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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-11
(54)【発明の名称】エッチング組成物
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/308 20060101AFI20221104BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
H01L21/308 F
H01L21/306 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515901
(86)(22)【出願日】2020-09-02
(85)【翻訳文提出日】2022-05-02
(86)【国際出願番号】 US2020049010
(87)【国際公開番号】W WO2021050333
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】62/898,069
(32)【優先日】2019-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514251329
【氏名又は名称】フジフイルム エレクトロニック マテリアルズ ユー.エス.エー., インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋和敬
(72)【発明者】
【氏名】高橋智威
(72)【発明者】
【氏名】ヴォイチャック、ウィリアム エー.
【テーマコード(参考)】
5F043
【Fターム(参考)】
5F043AA26
5F043BB18
5F043BB30
5F043DD07
5F043DD10
5F043GG02
5F043GG04
(57)【要約】
本開示は、1)少なくとも1種の酸化剤;2)少なくとも1種のキレート剤;3)少なくとも1種の有機溶媒;4)少なくとも1種のアミン化合物;及び5)水を含有するエッチング組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エッチング組成物であって:
1)前記組成物の約0.1重量%~約30重量%の量の少なくとも1種の酸化剤;
2)前記組成物の約0.01重量%~約1重量%の量の少なくとも1種のキレート剤;
3)前記組成物の約1重量%~約30重量%の量の少なくとも1種の有機溶媒;
4)1~6個の炭素原子を含み、前記組成物の約0.1重量%~約5重量%の量である、ジアミン、アルカノールアミン、又は4級アンモニウム化合物を含む少なくとも1種のアミン化合物;及び
5)水、
を含み、約6.5~約9.5のpHを有する、組成物。
【請求項2】
約7~約9.5のpHを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1種の酸化剤が、過酸化水素を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1種の酸化剤が、前記組成物の約1重量%~約18重量%の量である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1種のキレート剤が、ポリアミノポリカルボン酸を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記ポリアミノポリカルボン酸が、モノ又はポリアルキレンポリアミンポリカルボン酸、ポリアミノアルカンポリカルボン酸、ポリアミノアルカノールポリカルボン酸、及びヒドロキシアルキルエーテルポリアミンポリカルボン酸からなる群より選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記ポリアミノポリカルボン酸が、ブチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四プロピオン酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、1,3-ジアミノ-2-ヒドロキシプロパン-N,N,N’,N’-四酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸、トランス-1,2-ジアミノシクロヘキサン四酢酸、エチレンジアミン二酢酸、エチレンジアミン二プロピオン酸、1,6-ヘキサメチレン-ジアミン-N,N,N’,N’-四酢酸、N,N-ビス(2-ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン-N,N-二酢酸、ジアミノプロパン四酢酸、イミノ二酢酸、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-四酢酸、ジアミノプロパノール四酢酸、及び(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸からなる群より選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1種のキレート剤が、前記組成物の約0.1重量%~約0.5重量%の量である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
少なくとも1種の金属腐食防止剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1種の金属腐食防止剤が、置換又は無置換のベンゾトリアゾールを含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記少なくとも1種の金属腐食防止剤が、アルキル基、アリール基、ハロゲン基、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、及びヒドロキシル基からなる群より選択される少なくとも1種の置換基で置換されていてもよいベンゾトリアゾールを含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記置換又は無置換のベンゾトリアゾールが、ベンゾトリアゾール、5-アミノベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、5-フェニルチオール-ベンゾトリアゾール、5-クロロベンゾトリアゾール、4-クロロベンゾトリアゾール、5-ブロモベンゾトリアゾール、4-ブロモベンゾトリアゾール、5-フルオロベンゾトリアゾール、4-フルオロベンゾトリアゾール、ナフトトリアゾール、トリルトリアゾール、5-フェニル-ベンゾトリアゾール、5-ニトロベンゾトリアゾール、4-ニトロベンゾトリアゾール、2-(5-アミノ-ペンチル)-ベンゾトリアゾール、1-アミノ-ベンゾトリアゾール、5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール-5-カルボン酸、4-メチルベンゾトリアゾール、4-エチルベンゾトリアゾール、5-エチルベンゾトリアゾール、4-プロピルベンゾトリアゾール、5-プロピルベンゾトリアゾール、4-イソプロピルベンゾトリアゾール、5-イソプロピルベンゾトリアゾール、4-n-ブチルベンゾトリアゾール、5-n-ブチルベンゾトリアゾール、4-イソブチルベンゾトリアゾール、5-イソブチルベンゾトリアゾール、4-ペンチルベンゾトリアゾール、5-ペンチルベンゾトリアゾール、4-ヘキシルベンゾトリアゾール、5-ヘキシルベンゾトリアゾール、5-メトキシベンゾトリアゾール、5-ヒドロキシベンゾトリアゾール、ジヒドロキシプロピルベンゾトリアゾール、1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]-ベンゾトリアゾール、5-t-ブチルベンゾトリアゾール、5-(1’,1’-ジメチルプロピル)-ベンゾトリアゾール、5-(1’,1’,3’-トリメチルブチル)ベンゾトリアゾール、5-n-オクチルベンゾトリアゾール、及び5-(1’,1’,3’,3’-テトラメチルブチル)ベンゾトリアゾールからなる群より選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
前記少なくとも1種の金属腐食防止剤が、前記組成物の約0.1重量%~約0.5重量%の量である、請求項9に記載の組成物。
【請求項14】
前記少なくとも1種の有機溶媒が、水溶性アルコール、水溶性ケトン、水溶性エステル、及び水溶性エーテルからなる群より選択される溶媒を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
約5重量%~約25重量%の前記少なくとも1種の有機溶媒を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記少なくとも1種のアミン化合物が、エチレンジアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノプロパン、エタノールアミン、又はテトラメチルアンモニウムフルオライドを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記少なくとも1種のアミン化合物が、前記組成物の約1重量%~約5重量%の量である、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記水が、前記組成物の約35重量%~約98重量%の量である、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
少なくとも1種の酸をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記少なくとも1種の酸が、無機酸又はスルホン酸を含む、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記少なくとも1種の酸が、前記組成物の約0.1重量%~約5重量%の量である、請求項19に記載の組成物。
【請求項22】
ポリマー、イミン、ヒドラジン、又はアミジンを実質的に含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
TiSiNフィーチャを含む半導体基板をエッチング組成物と接触させて前記TiSiNフィーチャを除去することを含む方法であって、
前記組成物は、少なくとも1種の酸化剤、少なくとも1種のキレート剤、少なくとも1種の有機溶媒、1~6個の炭素原子を含む少なくとも1種のアミン化合物、及び水を含み、前記組成物は、約6.5~約9.5のpHを有する、
方法。
【請求項24】
前記接触工程の後に、前記半導体基板をリンス溶媒によってリンスすることをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記リンス工程の後に、前記半導体基板を乾燥することをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記半導体基板中のHfOxを実質的に除去しない、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる2019年9月10日に出願された米国仮特許出願第62/898,069号の優先権を主張するものである。
【0002】
本開示は、金属導電体、バリア材料、絶縁体材料、並びに銅、タングステン、及びlow-k誘電体材料の露出層又は下地層などの他の材料の存在下で窒化チタンケイ素を選択的にエッチングするための組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体産業では、マイクロ電子デバイス、シリコンチップ、液晶ディスプレイ、MEMS(マイクロ電気機械システム)、プリント配線板などにおける電子回路及び電子コンポーネントの寸法の縮小並びに密度の上昇が急速に進められている。それらの中の集積回路は、層構造又は積層構造とされており、各回路層間の絶縁層の厚みは縮小を続け、フィーチャサイズ(feature sizes)はどんどん小さくなっている。フィーチャサイズが縮小されるに従って、パターンはより小さくなり、デバイスの性能パラメーターは、より厳しく、堅牢(robust)になってきた。その結果、これまでは許容可能であった様々な問題が、フィーチャサイズの縮小化に起因して、もはや許容することができないものとなるか、又はますます問題となってきた。
【0004】
高度集積回路の製造において、密度の上昇に伴う問題を最小限に抑えるために、及び性能を最適化するために、high-k絶縁体及びlow-k絶縁体の両方、並びに組み合わせられたバリア層材料が用いられてきた。
【0005】
窒化チタンケイ素(TiSiN)は、半導体デバイスに、並びに貴金属、アルミニウム(Al)、及び銅(Cu)配線のグラウンド層及びキャップ層として用いられ得る。それは、半導体デバイスでは、バリア金属、ハードマスク、又はゲート金属として用いられ得る。
【0006】
これらの用途のためのデバイスの構築では、TiSiNをエッチングする必要のある場合が多い。TiSiNの様々な種類の使用及びデバイス環境では、TiSiNがエッチングされる際に、同時に他の層が接触している又は露出している。これらの他の材料(例:金属導電体、誘電体、及びハードマーク(hard marks))の存在下では、TiSiNの高度な選択的エッチングが、デバイスの歩留まり及び長寿命のために必須である。TiSiNのエッチングプロセスは、プラズマエッチングプロセスであってもよい。しかし、TiSiN層にプラズマエッチングプロセスを用いることは、ゲート絶縁層及び半導体基板のいずれか、又は両方への損傷を引き起こす可能性がある。加えて、エッチングプロセスは、ゲート電極によって露出されたゲート絶縁層をエッチングすることにより、半導体基板の一部を除去してしまう可能性がある。トランジスタの電気特性が悪影響を受ける可能性がある。そのようなエッチングによる損傷を回避するために、追加の保護デバイス製造工程が用いられてもよいが、著しいコストを伴う。
【0007】
TiSiNの湿式エッチング法は公知である。そのような方法は、フッ化水素酸を他の試薬と組み合わせて含有するエッチング液の使用を含み得る。しかし、ケイ素系誘電体及び金属(例:Al)との選択性が充分ではなく、デバイス中の他の露出金属も腐食又はエッチングを受ける場合がある。
【0008】
したがって、比較的高いエッチレートを有するが、露出している又はTiSiNと接触している他の半導体材料に対しては、エッチングプロセスの過程で比較的低いエッチレート及び腐食レートを有するTiSiNエッチング溶液が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本開示は、半導体デバイス中に存在する金属導電体層、ハードマスク層、及びlow-k誘電体層に対してTiSiNを選択的にエッチングするための組成物並びに方法に関する。より詳細には、本開示は、銅、タングステン、底部反射防止コーティング(BARC)、high-k誘電体(例:HfOx)、及び層間誘電体(ILD)(例:SiOx又はlow-k誘電体)に対して選択的に窒化チタンケイ素をエッチングするための組成物並びに方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様では、本開示は、1)少なくとも1種の酸化剤;2)少なくとも1種のキレート剤;3)少なくとも1種の有機溶媒;4)少なくとも1種のアミン化合物;及び5)水、を含み、約6.5~約9.5のpHを有するエッチング組成物(例:選択的にTiSiNを除去するためのエッチング組成物)に関する。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記エッチング組成物は:
1)前記組成物の約0.1重量%~約30重量%の量の少なくとも1種の酸化剤;
2)前記組成物の約0.01重量%~約1重量%の量の少なくとも1種のキレート剤;
3)前記組成物の約1重量%~約30重量%の量の少なくとも1種の有機溶媒;
4)1~6個の炭素原子を含み、前記組成物の約0.1重量%~約5重量%の量である、ジアミン、アルカノールアミン、又は4級アンモニウム化合物を含む少なくとも1種のアミン化合物;及び
5)水、
を含んでもよく、前記組成物は、約6.5~約9.5のpHを有する。
【0012】
別の態様では、本開示は、TiSiNフィーチャを含む半導体基板を本明細書で開示するエッチング組成物と接触させて前記TiSiNフィーチャを除去することを含む方法に関する。
【0013】
さらに別の態様では、本開示は、上述した方法によって形成された物品に関し、ここで、前記物品は、半導体デバイス(例:集積回路)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書で定められる場合、特に断りのない限り、表されるすべてのパーセントは、前記エッチング組成物の総重量に対する重量パーセントであるとして理解されるべきである。特に断りのない限り、周囲温度は、摂氏約16度~約27度(℃)であるとして定められる。本明細書で定められる場合、「水溶性」物質(例:水溶性アルコール、ケトン、エステル、又はエーテル)とは、25℃の水において少なくとも0.5重量%(例:少なくとも1重量%又は少なくとも5重量%)の溶解度を有する物質を意味する。
【0015】
一態様では、本開示は、1)少なくとも1種の酸化剤;2)少なくとも1種のキレート剤;3)少なくとも1種の有機溶媒;4)少なくとも1種のアミン化合物;及び5)水、を含むエッチング組成物(例:選択的にTiSiNを除去するためのエッチング組成物)に関する。
【0016】
いくつかの実施形態では、本開示のエッチング組成物は、マイクロ電子洗浄組成物に適する少なくとも1種(例:2種、3種、又は4種)の酸化剤を含有し得る。本開示の組成物で使用されるべき酸化剤の例としては、限定されないが、過酸化物(例:過酸化水素、過酸化ジアルキル、過酸化水素尿素)、過スルホン酸(persulfonic acid)(例:ヘキサフルオロプロパン過スルホン酸、メタン過スルホン酸、トリフルオロメタン過スルホン酸、又はp-トルエン過スルホン酸)及びその塩、オゾン、過炭酸(例:過酢酸)及びその塩、過リン酸及びその塩、過硫酸及びその塩(例:過硫酸アンモニウム又は過硫酸テトラメチルアンモニウム)、過塩素酸及びその塩(例:過塩素酸アンモニウム又は過塩素酸テトラメチルアンモニウム)、並びに過ヨウ素酸及びその塩(例:過ヨウ素酸アンモニウム又は過ヨウ素酸テトラメチルアンモニウム)が挙げられる。これらの酸化剤は、単独で、又は組み合わせて用いられてもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1種の酸化剤は、本開示のエッチング組成物の約0.1重量%以上(例:約1重量%以上、約2.5重量%以上、約5重量%以上、約7.5重量%以上、約10重量%以上、約11重量%以上、約12重量%以上、約13重量%以上、約14重量%以上、又は約15重量%以上)及び/又は約30重量%以下(例:約25重量%以下、約20重量%以下、約19重量%以下、約18重量%以下、約17重量%以下、又は約15重量%以下)の量である。
【0018】
いくつかの実施形態では、本開示のエッチング組成物は、ポリアミノポリカルボン酸であってよいがこれに限定されない少なくとも1種(例:2種、3種、又は4種)のキレート剤を含有し得る。本開示の目的のために、ポリアミノポリカルボン酸とは、複数の(例:2個、3個、4個、又はそれ以上の)アミノ基及び複数の(例:2個、3個、4個、又はそれ以上の)カルボン酸基を有する化合物を意味する。ポリアミノポリカルボン酸キレート剤の適切なクラスとしては、限定されないが、モノ又はポリアルキレンポリアミンポリカルボン酸、ポリアミノアルカンポリカルボン酸、ポリアミノアルカノールポリカルボン酸、及びヒドロキシアルキルエーテルポリアミンポリカルボン酸が挙げられる。
【0019】
適切なポリアミノポリカルボン酸キレート剤としては、限定されないが、ブチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミン四プロピオン酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、1,3-ジアミノ-2-ヒドロキシプロパン-N,N,N’,N’-四酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、トランス-1,2-ジアミノシクロヘキサン四酢酸、エチレンジアミン二酢酸、エチレンジアミン二プロピオン酸、1,6-ヘキサメチレン-ジアミン-N,N,N’,N’-四酢酸、N,N-ビス(2-ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン-N,N-二酢酸、ジアミノプロパン四酢酸、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-四酢酸、ジアミノプロパノール四酢酸、及び(ヒドロキシエチル)エチレン-ジアミン三酢酸が挙げられる。
【0020】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1種のキレート剤は、本開示のエッチング組成物の約0.01重量%以上(例:約0.05重量%以上、約0.1重量%以上、約0.15重量%以上、約0.2重量%以上、約0.25重量%以上、又は約0.3重量%以上)及び/又は約1重量%以下(例:約0.9重量%以下、約0.8重量%以下、約0.7重量%以下、約0.6重量%以下、約0.5重量%以下、約0.4重量%以下、又は約0.3重量%以下)の量であってもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、本開示のエッチング組成物は、所望により、置換又は無置換のベンゾトリアゾールから選択される少なくとも1種(例:2種、3種、又は4種)の金属腐食防止剤を含有してもよい。適切な置換ベンゾトリアゾールとしては、限定されないが、アルキル基、アリール基、ハロゲン基、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、及びヒドロキシル基で置換されたベンゾトリアゾールが挙げられる。置換ベンゾトリアゾールとしてはまた、1個又は複数個のアリール(例:フェニル)基又はヘテロアリール基と縮合したベンゾトリアゾールも挙げられる。
【0022】
金属腐食防止剤として用いるのに適するベンゾトリアゾールとしては、限定されないが、ベンゾトリアゾール(BTA)、5-アミノベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、5-フェニルチオール-ベンゾトリアゾール、5-クロロベンゾトリアゾール、4-クロロベンゾトリアゾール、5-ブロモベンゾトリアゾール、4-ブロモベンゾトリアゾール、5-フルオロベンゾトリアゾール、4-フルオロベンゾトリアゾール、ナフトトリアゾール、トリルトリアゾール、5-フェニル-ベンゾトリアゾール、5-ニトロベンゾトリアゾール、4-ニトロベンゾトリアゾール、2-(5-アミノ-ペンチル)-ベンゾトリアゾール、1-アミノ-ベンゾトリアゾール、5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール(5-MBTA)、ベンゾトリアゾール-5-カルボン酸、4-メチルベンゾトリアゾール、4-エチルベンゾトリアゾール、5-エチルベンゾトリアゾール、4-プロピルベンゾトリアゾール、5-プロピルベンゾトリアゾール、4-イソプロピルベンゾトリアゾール、5-イソプロピルベンゾトリアゾール、4-n-ブチルベンゾトリアゾール、5-n-ブチルベンゾトリアゾール、4-イソブチルベンゾトリアゾール、5-イソブチルベンゾトリアゾール、4-ペンチルベンゾトリアゾール、5-ペンチルベンゾトリアゾール、4-ヘキシルベンゾトリアゾール、5-ヘキシルベンゾトリアゾール、5-メトキシベンゾトリアゾール、5-ヒドロキシベンゾトリアゾール、ジヒドロキシプロピルベンゾトリアゾール、1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]-ベンゾトリアゾール、5-t-ブチルベンゾトリアゾール、5-(1’,1’-ジメチルプロピル)-ベンゾトリアゾール、5-(1’,1’,3’-トリメチルブチル)ベンゾトリアゾール、5-n-オクチルベンゾトリアゾール、及び5-(1’,1’,3’,3’-テトラメチルブチル)ベンゾトリアゾールが挙げられる。
【0023】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1種の金属腐食防止剤は、本開示のエッチング組成物の約0.05重量%以上(例:約0.1重量%以上、約0.15重量%以上、約0.2重量%以上、約0.25重量%以上、又は約0.3重量%以上)及び/又は約1重量%以下(例:約0.9重量%以下、約0.8重量%以下、約0.7重量%以下、約0.6重量%以下、約0.5重量%以下、約0.4重量%以下、又は約0.3重量%以下)の量である。理論に束縛されるものではないが、本開示のエッチング組成物に金属腐食防止剤を含めることによって、半導体基板中の金属(例:Co、Cu、又はW)及び/又はhigh-k誘電体材料(例:HfOx)の腐食又はエッチングを低減することができるものと考えられる。
【0024】
いくつかの実施形態では、本開示のエッチング組成物は、少なくとも1種(例:2種、3種、又は4種)の有機溶媒を含有してもよい。好ましくは、前記有機溶媒は、水溶性アルコール、水溶性ケトン、水溶性エステル、及び水溶性エーテル(例:グリコールジエーテル)からなる群より選択される。
【0025】
水溶性アルコールのクラスとしては、限定されないが、アルカンジオール(限定されないが、アルキレングリコールが挙げられる)、グリコール、アルコキシアルコール(限定されないが、グリコールモノエーテルが挙げられる)、飽和脂肪族一価アルコール、不飽和非芳香族一価アルコール、及び環構造を含む低分子量アルコール(例:C~Cアルコール)が挙げられる。
【0026】
水溶性アルカンジオールの例としては、限定されないが、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-ジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ピナコール、及びアルキレングリコールが挙げられる。
【0027】
水溶性アルキレングリコールの例としては、限定されないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、及びテトラエチレングリコールが挙げられる。
【0028】
水溶性アルコキシアルコールの例としては、限定されないが、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-1-ブタノール、1-メトキシ-2-ブタノール、及び水溶性グリコールモノエーテルが挙げられる。
【0029】
水溶性グリコールモノエーテルの例としては、限定されないが、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn-プロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノn-ブチルエーテル(EGBE)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、1-メトキシ-2-プロパノール、2-メトキシ-1-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、2-エトキシ-1-プロパノール、プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、及びジエチレングリコールモノベンジルエーテルが挙げられる。
【0030】
水溶性飽和脂肪族一価アルコールの例としては、限定されないが、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、2-ペンタノール、t-ペンチルアルコール、及び1-ヘキサノールが挙げられる。
【0031】
水溶性不飽和非芳香族一価アルコールの例としては、限定されないが、アリルアルコール、プロパルギルアルコール、2-ブテニルアルコール、3-ブテニルアルコール、及び4-ペンテン-2-オールが挙げられる。
【0032】
環構造を含む水溶性低分子量アルコールの例としては、限定されないが、テトラヒドロフルフリルアルコール、フルフリルアルコール、及び1,3-シクロペンタンジオールが挙げられる。
【0033】
水溶性ケトンの例としては、限定されないが、アセトン、シクロブタノン、シクロペンタノン、ジアセトンアルコール、2-ブタノン、5-ヘキサンジオン、1,4-シクロヘキサンジオン、3-ヒドロキシアセトフェノン、1,3-シクロヘキサンジオン、及びシクロヘキサノンが挙げられる。
【0034】
水溶性エステルの例としては、限定されないが、酢酸エチル、グリコールモノエステル(エチレングリコールモノアセテート及びジエチレングリコールモノアセテートなど)、及びグリコールモノエーテルモノエステル(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、及びエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなど)が挙げられる。
【0035】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1種の有機溶媒は、本開示のエッチング組成物の約1重量%以上(例:約2重量%以上、約3重量%以上、約4重量%以上、約5重量%以上、約6重量%以上、約7重量%以上、約8重量%以上、約9重量%以上、又は約10重量%以上)及び/又は約30重量%以下(例:約25重量%以下、約20重量%以下、約15重量%以下、約14重量%以下、約13重量%以下、約12重量%以下、約11重量%以下、約10重量%以下)の量である。
【0036】
いくつかの実施形態では、本開示のエッチング組成物は、少なくとも1種(例:2種、3種、又は4種)のアミン化合物を含有してもよい。前記アミン化合物は、ジアミン、アルカノールアミン、又は4級アンモニウム化合物であってもよい。いくつかの実施形態では、前記アミン化合物は、1個、2個、3個、4個、5個、又は6個の炭素原子を含んでもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、前記ジアミンは、式(I):HN-R-NH(I)の化合物であってもよく、式中、Rは、直鎖状又は分岐鎖状のC~Cアルキルである。式(I)のジアミンの例としては、エチレンジアミン、1,2-ジアミノプロパン、及び1,3-ジアミノプロパンが挙げられる。
【0038】
いくつかの実施形態では、前記アルカノールアミンは、式(II):HO-R-NH(II)の化合物であってもよく、式中、Rは、直鎖状又は分岐鎖状のC~Cアルキルである。式(II)のアルカノールアミンの例は、エタノールアミン(モノエタノールアミン又はMEAとしても知られる)である。
【0039】
いくつかの実施形態では、前記4級アンモニウム化合物は、4級アンモニウム塩又は4級アンモニウム水酸化物であってもよい。いくつかの実施形態では、前記4級アンモニウム化合物は、テトラアルキルアンモニウム化合物(例:塩又は水酸化物)であってもよい。いくつかの実施形態では、前記4級アンモニウム化合物は、式(III):[NR(III)の化合物であってもよく、式中、R、R、R、及びRの各々は、独立して、直鎖状又は分岐鎖状のC~Cアルキルであり、Xは、OH又はハロ(例:F、Cl、Br、又はI)である。式(III)の4級アンモニウム化合物の例は、テトラメチルアンモニウムフルオライドである。
【0040】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1種のアミン化合物は、本開示のエッチング組成物の約0.1重量%以上(例:約0.2重量%以上、約0.3重量%以上、約0.5重量%以上、約0.7重量%以上、約1重量%以上、約1重量%以上、約1.2重量%以上、約1.4重量%以上、又は約1.5重量%以上)及び/又は約5重量%以下(例:約4.5重量%以下、約4重量%以下、約3.5重量%以下、約3重量%以下、約2.5重量%以下、約2重量%以下、約1.5重量%以下、又は約1重量%以下)の量である。理論に束縛されるものではないが、本開示のエッチング組成物にアミン化合物を含めることによって、半導体基板中のTiSiNのエッチングを増加させることができ、及び/又はhigh-k誘電体材料(例:HfOx)の腐食若しくはエッチングを低減することができるものと考えられる。
【0041】
本開示のエッチング組成物は、さらに、水を含んでもよい。好ましくは、前記水は、脱イオン化された超純水であり、有機汚染物を含有せず、約4~約17メガオームの最小抵抗率を有する。より好ましくは、前記水の抵抗率は、約17メガオーム以上である。
【0042】
いくつかの実施形態では、前記水は、本開示のエッチング組成物の約35重量%以上(例:約45重量%以上、約50重量%以上、約55重量%以上、約60重量%以上、約65重量%以上、約68重量%以上、又は約70重量%以上)及び/又は約98重量%以下(例:約95重量%以下、約90重量%以下、約85重量%以下、約80重量%以下、約75重量%以下、又は約70重量%以下)の量である。
【0043】
いくつかの実施形態では、本開示のエッチング組成物は、所望により、少なくとも1種(例:2種、3種、又は4種)の酸を含んでもよい。前記酸は、有機酸であっても、又は無機酸であってもよい。適切な有機酸としては、アルキルスルホン酸又はアリールスルホン酸などのカルボン酸又はスルホン酸が挙げられ得る。適切なアルキルスルホン酸の例としては、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸(又はトリフリン酸)、及び2-ヒドロキシエタンスルホン酸(又はイセチオン酸)が挙げられる。適切なアリールスルホン酸の例は、p-トルエンスルホン酸である。適切な無機酸としては、ハロゲン化水素(例:塩化水素酸又は臭化水素酸)などの鉱酸が挙げられ得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1種の酸は、本開示のエッチング組成物の約0.1重量%以上(例:約0.2重量%以上、約0.3重量%以上、約0.5重量%以上、約0.7重量%以上、約1重量%以上、約1重量%以上、約1.2重量%以上、約1.4重量%以上、約1.5重量%以上、約1.6重量%以上、約1.8重量%以上、又は約2重量%以上)及び/又は約5重量%以下(例:約4.5重量%以下、約4重量%以下、約3.5重量%以下、約3重量%以下、約2.5重量%以下、約2重量%以下、約1.5重量%以下、又は約1重量%以下)の量である。理論に束縛されるものではないが、本開示のエッチング組成物に酸を含めることによって、前記組成物のpHを調節することができ、及び半導体基板中のhigh-k誘電体材料(例:HfOx)の腐食又はエッチングを低減することができるものと考えられる。
【0045】
いくつかの実施形態では、本開示のエッチング組成物は、約6.5以上(例:約7以上、約7.5以上、約7.8以上、又は約8以上)及び/又は約9.5以下(例:約9以下、約8.5以下、約8.2以下、又は約8以下)のpHを有してもよい。理論に束縛されるものではないが、pHが6.5よりも低いエッチング組成物は、コバルトのエッチレートを大きく上昇させ、及びTiSiNのエッチレートを低下させ、pHが9.5よりも高いエッチング組成物は、前記酸化剤(例:過酸化水素)の分解を促進させ、タングステンに対する腐食を大きく高める結果になるものと考えられる。所望されるpHを得るために、本開示のエッチング組成物中の前記ポリアミノポリカルボン酸、前記ベンゾトリアゾール(又はその誘導体)、前記酸、及び前記アミン化合物の相対的濃度が調節されてもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、本開示のエッチング組成物は、所望により含まれてもよい成分として、追加のpH調節剤、追加の腐食防止剤、界面活性剤、追加の有機溶媒、殺生物剤、及び消泡剤などの添加剤を含有してもよい。
【0047】
適切な消泡剤の例としては、ポリシロキサン消泡剤(例:ポリジメチルシロキサン)、ポリエチレングリコールメチルエーテルポリマー、エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー、及びグリシジルエーテル封止アセチレン系ジオールエトキシレート(参照により本明細書に取り込まれる米国特許第6,717,019号に記載のものなど)が挙げられる。所望により含まれてもよい界面活性剤は、カチオン性であっても、アニオン性であっても、非イオン性であっても、又は両性であってもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、本開示のエッチング組成物は、所望により、1種又は複数種の成分を不含有であってもよく、1種超の場合はいずれの組み合わせについて不含有であってもよい。前記エッチング組成物において不含有でもよいそのような成分は、有機溶媒、pH調節剤、ポリマー(例:カチオン性若しくはアニオン性ポリマー、又はポリ(メチルビニルエーテル)などのポリエーテル)、酸素捕捉剤、4級アンモニウム化合物(例:塩又は水酸化物)、アミン、アルカリ塩基(アルカリ水酸化物など)、消泡剤以外の界面活性剤、消泡剤、フルオライド含有化合物、研磨剤(例:カチオン性又はアニオン性研磨剤)、シリケート、ヒドロキシカルボン酸(例:2個超のヒドロキシル基を含むもの)、モノカルボン酸及びポリカルボン酸(例:アミノ基を含むもの又は含まないもの)、シラン(例:アルコキシシラン)、イミン(例:1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(DBU)及び1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン(DBN)などのアミジン)、ヒドラジン、環状化合物(例:アゾール(ジアゾール、トリアゾール、又はテトラゾールなど)、トリアジン、及び置換若しくは無置換のナフタレン、又は置換若しくは無置換のビフェニルエーテルなどの少なくとも2つの環を含む環状化合物)、緩衝剤、非アゾール腐食防止剤、ハライド塩、及び金属塩(例:金属ハライド)からなる群より選択される。
【0049】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のエッチング組成物の利点は、それが、high-k誘電体材料(例:HfOx)を実質的に除去又はエッチングすることなく、TiSiNを選択的にエッチングすることができることである。
【0050】
本開示のエッチング組成物は、前記成分を単に一緒に混合することによって調製されてもよく、又はキット中の2種の組成物をブレンドすることによって調製されてもよい。前記キット中の第一の組成物は、酸化剤(例:過酸化水素)の水溶液であってもよい。前記キット中の第二の組成物は、当該2種の組成物のブレンドによって所望の本開示のエッチング組成物が得られるように、本開示のエッチング組成物の残りの成分を、所定の比率で濃縮された形態で含有してもよい。
【0051】
別の選択肢として、本開示のエッチング組成物は、キット中の3種の組成物をブレンドすることによって調製されてもよい。そのような実施形態では、第一の組成物は、水性濃縮物の形態で前記酸化剤を含んでもよく、第二の組成物は、水だけを含んでもよく、第三の組成物は、本開示のエッチング組成物の残りの成分のすべてを、所定の比率で含んでもよい。
【0052】
本開示はまた、TiSiNフィーチャを含む半導体基板をエッチングする方法にも関する。前記方法は、TiSiNフィーチャを含む半導体基板を本開示のエッチング組成物と接触させてTiSiNフィーチャを除去することを含み得る。前記方法は、前記接触工程の後に、前記半導体基板をリンス溶媒でリンスすることをさらに含んでもよく、及び/又は前記リンス工程の後に、前記半導体基板を乾燥することをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、前記方法は、前記半導体基板中のHfOxを実質的に除去しない。例えば、前記方法は、前記半導体基板中のHfOxを多くても約5重量%(例:多くても約3重量%又は多くても約1重量%)しか除去しない。別の例として、所望のTiSiNエッチング効果を実現するための時間(例:2分間)にわたり本明細書に記載のエッチング組成物を使用する際、半導体基板中のHfOx層の膜損失(film loss)は、約1Å以下(例:約0.5Å以下又は0.1Å以下)であり得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、前記エッチング方法は:
(A)TiSiNフィーチャを含む半導体基板を提供する工程;
(B)前記半導体基板を本明細書に記載のエッチング組成物と接触させる工程;
(C)前記半導体基板を1種又は複数種の適切なリンス溶媒でリンスする工程;及び
(D)所望により、前記半導体基板を乾燥する工程(例:前記リンス溶媒を除去し、前記半導体基板の完全性(integrity)を損なわない任意の適切な手段によって)、
を含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、前記エッチング方法は、上述した方法によって得られる前記半導体基板から半導体デバイス(例:半導体チップなどの集積回路デバイス)を形成することをさらに含む。
【0055】
この方法においてエッチングされるTiSiNフィーチャを含む前記半導体基板は、有機物残渣及び有機金属残渣を、さらには、前記エッチングプロセスの過程でも除去され得る様々な金属酸化物を含み得る。
【0056】
半導体基板は、典型的には、シリコン、シリコンゲルマニウム、GaAsなどの第III族-V族化合物、又はこれらの任意の組み合わせから構築される。前記半導体基板は、さらに、金属線及び誘電体材料のような相互接続フィーチャなどの露出した集積回路構造を含んでもよい。相互接続フィーチャに用いられる金属及び金属合金としては、限定されないが、アルミニウム、銅との合金化アルミニウム、銅、チタン、タンタル、コバルト、シリコン、窒化チタン、窒化タンタル、及びタングステンが挙げられる。前記半導体基板は、さらに、層間誘電体、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化チタン、及び炭素ドープ酸化ケイ素の層を含んでいてもよい。
【0057】
前記半導体基板の前記エッチング組成物との接触は、任意の適切な方法で行われてもよく、例えば、前記エッチング組成物をタンクに入れてこのエッチング組成物中に前記半導体基板を浸漬させること及び/若しくは沈めること、前記エッチング組成物を前記半導体基板にスプレーすること、前記エッチング組成物を前記半導体基板上に流すこと、又はこれらの任意の組み合わせがある。いくつかの実施形態では、前記半導体基板は、前記エッチング組成物中に浸漬される。
【0058】
本開示のエッチング組成物は、実質的に、最高約85℃の温度で用いられてもよい。いくつかの実施形態では、前記エッチング組成物は、約20℃~約80℃(例:約55℃~約65℃又は約60℃~約65℃)で用いられてもよい。TiSiNのエッチレートは、この範囲で温度と共に上昇し、したがって、より高い温度でのプロセスは、より短い時間で行うことができ、より低い温度でのプロセスは、より長いエッチング時間が必要である。
【0059】
エッチング時間は、特定のエッチング方法、厚み、及び用いられる温度に応じて、広範囲で変化してもよい。浸漬バッチタイプのプロセスでエッチングを行う場合、適切な時間範囲は、例えば、最長約10分間である(例:約1分間~約7分間、約1分間~約5分間、又は約2分間~約4分間)。
【0060】
いくつかの実施形態では、枚葉プロセス(single wafer process)の場合のエッチング時間は、約30秒間~約5分間の範囲内であってもよい(例:約30秒間~約4分間、約1分間~約3分間、又は約1分間~約2分間)。
【0061】
本開示のエッチング組成物のエッチング能力をさらに向上させるために、機械的撹拌手段が用いられてもよい。適切な撹拌手段としては、前記基板上での前記エッチング組成物の循環、前記基板上に前記エッチング組成物を流すこと又はスプレーすること、及び前記エッチングプロセス中における超音波(ultrasonic)又は高周波超音波(megasonic)撹拌が挙げられる。地表面に対する前記半導体基板の向きは、任意の適切な角度であってもよい。水平方向又は垂直方向が好ましい。
【0062】
いくつかの実施形態では、前記エッチングに続いて、前記半導体基板は、適切なリンス溶媒により、撹拌手段を用いて又は用いずに、約5秒間~約5分間リンスされてもよい。異なるリンス溶媒を用いる複数のリンス工程が用いられてもよい。適切なリンス溶媒の例としては、限定されないが、脱イオン(DI)水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、N-メチルピロリジノン、ガンマ-ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、乳酸エチル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが挙げられる。別の選択肢として、又は加えて、pH>8の水性リンス(希釈水酸化アンモニウム水溶液など)が用いられてもよい。リンス溶媒の例としては、限定されないが、希釈水酸化アンモニウム水溶液、DI水、メタノール、エタノール、及びイソプロピルアルコールが挙げられる。いくつかの実施形態では、前記リンス溶媒は、希釈水酸化アンモニウム水溶液、DI水、及びイソプロピルアルコールである。前記溶媒の適用は、本明細書に記載のエッチング組成物の適用に用いられる手段と類似の手段を用いて行われてもよい。前記エッチング組成物は、前記リンス工程の開始前に前記半導体基板から除去されていてもよく、又は前記リンス工程の開始時に依然として前記半導体基板と接触していてもよい。いくつかの実施形態では、前記リンス工程で用いられる温度は、16℃~27℃である。
【0063】
所望により、前記半導体基板は、前記リンス工程の後に乾燥される。本技術分野で公知である任意の適切な乾燥手段が用いられてもよい。適切な乾燥手段の例としては、スピン乾燥、前記半導体基板全体にわたり乾燥ガスを流すこと、又はホットプレート若しくは赤外線ランプなどの加熱手段を用いて前記半導体基板を加熱すること、マランゴニ乾燥、ロタゴニ乾燥、IPA乾燥、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。乾燥時間は、用いられる具体的な方法に応じて異なるが、典型的には、15秒間~数分間のオーダーである。
【0064】
いくつかの実施形態では、前記半導体基板は、続いて、前記基板上に1又は複数の回路を形成するために処理され得る、又は例えばアセンブリング(例:ダイシング及びボンディング)及びパッケージング(例:チップ封止)によって半導体チップを形成するために処理され得る。
【実施例
【0065】
本開示を以下の例を参照してより詳細に説明するが、これらは説明を目的とするものであり、本開示の範囲を限定するものとして解釈されてはならない。列記されているパーセントはいずれも、特に断りのない限り、重量基準(重量%)である。試験では、特に断りのない限り、1インチの撹拌バーを用いた250rpmでの制御撹拌を行った。
【0066】
一般手順1
配合物ブレンド
エッチング組成物のサンプルを、算出した量の溶媒に、配合物の残りの成分を撹拌しながら添加することによって調製した。均一な溶液が得られた後、所望により含まれてもよい添加剤を用いる場合は添加した。
【0067】
一般手順2
材料及び方法
膜についてのブランケット膜エッチレート測定を、市販の未パターン化300mm径ウェハを評価のために0.5×0.5インチの試験クーポンにダイシングしたものを用いて行った。試験に用いた主要なブランケット膜材料は、1)シリコン基板上に配置された、19重量%のSiを含み約52Åの厚みを有するTiSiN膜、2)シリコン基板上に配置された、23重量%のSiを含み約56Åの厚みを有するTiSiN膜、及び3)シリコン基板上に配置された、20Åの厚みの酸化ハフニウム(HfOx)膜を含む。
【0068】
前記ブランケット膜試験クーポンを、処理前及び処理後の厚みについて測定して、ブランケット膜のエッチレートを特定した。TiSiN膜及びHfOx膜に対して、Woollam M-2000Xを用いたエリプソメトリによって処理前及び処理後に厚みを測定した。
【0069】
一般手順3
ビーカー試験によるエッチング評価
ブランケット膜エッチング試験及びパターン化クーポンエッチング試験はすべて、60℃に加熱した600mLのガラスビーカーに200gのサンプル溶液を入れ、蒸発によるロスを最小限に抑えるためにParafilm(登録商標)カバーを装着したままにして、250rpmで連続撹拌しながら行った。1つの側で前記サンプル溶液に曝されるパターン又はブランケットの金属膜又は誘電体膜のいずれかを有するブランケット試験クーポン又はパターン化試験クーポンはすべて、ダイヤモンドスクライバによって、ビーカースケール試験用の0.5×0.5インチの正方形試験クーポンサイズにダイシングした。個々の試験クーポンはそれぞれ、単一の長さ4インチのプラスチック製ロッキングピンセットクリップ(locking plastic tweezers clip)を用いて所定の位置に固定した。一方のエッジ部を前記ロッキングピンセットクリップで固定した前記試験クーポンを、600mLガラスビーカー中に吊り下げ、200gの試験溶液を60℃に加熱し250rpmで連続撹拌しながら、前記溶液中に浸漬した。各サンプルクーポンを、前記加熱撹拌溶液中に入れた後すぐに、600mLガラスビーカーの上部をParafilm(登録商標)でカバーして再度密封した。処理時間(一般手順3Aに記載)が経過するまで、前記試験クーポンを前記撹拌加熱溶液中に静かに保持した。前記試験溶液での前記処理時間が経過した後、600mLガラスビーカーから前記サンプルクーポンを直ちに取り出し、一般手順3A(ブランケット試験クーポン)に従ってリンスした。最終DIリンス工程の後、すべての試験クーポンを、手持ち型の窒素ガスブロアーを用いたフィルターされた窒素ガスによる吹き飛ばし工程(filtered nitrogen gas blow off step)に供し、これによって、微量に残ったDI水がすべて強制的に除去され、試験測定用の最終乾燥サンプルを得た。
【0070】
一般手順3A(ブランケット試験クーポン)
一般手順3に従う10分間の処理時間の直後に、前記クーポンを、20℃で約1リットル/分のオーバーフローレートの1000mL体積の超高純度脱イオン(DI)水中に15秒間、続いて緩やかに撹拌しながらさらに15秒間浸漬した。一般手順3に従って処理を完了した。
【0071】
例1
配合例1~10(FE-1~FE-10)を、一般手順1に従って調製し、一般手順2及び一般手順3に従って評価した。前記TiSiN膜及びHfOx膜を60℃で2分間エッチングした。前記配合物を表1にまとめて示し、試験結果を表2にまとめて示す。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
比較配合例1~15(CFE-1~CFE-15)を、一般手順1に従って調製し、一般手順2及び一般手順3に従って評価した。前記TiSiN膜及びHfOx膜を60℃で2分間エッチングした。前記配合物を表3にまとめて示し、試験結果を表4にまとめて示す。
【0075】
【表3】
【0076】
【表4】
【0077】
表2及び表4に示されるように、配合物FE-1~FE-10は、比較配合物のCFE-1~CFE-15と比較して、TiSiNエッチングの向上及びHfOxエッチングの低減を示した。
【0078】
本発明を特定の実施形態を参照して詳細に説明してきたが、改変及び変更が、明細書に記載され、特許請求の範囲に記載される本発明の趣旨及び範囲内であることは理解される。
【国際調査報告】