(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-11
(54)【発明の名称】再構成可能な波長をもつ全二重レーザー通信端末アーキテクチャ
(51)【国際特許分類】
H04B 10/112 20130101AFI20221104BHJP
【FI】
H04B10/112
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022530724
(86)(22)【出願日】2020-11-24
(85)【翻訳文提出日】2022-06-29
(86)【国際出願番号】 US2020062021
(87)【国際公開番号】W WO2021108409
(87)【国際公開日】2021-06-03
(32)【優先日】2019-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519100985
【氏名又は名称】ビーエイイー・システムズ・インフォメーション・アンド・エレクトロニック・システムズ・インテグレイション・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】カールソン、ロバート・ティー.
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA31
5K102AA41
5K102AB07
5K102AD01
5K102AH02
5K102AL11
5K102AL23
5K102AL28
5K102MA01
5K102MB02
5K102MB10
5K102MB11
5K102MB20
5K102MC03
5K102MC07
5K102MH03
5K102MH14
5K102MH21
5K102MH22
5K102PB12
5K102PB13
5K102PC12
5K102PC16
5K102PD14
5K102PH01
5K102PH11
5K102PH13
5K102PH24
5K102PH31
5K102PH47
5K102PH48
5K102PH49
5K102PH50
(57)【要約】
全二重デュアル赤色/青色波長通信アーキテクチャおよび方法は、赤色構成と青色構成との間で切り替わる端末を可能にし、それにより、端末がフィールド中、空中、または軌道上にある間にコマンドでネットワーク内の波長再構成を可能にすることによって、拡張ネットワーク構成フレキシビリティを提供する。送信レーザーモジュールは、別個の「赤色」および「青色」直線偏光レーザー、または赤色から青色にチューニング可能な単一の直線偏光レーザーを含む。送信/受信ダイプレクサは、精密ポインティングまたはコボアサイト送信/受信整合に影響を及ぼすことなしに左円偏光と右円偏光との間で出力ビームを遷移させるために、直線偏光ビームスプリッタおよび波長板を使用する。波長板偏光は、物理的回転によって、または液晶可変リターダ(LCVR)を使用することによって電気的に切り替えられ得る。赤色および青色バンドパスフィルタは、物理的操作、光スイッチ、DWDM3ポートフィルタ、および/またはLCVRによって受信機および/または送信機において選択され得る。2レーザー実施形態は、受信機光学素子自己較正のための逆反射体を含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー通信端末であって、
第1のレーザー波長において直線偏光送信レーザー光を放出することと、第2のレーザー波長において直線偏光送信レーザー光を放出することとの間で遷移されるように構成された送信レーザーモジュールと、
前記送信レーザー光を、その上に通信データを符号化するように変調するように構成された通信変調器と、
通信フェーズ中に、前記レーザー通信端末が第1の端末構成であるとき、前記送信レーザー光が前記第1のレーザー波長において前記送信レーザーモジュールによって放出させられ、前記レーザー通信端末が第2の端末構成であるとき、前記送信レーザー光が前記第2のレーザー波長において前記送信レーザーモジュールによって放出させられるように構成されたコントローラと、
前記レーザー通信端末の受信入力からレーザー光を受信し、前記受信されたレーザー光を検出器にダイレクトするように構成された受信機と、
前記直線偏光送信レーザー光を前記端末の送信出力にダイレクトするように配向された直線偏光を有するビームスプリッタ、および
直線偏光送信レーザー光を円偏光レーザー光に変換するように構成された波長板、前記波長板は、前記レーザー通信端末が前記第1の端末構成であるとき、前記直線偏光送信レーザー光を右円偏光送信レーザー光に変換するように構成され、前記波長板は、前記レーザー通信端末が前記第2の端末構成であるとき、前記直線偏光送信レーザー光を左円偏光送信レーザー光に変換するように再構成可能である、
を備える送信受信偏光ダイプレクサと、
前記ダイプレクサは、前記受信されたレーザー光が、前記円偏光送信レーザー光と反対である円偏光を有するとき、前記受信されたレーザー光を前記受信入力から前記受信機にダイレクトするように構成された、
を備える、レーザー通信端末。
【請求項2】
前記送信レーザーモジュールが、前記第1のレーザー波長において前記直線偏光送信レーザー光を放出するように構成された第1のレーザーと、前記第2のレーザー波長において前記直線偏光送信レーザー光を放出するように構成された第2のレーザーとを備える、請求項1に記載のレーザー通信端末。
【請求項3】
前記第1のレーザーと前記第2のレーザーとによって放出された前記直線偏光送信レーザー光が、レーザーセレクタのそれぞれ第1の入力と第2の入力とにダイレクトされ、前記レーザーセレクタが、前記通信フェーズ中に、それの入力のうちの1つから前記直線偏光送信レーザー光を選択し、前記選択された直線偏光送信レーザー光を前記通信変調器にダイレクトするように構成された、請求項2に記載のレーザー通信端末。
【請求項4】
前記レーザーセレクタが、2:1レーザースイッチを含む、請求項3に記載のレーザー通信端末。
【請求項5】
外部逆反射体を含む自己較正機能をさらに備え、前記自己較正機能は、前記端末が前記第1の端末構成であるとき、前記第2のレーザーからの前記直線偏光送信レーザー光が前記ダイプレクサを通して前記受信機にダイレクトされることを可能にするように構成され、前記自己較正機能は、前記端末が前記第2の端末構成であるとき、前記第1のレーザーからの前記直線偏光送信レーザー光が前記ダイプレクサを通して前記受信機にダイレクトされることを可能にするように構成され、前記自己較正機能が、それにより、前記端末の送信光学素子と受信光学素子との相互コボアサイトポインティング整合を可能にする、請求項2に記載のレーザー通信端末。
【請求項6】
前記送信レーザーモジュールが、前記第1のレーザー波長と前記第2のレーザー波長との間でチューニング可能であるレーザーを備える、請求項1に記載のレーザー通信端末。
【請求項7】
前記直線偏光送信レーザー光を増幅するように構成された高電力光増幅器(HPOA)をさらに備える、請求項1に記載のレーザー通信端末。
【請求項8】
前記直線偏光送信レーザー光が前記HPOAによって増幅された後に、それをフィルタ処理するように構成された送信光バンドパスフィルタアセンブリをさらに備える、請求項7に記載のレーザー通信端末。
【請求項9】
前記波長板が、前記直線偏光送信レーザー光を右円偏光送信レーザー光に変換することと、左円偏光送信レーザー光に変換することとの間で切り替わるために、機械的に回転され得る、請求項1に記載のレーザー通信端末。
【請求項10】
ステッパーモーターが、前記波長板を回転するように構成された、請求項9に記載のレーザー通信端末。
【請求項11】
前記波長板が、前記直線偏光送信レーザー光を右円偏光送信レーザー光に変換することと左円偏光送信レーザー光に変換することとの間で電気的に切り替えられるように構成された液晶可変リターダ(LCVR)である、請求項1に記載のレーザー通信端末。
【請求項12】
前記受信機は、前記第2のレーザー波長が、他の波長が除外されている間にフィルタアセンブリを通過することが可能である第1のフィルタアセンブリモードと、前記第1のレーザー波長が、他の波長が除外されている間に前記フィルタアセンブリを通過することが可能である第2のフィルタアセンブリモードとの間で切替え可能である少なくとも1つの光バンドパスフィルタアセンブリをさらに備える、請求項1に記載のレーザー通信端末。
【請求項13】
前記光バンドパスフィルタアセンブリは、前記第1のレーザー波長が、他の波長が除外されている間に最小の減衰で第1のフィルタチャネルを通過することを可能にするように構成された第1のフィルタチャネルと、前記第2のレーザー波長が、他の波長が除外されている間に最小の減衰で第2のフィルタチャネルを通過することを可能にするように構成された第2のフィルタチャネルとを含み、前記第1のフィルタチャネルと前記第2のフィルタチャネルとは、並列に配置され、いずれかのフィルタチャネルが前記受信機の受信機ビーム経路に挿入され得るように構成された、請求項12に記載のレーザー通信端末。
【請求項14】
前記光バンドパスフィルタアセンブリの前記フィルタチャネルが、前記受信機の前記ビーム経路の中におよびそれの外にそれらを物理的に移動させることによって、前記受信機の前記受信機ビーム経路に挿入され得る、請求項13に記載のレーザー通信端末。
【請求項15】
前記バンドパスフィルタアセンブリの前記フィルタチャネルの各々が、
機械的切替えと、
2位置または3位置チルト回転と、
ステッパーモーターによる回転または直線並進と、
バイスタティック回転ソレノイドによる回転と
のうちの少なくとも1つによって、前記受信機の前記ビーム経路の中におよびそれの外に物理的に移動され得る、請求項13に記載のレーザー通信端末。
【請求項16】
前記バンドパスフィルタアセンブリの前記第1のフィルタチャネルと前記第2のフィルタチャネルとが、
2×1スイッチのペアと、
2×1ファイバーカプラのペアと、
3ポートDWDM(高密度波長分割多重化)光ファイバーフィルタのペアから所望の出力を選択するように構成された2×1スイッチと
のうちの少なくとも1つを制御することによって選択され得る、請求項13に記載のレーザー通信端末。
【請求項17】
前記受信機が、空間捕捉フィルタアセンブリを実装する空間捕捉追跡モジュールをさらに備え、ここにおいて、前記空間捕捉フィルタアセンブリは、
前記第1のレーザー波長が、他の波長が除外されている間に最小の減衰で前記第1の捕捉フィルタチャネルを通過することを可能にするように構成された第1の捕捉フィルタチャネルと、
前記第2のレーザー波長が、他の波長が除外されている間に最小の減衰で前記第2の捕捉フィルタチャネルを通過することを可能にするように構成された第2の捕捉フィルタチャネルと、
すべての光波長が最小の減衰でそれを通過することを可能にするように構成されたフィルタなしチャネルと
を含む、請求項1に記載のレーザー通信端末。
【請求項18】
前記受信機は、前記第1のレーザー波長が、他の波長が除外されている間に最小の減衰でそれを通過することを可能にするように構成された第1のフィルタをその中に含む第1のビーム経路と、前記第2のレーザー波長が、他の波長が除外されている間に最小の減衰でそれを通過することを可能にするように構成された第2のフィルタをその中に含む第2のビーム経路とである、2つの平行ビーム経路を含む、請求項1に記載のレーザー通信端末。
【請求項19】
前記受信された光が、
2×1スイッチと、
2×1ファイバーカプラと、
前記受信された光を、それの偏光に従って、選択されたビーム経路にダイレクトするように構成された液晶可変リターダ(LCVR)と組み合わせた偏光ビームスプリッタと
のうちの少なくとも1つによって、前記ビーム経路間で切り替えられ得る、請求項18に記載のレーザー通信ノード。
【請求項20】
レーザー通信端末を制御する方法であって、
請求項1に記載のレーザー通信端末を提供することと、
前記レーザー通信端末を前記第1の端末構成に配置し、それにより、直線偏光送信レーザー光が、前記第1のレーザー波長において前記送信レーザーモジュールによって放出され、前記波長板が、前記直線偏光送信レーザー光を右円偏光送信光に変換することと、
前記レーザー通信端末を前記第2の端末構成に配置し、それにより、前記直線偏光送信レーザー光が、前記第2のレーザー波長において前記送信レーザーモジュールによって放出され、前記波長板が、前記直線偏光送信レーザー光を左円偏光送信光に変換することと
を備える、方法。
【請求項21】
前記受信機が、光バンドパスフィルタアセンブリを備え、
前記レーザー通信端末を前記第1の端末構成に配置することは、前記第2のレーザー波長を有する光が、他の波長が除外されている間に前記光バンドパスフィルタアセンブリを通過することを可能にするように前記光バンドパスフィルタアセンブリを構成することをさらに備え、
前記レーザー通信端末を前記第2の端末構成に配置することは、前記第1のレーザー波長を有する光が、他の波長が除外されている間に前記光バンドパスフィルタアセンブリを通過することを可能にするように前記光バンドパスフィルタアセンブリを構成することをさらに含む、
請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、ワイヤレス通信に関し、より詳細には、ワイヤレスレーザー通信に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]民間のワイヤレス通信と軍事用ワイヤレス通信の両方の爆発的増加により、通信ノード間の大量のデータの高速で、信頼でき、セキュアなワイヤレス通信の必要性が増大している。ワイヤレス無線周波数による従来の通信は、距離とともに信号強度が急速に減衰すること、および利用可能な通信帯域が限られていることを含む、いくつかの欠点がある。加えて、無線信号は、意図しておらず、敵意のあることがある受信機によって容易にインターセプトされ得る。さらに、敵意のある敵対者が、関心領域を覆う高エネルギーの無線信号を送信することによって無線通信を妨害することを試みることは、比較的容易である。
【0003】
[0003]レーザー通信は、レーザー通信の分散されないフォーカスした性質が、無線通信に関連している問題の大部分を本質的に回避するので、特にポイントツーポイント通信が必要とされるときは、無線通信に対する魅力的なワイヤレス代替形態を提供する。レーザー通信は、周波数プランニングおよび許可の必要をなくし、RFリンクのユーザにとって利用可能な実際的データレートを限定する高度に過密なRFスペクトル帯域幅制約を回避する。レーザー信号はまた、信号エネルギーが、例外的に低い発散とともに回折限界的光学的開口からのビームに緊密に含まれたままであるので、距離の関数として極めて少ない減衰を受ける。また、レーザー通信のインターセプションおよびそれとの干渉は、レーザー通信ビームの直接インターセプション、および/または妨害ビームを意図された信号受信機に直接フォーカスさせることを要求するので、レーザー通信のセキュリティは本質的に高い。
【0004】
[0004]レーザー通信から著しく恩恵を受けることができる1つの重要な適用例は、衛星通信であり、ここでは、見通し線アクセスが概して利用可能であり、およびここでは、通信距離は極めて大きい。グローバルレーザー通信は、複数の衛星の間のレーザー通信ネットワークを形成することによって実現され得る。レーザー通信は、比類のないアンチ妨害特性および本質的に低リスクの通信インターセプトとともに、無線データレートよりもはるかに高いデータレート通信を衛星に提供することができる。
【0005】
[0005]とはいえ、本開示の大部分は衛星レーザー通信のコンテキストで提示されるが、当業者は、本開示が衛星通信に限定されず、レーザー通信の他の実装形態にも適用されることを理解されよう。
【0006】
[0006]全二重(同時、双方向)レーザー通信は、ネットワーク接続性および帯域幅を最大にし、ハンドシェイクオーバーヘッドを最小限に抑えるために、レーザー通信ネットワーク中の端末間で実装され得る。典型的には、2つのレーザー波長がネットワーク中で実装され、それにより、各衛星は、2つの波長のうちの一方の上で送信し、他方の上で受信する。2つの実装された波長は、一般的には、「第1の」波長および「第2の」波長と呼ばれ得る。しかしながら、表現の簡潔さのために、全二重レーザー通信ネットワークにおいて実装された2つの波長は、本明細書では「赤色」および「青色」と呼ばれることがあるが、可視スペクトル内にない波長を含む、任意の2つの波長が選択され得る。2つの波長は、典型的には、受信チャネルが60~100dBまたはそれ以上の係数で送信チャネルから分離され得るように選択される。
【0007】
[0007]典型的には、レーザー通信リンクを形成する端末の各々は、それが「赤色」メッセージ送信レーザーを装備するという点で、「赤色」端末であるか、またはそれは、それが「青色」メッセージ送信レーザーを装備するという点で、「青色」端末であるかのいずれかであり、端末は、「赤色」衛星が「青色」衛星との直接通信に、およびその逆に配置され、それにより、全二重通信が可能になるように構成される。もちろん、「赤色」衛星中の受信機は、受信された「青色」レーザー光を、任意の他の波長が検出器に達するのを除外しながら受信チャネルの検出器にダイレクトするように構成されたフィルタおよび/または他の構成要素を含み、「青色」衛星中の受信機は、「赤色」レーザー光のみが検出器に達することを可能にする同様の構成要素を含む。
【0008】
[0008]レーザー通信は、2つの通信端末の光学素子間の精密ポインティングおよび整合が確立され、維持されることを要求する。これは、特に端末が大きい距離だけ離れているとき、困難であり得る。概して、一方または両方の端末は、他方の端末によって検出され得るように、それのフォーカスがわずかに分散された整合「ビーコン」を送信する。典型的には、各ビーコンは、「赤色」波長でも「青色」波長でもない波長において送信される。ビーコンは、低減された電力を用いることもある「捕捉フェーズ」中の初期整合と、データ通信(「通信フェーズ」)中に整合を維持するためのより緊密なフォーカスとの両方のために使用される。精密な整合を確立するためのビーコンのこの使用は、よりはるかに狭い「赤色」および「青色」通信ビームの精密ポインティングを可能にし、それにより、信号対バックグラウンド比を著しく向上させ、高速で正確な通信を保証しながら、電力消費量を低減する。整合が確立されると、ビーコン電力および角度発散は低減され、それにより、電力は解放されて、通信レーザーにリダイレクトされ得る。
【0009】
[0009]2つの衛星または他のレーザー端末の光学素子間の整合を確立することに加えて、各端末の「赤色」および「青色」光学素子、すなわち送信光学素子と受信光学素子とは、相対的不整合を引き起こす傾向があり得る何らかの熱応力および他のファクタにもかかわらず、互いに整合されたままであること、すなわち「コボアサイト整合(co-boresight alignment)」も必要である。送信/受信光学素子のこの相互整合の周期的な較正および調整は、概して、較正源としてのリモート端末の協働を必要とする。代替として、端末自蔵式送信/受信ボアサイト整合機能の実装を可能にするために、端末中に追加の装置を含めることが必要であり得る。
【0010】
[0010]さらに、各端末が「赤色」端末または「青色」端末のいずれかであるような固定の構成は、何らかの混乱に応答して、たとえば端末のうちの1つが機能不全または悪意のある攻撃により機能しない場合、レーザー通信ネットワークを再構成するためのフレキシビリティを限定する。
【0011】
[0011]必要であるものは、したがって、レーザー通信ネットワーク内の端末の再構成のフレキシビリティが増加した、レーザー通信端末アーキテクチャおよび方法である。好ましくは、改善されたアーキテクチャおよび方法はまた、較正標準としての第2の端末の協働を必要とせずに、端末の送信光学素子と受信光学素子との相互整合を可能にすべきである。
【発明の概要】
【0012】
[0012]本開示は、開示されるアーキテクチャを実装する端末の構成が、「赤色」端末としての構成と「青色」端末としての構成との間で必要に応じて遷移され得るという点で、レーザー通信ネットワーク内の端末の再構成のための増加したフレキシビリティを有するレーザー通信端末アーキテクチャおよび方法である。実施形態は、衛星端末、地上端末、およびアドホック空中ネットワーク構成を実装するフライト中の空中端末に適用可能である。衛星端末において実装される実施形態は、軌道上の赤色構成と青色構成との間で遷移することを可能にする。実施形態は、較正標準としての第2のリモート端末の協働を必要とせずに、端末の送信光学素子と受信光学素子との相互コボアサイトポインティング整合をさらに可能にする。
【0013】
[0013]本開示によれば、開示されるレーザー通信アーキテクチャを実装する各端末は、本明細書では「赤色」レーザー波長および「青色」レーザー波長と呼ばれる、2つのレーザー波長のいずれかの上で通信を送信することの間で遷移することが可能であるレーザー送信モジュールを含むが、2つのレーザーは、互いに分離され得るどんな2つの波長を有することもでき、可視スペクトル内である必要はない。実施形態では、2つのレーザー波長は、60~100dBまたはそれ以上の送信/受信分離を可能にするように選択される。たとえば、実施形態では、赤色波長と青色波長との間の分離は、2.4nmと15nmとの間、すなわち1550nmスペクトル領域における300GHz~1875GHz分離である。
【0014】
[0014]開示されるアーキテクチャは、赤色波長と青色波長とのうちの一方において通信を送信しながら、受信チャネルが2つの波長のうちの他方にチューニングされるように端末をダイレクトするコントローラをさらに含む。
【0015】
[0015]いくつかの実施形態では、レーザー送信モジュールは、赤色波長と青色波長とにそれぞれチューニングされる2つの別個の通信レーザーを含む。これらの実施形態のうちのいくつかでは、2つのレーザー出力は、コンバイナにダイレクトされ、コントローラは、レーザーのうちの1つだけを駆動させ、それにより、端末が赤色通信ビームを送信するのか青色通信ビームを送信するのかを選択する。同様の実施形態では、2つのレーザーの出力は、2つの出力のうちの1つを選択し、それにより、端末が赤色メッセージビームを送信するのか青色メッセージビームを送信するのかを選択するために使用される、レーザーセレクタの入力にダイレクトされる。
【0016】
[0016]他の実施形態では、レーザー送信モジュールは、赤色波長と青色波長との間でチューニングされ得る単一の通信レーザーを含む。たとえば、実施形態は、国際電気通信連合によって指定された高密度波分割多重化(「ITU-DWDM」)のために使用されるレーザーと同様のチューニング可能なレーザーを実装する。例示的な実施形態では、たとえば、青色レーザー波長は、1550.92nmにおけるチャネル#33であり、赤色レーザー波長は、1553.33nmにおけるチャネル#30であり、それにより、赤色波長と青色波長との間の2.4nmの分離を提供する。
【0017】
[0017]レーザー送信モジュールの出力が変調器によって変調された後に、送信出力電力は、高電力光増幅器(HPOA:high power optical amplifier)によってブーストされる。送信波長において出力電力を増幅することに加えて、HPOAは、受信波長において増幅自然放出(ASE:amplified spontaneous emission)ノイズをも生じ得る。したがって、HPOAの後に、実施形態は、通常ならば受信機において散乱光問題を引き起こし得る望ましくないHPOA ASE受信波長放出をブロックするために選択され得る、選択可能な「赤色」および「青色」フィルタを送信経路に含む。
【0018】
[0018]送信レーザーモジュールに含まれる1つまたは複数の送信レーザーは、直線偏光ビームを放出するように構成される。これは、本アーキテクチャが送信/受信ダイプレクサの一部として直線偏光ビームスプリッタを実装することを可能にする。ダイプレクサは、ビームスプリッタを通過する直線偏光送信光を、赤色端末と青色端末との間の自由空間中を伝搬する右円偏光ビームまたは左円偏光ビームのいずれかに変換するために、回転してまたは電気的に切替え可能である共通の入出力経路に、偏光リターダ(すなわち波長板)をさらに含む。同様に、端末によって受信された円偏光通信光は、それがビームスプリッタに達する前に、波長板によって直線偏光光に変換される。開示される方法によれば、端末が、赤色端末として構成されることと青色端末として構成されることとの間で切り替えられるとき、偏光波長板は、反対方向の円偏光を「赤色」および「青色」送信レーザー光に課すように切り替えられる。
【0019】
[0019]したがって、たとえば、端末が赤色端末として構成され、それにより、垂直偏光赤色レーザー光が、水平偏光ビームスプリッタによって反射され、その後、波長板によって右円偏光に変換された場合、通信は、青色波長において左円偏光として受信され、これは、波長板によって水平偏光青色光に変換され、次いで、ビームスプリッタを通って受信機に伝搬する。
【0020】
[0020]開示されるアーキテクチャのダイプレックス機能は、したがって、バンドパスフィルタを使用してTx-Rxダイプレクサを実装するより一般的な二色性手法とは対照的に、バンドパスフィルタに依拠することなしに、送信および受信されるビームの偏光を制御することによって完全に実装される。本手法は、それにより、精密ポインティングまたは送信と受信との間のコボアサイト整合に影響を及ぼすことなしに、単に波長板によって課される円偏光を反転させることによって、端末ダイプレクサが、それぞれ、青色光を受信しながら「赤色」光を受信することと、赤色光を受信しながら「青色」光を受信することとの間で容易に切り替えられることを可能にする。
【0021】
[0021]実施形態では、波長板は半波長板であり、円偏光の方向は、半波長板の機械的回転によって、たとえばステッパーモーターを使用して選択される。他の実施形態では、円偏光方向は、波長板として可動部を有しない液晶可変リターダ(LCVR)を使用して電気的に選択される。
【0022】
[0022]様々な実施形態は、受信チャネルへの外来光の進入をさらに最小限に抑える光バンドパスフィルタアセンブリを受信機に含む。実施形態では、各バンドパスフィルタアセンブリは、並列に配置され、いずれかのバンドパスフィルタが受信機ビーム経路に挿入され得るように構成された、「赤色」バンドパスフィルタと「青色」バンドパスフィルタとを含む。実施形態では、受信機は、バンドパスフィルタアセンブリが、すべての光波長が受信機に進入することを可能にするために赤色または青色バンドパスフィルタの代わりに選択され得る「フィルタなし」チャネルを含む、空間捕捉追跡モジュールをさらに実装する。たとえば、実施形態では、フィルタなしチャネルは、焦点面アレイなどの空間捕捉受信機が、端末の姿勢のための天測航行フィックスを取得するために、星から広帯域光を受け付けることを可能にする。
【0023】
[0023]実施形態では、バンドパスフィルタアセンブリのフィルタは、たとえば機械的スイッチを介して、2位置または3位置チルト回転を介して、ステッパーモーター回転または直線並進を介して、あるいはバイスタティック回転ソレノイドを介して、受信機のビーム経路の中におよびそれの外にそれらを物理的に移動させることによって選択可能である。他の実施形態では、フィルタは、2×1または3×1スイッチのペアを介して、あるいは2×1または3×1ファイバーカプラによって選択可能である。
【0024】
[0024]さらに他の実施形態では、フィルタアセンブリは、3ポートDWDM(高密度波長分割多重化)光ファイバーフィルタを実装する。および、また他の実施形態では、受信機は、それぞれ赤色フィルタと青色フィルタとを含む平行ビーム経路を実装し、受信された光は、たとえば、所望のフィルタ経路を選択するためにLCVRと組み合わせて2×1スイッチまたは偏光ビームスプリッタを使用して、経路間で切り替えられる。
【0025】
[0025]したがって、開示されるアーキテクチャは、レーザー通信ネットワーク中の端末が、「赤色」端末であることと「青色」端末であることとの間で切り替えられることを可能にし、それにより、たとえばノードのうちの1つが機能不全または悪意のある攻撃により機能しない場合などの何らかの混乱に応答して、レーザー通信ネットワークを再構成する際のより大きいフレキシビリティを提供する。
【0026】
[0026]
図4を参照すると、別個の赤色レーザー102と青色レーザー104とを含むいくつかの実施形態は、随意の減衰器402および/または波長板404がアタッチされた外部逆反射体400を含むことによって、自己コボアサイト整合機能をさらに実装し、それにより、たとえば、端末が「青色」端末として構成されたとき、赤色レーザー102からの送信光は、受信機光学素子の整合のために受信機チャネル114に逆反射され得、その逆も同様である。
【0027】
[0027]本開示の第1の一般的態様は、レーザー通信端末であり、このレーザー通信端末は、第1のレーザー波長において直線偏光送信レーザー光を放出することと、第2のレーザー波長において直線偏光送信レーザー光を放出することとの間で遷移されるように構成された送信レーザーモジュールと、送信レーザー光を、その上に通信データを符号化するように変調するように構成された通信変調器と、通信フェーズ中に、レーザー通信端末が第1の端末構成であるとき、送信レーザー光が第1のレーザー波長において送信レーザーモジュールによって放出させられ、レーザー通信端末が第2の端末構成であるとき、送信レーザー光が第2のレーザー波長において送信レーザーモジュールによって放出させられるように構成されたコントローラと、レーザー通信端末の受信入力からレーザー光を受信し、受信されたレーザー光を検出器にダイレクトするように構成された受信機と、送信受信偏光ダイプレクサとを含む。送信受信偏光ダイプレクサは、直線偏光送信レーザー光を端末の送信出力にダイレクトするように配向された直線偏光を有するビームスプリッタと、直線偏光送信レーザー光を円偏光レーザー光に変換するように構成された波長板とを含み、波長板は、レーザー通信端末が第1の端末構成であるとき、直線偏光送信レーザー光を右円偏光送信レーザー光に変換するように構成され、波長板は、レーザー通信端末が第2の端末構成であるとき、直線偏光送信レーザー光を左円偏光送信レーザー光に変換するように再構成可能である。ダイプレクサは、受信されたレーザー光が、円偏光送信レーザー光と反対である円偏光を有するとき、受信されたレーザー光を受信入力から受信機にダイレクトするように構成される。
【0028】
[0028]実施形態では、送信レーザーモジュールは、第1のレーザー波長において直線偏光送信レーザー光を放出するように構成された第1のレーザーと、第2のレーザー波長において直線偏光送信レーザー光を放出するように構成された第2のレーザーとを備える。これらの実施形態のうちのいくつかでは、第1のレーザーと第2のレーザーとによって放出された直線偏光送信レーザー光は、レーザーセレクタのそれぞれ第1の入力と第2の入力とにダイレクトされ、レーザーセレクタは、通信フェーズ中に、それの入力のうちの1つから直線偏光送信レーザー光を選択し、選択された直線偏光送信レーザー光を通信変調器にダイレクトするように構成される。これらの実施形態のうちのいくつかでは、レーザーセレクタは、2:1のレーザースイッチを含む。
【0029】
[0029]第1のレーザー波長において直線偏光送信レーザー光を放出するように構成された第1のレーザーと、第2のレーザー波長において直線偏光送信レーザー光を放出するように構成された第2のレーザーとを含む実施形態のいずれかは、外部逆反射体を含む自己較正機能をさらに含むことができ、自己較正機能は、端末が第1の端末構成であるとき、第2のレーザーからの直線偏光送信レーザー光がダイプレクサを通して受信機にダイレクトされることを可能にするように構成され、自己較正機能は、端末が第2の端末構成であるとき、第1のレーザーからの直線偏光送信レーザー光がダイプレクサを通して受信機にダイレクトされることを可能にするように構成され、自己較正機能は、それにより、端末の送信光学素子と受信光学素子との相互コボアサイトポインティング整合を可能にする。
【0030】
[0030]他の実施形態では、送信レーザーモジュールは、第1のレーザー波長と第2のレーザー波長との間でチューニング可能であるレーザーを含む。
【0031】
[0031]上記の実施形態のいずれかは、直線偏光送信レーザー光を増幅するように構成された高電力光増幅器(HPOA)をさらに含むことができる。これらの実施形態のうちのいくつかは、直線偏光送信レーザー光がHPOAによって増幅された後に、それをフィルタ処理するように構成された送信光バンドパスフィルタアセンブリをさらに含む。
【0032】
[0032]上記の実施形態のいずれかでは、波長板は、直線偏光送信レーザー光を右円偏光送信レーザー光に変換することと、左円偏光送信レーザー光に変換することとの間で切り替わるために、機械的に回転可能であり得る。これらの実施形態のうちのいくつかでは、ステッパーモーターは、波長板を回転するように構成される。
【0033】
[0033]上記の実施形態のいずれかでは、波長板は、直線偏光送信レーザー光を右円偏光送信レーザー光に変換することと左円偏光送信レーザー光に変換することとの間で電気的に切り替えられるように構成された液晶可変リターダ(LCVR)であり得る。
【0034】
[0034]上記の実施形態のいずれかでは、受信機は、第2のレーザー波長が、他の波長が除外されている間にフィルタアセンブリを通過することが可能である第1のフィルタアセンブリモードと、第1のレーザー波長が、他の波長が除外されている間にフィルタアセンブリを通過することが可能である第2のフィルタアセンブリモードとの間で切替え可能である少なくとも1つの光バンドパスフィルタアセンブリをさらに含むことができる。これらの実施形態のうちのいくつかでは、光バンドパスフィルタアセンブリは、第1のレーザー波長が、他の波長が除外されている間に最小の減衰で第1のフィルタチャネルを通過することを可能にするように構成された第1のフィルタチャネルと、第2のレーザー波長が、他の波長が除外されている間に最小の減衰で第2のフィルタチャネルを通過することを可能にするように構成された第2のフィルタチャネルとを含み、第1のフィルタチャネルと第2のフィルタチャネルとは、並列に配置され、いずれかのフィルタチャネルが受信機の受信機ビーム経路に挿入され得るように構成される。いずれかのこれらの実施形態では、光バンドパスフィルタアセンブリのフィルタチャネルは、受信機のビーム経路の中におよびそれの外にそれらを物理的に移動させることによって、受信機の受信機ビーム経路に挿入可能であり得る。これらの実施形態のいずれかではバンドパスフィルタアセンブリのフィルタチャネルの各々は、機械的切替えと、2位置または3位置チルト回転と、ステッパーモーターによる回転または直線並進と、バイスタティック回転ソレノイドによる回転とのうちの少なくとも1つによって、受信機のビーム経路の中におよびそれの外に物理的に移動可能であり得る。これらの実施形態のいずれかでは、バンドパスフィルタアセンブリの第1のフィルタチャネルと第2のフィルタチャネルとは、2×1スイッチのペアと、2×1ファイバーカプラのペアと、3ポートDWDM(高密度波長分割多重化)光ファイバーフィルタのペアから所望の出力を選択するように構成された2×1スイッチとのうちの少なくとも1つを制御することによって選択可能であり得る。
【0035】
[0035]上記の実施形態のいずれかでは、受信機は、空間捕捉フィルタアセンブリを実装する空間捕捉追跡モジュールをさらに含むことができ、ここにおいて、空間捕捉フィルタアセンブリは、第1のレーザー波長が、他の波長が除外されている間に最小の減衰で第1の捕捉フィルタチャネルを通過することを可能にするように構成された第1の捕捉フィルタチャネルと、第2のレーザー波長が、他の波長が除外されている間に最小の減衰で第2の捕捉フィルタチャネルを通過することを可能にするように構成された第2の捕捉フィルタチャネルと、すべての光波長が最小の減衰でそれを通過することを可能にするように構成されたフィルタなしチャネルとを含む。
【0036】
[0036]上記の実施形態のいずれかでは、受信機は、第1のレーザー波長が、他の波長が除外されている間に最小の減衰でそれを通過することを可能にするように構成された第1のフィルタをその中に含む第1のビーム経路と、第2のレーザー波長が、他の波長が除外されている間に最小の減衰でそれを通過することを可能にするように構成された第2のフィルタをその中に含む第2のビーム経路とである、2つの平行ビーム経路を含むことができる。これらの実施形態のうちのいくつかでは、受信された光は、2×1スイッチと、2×1ファイバーカプラと、受信された光を、それの偏光に従って、選択されたビーム経路にダイレクトするように構成された液晶可変リターダ(LCVR)と組み合わせた偏光ビームスプリッタとのうちの少なくとも1つによって、ビーム経路間で切り替えられ得る。
【0037】
[0037]本開示の第2の一般的態様は、レーザー通信端末を制御する方法である。本方法は、第1の一般的態様によるレーザー通信端末を提供することと、レーザー通信端末を第1の端末構成に配置し、それにより、直線偏光送信レーザー光が、第1のレーザー波長において送信レーザーモジュールによって放出され、波長板が、直線偏光送信レーザー光を右円偏光送信光に変換することと、レーザー通信端末を第2の端末構成に配置し、それにより、直線偏光送信レーザー光が、第2のレーザー波長において送信レーザーモジュールによって放出され、波長板が、直線偏光送信レーザー光を左円偏光送信光に変換することとを含む。
【0038】
[0038]実施形態では、受信機は、光バンドパスフィルタアセンブリを備え、レーザー通信端末を第1の端末構成に配置することは、第2のレーザー波長を有する光が、他の波長が除外されている間に光バンドパスフィルタアセンブリを通過することを可能にするように光バンドパスフィルタアセンブリを構成することをさらに備え、レーザー通信端末を第2の端末構成に配置することは、第1のレーザー波長を有する光が、他の波長が除外されている間に光バンドパスフィルタアセンブリを通過することを可能にするように光バンドパスフィルタアセンブリを構成することをさらに含む。
【0039】
[0039]本明細書で説明される特徴および利点は、すべてを含むとは限らず、特に、多くの追加の特徴および利点が、図面、明細書、および特許請求の範囲に鑑みて、当業者には明らかであろう。その上、本明細書において使用される文言は、主に、読みやすさおよび教示目的のために選択されており、本発明の主題の範囲を限定するものではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1A】[0040]別個の赤色送信レーザーと青色送信レーザーとを含む送信レーザーモジュールを有する本開示の一実施形態のブロック図。
【
図1B】[0041]一実施形態における送信機を示し、ここにおいて、送信レーザーモジュールが、赤色波長と青色波長との間でチューニング可能であるただ1つの送信レーザーを含む、ブロック図。
【
図1C】[0042]本開示の一実施形態における送信されたレーザー光とビームスプリッタおよび波長板との間の相互作用を示すブロック図。
【
図1D】[0043]本開示の一実施形態における受信されたレーザー光およびビームスプリッタと波長板との間の相互作用を示すブロック図。
【
図2】[0044]空間捕捉追跡検出器を含み、ここにおいて、3×1スイッチが、フィルタアセンブリの赤色チャネルと、青色チャネルと、フィルタなしチャネルとの間で選択する、本開示の一実施形態における受信機のブロック図。
【
図3】[0045]3ポートDWDM光ファイバーフィルタのペアがそれの出力において単一の2×1光スイッチのみを必要とする、
図1Aと
図2とのフィルタアセンブリに対する代替形態であるフィルタアセンブリのブロック図。
【
図4】[0046]自己コボアサイト整合を実施するときに示される外部逆反射体をさらに含む、
図1Aと同様の一実施形態のブロック図。
【
図5】[0047]本開示の方法実施形態による赤色構成と青色構成との間のレーザー通信端末の再構成を示す流れ図。
【発明を実施するための形態】
【0041】
[0048]本開示は、開示されるアーキテクチャを実装する端末の構成が、「赤色」端末として構成されることと「青色」端末として構成されることとの間で切り替えられ得るという点で、レーザー通信ネットワーク内の端末の再構成のための増加したフレキシビリティを有するレーザー通信端末アーキテクチャおよび方法である。実施形態は、較正標準としての第2の端末の協働を必要とせずに、開示されるアーキテクチャを実装する端末の送信光学素子と受信光学素子とのコボアサイト整合をさらに可能にする。
【0042】
[0049]
図1Aを参照すると、本開示のアーキテクチャは、本明細書では「赤色」波長および「青色」波長と呼ばれる、2つの選択された波長のいずれかにおいて通信を送信することの間で遷移され得る送信機100を含むが、2つの選択された波長は、互いに分離され得るどんな2つの波長であることもでき、可視スペクトル内である必要さえない。実施形態では、2つのレーザー波長は、60~100dBまたはそれ以上の送信/受信分離を可能にするように選択される。たとえば、実施形態では、赤色波長と青色波長との間の分離は、2.4nmと15nmとの間、すなわち1550nmスペクトル領域における300GHz~1875GHz分離である。
【0043】
[0050]開示されるアーキテクチャは、赤色波長と青色波長とのうちの他方において通信を受信するために協働的に遷移され得る受信機114、ならびに送信のために赤色波長または青色波長のいずれかを選択するように送信機100をダイレクトしながら、2つの波長のうちの他方において通信を受信するように受信チャネル114に命令するコントローラ146をさらに含む。
【0044】
[0051]開示されるレーザー通信アーキテクチャの送信機100は、「送信レーザーモジュール」144を備える。
図1Aの実施形態では、送信レーザーモジュール144は、本明細書で「赤色」レーザー102および「青色」レーザー104と呼ばれる、2つのレーザー通信送信レーザー102、104を含む。
図1Bを参照すると、他の実施形態では、送信レーザーモジュール144は、赤色波長と青色波長との間でチューニングされ得る単一の通信送信レーザー134のみを含む。
【0045】
[0052]送信レーザーモジュール144の出力が変調器108によって変調された後に、それの電力は、高電力光増幅器(HPOA)130によってブーストされる。選択された赤色送信波長または青色送信波長において出力電力を増幅することに加えて、HPOA130はまた、赤色波長と青色波長とのうちの他方において、すなわち受信波長において増幅自然放出(ASE)ノイズを放出し得る。したがって、
図1Bに示されているように、HPOAの後に、実施形態は、通常ならば受信機114に追加のノイズとして散乱光を導入し得る望ましくないHPOA ASE受信波長放出をブロックするために送信経路に挿入され得る、選択可能な「赤色」および「青色」フィルタをさらに含む。
【0046】
[0053]送信レーザーモジュール144が2つのレーザー102、104を含むいくつかの実施形態では、2つのレーザー102、104のレーザー出力は、コンバイナにダイレクトされ、コントローラ146は、レーザー102、104のうちの1つだけを駆動させ、それにより、送信レーザーモジュール144が赤色通信ビームを放出するのか青色通信ビームを放出するのかを選択する。他の実施形態では、2つのレーザー102、104の出力は、2つの送信出力のうちの1つを選択し、それにより、レーザー送信モジュール144が赤色通信ビームを放出するのか青色通信ビームを放出するのかを選択するために使用される、レーザーセレクタの入力にダイレクトされる。
図1Aの実施形態では、赤色レーザー102と青色レーザー104との間の選択は、2×1スイッチ106によって行われる。
【0047】
[0054]送信レーザー134、または送信レーザーモジュール144に含まれるレーザー102、104は、直線偏光ビームを放出するように構成される。これは、本アーキテクチャが送信/受信ダイプレクサの一部として直線偏光ビームスプリッタ110を実装することを可能にする。ダイプレクサは、ビームスプリッタ110からの直線偏光光を右円偏光または左円偏光のいずれかに変換し、円偏光された受信された光を直線偏光光に変換し戻すために、回転してまたは電気的に切替え可能である、偏光リターダ(すなわち波長板)132をさらに含む。開示される方法によれば、端末が、赤色端末として構成されることと青色端末として構成されることとの間で切り替えられるとき、偏光波長板132は、反対方向の円偏光を「赤色」および「青色」送信レーザー光に課すように切り替えられる。
【0048】
[0055]たとえば、
図1Cを参照すると、
図1Aの送信レーザーモジュール144のレーザー102、104が垂直偏光光を放出するように構成された場合、ビームスプリッタ110は、水平偏光である。赤色レーザー102が選択された場合、赤色レーザー102からの垂直偏光光134は、偏光ビームスプリッタ110によって反射され、得られたビーム136は、次いで、(図示の例によれば)波長板132によって、右円偏光138された出力ビーム112に変換される。
図1Dを参照すると、通信112は、この例によれば、青色波長において左円偏光140として受信され、これは、波長板132によって水平偏光青色光142に変換され、次いで、ビームスプリッタ110を通って受信機114の前置増幅器124に送信される。
【0049】
[0056]したがって、開示されるアーキテクチャのデュプレックス機能は、バンドパスフィルタを使用してTx-Rxダイプレクサを実装するより一般的な二色性手法とは対照的に、バンドパスフィルタに依拠することなしに、送信および受信されるビームの偏光を制御することによって完全に実装される。本手法は、それにより、精密ポインティングに影響を及ぼすことなしに、および送信と受信との間のコボアサイト整合に影響を及ぼすことなしに、単に波長板132の円偏光方向を反転させることによって、端末が「赤色」光を受信することと「青色」光を受信することとの間で容易に切り替えられることを可能にする。いくつかの実施形態では、円偏光波長板の方向は、波長板132を機械的に回転することによって、たとえばステッパーモーターを使用して変更され得る。他の実施形態では、円偏光の方向は、波長板132として液晶可変リターダ(LCVR)を実装することによって電気的に制御される。
【0050】
[0057]様々な実施形態は、受信チャネル114の通信検出器148に先行するチューニング可能な光学フィルタ(TOF:tunable optical filter)126への外来光(たとえば送信レーザーASEまたは散乱日光)の進入をさらに最小限に抑える帯域外ブロッキングをもつ光バンドパスフィルタアセンブリ116を受信機114に含む。
図1Aの実施形態では、バンドパスフィルタアセンブリ116は、並列に配置され、いずれかのフィルタ118、120が受信機ビーム経路128に挿入され得るように構成された、「赤色」バンドパスフィルタ118と「青色」バンドパスフィルタ120とを含む。
【0051】
[0058]
図2を参照すると、実施形態では、受信機114は、初期端末整合とナビゲーションとのために使用される空間捕捉追跡モジュール200をさらに実装する。
図2の実施形態では、空間捕捉追跡モジュール200は、赤色チャネル118と、青色チャネル120と、「フィルタなし」チャネル204との間で選択するために3×1スイッチ202を使用する空間捕捉フィルタアセンブリ208を含み、ここにおいて、「フィルタなし」チャネル204は、すべての光波長が、実施形態では象限検出器またはピクセル化された焦点面アレイである捕捉センサー206に進入することを可能にする。フィルタなしチャネル204は、たとえば、端末の姿勢のための天測航行フィックスを取得するために星の光を使用するとき、有用である。
【0052】
[0059]実施形態では、バンドパスフィルタアセンブリ116、208のフィルタチャネル118、120、204は、たとえば機械的スイッチを介して、2位置または3位置チルト回転を介して、ステッパーモーター回転または直線並進を介して、あるいはバイスタティック回転ソレノイドを介して、受信機114のビーム経路の中におよびそれの外にそれらを物理的に移動させることによって選択可能である。他の実施形態では、受信機114は、それぞれ赤色フィルタ118と青色フィルタ120とを有する平行ビーム経路を含み、受信された光128は、たとえばビーム128の偏光を回転させ、それにより、所望のフィルタ経路を選択するために液晶可変リターダ(LCVR)と組み合わせた偏光ビームスプリッタを使用して、経路間で切り替えられる。
【0053】
[0060]
図1Aの実施形態では、フィルタ118、120は、2×1スイッチのペアを介して選択可能であり、
図2では、空間捕捉追跡モジュール200のフィルタアセンブリ208中のフィルタ118、120、204は、3×1スイッチ202を介して選択可能である。同様の実施形態は、2×1または3×1ファイバーカプラを実装する。
【0054】
[0061]
図2の実施形態では、通信受信チャネルは、光ブースタ増幅器210がそれらの中間に含まれている、2つのフィルタアセンブリ116を含む。実施形態では、光ブースタ増幅器210は、エルビウムドープファイバー増幅器(EDFA)またはイットリウムドープファイバー増幅器(YDFA)であり得る。
【0055】
[0062]さらに他の実施形態では、
図3を参照すると、フィルタは、3ポートDWDM(高密度波長分割多重化)光ファイバーフィルタ300、302によって選択可能であり、それらの各々は、赤色光のみまたは青色光のみを送信しながら、すべての他の波長を反射するように構成される。
図3の実施形態では、フィルタアセンブリ116の出力は、2つのDWDM300、302の間から2×1スイッチ122によって選択される。
【0056】
[0063]したがって、
図5を参照すると、開示されるアーキテクチャは、直線偏光赤色レーザー光504を放出するように送信レーザーモジュールを構成し、直線偏光赤色レーザー光を右円偏光赤色レーザー光506に変換するように波長板を構成し、左円偏光青色レーザー光508を受信するように受信機を構成することによって、レーザー通信端末500が「赤色」端末502として構成されることを可能にする。開示されるアーキテクチャは、直線偏光青色レーザー光512を放出するように送信レーザーモジュールを構成し、直線偏光青色レーザー光を左円偏光赤色レーザー光514に変換するように波長板を構成し、右円偏光赤色レーザー光516を受信するように受信機を構成することによって、レーザー通信端末500が「青色」端末510として構成されることをさらに可能にする。もちろん、本開示は、赤色レーザー光に左円偏光を割り当て、青色レーザー光に右円偏光を割り当てることによっても実装され得る。開示されるレーザー通信端末アーキテクチャは、それにより、たとえばノードのうちの1つが機能不全または悪意のある攻撃により機能しない場合などの何らかの混乱に応答して、レーザー通信ネットワークを再構成する際のより大きいフレキシビリティを提供する。
【0057】
[0064]
図1Aに示されているように、送信レーザーモジュール144において赤色レーザー118と青色レーザー120の両方を実装するいくつかの実施形態は、随意の減衰器および/または波長板がアタッチされた外部逆反射体を含むことによって、自己較正機能(図示されず)をさらに実装し、それにより、端末が「赤色」端末として構成されたとき、青色レーザーからの送信光は、受信機光学素子の整合のために受信機チャネルに逆反射され得、その逆も同様である。この自己較正機能は、リモートノードが較正源として働く必要を低減するかまたはなくす。
【0058】
[0065]本開示の実施形態の上記の説明は、例示および説明のために提示された。この提出物のあらゆるページ、およびその上のすべてのコンテンツは、特徴づけられ、識別され、または番号を付けられるが、本出願内の形態または配置にかかわらず、すべての目的のために本出願の実質的部分と見なされる。本明細書は、網羅的なものでも、開示された厳密な形態に本開示を限定するものでもない。本開示に照らして、多くの修正および変形が可能である。
【0059】
[0066]本出願は、限られた数の形態で示されているが、本開示の範囲は、これらの形態のみに限定されず、それの趣旨から逸脱することなく様々な変更および修正が可能である。本明細書で提示された開示は、本開示の範囲内に入る特徴のすべての可能な組合せを明示的に開示していない。様々な実施形態の本明細書で開示された特徴は、概して、本開示の範囲を逸脱することなく交換され、自己矛盾していない任意の組合せに組み合わされ得る。特に、以下の従属請求項において提示される限定は、従属請求項が互いに論理的に不適合でない限り、本開示の範囲から逸脱することなく、任意の数においておよび任意の順序でそれらの対応する独立請求項と組み合わされ得る。
【国際調査報告】