(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-14
(54)【発明の名称】原子炉本体上に外部断熱材を設置する装置
(51)【国際特許分類】
G21C 13/00 20060101AFI20221107BHJP
G21C 11/08 20060101ALI20221107BHJP
B65G 47/90 20060101ALI20221107BHJP
【FI】
G21C13/00 761
G21C11/08
B65G47/90 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021578274
(86)(22)【出願日】2019-12-31
(85)【翻訳文提出日】2022-02-24
(86)【国際出願番号】 RU2019001054
(87)【国際公開番号】W WO2021112713
(87)【国際公開日】2021-06-10
(32)【優先日】2019-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518312460
【氏名又は名称】ジョイント ストック カンパニー“ロスエネルゴアトム”
(71)【出願人】
【識別番号】520514768
【氏名又は名称】サイエンス アンド イノヴェーションズ - ニュークリア インダストリー サイエンティフィック デベロップメント,プライベート エンタープライズ
(74)【代理人】
【識別番号】230130074
【氏名又は名称】藤河家 知美
(72)【発明者】
【氏名】グバイドゥルフ,チムール ムラトヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】ジューク,イゴール エフゲニエヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】イルイン,セルゲイ ウラジミロヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】コルショフ,アレクサンドル ヴァシリエヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】スタンケーヴィッチ,スベトラーナ レオニードヴナ
【テーマコード(参考)】
3F072
【Fターム(参考)】
3F072AA06
3F072KE21
(57)【要約】
本発明は、原子炉本体の外部断熱材を設置するための装置がその動きのためのメカニズムを備えた可動式輸送トロリー、原子炉本体の断熱が固定されている可動式輸送トロリーに配置された取り外し可能なベアリングリム、原子炉本体の上部の高さで反対側に配置された少なくとも二つのリフトなどと並び、取り外し可能なベアリングリムはリフターに接続されており、リフターを上下させることができるようになっている構造などを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その動きのためのメカニズムを備えた可動式輸送トロリー、原子炉容器の断熱材が固定されている前記可動式輸送トロリーに配置された取り外し可能なベアリングリム、前記原子炉容器の上部の高さで反対側に配置された少なくとも二つのリフトなどと並び、取り外し可能なベアリングリムはリフターに接続されており、前記リフターを上下させることができるような構造などを備えることを特徴とする原子炉本体の外部断熱材を設置する装置。
【請求項2】
前記原子炉本体の断熱が、前記取り外し可能なベアリングリムの上端に固定された圧延断熱マットおよび断熱ブロックの形態で作られていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記取り外し可能なベアリングリムは、少なくとも2つのセクターの形で作られ、互いにヒンジで接続されており、折りたたんだり広げたりすることができると同時に、前記ベアリングリムの外面には植字レールが固定されており、その上に転がされた断熱マットが吊り下げられた取り外し可能なキャリッジがスライドできるように取り付けられていることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記断熱ブロックは、金属フレームに固定されたムライト-シリカボール紙の三角形のシートの形で作られていることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記圧延断熱マットの縁に沿って、隣接する圧延断熱マット間の隙間を覆うシリカ布のテープが作られていることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記可動式輸送トロリーが輪軸に取り付けられ、ラックを含み、その上部の自由端はビームによって接続され、その上に2つのピボットフレームが90°回転可能に取り付けられ、支持ハーフリングとそれらの折り畳みのためのメカニズムが装備されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記取り外し可能なベアリングリムは、前記可動式輸送トロリーの回転フレームの支持ハーフリングにあることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記可動式輸送トロリーにはロック機構が含まれていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記リフターに、ロープ付きのロープウインチが含まれており、ロック機構が装備されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力エネルギーの分野、特に原子力発電所用の補助装置、すなわち、原子炉容器の外部断熱材を設置するための装置に関するもので、原子力発電所で、溶接された継ぎ目および(又は)PWR原子炉容器の母材の回復焼鈍を実行するために使用することができる。
【背景技術】
【0002】
原子炉容器の外部断熱材を設置するための装置は、従来技術からは知られていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
請求された発明によって解決されるべき課題は、サブ原子炉室の窮屈な状態および増加したレベルの電離放射線において、PWR原子炉容器の外面の断熱材を取り付け、そして解体する可能性を確実にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の技術的結果は、原子炉本体の外面の断熱により、原子炉本体の厚さ全体の温度勾配を低減し、原子炉圧力容器の金属および溶接部の物理的特性の一様性を確保し、PWR原子炉圧力容器の溶接部および(又は)母材の回復アニーリング中の周囲構造への熱影響の影響を低減することなどである。
【0005】
本発明の技術的結果は、以下の構造などによって保持される。構造は、原子炉本体の外部断熱材を設置するための装置がその動きのためのメカニズムを備えた可動式輸送トロリー、原子炉本体の断熱が固定されている可動式+輸送トロリーに配置された取り外し可能なベアリングリム、原子炉本体の上部の高さで反対側に配置された少なくとも二つのリフトなどと並び、取り外し可能なベアリングリムはリフターに接続されており、リフターを上下させることができるようになっている構造などを含む。
【0006】
原子炉本体の断熱は、主に、取り外し可能なベアリングリムの上端に固定された圧延断熱マットおよび断熱ブロックの形で作られている。取り外し可能なベアリングリムは、少なくとも2つのセクターの形で作ることができ、折り畳みと展開の可能性を備えたヒンジで相互接続されると同時に、ベアリングリムの外面には植字レールを固定することができ、その上にロール状の断熱マットが吊り下げられた取り外し可能なキャリッジがスライドできるように取り付けられている。断熱ブロックは、金属フレームに固定されたムライト・シリカボール紙の三角形のシートの形で作ることができる。圧延断熱マットの縁に沿って、隣接する圧延断熱マット間の隙間を覆うシリカ布のストリップが主に作られている。可動式輸送トロリーは輪軸に取り付けることができ、支柱が含まれることが可能で、支柱の上部自由端はビームで接続されており、その上に2つのピボットフレームが取り付けられており、90°回転可能で、支持ハーフリングとそれらを垂直位置に折りたたむメカニズムとが装備される。取り外し可能なベアリングリムは、主に可動式輸送トロリーの回転フレームの支持ハーフリングに配置されている。可動式輸送トロリーはロック機構を含むことができ、ホイストはロープ付きのロープウインチを含むことができ、ロック機構を装備することができる。
【0007】
請求された発明は、グラフィック資料が添付され、オプションの一つで提示される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、デバイスの全体図を示している(リフトは表示されていない)。
【
図2】
図2は、移動式輸送トロリーを示す図である。
【
図3】
図3は、取り外し可能なベアリングリムを示す図である。
【
図4】
図4は、断熱材を取り付ける前のデバイスを示す図である。
【
図5】
図5は、断熱材を取り付けた後のデバイスの図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
原子炉本体の外部断熱材を設置する装置には、可動式輸送トロリー1、取り外し可能なベアリングリム2、そしてリフター3が含まれる(
図4および
図5)。輸送トロリー1は、車輪のペアの線路に取り付けられ、車輪のペアの一つは先頭にあり、ドライブがついている。可動式輸送トロリー1は、輪軸に取り付けることができ、支柱4が含まれる、支柱の上部自由端はビーム5で接続されており、その上に2つのピボットフレーム6が取り付けられており、90°回転可能で、支持ハーフリング7とそれらを垂直位置(に折りたたむ)メカニズムが装備される。輸送トロリー1には、トラック上の位置を固定するロック機構が装備されている。取り外し可能なベアリングリム2は、可動式輸送トロリー1の支持ハーフリング7に取り付けられている。断熱は、圧延断熱マット8および断熱ブロック9の形で作られている。
【0010】
取り外し可能なベアリングリム2は、二つのセクター(ハーフリング)の形で作られ、互いにヒンジで接続されており、垂直方向の折り畳みおよび水平位置で展開されてもよい。取り外し可能なベアリングリム2の外面には、型設定レール10が固定されており、その上に、シリカ布ででき、原子炉容器の周囲に一様な断熱層を作るように設計された、圧延断熱マット8を備えた取り外し可能なキャリッジが取り付けられていて、それらから吊り下げられ、スライドする機能を備えている。当装置の初期位置では、断熱マット8はロール状に巻かれ、シリカ布および金属ボタンで作られたループの助けを借りてロール状に固定される。圧延断熱マット8は、端部にシリカ布テープを有し、これは、作業位置で隣接するマット8間のギャップを閉じる。
【0011】
キャリアリム2の上端においては、迅速解放結合部を使って、断熱ブロック9が固定されており、金属フレームに固定されたムライト・シリカボール紙の三角形のシートの形で作られている。それらは、原子炉本体12の回復アニーリング中の装置の動作状態における熱効果から原子炉本体12の支持トラス11の円錐部分を保護する一様な断熱層を作成するように設計されている。
【0012】
原子炉本体12の上部の高さの反対側には、ホイストにはロープウインチ、固定機構、ロープが含まれており、その下端は装置2の動作状態で取り外し可能なベアリングリムに取り付けられているリフター3が固定されている。
【0013】
原子炉本体の外部断熱材を設置する装置は、次のように動作する。
【0014】
リフター3は、原子炉本体12の反対側からその上部の高さで固定されている。ホイストウインチのロープ13は、原子炉本体12に沿って下げられる。
【0015】
取り外し可能なベアリングリム2は、輸送トロリー1の支持ハーフリング7に取り付けられている。取り外し可能なキャリアリム2の上端には、素早く取り外し可能なジョイントを使用して断熱ブロック9が固定されているが、取り外し可能なキャリアリム(4個)のヒンジループの上にある断熱ブロック9は取り付けられていない。
【0016】
スイング機構を使って、支持ハーフリング7が固定されたピボットフレーム6と、取り外し可能なベアリングリム2のピボット接続されたセクター(ハーフリング)とが垂直(折り畳み)位置にもたらされ、この位置に固定される。
【0017】
ドライブの助けを借りて、ベアリングリム2を備えた輸送トロリー1は、折りたたまれた状態で線路に沿って反応器下の部屋に移動される。支持リムを備えた輸送トロリー1は、その中央の原子炉本体12の下に設置されている。ロック機構の助けを借りて、輸送トロリー1を線路に固定し、次に、回転(折り畳み)機構を使用して、取り外し可能なキャリアリム2のセクター(ハーフリング)を備えた支持ハーフリング7を水平位置に出し敷設する。取り外し可能なキャリアリム2のセクター(ハーフリング)のヒンジ接続の場所には、折りたたまれないようにクランプが取り付けられている。また、ヒンジジョイントの上の取り外し可能なベアリングリム2の上端には、断熱ブロック9(4個)が追加で固定されている。
【0018】
可動キャリッジの助けを借りてその全周に沿った取り外し可能なキャリアリム2の植字レール10上に、圧延断熱マット8が吊るされ、シリカ布および金属ボタンのループの助けを借りて折り畳まれた状態で固定される。圧延断熱マット8のヒンジが完成した後、固定ループの金属ボタンのボタンを外して、圧延断熱を自由に巻き戻すことができるようにする。
【0019】
次に、ロープ13の下端は、取り外し可能なキャリアリム2に固定され、原子炉本体12の支持トラス11の円錐部にある断熱ブロック9が停止するまで、リフター3を用いて断熱材を吊るした状態でベアリングリム2を持ち上げてから、ロック機構を使い、リフター3にストッパーをかける。
【0020】
原子炉圧力容器の還元焼鈍の操作が完了した後に断熱を解体するには、取り外し可能なベアリングリム2が、リフター3の助けを借りて輸送トロリー1上に下げられ、ロープ13が、取り外し可能なベアリングリム2から切り離され、断熱材が解体される。次に、取り外し可能なキャリアリム2のセクター(ハーフリング)の関節接続の場所で、ロックを取り外し、折りたたまないようにし、ベアリングリム2のセクターが垂直位置になるように支持ハーフリング7を折る。次に、取り外し可能なベアリングリム2を備えた輸送トロリー1が、軌道に沿って反応器下の部屋から除染、保守、保管のための部屋に移動される。
【0021】
請求項に記載の発明を使用することにより、原子炉下室の窮屈な状態および電離放射線のレベルの増加において、PWR原子炉本体の外面の断熱材の設置および解体を実施することが可能になる。原子炉容器の外面の断熱は、原子炉容器の厚さ全体の温度勾配の減少、その金属と溶接部の物理的特性の均一性、そして溶接シームおよび(又は)PWR原子炉容器の母材の回復焼鈍を実行する場合、周囲の構造物への熱効果の影響力を低減などする。
【国際調査報告】