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特表2022-547330自閉症スペクトラム障害を治療するための組成物および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-11
(54)【発明の名称】自閉症スペクトラム障害を治療するための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/747 20150101AFI20221104BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20221104BHJP
   A61K 35/741 20150101ALI20221104BHJP
【FI】
A61K35/747
A61P25/00
A61K35/741
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516131
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(85)【翻訳文提出日】2022-05-10
(86)【国際出願番号】 US2020050525
(87)【国際公開番号】W WO2021050965
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】62/899,874
(32)【優先日】2019-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/950,805
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517396180
【氏名又は名称】フィンチ セラピューティクス ホールディングス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マーク・スミス
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ウェイデンメイヤー
【テーマコード(参考)】
4C087
【Fターム(参考)】
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BC56
4C087CA09
4C087MA01
4C087NA10
4C087ZA02
(57)【要約】
本開示は、自閉症スペクトラム障害(ASD)を治療するための組成物および方法に関する。本明細書において、ヒトドナーの糞便に由来する非培養糞便細菌調製物、ならびに細菌単離株、真菌単離株および古細菌単離株からなる群から選択される非病原性微生物型(例えば、ラクトバチルス・ロイテリを含む細菌単離株)のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または少なくとも三つすべて、を含む医薬組成物および製剤、ならびに当該組成物を用いてASD患者を治療する方法を提供する。さらにL.ロイテリを含む医薬組成物の製造方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便細菌の調製物、および(ii)ラクトバチルス・ロイテリを含む細菌単離株、を含む細菌混合物を含む、医薬組成物。
【請求項2】
(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便細菌の調製物、および(ii)ある種のラクトバチルスを含む細菌単離株、を含む細菌混合物を含み、前記非培養糞便細菌調製物は、前記ラクトバチルス属の種を含まない、医薬組成物。
【請求項3】
(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便細菌の調製物、および(ii)非病原性細菌単離株、を含む細菌混合物を含み、前記細菌混合物中の前記細菌単離株の生細胞の相対的存在量は、少なくとも10%である、医薬組成物。
【請求項4】
(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便細菌の調製物、および(ii)非病原性細菌単離株、を含む細菌混合物を含み、前記細菌混合物中の前記細菌単離株の生細胞の相対的存在量は、前記非培養糞便細菌の調製物中の任意の細菌株の生細胞の相対的存在量よりも多い、医薬組成物。
【請求項5】
(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便細菌の調製物、および(ii)非病原性細菌単離株、を含む細菌混合物を含み、前記細菌単離株は、ある種の構成員であり、前記細菌単離株は、前記細菌混合物中の前記種の唯一の構成員である、医薬組成物。
【請求項6】
(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便細菌の調製物、および(ii)非病原性細菌単離株、を含む細菌混合物を含み、前記非培養糞便細菌の調製物は、前記細菌単離株の16S rRNA配列に対して99%を超えて同一な16S rRNA配列を有する細菌株を含まない、医薬組成物。
【請求項7】
(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便細菌の調製物、および(ii)非病原性細菌単離株、を含む細菌混合物を含み、前記細菌単離株は、前記組成物を投与された対象の回腸に生着する、医薬組成物。
【請求項8】
その必要のある対象において、自閉症スペクトラム障害(ASD)の少なくとも一つの症状を治療する方法であって、請求項1~7のいずれか一項に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項9】
その必要のある対象において自閉症スペクトラム障害(ASD)の少なくとも一つの症状を治療する方法であって、前記対象に、(i)ヒトドナーの糞便に由来する細菌集団を含む医薬組成物であって、前記細菌集団は、培養されていない、医薬組成物、および(ii)ラクトバチルス・ロイテリを含む細菌単離株、を投与することを含む、方法。
【請求項10】
ヒトの腸にラクトバチルス・ロイテリを生着させる方法であって、前記ヒトに、(i)非培養糞便細菌調製物、および(ii)L・ロイテリを含む細菌単離株、を含む医薬組成物を投与することを含み、前記組成物を投与された後の前記ヒトの腸内微生物叢中のL.ロイテリの相対的存在量は、前記組成物を投与される前の前記腸内微生物叢中のL.ロイテリの相対的存在量よりも多い、方法。
【請求項11】
健康なヒトドナーの糞便から、細菌集団を抽出すること、および前記細菌集団と、ラクトバチルス・ロイテリを含む細菌単離株とを混合すること、を含み、前記細菌集団は、培養されない、方法。
【請求項12】
ドナーの糞便微生物叢中のラクトバチルスの少なくとも一つの構成員の存在量に基づいて、ヒト糞便ドナーを選択すること、
前記ドナーの糞便から、細菌集団を抽出することであって、前記細菌集団は、ラクトバチルスの前記少なくとも一つの構成員を含む、抽出すること、
前記細菌集団を、医薬組成物に組み込むことであって、前記細菌集団は、培養されない、組み込むこと、を含む方法。
【請求項13】
医薬組成物を製造する方法であって、健康なヒトドナーの糞便から、細菌集団を抽出すること、および前記抽出された細菌集団を前記医薬組成物に組み込むこと、を含み、前記細菌集団は、前記健康なヒトドナーによって摂取されたプロバイオティクスに由来する細菌株を含む、方法。
【請求項14】
健康なヒトドナーの細菌集団を含む医薬組成物を製造する方法であって、
前記ドナーによる細菌株を含むプロバイオティクスの摂取の後に、前記ドナーから糞便を受け取ること、
前記糞便から、前記細菌集団を抽出することであって、前記細菌集団は、前記細菌株を含む、抽出すること、
前記細菌集団を、前記医薬組成物に組み込むことであって、前記細菌集団は培養されない、組み込むこと、を含み、
前記ドナーによる前記プロバイオティクスの摂取の前に、前記ドナーの糞便は、前記細菌株を含まない、方法。
【請求項15】
(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便細菌の調製物、および(ii)ラクトバチルス種の非病原性細菌単離株、を含む細菌混合物を含み、前記細菌混合物中の前記ラクトバチルス種の生細胞の相対的存在量は、前記糞便の糞便細菌中の前記ラクトバチルス種の生細胞の相対的存在量よりも多い、医薬組成物。
【請求項16】
(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便細菌の調製物、ならびに(ii)細菌単離株、真菌単離株、および古細菌単離株からなる群から選択される非病原性微生物型のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべて、を含む混合物を含み、前記混合物中の非病原性微生物型のうちの前記少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべての生細胞の相対的存在量は、少なくとも10%である、医薬組成物。
【請求項17】
(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便細菌の調製物、ならびに(ii)細菌単離株、真菌単離株、および古細菌単離株からなる群から選択される非病原性微生物型のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべて、を含む混合物を含み、前記混合物中の非病原性微生物型のうちの前記少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべての生細胞の相対的存在量は、前記非培養糞便細菌の調製物中の任意の細菌株の生細胞の相対的存在量よりも多い、医薬組成物。
【請求項18】
(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便細菌の調製物、ならびに(ii)細菌単離株、真菌単離株、および古細菌単離株からなる群から選択される非病原性微生物型のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべて、を含む混合物を含み、前記細菌単離株は、第一の種の構成員であり、前記細菌単離株は、前記混合物中の前記第一の種の唯一の構成員であり、前記真菌単離株は、第二の種の構成員であり、前記真菌単離株は、前記混合物中の前記第二の種の唯一の構成員であり、前記古細菌単離株は、第三の種の構成員であり、前記古細菌単離株は、前記混合物中の前記第三の種の唯一の構成員である、医薬組成物。
【請求項19】
(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便微生物の調製物、ならびに(ii)細菌単離株、真菌単離株、および古細菌単離株からなる群から選択される非病原性微生物型のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべて、を含む混合物を含み、前記非培養糞便微生物の調製物は、前記細菌単離株の16S rRNA配列に対して99%を超えて同一な16S rRNA配列を有する細菌株を含まず、前記非培養糞便微生物の調製物は、前記真菌単離株の16S rRNA配列に対して99%を超えて同一な16S rRNA配列を有する真菌株を含まず、前記非培養糞便微生物の調製物は、前記古細菌単離株の16S rRNA配列に対して99%を超えて同一な16S rRNA配列を有する古細菌株を含まない、医薬組成物。
【請求項20】
(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便細菌の調製物、ならびに(ii)細菌単離株、真菌単離株、および古細菌単離株からなる群から選択される非病原性微生物型のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべて、を含む混合物を含む医薬組成物であって、非病原性微生物型のうちの前記少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべてが、前記組成物を投与された対象の回腸に生着する、医薬組成物。
【請求項21】
その必要のある対象において自閉症スペクトラム障害(ASD)の少なくとも一つの症状を治療するための方法であって、前記対象に、(i)ヒトドナーの糞便に由来する細菌集団を含む医薬組成物であって、前記細菌集団は、培養されていない、医薬組成物、ならびに(ii)細菌単離株、真菌単離株、および古細菌単離株からなる群から選択される非病原性微生物型のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべて、を投与することを含む、方法。
【請求項22】
健康なヒトドナーの糞便から、細菌集団を抽出すること、ならびに前記細菌集団と、(i)非病原性細菌単離株、および(ii)細菌単離株、真菌単離株、および古細菌単離株からなる群から選択される非病原性微生物型のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべて、とを混合すること、を含み、前記細菌集団は、培養されない、方法。
【請求項23】
ドナーの糞便微生物叢中の少なくとも一つの構成員の存在量に基づいて、ヒト糞便ドナーを選択すること、前記ドナーの糞便から、微生物集団を抽出することであって、前記微生物集団は、前記少なくとも一つの構成員を含む、抽出すること、および前記微生物集団を医薬組成物へと組み込むこと、を含み、前記微生物集団は、培養されず、前記少なくとも一つの構成員は、細菌単離株、真菌単離株および古細菌単離株からなる群から選択される非病原性微生物型のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべてを含む、方法。
【請求項24】
医薬組成物を製造する方法であって、健康なヒトドナーの糞便から、微生物集団を抽出すること、および前記抽出された微生物集団を前記医薬組成物へと組み込むこと、を含み、前記微生物集団は、前記健康なヒトドナーにより摂取されたプロバイオティクスに由来する少なくとも一つの構成員を含み、前記少なくとも一つの構成員は、細菌単離株、真菌単離株および古細菌単離株からなる群から選択される非病原性微生物型のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべてを含む、方法。
【請求項25】
健康なヒトドナーの微生物集団を含む医薬組成物を製造する方法であって、前記ドナーが、細菌単離株、真菌単離株または古細菌単離株からなる群から選択される非病原性微生物型のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべてを含むプロバイオティクスを摂取した後に、前記ドナーから糞便を受け取ること、前記糞便から、前記微生物集団を抽出することであって、前記微生物集団は、非病原性微生物型のうちの前記少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべてを含む、抽出すること、前記微生物集団を、前記医薬組成物に組み込むこと、を含み、前記微生物集団は、培養されず、前記ドナーが前記プロバイオティクスを摂取する前に、前記ドナーの糞便は、非病原性微生物型のうちの前記少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべての微生物を含まない、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年12月19日に出願された米国仮特許出願第62/950,805号明細書、および2019年9月13日に出願された米国仮特許出願第62/899,874号明細書の利益を主張するものであり、それら出願は参照によりその全体で本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
自閉症スペクトラム障害(ASD:Autism spectrum disorder)は、社会的な相互作用およびコミュニケーションの様々な異常、ならびに限局的な関心および反復性の行動を特徴とする複雑な神経発達異常疾患である。多くの場合、生後3年の間にASDは顕在化し、特徴的な症状または行動形質として現れる。現在のASDの診断には、以前には別個に診断されていたいくつかの状態:自閉性障害、特定不能の広汎性発達障害(pervasive developmental disorder not otherwise specified(PDD-NOS))、およびアスペルガー症候群が含まれる。現在、これらの状態はすべて米国精神医学会の精神疾患の診断および統計マニュアル第5版(DSM-V)に明記される、自閉症スペクトラム障害の診断基準に包含される。
【0003】
これらの主要な診断基準内に見られる症状スペクトラムに加えて、ASDの患者は、知的障害、てんかん、ならびに不安および気分障害を含む広範な神経学的併存疾患、ならびに血液高セロトニン血症、免疫調節異常、およびGI機能障害(例えば、慢性的な便秘、下痢、腹痛、および胃食道逆流)を含む非神経学的併存疾患を呈する。
【0004】
哺乳動物は、その消化管(GI)中に多様な微生物種を保有する。これらの微生物間の相互作用、および微生物と、例えば宿主免疫系などの宿主との間の相互作用によって、微生物叢が形成される。健康的な微生物叢は、広域な病原体に対して抵抗性のコロニー形成、必須栄養素の生合成と吸収、ならびに健康な腸上皮および適切に制御された全身免疫を維持する免疫刺激を含む、複数の利益を宿主にもたらす。アンバランスな微生物叢(「腸内毒素症」または破壊された共生関係ともいわれる)は、その機能を失い、病原体に対する脆弱性の増加、代謝プロファイルの変化、または局所的もしくは全身性の炎症または自己免疫がもたらされ得る炎症促進性シグナルの誘導が生じる場合がある。さらに、そのような破壊された微生物叢は、他の症状の中でも特に疼痛、下痢、ガス、および便秘を引き起こし得る、侵入病原体に感染する場合がある。ゆえに腸内微生物叢は、例えば腸の病原性感染症などの多くの障害の病因に重要な役割を果たしている。
【0005】
ヒト結腸内微生物叢を病気の患者の腸内へと移植または投与することは、糞便微生物叢移植(FMT:Fecal Microbiota Transplantation)と呼ばれており、糞便細菌製剤療法としても一般的に知られている。FMTは、腸に多様な微生物を再度生息させ、重大な病原体の増殖と生存に対して有害な生態環境を作り出すことによって、それら病原体を制御すると考えられている。FMTは、正常な組成と機能の腸微生物叢の迅速な再構成を可能にする治療プロトコルである。
【0006】
FMTを使用して、クロストリジウム・ディフィシレ感染(CDI:Clostridium difficile infection)の治療が行われている。FMTは、大腸菌やバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)などの他の腸管感染性病原体の治療にも提唱されている。FMTは、ホモジナイズされた糞便の形態、もしくは例えばクロストリジウムなどの培養糞便成分の形態のいずれかのヒト微生物叢の、結腸鏡、浣腸を通じた注入、または経鼻空腸チューブを介した注入を行って結腸に移植し、それにより例えばクロストリジウム・ディフィシレなどの病原性細菌を駆逐または根絶させることを伴う。糞便細菌製剤療法は、例えば、ASD、パーキンソン病、および多発性硬化症、ならびに慢性疲労症候群などの神経学的要素を有する状態の治療にも成功している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2018/218159
【特許文献2】WO2012/016287
【特許文献3】WO2013/053836
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
少なくとも一部の事例では、例えばASDなどの状態を治療するように糞便細菌製剤療法が作用する正確なメカニズムは不明である。例えば、糞便細菌製剤療法中に患者に投与される典型的なドナー糞便微生物叢は、数百もの細菌株を含有する可能性があり、ASDの治療に必要な株の属性、ならびにそのように導入された株が互いに相互作用するメカニズム、および患者の内在性微生物叢の細菌と相互作用するメカニズムは、ほぼ不明である。さらに、(i)様々なドナーサンプル全体での特定の細菌株の属性および相対的存在量における潜在的な変動、および(ii)特定の細菌株が、細菌製剤療法レシピエントの腸内に生着する程度における潜在的な変動は、障害に罹患する患者群全体、または障害に感受性のある患者群全体での糞便細菌製剤療法の有効性に関し、不確実性をもたらす可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一つの態様では、本開示は、(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便細菌の調製物、および(ii)ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)を含む細菌単離株、を含む細菌混合物を含む医薬組成物を提供する。
【0010】
別の態様では、本開示は、(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便細菌の調製物、および(ii)ある種のラクトバチルスを含む細菌単離株、を含む細菌混合物を含む医薬組成物を提供するものであり、当該非培養糞便細菌調製物は、ラクトバチルス属の種を含まない。
【0011】
別の態様では、本開示は、(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便細菌の調製物、および(ii)非病原性細菌単離株、を含む細菌混合物を含む医薬組成物を提供するものであり、当該細菌混合物中の細菌単離株の生細胞の相対的存在量は、少なくとも10%である。
【0012】
別の態様では、本開示は、(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便細菌の調製物、および(ii)非病原性細菌単離株、を含む細菌混合物を含む医薬組成物を提供するものであり、当該細菌混合物中の細菌単離株の生細胞の相対的存在量は、非培養糞便細菌の調製物中の任意の細菌株の生細胞の相対的存在量よりも多い。
【0013】
別の態様では、本開示は、(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便細菌の調製物、および(ii)非病原性細菌単離株、を含む細菌混合物を含む医薬組成物を提供するものであり、当該細菌単離株は、ある種の構成員であり、この場合において当該細菌単離株は、細菌混合物中の当該種の唯一の構成員である。
【0014】
別の態様では、本開示は、(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便細菌の調製物、および(ii)非病原性細菌単離株、を含む細菌混合物を含む医薬組成物を提供するものであり、当該非培養糞便細菌の調製物は、当該細菌単離株の16S rRNA配列に対して99%を超えて同一な16S rRNA配列を有する細菌株を含まない。
【0015】
別の態様では、本開示は、(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便細菌の調製物、および(ii)非病原性細菌単離株、を含む細菌混合物を含む医薬組成物を提供するものであり、当該細菌単離株は、当該組成物を投与された対象の回腸に生着する。
【0016】
別の態様では、本開示は、その必要のある対象において自閉症スペクトラム障害(ASD)の少なくとも一つの症状を治療する方法を提供するものであり、当該方法は、当該対象に、(i)ヒトドナーの糞便に由来する細菌集団または細菌群を含む医薬組成物であって、当該細菌集団または細菌群は、培養されていないもの、および(ii)ラクトバチルス・ロイテリを含む細菌単離株、を投与することを含む。
【0017】
別の態様では、本開示は、ヒトの腸にラクトバチルス・ロイテリを生着させるための方法を提供するものであり、当該方法は、当該ヒトに、(i)非培養糞便細菌の調製物、および(ii)L・ロイテリを含む細菌単離株、を含む医薬組成物を投与することを含み、当該組成物を投与された後のヒトの腸内微生物叢中のL.ロイテリの相対的存在量は、当該組成物を投与される前の腸内微生物叢中のL.ロイテリの相対的存在量よりも多い。
【0018】
別の態様では、本開示は、健康なヒトドナーの糞便から、細菌集団または細菌群を抽出すること、および当該細菌集団または細菌群と、ラクトバチルス・ロイテリを含む細菌単離株とを混合すること、を含む方法を提供するものであり、この場合において当該細菌集団または細菌群は、培養されない。
【0019】
さらに別の態様では、本開示は、ドナーの糞便微生物叢中のラクトバチルスの少なくとも一つの構成員の存在量に基づいて、ヒト糞便ドナーを選択すること、当該ドナーの糞便から、細菌集団または細菌群を抽出することであって、当該細菌集団または細菌群は、ラクトバチルスの当該少なくとも一つの構成員を含むこと、および当該細菌集団または細菌群を、医薬組成物に組み込むことであって、当該細菌集団または細菌群は、培養されないこと、を含む方法を提供する。
【0020】
さらなる態様では、本開示は、医薬組成物を製造する方法を提供するものであり、当該方法は、健康なヒトドナーの糞便から、細菌集団または細菌群を抽出すること、当該抽出された細菌集団または細菌群を当該医薬組成物に組み込むことであって、当該細菌集団または細菌群は、当該健康なヒトドナーによって摂取されたプロバイオティクスに由来する細菌株を含むこと、を含む。
【0021】
別の態様では、本開示は、健康なヒトドナーの細菌集団または細菌群を含む医薬組成物を製造する方法を提供するものであり、当該方法は、当該ドナーが、細菌株を含むプロバイオティクスを摂取した後に、当該ドナーから糞便を受け取ること、当該糞便から、細菌集団または細菌群を抽出することであって、当該細菌集団または細菌群は、当該細菌株を含むこと、当該細菌集団または細菌群を、医薬組成物に組み込むことであって、当該細菌集団または細菌群は培養されず、および当該ドナーがプロバイオティクスを摂取する前に、当該ドナーの糞便は、当該細菌株を含まないこと、を含む。
【0022】
別の態様では、本開示は、(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便細菌の調製物、および(ii)非病原性真菌単離株、を含む混合物を含む医薬組成物を提供するものであり、この場合において当該混合物中の真菌単離株の生細胞の相対的存在量は、少なくとも10%である。
【0023】
別の態様では、本開示は、(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便細菌の調製物、および(ii)非病原性真菌単離株、を含む混合物を含む医薬組成物を提供するものであり、この場合において当該混合物中の真菌単離株の生細胞の相対的存在量は、非培養糞便細菌の調製物中の任意の細菌株の生細胞の相対的存在量よりも多い。
【0024】
別の態様では、本開示は、(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便細菌の調製物、および(ii)非病原性真菌単離株、を含む混合物を含む医薬組成物を提供するものであり、この場合において当該真菌単離株は、ある種の構成員であり、この場合において当該真菌単離株は、混合物中の当該種の唯一の構成員である。
【0025】
別の態様では、本開示は、(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便微生物の調製物、および(ii)非病原性真菌単離株、を含む混合物を含む医薬組成物を提供するものであり、この場合において当該非培養糞便微生物の調製物は、当該真菌単離株の16S rRNA配列に対して99%を超えて同一な16S rRNA配列を有する真菌株を含まない。
【0026】
別の態様では、本開示は、(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便細菌の調製物、および(ii)非病原性真菌単離株、を含む混合物を含む医薬組成物を提供するものであり、この場合において当該真菌単離株は、当該組成物を投与された対象の回腸に生着する。
【0027】
別の態様では、本開示は、その必要のある対象において自閉症スペクトラム障害(ASD)の少なくとも一つの症状を治療する方法を提供するものであり、当該方法は、当該対象に、(i)ヒトドナーの糞便に由来する細菌集団または細菌群を含む医薬組成物であって、当該細菌集団または細菌群は、培養されていないもの、および(ii)真菌単離株、を投与することを含む。
【0028】
別の態様では、本開示は、健康なヒトドナーの糞便から、細菌集団または細菌群を抽出すること、当該細菌集団または細菌群と、真菌単離株とを混合すること、を含む方法を提供するものであり、この場合において当該細菌集団または細菌群は、培養されない。
【0029】
さらに別の態様では、本開示は、ドナーの糞便微生物叢中の少なくとも一つの真菌の構成員の存在量に基づいて、ヒト糞便ドナーを選択すること、当該ドナーの糞便から、微生物集団または微生物群を抽出することであって、当該微生物集団または微生物群は、当該少なくとも一つの真菌の構成員を含むこと、および当該微生物集団または微生物群を、医薬組成物に組み込むことであって、当該微生物集団または微生物群は、培養されないこと、を含む方法を提供する。
【0030】
さらなる態様では、本開示は、医薬組成物を製造する方法を提供するものであり、当該方法は、健康なヒトドナーの糞便から、微生物集団または微生物群を抽出すること、当該抽出された微生物集団または微生物群を当該医薬組成物に組み込むことであって、当該微生物集団または微生物群は、当該健康なヒトドナーによって摂取されたプロバイオティクスに由来する真菌株を含むこと、を含む。
【0031】
別の態様では、本開示は、健康なヒトドナーの微生物集団または微生物群を含む医薬組成物を製造する方法を提供するものであり、当該方法は、当該ドナーが、真菌株を含むプロバイオティクスを摂取した後に、当該ドナーから糞便を受け取ること、当該糞便から、微生物集団または微生物群を抽出することであって、当該微生物集団または微生物群は、当該真菌株を含むこと、当該微生物集団または微生物群を、医薬組成物に組み込むことであって、当該微生物集団または微生物群は、培養されず、および当該ドナーがプロバイオティクスを摂取する前に、当該ドナーの糞便は、当該真菌株を含まないこと、を含む。
【0032】
別の態様では、本開示は、(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便細菌の調製物、(ii)非病原性細菌単離株、および(iii)非病原性真菌単離株、を含む混合物を含む医薬組成物を提供するものであり、この場合において当該混合物中の当該細菌単離株の生細胞の相対的存在量、および/または当該真菌単離株の生細胞の相対的存在量は、少なくとも10%である。
【0033】
別の態様では、本開示は、(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便細菌の調製物、(ii)非病原性細菌単離株、および(iii)非病原性真菌単離株、を含む混合物を含む医薬組成物を提供するものであり、この場合において当該混合物中の細菌単離株および/または真菌単離株の生細胞の相対的存在量は、非培養糞便細菌の調製物中の任意の細菌株の生細胞の相対的存在量よりも多い。
【0034】
別の態様では、本開示は、(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便細菌の調製物、(ii)非病原性細菌単離株、および(iii)非病原性真菌単離株、を含む混合物を含む医薬組成物を提供するものであり、この場合において当該細菌単離株は、第一の種の構成員であり、この場合において当該細菌単離株は、混合物中の第一の種の唯一の構成員であり、この場合において当該真菌単離株は、第二の種の構成員であり、この場合において当該真菌単離株は、混合物中の第二の種の唯一の構成員である。
【0035】
別の態様では、本開示は、(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便微生物の調製物、(ii)非病原性細菌単離株、および(iii)非病原性真菌単離株、を含む混合物を含む医薬組成物を提供するものであり、この場合において非培養糞便微生物の調製物は、当該細菌単離株の16S rRNA配列に対して99%を超えて同一な16S rRNA配列を有する細菌株を含まず、この場合において非培養糞便微生物の調製物は、当該真菌単離株の16S rRNA配列に対して99%を超えて同一な16S rRNA配列を有する真菌株を含まない。
【0036】
別の態様では、本開示は、(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便細菌の調製物、(ii)非病原性細菌単離株、および(iii)非病原性真菌単離株、を含む混合物を含む医薬組成物を提供するものであり、この場合において当該細菌単離株および当該真菌単離株は、当該組成物を投与された対象の回腸に生着する。
【0037】
別の態様では、本開示は、その必要のある対象において自閉症スペクトラム障害(ASD)の少なくとも一つの症状を治療する方法を提供するものであり、当該方法は、当該対象に、(i)ヒトドナーの糞便に由来する細菌集団または細菌群を含む医薬組成物であって、当該細菌集団または細菌群は、培養されていないもの、および(ii)非病原性細菌単離株、および(iii)非病原性真菌単離株、を投与することを含む。
【0038】
別の態様では、本開示は、健康なヒトドナーの糞便から、細菌集団または細菌群を抽出すること、ならびに当該細菌集団または細菌群と、(i)非病原性細菌単離株および(ii)非病原性真菌単離株とを混合すること、を含む方法を提供するものであり、この場合において当該細菌集団または細菌群は、培養されない。
【0039】
さらに別の態様では、本開示は、ドナーの糞便微生物叢中の少なくとも一つの細菌種および/または少なくとも一つの真菌種の存在量に基づいて、ヒト糞便ドナーを選択すること、当該ドナーの糞便から、微生物集団または微生物群を抽出することであって、当該微生物集団または微生物群は、当該少なくとも一つの細菌の構成員および/または当該少なくとも一つの真菌の構成員を含むこと、および当該微生物集団または微生物群を、医薬組成物に組み込むことであって、当該微生物集団または微生物群は、培養されないこと、を含む方法を提供する。
【0040】
さらなる態様では、本開示は、医薬組成物を製造する方法を提供するものであり、当該方法は、健康なヒトドナーの糞便から、微生物集団または微生物群を抽出すること、当該抽出された微生物集団または微生物群を当該医薬組成物に組み込むことであって、当該微生物集団または微生物群は、当該健康なヒトドナーによって摂取されたプロバイオティクスに由来する細菌株および/または真菌株を含むこと、を含む。
【0041】
別の態様では、本開示は、健康なヒトドナーの微生物集団または微生物群を含む医薬組成物を製造する方法を提供するものであり、当該方法は、当該ドナーが、細菌株および/または真菌株を含むプロバイオティクスを摂取した後に、当該ドナーから糞便を受け取ること、当該糞便から、微生物集団または微生物群を抽出することであって、当該微生物集団または微生物群は、当該細菌株および/または当該真菌株を含むこと、当該微生物集団または微生物群を、医薬組成物に組み込むことであって、当該微生物集団または微生物群は、培養されず、および当該ドナーがプロバイオティクスを摂取する前に、当該ドナーの糞便は、当該細菌株および/または当該真菌株を含まないこと、を含む。
【0042】
別の態様では、本開示は、(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便細菌の調製物、ならびに(ii)細菌単離株、真菌単離株、および古細菌単離株からなる群から選択される非病原性微生物型のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべて、を含む混合物を含む医薬組成物を提供するものであり、当該混合物中の非病原性微生物型のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべての生細胞の相対的存在量は、少なくとも10%である。
【0043】
別の態様では、本開示は、(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便細菌の調製物、ならびに(ii)細菌単離株、真菌単離株、および古細菌単離株からなる群から選択される非病原性微生物型のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべて、を含む混合物を含む医薬組成物を提供するものであり、当該混合物中の非病原性微生物型のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべての生細胞の相対的存在量は、非培養糞便細菌の調製物中の任意の細菌株の生細胞の相対的存在量よりも多い。
【0044】
別の態様では、本開示は、(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便細菌の調製物、ならびに(ii)細菌単離株、真菌単離株、および古細菌単離株からなる群から選択される非病原性微生物型のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべて、を含む混合物を含む医薬組成物を提供するものであり、当該細菌単離株は、第一の種の構成員であり、当該細菌単離株は、混合物中の第一の種の唯一の構成員であり、当該真菌単離株は、第二の種の構成員であり、当該真菌単離株は、混合物中の第二の種の唯一の構成員であり、当該古細菌単離株は、第三の種の構成員であり、当該古細菌単離株は、混合物中の第三の種の唯一の構成員である。
【0045】
別の態様では、本開示は、(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便微生物の調製物、ならびに(ii)細菌単離株、真菌単離株、および古細菌単離株からなる群から選択される非病原性微生物型のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべて、を含む混合物を含む医薬組成物を提供するものであり、非培養糞便微生物の調製物は、当該細菌単離株の16S rRNA配列に対して99%を超えて同一な16S rRNA配列を有する細菌株を含まず、非培養糞便微生物の調製物は、当該真菌単離株の16S rRNA配列に対して99%を超えて同一な16S rRNA配列を有する真菌株を含まず、非培養糞便微生物の調製物は、当該古細菌単離株の16S rRNA配列に対して99%を超えて同一な16S rRNA配列を有する古細菌株を含まない。
【0046】
別の態様では、本開示は、(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便細菌の調製物、ならびに(ii)細菌単離株、真菌単離株、および古細菌単離株からなる群から選択される非病原性微生物型のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべて、を含む混合物を含む医薬組成物を提供するものであり、非病原性微生物型のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべてが、当該組成物を投与された対象の回腸に生着する。
【0047】
別の態様では、本開示は、その必要のある対象において自閉症スペクトラム障害(ASD)の少なくとも一つの症状を治療する方法を提供するものであり、当該方法は、当該対象に、(i)ヒトドナーの糞便に由来する細菌集団または細菌群を含む医薬組成物であって、当該細菌集団または細菌群は、培養されていないもの、ならびに(ii)細菌単離株、真菌単離株、および古細菌単離株からなる群から選択される非病原性微生物型のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべて、を投与することを含む。
【0048】
別の態様では、本開示は、健康なヒトドナーの糞便から、細菌集団または細菌群を抽出すること、ならびに当該細菌集団または細菌群と、(i)非病原性細菌単離株、および(ii)細菌単離株、真菌単離株、および古細菌単離株からなる群から選択される非病原性微生物型のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべて、とを混合すること、を含む方法を提供するものであり、この場合において当該細菌集団または細菌群は、培養されない。
【0049】
さらに別の態様では、本開示は、ドナーの糞便微生物叢中の少なくとも一つの構成員の存在量に基づいて、ヒト糞便ドナーを選択すること、当該ドナーの糞便から、微生物集団または微生物群を抽出することであって、当該微生物集団または微生物群は、当該少なくとも一つの構成員を含むこと、および当該微生物集団または微生物群を医薬組成物へと組み込むこと、を含む方法を提供するものであり、この場合において当該微生物集団または微生物群は、培養されず、この場合において当該少なくとも一つの構成員は、細菌単離株、真菌単離株および古細菌単離株からなる群から選択される非病原性微生物型のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つ全てを含む。
【0050】
さらなる態様では、本開示は、医薬組成物を製造する方法を提供するものであり、当該方法は、健康なヒトドナーの糞便から、微生物集団または微生物群を抽出すること、および当該抽出された微生物集団または微生物群を医薬組成物へと組み込むこと、を含み、この場合において当該微生物集団または微生物群は、当該健康なヒトドナーにより摂取されたプロバイオティクスに由来する少なくとも一つの構成員を含み、この場合において当該少なくとも一つの構成員は、細菌単離株、真菌単離株および古細菌単離株からなる群から選択される非病原性微生物型のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つ全てを含む。
【0051】
別の態様では、本開示は、健康なヒトドナーの微生物集団または微生物群を含む医薬組成物を製造する方法を提供するものであり、当該方法は、当該ドナーが、細菌単離株、真菌単離株および古細菌単離株からなる群から選択される非病原性微生物型のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべてを含むプロバイオティクスを摂取した後に、当該ドナーから糞便を受け取ること、当該糞便から、微生物集団または微生物群を抽出することであって、当該微生物集団または微生物群は、当該非病原性微生物型のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つ全てを含むこと、当該微生物集団または微生物群を、医薬組成物に組み込むことであって、当該微生物集団または微生物群は、培養されず、当該ドナーがプロバイオティクスを摂取する前に、当該ドナーの糞便は、当該非病原性微生物型のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべての微生物を含まない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1図1:健康な糞便ドナーの糞便微生物叢中のラクトバチルス・ロイテリの変動的な相対的存在量を示すグラフ。
図2図2:非選択ドナー由来の糞便微生物叢(FSM)の単独、または選択された細菌単離株と組み合わされたときの免疫刺激効果を示すPBMC刺激アッセイ。IFN-ガンマのレベルにより測定された。
図3図3:非選択ドナー由来の糞便微生物叢(FSM)の単独、または選択された細菌単離株と組み合わされたときの免疫刺激効果を示すPBMC刺激アッセイ。IL-12p70のレベルにより測定された。
図4図4:非選択ドナー由来の糞便微生物叢(FSM)の単独、または選択された細菌単離株と組み合わされたときの免疫刺激効果を示すPBMC刺激アッセイ。IL-23のレベルにより測定された。
図5図5:非選択ドナー由来の糞便微生物叢(FSM)の単独、または選択された細菌単離株と組み合わされたときの免疫刺激効果を示すPBMC刺激アッセイ。GM-CSFのレベルにより測定された。
図6図6:非選択ドナー由来の糞便微生物叢(FSM)の単独、または選択された細菌単離株と組み合わされたときの免疫刺激効果を示すPBMC刺激アッセイ。IL-10とIL-12p70の間の比率により測定された。
図7図7:対象の細菌株と組み合わされたドナー由来細菌組成物を使用したASD治療に関する第一の試験デザイン。
図8図8:対象の細菌株と組み合わされたドナー由来細菌組成物を使用したASD治療に関する第二の試験デザイン。
【発明を実施するための形態】
【0053】
別段の規定がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する分野の当業者によって普遍的に理解される意味と同じ意味を有する。
【0054】
本明細書に言及されるすべての公表文献、特許および特許出願が、個々の公表文献、特許または特許出願のそれぞれが具体的に、および個々に参照により援用されることが示されている場合と同程度に、参照により本明細書に援用される。
【0055】
本明細書および添付の請求の範囲において使用される場合、文脈から別段であることが明白でない限り、単数形(a、anおよびthe)は複数の指示対象も含む。例示として、「an element」とは、少なくとも一つの要素を意味し、複数の要素を含むことができる。
【0056】
本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、性質を修飾するために使用される場合、概してその性質が失われることのないある程度の変動を許容する。例えば、特定の態様では、当該変動の程度は、0.1%未満、約0.1%未満、約0.2%未満、約0.3%未満、約0.4%未満、約0.5%未満、約0.6%未満、約0.7%未満、約0.8%未満、約0.9%未満、約1%未満、1~2%未満、2~3%未満、3~4%未満、4~5%未満、または5%超、または10%超であってもよい。
【0057】
値の範囲が提供される場合、当該範囲の上限と下限の間にある各値、および当該記載範囲の任意の他の記載値または間にある任意の他の値は、本開示内に包含されることが理解される。より小さな範囲の上限および下限は独立して当該より小さな範囲に含まれ得、また記載範囲中の任意の特に除外された上下限を条件として、本開示内にも包含される。記載範囲が、上下限の一方または両方を含む場合、それら含有される上下限のいずれか両方を除外する範囲も、本開示に含まれる。
【0058】
あらゆる疑念を回避するために、本明細書で使用される、例えば、「約」、「少なくとも」、「少なくとも約」、「最大でも」、「未満」、「超」、「内」などの用語または文言は、パーセンテージの一連の列記が続く場合、当該用語または文言は、副詞、前置詞、または他の修飾語が一つ一つの言葉の前に再現されたかどうかに関わらず、一連の列記中のありとあらゆるパーセンテージの数を修飾するとみなされる。
【0059】
本明細書で使用される場合、「相対的存在量」という用語は、特定の集団(例えば、非培養糞便細菌の調製物または細菌混合物)において、類似した性質の全ての生物体と比較した、特定の種類の生物体(例えば、細菌株、細菌種または細菌属など)の相対的な表現を指す。相対的存在量は、特定の集団中の特定の種類の生物体の数を、特定の集団中の類似した性質の全ての生物体の合計数で割ることによって計算される。ある態様では、相対的存在量は、16S配列のすべてを標的とするユニバーサルプライマーで生成されたPCR産物に対して、特定の対象細菌株を標的とする16Sプライマーで生成されたPCR産物を比較するqPCRによって測定される。例えば、Chu,N.,et al.,“Profiling living bacteria informs preparation of fecal microbiota transplantations.”PLoS One 12(1):1-16(2017)を参照のこと。別の態様では、相対的存在量は、Gevers et al.,“The treatment-naive microbiomes in new-onset Crohn’s disease.”Cell Host & Microbe,15(3):382-92(2014)に記載されるように、ハイスループットシーケンスを介して検出されるシーケンスリードの数に基づいて測定される。ある態様では、ハイスループットシーケンスは、16S rRNA遺伝子のシーケンスに基づいている。別の態様では、ハイスループットシーケンスは、全ゲノムのショットガンメタゲノムシーケンスに基づいている。別段の特定が無い限り、本明細書において言及される細菌の相対的存在量は、Gevers et al.,Cell Host & Microbe,15(3):382-92(2014)に記載されるV4可変領域を標的とする、16S rRNAのハイスループットシーケンスを介して測定される。さらなる態様では、Chu et al.,PLoS One 12(1):1-16(2017)に示されるように、プロピジウムモノアジド(PMA)を使用して、生きている糞便微生物と死んだ糞便微生物を識別する。
【0060】
本明細書で使用される場合、「治療すること」という用語は、(i)疾患、障害、または状態を完全に、または部分的に阻害すること、例えば、その発生を停止させること、(ii)疾患、障害、または状態を完全に、または部分的に緩和すること、例えば、疾患、障害、および/または状態の退行を引き起こすこと、または(iii)疾患、障害、および/または状態にかかりやすい可能性があるが、まだそれを有すると診断されていない患者において、患者が疾患、障害、または状態を発生させることを完全に、または部分的に予防すること、を指す。同様に、「治療」とは、治療的処置、ならびに予防的手段または棒指摘手段の両方を指す。自閉症スペクトラム障害の文脈において、自閉症スペクトラム障害に関連する一つ以上の症状の軽減、改善、発症の遅延、進行の阻害、または重症度の低下が包含される。
【0061】
本明細書で使用される場合、「対象」は、ヒト、実験動物(例えば、霊長類、ラット、マウス)、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、七面鳥、ニワトリ)、および家庭用ペット(例えば、イヌ、ネコ、齧歯類など)を含む任意の動物対象を指す。好ましい対象は、ヒト対象である。ヒト対象は、小児、成人、または高齢の対象であり得る。一部の態様では、「患者」および「対象」という用語は相互互換可能に使用される。対象は、健康であってもよく、またはASDの一つ以上の症状を患っていてもよい。
【0062】
本明細書で使用される場合、「微生物叢」および「フロラ」とは、真核生物、古細菌、細菌、およびウイルス(細菌ウイルス(すなわちファージ)を含む)を含む、持続可能に、および一過性の両方で、対象の身体内または身体上に生息する微生物の集団を指す。「糞便微生物叢」または「糞便微生物叢調製物」とは、対象の糞便に存在する、または対象の糞便から調製された微生物の集団を指す。典型的には、本明細書に記載の医薬組成物は、糞便から糞便微生物叢を精製した後に、当該糞便微生物叢を培養することなく、当該糞便微生物叢を組成物中に組み込むことにより調製される。本明細書において、「非培養糞便細菌の調製物」とは、一つ以上の糞便サンプルから採取された、抽出された、または精製された複数の生細菌株を指し、(例えば培養培地中での)当該株の培養は伴わない。
【0063】
一部の態様では、非培養糞便細菌の調製物は、非選択糞便細菌を含む。本明細書において、「非選択糞便細菌」とは、一つ以上の糞便サンプルから抽出された(例えば、糞便微生物叢中に存在する)生きた糞便細菌株の集団または群を指し、当該抽出された集団または群は、細菌の特定のタイプ、状態または分類学的階級を(例えば、特定の細菌株を故意に除去することにより、例えばエタノールまたはクロロホルムなどの物質で当該集団または群を処置することにより、または培養することにより)意図的に選択する環境条件に曝されない。そのような非選択糞便細菌は、正常で健康なヒトの糞便または腸の微生物叢中の対応する細菌株に比例した含有量の細菌株を含み得る。糞便サンプルから糞便細菌の集団または群を非選択的に抽出するために取られる工程としては、例えば、糞便サンプルのホモジナイゼーションおよび濾過を行い、例えば繊維や粗粒子状物質などの非細胞性糞便物質から糞便細菌株を分離すること、ならびに例えば真核宿主細胞やウイルスなどから糞便細菌株を分離することが挙げられる。本明細書では典型的には、非選択糞便細菌調製物は、好気性条件もしくは嫌気性条件、またはそれらの組み合わせのいずれかで調製され得る。特定の態様では、非選択糞便細菌の調製物は、糞便サンプルの糞便微生物叢の細菌のすべて、または実質的にすべてを含む。特定の態様では、非選択糞便細菌の調製物は、糞便サンプルの糞便微生物叢の株のすべて、または実質的にすべてを含む。特定の態様では、非選択糞便細菌の調製物は、糞便サンプルの糞便微生物叢の種のすべて、または実質的にすべてを含む。特定の態様では、非選択糞便細菌の調製物は、糞便サンプルの糞便微生物叢の属のすべて、または実質的にすべてを含む。特定の態様では、非選択糞便細菌の調製物は、糞便サンプルの糞便微生物叢の門のすべて、または実質的にすべてを含む。したがって、そうした非選択糞便微生物叢は、そうした糞便サンプル中に存在する微生物構成要素、および細菌の集団または群の構造に実質的に類似し得る。
【0064】
ある態様では、非培養細菌の集団または群は、少なくとも2、5、10、20、30、40、50、100、200、300、400、500、または600の細菌種または細菌株を含む。別の態様では、非培養細菌の集団または群は、2~5、5~10、10~20、20~30、30~40、40~50、50~60、60~100、100~200、200~300、300~400、400~500、または500~600の細菌種または細菌株を含む。
【0065】
ある態様では、非培養糞便細菌および/または非選択糞便細菌の調製物は、抗生物質耐性の細菌群を含まない。
【0066】
別の態様では、非培養糞便細菌の調製物の製造は、細菌の特定のタイプ、状態、または分類学的階級を(例えば、特定の細菌株を故意に除去することにより、および/または例えばエタノールまたはクロロホルムなどの選択剤で当該群を処置することにより)選択する工程を含み得る。特定の態様では、非培養糞便細菌のそのような調製物は、一つ以上の細菌単離株と混合されて、医薬組成物への組み込みのための細菌混合物を形成し得る。例えば、糞便、または糞便から抽出された糞便細菌は、一定期間、例えばエタノールなどの選択剤と共にインキュベートされてもよく、インキュベーション後にエタノールは取り除かれ、インキュベートされた細菌は、一つ以上の細菌単離株と混合されて、細菌混合物を生成し得る。ある態様では、選択剤とのインキュベーション後に調製物中に残留する生細菌は実質的に胞子を含み、または胞子からなる。
【0067】
本明細書において、非培養糞便細菌の調製物は、例えば細菌単離株などの単一の精製された細菌株とは区別される。本明細書で使用される場合、「細菌単離株」とは、単一の前駆細菌細胞から(例えば、細菌を培養することにより)二分裂で増殖させることにより生成された実質的に遺伝的に同一な細菌細胞の単離群を指す。典型的には、細菌単離株は、単一細胞として、または遺伝的に純粋な細胞群として元々単離され、例えば、固形培地上の単一コロニーとして、または液体培養物中の連続希釈を介して元々単離され、その後、(例えば凍結ストックとして)アーカイブ保管され、一貫性があり安定した単離株の供給源を提供する。単離されると、一部の態様では、細菌単離株は、純粋な細胞培養物として増殖され得る。他の態様では、複数の細菌単離株が、混合培養物として同じ容器内で同時に増殖され得る。細菌の文脈では、「実質的に遺伝的に同一」という用語は、共通の前駆物から増殖することに起因して、汚染されていない細菌単離株の純粋な組成物中で、様々な細胞が非常に高い(例えば、>99.9%)遺伝的同一性を共有することを指すが、比較的稀な突然変異の蓄積に起因した細胞間のわずかな遺伝的相違も含まれる。一般的に、細菌単離株は、細菌細胞の純粋培養物と同義である。典型的には、本明細書において、細菌単離株は、非病原性細菌からなる。ある態様では、細菌単離株は、プロバイオティクスであってもよく、またはプロバイオティクス中の成分であってもよい。
【0068】
本明細書で使用される場合、場合により「細菌共同体」または「合成細菌混合物」と呼ばれる「細菌カクテル」という用語は、規定された複数の細菌単離株の共同体を含む、細菌の操作された混合物を指す。「規定された複数の細菌単離株の共同体」という用語は、細菌カクテルが二つ以上の細菌単離株を含有すること、およびカクテル中の各細菌単離株の同一性が判明していること、ゆえに当該カクテルは一貫性をもって(例えば、単離された細菌株を組み合わせることにより)生成され、別々のバッチ全体にわたり安定した組成と特性を有し得ることを意味する。本明細書において、細菌単離株の「同一性」とは、単離株の任意の特徴を指す場合があり、当該特徴は、一つ以上の他の細菌単離株または細菌株とは異なるものとして当該単離株を特異的に識別する。細菌単離株の識別特徴の例としては、例えば16S rRNA配列などのヌクレオチド配列、核酸の一つ以上のコード領域または非コード領域の配列、およびゲノム配列全体、遺伝子発現のレベル、生理学的もしくは代謝的な形質、または例えば染色パターンもしくは細胞壁の特徴などの解剖学的形質が挙げられる。
【0069】
本明細書で使用される場合、「細菌混合物」とは、生細菌細胞を含む操作された組成物を指し、一部の態様では、一つ以上の非病原性細菌単離株、および/または非培養細菌細胞の調製物を含み得る。一部の態様では、細菌混合物は、一つ以上の非病原性細菌単離株を含む。一部の態様では、細菌混合物は、非培養糞便細菌の調製物を含む。一部の態様では、細菌混合物は、一つ以上の非病原性細菌単離株と、非培養糞便細菌の調製物の両方を含む。
【0070】
本明細書で使用される場合、「真菌単離株」とは、単一の前駆真菌細胞から(例えば、真菌を培養することにより)二分裂で増殖させることにより生成された実質的に遺伝的に同一な真菌細胞の単離群を指す。典型的には、真菌単離株は、単一細胞として、または遺伝的に純粋な細胞群として元々単離され、例えば、固形培地上の単一コロニーとして、または液体培養物中の連続希釈を介して元々単離され、その後、(例えば凍結ストックとして)アーカイブ保管され、一貫性があり安定した単離株の供給源を提供する。単離されると、一部の態様では、真菌単離株は、純粋な細胞培養物として増殖され得る。他の態様では、複数の真菌単離株が、混合培養物として同じ容器内で同時に増殖され得る。真菌の文脈では、「実質的に遺伝的に同一」という用語は、共通の前駆物から増殖することに起因して、汚染されていない真菌単離株の純粋な組成物中で、様々な細胞が非常に高い(例えば、>99.9%)遺伝的同一性を共有することを指すが、比較的稀な突然変異の蓄積に起因した細胞間のわずかな遺伝的相違も含む。一般的に、真菌単離株は、真菌細胞の純粋培養物と同義である。典型的には、本明細書において、真菌単離株は、非病原性真菌からなる。ある態様では、真菌単離株は、プロバイオティクスであってもよく、またはプロバイオティクス中の成分であってもよい。
【0071】
細菌単離株を参照する、または細菌単離株に関連する、本明細書に記載される任意の態様は、真菌単離株に等しく適用することができる。例えば、一つ以上の細菌単離株を富化された、補充された、または「スパイクされた」非培養糞便細菌の調製物を含む混合物に関する、本明細書のすべての開示および記載は、一つ以上の真菌単離株を富化された、補充された、または「スパイクされた」非培養糞便細菌の調製物を含む混合物に等しく適用される。さらに例えば、一つ以上の細菌単離株を富化された、補充された、または「スパイクされた」非培養糞便細菌の調製物を含む混合物に関する、本明細書のすべての開示および記載は、一つ以上の細菌単離株および一つ以上の真菌単離株を富化された、補充された、または「スパイクされた」非培養糞便細菌の調製物を含む混合物に等しく適用される。
【0072】
本明細書で使用される場合、「古細菌単離株」とは、単一の前駆古細菌細胞から(例えば、古細菌を培養することにより)二分裂で増殖させることにより生成された実質的に遺伝的に同一な古細菌細胞の単離群を指す。典型的には、古細菌単離株は、単一細胞として、または遺伝的に純粋な細胞群として元々単離され、例えば、固形培地上の単一コロニーとして、または液体培養物中の連続希釈を介して元々単離され、その後、(例えば凍結ストックとして)アーカイブ保管され、一貫性があり安定した単離株の供給源を提供する。単離されると、一部の態様では、古細菌単離株は、純粋な細胞培養物として増殖され得る。他の態様では、複数の古細菌単離株が、混合培養物として同じ容器内で同時に増殖され得る。古細菌の文脈では、「実質的に遺伝的に同一」という用語は、共通の前駆物から増殖することに起因して、汚染されていない古細菌単離株の純粋な組成物中で、様々な細胞が非常に高い(例えば、>99.9%)遺伝的同一性を共有することを指すが、比較的稀な突然変異の蓄積に起因した細胞間のわずかな遺伝的相違も含まれている。一般的に、古細菌単離株は、古細菌細胞の純粋培養物と同義である。典型的には、本明細書において、古細菌単離株は、非病原性古細菌からなる。ある態様では、古細菌単離株は、プロバイオティクスであってもよく、またはプロバイオティクス中の成分であってもよい。
【0073】
細菌単離株を参照する、または細菌単離株に関連する、本明細書に記載される任意の態様は、古細菌単離株にも等しく適用することができる。例えば、一つ以上の細菌単離株を富化された、補充された、または「スパイクされた」非培養糞便細菌の調製物を含む混合物に関する、本明細書のすべての開示および記載は、一つ以上の古細菌単離株(および/または一つ以上の真菌単離株)を富化された、補充された、または「スパイクされた」非培養糞便細菌の調製物を含む混合物に等しく適用される。さらに例えば、一つ以上の細菌単離株を富化された、補充された、または「スパイクされた」非培養糞便細菌の調製物を含む混合物に関する、本明細書のすべての開示および記載は、一つ以上の細菌単離株および一つ以上の古細菌単離株を富化された、補充された、または「スパイクされた」非培養糞便細菌の調製物を含む混合物に等しく適用される。同様に、一つ以上の細菌単離株を富化された、補充された、または「スパイクされた」非培養糞便細菌の調製物を含む混合物に関する、本明細書のすべての開示および記載は、一つ以上の細菌単離株、一つ以上の古細菌単離株、および一つ以上の古細菌単離株を富化された、補充された、または「スパイクされた」非培養糞便細菌の調製物を含む混合物に等しく適用される。
【0074】
本明細書で使用される場合、「治療有効量」、「有効量」、または「薬学的に活性な用量」とは、指名された疾患、障害、状態、または症状の治療に有効な組成物の量を指す。
【0075】
本明細書で使用される場合、「単離された」または「精製された」とは、(1)(自然界または実験環境下で最初に作製されたかにかかわらず)最初に作製されたときに関連付けられた構成要素の少なくとも一部から分離された、および/または(2)ヒトの手により作製、調製、精製および/もしくは製造された、細菌、または他の実体もしくは物質を指す。単離された、または精製された細菌は、最初に関連付けられた他の構成要素の少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、またはそれ以上から分離され得る。
【0076】
本明細書で使用される場合、細菌または他の生物体もしくは実体に関連した「非病原性」という用語は、当該生物体または実体を含有する宿主生物体の疾患、障害、または状態を引き起こすことができない、または罹患させることができない、任意のかかる生物体または実体を含む。
【0077】
本明細書で使用される場合、「胞子」または「胞子」の集団は、一般的に生存可能であり、同細菌の栄養型よりも例えば熱などの環境的影響および殺菌剤に対して耐性が高く、典型的には発芽と成長が可能な細菌(または他の単一細胞生物体)を含む。「胞子形成体」、または「胞子を形成することができる」細菌は、適切な環境条件下で胞子を産生するための遺伝子、および他の必要な能力を含有する細菌である。
【0078】
本明細書で使用される場合、「コロニー形成単位」(CFU)は、所与のサンプル中の生存微生物細胞の数の推定値を指す。CFUの数は、サンプル中の生存細菌細胞の数を決定するための標準的な方法にあるように、寒天プレート上でコロニー数を数えることにより評価され得る。
【0079】
本明細書で使用される場合、「生きた」とは、増殖能力を有することを意味する。細菌集団の生存率は、細胞の膜の完全性の関数としてモニタリングすることができる。膜が損なわれた細胞は、死んだ、または死につつあるとみなされ、一方で損なわれていない膜を有する細胞は、生きているとみなされる。例えば、SYTO9およびヨウ化プロピジウムを使用して、生細菌および死細菌を染色し、識別する。Stocks,Cytometry A.2004 Oct;61(2):189-95を参照のこと。細胞生存率は、例えば、生細胞に関連した核酸と、不活化細胞に関連した核酸を識別することができるPCRを基にした方法などの分子生物学的な生存率解析を介して評価されることもできる。Cangelosi and Mescheke,Appl Environ Microbiol.2014 Oct;80(19):5884-5891を参照のこと。
【0080】
本明細書で使用される場合、「シャノン多様性指標(Shannon Diversity Index)」とは、式
【数1】
を使用して所与の集団中に存在する種の存在量と均一性を説明する多様性指標を指し、式中、Hは、シャノン多様性指標であり、Rは、当該集団中の種の総数であり、pは、i番目の種から構成されるRの比率である。値が高いほど、多様で均一に分布した集団を示しており、値0は、所与の集団中にただ一つの種のみが存在することを示す。さらなる参照については、Shannon and Weaver,(1949)The mathematical theory of communication.The University of Illinois Press,Urbana.117ppを参照のこと。
【0081】
本明細書で使用される場合、「抗生物質」とは、細菌を殺傷する、細菌の増殖を阻害する、または細菌の生存率を低下させることにより、細菌感染を治療および/または予防するために使用される物質を指す。
【0082】
本明細書で使用される場合、「有害事象(AE)」とは、処置に関連した、もしくは微生物叢に関連した兆候または症状をもたらす任意の投与を指す。本明細書で使用される場合、「重篤な有害事象(SAE)」とは、任意の用量で、死に至る、または生命を脅かす任意の医療上の出来事を指す。本明細書で使用される場合、「生命を脅かす」とは、患者が当該事象の時点で死亡のリスクにある事象を指す。有害事象は、当分野の当業者により使用される尺度(例えば、国立がん研究所(NCI:National Cancer Institute)のCommon Terminology Criteria for Adverse Events(CTCAE))に従って等級分けされる。
【0083】
本明細書では、細菌を含む医薬組成物、およびASDの治療に当該医薬組成物を使用する方法が記載される。自閉症スペクトラム障害(ASD)は、社会的相互作用やコミュニケーション、限定された関心、反復行動における障害を特徴とする神経発達障害である。自閉症スペクトラムの患者は、軽度から重度まで、様々な程度とタイプの障害を経験する。利益を最大化し、症状の重症度を低下させるためには、早期の発見と介入が推奨されるが、すべての年齢の患者が、症状を減少させ、技能および能力を高めることができる介入および療法から利益を得ることができる。本明細書に記載される方法に対して適した対象としては限定されないが、自閉症スペクトラム障害を有すると診断された、または有する疑いがあると診断されたヒトが挙げられる。一部の例では、本明細書に提供される方法に適した対象は、ASD発症のリスクが高い(例えば、中程度または高いリスク)と考えられる。一部の事例では、対象は、DSM-Vに明記されるASDの診断基準を満たす状態を有すると診断されている。他の事例では、対象は、自閉障害、アスペルガー障害、または他の方法では特定されない広汎性の発達障害(PDD-NOS:pervasive developmental disorder not otherwise specified)に関する、確立されたDSM-IVの診断がなされている。
【0084】
理論に拘束されるものではないが、マイクロバイオーム機能は、例えば、腸関門の完全性の低下、調節された粘膜免疫組織、および不適切に刺激された迷走神経を含む、いくつかの相関関係のある経路を介して、ASDの症状と関連付けられ得る。さらに、理論に拘束されるものではないが、ASDマイクロバイオームは、局所的および全身的な炎症の調子に影響を及ぼす粘膜免疫細胞において、変化を誘導する可能性がある。ASDの小児における免疫活性の変化は、マイクロバイオーム組成の変化と関連しており、さらにGI症状も経験するASDの小児のサブセットにおいては、より顕著である。例えば、粘膜免疫細胞集団の機能は、ASDおよびGIの症状を有する小児においては、炎症性のプロファイルに変化する。末梢Treg集団は、すべてのASD小児において低下している。一方で、Tregと炎症性Th17細胞の比率の変化は、ASDとGIの症状を有する小児においてのみ見られる。Tregと炎症性Th17の比率の低さは、自己免疫性障害を連想させる。さらに、免疫細胞集団の変化は、ASD患者の脳にも見出される。ASDの脳の皮質において、孔形成性タイトジャンクションタンパク質が増加し、バリアシーリングTJタンパク質が減少していることから、血液脳関門の機能変化が示唆される。血管周辺の血管周囲リンパ球(CD4+、CD8+T細胞およびB細胞)は、ASD患者の皮質において著しく増加しており、このことから、炎症活動の増加が示唆される。
【0085】
ある態様では、治療されるASD対象は、バリア保護性のSCFA(例えば酪酸塩)の産生の減少、および/またはバリア破壊性のフェノール(例えば、4EPS、p-クレゾール)の増加を呈する。別の態様では、治療されるASD対象は、腸関門の完全性の低下を呈しており、これにより、以下のうちの一つ以上が生じ得る:行動異常へとつながる、細菌産物およびGI代謝物の移転増加、血清代謝物の変化、局所炎症およびGI損傷、ならびにIFNγ、IL-6およびTNFのLPS誘導性活性化。
【0086】
ある態様では、治療されるASD対象は、マイクロバイオームの多様性および組成における逸脱、および/またはMAMP(例えば、LPS)シグナルの局所免疫集団の発現変化を呈する。別の態様では、治療されるASD対象は、調節された粘膜免疫組織を呈し、これにより以下のうちの一つ以上が生じ得る:TregおよびTh集団の粘膜集団ならびに末梢集団における、より炎症性プロファイルへと向かう変化、IL-17aおよび他のサイトカインの誘導、局所炎症およびGI損傷、ならびに全身性炎症/神経炎症、ならびに行動異常。
【0087】
ある態様では、治療されるASD対象は、腸神経系の微生物刺激を呈する。別の態様では、治療されるASD対象は、不適切に刺激された迷走神経を呈し、これにより以下のうちの一つ以上が生じ得る:迷走神経依存性の視床下部傍室核の活性誘導、オキシトシンおよび他の神経ペプチドの内因性産生、行動の調節、GI運動性に影響を与える腸神経系の潜在的な調節。
【0088】
本開示の態様では、医薬組成物は、非培養糞便細菌、例えば非選択糞便細菌の調製物を含む細菌混合物を含む。ある態様では、細菌混合物は、単一の細菌単離株または複数の細菌単離株(例えば、細菌カクテルの形態)を含む。ある態様では、医薬組成物は、(i)非培養糞便細菌の調製物、および(ii)少なくとも一つの細菌単離株、を含む細菌混合物を含む。かかる細菌混合物は、一つ以上の細菌単離株を富化、補充、または「スパイク」された非培養糞便細菌の調製物とも呼称され得る。一つ以上の非病原性細菌単離株を有する健康なドナーの糞便サンプルに由来する非培養糞便細菌(例えば、糞便微生物叢)の調製物を富化またはスパイクすることにより、特定の細菌株(すなわち、スパイクインされた細菌単離株)の量が計算され、正確に制御され得た組成物が作製され得る。理論に拘束されるものではないが、例えば、非培養糞便細菌の調製物に少なくとも一つの細菌単離株をスパイクすることは有益で、対象(例えば、ASDの一つ以上の症状を有する、または発生させやすい対象)の治療にとって重要であり、または対象の治療に含まれるが、それだけでは、対象において強化された治療応答、または最適な治療応答を導くには不充分である。プロバイオティクスは、単一の細菌単離株または少数の細菌単離株の投与に関連する効果に関して当てにされている。プロバイオティクスとは異なり、非培養糞便細菌(すなわち、健康なドナーに由来する)の調製物とともに、一つ以上の細菌単離株をASD対象に投与することによって、当該対象に、投与された細菌単離株の利点と、非培養微生物の調製物中に存在する追加的な糞便細菌株によって与えられる多因子的な利益の組み合わせが提供される。これらの追加的な糞便細菌株を組み合わせて、(例えば一つ以上の放出因子を介して)必要とされる状況または相互作用を提供し、それにより細菌単離株が対象において最適な応答を誘導できるようにしてもよく、または対象において、細菌単離株により誘導される応答を組み合わせて、および/または応答との相乗効果を発揮させて、対象を治療するような応答(例えば宿主細胞からのサイトカイン産生の調節)を直接誘導させてもよい。したがって、特定の態様では、一つ以上の細菌単離株と、非培養糞便細菌調製物の混合物を含む医薬組成物は、細菌単離株のみを含む組成物よりも、対象(例えば、ASDの一つ以上の症状を有する、または発生させやすい対象)の治療において効果が高い可能性がある。
【0089】
非培養糞便細菌の調製物を、一つ以上の微生物単離株で富化、補充、またはスパイク(して、「非培養糞便細菌調製物の「スパイクされた」バージョンを作製)することは、微生物単離株が富化、補充またはスパイクされていない非培養糞便細菌調製物を超える多くの利点を有する。例えば、理論に拘束されるものではないが、第一に、非培養糞便細菌調製物に添加される一つ以上の細菌単離株は、非培養糞便細菌調製物を製造するために使用されたドナー由来糞便中の細菌株の中では代表的ではない、または低い相対的存在量でのみ存在する場合がある。したがって、非培養糞便細菌調製物に細菌単離株を加えることにより、当該細菌混合物を投与された患者の腸内における、一つ以上の対応する細菌株(すなわち、当該一つ以上のスパイクされた細菌単離株を起源とする細菌株)の相対的存在量を増加させることができ、その結果、望ましい細菌株が患者の腸内に生着する可能性が高くなる。例えば、非培養糞便細菌調製物中で比較的低い存在量の細菌株(例えば、L.ロイテリ)は、ドナーの腸粘膜層または小腸内に存在し、ゆえに概して、非培養糞便細菌調製物の製造に使用されるドナー糞便中に高レベルでは存在できない可能性がある。理論に拘束されるものではないが、第二には、スパイクされた非培養糞便細菌調製物は、ドナーの糞便の細菌株組成中の不均一性(例えば、同じドナーの異なる時間で採取された糞便間の不均一性または異なるドナーの糞便間の不均一性)も軽減し得る。例えば、特定の細菌株は、一部のドナーの糞便中には存在し、または豊富であるが、他のドナーの糞便中には存在しないか、または少ない(例えば、L.ロイテリ、図1を参照)。そのような問題は、ドナー由来の非培養糞便細菌調製物に、ドナー間でレベルの変動を示す一つ以上の微生物単離株を補充することによって対処することができる。理論に拘束されるものではないが、第三には、スパイクされたバージョンは、重要な株または重要な機能の冗長性を促進または増大させることもできる。ドナー由来の糞便抽出物医薬品中に株が存在しても、患者に投与されたときの当該株の生着は保証されない。生着の成功は、例えば患者の腸内微生物叢の生態、医薬品中の当該株の存在量、および微生物株の遺伝子などの様々な要因に依存し得る。微生物種が患者の腸において望ましい機能と関連付けられる場合、治療中に当該種/機能が患者の腸内に導入される可能性は、医薬品中で当該種の異なる複数の株を同時投与することにより増加させることができる。したがって、特定の株が、医薬品の糞便微生物構成要素中の望ましい種となる場合、スパイクインされる構成要素に、当該種の異なる株を導入することにより、当該株のうちの一つが生着して望ましい機能を提供する可能性を増加させることができる。
【0090】
(例えば、「骨格」としてドナー由来糞便抽出物を使用し、スパイクされたバージョンを作製するために)、非培養糞便細菌調製物に一つ以上の微生物単離株を富化、補充またはスパイクすることは、非培養糞便細菌調製物を含まない、同一の一つ以上の微生物単離株(例えば、いずれか単一の細菌単離株または細菌単離株の共同体)を使用するよりも、多くの利点を保有する。理論に拘束されるものではないが、第一に、スパイクされたバージョンは、製品の品質を損なうことなく、患者を治療するために投与される単離株の共同体の複雑性(すなわち単離株の数)を低下させることができ、その結果、製造スケジュールが改善され、コストが低下する。理論に拘束されるものではないが、第二に、スパイクされた組成物は潜在的に、レシピエントの腸内の一つ以上の細菌株の生着を改善することができる。理論に拘束されるものではないが、第三に、腸内細菌により障害が予防または治療されることの根底にある作用機序が不明である場合、健康なドナー由来の微生物の集団全体の組成に含有されることにより、予防または治療のメカニズムの根底にある微生物が確実に現れてくる。
【0091】
別の態様では、一つ以上の細菌単離株と、非培養糞便細菌の調製物の混合物を含む医薬組成物は、非培養糞便細菌調製物のみを含む組成物よりも、対象(例えば、ASDの一つ以上の症状を有する、または発生させやすい対象)の治療において効果が高い可能性がある。例えば、理論に拘束されるものではないが、非培養糞便細菌調製物に添加される細菌単離株は、例えば非培養糞便細菌調製物が当該細菌単離株と同じ分類学的階級の細菌株を欠いているために(または閾値レベルを超える当該細菌単離株との遺伝的同一性割合%を有する細菌株を欠いているために)、または当該細菌単離株に対して遺伝的に対応する細菌株(例えば、当該細菌単離株と同じ分類学的階級にある細菌株)の非培養糞便細菌調製物中の存在量が閾値レベルを下回るために、非培養糞便細菌調製物には欠けている活性(すなわち、ASDの一つ以上の症状の治療または予防に有効な活性)を保有する可能性がある。
【0092】
ある態様では、医薬組成物は、細菌単離株と、当該細菌単離株と同じ分類学的階級の細菌株を欠く非培養糞便細菌調製物(例えば、健康なヒトドナーの糞便微生物叢から調製された調製物)を含む。例えば、細菌単離株は、非培養糞便細菌調製物中には存在しない門、綱、目、科、属または種の細菌単離株であってもよい。別の態様では、医薬組成物は、細菌単離株と、当該細菌単離株と100%の遺伝的同一性を有する(例えば、当該細菌単離株の16S rRNA配列と、非培養糞便細菌調製物の細菌株の16S rRNA配列の間の遺伝的同一性の比較、または全ゲノム配列間の遺伝的同一性の比較によって決定される)細菌株を欠く非培養糞便細菌調製物を含む。別の態様では、医薬組成物は、細菌単離株と、当該細菌単離株と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、または99.9%を超える遺伝的同一性を有する(例えば、当該細菌単離株の16S rRNA配列と、非培養糞便細菌調製物の細菌株の16S rRNA配列の間の遺伝的同一性の比較、または全ゲノム配列間の遺伝的同一性の比較によって決定される)細菌株を欠く非培養糞便細菌調製物を含む。
【0093】
別の態様では、医薬組成物は、細菌単離株と、当該細菌単離株と同じ分類学的階級の一つ以上の細菌株を含むが、閾値レベルを下回る存在量または相対的存在量で含む非培養糞便細菌調製物(例えば、健康なヒトドナーの糞便微生物叢から調製された調製物)を含む。例えば、非培養糞便細菌調製物は、当該細菌単離株と同じ門、綱、目、科、属または種の一つ以上の細菌株を含み得るが、閾値レベルを下回る存在量または相対的存在量で含み得る。様々な態様では、当該細菌単離株と同じ分類学的階級の非培養糞便細菌調製物の一つ以上の細菌株は、非培養糞便細菌調製物の単位重量(例えば、グラム)当たり、10、10、10、10、10、10、10、10、10、または1010CFUの閾値存在量を下回ってもよい。様々な態様では、当該細菌単離株と同じ分類学的階級の非培養糞便細菌調製物の一つ以上の細菌株は、非培養糞便細菌調製物において、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、14%、15%、16%、18%、20%、22%、24%、25%、26%、28%、30%、35%、40%、または50%の閾値相対的存在量を下回ってもよい。
【0094】
ある態様では、医薬組成物は、細菌単離株と、非培養糞便細菌調製物の細菌混合物を含み、それにより、当該細菌混合物中の細菌単離株の生細胞の相対的存在量は、非培養糞便細菌調製物の生細胞の相対的存在量よりも低くなる(すなわち、当該細菌混合物は、ただ一つの細菌単離株のみを含み、当該細菌混合物の生細胞の50%未満が、当該細菌単離株の細胞である)。ある態様では、細菌単離株と非培養糞便細菌調製物を含む細菌混合物中の細菌単離株の生細胞の相対的存在量は、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、3%未満、または1%未満である。
【0095】
ある態様では、医薬組成物は、細菌単離株と非培養糞便細菌調製物の細菌混合物を含み、それにより、当該細菌混合物中の非培養糞便細菌調製物の生細胞の相対的存在量は、細菌単離株の生細胞の相対的存在量よりも低くなる(すなわち、当該細菌混合物は、ただ一つの細菌単離株のみを含み、当該細菌混合物の生細胞の50%未満が、非培養糞便細菌調製物の細胞である)。別の態様では、非培養糞便細菌調製物と細菌単離株を含む細菌混合物中の非培養糞便細菌調製物の生細胞の相対的存在量は、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、3%未満、または1%未満である。
【0096】
ある態様では、医薬組成物は、細菌単離株と非培養糞便細菌調製物の細菌混合物を含み、それにより、非培養糞便細菌調製物の生細胞の相対的存在量は、細菌単離株の生細胞の相対的存在量とほぼ等しい(すなわち、当該細菌混合物は、ただ一つの細菌単離株のみを含み、当該細菌混合物の生細胞の約50%が、細菌単離株の細胞であり、当該細菌混合物の生細胞の約50%が、非培養糞便細菌調製物の細胞である)。
【0097】
ある態様では、医薬組成物は、細菌単離株と非培養糞便細菌調製物を含む細菌混合物を含み、それにより、細菌単離株の生細胞の相対的存在量は、非培養糞便細菌調製物中の任意の細菌株、任意の細菌種、任意の細菌属、任意の細菌科、任意の細菌目、任意の細菌綱、または任意の細菌門の生細胞の相対的存在量よりも高い。
【0098】
ある態様では、医薬組成物は、少なくとも一つの非病原性細菌単離株、および/または弱毒化病原性を有する細菌単離株を含む細菌混合物を含む。細菌単離株は、任意の非生物源(例えば、土壌)、またはヒツジ、ブタ、ウシ、霊長類もしくはヒトなどの哺乳動物を含む任意の生物源(例えば、動物)から単離されてもよい。動物から単離される場合、細菌単離株は、例えば腸、口腔、乳、唾液、または糞便を含む、臓器、液体または分泌物などの動物の任意の部分から誘導または単離されてもよい。別の態様では、細菌単離株は、ヒトから誘導される。別の態様では、細菌単離株は、ヒトの糞便微生物叢または腸内微生物叢から誘導される。ある態様では、本明細書において投与される医薬組成物は、糞便細菌を含む。別の態様では、本明細書において投与される医薬組成物は、健康なヒトドナーの糞便サンプルから抽出された、単離された、および/または培養された一つ以上の細菌単離株を含む。
【0099】
一部の態様では、本明細書に記載される医薬組成物に組み込まれる細菌単離株は、生植物細胞を含む。一部の態様では、細菌単離株は、胞子を形成する能力を有する細菌を含む。一部の態様では、細菌単離株は、例えば、生存可能な胞子などの胞子の形態の細菌を含む。一部の態様では、細菌単離株は、生植物細胞と胞子の形態の細菌を含む。一部の態様では、細菌単離株は、生植物細胞を実質的に含まない。一部の態様では、細菌カクテル全体は、生植物細胞を実質的に含まない。一部の態様では、細菌単離株は、胞子を実質的に含まない。一部の態様では、細菌カクテル全体は、胞子を実質的に含まない。
【0100】
ある態様では、医薬組成物は、例えば、ラクトバチルス(Lactobacillus)、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、クロストリジウム(Clostridium)、コリンセラ(Collinsella)、ドレア(Dorea)、ルミノコッカス(Ruminococcus)、コプロコッカス(Coprococcus)、プレボテラ(Prevotella)、ベイロネラ(Veillonella)、バクテロイデス(Bacteroides)、バシラス(Baccillus)、またはそれらの組み合わせの種を含む、(例えば、非培養糞便細菌調製物と組み合わされた、または調製物にスパイクされた)細菌単離株を含み得る。別の態様では、医薬組成物は、ベイロネラ科(Veillonellaceae)、ファーミキューテス門(Firmicutes)、ガンマプロテオバクテリア綱(Gammaproteobacteria)、バクテロイデス門(Bacteroidetes)、またはそれらの組み合わせの種を含む細菌単離株を含み得る。別の態様では、医薬組成物は、細菌胞子を含む細菌単離株を含み得る。一つの態様では、糞便細菌の胞子は、クロストリジウムの胞子、バシラスの胞子、またはそれらの組み合わせである。
【0101】
ある態様では、医薬組成物は、ラクトバチルスの種を含む細菌単離株を含む。ある態様では、医薬組成物は、一つ以上、二つ以上、三つ以上、四つ以上、五つ以上、または六つ以上の細菌単離株を含み、それらは各々ラクトバチルスの種を含む。医薬組成物に単独で、または組み合わされて組み込まれ得るラクトバチルス種の非限定的な例としては、L.アセトトレランス(L acetotolerans)、L.アシジファリナエ(L.acidifarinae)、L.アシジピスシス(L.acidipiscis)、L.アシドフィルス(L.acidophilus)、L.アジリス(L.agilis)、L.アルギダス(L.algidus)、L.アリメンタリウス(L.alimentarius)、L.アリリ(L.allii)、L.アルベイ(L.alvei)、L.アルビ(L.alvi)、L.アミロリティキュス(L.amylolyticus)、L.アミロフィルス(L.amylophilus)、L.アミロトロフィキュス(L.amylotrophicus)、L.アミロボルス(L.amylovorus)、L.アニマリス(L.animalis)、L.アニマタ(L.animata)、L.アントリ(L.antri)、L.アピノラム(L.apinorum)、L.アピス(L.apis)、L.アポデミ(L.apodemi)、L.アクアチキュス(L.aquaticus)、L.アビアリウス(L.aviarius)、L.アビアリウス亜種アラフィノサス(L.aviarius subsp.araffinosus)、L.アビアリウス亜種アビアリウス(L.aviarius subsp.aviarius)、L.バッキイ(L.backii)、L.バンブサエ(L.bambusae)、L.ビフェルメンタンス(L.bifermentans)、L.ボンミ(L.bommi)、L.ボンミコラ(L.bommicola)、L.ブランタエ(L.brantae)、L.ブレビス(L.brevis)、L.ブレビス亜種コアグランス(L.brevis subsp.coagulans)、L.ブレビス亜種グラベセンシス(L.brevis subsp.gravesensis)、L.ブレビシミリス(L.brevisimilis)、L.ブフネリ(L.buchneri)、L.カカオナム(L.cacaonum)、L.カメリアエ(L.camelliae)、L.カピラタス(L.capillatus)、L.カゼイ(L.casei)、L.カゼイ亜種カゼイ(L.casei subsp.casei)、L.キアイエンシス(L.chiayiensis)、L.パラカゼイ(L.paracasei)、L.パラカゼイ亜種パラカゼイ(L.paracasei subsp.paracasei)、L.パラカゼイ亜種トレランス(L.paracasei subsp.tolerans)、L.ゼアエ(L.zeae)、L.カテネホルニス(L.catenefornis)、L.カビアエ(L.caviae)、L.セレビジアエ(L.cerevisiae)、L.セチ(L.ceti)、L.コレオホミニス(L.coleohominis)、L.コリニ(L.colini)、L.コリノイデス(L.collinoides)、L.コムポスチ(L.composti)、L.コンカブス(L.concavus)、L.コリニホルミス(L.coryniformis)、L.コリニホルミス亜種コリニホルミス(L.coryniformis subsp.coryniformis)、L.コリニホルミス亜種トルクエンス(L.coryniformis subsp.torquens)、L.クリスパツス(L.crispatus)、L.クルストルム(L.crustorum)、L.クリエアエ(L.curieae)、L.クルツス(L.curtus)、L.クルバツス(L.curvatus)、L.デルブルエッキイ(L.delbrueckii)、L.デルブルエッキイ亜種ブルガリクス(L.delbrueckii subsp.bulgaricus)、L.デルブルエッキイ亜種デルブルエッキイ(L.delbrueckii subsp.delbrueckii)、L.デルブルエッキイ亜種インジクス(L.delbrueckii subsp.indicus)、L.デルブルエッキイ亜種ジャコブセニイ(L.delbrueckii subsp.jakobsenii)、L.デルブルエッキイ亜種ラクチス(L.delbrueckii subsp.lactis)、L.デルブルエッキイ亜種スンキイ(L.delbrueckii subsp.sunkii)、L.デクストリニクス(L.dextrinicus)、L.ジオリボランス(L.diolivorans)、L.エクイ(L.equi)、L.エクイクルソリス(L.equicursoris)、L.エクイゲネロシ(L.equigenerosi)、L.ファビフェルメンタンス(L.fabifermentans)、L.ファエシス(L.faecis)、L.ファエニ(L.faeni)、L.ファルシミニス(L.farciminis)、L.ファラジニス(L.farraginis)、L.フェルメンツム(L.fermentum)、L.フロリコラ(L.floricola)、L.フロルム(L.florum)、L.ホルモセンシス(L.formosensis)、L.ホルニカリス(L.fornicalis)、L.フルクチボランス(L.fructivorans)、L.フルメンチ(L.frumenti)、L.フチュエンシス(L.fuchuensis)、L.フルフリコラ(L.furfuricola)、L.フトサイイ(L.futsaii)、L.ガリナルム(L.gallinarum)、L.ガセリ(L.gasseri)、L.ガストリクス(L.gastricus)、L.ガネンシス(L.ghanensis)、L.ジゲリオルム(L.gigeriorum)、L.ジンセノシジムタンス(L.ginsenosidimutans)、L.ゴリラエ(L.gorillae)、L.グラミニス(L.graminis)、L.グイズホウエンシス(L.guizhouensis)、L.ハロフィルス(L.halophilus)、L.ハムメシイ(L.hammesii)、L.ハムステリ(L.hamsteri)、L.ハルビネンシス(L.harbinensis)、L.ハヤキテンシス(L.hayakitensis)、L.ヘイロンジアンゲンシス(L.heilongjiangensis)、L.ヘルシンボルゲンシス(L.helsingborgensis)、L.ヘルベチクス(L.helveticus)、L.ヘルベチクス亜種ジュグルチ(L.helveticus subsp.jugurti)、L.ヘルバルム(L.herbarum)、L.ヘテロヒオチイ(L.heterohiochii)、L.ヒルガルジ(L.hilgardi)、L.ホッカイドネンシス(L.hokkaidonensis)、L.ホミニス(L.hominis)、L.ホモヒオチイ(L.homohiochii)、L.ホルデイ(L.hordei)、L.イアタエ(L.iatae)、L.イネルス(L.iners)、L.イングルビエイ(L.ingluviei)、L.インセクチス(L.insectis)、L.インシシイ(L.insicii)、L.インテルメジウス(L.intermedius)、L.インテスチナリス(L.intestinalis)、L.イワテンシス(L.iwatensis)、L.イクソラエ(L.ixorae)、L.ジャポニクス(L.japonicus)、L.ジェンセニイ(L.jensenii)、L.ジョンソニイ(L.johnsonii)、L.カリキセンシス(L.kalixensis)、L.ケフィラノファシエン(L.kefiranofacien)、L.ケフィラノファシエンス亜種ケフィラノファシエンス(L.kefiranofaciens subsp.kefiranofaciens)、L.ケフィラノファシエンス亜種ケフィルグラヌム(L.kefiranofaciens subsp.kefirgranum)、L.ケフィリ(L.kefiri)、L.キムブラジイ(L.kimbladii)、L.キムキクス(L.kimchicus)、L.キムキエンシス(L.kimchiensis)、L.キソネンシス(L.kisonensis)、L.キタサトニス(L.kitasatonis)、L.コレエンシス(L.koreensis)、L.コソイ(L.kosoi)、L.クラベルゲンシス(L.kullabergensis)、L.クンケエイ(L.kunkeei)、L.ラルバエ(L.larvae)、L.レイクマンニイ(L.leichmannii)、L.レチバジ(L.letivazi)、L.リンドネリ(L.lindneri)、L.マレフェルメンタンス(L.malefermentans)、L.マリ(L.mali)、L.マニホチボランス(L.manihotivorans)、L.メリフェル(L.mellifer)、L.メリス(L.mellis)、L.メリベントリス(L.melliventris)、L.メトリオプテラエ(L.metriopterae)、L.ミチェネリ(L.micheneri)、L.ミンデンシス(L.mindensis)、L.ミクスチパブリ(L.mixtipabuli)、L.モビリス(L.mobilis)、L.モデスチサリトレランス(L.modestisalitolerans)、L.ムコサエ(L.mucosae)、L.ムダンジアンゲンシス(L.mudanjiangensis)、L.ムリヌス(L.murinus)、L.ムサエ(L.musae)、L.ナゲリイ(L.nagelii)、L.ナムレンシス(L.namurensis)、L.ナンテンシス(L.nantensis)、L.ナスエンシス(L.nasuensis)、L.ネンジアンゲンシス(L.nenjiangensis)、L.ノデンシス(L.nodensis)、L.ヌルキ(L.nuruki)、L.オドラチトフイ(L.odoratitofui)、L.オエニ(L.oeni)、L.オリゴフェルメンタンス(L.oligofermentans)、L.オリス(L.oris)、L.オリザエ(L.oryzae)、L.オタキエンシス(L.otakiensis)、L.オゼンシス(L.ozensis)、L.パニス(L.panis)、L.パニサピウム(L.panisapium)、L.パンテリス(L.pantheris)、L.パラブレビス(L.parabrevis)、L.パラブフネリ(L.parabuchneri)、L.パラコリノイデス(L.paracollinoides)、L.パラファラギニス(L.parafarraginis)、L.パラガゼリ(L.paragasseri)、L.パラケフィリ(L.parakefiri)、L.パラリメンタリウス(L.paralimentarius)、L.パラプランタルム(L.paraplantarum)、L.パスツーリイ(L.pasteurii)、L.パウシボランス(L.paucivorans)、L.ペントシフィルス(L.pentosiphilus)、L.ペントサス(L.pentosus)、L.ペロレンス(L.perolens)、L.プラジョミ(L.plajomi)、L.プランタルム(L.plantarum)、L.プランタルム亜種アルゲントランテンシス(L.plantarum subsp.argentoratensis)、L.プランタルム亜種プランタルム(L.plantarum subsp.plantarum)、L.プブジヒイ(L.pobuzihii)、L.ポンチス(L.pontis)、L.ポルシ(L.porci)、L.ポルシナエ(L.porcinae)、L.シッタシ(L.psittaci)、L.ケヌイアエ(L.quenuiae)、L.ラオウルチイ(L.raoultii)、L.ラピ(L.rapi)、L.
レンナキルフィ(L.rennanquilfy)、L.レンニニ(L.rennini)、L.ロイテリ(L.reuteri)、L.ラムノサス(L.rhamnosus)、L.ロデンチウム(L.rodentium)、L.ロゴサエ(L.rogosae)、L.ロッシアエ(L.rossiae)、L.ルミニス(L.ruminis)、L.サエリムネリ(L.saerimneri)、L.サケイ(L.sakei)、L.サケイ亜種カルノサス(L.sakei subsp.carnosus)、L.サケイ亜種サケイ(L.sakei subsp.sakei)、L.サリバリウス(L.salivarius)、L.サンフランシスセンシス(L.sanfranciscensis)、L.サニビリ(L.saniviri)、L.サツメンシス(L.satsumensis)、L.セカリフィルス(L.secaliphilus)、L.セランゴレンシス(L.selangorensis)、L.セニオリス(L.senioris)、L.センマイズケイ(L.senmaizukei)、L.シャーペアエ(L.sharpeae)、L.シェンゼネンシス(L.shenzhenensis)、L.シセラエ(L.sicerae)、L.シラゲ(L.silage)、L.シラギンコラ(L.silagincola)、L.シリギニス(L.siliginis)、L.シミリス(L.similis)、L.ソングアジアンゲンシス(L.songhuajiangensis)、L.スピチェリ(L.spicheri)、L.スシコラ(L.sucicola)、L.スエビクス(L.suebicus)、L.スンキイ(L.sunkii)、L.タイワネンシス(L.taiwanensis)、L.テラエ(L.terrae)、L.タイランデンシス(L.thailandensis)、L.チンベルラケイ(L.timberlakei)、L.チモネンシス(L.timonensis)、L.ツッセチ(L.tucceti)、L.ウルツネンシス(L.ultunensis)、L.ウバルム(L.uvarum)、L.バッシノステルクス(L.vaccinostercus)、L.バギナリス(L.vaginalis)、L.ヴェルミフォルメ(L.vermiforme)、L.ベルスモルデンシス(L.versmoldensis)、L.ベスプラエ(L.vespulae)、L.ビニ(L.vini)、L.ワサチェンシス(L.wasatchensis)、L.シャンファンゲンシス(L.xiangfangensis)、L.ヨンギネンシス(L.yonginensis)、L.ザイマエ(L.zymae)、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0102】
ある態様では、医薬組成物は、ラクトバチルス・ロイテリを含む細菌単離株を含む。本明細書に記載される医薬組成物に組み込まれ得る非限定的で例示的なL.ロイテリ細菌単離株としては、ATCC PTA 6475、DSM 17938、ATCC 55730、ATCC PTA 5289、DSM 12246、RC-14(登録商標)(CHR Hansen)、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0103】
ある態様では、医薬組成物は、ラクトバチルス・プランタルムを含む細菌単離株を含む。本明細書に記載される医薬組成物に組み込まれ得るL.プランタルム細菌単離株の非限定的な例としては、WCFS1、ATCC BAA-793、ATCC BAA-2838、ATCC 10241、ATCC 10012、ATCC 8014、またはそれらの組み合わせが挙げられる。別の態様では、L.プランタルム細菌単離株は、ラクトバチルス・プランタルム亜種プランタルム PS128である。別の態様では、L.プランタルム細菌単離株は、DSMZ アクセッション番号DSM 28632(US20150306157A1を参照のこと)である。
【0104】
ある態様では、医薬組成物は、L.ラムノサスを含む細菌単離株を含む。本明細書に記載される医薬組成物に組み込まれ得るL.ラムノサス細菌単離株の非限定的な例としては、ATCC 7469、ATCC 53103、ATCC 9595、19070-2、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0105】
ある態様では、医薬組成物は、L.アシドフィルスを含む細菌単離株を含む。本明細書に記載される医薬組成物に組み込まれ得るL.アシドフィルス細菌単離株の非限定的な例としては、ATCC 4356、ATCC 53671、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0106】
ある態様では、医薬組成物は、L.デルブルエッキイ亜種ブルガリクスを含む細菌単離株を含む。本明細書に記載される医薬組成物に組み込まれ得るL.デルブルエッキイ亜種 ブルガリクス細菌単離株の非限定的な例としては、ATCC 11842、ATCC BAA-365、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0107】
ある態様では、医薬組成物は、L.パラカゼイを含む細菌単離株を含む。本明細書に記載される医薬組成物に組み込まれ得るL.パラカゼイ細菌単離株の非限定的な例としては、ATCC 25302、ATCC 11578、ATCC 27216、ATCC 25598、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0108】
ある態様では、医薬組成物は、ビフィドバクテリウムの種を含む細菌単離株を含む。ある態様では、医薬組成物は、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)を含む細菌単離株(例えば、UCD272、ATCC 15707、ATCC BAA-2753、またはそれらの組み合わせ)を含む。ある態様では、医薬組成物は、ビフィドバクテリウム・ロンガム亜種インファンティス(Bifidobacterium longum,subsp.infantis)(例えば、ATCC 15697)の種を含む細菌単離株を含む。ある態様では、医薬組成物は、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)を含む細菌単離株(例えば、ATCC 15700、ATCC 15698、ATCC 15701、またはそれらの組み合わせ)を含む。
【0109】
ある態様では、医薬組成物は、ストレプトコッカスの種を含む細菌単離株を含む。ある態様では、医薬組成物は、ストレプトコッカス・サリバリウス亜種サーモフィルス(Streptococcus salivarius,subsp.thermophilus)を含む細菌単離株(例えば、ATCC 19258、ATCC BAA-491、ATCC 14485、またはそれらの組み合わせ)を含む。
【0110】
ある態様では、医薬組成物は、バクテロイデスの種を含む細菌単離株を含む。ある態様では、医薬組成物は、バクテロイデス・フラギリス(Bacteroides fragilis)を含む細菌単離株(例えば、ATCC 25285またはATCC 23745)を含む。
【0111】
ある態様では、医薬組成物は、上記の細菌単離株または細菌株のうちの二つ以上を含む細菌混合物を含む。例えば、ある態様では、医薬組成物は、L.ラムノサスを含む細菌単離株(例えば、19070-2)と組み合わされたL.ロイテリを含む細菌単離株(例えば、DSM 12246)を含み得る。ある態様では、医薬組成物は、二つ以上、三つ以上、四つ以上、五つ以上、六つ以上、七つ以上、または八つの細菌単離株を含み得、各細菌単離株は、ストレプトコッカス・サーモフィルス、ビフィドバクテリウム・ブレーベ、ビフィドバクテリウム・ロンガム、ビフィドバクテリウム・ロンガム亜種インファンティス、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・プランタルム、ラクトバチルス・パラカゼイ、またはラクトバチルス・デルブルエッキイ亜種ブルガリクスのうちの一つを含む。ある態様では、医薬組成物は、細菌カクテルおよび/またはプロバイオティクスの形態で複数の細菌単離株を含み得る。医薬組成物に含まれ得る細菌カクテルの例は、VSL#3(登録商標)(Alfasigma(登録商標))である。
【0112】
ある態様では、本明細書に記載される医薬組成物に組み込まれる細菌単離株は、プロバイオティクス、またはプロバイオティクスの成分である。ある態様では、本明細書に記載される医薬組成物に組み込まれる複数の細菌単離株は、プロバイオティクス、またはプロバイオティクスの成分である。ある態様では、一つ以上の細菌単離株は、医薬組成物に組み込まれるとき、プロバイオティクスの形態である。
【0113】
本開示の態様では、医薬組成物は、複数の細菌単離株(例えば、細菌カクテルとして)を含む細菌混合物を含み得る。本開示の態様では、細菌混合物は、少なくとも2の細菌単離株、少なくとも3の細菌単離株、少なくとも4の細菌単離株、少なくとも5の細菌単離株、少なくとも6の細菌単離株、少なくとも7の細菌単離株、少なくとも8の細菌単離株、少なくとも9の細菌単離株、少なくとも10の細菌単離株、またはさらに多い数の細菌単離株、例えば、15、20、25、30、またはそれ以上の細菌単離株を含み得る。
【0114】
様々な態様では、医薬組成物は、対象への組成物の投与後に、対象のGI管に生着することができる一つ以上の細菌単離株を含む。本明細書では、「生着すること」または「生着」とは、(例えば、本明細書に記述される組成物を、例えば、経口的にまたは直腸に投与することによって、対象の腸管内に細菌株または単離株を導入した後に)対象の腸管において、細菌株または細菌単離株の細胞が経時的に安定的に存在することを指す。典型的には、(例えば、経口投与および/または直腸投与によって)対象の腸内に導入された細菌単離株の生着は、対象への細菌単離株の投与の前後の対象の糞便サンプル中の細菌単離株の存在量を比較することにより、超軸方向に、または経時的に測定される。ある態様では、対象の腸内に導入された細菌単離株は、投与前には存在していなかった。別の態様では、対象の腸内に導入された細菌単離株は、投与前に腸内に存在していたが、投与後に存在量が増加する。特定の態様では、生着は、対象への細菌株の投与後、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも8日、少なくとも9日、少なくとも10日、少なくとも11日、少なくとも12日、少なくとも13日、少なくとも14日、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも4カ月、少なくとも5カ月、少なくとも6カ月、または6カ月よりも後に、対象の腸に投与された細菌株の存在量が増加したことを特定することにより判定される。
【0115】
本開示の態様では、対象の腸内の細菌単離株の生着は、細菌単離株が閾値用量で、または閾値用量を超えて対象に投与される時に発生する。本開示の態様では、対象の腸内の細菌単離株の生着は、閾値用量未満で細菌単離株が対象に投与される時には、発生しない、または(患者全体で)比較的非効率的に発生する。例えば、対象の腸内への細菌単離株の生着は、細菌単離株が、少なくとも10個の細胞、少なくとも10個の細胞、少なくとも10個の細胞、少なくとも10個の細胞、少なくとも1010個の細胞、少なくとも1011個の細胞、または少なくとも1012個の細胞の用量で、対象に(例えば本明細書に記載される医薬組成物中、経口的または直腸に)投与されるときに、発生し得る。
【0116】
本開示の態様では、対象の腸内の細菌単離株の生着は、細菌単離株が閾値用量で、または閾値用量未満で対象に投与される時に発生する。ある態様では、対象の腸内の細菌単離株の生着は、閾値用量を超えて細菌単離株が対象に投与される時には、発生しない、または(患者全体で)比較的非効率的に発生する。例えば、対象の腸内への細菌単離株の生着は、細菌単離株が、10個の細胞以下、10個の細胞以下、1010個の細胞以下、1011個の細胞以下、または1012個の細胞以下の用量で、対象に(例えば本明細書に記載される医薬組成物中、経口的または直腸に)投与されるときに、発生し得る。
【0117】
ある態様では、その必要のある患者への一つ以上の細菌単離株の投与は、細菌単離株の生着閾値に依存し得る。
【0118】
ある態様では、対象に投与される医薬組成物中の細菌単離株は、対象の十二指腸に生着する。ある態様では、対象に投与される医薬組成物中の細菌単離株は、対象の空腸に生着する。ある態様では、対象に投与される医薬組成物中の細菌単離株は、対象の回腸に生着する。ある態様では、対象に投与される医薬組成物中の細菌単離株は、対象の結腸に生着する。
【0119】
一部の態様では、細菌単離株は、非病原性細菌株である。ある態様では、非病原性細菌株は、病原性および/または毒性を引き起こす遺伝子を欠く、またはその発現を欠くゲノムを含む。例えば、一部の態様では、一つ以上の細菌単離株を含む細菌カクテルは、当該細菌カクテルを投与された対象において、疾患または障害を引き起こすことができる生物体または実体を実質的に含まない(例えば、病原性細菌を実質的に含まない)。
【0120】
ある態様では、細菌単離株は、健康なヒトドナーの糞便サンプルから元々取得された実験用ストックまたは細菌株の細菌細胞バンクから取得してもよい。例えば、糞便微生物叢(例えば、本明細書に記載の方法を使用して糞便サンプルから精製された)を、本明細書に記載の医薬組成物に組み込まれる細菌単離株の供給源として使用してもよい。特定の態様では、糞便サンプルの糞便微生物叢のすべてまたは一部が固形培地基質上で培養され、一つ以上の細菌単離株が単一コロニーとして特定される。他の態様では、糞便微生物叢のすべてまたは一部が、液体培養物に接種されて混合細菌培養物が生成され、次いでこれを連続希釈して、細菌単離株の単一細胞を含有する培養物が生成される。ある態様では、次いで特定された細菌単離株が公知の技術を使用して(固形培地または液体培地中で)培養され、拡張されてもよい。細菌株を単離、精製、および/または培養する方法は、SadowskyらのWO2012/122478に記載され、およびBorodyらのWO2012/016287に記載されており、それら各文献が参照により本明細書に組み込まれる。
【0121】
ある態様では、本明細書に記載の細菌混合物は、真核細胞(例えば、ASDを治療するために細菌混合物を投与された哺乳動物の細胞)によるサイトカインの産生または放出を調節する。本明細書において、「真核細胞」とは、本明細書に記載される組成物を投与される対象の体内で、原位置(in situ)に位置する細胞(例えば腸細胞)、ならびに例えば培養培地中など、生物体の外側で生体外(ex vivo)増殖された、または増殖する細胞の両方を指す。
【0122】
ある態様では、本明細書に記載される細菌混合物は、対象に投与されると、当該対象の細胞(本明細書において「宿主細胞」と呼称される)においてサイトカインの産生を調節することができる。複数の実施形態では、細菌混合物中の細菌は、対象の宿主細胞からのサイトカインの産生および/または分泌を調節し、この場合において当該サイトカインは、当該対象の組織(例えば腸組織)に対し、抗炎症性の効果を発揮する傾向がある。本明細書に記載される組成物中で投与される細菌(例えば、細菌単離株)の存在に応答して、宿主細胞から産生および/または分泌され得るこのような抗炎症性サイトカインの例としては、IL-10、IL-13、IL-4、IL-5、TGF-β、GM-CSF、およびそれらの組み合わせが挙げられる。他の実施形態では、本明細書に記載の組成物中で投与される細菌混合物は、対象の宿主細胞からのサイトカインの産生および/または分泌を阻害し、この場合において当該サイトカインは、対象の組織(例えば、腸組織)に対して炎症促進性の効果を発揮する傾向がある。そのような炎症促進性サイトカインの例としては、IFNγ、IL-12p70、IL-1(例えば、IL-1α、IL-1β)、IL-6、IL-8、IL-12、IL-17、IL-18、IL-23、MCP1、MIP1α、MIP1β、TNFα、TNF-γ、およびそれらの組み合わせが挙げられる。宿主細胞を誘導して、抗炎症性サイトカインを産生および/または分泌させることができる、または宿主細胞による炎症促進性サイトカインの産生および/または分泌を阻害することができる細菌混合物を含有する組成物を提供することにより、本明細書に記載される組成物は、自閉症と関連した炎症を治療、軽減、阻害および/または予防することができる。本明細書において、宿主細胞によるサイトカインの産生および/または分泌を調節することができる細菌混合物または細菌単離株は、「免疫調節性」と呼称される。
【0123】
複数の実施形態では、細菌混合物は、医薬組成物を投与された対象の細胞からのサイトカインの産生および/または放出を、直接的および/または間接的に調節することができる。一つの実施形態では、免疫調節性細菌(例えば、細菌単離株)は、例えば、細菌混合物中の細菌によって分泌される、または細菌の表面上に提示される微生物関連分子パターン(MAMPS:microbe-associated molecular patterns)を介して、対象の宿主細胞に直接作用することができる。そのようなMAMPSは、特定の細菌種に対する宿主免疫応答において、主要な役割を果たす。MAMPSは、細菌と接触しているほとんどの宿主細胞型上で発現されるパターン認識受容体(PRR:pattern recognition receptors)によって感知される。本明細書に記載の細菌混合物中の細菌のMAMPSの例としては、非メチル化2-デオキシリボ(シチジン-リン酸塩-グアニン)(CpG)ジヌクレオチド、細菌ペプチドグリカン、細菌リポ多糖類(LPS、共受容体のMD-2、CD14、およびLPBと相互作用して、TLR-4への高アフィニティ結合とその後の宿主細胞活性化を促進する)、細菌リポタンパク質(LPs)、リポタイコ酸、フラジェリン、膜小胞、およびエキソ多糖類が挙げられる。MAMPSとの相互作用を介してサイトカイン産生の調節を介在することができる腸内の宿主細胞および常在腸管免疫細胞により発現されるPRRの例としては、Toll様受容体(TLR)、ヌクレオチド結合オリゴマー化ドメイン(Nods)、NOD様受容体、およびC型レクチンが挙げられる。腸管細胞PRRと微生物リガンドとの相互作用によって、免疫寛容と腸の健康の維持に必要な自然免疫系と獲得免疫系に関連するシグナル伝達経路が誘発される。
【0124】
別の実施形態では、免疫調節性細菌は、例えば、対象の宿主細胞の活性を調節する代謝物を分泌することによって、例えば、サイトカインを発現するように細胞を誘導することによって、医薬組成物を投与された対象の細胞(例えば、免疫細胞)に間接的に作用することができる。
【0125】
サイトカインの産生および/または放出が本明細書に記載の細菌混合物によって調節され得る宿主細胞の例としては、腸細胞、上皮細胞、腸粘膜細胞、腸上皮細胞、腸粘膜固有層細胞、内皮細胞、線維芽細胞、間質細胞、マクロファージ、Bリンパ球、Tリンパ球、マスト細胞、および末梢血単核細胞(PBMC)が挙げられる。
【0126】
別の実施形態では、本明細書に記載の細菌混合物は、細菌単離株が真核細胞と共培養されたとき、培養培地内にある、または培養培地中で増殖する真核細胞(例えば、PBMC)によるサイトカインの産生および/または放出を調節する(例えば、サイトカイン産生を増加させる)ことができる。
【0127】
ある態様では、一つ以上の細菌単離株(例えば、ラクトバチルス単離株)の組み合わせと、非培養糞便細菌調製物を含む細菌混合物が、対象に投与され、サイトカイン産生を調節する(例えば、抗炎症性サイトカインのレベルを上昇させ、または炎症促進性サイトカインのレベルを低下させることにより調節する)。複数の実施形態では、非培養糞便細菌調製物と、細菌単離株の組み合わせを含む細菌混合物の投与は、非培養糞便細菌、または細菌単離株のいずれか単独の投与により生じる調節よりも高度に、真核細胞により産生されるサイトカインのレベルを調節する。
【0128】
特定の実施形態では、本明細書に記載の細菌単離株は、抗炎症性サイトカインのプロファイルを誘導することができる。ある実施形態では、細菌単離株は、対照株のレベルと比較して高いIL-10のレベルを生じさせるとき、抗炎症性サイトカインのプロファイルを呈する。ある実施形態では、細菌単離株は、対照株のレベルと比較して低いIL-12のレベルを生じさせるとき、抗炎症性サイトカインのプロファイルを呈する。ある実施形態では、細菌単離株は、対照株のレベルと比較して高いGM-CSFのレベルを生じさせるとき、抗炎症性サイトカインのプロファイルを呈する。ある実施形態では、細菌単離株は、対照株のレベルと比較して低いIFN-ガンマのレベルを生じさせるとき、抗炎症性サイトカインのプロファイルを呈する。ある実施形態では、細菌単離株は、対照株のレベルと比較して低いTNF-アルファのレベルを生じさせるとき、抗炎症性サイトカインのプロファイルを呈する。ある実施形態では、細菌単離株は、対照株のレベルと比較して低いIL-23のレベルを生じさせるとき、抗炎症性サイトカインのプロファイルを呈する。ある実施形態では、細菌単離株は、対照株のレベルと比較して低いIL-12のレベルを生じさせるとき、抗炎症性サイトカインのプロファイルを呈する。ある実施形態では、細菌単離株は、対照株のレベルと比較して高いIL-10:IL-12の比率を生じさせるとき、抗炎症性サイトカインのプロファイルを呈する。ある実施形態では、細菌単離株は、対照株のレベルと比較して高いIL-10:TNF-アルファの比率を生じさせるとき、抗炎症性サイトカインのプロファイルを呈する。
【0129】
ある態様では、医薬組成物は、例えば非選択糞便細菌、および/または糞便の実質的に完全な糞便微生物叢もしくはその一部(例えば、健康なヒトドナーに由来する)などの非培養糞便細菌調製物を含む細菌混合物を含む。本明細書において、「実質的に完全な糞便微生物叢」という用語は、当該糞便微生物叢が抽出された糞便中の生細菌細胞を代表する細菌分類群のすべて、または実質的にすべてに由来する生きた細菌細胞を含む、非培養糞便細菌調製物を指す。ある態様では、実質的に完全な糞便微生物叢中の分類群のうちの少なくとも二つに由来する生細菌細胞の相対的存在量は、当該糞便微生物叢が抽出された糞便中の当該分類群に由来する生細胞の相対的存在量に比例する。ある態様では、細菌混合物はさらに、一つ以上の細菌単離株を含む。ある態様では、細菌混合物は、細菌単離株を含まない。
【0130】
一つの態様では、非培養糞便細菌調製物は、糞便サンプルに由来するドナーの糞便微生物叢全体、または実質的に完全な糞便微生物叢を含む。一つの態様では、非培養糞便細菌調製物は、非選択糞便微生物叢を含む。別の態様では、非培養糞便細菌調製物は、生きた非病原性糞便細菌の単離された、もしくは精製された集団または群を含む。さらなる態様では、非培養糞便細菌調製物は、単一のドナーに由来する非選択的で実質的に完全な糞便微生物叢調製物を含む。別の態様では、本明細書において使用される医薬組成物は、生きた非病原性の細菌単離株と、生きた非病原性の精製または抽出された非培養糞便細菌調製物の混合物を含む。
【0131】
ある態様では、非培養糞便細菌調製物の製造には、エタノール処理、洗剤処理、熱処理、照射、およびソニケーションからなる群から選択される処理が含まれる。別の態様では、非培養糞便細菌調製物の製造には、エタノール処理、洗剤処理、熱処理、照射、およびソニケーションからなる群から選択される処理が含まれない。一つの態様では、非培養糞便細菌調製物の製造には、密度勾配、濾過(例えば、ふるい、ナイロンメッシュ)およびクロマトグラフィーからなる群から選択される分離工程が含まれる。一つの態様では、非培養糞便細菌調製物の製造には、密度勾配、濾過(例えば、ふるい、ナイロンメッシュ)およびクロマトグラフィーからなる群から選択される分離工程が含まれない。一つの態様では、非培養糞便細菌調製物は、対象の糞便サンプルに由来する糞便微生物叢全体、または実質的に全体を含む。別の態様では、本明細書において投与される医薬組成物は、ドナー真核細胞を実質的に含まない糞便微生物叢を含む。
【0132】
ある態様では、本明細書において提供され、投与される医薬組成物は、0.3以上、0.4以上、0.5以上、0.6以上、0.7以上、0.8以上、0.9以上、1.0以上、1.1以上、1.2以上、1.3以上、1.4以上、1.5以上、1.6以上、1.7以上、1.8以上、1.9以上、2.0以上、2.1以上、2.2以上、2.3以上、2.4以上、2.5以上、3.0以上、3.1以上、3.2以上、3.3以上、3.4以上、3.5以上、3.6以上、3.7以上、3.8以上、3.9以上、4.0以上、4.1以上、4.2以上、4.3以上、4.4以上、4.5以上、または5.0以上のシャノン多様性指標を含む、非培養糞便細菌調製物を含む。別の態様では、医薬組成物は、0.1~3.0、0.1~2.5、0.1~2.4、0.1~2.3、0.1~2.2、0.1~2.1、0.1~2.0、0.4~2.5、0.4~3.0、0.5~5.0、0.7~5.0、0.9~5.0、1.1~5.0、1.3~5.0、1.5~5.0、1.7~5.0、1.9~5.0、2.1~5.0、2.3~5.0、2.5~5.0、2.7~5.0、2.9~5.0、3.1~5.0、3.3~5.0、3.5~5.0、3.7~5.0、31.9~5.0、または4.1~5.0のシャノン多様性指標を含む糞便微生物叢を含む。一つの態様では、シャノン多様性指標は、門レベルで計算される。別の態様では、シャノン多様性指標は、科レベルで計算される。一つの態様では、シャノン多様性指標は、属レベルで計算される。別の態様では、シャノン多様性指標は、種レベルで計算される。さらなる態様では、医薬組成物は、正常で健康なヒト糞便フロラに類似した比例含有量のフロラ調製物を含む。
【0133】
さらなる態様では、医薬組成物は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10種類の異なる科に由来する糞便細菌を含む。別の態様では、医薬組成物は、少なくとも11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20種類の異なる科に由来する糞便細菌を含む。さらに別の態様では、医薬組成物は、少なくとも21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30種類の異なる科に由来する糞便細菌を含む。さらなる態様では、医薬組成物は、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40種類の異なる科に由来する糞便細菌を含む。別の態様では、医薬組成物は、少なくとも41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50種類の異なる科に由来する糞便細菌を含む。別の態様では、医薬組成物は、1~10、10~20、20~30、30~40、40~50種類の異なる科に由来する糞便細菌を含む。ある態様では、本明細書において提供および投与される医薬組成物は、0.05%以下、0.1%以下、0.2%以下、0.3%以下、0.4%以下、0.5%以下、0.6%以下、0.7%以下、0.8%以下、0.9%以下、1%以下、2%以下、3%以下、4%以下、5%以下、6%以下、7%以下、8%以下、9%以下、または10%以下の非生存物質重量/生物学的物質重量を含む、非培養糞便細菌調製物を含む。ある態様では、本明細書において提供および投与される医薬組成物は、20%以下、25%以下、30%以下、35%以下、40%以下、45%以下、50%以下、55%以下、60%以下、65%以下、70%以下、75%以下、80%以下、85%以下、90%以下、または95%以下の非生存物質重量/生物学的物質重量を含む、非培養糞便微生物叢を含む。別の態様では、本明細書において提供および投与される医薬組成物は、2.0mm、1.0mm、0.5mm、0.33mm,0.25mm、0.212mm、0.180mm、0.150mm、0.125mm、0.106mm、0.090mm、0.075mm、0.063mm、0.053mm、0.045mm、0.038mm、0.032mm、0.025mm、0.020mm、0.01mm、または0.002mmのふるいフィルターサイズ、排除フィルターサイズ、または粒子フィルターサイズを有する、ふるい、カラムまたは類似のろ過デバイスを通過する、糞便サンプルの非生存物質の粒子および/または生物学的物質の粒子を含み、からなり、または本質的にからなる。「非生存物質」は、処理された糞便物質に添加される例えば凍結保護剤などの薬学的に不活性な物質などの賦形剤を含まない。「生物学的物質」とは、糞便物質中の生きた物質を指し、例えば細菌および古細菌などの原核細胞(例えば、生きた原核生物細胞、および胞子形成して生きた原核生物細胞となることができる胞子)、例えば原生生物や真菌などの真核細胞、ならびにウイルスを含む微生物が含まれる。一つの態様では、「生物学的物質」とは、例えば正常で健康なヒトの結腸に存在する微生物、真核細胞、およびウイルスなどの生きた物質を指す。ある態様では、本明細書において提供または投与される医薬組成物は、ヒト糞便の抽出物を含み、この場合において当該組成物は実質的に無臭である。ある態様では、本明細書において提供または投与される医薬組成物は、凍結乾燥製剤、粗製剤、半精製製剤または精製製剤における、糞便物質または糞便フロラ調製物を含む。
【0134】
ある態様では、医薬組成物に含まれる非培養糞便細菌調製物は、高度に純化または精製された糞便フロラを含み、例えば、非フロラ糞便物質を実質的に含まない。ある態様では、ドナーから採取された非培養糞便微生物叢(非培養糞便細菌調製物を含む)はさらに処理されて、例えば、ふるいの前、後、またはふるい前後にマイクロ濾過を経てもよい。別の態様では、高度に精製された糞便微生物叢産物は、超濾過されて、高分子が除去されるが、例えば細菌などの治療用マイクロフロラは保持される。
【0135】
別の態様では、本明細書において使用される医薬組成物中の非培養糞便細菌調製物は、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%もしくは99.9%で単離され、または純粋である糞便フロラの単離物、または約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%もしくは1.0%以上の非糞便フロラ物質を有する糞便フロラの単離物である、実質的に単離された、もしくは精製された糞便フロラ、または全(または実質的に全)微生物叢、またはSadowskyらのWO2012/122478A1もしくはBorodyらのWO2012/016287A2に記載されるように、実質的に単離され、精製され、または実質的に全微生物叢を含み、または本質的にからなる。
【0136】
ある態様では、医薬組成物中に含有される非培養糞便細菌調製物は、ドナーの実質的に糞便微生物叢全体、または非選択糞便微生物叢を含む。別の態様では、医薬組成物中の糞便微生物叢は、抗生物質耐性の集団を含まない。別の態様では、医薬組成物は、非培養糞便微生物叢を含み、外来性物質(例えば、残留繊維、DNA、RNA、ウイルス被覆物質、非生存物質などの無細胞物質を含む非生存物質、および糞便物質のドナーに由来する真核細胞などの生存物質)をほとんど含まない。
【0137】
ある態様では、医薬組成物中の非培養糞便細菌調製物は、ヒトドナーの疾患スクリーニングされた糞便サンプルに由来する。ある態様では、糞便サンプルは、抗生物質耐性の集団を含まない。例えば、組成物は、抗生物質耐性の集団を含まない正常で健康なヒト糞便フロラに類似した、比例含有量であり得る生存フロラの調製物を含み得る。
【0138】
一つの態様では、本明細書に記載され、使用される非培養糞便細菌調製物は、アシダミノコッカス(Acidaminococcus)、アッカーマンシア(Akkermansia)、アリスティペス(Alistipes)、アナエロツルンカス(Anaerotruncus)、バクテロイデス(Bacteroides)、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)、ブラウティア(Blautia)、ブチリビブリオ(Butyrivibrio)、クロストリジウム(Clostridium)、コリンセラ(Collinsella)、コプロコッカス(Coprococcus)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、ドレア(Dorea)、エンテロコッカス(Enterococcus)、エシェリキア(Escherichia)、ユーバクテリウム(Eubacterium)、フィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)、ヘモフィルス(Haemophilus)、ホールディマニア(Holdemania)、ラクトバチルス(Lactobacillus)、モラクセラ(Moraxella)、パラバクテロイデス(Parabacteroides)、プレボテラ(Prevotella)、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)、ラオウルテラ(Raoultella)、ロゼブリア(Roseburia)、ルミノコッカス(Ruminococcus)、スタフィロコッカス(Staphylococcus)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、サブドリグラヌルム(Subdoligranulum)、およびベイロネラ(Veillonella)からなる群から選択される一つ以上、二つ以上、三つ以上、四つ以上、または五つ以上の生きた糞便微生物を含む。一つの態様では、糞便微生物叢調製物は、バクテロイデス・フラギリス亜種ブルガツス(Bacteroides fragilis ssp.vulgatus)、コリンセラ・アエロファシエンス(Collinsella aerofaciens)、バクテロイデス・フラギリス亜種 シータイオタオミクロン(Bacteroides fragilis ssp.thetaiotaomicron)、ぺプトストレプトコッカス・プロダクツス II(Peptostreptococcus productus II)、パラバクテロイデス・ディスタソニス(Parabacteroides distasonis)、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ(Faecalibacterium prausnitzii)、コプロコッカス・エウタクツス(Coprococcus eutactus)、ぺプトストレプトコッカス・プロダクツス I(Peptostreptococcus productus I)、ルミノコッカス・ブロミイ(Ruminococcus bromii)、ビフィドバクテリウム・アドレッセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ゲムミゲル・ホルミシリス(Gemmiger formicilis)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ユーバクテリウム・シラエウム(Eubacterium siraeum)、ルミノコッカス・トークス(Ruminococcus torques)、ユーバクテリウム・レクタレ(Eubacterium rectale)、ユーバクテリウム・エリゲンス(Eubacterium eligens)、バクテロイデス・エッゲルチイ(Bacteroides eggerthii)、くろす・レプツム(Clostridium leptum)、バクテロイデス・フラギリス亜種A(Bacteroides fragilis ssp.A)、ユーバクテリウム・ビホルメ(Eubacterium biforme)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ユーバクテリウム・レクタレ(Eubacterium rectale)、コプロコッカス・コメス(Coprococcus comes)、シュードフラボニフラクター・カピローサス(Pseudoflavonifractor capillosus)、ルミノコッカス・アルブス(Ruminococcus albus)、ドレア・ホルミシゲネランス(Dorea formicigenerans)、ユーバクテリウム・ハリイ(Eubacterium hallii)、ユーバクテリウム・ベントリサム I(Eubacterium ventriosum I)、フソバクテリウム・ルッシ(Fusobacterium russi)、ルミノコッカス・オベウム(Ruminococcus obeum)、ユーバクテリウム・レクタレ(Eubacterium rectale)、クロストリジウム・ラモサム(Clostridium ramosum)、ラクトバチルス・ライヒマンニイ(Lactobacillus leichmannii)、ルミノコッカス・カリダス(Ruminococcus callidus)、ブチリビブリオ・クロッソタス(Butyrivibrio crossotus)、アシダミノコッカス・フェルメンタンス(Acidaminococcus fermentans)、ユーバクテリウム・ベントリサム(Eubacterium ventriosum)、バクテロイデス・フラギリス亜種 フラギリス(Bacteroides fragilis ssp.fragilis)、コプロコッカス・カツス(Coprococcus catus)、アエロスティペス・ハドラス(Aerostipes hadrus)、ユーバクテリウム・シリンドロイデス(Eubacterium cylindroides)、ユーバクテリウム・ルミナンチウム(Eubacterium ruminantium)、スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)、ユーバクテリウム・リモサム(Eubacterium limosum)、チッシレラ・プラエアクタ(Tissirella praeacuta)、フソバクテリウム・モルチフェラム I(Fusobacterium mortiferum I)、フソバクテリウム・ナビホルメ(Fusobacterium naviforme)、クロストリジウム・イノキュウム(Clostridium innocuum)、クロストリジウム・ラモサム(Clostridium ramosum)、プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)、ルミノコッカス・フラベファシエンス(Ruminococcus flavefaciens)、バクテロイデス・フラギリス亜種 オバツス(Bacteroides fragilis ssp.ovatus)、フソバクテリウム・ヌクレアツム(Fusobacterium nucleatum)、フソバクテリウム・モルチフェラム(Fusobacterium mortiferum)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、ゲメラ・モルビロラム(Gemella morbillorum)、フィネゴルディア・マグヌス(Finegoldia magnus)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ルミノコッカス・ラクタリス(Ruminococcus lactaris)、ユーバクテリウム・テヌエ(Eubacterium tenue)、ユーバクテリウム・ラムルス(Eubacterium ramulus)、バクテロイデス・クロストリジイホルミス亜種クロストリジイホルミス(Bacteroides clostridiiformis ssp.clostridliformis)、バクテロイデス・コアグランス(Bacteroides coagulans)、プレボテラ・オラリス(Prevotella oralis)、プレボテラ・ルミニコラ(Prevotella ruminicola)、オドリバクター・スプランクニクス(Odoribacter splanchnicus)、およびデスイフォモナス・ピグラ(Desuifomonas pigra)からなる群から選択される一つ以上、二つ以上、三つ以上、四つ以上、または五つ以上の生存糞便微生物を含む。
【0139】
一つの態様では、本明細書に記載され、使用される糞便微生物叢調製物は、アシダミノコッカス(Acidaminococcus)、アッカーマンシア(Akkermansia)、アリスティペス(Alistipes)、アナエロツルンカス(Anaerotruncus)、バクテロイデス(Bacteroides)、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)、ブラウティア(Blautia)、ブチリビブリオ(Butyrivibrio)、クロストリジウム(Clostridium)、コリンセラ(Collinsella)、コプロコッカス(Coprococcus)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、ドレア(Dorea)、エンテロコッカス(Enterococcus)、エシェリキア(Escherichia)、ユーバクテリウム(Eubacterium)、フィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)、ヘモフィルス(Haemophilus)、ホールディマニア(Holdemania)、ラクトバチルス(Lactobacillus)、モラクセラ(Moraxella)、パラバクテロイデス(Parabacteroides)、プレボテラ(Prevotella)、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)、ラオウルテラ(Raoultella)、ロゼブリア(Roseburia)、ルミノコッカス(Ruminococcus)、スタフィロコッカス(Staphylococcus)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、サブドリグラヌルム(Subdoligranulum)、およびベイロネラ(Veillonella)からなる群から選択される一つ以上、二つ以上、三つ以上、四つ以上、または五つ以上の生きた糞便微生物を欠くか、または実質的に有さない。一つの態様では、糞便微生物叢調製物は、バクテロイデス・フラギリス亜種ブルガツス(Bacteroides fragilis ssp.vulgatus)、コリンセラ・アエロファシエンス(Collinsella aerofaciens)、バクテロイデス・フラギリス亜種シータイオタオミクロン(Bacteroides fragilis ssp.thetaiotaomicron)、ぺプトストレプトコッカス・プロダクツス II(Peptostreptococcus productus II)、パラバクテロイデス・ディスタソニス(Parabacteroides distasonis)、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ(Faecalibacterium prausnitzii)、コプロコッカス・エウタクツス(Coprococcus eutactus)、ぺプトストレプトコッカス・プロダクツス I(Peptostreptococcus productus I)、ルミノコッカス・ブロミイ(Ruminococcus bromii)、ビフィドバクテリウム・アドレッセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ゲムミゲル・ホルミシリス(Gemmiger formicilis)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ユーバクテリウム・シラエウム(Eubacterium siraeum)、ルミノコッカス・トークス(Ruminococcus torques)、ユーバクテリウム・レクタレ(Eubacterium rectale)、ユーバクテリウム・エリゲンス(Eubacterium eligens)、バクテロイデス・エッゲルチイ(Bacteroides eggerthii)、くろす・レプツム(Clostridium leptum)、バクテロイデス・フラギリス亜種A(Bacteroides fragilis ssp.A)、ユーバクテリウム・ビホルメ(Eubacterium biforme)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ユーバクテリウム・レクタレ(Eubacterium rectale)、コプロコッカス・コメス(Coprococcus comes)、シュードフラボニフラクター・カピローサス(Pseudoflavonifractor capillosus)、ルミノコッカス・アルブス(Ruminococcus albus)、ドレア・ホルミシゲネランス(Dorea formicigenerans)、ユーバクテリウム・ハリイ(Eubacterium hallii)、ユーバクテリウム・ベントリサム I(Eubacterium ventriosum I)、フソバクテリウム・ルッシ(Fusobacterium russi)、ルミノコッカス・オベウム(Ruminococcus obeum)、ユーバクテリウム・レクタレ(Eubacterium rectale)、クロストリジウム・ラモサム(Clostridium ramosum)、ラクトバチルス・ライヒマンニイ(Lactobacillus leichmannii)、ルミノコッカス・カリダス(Ruminococcus callidus)、ブチリビブリオ・クロッソタス(Butyrivibrio crossotus)、アシダミノコッカス・フェルメンタンス(Acidaminococcus fermentans)、ユーバクテリウム・ベントリサム(Eubacterium ventriosum)、バクテロイデス・フラギリス亜種フラギリス(Bacteroides fragilis ssp.fragilis)、コプロコッカス・カツス(Coprococcus catus)、アエロスティペス・ハドラス(Aerostipes hadrus)、ユーバクテリウム・シリンドロイデス(Eubacterium cylindroides)、ユーバクテリウム・ルミナンチウム(Eubacterium ruminantium)、スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)、ユーバクテリウム・リモサム(Eubacterium limosum)、チッシレラ・プラエアクタ(Tissirella praeacuta)、フソバクテリウム・モルチフェラム I(Fusobacterium mortiferum I)、フソバクテリウム・ナビホルメ(Fusobacterium naviforme)、クロストリジウム・イノキュウム(Clostridium innocuum)、クロストリジウム・ラモサム(Clostridium ramosum)、プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)、ルミノコッカス・フラベファシエンス(Ruminococcus flavefaciens)、バクテロイデス・フラギリス亜種 オバツス(Bacteroides fragilis ssp.ovatus)、フソバクテリウム・ヌクレアツム(Fusobacterium nucleatum)、フソバクテリウム・モルチフェラム(Fusobacterium mortiferum)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、ゲメラ・モルビロラム(Gemella morbillorum)、フィネゴルディア・マグヌス(Finegoldia magnus)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ルミノコッカス・ラクタリス(Ruminococcus lactaris)、ユーバクテリウム・テヌエ(Eubacterium tenue)、ユーバクテリウム・ラムルス(Eubacterium ramulus)、バクテロイデス・クロストリジイホルミス亜種クロストリジイホルミス(Bacteroides clostridiiformis ssp.clostridliformis)、バクテロイデス・コアグランス(Bacteroides coagulans)、プレボテラ・オラリス(Prevotella oralis)、プレボテラ・ルミニコラ(Prevotella ruminicola)、オドリバクター・スプランクニクス(Odoribacter splanchnicus)、およびデスイフォモナス・ピグラ(Desuifomonas pigra)からなる群から選択される一つ以上、二つ以上、三つ以上、四つ以上、または五つ以上の生存糞便微生物を欠くか、または実質的に有さない。
【0140】
ある態様では、医薬組成物への組み込みのための非培養糞便細菌調製物は、クロストリジウム・アブソヌム(Clostridium absonum)、クロストリジウム・アルゲンチネンス(Clostridium argentinense)、クロストリジウム・ハラチイ(Clostridium baratii)、クロストリジウム・ボツリヌム(Clostridium botulinum)、クロストリジウム・カダベリス(Clostridium cadaveris)、クロストリジウム・カルニス(Clostridium carnis)、クロストリジウム・セラツム(Clostridium celatum)、クロストリジウム・ショウベイ(Clostridium chauvoei)、クロストリジウム・クロストリジオホルメ(Clostridium clostridioforme)、クロストリジウム・コクレアリウム(Clostridium cochlearium)、クロストリジウム・ファラックス(Clostridium fallax)、クロストリジウム・フェルシネウム(Clostridium felsineum)、クロストリジウム・ゴニイ(Clostridium ghonii)、クロストリジウム・グリコリクム(Clostridium glycolicum)、クロストリジウム・ヘモリチクム(Clostridium haemolyticum)、クロストリジウム・ハスティホルメ(Clostridium hastiforme)、クロストリジウム・ヒストリチクム(Clostridium histolyticum)、クロストリジウム・インドーリス(Clostridium indolis)、クロストリジウム・イレギュラレ(Clostridium irregulare)、クロストリジウム・リモスム(Clostridium limosum)、クロストリジウム・マレノミナツム(Clostridium malenominatum)、クロストリジウム・ノービイ(Clostridium novyi)、クロストリジウム・オロティクム(Clostridium oroticum)、クロストリジウム・パラプトリフィクム(Clostridium paraputrificum)、クロストリジウム・パーフリンゲンス(Clostridium perfringens)、クロストリジウム・ピリフォルメ(Clostridium piliforme)、クロストリジウム・プトレファシエンス(Clostridium putrefaciens)、クロストリジウム・プトリフィクム(Clostridium putrificum)、クロストリジウム・サルディニエンス(Clostridium sardiniense)、クロストリジウム・サルタゴフォルメ(Clostridium sartagoforme)、クロストリジウム・シンデンス(Clostridium scindens)、クロストリジウム・スペティクム(Clostridium septicum)、クロストリジウム・ソルデリイ(Clostridium sordellii)、クロストリジウム・スフェノイデス(Clostridium sphenoides)、クロストリジウム・スピロフォルメ(Clostridium spiroforme)、クロストリジウム・スポロゲネス(Clostridium sporogenes)、クロストリジウム・スブテルミナレ(Clostridium subterminale)、クロストリジウム・シンビオスム(Clostridium symbiosum)、クロストリジウム・テルチウム(Clostridium tertium)、クロストリジウム・テタニ(Clostridium tetani)、クロストリジウム・ウェルチイ(Clostridium welchii)、およびクロストリジウム・ビロスム(Clostridium villosum)からなる群から選択される一つ以上、二つ以上、三つ以上、または四つ以上のクロストリジウム属の非病原性胞子を含む。ある態様では、医薬組成物は、バクテロイデス・コプロコラ(Bacteroides coprocola)、バクテロイデス・プレベイウス(Bacteroides plebeius)、バクテロイデス・マッシリエンシス(Bacteroides massiliensis)、バクテロイデス・ブルガツス(Bacteroides vulgatus)、バクテロイデス・ヘルコゲネス(Bacteroides helcogenes)、バクテロイデス・ピオゲネス(Bacteroides pyogenes)、バクテロイデス・テクツス(Bacteroides tectus)、バクテロイデス・ユニフォルミス(Bacteroides uniformis)、バクテロイデス・ステルコリス(Bacteroides stercoris)、バクテロイデス・エガーシイ(Bacteroides eggerthii)、バクテロイデス・フィネゴルジイ(Bacteroides finegoldii)、バクテロイデス・シータイオタオミクロン(Bacteroides thetaiotaomicron)、バクテロイデス・オバツス(Bacteroides ovatus)、バクテロイデス・アシディファシエンス(Bacteroides acidifaciens)、バクテロイデス・カッカエ(Bacteroides caccae)、バクテロイデス・ノルジイ(Bacteroides nordii)、バクテロイデス・サルエルシアエ(Bacteroides salyersiae)、バクテロイデス・フラギリス(Bacteroides fragilis)、バクテロイデス・インテスチナリス(Bacteroides intestinalis)、バクテロイデス・コプロスイス(Bacteroides coprosuis)、バクテロイデス・ディスタソニス(Bacteroides distasonis)、バクテロイデス・ゴルドステイニイ(Bacteroides goldsteinii)、バクテロイデス・メルダエ(Bacteroides merdae)、バクテロイデス・フォーサイサス(Bacteroides forsythus)、バクテロイデス・スプランキニクス(Bacteroides splanchnicus)、バクテロイデス・カピロサス(Bacteroides capillosus)、バクテロイデス・セルロソルベンス(Bacteroides cellulosolvens)、およびバクテロイデス・ウレオリチカス(Bacteroides ureolyticus)の群から選択される一つ以上、二つ以上、三つ以上、または四つ以上の非病原性バクテロイデス種を含む。
【0141】
ある態様では、医薬組成物は、生きた非病原性のクロストリジウムと、コリンセラ、コプロコッカス、ドレア、ユーバクテリウムおよびルミノコッカスからなる群から選択される一つ以上の属に由来する複数の生きた非病原性の微生物を含む。別の態様では、医薬組成物は、クロストリジウム、コリンセラ、コプロコッカス、ドレア、ユーバクテリウムおよびルミノコッカスからなる群から選択される一つ以上の属に由来する複数の生きた非病原性の微生物を含む。
【0142】
ある態様では、医薬組成物は、コリンセラ、コプロコッカス、ドレア、ユーバクテリウム、およびルミノコッカスからなる群から選択される二つ以上の属を含む。別の態様では、医薬組成物は、コプロコッカス、ドレア、ユーバクテリウム、およびルミノコッカスからなる群から選択される二つ以上の属を含む。さらなる態様では、医薬組成物は、コプロコッカス・カツス(Coprococcus catus)、コプロコッカス・コメス(Coprococcus comes)、ドレア・ロンギカテナ(Dorea longicatena)、ユーバクテリウム・エリゲンス(Eubacterium eligens)、ユーバクテリウム・ハドルム(Eubacterium hadrum)、ユーバクテリウム・ハリイ(Eubacterium hallii)、ユーバクテリウム・レクタレ(Eubacterium rectale)、およびルミノコッカス・トルクエス(Ruminococcus torques)からなる群から選択される一つ以上、二つ以上、三つ以上、四つ以上、または五つ以上の種を含む。
【0143】
ある態様では、本明細書に記載される非培養糞便細菌調製物は、当該糞便細菌が由来する糞便において代表される100%の生きた細菌分類群に由来する生細胞を含む。ある態様では、本明細書に記載される非培養糞便細菌調製物は、当該糞便細菌が由来する糞便において代表される生きた細菌分類群の少なくとも99%に由来する生細胞を含む。ある態様では、本明細書に記載される非培養糞便細菌調製物は、当該糞便細菌が由来する糞便において代表される生きた細菌分類群の少なくとも98%に由来する生細胞を含む。ある態様では、本明細書に記載される非培養糞便細菌調製物は、当該糞便細菌が由来する糞便において代表される生きた細菌分類群の少なくとも97%に由来する生細胞を含む。ある態様では、本明細書に記載される非培養糞便細菌調製物は、当該糞便細菌が由来する糞便において代表される生きた細菌分類群の96%に由来する生細胞を含む。ある態様では、本明細書に記載される非培養糞便細菌調製物は、当該糞便細菌が由来する糞便において代表される生きた細菌分類群の少なくとも95、94、93、92、91、90、89、88、87、85、84、83、82、81、80、75、70、65、60、55、50、45、または40%に由来する生細胞を含む。
【0144】
ある態様では、本明細書に開示される医薬組成物は、滅菌糞便ろ過物または非細胞性糞便ろ過物を含む。一つの態様では、滅菌糞便ろ過物は、ドナーの糞便に由来する。別の態様では、滅菌糞便ろ過物は、培養微生物に由来する。別の態様では、滅菌糞便ろ過物は、非細胞性で非粒子性の糞便成分を含む。一つの態様では、滅菌糞便ろ過物は、2014年5月30日に公開されたWO2014/078911に記載されるように作製される。別の態様では、滅菌糞便ろ過物は、Ott et al.,Gastroenterology 152:799-911(2017)に記載されるように作製される。
【0145】
一つの態様では、糞便ろ過物は、分泌された成分、排泄された成分、もしくは別手段による液体成分、または微生物叢を含み、例えば抗生物質または抗炎症薬であり得る生物学的活性分子(BAM)が、フロラ抽出物中に保存され、保持され、または再構成される。
【0146】
一つの態様では、糞便ろ過物を含む例示的な医薬組成物は、規定のドナープールからのドナーに由来する開始物質を含み、この場合において当該ドナーは糞便を提供し、当該糞便はホモジナイズおよび遠心分離されて、例えば多くの場合は約5マイクロメーター直径未満の金属ふるいまたはミリポアフィルターなどを使用した超高レベルのろ過を受けて、最終的に細菌起源の細胞のみが残留する。最初の遠心分離後に固形物質を液体から分離することができ、次いで当該固形物を、例えばミリポアろ過を使用して、および任意選択的にナノ膜ろ過の使用も含み、漸減サイズフィルターおよび接線フィルターにおいてろ過する。ろ過は、WO 2012/122478に記載されるようなふるいにより行われてもよいが、対照的に、.0120mmより小さく、約.0110mmまでのふるいを使用すると、細菌細胞のみが最終的に存在するようになる。
【0147】
遠心分離中に分離された上清は、一部の態様では、例えばミリポアろ過または同等のシステムなどのろ過において漸進的にろ過されて液体を生成し、これを約0.22ミクロンフィルターを通して微細濾過する。これにより、細菌およびウイルスを含む、すべての生存物質を含むすべての粒子状物質が除去される。その後、生成物は滅菌される。しかし目的は、細菌を除去するが、その分泌物、特に抗微生物性バクテリオシン、細菌由来サイトカイン様生成物、および付随する全ての生物活性分子(BAM)を維持することであり、当該分子としては、スリシン(ドナー糞便においてバシラス綱により分泌される)、バクテリオシン(コリシン(colicin)、トロウデュリキシン(troudulixine)またはプタインディシン(putaindicine)、またはマイクロシン(microcin)またはサブチロシンA(subtilosin A))、ランビオティクス(lanbiotics)(ニシン(nisin)、サブチリン(subtilin)、エピデルミン(epiderumin)、ムタシン(mutacin)、メルサシジン(mersacidin)、アンタガルジン(antagardine)、シンナマイシン(cinnamycin))、ラクチシン(lacticins)および他の抗微生物性化合物または抗炎症性化合物が挙げられる。
【0148】
一つの態様では、医薬組成物は、精製された糞便微生物叢(非培養糞便細菌調製物を含む)および非細胞性糞便ろ過物の組み合わせから本質的になる、生構成された糞便フロラを含む。別の態様では、医薬組成物は、一つ以上の非細胞性非粒子状糞便成分を補充された精製糞便微生物叢(非培養糞便細菌調製物を含む)を含む。一つの態様では、医薬組成物は、一つ以上の非細胞性非粒子状糞便成分を含む。一つの態様では、一つ以上の非細胞性非粒子状糞便成分は、合成分子、糞便微生物によって産生される生物活性分子、またはその両方を含む。別の態様では、一つ以上の非細胞性非粒子状糞便成分は、生物学的に活性なタンパク質もしくはペプチド、微量栄養素、脂肪、糖、低炭水化物、微量元素、無機塩、灰分、粘液、アミノ酸、栄養素、ビタミン、ミネラル、またはそれらの任意の組み合わせを含む。一つの態様では、一つ以上の非細胞性非粒子状糞便成分は、バクテリオシン、ランビオティクス、およびラクチシンからなる群から選択される一つ以上の生物活性分子を含む。別の態様では、一つ以上の非細胞性非粒子状糞便成分は、コリシン、トロウデュリキシン、プタインディシン、マイクロシンおよびサブチロシンAからなる群から選択される一つ以上のバクテリオシンを含む。一つの態様では、一つ以上の非細胞性非粒子状糞便成分は、スリシン、ニシン、サブチリン、エピデルミン、ムタシン、メルサシジン、アクタガルジン(actagardine)、およびシンナマイシンからなる群から選択される一つ以上のランビオティクスを含む。別の態様では、一つ以上の非細胞性非粒子状糞便成分は、抗胞子化合物、抗微生物化合物、抗炎症化合物、またはそれらの任意の組み合わせを含む。さらなる態様では、一つ以上の非細胞性非粒子状糞便成分は、インターロイキン、サイトカイン、ロイコトリエン、エイコサノイド、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0149】
別の態様では、医薬組成物は、例えばヒトGI微生物叢の部分的または完全な代表物である非培養糞便細菌調製物と、フロラ(微生物叢)の単離された、処理された、ろ過された、濃縮された、再構成された、および/または人工の液体成分(例えば糞便ろ過物)の両方を含み、液体成分は他の成分の中でも細菌分泌産物、例えばバクテリオシン(細菌により産生されるタンパク質毒素、コリシン、トロウデュリキシンもしくはプタインディシン、またはマイクロシンもしくはサブチロシンAを含む)、ランビオティクス(特徴的な多環式チオエーテルアミノ酸のランチオニン(lanthionine)またはメチルランチオニン(methyllanthionine)および不飽和アミノ酸であるデヒドロアラニンと2-アミノイソ酪酸を含有するペプチド抗生物質種、スリシン(ドナー糞便中でバシラス綱により分泌される)、ニシン、サブチリン、エピデルミン、ムタシン、メルサシジン、アクタガルジン、シンナマイシンを含む)、ラクチシン(孔形成ペプチド毒素ファミリー)、および他の抗微生物化合物もしくは抗炎症性化合物、ならびに/または微生物叢の細菌もしくは他の微生物により産生され、ならびに/または微生物叢の「液体成分」中に存在する追加の生物活性分子(BAM)、を含む。
【0150】
一つの態様では、非培養糞便細菌調製物を含む医薬組成物は、糞便の非細胞性ろ過物を基にした医薬組成物と同時に使用される。別の態様では、患者は、第一の糞便非細胞性ろ過物を基にした医薬組成物で治療され、その後、非培養糞便細菌調製物を含む第二の医薬組成物を与えられる。その逆も然り。さらなる態様では、治療方法は、以下の三つの工程を含む:第一の工程は、抗生物質での前処理を行い、感染性病原体を非選択的に除去する工程;第二の工程は、糞便非細胞性ろ過物を基にした治療工程であり、選択感染性病原体をさらに抑制する工程;そして第三の工程は、非培養糞便細菌調製物を含む医薬組成物を用いた治療を行い、機能性腸内微生物叢を再確立させる工程。
【0151】
ある態様では、対象(例えば、ASD患者)に投与される非培養糞便細菌調製物を含む細菌混合物を含む組成物は、投与された細菌混合物に由来する細菌細胞と、対象の腸内フロラに内在性の細菌細胞を置き換えることを基にした、治癒、症状の減少、または症状のパーセンテージの減少を生じさせる。フロラの変化は、可能な限り「ほぼ完全」であってもよい。典型的には、腸内フロラの変化は、健康なヒトドナーの糞便に由来するフロラのアレイを、対象の胃腸系に導入することを含み、これにより、そのような治療を必要とする患者(例えば、ASD患者)の病原性腸内フロラを実質的にまたは完全に置き換えることができる。
【0152】
本明細書に記載される医薬組成物は、例えば健康なヒトドナーなどのドナーの糞便サンプルに由来する細菌などの微生物を含んでもよい。ある態様では、組成物は、健康なヒトドナーの糞便サンプルの糞便微生物叢のすべて、または一部に由来する非培養糞便細菌調製物を組み込む。例えば、組成物は、健康なヒトドナーの糞便サンプルの実質的に完全な糞便微生物叢を組み込んでもよい。ある態様では、組成物は、糞便微生物叢の細菌単離株を組み込み、この場合において当該細菌単離株は、健康なヒトドナーからの糞便サンプルの糞便微生物叢のすべてまたは一部から精製され、および/または培養される。したがって、糞便サンプルからの糞便微生物叢の採取、抽出および/または精製は、非培養糞便細菌調製物または細菌単離株のうちの少なくとも一つを含む組成物を調製するために実施されてもよい。
【0153】
一つの態様では、本明細書に記載される組成物(例えば、非培養糞便細菌調製物と少なくとも一つの細菌単離株のうちの一つ以上を含む細菌混合物を含む)の調製における使用のための例示的な糞便微生物叢は、ヒトドナー由来の開始物質を含む。別の態様では、例示的な糞便微生物叢は、一つ以上の健康なヒトドナーに由来する物質を含む。さらに別の態様では、例示的な糞便微生物叢は、公知の規定ドナーのプールに由来する開始物質を含む。別の態様では、ドナーは、成人男性である。さらなる態様では、ドナーは、成人女性である。さらに別の態様では、ドナーは、青年期の男性である。別の態様では、ドナーは、青年期の女性である。別の態様では、ドナーは、女児である。別の態様では、ドナーは、男児である。別の態様では、ドナーは、健康である。一つの態様では、ヒトドナーは、約18、15、12、10、8、6、4、3、2、または1歳未満の子供である。別の態様では、ヒトドナーは、高齢者である。さらなる態様では、ヒトドナーは、約30歳、35歳、40歳、45歳、50歳、55歳、60歳、65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、または95歳を超える個体である。別の態様では、ドナーは、1~5、2~10、3~18、21~50、21~40、21~30、50~90、60~90、70~90、60~80、または65~75歳である。一つの態様では、ドナーは、前期高齢者の個体(65~74歳)である。一つの態様では、ドナーは、中期高齢者の個体(75~84歳)である。一つの態様では、ドナーは、高齢の個体(>85歳)である。さらに別の態様では、ドナーは、注意深くスクリーニングされた、健康で神経学的機能が正常なヒトである。
【0154】
ある態様では、糞便ドナーは、自身の糞便マイクロバイオームのプロファイルについて事前スクリーニングされる。別の態様では、糞便ドナーは、ドナーの糞便中の一つ以上の糞便細菌の綱、科、属または種の存在について選択される。別の態様では、糞便ドナーは、ドナーの糞便中の一つ以上の閾値存在量を超えるレベルの糞便細菌の綱、科、属、種または株の存在について選択される。ある態様では、糞便ドナーは、ラクトバチルス、ビフィドバクテリウム、ストレプトコッカス、プレボテラ、デスルフォビブリオ(Desulfovibrio)、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるドナー糞便中の一つ以上の細菌属の存在、または閾値存在量を基にして選択されてもよい。ある態様では、糞便ドナーは、クロストリジウム、バクテロイデス、エガセラ、ビフィドバクテリウム、プレボテラ、およびデスルフォビブリオ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるドナー糞便中の一つ以上の細菌属の存在、または閾値存在量を基にして選択されてもよい。ある態様では、糞便ドナーは、プレボテラ、コプロコッカス、プレボテラセアエ、およびベイロネラセアエ、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択されるドナー糞便中の一つ以上の細菌分類群の存在、または閾値存在量を基にして選択されてもよい。ある態様では、糞便ドナーは、ラクトバチルス、ビフィドバクテリウム、ストレプトコッカス、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される一つ以上の細菌属の存在、または閾値存在量を基にして選択されてもよい。ある態様では、糞便ドナーは、ラクトバチルス属のドナー糞便中の存在、または閾値存在量を基にして選択されてもよい。ある態様では、糞便ドナーは、ドナー糞便中のラクトバチルス・ロイテリの存在、または閾値存在量を基にして選択されてもよい。
【0155】
ある態様では、糞便サンプルは、当該糞便サンプル中の一つ以上の細菌の綱、科、属、種もしくは株の存在、または存在量を基にして、医薬組成物への組み込みのための非培養糞便細菌調製物の供給源として選択されてもよい。ある態様では、糞便サンプルは、ラクトバチルス、ビフィドバクテリウム、ストレプトコッカス、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される細菌属の構成員の存在、または閾値存在量を基にして選択されてもよい。ある態様では、糞便サンプルは、糞便サンプル中のラクトバチルス・ロイテリの存在、または閾値存在量を基にして選択されてもよい。
【0156】
一つ以上の細菌の属、種または株の存在または存在量(例えば、L.ロイテリの存在または存在量)を基にして選択されたドナーの糞便から抽出された非培養糞便細菌調製物は、当該調製物に任意の細菌単離株を添加することなく、本明細書に記載される医薬組成物内に直接組み込まれてもよく、あるいは選択の基となったものと同じ属、種または株の細菌単離株をスパイクされてもよい。
【0157】
ある態様では、糞便ドナーは、プロバイオティクスおよび/またはプレバイオティクスの摂取が無い状態での細菌の属、種または株の相対的な糞便存在量と比較して、ドナーの腸管内の細菌の属、種もしくは株の増殖または存在を促進するプロバイオティクスおよび/またはプレバイオティクスの摂取により、当該細菌の属、種または株の相対的糞便存在量が高い。
【0158】
別の態様では、糞便提供を行う前に、ドナーは、例えばオリゴフルクトース、イヌリン、大麦プレバイオティクス、または別の食物繊維などの特定のプレバイオティクスを受け取り、または摂取する。別の態様では、糞便提供を行う前に、ドナーは、選択された糞便細菌に対する増殖刺激剤を受け取り、または摂取する。別の態様では、糞便提供を行う前に、ドナーは、りんごペクチン、N-アセチルグルコサミン、システイン、グルタチオン、リボフラビン、およびフラビンのうちの一つ以上を受け取り、または摂取する。
【0159】
ある態様では、注意深くスクリーニングされたドナーは、完全な既往歴および身体検査を受ける。ドナーは、感染因子のリスクがある場合、除外される。追加の除外基準には、以下が含まれる:
1.B型肝炎、C型肝炎、またはHIVによるウイルス感染が判明している
2.任意の時点でのHIVまたは肝炎ウイルスへの暴露が判明している
3.薬物または金銭に対する性交渉、男性との性交渉を行う男性、過去12か月間に性的パートナーが複数人、過去に静脈薬剤または鼻腔内コカインを使用、投監歴を含む、ハイリスクな行動。
4.12か月以内に刺青またはボディピアス。
5.旅行者の下痢のリスクが米国よりも高い地域への旅行。
6.現在の伝染性疾患、例えば、上気道ウイルス感染。
7.過敏性腸症候群の既往歴。具体的な症状には、頻繁な腹部痙攣、過剰なガス、膨満感、腹部膨満、便意切迫感、下痢、便秘が含まれ得る。
8.例えばクローン病、潰瘍性大腸炎、顕微鏡的大腸炎などの炎症性腸疾患の既往歴。
9.慢性的な下痢。
10.慢性的な便秘症または便秘薬の使用。
11.消化管の悪性腫瘍の既往歴、または結腸ポリープ症が判明している。
12.例えば胃バイパス、腸切除、虫垂切除術、胆嚢摘出術などの任意の腹部手術の既往歴。
13.消化制御の目的で、ドナー候補者によりプロバイオティクス、または任意の他の市販の補助剤が使用される。ヨーグルトやケフィア製品は、栄養補助食品ではなく単に食品として摂取した場合には許可される。
14.過去6か月以内に何らかの適応症に対する抗生物質。
15.何らかの免疫抑制薬または抗腫瘍薬が処方された。
16.メタボリックシンドロームの確立または出現。ここでの定義に使用される基準は、いずれの確立基準よりも厳格である。これには、血圧上昇の既往歴、糖尿病の既往歴、またはグルコース不耐性の既往歴が含まれる。
17.全身性自己免疫性疾患、例えば、結合組織疾患、多発性硬化症が判明している。
18.喘息または湿疹を含むアトピー性疾患が判明している。
19.線維筋痛症、慢性疲労症候群を含む慢性疼痛症候群。
20.吸入剤または局所用クリームおよび軟膏を含む、任意の処方薬の継続的な(断続的であっても)使用。
21.自閉症、パーキンソン病を含む、神経学的で神経発達上の神経変性疾患。
22.概則。ボディマスインデックス>26kg/m2、ウェスト:ヒップの比率>0.85(男性)および>0.80(女性)により定義される中心性肥満。
23.収縮期血圧>135mmHg、および拡張期血圧>85mmHg。
24.皮膚-1年以内に、発疹が存在、タトゥーもしくはボディピアスを施術、または黄疸。
25.肥大リンパ節。
26.聴診での喘鳴。
27.肝腫大、または肝疾患の兆候。
28.関節腫脹または圧痛関節。筋力低下。
29.神経学的検査の異常。
30.PCR試験により、糞便クロストリジウム・ディフィシレ毒素Bが陽性。
31.サルモネラ菌、赤痢菌、エルシニア菌、カンピロバクター菌、大腸菌0157:H7を含む日常的な病原体のいずれかに関し、糞便培養陽性。
32.卵および寄生虫検査の異常。
33.ジアルジア、クリプトスポリジウム、またはヘリコバクターピロリ抗原の陽性。
34.HIV1および2、A型肝炎ウイルスIgM、肝炎表面抗原およびコアAbを含む、任意のウイルス病に対するスクリーニング陽性。
35.異常RPR(梅毒のスクリーニング)。
36.アルカリホスファターゼ、アスパラギン酸アミノトランスアミナーゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼを含む、任意の肝機能検査の異常。
37.血清トリグリセリドの上昇>150mg/Dl
38.HDLコレステロール<40mg/dL(男性)および<50mg/dL(女性)
39.高感度CRP>2.4mg/L
40.空腹時血漿グルコース上昇(>100mg/dL)
【0160】
一つの態様では、本明細書において、糞便サンプルを収集および処理して、非培養糞便細菌調製物および/または一つ以上の細菌単離株を形成するプロセスが提供される。当該プロセスは最初に、一つ以上の健康な(例えばスクリーニングされた)ドナーから糞便サンプルを収集することを含んでもよい。一つの態様では、新鮮な糞便は、糞便収集デバイスを介して輸送され、当該デバイスは、適切に無酸素(または実質的に無酸素)な好適な容器を提供し、または含み得る。一つの態様では、容器は、例えば、米国特許第7,541,091号に記載されるような酸素除去ペレットなど、備え付け型、またはクリップ留め型の酸素除去メカニズムを容器に組み込むことにより、無酸素となり得る。別の態様では、容器それ自体が、例えばO2BLOCKTMに記載されるような酸素除去鉄またはその同等物などの酸素除去物質から作製される。当該酸素除去物質は、酸素除去鉄の性能強化担体として精製および改変された層状粘土を使用する。活性鉄はポリマー中に直接分散される。一つの態様では、酸素除去ポリマーを使用して、容器それ自体が作製され、または容器がコーティングされ、または添加されるペレットとして酸素除去ポリマーが使用される。例えば、米国特許出願公開20110045222(参照によりその全体で本明細書に組み込まれる)は、一つ以上の不飽和オレフィンホモポリマーまたはコポリマー;一つ以上のポリアミドホモポリマーまたはコポリマー;一つ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマーまたはコポリマーを有するポリマー混合物を記載しており、それらは酸素除去活性を呈する。一つの態様では、酸素除去ポリマーを使用して、容器それ自体が作製され、または容器がコーティングされ、または添加されるペレットとして酸素除去ポリマーが使用される。例えば、米国特許出願公開20110008554(本明細書においてその全体が参照により本明細書に組み込まれる)は、ポリエステル、コポリエステルエーテル、および酸化触媒を含む組成物を記載しており、この場合においてコポリエステルエーテルは、ポリ(テトラメチレン-コ-アルキレンエーテル)を含むポリエーテルセグメントを含んでいる。一つの態様では、酸素除去ポリマーを使用して、容器それ自体が作製され、または容器がコーティングされ、または添加されるペレットとして酸素除去ポリマーが使用される。例えば、米国特許出願公開201000255231(参照によりその全体で本明細書に組み込まれる)は、ポリマーマトリクス中に分散された鉄/塩粒子、および酸素除去粒子を含む酸素除去フィルムを記載している。
【0161】
あるいは酸素除去メカニズムに加えて、または代わりに、容器内の空気を窒素および/または他の不活性非反応性ガスと(完全にまたは実質的に)置き換えてもよい。一つの態様では、容器は、部分的に、実質的に、または完全に嫌気性環境を模倣する(生成する)。
【0162】
一つの態様では、糞便(例えば、糞便サンプル)は、漏出せず、臭いもせずに、嫌気性環境を維持する審美的に許容可能な容器中に保持される。一つの態様では、容器は滅菌され、その後に糞便フロラを受け取る。
【0163】
一つの態様では、本明細書に提供される糞便サンプルは、その輸送および/または例えば「糞便バンク」での保存のほとんどの間、またはずっと、室温で維持される。例えば、「処理糞便バンク」に送達されると、例えば室温などの大気温度で保存される。一つの態様では、例えばグリセロールなどの安定化剤が、採取および/または保存された物質に添加される。
【0164】
一つの態様では、上述のように、糞便は様々な病原体に関して検査される。一つの態様では、感染因子が除去されると、糞便サンプルはホモジナイズされ、ろ過されて、大きな粒子の物質が取り除かれる。一つの態様では、糞便は、所望の量へとさらに分割され、例えば、5cc~3リットル以上であってもよい。例えば一つの態様では、容器は、50グラム(g)の糞便を含み、例えば含金属ポリエチレンテレフタレートポリエステルフィルム、または含金属MYLARTMなどの適切な酸素耐性プラスチック中に保持されてもよい。
【0165】
一つの態様では、糞便は、例えば、混合、かき混ぜ、攪拌または振とうすることによってホモジナイゼーションされる。特定の態様では、糞便サンプルは、ホモジナイゼーション前にホモジナイゼーション緩衝液で希釈される。ホモジナイゼーション緩衝液は、例えば、凍結保護剤(例えば、トレハロース)、抗酸化剤または還元剤(例えば、システイン)、および緩衝液(例えば、pH7.4の0.25X PBS)を含有してもよい。
【0166】
一つの態様では、糞便微生物叢から非細菌成分を分離するために、糞便はホモジナイゼーションされ、粗粒子状物質からろ過されてもよい。一つの態様では、微細な繊維/非生存物質はその後、細菌から分離される。例えば、典型的な細菌サイズまで漸減するフィルターサイズを用いた反復ろ過などを含む、いくつかの方法を使用してもよい。
【0167】
一つの態様では、様々なフィルターを使用して細菌種が単離され、またはガーゼを用いた粗いろ過技術を使用するWilliamsのWO2011/033310A1(その全体で参照により本明細書に組み込まれる)により使用される技術を使用して細菌種が単離される。
【0168】
一つの態様では、糞便全体を濾過するためのろ過手順を好適に使用して、ほぼ100%の最高細菌濃度に達する。一つの態様では、ろ過手順は、初期の清浄化のためのガラス繊維深層フィルターを適切に使用した二工程の手順である。一つの態様では、糞便は、陽圧下でろ過される。一つの態様では、当該ろ過は、30ミクロンのPVDFフィルターとの組み合わせ、またはサンドイッチ構造を使用する。一つの態様では、このサンドイッチ手順は、陽圧下で生成物を濾過する。その後、膜濃縮は、一つの態様では、ろ過物の体積を減少させるための別の工程として使用されてもよい。一つの態様では、当該ろ過は、凍結乾燥の前、または窒素カバー下での噴霧乾燥の前に行われてもよい。
【0169】
ろ過に使用され得る代替的な膜としては限定されないが、ナイロンフィルター、硝酸セルロースフィルター、ポリエーテルスルホン(PES)フィルター、ポリテトラフルオレチレン(PTFE)フィルター、TEFLON(商標)フィルター、混合セルロースエステルフィルター、ポリカーボネートフィルター、ポリプロピレンフィルター、ポリビニルクロリド(PVC)フィルター、または石英フィルターが挙げられる。これらの様々な組み合わせを使用して、固形物および液体が除去された高純度の細菌を得てもよい。
【0170】
医薬組成物、製剤、および投与
本明細書において、様々な製剤中に、非培養糞便細菌調製物および/または一つ以上の細菌単離株を含む細菌混合物を含む医薬組成物が提供される。本明細書に記載される任意の医薬組成物は、錠剤、丸薬、ペレット、カプセル、液体含有カプセル、多粒子含有カプセル、粉末、溶液、エマルション、液滴、座薬、エマルション、エアロゾル、スプレー、懸濁液、徐放性製剤、持続放出製剤、制御放出製剤の形態、または使用に適した任意の他の形態を取ってもよい。
【0171】
医薬組成物を含む製剤は、単位剤形で簡便に提示されてもよい。例えば、剤形は、治療剤を担体と関連付ける工程を含む方法によって調製されてもよく、当該担体は、一つ以上の補助成分を構成する。例えば、製剤は、治療剤を液体担体、微細に分割された固形担体、またはその両方と均一に、および密接に関連付け、その後、必要に応じて、所望の製剤の剤形へと生成物を成形する(例えば、湿潤造粒または乾燥造粒、粉末ブレンドなど、その後に打錠)ことにより調製される。
【0172】
別の態様では、医薬組成物は、薬学的に許容可能な担体とともに提供されてもよい。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容可能な担体」とは、非毒性の溶媒、分散剤、賦形剤、アジュバント、または、例えば、患者への投与が可能な剤形などの医薬組成物の形成を可能にするために生の細菌と混合される他の物質を指す。薬学的に許容可能な担体は、液体(例えば、生理食塩水)、ゲル、もしくは固形形態の希釈剤、アジュバント、賦形剤、または酸耐性カプセル化成分であってもよい。適切な希釈剤および賦形剤としては、医薬グレードの生理食塩水、デキストロース、グリセロール、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなど、およびそれらの組み合わせが挙げられる。別の態様では、医薬組成物は、例えば湿潤剤もしくは乳化剤、安定化剤またはpH緩衝剤などの補助物質を含有してもよい。一つの態様では、医薬組成物は、約1%~5%、5%~10%、10%~15%、15~20%、20%~25%、25~30%、30~35%、40~45%、50%~55%、1%~95%、2%~95%、5%~95%、10%~95%、15%~95%、20%~95%、25%~95%、30%~95%、35%~95%、40%~95%、45%~95%、50%~95%、55%~95%、60%~95%、65%~95%、70%~95%、45%~95%、80%~95%または85%~95%の活性成分を含有する。一つの態様では、医薬組成物は、約2%~70%、5%~60%、10%~50%、15%~40%、20%~30%、25%~60%、30%~60%または35%~60%の活性成分を含有する。
【0173】
ある態様では、医薬組成物は、錠剤、ドレンチ、ボーラス、カプセル、プレミックスまたはパッチに組み込まれてもよい。こうした剤形へのこれらの活性成分の製剤化は、製剤処方分野において公知の方法により実現されてもよい。例えば、米国特許第4,394,377号を参照のこと。ゼラチンカプセルを任意の所望の形態の活性成分で充填すると、カプセルが簡単に製造される。望ましい場合、これらの物質は、例えば糖、デンプン、粉末ミルク、精製結晶セルロースなどの不活性粉末希釈剤で希釈されて、カプセル充填の利便性のために体積を増加させることができる。
【0174】
ある態様では、例えば錠剤などの固形組成物を調製するために、活性成分は、例えばコーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、滑石、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、もしくはゴム、または例えば水などの他の医薬希釈剤などの従来的な打錠成分となどの医薬担体と混合されて、本明細書に記載される組成物の均質混合物を含有する固形プレ製剤組成物を形成する。これらのプレ製剤組成物を均質と言及する場合、組成物が、例えば錠剤、丸薬およびカプセルなどの均等な有効単位剤形へと容易に分割され得るように、活性成分が、組成物全体にわたって均一に分散されることを意味する。次に、この固形プレ製剤組成物は、所望の量の活性成分(例えば、少なくとも約10、10、10、10、10、1010、1011、1012、または1013CFU)を含有する上述のタイプの単位剤形に分割される。本明細書に記載される医薬組成物は、風味付けられてもよい。
【0175】
ある態様では、本明細書に記載の細菌混合物(および任意で一つ以上の追加の治療剤)を含む医薬組成物は、本明細書に記載の投与様式に適合された組成物として製剤化される。
【0176】
様々な態様では、医薬組成物の投与は、経口、静脈内、腹腔内、および非経口のうちのいずれか一つである。例えば、投与経路としては限定されないが、経口、腹腔内、静脈内、筋肉内、または直腸内が挙げられる。様々な態様では、医薬組成物の投与は、経口、経鼻胃、順行性胃腸、逆行性胃腸、内視鏡、または浣腸である。
【0177】
ある態様では、本明細書に記載の医薬組成物は、経口投与に適合された組成物として製剤化されてもよい。経口送達用の組成物は、例えば、錠剤、トローチ、水性もしくは油性の懸濁液、顆粒、粉末、ふりかけ、エマルション、カプセル、シロップ、またはエリキシルの形態であってもよい。経口投与される組成物は、例えば、フルクトース、アスパルテーム、またはサッカリンなどの甘味剤;例えば、ペパーミント、ウインターグリーン油、またはチェリーなどの香味剤;着色剤;および保存剤などの一つ以上の剤を含有して、薬学的に口当たりの良い調製物を提供してもよい。さらに、錠剤または丸薬の形態では、組成物をコーティングして崩壊を遅延させ、長期間にわたる細菌混合物の持続的な送達を提供してもよい。浸透圧的に活性な剤を囲む選択的な透過膜も、経口投与組成物に適している。これら後者のプラットフォームでは、カプセル周囲からの流体は、運搬化合物により吸収され、膨潤して、開口部を通じて剤組成物を移動させる。これらの送達プラットフォームは、即時放出製剤のスパイクプロファイルとは対照的に、本質的にゼロ次の送達プロファイルを提供することができる。例えばモノステアリン酸グリセロールまたはステアリン酸グリセロールなどの時間遅延物質も有用であり得る。経口組成物は、例えばマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、エタクリル酸および誘導体ポリマー、ならびに炭酸マグネシウムなどの標準的な賦形剤を含み得る。ある態様では、賦形剤は、医薬グレードである。活性化合物に加えて、懸濁液は、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、およびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、アガー‐アガー、トラガカント、ならびにそれらの混合物などの懸濁化剤を含有し得る。
【0178】
様々な態様では、医薬組成物は、例えば、錠剤、分散性粉末、顆粒、またはカプセルなどの固形剤形として製剤化される。ある態様では、医薬組成物は、カプセルとして製剤化される。別の態様では、医薬組成物は、錠剤として製剤化される。さらに別の態様では、医薬組成物は、軟質ゲルカプセルとして製剤化される。さらなる態様では、医薬組成物は、ゼラチンカプセルとして製剤化される。
【0179】
ある態様では、医薬組成物は、適切な希釈剤で再構成され得る、浣腸組成物の形態、腸溶性コーティングカプセルの形態、腸溶性マイクロカプセルの形態、酸耐性錠剤の形態、酸耐性カプセルの形態、酸耐性マイクロカプセルの形態、経鼻腸内注入または結腸内視鏡注入に適した希釈剤を用いた再構成のための粉末の形態、経口摂取用の適切な希釈剤、香味剤、および胃酸抑制剤を用いた再構成のための粉末の形態、食品または飲料を用いた再構成のための粉末の形態、または組成物、粉末、ゼリーもしくは液体の腸溶コーティングおよび/または酸耐性マイクロカプセルを含む食品、または食品サプリメントの形態、である。
【0180】
ある態様では、本明細書に記載の医薬組成物は、マイクロカプセルの形態で製剤化される。マイクロカプセル化は、揮発を抑制し、化学的劣化から保護する保護壁物質を用いた液体または固体のコーティングである。壁物質内に含有される固体または液体はコアとして知られ、完全なマイクロカプセル化粒子はマイクロカプセルとして知られている。本明細書で使用され得る壁物質としては、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ホエイタンパク質、カゼイン酸ナトリウム、および大豆タンパク質が挙げられる。
【0181】
ある態様では、(a)非培養糞便細菌調製物、および(b)一つ以上の細菌単離株、の混合物が、同じマイクロカプセルプール中に一緒にカプセル封入され、対象に投与される。別の態様では、非培養糞便細菌調製物は、一つ以上の細菌単離株とは別にマイクロカプセル化され、別々(例えば連続して)、または一緒に(例えば、異なる封入内容を有するマイクロカプセルを混合した後に)対象に投与される。さらなる態様では、異なる各細菌単離株からの細菌が、別々にマイクロカプセル化され、得られたマイクロカプセルはその後、細菌単離株の各々の望ましい比率または割合に従って、対象への投与用に一緒に(非培養糞便細菌調製物を含有する別のマイクロカプセルとともに、または伴わずに)混合される。
【0182】
マイクロカプセル化は、マイクロ流体液滴生成装置またはカプセル封入装置を含むマイクロカプセル化デバイスを用いて実施することができる。例示的なマイクロカプセル化デバイスは、例えば、米国特許第7,482,152号に記載されており、当該特許は、その全体で参照により本明細書に組み込まれる。マイクロカプセルは、一つ以上の安定剤またはゲル化剤を含んでもよく、それらを使用して、マイクロカプセルまたはエマルションが安定化され得る。安定剤またはゲル化剤としては限定されないが、アルギン酸塩(またアルギンもしくはアルギン酸)およびアガーが挙げられる。アルギン酸塩は、限定されないが、例えばアルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、およびそれらの組み合わせなどの無機塩を含む、様々な形態で使用され得る。アルギン酸塩は、例えば海草(例えば、マクロシスティス・ピリフェラ(Macrocystis pyrifera)、アスコフィラム・ノドサム(Ascophyllum nodosum)、ラミナリア亜種(Laminaria spp.))または細菌(例えば、シュードモナス亜種(Pseudomonas spp.)、アゾトバクター亜種(Azotobacter spp.)などの源から誘導され得る。例えば塩化カルシウムなどの架橋剤または溶液を使用して、マイクロカプセルを安定化またはゲル化することができる。ある態様では、アルギン酸系のマイクロカプセルが、US20160317583に従って作製され、使用される。ある態様では、アルギン酸ポリマーは約2.5%(w/v)の濃度を有し、この場合においてマイクロカプセルは、ポリ-L-リシンの追加的な連続外部表面コーティングを含む。さらなる態様では、マイクロカプセルは、カルシウムまたはバリウム、またはカルシウムとバリウムの混合物の群から選択される二価カチオンを含み、アルギン酸ポリマーをマイクロカプセルへと架橋させる。
【0183】
マイクロカプセルは、サイズ(例えば、直径)によって特徴付けられ得る。マイクロカプセルのサイズは、約0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250、300、350、400、450、または500ミリメーターであってもよい。マイクロカプセルのサイズは、約0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250、300、350、400、450、または500ミリメーター以下であってもよい。マイクロカプセルのサイズは、約0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250、300、350、400、450、または500ミリメーター以上であってもよい。マイクロカプセルのサイズは、約0.05~約1ミリメートルであってもよい。マイクロカプセル集団におけるサイズ分布は、均一であってもよく、または実質的に均一であってもよい。例えば、マイクロカプセル集団は、約20、19、18、17、16、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4.9、4.8、4.7、4.6、4.5、4.4、4.3、4.2、4.1、4.0、3.9、3.8、3.7、3.6、3.5、3.4、3.3、3.2、3.1、3.0、2.9、2.8、2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.45、1.40、1.35、1.30、1.25、1.20、1.15、1.14、1.13、1.12、1.11、1.10、1.09、1.08、1.07、1.06、1.05、1.04、1.03、1.02、1.01、または1.00以下の分散指数または多分散指数(PDI)により特徴付けられ得る。
【0184】
様々な態様では、製剤は、薬学的に許容可能な担体または賦形剤を追加的に含んでもよい。当業者であれば、製剤は、望ましい用途および投与経路に適した任意の適切な形態であり得ることが認識される。
【0185】
一部の剤形では、本明細書に記載される医薬組成物は、例えばクエン酸ナトリウム、リン酸二カルシウムなどの不活性で薬学的に許容可能な賦形剤または担体の少なくとも一つ、および/またはa)例えばデンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、ケイ酸、微結晶セルロースおよびBakers Special Sugerなどの充填剤もしくは増量剤、b)例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、アカシア、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、およびヒドロキシメチルセルロースなどの結合剤、c)例えばグリセロールなどの保湿剤、d)例えばアガー-アガー、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプンもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、炭酸ナトリウム、架橋ポリマー、例えばクロスポビドン(架橋ポリビニルピロリドン)、クロスカルメロースナトリウム(架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、デンプングリコール酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)例えばパラフィンなどの溶解遅延剤、f)例えば四級アンモニウム化合物などの吸収加速剤、g)例えばセチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、h)例えばカオリンおよびベントナイトクレイなどの吸収剤、ならびにi)例えば滑石、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール固形物、ラウリル硫酸ナトリウム、ベヘン酸グリセリルなどの潤滑剤、ならびにそれら賦形剤の混合物と混合される。当業者であれば、特定の賦形剤が、経口剤型において二つ以上の機能を有し得ることを認識するであろう。経口剤型の場合、例えば、カプセルまたは錠剤などの剤形は、緩衝剤も含み得る。
【0186】
ある態様では、細菌混合物を含む医薬組成物は、一つ以上の薬学的に許容可能な凍結保護剤、凍結乾燥保護剤、結合剤、崩壊剤、賦形剤、充填剤、および/もしくは防腐剤、酸抑制剤、制酸剤、H2アンタゴニスト、ならびにプロトンポンプ阻害剤、またはそれらの組み合わせと組み合わされる。ある態様では、細菌混合物を含む医薬組成物は、味覚マスキングのために、一つ以上の薬学的に許容可能な剤(例えば、味覚マスキング剤)と組み合わされる。ある態様では、細菌混合物を含む医薬組成物は、一つ以上の薬学的に許容可能な混合粉末と組み合わされて、ASD患者、特に小児ASD患者での投与を簡単にするための色彩的な魅力、味、および/または風味が改善される。例示的な味覚マスキング剤としては、Smoothenolが挙げられる。例示的な風味としては、桃、オレンジ、イチゴ、ブドウ、パパイヤ、ミックスベリー、ダークチョコレート、パイン、およびブルーベリーが挙げられる。
【0187】
ある態様では、細菌混合物を含む医薬組成物は、例えば制酸剤などの他のアジュバントと組み合わされて、胃内での細菌不活性化を減衰させる。(例えば、Mylanta、Mucaine、Gastrogel)。別の態様では、胃内の酸分泌は、H2-アンタゴニストまたはプロトンポンプ阻害剤を使用して薬理学的にも抑制され得る。H2-アンタゴニストの例は、ラニチジンである。プロトンポンプ阻害剤の例は、オメプラゾールである。一つの態様では、酸抑制剤は、医薬組成物を投与する前に、または医薬組成物と同時投与で投与される。
【0188】
一つの態様では、本明細書において投与される医薬組成物は、酸抑制剤、制酸剤、H2アンタゴニスト、プロトンポンプ阻害剤、またはそれらの組み合わせをさらに含む。一つの態様では、本明細書において投与される医薬組成物は、非生存物質を実質的に含まない。別の態様では、本明細書において投与される医薬組成物は、残留繊維、DNA、ウイルスコート物質、および非生存物質からなる群から選択される無細胞物質を実質的に含まない。別の態様では、投与される医薬組成物は、酸抑制剤、制酸剤、H2アンタゴニスト、プロトンポンプ阻害剤、またはそれらの組み合わせを含まない。さらに別の態様では、投与される医薬組成物は、酸抑制剤を含まない。別の態様では、投与される医薬組成物は、制酸剤を含まない。別の態様では、投与される医薬組成物は、H2アンタゴニストを含まない。別の態様では、投与される医薬組成物は、プロトンポンプ阻害剤を含まない。別の態様では、投与される医薬組成物は、メトクロプラミドを含まない。
【0189】
ある態様では、細菌混合物は、例えば、凍結乾燥された細菌細胞/胞子を含むとき、または乾燥結合剤、充填剤、および分散剤を含むとき、乾燥している。あるいは、例えば、非乾燥結合剤、充填剤、および分散剤を含むとき、細菌混合物は水性であってもよい。
【0190】
ある態様では、本明細書に記載の細菌混合物は、凍結乾燥されてもよい。本明細書で使用される場合、「凍結乾燥」または「フリーズドライ)とは、最初に物質を凍結させ、その後、その中の氷を真空環境中で昇華させることによって、物質を乾燥させるプロセスを指す。
【0191】
一つの態様では、細菌混合物は、還元剤および/または抗酸化剤をさらに含む凍結乾燥製剤を含む。特定の態様では、還元剤は、D-システインおよびL-システインからなる群から選択されるシステインを含む。別の態様では、システインは、少なくとも約0.025%の濃度である。一つの態様では、システインは、約0.025%の濃度である。別の態様では、システインは、0.025%の濃度である。別の態様では、システイン以外の別の還元剤がシステインの代わりに使用され、またはシステインと組み合わせて使用される。ある態様では、別の還元剤は、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、チオグリコール酸、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、グルタチオン、メチオニン、チオグリセロール、およびアルファトコフェロールを含む群から選択される。
【0192】
一つの態様では、システインは、少なくとも約0.005%、少なくとも約0.01%、少なくとも約0.015%、少なくとも約0.02%、少なくとも約0.025%、少なくとも約0.03%、少なくとも約0.035%、少なくとも約0.04%、少なくとも約0.045%、少なくとも約0.05%、少なくとも約0.055%、少なくとも約0.06%、少なくとも約0.065%、少なくとも約0.07%、少なくとも約0.075%、少なくとも約0.08%、少なくとも約0.085%、少なくとも約0.09%、少なくとも約0.095%、少なくとも約0.1%、少なくとも約0.12%、少なくとも約0.14%、少なくとも約0.16%、少なくとも約0.18%、少なくとも約0.2%、少なくとも約0.25%、少なくとも約0.3%、少なくとも約0.4%、少なくとも約0.5%、少なくとも約0.6%、少なくとも約0.7%、少なくとも約0.8%、少なくとも約0.9%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約4%、少なくとも約6%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約12%、少なくとも約14%、少なくとも約16%、少なくとも約18%、少なくとも約20%、少なくとも約22%、少なくとも約24%、または少なくとも約26%の濃度である。
【0193】
一つの態様では、細菌混合物は、凍結保護剤、または凍結保護剤の混合物を含む。本明細書で使用される場合、「凍結保護剤」とは、凍結中に活性成分を保護するために製剤に添加される物質を指す。例えば、凍結保護剤は、ポリエチレングリコール、スキムミルク、エリスリトール、アラビトール、ソルビトール、グルコース、フルクトース、アラニン、グリシン、プロリン、スクロース、ラクトース、リボース、トレハロース、ジメチルスルホキシド(DMSO)もしくは同等物、グリセロール、ポリエチレングリコール(PEG)もしくは同等物、またはアミノ酸(例えば、アラニン、グリシン、プロリン)を含み得、本質的にこれらからなり得、またはこれらからなり得る。本開示のある態様では、凍結保護剤は、5%のスクロース、10%スクロース、10%スキムミルク、2.5%スクロースを含む10%トレハロース、2.5%スクロースを含む5%トレハロース、5%マンニトール、0.1%ポリソルベート80を含む5%マンニトール、10%マンニトール、0.1%ポリソルベート80を含む10%マンニトール、5%トレハロース、0.1%ポリソルベート80を含む5%トレハロース、10%トレハロース;および0.1%ポリソルベート80を含む10%トレハロース、を含む群から選択され得る。
【0194】
ある態様では、細菌混合物は、凍結乾燥保護剤を含む。本明細書で使用される場合、「凍結乾燥保護剤」とは、凍結乾燥(凍結-乾燥としても知られる)の段階の間に活性成分を保護するために製剤に添加される物質を指す。一つの態様では、同じ物質、または同じ物質の組み合わせが、凍結保護剤および凍結乾燥保護剤の両方として使用される。例示的な凍結乾燥保護剤としては、例えばスクロースまたはトレハロースなどの糖、例えばグルタミン酸一ナトリウムまたはヒスチジンなどのアミノ酸、例えばベタインなどのメチルアミン、例えば硫酸マグネシウムなどの離液性の塩、例えばグリセリン、エリスリトール、グリセロール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、およびマンニトールなどの三価アルコールまたは高級糖アルコールなどのポリオール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、Pluronics、およびそれらの組み合わせ、が挙げられる。ある態様では、凍結乾燥保護剤は、例えばトレハロースまたはスクロースなどの非還元糖である。ある態様では、凍結保護剤または凍結乾燥保護剤は、本段落および上記段落に言及される一つ以上の物質から本質的になり、またはこれらからなる。
【0195】
ある態様では、凍結保護剤または凍結乾燥保護剤は、細胞内の剤、例えば、DMSO、グリセロール、またはPEGを含み、これらは細胞内に浸透して、膜破壊をもたらし得る氷結晶の形成を防止する。ある態様では、凍結保護剤または凍結乾燥保護剤は、細胞外の剤、例えばスクロース、トレハロースまたはデキストロースを含み、これらは細胞膜内に浸透しないが、凍結中に発生する浸透圧不均衡を改善するよう作用する。
【0196】
一つの態様において、本開示は、少なくとも約12.5%のトレハロースを含む凍結乾燥剤を含む、凍結乾燥糞便微生物調製物を含む医薬組成物を提供する。
【0197】
ある態様では、凍結乾燥製剤は、トレハロースを含む。ある態様では、凍結乾燥製剤は、2%~30%、3%~25%、4%~20%、5%~15%、6%~10%、2%~30%、2%~25%、2%~20%、2%~15%、または2%~10%のトレハロースを含む。ある態様では、凍結乾燥製剤は、少なくとも2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、または15%のトレハロースを含む。ある態様では、凍結乾燥製剤は、最大で2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、または15%のトレハロースを含む。別の態様では、凍結乾燥製剤は、約5%のトレハロースを含む。別の態様では、凍結乾燥製剤は、トレハロースおよびスクロースを含む。別の態様では、凍結乾燥製剤は、約1.5%~3.5%のスクロースを含む約8%~12%のトレハロース、および約0.5%~1.5%のNaClを含む。
【0198】
一つの態様では、凍結乾燥製剤は、少なくとも約5%、少なくとも約7.5%、少なくとも約10%、少なくとも約12.5%、少なくとも約13%、少なくとも約13.5%、少なくとも約14%、少なくとも約14.5%、少なくとも約15%、少なくとも約15.5%、少なくとも約16%、少なくとも約16.5%、少なくとも約17%、少なくとも約17.5%、少なくとも約18%、少なくとも約18.5%、少なくとも約19%、少なくとも約19.5%、少なくとも約20%、少なくとも約22.5%、少なくとも約25%、少なくとも約27.5%、少なくとも約30%、少なくとも約32.5%、少なくとも約35%、少なくとも約37.5%、少なくとも約40%、少なくとも約42.5%、少なくとも約45%、少なくとも約47.5%、少なくとも約50%、少なくとも約52.5%、少なくとも約55%、少なくとも約57.5%、または少なくとも約60%のトレハロースを含む。
【0199】
ある態様では、本明細書に提供される医薬組成物は、大気温度以下での少なくとも12週間の保存の後、ASDを有する対象の治療に有効である。ある態様では、医薬組成物は、大気温度以下での少なくとも4、8、10、16、20、24、30、40、50、60、70、80、または100週間の保存の後でも効果を持続する。
【0200】
ある態様では、本明細書に記載される医薬組成物は、凍結乾燥または凍結して乾燥され、周囲温度(例えば、室温)、凍結温度、または約2℃~8℃で保存され得る。ある態様では、凍結乾燥することにより、細胞の大部分が生存を維持することが可能となり、粉末へと穏やかに微紛化され得る粉末形態の製品が製造される。次いで粉末、または凍結乾燥組成物もしくは凍結され乾燥された組成物は、担体、例えば、錠剤、ジェルタブ、丸薬またはカプセル、例えば、腸溶コーティングカプセルにカプセル封入されてもよく、または摂取用のオイル充填カプセル内に置かれてもよい。あるいは凍結乾燥製品もしくは凍結され乾燥された製品、または粉末は、例えば、生理食塩水、緩衝剤、または例えば流体-グルコース-セルロースアガー(RGCA)培地などの滅菌流体などの流体中で、個体への送達前に大気温度で再構成され得る。
【0201】
ある態様では、凍結乾燥のために、細菌は、解凍時の細胞の破裂を防止する液体中に保持される。当該液体には様々な安定剤、例えばグリセロールおよび適切な緩衝剤、ならびに/またはエチレングリコールが含まれ得る。ある態様では、凍結保護プロセスは、使用される安定剤に応じて、約10%~80%、20%~70%、30%~60%、または40%~50%の最終濃度の安定剤を使用する。ある態様では、凍結保護プロセスは、そうでなければタンパク質構造を破壊するであろう氷結晶の形成を防止することにより、タンパク質の安定化に役立つ。
【0202】
ある態様では、生細菌の破壊を減少させるのに役立つ安定剤としては、スキムミルク、エリスリトール、アラビトール、ソルビトール、グルコース、フルクトース、および他のポリオールが挙げられる。例えばデキストランおよびポリエチレングリコールなどのポリマーも、細菌細胞を安定化させるために使用され得る。
【0203】
ある態様では、医薬組成物の製造は、以下の工程を含み得る:(1)分離カプセル(すなわち、別々のカプセル本体とカプセルのキャップを含む)の外側を、外側腸溶コーティングでコーティングする工程、(2)カプセル本体に細菌混合物(例えば、一つ以上の細菌単離株および/または非培養糞便細菌調製物を含む)を充填する工程、および(3)カプセル本体上にカプセルキャップを締め、それにより腸溶コーティングカプセル中に細菌混合物をカプセル封入する工程。
【0204】
任意選択的に、医薬組成物の製造は、以下の工程を含み得る:(1)分離カプセル(すなわち、別々のカプセル本体とカプセルのキャップを含む)の外側を、外側腸溶コーティングでコーティングする工程、(2)分離カプセルの内側を、内側コーティングでコーティングする工程、(3)カプセル本体に細菌混合物(例えば、一つ以上の細菌単離株および/または非培養糞便細菌調製物を含む)を充填する工程、および(4)カプセル本体上にカプセルキャップを締め、それにより二重コーティングカプセル中に細菌混合物をカプセル封入する工程。
【0205】
あるいは医薬組成物の製造は、以下の工程を含み得る:(1)分離カプセル(すなわち、別々のカプセル本体とカプセルのキャップを含む)の内側を、内側コーティングでコーティングする工程、(2)分離カプセルの外側を、外側腸溶コーティングでコーティングする工程、(3)カプセル本体に細菌混合物(例えば、一つ以上の細菌単離株および/または非培養糞便細菌調製物を含む)を充填する工程、および(4)カプセル本体上にカプセルキャップを締め、それにより二重コーティングカプセル中に細菌混合物をカプセル封入する工程。
【0206】
ある態様では、一つ以上の追加の治療剤が医薬組成物中に含有されてもよく、およびカプセルにより封入されてもよい。
【0207】
ある態様では、ゼラチンカプセルの本体およびキャップ(例えば、サイズ#00)は分離される。外側腸溶コーティング懸濁液は、溶液中の他の構成要素と共に一つ以上の腸溶コーティングポリマーを分散させることによって調製される。外側腸溶コーティング懸濁液は、例えば流動層のWurster column coater、Fluid Bed Coater、または同等のものを使用して、分離されたカプセル本体とキャップの外側に塗布される。カプセルは製品ボウル内で流動化され、外側腸溶性コーティング懸濁液が噴霧されて、約2mg/cm2~6mg/cm2、例えば3mg/cm2の標的とした外側コーティングが生成される。この工程の完了後、カプセルは、例えば約8時間~24時間、乾燥させるように設定される。乾燥後、例示的なカプセルを計量して、外側腸溶コーティングからの体重増加を計算する。カプセルは、凹凸に関して検査されてもよい。
【0208】
ある態様では、EUDRAGIT(登録商標)S100(ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリル酸))、デンプン、クエン酸トリエチル、およびPlasACRYL(登録商標)T20を、水、エタノール、およびn-ブタノールの溶液中に溶解して混合し、次いで適切な噴霧装置に充填する。次いで溶液をカプセル本体とカプセルキャップの外側表面上に噴霧コーティングして、標的体重に増加させる。カプセル本体とカプセルキャップは、例えば、細菌混合物で充填するなどのさらなる処理の前に、約8時間~約24時間、またはそれ以上、例えば、1週間、1か月、またはそれ以上、乾燥させられる。
【0209】
ある態様では、カプセル本体内に組成物を提供することに加えて、カプセルのキャップにもある量の細菌混合物を提供することが望ましい場合がある。この態様では、より多くの組成物がカプセルに含まれ、および/またはより少量の空気が密閉カプセル中に含有される。
【0210】
ある態様では、カプセルの内側表面は、内部コーティング、例えば、水不溶性の内部コーティングを含む。
【0211】
上述の組成物および物質(例えば、細菌混合物、内側コーティング、カプセル、および外側コーティング)のいずれかを、本明細書に記載される医薬組成物に組み合わせてもよい。当業者であれば、自身の現在のニーズに従い、内側コーティング、カプセルおよび外側コーティングを選択する方法を知っているであろう。この選択は、例えば、組成物内に組み込まれる特定の細菌単離株、および/または細菌単離株が送達されるべき、対象の望ましい送達位置(例えば、回腸、空腸、または十二指腸を含む、結腸または小腸)に基づいてもよい。
【0212】
ある態様では、ラクトバチルス属の細菌を含む細菌単離株を含む医薬組成物は、腸の回腸において当該細菌単離株を放出する。ある態様では、細菌単離株は、ラクトバチルス・ロイテリを含む。
【0213】
追加的な関連する教示は、WO2007122374に開示されており、当該文献は、その全体で参照により本明細書に組み込まれる。
【0214】
ある態様では、医薬組成物の製造中、薬学的に許容可能な凍結保護剤、凍結乾燥保護剤、結合剤、崩壊剤、充填剤、保存剤、酸抑制剤、制酸剤、H2アンタゴニスト、およびプロトンポンプ阻害剤、またはそれらの組み合わせを医薬組成物(例えば、細菌混合物を含む)内に混合して、望ましい特性を促進してもよい。
【0215】
ある態様では、医薬組成物は、表面活性剤を含む。使用に好適な表面活性剤としては限定されないが、任意の薬学的に許容可能な非毒性の界面活性剤が挙げられる。使用に好適な界面活性剤の種類としては限定されないが、ポリエトキシ化脂肪酸、PEG-脂肪酸ジエステル、PEG-脂肪酸モノエステル混合物およびジエステル混合物、ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル、アルコール-油トランスエステル化生成物、ポリグリセリド化(polyglycerized)脂肪酸、プロピレングリコール脂肪酸エステル、プロピレングリコールエステル-グリセロールエステルの混合物、モノグリセリドおよびジグリセリド、ステロールおよびステロール誘導体、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、糖エステル、ポリエチレングリコールアルキルフェノール、ポリオキシエチレン-オリオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、低級アルコール脂肪酸エステル、イオン界面活性剤、およびそれらの混合物が挙げられる。一部の態様では、組成物は、限定されないが、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、およびクエン酸トリエチルをはじめとする一つ以上の界面活性剤を含んでもよい。
【0216】
ある態様では、医薬組成物は、例えば柔軟性および硬度などの望ましい機械的特性を得るために、薬学的に許容可能な可塑剤を含む。そのような可塑剤としては限定されないが、トリアセチン、クエン酸エステル、クエン酸トリエチル、フタル酸エステル、セバシン酸ジブチル、セチルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリソルベート、または他の可塑剤が挙げられる。
【0217】
別の態様では、医薬組成物は、一つ以上の適用溶媒を含む。例えば、遅延放出コーティング組成物などの適用に使用され得るより一般的な溶媒のいくつかとしては、イソプロピルアルコール、アセトン、塩化メチレンなどが挙げられる。
【0218】
さらに別の態様では、医薬組成物は、一つ以上のアルカリ物質を含む。組成物における使用に好適なアルカリ物質としては限定されないが、例えばリン酸、炭酸、クエン酸、および他のアルミニウム/マグネシウム化合物などの酸のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、およびアルミニウム塩が挙げられる。さらにアルカリ物質は、例えば水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、および酸化マグネシウムなどの制酸物質から選択されてもよい。
【0219】
不活性希釈剤に加えて、経口投与される組成物は、例えば甘味剤、香味剤、および香料などのアジュバントも含んでもよい。
【0220】
様々な態様では、医薬組成物は、全身送達または局所送達に対して製剤化される。ある態様では、投与は全身的である。別の態様では、治療を必要とする領域に局所的に投与することが望ましい場合がある。
【0221】
様々な方法を使用して、本明細書に記載される医薬組成物(例えば、細菌混合物を含む)を製剤化し、および/または対象の位置に送達してもよい。例えば、医薬組成物は、GI管への送達用に製剤化されてもよい。GI管は、例えば口、食道、胃、小腸、十二指腸、空腸、回腸、大腸、および直腸などの消化器系の器官を含み、そのすべてのサブセクションを含む(例えば、小腸は、十二指腸、空腸、および回腸を含む場合があり、大腸は、横行結腸、下行結腸、上行結腸、S状結腸、および盲腸を含む場合がある)。例えば、組成物は、胃、小腸、大腸、および直腸、またはその任意のサブセクション(例えば、十二指腸、空腸および回腸、横行結腸、下行結腸、上行結腸、S状結腸および盲腸)のうちの一つ以上への一つ以上の活性剤の送達に対して製剤化されてもよい。一部の態様では、本明細書に記載の組成物は、上部または下部のGI管に送達するように製剤化されてもよい。ある態様では、組成物は、例えば、GI管の粘膜組織と組成物とを直接的または間接的に接触させることによって、対象に投与されてもよい。
【0222】
様々な態様では、医薬組成物の投与は、例えば、経口送達、経鼻胃管、腸挿管(例えば、空腸チューブまたは胃-空腸チューブなどの経腸チューブまたは栄養チューブ)、直接注入(例えば、十二指腸注入)、内視鏡、結腸内視鏡、または浣腸を介した、GI管内への投与である。
【0223】
一つの態様では、方法は、医薬組成物を経口的に、浣腸によって、または直腸座薬を介して投与することを含む。一つの態様では、本明細書において投与される医薬組成物は、腸溶性コーティングされた(および/または酸耐性の)カプセルまたはマイクロカプセルとして製剤化され、または食品、食品添加物、乳製品、大豆系製品もしくはその誘導体、ゼリー、ゼラチン系チュアブル(例えば、グミ)、風味のある液体、氷ブロック、アイスクリーム、またはヨーグルトの一部として製剤化され、またはそれらと一緒に投与される。別の態様では、本明細書において投与される医薬組成物は、酸耐性の腸溶性コーティングカプセルとして製剤化される。医薬組成物は、食品または飲料と組み合わされて販売するための粉末として提供されてもよい。食品または飲料は、乳製品または大豆製品であってもよい。別の態様では、食品または食品サプリメントは、医薬組成物を含有する腸溶コーティング、および/または酸耐性のマイクロカプセルを含有する。
【0224】
ある態様では、医薬組成物は、液体培養物を含む。別の態様では、医薬組成物は、ホモジナイズされ、凍結乾燥され、粉砕され、そして粉末化される。次いで例えば生理食塩水などに溶解され、浣腸として注入されてもよい。あるいは粉末は、経口投与のための腸溶性コーティング、および/または酸耐性遅延放出型カプセルとして封入されてもよい。ある態様では、粉末は、経口投与用の酸耐性/遅延放出型カプセルで二重に封入されてもよい。これらのカプセルは、腸溶性コーティング、および/または酸耐性の遅延放出型マイクロカプセルの形態を取ってもよい。粉末は、飲料用に再構成するための、または食品添加物としての再構成するための口当たりの良い形態で提供されてもよい。さらなる態様では、食品は、ヨーグルトである。一つの態様では、粉末は、再構成されて、経鼻十二指腸注入を介して注入されてもよい。
【0225】
別の態様では、本明細書において投与される医薬組成物は、液体、凍結、凍結乾燥、噴霧乾燥、発泡乾燥、凍結乾燥、または粉末の形態である。さらなる態様では、本明細書において投与される医薬組成物は、遅延型または漸次型の腸溶放出形態として製剤化される。別の態様では、本明細書において投与される医薬組成物は、賦形剤、生理食塩水、緩衝液、緩衝剤、または流体-グルコース-セルロースアガー(RGCA)培地を含む。別の態様では、本明細書において投与される医薬組成物は、凍結保護剤を含む。一つの態様では、凍結保護剤は、ポリエチレングリコール、スキムミルク、エリスリトール、アラビトール、ソルビトール、グルコース、フルクトース、アラニン、グリシン、プロリン、スクロース、ラクトース、リボース、トレハロース、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセロール、またはそれらの組み合わせを含む。
【0226】
様々な態様では、本明細書において、細菌混合物を含む(例えば、非培養糞便細菌調製物と組み合わされた一つ以上の細菌単離株を含む)、放出調節製剤が提供され、この場合において当該製剤は、相当量の細菌混合物(および任意で追加の治療剤)をGI管の一つ以上の領域に放出する。例えば、製剤は、胃の後ろ、GI管の一つ以上の領域に、細菌単離株の少なくとも約60%を放出してもよい。
【0227】
様々な態様では、放出調節製剤は、胃の後ろ、腸の一つ以上の領域内に、少なくとも60%の細菌混合物(および任意で追加の治療剤)を放出してもよい。例えば、放出調節製剤は、腸において、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の細菌混合物(および任意で追加の治療剤)を放出する。
【0228】
様々な態様では、放出調節製剤は、小腸において、少なくとも60%の細菌混合物(および任意で追加の治療剤)を放出してもよい。例えば、放出調節製剤は、小腸(例えば、十二指腸、空腸、回腸および回盲部のうちの一つ以上)において、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の細菌混合物(および任意で追加の治療剤)を放出する。
【0229】
様々な態様では、放出調節製剤は、大腸において、少なくとも60%の細菌混合物(および任意で追加の治療剤)を放出してもよい。例えば、放出調節製剤は、大腸(例えば、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸またはS状結腸部分および直腸のうちの一つ以上)において、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の細菌単離株(および/または追加の治療剤)を放出する。
【0230】
一部の態様では、医薬組成物は、胃内での放出用に製剤化される。他の態様では、医薬組成物は、胃内で細菌混合物を実質的に放出しないように製剤化される。
【0231】
特定の態様では、放出調節製剤は、特定のpHで、細菌混合物(および任意で追加の治療剤)を放出する。例えば、一部の態様では、放出調節製剤は、酸性環境下で実質的に安定であり、ほぼ中性~アルカリ性の環境下では実質的に不安定(例えば、急速に溶解し、または物理的に不安定)である。一部の態様では、安定は、実質的に放出しないことを示し、一方で不安定は、実質的に放出することを示す。例えば、一部の態様では、放出調節製剤は、約7.0以下、または約6.5以下、または約6.0以下、または約5.5以下、または約5.0以下、または約4.5以下、または約4.0以下、または約3.5以下、または約3.0以下、または約2.5以下、または約2.0以下、または約1.5以下、または約1.0以下のpHで、実質的に安定である。一部の態様では、本製剤は、低pH領域で安定であり、したがって、例えば胃内では実質的に放出されない。一部の態様では、放出調節製剤は、約1~約4以下のpHで実質的に安定であり、より大きなpH値では実質的に不安定である。これらの態様では、放出調節製剤は、胃内で実質的に放出されない。これらの態様では、放出調節製剤は、小腸(例えば、十二指腸、空腸、および回腸のうちの一つ以上)および/または大腸(例えば、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、およびS状結腸のうちの一つ以上)で実質的に放出する。一部の態様では、放出調節製剤は、約4~約5以下のpHで実質的に安定であり、その結果として、より大きなpH値では実質的に不安定である。したがって胃および/または小腸(例えば、十二指腸、空腸、および回腸のうちの一つ以上)で実質的に放出されない。これらの態様では、放出調節製剤は、大腸(例えば、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、およびS状結腸のうちの一つ以上)で実質的に放出する。様々な態様では、本明細書に列挙されたpH値は、例えば、絶食状態または食後状態のいずれであるかなど、対象の状態に対処するために、当分野で公知のように調整されてもよい。
【0232】
一部の態様では、放出調節製剤は、胃液中では実質的に安定であり、腸液中では実質的に不安定であり、したがって、小腸(例えば、十二指腸、空腸、および回腸のうちの一つ以上)および/または大腸(例えば、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、およびS状結腸のうちの一つ以上)で実質的に放出される。
【0233】
一部の態様では、放出調節製剤は、胃液で安定であり、または酸性環境下で安定である。これらの放出調節製剤は、約4~約5以下のpHの胃液中で、または約4~5以下のpHの擬似胃液中で、約15分または約30分または約45分または約60分または約90分で、当該放出調節製剤中の医薬組成物(例えば、細菌混合物を含む)の約30重量%以下を放出する。放出調節製剤は、4~5以下のpHの胃液中で、または4~5以下のpHの擬似胃液中で、約15分または約30分または約45分または約60分または約90分で、当該放出調節製剤中の組成物の約0重量%~約30重量%、約0重量%~約25重量%、約0重量%~約20重量%、約0重量%~約15重量%、約0重量%~約10重量%、約5重量%~約30重量%、約5重量%~約25重量%、約5重量%~約20重量%、約5重量%~約15重量%、約5重量%~約10重量%を放出し得る。放出調節製剤は、5以下のpHの胃液中で、または5以下のpHの擬似胃液中で、約15分または約30分または約45分または約60分または約90分で、当該放出調節製剤中の総組成物の約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%または約10重量%を放出し得る。
【0234】
一部の態様では、放出調節製剤は、腸液中で不安定である。これらの放出調節製剤は、腸液中または擬似腸液中で、約15分または約30分または約45分または約60分または約90分で、当該放出調節製剤中の細菌混合物および/または追加の治療剤の約70重量%以上を放出する。一部の態様では、放出調節製剤は、ほぼ中性からアルカリ性の環境下で不安定である。これらの放出調節製剤は、約4~5以上のpHの腸液中または約4~5のpHの擬似腸液中で、約15分または約30分または約45分または約60分または約90分で、当該放出調節製剤中の細菌混合物および/または追加の治療剤の約70重量%以上を放出する。ほぼ中性またはアルカリ性の環境下で不安定である放出調節製剤は、約5よりも大きいpHの流体(例えば、約5~約14、約6~約14、約7~約14、約8~約14、約9~約14、約10~約14、または約11~約14)のpHの流体)中、約5分~約90分、または約10分~約90分、または約15分~約90分、または約20分~約90分、または約25分~約90分、または約30分~約90分、または約5分~約60分、または約10分~約60分、または約15分~約60分、または約20分~約60分、または約25分~約90分、または約30分~約60分で、当該放出調節製剤中の医薬組成物(例えば、微生物カクテルを含む)の70重量%以上を放出し得る。
【0235】
擬似胃液および擬似腸液の例としては限定されないが、2005 Pharmacopeia 23NF/28USP in Test Solutionsの2858頁に開示されるもの、および/または当業者に公知の他の擬似胃液および擬似腸液が挙げられ、例えば酵素を用いずに調製された擬似胃液および/または擬似腸液が挙げられる。
【0236】
様々な態様では、放出調節製剤は、糜汁において実質的に安定であり得る。例えば、一部の態様では、細菌混合物中の細菌の活性または生存能力の約50%または約40%または約30%または約20%または約10%未満が、投与から約10、または9、または8、または7、または6、または5、または4、または3、または2、または1時間で失われる。
【0237】
様々な態様では、放出調節製剤は、即時放出用(例えば摂取時)に設計されてもよい。様々な態様では、放出調節製剤は、持続的放出プロファイルを有してもよく、すなわち、長期間にわたり身体(例えば、GI管)において活性成分をゆっくり放出する。様々な態様では、放出調節製剤は、遅延放出プロファイルを有してもよく、すなわち、摂取時に活性成分を即時に放出しない。例えば、小腸(例えば、十二指腸、空腸、回腸のうちの一つ以上)または大腸(例えば、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸またはS状部分結腸、および直腸のうちの一つ以上)における放出に関して、組成物がGI管内で弱るまで、活性成分の放出は先送りされる。例えば、組成物は、小腸または大腸に達するまで活性成分の放出を遅延させるための腸溶コーティングが為されてもよい。
【0238】
様々な態様では、放出調節製剤は、例えば遅延放出コーティングなどの一つ以上の放出調節コーティングを利用して、任意で追加の治療剤とともに、GI管へ細菌混合物を効果的に遅延させながらしっかりと送達させることができる。
【0239】
ある態様では、遅延放出コーティングは、酸性環境下では実質的に安定であり、ほぼ中性からアルカリ性の環境下では実質的に不安定である腸溶剤を含む。ある態様では、遅延放出コーティングは、胃液中では実質的に安定な腸溶剤を含む。腸溶剤は、例えば、メタクリル酸コポリマー、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、カルボキシメチルエチルセルロース、およびEUDRAGIT(登録商標)タイプのポリマー(ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸トリメリット酸セルロース、シェラックまたは他の適切な腸溶性コーティングポリマーの溶液または分散液から選択されてもよい。EUDRAGIT(登録商標)タイプのポリマーとしては例えば、EUDRAGIT(登録商標)FS 30D、L 30 D-55、L 100-55、L 100、L 12,5、L 12,5 P、RL 30 D、RL PO、RL 100、RL 12,5、RS 30 D、RS PO、RS 100、RS 12,5、NE 30 D、NE 40 D、NM 30 D、S 100、S 12,5、およびS 12,5 Pが挙げられる。類似したポリマーとしては、Kollicoat(登録商標)MAE 30 DPおよびKollicoat(登録商標)MAE 100 Pが挙げられる。一部の態様では、EUDRAGIT(登録商標)FS 30D、L 30 D-55、L 100-55、L 100、L 12,5、L 12,5 P RL 30 D、RL PO、RL 100、RL 12,5、RS 30 D、RS PO、RS 100、RS 12,5、NE 30 D、NE 40 D、NM 30 D、S 100、S 12,5 S 12,5 P、Kollicoat(登録商標)MAE 30 DPおよびKollicoat(登録商標)MAE 100 Pのうちの一つ以上が使用される。様々な態様では、腸溶剤は、前述の溶液または分散液の組み合わせであってもよい。
【0240】
特定の態様では、一つ以上のコーティングシステム添加剤が、腸溶剤とともに使用される。例えば、一つ以上のPlasACRYLTM添加剤が、抗タッキング剤コーティング添加剤として使用されてもよい。例示的なPlasACRYLTM添加剤としては限定されないが、PlasACRYLTM HTP20およびPlasACRYLTM T20が挙げられる。
【0241】
別の態様では、遅延放出コーティングは、pHに関係なく水溶液中では、および/または溶液中に酵素が存在する場合には、時間関数として分解してもよい。そのようなコーティングは、水不溶性ポリマーを含んでもよい。したがって水溶液中の溶解性は、pHに依存しない。本明細書で使用される場合、「pH非依存性」という用語は、ポリマーの水浸透性、および薬学的成分を放出する能力が、pHの関数ではなく、および/またはpHに非常にわずかに依存するに過ぎないことを意味する。そのようなコーティングを使用して、例えば、持続的放出製剤を調製してもよい。適切な水不溶性ポリマーは、溶液のpHとは無関係に、例えば水などの水性媒体中で実質的に不溶性である薬学的に許容可能な非毒性ポリマーを含む。適切なポリマーとしては限定されないが、セルロースエーテル、セルロースエステル、またはセルロースエーテル-エステル、すなわち、セルロース骨格上のヒドロキシ基の一部がアルキル基で置換され、一部がアルカノイル基で修飾されるセルロース誘導体が挙げられる。例としては、エチルセルロース、アセチルセルロース、ニトロセルロースなどが挙げられる。不溶性ポリマーの他の例としては限定されないが、ラッカー、ならびにアクリルおよび/またはメタクリルのエステルポリマー、低四級アンモニウム含量の有するアクリル酸塩とメタクリル酸塩のポリマーもしくはコポリマー、またはそれらの混合物などが挙げられる。不溶性ポリマーの他の例としては、EUDRAGIT RS(登録商標)、EUDRAGIT RL(登録商標)、およびEUDRAGIT NE(登録商標)が挙げられる。不溶性ポリマーとしては、ポリビニルエステル、ポリビニルアセタール、ポリアクリル酸エステル、ブタジエンスチレンコポリマーなどが挙げられる。ある態様では、結腸送達は、ゆっくりと崩れるワックスプラグ(例えば、PEG6000を含む様々なPEGS)の使用によって実現される。
【0242】
さらなる態様では、遅延放出コーティングは、腸内細菌叢中に存在する微生物酵素によって分解されてもよい。ある態様では、遅延放出コーティングは、小腸内に存在する細菌によって分解されてもよい。別の態様では、遅延放出コーティングは、大腸内に存在する細菌によって分解されてもよい。
【0243】
様々な態様では、放出調節製剤は、結腸での放出用に設計されてもよい。様々な結腸特異的な送達方法を利用することができる。例えば、放出調節製剤は、例えば、その全内容が参照により本明細書に組み込まれるLi et al.,AAPS PharmSciTech(2002),3(4):1-9に記載されるような結腸特異的な薬剤送達システム(CODES)を使用して製剤化されてもよい。そのようなシステムでの薬物放出は、pH感受性ポリマーコーティングと結合した結腸微生物叢によって誘発される。例えば、製剤は、3層のポリマーを有するコア錠剤として設計されてもよい。第一のコーティングは、酸可溶性ポリマー(例えば、EUDRAGITE)であり、外側コーティングは腸溶性であり、その間にヒドロキシプロピルメチルセルロースバリア層が挟まれる。別の態様では、結腸送達は、例えばペクチンなど、結腸内で分解する特定のポリマーを用いて医薬組成物(例えば、微生物カクテルを含む)を製剤化することによって実現されてもよい。ペクチンはさらにゲル化されてもよく、例えば亜鉛カチオンなどのカチオンと架橋されてもよい。ある態様では、製剤は、イオン架橋されたペクチンビーズの形態であり、当該ビーズはさらにポリマー(例えば、EUDRAGITポリマー)でコーティングされる。追加の結腸特異的な製剤としては限定されないが、圧力制御薬物送達システム(例えば、エチルセルロースで調製される)、および浸透圧制御薬物送達システム(すなわち、ORDS-CT)が挙げられる。
【0244】
本明細書に記載の細菌混合物(および任意で追加の治療剤)の結腸特異的な送達のための製剤は、例えば、インビトロ溶出試験を使用して評価されてもよい。例えば、異なる緩衝液中で並行する溶解試験を実施して、異なるpHレベルでの製剤の挙動を特徴解析してもよい。あるいは、インビトロ酵素試験を実施してもよい。例えば、製剤は、細菌に適した培地を含有する発酵槽中でインキュベートされてもよく、異なる時間間隔で放出される薬剤の量が決定される。薬剤放出試験は、酵素含有緩衝液培地中で、またはラットもしくはモルモットもしくはウサギの盲腸内容物を含有する緩衝培地中で行われてもよく、特定の時間で放出された薬剤の量が決定される。さらなる態様では、例えばイヌ、モルモット、ラット、およびブタなどの動物モデルを使用して、インビボ評価が実施されてもよい。さらに、結腸特異的な薬物送達製剤の臨床評価は、薬剤送達指標(DDI)を計算することにより評価されてもよく、当該指標は、RSC(血中の相対的薬剤量、すなわち薬剤への相対的全身暴露)に対するRCE(薬物への相対的結腸組織曝露)の相対比率を検討するものである。DDIが高い薬剤は、結腸薬剤送達が良いことを示す。結腸からの薬物の吸収は、結腸内視鏡検査および挿管によってモニタリングされてもよい。
【0245】
様々な態様では、本製剤は、GI管内の放出領域における、細菌混合物(および任意の追加治療剤)の実質的に均一な送達を提供する。ある態様では、本製剤は、細菌混合物の斑状または不均一な放出を最小化する。
【0246】
様々な態様では、本製剤は、GI管に沿った一つ以上の細菌混合物の複数用量の放出を提供する。例えば、組成物および/または製剤は、腸に沿った様々な場所で、異なるときに、および/または異なるpHで、同じ細菌混合物の複数用量を放出することができる。あるいは、組成物および/または製剤は、腸に沿った様々な場所で、異なるときに、および/または異なるpHで、異なる細菌混合物の用量を放出することができる。ある態様では、医薬組成物は、腸内の第一の位置で放出される一つ以上の細菌単離株を含む第一の細菌混合物、および腸内の第二の場所で放出される非培養糞便細菌調製物を含む第二の細菌混合物を含む。ある態様では、第一の細菌混合物は、回腸で放出され、第二の細菌混合物は、結腸で放出される。
【0247】
そのような製剤の全体的な放出プロファイルは、例えば、複数の粒子タイプまたは複数の層を使用して調整することができる。例えば、ある態様では、第一の細菌混合物(または細菌混合物の第一の用量)は、例えば、小腸(例えば、十二指腸、空腸、回腸のうちの一つ以上)での放出用に製剤化されてもよく、一方で第二の細菌混合物(または細菌混合物の第二の用量)は、例えば、大腸(例えば、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、またはS状結腸部分、および直腸のうちの一つ以上)での遅延放出用に製剤化される。別の態様では、第一の細菌混合物(または細菌混合物の第一の用量)は、例えば、小腸(例えば、十二指腸、空腸、回腸のうちの一つ以上)での放出用に製剤化されてもよく、一方で第二の細菌混合物(または細菌混合物の第二の用量)は、例えば、小腸の別の部分(例えば、十二指腸、空腸、回腸のうちの一つ以上)での遅延放出用に製剤化される。別の態様では、第一の細菌混合物(または細菌混合物の第一の用量)は、例えば、大腸(例えば、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸またはS状結腸部分、および直腸のうちの一つ以上)での放出用に製剤化されてもよく、一方で第二の細菌混合物(または細菌混合物の第二の用量)は、例えば、大腸の別の部分(例えば、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、またはS状結腸部分、および直腸のうちの一つ以上)での遅延放出用に製剤化される。様々な態様では、組成物および/または製剤は、腸に沿った異なる場所で、異なるときに、および/または異なるpHで、少なくとも一つの用量、少なくとも二つの用量、少なくとも三つの用量、少なくとも四つの用量、または少なくとも五つの用量の細菌混合物を放出することができる。同様に様々な態様では、組成物および/または製剤は、腸に沿った異なる場所で、異なるときに、および/または異なるpHで、少なくとも一つの細菌混合物、少なくとも二つの細菌混合物、少なくとも三つの細菌混合物、少なくとも四つの細菌混合物、または少なくとも五つの細菌混合物を放出することができる。
【0248】
別の態様では、遅延放出製剤または漸次腸溶放出製剤は、二層の錠剤またはカプセルの使用を含み、それらはポリアルキレンオキシド、ポリビニルピロリドン、潤滑剤、またはそれらの混合物を含む第一の層、およびポリエチレンオキシド、カルボキシメチルセルロース、またはその両方を含む第二の浸透圧押し出し層を含む。ある態様では、遅延放出製剤または漸次腸溶放出製剤は、アクリル酸ポリマー、セルロース、ワックス、脂肪酸、シェラック、ゼイン、硬化植物油、硬化ひまし油、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニルコポリマー、ビニルアルコールコポリマー、ポリエチレンオキシド、アクリル酸とメタクリル酸のコポリマー、メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸エトキシエチルポリマー、メタクリル酸シアノエチルポリマー、メタクリル酸アミノアルキルコポリマー、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミドコポリマー、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸無水物)、メタクリル酸メチルポリマー、ポリメタクリル酸塩、ポリ(メタクリル酸メチル)コポリマー、ポリアクリルアミド、メタクリル酸アミノアルキルコポリマー、メタクリル酸グリシジルコポリマー、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋ヒドロキシプロピルセルロース、天然ワックス、合成ワックス、脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリド、硬化油脂、炭化水素ワックス、ステアリン酸、ステアリルアルコール、蜜蝋、グリコワックス、キャスターワックス、カルナバワックス、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸とグリコール酸のコポリマー、カルボキシメチルデンプン、メタクリル酸カリウム/ジビニルベンゼンコポリマー、架橋ポリビニルピロリドン、ポリインイルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー、ポリエチレングリコール、非架橋ポリビニルピロリドン、ポリビニル酢酸塩、ポリビニル酢酸塩コポリマー、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される放出遅延マトリクス物質の使用を含む。ある態様では、遅延放出製剤または漸次腸溶放出製剤は、微小環境pH改変剤の使用を含む。
【0249】
本明細書に記載される医薬組成物は、複数の別個の細菌混合物を含み、例えば、各細菌混合物に対して異なる送達位置プロファイルが実現され得ることが理解される。ある態様では、医薬組成物は、少なくとも二つの細菌混合物を含み、それにより、第一の細菌混合物は、一つ以上の細菌単離株を含み、第二の細菌混合物は、非培養糞便細菌調製物を含む。ある態様では、第二の細菌混合物はさらに、第一の細菌混合物の細菌単離株とは異なる一つ以上の細菌単離株を含む。あるいは、第二の細菌混合物は、非培養糞便細菌調製物から本質的になり得る。別の態様では、第一の細菌混合物は、ただ一つの細菌単離株のみを含む。医薬組成物は、任意の数の細菌混合物、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上の細菌混合物を含んでもよく、各々が異なる細菌単離株、細菌単離株の異なる組み合わせ、非培養糞便細菌調製物、または非培養糞便細菌調製物と一つ以上の細菌単離株の調製物の異なる組み合わせを含む。
【0250】
ある態様では、医薬組成物は、ドレンチであってもよい。一つの態様では、ドレンチは、医薬組成物の生理食塩水懸濁形態を選択することによって調製される。一つ成分の懸濁液と、他の成分の水溶液とを調製することにより、他の成分の水不溶性形態と併せた、一つの成分の水溶性形態が使用され得る。いずれか活性成分の水不溶性形態は、懸濁液として調製されてもよく、または例えばポリエチレングリコールなどのいくつかの生理学的に許容可能な溶媒中で調製されてもよい。いずれか活性成分の水不溶性形態の懸濁液は、例えばピーナッツ油、トウモロコシ油、ゴマ油などの油中、例えばプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなどのグリコール中、または特定の活性成分の溶解性に応じて水中、で調製され得る。活性成分が懸濁状態であり続けるために、好適な生理学的に許容可能なアジュバントが必要となる場合がある。アジュバントは、例えばカルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、およびアルギン酸塩などの増粘剤を含んでもよく、およびそれらから選択されてもよい。界面活性剤は概して、活性成分、特に脂溶性のプロピオン酸強化化合物の懸濁に役立つ。液体非溶媒で懸濁液を作製するために最も有用なのは、アルキルフェノールポリエチレンオキシド付加物、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルベンゼン-スルホン酸塩、およびポリオキシエチレンソルビタンエステルである。さらに液体の親水性、密度、および表面張力に影響を与える多くの物質が、個々の事例ケースで懸濁液の作製を補助し得る。例えば、シリコーン消泡剤、グリコール、ソルビトール、および糖が、有用な懸濁剤であり得る。
【0251】
ある態様では、医薬組成物は、パッチにより投与されてもよい。
【0252】
一部の態様では、本明細書に記載の細菌単離株は、生植物細胞の形態である。一部の態様では、本明細書に記載の細菌単離株は、胞子の形態である。一部の態様では、本明細書に記載の細菌単離株は、凍結乾燥されている。非限定的な例として、凍結乾燥は、その内容が参照によりその全体で本明細書に組み込まれる米国特許第7,799,328号に記載される方法を含む、当分野に公知の方法によるものであってもよい。一部の態様では、本明細書に記載の凍結乾燥細菌混合物は、腸溶コーティングされた軟質ゲルまたはカプセル中に配置される。
【0253】
様々な態様では、製剤は、米国特許第8,535,713号および第8,9117,77号、ならびに米国特許公開20120141585、20120141531、2006/001896、2007/0292523、2008/0020018、2008/0113031、2010/0203120、2010/0255087、2010/0297221、2011/0052645、2013/0243873、2013/0330411、2014/0017313、および2014/0234418のうちの一つ以上に記載される形態を取ってもよく、それら文献の内容はその全体で参照により本明細書に組み込まれる。
【0254】
様々な態様では、製剤は、国際特許出願公開WO2008/135090に記載されるものの形態を取ってもよく、当該文献の内容は、その全体で参照により本明細書に組み込まれる。
【0255】
様々な態様では、製剤は、米国特許第4,196,564号、第4,196,565号、第4,247,006号、第4,250,997号、第4,268,265号、第5,317,849号、第6,572,892号、第7,712,634号、第8,074,835号、第8,398,912号、第8,440,224号、第8,557,294号、第8,646,591号、第8,739,812号、第8,810,259号、第8,852,631号、および第8,911,788号、ならびに米国特許出願公開2014/0302132、2014/0227357、20140088202、20130287842、2013/0295188、2013/0307962、および20130184290のうちの一つ以上に記載されるものの形態を取ってもよく、それら文献の内容は、その全体で参照により本明細書に組み込まれる。
【0256】
投与および用量
医薬組成物の投与、またはその中の細菌細胞(例えば、一つ以上の細菌単離株および/または非培養糞便細菌調製物を含む細菌混合物)の投与は、例えば、特定の剤形、対象への投与様式、もしあれば組成物中の細菌単離株の同一性、もしあれば組成物中の細菌単離株の数、および組成物中の非培養糞便細菌調製物の存在または非存在などに応じて変化することが理解される。これらの因子、ならびに細菌混合物中の細菌の活性を改変し得る変数(例えば、対象の体重、性別および食事、投与時間、投与経路、排泄速度、対象の状態、薬剤の組み合わせ、遺伝的形質、ならびに反応感受性など)が当業者により考慮されて、患者におけるASDの少なくとも一つの症状の治療または予防のための有効投与量または用量レジメンが作製されてもよい。投与は、連続的に実施されてもよく、または最大耐用量内で一つ以上の個別の投与で実施されてもよい。所与の条件セットに対する最適な投与速度は、従来の用量投与試験を使用して当業者によって確認されてもよい。
【0257】
様々な態様では、医薬組成物またはその中の細菌細胞(例えば、一つ以上の細菌単離株および/または非培養糞便細菌調製物を含む細菌混合物)の投与は、ASDの一つ以上の症状を治療または防止するために、患者のマイクロバイオームを調節して生態学的バランスに有利に働くのに効果的である。
【0258】
一つの態様では、ASDの少なくとも一つの症状を治療するために対象に投与される(すなわち、単回投与または複数回投与で投与される)細菌単離株の薬学的に活性な用量、または治療有効用量は、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも1010、少なくとも1011、少なくとも1012、少なくとも1013、少なくとも1014または少なくとも1015CFUの細菌単離株を含む。別の態様では、ASDの少なくとも一つの症状を治療するために対象に投与される(すなわち、単回投与または複数回投与で投与される)細菌単離株の薬学的に活性な用量、または治療有効用量は、最大で10、最大で10、最大で10、最大で10、最大で10、最大で1010、最大で1011、最大で1012、最大で1013、最大で1014または最大で1015CFUの細菌単離株を含む。さらなる態様では、ASDの少なくとも一つの症状を治療するために対象に投与される(すなわち、単回投与または複数回投与で投与される)細菌単離株の薬学的に活性な用量、または治療有効用量は、10CFUs~1014、10CFUs~1013CFUs、1010CFUs~1012CFUs、1010CFUs~1011CFUs、10CFUs~1014CFUs、10CFUs~1012CFUs、10CFUs~1011CFUs、10CFUs~1010CFUs、1010CFUs~1014CFUs、1010CFUs~1013CFUs、1011CFUs~1014CFUs、1011CFUs~1013CFUs、1012CFUs~1014CFUsおよび1013CFUs~1014CFUsの細菌単離株からなる群から選択される。
【0259】
ある態様では、医薬組成物は、一つ以上の細菌単離株を含み、各細菌単離株は、前述の薬学的に活性な用量または治療有効用量のうちの一つで、約0.2、0.4、0.6、0.8または1.0グラムの単位重量、または約0.2、0.4、0.6、0.8または1.0ミリリットルの単位体積で、各単位用量中に存在する。
【0260】
一つの態様では、ASDの少なくとも一つの症状を治療するために対象に投与される(すなわち、単回投与または複数回投与で投与される)細菌単離株の薬学的に活性な用量、または治療有効用量は、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも1010、少なくとも1011、少なくとも1012、少なくとも1013、少なくとも1014もしくは少なくとも1015 個の細菌単離株の細胞または胞子を含む。別の態様では、ASDの少なくとも一つの症状を治療するために対象に投与される(すなわち、単回投与または複数回投与で投与される)細菌単離株の薬学的に活性な用量、または治療有効用量は、最大で10、最大で10、最大で10、最大で10、最大で10、最大で1010、最大で1011、最大で1012、最大で1013、最大で1014もしくは最大で1015 個の細菌単離株の細胞または胞子を含む。さらなる態様では、ASDの少なくとも一つの症状を治療するために対象に投与される(すなわち、単回投与または複数回投与で投与される)細菌単離株の薬学的に活性な用量、または治療有効用量は、10~1014、10~1013、1010~1012、1010~1011、10~1014、10~1012、10~1011、10~1010、1010~1014、1010~1013、1011~1014、1011~1013、1012~1014,、および1013~1014個の細菌単離株の細胞または胞子からなる群から選択される。
【0261】
ある態様では、薬学的に活性な用量または治療有効用量の細菌単離株の細胞数は、生細胞に対してである。一つ態様では、医薬組成物は、一つ以上の細菌単離株を含み、各細菌単離株は、前述の薬学的に活性な用量または治療有効用量のうちの一つで、約0.2、0.4、0.6、0.8または1.0グラムの単位重量、または約0.2、0.4、0.6、0.8または1.0ミリリットルの単位体積で、各用量単位中に存在する。
【0262】
ある態様では、本明細書に記載される医薬組成物は、カプセルの形態であり、各カプセルは、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも1010、少なくとも1011、少なくとも1012、少なくとも1013、少なくとも1014もしくは少なくとも1015個の細菌単離株の細胞または胞子を含む。ある態様では、本明細書に記載の医薬組成物は、カプセルの形態であり、各カプセルは、10~1014、10~1013、1010~1012、1010~1011、10~1014、10~1012、10~1011、10~1010、1010~1014、1010~1013、1011~1014、1011~1013、1012~1014もしくは1013~1014個の細菌単離株の細胞または胞子を含む。
【0263】
一つの態様では、ASDの少なくとも一つの症状を治療するために対象に投与される(すなわち、単回投与または複数回投与で投与される)非培養糞便細菌調製物の薬学的に活性な用量、または治療有効用量は、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも1010、少なくとも1011、少なくとも1012、少なくとも1013、少なくとも1014または少なくとも1015CFUの非培養糞便細菌調製物を含む。別の態様では、ASDの少なくとも一つの症状を治療するために対象に投与される(すなわち、単回投与または複数回投与で投与される)非培養糞便細菌調製物の薬学的に活性な用量、または治療有効用量は、最大で10、最大で10、最大で10、最大で10、最大で10、最大で1010、最大で1011、最大で1012、最大で1013、最大で1014または最大で1015CFUの非培養糞便細菌調製物を含む。さらなる態様では、ASDの少なくとも一つの症状を治療するために対象に投与される(すなわち、単回投与または複数回投与で投与される)非培養糞便細菌調製物の薬学的に活性な用量、または治療有効用量は、10CFUs~1014、10CFUs~1013CFUs、1010CFUs~1012CFUs、1010CFUs~1011CFUs、10CFUs~1014CFUs、10CFUs~1012CFUs、10CFUs~1011CFUs、10CFUs~1010CFUs、1010CFUs~1014CFUs、1010CFUs~1013CFUs、1011CFUs~1014CFUs、1011CFUs~1013CFUs、1012CFUs~1014CFUsおよび1013CFUs~1014CFUsの非培養糞便細菌調製物からなる群から選択される。
【0264】
ある態様では、非培養糞便細菌調製物は、前述の薬学的に活性な用量または治療有効用量のうちの一つで、約0.2、0.4、0.6、0.8または1.0グラムの単位重量、または約0.2、0.4、0.6、0.8または1.0ミリリットルの単位体積で、医薬組成物の各単位用量中に存在する。
【0265】
一つの態様では、ASDの少なくとも一つの症状を治療するために対象に投与される(すなわち、単回投与または複数回投与で投与される)非培養糞便細菌調製物の薬学的に活性な用量、または治療有効用量は、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも1010、少なくとも1011、少なくとも1012、少なくとも1013、少なくとも1014または少なくとも1015個の非培養糞便細菌調製物の細胞または胞子を含む。別の態様では、ASDの少なくとも一つの症状を治療するために対象に投与される(すなわち、単回投与または複数回投与で投与される)非培養糞便細菌調製物の薬学的に活性な用量、または治療有効用量は、最大で10、最大で10、最大で10、最大で10、最大で10、最大で1010、最大で1011、最大で1012、最大で1013、最大で1014または最大で1015の非培養糞便細菌調製物の合計細胞または胞子を含む。さらなる態様では、ASDの少なくとも一つの症状を治療するために対象に投与される(すなわち、単回投与または複数回投与で投与される)非培養糞便細菌調製物の薬学的に活性な用量、または治療有効用量は、10~1014、10~1013、1010~1012、1010~1011、10~1014、10~1012、10~1011、10~1010、1010~1014、1010~1013、1011~1014、1011~1013、1012~1014,、および1013~1014個の非培養糞便細菌調製物細胞または胞子からなる群から選択される。
【0266】
ある態様では、薬学的に活性な用量または治療有効用量の非培養糞便細菌調製物の細胞数は、生細胞に対してである。一つの態様では、非培養糞便細菌調製物は、前述の薬学的に活性な用量または治療有効用量のうちの一つで、約0.2、0.4、0.6、0.8または1.0グラムの単位重量、または約0.2、0.4、0.6、0.8または1.0ミリリットルの単位体積で、医薬組成物の各単位用量中に存在する。
【0267】
ある態様では、本明細書に記載される医薬組成物は、カプセルの形態であり、各カプセルは、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも1010、少なくとも1011、少なくとも1012、少なくとも1013、少なくとも1014もしくは少なくとも1015個の非培養糞便細菌調製物の細胞または胞子を含む。ある態様では、本明細書に記載の医薬組成物は、カプセルの形態であり、各カプセルは、10~1014、10~1013、1010~1012、1010~1011、10~1014、10~1012、10~1011、10~1010、1010~1014、1010~1013、1011~1014、1011~1013、1012~1014もしくは1013~1014個の非培養糞便細菌調製物の細胞または胞子を含む。
【0268】
対象は、ASDの一つ以上の症状の治療のために、非培養糞便細菌調製物と組み合わされた一つ以上の細菌単離株を投与されてもよい。そのような場合、細菌単離株および非培養糞便細菌調製物は、同一の医薬組成物中で一緒に、または別個の組成物中で対象に投与されてもよい。さらに、医薬組成物(例えば、一つ以上の細菌単離株、非培養糞便細菌調製物、またはその両方を含む)は、例えば投薬レジメンの一部として、単回単位用量、または複数単位用量で対象に投与されてもよい。ある態様では、対象に投与される非培養糞便細菌調製物の用量(例えば、CFUまたは細胞数/胞子数によって測定される)は、細菌単離株の用量よりも多い。あるいは、対象に投与される非培養糞便細菌調製物の用量(例えば、CFUまたは細胞数/胞子数によって測定される)は、細菌単離株の用量よりも少なくてもよい。別の態様では、対象に投与される非培養糞便細菌調製物の用量(例えば、CFUまたは細胞数/胞子数によって測定される)は、細菌単離株の用量とほぼ同じであってもよい。例えば、ある態様では、対象は、ASDの一つ以上の症状を治療または予防するために、約1010細胞の用量の細菌単離株(例えば、ラクトバチルス・ロイテリ)と、約1010細胞の用量の非培養糞便細菌調製物を投与されてもよい。
【0269】
ある態様では、ASDの一つ以上の症状を治療するために対象に投与される細菌単離株の細胞数は、対象に投与される非培養糞便細菌調製物の細胞の合計数とほぼ同じであるか、またはそれよりも多い。あるいは、ASDの一つ以上の症状を治療するために対象に投与される細菌単離株の細胞数は、対象に投与される非培養糞便細菌調製物の細胞の合計数とほぼ同じであるか、またはそれより少なくてもよい。
【0270】
ある態様では、医薬組成物は、複数の細菌単離株を含む細菌混合物を含む。別の態様では、少なくとも2個の細菌単離株が、ほぼ同じ量または用量で存在する(例えば、ほぼ同じ数の生細胞もしくは胞子、またはほぼ同じCFUで存在する)。別の態様では、少なくとも3個の細菌単離株、少なくとも4個の細菌単離株、少なくとも5個の細菌単離株、少なくとも6個の細菌単離株、少なくとも7個の細菌単離株、少なくとも8個の細菌単離株、少なくとも9個の細菌単離株、少なくとも10個の細菌単離株、または10個よりも多い細菌単離株が、ほぼ同じ量または用量で医薬組成物中に存在する(例えば、ほぼ同じ数の生細胞もしくは胞子、またはほぼ同じCFUで存在する)。別の態様では、細菌混合物中の細菌単離株の全てが、ほぼ同じ量で存在する。
【0271】
ある態様では、医薬組成物は、複数の細菌単離株を含む細菌混合物を含み、複数の細菌単離株のうちの少なくとも2個は、異なる量または用量で存在する(例えば、異なる数の生細胞もしくは胞子、または異なるCFUで存在する)。別の態様では、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、または10個より多い細菌単離株が、異なる量または用量で細菌混合物中に存在する。
【0272】
医薬組成物は、非培養糞便細菌調製物と組み合わされた、複数の細菌単離株を含む細菌混合物を含んでもよい。ある態様では、各細菌単離株は、非培養糞便細菌調製物の量または用量よりも多い量または用量で、組成物中に存在する(生細胞もしくは胞子、またはCFUとして測定される)。別の態様では、各細菌単離株は、非培養糞便細菌調製物の量または用量よりも少ない量または用量で、組成物中に存在する(例えば、生細胞もしくは胞子、またはCFUとして測定される)。別の態様では、少なくとも1個の細菌単離株が、非培養糞便細菌調製物の量または用量よりも多い量または用量で組成物中に存在し、少なくとも1個の細菌単離株が、非培養糞便細菌調製物の量または用量よりも少ない量または用量で組成物中に存在する(例えば、生細胞もしくは胞子、またはCFUの数として測定される)。
【0273】
ある態様では、医薬組成物は、対象に投与され、対象の腸内で細菌単離株の生着が発生するために必要とされる細菌単離株の最小の量または用量で、またはそれを超える量または用量で、一つ以上の細菌単離株を含む。例えば、対象の腸内に細菌単離株が生着するために必要とされる細菌単離株の最小の用量は、少なくとも10個の細胞、少なくとも10個の細胞、少なくとも10個の細胞、少なくとも10個の細胞、少なくとも1010個の細胞、少なくとも1011個の細胞、または少なくとも1012個の細胞であってもよい。ある態様では、微生物カクテルの第一および第二の細菌単離株は、異なる最小用量または最小量で対象の腸内に生着し、微生物カクテル中の第一および第二の細菌単離株の各々の用量または量は、各細菌単離株の生着に必要とされるそれぞれの最小用量または最小量に応じて変化する。
【0274】
医薬組成物(例えば、細菌混合物を含む)の個々の用量は、例えば、単位剤形当たり、約0.01mg~約5,000mg、約0.01mg~約4,000mg、約0.01mg~約3,000mg、約0.01mg~約2,000mg、約0.01mg~約1,000mg、約0.01mg~約950mg、約0.01mg~約900mg、約0.01mg~約850mg、約0.01mg~約800mg、約0.01mg~約750mg、約0.01mg~約700mg、約0.01mg~約650mg、約0.01mg~約600mg、約0.01mg~約550mg、約0.01mg~約500mg、約0.01mg~約450mg、約0.01mg~約400mg、約0.01mg~約350mg、約0.01mg~約300mg、約0.01mg~約250mg、約0.01mg~約200mg、約0.01mg~約150mg、約0.01mg~約100mg、約0.1mg~約90mg、約0.1mg~約80mg、約0.1mg~約70mg、約0.1mg~約60mg、約0.1mg~約50mg、約0.1mg~約40mg、約0.1mg~約30mg、約0.1mg~約20mg、約0.1mg~約10mg、約0.1mg~約5mg、約0.1mg~約3mg、約0.1mg~約1mgの活性成分、または単位剤形当たり、約5mg~約80mgを含有する単位剤形(例えば、錠剤またはカプセル)で投与されてもよい。例えば、単位剤形は、その間の全ての値および範囲を含む、約0.01mg、約0.02mg、約0.03mg、約0.04mg、約0.05mg、約0.06mg、約0.07mg、約0.08mg、約0.09mg、約0.1mg、約0.2mg、約0.3mg、約0.4mg、約0.5mg、約0.6mg、約0.7mg、約0.8mg、約0.9mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg、約1,000mg、約2,000mg、約3,000mg、約4,000mg、または約5,000mgの活性成分を含んでもよい。
【0275】
ある態様では、医薬組成物(例えば、細菌混合物を含む)は、毎日、約0.01mg~約100mgの量で、毎日、約0.01mg~約5,000mg、毎日、約0.01mg~約4,000mg、毎日、約0.01mg~約3,000mg、毎日、約0.01mg~約2,000mg、毎日、約0.01mg~約1,000mg、毎日、薬0.01mg~約950mg、毎日、約0.01mg~約900mg、毎日、約0.01mg~約850mg、毎日、約0.01mg~約800mg、毎日、約0.01mg~約750mg、毎日、約0.01mg~約700mg、毎日、約0.01mg~約650mg、毎日、約0.01mg~約600mg、毎日、約0.01mg~約550mg、毎日、約0.01mg~約500mg、毎日、約0.01mg~約450mg、毎日、約0.01mg~約400mg、毎日、約0.01mg~約350mg、毎日、約0.01mg~約300mg、毎日、約0.01mg~約250mg、毎日、約0.01mg~約200mg、毎日、約0.01mg~約150mg、毎日、約0.1mg~約100mg、毎日、約0.1mg~約95mg、毎日、約0.1mg~約90mg、毎日、約0.1mg~約85mg、毎日、約0.1mg~約80mg、毎日、約0.1mg~約75mg、毎日、約0.1mg~約70mg、毎日、約0.1mg~約65mg、毎日、約0.1mg~約60mg、毎日、約0.1mg~約55mg、毎日、約0.1mg~約50mg、毎日、約0.1mg~約45mg、毎日、約0.1mg~約40mg、毎日、約0.1mg~約35mg、毎日、約0.1mg~約30mg、毎日、約0.1mg~約25mg、毎日、約0.1mg~約20mg、毎日、約0.1mg~約15mg、毎日、約0.1mg~約10mg、毎日、約0.1mg~約5mg、毎日、約0.1mg~約3mg、毎日、約0.1mg~約1mg、または毎日、約5mg~約80mgの量で、投与される。様々な態様では、細菌混合物は、その間の全ての値および範囲を含む、約0.01mg、約0.02mg、約0.03mg、約0.04mg、約0.05mg、約0.06mg、約0.07mg、約0.08mg、約0.09mg、約0.1mg、約0.2mg、約0.3mg、約0.4mg、約0.5mg、約0.6mg、約0.7mg、約0.8mg、約0.9mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg、約1,000mg、約2,000mg、約3,000mg、約4,000mg、または約5,000mgの1日用量で投与される。
【0276】
一部の態様では、医薬組成物(例えば、細菌混合物を含む)の適切な用量は、その間の全ての値および範囲を含む、約0.01mg/対象の体重kg~約100mg/対象の体重kgの範囲、例えば、約0.01mg/体重kg、約0.02mg/体重kg、約0.03mg/体重kg、約0.04mg/体重kg、約0.05mg/体重kg、約0.06mg/体重kg、約0.07mg/体重kg、約0.08mg/体重kg、約0.09mg/体重kg、約0.1mg/体重kg、約0.2mg/体重kg、約0.3mg/体重kg、約0.4mg/体重kg、約0.5mg/体重kg、約0.6mg/体重kg、約0.7mg/体重kg、約0.8mg/体重kg、約0.9mg/体重kg、約1mg/体重kg、約1.1mg/体重kg、約1.2mg/体重kg、約1.3mg/体重kg、約1.4mg/体重kg、約1.5mg/体重kg、約1.6mg/体重kg、約1.7mg/体重kg、約1.8mg/体重kg,1.9mg/体重kg、約2mg/体重kg、約3mg/体重kg、約4mg/体重kg、約5mg/体重kg、約6mg/体重kg、約7mg/体重kg、約8mg/体重kg、約9mg/体重kg、約10mg/体重kg、約20mg/体重kg、約30mg/体重kg、約40mg/体重kg、約50mg/体重kg、約60mg/体重kg、約70mg/体重kg、約80mg/体重kg、約90mg/体重kg、または約100mg/体重kgの範囲である。他の態様では、適切な組成物の用量は、約0.01mg/体重kg~約100mg/体重kgの範囲、約0.01mg/体重kg~約90mg/体重kgの範囲、約0.01mg/体重kg~約80mg/体重kgの範囲、約0.01mg/体重kg~約70mg/体重kgの範囲、約0.01mg/体重kg~約60mg/体重kgの範囲、約0.01mg/体重kg~約50mg/体重kgの範囲、約0.01mg/体重kg~約40mg/体重kgの範囲、約0.01mg/体重kg~約30mg/体重kgの範囲、約0.01mg/体重kg~約20mg/体重kgの範囲、約0.01mg/体重kg~約10mg/体重kgの範囲、約0.01mg/体重kg~約9mg/体重kgの範囲、約0.01mg/体重kg~約8mg/体重kgの範囲、約0.01mg/体重kg~約7mg/体重kgの範囲、0.01mg/体重kg~約6mg/体重kgの範囲、約0.05mg/体重kg~約5mg/体重kgの範囲、約0.05mg/体重kg~約4mg/体重kgの範囲、約0.05mg/体重kg~約3mg/体重kgの範囲、約0.05mg/体重kg~約2mg/体重kgの範囲、約0.05mg/体重kg~約1.5mg/体重kgの範囲、または約0.05mg/体重kg~約1mg/体重kgの範囲である。
【0277】
特定の態様によれば、医薬組成物(例えば、細菌混合物を含む)は、例えば、1日2回以上、1日約1回、およそ1日おき、およそ3日おき、およそ1週間に1回、およそ2週間に1回、およそ1か月に1回、およそ2カ月に1回、およそ3か月に1回、およそ6か月に1回、またはおよそ1年に1回、投与されてもよい。
【0278】
ある態様では、医薬組成物は、少なくとも1日1回、少なくとも2日間連続で、その必要のある患者に投与されてもよい。別の態様では、医薬組成物は、少なくとも1日1回、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15日間連続で投与される。別の態様では、医薬組成物は、少なくとも1日1回、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12週間連続で投与される。別の態様では、医薬組成物は、少なくとも1週間当たり2回、3回、4回または5回、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12週間連続で投与される。別の態様では、医薬組成物は、少なくとも1日1回、最大で4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20の日または週で連続して投与される。さらなる態様では、医薬組成物は、少なくとも1日1回、最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12の週または月で連続して投与される。さらに別の態様では、医薬組成物は、対象の全人生にわたり慢性的に、または無期限に、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12の月または年で連続して、少なくとも1回投与される。
【0279】
ある態様では、医薬組成物は、少なくとも1日2回、少なくとも2日間連続で、その必要のある患者に投与されてもよい。ある態様では、医薬組成物は、少なくとも1日2回、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15日間連続で投与される。別の態様では、医薬組成物は、少なくとも1日2回、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12週間連続で投与される。別の態様では、医薬組成物は、少なくとも1日2回、最大で4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20の日または週で連続して投与される。別の態様では、医薬組成物は、少なくとも1日2回、最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12の週または月で連続で投与される。別の態様では、医薬組成物は、対象の全人生にわたり慢性的に、または無期限に、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12の月または年で連続で、少なくとも2回投与される。
【0280】
本開示のある態様では、医薬組成物は、少なくとも1日3回、少なくとも2日間連続で、その必要のある患者に投与されてもよい。ある態様では、医薬組成物は、少なくとも1日3回、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15日間連続で投与される。ある態様では、医薬組成物は、少なくとも1日3回、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12週間連続で投与される。ある態様では、医薬組成物は、少なくとも1日3回、最大で4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20の日または週で連続して投与される。ある態様では、医薬組成物は、少なくとも1日3回、最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12の週または月で連続で投与される。ある態様では、医薬組成物は、対象の全人生にわたり慢性的に、または無期限に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12の月または年で連続で、少なくとも3回投与される。
【0281】
ある態様では、医薬組成物は、少なくとも1日1回、または1日2回の投与スケジュールで、少なくとも3の日または週で連続で、その必要のある患者に投与されてもよい。ある態様では、用量は、少なくとも1日1回、2回または3回、1~12週、2~12週、3~12週、4~12週、5~12週、6~12週、7~12週、8~12週、9~12週、10~12週、1~2週、2~3週、3~4週、4~5週、5~6週、6~7週、7~8週、8~9週、9~10週、または10~11週の期間、投与される。
【0282】
ある態様では、医薬組成物は、1週に1回、1週に2回、または1週に3回の投与スケジュールで、その必要のある患者に投与されてもよい。「1週に1回」という用語は、典型的には1週間で1回のみ、例えば各週の同じ日に用量が投与されることを意味する。「1週に2回」とは、典型的には1週間で2回のみ、例えば各週間の同じ2日間に用量が投与されることを意味する。「1週に3回」とは、典型的には1週間で3回のみ、例えば各週間の同じ3日間に用量が投与されることを意味する。
【0283】
ある態様では、医薬組成物は、その必要のある患者に投与されてもよく、この場合において投与は、第一の投与スケジュールとそれに続く第二の投与スケジュールを含む。ある態様では、第一の投与スケジュールは、治療用量または導入用量を含む。ある態様では、第二の投与スケジュールは、維持用量を含む。例えば、第二の投与スケジュールの薬学的に活性な維持用量は、第一の投与スケジュールの薬学的に活性な導入用量以下であってもよい。他の例では、第二の投与スケジュールの維持用量は、第一の投与スケジュールの導入用量よりも高くてもよい。
【0284】
医薬組成物を投与するための第一および第二の投与スケジュールのうちの少なくとも一つは、少なくとも1日1回を少なくとも1日間、組成物を投与することを含んでもよい。ある態様では、第一および第二の投与スケジュールのうちの少なくとも一つは、少なくとも1日1回で少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15日間連続で組成物を投与することを含む。ある態様では、第一および第二の投与スケジュールのうちの少なくとも一つは、少なくとも1日1回で少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12週間連続で組成物を投与することを含む。ある態様では、第一および第二の投与スケジュールのうちの少なくとも一つは、最大で4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20の日または週で連続して組成物を投与することを含む。ある態様では、第一および第二の投与スケジュールのうちの少なくとも一つは、最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12の週または月で連続で組成物を投与することを含む。ある態様では、第一または第二の投与スケジュールのうちの少なくとも一つは、対象の全人生にわたり慢性的に、または無期限に、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12の月または年で連続で組成物を投与することを含む。
【0285】
ある態様では、方法で使用される第一または第二の投与スケジュールのうちの少なくとも一つは、週に1回、週に2回、または週に3回であってもよい。
【0286】
ある態様では、第一および第二の投与スケジュールのうちの少なくとも一つは、少なくとも約2、4、6、8、10、12、18、24、36、48、72、または96カ月間、継続してもよい。ある態様では、第二の投与スケジュールは、治療される対象の全人生にわたり、または無期限に、永久的に継続する。ある態様では、第一および第二の投与スケジュールのうちの少なくとも一つは、連続的な投与スケジュールである。ある態様では、第一および第二の投与スケジュールのうちの少なくとも一つは、断続的な投与スケジュールである。ある態様では、第一および第二の投与スケジュールのうちの少なくとも一つは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14日間の治療期間と、それに続く少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14日間の休息期間を含む断続的な投与スケジュールである。ある態様では、第一および第二の投与スケジュールのうちの少なくとも一つは、一日おき、二日おき、または3、4、5、6、7、8日おきに用量を投与することを含む。ある態様では、用量は、漸増(または別手段により用量または投与スケジュールを変更すること)を伴う、または伴わない長期間にわたって投与される。
【0287】
ある態様では、第一の投与スケジュールと第二の投与スケジュールの間の間隔は、少なくとも約1、2、3、4、5、6もしくは7日間、または少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12週間、または少なくとも約1、2、3、4、6、7、8、9、10、11もしくは12カ月間である。
【0288】
ある態様では、第二の投与スケジュール(例えば維持用量)は、第一の投与スケジュール(例えば、初期導入用量)で使用される用量よりも、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、75、100、200、400、800、1000、5000倍以上少ない用量を含む。別の態様では、第二の投与スケジュール(例えば、維持投与スケジュール)は、第一の投与スケジュール(例えば、初期治療投与スケジュール)と等しい、または少ない投与頻度を有する。ある態様では、第二の投与スケジュール(例えば、維持投与スケジュール)は、第一の投与スケジュール(例えば、初期治療投与スケジュール)よりも多い投与間隔を有する。ある態様では、初期治療投与スケジュールの全ての投与は、一人のドナーに由来する。別の態様では、初期治療投与スケジュールの投与は、複数のドナーに由来する。ある態様では、維持投与スケジュールの全ての投与は、一人のドナーに由来する。別の態様では、維持投与スケジュールの投与は、複数のドナーに由来する。
【0289】
ある態様では、第一の投与スケジュールは、対象への医薬組成物の一つの用量の投与を含む。ある態様では、第二の投与スケジュールは、対象への医薬組成物の一つの用量または複数の用量のいずれかの投与を含み、この場合いおいて第二の投与スケジュール中の医薬組成物の用量は、第一の投与スケジュール中の医薬組成物の用量よりも少ない。
【0290】
様々な態様では、本明細書に記載の方法は、ヒト対象の治療に有用である。一部の態様では、ヒトは、小児である。他の態様では、ヒトは、成人である。他の態様では、ヒトは、老人である。他の態様では、ヒトは、患者と呼称される場合もある。一部の態様では、ヒトは、女性である。一部の態様では、ヒトは、男性である。
【0291】
特定の態様では、ヒトは、約1~約18カ月齢、約18~36カ月齢、約1~約5歳、約5~約10歳、約10~約15歳、約15~約20歳、約20~約25歳、約25~約30歳、約30~約35歳、約35~約40歳、約40~約45歳、約45~約50歳、約50~約55歳、約55~約60歳、約60~約65歳、約65~約70歳、約70~約75歳、約75~約80歳、約80~約85歳、約85~約90歳、約90~約95歳、または約95~約100歳の範囲の年齢である。
【0292】
一つの態様では、治療される対象は、ヒト患者である。一つの態様では、患者は、男性患者である。一つの態様では、患者は、女性患者である。一つの態様では、患者は、早生児である。一つの態様では、患者は、新生児期間である。一つの態様では、患者は、新生児である。一つの態様では、患者は、乳児である。一つの態様では、患者は、幼児である。一つの態様では、患者は、小児である。一つの態様では、患者は、子供である。一つの態様では、患者は、青年である。一つの態様では、患者は、小児患者である。一つの態様では、患者は、高齢患者である。一つの態様では、ヒト患者は、約18、15、12、10、8、6、4、3、2、または1歳未満の子供の患者である。別の態様では、ヒト患者は、成人患者である。別の態様では、ヒト患者は、年配の患者である。さらなる態様では、ヒト患者は、約30歳、35歳、40歳、45歳、50歳、55歳、60歳、65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、または95歳を超える患者である。別の態様では、患者は、約1~5、2~10、3~18、21~50、21~40、21~30、50~90、60~90、70~90、60~80、または65~75歳である。一つの態様では、患者は、前期高齢者の患者(65-74歳)である。一つの態様では、患者は、中期高齢者の患者(75~84歳)である。一つの態様では、患者は、高齢の患者(>85歳)である。
【0293】
追加の治療剤および合剤化
本明細書に記載される医薬組成物は、細菌混合物に加えて、一つ以上の治療剤を含んでもよく、それらは本明細書に記載の方法において、その必要のある対象に投与されてもよい。追加の治療剤は、本明細書に記載される細菌混合物(例えば、一つ以上の細菌単離株および/または非培養糞便細菌調製物を含む)と同時に、または連続して投与されてもよい。さらに、本発明の組成物および製剤は、(例えば、合剤化を介して)追加の治療剤を含んでもよい。例えば、追加の治療剤、一つ以上の細菌単離株、および非培養糞便細菌調製物は、一つの製剤内で組み合わされてもよい。
【0294】
ある態様では、追加の治療剤と細菌混合物は、対象に同時に投与される。本明細書で使用される場合、「同時に」という用語は、追加の治療剤と細菌混合物が、約60分以下、例えば約30分以下、約20分以下、約10分以下、約5分以下、または約1分以下の時間分離で投与されることを意味する。追加の治療剤と細菌混合物は、一つの製剤(例えば、追加の治療剤と細菌混合物を含む製剤)の同時投与、または別個の製剤(例えば、追加の治療剤を含む第一の製剤と細菌混合物を含む第二の製剤)の同時投与によるものであってもよい。
【0295】
その投与のタイミングが、追加の治療剤と細菌混合物(例えば、一つ以上の細菌単離株および/または非培養糞便細菌調製物を含む)の薬理活性が時間内に重複するような場合、同時投与は、追加の治療剤が同時に投与されることを必要としない。例えば、追加の治療剤と細菌混合物は、連続して投与されてもよい。本明細書で使用される場合、「連続して」という用語は、追加の治療剤と細菌混合物が、約60分を超える時間分離で投与されることを意味する。例えば、追加の治療剤と細菌混合物の連続投与の間の時間は、約60分超、約2時間超、約5時間超、約10時間超、約1日超、約2日超、約3日超、または約1週間超の間隔であってもよい。最適な投与時間は、投与される追加の治療剤と細菌混合物の代謝速度、排泄、および/または薬力学的活性に依存する。追加の治療剤または細菌混合物のいずれかが、最初に投与されてもよい。
【0296】
さらなる態様では、追加の治療剤と細菌混合物は、対象に同時に投与されてもよいが、GI管における各剤形(または合剤化の場合には、単一の単位用量)からの追加の治療剤と細菌混合物の放出は、連続して発生してもよい。
【0297】
また、同時投与は、複数の追加の治療剤が細菌混合物と同じ投与経路によって対象に投与されることを必要とはしない。むしろ、各追加の治療剤は、任意の適切な経路、例えば、非経口的にまたは経口的に投与されてもよい。
【0298】
一部の態様では、追加の治療剤は、対象においてASDの一つ以上の症状を治療するために使用される剤である。一部の態様では、追加の治療剤は、イスペリドン、フルオキセチン、アリピプラゾール、ビタミンD、レボカルニチン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0299】
一部の態様では、追加の治療剤は、例えばステロイド系抗炎症剤または非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDS)などの抗炎症剤である。ステロイド、特に副腎コルチコステロイドおよびその合成類似体は、当分野で公知である。追加の治療剤として対象に投与され得るコルチコステロイドの非限定的な例としては、ヒドロキシルトリアムシノロン、アルファ-メチルデキサメタゾン、ベータ-メチルベタメタゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、安息香酸ベタメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、吉草酸クロベタゾール、デソニド、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、二酢酸ジフロラゾン、吉草酸ジフルコルトロン、フルアドレノロン、フルクロロロンアセトニド、ピバル酸フルメタゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルコルチンブチルエステル、フルオコルトロン、酢酸フルプレドニデン(フルプレドニリデン)、フルランドレノロン、ハルシノニド、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロンアセトニド、コルチゾン、コルトドキソン、フルセトニド、フルドロコルチゾン、二酢酸ジフルオロゾン、フルラドレノロンアセトニド、メドリゾン、アムシナフェル、アムシナフィド、ベタメタゾンおよびそのエステルの釣り合うもの、クロロプレドニゾン、クロコルテロン、クレシノロン、ジクロリゾン、ジフルプレドネート、フルクロロニド、フルニソリド、フルオロメタロン、フルペロロン、フルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、メプレドニゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾンが挙げられる。使用され得るNSAIDSとしては限定されないが、サリチル酸、アセチルサリチル酸、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、サリチルアミド、ベンジル-2,5-ジアセトキシ安息香酸、イブプロフェン、フリンダク、ナプロキセン、ケトプロフェン、エトフェナメート、フェニルブタゾン、インドメタシン、およびそれらの組み合わせが挙げられる。追加の抗炎症剤は、例えば、米国特許第4,537,776号に記載されており、当該文献の全内容が、参照によりその全体で本明細書に組み込まれる。
【0300】
一部の態様では、医薬組成物に組み込まれ得る追加の治療剤は、プレバイオティクスである。プレバイオティクスは、対象に投与されて対象の腸内の一つ以上の微生物(例えば微生物叢)の成長、増殖または活性を(例えば、当該一つ以上の微生物により代謝される基質を提供することによって)促進する化合物(例えば、一つ以上の栄養素を含む)である。理論に拘束されることは望まないが、プレバイオティクスは医薬組成物に添加されて、対象の内因性マイクロバイオーム中の細菌および/または医薬組成物それ自体の中の細菌を栄養的に補い、例えば、非培養糞便細菌調製物の一つ以上の株および/または一つ以上の細菌単離株の成長または活性を刺激することができる。さらに一つ以上のプレバイオティクスが組成物に添加されて、例えば非培養糞便細菌調製物の単離および/または精製の後に、または凍結、凍結乾燥、噴霧乾燥、溶液中での再構成などの前後に、細菌細胞が新たな環境へと移行する際の細菌細胞に対する「ショック」を和らげることができる。
【0301】
医薬組成物に添加され得るプレバイオティクスの非限定的な例としては、アミノ酸、乳酸、硝酸アンモニウム、アミロース、大麦マルチ、ビオチン、炭酸塩、セルロース、キチン、コリン、フルクトオリゴ糖(FOS)、フルクトース、ガラクトリオリゴ糖(GOS)、グルコース、グリセロール、ヘテロ多糖類、ヒスチジン、ホモ多糖類、ヒドロキシアパタイト、イヌリン、イソマルツロース、ラクトース、ラクツロース、マルトデキストリン、マルトース、マンノオリゴ糖、窒素、オリゴデキストロース、オリゴフルクトース、オリゴフルクトース富化イヌリン、オリゴ糖、ペクチン、リン酸塩、リン、ポリデキストロース、ポリオール、カリ、カリウム、硝酸ナトリウム、デンプン、スクロース、硫黄、サンファイバー、タガトース、チアミン、トランス-ガラクトリオリゴ糖、トレハロース、ビタミン、水溶性炭水化物、キシロオリゴ糖(XOS)、およびそれらの組み合わせが挙げられる。例示的なプレバイオティクスとしては、複雑な炭水化物、アミノ酸、ペプチド、または細菌組成物の生存のための他の必須栄養成分が挙げられる。
【0302】
ある態様では、対象は、医薬組成物を用いた治療前にプレバイオティクスで前治療されない。別の態様では、医薬組成物は、プレバイオティックスを補充されない。
【0303】
ある態様では、プレバイオティックスは、例えば、細菌混合物を含む、本明細書に記載の医薬組成物中に(例えば、乾燥形態または液体形態で)含有されてもよい。
【0304】
あるいは、または追加的に、対象(例えば、ASDの一つ以上の症状を有する)に投与されるプレバイオティクスは、細菌混合物を欠く別個の医薬組成物中に(乾燥形態または液体形態で)含有されてもよい。
【0305】
プレバイオティクスは、細菌混合物を含む医薬組成物の投与の前、投与と同時、および/または投与の後に、同じ医薬組成物中で、または別個の医薬組成物中のいずれかで対象に投与されてもよい。
【0306】
プレバイオティクスは、単回用量または複数用量で提供され、投与されてもよい。単回用量として提供される場合、一つの組成物は、ただ一つのプレバイオティクス、またはプレバイオティクスの混合物を含んでもよい。複数用量で提供される場合、対象に投与される各組成物は、一つのプレバイオティクスまたはプレバイオティクスの混合物を含んでもよく、および/または対象に投与される第一の組成物は、対象に投与される第二の組成物とは異なるプレバイオティクスを含んでもよい。
【0307】
例として、複数用量が提供される場合、プレバイオティクスを含む第一の組成物は、例えばイヌリンなどの第一のプレバイオティクスを含んでもよく、第二の組成物は、例えばペクチンなどの異なるプレバイオティクスを、第一のプレバイオティクスとともに、または伴わずに含んでもよい。あるいは第一の組成物は、例えばイヌリンとペクチンなど、プレバイオティクスの組み合わせを含んでもよく、第二の組成物は、例えばイヌリンとFOSなど、プレバイオティクスの異なる組み合わせを含んでもよい。第一の組成物は、プレバイオティクスの組み合わせを含んでもよく、第二の組成物は、ただ一つのプレバイオティクスのみを含んでもよい。
【0308】
組成物中に含まれるプレバイオティクスの量は、具体的なプレバイオティクス、当該プレバイオティクスの標的となる具体的な細菌株、および/または対象/患者の疾患状態に依存する。
【0309】
一部の態様では、医薬組成物に組み込まれ得る追加の治療剤は、下痢止め剤である。本明細書に記載される医薬組成物への含有に適した下痢止め剤の非限定的な例としては限定されないが、DPP-IV阻害剤、天然オピオイド、例えばアヘンのチンキ剤、パレゴリック、およびコデイン、合成オピオイド、例えばジフェノキシレート、ジフェノキシン、およびロペラミド、次サリチル酸ビスマス、ランレオチド、バプレオチド、およびオクトレオチド、モチリンアンタゴニスト、セレコキシブなどのCOX2阻害剤、グルタミン、サリドマイドおよび従来の下痢止め治療薬、例えばカオリン、ペクチン、ベルベリン、およびムスカリン剤、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0310】
一部の態様では、医薬組成物に組み込まれ得る追加の治療剤は、鎮痛剤である。本明細書に記載の組成物および方法に有用な鎮痛剤としては限定されないが、モルヒネ、コデイン、ヘロイン、メタドン、および関連化合物、テバイン、オルピアビンおよびそれらの誘導体、ブプレノルフィン、ピペリジン、モルフィナン、ベンゾモルファン、テトラヒドロイソキノリン、チアンブタン(thiambutanes)、ベンジルアミン、チリジン、ビミノール、ネフォパム、カプサイシン(8-メチル-N-バニリル-6E-ノネナミド)、「合成」カプサイシン(N-バニリルノナミド)、および関連化合物、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0311】
一部の態様では、追加の治療剤は、抗菌剤であり、限定されないが、セファロスポリン抗生物質(セファレキシン、セフロキシム、セファドロキシル、セファゾリン、セファロチン、セファクロル、セファマンドール、セフォキシチン、セフプロジル、およびセフトビプロール)、フルオロキノロン抗生物質(シプロ、レバクイン、フロキシン、テクイン、アベロクス、およびノルフロクス)、テトラサイクリン抗生物質(テトラサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、およびドキシサイクリン)、ペニシリン抗生物質(アモキシシリン、アンピシリン、ペニシリンV、ジクロキサシリン、カルベニシリン、バンコマイシン、およびメチシリン)、モノバクタム抗生物質(アズトレオナム)、カルバペネム抗生物質(エルタペネム、ドリペネム、イミペネム/シラスタチン、およびメロペネム)、およびそれらの組み合わせ、が挙げられる。一部の態様では、抗菌剤は、ペニシリン抗生物質、セファロスポリン抗生物質、モノバクタム抗生物質、およびカルバペネム抗生物質、またはそれらの組み合わせのいずれかであってもよい。
【0312】
一つの態様では、方法は、治療用細菌混合物を投与する前に、対象を抗生物質組成物で前治療することをさらに含む。一つの態様では、本明細書において投与される抗生物質組成物は、リファブチン、クラリスロマイシン、クロファジミン、バンコマイシン、リファンピシン、ニトロイミダゾール、クロラムフェニコール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される抗生物質を含む。別の態様では、本明細書において投与される抗生物質組成物は、リファキシミン、リファマイシン誘導体、リファンピシン、リファブチン、リファペンチン、リファラジル、ビコザマイシン、アミノグリコシド、ゲンタマイシン、ネオマイシン、ストレプトマイシン、パロモマイシン、ベルダマイシン、ムタマイシン、シソマイシン、ネチルマイシン、レチマイシン(retymicin)、カナマイシン、アズトレオナム、アズトレオナムマクロライド、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、ロキシスロマイシン、テリスロマイシン、アジスロマイシン、次サリチル酸ビスマス、バンコマイシン、ストレプトマイシン、フィダキソマイシン、アミカシン、アルベカシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、パロモマイシン、ロドストレプトマイシン、トブラマイシン、アプラマイシン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される抗生物質を含む。別の態様では、対象は、細菌混合物を投与する前に抗生物質組成物で前治療されない。別の態様では、医薬組成物は、抗生物質組成物を補充されない。さらなる態様では、方法は、細菌混合物の投与前に、抗炎症剤を用いて対象を前治療することをさらに含む。さらに別の態様では、対象は、細菌混合物の投与前に、抗炎症剤で前治療されない。別の態様では、細菌混合物は、抗炎症剤を補充されない。
【0313】
追加の治療剤の送達は、本明細書に記載されるように、GI管の様々な部分を標的としてもよい。
【0314】
本明細書に記載される医薬組成物(例えば、一つ以上の細菌単離株および/または非培養糞便細菌調製物を含む一つ以上の細菌混合物を含む)は、一つ以上の障害、疾患もしくは状態の治療または予防のために、その必要のある対象に投与されてもよい。ある態様では、医薬組成物は、対象においてASDの一つ以上の症状を予防または治療するために、対象に投与される。本明細書において、その必要のある対象においてASDの一つ以上の症状を治療または予防する方法が提供され、当該方法は、本明細書に記載される医薬組成物を対象に投与することを含む。
【0315】
本明細書に提供される方法は、限定されないが、視覚刺激に対するアイトラッキング、皮膚コンダクタンスおよび/またはEEG測定値、社会的相互作用に携わることおよび応答することの困難性、言語コミュニケーションおよび非言語コミュニケーションの問題、反復行動、知的障害、運動協調の困難性、注意の問題点、睡眠障害、ならびに例えば胃腸障害などの身体の健康上の問題点における変化を含む、ASDの一つ以上の指標または症状における検出可能な改善を生じさせ、または改善の実現を目的としている。
【0316】
対象の社会的およびコミュニケーション的な発達を評価するためのいくつかのスクリーニング手段が当分野に公知であり、コミュニケーションスキル、社会的相互作用、および自閉症スペクトラム障害の特徴である行動上の限定的、反復的および常同的なパターンにおける、障害の重症度のスクリーニングおよび障害の重症度の変化の検出における補助として使用することができる。評価には、詳細な認知検査および言語検査とともに、神経学的評価および遺伝的評価が含まれ得る。自閉症の診断および評価に対して特別に開発された追加の尺度としては、自閉症診断面接改訂版(ADI-R:Autism Diagnosis Interview-Revised)、自閉症診断観測スケジュール(ADOS-G:Autism Diagnostic Observation Schedule)、および小児自閉症評定尺度(CARS:Childhood Autism Rating Scale)が挙げられる。
【0317】
自閉症診断面接改訂版(ADI-R)は、2時間の構造化された面接であり、自閉症および自閉症スペクトラム障害の臨床診断に使用される主要なツールの一つである。本明細書で使用される場合、ADI-Rを使用して、ASDの診断を検証してもよい。ADI-Rは、小児および成人の介護者のための標準化された半構造化臨床レビューである。面接には93項目が含まれており、以下の三つのコンテンツ領域またはドメインにおける行動に焦点を当てている:社会的相互作用の質(例えば、感情の共有、快適性の提供と追及、社会的笑顔、ならびに他の小児に対する応答);コミュニケーションおよび言語(例えば、常同的な発話、代名詞の逆転、言語の社会的利用);ならびに反復的で限定的、および常同的な関心と行動(例えば、普通ではない没頭、手および指の癖、普通ではない感覚的関心)。この尺度には、例えば自傷行為や過活動など、治療計画に関連する他の項目も含まれる。応答は、子供の行動に関する介護者の説明に基づいて、臨床医によって採点される。ADI-R面接は、三つのコンテンツ領域(すなわち、コミュニケーションおよび言語、社会的相互作用、ならびに限定的で反復的な行動)の各々においてスコアを生成する。スコアの上昇は、特定の領域における問題行動を示す。スコアは、子供の行動および発育に関する介護者の報告後の医師の判断に基づく。各項目について、医師は0~3の範囲のスコアを与える。スコア0は、符号化において指定されるタイプの行動が存在しないことを示す。スコア1は、指定されたタイプの行動が異常な形態で存在するが、2の基準を満たすほど重度または頻繁ではないことを示す。スコア2は、指定された基準を満たす明白な異常行動を示す。スコア3は、極度に重症な指定された行動を示す。この尺度の著者は、アルゴリズムの計算において、3を2として再符号化する。さらに特定の状況下で与えられるスコア7(符号化の通常領域ではあるが、指定されたタイプのものではない、明白な異常を示す)、スコア8(該当なしを示す)、およびスコア9(不明または求められていないことを示す)も存在し、それらはすべて、アルゴリズム計算において0へと変換される。
【0318】
自閉症の分類は、コミュニケーション、社会的相互作用、行動パターンの三つのコンテンツ領域すべてにおけるスコアが、指定されたカットオフ値を満たすか、またはそれを超えるときに与えられ、障害の発症は、36ヵ月齢までに明白である。同じアルゴリズムが、18か月から成人期までの精神年齢の子供に使用され、小さな改変を含む以下の三つのバージョンが存在する:1)一生涯のバージョン;2)現在の行動に基づくバージョン;および3)4歳未満の子供に使用するバージョン。このアルゴリズムは各領域における最小スコアを指定し、ICD-10(疾病および関連保健問題の国際統計分類の第10版:10th version of the international Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems)およびDSM-IV(精神疾患の診断および統計マニュアル、第4版:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders,4th Edition)に記載される自閉症の診断が為される。コミュニケーションおよび言語ドメインの合計カットオフスコアは、言語対象では8、非言語対象では7である。すべての対象について、社会的相互作用ドメインのカットオフは10であり、限定的で反復的な行動のカットオフは3である。
【0319】
CARSによると、評価者は、対象を15の領域それぞれについて1~4の尺度で評価する:ヒトに関する;模倣;情動反応;身体使用;物体の使用 変化への適応;視覚的応答;反応を聞く;味覚、臭覚および触覚の反応および使用;恐れ;言語コミュニケーション;非言語コミュニケーション;活動;理知的な反応のレベルおよび一貫性;および一般的な印象。
【0320】
小児自閉症評定尺度―2またはCARS-2として知られるCARSの第2版は、Schoplerらにより開発された(小児自閉症評定尺度-第2版(CARS2):Manual.Los Angeles:Western Psychological Services,2010)。オリジナルのCARSは主に、併存疾患の知的機能を有する個人で開発されており、ASDを有する高度に機能的な個人を正確に特定しないと批判された。CARS-2は、若い、または機能性が低い個人での使用に関して元のCARS型を保持している(現在は「標準型」に対してCARS2-STと改名された)が、機能性の高い個人での使用については別の評定尺度(「高機能型」についてはCARS2-HFと命名)、およびCARS2STやCARS2-HFの評定に関して有用性を有する非スコア化情報収集尺度(「両親および介護者に対する質問票」またはCARS-QPC)も含んでいる。
【0321】
本明細書に提供される方法による治療の前、治療の間、または治療の後の症状の重症度における変化を評価するのに有用な別の症状評定手段は、異常行動チェックリスト(ABC:Aberrant Behavior Checklist)である。Aman et al.,Psychometric characteristics of the aberrant behavior checklist.Am J Ment Defic.1985 Mar;89(5):492-502を参照のこと。ABCは、発達障害(知的障害、ASD、脳性麻痺、てんかん)を有する子供および成人の問題行動を評価するための症状チェックリストである。ABCは、自宅で、教育現場で、コミュニティ系施設、および発達センターにおいて、発達障害を有する子供および青年の問題行動を分類するのにも有用である。ABCは、五つの下位尺度に分けられる58個の項目を含み、管理時間は10~15分である。
【0322】
ABCは、その人が観察された状況と、機能的制限の存在/重症度を特定する。特定の症状を評価し、詳細なマニュアルによって、評価された各行動についての包括的な説明が提供される。ABCの五つの下位尺度には以下が含まれる:(1)易刺激性/興奮性、(2)無気力/引きこもり、(3)常同行動、(4)多動性/不順守、および(5)不適切な発言。ABC-2は、ABCの改訂版である。ABC-2にも、ABCと同じ五つの下位尺度に分けられる58個の項目が含まれる。
【0323】
本明細書に提供される方法による治療の前、治療の間、または治療の後の症状の重症度における変化を評価するのに有用な別の症状評定手段は、社会的反応性尺度(SRS:Social Responsiveness Scale)である。SRS尺度は65項目の尺度であり、社会的認識、社会的情報処理、相互的な社会的コミュニケーションの能力、社会的な不安/回避性、および自閉症的な没入感や特質を含む、自閉症の中心的問題である社会的障害を評価する。Constantino et al.,Validation of a brief quantitative measure of autistic traits:comparison of the social responsiveness scale with the autism diagnostic interview-revised.J Autism Dev Disord. 2003 Aug;33(4):427-33を参照のこと。
【0324】
本明細書で使用される場合、SRS-2は、SRSの更新版である。SRS-2も、65項目の尺度であり、社会的認識、社会的情報処理、相互的な社会的コミュニケーションの能力、社会的な不安/回避性、および自閉症的な没入感や特質を含む、自閉症の中心的問題である社会的障害を評価する。
【0325】
本明細書で使用される場合、ヴァインランド適応行動尺度II(Vineland Adaptive Behavior Scale II:VABS-II)は、四つの異なるドメイン:コミュニケーション、日常生活スキル、社会化、および運動スキルと、11の下位ドメインにおける、機能性レベルの尺度である。素点は、年齢相当スコアへと変換される。これはABCを補完するものであり、問題行動を評価する。Sara et al.,Vineland Adaptive Behavior Scales,Second Edition(Vineland(商標)-II),Pearson Publishing,2005を参照のこと。VABS-IIの範囲には、0~80の境界適応機能が含まれる。51~70:適応機能が軽度に欠損。35~50:適応行動が中程度に欠損。20~35:適応行動が重度に欠損。20未満:適応行動が著しく、または大きく欠損。80を超えるスコアは、IQスコアとほぼ同じ範囲(平均より下、平均、平均を上回る、上位)に分類される。
【0326】
本明細書で使用される場合、VABSバージョンIII(VABS-III)は、知的障害、発達障害、および他の障害を有する個人の評価に使用される、適応行動に関する個々の管理尺度である。この尺度は、四つの主要ドメイン:コミュニケーション、日常生活スキル、社会化、および粗大運動スキルにおける適応行動を測定する。これらのドメインのうちの最初の三つは、いくつかの下位ドメイン(コミュニケーション受容型コミュニケーション、表現型コミュニケーション、文書コミュニケーション、日常生活スキル、家庭内スキル、個人的スキル、コミュニティスキル、社会的対人関係、遊び/レジャー、対処スキル)を含む。VABS-IIIは、Q-global(安全なオンライン検査プラットフォーム)を介してオンラインで親に提供され、完了までに約40分かかる。親は一度でツールをすべて完了する必要はなく、完了まで必要に応じてツールを開始および停止してもよい。すべての採点はオンラインで完了し、ツールの完了時にはスポンサーが利用可能となる。この測定の完了は、来院の48時間前まで行ってもよいが、来院当日よりも遅くなってはいけない。
【0327】
本明細書で使用される場合、親の全体的印象-III(PGI-III:Parent Global Impressions-III)は、PGI-Rの拡張版である。Adams et al.,Effect of a Vitamin/Mineral Supplement on Children with Autism,BMC Pediatrics,11:111(2011)を参照のこと。PGI-IIIは、17の領域、および全体としての変化を、「非常に悪い」から「非常に良い」の範囲の7段階評価を使用して評価する。「平均変化」は、PGI-III-Finalの18点すべての平均を計算することによって算出される。観察された変化について親に直接尋ねる方が、開始時と終了時に症状の重症度を推定し、その差を計算するよりも信頼性が高いことが判明したため、PGI-IIIの方が好ましい。また、7段階評価を使用して変化を検出することにより、変化に対する感受性が高くなると思われる。
【0328】
本明細書で使用される場合、別の症状評定手段は、臨床全般印象尺度(CGI:Clinical Global Impressions Scale)であり、この尺度は、精神症状を有する対象における疾患の重症度ならびに治療反応性を測定する3項目の尺度である。評定は、医師または訓練を受けた評定者によって行われる。初期評価(CGI-重症度、またはCGI-S)の後、連続的な評価を行って、介入に対する反応を判定する。CGI改善(CGI-I)は、疾患の重症度、臨床経過、および治療的な「有効性」を測定する(後者は、治療関連AEならびに有効性の評価を含む)。
【0329】
CGI-S尺度は、患者の精神疾患を以下のように評価する7段階評価の評定である:1=正常、疾患では全くない。2=境界的な精神疾患。3=軽度の疾患。4=中等度の疾患。5=著しい疾患。6=重度の疾患。7=特に最も極端な疾患患者。その全体で参照により本明細書に組み込まれるBusner et al.,The Clinical Global Impressions Scale,Psychiatry,4(7):28-37,2007を参照のこと。(“Busner 2007”)
【0330】
CGI-I尺度は、7点の評定尺度でもあり、患者の全体的な臨床状態を、投薬開始(または基準来院時)の直前の1週間と比較している。患者の状態は、投薬開始前と比較して以下のように評定される:1=治療開始から非常に改善された。2=大きく改善された。3=最小限に改善された。4=基準時(治療開始時)から変化なし。5=最小限に悪化した。6=大きく悪化した。7=治療開始から非常に悪化した。Busner 2007を参照のこと。
【0331】
有効性指標は、4段階評価で測定される(「変化なしまたは悪化、および副作用が治療効果を上回る」から、「著しい改善、および副作用なし」までの範囲)。基準時スクリーニングでは、CGI-Sのみが評価される。その後の来院時には、全体的な改善および有効性の指標(CGI-I)が測定される。最終来院時(例えば32週目)には、三つの測定全てが実施されなければならない。
【0332】
CGIで評価される特定のパラメータ(すなわち、重症度、改善、および治療の影響に関するもの)は、初期CY-BOCSで特定されたアンカーポイントまたは1~3個の主要行動から導出されなければならない。
【0333】
小児用Yale Brown強迫観念・強迫行為尺度(CY-BOCS:Children’s Yale Brown Obsessive Compulsive Scale)は、6~17歳の青年期の強迫性障害の重症度を評定するために設計された尺度である。CY-BOCSは、強迫性障害の診断、現在および過去の症状の確認、ならびにある期間にわたる強迫性障害の重症度の評価に利用される。重症度におけるCY-BOCSスコアは、以下の範囲である:0~7=無症状、8~15=軽度、16~23=中等度、24~31=重度、および32~40=極度。McKay et al.,The Children’s Yale-Brown Obsessive-Compulsive Scale:item structure in an outpatient setting,Psychol Assess,15(4):578-81,2003を参照のこと。当該文献は、その全体で参照により本明細書に組み込まれる。本明細書で使用される場合、CY-BOCSは、医師にアンカーポイントまたは1~3個の主要行動を提供し、それらを医師はCGI-Iスコアリングシステムを使用して経時的に追跡する。
【0334】
本発明者らは、腸内細菌の種多様性の回復が、その必要のある患者における自閉症の症状の治療に役立つことを見出した。一つの態様では、本出願は、その必要のある対象における自閉症スペクトラム障害(ASD)の一つ以上の症状を治療するための方法を提供するものであり、当該方法は、ASDの治療に有効な医薬組成物の量を対象に投与することを含み、この場合において医薬組成物は、非培養糞便細菌調製物と少なくとも一つの細菌単離株を含み、この場合において対象は、治療開始前と比較して、治療後にASD症状の重症度において少なくとも10%の低下を呈する。一つの態様では、ASD症状の重症度は、小児自閉症評定尺度(CARS)によって評価される。別の態様では、ASD症状の重症度は、小児自閉症評定尺度2-標準型(CARS2-ST)によって評価される。さらなる態様では、ASD症状の重症度は、小児自閉症評定尺度2-高機能型(CARS2-HF)によって評価される。一つの態様では、ASD症状の重症度は、異常行動チェックリスト(ABC)によって評価される。別の態様では、ASD症状の重症度は、社会的反応性尺度(SRS)によって評価される。別の態様では、ASD症状の重症度は、ヴァインランド適応行動尺度II(VABS-II)によって評価される。別の態様では、ASD症状の重症度は、CGIによって評価される。別の態様では、ASD症状の重症度は、CGI-Sによって評価される。別の態様では、ASD症状の重症度は、CY-BOCSによって評価される。別の態様では、ASD症状の重症度は、ADI-Rによって評価される。一つの態様では、治療は、ASD患者において、リーター国際作業尺度(Leiter International Performance Scale)(Roid,G.H.,& Miller,L.J.(1997).Leiter International Performance Scale-Revised.Wood Dale,IL:Stoeltingを参照のこと)に基づき、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%の改善をもたらす。別の態様では、リータースコアの改善は、少なくとも8、16、24、32、40、50、60、または80週間の治療後に測定され、治療前のリータースコアと比較される。
【0335】
当業者であれば、前述の評価システムは、ASD関連の社会的および認知的な症状を評価するためのツールの例にすぎないことを理解する。他の類似ツールを使用して、または設計して、中心的なASD関連症状を評価してもよい。例えば、一つの態様では、治療は、自閉症治療評価チェックリスト(ATEC)に基づき、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%の改善をもたらす。Rimland and Edelson:Autism Treatment Evaluation Checklist:Statistical Analyses.Autism Research Institute 2000を参照のこと。別の態様では、治療は、広汎性発達障害行動評価尺度(PDD-BI:Pervasive Developmental Disorders Behavior Inventory)に基づき、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%の改善をもたらす。 Cohen et al.,The PDD Behavior Inventory:a rating scale for assessing response to intervention in children with pervasive developmental disorder.J Autism Dev Disord.2003 33(1):31-45を参照のこと。さらに別の態様では、治療は、自閉症の重症度尺度(SAS:Severity of Autism Scale)に基づき、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%の改善をもたらす。Adams et al.,The severity of autism is associated with toxic metal body burden and red blood cell glutathione levels.J Toxicol.2009,2009:532640を参照のこと。さらなる態様では、自閉症関連症状の改善または症状の重症度の低下は、Aman et al.,Outcome Measures for Clinical Drug Trials in Autism,CNS Spectr.9(1):36-47(2004)に言及されるシステムまたは尺度のうちのいずれか一つに基づき評価される。さらなる態様では、自閉症関連症状の改善または症状重症度の低下は、表1に列挙される症状の特徴解析システムのうちのいずれか一つに基づき評価される。一つの態様では、前述のシステムのいずれか一つでの症状の改善は、少なくとも8、16、24、32、40、50、60、または80週間の治療後に測定され、治療前のリータースコアと比較される。一つの態様では、前述のシステムのいずれか一つでの症状の改善は、少なくとも2、4、6、8、10週間以上、治療を中断した後に測定され、治療前の測定値と比較される。
【0336】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0337】
一つの態様では、本明細書に記載される医薬組成物を用いた治療は、治療開始前と比較して、2週間以上の治療の後、ASD症状の重症度において、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%の低下を実現し、この場合においてASD症状の重症度は、CARS、CARS2-ST、CARS2-HF、ABC、SRS、およびVABS-IIからなる群から選択される方法により評価される。一つの態様では、治療は、治療開始前と比較して、4週間以上の治療後のASD症状の重症度において、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%の低下を実現し、この場合においてASD症状の重症度は、子供自閉症評定尺度-2(CARS-2)、異常行動チェックリスト-2(ABC-2)、レイノルド知能評価尺度(Reynolds Intellectual Assessment Scales)-非言語(RIAS-NV)、社会的反応性尺度-2(SRS-2)、および親の全体的印象-III(PGI-III)からなる群から選択される方法により評価される。一つの態様では、治療は、治療開始前と比較して、6週間以上の治療後のASD症状の重症度において、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%の低下を実現し、この場合においてASD症状の重症度は、子供自閉症評定尺度-2(CARS-2)、異常行動チェックリスト-2(ABC-2)、レイノルド知能評価尺度(Reynolds Intellectual Assessment Scales)-非言語(RIAS-NV)、社会的反応性尺度-2(SRS-2)、および親の全体的印象-III(PGI-III)からなる群から選択される方法により評価される。一つの態様では、治療は、治療開始前と比較して、2週間以上の治療後のASD症状の重症度において、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%の低下を実現し、この場合においてASD症状の重症度は、子供自閉症評定尺度-2(CARS-2)、異常行動チェックリスト-2(ABC-2)、レイノルド知能評価尺度(Reynolds Intellectual Assessment Scales)-非言語(RIAS-NV)、社会的反応性尺度-2(SRS-2)、および親の全体的印象-III(PGI-III)からなる群から選択される方法により評価される。
【0338】
別の態様では、本明細書に記載される医薬組成物を用いた治療は、治療開始前と比較して、2週間以上の治療の後、ASD症状の重症度において、10%~20%、10%~30%、10%~40%、10%~50%、10%~60%、10%~70%、10%~80%、10%~90%、20%~30%、20%~40%、20%~50%、20%~60%、20%~70%、20%~80%、20%~90%、30%~40%、30%~50%、30%~60%、30%~70%、30%~80%、30%~90%、40%~50%、40%~60%、40%~70%、40%~80%、40%~90%、50%~60%、50%~70%、50%~80%、または50%~90%の低下を実現し、この場合においてASD症状の重症度は、CARS-2、ABC-2、RIAS-NV、SRS-2、およびPGI-IIIからなる群から選択される方法により評価される。別の態様では、治療は、治療開始前と比較して、2週間以上の治療の後、ASD症状の重症度において、10%~90%、20%~80%、30%~70%、または40%~60%の低下を実現し、この場合においてASD症状の重症度は、CARS-2、ABC-2、RIAS-NV、SRS-2、およびPGI-IIIからなる群から選択される方法により評価される。別の態様では、治療は、治療開始前と比較して、12週間以上の治療の後、ASD症状の重症度において、10%~90%、20%~80%、30%~70%、または40%~60%の低下を実現し、この場合においてASD症状の重症度は、CARS-2、ABC-2、RIAS-NV、SRS-2、およびPGI-IIIからなる群から選択される方法により評価される。別の態様では、治療は、治療開始前と比較して、2週間以上の治療の後、ASD症状の重症度において、10%~90%、20%~80%、30%~70%、または40%~60%の低下を実現し、この場合においてASD症状の重症度は、CARS-2、ABC-2、RIAS-NV、SRS-2、およびPGI-IIIからなる群から選択される方法により評価される。別の態様では、治療は、治療開始前と比較して、24週間以上の治療の後、ASD症状の重症度において、10%~90%、20%~80%、30%~70%、または40%~60%の低下を実現し、この場合においてASD症状の重症度は、CARS-2、ABC-2、RIAS-NV、SRS-2、およびPGI-IIIからなる群から選択される方法により評価される。
【0339】
一つの態様では、本明細書に記載される医薬組成物を用いた治療は、ASD症状の重症度において、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%の低下を実現し、治療中断後、少なくとも8、12、16、20、24、または28週間、症状重症度の低下を実質的に維持し、この場合においてASD症状の重症度は、CARSにより評価される。一つの態様では、治療は、ASD症状の重症度において、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%の低下を実現し、治療中断後、少なくとも8、12、16、20、24、または28週間、症状重症度の低下を実質的に維持し、この場合においてASD症状の重症度は、CARS2-STにより評価される。一つの態様では、治療は、ASD症状の重症度において、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%の低下を実現し、治療中断後、少なくとも8、12、16、20、24、または28週間、症状重症度の低下を実質的に維持し、この場合においてASD症状の重症度は、CARS2-HFにより評価される。一つの態様では、治療は、ASD症状の重症度において、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%の低下を実現し、治療中断後、少なくとも8、12、16、20、24、または28週間、症状重症度の低下を実質的に維持し、この場合においてASD症状の重症度は、ABCにより評価される。一つの態様では、治療は、ASD症状の重症度において、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%の低下を実現し、治療中断後、少なくとも8、12、16、20、24、または28週間、症状重症度の低下を実質的に維持し、この場合においてASD症状の重症度は、SRSにより評価される。一つの態様では、治療は、ASD症状の重症度において、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%の低下を実現し、治療中断後、少なくとも8、12、16、20、24、または28週間、症状重症度の低下を実質的に維持し、この場合においてASD症状の重症度は、VABS-IIにより評価される。
【0340】
一つの態様では、治療されるASD対象は、治療開始前に胃腸(GI)症状を呈さない。一つの態様では、治療されるASD対象は、治療前の少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、6ヶ月、1年、または2年の間、胃腸(GI)症状を呈さない。別の態様では、治療されるASD対象は、治療開始前に、一つ以上のGI症状を呈する。一つの態様では、治療されるASD対象は、治療前の少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、6ヶ月、1年、または2年の間、継続的に、または断続的に、胃腸(GI)症状を呈する。一つの態様では、治療されるASD対象は、少なくとも1年間、慢性的で異常な腸機能の症状を呈する。慢性的で異常な腸機能のかかる症状としては、例えば、便秘および/または下痢が含まれる。一つの態様では、治療されるASD対象は、治療開始前と比較して、治療後にGI症状の重症度において、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%の低下を呈する。一つの態様では、GI症状の重症度は、消化管症状評定尺度(GSRS:Gastrointestinal Symptom Rating Scale)によって評価される。別の態様では、GI症状の重症度は、自閉症のための消化管の糞便と症状の質問票(GSSQA:Gastrointestinal Stool and Symptom Questionnaire for Autism)によって評価される。別の態様では、治療は、治療開始前と比較して、2週間以上の治療後に、ASD患者のGI症状の重症度において、20%~30%、20%~40%、20%~50%、20%~60%、20%~70%、20%~80%、20%~90%、30%~40%、30%~50%、30%~60%、30%~70%、30%~80%、30%~90%、40%~50%、40%~60%、40%~70%、40%~80%、40%~90%、50%~60%、50%~70%、50%~80%、または50%~90%の低下を実現し、この場合においてGI症状の重症度は、GSRSまたはGSSQAによって評価される。
【0341】
GSRSは、逆流、腹部疼痛、消化不良、下痢および便秘を表現する五つの症状クラスターに組み合わされた15個の項目の疾患特異的な尺度である。Svedlund et al.,Dig.Dis.Sci.,33(2):129-34(1988)を参照のこと。GSRSは、7段階評価のリッカート型尺度を有し、0は、厄介な症状が無いことを表し、3は、極度の症状を表し、尺度の感受性を増すための半段階を伴う。一つの態様では、本明細書に提供される治療方法は、上腹部痛、疝痛性腹痛、鈍い腹部疼痛、漠然とした腹部痛、胸やけ、胃酸逆流、みぞおちの吸引感覚、吐き気と嘔吐、腹鳴、腹部膨満、おくび、腸内ガスの増加、便通減少、便通増加、軟便、固形便、急な排便、不完全な排泄感覚からなる群から選択される一つ以上、二つ以上、三つ以上、四つ以上、五つ以上、六つ以上、または七つ以上のGI症状を低下させ、軽減し、または消滅させる。別の態様では、本明細書に提供される治療方法は、上腹部痛、疝痛性腹痛、鈍い腹部疼痛、漠然とした腹部痛、胸やけ、胃酸逆流、みぞおちの吸引感覚(sucking sensation in the epigastrium)、吐き気と嘔吐、腹鳴、腹部膨満、おくび、腸内ガスの増加、便通減少、便通増加、軟便、固形便、急な排便、不完全な排泄感覚、および1週当たり3回未満の完全に自発的な排便からなる群から選択される2~4、4~6、6~8、8~10、10~12、2~3、2~4、2~5、2~6、2~7、2~8、2~9、2~10、2~11、2~12、3~4、3~5、3~6、3~7、3~8、3~9、3~10、3~11、3~12、4~5、4~6、4~7、4~8、4~9、4~10、4~11、4~12、5~6、5~7、5~8、5~9、5~10、5~11、5~12、6~7、6~8、6~9、6~10、6~11、6~12、7~8、7~9、7~10、7~11、または7~12のGI症状を低下させ、軽減し、または消滅させる。
【0342】
自閉症のための消化管の糞便と症状の質問票(GSSQA)は、自閉症の4~17歳の個人における、GI症状の臨床評価ツールである。GSSQAは、観察者報告による転帰(ObsRO:Observer-Reported Outcome)を利用する。
【0343】
一つの態様では、治療された対象の腹部疼痛は、高い重症度から低い重症度へと減少し、この場合において疼痛レベルは、すべての社会的活動に対する影響を伴う重度または激しい痛み、緩和が必要で多くの社会的活動を妨害する長時間で厄介な痛みおよび疼痛、いくらかの社会的活動を妨害する時折の痛みおよび疼痛、ならびに無痛または一過性の疼痛、からなる群から選択される。
【0344】
別の態様では、治療された対象の胸やけは、高い重症度から低い重症度へと減少し、この場合において疼痛レベルは、制酸剤により一過性にのみ緩和される継続的な不快感、頻繁で長期的な不快感のエピソード;緩和を必要とする、時折の短時間の不快感、および胸やけなし、または一過性の胸やけ、からなる群から選択される。
【0345】
別の態様では、治療された対象の胃酸逆流状態は、高い重症度から低い重症度へと改善され、この場合において状態のレベルは、一日に数回の逆流;制酸剤により一過性でわずかな緩和のみ、1日1回または2回の逆流;緩和を必要とする、時折の厄介な逆流、および逆流無しまたは一過性の逆流、からなる群から選択される。
【0346】
別の態様では、治療された対象のみぞおちの吸引感覚は、高い重症度から低い重症度へと改善され、この場合において状態のレベルは、継続的な不快感;食事と食事の間に食物または制酸剤を頻繁に必要とする、頻繁で長期的な不快感のエピソード、食事と食事の間に食物と制酸剤を必要とする、時折で短期間の不快感;食事と食事の間に食物または制酸剤を必要とせず、および吸引感覚が無いか、または一過性、からなる群から選択される。本明細書で使用される場合、みぞおちの吸引感覚とは、食物または制酸剤により緩和される、みぞおちにおける吸引感覚を表す。食物または制酸剤が利用できない場合、吸引感覚は痛みや疼痛に進行する。
【0347】
別の態様では、治療された対象の吐き気および嘔吐の状態は、高い重症度から低い重症度へと改善され、この場合において状態のレベルは、頻繁な嘔吐を伴う継続的な吐き気、嘔吐を伴わない頻繁で長期的な吐き気、短期間で時折の吐き気のエピソード、および吐き気無し、からなる群から選択される。
【0348】
別の態様では、治療された対象の腹鳴の状態は、高い重症度から低い重症度へと改善され、この場合において状態のレベルは、社会的能力を著しく妨害する継続的な腹鳴、社会的能力を損なわない動きにより管理され得る、頻繁で長期的なエピソード、時折で厄介な短期の腹鳴、および腹鳴無しまたは一過性の腹鳴、からなる群から選択される。
【0349】
別の態様では、治療された対象の腹部膨満の状態は、高い重症度から低い重症度へと改善され、この場合において状態のレベルは、社会的能力を著しく妨害する継続的な不快感、衣類を調整することにより管理され得る、頻繁で長期的なエピソード、時折で短期的な不快感、および膨満無しまたは一過性の膨満、からなる群から選択される。
【0350】
別の態様では、治療された対象のおくびの状態は、高い重症度から低い重症度へと改善され、この場合において状態のレベルは、社会的能力を著しく妨害する頻繁なエピソード、いくらかの社会的活動を妨害する頻繁なエピソード、稀で厄介なおくび、およびおくび無し、または一過性のおくび、からなる群から選択される。
【0351】
別の態様では、治療された対象の腸内ガスが増加した状態は、高い重症度から低い重症度へと改善され、この場合において状態のレベルは、社会的能力を著しく妨害する頻繁なエピソード、いくらかの社会的活動を妨害する頻繁で長期的なエピソード、稀で短期的な不快感、および腸内ガスの増加無し、からなる群から選択される。
【0352】
別の態様では、治療された対象の排便回数の減少は、高い重症度から低い重症度へと改善され、この場合においてレベルは、7日毎またはそれ以下の頻度で、6日毎、5日毎、4日毎、3日毎、2日毎、および1日1回からなる群から選択される。
【0353】
別の態様では、治療された対象の排便回数の増加は、高い重症度から低い重症度へと改善され、この場合においてレベルは、1日7回またはそれ以上の頻度、1日6回、1日5回、1日4回、1日3回、1日2回、および1日1回からなる群から選択される。
【0354】
別の態様では、治療された対象の軟便状態は、高い重症度から低い重症度へと改善され、この場合においてレベルは、水様、低粘性、いくらか柔らかい、および正常な硬さ、からなる群から選択される。
【0355】
別の態様では、治療された対象の固形便状態は、高い重症度から低い重症度へと改善され、この場合においてレベルは、硬く断片化され、時折下痢を伴う、硬い、いくらか硬い、および正常な硬さ、からなる群から選択される。ある態様では、治療された対象の糞便は、毎日の糞便記録(DSR:Daily Stool Records)を使用して評価される。一つの態様では、治療された対象は、DSRに従って、タイプ1の硬い糞便、タイプ2の硬い糞便、タイプ6の柔らかい糞便、タイプ7の液状の糞便、および異常な糞便の全てにおける低下を呈する。
【0356】
別の態様では、治療された対象の急な排便は、高い重症度から低い重症度へと改善され、この場合においてレベルは、排便の制御不能、社会的能力を妨害する突然のトイレの必要性を伴う頻繁で急な排便感覚、時折の急な排便感覚、および正常な排便制御、からなる群から選択される。
【0357】
別の態様では、治療された対象の不完全な排泄感覚は、高い重症度から低い重症度へと改善され、この場合においてレベルは、習慣的な不完全な排泄感覚を伴う著しく困難な排便、しばしば不完全な排泄感覚を伴う明白に困難な排便、いくらか困難な排便;時折の不完全な排泄感覚、およびいきみを伴わない完全な排泄感覚、からなる群から選択される。
【0358】
別の態様では、治療を受けた対象の一週間当たりの完全に自発的な排便(CSBM:complete spontaneous bowel movement)の回数は、基準時と比較して増加する。別の態様では、治療された対象のCSBMは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7または8週間の治療の後、1週当たり、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9または10回の完全に自発的な排便(CSBM)まで増加する。別の態様では、対象の完全に自発的な排便(CSBM)の回数は、1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、または7週間以上の治療の後、1週当たり、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9または10回のCSBMまで増加する。さらなる態様では、治療された対象の1週当たりのCSBMの回数は、治療完了後、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24週間、維持される。別の態様では、治療された対象の1週当たりのCSBMの回数は、基準時と比較して、4、8、16、および32週で、1週当たり、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10回のCSBMまで増加する。
【0359】
一つの態様では、症状の重症度の低下(例えば、ASD症状、GI症状またはその両方に関する)は、治療中に進行し、または治療終了後もしくは治療中断後にも持続される。一つの態様では、症状の重症度の低下(例えば、ASD症状、GI症状またはその両方に関する)は、治療中または治療後の特定の時点、例えば治療開始後、約2、4、6、8、12、18、24、32、40、48週の時点で、または治療終了後もしくは治療中断後の約2、4、6、8、12、18、24、32、40、48週の時点で、評価される。
【0360】
一つの態様では、方法は、糞便微生物調製物を含む医薬組成物を対象に投与する前に、対象に抗生物質を投与することをさらに含む。別の態様では、方法は、対象に、腸洗浄を受けさせることをさらに含む。
【0361】
別の態様では、本明細書において、ヒト対象の自閉症スペクトラム障害を治療する方法が提供される。例示的な態様では、方法は、以下の工程を含む、または以下の工程から本質的になる:ヒト対象に抗生物質を投与する工程、抗生物質の投与後、当該ヒト対象に、腸洗浄を受けさせる工程、および腸洗浄後、当該ヒト対象に、本明細書に記載される医薬組成物を投与する工程であって、自閉症スペクトラム障害が、当該ヒト対象において治療される工程。
【0362】
例示的な態様では、ASDの治療は、ASDに特徴的な一つ以上、二つ以上、三つ以上、四つ以上、五つ以上、六つ以上、七つ以上、八つ以上の症状の軽減、改善、発症の遅延、進行の阻害、または重症度の低下を含む。一つの態様では、治療は、一つ以上の社会的、および認知的な主要ASD関連症状を緩和、改善、発症を遅延、進行を阻害、または重症度を低下させる。一部の態様では、症状は、以下からなる群から選択される:(i)単調性に対するこだわり、または変化に対する抵抗;(ii)要求の表現が困難;(iii)正常で応答性のある言語の代わりに、単語や語句を反復する;(iv)他人には明白ではない理由で、笑い、泣き、苦悩を示す;(v)一人でいることを好む、またはよそよそしい態度;(vi)かんしゃく;(vii)他者と交わることが困難;(viii)抱き締める、または抱き締められることを欲しない場合がある;(ix)アイコンタクトがほとんどないか、全くない;(x)通常の教育方法に反応しない;(xi)持続的で奇妙な遊び;(xii)疼痛に対する明白な過剰な感受性、または不充分な感受性;(xiii)危険に対する現実的な恐怖がほとんどないか、または全くない;(xiv)顕著な身体的過活動または極度の低活動;(xv)粗大運動スキル/微細運動スキルにむらがある;および/または(xvi)言語的合図に対する非応答性。一部の態様では、症状は、強迫行動、儀式的行動、限定的行動、常同行動、単調性または自傷からなる群から選択される。本明細書に記載する方法は、前述の症状の任意の組み合わせの改善をもたらし得る。
【0363】
例示的な態様では、ヒト対象は、ASD評定尺度に従って評価される自閉症の症状の重症度において、有意な低下を呈する。一部の例では、例えば、ヒト対象は、小児自閉症評定尺度(CARS)によって評価される自閉症の症状の重症度において、方法を開始する前に評価された重症度と比較して、少なくとも10%または20%の低下を呈する。
【0364】
本明細書において提供される方法による治療に適した対象は、本明細書に提供される方法を開始する前に、胃腸の機能不全症状を呈しておらず、または報告していない場合がある。一部の例では、例えば本明細書に提供される方法による治療に適したヒト対象は、治療開始前、または治療開始時に、胃腸の症状を現さない。一つの態様では、本明細書において治療されたASD対象は、腹部疼痛、逆流、消化不良、過敏性腸症候群、慢性で持続的な下痢、下痢、腹部膨張、便秘、および便秘/下痢の交互の発生からなる群から選択される一つ以上、または二つ以上のGI症状を呈する。
【0365】
胃腸の機能不全症状の有無に関わらず、本明細書に提供される方法に適したヒト対象は、典型的には、神経が正常なヒトと比較して、当該治療方法前の腸内細菌叢の種類が有意に少ない。一部の例では、本方法によって治療されるヒト対象は、神経が正常なヒトと比較して、医薬組成物の投与前に、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%少ない種類の腸内細菌叢を呈する。
【0366】
一つの態様では、治療された対象は、治療中の有害事象が低下する。別の態様では、治療された対象は、治療中の有害事象が無い。本開示のある態様では、有害事象は、腹部痙攣、膨満感、腹部膨張、鼓張症、下痢、血便、発熱、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。別の態様では、有害事象は、重症度、任意の臨床的に意義のある臨床検査所見異常、または身体検査中に検出された任意の異常に関わらない、任意の兆候または症状である。さらに別の態様では、有害事象は、薬学的に活性な用量に起因する。さらなる態様では、有害事象は、薬学的に活性な用量に起因しない。さらに別の態様では、有害事象は、応答型の有害事象、非応答型の有害事象、重篤な有害事象、またはそれらの組み合わせを含む。ある態様では、重篤な有害事象は、入院またはすでに入院している期間の延長を必要とし、持続的または重大な身体障碍および/または就労不能をもたらし、先天性異常および/または出生異常をもたらし、または、医学的および科学的な判断に基づく任意の重要な医学的事象であって、直ちに生命を脅かすものでも、死亡または入院をもたらすものでもないが、患者に相当なリスクをもたらすか、または上記に列挙された他の転帰のうちの一つを防止するために医学的介入を必要とする場合がある。
【0367】
本開示の一つの態様では、治療された対象は、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、または32週の治療期間を通して、有害事象が低下したか、または有害事象が無い。
【0368】
また本明細書において、自閉症のヒト対象における自閉症の重症度を低下させる方法が提供される。例示的な態様では、方法は、以下の工程を含む、または以下の工程から本質的になる:自閉症のヒト対象に非吸収性の抗生物質を投与する工程、当該自閉症のヒト対象に腸洗浄を受けさせる工程、および一つ以上の細菌単離株と神経が正常なヒトドナーに由来する非培養糞便細菌調製物を含む細菌混合物を、当該ヒト対象に投与する工程であって、当該ヒト対象は、当該方法開始前と比較して、当該方法後の小児自閉症評定尺度(CARS)によって評価される自閉症の症状の重症度において有意な低下を呈する工程。一部の例では、ヒト対象は、小児自閉症評定尺度(CARS)によって評価される自閉症の症状の重症度において、方法を開始する前に評価された重症度と比較して、少なくとも10%または20%の低下を呈する。
【0369】
一つの態様では、本開示は、その必要のある対象においてASDを治療する方法を提供するものであり、この場合において当該方法は、本明細書に記載の医薬組成物の薬学的に活性な用量を当該対象に経口投与することを含み、この場合において当該薬学的に活性な用量は、少なくとも50mlの水と共に投与される。別の態様では、方法は、食物、または水以外の液体の摂取から2時間以上後に細菌混合物を投与する工程を含む。さらに別の態様では、方法は、細菌混合物の投与から1時間以上後に、食物または水を摂取する工程を含む。ある態様では、本開示は、本明細書に記載される医薬組成物を投与することによって、その必要のある対象において、ASDを治療する方法を提供するものであり、この場合において当該方法は、任意の固形物または液体のカロリー摂取から少なくとも2時間後に医薬組成物を投与する工程を含む。別の態様では、方法は、任意の固形物または液体のカロリー摂取の少なくとも1時間前に、医薬組成物を投与する工程を含む。
【0370】
一つの態様では、本開示は、その必要のある対象においてASDを治療する方法を提供するものであり、当該方法は、評価スコアにおいて少なくとも10%の改善をもたらすのに有効な医薬組成物の量を当該対象に投与する工程を含む。ある態様では、医薬組成物は、非培養糞便細菌調製物(例えば、実質的に完全な糞便微生物叢)と、一つ以上の細菌単離株を含む細菌混合物を含む。別の態様では、対象は、一定期間、一週当たり3回未満の完全に自発的な排便を伴う、GI症状の便秘を有する。さらに別の態様では、対象は、治療開始前と比較して、治療後の評価スコアにおいて改善を呈し、この場合において当該評価スコアは、臨床全般印象尺度(CGI)、小児用Yale Brown強迫観念・強迫行為尺度(CY-BOCS)、異常行動チェックリスト(ABC)、ヴァインランド適応行動尺度II(VABS-II)、およびVABS-IIIからなる群から選択される評価システムに基づく。
【0371】
一つの態様では、本開示は、ある量の本明細書に記載の医薬組成物を投与することによって、その必要のある対象においてASDを治療する方法を提供するものであり、この場合においてその必要のある対象は、1週当たり3回未満の完全に自発的な排便を伴うGI症状の便秘を有する。別の態様では、その必要のある対象は、一週当たり2回未満の完全に自発的な排便を伴う、GI症状の便秘を有する。さらなる態様では、その必要のある対象は、一週当たり2回未満の完全に自発的な排便を伴う、GI症状の便秘を有する。また別の態様では、その必要のある対象は、一週当たり1回未満の完全に自発的な排便を伴う、GI症状の便秘を有する。ある態様では、その必要のある対象は、約1、2、3、および4週間からなる群から選択される期間にわたって、GI症状の便秘を有する。別の態様では、その必要のある対象は、約10、20、30、および40日間からなる群から選択される期間にわたって、GI症状の便秘を有する。別の態様では、その必要のある対象は、約10~15、15~20、20~25、25~30、30~35、35~40日間の期間にわたって、GI症状の便秘を有する。
【0372】
一つの態様では、本開示は、本明細書に記載される医薬組成物を投与することによって、その必要のある対象においてASDを治療する方法を提供するものであり、この場合においてその必要のある対象は、GI症状の便秘を有し、便秘は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、または8週間の治療の後、1週当たり、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10回の完全に自発的な排便(CSBM:complete spontaneous bowel movements)まで改善する。別の態様では、その必要のある対象は、GI症状の便秘を有し、便秘は、1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、または7週間以上の治療の後、1週当たり、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9または10回の完全に自発的な排便(CSBM)まで改善する。さらなる態様では、その必要のある対象は、GI症状の便秘を有し、便秘は、治療完了後、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、または8週間、改善を維持する。
【0373】
一つの態様では、本開示は、本明細書に記載の医薬組成物を投与することによって、その必要のある対象においてASDを治療する方法を提供するものであり、この場合においてその必要のある対象は、1週当たり3回未満の完全に自発的な排便を伴うGI症状の便秘を有し、治療前にASD適格評価スコアを呈する。ある態様では、適格評価スコアは、臨床全般印象尺度(CGI)、小児用Yale Brown強迫観念・強迫行為尺度(CY-BOCS)、異常行動チェックリスト(ABC)、自閉症診断面接-改訂版(ADI-R)、自閉症診断面接ヴァインランド適応行動尺度II(VABS-II)、およびVABS-IIIからなる群から選択される評価システムに基づく。
【0374】
ある態様では、本開示は、本明細書に記載の医薬組成物を投与することによって、その必要のある対象においてASDを治療する方法を提供するものであり、この場合においてその必要のある対象は、治療前、2、3、4、5、6、または7のCGI-Sスコアを有する。別の態様では、その必要のある対象は、治療前に2以上、3以上、4以上、5以上、または6以上のCGI-Sスコアを有する。さらに別の態様では、その必要のある対象はさらに、一週当たり3回未満のCSBMを伴う、便秘を含むGI症状を有する。
【0375】
ある態様では、本開示は、本明細書に記載の医薬組成物を投与することによって、その必要のある対象においてASDを治療する方法を提供するものであり、この場合において当該対象は、1週間以上の治療後、1、2、3、または4のCGI-Iスコアを有する。別の態様では、その必要のある患者は、2週間以上の治療後、1、2、3、または4のCGI-Iスコアを有する。さらなる態様では、その必要のある対象は、3週間以上の治療後、1、2、3、または4のCGI-Iスコアを有する。別の態様では、その必要のある対象は、4週間以上の治療後、1、2、3、または4のCGI-Iスコアを有する。別の態様では、その必要のある対象は、5週間以上の治療後、1、2、3、または4のCGI-Iスコアを有する。さらなる態様では、その必要のある対象は、6週間以上の治療後、1、2、3、または4のCGI-Iスコアを有する。別の態様では、その必要のある対象は、7週間以上の治療後、1、2、3、または4のCGI-Iスコアを有する。別の態様では、その必要のある対象は、2週間以上の治療後、1、2、または3のCGI-Iスコアを有する。さらに別の態様では、その必要のある対象は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、または8週間の治療後、5から4、5から3、5から2、5から1、4から3、4から2、4から1、3から2、3から1、または2から1に改善するCGI-Iスコアを有する。別の態様では、その必要のある対象は、1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、または8週間の治療後、5から4、5から3、5から2、5から1、4から3、4から2、4から1、3から2、3から1、または2から1に改善するCGI-Iスコアを有する。別の態様では、その必要のある対象は、1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、または8週間の治療後、少なくとも1、2、3または4点まで改善するCGI-Iスコアを有する。
【0376】
ある態様では、本開示は、本明細書に記載される医薬組成物を投与することによって、その必要のある対象においてASDを治療する方法を提供するものであり、この場合において当該治療は、CARS-2、ABC-2、RIAS-NV、SRS-2、およびPGI-IIIからなる群から選択される一つ以上の評価スコアにおいて少なくとも10%の改善をもたらすのに有効である。ある態様では、その必要のある対象は、治療開始前、一週当たり3回未満のCSBMを伴う、便秘を含むGI症状を有する。ある態様では、一つ以上の評価スコアにおける10%の改善は、治療から少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16週間後である。別の態様では、治療は、CARS-2、ABC-2、RIAS-NV、SRS-2、およびPGI-IIIからなる群から選択される二つ以上の評価スコアにおいて少なくとも10%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、治療は、CARS-2、ABC-2、RIAS-NV、SRS-2、およびPGI-IIIからなる群から選択される三つ以上の評価スコアにおいて少なくとも10%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、治療は、CARS-2、ABC-2、RIAS-NV、SRS-2、およびPGI-IIIからなる群から選択される四つ以上の評価スコアにおいて少なくとも10%の改善をもたらすのに有効である。
【0377】
ある態様では、本開示は、本明細書に記載の医薬組成物を投与することによって、その必要のある対象においてASDを治療する方法を提供するものであり、この場合において方法は、治療前、治療中、および治療後に、血液、糞便または尿中の対象の代謝物プロファイルを分析することを含む。別の態様では、方法は、治療中に少なくとも2回、および治療後に少なくとも1回、血液、糞便、または尿中の対象の代謝物プロファイルを分析することをさらに含む。別の態様では、方法は、治療開始前に、血液中の対象の代謝物プロファイルを分析することをさらに含む。
【0378】
本開示のある態様では、その必要のある対象は、5歳から17歳である。別の態様では、その必要のある対象は、少なくとも5歳である。別の態様では、その必要のある対象は、17歳よりも若い。
【0379】
別の態様では、その必要のある対象は、投薬量の調整を必要とする何らかの重篤な医学的障害を有しておらず、この場合において当該重篤な医学的障害は、単一遺伝子障害、広範な脳奇形、経管栄養、即時治療を必要とする重篤なGIの問題(生命を脅かす)、セリアック病の診断、好酸球性胃腸炎、重度の低体重/栄養不良、および最近の外科手術/外科手術の予定、からなる群から選択される。
【0380】
ある態様では、本開示は、プラセボを含有するカプセルを少なくとも7日間連続して投与することによって、順守に関して個人をスクリーニングするための方法を提供する。別の態様では、プラセボカプセルは、少なくとも14日間連続で投与される。
【0381】
ある態様では、本開示は、その必要のある対象において自閉症スペクトラム障害(ASD)を治療する方法を提供するものであり、方法は、当該対象に、治療開始前と比較して、治療後の小児用Yale Brown強迫観念・強迫行為尺度(CY-BOCS)の評価スコアにおいて少なくとも10%の改善を提供するのに有効な本明細書に記載される医薬組成物の量を投与することを含む。ある態様では、医薬組成物は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16週間の治療後に、CY-BOCS評価スコアにおいて少なくとも10%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、または16週間の治療の後に、CY-BOCS評価スコアにおいて少なくとも10%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1~3、3~5、5~7、7~9、9~11、11~13、13~16週間の治療の間、CY-BOCS評価スコアにおいて少なくとも10%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24週間後に、CY-BOCS評価スコアにおいて少なくとも10%の改善を維持するのに有効である。また別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、16週間以上、17週間以上、18週間以上、19週間以上、20週間以上、21週間以上、22週間以上、23週間以上、または24週間以上の後に、CY-BOCS評価スコアにおいて少なくとも10%の改善を維持するのに有効である。
【0382】
ある態様では、医薬組成物は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16週間の治療後に、CY-BOCS評価スコアにおいて少なくとも15%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、または16週間の治療の後に、CY-BOCS評価スコアにおいて少なくとも15%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1~3、3~5、5~7、7~9、9~11、11~13、13~16週間の治療の間、CY-BOCS評価スコアにおいて少なくとも15%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24週間後に、CY-BOCS評価スコアにおいて少なくとも15%の改善を維持するのに有効である。また別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、16週間以上、17週間以上、18週間以上、19週間以上、20週間以上、21週間以上、22週間以上、23週間以上、または24週間以上の後に、CY-BOCS評価スコアにおいて少なくとも15%の改善を維持するのに有効である。
【0383】
ある態様では、医薬組成物は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16週間の治療後に、CY-BOCS評価スコアにおいて少なくとも20%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、または16週間の治療の後に、CY-BOCS評価スコアにおいて少なくとも20%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1~3、3~5、5~7、7~9、9~11、11~13、13~16週間の治療の間、CY-BOCS評価スコアにおいて少なくとも20%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24週間後に、CY-BOCS評価スコアにおいて少なくとも20%の改善を維持するのに有効である。また別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、16週間以上、17週間以上、18週間以上、19週間以上、20週間以上、21週間以上、22週間以上、23週間以上、または24週間以上の後に、CY-BOCS評価スコアにおいて少なくとも20%の改善を維持するのに有効である。
【0384】
ある態様では、医薬組成物は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16週間の治療後に、CY-BOCS評価スコアにおいて少なくとも30%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、または16週間の治療の後に、CY-BOCS評価スコアにおいて少なくとも30%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1~3、3~5、5~7、7~9、9~11、11~13、13~16週間の治療の間、CY-BOCS評価スコアにおいて少なくとも30%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24週間後に、CY-BOCS評価スコアにおいて少なくとも30%の改善を維持するのに有効である。また別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、16週間以上、17週間以上、18週間以上、19週間以上、20週間以上、21週間以上、22週間以上、23週間以上、または24週間以上の後に、CY-BOCS評価スコアにおいて少なくとも30%の改善を維持するのに有効である。
【0385】
ある態様では、医薬組成物は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16週間の治療後に、CY-BOCS評価スコアにおいて少なくとも40%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、または16週間の治療の後に、CY-BOCS評価スコアにおいて少なくとも40%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1~3、3~5、5~7、7~9、9~11、11~13、13~16週間の治療の間、CY-BOCS評価スコアにおいて少なくとも40%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24週間後に、CY-BOCS評価スコアにおいて少なくとも40%の改善を維持するのに有効である。また別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、16週間以上、17週間以上、18週間以上、19週間以上、20週間以上、21週間以上、22週間以上、23週間以上、または24週間以上の後に、CY-BOCS評価スコアにおいて少なくとも40%の改善を維持するのに有効である。
【0386】
別の態様では、その必要のある対象は、治療前に8以上のCY-BOCS評価スコアを有する。別の態様では、その必要のある対象は、治療前に16以上のCY-BOCS評価スコアを有する。ある態様では、その必要のある対象は、治療開始前、一週当たり3回未満のCSBMを伴う、便秘を含むGI症状をさらに含む。
【0387】
ある態様では、その必要のある対象は、治療前に8~15、16~23、24~31、32~40のCY-BOCSスコアを有する。ある態様では、その必要のある対象は、治療から少なくとも1、2、3、4、5、6、7、または8週間後に、0~7、8~15、または16~23のCY-BOCSスコアを有する。別の態様では、その必要のある対象は、1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、または16週間の治療の後に、0~7、8~15、16~23のCY-BOCSスコアを有する。別の態様では、その必要のある対象は、1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、または16週間の治療の後に、重度もしくは極度から中程度、軽度または無症状まで改善するCY-BOCSスコアを有する。また別の態様では、その必要のある対象は、1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、または8週間の治療後、少なくとも1の重症度範囲まで改善するCY-BOCSスコアを有する。別の態様では、その必要のある対象は、1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、または16週間の治療の後に、少なくとも2の重症度範囲まで改善するCY-BOCSスコアを有する。別の態様では、その必要のある対象は、1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、または16週間の治療の後に、少なくとも3の重症度範囲まで改善するCY-BOCSスコアを有する。また別の態様では、その必要のある対象は、1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、または16週間の治療の後に、少なくとも4の重症度範囲まで改善するCY-BOCSスコアを有する。さらなる態様では、その必要のある対象は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16週間の治療の間維持されるCY-BOCSスコアを有する。
【0388】
ある態様では、医薬組成物は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16週間の治療後に、ABC評価スコアにおいて少なくとも10%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、または16週間の治療の後に、ABC評価スコアにおいて少なくとも10%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1~3、3~5、5~7、7~9、9~11、11~13、13~16週間の治療の間、ABC評価スコアにおいて少なくとも10%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24週間後に、ABC評価スコアにおいて少なくとも10%の改善を維持するのに有効である。また別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、16週間以上、17週間以上、18週間以上、19週間以上、20週間以上、21週間以上、22週間以上、23週間以上、または24週間以上の後に、ABC評価スコアにおいて少なくとも10%の改善を維持するのに有効である。
【0389】
ある態様では、医薬組成物は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16週間の治療後に、ABC評価スコアにおいて少なくとも15%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、または16週間の治療の後に、ABC評価スコアにおいて少なくとも15%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1~3、3~5、5~7、7~9、9~11、11~13、13~16週間の治療の間、ABC評価スコアにおいて少なくとも15%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24週間後に、ABC評価スコアにおいて少なくとも15%の改善を維持するのに有効である。また別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、16週間以上、17週間以上、18週間以上、19週間以上、20週間以上、21週間以上、22週間以上、23週間以上、または24週間以上の後に、ABC評価スコアにおいて少なくとも15%の改善を維持するのに有効である。
【0390】
ある態様では、医薬組成物は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16週間の治療後に、ABC評価スコアにおいて少なくとも20%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、または16週間の治療の後に、ABC評価スコアにおいて少なくとも20%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1~3、3~5、5~7、7~9、9~11、11~13、13~16週間の治療の間、ABC評価スコアにおいて少なくとも20%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24週間後に、ABC評価スコアにおいて少なくとも20%の改善を維持するのに有効である。また別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、16週間以上、17週間以上、18週間以上、19週間以上、20週間以上、21週間以上、22週間以上、23週間以上、または24週間以上の後に、ABC評価スコアにおいて少なくとも20%の改善を維持するのに有効である。
【0391】
ある態様では、医薬組成物は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16週間の治療後に、ABC評価スコアにおいて少なくとも30%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、または16週間の治療の後に、ABC評価スコアにおいて少なくとも30%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1~3、3~5、5~7、7~9、9~11、11~13、13~16週間の治療の間、ABC評価スコアにおいて少なくとも30%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24週間後に、ABC評価スコアにおいて少なくとも30%の改善を維持するのに有効である。また別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、16週間以上、17週間以上、18週間以上、19週間以上、20週間以上、21週間以上、22週間以上、23週間以上、または24週間以上の後に、ABC評価スコアにおいて少なくとも30%の改善を維持するのに有効である。
【0392】
ある態様では、医薬組成物は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16週間の治療後に、ABC評価スコアにおいて少なくとも40%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、または16週間の治療の後に、ABC評価スコアにおいて少なくとも40%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1~3、3~5、5~7、7~9、9~11、11~13、13~16週間の治療の間、ABC評価スコアにおいて少なくとも40%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24週間後に、ABC評価スコアにおいて少なくとも40%の改善を維持するのに有効である。また別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、16週間以上、17週間以上、18週間以上、19週間以上、20週間以上、21週間以上、22週間以上、23週間以上、または24週間以上の後に、ABC評価スコアにおいて少なくとも40%の改善を維持するのに有効である。
【0393】
ある態様では、医薬組成物は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16週間の治療後に、CARS-2評価スコアにおいて少なくとも10%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、または16週間の治療の後に、CARS-2評価スコアにおいて少なくとも10%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1~3、3~5、5~7、7~9、9~11、11~13、13~16週間の治療の間、CARS-2評価スコアにおいて少なくとも10%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24週間後に、CARS評価スコアにおいて少なくとも10%の改善を維持するのに有効である。また別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、16週間以上、17週間以上、18週間以上、19週間以上、20週間以上、21週間以上、22週間以上、23週間以上、または24週間以上の後に、CARS-2評価スコアにおいて少なくとも10%の改善を維持するのに有効である。
【0394】
ある態様では、医薬組成物は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16週間の治療後に、CARS-2評価スコアにおいて少なくとも15%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、または16週間の治療の後に、CARS-2評価スコアにおいて少なくとも15%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1~3、3~5、5~7、7~9、9~11、11~13、13~16週間の治療の間、CARS-2評価スコアにおいて少なくとも15%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24週間後に、CARS-2評価スコアにおいて少なくとも15%の改善を維持するのに有効である。また別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、16週間以上、17週間以上、18週間以上、19週間以上、20週間以上、21週間以上、22週間以上、23週間以上、または24週間以上の後に、CARS-2評価スコアにおいて少なくとも15%の改善を維持するのに有効である。
【0395】
ある態様では、医薬組成物は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16週間の治療後に、CARS-2評価スコアにおいて少なくとも20%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、または16週間の治療の後に、CARS-2評価スコアにおいて少なくとも20%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1~3、3~5、5~7、7~9、9~11、11~13、13~16週間の治療の間、CARS-2評価スコアにおいて少なくとも20%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24週間後に、CARS-2評価スコアにおいて少なくとも20%の改善を維持するのに有効である。また別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、16週間以上、17週間以上、18週間以上、19週間以上、20週間以上、21週間以上、22週間以上、23週間以上、または24週間以上の後に、CARS-2評価スコアにおいて少なくとも20%の改善を維持するのに有効である。
【0396】
ある態様では、医薬組成物は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16週間の治療後に、CARS-2評価スコアにおいて少なくとも30%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、または16週間の治療の後に、CARS-2評価スコアにおいて少なくとも30%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1~3、3~5、5~7、7~9、9~11、11~13、13~16週間の治療の間、CARS-2評価スコアにおいて少なくとも30%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24週間後に、CARS-2評価スコアにおいて少なくとも30%の改善を維持するのに有効である。また別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、16週間以上、17週間以上、18週間以上、19週間以上、20週間以上、21週間以上、22週間以上、23週間以上、または24週間以上の後に、CARS-2評価スコアにおいて少なくとも30%の改善を維持するのに有効である。
【0397】
ある態様では、医薬組成物は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16週間の治療後に、CARS-2評価スコアにおいて少なくとも40%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、または16週間の治療の後に、CARS-2評価スコアにおいて少なくとも40%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1~3、3~5、5~7、7~9、9~11、11~13、13~16週間の治療の間、CARS-2評価スコアにおいて少なくとも40%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24週間後に、CARS-2評価スコアにおいて少なくとも40%の改善を維持するのに有効である。また別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、16週間以上、17週間以上、18週間以上、19週間以上、20週間以上、21週間以上、22週間以上、23週間以上、または24週間以上の後に、CARS-2評価スコアにおいて少なくとも40%の改善を維持するのに有効である。
【0398】
ある態様では、本開示は、本明細書に記載される医薬組成物を投与することによって、その必要のある対象においてASDを治療する方法を提供するものであり、この場合において当該医薬組成物は、ヴァインランド適応行動尺度II(VABS-II)評価スコアにおいて、治療開始前と比較して、治療後、少なくとも10%の改善をもたらすのに有効である。ある態様では、医薬組成物は、1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、または16週間の治療の後に、VABS-IIまたはVABS-III評価スコアにおいて少なくとも10%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1~3、3~5、5~7、7~9、9~11、11~13、13~16週間の治療の間、VABS-IIまたはVABS-III評価スコアにおいて少なくとも10%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24週間後に、VABS-IIまたはVABS-III評価スコアにおいて少なくとも10%の改善を維持するのに有効である。また別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、16週間以上、17週間以上、18週間以上、19週間以上、20週間以上、21週間以上、22週間以上、23週間以上、または24週間以上の後に、VABS-IIまたはVABS-III評価スコアにおいて少なくとも10%の改善を維持するのに有効である。
【0399】
ある態様では、医薬組成物は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16週間の治療後に、VABS-IIまたはVABS-III評価スコアにおいて少なくとも15%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、または16週間の治療の後に、VABS-IIまたはVABS-III評価スコアにおいて少なくとも15%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1~3、3~5、5~7、7~9、9~11、11~13、13~16週間の治療の間、VABS-IIまたはVABS-III評価スコアにおいて少なくとも15%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24週間後に、VABS-IIまたはVABS-III評価スコアにおいて少なくとも15%の改善を維持するのに有効である。また別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、16週間以上、17週間以上、18週間以上、19週間以上、20週間以上、21週間以上、22週間以上、23週間以上、または24週間以上の後に、VABS-IIまたはVABS-III評価スコアにおいて少なくとも15%の改善を維持するのに有効である。
【0400】
ある態様では、医薬組成物は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16週間の治療後に、VABS-IIまたはVABS-III評価スコアにおいて少なくとも20%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、または16週間の治療の後に、VABS-IIまたはVABS-III評価スコアにおいて少なくとも20%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1~3、3~5、5~7、7~9、9~11、11~13、13~16週間の治療の間、VABS-IIまたはVABS-III評価スコアにおいて少なくとも20%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24週間後に、VABS-IIまたはVABS-III評価スコアにおいて少なくとも20%の改善を維持するのに有効である。また別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、16週間以上、17週間以上、18週間以上、19週間以上、20週間以上、21週間以上、22週間以上、23週間以上、または24週間以上の後に、VABS-IIまたはVABS-III評価スコアにおいて少なくとも20%の改善を維持するのに有効である。
【0401】
ある態様では、医薬組成物は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16週間の治療後に、VABS-IIまたはVABS-III評価スコアにおいて少なくとも30%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、または16週間の治療の後に、VABS-IIまたはVABS-III評価スコアにおいて少なくとも30%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1~3、3~5、5~7、7~9、9~11、11~13、13~16週間の治療の間、VABS-IIまたはVABS-III評価スコアにおいて少なくとも30%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24週間後に、VABS-IIまたはVABS-III評価スコアにおいて少なくとも30%の改善を維持するのに有効である。また別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、16週間以上、17週間以上、18週間以上、19週間以上、20週間以上、21週間以上、22週間以上、23週間以上、または24週間以上の後に、VABS-IIまたはVABS-III評価スコアにおいて少なくとも30%の改善を維持するのに有効である。
【0402】
ある態様では、医薬組成物は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16週間の治療後に、VABS-IIまたはVABS-III評価スコアにおいて少なくとも40%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、または16週間の治療の後に、VABS-IIまたはVABS-III評価スコアにおいて少なくとも40%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1~3、3~5、5~7、7~9、9~11、11~13、13~16週間の治療の間、VABS-IIまたはVABS-III評価スコアにおいて少なくとも40%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24週間後に、VABS-IIまたはVABS-III評価スコアにおいて少なくとも40%の改善を維持するのに有効である。また別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、16週間以上、17週間以上、18週間以上、19週間以上、20週間以上、21週間以上、22週間以上、23週間以上、または24週間以上の後に、VABS-IIまたはVABS-III評価スコアにおいて少なくとも40%の改善を維持するのに有効である。
【0403】
ある態様では、その必要のある対象は、治療開始前、85以下のVABS-IIドメイン評価スコア、および12以下の少なくとも一つの下位ドメインスコアを呈する。別の態様では、その必要のある対象は、治療開始前、75以下のVABS-IIドメイン評価スコア、および12以下の少なくとも一つの下位ドメイン評価スコアを呈する。別の態様では、その必要のある対象は、治療開始前、65以下のVABS-IIドメイン評価スコア、および12以下の少なくとも一つの下位ドメイン評価スコアを呈する。別の態様では、医薬組成物は、治療開始前と比較して、1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、または8週間の治療後に、VABS-II評価スコアにおいて少なくとも10%の改善をもたらすのに有効である。さらに別の態様では、VABS-II評価スコアにおける10%の改善は、治療が完了してから少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24週間、維持される。
【0404】
ある態様では、本開示は、その必要のある対象において自閉症スペクトラム障害(ASD)を治療する方法を提供するものであり、方法は、当該対象に、治療開始前と比較して、レイノルド知能評価尺度(商標)-非言語(RIAS-NV)IQスコアにおいて、少なくとも10%の改善をもたらすのに有効な、本明細書に記載される医薬組成物の量を当該対象に投与することを含む。ある態様では、医薬組成物は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12週間の治療後に、RIAS-NVスコア評価スコアにおいて少なくとも10%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、または16週間の治療の後に、RIAS-NVスコアにおいて少なくとも10%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1~3、3~5、5~7、7~9、9~11、11~13、13~16週間の治療の間、RIAS-NVスコアにおいて少なくとも10%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24週間、RIAS-NVスコアにおいて少なくとも10%の改善を維持するのに有効である。また別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、16週間以上、17週間以上、18週間以上、19週間以上、20週間以上、21週間以上、22週間以上、23週間以上、または24週間以上、RIAS-NVスコアにおいて少なくとも10%の改善を維持するのに有効である。
【0405】
ある態様では、医薬組成物は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16週間の治療後に、RIAS-NVスコアにおいて少なくとも15%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、または16週間の治療の後に、RIAS-NVスコアにおいて少なくとも15%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1~3、3~5、5~7、7~9、9~11、11~13、13~16週間の治療の間、RIAS-NVスコアにおいて少なくとも15%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24週間後に、RIAS-NVスコアにおいて少なくとも15%の改善を維持するのに有効である。また別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、16週間以上、17週間以上、18週間以上、19週間以上、20週間以上、21週間以上、22週間以上、23週間以上、または24週間以上の後に、CY-BOCS評価スコアにおいて少なくとも15%の改善を維持するのに有効である。
【0406】
ある態様では、医薬組成物は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16週間の治療後に、RIAS-NVスコアにおいて少なくとも20%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、または16週間の治療の後に、RIAS-NVスコアにおいて少なくとも20%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1~3、3~5、5~7、7~9、9~11、11~13、13~16週間の治療の間、RIAS-NVスコアにおいて少なくとも20%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24週間後に、RIAS-NVスコアにおいて少なくとも20%の改善を維持するのに有効である。また別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、16週間以上、17週間以上、18週間以上、19週間以上、20週間以上、21週間以上、22週間以上、23週間以上、または24週間以上後、RIAS-NVスコアにおいて少なくとも20%の改善を維持するのに有効である。
【0407】
ある態様では、医薬組成物は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16週間の治療後に、RIAS-NVスコアにおいて少なくとも30%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、または16週間の治療の後に、RIAS-NVスコアにおいて少なくとも30%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1~3、3~5、5~7、7~9、9~11、11~13、13~16週間の治療の間、RIAS-NVスコアにおいて少なくとも30%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24週間後に、RIAS-NVスコアにおいて少なくとも30%の改善を維持するのに有効である。また別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、16週間以上、17週間以上、18週間以上、19週間以上、20週間以上、21週間以上、22週間以上、23週間以上、または24週間以上後、RIAS-NVスコアにおいて少なくとも30%の改善を維持するのに有効である。
【0408】
ある態様では、医薬組成物は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16週間の治療後に、RIAS-NVスコアにおいて少なくとも40%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、または16週間の治療の後に、RIAS-NVスコアにおいて少なくとも40%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、1~3、3~5、5~7、7~9、9~11、11~13、13~16週間の治療の間、RIAS-NVスコアにおいて少なくとも40%の改善をもたらすのに有効である。別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24週間後に、RIAS-NVスコアにおいて少なくとも40%の改善を維持するのに有効である。また別の態様では、医薬組成物は、治療が完了してから1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、10週間以上、11週間以上、12週間以上、13週間以上、14週間以上、15週間以上、16週間以上、17週間以上、18週間以上、19週間以上、20週間以上、21週間以上、22週間以上、23週間以上、または24週間以上後、RIAS-NVスコアにおいて少なくとも40%の改善を維持するのに有効である。
【0409】
ある態様では、本開示は、本明細書に記載される医薬組成物を投与することによって、その必要のある対象においてASDを治療する方法を提供するものであり、この場合において当該医薬組成物は、評価スコアにおいて、少なくとも10%の改善をもたらすのに有効であり、この場合において当該対象は、自閉症診断面接-改訂版(ADI-R)評価により特定される自閉症スペクトラム障害の基準を呈している。別の態様では、その必要のある対象は、ADI-R評価により特定される自閉症スペクトラム障害の基準を呈しており、1週当たり、3回未満のCSBMを伴うGI症状の便秘をさらに含む。別の態様では、その必要のある対象は、ADI-R評価により特定される自閉症スペクトラム障害の基準を呈しており、評価スコアにおける少なくとも10%の改善は、CARS-2、ABC-2、RIAS-NV、SRS-2、およびPGI-IIIからなる群から選択される評価システムに基づく。別の態様では、その必要のある対象は、ADI-R評価により特定される自閉症スペクトラム障害の基準を呈しており、評価スコアにおける少なくとも10%の改善は、CGI、CY-BOCS、ABC、VABS-IIおよびVABS-IIIからなる群から選択される評価システムに基づく。
【0410】
一つの態様では、本開示は、その必要のある対象においてASDを治療する方法を提供するものであり、この場合において当該方法は、本明細書に記載の医薬組成物の薬学的に活性な用量または治療有効用量を当該対象に投与することを含む。一つの態様では、本開示は、その必要のある対象においてASDを治療する方法を提供するものであり、この場合において当該方法は、本明細書に記載の医薬組成物の治療有効用量を当該対象に毎日投与することを含む。一つの態様では、医薬組成物は、少なくとも1日1回、少なくとも2日間連続で、その必要のある患者に投与される。一つの態様では、医薬組成物は、少なくとも1日1回、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15日間連続で投与される。別の態様では、医薬組成物は、少なくとも1日1回、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16週間連続で投与される。一つの態様では、医薬組成物は、少なくとも1日1回、最大で4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20の日または週で連続して投与される。別の態様では、医薬組成物は、少なくとも1日1回、最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16の週または月で連続で投与される。さらなる態様では、医薬組成物は、対象の全人生にわたり慢性的に、または無期限に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16の月または年で連続で、少なくとも1回投与される。
【0411】
一つの態様では、医薬組成物は、少なくとも1日2回、少なくとも2日間連続で、その必要のある患者に投与される。一つの態様では、医薬組成物は、少なくとも1日2回、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15日間連続で投与される。別の態様では、医薬組成物は、少なくとも1日2回、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16週間連続で投与される。一つの態様では、医薬組成物は、少なくとも1日2回、最大で4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20の日または週で連続して投与される。別の態様では、医薬組成物は、少なくとも1日2回、最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16の週または月で連続で投与される。さらなる態様では、医薬組成物は、対象の全人生にわたり慢性的に、または無期限に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12の月または年で連続で、少なくとも2回投与される。
【0412】
一つの態様では、医薬組成物は、少なくとも1日3回、少なくとも2日間連続で、その必要のある患者に投与される。一つの態様では、医薬組成物は、少なくとも1日3回、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15日間連続で投与される。別の態様では、医薬組成物は、少なくとも1日3回、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16週間連続で投与される。一つの態様では、医薬組成物は、少なくとも1日3回、最大で4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20の日または週で連続して投与される。別の態様では、医薬組成物は、少なくとも1日3回、最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16の週または月で連続で投与される。さらなる態様では、医薬組成物は、対象の全人生にわたり慢性的に、または無期限に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12の月または年で連続で、少なくとも3回投与される。
【0413】
一つの態様では、本開示は、その必要のある対象においてASDを治療する方法を提供するものであり、この場合において当該方法は、細菌混合物を含む医薬組成物の治療活性用量を当該対象に経口投与することを含み、この場合において当該用量は、少なくとも3日間連続または3週連続で少なくとも1日1回または2回の投与スケジュールで投与される。別の態様では、用量は、少なくとも1日1回、2回または3回、1~16週、2~16週、3~16週、4~16週、5~16週、6~16週、7~16週、8~16週、10~16週、12~16週、1~12週、2~12週、3~12週、4~12週、5~12週、6~12週、7~12週、8~12週、9~12週、10~12週、1~2週、2~3週、3~4週、4~5週、5~6週、6~7週、7~8週、8~9週、9~10週、または10~11週の期間、投与される。
【0414】
一つの態様では、本開示は、本明細書に記載される医薬組成物を投与することによって、その必要のある対象においてASDを治療する方法を提供するものであり、この場合において当該方法は、単回投与スケジュールを含む。一つの態様では、投与スケジュールは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16週間連続の治療期間を含む。ある態様では、投与スケジュールは、毎日、1日おき、2日おき、または3、4、5、6、7、8日おきに用量を投与することを含む。
【0415】
一つの態様では、本開示は、本明細書に記載される医薬組成物を投与することによって、その必要のある対象においてASDを治療する方法を提供するものであり、この場合において当該方法は、第一の投与スケジュールに続く第二の投与スケジュールを含む。一つ態様では、第一の投与スケジュールは、治療用量または導入用量を含む。一つの態様では、第一の投与スケジュールは、連続的な投与スケジュールを含む。別の態様では、第一の投与スケジュールは、2日間連続の投与スケジュールを含む。別の態様では、第一の投与スケジュールは、等しい用量の2日間連続の投与スケジュールを含む。別の態様では、第一の投与スケジュールは、一日での用量を含む。別の態様では、第一の投与スケジュールは、3日間連続の投与スケジュールを含む。別の態様では、第一の投与スケジュールは、4日間連続の投与スケジュールを含む。別の態様では、第一の投与スケジュールは、5日間連続の投与スケジュールを含む。別の態様では、第一の投与スケジュールは、6日間連続の投与スケジュールを含む。別の態様では、第一の投与スケジュールは、7日間連続の投与スケジュールを含む。別の態様では、第一の投与スケジュールは、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12日間連続の投与スケジュールを含む。別の態様では、第二の投与スケジュールは、第一の投与スケジュールの薬学的に活性な用量以下の維持用量を含む。別の態様では、第二の投与スケジュールは、少なくとも約2、4、5、6、7、8、9、10、11、12、18、24、36、48、72、または96週間にわたって継続する。別の態様では、第二の投与スケジュールは、少なくとも2、4、5、6、7、8、9、10、11、12、18、24、36、48、72、または96週間連続の投与スケジュールを含む。別の態様では、第二の投与スケジュールは、少なくとも2、4、5、6、7、8、9、10、11、12、18、24、36、48、72、または96週間連続の投与スケジュールを含む。別の態様では、第二の投与スケジュールは、少なくとも12、14、21、28、35、42、49、56、63、70、または77日間連続の投与スケジュールを含む。一つの態様では、第二の投与スケジュールは、治療される対象の全人生にわたり、または無期限に、永久的に継続する。一つの態様では、第二の投与スケジュールは、連続的な投与スケジュールである。別の態様では、第二の投与スケジュールは、断続的な投与スケジュールである。さらなる態様では、第二の投与スケジュールは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14日間の治療期間と、それに続く少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14日間の休息期間を含む断続的な投与スケジュールである。別の態様では、第二の投与スケジュールは、一日おき、二日おき、または3、4、5、6、7、8日おきに第二の用量(例えば、維持用量)を投与することを含む。別の態様では、維持用量は、漸増(または別手段により用量または投与スケジュールを変更すること)を伴う、または伴わない長期間にわたって投与される。一つの態様では、第一および第二の投与スケジュールの間に間隔はない。別の態様では、第一の投与スケジュールと第二の投与スケジュールの間の間隔は、少なくとも1、2、3、4、5、6、または7日である。一つの態様では、第一の投与スケジュールと第二の投与スケジュールの間の間隔は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16週間である。ある態様では、第二の投与スケジュール(例えば維持用量)は、第一の投与スケジュール(例えば、初期治療用量)で使用される用量よりも、約2、3、4、5、10、50、100、200、400、または500倍少ない用量を含む。別の態様では、第二の投与スケジュール(例えば、維持投与スケジュール)は、第一の投与スケジュール(例えば、初期治療投与スケジュール)と等しい、または少ない投与頻度を有する。別の態様では、第二の投与スケジュール(例えば、維持投与スケジュール)は、第一の投与スケジュール(例えば、初期治療投与スケジュール)よりも多い投与間隔を有する。
【0416】
一つの態様では、本開示は、その必要のある対象を治療する方法を提供し、この場合において当該方法は、当該対象に、注意深くスクリーニングされた複数の健康なドナーの非培養糞便細菌調製物を含む細菌混合物を含む医薬組成物の薬学的に活性な用量を投与することを含む。ある態様では、対象は、投与期間にわたり医薬組成物を投与され、この場合において第一の用量は、単一のドナーの非培養糞便細菌調製物を含む少なくとも一つの医薬組成物、および第一の用量のドナーとは異なる単一のドナーの非培養糞便細菌調製物を含む医薬組成物の第二の用量を含む。別の態様では、第一の用量は、単一のドナーの非培養糞便細菌調製物を含む医薬組成物を含み、第二の用量は、ドナープールの非培養糞便細菌調製物を含む。第一および第二の用量は、対象への投与の順序を示すものではなく、むしろ別個のドナーに由来する非培養糞便細菌調製物が、非混合の形態で使用され得ることを示す。さらに別の態様では、注意深くスクリーニングされた複数の健康なドナーに由来する非培養糞便細菌調製物は、非混合の形態で提供される。
【0417】
ある態様では、本明細書で使用される医薬組成物は、予め選択された望ましい特性を有する、または特定の前処理を受けているドナーに由来する非培養糞便細菌調製物を含む細菌混合物を含む。ある態様では、ドナーは、現在または過去にASD診断を受けていないか、またはASDの症状を有していない。別の態様では、ドナーは、ASDと診断された、またはASD症状を呈する家族がおらず、直径親族がいない。別の態様では、ドナーは、ASDと診断された、またはASDの症状を呈する兄弟姉妹、両親、または子供がいない。ある態様では、ドナーは、過去にいかなる糞便微生物移植も受けていない。ある態様では、ASD治療のための糞便ドナーは、過去に、GI障害、例えば、C.ディフィシレ感染または炎症性腸疾患(IBD)の治療用の糞便を寄贈した。
【0418】
ある態様では、本明細書に記載される治療を受ける対象は、妊娠中の女性である。別の態様では、本明細書の治療を受ける妊娠中の女性は、ASDと診断されたか、またはASD症候群を呈する、年長児がいる。別の態様では、本明細書の治療を受ける妊娠中の女性は、ASDを有する子供を出産するリスクがある。別の態様では、糞便ドナーは、妊娠中である。さらなる態様では、妊娠中のドナーに由来する糞便から調製される非培養糞便細菌調製物は、ASDを有する子供を出産するリスクがある妊娠中の対象に(例えば、一つ以上の細菌単離株と組み合わせて)投与される。
【0419】
ある態様では、ASDを有する対象を治療する方法は、当該対象に、ラクトバチルス属の構成員を含む細菌混合物を含む医薬組成物を投与することを含む。例えば、医薬組成物中で対象に投与される細菌混合物は、(当該細菌混合物内に含まれる非培養糞便細菌調製物および/または細菌単離株中で)L.ロイテリを含むことができる。ASDの一つ以上の症状を呈する対象、またはASDの一つ以上の症状の発現に感受性のある対象に、細菌の特定の株(例えば、L.ロイテリ)を投与することで、ASDを治療またはASDを予防することができる。理論に拘束されるものではないが、対象へのL.ロイテリの投与の後、L.ロイテリは、対象の腸内に生着し、オキシトシン依存性の作用機序を介してASDを治療または予防するように作用することができる。例えば、L.ロイテリは、腸粘膜から、対象の行動に影響を及ぼす脳領域(例えば、視床下部傍室核、またはPVN)への求心性の迷走神経接続を介した神経シグナル伝達を刺激することができる。ある態様では、L.ロイテリは、PVNニューロンによるオキシトシン放出を誘導し、社会的行動を調節するオキシトシン受容体を介して、ドーパミン作動性ニューロンにおけるシナプス可塑性を調節することができる。
【0420】
ある態様では、本明細書において、対象の腸内に、ラクトバチルス属の構成員(例えば、L.ロイテリ)を生着させる方法が提供され、当該方法は、(i)非培養糞便細菌調製物、および(ii)ラクトバチルスの構成員を含む細菌単離株、を含む細菌混合物を含む医薬組成物を当該対象に投与することを含み、この場合において組成物投与後の当該対象の腸内におけるラクトバチルスの構成員の生着は、組成物投与前の生着よりも多い。生着は、例えば、糞便微生物叢などの対象の腸内微生物叢におけるラクトバチルスの当該構成員の相対的存在量を決定することにより測定することができる。ある態様では、腸内微生物叢中のラクトバチルスの当該構成員の相対的存在量は、非培養糞便細菌調製物と、ラクトバチルスの当該構成員を含む細菌単離株の両方の投与後のほうが、当該細菌単離株が単独で投与されたときの腸内微生物叢中のラクトバチルスの相対的存在量よりも多い。すなわち、ラクトバチルスの当該構成員を含む細菌単離株を組み合わされた非培養糞便細菌調製物を投与することで、対象の腸内におけるL.ロイテリ細菌単離株の生着が容易になり、促進され、および/または相乗効果が与えられる。
【0421】
ある態様では、本開示は、単一のドナーの非培養糞便細菌調製物、および任意で一つ以上の細菌単離株を含む医薬組成物の薬学的に活性な用量を対象に投与することにより、その必要のある対象を治療する方法を提供する。別の態様では、投与の後に、医薬組成物の薬学的に活性な用量の有効性を判定するための検査が行われる。別の態様では、対象の検査は、医薬組成物の活性用量を調整するべきかを判定するための結果を提供する。別の態様では、検査の後に、複数のドナーから混合された非培養糞便細菌調製物、および任意で一つ以上の微生物単離株を含む医薬組成物の投与が行われる。本開示の一つの態様では、方法は、(1)単一のドナーの非培養糞便細菌調製物(および任意で一つ以上の細菌単離株)を含む医薬組成物の薬学的に活性な用量を対象に投与すること、(2)追加用量が必要か、または用量を調節するべきか、有効性を判定するために対象を検査すること、(3)複数のドナーから混合された非培養糞便細菌調製物(および任意で一つ以上の細菌単離株)を含む第二の医薬組成物を投与すること、(4)任意で、追加用量が必要か、または用量を調節するべきか、有効性を判定するために対象を検査すること、および(5)任意で複数のドナーから混合された非培養糞便細菌調製物(および任意で一つ以上の細菌単離株)を含む第三の医薬組成物を投与することであって、この場合において当該複数のドナーは、(a)第二の医薬組成物からのドナーおよび追加のドナーの全てを含む、(b)第二の医薬組成物に含まれない糞便細菌のドナーを含む、(c)第二の医薬組成物に含まれる糞便細菌のドナーの全員ではないが一部を含む、または第二の医薬組成物に含まれていない糞便細菌のドナーを含むこと、を含む、その必要のある対象の治療を提供する。別の態様では、第一、第二、および第三の医薬組成物は、異なる順序で投与される(すなわち、第一、第三、第二;第三、第二、第一;第三、第一、第二;第二、第一、第三、など)。
【0422】
別の態様では、本開示は、その必要のある対象を、単一のドナーに由来する非培養糞便細菌調製物を含む医薬組成物を含有するカプセルを用いて治療する方法を提供する。別の態様では、カプセルは、複数のドナーに由来する非培養糞便細菌調製物を含む医薬組成物を含む。一つの態様では、対象は、単一であるが異なるドナーに由来する非培養糞便細菌調製物を含有する二つ以上の丸薬を投与される。
【0423】
一つの態様では、本開示は、その必要のある対象を、治療期間中の従前の投与に類似するが、異なる単一のドナーの非培養糞便細菌調製物を含む医薬組成物を投与することを含む治療方法を提供する。別の態様では、治療期間は、単一ドナーの非培養糞便細菌調製物を含む医薬組成物を含む第一の用量の投与と、複数のドナーの非培養糞便細菌調製物を含む医薬組成物を含む第二の用量の投与を含む。
【0424】
ある態様では、非培養糞便細菌調製物、および一つ以上の細菌単離株は、同じ医薬組成物中で本明細書に記載される方法に従い対象に投与される。ある態様では、非培養糞便細菌調製物、および一つ以上の細菌単離株は、異なる医薬組成物中で本明細書に記載される方法に従い対象に投与される。ある態様では、複数の細菌単離株は、同じ医薬組成物中で本明細書に記載される方法に従い対象に投与される。ある態様では、複数の細菌単離株は、異なる医薬組成物中で本明細書に記載される方法に従い対象に投与される。例えば、方法は、有効量の複数の医薬組成物、例えば、本明細書に開示される、二つ以上の医薬組成物、三つ以上の医薬組成物、四つ以上の医薬組成物、または五つ以上の医薬組成物を、その必要のある対象に投与することを含んでもよい。複数の医薬組成物は、同時にまたは連続的に提供されてもよい。したがって、対象が、例えば非培養糞便細菌調製物と二つの細菌単離株で治療される場合、第一の組成物は、当該細菌単離株の二つを含んでもよく、第二の組成物は、非培養糞便細菌調製物を含んでもよい。異なる例では、対象が、非培養糞便細菌調製物と二つの細菌単離株で治療される場合、第一の組成物は、第一の細菌単離株と組み合わされた(または「スパイクされた」)非培養糞便細菌調製物を含んでもよく、第二の組成物は、第二の細菌単離株を含んでもよい。異なる例では、対象が、非培養糞便細菌調製物と三つの細菌単離株で治療される場合、第一の組成物は、第一の細菌単離株を含んでもよく、第二の組成物は、第二の細菌単離株を含んでもよく、第三の組成物は、第三の細菌単離株を含んでもよく、および第四の組成物は、非培養糞便細菌調製物を含んでもよい。
【0425】
ある態様では、その必要のある対象においてASDの一つ以上の症状を治療する方法は、対象に、(i)一つ以上の細菌単離株、(ii)非培養糞便細菌調製物、および(iii)一つ以上の抗生物質、を投与することを含む。(i)~(iii)の様々な構成要素が、任意の順序で対象に投与されてもよい。例えば、対象は、一つ以上の抗生物質を投与され、それに続いて、非培養糞便細菌調製物と一つ以上の細菌単離株の両方を含む細菌混合物を投与されてもよい。別の例では、対象は、一つ以上の抗生物質を投与され、それに続いて、非培養糞便細菌調製物を投与され、それに続いて、一つ以上の細菌単離株を投与されてもよい。別の例では、対象は、一つ以上の抗生物質を投与され、それに続いて、一つ以上の細菌単離株を投与され、それに続いて、非培養糞便細菌調製物を投与されてもよい。上述の例の各々について、治療方法の任意の所与の構成要素が、複数回投与され得ることがさらに理解される。例えば、抗生物質が対象に投与され、それに続いて、非培養糞便細菌調製物が投与され、それに続いて、一つ以上の細菌単離株が投与され、それに続いて、非培養糞便細菌調製物の2回目の投与がなされてもよい。
【0426】
ある態様では、その必要のある対象においてASDの一つ以上の症状を治療する方法は、対象に、(i)一つ以上の細菌単離株、(ii)非培養糞便細菌調製物、および(iii)一つ以上のプレバイオティクス、を投与することを含む。(i)~(iii)の様々な構成要素が、任意の順序で対象に投与されてもよい。例えば、対象は、一つ以上のプレバイオティクスを投与され、それに続いて、非培養糞便細菌調製物と一つ以上の細菌単離株の両方を含む細菌混合物を投与されてもよい。別の例では、対象は、一つ以上のプレバイオティクスを投与され、それに続いて、非培養糞便細菌調製物を投与され、それに続いて、一つ以上の細菌単離株を投与されてもよい。別の例では、対象は、一つ以上のプレバイオティクスを投与され、それに続いて、一つ以上の細菌単離株を投与され、それに続いて、非培養糞便細菌調製物を投与されてもよい。別の例では、対象は、一つ以上のプレバイオティクスを投与され、それに続いて、一つ以上の細菌単離株および/または非培養糞便細菌調製物のうちの一つまたは両方を投与されてもよい。上述の例の各々について、治療方法の任意の所与の構成要素が、複数回投与され得ることがさらに理解される。例えば、非培養糞便細菌調製物が対象に投与され、それに続いて、一つ以上の細菌単離株が投与され、それに続いて、プレバイオティクスが投与され、それに続いて、非培養糞便細菌調製物の2回目の投与がなされてもよい。
【0427】
ある態様では、その必要のある対象においてASDの一つ以上の症状を治療する方法は、対象に、(i)一つ以上の細菌単離株、(ii)非培養糞便細菌調製物、(iii)一つ以上のプレバイオティクス、および(iv)一つ以上の抗生物質、を投与することを含む。(i)~(iv)の様々な構成要素が、任意の順序で対象に投与されてもよい。例えば、対象は、一つ以上の抗生物質を投与され、それに続いて、一つ以上のプレバイオティクスを投与され、それに続いて、非培養糞便細菌調製物と一つ以上の細菌単離株の両方を含む細菌混合物を投与されてもよい。別の例では、対象は、一つ以上の抗生物質を投与され、それに続いて、一つ以上のプレバイオティクスを投与され、それに続いて、非培養糞便細菌調製物を投与され、それに続いて、一つ以上の細菌単離株を投与されてもよい。別の例では、対象は、一つ以上の抗生物質を投与され、それに続いて、一つ以上のプレバイオティクスを投与され、それに続いて、一つ以上の細菌単離株を投与され、それに続いて、非培養糞便細菌調製物を投与されてもよい。別の例では、プレバイオティクスは、一つ以上の細菌単離株および/または非培養糞便細菌調製物のうちの一つまたは両方を投与した後に投与されてもよい。上述の例の各々について、治療方法の任意の所与の構成要素が、複数回投与され得ることがさらに理解される。例えば、抗生物質が対象に投与され、それに続いて、非培養糞便細菌調製物が投与され、それに続いて、一つ以上の細菌単離株が投与され、それに続いて、プレバイオティクスが投与され、それに続いて、非培養糞便細菌調製物の2回目の投与がなされてもよい。
【0428】
上述の組み合わせ治療の各々において、異なる治療の間の期間(例えば、非培養糞便細菌調製物と一つ以上の細菌単離株の投与の間の期間)は、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも1週、少なくとも2週、少なくとも3週、少なくとも4週、少なくとも5週、少なくとも6週、少なくとも7週、少なくとも8週、または8週よりも長くてもよい。
【0429】
一つの態様では、治療される対象は、すでに障害(例えば、ASD)を有する対象である。障害(例えば、ASD)に対し遺伝的に罹り易い、または罹る傾向がある、臨床的に無症候性のヒト対象への本開示医薬組成物の投与も、臨床症状の発生の予防に有用である。遺伝的にASDに罹り易い、または罹る傾向があるヒトは、障害(例えば、ASD)を呈する、もしくは罹患している近親者または親族を有するヒト対象であり得る。別の態様では、治療される対象は、ASDが予防される対象である。別の態様では、治療される対象は、障害(例えば、ASD)に罹り易い、または感受性がある。別の態様では、治療される対象は、障害(例えば、ASD)を有すると診断された対象である。一つの態様では、治療される対象は、その必要のある患者である。
【0430】
一つの態様では、治療される対象は、ヒト患者である。一つの態様では、患者は、男性患者である。一つの態様では、患者は、女性患者である。一つの態様では、患者は、早生児である。一つの態様では、患者は、新生児期間である。一つの態様では、患者は、新生児である。一つの態様では、患者は、乳児である。一つの態様では、患者は、幼児である。一つの態様では、患者は、小児である。一つの態様では、患者は、子供である。一つの態様では、患者は、青年である。一つの態様では、患者は、小児患者である。一つの態様では、患者は、高齢患者である。一つの態様では、ヒト患者は、約18、15、12、10、8、6、4、3、2、または1歳未満の小児患者である。別の態様では、ヒト患者は、成人患者である。別の態様では、ヒト患者は、年配の患者である。さらなる態様では、ヒト患者は、約30歳、35歳、40歳、45歳、50歳、55歳、60歳、65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、または95歳を超える患者である。別の態様では、患者は、約1~5、2~10、3~18、21~50、21~40、21~30、50~90、60~90、70~90、60~80、または65~75歳である。一つの態様では、患者は、前期高齢者の患者(65-74歳)である。一つの態様では、患者は、中期高齢者の患者(75~84歳)である。一つの態様では、患者は、高齢の患者(>85歳)である。
【0431】
一つの態様では、方法は、医薬組成物を経口的に、浣腸によって、または直腸座薬を介して投与することを含む。一つの態様では、医薬組成物は、ジェルタブ、丸薬、マイクロカプセル、カプセル、または錠剤として製剤化される。一つの態様では、医薬組成物は、腸溶性コーティングされたカプセルまたはマイクロカプセル、酸耐性のカプセルまたはマイクロカプセルとして製剤化され、または食品、食品添加物、乳製品、大豆系製品もしくはその誘導体、ゼリー、またはヨーグルトの一部として製剤化され、またはそれらと一緒に投与される。別の態様では、医薬組成物は、酸耐性の腸溶性コーティングカプセルとして製剤化される。医薬組成物は、食品または飲料と組み合わされて販売するための粉末として提供されてもよい。食品または飲料は、乳製品または大豆製品であってもよい。別の態様では、食品または食品サプリメントは、医薬組成物を含有する腸溶コーティング、および/または酸耐性のマイクロカプセルを含有する。
【0432】
本明細書において、任意の本明細書に開示される医薬組成物、および使用説明書を含むキットが記載される。例えば、キットは、一つ以上の細菌混合物を含む単位剤形を含んでもよい。そのようなキットは、非培養糞便細菌調製物、および一つ以上の細菌単離株のうちの少なくとも一つを含む一つ以上の細菌混合物を含み、および任意で、組成物を対象に投与するための送達デバイス、または適切な送達経路を介して対象に用量を投与するための説明書を含む。一部の例では、剤形は、任意の適切な形態の生細菌(新鮮、凍結、凍結乾燥など)を含み、ヒト対象への経口投与、経鼻胃管による投与、結腸内視鏡による投与、または肛門投与に対して製剤化される。本明細書に記載される場合、本明細書に提供されるキットに適した剤形としては限定されないが、液体溶液、カプセル、錠剤、粉末、顆粒、および凍結乾燥の形態が挙げられる。
【0433】
キットの説明書は、例えば、キット中の一つ以上の医薬組成物の用量情報について記載してもよい。例として、組成物の投与頻度および用量、例えば、所与の時間に投与される医薬組成物のカプセルの数、および1日/1週当たりの投与回数などである。キットが、複数の組成物(例えば、複数の細菌混合物、または細菌混合物を欠く追加の医薬組成物)を含む態様では、説明書は、各組成物の投与に関して記載してもよい。例えば、一つの組成物が投与され、その後に別の組成物が投与されてもよい。例えば、連続投与される二つの医薬組成物は、分、時間、日、週、月、またはそれ以上の間隔で分けられてもよい。あるいは、二つの組成物を同時に投与してもよい。
【0434】
さらなる態様では、本明細書において、自閉症スペクトラム障害を治療するための医薬品の製造、または自閉症スペクトラム障害の一つ以上の症状の重症度を低下させるための医薬品の製造のための本明細書に記載される細菌混合物の使用が提供される。
【0435】
本明細書において、ドナーの糞便中の細菌分類群(例えば、門、綱、目、科、属、種または株)の存在量に基づきヒト糞便ドナーを選択すること、それに続いて非培養糞便細菌調製物を製造するための糞便細菌の供給源として使用されるドナーから糞便を収集すること、を含む方法が開示される。例えば、ドナー候補の糞便または糞便微生物叢は、特定の対象分類群(例えば、例えば、ラクトバチルス属またはL.ロイテリ種)の存在または存在量について、例えばPCR(例えば、定量的PCR)などの核酸ハイブリダイゼーション系技術を使用してスクリーニングされてもよく、もし当該分類群が閾値存在量を超えるレベルで糞便中に存在する場合には、当該ドナーは、対象分類群を含む医薬組成物の調製における使用のための糞便ドナーとして選択されてもよい。ある態様では、ドナーの糞便(すなわち、対象分類群を含む)から調製された非培養糞便細菌調製物は、一つ以上の細菌単離株(例えば、L.ロイテリなどの対象の細菌分類群を含む)を補充され、非培養糞便細菌調製物を含む細菌混合物中の当該細菌分類群を増加させてもよい。
【0436】
別の態様では、糞便寄贈を行う前に、糞便ドナーは、例えば一つ以上のプロバイオティクスの形態で、一つ以上の細菌単離株(例えば、L.ロイテリなど、ラクトバチルス属の構成員)を摂取してもよい。ある態様では、糞便ドナーは、糞便寄贈の前に細菌単離株を摂取して、寄贈糞便の糞便微生物中に当該細菌単離株、すなわち細菌株として導入してもよい。したがって、医薬組成物の細菌混合物中に含有されることが望ましい細菌単離株を、ドナーによる細菌単離株の摂取を介して、糞便ドナーの糞便微生物叢内に導入してもよく、それによって、望ましい細菌単離株を起源とする細菌株を有する「出来合いの」または既に含有する糞便に由来する非培養糞便細菌の調製物が出来上がる。(例えば、プロバイオティクスの形態で)細菌単離株を摂取したドナーの糞便に由来する非培養糞便細菌調製物は、当該調製物に任意の追加的な細菌単離株を加えることなく、本明細書に記載される医薬組成物内に直接導入されることができ、あるいは、細菌単離株の追加用量をさらにスパイクされても、または富化されてもよい。糞便ドナーに投与された細菌単離株を起源とする一つ以上の望ましい細菌株を有する糞便ドナーの糞便微生物叢のそのような「プレスパイク」は、ドナーの糞便微生物叢が、当該細菌単離株と同じ分類学的階級(例えば、門、綱、目、科、属または種)の細菌株を内在的に含有していない場合、または当該細菌単離株に対し遺伝的同一性を有する(例えば、当該細菌単離株の16S rRNA配列に対し、97%を超える同一性、98%を超える同一性、99%を超える同一性、99.1%を超える同一性、99.2%を超える同一性、99.3%を超える同一性、99.4%を超える同一性、99.5%を超える同一性、99.6%を超える同一性、99.7%を超える同一性、99.8%を超える同一性、または99.9%を超える同一性を有する16S rRNA配列を有する)、閾値レベルを超える細菌株を内在的に含有していない場合に特に有益であり得る。本明細書において、糞便微生物叢のドナーによる細菌単離株の摂取を介して糞便微生物叢に取り込まれる細菌単離株は、生体外で存在する精製細菌単離株との識別のために、「細菌株」(すなわち、摂取された細菌単離株を起源とする)と呼称される。
【0437】
ある態様では、ドナーは、プロバイオティクスの摂取前にはドナー糞便中で検出できない、または閾値存在量未満の相対的存在量で存在する、分類学的階級の細菌単離株を含むプロバイオティクスを摂取してもよい。例えば、ドナー糞便の微生物叢は、ドナー微生物叢中の特定の分類群(門、綱、目、科、属、種または株)の存在について、(例えば、PCRなどの核酸ハイブリダイゼーション技術を使用して)スクリーニングされてもよい。当該分類群が微生物叢中に存在しない場合、または閾値存在量未満の相対的存在量で存在する場合、ドナーは、当該分類群の細菌単離株を含むプロバイオティクスを投与され、または摂取してもよい。
【0438】
ある態様では、糞便ドナーは、ラクトバチルス・ロイテリを含有する細菌単離株を摂取して、ドナー糞便中のL.ロイテリのレベルを増加させてもよい。次いで、摂取された細菌単離株を起源とするL.ロイテリの株を含む非培養糞便細菌調製物が、糞便から抽出され、本明細書に記載される医薬組成物に組み込まれてもよい。ある態様では、非培養糞便細菌調製物は、ドナーにより摂取された株と同じ細菌単離株のある量、および/または一つ以上の追加の細菌単離株を補充される。任意で、ドナーの糞便微生物叢は、ドナーによりプロバイオティクスを摂取する前に、および/または摂取した後にスクリーニングされ、L.ロイテリが当該微生物叢中に存在するか否かを決定し、もし存在する場合には糞便微生物叢中の当該L.ロイテリの存在量を決定してもよい。
【0439】
ある態様では、糞便ドナーによる一つ以上の細菌単離株の摂取と、当該ドナーからの糞便(すなわち、当該一つ以上の細菌単離株を起源とする細菌株を含有する)の収集の間の期間は、変化し得る。例えば、例えば、当該期間は、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも4時間、少なくとも6時間、少なくとも8時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、少なくとも14時間、少なくとも16時間、少なくとも18時間、少なくとも20時間、少なくとも22時間、少なくとも24時間、少なくとも26時間、少なくとも28時間、少なくとも30時間、少なくとも32時間、少なくとも34時間、少なくとも36時間、少なくとも38時間、少なくとも40時間、少なくとも42時間、少なくとも44時間、少なくとも46時間、少なくとも48時間、少なくとも50時間、少なくとも52時間、少なくとも54時間、少なくとも56時間、少なくとも58時間、少なくとも60時間、少なくとも62時間、少なくとも64時間、少なくとも66時間、少なくとも68時間、少なくとも70時間、少なくとも72時間、または72時間よりも長くてもよい。
【0440】
ある態様では、ドナーは、一回または複数回、ある用量の細菌単離株を摂取して、ドナーの糞便微生物叢への細菌株としての細菌単離株の組み込みを促進してもよい。一つの態様では、ある用量の細菌単離株は、毎日少なくとも1回、または2回、少なくとも3日間連続、または少なくとも3週間連続で、ドナーにより摂取されてもよい。別の態様では、用量は、少なくとも1日1回、2回または3回、1~16週、2~16週、3~16週、4~16週、5~16週、6~16週、7~16週、8~16週、10~16週、12~16週、1~12週、2~12週、3~12週、4~12週、5~12週、6~12週、7~12週、8~12週、9~12週、10~12週、1~2週、2~3週、3~4週、4~5週、5~6週、6~7週、7~8週、8~9週、9~10週、または10~11週の期間、摂取される。
【0441】
本明細書において、医薬組成物を製造する方法が開示され、当該方法は、健康なヒトドナーの糞便から、細菌集団または細菌集団を抽出すること、当該抽出された細菌集団または細菌群を当該医薬組成物に組み込むことであって、当該細菌集団または細菌群は、当該健康なヒトドナーによって摂取されたプロバイオティクスに由来する細菌株を含むこと、を含む。
【0442】
本明細書において、健康なヒトドナーの細菌集団または細菌群を含む医薬組成物を製造する方法が開示され、当該方法は、当該ドナーが、細菌株を含むプロバイオティクスを摂取した後に、当該ドナーから糞便を受け取ること、当該糞便から、細菌集団または細菌群を抽出することであって、当該細菌集団または細菌群は、当該細菌株を含むこと、当該細菌集団または細菌群を、医薬組成物に組み込むことであって、当該細菌集団または細菌群は培養されず、および当該ドナーがプロバイオティクスを摂取する前に、当該ドナーの糞便は、当該細菌株を含まないこと、を含む。
【0443】
本明細書に記載される組成物、剤形、および医薬品は、一つ以上の追加の化合物または薬医薬品が、精製された糞便微生物叢組成物に添加され、または別手段で同時投与される、併用の医薬組成物を含むことが理解される。
【0444】
本明細書は、以下の実施形態を提供し、およびそれらを含む。
【0445】
実施形態1。
(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便細菌の調製物、および(ii)ラクトバチルス・ロイテリを含む細菌単離株、を含む細菌混合物を含む、医薬組成物。
【0446】
実施形態2。
当該糞便、非培養糞便細菌調製物、またはその両方が、L.ロイテリを含まない、実施形態1に記載の医薬組成物。
【0447】
実施形態3。
当該糞便、非培養糞便細菌調製物、またはその両方が、L.ロイテリを含む細菌単離株と100%の遺伝的同一性を有する細菌株を含まない、実施形態1に記載の医薬組成物。
【0448】
実施形態4。
当該非培養糞便細菌調製物が、L.ロイテリを含む細菌単離株と98%を超える遺伝的同一性を有する細菌株を含まない、実施形態3に記載の医薬組成物。
【0449】
実施形態5。
当該遺伝的同一性は、L.ロイテリを含む細菌単離株の16S rRNA配列と、非培養糞便細菌調製物の16S rRNA配列とを比較することにより決定される、実施形態3または実施形態4に記載の医薬組成物。
【0450】
実施形態6。
当該非培養糞便細菌調製物は、5%未満の相対的存在量で、L.ロイテリ細菌を含む、実施形態1~5のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【0451】
実施形態7。
当該非培養糞便細菌調製物は、3%未満の相対的存在量で、L.ロイテリ細菌を含む、実施形態1~6のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【0452】
実施形態8。
当該非培養糞便細菌調製物は、1%未満の相対的存在量で、L.ロイテリ細菌を含む、実施形態1~7のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【0453】
実施形態9。
当該非培養糞便細菌調製物は、0.5%未満の相対的存在量で、L.ロイテリ細菌を含む、実施形態1~8のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【0454】
実施形態10。
(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便細菌の調製物、および(ii)ある種のラクトバチルスを含む細菌単離株、を含む細菌混合物を含み、当該非培養糞便細菌調製物は、ラクトバチルス属の種を含まない、医薬組成物。
【0455】
実施形態11。
当該非培養糞便細菌調製物が、ある種のラクトバチルスを含む細菌単離株と99%を超える遺伝的同一性を有する細菌株を含まない、実施形態10に記載の医薬組成物。
【0456】
実施形態12。
当該非培養糞便細菌調製物が、ある種のラクトバチルスを含む細菌単離株と97%を超える遺伝的同一性を有する細菌株を含まない、実施形態10または実施形態11に記載の医薬組成物。
【0457】
実施形態13。
当該遺伝的同一性は、ある種のラクトバチルスを含む細菌単離株の16S rRNA配列と、非培養糞便細菌調製物の16S rRNA配列とを比較することにより決定される、実施形態11または実施形態12に記載の医薬組成物。
【0458】
実施形態14。
当該ある種のラクトバチルスが、L.ロイテリである、実施形態10~13のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【0459】
実施形態15。
当該ある種のラクトバチルスが、L.プランタルムである、実施形態10~13のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【0460】
実施形態16。
当該ある種のラクトバチルスが、L.アシドフィルスである、実施形態10~13のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【0461】
実施形態17。
当該ある種のラクトバチルスが、L.パラカゼイである、実施形態10~13のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【0462】
実施形態18。
当該ある種のラクトバチルスが、L.デルブルエッキイ亜種ブルガリクスである、実施形態10~13のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【0463】
実施形態19。
当該医薬組成物が、一つ以上の追加の細菌単離株をさらに含む、実施形態1~18のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【0464】
実施形態20。
当該一つ以上の追加の細菌単離株が、ビフィドバクテリウム属またはストレプトコッカス属の構成員を含む、実施形態19に記載の医薬組成物。
【0465】
実施形態21。
(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便細菌の調製物、および(ii)非病原性細菌単離株、を含む細菌混合物を含み、当該細菌混合物中の細菌単離株の生細胞の相対的存在量は、少なくとも10%である、医薬組成物。
【0466】
実施形態22。
当該細菌混合物中の細菌単離株の生細胞の相対的存在量は、少なくとも30%である、実施形態21に記載の医薬組成物。
【0467】
実施形態23。
当該細菌混合物中の細菌単離株の生細胞の相対的存在量は、少なくとも45%である、実施形態21に記載の医薬組成物。
【0468】
実施形態24。
当該細菌混合物中の細菌単離株の生細胞の相対的存在量は、非培養糞便細菌の調製物中の任意の細菌種の生細胞の相対的存在量よりも多い、実施形態21~23のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【0469】
実施形態25。
(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便細菌の調製物、および(ii)非病原性細菌単離株、を含む細菌混合物を含み、当該細菌混合物中の細菌単離株の生細胞の相対的存在量は、非培養糞便細菌の調製物中の任意の細菌株の生細胞の相対的存在量よりも多い、医薬組成物。
【0470】
実施形態26。
当該細菌混合物中の細菌単離株の生細胞の相対的存在量は、非培養糞便細菌調製物中の任意の細菌種の生細胞の相対的存在量よりも多い、実施形態25のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【0471】
実施形態27。
当該細菌混合物中の細菌単離株の生細胞の相対的存在量は、非培養糞便細菌調製物中の任意の細菌属の生細胞の相対的存在量よりも多い、実施形態25のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【0472】
実施形態28。
当該細菌混合物中の細菌単離株の生細胞の相対的存在量は、非培養糞便細菌調製物中の任意の細菌門の生細胞の相対的存在量よりも多い、実施形態25のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【0473】
実施形態29。
(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便細菌の調製物、および(ii)非病原性細菌単離株、を含む細菌混合物を含み、当該細菌単離株は、ある種の構成員であり、当該細菌単離株は、細菌混合物中の当該種の唯一の構成員である、医薬組成物。
【0474】
実施形態30。
(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便細菌の調製物、および(ii)非病原性細菌単離株、を含む細菌混合物を含み、当該非培養糞便細菌の調製物は、当該細菌単離株の16S rRNA配列に対して99%を超えて同一な16S rRNA配列を有する細菌株を含まない、医薬組成物。
【0475】
実施形態31。
当該非培養糞便細菌調製物は、当該細菌単離株の16S rRNA配列に対して97%を超えて同一な16S rRNA配列を有する細菌株を含まない、実施形態30に記載の医薬組成物。
【0476】
実施形態32。
(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便細菌の調製物、および(ii)非病原性細菌単離株、を含む細菌混合物を含み、当該細菌単離株は、当該組成物を投与された対象の回腸に生着する、医薬組成物。
【0477】
実施形態33。
当該細菌単離株が、ラクトバチルス属の構成員を含む、実施形態21~32のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【0478】
実施形態34。
当該ラクトバチルス属の構成員が、L.ロイテリ、L.プランタルム、L.アシドフィルス、L.パラカゼイ、L.デルブルエッキイ亜種ブルガリクス、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態33に記載の医薬組成物。
【0479】
実施形態35。
当該ラクトバチルス属の構成員が、L.ロイテリである、実施形態34に記載の医薬組成物。
【0480】
実施形態36。
当該細菌単離株が、ビフィドバクテリウム属の構成員を含む、実施形態21~35のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【0481】
実施形態37。
当該ビフィドバクテリウム属の構成員が、B.ブレーベ、B.ロンガム、B.ロンガム亜種インファンティス、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態35に記載の医薬組成物。
【0482】
実施形態38。
当該細菌単離株が、ストレプトコッカス属の構成員を含む、実施形態21~36のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【0483】
実施形態39。
当該ストレプトコッカス属の構成員が、S.サリバリウス亜種サーモ(S.salivarius thermo)である、実施形態37に記載の医薬組成物。
【0484】
実施形態40。
当該医薬組成物が、複数の細菌単離株を含む、実施形態21~39のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【0485】
実施形態41。
当該非培養糞便細菌調製物は、非選択糞便細菌を含む、実施形態1~40のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【0486】
実施形態42。
当該細菌混合物が、凍結乾燥細菌を含む、実施形態1~41のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【0487】
実施形態43。
当該細菌混合物が、凍結保護剤を含む、実施形態1~42のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【0488】
実施形態44。
当該細菌混合物が、カプセル内に封入される、実施形態1~43のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【0489】
実施形態45。
当該カプセルが、遅延放出カプセルである、実施形態44に記載の医薬組成物。
【0490】
実施形態46。
当該遅延放出カプセルが、組成物を投与された対象の回腸内で当該細菌単離株を放出するよう製剤化される、実施形態45に記載の医薬組成物。
【0491】
実施形態47。
その必要のある対象において、自閉症スペクトラム障害(ASD)の少なくとも一つの症状を治療する方法であって、実施形態1~47のいずれか一つに記載の医薬組成物を当該対象に投与することを含む、方法。
【0492】
実施形態48。
その必要のある対象において自閉症スペクトラム障害(ASD)の少なくとも一つの症状を治療する方法であって、当該対象に、(i)ヒトドナーの糞便に由来する細菌集団を含む医薬組成物であって、当該細菌集団は、培養されていない、医薬組成物、および(ii)ラクトバチルス・ロイテリを含む細菌単離株、を投与することを含む、方法。
【0493】
実施形態49。
当該医薬組成物は、細菌単離株を含む、実施形態48に記載の方法。
【0494】
実施形態50。
当該細菌集団が、L.ロイテリを欠く、実施形態48または実施形態49に記載の方法。
【0495】
実施形態51。
ヒトの腸にラクトバチルス・ロイテリを生着させる方法であって、前記ヒトに、(i)非培養糞便細菌調製物、および(ii)L・ロイテリを含む細菌単離株、を含む医薬組成物を投与することを含み、当該組成物を投与された後の当該ヒトの腸内微生物叢中のL.ロイテリの相対的存在量は、当該組成物を投与される前の腸内微生物叢中のL.ロイテリの相対的存在量よりも多い、方法。
【0496】
実施形態52。
当該腸内微生物叢は、回腸の微生物叢を含む、実施形態51に記載の方法。
【0497】
実施形態53。
当該腸内微生物叢は、糞便微生物叢を含む、実施形態51に記載の方法。
【0498】
実施形態54。
当該組成物を投与された後の当該ヒトの腸内微生物叢中のL.ロイテリの相対的存在量は、当該細菌単離株を単独で投与された後の腸内微生物叢中のL.ロイテリの相対的存在量よりも多い、実施形態51~53のいずれか一つに記載の方法。
【0499】
実施形態55。
当該組成物を投与することが、当該ヒトにおいて、自閉症スペクトラム障害(ASD)の少なくとも一つの症状を治療する、実施形態51~54のいずれか一つに記載の方法。
【0500】
実施形態56。
健康なヒトドナーの糞便から、細菌集団を抽出すること、および当該細菌集団と、ラクトバチルス・ロイテリを含む細菌単離株とを混合すること、を含み、当該細菌集団は、培養されない、方法。
【0501】
実施形態57。
当該細菌集団と、追加の細菌単離株とを混合することをさらに含む、実施形態56に記載の方法。
【0502】
実施形態58。
ドナーの糞便微生物叢中のラクトバチルスの少なくとも一つの構成員の存在量に基づいて、ヒト糞便ドナーを選択すること、当該ドナーの糞便から、細菌集団を抽出することであって、当該細菌集団は、ラクトバチルスの前記少なくとも一つの構成員を含む、抽出すること、および当該細菌集団を、医薬組成物に組み込むことであって、当該細菌集団は、培養されないこと、を含む方法。
【0503】
実施形態59。
当該方法はさらに、当該細菌集団と、ラクトバチルスの少なくとも一つの構成員を含む細菌単離株とを混合することをさらに含む、実施形態58に記載の方法。
【0504】
実施形態60。
当該ラクトバチルスの少なくとも一つの構成員が、L.ロイテリ、L.プランタルム、L.アシドフィルス、L.パラカゼイ、L.デルブルエッキイ亜種ブルガリクス、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態58または59に記載の方法。
【0505】
実施形態61。
当該ラクトバチルス属の少なくとも一つの構成員が、L.ロイテリである、実施形態60に記載の方法。
【0506】
実施形態62。
医薬組成物を製造する方法であって、健康なヒトドナーの糞便から、細菌集団を抽出すること、および当該抽出された細菌集団を当該医薬組成物に組み込むこと、を含み、当該細菌集団は、当該健康なヒトドナーによって摂取されたプロバイオティクスに由来する細菌株を含む、方法。
【0507】
実施形態63。
健康なヒトドナーの細菌集団を含む医薬組成物を製造する方法であって、当該ドナーが、細菌株を含むプロバイオティクスを摂取した後に、当該ドナーから糞便を受け取ること、当該糞便から、細菌集団を抽出することであって、当該細菌集団は、当該細菌株を含む、抽出すること、当該細菌集団を、当該医薬組成物に組み込むことであって、当該細菌集団は培養されない、組み込むこと、を含み、および当該ドナーがプロバイオティクスを摂取する前に、当該ドナーの糞便は、当該細菌株を含まない、方法。
【0508】
実施形態64。
当該ドナーによるプロバイオティクスの摂取前、当該ドナーの糞便は、当該細菌株を含まない、実施形態63に記載の方法。
【0509】
実施形態65。
(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便細菌の調製物、および(ii)ラクトバチルス種の非病原性細菌単離株、を含む細菌混合物を含み、当該細菌混合物中のラクトバチルス種の生細胞の相対的存在量は、当該糞便の糞便細菌中のラクトバチルス種の生細胞の相対的存在量よりも多い、医薬組成物。
【0510】
実施形態66。
当該ラクトバチルス種が、ラクトバチルス・ロイテリである、実施形態65に記載の医薬組成物。
【0511】
実施形態67。
(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便細菌の調製物、ならびに(ii)細菌単離株、真菌単離株、および古細菌単離株からなる群から選択される非病原性微生物型のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべて、を含む混合物を含み、当該混合物中の非病原性微生物型のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべての生細胞の相対的存在量は、少なくとも10%である、医薬組成物。
【0512】
実施形態68。
(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便細菌の調製物、ならびに(ii)細菌単離株、真菌単離株、および古細菌単離株からなる群から選択される非病原性微生物型のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべて、を含む混合物を含み、当該混合物中の非病原性微生物型のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべての生細胞の相対的存在量は、非培養糞便細菌の調製物中の任意の細菌株の生細胞の相対的存在量よりも多い、医薬組成物。
【0513】
実施形態69。
(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便細菌の調製物、ならびに(ii)細菌単離株、真菌単離株、および古細菌単離株からなる群から選択される非病原性微生物型のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべて、を含む混合物を含み、当該細菌単離株は、第一の種の構成員であり、当該細菌単離株は、混合物中の第一の種の唯一の構成員であり、当該真菌単離株は、第二の種の構成員であり、当該真菌単離株は、混合物中の第二の種の唯一の構成員であり、当該古細菌単離株は、第三の種の構成員であり、当該古細菌単離株は、混合物中の第三の種の唯一の構成員である、医薬組成物。
【0514】
実施形態70。
(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便微生物の調製物、ならびに(ii)細菌単離株、真菌単離株、および古細菌単離株からなる群から選択される非病原性微生物型のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべて、を含む混合物を含み、非培養糞便微生物の調製物は、当該細菌単離株の16S rRNA配列に対して99%を超えて同一な16S rRNA配列を有する細菌株を含まず、非培養糞便微生物の調製物は、当該真菌単離株の16S rRNA配列に対して99%を超えて同一な16S rRNA配列を有する真菌株を含まず、非培養糞便微生物の調製物は、当該古細菌単離株の16S rRNA配列に対して99%を超えて同一な16S rRNA配列を有する古細菌株を含まない、医薬組成物。
【0515】
実施形態71。
(i)ヒトドナーの糞便に由来する、非培養の糞便細菌の調製物、ならびに(ii)細菌単離株、真菌単離株、および古細菌単離株からなる群から選択される非病原性微生物型のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべて、を含む混合物を含む医薬組成物であって、非病原性微生物型のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべてが、当該組成物を投与された対象の回腸に生着する、医薬組成物。
【0516】
実施形態72。
その必要のある対象において自閉症スペクトラム障害(ASD)の少なくとも一つの症状を治療するための方法であって、当該対象に、(i)ヒトドナーの糞便に由来する細菌集団を含む医薬組成物であって、当該細菌集団は、培養されていないもの、ならびに(ii)細菌単離株、真菌単離株、および古細菌単離株からなる群から選択される非病原性微生物型のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべて、を投与することを含む、方法。
【0517】
実施形態73。
健康なヒトドナーの糞便から、細菌集団を抽出すること、ならびに当該細菌集団と、(i)非病原性細菌単離株、および(ii)細菌単離株、真菌単離株、および古細菌単離株からなる群から選択される非病原性微生物型のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべて、とを混合すること、を含み、当該細菌集団は、培養されない、方法。
【0518】
実施形態74。
ドナーの糞便微生物叢中の少なくとも一つの構成員の存在量に基づいて、ヒト糞便ドナーを選択すること、当該ドナーの糞便から、微生物集団を抽出することであって、当該微生物集団は、当該少なくとも一つの構成員を含む、抽出すること、および当該微生物集団を医薬組成物へと組み込むこと、を含み、当該微生物集団は、培養されず、当該少なくとも一つの構成員は、細菌単離株、真菌単離株および古細菌単離株からなる群から選択される非病原性微生物型のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべてを含む、方法。
【0519】
実施形態75。
医薬組成物を製造する方法であって、健康なヒトドナーの糞便から、微生物集団を抽出すること、および当該抽出された微生物集団を当該医薬組成物へと組み込むこと、を含み、当該微生物集団は、当該健康なヒトドナーにより摂取されたプロバイオティクスに由来する少なくとも一つの構成員を含み、当該少なくとも一つの構成員は、細菌単離株、真菌単離株および古細菌単離株からなる群から選択される非病原性微生物型のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべてを含む、方法。
【0520】
実施形態76。
健康なヒトドナーの微生物集団を含む医薬組成物を製造する方法であって、当該ドナーが、細菌単離株、真菌単離株または古細菌単離株からなる群から選択される非病原性微生物型のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべてを含むプロバイオティクスを摂取した後に、当該ドナーから糞便を受け取ること、当該糞便から、微生物集団を抽出することであって、当該微生物集団は、当該非病原性微生物型のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つ全てを含む、抽出すること、当該微生物集団を、医薬組成物に組み込むこと、を含み、当該微生物集団は、培養されず、当該ドナーがプロバイオティクスを摂取する前に、当該ドナーの糞便は、当該非病原性微生物型のうちの少なくとも一つ、少なくとも二つ、または三つすべての微生物を含まない、方法。
【0521】
本開示は、本開示の例示として提供される以下の非限定的な実施例を参照することにより、より深く理解され得る。以下の実施例は、本開示の好ましい態様をより完全に解説するために提示されているが、本開示の広範な範囲を限定するものとは決して解釈されないものとする。したがって、添付の特許請求の範囲は、本明細書に含まれる態様の記載に限定されないものとする。
【実施例
【0522】
実施例1:ヒトドナー糞便中のラクトバチルス・ロイテリの相対的存在量の変動
ラクトバチルス属およびラクトバチルス・ロイテリ種に属する操作的分類単位(OTU)は、GreenGenes(v 13_8)およびSILVA(SSU r132)のデータベースに含まれる分類アノテーションを使用して、それらデータベースから特定された。GreenGenesおよびSILVAのOTU表は、90個の糞便ドナーを起源とする1195個のサンプル、および15個のラン対照からのNGSリード(Broad Instituteにより行われたシーケンス)を、それぞれ97%および99%の同一性で、GeenGenesデータベースおよびSILVAデータベースに対してマッピングすることにより構築された。
【0523】
図1は、各ドナーからのすべてのサンプルにおける、すべてのラクトバチルスOTU、およびラクトバチルス・ロイテリのみのOTUの相対的存在量を合計した中央値を示す。グラフは、健康な糞便ドナーの糞便微生物叢中のラクトバチルス・ロイテリの相対的存在量に変動があることを示す。
【0524】
実施例2:糞便中のL.ロイテリの存在量を基にして選択されたドナーの糞便からの医薬組成物の製造。
図1の結果に基づき、ドナーの糞便中のL.ロイテリの存在量に基づき、ドナーが選択される。糞便サンプルをドナーから収集し、15%トレハロースおよび0.05%システインのPBS生理食塩水溶液で希釈し、ホモジナイズして、ろ過する。ろ過物を凍結乾燥し、凍結乾燥細菌混合物をカプセル封入して、医薬組成物を形成する。
【0525】
実施例3:細菌混合物の作製
糞便サンプルを、スクリーニングされた健康なヒトドナーから収集し、15%トレハロースおよび0.05%システインのPBS生理食塩水溶液で希釈し、ホモジナイズして、ろ過する。ろ過物を凍結乾燥させて、凍結乾燥した非培養糞便細菌調製物を作製する。凍結乾燥したラクトバチルス・ロイテリ(ATCC PTA 6475の細菌単離株)を取得し、凍結乾燥した非培養糞便細菌調製物と混合して、L.ロイテリ細菌単離株と非培養糞便細菌調製物を含む細菌混合物を作製する。
【0526】
実施例4:吸収させた対象細菌株を含むドナー由来細菌組成物の作製
プレスクリーニングされた健康なドナーに、一つ以上の望ましい細菌株(例えば、ラクトバチルス)を含有するプロバイオティクス組成物を摂取させる。糞便サンプルをドナーから収集し、処理して、望ましいプロバイオティクスの細菌株を含む細菌集団を抽出する。そのような望ましい細菌株は、摂取前にはドナーの糞便微生物叢中には存在しないか、または低レベルでしか存在しない。次いで抽出された細菌集団を医薬組成物内で製剤化する。
【0527】
実施例5:対象の細菌株と組み合わされたドナー由来細菌組成物による免疫刺激効果
L.ロイテリ(ATCC PTA 6475)、L.ロイテリ(DSM 17938)、およびL.プランタルムを含むラクトバチルス単離株は、vBHI3液体培地中で培養される。細胞を洗浄し、1×10 CFU/mLで再懸濁する(任意で、その後の共培養工程まで-80℃で保存する)。ヒトPBMCを24ウェルプレートに播種し、5% CO中で一晩インキュベートする。PBMCに対し、各細菌刺激を与え、24時間共培養する。すべての単一刺激および共刺激に関して、ラクトバチルス株は、PBMCの数に対して2Xの感染多重度(MOI)で加えられる。非選択ドナー由来の糞便微生物叢(FSM)成分は、2Xまたは10XのいずれかのMOIで加えられ、大腸菌は、0.4XのMOIで加えられる。次いで共培養上清を収集し、サイトカインレベル(IL-10、IL-12p70、IFN-ガンマ、GM-CSF、TNF-アルファ、およびIL-23)をLuminexによって定量する。ラクトバチルス株のL.ロイテリ(DSM 17938)(図2~5)、L.プランタルム(図5)およびL.ロイテリ(ATCC PTA 6475)(図2~6)とFSMを組み合わせることによって、炎症性刺激(大腸菌)に反応した炎症促進性サイトカイン(図2~4)の下方制御、抗炎症性サイトカイン(図5)の上方制御、およびIL-10/IL-12の比率の上昇が生じた。これらの結果は、非培養糞便細菌調製物と、ラクトバチルス細菌単離株の両方を含む細菌混合物を培養ヒト細胞に投与することによって、抗炎症性の免疫プロファイルを促進し得ることを示している。
【0528】
実施例6:ASDの治療
ASD患者は群に分けられ、前治療(例えば、抗生物質(バンコマイシン)または腸管前処置)、治療の長さ(単回投与または複数回投与)、用量(個々の用量または全体用量のいずれか)、または投与頻度(毎日または毎週)(図7および8)が異なる、様々な治療レジメンを受ける。様々なドナーに由来する糞便材料を使用して、所与の用量で使用される細菌組成物を作製する。様々な用量レベルで使用される細菌組成物は、同じドナーに由来する糞便材料であってもよい。患者の症状が観察され、臨床評価が治療前、治療中、および治療後に実施される。治療前、治療中、および治療後、患者の糞便サンプルのDNAメタゲノミクスも実施されて、細菌生着が判定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】