IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オルカ バイオシステムズ インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特表-細胞層調製のためのメッシュ 図1
  • 特表-細胞層調製のためのメッシュ 図2A
  • 特表-細胞層調製のためのメッシュ 図2B
  • 特表-細胞層調製のためのメッシュ 図3
  • 特表-細胞層調製のためのメッシュ 図4
  • 特表-細胞層調製のためのメッシュ 図5
  • 特表-細胞層調製のためのメッシュ 図6
  • 特表-細胞層調製のためのメッシュ 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-14
(54)【発明の名称】細胞層調製のためのメッシュ
(51)【国際特許分類】
   C12M 3/04 20060101AFI20221107BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20221107BHJP
   C12M 1/26 20060101ALI20221107BHJP
   C12N 5/00 20060101ALN20221107BHJP
【FI】
C12M3/04 Z
C12M1/00 A
C12M1/26
C12N5/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515696
(86)(22)【出願日】2020-09-09
(85)【翻訳文提出日】2022-05-06
(86)【国際出願番号】 US2020050004
(87)【国際公開番号】W WO2021050597
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】62/898,357
(32)【優先日】2019-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519169339
【氏名又は名称】オルカ バイオシステムズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】パン, チョン
(72)【発明者】
【氏名】フセイン, サイエド
(72)【発明者】
【氏名】プラダン, ラグナジート
(72)【発明者】
【氏名】ハレル, エフラット
(72)【発明者】
【氏名】ディモフ, イヴァン ケー.
(72)【発明者】
【氏名】ハント, コルム
(72)【発明者】
【氏名】ドン, ウェスリー
【テーマコード(参考)】
4B029
4B065
【Fターム(参考)】
4B029AA27
4B029BB11
4B029DG10
4B029GA08
4B029GB05
4B029GB09
4B029GB10
4B029HA02
4B029HA10
4B065AA90X
4B065BC50
4B065CA46
(57)【要約】
細胞または粒子の単層アレイを作り出す方法およびデバイスが、記載され、ハイスループット細胞分取および分析または他の粒子分取用途のために使用され得る。細胞装填システムが、記載され、システムは、表面にわたるランダムまたは繰り返しパターンにおいて配置された複数の孔を有する多孔質メッシュを備えている。多孔質メッシュは、標的粒子(例えば、細胞)の層を調製するために使用され、標的粒子は、メッシュ上またはメッシュ内の二次元構成において分配され、間隔を置かれている。メッシュ内の複数の孔の各々は、標的粒子を含む流体がメッシュの表面上に分注されると、標的粒子を受け取り、粒子が通過することを可能にするように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子装填システムであって、
該粒子装填システムは、多孔質メッシュを備え、該多孔質メッシュは、該メッシュの表面にわたる繰り返しパターンにおいて配置された複数の孔を有し、該表面は、第一の表面と、該第一の表面の反対側にある第二の表面とを備え、
該メッシュは、標的粒子の層を調製するために使用され、該標的粒子は、該メッシュ上で二次元構成において分配され、間隔を置かれ、
該メッシュの該複数の孔の各々は、標的粒子を含む流体が該メッシュの該第一の表面上に分注されると、該標的粒子を受け取り、該粒子が通過することを可能にするように構成されている、粒子装填システム。
【請求項2】
前記繰り返しパターンは、クロスハッチパターンを備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数の孔の各々は、所与の例において、多くとも1つの標的粒子を受け取り、該多くとも1つの標的粒子が前記メッシュの前記第一の表面から前記第二の表面に通過することを可能にするように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記標的粒子の層は、前記流体と前記複数の孔との間の表面張力によって一緒にされている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記標的粒子の層は、前記メッシュ上で二次元構成において分配され、間隔を置かれている細胞の1つ以上の単層を備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記メッシュの前記第二の表面に接触するように構成されている流体分配装置をさらに備え、該接触は、前記複数の孔の遠位端の上に前記流体を分配し、前記標的粒子の層の前記調製を補助する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記流体分配装置は、前記標的粒子の層が前記流体の層において一緒にされるようにするように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記流体分配装置は、前記メッシュの前記第二の表面を横切るように該メッシュの一端から該メッシュの反対端に平行移動するように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記メッシュの前記第二の表面が、前記流体分配装置に沿って、該メッシュの一端から該メッシュの反対端に平行移動するように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記流体分配装置と前記メッシュの前記第二の表面との間の接触力は、約0.01Nから約0.03Nに及ぶ、請求項6に記載のシステム。
【請求項11】
前記流体分配装置は、半円筒形ローラー、円筒形ローラー、およびスキージブレードからなるグループから選択された分散要素を備えている、請求項6に記載のシステム。
【請求項12】
前記メッシュは、可撓素材で作られている、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記メッシュは、前記標的粒子を含む前記流体が該メッシュの前記第一の表面上に分注されるとき、支持枠によって張力状態に保たれる、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記メッシュは、(1)該メッシュの前記第一の表面上に分注された前記流体の体積と、(2)前記支持枠によって提供されている前記メッシュにおける張力とに応じて、異なる量、撓むことが可能である、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記支持枠に結合された1つ以上の分注ポートをさらに備え、該1つ以上の分注ポートは、前記メッシュの1つ以上の縁において前記標的粒子を含む前記流体を分注するように構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記1つ以上の分注ポートは、前記メッシュの選択された縁において前記標的粒子を含む前記流体を分注するように構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記メッシュは、前記標的粒子を含む前記流体が該メッシュ上に分注されるとき、ある傾斜角で傾けられるように構成されている、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記メッシュは、重力に逆らって毛細管現象を介して該メッシュを横切るように前記標的粒子を含む前記流体を移動させるために前記傾斜角で傾けられる、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記毛細管現象を介した前記メッシュを横切る前記流体の前記移動は、前記標的粒子の層内の気泡を減少させることにおいて補助する、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記傾斜角は、前記メッシュの前記選択された縁と水平平面との間で定義され、約2度から約10度に及ぶ、請求項17に記載のシステム。
【請求項21】
前記複数の孔の各々は、約30μmの直径を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記複数の孔における孔は、縁から縁まで、約0.01mmから1mmまでの距離、間隔を置かれている、請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
前記メッシュは、前記標的粒子を検出および分取するために使用されるカセットの近位に設置されるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
前記メッシュの前記第二の表面が、前記カセットと整列するように構成されている、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記標的粒子の層を前記メッシュから前記カセット内の複数のマイクロチャネルに移送するように構成されている移送装置をさらに備えている、請求項23に記載のシステム。
【請求項26】
前記移送装置は、真空吸引要素を備えている、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
流体を前記メッシュ上に分注するように構成されている圧縮性培地をさらに備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項28】
粒子装填方法であって、該粒子装填方法は、
多孔質メッシュを提供することであって、該多孔質メッシュは、該メッシュの表面にわたる繰り返しパターンにおいて配置された複数の孔を有し、該表面は、第一の表面と、該第一の表面の反対側にある第二の表面とを備えている、ことと、
複数の標的粒子を含む流体を該メッシュの該第一の表面上に分注し、それによって、該標的粒子を含む該流体に該メッシュを横切るように流動させ、該メッシュ上で二次元構成において分配され、間隔を置かれている標的粒子の層を形成することと
を含み、
該メッシュの該複数の孔の各々は、標的粒子を受け取り、該標的粒子が通過することを可能にするように構成されている、粒子装填方法。
【請求項29】
前記標的粒子は、細胞である、請求項28に記載の粒子装填方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(相互参照)
本出願は、2019年9月10日に出願された米国仮特許出願第62/898,357号の利益を主張し、米国仮特許出願第62/898,357号は、その全体を参照によって本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
(背景)
例えば米国特許出願公開第2018/0353960A1号に記載されているような細胞分取デバイスは、細胞または粒子懸濁液を含む流体がデバイス上に分注されたときに細胞または粒子を受け取るための複数のマイクロチャネルを備え得る。流体は、平面構成において、デバイスの上を流され得る。マイクロチャネル内への細胞の移送中、細胞のいくつかは、マイクロチャネル内の所望の位置に位置していないこともある。例えば、細胞は、マイクロチャネルの遠位端ではなく近位端に位置し得、近位端に付着させられ得る。いくつかの例では、マイクロチャネルは、2つ以上の細胞で乱雑になり得、それは、その後のマイクロチャネルからの細胞の解放に影響し得る。他の例では、マイクロチャネルは、マイクロチャネルの孔における細胞の密集に起因して、細胞を全く含まないこともある。従って、ハイスループット細胞分取および分析または他の粒子分取用途における収率および信頼度を改良できる細胞分取デバイスとの使用のための、分配された細胞または粒子の単層アレイを生成できる方法およびデバイスへのニーズが、存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/0353960号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(概要)
本明細書に記載のデバイスおよび方法は、少なくとも上述のニーズに対処し得る。粒子装填システムが、本明細書に開示され、粒子装填システムは、多孔質メッシュを備え、多孔質メッシュは、当該メッシュの表面にわたる繰り返しパターンにおいて配置された複数の孔を有し、当該表面は、第一の表面と、第一の表面の反対側にある第二の表面とを備え、メッシュは、標的粒子の層を調製するために使用され、標的粒子は、当該メッシュ上で二次元構成において分配され、間隔を置かれ、メッシュの複数の孔の各々は、標的粒子を含む流体がメッシュの第一の表面上に分注されると、標的粒子を受け取り、粒子が通過することを可能にするように構成されている。
【0005】
いくつかの実施形態では、繰り返しパターンは、クロスハッチパターンを備えている。いくつかの実施形態では、複数の孔の各々は、所与の例において、多くとも1つの標的粒子を受け取り、多くとも1つの標的粒子がメッシュの第一の表面から第二の表面に通過することを可能にするように構成されている。いくつかの実施形態では、標的粒子の層は、流体と複数の孔との間の表面張力によって一緒にされている。いくつかの実施形態では、標的粒子の層は、メッシュ上で二次元構成において分配され、間隔を置かれている細胞の1つ以上の単層を備えている。いくつかの実施形態では、システムは、メッシュの第二の表面に接触するように構成されている流体分配装置をさらに備え、当該接触は、複数の孔の遠位端の上に流体を分配し、標的粒子の層の調製を補助する。いくつかの実施形態では、流体分配装置は、標的粒子の層が流体の層において一緒にされるようにするように構成されている。いくつかの実施形態では、流体分配装置は、メッシュの第二の表面を横切るようにメッシュの一端からメッシュの反対端に平行移動するように構成されている。いくつかの実施形態では、メッシュの第二の表面が、流体分配装置に沿って、メッシュの一端からメッシュの反対端に平行移動するように構成されている。いくつかの実施形態では、流体分配装置とメッシュの第二の表面との間の接触力は、約0.01Nから約0.03Nに及ぶ。いくつかの実施形態では、流体分配装置は、半円筒形ローラー、円筒形ローラー、およびスキージブレードからなるグループから選択された分散要素を備えている。いくつかの実施形態では、メッシュは、可撓素材で作られている。いくつかの実施形態では、メッシュは、標的粒子を含む流体がメッシュの第一の表面上に分注されるとき、支持枠によって張力状態に保たれる。いくつかの実施形態では、メッシュは、(1)メッシュの第一の表面上に分注された流体の体積と、(2)支持枠によって提供されているメッシュにおける張力とに応じて、異なる量、撓むことが可能である。いくつかの実施形態では、システムは、支持枠に結合された1つ以上の分注ポートをさらに備え、メッシュの1つ以上の縁において標的粒子を含む流体を分注するように構成されている。いくつかの実施形態では、1つ以上の分注ポートは、メッシュの選択された縁において標的粒子を含む流体を分注するように構成されている。いくつかの実施形態では、メッシュは、標的粒子を含む流体がメッシュ上に分注されるとき、ある傾斜角で傾けられるように構成されている。いくつかの実施形態では、メッシュは、重力に逆らって毛細管現象を介してメッシュを横切るように標的粒子を含む流体を移動させるために傾斜角で傾けられる。いくつかの実施形態では、毛細管現象を介したメッシュを横切る流体の移動は、標的粒子の層内の気泡を減少させることにおいて補助する。いくつかの実施形態では、傾斜角は、メッシュの選択された縁と水平平面との間で定義され、約2度から約10度に及ぶ。いくつかの実施形態では、複数の孔の各々は、約30μmの直径を有する。いくつかの実施形態では、複数の孔における孔は、縁から縁まで、約0.01から1mmまでの距離、間隔を置かれている。いくつかの実施形態では、メッシュは、標的粒子を検出および分取するために使用されるカセットの近位に設置されるように構成されている。いくつかの実施形態では、メッシュの第二の表面が、カセットと整列するように構成されている。いくつかの実施形態では、システムは、標的粒子の層をメッシュからカセット内の複数のマイクロチャネルに移送するように構成されている移送装置をさらに備えている。いくつかの実施形態では、移送装置は、真空吸引要素を備えている。
【0006】
粒子装填方法も、本明細書に開示され、粒子装填方法は、多孔質メッシュを提供することであって、多孔質メッシュは、当該メッシュの表面にわたる繰り返しパターンにおいて配置された複数の孔を有し、当該表面は、第一の表面と、第一の表面の反対側にある第二の表面とを備えている、ことと、複数の標的粒子を含む流体をメッシュの第一の表面上に分注し、それによって、当該標的粒子を含む当該流体を当該メッシュを横切るように流動させ、当該メッシュ上で二次元構成において分配され、間隔を置かれている標的粒子の層を形成することとを含み、メッシュの複数の孔の各々は、標的粒子を受け取り、標的粒子が通過することを可能にするように構成されている。いくつかの実施形態では、標的粒子は、細胞である。
【0007】
(参照による援用)
本明細書中で言及される全ての公報、特許、および特許出願は、各個々の公報、特許、または特許出願がその全体を参照によって援用されることを具体的かつ個々に示されている場合と同程度に、それらの全体を参照によって本明細書中に援用される。本明細書中の用語と援用される参考文献との間に齟齬がある場合、本明細書中の用語が支配的である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
(図面の簡単な説明)
本発明の新規特徴が、付属の特許請求の範囲において具体性を伴って記載される。本明細書の原理が利用される例示的実施形態を記載している以下の詳細な説明と付属の図面との参照によって、本発明の特徴および利点のより良い理解が、得られるであろう。
【0009】
図1図1は、本開示の多孔質メッシュデバイスの概略的断面図を示している。
【0010】
図2A図2Aは、支持枠を備えた試作の多孔質メッシュデバイスの写真を示している。
【0011】
図2B図2Bは、多孔質メッシュデバイス内の細孔の異なる例示的パターンを示している。
【0012】
図3図3は、米国特許出願公開第2018/0353960A1号に記載されているような細胞または粒子を分取するためのマイクロチャネルプレートデバイスの構成要素を図示している。
【0013】
図4図4は、細胞を単層に分離するための本開示の多孔質メッシュデバイスの使用を図示しており、単層は、次に、マイクロチャネルプレートデバイスに移送され得る。
【0014】
図5図5は、マイクロチャネル内の流体中に留められている単細胞を図示している。
【0015】
図6図6は、細胞を分離するための本開示の多孔質メッシュデバイスの使用を図示している。
【0016】
図7図7は、本開示の多孔質メッシュデバイスの性能を表している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(詳細な説明)
個々の細胞もしくは他の粒子の層を調製するためのメッシュ式デバイス、ならびにそれらの使用のための方法およびシステムが、本明細書に記載される。いくつかの例では、デバイスは、その表面にわたるランダムまたは繰り返しパターンにおいて配置された複数の細孔または孔を有する実質的に平面の多孔質メッシュ(または膜)を備え得、細孔は、メッシュの厚みに及び、メッシュの上面(もしくは第一の表面)ならびに下面(もしくは第二の表面)と流体連通している。メッシュの上面にわたって流体を分注および/または分散させ、毛細管現象が細孔に充填することを可能にすることによって、メッシュは、細胞懸濁液または他の粒子懸濁液を含む流体を装填され得る。いくつかの例では、細孔の寸法は、単細胞または単粒子のみが細孔を通過し得るようにサイズ決めされ得る。メッシュデバイスの複数の細孔内への細胞または粒子のウィッキングの結果として、分離され、間隔を置かれている個々の細胞または粒子の二次元層が、分配された態様でメッシュの下面上に、または下面内に形成される。いくつかの例では、形成された分離され、間隔を置かれている個々の細胞または粒子の層は、分離され、間隔を置かれている単細胞または単粒子の二次元単層を備え得る。いくつかの例では、分離され、間隔を置かれている個々の細胞または粒子の層は、細胞または粒子のイメージングおよび分析の用途(例えば、細胞形態学の研究または細胞表面バイオマーカーの研究)における使用のために、その後、基板(例えば、平面ガラスもしくはポリマー基板)上に堆積させられ得るか、または基板に移送され得る。いくつかの例では、メッシュデバイスは、任意の細胞または粒子のためのプレスクリーンデバイスとして使用され得、分離され、間隔を置かれている細胞または粒子の層は、その後、メッシュから、例えば、米国特許出願公開第2018/0353960A1号に記載されているような細胞または粒子分取装置の中に移送され得る。
【0018】
前述のように、本開示は、分取および分析用途における使用のために細胞または他の粒子を二次元アレイに分離する方法、デバイス、方法、およびシステムを提供する。いくつかの例では、開示される方法、デバイス、方法、およびシステムは、細胞または他の粒子を「2.5次元」アレイに分離するために使用され得、「2.5次元」アレイでは、例えば、メッシュは、例えば細胞または粒子の交互の行または列が実質的に二次元のアレイに対して鉛直な方向にわずかにずらされているような「2.5D」表面トポロジーを有する。本明細書に記載の方法、デバイス、およびシステムの様々な局面が、下で記述される具体的な用途のうちの任意のものに適用され得、または、当業者に知られている任意の他のタイプの関連用途に適用され得る。開示される方法、デバイス、およびシステムの異なる局面は、個々に、集合的に、または互いとの組み合わせにおいて解釈され得ることを理解されたい。
【0019】
(定義)
別様に定義されている場合を除いて、本明細書中で使用される技術用語の全ては、本開示が属する分野における当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0020】
本明細書および付属の特許請求の範囲において使用される場合、単数形(“a”,“an”, and “the”)は、文脈が明らかに別のことを記述している場合を除いて、複数指示(plural reference)を含む。本明細書におけるいずれの「または」(“or”)の参照も、別のことが述べられている場合を除いて、「および/または」(“and/or”)を包含することが意図されている。
【0021】
本明細書中で使用される場合、「約」数字という用語は、その数字±10%の数字を指す。「約」という用語は、範囲の文脈において使用されるとき、その最も低い値-10%からその最も大きな値+10%までの範囲を指す。
【0022】
(細胞および他の粒子)
本明細書中で使用される場合、「細胞」という用語は、当業者に知られている多様な細胞のうちの任意のものを指し得る。いくつかの局面では、「細胞」という用語は、任意の付着性もしくは非付着性真核細胞、哺乳類細胞、初代もしくは不死化ヒト細胞もしくは細胞株、初代もしくは不死化げっ歯類細胞もしくは細胞株、がん細胞、正常もしくは異常(diseased)ヒト細胞(それらは、多様な異なる器官もしくは組織型(例えば、白血球、赤血球、血小板、上皮細胞、内皮細胞、ニューロン、グリア細胞、アストロサイト、線維芽細胞、骨格筋細胞、平滑筋細胞、配偶子、もしくは心臓、肺、脳、肝臓、腎臓、脾臓、膵臓、胸腺、膀胱、胃、大腸、小腸からの細胞)のうちの任意のものから採取される)を有し得、免疫細胞、CD8T細胞、CD4T細胞、CD44high/CD24lowがん幹細胞、Lgr5/6幹細胞、未分化ヒト幹細胞、分化誘導されているヒト幹細胞、希少細胞(例えば、循環腫瘍細胞(CTC)、循環上皮細胞、循環内皮細胞、循環子宮内膜細胞、骨髄細胞、前駆細胞、泡沫細胞、間葉系細胞、もしくは栄養膜)などの別の細胞サブセットを有し得、動物細胞(例えば、マウス、ラット、ブタ、イヌ、ウシ、もしくはウマ)、植物細胞、酵母細胞、真菌細胞、細菌細胞、藻類細胞、付着性もしくは非付着性原核細胞を有し得、または、複数形において、それらの任意の組み合わせを有し得る。いくつかの局面では、「細胞」という用語は、免疫細胞を指し得、例えば、T細胞、細胞傷害性(キラー)T細胞、ヘルパーT細胞、アルファベータT細胞、ガンマデルタT細胞、T細胞先駆細胞、B細胞、B細胞先駆細胞、ナチュラルキラー細胞、形質細胞、記憶細胞、好中球、好酸球、好塩基球、マスト細胞、単球、樹状細胞、および/もしくはマクロファージを指し得、または、複数形において、それらの任意の組み合わせを指し得る。
【0023】
いくつかの例では、開示される方法、デバイス、およびシステムは、細胞以外の粒子の二次元層を分離するために、および、それを作り出すために使用され得る。例は、限定されないが、脂質小胞、細胞外小胞、微粒子、マイクロビーズ、化学合成樹脂粒子、ガラス微小球、ポリマー微小球、金属微小球、セラミック微小球などを含み、または、それらの任意の組み合わせを含む。
【0024】
いくつかの例では、開示される方法およびデバイスが使用され得る細胞または粒子の平均直径または寸法は、約0.5μmから約0.5mmに及び得る。いくつかの例では、細胞または粒子の平均直径または寸法は、少なくとも0.5μm、少なくとも1μm、少なくとも2μm、少なくとも3μm、少なくとも4μm、少なくとも5μm、少なくとも6μm、少なくとも7μm、少なくとも8μm、少なくとも9μm、少なくとも10μm、少なくとも20μm、少なくとも30μm、少なくとも40μm、少なくとも50μm、少なくとも60μm、少なくとも70μm、少なくとも80μm、少なくとも90μm、少なくとも0.1mm、少なくとも0.2mm、少なくとも0.3mm、少なくとも0.4mm、または少なくとも0.5mmであり得る。いくつかの例では、細胞または粒子の平均直径または寸法は、最大0.5mm、最大0.4mm、最大0.3mm、最大0.2mm、最大0.1mm、最大90μm、最大80μm、最大70μm、最大60μm、最大50μm、最大40μm、最大30μm、最大20μm、最大10μm、最大9μm、最大8μm、最大7μm、最大6μm、最大5μm、最大4μm、最大3μm、最大2μm、最大1μm、または最大0.5μmであり得る。この段落に記載された下限値および上限値のうちの任意のものが、本開示内に含まれる範囲を形成するように組み合わされ得、例えば、いくつかの例では、細胞または粒子の平均直径または寸法は、約5μmから約40μmに及び得る。いくつかの例では、細胞または粒子の平均直径または寸法は、この範囲内の任意の値(例えば、約12.4μm)を有し得る。
【0025】
(メッシュ素材および気孔率)
開示されるデバイスは、当業者に知られている多様な可撓素材または堅い素材のうちの任意のものから作製され得る多孔質メッシュまたは膜を備えている(例えば、約0.1×10N/cmから約200×10N/cmに及ぶか、またはそれより高い)。いくつかの例では、メッシュは、少なくとも0.1×10N/cm、少なくとも0.5×10N/cm、少なくとも1×10N/cm、少なくとも5×10N/cm、少なくとも10×10N/cm、少なくとも50×10N/cm、少なくとも100×10N/cm、少なくとも150×10N/cm、または少なくとも200×10N/cmのヤング率を備えた素材から作製され得る。いくつかの例では、素材の選定は、素材の特性(例えば、親水性、疎水性、または滞化学性)に依存し得る。いくつかの例では、使用される素材の選定は、作製技術の選定に依存し得、その逆もあり得る。いくつかの例では、メッシュは、例えば、ガラス、シリコン、セラミック、金属(例えば、ステンレス鋼メッシュ)、炭素繊維、またはポリマー素材から作製され得る。好適なポリマー素材の例は、限定されないが、ポリジメチルシロキサン(PDMS、エラストマー)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリフッ素化したポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、環状オレフィンポリマー(COP)、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、エポキシ樹脂、テフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))などの非接着素材、SU8などのフォトレジストもしくは任意の他の厚膜フォトレジスト、またはこれらの素材の任意の組み合わせを含む。好適なメッシュ素材の例は、限定されないが、ステンレス鋼、アルミニウム、または銅を含む。
【0026】
多孔質メッシュまたは膜は、当業者に知られている多様な技術のうちの任意のものを使用して作成され得る(それらが多孔質メッシュ設計の特徴次元および多孔質メッシュが作製される素材と適合性があることを前提とする)。好適な作製技術の例は、限定されないが、織り、フォトリソグラフィでパターン化され、エッチングされたシリコンもしくは金属マスターを使用したポリマー微細成形、三次元(3D)プリント、リソグラフィのパターン化および湿式化学エッチング、乾式エッチング、深堀反応性イオンエッチング、レーザー微細機械加工などを含む。
【0027】
いくつかの例では、多孔質メッシュは、二次元における多様な規則的または不規則的(アモルファス)形状(例えば、円、正方形、長方形、三角形、五角形、六角形など)のうちの任意のものを備え得る。いくつかの例では、多孔質メッシュの直径または最も長い寸法(長さもしくは幅など)は、約1cmから約40cmに及び得る。いくつかの例では、多孔質メッシュの直径または最も長い寸法は、少なくとも1cm、少なくとも2cm、少なくとも3cm、少なくとも4cm、少なくとも5cm、少なくとも6cm、少なくとも7cm、少なくとも8cm、少なくとも9cm、少なくとも10cm、少なくとも15cm、少なくとも20cm、少なくとも25cm、少なくとも30cm、少なくとも35cm、または少なくとも40cmであり得る。いくつかの例では、多孔質メッシュの直径または最も長い寸法は、最大40cm、最大35cm、最大30cm、最大25cm、最大20cm、最大15cm、最大10cm、最大9cm、最大8cm、最大7cm、最大6cm、最大5cm、最大4cm、最大3cm、最大2cm、または最大1cmであり得る。この段落に記載された下限値および上限値のうちの任意のものが、本開示内に含まれる範囲を形成するように組み合わされ得、例えば、いくつかの例では、多孔質メッシュの直径または最も長い寸法は、約3cmから約15cmに及び得る。いくつかの例では、多孔質メッシュの直径または最も長い寸法は、この範囲内の任意の値(例えば、約18.5cm)を有し得る。
【0028】
いくつかの例では、多孔質メッシュは、約0.01mmから約10mmに及ぶ厚みを有し得る。いくつかの例では、多孔質メッシュは、約0.01mmから約1mmに及ぶ厚みを有し得る。いくつかの例では、多孔質メッシュの厚みは、少なくとも0.01mm、少なくとも0.05mm、少なくとも0.1mm、少なくとも0.2mm、少なくとも0.3mm、少なくとも0.4mm、少なくとも0.5mm、少なくとも0.6mm、少なくとも0.7mm、少なくとも0.8mm、少なくとも0.9mm、少なくとも1.0mm、少なくとも2.0mm、少なくとも3.0mm、少なくとも4.0mm、少なくとも5.0mm、少なくとも6.0mm、少なくとも7.0mm、少なくとも8.0mm、少なくとも9.0mm、または少なくとも10.0mmであり得る。いくつかの例では、多孔質メッシュの厚みは、最大10.0mm、最大9.0mm、最大8.0mm、最大7.0mm、最大6.0mm、最大5.0mm、最大4.0mm、最大3.0mm、最大2.0mm、最大1.0mm、最大0.9mm、最大0.8mm、最大0.7mm、最大0.6mm、最大0.5mm、最大0.4mm、最大0.3mm、最大0.2mm、最大0.1mm、最大0.05mm、または最大0.01mmであり得る。この段落に記載された下限値および上限値のうちの任意のものが、本開示内に含まれる範囲を形成するように組み合わされ得、例えば、いくつかの例では、多孔質メッシュの厚みは、約0.2mmから約0.8mmに及び得る。いくつかの例では、多孔質メッシュの厚みは、約0.5mmから約5.0mmに及び得る。いくつかの例では、多孔質メッシュの厚みは、この範囲内の任意の値(例えば、約0.15mm)を有し得る。
【0029】
いくつかの例では、開示されるデバイスの多孔質メッシュは、メッシュの表面にわたる細孔または孔の任意のランダムまたは非ランダムパターンを備え得る。細孔または孔の非ランダムパターンの例は、限定されないが、正方形グリッド、長方形グリッド、三角形グリッド、六角形グリッド、クロスハッチ、または細孔もしくは孔の任意の他のパターンもしくは分布を含む。いくつかの例では、メッシュの単位面積あたりの細孔または孔の数は、mmあたり約1からmmあたり約200に及び得る。いくつかの例では、メッシュの単位面積あたりの細孔または孔の数は、mmあたり少なくとも1、mmあたり少なくとも10、mmあたり少なくとも20、mmあたり少なくとも30、mmあたり少なくとも40、mmあたり少なくとも50、mmあたり少なくとも60、mmあたり少なくとも70、mmあたり少なくとも80、mmあたり少なくとも90、mmあたり少なくとも100、mmあたり少なくとも120、mmあたり少なくとも140、mmあたり少なくとも160、mmあたり少なくとも180、またはmmあたり少なくとも200であり得る。いくつかの例では、メッシュの単位面積あたりの細孔または孔の数は、mmあたり多くとも200、mmあたり多くとも180、mmあたり多くとも160、mmあたり多くとも140、mmあたり多くとも120、mmあたり多くとも100、mmあたり多くとも90、mmあたり多くとも80、mmあたり多くとも70、mmあたり多くとも60、mmあたり多くとも50、mmあたり多くとも40、mmあたり多くとも30、mmあたり多くとも20、mmあたり多くとも10、またはmmあたり多くとも1であり得る。この段落に記載された下限値および上限値のうちの任意のものが、本開示内に含まれる範囲を形成するように組み合わされ得、例えば、いくつかの例では、メッシュの単位面積あたりの細孔または孔の数は、mmあたり約10からmmあたり約160に及び得る。いくつかの例では、メッシュの単位面積あたりの細孔または孔の数は、この範囲内の任意の値(例えば、mmあたり約104)を有し得る。いくつかの例では、メッシュの単位面積あたりの細孔または孔の数は、メッシュまたは膜の表面にわたって変動し得る。
【0030】
いくつかの例では、メッシュ内の細孔または孔は、二次元における多様な断面形状(例えば、円、正方形、長方形、三角形、五角形、六角形など)のうちの任意のものを備え得る。いくつかの例では、細孔または孔の直径または最も長い断面寸法は、約5μmから約500μmに及び得る。いくつかの例では、細孔または孔の直径または最も長い断面寸法は、少なくとも5μm、少なくとも10μm、少なくとも15μm、少なくとも20μm、少なくとも25μm、少なくとも30μm、少なくとも35μm、少なくとも40μm、少なくとも45μm、少なくとも50μm、少なくとも75μm、少なくとも100μm、少なくとも200μm、少なくとも300μm、少なくとも400μm、または少なくとも500μmであり得る。いくつかの例では、細孔または孔の直径または最も長い断面寸法は、最大500μm、最大400μm、最大300μm、最大200μm、最大100μm、最大75μm、最大50μm、最大45μm、最大40μm、最大35μm、最大30μm、最大25μm、最大20μm、最大15μm、最大10μm、または最大5μmであり得る。この段落に記載された下限値および上限値のうちの任意のものが、本開示内に含まれる範囲を形成するように組み合わされ得、例えば、いくつかの例では、細孔または孔の直径または最も長い断面寸法は、約10μmから約200μmに及び得る。いくつかの例では、細孔または孔の直径または最も長い断面寸法は、この範囲内の任意の値(例えば、約28.5μm)を有し得る。いくつかの例では、細孔または孔の直径または最も長い断面寸法は、メッシュまたは膜の表面にわたって変動し得る。いくつかの例では、メッシュまたは膜は、異なる直径または最も長い断面寸法を有する細孔または孔の1、2、3、4、または5、またはそれより多くのサブセットを備え得る。いくつかの例では、粒子(例えば、ビーズ)が懸濁されている流体の表面張力は、細孔の直径が大きすぎる場合、初めは、細孔の底にメニスカスを形成するほど十分に強くないこともある。これらの例では、その表面張力および/または他の流体特性を修正するための流体組成のさらなる最適化が、より大きな細孔直径の使用を可能にし得る。いくつかの例では、メッシュ110は、部分的にシーリングまたはコーティングされ得る。例えば、メッシュ110の少なくとも1つの縁が、シーリングされ得る。いくつかの例では、メッシュのパラメータは、部分的にシーリングされている。いくつかの例では、メッシュ110は、部分的にシーリングされていない。いくつかの例では、メッシュ110の中央部分は、部分的にシーリングされていない。
【0031】
いくつかの例では、隣接する細孔または孔間の中心から中心までの間隔(「ピッチ」)距離または縁から縁までの分離距離は、約5μmから約500μmに及び得る。いくつかの例では、中心から中心までの間隔(「ピッチ」)距離または縁から縁までの分離距離は、少なくとも5μm、少なくとも10μm、少なくとも15μm、少なくとも20μm、少なくとも25μm、少なくとも30μm、少なくとも35μm、少なくとも40μm、少なくとも45μm、少なくとも50μm、少なくとも75μm、少なくとも100μm、少なくとも200μm、少なくとも300μm、少なくとも400μm、または少なくとも500μmであり得る。いくつかの例では、中心から中心までの間隔(「ピッチ」)距離または縁から縁までの分離距離は、最大500μm、最大400μm、最大300μm、最大200μm、最大100μm、最大75μm、最大50μm、最大45μm、最大40μm、最大35μm、最大30μm、最大25μm、最大20μm、最大15μm、最大10μm、または最大5μmであり得る。この段落に記載された下限値および上限値のうちの任意のものが、本開示内に含まれる範囲を形成するように組み合わされ得、例えば、いくつかの例では、中心から中心までの間隔(「ピッチ」)距離または縁から縁までの分離距離は、約20μmから約75μmに及び得る。いくつかの例では、中心から中心までの間隔(「ピッチ」)距離または縁から縁までの分離距離は、この範囲内の任意の値(例えば、約12.5μm)を有し得る。いくつかの例では、中心から中心までの間隔(「ピッチ」)距離または縁から縁までの分離距離は、メッシュまたは膜の表面にわたって変動し得る。
【0032】
一般に、細孔または孔の長さ(または高さ)は、メッシュまたは膜の厚みと等しくあり得る。いくつかの例では、細孔または孔の断面積は、それらの長さ全体にわたって一定であり得る。いくつかの例では、細孔または孔の断面積は、それらの長さにおいて変動し得る。例えば、いくつかの例では、細孔または孔の入口および/または出口は、メッシュの上面および/または下面における細孔の断面積がメッシュの中点における断面積より大きくあるようにテーパー上であり得る。
【0033】
(支持枠の設計および作製)
図1は、本開示の多孔質メッシュデバイス100の断面の図示を提供している。いくつかの例では、多孔質メッシュ110は、図1に図示されているような剛体または半剛体支持枠120の中に取り付けられ得る。枠は、多孔質メッシュの簡便な取り扱いを提供し、他の細胞または粒子分取および分析装置とのデバイスの整列および連結を促進する。いくつかの例では、支持枠は、例えば、剛体枠の中に取り付けられた可撓ポリマーメッシュにおける指定されたレベルの張力を維持するように設計され得る。いくつかの例では、メッシュに加えられた張力は、約10ニュートンから約300ニュートンに及び得る。いくつかの例では、加えられる張力は、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも120、少なくとも140、少なくとも160、少なくとも180、少なくとも200、少なくとも220、少なくとも240、少なくとも260、少なくとも280、または少なくとも300ニュートンであり得る。いくつかの例では、加えられる張力は、最大300、最大280、最大260、最大240、最大220、最大200、最大180、最大160、最大140、最大120、最大100、最大90、最大80、最大70、最大60、最大50、最大40、最大30、最大20、または最大10ニュートンであり得る。この段落に記載された下限値および上限値のうちの任意のものが、本開示内に含まれる範囲を形成するように組み合わされ得、例えば、いくつかの例では、加えられる張力は、約30ニュートンから約180ニュートンに及び得る。当業者は、いくつかの例において、加えられる張力がこの範囲内の任意の値(例えば、約126ニュートン)を有し得ることを認識するであろう。
【0034】
いくつかの例では、支持枠は、メッシュの張力を調製または制御するための張力機構を備え得る。張力機構の例は、限定されないが、ネジ、バネなどを含む。いくつかの例では、支持枠は、メッシュにわたって均一な張力を加えるように構成され得る。いくつかの例では、支持枠によって加えられる張力は、(細孔の伸張を通した)細孔のサイズおよび/またはメッシュの平面性にわずかに影響し得る。いくつかの例では、支持枠は、2つ以上の分注ポート130を備え得、分注ポート130では、細胞懸濁液または粒子懸濁液が、懸濁流体がメッシュの上面を横切るように流動し、それによって、単細胞または単粒子をメッシュ内の細孔に充填するように堆積させられ得る。いくつかの例では、細胞懸濁液または粒子懸濁液の分注が、メッシュの表面を横断するフローフロントを形成するために2つ以上の分注ポートにおいて同時に、または順次に実施され得る。いくつかの例では、各分注ポートからの流体分注率は、少なくとも0.01ml/分、少なくとも0.1ml/分、少なくとも1ml/分、少なくとも10ml/分、少なくとも20ml/分、少なくとも30ml/分、少なくとも40ml/分、少なくとも50ml/分、少なくとも60ml/分、少なくとも70ml/分、少なくとも80ml/分、少なくとも90ml/分、少なくとも100ml/分、少なくとも200ml/分、少なくとも300ml/分、少なくとも400ml/分、または少なくとも500ml/分であり得る。いくつかの例では、メッシュの表面を横切るように流動する流体フロントの速度は、少なくとも1mm/秒、少なくとも5mm/秒、少なくとも10mm/秒、少なくとも20mm/秒、少なくとも30mm/秒、少なくとも40mm/秒、少なくとも50mm/秒、少なくとも60mm/秒、少なくとも70mm/秒、少なくとも80mm/秒、少なくとも90mm/秒、または少なくとも100mm/秒であり得る。いくつかの例では支持枠は、1、2、3、4、5、6、またはそれより多くの分注ポート130を備え得る。支持枠を備えた試作の多孔質メッシュデバイスの写真が、図2Aに示されている。多孔質メッシュデバイス内の細孔の例示的パターンの概略的図示が、図2Bに示されている(上段:正方形細孔の正方形グリッド、中段:六方最密充填配置における円形細孔、下段:不規則形状の細孔を備えた不規則グリッド)。
【0035】
支持枠は、当業者に知られている多様な素材のうちの任意のものを使用して作製され得る。好適な作製技術の例は、限定されないが、従来の機械加工、CNC機械加工、射出成形、3Dプリントなどを含む。支持枠は、当業者に知られている多様な素材のうちの任意のものを使用して作製され得る。一般に、使用される素材の選定は、作製技術の選定に依存し得、その逆もあり得る。好適な素材の例は、限定されないが、アルミニウム、ステンレス鋼、ガラス、シリコン、セラミック、および多様なポリマーのうちの任意のものを含み、ポリマーは、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS、エラストマー)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリフッ素化したポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、環状オレフィンポリマー(COP)、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、エポキシ樹脂、テフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))などの非接着素材、またはこれらの素材の任意の組み合わせである。いくつかの例では、支持枠アセンブリの異なる構成要素または層は、異なる素材から作製され得る。
【0036】
(プランジャープレート)
いくつかの例では、本開示の多孔質メッシュデバイスは、図1に図示されているような、メッシュ110の露出面の上方に吊るされ、実質的にその全体を覆うプレート140をさらに備え得る。いくつかの例では、プレート140の表面に接触し、それを濡らす流体(例えば、細胞懸濁流体)の表面張力は、流体がメッシュを通して下方に漏れることを防ぐ。いくつかの例では、プレート140は、メッシュデバイスがプレート上に装填された後、プレートを押し下げる行為がメッシュを通してマイクロチャネルプレート内に流体を追いやる「プランジャー」として機能し得る。プレート140は、当業者に知られている多様な好適な素材のうちの任意のものから作製され得る。例は、限定されないが、ガラス、溶融シリカ、シリコン、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリプロピレン(PE)、環状オレフィンコポリマー(COC)、環状オレフィンポリマー(COP)などを含む。いくつかの例では、プレート140は、光学的に透明な素材から作製され得る。いくつかの例では、固定具または電機子が、メッシュ110上方の固定された距離または調整可能な距離にプレート140を保持するために使用され得る。いくつかの例では、固定具は、スペーサーであり得る。いくつかの例では、メッシュ110上方のプレート140のスタンドオフ距離は、約0.1mmから約2mmに及び得る。いくつかの例では、スタンドオフ距離は、少なくとも0.1mm、少なくとも0.2mm、少なくとも0.3mm、少なくとも0.4mm、少なくとも0.5mm、少なくとも0.6mm、少なくとも0.7mm、少なくとも0.8mm、少なくとも0.9mm、少なくとも1.0mm、少なくとも1.1mm、少なくとも1.2mm、少なくとも1.3mm、少なくとも1.4mm、少なくとも1.5mm、少なくとも1.6mm、少なくとも1.7mm、少なくとも1.8mm、少なくとも1.9mm、または少なくとも2.0mmであり得る。いくつかの例では、スタンドオフ距離は、最大2.0mm、最大1.9mm、最大1.8mm、最大1.7mm、最大1.6mm、最大1.5mm、最大1.4mm、最大1.3mm、最大1.2mm、最大1.1mm、最大1.0mm、最大0.9mm、最大0.8mm、最大0.7mm、最大0.6mm、最大0.5mm、最大0.4mm、最大0.3mm、最大0.2mm、または最大0.1mmであり得る。この段落に記載された下限値および上限値のうちの任意のものが、本開示内に含まれる範囲を形成するように組み合わされ得、例えば、いくつかの例では、スタンドオフ距離は、約0.3mmから約1.9mmに及び得る。当業者は、スタンドオフ距離がこの範囲内の任意の値(例えば、約1.45mm)を有し得ることを認識するであろう。
【0037】
(圧縮性培地)
いくつかの例では、本開示の多孔質メッシュデバイスは、図6に図示されているような、メッシュ110に加えられ得る圧縮性培地610をさらに備え得る。図6は、本開示の多孔質メッシュデバイス上での圧縮性培地610の使用を図示している。いくつかの例では、圧縮性培地は、液体培地を備えている。圧縮性培地は、液体培地を保つように構成されているスポンジ、布などの軟質、弾性、吸収性、または多孔質のものであり得る。いくつかの例では、圧縮性培地は、メッシュへの最小限の損傷を伴って、またはメッシュへの損傷なしで液体培地をメッシュからプレート140上に移送し得る。いくつかの例では、圧縮性培地からの液体培地の移送は、細胞をプレート140上に流し得る。いくつかの例では、液体培地の体積は、圧力が圧縮性培地に加えられたとき、変化させられ得る(例えば、減少させられ得る)。いくつかの例では、圧縮性培地の圧縮は、細胞または粒子をメッシュ110からプレート140に移送する流体流し込み力を提供し得る。いくつかの例では、流体流し込み力は、約0.02PSIから5PSIまでであり得る。いくつかの例では、流体流し込み力は、少なくとも0.02PSI、少なくとも0.04PSI、少なくとも0.06PSI、少なくとも0.08PSI、少なくとも1.0PSI、少なくとも1.2PSI、少なくとも1.4PSI、少なくとも1.6PSI、少なくとも1.8PSI、少なくとも2.0PSI、少なくとも2.2PSI、少なくとも2.4PSI、少なくとも2.6PSI、少なくとも2.8PSI、少なくとも3.0PSI、少なくとも3.2PSI、少なくとも3.4PSI、少なくとも3.6PSI、少なくとも3.8PSI、少なくとも4.0PSI、少なくとも4.2PSI、少なくとも4.4PSI、少なくとも4.6PSI、少なくとも4.8PSI、または少なくとも5.0PSIであり得る。いくつかの例では、流体流し込み力は、最大5.0PSI、最大4.8PSI、最大4.6PSI、最大4.4PSI、最大4.2PSI、最大4.0PSI、最大3.8PSI、最大3.6PSI、最大3.4PSI、最大3.2PSI、最大3.0PSI、最大2.8PSI、最大2.6PSI、最大2.4PSI、最大2.2PSI、最大2.0PSI、最大1.8PSI、最大1.6PSI、最大1.4PSI、最大1.2PSI、最大1.0PSI、最大0.8PSI、最大0.6PSI、最大0.4PSI、または最大0.2PSIであり得る。この段落に記載された下限値および上限値のうちの任意のものが、本開示内に含まれる範囲を形成するように組み合わされ得、例えば、いくつかの例では、流体流し込み力は、約1.0PSIから約3.0PSIであり得る。当業者は、いくつかの例では、流体流し込み力がこの範囲内の任意の値(例えば、約2.0PSI)を有し得ることを認識するであろう。
【0038】
いくつかの例では、流体流し込み力は、均一であり得、または変動し得る。いくつかの例では、力は、メッシュ110およびプレート140への最小限の損傷を伴って、またはメッシュへの損傷なしで液体培地を移送するように制御され得る。圧縮性培地は、手動または自動化ツール(例えば、ロボットアーム)のいずれかによってメッシュ110に押し付けられ、その上を移動させられ、かつ/またはその上を転がされ得る。
【0039】
(手動および自動化された細胞装填方法)
いくつかの例では、メッシュデバイスは、例えば、細胞または他の粒子の懸濁液を多孔質メッシュの上面の上に直接ピペット操作することによって、または、多孔質メッシュを保持している支持枠内に一体化されている1つ以上の分注ポートの中にピペット操作することによって手動で装填され得る。いくつかの例では、メッシュデバイスは、例えば、ロボット流体分注システムを使用して細胞または他の粒子の懸濁液を多孔質メッシュの上面の上に直接分注することによって、または、支持枠内に一体化されている1つ以上の分注ポートの中に分注することによって自動的に装填され得る。
【0040】
いくつかの例では、メッシュデバイスは、約10から2500uLの体積の細胞含有培地を装填され得る。いくつかの例では、装填される体積は、少なくとも10uL、少なくとも20uL、少なくとも30uL、少なくとも40uL、少なくとも50uL、少なくとも60uL、少なくとも70uL、少なくとも80uL、少なくとも90uL、少なくとも100uL、少なくとも200uL、少なくとも300uL、少なくとも400uL、少なくとも500uL、少なくとも600uL、少なくとも700uL、少なくとも800uL、少なくとも900uL、少なくとも1000uL、少なくとも1100uL、少なくとも1200uL、少なくとも1300uL、少なくとも1400uL、少なくとも1500uL、少なくとも1600uL、少なくとも1700uL、少なくとも1800uL、少なくとも1900uL、少なくとも2000uL、少なくとも2100uL、少なくとも2200uL、少なくとも2300uL、少なくとも2400uL、または少なくとも2500uLであり得る。いくつかの例では、装填される体積は、最大2500uL、最大2000uL、最大1900uL、最大1800uL、最大1700uL、最大1600uL、最大1500uL、最大1400uL、最大1300uL、最大1200uL、最大1100uL、最大1000uL、最大900uL、最大800uL、最大700uL、最大600uL、最大500uL、最大400uL、最大300uL、最大200uL、最大100uL、最大90uL、最大80uL、最大70uL、最大60uL、最大50uL、最大40uL、最大30uL、最大20uL、または最大10uLであり得る。この段落に記載された下限値および上限値のうちの任意のものが、本開示内に含まれる範囲を形成するように組み合わされ得、例えば、いくつかの例では、メッシュデバイスは、約100から500uLの体積の細胞含有培地を装填され得る。当業者は、いくつかの例では、装填される体積がこの範囲内の任意の値(例えば、約30uL)を有し得ることを認識するであろう。
【0041】
いくつかの例では、メッシュ上の細胞含有培地の層は、約1から100umの厚みを有する。いくつかの例では、厚み層は、少なくとも1um、少なくとも5um、少なくとも10um、少なくとも15um、少なくとも20um、少なくとも25um、少なくとも30um、少なくとも35um、少なくとも40um、少なくとも45um、少なくとも50um、少なくとも55um、少なくとも60um、少なくとも75um、少なくとも80um、少なくとも85um、少なくとも90um、少なくとも95um、または少なくとも100umであり得る。いくつかの例では、厚み層は、最大100um、最大95um、最大90um、最大85um、最大80um、最大75um、最大60um、最大55um、最大50um、最大45um、最大40um、最大35um、最大30um、最大25um、最大20um、最大15um、最大10um、最大5um、または最大1umであり得る。この段落に記載された下限値および上限値のうちの任意のものが、本開示内に含まれる範囲を形成するように組み合わされ得、例えば、いくつかの例では、メッシュ上の細胞含有培地の層は、約10から50umの厚みを有し得る。当業者は、いくつかの例では、厚み層がこの範囲内の任意の値(例えば、約20um)を有し得ることを認識するであろう。
【0042】
いくつかの例では、充填/装填プロセスは、例えば、不均一な流動速度またはフローフロントに起因して、多孔質メッシュのいくつかの領域内の細孔または孔の中に捕らえられたエアポケットまたは気泡をもたらし得る。捕らえられたエアポケットまたは気泡は、細胞または粒子がメッシュのそれらの細孔または孔に入ることを防ぎ、それによって、細胞または粒子の二次元単層の中に空隙をもたらし得る。細胞または粒子の二次元単層の形成を改良するために、多孔質メッシュは、毛細管現象が細胞または粒子懸濁流体を上方に移送し、捕らえられた空気を最小化または排除するように、充填/装填プロセス中、わずかな角度(例えば、傾斜角度)で傾けられ得る。いくつかの例では、傾斜角度は、メッシュが多様な異なる角度で傾けられることを可能にする傾きデバイスを使用して制御され得る。いくつかの例では、傾斜角度は、流体の粘度、流速などに基づいてカスタマイズされ得る。いくつかの例では、多孔質メッシュ(または多孔質メッシュを備えたデバイス)の平面は、水準面(または水平面)に対して約0度から約15度に及ぶ傾斜角で傾けられ得る。いくつかの例では、傾きまたは傾斜角度は、少なくとも0度、少なくとも1度、少なくとも2度、少なくとも3度、少なくとも4度、少なくとも5度、少なくとも6度、少なくとも7度、少なくとも8度、少なくとも9度、少なくとも10度、少なくとも11度、少なくとも12度、少なくとも13度、少なくとも14度、または少なくとも15度であり得る。いくつかの例では、傾きまたは傾斜角度は、最大15度、最大14度、最大13度、最大12度、最大11度、最大10度、最大9度、最大8度、最大7度、最大6度、最大5度、最大4度、最大3度、最大2度、最大1度、または最大0度であり得る。この段落に記載された下限値および上限値のうちの任意のものが、本開示内に含まれる範囲を形成するように組み合わされ得、例えば、いくつかの例では、傾きまたは傾斜角度は、約2度から約8度に及び得る。いくつかの例では、傾きまたは傾斜角度は、この範囲内の任意の値(例えば、約5.5度)を有し得る。傾斜角度は、流体が上に進み、細孔に充填するために過剰な時間量を必要とすることなく捕らえられたエアポケットまたは気泡を減少させるか、または排除するように最適化され得る。
【0043】
細胞懸濁液または他の流体懸濁液が多孔質メッシュの上面の上に分注され、分散すると、流体は、毛細管現象によって細孔または孔の中に引き込まれる。いくつかの例では、流体は、圧縮性培地などの外的手段によって細孔または孔の中に押し込まれる。いくつかの例では、細孔または孔の1つ以上の寸法(例えば、直径)は、単細胞(または単粒子)より多くが所与の細孔または孔に入り得ないように選定される。いくつかの例では、細孔または孔の1つ以上の寸法(例えば、直径)が、2つの細胞もしくは粒子、3つの細胞もしくは粒子、または4つの細胞または粒子より多くが所与の細孔または孔に入り得ないように選定される。いくつかの例では、重力が、各細孔または孔内の細胞(単数もしくは複数)または粒子(単数もしくは複数)が多孔質メッシュの下面の近くに沈降することを引き起こし得る。いくつかの例では、細胞(単数もしくは複数)または他の粒子(単数もしくは複数)は、メッシュの下面における流体の薄層によって細孔もしくは孔の中に、またはそれらの近くに保たれ得る。いくつかの例では、多孔質メッシュの下面から過剰な流体を除去し、細胞または粒子の単層が細孔または孔の下端において形成されることを確実にするために、多孔質メッシュの下面が、流体分散要素(例えば、半円筒形ローラー、球形もしくは円筒形ローラー、またはスキージブレード)を使用して穏やかに拭われ得る。いくつかの例では、細胞(単数もしくは複数)または他の粒子(単数もしくは複数)は、細孔に充填する流体の表面張力とメッシュが作製される素材の表面特性とから生じる細孔または孔の下部入口における流体メニスカスによって細孔または孔内に保たれ得る。いくつかの例では、細胞または粒子が懸濁されている流体の表面張力は、例えば、洗剤または他の添加物の添加を通してその組成を調整することによって調整され得る。いくつかの例では、多孔質メッシュの作製のために使用される素材、および/または細孔の寸法は、例えば捕らえられた細胞の解放および別の基板またはデバイスへの移送を促進するために、メニスカスのサイズおよび/または形状を調整するために選定され得る。
【0044】
(開示されるメッシュデバイスを備えたシステム)
開示される多孔質メッシュデバイスを使用して細胞または粒子分離の開示される方法を実施するように構成されているシステムが、本明細書に開示される。いくつかの例では、システムは、(i)開示される多孔質メッシュデバイスの1つ以上、(ii)細胞懸濁液もしくは他の粒子懸濁液を多孔質メッシュの表面上に分注するか、もしくは多孔質メッシュデバイス(単数もしくは複数)のための、支持枠と一体化されている1つ以上の分注ポートの中に分注するように構成されている流体分注モジュール、(iii)多孔質メッシュの下面を流体分散要素(例えば、半円筒形(もしくは半円筒形)ロッド、球形(もしくは円筒形)ロッド、もしくはスキージブレード)と接触させること、多孔質メッシュの下面から過剰な流体を除去すること、および/もしくは、細胞もしくは粒子の単層が細孔もしくは孔の下端において形成されることを確実にすることを行うように構成されている流体分配装置、または、(iv)それらの任意の組み合わせを備え得る。いくつかの例では、開示されるシステムは、多孔質メッシュデバイスの細孔もしくは孔内に形成された細胞もしくは粒子の単層を別の基板上に移送するか、または、それを米国特許出願公開第2018/0353960A1号に開示されているような二次細胞分取およびイメージングデバイスの中に移送するための移送モジュールまたは機構をさらに備え得る。いくつかの例では、開示されるシステムは、多孔質メッシュ自体の中にあるか、細胞もしくは粒子が移送された基板上にあるか、または米国特許出願公開第2018/0353960A1号に開示されているような二次細胞分取およびイメージングデバイス内にある細胞または粒子をイメージングするためのイメージングモジュールをさらに備え得る。
【0045】
(流体分注モジュール)
いくつかの例では、開示されるシステムは、細胞懸濁液もしくは他の粒子懸濁液の多孔質メッシュの表面上への自動化された分注、または多孔質メッシュデバイス(単数もしくは複数)のための支持枠と一体化されている1つ以上の分注ポートの中への自動化された分注を行うように構成されている流体分注モジュールを備え得る。好適な市販の流体取扱システム(または液体取扱システム)の例は、限定されないが、Tecan Fluentシステム(Tecan Trading AG、スイス国)、Hamilton Microlab STARおよびMicrolab NIMBUSシステム(Hamilton、リノ、ネバダ州)、ならびにAgilent Bravo Automated Liquid Handling PlatformおよびAgilent Vertical Pipetting Station(Agilent Technologies、サンタクララ、カリフォルニア州)を含む。
【0046】
(流体分配装置)
いくつかの例では、開示されるシステムは、多孔質メッシュの下面を流体分散要素(例えば、半円筒形(もしくは半円筒形)ローラー、球形(もしくは円筒形)ローラー、もしくはスキージブレード)と接触させること、多孔質メッシュの下面から過剰な流体を除去すること、ならびに/または細胞もしくは粒子の単層が細孔もしくは孔の下端において形成されることを確実にすることを行うように構成されている流体分配装置を備え得る。いくつかの実施形態では、流体分配装置またはその流体分散要素は、メッシュの一端からメッシュの反対端まで、メッシュの下面を横切るように平行移動するように構成され得る。いくつかの例では、メッシュの下面が、メッシュの一端からメッシュの反対端まで、流体分配装置またはその流体分散要素に沿って平行移動するように構成され得る。いくつかの例では、流体分配装置は、いくつかの可能な相対運動シナリオ、例えば、(i)所定位置に固定されているメッシュを横切る流体分散要素の平行移動、(ii)所定位置に固定されている流体分散要素を横切るメッシュの平行移動、または(iii)メッシュと流体分散要素との両方の互いに対する平行移動のうちの任意のものを実施するように構成され得る。
【0047】
いくつかの例では、流体分散要素を多孔質メッシュの下面と接触させるために加えられる力は、約0.01Nから約0.3Nに及び得る。いくつかの例では、流体分散要素と多孔質メッシュの下面との間の接触力は、少なくとも0.01N、少なくとも0.02N、少なくとも0.03N、少なくとも0.04N、少なくとも0.05N、少なくとも0.06N、少なくとも0.07N、少なくとも0.08N、少なくとも0.09N、少なくとも0.1N、少なくとも0.2N、または少なくとも0.3Nであり得る。いくつかの例では、流体分散要素と多孔質メッシュの下面との間の接触力は、最大0.3N、最大0.2N、最大0.1N、最大0.09N、最大0.08N、最大0.07N、最大0.06N、最大0.05N、最大0.04N、最大0.03N、最大0.02N、または最大0.01Nであり得る。この段落に記載された下限値および上限値のうちの任意のものが、本開示内に含まれる範囲を形成するように組み合わされ得、例えば、いくつかの例では、流体分散要素と多孔質メッシュの下面との間の接触力は、約0.02Nから約0.08Nに及び得る。いくつかの例では、流体分散要素と多孔質メッシュの下面との間の接触力は、この範囲内の任意の値(例えば、約0.12N)を有し得る。
【0048】
(移送モジュールまたは機構)
いくつかの例では、開示されるシステムは、多孔質メッシュデバイスの細孔もしくは孔内に形成された細胞もしくは粒子の単層を別の基板上に移送するか、または、それを米国特許出願公開第2018/0353960A1号に開示されているような二次細胞分取およびイメージングデバイスの中に移送するための移送モジュールまたは機構を備え得る。いくつかの例では、移送モジュールは、多孔質メッシュの上面に圧力を加えるように構成されている機構を備え得る。いくつかの例では、移送モジュールは、多孔質メッシュの下面に真空吸引を加え、メッシュ上の細胞または粒子の単層がメッシュから別の基板の複数のマイクロチャネル内に移送されることを引き起こすように構成されている機構を備え得る。いくつかの例では、多孔質メッシュの上面に加えられる圧力または多孔質メッシュの下面に加えられる真空は、少なくとも0.1psi、少なくとも0.25psi、少なくとも0.5psi、少なくとも0.75psi、少なくとも1psi、少なくとも2psi、少なくとも3psi、少なくとも4psi、少なくとも5psi、少なくとも6psi、少なくとも7psi、少なくとも8psi、少なくとも9psi、または少なくとも10psiであり得る。
【0049】
(イメージングモジュール)
いくつかの例では、開示されるシステムは、多孔質メッシュ自体の中にあるか、細胞もしくは粒子が移送された基板上にあるか、または米国特許出願公開第2018/0353960A1号に開示されているような二次細胞分取およびイメージングデバイス内にある細胞または粒子をイメージングするように構成されているイメージングモジュールを備え得る。いくつかの例では、イメージングモジュールを使用して取得されたイメージの視野は、多孔質メッシュの全体または一部を含み得る。いくつかの例では、イメージングは、多孔質メッシュデバイスから、移送される細胞もしくは粒子を受け取るように構成されている基板への細胞もしくは粒子の移送、または、米国特許出願公開第2018/0353960A1号に開示されているような二次分取およびイメージングデバイスへの移送を実施する前、実施している間、または実施した後の多孔質メッシュの全体または一部の断続的または定期的なイメージングを含み得る。いくつかの例では、イメージングは、UV、可視、または赤外イメージを取得することを含み得る。いくつかの例では、イメージングは、蛍光イメージを取得することを含み得る。
【0050】
多様なイメージングシステムまたはシステム構成要素のうちの任意のものが、開示される方法、デバイス、システムの実装の目的のために利用され得る。例は、限定されないが、1つ以上の光源(例えば、発光ダイオード(LED)、ダイオードレーザー、ファイバーレーザー、ガスレーザー、ハロゲンランプ、アークランプなど)、集光レンズ、対物レンズ、ミラー、フィルタ、ビームスプリッタ、プリズム、イメージセンサ(例えば、CCDイメージセンサもしくはカメラ、CMOSイメージセンサもしくはカメラ)など、または、それらの任意の組み合わせを含む。利用されるイメージングモードに応じて、光源およびイメージセンサは、例えば、吸光度に基づくイメージが取得され得るように多孔質メッシュの反対側に位置付けられ得る。いくつかの例では、光源およびイメージセンサは、例えば、エピ蛍光イメージが取得され得るように多孔質メッシュデバイスの同じ側に位置付けられ得る。
【0051】
(使用方法)
本開示の多孔質メッシュデバイスは、ハイスループット細胞分取および分析または他の粒子分取用途のために使用され得る細胞または粒子の単層アレイを作り出すために使用され得る。
【0052】
例えば、いくつかの例では、分離されている単細胞または単粒子の単層は、別の基板(例えば、細胞または粒子が容易に付着する表面を提供するように構成されている平面ガラスまたはポリマー基板)に移送され得る。次に、付着させられた細胞または粒子は、さらなる分析(例えば、特定の細胞表面マーカーの検出のためのイメージに基づく分析)を受け得る。
【0053】
別の例では、本明細書に開示される多孔質メッシュデバイスは、米国特許出願公開第2018/0353960A1号に記載されているようなマイクロチャネルプレートデバイスの中に細胞または粒子を移送することに先立って細胞または他の粒子をスクリーニングおよび分離するために、および、それらの単層を作り出すために使用され得る。本明細書に開示される多孔質メッシュデバイスの使用は、マイクロチャネルの目詰まりを引き起こし得る細胞のダブレット、細胞のトリプレットなどをマイクロチャネル内に導入する確率を最小化する個々の細胞の単層を作り出すことによって、マイクロチャネルプレートへのより効率的な装填およびその後のマイクロチャネルからの単細胞のより効率的な解放を可能にし得る。
【0054】
図3は、米国特許出願公開第2018/0353960A1号に記載されているような細胞または粒子を分取するためのマイクロチャネルプレートデバイス300の構成要素を図示している。図3に図示されているデバイスの部分は、複数のマイクロチャネルを備えた基板310を含み、基板310は、シール320によって金属枠330に付着させられている。
【0055】
図4は、単層に細胞を分離するための本開示の多孔質メッシュデバイスの使用を図示し、単層は、次に、マイクロチャネルプレート310に移送され得る。多孔質メッシュは、支持枠120内に一体化されている流体分注ポート130の中に細胞懸濁液を分注することによって装填され、流体分注ポートは、分注された細胞懸濁液が多孔質メッシュ110の上面の上に流動するように構成されている。デバイスは、上に記載されているように毛細管現象によって多孔質メッシュの細孔内への単細胞の装填を促進するために、例えば、約1度から約10度までの間の傾斜角度で傾けられ得る。次に、装填されたメッシュは、図4の下部パネル内に図示されているように、マイクロチャネルプレートの上面に接触するように設置され、吸引が、単細胞をメッシュ110の外に引き出し、基板310のマイクロチャネルに引き入れるために下方から加えられる。いくつかの例では、上に記載されているように、多孔質メッシュデバイスは、プレート140を備えている。これらの例では、プレート140の上面への加圧は、細胞懸濁液への圧力の伝達をもたらし、メッシュ110から基板310のマイクロチャネル内への単細胞の移送を促進する。
【0056】
図5は、表面張力と流体520によるマイクロチャネル壁の濡れとを通して作り出されたメニスカス530によって基板310のマイクロチャネル内の流体520中に留められている単細胞510を図示している。
【0057】
図6は、細胞を分離するための圧縮性培地610との本開示の多孔質メッシュデバイスの使用を図示している。圧縮性培地は、メッシュ110適用され、それによって、流体が圧縮性培地からメッシュ110に移ることを可能にする。いくつかの例では、圧縮性培地は、メッシュ110からプレート140への培地および細胞の移送を促進し得る。
【0058】
いくつかの例では、(米国特許出願公開第2018/0353960A1号に記載されているような)マイクロチャネルプレートデバイスに装填するためのプレスクリーンツールとしての開示される多孔質メッシュデバイスの使用が、マイクロチャネルへの単細胞または単粒子のより効率的な装填をもたらす。いくつかの例では、本明細書に開示されるメッシュデバイスを使用してマイクロチャネルに装填する効率(すなわち、単細胞または単粒子を備えたマイクロチャンネルのパーセンテージ)は、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%であり得る。
【0059】
いくつかの例では、開示される多孔質メッシュデバイスに細胞含有培地を装填すると、細胞または粒子は、50%超、60%超、70%超、80%超、85%超、90%超、95%超、98%超、99%超、または100%の効率または収率(可視化された細胞に対する分注された細胞)で、20分未満、19分未満、18分未満、17分未満、16分未満、15分未満、14分未満、13分未満、12分未満、11分未満、10分未満、9分未満、8分未満、7分未満、6分未満、5分未満、4分未満、3分未満、2分未満、1分未満、または0分未満でプレート上に沈降する。いくつかの例では、開示される多孔質メッシュデバイスに細胞含有培地を装填すると、細胞または粒子は、50%超、60%超、70%超、80%超、85%超、90%超、95%超、98%超、99%超、または100%の効率で、0分より長い時間、1分より長い時間、2分より長い時間、3分より長い時間、4分より長い時間、5分より長い時間、6分より長い時間、7分より長い時間、8分より長い時間、9分より長い時間、10分より長い時間、11分より長い時間、12分より長い時間、13分より長い時間、14分より長い時間、15分より長い時間、16分より長い時間、17分より長い時間、18分より長い時間、19分より長い時間、または20分より長い時間でプレート上に沈降する。この段落に記載された下限値および上限値のうちの任意のものが、本開示内に含まれる範囲を形成するように組み合わされ得、例えば、いくつかの例では、細胞または粒子は、50%超、60%超、70%超、80%超、85%超、90%超、95%超、98%超、99%超、または100%の効率で、約0から3分以内にプレート上に沈降する。当業者は、いくつかの例では、沈降時間がこの範囲内の任意の値(例えば、約0分)を有し得ることを認識するであろう。図7は、本開示の多孔質メッシュデバイスの性能を表している。図7に示されているように、メッシュAおよびメッシュBの両方が、プレート上に分注された全細胞の高効率を示している。メッシュAは、メッシュBより速い沈降率を示している。
【0060】
(米国特許出願公開第2018/0353960A1号に記載されているような)マイクロチャネルプレートデバイスに装填するためのプレスクリーンとしての開示されるメッシュデバイスの使用を通して達成される増大させられた単細胞または単粒子装填効率に起因して、開示されるメッシュデバイスの使用は、米国特許出願公開第2018/0353960A1号に記載されているレーザー式抽出技術を使用したマイクロチャネルからの単細胞または単粒子のより効率的な解放ももたらし得る。いくつかの例では、単細胞または単粒子の解放効率は、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%であり得る。
【0061】
本発明の好ましい実施形態が本明細書に示され、記載されてきたが、そのような実施形態が例示としてのみ提供されていることは、当業者には明白であろう。ここで、当業者は、本発明から逸脱しない多くの変形、変更、および代用を思い付くであろう。本明細書に記載されている実施形態に対する様々な代替物が、本発明を実践する際に任意の組み合わせにおいて採用され得ることを理解されたい。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を規定し、これらの請求項の範囲内の方法および構造ならびにそれらの均等物が特許請求の範囲によってカバーされていることが、意図されている。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】