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特表2022-547272IL-22の経口、直腸内、又は他の消化管関連の組成物及びそれを使用する方法
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  • 特表-IL-22の経口、直腸内、又は他の消化管関連の組成物及びそれを使用する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-11
(54)【発明の名称】IL-22の経口、直腸内、又は他の消化管関連の組成物及びそれを使用する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/20 20060101AFI20221104BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20221104BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20221104BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20221104BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20221104BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20221104BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20221104BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20221104BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20221104BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20221104BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20221104BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20221104BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20221104BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20221104BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20221104BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20221104BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20221104BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20221104BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20221104BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20221104BHJP
   A61K 38/55 20060101ALI20221104BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20221104BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20221104BHJP
   A61K 9/30 20060101ALI20221104BHJP
   A61K 9/40 20060101ALI20221104BHJP
   A61K 9/56 20060101ALI20221104BHJP
   A61K 9/64 20060101ALI20221104BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20221104BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20221104BHJP
   C07K 14/54 20060101ALI20221104BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20221104BHJP
   C07K 16/00 20060101ALI20221104BHJP
   C12N 15/24 20060101ALN20221104BHJP
【FI】
A61K38/20 ZNA
A61P1/00
A61P1/04
A61P1/16
A61P1/18
A61P3/00
A61P3/04
A61P3/06
A61P3/10
A61P9/00
A61P9/10 101
A61P9/12
A61P11/00
A61P13/12
A61P17/02
A61P29/00
A61P31/00
A61P31/04
A61P37/06
A61K47/18
A61K38/55
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/30
A61K9/40
A61K9/56
A61K9/64
A61K47/42
A61K47/68
C07K14/54
C07K19/00
C07K16/00
C12N15/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022513471
(86)(22)【出願日】2020-09-02
(85)【翻訳文提出日】2022-04-28
(86)【国際出願番号】 US2020049073
(87)【国際公開番号】W WO2021046133
(87)【国際公開日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】62/895,179
(32)【優先日】2019-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.PLURONIC
(71)【出願人】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スー,ハイリン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076AA45
4C076AA53
4C076AA60
4C076BB01
4C076BB07
4C076BB29
4C076CC09
4C076CC31
4C076CC41
4C076DD50Z
4C076DD52N
4C076EE42J
4C076EE59
4C076FF34
4C076FF63
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA23
4C084BA44
4C084CA18
4C084DA12
4C084MA05
4C084MA52
4C084MA60
4C084NA05
4C084NA11
4C084ZA361
4C084ZA362
4C084ZA421
4C084ZA422
4C084ZA451
4C084ZA452
4C084ZA591
4C084ZA592
4C084ZA661
4C084ZA662
4C084ZA681
4C084ZA682
4C084ZA701
4C084ZA702
4C084ZA751
4C084ZA752
4C084ZA811
4C084ZA812
4C084ZA891
4C084ZA892
4C084ZB081
4C084ZB082
4C084ZB111
4C084ZB112
4C084ZB321
4C084ZB322
4C084ZB351
4C084ZB352
4C084ZC202
4C084ZC211
4C084ZC212
4C084ZC331
4C084ZC332
4C084ZC351
4C084ZC352
4C084ZC752
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA02
4H045DA75
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、タンパク質及び吸収強化剤を含む組成物、それを投与することを含む、過敏性腸疾患(IBD)などの炎症性障害を処置する方法、及び酵素活性を有するタンパク質を経口で、直腸内で、又は他の消化管関連で投与することを含む、当該タンパク質の経口、直腸内、又は他の消化管関連の投与の方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
IL-22タンパク質と、N(8-[2-ヒドロキシベンゾイル]アミノ)カプリル酸(NAC)、N-(10-[2-ヒドロキシベンゾイル]アミノ)デカン酸(NAD)、前記NAC又は前記NADの塩からなる群から選択される吸収強化剤とを含む、経口、直腸内、又は他の消化管関連の医薬組成物。
【請求項2】
前記IL-22が、配列番号1、2、3、又は4に少なくとも80%同一性を有する、請求項1に記載の経口、直腸内、又は他の消化管関連の医薬組成物。
【請求項3】
前記IL-22が、配列番号1、2、3、又は4に少なくとも90%同一性を有する、請求項1に記載の経口、直腸内、又は他の消化管関連の医薬組成物。
【請求項4】
前記IL-22が、配列番号1、2、3、又は4に少なくとも95%同一性を有する、請求項1に記載の経口、直腸内、又は他の消化管関連の医薬組成物。
【請求項5】
前記IL-22が、配列番号1、2、3、又は4の配列を有する、請求項1に記載の経口、直腸内、又は他の消化管関連の医薬組成物。
【請求項6】
前記吸収強化剤が、N-(8-[2-ヒドロキシベンゾイル]アミノ)カプリル酸である、請求項1~5のいずれか一項に記載の経口、直腸内、又は他の消化管関連の医薬組成物。
【請求項7】
固体の医薬組成物である、請求項1~6のいずれか一項に記載の経口、直腸内、又は他の消化管関連の医薬組成物。
【請求項8】
前記吸収強化剤が、前記NAC又は前記NADの塩であり、前記塩が、一ナトリウム塩、二ナトリウム塩、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の経口、直腸内、又は他の消化管関連の医薬組成物。
【請求項9】
セルピン、自殺阻害剤、遷移状態阻害剤、タンパク質プロテアーゼ阻害剤、キレート剤、システインプロテアーゼ阻害剤、トレオニンプロテアーゼ阻害剤、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤、及びメタロプロテアーゼ阻害剤からなる群から選択されるプロテアーゼ阻害剤をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の経口、直腸内、又は他の消化管関連の医薬組成物。
【請求項10】
EDTA又はその塩をさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の経口、直腸内、又は他の消化管関連の医薬組成物。
【請求項11】
対象の胃の中で前記組成物の消化を阻害するコーティング、エメリック(emeric)コーティング、又はゼラチンコーティングをさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の経口、直腸内、又は他の消化管関連の医薬組成物。
【請求項12】
Fc及び請求項1~11のいずれか一項に記載の経口、直腸内、又は他の消化管関連の医薬組成物を含むFc融合タンパク質。
【請求項13】
前記FcがヒトIgG1 Fcである、請求項6に記載のFc融合タンパク質。
【請求項14】
前記ヒトIgG1 Fcが、前記Fcのエフェクター機能を変化させる1つ又は複数の変異を含む、請求項7に記載のFc融合タンパク質。
【請求項15】
前記ヒトIgG1がN297での置換を含む、請求項8に記載のFc融合タンパク質。
【請求項16】
前記N297での置換がN297Gである、請求項9に記載のFc融合タンパク質。
【請求項17】
リンカーが、前記Fcと前記タンパク質のヒトIL-22部分とを連結している、請求項6~12のいずれか一項に記載のFc融合タンパク質。
【請求項18】
炎症性障害の治療を必要とする患者に炎症性障害の治療をするための方法であって、前記患者に、請求項1~11のいずれか一項に記載の経口、直腸内、又は他の消化管関連の医薬組成物、又は請求項12~17のいずれか一項に記載のFc融合タンパク質を投与することを含む方法。
【請求項19】
前記炎症性障害が、炎症性腸障害、クローン病、潰瘍性大腸炎、2型糖尿病、病的肥満を伴う2型糖尿病、創傷(糖尿病性創傷及び糖尿病性潰瘍を含む)、熱傷、潰瘍(褥瘡性潰瘍及び静脈性潰瘍を含む)、移植片対宿主病(GVHD)、微生物感染症、急性腎傷害、急性膵炎、心血管病態、メタボリックシンドローム、急性内毒素血症、敗血症、アテローム性動脈硬化症、心血管疾患、内毒素血症(急性及び軽度)、急性冠状動脈性心疾患、高血圧症、脂質異常症、肥満症、高血糖症、脂質代謝障害、肝炎、急性肝炎、腎不全、急性腎不全、急性腎傷害、腎移植不全、献腎移植後機能障害、造影剤誘発性腎障害、膵炎、急性膵炎、肝線維症及び肺線維症からなる群から選択される請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記炎症性障害が、炎症性腸障害、クローン病、又は潰瘍性大腸炎である、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2019年9月3日に出願された米国特許出願第62/895,179号明細書の利益を主張し、その全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、タンパク質、吸収強化剤、任意選択によりプロテアーゼ阻害剤を含む、経口、直腸内、又は他の消化管関連の組成物、及びそれを投与する方法に関する。本発明は、特に、IL-22又はIL-22-Fcを含有する、経口、直腸内、又は他の消化管関連の組成物、及び過敏性腸疾患(IBD)などの炎症性障害の治療における使用に関する。
【背景技術】
【0003】
インターロイキン-22(IL-22)は、T細胞において増加されるクラスIIサイトカインである。IL-22の1つの機能は、抗微生物ペプチドの発現を誘導することによって末梢組織の先天免疫を強化することである(Wolk et al.,Immunity,21:241-54,2004、Boniface et al.,J.Immunol.,174:3695-3702,2005)。他の研究では、IL-22mRNAの発現が、in vivoでLPSの投与に反応して誘導されること、及びIL-22が急性期反応を示すパラメーターを調節することが示されている(Dumoutier L.et al.,Genes Immunol.,1(8):488-494,(2000)、Pittman et al.,Genes and Immunity,2:172,2001)。まとめると、これらの知見は、IL-22が炎症において役割を果たすことを示している(Kotenko S.V.,Cytokine & Growth Factor Reviews,13(3):223-40,2002)。幾つかのT細胞障害は、IL-22のレベルの増加に関連している(Wolk et al.,Immunity,21:241-54,2004、Ikeuchi H.et al.,Arthritis Rheum.,52:1037-1046,2005、Andoh,A.et al.,Gastroenterology,129:969-984,2005)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Wolk et al.,Immunity,21:241-54,2004
【非特許文献2】Boniface et al.,J.Immunol.,174:3695-3702,2005
【非特許文献3】Dumoutier L.et al.,Genes Immunol.,1(8):488-494,(2000)
【非特許文献4】Pittman et al.,Genes and Immunity,2:172,2001
【非特許文献5】Kotenko S.V.,Cytokine & Growth Factor Reviews,13(3):223-40,2002
【非特許文献6】Ikeuchi H.et al.,Arthritis Rheum.,52:1037-1046,2005
【非特許文献7】Andoh,A.et al.,Gastroenterology,129:969-984,2005
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在、炎症性疾患の治療のためのIL-22の投与には制限がある。本発明はIL-22の投与の代替方法の必要性に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一部には、IL-22又はIL-22-Fcタンパク質、及びN(8-[2-ヒドロキシベンゾイル]アミノ)カプリル酸(NAC)、N-(10-[2-ヒドロキシベンゾイル]アミノ)デカン酸(NAD)、前記NAC又は前記NADの塩からなる群から選択される吸収強化剤を含む、経口、直腸内、又は他の消化管関連の医薬組成物に基づいている。一部の実施形態では、IL-22は、配列番号1、2、3又は4に少なくとも80%同一性を有する。一部の実施形態では、吸収強化剤は、N-(8-[2-ヒドロキシベンゾイル]アミノ)カプリル酸である。一部の実施形態では、前記NAC又は前記NADの塩は、一ナトリウム塩、二ナトリウム塩、及びそれらの組合せからなる群から選択される。一部の実施形態では、組成物は、セルピン、自殺阻害剤、遷移状態阻害剤、タンパク質プロテアーゼ阻害剤、キレート剤、システインプロテアーゼ阻害剤、トレオニンプロテアーゼ阻害剤、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤、及びメタロプロテアーゼ阻害剤からなる群から選択されるプロテアーゼ阻害剤をさらに含む。一部の実施形態では、組成物は、EDTA若しくはその塩、及び/又は対象の胃の中で前記組成物の消化を阻害するコーティング、エメリック(emeric)コーティング、若しくはゼラチンコーティングをさらに含む。
【0007】
一部の実施形態では、本発明は、上記の組成物のうちいずれかのFc融合タンパク質である。
【0008】
一部の実施形態では、本発明は、炎症性障害の治療を必要とする患者における炎症性障害を治療するための方法であって、当該患者に、上記の経口、直腸内、又は他の消化管関連の医薬組成物のうちいずれか1つ、又は上記のFc融合タンパク質のうちいずれか1つを投与することを含む方法である。一部の実施形態では、本発明は、炎症性腸障害、クローン病、潰瘍性大腸炎、2型糖尿病、病的肥満を伴う2型糖尿病、創傷(糖尿病性創傷及び糖尿病性潰瘍を含む)、熱傷、潰瘍(褥瘡性潰瘍及び静脈性潰瘍を含む)、移植片対宿主病(GVHD)、微生物感染症、急性腎傷害、急性膵炎、心血管病態、メタボリックシンドローム、急性内毒素血症、敗血症、アテローム性動脈硬化症、心血管疾患、内毒素血症(急性及び軽度)、急性冠状動脈性心疾患、高血圧症、脂質異常症、肥満症、高血糖症、脂質代謝障害、肝炎、急性肝炎、腎不全、急性腎不全、急性腎傷害、腎移植不全、献腎移植後機能障害、造影剤誘発性腎障害、膵炎、急性膵炎、肝線維症及び肺線維症から選択される炎症性障害を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】(A)IL-22/SNAC混合物又は(B)血清アミロイドAの血清レベルを示す。
図2】個々のマウスの(A)IL-22/SNAC混合物の血清レベル又は(B)結腸中のRegIIIβの発現を示す。
図3】Fcを結合したIL-22(図3A)及びIL-22単独(図3B)からの、結腸中に保持されているIL-22のレベル対全身性吸収のIL-22のレベルを示す。
図4】直腸内投与(図4A)及び腹腔内投与(図4B)の、全身性IL-22レベル対結腸IL-22レベルの差違を示す。
図5】マウスFc-IL-22の腹腔内投与及び直腸内投与の後の、全身性血清アミロイド酸(SAA)又は消化管中RegIIIβのレベルを示す。図5Aは全身性SAAレベルを示し、図5Bは消化管中RegIIIβレベルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、IL-22の経口、直腸内、又は他の消化管関連の投与のための組成物及び方法を対象とする。本願の全体にわたって、IL-22は、Fc融合タンパク質であるIL-22-Fcを含む。一部の実施形態では、IL-22は、吸収強化剤を伴う、経口、直腸内、又は他の消化管関連の医薬組成物とすることができる。一部の実施形態では、IL-22は、プロテアーゼ阻害剤及び吸収強化剤を伴う、経口、直腸内、又は他の消化管関連の医薬組成物の中にあってもよい。一部の実施形態では、吸収強化剤は、IL-22の、腸粘膜層を通過する吸収を増加させる。一部の実施形態では、本発明は、上記の及び以下にさらに詳述される経口、直腸内、又は他の消化管関連の医薬組成物のうちいずれかを投与することによって炎症性障害を有する患者を治療する方法である。一部の実施形態では、炎症性障害は、例えば過敏性腸疾患(IBD)とすることができる。
【0011】
別の実施形態では、本発明の組成物は、IL-22、吸収強化剤、及び担体を含む。別の実施形態では、本発明の組成物は、IL-22、プロテアーゼ阻害剤、及び担体を含む。別の実施形態では、本発明の組成物は、IL-22の分解を減少させることができる様々な生物学的、化学的及び物理的バリアを通してIL-22を送達するために使用される。別の実施形態では、本組成物はIL-22及びSNACを含む。別の実施形態では、本組成物は、IL-22、SNAC、プロテアーゼ阻害剤、及びEDTA又はNa-EDTAを含む。別の実施形態では、本組成物は、IL-22、SNAC、プロテアーゼ阻害剤、及びオメガ3脂肪酸を含む。別の実施形態では、本組成物は、IL-22、SNAC、プロテアーゼ阻害剤、EDTA又はNa-EDTA、及びオメガ3脂肪酸を含む。別の実施形態では、本組成物は、経口、直腸内、又は他の消化管関連の医薬組成物である。別の実施形態では、本明細書に記載される組成物は、経口、直腸内、又は他の消化管関連のカプセル化された医薬組成物である。別の実施形態では、本明細書に記載される組成物は、経口、直腸内、又は他の消化管関連の液体の剤形である。別の実施形態では、本明細書に記載される組成物は、経口、直腸内、又は他の消化管関連の乾燥した剤形(錠剤など)である。
【0012】
インターロイキン-22(IL-22)は、Th22細胞、NK細胞、リンパ組織誘導(LTi)細胞、樹状細胞及びTh17細胞によって産生されるサイトカインのIL-10ファミリーのメンバーである。IL-22は、上皮細胞、肝細胞及びケラチノサイトなどの生来の細胞に、及び真皮、膵臓、腸及び呼吸器系を含む幾つかの器官のバリア上皮組織に発現するIL-22R1/IL-10R2受容体複合体に結合する。IL-22は、宿主防御及び組織再生を制御することが知られており、IL-22を用いる処置は、マウスのデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘発性大腸炎の処置に有効であった。
【0013】
ある特定の実施形態では、IL-22ポリペプチドは、ヒトIL-22配列番号1(前駆体タンパク質)又は配列番号2のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、IL-22ポリペプチドは、配列番号1又は2に80%同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、IL-22ポリペプチドは、配列番号1又は2に90%同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、IL-22ポリペプチドは、配列番号1又は2に95%同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、IL-22ポリペプチドは、配列番号1又は2に99%同一性を有するアミノ酸配列を含む。配列番号1及び2のヒトIL-22アミノ酸配列は次のとおりである。
ヒトIL-22前駆体の配列(Q9GZX6):
【化1】
ヒトIL-22の配列(Q9GZX6):
【化2】
【0014】
ある特定の実施形態では、IL-22ポリペプチドは、マウスIL-22配列番号3(前駆体)又は配列番号4のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、IL-22ポリペプチドは、配列番号3又は4に80%同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、IL-22ポリペプチドは、配列番号3又は4に90%同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、IL-22ポリペプチドは、配列番号3又は4に95%同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、IL-22ポリペプチドは、配列番号3又は4に99%同一性を有するアミノ酸配列を含む。配列番号3及び4のマウスIL-22アミノ酸配列は、次のとおりである。
マウスIL-22前駆体の配列:
【化3】
マウスIL-22の配列:
【化4】
【0015】
IL-22は、細菌性病原体の付着及び除去に対する初期宿主防御を媒介して、粘膜免疫において重要な役割を果たす。Zheng et al.,2008,Nat.Med.14:282-89を参照されたい。IL-22は、上皮細胞からの抗微生物ペプチド及び炎症性サイトカインの産生を促進し、消化管における結腸上皮細胞の増殖及び遊走を刺激する。Kumar et al.,2013,J.Cancer,4:57-65を参照されたい。IL-22ノックアウトマウスは、細菌感染すると、消化管上皮の再生が障害され、細菌負荷が高くなり、死亡率が増加した。Kumar et al.,前掲。同様に、IL-22ノックアウトマウスがインフルエンザウイルスに感染すると、重度の体重減少に至り、気管及び気管支の上皮細胞の再生が障害された。したがって、IL-22は、微生物感染症の抑制において炎症促進性の役割を、及び炎症反応において上皮の再生における抗炎症性の保護的役割を果たす。病理学的な炎症及び組織修復を促進するIL-22の生物学的作用の多くは、いまだ明らかにされていない。IL-22の上皮細胞に対する効果に関する一見矛盾した報告は、いまだ完全には解明されていない。Kumar et al,前掲。
【0016】
IL-22の発現の増加は、炎症性腸障害(IBD)の患者において検出される。例えば、Wolk et al.,2007,J.Immunology,178:5973;Andoh et al.,2005,Gastroenterology,129:969を参照されたい。クローン病(CD)及び潰瘍性大腸炎(UC)などのIBDは、消化管内に存在する共生微生物叢に対する免疫反応の調節不全に起因すると考えられている。Cox et al.,2012,Mucosal Immunol.5:99-109。UC及びCDは両方とも、まだ明確に定められていない環境刺激に曝露される、遺伝的に感受性の高い個体に発生する複合的疾患である。CD及びUCは、共通の機序及び異なる機序の両方に媒介され、異なる臨床的特徴を示す。Sugimoto et al.,2008,J.Clinical Investigation,1 18:534-544を参照されたい。粘膜治癒は、IBDを治療するための現在の標的方法であり、IL-22に誘導され得る。IL-22は、STAT3、血清アミロイドA、及びRegIIIβの活性化を誘発する。
【0017】
UCにおいて、炎症は最初に結腸及び直腸の粘膜に発生し、下痢、直腸出血、及び体重減少を含む衰弱性の状態に至る。UCは大抵、損傷した上皮バリアを通過して侵入する腸管微生物に対する、宿主による不適切な炎症反応が原因であると考えられる(Xavier and Podolsky,2007,Nature 448:427-434)。クローン病は、活性化免疫細胞の腸への浸潤及び腸の構造の歪みを特徴とする。Wolk et al,前掲を参照されたい。
【0018】
別の態様において、本発明は、本発明のIL-22ポリペプチド又はIL-22Fc融合タンパク質を使用して、以下の疾患:2型糖尿病、病的肥満を伴う2型糖尿病、創傷(糖尿病性創傷及び糖尿病性潰瘍を含む)、熱傷、潰瘍(褥瘡性潰瘍及び静脈性潰瘍を含む)、移植片対宿主病(GVHD)、微生物感染症、急性腎傷害、急性膵炎、心血管病態、メタボリックシンドローム、急性内毒素血症、敗血症、アテローム性動脈硬化症、心血管疾患、内毒素血症(急性及び軽度)、急性冠状動脈性心疾患、高血圧症、脂質異常症、肥満症、高血糖症、脂質代謝障害、肝炎、急性肝炎、腎不全、急性腎不全、急性腎傷害、腎移植不全、献腎移植後機能障害、造影剤誘発性腎障害、膵炎、急性膵炎、肝線維症及び肺線維症のうちいずれか1つ又は組合せを治療する方法を提供する。ある特定の実施形態では、急性膵炎は、軽度から中等度ないし重度の疾患とすることができる。ある特定の実施形態では、急性膵炎は、ERCP(内視鏡的逆行性胆道膵管造影)後の疾患を含む。一部のさらなる実施形態では、上記の疾患を治療されようとする患者は、HDL/LDL脂質プロファイルの変化を必要としており、IL-22ポリペプチド又はIL-22Fc融合タンパク質は、患者のそのプロファイルを変化させてHDLを増加させ、LDLを減少させることができる。関連する態様では、本発明は、上記の疾患のうちいずれか1つ又は組合せの治療のための薬剤の調製におけるIL-22ポリペプチド又はIL-22Fc融合タンパク質の使用を提供する。
【0019】
一態様において、本発明は、Fc領域に連結されているIL-22ポリペプチドを含むIL-22Fc融合タンパク質を特徴とする。一部の実施形態では、IL-22ポリペプチドは、リンカーによってFc領域に連結されている。一部の実施形態では、IL-22ポリペプチドはグリコシル化されており、IL-22Fc融合タンパク質はIL-22Fc融合タンパク質のモル当たりシアル酸8~12モルの範囲のシアル酸含量を有する。ある特定の態様において、IL-22Fc融合タンパク質のモル当たりシアル酸8~12モルとは、IL-22融合タンパク質1モル中に8~12のシアル酸部分が含まれることを意味する。一部の実施形態では、IL-22Fc融合タンパク質は、IL-22Fc融合タンパク質のモル当たりシアル酸8~9モルの範囲のシアル酸含量を有する。
【0020】
「Fcポリペプチド」又は「Fc領域」という用語は、本明細書で使用する場合、抗体のFc領域由来のポリペプチドの天然型及びムテイン型を含む。二量体化を促進するヒンジ領域を含有するそのようなポリペプチドの切断型も含む。ある特定の実施形態では、Fc領域は、抗体のCH2及びCH3ドメインを含む。Fc部分を含む融合タンパク質(及びそれから形成されるオリゴマー)は、血清中半減期の延長の他に、プロテインAカラム又はプロテインGカラムのアフィニティークロマトグラフィーによる容易な精製という利点をもたらす。好ましいFc領域は、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4を含むヒトIgGに由来する。本明細書において、Fc内の特定の残基は位置によって識別される。全てのFcの位置はEU付番スキームに基づいている。
【0021】
抗体のFc部分の機能の1つは、抗体がその標的に結合すると、免疫系に伝達することである。これは「エフェクター機能」とみなされる。伝達されると、抗体依存性細胞障害(ADCC)、抗体依存性細胞貪食(ADCP)、及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)に至る。ADCC及びADCPは、免疫系の細胞の表面のFc受容体へのFcの結合を介して媒介される。CDCは、補体系のタンパク質、例えばC1qへのFcの結合を介して媒介される。
【0022】
IgGのサブクラスは、そのエフェクター機能を媒介する能力において様々である。例えば、IgG1は、ADCC及びCDCの媒介においてIgG2及びIgG4よりはるかに優れている。したがって、エフェクター機能が望ましくない実施形態では、IgG2 Fcが好ましいということになる。しかしながら、IgG2 Fcを含有する分子は、製造がより困難であることが知られており、IgG1 Fcを含有する分子と比較して半減期がより短いことなど、生物物理学的性質の魅力が劣っている。
【0023】
1つ又は複数の変異をFcに導入することによって、抗体のエフェクター機能を高めること又は低下させることができる。本発明の実施形態には、エフェクター機能を高めるように操作されたFcを有するIL-22ムテインFc融合タンパク質(米国特許第7,317,091号明細書及びStrohl,Curr.Opin.Biotech.,20:685-691,2009;両方ともその全体が参照により本明細書に援用される)が含まれる。エフェクター機能が高められた例示的なIgG1 Fc分子には、以下の置換基:S239D/I332E;S239D/A330S/I332E;S239D/A330L/I332E;S298A/D333A/K334A;P247I/A339D;P247I/A339Q;D280H/K290S;D280H/K290S/S298D;D280H/K290S/S298V;F243L/R292P/Y300L;F243L/R292P/Y300L/P396L;F243L/R292P/Y300L/V305I/P396L;G236A/S239D/I332E;K326A/E333A;K326W/E333S;K290E/S298G/T299A;K290N/S298G/T299A;K290E/S298G/T299A/K326E;又はK290N/S298G/T299A/K326Eを有するものが含まれる。
【0024】
IgG Fcを含有するタンパク質のエフェクター機能を高める別の方法は、Fcのフコシル化を減少させることによるものである。Fcに結合した二分岐の複合型オリゴ糖からコアフコースを除去すると、抗原結合もCDCエフェクター機能も変化させずに、ADCCエフェクター機能を著しく高めた。Fcを含有する分子、例えば抗体のフコシル化を減少又は消失させる複数の方法が知られている。これらの方法には、FUT8ノックアウト細胞株、変異型CHO株Lec13、ラットハイブリドーマ細胞株YB2/0、FUT8遺伝子に特異的な低分子干渉RNAを含む細胞株、並びにβ-1,4-N-アセチルグルコサミン転移酵素III及びゴルジα-マンノシダーゼIIを共発現する細胞株を含む、ある特定の哺乳動物の細胞株における組換え発現が含まれる。或いは、Fcを含有する分子を、植物細胞、酵母、又は原核細胞、例えば、大腸菌(E.coli)などの非哺乳動物の細胞中に発現させてもよい。
【0025】
本発明の一部の実施形態では、IL-22-Fc融合タンパク質は、エフェクター機能が低下するように操作されたFcを含む。エフェクター機能が低下した例示的なFc分子としては、以下の置換基:N297A若しくはN297Q(IgG1);L234A/L235A(IgG1);V234A/G237A(IgG2);L235A/G237A/E318A(IgG4);H268Q/V309L/A330S/A331S(IgG2);C220S/C226S/C229S/P238S(IgG1);C226S/C229S/E233P/L234V/L235A(IgG1);L234F/L235E/P331S(IgG1);又はS267E/L328F(IgG1)を有するものが挙げられる。
【0026】
ヒトIgG1は、N297(EU付番方式)にグリコシル化部位を有し、グリコシル化は、IgG1抗体のエフェクター機能の一因となることが知られている。例示的なIgG1配列は、配列番号5に示されている。アグリコシル化抗体を作製するために、基はN297を変異させた。変異は、N297を、生理化学的性質がアスパラギンに類似したアミノ酸、例えばグルタミン(N297Q)で、又は極性基のないアスパラギンを模倣するアラニン(N297A)で置換することに重点を置いてきた。
【0027】
本明細書で使用する場合、「アグリコシル化抗体」又は「アグリコシル化fc」とは、Fcの297位の残基のグリコシル化の状態を指す。抗体又は他の分子は、1つ又は複数の他の位置でのグリコシル化を含有している場合があるが、やはりアグリコシル化抗体又はアグリコシル化Fc融合タンパク質とみなすことができる。
【0028】
エフェクター機能を欠くIgG1 Fcを作製する試みの中で、ヒトIgG1のアミノ酸N297をグリシンに、即ちN297Gに変異させると、その残基における他のアミノ酸置換と比較してはるかに優れた精製効率及び生物物理学的性質がもたらされることが判明した。したがって、一部の実施形態では、IL-22-Fc融合タンパク質は、N297G置換を有するヒトIgG1 Fcを含む。
【0029】
N297G変異を有するヒトIgG1 Fcを含むFcは、さらなる挿入、欠失及び置換を含むこともできる。ある特定の実施形態では、ヒトIgG1 FcはN297G置換を含み、配列番号5に記載されているアミノ酸配列と、少なくとも90%同一、少なくとも91%同一、少なくとも92%同一、少なくとも93%同一、少なくとも94%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、又は少なくとも99%同一である。特に好ましい実施形態では、C末端のリシン残基が置換されるか又は欠失している。N297G置換及びC末端のリシンの欠失を含むヒトIgG1のアミノ酸配列は、配列番号6に記載されている。
【化5】
【化6】
【0030】
アグリコシル化IgG1 Fcを含有する分子は、グリコシル化IgG1 Fcを含有する分子より安定性が劣ることが分かった。Fc領域をさらに操作してアグリコシル化分子の安定性を高めることができる。一部の実施形態では、1つ又は複数のアミノ酸をシステインに置換して、二量体状態のジスルフィド結合を形成する。配列番号3に記載されているアミノ酸配列の残基V259、A287、R292、V302、L306、V323、又はI332をシステインに置換することができる。好ましい実施形態では、残基の特定の対が互いにジスルフィド結合を優先的に形成するように置換され、それにより、ジスルフィド結合のスクランブルを制限又は防止する。好ましい対としては、以下に限定されないが、A287C及びL306C、V259C及びL306C、R292C及びV302C、並びにV323C及びI332Cが挙げられる。
【0031】
IgG1 Fcに施され得るさらなる変異には、Fcを含有するポリペプチドの中でヘテロ二量体の形成を促進するものが含まれる。一部の実施形態では、Fc領域は、細胞中に共発現した場合に、2つの異なるFcを含有するポリペプチド鎖のヘテロ二量体の形成を促進する「ノブ」及び「ホール」を作り出すように操作される。米国特許第7,695,963号明細書。他の実施形態では、Fc領域は、細胞中に共発現した場合に、静電的ステアリングを使用して、2つの異なるFcを含有するポリペプチド鎖のヘテロ二量体の形成を促進するが、ホモ二量体の形成を妨げるように変化する。国際公開第09/089,004号パンフレット、その全体が参照により本明細書に援用される。好ましいヘテロ二量体のFcには、1つのFcの鎖がD399K置換及びE356K置換を含み、他方のFcの鎖がK409D置換及びK392D置換を含むものが含まれる。他の実施形態では、1つのFcの鎖がD399K、E356K、及びE357Kの各置換を含み、他方のFcの鎖がK409D、K392D、及びK370Dの各置換を含む。
【0032】
さらに別の態様において、本発明はまた、UC及びCDを含むIBDの治療を、それを必要とする対象において行うための薬剤の調製における、本明細書に記載されるIL-22 Fc融合タンパク質の使用も提供する。関連する態様では、本発明は、腸における微生物感染の阻害、又は微生物感染中の腸における杯細胞の維持を、それを必要とする対象において行うための薬剤の調製における、本明細書に記載されるIL-22 Fc融合タンパク質の使用を提供する。さらに別の態様において、本発明は、腸における上皮細胞統合性、上皮細胞増殖、上皮細胞分化、上皮細胞遊走又は上皮の創傷治癒の強化を、それを必要とする対象において行うための薬剤の調製における、本明細書に記載されるIL-22 Fc融合タンパク質の使用を提供する。関連する他の態様において、本発明は、心血管病態、メタボリックシンドローム、アテローム性動脈硬化症、急性腎傷害、急性膵炎の治療、慢性の創傷、糖尿病性創傷、感染性創傷、褥瘡性潰瘍又は糖尿病性足部潰瘍の治癒を限定せずに含む創傷治癒の加速、促進又は改善を、それを必要とする対象において行うための薬剤の調製における、IL-22ポリペプチド又はIL-22 Fc融合タンパク質の使用を提供する。
【0033】
本明細書において、IL-22ベースの組成物(ある特定の実施形態では、IL-22 Fc融合タンパク質及びIL-22ポリペプチド又はアゴニストを含む)は、正当な医療行為に矛盾しないように製剤化され、用量決定され、投与されることになる。これに関連して考慮される因子には、治療される特定の障害、治療される特定の哺乳動物、個々の対象の臨床状態、障害の原因、作用剤の送達部位、投与方法、投与計画、及び医師に知られている他の因子が含まれる。一実施形態では、組成物は、疾患又は疾患の状態になりやすい、又はそれと診断されたヒト対象の生存期間を延長するために使用することができる。生存期間は、薬物の最初の投与から死亡までの期間と定義される。
【0034】
医薬製剤は、当技術分野において公知の標準方法を使用し、所望の程度の純度を有する活性成分を1種又は複数種の任意選択の薬学的に許容される担体(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)及びRemington’s Pharmaceutical Sciences 20th edition,ed.A.F Gennaro,2000,Lippincott,Williams&Wilkins,Philadelphia,Pa)と混合することによって、凍結乾燥製剤又は水性溶液剤の形態で調製される。薬学的に許容される担体は、概して、使用される投与量及び濃度でレシピエントに無毒性であり、以下に限定されないが、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、及び他の有機酸緩衝液などの緩衝剤;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル若しくはベンジルアルコール;メチルパラベン若しくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン若しくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン若しくはリシンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース、若しくはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース若しくはソルビトールなどの糖類;ナトリウムなどの塩を形成する対イオン;金属錯体(例えばZn-タンパク質錯体);並びに/又はポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性物質を含む。本明細書において、例示的な薬学的に許容される担体は、間質性薬物分散剤、例えば可溶性中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)、例えばヒト可溶性PH-20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質、例えばrHuPH20(HYLENEX(登録商標)、Baxter International,Inc.)などをさらに含む。rHuPH20を含むある特定の例示的なsHASEGPs及び使用方法は、米国特許公報第2005/0260186号明細書及び同第2006/0104968号明細書に記載されている。一態様において、sHASEGPは、コンドロイチナーゼなど、1種又は複数種の追加のグリコサミノグリカナーゼと組み合わされる。
【0035】
任意選択によるが、好ましくは、製剤は、薬学的に許容される塩、好ましくは塩化ナトリウムを、好ましくはおよそ生理学的な濃度で含有する。任意選択により、本発明の製剤は、薬学的に許容される防腐剤を含有することができる。一部の実施形態では、防腐剤の濃度は、0.1~2.0%、典型的にはv/vの範囲である。好適な防腐剤は、医薬の技術分野で知られているものを含む。ベンジルアルコール、フェノール、m-クレゾール、メチルパラベン、塩化ベンザルコニウム及びプロピルパラベンが好ましい防腐剤である。任意選択により、本発明の製剤は、薬学的に許容される界面活性物質を0.005~0.02%の濃度で含むことができる。
【0036】
本発明は、IL-22ベースの療法のための投与量を提供する。例えば、疾患の種類及び重症度に応じて、例えば、1回又は複数回の別々の投与による場合でも、持続注入による場合でも、約1μg/kg~15mg/kg(例えば0.1~20mg/kg)のポリペプチドが、対象に投与するための初回の候補投与量である。典型的な1日投与量は、上記の因子に応じて、約1μg/kg~100mg/kg以上の範囲とすることができる。数日以上にわたる反復投与の場合、状態に応じて、疾患症状の所望の抑制が認められるまで治療が持続される。しかしながら、他の投与量レジメンが有用である場合がある。この治療の進行は、従来の技術及びアッセイによって容易にモニターされる。
【0037】
疾患を予防又は治療するために、本発明のポリペプチドの適切な投与量(単独で使用される場合、又は1種若しくは複数種の他の追加の治療薬と組み合わされる場合)は、治療されようとする疾患の種類、ポリペプチドの種類、疾患の重症度及び原因、ポリペプチドが投与されるのは予防目的か治療目的か、過去の治療、対象の病歴及びポリペプチドへの反応、並びに主治医の判断に依存することになる。ポリペプチドは、1回で、又は一連の処置で、適宜、対象に投与される。疾患の種類及び重症度に応じて、例えば、1回又は複数回の別々の投与による場合でも、持続注入による場合でも、約1μg/kg~20mg/kg(例えば0.1mg/kg~15mg/kg)のポリペプチドを、対象に投与するための初回の候補投与量とすることができる。1つの典型的な1日投与量は、上記の因子に応じて、約1μg/kg~100mg/kg以上の範囲とすることができる。数日以上にわたる反復投与の場合、状態に応じて、通例、疾患症状の所望の抑制が認められるまで処置が持続されることになる。ポリペプチドの1つの例示的な投与量は、約0.05mg/kg~約20mg/kgの範囲であることになる。したがって、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg、10mg/kg、12mg/kg、15mg/kg又は20mg/kgのうち1つ又は複数の用量(又はこれらの任意の組合せ)が対象に投与されてもよい。ある特定の実施形態では、約0.5mg/kg、1.0mg/kg、2.0mg/kg、3.0mg/kg、4.0mg/kg、5.0mg/kg、6.0mg/kg、7.0mg/kg、8.0mg/kg、9.0mg/kg、10mg/kg、12mg/kg、15mg/kg又は20mg/kg(又はこれらの任意の組合せ)が対象に投与されてもよい。そのような用量は、間欠的に、例えば、毎週、2週間毎に、又は3週間毎に(例えば、対象が約2~約20用量の、又は例えば約6用量のポリペプチドを受けるように)投与されてもよい。初回に高い方の負荷用量を、続いて1回又は複数回で低い方の用量を投与してもよい。例示的な投与レジメンは、初回負荷用量約4mg/kg、続いて毎週維持用量約2mg/kgの抗体を投与することを含む。しかしながら、他の投与量レジメンが有用である場合がある。この治療の進行は、従来の技術及びアッセイによって容易にモニターされる。
【0038】
一態様において、薬剤として使用するためのIL-22 Fc融合タンパク質が提供される。さらなる態様において、UC及びCDを含むIBDの治療に使用するためのIL-22 Fc融合タンパク質が提供される。ある特定の実施形態では、治療の方法において使用するためのIL-22 Fc融合タンパク質が提供される。ある特定の実施形態では、本発明は、UC又はCDを有する個体に有効量のIL-22 Fc融合タンパク質を投与することを含む、当該個体を治療する方法において使用するためのIL-22 Fc融合タンパク質を提供する。そのような一実施形態では、本方法は、当該個体に、例えば下記の少なくとも1種の追加の治療剤の有効量を投与することをさらに含む。さらなる実施形態では、本発明は、上皮の増殖、分化及び/又は遊走の強化に使用するためのIL-22 Fc融合タンパク質を提供する。ある特定の実施形態では、上皮組織は腸上皮組織である。ある特定の実施形態では、本発明は、上皮の増殖、分化及び/又は遊走を強化するためにIL-22 Fc融合タンパク質の有効量を個体に投与することを含む、当該個体において上皮の増殖、分化及び/又は遊走を強化する方法に使用するためのIL-22 Fc融合タンパク質を提供する。さらに別の実施形態では、本発明は、糖尿病、特に2型糖尿病、糖尿病性創傷治癒、メタボリックシンドローム及びアテローム性動脈硬化症の治療に使用するためのIL-22 Fc融合タンパク質を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、IL-22 Fc融合タンパク質の有効量を個体に投与することを含む、当該個体において、糖尿病、特に2型糖尿病、糖尿病性創傷治癒、メタボリックシンドローム及びアテローム性動脈硬化症を治療する方法に使用するためのIL-22 Fc融合タンパク質を提供する。米国仮特許出願第61/800795号明細書、表題「創傷治癒のためのIL-22ポリペプチドの使用(Using an IL-22 polypeptide for wound healing)」及び米国仮特許出願第61/801144号明細書、表題「IL-22ポリペプチドを使用する心血管病態及びメタボリックシンドロームの治療方法(Methods of treating cardiovascular conditions and metabolic syndrome using an IL-22 polypeptide)」(両方とも2013年3月15日に出願)を参照されたい。両仮特許出願の開示は、その全体が参照により本明細書に援用される。上記の実施形態のうちいずれかに記載の「個体」又は「対象」又は「患者」は、好ましくはヒトである。
【0039】
さらなる態様において、本発明は、薬剤の製造又は調製におけるIL-22ポリペプチド又はIL-22 Fc融合タンパク質の使用を提供する。一実施形態では、薬剤は、IBDの治療及び創傷治癒を目的とする。さらなる実施形態では、薬剤は、IBDを有する個体に薬剤の有効量を投与することを含む、IBDの治療及び創傷治癒の方法における使用を目的とする。そのような一実施形態では、本方法は、当該個体に、例えば下記の少なくとも1種の追加の治療剤の有効量を投与することをさらに含む。さらなる実施形態では、薬剤は、消化管上皮細胞における炎症反応の抑制を目的とする。さらなる実施形態では、薬剤は、上皮の増殖、分化及び/又は遊走を強化するために薬剤の有効量を個体に投与することを含む、当該個体において上皮の増殖、分化及び/又は遊走を強化する方法における使用を目的とする。上記の実施形態のうちいずれかに記載の「個体」はヒトとすることができる。
【0040】
さらなる態様において、本発明は、UC及びCDを含むIBDを治療する方法を提供する。一実施形態では、本方法は、IBDを有する個体に、IL-22ポリペプチド又はIL-22Fc融合タンパク質の有効量を投与することを含む。そのような一実施形態では、本方法は、当該個体に、下記の少なくとも1種の追加の治療剤の有効量を投与することをさらに含む。上記の実施形態のうちいずれかに記載の「個体」はヒトとすることができる。
【0041】
本明細書において提供される場合、プロテアーゼ阻害剤は、本発明のタンパク質を切断から保護する。別の実施形態では、本発明は、プロテアーゼ阻害剤が本発明のインスリンを切断から保護することを提供する。別の実施形態では、本発明は、プロテアーゼ阻害剤が対象の腸においてタンパク質吸収を促進することを提供する。別の実施形態では、本発明は、プロテアーゼ阻害剤が対象の腸においてインスリンの吸収を促進することを提供する。
【0042】
別の実施形態では、セルピンは、アルファ1-アンチトリプシン、アンチトリプシン関連のタンパク質、アルファ1アンチキモトリプシン、カリスタチン、プロテインC阻害剤、コルチゾール結合グロブリン、チロキシン結合グロブリン、アンジオテンシノーゲン、センテリン(Centerin)、プロテインZ関連プロテアーゼ阻害剤、バスピン、単球好中球エラスターゼ阻害剤、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤2、扁平上皮癌抗原-1(SCCA-1)、扁平上皮癌抗原-2(SCCA-2)、マスピン、PI-6、メグシン、PI-8、PI-9、ボマピン(Bomapin)、ユコピン(Yukopin)、フルピン/ヘッドピン(Hurpin/Headpin)、アンチトロンビン、ヘパリン補因子II、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤1、グリア由来のネキシン/プロテアーゼネキシンI、色素上皮由来因子、アルファ2-アンチプラスミン、補体1-阻害剤、47kDa熱ショックタンパク質(HSP47)、ニューロセルピン、又はパンクピン(Pancpin)である。
【0043】
別の実施形態では、本発明は、プロテアーゼ阻害剤が、以下に限定されないが、ライマメトリプシン阻害剤、アプロチニン、ダイズトリプシン阻害剤(SBTI)、又はオボムコイドなどのトリプシン阻害剤であることを提供する。別の実施形態では、本発明は、プロテアーゼ阻害剤が、システインプロテアーゼ阻害剤であることを提供する。別の実施形態では、本発明は、本発明のシステインプロテアーゼ阻害剤が、シスタチン、1型シスタチン(又はステフィン)、2型シスタチン、ヒトシスタチンC、D、S、SN及びSA、シスタチンE/M、シスタチンF、3型シスタチン、又はキニノーゲンを含むことを提供する。別の実施形態では、本発明は、プロテアーゼ阻害剤がトレオニンプロテアーゼ阻害剤であることを提供する。別の実施形態では、本発明は、本発明のトレオニンプロテアーゼ阻害剤が、ボルテゾミブ、MLN-519、ER-807446、TMC-95Aを含むことを提供する。別の実施形態では、本発明は、プロテアーゼ阻害剤がアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤であることを提供する。別の実施形態では、本発明は、本発明のアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤が、α2-マクログロブリン、ペプスタチンA、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤11、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤1、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤2、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤3、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤4、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤5、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤6、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤7、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤8、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤9、ペプシン阻害剤Dit33、アスパルチルプロテアーゼ阻害剤、又はプロテアーゼA阻害剤3を含むことを提供する。別の実施形態では、本発明は、プロテアーゼ阻害剤がメタロプロテアーゼ阻害剤であることを提供する。別の実施形態では、本発明は、本発明のメタロプロテアーゼ阻害剤がアンジオテンシン-1-変換酵素阻害ペプチドを含むことを提供する。
【0044】
抗出血因子BJ46a、ベータカゼイン、プロテイナーゼ阻害剤CeKI、毒メタロプロテイナーゼ阻害剤DM43、カルボキシペプチダーゼA阻害剤、smpl、IMPI、アルカリ性プロテイナーゼ、inh、ラテキシン、カルボキシペプチダーゼ阻害剤、抗出血因子HSF、テスティカン-3、SPOCK3、TIMP1、メタロプロテイナーゼ阻害剤1、メタロプロテイナーゼ阻害剤2、TIMP2、メタロプロテイナーゼ阻害剤3、TIMP3、メタロプロテイナーゼ阻害剤4、TIMP4、推定メタロプロテイナーゼ阻害剤タグ-225、メタロプロテアーゼの組織阻害剤、WAP、カザール、免疫グロブリン、又はkunitz及びNTRドメイン含有タンパク質1。
【0045】
一部の実施形態では、プロテアーゼ阻害剤は、自殺阻害剤、遷移状態阻害剤、又はキレート剤である。一部の実施形態では、本発明のプロテアーゼ阻害剤は、AEBSFHCl、(イプシロン)-アミノカプロン酸、(アルファ)1-アンチキモトリプシン、アンチパイン、アンチトロンビンIII、(アルファ)1アンチトリプシン([アルファ]1-プロテイナーゼ阻害剤)、APMSF-HC1(4-アミジノフェニル-メタンスルホニルフルオリド)、スプロチニン(sprotinin)、ベンズアミジン-HCl、キモスタチン、DFP(ジイソプロピルフルオロ-ホスフェート)、ロイペプチン、PEFABLOC(登録商標)SC(4-(2-アミノエチル)-ベンゼンスルホニルフルオリド塩酸塩)、PMSF(フェニルメチルスルホニルフルオリド)、TLCK(1-クロロ-3-トシルアミド-7-アミノ-2-ヘプタノンHCl)、TPCK(1-クロロ-3トシルアミド-4-フェニル-2-ブタノン)、イセチオン酸ペンタミジン、ペプスタチン、グアニジウム、アルファ2マクログロブリン、亜鉛のキレート剤、又はヨード酢酸、亜鉛である。各々の可能性は、本発明の別個の実施形態に対応する。
【0046】
別の実施形態では、本発明の方法及び組成物に利用されるプロテアーゼ阻害剤の量は、0.1mg/投与量単位である。別の実施形態では、プロテアーゼ阻害剤の量は0.2mg/投与量単位である。別の実施形態では、その量は0.3mg/投与量単位である。別の実施形態では、その量は0.4mg/投与量単位である。別の実施形態では、その量は0.6mg/投与量単位である。別の実施形態では、その量は0.8mg/投与量単位である。別の実施形態では、その量は1mg/投与量単位である。別の実施形態では、その量は1.5mg/投与量単位である。別の実施形態では、その量は2mg/投与量単位である。別の実施形態では、その量は2.5mg/投与量単位である。別の実施形態では、その量は3mg/投与量単位である。別の実施形態では、その量は5mg/投与量単位である。別の実施形態では、その量は7mg/投与量単位である。別の実施形態では、その量は10mg/投与量単位である。別の実施形態では、その量は12mg/投与量単位である。別の実施形態では、その量は15mg/投与量単位である。別の実施形態では、その量は20mg/投与量単位である。別の実施形態では、その量は30mg/投与量単位である。別の実施形態では、その量は50mg/投与量単位である。別の実施形態では、その量は70mg/投与量単位である。別の実施形態では、その量は100mg/投与量単位である。
【0047】
別の実施形態では、本発明の組成物は、本発明のタンパク質の、腸粘膜バリアを通過する吸収を強化する物質を含む。別の実施形態では、本発明の組成物は、IL-22の、腸粘膜バリアを通過する吸収を強化する物質をさらに含む。別の実施形態では、本発明の組成物は、消化器系におけるIL-22の分解を減少させる物質をさらに含む。別の実施形態では、本発明の組成物は、胃におけるIL-22の分解を減少させる物質をさらに含む。別の実施形態では、本発明の組成物は、腸におけるIL-22の分解を減少させる物質をさらに含む。そのような物質は、本明細書では「強化剤」と呼ばれる。本明細書において提供される場合、強化剤は、オメガ3脂肪酸又はプロテアーゼ阻害剤と一緒に使用されると、IL-22などのタンパク質が腸で吸収される能力を強化する。本明細書において提供される場合、強化剤は、オメガ3脂肪酸及びプロテアーゼ阻害剤と一緒に使用されると、インスリンが腸で吸収される能力を強化する。本明細書において提供される場合、強化剤は、オメガ3脂肪酸及びプロテアーゼ阻害剤と一緒に使用されると、IL-22が腸で吸収される能力を強化する。
【0048】
一実施形態では、強化剤は、ジデカノイルホスファチジルコリン(DDPC)である。一実施形態では、強化剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)又はエグタズ酸EGTAなどのキレート剤である。別の実施形態では、EDTAはナトリウム-EDTAである。一部の実施形態では、強化剤はNO供与体である。一部の実施形態では、強化剤は、胆汁酸、グリシン抱合型の胆汁酸、又はアルカリ金属塩である。一実施形態では、吸収強化は、α-ガラクトシダーゼとp-マンナナーゼとの組合せの利用によって実現される。一部の実施形態では、強化剤は、カプリン酸ナトリウムなどの脂肪酸である。一実施形態では、強化剤はグリココール酸ナトリウムである。一実施形態では、強化剤はサリチル酸ナトリウムである。一実施形態では、強化剤はn-ドデシル-p-Dマルトピラノシドである。一部の実施形態では、界面活性物質が吸収強化剤の役目をする。一実施形態では、強化剤はN、N、N-トリメチルキトサンクロリド(TMC)などのキトサンである。
【0049】
一実施形態では、本発明のNO供与体は、3-(2-ヒドロキシ-1-(1メチルエチル)-2-ニトロソヒドラジノ)-1-プロパンアミン、N-エチル-2-(1-エチル-ヒドロキシ-2-ニトロソヒドラジノ)エタンアミン、又はS-ニトロソ-N-アセチルペニシラミンを含む。
【0050】
別の実施形態では、胆汁酸はコール酸である。別の実施形態では、胆汁酸はケノデオキシコール酸である。別の実施形態では、胆汁酸はタウロコール酸である。別の実施形態では、胆汁酸はタウロケノデオキシコール酸である。別の実施形態では、胆汁酸はグリココール酸である。別の実施形態では、胆汁酸はクリコケノコール酸である。別の実施形態では、胆汁酸は3ベータ-モノヒドロキシ塩素酸(3 beta-monohydroxychloric acid)である。別の実施形態では、胆汁酸はリトコール酸である。別の実施形態では、胆汁酸は5ベータ-コラン酸である。別の実施形態では、胆汁酸は3,12-ジオール-7-オン-5ベータ-コラン酸である。別の実施形態では、胆汁酸は3アルファヒドロキシ-12-ケトコール酸である。別の実施形態では、胆汁酸は3ベータ-ヒドロキシ-12-ケトコール酸である。別の実施形態では、胆汁酸は12アルファ-3ベータ-ジヒドロコール酸である。別の実施形態では、胆汁酸はウルソデオキシコール酸である。
【0051】
一実施形態では、強化剤は非イオン性界面活性物質である。一実施形態では、強化剤は、非イオン性ポリオキシエチレンエーテル表面活性剤(例えば、HLB値が6~19で、ポリオキシエチレン単位の平均数が4~30のもの)である。別の実施形態では、強化剤は陰イオン性表面活性剤である。別の実施形態では、強化剤は陽イオン性表面活性剤である。別の実施形態では、強化剤は両性表面活性剤である。一実施形態では、アシルカルニチンなどの両性イオン性界面活性物質が吸収強化剤の役目をする。
【0052】
別の実施形態では、吸収強化剤は、高分子薬物に有効な、経口、直腸内、又は他の消化管関連の吸収強化剤である。別の実施形態では、吸収強化剤は極めて水に溶けやすい。別の実施形態では、吸収強化剤は、十分に、即ち85%超が胃腸管で吸収される。別の実施形態では、吸収強化剤は粗い形態である。別の実施形態では、吸収強化剤は微粒子化されている。別の実施形態では、吸収強化剤は無定形である。別の実施形態では、吸収強化剤はN-(5-クロロサリチロイル)-8-アミノカプリル酸(CNAC)である。別の実施形態では、吸収強化剤はN-(10-[2-ヒドロキシベンゾイル]アミノ)デカン酸(SNAD)である。別の実施形態では、吸収強化剤はN-(8-[2-ヒドロキシベンゾイル]アミノ)カプリル酸(SNAC)である。理論に縛られるものではないが、CNAC、SNAD、及び/又はSNACは、IL-22と非共有結合で複合体を形成して、親油性を高めること、及び/又は経上皮電気抵抗を減少させることができる。別の実施形態では、吸収強化剤は、CNAC、SNAD、SNAC、それらの一ナトリウム塩及び/又は二ナトリウム塩、それらのナトリウム塩のエタノール溶媒和物、及びそれらのナトリウム塩の一水和物、並びにそれらの任意の組合せである。別の実施形態では、吸収強化剤は、8-(N-2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾイル)-アミノカプリル酸(4-MOAC)及びその薬学的に許容される塩、並びに/又は無定形及び多形の4-MOACである。別の実施形態では、吸収強化剤は、N-(8-[2-ヒドロキシ-5-クロロベンゾイル]-アミノ)オクタン酸(別名8-(N-2-ヒドロキシ-5-クロロベンゾイル)アミノカプリル酸))(5-CNAC)及びその薬学的に許容される塩、並びに/又は無定形及び多形の5-CNACである。別の実施形態では、吸収強化剤は、4-[(2-ヒドロキシ-4-クロロベンゾイル)アミノ]ブタノエート(別名4-[(4-クロロ-2-ヒドロキシ-ベンゾイル)アミノ]ブタン酸)(4-CNAB)及びその一ナトリウム塩を含むその薬学的に許容される塩、並びに/又は無定形及び多形の4-CNABである。
【0053】
別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、1種又は複数種の吸収強化剤の送達有効量を含む。別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、活性剤を所望の効果のために送達するのに十分な量を含む。
【0054】
別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、2.5重量%~99.4重量%の量の吸収強化剤を含む。別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、2.5重量%~10重量%の量の吸収強化剤を含む。別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、8重量%~15重量%の量の吸収強化剤を含む。別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、10重量%~20重量%の量の吸収強化剤を含む。別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、15重量%~30重量%の量の吸収強化剤を含む。別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、20重量%~40重量%の量の吸収強化剤を含む。別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、30重量%~50重量%の量の吸収強化剤を含む。別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、40重量%~60重量%の量の吸収強化剤を含む。別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、50重量%~70重量%の量の吸収強化剤を含む。別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、70重量%~99.4重量%の量の吸収強化剤を含む。別の実施形態では、本発明の組成物中の吸収強化剤の量は、送達有効量であり、任意の特定の担体又は生物学的に若しくは化学的に活性な作用剤のために、当業者に公知の方法で決定され得る。
【0055】
別の実施形態では、本発明の方法及び組成物に利用される強化剤の量は、0.1mg/投与量単位である。別の実施形態では、強化剤の量は0.2mg/投与量単位である。別の実施形態では、その量は0.3mg/投与量単位である。別の実施形態では、その量は0.4mg/投与量単位である。別の実施形態では、その量は0.6mg/投与量単位である。別の実施形態では、その量は0.8mg/投与量単位である。別の実施形態では、その量は1mg/投与量単位である。別の実施形態では、その量は1.5mg/投与量単位である。別の実施形態では、その量は2mg/投与量単位である。別の実施形態では、その量は2.5mg/投与量単位である。別の実施形態では、その量は3mg/投与量単位である。別の実施形態では、その量は5mg/投与量単位である。別の実施形態では、その量は7mg/投与量単位である。別の実施形態では、その量は10mg/投与量単位である。別の実施形態では、その量は12mg/投与量単位である。別の実施形態では、その量は15mg/投与量単位である。別の実施形態では、その量は20mg/投与量単位である。別の実施形態では、その量は30mg/投与量単位である。別の実施形態では、その量は50mg/投与量単位である。別の実施形態では、その量は70mg/投与量単位である。別の実施形態では、その量は100mg/投与量単位である。
【0056】
別の実施形態では、本発明の組成物は、対象の胃の中で組成物の消化を阻害するコーティングをさらに含む。一実施形態では、コーティングは対象の胃の中で組成物の消化を阻害する。一実施形態では、本発明のコーティングされた剤形は、pHがアルカリ性範囲へ動くと薬物を放出する。一実施形態では、コーティングは単層であり、他の実施形態では、コーティングは多層に適用される。一実施形態では、コーティングは腸粘膜に特異的に結合する生体接着性ポリマーであり、このため、付着部位で薬物放出を可能にする。一実施形態では、腸溶コーティングは腸溶性フィルムコーティングである。ある実施形態では、コーティングは、生分解性多糖類、キトサン、Aquateric(登録商標)Aqueous、Aquacoat(登録商標)ECD、アゾポリマー、酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリト酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ゼラチン、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロゲル、Pulsincap、又はこれらの組合せを含む。一実施形態では、所望の放出部位及び/又は当業者に公知のプロファイルに従って、pH感受性コーティングが使用されることになる。
【0057】
一実施形態では、コーティングは腸溶コーティングである。腸溶コーティングの方法は当技術分野において周知であり、例えば、Siepmann F,Siepmann J et al,Blends of aqueous polymer dispersions used for pellet coating:importance of the particle size.J Control Release 2005;105(3):226-39;及びHuyghebaert N,Vermeire A,Remon JP.In vitro evaluation of coating polymers for enteric coating and human ileal targeting.Int J Pharm 2005;298(1):26-37に記載されている。各方法は本発明の別個の実施形態に対応する。
【0058】
別の実施形態では、アクリルポリマーであるEudragit(登録商標)が腸溶コーティングとして使用される。医薬製剤のコーティング用のアクリルポリマーの使用は当技術分野において周知である。Eudragitアクリルポリマーは安全であることが示されており、身体によって吸収も代謝もされず、むしろ排出される。
【0059】
別の実施形態では、コーティングはゼラチンコーティングである。別の実施形態では、インスリンを胃の中での分解から保護するためにマイクロカプセル化が使用される。別の実施形態では、エキセナチドを胃の中での分解から保護するためにマイクロカプセル化が使用される。ゼラチンコーティングの適用方法及びマイクロカプセル化の方法は、当技術分野において周知である。各方法は、本発明の別個の実施形態に対応する。
【0060】
別の実施形態では、コーティングはフィルムコーティングである。別の実施形態では、コーティングはエチルセルロースである。別の実施形態では、コーティングはエチルセルロース、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)E15の水性分散体である。別の実施形態では、コーティングは胃に耐性のコーティング、例えば、カルボン酸基を官能部分として含有するポリマーである。別の実施形態では、コーティングはモノリシックマトリックスである。別の実施形態では、コーティングはセルロースエーテル(例えばヒプロメロース(HPMC))である。各タイプのコーティングは本発明の別個の実施形態に対応する。
【0061】
別の実施形態では、本発明は、単一の経口、直腸内、又は他の消化管関連の組成物中に少なくとも1種のプロテアーゼ阻害剤及び吸収強化剤を使用すると、劇的に、意外にも、本発明のタンパク質の生物学的利用率を増加させることを提供する。別の実施形態では、本発明は、単一の経口、直腸内、又は他の消化管関連の組成物中に少なくとも1種のプロテアーゼ阻害剤及び吸収強化剤を使用すると、劇的に、意外にも、IL-22の生物学的利用率を増加させることを提供する。
【0062】
別の実施形態では、本発明は、単一の経口、直腸内、又は他の消化管関連の組成物中に少なくとも1種のプロテアーゼ阻害剤及びSNACを使用すると、劇的に、意外にも、本発明のタンパク質の生物学的利用率を増加させることを提供する。別の実施形態では、本発明は、単一の経口、直腸内、又は他の消化管関連の組成物中に少なくとも1種のプロテアーゼ阻害剤及びSNACを使用すると、劇的に、意外にも、IL-22の生物学的利用率を増加させることを提供する。
【0063】
別の実施形態では、本発明は、単一の経口、直腸内、又は他の消化管関連の組成物中に少なくとも1種のプロテアーゼ阻害剤及びSNADを使用すると、劇的に、意外にも、本発明のタンパク質の生物学的利用率を増加させることを提供する。別の実施形態では、本発明は、単一の経口、直腸内、又は他の消化管関連の組成物中に少なくとも1種のプロテアーゼ阻害剤及びSNADを使用すると、劇的に、意外にも、IL-22の生物学的利用率を増加させることを提供する。
【0064】
別の実施形態では、本発明は、単一の経口、直腸内、又は他の消化管関連の組成物中にプロテアーゼ阻害剤及びSNAC又はSNADを使用すると、劇的に、意外にも、ヒト対象におけるIL-22の生物学的利用率を少なくとも10%増加させることを提供する。別の実施形態では、本発明は、単一の経口、直腸内、又は他の消化管関連の組成物中にプロテアーゼ阻害剤及びSNAC又はSNADを使用すると、劇的に、意外にも、ヒト対象におけるIL-22の生物学的利用率を少なくとも20%増加させることを提供する。別の実施形態では、本発明は、単一の経口、直腸内、又は他の消化管関連の組成物中にプロテアーゼ阻害剤及びSNAC又はSNADを使用すると、劇的に、意外にも、ヒト対象におけるIL-22の生物学的利用率を少なくとも30%増加させることを提供する。別の実施形態では、本発明は、単一の経口、直腸内、又は他の消化管関連の組成物中にプロテアーゼ阻害剤及びSNAC又はSNADを使用すると、劇的に、意外にも、ヒト対象におけるIL-22の生物学的利用率を少なくとも40%増加させることを提供する。別の実施形態では、本発明は、単一の経口、直腸内、又は他の消化管関連の組成物中にプロテアーゼ阻害剤及びSNAC又はSNADを使用すると、劇的に、意外にも、ヒト対象におけるIL-22の生物学的利用率を少なくとも50%増加させることを提供する。別の実施形態では、本発明は、単一の経口、直腸内、又は他の消化管関連の組成物中にプロテアーゼ阻害剤及びSNAC又はSNADを使用すると、劇的に、意外にも、ヒト対象におけるIL-22の生物学的利用率を少なくとも60%増加させることを提供する。別の実施形態では、本発明は、単一の経口、直腸内、又は他の消化管関連の組成物中にプロテアーゼ阻害剤及びSNAC又はSNADを使用すると、劇的に、意外にも、ヒト対象におけるIL-22の生物学的利用率を少なくとも70%増加させることを提供する。別の実施形態では、本発明は、単一の経口、直腸内、又は他の消化管関連の組成物中にプロテアーゼ阻害剤及びSNAC又はSNADを使用すると、劇的に、意外にも、ヒト対象におけるIL-22の生物学的利用率を少なくとも80%増加させることを提供する。別の実施形態では、本発明は、単一の経口、直腸内、又は他の消化管関連の組成物中にプロテアーゼ阻害剤及びSNAC又はSNADを使用すると、劇的に、意外にも、ヒト対象におけるIL-22の生物学的利用率を少なくとも90%増加させることを提供する。別の実施形態では、本発明は、単一の経口、直腸内、又は他の消化管関連の組成物中にプロテアーゼ阻害剤及びSNAC又はSNADを使用すると、劇的に、意外にも、ヒト対象におけるIL-22の生物学的利用率を少なくとも100%増加させることを提供する。
【0065】
別の実施形態では、本発明は、IL-22などの酵素活性を有するタンパク質の対象への経口、直腸内、又は他の消化管関連の投与の方法であって、当該方法によって、対象の腸粘膜バリアを通過する吸収の後にかなりの割合のタンパク質が酵素活性を保持し、当該方法は、タンパク質、プロテアーゼ阻害剤及び吸収強化剤を含む医薬組成物を、対象に、経口で、直腸内で、又は他の消化管関連の手段で投与することを含み、それにより、酵素活性を有するタンパク質を、対象に、経口で、直腸内で、又は他の消化管関連で投与する方法を提供する。
【0066】
別の実施形態では、本発明は、IL-22の対象への経口、直腸内、又は他の消化管関連の投与の方法であって、当該方法によって、対象の腸粘膜バリアを通過する吸収の後にかなりの割合のIL-22がその活性を保持し、当該方法は、IL-22及びSNAC又はSNADを含む医薬組成物を、対象に、経口で、直腸内で、又は他の消化管関連で投与することを含み、それにより、IL-22を、対象に、経口で、直腸内で、又は他の消化管関連で投与する方法を提供する。別の実施形態では、本発明は、IL-22の対象への経口、直腸内、又は他の消化管関連の投与の方法であって、当該方法によって、対象の腸粘膜バリアを通過する吸収の後にかなりの割合のIL-22がその活性を保持し、当該方法は、IL-22、プロテアーゼ阻害剤、及びSNAC又はSNADを含む医薬組成物を、対象に、経口で、直腸内で、又は他の消化管関連で投与することを含み、それにより、IL-22を、対象に、経口で、直腸内で、又は他の消化管関連で投与する方法を提供する。
【0067】
別の実施形態では、本発明は、IL-22の対象への経口、直腸内、又は他の消化管関連の投与の方法であって、当該方法によって、対象の腸粘膜バリアを通過する吸収の後にかなりの割合の投与されたIL-22が活性を保持し、当該方法は、IL-22、少なくとも1種のプロテアーゼ阻害剤、SNAC又はSNAD、及びオメガ3脂肪酸を含む医薬組成物を、対象に、経口で、直腸内で、又は他の消化管関連で投与することを含み、それにより、IL-22を、対象に、経口で、直腸内で、又は他の消化管関連で投与する方法を提供する。別の実施形態では、本発明は、IL-22の対象への経口、直腸内、又は他の消化管関連の投与の方法であって、当該方法によって、対象の腸粘膜バリアを通過する吸収の後にかなりの割合の投与されたIL-22が酵素活性を保持し、当該方法は、IL-22、少なくとも1種のプロテアーゼ阻害剤、及びSNAC又はSNAD、EDTA(又はそれらの塩)、並びにオメガ3脂肪酸を含む医薬組成物を、対象に、経口で、直腸内で、又は他の消化管関連で投与することを含み、それにより、IL-22を、ヒト対象に、経口で、直腸内で、又は他の消化管関連で投与する方法を提供する。
【0068】
別の実施形態では、本発明は、ヒト対象において炎症性障害を治療する方法であって、IL-22、少なくとも1種のプロテアーゼ阻害剤、及びSNAC又はSNADを含む医薬組成物を、当該対象に、経口で、直腸内で、又は他の消化管関連で投与することを含み、それにより、炎症性障害を治療する方法を提供する。別の実施形態では、本発明は、ヒト対象において炎症性障害を治療する方法であって、IL-22及び少なくとも1種のプロテアーゼ阻害剤、及びSNAC又はSNAD、及びオメガ3脂肪酸を含む医薬組成物を、当該対象に、経口で、直腸内で、又は他の消化管関連で投与することを含み、それにより、炎症性障害を治療する方法を提供する。別の実施形態では、本発明は、ヒト対象において炎症性障害を治療する方法であって、IL-22及び少なくとも1種のプロテアーゼ阻害剤、及びSNAC又はSNAD、EDTA(又はそれらの塩)、及びオメガ3脂肪酸を含む医薬組成物を、当該対象に、経口で、直腸内で、又は他の消化管関連で投与することを含み、それにより、炎症性障害を治療する方法を提供する。一部の実施形態では、上記の炎症性障害は過敏性腸疾患(IBD)である。一部の実施形態では、炎症性障害は、潰瘍性大腸炎、クローン病、又は潰瘍性大腸炎若しくはクローン病に関連する瘻孔である。一部の実施形態では、炎症性障害は潰瘍性大腸炎である。一部の実施形態では、炎症性障害はクローン病である。IL-22又はIL-22-Fcを消化管内に投与すると、非経口投与と比較して、全身的によりもむしろ消化管環境において、IL-22又はIL-22-Fcの保持を大きくすることを可能にすることが分かっている。さらに、経口又は直腸内の投与は、全身性血清レベルにおけるIL-22のスパイクレベルを防止することができる。
【0069】
一実施形態では、本発明は、タンパク質を、対象に、経口、直腸内、又は他の消化管関連で投与するための薬剤の製造におけるIL-22などのタンパク質、少なくとも1種のプロテアーゼ阻害剤、及びSNAC又はSNADの使用であって、それにより、対象の腸粘膜バリアを通過する吸収の後にかなりの割合のタンパク質がその活性を保持する使用を提供する。一実施形態では、本発明は、タンパク質を、対象に、経口、直腸内、又は他の消化管関連で投与するための薬剤の製造におけるタンパク質、少なくとも1種のプロテアーゼ阻害剤、SNAC又はSNAD、及びオメガ3脂肪酸の使用であって、それにより対象の腸粘膜バリアを通過する吸収の後にかなりの割合のタンパク質がその活性を保持する使用を提供する。一実施形態では、本発明は、タンパク質を、対象に、経口、直腸内、又は他の消化管関連で投与するための薬剤の製造における、タンパク質、少なくとも1種のプロテアーゼ阻害剤、SNAC又はSNAD、Na-EDTA、及びオメガ3脂肪酸の使用であって、それにより、対象の腸粘膜バリアを通過する吸収の後にかなりの割合のタンパク質がその活性を保持する使用を提供する。一部の実施形態では、タンパク質を、対象に、経口、直腸内、又は他の消化管関連で投与するための薬剤の製造におけるIL-22などのタンパク質、少なくとも1種のプロテアーゼ阻害剤、及びSNAC又はSNADの使用であって、それにより、対象の腸粘膜バリアを通過する吸収の後にかなりの割合のタンパク質がその活性を保持する使用は、炎症性障害における使用を目的とする。一部の実施形態では、上記の炎症性障害は過敏性腸疾患(IBD)である。一部の実施形態では、炎症性障害は、潰瘍性大腸炎、クローン病、又は潰瘍性大腸炎若しくはクローン病に関連する瘻孔である。一部の実施形態では、炎症性障害は潰瘍性大腸炎である。一部の実施形態では、炎症性障害はクローン病である。
【0070】
別の実施形態では、本発明の方法及び組成物に使用するための固体の担体/希釈剤には、以下に限定されないが、ガム、デンプン(例えばトウモロコシデンプン、アルファ化デンプン)、糖(例えば、ラクトース、マンニトール、スクロース、デキストロース)、セルロース由来の材料(例えば微結晶セルロース)、アクリレート(例えばポリメチルアクリレート)、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、タルク、又はこれらの混合物が含まれる。
【0071】
別の実施形態では、組成物は、結合剤(例えば、アラビアゴム、トウモロコシデンプン、ゼラチン、カルボマー、エチルセルロース、グアーガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン)、崩壊剤(例えば、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、アルギン酸、二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、グアーガム、デンプングリコール酸ナトリウム)、種々のpH及びイオン強度の緩衝剤(例えば、トリス-HCI、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液)、表面への吸収を防止するアルブミン又はゼラチンなどの添加物、界面活性剤(例えば、Tween20、Tween80、Pluronic F68、胆汁酸塩)、界面活性物質(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、浸透強化剤、可溶化剤(例えば、グリセロール、ポリエチレングリセロール)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシアニソール)、安定化剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、増粘剤(例えば、カルボマー、コロイド状二酸化ケイ素、エチルセルロース、グアーガム)、甘味剤(例えば、アスパルテーム、クエン酸)、防腐剤(例えば、チメロサール、ベンジルアルコール、パラベン)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム)、流動助剤(例えばコロイド状二酸化ケイ素)、可塑剤(例えば、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル)、乳化剤(例えば、カルボマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ラウリル硫酸ナトリウム)、ポリマーコーティング剤(例えば、ポロキサマー又はポロキサミン)、コーティング剤及びフィルム形成剤(例えば、エチルセルロース、アクリレート、ポリメタクリレート)及び/又は補助剤をさらに含む。上記の添加剤の各々は、本発明の別個の実施形態に対応する。
【0072】
一部の実施形態では、本発明の剤形は、即放特性、徐放特性、又は遅延放出特性を実現するように製剤化される。一部の実施形態では、組成物の放出特性は、例えば、結合剤、崩壊剤、充填剤、又はコーティング材料としての役目をする特定の添加剤を使用することによって決定される。一実施形態では、組成物は、当業者に公知の特定の放出特性を実現するように製剤化されることになる。
【0073】
一実施形態では、組成物は、経口、直腸内、又は他の消化管関連の剤形として製剤化される。一実施形態では、組成物は、錠剤、チュアブル錠、又はカプセル剤を含む、固体の経口、直腸内、又は他の消化管関連の剤形である。一実施形態では、カプセル剤は軟ゼラチンカプセル剤である。別の実施形態では、本明細書に記載されるカプセル剤は硬殻カプセル剤である。別の実施形態では、本明細書に記載されるカプセル剤は軟殻カプセル剤である。別の実施形態では、本明細書に記載されるカプセル剤はゼラチンで作製される。別の実施形態では、本明細書に記載されるカプセル剤は、カラギーナン及び修飾形態のデンプン及びセルロースのような植物系のゲル化物質で作製される。
【0074】
他の実施形態では、本発明の方法及び組成物に利用される制御放出又は持続放出のコーティングは、親油性のデポ剤の製剤(例えば脂肪酸、ワックス、油)を含む。
【0075】
例えば、混合、造粒、又は錠剤形成の各プロセスによる、活性構成成分を含有する医薬組成物の調製は、当技術分野においてよく理解されている。治療活性成分は、薬学的に許容される、活性成分と適合性の添加剤と混合されることが多い。経口、直腸内、又は他の消化管関連の投与のために、本発明の組成物の活性成分は、この目的に慣例の添加物、例えば、ビヒクル、安定化剤又は不活性希釈剤などと混合され、慣例の方法により、投与に好適な形態、例えば、錠剤、コーティング錠、硬ゼラチンカプセル剤又は軟ゼラチンカプセル剤、水性溶液剤、アルコール溶液剤又は油性溶液剤に変換される。
【0076】
本発明の組成物は、一般に、中性の、又は塩の形態に製剤化され得る。薬学的に許容される塩は、例えば、無機酸(例えば、塩酸又はリン酸)から、又は有機酸(例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、及びマンデル酸など)から誘導される酸付加塩(遊離アミノ基とともに形成される)を含む。遊離カルボキシル基とともに形成される塩は、無機塩基(例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、又は水酸化第二鉄)から、又は有機塩基(例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、及びプロカインなど)から誘導されることも可能である。
【0077】
参照による援用
本明細書に記載される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、個々の刊行物、特許、又は特許出願が具体的且つ個別に、参照により援用されるように指定されているかのような場合と同程度まで、参照により本明細書に援用される。しかしながら、本明細書における参考文献の引用は、そのような参考文献が本発明の先行技術であることを認めるものと解釈されるべきではない。参照により援用される参考文献において提供される定義又は用語のいずれかが、本明細書中で提供される用語及び考察と異なる限りにおいて、本明細書の用語及び定義が優先される。
【0078】
均等物
上記の本明細書は、当業者が本発明を実施するのを可能にするのに十分であると考えられる。上記の説明及び例は、本発明の特定の好ましい実施形態を詳細に説明し、本発明者らが企図する最良の形態を記載するものである。しかし当然のことながら、前述の内容がいかに詳細に本文中に説明されているとしても、本発明は多くの方法で実施することができ、添付の特許請求の範囲及びその任意の均等物に従って本発明が解釈されるべきである。
【0079】
実施した実験及び得られた結果を含む以下の実施例は、説明する目的でのみ提供されるものであり、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【実施例
【0080】
実施例1:SNAC-IL-22複合体を使用する腸管バリアの通過
C57Bl/6マウス(n=4)に1mg/mlのIL-22と100mg/mlのSNAC製剤との100ul混合物を直腸内投与した。IL-22のELISA用又は血清アミロイドA(SAA)のELISA用にそれぞれ、血清を指定時間に採取した。IL-22/SNAC混合物の直腸内投与後のIL-22の血清レベルは、血清IL-22のレベルの増加を示し、15分時点で10e6pg/mlを超え、少なくとも4時間、上昇したレベルを維持した(図1A)。血清アミロイドA(SAA)は、主に肝臓によって合成される、高度に保存される急性期タンパク質である。急性炎症の間に、血清中SAAレベルは1000倍まで上昇する場合がある。SAAは、例えば、複数のサイトカインの合成を誘導することによって、及び好中球及びマスト細胞には走化性であることによって、著しい免疫学的活性を示し、マウス大腸炎モデルにおいて、結腸上皮を急性損傷から保護すると考えられる。図1Bは、IL-22/SNAC混合物の直腸内投与後に肝臓からの血清中SAAのレベルが上昇し、投与後24時間でピークレベルになることを示す。図2Aは、試験した各マウスのIL-22の血清レベルを示す。図2Bは、IL-22/SNACの直腸内投与後の結腸中のRegIIIβの発現の上昇を示す。
【0081】
実施例2:IL-22の消化管対全身性PK試験
マウスにIL-22(16.5kDa)又はマウスIL22Fc(85kDa)のいずれかを直腸内投与して、結腸中に保持されているIL-22のレベル対全身性吸収のIL-22のレベルを調査した。直腸内投与については、C57Bl/6マウスに、1mg/mlのIL-22プラス100mg/mlのSNACを100μl、又はマウスIL22Fc及び100mg/mlのSNACを、20G軟質プラスチックチューブを使用して直腸内経路で投与した。結腸IL-22レベルの測定のために、投与後15分、30分、1時間、2時間、4時間、又は24時間で、全結腸を採取した。便を除去した後に、結腸を長手方向にカットし、45mlの洗浄緩衝液(PBS+0.2%Tween20)で5分間洗浄した。洗浄を4回反復した後に、結腸を1mlのNP40細胞溶解緩衝液(Invitrogen)を含有するセーフロックチューブに入れた。結腸試料をTissueLyser II(Qiagen)を用いて溶解した。ELISA(R&D Systemsのマウス/ラットIL-22ELISAキット)によるIL-22測定のために上清を回収した。血清IL-22のレベルの測定のために、投与後15分、30分、1時間、2時間、4時間、又は24時間後に血清を採取した。IL-22レベルを、ELISA(R&D Systemsのマウス/ラットIL-22ELISAキット)によって測定した。結果を図3に示す。結腸IL-22のレベルの方がより高いのがFcを結合したIL-22に見られ(図3A)、全身性IL-22レベルの初期スパイクはIL-22に見られた(図3B)。
【0082】
実施例3:IL-22の消化管対全身性送達
マウスにマウスIL22Fcを直腸内又は腹腔内のいずれかで投与して、全身性対結腸のIL-22レベルの差違を調査した。C57Bl/6マウスに、78μgのマウスIL22Fcプラス100mg/mlのSNACを、20G軟質プラスチックチューブを使用して直腸内に、又は3μgのマウスIL22Fcを腹腔内に投与した。結腸IL-22レベルの測定のために、投与後15分、30分、1時間、2時間、4時間、又は24時間で、全結腸を採取した。便を除去した後に、結腸を長手方向にカットし、45mlの洗浄緩衝液(PBS+0.2%Tween20)で5分間洗浄した。洗浄を4回反復した後に、結腸を1mlのNP40細胞溶解緩衝液(Invitrogen)を含有するセーフロックチューブに入れた。結腸をTissueLyser II(Qiagen)を用いて溶解した。ELISA(R&D Systemsのマウス/ラットIL-22ELISAキット)によるIL-22測定のために上清を回収した。血清IL-22のレベルの測定のために、投与後15分、30分、1時間、2時間、4時間、又は24時間後に血清を採取した。IL-22レベルを、ELISA(R&D Systemsのマウス/ラットIL-22ELISAキット)によって測定した。結果を図4に示す。結腸シグナル伝達のレベルの方がより高いのが直腸内投与に見られた(図4A)。血清シグナル伝達のレベルの方がより高いのが腹腔内投与に見られた(図4B)。
【0083】
実施例4:消化管送達されたIL-22の薬力学試験
マウスIL22Fcの腹腔内投与及び直腸内投与を、血清アミロイド酸レベルの増加によって測定される全身性のPD反応、又は消化管中の結腸Reg3βの発現によって測定される消化管中PD反応を誘導する能力について調査した。マウスIL22Fcを腹腔内に投与し、マウスIL22FcプラスSNACを直腸内に投与した。対照としてSNAC単独を投与した。血清アミロイド酸レベルをELISA(SAA ELISAキット、R&D Systems)によって測定した。結腸RegIIIβの発現をqPCRによって測定した。端的に言えば、中結腸を採取し、液体窒素で急速凍結した。RNA抽出のために、結腸組織をセーフロックチューブ中の0.8mlのRTL溶解緩衝液(Qiagen)の中に入れ、TissueLyser IIの中で溶解した。上清を、RNA精製及びQuant studio7でのqPCRのために使用した。結果を図5に示す。SAAの全身性レベルが図5Aに示され、腹腔内投与されたマウスIL22Fcの方により高いSAAのレベルが示されている。RegIIIβの消化管レベルが図5Bに示され、マウスIL22Fcの腹腔内投与及び直腸内投与の両方からの消化管中RegIIIβの高レベルが示されている。腹腔内経路によるマウスIL22Fcの全身性投与と比較して、マウスIL22FcプラスSNACの直腸内投与による局所対全身性の薬力学的効果は選択性が高い。
図1
図2
図3
図4
図5
【配列表】
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【国際調査報告】