冷却回路を形成することも可能である。
【0054】
図1に示すように、冷却ライン入口172および冷却ライン出口174は、それぞれ第1の本体110の前面または背面に位置することができる。これにより、例えば
図2Aおよび
図2Bを参照して以下に説明するように、密封装置のさらなる構成要素に設けられた冷却ラインとのモジューラ型接続が可能になる。さらに、この配置により、冷却ライン170を完全に第1の本体110内に配置することが可能となるから、発生する摩擦熱に近接させることができ、これにより、冷却性能が向上する。なお、冷却ラインの入口172および出口174は、第1の本体110の側面に配置してもよい。さらに、必要に応じて、複数の冷却ライン入口172および/または冷却ライン出口174を設けてもよい。
【0055】
冷却ライン170の断面は、ここでは任意の所望の方法で形成することができ、例えば、円形、楕円形、または角張った形状である。また、冷却ライン170の断面形状や幅も、必要に応じてコース内で変えることができる。さらに後述するように、頂点が前面および背面を向く六角形の形状は、3Dプリンティングによって製造する第1の本体110の場合に特に有利である。冷却ライン170の直径は、典型的には、0.5cmから3cmの範囲にある。
【0056】
図1に示すように、第1の本体110は、任意の構成要素として、封止ライン130、または封止ライン130により形成されるラインシステムを有してもよい。封止ライン130では、封止媒体、特に例えば空気、水、またはグリースなどの気体または液体の封止媒体を開口部120に導入することができる。封止ライン130は、所望の封止媒体の導入に適した任意の所望の断面を有することができ、その形状およびその面積も変えることができる。封止ライン130の直径は、1mm~20mmの範囲にあってもよく、例えば、2mm、5mm、10mmまたは20mmである。
【0057】
封止ライン130は、1以上の入口132を有し、この入口を介して封止媒体を封止ライン130に導入することができる。
図1では、3つの入口132が示されている。ただし、任意の所望の好都合な数を使用してもよく、特に、1つの入口132だけでもよいことは明らかである。入口132は、第1の本体110の前面と背面の両方に位置してもよい。したがって、封止媒体の供給は、外部から、すなわち、第1の本体110のうちハウジングに面していない側面を介して行うことができる。ただし、ハウジング内または中間部品内に配置されたラインを介して行うことも可能である。この場合、入口132は、第1の本体110のうち、ハウジングに面した側面に位置する。ただし、入口(複数)または入口(単数)132は、第1の本体110の側面に位置することもできる。
【0058】
封止ライン130は、入口132から迂回路134および分岐または支流136をそれぞれ介して出口138まで延びており、この出口を介して、開口部120を通るシャフトに封止媒体を導くことができる。迂回路134および分岐136は、可能な限り半径方向に対称に、封止媒体でシャフトを包囲する機能を有する。したがって、封止ライン130は、複数の出口138がシャフトの軸に対して半径方向に対称に配置されるように形成されている。したがって、
図1では、4つの出口138は、それぞれ90°の角度で互いにオフセットされている。
出口138の数は、所望の数とすることができる。好ましくは、封止媒体を均一に供給できるように、その数は1よりも大きい。ただし、出口138が1つだけの密封装置100も想定され得る。
【0059】
ここで、封止ライン130は、冷却ライン170と同一平面上に位置してもよい。しかしながら、2つのラインシステムを、異なる平面に配置することもできる。すなわち、第1の本体110の前面または背面とは異なり、間隔を空けて配置することもできる。
【0060】
上述した、板状の第1の本体110における第1の開口部120と冷却ライン170との組み合わせは、(場合によっては封止ライン130とともに)密封装置100の基本原理を構成する。これにより、ハウジング内で回転するシャフトの冷却密封を簡単な方法で実現することができる。以下の図には示されていないが、この組み合わせは、個々のシャフトに対して単独で使用することができる。同様に、複数のシャフトを冷却して封止するために、1個の封止板に複数のこのような組み合わせを収容することも可能である。
【0061】
あるいは、
図2Aおよび
図2Bを参照して以下に説明するように、第1の本体110に応じた形状の複数の封止板を互いに重ねて(または背中合わせで)取り付け、複数のシャフトを冷却封止することもできる。
【0062】
このため、
図1に示すように、さらなる開口部160を設けることができ、この開口部にさらなるシャフトを通してもよい。このさらなる開口部160も、さらなる開口部160を通る熱を潜在的に放散できるように、
図1では冷却ライン170によって囲まれている。しかしながら、さらなる開口部160を開放したままとし、封止材140が設けられた第1の開口部120の周囲のみに冷却ライン170を向けることも可能である。
【0063】
図1に示すように、さらなる開口部160には、任意選択の封止ライン130の出口138が設けられていない。すなわち、第1の本体110に設けられている封止ライン130からさらなる開口部160に封止媒体を導入することはできない。
【0064】
第1の本体110は、図に示すように、一体的に構成してもよい。すなわち、第1の本体110は、異なる構成要素から形成されない。特に、第1の本体110は、3Dプリンティングなどの付加製造方式で製造することができる。この場合、冷却ライン170、開口部120、160、または封止ライン130など、第1の本体110内を走るすべての空洞が、はるかに柔軟でほぼあらゆる所望の形状を有することができるという利点がある。さらに、ドリルやフライスなどの機械加工の製造技術が不要となり、削り屑が冷却ライン170(または封止ライン130)を完全にまたは部分的に塞ぐことがない。好ましくは、第1の本体110は、例えばアルミニウムなどの金属で構成される。
【0065】
ここでは、冷却ライン170(または、封止ライン130も)を六角形断面で製造することが特に有利であり、その際、六角形の6つの角は、対向する2つの先端が第1の本体110の前面および背面を向くように配置される。好ましくは、ここでは、六角形は、シャフトの軸に平行な辺が、第1の本体110の前面および背面を指示する先端を形成する辺よりも長く形成されるように構成されている。
【0066】
このような冷却ライン170の構造により、過度に大きな材料のはみ出しが発生することで第1の本体の層構造における冷却ラインの通路が崩壊するのを、確実に防止できる。また、鏡像反転不変の場合に、第1の本体110をその背面からも前面からも印刷できることが保証される。
【0067】
また、付加製造によって製造された部品に冷却ライン170が配置されていれば、複数の部品から第1の本体110を構成することも可能である。ただし、封止ライン130に関しては、例えば、部品の表面にフライス加工を施し、それを別の部品で覆う等の機械加工法によっても処理を行うことができる。
【0068】
さらに、任意選択として、第1の開口部の密封性を向上させるために、開口部120内に(出口138を覆うことなく)さらなる(第2の)封止材を配置することが可能である。このようにして、特に、開口部120からの封止媒体の漏れが防止される。なお、異なるやり方で、例えば、シャフトが突出する第1の本体110上に平らに適用された封止材、または、さらなる構成要素または封止板によってその位置に保持された封止材によって、開口部120を封止してもよい。
【0069】
封止材140は、出口138に対して、好ましくは、密封装置100のうちハウジングに面する側に配置してもよい。したがって、それは、ハウジングから漏れ出る材料の第1のシーリングとして機能する。
【0070】
シャフトの動作中に、シャフトが回転軸に対して垂直に変位することが常に起こり得る。これにより、封止材140が圧迫されて、封止材140とシャフトとの間、または封止材140と第1の本体110との間に小さな漏れ領域が発生する可能性がある。ハウジング内に位置する被封止材料が、この領域を通って漏れ出る場合がある。しかし、漏れ出た材料はその後、開口部120内の封止媒体によって捕えられる。
【0071】
さらに、出口138の反対側にさらなる封止材を設けることで、封止材間の中間空間に、圧力により封止媒体を導入することができる。そして、いずれかの封止材で漏れ領域が発生すると、封止材がその領域に流れ込み、これにより、被封止材料が漏れるのを防ぐことができる。
【0072】
封止ライン130に接続された圧力センサーは、接続された圧力損失を特定することができる。これにより、シーリングの緊密性を監視することが可能となり、密封装置100の修理または交換を迅速に行うことができる。
【0073】
なお、密封装置100のうち、ハウジングに面していない側の開口部120に封止材140を挿入し、例えば段差によって封止材がその場所に保持されるようにしてもよい。この場合も、封止媒体と封止材140との組み合わせによって、密封性を改善することができる。そして、封止媒体は、第1の本体110とハウジングとの間に配置された、例えば第1の本体110上に設けられた、さらなる封止材によって、開口部に保持される。
【0074】
したがって、
図1に示す密封装置100では、上述の課題を解決することが可能である。回転シャフトを信頼性の高い方法で封止することができる。封止板に配置された冷却ライン170によって、シールを冷却することができる。これにより、シールの早期の摩耗や損傷が防止される。よって、耐久性と信頼性のあるシーリングが実現される。
【0075】
図2Aおよび
図2Bは、さらなる構成要素を補足した
図1の密封装置100を、二軸押出装置などのハウジング200に配置した様子を模式的に示している。ここで、
図2Bは、線Aに沿って、
図2Aの画像平面に対して垂直に、密封装置100を通る断面を示している。
【0076】
図2Aおよび
図2Bの密封装置100は、ハウジング200内の押出装置の2つの押出スクリューを駆動する第1のシャフト310および第2のシャフト320の密封に適している。
【0077】
第1の開口部120を備えた上述の第1の本体110に加えて、密封装置100は、
図2の例では、2つの第2の開口部420を備えた第2の本体410と、第1の本体110と実質的に同様に構成された第3の本体510とを有する。第1の本体110は、ハウジング200の方向において第3の本体510に接続され、反対側で第2の本体410に接続される。密封装置100は、第3の本体510を介してハウジング200に接続されている。
図2Aおよび
図2Bに示すように、個々の構成要素は、ねじ接続によって互いに固定することができる。なお、例えば溶接など、他の任意の固定方法も可能である。
【0078】
第1のシャフト310は、前述したように、第1の本体110の第1の開口部120を介して導かれる。第1の開口部120は、ハウジング200の方向に段差を有しており、この段差に第1の封止材140が強固に着座する。続いて、封止ライン130の出口138が配置され、これを介して封止媒体が開口部130に供給される。その後、第1のシャフト310は、第2の本体410に設けられた第2の開口部420を通り、そこからギア(不図示)に至る。第2の開口部420は(代替的に第1の開口部120が、または両方の開口部が協働して)、第2の封止材150を保持しており、この封止材150は、第1の封止材140とともに第1の開口部120の領域を画定し、そこに封止媒体を保持する。この並びにより、第1のシャフト310に沿ってハウジング200から漏れ出る被封止材料を確実に封止することが可能になる。
【0079】
封止材とライン出口の同様の並びが、ハウジング200と第3の本体510との相互作用により第2のシャフト320に提供される。第3の本体510は、第1の本体110の第1の開口部120に対応する第1の開口部520を有し、そこから第2のシャフト320が突出する。第3の本体510の第1の開口部520には、第1の封止材140に対応する第3の封止材540が段差に強固に配置されている。これらの封止材、および第2の封止材150に対応する第4の封止材550は、第3の本体510の第1の開口部520に開口する出口であって、第3の本体510に形成された封止ライン530の出口を取り囲む。第3の本体510の封止ライン530は、第3の本体110の封止ライン130と接続することができ、あるいは、(他の)封止媒体のための独自の入口を有することができる。ここで、第4の封止材550は、ハウジング200の凹部および/または第3の本体510の第1の開口部520によって保持される。
【0080】
その後、第2のシャフト320は、再び密封されることなく、第1の本体110の第3の開口部160をさらに通り、第2の本体410のさらなる第2の開口部420を通る。そこから、第2のシャフトは、ギア(図示せず)まで延びる。
【0081】
第1のシャフト310については、第3の本体510の第3の開口部560が、第1の本体110の第3の開口部160に対応しており、その中を第1のシャフト310が同様に通っており、密封されていない。
【0082】
上述した第1、第2、第3および第4の封止材140、150、540、550は、すべて同じタイプのものであってもよく、例えば、Oリング、ラジアルシャフトシールリング、プレスシールまたはスタッフィングボックスパッキンとして形成することができる。しかし、封止材140、150、540、550は、製造技術上の理由やコスト上の理由などで必要であれば、異なる構成にすることも可能である。1つの封止材に異なる種類のシールを組み合わせることも可能である。
【0083】
第1の本体110と同様に、第3の本体510は、付加製造によって一体的に製造することができるが、第2の本体410は、第1の本体110および第3の本体510のように、分岐ラインシステムを有していないので、好ましくは従来の方法で製造される。第2の本体410においてギア側に図示されるライン入口132への供給は、ここでは穿孔機によって製造することができる。ただし、付加製造によって、第1の本体および第3の本体、あるいは、3つの本体すべてを一体的に製造することも可能である。
【0084】
第1の本体110、また第3の本体510のいずれにおいても、六角形の断面を有する冷却ライン170,570が形成されており、これらは互いに接続されている。第1の本体110および第3の本体510における冷却ライン170,570は、それぞれ、対応する封止ライン130,530とは異なる平面に配置されている。よって、製造が容易になる。加えて、本体110,510の安定性が向上する。
【0085】
第1の本体110の冷却ライン170の冷却ライン入口172および冷却ライン出口174は、
図2Aにおいて、冷却ライン170を通る図示の断面の、下方左側のハウジング200に面する第1の本体110の側面にある。冷媒は、外部からの供給ライン(図示せず)内を矢印Bに沿って第3の本体510に流れ、そこから第1の本体110の冷却ライン170の冷却ライン入口172に導かれる。
【0086】
第1の本体110内で、ライン170は、
図1に示すように、第1の開口部120および第2の開口部160の周りをリング状に走る。したがって、冷媒は、例えば、
図2Aの前方の画像平面に対して垂直に出て、半円を描き、
図2Aの右側に示される冷却ライン170の断面から、再び第1の本体110内に入る。そこから再び半円を描いて、左側に示す冷却ライン170の断面の領域に入り、下方に向かって第3の本体510の冷却ライン570に入る。ここでも、第1の開口部520および第3の開口部560は、冷媒が再び画像中左端で密封装置から離れるまで、第3の本体510の中を円状に走ることになる。
【0087】
したがって、密封装置全体を効果的かつ空間的に均質に冷却するには、1つの冷却回路で十分である。このようにして、例えば多軸押出機のような複数のシャフトを持つシステムを冷却しながら封止することができる。
【0088】
さらに、
図2Aおよび
図2Bに示す密封装置によれば、多軸押出装置のハウジングからハウジングに固定される封止板にシーリングを移動させることで、多軸押出装置の効果的な密封を実現することができる。好ましくは、封止媒体用の封止ラインの領域で、3Dプリンティングによって製造し、シャフトへの封止媒体の均一な供給を保証する。
【0089】
密封装置の上述の構成要素は、原理的に既知であり、付加製造に適したコンピュータプログラム製品、例えば、3Dプリント用のファイルなど、これらが付加製造用の装置で実行されることにより、すべて実現することができる。これにより、密封装置を分散して製造することが可能となる。
【符号の説明】
【0090】
100 密封装置
110 第1の本体
120 第1の本体の第1の開口部
130 第1の本体の封止ライン
132 第1の本体の封止ラインの入口
134 第1の本体における封止ラインの迂回路
136 第1の本体における封止ラインの分岐
138 第1の本体における封止ラインの出口
140 第1の封止手段
150 第2の封止手段
160 第1の本体の第3の開口部
170 第1の本体の冷却ライン
172 冷却ラインの入口
174 冷却ラインの出口
200 ハウジング
310 (第1の)シャフト
320 (第2の)シャフト
410 第2の本体
420 第2の開口部
510 第3の本体
520 第3の本体の第1の開口部
530 第3の本体の封止ライン
540 第3の封止材
550 第4の封止材
560 第3の本体の第3の開口部
570 第3の本体の冷却ライン
【手続補正書】
【提出日】2021-06-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
様々な機械において、回転運動の伝達にはシャフトが使用される。特に、混合装置の回転にドライブシャフトを使用することが知られている。このため、ドライブシャフトは、ギアおよび/またはモーターからハウジングへと導かれ、ハウジング内で混合装置に接続されて、混合装置を動作させる。このような機械の例として、押出システムがあり、ここでは、ハウジング内で回転する押出機のスクリューが、押出材を完全に加工または混合する。このような押出スクリューは、押出システムのハウジングから外に突き出すドライブシャフトに接続される。
欧州特許出願公開第2842716号は、プラスチック溶融液処理用のスクリュー機械に関する。実開昭55-13072号公報は、押出成形機のスクリュー軸受部用の密封装置に関する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
封止材はスタッフィングボックスとして構成されている。これは、簡単に実現可能な、回転可能シャフトのシーリングである。さらに、スタッフィングボックスを用いることで、初期段階の漏洩が発生した場合にシールの再調整が可能とする。すなわち、封止材を交換することなく、可能な限り長く使用することが可能となる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(200)と、当該ハウジングに回転可能に取り付けられたシャフト(310)との間の中間空間を封止するための密封装置(100)であって、
前面と、背面と、前記前面から前記背面に延び、前記シャフト(310)の供給に適した第1の開口部(120)とを有する板状の第1の本体(110)と、
冷媒の流通に適した、前記本体(110)内を走る冷却ライン(170)と、
を備え、
前記第1の本体(110)は、前記ハウジング(200)に回転可能に取り付けられた前記シャフト(310)が前記第1の開口部(120)を介して導かれるように、前記ハウジング(200)に緊密に固定されるのに適しており、
前記第1の開口部(120)は、封止材(140)が、前記シャフト(310)と前記第1の本体(110)との間の中間空間を封止するように、封止材(140)を導入するように構成されており、
前記冷却ライン(170)は、前記シャフト(310)の回転によって発生する熱が前記冷媒によって空間的に均質に放散可能なように、冷媒用の冷却ライン入口(172)と冷却ライン出口(174)との間で前記第1の開口部(120)の周りに連続的に設けられて
おり、
前記封止材(140)はスタッフィングボックスとして構成されている、
密封装置。
【請求項2】
前記第1の本体(110)は、特に、付加製造方式で、一体的に形成される、
請求項1に記載の密封装置(100)。
【請求項3】
前記冷却ライン(170)は、六角形の断面を有する、
先行する請求項のうちいずれか一項に記載の密封装置(100)。
【請求項4】
前記冷却ライン(170)は、前記第1の本体(110)の内部で複数の部分ラインに分岐する、
先行する請求項のうちいずれか一項に記載の密封装置(100)。
【請求項5】
前記本体(110)内を走り、液体または気体の封止媒体の流通に適した封止ライン(130)をさらに備え、
前記封止ライン(130)は、少なくとも1つの迂回路(134)および/または少なくとも1つの分岐(136)を介して入口(132)に接続され、前記第1の開口部(120)に向けて半径方向に対称につながる複数の出口(138)を有しており、
記第1の開口部(120)に導入される前記封止材(140)は、前記封止ライン(130)の前記複数の出口(138)を塞ぐことなく、前記シャフト(310)と前記第1の本体(110)との間の中間空間を封止する、
先行する請求項のうちいずれか一項に記載の密封装置(100)。
【請求項6】
前記第1の本体(110)は、さらなるシャフト(320)の供給に適したさらなる開口部(160)を備える、
先行する請求項のうちいずれか一項に記載の密封装置(100)。
【請求項7】
前記第1の本体(110)と同様に構成される、さらなる本体(510)であって、前記第1の本体(110)の前記第1の開口部(120)が前記さらなる本体(510)のさらなる開口部(560)と重なり、前記シャフト(310)の供給を可能にし、および、前記第1の本体(110)のさらなる開口部(160)が前記さらなる本体(510)の第1の開口部(520)と重なり、前記さらなるシャフト(320)の供給を可能とするように、前記第1の本体(110)に緊密に固定されるのに適したさらなる本体(510)をさらに備え、
前記第1の本体(110)の冷却ライン(170)は、前記さらなる本体(510)の冷却ライン(570)に接続されており、両方の冷却ライン(170、570)が共有の入口を介して供給を受けるようになっている、
請求項
6に記載の密封装置(100)。
【請求項8】
シャフト(310)によってハウジング(200)内に回転可能に取り付けられた押出スクリューと、
前記ハウジング(200)と前記シャフト(310)との間の中間空間を封止するための、先行する請求項のいずれか一項に記載の密封装置(100)と、
を備える押出成形機。
【請求項9】
第1のシャフト(310)および第2のシャフト(320)によってハウジング(200)内に回転可能に取り付けられた2つの押出スクリューと、
前記ハウジング(200)と前記第1のシャフト(310)および前記第2のシャフト(320)との間の中間空間を封止するための請求項7または8に記載の密封装置(100)と、
を備える多軸押出成形機。
【請求項10】
請求項1から請求項
7のいずれか一項に記載の密封装置を製造する方法であって、
前記第1の本体を、付加製造方式、特に、3Dプリンティングによって製造するステップを備える、
製造方法。
【請求項11】
付加製造用の装置で実行されると、当該装置に上記方法を実行させるコンピュータプログラム製品。
【国際調査報告】