(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-14
(54)【発明の名称】植物成長調整剤システム
(51)【国際特許分類】
A01N 37/30 20060101AFI20221107BHJP
A01P 21/00 20060101ALI20221107BHJP
A01M 9/00 20060101ALI20221107BHJP
【FI】
A01N37/30
A01P21/00
A01M9/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515018
(86)(22)【出願日】2020-09-04
(85)【翻訳文提出日】2022-04-26
(86)【国際出願番号】 EP2020074857
(87)【国際公開番号】W WO2021044026
(87)【国際公開日】2021-03-11
(32)【優先日】2019-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506025338
【氏名又は名称】ファイン アグロケミカルズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Fine Agrochemicals Limited
【住所又は居所原語表記】Hill End House,Whittington,Worcester,WR5 2RQ,England
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レニャール,ジョエル
(72)【発明者】
【氏名】スコット,グラハム・ボーン
(72)【発明者】
【氏名】ワイクリー,フィリップ・サイモン
【テーマコード(参考)】
2B121
4H011
【Fターム(参考)】
2B121AA19
2B121CB02
2B121CB61
2B121CB62
2B121CB70
4H011AB03
4H011BB06
4H011DA13
4H011DE15
(57)【要約】
ダミノジドおよびpH緩衝剤を含む噴霧タンク組成物が提供され、組成物のpHは、6より高く、好ましくは約6.5以上、かつ好ましくは8未満である。さらに、ダミノジドおよびpH緩衝剤を含む濃縮された組成物、植物を処理するための方法、およびパーツキットが提供される。5本発明は、低UDMH濃度を有する組成物を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダミノジドおよびpH緩衝剤を含む噴霧タンク組成物であって、前記組成物のpHが、6より高く、好ましくは約6.5以上、かつ好ましくは9未満である、噴霧タンク組成物。
【請求項2】
前記pHが、6.5~8である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
緩衝塩対ダミノジドの比率が、1:1~1:5であり、前記比率が、緩衝塩の重量対ダミノジドの重量として定義される、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
緩衝塩対ダミノジドの比率が、1:1.2~1:3である、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記pH緩衝剤が、弱塩基およびその共役酸を含み、好ましくはリン酸塩、炭酸塩、ホウ酸塩、またはそれらの混合物の群から選択され、より好ましくはカリウム塩またはナトリウム塩である、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記pH緩衝剤が、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、または炭酸アンモニウムから選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
ダミノジドの濃度が、1~6g/Lである、請求項1~6のいずれか一項に記載の噴霧タンク組成物。
【請求項8】
24時間後の1,1-ジメチルヒドラジン(UDMH)の濃度が、約400ppb以下、より好ましくは100ppb、またはさらにより好ましくは約50ppb以下である、請求項1~7のいずれか一項に記載の噴霧タンク噴霧タンク組成物。
【請求項9】
24時間後のUDMH濃度の増加が、約100ppb以下、好ましくは50ppb以下、またはより好ましくは20ppb以下である、請求項1~8のいずれか一項に記載の噴霧タンク組成物。
【請求項10】
ダミノジドおよびpH緩衝剤を含む濃縮組成物であって、前記組成物が、噴霧タンク内で希釈され、植物の噴霧に好適である請求項1~7のいずれか一項に記載の噴霧タンク組成物を生成するのに好適である、濃縮組成物。
【請求項11】
前記組成物が、顆粒、粉末などの固体形態、または濃縮液、油分散液、イオン液体などの液体形態である、請求項10に記載の濃縮組成物。
【請求項12】
前記濃縮物が、固体形態であり、10~60重量%のダミノジド、10~40重量%の緩衝剤、および10~50%の溶解性担体を含む、請求項10または11に記載の濃縮組成物。
【請求項13】
植物を処理する方法であって、請求項1~9のいずれか一項に記載の噴霧タンク組成物が、好ましくは、請求項10~12のいずれか一項に記載の濃縮組成物の希釈によって調製され、この噴霧タンク組成物が、調製後48時間以内、好ましくは24時間以内、より好ましくは10時間以内に植物に噴霧される、方法。
【請求項14】
ダミノジドおよびpH緩衝塩を含むパーツキットであって、前記pH緩衝塩が、6より高く、好ましくは6.5より高く、かつ好ましくは8未満であるpHの希釈時にpH緩衝液を形成し、好ましくはpH緩衝塩対ダミノジドの重量比が、約1:1~約1:5、より好ましくは約1:1.2~約1:3である、パーツキット。
【請求項15】
前記濃縮組成物またはパーツキットが、プラスチック容器中に提供され、好ましくは前記プラスチックが、水と接触すると溶解または分解する、請求項10~12または14のいずれか一項に記載の濃縮組成物またはパーツキット。
【請求項16】
植物を処理する方法であって、
(a)(i)100~400g/Lのダミノジド、好ましくは約100~200g/Lのダミノジド、および(ii)pH緩衝剤を含むスラリー組成物を調製するステップであって、
前記組成物のpHが、好ましくは、請求項10~12のいずれか一項に記載の組成物の希釈によって、6より高く、好ましくは約6.5以上、かつ好ましくは9未満である、ステップと
(b)前記スラリー組成物を約1~18g/Lのダミノジドを含む希釈組成物に希釈するステップと、
(c)前記希釈組成物を植物に噴霧するステップと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、観賞用作物に使用するための植物成長調整剤を含む噴霧タンク混合物、およびそのような噴霧タンク混合物を調製するための植物成長調整剤濃縮組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ダミノジド(コハク酸2,2-ジメチルヒドラジド、CAS登録番号1596-84-5)は、一般的に使用されている農園芸用活性剤である。それは、植物成長調整剤として使用される。それは、例えば、温室中の観賞用作物の成長抑制剤として使用される。ダミノジドの残留効果はかなり短く、一時的にのみ成長を妨げたい農場主にとっては望ましくなり得る。ダミノジドは、容易に生分解することが知られており、6日後に水/底質系にダミノジドを示さないため、園芸で使用するのに良好な農業活性化合物になる。
【0003】
1,1-ジメチルヒドラジンであるUDMH(非対称ジメチルヒドラジン)は、ダミノジドの前駆体であり、発がん性物質として知られている。ダミノジド組成物は、一般に不純物としてUDMHを含有し、ダミノジドを取り扱う農業部門の労働者にとって不安全な状態をもたらす。UDMHは、特に加熱すると、ダミノジド溶液中で形成できることが知られている。
【0004】
ガイドラインは現在、ダミノジド中30重量ppmのUDMHのレベルが農業労働者による使用に対して安全であると示唆しているが、より低いレベルがより望ましいであろう。現在、健康および安全の要求により、労働者は適用後最初の24時間は保護服を着用する必要がある。UDMHの濃度を制限することにより、この間隔を短縮し、労働者の健康をより良く保護することができる。
【0005】
したがって、本発明の目的は、ダミノジドを含み、さらに低いUDMHまたは他の不純物レベルを含有する植物成長調整組成物を提供することである。
【0006】
タンク噴霧は、ダミノジドなどの植物成長調整剤を植物に適用するためのよく知られた好ましい方法である。活性物質組成物は、水が入ったタンクに混合され、次いで、フィールドに噴霧される。このタンク混合中に、液体または固体組成物で提供されるダミノジドは、希釈され、その後加水分解をより受けやすくなる。
【0007】
JP2011/251913では、ダミノジドを保存する方法が提案されている。それは、pHが6.5~9.5であり、さらに0.1~1.0重量%の範囲のpH調整剤を含む液体組成物を目的としている。この保存方法は、ダミノジドの濃度が有効なレベルにとどまる、最長2年間の安定した組成物を提供することを目的としている。しかしながら、これは、非常に低いが危険なレベルの汚染物質を有する噴霧タンク組成物の問題に対処していない。この参考文献は、これらの汚染物質の影響についても、該参考文献に記載されている溶液中の濃度についても言及していない。したがって、ダミノジドの濃度のごくわずかな違いが不安全な量のUDMHをもたらす可能性があるため、これらの組成物を安全に取り扱うことができるかどうかは不明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【0009】
本発明の1つの目的は、24時間後に非常に少量のUDMHを示す、有効量のダミノジドの噴霧タンク溶液を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、好適な噴霧タンク溶液を達成するための濃縮ダミノジド組成物、およびこれらを調製するための方法を提供することである。
【0011】
本発明の噴霧タンク溶液は、好ましくは1~6g/lなどの植物に好適に示した濃度でダミノジドを含むが、現在のラベルによれば最大18g/Lの濃度が許容され、さらに噴霧タンク組成物のpHが、約6以上、かつ好ましくは約9以下であるように、pH緩衝剤を含む。
【0012】
本発明者らは、驚くべきことに、好適なpHを有する噴霧タンク組成物において、ダミノジド組成物が、1日または2日間の保存時にはるかに低いUDMH濃度を含むことを見出した。理論に拘束されることなく、好適なpHは、ダミノジドの酸触媒加水分解の阻害を通じてUDMHの形成を阻害すると考えられる。
【0013】
さらに、pH緩衝剤対ダミノジドの比率が、好ましくは約1:1~約1:5、より好ましくは約1:1.2~約1:3であることが見出された。
【0014】
高pHまたは高すぎるレベルのpH緩衝剤は、葉焼けを引き起こす可能性があり、これは植物に有害であり、塩基触媒によるダミノジドの加水分解または酸化をもたらす可能性もある。本発明の噴霧タンク組成物は、約6以上、好ましくは約6.5以上、より好ましくは約7以上のpHを有する。本発明の噴霧タンク組成物は、好ましくは約9以下、より好ましくは約8以下のpHを有する。
【0015】
本発明の噴霧タンク組成物は、好ましくは0.05重量%超、かつ好ましくは0.35重量%以下の緩衝剤を含む。低pHまたは低すぎるレベルのpH緩衝剤は、それぞれ酸触媒による加水分解を引き起こすか、または効果がない可能性がある。
【0016】
好適なpH緩衝剤は、好ましくは、弱塩基およびその共役酸を含む。
【0017】
好適なpH緩衝剤は、リン酸塩、炭酸塩、ホウ酸塩、またはそれらの混合物の群から選択することができる。好ましい金属イオンは、カリウムまたはナトリウムを含む。さらに好ましいカチオンは、アンモニウムを含む。植物栄養素としても使用することができる、または例えば土壌細菌によって分解して栄養素化合物を植物化することができる緩衝剤を使用することが好ましい。使用される濃度で人体に毒性のない化合物を使用することがさらに好ましい。水に容易に溶解する緩衝化合物を使用することも好ましい。
【0018】
本発明の別の態様は、噴霧タンクへの混合に好適なダミノジド濃縮組成物を提供することを目的としている。
【0019】
濃縮組成物は、ダミノジド化合物および緩衝化合物の両方を含むことができ、油分散液、イオン液体などのような液体形態であり得るか、またはそれは、粉末、顆粒などのような固体形態であり得る。
【0020】
代替の実施形態では、濃縮組成物は、1つの濃縮形態のダミノジド、および第2の濃縮形態としての適切な量の緩衝剤を含む、パーツキットとして提供される。パーツキットはさらに、噴霧タンク溶液を提供するためにキットの構成要素を取り扱うための説明書を備える。
【0021】
両方の実施形態は、改善された安全な様式でのダミノジドの使用を可能にする。緩衝剤およびダミノジドの両方を含む濃縮組成物は、適正な量でのみ使用することができる。パーツキットにより、ダミノジドおよび緩衝剤成分の両方の最適化された包装が可能になる。
【0022】
濃縮組成物またはパーツキットは、好ましくは、乾燥重量で1:1~1:5の比率で、pH緩衝剤対ダミノジドの量を含有する。濃縮物またはパーツキットは、さらに好ましくは、全固形分の10~50乾燥重量%の緩衝剤を含有する。
【0023】
最後に本明細書に開示されるのは、ダミノジドを取り扱う際の操作者のUDMHまたは物質への曝露を最小限にするためのダミノジドを含有する包装された製品である。そのような包装された製品は、プラスチック容器中にダミノジドを含み、容器を開けて、そのような容器の内容物を水に溶解する前のUDMHの放出を防ぐ。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、ダミノジドおよびpH緩衝剤を含む噴霧タンク組成物を提供する。噴霧タンク組成物のpHは、約6以上、より好ましくは約7以上である。好ましくは、噴霧タンク組成物のpHは、約9以下、より好ましくは約8以下である。
【0025】
噴霧タンク組成物は、植物の水分補給のために水ベースであり、ほとんどの場所で水に簡単にアクセスできるため、輸送、保存、および材料のコストを節約できる。
【0026】
好ましくは、緩衝塩対ダミノジドの比率は、約1対約1~約1対約5であり、この比率は、緩衝塩の重量対ダミノジドの重量として定義される。より好ましくは、緩衝塩対ダミノジドの比率は、約1:1.2~約1:3である。緩衝剤の濃度が高いと、葉焼けを引き起こし、土壌に悪影響を与える可能性がある。材料費、保存、および輸送のために、より高濃度の緩衝剤もあまり望ましくない。より低濃度の緩衝剤は、効果が低くなる。
【0027】
好適なpH緩衝剤は、一般に、弱塩基およびその共役酸を含む。好適なpH緩衝剤は、当技術分野で知られている任意の緩衝剤から選定することができる。好ましくは、緩衝剤は、リン酸塩、炭酸塩、ホウ酸塩、またはそれらの混合物の群から選択される。好ましくは、pH緩衝剤は、カリウム、ナトリウム、またはアンモニウム塩を含む。好適なpH緩衝剤の例には、NaOHと組み合わせたKH2PO4、K2HPO4と組み合わせたKH2PO4、およびK2CO3と組み合わせたNaHCO3が含まれる。好ましい実施形態では、緩衝剤は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、または炭酸アンモニウムとして提供される。ダミノジドは、酸であるため、例えば、緩衝剤成分として炭酸水素塩のみを有するだけで十分な場合があり、これは、次いでダミノジドと溶解するとHCO3
-/CO3
2-緩衝剤に移行する。
【0028】
本発明の一実施形態では、噴霧タンク組成物中のダミノジドの濃度は、約1g/L~約6g/Lである。より好ましくは、ダミノジドの濃度は、約1.5g/L~約5g/Lであり、例えば、約2.5g/Lである。より高いダミノジド濃度は、より多くのUDMH形成およびより高いコストをもたらす可能性がある。しかしながら、最大18g/Lのレベルが、ラベルに従って許容され、したがって、本発明に含まれる。
【0029】
本発明は、24時間後のUDMHの濃度が約1ppm以下である噴霧タンク組成物を提供する。好ましくは、UDMHの濃度は、約400ppb以下、より好ましくは100ppb以下、さらにより好ましくは50ppbである。さらに好ましい実施形態では、UDMHの増加は、24時間で約100ppb以下、さらにより好ましくは約50ppb以下、最も好ましくは約20ppb以下である。
【0030】
本発明の別の態様は、ダミノジドおよびpH緩衝剤を含む濃縮組成物を対象とし、この組成物は、植物の噴霧に好適な本発明による噴霧タンク組成物を生成するために噴霧タンク内で希釈するのに好適である。
【0031】
濃縮組成物は、好適に純粋なダミノジドおよび粉末形態のpH緩衝剤を提供し、これらを混合することによって作製することができる。あるいは、濃縮組成物は、液体形態または錠剤もしくは顆粒の形態で製剤化することができる。好ましくは、顆粒を押し出すときなど、調製中に水が必要な場合、この水は、押出中のUDMH形成を防止するために、約6.5以上のpHに緩衝した。
【0032】
濃縮組成物は、水と接触すると、容易に溶解または分散し、溶液、懸濁液、またはエマルジョンを形成する。
【0033】
本発明による濃縮組成物は、好ましくは約10重量%以上のダミノジド、かつ好ましくは約84重量%以下のダミノジドを含む。濃縮組成物は、好ましくは約10重量%以上の緩衝剤を含み、かつ好ましくは約50重量%以下の緩衝剤を含む。一実施形態では、組成物は、本質的にダミノジドおよび緩衝剤からなる。
【0034】
好ましい実施形態では、濃縮組成物は、固体として提供される。
【0035】
より好ましくは、固体組成物は、水溶性または水分散性の顆粒として提供される。このタイプの製剤では、有効構成成分は、好ましくは100~300ミクロンサイズの顆粒状粒子として製剤化される。噴霧適用用の水溶性または分散性の顆粒を調製するために、それらは撹拌時に水に完全に溶解性または分散性である。農薬については、多くの異なる水溶性または水分散性の顆粒状製剤が知られている。例えば、EP 0 252 897および米国特許第4,936,901号は、水分散性顆粒状製剤にカプセル化された植物成長調整剤を開示し、米国特許第6,387,388 B1号および米国特許出願公開第2002/0114821 A1号は、押し出しされた水溶性殺虫剤を開示し、米国特許第5,622,658号は、水分散性顆粒を調製するための押出可能な組成物を開示している。水溶性または水分散性の顆粒は、一般に、ラクトース、炭酸ナトリウムなどの水溶性または水分散性の成分を含む。水溶性または水分散性の顆粒は、一般に、界面活性剤などの添加剤も含む。
【0036】
一般に、水溶性または水分散性の顆粒は、最初に成分を提供し、これらを微粉砕またはミリングして粉末を提供することによって調製することができる。次いで、粉末を乾式混合し、その後、押出に好適なペーストが形成されるまで混合物を水で湿潤させることができる。次いで、ペーストを押し出し、得られた顆粒を、例えば流動床乾燥機で乾燥させることができる。好ましい実施形態では、押出水は、好適なpHに緩衝される。
【0037】
好ましい実施形態では、濃縮組成物は、粉末として提供される。好適な粉末製剤は、水と混合されると、水に容易に溶解して溶液を形成するものである。溶液が形成されると、タンクミックスをさらに混合または撹拌する必要はない。そのような湿潤性粉末製剤は、好ましくは、乾燥した、細かく粉砕された製剤である。この製剤では、有効構成成分は、粉末が水に懸濁する能力を高める他の構成成分とともに、細かく粉砕された乾燥担体と組み合わせてもよい。好適な担体には、微結晶性セルロース、ラクトース一水和物、および鉱物粘土が含まれる。湿潤性粉末を水と混合すると、ダミノジドおよび緩衝剤が溶解するが、担体は、懸濁液を形成し得る。次いで、溶液/懸濁液が噴霧技術で適用される。
【0038】
好ましい実施形態では、濃縮組成物は、錠剤形態で提供される。錠剤製剤は、発泡性であってもよく、錠剤の種類およびサイズに応じて、2~10分の期間にわたって水に溶解する。錠剤は、一般に、10グラムの錠剤当たり0.2~2グラムの有効構成成分しか送達しない。
【0039】
好ましい実施形態では、濃縮組成物は、液体として提供される。
【0040】
好ましくは、液体組成物は、本質的に水を含まない。水を含まないということは、濃縮組成物が5重量%未満の水を含むことを意味する。より好ましくは、濃縮組成物は、約3重量%以下の水、より好ましくは約1重量%以下の水、最も好ましくは約0.5重量%以下の水を含む。
【0041】
液体組成物は、溶液、エマルジョン、または懸濁液の形態であり得る。好適な液体製剤の例は、油分散液、濃縮液、およびイオン液体である。液体組成物の液体は、例えば、油、エステル、アルコール、またはエーテルであり得る。
【0042】
油分散液は、一般に、ダミノジドまたはpH緩衝剤のうちの少なくとも1つが分散している有機疎水性担体を含む。好ましくは、油分散液は、水と混合するとエマルジョンを形成する。好ましくは、有機担体は、油またはその誘導体である。好ましくは、担体材料は、融点が約10℃以下、好ましくは約0℃以下の植物油またはその誘導体である。好適な植物油は、例えば、パーム油、大豆油、菜種油、ヒマワリ油、綿実油、ヤシ核油、ココナッツ油、亜麻仁油、オリーブ油、ピーナッツ油などである。植物油の好適な誘導体には、例えばバイオディーゼルのような、例えばC1-C6-アルキルエステルのような脂肪酸のアルキルエステル、または菜種油のメチルエステルなどが含まれる。
【0043】
濃縮液製剤は、ダミノジドおよびpH緩衝剤を含む。濃縮液中のすべての成分が溶解し、溶液を形成し得る。この実施形態では、溶媒は、好ましくは、アルコールまたはエーテルなどの極性溶媒である。溶媒は、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール、またはイソプロピルアルコールなどの短鎖アルコールであり得る。溶媒は、酢酸エチル、ジエチルエーテル、アセトン、t-ブチル-メチルエーテル、DMSOなどのような非プロトン性溶媒であり得る。
【0044】
あるいは、1つ以上の成分は、部分的にのみ、または全く溶解せず、分散液を形成し得る。分散媒は、任意の溶媒であり得る。好ましくは、分散媒は、アルコールまたはエステルなどの有機溶媒である。
【0045】
あるいは、濃縮液は、ダミノジドおよび/またはpH緩衝剤が少なくとも1つの相に溶解しているエマルジョンである。相のうちの1つは、アルコールまたはエーテルなどの極性溶媒であり得る。溶媒は、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール、またはイソプロピルアルコールなどの短鎖アルコールであり得る。溶媒は、ジエチルエーテルなどの非プロトン性溶媒であり得る。相のうちの1つは、植物油またはその誘導体などの有機溶媒であり得る。好ましくは、有機溶媒は、融点が約10℃以下、好ましくは約0℃以下の植物油またはその誘導体である。好適な植物油は、例えば、パーム油、大豆油、菜種油、ヒマワリ油、綿実油、ヤシ核油、ココナッツ油、亜麻仁油、オリーブ油、ピーナッツ油などである。植物油の好適な誘導体には、例えばバイオディーゼルのような、例えばC1-C6-アルキルエステルのような脂肪酸のアルキルエステル、または菜種油のメチルエステルなどが含まれる。環境上の理由から植物油が好ましいが、トルエン、ナフタレン、オクタン、デカリンなどの炭化水素油のような他の有機流体を使用することができ、または任意選択で、より低い炭素数のアルカン、もしくはアミン、イミン、尿素、アミド、イミド、および/もしくはそれらの誘導体などの有機塩基溶媒と混合したC15-C30炭化水素などのパラフィン油が好適である。
【0046】
他の好適な溶媒は、t-ブチル-メチルエーテルのようなエーテル、t-ブチル-アセテート、ブチル-アセテート、DMSOなどのようなエステルを含む。
【0047】
添加剤が、濃縮組成物に添加され得る。添加剤は、界面活性剤、固結防止剤、抗酸化剤、消泡剤、微量栄養素、さらなる成長調整剤、殺菌剤、殺生物剤、またはセーフナー、着色剤などのような当技術分野で知られている別の添加剤のうちの1つ以上を含むことができる。
【0048】
界面活性剤は、例えば、乳化剤および/または可溶化剤を含むことができる。乳化剤は、一般的に溶液、エマルジョン、懸濁液、油分散液、イオン液体などのような種々の液体組成物で使用される。
【0049】
上に示したように、本発明による濃縮物は、乳化剤をさらに含有し得る。乳化剤は、水で希釈する際の成長調整剤の濃縮を助け得、乳化剤は、水相中の担体流体の乳化を助け得る。また、乳化剤は、植物による活性物質の取り込みを促進し得る。好適な乳化剤は、アニオン性、カチオン性、または非イオン性の乳化剤であり得、当技術分野でよく知られている。
【0050】
典型的な乳化剤、または界面活性剤は、ジエタノールアンモニウムラウレートサルフェートなどのアルキルサルフェート塩、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムなどのようなアルキルアリールスルホン酸塩、ノニルフェノール-C18エトキシレートなどのアルキルフェノール-アルキレンオキシド付加生成物;トリデシルアルコール-C16エトキシレートなどのアルコール-アルキレンオキシド付加生成物;ヒマシ油エトキシレート(EO 25または40)などのエトキシル化脂肪酸、ステアリン酸ナトリウムなどの石鹸;ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルナフタレンスルホン酸塩;ジ(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウムなどのスルホコハク酸塩のジアルキルエステル;オレイン酸ソルビトールなどのソルビトールエステル;ラウリルトリメチルアンモニウムクロリドなどの四級アミン;ステアリン酸ポリエチレングリコールなどの脂肪酸のポリエチレングリコールエステル;エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマー;モノおよびジアルキルホスフェートエステルの塩;ポリアミン-脂肪酸凝縮物;ランダムポリエステルコンデンセート;レシチンまたは修飾レシチン;モノグリセリドまたはジグリセリドなどである。
【0051】
好ましくは、乳化剤は、好ましくは脂肪酸でエステル化されたアルコキシル化糖、または脂肪酸でエステル化された糖である。好適な糖、またはポリオールは、ペンタエリトリトール、ソルビトール、マルトース、トリメチロールプロパン、エチレングリコールなどである。30個のアルコキシ基は、好ましくはエチルオキシまたはプロピルオキシであり、最も好ましくは少なくとも3つのエトキシ基、好ましくは少なくとも5つのエトキシ基を含む。脂肪酸でのエステル化は、C12-C24脂肪酸でのエステル化を含み得、脂肪酸は、不飽和であり得、好ましくは一不飽和である。
【0052】
本発明による濃縮物は、殺菌剤をさらに含み得る。
【0053】
添加することができる好適なさらなる化合物は、植物の防御機構を強化するジャスモン酸またはホスホン酸である。好適なジャスモン酸には、ジャスモン酸メチル、プロピルジヒドロジャスモン酸、およびジャスモン酸が含まれる。
【0054】
添加することができる好適なさらなる化合物は、例えば、亜鉛、マンガン、セレン、鉄、銅、ホウ素、モリブデン、およびマグネシウム、これらの混合物などのような金属化合物である。金属イオンは、例えば、EDTAキレート、クエン酸塩、プロテイネートのような、キレートもしくは塩として、または別の方法で、金属が植物の葉によって吸収される形態で使用することができる。
【0055】
本発明による濃縮物は、例えば、ビタミンE、ブチル化ヒドロキシアニソール、バルカノックスBHT(2,6-ジ-tert.-ブチル-p-クレゾール)、またはブチルヒドロキシトルエンなどの抗酸化剤をさらに含み得る。
【0056】
本発明の濃縮物は、シリコーンベースの油、ステアリン酸マグネシウム、またはオクタノールなどの消泡剤をさらに含み得る。
【0057】
本発明による濃縮物は、殺菌剤および/または殺藻剤、例えば、ベンジルイソチアゾリン、n-オクチルイソチアゾリノン、クロロメチル、およびメチルイソチアゾリノンのようなイソチアゾリン-3誘導体のような殺生物剤;ブロモ-ニトロ-プロパン-ジオール;エチレンジオキシジメタノール;(3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素;ヨード-プロピニルブチルカルバメート;N-トリクロロメチルチオフタルイミド;ジンクピリチオン;ジクロロフェン、ストレプトマイシン、硫酸銅、またはソルベートをさらに含み得る。
【0058】
好ましい実施形態では、本発明による濃縮組成物は、少なくとも2年間保存安定であり、この時間中、ダミノジドに対して30ppm未満のUDMHを含む。より好ましい実施形態では、濃縮組成物は、この時間中、ダミノジドに対して約20ppm以下のUDMH、さらにより好ましくはダミノジドに対して約15ppm以下のUDMHを含む。
【0059】
濃縮物は、1つの区画にダミノジド濃縮物が送達され、別の区画に緩衝剤成分が送達されるパーツキットとして供給することもできる。パーツキットには、潜在的に困難な製剤調査を排除し、個々の成分の最適な包装を可能にするという利点がある。さらに、パーツキットは、噴霧タンクに異なる成分を供給する際の潜在的なミスを大幅に減らす。
【0060】
好ましい実施形態では、濃縮組成物、またはパーツキット組成物は、ダミノジドを取り扱う際の操作者のUDMHまたは物質への曝露を最小限に抑えるように設計された包装された製品として供給される。一般に、これは、包装を開けて、そのような包装の内容物を水に溶解または分散させる前に、UDMHの放出を防ぐプラスチック包装を提供することによって達成することができる。好ましくは、プラスチック容器は、水と接触すると溶解または分解する。包装の溶解または分解により、操作者が内容物に曝露されるのを最小限に抑えながら、内容物を簡単に溶解または分散させることが可能になる。
【0061】
実施形態では、プラスチック包装は、ポリエチレンまたはポリエステルフィルムである。さらに好ましい実施形態では、プラスチック包装は、水と接触すると分解または溶解する。水への溶解に好適なプラスチックには、ポリビニルアルコールが含まれる。
【0062】
本発明の濃縮組成物、またはパーツキット組成物は、希釈して、本発明の噴霧タンク組成物を形成することができる。濃縮組成物は、水で希釈される。希釈は、適量の濃縮物および適量の水を提供することによって実行される。
【0063】
好ましい実施形態では、希釈は、最終希釈組成物中のダミノジドの濃度が約1g/L~約6g/L、より好ましくは約1.5g/L~5g/L、例えば約2.5g/Lになるように実行されるが、最大18g/Lが可能である。
【0064】
ダミノジドを使用する方法のうちの1つは、約300g/Lのような200~400g/Lの半濃縮物を調製し、その半濃縮物をインラインで動的にさらに希釈することである。これは、濃縮物を希釈するという言語で構成されている。
【0065】
実施形態では、
(a)(i)100~400g/Lのダミノジド、好ましくは約100~200g/Lのダミノジド、および(ii)好ましくは上記のように濃縮された組成物または顆粒を希釈することにより、組成物のpHが6より高い、好ましくは6.5以上、かつ好ましくは9未満のpH緩衝剤、を含むスラリー組成物を調製するステップと、
(b)スラリー組成物を約1~18g/Lのダミノジドを含む希釈組成物に希釈するステップと、
(c)希釈組成物を植物に噴霧するステップと、を含む、植物を処理する方法が提供される。
【0066】
例えば、投与ポンプ噴霧器を使用して、この方法を用いることができる。そのような方法は、活性物質の正確な投与を可能にするので、好ましい。
【0067】
驚くべきことに、200g/L以上のダミノジドを含むスラリー組成物は、依然として7を超えるpHを維持できることが見出された。
【0068】
本発明の濃縮組成物を希釈することによって得られる噴霧タンク組成物は、24時間後に約1ppm以下の濃度のUDMHを含む。好ましくは、24時間後のUDMHの濃度は、約400ppb以下、より好ましくは100ppb以下、さらにより好ましくは約50ppb以下である。
【0069】
希釈中、噴霧タンク混合物は、好ましくは良好な混合を促進するために撹拌される。
【0070】
好適な希釈は、約96重量%以上の水および約4重量%以下の濃縮組成物を含むことができる。好ましくは、濃縮組成物は、約1:50~1:1000(重量/重量単位、乾物ダミノジド/水に基づく)、好ましくは1:150~1:1000の範囲の水で希釈される。
【0071】
他の添加剤も噴霧タンクに添加して希釈し得る。好適な添加剤は、上記の通りである。したがって、ダミノジドと組み合わせて使用される添加剤または追加の有効成分を濃縮物に添加することができるが、水相に直接添加することもできる。好適な追加の活性化合物には、さらなる成長調整剤、殺菌剤、生物刺激剤(微量栄養素および多量栄養素、例えば、金属化合物、ジャスモン酸など)、殺虫剤ならびに/またはダニ駆除剤が含まれる。
【0072】
好適な追加の化合物には、S-ABAなどの植物成長調整剤、1つ以上のジベレリン、ジベレリン誘導体、クロルメコート、エセフォン、メトコナゾール、テブコナゾール、およびパクロブトラゾールのような成長調整活性を有するトリアゾール、オーキシンおよび/またはサイトカイニンが含まれる。
【0073】
好適なジベレリンには、ジベレリン酸(GA3)、GA4、GA7などが含まれる。より一般には、「ジベレリン」という用語は、四環式環系を有するジテルペノイドを包含する。それらの命名法に関して、ジベレリンは、それらの発見の順序で番号が付けられたので、番号付けは、1つの特定の置換基の位置を表さない。化合物は、19個または20個の炭素、および4個または5個の環系を有する。ジベレリンのいくつかの例には、一般的にジベレリン酸と呼ばれるGA3、ならびにGA3の直接の前駆体であるGA4およびGA7が含まれる。今日記載されているジベレリンは、約130個存在し、これらは、「ジベレリン」という一般用語に包含される。ジベレリン誘導体には、例えば、16,17-ジヒドロジベレリンが含まれる。
【0074】
好適なオーキシンには、植物酵素系によって製造される天然に存在するオーキシンのように挙動する天然または合成の化学物質が含まれ、本明細書で使用される「オーキシン」および「オーキシン」という用語は、天然および合成形態のそのような化合物を指す。インドール酢酸、インドール-3-酪酸(3-BA)、ナフタレンアセトアミド、2メチル-1-ナフタレン酢酸、および2-メチル-1-ナフチルアセトアミドは、ホルモン活性があり、天然に存在するオーキシンと置換され得る。例えば、亜鉛またはマンガンなどの金属イオンをオーキシンとともに存在させることが有用な場合がある。好ましい実施形態では、用いられるオーキシンは、3-インドール酪酸、3-インドール酢酸、1-ナフチル酢酸、3-インドール酪酸、ならびにそれらの塩およびエステルからなる群から選択される。好ましくは、良好な活性に必要な金属イオンは、オーキシンと一緒に供給される。
【0075】
好適なサイトカイニンは、植物の根および新芽の細胞分裂または細胞質分裂を促進する植物調整物質(植物ホルモン)の一種である。サイトカイニンには、キネチン、ゼアチン、6-ベンジルアミノプリン(BAP、6-BAP、または6-ベンジルアデニンとも呼ばれる)に代表されるアデニン型サイトカイニン、ならびにジフェニル尿素およびチジアズロン(TDZ)のようなフェニル尿素型サイトカイニンの2種類が存在する。好ましい実施形態では、サイトカイニンは、カイネチン(合成または海藻由来)、6-BAP、1-(2-クロロピリジン-4-イル)-3-フェニル尿素(CPPU)、およびTDZからなる群から選択される。
【0076】
好適な追加の化合物には、フェンプロピジンおよびフェンプロピモルフのようなモルホリン、メトラフェノン、シフルフェナミド、キノキシフェン、およびプロキナジドなどの特定のうどんこ病殺菌剤;エポキシコナゾール、プロチオコナゾール、メトコナゾール、テブコナゾール、ジフェノコナゾール、ペンコナゾール、プロピコナゾール、トリチコナゾールなどのようなトリアゾールのようなSBI殺菌剤;アゾキシストロビン、クモキシストロビン、ジモキシストロビン、エノキサストロビン、ファモキサドン、フェナミドン、フェナミノストロビン、フルオキサストロビン、フルフェノキシストロビン、クレソキシム-メチル、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピラオキシストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン、ピラメタストロビン、ピリベンカルブ、トリクロピリカルブトリフロキシストロビンのようなストロビルリン(Qol殺菌剤)、ならびにベノダニール、ビキサフェン、ボスカリド、カルボキシン、フェンフラム、フルオピラム、フルトラニル、フラクサピロキサド、フラメトピル、イソピラザム、メプロニル、オキシカルボキシン、ペンフルフェン、ペンチオピラド、セダキサン、およびチフルザミドのようなSDHI;マンコゼブ、ブピリメート、キャプタン、クロロタロニル、銅ベースの製品、シアゾファミド、シプロジニル、ダイエットホーフェンカルブ、ジメトモルフ、ジチアノン、ドデモルフ、フェナミドン、フェンヘキサミド、フェンプロピジン、フェンピラザミン、フルアジナム、フルジオキソニル、フルオピラム、フォセチル、イマザリル、イソピラザム、クレソキシム-メチル、マンジプロパミド、メパニピリム、メタラキシル-M、メチラム、ミクロブタニル、炭酸水素カリウム、リン酸カリウム、プロパモカルベ、キノキシフェン、硫黄、チオファネートメチル、トリアジメノールが含まれる。
【0077】
添加することができる好適なさらなる化合物は、生体刺激剤である。生体刺激剤には、例えば、任意選択で葉面肥料、ジャスモン酸、およびサリチル酸として適用される微量栄養素および多量栄養素が含まれる。
【0078】
添加することができる好適なさらなる化合物は、植物の防御機構を強化するジャスモン酸またはホスホン酸である。好適なジャスモン酸には、ジャスモン酸メチル、プロピルジヒドロジャスモン酸、およびジャスモン酸が含まれる。植物抵抗性を強化するためのさらに好適な化合物は、アシベンゾラル-S-メチルを含む。
【0079】
添加することができる好適なさらなる化合物は、例えば、亜鉛、マンガン、セレン、鉄、銅、ホウ素、モリブデン、およびマグネシウム、これらの混合物などのような金属化合物である。金属イオンは、例えば、EDTAキレート、クエン酸塩、プロテイネートのような、キレートもしくは塩として、または別の方法で、金属が植物の葉によって吸収される形態で使用することができる。
【0080】
好適なさらなる化合物には、アザジラクチン、エスフェンバレラト、チアメトキサム、ホルメタネート、ピリミカルブ、ピメトロジン、スピロテトラマット、アバメクチン、レイプシードオイル、パラフィンオイル、ピレスリン、ビフェナゼート、ヘキシチアゾックス、アセキノシル、クロフェンテジン、エトキサゾール、シフルメトフェン、スピロジクロフェン、マルトデキストリン、アセキノシル、フェンピロキシメート、ミルベメクチン、アセタミプリド、ラムダ-シハロトリン、ジメトエート、デルタメトリン、チアクロプリド、スルホキサフロール、オレンジオイル、イミダクロプリド、シペルメトリンおよびアルファ-シペルメトリン、フロニカミド、シアントラニリプロール、メチオカルブ、スピノサド、インドキサカルブ、エトフェンプロックスなどの殺虫剤が含まれる。
【0081】
好適なさらなる化合物には、ダニ駆除剤が含まれる。これらは、当技術分野で知られているもののいずれかであり得る。
【0082】
好ましくは、噴霧タンク混合組成物は、濃縮物を希釈してから48時間以内に、さらにより好ましくは24時間以内に、最も好ましくは10時間以内(すなわち同じ日)に使用される。待機時間が長くなると、タンク中の混合物に悪影響を及ぼし、例えば、残留物、製品の分解などが生じる可能性がある。
【0083】
好適な量の噴霧液が植物に適用される。これは、タンク噴霧、ブーム噴霧、点滴灌漑、スプリンクラーシステムなどのような当技術分野で知られている任意の方法を介して行われ得る。
【0084】
噴霧タンク組成物は、有効量のダミノジドが適用されるように、好ましくは少なくとも50g/haおよび最大で12.5kg/haが適用されるように、植物に適用される。好ましい量は、約0.5kg/ha~5kg/haである。一般に、最大適用率は、作物サイクル当たり25kg/haである。
【0085】
好ましくは、噴霧タンク組成物は、植物の葉に適用される。
【0086】
噴霧タンク組成物は、一般に、約50L/ha~約1500L/ha、好ましくは約500L/ha~約1000L/haの量で噴霧される。
【0087】
本発明による噴霧タンク混合物での処理に好適な作物には、観賞用作物、より好ましくは、アゲラタム、アスター、アゼレア、ベゴニア、ブラッシカ、ブロワリア、カリブラコア、カレンデュラ、セロシア、ケンタウレア、クリサンセマム、コレウス、コスモス、クロッサンドラ、ダリア、デルフィニウム、ダイアンサス、ディセントラ、ダスティミラー、エクサカム、フィカス、ガーデニア、ガーベラ、ゴンフレーナ、ヘリアンサス、ハイビスカス、アジサイ、カランコエ、トルコキキョウ、ロベリア、マリゴールド、ネメシア、ペチュニア、ペロデンドロン、フロックス、ポインセチア、ポトス、ラダーマチェラ、サルビア、シェフレラ、サンフラワー、シンゴニウム、タゲテス、バーベナ、スミレ、ビンカ、およびジニアなどの作物が含まれる。
【実施例】
【0088】
実施例1
タンクミックス媒体(pH4.0、7.0、および9.0に緩衝)は、脱イオン水および水道水(定義された組成)の両方で調製した。水道水および脱イオン水も対照として含んだ。UDMHの濃度は、20℃で1、2、4、24時間保存した後に測定した。
【0089】
テスト試料は、すべて250mLの容量で、1.1gの溶解ダミノジドを含有していた。緩衝塩は、すべて0.1N NaOHを含んでいた。4.04のpHを得るために、pH=7.07の0.1M KH2PO4の場合、pH=9.04の0.1Mホウ酸の場合、0.1M KH phth.(フタル酸)を使用した。
【0090】
結果を以下の表1に示す。pH7およびpH9で、24時間後に最大50ppbのUDMH濃度が観察されたことが分かる。24時間後、pH4に緩衝された水中でわずか0.89μg/mLのUDMHが形成された。この量は、まだダミノジド濃度(4.4g/L)の0.02%未満である。しかし、そのような濃度では安全上の懸念が生じる。そのような懸念は、緩衝されていない水にダミノジドを使用するとさらに高くなり、4時間後のみのダミノジドの緩衝されていない水の性能の低下を参照されたい。
【表1】
【0091】
実施例2
本発明による濃縮組成物は、表2に従って作製した。保存の安定性を評価するために、試料は、調製直後、および54℃で2週間保存された後にテストした。
【表2】
【0092】
顆粒のダミノジド濃度は、調製後、および54℃で2週間保存した後、測定した。表3を参照されたい。%w/w単位のダミノジド濃度が増加しているように見えることが観察できる。これは、水分の喪失によるものと推測される。ダミノジド濃度は、C18カラムを使用した逆相HPLC法で測定した。
【表3】
【0093】
顆粒の外観は、調製後および保存後に評価した。表4を参照されたい。
【表4】
【0094】
表5~7は、加速保存前後の湿潤時間、泡の持続性および溶解度、ならびに溶液の安定性の挙動の詳細を示している。顆粒は、保存後に許容できることが証明された。
【表5】
【表6】
【表7】
【0095】
実施例3:
表8による濃縮組成物を作製した。
【0096】
ダミノジドを、360°1.0mmのスクリーンを備えたRetsch SR300ハンマーミルを通過させた。次いで、ハンマーでミリングしたダミノジドを、6バールの空気を使用してAtritor M4マイクロナイザーを通過させた。炭酸ナトリウムを同じハンマーミルを通過させた。微粉化したダミノジドおよびハンマーでミリングした炭酸ナトリウムを、均質な粉末が形成されるまで乾式混合した。
【0097】
顆粒1を調製するために、水道水を粉末ベース1に添加し、得られたペーストを1mmのスクリーンを通して押し出した。顆粒を50℃で30分間流動床乾燥させた。
【0098】
顆粒2を調製するために、水中の0.21重量%の炭酸ナトリウム一水和物溶液を使用して粉末を湿潤させた。次いで、顆粒1の場合と同様に押出を実行した。
【表8】
【0099】
組成物を4g/Lで水に添加した。希釈液のpHは、24時間にわたって7.0~8.0の範囲内にとどまった。UDMH濃度は、260nmでの吸収によって決定した。結果については、表9を参照されたい。
【表9】
【0100】
UDMH濃度は、4時間後に有意に変化しなかった。
【0101】
実施例4:
オランダでは、切断された菊の温室試験を実施した。噴霧タンク組成物を表10に従って作製した。Dazide Enhanceは、85重量%のダミノジドを含む市販の粉末である。噴霧速度は、1000l/haであった。適用は、2019年5月13日、5月20日、および5月28日に実行し、評価は、2019年5月20日、5月28日、5月5日、および6月19日に実施した。
【表10】
【0102】
特に、本発明による組成物は、同じ濃度の同等の実施例よりもより良い有効性を示した。
【0103】
実施例5:
タンク噴霧溶液は、ダミノジドを緩衝水(pH7または8)に溶解することによって作製し、比較例は、水道水およびpH6の緩衝化水に溶解することによって提供した。ダミノジドは、85重量%のダミノジドを含む市販の製品Dazide Enhanceの形態で提供した。
【0104】
噴霧タンク組成物は、1000l/haの速度で菊に噴霧した。適用は、2月11日に実施し、評価は、2019年3月4日に実施した。
【0105】
平均身長を測定し、未処理の対照と比較した。ダミノジドの有効性が、様々な量の緩衝剤を使用した様々なpHで維持されることが示されている。表11は、様々なpHの緩衝剤の濃度を示し、表12は、高さ実験の結果の詳細を示す。緩衝剤の使用がダミノジドの有効性に悪影響を及ぼさなかったことが分かる。適用の1週間後にpH緩衝剤8を使用すると、いくらかの植物毒性が観察されたが、評価の日に影響はもはや見られなかった。
【表11】
【表12】
【0106】
実施例6:
オランダのペチュニアで温室試験を実施した。噴霧タンク組成物を表13に従って作製した。Dazide Enhanceは、85重量%のダミノジドを含む市販の粉末である。噴霧速度は、1000l/haであった。適用は、2019年6月10日、6月14日、6月19日、6月24日、および6月29日に実行し、評価は、2019年6月19日、6月24日、6月29日、および7月5日に実施した。
【表13】
【0107】
すべてのダミノジド処理が効果的であったことが観察できる。最終評価中に、商業的価値も評価した。水のみの植物は、大きすぎたため、商業的価値を失った。比較例10g/lの植物は、小さすぎて、花が少なすぎた。他のすべての植物は、許容できる商業的価値を有していた。
【0108】
実施例7:
温室試験は、品種アビエーターの菊で実施した。噴霧タンク組成物を表14に従って作製した。噴霧速度は、1000l/haであった。適用は、7月17日、7月23日、および8月1日に実行し、評価は、8月16日に実施した。
【表14】
【0109】
すべてのダミノジド処理が効果的であったことが観察できる。最終評価中に、商業的価値も評価した。水のみの植物は、大きすぎたため、商業的価値を失った。他のすべての植物は、許容できる商業的価値を有していた。
【0110】
実施例8:
温室試験は、菊で実施した。噴霧タンク組成物を表15に従って作製した。噴霧速度は、1000l/haであった。適用は、9月4日、9月10日、および9月17日に実行し、評価は、11月9日に実施した。
【表15】
【0111】
すべてのダミノジド処理が効果的であったことが観察できる。
【0112】
実施例9:
温室試験は、アジサイで実施した。噴霧タンク組成物を表16に従って作製した。噴霧速度は、1000l/haであった。適用は、7月15日、7月19日、7月24日、7月29日、および8月2日に実行し、評価は、8月27日に実施した。
【表16】
【0113】
すべてのダミノジド処理が効果的であったことが観察できる。
【0114】
実施例10:
ダミノジド+塩基の緩衝系は、以下の表17に従って調製した。水道水を使用して、緩衝系を作製した。混合物のpHは、表17に従って指定された時間にテストした。
【表17】
【0115】
実施例11:
様々な希釈率でのpH制御について、顆粒CをDazide Enhanceと比較した。結果の詳細を以下の表18に示す。
【表18】
【0116】
高濃度(300g/L、または約150g/Lのダミノジド)でさえ、本発明による組成物は、7を超えるpHを維持できたことが観察できる。
【0117】
実施例12:
顆粒Cのテスト製剤は、ダミノジド濃度が様々な水タイプで4.25g/Lになるように水で希釈し、UDMHの形成を監視した。結果の詳細を以下の表19に示す。比較例として、4.25g/Lの濃度の純粋なダミノジドも
【表19】
【0118】
この特定の実施例の顆粒では、UDMHの初期濃度は比較的高いが、それでも許容レベル内にあることが観察できる。さらに、24時間にわたって観察された増加は、緩衝されていないダミノジド溶液の増加と比較して無視できる程度である。初期UDMHのレベルが低い顆粒を作製することができ、UDMHの全体的な濃度を下げることになる。
【国際調査報告】