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特表2022-547526専用アップリンクリソース送信を最適化する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-14
(54)【発明の名称】専用アップリンクリソース送信を最適化する方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/12 20090101AFI20221107BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20221107BHJP
   H04W 28/04 20090101ALI20221107BHJP
【FI】
H04W72/12 130
H04W72/04 131
H04W28/04 110
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515538
(86)(22)【出願日】2020-09-07
(85)【翻訳文提出日】2022-03-10
(86)【国際出願番号】 EP2020074960
(87)【国際公開番号】W WO2021048058
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】19196779.3
(32)【優先日】2019-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521196512
【氏名又は名称】タレス ディアイエス エイアイエス ドイツ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100086368
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 誠
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー ブロイアー
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA13
5K067DD11
5K067DD24
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067HH28
(57)【要約】
本発明は、基地局を動作させる方法であって、基地局が事前設定された周期的アップリンク通信スケジュールを設定するためにユーザ装置と交渉し、ユーザ装置が少なくとも1回の事前設定された周期的アップリンク通信機会に合わせてダウンリンクデータを受信する準備ができているかどうかを示すダウンリンクデータフラグを受信し、事前設定された周期的アップリンク通信スケジュールの設定後に、事前設定された周期的アップリンク通信機会の一部であるデータ送信の事前設定された周期的アップリンク通信スケジュールと同期した時刻にネットワークリソースを割り当てる。基地局が上記事前設定された周期的アップリンク通信機会中に、-アップリンクデータをユーザ装置からデータメッセージで受信し、-ダウンリンクデータの利用可能性のチェックによってダウンリンクデータが利用可能であることが判明した場合にのみ、ダウンリンクデータ接続を確立する指示をユーザ装置に送信し、-その後ユーザ装置をアイドルモードに戻す。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのユーザ装置(1)と事前設定された周期的アップリンク通信スケジュールを実行するように構成された、セルラネットワーク(3)の一部である基地局(2)を動作させる方法であって、
前記方法が、前記基地局(2)が前記事前設定された周期的アップリンク通信スケジュールを設定するために前記ユーザ装置(1)と交渉するステップを含み、
前記ユーザ装置(1)が少なくとも1回の事前設定された周期的アップリンク通信機会(4)に合わせてダウンリンクデータを受信する準備ができているかどうかを示すダウンリンクデータフラグ(6)を受信し、
前記事前設定された周期的アップリンク通信スケジュールの設定後に、事前設定された周期的アップリンク通信機会(4)の一部であるデータ送信の前記事前設定された周期的アップリンク通信スケジュールと同期した時刻にネットワークリソースを割り当てることを更に含み、
前記ユーザ装置(1)にとってのダウンリンクデータの利用可能性のチェックが、前記ダウンリンクデータフラグ(6)がダウンリンクデータをチェックすることを示す場合にのみ、次の事前設定された周期的アップリンク通信機会(4)に先立って評価され、
前記方法が更に、前記基地局(2)が前記事前設定された周期的アップリンク通信機会(4)中に、
-アップリンクデータを前記ユーザ装置(1)からデータメッセージで受信し、
-前記ダウンリンクデータの利用可能性のチェックによってダウンリンクデータが利用可能であることが判明した場合にのみ、ダウンリンクデータ接続(7)を確立する指示を前記ユーザ装置(1)に送信することを含む方法。
【請求項2】
前記交渉ステップの一部として、前記ユーザ装置(1)に確認応答通信が好まれているかどうかを示す確認応答フラグ(5)を受信すること、
前記ユーザ装置(1)からアップリンクデータを受信する前記ステップの後に、確認応答通信が好まれていることを前記確認応答フラグ(5)が示す場合にのみ、レイヤ1確認応答メッセージを提出することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記レイヤ1確認応答メッセージが前記ダウンリンクデータ接続(7)を確立する前記指示を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記利用可能性チェックが、前記ユーザ装置(1)に専用のデータがダウンリンク送信に利用可能であるかどうかを少なくとも1つのセルラネットワークコンポーネントに尋ねるステップを含む、請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
ダウンリンクデータが利用可能で、前記ユーザ装置(1)がダウンリンクデータを受信する準備ができていないことを前記ダウンリンクデータフラグ(6)が示す場合に、メッセージを前記事前設定された周期的アップリンク通信と非同期でページングによって前記ユーザ装置(1)に送信する、請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つのユーザ装置(1)と事前設定された周期的アップリンク通信スケジュールを実行するように構成された、セルラネットワーク(3)の一部である基地局(2)であって、
前記基地局(2)が、前記事前設定された周期的アップリンク通信スケジュールを設定するために前記ユーザ装置(1)と交渉するように構成され、
前記ユーザ装置(1)が少なくとも1回の事前設定された周期的アップリンク通信機会(4)に合わせてダウンリンクデータを受信する準備ができているかどうかを示すダウンリンクデータフラグ(6)を更に受信し、
前記事前設定された周期的アップリンク通信スケジュールの設定後に、前記基地局(2)が、
-事前設定された周期的アップリンク通信機会(4)であるデータ送信の前記事前設定された周期的アップリンク通信スケジュールと同期した時刻にネットワークリソースを割り当て、
-前記ユーザ装置(1)にとってのダウンリンクデータの利用可能性のチェックを、前記ダウンリンクデータフラグ(6)がダウンリンクデータをチェックすることを示す場合にのみ、次の事前設定された周期的アップリンク通信機会に先立って評価するように構成され、
前記基地局(2)が更に、前記事前設定された周期的アップリンク通信機会(4)中に、
-アップリンクデータを前記ユーザ装置(1)からデータメッセージで受信し、
-ダウンリンクデータの利用可能性の前記チェックによってダウンリンクデータが利用可能であることが判明した場合にのみ、ダウンリンクデータ接続(7)を確立する指示を前記ユーザ装置(1)に送信するように構成された基地局(2)。
【請求項7】
前記交渉ステップの一部として、前記ユーザ装置(1)に確認応答通信が好まれているかどうかを示す確認応答フラグ(5)を受信するように更に構成され、
前記基地局(2)が、前記ユーザ装置(1)からアップリンクデータを受信した後に、確認応答通信が好まれていることを前記確認応答フラグ(5)が示す場合にのみ、レイヤ1確認応答メッセージを提出するように構成された、請求項6に記載の基地局(2)。
【請求項8】
前記レイヤ1確認応答メッセージが前記ダウンリンクデータ接続(7)を確立する前記指示を更に含む、請求項7に記載の基地局(2)。
【請求項9】
前記利用可能性チェックが、前記ユーザ装置(1)に専用のデータがダウンリンク送信に利用可能であるかどうかを少なくとも1つのセルラネットワークコンポーネントに尋ねることを含む、請求項6乃至8のいずれかに記載の基地局(2)。
【請求項10】
ダウンリンクデータが利用可能で、前記ユーザ装置(1)がダウンリンクデータを受信する準備ができていないことを前記ダウンリンクデータフラグ(6)が示す場合に、メッセージを前記事前設定された周期的アップリンク通信と非同期でページングによって前記ユーザ装置(1)に送信するように更に構成された、請求項6乃至9のいずれかに記載の基地局(2)。
【請求項11】
セルラネットワーク(3)の基地局(2)と事前設定された周期的アップリンク通信を行うように構成されたユーザ装置(1)のための方法であって、
前記方法が、前記ユーザ装置(1)が事前設定された周期的アップリンク通信スケジュールを設定するために前記基地局(2)と交渉するステップを含み、
少なくとも1回の事前設定された周期的アップリンク通信機会(4)に合わせてダウンリンクデータを受信する準備ができていることを示すダウンリンクデータフラグ(6)を送信することを更に含み、
前記方法が、前記事前設定された周期的アップリンク通信機会(4)中に、
-アップリンクデータを前記基地局(2)にデータメッセージで送信すること、
-前記ユーザ装置(1)がダウンリンクデータを受信する準備ができていることを前記ダウンリンクデータフラグ(6)が示す場合にのみ、ダウンリンクデータ接続(7)を確立する指示を前記基地局(2)から受信すること、
-その後アイドルモードに戻ること、を更に含む方法。
【請求項12】
前記交渉ステップの一部として、前記ユーザ装置(1)に確認応答通信が好まれているかどうかを示す確認応答フラグ(5)を送信すること、
前記ユーザ装置(1)からアップリンクデータを送信する前記ステップの後に、確認応答通信が好まれていることを前記確認応答フラグが示す場合にのみ、レイヤ1確認応答メッセージを受信することを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記レイヤ1確認応答メッセージが前記ダウンリンクデータ接続(7)を確立する前記指示を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
セルラネットワーク(3)の基地局(2)と事前設定された周期的アップリンク通信を行うように構成されたユーザ装置(1)であって、
前記ユーザ装置(1)が、事前設定された周期的アップリンク通信スケジュールを設定するために前記基地局(2)と交渉し、少なくとも1回の事前設定された周期的アップリンク通信機会(4)に合わせてダウンリンクデータを受信する準備ができていることを示すダウンリンクデータフラグ(6)を送信するように構成され、
前記ユーザ装置(1)が更に、前記事前設定された周期的アップリンク通信機会(4)中に、
-アップリンクデータを前記基地局(2)にデータメッセージで送信し、
-前記ユーザ装置(1)がダウンリンクデータを受信する準備ができていることを前記ダウンリンクデータフラグ(6)が示す場合にのみ、ダウンリンクデータ接続(7)を確立する指示を前記基地局(2)から受信し、
-その後アイドルモードに戻るように構成されたユーザ装置(1)。
【請求項15】
前記交渉ステップの一部として、前記ユーザ装置(1)に確認応答通信が好まれているかどうかを示す確認応答フラグ(5)を送信するように更に構成され、
前記ユーザ装置(1)が、アップリンクデータを送信した後に、確認応答通信が好まれていることを前記確認応答フラグが示す場合にのみレイヤ1確認応答メッセージを受信するように更に構成された、請求項14に記載のユーザ装置(1)。
【請求項16】
前記レイヤ1確認応答メッセージが前記ダウンリンクデータ接続(7)を確立する前記指示を更に含む、請求項15に記載のユーザ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセルラネットワークの基地局のための方法に関する。本発明は上記方法を用いる基地局にも関する。
【0002】
本発明は更に上記基地局と動作するユーザ装置のための方法に関する。本発明は上記方法を用いるユーザ装置にも関する。
【背景技術】
【0003】
一般にセルラ無線通信の分野では、最近、実質的に一定量のデータを定期的に提出する単純なIoTデバイスのデータ送信が改善されている。これは、具体的には、例えば消費した燃料や電力の量、測定した雨量などをデータパケットで1日に1回提出する計量デバイス、又は他のセンサとして知られている。このタイプの通信は、レガシーセルラネットワークでは、通信コンテキストを確立することやリソースなどを割り当てること、その一方で数バイトのデータパケットを送信するために膨大なシグナリングオーバーヘッドを必要としていた。これは非常に不利であり、特に、具体的にはエアインタフェースに関する利用可能なネットワークリソースの悪い使い方につながる。
【0004】
この問題を解決するために、一度時間的サイクリック通信の設定が示されると、それ以上の通告なしにセルラネットワークが必要な量のリソースをそれぞれ予定された時間に割り当てるアプローチが議論された。これは事前設定された周期的アップリンク通信と呼ばれる。この提案は、4G規格において専用事前割当アップリンクリソース(D‐PUR)という名称の下に採択された。
【0005】
しかしながら、このアプローチは、特定の用途には依然としてデータ送信の最適な方法を提供していない。現在、D‐PURアプローチは、データパケットの送信後にユーザ装置にとってのデータの利用可能性のチェックをもたらすPRACHメッセージフローによって実施されている。このチェックは、eNodeBと接続されたMMEとの間で行われる一方、UEはメッセージがeNodeBから送信されない限り受信待機しなければならない。その場合、RRC伝送が確立され、ダウンリンク送信に影響が及ぶ場合がある。そうでない場合、レイヤ1確認応答が提供され、ユーザ装置はアイドル状態に戻ることがある。レイヤ1確認応答は、HARQ ACK/NACK機構の一部であり、データが無事に受信機に届いたことを送信機に確認する。
【0006】
一部のタイプのユーザ装置では、このアプローチは依然として大き過ぎる。これは、データが無事に受信機に届いたかどうかを考慮するようには構成されていないような場合である。更に、RRC伝送のためのデータが利用可能であるかどうかのフィードバックを待つことは不利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、上述の欠点を克服し、そのようなユーザ装置により最適化された事前設定された周期的アップリンク通信のための解決策を提案することである。
【0008】
これに伴い、別の代替的かつ有利な解決策も当技術分野において望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これに対して、本発明の第1の態様によれば、請求項1に記載の基地局を動作させる方法が提案される。本発明の第2の態様によれば、請求項6に記載の基地局が更に提案される。本発明の第3の態様では、請求項11に記載のユーザ装置のための方法が提案される。本発明の第4の態様によれば、請求項14に記載のユーザ装置が更に提案される。
【0010】
本発明の第1の態様によれば、少なくとも1つのユーザ装置と事前設定された周期的アップリンク通信スケジュールを実行するように構成された、セルラネットワークの一部である基地局を動作させる方法であって、
方法が、基地局が事前設定された周期的アップリンク通信スケジュールを設定するためにユーザ装置と交渉するステップを含み、ユーザ装置が少なくとも1回の事前設定された周期的アップリンク通信機会に合わせてダウンリンクデータを受信する準備ができているかどうかを示すダウンリンクデータフラグを受信し、事前設定された周期的アップリンク通信スケジュールの設定後に、事前設定された周期的アップリンク通信機会の一部であるデータ送信の事前設定された周期的アップリンク通信スケジュールと同期した時間にネットワークリソースを割り当てることを更に含み、ユーザ装置にとってのダウンリンクデータの利用可能性のチェックが、ダウンリンクデータフラグがダウンリンクデータをチェックすることを示す場合にのみ、次の事前設定された周期的アップリンク通信機会に先立って評価され、方法が更に、基地局が上記事前設定された周期的アップリンク通信機会中に、
-アップリンクデータをユーザ装置からデータメッセージで受信し、
-ダウンリンクデータの利用可能性のチェックによってダウンリンクデータが利用可能であることが判明した場合にのみ、ダウンリンクデータ接続を確立する指示をユーザ装置に送信することを含む方法が提案される。
【0011】
本発明はセルラネットワークの基地局に関する。無線通信のためのセルラネットワークは、好ましくはそれぞれがセルをカバーする複数の基地局を含む広いエリアをカバーしている。セルラネットワークすなわちその基地局は、具体的には2G(GSM)、3G(UMTS)、4G(LTE)、5G(新無線)以上の無線通信技術標準の1つ以上をサポートしている。
【0012】
具体的には、より最近の技術標準は様々なユーザ装置、例えば携帯電話器、IoT(モノのインターネット)デバイスとしても知られているマシンタイプ通信(MTC)デバイスをサポートするように指定されている。
【0013】
具体的には、後者のタイプのユーザ装置は、定期的なデータ交換スケジュールで動作し、例えば定められたデータセットを、1日又は1時間などに1回リモートサーバに送信している。したがって、リソースを要求すること、そのようなリソースを承認してもらい、可能な場合はデータパケットを送信すること、及び接続を終了させアイドルモード、あるいはスリープモードに入ることを含む、データ接続を毎回確立することがもともと必要であった。
【0014】
このレガシー手順は、各ステップを実行するのに多くのエネルギーを必要とする点でユーザ装置に不利であったが、極端な場合には、数バイト、例えば電力メーターの場合の測定された一世帯の電力消費量のみが送信される。また、IoTデバイスは、過負荷状態の場合にリソースが与えられる確証がない。
【0015】
しかもこの手順は、ごくわずかなペイロードを送信するために、特定のセルにおいてセルラネットワークを混雑させるリスクを高める可能性がある多くのシグナリングを必要とする点でセルラネットワークにも不利である。
【0016】
そのため、事前設定された周期的アップリンク通信(PPUC)を提供する新しい伝送スキームが導入された。4Gネットワークでは、このスキームは専用事前割当アップリンクリソースを意味するD-PURの名称で知られている。このような伝送スキームの一般概念は、ユーザ装置、具体的にはIoTデバイス、又は少なくともその通信ユニットが、セルラネットワーク、具体的には現在サービス中の基地局と一度交渉し、予め定められたスケジュール、例えば1時間に1回、一定量のデータを提出することになることである。基地局が同意した場合、データ伝送が予定される予定時間である各事前設定された周期的アップリンク通信機会に、必要なリソースがすでに割り当てられている。スケジュールは、最後のPPUC機会、具体的には交渉時のような始まり若しくは終わり、又は任意の他のアンカーポイントと比べて、秒、システムフレームなどを単位とするオフセットによって定義される。
【0017】
次いでユーザ装置は、第1のメッセージで、いわゆるPRACH要求を送信する可能性があり、これに応答して、好ましくはRNTI(無線ネットワーク一時識別子)のような一時UE ID及びタイミングアドバンス(TA)値を含む第2のメッセージを受信する。第3のメッセージで、ユーザ装置はRNTI及びTAを考慮して、宛先リモートサーバに転送するためにペイロードデータを基地局に送信する。
【0018】
現在知られているPPUCスキームは、PPUC機会中に、ダウンリンクデータが利用可能かどうかをチェックし、データ送信が成功したこと及びダウンリンクデータが利用可能かどうかの両方がレイヤ1確認応答メッセージでユーザ装置に示されることを更に含む。この場合、具体的にはRRC接続によるデータ伝送が確立され、ダウンリンクデータ送信に使用される。
【0019】
このようなダウンリンクデータは、具体的には構成変更やソフトウェア更新を含み、1回のPPUC機会における定期的なアップリンクデータ送信よりもはるかに多いリソースを必要とすることがある。
【0020】
しかしながら、ダウンリンクデータが利用可能であることは比較的稀である。更にこのアプローチは、ダウンリンクデータをチェックした後、ダウンリンクデータが利用可能である旨の表示がある又はないレイヤ1(L1)確認応答メッセージを送信する追加の時間が必要であるという欠点を有する。また、多くの使用事例、例えば単純なセンサには、データ送信の確認応答を受信することさえも重要でない。これは温度を示す温度計や時刻を示す時計のようなものであり、いずれもリーダが時刻又は温度を読み取ることができるかどうかを知る必要がない。具体的には挙動が変化しないことになる。
【0021】
ここで本発明の方法が役に立つ。具体的には、事前設定された周期的アップリンクスケジュール、具体的にはD‐PUR通信の確立について交渉するステップ中に、基地局はユーザ装置からダウンリンクデータフラグを受信することが提案される。これは、ユーザ装置が1回以上のPPUC機会に合わせてダウンリンクデータを受信する準備ができている、すなわち用意がある又は意思があるかどうかを基地局に知らせることになっていることを示している。
【0022】
代替的に、ダウンリンクデータフラグは後に、具体的には第1のメッセージで提出される。
【0023】
この場合には、基地局は、次のPPUC機会に先立ってユーザ装置にとってのダウンリンクデータの利用可能性をチェックすることになっている次のPPUC機会に既に備えている。これはPPUC機会の時間を節約する点で有利である。更に、これはユーザ装置がPPUC機会に合わせてダウンリンクデータを受信する準備ができている場合にのみ実行されることが好ましい。
【0024】
PPUC機会が実際にPPUCスケジュールに従って開始される場合、方法は、好ましくは上述の第3のメッセージであるデータメッセージによるアップリンクデータのユーザ装置からの受信を含む。
【0025】
ダウンリンクデータフラグに応じて、次のステップが実行される。ダウンリンクデータが利用可能であることをダウンリンクデータの利用可能性のチェックが示す場合、このことがユーザ装置に示される。これはL1確認応答メッセージで行われることが好ましい。
【0026】
ただし、ダウンリンクデータの利用可能性のチェックは、実際に実行されたとしても、データが利用可能であることを示すことしかできない。これはダウンリンクデータフラグがこのチェックをトリガする場合に限られるため、ユーザ装置に表示を送信するステップは、ユーザ装置がダウンリンクデータを受信する準備ができていることをダウンリンクデータフラグが示している場合にのみ実行される。
【0027】
しかしまた、基地局がいかなる場合にもダウンリンクデータの利用可能性をチェックできることはあまり有利ではないが、利用可能なデータが見つかった場合に、ダウンリンクデータフラグに応じて表示を送信する決定をすることになる。これは基地局にとって追加の作業を意味することになるが、挙動を単純化する可能性がある。このオプションは本発明に包含される。
【0028】
このステップが実行された後、ユーザ装置は、具体的には利用可能なダウンリンクデータが見つからない、すなわちダウンリンクデータフラグがダウンリンクデータをチェックしないことを示した場合に、アイドルモードに戻ることが好ましい。このステップは、アイドルモードへの切り替えを支援する基地局からの手順ステップを含むこともある。
【0029】
それ以外の場合、RRC接続が確立され、ダウンリンクデータ送信がまさに行われようとする手順が、例えばD‐PURについて最初に定義されたように継続することになる。その後、ユーザ装置はアイドルモード、あるいはある種のスリープモードに切り替わることが好ましい。
【0030】
本発明の方法は、ユーザ装置がダウンリンクデータ送信に関心がない場合に、ユーザ装置だけではなく基地局も追加のステップから解放されることを示している。これによって、各PPUC機会の実行が速くなり、データ送信量が低減する。
【0031】
有利な実施形態では、確認応答通信がユーザ装置に好まれているかどうか示す確認応答フラグを受信することを、交渉ステップの一部として更に含み、ユーザ装置からアップリンクデータを受信するステップの後に、確認応答通信が好まれていることを上記確認応答フラグが示す場合にのみレイヤ1確認応答メッセージを提出する方法が提案される。
【0032】
この実施形態は、基地局がユーザ装置から確認応答フラグを追加的に受信することを提案する。これはPPUCスケジュールについての交渉ステップ中に実行されることが好ましい。確認応答フラグは、ユーザ装置がPPUC機会におけるデータ送信メッセージの確認応答に関心があるかどうかを基地局に示すことに特化している。
【0033】
したがって、基地局は、データメッセージの取得に成功したこと、又は基地局による取得が成功しなかったことを示すレイヤ1確認応答メッセージを、確認応答通信がユーザ装置に好まれていることを確認応答フラグが示す場合にのみデータメッセージに応答してユーザ装置に提出する。
【0034】
この条件が満たされない、例えば確認応答フラグが「false」を示す場合は、レイヤ1確認応答メッセージは基地局によって省略される。
【0035】
実際、この実施形態は各PPUC機会の別のメッセージを省き、これによって基地局には輻輳の点で、ユーザ装置には電力消費の点で有利になる。
【0036】
この実施形態によって、ユーザ装置は、ダウンリンクデータが期待されない場合、アップリンクデータを基地局に送信した後にアイドルモードに直接切り替わることができる。本発明の方法のダウンリンクデータチェックの待ち時間を節約する時間の改善と共に、PPUC機会全体は、既に知られているものよりもはるかに迅速に処理される。このことはまた、電源の浪費が減り、無線シグナリングの発生が少なくなり、結果として無線リソースの使用が減ることを意味する。
【0037】
好ましくは、レイヤ1確認応答メッセージはダウンリンクデータ接続を確立する上記指示を更に含む。
【0038】
ユーザ装置は、PPUC機会に合わせてダウンリンクデータを受信する準備ができている場合、レイヤ1確認応答メッセージをリスンする可能性も最も高くなる。したがって、そのような情報を分けるよりも1つのメッセージに結合することは有利である。
【0039】
別の好適な実施形態によれば、利用可能性チェックは、上記ユーザ装置に専用のデータがダウンリンク送信に利用可能であるかどうかを少なくとも1つのセルラネットワークコンポーネントに尋ねるステップを含むことが提案される。
【0040】
この実施形態は、ダウンリンクデータの利用可能性チェックに関する。これが実行される場合、基地局は、上記ユーザ装置に専用のデータが利用可能であるかどうかを少なくとも1つのセルラネットワークコンポーネントに問い合わせる。
【0041】
好ましくは、上記ユーザ装置は、上記尋問においてRNTI/TMSIによって示される。少なくとも1つのセルラネットワークコンポーネントは、具体的にはHLRに直接リンクされたセルラネットワークコンポーネントを含む。そこから設定更新が利用可能である場合がある。
【0042】
付加的又は代替的に、SAE又はPDNゲートウェイを介したリモートサーバへのアクセスが実行され、これを通じてリモートサーバ、例えば計量管理サービスのデータ収集サーバによりカバーされるいかなる更新もユーザ装置に利用可能となることが意図されている。
【0043】
ある好適な実施形態によれば、ダウンリンクデータが利用可能で、ユーザ装置がダウンリンクデータを受信する準備ができていないことを上記ダウンリンクデータフラグが示す場合に、ページングによってメッセージを事前設定された周期的アップリンク通信と非同期でユーザ装置に送信することが提案される。
【0044】
この実施形態によれば、PPUC機会に合わせてダウンリンクデータを受信する準備ができていないことがダウンリンクデータフラグに示されていたとしても、ダウンリンクデータがユーザ装置にとって利用可能となることが保証される。
【0045】
しかしながら、ユーザ装置が自発的に、例えば1週間に1回、セルラネットワークすなわちリモートサーバにダウンリンクデータを要求するか、又はデータが利用可能であることをページングによってユーザ装置に知らせる他の機会も利用可能である場合がある。
【0046】
ただし、そのためにはユーザ装置がそのときにページングをリスンするように構成されていることが必要である。好ましくは、ここでもまたページングウィンドウが、このタイプのダウンリンクデータ送信を可能にするために、ユーザ装置とセルラネットワーク又はリモートサーバとの間で合意される場合がある。
【0047】
密度が同様の場合にPPUC機会及びページング機会を併設することは、eNodeB及びページング機会を割り当てるMMEによるPPUC割当に関する情報交換も必要とする高度な方法である。
【0048】
更に有利には、UEはまたこれに応じて、すなわち、特にSIB‐2関連の一般的なページング密度情報に従ってD‐PUR周期性を要求することがある。
【0049】
本発明の第2の態様によれば、少なくとも1つのユーザ装置と事前設定された周期的アップリンク通信スケジュールを実行するように構成された、セルラネットワークの一部である基地局であって、基地局が事前設定された周期的アップリンク通信スケジュールを設定するためにユーザ装置と交渉するように構成され、上記交渉が、ユーザ装置が少なくとも1回の事前設定された周期的アップリンク通信機会に合わせてダウンリンクデータを受信する準備ができているかどうかを示すダウンリンクデータフラグを受信することを含み、事前設定された周期的アップリンク通信スケジュールの設定後に、基地局が、
-事前設定された周期的アップリンク通信機会の一部であるデータ送信の事前設定された周期的アップリンク通信スケジュールと同期した時間にネットワークリソースを割り当て、
-ユーザ装置にとってのダウンリンクデータの利用可能性のチェックを、ダウンリンクデータフラグがダウンリンクデータをチェックすることを示す場合にのみ、次の事前設定された周期的アップリンク通信機会に先立って評価するように構成され、基地局が更に、上記事前設定された周期的アップリンク通信機会中に、
-アップリンクデータをユーザ装置からデータメッセージで受信し、
-ダウンリンクデータの利用可能性のチェックによってダウンリンクデータが利用可能であることが判明した場合にのみ、ダウンリンクデータ接続を確立する指示をユーザ装置に送信するように構成された基地局が提案される。
【0050】
本発明のこの態様に係る基地局は、セルエリアをカバーするセルラネットワークの複数の基地局の1つである。基地局は、具体的には処理回路、無線通信用の送受信回路、及び、進化したパケットコア、又はNextGenコアからのエンティティ、サーバ及びゲートウェイのような、セルラネットワークの他のコンポーネントに通信可能に結合するための、好ましくは有線の通信回路を含む。
【0051】
基地局は、揮発性及び/又は永久メモリ回路並びに少なくとも1つのアンテナを更に含む。
【0052】
この実施形態に係る基地局は、1つ以上のユーザ装置にサービスするように構成される。基地局は更に、事前設定された周期的アップリンク通信(PPUC)スケジュールをサポートするように構成される。
【0053】
基地局は、PPUCスケジュールについてサービスしているユーザ装置の少なくとも1つと交渉し、各PPUC機会に、PPUCスケジュールについて合意がなされたユーザ装置からアップリンクデータメッセージを受信するのに十分な無線リソースを割り当てるように構成される。この交渉の一部として、基地局は更に、ユーザ装置がダウンリンクデータを受信する準備ができているかどうかを示すダウンリンクデータフラグをユーザ装置から受信するように構成される。そうでない場合は、基地局はダウンリンクデータの利用可能性をチェックし、ダウンリンクデータの利用可能性についてユーザ装置に知らせる各ステップを踏むことを控える。
【0054】
更に好ましくは、基地局は、確認応答通信がユーザ装置に好まれているかどうか示す確認応答フラグをユーザ装置から受信する。そうでない場合は、基地局は更に、ユーザ装置のデータ送信メッセージに応答してユーザ装置に確認応答メッセージを送信することを控えるように構成される。
【0055】
基地局は更に、PPUC機会の終了後にアイドルモードに切り替わる際にユーザ装置をサポートするように構成されることが好ましい。
【0056】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様の利点を共有する。
【0057】
本発明の第3の態様によれば、セルラネットワークの基地局と事前設定された周期的アップリンク通信を行うように構成されたユーザ装置のための方法であって、方法が、ユーザ装置が事前設定された周期的アップリンク通信スケジュールを設定するために基地局と交渉するステップを含み、上記交渉ステップが、少なくとも1回の事前設定された周期的アップリンク通信機会に合わせてダウンリンクデータを受信する準備ができていることを示すダウンリンクデータフラグを送信することを含み、方法が更に、上記事前設定された周期的アップリンク通信機会中に、
-アップリンクデータを基地局にデータメッセージで送信すること、
-ユーザ装置がダウンリンクデータを受信する準備ができていることをダウンリンクデータフラグが示す場合にのみ、ダウンリンクデータ接続を確立する指示を基地局から受信すること、
-その後アイドルモードに戻ること、を含む方法が提案される。
【0058】
本発明の第3の態様は、本発明の第2の態様に係る基地局と動作しているユーザ装置のための方法に関する。キャンプオン及び登録のために、ユーザ装置はサブスクリプションクレデンシャルを基地局に提供する必要があり、例えば電源を入れた後に、セルラネットワークへの登録のためにキャンプオンすることになっている。
【0059】
ユーザ装置が基地局にキャンプオンしているとき、一般に接続モードセッション、具体的にはインターネット上に位置し、セルラネットワークから到達可能なリモートサーバとのデータ交換セッションを開始することができる。
【0060】
特殊なタイプのユーザ装置には、LTEネットワークのD‐PURとして知られている事前設定された周期的アップリンク通信(PPUC)のコンセプトが導入された。
【0061】
これは、ユーザ装置がサービング基地局と交渉してPPUCスケジュールを確立することを含む。これは、時間表示、例えば基地局がユーザ装置の合意したデータ送信に十分な無線リソースを独立して有する場合の、アンカーポイントへの時間的なオフセットを含む。本発明のこの態様によれば、具体的には交渉ステップの一部として、ダウンリンクデータフラグを基地局に送信することが更に提案される。また、これはPPUC機会ごとに、具体的には第1のメッセージで送信される。
【0062】
このダウンリンクデータフラグは、ユーザ装置がPPUC機会に合わせてダウンリンクデータを受信する準備ができているかどうかを基地局に知らせることに特化している。そのためには、PPUC機会中の各データ送信後に、ダウンリンクデータ送信が具体的にはRRC接続によって確立されることになる旨の表示の受信を期待することが必要になる。
【0063】
ユーザ装置は、この準備ができていない場合、好ましくは交渉ステップの一部として、ダウンリンクデータを受け入れないことをダウンリンクデータフラグで示す。
【0064】
PPUC機会が発生しているとき、ユーザ装置は第1のメッセージでPRACHプリアンブルを基地局に送信する。これに応答して、ユーザ装置は、第2のメッセージでタイミングアドバンス値と、UE識別子、具体的にはRNTIとを受信する。
【0065】
ユーザ装置は、これらの受信した値を考慮した後、第3のメッセージいわゆるデータメッセージで、基地局により十分な無線リソースが割り当てられる、交渉に基づいたデータパケットサイズに適合するサイズのデータパケットを送信する。
【0066】
ユーザ装置は、ダウンリンクデータフラグでダウンリンクデータを受信する準備ができていないことを示す場合に、具体的にはデータメッセージに応答したレイヤ1確認応答メッセージ内に、ダウンリンクデータの利用可能性に関する表示を期待する必要がない。したがって、ユーザ装置はその後、好ましくはアイドルモード、あるいはスリープモードなどに切り替わることができる。
【0067】
これは各PPUC機会で電力消費を節約できる点でユーザ装置に有利である。更にPPUC機会を単純化する。基地局がダウンリンクデータをチェックする必要がない場合、このことは手順を更に迅速化し、ユーザ装置がアイドルモードに切り替わることを可能にする。
【0068】
一方、ユーザ装置がダウンリンクデータに対する準備ができていることを示した場合、利用可能なダウンリンクデータの表示についてレイヤ1確認応答メッセージを評価する必要があることになる。その場合、RRC接続がその後に確立され、ダウンリンクデータ送信が偶然実行されることになる。
【0069】
本発明のこの態様の別の実施形態によれば、交渉ステップの一部として、確認応答通信がユーザ装置によって好まれているかどうかを示す確認応答フラグを送信し、ユーザ装置からアップリンクデータを送信するステップの後に、確認応答通信が好まれていることを上記確認応答フラグが示す場合にのみレイヤ1確認応答メッセージを受信することが提案される。
【0070】
この実施形態によって、ユーザ装置は、具体的にはPPUC機会の持続時間を更に減らし、電力消費を更にもっと減らすことができる。
【0071】
このため、ユーザ装置は、好ましくは交渉中に、データメッセージに対するレイヤ1確認応答メッセージを受け取ることを期待しているかどうかを確認応答フラグで基地局に知らせる。
【0072】
そうでない場合は、基地局は、データメッセージの送信が成功したか否かにかかわらず、この確認応答フラグによってレイヤ1確認応答メッセージをユーザ装置に送信しないように導かれる。
【0073】
この実施形態によって、ユーザ装置は、データメッセージを提出した直後の理想的な状態にあるアイドルモードにさらに早く切り替わることができる。
【0074】
ユーザ装置は、必ずしもアクションをトリガしない、ユーザ装置にとって関心のある現在の測定値又はステータス情報を、さらなるコンテキストなしにデータメッセージで送信する場合、レイヤ1確認応答メッセージに特に関心がない。
【0075】
好ましくは、レイヤ1確認応答メッセージはダウンリンクデータ接続を確立する上記指示を更に含む。
【0076】
この実施形態は、確認応答及びダウンリンクデータ利用可能性チェックを全体として非アクティブ化及びアクティブ化することを好むユーザ装置に好ましい。
【0077】
これは、ユーザ装置がダウンリンクデータ利用可能性について情報を得ることを望み、かつレイヤ1確認応答を許可する場合に有利であり、逆の場合も同じである。
【0078】
本発明の第4の態様によれば、セルラネットワークの基地局と事前設定された周期的アップリンク通信を行うように構成されたユーザ装置であって、ユーザ装置が事前設定された周期的アップリンク通信スケジュールを設定するために基地局と交渉するように構成され、上記交渉が、少なくとも1回の事前設定された周期的アップリンク通信機会に合わせてダウンリンクデータを受信する準備ができていることを示すダウンリンクデータフラグを送信することを含み、ユーザ装置が更に、上記事前設定された周期的アップリンク通信機会中に、
-アップリンクデータを基地局にデータメッセージで送信し、
-ユーザ装置がダウンリンクデータを受信する準備ができていることをダウンリンクデータフラグが示す場合にのみ、ダウンリンクデータ接続を確立する指示を基地局から受信し、
-その後アイドルモードに戻るように構成されたユーザ装置が提案される。
【0079】
具体的には、本発明のこの態様におけるユーザ装置は、送受信回路、具体的にはトランシーバを制御し、プロトコルスタックソフトウェアを処理するためのトランシーバ処理回路、メモリ回路及びアンテナを含む。更に、ユーザ装置は、セルラネットワークでの認証のためのサブスクリプションクレデンシャルを安全に格納するためのセキュアな記憶回路を提供することが好ましい。これは具体的にはUICC又はeUICCで実行される。
【0080】
ユーザ装置はまた、電源、好ましくは再充電及び/又は交換可能であり得る電池を含む。特殊なタイプのユーザ装置、具体的にはIoTデバイスのグループに属するユーザ装置では、そのような電池は著しく長期間、例えば計算上数年持つものとする。具体的にはそのようなデバイスでは、事前設定された周期的アップリンク通信(PPUC)スケジュールを動作させることが好ましい。
【0081】
好ましくは、PPUC機会に合わせたダウンリンクデータ送信に対する準備ができていないことを示しているユーザ装置は、PPUCスケジュールと独立に、他のチャネルを介してダウンリンクデータを受信する準備ができている。これは、具体的にはダウンリンクデータの利用可能性が、本発明の第2の態様の実施形態に従って、サービング基地局によって非同期的にチェックされる必要がある場合にページングされることを含む。
【0082】
また、ユーザ装置は定期的に(ただし、PPUC機会の頻度と比べてはるかに稀に)、ダウンリンクデータが利用可能であるかどうかを、要求メッセージを通して基地局を介してチェックする。
【0083】
本発明の第4の態様は、本発明の第3の態様の利点を共有する。
【0084】
示されているように、この発明は、有利には示された課題を解決し、ニーズが異なる基地局及びユーザ装置の両方が、定期的な機能性又は柔軟性の制約なしにサポートされる解決策を提案する。
【図面の簡単な説明】
【0085】
以下の説明及び添付図面はいくつかの例示的な態様を詳細に示しているが、実施形態の原理を使用することができる種々の方法のほんの一部しか示していない。本発明の特徴及び利点は、限定的ではなく例示的な例として与えられる有利な実施形態の以下の説明及び添付図面を読むときに現れるだろう。
【0086】
図1】従来技術に係るタイプの方法のフローチャート。
図2】本発明が実施形態として適用されるタイプの第1の例示的な方法のフローチャート。
図3】本発明が実施形態として適用されるタイプの第2の例示的な方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0087】
図1は、セルラネットワーク3、具体的には4Gコアの基地局2(ここではeNB)と動作しているユーザ装置1についての事前設定された周期的アップリンク通信(PPUC)(ここではD‐PUR通信)の手順を模式的に示している。
【0088】
この図は、1回のPPUC機会における、すなわちその識別子により識別される上記UEに対してPPUCの密度、周期性及びTBSサイズについての交渉が行われたD‐PUR設定後のフローを正確に示している。
【0089】
これを確立するために、ユーザ装置及び基地局は、ステップS1においてD‐PURスケジュールについての交渉を行う。この交渉は、例えば秒、分、システムフレーム数を単位とする周期性、及び1回のPPUC機会4中に送信され得るデータ量を少なくとも定義する。これは、具体的にはユーザ装置1がネットワークへの登録に成功し、上記基地局にキャンプオンすることを決定した後に起こっており、これにより基地局はサービング基地局になる。
【0090】
好ましくは、ユーザ装置1及び基地局2はどちらも周期性を有するタイマを起動する。タイマが次のPPUC機会4までの期間が経過したことを示した後に、PPUC機会4におけるデータ送信の準備がステップS2で行われる。
【0091】
ユーザ装置1は、少なくともアイドルモード、場合によりサービング基地局2と再度同期する必要があり得るスリープモードで動作しており、具体的にはサービング基地局が依然として適切に受信可能である場合に測定を実行し、基地局からのさらなるシステム情報が読み出されたりすることがある。
【0092】
これが起こったとき、ユーザ装置1は、ステップS3においてPRACHプリアンブルを含む第1のメッセージを基地局2に送信することができる。ステップS4で、基地局2はタイミングアドバンス値及び一時的なUE識別子を示して回答する。
【0093】
この情報によってユーザ装置は、ステップS5において、ステップS1で交渉したサイズのアップリンクデータパケットを第3のメッセージ、つまりデータメッセージで基地局に送信することがある。アップリンクデータは通常、ステップS6に示されるようにPDNゲートウェイを介してリモートサーバに転送される。
【0094】
また、次に基地局は、一時的なUE識別子、具体的にはRNTIに基づいて、ダウンリンクデータがこのユーザ装置にとって利用可能であるかどうかをチェックし始める。セルラネットワークの場合、又はリモートサーバに要求した後がこれに該当する場合がある。
【0095】
この結果に応じて次のステップが実行される。具体的にはダウンリンクデータが利用可能でない場合、レイヤ1確認応答においてデータが正しく届いたことがユーザ装置に示されるステップS8が実行される。そうでない場合、再送信、すなわちリソース要求によって専用チャネルを開設し、送信を行うことがユーザ装置によって開始される可能性がある。
【0096】
しかしながら、他の適用例では、冗長性を持って行われる場合にいくつかの送信のうちの1つがサーバに到達する必要だけがある場合があり、したがって、UE挙動は実装形態に委ねられるべきである。
【0097】
一般に、とにかく再送信が考慮されない場合は、ユーザ装置は、具体的には節電の見地からできるだけ早くアイドルモードに戻ることが重要である。
【0098】
後者は、ステップS7において、実際にダウンリンクデータがこのユーザ装置にとって利用可能であることが検出された場合には該当しない。この場合はステップS9においてRRCデータ接続7が開始される。
【0099】
eNB2からのフィードバックを待つことは、特に複数のユーザ装置、具体的にはIoTデバイスにおいて例外的な場合に過ぎない、利用可能なダウンリンクデータを検索する作業についてその都度実行される場合に著しい時間がかかることが知られている。
【0100】
したがって、図2は、本発明の例示的な実施形態におけるより有利なワークフローを示している。第1の違いは、確認応答フラグ5(noACK)がユーザ装置によって基地局に提出される交渉フェーズS10に現れてくる。これによって、ユーザ装置はデータメッセージのレイヤ1確認応答を期待していないことを基地局に知らせる機会を得る。図示された例では、フラグnoACKはtrueに設定され、確認応答が期待されない。
【0101】
次いで、PPUC機会4の開始前に行われることもあり得るステップS13において、基地局2及びコアネットワーク3は、ダウンリンクデータがユーザ装置にとって利用可能であるかどうかをチェックする。PPUC機会に先立って、PPUCスケジューリング、すなわち、いわゆるD‐PUR設定についての交渉がeNodeBと行われ、この事前設定によってeNodeBは、すなわちここではRNTIが例として使用されるUE識別子で表されるどのUEがいつPPUC機会の候補になるかを知る。
【0102】
一方この例では、メッセージS14でユーザ装置は、ユーザ装置がダウンリンクデータを受信する準備ができているか否かを示すダウンリンクデータフラグ6も基地局に提出する。この例では、これは第1のメッセージS14で提出され、交渉フェーズ中に提出される可能性もある。ただし、これは例えば1日に1回ダウンリンクデータをチェックすることを可能にすることから、メッセージS14で行うことが有利である。
【0103】
ここで、ダウンリンクデータフラグ=1で、ユーザ装置がダウンリンクデータを受信する準備ができていないことが示されている。
【0104】
したがって、ユーザ装置1は、ステップS16においてメッセージ3でアップリンクデータを提出した直後にアイドルモードに切り替わることができる。ユーザ装置は、確認応答フラグ5でレイヤ1確認応答メッセージを受け取っていないことを、そしてダウンリンクデータフラグ6でダウンリンクデータを受信する準備ができていないことを示しているため、ステップS16における提出の直後にPPUC機会4を停止し、アイドルモードに戻ることができる。
【0105】
a)ダウンリンクデータが利用可能であるかのチェック、及びb)データ送信が成功したかどうかを待つ時間の短縮は明らかである。そしてこの時間の節約によって、ユーザ装置の節電及び基地局のシグナリングの削減もまた同時に生じる。
【0106】
図3には、提案される解決策の適応性を明らかにする、本発明の例示的な実施形態の変形例が示されている。
【0107】
ここで、同じ手順は図2に示されたように実行される。同じメッセージは同じ参照番号を有する。
【0108】
違いは、ユーザ装置にとってのダウンリンクデータのチェックが、データが実際に利用可能であること示すステップS13における検出から始まる。
【0109】
また、ステップS14において、ユーザ装置は、今度は第1のメッセージで、ユーザ装置1がダウンリンクデータを受信する準備ができていることを示すダウンリンクデータフラグ6を提出する。
【0110】
その結果、データパケットをステップS16において第3のメッセージで提出した後、ステップS18におけるMSG4で、RRC接続7が開始され、基地局2を通じたユーザ装置1へのダウンリンクデータ送信が行われる可能性がある。
【0111】
しかし、今やダウンリンクデータ送信が可能であるが、PPUC機会4はこの変化を通じて依然として時間的に拡張されない。このことは、提案した解決策が一般的な提案の利点を損なうことなく適応性も提供することを示している。
【0112】
以上の詳細な説明において、例示により、本発明が実施され得る特定の実施形態を示す添付図面が参照される。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施することができるように十分詳細に記載される。異なっていたとしても、本発明の様々な実施形態は必ずしも互いに排他的ではないことは理解されるべきである。例えば、一実施形態と関連して本明細書に記載される特定の特徴、構造、又は特性は、本発明の範囲を逸脱することなく、別の実施形態において実現されることがある。加えて、開示される各実施形態の範囲内の個別要素の位置又は配置は、本発明の範囲を逸脱することなく変更されることがあることは理解されるべきである。したがって、以上の詳細な説明は、限定的な意味で受け取られるべきではなく、本発明の範囲は、請求項が権利を得ることができる全範囲の同等物とともに、適切に解釈された、添付の請求項によってのみ定義される。
図1
図2
図3
【国際調査報告】