(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-14
(54)【発明の名称】ポリオレフィン固体および固体添加剤の均質な混合物を作製する方法
(51)【国際特許分類】
C08J 3/20 20060101AFI20221107BHJP
【FI】
C08J3/20 Z CES
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022511350
(86)(22)【出願日】2020-08-26
(85)【翻訳文提出日】2022-02-21
(86)【国際出願番号】 US2020047932
(87)【国際公開番号】W WO2021041498
(87)【国際公開日】2021-03-04
(32)【優先日】2019-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】セングプタ、サウラフ エス.
(72)【発明者】
【氏名】チャウダリー、バーラト アイ.
(72)【発明者】
【氏名】マンドラ、マニッシュ ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】ゴーシュ-ダスティダー、アビジット
(72)【発明者】
【氏名】コーゲン、ジェフリー エム.
【テーマコード(参考)】
4F070
【Fターム(参考)】
4F070AA13
4F070AC22
4F070AC56
4F070AE03
4F070AE04
4F070AE07
4F070AE08
4F070AE30
4F070FA01
4F070FB10
4F070GA01
4F070GC05
(57)【要約】
作製中にポリオレフィン固体または粒子状固体添加剤を溶融することなく、ポリオレフィン固体および粒子状固体添加剤の均質な混合物を作製する方法。方法は、20~100ヘルツの周波数の音響エネルギーを、ポリオレフィン固体および粒子状固体添加剤を含む不均質な混合物に、ポリオレフィン固体および粒子状固体添加剤を一緒に実質的に混合するために十分な時間、不均質な混合物の温度を少なくとも1つの粒子状固体添加剤の融点未満およびポリオレフィン固体の溶融温度未満に維持しながら印加し、それによって、ポリオレフィン固体または少なくとも1つの粒子状固体添加剤を溶融することなく均質な混合物を作製することを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作製中にポリオレフィン固体または粒子状固体添加剤を溶融することなく前記ポリオレフィン固体および前記粒子状固体添加剤の均質な混合物を作製する方法であって、前記方法が、20~100(Hz)ヘルツの周波数の音響エネルギーを、少なくとも1つの粒子状固体添加剤およびポリオレフィン固体を含む第1の不均質な混合物に、前記少なくとも1つの粒子状固体添加剤および前記ポリオレフィン固体を一緒に実質的に混合するために有効な時間および音響強度で、前記第1の不均質な混合物の温度を前記少なくとも1つの粒子状固体添加剤の融点未満および前記ポリオレフィン固体の溶融温度未満に維持しながら印加し、それによって、前記ポリオレフィン固体および前記少なくとも1つの粒子状固体添加剤を溶融することなく前記ポリオレフィン固体および前記少なくとも1つの粒子状固体添加剤を含む第1の均質な混合物を作製することを含む、方法。
【請求項2】
前記印加ステップが、特徴(i)~(v)のうちのいずれか1つによって特徴付けられる、請求項1に記載の方法:(i)前記周波数は、50~70Hzである、(ii)前記時間は、0.5分~4時間である、(iii)(i)および(ii)の両方、(iv)前記第1の不均質な混合物の温度を前記少なくとも1つの粒子状固体添加剤の融点未満、および前記ポリオレフィン固体の溶融温度未満に維持することは、前記第1の不均質な混合物の温度を10~109℃に維持することを含む、(v)(iv)および(i)~(iii)のうちのいずれか1つの両方。
【請求項3】
前記第1の不均質な混合物の前記ポリオレフィン固体が、粉末、顆粒、またはペレットである物理的形態によって、および61~180℃である溶融温度によって特徴付けられ、前記第1の不均質な混合物の前記少なくとも1つの粒子状固体添加剤が、40~999℃の融点によって特徴付けられ、前記第1の不均質な混合物が、前記印加ステップ中、前記少なくとも1つの粒子状固体添加剤の融点未満、および110℃未満の温度に維持される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリオレフィン固体の前記ポリオレフィンが、ポリエチレンホモポリマー、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー、(加水分解性シリル基)-官能性ポリエチレンコポリマー(HSG-FPコポリマー)、エチレン/不飽和カルボン酸エステルコポリマー、またはそれらの任意の2つ以上のブレンドである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。ポリオレフィンは、(加水分解性シリル基)-官能性ポリエチレンコポリマー(HSG-FPコポリマー)であり得る。
【請求項5】
前記少なくとも1つの粒子状固体添加剤が、添加剤(B)
sol~(I)
sol:(B)
sol固体シラノール縮合触媒、(C)
sol固体抗酸化剤、(D)
sol固体着色剤、(E)
sol固体スコーチ遅延剤、(F)
sol紫外線の影響に対して均質な混合物を安定化するための固体安定剤(UV安定剤)、(G)
sol固体加工助剤、(H)
sol固体難燃剤、および(I)
sol(A)ではない固体ポリマーのうちのいずれか1つ以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の不均質な混合物が、少なくとも1つの液体添加剤をさらに含み、前記第1の均質な混合物が、前記少なくとも1つの液体添加剤をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記印加ステップの前に、前記ポリオレフィン固体を前記少なくとも1つの粒子状固体添加剤と接触させて、前記第1の不均質な混合物を作製することによって、前記第1の不均質な混合物を作製することをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記接触ステップが、追加の接触ステップ(i)または(ii):(i)前記ポリオレフィン固体および前記少なくとも1つの粒子状固体添加剤を少なくとも1つの液体添加剤と接触させて、前記第1の不均質な混合物を作製すること、または(ii)前記ポリオレフィン固体および前記少なくとも1つの粒子状固体添加剤を、25℃~110℃の融点を有する低融点固体添加剤と接触させて、不均質な固体予備混合物を作製し、前記ポリオレフィン固体を溶融することなく前記低融点固体添加剤を溶融して、前記第1の不均質な混合物を作製することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の均質な混合物を、前記ポリオレフィン固体とは異なる少なくとも1つの粒子状固体添加剤と接触させて、前記第1の均質な混合物および前記少なくとも1つの粒子状固体添加剤を含む第2の不均質な混合物を作製するステップと、次いで20~100Hzの周波数、およびそれを一緒に実質的に混合するために有効な音響強度の音響エネルギーを、前記第2の不均質な混合物の温度を前記少なくとも1つの粒子状固体添加剤の融点未満および前記ポリオレフィン固体の溶融温度未満に維持しながら印加し、それによって、前記作製ステップ中に前記ポリオレフィンポリマー固体または前記少なくとも1つの粒子状固体添加剤を溶融することなく、前記ポリオレフィン固体、前記少なくとも1つの粒子状固体添加剤を含む第2の均質な混合物を作製するステップと、をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記均質な混合物の前記ポリオレフィン固体を溶融して、溶融混合物を作製するステップと、前記溶融混合物を成形して、成形溶融混合物を得るステップと、前記成形溶融混合物を冷却して、成形固体を得るステップと、をさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記成形ステップが、前記溶融混合物をコーティングとして導電性コア上に押出し、前記コーティングを固化させて、前記導電性コアおよび前記導電性コアを少なくとも部分的に覆うコーティング成形固体を含む被覆導体を作製することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記成形固体の前記ポリオレフィンを硬化させて成形硬化生成物を得ることをさらに含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法によって調製される成形硬化生成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ポリオレフィンと添加剤の混合。
【0002】
序論
本分野における、またはこれについての特許および特許出願刊行物には、US7,188,993B1、US7695,817B2、US8,124,309B2、US8,435,714B2、US8,680,177B2、US8,889,331B2、US9,223,236B2、US9,593,919B2、US9,926,427B2、US9,957,360B2が含まれる。本分野における、またはこれについての非特許刊行物には、Assessment of extrusion-sonication process on flame retardant polypropylene by rheological characterization,by G.Sanchez-Olivares,et al.AIMS Materials Science,2016;vol.3,no.2,pages 620 to 633、およびENHANCED DISPERSION OF PARTICLE ADDITIVE INTO POLYMERS USING TWIN SCREW EXTRUSION WITH ULTRASOUND ASSISTANCE,by K.Tarverdi,et al.,SPE ANTEC Anaheim 2017,pages 1058 to 1062が含まれる。
【0003】
以前の混合方法は、ポリオレフィンの固体(例えば、撹拌タンク装置における)または溶融物(例えば、二軸押出機装置における)の固体添加剤との機械的ブレンドに依存する。
【発明の概要】
【0004】
我々は、作製中にポリオレフィン固体を溶融することなく、ポリオレフィン固体および粒子状固体添加剤の均質な混合物を作製する方法を発見した。方法は、20~100ヘルツの周波数の音響エネルギーを、ポリオレフィン固体および粒子状固体添加剤を含む不均質な混合物に、ポリオレフィン固体および粒子状固体添加剤を一緒に実質的に混合するために十分な時間、少なくとも1つの粒子状固体添加剤の融点未満およびポリオレフィン固体の溶融温度未満に不均質な混合物の温度を維持しながら(かつ、任意に、それから作製される均質な混合物の温度を維持しながら)印加し、それによって、ポリオレフィン固体または少なくとも1つの粒子状固体添加剤を溶融することなく均質な混合物を作製することを含む。
【発明を実施するための形態】
【0005】
作製中にポリオレフィン固体または少なくとも1つの粒子状固体添加剤を溶融することなく、ポリオレフィン固体および粒子状固体添加剤の均質な混合物を作製する方法。方法は、20~100ヘルツ(Hz)の周波数の音響エネルギーを、ポリオレフィン固体および粒子状固体添加剤を含む不均質な混合物に、ポリオレフィン固体および粒子状固体添加剤を一緒に実質的に混合する(徹底的にまたは完全に均質化する)ために十分な時間、少なくとも1つの粒子状固体添加剤の融点未満およびポリオレフィン固体の溶融温度未満に不均質な混合物の温度を維持しながら(かつ、任意に、それから作製される均質な混合物の温度を維持しながら)印加し、それによって、ポリオレフィン固体を溶融することなく、かつ粒子状固体添加剤を溶融することなく均質な混合物を作製することを含む。方法は、音響エネルギーを印加するステップ中に不均質な混合物が機械的に撹拌されない(機械的手段によって混合されない)という制限をさらに含み得る。
【0006】
追加の発明的な側面が続き、参照しやすいように、以下いくつかが番号付けされている。
【0007】
態様1.作製中にポリオレフィン固体または粒子状固体添加剤を溶融することなくポリオレフィン固体および粒子状固体添加剤の均質な混合物を作製する方法であって、方法は、20~100(Hz)ヘルツの周波数の音響エネルギーを、少なくとも1つの粒子状固体添加剤およびポリオレフィン固体を含む第1の不均質な混合物に、少なくとも1つの粒子状固体添加剤およびポリオレフィン固体を一緒に実質的に混合するために有効な時間および音響強度で、少なくとも1つの粒子状固体添加剤の融点未満およびポリオレフィン固体の溶融温度未満に第1の不均質な混合物の温度を維持しながら(かつ、任意に、それから作製される均質な混合物の温度を維持しながら)印加し、それによって、ポリオレフィン固体または少なくとも1つの粒子状固体添加剤を溶融することなくポリオレフィン固体および少なくとも1つの粒子状固体添加剤を含む第1の均質な混合物を作製することを含む、方法。方法は、印加ステップ中にポリオレフィン固体または第1の不均質な混合物を機械的に移動させることを含まない特徴をさらに含み得る。少なくとも1つの粒子状固体添加剤の各々は、20.0℃よりも高い、あるいは100℃よりも高い、あるいは200℃よりも高い、溶融が開始または出発する溶融温度を有し得る。少なくとも1つの粒子状固体添加剤は、最大4,000℃、あるいは最大2,000℃、あるいは最大1,000℃の、溶融が終了または完了する溶融温度を有し得る。ポリオレフィン固体は、60℃以上、あるいは100℃よりも高い、あるいは110℃よりも高い、溶融が開始または出発する溶融温度を有し得る。ポリオレフィン固体は、最大220℃、あるいは最大180℃、あるいは最大150℃の、溶融が終了または完了する溶融温度を有し得る。
【0008】
態様2.印加ステップが、特徴(i)~(v)のうちのいずれか1つによって特徴付けられる、態様1の方法:(i)周波数は、50~70Hz、あるいは55~65Hz、あるいは58~62Hz、あるいは、59~61Hzである、(ii)時間は、0.5分~4時間、あるいは0.5分~2時間、あるいは1分~60分である、(iii)(i)および(ii)の両方、(iv)第1の不均質な混合物の温度を少なくとも1つの粒子状固体添加剤の融点未満、およびポリオレフィン固体の溶融温度未満に維持することは、第1の不均質な混合物の温度を10~109℃、あるいは15~99℃、あるいは20.0~39.9℃、あるいは20.0~29.9℃(例えば、25℃±3℃)に維持することを含む、(v)(iv)および(i)~(iii)のうちのいずれか1つの両方。周波数は、音響ミキサーによって設定される。強度は、混合に有効である十分な振幅で材料を移動させるために十分である。
【0009】
態様3.第1の不均質な混合物のポリオレフィン固体が、粉末、顆粒、またはペレットである物理的形態(すなわち、固体粒子形態)によって、および61~180℃、あるいは90~180℃、あるいは110~174℃、あるいは120~180℃である溶融温度によって特徴付けられ、第1の不均質な混合物の少なくとも1つの粒子状固体添加剤が、40~999℃の融点によって特徴付けられ、第1の不均質な混合物が、印加ステップ中、少なくとも1つの粒子状固体添加剤の融点未満、および110℃未満の温度に維持される、態様1または2の方法。第1の不均質な混合物のポリオレフィン固体は、計数によって測定される場合、グラム当たり10~500粒子(ppg)、あるいは11~80ppg、あるいは20~40ppgの平均粒子サイズによって特徴付けられ得る。
【0010】
態様4.ポリオレフィン固体(すなわち、ポリオレフィンポリマーの粒子形態)のポリオレフィンが、ポリエチレンホモポリマー、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー、(加水分解性シリル基)-官能性ポリエチレンコポリマー(HSG-FPコポリマー)、エチレン/不飽和カルボン酸エステルコポリマー(例えば、エチレン/酢酸ビニル(EVA)コポリマーもしくはエチレン/(メタ)アクリル酸アルキル(EAAもしくはEAM)コポリマー)、またはそれらの任意の2つ以上のブレンドである、態様1~3のいずれか1つの方法。ポリオレフィンは、(加水分解性シリル基)-官能性ポリエチレンコポリマー(HSG-FPコポリマー)であり得る。
【0011】
態様5.少なくとも1つの粒子状固体添加剤が、添加剤(B)sol~(I)sol:(B)sol固体シラノール縮合触媒(例えば、デカンスルホン酸またはトルエンスルホン酸)、(C)sol固体抗酸化剤(例えば、LOWINOX TBP-6として販売される2,2’-チオビス(6-t-ブチル-4-メチルフェノール)、(D)sol固体着色剤(例えば、カーボンブラックまたはTiO2)、(E)sol固体スコーチ遅延剤(例えば、ヒドロキノン)、(F)sol固体ヒンダードアミン光安定剤(HALS)などの、紫外線の影響に対して均質な混合物を安定化するための固体安定剤(UV安定剤)(例えば、Chimassorb 944として販売されるポリ[[6-[(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル][(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)イミノ]-1,6ヘキサンジイル[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)イミノ]])、(G)sol固体加工助剤(例えば、Kemamide W-40として販売されるN,N’-エチレンビス(ステアラミド))、(H)sol固体難燃剤(例えば、金属水和物)、および(I)sol(A)ではない固体ポリマー(例えば、ポリプロピレンホモポリマーまたはプロピレン/エチレンコポリマー)のうちのいずれか1つ以上である、態様1~4のいずれか1つの方法。あるいはまたは加えて、少なくとも1つの粒子状固体添加剤は、固体有機過酸化物(例えば、過酸化ジクミル)、固体架橋助剤(例えば、イソシアヌル酸トリアリル)、または固体湿気生成剤(例えば、アルミナ三水和物(Al2O3.3H2O)もしくはシュウ酸カルシウム一水和物)であり得る。態様5の均質な混合物は、湿気硬化性であり、すべて均質な混合物の総重量に基づき、15.00~99.99重量パーセント(重量%)の(A)HSG-FPコポリマーを含み得、残部は、粒子状固体添加剤である。態様5では、ポリオレフィン固体のポリオレフィンは、(A)(加水分解性シリル基)-官能性ポリエチレンコポリマー(HSG-FPコポリマー)であり得る。
【0012】
態様6.第1の不均質な混合物が、少なくとも1つの液体添加剤をさらに含み、第1の均質な混合物が、少なくとも1つの液体添加剤をさらに含む、態様1~5のいずれか1つの方法。少なくとも1つの液体添加剤は、添加剤(B)liq~(I)liq:(B)liq液体シラノール縮合触媒(二ラウリン酸ジブチルスズまたはエタンスルホン酸)、(C)liq液体抗酸化剤(例えば、2-メチル-4,6-ビス(オクチルチオメチル)フェノール、例えば、IRGASTAB Cable KV 10)、(D)liq液体着色剤(例えば、液体染料)、(E)liq液体スコーチ遅延剤、(F)liq液体ヒンダードアミン光安定剤(HALS)などの、紫外線の影響に対して均質な混合物を安定化するための液体安定剤(UV安定剤)、(G)liq液体加工助剤(例えば、鉱油)、(H)liq液体難燃剤(例えば、臭素化ポリスチレン、臭素化ゴム、ポリ(臭化ビニル)、ポリ(臭化ビニリデン)、ポリ(臭素化アクリル酸アルキル)、ポリ(臭素化アクリル酸アルキル)、または臭素化ブタジエン-スチレンコポリマー)、および(I)liq(A)ではない液体ポリマー(例えば、ポリジメチルシロキサン流体)のうちのいずれか1つであり得る。(B)liq液体シラノール縮合触媒は、二ラウリン酸ジブチルスズまたは(C1-C4)アルカンスルホン酸であり得る。(E)liq液体スコーチ遅延剤は、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン(アルファ-メチルスチレンダイマーもしくはAMSDとしても知られる)または液体加水分解性シラン(例えば、オクチルトリエトキシシラン(OTES)もしくはビニルトリメトキシシラン(VTMS))であり得る。(E)liqは、式RSi(X)3の化合物であり得、式中、Rは、(C1-C10)アルキル、(C2-C10)アルケニル、(C2-C10)アルキニル、またはXであり、各Xは、独立して、(C1-C10)アルコキシ、(C1-C10)カルボキシ、ジ((C1-C10)アルキル)アミノ、または(C1-C10)オキシモである。あるいはまたは加えて、少なくとも1つの液体添加剤は、液体有機過酸化物(例えば、過酸化ジクミルまたはペルオキシ酢酸tert-ブチル)、液体架橋助剤(例えば、イソシアヌル酸トリアリル)、または液体湿気生成剤(例えば、ヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン流体)であり得る。少なくとも1つの液体添加剤の各々は、独立して、20.0℃未満、あるいは15℃未満、あるいは5℃未満の凝固点を有する。少なくとも1つの液体添加剤の各々の凝固点は、独立して、少なくとも-80℃、あるいは少なくとも-50℃、あるいは少なくとも-10℃であり得る。
【0013】
態様7.印加ステップの前に、ポリオレフィン固体を少なくとも1つの粒子状固体添加剤と接触させて、第1の不均質な混合物を作製することによって、第1の不均質な混合物を作製することをさらに含む、態様1~6のいずれか1つの方法。接触ステップにおいて使用されるポリオレフィン固体は、少なくとも1つの粒子状固体添加剤を含まなくてもよい。音響エネルギーを印加するステップにおいて使用される第1の不均質な混合物は、新たに調製され得る。「新たに調製される」とは、接触ステップと音響エネルギーを印加するステップの開始との間の時間が、30分未満、あるいは15分未満、あるいは10分未満、あるいは5分未満であり得ることを意味する。あるいは、音響エネルギーを印加するステップにおいて使用される第1の不均質な混合物は、予めエージングされ得る。「予めエージングされる」とは、接触ステップと音響エネルギーを印加するステップの開始との間の時間が、少なくとも30分、あるいは60分超、あるいは120分超であり得ることを意味する。
【0014】
態様8.接触ステップが、追加の接触ステップ(i)または(ii):(i)ポリオレフィン固体および少なくとも1つの粒子状固体添加剤を少なくとも1つの液体添加剤と接触させて、第1の不均質な混合物を作製すること、または(ii)ポリオレフィン固体および少なくとも1つの粒子状固体添加剤を、25℃~110℃の融点を有する低融点固体添加剤(例えば、シアヌル酸トリアリル、m.p.26℃~28℃)と接触させて、不均質な固体予備混合物を作製し、ポリオレフィン固体を溶融することなく低融点固体添加剤を溶融して、第1の不均質な混合物を作製することをさらに含む、態様7の方法。低融点固体添加剤は、30.0℃~109℃、あるいは40.0℃~79.9℃、あるいは30.0℃~49.9℃の融点を有し得る。追加の接触ステップ(i)において使用されるポリオレフィン固体および少なくとも1つの粒子状固体添加剤は、少なくとも1つの液体添加剤を含まなくてもよい。追加の接触ステップ(i)または(ii)において作製され、音響エネルギーを印加するステップにおいて使用される第1の不均質な混合物は、新たに調製され得る。「新たに調製される」とは、接触ステップ(i)または(ii)と音響エネルギーを印加するステップの開始との間の時間が、少なくとも1つの液体添加剤が、可能であれば、ポリオレフィン固体に、任意の顕著な程度または任意の程度まで受動的に浸漬(soaking)または吸収するために必要な時間の長さを有することを防止するために十分に短くあり得ることを意味する。接触ステップと音響エネルギーを印加するステップの開始との間の十分に短い時間は、30分未満、あるいは15分未満、あるいは10分未満、あるいは5分未満であり得る。あるいは、追加の接触ステップ(i)または(ii)において作製され、音響エネルギーを印加するステップにおいて使用される第1の不均質な混合物は、予めエージングされ得る。「予めエージングされる」とは、接触ステップ(i)または(ii)と音響エネルギーを印加するステップの開始との間の時間が、少なくとも1つの液体添加剤が、可能であれば、少なくとも1つの液体添加剤の、すべてではなく、いくらかをポリオレフィン固体に、顕著な程度または測定可能まで受動的に浸漬または吸収するために必要な時間の長さを有することを可能にするために十分長くあり得ることを意味する。追加の接触ステップ(i)または(ii)と音響エネルギーを印加するステップの開始との間の十分に長い時間は、少なくとも30分、あるいは60分超、あるいは120分超であり得る。
【0015】
態様9.第1の均質な混合物を、ポリオレフィン固体とは異なる少なくとも1つの粒子状固体添加剤と接触させて、第1の均質な混合物および少なくとも1つの粒子状固体添加剤を含む第2の不均質な混合物を作製するステップと、次いで20~100Hzの周波数およびそれを一緒に実質的に混合するために有効な音響強度の音響エネルギーを、第2の不均質な混合物の温度を少なくとも1つの粒子状固体添加剤の融点未満およびポリオレフィン固体の溶融温度未満に維持しながら印加し、それによって、作製ステップ中にポリオレフィンポリマー固体または少なくとも1つの粒子状固体添加剤を溶融することなく、ポリオレフィン固体、少なくとも1つの粒子状固体添加剤を含む第2の均質な混合物を作製するステップと、をさらに含む、態様1~8のいずれか1つの方法。
【0016】
態様10.均質な混合物のポリオレフィン固体を溶融して、溶融混合物を作製するステップと、溶融混合物を成形して、成形溶融混合物を得るステップと、成形溶融混合物を冷却して、成形固体を得るステップと、をさらに含む、態様1~9のいずれか1つの方法。成形固体は、製造物品として有用であり得る。成形は、コーティング、押出、または造形を含み得る。均質な混合物は、番号付けされた態様によっては、第1または第2の作製された均質な混合物であり得る。
【0017】
態様11.成形ステップが、溶融混合物をコーティングとして導電性コア(例えば、ワイヤ、光ファイバー、または両方)上に押出し、コーティングを固化させて、導電性コアおよび導電性コアを少なくとも部分的に覆うコーティング成形固体を含む被覆導体を作製することを含む、態様10の方法。方法は、導電性コアおよび導電性コアを少なくとも部分的に覆うコーティング成形硬化生成物を含む被覆導体を与えるために、コーティング成形固体を硬化(架橋)することをさらに含み得る。この態様は、低電圧電力ケーブルなどの電力ケーブルを含む製造物品を作製するために使用され得る。
【0018】
態様12.成形固体のポリオレフィンを硬化させて成形硬化生成物を得ることをさらに含む、態様10または11の方法。
【0019】
態様13.態様12の方法によって調製される成形硬化生成物。
【0020】
方法は、印加ステップの音響エネルギーに干渉またはそれを減衰し得る構成要素を含まない、音響ミキサー装置において均質な混合物を作製する。Resodyn Acoustic Mixers,Butte,Montana,USAからの共鳴音響ミキサーを含む、研究室の仕事台から商業製造までの様々な規模での使用のための音響ミキサー装置が市販され得る。
【0021】
作製方法は、ポリオレフィン固体を溶融することなく均質な混合物を作製する。実際の意味では、均質性を達成することは、目視検査によって、または不均質から均質状態に移行するときに混合物を試料採取し、試料の特性を測定することによって認識され得る。例えば、測定の試料採取誤差が測定の総誤差と比較して無視できるかまたは同一である場合、均質性が達成される。すべての他のことが等しい場合、(i)音響エネルギーが大きいほど、均質性を達成するために必要な時間が短くなり、その逆も同様であり、(ii)周波数がポリマー固体との共鳴に近いほど、均質性を達成するために必要な時間が短くなり、その逆も同様である。
【0022】
方法によって作製される均質な混合物は、粒子状固体添加剤が、ポリオレフィン固体の外部表面および任意のアクセス可能な内部表面に実質的に均一に吸着されるという点で、均質として特徴付けられ得る。「実質的に均一に吸着される」とは、ポリオレフィンポリマー固体の実質的にすべてのアクセス可能な表面が、その上に吸着された少なくともいくらかの粒子状固体添加剤を有することを意味するが、吸着された粒子状固体添加剤の量は、表面にわたって異なり得る。ポリオレフィン固体の表面に吸着されると、粒子状固体添加剤は、その上に残留し得るか、または少なくとも一部は、ポリオレフィン固体中に移動し得る。
【0023】
方法は、ポリオレフィン固体を溶融することを必要とする、溶融押出または溶融配合を使用することなく、ポリオレフィン固体および少なくとも1つの粒子状固体添加剤を含む均質な混合物を作製することを可能にする。よって、方法によって作製される均質な混合物の熱履歴は、溶融押出または溶融配合によって作製される比較的均質な混合物の熱履歴よりも害が少ない(例えば、酸化劣化および/またはスコーチもしくは早期架橋が少ない)。例えば、方法によって作製される均質な混合物は、その熱エージングの前および/または後に、改善された硬化特性(例えば、より低いホットクリープ%)、改善された機械的特性(例えば、より高い引張強さ、より大きな破断伸び)を有し得る。
【0024】
液体とは、気体と固体との中間にあり、安定した体積を有するが、定義された形状を有しない非晶質状態の物質を意味する。
【0025】
溶融とは、固体状態の物質から液体状態の物質に材料を変化させることを意味する。典型的には、溶融とは、液体状態の物質が材料の未溶融固体形態を含有しないように変化が完了したことを意味する。材料が固体または液体として特徴付けられる材料の温度は、20℃である。
【0026】
ポリオレフィンとは、オレフィン官能性モノマーを重合すること、もしくは少なくとも2つのオレフィン官能性モノマーを共重合することから誘導される構成単位を含む任意の高分子、またはそのような高分子の混合物を意味する。ポリオレフィンは、非晶質(すなわち、示差走査熱量測定(DSC)においてガラス転移温度を有するが融点を有しない)または半結晶性(すなわち、DSCにおいてガラス転移温度および融点を有する)であり得る。
【0027】
好適なポリオレフィンの例は、ポリエチレンホモポリマーおよびエチレンベースのコポリマーなどのエチレンベースのポリマー、ポリプロピレンホモポリマーおよびプロピレンベースのコポリマーなどのプロピレンベースのポリマー、ハロゲン化ポリオレフィン、グラフト化アルケニル官能性単環式オルガノシロキサン-ポリエチレンコポリマー、エチレン/アルケニル官能性単環式オルガノシロキサンコポリマー、ならびにUS2012/0209056A1に記載されるものなどのポリスチレンポリマーである。ハロゲン化ポリオレフィンの例は、ポリ(塩化ビニル)ポリマー(PVC)、塩素化ポリ(塩化ビニル)ポリマー(CPVC)、塩素化ポリエチレンポリマー、塩素化天然または合成ゴム、塩素化ポリスチレン、ポリ(臭化ビニル)ポリマー、臭素化ブタジエン/スチレンコポリマー、臭素化ポリスチレンポリマー、臭素化天然または合成ゴム、ならびに塩化ビニルおよび共重合性エチレン性不飽和モノマーのコポリマーである。共重合可能なエチレン性不飽和モノマーの例は、酢酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、塩化ビニリデン、フマル酸アルキル、マレイン酸アルキル、プロピオン酸ビニル、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、アルファ-クロロアクリル酸メチル、スチレン、トリクロロエチレン、ビニルエーテル、ビニルケトン、1-フルオロ-2-クロロエチレン、アクリロニトリル、クロロアクリロニトリル、二酢酸アリリデン、および二酢酸クロロアリリデン、ならびにそれらの任意の2つ以上の混合物である。詳細については、US10,119,015B2を参照されたい。ポリオレフィンは、熱可塑性エラストマーまたは相溶化剤、例えば、US8,697,787B2に記載されるものであり得る。コポリマーであるポリオレフィンは、バイポリマー(2つの異なるオレフィンモノマーを重合することによって作製される)、ターポリマー(3つの異なるオレフィンモノマーを重合することによって作製される)、またはテトラポリマー(4つの異なるオレフィンモノマーを重合することによって作製される)であり得る。コポリマーであるポリオレフィンは、ブロックコポリマーまたはランダムコポリマーであり得る。
【0028】
いくつかの態様では、ポリオレフィンは、エチレンベースのポリマーである。好適なエチレンベースのポリマーの例は、ポリエチレンホモポリマー、エチレン/(C4-C20)アルファ-オレフィンコポリマー、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/プロピレン/ジエンモノマー(EPDM)コポリマー、例えば、エチレン/プロピレン/1,3-ブタジエンターポリマー、およびエチレン/1-ブテン/スチレンコポリマーである。好適なエチレン/(C4-C20)アルファ-オレフィンコポリマーの例は、エチレン/1-ブテンコポリマー、エチレン/1-ヘキセンコポリマー、およびエチレン/1-オクテンコポリマーである。エチレンベースのポリマーは、超低密度(ultra-low-density)ポリエチレン(ULDPE)、超低密度(very low-density)ポリエチレン(VLDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、または超高密度ポリエチレン(UHDPE)であり得る。エチレンベースのポリマーの多くは、The Dow Chemical CompanyによってAFFINITY、ATTANE、DOWLEX、ENGAGE、FLEXOMER、またはINFUSEなどの商品名で販売される。他のエチレンベースのポリマーは、他の供給業者によってTAFMER、EXCEED、およびEXACTなどの商品名で販売される。
【0029】
「エチレンベースのポリマー」または「プロピレンベースのポリマー」などのモノマーベースのポリマーは、51~100重量パーセント(重量%)のモノマー(例えば、エチレンまたはプロピレン)に由来する構成単位および0~49重量%のモノマーとは異なる1つ以上のコモノマーに由来する構成単位を含む高分子を意味する。
【0030】
オレフィン官能性モノマーとは、少なくとも1つの重合性炭素-炭素二重結合を含有する有機分子を意味し、有機分子は、炭素原子、水素原子、任意に少なくとも1つのハロゲン原子、および任意にN、O、S、Si、またはPから選択される少なくとも1つのヘテロ原子で構成される。典型的には、少なくとも1つのヘテロ原子は、酸素原子および/またはケイ素原子を含む。オレフィン官能性モノマーの例は、エチレン、プロピレン、(C4-C20)アルファ-オレフィン、1,3-ブタジエン、ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、フッ化ビニル、塩化ビニル、臭化ビニル、ヨウ化ビニル、酢酸ビニル、アクリル酸(C1-C6)アルキル、メタクリル酸(C1-C6)アルキル、式H2C=C(H)Si(OCH3)3のビニルトリメトキシシランなどのビニルトリアルコキシシラン、または2,4,6-トリメチル-2,4,6-トリビニル-シクロトリシロキサン、「(DVi)3」(CAS番号3901-77-7)または2,4,6,8-テトラメチル-2,4,6,8-テトラビニル-シクロテトラシロキサン、「(DVi)4」(CAS番号2554-06-5)などのアルケニル官能性単環式オルガノシロキサンである。
【0031】
固体とは、安定した体積および定義された形状を有する物質の状態を意味する。非晶質、結晶性、または半結晶性であり得る。
【0032】
理論によって拘束されることなく、20~100Hzの周波数の音響エネルギーを印加することは、ポリオレフィン固体を急速に振動させる音波を生成すると考えられる。それらは、比較的大きな物理的変位を経験し、この大きさおよび速さは、周波数および音響強度の関数であると考えられる。ポリオレフィン固体のこの振動は、少なくとも1つの粒子状固体添加剤とのそれらの急速な混合をもたらして、第1の均質な混合物を形成する。第1の均質な混合物は、よって、少なくとも1つの粒子状固体添加剤を溶融することなく、ポリオレフィン固体を溶融することなく、任意に、ポリオレフィン固体および少なくとも1つの粒子状固体添加剤の機械的混合なしに作製される。本方法は、ポリオレフィンの固体(例えば、撹拌タンク装置における)または溶融物(例えば、二軸押出機装置における)の粒子状固体添加剤との機械的ブレンドに依存する、以前の混合方法とは異なる。
【0033】
20ヘルツ(Hz)未満の周波数を有する音は、「超低周波音」、20Hz~20キロヘルツ(KHz)は、「音響」、20KHz超(最大200メガヘルツ(MHz)以上)は、「超音波」と呼ばれる。理論によって拘束されることなく、超低周波音および超音波、ならびに100Hzを超える音響は、それ自体では、不均質な混合物中のポリオレフィン固体を、その比較的大きな物理的変位を生み出し、それによって均質な混合物をもたらすような方法で急速に振動させることはできないと考えられる。本明細書では、20~100Hzの周波数の音響エネルギーを印加することは、「音響混合」と呼ばれる。
【0034】
方法は、印加ステップ中にポリオレフィン固体または不均質な混合物を機械的に移動させることを含まない特徴をさらに含み得る。機械的移動とは、手動または機械を介して、物理的物体(例えば、スターラーパドル、スクリュー、プランジャー、またはブレンダー)が接触し、それによって材料を移動させる、直接接触力を印加することによる始動を意味する。機械的移動の例は、撹拌、スクリュー混合、プランジャー混合、ブレンダー混合、および他の直接物理的接触である。接触力は、電磁力、重力、音響力、および対流力を含まない。
【0035】
「不均質な混合物」という表現は、場合によっては、番号が付けられた態様もしくは特許請求の範囲の第1もしくは第2の不均質な混合物、または番号が付けられていない態様の不均質な混合物を指し得る。
【0036】
不均質な混合物。粒子状固体添加剤を含まないニートのポリオレフィン固体を、それを均質化することなく粒子状固体添加剤と接触させることによって作製され得る。あるいは、本発明の音響混合または比較の溶融混合によって作製される、均質な混合物を、第2の粒子状固体添加剤および/または液体添加剤と、それを均質化することなく接触させることによって作製され得る。あるいは、ポリオレフィン固体および粒子状固体添加剤の均質な混合物を、非均質化することによって、例えば、粒子状固体添加剤の、ポリオレフィン固体の表面への移動をもたらすために十分な時間、均質な混合物を25℃で放置することによって、作製され得る。
【0037】
不均質な混合物は、これまで均質化されたことがなくてもよく、または上記のように非均質化されていてもよい。いずれの場合も、不均質な混合物は、物質の不均一な物理的組み合わせであり、例えば、ブレンドされていないか、または部分的に(不完全に)ブレンドされた構成成分からなる。非均質化された混合物の均質化は、ポリオレフィンを再溶融することなく、その前身の均質な混合物を再構成し得る。
【0038】
ポリオレフィン固体。1つ以上のオレフィン官能性モノマーを重合することから誘導される少なくとも5、あるいは10~200,000の構成単位を独立して含むポリマー高分子の微細な固体状態の物質(すなわち、固体粒子)形態。オレフィン官能性モノマーの例は、エチレン、アルファ-オレフィン、ジエン、不飽和カルボン酸エステル、およびオレフィン官能性加水分解性シランである。ポリオレフィン固体のポリオレフィンは、51~100重量%の、エチレンを重合することから誘導されるエチレン単位、ならびに49~0重量%の、プロピレン;1-ブテン、1-ヘキセン、または1-オクテンなどの(C4-C8)アルファ-オレフィン;不飽和カルボン酸エステル、およびオレフィン官能性加水分解性シランから選択される1つ、あるいは2つのオレフィン官能性モノマー(コモノマー)を重合することから誘導されるコモノマー単位を含む、エチレンベースのポリマーであり得る。あるいは、ポリオレフィン固体のポリオレフィンは、51~100重量%の、プロピレンを重合することから誘導されるプロピレン単位、ならびに49~0重量%の、エチレン;1-ブテン、1-ヘキセン、または1-オクテンなどの(C4-C8)アルファ-オレフィン;不飽和カルボン酸エステル、およびオレフィン官能性加水分解性シランから選択される1つ、あるいは2つのオレフィン官能性モノマー(コモノマー)を重合することから誘導されるコモノマー単位を含む、プロピレンベースのポリマーであり得る。アルファ-オレフィンの例は、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、または1-オクテンなどの(C4-C8)アルファ-オレフィン、および(C10-C20)アルファ-オレフィンである。ジエンの例は、1,3-ブタジエンである。不飽和カルボン酸エステルの例は、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、およびカルボン酸ビニル(例えば、酢酸ビニル)である。オレフィン官能性加水分解性シランの例は、ビニルトリアルコキシシラン、ビニルトリス(ジアルキルアミノ)シラン、およびビニル(トリオキシモ)シランである。ポリオレフィン固体のポリオレフィンの例は、ポリエチレンホモポリマー、ポリプロピレンホモポリマー、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/(C4-C8)アルファ-オレフィンコポリマー、エチレン/プロピレン/1,3-ブタジエンコポリマー、エチレン/不飽和カルボン酸エステルコポリマー、およびエチレン/ビニル官能性加水分解性シランコポリマーである。
【0039】
ポリオレフィンポリマー固体は、多孔性または非多孔性であり得る。ポリオレフィンポリマー固体は、粉末、顆粒、またはペレットを含み得る。
【0040】
粒子状固体添加剤。ポリオレフィンポリマーではないか、またはそれを含有しない、すなわち、任意のタイプのポリマーではないか、または構成単位がオレフィン官能性モノマーに由来しないポリマーである物質。粒子状固体添加剤は、存在する場合、ガラス転移温度によって、および/またはポリオレフィン固体の溶融温度よりも高い溶融温度、例えば、140℃よりも高い、あるいは180℃よりも高い溶融温度によって特徴付けられ得る。粒子状固体添加剤の、存在する場合、実際のガラス転移温度、および溶融温度は、十分に高く、粒子状固体添加剤が印加ステップ中にガラス転移または溶融しない限り、重要ではない。不均質な混合物および均質な混合物は、0の粒子状固体添加剤、あるいは1つの粒子状固体添加剤、あるいは2つ以上の異なる粒子状固体添加剤の組み合わせを含み得る。粒子状固体添加剤は、無機または有機であり得る。例としては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、ダイヤモンド粉末、グラファイト、グラフェン、粉末金属、粉末金属酸化物、固体難燃剤、シリカ、アルミナ、およびケイ酸塩ガラスビーズがある。
【0041】
任意の液体添加剤。ニートな液体または液体溶媒に溶解した液体もしくは固体添加剤(溶質)の溶液。ニートな液体は、ポリオレフィンポリマー高分子ではなく、温度特性(i)または(ii):(i)0℃未満、あるいは0~20.0℃の凝固点、または(ii)20.1~99℃、あるいは30.0~79.9℃、あるいは40.0~69.9℃の融点を有する分子で構成される。溶液中の液体添加剤溶質は、ニートな液体について記載される同じ化合物であり得る。溶液中の固体添加剤溶質は、液体溶媒中の少なくとも1重量%の溶解度を有する化合物であり得る。液体溶媒は、印加ステップ中に不均質な混合物の温度を超える沸点を有するために選択される有機液体であり得る。好適な液体溶媒は、炭化水素(例えば、鉱油またはキシレン)、エーテル(例えば、ジブチルエーテル)、およびそれらの2つ以上のブレンドである。いくつかの態様では、液体添加剤は、ニートな液体としてポリオレフィン固体に添加され、不均質な混合物は、いかなる液体溶媒も含まない。いくつかの態様では、不均質な混合物、作製方法、およびそれによって作製される均質な混合物は、液体添加剤を含まない。
【0042】
「液体添加剤」という用語は、音響エネルギーを印加するステップ中の不均質な混合物の温度での添加剤の物質の状態を記載するために使用され、印加ステップ中の不均質な混合物の温度が周囲温度よりも高い場合、添加剤が周囲温度(例えば、23℃)で液体であることは必ずしも必要ではない。いくつかの態様では、液体添加剤は、周囲温度(例えば、23℃)で液体である。
【0043】
液体添加剤は、均質な混合物および/またはそのポリオレフィン固体に少なくとも1つの有益な機能的特性を付与してもよく、またはしなくてもよい。例えば、液体添加剤は、単に、ポリオレフィン固体から液体添加剤なしで、それに機能的利益を提供することなく作製される生成物のコストと比較して、均質な混合物から作製される生成物のコストを低下させるためにのみ使用される充填材料であり得る。あるいは、液体添加剤は、均質な混合物および/またはそのポリオレフィン固体に、色、増加した安定性(例えば、熱、紫外線、電気、および/または水への曝露からの劣化、脆化、垂れ、または誘電損失効果に対する)、架橋源(液体添加剤がポリオレフィンの架橋を強化するための架橋助剤または触媒である場合)、増加した伝導性(例えば、電気および/または熱伝導性)、および増加した弾性率などの、少なくとも1つの機能的特性を付与し得る。
【0044】
各不均質な混合物および均質な混合物は、独立して、1つの粒子状固体添加剤のみ、あるいは2つ以上の異なる粒子状固体添加剤の組み合わせを含有し得る。
【0045】
不均質な混合物、よって方法によってそれから作製される均質な混合物は、粒子状固体添加剤を含まなくてもよい(すなわち、欠いてもよい)。これらの実施形態では、不均質な混合物、よって方法によってそれから作製される均質な混合物は、ポリオレフィン固体および少なくとも1つの粒子状固体添加剤から本質的になるか、あるいはそれらからなり得る。
【0046】
あるいは、不均質な混合物、よって方法によってそれから作製される均質な混合物は、ポリオレフィン固体とは異なる粒子状固体添加剤をさらに含み得る。これらの実施形態では、不均質な混合物、よって方法によってそれから作製される均質な混合物は、ポリオレフィン固体、少なくとも1つのそのような粒子状固体添加剤、および少なくとも1つのそのような粒子状固体添加剤から本質的になるか、あるいはそれらからなり得る。
【0047】
ポリオレフィン固体のポリオレフィンは、(A)HSG-FPコポリマーであり得る。(A)HSG-FPコポリマーは、エチレンと、任意に、オレフィン官能性コモノマーと、を含むモノマーを共重合することによって作製され、少なくとも1つのオレフィン官能性コモノマーは、オレフィン官能性加水分解性シランである。(A)HSG-FPコポリマーの組成は、エチレン単位、アルキレン加水分解性シリル基単位、任意にプロピレン単位、および任意に、任意のオレフィンコモノマーに由来するコモノマー単位から選択される構成単位によって特徴付けられ得る。任意に、0、1、またはそれ以上のオレフィンコモノマーは、(C4-C20)アルファ-オレフィン、オレフィン性不飽和カルボン酸、オレフィン性不飽和カルボン酸エステル、オレフィン性不飽和カルボン酸無水物、およびそれらの組み合わせから選択され得る。カルボン酸は、モノカルボン酸またはジカルボン酸であり得る。カルボン酸エステルは、モノカルボン酸エステル、ジカルボン酸モノエステル、またはジカルボン酸ジエステルであり得る。オレフィン性不飽和カルボン酸は、末端不飽和(C2-C8)カルボン酸、あるいは(メタ)アクリル酸、あるいは不飽和ジカルボン酸であり得る。オレフィン性不飽和カルボン酸エステルは、(C2-C8)カルボン酸ビニルエステル、あるいは(C2-C5)カルボキン酸ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、またはブタン酸ビニル)、あるいは(メタ)アクリル酸(C1-C8)アルキルエステル、あるいは、(メタ)アクリル酸(C1-C3)アルキルエステル、あるいは不飽和ジカルボン酸のジ(C1-C8)アルキルジエステル、あるいは不飽和ジカルボン酸のモノ(C1-C8)アルキルエステル、あるいはマレイン酸のモノ(C1-C8)アルキルエステルであり得る。(メタ)アクリル酸塩とは、H2C=CHCO2-またはH2C=C(CH3)CO2-を意味する。CTAは、アセトン、メチルエチルケトン、プロピオンアルデヒド、2-プロパノール、酢酸エチル、イソブテン、ブタン、2-メチルプロパン、ISOPARTM-C、ISOPARTM-E、ISOPARTM-H、またはそれらの任意の2つ以上の組み合わせであり得る。CTAは、存在する場合、重合反応混合物の0.03~10重量%であり得る。
【0048】
(A)HSG-FPコポリマーは、0.43~0.99mol%の総加水分解性シリル基含有量によって特徴付けられ得る。加水分解性シリル基含有量の総mol%は、加水分解性シリル基含有量の重量%値から計算され、重量%値は、後述する蛍光X線(XRF)試験方法に従って決定される。例えば、少なくとも1つのアルケニル官能性加水分解性シランがビニルトリメトキシシラン(VTMS)である場合、その分子量は148.23g/molであり、コモノマー含有量が2.0重量%である場合、mol%=0.38mol%である。VTMSコモノマー含有量が5.0重量%の場合、mol%=0.99mol%である。任意の所与の重量%加水分解性シリル基含有量値でのmol%加水分解性シリル基含有量は、加水分解性シリル基が由来する少なくとも1つのアルケニル官能性加水分解性シランの分子量に反比例して変化する。
【0049】
(A)HSG-FPコポリマーは、加水分解可能なシリル基を含有する。これらの基は、独立して、式(R2)m(R3)3-mSi-の一価基であり得、式中、下付き文字mは、1、2、または3の整数であり、各R2は、独立して、H、HO-、(C1-C8)アルコキシ、(C2-C6)カルボキシ、フェノキシ、(C1-C6)アルキル-フェノキシ、(C1-C6)アルキル(H)N-、((C1-C6)アルキル)2N-、(C1-C6)アルキル(H)C=NO-、または((C1-C6)アルキル)2C=NO-であり、各R3は、独立して、(C1-C8)アルキルまたはフェニルである。各R2は、HおよびHO-を含まなくてもよく、あるいはフェノキシおよび(C1-C6)アルキル-フェノキシを含まなくてもよい。各R2は、独立して、(C1-C6)アルコキシ、(C2-C6)カルボキシ、((C1-C6)アルキル)2N-、(C1-C6)アルキル(H)C=NO-、または((C1-C6)アルキル)2C=NO-であるか、あるいは(C1-C6)アルコキシ、あるいは(C2-C6)カルボキシ、あるいは((C1-C6)アルキル)2N-、あるいは(C1-C6)アルキル(H)C=NO-、あるいは((C1-C6)アルキル)2C=NO-であり得る。(A)HSG-FPコポリマーのすべての加水分解性シリル基は同じであり得る。加水分解性シリル基は、少なくとも1つのアルケニル官能性加水分解性シラン(コモノマー)の加水分解性シリル基に由来し、そこから、そのような基を含む(A)HSG-FPコポリマーのコモノマー単位が作製される。
【0050】
任意の添加剤(B)シラノール縮合触媒。(B)は、(i)~(iv):(i)ブレンステッド酸、(ii)ブレンステッド塩基、(iii)ルイス酸、および(iv)ルイス塩基のうちのいずれか1つから選択され得る。(B)は、(i)または(iii)のいずれか、あるいは、(ii)または(iv)のいずれかであり得る。(B)は、ルイス酸であり得、これは、ジカルボン酸ジアルキルスズであり得る。(B)は、ブレンステッド酸であり得、これは、式RSO3Hのスルホン酸であり得、式中、Rは、(C1-C10)アルキル、(C6-C10)アリール、(C1-C10)アルキル置換(C6-C10)アリール、または(C6-C10)アリール置換(C1-C10)アルキル、またはブロックされたスルホン酸であり、これは、スルホン酸をインサイチュで作製する。
【0051】
任意の添加剤(C)抗酸化剤:酸化を阻害する有機分子、またはそのような分子の集合体。(C)抗酸化剤は、(F)安定剤とは組成が異なり、これは、不均質または均質な混合物が(C)および(F)の両方を含有する場合、(C)として使用される化合物は、(F)として使用されるものとは異なることを意味する。(C)抗酸化剤は、不均質もしくは均質な混合物、および/または均質な混合物を硬化させることによって作製される硬化ポリマー生成物に抗酸化特性を提供するように機能する。好適な(C)の例は、ビス(4-(1-メチル-1-フェニルエチル)フェニル)アミン(例えば、NAUGARD 445)、2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)(例えば、VANOX MBPC)、2,2’-チオビス(2-t-ブチル-5-メチルフェノール(CAS番号90-66-4、4,4’-チオビス(2-t-ブチル-5-メチルフェノール)(4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-m-クレゾールとしても知られる)、CAS番号96-69-5、市販のLOWINOX TBM-6)、2,2’-チオビス(6-t-ブチル-4-メチルフェノール(CAS番号90-66-4、市販のLOWINOX TBP-6)、トリス[(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルフェニル)メチル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン(例えば、CYANOX 1790)、(3-(3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ペンタエリスリトールテトラキス(例えば、IRGANOX 1010、CAS番号6683-19-8)、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシベンゼンプロパン酸2,2’-チオジエタンジイルエステル(例えば、IRGANOX 1035、CAS番号41484-35-9)、チオジプロピオン酸ジステアリル(「DSTDP」)、チオジプロピオン酸ジラウリル(例えば、IRGANOX PS 800)、3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル(例えば、IRGANOX 1076)、2,4-ビス(ドデシルチオメチル)-6-メチルフェノール(IRGANOX 1726)、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール(例えば、IRGANOX 1520)、および2’,3-ビス[[3-[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジド(IRGANOX1024)である。(C)は、4,4’-チオビス(2-t-ブチル-5-メチルフェノール)(4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール)としても知られる)、2,2’-チオビス(6-t-ブチル-4-メチルフェノール、トリス[(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルフェニル)メチル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン、チオジプロピオン酸ジステアリル、もしくはチオジプロピオン酸ジラウリル、またはそれらの任意の2つ以上の組み合わせであり得る。組み合わせは、トリス[(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルフェニル)メチル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオンおよびチオジプロピオン酸ジステアリルであってもよい。不均質および/または均質な混合物は、(C)を含まなくてもよい。存在する場合、(C)抗酸化剤は、不均質および/または均質な混合物の総重量の0.01~1.5重量%、あるいは0.1~1.0重量%であり得る。
【0052】
任意の添加剤(D)着色剤。例えば、顔料または染料。例えば、カーボンブラックまたは二酸化チタン。カーボンブラックは、ポリ(1-ブテン-コ-エチレン)コポリマー(マスターバッチの総重量の95重量%以上~100重量%未満)、およびカーボンブラック(マスターバッチの総重量の0重量%超~5重量%以下の製剤であるカーボンブラックマスターバッチとして提供され得る。カーボンブラックは、準結晶炭素の微結晶化形態であり、高い表面積対体積比を有するが、活性炭のそれよりかは低い。カーボンブラックの例は、ファーネスカーボンブラック、アセチレンカーボンブラック、導電性カーボン(例えば、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、グラフェン、グラファイト、および膨張グラファイト小板)である。不均質および/または均質な混合物は、(D)を含まなくてもよい。存在する場合、(D)は、不均質および/または均質な混合物の0.1~35重量%、あるいは1~10重量%であり得る。
【0053】
任意の添加剤(E)スコーチ遅延剤。(E)スコーチ遅延剤は、不均質および/または均質な混合物の湿気硬化性実施形態の早期の湿気硬化を阻害するように機能し、早期の湿気硬化は、混合物の周囲空気への早期もしくは長期の曝露から、または混合物が周囲温度もしくは高温にあるとき(例えば、その後の溶融押出中)に生じるであろう。(E)の例は、オクチルトリエトキシシランおよびオクチルトリメトキシシランおよびビニルトリメトキシシランである。不均質および/または均質な混合物は、(E)を含まなくてもよい。存在する場合、(E)は、不均質および/または均質な混合物の0.001~5.0重量%、あるいは0.01~3.0重量%、あるいは0.10~1.5重量%、あるいは0.15~1.0重量%であり得る。
【0054】
任意の添加剤(F)紫外線に対して不均質および/または均質な混合物を安定化するための安定剤(UV安定剤)。(F)安定剤は、(C)抗酸化剤とは組成が異なり、これは、混合物が(C)と(F)の両方を含有している場合、(C)として使用される化合物は、(F)として使用される化合物とは異なることを意味する。例としては、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)、ベンゾフェノン、またはベンゾトリアゾールがある。(F)UV安定剤は、少なくとも1つの立体的にかさばる有機基に結合し、劣化または分解の阻害剤として機能する塩基性窒素原子を含有する分子、またはそのような分子の集合体であり得る。HALSは、立体障害のあるアミノ官能基を有し、酸化劣化を阻害し、有機過酸化物を含有する混合物の実施形態の貯蔵寿命を増加させることもできる化合物である。好適な(F)の例は、ブタン二酸ジメチルエステル、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジン-エタノールを含むポリマー(CAS番号65447-77-0、市販のLOWILITE 62)、およびN,N’-ビスホルミル-N、N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)-ヘキサメチレンジアミン(CAS番号124172-53-8、市販のUvinul 4050H)である。不均質および/または均質な混合物は、(F)を含まなくてもよい。存在する場合、(F)UV安定剤は、不均質および/または均質な混合物の0.001~1.5重量%、あるいは0.002~1.0重量%、あるいは0.05~0.1重量%であり得る。
【0055】
任意の添加剤(G)加工助剤:押出機およびダイなどの製造機器においてポリマー溶融物の付着を減少させ、均質な混合物がその後その中で使用される実施形態において材料の溶融破壊を減少させる分子。(G)は、フルオロポリマー、ポリオルガノシロキサン、脂肪カルボン酸の金属塩、脂肪カルボキサミド、ワックス、エチレンオキシド(コ)ポリマー、および非イオン性界面活性剤であり得る。不均質および/または均質な混合物は、(G)を含まなくてもよい。存在する場合、(G)加工助剤は、不均質および/または均質な混合物の0.05~5重量%であり得る。
【0056】
任意の添加剤(H)難燃剤。(H)難燃剤は、火炎中の化学反応を抑制することによって火の広がりを阻害または遅延させる化合物である。(H)難燃剤は、(H1)鉱物、(H2)有機ハロゲン化合物、(H3)(有機)リン化合物、(H4)ハロゲン化シリコーン、(H5)(H1)~(H4)の任意の2つ以上の組み合わせ、(H6)(H1)~(H4)のいずれか1つと難燃性相乗剤(例えば、三酸化アンチモン)の組み合わせであり得る。不均質および/または均質な混合物は、(H)を含まなくてもよい。存在する場合、(H)難燃剤は、不均質および/または均質な混合物の0.1~80.0重量%、あるいは1~50.0重量%、あるいは5~30.0重量%であり得る。
【0057】
不均質および/または均質な混合物は、(A)ではない(I)ポリマーまたはスチレンポリマー((A)ではない)をさらに含み得る。(A)ではない(I)ポリマーは、(A)ポリマーとは組成が異なるポリオレフィンベースの高分子であり得る。(A)ではない(I)ポリマーは、ポリオレフィン、スチレンポリマー、ゴム、ポリ(塩化ビニル)ポリマー、ポリジメチルシロキサン(PDMS)などのポリオルガノシロキサン、またはそれらの任意の2つ以上のブレンドであり得る。
【0058】
製造物品均質な混合物から作製される製造物品は、その成形形態を含み得る。例としては、基板、テープ、フィルム、ラミネートの層、フォーム、パイプへのコーティングがある。
【0059】
被覆導体。製造物品は、導電性コアと、導電性コアを少なくとも部分的に囲むポリマー層と、を含む被覆導体であり得、ポリマー層の少なくとも一部分は、均質な混合物、またはそれを硬化する硬化ポリマー生成物を含む。ポリマー層全体は、硬化ポリマー生成物を含み得る。導電性コアは、有する線形状(例えば、ワイヤのような)であり得、長さおよび、線形状の長さだけ互いに離隔された近位端および遠位端を有し、ポリマー層が、近位端および遠位端を除いて、導電性コアを取り囲み得る。被覆導体は、独立して、硬化ポリマー生成物を含み得るか、または含まない場合がある1つ以上の追加のポリマー層、および/または外側シールド層(例えば、金属シースまたはスリーブ)をさらに含み得る。被覆導体は、1つまたは2つの絶縁層であって、その少なくとも1つは、硬化ポリマー生成物を含む絶縁層と、代替的または追加的に、1つまたは2つの半導体層であって、その少なくとも1つは、カーボンブラックを含む硬化ポリマー生成物を含む、半導体層と、代替的または追加的に、硬化ポリマー生成物を含む外側シールド層と、を含み得る。
【0060】
(A)HSG-FPコポリマーを含む均質な混合物の湿気硬化性の実施形態は、周囲空気への曝露によって、または70℃~95℃の熱水への浸漬によって湿気硬化させて、硬化ポリマー生成物を作製し得る。硬化ポリマー生成物の架橋の程度は、パーセントのホットクリープを測定することによって特徴付けることができる。
【0061】
置換:任意の1つ、1つを除くすべて、または各官能基は非置換であり得る。
【0062】
あるいは、異なる実施形態に先行する。し得る(may)は、必須ではなく、選択の許容を付与する。任意の(任意に):存在しない(または除外される)こと、あるいは存在する(または含まれる)こと。
【実施例】
【0063】
メルトインデックス(「I2」):以前は「条件E」として知られ、190℃/2.16kgの条件を使用して、ASTM D1238-13に従って測定される。10分当たりのグラムの単位(g/10分)。
【0064】
XRF分光法を使用して、(A)HSG-FPコポリマーの試験試料のケイ素原子(Si)含有量の重量パーセント(重量%)を決定し、次いで加水分解性シランコモノマー単位重量%を計算する。115.6℃(華氏240度(°F))で3分間予熱されたBuehler SimpliMet 300自動取り付けプレスを使用し、粉末形態の試験試料を8.3メガパスカル(MPa、1,200ポンド/平方インチ(psi))で1分間プレスして、約6mmの厚さを有するプラークを形成し、プラークを25℃まで冷却する。PANalytical Axiosからの波長分散X線蛍光分析計を使用して、波長分散XRFによってプラークのSi原子含有量を分析する。XRFスペクトルの線強度を、放射化分析(NAA)または誘導結合プラズマ(ICP)法を使用して個別に測定された既知のSi原子濃度のポリマー標準を使用して確立されたSi原子含有量の検量線と比較することにより、Si原子含有量を決定する。XRFで測定されたSi原子重量%値、および加水分解性シリル基が誘導された少なくとも1つのアルケニル官能性加水分解性シランコモノマーの分子量を使用して、(A)HSG-FPコポリマー中の加水分解性シリル基コモノマー単位重量%(すなわち、加水分解性シリル基の重量%)を計算する。ビニルトリメトキシシラン(VTMS)に由来する加水分解性シリル基の場合、VTMS分子量148.23g/molを使用する。(A)HSG-FPコポリマーの(加水分解性シリル基コモノマー単位の重量%での)加水分解性シリル基含有量を計算するには、XRFで得られたSi原子重量%(「C」)および次の式:p=C*(m/28.086)(1/10000ppmw)を使用し、式中、*は、乗算を意味し、/は、除算を意味し、pは、(A)中の加水分解性シリル基の重量%であり、Cは、百万分の重量部(ppmw)でのSi原子量(XFR)であり、mは、加水分解性シリル基が由来する少なくとも1つのアルケニル官能性加水分解性シランコモノマーのg/molでの分子量であり、28.086は、ケイ素原子の原子量であり、10000ppmwは、1.00重量%中の百万分の重量部数である。例えば、XRFが(A)HSG-FPコポリマー中の379ppmwのSi原子を示し、(A)を作製するために使用されるコモノマーが148.23g/molの分子量を有するVTMSである場合、コモノマー含有量の重量%は、0.20重量%である。使用される少なくとも1つのアルケニル官能性加水分解性シランコモノマーの(A)HSG-FPコポリマー中の加水分解性シリル基コモノマー単位のmol%を計算するには、(A)中の加水分解性シリル基コモノマー単位の計算された重量%および次の式:G=100*(p/m)/[(p/m)+(100.00重量%-p)/28.05g/mol]を使用し、式中、*は、乗算を意味し、Gは、(A)中の加水分解性シリル基のモルパーセント(mol%)であり、pは、(A)中の加水分解性シリル基の重量%であり、mは、加水分解性シリル基が由来する少なくとも1つのアルケニル官能性加水分解性シランコモノマーのg/molでの分子量であり、28.05g/molは、モノマーエチレン(H2C=CH2)の分子量である。例えば、コモノマー含有量が2.0重量%であり、コモノマーがVTMSである場合、p=2.0重量%、m=148.23g/mol、G=0.38mol%である。コモノマー含有量が5.0重量%であり、コモノマーがVTMSである場合、p=5.0重量%、m=148.23g/mol、G=0.99mol%である。分子量の異なる2つ以上のアルケニル官能性加水分解性シランコモノマーを使用して(A)を作製する場合、(A)のすべての加水分解性シリル基の総mol%の計算に使用される分子量は、コモノマーの加重平均分子量である。重み付けは、GPPリアクターに供給されるコモノマーの量の比率によって、あるいは、(A)HSG-FPコポリマーのNMR分光法により、それぞれの加水分解性シリル基が異なるタイプの炭素原子(例えば、三級対二次炭素原子)に結合している場合の(A)HSG-FPコポリマーの異なるコモノマー単位の相対量を決定する、あるいは、様々なタイプのコモノマーの定量を提供するために較正されたフーリエ変換赤外(FT-IR)分光法によって、決定することができる。
【0065】
テープ調製方法:周囲硬化およびホットクリープ試験評価のために、テープの形態の湿気硬化性ポリエチレン製剤を調製するために使用される。上記の方法に従って調製した製剤を、25:1ダブルミキシングゾーン(パイナップル)スクリュー、40/60/40メッシュスクリーンパック、および5.08cm(2インチ)幅のヘッドダイを備えたBrabender 1.905cm(3/4インチ)押出機に供給する。押出機は、ヘッドダイで150℃、160℃、170℃、および170℃の4つのゾーンにわたる温度プロファイルを有し、スクリュー速度は毎分60回転(rpm)である。これにより、1.37~1.70mm(54~67mils)の平均厚さを有するテープの形態で異なる製剤が作製される。
【0066】
周囲湿気硬化法。特性評価および比較のために、周囲の硬化条件を次のように制御した。テープ調製方法によって作製されたテープ試験片を、以下で表3~5に示されるように、23℃±2℃および50%±2%RH環境で最大182日間硬化させて、硬化ポリマー生成物を作製する。ホットクリープ試験方法に従って、硬化ポリマー生成物のホットクリープを測定する。
【0067】
熱湯硬化法。テープ調製方法によって作製されたテープ試験片を、以下で表3~5に示されるように、90℃±2℃の水浴に20時間浸漬させて(immerse)、硬化ポリマー生成物を作製する。ホットクリープ試験方法に従って、硬化ポリマー生成物のホットクリープを測定する。
【0068】
ホットクリープ試験方法。湿気硬化方法によって調製された硬化ポリマー生成物の試験試料において、架橋の程度、よって硬化の程度を測定する。試験試料を、UL 2556、ワイヤおよびケーブル試験方法、セクション7.9に従って、負荷下、重量、および200℃でのホットクリープ試験方法に供す。負荷重量=CA*200キロパスカル(kPa、1平方インチあたり29.0ポンド/フィート)。CAは、プラーク調製方法に従って調製したプレスされたプラークから切り取られたドッグボーン型試料の断面積である。試験材料ごとに3つのドッグボーン型試験片を調製する。G=25+/-2mmである、互いに元の距離Gで試験片に2つのマークを付ける。ホットクリープ試験アセンブリの上部グリップに配置する。把持した試験片から0.2メガパスカル(MPa)の吊り下げ負荷をかける。ドッグボーン型試験片を含む試験アセンブリを、予熱した循環空気オーブンにおいて200℃+/-2℃で15分間加熱し、次いで、依然として負荷が取り付けられた状態で、試験片のマーク間の最終的な長さDeを測定する。式1:HCE=[100*(De-G)]/G(1)に従って、ホットクリープ伸びパーセント(HCE)を計算する。伸びの量を初期長さで除算し、ホットクリープの測定値をパーセンテージとして得る。ホットクリープパーセントが低いほど、試験試料の負荷下での伸びの程度が低くなり、ひいては架橋の程度が大きくなり、ひいては硬化の程度が大きくなる。ホットクリープ値が低いほど、架橋度が高いことを示唆する。90℃±2℃の水浴に20時間浸漬して硬化された試料のホットクリープ測定は、硬化生成物の最終的な架橋の程度を示す。硬化ポリマー生成物の最終的な架橋度が高いほど、より多くの量の非架橋性ポリマーまたは非湿気硬化性(例えば、過酸化物および/または光硬化性のみ)ポリマー(例えば、HSG-FPコポリマー以外(例えば、ポリエチレン)は、硬化ポリマー生成物が硬化後に175%以下の満足のいくホットクリープ性能を依然として達成しながら、湿気硬化性ポリエチレン製剤に組み込まれ得る。
【0069】
ワイヤコーティング調製方法:可変速ドライブ、25:1マドック混合ヘッドスクリュー、BRABENDERクロス-ヘッドワイヤダイ、エアワイプ付き研究室水冷却トラフ、レーザーマイクロメーター、および可変速ワイヤプラー、150℃(ゾーン1)、170℃(ゾーン2)、190℃(ゾーン3)、および195℃の温度プロファイル、(ヘッド/ダイ)、ならびに40/40メッシュスクリーンパックを備えたBRABENDER3/4インチ(1.91cm)押出機を使用した。溶融物を毎分40回転(rpm)のスクリュー速度および毎分約2.4メートル(m)(8フィート)の巻き取り速度で押出し、溶融混合物のコーティングを14AWG固体銅ワイヤ(直径1.628mm、AMGは米国ワイヤゲージである)上に堆積した。コーティングは、公称0.8mm壁厚を有した。
【0070】
被覆ワイヤ硬化方法:ワイヤコーティング調製法に従って調製された、ワイヤ試料を、その後報告されるように、95℃に維持された水浴に異なる時間浸漬することによって硬化して、硬化絶縁ワイヤ試料を得た。銅をわずかに引き下げて絶縁体を除去し易くすることによって、それから硬化したコーティング(「絶縁体」)の一部分を剥離し、そのホットクリープ性能を測定した。導体なしの絶縁試料を、200℃に設定されたオーブンにおいて、試料を伸長させる試料の底の0.2MPaの応力下で15分間、ホットクリープについて試験した。結果を、パーセンテージとして表される3つの試料の平均伸びとして報告する。詳細についてはホットクリープ試験方法を参照されたい。
【0071】
ムービングダイレオメーター(MDR)試験方法(MDR:182℃でのML(N-m)、MDR:182℃でのMH-ML(N-m)):ASTM D5289-12、ローターレス硬化計を使用したゴム特性-加硫の標準試験方法。以下の手順を使用して、6グラムのコールドプレス試験試料のトルクを測定する。トルクの変化を監視しながら、0.5度アーク振動で20分間182℃で、ムービングダイレオメーター(MDR)機器MDR2000(Alpha Technologies)において、Brabender混合ボウルから直接得られた、試験試料を加熱する。測定された最小トルク値をデシニュートンメートル(dN-m)で表される「ML」として指定する。硬化または架橋が進行すると、測定されたトルク値が増加し、最終的に最大トルク値に達する。最大または最高の測定トルク値をdN-mで表される「MH」として指定する。すべての他のものが等しい場合、MHトルク値が大きいほど、架橋の程度が大きくなる。すべての他のものが等しい場合、MH-MLトルク値相違が大きいほど、架橋の量が大きくなる。ポンド-インチ(lb.-in.)で測定され、ニュートン-メートル(N-m)に変換され、1.00lb.-in.=0.113N-mである。
【0072】
ポリオレフィン固体1:0.92g/cm3の密度、0.65g/10分のメルトインデックス(I2)を有する直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)。ペレットの形態で使用される。
【0073】
ポリオレフィン固体2:エチレンおよびビニルトリメトキシシラン(VTMS)を、高い圧力および温度で、有機過酸化物触媒の存在下および金属ベースの触媒の不在下で共重合することによって作製される反応器HSG-FPコポリマー。HSG-FPコポリマーは、1.5重量%のトリメトキシシリルエチル基含有量、0.92g/cm3の密度、および1.5g/10分のメルトインデックス(I2)を有した。乾燥ペレットの形態で使用される。
【0074】
ポリオレフィン固体3:エチレンおよび3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(M3M)を、高い圧力および温度で、有機過酸化物触媒の存在下および金属ベースの触媒の不在下で共重合することによって作製される反応器HSG-FPコポリマー。ポリオレフィン固体3は、0.9g/10分のメルトインデックス(I2)および0.9重量%のM3Mの含有量を有する。乾燥ペレットの形態で使用される。
【0075】
液体添加剤1:ニートな液体として送達される、ビニルトリメトキシシラン(VTMS)、アルケニル官能性加水分解性シランコモノマー。
【0076】
液体添加剤2:ニートな液体として送達される、過酸化ジクミル(DCP)、有機過酸化物。
【0077】
液体添加剤3:ニートな液体として送達される、二ラウリン酸ジブチルスズ(DBTDL)、湿気硬化触媒。
【0078】
液体添加剤4:ニートな液体として送達される、オクチルトリエトキシシラン(OTES)、スコーチ遅延剤。PROSIL 9202として入手可能である。
【0079】
粒子状固体添加剤1:85重量%の、0.92g/cm3の密度および0.65g/10分のメルトインデックス(I2)を有する直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、9重量%の、0.92g/cm3の密度および2g/10分のメルトインデックス(I2)を有する低密度ポリエチレン(LDPE)、3.4重量%の固体抗酸化剤テトラキス(3-(3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ペンタエリスリトール、ならびに2.6重量%の二ラウリン酸ジブチルスズを含む、天然(着色剤を含まない)触媒マスターバッチ。(使用前に60℃で真空下一晩乾燥させる。)
【0080】
粒子状固体添加剤2:ニートな固体として送達される、アルミナ三水和物(ATH)、インサイチュ湿気生成剤。
【0081】
比較実施例1(CE1):押出機においてその構成成分(ポリオレフィン固体1ならびに液体添加剤1および2ならびに粒子状固体添加剤1)を溶融混合することによって均質な混合物を作製する。ガラス瓶においてポリオレフィン固体1を70℃で1時間予熱した。液体添加剤1および2を加えた。10分間タンブル混合した。混合物を有するガラス瓶を16~20時間室温で一晩オーブンに放置して、液体添加剤1および2のポリオレフィン固体1への浸漬を完了した。得られた液体添加剤1および2に浸漬したポリオレフィン固体1を、粒子状固体添加剤1と物理的にブレンドして、不均質な混合物を得た。不均質な混合物のポリオレフィン固体1および粒子状固体添加剤1を溶融し、不均質な混合物溶融物を、可変速ドライブ、25:1マドック混合ヘッドスクリュー、BRABENDERクロス-ヘッドワイヤダイ、エアワイプ付き研究室水冷却トラフ、レーザーマイクロメーター、および可変速ワイヤプラー、150℃(ゾーン1)、170℃(ゾーン2)、190℃(ゾーン3)、および195℃の温度プロファイル、(ヘッド/ダイ)、ならびに40/40メッシュスクリーンパックを備えたBRABENDER3/4インチ(1.91cm)押出機において混合して、ポリオレフィン固体1の溶融物、粒子状固体添加剤1の溶融物、および液体添加剤1~3の溶融混合された均質な混合物を得た。
【0082】
比較実施例1A(CE1A):CE1の溶融混合された均質な混合物をコーティングとして14AWG固体銅ワイヤ上に押出して、被覆導体の製造を模倣し、コーティングのホットクリープ性能を測定した。CE1と同じ押出機および押出機条件を使用し、上記のワイヤコーティング調製方法に従って、溶融混合された均質な混合物をコーティングとしてワイヤ上に押出した。被覆ワイヤ硬化方法に従って、コーティングを硬化させてCE1Aの絶縁ワイヤを得て、そこから絶縁体の一部分を剥離し、そのホットクリープ性能を測定した。
【0083】
発明実施例1(IE1):音響ミキサーにおいてその構成成分(ポリオレフィン固体1、ならびに液体添加剤1および2、ならびに粒子状固体添加剤1)を音響混合することによって均質な混合物を作製する。150グラム(g)のポリオレフィン固体1、2.41gの液体添加剤1、および0.16gの液体添加剤2をガラス瓶に加え、RESODYN Acoustic Mixer(LabRAM Mixer)を使用して、23~26℃で2分間、瓶の内容物を音響混合して、第1の均質な混合物を作製した。次いで、8gの粒子状固体添加剤1を加えて、第2の不均質な混合物を形成した。第2の不均質な混合物を0.5分間音響混合して、第2の均質な混合物を得た。
【0084】
発明実施例1A(IE1A):IE1の音響混合された第2の均質な混合物をコーティングとして14AWG固体銅ワイヤ上に押出して、被覆導体の製造を模倣し、コーティングのホットクリープ性能を測定した。IE1の第2の均質な混合物を、BRABENDER3/4インチ(1.91cm)押出機に加え、ポリオレフィン固体1および粒子状固体添加剤1を溶融して、第2の均質な混合物を溶融物として得た。CE1と同じ押出機および押出機条件を使用し、上記のワイヤコーティング調製方法に従って、溶融物をコーティングとしてワイヤ上に押出した。被覆ワイヤ硬化方法に従って、コーティングを硬化させてIE1Aの絶縁ワイヤを得て、そこから絶縁体の一部分を剥離し、そのホットクリープ性能を測定した。
【表1】
【0085】
表1では、CE1およびIE1の混合物を硬化させて、CE1AおよびIE1Aの絶縁ワイヤを得た後に行われたホットクリープ測定は、驚くべきことに、本発明の音響混合された均質な混合物を0.5、1、または2時間硬化させることによって調製された硬化試料の伸びパーセントが、比較の溶融混合された均質な混合物を0.5、1、または2時間硬化させることによって調製された硬化試料の伸びパーセントよりも有益に低い。すなわち、より大きな程度の硬化(架橋)が、本発明の混合物でより早く有利に達成される。しかしながら、本発明の音響混合された均質な混合物を6時間硬化させることによって調製された硬化試料の伸びパーセントは、比較の溶融混合された均質な混合物を6時間硬化させることによって調製された硬化試料の伸びパーセントよりも高かった。本発明の主な価値はより容易な混合であり、これは前述によって例証される。
【0086】
また、エージング前およびエージング後の引張強さの両方は、本発明の音響混合された均質な混合物IE1について、溶融混合された均質な混合物CE1よりも高かった。
【0087】
比較実施例2(CE2):その構成成分(ポリオレフィン固体2および液体添加剤4)を浸漬によって溶融混合することによって均質な混合物を作製する。ガラス瓶においてポリオレフィン固体2を70℃で30分間予熱した。液体添加剤4を加えた。10分間タンブル混合した。混合物を有するガラス瓶を16~20時間室温で一晩オーブンに放置して、液体添加剤4のポリオレフィン固体2への浸漬を完了した。
【0088】
発明実施例2(IE2):音響ミキサーにおいて、ポリオレフィン固体2、液体添加剤3、および粒子状固体添加剤2を音響混合することによって均質な混合物を作製する。160gのポリオレフィン固体2および液体添加剤3をガラス瓶に加えて、ポリオレフィン固体2および液体添加剤3を含む第1の不均質な混合物を作製し、RESODYN Acoustic Mixer(LabRAM Mixer)を使用して、23~26℃で2分間、瓶の内容物を音響混合して、ポリオレフィン固体2および液体添加剤3を含む第1の均質な混合物を作製した。次いで、粒子状固体添加剤2を第1の均質な混合物に加えて、ポリオレフィン固体2、粒子状固体添加剤2、および液体添加剤3を含む第2の不均質な混合物を得た。RESODYN Acoustic Mixer(LabRAM Mixer)を使用して、23~26℃で2分間、第2の不均質な混合物を音響混合して、ポリオレフィン固体2、粒子状固体添加剤2、および液体添加剤3を含む第2の均質な混合物を作製した。
【0089】
発明実施例3(IE3):音響ミキサーにおいて、ポリオレフィン固体2、液体添加剤3および4、ならびに粒子状固体添加剤2を音響混合することによって均質な混合物を作製する。160gのポリオレフィン固体2および液体添加剤4をガラス瓶に加えて、ポリオレフィン固体2および液体添加剤4を含む第1の不均質な混合物を作製し、RESODYN Acoustic Mixer(LabRAM Mixer)を使用して、23~26℃で2分間、瓶の内容物を音響混合して、ポリオレフィン固体2および液体添加剤4を含む第1の均質な混合物を作製した。次いで、粒子状固体添加剤2および液体添加剤3を第1の均質な混合物に加えて、ポリオレフィン固体2、粒子状固体添加剤2、ならびに液体添加剤3および4を含む第2の不均質な混合物を得た。RESODYN Acoustic Mixer(LabRAM Mixer)を使用して、23~26℃で2分間、第2の不均質な混合物を音響混合して、ポリオレフィン固体2、粒子状固体添加剤2、ならびに液体添加剤3および4を含む第2の均質な混合物を作製した。
【0090】
発明実施例4(IE4):音響ミキサーにおいて、ポリオレフィン固体3、液体添加剤3、および粒子状固体添加剤2を音響混合することによって均質な混合物を作製する。ポリオレフィン固体2を等重量のポリオレフィン固体3で置き換えて、ポリオレフィン固体3および液体添加剤3を含む第1の均質な混合物、ポリオレフィン固体3、粒子状固体添加剤2、および液体添加剤3を含む第2の不均質な混合物、ならびにポリオレフィン固体3、粒子状固体添加剤2、および液体添加剤3を含む第2の均質な混合物を作製することを除き、IE2の手順を複製する。
【0091】
発明実施例5(IE5):CE2の得られた液体添加剤4に浸漬したポリオレフィン固体2に、粒子状固体添加剤2および液体添加剤3を加えて、不均質な混合物を得た。RESODYN Acoustic Mixer(LabRAM Mixer)を使用して、23~26℃で2分間、不均質な混合物を音響混合して、ポリオレフィン固体2、粒子状固体添加剤2、ならびに液体添加剤3および4の第1の均質な混合物を作製した。
【表2】
【0092】
表2では、CE2、IE3、およびIE5の均質な組成物は、スコーチ遅延剤(OTES)を含有し、均質な組成物IE2およびIE4は、スコーチ遅延剤(OTES)を含有しなかった。表2では、IE2~IE5において均質な組成物を作製する際の音響混合の有効性は、CE2の浸漬方法と同様であるが、音響混合方法は、実質的により短い時間および実質的により低い温度で均質性を達成する。また、音響混合方法は、乾燥ペレットまたは粉末形態の均質な混合物を作製する際にも有効であった。
【0093】
発明実施例6~11(IE6~IE11):音響ミキサーにおいて、ポリオレフィン固体1、液体添加剤2および3、粒子状固体添加剤2、ならびに任意に液体添加剤1を音響混合することによって均質な混合物を作製する。160gのポリオレフィン固体1ならびに液体添加剤2および3、粒子状固体添加剤2、ならびに任意に液体添加剤1をガラス瓶に加えて、ポリオレフィン固体1、液体添加剤2および3、粒子状固体添加剤2、ならびに任意に液体添加剤1を含む不均質な混合物を作製し、RESODYN Acoustic Mixer(LabRAM Mixer)を使用して、23~26℃で1分間、瓶の内容物を音響混合して、ポリオレフィン固体1、液体添加剤2および3、粒子状固体添加剤2、ならびに任意に液体添加剤1を含む均質な混合物を作製した。
【表3】
【0094】
表3では、IE6~IE11の均質な混合物をMDRにおいて160℃で60分間、続いて200℃でさらに30分間試験した結果が示される。90分間全体にわたるMDRトルク(「デルタトルク」)の合計増加を計算し、この計算値は、液体添加剤1(VTMS)がポリエチレンにグラフトされた場合、インサイチュでの水生成、よって加水分解および縮合反応によるシラン架橋をもたらす、過酸化物の熱分解(炭素-炭素結合による過酸化物架橋をもたらす)および/または粒子状固体添加剤2(ATH)の分解による架橋の程度の指標として機能する。液体添加剤2(DCP)の0.05重量%装填では、液体添加剤1(VTMS)ありおよびなしでデルタトルクにほとんどまたはまったく相違はなかった。しかしながら、液体添加剤2(DCP)の量が0.2重量%まで増加されると、液体添加剤1(VTMS)を含有する均質な混合物は、液体添加剤1(VTMS)を含有しない対応する製剤と比較して、デルタトルクの漸進的に大きくなる値を示したことが観察された。理論によって拘束されることなく、液体添加剤1(VTMS)なしで観察されたデルタトルク値は、過酸化物(液体添加剤2(DCP))によって促進される炭素-炭素結合形成/架橋にのみ起因すると考えられ、液体添加剤1(VTMS)の存在下で観察されたデルタトルク値は、過酸化物(液体添加剤2(DCP))によって促進される炭素-炭素架橋および湿気によって促進されるシラン架橋の組み合わせによるものと考えられる。任意の所与の過酸化物(液体添加剤2(DCP))装填で、デルタトルク対MDR時間線の線図間の相違は、過酸化物架橋のみに対するシラン架橋の追加の寄与を反映する。これらのデータは、均質な混合物中の液体添加剤2(DCP)の量が増加すると、液体添加剤1(VTMS)グラフト効率が増加したことを示す。これらのMDR評価の後、得られた材料は、熱可塑性(低いデルタトルク値で)から熱硬化性(より高いデルタトルク値で)までに及んだ。
【国際調査報告】