(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-14
(54)【発明の名称】架橋ゴムを回収および脱硫するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
B29C 48/92 20190101AFI20221107BHJP
B29C 48/385 20190101ALI20221107BHJP
B29C 48/395 20190101ALI20221107BHJP
B29C 48/40 20190101ALI20221107BHJP
B29C 48/69 20190101ALI20221107BHJP
B29C 48/76 20190101ALI20221107BHJP
B29C 48/625 20190101ALI20221107BHJP
B29C 48/275 20190101ALI20221107BHJP
B29C 48/27 20190101ALI20221107BHJP
B29C 48/285 20190101ALI20221107BHJP
C08J 11/12 20060101ALI20221107BHJP
【FI】
B29C48/92
B29C48/385
B29C48/395
B29C48/40
B29C48/69
B29C48/76
B29C48/625
B29C48/275
B29C48/27
B29C48/285
C08J11/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516109
(86)(22)【出願日】2020-09-09
(85)【翻訳文提出日】2022-05-09
(86)【国際出願番号】 IB2020058373
(87)【国際公開番号】W WO2021048756
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】102019000016061
(32)【優先日】2019-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522096101
【氏名又は名称】フラテッリ・マリス・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】F.LLI MARIS S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】マリス,ジャンフランコ
【テーマコード(参考)】
4F207
4F401
【Fターム(参考)】
4F207AA45
4F207AA50
4F207AJ08
4F207AM10
4F207AM23
4F207AR04
4F207AR06
4F207AR09
4F207KA01
4F207KK12
4F207KK13
4F207KK23
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4F207KL45
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4F207KM15
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4F207KW45
4F401AA05
4F401BA13
4F401CA66
4F401CA69
4F401CB26
4F401DC06
4F401FA01Z
4F401FA03Z
4F401FA20Z
(57)【要約】
以下を含んで成るプラントにて加硫ゴム(10)を回収および脱硫するためのプロセスを行う:加硫ゴムを粉砕して粒子にするためのミル(12);加硫ゴムの粒子を強制的に供給するためのデバイス(18)とサーモスタット・デバイスとを備える脱硫二軸押出機(20);二軸押出機(20)の下流に配置され、サーモスタット・デバイスと、脱硫ゴム用のフィルター(26)と、スロットのような形状の押出ダイ(28)(ここから脱硫ゴムがストリップまたはシートの形状で出てくる)とを備える一軸押出機(22);および脱硫ゴムのストリップまたはシートのためのクーリング・デバイス。
二軸押出機(20)の長手方向の全長にわたってせん断速度を実質的に一定に維持するように、35~450℃の温度、15~600rpmのスクリュー回転速度、11~18Nm/cm
3のトルク密度で二軸押出機(20)を操作する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含んで成るプラントを使用することによって、加硫ゴム(10)を回収および脱硫するためのプロセス:
前記加硫ゴムを粉砕して粒子にするためのミル(12)、
前記加硫ゴムの粒子を強制的に供給するためのデバイス(18)とサーモスタット・デバイスとを備える脱硫のための二軸押出機(20)、
前記二軸押出機(20)の下流に配置される一軸押出機(22)であって、サーモスタット・デバイスと、前記脱硫ゴムのためのフィルター(26)と、スロットのような形状の押出ダイ(28)とを備え、前記押出ダイ(28)から脱硫ゴムがストリップまたはシートの形状で出てくる、一軸押出機(22)、および
前記脱硫ゴムのストリップまたはシートのためのクーリング・デバイス
当該プロセスにおいて、前記二軸押出機(20)の長手方向の全長にわたって、せん断速度を実質的に一定に維持するように、35~450℃の温度、15~600rpmのスクリュー回転速度、11~18Nm/cm
3のトルク密度で前記二軸押出機(20)を操作する、プロセス。
【請求項2】
前記二軸押出機(20)のスクリューの外径と内径との比が、1.22~1.78、好ましくは1.55~1.78である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記二軸押出機(20)が、前記スクリューの外径の少なくとも64倍に等しい長さ、好ましくは前記スクリューの外径の80倍以下の長さを有する、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記脱硫ゴムを前記二軸押出機(20)から前記一軸押出機(22)に移送させるために、前記プラントが、さらに、
前記二軸押出機(20)を前記一軸押出機(22)に直接的に接続するための接続エレメント(52)、または
前記二軸押出機(20)から押出される前記脱硫ゴムを回収し、前記脱硫ゴムを前記一軸押出機(22)に供給するホッパー、または
前記二軸押出機(20)から出てくる脱硫ゴムのストリップを前記一軸押出機(22)に移送する少なくとも1対の対向する加圧ローラ
を含んで成る、請求項1~3のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記ダイ(28)が様々な形状を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記クーリング・デバイスが、水で満たされたタンク(30)からなり、前記タンク(30)に前記脱硫ゴムのストリップまたはシートを浸漬させる、請求項1~5のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記二軸押出機(20)の少なくとも1つのポイントに水が注入され、前記ポイントが、入口から、前記スクリューの外径の少なくとも32倍に等しい距離に位置付けられている、請求項1~6のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記二軸押出機(20)が、その中で形成されるガスおよび/またはベーパーを除去するための脱気手段を備える、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記水の注入ポイントと、前記脱気手段が位置付けられる後続のポイントとの間の距離が、前記スクリューの外径の4倍~24倍の間である、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記水の注入ポイントと、前記脱気手段が位置付けられる後続のポイントとの間の距離が、前記スクリューの外径の8倍~16倍の間である、請求項9に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架橋ゴム(又は架橋ラバー)を回収および脱硫するためのプロセス(又は方法)に関する。
【背景技術】
【0002】
回収されるゴムは、典型的には、産業処理廃棄物および/またはその耐用年数を過ぎた物品から構成されており、専門の回収センターおよび/または埋立地に由来するものである。
【0003】
加硫ゴム(又は硫化ゴム)の分子鎖は、典型的には、化学結合によって連結されている。この化学結合は、硫黄原子の架橋によって延長する(又は伸長又は発達又は成長)するものであり、この硫黄原子は、分子鎖を横方向に連結している。従って、加硫ゴム(又は硫化ゴム)は、熱硬化性ポリマーの構造と同様の構造を有するが、その製造サイクルにおいて、熱硬化性ポリマーのように再利用(又は再使用又はリユース)することができない。
【0004】
硫黄によって形成される化学結合を切断するような量のエネルギーを架橋ゴムに与えることで、エラストマー材料が加硫処理前(又は硫化処理)の元々の物理化学的な状態に戻り、製造サイクルにおいて再利用(又は再使用又はリユース)されるように準備を施すようなプラントが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、脱硫処理を受けるために回収されるゴム(又はラバー)は、選択的かつ高性能な廃棄物の選別プロセスが、ますます、より広く普及するようになっているにもかかわらず、通常、他の物質の粒子を含んで成る。かかる粒子は、最終的に得られる脱硫ゴムを汚染し、その特性を妥協する(又は損なう)ことになる。
【0006】
従って、本発明の目的は、かかる不純物による欠点を解消するためのプロセス(又は方法)を提供することである。かかる不純物は、処理される加硫ゴム(又は硫化ゴム)に不可避的に存在するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、以下の請求項1に記載の特徴を有する架橋ゴムの回収および脱硫のためのプロセス(又は方法)によって達成される。本発明のプロセスの好ましい特徴は、請求項1に従属する複数の請求項に記載の通りである。
【0008】
本発明は、現在の脱硫ゴムの純度に関する市場のニーズを満たすものである。本発明によって、非分解の回収プロセス(又は分解しない回収プロセス(又はノン・デグレーディング・リカバリ・プロセス)を実施することが可能となる。当該プロセスには、投入するエネルギーを減少させるとともに、最終的なプラスチック材料(脱硫されており、なおかつ不純物および汚染物質を実質的に含まない材料)を与えることが求められる。
【0009】
本発明のさらなる利点および特徴は、添付の図面を参照しながら、非限定的な例として提供される以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明のプロセスを実施するためのプラントの概略正面図である(より明確に示すために2つの部分に分割されている)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
加硫ゴム(又は硫化ゴム)10を回収および脱硫するためのプラントは、ゴム10を粉砕および脱硫するためのミル12を含んで成る(
図1、
図2)。当該プラントのミル12の下流には、ホモジナイザー14と、重量測定式/容量測定式の計量ユニット16とが配置されている。計量ユニット16は、ミル12で生成(又は形成)したゴムの粒子をデバイス18に供給するものである。このデバイス18によって、二軸脱硫押出機20に上記粒子を強制的に供給する。
【0012】
二軸押出機20の下流には、一軸押出機22がある。一軸押出機22は、ギアポンプ24と、脱硫ゴムのためのフィルター26と、押出ダイ28(スロット(又は溝)のような形状を有する)とを備える。この押出ダイ28から、ストリップ(又は細片又は帯)の形状またはシート(又は板)の形状で脱硫ゴムが出てくる。
【0013】
押出ダイ28の下流には、タンク30(冷却水を含んで成る)と、トンネル32(脱水および乾燥のためのトンネル)と、デバイス33(脱硫ゴムのストリップまたはシートを回収するためのデバイス)が存在する。
【0014】
強制的に供給するデバイス(又は強制供給デバイス)18は、それ自体が知られているものであり、加硫ゴムの粒子(様々な形状、粒径(又は粒子径又は粒子サイズ)および見かけ密度を有する粒子)を二軸押出機20に容易に導入することができる。このデバイス(18)は、典型的には、ホッパー34と、シリンダー36とから形成されている(
図3)。シリンダー36の内部において、1以上のスクリュー38が回転する。このデバイス(18)は、円錐形または円筒形の形状(又はジオメトリ)を有する。このデバイス(18)は、押出機に対して垂直方向に配置されている(いくつかの実施形態では横方向に配置されている(図示せず))。このデバイス(18)は、機械式、電気式または空気式(又はニューマチック)のデバイスを有していてよい。そうすることとで、二軸押出機20に加硫ゴム粒子を強制的に送ることができる。このようなデバイス18の使用によって、押出機20のスクリューの自由体積(又は自由容積又はフリー・ボリューム)の充填速度(又は充填率又はフィリング・レート)を高め、膨張した加硫ゴム(典型的には、50~350kg/m
3の密度を有するものである)の処理に特に有効であることが実証されている。この場合、スクリューの充填を大きくするほど、生産性をかなり向上させることができる。すなわち、強制的に供給するデバイス18がない場合と比較すると、100%以上も生産性を向上させることができる。さらに、過剰のせん断応力(又はシア・ストレス)によって、ゴムの分解(又は劣化)を劇的に減少させることができる。
【0015】
せん断速度(又は幾何学的なせん断速度(又はジオメトリック・シア・レート))は、押出機20内において、その全長にわたって一定に保たれる。それによって、ゴムの分子鎖の間の架橋結合(又はクロスボンド)を切断する(又は壊す)ことができ、脱硫ゴムにおいて起こり得る分解(又は劣化)を回避することができる。押出機20の高い充填速度(これは、強制的に供給するデバイス18によって決定されるものである)によって、各ゾーンにおいて材料が絶えず(又は常に又は一定に)存在することを確保し、そうすることで、前進するようになり、なおかつ、付与される応力(又はストレス)が均一になる。対して、強制的に供給するデバイス18がない場合、加工される材料は、その形状および密度に起因して、押出機20内において、異なるせん断速度を受け得る。それによって、材料を分解する可能性がある。同様に、加硫ゴム(又は硫化ゴム)から脱硫ゴムへの移行において、高い充填速度によって冷却が促進される。それによって分解(又は劣化)を相殺する(又は打ち消す)こともできる。
【0016】
さらに、強制的に供給するデバイス18は、プラントの操作の柔軟性を向上させる。これは、粉末または顆粒の形態で様々な粒径(又は粒子径又は粒子サイズ)を有する粒子(0.2~15mmの大きさ(又は寸法又はサイズ)を有するもの)の処理を可能にすることによる。
【0017】
二軸押出機20は、有利には、複数の円筒形のモジュールから構成されている。モジュールは、通常、スクリューの外径の4倍に等しい長さを有し、直列にマウント(又は配置)されている。そうすることで連続したシリンダーを形成する。典型的には、二軸押出機20は、スクリューの外径の少なくとも64倍に等しい長さを有する。好ましくは、スクリューの外径の80倍以下の長さを有する。
【0018】
押出機20は、サーモスタット・デバイスを備える。このサーモスタット・デバイスは、一方では、シリンダーの外側の表面に取り付けられる複数の電気抵抗器(又はエレクトリカル・レジスター)を含んで成り、他方では、水冷回路(又はウォーター・クーリング・サーキット)を含んで成る(
図4)。水冷回路は、複数の管状ホール40から形成されている。管状ホール40は、押出機の長手軸42に平行して延びるラビリンスとして得られるものである(押出機の中央のキャビティの周囲の相対的なシリンダーの壁44の内部にある)。所望の様式(又は方法又はマナー)で加熱フェーズおよび冷却フェーズを交互に調整することによって、エラストマー材料に付与されるエネルギーを制御しながら維持する。それによって、分子鎖の間で架橋された化学結合が破壊された後のエラストマー材料の分解(又は劣化)を防止する。
【0019】
スクリューの外径と内径の比は、1.22~1.78、好ましくは1.55~1.78である。それ自体が知られている様式(又は方法又はマナー)(図示されていない)において、成分(又は要素又は構成要素又はエレメント)の搬送および混合の列(又はシーケンス)が、スクリューの多列シャフト(又はマルチ・ロウ・シャフト(multi-row shafts))にそれぞれ形成(又は配置)されている(特に、充填を均一にするような幾何学的な形状(又はジオメトリック・プロファイル)を有するもの(EP-1 136 228 B1に記載されている通りである)。これによって、このゴムに付与されるせん断応力(つまり、上記ゴムによって吸収される具体的なエネルギー)を均一かつ制御しながら維持することができる。
【0020】
典型的には、トルク密度が11~18Nm/cm3である。これによって、15~600rpmのスクリューの回転速度を伴って、スクリューの高い充填速度(又は充填率又はフィリング・レート)を保証する。このとき、せん断速度は、押出機20の全長にわたって、低く一定に維持される。最終的には、より高い生産性が得られ、このとき、トップの値が最大で40~60%であり、より低い運転温度を達成する(ただし、スクリューの回転速度が同じで、同じ幾何学的なパラメータを有する押出機(より低いトルク密度を有するもの)を使用する場合である)。
【0021】
一軸押出機(又は単軸押出機)22は、それ自体が知られている様式(又は方法又はマナー)で、シリンダーと、メイン・モーターとを含んで成る。メイン・モーターは、減速機(又はスピード・リデューサー)と機械的に接続されている。次いで、このモーターは、シリンダー内で回転する可塑化スクリュー(又はプラスティサイジング・スクリュー)に接続されている。一軸押出機22の長さは、典型的には、各スクリューの直径の8~20倍に等しい。
【0022】
押出機22は、サーモスタット・デバイスを備える。サーモスタット・デバイスは、一方では、シリンダーの外側の表面に固定された複数の電気抵抗器(又はエレクトリカル・レジスター)を含んで成り、他方では、水冷回路(又はウォーター・クーリング・サーキット)を含んで成る(
図5)。水冷回路は、複数の管状ホール46から形成されている。管状ホール46は、押出機22の長手軸48に平行して延びるラビリンスとして得られるものである(押出機の中央のキャビティの周囲の円形クラウンの形態でシリンダーの壁50の内部にある)。
【0023】
シリンダーの内側で材料を搬送するスクリューは、内部の水の循環によって、強制冷却を伴うタイプのものであってよい。
【0024】
押出機22が備えるフィルター26は、従来のグリッドを含む。半自動タイプ(又はセミオートマチック・タイプ)または自動タイプ(又はオートマチック・タイプ)のものであってよい。いずれのタイプも、2つの異なるチャネルで溶融材料の連続フローを可能にする。自動タイプは、半自動タイプとは異なって、オペレータの技術的な監督なしに連続的な生産を保証し得ることは言うまでもない。
【0025】
フィルター26の存在によって、押出機22に沿ってゴムが進むのに遭遇する抵抗が増大し、圧力の増加をもたらし、その結果として、温度の上昇を引き起こす。このことは、ゴムの分解(又は劣化)を引き起こす可能性がある。
【0026】
しかし、このような効果は、スクリューによって発揮される撹拌作用とともに、サーモスタット・デバイスによって補償される。特に、好ましくは、二重の水冷回路によって補償される。このことによって、スクリューおよびシリンダーの冷却表面(又は冷却された表面)とゴムの新しい部分とを徐々に接触させることによって温度を均一にする。従って、かかる手段の組み合わせによって、脱硫ゴムの温度を顕著に低下させることに成功する。
【0027】
有利には、押出機22の出口にあるダイ28は、押出された脱硫ゴムのストリップまたはシートの次元(又は寸法又はディメンジョン)を所望の様式(又は方法又はマナー)で決定できるように、様々な形状(又はジオメトリ)を有する。
【0028】
このプラントは、二軸押出機20から一軸押出機22に脱硫ゴムを通過させることができる手段をさらに含んで成る。特に、
図6には、接続エレメント(又は接続要素又はコネクティング・エレメント)52が示されている。この接続エレメント52は、二軸押出機20を一軸押出機22に直接的に接続するためのものである。
【0029】
本発明の代替の実施形態(図示せず)において、脱硫ゴムを二軸押出機20から一軸押出機22に通過させることができる上記の手段は、以下を包含してよい。
二軸押出機20から押し出された脱硫ゴムを回収し、一軸押出機(又は単軸押出機)22に脱硫ゴムを供給するホッパー、または
二軸押出機20から出てくる脱硫ゴムのストリップを一軸押出機(又は単軸押出機)22に移送する加圧ローラ(1対以上で対向しているもの)。
【0030】
加硫エラストマー(又は硫化エラストマー)の処理に上記のプラントを使用することができる。この加硫エラストマー(又は硫化エラストマー)は、実質的にあらゆる化学的な性質を有するものであり、あらゆる種類の物品(特に、自動車、大型車両および航空機のタイヤなど)を構成するために従来から使用されているものである。脱硫されてよいエラストマーの例として、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、エチレンプロピレンゴム(EPR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム(EPDM)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム、シリコーンゴム、ならびにポリウレタン類およびクロロスルホン化ポリエチレン類が挙げられる。
【0031】
処理を受けるエラストマーに他の物質を添加してはならないことに留意すべきである(熱可塑性材料またはプロセス添加剤など)。その結果として、製造コストならびにそれらの使用に伴う環境への影響を低減する。
【0032】
具体的には、加硫ゴム(又は硫化ゴム)は、ミル12に送られ、所望の大きさ(又は寸法又はサイズ)の粒子にまで小さくされ、その後、ホモジナイザー14に送られる。このようにして得られるゴム粒子は、ディスペンサ16を通して、強制的に供給するデバイス(又は強制供給デバイス)18に導入される。このデバイス18は、二軸押出機20にゴム粒子を供給し、この二軸押出機20において、ゴムの脱硫を行う。
【0033】
押出機20は、35~450℃の温度、15~600rpmのスクリュー回転速度、11~18Nm/cm3のトルク密度で運転(又は作動)させる。その結果として、スクリューの充填速度(又は充填率又はフィリング・レート)が高くなり、二軸押出機の長手方向の全長(又は全伸長又は全進行又は全進展又は全展開)にわたって、せん断速度が実質的に一定になる。
【0034】
この材料の冷却は、二軸押出機20の1以上のポイント54において、水を注入することによって促進されてよい。ポイント54は、初期セクションから、スクリューの外径の少なくとも32倍に等しい距離に位置付けられている。すなわち、脱硫が行われた後にのみ、配置されている。注入される水の量は、処理されるゴムの量に対して、1~30重量%であってよい。注入され、なおかつ、その後に気化した水、ならびに脱硫によって生成する他のガス状の成分は、脱気手段56(例えば、エクストラクション・スクリューまたはサクション・ポンプ(押出機のシリンダー20から横方向に分岐する1以上のディスチャージ・ダクトに配置される))によって、それ自体が知られている様式(又は方法又はマナー)で除去することができる。水の注入ポイント54と、その後方の脱気ポイント56との間の距離は、好ましくはスクリューの外径の4倍から24倍、さらにより好ましくはスクリューの外径の8倍から16倍である。
【0035】
水を注入することによって、水がない状態での運転と比べて、ゴムの温度を約20~30℃下げることができる。そうすることで、温度によって誘発される分解(又は劣化)の現象を防ぐとともに、発生する脱硫ゴムの臭気をストリッピング作用(ベーパーをこの臭気を発生させる物質に晒すことによって生じる作用)によって低減することができる。また、脱硫直後のゴムを急冷する水の注入は、ゴムのムーニー粘度を約6%上昇させる効果がある。
【0036】
二軸押出機20を出る脱硫ゴムは、その後、接続エレメント(又は接続要素又はカップリング・エレメント)52を介して、一軸押出機22に誘導(又はガイド)される。ここで、脱硫ゴムの温度は、約15~30℃低下する。
【0037】
フィルター26を通過させることによって、処理を受けるゴムにおいて、通常は元から存在する異物の塊(又はダマ)を阻止(又は防止)する。そうすることでゴムを精製し、新品(又はバージン製品)の品質レベルに相当する品質レベルにまで到達させる。
【0038】
ゴムは最終的にダイ28を通してストリップまたはシートの形状に押し出される。これをタンク30に浸漬させて通過させて、タンク30に含まれる水によって、さらに冷却する。有利には、水はアンチパッキング添加剤を含んでよい。
【0039】
次いで、タンク30から出てくるストリップまたはシートは、乾燥用のトンネル32を通過させて、最終的に、回収用のデバイス33に送られる。
【0040】
当然ながら、本発明の原理を損なうことなく、実施の詳細および実施形態は、添付の特許請求の範囲で規定される本発明の範囲から逸脱することなく、純粋に例として説明したものに対して、広く変更を加えてよい。
【国際調査報告】