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特表2022-547540ドーズガイダンス付きマイクロボリューム注射器と使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-14
(54)【発明の名称】ドーズガイダンス付きマイクロボリューム注射器と使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/168 20060101AFI20221107BHJP
   A61M 5/315 20060101ALI20221107BHJP
   A61M 5/28 20060101ALI20221107BHJP
   A61M 5/24 20060101ALI20221107BHJP
【FI】
A61M5/168 500
A61M5/315 550V
A61M5/28
A61M5/24
A61M5/168 540
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515673
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(85)【翻訳文提出日】2022-05-06
(86)【国際出願番号】 US2020050573
(87)【国際公開番号】W WO2021051010
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】62/899,058
(32)【優先日】2019-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/003,117
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518380643
【氏名又は名称】アルタヴィズ,リミティッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ALTAVIZ,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】フクラック,ジョン,シー.
(72)【発明者】
【氏名】アウルド,ジャック アール.
(72)【発明者】
【氏名】グエン,ハイエン
(72)【発明者】
【氏名】ヘレン,タモ
(72)【発明者】
【氏名】マコーレー,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】アンデルファーズ,エリック
(72)【発明者】
【氏名】ダン,ジョン
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA10
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD12
4C066FF05
4C066HH05
4C066QQ32
4C066QQ48
4C066QQ52
4C066QQ72
4C066QQ82
4C066QQ84
4C066QQ85
(57)【要約】
注射器デバイスおよびそれらを使用して薬剤を患者の体内(例えば、眼内の網膜下)に送達するための方法が提供される。注射器は、出口を介して内部に薬剤を送達するために内部内にスライド可能に配置されたピストンを含むカートリッジと、ピストンに結合されたプランジャ、加圧流体の供給源、および当該供給源とプランジャの間で少なくとも部分的に流路を開いてプランジャとピストンを前進させて、内部から薬剤を送達するためのアクチュエータ部材を含むドライバとを含む。1以上のセンサがプランジャに動作可能に連結されてプランジャの変位を測定し、プロセッサがセンサに結合されてセンサ信号を分析して内部から送達された薬剤の量を測定し、出力デバイス(例えば、1以上のLEDまたはスピーカ)が、供給された薬剤の量に関連する出力を提供する。
【選択図】図2B

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の体内に薬剤を送達するための注射器デバイスであって、
近位端と遠位端を有し内部を規定するハウジングを含むシリンジカートリッジであって、前記内部にスライド可能に配置され前記遠位端の出口を介して前記内部に薬剤を送達するためのピストンをさらに含むシリンジカートリッジと;
前記ハウジングの内部で前記ピストンを前進させるためのプランジャと、加圧流体の供給源と、前記供給源と前記プランジャ間の流路を少なくとも部分的に開いて前記プランジャおよび前記ピストンを前進させて前記ハウジングの内部から薬剤を送達するためのアクチュエータ部材とを含むシリンジドライバと;
前記プランジャに動作可能に連結され、前記プランジャの変位を測定するための1以上のセンサと;
前記1以上のセンサに連結され当該1以上のセンサからの信号を分析して前記プランジャの変位に少なくとも部分的に基づいて前記出口から送達された薬剤の量を測定するためのプロセッサと;
前記プロセッサに連結され前記出口から送達された薬剤の量に関連する1以上の出力を提供するための出力デバイスとを具えることを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記出力デバイスが、前記プロセッサに連結され前記デバイスの作動および動作に関連する可視表示を提供するように構成された光源を具える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記光源が、薬剤が前記カートリッジから最初に送達されたことを示す第1の色と、前記プロセッサが開始信号を受信したときに薬剤が標的位置に送達されたことを示す第2の色を放射するように構成された多色LEDを具える、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記多色LEDは、前記標的位置に所定の用量が送達されたことをプロセッサが確認したときに前記第3の色を放射するように構成される、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記出力デバイスは、前記プロセッサに連結され前記デバイスの作動および動作に関連する可聴標示を提供するように構成されたスピーカを具える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
さらに、作動デバイスから無線信号を受信するために前記プロセッサに連結された通信インターフェースを具え、前記プロセッサは、前記無線信号から「準備完了」信号を識別して、前記デバイスを休止状態から作動させるように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記プロセッサは、無線信号から「開始」信号を識別するようにさらに構成され、そうすると前記プロセッサは1以上のセンサからの信号を分析して、前記出口から送達される薬剤の量を測定する、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記1以上のセンサは、前記プランジャの近くの前記ハウジング内に取り付けられ前記プランジャの変位に関連する信号を生成する1以上の光学センサを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記1以上の光学センサが、前記プランジャの周りに同心円状に取り付けられている、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記1以上のセンサは、前記プランジャの近くの前記ハウジング内に取り付けられ前記プランジャの変位に関連する信号を生成する磁気センサを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
さらに前記プランジャ上に交互極性の磁気ストリップを具え、このストリップの各極が前記磁気センサを通過すると信号を生成して前記プランジャの変位を追跡するように構成されている、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記カートリッジが、前記ドライバのハウジングに取り外し可能に結合されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
前記カートリッジは、ポートが前記ドライバに対して遠位側に向けられるように、前記ドライバの外側ハウジングの遠位領域内に取り外し可能に受容される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
前記ドライバを収容するカートリッジが、前記遠位領域内に前記カートリッジを固定する1以上の協働コネクタを具える、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記ピストンおよびプランジャは、前記カートリッジが前記遠位領域内に受け入れられたときに前記ピストンを前記プランジャに結合する1以上のコネクタを具える、請求項13または14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記カートリッジが前記ハウジングに結合されたときに作動して電源から前記プロセッサに電力を供給するスイッチをさらに具える、請求項12乃至14のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記カートリッジのハウジングが前記ドライバに恒久的に結合されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項18】
さらに、前記プロセッサに連結され作動時に「開始」信号を送達するスイッチを前記ドライバ上に具え、これによって前記プロセッサが前記1以上のセンサからの信号を分析して、前記出口から送達される薬剤の量を測定する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項19】
前記プロセッサと通信し、前記出口から送達される薬剤に関連する情報を含むデータを記憶するためのメモリをさらに具える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項20】
前記プロセッサは、前記信号に少なくとも部分的に基づいて、前記メモリに記憶するためのデータを、前記内部から送達された薬剤の総量、前記標的位置に送達された総量、前記内部から送達された薬剤のボリュームレート、および前記内部から送達された薬剤の投与プロファイル、のうちから1つまたは複数を決定するように構成される、請求項19に記載のデバイス。
【請求項21】
前記プロセッサと通信するクロックをさらに具え、前記プロセッサは、前記メモリに格納されたデータにタイムスタンプを追加するように構成されている、請求項19または20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記プロセッサは、前記クロックからのデータから、薬剤の送達時間、薬剤の送達中の異なるイベント間の時間、および前記カートリッジの装填と薬剤の送達の間の時間、のうちの1つまたは複数を特定するように構成されている、請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
前記カートリッジ内の薬剤の温度を監視するために前記プロセッサと通信する温度センサをさらに具える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項24】
さらに、作動デバイスと、ハウジング内の注射器通信インターフェースであって、前記作動デバイスから「開始」信号を受信し、それによって前記プロセッサが前記1以上のセンサからの信号を分析して送達された薬剤の量を測定する、注射器通信インターフェースとを具える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項25】
前記作動デバイスは、前記「開始」信号を前記プロセッサに通信するように作動可能であるスイッチを含む、請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
前記注射器通信インターフェースが、前記「開始」信号を前記プロセッサに通信するために前記スイッチを前記ドライバに接続する配線を含む、請求項25に記載のデバイス。
【請求項27】
前記注射器通信インターフェースが、信号を無線で送受信するように構成されている、請求項24に記載のデバイス。
【請求項28】
前記作動デバイスは、前記注射器通信インターフェースを介して注射器と通信するための通信インターフェースと、薬剤の送達に関連する情報を提示するためのディスプレイとを含む電子デバイスを具える、請求項27に記載のデバイス。
【請求項29】
前記プロセッサは、前記出口から送達された薬剤の量に関する情報を含む信号を、前記注射器通信インターフェースを介して前記電子デバイスに送信するように構成される、請求項28に記載のデバイス。
【請求項30】
前記電子デバイスは、前記出口から送達される薬剤の量に関する情報を含むインジケータフィールドを前記ディスプレイ上に提示するように構成されている、請求項29に記載のデバイス。
【請求項31】
患者の体内に薬物を送達するための注射器デバイスであって、
内部を規定するハウジングを有するシリンジカートリッジであって、前記内部にスライド可能に配置され前記ハウジングの遠位端の出口を介して前記内部の薬剤を送達するためのピストンをさらに含むシリンジカートリッジと;
前記ハウジングの内部で前記ピストンを前進させるためのプランジャと、加圧流体の供給源と、前記供給源と前記プランジャ間の流路を少なくとも部分的に開いて前記プランジャおよび前記ピストンを前進させて前記ハウジングの内部から薬剤を送達するためのアクチュエータ部材とを含むシリンジドライバと;
前記プランジャに動作可能に結合され、前記プランジャの変位を測定するための1以上のセンサと;
前記1以上のセンサに結合され当該1以上のセンサからの信号を分析して、前記プランジャの変位に少なくとも部分的に基づいて前記出口から送達された薬剤の量を測定するためのプロセッサと;
前記プロセッサに結合された開始アクチュエータと;
前記プロセッサに結合された1以上の光源とを具え、
前記プロセッサは、前記1以上の光源を活性化させて、
a)前記アクチュエータ部材が最初に作動して前記カートリッジから薬剤を送達し始めるときに第1の色を放射し、
b)前記開始アクチュエータが作動されたことを前記プロセッサが検出したときに、薬剤が標的位置に送達されていることを示すために第2の色を放射し、この時点で前記プロセッサは、少なくとも部分的に信号に基づいて前記標的位置に送達された薬剤の量を測定し始め、
c)所定の用量の薬剤が前記標的位置に送達されたことを前記プロセッサが確認したときに第3の色を放射する、ことを特徴とするデバイス。
【請求項32】
前記プロセッサに連結されたスピーカをさらに具え、前記プロセッサは、前記1以上の光源が第1、第2、および第3の色をそれぞれ放射するときに異なる音を放出するように前記スピーカを作動させるように構成される、請求項31に記載のデバイス。
【請求項33】
患者の体内に薬剤を送達するためのシステムにおいて、
注射器デバイスであって、
a)内部を規定するハウジングと、前記内部にスライド可能に配置され前記ハウジングの遠位出口を介して前記内部の薬剤を送達するためのピストンとを有するシリンジカートリッジと;
b)前記ピストンに結合されたプランジャと、ドライバモジュールと、前記ドライバモジュール内に加圧流体を送達して前記プランジャおよびピストンを前進させて前記ハウジングの内部から薬剤を送達するためのアクチュエータ部材とを含むシリンジドライバと;
c)前記プランジャに動作可能に結合され前記プランジャの変位を測定するための1以上のセンサと;
d)前記1以上のセンサに結合され、前記1以上のセンサからの信号を分析して、前記出口から送達された薬剤の量を測定するためのプロセッサと;
e)前記プロセッサに結合され、前記出口から送達された薬剤の量に関連する1以上の出力を提供するための1以上の出力デバイスと;
f)注射器通信インターフェースと;を含む注射器デバイスと、
電子デバイスであって、
a)前記注射器通信インターフェースとの間で信号を送受信するためのデバイス通信インターフェースと;
b)前記プロセッサに送信される「スタート」信号を入力するためのユーザインターフェースであって、それにより前記プロセッサが前記1以上のセンサからの信号を分析して、送達された薬剤の量を測定する、ユーザインターフェースと;
c)前記プロセッサからの信号において受信される前記出口から送達された薬剤の量に関する情報を含むインジケータフィールドを提示するためのディスプレイと;を含む電子デバイスとを具えることを特徴とするシステム。
【請求項34】
前記1以上の出力デバイスは、前記プロセッサに結合された1以上の光源を含み、前記プロセッサは、
a)前記アクチュエータ部材が最初に作動して前記カートリッジから薬剤の送達を開始したときに第1の色を放射し、
b)開始アクチュエータが作動されたことを前記プロセッサが検出したときに、薬剤が標的位置に送達されていることを示すために第2の色を放射し、この時点で前記プロセッサは、少なくとも部分的に信号に基づいて前記標的位置に送達された薬剤の量を測定し始め、
c)所定の用量の薬剤が前記標的位置に送達されたことを前記プロセッサが確認したときに第3の色を放射する、ように前記1以上の光源を作動させるように構成されている、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記1以上の出力デバイスは、前記プロセッサに結合されたスピーカをさらに具え、前記プロセッサは、前記1以上の光源が第1、第2、および第3の色をそれぞれ放射するときに異なる音を放出するように前記スピーカを作動させるように構成される、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記電子デバイスが、注射器から受信した情報を処理するためのデバイスプロセッサをさらに具え、当該プロセッサは前記インジケータフィールドに情報を提示するように構成され、これは:
a)前記アクチュエータ部材が最初に作動されたときに前記カートリッジから薬剤の送達が開始されたことを識別するための第1の色領域を提示し、
b)前記開始信号が送信されたときに薬剤の量が標的位置に送達されていることを示す第2の色領域を提示し、
c)所定の用量の薬剤が標的位置に送達されたときに第3の色領域を提示することを含む請求項33に記載のシステム。
【請求項37】
薬剤を患者の体内に送達するための方法において、
内部にスライド可能に配置されたピストンとカニューレとを含むシリンジカートリッジの前記内部に一定量の薬剤を装填するステップと;
前記シリンジカートリッジをドライバに結合し、それによって前記ドライバのプランジャを前記ピストンに結合するステップと;
前記カニューレを患者の体に挿入するステップと;
前記ドライバのアクチュエータを作動させて前記プランジャを前進させ、それによって前記ピストンを前進させて薬剤を前記内部から患者の体内に送達し、ここにおいて1以上のセンサが前記プランジャの変位を測定し、前記1以上のセンサからの信号が分析されて、これらの信号に少なくとも部分的に基づいて前記カニューレから送達された薬剤の量が測定され、送達された薬剤の量に関連して出力が提供される、ステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項38】
前記出力は、前記アクチュエータ部材が最初に作動されたときに、薬剤がカートリッジから送達されていることの視覚的表示を提供するために、光源が第1の色を放射するステップを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
さらに、前記カニューレを標的位置に配置するステップと、
薬剤が標的位置に送達されていることを示すために前記ドライバの開始アクチュエータを作動させるステップであって、その時点で、前記1以上のセンサからの信号が分析されて、標的位置に送達されている薬剤の量が測定され、前記光源が薬剤が標的位置に送達されていることの視覚表示を提供するための第2の色を放射するステップとを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記光源が、所定の用量の薬剤が標的位置に送達されたときに第3の色を放射して、前記用量が送達されたことの視覚表示を提供するステップを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記ドライバがさらに、前記光源が異なる色を発するときに異なる音を発するスピーカをさらに具え、薬剤の送達に関する可聴表示を提供する、請求項39または40に記載の方法。
【請求項42】
薬剤を患者の体内に送達するための方法であって、
内部にスライド可能に配置されたピストンとカニューレとを含むシリンジカートリッジの内部に一定量の薬剤を装填するステップと;
前記シリンジカートリッジをドライバに結合し、それによって前記ドライバのプランジャを前記ピストンに結合するステップと;
前記カニューレを患者の体に挿入するステップと;
前記ドライバのアクチュエータを作動させて前記プランジャを前進させ、それによって前記ピストンを前進させて薬剤を前記内部から患者の体内に送達し、ここにおいて1以上のセンサが前記プランジャの変位を測定し、前記1以上のセンサからの信号が分析されて、信号に少なくとも部分的に基づいて前記カニューレから送達された薬剤の量が測定され、前記アクチュエータ部材が最初に作動されたときに光源が第1の色を放射して、薬剤が前記カートリッジから送達されていることを視覚的に示す、ステップと;
前記カニューレを目標位置に配置するステップと;
前記ドライバの開始アクチュエータを作動させて薬剤が標的位置に送達されていることを示すステップであって、その時点で、前記1以上のセンサからの信号が分析されて、前記標的位置に送達された薬剤の量が測定され、前記光源は薬剤が標的位置に送達されていることを視覚的に示すための第2の色を放射する、ステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項43】
前記光源が、所定の用量の薬剤が標的位置に送達されたときに第3の色を放射して、前記用量が送達されたことの視覚表示を提供するステップを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記標的位置が患者の眼内にある、請求項37乃至43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記標的位置が、患者の眼内の網膜下の位置である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記カニューレを患者の体内に挿入するステップは、前記カニューレを患者の眼内に挿入することを含み、前記カニューレを標的位置に配置するステップは、薬剤が網膜下の位置に送達されるようにカニューレを患者の眼の網膜を通して前進させることを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
薬剤を患者の体内に送達するための方法であって、
内部にスライド可能に配置されたピストンとカニューレとを含むシリンジカートリッジの前記内部に一定量の薬剤を装填するステップと;
前記シリンジカートリッジをドライバに結合し、それによって前記ドライバのプランジャを前記ピストンに結合するステップと;
前記カニューレを患者の体に挿入するステップと;
前記ドライバのアクチュエータを作動させて前記プランジャを前進させ、それによって前記ピストンを前進させて薬剤を前記内部から患者の体内に送達し、ここにおいて1以上のセンサが前記プランジャの変位を測定し、前記1以上のセンサからの信号が分析されて、信号に少なくとも部分的に基づいて前記カニューレから送達された薬剤の量を監視し、送達された薬剤の量に関連して出力が提供される、ステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項48】
前記出力は、前記アクチュエータ部材が最初に作動されたときに、薬剤がカートリッジから送達されていることの視覚的表示を提供するために、光源が第1の色を放射することを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
さらに、カニューレを標的位置に配置するステップと、
ドライバの開始アクチュエータを作動させて薬剤が標的位置に送達されていることを示し、その時点で、1以上のセンサからの信号が分析されて、標的位置に送達される薬剤の量が測定され、薬剤が標的位置に送達されていることを視覚的に示すための第2の色を光源が放射するステップとを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
所定の用量の薬剤が標的位置に送達されたときに光源が第3の色を放出して、用量が送達されたことの視覚的表示を提供する、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記ドライバのスピーカが前記光源が異なる色を放出するときに異なる音を放出して、薬剤の送達に関する可聴表示を提供する、請求項49または50に記載の方法。
【請求項52】
前記標的位置は患者の眼内である、請求項47~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記標的位置は患者の眼内の網膜下位置である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記カニューレを患者の体内に挿入するステップは、カニューレを患者の眼に挿入することを含み、前記カニューレを標的位置に配置するステップは、薬剤が患者の眼の網膜下の位置に送達されるように、網膜を通してカニューレを前進させることを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項55】
患者の眼内の網膜下に薬剤を送達するための方法であって、
内部にスライド可能に配置されたピストンとカニューレとを含むシリンジカートリッジの前記内部に一定量の薬剤を装填するステップと;
前記シリンジカートリッジをドライバに結合し、それによって前記ドライバのプランジャを前記ピストンに結合するステップと;
前記カニューレが患者の網膜に隣接して配置されるように、前記カニューレを患者の眼に挿入するステップと;
前記ドライバのアクチュエータを作動させて前記プランジャを前進させ、それによって前記ピストンを前進させて薬剤を前記内部から患者の眼に送達し、ここにおいて、
1以上のセンサが前記プランジャの変位を測定し、
プロセッサが前記1以上のセンサからの信号を分析し、信号に少なくとも部分的に信号に基づいて前記カニューレから送達された薬剤が監視され、
送達された薬剤の量に関連して出力が提供される、ステップと;
薬剤を送達し続けながら、網膜を通して前記カニューレを前進させるステップと;
網膜を穿刺したときに作動デバイスを作動させ、ここにおいて前記作動デバイスが開始信号を前記プロセッサに伝達し、前記プロセッサは前記1以上のセンサからの信号を分析し続けて、網膜下に送達された薬剤の量を監視する、ステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項56】
前記注射器は、前記標的量の薬剤が網膜下に送達されるときに出力を提供する、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記プロセッサは、前記薬剤の送達に関連する情報を、電子デバイスによる表示のために遠隔の電子デバイスに伝達する、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記出力は、前記アクチュエータが最初に作動されたときに薬剤がカートリッジから送達されていることの視覚的表示を提供するために光源が第1の色を放射し、前記光源は、前記作動デバイスが作動されたときに薬剤が網膜下に送達されていることを視覚的に示すための第2の色を放射する、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
前記光源は、所定の用量の薬剤が網膜下に送達されたときに第3の色を放出して、その用量が送達されたことの視覚的表示を提供する、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記ドライバのスピーカが、前記光源が異なる色を発するときに異なる音を発して、薬剤の送達に関する可聴表示を提供する、請求項58または59に記載の方法。
【請求項61】
前記カートリッジが前記ドライバに結合されたときにスイッチが作動され、それによって電力がプロセッサに供給される、請求項37乃至60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
薬剤を患者の体内に送達するための方法であって、
内部内にスライド可能に配置されたピストンおよびカニューレを含むシリンジカートリッジの内部に一定量の薬剤を提供するステップであって、前記ドライバのプランジャが前記ピストンに結合されるように前記カートリッジが前記ドライバに結合される、ステップと;
前記カニューレを患者の身体に挿入するステップと;
前記ドライバのアクチュエータを作動させて前記プランジャを前進させ、それによって前記ピストンを前進させて薬剤を前記内部から患者の体内に送達し、ここにおいて1以上のセンサが前記プランジャの変位を測定し、前記1以上のセンサからの信号が分析され少なくとも部分的に前記信号に基づいて前記カニューレから送達された薬剤の量が測定され、送達された薬剤の量に関連する出力が提供されるステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項63】
前記出力は、前記アクチュエータ部材が最初に作動されたときに、薬剤が前記カートリッジから送達されていることの視覚的表示を提供するために、光源が第1の色を放射することを含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
さらに、前記カニューレを標的位置に配置するステップと;
前記ドライバの開始アクチュエータを作動させて薬剤が標的位置に送達されていることを示し、その時点で、前記1以上のセンサからの信号が分析されて、前記標的位置に送達された薬剤の量が測定され、薬剤が標的位置に送達されていることを視覚的に示すための第2の色を光源が放射するステップとを含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
所定の用量の薬剤が前記標的位置に送達されたときに前記光源が第3の色を放射して、前記用量が送達されたことの視覚的表示を提供する、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記出力は、遠隔電子デバイスに送達される薬剤の量に関連するデータを送信することを含み、前記電子デバイスは、データを処理し当該電子デバイスのディスプレイのインジケータフィールドに情報を提示するためのデバイスプロセッサを含み、これは、
a)前記カートリッジから薬剤の送達を開始するために前記アクチュエータ部材が最初に作動されたときを識別するために第1の色領域を提示し、
b)標的領域に送達された薬剤の量を示すために前記開始信号が送信されたときを識別するために第2の色領域を提示し、
c)所定の用量の薬剤が標的位置に送達されたときに第3の色領域を提示する、請求項62に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願データ
本出願は、2019年9月11日に出願された同時係属中の仮出願整理番号62/899,058および2020年3月31日に出願された63/003,117の利益を主張するものであり、その開示全体は参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
本発明は、薬剤を患者の体内に送達するための装置および方法に関し、より具体的には、正確な用量の薬剤、例えば、遺伝子ベクターおよび/または幹細胞を患者の眼球内の網膜下に送達するための注射器、ならびにこのような注射器を使用するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
多くのアプリケーションにおいて、正確な位置に正確な量の流体を送達するために、供給針の正確な位置制御を維持しながら、薬剤の制御された送達が望まれる。例えば、注射器は、眼のいくつかの病状の治療における網膜下注射に使用され得る。
【0004】
このような網膜下注射は、多くの合併症を伴う。例えば、注射器カニューレの先端を眼内に正確に配置することは難しく、特に先端が網膜層を通過するときを識別するのが困難な場合がある。さらに、ブレブ(bleb:網膜下に送達される流体のボーラス)を形成することは、網膜の破損または裂傷の危険性がある。
【0005】
さらにこのような現在の手順は、典型的には、カニューレ先端を網膜近くに配置する主外科医と、主外科医が先端を網膜に向けて前進させるときに注射器プランジャロッドを押す助手外科医との2人の外科医を必要とする。助手外科医は目標用量に到達したことを確認するために、ブレブ開始時のプランジャ位置を記録し、リアルタイムで供給される液体の量を計算する。このように、現在の手順は複雑であり、目標用量が供給されたときを知ることは困難であった。
【0006】
したがって、患者の体内への液体の送達を容易にするための装置および方法が有用となる。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、患者の体内に薬剤を送達するための装置および方法に関し、より具体的には、正確な用量の薬剤(例えば、遺伝子ベクターおよび/または幹細胞)を患者の眼内の網膜下に送達するための注射器、システム、およびこのような注射器の使用方法に関する。
【0008】
例示的な実施形態によれば、患者の体内に薬剤を送達するための装置が提供され、これは、近位端、遠位端を有し内部を規定するハウジングを含むシリンジカートリッジであって、前記内部にスライド可能に配置され前記遠位端の出口を介して前記内部に薬剤を送達するためのピストンをさらに含むシリンジカートリッジと;前記ハウジングの内部で前記ピストンを前進させるためのプランジャと、加圧流体の供給源と、前記供給源と前記プランジャ間の流路を少なくとも部分的に開いて前記プランジャおよび前記ピストンを前進させて前記ハウジングの内部から薬剤を送達するためのアクチュエータ部材とを含むシリンジドライバと;前記プランジャに動作可能に連結され、前記プランジャの例えば前記ドライバ内の軸方向における変位を測定するための1以上のセンサと;前記1以上のセンサに結合され当該1以上のセンサからの信号を分析して前記出口から送達された薬剤の量を特定するためのプロセッサと;前記プロセッサに結合され前記出口から送達された薬剤の量に関連する1以上の出力を提供するための出力デバイスとを具える。
【0009】
別の実施形態によれば、患者の体内に薬物を送達するためのシリンジ器具が提供され、これは、内部を規定するハウジングを有するシリンジカートリッジであって、前記内部にスライド可能に配置され前記ハウジングの遠位端の出口を介して前記内部の薬剤を送達するためのピストンをさらに含むシリンジカートリッジと;前記ハウジングの内部で前記ピストンを前進させるためのプランジャと、加圧流体の供給源と、前記供給源と前記プランジャ間の流路を少なくとも部分的に開いて前記プランジャおよび前記ピストンを前進させて前記ハウジングの内部から薬剤を送達するためのアクチュエータ部材とを含むシリンジドライバと;前記プランジャに動作可能に結合され、前記内部における前記プランジャの変位を測定するための1以上のセンサと;前記1以上のセンサに結合され当該1以上のセンサからの信号を分析して、例えば前記プランジャの変位に少なくとも部分的に基づいて体積を測定するなど、前記出口から送達された薬剤を測定するためのプロセッサと;前記プロセッサに結合された開始アクチュエータと;前記プロセッサに結合された1以上の光源とを具え、前記プロセッサは、前記1以上の光源を活性化させて、a)アクチュエータ部材が最初に作動して前記カートリッジから薬剤を送達し始めるときに第1の色を放射し、b)開始アクチュエータが作動されたことを前記プロセッサが検出したときに、薬剤が標的位置に送達されていることを示すために第2の色を放射し、この時点で前記プロセッサは、少なくとも部分的に信号に基づいて前記標的位置に送達された薬剤の量を測定し始める、c)所定の用量の薬剤が前記標的位置に送達されたことを前記プロセッサが確認したときに第3の色を放出する。
【0010】
さらに別の実施形態によれば、患者の体内に薬剤を送達するためのシステムが提供され、これは、注射器デバイスであって、内部を規定するハウジングと、前記内部にスライド可能に配置され前記ハウジングの遠位出口を介して前記内部の薬剤を送達するためのピストンとを具えるシリンジカートリッジと;前記ピストンに結合されたプランジャと、ドライバモジュールと、前記ドライバモジュール内に加圧流体を送達してプランジャおよびピストンを前進させて前記ハウジングの内部から薬剤を送達するためのアクチュエータ部材とを含むシリンジドライバと;前記プランジャに動作可能に結合され前記内部で前記プランジャの変位を測定するための1以上のセンサと;前記1以上のセンサに結合され、前記1以上のセンサからの信号を分析して、例えば少なくとも部分的に前記プランジャの変位に基づいて、前記出口から送達される薬剤の量を測定するためのプロセッサと;前記プロセッサに結合され、前記出口から送達される薬剤の量に関連する1以上の出力を提供するための1以上の出力デバイスおよび注射器通信インターフェースとを具える。さらに、本システムは、前記注射器通信インターフェースとの間で信号を送受信するためのデバイス通信インターフェースと;前記プロセッサに送信される「スタート」信号を入力するためのユーザインターフェースであって、それにより前記プロセッサが前記1以上のセンサからの信号を分析して、送達された薬剤の量を測定する、ユーザインターフェースと;前記プロセッサからの信号において受信される前記出口から送達された薬剤の量に関する情報を含むインジケータフィールドを提示するためのディスプレイと;を含む電子デバイスを具える。
【0011】
例示的な実施形態では、前記1以上の出力デバイスは、前記プロセッサに結合された1以上の光源を含み、前記プロセッサは、前記1以上の光源を活性化して、前記アクチュエータ部材が最初に作動して前記カートリッジから薬剤の送達を開始したときに第1の色を放射し、開始アクチュエータが作動されたことを前記プロセッサが検出したときに、薬剤が標的位置に送達されていることを示すために第2の色を放射し、この時点で前記プロセッサは、少なくとも部分的に信号に基づいて前記標的位置に送達された薬剤の量を測定し始め、所定の用量の薬剤が前記標的位置に送達されたことを前記プロセッサが確認したときに第3の色を放射する。
【0012】
別の実施形態によれば、薬剤を患者の体内に送達するための方法が提供され、内部にスライド可能に配置されたピストンとカニューレとを含むシリンジカートリッジの前記内部に一定量の薬剤を提供または装填するステップと;前記シリンジカートリッジをドライバに結合し、それによって前記ドライバのプランジャを前記ピストンに結合するステップと;前記カニューレを患者の体に挿入するステップと;前記ドライバのアクチュエータを作動させて前記プランジャを前進させ、それによって前記ピストンを前進させて薬剤を前記内部から患者の体内に送達し、ここにおいて1以上のセンサが前記プランジャの変位を測定し、前記1以上のセンサからの信号が分析されて、信号に少なくとも部分的に基づいて前記カニューレから送達された薬剤の量が測定され、送達された薬剤の量に関連して出力が提供される、ステップとを含む。
【0013】
一実施形態では、前記出力は、前記アクチュエータ部材が最初に作動されたときに薬剤が前記カートリッジから送達されていることの視覚的表示を提供するために第1の色を発する光源を含む。任意選択で、この方法はまた、前記カニューレを標的位置に配置するステップと;前記ドライバの開始アクチュエータを作動させて薬剤が標的位置に送達されていることを示すステップであって、その時点で、1以上のセンサからの信号が分析されて、前記標的位置に送達された薬剤の量が測定され、前記光源は薬剤が標的位置に送達されていることを視覚的に示すための第2の色を放射する、ステップとを含む。任意選択で、所定の用量の薬剤が標的位置に送達されたときに前記光源が第3の色を放射して、前記用量が送達されたことを視覚的に示すことができる。
【0014】
さらに別の実施形態によれば、薬剤を患者の体内に送達するための方法が提供され、これは、内部にスライド可能に配置されたピストンとカニューレとを含むシリンジカートリッジの内部に一定量の薬剤を装填するステップと;前記シリンジカートリッジをドライバに結合し、それによって前記ドライバのプランジャを前記ピストンに結合するステップと;前記カニューレを患者の体に挿入するステップと;前記ドライバのアクチュエータを作動させて前記プランジャを前進させ、それによって前記ピストンを前進させて薬剤を前記内部から患者の体内に送達し、ここにおいて1以上のセンサが前記プランジャの変位を測定し、前記1以上のセンサからの信号が分析されて、信号に少なくとも部分的に基づいて前記カニューレから送達された薬剤の量が測定され、前記アクチュエータ部材が最初に作動されたときに光源が第1の色を放射して、薬剤が前記カートリッジから送達されていることを視覚的に示す、ステップと;前記カニューレを目標位置に配置するステップと;前記ドライバの開始アクチュエータを作動させて薬剤が標的位置に送達されていることを示すステップであって、その時点で、前記1以上のセンサからの信号が分析されて、前記標的位置に送達された薬剤の量が測定され、前記光源は薬剤が標的位置に送達されていることを視覚的に示すための第2の色を放射する、ステップとを含む。
【0015】
別の実施形態によれば、薬剤を患者の体内に送達するための方法が提供され、これは、内部にスライド可能に配置されたピストンとカニューレとを含むシリンジカートリッジの前記内部に一定量の薬剤を装填するステップと;前記シリンジカートリッジをドライバに結合し、それによって前記ドライバのプランジャを前記ピストンに結合するステップと;前記カニューレを患者の体に挿入するステップと;前記ドライバのアクチュエータを作動させて前記プランジャを前進させ、それによって前記ピストンを前進させて薬剤を前記内部から患者の体内に送達し、ここにおいて1以上のセンサが前記プランジャの変位を測定し、前記1以上のセンサからの信号が分析されて、信号に少なくとも部分的に基づいて前記カニューレから送達された薬剤の量を監視し、送達された薬剤の量に関連して出力が提供される、ステップとを含む。
【0016】
さらに別の実施形態によれば、患者の眼内の網膜下に薬剤を送達するための方法が提供され、これは、内部にスライド可能に配置されたピストンとカニューレとを含むシリンジカートリッジの前記内部に一定量の薬剤を装填するステップと;前記シリンジカートリッジをドライバに結合し、それによって前記ドライバのプランジャを前記ピストンに結合するステップと;前記カニューレが患者の網膜に隣接して配置されるように、前記カニューレを患者の眼に挿入するステップと;前記ドライバのアクチュエータを作動させて前記プランジャを前進させ、それによって前記ピストンを前進させて薬剤を前記内部から患者の眼に送達し、ここにおいて1以上のセンサが前記プランジャの変位を測定し、プロセッサが前記1以上のセンサからの信号を分析し、信号に少なくとも部分的に信号に基づいて前記カニューレから送達された薬剤が監視され、送達された薬剤の量に関連して出力が提供される、ステップを含む。この方法はまた、薬剤を送達し続けながら、網膜を通して前記カニューレを前進させるステップと;網膜を穿刺したときに作動デバイスを作動させ、ここにおいて前記作動デバイスが開始信号を前記プロセッサに伝達し、前記プロセッサは前記1以上のセンサからの信号を分析し続けて、網膜下に送達された薬剤の量を監視する、ステップとを含む。
【0017】
本発明の他の態様および特徴は、添付の図面と併せて以下の説明を考慮することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明は、添付の図面と併せて読むことにより、以下の詳細な説明から最もよく理解される。一般的な慣例により、図面の様々な機能や設計要素は原寸に比例していないことを強調しておく。それどころか、様々な機能や設計要素の寸法は、明確のために任意に拡大または縮小されている。図面は以下のものを含む。
図1図1は人間の眼の拡大断面図であり、シリンジ器具を使用した眼球への網膜下注射の投与を示す図である。
図2A図2Aは注射器の例示的な実施形態の斜視図であり、ドライバと、当該ドライバに結合され患者の体内に薬剤を送達するためのシリンジカートリッジとを含んでいる。
図2B図2Bは、図2Aの注射器の断面図である。
図2C図2Cは、図2Aおよび2Bの注射器の電子部品を示す概略図である。
図3図3は、図2A~2Cの注射器の例示的なドライバの断面図であり、シリンジカートリッジから薬剤を送達するためのドライバハウジング内でスライド可能なプランジャを含んでいる。
図4図4は、図3のドライバハウジング内に提供され得る電子部品の例示的な実施形態を示し、例えば、プロセッサに結合された1以上の光学センサおよび多色LEDを含んでいる。
図5A図5Aは、図2A~2Cの注射器などの注射器と通信する携帯型電子デバイスを示す図である。
図5A図5Bは、図5Aに示す注射器と通信する電子デバイス上に提示され得る例示的なディスプレイを示す図である。
図6図6Aおよび6Bは、それぞれ、注射器の別の例示的な実施形態の斜視図および断面図である。
図7図7A~7Cは、薬剤をシリンジカートリッジに装填するための充填デバイスの例示的な実施形態を示す側面図である。
図8図8Aおよび8Bは、カートリッジから薬剤を送達するためにシリンジカートリッジに取り付けられ得る針カニューレの例示的な実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
例示的な実施形態を説明する前に、本発明は説明される特定の実施形態に限定されるものではなく、もちろん変更できることを理解されたい。以下の詳細な説明は、本質的に単なる例示であり、主題の実施形態またはこれらの実施形態の適用および使用を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、「例示的」という言葉は、「例、実例、または例示として機能する」ことを意味する。本明細書で例示として説明される実装例は、必ずしも他の実装例よりも好ましいか有利であると解釈されるべきではない。さらに、上記の技術分野、背景、概要、または以下の詳細な説明で提示される明示的または暗示的な議論にも拘束される意図はない。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定され、本明細書で使用される用語は特定の実施形態を説明することのみを目的とし、限定を意図するものではないことを理解されたい。
【0020】
値の範囲が提供される場合、文脈が明確に別段の指示をしない限り、その範囲の上限と下限との間で、下限の単位の10分の1までの各介在値も具体的に開示されると理解されたい。記載された値または記載された範囲内の介在値と、その記載された範囲内の他の記載値または介在値との間のそれぞれの小範囲は、本発明に含まれる。これらの小範囲の上限および下限は、各個に範囲に含まれても除外されてもよく、いずれも、いずれか、または両方の限界が小範囲に含まれる範囲もそれぞれ、記載された範囲で特に除外されない限り本発明に含まれる。記載された範囲が限界の一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界の一方または両方を除外する範囲も本発明に含まれる。
【0021】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと類似または同等の任意の方法および材料を本発明の実施または試験に使用することができるが、いくつかの潜在的かつ例示的な方法および材料をここに説明する。
【0022】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。したがって、例えば、「化合物」への言及は、複数のそのような化合物を含み、「ポリマー」への言及は、当業者に知られている1以上のポリマーおよびその均等物への言及を含む。送達針の正確な位置制御を維持し、および/または所望の量の流体が送達されたことを確認するために送達を監視しながら、薬剤の制御された送達が望まれる多くの用途が存在する。本明細書に記載のデバイスおよび方法は、様々な治療および/または診断目的のために、患者の体内への薬剤、例えば1以上の粘性流体または他の流動性物質の正確な送達を容易にし得る。本明細書で使用される場合、「薬剤(medicament)」は、本明細書に記載されるものなどの任意の流体、薬剤、または材料を指すことを意図している。例えば、以下は、本明細書に記載のデバイスおよび方法を使用して、患者の体内に流体を送達することができる例示的な用途の概要である。
【0023】
眼科学(Ophtahlmology):図1に示すように、眼球90のいくつかの疾病状態の治療における網膜下注射のために、シリンジ器具8が使用され得る。シリンジ器具8は、本明細書に記載の実施形態のいずれかと同様に、シリンジカートリッジおよびシリンジドライバ(図示せず)を含み得る。
【0024】
網膜静脈閉塞症の治療:例えば図1に示すように眼球90の網膜下腔92へ治療薬を投与することによって、複数の適応症を治療することができる。網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)および網膜静脈中心閉塞症(CRVO)の場合、50~150μLの組織プラスミノーゲン活性化剤(TPA)を比較的小さな皮下注射針(例えば、41ゲージ以下)で投与して、網膜手術の過程で網膜下出血によって形成された血塊を溶解させることができる。このような場合、眼科医は患者の網膜の表面の下に先端を配置し、TPAをゆっくりと注入して薬剤のブレブを作り、これが凝固した血液を数日間で溶解する。
【0025】
黄斑変性症の遺伝子治療:加齢性黄斑変性症(AMD)は、高齢者の視力低下や失明の主な原因である。AMDは、黄斑と呼ばれる網膜の一部の進行性眼疾患であり、この黄斑によって人は文字を読んだり、顔を認識したり、運転したりできる。この病気は、最初は中心視力の歪みを引き起こし、最終的には法的盲に至る。網膜色素上皮(RPE)と呼ばれる目の後ろの細胞の層は、網膜の光感受性細胞、すなわち桿体と錐体からなる視細胞を支え、保護し、栄養を与える。これらのRPE細胞の機能不全および/または消失は、視細胞の消失、ひいてはAMDによる失明に重要な役割を果たす。研究の最近の進歩により、AMDを治療するための新しい治療法の可能性が示されている。ヒト胚性幹細胞、遺伝子治療、補体因子、およびウイルスベクターなどが開発され、初期段階の動物研究および/または臨床試験が行われている。これらの治療のいくつかは、網膜下腔や脈絡膜上腔を含む眼球の標的領域に細胞の投与し、その位置、投与速度、および/または総量を精密に制御する必要があるものがある。
【0026】
美容施術で使用するための皮膚充填剤およびボツリヌス毒素:皮膚充填剤の施術では、高粘度の精製液またはゲルを解剖学的構造の様々な部分に注入して、加齢によって減少した皮下脂肪を補充し、特に唇、あご、ほうれい線、涙溝、および頬にボリュームと膨満感を強化する。また、ボツリヌス毒素を眉間、額、眼輪筋の領域に注射し、筋肉を中和してリラックスさせ、顔のこれらの領域のしわを減らす施術もある。これらの施術のすべてにおいて、流量を絶妙に制御し、抵抗が変化する組織に高粘性液体を繰り返し注入する機能があれば、注入中の一貫性が向上し、注入量を追跡することで、繰り返しの治療において一貫した結果を得ることができる。
【0027】
図2A~2Cに移ると、患者の体内に薬剤6を送達するための例示的なシリンジ器具10は、近位端および遠位端12a、12bを含み内部14を規定するカートリッジハウジングと、内部14にスライド可能に配置されカートリッジ12の遠位端12bの出口またはポート18および/または針カニューレ19を介して内部14内に薬剤6を送達するためのピストン16と、を含むシリンジカートリッジ12と、ピストン16をカートリッジ12の内部14内で前進させるためのプランジャ30およびドライブモジュール40を含むハウジング22を含むシリンジドライバ20とを具える。
【0028】
シリンジカートリッジ12の近位端12aは、プランジャ30がピストン16に結合され、カートリッジ12の内部14内に前進してポート18およびカニューレ19を介して薬剤6を送達できるように、ドライバハウジング22の遠位領域23内に受容される大きさか、さもなければハウジング22の遠位端22bに取り外し可能に結合されるサイズであり得る。例えば、カートリッジ12の近位端12aおよびハウジング22は、遠位領域23に挿入されたときに、例えば、ポート18(およびポート18に接続された針またはカニューレ19)がハウジング22から遠位に延びるように、カートリッジ12をハウジング22に固定するための1以上の協働コネクタ(図示せず)を含み得る。カートリッジ12が完全に着座したとき、例えば、プランジャ30が遠位に前進するとピストン16が内部14内で前進するように、1以上の協働コネクタ17、35を用いてピストン16をプランジャ30に結合することができる。
【0029】
このように、所望の量の薬剤6をカートリッジ12の内部14に装填あるいは提供することができ、これを例えば本明細書の他の箇所でさらに説明されるように、注射の直前にドライバ20に結合することができる。針またはカニューレ19は、ポート18に取り外し可能に接続されてもよいし、恒久的に一体化されていてもよい。あるいは、カートリッジは、例えば分離不可能な、例えば単回使用の使い捨て器具を提供するために、ドライバハウジングに恒久的に統合されてもよい。
【0030】
図2Bおよび図3に最もよく見えるように、ドライバ20は外部ハウジング22を含み、これが例えば、加圧流体ソースおよび/または他のエネルギーソース44、油圧流体、ならびにソース44とプランジャ30との間の1以上の流路を少なくとも部分的に開いてプランジャ30を前進させカートリッジ12から薬剤を送達するためのレバーまたは他のアクチュエータ部材42を含む、ドライバモジュール40を含んでいる。例えば、図2Bに示すように、加圧ガスのキャニスタまたは他の高送出力エネルギー貯蔵装置44を、例えばハウジング22の近位端22a内に設けて、これが注射器10の初期作動中にピン43によって開かれて加圧ガスをガス室45に送達し、これが流体ピストン46に遠位の力を加えるようにしてもよい。非圧縮性流体、例えばシリコーン流体を、プランジャチャンバ48の内部と連絡する流体チャンバ47内の流体ピストン46を超えたところに提供し、レバー42の作動時に流体がプランジャチャンバ48に入り、プランジャ30を遠位に進めるようにしてもよい。例示的な実施形態では、例えばハウジング122内のキャリッジ(図示せず)によってレバー42に結合されたニードルを含むニードルバルブ(図示せず)を提供し、これが、レバー42が作動したときに流体チャンバ47とプランジャハウジング48との間を連絡するオリフィスを開くように変位し、本明細書の他の箇所でさらに説明するように、例えば、流体が実質的に一定の速度で流れてプランジャ130を所望の速度で変位させるようにしてもよい。ドライバ20に含まれ得るドライバモジュールの例示的な実施形態に関する追加の情報は、米国公開番号2017/0258583、2017/0312422、および2019/0167906に開示されており、それらの開示全体は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0031】
図2Cおよび図4をさらに参照すると、ドライバ20はまた、1以上の電子部品、例えば、ハウジング22内のプランジャ30の変位を測定するためにプランジャ30に動作可能に結合された1以上のセンサ50と、信号に少なくとも部分的に基づいてポート18から送達される薬剤の量を特定するためにセンサ50からの信号を処理および/または分析すべくセンサ50に結合されたプロセッサ52と、1以上の電池または他の電源54と、1以上の出力デバイス、例えば本明細書の他の箇所で説明されるようにシリンジカートリッジ12から送達される薬剤に関連するボリューム、流量、および/または他のパラメータといった1以上の出力を提供するためにプロセッサ52に結合された、例えば1以上のLED56aおよび/またはスピーカ56bとを含む。図示された例示的な実施形態では、1以上の光学センサ50はハウジング22内でプランジャ30の近くに、例えば同心円状に取り付けることができ、このプランジャ30は、ハウジング22内のプランジャ30の線形変位をシリンジカートリッジ12から患者に送達される薬剤の量と相関させるために、例えば線形直交デコーダおよび/または他のハードウェアもしくはソフトウェアコンポーネントを含む、プロセッサ52に結合され得る。
【0032】
プロセッサ52は、センサ50からの信号に基づいて、薬剤の送達中に1以上の送達パラメータ(例えば、注入された流体の量)を監視し、例えば出力デバイス56を作動させて、ユーザに情報を通信および/または他の方法で送達を促進することができる。例えば、1以上のLEDまたは他の光源56a(例えば、複数色のLEDや異なる色の複数のLED)を提供して、本明細書の他の箇所で説明されているように、これらが注射器10の作動および/または動作に関する視覚表示を提供するために作動されてもよい。追加的または代替的に、出力デバイスは、光源56aに加えて、またはその代わりに可聴信号を生成し得るスピーカまたは他の音響発生器56bを含んでもよい。
【0033】
オプションで、プロセッサ52は、例えばタイムイベントを測定するため、および/またはプロセッサ52によって記憶または通信されるデータにタイムスタンプを追加するために、クロック(図示せず)を含むことができる。例えば、注射器10は、センサ50からの信号からのデータ、ボリューム、または信号からプロセッサ52によって特定された他の情報(例えば総送達量、送達速度、投与プロファイル情報、送達時間、カートリッジの装填と送達の間などの異なるイベント間の時間など)を格納するためにプロセッサ52と通信するオンボードメモリ(図示せず)を含み得る。別のオプションでは、注射器10は、薬剤の温度を監視するためにプロセッサ52と通信する温度センサ(図示せず)を含む。
【0034】
さらに、注射器10は、通信インターフェース58(例えば、ブルートゥース(商標名)または他のRF通信プロトコル)を使用して信号を送信および/または受信するように構成された1以上のアンテナ(図示せず)を含む無線インターフェースを含み得る。例えば、外部スイッチまたは作動デバイス(図示せず)を提供して、これが自身の無線通信インターフェースを介して注射器10と通信し、命令または他の情報をプロセッサ52と通信し、および/またはプロセッサ52からデータや他の情報を受信するように利用することができる。一実施形態では、作動デバイスは単にオペレータ(例えば、外科医または助手)によって手動で作動され得るスイッチであってよく、この作動デバイスが通信インターフェース58を介してプロセッサ52に「開始」信号を通信し、プロセッサ52がセンサ50からの信号を監視して、プランジャ30の変位に基づいてカートリッジ12から送達される量を測定し、例えば本明細書の他の箇所で説明されているように、標的部位に送達される用量または「ブレブ」を測定するようにしてもよい。
【0035】
あるいは、図5Aおよび5Bに示すように、作動デバイスは無線電子デバイス60(例えば、携帯電話、タブレットなど(図示せず))であり、これが例えば図5Bに示すように電子デバイスのディスプレイ62上の「開始」アイコン64bを押すことによってオペレータが開始信号を通信することができるユーザインタフェースを提供してもよい。
【0036】
この代替案では、電子デバイス60は、注射器10の使用を容易にするための追加の機能を提供することができる。例えば、「準備完了」アイコン64aがディスプレイ62上に提供され、これを選択するとデバイス60が信号(例えば、信号68によって表される)を送信して、使用前に注射器10の電子機器を作動させられるようにしてもよい。例えば、注射器10のプロセッサ52は、インターフェース58によって受信された準備完了信号を検出するまで休止状態のままであり、この検出によってプロセッサ52が、注射前にセンサ50および/または注射器10の他の構成要素を作動させてもよい。さらに電子デバイス60は、送達中に注射器10から情報を受け取り、ディスプレイ62上(例えば、インジケータフィールド66)に情報を提示してもよい。あるいは、注射器10がスイッチまたは他のアクチュエータ(図示せず)を含み、これを電子機器をオンにするため、すなわち電源54をプロセッサ50および/または注射器10の他の構成要素に接続するために使用してもよい。例えば、スイッチ(図示せず)を遠位領域23内またはハウジング22内の他の場所に提供し、これがカートリッジ12が遠位領域23に挿入されたときに自動的に作動され、注射器10の電子機器を注射前に目覚めさせるようにしてもよい。
【0037】
例えば、図5Bに最もよく見られるように、ピストン/プランジャの位置、送達される薬剤の目標量、送達された薬剤の実際の量などの1以上を示すグラフィック表現またはインジケータフィールド66をディスプレイ62上に提示してもよい。図示の実施形態では、インジケータ66の左側の黒い領域66aはドライバ20のプランジャ30の初期位置を表し、例えば、充填されてドライバ20に結合されたシリンジカートリッジ12内のピストン16の初期位置にも対応する。
【0038】
注射器10のアクチュエータ42が作動すると、プランジャ30およびピストン16がシリンジカートリッジ12から薬剤6を送達するように変位し始め、これが例えばインジケータ66に異なる色領域66bで表される(例えば、最初に黒の領域からインジケーター66の反対側の端に向かう)。網膜下送達の場合、例えば、カニューレが網膜に向かっておよび/または網膜を通して前進している間に、初期量の薬剤がシリンジカートリッジ12から送達され得る。例えば、本明細書の他の箇所でさらに説明するように、最初は従来の方法で、カニューレ19を眼球90(例えば、図1に示すデバイスと同様)の方へ向けて、網膜94の近く(例えば、網膜の直ぐ前)に配置する。
【0039】
外科医が網膜下に薬剤を送達する準備ができたら、アクチュエータ42を作動させ、その後に薬剤が送達されている間にカニューレ19を網膜94を通して前進させることができる。網膜94が貫通される前に送達される薬剤の最初のボーラスは、単に眼球90の内部に放出され、網膜下に送達されることを意図したブレブボリュームの一部とは見なされない。この場合、外科医は、網膜94を貫通した直後に作動デバイス60を作動させるように助手に指示してもよい。例えば、助手が図5Dに示す「開始」アイコン64bを選択すると、次いでデバイス60が「開始」信号を注射器10のプロセッサ52に(インターフェース58を介して)通信し、網膜下に送達される薬剤の量の測定および/または監視を開始することができる。代替的に、フットスイッチまたは他のアクチュエータ(例えば、ドライバ上のボタン(図示せず))を、外科医が自らトリガできるように提供し、これが例えば、外科医がスイッチを踏むか他の方法で作動させたときに、本明細書の他の箇所で説明されているように、「開始」信号を伝達するようにしてもよい。
【0040】
任意選択で、プロセッサ52は、送達中に外科医に情報を伝達するために出力デバイスを作動させてもよい。例えば、注射器10のアクチュエータ42が最初に作動すると、プロセッサ52はLED56aを作動させて黄色の光(または他の所定の色)を発し、薬剤が送達されていることを視覚的に確認できるようにしてもよい。プロセッサ52が「開始」信号を受信すると、プロセッサ52はLED56aを作動させて緑色の光(または他の所定の色)を発し、薬剤が網膜下に送達されている(すなわち、送達されているブレブの量が現在測定中である)ことを視覚的に確認できるようにする。目標量が送達されると、プロセッサ52はLED56aを作動させて赤色の光(または、ここでも別の所定の色)を発して、目標量が送達されたことを視覚的に確認できるようにする。あるいは、所望の視覚的状態表示を提供するために順次作動され得る別々のLEDを提供してもよい。追加的または代替的に、スピーカ56bが、これらの各段階で作動されて、音(例えば、初期送達、網膜下送達、および目標量の達成に対応する異なる音)を発してもよい。作動デバイスが無線電子デバイス60である場合、助手が「開始」アイコンを押す(または他の方法で電子デバイスとインターフェースする)ことにより、電子デバイス60に開始信号をプロセッサ52に通信するようにしてもよい。この実施形態では、プロセッサ52は、例えばディスプレイ62で提示および/またはデバイス60のメモリへ記憶するために、通信インターフェース58を介して薬剤6の送達に関連する情報を電子デバイス60へ通信することができる。例えば、図5Bに示すように、アクチュエータ42が最初に作動されて薬剤が送達され始めたとき(例えば、網膜を貫通する前)は、黄色の領域66bが黒色(初期位置)の領域66aに隣接して提示され得る。任意選択で、黄色の領域の前縁は、例えば開始信号が受信されるまで、送達された量に比例してインジケータ66の反対側の端の方へ平行移動してもよい。
【0041】
「開始」信号がプロセッサ52で受信されると、黄色の領域66bが停止し、緑色の領域66cがインジケータ66に沿って移動し始め、網膜下に送達されたブレブ量を視覚的に示すことができる。任意選択で、電子デバイス60のプロセッサは、例えばカートリッジ12が目標ボリュームを送達するのに十分な体積を有することを保証するために、黄色の領域(または注射器が最初に起動されたときの黒色の領域)から延びる緑色の輪郭66dとして、インジケータ66上に標的ボリュームを表示してもよい。追加的または代替的に、表示されるインジケータ66は、緑色の領域がインジケータ上の対応する指標を通過するときに助手が送達される量を視覚的に監視できるように、量を識別する目盛または他の指標を含んでもよい。目標量が達成されると、緑色の領域66cが停止し、赤色の領域(図示せず)が例えば標的ボリューム領域66dを超えてインジケータ66に沿って移動し始めて、送達される薬剤の過剰量を示すようにしてもよい。例えば、一部のアプリケーションでは、外科医が元の標的ボリュームを超えて追加の薬剤送達を決定する場合があり、このボリュームを赤い領域で示すことができる。
【0042】
外科医が注射器10のアクチュエータ42を解放すると送達が中止され、例えば従来の方法と同様に、カニューレ19を患者から取り外すことができる。送達後、注射器プロセッサ20および/または電子デバイス60は、その後の記録および/または分析のために、送達に関連する情報を保存してもよい。例えば、眼球内に放出されたプレブレブ薬剤の量(黄色の領域66b)、ブレブの量(緑色の領域66cおよび/または赤色の領域)、および/または他のパラメータを保存して、その後に患者の分析および/または治療のために使用することができる。次に、例えば図1に示すデバイス8と同様に、例えば遺伝子ベクターおよび/または幹細胞などの薬剤を患者の眼球90内の網膜下92に送達するための、図2~4に示す注射器を使用する例示的な方法について説明する。最初に、ある量の薬剤6を、内部14内にスライド可能に配置されたピストン16によって密封されたシリンジカートリッジ12の内部14に充填する。例えば、図7A~7Cに示すように、カートリッジ12を、薬剤(図示せず)をカートリッジ12に装填するために使用され得るハウジング82および手動プランジャ84を含む充填デバイスまたはアダプタ80に結合する。図示するように、ハウジング82は、カートリッジ12の近位端12aをその中に受け入れるようなサイズの開放端82aを有する管状本体を含む。任意選択で、ハウジング82は、充填中にカートリッジ12を取り外し可能に固定するための1以上のコネクタ(図示せず)を含み得る。手動プランジャ84は、例えば図7Aに示すようにピストン16がその最も遠位の位置にある状態で、プランジャ84上のねじ山付きニップル84a(または図示しない別のコネクタ)をピストン上の同様のねじ山付きのくぼみ(または図示しない他の協働コネクタ)にねじ込むことによって、ピストン16に結合することができる。カートリッジ12が充填デバイス80に結合されると、針カニューレ(図示せず)がカートリッジ12のポート18に接続され、ピストン16が最も遠位にある(ポート18に近い)状態で薬剤(図示せず)の容器に挿入され得る。図7Bに示すように、ピストン16がポート17から近位方向に離れるように手動プランジャを引き戻し、それによってピストン16が近位方向に移動すると、薬剤6が内部14内に引き込まれる。十分に充填されたら、カニューレを容器およびポート18から取り外すことができる。
【0043】
図7Cに示すように、プランジャ84は、ねじ山を外すか他の方法でピストン16から外すことができ、カートリッジ12を充填デバイス80から取り外すことができる。
【0044】
シリンジカートリッジ12が充填され、および/または所望の容量が充填されると、カートリッジ12がドライバ20に結合され得る。例えば、カートリッジ12は、ドライバプランジャ30がピストン16に結合するまで、ドライバハウジング22の遠位領域23に挿入される。例えば、図2Bに示すように、プランジャ30は、ピストン16の凹部17または他のコネクタに受けられるか他の方法で係合し得るタブまたは他のコネクタ35を含み得る。その後、注射器10は、薬剤6を患者に送達する準備が整う。代替的に、所望の量の薬剤が事前に充填された別個のシリンジカートリッジを、ドライバ内の一体型注射器領域と交換してもよいことが理解されよう。さらに、シリンジカートリッジ12のポート18に針カニューレ19が最初に提供されていない場合、例えばねじ山コネクタ、ルアー継手などの従来の方法を使用して、針カニューレ19を取り付けることができる。送達の直前に、針カニューレをカートリッジ12のポート18に接続してもよい。図8Aおよび8Bに転ずると、内側注射カニューレ72および外側保護カニューレ76を含むカニューレアセンブリ70の例示的な実施形態が示されている。内側カニューレ72は、大まかに、カートリッジ(例えば、図7A~7Cに示すカートリッジ12または本明細書の任意の他の実施形態のもの)のポート18上に受けられるか他の方法で係合するサイズの中空の近位端74aを含む近位ハブ74と、遠位ニップル74bから延びて先端75aで終端する細長管状針75とを含み、この針は用途に応じて鋭利または鈍くあってよい。
【0045】
外側カニューレ76はまた、内側カニューレハブ74のニップル74b上に受けられるサイズの中空の近位端78aを含む近位ハブ78と、遠位ニップル78bから延びる針79とを含む。針75、79は、ステンレス鋼または他の従来の材料から形成することができ、ハブ74、78は、例えば針75、79がそれぞれハブ74、78に結合または他の方法で恒久的に取り付けられ得るように、プラスチックまたは他の従来の材料から形成され得る。図示するように、内側針75は外側針79よりも長くして、例えば、導入中に外側針79が内側針75を保護するために使用され、次いで引き戻されて内側針75の先端75aを露出するようにしてもよい。
【0046】
例えばアセンブリ70は、例えば図8Aに示すように、最初に外側カニューレ76が遠位位置にある状態で提供することができ、ここでは内側針75の先端75aが外側針79によって覆われ、外側カニューレハブ78が内側カニューレハブ74から遠位に離間している。この構成では、内側カニューレハブ74は、アセンブリ70を本明細書に記載されているいずれかのような注射器に取り付けるために、カートリッジ12のポート18上に受けられる。使用時に、導入中に例えば先端79aを保護するために、外側針79は内側針75の先端75a上に留まってもよい。例えば内側針75は、非常に小さな直径および比較的薄い壁を有するため壊れやすいが、一方で外側針79は、比較的厚い壁および/またはより大きな柱強度を有して外側針79の曲げや破損のリスクを低減することができる。アセンブリ70が、例えば隔壁または弁(図示せず)を有するトロカールカニューレを介して患者の体内に導入される場合、外側針79は、トロカールカニューレを通して内側針75を進めるための損傷のリスクを最小限に抑えて、隔壁または弁を開くことができる。
【0047】
外側針79の先端79aが所望の位置(例えば、トロカールカニューレを越えた患者の眼球内)に配置されると、外側カニューレ76を後退させて内側針75の先端75aを露出させることができる。例えば、図8Bに示すように、外側カニューレ76は、外側カニューレハブ78がニップル74b上に受けられるまで、および/または他の方法で内側カニューレハブ74と係合し、それによって外側カニューレ76のその後の動きが防止されするまで引き戻され、一方で内側針75の先端75aはその後、例えば本明細書の他の箇所でさらに説明されるように、薬剤を送達するための標的位置に挿入される。
【0048】
図2~4に戻ると、針またはカニューレ(例えば、カニューレ19またはカニューレアセンブリ70)をカートリッジ12に取り付けたら、注射器10を使用する準備が整う。例えば、アクチュエータレバー42を作動させて、ドライバモジュール40を最初に作動させ、例えば本明細書に参照により組み込まれる出願に記載された実施形態と同様に、ガスボンベ44をピン43で穿刺することができる。その結果、ガスがキャニスタ44から放出されて流体プランジャ46に動力を供給し得る。任意選択で、アクチュエータ42を最初に作動させ、カートリッジ12から薬剤の小さなボーラスを送達し、例えば、カニューレ19を充填し、および/または空気や他の潜在的な汚染物質を除去するようにしてもよい。例えば、レバー42が作動されると(初期および薬剤6の注入中)、ピン49が流体チャンバ47からプランジャハウジング48への流体通路を開き、これによって非圧縮性流体がプランジャハウジング48に入り、例えば、流体プランジャ46に作用する圧力とプランジャハウジング48に入る流体のために、実質的に一貫した均一な並進速度でプランジャ30を前進させることができる。
【0049】
注射器10が、図5Aおよび5Bに示すデバイス60のような電子デバイスと組み合わせて使用される場合、このステップが完了すると、電子デバイス60上で「準備完了」アイコン64aを選択し、例えば、プランジャ30とピストン16の初期(ゼロ)位置を示すために準備完了信号を注射器プロセッサ52に送信してもよい。この位置は、図5Bに示す電子デバイス60上に表示されるインジケータ66上に黒色領域66aとして提示され得る。
【0050】
図1に示すデバイス8と同様に、次に、カニューレ19は、例えば従来の方法と同様に、カニューレ19が患者の網膜94の近くに配置されるように、患者の眼球90に挿入され得る。次に、アクチュエータレバー42を作動させてプランジャ30を前進させ、それによってピストン16を前進させて、薬剤6を内部14から患者の眼球90に送達することができる。プロセッサ52は、センサ50からの信号に基づいてプランジャ30の変位を監視し、患者の眼球90に送達される薬剤の量をリアルタイムで計算することができる。
【0051】
次に、薬剤を送達しながらカニューレ19を前進させて網膜94を貫通させることができ、このときに、外科医は助手に作動デバイス60を作動させる(例えば、電子機器のディスプレイ62上の「開始」アイコン64bを押すか、スタンドアロンスイッチを作動させる)。ように指示してもよい。この動作により、開始信号がプロセッサ52に伝達され、プロセッサ52は、センサ50からの信号を分析し続けて、プランジャ30のさらなる変位を監視し、網膜下に送達された薬剤の量を特定する。前述のように、プロセッサ52は1以上の出力デバイス(例えば、LED56aおよび/またはスピーカ56b)を作動させて、外科医に薬剤送達の状態を確認させ、および/またはディスプレイ52(例えば、図5Bに示すインジケータ66)のための情報を電子デバイス60に伝達することができる。外科医は、(出力デバイス56および/または電子デバイス60を使用して)標的量が送達されるまで送達を継続し、量を確認し、必要に応じて薬剤を追加で送達することができる。所望の量が送達されると、外科医は、例えば従来の方法を使用して、レバー42を解放して送達を中止し、次いで注射器10を取り外すことができる。
【0052】
図6Aおよび6Bに転ずると、シリンジカートリッジ12とドライバ120とを含む注射器110の別の例示的な実施形態が示されており、これは概して前の実施形態と似ている。前の実施形態と同様に、カートリッジ12は、カートリッジ12の内部14内でスライド可能であり薬剤が充填され得る(例えば、予め充填されるか使用直前に充填される)ピストン16と、使用前にカニューレ(図示せず)を取り付け得る出口またはポート18とを含む。カートリッジ12がハウジング122の遠位領域123に挿入されると、カートリッジ12および/またはハウジング122上の1以上のコネクタが係合して、カートリッジ12と、実質的に同時に、プランジャ130のタブ135がピストン16の凹部17(または他のコネクタ)を固定することができる。さらに、カートリッジ12が挿入されたときに作動されるスイッチ(図示せず)を提供することができ、これが本明細書の他の箇所で説明するように、注射器110の電子機器を作動させることができる。
【0053】
また、前の実施形態と同様に、ドライブモジュール140が、例えばハウジング122の近位端122a内に、加圧ガスまたは他の高送出力エネルギー貯蔵装置144のキャニスタを含み、これが注射器110の初期作動時にピン143によって開かれ、キャニスタ144の周りに加圧ガスを送達して流体ピストン146に遠位力を加えるようにしてもよい。前の実施形態とは異なり、このバージョンでは、ドライバ120は、ピン143でキャニスタ144を開けるために、(本明細書の他の箇所で説明されるように、レバー142の初期作動を利用するのではなく)ねじれるか、さもなければ手動で作動される作動キャップ141を含んでいる。非圧縮性流体が、プランジャチャンバ148の内部と連絡する流体チャンバ147内に流体ピストン146を越えて提供され、レバー142の作動時に、ピン149が変位して流体経路を開き、流体がプランジャチャンバ148に入ってプランジャ130を遠位に前進させることができるようにする。
【0054】
図6Bに示すように、注射器110も前の実施形態と同様に、例えば、ハウジング122の外に光を伝送するために開口部または窓(図示せず)に隣接するハウジング122内に取り付けられた1以上のLED156aと、注射器110の使用中に視覚的および/または聴覚的信号を提供するためのスピーカ156bとを含む。例えば、LED156aおよびスピーカ156bは、バッテリ154、通信インターフェース158(例えば、ブルートゥース(商標名)または他の無線信号を送受信する図示しないアンテナを含む)に結合されたハウジング122内のプロセッサ(図示せず)に結合されてもよく、これも前の実施形態と同様である。さらに、ドライバ120はまた、例えば遠位領域123内に、ボタン、スイッチ、または他の「ウェイクアップ」アクチュエータ(図示せず)を含み、これが例えばカートリッジ12がドライバ120に装填されたときに作動し、ドライバ120の電気的構成要素を「ウェイクアップ」して、例えばバッテリ154をプロセッサおよび/または他の構成要素に接続する(例えば、注射器110が作動デバイスなしで使用される場合)ようにしてもよい。
【0055】
前の実施形態とは異なり、注射器110は、プランジャ130の変位を測定するための磁気追跡デバイスを提供する1以上のセンサ150を含む。例えば、静止磁気センサ150aが、プランジャ130に隣接するハウジング122内、例えばプランジャ130の遠位端134のすぐ近くに取り付けられる。磁気ストリップ150bがプランジャに取り付けられ、プランジャ130の遠位端と近位端134、132との間に少なくとも部分的に延在する。例えば、磁気ストリップ150bは、ストリップ150bの長さに沿って交互の極の間に所望の間隔(例えば、1mmの極間隔)を有する交互極性のストリップであり得る。プランジャ1130が軸方向に移動すると、ストリップが磁気センサ150aを越えて軸方向に移動し、磁気センサ150aがストリップ150bの軸方向変位を追跡するエンコーダのように機能し得る。これにより、プランジャ130が遠位に前進すると、磁気要素150bは磁気センサ150a沿いを通過し、プロセッサが生成された信号を処理してプランジャ130の変位を特定し、前の実施形態と同様に、例えばカートリッジ12の内部14の断面積の既知の値を使用して、注射器110から送達される薬剤の量を測定することができる。
【0056】
また、前の実施形態とは異なり、注射器110はドライバ120上に「開始」ボタンまたは他のアクチュエータ151を含み、これを(別個の作動デバイスを使用する代わりに)「開始」信号をプロセッサに通信するために使用して、本明細書の他の実施形態と同様に、例えば送達される薬剤の用量を測定するために用いることができる。
【0057】
概して、注射器110は、例えば網膜下など患者の体内に正確な用量の薬剤を送達するために、以前の実施形態と同様に使用することができる。例えば、使用の直前にカートリッジ12を充填して遠位領域123に挿入し、それによってピストン16をプランジャ130に結合し、注射器110の電子機器を作動させることができる。次いで、前の実施形態と同様に、キャップ141をひねるか他の方法で作動させてガスカートリッジを開け、ドライバ120に動力を供給し、その後にレバー142を作動させると加圧流体がプランジャ130を前進させることができる。
【0058】
次に、注射器110は、例えば患者の眼球(図示せず)に薬剤を送達する準備が整う。例えば、ポート18に結合されたカニューレ(図示せず)を患者の眼に挿入し、患者の網膜の近くに配置する。次に、アクチュエータレバー142を作動させてプランジャ130を前進させ、それによってピストン116を前進させて、薬剤を内部14から患者の眼に送達し始める。任意選択で、プロセッサが、センサ150からの信号に基づいてプランジャ130の変位を監視し、患者の眼に送達される薬剤の量をリアルタイムで計算してもよい。
【0059】
次に、薬剤を送達し続けながらカニューレを前進させて網膜を貫通させ、このときに、外科医は「開始」ボタン151を押して開始信号をプロセッサに伝達する。プロセッサはセンサ150からの信号を分析し続けて、プランジャ130のさらなる変位をモニタし、網膜下に送達された薬剤の量を特定することができる。前述のように、プロセッサは1以上の出力デバイス(例えば、LED156aおよび/またはスピーカ156b)を作動させて、薬剤送達の状態を外科医が確認できるようにする。例えば、外科医は、量を確認するために出力デバイス156からの出力の変化を用い、標的量が送達されるまで送達を継続し、任意選択で必要に応じて追加の薬剤を送達してもよい。所望の量が送達されると、外科医はレバー142を解放して送達を中止し、次いで、例えば従来の方法を使用して、注射器110を取り外すことができる。
【0060】
したがって、この実施形態では、注射器は、電子タブレット/スマートフォンから完全に独立して操作することができる。プロセッサは、例えば送達された薬剤の量および/または他の情報に関連するデータをオンボードメモリ(図示せず)に記録することができ、これは、例えば通信インターフェース158を用いて外部電子デバイスと通信し、例えばブルートゥース(商標名)または他のプロトコルを介して接続して情報をダウンロードすることによって、後で検索することができる。
【0061】
以上の例示的な実施形態の開示は、例示および説明の目的で提示されたものである。網羅的であること、または本発明を開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。本明細書に記載の実施形態の多くの変形および修正が、上記の開示に照らして当業者には明らかであろう。
【0062】
本明細書の任意の実施形態で示す要素または構成要素は、特定の実施形態の例示であり、本明細書で開示する他の実施形態で、またはそれらと組み合わせて使用できることも理解されよう。
【0063】
さらに、代表的な実施形態を説明する際に、本明細書では、方法および/またはプロセスを特定の一連のステップとして提示している場合がある。しかしながら、これらの方法またはプロセスが本明細書に記載されている特定のステップの順序に依存しない限り、方法またはプロセスは、記載された特定のステップの順序に限定されるべきではない。当業者が理解するように、これらのステップの他の順序が可能である。したがって、明細書に記載されているステップの特定の順序は、特許請求の範囲に対する制限として解釈されるべきではない。
【0064】
本発明は様々な変更例および代替形態とすることができるが、そのうちの特定の例が図示され、本明細書に詳細に記載されている。しかしながら、本発明は、開示された特定の形態または方法に限定されるべきではなく、逆に、本発明は添付の特許請求の範囲に含まれるすべての変更例、均等物、および代替物を網羅することを理解されたい。

図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
【国際調査報告】