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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-11
(54)【発明の名称】人工まつげの列および製造方法
(51)【国際特許分類】
   A41G 5/02 20060101AFI20221104BHJP
【FI】
A41G5/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022527795
(86)(22)【出願日】2020-11-09
(85)【翻訳文提出日】2022-05-12
(86)【国際出願番号】 EP2020081526
(87)【国際公開番号】W WO2021094263
(87)【国際公開日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】1912623
(32)【優先日】2019-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】エリク・コリエ
(72)【発明者】
【氏名】アルーン・サックス
(57)【要約】
まぶたの縁に固定する人工まつげの列(10)であって、(i)前記まぶたの前記縁に固定するようになっているベース部(12)と、(ii)付けまつげ(14)とを有する人工まつげの列において、ベース部(12)は、チェーンステッチによって編み込まれた第1の縦糸(16)を有し、付けまつげ(14)は、チェーンステッチに結ばれることなくチェーンステッチを通過する、人工まつげの列。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
まぶたの縁に固定する人工まつげの列(10)であって、(i)前記まぶたの前記縁に固定するよう意図されたベース部(12)と、(ii)付けまつげ(14)と、を有する人工まつげの列において、
前記ベース部(12)は、チェーンステッチによって編み込まれた第1の縦糸(16)を有し、前記付けまつげ(14)は、前記チェーンステッチに結ばれることなく前記チェーンステッチを通過し、
前記ベース部(12)は、チェーンステッチによって編み込まれた第2の縦糸(18)を有し、前記付けまつげ(14)は、前記チェーンステッチに結ばれることなく前記チェーンステッチを通過し、
前記第1の縦糸(16)と前記第2の縦糸(18)とは、編み込まれている、人工まつげの列。
【請求項2】
前記列のすべての前記付けまつげ(14)が単一の横糸(T)から形成される、請求項1に記載の人工まつげの列。
【請求項3】
前記第1の縦糸(16)は、閉鎖チェーンステッチを形成する、請求項1および2のいずれか一項に記載の人工まつげの列。
【請求項4】
前記第1の縦糸(16)は、開放チェーンステッチを形成する、請求項1および2のいずれか一項に記載の人工まつげの列。
【請求項5】
前記第2の縦糸(18)は、閉鎖チェーンステッチを形成する、請求項1から4のいずれか一項に記載の人工まつげの列。
【請求項6】
前記第2の縦糸(18)は、開放チェーンステッチを形成する、請求項1から5のいずれか一項に記載の人工まつげの列。
【請求項7】
前記ベース部(12)は、前記チェーンステッチによって編み込まれた第1の縦糸(16)に編み付けられ、特に前記チェーンステッチによって編み込まれた第1の縦糸(16)および前記チェーンステッチによって編み込まれた第2の縦糸(18)に編み付けられた追加の糸を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の人工まつげの列。
【請求項8】
前記付けまつげ(14)は、前記ベース部(12)を覆うように規則的に分散され、特に規則的な間隔で配設される、請求項1から7のいずれか一項に記載の人工まつげの列。
【請求項9】
前記第1の縦糸(16)および前記第2の縦糸(18)は、たとえば、これに限定されないが、ポリオレフィン、PE、PP、PU、PA、PET、PBT、PES、PTFEから選択される第1の合成材料から作られるか、またはポリオレフィン、PE、PP、PU、PA、PBT、PES、PTFEのコアで構成されかつ加熱活性化可能な接着剤または加熱活性化可能な樹脂、TPUシリコーン、CoPA、CoPES、TPU、TPE、EVA(エチレン酢酸ビニル)、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、PA、PES、PVCで被覆された糸である、請求項1から8のいずれか一項に記載の人工まつげの列。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の、まぶたの前記縁に固定する人工まつげの列を形成するための組立体(20)であって、この組立体は、少なくとも一方のベース部(12)が、まぶたの前記縁に固定されるようになっており、互いに平行にかつ正中面に対して対称的に配設された少なくとも2つのベース部(12)と、前記2つのベース部(12)間を交互に通過する単一の横糸(T)から形成される付けまつげ(14)とを有する、組立体。
【請求項11】
各ベース部(12)は、チェーンステッチによって編み込まれた第1の縦糸(16)を有し、前記横糸(T)は、前記チェーンステッチに結ばれずに前記チェーンステッチを通過する、請求項10に記載の組立体。
【請求項12】
各ベース部(12)は、チェーンステッチによって編み込まれた第2の縦糸(18)を有し、前記横糸(T)は、前記チェーンステッチに結ばれずに前記チェーンステッチを通過する、請求項11に記載の組立体。
【請求項13】
請求項11から12のいずれか一項に記載の、まぶたの前記縁に固定する人工まつげの列を形成するための組立体(20)を編み込むための機械(30)であって、複合針(32)を有する、機械。
【請求項14】
人工まつげの列を製造するための方法であって、(a)請求項1から9のいずれか一項に記載の、まぶたの前記縁に固定する人工まつげの列を形成するための組立体(20)を編み込むためのステップであって、この組立体が、少なくとも2つのベース部(12)であって、少なくとも一方のベース部(12)が、まぶたの前記縁に固定されるよう意図されており、互いに平行にかつ正中面(P)に対して対称的に配設された少なくとも2つのベース部(12)と、前記2つのベース部間を交互に通過する単一の横糸(T)から形成される付けまつげ(14)と、を有する、ステップを少なくとも有する、方法。
【請求項15】
(b)前記付けまつげの材料を発熱させるエネルギー刺激の存在下で機械的負荷を加えることにより、特に超音波もしくは高周波数を加えるか、または加熱することによって、前記人工まつげの列(10)および/または前記ベース部(12)および/または前記付けまつげ(14)を湾曲させる追加のステップを有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
(c)特に機械的に切断するか、超音波もしくは高周波数を加えるか、もしくは加熱することにより、特に正中面(P)において横糸を切断することによって前記2つのベース部(12)を分離し、このようにして人工まつげの少なくとも1つの列、特に人工まつげの2つの列(10)を形成する追加のステップを有する、請求項14および15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
(d)特に機械的に切断するか、超音波もしくは高周波数を加えるか、または加熱することによって、人工まつげの前記列(10)を所望の長さに切断する追加のステップを有する、請求項14から16のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼の化粧品に関し、詳細には、まぶたの縁に固定する人工まつげに関し、かつ詳細には、人工まつげの列およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
付けまつげを形成するようになっている繊維をまぶたに付着させるようになっているベース部に手作業で接着することによって人工まつげの列を製造することは公知の慣習である。しかし、そのような手作業の製造方法は複雑でコストがかかる。さらに、製造時間がかなり長くなることがあり、したがって、生産性が制限される場合がある。
【0003】
さらに、付けまつげを形成するようになっている繊維の細さを考慮すると、付けまつげは、ベース部に接着されることによってベース部上に保持され、接着が非常に狭い非平面状の表面上に施されるので、付けまつげはベース部から外れる恐れがある。
【0004】
特許文献1も公知であり、この特許は、付けまつげを形成するようになっている2本の糸であって、その両方がチェーンステッチによって固定された2本の糸を、同様にチェーンステッチによって締め付けられ、各々が挿入糸によって覆われた2本のベース糸にジグザグ状に挿入することによって製造される人工まつげに関する。
【0005】
この構成では、付けまつげが、ジグザグ状に挿入され、チェーンステッチによって編み込まれた2本の糸から形成されることによって、製造方法が複雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国特許第10-1045497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
手作業で得ることが不可能であり、曲率が可変であり、手作業で得ることができるよりも多様であるまつげの構成を簡単に得る必要がある。
【0008】
製造時間を短縮し、製造の規則性を高めることが可能である製造方法から利益を得る必要もある。さらに、リードタイムを短縮し取得原価を低減させると有用である場合もある。
【0009】
最後に、自動化による繰り返しによって得られる付けまつげの列の品質を高める必要があるが、単純な手段によって、製造機器の部品数を最低限に抑える必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
編み込まれた付けまつげ
本発明は、これらの要件のうちのすべてまたはいくつかに対応することを目的とし、本発明の一態様による、まぶたの縁に固定する人工まつげの列であって、(i)まぶたの縁に固定するようになっているベース部と、(ii)付けまつげとを有し、
ベース部が、チェーンステッチによって編み込まれた第1の縦糸を有し、付けまつげが、チェーンステッチに結ばれることなくチェーンステッチを通過する人工まつげの列によって上記の目的を実現する。
【0011】
「人工まつげの列」は、完全に天然のまつげとは限らず、言い換えれば付けまつげである合成まつげから形成されたまつげの列と理解される。
【0012】
付けまつげはチェーンステッチを形成しない。付けまつげは、第1の縦糸とのステッチを形成しない。
【0013】
簡単に、迅速に、かつ安価に製造できる付けまつげの列が得られる。さらに、付けまつげは様々な様式でベース部上に配設することができる。
【0014】
さらに、本発明による列は、特に取扱い時および装着時に使用に対する良好な耐性を有する。
【0015】
この列は、頑丈であり耐性を有し、付けまつげがベース部から外れる恐れなしに容易に取り扱うことができる。
【0016】
一実施形態では、列のすべての付けまつげが単一の横糸から形成される。したがって、1本の横糸のみを使用してすべての付けまつげが形成される。変形実施形態では、列は、複数の横糸、たとえば、2本以上の横糸を有することができる。したがって、より自然な見た目を有し、いくつかの付けまつげが他の付けまつげと交差する付けまつげの列を得ることが可能である。
【0017】
ベース部は、チェーンステッチによって編み込まれた第1の縦糸を有し、横糸が、チェーンステッチに結ばれることなくチェーンステッチを通過してもよい。横糸はチェーンステッチを形成しない。横糸は、第1の縦糸とのステッチを形成しない。横糸は、2つのベース部間を交互に通過し、ベース部は、特に互いに平行にかつ対称的に延びる。変形実施形態では、2つのベース部が互いに平行ではなく、互いに角度を形成することが可能である。この角度はたとえば、0.5°から70°の間の非0値を有してもよい。
【0018】
本発明のこの態様によれば、すべての付けまつげを形成する2本の別々の横糸はない。
【0019】
第1の縦糸は閉鎖チェーンステッチを形成してもよい。変形実施形態では、または追加的に、第1の縦糸は開放チェーンステッチを形成する。
【0020】
ベース部は、チェーンステッチによって編み込まれた第2の縦糸を有し、付けまつげが、チェーンステッチに結ばれることなくチェーンステッチを通過してもよい。
【0021】
第1の縦糸と第2の縦糸は、編み付けられてもよい。付けまつげは、チェーンステッチを通過するが、第1および/または第2の縦糸に結ばれない。上述の横糸は、チェーンステッチを通過するが、第1および/または第2の縦糸に結ばれない。横糸は、第1の縦糸とのステッチを形成しない。
【0022】
第2の縦糸は閉鎖チェーンステッチを形成してもよい。一実施形態では、第1および第2の縦糸の各々が、閉鎖チェーンステッチを形成する。変形実施形態では、第1の縦糸が開放チェーンステッチを形成し、第2の縦糸が閉鎖チェーンステッチを形成する。
【0023】
変形実施形態では、または追加的に、第2の縦糸は開放チェーンステッチを形成してもよい。一実施形態では、第1および第2の縦糸の各々が、開放チェーンステッチを形成する。変形実施形態では、第1の縦糸が閉鎖チェーンステッチを形成し、第2の縦糸が開放チェーンステッチを形成する。
【0024】
「チェーンステッチ」は、次々にチェーンのリンクのように配設された輪を形成するステッチ、すなわち、糸が前の輪の上を通過する輪を形成し、それによって、ステッチの隊列を形成することと理解される。
【0025】
「開放チェーンステッチ」は、輪の2つの端部が、前の輪の上部を、ほぼ輪の幅である特定の非ゼロ間隔で覆うことを意味すると理解される。
【0026】
「閉鎖チェーンステッチ」は、輪の2つの端部が、前の輪の上部をほぼゼロ間隔で覆い、2つの端部が実質的に隣接し、または場合によっては接触することを意味すると理解される。
【0027】
開放ステッチおよび閉鎖ステッチを作製すると、各ステッチが逆方向に作られる。両方のステッチを2本の糸を有する針の周りに同時に作ると、ほぐし抑制可能効果が得られる。
【0028】
付けまつげは、ベース部を覆うように規則的に分散され、特に、たとえば常に同一である規則的な間隔で配設されてもよい。
【0029】
変形実施形態では、間隔は不規則であってもよい。間隔は、ベース部に沿って小さくなり、次いで大きくなってもよい。まつげの列における2つの連続的な付けまつげ間の間隔はたとえば、0.07mmから2mmの間、さらに好適には0.5mmから1.5mmの間、または0.9mmから1.25mmの間、さらに好適には0.99mmから1.11mmの間、たとえば約1mmである。
【0030】
一実施形態では、付けまつげは、付けまつげの群として配設され得、同一の群の付けまつげ同士の間の第1の小さい間隔と、2つの連続的な群同士の間の第2のより大きい間隔とを有する。付けまつげの群は、2個から12個の間、さらに好適には3個から10個の間、たとえば、6つまたは8つの付けまつげを有してもよい。付けまつげの列の付けまつげの各群は、同じ数の付けまつげを有してもよく、または変形実施形態では、この数は、まつげの列に沿って群ごとに異なる。一実施形態では、付けまつげの列は、2つの付けまつげからなる連続する群を有するか、または変形実施形態では、たとえば2つの付けまつげの群と8つの付けまつげの群が交互に設けられる。
【0031】
第1の縦糸および第2の縦糸は、たとえば、限定はしないが、ポリオレフィン、PE、PP、PU、PA、PET、PBT、PES、PTFEから選択される第1の合成材料から作られてもよく、またはポリオレフィン、PE、PP、PU、PA、PBT、PES、PTFEのコアで構成され、加熱活性化可能な接着剤または加熱活性化可能な樹脂、TPUシリコーン、CoPA、CoPES、TPU、TPE、EVA(エチレン酢酸ビニル)、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、PA、PES、PVCで被覆された糸であってもよい。
【0032】
第1の合成材料について選択される色は、ユーザの皮膚の色と同様であるかまたはユーザの皮膚の色に類似してもよく、または変形実施形態では、合成材料は透明であってもよい。第1の縦糸と第2の縦糸は、1つまたは複数の色を有してもよい。第1の縦糸と第2の縦糸は、後述のように撚りを有してもよい。
【0033】
付けまつげ、特に横糸は、限定はしないが、たとえば、PE、PP、PU、PA、PET、PBT、PES、PTFE、または任意の他の熱可塑性繊維もしくは場合によっては天然繊維から選択される第2の合成材料から作られてもよい。横糸は、ポリオレフィン、PE、PP、PU、PA、PBT、PES、PTFEのコアで構成され、加熱活性化可能な接着剤または加熱活性化可能な樹脂、TPUシリコーン、CoPA、CoPES、TPU、TPE、EVA(エチレン酢酸ビニル)、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、PA、PES、PVCで被覆された糸であってもよい。
【0034】
第2の合成材料について選択される色は、ユーザのまつげの色と同様であるかもしくはユーザのまつげの色に類似するか、または対照的に、ユーザのまつげの色とは著しい対照をなす色、たとえば、赤色、黒色、緑色、青色であってもよいが、このリストは限定されない。
【0035】
直径および色が異なる横糸を有することが可能であってもよい。付けまつげ、特に横糸は、1つまたは複数の色を有してもよい。横糸は、たとえば1つから5つの異なる直径を有してもよい。
【0036】
第1および第2の縦糸および/または付けまつげ、特に横糸は、十分な衛生条件を満たすためにOekotexまたはREACH標準通りに水洗液で洗浄されてもよい。
【0037】
ベース部は、チェーンステッチによって編み込まれた第1の縦糸に編み付けられ、特にチェーンステッチによって編み込まれた第1の縦糸およびチェーンステッチによって編み込まれた第2の縦糸に編み付けられた追加の糸を有してもよい。
【0038】
この追加の糸は、もつれおよび固着を妨げるのを可能にしてもよい。追加の糸は、第1および/または第2の縦糸ならびに横糸がほぐされる恐れをさらに制限するのを可能にしてもよい。追加の糸は、それが属するベース部の補強効果をもたらすことを可能にしてもよく、このことは、人工まつげの列を好適に保持するうえで有利である。
【0039】
追加の糸は、チェーンステッチによって編み込まれた第1および第2の縦糸を備えるベース部内に追加されてもよい。変形実施形態では、追加の糸は、チェーンステッチによって編み込まれた単一の第1の縦糸を備えるベース部内に追加されてもよい。
【0040】
この追加の糸は、ベース部内をジグザグに延びてもよい。
【0041】
人工まつげの列を形成するための組立体
本発明のさらなる主題は、上記とは無関係であるかまたは上記と組み合わされる、特に上記で定義したように、まぶたの縁に固定する人工まつげの列を形成するための組立体であって、少なくとも一方のベース部が、まぶたの縁に固定されるようになっており、互いに平行にかつ正中面に対して対称的に配設された少なくとも2つのベース部と、横糸、特に単一の横糸から形成され、2つのベース部間を交互に通過する付けまつげとを有する、組立体である。
【0042】
一実施形態では、列のすべての付けまつげが単一の横糸から形成される。したがって、1本の横糸のみを使用してすべての付けまつげが形成される。変形実施形態では、列は、複数の横糸、たとえば、2本以上の横糸を有することができる。したがって、より自然な見た目を有し、いくつかの付けまつげが他の付けまつげと交差するまつげの列を得ることが可能である。
【0043】
横糸は、ベース部に実質的に直角に、わずかに傾斜して配設される。横糸は、ベース部同士を分離し、したがって、人工まつげの少なくとも1つの列、特に人工まつげの2つの列を形成するように2つのベース部の間で切断されるようになっている。この分離は、特に正中面内、または変形実施形態では、ベース部の一方に平行であり、前記ベース部に近く、たとえば、前記ベース部と同一平面である平面内で行われてもよい。
【0044】
各ベース部は、チェーンステッチによって編み込まれた第1の縦糸を有し、横糸が、チェーンステッチに結ばれることなくチェーンステッチを通過してもよい。横糸はチェーンステッチを形成しない。横糸は、第1の縦糸とのステッチを形成しない。
【0045】
各ベース部は、チェーンステッチによって編み込まれた第2の縦糸を有し、横糸が、チェーンステッチに結ばれることなくチェーンステッチを通過してもよい。
【0046】
各ベース部は、上述のように、チェーンステッチによって編み込まれた第1の縦糸に編み付けられ、特にチェーンステッチによって編み込まれた第1の縦糸およびチェーンステッチによって編み込まれた第2の縦糸に編み付けられた追加の糸を有してもよい。
【0047】
一実施形態では、組立体は、互いに平行にかつ正中面に対して対称的に配設された2つのベース部を有する。
【0048】
変形実施形態では、組立体は、互いに平行にかつ正中面に対して対称的に配設された3つのベース部を有してもよい。正中面は、たとえば中央ベース部を通過し、2つの他のベース部が、中央ベース部の各側に、互いに平行にかつ正中面にして対称的に配設されてもよい。この場合、2本の横糸があり、単一の横糸が2つのベース部間を交互に通過する。
【0049】
別の変形実施形態では、組立体はより多くのベース部、たとえば4つまたは5つのベース部を有することができる。
【0050】
編み機
本発明のさらなる主題は、上記とは無関係であるかまたは上記と組み合わされる、特に上記で定義したような、まぶたの縁に固定する人工まつげの列を形成するための組立体を編むための機械であって、複合針を有する編み機である。
【0051】
「複合針」は、2つの部分、すなわち、本体および滑り要素として形成された針である。本体は、突合部と、ステムと、フックとから構成されてもよい。滑り要素は、突合部とステムとから構成されてもよい。滑り要素は、本体のステム内部を滑り、針のフックを開閉してもよい。したがって、針の本体および滑り要素は、互いに独立してかつ同期的に移動してもよい。
【0052】
複合針は、ラッチ針よりもぴったりしたステッチを作製するのを可能にする。このようにステッチをぴったりさせると、付けまつげがベース部に非常にうまく固定される。
【0053】
編み機は、特にラッチ針を有してもよい。ラッチ針は、突合部と、ステムと、ビアードと、ステム上に連結されたラッチとから構成されてもよい。ラッチは、ステムの軸に沿った揺動運動を示し、針のビアードを開閉させる。ラッチ針は、シンカーと協働する必要があり、シンカーはステッチを形成する働きをする。
【0054】
本発明では、編み機は、特にシンカーを有さなくてもよい。したがって、本発明による編み機は、ステッチを形成するためのシンカーを有さない。
【0055】
製造方法
本発明のさらなる主題は、上記とは無関係であるかまたは上記と組み合わされる、人工まつげの列を製造するための方法であって、(a)特に上記で定義したように、まぶたの縁に固定する人工まつげの列を形成するための組立体を編み込むステップであって、この組立体が、少なくとも一方のベース部が、まぶたの縁に固定されるようになっており、互いに平行にかつ正中面に対して対称的に配設された少なくとも2つのベース部と、横糸、特に単一の横糸から形成され、2つのベース部間を交互に通過する付けまつげとを有する組立体を編み込むステップを少なくとも有する方法である。
【0056】
一実施形態では、列のすべての付けまつげが単一の横糸から形成される。したがって、1本の横糸のみを使用してすべての付けまつげが形成される。変形実施形態では、列は、複数の横糸、たとえば、2本以上の横糸を有することができる。したがって、より自然な見た目を有し、いくつかの付けまつげが他の付けまつげと交差する付けまつげの列を得ることが可能である。
【0057】
編み込みステップは、各ベース部が、チェーンステッチによって編み込まれた第1の縦糸を有し、横糸が、チェーンステッチに結ばれることなくチェーンステッチを通過するように行われてもよい。横糸はチェーンステッチを形成しない。横糸は、第1の縦糸とのステッチを形成しない。
【0058】
編み込みステップは、各ベース部が、チェーンステッチによって編み込まれた第2の縦糸を有し、横糸が、チェーンステッチに結ばれることなくチェーンステッチを通過するように行われてもよい。
【0059】
一実施形態では、各ベース部は、ステッチを形成するチェーンステッチによって編み込まれた第1の縦糸であって、付けまつげが、チェーンステッチに結ばれることなくチェーンステッチを通過する、チェーンステッチによって編み込まれた第1の縦糸と、ステッチを形成するチェーンステッチによって編み込まれた第2の縦糸であって、付けまつげが、チェーンステッチに結ばれることなくチェーンステッチを通過する、チェーンステッチによって編み込まれた第2の縦糸とを有してもよい。
【0060】
第1の縦糸と第2の縦糸は、編み込まれてもよい。
【0061】
編み込みステップは、複合針によって実施されてもよい。編み込みステップは、特にラッチ針によって実施されなくてもよい。編み込みステップは、特にシンカーによって実施されなくてもよい。
【0062】
一実施形態では、組立体は、互いに平行にかつ正中面に対して対称的に配設された2つのベース部を有する。
【0063】
変形実施形態では、組立体は、互いに平行にかつ正中面に対して対称的に配設された3つのベース部を有してもよい。正中面は、たとえば中央ベース部を通過し、2つの他のベース部が、中央ベース部の各側に、互いに平行にかつ正中面に対して対称的に配設されてもよい。この場合、2本の横糸があり、単一の横糸が2つのベース部間を交互に通過する。
【0064】
別の変形実施形態では、組立体はより多くのベース部、たとえば4つまたは5つのベース部を有することができる。
【0065】
この方法は、(e)ベース部のステッチを固定するために熱溶融性の縦糸または多重撚り縦撚り糸を活性化するステップを少なくとも有してもよい。活性化ステップは、特にたとえば、ストービングまたは加熱ローラもしくは蒸気によって加熱することを含んでもよい。活性化ステップ(e)は、好ましくは、編み込みステップ(a)から後述のステップ(b)、(c)、および/または(d)のうちの1つまたは複数までの間に行われてもよい。この活性化ステップ(e)は、変形実施形態では、後述のステップ(b)、(c)、および/または(d)のうちの1つまたは複数の後に行われてもよい。
【0066】
次に、組立体が洗浄される。
【0067】
この方法は、(b)付けまつげの材料を発熱させるエネルギー刺激の存在下で機械的負荷を加えることにより、特に超音波もしくは高周波数を加えるか、または加熱することによって、人工まつげの列および/またはベース部および/または付けまつげを湾曲させる追加のステップを有してもよい。
【0068】
湾曲ステップ(b)は、好ましくは編み込みステップ(a)の後に行われてもよい。この湾曲ステップ(b)は、上述もしくは後述のステップ(c)、(d)、および/もしくは(e)のうちの1つもしくは複数と同時、または1つもしくは複数のステップよりも前、または変形実施形態では1つもしくは複数のステップよりも後に行われてもよい。特に、ステップ(b)とステップ(c)は、同時に行われてもよく、または変形実施形態では、連続的に、好ましくはステップ(b)がステップ(c)よりも前に行われてもよく、または変形実施形態では、ステップ(c)がステップ(b)よりも後に行われてもよい。ステップ(b)がステップ(d)よりも後に行われてもよく、または変形実施形態では、ステップ(d)がステップ(b)よりも後に行われてもよい。分離ステップ(c)および切断ステップ(d)および湾曲ステップ(b)は、同時にまたは連続して行われてもよい。
【0069】
加熱ステップは、蒸気を加えるステップを含んでもよい。
【0070】
この方法は、(c)特に機械的に切断するか、超音波もしくは高周波数を加えるか、もしくは加熱することにより、特に正中面において横糸を切断することによって2つのベース部を分離し、このようにして人工まつげの少なくとも1つの列、特に人工まつげの少なくとも2つの列を形成する追加のステップを有してもよい。正中面は、2つのベース部の間の対称面であってもよい。
【0071】
一実施形態では、互いに平行にかつ正中面に対して対称的に配設された2つのベース部が、正中面において分離される。
【0072】
変形実施形態では、3つのベース部は、ベース部のうちの1つに平行であり、前記ベース部に近く、たとえば、前記ベース部と同一平面である分離面内で分離される。このベース部は、たとえば、中央ベース部および横方向ベース部であってもよい。
【0073】
最後に、この方法は、十分な衛生条件を満たすために、分離ステップの前または後に、OekotexまたはREACH標準通りに水洗液でベース部を洗浄するステップを有してもよい。
【0074】
湾曲ステップ(b)と分離ステップ(c)は、連続してまたは同時に行われてもよい。
【0075】
この方法は、(d)特に機械的に切断するか、超音波もしくは高周波数を加えるか、または加熱することによって、人工まつげの列を所望の長さに切断する追加のステップを有してもよい。このステップ(d)では、まつげの列は正中面に垂直に切断される。右目用または左目用など、規則的または不規則な様々な形状があってもよい。
【0076】
湾曲ステップ(b)と、分離ステップ(c)と、切断ステップ(d)は、連続してまたは同時に行われてもよい。
【0077】
人工まつげの列の製造は簡単で、安価で、迅速であり、容易に自動化することができる。
【0078】
この方法は、付けまつげを後処理する追加のステップを有してもよく、これによって、付けまつげの自由端の解体を実現することが可能になる。この後処理ステップでは、人工まつげの列を1つまたは複数のシリンダの上を通過させ、付けまつげを摩擦することが可能になる。シリンダは、解体を推進するために加熱されてもよい。このようにして、手作業では得ることが不可能な付けまつげの交差を実現することが可能である。
【0079】
湾曲した付けまつげ
本発明のさらなる主題は、上記とは無関係であるかまたは上記と組み合わされる、人工まつげの列を製造するための方法であって、
(a)まぶたの縁に固定する人工まつげの列を形成するための組立体を編み込むステップであって、この組立体が、少なくとも一方のベース部が、まぶたの縁に固定されるようになっており、互いに平行にかつ正中面に対して対称的に配設された少なくとも2つのベース部と、付けまつげとを有し、各ベース部が、ステッチを形成する第1の縦糸、特にチェーンステッチによって編み込まれた縦糸を有する、編み込むステップと、
(b)付けまつげの材料を発熱させるエネルギー刺激の存在下で機械的負荷を加えることにより、特に超音波もしくは高周波数を加えるか、または加熱することによって、人工まつげの列および/またはベース部および/または付けまつげを湾曲させるステップの少なくとも2つのステップを有する方法である。加熱ステップは、蒸気を加えるステップを含んでもよい。
【0080】
付けまつげは、2つのベース部間を交互に通過する単一の横糸から形成されてもよい。一実施形態では、列のすべての付けまつげが単一の横糸から形成される。したがって、1本の横糸のみを使用してすべての付けまつげが形成される。変形実施形態では、列は、複数の横糸、たとえば、2本以上の横糸を有することができる。したがって、より自然な見た目を有し、いくつかの付けまつげが他の付けまつげと交差する付けまつげの列を得ることが可能である。
【0081】
付けまつげは、ベース部のステッチに結び付けられずにベース部のステッチに保持されてもよい。横糸は、第1の縦糸とのステッチを形成しない。
【0082】
第1および第2の縦糸は、加熱溶融性材料から作られてもよい。付けまつげ、特に横糸は、加熱溶融性材料から作られてもよい。
【0083】
変形実施形態ではまたは追加的に、第1および/または第2の縦糸は、熱収縮材料から作られてもよい。第1および/または第2の縦糸の熱収縮性は、付けまつげのファニング効果を有効化することがある。第1および/または第2の縦糸は、それぞれに異なる収縮を含む熱収縮性を有してもよい。
【0084】
この方法は、(e)ベース部のステッチを固定するために熱溶融性の縦糸または多重撚り縦撚り糸を活性化するステップを少なくとも有してもよい。活性化ステップは、特にたとえば、ストービングまたは加熱ローラもしくは蒸気によって加熱することを含んでもよい。活性化ステップ(e)は、好ましくは、編み込みステップ(a)から後述のステップ(b)、(c)、および/または(d)のうちの1つまたは複数までの間に行われてもよい。この活性化ステップ(e)は、変形実施形態では、後述のステップ(b)、(c)、および/または(d)のうちの1つまたは複数の後に行われてもよい。
【0085】
次に、組立体が洗浄される。
【0086】
湾曲ステップ(b)は、好ましくは編み込みステップ(a)の後に行われてもよい。この湾曲ステップ(b)は、上述もしくは後述のステップ(c)、(d)、および/もしくは(e)のうちの1つもしくは複数と同時、または1つもしくは複数のステップよりも前、または変形実施形態では1つもしくは複数のステップよりも後に行われてもよい。特に、ステップ(b)とステップ(c)は、同時に行われてもよく、または変形実施形態では、連続的に、好ましくはステップ(b)がステップ(c)よりも前に行われてもよく、または変形実施形態では、ステップ(c)がステップ(b)よりも後に行われてもよい。ステップ(b)がステップ(d)よりも後に行われてもよく、または変形実施形態では、ステップ(d)がステップ(b)よりも後に行われてもよい。分離ステップ(c)および切断ステップ(d)および湾曲ステップ(b)は、同時にまたは連続して行われてもよい。
【0087】
湾曲ステップ(b)と、分離ステップ(c)と、切断ステップ(d)は、同時にまたは連続して行われてもよい。
【0088】
ステップ(b)では、エネルギー刺激は超音波を加えることを含んでもよい。
【0089】
ステップ(b)では、エネルギー刺激は高周波数を加えることを含んでもよい。
【0090】
ステップ(b)では、エネルギー刺激は熱を加えることを含んでもよい。
【0091】
この方法は、(c)特に機械的に切断するか、超音波もしくは高周波数を加えるか、もしくは加熱することにより、特に正中面において横糸を切断することによって2つのベース部を分離し、このようにして人工まつげの少なくとも1つの列、特に正中面に対して対称的な2つの列を形成する追加のステップを有してもよい。正中面は、2つのベース部の間の対称面であってもよい。この分離は、特に正中面内、または変形実施形態では、ベース部の一方に平行であり、前記ベース部に近く、たとえば、前記ベース部と同一平面である平面内で行われてもよい。
【0092】
この方法は、(d)特に機械的に切断するか、超音波もしくは高周波数を加えるか、もしくは加熱することによって、人工まつげの列を所望の長さに切断する追加のステップを有してもよい。このステップ(d)では、まつげの列は正中面に垂直に切断される。
【0093】
分離ステップ(c)と切断ステップ(d)は、同時にまたは連続して行われてもよい。
【0094】
切断工具を使用して湾曲ステップ(b)、分離ステップ(c)、および/または切断ステップ(d)を実施することが可能である。
【0095】
金床を使用して湾曲ステップ(b)、分離ステップ(c)、および/または切断ステップ(d)を実施することが可能である。
【0096】
同一の切断工具および/または同一の金床を使用して湾曲ステップ(b)、分離ステップ(c)、および/または切断ステップ(d)を実施することが可能である。
【0097】
本発明のさらなる主題は、上記とは無関係であるかまたは上記と組み合わされる、特に上記で説明したように、人工まつげの列を製造するための方法を実施するための切断工具であって、まぶたの縁に固定する人工まつげの列を形成するための組立体に機械的切断、超音波もしくは高周波数、もしくは熱を加えることを可能にするように構成され、この組立体が、少なくとも一方のベース部が、まぶたの縁に固定されるようになっており、互いに平行にかつ正中面に対して対称的に配設された少なくとも2つのベース部と、付けまつげとを有する切断工具である。切断は、正中面内で行われてもまたは正中面内で行われなくてもよい。この分離は、特に正中面内、または変形実施形態では、ベース部の一方に平行であり、前記ベース部に近く、たとえば、前記ベース部と同一平面である平面内で行われてもよい。
【0098】
ステッチを保護する付けまつげ
本発明のさらなる主題は、上記とは無関係であるかまたは上記と組み合わされる、まぶたの縁に固定する人工まつげの列であって、(i)まぶたの縁に固定するようになっているベース部と、(ii)付けまつげとを有する人工まつげの列において、
ベース部が、ステッチを形成する第1の縦糸、特にチェーンステッチによって編み込まれた第1の縦糸を有し、付けまつげが、ベース部のステッチ、特に第1の縦糸のチェーンステッチを通過し、ベース部のステッチに結ばれずにベース部のステッチに保持される人工まつげの列である。
【0099】
このようにして、ステッチおよびステッチにおける付けまつげの保護が実現され、付けまつげの列が取り扱われならびに/または使用される間にほぐされるのを防止することが可能になる。このようにして、ユーザの安全性が高められ、人工まつげの列の寿命が延びる。
【0100】
本発明のさらなる主題は、上記とは無関係であるかまたは上記と組み合わされる、まぶたの縁に固定する人工まつげの列であって、(i)まぶたの縁に固定するようになっているベース部と、(ii)付けまつげとを有する人工まつげの列において、
ベース部が、チェーンステッチによって編み込まれた第1の縦糸を有し、付けまつげが、第1の縦糸のチェーンステッチを通過し、第1の縦糸のチェーンステッチに結ばれずに第1の縦糸のチェーンステッチに保持される人工まつげの列である。
【0101】
第1の縦糸は複数の撚りを有してもよい。複数の撚りを有するそのような構成は、特に糸の内部摩擦が大きくなることによって縦糸のステッチの緊密さを向上させることを可能にする。縦糸の撚りの数は、2から100の間、さらに好適には20から70の間であってよく、たとえば、縦糸当たり約34個であってもよい。撚りの断面は、4μmから0.3mmの間、さらに好適には0.05mmから0.15mmの間であり、たとえば約0.07mmであってもよい最大寸法を有してもよい。撚りの断面は、限定はしないが、円形、非円形、楕円形、卵形、多角形、正方形、矩形、三角形、六角形、ローブ形、3ローブ形、多重ローブ形から選択される形状を有してもよい。撚りの断面は中空であってもよい。
【0102】
一実施形態では、ベース部は、第2の縦糸、特にチェーンステッチによって編み込まれた第2の縦糸を有してもよい。第1の縦糸のみが複数の撚りを有することが可能であり、または変形実施形態では、第1および第2の縦糸の各々が、複数の撚りを有してもよく、それによって、縦糸のステッチの緊密さをさらに向上させ、人工まつげの列の堅牢性を改善することが可能である。
【0103】
一実施形態では、ベース部は、ステッチを形成するチェーンステッチによって編み込まれた第1の縦糸であって、付けまつげが、チェーンステッチに結ばれることなくチェーンステッチを通過する、チェーンステッチによって編み込まれた第1の縦糸と、ステッチを形成するチェーンステッチによって編み込まれた第2の縦糸であって、付けまつげが、チェーンステッチに結ばれることなくチェーンステッチを通過する、チェーンステッチによって編み込まれた第2の縦糸とを有してもよい。第1の縦糸と第2の縦糸は、編み付けられてもよい。
【0104】
少なくとも1本の縦糸または縦糸撚りが加熱溶融性を有することが好ましい。加熱溶融性糸または撚りは、ベース部のステッチを固定するために編み込みステップの後に活性化されてもよい。「活性化」という用語は、加熱溶融性ではない他の糸または撚りを損傷せずに加熱溶融性糸または撚りの部分的または完全な融解を実現するのを可能にする、人工まつげの列の温度の上昇を意味する。加熱溶融性糸または撚りを融解すると、加熱溶融性糸または撚りを隣接する糸または撚りに付着させることが可能になり、したがって、人口まつげの列の堅牢性をさらに向上させることが可能になる。
【0105】
第1の縦糸および第2の縦糸または縦糸撚りは、たとえば、限定はしないが、ポリオレフィン、PE、PP、PU、PA、PET、PBT、PES、PTFEから選択される第1の加熱溶融性合成材料から作られてもよく、またはポリオレフィン、PE、PP、PU、PA、PBT、PES、PTFEのコアで構成され、加熱活性化可能な接着剤または加熱活性化可能な樹脂、TPUシリコーン、CoPA、CoPES、TPU、TPE、EVA(エチレン酢酸ビニル)、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、PA、PES、PVCで被覆された糸であってもよい。
【0106】
第1および第2の縦糸または縦糸撚りは、伸張させることによって整形されてもよい。
【0107】
第1および第2の縦糸または縦糸撚りは、縦糸または縦糸撚りの保持を推進するための表面処理を受けてもよい。
【0108】
付けまつげは、特に付けまつげおよび/もしくは縦糸の材料を発熱させるエネルギー刺激の存在下で機械的負荷を加えるか、特に超音波もしくは高周波数を加えるか、または加熱することによる、付けまつげおよび/または縦糸の塑性変形によって、ベース部のステッチに保持されてもよい。加熱ステップは、蒸気を加えるステップを含んでもよい。
【0109】
本発明のさらなる主題は、上記とは無関係であるかまたは上記と組み合わされる、人工まつげの列を製造するための方法であって、(a)特に上記で説明したように、まぶたの縁に固定する人工まつげの列を形成するための組立体を編み込むステップであって、この組立体が、少なくとも一方のベース部が、まぶたの縁に固定されるようになっており、互いに平行にかつ正中面に対して対称的に配設された少なくとも2つのベース部と、付けまつげとを有し、各ベース部が、ステッチを形成する第1の縦糸、特にチェーンステッチによって編み込まれた縦糸を有し、少なくとも1本の縦糸または多重撚り縦糸撚りが加熱溶融性を有する、ステップを少なくとも有する方法である。
【0110】
付けまつげは、2つのベース部の間を交互に通過する単一の横糸から形成されてもよい。一実施形態では、列のすべての付けまつげが単一の横糸から形成される。したがって、1本の横糸のみを使用してすべての付けまつげが形成される。変形実施形態では、列は、複数の横糸、たとえば、2本の横糸を有することができる。したがって、より自然な見た目を有し、いくつかの付けまつげが他の付けまつげと交差する付けまつげの列を得ることが可能である。
【0111】
付けまつげは、ベース部のステッチに結び付けられずにベース部のステッチに保持されてもよい。横糸は、第1の縦糸とのステッチを形成しない。
【0112】
この方法は、(e)ベース部のステッチを固定するために熱溶融性の縦糸または多重撚り縦撚り糸を活性化するステップを少なくとも有してもよい。活性化ステップは、特にたとえば、ストービングまたは加熱ローラもしくは蒸気によって加熱することを含んでもよい。活性化ステップ(e)は、好ましくは、編み込みステップ(a)から上述のステップ(b)、(c)、および/または(d)のうちの1つまたは複数までの間に行われてもよい。この活性化ステップ(e)は、変形実施形態では、上述のステップ(b)、(c)、および/または(d)のうちの1つまたは複数の後に行われてもよい。
【0113】
次に、組立体が洗浄される。
【0114】
湾曲ステップ(b)と、分離ステップ(c)と、切断ステップ(d)は、同時にまたは連続して行われてもよい。
【0115】
この方法は、(f)特に超音波もしくは高周波数を加えるかまたは加熱することによって、付けまつげおよび/または縦糸に塑性変形を加えるステップを少なくとも有してもよい。加熱ステップは、蒸気を加えるステップを含んでもよい。塑性変形を加えるステップ(f)は、好ましくは、編み込みステップ(a)の後に行われてもよい。塑性変形を加えるこのステップ(f)は、上述のステップ(b)、(c)、(d)、および/もしくは(e)のうちの1つもしくは複数よりも前、または変形実施形態では1つもしくは複数のステップよりも後に行われてもよい。湾曲ステップ(b)と、分離ステップ(c)と、切断ステップ(d)は、同時にまたは連続して行われてもよい。
【0116】
整形ステップ(f)は、まぶたの形状をベース部に付与するためにまぶたの縁に固定するようになっているベース部を湾曲させるのを可能にしてもよい。このステップ(f)は、たとえば、付けまつげを湾曲させるステップ(b)と同時に実施されてもよく、またはたとえば、すべての他のすべての後に実施されてもよい。
【0117】
本発明は、その非限定的例示的実施形態の次の詳細な説明を読むことにより、また添付の図面を検討することにより、より良く理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0118】
図1】本発明による人工まつげの列を概略的に示す図である。
図2a】人工まつげの列を形成するための組立体の従来の概略図である。
図2b】変形実施形態の図2aと同様の図である。
図3a】従来の概略図における、変形実施形態の図2aと同様の図である。
図3b】現実的な図における図3aに対応する図である。
図3c】従来の概略図における変形実施形態の図2aと同様の図である。
図3d】現実的な図における図3cに対応する図である。
図4a】従来の概略図における、別の変形実施形態の図2aと同様の図である。
図4b】現実的な図における図4aに対応する図である。
図5a】従来の概略図における、別の変形実施形態の図2aと同様の図である。
図5b】現実的な図における図5aに対応する図である。
図5c】従来の概略図における変形実施形態の図2aと同様の図である。
図5d】現実的な図における図5cに対応する図である。
図6】本発明による編み機を概略的にかつ部分的に示す図である。
図7a】本発明による湾曲工具の斜視図である。
図7b】使用時の本発明による湾曲工具の図である。
図7c】変形実施形態の斜視図である。
図8図7aおよび図7bにおける湾曲工具の概略部分断面図である。
図9】切断工具の変形実施形態の概略部分断面図である。
図10】現実的な図における変形実施形態の図3bと同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0119】
図1は、まぶたの縁に固定するようになっている人工まつげの列10を示す。この列10は、(i)まぶたの縁に固定するようになっているベース部12と、(ii)付けまつげ14とを有する。
【0120】
ベース部12は、チェーンステッチによって編み込まれた第1の縦糸16を有し、付けまつげ14は、チェーンステッチに結ばれることなくチェーンステッチを通過する。付けまつげはチェーンステッチを形成しない。付けまつげは、図示のように、U字形に屈曲され、U字の底部は第1の縦糸16に結び目なしに保持される。
【0121】
図2aの従来の概略図に示すように、列10のすべての付けまつげ14は、単一の横糸Tから形成される。したがって、1本の横糸のみを使用してすべての付けまつげが形成される。変形実施形態では、特にそれぞれに異なる色を有する糸の場合、複数の横糸があってもよい。ベース部12は、チェーンステッチによって編み込まれた第1の縦糸16を有し、横糸Tは、チェーンステッチに結ばれることなくチェーンステッチを通過する。横糸Tは、2つのベース部12間を交互に通過し、ベース部は、互いに平行にかつ対称的に延びる。
【0122】
図2aは、特に上述のように、まぶたの縁に固定する人工まつげの列を形成するための組立体20を示す。組立体20は、2つのベース部12を有し、ベース部12は、少なくとも一方が、まぶたの縁に固定されるようになっており、互いに平行かつ正中面Pに対して対称的に配設される。
【0123】
組立体20は付けまつげ14も有し、付けまつげ14は、2つのベース部12間を交互に通過する単一の横糸Tから形成される。
【0124】
横糸は、ベース部に実質的に垂直に配設される。横糸は、ベース部12同士を分離し、したがって、人工まつげの列を形成するように2つのベース部間、特に正中面P内で切断されるようになっている。付けまつげは、ベース部を覆うように規則的に分布され、特に、たとえば常に同一である規則的な間隔で配設されてもよい。横糸を2つのベース部間で正中面P内で切断するのではなく、2つのベース部のうちの一方の近くで切断することが可能である。この場合、人工まつげの1つの列のみを得ることができる。
【0125】
図2bに示す変形実施形態では、組立体は、互いに平行にかつ正中面Pに対して対称的に配設された3つのベース部12を有する。正中面はたとえば、中央ベース部を通過し、2つの他のベース部は中央ベース部の各側に、互いに平行にかつ正中面に対して対称的に配設されてもよい。この場合、2本の横糸Tがあり、単一の横糸が2つのベース部間を交互に通過する。
【0126】
この変形実施形態では、3つのベース部が、ベース部のうちの1つに平行で、前記ベース部に近く、たとえば、前記ベース部と同一平面である第1の分離面P'内、およびベース部のうちの1つに平行で、前記ベース部に近く、たとえば、前記ベース部と同一平面である第2の分離面P"内で分離される。図示の例では、当該のベース部は中央ベース部である。
【0127】
図2aにおける組立体20では、各ベース部12は、チェーンステッチによって編み込まれた第1の縦糸16を有し、横糸Tは、チェーンステッチに結ばれずにチェーンステッチを通過する。横糸はチェーンステッチを形成しない。横糸は、第1の縦糸とのステッチを形成しない。
【0128】
ベース部12の第1の縦糸16は、図示の例における閉鎖チェーンステッチを形成する。変形実施形態では、または追加的に、第1の縦糸は開放チェーンステッチを形成する。
【0129】
上述の実装形態では、列は1本の第1の縦糸16のみを有する。
【0130】
変形実施形態では、図3a図5bにおける実施形態に示すように、ベース部12はチェーンステッチによって編み込まれた第2の縦糸18を有してもよい。付けまつげ14は、この第2の縦糸18のチェーンステッチに結ばれずにこの第2の縦糸18のチェーンステッチを通過する。図3a図5bにおける組立体20では、各ベース部は、チェーンステッチによって編み込まれた第2の縦糸18を有し、横糸は、チェーンステッチに結ばれずにチェーンステッチを通過する。第1の縦糸16と第2の縦糸18は、編み込まれてもよい。
【0131】
第2の縦糸は閉鎖チェーンステッチを形成してもまたは開放チェーンステッチを形成してもよい。
【0132】
図3aおよび図3bに示す実施形態では、第1および第2の縦糸の各々が、閉鎖チェーンステッチを形成する。閉鎖チェーンステッチは、互いに対して対称的に配設される。
【0133】
図3cおよび図3dに示す実施形態では、第1および第2の縦糸の各々が閉鎖チェーンステッチを形成し、閉鎖チェーンステッチはすべて重畳され、すなわち、各閉鎖チェーンステッチが厳密に同じ経路を辿る。さらに、第1および第2の縦糸の各々が、閉鎖チェーンステッチを形成する。
【0134】
変形実施形態では、図4aおよび図4bに示すように、第1の縦糸が閉鎖チェーンステッチを形成し、第2の縦糸が開放チェーンステッチを形成する。
【0135】
さらなる変形実施形態では、図5aおよび図5bに示すように、第1および第2の縦糸の各々が、開放チェーンステッチを形成する。
【0136】
上述の実装形態では、列は1本の横糸のみを有する。列は、一例として図5cおよび図5dに示すように、たとえば、2本の横糸を有してもよい。第2の横糸T'は、この例では、縦糸のすべてのチェーンステッチを通過するとは限らない。さらに、第2の横糸T'は、所定の位置において第1の横糸Tと交差する。これによって、有利には、より自然な見た目を有するまつげの列を形成することが可能になり、いくつかの付けまつげは他の付けまつげと交差する。
【0137】
図10の実施形態は、図3bの実施形態と同様であり、以下の違いを有する。図10の実施形態では、ベース部12は、チェーンステッチによって編み込まれた第1の縦糸16およびチェーンステッチによって編み込まれた第2の縦糸18と編み込まれた追加の糸24を有する。特に、各ベース部12に1本の2本の追加の糸がある。
【0138】
組立体20は、図6に示すような編み機30によって得られてもよい。編み機30は、複合針32を有する。
【0139】
複合針32は、本体33と滑り要素34とで形成される。本体33は、突合部33aと、ステム33bと、フック33cとから構成される。滑り要素34は、突合部34aとステム34bとから構成される。滑り要素は、本体のステムの内部で滑り、針のフック33cを開閉してもよい。したがって、針の本体および滑り要素は、互いに独立してかつ同期的に移動する。
【0140】
編み機30は、特にステム上に連結されたラッチを含むラッチ針を有さず、シンカーも有さない。
【0141】
編み機30は、付けまつげを形成することになる横糸Tを堆積させる糸ガイド35を有する。この糸ガイドは、複合針32の上方で右から左に移動しかつ左から右に移動する。
【0142】
編み機30は、第1の縦糸16を送るための第1のガイドバー36も有する。この第1のガイドバー36は、複合針の向きを変えるように右から左に移動しかつ左から右に移動し、上から下へ移動しかつ下から上へ移動する。左右の移動は、縦糸16が開放チェーンステッチに編み込まれるようになっているかそれとも閉鎖チェーンステッチに編み込まれるようになっているかに応じて異なってもよい。
【0143】
最後に、編み機30は、第2の縦糸18を送るための第2のガイドバー38を有する。この第2のガイドバー38は、右から左に移動しかつ左から右に移動し、第2の縦糸を複合針のフック33cに堆積させるのを可能にする。この第2の縦糸18は、第1の縦糸16をよりうまく固定するのを可能にし、それによって、ベース部のチェーンステッチをほどけにくくする。したがって、得られるニットはほぐし抑制可能である。
【0144】
次に、人工まつげの列を製造するための方法について説明する。
【0145】
第1のステップ(a)において、組立体20が複合針によって編み込まれる。組立体20は、少なくとも一方の間のベース部12がまぶたの縁に固定されるようになっており、互いに平行にかつ正中面Pに対して対称的に配設された2つのベース部12と、2つのベース部間を交互に通過する単一の横糸Tから形成される付けまつげ14とを有する。
【0146】
この編み込みは、各ベース部12がチェーンステッチによって編み込まれた第1の縦糸16とチェーンステッチによって編み込まれた第2の縦糸18とを有し、横糸がチェーンステッチに結ばれずにチェーンステッチを通過し、横糸はチェーンステッチを形成しないように行われる。
【0147】
この方法は、付けまつげの材料を発熱させるエネルギー刺激の存在下で機械的負荷を加えることにより、特に超音波もしくは高周波数を加えるか、または加熱することによって、人工まつげの列および/またはベース部および/または付けまつげを湾曲させるステップ(b)を有してもよい。
【0148】
この方法は次いで、特に正中面P内で横糸Tを切断することによって2つのベース部12を分離し、このようにして人工まつげの少なくとも1つの列、特に人工まつげの2つの列を形成するステップ(c)を有する。ステップ(c)は、機械的切断、超音波もしくは高周波数を加えること、または加熱によって行われてもよい。正中面Pは、2つのベース部12間の対称面であってもよい。
【0149】
この方法は最後に、人工まつげの列を所望の長さに切断するステップ(d)を有してもよい。このステップ(d)では、まつげの列が正中面Pに垂直に切断される。切断は、機械的切断、超音波もしくは高周波数を加えること、または加熱によって行われてもよい。
【0150】
湾曲ステップ(b)は、好ましくは編み込みステップ(a)の後に行われてもよい。この湾曲ステップ(b)は、上述もしくは後述のステップ(c)、(d)、および/もしくは(e)のうちの1つもしくは複数よりも前、1つもしくは複数と同時、または変形実施形態では1つもしくは複数よりも後に行われてもよい。ステップ(b)とステップ(c)は、同時に行われてもよく、または変形実施形態では、連続的に、好ましくはステップ(b)がステップ(c)よりも前に行われてもよく、または変形実施形態では、ステップ(c)がステップ(b)よりも後に行われてもよい。ステップ(b)がステップ(d)よりも後に行われてもよく、または変形実施形態では、ステップ(d)がステップ(b)よりも後に行われてもよい。分離ステップ(c)および切断ステップ(d)および湾曲ステップ(b)は、同時にまたは連続して行われてもよい。
【0151】
図7aは、湾曲ステップ(b)を実施するために使用される湾曲工具39と金床50とを示す。この湾曲工具は、図7bに示すように、特に組立体20に超音波もしくは高周波数を加えるか、または組立体20を加熱することによって、付けまつげの材料を発熱させるエネルギー刺激の存在下で機械的負荷を加えることを可能にするように構成される。加熱ステップは、蒸気を加えるステップを含んでもよい。
【0152】
湾曲工具39および金床50は、図8に概略的に示すように相補形状を有してもよい。
【0153】
図7cは、湾曲ステップ(b)および/または分離ステップ(c)を実施するために使用される切断工具40と金床45とを示す。同じ切断工具および/または同じ金床を使用して湾曲ステップ(b)および分離ステップ(c)を実施することが可能である。この切断工具は、機械的切断、超音波もしくは高周波数、または組立体20に熱を加えることを可能にするように構成される。
【0154】
切断工具および金床は、図9に概略的に示すように相補形状を有してもよい。
【0155】
さらに、切断工具および金床は、横糸Tを切断することによってベース部を分離するステップ(c)を実施するために、図9に示すように分離縁部42を有してもよい。
【0156】
図7cに示す変形実施形態では、金床45はU字形である。金床45を使用して分離ステップ(c)および/または切断ステップ(d)を実施することができる。同じ切断工具および/または同じ金床を使用して分離ステップ(c)および切断ステップ(d)を実施することが可能である。切断工具40は、機械的切断、超音波もしくは高周波数、または熱を加えることを可能にするように構成される。
【0157】
一変形実施形態では、横糸はベース部のステッチに結ばれずにベース部のステッチに保持され、それによって、ステッチおよびステッチ内の付けまつげを保護することが可能になる。
【0158】
この目的で、第1の縦糸が複数の撚りを有してもよく、ならびに/または第2の縦糸が複数の撚りを有してもよく、ならびに/または第1および第2の縦糸の各々が複数の撚りを有してもよい。
【0159】
一実施形態では、少なくとも1本の縦糸または縦糸撚りは加熱溶融性であってもよい。加熱溶融性糸または撚りは、ベース部のステッチを固定するために編み込みステップの後に活性化されてもよい。
【0160】
これらの実施形態では、この方法は、ベース部のステッチを固定するために熱溶融性の縦糸または多重撚り縦撚り糸を活性化するステップ(e)を有する。活性化ステップは、特にたとえば、ストービングまたは加熱ローラもしくは蒸気によって加熱することを含んでもよい。次に、組立体が洗浄される。
【0161】
活性化ステップ(e)は、好ましくは、編み込みステップ(a)から後述のステップ(b)、(c)、および/または(d)のうちの1つまたは複数までの間に行われてもよい。この活性化ステップ(e)は、上述のステップ(b)、(c)、および/もしくは(d)のうちの1つもしくは複数よりも前、または変形実施形態では1つもしくは複数のステップよりも後に行われてもよい。
【0162】
次に、組立体が洗浄される。
【0163】
付けまつげは、特に超音波もしくは高周波数または熱を加えることによる付けまつげおよび/または縦糸の塑性変形によってベース部のステッチに保持されてもよい。加熱ステップは、蒸気を加えるステップを含んでもよい。
【0164】
この実施形態では、この方法は、付けまつげおよび/または縦糸に塑性変形を加えるステップ(f)を有する。塑性変形を加えるステップ(f)は、超音波もしくは高周波数を加えること、または加熱によって行われてもよい。塑性変形を加えるステップ(f)は、好ましくは、編み込みステップ(a)の後に行われてもよい。塑性変形を加えるこのステップ(f)は、上述のステップ(b)、(c)、(d)、および/もしくは(e)のうちの1つもしくは複数よりも前、または変形実施形態では1つもしくは複数よりも後に行われてもよい。
【0165】
言うまでもなく、本発明は、ここまでに記載してきた例示的な実施形態に限定されない。
【0166】
本発明の一実施形態では、この方法は、一連の以下のステップによって実施される。
(a)まぶたの縁に固定する人工まつげの列を形成するための組立体を編み込むステップであって、この組立体が、少なくとも一方のベース部が、まぶたの縁に固定されるようになっており、互いに平行にかつ正中面に対して対称的に配設された少なくとも2つのベース部と、付けまつげとを有し、各ベース部が、ステッチを形成する第1の縦糸、特にチェーンステッチによって編み込まれた縦糸を有する、編み込むステップ。
(e)ベース部のステッチを固定するために熱溶融性の縦糸または多重撚り縦撚り糸を活性化するステップ。活性化ステップは、特にたとえば、ストービングまたは加熱ローラもしくは蒸気によって加熱することを含んでもよい。次に、組立体が洗浄される。
(b)付けまつげの材料を発熱させるエネルギー刺激の存在下で機械的負荷を加えることにより、特に超音波もしくは高周波数を加えるか、または加熱することによって、人工まつげの列および/またはベース部および/または付けまつげを湾曲させるステップ。加熱ステップは、蒸気を加えるステップを含んでもよい。
(c)特に機械的に切断するか、超音波もしくは高周波数を加えるか、もしくは加熱することにより、特に正中面において横糸を切断することによって2つのベース部を分離し、このようにして人工まつげの少なくとも1つの列、特に人工まつげの少なくとも2つの列を形成するステップ。正中面は、2つのベース部の間の対称面であってもよい。
(d)特に機械的に切断するか、超音波もしくは高周波数を加えるか、もしくは加熱することによって、人工まつげの列を所望の長さに切断するステップ。このステップ(d)では、まつげの列は正中面に垂直に切断される。
(f)特に超音波もしくは高周波数を加えるかまたは加熱することによって、付けまつげおよび/または縦糸に塑性変形を加えるステップ。加熱ステップは、蒸気を加えるステップを含んでもよい。
【0167】
「~を有する」という表現は、「少なくとも1つの~を備える」と同義であると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0168】
10 列
12 ベース部
14 付けまつげ
16 チェーンステッチによって編み込まれた第1の縦糸
18 チェーンステッチによって編み込まれた第2の縦糸
20 組立体
24 追加の糸
30 編み機
32 複合針
33 本体
33a 突合部
33b ステム
33c フック
34 滑り要素
35 糸ガイド
36 第1のガイドバー
38 第2のガイドバー
39 湾曲工具
40 切断工具
42 分離縁部
45 金床
50 金床
T 横糸
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図3c
図3d
図4a
図4b
図5a
図5b
図5c
図5d
図6
図7a
図7b
図7c
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2022-05-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
まぶたの縁に固定する人工まつげの列(10)であって、(i)前記まぶたの前記縁に固定するよう意図されたベース部(12)と、(ii)付けまつげ(14)と、を有する人工まつげの列において、
前記ベース部(12)は、チェーンステッチによって編み込まれた第1の縦糸(16)を有し、前記付けまつげ(14)は、前記チェーンステッチに結ばれることなく前記チェーンステッチを通過し、
前記ベース部(12)は、チェーンステッチによって編み込まれた第2の縦糸(18)を有し、前記付けまつげ(14)は、前記チェーンステッチに結ばれることなく前記チェーンステッチを通過し、
前記第1の縦糸(16)と前記第2の縦糸(18)とは、編み込まれている、人工まつげの列。
【請求項2】
前記列のすべての前記付けまつげ(14)が単一の横糸(T)から形成される、請求項1に記載の人工まつげの列。
【請求項3】
前記第1の縦糸(16)は、閉鎖チェーンステッチを形成する、請求項1および2のいずれか一項に記載の人工まつげの列。
【請求項4】
前記第1の縦糸(16)は、開放チェーンステッチを形成する、請求項1および2のいずれか一項に記載の人工まつげの列。
【請求項5】
前記第2の縦糸(18)は、閉鎖チェーンステッチを形成する、請求項1から4のいずれか一項に記載の人工まつげの列。
【請求項6】
前記第2の縦糸(18)は、開放チェーンステッチを形成する、請求項1から5のいずれか一項に記載の人工まつげの列。
【請求項7】
前記ベース部(12)は、前記チェーンステッチによって編み込まれた第1の縦糸(16)に編み付けられ、特に前記チェーンステッチによって編み込まれた第1の縦糸(16)および前記チェーンステッチによって編み込まれた第2の縦糸(18)に編み付けられた追加の糸を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の人工まつげの列。
【請求項8】
前記付けまつげ(14)は、前記ベース部(12)を覆うように規則的に分散され、特に規則的な間隔で配設される、請求項1から7のいずれか一項に記載の人工まつげの列。
【請求項9】
前記第1の縦糸(16)および前記第2の縦糸(18)は、たとえば、これに限定されないが、ポリオレフィン、PE、PP、PU、PA、PET、PBT、PES、PTFEから選択される第1の合成材料から作られるか、またはポリオレフィン、PE、PP、PU、PA、PBT、PES、PTFEのコアで構成されかつ加熱活性化可能な接着剤または加熱活性化可能な樹脂、TPUシリコーン、CoPA、CoPES、TPU、TPE、EVA(エチレン酢酸ビニル)、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、PA、PES、PVCで被覆された糸である、請求項1から8のいずれか一項に記載の人工まつげの列。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の、まぶたの前記縁に固定する人工まつげの列を形成するための組立体(20)であって、この組立体は、少なくとも一方のベース部(12)が、まぶたの前記縁に固定されるようになっており、互いに平行にかつ正中面に対して対称的に配設された少なくとも2つのベース部(12)と、前記2つのベース部(12)間を交互に通過する単一の横糸(T)から形成される付けまつげ(14)とを有する、組立体。
【請求項11】
各ベース部(12)は、チェーンステッチによって編み込まれた第1の縦糸(16)を有し、前記横糸(T)は、前記チェーンステッチに結ばれずに前記チェーンステッチを通過し、および/または、
各ベース部(12)は、チェーンステッチによって編み込まれた第2の縦糸(18)を有し、前記横糸(T)は、前記チェーンステッチに結ばれずに前記チェーンステッチを通過する、請求項10に記載の組立体。
【請求項12】
請求項11に記載の、まぶたの前記縁に固定する人工まつげの列を形成するための組立体(20)を編み込むための機械(30)であって、複合針(32)を有する、機械。
【請求項13】
人工まつげの列を製造するための方法であって、(a)請求項1から9のいずれか一項に記載の、まぶたの前記縁に固定する人工まつげの列を形成するための組立体(20)を編み込むためのステップであって、この組立体が、少なくとも2つのベース部(12)であって、少なくとも一方のベース部(12)が、まぶたの前記縁に固定されるよう意図されており、互いに平行にかつ正中面(P)に対して対称的に配設された少なくとも2つのベース部(12)と、前記2つのベース部間を交互に通過する単一の横糸(T)から形成される付けまつげ(14)と、を有する、ステップを少なくとも有する、方法。
【請求項14】
(b)前記付けまつげの材料を発熱させるエネルギー刺激の存在下で機械的負荷を加えることにより、特に超音波もしくは高周波数を加えるか、または加熱することによって、前記人工まつげの列(10)および/または前記ベース部(12)および/または前記付けまつげ(14)を湾曲させる追加のステップを有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
(c)特に機械的に切断するか、超音波もしくは高周波数を加えるか、もしくは加熱することにより、特に正中面(P)において横糸を切断することによって前記2つのベース部(12)を分離し、このようにして人工まつげの少なくとも1つの列、特に人工まつげの2つの列(10)を形成する追加のステップを有し、
(d)特に機械的に切断するか、超音波もしくは高周波数を加えるか、または加熱することによって、人工まつげの前記列(10)を所望の長さに切断する追加のステップを有する、請求項13または14に記載の方法。
【国際調査報告】