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特表2022-547373セルラーベースのナビゲーション方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-14
(54)【発明の名称】セルラーベースのナビゲーション方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 19/06 20100101AFI20221107BHJP
   G01C 21/28 20060101ALI20221107BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20221107BHJP
   G16Y 40/60 20200101ALI20221107BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20221107BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20221107BHJP
   G01S 19/50 20100101ALI20221107BHJP
【FI】
G01S19/06
G01C21/28
G01C21/26 P
G16Y40/60
G16Y20/20
G16Y10/40
G01S19/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577353
(86)(22)【出願日】2020-09-08
(85)【翻訳文提出日】2022-02-24
(86)【国際出願番号】 IL2020050977
(87)【国際公開番号】W WO2021048841
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】269263
(32)【優先日】2019-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521342751
【氏名又は名称】ヴェーライド ジオ エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ラピドット,ツヴィ
(72)【発明者】
【氏名】ティロッシュ,エウド
【テーマコード(参考)】
2F129
5J062
【Fターム(参考)】
2F129AA02
2F129AA03
2F129BB03
2F129BB21
2F129BB33
2F129BB46
2F129BB66
2F129EE02
2F129EE78
2F129EE94
2F129FF02
2F129FF11
2F129FF15
2F129FF20
2F129FF36
2F129FF62
2F129FF71
2F129GG17
2F129GG18
5J062AA05
5J062BB05
5J062CC07
5J062EE00
5J062HH00
(57)【要約】
【解決手段】
GPSデバイスの精度を改善するための修正関数を作成するための方法は、複数の把握されている位置で複数の時間サンプルを収集し、ここで、各時間サンプルは、複数の人工衛星からのGPS座標および関連する人工衛星データからなる。人工衛星データは、(i)関連する人工衛星の人工衛星方位および高度、(ii)関連する人工衛星からの受信シグナルのシグナル対ノイズ比、ならびに随意に(iii)疑似距離、に関する判定を含むか、または許可する。各時間サンプルについて、把握されている位置と対応するGPS座標との間のそれぞれのエラーが計算され、そして、エラー修正関数が、深層学習技術/機械学習技術を複数の時間サンプルに適用することによって、それぞれのGPS座標と人工衛星データの関数として作成される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
GPSデバイスの精度を改善するための修正関数を作成するための方法であって、前記方法は、
複数の把握されている位置で複数の時間サンプルを収集する工程であって、ここで、各時間サンプルは、複数の人工衛星からのGPS座標および関連する人工衛星データからなり、ここで、前記人工衛星データは、(i)関連する人工衛星の人工衛星方位および高度、ならびに(ii)関連する人工衛星からの受信シグナルのシグナル対ノイズ比、に関する判定を含むか、または許可する、工程と、
各時間サンプルに対して、把握されている位置と対応するGPS座標との間のそれぞれのエラーを計算する工程と、
深層学習技術/機械学習技術を前記複数の時間サンプルに適用することによって、それぞれのGPS座標と前記人工衛星データの関数としてエラー修正関数を作成する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
エラー修正関数が、請求項1に記載の方法を使用して取得される、関心領域のGPS座標の精度を改善するための方法であって、前記方法は、
改善された精度で位置を取得するために、前記GPS座標および前記関連する人工衛星データを前記修正関数に入力する工程を、含む、方法。
【請求項3】
前記エラー修正関数は、前記GPSデバイス上に保存される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記エラー修正関数は、前記GPSデバイスと通信しているリモートサーバからGPSデバイスにダウンロードされる、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記エラー修正関数は、広範囲の市街地を走行し、そして車載用GPSデバイスおよび向上した精度の測位を有する動力車両から、経時的に時間サンプルを収集することによって作成され、前記時間サンプルの各々は、前記車載用GPSデバイスおよび向上した精度の位置によって取得された、前記GPS座標、および関連する前記人工衛星データからなる、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記人工衛星データは、(iii)疑似距離の判定を含むか、または許可する、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
第2の実体によって第1の実体を位置特定するための方法であって、前記第1の実体は第1のGPSデバイスを、前記第2の実体は第2のGPSデバイスを、それぞれを携帯し、前記第2の実体は、前記第2のGPSデバイスのGPS座標に基づいて前記第2の実体の向上した精度の位置を提供するナビゲーションシステムを有し、前記方法は、前記第2の実体が実行する、
前記第1のGPSデバイスの、前記GPS座標および関連する人工衛星データを受信する操作であって、ここで、前記人工衛星データは、(i)関連する人工衛星の人工衛星方位および高度、ならびに(ii)関連する人工衛星からの受信シグナルのシグナル対ノイズ比、に関する判定を含むか、または許可する、操作と、
前記第2のGPSデバイスが前記第1のGPSデバイスに近付く時に、両GPSデバイスのそれぞれの人工衛星データを比較する操作と、
両GPSデバイスのそれぞれの人工衛星データが実質的に一致する時に、前記第2のGPSデバイスの前記GPS座標と前記第2の実体の向上した精度の位置との間のオフセットを判定する操作と、
その正しい位置のより良い推定を提供するために、前記オフセットを前記第1のGPSデバイスの前記GPS座標に適用する操作と、を含む、方法。
【請求項8】
前記人工衛星データは、(iii)疑似距離の判定を含むか、または許可する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
統合GPSデバイスを有するハンドヘルドスマートフォンを使用して、配向を改善するための方法であって、前記方法は、
前記GPSデバイスを使用して、前記スマートフォンの位置を判定する工程と、
IMUを有する視線ユニットを、実際の風景中の別個のオブジェクトに向ける工程と、
前記スマートフォンのスクリーン上に表示されたStreet Viewの画像上の前記オブジェクトの画像を特定する工程と、
前記Street Viewのデータベースから前記オブジェクトの位置を抽出する工程と、
前記スマートフォンを保持するユーザーが、空間において、自分自身を前記オブジェクトに対して配向することができるように、前記スマートフォンの位置に対する前記オブジェクトの方位を計算する工程と、を含む、方法。
【請求項10】
プログラム命令を記憶するメモリを有するコンピュータプログラム製品であって、適切なプロセッサ上で実行される時に、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法を実行する、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に歩行者による使用のための、ナビゲーションシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンの出現と共に、GPSは、ナビゲーションの主要な方法として、歩行者やドライバーによって広く使用されるようになった。非常に重要なのは、スマートフォンのGPSが、市街地の歩行者によって、従来の紙の地図の代わりに使用されることである。
【0003】
しかし、歩行者によるGPSの使用は、主に市街地において、携帯電話のGPSシステムの測位精度の低さのために、不便であり、困難であり、そして時に不可能である。さらに、携帯電話磁力計の精度の低さのために、歩行者は、ナビゲーションに必要とされる配向データを有していない。
【0004】
市街地におけるGPSシステムの精度の低さの主な理由は、高い建物が原因で人工衛星への視線が遮断されることである。さらに、直接の視線を有していない人工衛星からのシグナルはむしろ、高い建物によって反射され、歩行者のGPSによって受信され、誤って解釈されて、結果として測位読み取り値における大きなエラーとなる。この現象は「多重経路反射(multiple path reflection)」と呼ばれる。
【0005】
多重経路反射は動力車両ならびに歩行者に影響を与えるが、そのことは動力車両においてはあまり問題にならない、とうのも、動力車両は、歩行者よりも有意に高速で常に移動しているため、それらのそれぞれの人工衛星視認性は、常に高速で変化しており、エラーはしたがって、平滑化され得るからである。また、車と他の路上走行車両の位置が道路に制限されるため、「マップへのスナップ(snap to map)」やIMU(慣性計測装置)データの利用などの技術、および他の情報が使用される。追加的に、方向は、GPSの動きと速度によって高精度であると知られる。
【0006】
この欠点は、運転手による乗客のピックアップの成功が、乗客のGPSによって報告される位置精度に高度に依存するウーバー(Uber)やリフト(Lyft)のような会社にとって、主要な問題となっている。運転手とクライアントは、クライアントが道の向こう側にいたり、またはジャンクションの向こう側にいたりするだけで、出会えない場合がある。
【0007】
この問題を解決する試みがなされており、その例としては、多重反射を有する人工衛星を無視するための周囲建物の3Dモデリング、位相分析、および統計的手法が挙げられる。しかし、知る限りでは、実用的でコスト効率の良いソリューションは提案されていない。
【0008】
豊富な先行技術が、自律車両の位置特定や自律車両によって使用される位置特定戦略の最適化に関連し、それらは、例えば、自律車両が走行している地理的領域、時刻、自律車両の速度などの運転内容に基づいている。従来のシステムでは、マップデータベースを使用して、ナビゲーション人工衛星システムデータから計算された初期位置を、道路などの物理的な地理的オブジェクトにスナップし、ナビゲーションデバイスによって最終出力を表示することができる。例えばUS20110257885に開示されるそのような手段によって、GPS人工衛星によって提供される大まかな位置は著しく改善されて、自律車両か人による運転車両かにかかわらず車両を導くのに十分なものとなるかもしれない。
【0009】
US20170307761は、人工衛星に基づくナビゲーションシステムの測位エラーの協調的な判定の方法を開示する。精密なポジションが不明なある地理的ゾーンに存在する、スマートフォンなどのあまり精密ではない測位受信器であっても、受信機の数が十分に多い場合には、大気内の精密なエラー修正の生成に寄与し得る。
【0010】
US20180124572は、移動する物のネットワーク中の局所的な修正情報を使用して、GPSに基づくポジション情報を修正することに関する。2つの受信器が可視人工衛星の同じセットを共有する場合(つまり、測位ソリューションに到達する際に人工衛星の同じセットから受信されたシグナルを処理している場合)、その2つの受信器は、同様の測位エラーに見舞われるはずである。地理的測位情報の計算においてGNSS/GPS受信器によって使用される人工衛星のセットは動的であり、そして多くの要因によって絶えず変化している。
【0011】
Uber Technologies,Inc.名義のUS20190147610は、1以上のセンサから受信されたセンサデータに基づいてオブジェクトを検出および追跡するためのシステムおよび方法を開示し、当該センサデータは、センサデータに少なくとも部分的に基づいて1以上のオブジェクトを検出するように構成された1以上の第1のニューラルネットワークと、一連のセンサデータにわたって1以上のオブジェクトを追跡するように構成された1以上の第2のニューラルネットワークとを含む、1以上の機械学習モデルに供給さる。
【0012】
要約すると、先行技術は、人工衛星エラーを修正するための技術を教示し、そして、同じ地理的ゾーンの複数の受信器に奉仕する人工衛星に関連するエラー修正がそのゾーンのすべての受信器に対して利用可能となることを認識する。先行技術はまた、地理的エリアを横断する膨大な数の車両からのデータを照合すること、そして、そこから受信したデータを使用して、自律車両が同じ道路に沿って安全にナビゲートできるようにする地図を改善することを開示している。先行技術はまた、無人タクシーが静止している乗客を位置特定する必要性に対処し、そして、車両に適用される従来の修正アプローチが常に歩行者に適用できるわけではないという事実を認識して、移動する歩行者のナビゲーションのための技術を提供する。先行技術は、地図データを改善するために、深層学習およびニューラルネットワークの使用について議論する。
【0013】
しかし、深層学習/機械学習技術を複数の時間サンプルに適用することによって、GPS測位エラーを一括処理して、それぞれのGPS座標と人工衛星データの関数として、複数の把握されている位置のそれぞれの修正関数を作成することは、当技術分野では示唆されていないようである。
【0014】
また、地理的エリアの人工衛星に関連付けられたエラー修正データを使用して、対応する修正または派生する修正を、スマートフォンなどのモバイルデバイスを携帯する歩行者のGPSナビゲーションシステムに適用することも提案されていない。
【発明の概要】
【0015】
従って、本発明は、この必要性に対処する方法を提供することを目的とする。
【0016】
この目的は、2つのパートの手続きによって本発明に従って実現される。第1のパートは、関心領域のGPSデバイスの精度を改善するためにエラー修正関数を作成する学習方法であり、一方で第2のパートは、関心領域で受信されるGPS座標の精度を、既に判定されたエラー修正関数を使用して改善するための方法を提供する。記載および添付の特許請求の範囲の文脈内で、用語「GPSデバイス」は、ビルトインタイプのGPSモジュールを有する任意のデバイスを指すのに使用される。GPSデバイスはほぼ一般的にスマートフォンであるが、GPS測位用に構成された任意の他の適切なデバイスであってもよい。
【0017】
従って、第1の態様では、本発明は、GPSデバイスの精度を改善するためのエラー修正関数を作成するための方法を提供し、当該方法は、
複数の把握されている位置で複数の時間サンプルを収集する工程であって、ここで、各時間サンプルは、複数の人工衛星からのGPS座標および関連する人工衛星データからなり、ここで、当該人工衛星データは、(i)関連する人工衛星の人工衛星方位および高度、ならびに(ii)関連する人工衛星からの受信シグナルのシグナル対ノイズ比、に関する判定を含むか、または許可する、工程と、
各時間サンプルに対して、把握されている位置と対応するGPS座標との間のそれぞれのエラーを計算する工程と、
深層学習技術/機械学習技術を当該複数の時間サンプルに適用することによって、それぞれのGPS座標と当該人工衛星データの関数としてエラー修正関数を作成する工程と、を含む。
【0018】
第2の態様では、本発明は、修正関数が取得される、関心領域で受信されたGPS座標の精度を改善するための方法であって、当該方法は、
改善された精度で位置を取得するために、GPS座標および関連する人工衛星データを修正関数に入力する工程を含む、方法、を提供する。
【0019】
2つの手続きは相互に独立している。具体的には、必要な関心領域に関係するエラー修正関数が導出されるまで第2の手順を実施することはできないが、エラー修正関数が存在すれば、第2の手順は単独で実施され得る。この場合、2つの手墳は連続的に実行される。しかし、これらは同時に実行されることも可能であり、これによって、学習手順は、第2の態様を実施すると同時に実行され、これは関心領域に関して、または、新しいデータを継続的に収集すること、および深層学習技術を継続的に拡張しているデータセット適用することによってエラー修正関数を改良するために、実行される。
【0020】
いくつかの実施形態では、複数の時間サンプルは、広範囲の市街地を走行し、そして車載用GPSデバイスおよび向上した精度の測位を有する動力車両から、時間サンプルを収集することによって取得され、時間サンプルの各々は、車載用GPSデバイスおよび向上した精度の位置によって取得された、GPS座標、および関連する人工衛星データからなる。
【0021】
概念的には、本発明の原理は、各位置に対する複数の時間サンプルを取得するために、必要とされる地域的エリアにおいて、経時的に、複数の位置に対して上記の方法を繰り返すことである。GPS座標は、3以上の人工衛星間で三角測量することによって通常取得されるGPSデバイスの座標であり、かつ大まかな位置を表わし、本発明は、その精度が改善するように機能する。GPSデータは人工衛星シグナルから判定され、当該人工衛星シグナルは、シグナルがそれぞれの人工衛星によって送信された時間情報を含む。GPSデバイスは、シグナルが受信される時の時間情報を記録し、そして、送信の時間と受信の時間との間の差異は、人工衛星からGPSデバイスへの飛行時間を反映し、当該飛行時間に光の速度を乗じると、人工衛星と受信器との間の疑似距離が導かれる。これは、GPSデバイスのクロックが、人工衛星の高度に正確な原子時計と異なりそれほど正確ではないことから、「疑似距離」と呼ばれる。従って、少なくとも4つの人工衛星が、GPSデバイスの大まかな位置の値を既知の方法で求めるのに必要である。結果として生じるデータは、データベース中に記憶され、そして各々の大まかな位置に対する関数を導出するために分析され、当該関数は、GPS座標を適用され、そして大まかな位置に対して取得された人工衛星データを使用して、GPS座標を修正し、より精密な位置を生み出す。精密さの程度は桁違いに改善されるかもしれず、大まかな位置が30メートル以内の正しさである場合、本発明によって修正される位置は3メートル以内の正確さであるかもしれない。実際は、空間のあらゆる座標をマッピングするのは必ずしも可能ではないことが理解されるであろう。ただし、時間の経過とともに、相互に近接する十分な数のポイントがマッピングされると想定されるため、計算されたエラー修正関数は、マッピングされたポイントからわずかに外れた、空間中の任意のポイントの位置に対して等しく適用可能である。
【0022】
各時間サンプルが異なるGPS座標および異なる人工衛星データからなり得ることが、理解されるであろう。これは、異なるGPS座標が異なる関連する人工衛星データを有し、それらが同じ修正済み位置に相互に関連し得ることを示唆する。エラー修正関数は、GPS座標および関連する人工衛星データのどのセットが適用されるかに関係なく、同じ修正済み位置を提供するように、導出される。
【0023】
GPS座標および関連する人工衛星データ、ならびに関心領域中の複数のポイントに対する位置エラーは、その後の処理のために、データベースに記憶される。いくつかの実施形態では、データベースは、Waze(商標)などのナビゲーションシステムによって収集されたデータに基づいてコンパイルされる。いずれの場合のそのようなシステムも、車両GPSデバイスから大まかな位置、つまり関連するGPS座標を収集し、向上した位置データを車両に伝える。従って、必要な唯一の追加的情報は、人工衛星の各々に対応する人工衛星データであり、それらのシグナルから、各々の大まかな位置が取得される。この情報は、もちろん、車載用のGPSに把握され、そこから情報が収集され得、かつ、データベースをコンパイルするために、そして本発明の修正関数を導出するために、使用され得る。使用に際し、GPSデバイスから受信された大まかな位置はその後、人工衛星データおよび向上した位置座標と共に、データベースに供給される。このデータベースは、深層学習技術を使用して修正関数を導出するために使用される。
【0024】
ビルトインタイプのGPSデバイスを有するスマートフォンを携帯する歩行者は、スマートフォンがWaze(商標)などのナビゲーションシステムを使用しても、せいぜい、大まかな位置を取得することができるのみである。このことは、上に記載される通り、向上した精度が、ナビゲーションシステムによって、画定された経路に沿って移動するように拘束される車両に適用されるからであり、自由に歩き回ることができる歩行者に適用することはできない。さらに、上に説明される通り、市街地の複数の経路の反映によって引き起こされるエラーは、静止状態であるか、または動力車両よりも低速で進む歩行者デバイスに対して、より大きな影響を与える。しかし、本発明に従って、修正関数が大まかな位置に基づき、そしてそれに適用されるため、修正関数は、歩行者のスマートフォン中のGPSデバイスに等しく適用することができ、より正確な位置を導出するかもしれない。同様に、先進運転支援システム(ADAS)による使用のために開発されている、レーダー、ライダー、および他の機能増強物などの技術が、向上した位置精度を判定するために使用されてもよい。修正関数は、歩行者のGPSデバイスと通信するリモートサーバから、歩行者のスマートフォンにダウンロードすることができ、あるいは、十分なメモリがある場合は、歩行者のGPSデバイス中に記憶されていてもよい。
【0025】
エラー修正関数は、入力として、GPS座標に対応する大まかな位置、および、そこからGPS座標が取得された関連する人工衛星データからなるベクトルを受信し、そして出力として、真の位置を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
発明を理解し、かつ実際にそれがどのように実行され得るかを理解するために、ここで、実施形態が非限定的な例示のみによって、添付の図面を参照して説明される。
図1】本発明に係るシステムの、図による描写である。
図2】経時的に無作為に、関心領域に対して車両によって収集され、かつ記憶された、複数の時間サンプルを概略的に示し、当該複数の時間サンプルは、本発明の実施形態に係るデータベースを生成するために使用され得る。
図3】乗客/運転手がよりうまく出会えるようにするための、本発明の実施形態に係る方法によって実行される、主要な操作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明の一実施形態に係るシステム(10)の図による描写である。システム(10)は、関心領域に位置し、内蔵GPSモジュールを有するスマートフォン(12)を保持する歩行者(11)を示し、当該内蔵GPSモジュールは、少なくとも3つの人工衛星(13)、(13’)、(13’’)からGPSデータを受信して、三角測量を使用する機知の方法で大まかな位置を計算する。本説明と添付の特許請求の範囲全体にわたって、この大まかな位置を、GPSデバイスのGPS座標と呼ぶ。関心領域にわたって無作為に走る車両(14)、(14’)は、人工衛星から同様にGPSデータを受信し、そして車両のそれぞれの大まかな位置を判定する。しかし、車両は、WAZE(商標)、SATNAV(商標)などのナビゲーションシステムを装備し、それらが、車両の正しい位置または真の位置が把握されるようにGPSの座標の精度を向上させる。明瞭さを目的として、「真の」、「正しい」とは、修正位置が絶対的な意味において精確であることを意図してはおらず、むしろ、座標のみに基づく大まかな位置よりも有意により正確であることを意図している。WAZE(商標)などのナビゲーションシステムを使用する人は誰でも、次のジャンクシションで左に曲がるように前もって指示され、そしてジャンクションに進入を開始すると「左に曲がりなさい」と指示されることをよく理解している。ナビゲーションシステムを、非常に信頼性が高く、かつユーザーフレンドリーなものにしているのは、このレベルの正確さである。
【0028】
車両のナビゲーションシステムは、事前にコンパイルされ、かつ、マップへのスナップ技術などの既知の技術を使用して車両の位置を修正することを可能にする、例えば正確なマップに基づく補助データを使用する人工衛星データのみに基づいて、大まかな位置に対する精度を向上させる。
【0029】
同様に、先進運転支援システム(ADAS)による使用のために開発されている、レーダー、ライダー、および他の機能増強物などの技術が、向上した位置精度を判定するために使用されてもよい。
【0030】
図には2台の車両しか示されていないが、実際は、時間の経過とともに、高速道、道路、道、およびオフロードの経路すらなどの車両用のルートを走る、何千もの車両が存在し、これらの車両の位置は、正確にマッピングされており、そして、地図データが事前にロードされているか、またはオンラインで、つまり通常インターネット(15)を通じて地図データにアクセスできるかのいずれかのために、車両ナビゲーションシステムにアクセス可能である。車両ナビゲーションシステムによって受信された人工衛星データは、各関連する人工衛星の人工衛星方位および高度、ならびに関連する人工衛星からの受信シグナルのシグナル対ノイズ比、そして随意に疑似距離などの他のデータ、に関する判定を含むか、それを可能にする。
【0031】
本発明は、大まかな位置、人工衛星データ、および真の位置からなる時間サンプルのデータベースにおける収集と記憶とに基づき、関心領域中の車両専用ルートを移動する自動車交通から深層学習を使用して経時的に照合されるエラー修正関数を導出し、ここで、GPSデバイスが位置特定される。この目的のために、本発明は、2つの別個の段階を含み、それがここで説明される。
【0032】
データ収集と学習:
ここで、第1の手順によって実行される主要な操作が説明される。様々な人工衛星および環境条件下の特定の把握されている位置におけるGPSエラーは経時的に収集され、それらは、測位エラーおよび人工衛星データの広範囲なセットをカバーする。
【0033】
データは、理論的には、軍用測量マップが編集されたのとほぼ同じ方法で、マッピング位置によってマニュアルで収集され得るが、データは、広範囲のエリアにわたって迅速にかつ自動的に十分なデータを取得するために、ある期間の間に所望のエリア内を移動する動力車両から収集されてもよい。図2は、関心領域の把握されている位置を通過する動力車両によって無作為に取得された複数の時間サンプルを概略的に示し、ここでは、長期間にわたって、複数の時間サンプルが把握されている各位置に対して収集される。従って、単純な例示によって、車両が無作為に通過する位置x、位置x、および位置xが示され、大まかなGPS位置、人工衛星データ、および向上した位置をデータサーバに伝える。所与の期間にわたって、v11…v61に指定された6台の車両が位置xを通過し、v12…v72に指定された7台の車両が位置xを通過し、そしてv13…v53に指定された5台の車両が位置xを通過するのが確認される。重要ではないが、図2より、各サンプルの実時間は当然、把握されている各位置で異なることに留意されたい。車両のGPSナビゲーションシステムは、絶えず大まかなGPS位置と人工衛星データとを受信し、そして向上した位置を導出する。また、車両は、個別の指定を有しているが、これは明瞭さを目的としたものである。実際は、任意の所与の車両が複数の位置を通過し、従って、3つの個別の位置x、x、およびxに到着する車両の全てが異なる車両であるわけではない。確かに、車両が同じ把握されているポイントを一度を超えて通過すること、例えば、行きと帰り、あるいは、後の時間帯における同車両による反復走行、が発生するかもしれない。収集された情報は、大まかなGPS位置、人工衛星ステータスデータ、および真の位置を含む。これによって、測位エラーを判定することが可能になる。今日、ほとんどの動力車両がGPSナビゲーションシステムを有しており、そしてほとんどの動力車両が市街地をカバーするので、大きな関心領域からのデータを経時的に収集することができる。その結果、大きな市街地中の莫大な数の位置に対応するそれぞれのデータが収集され、それらは大まかなポジションと修正済みのポジション、測位エラー、および関連する人工衛星データを含む。これらのデータは、深層学習技術を使用してエラー修正関数を導出するための入力として機能する。エラー修正関数は、入力として、GPS座標に対応する大まかな位置および関連する人工衛星データからなるベクトルを受信し、そして出力として、真の位置を生成するように構成される。より多くの車両が関心領域内の既知のポイントを横断するにつれて、それらのデータが収集かつ記憶されてもよく、従って、エラー修正関数を経時的にさらに洗練されたものにすることができる。
【0034】
深層ニューラルネットワーク(DNN)を使用する、GPS偏差の推定。
【0035】
把握されている位置(x、y、z)を有する所与のポイントで、GPSシステムによって生成された推定位置(x’、y’、z’)を得ると想定する。真の位置とGPS生成位置との間の差異(x-x’、y-y’、z-z’)は、GPS偏差と呼ばれる。我々が考慮するタスクは、GPSシステムによって生成される位置を修正し、そして正しい位置を可能な限り正確に取得するために、GPS偏差を推定することである。
【0036】
そのタスクは、深層ニューラルネットワーク(DNN)を訓練する標準方法を使用して取り組まれ得る。当該タスクのためにDNNを訓練する例は、He,K,Zhang,X,Ren,S, Sun,J.2015”Deep Residual Learning for Image Recognition”arXiv:1512.03385(He等)に基づいて、以下の通りに進められる。ネットワークへの入力は、人工衛星ポジション、シグナル強度、測定の時間、および他の可能性のあるパラメータを含む、GPSシステム(GPSデータ)によって生成されたパラメータのベクトルである。所与の各位置については、そのようなデータが複数の時間で収集される。DNN出力は推定偏差であり、例えば、偏差のセットに対する確率分布として表される。訓練は、既知の偏差とDNNによって生成された推定偏差との間のクロスエントロピー(cross entropy)などの、損失関数を使用して行われる。タスクのために可能な最先端のアーキテクチャは、He等によって説明される通りの、十分な深度のResNet DNNであり得、例えば、データを訓練セットとテストセットに分割したり、良い訓練速度をサーチしたり、バッチ正規化を使用したりなどに関して、標準訓練手順を使用するものであり得る。ネットワークの訓練のための十分な量のデータを得るために、訓練手順は、複数の時間における複数の異なる位置からのデータを使用してもよい。He等によって説明される方法が画像に適用されていたが、一般的なアーキテクチャが本発明に等しく適用可能であることに留意することが重要である。
【0037】
修正:
修正モデルが、(上に定義される通りの)人工衛星データの関数として、任意のポイントにおけるGPSエラーを修正するために使用される。従って、使用の際には、関心領域内のスマートフォンなどのGPSデバイス中のナビゲーションシステムまたはアプリケーションが、大まかなGPS位置および関連する人工衛星データを受信し、そして修正済み位置を導出するために、修正関数を大まかなGPS座標に適用する。
【0038】
アプリケーション
ハンドヘルドデジタルマップデバイスを使用して、人の配向を導出すること
【0039】
デジタルマップは、歩行者による使用のためのナビゲーションを非常に単純化しているが、歩行者がマップを正しく配向する必要性は、頻繁なる欠点を依然として残している。従来の印刷物としてのマップでは、ユーザーは、マップ上のどこに自分が位置しているのかを特定し、通りなどのランドマークを特定し、そしてその後に、マップ上の当該ランドマークを実際の風景における当該ランドマークと位置合わせし、その結果、マップは実際の風景と正しく位置合わせされる。スマートフォンは、慣性磁気ユニット(IMU)を使用してこれを実行しようと試みるものであり、当該慣性磁気ユニット(IMU)は、コンパスとして機能する内部磁力計を、真北によって位置合わせするように試み、それによって、把握されている場所に立つユーザーは、左または右に曲がるべきなのか、あるいは前または後ろに移動するべきなのかを知ることになる。
【0040】
実際、見知らぬ場所へのナビゲーションを試みる観光客によく知られているように、これは信頼に足るようには機能せず、そして、ユーザーがしばらく歩いて通りなどのランドマークに遭遇した後に、間違った方向に進んで来ており、その結果マップが示す通りは反対方向の位置にあることに気付くのが、一般的である。このことは、音声による指示を提供するナビゲーションソフトウェアにもあてはまる。
【0041】
あるアプリケーションでは、本発明は、特定可能なランドマークを有する風景を撮像し、そしてスマートフォンのカメラをランドマークに向けるための内蔵カメラを有するスマートフォンを使用する。適切に位置合わせされていれば、スマートフォン中のアプリケーションは、ユーザーによって手動で起動され、Street View画像のランドマークを発見する。これにより、スマートフォンのアプリケーションが、ランドマークの位置を判定することが可能になり、そして、スマートフォン位置に対応するユーザーの位置が正確に把握されているので、アプリケーションはユーザーの位置に対するランドマークの方位を判定することができる。
【0042】
従って、ユーザーデバイスが、ビルトインタイプのGPSデバイスを有するスマートフォンである場合、配向を判定するソフトウェアアプリケーションがスマートフォン中に記憶されていてもよく、配向の判定は、
i.当該GPSデバイスを使用して、スマートフォンの位置を判定する工程と、
ii.IMUを有する視線ユニットを、実際の風景中の別個のオブジェクトに向ける工程と、
iii.スマートフォンのスクリーン上に表示されたStreet View画像上のオブジェクトの画像を特定する工程と、
iv.Street Viewのデータベースからオブジェクトの位置を抽出する工程と、
v.スマートフォンを保持するユーザーが、空間において、自分自身をオブジェクトに対して配向することができるように、スマートフォンの位置に対するオブジェクトの方位を計算する工程と、によって行われる。
【0043】
「Street View」がGoogle Inc.が独占所有権を有するプログラムの名前であることに留意されたい。Google Inc.がStreet Viewの開発に多くを投資してきた事実とその容易な利用可能性とによって、本発明は、好適に、GoogleのStreet Viewを使用する。しかし、ランドマークが通りのレベルに分解されるデジタルマップデータベースであればいずれもが使用可能であり、従って、添付の特許請求の範囲の文脈内において、用語「Street View」は、特許請求の範囲の範囲をGoogle Street Viewのマップに限定することは意図されておらず、むしろ、同様の機能を有する任意のデジタルマップデータベースが意図されている。
【0044】
乗客/運転手がよりうまく出会えるようにするための改善
【0045】
一実施形態では、本発明は、街角または他の位置で待つ乗客が、向上した測位が可能となったナビゲーションシステムを装備するタクシー運転手に対して、精確な位置を伝えることを可能にするために使用され得、それによって、タクシー運転手は、どこで乗客と合うべきかを精確に把握する。一般に、乗客は、自分のモバイルデバイスを使用して自分の位置を取得し、それをその後タクシー運転手に伝える。しかし、以前に詳述された理由のために、乗客のモバイルデバイスによって取得された位置は、エラーを有する傾向がある。その結果、たとえタクシーが乗客に非常に接近して到着しても、タクシー運転手は乗客を特定しないかもしれない。実際は、このことは通常、運転手が乗客に電話をかけること、またはその逆によって、そして適切な指示を提供することによって、解決される。しかしこれは不便であり、時間を消費し、そしてまた、タクシーが自律車両である場合には実現不可能である。
【0046】
本発明は解決策を提供するが、その理由は、タクシーが、乗客をピックアップすることができる距離内に入れば、タクシーの位置に対応するGPS測位エラーが乗客にも利用可能となり、従って、乗客のGPS測位を修正するために使用されると考えられ得るからである。そのため、タクシー運転手は乗客および彼の人工衛星データから大まかなGPS位置を受信し、そして、乗客から受信した人工衛星データがタクシーのデータと一致する場合に、口頭での指示の必要無しに乗客の精確な位置を特定できるように、修正を適用する。
【0047】
より一般的には、本発明のこの態様は、第2の実体によって第1の実体を位置特定するための方法であって、第1の実体は第1のGPSデバイスを、第2の実体は第2のGPSデバイスを、それぞれを携帯し、第2の実体は、第2のGPSデバイスのGPS座標に基づいて第2の実体の向上した精度の位置を提供するナビゲーションシステムを有する方法、を提供する。図3は、
i.第1のGPSデバイスの、それぞれのGPS座標および関連する人工衛星データを受信する操作であって、ここで、人工衛星データは、(i)関連する人工衛星の人工衛星方位および高度、(ii)関連する人工衛星からの受信シグナルのシグナル対ノイズ比、ならびに(iii)随意にデータ疑似距離などの他のデータ、に関する判定を含むか、または許可する、操作、
ii.第2のGPSデバイスが第1のGPSデバイスに近付く時に、両GPSデバイスのそれぞれの人工衛星データを比較する操作、
iii.両GPSデバイスのそれぞれの人工衛星データが実質的に一致する時に、第2のGPSデバイスのGPS座標と第2の実体の向上した精度の位置との間のオフセットを判定する操作、および、
iv.その正しい位置のより良い推定を提供するために、オフセットを第1のGPSデバイスのGPS座標に適用する操作、
などの、第2の実体によって実行される方法における主要な操作を示す、フローチャートである。
【0048】
特に、1以上の実施形態を参照して記載される特徴は例示を目的として記載されており、それらの実施形態に制限するものでは無いことに留意されたい。従って、特に明記しない限り、または特定の組み合わせが明らかに許容できない場合を除き、いくつかの実施形態のみを参照して記載される随意の特徴は、すべての他の実施形態にも同様に適用可能であると想定される。
【0049】
また、本発明に係るシステムは、適切にプログラムされたコンピュータであってもよいことが理解されるだろう。同様に、本発明は、本発明の方法を実行するためのコンピュータによって読み取り可能であるコンピュータプログラムを企図する。本発明はさらに、本発明の方法を実行するための機械によって実行可能な命令のプログラムを具体的に具現化する機械可読メモリを企図する。通常コンピュータは携帯電話の処理装置であるが、それに限定されることはない。それは、任意の他のハンドヘルド型、またはヘッドマウント型のデバイスであり得る。ハンドヘルドとは、デバイスの通常の使用モードで、手に保持されるデバイスを意味する。
図1
図2
図3
【国際調査報告】