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特表2022-547273衛星通信のためのコンパクト化可能アンテナ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-11
(54)【発明の名称】衛星通信のためのコンパクト化可能アンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/28 20060101AFI20221104BHJP
【FI】
H01Q1/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022513473
(86)(22)【出願日】2020-08-31
(85)【翻訳文提出日】2022-04-08
(86)【国際出願番号】 US2020048848
(87)【国際公開番号】W WO2021042076
(87)【国際公開日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】62/894,600
(32)【優先日】2019-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.KEVLAR
2.TEFLON
3.KAPTON
4.MYLAR
(71)【出願人】
【識別番号】518307237
【氏名又は名称】ルギャルド,インク.
【氏名又は名称原語表記】L’GARDE, INC.
【住所又は居所原語表記】15181 Woodlawn Avenue Tustin, CA 92780 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バーンズ,ナサニエル・シー
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト,ジェイソン・ジー
【テーマコード(参考)】
5J046
【Fターム(参考)】
5J046AA07
5J046KA03
5J046KA04
5J046KA08
(57)【要約】
本明細書において説明されるシステムおよび方法は、形状記憶複合構成要素を含む、折畳み可能で、展開可能なアンテナ構造を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
形状記憶構成要素と、
導電構成要素と
を備える、アンテナ構造。
【請求項2】
形状記憶構成要素に結合されたサポート構造をさらに備える、請求項1に記載のアンテナ構造。
【請求項3】
アンテナ構造が、収納構成および展開構成を有し、形状記憶構成要素が、収納構成では非構造的に変形される、請求項2に記載のアンテナ構造。
【請求項4】
導電構成要素が、形状記憶構成要素の外部表面の導電性材料である、請求項3に記載のアンテナ構造。
【請求項5】
サポート構造が、膨張スリーブを画定する、請求項4に記載のアンテナ構造。
【請求項6】
サポート構造が、ガス不透過性材料を含む、請求項5に記載のアンテナ構造。
【請求項7】
形状記憶構成要素が、クアッドリフィラーアンテナを画定するために4つの螺旋曲線を作り出す複数の形状記憶構成要素を備える、請求項6に記載のアンテナ構造。
【請求項8】
形状記憶構成要素が、双円錐アンテナを画定する複数の形状記憶構成要素を備える、請求項6に記載のアンテナ構造。
【請求項9】
形状記憶複合構成要素および導電構成要素を有するアンテナ構造を格納構成で格納することと、
アンテナ形状を画定する展開構成にアンテナ構造を展開させることと
を含む、アンテナ構造を展開させる方法。
【請求項10】
アンテナ形状が、円偏波および全方向性の両方を提供するように構成される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
形状記憶複合構成要素を非構造的に変形させるためにアンテナ構造に変形力を加えることをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
アンテナ構造が、膨張スリーブの形態のサポート構造をさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
アンテナ構造を格納構成から展開構成に移行させるために膨張スリーブを膨張させることをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
膨張スリーブの膨張によって故障デバイスを破壊することをさらに含み、アンテナ構造を格納構成で保持するためにアンテナ構造に変形力を与える格納デバイスに故障デバイスが結合される、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年8月30日に出願した米国仮特許出願第62/894,600号の優先権を主張するものであり、この米国仮特許出願は、引用によりその全体が本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ここ数年、いくつかの世界中の革新的な企業は、多数の小型衛星群でグローバルカバレッジを提供する戦略を追求している。これらの衛星群は、全世界インターネット可用性、全世界商用画像化能力、および全世界軍事状況認識を含む、いくつかの異なるタイプの用途の提供を探求している。数百のSmallSatに及び得るこれらの衛星群に対する共通の要求事項は、仮想ネットワーク内で地上と通信し、相互に通信する能力である。衛星の配備時の向きは変化するため、また、予測し得ないものであり得るため、信号を送受信するために使用されるアンテナは全方向性で動作することが好ましい。
【0003】
典型的なアンテナは導電金属製の剛直構造である。アンテナの公称サイズは、従来、受信されている電波のオーダーであり、これは、S-バンド周波数の場合、10-15センチメートル程度であり得る。これは、電子機器、カメラ、電力源、および他の構成要素も含まなければならない典型的なU CubeSatのサイズである。これは、打ち上げの間は収納され、軌道に乗ると展開されることが好ましい衛星の物流上の問題を提起している。それらの材料構成上の制限を考慮すると、従来のアンテナのこのような格納可能な構成は困難である。その結果、小型衛星のために使用されるアンテナは、通常、サイズが極めて制限されている。したがって、サイズを低減するように、アンテナのビームパターンが構成され、あるいは狭められ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2016/0288453号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書において説明されるアンテナおよび衛星は、アンテナ設計の構築において独自の形状記憶複合(SMC)材料を含むことができる。例示的実施形態は、全方向性アンテナ設計を含むことができる。
【0006】
開示される例示的実施形態は、宇宙船と地上基地との間、または宇宙船と他の宇宙船との間の自由空間通信のためのコンパクト化可能アンテナを構築するために形状記憶複合材料を使用する。
【0007】
例示的実施形態は、形状記憶複合材料でできているアンテナを含む。例示的実施形態は、変形した、収納された形状から、展開した形状へのアンテナの移行を許容する。変形した形状は折り畳まれた形状であってもよく、さもなければ格納または輸送のためのより小さい寸法または体積を画定することができる。例示的実施形態では、形状記憶複合材料は、変形した形状が、外部からの介在または力の印可がなくても形状記憶複合物を展開形状に展開させる、または移行させるためのエネルギーを保持するよう、記憶した構成を有することができる。例えば形状記憶複合材料を変形した構成で保持するための外部力を与える機構が使用され得る。印加された力が除去されると、形状記憶複合材料は展開する。
【0008】
例示的実施形態では、形状記憶複合材料は、アンテナとして作用するよう、導電性であってもよい。形状記憶複合材料は、繊維、繊維を保持するための樹脂、繊維および/または樹脂への添加剤、コーティングの材料選択を通して、ならびに本明細書において説明されている他の方法を通して導電性にすることができる。繊維は導電性であってもよい。樹脂は導電性であってもよい。繊維同士の間の樹脂または充填剤には、金属粉末または導電性粉末、添加剤あるいは充填剤が加えられ得る。金属ストランドが複合繊維と共に組み込まれ、あるいは複合繊維として排他的に使用され得る。形状記憶複合材料によって作り出された部材のすべて、または一部を覆うために、薄い金属箔が覆われ、あるいは薄い金属箔が使用され得る。形状記憶複合材料によって作り出された構成要素の表面のすべて、または一部に導電性ペイントまたは他のコーティングが加えられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本明細書において説明される実施形態による例示的アンテナ形状を示す図である。
図2】本明細書において説明される実施形態による例示的アンテナ形状を示す図である。
図3】本明細書において説明される実施形態による例示的アンテナ形状を示す図である。
図4】エンベロープを含む、本明細書において説明される実施形態による例示的アンテナ構成を示す図である。
図5】エンベロープを含む、本明細書において説明される実施形態による例示的アンテナ構成を示す図である。
図6】エンベロープを含む、本明細書において説明される実施形態による例示的アンテナ構成を示す図である。
図7】エンベロープを含む、本明細書において説明される実施形態による例示的アンテナ構成を示す図である。
図8】エンベロープを含む、本明細書において説明される実施形態による例示的アンテナ構成を示す図である。
図9】エンベロープを含む、本明細書において説明される実施形態による例示的アンテナ構成を示す図である。
図10】エンベロープを含む、本明細書において説明される実施形態による例示的アンテナ構成を示す図である。
図11A】本明細書において説明される実施形態による例示的展開シーケンスを示す図である。
図11B】本明細書において説明される実施形態による例示的展開シーケンスを示す図である。
図11C】本明細書において説明される実施形態による例示的展開シーケンスを示す図である。
図12】本明細書において説明される実施形態による例示的構成を示す図である。
図13A】本明細書において説明される実施形態による例示的展開シーケンスを示す図である。
図13B】本明細書において説明される実施形態による例示的展開シーケンスを示す図である。
図13C】本明細書において説明される実施形態による例示的展開シーケンスを示す図である。
図14】本明細書において説明される実施形態による例示的システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明は、限定としてではなく、例として本発明の原理を示したものである。この説明は、明らかに、当業者による本発明の作成および使用を可能にするものであり、本発明を実施するための現時点における最良モードと信じられている内容を含む、本発明のいくつかの実施形態、適合、変更、代替および使用を説明したものである。図面は図解的なものであり、本発明の例示的実施形態を概略的に表現したものであって、本発明を制限するものではないこと、また、図面は必ずしも縮尺通りに描かれていないことを理解されたい。
【0011】
例示的実施形態は、アンテナ形態幾何構造を作り出すための電気導電性材料を支持するためのサポートおよび展開構造として、動的に変形可能な材料を使用することができる。
【0012】
例示的実施形態では、動的に変形可能な材料は、アンテナ形態を作り出すための電気導電性材料を含むことができる。
【0013】
例示的実施形態では、動的に変形可能な材料は電気導電性材料を含まなくてもよいが、所望の形態の電気導電性材料を支持することができる。
【0014】
例示的実施形態は、周囲に含まれ、および/または動的に変形可能な材料によって支持されたエンベロープを使用することができる。エンベロープは、アンテナを展開させる際に膨張させるためにガス不透過性または半ガス不透過性であってもよい。エンベロープは、展開構成へのアンテナの移行を補助するために膨張され得る。エンベロープは、収納構成からアンテナを解放するために膨張され得る。エンベロープは、アンテナ形態を作り出すための電気導電性材料を支持するための基板として作用することができる。
【0015】
本明細書においては、本発明の実施形態は特定のアンテナ構成の形で説明され、例証され得るが、本発明の実施形態はそれには限定されず、異なるアンテナ構成にさらに適用することができることを理解されたい。同じく開示される例示的実施形態は、アンテナのための導電性材料を含むものとしてのサポートとして、アンテナを収納構成から展開させるためのばねサポートとして、アンテナ形状を作り出すための導電性材料を支持することができるエンベロープのためのサポートとして、展開構成のためのサポートとして、およびそれらの任意の組合せとして、動的に変形可能な材料の異なる組合せを含む。例示的実施形態は、引裂き表面、除去可能後退または格納材料またはコード、エンベロープ、1つ以上のアンテナ形状、1つ以上のスリーブまたはエンベロープ、形状記憶材料製の1つ以上のサポート下部構造、ハブ、1つ以上の膨張機構などの代替特徴を含むことができる。何らかの1つの例に対して説明されている任意の特徴、構成要素、構成および/または属性は、任意の他の例と組み合わせて使用され得る。したがって任意のステップ、特徴、構成要素、構成および/または属性は、任意の組合せで使用されてもよく、また、依然として当該説明の範囲内である。特徴は、除去され、追加され、重複され、統合され、細分され、さもなければ組み直されてもよく、また、依然として当該説明の範囲内である。本明細書において説明される例示的実施形態は、単なる例の目的で提供されているにすぎない。したがってアンテナ構成は、いずれも、本明細書において説明される実施形態によるエンベロープと共に使用され、あるいはエンベロープなしで使用され得る。アンテナ構成は、いずれも、本明細書において説明される実施形態による引裂きデバイスあるいは離脱保持(break away retention)デバイスと共に使用され、あるいはそれらなしで使用され得る。アンテナ構成は、いずれも、本明細書において説明される実施形態による膨張機構と共に使用され得る。
【0016】
例示的実施形態は、地上基地と他の宇宙船との間の自由空間通信のための全方向性アンテナを作り出すことに関して示され、説明されているが、他の用途も本開示の範囲内である。例えば指向性アンテナは本開示の範囲内である。他の用法も同じく本出願の範囲内であり、宇宙船同士の間の宇宙通信だけではない。
【0017】
銅または何らかの他の導電金属から構築された場合、アンテナは剛直であり、また、その「フットプリント」は、打ち上げ中の格納のために縮小され得ない。本明細書において説明される例示的実施形態は、動的に変形し得る形状記憶構成要素を含む。本明細書において説明され、使用される動的変形は、格納および/または展開のための非構造化変形を含む。形状記憶構成要素の例示的実施形態は、形状記憶構成要素の長さに沿って撓ませ、また、湾曲させることができ、さもなければ変形させることができる。変形は、形状記憶構成要素の長さ全体に沿っていても、あるいは長さの一部に沿っていてもよい。動的変形は、より小さい構成に折り畳んで、SmallSatまたは他の収納コンパートメントの中に格納され、また、展開構成に広げるために解放され得る。例示的実施形態では、形状記憶構成要素は記憶した構成を備える。使用中、例示的実施形態は収納構成を含むことができ、形状記憶構成要素は、変形した形状で外部力を加えることを通して保持され得る。変形力などの外部力が除去されると、形状記憶構成要素は記憶した構成に広がる。記憶した構成は展開構成であってもよい。展開に必要なことは、形状記憶構成要素(アンテナなど)を折畳み構成すなわち収納構成に拘束している機構が単に除去されることのみであるため、したがって展開は、形状記憶構成要素構造にとっては容易であり得る。
【0018】
例示的実施形態では、形状記憶構成要素は形状記憶複合物を含むことができる。形状記憶複合物は、基質(matrix)または樹脂の中に保持された繊維を含むことができる。形状記憶構成要素は導電性であってもよい。アンテナ利得を改善するために:(1)複合物の基質に金属粉末を加えること;(2)アンテナを作り出す形状記憶複合物構成要素の周りに覆われた薄い金属箔を加えること;(3)形状記憶構成要素の表面に加えられた導電性ペイントを加えること;およびそれらの組合せなどによって導電率が大きくされ得る。
【0019】
図1図10は、本明細書において説明される実施形態による例示的アンテナ形状を示したものである。例示的実施形態では、アンテナ構造10、20、30、40、50、60、70、80、90、100は形状記憶複合材料12、22、32、42、52、62、72、82、92、102を含むことができる。形状記憶複合材料は、非構造化方法による外部力を与えた下でのアンテナの折畳みを許容することができる。したがって折り畳まれた構成は、格納コンパートメントまたは加えられる外部力に基づいて動的に決定され得る。例えば形状記憶複合物は、力が加えられると、長さに沿って撓む、すなわち変形することができる。しかしながら形状記憶複合物は、力が除去されると、記憶した構成に復帰することができる。例示的実施形態では、形状記憶複合物は、部材の長さに沿った多数の場所で、または部材の長さ全体に沿って撓むことができる。例示的実施形態では、形状記憶複合物は、外部力が除去されると、直線、円、卵形、曲線、放物線、螺旋、渦巻きまたは他の事前定義された形状などの記憶した構成に復帰することができる。事前定義された形状は、外部力を使用することなく維持される構造の形状であってもよい。事前定義された形状は、本明細書において説明されている1つもしくは複数の他の形状記憶複合材料、エンベロープおよび/または他のサポート構造との関係および接続を通して定義され得る。
【0020】
例示的形状記憶複合材料は、炭素繊維、Vectran、Kevlar、ファイバーグラス、ガラス繊維、プラスチック、繊維金属のうちの1つ以上の基材を含む。基材はストランドを含むことができる。ストランドは、通常、構造の長さに沿って整列されてもよく、1つ以上の整列配置を含むことができ、巻き付け、または螺旋状に配置されてもよく、織られてもよく、あるいはそれらの任意の組合せであってもよい。形状記憶複合材料は、基材の周りおよび/または基材同士の間に基質を含むことができる。基質は、シリコーン、ウレタンまたはエポキシであってもよい。例示的形状記憶複合材料については、共有特許出願である、「Composite Material」という名称の米国特許公開第2016/0288453号に説明されている。例示的実施形態は、変形を許容するために高ひずみ材料を含む。高ひずみ材料は、通常、3%を超えてひずむ能力を有し、塑性変形に入ることはない。言い換えると、この材料は3%を超えてへこむことができる。
【0021】
例示的実施形態では、形状記憶複合材料は、折り畳まれた/パッケージ化された状態で長期間にわたって格納された後でも、所望の形状記憶保持を達成するように制御され得る繊維対樹脂の体積分率を含む。例示的繊維対樹脂体積分率は52から65、すなわち52パーセントから65パーセント繊維または48パーセントから35パーセント基質または樹脂である。平均繊維対基質比率は約58パーセントである。繊維は、本明細書において説明されている炭素、Kevlar、Vectran、ナイロン、等々であってもよく、また、樹脂は、基質として本明細書において説明されているウレタン、シリコーン、エポキシ、等々であってもよい。
【0022】
例示的実施形態では、形状記憶複合材料から構成される部材は、アンテナ形状を画定するために導電性であってもよい。構成要素のすべての部分を導電性にすることができる。構成要素は、導電性材料を形状記憶材料に組み込むことによって導電性にすることができる。構成要素材料は、金属粉末、コーティング、ラッピング、シート、膜、ペイント、ストランドまたはそれらの組合せを含むことができる。導電性材料は、繊維、樹脂の中、繊維の表面、構成要素材料の表面に存在していてもよく、またはそれらの組合せであってもよい。例示的実施形態では、形状記憶複合構成要素は、構成要素を銅の薄いシートで包むことによってアンテナ形状を作り出すために導電性である。銅シートは形状記憶複合材料シャフトの外部表面に接着され得るか、さもなければ結合され得る。
【0023】
図1は、アンテナ構成10の例示的実施形態を示したものであり、導電性材料は、クアッドリフィラー(Quadrifilar)(4つの螺旋導体)螺旋アンテナとして形状化されている。図示しているように、アンテナ構造は、導体を備える形状記憶部材12を含む。導電部材は、縦方向の中心軸の周りに覆われた4つの螺旋ストランドを画定している。縦方向の中心軸は導電シャフトを含むことができる。クアッドリフィラーの互いに反対側の端部は、個々の螺旋ストランドの互いに反対側の端部で個々の螺旋ストランドを縦方向の軸または中心シャフトに結合している半径方向の延長部分を含むことができる。螺旋ストランドは、90度だけ円周状にオフセットされ得る。螺旋ストランドを有し、ならびに、形状記憶複合物でできた中心形状を有することにより、所望の格納空間内に適合させるために、構造全体を変形させることができ、また、任意の非構造化構成、すなわち無作為構成で撓ませることができる。
【0024】
図2は、双円錐アンテナを画定しているアンテナ構成20の例示的実施形態を示したものである。示されているように、アンテナはハブ24を含むことができる。縦方向の軸は、ハブまたは中心の両側に反対方向に延びている。縦方向の軸は導電シャフトを含むことができる。示されているように、5つの導電部材が半径方向に延びており、また、ハブからハブの両側に縦方向に遠ざかっている。5つの導電部材は、半径方向に外側に向かって、一定の距離まで延びることができ、次に、半径方向に内側に向かって延びて、シャフトまたは縦方向の軸に結合することができる。導電部材のうちの半径方向に内側に向かって延びている部分は、導電部材が直角三角形の一部を画定するよう、半径方向に内側に向かってのみ延びることができる。また、導電部材は、半径方向に内側に向かって延びる際に、ハブから遠ざかる方向に、縦方向に延び続けることも可能であり、したがって他の湾曲した形または三角形の形を画定する。
【0025】
図3は例示的アンテナ構成30を示したものである。導電性材料は、本明細書において説明されているように、形状記憶構成要素32内に存在していてもよい。導電性材料は、1つ以上の長方形、正方形、四辺形の形または他の幾何学的な形を画定することができる。これらの形は、形の平面が縦方向の軸を含むように、あるいは縦方向の軸を通過するように配置され得る。これらの形は円周状にオフセットされてもよく、また、縦方向の軸の周りに配置されてもよい。縦方向の軸は導電シャフトを画定することができ、あるいは導電シャフトであってもよい。
【0026】
図4図10は、エンベロープを含む、本明細書において説明されている実施形態による例示的アンテナ構成を示したものである。示されている例示的実施形態は、本明細書において説明されているサポート構造の例示的実施形態をダッシュ線で示したものである。サポート構造は、例証の目的で、また、本発明の理解を改善するために、構成要素部品を区別するべく異なるタイプの線で示されている。ダッシュ線は、サポート構造内の孔すなわちアパーチャを示唆し、あるいは表すために示されているわけではないが、サポート構造はこのような特徴を含むことができる。例示的実施形態では、本明細書において説明されているようにサポート構造はガス不透過性である。
【0027】
例示的実施形態では、アンテナ構造40、50、60、70、80、90、100は、サポート構造46、56、66、76、86、96、106によって支持され得る。サポート構造46、56、66、76、86、96、106は導電性であっても、あるいは非導電性であってもよい。サポート構造は、形状サポート、信号効果、方向効果、格納保持、展開作動またはそれらの組合せなどの、アンテナのための他の特徴を提供することができる。例示的実施形態では、サポート構造は可撓性である薄膜を備えている。したがってサポート構造は、アンテナ構造と同じ方法または同様の方法で折畳み可能および/または変形可能であってもよい。サポート構造は誘電体膜であってもよい。サポート構造は、織物、メッシュまたはシートであってもよい。サポート構造は、Kapton、Mylar、Teflon、綿または他の誘電体および/もしくは非導電性材料であってもよい。例示的実施形態のサブセットのみと共に含まれるものとして示されているが、サポート構造は、本明細書において説明されている任意のアンテナ構成と共に使用され得る。サポート構造は、形状記憶複合材料、導電構成要素、アンテナの他の構成要素またはそれらの組合せに結合され得る。
【0028】
例示的実施形態では、サポート構造46、56、66、76、86、96、106は薄い表面を画定している。サポート構造46、56、66、76、86、96、106は、他の追加サポート構造、サポート構造、形状記憶複合構成要素および/または導電構成要素のうちの任意の組合せに結合される可撓性材料を含むことができる。例示的実施形態では、サポート構造46、56、66、76、86、96、106は、ガス不透過性またはガス半不透過性の表面を画定している。サポート構造は内部空洞を画定することができる。サポート構造は、連続したガス不透過性表面を内部空洞の周りに作り出すように配置され得る。例示的実施形態では、本明細書においてより完全に説明されるようにサポート構造は膨張可能であってもよい。例示的実施形態では、サポート構造はアンテナ構造の展開を補助するために膨張可能であってもよい。サポート構造は、挿入された流体を膨張した後に通気させるように構成されてもよく、および/または膨張した後に一定の時間期間の間、流体を保持するように構成されてもよい。したがってガス不透過性表面は、展開および初期膨張を補助するための十分なガスを保持するが、その後にガスを通気させることができる表面を含むことができる。
【0029】
図4図6は例示的構成を示したものであり、形状記憶構成要素42、52、62はサポート構造46、56、66の表面に配置されている。図4は、形状記憶複合物42でできている1つの螺旋導電構成要素を有する例示的円筒サポート構造46を示している。サポート構造には他の螺旋構成が同じく追加され得る(図1の構成など)。図5は、螺旋導電構成要素の直径がアンテナの一方の端部から反対側の端部へ先細りになるようにサポート構造に結合されている形状記憶複合物52でできた1つの螺旋導電構成要素を有する例示的円錐サポート構造56を示している。円錐サポート構造は点になることができ、あるいは点になる前に、より小さい直径の端部に向かって終端することができる。サポート構造には他の螺旋構成が同じく追加され得る。
【0030】
例示的実施形態は、互いに重畳していてもよいが、互いに接触していても、あるいは接触していなくてもよいリード線を有する複合アンテナ構成を作り出すために、誘電体層および/または非導電層の組合せを同じく使用することができる。例えば第1の円筒サポート構造は、どちらか一方が内部表面または外部表面である導電性材料と共に使用され得る。第2の円筒サポート構造は、第1の層と第2の層の間の導電性材料を取り囲んでいる第1の円筒サポート構造の上または内側に配置され得る。取り囲まれた導電性材料と接触している面とは反対側の面の第2の円筒サポート構造の別の面も同じく導電性材料を含むことができる。したがってアンテナは、第1のパターンを画定している第1の導電層、非導電層および/または誘電体層、第2のパターンを画定している第2の導電層を含むことができる。アンテナは、導電層と非導電層および/または誘電体層の追加組合せを含むことができる。複合アンテナ構成を作り出し、また、電気的に結合され、および/または電気的に隔離され得る異なる導電パターンを作り出すために異なる層が使用され得る。
【0031】
図6は、複数のサポート構造66を有し、また、形状記憶複合構成要素62でできている導電部材を有する例示的構成を示している。示されているように、異なるアンテナ形状が作り出され得る。図6から分かるように、第1のアンテナ形状部分は、半径方向に延びている複数の導電構成要素62Aを画定している。第2のアンテナ形状部分は、概ね円錐状の構成を作り出している、半径方向および縦方向に延びている複数の導電構成要素62Bを画定している。第1のサポート構造は概ね円筒状の形状を画定することができ、一方、第2のサポート構造は概ね円錐状の形状を画定することができる。導電構成要素の各々はサポート構造の表面に結合され得る。サポート構造は個別の体積空洞を画定することができる。サポート構造の空洞は連通していてもよく、あるいは隔離され得る。体積空洞は、本明細書において説明されている展開方法に従ってアンテナを展開し、および/または支持するために使用され得る。
【0032】
図7は、図6のアンテナ構造60と同じ導電パターンを有する例示的アンテナ構造70を示している。しかしながらサポート構造76の形状は、アンテナ導電形状記憶導電構成要素72を支持するために異なっている。図7に示されているように、導電構成要素および/または形状記憶複合構成要素の少なくともいくつか、またはそれらの一部は、サポート構造の表面から外れており、サポート構造を支持するために一部分しか接触していない。示されているように、サポート構造76は、部分円錐すなわち円錐台を画定している。半径方向の導電および/または形状記憶複合構成要素72Aは、サポート構造76の表面全体に沿って配置されている。しかしながら半径方向で、縦方向の導電および/または形状記憶複合構成要素72Bは、サポート構造の内部を、サポート構造76の表面から遠ざかる方向に延びている。導電および/または形状記憶複合構成要素72Bは、それらの終端部分でサポート構造76の縁に結合している。
【0033】
図8は、サポート構造8を有する別の例示的アンテナ構造80を示している。アンテナ構造80は、同様の導電および/または形状記憶複合構成要素82を構成要素32として有する図3のアンテナ構造と類似していてもよい。アンテナ構造80は、サポート構造86の表面に沿って延びている第1の構成要素セグメント82Aと、サポート構造86の内部を延びている第2の構成要素セグメント82Bの組合せを同じく含むことができる。当業者は、他のサポート構造86が同じく使用され得ることを認識するであろう。例えば、導電および/または形状記憶複合構成要素セグメントを近似する断面形状(すなわち示されている四辺形)を有する環状サポート構造が使用され得る。
【0034】
図9図10に示されているように、アンテナは、サポート構造の上に形成された導電トレースによって画定され得る。トレースは導電性材料でできていてもよい。トレースは、サポート構造の上に、および/またはサポート構造の中に、および/またはサポート構造を通して支持されたコーティング、繊維、ワイヤ、ペイントまたは他の構造でできていてもよい。アンテナ構造90、100の設計は、サポートのための設計考慮事項が最大化され、一方、アンテナのための設計考慮事項が同じく最大化され得るよう、分離され得る。導電性材料を形状記憶複合サポート構造からデカップリングすることにより、両方の設計考慮事項が改善され得る。例えばより少ない形状記憶複合構成要素が使用されてもよく、したがって格納構成を最小化することができ、その一方で適切な数の導電構成要素でアンテナの応答を維持することができる。例えば形状記憶複合構成要素98、108は、アンテナ構造90、100の支持および/または展開を改善するように選択されてもよく、一方、導電構成要素92、102は、アンテナ機能を改善するように、選択され、サポート構造96、106、形状記憶複合部材または中間部材の上に配置され得る。
【0035】
図9に示されているように、アンテナ構造90は追加サポート構造99を同じく含むことができる。追加サポート構造は、他の追加サポート構造、サポート構造、形状記憶複合構成要素および/または導電構成要素のうちの任意の組合せに結合される可撓性材料を含むことができる。追加サポート構造は、サポート構造の上に配置されても、配置されなくてもよい導電構成要素を支持するために使用され得る。例示的実施形態では、追加サポート構造は、弦、細長い可撓性部材、ワイヤ、バンドまたはそれらの組合せであってもよい。追加サポート構造は、追加サポート構造、サポート構造、形状記憶複合構成要素および/または導電構成要素のうちの1つ以上を補強するために使用され得る。追加サポート構造は、追加サポート構造、サポート構造、形状記憶複合構成要素および/または導電構成要素のうちの任意の組合せの形状、例えば展開した形状などに影響を及ぼすために使用され得る。例えば図9から分かるように、追加サポート構造99は、サポート構造96を補強し、また、アンテナ構造90の内部への追加サポート構造99および/またはサポート構造96に結合することによって直径が小さい断面を作り出すために使用され得る。したがって追加サポート構造は、新規なアンテナ設計と共に使用するための複雑な形状を作り出すために使用され得る。
【0036】
例示的実施形態では、形状記憶複合材料はサポート構造と統合され得る。形状記憶複合材料はサポート構造を作り出すことができる。
【0037】
例示的実施形態では、形状記憶複合材料は、サポート構造が取り付けられるフレームワークを作り出すことができる。本明細書において説明されているように、形状記憶複合物は、サポート構造内に存在していてもよく、あるいはサポート構造全体に沿って結合されてもよい。また、形状記憶複合構成要素は、形状記憶複合構成要素の一部または点に沿ってサポート構造に結合され得る。サポート構造および/または形状記憶複合構成要素の組合せが使用され得る。
【0038】
例示的実施形態では、導電性材料は形状記憶複合構成要素と組み合わせられ得る。導電性材料は、本明細書において説明されているように、形状記憶複合物内および/またはその表面に存在していてもよい。
【0039】
例示的実施形態では、導電性材料はサポート構造によって支持され、あるいはサポート構造の上に支持され得る。導電性材料は、任意の方法でサポート構造の表面などのサポート構造の上に配置され、サポート構造内に配置され、および/またはサポート構造に結合され得る。例示的実施形態では、導電性材料は、ペイントが施され、コーティングが施され、サポート構造の上に配置され、サポート構造に織られ、さもなければサポート構造に結合され得る。例えば導電性材料は銅の薄いシートメタルを含むことができる。シートメタルは、サポート構造の表面にパターン化され、サポート構造の表面に配置されてもよく、また、サポート構造の表面に結合され得る。別の例として、導電性材料は細い銅線の繊維であってもよい。繊維はサポート構造に織られても、あるいはサポート構造に結合されてもよい。
【0040】
例示的実施形態では、サポート構造および/または導電構成要素を変形させ、および/または支持するために追加構造が使用され得る。例示的実施形態では、追加構造は可撓性構成要素を含むことができるが、同じく形状記憶であっても、あるいは形状記憶でなくてもよい。追加サポート構造は、構成要素部品を一緒に結合し、展開した形状を画定し、構成要素部品同士の間の追加取付け点を支持し、または作り出し、展開に影響を及ぼし、さもなければアンテナ構造の設計に寄与するために、形状記憶構成要素および/またはサポート構造に結合することができる。
【0041】
本明細書において説明されている例示的実施形態は、本明細書において説明されている特徴のうちの任意の組合せを使用することができる。例示的実施形態では、アンテナ構造は、個別の構成要素部品であれ、および/または単一の構成要素部品が2つ以上の構成要素部品として機能するよう、1つ以上の方法で統合された構成要素部品であれ、サポート構造、形状記憶複合構成要素、導電構成要素、追加構造のうちの任意の組合せを含むことができる。例示的実施形態は、サポート構造、形状記憶複合構成要素、導電構成要素、および可撓性構成要素を備えた追加構造のうちの任意の組合せを含む。可撓性構成要素は、任意の点で、あるいは長さに沿って曲げることができる構成要素部品を備えている。例示的実施形態では、サポート構造、形状記憶複合構成要素、導電構成要素および追加構造のうちの任意の組合せは、非構造化動的変形を許容する。本明細書において説明されているように、非構造動的変形は、構成要素を変形させる外部力によって、事前構成されていない方法または構造的に制限されない方法で画定され得る撓みを許容する。
【0042】
図11A図12は、ハウジング111、121A、121Bを含むアンテナシステム110、120の例示的実施形態を示したものである。ハウジングは、アンテナを収納構成で保持するための外部力を与えるために使用され得る。ハウジングの例示的実施形態は、変形力を除去して形状記憶構成要素が広がることを許容するために開かれ得る。システムは、ハウジングを開くための開放機構を含むことができる。開放機構は、ヒンジ、火工式扉、爆発ボルト、故障構成要素、またはアンテナをその収納状態で拘束するための任意の他のシステムを含むことができる。例示的実施形態では、故障構成要素は、少なくとも閾値量の印可力に耐えるように構成される。故障構成要素は、閾値量を超える力が加えられると、故意に故障するように構成される。故障構成要素は、形状記憶構成要素を拘束するための変形力を加えるように構成され得る。システムは、閾値量に打ち勝ち、故障構成要素を故障させてアンテナを解放するように構成されたアンテナを展開させるための追加力を与えるように構成され得る。
【0043】
図11A図11Cは、本明細書において説明されている実施形態による例示的展開シーケンスを示したものである。
【0044】
外部力を加えることを通して縮小された収納体積を有する格納位置でアンテナ構造112が保持されている図11Aから分かるように、例示的実施形態は格納構成を含むことができ;また、外部力が除去されるとより大きい体積を有する、アンテナ構造が完全に展開されている図11Cから分かるように、例示的実施形態は展開構成を含むことができる。言い換えると、記憶した、すなわちバイアスされた構成は、アンテナ構造が展開可能クアッドリフィラーアンテナ形状(図1に示されているような)または他の小型アンテナ形状(図2図13Bに示されているような、さもなければ本明細書において説明されている実施形態に従って構成されるような)として使用するために構成される展開構成であってもよい。アンテナ構造112は、非構造化変形構成における収納構成でハウジング111内に配置され得る。
【0045】
図11Bから分かるように、ハウジング111は、アンテナ構造112に対する保持力を除去するために開かれてもよく、さもなければ保持力を除去するように構成され得る。例示的実施形態では、ハウジングは第1の部品111Aおよび第2の部品111Bを含むことができ、第1の部品および第2の部品は分離可能であってもよい。第1の部品111Aは、アンテナ構造を収納構成で保持するための変形力を与えるために、収納構成で第2の部品111Bに結合され得る。第1の部品111Aは開かれ、および/または第2の部品111Bから分離され得る。開かれると、第1の部品111Aは、ヒンジまたは他の接続などによって第2の部品111Bに保持され得る。図12に示されているように、第1の部品121Aは第2の部品121Bから完全に分離され得る。第1の部品および/または第2の部品は、アンテナシステムのためのサポート下部構造および/またはハブの部品を作り出すことができる。
【0046】
図11Cから分かるように、変形力が除去されると、アンテナ構造112は完全に展開することができる。展開は、保持デバイスによって形状記憶複合構成要素に与えられたような変形力などの変形力を除去することを通じてのものであってもよい。保持デバイスはハウジングもしくはハウジングの部品であってもよく、および/または本明細書において説明されている別の構成要素部品であってもよい。
【0047】
図12は、本明細書において説明されている実施形態による例示的構成を示したものである。図12は、形状記憶複合構成要素122およびサポート構造126を備えた例示的アンテナ構造120を示している。アンテナ構造120は、形状記憶複合構成要素および/またはサポート構造を取り囲むように構成された外部ハウジングを含むことができる。外部ハウジング123は、第1の部分121Aおよび第2の部分121Bに分離することができる部分を含むことができる。ハウジングは故障インタフェースを通して一緒に結合され得る。例えば故障は、物質、爆発、点火または追加力の適用を通じてのものであってもよい。故障インタフェースは、格納される変形構成で形状記憶複合構成要素を保持するように構成され得る。故障インタフェースは、所望の条件の下で故障するように構成され得る。故障すると、形状記憶複合材料は記憶した状態に復帰し、アンテナ構造を展開構成に展開することができる。
【0048】
例示的実施形態では、サポート構造はガス不透過性空洞を画定することができる。展開時には、サポート構造を膨張させるための流体がサポート構造に注入され得る。サポート構造の膨張は、展開のために、故障インタフェースに打ち勝ってアンテナ構造を解放するために使用され得る。サポート構造の膨張は、記憶した構成への形状記憶複合材料の展開を補助することができる。膨張は、長期間にわたる格納の間にアンテナ構造に生じ得るあらゆるクリープまたは変形に対抗するために使用され得る。サポート構造は、その後、時間の経過と共に膨張した流体を自由にすることができる。しかしながら形状記憶複合材料は、その後、長期間にわたる展開の間、アンテナ構造の形状を保持するために追加の膨張流体が不要であるよう、アンテナ構造を十分に支持することができる。
【0049】
図13A図13Cは、本明細書において説明されている実施形態による例示的展開シーケンスを示したものである。図11A図11Cに示されている展開と同様、アンテナ構造は、変形力が印加されると収納構成になる形状記憶複合構成要素132を含むことができる。変形力が除去されると、および/または膨張流体を受け取るエンベロープを画定しているサポート構造を使用して、アンテナ構造が展開し、また、形状記憶複合構成要素は記憶した構成に復帰する。
【0050】
例示的実施形態では、アンテナ構造は、図13Aから分かるようにハウジング131A、131Bの中に保持される。ハウジングは、形状記憶複合構成要素を含むアンテナ構造を保持し、アンテナ構造に保持力を加えるために剛直構造にすることができる。図13Aは、ハウジングがアンテナ構造を部分的に取り囲むための第1の部品131Aを含むことができ、第2の部品131Bは第1の部分131Aに対するカバーまたは蓋として作用していることを示している。蓋は、長期間にわたる格納のために、アンテナ構造を支持し、あるいはアンテナ構造に保持力を与えるために使用され得る。
【0051】
使用の準備が整い、また、宇宙への輸送の準備が整うと、図13Bから分かるように第2の部品131Bが第1の部品131Aから除去され得る。したがって第1の部品131Aは、長期間にわたる格納のための第1の保持デバイスを画定することができる。長期間にわたる格納は、本明細書においては未知の時間継続期間を含み、それは、分、時間、日、週、月または年の問題であり得る。例示的実施形態では、第2の保持デバイス131Cは、アンテナ構造を収納構成で保持し続けるための変形力を与える。第2の保持デバイス131Cは、アンテナ構造の短期間の保持のために使用され得る。例示的実施形態では、短期間とは、短期間保持がたとえ時間、週、月さらには年の程度であっても、既知の有限継続期間に対するものであってもよい。示されているように、第2の保持デバイス131Cは故障インタフェース133を含む。故障インタフェースは、引裂き、破壊し、溶解し、さもなければ故障して、記憶した構成へのアンテナ構造の復帰を許容するように構成され得る。示されているように、第2の保持デバイス131Cは、故障デバイス133として作用する弱い部分を含む薄いカバーリングシートを画定することができる。弱い部分は、穴が穿たれ、したがってより小さい外部力に耐える材料部分を含むことができる。例えばより薄い材料断面、穴、引裂き、分解可能材料、温度にセンシティブな材料およびそれらの組合せなどの他の構成が同じく使用されてもよく、本開示の範囲内である。
【0052】
図13Cは、保持デバイス131Cが故障して変形力が除去されるよう、形状記憶材料132が保持デバイス131Cの変形力に打ち勝つ際のアンテナ構造の展開を示したものである。例示的実施形態では、アンテナ構造は膨張スリーブを画定するサポート構造136を含む。膨張スリーブは、保持デバイス131Cに追加力を加えて故障インタフェース133に打ち勝つために、ガスなどの1つ以上の流体の注入によって膨張されてもよい。したがって膨張スリーブに流体を注入することにより、アンテナ構造を収納構成から解放して、記憶した構成への形状記憶複合構成要素の復帰を許容することができる。また、膨張スリーブに流体を注入することにより、記憶した構成への形状記憶複合構成要素の復帰を補助することができる。膨張スリーブは、形状記憶複合構成要素、またはアンテナ構造がより長い継続期間時間から経験し得る任意の構成要素の他の形状保持における潜在的なクリープに打ち勝ち、あるいは対抗する時間期間の間、膨張可能であり、あるいは膨張ガスを保持することができる。
【0053】
図14は、本明細書において説明されている実施形態による例示的システムを示したものである。示されているように、アンテナシステム140は、1つ以上の構成要素をハウジング141内に含むことができる。ハウジング141は、長期間にわたる格納のために使用され得る。ハウジングは扉142を含むことができる。扉142は、アンテナを収納構成で保持するためにアンテナ構造に変形力を与えることができる。ハウジングおよび/またはその扉は、本明細書において説明されている別の構成要素部品によって与えられる変形力に加えて、追加保持力を提供するために使用され得る。追加保持力は、長期間にわたる格納のために使用されてもよく、および/または地球環境で格納されている間、アンテナアセンブリのための追加環境保護を提供するために使用され得る。したがってハウジングは、ハウジング141と扉142の間で封止され得る。扉は完全に取り外すことができ、あるいはヒンジ143などを用いて単純に開くことができる。
【0054】
システムの例示的実施形態は、システムの一部を制御するための電子機器を含むことができる。例えば144シーケンサおよび/または電子機器は、通信システム;他の電子システムに結合するためのインタフェースシステム;コントローラ;シーケンサ;およびそれらの組合せを含むことができる。シーケンサおよび/または電子機器はコントローラと通信することができ、および/または本明細書において説明されているシステム構成要素のうちの1つ以上の作動を許容することができる。例えばコントローラは、本明細書において説明されている膨張エンベロープを膨張させるために流体注入システムとインタフェースすることができる。例えばコントローラは、変形力を除去し、記憶した構成へのアンテナ構造の復帰を許容するために、アンテナ構造のための解放機構とインタフェースすることができる。これは、ハウジングの扉142を開くことによるものであってもよく、あるいは別の故障構成要素を除去するための起爆剤の点火によるものであってもよく、故障インタフェースに打ち勝つために流体で膨張エンベロープを膨張させることによるものであってもよく、あるいはそれらの組合せによるものであってもよい。
【0055】
アンテナシステムの例示的実施形態は、システムの1つ以上の構成要素を制御するための1つ以上のアクチュエータ145を含むことができる。示されているように、例示的アクチュエータは圧縮ガスキャニスタおよびコントローラを含むことができる。圧縮ガスキャニスタは、本明細書において説明されているサポート構造によって作り出される膨張エンベロープの空洞の内部と流体連通することができる。
【0056】
アンテナシステムの例示的実施形態はアンテナ構造146を含むことができる。アンテナ構造146は、形状記憶複合構成要素、導電構成要素、サポート構造、ハウジング、追加サポート構造、等々のうちの任意の組合せを含む1つ以上の構成要素部品を含むことができる。
【0057】
本明細書において説明されている実施形態によるアンテナ設計は、円偏波を送り、受け取ることができる。帯電した粒子によって電離層に生成される磁界は直線偏光ビームのFaraday回転を誘導するため、円偏波が電離層を通って移動することが好ましくあり得る。
【0058】
本明細書において説明されている実施形態によるアンテナ設計は、任意の衛星配向を許容するために全方向性であってもよい。単なる例として、異なるアンテナ設計が本明細書において提供され、説明されている。いくつかの例は円偏波および/または全方向性の両方を提供することができる。例えば円偏波および全方向性の両方を提供することができる例示的アンテナ設計は、螺旋形状の導電構成要素を含むことができ、および/または双円錐ホーンを画定することができる。例示的実施形態は偏光フィードを使用することができる。例示的螺旋設計は、図1に示されているクアッドリフィラー(4つの螺旋導体)螺旋アンテナを含む。例示的双円錐アンテナ設計は図2に示されている。
【0059】
本明細書において説明されている実施形態には多くの変更および修正が加えられてもよく、それらの要素は、とりわけ許容可能な例として理解されるべきであることを強調しておくべきである。すべてのこのような修正および変更は、本明細書における本開示の範囲内に含まれ、以下の特許請求の範囲によって保護されることが意図されている。さらに、本明細書において説明されているステップは、すべて、同時に、または本明細書におけるステップの順序とは異なる順序で行われてもよい。さらに、明らかであるように、本明細書において開示されている特定の実施形態の特徴および属性は、追加実施形態を形成するために異なる方法で組み合わされてもよく、それらはすべて本開示の範囲内である。
【0060】
単なる参照目的のために、以下の説明には特定の専門用語が使用されてもよく、したがってこれらの専門用語には限定することは意図されていない。例えば「上方」および「下方」などの用語は、参照されている図面における方向を意味している。「前方」、「後方」、「左」、「右」「後ろ」および「側」などの用語は、考察中の構成要素または要素を記述している本文および関連する図面に対する参照によって明確に参照されている、無矛盾の、しかし任意の枠内における構成要素または要素の部分の配向および/または場所を記述している。さらに、「第1の」、「第2の」、「第3の」、等々などの用語は、個別の構成要素を記述するために使用されてもよい。このような専門用語は、とりわけ上で言及した語、それらの派生語、および同様の意味の語を含むことができる。
【0061】
本明細書において使用されている、とりわけ「できる」、「可能である」、「よい」、「例えば」、等々などの条件付き言語には、特に言及されていない限り、あるいはさもなければ使用されている文脈内で理解される限り、一般に、特定の実施形態は特定の特徴、要素および/または状態を含むことを伝えることが意図されている。しかしながらこのような言語は、その特徴、要素または状態が存在しない実施形態を同じく含む。したがってこのような条件付き言語には、通常、特徴、要素および/または状態が1つ以上の実施形態に対して必ず要求されることを暗示すること、あるいは1つ以上の実施形態は、別の実施形態によって説明されていない構成要素を必然的に排除することを暗示することは意図されていない。
【0062】
さらに、本明細書においては以下の専門用語が使用され得た。単数であることを文脈が明確に示していない限り、単数形の形態、「1つの(a)」、「1つの(an)}、「その(the)」は複数の指示物を含む。したがって例えばある項目に対する参照は、1つ以上の項目に対する参照を含む。「もの(ones)」という用語は、1つ、2つまたはそれより多くを意味し、通常、ある量のうちのいくつかまたはすべての選択に適用する。「複数の」という用語は2つ以上のある項目を意味している。
【0063】
本明細書において使用されているように、何らかの数値、範囲、形状、距離、相対関係、等々に対する「約」、「実質的に」または「ほぼ」という用語は、構成要素の部分または集合が本明細書において説明されているその意図された目的のために機能することができる適切な寸法的許容範囲を示している。本明細書においては数値範囲が同じく提供され得る。別途示されていない限り、個々の範囲には、端点および提供されている範囲内の任意の量を含むことが意図されている。したがって範囲2-4は、2、3、4を含み、また、2.1、2.01および2.001などの2と4の間の任意の細分を含む。2-4は2-3および3-4を含むよう、範囲は任意の組合せの範囲を同じく包含している。
【0064】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「備える」および「備えた」という用語およびそれらの変形は、明記された特徴、ステップまたは整数が含まれていることを意味している。これらの用語は、他の特徴、ステップまたは構成要素の存在を排除するべく解釈されるべきではない。
【0065】
以上の説明、または以下の特許請求の範囲、あるいは添付の図面で開示されている、開示されている結果を達成するための開示されている機能または方法またはプロセスを行うためのそれらの特定の形態または手段の形で表現されている特徴は、必要に応じて、本発明をその多種多様な形態で実現するために、このような特徴を個別に、あるいは任意の組合せで利用され得る。
【0066】
本発明の実施形態は添付の図面を参照して完全に説明されているが、当業者には様々な変更および修正が明らかになることに留意されたい。このような変更および修正は、添付の特許請求の範囲で定義されている本発明の実施形態の範囲内に含まれることを理解されたい。具体的には、本明細書においては例示的構成要素が説明されている。これらの構成要素の任意の組合せが任意の組合せで使用され得る。例えば任意の構成要素、特徴、ステップまたは部品が任意の組合せで統合され、分離され、細分され、除去され、二重化され、追加され、あるいは使用されてもよく、また、本開示の範囲内である。実施形態は単に例示的なものにすぎず、特徴の例証的組合せを提供しているが、それらに限定されない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12
図13A
図13B
図13C
図14
【国際調査報告】