(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-14
(54)【発明の名称】輸送中の細胞培養物の温度維持および配送完全性のためのキットおよび方法
(51)【国際特許分類】
B65D 81/38 20060101AFI20221107BHJP
C12M 1/32 20060101ALI20221107BHJP
C12N 5/071 20100101ALI20221107BHJP
【FI】
B65D81/38 G
C12M1/32
C12N5/071
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516048
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(85)【翻訳文提出日】2022-05-10
(86)【国際出願番号】 US2020050281
(87)【国際公開番号】W WO2021050796
(87)【国際公開日】2021-03-18
(32)【優先日】2019-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ,リー
(72)【発明者】
【氏名】クーパー,キルステン リー
(72)【発明者】
【氏名】リー,フォン
(72)【発明者】
【氏名】パリック,スウェタ ニメーシュ
(72)【発明者】
【氏名】ズオ,ロンジュン
【テーマコード(参考)】
3E067
4B029
4B065
【Fターム(参考)】
3E067AA11
3E067AB89
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4B029AA09
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(57)【要約】
ウェルプレート、細胞培養物、培地、断熱容器、および温度維持要素を含む、細胞培養物の温度維持および配送完全性のためのキットが提供される。このキットは、放熱要素を含むことがある。ウェルプレートは、複数のウェルを備える。細胞培養物は、ウェルプレートの複数のウェルの各々の中に配置される。培地は、ウェルプレートの複数のウェルの各々の中に配置され、培地は細胞培養物を被包している。ウェルプレートは、断熱容器内に配置される。温度維持要素は、断熱容器内に配置される。放熱要素も断熱容器内に配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キットにおいて、
複数のウェルを備えたウェルプレート、
前記ウェルプレートの前記複数のウェルの各々の中に配置される細胞培養物、
前記ウェルプレートの前記複数のウェルの各々の中に配置される培地であって、前記細胞培養物を被包する培地、
前記ウェルプレートが中に配置される断熱容器、および
前記断熱容器内に配置される温度維持要素、
を備えたキット。
【請求項2】
前記ウェルプレートに固定され、該ウェルプレートの前記複数のウェルの各々を流体的に密封する密封部材、
前記ウェルプレート上に配置されるガスケットであって、前記密封部材が該ガスケットと前記ウェルプレートとの間に配置される、ガスケット、および
前記ウェルプレート上に配置される蓋であって、前記ガスケットが前記密封部材と該蓋との間に配置される、蓋、
をさらに含む、請求項1記載のキット。
【請求項3】
前記ウェルプレートが中に配置される無菌容器、
前記無菌容器および前記ウェルプレートが中に配置される衝撃吸収容器であって、前記断熱容器内に配置される衝撃吸収容器、および
多数のウェルプレートが中に配置される収集容器であって、前記断熱容器内に配置される収集容器、
をさらに含む、請求項2記載のキット。
【請求項4】
前記温度維持要素が、前記断熱容器内に配置される前に、配送前温度に加熱された複数のゲルパックを含む、請求項1記載のキット。
【請求項5】
前記断熱容器内に配置される放熱要素をさらに含む、
前記放熱要素が、複数の恒温パック、複数の加熱パック、またはその組合せを含む、
前記恒温パックが相変化材料恒温パックを含む、
前記加熱パックが酸素活性化加熱パックを含む、または
その組合せである、
請求項1記載のキット。
【請求項6】
細胞培養物の温度を維持する方法において、
細胞培養物をウェルプレートの複数のウェルの各々の中に配置する工程、
培地を前記ウェルプレートの前記複数のウェルの各々の中に配置する工程であって、該培地は該ウェル内の前記細胞培養物を被包する工程、
温度維持要素を断熱容器内に配置する工程、および
前記ウェルプレートを前記断熱容器内に配置する工程、
を有してなる方法。
【請求項7】
前記ウェルプレートを密封部材で密封する工程であって、該密封部材は、該ウェルプレートの前記複数のウェルの各々を流体的に密封する工程、
前記ウェルプレート上にガスケットを配置する工程であって、前記密封部材が該ガスケットと該ウェルプレートとの間に配置される工程、
前記ウェルプレート上に蓋を固定する工程であって、前記ガスケットが前記密封部材と該蓋との間に配置される工程、
前記ウェルプレートを無菌容器内に密封する工程、および
前記ウェルプレートと前記無菌容器を衝撃吸収容器内に密封する工程であって、該衝撃吸収容器が前記断熱容器内に配置される工程、
をさらに含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記断熱容器内に温度ロガーを配置する工程、
前記断熱容器内の前記温度維持要素上に衝撃吸収材料を配置する工程、
前記断熱容器を密封する工程、および
前記断熱容器を輸送用コンテナ内に配置する工程、
をさらに含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記培地を前記ウェルプレートの前記複数のウェルの各々の中に配置する工程の前に、該培地を加温する工程、
前記ガスケットを前記密封部材上に配置する工程の前に、該ガスケットを殺菌する工程、
前記ウェルプレートを前記断熱容器内に配置する工程の前に、該ウェルプレート、前記無菌容器、および前記衝撃吸収容器を加温する工程、
前記ウェルプレートを前記断熱容器内に配置する工程の前に、多数のウェルプレートを収集容器内に配置する工程、または
その組合せ、
をさらに含む、請求項6記載の方法。
【請求項10】
前記細胞培養物が肝臓スフェロイドである、
前記断熱容器が断熱ボックスであり、前記温度維持要素が、前記断熱容器内に配置される前に、配送前温度に加熱された複数のゲルパックを含む、
前記配送前温度が35℃~40℃の範囲内である、または
その組合せである、
請求項6記載の方法。
【請求項11】
細胞培養物の温度を維持する方法において、
細胞培養物をウェルプレートの複数のウェルの各々の中に配置する工程、
培地を前記ウェルプレートの前記複数のウェルの各々の中に配置する工程であって、該培地が前記ウェル内の細胞培養物を被包する工程、
温度維持要素を断熱容器内に配置する工程、
放熱要素を前記断熱容器内に配置する工程、および
前記ウェルプレートを前記断熱容器内に配置する工程、
を有してなる方法。
【請求項12】
前記ウェルプレートを密封部材で密封する工程であって、該密封部材は、該ウェルプレートの前記複数のウェルの各々を流体的に密封する工程、
前記ウェルプレート上にガスケットを配置する工程であって、前記密封部材が該ガスケットと該ウェルプレートとの間に配置される工程、および
前記ウェルプレート上に蓋を固定する工程であって、前記ガスケットが前記密封部材と該蓋との間に配置される工程、
をさらに含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記ガスケットを前記密封部材上に配置する工程の前に、該ガスケットを殺菌する工程、
前記ウェルプレートを無菌容器内に密封する工程、
前記ウェルプレートと前記無菌容器を衝撃吸収容器内に密封する工程、
前記無菌容器および前記ウェルプレートを含む複数の衝撃吸収容器を収集容器内に配置する工程、および
温度ロガーを前記収集容器内に配置する工程、
をさらに含み、
前記放熱要素が前記温度維持要素と前記収集容器との間に配置され、
前記温度維持要素が該放熱要素と前記断熱容器との間に配置される、
請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記断熱容器内の前記温度維持要素上に衝撃吸収材料を配置し、
前記断熱容器を密封し、
前記断熱容器を配送容器内に配置する工程、
前記衝撃吸収容器を前記収集容器内に配置する工程の前に、前記ウェルプレート、前記無菌容器、および該衝撃吸収容器を加温する工程、
前記培地を前記ウェルプレートの前記複数のウェルの各々の中に配置する工程の前に、該培地を加温する工程、または
その組合せ、
をさらに含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記放熱要素が、複数の恒温パック、複数の加熱パック、またはその組合せを含む、
前記断熱容器内に配置する工程の前に、前記恒温パックが加温される、前記加熱パックが活性化される、またはその両方である、
前記温度維持要素が、前記断熱容器内に配置される前に、配送前温度に加熱された複数のゲルパックを含む、
前記配送前温度が35℃~40℃の範囲内にある、
前記細胞培養物が肝臓スフェロイドである、または
その組合せである、
請求項11記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、その内容が依拠され、ここに全て引用される、2020年6月24日に出願された米国仮特許出願第63/043186号、および2019年9月12日に出願された米国仮特許出願第62/899545号の米国法典第35編第120条の下での優先権の恩恵を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本明細書は、広く、細胞培養物の温度維持のための装置、キット、および方法に関し、より詳しくは、細胞培養物の輸送中の細胞培養物の温度維持および配送完全性のための装置、キット、および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
肝臓スフェロイドなどの細胞培養物は、医薬品用途のための薬物検査目的に使用することができる。しかしながら、細胞培養物自体は、温度、CO2レベル、および細胞培養物に与えられる他のストレスに対して敏感であり得、それらの全ては、細胞培養物の生存率に影響を与える。細胞培養物は、社内で開発することができる、もしくは社内開発が会社にとって実行可能ではない場合、細胞培養物を引き取り、その会社に直接引き渡す専門宅配便業者によりその会社に配達することができる。専門宅配便業者は、値段が高く、会社にとって桁違いの費用がかかり得る。それに加え、専門宅配便業者は、輸送中に細胞培養物を生存状態に維持するために、温度管理されたトラックなどの専用の輸送設備を必要とし得る。従来の配送方法(すなわち、USPS、UPS、FedEx)は、細胞培養物を要求される期間内(すなわち、翌朝配達)に配達することができたので、これらの方法が利用されることがある。しかしながら、従来の配送方法では、通常の荷物取扱いおよび仕分けにより、過酷なストレスおよび衝撃が細胞培養物に与えられ、細胞培養物の生存能力が大きく損なわれ得る。それに加え、これらの従来の配送方法では、温度調節が行われず、これによっても、細胞培養物の生存能力が損なわれるであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、輸送中に細胞培養物を生存状態に維持できる、代わりの温度維持および配送完全性の装置、キット、および方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様によれば、細胞培養物の温度維持のためのキットは、ウェルプレート、細胞培養物、培地、断熱容器、および温度維持要素を含むことがある。ウェルプレートは、複数のウェルを備えることがある。細胞培養物は、ウェルプレートの複数のウェルの各々の中に配置されることがある。培地は、ウェルプレートの複数のウェルの各々の中に配置されることがあり、培地は細胞培養物を被包している。ウェルプレートは、断熱容器内に配置されることがあり、温度維持要素も、断熱容器内に配置されることがある。
【0006】
別の態様は、ウェルプレートに固定された密封部材をさらに含み、その密封部材は、ウェルプレートの複数のウェルの各々を流体的に密封することがある、先の態様のいずれかによるキットを含む。
【0007】
別の態様は、密封部材がウェルプレートに接着によって固定されることがある、先の態様のいずれかによるキットを含む。
【0008】
別の態様は、ウェルプレート上に配置されるガスケットをさらに含み、密封部材がそのガスケットとウェルプレートとの間に配置されることがある、先の態様のいずれかによるキットを含む。
【0009】
別の態様は、ウェルプレート上に配置される蓋をさらに含み、ガスケットが、密封部材と蓋との間に配置されることがある、先の態様のいずれかによるキットを含む。
【0010】
別の態様は、無菌容器および衝撃吸収容器をさらに含む、先の態様のいずれかによるキットを含む。ウェルプレートは、無菌容器内に配置されることがあり、無菌容器およびウェルプレートは、衝撃吸収容器内に配置されることがある。衝撃吸収容器は、断熱容器内に配置されることがある。
【0011】
別の態様は、収集容器をさらに含み、多数のウェルプレートが収集容器内に配置されることがあり、この収集容器は、断熱容器内に配置されることがある、先の態様のいずれかによるキットを含む。
【0012】
別の態様は、温度維持要素が、断熱容器内に配置される前に、配送前温度に加熱された複数のゲルパックを含むことがある、先の態様のいずれかによるキットを含む。
【0013】
別の態様は、配送前温度が約37℃である、先の態様のいずれかによるキットを含む。いくつかの実施の形態において、配送前温度は、約35℃~約40℃の範囲内にある。いくつかの実施の形態において、配送前温度は、約37℃~約40℃の範囲内にある。
【0014】
別の態様は、断熱容器内に配置される放熱要素をさらに含む、先の態様のいずれかによるキットを含む。
【0015】
別の態様は、放熱要素が、複数の恒温パック、複数の加熱パック、またはその組合せを含むことがある、先の態様のいずれかによるキットを含む。
【0016】
別の態様は、恒温パックが、相変化材料恒温パックを含むことがある、先の態様のいずれかによるキットを含む。
【0017】
別の態様は、加熱パックが酸素活性化加熱パックを含むことがある、先の態様のいずれかによるキットを含む。
【0018】
第2の態様によれば、細胞培養物の温度を維持する方法は、細胞培養物をウェルプレートの複数のウェルの各々の中に配置する工程を含むことがある。ウェルプレートの複数のウェルの各々の中に培地が配置されることがある。培地は、ウェル内の細胞培養物を被包する。温度維持要素が、断熱容器内に配置されることがあり、ウェルプレートも断熱容器内にあることがある。
【0019】
別の態様は、ウェルプレートを密封部材で密封する工程をさらに含み、その密封部材は、ウェルプレートの複数のウェルの各々を流体的に密封する、先の態様のいずれかによる方法を含む。ガスケットがウェルプレート上に配置されることがあり、密封部材がガスケットとウェルプレートとの間に配置される。ウェルプレート上に蓋が固定されることがあり、ガスケットが、密封部材と蓋との間に配置される。
【0020】
別の態様は、ウェルプレートを無菌容器内に密封する工程、およびウェルプレートと無菌容器を衝撃吸収容器内に密封する工程をさらに含む、先の態様のいずれかによる方法を含む。衝撃吸収容器は、断熱容器内に配置されることがある。
【0021】
第3の態様によれば、輸送中に細胞培養物の完全性を維持する方法は、細胞培養物をウェルプレートの複数のウェルの各々の中に配置する工程を含むことがある。ウェルプレートの複数のウェルの各々の中に培地が配置されることがある。培地は、ウェル内の細胞培養物を被包する。ウェルプレートは、無菌容器内に密封されることがある。無菌容器およびウェルプレートは、衝撃吸収容器内に密封されることがある。衝撃吸収容器は、断熱容器内に配置されることがある。温度維持要素が、断熱容器内に配置されることがあり、ウェルプレートも、断熱容器内にあることがある。
【0022】
別の態様は、断熱容器内に放熱要素を配置する工程をさらに含み、その放熱要素は、温度維持要素とウェルプレートとの間に配置される、先の態様のいずれかによる方法を含む。
【0023】
別の態様は、断熱容器内に温度ロガーを配置する工程および断熱容器内の温度維持要素上に衝撃吸収材料を配置する工程をさらに含む、先の態様のいずれかによる方法を含む。断熱容器は、密封され、配送容器内に配置されることがある。
【0024】
別の態様は、ウェルプレートを断熱容器内に配置する工程の前に、ウェルプレート、無菌容器、および衝撃吸収容器を加温する工程をさらに含む、先の態様のいずれかによる方法を含む。
【0025】
別の態様は、ウェルプレートを断熱容器内に配置する工程の前に、多数のウェルプレートを収集容器内に配置する工程をさらに含む、先の態様のいずれかによる方法を含む。
【0026】
別の態様は、断熱容器が断熱ボックスであることがあり、温度維持要素が、断熱容器内に配置される前に、配送前温度に加熱された複数のゲルパックを含むことがある、先の態様のいずれかによる方法を含む。
【0027】
第4の態様によれば、細胞培養物の温度を維持する方法は、細胞培養物をウェルプレートの複数のウェルの各々の中に配置する工程を含むことがある。ウェルプレートの複数のウェルの各々の中に培地が配置されることがある。培地は、ウェル内の細胞培養物を被包する。温度維持要素が、断熱容器内に配置されることがあり、放熱要素が、断熱容器内に配置されることがあり、ウェルプレートも断熱容器内に配置されることがある。
【0028】
別の態様は、ウェルプレートを密封部材で密封する工程をさらに含み、この密封部材は、ウェルプレートの複数のウェルの各々を流体的に密封する、先の態様のいずれかによる方法を含む。ウェルプレート上にガスケットが配置されることがあり、密封部材は、ガスケットとウェルプレートとの間に配置される。ウェルプレート上に蓋が固定されることがあり、ガスケットが、密封部材と蓋との間に配置される。
【0029】
別の態様は、ウェルプレートを無菌容器内に密封する工程、およびウェルプレートと無菌容器を衝撃吸収容器内に密封する工程をさらに含む、先の態様のいずれかによる方法を含む。
【0030】
別の態様は、無菌容器およびウェルプレートを含む複数の衝撃吸収容器を収集容器内に配置する工程をさらに含む、先の態様のいずれかによる方法を含む。収集容器内に、温度ロガーが配置されることがある。
【0031】
別の態様は、放熱要素が、温度維持要素と収集容器との間に配置され、温度維持要素が、放熱要素と断熱容器との間に配置される、先の態様のいずれかによる方法を含む。
【0032】
別の態様は、断熱容器内の温度維持要素上に衝撃吸収材料を配置する工程をさらに含む、先の態様のいずれかによる方法を含む。断熱容器は密封されることがある。断熱容器は、配送容器内に配置されることがある。
【0033】
別の態様は、衝撃吸収容器を収集容器内に配置する工程の前に、ウェルプレート、無菌容器、および衝撃吸収容器を加温する工程をさらに含む、先の態様のいずれかによる方法を含む。
【0034】
別の態様は、培地をウェルプレートの複数のウェルの各々の中に配置する工程の前に、培地を加温する工程をさらに含む、先の態様のいずれかによる方法を含む。
【0035】
別の態様は、放熱要素が、複数の恒温パック、複数の加熱パック、またはその組合せを含む、先の態様のいずれかによる方法を含む。
【0036】
別の態様は、断熱容器内に配置する工程の前に、恒温パックが加温される、加熱パックが活性化される、またはその両方である、先の態様のいずれかによる方法を含む。
【0037】
別の態様は、温度維持要素が、断熱容器内に配置される前に、配送前温度に加熱された複数のゲルパックを含む、先の態様のいずれかによる方法を含む。
【0038】
別の態様は、培地をウェルプレートの複数のウェルの各々の中に配置する工程の前に、培地を加温する工程をさらに含む、先の態様のいずれかによる方法を含む。
【0039】
別の態様は、ガスケットを密封部材上に配置する工程の前に、ガスケットを殺菌する工程をさらに含む、先の態様のいずれかによる方法を含む。
【0040】
別の態様は、配送前温度が約37℃である、先の態様のいずれかによる方法を含む。いくつかの実施の形態において、配送前温度は、約35℃~約40℃の範囲内にある。いくつかの実施の形態において、配送前温度は、約37℃~約40℃の範囲内にある。
【0041】
別の態様は、細胞培養物が肝臓スフェロイドである、先の態様のいずれかによる方法を含む。
【0042】
ここに記載された実施の形態の追加の特徴と利点は、以下の詳細な説明に述べられており、一部は、その説明から当業者に容易に明白となるか、または以下の詳細な説明、特許請求の範囲、並びに添付図面を含む、ここに記載された実施の形態を実施することによって、認識されるであろう。
【0043】
先の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方とも、様々な実施の形態を記載しており、請求項の主題の性質および特徴を理解するための概要または骨子を提供する意図があることを理解すべきである。添付図面は、様々な実施の形態のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に包含され、その一部を構成する。図面は、ここに記載された様々な実施の形態を示しており、説明とともに、請求項の主題の原理および作動を説明する働きをする。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】ここに示されたかまたは記載された1つ以上の実施の形態によるウェルプレートアセンブリの側面斜視図
【
図2】ここに示されたかまたは記載された1つ以上の実施の形態による、概して線2-2に沿ってとられた、
図1のウェルプレートアセンブリの断面図
【
図3】ここに示されたかまたは記載された1つ以上の実施の形態による包装済みウェルプレートアセンブリの側面斜視図
【
図4】ここに示されたかまたは記載された1つ以上の実施の形態による、概して線4-4に沿ってとられた、
図3の包装済みウェルプレートアセンブリの断面図
【
図5】ここに示されたかまたは記載された1つ以上の実施の形態による収集容器の側面斜視図
【
図6】ここに示されたかまたは記載された1つ以上の実施の形態による配送アセンブリの側面斜視図
【
図7】ここに示されたかまたは記載された1つ以上の実施の形態による細胞培養物の温度を維持する方法を示す流れ図
【
図8】ここに示されたかまたは記載された1つ以上の実施の形態による配送アセンブリの側面断面図
【
図9】ここに示されたかまたは記載された1つ以上の実施の形態による配送アセンブリの側面断面図
【
図10】ここに示されたかまたは記載された1つ以上の実施の形態による配送アセンブリの側面断面図
【
図11】ここに示されたかまたは記載された1つ以上の実施の形態による方法を示す流れ図
【発明を実施するための形態】
【0045】
ここで、添付図面にその例が示された、細胞培養物安定化装置、キット、およびそれを作動させる方法の実施の形態を詳しく参照する。できるときはいつでも、同じまたは同様の部分を指すために、図面に亘り、同じ参照番号が使用される。
【0046】
細胞培養物用の温度維持キットの実施の形態は、ウェルプレート、細胞培養物、培地、断熱容器、および温度維持要素を含むことがある。このキットは、放熱要素をさらに含むことがある。ウェルプレートは、複数のウェルを備えることがある。細胞培養物は、ウェルプレートの複数のウェルの各々の中に配置されることがある。培地は、ウェルプレートの複数のウェルの各々の中に配置されることがあり、培地は細胞培養物を被包する。細胞培養物は生細胞培養物であることがある。ウェルプレートは、断熱容器内に配置されることがあり、温度維持要素も、断熱容器内に配置されることがある。放熱要素も、断熱容器内に配置されることがある。細胞培養培地の瓶などの細胞培養培地の容器も、断熱容器内に配置されることがある。温度維持キットおよびその組立方法の様々な実施の形態が、添付図面を具体的に参照して、ここに記載される。
【0047】
本開示による実施の形態は、細胞培養物の輸送中に細胞培養物の温度維持を可能にする構成要素を含む。それに加え、本開示の実施の形態は、輸送されている間に、細胞培養物の生存能力を維持するために、細胞培養物の衝撃吸収保護を可能にする。
【0048】
本発明の実施の形態によるキットは、航空輸送または地上配送のような配送サービスを使用することなどにより、従来の配送方法によって、顧客の現場に配送されることがある。しかしながら、生きた培養物は、温度変化によるストレスに曝されることがある。いくつかの実施の形態において、本発明の実施の形態によるキットは、パッケージやキットの内部温度に影響するであろう、異なる周囲温度条件での配送を考慮している。例えば、周囲温度は、冬期には低いであろう。そのような場合、周囲温度が約4℃であれば、キットのパッケージの内部温度は、約21時間から約24時間後に、約27℃に低下することがある。
【0049】
本発明のいくつかの実施の形態において、冬期などの周囲温度が低い条件の最中に、細胞培養物を配送するときに、細胞培養物の温度維持が行われる。配送パッケージデザイの温度維持能力を改善するために、本発明の実施の形態によるキットは、放熱要素の形態にある追加の包装材料を含むことがある。この追加の包装材料は、温度変化などのストレスに敏感であろう、生きた培養物に対するストレスを避け、内部温度を維持するために、長期間に亘り放熱を可能にする。好ましい実施の形態において、内部温度は、培養物に対する温度変化のストレスを減少させるために、約37℃に維持される。
【0050】
ここで、
図1を参照すると、ウェルプレートアセンブリ100の実施の形態が概略示されている。ウェルプレートアセンブリ100は、概して、ウェルプレート102および蓋104を備える。ウェルプレート102は複数のウェル106を備え、ウェルプレート102内に配列されるウェル106の量は、ウェルプレート102のサイズと用途に応じて様々である。例えば、ウェルプレート102は、Corning Incorporatedにより販売されている、九十六(96)ウェルの超低接着表面の無菌スフェロイドマイクロプレート(カタログ番号4515、4520)であることがある。ウェルプレート102は、ガラス、プラスチック、または類似の材料から製造されることがある。ウェルプレートアセンブリ100の蓋104は、異物が複数のウェル106に入るのを防ぐために、ウェルプレート102の上部を覆って配置されることがある。蓋104は、ウェルプレート102にきつく被さっても、もしくはテープ、ゴムバンドなどの代替手段によりウェルプレート102に固定されてもよい。
【0051】
細胞培養物108は、複数のウェル106の各々の中に配置されることがある。いくつかの実施の形態において、細胞培養物108は、生細胞培養物である。いくつかの実施の形態において、細胞培養物108は、約37℃に近い配送前温度を有する。いくつかの実施の形態において、細胞培養物の配送前温度は、約35℃から約40℃の範囲内にある。いくつかの実施の形態において、細胞培養物の配送前温度は、約37℃から約40℃の範囲内にある。いくつかの実施の形態において、細胞培養物108は、初代ヒト肝細胞(PHH)から産生された肝臓スフェロイドである。しかしながら、他のタイプの細胞培養物が、考えられ、可能であることを理解すべきである。それに加え、培地110も、細胞培養物108と共に、ウェル106内に入れられることがある。
【0052】
図1に示された実施の形態において、ウェルプレート102は、ウェル106の各々の中に配置された細胞培養物108を収容している。細胞培養物108は、ある期間(すなわち、約6日間)に亘り成長させられた後、ウェルプレート102内でスフェロイドを形成したかもしれない。細胞培養物108は、5%のCO
2濃度を有する雰囲気と共に、約35℃~約40℃の範囲内の温度、約37℃~約40℃の範囲内の温度、または約37℃に近い温度に設定された恒温器(図示せず)内にウェルプレート102を配置することによって、成長させられることがある。いくつかの実施の形態において、細胞培養物108をウェル106内に配置する前に、ウェルプレート102は、殺菌されることがある。
【0053】
細胞培養物108が一旦スフェロイドを形成したら、培地110が、細胞培養物108も収容しているウェル106の各々の中に配置されることがある。ウェルプレート102内で成長させられている細胞培養物108のタイプに応じて、細胞培養物108を収容しているウェル106内に培地110を配置する前に、培地110は平衡化されることがある。例えば、細胞培養物108が肝臓スフェロイドである場合、ひいては、培地110は、約35℃~約40℃の範囲内の温度、約37℃~約40℃の範囲内の温度、または約37℃に近い温度、および5%のCO2濃度を有する雰囲気に設定された恒温器(図示せず)内で二(2)時間に亘り予熱されることがある。培地110が、一旦、細胞培養物108の生存条件に平衡化されたら、細胞培養物108と共に、ウェル106内に特定体積の培地110が入れられる。例えば、ウェルプレート102が九十六(96)ウェルを有する場合、ひいては、各ウェル106内に約300μLの培地110が配置されることがある。培地110がウェル106内に配置されるときに、培地110は細胞培養物108を被包する。言い換えると、培地110は、異物および汚染物質が細胞培養物108に到達するのを防ぎ、ウェル106内に存在するどのようなエアポケットも除去する。
【0054】
ここで
図2を参照すると、ウェルプレートアセンブリ100は、蓋104に加え、追加のシールを備えることがある。例えば、実施の形態において、ウェルプレートアセンブリ100は、概して、接着剤層112、密封部材114、およびガスケット116を備える。密封部材114は、無菌であり、かつ密封部材114にすでに施された接着剤層112を含む軟質フイルムであることがある。例えば、接着剤層112および密封部材114は、例えば、制限なく、Titer-Topsにより販売されている、6インチ×3.25インチ(約15cm×約8cm)の接着膜(カタログ番号490007-086)であることがある。それに加え、ガスケット116は、Stockwell Elastomericsにより販売されている、0.062インチ(約1.6mm)厚の透明シリコンガスケット(カタログ番号HT6240-57614)であることがある。
【0055】
図2に示された実施の形態において、培地110が細胞培養物108と共にウェル106内に配置された後、ウェルプレート102は、密封部材114により密封されることがある。密封部材114は、ウェルプレート102を覆って配置され、接着剤層112によりウェルプレート102に接着される。密封部材114は、ウェルプレート102上に押し付けられ、密封部材114とウェルプレート102との間に形成されたかもしれないどのような気泡も除去するために、さらに押しならされることがある。それに加え、密封部材114のエッジをウェルプレート102にさらに密封するために、プレート式圧搾機(図示せず)が使用されることがある。密封部材114および接着剤層112は、一旦接着されたら、ウェルプレート102の複数のウェル106の各々を互いから流体的に密封する。
【0056】
図2に示された実施の形態をさらに参照すると、密封部材114がガスケット116とウェルプレート102との間に配置されるように、ウェルプレート102の上部にガスケット116が配置されることがある。ガスケット116は、ガスケット116を密封部材114上に配置する前に、殺菌されることがある。ガスケット116は軟質シリコンガスケットであることがあり、これは、ウェルプレート102を外来汚染物質からさらに密封し、ウェルプレートアセンブリ100に与えられる任意のストレスまたは衝撃を吸収する。特定の細胞培養物108は、ストレスまたは衝撃が細胞培養物108に与えられ、周囲の構成要素で吸収されなければ、生存能力を失うことがある。ガスケット116が密封部材114上に一旦配置されたら、ガスケット116が密封部材114と蓋104との間に配置されるように、蓋104をウェルプレート102の上部に配置することができる。蓋104は、ウェルプレートアセンブリ100を外来汚染物質からさらに遮断する。それに加え、蓋104は、密封部材114およびガスケット116が、ウェルプレートアセンブリ100の輸送中にずれたり、謝って取り除かれたりするのを防ぐことがある。
【0057】
ここで
図3および4を参照すると、包装済みウェルプレートアセンブリ120の実施の形態が概略示されている。包装済みウェルプレートアセンブリ120は、概して、ウェルプレートアセンブリ100、無菌容器122、密封ストラップ124、および衝撃吸収容器126を備える。
【0058】
図3および4に示された実施の形態において、ウェルプレートアセンブリ100は、蓋104、密封部材114、およびガスケット116により密封されており、このアセンブリ100が無菌容器122内に配置されている。無菌容器122は、細胞培養物108の外来汚染をさらに防ぎつつ、蓋104、密封部材114、および/またはガスケット116がウェルプレート102の複数のウェル106を流体的に密封し損ねた場合の過剰な漏れも防ぐことがある。無菌容器122は、例えば、制限なく、Nascoにより販売されている、6インチ×9インチ(約15cm×約22.5cm)の無菌Whirl-Pak(登録商標)プラスチックバッグ(カタログ番号11216-409)などの無菌プラスチックバッグであることがある。ウェルプレートアセンブリ100が無菌容器122内に一旦配置されたら、無菌容器122は、密封ストラップ124を使用して密封される。密封ストラップ124は、別のものであっても、または無菌容器122と一体であってもよく、無菌容器122を密封するために、密封ストラップ124がそれ自体にまたは無菌容器122の一部に付着できる接着面(図示せず)を含んでもよい。
【0059】
まだ
図3および4に示された実施の形態を参照すると、ウェルプレートアセンブリ100が無菌容器122内に一旦密封されたら、ウェルプレートアセンブリ100および無菌容器122は、衝撃吸収容器126内に配置されることがある。衝撃吸収容器126は、ウェルプレートアセンブリ100の輸送中にウェルプレートアセンブリ100に与えられるストレスまたは衝撃を吸収する。先に述べたように、細胞培養物108は、ウェルプレート102に与えられるストレスおよび衝撃から損傷を受けやすいことがあり、これらにより細胞培養物108の生存能力が低下するであろう。衝撃吸収容器126は、衝撃吸収材料または設計のどの形態、例えば、気泡シートで裏打ちされた軟質バッグであってもよい。ウェルプレートアセンブリ100および無菌容器122が衝撃吸収容器126内に一旦配置されたら、衝撃吸収容器126は密封され、包装済みウェルプレートアセンブリ120が形成される。包装済みウェルプレートアセンブリ120は、さらなる包装用の細胞培養物108を調製するために、約35℃~約40℃の範囲内の温度、約37℃~約40℃の範囲内の温度、または約37℃に近い温度、および5%のCO
2濃度を有する雰囲気に設定された恒温器(図示せず)内に入れられることがある。何故ならば、細胞培養物108は、ある期間に亘り恒温器から取り出され、包装済みウェルプレートアセンブリ120の組立て中に冷めているからである。
【0060】
いくつかの実施の形態において、衝撃吸収容器126内に吸収材料(図示せず)が入れられることがある。この吸収材料は、蓋104、密封部材114、ガスケット116、および/または無菌容器122がウェルプレート102の複数のウェル106を適切に密封し損ねた場合、細胞培養物108および/または培地110の流出または漏れを吸収するために使用されることがある。
【0061】
ここで
図5を参照すると、収集容器アセンブリ130の実施の形態が概略示されている。収集容器アセンブリ130は、概して、収集容器132内に配置された少なくとも1つの包装済みウェルプレートアセンブリ120を含む。収集容器132は、多数の包装済みウェルプレートアセンブリ120を収容することがある。収集容器132は、多数の包装済みウェルプレートアセンブリ120に適合し、収集容器アセンブリ130の輸送中に包装済みウェルプレートアセンブリ120が移動したり動揺したりするのを防ぐどの容器であってもよい。実施の形態において、収集容器132は、例えば、制限なく、段ボール箱であることがある。収集容器132は、包装済みウェルプレートアセンブリ120の移動を防ぐために、収集容器132内に余計な空間がわずかしかまたは全くない状態で、特定量の包装済みウェルプレートアセンブリ120に適合するようなサイズであることがある。それに加え、収集容器132は、細胞培養物108の輸送中の衝撃と衝突のストレスから細胞培養物108をさらに保護するために衝撃吸収特性を有することがある。
【0062】
ここで
図6を参照すると、断熱容器アセンブリ140の実施の形態が概略示されている。断熱容器アセンブリ140は、概して、収集容器アセンブリ130、断熱容器142、少なくとも1つの温度維持要素148、温度ロガー150、および衝撃吸収材料152を含んでいる。断熱容器142は、箱144および蓋146を備える。収集容器アセンブリ130、少なくとも1つの温度維持要素148、および温度ロガー150は、全て、断熱容器142内に配置されることがある。
【0063】
実施の形態において、断熱容器142は、スタイロフォーム(登録商標)などの、断熱材料から形成されることがある、または断熱材料が裏打ちされることがある。蓋146は、箱144にきつく被さることがあるか、またはテープなどの別の固定手段によって箱144に固定されることがある。断熱容器142は、細胞培養物108を、細胞培養物108に関連する特定の生存温度に、または生存温度より高く維持するために、輸送中に細胞培養物108を断熱することがある。例えば、肝臓スフェロイド細胞培養物の場合、肝臓スフェロイドは、八(8)時間まで、27℃で生存可能なままであることがある、または肝臓スフェロイドは、四(4)時間まで、22℃で生存可能なままであることがある。
【0064】
まだ
図6に示された実施の形態を参照すると、温度維持要素148は、複数の温度維持要素148であることがある。温度維持要素148は、断熱容器142内に包装される準備をするために、恒温器(図示せず)内で配送前温度に予熱することができるゲルパケットであることがある。実施の形態において、配送前温度は、約35℃~約40℃の範囲内の温度、約37℃~約40℃の範囲内の温度、または約37℃に近い温度であることがあり、細胞培養物108の生存温度および輸送期間に関連する。温度維持要素148は、圧力下で変形できる熱ゲルパックなどの軟質温度維持要素が利用される場合など、緩衝および衝撃吸収の恩恵も提供することがある。実施の形態において、温度維持要素148は、Cole Parmerから入手できるThermosafe 406Jゲルパケット(カタログ番号U-06-345-60)である。しかしながら、他の温度維持要素が考えられ、可能であることを理解すべきである。
【0065】
温度ロガー150は、温度読み取り装置のどの形態であってもよい。温度ロガー150は、断熱容器142を密封する前に、断熱容器142内に入れられることがある。温度ロガー150は、細胞培養物108の輸送中の断熱容器142の内部温度を測定する。温度ロガー150は、送り先に到着した際に、断熱容器142の内部温度が、輸送中に細胞培養物108の生存温度より低く低下しなかったことを確認するために観測することができる。実施の形態において、温度ロガー150は、SensitechからのTT Ultra Multi Use温度ロガー(カタログ番号TUA02-01-033)である。しかしながら、他の温度ロガーが考えられ、可能であることを理解すべきである。
【0066】
衝撃吸収材料152は、気泡シートまたは発泡体などの、衝撃吸収材料のどの形態であってもよい。収集容器アセンブリ130、少なくとも1つの温度維持要素148、および温度ロガー150が断熱容器142内に配置された後、衝撃吸収材料152が、断熱容器142内に配置された部材を覆って、箱144の中に配置される。衝撃吸収材料152は、断熱容器アセンブリ140に追加の断熱特性も与えることがある。
【0067】
図6に示された実施の形態をまだ参照すると、断熱容器アセンブリ140は、細胞培養物108に温度維持および衝撃吸収を与えるために組み立てられる。断熱容器142の底に複数の温度維持要素148が配置される。複数の温度維持要素148は、細胞培養物108の生存温度と等しいか、またはそれより高い、配送前温度に予熱されている。細胞培養物108を収容している、収集容器アセンブリ130も、断熱容器142内に、複数の温度維持要素148の上部に入れられる。それに加え、温度維持要素148は、収集容器アセンブリ130の周りにも配置され、断熱容器142を、断熱容器142の最大保有容積よりわずかに下まで充填する。温度ロガー150も、断熱容器142内に、複数の温度維持要素148の上部に入れられる。細胞培養培地の容器または瓶(図示せず)も、断熱容器142内に配置されることがあり、いくつかの実施の形態において、複数の温度維持要素148の上部に配置されることがある。
【0068】
任意の追加の温度維持要素148が断熱容器142内に入れられ、断熱容器142をその最大保有容積まで充填するために、衝撃吸収材料152が断熱容器142内に配置される。蓋146が箱144の上に置かれ、断熱容器142を密封し、断熱容器アセンブリ140を形成する。複数の温度維持要素148を使用して断熱容器142をその最大容積まで充填することによって、細胞培養物108は、さらに断熱され、断熱容器アセンブリ140に与えられる衝撃に対して保護される。何故ならば、収集容器アセンブリ130が断熱容器142内で移動したり、調整したりするための余地がほとんどまたは全くないからである。
【0069】
図6に示された実施の形態をまだ参照すると、断熱容器アセンブリ140に、ISTA 1Aに関するPackage Design Verification Protocolにしたがって実施されるパッケージおよびプレート梱包完全性試験が行われることがある。このISTA 1Aプロトコルは、二(2)個の包装済みウェルプレートアセンブリ120を収集容器132内に入れて、収集容器アセンブリ130を形成し、次に、断熱容器142内に、培地110の100mLの瓶および温度ロガー150と共に、三(3)個の収集容器アセンブリ130を入れる各工程を含む。次に、断熱容器142に複数の温度維持要素148を充填し、密封して閉じ、輸送用コンテナの中に入れる。次に、輸送用コンテナをテープで密封する。次に、輸送用コンテナおよび断熱容器アセンブリ140に、振動試験および10点衝撃試験を含む様々な試験を行う。ウェルプレートアセンブリ100、包装済みウェルプレートアセンブリ120、収集容器アセンブリ130、および断熱容器142は全て、目に見える損傷や漏れがほとんどまたは全くなく、ISTA 1Aプロトコルに合格するであろう。
【0070】
ここで
図7を参照すると、細胞培養物108(
図1~6に示されたような)の温度を維持する方法200を示す流れ図が示されている。多数の工程が特定の順序で示されているが、実施の形態は、本開示の範囲から逸脱せずに、それより多いか少ない数の工程を様々な順序で含んでよいことを留意のこと。初めに、方法200は、工程202で、ウェルプレート102の複数のウェル106の各々の中に細胞培養物108を配置する工程を含むことがある。例えば、
図1~6を参照すると、細胞培養物108は、配送のために細胞培養物108を包装し始める前に、ある期間に亘りウェルプレート102内で成長させられる。
【0071】
再び
図7を参照すると、工程204は、ウェルプレート102の複数のウェル106の各々の中に培地110を配置する工程を含むことがある。例えば、先に記載されたように、培地110は、ウェル106内に配置される前に、恒温器(図示せず)内で細胞培養物108の生存温度に予熱されることがある。工程206は、ウェルプレート102を密封部材114で密封する工程を含み、密封部材114は、ウェルプレート102の複数のウェル106の各々を流体的に密封する。例えば、
図2を参照すると、密封部材114は、接着剤層112によりウェルプレート102に接着されている。
【0072】
再び
図7を参照すると、工程208は、ウェルプレート102上にガスケット116を配置する工程を含むことがあり、ガスケット116とウェルプレート102との間に密封部材114が配置されている。例えば、先に記載されたように、ガスケット116は、密封部材114上に配置されることがある。ガスケット116は、ウェルプレート102上に配置される前に、別に殺菌されることがある。工程210は、ウェルプレート102上に蓋104を固定する工程を含むことがあり、密封部材114と蓋104との間にガスケット116が配置されている。
【0073】
再び
図7を参照すると、工程212は、無菌容器122内にウェルプレート102を密封する工程を含むことがある。例えば、
図3および4を参照すると、無菌容器122は、輸送中にウェル106からのどのような漏れの広がりも止めるようにウェルプレート102を取り囲むプラスチックバッグであることがある。工程214は、ウェルプレート102および無菌容器122の周りに密封ストラップ124を配置する工程を含むことがある。例えば、密封ストラップ124は、無菌容器122を密封するために、それ自体に、または無菌容器122に接着する粘着ストラップであることがある。
【0074】
再び
図7を参照すると、工程216は、衝撃吸収容器126内にウェルプレート102および無菌容器122を密封する工程を含むことがある。例えば、衝撃吸収容器126は、発泡体や気泡シートなど、衝撃吸収材料のどの形態であってもよい。工程218は、断熱容器142内にウェルプレート102を配置する前に、ウェルプレート102、無菌容器122、および衝撃吸収容器126を加温する工程を含むことがある。例えば、先に記載されたように、密封過程中、ウェルプレート102は周囲温度環境内にあるので、細胞培養物108は冷めることがある。細胞培養物108の生存能力を保護するために、構成部材の全てを細胞培養物108の生存温度まで上昇させるために、包装済みウェルプレートアセンブリ120が恒温器(図示せず)内に入れられることがある。
【0075】
再び
図7を参照すると、工程220は、ウェルプレート102を断熱容器142内に配置する前に、多数のウェルプレート102を収集容器132内に配置する工程を含むことがある。例えば、収集容器132は、細胞培養物108の輸送中の移動から細胞培養物108をさらに保護するために利用されることがある。工程222は、少なくとも1つの温度維持要素148を断熱容器142内に配置し、収集容器132を断熱容器142内に配置する工程を含むことがある。例えば、先に記載されたように、温度維持要素148は、細胞培養物108の生存温度と等しいか、またはそれより高い配送前温度に予熱されることがある。
【0076】
再び
図7を参照すると、工程224は、追加の温度維持要素148を断熱容器142内に配置し、収集容器132を覆う工程を含むことがある。例えば、追加の温度維持要素148は、断熱容器142をその最大保有容積よりわずかに下まで充填するために、断熱容器142内に配置されることがある。工程226は、温度ロガー150を断熱容器142内に配置する工程を含むことがある。例えば、温度ロガー150は、温度維持要素148の上部に配置されることがあり、細胞培養物108の輸送中に断熱容器142の内部温度を測定することがある。
【0077】
再び
図7を参照すると、工程228は、断熱容器142内の温度維持要素148上に衝撃吸収材料1520を配置する工程を含むことがある。例えば、先に記載されたように、断熱容器142をその最大保有容積まで充填するために、断熱容器142内に衝撃吸収材料152が配置される。工程230は、断熱容器142を蓋104で密封する工程をさらに含むことがある。
【0078】
再び
図7を参照すると、工程232は、輸送用コンテナ(図示せず)内に断熱容器142を配置する工程を含むことがある。例えば、断熱容器142が一旦密封されたら、断熱容器142は、従来の配送用ボックス、例えば、段ボール箱内に入れられ、特別な宅配便サービスを必要とせずに、翌朝配達などの従来の配送方法によって、送り先に輸送されることがある。
【0079】
ここで
図8から
図10を参照すると、断熱容器アセンブリ900、920、および940の実施の形態が概略示されている。断熱容器アセンブリ900、920、および940は、概して、収集容器アセンブリ130、断熱容器142、少なくとも1つの温度維持要素148、少なくとも1つの放熱要素600、700、温度ロガー150、および衝撃吸収材料152を含む。断熱容器142は、箱144および蓋146を備える。収集容器アセンブリ130、少なくとも1つの温度維持要素148、および少なくとも1つの放熱要素600、700は、全て、断熱容器142内に配置されることがある。
【0080】
実施の形態において、断熱容器142は、「スタイロフォーム」などの、断熱材料から形成されることがある、または断熱材料が裏打ちされることがある。ここに用いられているように、「断熱材料」は、熱的に絶縁された材料を称する。蓋146は、箱144にきつく被さることがあるか、またはテープなどの別の固定手段によって箱144に固定されることがある。断熱容器142は、細胞培養物108を、細胞培養物108に関連する特定の生存温度に、または生存温度より高く維持するために、輸送中に細胞培養物108を断熱することがある。例えば、肝臓スフェロイド細胞培養物の場合、肝臓スフェロイドは、八(8)時間まで、27℃で生存可能なままであることがある、または肝臓スフェロイドは、四(4)時間まで、22℃で生存可能なままであることがある。
【0081】
温度維持要素148は、複数の温度維持要素148であることがある。温度維持要素148は、断熱容器142内に包装される準備をするために、恒温器(図示せず)内で配送前温度に予熱することができるゲルパケットであることがある。実施の形態において、配送前温度は、約35℃~約40℃の範囲内の温度、約37℃~約40℃の範囲内の温度、または約37℃に近い温度であることがあり、細胞培養物108の生存温度および輸送期間に関連する。温度維持要素148は、圧力下で変形できる熱ゲルパックなどの軟質温度維持要素が利用される場合など、緩衝および衝撃吸収の恩恵も提供することがある。実施の形態において、温度維持要素148は、Cole Parmerから入手できるThermosafe 406Jゲルパケット(カタログ番号U-06-345-60)である。しかしながら、他の温度維持要素が考えられ、可能であることを理解すべきである。
【0082】
温度ロガー150は、温度読み取り装置のどの形態であってもよい。温度ロガー150は、収集容器132が閉じられる前に、収集容器132内に入れられることがある。温度ロガー150は、細胞培養物108の輸送中の収集容器132の内部温度を測定する。温度ロガー150は、時間の経過による内部温度、または高温と低温の少なくとも一方の記録を保存する、もしくは記録のためにそれをどこかに送信することもできる。温度ロガー150は、送り先に到着した際に、収集容器132の内部温度が、輸送中に細胞培養物108の生存温度より低く低下しなかったことを確認するために観測することができる。実施の形態において、温度ロガー150は、SensitechからのTT Ultra Multi Use温度ロガー(カタログ番号TUA02-01-033)である。しかしながら、他の温度ロガーが考えられ、可能であることを理解すべきである。
【0083】
衝撃吸収材料152は、気泡シートまたは発泡体などの、衝撃吸収材料のどの形態であってもよい。収集容器アセンブリ130、少なくとも1つの温度維持要素148、少なくとも1つの放熱要素600、および温度ロガー150が断熱容器142内に配置された後、衝撃吸収材料152が、断熱容器142内に配置された部材を覆って、箱144の中に配置される。衝撃吸収材料152は、断熱容器アセンブリ140に追加の断熱特性も与えることがある。
【0084】
断熱容器アセンブリ900、920、940は、細胞培養物108に温度維持および衝撃吸収を与えるために組み立てられる。複数の温度維持要素148が、断熱容器142の底部に配置されている。複数の温度維持要素148は、細胞培養物108の生存温度と等しいか、またはそれより高い、配送前温度に予熱されている。
【0085】
放熱要素600、700は、どの適切な放熱装置であってもよい。例えば、その放熱要素は、恒温パック600、熱パック700、またはその組合せを含むことがある。放熱要素600、700は、複数の放熱要素600、700であることがある。
【0086】
図8を参照すると、放熱要素600、700は、複数の恒温パック600からなる。収集容器132は、全ての側で恒温パック600により取り囲まれている。いくつかの実施の形態において、恒温パック600は、相変化材料恒温パックである。いくつかの実施の形態において、恒温パック600は、輸送用コンテナを梱包する前に、約24時間に亘り恒温器内で加温される。輸送用コンテナを梱包するする約2時間前に、恒温器の温度を低下させ、使用される恒温パック600は、液体形態のパックである。実施の形態において、恒温パックは、SavEnrgからの37℃恒温パック(カタログ番号PCM-OM37P)である、熱エネルギー貯蔵のための相変化材料(PCM)である。しかしながら、他の恒温パックが考えられ、可能であることを理解すべきである。
【0087】
図9を参照すると、放熱要素600、700は、複数の熱パック700からなる。収集容器132は、全ての側で、熱パック700により取り囲まれている。いくつかの実施の形態において、熱パック700は、酸素活性化加熱パックである。いくつかの実施の形態において、熱パック700は、空気接触および活性化を可能にするために、輸送用コンテナを梱包する前に、開けられる。実施の形態において、熱パックは、Graingerからの、空気との接触により活性化される、24時間の加熱時間を持つ熱パックのTechniche Body Warmer(カタログ番号45A274)である。しかしながら、他の熱パックが考えられ、可能であることを理解すべきである。
【0088】
図10を参照すると、放熱要素600、700は、複数の恒温パック600および複数の熱パック700からなる。収集容器132は、全ての側で、恒温パック600により取り囲まれており、熱パック700は、恒温パック600の周りに配置されている。
【0089】
複数の放熱要素600、700は、温度維持要素148の上部に配置されている。収集容器アセンブリ130は、細胞培養物108および温度ロガー150を収容し、このアセンブリ130は、断熱容器142内に、複数の温度維持要素148の上部に配置された、放熱要素600、700の上部にも入れられている。それに加え、放熱要素600、700は、収集容器アセンブリ130の周りにも配置され、温度維持要素148は、放熱要素600、700の周りにも配置され、それによって、断熱容器142を、断熱容器142の最大保有容積よりわずかに下まで充填している。細胞培養培地の容器または瓶(図示せず)も、断熱容器142内に配置され、収集容器アセンブリ130と断熱材料152との間、および複数の温度維持要素148の間に配置されることがある。
【0090】
任意の追加の温度維持要素148が断熱容器142内に入れられ、断熱容器142をその最大保有容積まで充填するために、断熱容器142内の温度維持要素の上部に衝撃吸収材料152が配置される。箱144の上に蓋146が置かれ、断熱容器142を密封し、断熱容器アセンブリ900、920、940を形成する。複数の温度維持要素148を使用して、断熱容器142をその最大保有容積まで充填することによって、細胞培養物108は、さらに断熱され、断熱容器アセンブリ900、920、940に与えられる衝撃に対して保護される。何故ならば、収集容器アセンブリ130が断熱容器142内で移動したり、調整したりするための余地がほとんどまたは全くないからである。
【0091】
断熱容器アセンブリ900、920、940に、ISTA 1Aに関するPackage Design Verification Protocolにしたがって実施されるパッケージおよびプレート梱包完全性試験が行われることがある。このISTA 1Aプロトコルは、二(2)個の包装済みウェルプレートアセンブリ120を収集容器132内に入れて、収集容器アセンブリ130を形成し、次に、断熱容器142内に、培地110の100mLの瓶および温度ロガー150と共に、三(3)個の収集容器アセンブリ130を入れる各工程を含む。次に、断熱容器142に複数の放熱要素600、700、複数の温度維持要素148を充填し、密封して閉じ、輸送用コンテナの中に入れる。次に、輸送用コンテナをテープで密封する。次に、輸送用コンテナおよび断熱容器アセンブリ900、920、940に、振動試験および10点衝撃試験を含む様々な試験を行う。ウェルプレートアセンブリ100、包装済みウェルプレートアセンブリ120、収集容器アセンブリ130、および断熱容器アセンブリ900、920、940は全て、目に見える損傷や漏れがほとんどまたは全くなく、ISTA 1Aプロトコルに合格するであろう。
【0092】
ここで
図11を参照すると、細胞培養物108の温度を維持する方法800を示す流れ図が示されている。多数の工程が特定の順序で示されているが、実施の形態は、本開示の範囲から逸脱せずに、それより多いか少ない数の工程を様々な順序で含んでよいことを留意のこと。初めに、方法800は、工程802で、ウェルプレート102の複数のウェル106の各々の中に細胞培養物108を配置する工程を含むことがある。例えば、細胞培養物108は、配送のために細胞培養物108を包装し始める前に、ある期間に亘りウェルプレート102内で成長させられる。
【0093】
工程804は、ウェルプレート102の複数のウェル106の各々の中に培地110を配置する工程を含むことがある。例えば、先に記載されたように、培地110は、ウェル106内に配置される前に、恒温器(図示せず)内で細胞培養物108の生存温度に予熱されることがある。工程806は、ウェルプレート102を密封部材114で密封する工程を含み、密封部材114は、ウェルプレート102の複数のウェル106の各々を流体的に密封する。例えば、
図2を参照すると、密封部材114は、接着剤層112によりウェルプレート102に接着されている。
【0094】
工程808は、ガスケット116を殺菌し、ウェルプレート102上にガスケット116を配置する工程を含むことがあり、ガスケット116とウェルプレート102との間に密封部材114が配置されている。例えば、先に記載されたように、ガスケット116は、密封部材114上に配置されることがある。ガスケット116は、ウェルプレート102上に配置される前に、別に殺菌されることがある。工程810は、ウェルプレート102上に蓋104を固定する工程を含むことがあり、密封部材114と蓋104との間にガスケット116が配置されている。
【0095】
工程812は、無菌容器122内にウェルプレート102を密封する工程を含むことがある。例えば、
図3および4を参照すると、無菌容器122は、輸送中にウェル106からのどのような漏れの広がりも止めるようにウェルプレート102を取り囲むプラスチックバッグであることがある。工程814は、ウェルプレート102および無菌容器122の周りに密封ストラップ124を配置する工程を含むことがある。例えば、密封ストラップ124は、無菌容器122を密封するために、それ自体に、または無菌容器122に接着する粘着ストラップであることがある。
【0096】
工程816は、衝撃吸収容器126内にウェルプレート102および無菌容器122を密封する工程を含むことがある。例えば、衝撃吸収容器126は、発泡体や気泡シートなど、衝撃吸収材料のどの形態であってもよい。工程818は、断熱容器142内にウェルプレート102を配置する前に、ウェルプレート102、無菌容器122、および衝撃吸収容器126を加温する工程を含むことがある。例えば、先に記載されたように、密封過程中、ウェルプレート102は周囲温度環境内にあるので、細胞培養物108は冷めることがある。細胞培養物108の生存能力を保護するために、構成部材の全てを細胞培養物108の生存温度まで上昇させるために、包装済みウェルプレートアセンブリ120が恒温器(図示せず)内に入れられることがある。
【0097】
工程820は、ウェルプレート102を断熱容器142内に配置する前に、多数のウェルプレート102を収集容器132内のそれぞれの衝撃吸収容器126に配置する工程を含むことがある。例えば、収集容器132は、細胞培養物108を細胞培養物108の輸送中の移動からさらに保護するために利用されることがある。工程822は、収集容器132内に温度ロガー150を配置する工程を含むことがある。例えば、温度ロガー150は、収集容器132を閉じる前に、収集容器132内に配置されることがある。温度ロガー150は、細胞培養物108の輸送中に断熱容器142内の収集容器132の内部温度を測定することがある。
【0098】
工程824は、断熱容器142内に少なくとも1つの温度維持要素148を配置する工程を含むことがある。例えば、先に記載されたように、温度維持要素148は、細胞培養物108の生存温度と等しいか、またはそれより高い、配送前温度に予熱されることがある。
【0099】
工程826は、断熱容器142内に少なくとも1つの放熱要素600、700を配置する工程を含むことがある。この放熱要素は、恒温パック600、熱パック700、またはその組合せを含むことがある。恒温パック600は、配送より前に加温されることがあり、熱パック700は、配送より前に活性化されることがある。工程828は、断熱容器142内に収集容器132を配置する工程を含むことがある。工程830は、断熱容器142内に追加の放熱要素600、700を配置し、収集容器132を覆う工程を含むことがある。
【0100】
工程832は、断熱容器142内に追加の温度維持要素148を配置し、放熱要素600、700を覆う工程を含むことがある。例えば、追加の温度維持要素148は、断熱容器142をその最大保有容積よりわずかに下まで充填するために、断熱容器142内に配置されることがある。例えば、温度維持要素148は、断熱容器142と放熱要素600、700との間に配置され、放熱要素600、700は、温度維持要素148と収集容器132との間に配置される。
【0101】
工程834は、断熱容器142内の温度維持要素148上に衝撃吸収材料152を配置する工程を含むことがある。例えば、先に記載されたように、衝撃吸収材料152は、断熱容器142をその最大保有容積まで充填するために、断熱容器142内に配置される。工程836は、断熱容器142を蓋104で密封する工程をさらに含むことがある。
【0102】
工程838は、輸送用コンテナ(図示せず)内に断熱容器142を配置する工程を含むことがある。例えば、断熱容器142が一旦密封されたら、断熱容器142は、従来の配送用ボックス、例えば、段ボール箱内に入れられ、特別な宅配便サービスを必要とせずに、翌朝配達、翌々日配達などの従来の配送方法によって、送り先に輸送されることがある。
【0103】
今や、ここに記載された実施の形態は、細胞培養物の輸送中の細胞培養物の温度維持および衝撃吸収保護を可能にする、温度維持システムおよび方法に関することが理解されているはずである。温度維持システムは、ウェルプレート、細胞培養物、培地、断熱容器、および温度維持要素を備える。温度維持システムは、放熱要素を備えることがある。ウェルプレートは複数のウェルを備える。細胞培養物は、ウェルプレートの複数のウェルの各々の中に配置され、成長させられる。培地も、ウェルプレートの複数のウェルの各々の中に配置され、ここで、培地は細胞培養物を被包し、ウェル内のどのようなエアポケットも除去するために利用される。ウェルプレートは、断熱容器内に配置される。温度維持要素も断熱容器内に配置される。放熱要素も、断熱容器内に配置される。断熱容器内の配置により、断熱容器の内部温度が、細胞培養物の生存温度に、またはそれより高く維持することができる。
【0104】
様々な改変および変更が、請求項の主題の精神と範囲から逸脱せずに、ここに記載された実施の形態に行えることが当業者に明白であろう。それゆえ、本明細書は、ここに記載された様々な実施の形態の改変および変更を、そのような改変および変更が付随の特許請求の範囲およびその等価物に入るという条件で、含むことが意図されている。
【0105】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0106】
実施形態1
キットにおいて、
複数のウェルを備えたウェルプレート、
前記ウェルプレートの前記複数のウェルの各々の中に配置される細胞培養物、
前記ウェルプレートの前記複数のウェルの各々の中に配置される培地であって、前記細胞培養物を被包する培地、
前記ウェルプレートが中に配置される断熱容器、および
前記断熱容器内に配置される温度維持要素、
を備えたキット。
【0107】
実施形態2
前記ウェルプレートに固定され、該ウェルプレートの前記複数のウェルの各々を流体的に密封する密封部材をさらに含む、実施形態1に記載のキット。
【0108】
実施形態3
前記密封部材が前記ウェルプレートに接着により固定される、実施形態2に記載のキット。
【0109】
実施形態4
前記ウェルプレート上に配置されるガスケットをさらに含み、前記密封部材が該ガスケットと前記ウェルプレートとの間に配置される、実施形態2に記載のキット。
【0110】
実施形態5
前記ウェルプレート上に配置される蓋をさらに含み、前記ガスケットが前記密封部材と該蓋との間に配置される、実施形態4に記載のキット。
【0111】
実施形態6
前記ウェルプレートが中に配置される無菌容器、および
前記無菌容器および前記ウェルプレートが中に配置される衝撃吸収容器であって、前記断熱容器内に配置される衝撃吸収容器、
をさらに含む、実施形態5に記載のキット。
【0112】
実施形態7
多数のウェルプレートが中に配置される収集容器であって、前記断熱容器内に配置される収集容器をさらに含む、実施形態6に記載のキット。
【0113】
実施形態8
前記温度維持要素が、前記断熱容器内に配置される前に、配送前温度に加熱された複数のゲルパックを含む、実施形態1に記載のキット。
【0114】
実施形態9
前記配送前温度が35℃~40℃の範囲内である、実施形態8に記載のキット。
【0115】
実施形態10
前記断熱容器内に配置される放熱要素をさらに含む、実施形態1に記載のキット。
【0116】
実施形態11
前記放熱要素が、複数の恒温パック、複数の加熱パック、またはその組合せを含む、実施形態10に記載のキット。
【0117】
実施形態12
前記恒温パックが相変化材料恒温パックを含む、実施形態11に記載のキット。
【0118】
実施形態13
前記加熱パックが酸素活性化加熱パックを含む、実施形態11に記載のキット。
【0119】
実施形態14
細胞培養物の温度を維持する方法において、
細胞培養物をウェルプレートの複数のウェルの各々の中に配置する工程、
培地を前記ウェルプレートの前記複数のウェルの各々の中に配置する工程であって、該培地は該ウェル内の前記細胞培養物を被包する工程、
温度維持要素を断熱容器内に配置する工程、および
前記ウェルプレートを前記断熱容器内に配置する工程、
を有してなる方法。
【0120】
実施形態15
前記ウェルプレートを密封部材で密封する工程であって、該密封部材は、該ウェルプレートの前記複数のウェルの各々を流体的に密封する工程、
前記ウェルプレート上にガスケットを配置する工程であって、前記密封部材が該ガスケットと該ウェルプレートとの間に配置される工程、および
前記ウェルプレート上に蓋を固定する工程であって、前記ガスケットが前記密封部材と該蓋との間に配置される工程、
をさらに含む、実施形態14に記載の方法。
【0121】
実施形態16
前記ウェルプレートを無菌容器内に密封する工程、および
前記ウェルプレートと前記無菌容器を衝撃吸収容器内に密封する工程であって、該衝撃吸収容器が前記断熱容器内に配置される工程、
をさらに含む、実施形態15に記載の方法。
【0122】
実施形態17
前記断熱容器内に温度ロガーを配置する工程、
前記断熱容器内の前記温度維持要素上に衝撃吸収材料を配置する工程、
前記断熱容器を密封する工程、および
前記断熱容器を輸送用コンテナ内に配置する工程、
をさらに含む、実施形態16に記載の方法。
【0123】
実施形態18
前記培地を前記ウェルプレートの前記複数のウェルの各々の中に配置する工程の前に、該培地を加温する工程をさらに含む、実施形態14に記載の方法。
【0124】
実施形態19
前記ガスケットを前記密封部材上に配置する工程の前に、該ガスケットを殺菌する工程をさらに含む、実施形態15に記載の方法。
【0125】
実施形態20
前記ウェルプレートを前記断熱容器内に配置する工程の前に、該ウェルプレート、前記無菌容器、および前記衝撃吸収容器を加温する工程をさらに含む、実施形態16に記載の方法。
【0126】
実施形態21
前記ウェルプレートを前記断熱容器内に配置する工程の前に、多数のウェルプレートを収集容器内に配置する工程をさらに含む、実施形態16に記載の方法。
【0127】
実施形態22
前記細胞培養物が肝臓スフェロイドである、実施形態14に記載の方法。
【0128】
実施形態23
前記断熱容器が断熱ボックスであり、前記温度維持要素が、前記断熱容器内に配置される前に、配送前温度に加熱された複数のゲルパックを含む、実施形態14に記載の方法。
【0129】
実施形態24
前記配送前温度が35℃~40℃の範囲内である、実施形態23に記載の方法。
【0130】
実施形態25
輸送中に細胞培養物の完全性を維持する方法において、
細胞培養物をウェルプレートの複数のウェルの各々の中に配置する工程、
培地を前記ウェルプレートの前記複数のウェルの各々の中に配置する工程であって、該培地は該ウェル内の前記細胞培養物を被包する工程、
前記ウェルプレートを無菌容器内に密封する工程、
前記ウェルプレートおよび前記無菌容器を衝撃吸収容器内に密封する工程であって、該衝撃吸収容器は前記断熱容器内に配置される工程、
温度維持要素を断熱容器内に配置する工程、および
前記ウェルプレートを前記断熱容器内に配置する工程、
を有してなる方法。
【0131】
実施形態26
前記断熱容器内に放熱要素を配置する工程であって、該放熱要素は前記温度維持要素と前記ウェルプレートとの間に配置される工程をさらに含む、実施形態25に記載の方法。
【0132】
実施形態27
細胞培養物の温度を維持する方法において、
細胞培養物をウェルプレートの複数のウェルの各々の中に配置する工程、
培地を前記ウェルプレートの前記複数のウェルの各々の中に配置する工程であって、該培地が前記ウェル内の細胞培養物を被包する工程、
温度維持要素を断熱容器内に配置する工程、
放熱要素を前記断熱容器内に配置する工程、および
前記ウェルプレートを前記断熱容器内に配置する工程、
を有してなる方法。
【0133】
実施形態28
前記ウェルプレートを密封部材で密封する工程であって、該密封部材は、該ウェルプレートの前記複数のウェルの各々を流体的に密封する工程、
前記ウェルプレート上にガスケットを配置する工程であって、前記密封部材が該ガスケットと該ウェルプレートとの間に配置される工程、および
前記ウェルプレート上に蓋を固定する工程であって、前記ガスケットが前記密封部材と該蓋との間に配置される工程、
をさらに含む、実施形態27に記載の方法。
【0134】
実施形態29
前記ガスケットを前記密封部材上に配置する工程の前に、該ガスケットを殺菌する工程をさらに含む、実施形態27に記載の方法。
【0135】
実施形態30
前記ウェルプレートを無菌容器内に密封する工程、および
前記ウェルプレートと前記無菌容器を衝撃吸収容器内に密封する工程、
をさらに含む、実施形態28に記載の方法。
【0136】
実施形態31
前記無菌容器および前記ウェルプレートを含む複数の衝撃吸収容器を収集容器内に配置する工程、および
温度ロガーを前記収集容器内に配置する工程、
をさらに含む、実施形態30に記載の方法。
【0137】
実施形態32
前記放熱要素が前記温度維持要素と前記収集容器との間に配置され、該温度維持要素が該放熱要素と前記断熱容器との間に配置される、実施形態31に記載の方法。
【0138】
実施形態33
前記断熱容器内の前記温度維持要素上に衝撃吸収材料を配置する工程、
前記断熱容器を密封する工程、および
前記断熱容器を配送容器内に配置する工程、
をさらに含む、実施形態32に記載の方法。
【0139】
実施形態34
前記衝撃吸収容器を前記収集容器内に配置する工程の前に、前記ウェルプレート、前記無菌容器、および該衝撃吸収容器を加温する工程をさらに含む、実施形態31に記載の方法。
【0140】
実施形態35
前記培地を前記ウェルプレートの前記複数のウェルの各々の中に配置する工程の前に、該培地を加温する工程をさらに含む、実施形態27に記載の方法。
【0141】
実施形態36
前記放熱要素が、複数の恒温パック、複数の加熱パック、またはその組合せを含む、実施形態27に記載の方法。
【0142】
実施形態37
前記断熱容器内に配置する工程の前に、前記恒温パックが加温される、前記加熱パックが活性化される、またはその両方である、実施形態36に記載の方法。
【0143】
実施形態38
前記温度維持要素が、前記断熱容器内に配置される前に、配送前温度に加熱された複数のゲルパックを含む、実施形態27に記載の方法。
【0144】
実施形態39
前記配送前温度が35℃~40℃の範囲内にある、実施形態38に記載の方法。
【0145】
実施形態40
前記細胞培養物が肝臓スフェロイドである、実施形態27に記載の方法。
【符号の説明】
【0146】
100 ウェルプレートアセンブリ
102 ウェルプレート
104 蓋
106 ウェル
108 細胞培養物
110 培地
112 接着剤層
114 密封部材
116 ガスケット
120 包装済みウェルプレートアセンブリ
122 無菌容器
124 密封ストラップ
126 衝撃吸収容器
130 収集容器アセンブリ
132 収集容器
140、900、920、940 断熱容器アセンブリ
142 断熱容器
144 箱
146 箱の蓋
148 温度維持要素
150 温度ロガー
152 衝撃吸収材料
600、700 放熱要素
【国際調査報告】