(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-11
(54)【発明の名称】油水二重冷却の電気駆動アセンブリ及び新エネルギー自動車
(51)【国際特許分類】
H02K 9/19 20060101AFI20221104BHJP
F16H 57/04 20100101ALI20221104BHJP
【FI】
H02K9/19 Z
F16H57/04 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022514173
(86)(22)【出願日】2019-10-29
(85)【翻訳文提出日】2022-03-01
(86)【国際出願番号】 CN2019114070
(87)【国際公開番号】W WO2021042466
(87)【国際公開日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】201910828484.1
(32)【優先日】2019-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511268454
【氏名又は名称】ジン-ジン エレクトリック テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユー ピン
(72)【発明者】
【氏名】リー ジエンウェン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン シュードン
【テーマコード(参考)】
3J063
5H609
【Fターム(参考)】
3J063AA04
3J063AB01
3J063AC03
3J063BA15
3J063CA01
3J063CB41
3J063CD41
3J063CD65
3J063XH02
3J063XH03
3J063XH04
3J063XH12
3J063XH13
3J063XH22
3J063XH42
5H609BB19
5H609PP02
5H609PP05
5H609PP17
5H609QQ04
5H609QQ05
5H609QQ08
(57)【要約】
本発明には、新エネルギー自動車の減速機が高速で動作し続けるときの放熱問題を解決した、油水二重冷却の電気駆動アセンブリ及び新エネルギー自動車が開示されている。電気駆動アセンブリは、モータ組立体、減速機組立体、水冷組立体、及び油冷組立体を含む。本発明に開示された油冷組立体は、3つの油冷通路を有しており、減速機内の潤滑油をモータの前部巻線及び後部巻線に導入でき、モータの冷却性能を向上させると同時に、モータ軸のオイルシールをキャンセルし、駆動アセンブリのコストを低下させ、伝動効率を向上させる。本発明に開示された水冷組立体は、水冷組立体によってモータウォータージャケットを介してモータハウジングの冷却を実現するとともに、減速機底部の放熱器によって減速機ハウジング内の潤滑油の冷却を実現しており、新エネルギー減速機が高速で動作し続けるときの放熱問題を解決し、さらに、ギア及びベアリングの寿命及び信頼性を向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油水二重冷却の電気駆動アセンブリであって、
前記電気駆動アセンブリが、モータ組立体、減速機組立体、水冷組立体、及び油冷組立体を含み、
前記モータ組立体が、モータハウジング、モータ軸、及びステータを含み、
前記減速機組立体が、減速機ハウジング、減速機用第1回転軸を含み、
前記減速機ハウジングがモータハウジングの後端に設けられており、
前記水冷組立体が、モータウォータージャケット及び放熱器を含み、
前記モータウォータージャケットが前記モータハウジングに設けられ、
前記モータウォータージャケットの上部に第1水入口が設けられ、
前記モータウォータージャケットの下部の後端に第1水出口が設けられ、
前記放熱器が前記減速機ハウジングの下端に設けられ、
前記放熱器の前端及び後端にそれぞれ第2水入口及び第2水出口が設けられており、
前記油冷組立体が、油送り装置、油送り通路及び返油通路を含み、
前記油送り装置が減速機ハウジングの底部に設けられ、
前記油送り通路が前記モータハウジング及び前記減速機ハウジングの内部キャビティに連通され、
前記返油通路がモータハウジングの底部に設けられている、
ことを特徴とする油水二重冷却の電気駆動アセンブリ。
【請求項2】
前記油送り装置が1つ又は複数のギアであり、及び/又は、
前記油送り装置が1つ又は複数のノズルである、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気駆動アセンブリ。
【請求項3】
前記油送り通路が第1油送り通路を含み、
前記第1油送り通路が、第1油入口、第1油通路、モータ前端油通路、モータ前端軸内穴を含み、
前記第1油入口が、前記モータハウジングの上方における減速機ハウジングの前端面に設けられ、
前記第1油通路が、モータハウジングの上方に設けられ、かつ、
前記モータ前端油通路及び前記モータ前端軸内穴に連通されており、
前記モータ前端軸内穴の底部に第1排出油穴が開設されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気駆動アセンブリ。
【請求項4】
前記第1排出油穴が少なくとも2つであり、それぞれ前記モータ軸の前端ベアリングの前側及び後側に設けられており、
後側の第1排出油穴が前記ステータの前部巻線に対応している、
ことを特徴とする請求項3に記載の電気駆動アセンブリ。
【請求項5】
前記油送り通路が第2油送り通路を含み、
前記第2油送り通路が、第2油入口、減速機用第1回転軸の軸内穴、及び第2排出油穴を含み、
前記第2油入口が前記減速機用第1回転軸の後端に設けられ、
前記減速機用第1回転軸が前記モータ軸と同軸に設けられ、
前記第2排出油穴が前記モータ軸の後端ベアリングの前部に設けられ、かつ、
前記第2排出油穴の位置が前記ステータの後部巻線に正対している、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気駆動アセンブリ。
【請求項6】
前記油送り通路が第3油送り通路を含み、
前記第3油送り通路が、モータ軸の後端ベアリングによって形成された油通路である、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気駆動アセンブリ。
【請求項7】
前記油送り通路の油入口、前記減速機ハウジングの底部、及び前記モータ軸の後端ベアリングの前側に、それぞれ、強磁性体が設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気駆動アセンブリ。
【請求項8】
前記水冷組立体が、減速機ハウジングの前端に設けられた中間通路又は水管をさらに含み、
前記中間通路又は水管が、前記第1水出口及び前記第2水入口に連通されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気駆動アセンブリ。
【請求項9】
前記放熱器が前記減速機ハウジングと一体的に鋳造成形されるか、又は、
前記放熱器が前記減速機ハウジングの底部に取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気駆動アセンブリ。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の油水二重冷却の電気駆動アセンブリを含む、
ことを特徴とする新エネルギー自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気駆動アセンブリの製造分野に関し、具体的に、油水二重冷却の電気駆動アセンブリ及び新エネルギー自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
石油不足、大気汚染、国家エネルギー安全などの問題が深刻化する中、新エネルギー自動車産業が急速に進んでおり、その中でも新エネルギー自動車のコアコンポーネントの1つとして、モータ減速機駆動アセンブリは、新エネルギー自動車産業のレイアウトに重要な影響を及ぼす。新エネルギー自動車用モータ減速機駆動アセンブリは、高回転速度及び高パワー密度という特徴を有すると同時に、信頼性、冷却、潤滑等の面にも高い要求が求められている。現在、モータの冷却は主に、ウォータージャケット内の循環冷却液によってステータを冷却するが、巻線は、直接冷却されるのではなく、自然の放熱によって冷却されるため、モータは最大パワーで長時間動作できず、また、減速機の冷却は、空冷による放熱とされ、冷却効果が悪く、特に高回転速度帯で動作するときに温度の上昇が速く、内部部品の早期故障の原因となりやすい。
【0003】
同時に、車両全体の航続距離及び性能に対するエンドユーザの要求が継続的に高まっており、電気駆動システムには、良好な動力性能とスムーズ度の両方が求められており、トルク密度を高めながら、市場進化のニーズを満たす効率的な冷却システムを設計することが差し迫っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記問題に鑑みて、本発明は、上記の既存の技術的問題を解消するか、又は少なくとも部分的に解決するために、油水二重冷却の電気駆動アセンブリ及び新エネルギー自動車を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の技術案は、以下のように実現される。
【0006】
本発明の1つの局面では、油水二重冷却の電気駆動アセンブリが提供されている。前記油水二重冷却の電気駆動アセンブリは、モータ組立体、減速機組立体、水冷組立体、及び油冷組立体を含み、前記モータ組立体が、モータハウジング、モータ軸、及びステータを含み、前記減速機組立体が、減速機ハウジング、減速機用第1回転軸を含み、前記減速機ハウジングがモータハウジングの後端に設けられており、
前記水冷組立体が、モータウォータージャケット及び放熱器を含み、前記モータウォータージャケットが前記モータハウジングに設けられ、前記モータウォータージャケットの上部に第1水入口が設けられ、前記モータウォータージャケットの下部の後端に第1水出口が設けられ、前記放熱器が前記減速機ハウジングの下端に設けられ、前記放熱器の前端及び後端にそれぞれ第2水入口及び第2水出口が設けられており、
前記油冷組立体が、油送り装置、油送り通路及び返油通路を含み、前記油送り装置が減速機ハウジングの底部に設けられ、前記油送り通路が前記モータハウジング及び前記減速機ハウジングの内部キャビティに連通され、前記返油通路がモータハウジングの底部に設けられている。
【0007】
また、前記油送り装置が1つ又は複数のギアであり、及び/又は、前記油送り装置が1つ又は複数のノズルであってもよい。
【0008】
また、前記油送り通路が第1油送り通路を含み、前記第1油送り通路が、第1油入口、第1油通路、モータ前端油通路、モータ前端軸内穴を含み、前記第1油入口が、前記モータハウジングの上方における減速機ハウジングの前端面に設けられ、前記第1油通路が、モータハウジングの上方に設けられ、かつ、前記モータ前端油通路及び前記モータ前端軸内穴に連通されており、前記モータ前端軸内穴の底部に第1排出油穴が開設されていてもよい。
【0009】
また、前記第1排出油穴が少なくとも2つであり、それぞれ前記モータ軸の前端ベアリングの前側及び後側に設けられており、前記後側排出油穴が前記モータのステータの前部巻線に対応していてもよい。
【0010】
また、前記油送り通路が第2油送り通路を含み、前記第2油送り通路が、第2油入口、減速機用第1回転軸の軸内穴、及び第2排出油穴を含み、前記第2油入口が前記減速機用第1回転軸の後端に設けられ、前記減速機用第1回転軸が前記モータ軸と同軸に設けられ、前記第2排出油穴が前記モータ軸の後端ベアリングの前部に設けられ、かつ、前記第2排出油穴の位置が前記モータのステータの後部巻線に正対していてもよい。
【0011】
また、前記油送り通路が第3油送り通路を含み、前記第3油送り通路が、モータ軸の後端ベアリングによって形成された油通路であってもよい。
【0012】
また、前記油送り通路の油入口、前記減速機ハウジングの底部、及び前記モータ軸の後端ベアリングの前側に、それぞれ、強磁性体が設けられていてもよい。
【0013】
また、前記水冷組立体が、減速機ハウジングの前端に設けられた中間通路又は水管をさらに含み、前記中間通路又は水管が、前記第1水出口及び前記第2水入口に連通されていてもよい。
【0014】
また、前記放熱器が前記減速機ハウジングと一体的に鋳造成形されるか、又は、前記放熱器が前記減速機ハウジングの底部に取り付けられていてもよい。
【0015】
本発明のもう1つの局面では、上記のいずれか1項に記載の油水二重冷却の電気駆動アセンブリを含む新エネルギー自動車が提供されている。
【発明の効果】
【0016】
本発明に開示された油水二重冷却の電気駆動アセンブリの技術案は、以下の利点を有する。
【0017】
本発明の電気駆動アセンブリは、モータ軸の高速オイルシールをキャンセルしており、部品の数を減らし、コストを低減すると同時に、オイルシールの摩擦損失を回避し、アセンブリの効率を向上させている。
【0018】
本発明に開示された油冷組立体は、減速機内の潤滑油を、複数の通路を介してモータの前部巻線及び後部巻線に導入することで、モータの巻線の温度を下げて、モータを最大パワーで長時間動作できるようにしている。
【0019】
本発明の水冷組立体は、モータのステータの冷却液を減速機の放熱器に導入して、減速機の潤滑油を冷却し、減速機が高回転速度下で良好な放熱性能を有することを保証している。
【0020】
上記の説明は、本発明の技術案の概要に過ぎず、本発明の技術手段をより明らかに理解して、それらを明細書の内容に従って実施することができるように、また、本発明の上記及び他の目的、特徴及び利点をより容易に理解するために、以下、特に本発明の具体的な実施形態を例示する。
【0021】
以下の好ましい実施形態の詳細な説明を読むことにより、様々な他の利点及びメリットが当業者にとって明らかになる。図面は、好ましい実施形態を例示するためのものだけであり、本発明を制限するものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施例における油水二重冷却電気駆動アセンブリの構造模式図である。
【
図2】本発明の一実施例における油水二重冷却電気駆動アセンブリの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の例示的な実施例をさらに詳しく説明する。本発明の例示的な実施例が図面に示されているが、本発明は、様々な形態で実現可能であり、ここに記載の実施例によって制限されないことを理解すべきである。むしろ、これらの実施例は、本発明がよりよく理解され、本発明の範囲が当業者に完全に伝えられるように提供されるものである。
【0024】
本発明の技術案をより明確に説明するために、
図1の左側を前端又は前側、右側を後端又は後側と規定する。
【0025】
-実施例1-
図1及び
図2に示すように、本発明の実施例1に係る油水二重冷却の電気駆動アセンブリが開示されている。前記油水二重冷却の電気駆動アセンブリは、モータ組立体、減速機組立体、水冷組立体、及び油冷組立体を含み、モータ組立体が、モータハウジング、モータ軸及びステータを含み、ステータに巻線が設けられており、減速機組立体が、減速機ハウジング6、減速機用第1回転軸を含み、減速機ハウジング6がモータハウジングの後端に設けられている。減速機ハウジング及びモータハウジングの接続構造については、
図1及び
図2を参照可能である。
【0026】
本発明の当該実施例による水冷組立体が、モータウォータージャケット1及び放熱器13を含み、モータウォータージャケット1がモータハウジングに外装されており、モータウォータージャケット1の上部に第1水入口4が設けられ、モータウォータージャケット1の後端の下方に第1水出口26が設けられ、放熱器13が減速機ハウジング6の下端に設けられ、放熱器13の前端及び後端にそれぞれ第2水入口29及び第2水出口14が設けられている。そのうち、放熱器がモータウォータージャケットに連通可能であり、管路又は減速機ハウジング内に設けられた通路を介して、モータウォータージャケット内の冷却液が放熱器内に導入され、冷却液が循環した後に車両の貯液タンクに還流される。もちろん、放熱器及びモータウォータージャケットがそれぞれ管路を介して車両の貯液タンクに接続されてもよい。
【0027】
本発明の当該実施例による油冷組立体は、油送り装置12、油送り通路及び返油通路21を含み、油送り装置12が減速機ハウジング6の底部に設けられ、返油通路21がモータハウジングの底部に設けられている。油送り装置12は、減速機ハウジングの底部の潤滑油を掻き上げたり、跳ね上げたり又は噴射させたりすることができるため、潤滑油が油送り通路に送入され、油送り通路は、減速機ハウジング6内の潤滑油をモータハウジング内に送ることができるため、モータの油冷及び潤滑が実現され、そして、返油通路21は、潤滑油を減速機ハウジング内に還流させることができるため、潤滑油の1回の循環が実現される。
【0028】
そのうち、前記潤滑油が油送り通路の内部に容易に入るように、前記油送り通路の入口に、サイフォンポート又は油収容装置が設けられていてもよい。
【0029】
さらに、一実施例において、油送り装置12が1つ又は複数のギアであり、及び/又は、油送り装置が1つ又は複数のノズルである。前記油送り装置が1つ又は複数のギアであってもよく、ギアは、潤滑油を跳ね上げることができ、これにより、油の送りが実現され、また、油送り装置が、油を通路内に噴入するノズルであってもよく、もちろん、油送り装置が、油の移動を駆動する他の装置であってもよい。
【0030】
1つの好ましい実施例において、当該油送り通路が第1油送り通路を含み、第1油送り通路が、第1油入口7、第1油通路15、モータ前端油通路16、モータ前端軸内穴18を含み、第1油入口7がモータハウジングの上方に位置する減速機ハウジング6の前端面に設けられており、第1油通路15が、モータハウジングの上方に設けられ、かつ、モータ前端油通路16及びモータ前端軸内穴18に連通されており、モータ前端軸内穴18の底部に第1排出油穴19,20が開設されている。
【0031】
本実施例において、前記第1油送り通路が主に、モータハウジングの上部にある第1油通路15を含み、当該第1油通路15がモータ主軸に平行してもよいし、モータハウジングの上部にらせん状に設けられてもよい。また、第1油通路がモータウォータージャケットの内部に設けられてもよいし、モータウォータージャケットの外部に設けられてもよく、これにより、油のさらなる冷却が実現され、その後、重力の作用により第1油通路15内の潤滑油がモータ前端油通路内に送られ、さらに、潤滑油がモータ前端軸内穴に流入される。
【0032】
当該実施例において、前記第1油通路及びモータ前端油通路がモータハウジングにおける内蔵通路として鋳造されてもよいし、外付けの油管であってもよく、油管による接続であれば、ハウジングにおける複雑な油通路構造が回避され、ハウジングの鋳造の難しさが低減されると同時に、車両全体でのレイアウトが容易になる。
【0033】
さらに、第1排出油穴19,20が少なくとも2つであり、それぞれモータ軸の前端ベアリング17の前側及び後側に設けられており、後側の排出油穴20がモータのステータの前部巻線2に対応している。第1油送り通路によって送られた潤滑油がモータの前端ベアリング17及びステータの前部巻線2のコイルの冷却を実現するために、モータ前端軸に第1排出油穴19,20が少なくとも2つ又は2組設けられ、それぞれモータ軸の前端ベアリング17の前側及び後側に設けられており、当該前側排出油穴19が油を前端ベアリング17に導入でき、当該後側排出油穴20がステータの前部巻線2に正対するものであってもよく、モータ軸が回転すると、遠心力の作用により、モータ前端軸内穴における潤滑油が第1排出油穴19,20から飛び出し、これにより、巻線の冷却が実現される。
【0034】
一実施例において、油送り通路が第2油送り通路をさらに含み、第2油送り通路が、第2油入口11、減速機用第1回転軸の軸内穴28、及び第2排出油穴23を含み、第2油入口11が減速機用第1回転軸の後端に設けられ、減速機用第1回転軸がモータ軸と同軸に設けられ、第2排出油穴23がモータ軸の後端ベアリング9の前側に設けられ、かつ、第2排出油穴23の位置がモータのステータの後部巻線3に正対している。
【0035】
当該第2油送り通路が、モータ主軸と同軸に設けられた減速機用第1回転軸を介して、潤滑油をモータハウジング内に送るものであり、そのうち、当該減速機用第1回転軸が中空であり、かつ、少なくともモータ軸における、ステータの後部巻線3にある位置まで延在する。同様に、遠心力の作用により、潤滑油が第2排出油穴23から飛び出し、これにより、モータのステータの後部巻線3の冷却が実現される。
【0036】
当該実施例において、モータ軸と減速機用第1回転軸とは同軸に設計され、伝動の効率を向上させ、電気駆動アセンブリ構造を簡素化し、設計及び製造のコストを低減している。
【0037】
一実施例において、油送り通路が第3油送り通路を含み、第3油送り通路がモータ軸の後端ベアリング25によって形成された油通路である。第3油送り通路が、モータ軸の後端ベアリングを冷却及び潤滑するための通路である。
【0038】
好ましくは、油送り通路の油入口、減速機ハウジング6の底部、及びモータ軸の後端ベアリング25の前側に、それぞれ、強磁性体5,10,24,30が設けられている。強磁性体を設ける目的は、潤滑油における鉄くずを吸着することで、潤滑油を浄化し、ベアリングへの損傷を減らすことにある。
【0039】
一実施例において、水冷組立体が、減速機ハウジング6の前端に設けられた中間通路又は水管をさらに含み、中間通路又は水管が第1水出口26及び第2水入口29に連通されている。減速機ハウジングに設けられた中間通路又は設けられ水管によって、モータウォータージャケット及び放熱器13の直列接続が実現される。
【0040】
一実施例において、放熱器13が減速機ハウジング6と一体的に鋳造成形されてもよいし、放熱器13が独立の部品と見なされて減速機ハウジング6の底部に取り付けられてもよい。
【0041】
要約すると、本発明には、油水二重冷却の電気駆動アセンブリが開示されている。前記電気駆動アセンブリは、モータ組立体、減速機組立体、水冷組立体及び油冷組立体を含み、前記モータ組立体が、モータハウジング、モータ軸、及びステータを含み、前記減速機組立体が、減速機ハウジング、減速機用第1回転軸を含み、前記減速機ハウジングがモータハウジングの後端に設けられており、前記水冷組立体が、モータウォータージャケット及び放熱器を含み、前記モータウォータージャケットが前記モータハウジングに設けられ、前記モータウォータージャケットの上部に第1水入口が設けられ、前記モータウォータージャケットの後端の下方に第1水出口が設けられ、前記放熱器が前記減速機ハウジングの下端に設けられ、前記放熱器の前端及び後端にそれぞれ第2水入口及び第2水出口が設けられており、前記油冷組立体が、油送り装置、油送り通路及び返油通路を含み、前記油送り装置が減速機ハウジングの底部に設けられ、前記返油通路がモータハウジングの底部に設けられている。当該技術案では、油冷組立体の複数の通路を介して減速機内の潤滑油をモータの前部巻線及び後部巻線に導入しており、モータの冷却性能を向上させると同時に、モータ軸のオイルシールをキャンセルし、駆動アセンブリのコストを低下させ、伝動効率を向上させることができている。そして、当該技術案では、水冷組立体によってモータウォータージャケットを介してモータハウジングの冷却を実現するとともに、減速機の底部の放熱器によって減速機ハウジング内の潤滑油の冷却を実現することができ、新エネルギー減速機が高速で動作し続けるときの放熱問題を解決し、さらに、ギア及びベアリングの寿命及び信頼性を向上させることもできている。
【0042】
-実施例2-
本発明の実施例には、さらに、上記のいずれか1項に記載の油水二重冷却の電気駆動アセンブリを含む新エネルギー自動車が開示されている。
【0043】
上記したのは、あくまでも本発明の具体的な実施形態であり、本発明の保護範囲はこれに限定されない。本発明に開示された技術的範囲内で当業者によって容易に想到され得るあらゆる変更又は置換は、全て本発明の保護範囲内に含まれるものとする。従って、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲の保護範囲に基づくべきである。
【符号の説明】
【0044】
1 モータウォータージャケット
2 モータの前部巻線
3 モータの後部巻線
4 第1水入口
5 強磁性体
6 減速機ハウジング
7 第1油入口
8 減速機カバー
9 後端ベアリング
10 強磁性体
11 第2油入口
12 油送り装置
13 放熱器
14 第2水出口
15 第1油通路
16 モータ前端油通路
17 前端ベアリング
18 モータ前端軸内穴
19 前側の第1排出油穴
20 後側の第1排出油穴
21 返油通路
22 モータ軸
23 第2排出油穴
24 強磁性体
25 中間ベアリング
26 第1水出口
27 返油口
28 第一回転軸の軸内穴
29 第2水入口
30 強磁性体
【国際調査報告】