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特表2022-547440空気浄化用固体材料およびその調製方法およびその適用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-14
(54)【発明の名称】空気浄化用固体材料およびその調製方法およびその適用
(51)【国際特許分類】
   C01B 11/02 20060101AFI20221107BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20221107BHJP
   C01G 23/047 20060101ALN20221107BHJP
   C01F 7/021 20220101ALN20221107BHJP
【FI】
C01B11/02 F
A61L9/01 F
C01G23/047
C01F7/021
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022513570
(86)(22)【出願日】2020-08-25
(85)【翻訳文提出日】2022-04-22
(86)【国際出願番号】 CN2020111080
(87)【国際公開番号】W WO2021037023
(87)【国際公開日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】201910790228.8
(32)【優先日】2019-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522075014
【氏名又は名称】ホーペイ リーチェ ジュオグ ニュー マテリアルズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HEBEI LICHE ZHUOGE NEW MATERIALS CO.,LTD
(71)【出願人】
【識別番号】522075025
【氏名又は名称】マイエアシールド リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MYAIRSHIELD,LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】リー、インジウ
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジアガン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジアワン
(72)【発明者】
【氏名】リー、チャオ
【テーマコード(参考)】
4C180
4G047
4G076
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180AA07
4C180AA16
4C180BB08
4C180CC01
4C180CC03
4C180DD04
4C180EA23X
4C180EA24X
4C180EA26Y
4C180EA27Y
4C180EA34X
4C180EA57X
4C180EB23Y
4C180EB27Y
4G047CA02
4G047CC03
4G047CD04
4G076AA02
4G076CA25
4G076CA28
4G076DA30
(57)【要約】
本発明は、空気浄化用および消毒用固体材料、その調製方法およびその適用を提供する。固体材料は、無機多孔質材料50~60重量%、ナノ二酸化チタン10~20重量%、蛍光材料3~5重量%、亜塩素酸ナトリウム20~30重量%、リグノスルホン酸ナトリウム3~5重量%、ポリエチレングリコール1~10重量%、およびポリビニルアルコール1~10重量%を含む。固体材料の調製方法は、ポリエチレングリコール水溶液を用いて蛍光材料をスラリーに調剤すること;ナノ二酸化チタン、リグノスルホン酸ナトリウムおよびスラリーに調剤した蛍光材料を均一に混合した後、その混合物を無機多孔体担体に噴霧して均一に吸着させること;および亜塩素酸ナトリウムを上記混合物と混合して造粒し製品を得ることを含む。本発明の空気浄化用固体材料は、長期間安定して保存することができ、徐放される二酸化塩素ガスにより、ホルムアルデヒド等の空気中の有害物質を分解し得、空気中の細菌を死滅させ得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機多孔質材料50~60重量%、ナノ二酸化チタン10~20重量%、蛍光材料3~5重量%、亜塩素酸ナトリウム20~30重量%、リグノスルホン酸ナトリウム3~5重量%、ポリエチレングリコール1~10重量%およびポリビニルアルコール1~10重量%を含む固体材料であって、上記重量%は前記固体材料の総重量に対する各成分の重量割合である、前記固体材料。
【請求項2】
前記無機多孔質材料は、活性アルミナまたは活性化ゼオライトである請求項1に記載の固体材料。
【請求項3】
前記活性アルミナは、BET試験法に従って測定された200~350m/gの比表面積、0.3~0.45ml/gの細孔容積、および2~50nmの平均細孔径を有する請求項2に記載の固体材料。
【請求項4】
前記活性化ゼオライトは、BET試験法に従って測定された500~800m/gの比表面積、0.3~0.85ml/gの細孔容積、および2~60nmの平均細孔径を有する請求項2に記載の固体材料。
【請求項5】
前記蛍光材料は、400~580nmの波長の蛍光を発光するアルカリ土類アルミン酸塩蛍光材料である請求項1に記載の固体材料。
【請求項6】
前記ポリエチレングリコールは、2000未満の重量平均分子量を有する請求項1に記載の空気浄化用の固体材料。
【請求項7】
前記ナノ二酸化チタンは、1~150nmの平均粒子径を有する二酸化チタンである請求項1に記載の固体材料。
【請求項8】
前記リグノスルホン酸ナトリウムは、400~700の分子量を有する請求項1に記載の固体材料。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の前記固体材料を調製する方法であって、
無機多孔質材料、ナノ二酸化チタン、蛍光材料、亜塩素酸ナトリウム、リグノスルホン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、およびポリビニルアルコールを秤量すること;
前記蛍光材料とポリエチレングリコール水溶液とから均一分散ペーストを調剤し第1のスラリーを調製すること;
前記ナノ二酸化チタン、前記リグノスルホン酸ナトリウム、および前記第1のスラリーを均一に混合し第2のスラリーを調製すること;
前記第2のスラリーを前記無機多孔質材料に噴霧し、噴霧しながら前記無機多孔質材料を攪拌して、前記第2のスラリーが前記無機多孔質材料に均一に吸着された半製品を形成すること;および
前記亜塩素酸ナトリウムおよび前記半製品を混合し、その混合物を造粒機に入れ、造粒のために前記造粒機の中にポリビニルアルコール水溶液を噴霧した後、乾燥を行い、前記固体材料を調製すること、
を含む、前記方法。
【請求項10】
前記ポリエチレングリコール水溶液の濃度は、0.05~0.1重量%である請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリビニルアルコール水溶液の濃度は、1~8重量%である請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記乾燥ステップは、造粒された粒子を1~3℃/分の速度で500~600℃に加熱し、その後1.5~5時間その温度を保つことを含む請求項9~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記蛍光材料は、前記ポリエチレングリコール水溶液を使用してスラリーに調製され、前記スラリーは、超音波を使用して均一に分散される請求項9~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記無機多孔質材料は活性アルミナであり、前記活性アルミナは以下の方法を使用して調製される:
水和水酸化アルミニウムに急速脱水粉末(ρ-アルミナ粉末)を添加し、急速脱水を行い、第1のアルミナ材料を調製すること;
前記第1のアルミナ材料にマクロ多孔質擬ベーマイトを添加し、その混合物を均一に混合して第2のアルミナ材料を調製すること;
マイクロ波を使用して前記第2のアルミナ材料を完成させること;および
450~800℃の温度でか焼を行い、前記活性アルミナ材料を調製すること、
請求項9~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1~8のいずれか1項に記載の固体材料の空気浄化への適用。
【請求項16】
前記固体材料は新鮮空気システムまたは空気清浄機において使用される請求項15に記載の適用。
【請求項17】
請求項1~8のいずれか1項に記載の固体材料の消毒への適用。
【請求項18】
前記固体材料は、新鮮空気システムまたは空気清浄機において使用される請求項17に記載の適用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気浄化の技術分野に関連し、具体的には、空気浄化用固体材料およびその調製方法、およびその固体材料の適用に関連する。
【背景技術】
【0002】
二酸化塩素は、無毒、無害、効果的な、高酸化性の消毒剤であり、防食、脱臭、鮮度保持等の機能を有する。加えて、二酸化塩素は非病原性、非催奇性、および非発癌性という利点を有する。二酸化塩素は、1980年代に米国食品医薬品局(FDA)、米国環境保護庁(EPA)、および米国農務省(USDA)に認可され、安全な消毒方法の中でトップA1の消毒剤である。同じ条件下で、二酸化塩素の消毒性能は塩素の2.63倍であり、広い消毒範囲、良好な効果、短い作用時間、および少ない供与量等の特徴を有する。
【0003】
二酸化塩素の物理的特性のために、多くの場合、消毒には二酸化塩素の水溶液が使用される。しかしながら、二酸化塩素水溶液は、高濃度、放出期間の短さ、輸送や保管の不便さ等の欠点、および、使用現場で二酸化塩素水溶液を構成する必要性により、気体の二酸化塩素の拡散範囲の広さおよび効果の強さ等の利点を十分に発揮することができない。したがって、上記の技術的課題を解決するために、固体装填型二酸化塩素製品を使用することが多い。一般的な固体担体は、シリカゲル、ケイ酸カルシウム、珪藻土、タルク、モレキュラーシーブ、活性炭、高吸水性ポリアクリル樹脂、寒天、高吸水性樹脂、カルボキシメチルセルロース等を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらの固体担体は、吸着容量の低さ、二酸化塩素を装填した後の使用期間の短さ、保管の困難さおよび/または効果の乏しさ等の欠点を有する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、空気浄化用固体材料およびその調製方法を提供する。固体材料は、上記技術的課題の1つ以上を解決することができる。
一態様において、本発明の実施態様は、無機多孔質材料50~60重量%、ナノ二酸化チタン10~20重量%、蛍光材料3~5重量%、亜塩素酸ナトリウム20~30重量%、リグノスルホン酸ナトリウム3~5重量%、ポリエチレングリコール1~10重量%およびポリビニルアルコール1~10重量%を含む固体材料を提供する。上記重量%は固体材料の総重量に対する各成分の重量割合である。
【0006】
任意選択的に、無機多孔質材料は、活性アルミナまたは活性化ゼオライトである。
任意選択的に、活性アルミナは、BET試験法に従って測定された200~350m/gの比表面積、0.3~0.45ml/gの細孔容積、および2~50nmの平均細孔径を有する。
【0007】
任意選択的に、活性化ゼオライトは、BET試験法に従って測定された500~800m/gの比表面積、0.3~0.85ml/gの細孔容積、および2~60nmの平均細孔径を有する。
【0008】
任意選択的に、蛍光材料は、400~580nmの波長の蛍光を発光するアルカリ土類アルミン酸塩蛍光材料である。
任意選択的に、ポリエチレングリコールは、2000未満の重量平均分子量を有する。
【0009】
任意選択的に、ナノ二酸化チタンは、1~150nmの平均粒子サイズを有する二酸化チタンである。
任意選択的に、リグノスルホン酸ナトリウムは、400~700の分子量を有する。
【0010】
別の態様において、本発明は、上記の固体材料のいずれかを調製するための方法であって、以下を含む方法を提供する:
無機多孔質材料、ナノ二酸化チタン、蛍光材料、亜塩素酸ナトリウム、リグノスルホン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、およびポリビニルアルコールを秤量すること;
蛍光材料とポリエチレングリコール水溶液とから均一分散ペーストを調剤し第1のスラリーを調製すること;
ナノ二酸化チタン、リグノスルホン酸ナトリウム、および第1のスラリーを均一に混合し第2のスラリーを調製すること;
第2のスラリーを無機多孔質材料に噴霧し、噴霧しながら無機多孔質材料を攪拌して、第2のスラリーが無機多孔質材料に均一に吸着された半製品を形成すること;および
亜塩素酸ナトリウムおよび半製品を混合し、その混合物を造粒機に入れ、造粒のために造粒機の中にポリビニルアルコール水溶液を噴霧した後、乾燥を行い、固体材料を調製すること。
【0011】
任意選択的に、ポリエチレングリコールはポリエチレングリコール1200であり、ポリエチレングリコール水溶液の濃度は、0.05~0.1重量%である。
任意選択的に、ポリビニルアルコール水溶液の濃度は、1~8重量%である。
【0012】
任意選択的に、乾燥ステップは、造粒された粒子を1~3℃/分の速度で500~600℃に加熱し、その後1.5~5時間温度を保つことを含む。
任意選択的に、蛍光材料は、ポリエチレングリコール水溶液を使用してスラリーに調剤され、超音波を使用して均一に分散される。
【0013】
任意選択的に、無機多孔質材料は活性アルミナであり、活性アルミナは以下の方法を使うして調製される:
水和水酸化アルミニウムに急速脱水粉末(ρ-アルミナ粉末)を添加し、急速脱水を行い、第1のアルミナ材料を調製すること;
第1のアルミナ材料にマクロ多孔質擬ベーマイトを添加し、その混合物を均一に混合して第2のアルミナ材料を調製すること;
マイクロ波を使用して第2のアルミナ材料を完成させること;および
450~800℃の温度でか焼を行い、活性アルミナ材料を調製すること。
【0014】
さらに別の態様において、本発明は、上記のいずれかの固体材料の空気浄化への適用を提供する。
任意選択的に、固体材料は、新鮮空気システムまたは空気清浄機において使用される。
【0015】
さらに別の態様において、本発明は、上記の固体材料のいずれかの消毒への適用を提供する。
本発明の実施態様による技術的解決策は、以下の有益な技術的効果を達成することができる。
【0016】
本発明の空気浄化用または空気消毒用の固体材料は、可視光の照射下で、蛍光材料を介して400~580nmの特定波長の光を励起することができる。この特定波長の光は、ナノ二酸化チタンの光触媒活性を励起し得、固体材料に包まれた亜塩素酸ナトリウムが適量の二酸化塩素ガスを徐放することを助け得る。また、適した包材および安定剤を用いることにより、亜塩素酸ナトリウムは固体材料の細孔内または表面に包み込まれ、その結果、亜塩素酸ナトリウムは長期間安定的に存在する。
【0017】
加えて、本発明の空気浄化用固体材料の調製方法は単純であり、原料は容易に入手でき、調製中の亜塩素酸ナトリウムの損失または分解を回避し、二酸化塩素を装填した材料の短い使用期間および貯蔵困難性および/または効果の低さ等の欠点を克服する。
【0018】
加えて、本発明の空気浄化用固体材料から徐放される二酸化塩素ガスは、ホルムアルデヒド等の空気中の有害物質を分解し、空気を消毒することができる。例えば、本固体材料は、空気を浄化するために、換気システムまたは新鮮空気システムおよび空気清浄機に用いられ得る。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施態様および具体的な実施形態を参照しながら、本発明の技術的解決策を明確かつ完全に説明する。見かけ上、記載された実施態様または実施形態は、本発明の実施態様または実施形態のすべてではなく、単に一部に過ぎない。本発明の実施態様に基づいて当業者が創意工夫なく得た他のすべての実施態様は、本発明の保護範囲に含まれるものとする。
【0020】
本発明の実施態様によれば、無機多孔質材料50~60重量%、ナノ二酸化チタン10~20重量%、蛍光材料3~5重量%、亜塩素酸ナトリウム20~30重量%、リグノスルホン酸ナトリウム3~5重量%、ポリエチレングリコール1~10重量%、ポリビニルアルコール1~10重量%を含む、空気浄化および空気消毒のための固体材料が提供され、上記重量%は、各成分の重量が固体材料の総重量に対する割合である。
【0021】
本発明の任意選択的な実施態様において、無機多孔質材料は活性アルミナである。任意選択的に、活性アルミナは、BET試験法に従って測定された200~350m/gの比表面積、0.3~0.45ml/gの細孔容積、7重量%以下の強熱減量、および0.45重量%以下のNaOを有する。本明細書における強熱減量は、多孔質アルミナ材料を500~600℃に加熱し、温度を2時間維持した後に減少した重量の割合である。酸化ナトリウムの重量比は0.45重量%未満である。例示的には、酸化ナトリウムの重量比は、0.001重量%である。
【0022】
任意選択的に、アルミナは、0.1~10mmの平均粒子サイズ、例示的には0.5~8mmの平均粒子サイズ、より例示的には、0.8~6mmの平均粒子サイズ、またはさらにより例示的には1.5~5mmの平均粒子サイズを有する。
【0023】
本発明の任意選択的な実施態様において、無機多孔質材料は、活性化ゼオライトである。任意選択的に、活性化ゼオライトは、BET試験法に従って測定された500~800m/gの比表面積、0.3~0.85ml/gの細孔容積、および2~60nmの平均細孔径を有する。任意選択的に、活性化ゼオライトは、1.8~2.2g/cmの密度および50%以上の多孔度(porosity)を有する。任意選択的に、活性化ゼオライトは、0.1~10mmの平均粒子サイズ、例示的には、0.5~8mmの平均粒子サイズ、より例示的には、0.8~6mmの平均粒子サイズ、またはさらにより例示的には、1.5~5mmの平均粒子サイズを有する。
【0024】
本発明の任意選択的な実施態様において、ナノ二酸化チタンは、1~100nm、より例示的には、5~60nm、またはさらにより例示的には5~30nmの平均粒子径を有する二酸化チタンである。
【0025】
本発明の任意の実施態様において、蛍光材料は、400~580nmの波長の蛍光を発光するアルカリ土類アルミン酸塩蛍光材料であり得る。任意選択的に、アルカリ土類アルミン酸塩蛍光材料は、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ユウロピウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウムまたはルテチウム等の少なくとも一つの希土類イオンでドープされ、特に、アルカリ土類アルミン酸塩マトリックスの中でホウ素でドープされる。アルカリ土類アルミン酸塩系発光材料は、自然の可視光または昼光ランプで照射することにより、吸収した光エネルギを波長400~580nmの蛍光に効率的に変換して発光させることができる。発光した蛍光は8~10時間持続し、発光した蛍光の輝度は10mcd/mより大きく、輝度が0.32mcd/mに減少したときの持続時間は70時間超であり得る。また、アルカリ土類アルミン酸塩蛍光材料は、無毒、非放射性であり、製造中に有害物質を発生しない。例えば、アルカリ土類アルミン酸塩蛍光材料は、特許CN1053789A1に開示されている蛍光材料であり得る。任意選択的に、蛍光材料の平均粒子サイズは、蛍光材料が無機材料上に均一に分布できるように、1~50nm、より例示的には、1~20nmである。
【0026】
任意選択的に、ポリエチレングリコールの重量平均分子量は2000未満である。ポリエチレングリコールの重量平均分子量は、例示的には1500未満、より例示的には1000未満、またはさらにより例示的には700未満である。
【0027】
本発明の別の実施態様によれば、上記固体材料のいずれかを調製するための方法が提供され、
無機多孔質材料、ナノ二酸化チタン、蛍光材料、亜塩素酸ナトリウム、リグノスルホン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、およびポリビニルアルコールを秤量すること;
蛍光材料とポリエチレングリコール水溶液とから均一分散ペーストを調剤することで、第1のスラリーを調製すること;
ナノ二酸化チタン、リグノスルホン酸ナトリウム、第1のスラリーを均一に混合することで、第2のスラリーを調製すること;
第2のスラリーを無機多孔質体に噴霧すること、および、噴霧しながら無機多孔質体を攪拌して、第2のスラリーが無機多孔質体に均一に吸着された半製品を形成すること;および
亜塩素酸ナトリウムおよび半製品を混合し、その混合物を造粒機に入れ、造粒のためにポリビニルアルコール水溶液を噴霧した後、乾燥を行い、固体材料を調製すること
を含む。
【0028】
本発明の調製方法によれば、第1のステップを介して様々な固体粒子材料を均一に混合した後、亜塩素酸ナトリウムを第2のスラリーと混合して活性無機多孔質材料に飽和および吸着させ、その後ポリビニルアルコール層等の有機層は粒子表面に包み込まれているので、本発明の固体材料は容易に長期間安定して保存される。加えて、蛍光材料によって発光される蛍光はナノ二酸化チタンおよび/または亜塩素酸ナトリウムに作用させることができ、その結果、固体材料は二酸化塩素ガスを徐放させる。
【0029】
任意選択的に、ポリエチレングリコール水溶液の濃度は、0.05~0.1重量%であり、または例示的には、0.08~0.1重量%である。
任意選択的に、ポリビニルアルコール水溶液の濃度は、1~8重量%であり、より例示的には、3~5重量%であり、またはさらにより例示的には、5重量%である。
【0030】
任意選択的に、乾燥ステップは、造粒された粒子を1~3℃/分の速度で500~600℃に加熱し、その後1.5~5時間、例示的には、1.5~2.5時間、またはより例示的には、2時間温度を維持することを含む。
【0031】
任意選択的に、蛍光材料は、ポリエチレングリコール水溶液を使用してスラリーに調剤され、超音波を使用して均一に分散される。任意選択的に、超音波分散は、0.1~1.0時間、またはより例示的には、0.2~0.5時間続く。
【0032】
任意選択的に、無機多孔質材料は活性アルミナであり、活性アルミナは、以下の方法を用いて調製される:水和水酸化アルミニウムに急速脱水粉末(ρ-アルミナ粉末)を添加し、急速脱水を行い、第1のアルミナ材料を調製すること;第1のアルミナ材料にマクロ多孔質擬ベーマイトを添加し、その混合物を均一に混合して第2のアルミナ材料を調製すること;マイクロ波を使用して第2のアルミナ材料を完成させること;および450~800℃の温度でか焼を行い、活性アルミナ材料を調製すること。本明細書の水和水酸化アルミニウムは、一般的な水和水酸化アルミニウム材料であり得る。急速脱水粉末(主成分がρ-アルミナ粉末)は、一般的な市販のアルミナ粒子材料であり得る。また、マクロ多孔質擬ベーマイトは、市販の擬ベーマイトであり得、特に、細孔容積が大きく、比表面積が大きいマクロ多孔質擬ベーマイト材料であり得る。
【0033】
上記の方法を使用して調製された活性アルミナ多孔質材料は、200~350m/gの比表面積および0.3~0.45ml/gの細孔容積を有する。任意選択的に、上記の方法を使用して調製された活性アルミナ多孔質材料は、7%以下の強熱減量および0.45%以下の酸化ナトリウム含有量を有する。
【0034】
任意選択的に、本発明の無機多孔質材料は、上記の方法を用いて調製された多孔質アルミナ、または同等の物理的および化学的特性を有する多孔質アルミナ材料を採用する。活性多孔質アルミナ材料は、一般に、他の無機材料より良好な強度を有し、また、他の無機材料より良好なアルミナ活性を有し、および、その多孔度およびその特定の表面構造は、亜塩素酸ナトリウムの吸着により適している。加えて、活性アルミナは両性物質であり、酸塩基平衡を自動的に調整することができるため、二酸化塩素の放出量をより容易に制御することができる。
【0035】
本発明のさらに別の実施態様によれば、上記固体材料の空気浄化への適用が提供される。
本発明のさらに別の実施態様によれば、上記固体材料の消毒への適用が提供される。
【0036】
任意選択的に、固体材料は、新鮮な空気システムまたは空気清浄機において使用される。
本発明の実施態様による技術的解決策は、以下の有益な技術的効果を達成することができる。
【0037】
本発明の固体材料は、可視光の照射下で、蛍光材料を介して400~580nmの特定波長の光を励起することができる。その特定波長の光は、ナノ二酸化チタンの光触媒活性を励起し得、固体材料に包まれた亜塩素酸ナトリウムが適量の二酸化塩素ガスを徐放するのを助け得る。また、適した包材または安定剤を用いることにより、亜塩素酸ナトリウムを固体材料の細孔内または表面に包み込み、その結果、亜塩素酸ナトリウムを長期間安定的に存在させる。加えて、本発明の固体材料を調製するプロセスは単純であり、原料も容易に入手でき、調製中の亜塩素酸ナトリウムの損失または分解を避け、かつ、二酸化塩素を装填した材料の使用期間の短さおよび保存困難さ、および/または、効果の低さ等の欠点を克服する。加えて、本発明の固体材料によって徐放される二酸化塩素ガスは、ホルムアルデヒド等の空気中のVOCガスを分解し得、空気中の消毒を行うことができる。
【0038】
実施形態
以下、具体的な実施形態を参照しながら、本発明の技術的解決策を明確かつ完全に説明する。見かけ上、記載された実施態様または実施形態は、本発明の実施態様または実施形態のすべてではなく、単に一部に過ぎない。
【0039】
実施形態1
無機多孔質活性アルミナ材料(比表面積287m/gおよび細孔容積0.41ml/gを有する)52g、ナノ二酸化チタン18g、蛍光材料(Wuqiang Liche Luminous Material Co., Ltdから購入、平均粒子サイズ18nm)4g、亜塩素酸ナトリウム(Shandong Vosges Group Co., Ltdから購入)24g、リグノスルホン酸ナトリウム(Hebei Liche Photoelectric Material Co., Ltd.から購入)2g、ポリエチレングリコール1200(Hengshui Donghai Chemical Equipment Co., Ltd.から購入)2g、およびポリビニルアルコール(Hengshui Donghai Chemical Equipment Co., Ltd.から購入)6gを秤量する。ポリエチレングリコール1200水溶液500ml(ポリエチレングリコール1200の濃度は0.1重量%)を用いて蛍光体をペーストに調剤し、その混合物を攪拌後、均一に分散させる。このペースト状蛍光体に、ナノ二酸化チタン(平均粒子サイズ21nm)およびリグノスルホン酸ナトリウム(分子量634.5)を混合する。その後、この混合物を無機多孔質材料担体に噴霧し、噴霧しながら無機材料を均一な吸着および混合のために攪拌し、半製品を形成する。
【0040】
亜塩素酸ナトリウムおよび上記半製品を混合して造粒機に入れ、ポリビニルアルコール水溶液(ポリビニルアルコールの濃度は5重量%)である結合剤500mlを噴霧し、コーティングおよび造粒を行う。その後、1℃/分の速度で600℃まで温度を増加させ、その後600℃の温度を2時間維持することにより、固体粒子製品を得る。
【0041】
本実施形態における固体粒子製品は、活性化して二酸化塩素ガスを放出し得る。検出は、以下の方法を使用して行われる:本実施形態における製品を暗室で365nmの紫外線ランプの下(紫外線ランプから10~15cm離す)に置き、5分間照射するか、または、自然光を照射し、本実施形態における製品を発光させる。光源を消した後、本実施形態の製品は暗所で30分より長く発光し続け、本実施形態の製品が活性化していることを示した。また、本発明の固体粒子製品の周囲では、徐放される二酸化塩素ガスが連続的に検出される。徐放された二酸化塩素ガスの時間変化および濃度変化について、以下に試験する。
【0042】
実施形態2~6
実施形態2~5に記載の空気浄化用固体材料は、成分および組成が異なる以外は、実施形態1における上記調製方法に従って調製される。具体的な組成比率は、以下の表1に示される。
【0043】
比較例1
先行技術における含浸法を用いて調製された、二酸化塩素および多孔質アルミナを含む現在の固体粒子材料を採用する。無機多孔質活性アルミナ材料(比表面積287m/g、および、細孔容積0.41ml/gを有する)52gおよび亜塩素酸ナトリウム(Shandong Vosges Group Co.,Ltd.から購入)24gを秤量する。亜塩素酸ナトリウム24gを水500mlに溶解して亜塩素酸ナトリウム水溶液を生成し、無機多孔質活性アルミナ材料を亜塩素酸ナトリウム水溶液に浸漬して亜塩素酸ナトリウムを吸着した固体材料を形成する。この固体材料は、比較例1で調製した固体材料である。
【0044】
【表1】

実施形態1~6および比較例1で調製した固体材料の空気浄化効果および消毒効果を、それぞれ以下の試験方法を用いて試験した。紫外可視分光光度計を用いて、異なる時点で固体材料の周囲に徐放される二酸化塩素ガスの濃度を試験する。家庭用電気器具および同様の電気器具の抗菌効果、消毒効果、および空気浄化効果は、国家規格GB21551.3~2010を使用して試験される。国家規格GB/T18801空気清浄機を用いて、異なる時点のホルムアルデヒド分解性能を試験する。加えて、試験操作は「Technical standard for disinfection」(2008年)に従って行う。
【0045】
【表2】

二酸化塩素ガスの濃度(mg/m)は、吹出口から5cmの距離で試験する。具体的には、紫外可視分光光度計を用いて、1、3、6、10、および24時間および7日目に固体材料の周囲に徐放される二酸化塩素ガスの濃度を測定する。実施形態1~6および比較例1の固体材料によって放出された二酸化塩素の濃度の検出結果を表2に示す。表2中の単位は全て、空気1立方メートルあたりの二酸化塩素ガスのミリグラム(mg/m)である。表2から、経時的に(1時間から24時間、または7日目でさえ)、実施形態1~6で調製された固体材料は、ゆっくりと安定して二酸化塩素ガスを放出できることが分かる。7日目という長期間経過した後でさえ、本発明の実施形態1~6における固体材料は、少なくとも0.094mg/mの二酸化塩素ガスをなお放出することができる。比較例1で調製された固体材料は、最初の1時間から多量の二酸化塩素ガスを放出するが、10時間後には二酸化塩素ガスの放出がかなり少なくなり、7日後にはほとんど検出できない量の二酸化塩素ガスを放出する。したがって、本発明の実施の形態1~6における固体材料は、既存の材料(比較例1)と比較して、ゆっくりと安定して二酸化塩素ガスを放出することができ、7日間使用した後でさえ、検出可能である、比較的高い濃度の二酸化塩素ガスを放出する。
【0046】
【表3】

実施形態1で調製した固体材料を代表として、本発明で調製した固体材料および比較例1で調製した固体材料のホルムアルデヒド分解性能について試験する。具体的な試験方法は、QB/T2761~2006試験規格に従って行う。実施形態1で調製した粒子材料100gおよび比較例1で調製した粒子材料100gを、室温(20±1℃)、湿度25%で、表3に示す時間(すなわち、1、10、および24時間、および7日)置き、その後1.5mの実験室に置いた。各実験室には、あらかじめ等量のホルムアルデヒドガスを注入し、ホルムアルデヒド濃度が1.0mg/mとなるようにした。加えて、各実験室にはファンを取り付け、実験室内の空気を流動させる。実験室内に粒子材料を設置した後、計時を開始し、約1時間後に実験室内のホルムアルデヒドの濃度を試験する。実験室内のホルムアルデヒドの初期濃度(すべて1.0mg/m)と、固体材料の作用後に試験した各実験室内のホルムアルデヒドの濃度の差の、ホルムアルデヒドの初期濃度に対する割合をホルムアルデヒド除去率として使用する。具体的な試験結果は、表3に示される。表3から、比較例1の製品に比べ、本発明の実施形態で調製した固体材料は、空気中のホルムアルデヒドガスを長時間安定して除去できることが分かる。
【0047】
【表4】

本発明の実施形態1で調製した固形物を代表として、本発明の固形物の消毒効果を試験する。実施形態1で調製した粒子材料10gおよび比較例1で調製した粒子材料10gを、室温(20±1℃)および湿度25%で、表3に示す時間(すなわち、1、10、および24時間、および7日間)配置した後、1mの実験室に置く。同量の細菌を各実験室に注入する。粒子材料を実験室に配置した後、計時を開始し、約24時間後に実験室内の雑菌数を観察する。実験室内の初期雑菌数と、固体材料作用後に試験した各実験室内の雑菌数の差の、初期雑菌数に対する割合を雑菌除去率として使用する。表4の試験結果から、本発明の実施形態で調製した固体材料製品は、二酸化塩素ガスを長時間安定して放出することができ、空気中の一般細菌に対して大きな消毒効果を有することが分かる。加えて、比較例1の製品の試験結果によって、長期間経過すると、比較例1の製品は、本発明の実施形態で調製した製品より、消毒効果が大幅に劣ることが示される。
【0048】
前述の内容は、単に本発明の技術的解決策を説明するために使用されるものであり、本発明の保護範囲を限定することを意図するものではない。本発明の技術的解決策に対して当業者が行う簡単な修正または同等の置換は、本発明の技術的解決策の本質および範囲に含まれるものとする。
【国際調査報告】