(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-11
(54)【発明の名称】金属検出デバイス及びその動作方法
(51)【国際特許分類】
A61B 90/00 20160101AFI20221104BHJP
A61B 34/30 20160101ALI20221104BHJP
A61B 1/018 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
A61B90/00
A61B34/30
A61B1/018 515
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515006
(86)(22)【出願日】2020-07-31
(85)【翻訳文提出日】2022-05-02
(86)【国際出願番号】 US2020044649
(87)【国際公開番号】W WO2021050174
(87)【国際公開日】2021-03-18
(32)【優先日】2019-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522086401
【氏名又は名称】メルツィ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】クラウソン,ルーク,ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ニューウェル,マシュー,バーンズ
(72)【発明者】
【氏名】ルイス,ニコラス,ジー.
(72)【発明者】
【氏名】レイ,マイケル,エー.
(72)【発明者】
【氏名】アダムス,ジェシー,ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ウェプリン,サミュエル,エー.
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161GG15
(57)【要約】
開示されるのは、患者の体内にある磁気的特徴を有する残留手術物品又は他の物体を検出するための方法及びデバイスである。このデバイスは、ハンドルと、ハンドルから延出しているシャフトと、シャフトの遠位に位置決めされた遠位検知部と、を備えることができる。遠位検知部は、複数の磁力計を含む1つ以上のグラジオメータを含むことができる。デバイスは更に、検出された物体についてユーザに通知するユーザ出力を発生するように構成された1つ以上の出力コンポーネントを含むことができる。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルと、
前記ハンドルから延出しているシャフトと、
前記シャフトの遠位に位置決めされた遠位検知部であって、
第1の近位磁力計及び第2の近位磁力計を含む近位グラジオメータと、
第1の遠位磁力計及び第2の遠位磁力計を含む遠位グラジオメータと、
を含む遠位検知部と、
検出された物体についてユーザに通知するユーザ出力を発生するように構成された出力コンポーネントと、
1つ以上のプロセッサ及びメモリユニットを含むマイクロコントローラと、を備えた金属検出デバイスであって、前記1つ以上のプロセッサは、
前記第1の近位磁力計、前記第2の近位磁力計、前記第1の遠位磁力計、及び前記第2の遠位磁力計から取得された磁場測定値から差分信号を計算し、
前記計算された差分信号に信号フィルタ及び微分のうち少なくとも1つを適用して検出信号を取得し、
前記検出信号を閾値と比較し、
前記検出信号が前記閾値を上回っている場合、前記ユーザ出力を発生するよう前記出力コンポーネントに命令する、
ための前記メモリユニットに記憶された命令を実行するようにプログラムされている、金属検出デバイス。
【請求項2】
前記信号フィルタは高域フィルタ及び低域フィルタのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の金属検出デバイス。
【請求項3】
前記第1の近位磁力計、前記第2の近位磁力計、前記第1の遠位磁力計、及び前記第2の遠位磁力計は、それぞれがx軸とy軸を有する2軸磁力計である、請求項1に記載の金属検出デバイス。
【請求項4】
前記第1の近位磁力計及び前記第2の近位磁力計の各々は少なくとも+x軸と+y軸を含み、前記第1の近位磁力計の前記+x軸は前記第2の近位磁力計の前記+x軸の反対方向に向けられ、前記第1の近位磁力計の前記+y軸は前記第2の近位磁力計の前記+y軸の反対方向に向けられている、請求項3に記載の金属検出デバイス。
【請求項5】
前記第1の遠位磁力計及び前記第2の遠位磁力計の各々は少なくとも+x軸と+y軸を含み、前記第1の遠位磁力計の前記+x軸は前記第2の遠位磁力計の前記+x軸の反対方向に向けられ、前記第1の遠位磁力計の前記+y軸は前記第2の遠位磁力計の前記+y軸の反対方向に向けられている、請求項3に記載の金属検出デバイス。
【請求項6】
前記第2の遠位磁力計及び前記第1の近位磁力計の各々は少なくとも+x軸と+y軸を含み、前記第2の遠位磁力計の前記+x軸は前記第1の近位磁力計の前記+x軸の反対方向に向けられ、前記第2の遠位磁力計の前記+y軸は前記第1の近位磁力計の前記+y軸の反対方向に向けられている、請求項3に記載の金属検出デバイス。
【請求項7】
前記第1の近位磁力計及び前記第2の近位磁力計の前記軸のうち少なくとも1つは前記第1の遠位磁力計及び前記第2の遠位磁力計の前記軸のうち少なくとも1つと直交していない、請求項3に記載の金属検出デバイス。
【請求項8】
前記遠位検知部は更に、
前記第1の近位磁力計及び前記第2の近位磁力計が結合されている近位剛性プリント回路基板(PCB)と、
前記第1の遠位磁力計及び前記第2の遠位磁力計が結合されている遠位剛性PCBと、
前記近位剛性PCBと前記遠位剛性PCBとの間に配置され、前記近位剛性PCBを前記遠位剛性PCBに接続している遠位可撓性回路と、
を含み、前記遠位剛性PCBは前記遠位可撓性回路を中心として前記近位剛性PCBに対してねじれ角だけ角度的に回転されている、請求項1に記載の金属検出デバイス。
【請求項9】
前記ねじれ角は約45度である、請求項8に記載の金属検出デバイス。
【請求項10】
前記ねじれ角は約60度である、請求項8に記載の金属検出デバイス。
【請求項11】
前記ねじれ角は約30度である、請求項8に記載の金属検出デバイス。
【請求項12】
前記第1の近位磁力計及び前記第2の近位磁力計の軸は前記第1の遠位磁力計及び前記第2の遠位磁力計の軸に対して位置合わせされているか又は直交している、請求項3に記載の金属検出デバイス。
【請求項13】
前記遠位検知部はセンサ筐体で覆われており、前記センサ筐体は筐体直径を有し、前記筐体直径は約3.0mmから約10.0mmの間である、請求項1に記載の金属検出デバイス。
【請求項14】
前記筐体直径は約5.0mmである、請求項13に記載の金属検出デバイス。
【請求項15】
前記センサ筐体は約40.0mmから約50.0mmの間の筐体長寸法を有する、請求項13に記載の金属検出デバイス。
【請求項16】
前記マイクロコントローラは前記ハンドル内に収容されている、請求項1に記載の金属検出デバイス。
【請求項17】
前記遠位検知部は1つ以上の演算増幅器を更に含み、前記1つ以上の演算増幅器は、前記第1の近位磁力計、前記第2の近位磁力計、前記第1の遠位磁力計、及び前記第2の遠位磁力計のうち少なくとも1つからの未加工の出力信号が前記ハンドル内の前記マイクロコントローラのアナログデジタル変換器(ADC)又はADCコンポーネントに送信される前に、そのような信号を増幅するよう構成されている、請求項1に記載の金属検出デバイス。
【請求項18】
前記遠位検知部を前記シャフトに結合している可撓部を更に備え、前記可撓部は屈曲可能であると共に、真っすぐの構成と屈曲構成を含み、前記可撓部が前記屈曲構成にある場合に前記遠位検知部は前記シャフトに近付いて位置付けられる、請求項1に記載の金属検出デバイス。
【請求項19】
前記可撓部は部分的に熱可塑性エラストマで作製されている、請求項18に記載の金属検出デバイス。
【請求項20】
前記可撓部は部分的にPebax(登録商標)で作製されている、請求項18に記載の金属検出デバイス。
【請求項21】
前記ハンドルは、前記可撓部の屈曲を制御するように構成された引き金を更に含み、前記引き金は、前記シャフト及び前記可撓部を通って延出しているプルケーブルによって前記可撓部に接続され、前記引き金を引くと前記プルケーブルが引っ張られて前記可撓部を前記シャフトの方へ屈曲させる、請求項18に記載の金属検出デバイス。
【請求項22】
前記ハンドルは、前記引き金に結合された引き金ポテンショメータを更に含み、前記マイクロコントローラの前記1つ以上のプロセッサは、前記引き金ポテンショメータから取得されたデータに基づいて引き金速さを決定するための命令を実行するようにプログラムされている、請求項21に記載の金属検出デバイス。
【請求項23】
前記シャフトは前記シャフトの縦軸に対して回転可能である、請求項1に記載の金属検出デバイス。
【請求項24】
前記ハンドルは前記シャフトに結合されたクロックリングを更に含み、前記シャフトは前記クロックリングの回転に応じて回転可能である、請求項1に記載の金属検出デバイス。
【請求項25】
前記ハンドルは更にロックリングを含み、前記ロックリングは、前記クロックリングが回転するのを妨害するように構成された複数のロックスプラインを含み、前記クロックリングは、遠位方向に押されることで前記ロックリングの前記ロックスプラインから前記クロックリングを解放するように構成され、前記クロックリングは前記遠位方向に押された後に回転可能になる、請求項24に記載の金属検出デバイス。
【請求項26】
前記遠位検知部を覆っているセンサ筐体内へ平行移動すると共に前記センサ筐体外へ後退して前記金属検出デバイスの機能性を検証するように構成された試験棒を更に備える、請求項1に記載の金属検出デバイス。
【請求項27】
前記試験棒は部分的にばねチューブ内に収容され、前記ばねチューブは前記シャフトと前記シャフトを前記遠位検知部に結合している可撓部とを通って延出し、前記可撓部は、前記ハンドル上の引き金が引かれた場合に可撓部遠位端が前記シャフトの方へ屈曲するように屈曲可能であり、前記ばねチューブは、前記引き金が解放された場合に前記可撓部を付勢して、屈曲していない構成に戻すよう構成されている、請求項26に記載の金属検出デバイス。
【請求項28】
前記ばねチューブは部分的にポリエチレンテレフタレートで作製されている、請求項27に記載の金属検出デバイス。
【請求項29】
前記ハンドルは更に試験棒スライダを含み、前記試験棒スライダは、前記試験棒を前記シャフト内で軸方向に平行移動させるため遠位に又は近位に作動されるよう構成されている、請求項26に記載の金属検出デバイス。
【請求項30】
前記ハンドルは、前記試験棒スライダの一部に歯車を介して結合されたスライダポテンショメータを更に含み、前記マイクロコントローラの前記1つ以上のプロセッサは、前記スライダポテンショメータから取得されたデータに基づいてスライダ位置を決定するための別の命令を実行するようにプログラムされ、前記スライダ位置は、前記第1の近位磁力計、前記第2の近位磁力計、前記第1の遠位磁力計、及び前記第2の遠位磁力計のうち少なくとも1つに対する前記試験棒の相対的な位置決めを示す、請求項29に記載の金属検出デバイス。
【請求項31】
前記マイクロコントローラの前記1つ以上のプロセッサは、前記金属検出デバイスの操作性を試験するため、前記試験棒が、前記第1の近位磁力計、前記第2の近位磁力計、前記第1の遠位磁力計、及び前記第2の遠位磁力計のうち少なくとも1つに近接して位置決めされた場合、前記閾値を調整するための別の命令を実行するようにプログラムされている、請求項26に記載の金属検出デバイス。
【請求項32】
前記試験棒は部分的に強磁性金属で作製されている、請求項26に記載の金属検出デバイス。
【請求項33】
前記ハンドルは感度ホイールを含み、前記マイクロコントローラの前記1つ以上のプロセッサは、前記感度ホイールの回転に応じて前記閾値を調整するための別の命令を実行するようにプログラムされている、請求項1に記載の金属検出デバイス。
【請求項34】
前記ハンドルは、前記感度ホイールに結合された感度回転式ポテンショメータを更に含み、前記マイクロコントローラの前記1つ以上のプロセッサは、前記感度回転式ポテンショメータから取得されたデータに基づいてホイール回転方向を決定するための命令を実行するようにプログラムされている、請求項33に記載の金属検出デバイス。
【請求項35】
前記マイクロコントローラの前記1つ以上のプロセッサは、前記ホイール回転方向に基づいて、計算された前記差分信号に前記信号フィルタ又は前記微分を適用するための別の命令を実行するようにプログラムされている、請求項34に記載の金属検出デバイス。
【請求項36】
前記マイクロコントローラの前記1つ以上のプロセッサは、前記ホイール回転方向に基づいて前記閾値を調整するための別の命令を実行するようにプログラムされている、請求項34に記載の金属検出デバイス。
【請求項37】
前記遠位検知部は、3軸加速度計及び3軸ジャイロスコープを含む慣性測定ユニットを更に含み、前記マイクロコントローラの前記1つ以上のプロセッサは、前記3軸加速度計から取得された加速度データ及び前記3軸ジャイロスコープから取得された回転データに基づいて前記閾値を調整するための別の命令を実行するようにプログラムされている、請求項1に記載の金属検出デバイス。
【請求項38】
前記ハンドルは、3軸加速度計及び3軸ジャイロスコープを含む慣性測定ユニットを更に含み、前記マイクロコントローラの前記1つ以上のプロセッサは、前記3軸加速度計から取得された加速度データ及び前記3軸ジャイロスコープから取得された回転データに基づいて前記閾値を調整するための別の命令を実行するようにプログラムされている、請求項1に記載の金属検出デバイス。
【請求項39】
前記遠位検知部は遠位発光ダイオード(LED)を含み、前記ハンドルは近位LEDを含み、前記遠位LED及び前記近位LEDのうち少なくとも1つは前記出力コンポーネントの一例であり、前記遠位LED及び前記近位LEDのうち前記少なくとも1つによって放出される光は前記ユーザ出力の一例である、請求項1に記載の金属検出デバイス。
【請求項40】
前記ハンドルはスピーカを含み、前記スピーカによって伝達される音声は前記ユーザ出力の一例である、請求項1に記載の金属検出デバイス。
【請求項41】
前記遠位検知部はセンサ筐体内に収容され、前記センサ筐体及び前記シャフトは患者の体内での体内検出を可能とするため生体適合性材料で作製されている、請求項1に記載の金属検出デバイス。
【請求項42】
前記シャフトは部分的に強磁性金属で作製されている、請求項1に記載の金属検出デバイス。
【請求項43】
前記センサ筐体は部分的にチタン及びポリマー材料のうち少なくとも1つで作製されている、請求項13に記載の金属検出デバイス。
【請求項44】
前記第1の近位磁力計、前記第2の近位磁力計、前記第1の遠位磁力計、及び前記第2の遠位磁力計のうち少なくとも1つは、異方性磁気抵抗(AMR)センサである、請求項1に記載の金属検出デバイス。
【請求項45】
前記第1の近位磁力計は前記第2の近位磁力計から近位磁力計分離距離だけ分離しており、前記近位磁力計分離距離は約4.00mmから5.00mmの間である、請求項1に記載の金属検出デバイス。
【請求項46】
前記第1の遠位磁力計は前記第2の遠位磁力計から遠位磁力計分離距離だけ分離しており、前記遠位磁力計分離距離は約4.00mmから5.00mmの間である、請求項1に記載の金属検出デバイス。
【請求項47】
前記第2の遠位磁力計は前記第1の近位磁力計からグラジオメータ分離距離だけ分離しており、前記グラジオメータ分離距離は約18.00mmから20.00mmの間である、請求項1に記載の金属検出デバイス。
【請求項48】
前記ハンドルは、前記ハンドルを片手で把持できるような大きさである、請求項1に記載の金属検出デバイス。
【請求項49】
前記検出された物体は手術用縫合針である、請求項1に記載の金属検出デバイス。
【請求項50】
前記検出された物体は金属製手術用機器の一部である、請求項1に記載の金属検出デバイス。
【請求項51】
前記検出された物体はRFIDタグ付きスポンジ及び金属製マーク付きスポンジのうち少なくとも1つである、請求項1に記載の金属検出デバイス。
【請求項52】
前記遠位検知部は更にRFID読み取り機を含む、請求項51に記載の金属検出デバイス。
【請求項53】
前記検出された物体は、手術用ワイヤ、ガイドワイヤ、及び血管内ワイヤのうち少なくとも1つである、請求項1に記載の金属検出デバイス。
【請求項54】
前記検出された物体は、強磁性タグ又はプレートでタグを付けた非強磁性医療機器の少なくとも1つである、請求項1に記載の金属検出デバイス。
【請求項55】
前記遠位検知部及び前記シャフトのうち少なくとも1つから延出している伝導性要素と、
前記伝導性要素に電気的に結合されたリンクケーブルであって、前記ハンドルから外へ延出し、閉回路インジケータに結合されるように構成されたリンクケーブルと、
を更に備える、請求項1に記載の金属検出デバイス。
【請求項56】
前記検出された物体はステント及び血管足場のうち少なくとも1つである、請求項1に記載の金属検出デバイス。
【請求項57】
患者の身体の一部を覆うように構成された磁気ブランケットと、
金属検出デバイスであって、
ハンドルと、
前記ハンドルから延出しているシャフトと、
センサ筐体で覆われ、複数の磁力計を含む遠位検知部と、
前記複数の磁力計から取得された磁場測定値に基づいて、検出された物体についてユーザに通知するユーザ出力を発生するように構成された出力コンポーネントと、
を含む金属検出デバイスと、
を備えた金属検出システムであって、前記シャフト及び前記センサ筐体のうち少なくとも1つは、前記身体の一部が前記磁気ブランケットで覆われている場合に前記患者の前記身体の一部内に挿入されるように構成されている、金属検出システム。
【請求項58】
前記遠位検知部は前記シャフトの遠位に位置決めされ、前記遠位検知部は更に、
第1の近位磁力計及び第2の近位磁力計を含む近位グラジオメータと、
第1の遠位磁力計及び第2の遠位磁力計を含む遠位グラジオメータと、
を含む、請求項57に記載の金属検出システム。
【請求項59】
前記金属検出デバイスは、1つ以上のプロセッサ及びメモリユニットを含むマイクロコントローラを更に含む、前記1つ以上のプロセッサは、
前記第1の近位磁力計、前記第2の近位磁力計、前記第1の遠位磁力計、及び前記第2の遠位磁力計から取得された磁場測定値から差分信号を計算し、
前記計算された差分信号に信号フィルタ及び微分のうち少なくとも1つを適用して検出信号を取得し、
前記検出信号を閾値と比較し、
前記検出信号が前記閾値を上回っている場合、前記ユーザ出力を発生するよう前記出力コンポーネントに命令する、
ための前記メモリユニットに記憶された命令を実行するようにプログラムされている、請求項58に記載の金属検出システム。
【請求項60】
前記第1の近位磁力計、前記第2の近位磁力計、前記第1の遠位磁力計、及び前記第2の遠位磁力計は、それぞれが+x軸と+y軸を有する2軸磁力計であり、前記第1の近位磁力計の前記+x軸は前記第2の近位磁力計の前記+x軸の反対方向に向けられ、前記第1の近位磁力計の前記+y軸は前記第2の近位磁力計の前記+y軸の反対方向に向けられ、前記第1の遠位磁力計の前記+x軸は前記第2の遠位磁力計の前記+x軸の反対方向に向けられ、前記第1の遠位磁力計の前記+y軸は前記第2の遠位磁力計の前記+y軸の反対方向に向けられている、請求項59に記載の金属検出システム。
【請求項61】
ハンドルと、
前記ハンドルから延出しているシャフトと、
前記シャフトの遠位に位置決めされた遠位検知部であって、
第1の近位磁力計及び第2の近位磁力計を含む近位グラジオメータと、
第1の遠位磁力計及び第2の遠位磁力計を含む遠位グラジオメータと、
を含み、
前記第1の近位磁力計、前記第2の近位磁力計、前記第1の遠位磁力計、及び前記第2の遠位磁力計は、それぞれが+x軸と+y軸を有する2軸磁力計であり、
前記第1の近位磁力計の前記+x軸は前記第2の近位磁力計の前記+x軸の反対方向に向けられ、
前記第1の近位磁力計の前記+y軸は前記第2の近位磁力計の前記+y軸の反対方向に向けられ、
前記第1の遠位磁力計の前記+x軸は前記第2の遠位磁力計の前記+x軸の反対方向に向けられ、
前記第1の遠位磁力計の前記+y軸は前記第2の遠位磁力計の前記+y軸の反対方向に向けられている、遠位検知部と、
検出された物体についてユーザに通知するユーザ出力を発生するように構成された出力コンポーネントと、
1つ以上のプロセッサ及びメモリユニットを含むマイクロコントローラと、を備えた金属検出デバイスであって、前記1つ以上のプロセッサは、
前記第1の近位磁力計、前記第2の近位磁力計、前記第1の遠位磁力計、及び前記第2の遠位磁力計から取得された磁場測定値から差分信号を計算し、
前記計算された差分信号に信号フィルタ及び微分のうち少なくとも1つを適用して検出信号を取得し、前記信号フィルタは高域フィルタ及び低域フィルタのうち少なくとも1つを含み、
前記検出信号を閾値と比較し、
前記検出信号が前記閾値を上回っている場合、前記ユーザ出力を発生するよう前記出力コンポーネントに命令する、
ための前記メモリユニットに記憶された命令を実行するようにプログラムされている、金属検出デバイス。
【請求項62】
前記遠位検知部は更に、
前記第1の近位磁力計及び前記第2の近位磁力計が結合されている近位剛性プリント回路基板(PCB)と、
前記第1の遠位磁力計及び前記第2の遠位磁力計が結合されている遠位剛性PCBと、
前記近位剛性PCBと前記遠位剛性PCBとの間に配置され、前記近位剛性PCBを前記遠位剛性PCBに接続している遠位可撓性回路と、
を含み、前記遠位剛性PCBは前記遠位可撓性回路を中心として前記近位剛性PCBに対して約45度のねじれ角だけ角度的に回転されている、請求項61に記載の金属検出デバイス。
【請求項63】
前記遠位検知部はセンサ筐体で覆われており、前記センサ筐体は筐体直径を有し、前記筐体直径は約3.0mmから約10.0mmの間である、請求項61に記載の金属検出デバイス。
【請求項64】
前記遠位検知部を前記シャフトに結合している可撓部を更に備え、前記可撓部は屈曲可能であると共に、真っすぐの構成と屈曲構成を含み、前記可撓部が前記屈曲構成にある場合に前記遠位検知部は前記シャフトに近付いて位置付けられる、請求項61に記載の金属検出デバイス。
【請求項65】
前記可撓部は部分的に熱可塑性エラストマで作製されている、請求項64に記載の金属検出デバイス。
【請求項66】
前記可撓部は部分的にPebax(登録商標)で作製されている、請求項64に記載の金属検出デバイス。
【請求項67】
前記ハンドルは、前記可撓部の屈曲を制御するように構成された引き金を更に含み、前記引き金は、前記シャフト及び前記可撓部を通って延出しているプルケーブルによって前記可撓部に接続され、前記引き金を引くと前記プルケーブルが引っ張られて前記可撓部を前記シャフトの方へ屈曲させる、請求項64に記載の金属検出デバイス。
【請求項68】
前記ハンドルは、前記引き金に結合された引き金ポテンショメータを更に含み、前記マイクロコントローラの前記1つ以上のプロセッサは、前記引き金ポテンショメータから取得されたデータに基づいて引き金速さ又は動きを決定するための命令を実行するようにプログラムされている、請求項67に記載の金属検出デバイス。
【請求項69】
前記シャフトは前記シャフトの縦軸に対して回転可能である、請求項61に記載の金属検出デバイス。
【請求項70】
前記ハンドルは前記シャフトに結合されたクロックリングを更に含み、前記シャフトは前記クロックリングの回転に応じて回転可能である、請求項61に記載の金属検出デバイス。
【請求項71】
前記ハンドルは更にロックリングを含み、前記ロックリングは、前記クロックリングが回転するのを妨害するように構成された複数のロックスプラインを含み、前記クロックリングは、遠位方向に押されることで前記ロックリングの前記ロックスプラインから前記クロックリングを解放するように構成され、前記クロックリングは前記遠位方向に押された後に回転可能になる、請求項70に記載の金属検出デバイス。
【請求項72】
前記遠位検知部を覆っているセンサ筐体内へ平行移動すると共に前記センサ筐体外へ後退して前記金属検出デバイスの機能性を検証するように構成された試験棒を更に備える、請求項61に記載の金属検出デバイス。
【請求項73】
前記試験棒は部分的にばねチューブ内に収容され、前記ばねチューブは前記シャフトと前記シャフトを前記遠位検知部に結合している可撓部とを通って延出し、前記可撓部は、前記ハンドル上の引き金が引かれた場合に可撓部遠位端が前記シャフトの方へ屈曲するように屈曲可能であり、前記ばねチューブは、前記引き金が解放された場合に前記可撓部を付勢して屈曲していない構成に戻すよう構成されている、請求項72に記載の金属検出デバイス。
【請求項74】
前記ばねチューブは部分的にポリエチレンテレフタレートで作製されている、請求項73に記載の金属検出デバイス。
【請求項75】
前記ハンドルは更に試験棒スライダを含み、前記試験棒スライダは、前記試験棒を前記シャフト内で軸方向に平行移動させるため遠位に又は近位に作動されるよう構成されている、請求項72に記載の金属検出デバイス。
【請求項76】
前記ハンドルは、前記試験棒スライダの一部に歯車を介して結合されたスライダポテンショメータを更に含み、前記マイクロコントローラの前記1つ以上のプロセッサは、
前記スライダポテンショメータから取得されたデータに基づいてスライダ位置を決定し、前記スライダ位置は、前記第1の近位磁力計、前記第2の近位磁力計、前記第1の遠位磁力計、及び前記第2の遠位磁力計のうち少なくとも1つに対する前記試験棒の相対的な位置決めを示し、
前記試験棒が、前記第1の近位磁力計、前記第2の近位磁力計、前記第1の遠位磁力計、及び前記第2の遠位磁力計のうち少なくとも1つに近接して位置決めされた場合、前記ユーザ出力の同じもの又は別のものを発生するよう前記出力コンポーネントに命令する、
ための命令を実行するようにプログラムされている、請求項75に記載の金属検出デバイス。
【請求項77】
前記マイクロコントローラの前記1つ以上のプロセッサは、前記金属検出デバイスの操作性を試験するため、前記試験棒が、前記第1の近位磁力計、前記第2の近位磁力計、前記第1の遠位磁力計、及び前記第2の遠位磁力計のうち少なくとも1つに近接して位置決めされた場合、前記閾値を調整するための別の命令を実行するようにプログラムされている、請求項72に記載の金属検出デバイス。
【請求項78】
前記ハンドルは感度ホイールを含み、前記マイクロコントローラの前記1つ以上のプロセッサは、前記感度ホイールの回転に応じて前記閾値を調整するための別の命令を実行するようにプログラムされている、請求項61に記載の金属検出デバイス。
【請求項79】
前記ハンドルは、前記感度ホイールに結合された感度回転式ポテンショメータを更に含み、前記マイクロコントローラの前記1つ以上のプロセッサは、前記感度回転式ポテンショメータから取得されたデータに基づいてホイール回転方向を決定するための命令を実行するようにプログラムされている、請求項78に記載の金属検出デバイス。
【請求項80】
前記マイクロコントローラの前記1つ以上のプロセッサは、前記ホイール回転方向に基づいて、計算された前記差分信号に前記信号フィルタ又は前記微分を適用するための別の命令を実行するようにプログラムされている、請求項79に記載の金属検出デバイス。
【請求項81】
患者の体内の磁性物体を検出する方法であって、
前記患者の前記体内に金属検出デバイスの一部を導入することであって、
前記金属検出デバイスは、ハンドルと、前記ハンドルから延出しているシャフトと、1つ以上のプロセッサ及びメモリユニットを含むマイクロコントローラと、出力コンポーネントと、前記シャフトの遠位に位置決めされた遠位検知部と、を含み、
前記遠位検知部は、
第1の近位磁力計及び第2の近位磁力計を含む近位グラジオメータと、
第1の遠位磁力計及び第2の遠位磁力計を含む遠位グラジオメータと、を含む、金属検出デバイスの一部を導入することと、
前記1つ以上のプロセッサを用いて、前記第1の近位磁力計、前記第2の近位磁力計、前記第1の遠位磁力計、及び前記第2の遠位磁力計から取得された磁場測定値から差分信号を計算することと、
前記1つ以上のプロセッサを用いて、前記計算された差分信号に信号フィルタ及び微分のうち少なくとも1つを適用して検出信号を取得することと、
前記1つ以上のプロセッサを用いて、前記検出信号を閾値と比較することと、
前記検出信号が前記閾値を上回っている場合、前記出力コンポーネントを用いてユーザ出力を発生することと、
を含む方法。
【請求項82】
前記信号フィルタは高域フィルタ及び低域フィルタのうち少なくとも1つを含む、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記ハンドルは回転するよう構成された感度ホイールを更に含み、ユーザが前記感度ホイールを回転させることに応じて前記差分信号に前記信号フィルタが適用される、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記ハンドルは回転するよう構成された感度ホイールを更に含み、ユーザが前記感度ホイールを回転させることに応じて前記差分信号に前記微分が適用される、請求項81に記載の方法。
【請求項85】
前記第1の近位磁力計、前記第2の近位磁力計、前記第1の遠位磁力計、及び前記第2の遠位磁力計は、それぞれが+x軸と+y軸を有する2軸磁力計であり、前記第1の近位磁力計の前記+x軸は前記第2の近位磁力計の前記+x軸の反対方向に向けられ、前記第1の近位磁力計の前記+y軸は前記第2の近位磁力計の前記+y軸の反対方向に向けられ、前記第1の遠位磁力計の前記+x軸は前記第2の遠位磁力計の前記+x軸の反対方向に向けられ、前記第1の遠位磁力計の前記+y軸は前記第2の遠位磁力計の前記+y軸の反対方向に向けられている、請求項81に記載の方法。
【請求項86】
前記第1の近位磁力計及び前記第2の近位磁力計の軸は前記第1の遠位磁力計及び前記第2の遠位磁力計の軸に対して位置合わせされているか又は直交している、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記第1の近位磁力計及び前記第2の近位磁力計の前記軸のうち少なくとも1つは前記第1の遠位磁力計及び前記第2の遠位磁力計の前記軸のうち少なくとも1つと直交していない、請求項85に記載の方法。
【請求項88】
前記差分信号の前記微分を動き阻止信号によって縮小することを更に含む、請求項81に記載の方法。
【請求項89】
患者の体内の磁性物体を検出する方法であって、
前記患者の前記体内に金属検出デバイスの一部を導入することであって、
前記金属検出デバイスは、ハンドルと、前記ハンドルから延出しているシャフトと、前記シャフトの遠位に位置決めされた遠位検知部と、前記シャフトを前記遠位検知部に接続している可撓部と、1つ以上のプロセッサ及びメモリユニットを含むマイクロコントローラと、出力コンポーネントと、を含み、
前記遠位検知部は複数の磁力計を含む、金属検出デバイスの一部を導入することと、
前記遠位検知部及び前記可撓部の少なくとも一部が前記患者の前記体内にある場合、前記ハンドル上の引き金を引いて前記可撓部を屈曲させることと、
前記1つ以上のプロセッサを用いて、前記複数の磁力計から取得された磁場測定値から検出信号を計算することと、
前記1つ以上のプロセッサを用いて、前記検出信号を閾値と比較することと、
前記検出信号が前記閾値を上回っている場合、前記出力コンポーネントを用いてユーザ出力を発生することと、
を含む方法。
【請求項90】
前記遠位検知部は更に、
第1の近位磁力計及び第2の近位磁力計を含む近位グラジオメータと、
第1の遠位磁力計及び第2の遠位磁力計を含む遠位グラジオメータと、
を含む、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記検出信号を計算することは更に、
前記1つ以上のプロセッサを用いて、前記第1の近位磁力計、前記第2の近位磁力計、前記第1の遠位磁力計、及び前記第2の遠位磁力計から取得された磁場測定値から差分信号を計算することと、
前記計算された差分信号に信号フィルタ及び微分のうち少なくとも1つを適用して前記検出信号を取得することと、
を含む、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記第1の近位磁力計、前記第2の近位磁力計、前記第1の遠位磁力計、及び前記第2の遠位磁力計は、それぞれが+x軸と+y軸を有する2軸磁力計であり、前記第1の近位磁力計の前記+x軸は前記第2の近位磁力計の前記+x軸の反対方向に向けられ、前記第1の近位磁力計の前記+y軸は前記第2の近位磁力計の前記+y軸の反対方向に向けられ、前記第1の遠位磁力計の前記+x軸は前記第2の遠位磁力計の前記+x軸の反対方向に向けられ、前記第1の遠位磁力計の前記+y軸は前記第2の遠位磁力計の前記+y軸の反対方向に向けられている、請求項90に記載の方法。
【請求項93】
前記引き金は、前記シャフト及び前記可撓部を通って延出しているプルケーブルによって前記可撓部に接続され、前記引き金を引くと前記プルケーブルが引っ張られて前記可撓部を前記シャフトの方へ屈曲させる、請求項89に記載の方法。
【請求項94】
前記ハンドル内の、前記引き金に結合されている引き金ポテンショメータから取得されたデータに基づいて引き金速さを決定することと、
前記1つ以上のプロセッサを用いて、前記引き金速さに基づいて前記閾値を調整することと、
を更に含む、請求項89に記載の方法。
【請求項95】
金属検出デバイスの機能性を試験する方法であって、
金属検出デバイスを提供することであって、
前記金属検出デバイスは、ハンドルと、前記ハンドルから延出しているシャフトと、1つ以上のプロセッサ及びメモリユニットを含むマイクロコントローラと、出力コンポーネントと、前記シャフトの遠位に位置決めされた遠位検知部と、前記遠位検知部を覆っているセンサ筐体と、を含み、
前記遠位検知部は複数の磁力計を含む、金属検出デバイスを提供することと、
前記ハンドル上の試験棒スライダを前記シャフトの方へ遠位方向にスライドさせることであって、前記試験棒スライダをスライドさせると、前記シャフト内を延出している管腔内に収容された試験棒の遠位セグメントは前記センサ筐体内へ平行移動する、試験棒スライダをスライドさせることと、
前記試験棒の前記遠位セグメントを前記センサ筐体内へ平行移動させた場合、前記1つ以上のプロセッサを用いて、前記複数の磁力計から取得された磁場測定値から検出信号を計算することと、
前記1つ以上のプロセッサを用いて、前記検出信号を閾値と比較することと、
前記検出信号が前記閾値を上回っている場合、前記出力コンポーネントを用いてユーザ出力を発生することと、
を含む方法。
【請求項96】
前記試験棒は部分的にばねチューブ内に収容され、前記ばねチューブは前記シャフトと前記シャフトを前記遠位検知部に結合している可撓部とを通って延出し、前記可撓部は、前記ハンドル上の引き金が引かれた場合に可撓部遠位端が前記シャフトの方へ屈曲するように屈曲可能であり、前記ばねチューブは、前記引き金が解放された場合に前記可撓部を付勢して屈曲していない構成に戻すよう構成されている、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記試験棒の前記遠位セグメントが前記センサ筐体内にある場合、前記閾値を調整することを更に含む、請求項95に記載の方法。
【請求項98】
前記遠位検知部は更に、
第1の近位磁力計及び第2の近位磁力計を含む近位グラジオメータと、
第1の遠位磁力計及び第2の遠位磁力計を含む遠位グラジオメータと、
を含む、請求項95に記載の方法。
【請求項99】
前記第1の近位磁力計、前記第2の近位磁力計、前記第1の遠位磁力計、及び前記第2の遠位磁力計は、それぞれが+x軸と+y軸を有する2軸磁力計であり、前記第1の近位磁力計の前記+x軸は前記第2の近位磁力計の前記+x軸の反対方向に向けられ、前記第1の近位磁力計の前記+y軸は前記第2の近位磁力計の前記+y軸の反対方向に向けられ、前記第1の遠位磁力計の前記+x軸は前記第2の遠位磁力計の前記+x軸の反対方向に向けられ、前記第1の遠位磁力計の前記+y軸は前記第2の遠位磁力計の前記+y軸の反対方向に向けられている、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記試験棒は部分的に強磁性金属で作製されている、請求項95に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
[0001] 本出願は、2019年9月13日に出願された米国仮出願第62/900,385号、及び2019年10月30日に出願された米国仮出願第62/927,702号の利益を主張する。これらは援用により全体が本願に含まれる。また本出願は、援用により、2017年12月7日に公開された米国特許出願公開第2017/0347915号を含む。
【0002】
[0002] 本開示は、一般に磁力計に基づく金属検出の分野に関し、より具体的には、患者の体内の残留手術物品、例えば鋭利物(sharps)、又はRFIDタグ付きスポンジ、金属製インプラント、金属ワイヤ、磁気的特徴(magnetic signature)を有する他の物体等を検出するための、改良された磁力計に基づく金属検出器に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 外科医及び他の手術室(OR:operating room)専門家は、患者の体内の紛失手術用縫合針、手術器具の破損部分、又は他のタイプの鋭利物のような残留手術物品(RSI:retained surgical item)の位置を特定することに著しい量の時間とリソースを費やす。低侵襲の腹腔鏡及びロボットによる処置の増加によって、外科医は、紛失した手術針、破損した器具、及び他のタイプの鋭利な物や破片を見つけることがいっそう困難になっている。残留物体は、患者に対して潜在的な慢性痛又は臓器損傷を含む深刻な危害を及ぼす可能性がある。このため、外科医及び他のOR専門家は、全てのツールと器具を確認したことを保証するためにどんな苦労も惜しまない。しかしながら、1回の手術当たり平均して300のツールを扱い、複数回のスタッフ交替が行われ、器具の部分が外れる場合、RSIの探索はより一般的なこととなっている。ある研究によると、調査対象の全外科医のうち63.8%が過去12か月の間に低侵襲手術中に手術針紛失事象を経験した。また、調査対象の外科医の89.6%が在職中に1~5回の手術針紛失インシデントを報告した。更に、事象のうち13%超で、紛失した手術針の位置を特定して回収するのに30分超を要し、事例の3%で、外科医は探索を行った後そのような手術針を回収できなかった。Jayadevan, Rajiv等による「A protocol to recover needles lost during minimally invasive surgery.」JSLS: Journal of the Society of Laparoendoscopic Surgeons vol. 18,4(2014)を参照のこと。
【0004】
[0004] 多くの場合、外科医及び他のOR専門家は最初に、手術針、鋭利物、及び破損ツール等の金属RSIの視覚探索に頼る。物品が見つからない場合、ORスタッフは更に時間をかけて探索を行い、通常その際に患者はX線スキャンを受け、より多くの麻酔をかけられる。その結果、患者とスタッフに対する放射線照射が増大すると共に、長期の麻酔時間による合併症のリスクが高くなる。外科医が最終的に紛失した手術針又は鋭利物の位置を特定できない場合は、患者の開示が必要であり、病院と外科医は双方とも評判に傷が付くか又は訴訟のリスクがある。更に、RSI事象は賠償可能でなく、病院は更に別の処置又は調停のコストの負担を負う。
【0005】
[0005] 従来の金属検出デバイスは、多くの場合、患者の体内の金属RSIの正確な位置を高精度で決定する能力を持っていない。また多くの場合、そのようなデバイスはインビボ(in vivo)の検出に適しておらず、携帯型でなく、蛇行した解剖学的構造内を進行できるよう容易に回転することは不可能である。更に、そのような従来の金属検出デバイスは、背景の磁場干渉の効果を適正に除去することができず、又は、不正確な検出を引き起こす恐れがある初歩的な一点測定又は減算アルゴリズムを用いてそのような干渉を除去できるだけである。
【0006】
[0006] 従って、上述の欠点及び不都合に対処する解決策が必要とされている。そのような解決策は、携帯型であると共に、外科医が患者の体内でデバイスを容易に移動及び回転させることが可能でなければならない。また、そのような解決策は、過度に複雑でなく、費用効率が高く、製造が容易でなければならない。
【発明の概要】
【0007】
[0007] 開示されるのは、患者の体内の金属製物体(例えばRSI、金属製インプラント、金属ワイヤ等)を検出するための、磁力計に基づく金属検出器、金属検出システム、及びその動作方法である。一態様では、ハンドルと、ハンドルから延出しているシャフトと、シャフトの遠位に位置決めされた遠位検知部と、を備える金属検出デバイスが開示される。遠位検知部は、第1の近位磁力計及び第2の近位磁力計を含む近位グラジオメータと、第1の遠位磁力計及び第2の遠位磁力計を含む遠位グラジオメータと、を含み得る。また、金属検出デバイスは、検出された物体についてユーザに通知するユーザ出力を発生するように構成された出力コンポーネントと、1つ以上のプロセッサ及びメモリユニットを含むマイクロコントローラと、を含み得る。1つ以上のプロセッサは、第1の近位磁力計、第2の近位磁力計、第1の遠位磁力計、及び第2の遠位磁力計から取得された磁場測定値から差分信号を計算するための、メモリユニットに記憶された命令を実行するようプログラムすることができる。1つ以上のプロセッサは、計算された差分信号に信号フィルタ及び微分のうち少なくとも1つを適用して検出信号を取得するための別の命令を実行するようプログラムすることができる。
【0008】
[0008] 信号フィルタは、高域フィルタ及び低域フィルタ(例えば2次又は2極フィルタ)を含み得る。例えば高域フィルタは、ドリフト及びオフセットを取り除き、平均信号をゼロに戻すことができる。低域フィルタ又は2次フィルタ(2極フィルタとも称される)は、より積極的に高周波ノイズをカットオフすることができる。例えば、高域フィルタは5.5Hzのカットオフを有し、低域フィルタは10Hzのカットオフを有し得る。
【0009】
[0009] 1つ以上のプロセッサは、検出信号を閾値と比較し、検出信号が閾値を上回っている場合にユーザ出力を発生するよう出力コンポーネントに命令するための別の命令を実行するようプログラムすることができる。
【0010】
[0010] 更に、別のモードでは、所与のレベルに対して、又は所与の時間期間において、又は所与の製品に対して、閾値を使用しない状態にするため、閾値を除去するか又はゼロ未満に設定して、音声又はトーンを常にオンとすること、また、信号が増大及び低減するとトーン及び/又は光が周波数及び/又は強度を試すことも可能である。このモードによって、閾値未満の信号を応答のため観察することが可能となり得る。
【0011】
[0011] 第1の近位磁力計、第2の近位磁力計、第1の遠位磁力計、及び第2の遠位磁力計は、2軸磁力計とすることができる。第1の近位磁力計、第2の近位磁力計、第1の遠位磁力計、及び第2の遠位磁力計は、それぞれx軸とy軸を有し得る。第1の近位磁力計及び第2の近位磁力計の各々は、少なくとも+x軸と+y軸を含み得る。第1の近位磁力計の+x軸は第2の近位磁力計の+x軸の反対方向に向けられ得る。第1の近位磁力計の+y軸は第2の近位磁力計の+y軸の反対方向に向けられ得る。
【0012】
[0012] 第1の遠位磁力計及び第2の遠位磁力計の各々は、少なくとも+x軸と+y軸を含み得る。第1の遠位磁力計の+x軸は第2の遠位磁力計の+x軸の反対方向に向けられ得る。第1の遠位磁力計の+y軸は第2の遠位磁力計の+y軸の反対方向に向けられ得る。
【0013】
[0013] 第2の遠位磁力計及び第1の近位磁力計の各々は、少なくとも+x軸と+y軸を含み得る。第2の遠位磁力計の+x軸は第1の近位磁力計の+x軸の反対方向に向けられ得る。第2の遠位磁力計の+y軸は第1の近位磁力計の+y軸の反対方向に向けられ得る。
【0014】
[0014] いくつかの変形例では、第1の近位磁力計及び第2の近位磁力計の軸は、第1の遠位磁力計及び第2の遠位磁力計の軸に対して位置合わせされ得るか又は直交し得る。
【0015】
[0015] x軸(例えば+x軸)とy軸(+y軸)を含む磁力計又は磁気センサの各々に言及しているが、本開示では、x軸(例えば+x軸)又はy軸(+y軸)に対する言及は、磁力計又は磁気センサがx軸又はy軸のみを有する単軸磁力計も示し得ることが考えられる。従って、4つの2軸磁力計に対する言及は、8つの1軸磁力計にも適用することができる。
【0016】
[0016] 他の変形例では、第1の近位磁力計及び第2の近位磁力計の軸のうち少なくとも1つは、第1の遠位磁力計及び第2の遠位磁力計の軸のうち少なくとも1つと直交していない(又は、斜角に向けられている)可能性がある。例えば遠位検知部は、近位剛性プリント回路基板(PCB)と、遠位剛性PCBと、近位剛性PCBと遠位剛性PCBとの間に配置され、近位剛性PCBを遠位剛性PCBに接続している遠位可撓性回路と、を含み得る。第1の近位磁力計及び第2の近位磁力計は近位剛性PCBに結合され得る。第1の遠位磁力計及び第2の遠位磁力計は遠位剛性PCBに結合され得る。遠位剛性PCBは、遠位可撓性回路を中心として近位剛性PCBに対してねじれ角だけ角度的に回転され得る。いくつかの変形例では、ねじれ角は約45度とすることができる。他の変形例では、ねじれ角は約60度又は約30度とすることができる。
【0017】
[0017] 遠位検知部はセンサ筐体で覆うことができる。センサ筐体は筐体直径を有し得る。筐体直径は約3.0mmから約10.0mmの間とすることができる。例えば、筐体直径は約5.0mmとすることができる。また、センサ筐体は、約40.0mmから約50.0mmの間の筐体長寸法を有し得る。
【0018】
[0018] いくつかの変形例では、マイクロコントローラはハンドル内に収容することができる。遠位検知部は、1つ以上の演算増幅器を更に含み得る。1つ以上の演算増幅器は、第1の近位磁力計、第2の近位磁力計、第1の遠位磁力計、及び第2の遠位磁力計のうち少なくとも1つからの未加工の出力信号がハンドル内のマイクロコントローラのアナログデジタル変換器(ADC:analog-to-digital converter)又はADCコンポーネントに送信される前に、そのような信号を増幅するよう構成され得る。
【0019】
[0019] また、金属検出デバイスは、遠位検知部をシャフトに結合又は接続している可撓部を更に含み得る。可撓部は屈曲可能であると共に、真っすぐの構成と屈曲構成を含み得る。可撓部が屈曲構成にある場合、遠位検知部はシャフトに近付いて位置付けられ得る。可撓部は、部分的に熱可塑性エラストマで作製され得る。例えば、可撓部は部分的にPebax(登録商標)で作製することができる。
【0020】
[0020] ハンドルは、可撓部の屈曲を制御するように構成された引き金を更に含み得る。引き金は、シャフト及び可撓部を通って延出しているプルケーブルによって可撓部に接続され得る。引き金を引くと、プルケーブルが引っ張られて可撓部をシャフトの方へ屈曲させることができる。
【0021】
[0021] ハンドルは、引き金に結合された引き金ポテンショメータを更に含み得る。マイクロコントローラの1つ以上のプロセッサは、引き金ポテンショメータから取得されたデータに基づいて引き金速さを決定するための命令を実行するようプログラムすることができる。
【0022】
[0022] シャフトは、シャフトの縦軸に対して回転可能とすることができる。ハンドルは、シャフトに結合されたクロックリングも含み得る。シャフトは、クロックリングの回転に応じて回転可能とすることができる。
【0023】
[0023] ハンドルは更にロックリングを含み得る。ロックリングは、クロックリングが回転するのを妨害するように構成された複数のロックスプラインを含み得る。クロックリングは、遠位方向に押されることでロックリングのロックスプラインからクロックリングを解放するように構成できる。クロックリングは、遠位方向に押された後に回転可能になり得る。
【0024】
[0024] 金属検出デバイスは、遠位検知部を覆っているセンサ筐体内へ平行移動すると共にセンサ筐体外へ後退するように構成された試験棒を更に含み得る。試験棒を用いて金属検出デバイスの機能性を検証することができる。いくつかの変形例において、試験棒は部分的に強磁性金属で作製され得る。
【0025】
[0025] 試験棒は、部分的にばねチューブ内に収容され得る。ばねチューブは、シャフトと、シャフトを遠位検知部に結合している可撓部とを通って延出し得る。可撓部は、ハンドル上の引き金が引かれた場合に可撓部遠位端がシャフトの方へ屈曲するように屈曲可能であり得る。ばねチューブは、引き金が解放された場合に可撓部を付勢して、屈曲していない構成に戻すよう構成することができる。
【0026】
[0026] ばねチューブは、部分的に熱可塑性物質で作製することができる。例えば、ばねチューブは部分的にポリエチレンテレフタレートで作製され得る。
【0027】
[0027] ハンドルは更に試験棒スライダを含み得る。試験棒スライダは、試験棒をシャフト内で軸方向に平行移動させるため遠位に又は近位に作動されるよう構成され得る。ハンドルは、試験棒スライダの一部に歯車を介して結合されたスライダポテンショメータも含み得る。マイクロコントローラの1つ以上のプロセッサは、スライダポテンショメータから取得されたデータに基づいてスライダ位置を決定するための別の命令を実行するようプログラムすることができる。スライダ位置は、第1の近位磁力計、第2の近位磁力計、第1の遠位磁力計、及び第2の遠位磁力計のうち少なくとも1つに対する試験棒の相対的な位置決めを示すことができる。
【0028】
[0028] マイクロコントローラの1つ以上のプロセッサは、金属検出デバイスの操作性又は機能性を試験するため、試験棒が、第1の近位磁力計、第2の近位磁力計、第1の遠位磁力計、及び第2の遠位磁力計のうち少なくとも1つに近接して位置決めされた場合、閾値を調整するための別の命令を実行するようプログラムすることができる。
【0029】
[0029] ハンドルは感度ホイールを含み得る。マイクロコントローラの1つ以上のプロセッサは、感度ホイールの回転に応じて閾値を調整するための別の命令を実行するようプログラムすることができる。ハンドルは、感度ホイールに結合された感度回転式ポテンショメータを更に含み得る。マイクロコントローラの1つ以上のプロセッサは、感度回転式ポテンショメータから取得されたデータに基づいてホイール回転方向を決定するための命令を実行するようプログラムすることができる。
【0030】
[0030] マイクロコントローラの1つ以上のプロセッサは、ホイール回転方向に基づいて、計算された差分信号に信号フィルタ又は微分を適用するための別の命令を実行するようプログラムすることができる。マイクロコントローラの1つ以上のプロセッサは、ホイール回転方向に基づいて閾値を調整するための追加の命令を実行するようプログラムすることができる。
【0031】
[0031] いくつかの実施例において、マイクロコントローラの1つ以上のプロセッサは、ホイール回転方向に基づいて、計算された差分信号に信号フィルタ及び微分の双方を適用するための別の命令を実行するようプログラムすることができる。マイクロコントローラの1つ以上のプロセッサは、ホイール回転方向に基づいて閾値を調整するための追加の命令を実行するようプログラムすることができる。
【0032】
[0032] 遠位検知部は、3軸加速度計及び3軸ジャイロスコープを含む慣性測定ユニット(IMU:inertial measurement unit)を更に含み得る。いくつかの実施例では、IMUをハンドル内に収容することも可能である。マイクロコントローラの1つ以上のプロセッサは、3軸加速度計から取得された加速度データ及び3軸ジャイロスコープから取得された回転データに基づいて閾値を調整するための別の命令を実行するようプログラムすることができる。
【0033】
[0033] 遠位検知部は遠位発光ダイオード(LED)を含み、ハンドルは近位LEDを含み得る。遠位LED及び近位LEDのうち少なくとも1つは出力コンポーネントの一例であり、遠位LED及び近位LEDのうち少なくとも1つによって放出される光はユーザ出力の一例であり得る。
【0034】
[0034] ハンドルはスピーカを含み得る。スピーカは、出力コンポーネントの別の例であり得る。スピーカによって伝達される音声(例えばビープ音)は、ユーザ出力の一例であり得る。
【0035】
[0035] 遠位検知部はセンサ筐体内に収容され得る。センサ筐体及びシャフトは、患者の体内での体内検出を可能とするため生体適合性材料で作製され得る。
【0036】
[0036] シャフトは、部分的にステンレス鋼で作製され得る。センサ筐体は、部分的にチタン及びポリマー材料のうち少なくとも1つで作製され得る。他の変形例では、センサ筐体は部分的にアルミニウム又はアルミニウム合金で作製され得る。
【0037】
[0037] 第1の近位磁力計、第2の近位磁力計、第1の遠位磁力計、及び第2の遠位磁力計のうち少なくとも1つは、異方性磁気抵抗(AMR:anisotropic magnetoresistance)センサとすることができる。第1の近位磁力計は、第2の近位磁力計から近位磁力計分離距離だけ分離され得る。近位磁力計分離距離は、約4.00mmから5.00mmの間とすることができる。
【0038】
[0038] 第1の遠位磁力計は、第2の遠位磁力計から遠位磁力計分離距離だけ分離され得る。遠位磁力計分離距離は、約4.00mmから5.00mmの間とすることができる。
【0039】
[0039] 第2の遠位磁力計は、第1の近位磁力計からグラジオメータ分離距離だけ分離され得る。グラジオメータ分離距離は、約18.00mmから20.00mmの間とすることができる。
【0040】
[0040] ハンドルは、ハンドルを片手で把持できるような大きさとすることができる。
【0041】
[0041] いくつかの変形例において、検出された物体は手術用縫合針であり得る。また、検出された物体は金属製手術用機器の一部であり得る。更に、検出された物体は、RFIDタグ付きスポンジ及び金属製マーク付きスポンジのうち少なくとも1つであり得る。遠位検知部は更に、RFIDタグ付きスポンジ内に埋め込まれたRFIDタグを読み取るように構成されたRFID読み取り機を含み得る。
【0042】
[0042] 検出された物体は、強磁性タグ又はプレートでタグを付けた非強磁性医療機器の少なくとも1つであり得る。また、検出された物体は、手術用ワイヤ、ガイドワイヤ、及び血管内ワイヤのうち少なくとも1つであり得る。検出された物体は、ステント、血管足場(vascular scaffold)、又はそれらの組み合わせであり得る。
【0043】
[0043] 金属検出デバイスは、遠位検知部及びシャフトのうち少なくとも1つから延出している伝導性要素も含み得る。伝導性要素にリンクケーブルを電気的に結合することができる。リンクケーブルは金属検出デバイスのハンドルから外へ延出し得る。リンクケーブルは閉回路インジケータに結合され得る。
【0044】
[0044] 患者の身体の一部を覆うように構成された磁気ブランケットと、本明細書に開示されている金属検出デバイスと、を備える金属検出システムが開示される。先に検討したように、金属検出デバイスは、ハンドルと、ハンドルから延出しているシャフトと、複数の磁力計を含む遠位検知部と、を含み得る。遠位検知部はセンサ筐体で覆うことができる。
【0045】
[0045] 金属検出デバイスは更に、複数の磁力計から取得された磁場測定値に基づいて、検出された物体についてユーザに通知するユーザ出力を発生するように構成された出力コンポーネントを含み得る。シャフト及びセンサ筐体のうち少なくとも1つは、身体の一部が磁気ブランケットで覆われている場合に患者の身体の一部内に挿入されるよう構成することができる。
【0046】
[0046] また、患者の体内の磁性物体を検出する方法も開示される。この方法は、患者の体内に金属検出デバイスの一部を導入することを含み得る。先に検討したように、金属検出デバイスは、ハンドルと、ハンドルから延出しているシャフトと、1つ以上のプロセッサ及びメモリユニットを含むマイクロコントローラと、出力コンポーネントと、シャフトの遠位に位置決めされた遠位検知部と、を含み得る。
【0047】
[0047] 遠位検知部は、近位グラジオメータ及び遠位グラジオメータを含み得る。近位グラジオメータは、第1の近位磁力計及び第2の近位磁力計を含み得る。遠位グラジオメータは、第1の遠位磁力計及び第2の遠位磁力計を含み得る。
【0048】
[0048] 方法は更に、1つ以上のプロセッサを用いて、第1の近位磁力計、第2の近位磁力計、第1の遠位磁力計、及び第2の遠位磁力計から取得された磁場測定値から差分信号を計算することを含み得る。また、方法は、1つ以上のプロセッサを用いて、計算された差分信号に信号フィルタ及び微分のうち少なくとも1つを適用して検出信号を取得することを含み得る。差分信号の微分を行った場合、方法は更に、差分信号の微分を動き阻止信号によって縮小することを含み得る。
【0049】
[0049] また、方法は、1つ以上のプロセッサを用いて、検出信号を感度又は検出閾値と比較することを含み得る。検出信号が感度又は検出閾値を上回っている場合、方法は、出力コンポーネントを用いてユーザ出力を発生することを含み得る。
【0050】
[0050] また、患者の体内の磁性物体を検出する別の方法も開示される。この方法は、患者の体内に金属検出デバイスの一部を導入することを含み得る。先に検討したように、金属検出デバイスは、ハンドルと、ハンドルから延出しているシャフトと、シャフトの遠位に位置決めされた遠位検知部と、シャフトを遠位検知部に接続している可撓部と、1つ以上のプロセッサ及びメモリユニットを含むマイクロコントローラと、出力コンポーネントと、を含み得る。遠位検知部は複数の磁力計を含み得る。
【0051】
[0051] また、方法は、遠位検知部及び可撓部の少なくとも一部が患者の体内にある場合、ハンドル上の引き金を引いて可撓部を屈曲させることを含み得る。方法は更に、1つ以上のプロセッサを用いて、複数の磁力計から取得された磁場測定値から検出信号を計算することを含み得る。また、方法は、1つ以上のプロセッサを用いて、検出信号を閾値と比較することを含み得る。方法は更に、検出信号が閾値を上回っている場合、出力コンポーネントを用いてユーザ出力を発生することを含み得る。
【0052】
[0052] 金属検出デバイスの機能性を試験する別の方法が開示される。この方法は、金属検出デバイスを提供することを含み得る。金属検出は、ハンドルと、ハンドルから延出しているシャフトと、1つ以上のプロセッサ及びメモリユニットを含むマイクロコントローラと、出力コンポーネントと、シャフトの遠位に位置決めされた遠位検知部と、遠位検知部を覆っているセンサ筐体と、を含み得る。遠位検知部は複数の磁力計を含み得る。
【0053】
[0053] また、方法は、ハンドル上の試験棒スライダをシャフトの方へ遠位方向にスライドさせることを含み得る。試験棒スライダをスライドさせると、シャフト内を延出している管腔内に収容された試験棒の遠位セグメントをセンサ筐体内へ平行移動させることができる。方法は更に、試験棒の遠位セグメントをセンサ筐体内へ平行移動させた場合、1つ以上のプロセッサを用いて、複数の磁力計から取得された磁場測定値から検出信号を計算することを含み得る。
【0054】
[0054] また、方法は、1つ以上のプロセッサを用いて、検出信号を閾値と比較することを含み得る。方法は更に、検出信号が閾値を上回っている場合、出力コンポーネントを用いてユーザ出力を発生することを含み得る。また、方法は、試験棒の遠位セグメントがセンサ筐体内にある場合、閾値を調整することを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1A】[0055] 金属検出デバイスの等角図を示す。
【
図1B】[0056] 金属検出デバイスの側面図を示す。
【
図2A】[0057] 金属検出デバイスのハンドルの等角図を示す。
【
図2B】[0058] 金属検出デバイスのハンドルの側面図を示す。
【
図3A】[0059] 金属検出デバイスの可撓部を真っすぐの構成で示す。
【
図3B】[0060] 金属検出デバイスの可撓部を屈曲構成で示す。
【
図4A】[0061] 金属検出デバイスのハンドルの側面図を、左ハンドルケーシングが取り外された状態で示す。
【
図4B】[0062] 金属検出デバイスのハンドルのクローズアップ側面図を、左ハンドルケーシングが取り外された状態で示す。
【
図5A】[0063] 金属検出デバイスの遠位セグメントの等角図を、センサ筐体及び可撓部が取り外された状態で、かつ試験棒を後退構成で示す。
【
図5B】[0064] 金属検出デバイスの遠位セグメントの等角図を、センサ筐体及び可撓部が取り外された状態で、かつ試験棒を伸長構成で示す。
【
図5C】[0065] 金属検出デバイスの遠位セグメントの平面図を、センサ筐体及び可撓部が取り外された状態で、かつ試験棒を伸長構成で示す。
【
図5D】[0066]
図5Cに示されているセクションA-Aに沿った金属検出デバイスの遠位セグメントの断面図を示す。
【
図6A】[0067] 金属検出デバイスの遠位検知部のクローズアップを、センサ筐体が取り外された状態で示す。
【
図6B】[0068] 金属検出デバイスの遠位検知部のクローズアップ斜視図を、センサ筐体が取り外された状態で示す。
【
図7A】[0069] 金属検出デバイスの遠位検知部の別の変形例の等角図を、センサ筐体が取り外された状態で示す。
【
図7B】[0070]
図7Aの遠位検知部のクローズアップ等角図を示す。
【
図7C】[0071] 遠位検知部の別の変形例を、センサ筐体が遠位検知部を覆っている状態で示す。
【
図8A】[0072] ロック位置にある金属検出デバイスのクロックリングの後面クローズアップ等角図を示す。
【
図8B】[0073] ロック解除位置にあるクロックリングの後面クローズアップ等角図を示す。
【
図8C】[0074] ロック位置にあるクロックリングのクローズアップ側面図を示す。
【
図8D】[0075] ロック位置にあるクロックリングの、
図8Cに示されているセクションC-Cに沿った断面図を示す。
【
図8E】[0076] ロック解除位置にあるクロックリングのクローズアップ側面図を示す。
【
図8F】[0077] ロック解除位置にあるクロックリングの、
図8Eに示されているセクションD-Dに沿った断面図を示す。
【
図8G】[0078] ロック位置にあるクロックリングの前面クローズアップ等角図を、ノーズキャップが取り外された状態で示す。
【
図8H】[0079] ロック解除位置にあるクロックリングの前面クローズアップ等角図を、ノーズキャップが取り外された状態で示す。
【
図9A】[0080] 豚の腸内の手術用縫合針を検出するために用いられる金属検出デバイスの変形例の白黒画像である。
【
図9B】[0081] 金属検出デバイスによる検出時に手術用縫合針を回収するために用いられる鉗子の白黒画像である。
【
図10A】[0082] 患者の体内のRFIDタグ付きスポンジ又は1つ以上の金属製マーカを有するスポンジを検出するために用いられる金属検出デバイスの変形例を示す。
【
図10B】[0083] 患者の体内のワイヤを検出するために用いられる金属検出デバイスを示す。
【
図11A】[0084] 閉回路検出機構によって患者の体内のワイヤを検出するために用いられる金属検出デバイスの変形例を示す。
【
図11B】[0085] 患者の体内のステント又は他の移植可能足場を検出するために用いられる金属検出デバイスを示す。
【
図12】[0086] 金属検出デバイスが患者の体腔内又は身体の一部内で磁気検出を実行している場合にその体腔又は身体の一部を少なくとも部分的に覆うか又は遮蔽するため用いられる磁気ブランケット又はシールドの変形例を示す。
【
図13】[0087] 手術用縫合針の上を通り過ぎる金属検出デバイスの遠位検知部を表す信号図である。
【
図14】[0088] 試験棒が伸長され、金属検出デバイスのレベルが調整されていることを表す信号図である。
【
図15】[0089] 金属ガイドワイヤの一部の上を通り過ぎる金属検出デバイスの遠位検知部を表す信号図である。
【
図16A】[0090] 金属検出デバイスの引き金が引かれた時の検出信号に対する効果を示す信号図である。
【
図16B】[0091]
図16Aに示されている引き金が引かれた状況に応じて金属検出デバイスが自動的に感度閾値又は検出閾値を上昇させることを表す信号図である。
【
図16C】[0092]
図16Aに示されている引き金が引かれた状況に応じて金属検出デバイスが自動的に感度閾値又は検出閾値を上昇させることを表す別の信号図である。
【
図17A】[0093] 金属検出デバイスの遠位検知部が突然の動きを生じるイベントにおいて検出信号を縮小するために用いられる動き阻止信号又は動きブロッカ(motion blocker)信号を示す信号図である。
【
図17B】[0093] 金属検出デバイスの遠位検知部が突然の動きを生じるイベントにおいて検出信号を縮小するために用いられる動き阻止信号又は動きブロッカ信号を示す信号図である。
【
図18】[0094] 患者の体内の磁性物体を検出する方法を示す。
【
図19】[0095] 患者の体内の磁性物体を検出する別の方法を示す。
【
図20】[0096] 金属検出デバイスの機能性を試験する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0056】
[0001]
図1Aから
図1Bは、ハンドル102と、ハンドル102から延出しているシャフト131と、シャフト131の遠位に位置決めされている遠位検知部136と、を含む金属検出デバイス100を示す。遠位検知部136はセンサ筐体141で覆うことができる。また、金属検出デバイス100は、鋭利物探知機、手術金属検出器、RSI検出器、又はそれらの任意の組み合わせで称することも可能である。
【0057】
[0002] 遠位検知部136は、デバイス100の遠位先端又は遠位端として機能することができる。
図1Aから
図1Bに示されているように、可撓部145が、シャフト131を遠位検知部136又は遠位検知部136のセンサ筐体141に接続することができる。以下の節で更に詳しく検討するように、可撓部145は、この可撓部145を屈曲させた場合に遠位検知部136がシャフト131に近付くように屈曲又は湾曲するよう構成できる。
【0058】
[0097]
図1Aは、シャフト131がその縦軸104に対して回転可能であることも示している。可撓部145の屈曲及びシャフト131の回転によって、デバイス100のオペレータ(例えば外科医又は他の医療専門家)は、患者の身体の内腔を通って又は臓器の周りを進んでいくことによって、RSI又は他の強磁性物体の体内検出を行うことが可能となる。
【0059】
[0098] センサ筐体141、可撓部145、及びシャフト131は、生体適合性材料で作製することができる。いくつかの変形例では、シャフト131は部分的に、金属材料、ポリマー材料、又はそれらの組み合わせで作製できる。シャフト131は部分的に強磁性金属で作製できる。シャフト131は部分的にステンレス鋼で作製できる。
【0060】
[0099] センサ筐体141は、センサ筐体141内のセンサによって行われる磁場測定と干渉しない材料で作製することができる。いくつかの変形例では、センサ筐体141は、非強磁性金属材料、ポリマー材料、又はそれらの組み合わせで作製できる。例えばセンサ筐体141は、部分的にチタンで作製できる。他の変形例では、センサ筐体141は部分的にアルミニウム又はアルミニウム合金で作製できる。更に別の変形例では、センサ筐体141は部分的に液晶高分子で作製できる。センサ筐体141は部分的に、手術用又は医療用のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、又はそれらの組み合わせで作製できる。
【0061】
[0100] 可撓部145は、部分的に生体適合性エラストマ材料で作製することができる。いくつかの変形例では、可撓部145は部分的に熱可塑性エラストマで作製できる。例えば、可撓部145は部分的にポリエーテルブロックアミドで作製できる。より具体的には、可撓部145は部分的にPEBAX(登録商標)で作製できる。他の変形例では、可撓部145は手術用ゴムで作製できる。
【0062】
[0101]
図1Bは、センサ筐体141が筐体長寸法140を有し得ることを示す。筐体長寸法は約40.0mmから約50.0mmの間とすることができる。例えば、筐体長寸法140は約45.0mm(より具体的には、約45.70mm)とすることができる。
【0063】
[0102] 他の変形例では、筐体長寸法140は40.0mmより小さいか又は50.0mmより大きくすることができる。以下の節で更に詳しく検討するように、センサ筐体141は、電子コンポーネントの中でもとりわけ、2つのグラジオメータ又は少なくとも4つの磁力計、複数の演算増幅器、慣性測定ユニット、LEDを収容するような大きさにすることができる。
【0064】
[0103] 可撓部145は可撓部長寸法146を有し得る。可撓部長寸法146は約40.0mmから約60.0mmの間とすることができる。いくつかの変形例では、可撓部長寸法146は約50.0mmとすることができる。例えば、可撓部長寸法146は約50.8mmとすることができる。
【0065】
[0104] シャフト131はシャフト長寸法132を有し得る。シャフト長寸法132は、シャフト131の露出セグメントの長さとすることができる。シャフト長寸法132は、約300.0mmから約400.0mmの間とすることができる。いくつかの変形例では、シャフト長寸法132は約325.0mmから約375.0mmの間とすることができる。例えば、シャフト長寸法132は約350.0mmとすることができる。
【0066】
[0105] シャフト131のあるセグメントはハンドル102内まで延出し得る。ハンドル102内のシャフト131のセグメントを含む場合、シャフト131の全長は約400.0mmから約500.0mmの間とすることができる(例えば約450.0mm)。
【0067】
[0106] シャフト131は中空であるか又は少なくとも1つの管腔を含むことができ、これは、ケーブル、棒、ワイヤ、又は通信回線がシャフト131内を貫通し、ハンドル102と遠位検知部136、可撓部145、又はそれらの組み合わせとの間で機械的及び/又は電気的な通信を可能とするのに適したものである。他の変形例では、シャフト131は複数の管腔を含むことができる。
【0068】
[0107] シャフト131は、その長さに沿って全体的に剛性とすることができる。他の変形例では、シャフト131は、その全長に沿って可撓性として、身体の内腔の形状に合わせて屈曲するか又はその形状に一致することを可能としてもよい。シャフト131は、その長さに沿った1つ以上の可撓性領域を除いて剛性とすることも可能である。
【0069】
[0108] いくつかの変形例において、シャフト131は、可撓部145なしで、遠位検知部136又は遠位検知部136を覆っているセンサ筐体141に直接接続することができる。他の変形例では、デバイス100が可撓部145の複数の事例を含み、シャフト131の向こう側のデバイス100の遠位セグメントが複数の方向に屈曲することを可能としてもよい。いくつかの変形例では、可撓部145の複数の事例をシャフト131の長さに沿って散在させて、可撓部145によってシャフト131の剛性セグメントを接続することも可能である。
【0070】
[0109] ハンドル102は、左ハンドルケーシング101及び右ハンドルケーシング103を含むことができる。左ハンドルケーシング101及び右ハンドルケーシング103は、留め具(例えばねじ)、接着剤、締まりばめ、又はそれらの組み合わせによって結合して、ハンドル102を形成することができる。ハンドル102は、デバイス100を動作させるための特定の電子及び/又は機械コンポーネントを収容するためのハンドルキャビティを含み得る。ハンドル102は、ハンドル102を片手で把持できるような大きさにすることができる。
【0071】
[0110] 左ハンドルケーシング101及び右ハンドルケーシング103を含むハンドル102は、部分的に、ポリマー材料、金属材料、又はそれらの組み合わせで作製することができる。例えばハンドル102は、ポリカーボネート等の剛性ポリマー材料で作製できる。
【0072】
[0111] ハンドル102、シャフト131、可撓部145、センサ筐体141、又はそれらの組み合わせの実際の大きさ、形状、又は構成に対して限定は存在しないことが認められるべきである。例えばデバイス100は、外科医又は他の医療専門家によって手で握って使用するために設計されるか又は大きさが設定されて、外科医又は他の医療専門家が片手でハンドル102を把持できるようになっている。他の変形例では、デバイス100は、特にロボット手術システムにより実施するため変更されて、デバイス100の任意の部分をロボットアームと一体化するか又はロボットアームで容易に把持できるようになっている。
【0073】
[0112]
図2Aから
図2Bは、ハンドル102が、引き金105、クロックリング107、ノーズキャップ109、1つ以上の感度ホイール115、試験棒スライダ117、及び光透過ウィンドウ147を含み得ることを示している。引き金105は、ハンドル102の裏側に位置決めすることができる。引き金105は引き金ガード106で保護することができる。
【0074】
[0113] 以下の節で更に詳しく検討するように、ユーザは、引き金105を引くことで可撓部145の屈曲を制御できる。引き金105が引かれたことに応じて、可撓部145は、90度まで(例えば
図3Bを参照のこと)又はそれ以上に屈曲させることができる。可撓部145を屈曲させた場合、遠位検知部136はシャフト131の遠位端に近付いて位置付けられ得る。
【0075】
[0114] 金属検出デバイス100は、可撓部145を屈曲させた場合であっても強磁性RSI又は他の強磁性物体の体内検出を行うように構成できる。例えば金属検出デバイス100は、可撓部145を約1度から約90度まで、又は90度よりも大きく屈曲させた場合であっても、強磁性RSI又は他の物品の体内検出を行うように構成できる。従来の手術金属検出器に伴う1つの技術的な問題は、そのような検出器が多くの場合は剛性で柔軟性がなく、そのような検出器のオペレータ(例えば外科医又は他の医療専門家)は、手で検出器を縦軸に沿って軸方向に平行移動させるか又は回転させることによってしか検出器を操作できないことである。これにより、そのような検出器の可動範囲及び検出機能が制限される。例えば、そのような検出器は多くの場合、臓器の周りを検出することができず、特定の血管内へ延出することもできない。本明細書に開示されている金属検出デバイス100が提供する1つの技術的利点は、デバイス100の細長いセグメントの部分を屈曲又は湾曲させた場合であっても検出を実行できることである。
【0076】
[0115] クロックリング107は、ロック解除位置に付勢された場合に回転するよう構成できる。クロックリング107はシャフト131に結合することができる。クロックリング107を回転させるとシャフト131を回転させることができる。クロックリング107の回転及びロック解除については、以下の節で更に詳しく検討する。
【0077】
[0116] ノーズキャップ109は、ハンドル102の遠位キャップとして機能することができる。ノーズキャップ109は、クロックリング107が回転する場合にクロックリング107のための受容及び支持面としても機能することができる。
【0078】
[0117] 1つ以上の感度ホイール115及び試験棒スライダ117は、引き金105の上方に位置決めされて、オペレータ(例えば外科医又は他の医療専門家)がハンドル102を保持して引き金105を引きながら同時に試験棒スライダ117、感度ホイール115、又はそれらの組み合わせを操作することを可能とする。
【0079】
[0118]
図2Aは、デバイス100が試験棒スライダ117の左右両側に位置決めされた2つの感度ホイール115を含み得ることを示している。これにより、右利き及び左利きの双方のオペレータによってデバイス100を容易に保持し操作することが可能となる。
【0080】
[0119] 1又は複数の感度ホイール115は、ダイヤルを回して(例えば、前方へ又は遠位に回転させて、また後方へ又は近位に回転させて)検出感度を調整することができる。以下の節で更に詳しく検討するように、1又は複数の感度ホイール115を調整するとデバイス100の検出感度を調整することができる。例えば、1又は複数の感度ホイール115を調整すると、プログラムされた検出閾値を上昇又は低下させることができる。また、例えば、1又は複数の感度ホイール115を調整すると、デバイス100の動作モードを調整して検出信号を異なるように処理することができる。更に、デバイス100のオペレータ又はユーザは、検出中に異なる動作モード(例えば高速高感度モード又は低速低感度モード)を切り替えることも可能である。
【0081】
[0120] 試験棒スライダ117は、前方へ(遠位に)又は後方へ(近位に)スライドさせて、試験棒133(例えば
図4Aから
図4B及び
図5Bから
図5Dを参照のこと)をセンサ筐体141の内外へ平行移動させることができる。試験棒スライダ117は、左ハンドルケーシング101と右ハンドルケーシング103との間に搭載することができる。試験棒133及び試験棒スライダ117については、以下の節で更に詳しく検討する。
【0082】
[0121] 光透過ウィンドウ147は、ハンドル102内の照明コンポーネント(例えばLED)が発生した光をオペレータに見えるようにすることができる。光透過ウィンドウ147はライトパイプ又はライトバーとも称することができる。光透過ウィンドウ147は、光伝送ポリマー材料(例えばアクリルポリマー)、セラミック材料、又はそれらの組み合わせで作製することができる。光透過ウィンドウ147を通して見ることができる光は、バッテリ寿命、待機指示、エラー警報、検出ステータス、又はそれらの組み合わせに関する有用情報をオペレータに提供できる。
【0083】
[0122]
図3A及び
図3Bは、デバイス100の可撓部145を、真っすぐの構成142及び屈曲構成144でそれぞれ示す。
図3Bに示されているように、可撓部145が屈曲構成144にある場合、遠位検知部136は、シャフト131(すなわちシャフト131の遠位セグメント)に近付いて位置付けられ得る。
【0084】
[0123] 可撓部145は、遠位チューブ付属品139及び近位チューブ付属品143によって挟むことができる。遠位チューブ付属品139は、可撓部145を遠位検知部136に又は遠位検知部136を覆っているセンサ筐体141に結合することができる。近位チューブ付属品143は、可撓部145をシャフト131に結合することができる。遠位チューブ付属品139及び近位チューブ付属品143は、可撓部145の端部として機能することができる。
【0085】
[0124] 以下の節で更に詳しく検討するように、シャフト131内のプルケーブル135(例えば
図4B及び
図5Dを参照のこと)は、シャフト131及び可撓部145の長さにわたって延出することができ、プルケーブル135の遠位端は遠位チューブ付属品139に接地するか又は他の方法で結合することができる。例えばプルケーブル135は、遠位チューブ付属品139に画定された孔に通し、結び目を作ってプルケーブル135の遠位端を遠位チューブ付属品139に固定することができる。他の変形例では、フェルール又は他のタイプのリング、キャップ、又はクリップを用いて、プルケーブルの遠位端を遠位チューブ付属品139に取り付けることができる。
【0086】
[0125] プルケーブル135の近位端は引き金105に結合することができる。例えば、プルケーブル135の近位端は引き金105内のスプールに巻くことができる。
【0087】
[0003] 引き金105を引くことで、プルケーブル135が引っ張られ、可撓部145を屈曲構成144に屈曲させることができる。可撓部145は、任意の所望の方向への曲げを可能とするのに充分な可撓性を持たせることができる。
【0088】
[0126] 引き金105が解放された場合、可撓部145は、可撓部145内の1つ以上の構造によって付勢して真っすぐの構成142に戻すことができる。例えば可撓部145は、可撓部145を通って延出しているばねチューブ137(例えば
図4Aから
図4B、
図5Aから
図5B、及び
図5Dを参照のこと)によって付勢して真っすぐの構成142に戻すか又は押し戻すことができる。
【0089】
[0127] 可撓部145は、引き金105が引かれたことに応じて、90度まで又はそれ以上に屈曲させることができる。例えば可撓部145は、引き金105が引かれた場合、真っすぐの構成142に対して約30度、約45度、約60度、又は約90度に屈曲させることができる。また可撓部145は、引き金105が更に引かれた場合、約95度、約100度、約105度、約110度、約115度、又は約120度に屈曲させることができる。
【0090】
[0128] 他の変形例において、引き金105は、1つ以上のレバー、ホイール、ノブ、取っ手、又はそれらの組み合わせ等、別のタイプの機械的アクチュエータに置き換えることができる。更に別の変形例において、引き金105は、1つ以上のボタン、スイッチ、又はそれらの組み合わせ等の電気的アクチュエータに置き換えることができる。
【0091】
[0129] また、
図3A及び
図3Bは、センサ筐体141が筐体直径138を有し得ることを示している。筐体直径138は約3.0mmから約10.0mmの間とすることができる。例えば、筐体直径138は約5.0mmとすることができる。
【0092】
[0130] 可撓部145は可撓部直径を有し得る。可撓部直径は約3.0mmから約10.0mmの間とすることができる。例えば、可撓部直径は約5.0mmとすることができる。
【0093】
[0131] シャフト131はシャフト直径を有し得る。シャフト直径は約3.0mmから約10.0mmの間とすることができる。例えば、シャフト直径は約5.0mmとすることができる。
【0094】
[0132] 筐体直径138、可撓部直径、及びシャフト直径が全て約5.0mmである場合、デバイス100の細長いセグメント(センサ筐体141、可撓部145、及びシャフト131を含む)は、標準的な手術用トロカール内に収めることができる。これにより、デバイス100を、腹腔鏡手術、観血的手術、又はロボット手術に使用することが可能となる。
【0095】
[0133]
図4Aは、ハンドル102内のいくつかのコンポーネント及び機構を見るために左ハンドルケーシング101が取り外されたハンドル102の側面図を示す。
図4Aは、ハンドル102がハンドルプリント回路基板(PCB)123を含み得ることを示している。ハンドルPCB123は、ハンドル102のハンドルグリップ114からハンドルバレル116まで延出し得る。
【0096】
[0134] ハンドルPCB123は剛性PCBとすることができる。他の変形例では、ハンドルPCB123は可撓性PCBとすることができる。
【0097】
[0135] ハンドルPCB123は、ハンドル102内に収容された電子コンポーネントのための主回路基板として機能することができる。
図4Aに示されているように、マイクロコントローラ185、スピーカ181、及びいくつかのポテンショメータをハンドルPCB123に結合することができる。
【0098】
[0136] マイクロコントローラ185は、1つ以上のプロセッサ及びメモリユニットを含むことができる。マイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、とりわけ、デバイス100の特定のコンポーネントの動きを決定し、デバイス100の機能性を試験し、磁力計が行った磁場測定に基づいて検出信号を取得及び処理し、そのような処理された検出信号に基づいてRSI又は他の強磁性物体を検出するための、メモリユニットに記憶された命令を実行するようプログラムすることができる。
【0099】
[0137] いくつかの変形例において、マイクロコントローラ185は、低電力の縮小命令セットコンピュータベースの(RSIC(reduced instruction set computer)ベースの)マイクロコントローラとすることができる。マイクロコントローラ185は、8ビットのマイクロコントローラとすることができる。他の変形例において、マイクロコントローラは16ビット又は32ビットのマイクロコントローラとすることができる。例えばマイクロコントローラ185は、Microchip Technology Inc.により流通しているATmega32U4マイクロコントローラとすることができる。
【0100】
[0138] マイクロコントローラ185は、フラッシュメモリ、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、電気的消去可能リードオンリメモリ(EEPROM)、又はそれらの組み合わせを含み得る。例えばマイクロコントローラ185は、少なくとも32キロバイト(KB)のフラッシュメモリ、2.5KBのSRAM、及び1KBのEEPROMを含み得る。
【0101】
[0139] マイクロコントローラ185は、16MHzで少なくとも16MIPSのCPU速さを有し得る。他の変形例では、マイクロコントローラ185は、33MHzで28MIPS又は40MHzで36MIPSのCPU速さを有し得る。
【0102】
[0140] マイクロコントローラ185は、アナログデジタル変換器(ADC)も含むことができる。例えば、マイクロコントローラ185は12チャネル10ビットADCを含み得る。他の変形例では、マイクロコントローラ185は12ビットADC又は16ビットADCを含み得る。ADCは、磁力計から取得された電圧データ(0Vから約5V)をデジタルデータに変換することができる。例えば、磁力計及び他のセンサから取得された電圧データを、任意の信号値域(bin)単位に変換することができる(例えば
図13から
図17Bを参照のこと)。
【0103】
[0141]
図4A及び
図4Bには示されていないが、本開示では、ハンドル102が慣性測定ユニット(IMU)も含み得ると考えられる。IMUは、6までの自由度(DoF:degree of freedom)を提供することができる。IMUは、3軸加速度計と3軸ジャイロスコープを含む6軸IMUとすることができる。IMUは、3つの垂直軸で傾斜及び角速度と加速度を測定することができる。いくつかの変形例では、IMUは低電力低ノイズ16ビットIMUとすることができる。例えばIMUは、Bosch Sensortec GmbHによって提供されるBMI055、MBI088、又はBMI160 IMUとすることができる。IMUは、
図6又は
図7Aから
図7Cに示されているIMU159の別の例とすることができる。IMUはハンドルPCB123とすることができる。
【0104】
[0142] IMUから取得されたデータは、ハンドル102の動きに関する計算の一部として使用することができる。例えば、IMU159及びポテンショメータから取得されたデータを用いて、オペレータ(例えば外科医又は他の医療専門家)がハンドル102を振ったかもしくは揺らしたこと、又はハンドル102を過度に素早く動かしていることを判定できる。マイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、3軸加速度計から取得された加速度データ及び3軸ジャイロスコープから取得された回転データに基づいて、ハンドル102の突然の動き又は1つ以上の動き閾値を超えた動きを無視するための別の命令を実行するようにプログラムすることができる。
【0105】
[0143] デバイス100は、ハンドルPCB123に結合されたいくつかの出力コンポーネントを備えることができる。出力コンポーネントは、1つ以上のライト及び/又はオーディオコンポーネントを含み得る。出力コンポーネントは、検出されたRSI又は強磁性物体についてユーザに通知するユーザ出力(例えば音声及び/又は光)を発生するように構成できる。また、出力コンポーネントは、デバイス100の機能性又は動作ステータスを示すユーザ出力を発生するように構成できる。例えば、デバイス100のバッテリ寿命、待機指示、エラー警報、検出ステータス、又はそれらの組み合わせに関する情報を伝達するユーザ出力を、出力コンポーネントによって発生することができる。
【0106】
[0144] 出力コンポーネントは、スピーカ181、近位発光ダイオード(LED)173、遠位LED183(
図6Aを参照のこと)、又はそれらの組み合わせを含み得る。スピーカ181及び/又は近位LED173は、ハンドルPCB123に結合することができる。他の変形例では、スピーカ181のみをハンドルPCB123に結合することができる。
【0107】
[0145]
図4Aに示されているように、スピーカ181はハンドルグリップ114内に位置決めすることができる。他の変形例では、スピーカ181はハンドルバレル116内に位置決めすることができる。
【0108】
[0146] スピーカ181は、音声又はオーディオメッセージを伝送して、検出されたRSIもしくは他の強磁性物体についてオペレータに知らせるか、又はデバイス100の機能性もしくは動作ステータスに関する情報を伝達するように構成することができる。例えばスピーカ181は、音声又はオーディオメッセージを発生して、デバイス100のバッテリ寿命、待機指示、エラー警報、検出ステータス、又はそれらの組み合わせに関する情報を伝達することができる。
【0109】
[0147] 音声は、ビープ音、鳴り響く音(ringing sound)、チャイム、高さを調整した音(pitched tonal sound)、又はそれらの組み合わせとすることができる。オーディオメッセージは、録音されたメッセージ又は語句とすることができる。
【0110】
[0148] 近位LED173は、ハンドルバレル116内に位置決めすることができる。他の変形例では、近位LED173は、ノーズキャップ109に近接して又はハンドルグリップ114に沿って位置決めすることができる。
【0111】
[0149] ハンドル102は更に光透過ウィンドウ147を備えることができる。光透過ウィンドウ147は、近位LED173の真上に又は近位LED173の近くに位置決めすることができる。光透過ウィンドウ147によって、近位LED173が発生した光をオペレータに見えるようにすることができる。光透過ウィンドウ147は、ライトパイプ又はライトバーとも称することができる。光透過ウィンドウ147は、光伝送ポリマー材料(例えばアクリルポリマー)、セラミック材料、又はそれらの組み合わせで作製することができる。
【0112】
[0150] また、デバイス100は遠位LED183も備えることができる。遠位LED183は、遠位検知部136内の可撓性回路又は回路基板に結合することができる(
図6Aを参照のこと)。センサ筐体141は、遠位LED183が発生した光を内視鏡検査を介してオペレータに見えるようにするため、光透過ウィンドウ又は光伝送部を含み得る。
【0113】
[0151] 遠位LED183は近位LED173と同様に機能することができる。また、近位LED173が発生したものと同じ光又は光パターンを遠位LED183によって発生することができる(逆もまた同様である)。近位LED173及び/又は遠位LED183が発生した光又は光パターンは、デバイス100のバッテリ寿命、待機指示、エラー警報、検出ステータス、又はそれらの組み合わせに関する情報を伝達することができる。
【0114】
[0152] 例えば、近位LED173及び遠位LED183は双方とも、緑色の点滅光パターン(心拍光パターン)を発生して、デバイス100が動作中であることを示すことができる。近位LED173は、赤色の点滅光パターンを発生して、センサ筐体141内の1つ以上の電子コンポーネントもしくはセンサの接続が切れたこと、又はセンサ筐体141全体が外れたこともしくはその接続が切れたことをオペレータに知らせることができる。また、スピーカ181は、センサ筐体141内の1つ以上の電子コンポーネントもしくはセンサの接続が切れた場合、又はセンサ筐体141全体が外れたか、もしくはその接続が切れた場合、警報音を発生することができる。
【0115】
[0153] また、スピーカ181は、検出信号が感度又は検出閾値を超えた場合にビープ音又はビープ音パターンを発生して、デバイス100がRSI又は他の強磁性物体を検出した可能性があることをオペレータに知らせることができる。スピーカ181が発生する音声(例えばビープ音又は音パターン)は、検出信号が感度又は検出閾値を上回る大きさに対応することができる。例えば、検出信号が感度又は検出閾値を上回る大きさが所定の大きさ閾値を超えた場合、スピーカ181は、より大きいビープ音又は音パターンを発生することができる。また、検出信号が感度又は検出閾値を超えた場合、近位LED173、遠位LED183、又はそれらの組み合わせは、光又は光パターン(例えば持続する青色光又は点滅する青色光)を発生することができる。いくつかの変形例では、近位LED173、遠位LED183、又はそれらの組み合わせが発生する光又は光パターンの明るさは、検出信号が感度又は検出閾値を上回る大きさに対応することができる。例えば、検出信号が感度又は検出閾値を上回る大きさが所定の大きさ閾値を超えた場合、近位LED173、遠位LED183、又はそれらの組み合わせは、より明るい光又は光パターンを発生することができる。
【0116】
[0154]
図4Aは、デバイス100が、デバイス100及びその様々な電子コンポーネントに電力を供給するよう構成された電源を含み得ることも示している。いくつかの変形例において、電源は、1つ以上のバッテリ149等の携帯型電源とすることができる。
図4Aに示されているように、1つ以上のバッテリ149はハンドル102内に収容することができる。例えば、ハンドルグリップ114は、正のバッテリ端子125及び負のバッテリ端子127を含むバッテリホルダ又はバッテリ保持区画を備えることができる。
【0117】
[0155] いくつかの変形例において、バッテリ149は充電式バッテリとすることができる。これらの変形例では、デバイス100は、外部電源からバッテリ149を充電する電力を受け取るための入力を含み得る。更に別の変形例では、デバイス100は、外部電源から電力を受け取るための入力を含み、バッテリ149なしで外部電源によって完全に電力を供給することができる。
【0118】
[0156]
図4A及び
図4Bに示されているように、ハンドル102は更に、引き金105、引き金105の少なくとも一部に結合された引き金ポテンショメータ171、及び引き金ばね121を備えることができる。プルケーブル135の近位セグメントは、引き金105の少なくとも一部に結合することができる。
【0119】
[0157] 引き金105を作動させて可撓部145の屈曲を制御することができる。前述のように、引き金105は、シャフト131及び可撓部145を通って延出しているプルケーブル135によって可撓部145に結合することができる。引き金105引くと、プルケーブル135が引っ張られ、可撓部145が屈曲する。可撓部145が屈曲すると、遠位検知部136はシャフト131に近付く。
【0120】
[0158]
図4Bに示されているように、引き金105はプルケーブル孔165を含み得る。プルケーブル135はプルケーブル孔165を通って延出し、プルケーブル孔165で引き金105に縛り付けるか又は他の方法で固定することができる。他の変形例では、プルケーブル135の近位セグメント又は近位端は、引き金105内のキャビティ内へ延出し、引き金105内のスプールに巻くことができる。プルケーブル135は、接着剤、クリップ、ひも、フェルール、又はそれらの組み合わせによって引き金105に取り付けることも可能である。
【0121】
[0159] 前述のように、プルケーブル135はシャフト131及び可撓部145の長さにわたって延出することができ、プルケーブル135の遠位端は、デバイス100の遠位端で遠位チューブ付属品139に縛り付けるか又は他の方法で結合することができる。
【0122】
[0160] 例えばプルケーブル135は、遠位チューブ付属品139に画定された孔に通し、結び目を作ってプルケーブル135の遠位端を遠位チューブ付属品139に固定することができる。他の変形例では、フェルール又は他のタイプのリング、キャップ、又はクリップを用いて、プルケーブルの遠位端を遠位チューブ付属品139に取り付けることができる。
【0123】
[0161] いくつかの変形例において、プルケーブル135は、編み上げステンレス鋼ケーブル等の編み上げケーブル又はワイヤとすることができる。他の変形例において、プルケーブル135は、ナイロンケーブル又はワイヤ等のポリマーケーブル又はワイヤとすることができる。
【0124】
[0162] 引き金ばね121は、引き金105が引かれた後に開始位置へ戻るように引き金105にばね荷重を加えることができる。引き金ばね121は、ねじりばねとすることができる。引き金ばね121は、ハンドル102の内部の特徴部(features)と噛み合って抵抗を与えることができる。
【0125】
[0163] 引き金105を引くと、プルケーブル135が引っ張られ、可撓部145を屈曲構成144に屈曲させることができる。可撓部145は、任意の所望の方向への曲げを可能とするのに充分な可撓性を持たせることができる。
【0126】
[0164] 引き金105が解放された場合、可撓部145は、可撓部145内の1つ以上の構造によって付勢して真っすぐの構成142に戻すことができる。例えば可撓部145は、可撓部145を通って延出しているばねチューブ137(例えば
図4Aから
図4B、
図5Aから
図5B、及び
図5Dを参照のこと)によって付勢して真っすぐの構成142に戻すか又は押し戻すことができる。
【0127】
[0165] 他の変形例において、引き金105は、1つ以上のレバー、ホイール、ノブ、取っ手、又はそれらの組み合わせ等、別のタイプの機械的アクチュエータに置き換えることができる。更に別の変形例において、引き金105は、1つ以上のボタン、スイッチ、又はそれらの組み合わせ等の電気的アクチュエータに置き換えることができる。
【0128】
[0166]
図4Bは、見やすくするために左ハンドルケーシング101、引き金ばね121、及び感度ホイール115が取り外されたハンドル102のクローズアップ側面図を示す。
図4Bは、引き金105の回転可能部分に引き金ポテンショメータ171を結合できることを示している。例えば引き金ポテンショメータ171は、引き金ポテンショメータ171を通って延出している引き金軸(
図4Bでは見えない)に結合することができる。
【0129】
[0167] 引き金ポテンショメータ171は回転式ポテンショメータとすることができる。いくつかの変形例において、引き金ポテンショメータ171はハンドルPCB123の一部に搭載することができる。他の変形例において、引き金ポテンショメータ171はハンドル102内の別のPCBに搭載することができる。
【0130】
[0168] 引き金ポテンショメータ171は、引き金速さに関するデータ(例えば、どのくらい速く引き金が引かれるか)を提供することができる。可撓部145を屈曲させると遠位検知部136は突然の動きを生じ、遠位検知部136は強磁性シャフト131に近付くので、引き金ポテンショメータ171が提供するデータを用いて、感度閾値又は検出閾値を調整することができる。
【0131】
[0169] 例えば、マイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、遠位検知部136をシャフト131の方へ屈曲させた場合にシャフト131によって生じる及び/又は遠位検知部136の突然の移動によって生じる磁場の歪みに対処するため、感度又は検出閾値を高くする(すなわち検出感度を下げる)ようにプログラムすることができる。例えば、引き金ポテンショメータ171から取得されたデータを用いて、オペレータが引き金105を過度に強く又は素早く引くことで遠位検知部136を急に動かしたり又は引っ張ったりしたことを判定できる。
【0132】
[0170] 感度又は検出閾値を高くすること(検出又は感度レベルを下げること又は低減させることとも言える)は、フォールスポジティブ(false positive)信号を回避するために実行され得る。引き金が過度に素早く引かれたか又は動いた場合、検出される磁場に鋭いスパイクを生成する可能性がある。こういった場合、マイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、引き金の動きが引き金動き閾値又は引き金動き閾値範囲を超えていると判定するための命令を実行するようにプログラムすることができ、また、1つ以上のプロセッサは、引き金105の突然の移動又は制御されていない移動に応じて、プログラムされた感度又は検出閾値を高くする(すなわちデバイス100の感度レベルを下げる)ための別の命令を実行するようにプログラムすることができる。これは、フォールスポジティブ信号を未然に防ぐか又は変更する(tamper)ため実行することができる。このように、引き金ポテンショメータ171から取得されたデータは、マイクロコントローラ185が実行する検出アルゴリズムに組み込むことができる。
【0133】
[0171] ハンドル102は更に1つ以上の感度ホイール115を含むことができ、これは、この1又は複数の感度ホイール115の回転に応じて、プログラムされた感度又は検出閾値を調整するように構成されている。1又は複数の感度ホイール115の少なくとも一部は、ハンドルケーシングに沿って画定された1又は複数の切り欠きから突出して、オペレータが1又は複数の感度ホイール115のダイヤルを回すか又は回転させることを可能とする。
【0134】
[0172] オペレータは、プログラムされた感度又は検出閾値を上昇又は低下させるため、感度ホイール115のダイヤルを回すか又は回転させることができる。例えばオペレータは、感度ホイール115のうち少なくとも1つのダイヤルを前方へ(すなわち遠位方向に)回すか又は回転させて、デバイス100の感度レベルを上げることができる。デバイス100の感度レベルを上げると、デバイス100は、対象の体内の小さい又は弱く磁化されたRSI又は他の強磁性物体の存在をより正確に検出することが可能となる。デバイス100の感度レベルを上げると、プログラムされた感度又は検出閾値を下げることができる。
【0135】
[0173] オペレータは、感度ホイール115のうち少なくとも1つのダイヤルを後方へ(すなわち近位方向に)回すか又は回転させて、デバイス100の感度レベルを下げることができる。デバイス100の感度レベルを下げると、プログラムされた感度又は検出閾値を上げることができる。患者に近接した強磁性医療機器(例えば金属製の手術用機器又はカート)からのフォールスポジティブ信号のためにオペレータが実際の検出信号を感知するのが難しい場合、オペレータはデバイス100の感度レベルを下げることができる。
【0136】
[0174] デバイス100は、いくつかの別個の感度レベルを含むことができる。例えば、デバイス100は11の別個の感度レベルを含み、デフォルトレベルをレベル7とすることができる。感度レベルが上限(例えばレベル11)又は下限(例えばレベル1)のいずれかに到達した場合、デバイス100は、ユーザ出力(例えば2回のビープ音又は連続的なビープ音)を発生することができる。
【0137】
[0175] 1又は複数の感度ホイール115は、感度回転式ポテンショメータ169に回転可能に結合することができる(
図4Bを参照のこと。見やすくするため、
図4Bでは感度ホイール115は取り外されている)。感度回転式ポテンショメータ169はハンドルPCB123に結合することができる。
【0138】
[0176] 感度回転式ポテンショメータ169は、ホイール回転に関するデータを提供し、これによって、オペレータが望む感度レベルに関するデータを提供することができる。
【0139】
[0177] マイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、感度回転式ポテンショメータ169から取得されたポテンショメータ信号を平滑化して信号ノイズを低減するため、及び、オペレータが感度ホイール115のうち少なくとも1つのダイヤルを前方又は後方へ回したことで生じた連続的な上向き又は下向きの信号スパイクについてそのような信号を観察するための命令を実行するようプログラムすることができる。マイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、2つの連続した感度上向き信号スパイク又は2つの連続した下向き信号スパイクのいずれかが検出された場合、感度又は検出閾値を調整するための命令を実行するようプログラムすることができる。例えばマイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、感度回転式ポテンショメータ169からの2つの連続した上向き信号スパイクが観察された場合、感度又は検出閾値を下げる(すなわち感度レベルを上げる)ための命令を実行するようプログラムすることができる。
【0140】
[0178] また、デバイス100の感度レベルは、デバイス100によって自動的に(すなわちオペレータの入力なしで)調整することも可能である。例えば、引き金ポテンショメータ171から取得されたデータから計算された引き金の動きが引き金動き閾値を超えた場合、デバイス100の感度レベルを下げ、感度又は検出閾値を上げることができる。また、例えば、磁力計を定期的にリセットして整定イベント(settling event)又はレベル変化を取り除く場合、デバイス100の感度レベルを下げ、感度又は検出閾値を上げることができる。例えば磁力計は、電流パルスによって磁力計内のドメインを再調整するため磁気リセット機能(mag reset function)を用いて定期的に(例えば5秒ごとに)リセットすることができる。これは、磁力計が強い磁場によって大きく影響を受ける場合に実行される。磁力計をリセットすると、過渡信号スパイク又は上昇(bump)が発生し得る。磁力計をリセットすると同時に感度又は検出閾値を上げると、フォールスポジティブ信号の可能性を低減することができる。
【0141】
[0179] 本例では1又は複数の感度ホイール115について言及しているが、1又は複数の感度ホイール115が感度アクチュエータの単なる一例であることは、本開示によって考慮され、当業者によって理解されるべきである。他の変形例において、感度アクチュエータは、1つ以上のスライダ、ノブ、ボタン、スイッチ、又はそれらの組み合わせとして実施され得る。更に別の変形例において、感度アクチュエータは、電子ディスプレイ又はタッチパッドによって提示されるユーザインタフェース制御装置として実施され得る。
【0142】
[0180] また、
図4A及び
図4Bは、ハンドル102が試験棒スライダ117を含み得ることを示している。いくつかの変形例において、試験棒スライダ117はハンドルバレル116の背面に沿ってスライドすることができる。試験棒スライダ117は、シャフト131内で試験棒133を軸方向に平行移動させるため、前方へ(遠位に)又は後方へ(近位に)スライドするか又は他の方法で平行移動させることができる。試験棒スライダ117を前方へスライドすると、試験棒133の遠位端をセンサ筐体141内へ延出させて遠位検知部136の磁力計に近接させるか、又はそのように駆動することができる。
【0143】
[0181] 試験棒133は部分的に強磁性材料で作製することができる。例えば試験棒133は、部分的に強磁性金属で作製できる。試験棒133は部分的に、フェライト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、又は二相ステンレス鋼等の磁気ステンレス鋼で作製することができる。
【0144】
[0182] 試験棒133は可撓性かつ屈曲可能とすることができる。例えば試験棒133は、可撓性強磁性ケーブル又は棒として実施することができる。
【0145】
[0183] 試験棒133は既知の磁気的特徴を有し、試験棒133をセンサ筐体141内へ延出させた場合、試験棒133によって生じる磁場の歪みを把握できる(account for)ようになっている。試験棒133を用いて、デバイス100の機能性を検証すること及び/又は現場で(in-situ)磁場環境の再ゼロ設定(re-zero)を行うことができる。
【0146】
[0184] 試験棒スライダ117は、試験棒スライダ117に遠位方向の力が加えられていない場合に試験棒スライダ117をそのデフォルト開始位置(例えば
図4Bを参照のこと)へ引き戻すように、引っ張りばね119によってばね荷重を加えることができる。引っ張りばね119の一端は右ハンドル102に接地し、引っ張りばね119の他端は試験棒スライダ117の少なくとも一部に取り付けるか又は結合することができる。
【0147】
[0185] 試験棒133の近位端は、試験棒スライダ117に固定するか又は他の方法で結合することができる。例えば試験棒133の近位端は、接着剤、留め具、ひも、クリップ、又はそれらの組み合わせによって、試験棒スライダ117の近位部に固定することができる。
【0148】
[0186] 試験棒133は、部分的にばねチューブ137内に収容することができる。試験棒133の遠位端は、ばねチューブ137の外へ延出することができる。ばねチューブ137の近位端は、右ハンドルケーシング103に固定するか又は他の方法で結合することができる。例えばばねチューブ137の近位端は、接着剤、留め具、ひも、クリップ、又はそれらの組み合わせによって、右ハンドルケーシング103の特徴部に固定することができる。ばねチューブ137は、ハンドル102からシャフト131及び可撓部145を通って延出することができる。
【0149】
[0187] ばねチューブ137は、試験棒133の筐体として機能することに加えて、引き金105が解放された場合に可撓部145を付勢してその屈曲していない構成144に戻すためにも使用することができる。ばねチューブ137は、部分的にポリエチレンテレフタレート(PET)で作製することができる。他の変形例では、ばねチューブ137は、形状記憶特性を示すポリマー材料又は共重合体で作製することができる。また、ばねチューブ137は、可撓部145に対してある程度の剛性又は構造を提供することができる。
【0150】
[0188] 試験棒133を収容するため、及び、可撓部145を付勢して屈曲していない構成144に戻すためにばねチューブ137を使用することの1つの利点は、同一のコンポーネントが複数の機能を提供することにより、小径のシャフトを通って延出するコンポーネントの総数を削減できることである。また、これは、デバイス100の全体的な複雑さを軽減することにも役立つ。
【0151】
[0189] ハンドル102は更に、ハンドルPCB123に搭載されるか又は他の方法で結合されたスライダポテンショメータ167を備えている。スライダポテンショメータ167は、歯車を介して試験棒スライダ117の少なくとも一部に結合することができる。
【0152】
[0190] 例えば、
図4A及び
図4Bは、試験棒スライダ117を、平歯車129と相互作用するよう構成されたラック歯車128に結合できることを示している。平歯車129は、スライダポテンショメータ167に回転可能に結合することができる。例えば、平歯車129から延出している歯車軸をスライダポテンショメータ167に結合することができる。
【0153】
[0191] スライダポテンショメータ167から取得されたデータを用いて、試験棒スライダ117のスライダ位置を決定することができる。スライダ位置は、遠位検知部136の磁力計に対する試験棒133の相対的な位置決めを示すことができる。例えばスライダ位置は、第1の近位磁力計202、第2の近位磁力計204、第1の遠位磁力計208、及び第2の遠位磁力計210のうち少なくとも1つに対する試験棒133の相対的な位置決めを示すことができる。
【0154】
[0192] 試験棒133が試験棒スライダ117によってセンサ筐体141内へ駆動されて磁力計に近接した場合、マイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、特定の検出診断を行うための命令を実行するようにプログラムすることができる。例えば、マイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、磁力計から取得された磁場測定値を強磁性試験棒133に関連付けられた既知の磁場値と比較するための命令を実行するようにプログラムすることができる。
【0155】
[0193] マイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、診断結果をオペレータに知らせるユーザ出力(例えば音声又は光パターン)を発生するよう出力コンポーネント(例えばスピーカ181又はLED)に命令するための別の命令を実行するようにプログラムすることができる。
【0156】
[0194] 試験棒133は、感度ホイール115と組み合わせて用いることで、デバイス100の機能性又は操作性を正確に測定することができる。例えば、オペレータは、デバイス100が適正に機能しているかどうか分からない場合、感度ホイール115のダイヤルを前方すなわち遠位方向に回すことでデバイス100の感度レベルを上げ、更に、試験棒スライダ117を前方へ押すことで強磁性試験棒133をセンサ筐体141内へ平行移動させて磁力計に近接させることができる。オペレータは、この状況でデバイス100が発生するユーザ出力に基づいて、デバイス100の機能性を把握することができる。
【0157】
[0195] また、スライダポテンショメータ167から取得されたデータは、試験棒133の動きに関する計算又は決定(例えば速さ及び/又は加速度)の一部として使用することができる。例えば、スライダポテンショメータ167から取得されたデータを用いて、オペレータが過度に素早く試験棒133を伸長又は格納したことを判定できる。
【0158】
[0196] また、スライダポテンショメータ167から取得されたデータによって、デバイス100の機能性を試験するため試験棒スライダ117が前方へ押されていることが示される場合、デバイス100は自動的に感度レベルを上げることができる。デバイス100は、自動的に感度レベルを上げて(これにより感度又は検出閾値を低下させて)、試験棒133が磁力計によって検出される可能性を高くすることができる。例えば、マイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、スライダポテンショメータ167から取得されたデータ又は信号に基づいて試験棒133が前方へ進められていると判定するための命令を実行するようプログラムすることができる。マイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、試験棒133が前方へ又はセンサ筐体141内へ進められていることに応じて感度又は検出閾値を低下させるための別の命令を実行するようプログラムすることができる。
【0159】
[0197] 他の例では、試験棒133を用いて、検知環境内の強磁性物体に起因するフォールスポジティブ信号又はノイズを打ち消すことができる。例えば、試験棒133を用いて、患者に近接した強磁性医療機器(例えば金属製の手術用機器又はカート)に起因するフォールスポジティブ信号又はノイズを打ち消すことができる。このようなノイズは、オペレータが実際の検出信号を感知することを困難にする可能性がある。例えば、磁気環境の再ゼロ設定を行うことを望んでいるオペレータは、試験棒スライダ117に遠位方向の力を加えて試験棒133をセンサ筐体141内へ伸長し、所定の時間閾値を超える時間期間にわたって試験棒133をこの伸長構成に維持することができる。試験棒133がこの伸長構成に維持されていることに応じて、マイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、感度又は検出閾値を上げて、試験棒133に起因する信号を除いたほとんどの(又はかなりの数の)フォールスポジティブ信号が新たな感度又は検出閾値よりも小さくなるまでデバイス100の感度レベルを低下させるための命令を実行するようプログラムすることができる。その後、オペレータが試験棒スライダ117から手を放し、試験棒133がセンサ筐体141へ延出しなくなって格納構成になった場合も、この新たな高い感度又は検出閾値を維持することができる。次いでオペレータは、この新しい低下させた感度レベル(すなわち高い感度又は検出閾値)で検出を行うことができる。
【0160】
[0198]
図5Aは、デバイス100の遠位セグメントの等角図を、見やすくするためセンサ筐体141及び可撓部145を取り外した状態で、かつ試験棒133を後退構成130で示す。後退構成130は試験棒133のデフォルト構成とすることができる。後退構成130にある場合、試験棒133の遠位端はばねチューブ137内にあり得る。後退構成130にある場合、試験棒133の磁性がRSI又は他の強磁性金属製物体の検出に大きな影響を与えないよう試験棒133は磁力計から充分な距離に置くことができる。
【0161】
[0199]
図5Bは、
図5Aに示されているのと同じデバイス100の遠位セグメントの等角図であるが、試験棒133は伸長構成134で示されている。オペレータがハンドル102上の試験棒スライダ117を進めて、その進んだ位置に試験棒スライダ117を維持するため試験棒スライダ117に遠位方向の力を加えている場合(例えば試験棒スライダ117上にオペレータの指を置いたままにすることにより)、試験棒133は伸長構成134になることができる。試験棒133が伸長構成134にある場合、試験棒133の遠位端はばねチューブ137からセンサ筐体141(見やすくするため
図5Bには示されていない)内へ伸長又は進むことができる。伸長構成134にある場合、試験棒133は遠位検知部136の磁力計と充分に近接するので、磁力計のうち少なくとも1つによって強磁性試験棒133を検出できるようになっている(試験棒133によって生じた磁場の歪みを、第1の近位磁力計202、第2の近位磁力計204、第1の遠位磁力計208、及び第2の遠位磁力計210のうち少なくとも1つによって検出できる)。
【0162】
[0200] 試験棒133が伸長構成134にある場合、試験棒133の遠位端は第2の近位磁力計204から数ミリメートル分離され得る。例えば、試験棒133が伸長構成134にある場合、試験棒133の遠位端は第2の近位磁力計から、約1.0mmから約5.0mm分離され得る。他の変形例では、試験棒133が伸長構成134にある場合、試験棒133の遠位端は第2の近位磁力計204から、約5.0mmから約10.0mm分離され得る。他の変形例では、試験棒133が伸長構成134にある場合、試験棒133の遠位端は第2の近位磁力計から、10.0mm超、又は1.0mm未満、分離され得る。更に別の変形例では、試験棒133が伸長構成134にある場合、試験棒133の遠位端は磁力計のうち1つ以上の上にあるが磁力計と接触しないように位置決めすることができる。
【0163】
[0201] 例えば、いくつかの変形例では、試験棒133が伸長構成134にある場合、試験棒133の遠位端は第2の近位磁力計204を約1.0mm通り過ぎた所に位置決めすることができる。
【0164】
[0202] 代替的な変形例では、試験棒133が伸長構成134にある場合、試験棒133の遠位端は第1の近位磁力計202を約1.0mm通り過ぎた所に位置決めすることができる。
【0165】
[0203] 更なる変形例では、試験棒133が伸長構成134にある場合、試験棒133の遠位端は第1の遠位磁力計208又は第2の遠位磁力計210を約1.0mm通り過ぎた所に位置決めすることができる。これらの変形例において、試験棒133全体を磁力計の上に位置決めすることができる。
【0166】
[0204]
図5Cは、デバイス100の遠位セグメントの平面図を、見やすくするためセンサ筐体141及び可撓部145を取り外した状態で、かつ試験棒133を伸長構成134で示す。
図5Dは、
図5Cに示されているセクションA-Aに沿った同じ遠位セグメントの断面図を示す。
【0167】
[0205]
図5C及び
図5Dは、細長いフレックス回路157が遠位検知部136内の1つ以上のPCBをハンドルPCB123に結合できることを示している。例えば細長いフレックス回路157は、近位剛性PCB161をハンドルPCB123に結合することができる。細長いフレックス回路157によって、遠位検知部136内の磁力計、増幅器、及び他の電子コンポーネントは、ハンドルPCB123に搭載されたマイクロコントローラ185と電気的に通信することができる。引き金105を引いたことに応じて可撓部145が屈曲構成144に引っ張られた場合、可撓部145を通って延出している細長いフレックス回路157のセグメントは屈曲するか又は曲がることができる。
【0168】
[0206] 細長いフレックス回路157又は可撓性プリント回路は、PETフィルム又はポリイミドフィルム等の可撓性ポリマーフィルムに対してプリント、接着、ラミネート加工、堆積、及び/又は他の方法で接合された伝導性金属箔を含むことができる。他の変形例では、細長いフレックス回路157はリジッドフレックスPCB(rigid-flex PCB)又はある程度の剛性を有する可撓性プリント回路とすることができる。
【0169】
[0207] 細長いフレックス回路157は、試験棒133を部分的に収容しているばねチューブ137及び可撓部145内のプルケーブル135及びシャフト131の間に位置決めすることができる。プルケーブル135は、可撓部145及びシャフト131の下側又は腹側の近くに位置決めすることができる。
【0170】
[0208] 先に検討したように、プルケーブル135の遠位端は遠位チューブ付属品139に接地するか又は他の方法で結合することができる。
図5Dに示されているように、プルケーブル135の遠位端は、細長いフレックス回路157の下方又は下側で遠位チューブ付属品139に接地するか又は他の方法で結合することができる。
【0171】
[0209] 例えばプルケーブル135は、遠位チューブ付属品139に画定された孔に通し、結び目を作ってプルケーブル135の遠位端を遠位チューブ付属品139に固定することができる。いくつかの変形例では、遠位チューブ付属品139の孔を細長いフレックス回路157の下方又は下側に位置決めすることができる。他の変形例では、フェルール又は他のタイプのリング、キャップ、又はクリップを用いて、プルケーブルの遠位端を遠位チューブ付属品139に取り付けることができる。
【0172】
[0210] ばねチューブ137は、可撓部145及びシャフト131の上側又は背側の近くに位置決めすることができる。
図5Dに示されているように、ばねチューブ137の遠位は、細長いフレックス回路157の上方又は上側で遠位チューブ付属品139に結合することができる。
【0173】
[0211] 可撓部145内にチューブ、回路、及びケーブルを配置することの1つの技術的な利点は、可撓部145を迅速かつ効果的に屈曲させることができ、同じように容易に屈曲していない構成すなわち真っすぐの構成を回復できることである。例えば、可撓部145内のばねチューブ137によって、可撓部145がデフォルトの真っすぐの構成へ跳ね返ることが可能となる。更に、可撓部145は、ばねチューブ137内の試験棒133に悪影響を与えることなく屈曲することができる。
【0174】
[0212] 金属検出デバイス100は、可撓部145が屈曲した場合であっても、試験(例えば機能性試験)又は再ゼロ設定を行うように構成することができる。例えば金属検出デバイス100は、可撓部145が約1度から約90度まで又は90度よりも大きく屈曲した場合であっても試験又は再ゼロ設定を行うように構成できる。これまで、本出願人が知っている限り、デバイス100の細長い検知セグメントの一部が屈曲又は湾曲した場合に試験又は再ゼロ設定を可能とするように屈曲可能試験棒133を用いて設計された手術金属検出器は存在しない。
【0175】
[0001] また、
図5Aから
図5Dは、遠位検知部136が、第1の近位磁力計202及び第2の近位磁力計204を含む近位グラジオメータ200と、第1の遠位磁力計208及び第2の遠位磁力計210を含む遠位グラジオメータ206と、を含み得ることを示している。本開示の目的のため、磁力計という用語は磁場の成分を測定するためのデバイス又はセンサを指し、グラジオメータという用語は磁場成分の勾配を測定するためのそのようなデバイス又はセンサの組み合わせを指す。
【0176】
[0213] 第1の近位磁力計202及び第2の近位磁力計204は近位PCB又は回路に搭載するか又は他の方法で結合することができ、第1の遠位磁力計208及び第2の遠位磁力計210は遠位PCB又は回路に搭載するか又は他の方法で結合することができる。
図5Aから
図5D及び
図6Aから
図6Bに示されている変形例では、第1の近位磁力計202及び第2の近位磁力計204は近位剛性PCB161に搭載するか又は他の方法で結合することができる。この変形例では、第1の遠位磁力計208及び第2の遠位磁力計210は遠位剛性PCB163に搭載するか又は他の方法で結合することができる。
【0177】
[0214] 近位剛性PCB161は、遠位フレックス回路155によって遠位剛性PCB163に接続するか又は他の方法で結合することができる。他の変形例では、第1の遠位磁力計208及び第2の遠位磁力計210は、フレックス回路に搭載するか又は他の方法で結合することができる。
【0178】
[0215]
図5Aから
図5Dは、2つのグラジオメータ及び4つの磁力計を備えるデバイス100の変形例を示すが、本開示では、デバイス100が3つ以上のグラジオメータ又は1つだけのグラジオメータを含み得ることも考えられる。
【0179】
[0216] 第1の近位磁力計202は第2の近位磁力計204の遠位に位置決めすることができる。第1の遠位磁力計208は第2の遠位磁力計210の遠位に位置決めすることができる。
【0180】
[0217] 第1の近位磁力計202は、縦軸(例えば
図1Aに示されている縦軸104)に沿って第2の近位磁力計204の遠位に位置決めされるように、第2の近位磁力計204の遠位に直列に位置決めすることができる。第1の遠位磁力計208は、第2の遠位磁力計210の遠位に位置決めされるように、第2の遠位磁力計210の遠位に直列に位置決めすることができる。
【0181】
[0218]
図5Dは、第1の近位磁力計202が第2の近位磁力計204から近位磁力計分離距離205だけ分離され得ることを示している。いくつかの変形例では、近位磁力計分離距離205は約4.00mmから5.00mmの間とすることができる。例えば、近位磁力計分離距離205は約4.50mmから4.75mmの間とすることができる。
【0182】
[0219] 第1の遠位磁力計208は第2の遠位磁力計210から遠位磁力計分離距離207だけ分離され得る。いくつかの変形例では、遠位磁力計分離距離207は約4.00mmから5.00mmの間とすることができる。例えば、遠位磁力計分離距離207は約4.50mmから4.75mmの間とすることができる。
【0183】
[0220] 第2の遠位磁力計210は第1の近位磁力計202からグラジオメータ分離距離209だけ分離することができる。いくつかの変形例では、グラジオメータ分離距離209は約18.00mmから20.00mmの間とすることができる。例えば、グラジオメータ分離距離209は約18.50mmから18.85mmの間とすることができる。
【0184】
[0221] 本出願人が直面した1つの技術的な問題は、小さい手術用縫合針又は手術中に外れた手術用機器の部分のような小さい又は小型の磁性物品を検出する手術用磁気検出器をどのように設計するかということである。本出願人が発見した1つの技術的解決策は、本明細書に開示されているデバイス100が、これまで提示した寸法に従って位置決め及び離隔された磁力計とグラジオメータを有することである。本出願人は、本明細書に開示されている分離距離(例えば磁力計分離距離及び/又はグラジオメータ分離距離)によって、デバイス100が小さい手術針又は他の小さい強磁性鋭利物もしくは物品をいっそう効果的に検出できることを発見した。
【0185】
[0222] 更に、本明細書に開示されているデバイス100がこれまで提示した寸法に従って位置決め及び離隔された磁力計とグラジオメータを有すること、並びに磁力計の向き及び一意の信号の組み合わせは全て、対象の物体を検知することに役立つと共に、手術室内の固有の磁力線(例えば、地球、病院の建物、医療機器等に起因する磁力線)の中を移動することで生じる誤った信号の信号サイズを低減することに役立ち得る。
【0186】
[0223] また、遠位検知部136は慣性測定ユニット(IMU)159も含むことができる。IMU159は、6までの自由度(DoF)を提供できる。IMU159は、3軸加速度計と3軸ジャイロスコープを含む6軸IMUとすることができる。IMU159は、3つの垂直軸で傾斜及び角速度と加速度を測定することができる。いくつかの変形例では、IMUは低電力低ノイズ16ビットIMUとすることができる。例えばIMU159は、Bosch Sensortec GmbHによって提供されるBMI055、MBI088、又はBMI160 IMUとすることができる。
【0187】
[0224] IMU159から取得されたデータは、遠位検知部136の速さと加速度に関する計算の一部として使用することができる。例えば、IMU159及びポテンショメータから取得されたデータを用いて、オペレータが遠位検知部136を振ったかもしくは揺らしたことを判定できる。マイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、3軸加速度計から取得された加速度データ及び3軸ジャイロスコープから取得された回転データに基づいて、遠位検知部136及びシャフト131のうち少なくとも一方の突然の動きを無視するための更に別の命令を実行するようにプログラムすることができる。
【0188】
[0225] いくつかの変形例において、IMU159は近位剛性PCB161に搭載することができる。他の変形例において、IMU159は遠位剛性PCB163又は遠位検知部136の他の部分に搭載することができる。
【0189】
[0226] いくつかの変形例では、IMU159から受信されたデータ(例えば3軸加速度計からの加速度データ及び/又は3軸ジャイロスコープからのジャイロスコープデータ)は、デバイス100が感度レベル又は検出感度を下げるか否かに影響を及ぼし得る。感度レベル又は検出感度を下げることは、フォールスポジティブ信号を回避するため感度又は検出閾値を上げることを含み得る。例えば、IMU159から受信されたデータによって、遠位検知部136が強い動き又は大げさな動きを経験している(例えば、オペレータがシャフト131を過度に素早く回転させる、又は引き金を過度に素早く引く/手放す)ことが示される場合、検出される磁場に鋭いスパイクを生成する可能性がある。こういった場合、マイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、IMU159から取得されたデータに基づいて(例えば、IMU159から取得された動きデータが所定の動き閾値又は動き閾値範囲を超えている場合)、遠位検知部136が強い動き又は大げさな動きを経験していると判定するための命令を実行するようプログラムすることができる。次いで1つ以上のプロセッサは、遠位検知部136の突然の移動又は制御されていない移動に応じて、プログラムされた感度又は検出閾値を高くしてデバイス100の感度を下げるための別の命令を実行するようにプログラムすることができる。これは、フォールスポジティブ信号を未然に防ぐか又は変更するため実行することができる。
【0190】
[0227] いくつかの変形例において、1つ以上のプロセッサは、強い動きによって生じるフォールスポジティブ信号の可能性を低減するため、様々な磁力計から取得された信号又はデータを、強い動き信号の大きさ又は強い動き信号の一定の割合(scaled version)で除算するための別の命令を実行するようにプログラムすることができる。これは、動き阻止又は検出信号縮小の一例と見なすことができる。
【0191】
[0228]
図6Aは、遠位検知部136の1つの変形例の側面クローズアップ図を、センサ筐体141が取り外された状態で示す。遠位検知部136は、第1の近位磁力計202及び第2の近位磁力計204を含む近位グラジオメータ200と、第1の遠位磁力計208及び第2の遠位磁力計210を含む遠位グラジオメータ206と、を含み得る。
【0192】
[0229]
図5Aから
図5D及び
図6Aから
図6Bは、デバイス100が2つのグラジオメータと4つの磁力計を含むことを示すが、本開示では、デバイス100が3つ以上のグラジオメータ又は6つ以上の磁力計を含み得ることも考えられる。他の変形例において、デバイス100は、2つの磁力計を含むグラジオメータを1つのみ含むか、又は、2つの磁力計を含む1つのグラジオメータと、この1つのグラジオメータの遠位もしくは近位に配置された追加の磁力計と、を含むことができる。
【0193】
[0230] 第1の近位磁力計202、第2の近位磁力計204、第1の遠位磁力計208、及び第2の遠位磁力計210は、それぞれがx軸とy軸を有する2軸磁力計とすることができる。例えば、第1の近位磁力計202、第2の近位磁力計204、第1の遠位磁力計208、及び第2の遠位磁力計210の各々は、正のx軸(+x軸)、負のx軸(-x軸)、正のy軸(+y軸)、及び負のy軸(-y軸)を有し得る。x軸とy軸の各々は、磁力計の感度軸と見なすことができる。
【0194】
[0231] 第1の近位磁力計202の+x軸は、第2の近位磁力計204の+x軸の反対方向に向けることができる。第1の近位磁力計202の+y軸は、第2の近位磁力計204の+y軸の反対方向に向けることができる(
図5C及び
図6Aを参照のこと)。
【0195】
[0232] 第1の近位磁力計202の-x軸は、第2の近位磁力計204の-x軸の反対方向に向けることができる。第1の近位磁力計202の-y軸は、第2の近位磁力計204の-y軸の反対方向に向けることができる。
【0196】
[0233] 第1の近位磁力計202及び第2の近位磁力計204の感度軸(例えばx軸とy軸)を反対方向に向けることで、共通磁場の影響(例えば地球の磁場、手術室内の医療機器による磁場の影響、又は動きによる場の影響)を打ち消すか又は低減して、局所磁場の歪み又は影響がいっそう目立つすなわち検出可能となるように、また、信号全体の中でより大きな部分を占めるようにすることができる。
【0197】
[0234] 他の変形例では、第1の近位磁力計202の+x軸を第2の近位磁力計204の+x軸の反対方向に向けるのみとするか、又は、第1の近位磁力計202の+y軸を第2の近位磁力計204の+y軸の反対方向に向けるのみとする。
【0198】
[0235] 第1の遠位磁力計208の+x軸は、第2の遠位磁力計210の+x軸の反対方向に向けることができ、第1の遠位磁力計208の+y軸は、第2の遠位磁力計210の+y軸の反対方向に向けることができる(
図6A及び
図6Bを参照のこと)。
【0199】
[0236] 他の変形例では、第1の遠位磁力計208の+x軸を第2の遠位磁力計210の+x軸の反対方向に向けるのみとするか、又は、第1の遠位磁力計208の+y軸を第2の遠位磁力計210の+y軸の反対方向に向けるのみとする。
【0200】
[0237] 第1の遠位磁力計208及び第2の遠位磁力計210の感度軸(例えばx軸とy軸)を反対方向に向けることで、共通磁場の影響(例えば地球の磁場)を打ち消して、局所磁場の歪み又は影響がいっそう目立つすなわち検出可能となるようにすることができる。
【0201】
[0238] x軸(例えば+x軸)とy軸(+y軸)を含む磁力計又は磁気センサの各々に言及しているが、本開示では、x軸(例えば+x軸)又はy軸(+y軸)に対する言及は、磁力計又は磁気センサがx軸又はy軸のみを有する単軸磁力計も示し得ることが考えられる。従って、4つの2軸磁力計(例えば、第1の近位磁力計202、第2の近位磁力計204、第1の遠位磁力計208、及び第2の遠位磁力計210)に対する言及は、8つの1軸磁力計(例えば、第1の近位磁力計、第2の近位磁力計、第3の近位磁力計、第4の近位磁力計、第1の遠位磁力計、第2の遠位磁力計、第3の遠位磁力計、及び第4の遠位磁力計)にも適用することができる。いくつかの実施例において、遠位検知部136は、それぞれが2つの1軸磁力計を有するグラジオメータを4つ含むことができる。
【0202】
[0239] いくつかの変形例では、RSI又は他の強磁性物体によって生じた局所磁場の歪み又は影響を大きくするか又はより目立たせるため、近位グラジオメータ200(第1の近位磁力計202、第2の近位磁力計204、又はそれらの組み合わせ)及び遠位グラジオメータ206(第1の遠位磁力計208、第2の遠位磁力計210、又はそれらの組み合わせ)から取得された特定の共通磁場測定値を打ち消すか又は低減することができる。例えば、共通の信号又は共通磁場の影響(例えば、地球の磁場、又は周囲の強磁性病院設備によって生じた磁場の歪み)を打ち消すことにより、一方のグラジオメータの近くにあるRSI又は他の強磁性物体によって生じた局所磁場の歪みは、この近傍のグラジオメータにおいて、これよりも遠くに位置決めされている他方のグラジオメータよりも大きい信号を発生することができる。
【0203】
[0240] 以下の節で更に詳しく検討するように、マイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、第1の近位磁力計202、第2の近位磁力計204、第1の遠位磁力計208、及び第2の遠位磁力計210から取得された磁場測定値から差分信号を計算するためのメモリユニットに記憶された命令を実行するようにプログラムすることができる。
【0204】
[0241] また、遠位検知部136は、第1の近位磁力計202、第2の近位磁力計204、第1の遠位磁力計208、及び第2の遠位磁力計210のうち少なくとも1つからの未加工の出力信号を増幅するため1つ以上の演算増幅器も含み得る。演算増幅器は、磁力計からの未加工の出力信号がハンドル102内のマイクロコントローラ185のADC186又はADCコンポーネントに送信される前に、そのような信号を増幅することができる。いくつかの変形例では、1つ以上の演算増幅器は遠位検知部136内のPCBの裏側に搭載することができる。例えば、第1の近位演算増幅器及び第2の近位演算増幅器を近位剛性PCB161の裏側に搭載して、第1の近位磁力計202及び第2の近位磁力計204からの信号をそれぞれ増幅することができる。また、例えば、第1の遠位演算増幅器及び第2の遠位演算増幅器を遠位剛性PCB163の裏側に搭載して、第1の遠位磁力計208及び第2の遠位磁力計210からの信号をそれぞれ増幅することができる(例えば
図7Aから
図7Cを参照のこと)。
【0205】
[0242] 第1の近位磁力計202、第2の近位磁力計204、第1の遠位磁力計208、及び第2の遠位磁力計210のうち少なくとも1つは、異方性磁気抵抗(AMR)センサとすることができる。例えば、第1の近位磁力計202、第2の近位磁力計204、第1の遠位磁力計208、及び第2の遠位磁力計210のうち少なくとも1つは、2軸AMRセンサとすることができる。第1の近位磁力計202、第2の近位磁力計204、第1の遠位磁力計208、及び第2の遠位磁力計210のうち少なくとも1つは、低磁場磁気検知用に設計された固体AMRセンサとすることができる。
【0206】
[0243] より具体的な例として、第1の近位磁力計202、第2の近位磁力計204、第1の遠位磁力計208、及び第2の遠位磁力計210のうち少なくとも1つは、Honeywell International Inc.によって流通しているHMC1052AMRセンサ(品番HMC1052L-TR)とすることができる。
【0207】
[0244] 他の変形例において、第1の近位磁力計202、第2の近位磁力計204、第1の遠位磁力計208、及び第2の遠位磁力計210のうち少なくとも1つは、3軸AMRセンサとすることができる。
【0208】
[0245] AMRセンサは、磁力計として機能するために磁気抵抗材料(例えばパーマロイ)を利用することができる。パーマロイは、約80%のニッケルと20%の鉄を含有する合金である。合金の抵抗は、メタライゼーションと電流方向との間の角度に依存する。磁場において、磁化は磁場の方向へ回転し、その回転角は外部場の大きさに依存する。例えばAMRセンサは、電気抵抗が磁場の変化と共に変動するパーマロイ薄片(例えばNiFe磁気フィルム)を含み得る。
【0209】
[0246] いくつかの変形例において、磁力計は、所与の軸に沿った磁場の変化に応じて抵抗が変化する任意のタイプの磁気抵抗センサとすることができる。他の変形例において、磁力計は、磁場のベクトル成分を測定するための任意のタイプのベクトル磁力計とすることができる。
【0210】
[0247] 磁力計(第1の近位磁力計202、第2の近位磁力計204、第1の遠位磁力計208、及び第2の遠位磁力計210のいずれか1つ)は、通信プロトコルを用いて磁場測定値を送信することができる通信インタフェースを含み得る。磁力計は、例えば約2.0V、2.5V、3.0V、3.5V、4.0V、4.5V、5.0V、5.5V、又は6.0Vよりも低い電圧を提供する電源のような低圧電源によって動作することができる。磁力計は、遠位検知部136のPCBに表面実装されるように設計することができる。例えば、第1の近位磁力計202及び第2の近位磁力計204を近位剛性PCB161に表面実装し、第1の遠位磁力計208及び第2の遠位磁力計210を遠位剛性PCB163に表面実装することができる。
【0211】
[0248]
図6Aは、デバイス100が遠位LED183を含み得ることも示している。遠位LED183は、近位剛性PCB161の近くの細長いフレックス回路157の遠位端に搭載することができる。他の変形例において、遠位LED183は、近位剛性PCB161、遠位フレックス回路155、又は遠位剛性PCB163に搭載することができる。
【0212】
[0249] センサ筐体141(例えば
図1A、
図1B、
図3A、
図3B、及び
図7Cを参照のこと)は、遠位LED183が発生した光を内視鏡検査を介してオペレータに見えるようにするため、光透過ウィンドウ又は光伝送部を含み得る。
【0213】
[0250] 遠位LED183は、近位LED173と同様に機能することができる。また、遠位LED183が発生したものと同じ光又は光パターンを近位LED173によって発生することができる(逆もまた同様である)。遠位LED183及び/又は近位LED173が発生した光又は光パターンは、デバイス100のバッテリ寿命、待機指示、エラー警報、検出ステータス、又はそれらの組み合わせに関する情報を伝達することができる。
【0214】
[0251]
図5Aから
図5D及び
図6Aから
図6Bは、遠位剛性PCB163を近位剛性PCB161に対して角度的に回転させ得ることも示している。遠位剛性PCB163は、近位剛性PCB161に対してこの回転又はねじれ構成に維持することができる。
【0215】
[0252] 例えば遠位剛性PCB163は、センサ筐体141(見やすくするため
図6Aには示されていない)によって、この回転又はねじれ構成に維持することができる。また、例えば遠位剛性PCB163は、1つ以上のクリップ、留め金、詰め物(space filler)、又はそれらの組み合わせのような1つ以上の固定コンポーネントによって、この回転又はねじれ構成に維持することができる。
【0216】
[0253] 遠位剛性PCB163は、ねじれ角220だけ回転させることができる。いくつかの変形例では、ねじれ角220は約45度とすることができる。
【0217】
[0254] 他の変形例では、ねじれ角220は、約60度、約45度から60度の間、又は約45度未満とすることができる。いくつかの変形例では、ねじれ角220は約30度とすることができる。
【0218】
[0255] いくつかの変形例において、ねじれ角220は、第1の近位磁力計202に対する第2の遠位磁力計210及び第1の遠位磁力計208のうち少なくとも1つの回転角を指すことができる。
【0219】
[0256] 遠位剛性PCB163は、近位剛性PCB161を遠位剛性PCB163に接続する遠位フレックス回路155を中心として回転させることができる。
図5Aから
図5D及び
図6Aから
図6Bは、遠位検知部136の近位端から遠位検知部136の遠位端を見た場合に遠位剛性PCB163を反時計周りの回転方向に回転させることを示しているが、本開示では、遠位検知部136の近位端から遠位検知部136の遠位端を見た場合に遠位剛性PCB163を時計周りの回転方向に回転させ得ることも考えられる。
【0220】
[0257] いくつかの変形例では、遠位剛性PCB163上の磁力計の軸のうち1つを、近位剛性PCB161上の磁力計の軸のうち1つと位置合わせすることができる。例えば、第1の遠位磁力計208及び第2の遠位磁力計210のx軸の各々を、第1の近位磁力計202及び第2の近位磁力計204のx軸と軸方向に位置合わせするか、又はそれらのx軸と同じ軸平面に沿って位置決めすることができる。これらの変形例では、遠位剛性PCB163上の磁力計の他方の軸は、近位剛性PCB161上の磁力計の他方の軸と位置合わせされない可能性がある。例えば、第1の遠位磁力計208及び第2の遠位磁力計210のy軸の各々を、第1の近位磁力計202及び第2の近位磁力計204のy軸に対して位置合わせしないか又は(例えばねじれ角220だけ)回転させることができる。
【0221】
[0258]
図6A及び
図6Bは、磁力計のx軸を軸方向に位置合わせするか又は平面位置合わせすると共にy軸が位置合わせしないことを示しているが、本開示では、磁力計のy軸を軸方向に位置合わせするか又は平面位置合わせすると共にx軸を位置合わせしないことも可能であることが考えられる。
【0222】
[0259] 近位剛性PCB161に対して遠位剛性PCB163をねじること、よじること(contorting)、又は他の方法で回転させることにより、遠位グラジオメータ206の磁力計は、少なくとも1つの追加軸の磁場測定値を提供することができる。例えば、遠位グラジオメータ206の磁力計が2軸磁力計である(例えば磁力計がx軸とy軸を有する)場合、遠位剛性PCB163上の磁力計の軸のうち1つが近位剛性PCB161上の同じ軸と軸方向に位置合わせされているか又はその軸と平面位置合わせされているならば(例えば、x軸が他の基板上のx軸と実質的に軸方向に位置合わせされているか又はx軸と同じ軸平面に沿って位置決めされているならば)、遠位剛性PCB163をねじること、よじること、又は他の方法で回転させることにより、遠位グラジオメータ206の磁力計は、第3の軸の磁場測定値を提供することができる。この例では、遠位剛性PCB163上の磁力計のy軸が第3の軸の追加の磁場測定値を提供する。
【0223】
[0260] 更に、
図5Aから
図5D及び
図6Aから
図6Bは、遠位剛性PCB163をねじること、よじること、又は他の方法で回転させることを示しているが、本開示では、近位剛性PCB161をねじること、よじること、又は他の方法で回転させることが可能であることも考えられる。
【0224】
[0261] グラジオメータ回路基板のうち一方を他方のグラジオメータ回路基板に対して(例えば遠位剛性PCB163を近位剛性PCB161に対して)ねじること、よじること、又は他の方法で回転させることの1つの技術的利点は、出願人が、高価で大型の3軸磁力計を利用する必要なく、より小型で安価な2軸磁力計を検知のために使用できることである。前述のように、グラジオメータ回路基板のうち一方をねじること、よじること、又は他の方法で回転させることにより、ねじるか又は回転させた基板上の磁力計を疑似的な「3軸磁力計」として使用して、追加軸の磁場測定値を提供することが可能となる。このように、ねじり又は回転によって、出願人は、2次元センサを用いて3次元検出感度を達成することができる。
【0225】
[0262] 例えば、
図6Bは、遠位剛性PCB163をねじるか又は回転させた場合、第1の遠位磁力計208及び第2の遠位磁力計210のy軸(ここではそれぞれY1’及びY2’と称する)は、第1の近位磁力計202及び第2の近位磁力計204のy軸と実質的に位置合わせされたyベクトル成分(それぞれY1及びY2)と、近位グラジオメータ200上に同等のものを持たない新しいzベクトル成分(それぞれZ1及びZ2)と、に分解することができる。新しいzベクトル成分は疑似的な第3の軸として機能することができ、この追加軸に沿って追加の磁場測定値を取得できる。
【0226】
[0263] グラジオメータ回路基板のうち一方を他方のグラジオメータ回路基板に対して(例えば遠位剛性PCB163を近位剛性PCB161に対して)ねじること、よじること、又は他の方法で回転させることの別の技術的利点は、同一のグラジオメータ基板上の磁力計対からだけでなく、異なるグラジオメータ基板上の磁力計から、磁場値の差分又は比較を取得できることである。RSI又は他の強磁性物体によって生じた局所磁場の歪み又は影響を大きくするか又はより目立たせるため、これらの差分又は比較を用いて共通磁場の影響を打ち消すか又は低減することができる。
【0227】
[0264]
図7A及び
図7Bは、金属検出デバイスの遠位検知部136の別の変形例の等角図を、センサ筐体141が取り外された状態で示す。この変形例では、遠位剛性PCB163、遠位フレックス回路155、及び近位剛性PCB161を、単一の剛性PCB187で置き換えることができる。また、この変形例では、遠位グラジオメータ206の磁力計は近位グラジオメータ200の磁力計に対して回転していない。
【0228】
[0265]
図7A及び
図7Bに示されているように、第1の近位磁力計202及び第2の近位磁力計204の軸は、第1の遠位磁力計208及び第2の遠位磁力計210の軸に対して位置合わせされているか又は直交している。例えば、第1の遠位磁力計208及び第2の遠位磁力計210のx軸は、第1の近位磁力計202及び第2の近位磁力計204のx軸と軸方向に位置合わせするか、又はそれらのx軸と同じ軸平面に沿って位置決めすることができる。また、例えば、第1の遠位磁力計208及び第2の遠位磁力計210のy軸は、第1の近位磁力計202、第2の近位磁力計204、第1の遠位磁力計208、及び第2の遠位磁力計210のx軸と直交することができる。
【0229】
[0266]
図7A及び
図7Bは遠位検知部136の回路基板を単一の剛性PCB187として示しているが、本開示では、単一の剛性PCB187は、可撓性回路によって接続された2つの剛性PCBとしても実施できることが考えられる。この変形例では、固定コンポーネントである。
【0230】
[0267] 第1の近位磁力計202の+x軸は、第2の近位磁力計204の+x軸の反対方向に向けることができる。第1の近位磁力計202の+y軸は、第2の近位磁力計204の+y軸の反対方向に向けることができる。
【0231】
[0268] 第1の遠位磁力計208の+x軸は、第2の遠位磁力計210の+x軸の反対方向に向けることができ、第1の遠位磁力計208の+y軸は、第2の遠位磁力計210の+y軸の反対方向に向けることができる。
【0232】
[0269] いくつかの変形例では、第2の遠位磁力計210の+x軸は、第1の近位磁力計202の+x軸の反対方向に向けることができる。これら及び他の変形例では、第2の遠位磁力計210の+y軸は、第1の近位磁力計202の+y軸の反対方向に向けることができる。
【0233】
[0270]
図7Bは
図7Aと同じ図であるが、+x軸と+y軸は、これらの軸に沿って磁力計により取得された測定値を表す表記に置き換わっている。第1の遠位磁力計208の正のx軸に沿って取得された磁場測定値はここではX1と示され、第1の遠位磁力計208の正のy軸はここではY1と示され、第2の遠位磁力計210の正のx軸はここではX2と示され、第2の遠位磁力計210の正のy軸はここではY2と示され、第1の近位磁力計202の正のx軸はここではX3と示され、第1の近位磁力計202の正のy軸はここではY3と示され、第2の近位磁力計204の正のx軸はここではX4と示され、第2の近位磁力計204の正のy軸はここではY4と示されている。
【0234】
[0271] 以下の式1~17は、第1の近位磁力計202、第2の近位磁力計204、第1の遠位磁力計208、及び第2の遠位磁力計210から取得された磁場測定値から差分信号を計算するため本出願人が考案した式である。マイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、以下の式のいずれかを用いて差分信号を計算するための命令を実行するようにプログラムすることができる。
式1(軸上局所差分信号とも称される):(X1+X2)-(X3+X4)+((Y1+Y2)-(Y3+Y4))=X1+X2-X3-X4+Y1+Y2-Y3-Y4
式2(軸上大域(global)差分信号とも称される):(X1+X4)-(X3+X2)+((Y1+Y4)-(Y3+Y2))=X1-X2-X3+X4+Y1-Y2-Y3+Y4
式3(軸上Y局所差分信号とも称される):(X1+X2)-(X3+X4)+((Y1-Y2)-(Y3-Y4))=X1+X2-X3-X4+Y1-Y2-Y3+Y4
式4(軸上Y大域差分信号とも称される):(X1+X4)-(X3+X2)+((Y1-Y4)-(Y3-Y2))=X-X2-X3+X4+Y1+Y2-Y3-Y4
式5(軸上直交(ortho)局所差分信号とも称される):(X1+X2)-(X3+X4)-((Y1+Y2)-(Y3+Y4))=X1+X2-X3-X4-Y1-Y2-+Y3-Y4
式6(軸上直交大域差分信号とも称される):(X1+X4)-(X3+X2)-((Y1+Y4)-(Y3+Y2))=X1-X2-X3+X4-Y1+Y2+Y3-Y4
式7(軸外局所差分磁力計信号とも称される):(X1+Y2)-(X3+Y4)+((Y1+X2)-(Y3+X4))=X1+X2-X3-X4+Y1+Y2-Y3-Y4
式8(軸外超局所差分信号とも称される):(X1+Y1)-(X2+Y2)+((Y3+X3)-(Y4+X4))=X1-X2+X3-X4+Y1-Y2+Y3-Y4
式9(軸外大域差分信号とも称される):(X1+Y4)-(X3+Y2)+((Y1+X4)-(Y3+X2))=X1-X2-X3+X4+Y1-Y2-Y3+Y4
式10(軸外超大域差分信号とも称される):(X1+Y3)-(X2+Y4)+((Y1+X3)-(Y2+X4))=X1-X2+X3-X4+Y1-Y2+Y3-Y4
式11(軸外直交局所差分信号とも称される):(X1+Y2)-(X3+Y4)-((Y1+X2)-(Y3+X4))=X1-X2-X3+X4-Y1+Y2+Y3-Y4
式12(軸外直交大域差分磁力計信号とも称される):(X1+Y4)-(X3+Y2)-((Y1+X4)-(Y3+X2))=X1+X2-X3-X4-Y1-Y2+Y3+Y4
式13(軸外直交超局所差分信号とも称される):(X1+Y1)-(X2+Y2)-((Y3+X3)-(Y4+X4))=X1-X2-X3+X4+Y1-Y2-Y3+Y4
式14(軸外直交超大域差分信号とも称される):(X1+Y3)-(X2+Y4)-((Y1+X3)-(Y2+X4))=X1-X2-X3+X4-Y1+Y2+Y3-Y4
式15(全大域差分磁力計信号とも称される):(X1-X2)-(X3-X4)+((Y1-Y2)-(Y3-Y4))=X1-X2-X3+X4+Y1-Y2-Y3+Y4
式16(全大域直交差分信号とも称される):(X1-X2)-(X3-X4)-((Y1-Y2)-(Y3-Y4))=X1-X2-X3+X4-Y1+Y2+Y3-Y4
式17(逆(inverse)全大域差分信号とも称される):(-X1+X2)-(-X3+X4)+((-Y1+Y2)-(-Y3+Y4))=-X1+X2+X3-X4-Y1+Y2+Y3-Y4
式18(ゼロ設定和(zeroed-sum)信号又は「スープ(soup)」信号とも称される):abs(X1-X1zero)+abs(X2-X2zero)+abs(X3-X3zero)+abs(X4-X4zero)+abs(Y1-Y1zero)+abs(Y2 Y2zero)+abs(Y3-Y3zero)+abs(Y4-Y4zero)
【0235】
[0272] 上記のように、式2、式9、式13、及び式15は、最初のグループ化が異なるにもかかわらず同じ最終結果を生じた。更に、式1及び式7も同じ最終結果を生成した。
【0236】
[0273] 式18は、潜在的な高感度候補信号として調べた全ての磁力計の絶対値のゼロ設定和である(最初の示度数又は参照示度数が現在進行中の信号から減算されることを意味する)。式18から取得された信号は「スープ」信号とも称される。これは、地球の磁力線の中を移動することにより生じた共通信号を減算する利点を持たないので、この信号は、動き信号に対する手術針検出の比が最大で4~5倍良好であり得る式2又は式6に比べ、室内で磁力線の中を移動することにより生じた信号の影響をはるかに受けやすい。
【0237】
[0274] 本明細書に開示されている式を用いて差分信号を計算することの1つの利点は、共通磁場の影響(例えば地球の磁場、手術室内の医療機器による磁場の影響、又は動きによる場の影響)が打ち消されるか又は低減され、局所磁場の歪み又は影響がいっそう顕著になると共に信号全体の中でより大きな部分を占めるようになることである。
【0238】
[0275] 前記の式における正と負の符号は、デバイス100の磁力計が
図7A及び
図7Bに示すように構成されることを考慮していることに留意するべきである。例えば、X1とX2を加算することは実際には2つの信号を減算し、X1をX2から減算することは実際には2つの信号を加算する。
【0239】
[0276] いくつかの環境では、式2、9、13、及び15を用いて計算された差分信号は、他の式を用いて計算された信号よりも目立つすなわち顕著である可能性がある。他の環境では、式6を用いて計算された差分信号は、他の式を用いて計算された信号よりも目立つすなわち顕著である可能性がある。更に、式2、9、13、及び15を用いて計算された差分信号は、小さいステンレス鋼のRSI又は他の強磁性物体に起因する局所的な磁場の歪みと比べて、手術室内で磁力線の中を移動することにより生じた信号の良好な打ち消しを実証した。
【0240】
[0277] マイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、前記の式のうち1つを用いて差分信号を計算するため、及び、異なる式間で切り替えるか又は循環するための更に別の命令を実行するようにプログラムすることができる。例えば、マイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、式2(軸上大域差分信号)、並びに式3(軸上Y局所差分信号)、式5(軸上直交局所差分信号)、及び式6(軸上直交大域差分信号)を用いて差分信号を計算するための更に別の命令を実行するようにプログラムすることができる。
【0241】
[0278] 上記では、x軸(例えば+x軸)とy軸(例えば+y軸)を含む磁力計又は磁気センサの各々に言及しているが、本開示では、x軸(例えば+x軸)又はy軸(+y軸)に対する言及は、磁力計又は磁気センサがx軸又はy軸のみを有する単軸磁力計も示し得ることが考えられる。従って、4つの2軸磁力計(例えば、第1の近位磁力計202、第2の近位磁力計204、第1の遠位磁力計208、及び第2の遠位磁力計210)に対する言及は、8つの1軸磁力計(例えば、第1の近位磁力計、第2の近位磁力計、第3の近位磁力計、第4の近位磁力計、第1の遠位磁力計、第2の遠位磁力計、第3の遠位磁力計、及び第4の遠位磁力計)にも適用することができる。いくつかの実施例において、遠位検知部136は、それぞれが2つの1軸磁力計を有するグラジオメータを4つ含むことができる。例えば、上記の式において、X1、X2、X3、X4、Y1、Y2、Y3、及びY4に対する言及はそれぞれ、第1の磁力計、第2の磁力計、第3の磁力計、第4の磁力計、第5の磁力計、第6の磁力計、第7の磁力計、及びいずれかの磁力計の各々の1つの軸を示し得る。
【0242】
[0279] また、デバイス100のユーザ又はオペレータは、ユーザ入力を与えて(例えば、1又は複数の感度ホイール115のダイヤルを前方へ又は後方へ回して)、差分信号を計算するため異なる式間で切り替えるか又は循環するようにマイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサに命令することができる。
【0243】
[0280] 再び
図6Bを参照して、遠位剛性PCB163をねじれ角だけ(例えば45度)ねじったか又は回転させた場合に、第1の近位磁力計202、第2の近位磁力計204、第1の遠位磁力計208、及び第2の遠位磁力計210から取得された磁場測定値から差分信号を計算するため本出願人が考案した追加の式(式19)を以下に示す。
式19(軸上遠位ねじれ局所差分信号とも称される):(X1+X2)-(X3+X4)+(1/2*Y1+1/2*Y2)-(Y3+Y4)+(1/2*Z1+1/2*Z2)=X1+X2-X3-X4+(1/2*Y1)+(1/2*Y2)-Y3-Y4+(1/2*Z1)+(1/2*Z2)
【0244】
[0281] 以下の節で更に詳しく検討するように、マイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、上記の式のいずれかを用いて差分信号を計算するための命令を実行するようにプログラムすることができる。
【0245】
[0282] マイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、経時的に異なる観点から局所磁場の歪みを評価するため、様々な時点でこれらの式の任意の組み合わせを用いて、又は他の式を単独でもしくは順番に用いて差分信号を計算するための命令を実行するようにプログラムすることができる。使用中に小さい場の歪みがデバイスのそばを通り過ぎる際、高速でこれらの様々な観点を組み合わせて、アンサンブル信号を形成することができる。
【0246】
[0283] マイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、1つ以上のフィルタ(例えば高域フィルタ及び/又は低域フィルタ)を差分信号に適用して検出信号を取得するための更に別の命令を実行するようにプログラムすることができる。また、検出信号に平滑化関数を適用することも可能である。
【0247】
[0284] 他の変形例において、マイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、差分信号に対して微分を行うかもしくは導関数を適用するか又は差分信号を微分して検出信号を取得するための命令を実行するようにプログラムすることができる。
【0248】
[0285] マイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、検出信号を感度又は検出閾値と比較するための更に別の命令を実行するようにプログラムすることができる。次いで、検出信号が感度又は検出閾値を上回っている場合、ユーザ出力(例えばビープ音及び/又は明るい光)を生成するように、出力コンポーネント(例えばスピーカ及び/又は1もしくは複数のLED)に命令することができる。
【0249】
[0286] いくつかの変形例では、デバイス100のオペレータ(例えば外科医又は他の医療専門家)が設定した感度に基づいて、信号フィルタを適用するか又は微分するかを決定する。例えばオペレータは、デバイス100の感度レベル又は検出感度がレベル8以上になるまで、1又は複数の感度ホイール115のダイヤルを前方へすなわち遠位方向に回すことができる。感度レベルがレベル8以上になった場合、マイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、微分を行わずに1つ以上のフィルタを差分信号に適用して検出信号を取得するための命令を実行するようにプログラムすることができる。
【0250】
[0287] 別の状況において、オペレータは、デバイス100の感度レベル又は検出感度がレベル7以下になるまで、1又は複数の感度ホイール115のダイヤルを後方へすなわち近位方向に回すことができる。感度レベルがレベル7以下になった場合、マイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、微分を行うと共に1つ以上の動き阻止アルゴリズムを適用して検出信号を取得するための命令を実行するようにプログラムすることができる。
【0251】
[0288] いずれの場合であっても、検出信号は感度又は検出閾値と比較され、検出信号が感度又は検出閾値を上回っている場合、ユーザ出力を発生するように1又は複数の出力コンポーネントに命令する。
【0252】
[0289]
図7A及び
図7Bに示されているように、遠位検知部136は、剛性PCB187に結合された1つ以上の演算増幅器を更に含むことができる。1つ以上の演算増幅器は、様々な磁力計からの未加工の出力信号がハンドル102内のマイクロコントローラ185のADC186又はADCコンポーネントに送信される前に、そのような信号を増幅するよう構成することができる。例えば演算増幅器は、第1の近位演算増幅器212、第2の近位演算増幅器214、第1の遠位演算増幅器216、及び第2の遠位演算増幅器218を含み得る。第1の近位演算増幅器212は、第1の近位磁力計202の未加工の出力信号を増幅することができる。第2の近位演算増幅器214は、第2の近位磁力計204の未加工の出力信号を増幅することができる。第1の遠位演算増幅器216は、第1の遠位磁力計208の未加工の出力信号を増幅することができる。第2の遠位演算増幅器218は、第2の遠位磁力計210の未加工の出力信号を増幅することができる。
【0253】
[0290] 第1の近位演算増幅器212は、第1の近位磁力計202を支持している回路基板(例えば剛性PCB187又は近位剛性PCB161)の裏側に搭載することができる。第2の近位演算増幅器214は、第2の近位磁力計204を支持している回路基板(例えば剛性PCB187又は近位剛性PCB161)の裏側に搭載することができる。第1の遠位演算増幅器216は、第1の遠位磁力計208を支持している回路基板(例えば剛性PCB187又は遠位剛性PCB163)の裏側に搭載することができる。第2の遠位演算増幅器218は、第2の遠位磁力計210を支持している回路基板(例えば剛性PCB187又は遠位剛性PCB163)の裏側に搭載することができる。
【0254】
[0291] 他の変形例では、演算増幅器(例えば、第1の近位演算増幅器212、第2の近位演算増幅器214、第1の遠位演算増幅器216、第2の遠位演算増幅器218、又はそれらの組み合わせ)は、ハンドルPCB123又はデバイス100の別の部分に収容された回路基板に搭載することができる。
【0255】
[0292]
図7Cは、遠位検知部136を覆っているセンサ筐体141を示す。前述のように、センサ筐体141は筐体直径138を有し得る(例えば
図3A及び
図3Bを参照のこと)。筐体直径138は、約3.0mmから約10.0mmまでの間(例えば約5.0mm)とすることができる。
【0256】
[0293] また、
図7Cは、遠位検知部136をシャフトの方へ屈曲させたか又はシャフト131を回転させた場合にセンサ筐体141内の電子コンポーネント(例えば磁力計又は演算増幅器)が分離したり外れたりしないように、センサ筐体141内の固定コンポーネント188がそれらの電子コンポーネントをセンサ筐体141内で固定できることを示している。
【0257】
[0294] いくつかの変形例において、固定コンポーネント188はポリマーホルダ又はクリップとすることができる。他の変形例において、固定コンポーネント188は留め金又は他のタイプの詰め物とすることができる。
【0258】
[0295] 前述のように、近位剛性PCB161に対して遠位剛性PCB163を回転させるか、よじるか、又は他の方法で回転させる場合、固定コンポーネント188の別の例を用いて、遠位剛性PCB163を回転構成、よじれ構成、又は他の回転構成に維持することができる。
【0259】
[0296]
図8A及び
図8Bは、クロックリング107の後面クローズアップ等角図を、それぞれロック位置108及びロック解除位置110で示している。
図8Aから
図8Bでは、ハンドル102内のコンポーネントを見やすく図示するため、左ハンドルケーシング101は取り外されている。
図8Aから
図8Bは、ハンドル102内に位置決めされたチューブボス113にシャフトを結合できることを示している。クロックリング107をチューブボス113に回転可能に固定することで、クロックリング107の回転がチューブボス113を回転させ、これによりシャフト131を回転させ得るようになっている。クロックリング107は、オペレータがクロックリング107を容易に平行移動させること及び回転させることを可能とする溝又はくぼみによって画定することができる。
【0260】
[0297] スナップクリップ又は他の留め具によって、左ハンドルケーシング101及び右ハンドルケーシング103にロックリング111を平行移動可能かつ回転可能に固定することができる。ロックリング111は、ロックリング111の円周に画定された複数のロックスプライン175を含み得る。クロックリング107は、ロックリング111上のロックスプライン175と係合するための複数の相互ロックスプライン174を含み得る。
【0261】
[0298]
図8Aに示されているように、クロックリング107がロック位置108にある場合、クロックリング107はロックリング111上に重なるように位置決めすることができる。ロックリング111上のロックスプライン175は、クロックリング107の相互ロックスプライン174と連結してクロックリング107の回転を妨げることができる。
【0262】
[0299] クロックリング107は、遠位に前方へ押すか又はスライドさせてロック解除位置110にすることができる。クロックリング107は、
図8Aに拡大矢印で示されているように、シャフト131の方向へ遠位に押すか又はスライドさせることができる。例えば、オペレータ(例えば外科医又は他の医療専門家)は、一方の手でハンドル102を保持し、他方の手でクロックリング107を前方へ押すか又はスライドさせることができる。
【0263】
[0300]
図8Bは、クロックリング107がロック解除位置110にある場合、クロックリング107の相互ロックスプライン174をロックリング111のロックスプライン175から解放できることを示している。クロックリング107は、ロック解除位置110にある場合、時計回りの方向又は反時計回りの方向に回転させることができる。クロックリング107を回転させると、チューブボス113及びシャフト131(並びに可撓部145及び遠位検知部136)を回転させることができる。
【0264】
[0301] 一度オペレータがクロックリング107を所望の回転位置まで回転させたら、オペレータはクロックリング107を引くか又はスライドさせてロックリング111上へ戻すことでクロックリング107を適所でロックすることができる。オペレータは、
図8Bに拡大矢印で示されているように、クロックリング107をハンドル近位端の方向へ引くか又はスライドさせてロックリング111上へ戻すことができる。オペレータは、クロックリング107のロック解除とロックを続けて、シャフト131の所望の回転を達成することができる。
【0265】
[0302] オペレータは、クロックリング107を回転させながら、同時に引き金105を引いて可撓部145を屈曲させることができる。シャフト131を回転させながら可撓部145を屈曲させることができるので、オペレータは、最小限のユーザの手の動きで様々な体腔又は内腔を探り、臓器の背後や周囲を探索することができる。デバイス100の1つの技術的利点は、本明細書に開示されている制御機構によって提供される複数の自由度である。
【0266】
[0303]
図8Cは、ロック位置108にあるクロックリング107のクローズアップ側面図を示し、
図8Dは、ロック位置108にあるクロックリング107の、
図8Cに示されているセクションC-Cに沿った断面図を示す。
図8Eは、ロック解除位置110にあるクロックリング107のクローズアップ側面図を示し、
図8Fは、ロック解除位置110にあるクロックリング107の、
図8Eに示されているセクションD-Dに沿った断面図を示す。
図8Cから
図8Fでは、見やすくするため、シャフト131内のばねチューブ137、試験棒133、及び可撓性回路は図示されていない。
【0267】
[0304]
図8Cから
図8Fは、スナップクリップ又は他の留め具によって、ハンドル102内のチューブボス113にノーズキャップ109を結合できることを示している。ノーズキャップ109の外面は、クロックリング107が遠位に押されるか又は近位に引かれる際にクロックリング107の支持面又は受容面として機能することができる。また、ノーズキャップ109は、クロックリング107をオペレータによって回転させる際にクロックリング107の支持面として機能することもできる。
【0268】
[0305] また、
図8D及び
図8Fは、シャフトロックボス177がチューブボス113の半径方向内側面からシャフト131の噛み合い孔内まで延出できることを示している。これにより、チューブボス113を回転可能かつ平行移動可能にシャフト131に結合することができる。
【0269】
[0306]
図8G及び
図8Hは、それぞれロック位置108及びロック解除位置110にあるクロックリング107の前面クローズアップ等角図を、見やすくするためノーズキャップ109が取り外された状態で示す。
図8G及び
図8Hは、チューブボス113の遠位端112が実質的に方形のブロックのような多角形特徴部を含み得ることを示している。この多角形特徴部は、チューブボス113にクロックリング107を回転可能に結合するため、クロックリング107の方形の切り欠き(又は別の多角形の切り欠き)と噛み合うことができる。
【0270】
[0307] チューブボス113は、クロックリング107の内面の相互特徴部と干渉することができるいくつかのクロックリング戻り止め179を含み得る。クロックリング戻り止め179は、オペレータ(例えば外科医又は他の医療専門家)によって充分な力が加えられていないのにクロックリング107が遠位に平行移動する(すなわちロック解除される)ことを防止できる。一度クロックリング107に充分な遠位方向の力が加えられたら、クロックリング戻り止め179は変形例又は偏向し、クロックリング107が(
図8Gに拡大矢印で示されているように)遠位に平行移動して自由に回転することを可能とする。
【0271】
[0308]
図8Hは、ロック解除位置110にあるクロックリング107が時計回り又は反時計回りの回転方向に回転できることを示している。クロックリング107がロック解除位置110にある場合、クロックリング戻り止め179は、クロックリング107の干渉特徴部の背後に又は近くに位置決めされ得る。オペレータは、シャフト131を適所でロックしたい場合、クロックリング戻り止め179が再びクロックリング107の干渉特徴部と係合するように、充分な力を加えてクロックリング107を後方へすなわち近位に拡大矢印の方向へ(例えばハンドル近位端の方向へ)引く。
【0272】
[0309]
図9Aは、対象の体腔内の手術用縫合針900を検出するために用いられる金属検出デバイス100の画像である。
図9Bは、金属検出デバイス100による検出時に手術用縫合針900を回収するため用いられる鉗子902の画像である。
図9A及び
図9Bは、デバイス100による検出時に、鉗子902又は他の手術用把持装置を用いて対象の身体から手術用縫合針900(又は他のRSI)を回収できることを示している。
【0273】
[0310] 図に示されていない他の変形例において、デバイス100は、1つ以上の永久磁石、電磁石、又はそれらの組み合わせを含み得る。1つ以上の永久磁石、電磁石、又はそれらの組み合わせは、遠位検知部136内に位置決めすることができる。1つ以上の永久磁石、電磁石、又はそれらの組み合わせは、シャフト131のセグメントに沿って位置決めすることができる。これらの変形例では、電磁石の電源を切るか又は消磁した状態でRSI又は強磁性物体の検出を実行することができる。一度デバイス100によってRSI又は他の強磁性物体が検出されたら、オペレータは電磁石をオンにするか又は磁化し、電磁石及び/又は永久磁石を用いてRSI又は他の強磁性物体を磁力で引き付けることができる。
【0274】
[0311] 電磁石は可変磁場強度を有し得る。いくつかの変形例において、オペレータは、RSI又は他の強磁性物体の大きさ又は磁性に基づいて電磁石の磁場強度を1つ以上の強度レベル間で調整することができる。
【0275】
[0312]
図10Aは、本明細書に開示されている金属検出デバイス100を用いて、RFIDタグ付きスポンジ302及び1つ以上の金属製マーカ306でタグを付けた金属製マーク付きスポンジ304を含む手術用スポンジ300の体内検出を実行できることを示している。多くの場合、手術用スポンジ300は全てのRSIの中で第1位である。ある研究では、スポンジ製品は全てのRSIのうち68%を占めていた。Cima, Robert R.等による「Using a data-matrix-coded sponge counting system across a surgical practice: impact after 18 months」(The Joint Commission Journal on Quality and Patient Safety 37.2 (2011) : 51-AP3)を参照のこと。
【0276】
[0313] 金属製マーク付きスポンジ304は、1つ以上の強磁性金属製マーカ306又は強磁性金属製タグでタグを付けるか又は他の方法でこれを埋め込むことができる。例えば金属製マーク付きスポンジ304は、このスポンジの少なくとも一部を構成する織物又は他の材料が埋め込まれているか又は編み込まれている強磁性ビード、ワイヤ、糸、又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0277】
[0314] RFIDタグ付きスポンジ302は、このスポンジの1つ以上の層内に埋め込まれたRFIDタグ308を含み得る。RFIDタグ308は受動RFIDトランスポンダとすることができる。他の変形例では、RFIDタグ308はそれ自身の電源を有する能動RFIDトランスポンダとすることができる。
【0278】
[0315]
図10Aに示されているように、デバイス100は遠位検知部136内にRFID読み取り機310を含むことができる。遠位検知部136は、RFID読み取り機310の他に、本明細書に開示されている様々な磁力計及び他の電子コンポーネントを含み得る。RFID読み取り機310は、RFIDタグ付きスポンジ302内の1つ以上のRFIDタグ308を読み取るように構成することができる。RFID読み取り機310は、マイクロコントローラ185に電気的に結合されるか又はマイクロコントローラ185と電気的に通信して、マイクロコントローラ185がRFID読み取り機310に、RFIDタグ付きスポンジ302に関する識別情報又はデータを取得するため1又は複数のRFIDタグ308に問い合わせパルスを送信するよう命令できるようになっている。
【0279】
[0316] RFID読み取り機310によって、デバイス100は、見つからないか又は残留しているRFIDタグ付きスポンジ302を把握し、手術中に患者の体腔内でそのようなRFIDタグ付きスポンジ302の位置を特定することができる。
【0280】
[0317] これら及び他の変形例において、デバイス100は、本明細書に開示されている磁力計及び磁気検出アルゴリズムを用いて、間違った位置にあるか又は残留している金属製マーク付きスポンジ304の位置を特定するためにも使用できる。例えば、オペレータ又は医療専門家は、デバイス100が患者の体腔内の金属製マーク付きスポンジ304の存在を示すユーザ出力を発生するまで、1又は複数の感度ホイール115を用いてデバイス100の感度を調整することができる。
【0281】
[0318]
図10Bは、本明細書に開示されている金属検出デバイス100を用いて、手術用ワイヤ、ガイドワイヤ、血管内ワイヤ、又はそれらの組み合わせのような強磁性ワイヤ312の体内検出も実行できることを示している。これら及び他の変形例では、デバイス100を用いて、強磁性カテーテル、シース(sheath)、チューブ、クリップ、他の医療器具、又はそれらの破片/断片の位置を特定すること又はそれらを検出することも可能である。
【0282】
[0319] 更に、本明細書に開示されている金属検出デバイス100を用いて、強磁性タグ又はプレートでタグを付けた非強磁性ワイヤ、カテーテル、シース、チューブ、クリップ、又は他の医療機器の体内検出を実行することも可能である。
【0283】
[0320]
図11Aは、リンクケーブル314を含む金属検出デバイス100の別の変形例を示す。リンクケーブル314は、デバイス100(例えばデバイス100の近位端又はハンドル102)から延出し、患者の体外に配置された閉回路インジケータ318に電気的に結合されている。強磁性ガイドワイヤ又は手術用ワイヤ等のワイヤ312の近位端は、患者の体外へ延出させるか又は他の方法で患者の体から出て、閉回路インジケータ318に電気的に結合することができる。ワイヤの遠位端又はワイヤ312のあるセグメントは患者の体内に存在し得る。
図11Aに示されているように、デバイス100は、その遠位端に伝導性パッチ等の伝導性要素316を含むことができる。例えば伝導性要素316は、遠位検知部136からセンサ筐体141の外へ延出するか、又はシャフト131に沿って配置することができる。伝導性要素316は、リンクケーブル314と電気的に結合するか又は電気的に通信することができる。
【0284】
[0321] 伝導性要素316が患者の体内のワイヤ312に接触した場合、閉回路インジケータ318は、信号又は出力(例えば音声もしくは聴覚による命令、光もしくは光パターン、又はそれらの組み合わせ)を発生して、伝導性要素316が患者の体内のワイヤ312と接触したことで閉回路が達成されたことを示すことができる。この機構を用いて患者内のワイヤ312の位置を検出することができる。これは、ワイヤ312が外科医もしくは他の医療専門家によって直接的にも内視鏡検査を介しても見えない場合、特に重要である。
【0285】
[0322]
図11Bは、本明細書に開示されている金属検出デバイス100を用いて、強磁性ステント320又は他の支持足場の体内検出も実行できることを示している。デバイス100を用いて、ステント320又は他の支持足場の移植部位を検出又は検証することができる。また、デバイス100を用いて、金属製コーティングでコーティングされたか又は1つ以上の金属製マーカでタグを付けた非強磁性ステント320又は支持足場を検出することも可能である。
【0286】
[0323] 強磁性又は金属製マーク付きのワイヤ、ステント、又は足場を用いて患者の臓器、内腔、又は体腔を支持しているいくつかの変形例では、デバイス100を用いて、(例えば、実行され得る除去又は検査のために)そのようなワイヤ、ステント、又は足場を検出するだけでなく、別の手順のために、そのような臓器、内腔、又は体腔の位置を検出又は正確に特定することも可能である。
【0287】
[0324]
図12は、患者の体腔又は身体の一部が少なくとも部分的に磁気ブランケット322又は磁気シールドによって覆われたか、遮蔽されたか、又は隠された場合に、金属検出デバイス100を使用できることを示している。いくつかの変形例において、磁気ブランケット322は、ブランケットの層内に埋め込まれたか又は他の方法で配置された複数の磁石を含み得る。
【0288】
[0325] 例えば、デバイス100を用いて患者の腹部内のRSI又は残留している鋭利物を検出する場合、磁気ブランケット322を用いて患者の腹部を覆うことができる。
【0289】
[0326] 磁気ブランケット322又はシールドを用いて、制御された磁気環境を生成することができる。また、一度デバイス100の遠位検知部136が患者の体腔内に入ったら、磁気ブランケット322又はシールドを用いて、特定のRSI(例えばRFIDタグ付きスポンジ302)が発生する特定の信号又は磁場の歪みを増大させることができ、磁気ブランケット322又はシールドが生成する磁場の歪みを把握するようにデバイスの検出感度が調整される。
【0290】
[0327] デバイス100を用いて患者の体腔内又は身体の一部内のRSI、インプラント、手術用ツール、又はそれらの組み合わせの体内検出を実行する場合、磁気ブランケット322又はシールドを用いて、患者の体腔又は身体の一部を少なくとも部分的に覆うか、遮蔽するか、又は隠すことができる。例えば、デバイス100を用いて、手術針、スポンジ300、ワイヤ312、ステント320もしくは他の足場、強磁性もしくは金属的にマークを付けたカテーテル、シース、もしくは他の手術用機器、又はそれらの部分もしくは組み合わせの体内検出を実行する場合、磁気ブランケット322又はシールドを用いて、患者の体腔又は身体の一部を少なくとも部分的に覆うか、遮蔽するか、又は隠すことができる。
【0291】
[0328] この代わりに又はこれに加えて、特定の手術針、ワイヤ、又は他のツールを磁化することでそのような手術針、ワイヤ、又はツールをいっそう容易にデバイス100で検出可能とするため、磁気ブランケット322を用いて手術前にそのような手術針、ワイヤ、又はツールを包むことも可能である。
【0292】
[0329]
図13は、手術用縫合針(例えば5-0 13mmの手術用縫合針)の上を通り過ぎるデバイス100の遠位検知部136を表す信号図である。
図13に示されている状況では、デバイス100は高速高感度モードで動作している可能性がある。このモードでは、感度レベルが開始デフォルトレベルよりも高くなる(例えばレベル8、9、10、又は11)ように、1又は複数の感度ホイール115のダイヤルを前方へすなわち遠位に回すことができる。このモードでは、マイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、1つ以上の信号フィルタ(例えば高域フィルタ、低域フィルタ、又はそれらの組み合わせ)を差分信号に適用して検出信号を取得するための命令を実行するようにプログラムすることができる。また、
図13の各時間ステップは約1.5ミリ秒を表し得る。
【0293】
[0330] 例えばマイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、まず、第1の近位磁力計202、第2の近位磁力計204、第1の遠位磁力計208、及び第2の遠位磁力計210から取得された磁場測定値から差分信号を計算するための命令を実行するようにプログラムすることができる。より具体的に述べると、マイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、上記の式1~18のうち任意のものを用いて差分信号を計算するための命令を実行するようにプログラムすることができる。
図13に示されている状況では、差分信号は式2を用いて計算される(軸上大域差分信号とも称される)。
【0294】
[0331] マイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、差分信号(例えば軸上大域差分信号)に高域フィルタを適用するための別の命令を実行するようにプログラムすることができる。高域フィルタは、差分信号の低周波ノイズを取り除くことができる。例えば高域フィルタは、ドリフト及びオフセットを取り除き、平均信号をゼロに戻すことができる。
【0295】
[0332] マイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、高域フィルタリングされた信号にいくつかの低域フィルタを適用するための追加の命令を実行するようにプログラムすることができる。例えばマイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、2次低域フィルタ(2極フィルタとも称される)を適用して、高域フィルタリングされた信号の高周波ノイズを取り除くための追加の命令を実行するようにプログラムすることができる。低域フィルタ又は2次フィルタ(又は2極フィルタ)は、より積極的に高周波ノイズをカットオフすることができる。いくつかの変形例では、高域フィルタは5.5Hzのカットオフを有し、低域フィルタは10Hzのカットオフを有し得る。
【0296】
[0333] マイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、低域フィルタリングされた信号の絶対値を取ると共に低域フィルタリングされた信号に平滑化関数(平滑ポイント=10)を適用して検出信号を取得するための別の命令を実行するようにプログラムすることができる。
【0297】
[0334] マイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、検出信号を感度閾値又は検出閾値と比較するための追加の命令を実行するようにプログラムすることができる。更に、マイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、検出信号が感度又は検出閾値を上回っている場合、ユーザ出力(例えばビープ音、フラッシュ光、強度が増大する光、又はそれらの組み合わせ)を生成するように出力コンポーネント(例えばスピーカ及び/又はLEDライト)に命令するための別の命令を実行するようにプログラムすることができる。
【0298】
[0335]
図13に示されているように、遠位検知部136が手術用縫合針の上を通り過ぎる際、検出信号は検出閾値を上回る。また、
図13の差し込み図は、フォールスポジティブ検出を引き起こさない正確な検出信号を生成するフィルタステップによって、検出前の信号ノイズに対処することを示している。
【0299】
[0336] また、
図13は、磁力計を周期的にリセットして整定イベント又はレベル変化を取り除く場合、デバイス100の感度レベルを下げ、感度又は検出閾値を自動的に上げることができることを示している。
【0300】
[0337]
図14は、オペレータ(例えば外科医又は他の医療専門家)がデバイス100の感度レベルを調整すると同時に、試験棒133を用いてデバイスの機能性を試験するため試験棒スライダ117を前方へスライドさせていることを示す信号図である。
図14に示されている状況(例えば7以下の感度レベル)では、デバイス100は低速低感度モードで動作している可能性がある。このモードでは、マイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、差分信号に微分を適用すると共に動き阻止アルゴリズムを適用して検出信号を取得するための命令を実行するようにプログラムすることができる。動き阻止アルゴリズム又は動きブロッカ信号については以下の節で更に詳しく検討する(例えば
図17A及び
図17Bを参照のこと)。また、
図14の各時間ステップは約28ミリ秒を表し得る。
【0301】
[0338]
図14は、オペレータが1又は複数の感度ホイール115のダイヤルを前方へすなわち遠位に回すことで感度レベルを上げられる(すなわち感度閾値を下げる)ことを示している。オペレータは、試験棒133が遠位検知部136で検知されることを保証するため感度レベルを上げることができる(例えばレベル0からレベル4まで)。
【0302】
[0339] 検出信号の各スパイクは、試験棒133の遠位セグメントがばねチューブ137から出てセンサ筐体141内へ延出して磁力計に近接した事例を表すことができる。大きいスパイクは、試験棒133が更にセンサ筐体141内へ入って磁力計に接近した事例であり得る。小さいスパイクは、試験棒133の遠位セグメントがわずかにセンサ筐体141内へ延出するか又はばねチューブ137内へ後退した事例であり得る。
【0303】
[0340]
図15は、金属ガイドワイヤの一部の上を通り過ぎる遠位検知部136を表す信号図である。例えばガイドワイヤは、部分的にステンレス鋼で作製された直線固定コアガイドワイヤとすることができる。
図15に示されているように、遠位検知部136が金属ガイドワイヤの一部の上を通り過ぎる際、検出信号は感度閾値又は検出閾値を上回る可能性がある。この例では、遠位検知部136が金属ガイドワイヤの上を通り過ぎる際、遠位検知部136は金属ガイドワイヤから10mm内にある。
【0304】
[0341] 出力コンポーネント(例えばスピーカ181、近位LED173、遠位LED183、又はそれらの組み合わせ)は、ユーザ出力(例えばビープ音、フラッシュ光又は明るい光、又はそれらの組み合わせ)を生成して、遠位検知部136が金属ガイドワイヤの上を通り過ぎたことをユーザに通知することができる。
【0305】
[0342]
図15に示されている状況では、デバイス100は低速低感度モードで動作している可能性がある。このモードでは、感度レベルが開始デフォルトレベルよりも低くなる(例えばレベル7以下)ように、1又は複数の感度ホイール115のダイヤルを後方へすなわち近位に回すことができる。また、このモードでは、マイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、差分信号に微分を適用して検出信号を取得するための命令を実行するようにプログラムすることができる。また、
図15の各時間ステップは約28ミリ秒を表し得る。
【0306】
[0343]
図16Aは、引き金105が引かれた時の検出信号に対する効果を示す信号図である。
図16Aに示されているように、引き金105は2回連続して引かれ、次いで、引き金105を作動させない短い間隔の後、更に3回連続して引かれる。引き金105が引かれるたびに、引き金ポテンショメータ信号のスパイクが観察される。
図16Aに示されているように、この期間中は1又は複数の感度ホイール115及び試験棒スライダ117は作動されない。これは、平坦な感度ホイールポテンショメータ信号と試験棒ポテンショメータ信号によってそれぞれ明らかである。
【0307】
[0344]
図16Aに示されている状況では、デバイス100は低速低感度モードで動作している可能性がある。このモードでは、感度レベルが開始デフォルトレベルよりも低くなる(例えばレベル7以下)ように、1又は複数の感度ホイール115のダイヤルを後方へすなわち近位に回すことができる。また、このモードでは、マイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、差分信号に微分を適用して検出信号を取得するための命令を実行するようにプログラムすることができる。また、
図16Aの各時間ステップは約28ミリ秒を表し得る。
【0308】
[0345]
図16Aは、RSI又は他の強磁性の鋭利物が検出されない場合であっても、引き金105が引かれるたびに検出信号がジャンプ又はスパイクすることを示している。検出信号がジャンプ又はスパイクするのは、引き金が引かれて可撓部145が屈曲又は湾曲することに応じて遠位検知部136が移動した結果であり得る。
【0309】
[0346]
図16Bは、
図16Aに示されている引き金が引かれた状況に応じてデバイス100が自動的に感度閾値又は検出閾値を上げることを表す信号図である。例えば、マイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、遠位検知部136に配置されたIMU159の加速度計又はジャイロスコープからの動き信号を観察するための命令を実行するようにプログラムすることができる。動き信号が予め設定されたか又は所定の動き閾値を上回っている場合、マイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、デバイス100の感度レベル又は検出感度を低下させるように感度閾値又は検出閾値を自動的に上げるための別の命令を実行するようにプログラムすることができる。
図16Bに示されているように、引き金105が連続して引かれる場合、2つの事例(引き金を2回引くこと及び引き金を3回引くこと)の間に感度又は検出閾値を上げる。
【0310】
[0347]
図16Cは、
図16Aに示されている引き金が引かれた状況に応じてデバイス100が自動的に感度閾値又は検出閾値を上げることを表す別の信号図である。マイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、引き金速さを示す引き金ポテンショメータ171からの引き金速度信号を観察するための命令を実行するようにプログラムすることができる。引き金速度信号が予め設定されたか又は所定の速度閾値を上回っている場合(例えば、引き金105が過度に速く引かれた場合)、マイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、デバイス100の感度レベル又は検出感度を低下させるように感度閾値又は検出閾値を自動的に上げるための別の命令を実行するようにプログラムすることができる。
図16Cに示されているように、引き金105が連続して引かれる場合、2つの事例の間に感度又は検出閾値を上げる。
【0311】
[0348]
図17A及び
図17Bは、遠位検知部136が突然の動きを生じるイベントにおいて検出信号を縮小するために用いられる動き阻止信号又は動きブロッカ信号を示す信号図である。
図17A及び
図17Bに示されている状況では、デバイス100は低速低感度モードで動作している可能性がある。このモードでは、感度レベルが開始デフォルトレベルよりも低くなる(例えばレベル7以下)ように、1又は複数の感度ホイール115のダイヤルを後方へすなわち近位に回すことができる。また、このモードでは、1つ以上のプロセッサは、差分信号に微分を適用して検出信号を取得するための命令を実行するようにプログラムすることができる。また、
図17A及び
図17Bの各時間ステップは約28ミリ秒を表し得る。
【0312】
[0349]
図17Aは、IMU159の加速度計及びジャイロスコープから受信したデータから計算された未加工の動き信号を示す。デバイス100は、未加工の動き信号を用いて、検出信号を縮小するための動きブロッカ信号を計算することができる。例えば、マイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、未加工の動き信号を動き閾値と比較することによって動きブロッカ信号を計算するための命令を実行するようプログラムすることができる。例えば、未加工の動き信号が動き閾値を下回っている場合、動きブロッカ信号は1とすることができる。しかしながら、動きブロッカ信号は、未加工の動き信号の大きさに基づいて増大させることができる。未加工の動き信号が動き閾値を上回っている場合、動きブロッカ信号の大きさは未加工の動き信号の大きさを実質的に追跡することができる。マイクロコントローラ185の1つ以上のプロセッサは、検出信号を動きブロッカ信号で除算して、より動き耐性の大きい検出信号を取得するための別の命令を実行するようにプログラムすることができる。
図17Aは、動き阻止を行った後の検出信号を示している。また、
図17Aには例示的な検出閾値も与えられており、(動き阻止を行った)検出信号がどのように検出閾値未満の状態を維持し、これによってフォールスポジティブ検出を防止するかを示している。
【0313】
[0350]
図17Bは、前述の動き阻止ステップを行っていない検出信号を示す。
図17Bに示されているように、(動き阻止を行っていない)検出信号は、
図17Aに示されているのと同じ検出閾値を複数回にわたって上回り、これによって多数のフォールスポジティブ検出の可能性は増大する。
【0314】
[0351]
図18は、患者の体内の磁性物体を検出する方法500を示す。方法500は、ステップ502において、患者の体内に金属検出デバイス100の一部を導入することを含む。金属検出デバイス100は、ハンドル102と、ハンドル102から延出しているシャフト131と、1つ以上のプロセッサ及びメモリユニットを含むマイクロコントローラ185と、出力コンポーネントと、シャフト131の遠位に位置決めされた遠位検知部136と、を含み得る。遠位検知部136は、第1の近位磁力計202及び第2の近位磁力計204を含む近位グラジオメータ200と、第1の遠位磁力計208及び第2の遠位磁力計210を含む遠位グラジオメータ206と、を含み得る。
【0315】
[0352] 方法500は、ステップ504において、1つ以上のプロセッサを用いて、第1の近位磁力計202、第2の近位磁力計204、第1の遠位磁力計208、及び第2の遠位磁力計210から取得された磁場測定値から差分信号を計算することも含み得る。
【0316】
[0353] 方法500は、ステップ506において、1つ以上のプロセッサを用いて、計算された差分信号に信号フィルタ及び微分のうち少なくとも1つを適用して検出信号を取得することも含み得る。方法500は更に、ステップ508において、1つ以上のプロセッサを用いて、検出信号を感度閾値又は検出閾値と比較することを含み得る。方法500は、ステップ510において、検出信号が感度又は検出閾値を上回っている場合、出力コンポーネントを用いてユーザ出力を発生することも含み得る。遠位検知部136が強磁性RSI又は別の強磁性物体のそばを通り過ぎるか又はその上を通り過ぎる際、検出信号は感度又は検出閾値を上回る可能性がある。
【0317】
[0354]
図19は、患者の体内の磁性物体を検出する別の方法600を示す。方法600は、ステップ602において、患者の体内に金属検出デバイス100の一部(例えば金属検出デバイス100の遠位セグメント)を導入することを含み得る。金属検出デバイス100は、ハンドル102と、ハンドル102から延出しているシャフト131と、シャフト131の遠位に位置決めされた遠位検知部136と、シャフト131を遠位検知部136に接続している可撓部145と、1つ以上のプロセッサ及びメモリユニットを含むマイクロコントローラ185と、出力コンポーネントと、を含み得る。
【0318】
[0355] 遠位検知部136は複数の磁力計を含み得る。例えば遠位検知部136は、第1の近位磁力計202及び第2の近位磁力計204を含む近位グラジオメータ200と、第1の遠位磁力計208及び第2の遠位磁力計210を含む遠位グラジオメータ206と、を含み得る。
【0319】
[0356] 方法600は、ステップ604において、遠位検知部136及び可撓部145の少なくとも一部が患者の体内にある場合、ハンドル102上の引き金105を引いて可撓部145を屈曲させることも含み得る。方法600は更に、ステップ606において、1つ以上のプロセッサを用いて、複数の磁力計から取得された磁場測定値から検出信号を計算することを含み得る。検出信号を計算することは更に、1つ以上のプロセッサを用いて、第1の近位磁力計、第2の近位磁力計、第1の遠位磁力計、及び第2の遠位磁力計から取得された磁場測定値から差分信号を計算することを含み得る。更に方法600は、計算された差分信号に信号フィルタ及び微分のうち少なくとも1つを適用して検出信号を取得することを含み得る。
【0320】
[0357] 方法600は更に、ステップ608において、1つ以上のプロセッサを用いて、検出信号を感度閾値又は検出閾値と比較することを含み得る。方法600は、ステップ610において、検出信号が感度閾値又は検出閾値を上回っている場合、出力コンポーネントを用いてユーザ出力を発生することも含み得る。遠位検知部136が強磁性RSI又は別の強磁性物体のそばを通り過ぎるか又はその上を通り過ぎる際、検出信号は感度又は検出閾値を上回る可能性がある。
【0321】
[0358] 方法600は、ハンドル102内の引き金ポテンショメータ171から取得されたデータに基づいて引き金速さを決定することも含み得る。引き金ポテンショメータ171は引き金105に結合することができる。方法600は更に、1つ以上のプロセッサを用いて、引き金速さに基づいて感度又は検出閾値を調整することを含み得る。
【0322】
[0359]
図20は、金属検出デバイス100の機能性を試験する方法700を示す。方法700は、ステップ702において、金属検出デバイス100を提供することを含み得る。金属検出デバイス100は、ハンドル102と、ハンドル102から延出しているシャフト131と、シャフト131の遠位に位置決めされた遠位検知部136と、シャフト131を遠位検知部136に接続する可撓部145と、1つ以上のプロセッサ及びメモリユニットを含むマイクロコントローラ185と、出力コンポーネントと、を含み得る。
【0323】
[0360] 遠位検知部136は複数の磁力計を含み得る。例えば遠位検知部136は、第1の近位磁力計202及び第2の近位磁力計204を含む近位グラジオメータ200と、第1の遠位磁力計208及び第2の遠位磁力計210を含む遠位グラジオメータ206と、を含み得る。
【0324】
[0361] 方法700は、ハンドル102上の試験棒スライダ117をシャフト131の方へ遠位方向にスライドさせることも含み得る。ステップ704において、試験棒スライダ117をスライドさせると、シャフト131内を延出している管腔内に収容された試験棒133の遠位セグメントはセンサ筐体141内へ平行移動する。
【0325】
[0362] 方法700は、試験棒133の遠位セグメントをセンサ筐体141内へ平行移動させた場合、ステップ706において、1つ以上のプロセッサを用いて、複数の磁力計から取得された磁場測定値から検出信号を計算することを含み得る。方法700は更に、ステップ708において、1つ以上のプロセッサを用いて、検出信号を感度閾値又は検出閾値と比較することを含み得る。方法700は、ステップ710において、検出信号が閾値を上回っている場合、出力コンポーネントを用いてユーザ出力を発生することも含み得る。
【0326】
[0363] 本明細書に記載され図示されている変形例又は実施形態の各々は別個のコンポーネント及び特徴を有し、それらは、他の変形例又は実施形態のいずれかの特徴から容易に分離するか又はそれらの特徴と組み合わせることができる。特定の状況、材料、物の組成(composition of matter)、プロセス、1又は複数のプロセス行為(process act)又はステップを、本発明の1又は複数の目的、精神、又は範囲に適合させるため、変更を実施することができる。
【0327】
[0364] 本明細書で列挙されている方法は、列挙されたイベントの順序だけでなく、列挙されたイベントの論理的に可能な任意の順序で実行され得る。また、所望の結果を達成するため、追加のステップもしくは動作を提供すること、又はステップもしくは動作を削除することも可能である。
【0328】
[0365] 更に、値の範囲が与えられる場合、その範囲の上限と下限との間にある全ての値、及び、その範囲内の他の任意の言及される値もしくはその範囲内の値は、本発明内に包含される。また、記載されている発明の変形例の任意選択的な特徴は、本明細書に記載されている特徴のうちいずれか1つ以上とは独立して又はそれらと組み合わせて説明し特許請求することができる。例えば、1から5の範囲という記載は、1から3、1から4、2から4、2から5、3から5等の小領域(subrange)、並びに、例えば1.5及び2.5のようなその範囲内の個々の数、及びそれらの間の全増分又は部分増分を開示したと考えなければならない。
【0329】
[0366] 本明細書で言及されている全ての既存の主題(例えば公報、特許、特許出願)は、主題が本発明の主題と抵触し得る場合を除いて(その場合は本明細書に存在するものが優勢であるものとする)、援用により全体が本願に含まれる。参照された物品は、本出願の出願日より前のそれらの開示のためだけに提供されている。本明細書において、先行発明によって本発明がそのような材料に先行する権利を与えられないことの承認として解釈されるものはない。
【0330】
[0367] 単数の物品に対する言及は、同じ物品が複数存在する可能性を含む。より具体的に述べると、本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a(1つの)」、「an(1つの)」、「said(前記の)」、及び「the(その)」は、文脈上明らかに他の意味に解釈すべき場合を除いて、複数の指示物を含む。また、特許請求の範囲は任意選択的な要素を除外するように起草され得ることに留意するべきである。従って、この記述は、「単独で(solely)」、「唯一の(only)」等の排他的用語をクレーム要素の列挙と組み合わせて用いるため、又は「否定的な」限定を用いるための先行詞として機能することが意図される。別途の規定がない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野における通常の技能を有する者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0331】
[0368] 本開示の範囲を理解する際に、「備える(comprising)」という用語及びその派生物は、本明細書で使用される場合、記載された特徴、要素、コンポーネント、グループ、整数、及び/又はステップの存在を特定するが、他の記載されていない特徴、要素、コンポーネント、グループ、整数、及び/又はステップの存在を除外しないオープンエンドの用語であることが意図される。前述のことは、「含む(including)」、「有する(having)」という用語、及びそれらの派生物等、同様の意味を有する語にも適用される。更に、「部分(part)」、「セクション(section)」、「部分(portion)」、「部材(member)」、「要素(element)」、又は「コンポーネント(component)」という用語は、単数で用いられる場合、単一の部分又は複数の部分の2つの意味を有し得る。本明細書で用いられる場合、方向の用語「前方(forward)、後方(rearward)、上方(above)、下向き(downward)、垂直方向(vertical)、水平方向(horizontal)、下方(below)、横断方向(transverse)、横方向に(laterally)、及び垂直方向に(vertically)」、並びに他の同様の方向の用語は、平行移動又は移動されているデバイスもしくは機器の位置又はデバイスもしくは機器の方向を示す。最後に、「実質的に(substantially)」、「約(about)」、及び「約(approximately)」のような程度の用語は、本明細書で使用される場合、最終結果が実質的に又は大きく変化しないような、指定された値からの適度な量の逸脱(例えば、変動が適切である場合、±0.1%、±1%、±5%、又は±10%までの逸脱)を意味する。
【0332】
[0369] 本開示は、説明されている特定の形態の範囲に限定されることは意図されず、本明細書に記載されている変形例又は実施形態の代替物、変更、及び均等物を包含することが意図される。更に、本開示の範囲は、本開示を考慮して当業者に明らかとなり得る他の変形例又は実施形態を充分に包含する。
【手続補正書】
【提出日】2022-05-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルと、
前記ハンドルから延出しているシャフトと、
前記シャフトの遠位に位置決めされた遠位検知部であって、
第1の近位磁力計及び第2の近位磁力計を含む近位グラジオメータと、
第1の遠位磁力計及び第2の遠位磁力計を含む遠位グラジオメータと、
を含む遠位検知部と、
検出された物体についてユーザに通知するユーザ出力を発生するように構成された出力コンポーネントと、
1つ以上のプロセッサ及びメモリユニットを含むマイクロコントローラと、を備えた金属検出デバイスであって、前記1つ以上のプロセッサは、
前記第1の近位磁力計、前記第2の近位磁力計、前記第1の遠位磁力計、及び前記第2の遠位磁力計から取得された磁場測定値から差分信号を計算し、
前記計算された差分信号に信号フィルタ及び微分のうち少なくとも1つを適用して検出信号を取得し、
前記検出信号を閾値と比較し、
前記検出信号が前記閾値を上回っている場合、前記ユーザ出力を発生するよう前記出力コンポーネントに命令する、
ための前記メモリユニットに記憶された命令を実行するようにプログラムされている、金属検出デバイス。
【請求項2】
前記信号フィルタは高域フィルタ及び低域フィルタのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の金属検出デバイス。
【請求項3】
前記第1の近位磁力計、前記第2の近位磁力計、前記第1の遠位磁力計、及び前記第2の遠位磁力計は、それぞれがx軸とy軸を有する2軸磁力計である、請求項1に記載の金属検出デバイス。
【請求項4】
前記第1の近位磁力計及び前記第2の近位磁力計の各々は少なくとも+x軸と+y軸を含み、前記第1の近位磁力計の前記+x軸は前記第2の近位磁力計の前記+x軸の反対方向に向けられ、前記第1の近位磁力計の前記+y軸は前記第2の近位磁力計の前記+y軸の反対方向に向けられている、請求項3に記載の金属検出デバイス。
【請求項5】
前記第1の遠位磁力計及び前記第2の遠位磁力計の各々は少なくとも+x軸と+y軸を含み、前記第1の遠位磁力計の前記+x軸は前記第2の遠位磁力計の前記+x軸の反対方向に向けられ、前記第1の遠位磁力計の前記+y軸は前記第2の遠位磁力計の前記+y軸の反対方向に向けられている、請求項3に記載の金属検出デバイス。
【請求項6】
前記第2の遠位磁力計及び前記第1の近位磁力計の各々は少なくとも+x軸と+y軸を含み、前記第2の遠位磁力計の前記+x軸は前記第1の近位磁力計の前記+x軸の反対方向に向けられ、前記第2の遠位磁力計の前記+y軸は前記第1の近位磁力計の前記+y軸の反対方向に向けられている、請求項3に記載の金属検出デバイス。
【請求項7】
前記第1の近位磁力計及び前記第2の近位磁力計の前記軸のうち少なくとも1つは前記第1の遠位磁力計及び前記第2の遠位磁力計の前記軸のうち少なくとも1つと直交していない、請求項3に記載の金属検出デバイス。
【請求項8】
前記遠位検知部は更に、
前記第1の近位磁力計及び前記第2の近位磁力計が結合されている近位剛性プリント回路基板(PCB)と、
前記第1の遠位磁力計及び前記第2の遠位磁力計が結合されている遠位剛性PCBと、
前記近位剛性PCBと前記遠位剛性PCBとの間に配置され、前記近位剛性PCBを前記遠位剛性PCBに接続している遠位可撓性回路と、
を含み、前記遠位剛性PCBは前記遠位可撓性回路を中心として前記近位剛性PCBに対してねじれ角だけ角度的に回転されている、請求項1に記載の金属検出デバイス。
【請求項9】
前記ねじれ角は約45度である、請求項8に記載の金属検出デバイス。
【請求項10】
前記ねじれ角は約60度である、請求項8に記載の金属検出デバイス。
【請求項11】
前記ねじれ角は約30度である、請求項8に記載の金属検出デバイス。
【請求項12】
前記第1の近位磁力計及び前記第2の近位磁力計の軸は前記第1の遠位磁力計及び前記第2の遠位磁力計の軸に対して位置合わせされているか又は直交している、請求項3に記載の金属検出デバイス。
【請求項13】
前記遠位検知部はセンサ筐体で覆われており、前記センサ筐体は筐体直径を有し、前記筐体直径は約3.0mmから約10.0mmの間である、請求項1に記載の金属検出デバイス。
【請求項14】
前記筐体直径は約5.0mmである、請求項13に記載の金属検出デバイス。
【請求項15】
前記センサ筐体は約40.0mmから約50.0mmの間の筐体長寸法を有する、請求項13に記載の金属検出デバイス。
【請求項16】
前記マイクロコントローラは前記ハンドル内に収容されている、請求項1に記載の金属検出デバイス。
【請求項17】
前記遠位検知部は1つ以上の演算増幅器を更に含み、前記1つ以上の演算増幅器は、前記第1の近位磁力計、前記第2の近位磁力計、前記第1の遠位磁力計、及び前記第2の遠位磁力計のうち少なくとも1つからの未加工の出力信号が前記ハンドル内の前記マイクロコントローラのアナログデジタル変換器(ADC)又はADCコンポーネントに送信される前に、そのような信号を増幅するよう構成されている、請求項1に記載の金属検出デバイス。
【請求項18】
前記遠位検知部を前記シャフトに結合している可撓部を更に備え、前記可撓部は屈曲可能であると共に、真っすぐの構成と屈曲構成を含み、前記可撓部が前記屈曲構成にある場合に前記遠位検知部は前記シャフトに近付いて位置付けられる、請求項1に記載の金属検出デバイス。
【請求項19】
前記可撓部は部分的に熱可塑性エラストマで作製されている、請求項18に記載の金属検出デバイス。
【請求項20】
前記可撓部は部分的にPebax(登録商標)で作製されている、請求項18に記載の金属検出デバイス。
【国際調査報告】