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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-14
(54)【発明の名称】静電パックおよび製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20221107BHJP
   H02N 13/00 20060101ALI20221107BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H02N13/00 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515672
(86)(22)【出願日】2020-09-09
(85)【翻訳文提出日】2022-05-02
(86)【国際出願番号】 US2020050009
(87)【国際公開番号】W WO2021050602
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】16/565,054
(32)【優先日】2019-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501162454
【氏名又は名称】ワットロー・エレクトリック・マニュファクチャリング・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マーガヴィオ、パトリック
(72)【発明者】
【氏名】イングリッシュ、カート
(72)【発明者】
【氏名】プタシエンスキ、ケビン
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131CA03
5F131CA06
5F131CA33
5F131CA42
5F131EB11
5F131EB14
5F131EB15
5F131EB18
5F131EB54
5F131EB78
5F131EB79
(57)【要約】
Eパックを構成する本方法は、下側基板に少なくとも1つのトレンチを形成することと、下側基板上および少なくとも1つのトレンチ内に電極材料を堆積させることと、電極を形成するために下側基板から余分な電極材料を除去して少なくとも1つのトレンチ内に電極材料を残すことと、電極が下側基板と上側基板との間にあるように下側基板および電極上に誘電体を形成することと、を含む。少なくとも1つのトレンチを下側基板内に形成することにより、少なくとも1つのトレンチに隣接する少なくとも1つのスタンドオフ部分が形成され、少なくとも1つのスタンドオフ部分は、下側基板から余分な電極材料を除去する間の電極材料のディッシングを低減する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電チャック用パックを構成する方法であって、
下側基板の上面に少なくとも1つのトレンチを形成するステップと、
前記下側基板の前記上面の上、および前記少なくとも1つのトレンチ内に電極材料を堆積させるステップと、
電極を形成するために、前記下側基板から余分な電極材料を除去し、それによって前記基板の前記少なくとも1つのトレンチ内に前記電極材料を残すステップと、
ホットプレス無しに上側基板を前記下側基板に固定するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記余分な電極材料は、化学機械平坦化/研磨(CMP)、エッチング、および研磨からなるグループから選択されるプロセスによって除去される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのトレンチ内に少なくとも1つのスタンドオフ部分をさらに備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記上側基板の外面にメサを形成するステップをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記上側基板を前記下側基板に固定するステップは、前記接合によって接合領域が形成されるように前記上側基板を前記下側基板に接合することであって、前記接合領域は、前記上側基板の前記下面から凹んでいる、前記接合することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記上側基板を前記下側基板に固定するステップは、厚膜、薄膜、溶射、およびゾルゲル法からなるグループから選択される層状プロセスを使用して材料を堆積させることを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記層状プロセスは、溶射である、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記電極は、余分な電極材料を除去した後に前記上側基板に取り付けられたウエハと平坦かつ同一平面上にある、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記上側基板の外面にメサを形成するステップをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記上側基板層の前記外面上にイットリア層を堆積させるステップをさらに含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つのトレンチは、レーザ除去プロセス、ビーズ・ブラスト・プロセス、機械加工、3D焼結/印刷/付加製造、グリーン状態、成形、ウォータージェット、ハイブリッドレーザ/水、およびドライ・プラズマ・エッチングからなるグループから選択されるプロセスによって形成される、
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記電極材料は、層状プロセスによって前記基板上および前記少なくとも1つのトレンチ内に堆積される、
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記層状プロセスは、厚膜、薄膜、溶射、およびゾルゲル法からなるグループから選択される、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記電極材料は、金属箔を前記少なくとも1つのトレンチ内に溶融することによって堆積される、
請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記下側基板は、窒化アルミニウムおよび酸化アルミニウムからなるグループから選択されるセラミックであり、前記抵抗材料は、チタン、モリブデン、タングステン、ニッケル、アルミニウムおよびそれらの合金からなるグループから選択される、
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願との相互参照】
【0001】
本出願は、2019年9月9日に出願された「Electrostatic Puck and Method of Manufacture」と題する米国特許出願第16/565,054号の利益を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、半導体処理に使用される静電パックに関し、より一般的には、埋め込み電極を有するセラミックパックに関する。
【背景技術】
【0003】
このセクションの記述は、本開示に関する背景情報を提供するにすぎず、先行技術を構成するものではない場合がある。
【0004】
一般には、静電チャック(本明細書では「Eチャック」とも呼ばれる)は、蒸着プロセスまたはエッチングプロセス中に、その上に半導体ウエハを静電的に固定するためのクランプ面として使用される。「Eチャック」は、2つのセラミックプレート部材の間に埋め込まれた電極を持つ焼結セラミック構造からなる「静電パック」(本明細書では「Eパック」とも呼ばれる)と、電極からセラミックプレート部材を通る導電経路と、を含むことができる。動作中、Eパックの電極が通電されるように、例えば300~12,000ボルトの電位が、端子リードを介して導電経路に印加される。通電されると、半導体ウエハなどの外部電極と、Eパックの内部に埋め込まれた電極との間に、静電力が発生する。
【0005】
埋め込み電極を有するEパックを製造するための1つの方法は、グリーンセラミック材料の第1の層を形成することと、第1の層上にフィルム電極をスクリーン印刷することと、スクリーン印刷された電極上にグリーンセラミック材料の第2の層を堆積させることと、得られたセラミック構造体を焼結することと、を含んでいる。しかしながら、この製造方法で製造された静電チャックは、第2の層の厚みの変動または不均一性、ならびに、非常に小さな亀裂および小孔を示す可能性があり、これは、基板をEパック表面に静電的に固定するためのEパックの能力に悪影響を及ぼす可能性がある。また、電極の厚みの不均一性は、半導体ウエハとEパックの内部に埋め込まれた電極との間の静電力に悪影響を及ぼす場合がある。さらに、焼結プロセスは、セラミック材料の特性を変化させ、その出力密度、または、ワット/°Kに影響を与える可能性があり、それにより、動作中のEパックの熱プロファイルにおける不均一性に寄与する可能性がある。
【0006】
電気部品が埋め込まれたセラミック部品を形成することに関する他の問題の中でも、Eパックを形成することに伴うこれらの問題は、本開示によって対処される。
【発明の概要】
【0007】
このセクションは、本開示の一般的な概要を提供するものであり、その全範囲またはその特徴の全てを包括的に開示するものではない。
【0008】
本開示の一形態では、静電パック(Eパック)を構成する方法は、下側基板の上面に少なくとも1つのトレンチを形成することと、下側基板の上面上および少なくとも1つのトレンチ内に電極材料を堆積させることと、下側基板から余分な電極材料を除去し、それによって電極を形成するために基板の少なくとも1つのトレンチ内に電極材料を残すことと、ホットプレス無しに上側基板を下側基板に固定することと、を含んでいる。電極は平坦であり、上側基板の外面と同一平面上にあり、その結果、電極は平坦であり、Eパックに静電的に取り付けられた半導体ウエハと同一平面上にある。本開示の一変形例では、余分な電極材料は、とりわけ、化学機械平坦化/研磨(CMP)、エッチング、および研磨などのプロセスによって除去される。少なくとも1つの変形例では、少なくとも1つのトレンチは、その中に少なくとも1つのスタンドオフ部分を含んでいる。
【0009】
少なくとも1つの形態では、上側基板を下側基板に固定することは、接合によって接合領域が形成され、接合領域が上側基板の下面から凹むように、上側基板を下側基板に接合することを含んでいる。少なくとも1つの変形例において、接合することは、とりわけ、厚膜、薄膜、溶射、およびゾルゲル法のうちの少なくとも1つから選択される層状プロセスを含んでいる。一変形例では、層状プロセスは溶射である。
【0010】
少なくとも1つの形態において、本方法は、上側基板の外面にメサを形成することを含んでいる。少なくとも1つの変形例では、本方法は、上側基板層の外面上にイットリア層を堆積することを含んでいる。
【0011】
少なくとも1つの形態では、少なくとも1つのトレンチは、とりわけ、レーザ除去プロセス、ビーズ・ブラスト・プロセス、機械加工、3D焼結/印刷/付加製造、グリーン状態、成形、ウォータージェット、ハイブリッドレーザ/水、およびドライ・プラズマ・エッチングのようなプロセスによって形成される。
【0012】
少なくとも1つの形態では、電極材料は、とりわけ、厚膜、薄膜、溶射、およびゾルゲル法のような層状プロセスによって、基板上および少なくとも1つのトレンチ内に堆積される。代替的に、またはそれに加えて、電極材料は、金属箔を少なくとも1つのトレンチ内に溶融することによって堆積される。
【0013】
少なくとも1つの形態において、下側基板は、とりわけ、窒化アルミニウムおよび酸化アルミニウムのようなセラミックであり、抵抗材料は、とりわけ、チタン、モリブデン、タングステン、ニッケル、アルミニウム、およびそれらの合金のような材料である。
【0014】
本開示の別の形態では、Eパックを構成する方法は、複数のトレンチを基板に形成するステップであって、複数のスタンドオフ部分が複数のトレンチ内に形成される、上記ステップと、基板上および複数のトレンチ内に電極材料を堆積させるステップと、基板から余分な電極材料を除去し、それによって電極を形成するために複数のトレンチ内に電極材料を残すステップと、ホットプレス無しに上側基板を下側基板に固定するステップと、を含んでいる。
【0015】
少なくとも1つの形態では、上側基板が下側基板に固定されることは、接合によって接合領域が形成され、接合領域が上側基板の下面から凹むように、上側基板を下側基板に接合することを含んでいる。すなわち、少なくとも1つの変形例では、上側基板を下側基板に接合することによって接合領域が形成され、接合領域は上側基板の下面から凹んでいる。
【0016】
少なくとも1つの形態では、上側基板は、溶射プロセスを使用して材料を堆積させることによって下側基板に固定される。少なくとも1つの変形例では、上側基板の一部は、材料が堆積された後に除去される。
【0017】
さらなる適用領域は、本明細書で提供される説明から明らかになるであろう。説明および特定の例は、例示のみを目的とするものであり、本開示の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本開示が十分に理解され得るように、添付の図面を参照して、例として与えられるその様々な形態を説明する。
【0019】
図1図1は、本開示の教示により構成された、Eパックを有するEチャックの断面図である。
【0020】
図2A図2は、本開示の教示によるEパック製造方法に関する一連のステップを示す図であり、図2Aは、下側基板の断面図である。
図2B図2Bは、トレンチを有する図2Aの下側基板である。
図2C図2Cは、電極材料層が下側基板の外面上およびトレンチ内に堆積された、図2Bの下側基板である。
図2D図2Dは、電極材料層が下側基板の外面から除去された、図2Cの下側基板である。
図2E図2Eは、上側基板が少なくとも1つの電極部材上および下側基板の外面に堆積された、図2Dの下側基板である。
図2F図2Fは、Eパックを形成するために、上側基板が薄くされ平滑化された、図2Eの下側基板である。
図2G図2Gは、誘電体プレートが少なくとも1つの電極部材上におよび下側基板の外面に接合された、図2Dの下側基板である。
図2H図2Hは、Eパック用のセラミック基板を形成するために、誘電体プレートが薄く平滑化された、図2Gの下側基板である。
図2I図2Iは、メサが外面に形成された、図2FのEパックおよび図2HのEパックである。
図2J図2Jは、図2Iの部分2Jの拡大図である。
【0021】
図3図3は、本開示の教示による、電極材料で充填されたトレンチ、およびトレンチ間のスタンドオフ機構、を有するセラミック基板の上面図である。
【0022】
図4図4は、本開示の教示による、セラミック基板の外面から延びるメサを有するセラミック基板の等角図である。
【0023】
本明細書に記載の図面は、例示のみを目的としており、決して本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の説明は、本質的に単なる例示であり、本開示、用途、または使用を限定することを意図するものではない。図面を通して、対応する参照番号は、同様のまたは対応する部分および特徴を示すことを理解されたい。実施例は、本開示の範囲を当業者に十分に伝えるために提供される。本開示の変形例の完全な理解を提供するために、特定の構成要素、デバイス、および方法の種類など、多数の特定の詳細が記載されている。特定の詳細を採用する必要はなく、本明細書で提供される例は代替の実施形態を含むことができ、本開示の範囲を限定することを意図しないことが当業者には明らかであろう。いくつかの例では、周知のプロセス、周知のデバイス構造、および周知の技術は詳細に説明されていない。
【0025】
図1を参照すると、本開示の教示に従って構成されたEパック100を有するEチャック10が示されている。一形態では、Eチャック10は、Eパック100と、ヒータ130と、冷却プレート150とを備える。ヒータ130は、接合層132を介してEパック100に接合され、冷却プレート150は、接合層154を介してヒータ130に接合される。ヒータ130は、Eパック100によってEチャック10に静電的に保持された半導体ウエハ「W」に伝達される熱を生成するための加熱層132を含んでいる。また、冷却プレート150は、ヒータ130から熱を引き出すための1つまたは複数の冷却チャネル(図示せず)を含むことができる。図示のように、Eチャック10は、半導体処理における支持台の一部として使用される。しかしながら、Eパック100は、本開示の範囲内にありながら、他の用途に使用されてもよいことを理解されたい。
【0026】
Eパック100は、第1の面112の上に配置されるウエハWのための第1の面112(本明細書では「上面」とも呼ばれる)と、ヒータ130に接合するための下面114と、を画定するセラミック基板110を含んでいる。少なくとも1つの電極部材125(本明細書では単に「電極」とも呼ばれる)を有する電極層124が、セラミック基板110内に埋め込まれる。支持台を形成するために、管状シャフト(図示せず)が冷却プレート150の下面152に接合され、加熱層132および少なくとも一つの電極125に接続されたワイヤを取り囲む。動作中、ウエハWは、セラミック基板110の上面112上に配置され、ウエハWとセラミック基板110の内部に埋め込まれた少なくとも一つの電極125との間に発生する静電力によって、所望の位置に保持される。
【0027】
ここで図2A図2Fを参照すると、Eパック100を製造する方法が提供される。
【0028】
図2Aに示すように、本方法は、ステップ202で下面114の反対側に配置された上面113を有するセラミックプレート部材110’(本明細書では「下側基板」とも呼ばれる)を提供する。下側基板110’の非限定的な例は、とりわけ、窒化アルミニウム基板および酸化アルミニウム基板を含む。
【0029】
図2Bに示すように、ステップ204において、下側基板110’の上面113に少なくとも1つのトレンチ116が形成される。すなわち、少なくとも一つのトレンチ116は、上面113から下面114に向かって(-z方向に)延びている。各トレンチ116を形成することは、一対の隣接するスタンドオフ部分または段差115を生成する。少なくとも1つのトレンチ116は、任意の既知のまたはまだ開発されていない材料除去技術を使用して、形成することができることを理解されたい。材料除去技術の非限定的な例には、とりわけ、研削、レーザ切断、エッチング、機械加工、フォトリソグラフィ、レーザ切断、エッチング、およびサンドブラストまたはグリットブラストが含まれる。本開示の少なくとも一変形例では、スタンドオフ部分115が少なくとも一つのトレンチ116内にあることも理解されるべきである。例えば、一変形例では、図2Bの少なくとも1つのトレンチ116は、単一のトレンチ116であり、スタンドオフ部分115はトレンチ116内にある。
【0030】
図2Cに示すように、ステップ206において、電極材料120が、下側基板110’の上面113上、スタンドオフ部分115上、および少なくとも1つのトレンチ116内に堆積されて、電極材料層122を形成する。電極材料の非限定的な例は、とりわけ、チタン、モリブデン、タングステン、ニッケル、アルミニウムおよびそれらの合金を含んでいる。電極材料層122、および本明細書に開示される他の層は、任意の既知のまたはまだ開発されていない材料層堆積技術を使用して、堆積することができることを理解されたい。材料層堆積技術の非限定的な例は、とりわけ、陰極アーク放電、コールドスプレー、化学蒸着(CVD)技術、物理蒸着(PVD)技術、スパッタリング、および真空プラズマ溶射を含んでいる。材料層堆積技術の追加の非限定的な例は、厚膜、薄膜、溶射、およびゾルゲル法のような層状プロセスを含んでいる。一変形例では、電極材料層122は、溶射を使用して堆積される。
【0031】
図2Dに示すように、スタンドオフ部分115にわたって延在する、またはスタンドオフ部分115の上に堆積された、電極材料層122の少なくとも一部または厚み(z方向)(すなわち、余分な電極材料120)は、ステップ208で除去される。いくつかの形態では、電極材料層122は、スタンドオフ部分115から実質的に除去される。しかしながら、図に示されるように、電極材料120は、少なくとも一つの電極125が形成されるように、少なくとも一つのトレンチ116内に残る。電極材料層122、および本明細書に開示される他の層は、任意の既知のまたはまだ開発されていない層除去技術を使用して除去することができることを理解されたい。層除去技術の非限定的な例は、とりわけ、ラッピング、研磨、および化学機械研磨(CMP)を含んでいる。また、スタンドオフ部分115は、滑らかで平坦な(x-y平面)電極125が生成されるように、余分な電極材料120の除去中に、少なくとも1つのトレンチ114内の電極材料120のディッシングを低減または防止する。本明細書で使用される場合、用語「ディッシング」は、電極の平坦な外面が提供されないように、トレンチ(例えば、図中の-z方向において)内の電極材料の過研磨すること、および除去することを指す。本開示の少なくとも一変形例では、電極125は、上面113に平行に延在する平面に対して約5μm以内(例えば約2μm以内)で平坦である。
【0032】
図2Eおよび図2Fに示すように、本開示の少なくとも1つの形態では、誘電体層118(本明細書では「上側基板」とも呼ばれる)は、図2Eおよび図2Fに示すように下側基板110’上に誘電体材料117を堆積することによって形成される。特に、誘電体材料117は、ステップ210(図2E)において前駆体上側基板118’を形成するために、少なくとも1つの電極125および隣接するスタンドオフ部分115上に堆積される。次に、ステップ212(図2F)において、前駆体上側基板118’を薄くして平滑化して上側基板118を形成し、上面112を有するセラミック基板110を生成する。したがって、図2Fに示すように、上側基板118は、2つの基板110’、118を一緒にホットプレスすること無しに下側基板110’に固定され、少なくとも1つの電極125はセラミック基板110内に埋め込まれる。少なくとも一変形例では、上側基板118を下側基板110’に固定することは、とりわけ、厚膜、薄膜、溶射、およびゾルゲル法のような層状プロセスを使用して、誘電体材料117を堆積させることを含んでいる。少なくとも1つの電極125の厚みの非限定的な例は、5マイクロメートル(μm)~125μm、例えば10μm~50μmの範囲である。上側基板118の非限定的な例は、25μm~500μm、例えば100μm~300μmの範囲である。
【0033】
図2Gおよび図2Hに示すように、本開示の少なくとも1つの他の形態では、上側基板118(図2H)は、下側基板110’上に誘電体プレート111を接合することによって形成される。特に、誘電体プレート111は、ステップ214(図2G)において、少なくとも一つの電極125および/または隣接するスタンドオフ部分115上に接合されて、前駆体上側基板111’を形成する。次に、ステップ216(図2H)において、前駆体上側基板111’を薄くして平滑化して上側基板118を形成し、上面112を有するセラミック基板110を生成する。少なくとも一変形例では、接合によって接合領域111bが形成されるように、上側基板118は下側基板110’に接合される。一変形例では、接合領域111bは、上側基板118の下面118’から凹んでいる(+z方向)。そのような変形例では、下側基板110’の上面113および上側基板118の下面118’は、約5μm以下の互いの距離内で接合される。したがって、図2Hに示すように、上側基板118は、2つの基板110’、118を一緒にホットプレスすること無しに下側基板110’に固定され、少なくとも1つの電極125はセラミック基板110内に埋め込まれる。誘電体プレート111は、既知のまたはまだ開発されていない接合技術を使用して、少なくとも1つの電極125および/または隣接するスタンドオフ部分115に接合することができる。接合技術の非限定的な例は、とりわけ、接着剤の使用、ろう付け、および液相拡散接合を含んでいる。
【0034】
本開示のいずれの形態においても、図2Fおよび/または図2Hに示す少なくとも1つの埋め込み電極125を有するセラミック基板110は、図2Iに示すようにさらに処理することができ、それにより、セラミック基板110の上面112(すなわち、上側基板118の外面(+z方向))の上またはその中に、メサ112’が形成される。本明細書で使用する場合、「メサ」という用語は、半導体ウエハWとEパック100との間に、間隙(ギャップ)または空間(スペース)を提供する突起(レッジ)または段差(ステップ)を指す。メサは、上述したのと同じ材料除去技術を使用して、上面112の上またはその中に形成することができる。間隙119がEパック110の上面112に存在しない場合よりも、Eパック100からのウエハWの除去を円滑にする、および/または容易にするように、メサ112’は、ウエハWとセラミック基板110との間に複数の間隙または空間119を提供することを理解されたい。
【0035】
ここで図2Jを参照すると、本開示のいくつかの態様では、ウエハWの半導体処理中に、上面112および/またはメサ112’の化学的侵食が低減されるように、メサ112’を含む上面112は、酸化物層160でコーティングされる。酸化物層160は、上記と同じ材料層堆積技術を使用して上側基板118の上面112(およびメサ112’)に堆積することができ、酸化物層の厚みの非限定的な範囲は、約500nm~約10μmの間、例えば約1μm~約10μmの間、約2μm~約8μmの間、および約3μm~7μmである。酸化物層160を形成する酸化物の非限定的な例は、とりわけ、イットリア、アルミナ、サファイア、シリカ、およびSiCを含む。
【0036】
ここで図3を参照すると、複数のスタンドオフ機構115の間の複数のトレンチ(符号なし)内に配置された複数の電極125を含むセラミック基板110の上面図が示されている。図3に示すように、セラミック基板110の右側(+x方向)の電極125Rは、スタンドオフ機構115Rおよび115Lによってセラミック基板110の左側(-x方向)の電極125Lから分離され、それによって電極125の一方がカソードであり、他方の電極125がアノードであるバイポーラ電極設計を提供する。
【0037】
ここで図4を参照すると、上面112上に複数のメサ112’を有するセラミック基板110の等角図が示されている。複数のメサ112’は、上面112から上方(+z方向)に延び、上側基板118に静電的に取り付けられたウエハを支持する。
【0038】
本開示の教示から、EパックおよびEパックを構成する方法が提供されることを理解されたい。本方法は、下側基板内に隣接するスタンドオフ機構を有するトレンチを形成し、電極材料をトレンチ内に堆積させる。スタンドオフ機構上に堆積された余分な電極材料はそこから除去され、スタンドオフ機構は、電極の平坦な外面が生成されるように、トレンチ内の電極材料のディッシングを低減および/または防止する。上側基板は、電極がEパック・セラミック基板内に埋め込まれるように、ホットプレス無しに電極および下側基板の上に形成される。したがって、均一な厚みおよびEパック・セラミック基板内に埋め込まれた約2μm以下の「平坦度」を有する電極が提供される。電極の均一な厚みおよび平坦度は、ウエハの半導体処理中にウエハとEパックの内部に埋め込まれた電極との間の静電力を改善する(例えば、より均一に)こと理解されたい。
【0039】
ある要素または層が別の要素または層に対して「上に(on)」、「係合される(engaged to)」、または「結合される(coupled to)」と言及される場合、それは他の要素または層に対して直接上に、係合され、接続され、または結合されてもよく、あるいは介在する要素または層が存在してもよい。対照的に、ある要素が別の要素または層に対して「直接上に」、「直接係合される」、「直接接続される」、または「直接結合される」と言及される場合、介在する要素または層は存在しなくてもよい。要素間の関係を説明するために使用される他の単語も同様に解釈されるべきである(例えば、「間に」対「直接間に」、「隣接する」対「直接隣接する」などである。)。本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、関連する列挙された項目のうちの1つまたは複数のありとあらゆる組み合わせを含む。
【0040】
「内側(inner)」、「外側(outer)」、「真下(beneath)」、「下方(below)」、「下部(lower)」、「上方(above)」、「上部(upper)」などの空間的に相対的な用語は、本明細書では、図に示すように、1つの要素または特徴と別の要素または特徴との関係を説明するための説明を容易にするために使用され得る。空間的に相対的な用語は、図に示されている向きに加えて、使用中または動作中のデバイスの異なる向きを包含することが意図され得る。例えば、図中のデバイスがひっくり返された場合、他の要素または特徴の「下方」または「真下」にあると記載された要素は、他の要素または特徴の「上方」に位置づけられる。したがって、「下方」という例示的な用語は、上方または下方の両方の向きを包含することができる。デバイスは、他の方向に向けられ(90度または他の向きに回転され)てもよく、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子はそれに応じて解釈される。
【0041】
本明細書で使用される場合、A、B、およびCのうちの少なくとも1つという語句は、非排他的論理ORを用いた論理(A または B または C)を意味すると解釈されるべきであり、「Aのうちの少なくとも1つ、Bのうちの少なくとも1つ、およびCのうちの少なくとも1つ」を意味すると解釈されるべきではない。
【0042】
他に明示的に示されない限り、機械的/熱的特性、組成百分率、寸法および/もしくは公差、または他の特性を示すすべての数値は、本開示の範囲を説明する際に「約(about)」または「実質的に(approximately)」という単語によって修飾されると理解されるべきである。この変更は、工業的実施、製造技術、および試験能力を含む様々な理由で望まれる。
【0043】
本明細書で使用される用語は、特定の例示的な形態のみを説明するためのものであり、限定することを意図するものではない。単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形も含むことが意図され得る。「含む(including)」および「有する(having)」という用語は包括的であり、したがって、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではない。本明細書に記載された方法ステップ、プロセス、および動作は、実行の順序として具体的に特定されない限り、必ずしも説明または図示された特定の順序でそれらの実行を必要とすると解釈されるべきではない。追加のまたは代替ステップが使用されてもよいことも理解されたい。
【0044】
本開示の説明は、本質的に単なる例示であり、したがって、本開示の内容から逸脱しない例は、本開示の範囲内であることが意図される。そのような例は、本開示の精神および範囲からの逸脱と見なされるべきではない。本開示の広範な教示は、様々な形態で実施することができる。したがって、本開示は特定の例を含むが、図面、明細書、および添付の特許請求の範囲を検討すると他の修正が明らかになるので、本開示の真の範囲はそのように限定されるべきではない。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図2J
図3
図4
【国際調査報告】