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特表2022-547279ビーズを用いたアルファ-シヌクレイン検出
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-11
(54)【発明の名称】ビーズを用いたアルファ-シヌクレイン検出
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/68 20060101AFI20221104BHJP
   C07K 14/47 20060101ALN20221104BHJP
【FI】
G01N33/68 ZNA
C07K14/47
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022514163
(86)(22)【出願日】2020-09-03
(85)【翻訳文提出日】2022-04-26
(86)【国際出願番号】 US2020049130
(87)【国際公開番号】W WO2021046174
(87)【国際公開日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】62/895,535
(32)【優先日】2019-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/073,424
(32)【優先日】2020-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/042,679
(32)【優先日】2020-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/073,420
(32)【優先日】2020-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/045,593
(32)【優先日】2020-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/040,144
(32)【優先日】2020-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】519404919
【氏名又は名称】アンプリオン、インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】522080661
【氏名又は名称】コンチャ、ルイス
(71)【出願人】
【識別番号】522080672
【氏名又は名称】ファリス、カーリー
(71)【出願人】
【識別番号】522080683
【氏名又は名称】オルギン、ブレット
(71)【出願人】
【識別番号】522080694
【氏名又は名称】レボヴィッツ、ラッセル
(71)【出願人】
【識別番号】522080708
【氏名又は名称】ヴォルラース、ベネディクト
(71)【出願人】
【識別番号】522080719
【氏名又は名称】エスピン、フランク、ジー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コンチャ、ルイス
(72)【発明者】
【氏名】ファリス、カーリー
(72)【発明者】
【氏名】オルギン、ブレット
(72)【発明者】
【氏名】レボヴィッツ、ラッセル
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルラース、ベネディクト
(72)【発明者】
【氏名】エスピン、フランク、ジー.
【テーマコード(参考)】
2G045
4H045
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045BA11
2G045CB30
2G045FB12
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA50
4H045CA40
4H045EA50
(57)【要約】
生物学的試料中の可溶性ミスフォールドα-シヌクレインタンパク質の存在を決定する方法が提供される。方法は、生物学的試料をプレインキュベーション混合物と接触させて、インキュベーション混合物を形成することを含み、プレインキュベーション混合物は、モノマーα-シヌクレインタンパク質;緩衝組成物;塩;および指示薬を含む。インキュベーションサイクルは、約1mm~約5mmの直径を有する窒化ケイ素ビーズまたはホウケイ酸ガラスビーズのいずれかの存在下でインキュベーション混合物に対して行う。方法は、検出可能な量のミスフォールドα-シヌクレイン凝集体が生物学的試料中に存在するかどうかを決定することをさらに含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的試料中の可溶性ミスフォールドα-シヌクレイン(α-syn)タンパク質の存在を決定する方法であって
(A)前記生物学的試料を、プレインキュベーション混合物であって、
(1)モノマーα-synタンパク質;
(2)緩衝組成物;
(3)塩;および
(4)指示薬
を含むプレインキュベーション混合物と接触させて、インキュベーション混合物を形成すること;
(B)前記インキュベーション混合物に、インキュベーションサイクルを実施すること、ここで前記インキュベーションサイクルは、
各インキュベーションサイクルが、
(i)前記可溶性ミスフォールドα-synタンパク質の存在下で、前記モノマーα-synタンパク質の少なくとも一部のミスフォールディングおよび/または凝集を引き起こすのに有効な前記インキュベーション混合物をインキュベートすること;および
(ii)前記インキュベーション混合物を物理的に粉砕すること
を含み、
(1)前記モノマーα-synタンパク質からミスフォールドα-synタンパク質の増幅部分を形成するのに有効な前記インキュベーション混合物に対して2回以上、
(2)ウシ血清アルブミン(BSA)のコーティングを含むSiビーズの存在下で実施される;および
(C)検出可能な量のミスフォールドα-syn凝集体が前記生物学的試料中に存在するかどうかを決定することを含み、ミスフォールドα-syn凝集体の検出が、前記生物学的試料中の可溶性ミスフォールドα-synタンパク質の存在を示す、方法。
【請求項2】
前記Siビーズが、約1mm~約5mmの直径を有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記Siビーズが、約2.38mmの直径を有する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記生物学的試料がヒト脳脊髄液(CSF)を含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記モノマーα-synタンパク質が、約10μM~約30μMの濃度で存在する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記モノマーα-synタンパク質が配列番号2を含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記モノマーα-synタンパク質が、約19.6μMの濃度で存在する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記緩衝組成物が、約6.2~約6.5のpHを有する、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記緩衝組成物がPIPESを含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記塩がNaClを含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記塩がNaClを約500mM~約700mMの濃度で含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記指示薬がチオフラビンT(ThT)を含む、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記検出が、ThT蛍光を測定することを含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記物理的粉砕が振盪を含む、請求項1記載の方法。
【請求項15】
ヒトCSF中の可溶性ミスフォールドα-synタンパク質の存在を決定する方法であって
(A)前記ヒトCSFを、プレインキュベーション混合物であって、
(1)約10μM~約30μMの濃度のモノマーα-synタンパク質;
(2)約6.2~約6.5のpHを有する緩衝組成物;
(3)約500mM~約700mMの濃度のNaCl;および
(4)ThT
を含むプレインキュベーション混合物と接触させて、インキュベーション混合物を形成すること;
(B)前記インキュベーション混合物に、インキュベーションサイクルを実施すること、ここで前記インキュベーションサイクルは、
各インキュベーションサイクルが、
(i)前記可溶性ミスフォールドα-synタンパク質の存在下で、前記モノマーα-synタンパク質の少なくとも一部のミスフォールディングおよび/または凝集を引き起こすのに有効なインキュベーション混合物をインキュベートすること、および
(ii)前記インキュベーション混合物を振盪すること
を含み、
(1)前記モノマーα-synタンパク質からミスフォールドα-synタンパク質の増幅部分を形成するのに有効な前記インキュベーション混合物に対して2回以上、
(2)BVAのコーティングを含み、2.3mm超の直径を有するSiビーズの存在下で実施される;および
(C)検出可能な量のミスフォールドα-syn凝集体が前記生物学的試料中に存在するかどうかを決定することを含み、ミスフォールドα-syn凝集体の検出が、前記生物学的試料中の可溶性ミスフォールドα-synタンパク質の存在を示し、前記検出が、ThT蛍光を測定することを含む、方法。
【請求項16】
前記モノマーα-synタンパク質が配列番号2を含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記モノマーα-synタンパク質が、約19.6μMの濃度で存在する、請求項16記載の方法。
【請求項18】
生物学的試料中の可溶性ミスフォールドα-synタンパク質の存在を決定する方法であって
(A)前記生物学的試料を、プレインキュベーション混合物であって、
(1)配列番号2を含むモノマーα-synタンパク質;
(2)緩衝組成物;
(3)塩;および
(4)指示薬
を含むプレインキュベーション混合物と接触させて、インキュベーション混合物を形成すること;
(B)前記インキュベーション混合物に、インキュベーションサイクルを実施すること、ここで前記インキュベーションサイクルは、
各インキュベーションサイクルが、
(i)前記可溶性ミスフォールドα-synタンパク質の存在下で、前記モノマーα-synタンパク質の少なくとも一部のミスフォールディングおよび/または凝集を引き起こすのに有効な前記インキュベーション混合物をインキュベートすること、および
(ii)前記インキュベーション混合物を物理的に粉砕すること
を含み、
(1)前記モノマーα-synタンパク質からミスフォールドα-synタンパク質の増幅部分を形成するのに有効な前記インキュベーション混合物に対して2回以上、
(2)2.3mm超の直径を有するホウケイ酸ガラスビーズの存在下で実施される;および
(C)検出可能な量のミスフォールドα-syn凝集体が前記生物学的試料中に存在するかどうかを決定することを含み、ミスフォールドα-syn凝集体の検出が、前記生物学的試料中の可溶性ミスフォールドα-synタンパク質の存在を示す、方法。
【請求項19】
前記生物学的試料がヒトCSFである、請求項18記載の方法。
【請求項20】
(i)前記モノマーα-Sタンパク質が、約10μM~約30μMの濃度で存在し;
(ii)前記緩衝組成物がPIPESを含み、かつ約6.2~約6.5のpHを有し;
(iii)前記塩が、約500mM~約700mMの濃度でNaClを含み;
(iv)前記ホウケイ酸ガラスビーズが、2.45mmの直径を有し;
(v)前記指示薬が、約5μM~約10μMの濃度のThTを含み;かつ
(vi)前記検出が、ThT蛍光を測定することを含む、
請求項18記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年9月4日に提出された米国仮特許出願第62/895,535号;2020年6月17日に提出された米国仮特許出願第63/040,144号;2020年6月23日に提出された米国仮特許出願第63/042,679号;2020年6月29日に提出された米国仮特許出願第63/045,593号;2020年9月1日に提出された米国仮特許出願第63/073,420号;および2020年9月1日に提出された米国仮特許出願第63/073,424号の優先権を主張し、これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
配列表はASCII形式で電子的に提出されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。ASCIIコピーは、2020年9月2日に作成され、Amprion-AS-FA-US-1_ST25.txtと名付けられ、サイズは26,468バイトである。
【背景技術】
【0003】
脳組織におけるα-シヌクレイン(α-synまたはα-S)凝集体の蓄積および沈着は、シヌクレイノパチーと呼ばれる種々の神経変性障害の病因における主要な事象である。シヌクレイノパチーには、パーキンソン病(PD)、レビー小体型認知症(LBD)、多系統萎縮症(MSA)、および純粋自律神経不全症(PAF)が含まれる。現在、これらの障害の診断は、主に臨床症状の認知に依存しており、残念ながら、典型的には神経変性が既に進行段階にある場合にのみ診断を提供する。
【0004】
様々なタンパク質ミスフォールディングサイクル増幅(PMCA)アッセイは、インビトロでのミスフォールディングおよび凝集プロセスの人工的加速および増幅を通してミスフォールディング凝集体を検出するための超高感度方法を提供する。PMCAの基本概念は以前に開示されている(Sotoら、国際公開第2002/04954号;Estradaら、米国特許公開第20080118938号)。PMCAアッセイは、非常に高い感度および特異性でミスフォールドα-synタンパク質を検出するために首尾よく使用されている。全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許公開第2016/0077111号を参照されたい。
【0005】
PMCAアッセイは、以前の診断方法に対する重要な進歩である。しかしながら、増幅を促進するが、タンパク質モノマーの望ましくない自己凝集を回避するアッセイ条件、ならびにそのようなアッセイの使用を容易にする装置が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、生物学的試料中の可溶性ミスフォールドα-synの存在を決定する方法が提供される。方法は、生物学的試料をモノマーα-synタンパク質および約1.0mm~約5.0mmの平均直径を有する1つ以上のビーズと接触させて、インキュベーション混合物を形成すること;インキュベーション混合物をインキュベートして、モノマーα-synタンパク質および生物学的試料の可溶性ミスフォールドα-synからミスフォールドα-syn凝集体を形成すること;ミスフォールドα-syn凝集体の少なくとも一部を脱凝集させること;インキュベートおよび脱凝集の工程を試料の可溶性ミスフォールドα-synを増幅するのに十分な回数繰り返して、検出可能な量のミスフォールドα-syn凝集体を得ること;および検出可能な量のミスフォールドα-syn凝集体が生物学的試料中に存在するかどうかを決定することを含み、ここでミスフォールドα-syn凝集体の検出は、生体試料中の可溶性ミスフォールドα-synの存在を示す。
【0007】
いくつかの態様では、検出可能な量のミスフォールドα-syn凝集体が生物学的試料中に存在するかどうかを決定する工程は、インキュベート混合物をタンパク質凝集指示薬と接触させることを含む。適切なタンパク質凝集指示薬の例は、チオフラビンT(ThT)である。さらなる態様では、方法は、対象から生物学的試料を得る工程を含む。なおさらなる態様では、生物学的試料は脳脊髄液(CSF)試料である。追加の態様では、方法は、生物学的試料中の可溶性ミスフォールドα-synタンパク質の量を決定することを含む。
【0008】
インキュベート混合物は、ミスフォールドα-syn凝集体の形成を加速するための1つ以上のビーズを含む。いくつかの態様では、ビーズは窒化ケイ素(SiNi)を含む。いくつかの態様では、ビーズはホウケイ酸ガラスを含む。いくつかの態様では、ビーズは、約1mm~約3.5mmの範囲の平均直径を有する。いくつかの態様では、ビーズは、2.3mm超~約3.5mmの範囲の平均直径を有する。いくつかの態様では、ビーズがSiNiを含む場合などは、ビーズは約2.38mm(3/32インチ)の平均直径を有する。いくつかの態様では、ビーズがホウケイ酸ガラスを含む場合などは、ビーズは約2.45mmの平均直径を有する。いくつかの態様では、2.3mm以下の平均直径を有するビーズは特に除外される。いくつかの態様では、2.3mm以下の平均直径を有するガラスビーズは特に除外される。いくつかの態様では、インキュベート混合物は、複数のウェルを含むマルチウェルプレートに収容される。さらなる態様では、マルチウェルプレートの各ウェルは単一のビーズを含む。さらなる態様では、ビーズがSiNiを含む場合などは、ビーズの一部または全部の表面がタンパク質でブロッキングされる。
【0009】
ビーズを使用すると、インキュベーション条件が最適化されて、プロセスを加速しながらモノマーα-synタンパク質の自己凝集の量を減少させることができる。いくつかの態様では、インキュベーション混合物のモノマーα-synタンパク質は、約10μM~約30μMの濃度範囲を有する。さらなる態様では、インキュベーション混合物は、Tris-HCL、MES、PIPES、MOPS、BES、TESおよびHEPESの1つ以上を含み、約6~約8、例えば約6.2~約6.5のpHを有する。さらなる態様では、インキュベーション混合物のインキュベートは、約35℃~約42℃の温度で行われる。なお、さらなる態様では、インキュベーション混合物をインキュベートすること、およびミスフォールドα-syn凝集体の少なくとも一部を脱凝集させることは、0.3~1時間続くインキュベーションサイクルを含む。さらなる態様では、脱凝集は、振盪(周期的攪拌を含む)、攪拌、または超音波処理によって行われる。いくつかの態様では、方法はまた、可溶性ミスフォールドα-synに特異的に結合する抗体を使用して試料をインキュベートする前に、試料中の可溶性ミスフォールドα-synを濃縮する工程を含む。
【0010】
別の態様は、対象におけるα-syn凝集に関連する疾患を診断する方法を提供する。方法は、生物学的試料をモノマーα-synタンパク質および約1mm~約5mm、2.3mm超~約5mm、3mm超~約5mm、約2.38mm、または約2.45mmの平均直径を有する1つ以上のビーズと接触させて、インキュベーション混合物を形成すること;インキュベーション混合物をインキュベートして、モノマーα-synタンパク質および生物学的試料の可溶性ミスフォールドα-synからミスフォールドα-syn凝集体を形成すること;ミスフォールドα-syn凝集体の少なくとも一部を脱凝集させること;インキュベートおよび脱凝集の工程を生物学的試料の可溶性ミスフォールドα-synを増幅するのに十分な回数繰り返して、検出可能な量のミスフォールドα-syn凝集体を得ること;および検出可能な量のミスフォールドα-syn凝集体が生物学的試料中に存在するかどうかを決定することを含み、ここでミスフォールドα-syn凝集体の検出は、生物学的対象がα-syn凝集に関連する疾患を有することを示す。
【0011】
いくつかの態様では、α-syn凝集に関連する疾患はPDである。他の態様では、α-syn凝集に関連する疾患は、LBD、MSA、またはPAFである。さらなる態様では、方法はまた、α-syn凝集に関連する疾患を有すると診断された対象をα-syn調節療法で治療することを含む。
【0012】
別の態様では、生物学的試料中の可溶性ミスフォールドα-synの存在を決定するためのキットが提供される。キットは、既知量のモノマーα-synタンパク質;既知量のタンパク質凝集指示薬;インキュベーション混合物をインキュベートするための容器;緩衝組成物;約1mm~約5mm、2.3mm超~約5mm、3mm超~約5mm、約2.38mm、または約2.45mmの直径を有する1つ以上のビーズ;本明細書に記載の生物学的試料中の可溶性ミスフォールドα-synの存在を検出する方法の実施を使用者に指導する説明書;およびキットの構成要素を保持するための包装を含む。いくつかの態様では、キットに含まれる容器は、複数のウェルを含むマルチウェルプレートを含む。
【0013】
説明書は、容器内で生物学的試料を既知量のモノマーα-synタンパク質および1つ以上のビーズと接触させて、インキュベーション混合物を形成すること;インキュベーション混合物をインキュベートして、モノマーα-synタンパク質および生物学的試料の可溶性ミスフォールドα-synからミスフォールドα-syn凝集体を形成すること;ミスフォールドα-syn凝集体の少なくとも一部を脱凝集させること;インキュベートおよび脱凝集の工程を生物学的試料の可溶性ミスフォールドα-synを増幅するのに十分な回数繰り返して、検出可能な量のミスフォールドα-syn凝集体を得ること;およびインキュベーション混合物を既知量のタンパク質凝集指示薬と接触させて、検出可能な量のミスフォールドα-syn凝集体が生物学的試料中に存在するかどうかを決定することを使用者に指示し、ここでミスフォールドα-syn凝集体の検出は、生物学的試料中の可溶性ミスフォールドα-synの存在を示す。
【0014】
別の態様では、生化学的アッセイ、例えば酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)およびPMCAのための装置が提供される。装置は、ビーズと共に使用するように構成され、トレイを含む。トレイの水平な上面は、ビーズを受け入れる大きさの開口を有する。開口は、垂直にトレイを貫いて伸びる。上面は、ビーズが上面の開口間にわたって回転移動し、上面から開口内へと入るのを妨害されない。
【0015】
装置はゲートをさらに含む。開口は、垂直にゲートを貫いて伸びる。ゲートの遮断部は、開口の間に位置する。ゲートは、第1の位置と第2の位置との間で水平方向に移動するように支持される。第1の位置では、ゲートの遮断部は、トレイの開口の下に垂直に合わせられている。第2の位置では、ゲートの開口は、トレイの開口の下に垂直に合わせられている。これにより、ゲートを第1の位置から第2の位置に移動させることによって、ビーズをトレイからゲートの開口を通して、さらにELISAプレートのウェルなどのビーズレセプタクルへと落下させることが可能になる。
【0016】
トレイの各開口は、ゲートが第1の位置にある場合にビーズの1つのみを包含するように、サイズ設定することができる。さらに、トレイは、上面を囲む垂直壁を有してもよい。垂直壁は、ビーズが上面から垂直壁を通って転がり落ちることができる大きさの出口通路を有することができる。これにより、所望の数のビーズがトレイの開口に転がり入ったら、過剰なビーズをトレイから除去することが可能になる。過剰なビーズを除去することにより、使用者は、開口の各々が1つのビーズを含むことを目視検査によって確認することができる。
【0017】
トレイは、ゲートがトレイを通して見えるように透明材料で形成されてもよい。ビーズとゲートとの間の色のコントラストは、各ウェルに単一のビーズが提供されていることを使用者が視覚的に確認するのに役立ち得る。例えば、透明パネルを通して見える白色ゲートは、より暗い色相のビーズ(例えば、Siビーズなど)をより明確に表示するのに役立つ。
【0018】
特許請求される発明は、以下の図を参照することによってより容易に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】可溶性ミスフォールドα-Sタンパク質を検出するための、本明細書に開示および特許請求されるα-S PMCA技術の概略図である。
【0020】
図2A】PMCA(37℃、700rpm、オン1分、オフ29分)を実施した場合の自己凝集に対する様々なSiビーズサイズの例示的な効果を示し、人工CSF(aCSF)中1mg/mLのα-syn、ビーズなしの場合の蛍光を示す。組換えAbcam α-syn種子を使用して、PD-CSF中に存在するα-syn種子を模倣し、種子凝集を評価した。
図2B】PMCA(37℃、700rpm、オン1分、オフ29分)を実施した場合の自己凝集に対する様々なSiビーズサイズの例示的な効果を示し、aCSF中1mg/mLのα-Sおよび2mmビーズを使用した場合の蛍光を示す。組換えAbcam α-syn種子を使用して、PD-CSF中に存在するα-syn種子を模倣し、種子凝集を評価した。
図2C】PMCA(37℃、700rpm、オン1分、オフ29分)を実施した場合の自己凝集に対する様々なSiビーズサイズの例示的な効果を示し、aCSF中1mg/mLのα-Sおよび1.5mmビーズを使用した場合の蛍光を示す。組換えAbcam α-syn種子を使用して、PD-CSF中に存在するα-syn種子を模倣し、種子凝集を評価した。
図2D】PMCA(37℃、700rpm、オン1分、オフ29分)を実施した場合の自己凝集に対する様々なSiビーズサイズの例示的な効果を示し、aCSF中1mg/mLのα-Sおよび0.8mmビーズを使用した場合の蛍光を示す。組換えAbcam α-syn種子を使用して、PD-CSF中に存在するα-syn種子を模倣し、種子凝集を評価した。
図2E】PMCA(37℃、700rpm、オン1分、オフ29分)を実施した場合の自己凝集に対する様々なSiビーズサイズの例示的な効果を示し、aCSF中1mg/mLのα-Sおよび0.4mmビーズを使用した場合の蛍光を示す。組換えAbcam α-syn種子を使用して、PD-CSF中に存在するα-syn種子を模倣し、種子凝集を評価した。
【0021】
図3A】40uLのaCSF中で1.5mmビーズを使用した場合の、基質の濃度を低下させることによる自己凝集に対する例示的な効果を示す。PMCAは、Siビーズを、通常はウェルあたり1つのビーズで使用して、組換えAbcam α-syn種子を使用して、37℃、700rpm、1分間オンおよび29分間オフで実施した。40uLのaCSF中でビーズを用いずに1mg/mLのα-Sを使用した場合の蛍光を示す。
図3B】40uLのaCSF中で1.5mmビーズを使用した場合の、基質の濃度を低下させることによる自己凝集に対する例示的な効果を示す。PMCAは、Siビーズを、通常はウェルあたり1つのビーズで使用して、組換えAbcam α-syn種子を使用して、37℃、700rpm、1分間オンおよび29分間オフで実施した。40uLのaCSF中で1mg/mLのα-Sを1.5mmビーズと共に使用した場合の蛍光を示す。
図3C】40uLのaCSF中で1.5mmビーズを使用した場合の、基質の濃度を低下させることによる自己凝集に対する例示的な効果を示す。PMCAは、Siビーズを、通常はウェルあたり1つのビーズで使用して、組換えAbcam α-syn種子を使用して、37℃、700rpm、1分間オンおよび29分間オフで実施した。40uLのaCSF中で0.5mg/mLのα-Sを1.5mmビーズと共に使用した場合の蛍光を示す。
図3D】40uLのaCSF中で1.5mmビーズを使用した場合の、基質の濃度を低下させることによる自己凝集に対する例示的な効果を示す。PMCAは、Siビーズを、通常はウェルあたり1つのビーズで使用して、組換えAbcam α-syn種子を使用して、37℃、700rpm、1分間オンおよび29分間オフで実施した。aCSF中で0.1mg/mLのα-Sを1.5mmビーズと共に使用した場合の蛍光を示す。
【0022】
図4A】温度を42℃まで上げるPMCAアッセイに対する例示的な効果を示す。PMCAは、Siビーズおよび組換えAbcam α-syn種子を使用して、42℃、700rpm、1分間オンおよび29分間オフで実施した。ビーズを用いずに40μLのaCSF中で1mg/mLの基質を使用した場合の蛍光を示す。
図4B】温度を42℃まで上げるPMCAアッセイに対する例示的な効果を示す。PMCAは、Siビーズおよび組換えAbcam α-syn種子を使用して、42℃、700rpm、1分間オンおよび29分間オフで実施した。0.8mmビーズを用いて40μLのaCSF中で1mg/mLの基質を使用した場合の蛍光を示す。
図4C】温度を42℃まで上げるPMCAアッセイに対する例示的な効果を示す。PMCAは、Siビーズおよび組換えAbcam α-syn種子を使用して、42℃、700rpm、1分間オンおよび29分間オフで実施した。1.5mmビーズを用いて40μLのaCSF中で0.1mg/mLの基質を使用した場合の蛍光を示す。
【0023】
図5A】2.38mmのサイズを有するビーズがPMCAにおいて播種凝集を加速し、凝集勾配を増加させることを示す。PMCAは、Siビーズを通常はウェルあたり1つのビーズで使用して、37℃、700rpm、1分間オンおよび29分間オフで組換えAbcam α-syn種子を使用し、aCSFではなくヒトCSFを使用して実施した。ビーズを用いずに40μLのヒトCSF中1mg/mLの基質を使用した場合の蛍光を示す。
図5B】2.38mmのサイズを有するビーズがPMCAにおいて播種凝集を加速し、凝集勾配を増加させることを示す。PMCAは、Siビーズを通常はウェルあたり1つのビーズで使用して、37℃、700rpm、1分間オンおよび29分間オフで組換えAbcam α-syn種子を使用し、aCSFではなくヒトCSFを使用して実施した。0.8mmビーズを用いて40μLのヒトCSF中1mg/mLの基質を使用した場合の蛍光を示す。
図5C】2.38mmのサイズを有するビーズがPMCAにおいて播種凝集を加速し、凝集勾配を増加させることを示す。PMCAは、Siビーズを通常はウェルあたり1つのビーズで使用して、37℃、700rpm、1分間オンおよび29分間オフで組換えAbcam α-syn種子を使用し、aCSFではなくヒトCSFを使用して実施した。2.38mmビーズを用いて40μLのヒトCSF中1mg/mLの基質を使用した場合の蛍光を示す。
図5D】2.38mmのサイズを有するビーズがPMCAにおいて播種凝集を加速し、凝集勾配を増加させることを示す。PMCAは、Siビーズを通常はウェルあたり1つのビーズで使用して、37℃、700rpm、1分間オンおよび29分間オフで組換えAbcam α-syn種子を使用し、aCSFではなくヒトCSFを使用して実施した。0.8mmビーズを用いて40μLのヒトCSF中0.1mg/mLの基質を使用した場合の蛍光を示す。
図5E】2.38mmのサイズを有するビーズがPMCAにおいて播種凝集を加速し、凝集勾配を増加させることを示す。PMCAは、Siビーズを通常はウェルあたり1つのビーズで使用して、37℃、700rpm、1分間オンおよび29分間オフで組換えAbcam α-syn種子を使用し、aCSFではなくヒトCSFを使用して実施した。1.5mmビーズを用いて40μLのヒトCSF中0.1mg/mLの基質を使用した場合の蛍光を示す。
図5F】2.38mmのサイズを有するビーズがPMCAにおいて播種凝集を加速し、凝集勾配を増加させることを示す。PMCAは、Siビーズを通常はウェルあたり1つのビーズで使用して、37℃、700rpm、1分間オンおよび29分間オフで組換えAbcam α-syn種子を使用し、aCSFではなくヒトCSFを使用して実施した。2.38mmビーズを用いて40μLのヒトCSF中0.1mg/mLの基質を使用した場合の蛍光を示す。
【0024】
図6A】2つの異なる濃度の基質(0.1および0.3mg/ml)を使用して、より高い温度、より大きなビーズ、およびより高い振盪を組み合わせた場合の経時的な自己凝集の減少を示す。PMCAは、Siビーズを、ウェルあたり1つのビーズで使用して、組換えAbcam α-syn種子を使用して、42℃、800rpm、1分間オンおよび29分間オフでaCSFを使用して実施した。2.38mmビーズを用いて0.1mg/mLの基質を使用した場合の蛍光を示す。
図6B】2つの異なる濃度の基質(0.1および0.3mg/ml)を使用して、より高い温度、より大きなビーズ、およびより高い振盪を組み合わせた場合の経時的な自己凝集の減少を示す。PMCAは、Siビーズを、ウェルあたり1つのビーズで使用して、組換えAbcam α-syn種子を使用して、42℃、800rpm、1分間オンおよび29分間オフでaCSFを使用して実施した。2mmビーズを用いて0.1mg/mLの基質を使用した場合の蛍光を示す。
図6C】2つの異なる濃度の基質(0.1および0.3mg/ml)を使用して、より高い温度、より大きなビーズ、およびより高い振盪を組み合わせた場合の経時的な自己凝集の減少を示す。PMCAは、Siビーズを、ウェルあたり1つのビーズで使用して、組換えAbcam α-syn種子を使用して、42℃、800rpm、1分間オンおよび29分間オフでaCSFを使用して実施した。1.5mmビーズを用いて0.1mg/mLの基質を使用した場合の蛍光を示す。
図6D】2つの異なる濃度の基質(0.1および0.3mg/ml)を使用して、より高い温度、より大きなビーズ、およびより高い振盪を組み合わせた場合の経時的な自己凝集の減少を示す。PMCAは、Siビーズを、ウェルあたり1つのビーズで使用して、組換えAbcam α-syn種子を使用して、42℃、800rpm、1分間オンおよび29分間オフでaCSFを使用して実施した。2.38mmビーズを用いて0.3mg/mLの基質を使用した場合の蛍光を示す。
図6E】2つの異なる濃度の基質(0.1および0.3mg/ml)を使用して、より高い温度、より大きなビーズ、およびより高い振盪を組み合わせた場合の経時的な自己凝集の減少を示す。PMCAは、Siビーズを、ウェルあたり1つのビーズで使用して、組換えAbcam α-syn種子を使用して、42℃、800rpm、1分間オンおよび29分間オフでaCSFを使用して実施した。2mmビーズを用いて0.3mg/mLの基質を使用した場合の蛍光を示す。
図6F】2つの異なる濃度の基質(0.1および0.3mg/ml)を使用して、より高い温度、より大きなビーズ、およびより高い振盪を組み合わせた場合の経時的な自己凝集の減少を示す。PMCAは、Siビーズを、ウェルあたり1つのビーズで使用して、組換えAbcam α-syn種子を使用して、42℃、800rpm、1分間オンおよび29分間オフでaCSFを使用して実施した。1.5mmビーズを用いて0.3mg/mLの基質を使用した場合の蛍光を示す。
【0025】
図7A】aCSFまたはヒトCSFを使用した場合に得られた比較結果の例を示す。PMCAは、Siビーズをウェルあたり1つのビーズで使用して、組換えAbcam α-syn種子を42℃、800rpm、1分間オンおよび29分間オフで使用して実施した。0.3mg/mLの基質、2.38mmビーズを使用した場合の蛍光を示す。
図7B】aCSFまたはヒトCSFを使用した場合に得られた比較結果の例を示す。PMCAは、Siビーズをウェルあたり1つのビーズで使用して、組換えAbcam α-syn種子を42℃、800rpm、1分間オンおよび29分間オフで使用して実施した。0.3mg/mLの基質、2.38mmビーズ、およびヒトCSFを使用した場合の蛍光を示す。
【0026】
図8A】PDを有すると臨床的に診断された対象から得られたCSF試料中の内因性α-S種子の、ビーズを使用した評価の例示的な結果を示す。42℃、800rpm、1分間オンおよび29分間オフで組換えα-syn種子を使用してPMCAを実施し、Siビーズをウェルあたり1つのビーズで使用し、PDを有する対象から得られた40μLのCSF試料中の0.3mg/mLのα-Sを使用した場合の蛍光を示す。
図8B】PDを有すると臨床的に診断された対象から得られたCSF試料中の内因性α-S種子の、ビーズを使用した評価の例示的な結果を示す。42℃、800rpm、1分間オンおよび29分間オフで組換えα-syn種子を使用してPMCAを実施し、Siビーズをウェルあたり1つのビーズで使用し、対照CSFの40μL試料中の0.3 mgのα-Sを使用した場合の蛍光を示す。
図8C】PDを有すると臨床的に診断された対象から得られたCSF試料中の内因性α-S種子の、ビーズを使用した評価の例示的な結果を示す。42℃、800rpm、1分間オンおよび29分間オフで組換えα-syn種子を使用してPMCAを実施し、PDを有する対象から得られた40μLのCSF試料中の0.3mg/mLのα-Sを使用して、ビーズなしでPMCAを実施した。
【0027】
図9A】2.38mmのSiビーズをウェルあたり1つのビーズで使用して、組換えα-syn種子を37℃、800rpm、1分間オンおよび29分間オフで使用してPMCAを実施した場合の例示的結果を示し、PDを有する対象から得られたCSF試料に対して実施されたPMCAの凝集を表す蛍光を示す。
図9B】2.38mmのSiビーズをウェルあたり1つのビーズで使用して、組換えα-syn種子を37℃、800rpm、1分間オンおよび29分間オフで使用してPMCAを実施した場合の例示的結果を示し、対照CSF試料を使用して得られた結果を示す。
【0028】
図10A】例示的な高速アッセイ(ウシ血清アルブミン(BSA)でブロッキングした2.38mmのSiビーズをウェルあたり1ビーズ、組換えα-syn種子を37℃、800rpm、オン1分およびオフ29分で使用)(図10A)が、PD試料を分析すると、ビーズなしのアッセイ(図10B)よりも一貫性があり、速度が2倍を超えることを示す。3つのトレースは、三連で試験した同じ試料を表す。
図10B】例示的な高速アッセイ(ウシ血清アルブミン(BSA)でブロッキングした2.38mmのSiビーズをウェルあたり1ビーズ、組換えα-syn種子を37℃、800rpm、オン1分およびオフ29分で使用)(図10A)が、PD試料を分析すると、ビーズなしのアッセイ(図10B)よりも一貫性があり、速度が2倍を超えることを示す。3つのトレースは、三連で試験した同じ試料を表す。
【0029】
図11A】例示的な高速アッセイ(BSAでブロッキングした2.38mmのSiビーズをウェルあたり1ビーズ、組換えα-syn種子を37℃、800rpm、オン1分およびオフ29分で使用)(図11A)が、PD試料を分析すると、ビーズなしのアッセイ(図11B)よりもはるかに速いことを示す。3つのトレースは、三連で試験した同じ試料を表す。
図11B】例示的な高速アッセイ(BSAでブロッキングした2.38mmのSiビーズをウェルあたり1ビーズ、組換えα-syn種子を37℃、800rpm、オン1分およびオフ29分で使用)(図11A)が、PD試料を分析すると、ビーズなしのアッセイ(図11B)よりもはるかに速いことを示す。3つのトレースは、三連で試験した同じ試料を表す。
【0030】
図12A】例示的な高速アッセイ(BSAでブロッキングした2.38mmのSiビーズをウェルあたり1ビーズ、組換えα-syn種子を37℃、800rpm、オン1分およびオフ29分で使用)(図12A)において、PD試料を分析すると、ビーズなしのアッセイ(図12B)よりも感度が優れていることを示す。3つのトレースは、三連で試験した同じ試料を表す。
図12B】例示的な高速アッセイ(BSAでブロッキングした2.38mmのSiビーズをウェルあたり1ビーズ、組換えα-syn種子を37℃、800rpm、オン1分およびオフ29分で使用)(図12A)において、PD試料を分析すると、ビーズなしのアッセイ(図12B)よりも感度が優れていることを示す。3つのトレースは、三連で試験した同じ試料を表す。
【0031】
図13A】例示的な高速アッセイ(BSAでブロッキングした2.38mmのSiビーズをウェルあたり1ビーズ、組換えα-syn種子を37℃、800rpm、オン1分およびオフ29分で使用)(図13A)の、PD試料を分析した場合の、ビーズなしのアッセイ(図13B)と比較した変動性の減少および感度の向上を示す。3つのトレースは、三連で試験した同じ試料を表す。
図13B】例示的な高速アッセイ(BSAでブロッキングした2.38mmのSiビーズをウェルあたり1ビーズ、組換えα-syn種子を37℃、800rpm、オン1分およびオフ29分で使用)(図13A)の、PD試料を分析した場合の、ビーズなしのアッセイ(図13B)と比較した変動性の減少および感度の向上を示す。3つのトレースは、三連で試験した同じ試料を表す。
【0032】
図14A】1つのPD CSF試料(PD)および3つの対照に対して異なる種類のビーズを使用して高速アッセイ条件を実行した例示的な結果を示す。したがって、BSAでブロッキングした2.38mmのSiビーズを使用した例示的な結果を示す。PD試料は約75時間陽性であったが、3つの対照はすべて陰性であった。
図14B】1つのPD CSF試料(PD)および3つの対照に対して異なる種類のビーズを使用して高速アッセイ条件を実行した例示的な結果を示す。ブロッキングしない2mmホウケイ酸ガラスビーズを使用した例示的な結果を示す図である。PD試料は約170時間陽性であったが、3つの対照はすべて陰性であった。
【0033】
図15A】異なるドナー(PD1およびPD2)からの2つのPD CSF試料に対して異なる種類のビーズを使用して高速アッセイ条件を実行した例示的な結果を示す。グラフは、患者あたり3回の反復試験の平均を示す。ブロッキングした2.38mmのSiビーズ(図15A)またはブッキングしない2.45mmのホウケイ酸ガラスビーズ(図15B)のいずれかを使用した場合、両方のPD試料は陽性であった。Siビーズを用いると、PD2は約40時間で、PD1は約50時間で凝集を開始した。凝集曲線は非常に再現性があり、プラトーは非常に一貫した蛍光値を示す。2.45mmのホウケイ酸ガラスビーズを使用した場合、PD2およびPD1についてそれぞれ10時間および25時間、凝集が遅延した。
図15B】異なるドナー(PD1およびPD2)からの2つのPD CSF試料に対して異なる種類のビーズを使用して高速アッセイ条件を実行した例示的な結果を示す。グラフは、患者あたり3回の反復試験の平均を示す。ブロッキングした2.38mmのSiビーズ(図15A)またはブッキングしない2.45mmのホウケイ酸ガラスビーズ(図15B)のいずれかを使用した場合、両方のPD試料は陽性であった。Siビーズを用いると、PD2は約40時間で、PD1は約50時間で凝集を開始した。凝集曲線は非常に再現性があり、プラトーは非常に一貫した蛍光値を示す。2.45mmのホウケイ酸ガラスビーズを使用した場合、PD2およびPD1についてそれぞれ10時間および25時間、凝集が遅延した。
【0034】
図16】ビーズ分配装置の分解斜視図である。
【0035】
図17図16の装置の上面図であり、部品が使用位置にあることを示している。
【0036】
図18図17と同様の図であり、部品が異なる使用位置にあることを示している。
【0037】
図19図17の線4-4に沿った断面図である。
【0038】
図20図17の線5-5に部分的に沿った断面図である。
【0039】
図21図20と同様の部分的な断面図であり、連続する使用工程での装置の部品を示す。
図22図20と同様の部分的な断面図であり、連続する使用工程での装置の部品を示す。
図23図20と同様の部分的な断面図であり、連続する使用工程での装置の部品を示す。
【0040】
図24A】例示的な高速アッセイ(BSAでブロッキングした2.38mmのSiビーズをウェルあたり1つのビーズで使用して、組換えα-syn種子を37℃、800rpm、1分間オンおよび29分間オフで使用)に1X PBS中0.1% w/vのサルコシル濃度を含めた例示的結果を示し、PDを有する対象から得られたCSFに対して実施されたPMCAの凝集を表す蛍光を示す。
図24B】例示的な高速アッセイ(BSAでブロッキングした2.38mmのSiビーズをウェルあたり1つのビーズで使用して、組換えα-syn種子を37℃、800rpm、1分間オンおよび29分間オフで使用)に1X PBS中0.1% w/vのサルコシル濃度を含めた例示的結果を示し、対照CSF試料を使用して得られた結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
生物学的試料中の可溶性ミスフォールドα-synの存在を決定するための方法およびキットが提供される。方法およびキットは、生物学的試料をモノマーα-synタンパク質および約1mm~約5mm、2.3mm超~約5mm、3mm超~約5mm、約2.38mm、または約2.45mmの平均直径を有する1つ以上のビーズと接触させて、インキュベーション混合物を形成すること;インキュベーション混合物をインキュベートして、モノマーα-synタンパク質および生物学的試料の可溶性ミスフォールドα-synからミスフォールドα-syn凝集体を形成すること;ミスフォールドα-syn凝集体の少なくとも一部を脱凝集させること;およびインキュベートおよび脱凝集の工程を生物学的試料の可溶性ミスフォールドα-synを増幅するのに十分な回数繰り返して、検出可能な量のミスフォールドα-syn凝集体を得ることを含む。生物学的試料中の可溶性ミスフォールドα-synの存在を示す、検出可能な量のミスフォールドα-syn凝集体が生物学的試料中に存在するかどうかを次いで決定することができる。
【0042】
図1の概略説明に示される例示的な一例では、生物学的試料中の可溶性ミスフォールドα-synタンパク質の存在を決定する方法が提供される。以下、図1、および特許請求の範囲に記載されている工程の順序は、明確性のためにのみ提供されており、限定するものとみなされるべきではない。その注意と共に、本方法は、(A)生物学的試料をプレインキュベーション混合物であって、(1)モノマーα-synタンパク質;(2)緩衝組成物;(3)塩;および(4)指示薬を含むプレインキュベーション混合物と接触させてインキュベーション混合物を形成すること;(B)インキュベーションサイクルであって、各インキュベーションサイクルが(i)可溶性ミスフォールドα-synタンパク質の存在下でモノマーα-synタンパク質の少なくとも一部のミスフォールディングおよび/または凝集を引き起こすのに有効なインキュベーション混合物をインキュベートすること;および(ii)インキュベーション混合物を物理的に粉砕することを含むインキュベーションサイクルを、(1)モノマーα-synタンパク質からミスフォールドα-synタンパク質の増幅部分を形成するのに有効なインキュベーション混合物に対して2回以上;(2)約1mm~約5mm、2.3mm超~約5mm、3mm超~約5mm、約2.38mm、または約2.45mmの直径を有するSiビーズまたはホウケイ酸ガラスビーズのいずれかの存在下で実施すること;(C)検出可能な量のミスフォールドα-syn凝集体が生物学的試料中に存在するかどうかを決定することを含み、ミスフォールドα-syn凝集体の検出は、生物学的試料中の可溶性ミスフォールドα-synタンパク質の存在を示す。
【0043】
方法のいくつかの態様では、ビーズは本質的にSiからなり、約2.38mmの直径を有する。いくつかの態様では、方法は、実施の前にSiビーズの表面をBSAでブッキングすることをさらに含む。いくつかの態様では、ブロッキングは、Siビーズを水および/またはPIPES緩衝液の少なくとも1つの中のBSAの溶液に浸漬することを含む。いくつかの態様では、ビーズは本質的にホウケイ酸ガラスからなり、約2.45の直径を有する。いくつかの態様では、ホウケイ酸ガラスはブッキングされていない。
本方法のいくつかの態様では、生物学的試料はヒトCSFを含む。いくつかの態様では、モノマーα-synタンパク質は、配列番号1、配列番号2、またはそれらの保存的変異体の少なくとも1つを含む。いくつかの態様では、モノマーα-synタンパク質は、約10μM~約30μMの濃度で存在する。いくつかの態様では、モノマーα-synタンパク質は、約19.6μMの濃度で存在する。いくつかの態様では、緩衝組成物は、約6.2~約6.5、例えば約6.3のpHを有する。いくつかの態様では、緩衝組成物はPIPESを含む。いくつかの態様では、緩衝組成物は、約100mm PIPES、約500mm PIPES、約600mm PIPESまたは約700mm PIPESを含む。いくつかの態様では、塩はNaClを含む。いくつかの態様では、塩は、約500mm~約700mm、例えば約600mmの濃度でNaClを含む。いくつかの態様では、指示薬はThTを含む。いくつかの態様では、検出は、約440nmでの励起後に約490nmでのThT蛍光を測定することを含む。いくつかの態様では、指示薬は、約5μM~約10μMの濃度でThTを含む。いくつかの態様では、物理的粉砕は、軌道振盪を含む振盪を含む。
【0044】
定義
「診断」という用語は、対象が疾患を発症する可能性または対象における疾患の存在もしくは性質を決定することを包含し得る。診断という用語はまた、疾患もしくは疾患のエピソードの重症度および予想される転帰、または一般に予後と呼ばれる回復の見込みを決定することを包含する。「診断」はまた、合理的な療法の状況での診断を包含することができ、そこで診断は、療法の最初の選択、療法の修正(例えば、用量または投薬レジメンの調整)などを含む療法を導く。
【0045】
「予後」という用語は、疾患の予想され得る経過および転帰の予測、または疾患からの回復の可能性を指す。予後は、対象が疾患を有することが一般に既に知られているという点で診断とは区別されるが、予後と診断は同時に行うことができる。PDの予後の場合、予後はPDの相対的重症度を分類し、これを使用して適切な療法の選択を導くことができる。
【0046】
「治療」、「治療する」などの用語は、所望の薬理学的または生理学的効果を得ることを指す。効果は、疾患の部分的もしくは完全な治癒、または疾患に起因する有害作用に関して治療的であり得る。「治療」は、哺乳動物、特にヒトにおける疾患の任意の治療を包含し、疾患または状態を阻害すること、すなわちその発症を阻止することと、および疾患を軽減すること、すなわち疾患の退行を引き起こすこととを含むことができる。
【0047】
予防(prevention)または予防(prophylaxis)とは、疾患の素因を有し得るが、それを有するとまだ診断されていない対象において(例えば、原発性疾患に関連し得るか、またはそれによって引き起こされ得る疾患を含む)、疾患または疾患の症状の発生を予防することを指す。予防は、疾患または症状を完全にまたは部分的に予防することを含み得る。
【0048】
「治療的に有効」および「薬理学的に有効」という用語は、各薬剤単独での治療を上回る疾患重症度および発生頻度の改善という目標を達成する薬剤の量を、代替療法に典型的に関連する有害な副作用を回避しながら限定することを意図している。治療の有効性は、可溶性ミスフォールドα-synのレベルの低下または特定のシヌクレイノパチーに関連する他の症状の減少を評価することによって測定され得る。
【0049】
値の範囲が提供される場合、文脈上明確に指示されない限り下限の単位の10分の1までの各介在値、その範囲の上限と下限との間の各介在値、およびその記載された範囲内の任意の他の記載値または介在値が包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、独立してより小さい範囲に含まれてもよく、記載された範囲内の特に除外された任意の限度を前提として包含される。記載された範囲が限度の一方または両方を含む場合、それらの含まれる限度の一方または両方を除外した範囲も含まれる。
【0050】
別に定義されない限り、すべての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0051】
数字に関連する「約」という用語は、その数字の±10%を含むことが意図されている。これは、「約」が独立した数字を修正するかどうか、または数字の範囲の端のいずれかまたは両方で数字を修正するかどうかにかかわらず当てはまる。言い換えると、「約10」は9から11を意味する。同様に、「約10~約20」は9~22を意味する。「約」という用語がない場合、厳密な数が意図される。言い換えると、「10」は10を意味する。
【0052】
単数形「a」、「and」、および「the」は、別途文脈が明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「試料」への言及は、1つの試料を含み、複数のそのような試料を含む。同様に、「モノマーα-synタンパク質」への言及には、1つ以上のタンパク質分子などへの言及が含まれる。
【0053】
生物学的試料中の可溶性ミスフォールドα-synタンパク質の存在を決定する
生物学的試料中の可溶性ミスフォールドα-synタンパク質の存在を決定する方法が提供される。いくつかの態様では、存在の決定は、可溶性ミスフォールドα-synタンパク質が試料中に存在するかどうかを検出することを含み、他の態様では、存在の決定は、試料中の可溶性ミスフォールドα-synタンパク質の量を決定することを含む。方法は、生物学的試料をモノマーα-synタンパク質および約1mm~約5mm、2.3mm超~約5mm、3mm超~約5mm、約2.38mm、または約2.45mmの平均直径を有する1つ以上のビーズと接触させて、インキュベーション混合物を形成する工程;インキュベーション混合物をインキュベートして、モノマーα-synタンパク質および生物学的試料の可溶性ミスフォールドα-synからミスフォールドα-syn凝集体を形成する工程;およびミスフォールドα-syn凝集体の少なくとも一部を脱凝集させる工程を含む。インキュベーション混合物をインキュベートする工程および脱凝集する工程は、試料の可溶性ミスフォールドα-synタンパク質を増幅して検出可能な量のミスフォールドα-syn凝集体を得るのに十分な回数繰り返される。方法は、次いで検出可能な量のミスフォールドα-syn凝集体が生物学的試料中に存在するかどうかを決定することを含む。ミスフォールドα-syn凝集体の検出は、生物学的試料中の可溶性ミスフォールドα-synタンパク質の存在を示す。
【0054】
本明細書で使用される場合、可溶性ミスフォールドα-synタンパク質のような「α-S」、「α-syn」または「α-シヌクレイン」は、全長の140アミノ酸の野生型α-synタンパク質、すなわち「αS-140」を指し得る。他のイソ型または断片は、例えばエクソン3の欠失に起因して残基41~54を欠くアルファ-syn-126、「αS-126」、および例えばエクソン5の欠失に起因して残基103~130を欠くアルファ-syn-112、「αS-112」を含み得る。様々なαSイソ型は、αS-140、αS-126、およびαS-112を含み得るが、これらに限定されない。様々なα-synペプチドは、PDなどのシヌクレイノパチーに関連するニューロン損傷に関連し得る。
【0055】
「可溶性ミスフォールドα-synタンパク質」は、溶液中に残るα-synタンパク質のミスフォールドモノマーまたは凝集体を指す。可溶性ミスフォールドα-synタンパク質の例としては、ミスフォールドα-synタンパク質が可溶性のままである限り、任意の数の凝集したミスフォールドα-synタンパク質モノマーが挙げられ得る。例えば、可溶性ミスフォールドα-synタンパク質は、ミスフォールドα-synタンパク質モノマーの2~約50単位の凝集体を含み得る。いくつかの例では、凝集体はオリゴマーまたはポリマーと呼ばれ得る。いくつかの例では、凝集はオリゴマー化または重合と呼ばれ得る。
【0056】
可溶性ミスフォールドα-synタンパク質は、凝集またはオリゴマー化して不溶性凝集体および/またはより高いオリゴマーを形成し、プロトフィブリル、フィブリル、および最終的にプラークまたは封入体の形態のミスフォールドα-synタンパク質凝集体をもたらし得る。核形成依存性重合は、典型的には、凝集した核が生じ得るゆっくりとした遅滞期によって特徴付けられ得、その後、さらなる凝集体および/またはより大きな凝集体の迅速な形成を刺激し得る。遅滞期は、予め形成された「核」または「種子」の添加によって最小化または排除され得る。「種子」または「核」は、さらなるミスフォールディング、オリゴマー化、および/または凝集を誘導する能力を有するミスフォールドα-synタンパク質または断片化された短いフィブリル、特に可溶性ミスフォールドα-synタンパク質を指す。いくつかの例では、「種子」または「核」は、α-synタンパク質の非凝集モノマーを除外してもよい。理論に束縛されることを望むものではないが、少なくともいくつかの条件下では、モノマーα-synタンパク質は安定しない可能性があり、病原性ミスフォールドα-synタンパク質の最小安定サイズは、ミスフォールドα-synタンパク質の2つのモノマー単位の凝集体であり得ると考えられる。
【0057】
本明細書で使用される場合、「可溶性」種は、可溶性ミスフォールドα-synを含み、生理学的条件下で生体液中の溶液を形成し得るが、「不溶性」種は、そのような生体液中に沈殿物、フィブリル、沈着物、濃縮体、または他の非溶解形態として存在し得る。不溶性種の例としては、Aβ、α-S、タウ等のフィブリルが挙げられる。生理学的条件下で非生体液に溶解するが生体液には溶解しない種は、不溶性と見なされ得る。例えば、α-synなどのフィブリルは、例えばドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などの界面活性剤の水溶液に溶解され得るが、生理学的条件下では記載の生体液の1つ以上に依然として不溶性であり得るため、本明細書では不溶性とみなされる。
【0058】
いくつかの態様では、生物学的試料は、生理学的条件下で記載された生体液の1つ以上に不溶性であり得る沈殿物、フィブリル、沈着物、濃縮物、プラーク、または他の形態としてのミスフォールドタンパク質の不溶性種を除外し得る。試料は、不溶性形態のミスフォールドα-synタンパク質を除外することができ、例えば、生物学的試料は、沈殿物、フィブリル、沈着物、濃縮物、プラーク、または他の不溶性形態としての、例えばフィブリル形態のミスフォールドα-synタンパク質を除外することができる。
【0059】
本明細書で使用される場合、「ミスフォールドタンパク質」は、生物系内のその典型的な非病原性正常機能に存在するタンパク質の構造的立体配座の全部または一部をもはや含まないタンパク質である。ミスフォールドタンパク質は、凝集体であり得る。ミスフォールドタンパク質は、タンパク質凝集体に局在化し得る。ミスフォールドタンパク質は、非機能性タンパク質であり得る。ミスフォールドタンパク質は、タンパク質の病原性配座異性体であり得る。モノマーα-synタンパク質組成物は、種子に関連するミスフォールディング、オリゴマー化、および凝集のための触媒活性がなく、天然、非病原性を確認して提供され得る。モノマーα-synタンパク質組成物は、種子のない形態で提供され得る。
【0060】
「モノマーα-synタンパク質」および「モノマーα-syn基質」という語句は互換的に使用され、それらの天然の非病原性構造の1つ以上のα-synタンパク質分子を指す。いくつかの態様では、モノマーα-synタンパク質は、140個のアミノ酸を有し、14,460Daの分子質量を有し、以下の配列によって表される野生型または組換えヒトα-synタンパク質を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる。
【0061】
配列番号1
MDVFMKGLSK AKEGVVAAAE KTKQGVAEAA GKTKEGVLYV GSKTKEGVVH GVATVAEKTK EQVTNVGGAV VTGVTAVAQK TVEGAGSIAA ATGFVKKDQL GKNEEGAPQE GILEDMPVDP DNEAYEMPSE EGYQDYEPEA
【0062】
いくつかの態様では、モノマーα-synタンパク質は、配列番号1の保存的変異体を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる。保存的変異体は、1つまたは複数のアミノ酸による、類似の生化学的特性を有し、PMCAアッセイにおいて得られたタンパク質の活性に対して最小または有益な影響を有するアミノ酸の置換においてのみ配列番号1から逸脱するペプチドまたはアミノ酸配列であり得る。保存的変異体は、基本成分、すなわち配列番号1と実質的に同様に機能的に作動しなければならない。例えば、配列番号1の保存的変異体は、ミスフォールドα-synと凝集し、同様の反応条件下で実質的に同様の速度論で凝集体を形成する。保存的変異体は、アミノ酸配列中に、例えば、1、2、3、4、5、6、7(5%)、最大14(10%)の置換を有し得る。
いくつかの態様では、モノマーα-synタンパク質は、配列番号1のC末端に6個の追加のヒスチジンアミノ酸(すなわち、ポリHis精製タグ)を含み、15,283Daの分子質量になり、以下の配列によって表される組換えα-synタンパク質を含む。
【0063】
配列番号2
MDVFMKGLSK AKEGVVAAAE KTKQGVAEAA GKTKEGVLYV GSKTKEGVVH GVATVAEKTK EQVTNVGGAV VTGVTAVAQK TVEGAGSIAA ATGFVKKDQL GKNEEGAPQE GILEDMPVDP DNEAYEMPSE EGYQDYEPEA HHHHHH
【0064】
したがって、配列番号2は、C末端上の6個の追加のヒスチジンアミノ酸によって配列番号1と識別可能である。配列番号2はさらに、例えば、1つ以上のアミノ酸がN末端に付加されている配列番号1の変異体と識別可能である。いくつかの態様では、1つ以上のアミノ酸がN末端に付加されている配列番号1の変異体は除外される。しかしながら、いくつかの態様は、N末端付加物を含む。したがって、
【0065】
配列番号3
HHHHHH MDVFMKGLSK AKEGVVAAAE KTKQGVAEAA GKTKEGVLYV GSKTKEGVVH GVATVAEKTK EQVTNVGGAV VTGVTAVAQK TVEGAGSIAA ATGFVKKDQL GKNEEGAPQE GILEDMPVDP DNEAYEMPSE EGYQDYEPEA
【0066】
例えば、FLAG、HA、MycおよびV5を含むさらなる精製タグが企図され、したがって、以下の配列番号を生成する。
【0067】
配列番号4:
MDVFMKGLSK AKEGVVAAAE KTKQGVAEAA GKTKEGVLYV GSKTKEGVVH GVATVAEKTK EQVTNVGGAV VTGVTAVAQK TVEGAGSIAA ATGFVKKDQL GKNEEGAPQE GILEDMPVDP DNEAYEMPSE EGYQDYEPEA DYKDDDD
【0068】
配列番号5:
DYKDDDD MDVFMKGLSK AKEGVVAAAE KTKQGVAEAA GKTKEGVLYV GSKTKEGVVH GVATVAEKTK EQVTNVGGAV VTGVTAVAQK TVEGAGSIAA ATGFVKKDQL GKNEEGAPQE GILEDMPVDP DNEAYEMPSE EGYQDYEPEA
【0069】
配列番号6:
MDVFMKGLSK AKEGVVAAAE KTKQGVAEAA GKTKEGVLYV GSKTKEGVVH GVATVAEKTK EQVTNVGGAV VTGVTAVAQK TVEGAGSIAA ATGFVKKDQL GKNEEGAPQE GILEDMPVDP DNEAYEMPSE EGYQDYEPEA DYKDDDDK
【0070】
配列番号7:
DYKDDDDK MDVFMKGLSK AKEGVVAAAE KTKQGVAEAA GKTKEGVLYV GSKTKEGVVH GVATVAEKTK EQVTNVGGAV VTGVTAVAQK TVEGAGSIAA ATGFVKKDQL GKNEEGAPQE GILEDMPVDP DNEAYEMPSE EGYQDYEPEA
【0071】
配列番号8:
MDVFMKGLSK AKEGVVAAAE KTKQGVAEAA GKTKEGVLYV GSKTKEGVVH GVATVAEKTK EQVTNVGGAV VTGVTAVAQK TVEGAGSIAA ATGFVKKDQL GKNEEGAPQE GILEDMPVDP DNEAYEMPSE EGYQDYEPEA DYKDDDK
【0072】
配列番号9:
DYKDDDK MDVFMKGLSK AKEGVVAAAE KTKQGVAEAA GKTKEGVLYV GSKTKEGVVH GVATVAEKTK EQVTNVGGAV VTGVTAVAQK TVEGAGSIAA ATGFVKKDQL GKNEEGAPQE GILEDMPVDP DNEAYEMPSE EGYQDYEPEA
【0073】
配列番号10:
MDVFMKGLSK AKEGVVAAAE KTKQGVAEAA GKTKEGVLYV GSKTKEGVVH GVATVAEKTK EQVTNVGGAV VTGVTAVAQK TVEGAGSIAA ATGFVKKDQL GKNEEGAPQE GILEDMPVDP DNEAYEMPSE EGYQDYEPEA YPYDVPDYA
【0074】
配列番号11:
YPYDVPDYA MDVFMKGLSK AKEGVVAAAE KTKQGVAEAA GKTKEGVLYV GSKTKEGVVH GVATVAEKTK EQVTNVGGAV VTGVTAVAQK TVEGAGSIAA ATGFVKKDQL GKNEEGAPQE GILEDMPVDP DNEAYEMPSE EGYQDYEPEA
【0075】
配列番号12:
MDVFMKGLSK AKEGVVAAAE KTKQGVAEAA GKTKEGVLYV GSKTKEGVVH GVATVAEKTK EQVTNVGGAV VTGVTAVAQK TVEGAGSIAA ATGFVKKDQL GKNEEGAPQE GILEDMPVDP DNEAYEMPSE EGYQDYEPEA YAYDVPDYA
【0076】
配列番号13:
YAYDVPDYA MDVFMKGLSK AKEGVVAAAE KTKQGVAEAA GKTKEGVLYV GSKTKEGVVH GVATVAEKTK EQVTNVGGAV VTGVTAVAQK TVEGAGSIAA ATGFVKKDQL GKNEEGAPQE GILEDMPVDP DNEAYEMPSE EGYQDYEPEA
【0077】
配列番号14:
MDVFMKGLSK AKEGVVAAAE KTKQGVAEAA GKTKEGVLYV GSKTKEGVVH GVATVAEKTK EQVTNVGGAV VTGVTAVAQK TVEGAGSIAA ATGFVKKDQL GKNEEGAPQE GILEDMPVDP DNEAYEMPSE EGYQDYEPEA YDVPDYASL
【0078】
配列番号15:
YDVPDYASL MDVFMKGLSK AKEGVVAAAE KTKQGVAEAA GKTKEGVLYV GSKTKEGVVH GVATVAEKTK EQVTNVGGAV VTGVTAVAQK TVEGAGSIAA ATGFVKKDQL GKNEEGAPQE GILEDMPVDP DNEAYEMPSE EGYQDYEPEA
【0079】
配列番号16:
MDVFMKGLSK AKEGVVAAAE KTKQGVAEAA GKTKEGVLYV GSKTKEGVVH GVATVAEKTK EQVTNVGGAV VTGVTAVAQK TVEGAGSIAA ATGFVKKDQL GKNEEGAPQE GILEDMPVDP DNEAYEMPSE EGYQDYEPEA EQKLISEEDL
【0080】
配列番号17:
EQKLISEEDL MDVFMKGLSK AKEGVVAAAE KTKQGVAEAA GKTKEGVLYV GSKTKEGVVH GVATVAEKTK EQVTNVGGAV VTGVTAVAQK TVEGAGSIAA ATGFVKKDQL GKNEEGAPQE GILEDMPVDP DNEAYEMPSE EGYQDYEPEA
【0081】
配列番号18:
MDVFMKGLSK AKEGVVAAAE KTKQGVAEAA GKTKEGVLYV GSKTKEGVVH GVATVAEKTK EQVTNVGGAV VTGVTAVAQK TVEGAGSIAA ATGFVKKDQL GKNEEGAPQE GILEDMPVDP DNEAYEMPSE EGYQDYEPEA GKPIPNPLLGLDST
【0082】
配列番号19:
GKPIPNPLLGLDST MDVFMKGLSK AKEGVVAAAE KTKQGVAEAA GKTKEGVLYV GSKTKEGVVH GVATVAEKTK EQVTNVGGAV VTGVTAVAQK TVEGAGSIAA ATGFVKKDQL GKNEEGAPQE GILEDMPVDP DNEAYEMPSE EGYQDYEPEA
【0083】
いくつかの態様では、方法は、モノマーα-synタンパク質を標識された形態で提供することを含み得る。標識されたモノマーα-synタンパク質は、保存的変異体と見なされ得る。標識された形態のモノマーα-synタンパク質は、共有結合的に組み込まれた放射性アミノ酸、共有結合的に組み込まれた同位体的標識アミノ酸、共有結合的に組み込まれたフルオロフォアなどのうちの1つ以上を含み得る。したがって、可溶性ミスフォールドα-synタンパク質の検出は、ミスフォールドα-synタンパク質の増幅部分に組み込まれた標識形態のモノマーα-synタンパク質を検出することを含み得る。
【0084】
インキュベーション条件
方法は、生物学的試料をモノマーα-synタンパク質、および1mm~5mm、2.3mm超~5mm、3mm超~5mm、2.38mm、または2.45mmの平均直径を有する1つ以上のビーズと接触させて、インキュベーション混合物を形成すること、およびインキュベーション混合物をインキュベートして、モノマーα-synタンパク質および生物学的試料の可溶性ミスフォールドα-synからミスフォールドα-syn凝集体を形成することを含む。本明細書で使用される「接触させる」とは、様々な薬剤を近接させて、かつそれらが相互作用して所望の効果が生じ得る条件下に置くことを指す。例えば、生物学的試料をモノマーα-synタンパク質と接触させることにより、モノマーα-synタンパク質が、生物学的試料中に存在する任意の可溶性ミスフォールドα-synタンパク質と相互作用し、それによってモノマーα-synタンパク質の凝集を刺激することが可能になる。
【0085】
ミスフォールドα-syn凝集体を形成するためのインキュベーション条件には、様々な可変因子、例えばビーズの種類および数、モノマーα-synタンパク質の同一性および濃度、インキュベーションの実施に使用される容器の種類、温度、pH、緩衝組成物、塩濃度またはイオン強度、ならびにインキュベーションに使用される液体培地の他の特性が含まれる。インキュベーション混合物中にビーズを含めると、モノマーα-synタンパク質による自己凝集も回避するより速い条件下でインキュベーションを起こすことが可能になる。
【0086】
インキュベーション混合物は、様々な異なる濃度のモノマーα-synタンパク質を含むことができる。ビーズを含めることにより、PMCAアッセイを実施するために必要なモノマーα-synタンパク質基質の濃度を低下させることができる。いくつかの態様では、インキュベーション混合物は、モノマーα-synタンパク質を、約500 nM~約500μM;約1μM~約200μM;約5μM~約100μM;約10μM~約50μM;約65μM;約10μM~約30μM;10μM超かつ30μM未満;約20μM;約19.6μM;または19.6μMの濃度または濃度範囲で含み得る。
【0087】
インキュベーション混合物は、様々な緩衝組成物を含むことができる。緩衝組成物は、インキュベーション混合物のpHを約pH5~約pH9、約pH6~約pH8、約pH6~約pH7、約pH7~約pH8、約pH7、約pH7.4、約pH6.2~約pH6.5(pH6.3、6.4および6.5を含む)の範囲に維持するのに有効である。いくつかの態様では、インキュベーション混合物は、緩衝液Tris-HCL、MES、PIPES、MOPS、BES、TES、およびHEPESの1つ以上を含む。いくつかの態様では、インキュベーション緩衝液は、約100mM、約500mM、約600mMおよび約700mMの濃度のPIPESを含む。
【0088】
いくつかの態様では、インキュベーション混合物は、所与の濃度の塩を含む。塩は、例えば、蛍光検出におけるシグナルノイズ比を増強することができる。一態様では、塩はNaClを含む。他の適切な塩としては、KClが挙げられ得る。一態様では、塩、例えばNaClは、約50mM~約1,000mM、約50mM~約500mM、約50~約150mM、約150mM~約500mM、約50mM、約150mM、約300mM、約500mM、約600mM、または約700mMの濃度で存在してもよい。一態様では、塩、例えばNaClは、約500mMの濃度で存在する。
【0089】
一態様では、インキュベーション混合物は、界面活性剤または洗浄剤、例えばSDSを排除する。
【0090】
様々な温度がインキュベーションサイクルの実施に適している。℃単位の温度でのインキュベーション混合物の温度は、各インキュベーションサイクルで、独立して約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、または前述の値のいずれか2つの間の範囲、例えば、約15℃~約50℃、または約25℃~約45℃、または約30℃~約42℃であり得る。いくつかの態様では、インキュベーションは、温血動物のほぼ正常の生理学的温度で行われる。さらなる態様では、インキュベーション混合物のインキュベーションは、約35℃~約40℃または約37℃~約42℃の温度で行われる。
【0091】
インキュベーション混合物は、1つ以上のビーズを含む。ビーズは、典型的には小さい球形の物体、例えば、ベアリングビーズとして一般的に使用される低摩擦表面を有する高密度ビーズである。インキュベーション混合物にビーズを含めると、モノマーα-synタンパク質、および生物学的試料の可溶性ミスフォールドα-synからのミスフォールドα-syn凝集体の形成速度が増加する。これらのビーズは、既知の濃縮および/または免疫枯渇工程で使用される抗体被覆磁性または常磁性のビーズまたは粒子(例えば、Dynabeads)と区別されるべきである。例えば、米国特許公開第2016/0077111号を参照されたい。
【0092】
ビーズは、様々な生物学的に不活性な材料から形成することができる。いくつかの態様では、ビーズは合成または天然ポリマーから形成され、他の態様では、ビーズは鉱物、セラミック、ガラスまたは金属から形成される。ビーズは均質であってもよく、または異なる材料から作製されたコアを含んでもよい。合成ポリマーの例としては、アクリルポリマー、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリマービニル化合物、ポリアルケン、およびそれらの置換誘導体、ならびに2つ以上のそのようなポリマーを含むコポリマーが挙げられる。特定の合成ポリマーの例としては、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメチルメタクリレートなどが挙げられる。天然ポリマーの例としては、アガロースなどの炭水化物系ポリマーが挙げられる。
【0093】
いくつかの態様では、ポリマーは、鉱物、セラミック、ガラス、または金属などの非ポリマー材料を含む。ビーズ用の非ポリマー材料のより具体的な例としては、酸化ジルコニウム、シリカ/ジルコニウム、シリカ、ガラス、ホウケイ酸ガラス、石英、鋼、チタン、炭化タングステン、炭化ケイ素、およびSiが挙げられる。いくつかの態様では、アッセイに存在するバックグラウンド蛍光を低減するために、Siなどのより暗い色相を有する材料を使用することが適切であり得る。
【0094】
いくつかの態様では、ビーズは、Siを含むか、本質的にSiからなるか、またはSiからなる。いくつかの態様では、ビーズは、ホウケイ酸ガラスを含むか、本質的にホウケイ酸ガラスからなるか、またはホウケイ酸ガラスからなる。一態様では、ジルコニウム/シリカビーズは除外される。一態様では、ホウケイ酸ガラスビーズ以外のガラスビーズは除外される。一態様では、鋼ビーズは除外される。一態様では、ポリスチレンビーズは除外される。
【0095】
ビーズのサイズは、タンパク質凝集速度を増加させるその能力に有意な影響を及ぼし得る。いくつかの実施形態では、インキュベーション混合物に含まれるビーズは、0.5mmを超える平均直径を有し得る。いくつかの態様では、ビーズは、0.5mm超~約10mmの平均直径を有する。いくつかの態様では、ビーズは、0.5mm超~約5mmの平均直径を有する。さらなる態様では、ビーズは、0.5mm超~約3.5mmの範囲の平均直径を有する。いくつかの態様では、ビーズは約1.0~約10mmの平均直径を有するが、追加の態様では、ビーズは約1.0mm~約5mmの平均直径を有する。さらなる態様では、ビーズは、1.0mm超~約3.5mmの範囲の平均直径を有する。いくつかの態様では、ビーズは2.38~約10mmの平均直径を有するが、追加の態様では、ビーズは2.38mm~約5mmの平均直径を有する。さらなる態様では、ビーズは、約2.3mm以上~約3.5mm、約2.38~約3.5mm、または約2.45mm~約3.5mmの範囲の平均直径を有する。さらなる態様では、ビーズは、約1mm~約5mm、2.3mm超~約5mm、3mm超~約5mm、約2.38mm、または約2.45mmの平均直径を有し得る。いくつかの態様では、ビーズは、Siを含むか、本質的にSiからなるか、またはSiからなり、2.38mmの平均直径を有し、BSAでブロッキングされる。いくつかの態様では、ビーズは、ホウケイ酸ガラスを含むか、本質的にホウケイ酸ガラスからなるか、またはホウケイ酸ガラスからなり、2.45mmの平均直径を有し、ブロッキングされない。いくつかの態様では、2.3mm以下の平均直径を有するビーズは、本発明から除外される。いくつかの態様では、2.3mm以下の平均直径を有するガラスビーズは、本発明から除外される。いくつかの態様では、3mm以下の平均直径を有するガラスビーズは、本発明から除外される。ビーズのサイズ分布は、ビーズの90%超が平均ビーズ直径の80~120%の間、または平均ビーズ直径の90~110%の間にあるように定義される。
【0096】
インキュベーション混合物に含まれるビーズの数は、インキュベーション混合物のサイズに応じて変更してもよい。いくつかの態様では、インキュベーション混合物は複数のビーズを含む。いくつかの態様では、インキュベーションは、インキュベーション混合物200μLあたり1つのビーズを含む。さらなる態様では、インキュベーション混合物は、1~10個、1~20個、1~100個、5~50個、20~100個または50~500個のビーズを含む。いくつかの態様では、インキュベーション混合物は単一のビーズを含む。
【0097】
いくつかの態様では、1つ以上のビーズの表面はタンパク質で「ブロッキングされる」。ビーズの表面をタンパク質でブロッキングすることは、ビーズの表面の全部または相当な部分の上にコーティングまたは層を提供することを指す。任意の適切な生体適合性タンパク質を使用して、ビーズの表面をコーティングすることができる。ビーズの表面のブロッキングでの使用に適したタンパク質は、BSAなどのアルブミンである。他の適切なブロッキングタンパク質としては、カゼインまたは粉乳が挙げられ得る。1つ以上のビーズは、1つ以上のビーズをタンパク質を含む溶液に浸漬することによってブロッキングすることができる。溶液は、PIPES、Tris-HCl、MES、MOPS、BES、TESおよびHEPESなどの水溶液および/または緩衝溶液であり得る。
【0098】
インキュベーション混合物は、適切なサイズの容器、例えば試験管内に保持される。適切な滅菌インキュベーション容器は、当業者に知られている。いくつかの態様では、インキュベート混合物は、複数のウェルを含むマルチウェルプレートに収容される。例えば、マルチウェルプレートは、96個のウェルを含むことができる。マルチウェルプレートのウェルは、100~1000μL、150~750μL、または200~350μLの容積を有することができる。一態様では、例えばビーズがSiビーズである場合では、容器は黒色底部96ウェルプレート(Costar 3916)である。一態様では、例えばビーズがホウケイ酸ガラスビーズである場合では、容器は透明底部96ウェルプレート(Costar 3603)である。
【0099】
いくつかの態様では、マルチウェルプレートの各ウェルは単一のビーズを含む。そのような態様の1つでは、マルチウェルプレートは、図16に示すビーズ分配装置10などのビーズ分配装置と共に使用することができる。装置10は、例えばELISAなど、マルチウェルプレート中のビーズを用いて実施される任意のアッセイ、または本明細書に記載および/もしくは特許請求されるものなどのPMCAアッセイにおいて使用することができる。図示の例では、装置10は、トレイ12、ゲート14、およびレセプタクルプレート18を含む。ゲート14は、図17および図18に示すように、トレイ12およびレセプタクルプレート18に対して移動可能である。これにより、図21図23に示すように、球状ビーズ20、例えば2.3mm超の平均直径を有するSiビーズをトレイ12に充填し、レセプタクルプレート18に個別に分配することが可能になる。
【0100】
図示例中のトレイ12は、概して長方形であり、対向する側面30、32は、対向する端部34、36の間で長手方向に伸びている。トレイ12の側面30、32および端部34、36は、周壁40の対応する部分によって画定される。パネル42は、取り囲む周壁40内のトレイ12の長さおよび幅全体に及ぶ。パネル42は、ビーズ開口49の配列を含む水平な上面46を有する。ビーズ開口49は、パネル42を貫通している。所与の例では、図17および図18に見られるように、平行な行および列の8×12の配列に96個のビーズ開口49がある。ビーズ出口51は、周壁40の角を貫通している。スロット53は、周壁40の1つ目の端部34を貫通している。
【0101】
ゲート14は、長方形のカードとして構成されている。スロット61は、ゲート14を貫通し、トレイ12のビーズ開口49の列と一致するように配置される。したがって、図示の例は、ゲート14を貫通する12個の平行なスロット61を有する。スロット61は、各々が一対の隣接するスロット61の間に位置するゲート14の遮断部64によって離間されている。
【0102】
レセプタクルプレート18は、トレイ12のビーズ開口の配列に対応するウェル71の配列を有する。この例では、レセプタクルプレート18は、ウェル71が8×12配列に配置されている既知の構成を有する、標準的な96ウェルELISAプレートである。
【0103】
使用の際に、トレイ12を図19に示すようにレセプタクルプレート18の上に配置する。次いで、トレイ12のビーズ開口49を、レセプタクルプレート18のウェル71上に垂直に合わせる。周壁40の下側スカート部分76は、レセプタクルプレート18の肩部分78上に載置される。スカート76は、パネル42がレセプタクルプレート18から上方に離間した位置でトレイ12を支持する。これは、ゲート14が周壁40の1つ目の端部34のスロット53を通って挿入されるための空間を提供する。挿入されたゲート14は、パネル42とレセプタクルプレート18との間に垂直に介在する。使用者は、ゲート14をスロット53の内側および外側にスライドさせて、図17および図18の位置の間でゲート14を前後に動かすことができる。パネル42は、図17および図18に示すように、パネル42を通してゲート14を見ることができるように、透明材料で形成することができる。
【0104】
ゲートが図17の位置にある場合、ゲート14の各遮断部64は、図20に示すように、トレイ12のビーズ開口49の対応する列の下に位置する。使用者は、不確定数のコーティングされたビーズ20をトレイ12上に注ぐことができ、その結果、ビーズ20は開口49の間でパネル42の上面46にわたって自由に転がり、ビーズ20の一部は、図21に示すように上面46から開口49内に転がる。図示の例では、各ビーズ開口49は、単一のビーズ20のみを受け入れるようなサイズになっている。次いで、使用者は、トレイ12を持ち上げて傾け、過剰なビーズ20を周壁40の出口通路51を通して上面46から転がして出すことができる。したがって、トレイ12には、図22に示すようにビーズ20が充填される。使用者がゲート14を図18の位置まで内側にスライドさせると、図23に示すように、ゲート14のスロット61がトレイ12の開口49の下に移動する。次いで、ビーズ20は開口49からスロット61を通ってウェル71内に落下し、各ウェル71は単一のビーズ20のみを受容する。
【0105】
出口開口51を通して過剰なビーズを除去することは、ゲート14が図18および図23の位置に移動したときに、単一のビーズ20のみが各ウェル71に落下されることを確保するのに役立つ。ビーズ20とゲート14との間の色のコントラストを有する透明なトレイパネル42はまた、単一のビーズ20のみの沈着を確実にするのに役立つ。例えば、装置10は、透明パネル42を通して見える白色ゲート14を含んで、より暗い色相のビーズ20をより明確に表示することができる。
【0106】
ビーズが適所に配置されたら、インキュベーション混合物を十分な時間インキュベートして、モノマーα-synタンパク質、および生物学的試料の可溶性ミスフォールドα-synからミスフォールドα-syn凝集体を形成する。インキュベーション混合物をインキュベートしてミスフォールドα-syn凝集体を形成した後、サイクルを繰り返す前に、インキュベーション混合物の少なくとも一部を脱凝集させる。
【0107】
本明細書で使用される場合、ミスフォールドα-synタンパク質の凝集体は、可溶性ミスフォールドα-synタンパク質を含むタンパク質の非共有結合性会合を指す。ミスフォールドα-synタンパク質の凝集体は、「脱凝集」、破壊、または粉砕されて、より小さな断片または凝集体、例えば可溶性ミスフォールドα-synタンパク質および断片化されたフィブリルを放出することができる。ミスフォールドα-synタンパク質凝集体種子の集合体の触媒活性は、混合物中の種子の数に少なくとも部分的に比例し得る。したがって、混合物中のミスフォールドα-synタンパク質の凝集体を粉砕して可溶性ミスフォールドα-synタンパク質および断片化フィブリル種子を放出すると、モノマーα-synタンパク質の凝集のための触媒活性の増加につながり得る。
【0108】
いくつかの態様では、インキュベーション混合物の脱凝集は、振盪、超音波処理、撹拌、凍結/解凍、レーザー照射、オートクレーブインキュベーション、高圧、均質化などから選択される1つ以上の種類の物理的粉砕を含み得る。振盪は、軌道撹拌などの周期的撹拌を含み得る。周期的攪拌は、約50回転/分(RPM)~10,000RPMで行われてもよい。周期的攪拌は、約200RPM~約2000RPMで行われてもよい。周期的攪拌は、約600~800RPMで行われてもよい。インキュベーション混合物の脱凝集は、各インキュベーションサイクル後に1回、約5秒~約10分間、約30秒~約1分間、約45秒~約1分間、約1分間等、行ってもよい。
【0109】
インキュベーション混合物をインキュベートする工程および脱凝集する工程は、試料の可溶性ミスフォールドα-synを増幅して検出可能な量のミスフォールドα-syn凝集体を得るのに十分な回数繰り返される。インキュベーション混合物をインキュベートし、次いでインキュベーション混合物を脱凝集する2つの工程は、本明細書ではインキュベーションサイクルと呼ばれる。インキュベーションサイクルは、約2回~約1000回、約5回~約500回、約50回~約500回、約150回~約250回等、繰り返されてもよい。インキュベーションサイクルの最終回では、インキュベーション混合物を分析する前に脱凝集工程を省略することが好ましい場合がある。
【0110】
インキュベーションサイクルは、約1分~約5時間、約10分~約2時間、約15分~約1時間、約25分~約45分などの時間行われてもよい。いくつかの態様では、インキュベーション混合物をインキュベートすること、およびミスフォールドα-syn凝集体の少なくとも一部を脱凝集させることは、0.3~1時間続くインキュベーションサイクルを含む。各インキュベーションサイクルは、約1分~約5時間のインキュベーションおよび約5秒~約10分の脱凝集;約10分~約2時間のインキュベーションおよび約30秒~約1分の脱凝集;約15分~約1時間のインキュベーションおよび約45秒~約1分の脱凝集;約25分~約45分のインキュベーションおよび約45秒~約1分の脱凝集;ならびに約1分のインキュベーションおよび約1分の物理的粉砕、の1つ以上でインキュベーション混合物を独立してインキュベートおよび脱凝集することを含み得る。
【0111】
生物学的試料
本明細書に記載の方法の態様は、対象から生物学的試料を得る工程を含み得る。本明細書で使用される「生物学的試料」は、ミスフォールドα-synタンパク質の検出のための分析に適した、対象からの任意の生物学的試料を含むことを意味する。適切な生物学的試料としては、体液、例えば血液関連試料(例えば、全血、血清、血漿、および他の血液由来試料)、尿、痰、唾液、尿、CSFなどが挙げられるが、これらに限定されない。生物学的試料の別の例は、組織試料である。α-synタンパク質は定量的または定性的に評価することができ、検出はインビトロまたはエクスビボのいずれかで決定することができる。
【0112】
方法は、生物学的試料を準備することまたは対象から得ることを含む。いくつかの態様では、方法は、対象から生物学的試料を得る工程を含む。生物学的試料は、針刺し、針生検、スワブなどを含む任意の公知の手段によって得ることができる。例示的な方法では、生物学的試料はCSF試料であり、例えば、針をくも膜下腔に挿入し、次いでCSFを抽出する腰椎穿刺によって得ることができる。
【0113】
いくつかの態様では、本発明の方法は、提供される生物学的試料に対して実施される。生物学的試料は、新鮮であっても貯蔵されてもよい。生物学的試料は、適切な組織保存条件下で貯蔵または保存され得るか、貯蔵または保存された。生物学的試料は、本明細書に記載のアッセイのために明示的に得られた生物学的試料、または本明細書に記載のアッセイのためにサブサンプリングされ得る別の目的のために得られた試料であり得る。好ましくは、生物学的試料は、それらが貯蔵される場合、試料の劣化を防ぐために収集直後に冷却または凍結される。例えば、CSF試料をポリプロピレンチューブに-80℃で貯蔵することができる。CSF試料は、液体窒素中で(「スナップ凍結」)、または試料を-80℃に保たれた環境(例えば、冷蔵室または冷凍庫)に置くことによって凍結され得る。
【0114】
生物学的試料は、必要に応じて適切な緩衝溶液中での希釈によって前処理されても、要望に応じて濃縮されても、または任意の数の方法、例えば、限定されないが超遠心分離、高速液体クロマトグラフィー(FPLC)もしくはHPLCによる分画、または硫酸デキストランによるタンパク質の沈殿または他の方法によって分画されてもよい。生理学的pHのいくつかの標準的な緩衝水溶液、例えばホスファート、Trisなどのいずれかを使用することができる。
【0115】
対象
用語「個体」、「対象」、および「患者」は、対象が任意の形態の治療を受けるか、または現在受けているかに関係なく、本明細書では互換的に使用される。本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、一般に、哺乳動物を含むがこれに限定されない任意の脊椎動物を指す。哺乳動物の例としては、サルおよびヒトを含む霊長類、ウマ科動物(例えば、ウマ)、イヌ科動物(例えば、イヌ)、ネコ科動物、様々な家畜(例えば、ブタ(swine)、ブタ(pig)、ヤギ、ヒツジなどの有蹄動物)、ならびに飼育ペット(例えば、ネコ、ハムスター、マウスおよびモルモット)が挙げられる。ヒト対象由来の生物学的試料の分析は特に興味深い。
【0116】
いくつかの態様では、対象は、PDを発症するリスク、PDを有するリスクがあるか、またはPDについて治療中であり得、α-synの調節不全、ミスフォールディング、凝集、または沈着に関連する疾患、例えばMSA、LBD、またはPAFを有するリスクがあり得、α-synの調節不全、ミスフォールディング、凝集または沈着に関連する疾患を有し得、α-synの調節不全、ミスフォールディング、凝集または沈着に関連する疾患の治療中などであり得る。別の実施形態では、対象は、アルツハイマー病を発症するリスクがあり得るか、またはα-synの調節不全、ミスフォールディング、凝集または沈着、ならびにAベータおよびタウなどの他のミスフォールドタンパク質種の凝集体に関連する神経変性疾患を発症するリスクがあり得る。
【0117】
可溶性ミスフォールドα-synタンパク質の存在を決定する
方法は、検出可能な量のミスフォールドα-syn凝集体が生物学的試料中に存在するかどうかを決定することを含み得る。ミスフォールドα-syn凝集体の検出は、生物学的試料中の可溶性ミスフォールドα-synの存在を示す。ミスフォールドα-syn凝集体を検出するプロセスは、各インキュベーションサイクル中または後に行うことができ、または所定数のインキュベーションサイクルの完了時に行うことができる。
【0118】
いくつかの態様では、方法は、インキュベーション混合物をタンパク質凝集指示薬と接触させて、検出可能な量のミスフォールドα-syn凝集体がインキュベーション混合物中に存在するかどうかを決定する工程を含む。タンパク質凝集指示薬は、ミスフォールドα-synタンパク質凝集体の存在下で表示状態を、ミスフォールドα-synタンパク質凝集体の非存在下で非表示状態を提示することを特徴とし得る。生物学的試料の可溶性ミスフォールドα-synタンパク質の存在を決定することは、ミスフォールドα-synタンパク質凝集体の指示薬の表示状態を検出することを含み得る。指示薬の表示状態および指示薬の非表示状態は、特定の指示薬に応じた蛍光、光吸収、または放射能の差異によって特徴付けることができる。生物学的試料中の可溶性ミスフォールドα-synタンパク質の存在を決定する工程は、使用される特定の指示薬に応じて蛍光、光吸収、または放射能の差異を検出する工程を含み得る。
【0119】
いくつかの態様では、方法は、モル過剰のタンパク質凝集指示薬を、インキュベーション混合物または検出混合物の一方または両方に接触させることを含み得る。モル過剰は、インキュベーション混合物中のα-synタンパク質モノマーおよび可溶性ミスフォールドα-synタンパク質の総モル量よりも多くてもよい。
【0120】
いくつかの態様では、タンパク質凝集指示薬は、ThT、コンゴレッド、m-I-スチルベン、クリサミンG、PIB、BF-227、X-34、TZDM、FDDNP、MeO-X-04、IMPY、NIAD-4、発光共役ポリチオフェン、緑色蛍光タンパク質および黄色蛍光タンパク質などの蛍光タンパク質との融合物、それらの誘導体などのうちの1つ以上を含み得る。適切なタンパク質凝集指示薬は、ThTである。
【0121】
様々な異なる方法を使用して、可溶性ミスフォールドα-synタンパク質を検出することができる。これらには、ウエスタンブロットアッセイ、ELISA、ThT結合アッセイ、コンゴレッド結合アッセイ、沈降アッセイ、電子顕微鏡法、原子間力顕微鏡法、表面プラズモン共鳴、分光法などの使用が含まれる。ELISAは、両側サンドイッチELISAを含み得る。分光法は、準光散乱分光法、マルチスペクトル紫外線分光法、共焦点二色蛍光相関分光法、フーリエ変換赤外分光法、分光検出を備えたキャピラリー電気泳動、電子スピン共鳴分光法、核磁気共鳴分光法、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)分光法などのうちの1つ以上を含み得る。
【0122】
いくつかの態様では、可溶性ミスフォールドα-synタンパク質を検出することは、検出混合物をプロテアーゼ、例えばプロテアーゼKまたはサーモリシンと接触させることを含む。可溶性ミスフォールドα-synタンパク質は、ウエスタンブロットアッセイまたはELISAのいずれかを使用して、配列ベースまたは抗ミスフォールドタンパク質の抗体を使用して検出することができる。
【0123】
いくつかの態様では、生物学的試料中の可溶性ミスフォールドα-synタンパク質の存在を決定することは、生物学的試料中の可溶性ミスフォールドα-synタンパク質の量を決定することを含む。試料中の可溶性ミスフォールドα-synタンパク質の量は、対照試料と比較して決定され得る。生物学的試料中の可溶性ミスフォールドα-synタンパク質の量は、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、および100%の少なくとも約1つまたは複数の感度および特異性で検出され得る。検出される試料中の可溶性ミスフォールドα-synタンパク質の量は、100nmol、10nmol、1nmol、100pmol、10pmol、1pmol、100fmol、10fmol、3fmol、1fmol、100attomol、10attomol、および1attomolの約1つ未満または複数であり得る。試料中の可溶性ミスフォールドα-synタンパク質の量は、モノマーα-synタンパク質に対するモル比で検出され得る。
【0124】
可溶性ミスフォールドα-synは、分析装置、例えばキット、または携帯型もしくは定置型のいずれかであり得る従来の実験装置などによって検出または測定することができる。いくつかの態様では、可溶性ミスフォールドα-synのレベルは、検出される可溶性ミスフォールドα-synの量を定量化するための分析を実施する際に、1つまたは複数の試料中の対応する内部標準のレベルと比較することができる。
【0125】
可溶性ミスフォールドα-synの存在および/またはレベルが決定されると、それは様々な方法で表示することができる。例えば、レベルは、数値もしくは比例棒(すなわち、棒グラフ)、または当業者に知られている任意の他の表示方法として表示器上にグラフィック表示することができる。グラフィック表示は、評価されている生物学的試料中の分散の量の視覚的表現を提供することができる。
【0126】
可溶性ミスフォールドα-synの濃縮
いくつかの態様では、方法は、試料、インキュベーション混合物および検出混合物の1つ以上の可溶性ミスフォールドα-synタンパク質を選択的に濃縮することを含み得る。いくつかの態様では、方法は、可溶性ミスフォールドα-synに特異的に結合する抗体を使用して生物学的試料をインキュベートする前に、試料中の可溶性ミスフォールドα-synを濃縮する工程をさらに含む。可溶性ミスフォールドα-synタンパク質を選択的に濃縮することは、インキュベーション混合物を形成する前に生物学的試料を前処理することを含み得る。可溶性ミスフォールドα-synタンパク質を選択的に濃縮する工程は、インキュベーション混合物をインキュベートする前にインキュベーション混合物を前処理することを含み得る。可溶性ミスフォールドα-synタンパク質を選択的に濃縮する工程は、インキュベーション混合物を可溶性ミスフォールドα-synに特異的に結合する抗体と接触させて、捕捉された可溶性ミスフォールドα-synタンパク質を形成することを含み得る。
【0127】
抗体は、抗体の相補性決定領域の生物学的分析物のエピトープへの親和性の結果としての、特異的結合のために設計される。抗体は、抗体が標的構造またはそのサブユニットに優先的に結合するが、標的構造ではない生物学的分子には実質的により低い程度で結合するかまたは結合しない場合、「特異的に結合する」。いくつかの態様では、抗体は、10-8M~10-11Mの特異的親和性で可溶性ミスフォールドα-synに特異的に結合する。いくつかの態様では、抗体または抗体断片は、10-7M超、10-8M超、10-9M超、10-10M超、または10-11M、10-8M-10-11M、10-9M-10-10M、および10-10M-10-11Mの特異的親和性で可溶性ミスフォールドα-synに結合する。一態様では、特異的活性は、Ausubel FM(1994)に記載されている競合結合アッセイを使用して測定される。分子生物学における現行のプロトコルChichester:John Wiley and Sons(「Ausubel」)、参照によって本明細書に組み込まれている。
【0128】
可溶性ミスフォールドα-synに特異的に結合する抗体は、α/β-syn N-19;α-syn C-20-R;α-syn 211;α-syn Syn 204;α-syn 2B2D1;α-syn LB 509;α-syn SPM451;α-syn 3G282;α-syn 3H2897;α/β-syn Syn 202;α/β-syn 3B6;α/β/γ-syn FL-140などのうちの1つ以上を含み得る。1つ以上のα-syn特異的抗体は、α/β-syn N-19;α-syn C-20-R;α-syn 211;α-syn Syn 204などのうちの1つ以上を含み得る。そのような抗体は、以下の通り入手することができる:α/β-syn N-19(カタログ番号SC-7012、Santa Cruz Biotech,Dallas,Tex);α-syn C-20-R(SC-7011-R);α-syn 211(SC-12767);α-syn Syn 204(SC-32280);α-syn 2B2D1(SC-53955);α-syn LB 509(SC-58480);α-syn SPM451(SC-52979);α-syn 3G282(SC-69978);α-syn 3H2897(SC-69977);α/β-syn Syn 202(SC-32281);α/β-syn 3B6(SC-69699);およびα/β/γ-syn FL-140(SC-10717)。1つ以上のα-syn特異的抗体は、α-synのアミノ酸配列に特異的な抗体および可溶性ミスフォールドα-synタンパク質の立体配座に特異的な抗体の1つ以上を含み得る。1つ以上のα-syn特異的抗体は、固相に結合され得る。
【0129】
固相は、常磁性粒子(例えば、酸化鉄)およびマルチウェルプレートのうち1つ以上を含み得る。例えば、ELISAプレートを、生物学的試料からα-synを捕捉するために使用される抗体でコーティングすることができる。抗体コーティングELISAプレートを生物学的試料とインキュベートしてもよく、未結合材料を洗い流してもよく、濃縮試料に対してPMCA反応を行ってもよい。抗体は、粒子(例えば、Dynabeads)にも結合され得る。粒子を患者試料とインキュベートし、生物学的試料の残りの部分からα-syn-抗体複合体を分離するために使用することができる。
【0130】
いくつかの態様では、生物学的試料中の可溶性ミスフォールドα-synを濃縮する方法は、超遠心分離を含み得る。可溶性ミスフォールドα-synは、高速遠心分離を使用して生物学的試料からペレット化することができる。次いで、得られたペレットを緩衝液に再懸濁し、本出願に記載の方法のいずれかを使用して分析する。遠心分離工程は、例えばサルコシル、Tween-20、Tritonなどの界面活性剤を使用してもよい。
【0131】
α-syn凝集に関連する疾患の診断方法
別の態様は、対象におけるα-syn凝集に関連する疾患(すなわち、シヌクレイノパチー)を診断する方法を提供する。方法は、生物学的試料をモノマーα-synタンパク質および約1mm~約5mm、2.3mm超~約5mm、3mm超~約5mm、約2.38mm、または約2.45mmの平均直径を有する1つ以上のビーズと接触させて、インキュベーション混合物を形成すること;インキュベーション混合物をインキュベートして、モノマーα-synタンパク質および生物学的試料の可溶性ミスフォールドα-synからミスフォールドα-syn凝集体を形成すること;ミスフォールドα-syn凝集体の少なくとも一部を脱凝集させること;インキュベートおよび脱凝集の工程を試料の可溶性ミスフォールドα-synを増幅するのに十分な回数繰り返して、検出可能な量のミスフォールドα-syn凝集体を得ること;検出可能な量のミスフォールドα-syn凝集体が試料中に存在するかどうかを決定することを含み、ここでミスフォールドα-syn凝集体の検出は、対象がα-syn凝集に関連する疾患を有することを示す。方法は、生物学的試料中の可溶性ミスフォールドα-synタンパク質の量を所定の閾値量と比較することによって、対象におけるα-syn凝集に関連する疾患の存在を決定または診断することを含み得、閾値量よりも高いレベルは、対象におけるα-syn凝集に関連する疾患の診断をもたらす。
【0132】
例えば、PDの診断のための1つの方法は、PDを有することが臨床的に疑われる対象から試料を得ること、および試料を3連で本明細書中に記載されるPMCAアッセイに、健康な対照と共に供することを含む。陽性試料は、約440nmでの励起後の約490nmでのThT蛍光が5,000相対蛍光単位(RFU)を超えるものとみなされる。5,000RFUを超えるThT蛍光を反復試験で示さない、または1回のみ示す場合、対象はPD陰性とみなされる。5,000RFUを超えるThT蛍光を反復試験で2回示す場合、対象はPD不確定とみなされる。不確定な結果である場合、試料を三連で再試験して、最終的な結果を得ることを試みてもよい。5,000RFUを超えるThT蛍光を反復試験の3回すべてで示す場合、対象はPD陽性とみなされる。本明細書に記載の方法では、90%超の症例において、PD試験陽性が臨床的にPDが疑われる試料と相関する。別の例では、1つ以上のアルゴリズムを使用して、PD試験陽性を臨床的にPDが疑われる試料に関連づけることができる。アルゴリズムは、米国仮特許出願第63/073,420号および米国仮特許出願第63/073,424号に見出すことができ、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0133】
タンパク質ミスフォールディング障害(PMD)には、アルツハイマー病(AD)、PD、2型糖尿病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、全身性アミロイドーシス、プリオン病などが含まれる。PMDには、α-syn凝集に関連する疾患も含まれる。異なるタンパク質のミスフォールド凝集体が形成され、蓄積し得る。ミスフォールド凝集体は、いくつかの影響の中でとりわけ、細胞機能障害および組織損傷を誘発し得る。いくつかの態様では、α-syn凝集に関連する疾患はPDであり、さらなる態様では、α-syn凝集に関連する疾患はLBD、MSA、またはPAFである。
【0134】
方法は、生物学的試料中の可溶性ミスフォールドα-synタンパク質の検出に基づいて、対象のPDを診断することを含み得る。α-synミスフォールディングおよび凝集は、PD病因に関連することが示されている。Sahayら、Curr Protein Pept Sci.,18(7):656-676(2017).PDの診断はまた、生物学的試料中の可溶性ミスフォールドα-synタンパク質の量を対照対象から採取した対照試料と比較して、可溶性ミスフォールドα-synタンパク質のレベルを健康な対象に存在するものに対して決定することを含み得る。方法は、生物学的試料中の可溶性ミスフォールドα-synタンパク質の存在に従って、対象におけるα-syn凝集に関連する疾患の存在を決定または診断することを含み得る。方法は、生物学的試料中の可溶性ミスフォールドα-synタンパク質の存在に従って、PD、MSA、LBDまたはPAFの存在をそれ自身で、または対象において決定または診断することを含み得る。
【0135】
いくつかの態様では、試料は、PDの臨床徴候を示さない対象から採取され得る。他の態様では、生物学的試料は、PDの臨床徴候を示す対象から採取され得る。PDの最も認識可能な症状は、運動関連機能障害である。しかしながら、さらなる症状には、自律神経機能障害、精神神経障害(気分、認知、行動または思考の変化)、感覚機能障害(特に、嗅覚の変化)、および睡眠障害が含まれる。
【0136】
いくつかの態様では、方法は、α-syn凝集に関連する疾患を有すると診断された対象をα-syn調節療法で治療することを含む。様々な機構を介してα-syn恒常性を標的とするいくつかの新規治療法が現在開発中である。α-syn調節療法は、例えば、適切な阻害剤を用いてα-synの凝集を阻害するα-synの生成を阻害すること、能動または受動免疫療法アプローチなどを含み得る。α-syn恒常性を標的とする治療的アプローチは、PD01A+もしくはPD03A+などの能動免疫化、またはPRX002、BIIB054、ATV:aSyn、ABBV-0805もしくはMEDI1341などの受動免疫化を含み得る。α-syn調節療法はまた、患者の免疫応答を刺激してα-syn凝集体を除去する方法を含み得る。可溶性ミスフォールドα-synの存在を検出するための本明細書に記載の方法を使用して、どの患者がα-syn調節療法で治療され得るかを決定することができる。現在、PDは治癒しないが、レボドパ、ドーパミンアゴニストおよびモノアミンオキシダーゼB阻害剤などの様々な薬物がPDの運動症状の治療に有用である。
【0137】
いくつかの態様では、方法を使用して、対象におけるシヌクレイノパチーの治療を監視する。生物学的試料は、α-syn調節療法下の対象からある期間にわたって異なる時間に採取され得る。方法は、対象が一定期間にわたる可溶性ミスフォールドα-synタンパク質の変化によるα-syn調節療法に反応するか、または一定期間にわたる可溶性ミスフォールドα-synタンパク質の恒常性によるα-syn調節療法に無反応であるかを決定または診断することを含み得る。方法は、α-syn調節療法に反応すると判定された対象をα-syn調節療法で治療することを含み得る。
【0138】
キット
別の態様は、生物学的試料中の可溶性ミスフォールドα-synの存在を決定するためのキットを提供する。キットは、既知量のモノマーα-synタンパク質;既知量のタンパク質凝集指示薬;インキュベーション混合物をインキュベートするための容器;緩衝組成物;約1mm~約5mm、2.3mm超~約5mm、3mm超~約5mm、約2.38mm、または約2.45mmの平均直径を有する1つ以上のビーズ;および本明細書に記載の可溶性ミスフォールドα-synを検出する方法の実施を使用者に指導する説明書を含む。キットはまた、キットの構成要素を保持するための包装を含むべきである。
【0139】
キットは、試薬を、1つ以上の別個の組成物として、または場合により試薬の適合性が可能にする混合物として保持する1つ以上の容器を有する包装を含む。キットは、緩衝液、標識剤、対照、およびα-synの検出を実施するために必要な任意の他の材料をさらに含み得る。キットはまた、対象から試料を得るためのツール、例えば腰椎穿刺を行うための皮下注射針を含むことができる。
【0140】
キットはまた、キットを使用して、対象のシヌクレイノパチーの治療を誘導する方法を実施するための説明書を含み得る。いくつかの態様では、シヌクレイノパチーはPDである。キットに含まれる説明書は、包装材料に添付することができ、または添付文書として含めることができる。説明書は、通常、書面または印刷物であるが、これらに限定されない。そのような説明書を格納し、それらをエンドユーザに伝達することができる任意の媒体が、本開示によって企図される。そのような媒体には、電子記憶媒体(例えば、磁気ディスク、テープ、カートリッジ、チップ)、光学媒体(例えば、CD-ROM)などが含まれるが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、「説明書」という用語は、説明書を提供するインターネットサイトのアドレスを含むことができる。
【0141】
説明書は、容器内で生物学的試料を既知量のモノマーα-synタンパク質および1つ以上のビーズと接触させて、インキュベーション混合物を形成すること;インキュベーション混合物をインキュベートして、モノマーα-synタンパク質および生物学的試料の可溶性ミスフォールドα-synからミスフォールドα-syn凝集体を形成すること;ミスフォールドα-syn凝集体の少なくとも一部を脱凝集させること;インキュベートおよび脱凝集の工程を生物学的試料の可溶性ミスフォールドα-synを増幅するのに十分な回数繰り返して、検出可能な量のミスフォールドα-syn凝集体を得ること;およびインキュベーション混合物を既知量のタンパク質凝集指示薬と接触させて、検出可能な量のミスフォールドα-syn凝集体が生物学的試料中に存在するかどうかを決定することを使用者に指示する。ミスフォールドα-syn凝集体の検出は、生物学的試料中の可溶性ミスフォールドα-synの存在を示す。
【0142】
様々な態様では、キットは、既知量のモノマーフォールドα-synタンパク質、およびミスフォールドα-synタンパク質の既知量の指示薬を含み得る。キットは、ビーズ分配装置、複数のウェルを含むマルチウェルプレート、マイクロ流体プレート、振盪装置、インキュベート装置、および蛍光測定装置の1つ以上を含み得、1つ以上の個々のプレートもしくは装置として、または組み合わせデバイスとして含まれる。例えば、振盪マイクロプレート読み取り装置を使用して、インキュベーションおよび振盪のサイクルを実施し、実験の経過中にThT蛍光発光を自動的に測定することができる(例えば、FLUOstar OPTIMA,BMG LABTECH Inc.,Cary,N.C.)。
【0143】
本発明の特定の実施形態およびその関連する利点をより明確に説明するための例が含まれている。しかしながら、本発明の範囲内には多種多様な他の態様があり、これらは本明細書で提供される特定の例に限定されるべきではない。
【0144】

例1:PD患者のCSF中のα-syn種子を検出するための高速α-syn PMCA(αS-PMCA)
例を実施して、モノマータンパク質の自己凝集を回避または軽減しながら、対象から得られた試料からのα-synの迅速な検出を容易にする条件を示した。これらの例の結果を図2図9に示す。
【0145】
特に記述されない限り、図2図9に示すデータを生成するために使用したαS-PMCA反応条件は、160μLのPMCA混合物(100mM PIPES-NaOH pH6.5[Sigma、カタログ番号80635-50G]、500mM NaCl[Lonza、カタログ番号51202]、10μM ThT[Sigma、カタログ番号T3516-25G]、および0.3mg/ml(19.6μM)の配列番号2(rec-αS)、および40μLのCSFを含んでいた。Siビーズを反応に使用して、凝集を加速させた。ビーズの直径は2.38mmであった。
【0146】
アッセイを96ウェルELISAプレート[Corning、カタログ番号3916]で組み立てた。1つのビーズを各ウェルに添加し、プレートを突き刺し可能な光学フィルム[Excel Scientific、カタログ番号XP-100]で覆い、アッセイを準備しながら交差汚染を回避した。すべてのPMCA反応物をプレートにピペットで入れた後、突き刺し可能な光学フィルムを取り外し、蛍光適合性フィルムを使用してプレートを覆った(Applied Biosystems、カタログ番号4311971)。
【0147】
プレートを、振盪し、インキュベートし、蛍光を自動的に読み取る装置であるFLUOstar(登録商標)Omegaマイクロプレートリーダー[BMG]に移した。プレートを800rpmで1分間軌道的に振盪し、読み取り(440~10励起および490~10発光)、37℃でインキュベートした。プレートを29分毎に1分間振盪し、これが30分のαS-PMCAサイクルを構成する。ビーズを含有する高速アッセイ用に200サイクルを実施し(100時間、約4日間)、ビーズを含有しない低速アッセイの600サイクル(300時間、約12日間)と比較した。
【0148】
実験で使用したビーズは、均一な圧縮(3.25g/cm)による極めて高密度の純粋なSi材料から作製した。ビーズは高精度「グレード3」であり、真球度における正確な円形から3/1,000,000インチの純粋なSiセラミックボールであることを意味する。
【0149】
Abcam合成種子はPMCAにおいて非常に迅速に凝集し、それらをαS凝集体モデルとして使用して、aCSF中の播種凝集の加速を評価した。図2A図2Eを参照されたい。種子を40μLのaCSFに添加して、内因性αS種子を含有するCSF試料(例えば、ヒトPD-CSFから)を模倣した。合成種子の急速な凝集を考えると、それらの凝集における小規模の加速は、αS種子を担持するヒトCSFへの実質的な加速を示す。
【0150】
図2Aは、ビーズを用いない1mg/mLの基質を示す。20fgのAbcam種子の播種凝集が10時間後に始まり、自己凝集はなかった(種子のない対照は凝集を示さない)。PMCA反応に0.4mm超のビーズを含めると、自己凝集が誘導された(図2B図2C、および図2D)。ビーズが大きいほど、Ab種子(20fg)の凝集は速くなる。0.4mmビーズは、播種凝集を促進する効果を有さないようであった(図2A図2E)。0.4mmのビーズは取り扱いが非常に困難であり、これ以上使用しなかったが、PMCAに有害な影響を及ぼさないようであった(すなわち、自己凝集がなかった)。
【0151】
図3Aは、ビーズを用いない1mg/mLの基質を示す。1.5mmビーズを添加すると、種子のない対照の自己凝集を誘導した(図3B)。自己凝集を減少させるために、rec-αSの濃度を0.5および0.1mg/mLに減少させた。0.5mg/ml、および1.5mmビーズを使用した場合(図3C)、1mg/mlと比較して自己凝集の減少があったが、20fgではやはり10時間前に凝集が始まった。0.1mg/mlを使用した場合(図3D)、自己凝集はなかったが、20fg凝集の加速もないか、またはビーズなしの場合(図3A)と比較して不十分であった。さらに、0.1mg/mlを使用した場合、陽性と対照との間の蛍光の差(約50,000RFU)(図3D)は、0.5mg/mlを使用した場合(約150,000RFU)(図3A)よりも小さかった。
【0152】
αS-PMCAアッセイをさらに加速するために、温度を42℃まで上げる効果を評価した。ビーズを省いた場合(図4A)、50時間で自己凝集が始まり、約15時間で20fgの播種凝集が始まった。0.8mmのビーズを1つ添加した後(図4B)、20fgの凝集は速くなったが、自己凝集も40時間まで加速した。自己凝集は、基質の0.1mg/mlへの減少、およびより大きなビーズの使用によって劇的に減少した(図4C)。
【0153】
以前の結果は、ビーズが大きくなるとαS-PMCAへの効果がより重大になることを示唆した。したがって、マトリックスとしてヒト対照CSFを使用して増幅を評価した。播種および種子なし対照それぞれに関して、水で希釈した20fgのAbcam αS種子をCSFに添加した(図5A)。これらの条件において、異なるサイズのビーズを37℃で評価した。1mg/mlの基質では、ビーズなし対照(図5A)と比較して、2.38mmビーズ(図5C)のみが播種凝集の加速を示したが、0.8mmビーズは効果を示さなかった(図5B)。種子なし対照がすべて平坦であるという事実によって証明されるように、ヒトCSFの使用によって自己凝集が減少した(図5A図5C)。0.1mg/mlでは、より大きなビーズが播種凝集を加速し、凝集勾配を増加させることが確認された(図5D図5F)。しかしながら、シグナルは1mg/mlと比較して低かった。
【0154】
2つの異なる濃度の基質(0.1および0.3mg/ml)を使用して、より高い温度、より大きなビーズ、およびより高い振盪を組み合わせた。PMCAは、Siビーズをウェルあたり1つのビーズで使用して、組換えAbcam α-syn種子を42℃、800rpm、1分間オンおよび29分間オフを使用して、aCSFを使用して実施した。aCSF中の播種凝集は、0.1mg/ml(図6A図6C)よりも0.3mg/ml(図6D図6F)を使用した場合の方が速かった。
【0155】
aCSFを使用して、0.3mg/mlの基質、42℃、800rpmおよび2.38mmビーズを使用して実験を繰り返した。20fgの種子は、aCSFにスパイクされた場合、10時間までは陽性であったが(図7A)、種子なし対照は40時間後に蛍光のわずかな増加を示した。ヒト対照CSFも使用して、これらのαS-PMCA条件を評価した。20fgの種子が10時間で凝集し始めたが、種子を含まない対照CSFはほぼ100時間平らなままであった(図7B)。
【0156】
次の工程は、1.5mm、2mm、および2.38mmのSiビーズを使用して、PD CSF試料中のヒト内因性αS種子を評価することであった(図8A)。PD試料は、60時間までは3つすべてのビーズで凝集した。比較として、低速アッセイ条件(以下に定義する)でより速く凝集するPD試料は100~150時間かかり、PD試料の平均は150~250時間で凝集する(図8C)。
【0157】
異なる対照CSF試料を使用して自己凝集を評価した(図8B)。先の対照CSFと同様の結果(図7B)が得られた。2.38mmビーズは、80時間後に非常に低い自己凝集シグナルを示した。
【0158】
温度を37℃に戻すことによって、対照試料は平坦なままであったが、PD試料は50時間まで陽性であった(図9Aおよび図9B)。アッセイを42℃で実行した場合、PD CSF試料の最大凝集の50%に達する時間(T50)は35時間であったが、37℃でのT50は41時間であった。したがって、温度を下げることによる自己凝集の排除で生じたPD-CSF試料の凝集の遅延は、わずか6時間であった。
【0159】
例2:「低速」および「高速」PMCAを使用して得られた結果の比較
低速(SA)および高速(FA)PMCAアッセイを使用して得られた結果を比較するために実験を行った。明確にするために、SAおよびFAを以下に定義する。
【表1】
【0160】
139の非特定化CSF試料、6つの健常対照プールCSF試料、および6つのPDプールCSF試料を、SAおよびFA αS-PMCAアッセイを使用して並行して分析した。この直接比較には、同じ基質、同じ消耗品ロット、および同じ試薬を使用した。PMCAは、両方のケースにおいて3連で行った。59のPD試料があり、FAは51を陽性として検出し、SAは36を検出した。60の対照試料のうち、SAは56の陰性を特定し、FAは52を陰性として特定した(米国仮特許出願第63/073,424号明細書に記載されているアルゴリズムを使用して57)。
【0161】
試料のいくつかは、SAを使用した場合にT50に関して変動性を示したが(図10B)、FAにおいて3回の反復試験は非常に一貫しているように見える(図10A)。SAでかろうじて陽性であった1つの試料(図11B)は、FAで陽性として迅速に検出された(図11A)。さらに、シグナルおよび完全な曲線によって、SAよりもFAにおいてはるかに確実にこの試料をPDとして特定することができる。SAで陰性としてカウントされた1つのPDサンプル(図12B)は、実際に、FAで強陽性として正しく特定された(図12A)。このような試料は、FAがSAと比較して低い検出限界または全体的な高い感度を有することを強く示唆する。図13BはSAの変動性を示し、プラトーに達しないか、または非典型的な凝集曲線を描く曲線を示している。一方、FA(図13A)は、分析されたPD CSFの3回すべての反復試験において、再現性のある完全な典型的凝集曲線を示す。
【0162】
図9図13に記載のプロジェクトのデータ分析(139の試料)は、表Iに示すように得られた。FAアルゴリズムは、米国仮特許出願第63/073,424号に記載されている。
【表2】
【0163】
例3:ブロッキングされたビーズを使用したα-syn種子検出のための高速α-syn PMCA(αS-PMCA)
【0164】
合理的な濃度の基質を使用し、完全な凝集曲線を生成して速度論パラメータを抽出し、より低速のPMCAアッセイよりも速く、計測およびワークフローに関してスケールアップすることができるアッセイが現在開発されている。方法は、0.3mg/ml(19.6μM)の組換えα-Sを使用し、150時間実行し、凝集曲線の全体を記録し(完全な勾配およびプラトー)、30分毎に1分間振盪し、これは、1つの機器が一度に8~9プレートで実行できることを意味する。重要な特徴は、ブロッキングされた2.38mmのSiビーズを含むことである。
ビーズは、最初にビーズ供給会社であるBC Precisionから入手した。いくつかのサイズのビーズを比較し、例1に記載されているように、2.38mmのビーズで最も速い凝集が生じることが分かった。具体的には、ビーズは、重量0.00081863オンス/0.0232gのグレード5、3/32インチ/2.38125mmのSiセラミックボールであった。45のCSF試料を、BC Precisionのこれらの2.38mのSiビーズ(BCビーズ)を使用して評価し、いくつかの実行は予想される結果を示すが、他のいくつかは示さない(表1B、列1)ことが分かった。ロット番号B21のビーズをほとんどの実験に使用し、対照試料のほぼ50%が自己凝集を示し、試料の16.7%が不確定であることが分かった。別のロット番号B37を使用して、少数の試料を評価し、これらのビーズの不適切さを確認した。分析した3つの試料のうち、2つは陽性であり、1つは不確定であった(表1B、列2)。理論に拘束されることを意図するものではないが、ビーズが振盪効率を上げ、PD-CSF中に存在するα-S凝集体の成長を加速するのでPD試料がより速く凝集すると考えられる。対照ドナーの場合では、CSF中にα-S凝集体は存在せず、これは、ビーズがデノボ種子の核形成を加速することを意味する。振盪は既に形成された種子の断片化を加速するので、種子のデノボ形成は、ビーズと反応の成分との表面相互作用で説明できる。自己凝集の問題を解決するために、例4に記載されるように、BSAの水溶液を使用してビーズの表面をブロッキングした。
【0165】
【表1A】

【表1B】
【0166】
例4:水中のBSAでブロックしたBCビーズ
水中のBSAでブロッキングされたBCビーズを使用して133の試料を分析し、89.5%の感度および94.3の特異性に達した(表1B、列7)。これは、ブロッキングされていないB21ビーズ(表1B、列4)と比較して実質的な改善であり、特異性の改善は44.3%である。再現性は、同じビーズの他のロット(B33、B36、B37)を同じアッセイ条件で使用することによって評価した。主な問題は自己凝集であったため、対照試料のみを分析した。ブロッキングしたB37(表1C、列10)は、ブロッキングしないB37ビーズ(表1B、列5)と比較して実質的な改善を示した。ブロッキングしたB36 BCビーズは、非常に類似した結果を示した(表1C、列9)。しかしながら、ロットB33の性能は非常に低かった(表1C、列8)のは、対照試料の66%が自己凝集を示し、したがって陽性(偽陽性)または不確定のいずれかに分類されたためである。
【0167】
【表1C】
【0168】
ビーズを、BSAのPIPES溶液(100mMのPIPES中1% BSA、pH6.50)(表1C;表1D)でブロッキングした。この新しいブロッキング手順は、B37ビーズを使用した場合に自己凝集を大幅に減少させた(表1D、列13)。これらのB37ビーズは、水中のBSAでのブロッキングで許容レベルまで既に機能したが(表1C、列10)、PIPES中のBSAでブロッキングした場合、不確定試料の数は11.1%から0%に減少した。B33ビーズは、PIPES中のBSAでブロッキングした場合でさえも機能しなかった。これは、ブロッキングによって固定され得なかったB33のいくつかの独特な特徴があることを示している。
【0169】
ビーズ製造業者であるツバキ・ナカシマ(TN)は、十分な品質ドキュメンテーションおよび厳格な仕様で高品質のSiビーズを製造している。BC precisionのグレード5ビーズよりも丸みがあり滑らかなグレード3ビーズを使用した。TNはまた、Si原料の品質がASTMに従うことを明記している。BSA-PIPESブロッキングはB37の自己凝集を効果的に減少させたので(ブロッキングなし、または水中でのブロッキングと比較して)、αS-PMCAアッセイのためのTNビーズをブロッキングするために使用した(表1D、列14、表1E 列15~17)。B41、B46、およびB47は、同一の製造ロットの異なる購入品である。610の試料を分析し、高い感度および特異性が達成され、不確定結果は8%のみであった。2つのさらなる製造ロットB44およびB45-B48-B49(これら3つは同じ製造ロットの3つの購入品である)を評価した。対照試料のみを評価に使用した場合、これらの2つのさらなる製造ロットは、B41-B46-B47と一致して自己凝集を示さなかった。
【表1D】

【表1E】
【0170】
例5:ブロッキングしたSiビーズの使用とブロッキングしないホウケイ酸ガラスビーズの使用との比較
図14A図14B図15A、および図15Bに示すデータを生成するために使用したαS-PMCA反応条件は、160μLのPMCA混合物(100mM PIPES-NaOH pH6.5[Sigma、カタログ番号80635-50G]、500mM NaCl[Lonza、カタログ番号51202]、10μM ThT[Sigma、カタログ番号T3516-25G]、および0.3mg/ml(19.6μM)の配列番号2(rec-αS)、および40μLのCSFを含んでいた。
【0171】
Siビーズを使用した場合は、ビーズをインキュベーション混合物と接触させる前に、pH6.5を有する100mM PIPES緩衝液中の1% BSAでビーズをブロッキングした。ブロッキングしたビーズを、pH6.5を有する100mM PIPESで2回洗浄した。ビーズの直径は2.38mmであった。
【0172】
ホウケイ酸ガラスビーズを使用した場合は、ビーズをブロッキングしなかった。ビーズの直径は2.45mmであった。
【0173】
図14A図14Bは、PD CSF試料(PD)および3つの対照に対して2つの異なるビーズタイプを使用した例の結果を示す。したがって、BSAでブロッキングした2.38mmのSiビーズを使用した例示的な結果を示す。PD試料は約75時間陽性であったが、3つの対照はすべて陰性であった。図14Bは、ブロッキングしていない2.45mmホウケイ酸ガラスビーズを使用した例の結果を示す図である。PD試料は約170時間陽性であったが、3つの対照はすべて陰性であった。
【0174】
図15A図15Bは、異なるドナー(PD1およびPD2)からの2つのPD CSF試料に対して2つの異なる種類のビーズを使用した例の結果を示す。グラフは、患者あたり3回の反復試験の平均を示す。ブロッキングした2.38mmのSiビーズ(図15A)またはブッキングしない2.45mmのホウケイ酸ガラスビーズ(図15B)のいずれかを使用した場合、両方のPD試料は陽性であった。Siビーズを用いると、PD2は約40時間で、PD1は約50時間で凝集を開始した。凝集曲線は非常に再現性があり、プラトーは非常に一貫した蛍光値を示す。2.45mmのホウケイ酸ガラスビーズを使用した場合、PD2およびPD1についてそれぞれ10時間および25時間、凝集が遅延した。
【0175】
例5:サルコシルのFA条件への追加
図24Aおよび図24Bに示すデータを生成するために使用したαS-PMCA反応条件は、160μLのPMCA混合物(100mM PIPES-NaOH pH6.5[Sigma、カタログ番号80635-50G]、500mM NaCl[Lonza、カタログ番号51202]、10μM ThT[Sigma、カタログ番号T3516-25G]、および0.3mg/ml(19.6μM)の配列番号2(rec-αS)、および40μLのCSFを、1X PBS中0.1% w/vのサルコシル濃度と共に含んでいた。
【0176】
図24Aは、例示的な高速アッセイ(BSAでブロッキングされた2.38mmのSiビーズをウェルあたり1つのビーズで使用して、組換えα-syn種子を37℃、800rpm、1分間オンおよび29分間オフで使用)に1X PBS中0.1% w/vのサルコシル濃度を含めた例の結果を示す。A)はPDを有する対象から得られたCSFに対して実施されたPMCAの凝集を表す蛍光を示し、B)は対照CSF試料を使用して得られた結果を示す。図24Aは、1日以内での陽性結果、著しい加速を示した。
【0177】
本明細書に引用されたすべての特許、特許出願、および刊行物、および電子的に利用可能な資料の完全な開示は、参照により組み込まれる。上記の詳細な説明および例は、理解を明確にするためにのみ与えられている。そこから不必要な制限が理解されるべきではない。本発明は、表示および記載された正確な詳細に限定されず、当業者に明らかな変形例は、特許請求の範囲によって定義される本発明内に含まれる。
【配列表フリーテキスト】
【0178】
配列表1~19 <223>合成
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24A
図24B
【配列表】
2022547279000001.app
【国際調査報告】