(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-14
(54)【発明の名称】自己診断、自己保守、および自己保護機能を有する固体回路遮断器
(51)【国際特許分類】
H02H 3/08 20060101AFI20221107BHJP
【FI】
H02H3/08 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540615
(86)(22)【出願日】2020-09-02
(85)【翻訳文提出日】2022-04-28
(86)【国際出願番号】 US2020049018
(87)【国際公開番号】W WO2021046097
(87)【国際公開日】2021-03-11
(32)【優先日】2019-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522082447
【氏名又は名称】アトム・パワー・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ビネシュ・クマール
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィデ・レオーニ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ジェイ・ハリス
(72)【発明者】
【氏名】デニス・クラウシス
【テーマコード(参考)】
5G004
【Fターム(参考)】
5G004AA02
5G004AA03
5G004AB01
5G004AB02
5G004BA04
5G004CA02
5G004CA05
5G004DA04
5G004DC07
5G004DC14
5G004EA01
(57)【要約】
自己診断、自己保守、および自己保護機能を有する固体回路遮断器(SSCB)は、電力用半導体デバイスと、電力用半導体デバイスと直列に接続されたエアギャップ切断ユニットと、短絡または許容できないほど長い持続時間の過負荷を検出すると電力用半導体デバイスをオフに切り替える感知および駆動回路と、感知および駆動回路が電力用半導体デバイスをオフに切り替えた後、エアギャップを形成し、取り付けられた負荷を直流的に絶縁するためにエアギャップ切断ユニットをトリガするマイクロコントローラユニット(MCU)とを含む。MCUは、エアギャップ切断ユニット、電力用半導体デバイス、およびSSCBの他の重要な構成要素の動作可能性を監視し、該当する場合、SSCBおよび接続された負荷が損傷もしくは破壊されるのを防止するために、ならびに/または人および環境を危険な電気的条件に曝されることから保護するために是正措置をとるようにさらに構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラインイン端子およびラインアウト端子と、
前記ラインイン端子と前記ラインアウト端子との間に構成された電力用半導体デバイスと、
前記電力用半導体デバイスを流れる電流を監視し、短絡または許容できないほど長い持続時間の過負荷を検出すると前記電力用半導体デバイスをオフに切り替える感知および駆動回路と、
通常動作状態の間、前記電力用半導体デバイスがオンであるとき、前記電力用半導体デバイスの動作可能性を監視し、前記電力用半導体デバイスが故障したかまたは故障した可能性があると判断したときに、前記電力用半導体デバイスが故障したかまたは故障した可能性があることを示す警告を生成するように構成されたマイクロコントローラユニット(MCU)と
を備える固体回路遮断器(SSCB)。
【請求項2】
前記感知および駆動回路が前記電力用半導体デバイスをオフに切り替えた後に前記ラインイン端子と前記ラインアウト端子との間にエアギャップを形成するように構成された、前記ラインイン端子と前記ラインアウト端子との間に前記電力用半導体デバイスと直列に接続されたエアギャップ切断ユニットをさらに備え、通常動作状態の間、前記電力用半導体デバイスがオンであり、前記ラインイン端子と前記ラインアウト端子との間にエアギャップが形成されていないとき、前記MCUが、前記エアギャップ切断ユニットの動作可能性を監視し、前記エアギャップ切断ユニットが故障したかまたは故障した可能性があると判断したときに、前記電力用半導体デバイスをオフに切り替えるように前記感知および駆動回路に指示するようにさらに構成されている、請求項1に記載のSSCB。
【請求項3】
前記MCUが、前記エアギャップ切断ユニットが開いて故障したかまたは開いて故障した可能性があるかどうかを判定するように動作可能であり、前記エアギャップ切断ユニットが閉じて故障したまたは閉じて故障した可能性があるかどうかを判定するようにも動作可能である、請求項2に記載のSSCB。
【請求項4】
前記MCUが、前記エアギャップ切断ユニットが故障したと判断したときに前記電力用半導体デバイスをオフに切り替えるように前記感知および駆動回路に指示し、前記電力用半導体デバイスがオンに切り替えられるのを防止するように構成されている、請求項3に記載のSSCB。
【請求項5】
前記SSCBは、前記SSCBがトリップした後に、前記エアギャップ切断ユニットを再係合し、前記エアギャップを閉じるために人が押下することができるリセットボタンをさらに備え、前記MCUは、前記感知および駆動回路が前記電力用半導体デバイスをオンに切り替えることを可能にする前に前記リセットボタンが押下されたことに応答して、前記エアギャップ切断ユニットが正常に再係合されたことを検証するように構成されている、請求項2に記載のSSCB。
【請求項6】
前記リセットボタンが、前記リセットボタンをロックし、前記リセットボタンが前記エアギャップ切断ユニットを再係合させるために押下されるのを防止するために、南京錠または他のロックデバイスが挿入され得るロックアウト-タグアウト(LOTO)穴を含む、請求項5に記載のSSCB。
【請求項7】
前記SSCBが、二次ロックアウト機構であって、前記SSCBの主要な構成要素もしくは主要な機能のうちの1つまたは複数が故障したか、故障した可能性があるか、または故障している可能性があると前記MCUが判断したときに前記MCUによってトリガされ、トリガされると、前記南京錠または他のロックデバイスが前記LOTO穴を通して挿入されているかどうかにかかわらず、前記リセットボタンが前記エアギャップ切断ユニットを再係合させるために押下されるのを防止する二次ロックアウト機構をさらに備える、請求項6に記載のSSCB。
【請求項8】
前記SSCBが、前記エアギャップ切断ユニットと電力用半導体デバイスとの間に構成されたラインイン電流/電圧センサと、前記ラインアウト端子に結合されたラインアウト電流/電圧センサとをさらに備え、前記MCUが、前記ラインイン電流/電圧センサおよび前記ラインアウト電流/電圧センサの動作可能性を監視し、前記ラインイン電流/電圧センサが故障したかもしくは故障している可能性があると判断したとき、または前記ラインアウト電流/電圧センサが故障したかもしくは故障している可能性があると判断したとき、前記電力用半導体デバイスをオフに切り替える、および/または前記ラインイン端子と前記ラインアウト端子との間に前記エアギャップを形成するために前記エアギャップ切断ユニットをトリガするように前記感知および駆動回路に指示するようにさらに構成されている、請求項2に記載のSSCB。
【請求項9】
前記MCUが、前記電力用半導体デバイスが閉じて故障したかまたは閉じて故障した可能性があるかどうかを判定し、前記電力用半導体デバイスが閉じて故障したかまたは閉じて故障した可能性があると判断したときに、前記ラインイン端子と前記ラインアウト端子との間に前記エアギャップを形成するために前記エアギャップ切断ユニットをトリガするように構成されている、請求項2に記載のSSCB。
【請求項10】
前記MCUが、前記感知および駆動回路が前記電力用半導体デバイスを正常にオフに切り替えたかどうかにかかわらず、短絡または許容できないほど長い持続時間の過負荷が発生したときに、前記ラインイン端子と前記ラインアウト端子との間に前記エアギャップを形成するために前記エアギャップ切断ユニットをトリガするようにさらに構成されている、請求項2に記載のSSCB。
【請求項11】
前記電力用半導体デバイスが故障したかまたは故障した可能性があるときに人に警告するように構成された電子ディスプレイをさらに備える、請求項1に記載のSSCB。
【請求項12】
前記エアギャップ切断ユニットが故障したかまたは故障した可能性があるときに人に警告するように構成された電子ディスプレイをさらに備える、請求項2に記載のSSCB。
【請求項13】
前記SSCBが、前記MCUおよび前記SSCBの他の直流(DC)構成要素にDC電力を供給するように構成されたDC電源をさらに備え、前記MCUが、前記DC電源の出力電圧を監視し、前記出力電圧が所定のしきい値電圧未満に低下したと判断したときに、前記電力用半導体デバイスをオフに切り替えるように前記感知および駆動回路に指示するように構成されている、請求項1に記載のSSCB。
【請求項14】
前記SSCBが、前記MCUおよび前記SSCBの他の直流(DC)構成要素にDC電力を供給するように構成されたDC電源をさらに備え、前記MCUが、前記DC電源の出力電圧を監視し、前記出力電圧が所定のしきい値電圧未満に低下したと判断したときに、前記電力用半導体デバイスをオフに切り替えるように前記感知および駆動回路に指示するように構成されている、請求項2に記載のSSCB。
【請求項15】
前記MCUが、前記DC電源の前記出力電圧が前記所定のしきい値電圧未満に低下したと判断したときに、前記ラインイン端子と前記ラインアウト端子との間に前記エアギャップを形成するために前記エアギャップ切断ユニットをトリガするようにさらに構成されている、請求項14に記載のSSCB。
【請求項16】
前記エアギャップ切断ユニットが、前記エアギャップ切断ユニットをトリガするソレノイドと、前記ソレノイドを作動させる電流を供給するエアギャップ切断キャパシタとを備え、前記MCUが、前記エアギャップ切断キャパシタの動作可能性を監視し、前記エアギャップ切断キャパシタが故障したかまたは故障している可能性があると判断したときに、前記エアギャップ切断キャパシタをバイパスして前記DC電源を一時的に構成するバイパス回路が、前記エアギャップ切断キャパシタの代わりに前記ソレノイドを作動させる電流を供給することを可能にするように構成されている、請求項15に記載のSSCB。
【請求項17】
前記エアギャップ切断ユニットが、エアギャップ切断キャパシタを備え、前記MCUが、前記DC電源の前記出力電圧が前記所定のしきい値電圧未満に低下したと判断したときに、前記エアギャップ切断キャパシタが、前記DC電源の代わりに前記MCUのための電源として一時的に機能するように構成されている、請求項15に記載のSSCB。
【請求項18】
前記SSCBが、前記電力用半導体デバイスに近接するサーミスタをさらに備え、前記MCUが、前記サーミスタを監視し、前記電力用半導体デバイスにおけるあり得る熱暴走状態を検出したときに、前記電力用半導体デバイスをオフに切り替えるように前記感知および駆動回路に指示するようにさらに構成されている、請求項1に記載のSSCB。
【請求項19】
前記MCUの外部にあるウォッチドッグ回路であって、前記MCUの動作可能性を監視し前記電力用半導体デバイスをオフに切り替えるか、あるいは前記MCUが故障したかまたは故障している可能性があると判断したときに、前記電力用半導体デバイスをオフに切り替えるように前記感知および駆動回路に指示するように構成されたウォッチドッグ回路をさらに備える、請求項1に記載のSSCB。
【請求項20】
前記SSCBが、前記ラインイン端子と前記ラインアウト端子との間に前記電力用半導体デバイスと直列に接続されたエアギャップ切断ユニットをさらに備え、前記ウォッチドッグ回路が、前記MCUが故障したかまたは故障している可能性があると判断したときに、前記ラインイン端子と前記ラインアウト端子との間にエアギャップを形成するために前記エアギャップ切断ユニットをトリガするようにさらに構成されている、請求項19に記載のSSCB。
【請求項21】
前記SSCBが、前記電力用半導体デバイスが過度に高い電圧に曝されるのを防止するように構成されたサージ保護デバイス(SPD)をさらに備え、前記MCUが、前記SPDの動作可能性を監視し、前記SPDが故障したか、またはその期待される所定の寿命を超えて十分に劣化したと判断したときに、前記ラインイン端子と前記ラインアウト端子との間に前記エアギャップを形成するために前記エアギャップ切断ユニットをトリガするように構成されている、請求項2に記載のSSCB。
【請求項22】
前記エアギャップ切断ユニットと機械的に連通するリリースボタンをさらに備え、前記リリースボタンが、人によって押下されたときに、前記ラインイン端子と前記ラインアウト端子との間に前記エアギャップを形成するために前記エアギャップ切断ユニットを手動で係合解除する、請求項2に記載のSSCB。
【請求項23】
前記リリースボタンが、前記リリースボタンの物理的変位に応じて開閉するマイクロスイッチを備え、前記MCUが、前記マイクロスイッチの動作可能性を監視し、前記マイクロスイッチが故障したかまたは故障している可能性があると判断したときに、前記電力用半導体デバイスをオフに切り替える、および/または前記ラインイン端子と前記ラインアウト端子との間に前記エアギャップを形成するように前記エアギャップ切断ユニットに指示するように前記感知および駆動回路に指示するように構成されている、請求項22に記載のSSCB。
【請求項24】
前記MCUが、前記SSCBに関する動作状態および診断情報を生成および提供するようにさらに構成されている、請求項1に記載のSSCB。
【請求項25】
前記MCUが、前記動作状態および診断情報を、自動的に、代替的にはオンデマンドでまたは所定のスケジュールに従って生成および提供するように構成されている、請求項24に記載のSSCB。
【請求項26】
前記MCUが前記動作状態および診断情報をローカルのまたは遠隔に配置されたコンピュータに送信することができる通信および制御(通信/制御)バスに接続するように構成された通信/制御バスコネクタをさらに備える、請求項24に記載のSSCB。
【請求項27】
前記SSCBが、前記動作状態および診断情報を表示するように構成された電子ディスプレイをさらに備える、請求項24に記載のSSCB。
【請求項28】
ラインイン端子およびラインアウト端子と、
前記ラインイン端子と前記ラインアウト端子との間に構成された電力用半導体デバイスと、
前記ラインイン端子と前記ラインアウト端子との間に前記電力用半導体デバイスと直列に接続されたエアギャップ切断ユニットと、
通常動作状態の間、前記電力用半導体デバイスがオンであるとき、前記電力用半導体デバイスの動作可能性を監視し、前記電力用半導体デバイスが故障したかまたは故障した可能性があると判断したときに、前記ラインイン端子と前記ラインアウト端子との間にエアギャップを形成するために前記エアギャップ切断ユニットをトリガするように構成されたマイクロコントローラユニット(MCU)と
を備える固体回路遮断器(SSCB)。
【請求項29】
前記MCUが、前記エアギャップ切断ユニットが開いて故障したかまたは開いて故障した可能性があるかどうかを判定するように動作可能であり、前記エアギャップ切断ユニットが閉じて故障したかまたは閉じて故障した可能性があるかどうかを判定するようにも動作可能である、請求項28に記載のSSCB。
【請求項30】
前記SSCBが、感知および駆動回路をさらに備え、前記MCUが、前記エアギャップ切断ユニットが閉じて故障したと判断したときに、前記電力用半導体デバイスをオフに切り替えるように前記感知および駆動回路に指示し、前記電力用半導体デバイスがオンに切り替えられるのを防止するように構成されている、請求項29に記載のSSCB。
【請求項31】
前記SSCBは、前記SSCBがトリップした後に、前記エアギャップ切断ユニットを再係合し、前記エアギャップを閉じるために人が押下することができるリセットボタンをさらに備え、前記MCUは、前記電力用半導体デバイスがオンに切り替えられることを可能にする前に前記リセットボタンが押下されたことに応答して、前記エアギャップ切断ユニットが正常に再係合されたことを検証するように構成されている、請求項28に記載のSSCB。
【請求項32】
前記リセットボタンが、前記リセットボタンをロックし、前記リセットボタンが前記エアギャップ切断ユニットを再係合させるために押下されるのを防止するために、南京錠または他のロックデバイスが挿入され得るロックアウト-タグアウト(LOTO)穴を含む、請求項31に記載のSSCB。
【請求項33】
前記SSCBが、二次ロックアウト機構であって、前記SSCBの主要な構成要素もしくは主要な機能のうちの1つまたは複数が故障したか、故障した可能性があるか、または故障している可能性があると前記MCUが判断したときに前記MCUによってトリガされ、トリガされると、前記南京錠または他のロックデバイスが前記LOTO穴を通して挿入されているかどうかにかかわらず、前記リセットボタンが前記エアギャップ切断ユニットを再係合させるために押下されるのを防止する二次ロックアウト機構をさらに備える、請求項32に記載のSSCB。
【請求項34】
前記SSCBが、感知および駆動回路と、前記エアギャップ切断ユニットと前記電力用半導体デバイスとの間に構成されたラインイン電流/電圧センサと、前記ラインアウト端子に結合されたラインアウト電流/電圧センサとをさらに備え、前記MCUが、前記ラインイン電流/電圧センサおよび前記ラインアウト電流/電圧センサの動作可能性を監視し、前記ラインイン電流/電圧センサが故障したかもしくは故障している可能性があると判断したとき、または前記ラインアウト電流/電圧センサが故障したかもしくは故障している可能性があると判断したとき、前記電力用半導体デバイスをオフに切り替える、および/または前記ラインイン端子と前記ラインアウト端子との間に前記エアギャップを形成するために前記エアギャップ切断ユニットをトリガするように前記感知および駆動回路に指示するようにさらに構成されている、請求項28に記載のSSCB。
【請求項35】
前記SSCBが、感知および駆動回路と、前記MCUおよび前記SSCBの他の直流(DC)構成要素にDC電力を供給するように構成されたDC電源とをさらに備え、前記MCUが、前記DC電源の出力電圧を監視し、前記出力電圧が所定のしきい値電圧未満に低下したと判断したときに、前記電力用半導体デバイスをオフに切り替える、および/または前記ラインイン端子と前記ラインアウト端子との間に前記エアギャップを形成するために前記エアギャップ切断ユニットをトリガするように前記感知および駆動回路に指示するように構成されている、請求項28に記載のSSCB。
【請求項36】
前記エアギャップ切断ユニットが、前記エアギャップ切断ユニットをトリガするソレノイドと、前記ソレノイドを作動させる電流を供給するエアギャップ切断キャパシタとを備え、前記MCUが、前記エアギャップ切断キャパシタの動作可能性を監視し、前記エアギャップ切断キャパシタが故障したかまたは故障している可能性があると判断したときに、前記エアギャップ切断キャパシタをバイパスして前記DC電源を一時的に構成するバイパス回路が、前記エアギャップ切断キャパシタの代わりに前記ソレノイドを作動させる電流を供給することを可能にするように構成されている、請求項35に記載のSSCB。
【請求項37】
前記エアギャップ切断ユニットが、エアギャップ切断キャパシタを備え、前記MCUが、前記DC電源の前記出力電圧が前記所定のしきい値電圧未満に低下したと判断したときに、前記エアギャップ切断キャパシタが、前記DC電源の代わりに前記MCUのための電源として一時的に機能するように構成されている、請求項35に記載のSSCB。
【請求項38】
前記SSCBが、前記電力用半導体デバイスに近接するサーミスタをさらに備え、前記MCUが、前記サーミスタを監視し、前記電力用半導体デバイスにおけるあり得る熱暴走状態を検出したときに、前記電力用半導体デバイスをオフに切り替えるように感知および駆動回路に指示するようにさらに構成されている、請求項28に記載のSSCB。
【請求項39】
前記MCUの外部にあるウォッチドッグ回路であって、前記MCUの動作可能性を監視し、前記MCUが故障したかまたは故障している可能性があると判断したときに、前記電力用半導体デバイスをオフに切り替える信号を生成するように構成されたウォッチドッグ回路をさらに備える、請求項28に記載のSSCB。
【請求項40】
前記ウォッチドッグ回路が、前記MCUが故障したかまたは故障している可能性があると判断したときに、前記ラインイン端子と前記ラインアウト端子との間に前記エアギャップを形成するために前記エアギャップ切断ユニットをトリガするようにさらに構成されている、請求項39に記載のSSCB。
【請求項41】
前記SSCBが、前記電力用半導体デバイスが過度に高い電圧に曝されるのを防止するように構成されたサージ保護デバイス(SPD)をさらに備え、前記MCUが、前記SPDの動作可能性を監視し、前記SPDが故障したか、またはその期待される所定の寿命を超えて十分に劣化したと判断したときに、前記ラインイン端子と前記ラインアウト端子との間に前記エアギャップを形成するために前記エアギャップ切断ユニットをトリガするように構成されている、請求項28に記載のSSCB。
【請求項42】
前記エアギャップ切断ユニットと機械的に連通するリリースボタンをさらに備え、前記リリースボタンが、人によって押下されたときに、前記ラインイン端子と前記ラインアウト端子との間に前記エアギャップを形成するために前記エアギャップ切断ユニットを手動で係合解除する、請求項28に記載のSSCB。
【請求項43】
前記SSCBが感知および駆動回路をさらに備え、前記リリースボタンが、前記リリースボタンの物理的変位に応じて開閉するマイクロスイッチを備え、前記MCUが、前記マイクロスイッチの動作可能性を監視し、前記マイクロスイッチが故障したかまたは故障している可能性があると判断したときに、前記電力用半導体デバイスをオフに切り替える、および/または前記ラインイン端子と前記ラインアウト端子との間に前記エアギャップを形成するように前記エアギャップ切断ユニットに指示するように前記感知および駆動回路に指示するように構成されている、請求項42に記載のSSCB。
【請求項44】
前記エアギャップ切断ユニットと前記電力用半導体デバイスとを含む、前記SSCBの実行可能性および動作状態に関する情報を表示するように構成された電子ディスプレイをさらに備える、請求項28に記載のSSCB。
【請求項45】
前記電子ディスプレイが、前記電子ディスプレイへの電力が除去された後でも前記情報を表示し続けることができるディスプレイ技術を備える、請求項44に記載のSSCB。
【請求項46】
前記MCUが、前記SSCBに関する動作状態および診断情報を提供するようにさらに構成されている、請求項28に記載のSSCB。
【請求項47】
前記MCUが、前記動作状態および診断情報を、自動的に、代替的にはオンデマンドでまたは所定のスケジュールに従って生成および提供するように構成されている、請求項46に記載のSSCB。
【請求項48】
前記MCUが前記動作状態および診断情報をローカルのまたは遠隔に配置されたコンピュータに送信することができる通信および制御(通信/制御)バスに接続するように構成された通信/制御バスコネクタをさらに備える、請求項46に記載のSSCB。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年9月3日に出願した米国仮特許出願第62/895,182号の利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
回路遮断器は、電気回路およびそれらの負荷を短絡および過負荷から保護するために配電システムにおいて使用される。従来の回路遮断器は、典型的には、短絡が発生したときにできるだけ迅速に遮断器の接点を分離するように動作する電磁石と、過負荷が許容できないほど長い持続時間の間回路内に存続した後に回路遮断器の接点を分離する熱応答性バイメタルストリップとを含む電気機械的構造を有する。
【0003】
従来の回路遮断器は、一旦それらがトリップした故障を切り離すのに有効であるが、それらが有する1つの重大な欠点は、それらが遅いことであり、典型的には、故障に応答してそれを切り離すのに数ミリ秒を必要とする。この制限を回避するために、近年、高出力半導体(たとえば、「固体」デバイス)を回路遮断器用途に適合させる努力がなされてきた。固体デバイスは、従来の回路遮断器が同様の故障を切り離すのに典型的にかかる数ミリ秒と比較して、わずか数マイクロ秒で故障を切り離すように制御され得るので魅力的である。速い反応時間は、火災のリスク、電気機器の損傷、およびアークフラッシュが発生する可能性を低減するので有利である。さらに、固体デバイスの動作特性は、部品ごとにほとんど変動しないので、回路遮断器は、正確で良好に制御された時間-電流特性を示す固体デバイスから構成され得る。これは、熱的、磁気的、および機械的構造のために時間-電流特性に大きい変動を示す従来の回路遮断器とは異なる。
【0004】
それらの様々な利点を考慮すると、固体回路遮断器は、そう遠くない将来、従来の回路遮断器に取って代わる可能性を有する。しかしながら、その移行が発生するためには、固体回路遮断器は、耐久性があり、無人で、すなわち、人間が関与する過度の監視および保守を必要とすることなく、長期間の間動作することができるように設計される必要がある。その目的と一貫して、固体回路遮断器は、それ自体の重要な機能を監視し、その意図された動作からの任意の逸脱を特定し、故障の原因および出所を診断および予測し、そうでなければその破損ならびに/または人および環境への危害につながる可能性がある危険な状態からそれ自体を保護し、条件が許せば、その関連する負荷を電気的および直流的に絶縁するためにそれ自体を封鎖する能力を有することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願第16/898,538号
【特許文献2】米国特許出願第16/898,569号
【特許文献3】米国特許第10,541,530号
【特許文献4】米国特許第10,276,321号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
自己診断、自己保守、および自己保護機能を有する固体回路遮断器(SSCB)が開示される。SSCBの例示的な実施形態は、電力用半導体デバイスと、電力用半導体デバイスと直列に接続されたエアギャップ切断ユニットと、短絡または許容できないほど長い持続時間の過負荷を検出すると電力用半導体デバイスをオフに切り替える感知および駆動回路と、感知および駆動回路が電力用半導体デバイスをオフに切り替えた後、エアギャップを形成し、取り付けられた負荷を直流的に絶縁するためにエアギャップ切断ユニットをトリガするマイクロコントローラユニット(MCU)とを含む。MCUは、エアギャップ切断ユニット、電力用半導体デバイス、およびSSCBの他の重要な構成要素の動作可能性を監視し、該当する場合、SSCBおよび接続された負荷が損傷もしくは破壊されるのを防止するために、ならびに/または人および環境を危険な電気的条件に曝されることから保護するために是正措置をとるようにさらに構成される。
【0007】
本発明の上記で要約されている他の例示的な実施形態の詳細な説明を含む、本発明のさらなる特徴および利点について、同様の参照番号が同一のまたは機能的に類似の要素を示すために使用される添付図面に関して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態による固体回路遮断器(SSCB)のブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態による、その顕著な構成要素のいくつかを明らかにする
図1に示されているSSCBの斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態による、その顕著な構成要素のいくつかをさらに明らかにする
図1に示されているSSCBの分解図である。
【
図4】本発明の一実施形態による、
図1に示されているSSCBのエアギャップ切断ユニットの斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態による、SSCBがどのようにハウジング内に収容されることが好ましいかを示し、SSCBの電子ディスプレイ、オン/オフ/スタンバイボタン、ならびにエアギャップ切断ユニットリセットおよびリリースボタンを明らかにする
図1に示されているSSCBの正面斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態による、SSCBのラインイン端子を明らかにする
図1に示されているSSCBのライン側斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態による、SSCBのラインアウト端子を明らかにする、
図1に示されているSSCBの負荷側斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態による、SSCBのMCUがSSCBのコア機能を監視する方法と、SSCBのコア機能が故障したかまたは故障した可能性があると判断したときにMCUがどのように応答するかとを示すフローチャートである。
【
図9】本発明の一実施形態による、SSCB内のエアギャップ切断ユニットが閉じて故障したかまたは閉じて故障した可能性があるかどうかを監視および診断するためにSSCBのMCUが実行する方法と、エアギャップ切断ユニットが閉じて故障したかまたは閉じて故障した可能性があると判断したときにSSCBがとる措置とを示すフローチャートである。
【
図10】本発明の一実施形態による、SSCB内のエアギャップ切断ユニットが開いて故障したまたは開いて故障した可能性があるかどうかを監視および診断するためにSSCBのMCUが実行する方法と、エアギャップ切断ユニットが開いて故障したかまたは開いて故障した可能性があると判断したときにSSCBがとる措置とを示すフローチャートである。
【
図11】SSCB内のエアギャップ切断キャパシタの活力(vitality)、有効性、および動作可能性を監視および診断するためにSSCBのMCUが実行する方法と、エアギャップ切断キャパシタが故障したかまたは故障していると判断したときにSSCBがとる措置とを示すフローチャートである。
【
図12】SSCBの一実施形態において、MCUの活力および動作可能性を確認するために外部ウォッチドッグ回路が継続的に監視する周期的なハートビート信号を生成するようにSSCBのMCUがどのように構成されるかを示すブロック図である。
【
図13】本発明の一実施形態による、SSCB内のMCUおよび他のDC駆動電子機器のための一次DC電源として機能するSSCBのAC/DC変換器の活力、有効性、および動作可能性を監視するためにSSCBのMCUが実行する方法と、AC/DC変換器が故障したかまたは故障している可能性があると判断したときにSSCBがとる措置とを示すフローチャートである。
【
図14】本発明の一実施形態による、SSCB内の電界効果トランジスタ(FET)電力モジュールの電力用FETの活力、有効性、および動作可能性を監視するためにSSCBのMCUが実行する方法と、電力用FETのうちの1つまたは複数が故障したか、故障した可能性があるか、または故障していると判断したときにMCUがとる措置とを示すフローチャートである。
【
図15】本発明の一実施形態による、SSCBのFET電力モジュールの電力用FETの活力、有効性、および動作可能性を監視するためにSSCBのMCUが実行する方法と、電力用FETのうちの1つまたは複数が故障したか、故障した可能性があるか、または故障していると判断したときにMCUがとる措置とを示すフローチャートである。
【
図16】本発明の一実施形態による、SSCBのFET電力モジュール内に取り付けられたサーミスタによって感知/測定された感知/測定された電力用FET接合部温度に応答してSSCBのMCUが実行する方法と、FET電力モジュール内のFETのうちの1つまたは複数の接合部温度T
Jが所定の最高許容接合部温度T
MAXを超えたと判断したときにMCUがとる処置とを示すフローチャートである。
【
図17】本発明の一実施形態による、FET電力モジュール内の電力用FETのうちの1つまたは複数の故障または可能性がある故障を検出するためにSSCBのMCUが実行する方法と、電力用FETのうちの1つまたは複数が故障したと判断したときにMCUがとる措置とを示すフローチャートである。
【
図18】本発明の一実施形態による、SSCBの電力用FETの故障または可能性がある故障を検出するためにSSCBの単相バージョンのMCUが実行する方法と、電力用FETが故障したか、故障した可能性があるか、または故障している可能性があると判断したときにMCUがとる措置とを示すフローチャートである。
【
図19】本発明の一実施形態による、SSCB内のラインアウトホール効果センサの性能を監視し、その任意の故障を診断するためにSSCBのMCUが実行する方法と、ホール効果センサのうちの1つまたは複数が故障したか、故障したか、または故障している可能性があると判断したときにMCUがとる措置とを示すフローチャートである。
【
図20】本発明の一実施形態による、人がSSCBのリセットボタンを押下したことに応答して、SSCBのエアギャップ切断ユニットが正常に再係合したことを検証するためにSSCBのMCUが実行する方法と、エアギャップ切断ユニットが正常に再係合しなかったと判断したときにMCUがとる措置とを示すフローチャートである。
【
図21】本発明の一実施形態による、SSCBのFET電力モジュールの顕著な構成要素を示し、本発明の一実施形態による、電力用FETの接続性とFET電力モジュール内の様々なサージ保護デバイス(SPD)の配置とを強調する概略図である。
【
図22】本発明の一実施形態による、FET電力モジュール内のSPDの正常性を監視するためにSSCB内のMCUが実行する方法と、SPDのうちの1つまたは複数が故障したと判断したときにMCUがとる措置とを示すフローチャートである。
【
図23】本発明の一実施形態による、SSCBリリースボタンの物理的変位を示すように構成された1つまたは複数のマイクロスイッチの動作状態を監視するためにSSCBのMCUが実行する方法と、1つまたは複数のマイクロスイッチのうちの1つまたは複数が故障したと判断したときにMCUがとる措置とを示すフローチャートである。
【
図24】本発明の一実施形態による、分電盤において構成された複数のSSCBと、SSCBがヘッドエンドインターフェースを有する通信および制御(通信/制御)バスとどのように電気的に通信しているかと、オンデマンドSSCB診断および保守を実行し、ユーザ対話型のグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を介して、定期的なSSCB診断および/または保守をスケジュールするために、外部のローカルのまたは遠隔に配置されたコンピュータ(図中のタブレットコンピュータ)がどのように使用され得るかとを示す図である。
【
図25】オンデマンドSSCB診断および保守を実行し、ユーザ対話型のGUIを介して、定期的なSSCB診断および/または保守をスケジュールするために使用される外部のローカルのまたは遠隔制御されるコンピュータの顕著な構成要素を強調するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による、自己診断、自己保守、および自己保護機能を有する固体回路遮断器(SSCB)100のブロック図が示されている。SSCB100の主要な構成要素は、マイクロコントローラユニット(MCU)102と、感知および駆動回路104と、電界効果トランジスタ(FET)電力モジュール106と、エアギャップ切断ユニット108とを含む。エアギャップ切断ユニット108は、3つのエアギャップ接点スイッチ114を有し、FET電力モジュール106は、3つの電力用FET116を有し、電力用FET116の各々は、そのドレイン-ソース経路がエアギャップ接点スイッチ114のうちの1つと直列になるように構成される。言い換えれば、FET電力モジュール106およびエアギャップ切断ユニット108は、ラインイン端子110とラインアウト端子112との間に直列に接続される。通常動作状態の間、エアギャップ切断ユニット108内の3つのエアギャップ接点スイッチは、閉じられており、FET電力モジュール106内の3つの電力用FET116は、オンである。これは、電源からラインイン端子110に入る線路電流(たとえば、分電盤内からSSCB100のラインイン端子110に分配される交流(AC))が(たとえば、商業ビルまたは住宅内の負荷に配線された電気ケーブルを介して)ラインアウト端子112に接続された負荷(図示せず)に流れることを可能にする。しかしながら、SSCB100が短絡または許容できないほど長い持続時間の過負荷を検出すると、感知および駆動回路104は、任意のさらなる電流が負荷に流れるのを防止するために、電力用FET116をオフに切り替える。その間に、または電力用FET116がオフに切り替えられた直後に、MCU102は、ソレノイドトリガ信号を生成し、エアギャップ切断ユニット108は、「係合解除して」エアギャップ接点スイッチ114を開き、負荷を直流的に絶縁するようにソレノイドトリガ信号に応答する。
図1および本開示の他の図面に示されているSSCB100の例示的な実施形態は、3相デバイスであることに留意されたい。したがって、それは、3つのラインイン端子110と、3つのエアギャップ接点スイッチ114と、3つの電力用FET116と、3つのラインアウト端子112とを有する。SSCBの単相バージョンは、当業者によって認識および理解されるように、これらの構成要素の各々を1つのみ有することになる。本発明の好ましい実施形態では、電力用FET116は、炭化ケイ素(SiC)MOSFETを備えることにも言及されるべきである。しかしながら、当業者によって認識および理解されるように、他のタイプの電力用半導体デバイス(たとえば、GaN高電子移動度トランジスタ(HEMT))が代替的に使用され得る。
【0010】
SSCB100が「トリップされた」状態にあるとき、電力用FET116は、それ自体によって負荷を入力電源から切り離すことが完全に可能である。しかしながら、政府、規制、および認証機関は、通常、回路遮断器がトリップされた状態にあるときに負荷を入力電源から直流的に絶縁することを要求するので、SSCB100は、好ましくは(本発明のすべての実施形態において必ずしもそうではないが)、「係合解除された」ときにラインイン端子110とラインアウト端子112との間にエアギャップを形成するエアギャップ切断ユニット108を備える。他の構成要素の中で、エアギャップ切断ユニット108は、大型(すなわち、高容量)エアギャップ切断キャパシタ117(たとえば、10000マイクロファラッド以上)と、ソレノイド118と、ソレノイド118のコイルにわたってエアギャップ切断キャパシタ117の端子を選択的に結合するスイッチ120とを含む。SSCB100の1つの例示的な実施形態におけるエアギャップ切断キャパシタ117およびソレノイド118の物理的関係は、
図2および
図3に提示されているSSCB100の斜視図および分解図、ならびに
図4におけるエアギャップ切断ユニット108単独の斜視図において見られ得る。
【0011】
本発明の一実施形態において、エアギャップ切断ユニット108は、(ソレノイド118を作動させることによって)自動的に、(ソレノイド118の助けなしにではであるが、人がリリースボタン122を押下することに応答して)手動で、または通信および制御(通信/制御)バス124を介してSSCB100と対話するように構成されたローカルまたはリモートコンピュータからのコマンドに応答して、係合解除してラインイン端子110とラインアウト端子112との間にエアギャップを形成するためにトリガされ得るように設計される。自動トリガは、感知および駆動回路104がSSCB100の負荷回路内の短絡または他の電気的異常(たとえば、許容できないほど長い持続時間の過負荷)を検出したときに発生する。それが発生すると、感知および駆動回路104は、ゲート無効信号を生成し、FET電力モジュール106内の電力用FET116のゲートに印加し、電力用FET116をわずか数マイクロ秒でオフに切り替える。電力用FET116はまた、電流のゼロクロスの間のスイッチオフを可能にするためにそれらのスイッチオフを遅延させるように指示され得る。電流のゼロ点の間にオフに切り替える能力は、上流の電力システムにおける障害を低減する。その間に、または電力用FET116がオフに切り替えられた直後に、MCU102は、エアギャップ切断キャパシタ117の端子がソレノイド118のコイルにわたって接続されるように、スイッチ120(
図1を参照)を閉じるソレノイドトリガ信号を生成する。SSCB100は、エアギャップ切断キャパシタ117が通常動作状態の間充電されたままであるように設計される。本発明の一実施形態において、SSCB100内のDC駆動電子機器(たとえば、MCU102、CRM103、ならびに感知および駆動回路基板104上のDC構成要素)のための主DC電源として機能するAC/DC変換器126は、エアギャップ切断キャパシタ117を充電し、それを完全に充電された状態に維持するようにさらに構成される。したがって、スイッチ120を閉じさせるためにソレノイドトリガ信号がスイッチ120に印加され、次いで、エアギャップ切断キャパシタ117の端子がソレノイド118のコイルにわたって接続されると、大電流がソレノイドのコイルを流れ始める。大きいコイル電流は、次に、ソレノイド118にそのプランジャ128をソレノイドのハウジング内に引っ張らせる磁場を生成する。プランジャ128がソレノイドハウジング内に引き込まれると、プランジャ128は、ラッチ130に係合し、ラッチ130は、枢軸の周りを回転し、ホルスター136の上部リップ132から離れるように揺動する。(
図2~
図4を参照。)通常動作状態下では、ラッチ130は、(上部リップ132を押し下げることによって)ホルスター136を押さえ付けるように配置され、それによって、エアギャップ接点スイッチ114を閉じられたままにする。しかしながら、ソレノイド118がトリガされ、ソレノイド118のプランジャ128にラッチ130を回転させ、上部リップ132から離れるように揺動させると、ラッチ130は、もはやホルスター136を押さえ付けず、通常は圧縮されている切断ばね138が、ホルスター136を上向きに押し付けるように減圧する。ホルスター136を押し上げることは、エアギャップ接点スイッチ114を開かせ、結果としてラインイン端子110とラインアウト端子112との間のエアギャップの形成につながる。このエアギャップは、ラインイン端子110に印加される入力電源から負荷を直流的に絶縁するので、電力用FET116がオフで、エアギャップ切断ユニット108がラインイン端子110とラインアウト端子112との間に形成されたエアギャップと係合解除された状態で、SSCB100は、完全に「トリップされた」状態となる。
【0012】
本発明の一実施形態において、エアギャップ切断ユニット108は、手動で、具体的には、人がリリースボタン122を押下することに応答して係合解除され得るようにさらに設計される。人がリリースボタン122を押下すると、連結部材140(
図2~
図4を参照)は、ラッチ130のカム面142を押し付け、ラッチ130を回転させ、ホルスター136の上部リップ132から解放(係合解除)させ、通常は圧縮されている切断ばね138が減圧し、エアギャップ接点スイッチ114を開いてエアギャップを形成するようにホルスター136を押し上げることを可能にする。ホルスター136が押し上げられると、それはまた、ロックアウト-タグアウト(LOTO)穴146を露出させるようにリセットボタン144を押し付けて持ち上げ、LOTO穴を通して、サービスまたは保守(サービス/保守)作業者は、LOTO安全手順を完了するために、南京錠または他のロックデバイスを挿入することができる。リセットボタン144は、エアギャップ切断ユニット108が(MCU102がソレノイド118を作動させることによって)自動的に係合解除するようにトリガされるか、または(人がリリースボタン122を押下することによって)手動で係合解除するようにトリガされるかにかかわらず、LOTO穴146をあらわにするためにポップアップすることに留意されたい。LOTO安全手順を完了することは、サービス/保守作業者または他の人がエアギャップ切断ユニット108を不注意にまたは偶然に再係合しないことを保証する。サービス/保守が完了した後、次いで、サービス/保守作業者は、南京錠または他のロックデバイスを取り外し、リセットボタン144を押下することによってエアギャップ切断ユニット108を再係合することができる。リセットボタン144が押下されると、それは、ホルスター136に係合し、切断ばね138を再圧縮する。それはまた、ホルスター136を再び押さえ付け、エアギャップ接点スイッチ114を閉じるために、ホルスター136の上部リップ132と再係合するように、回転ラッチ130と係合する。同様のエアギャップ切断ユニットを含むSSCB100のさらなる詳細は、参照により本明細書に組み込まれる、「Solid-State Circuit Breaker with Galvanic Isolation」と題する、同時係属中の同一出願人による米国特許出願第16/898,538号に見られ得る。
【0013】
SSCB100は、好ましくは、条件が許せば、リセットボタン144が押下され、エアギャップ切断ユニット108が再係合するのを防止するために、SSCB100自体によって(すなわち、いかなる人の関与もなしに)作動され得る追加のロックアウト機構160を含むことが言及されるべきである。この追加のロックアウト機構160は、南京錠または他のロックデバイスがリセットボタン144のLOTO穴146を通して挿入されているかどうかにかかわらず、SSCB100によって作動され得る。本発明の一実施形態において、追加のロックアウト機構160は、エアギャップ切断ユニット108を係合解除するために使用される一次ソレノイド118と比較してサイズが小さい二次ソレノイドを含む。MCU102が、SSCB100の主要な構成要素または重要な機能が故障したかまたは故障している可能性があると判断し、MCU102がエアギャップ切断ユニット108を係合解除するために一次ソレノイド118をトリガした後(たとえば、本明細書で説明されている様々な自己診断、自己保守、および自己保護方法のうちの1つを実行した後)、MCU102は、二次ソレノイドをトリガする。二次ソレノイドのプランジャは、リセットボタン144と係合し(またはリセットボタン144に接続されたなにか他の機械的連結部と係合し)、リセットボタン144がSSCB100の筐体に押し込まれるのを防止するように構成される。したがって、二次ロックアウト機構160は、SSCB100が、危険な状態が存在する可能性があると判断した後、および/またはその主要な構成要素または重要な機能が故障したかもしくは故障している可能性があると判断した後、人がエアギャップ切断ユニット108を再係合しようとすることを防止する。
【0014】
図1および
図2に示されているSSCB100の例示的な実施形態において、MCU102は、コンピュータ可読メモリ(CRM)103と共に、制御基板105上に取り付けられる。CRM103は、MCU102の動作を指示するファームウェアおよびソフトウェアを記憶するためのフラッシュメモリおよび/または電気的に消去可能な読み取り専用メモリ(EPROM)と、MCU102がファームウェアおよびソフトウェアの命令を実行する際に利用するランダムアクセスメモリ(RAM)とを備える。当業者によって認識されるように、CRM103は、(
図1に示されているように)MCU102の外部にあり得、MCU102内に埋め込まれ得、またはMCU102内に部分的に埋め込まれ、部分的にMCUの外部にあるコンピュータ可読メモリを備え得る。
【0015】
好ましくは、SSCB100は、
図5~
図7に示されているように、ハウジング(すなわち、「筐体」)内に封入され、人が押下することができるオンボタン107、オフボタン109、およびスタンバイボタン111(オン/オフ/スタンバイ)と、電子ディスプレイ113とを含む。SSCB100の一実施形態において、電子ディスプレイ113は、ディスプレイへの電力が中断または完全に除去された場合であっても、現在表示されている情報が表示され続けることを可能にするディスプレイ技術である電子インクディスプレイである。(リボンケーブル119(
図2を参照)は、制御基板105とオン/オフ/スタンバイボタン107、109、および111との間の電気的接続性を提供することに留意されたい。)本発明の一実施形態において、オン/オフ/スタンバイボタン107、109、および111は、それぞれ、半透明で、緑色、赤色、および黄色に着色され、発光ダイオード(LED)(図面には示されていない)が、各ボタンの下に構成される。LEDは、どのLEDが点灯されても、SSCB100の現在の状態を示し、強調する。具体的には、オンボタン107(「I」のインジケータを有する緑色に着色されたボタン)がオンに押下され、その下にあるLEDが点灯されると、緑色の強調は、SSCB100が完全に動作状態にある(エアギャップ切断ユニット108が係合し(エアギャップ接点スイッチ114が閉じられ)、FET電力モジュール106内の電力用FET116がオンである)ことを示す。スタンバイボタン109(「X」でマークされた黄色ボタン)が押下され、その下にあるLEDが点灯されると、黄色の強調は、SSCB100がスタンバイ状態にある(エアギャップ切断ユニット108が係合しているが、FET電力モジュール106内の電力用FET116がオフである)ことを示す。(スタンバイ状態からオン状態への遷移は、必要に応じて、オン(緑色)ボタン107を単純に押下するだけでなされ得ることに留意されたい。)最後に、実際には本明細書で説明されているSSCB100の例示的な実施形態における押下可能なボタンではない(しかし代替設計ではあり得る)オフ赤色ボタン111は、エアギャップ切断ユニット108が係合解除されたとき(エアギャップ接点スイッチ114が開いたとき)と、FET電力モジュール106内の電力用FET116がオフであるときの両方でその下にあるLEDによって照らされる。赤色の強調は、SSCB100が「トリップされた」、すなわち完全にオフの状態にある(FET電力モジュール106内の電力用FET116がオフであり、エアギャップ切断ユニット108が係合解除されている)ことを示す。オフ赤色ボタン111が押下可能なボタンである必要がない理由は、その機能がリリースボタン122によってすでに提供されていることであり、リリースボタン122は、押下されると、SSCBの電子機器およびドライバ回路に、FET電力モジュール106内の電力用FET116をオフに切り替えさせ、その後すぐに、係合解除するようにエアギャップ切断ユニット108をトリガする。
【0016】
封入されたSSCB100の負荷側斜視図である
図7は、この特定の例示的な実施形態では、電力ケーブルが負荷に接続および配線され得る負荷側接続ラグ148を含むラインアウト端子112を示す。
図7は、参照により本明細書に組み込まれる、「Distribution Panel for Intelligently Controlled Solid-State Circuit Breakers」と題する、同時係属中の本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第16/898,569号に記載されているものと同様に、SSCB100が配電盤に設置されているときに、SSCB100を通信/制御バス124に接続する電気通信/制御バスコネクタを保護する通信および制御(通信/制御)バスシールド150も示す。IC間(I2C)またはコントローラエリアネットワーク(CAN)バスであり得る通信/制御バス124は、たとえば、両方とも参照により本明細書に組み込まれる、「Hybrid Air-Gap/Solid-State Circuit Breaker」と題する、同一出願人による米国特許第10,541,530号、および「Dynamic Coordination of Protection Devices in Electrical Distribution Systems」と題する本発明の譲受人に譲渡された米国特許第10,276,321号に記載されているものと同様に、ローカルまたはリモートコンピュータと通信し、ローカルまたはリモートコンピュータによって制御される能力をSSCB100に提供する。通信/制御バス124は、たとえば、以下でさらに詳細に説明されるように、スケジュールされたまたはオンデマンドの診断テストのセットを実行した後、SSCB100の動作状態をローカルまたはリモートコンピュータに(リアルタイムまたは非リアルタイムで)報告する能力もSSCB100に提供する。
【0017】
制御基板105は、SSCB100の「頭脳」として機能し、SSCB100の1つの例示的な実施形態では、MCU102とCRM103とを含む。CRM103内に記憶され、MCU102によって検索および実行されるファームウェアおよび他のコンピュータプログラム命令(すなわち、ソフトウェア)は、SSCB100の一般的な動作を制御し、MCU102がSSCB100内の他の構成要素と対話するかどうか、どのように対話するか、およびいつ対話するかを決定する命令と、MCU102が通信/制御バス124を介して他のデバイス(たとえば、外部コンピュータ)と通信し、他のデバイスによって制御されることを可能にする命令およびプロトコルとを含む。SSCB100のいくつかの実施形態において、コンピュータプログラム命令は、MCU102によって実行されると、1)適切な場合または必要な場合に、エアギャップ切断ユニット108が開かなかったまたは閉じなかったかどうかを判断することを含む、エアギャップ切断ユニット108の活力、有効性、および動作可能性を監視および診断する能力と、2)FET電力モジュール106内の電力用FET116の活力、有効性、および動作可能性を監視および診断し、条件が許せば、電力用FET116をオフに切り替えるように感知および駆動回路104に指示する能力と、3)条件が許せば、エアギャップ切断ユニット108に係合解除させ、ラインイン端子110とラインアウト端子112との間にエアギャップを形成させるためにソレノイドトリガ信号を生成する能力と、4)AC/DC変換器126の活力、有効性、および動作可能性を監視し、AC/DC変換器126が故障したかまたは故障していると判断された場合、(必要に応じて、エアギャップ切断キャパシタ117内に蓄積されたエネルギーを使用して)電力用FET116をオフに切り替えるように感知および駆動回路104に指示する能力と、5)エアギャップ切断キャパシタ117の活力、有効性、および動作可能性を監視および診断し、MCU102が、エアギャップ切断キャパシタ117が故障したかまたは故障していると判断した場合、AC/DC変換器126がエアギャップ切断キャパシタ117をバイパスすることを可能にするキャパシタバイパス信号を生成する能力と、6)外部ウォッチドッグがMCU102の活力、有効性、および動作可能性を監視するために利用するウォッチドッグ信号を生成する能力と、7)FET電力モジュール106の入力および出力における線路電流および電圧を感知するために使用される電流および電圧センサ154および156の故障、および可能性があるまたは可能性が高い故障を監視および診断する能力と、8)電力用FET116が高電圧に曝されるのを防止するように機能するサージ保護デバイス(SPD)の活力、有効性、および動作可能性を監視し、SPDのうちの1つまたは複数が故障したか、またはそれらの実用性を超えて劣化した場合、SSCB100を封鎖する能力と、9)SSCB100およびその様々な構成要素の活力、有効性、および動作可能性に関する情報(リアルタイムと非リアルタイムの両方)を表示するようにSSCB100の電子ディスプレイ113を指示および制御する能力と、10)SSCB100の活力、有効性、および動作可能性に関する情報(リアルタイムと非リアルタイムの両方)を、通信/制御バス124を介してシステム監視者(たとえば、電気技師、住宅/建物所有者、または電気事業者)に報告する能力と、11)SSCB100が経験した可能性があるかまたは現在経験している任意の特定の故障または問題に対処または改善するために、場合によってはシステム監視者がとる可能性がある是正措置を推奨する能力とをMCU102に与える命令をさらに含む。推奨される是正措置は、たとえば、下流のSSCBにおいて診断された故障に基づいて(本明細書で説明されている例示的なSSCB100と構造が類似しているSSCBである場合もある)上流の回路遮断器をオフにすることを含むことができる。そのような是正措置をとることは、万が一、故障が下流のSSCBの保護機能を損なうかまたは排除した場合、下流の機器へのリスクを低減する。SSCB100のこれらおよび他の機能および能力について、以下でさらに詳細に論じる。
【0018】
図8は、SSCB100の基本的な(すなわち、「コア」)機能を検証するためにMCU102が(SSCB100の他の協働構成要素と共に)実行する方法800と、SSCB100のコア機能、具体的には、必要なときにトリップすることが失敗したかまたは失敗した可能性があると判断したときにMCU102がとる措置とを示すフローチャートである。この方法によれば、SSCB100は、SSCBのラインイン端子110に取り付けられた入力電源(たとえば、AC主電源)と、ラインアウト端子112に取り付けられた負荷とを有する配電システムにおいて構成されると想定される。まず、ステップ802において、SSCB100は、オンに切り替えられる(電力用FETが閉じられ、エアギャップ切断ユニットが係合される(エアギャップなし))。ステップ804において、MCU102は、SSCB100のトリップしきい値を負荷の公称電流まで、およびそれを超えて低減する。SSCBのコア機能が適切に動作している場合、トリップしきい値が公称負荷電流よりも低く調整されているので、SSCB100は、トリップする(電力用FET116が開き、エアギャップ切断ユニットが係合解除する)はずである。SSCBが意図した通りにトリップしたかどうかを判断するために、ステップ806が実行される。具体的には、ステップ806において、MCU102は、ラインイン端子110とラインアウト端子112との間の電圧差ΔVを決定する。決定808において、ΔVが負荷のガルバニック絶縁を示すようにゼロよりも十分に大きいと判断された場合(決定808において「YES」)、MCU102は、SSCBのコア機能が正しく動作していると適切に結論付けることができ、ステップ810において、トリップしきい値は、通常に戻され、ステップ812において、電力用FET116は、迅速にオンに切り替えられ(したがって、負荷への電流は、テスト中に短時間だけ遮断される)、エアギャップ切断ユニット108は、エアギャップを閉じるように再係合され、方法800は、終了する。しかしながら、決定808において、MCU102が、ラインイン端子110とラインアウト端子112との間のΔVがゼロであるか、または適切なガルバニック絶縁を示すようにゼロよりも十分に大きくはないと判断した場合(決定808において「NO」)、MCU102は、SSCBのコア機能が故障したと結論付け、ステップ814において、システム監視者にSSCBのコア機能が故障したことを警告する。SSCB100のコア機能の故障は、たとえば、FET電力モジュール106内の損傷した電力用FET116、誤作動するエアギャップ切断ユニット108、損傷したまたは破壊された感知および駆動回路104、損傷した電流および/または電流および電圧センサ154および156に起因する可能性があり、あるいはなにか他の損傷したまたは誤作動する構成要素によって引き起こされた可能性がある。本発明のいくつかの実施形態において、MCU102は、通信/制御バス124を介してリモートコンピュータに故障を報告し、および/またはSSCBの電子ディスプレイ113上に故障情報を表示するようにSSCBに指示する。コア機能の故障の出所をさらに切り離し特定するために、以下で論じられるいくつかのまたはより多くの診断テストが、決定808における「NO」に続いて実行され得る。
【0019】
この説明されているコア機能診断方法800において、エアギャップ切断ユニット108は、SSCB100のコア機能が検証された後(すなわち、決定808における「YES」に続いて)、(たとえば、ユーザがリセットボタン144を押下することによって)再係合されなければならない。代替の方法において、MCU102は、コア機能診断チェック中に係合解除するようにエアギャップ切断ユニット108をトリガせずに、代わりに、テスト全体を通してエアギャップ切断ユニット108を係合位置(ラインイン端子110とラインアウト端子112との間にエアギャップがない)に維持する。この代替の手法によれば、決定808において、MCU102が、ΔVがゼロであるかまたはゼロよりも十分には大きくないと判断した場合(決定808において「NO」)、MCU102は、電力用FET116のうちの1つもしくは複数が故障した、ならびに/または電流/電圧センサ154および156のうちの1つもしくは複数が故障したかもしくは故障した可能性があると適切に結論付けることができ、次いで、ステップ814において、システム監視者は、故障または可能性がある故障について警告される。この代替のコア機能診断チェックの1つの利点は、(MCU102がチェック中に係合解除するようにエアギャップ切断ユニット108をトリガしないので)診断チェックに続いて人(すなわち、「ユーザ」)がエアギャップ切断ユニット108を再係合する必要がないことである。別の利点は、エアギャップ切断ユニット108が係合解除され、次いで再係合される手法と比較して、診断チェックの速度がはるかに速く、それによって、負荷への電流の流れにほとんど感知できない影響しかもたらさないことである。この代替のコア機能診断チェックはまた、エアギャップ切断ユニット108を含まないSSCB100の実施形態、すなわち、ラインイン端子110とラインアウト端子112との間に電力用半導体のみを含み、したがって、故障または過負荷の場合に負荷を切り離すために電力用半導体のみに依存するSSCB100の実施形態において有利に使用され得ることも指摘されるべきである。
【0020】
図9(
図9Aおよび
図9Bを含む)は、エアギャップ切断ユニット108の活力、有効性、および動作可能性を監視および診断するため、具体的には、(おそらく、エアギャップ接点スイッチ114のうちの1つまたは複数が再び開く能力なしに閉じて故障したために)エアギャップ切断ユニット108が閉じて故障したかどうかを監視および診断するためにMCU102が(SSCB100の他の協働構成要素と共に)実行する方法900、ならびにエアギャップ切断ユニット108が実際に閉じて故障したとMCU102が判断した後にSSCB100がどのように応答するかのフローチャートである。この方法900によれば、MCU102は、ラインイン電流/電圧センサ154および/またはラインアウト電流/電圧センサ156のあり得る故障を検出する能力も提供される。ステップ902において、MCU102は、(前述のように、スイッチ120を閉じ、ソレノイド118のコイルにわたってエアギャップ切断キャパシタ117を接続し、エアギャップ接点スイッチ114を開くためにソレノイドトリガ信号を生成することによって)係合解除してエアギャップを形成するようにエアギャップ切断ユニット108に命令し、エアギャップが形成された後、電力用FET116をオンに切り替えるように感知および駆動回路104に命令する。ステップ904および906において、3相すべてについての入力および出力電圧が、FET電力モジュール106のラインイン側とラインアウト側の両方において測定される。感知/測定されたラインイン電圧およびラインアウト電圧は、MCU102に向けられ、ステップ908において、MCU102は、相ごとにラインイン電圧V(ラインイン)とラインアウト電圧V(ラインアウト)とを比較するか、またはそれらの間の差を計算する。次いで、決定910において、MCU102が、任意の所与の相についてV(ラインイン)<V(ラインアウト)であると決定した場合(決定910において「YES」)、MCU102は、エアギャップ切断ユニット108が閉じて故障した、ならびに/またはラインイン電流/電圧センサ154およびラインアウト電流/電圧センサ156のうちの1つもしくは複数が故障したと適切に結論付けることができる。ラインアウト電流/電圧センサ156のうちの1つまたは複数が故障した可能性を排除するために、ステップ912および決定914が実行される。具体的には、ステップ912において、MCU102は、V(ラインイン)<V(ラインアウト)が決定された相にある電力用FET116をオフに切り替えるように感知および駆動回路104に指示する。次いで、ラインアウト電流/電圧センサ156は、ちょうどオフに切り替えられた電力用FET116の出力におけるV(ラインアウト)を測定し、決定914において、MCU102は、V(ラインアウト)がローになったかどうかを決定する。V(ラインアウト)がローになった場合、MCU102は、エアギャップ切断ユニット108が閉じて故障し、ラインイン電流/電圧センサ154のうちの1つまたは複数が故障した可能性があると結論付けることができる。両方とも深刻な問題であるので、ステップ916において、MCU102は、残りの電力用FET116をオフに切り替えるように感知および駆動回路104に指示し、電力用FET116をオンに切り替えるいかなるさらなる試みも防止し、ステップ918において、エアギャップ切断ユニット108が閉じて故障したことと、ラインイン電流/電圧センサ154のうちの1つまたは複数も故障した可能性があることとをシステム監視者に報告する。MCU102は、ステップ918によって示されているように、故障または可能性がある故障を、通信/制御バス124を介してリモートコンピュータにも報告し、および/または故障情報をその電子ディスプレイ113上に表示するようにSSCB100のディスプレイに指示し得る。
【0021】
決定914においてV(ラインアウト)がローにならない場合(決定914において「NO」)、MCU102は、エアギャップ切断ユニット108が閉じて故障していないが、ラインアウト電流/電圧センサ156のうちの1つまたは複数が故障した可能性があると結論付けることができる。したがって、ステップ922において、MCU102は、残りの電力用FET116をオフに切り替えるように感知および駆動回路104に指示し、エアギャップ切断ユニット108が再係合するのを禁止し、電力用FET116をオンに切り替えるいかなるさらなる試みも防止する。この状態において、SSCB100は、資格のある電気技師またはエンジニアによってサービス/修理され得るようになるまで封鎖される。最後に、ステップ924において、MCU102は、ラインアウト電流/電圧センサ156のうちの1つもしくは複数の可能性が高い故障をシステム監視者に報告し、および/またはラインアウト電流/電圧センサ156のうちの1つまたは複数が故障した可能性があることをその電子ディスプレイ113上に示すようにSSCB100に指示する。
【0022】
決定910において、MCU102が、3つの相のいずれかにおいてV(ラインイン)がV(ラインアウト)以上であると決定した場合(決定810において「NO」)、MCU102は、エアギャップ切断ユニット108が閉じて故障しておらず、ラインイン電流/電圧センサ154が意図した通りに動作していると適切に結論付けることができる。しかしながら、その決定は、それ自体では、ラインアウト電流/電圧センサ156のうちの1つまたは複数が故障した可能性を排除しない。ラインアウト電流/電圧センサ156が意図した通りに作動していることを保証するために、決定920が実行され、具体的には、任意の所与の相についてV(ラインイン)>V(ラインアウト)であるかどうかを問い合わせる。任意の所与の相についてV(ラインイン)>V(ラインアウト)である場合(決定920において「YES」)、MCU102は、エアギャップ切断ユニット108が閉じて故障しておらず、ラインイン電流/電圧センサ154が意図した通りに動作しているが、ラインアウト電流/電圧センサ156のうちの1つまたは複数が故障した可能性があると適切に結論付けることができる。したがって、SSCB100を封鎖するためにステップ922が実行され、最後に、ステップ924において、MCU102は、ラインアウト電流/電圧センサ156のうちの1つもしくは複数の可能性が高い故障をシステム監視者に報告し、および/またはラインアウト電流/電圧センサ156のうちの1つもしくは複数が故障した可能性があることをその電子ディスプレイ113上に示すようにSSCB100に指示する。
【0023】
エアギャップ切断ユニット108が閉じて故障したかどうかを監視および診断するようにプログラムされることに加えて、本発明の一実施形態において、MCU102は、エアギャップ切断ユニット108が開いて故障したかどうかを監視および診断するようにもプログラムされる。
図10(
図10Aおよび
図10Bを含む)は、(SSCB100の他の協働構成要素と共に)この点に関してMCU102が実行する方法1000のフローチャートである。方法1000の開始の前に、電力用FET116のすべてがオンであり、エアギャップ切断ユニット108が係合されている(エアギャップ接点スイッチ114が閉じている)と想定される。次いで、ステップ1002および1004において、3相すべてについての入力電圧および出力電圧が、FET電力モジュール106のラインイン側とラインアウト側の両方において測定される。決定1006において、ラインイン電流/電圧センサ154およびラインアウト電流/電圧センサ156から受信する電流/電圧測定値を使用して、MCU102は、任意の所与の相において、FET電力モジュール106のラインイン側とラインアウト側の両方において測定可能な電圧が存在しないかどうかを判定する。存在する場合(決定1006において「YES」)、MCU102は、エアギャップ切断ユニット108の1つまたは複数の相が開いて故障したと結論付けることができる。したがって、ステップ1008において、MCU102は、エアギャップ切断ユニット108の1つまたは複数の相が開いて故障したことを、通信/制御バス124を介してシステム監視者に報告する。
【0024】
MCU102が、3つの相の各々について、FET電力モジュール106のラインイン側とラインアウト側の両方において測定可能な電圧が存在しないのではないと判断した場合(決定1006において「NO」)、依然として、ラインイン電流/電圧センサ154およびラインアウト電流/電圧センサ156のうちの1つまたは複数が故障したかまたは故障している可能性があり得る。任意の故障したもしくは故障している可能性があるラインイン電流/電圧センサ154または故障したもしくは故障している可能性があるラインアウト電流/電圧センサ156をさらに確認および切り離すために、ステップ1010~1022が実行される。具体的には、決定1010において、MCU102は、ラインイン電流/電圧センサ154およびラインアウト電流/電圧センサ156によってとられたラインイン電圧測定値およびラインアウト電圧測定値から、3つの相のいずれかにおいてラインイン電圧とラインアウト電圧との間に電圧の不一致が存在するかどうかを判断する。「NO」の場合、MCU102は、ラインイン電圧センサ154およびラインアウト電圧センサ156のすべて、ならびにエアギャップ切断ユニット108が、すべて適切に作動していると結論付けることができ、方法1000は、終了する。他方において、決定1010において、MCU102が、3つの相のいずれかにおいてラインイン電圧とラインアウト電圧との間に電圧の不一致が存在すると決定した場合(決定1010において「YES」)、MCU102は、電圧センサ154および/または156のうちの1つまたは複数が故障したかまたは故障している可能性があると適切に結論付けることができる。任意の故障した相における故障したまたは故障している電圧センサがラインイン電流/電圧センサ154であるか、またはラインアウト電圧センサ156であるかを決定するために、ステップ1012において、MCU102は、決定1010において電圧センサ154および/または156のうちの1つまたは複数が故障したかまたは故障している可能性があると判断された各相における電力用FET116をオフに切り替えるように感知および駆動回路104に指示し、次いで、決定1014において、MCU102は、これらの相の各々において、V(ラインアウト)がローになるかまたはハイのままであるかを判定する。V(ラインアウト)が相のいずれにおいてもローにならない場合(決定1014において「NO」)、MCU102は、ラインアウト電圧センサ156のうちの1つもしくは複数が故障したかもしくは故障している可能性がある、および/または電力用FET116のうちの1つもしくは複数が故障したと結論付け、その決定に従って、ステップ1016において、電力用FET116をオンに切り替えるいかなるさらなる試みも防止する。次いで、ステップ1018において、MCU102は、ラインアウト電圧センサ156のうちの1つもしくは複数が故障したかもしくは故障している可能性があること、および/または電力用FET116のうちの1つもしくは複数が故障したことをシステム監視者に報告し、ならびに/あるいはラインアウト電圧センサ156のうちの1つもしくは複数が故障したかもしくは故障している可能性があること、および/または電力用FET116のうちの1つもしくは複数が故障したことを示すようにSSCB100の電子ディスプレイ113に指示する。他方において、MCU102が、決定1014において、電力用FET116がステップ1012においてオフに切り替えられた後にV(ラインアウト)がすべての相においてローになったと判定した場合(決定1014において「YES」)、MCU102は、ラインイン電圧センサ154のうちの1つまたは複数が故障したかまたは故障している可能性があると結論付ける。その決定に従って、ステップ1020において、MCU102は、電力用FET116をオンに切り替えるいかなるさらなる試みも防止する。最後に、ステップ1022において、MCU102は、ラインイン電流/電圧センサ154のうちの1つもしくは複数が故障したかもしくは故障している可能性があることをシステム監視者に報告し、および/またはラインイン電圧センサ154のうちの1つまたは複数が故障したかまたは故障している可能性があることを示すようにSSCB100の電子ディスプレイ113に指示する。
【0025】
エアギャップ切断ユニット108内のソレノイド118は、エアギャップ切断ユニット108を開くように駆動するために、かなりの量のエネルギーを必要とする。AC/DC変換器126(上記で説明されているように、MCU102と、CRM103と、感知および駆動回路104上のDC構成要素とを含むSSCB100内のDC電子機器のためのDC電源として機能する)によって生成されたDC電圧VDCにおける望ましくないディップを回避するために、大きいエアギャップ切断キャパシタ117が、ソレノイド118をトリガするエネルギー源として使用される。(注:本発明のいくつかの実施形態において、エアギャップ切断キャパシタ117は、AC/DC変換器126によって生成されたDC電圧VDCが失われた場合にバックアップDC電圧VDC(バックアップ)を供給する、短い持続時間の間のバックアップDC電源として機能するようにも構成される。)本発明の一実施形態において、MCU102は、エアギャップ切断キャパシタ117の活力、有効性、および動作可能性を監視および診断し、エアギャップ切断キャパシタ117が故障したかまたは故障していると判断したときにAC/DC変換器126がエアギャップ切断キャパシタ117をバイパスすることを可能にするキャパシタバイパス信号を生成するようにプログラムされる。
図11は、この方法1100を示すフローチャートである。方法1100は、エアギャップ切断キャパシタ117が充電するとき、特に、SSCBが起動するたび、およびエアギャップ切断ユニット108内のソレノイド118の点火(firing)により放電された後に再充電するたびに実行される。第1のステップ1102の間、エアギャップ切断キャパシタ117が充電すると、MCU102は、充電電圧レートdV/dt(測定値)を測定する。ステップ1104において、MCU102は、測定された充電レートdV/dt(測定値)を期待される(所定の)充電レートdV/dt(期待値)と比較し、次いで、決定1106において、dV/dt(測定値)が期待される充電レートdV/dt(期待値)を大幅に超えるかまたは大幅に下回るかどうかを判定する。そうでない場合(決定1106において「NO」)、MCU102は、エアギャップ切断キャパシタ117が適切に動作していると結論付けることができ、方法1100は、終了する。他方において、決定1106において、MCU102が、測定された充電レートdV/dt(測定値)が期待される充電レートdV/dt(期待値)よりも大幅に大きいかまたは大幅に小さいと判定した場合(決定1106において「YES」)、ステップ1108において、MCU102は、エアギャップ切断キャパシタ117が故障したかまたは故障している可能性があると結論付け、MCU102は、エアギャップ切断キャパシタ117をバイパスするためにキャップバイパススイッチ123(
図1を参照)を閉じるキャップバイパス制御信号を生成および印加する。このバイパス構成において、AC/DC電力変換器126は、エアギャップ切断ユニット108をトリガするために使用される。これは、好ましい構成ではないので(代わりに、エアギャップ切断ユニットソレノイド118をトリガするためにエアギャップ切断キャパシタ117内に蓄積されたエネルギーを使用することが好ましい)、ステップ1110において、MCU102は、エアギャップ切断キャパシタ117が故障したかまたは故障している可能性があり、交換される必要があることをシステム監視者に報告する。それに加えて(または代替的に)、MCU102は、エアギャップ切断キャパシタ117が故障したかまたは故障している可能性があることを示すようにSSCB100の電子ディスプレイ113に指示することもできる。
【0026】
MCU102は、SSCB100の「頭脳」であるので、故障しないことが重要であるが、万が一故障した場合、MCU102の必要な補助なしに、SSCB100をトリップする何らかの方法を有することが好ましい。この目標を達成するために、
図12に示されているように、本発明の一実施形態において、MCU102は、その出力のうちの1つにおいて周期的な「ハートビート」(たとえば、10kH方形波)を生成するようにプログラムされる。ハートビートは、外部「ウォッチドッグ」1202の入力に供給され、ウォッチドッグ1202は、電力用FET116をオフに切り替える(または電力用FET116をオフに切り替えるように感知および駆動回路104に指示するために使用される)出力信号を生成する。それに加えて、ウォッチドッグ1202は、MCU102が適切に動作しているときに係合解除するようにエアギャップ切断ユニット108をトリガするソレノイドトリガ信号をMCU102が生成する方法と同様に、係合解除する(エアギャップ接点スイッチ114を開く)ようにエアギャップ切断ユニット108をトリガするソレノイドトリガ信号を生成する。代替的に、ウォッチドッグ1202は、電力用FET116をオフに切り替える前に、かつエアギャップ切断ユニット108をトリガする前に、最初にMCU102をリセットすることを試みるように構成される。ウォッチドッグ1202は、様々な方法において構築され得る。本発明の一実施形態において、ウォッチドッグ1202は、カウンタとフリップフロップとを備え、これらは一緒に、MCU102のハートビートを監視し、ハートビートが平坦になるか、または不規則もしくは非周期的になると、電力用FET116をオフに切り替え、エアギャップ切断ユニット108を係合解除するために無効化信号を生成する。
【0027】
本明細書で説明されているSSCB100の例示的な実施形態において、AC/DC変換器126(
図1を参照)は、MCU102、CRM103、感知および駆動回路104、ならびにSSCB100内の他のDC駆動電子機器のための一次DC電源として機能する。本発明の一実施形態において、AC/DC変換器126へのAC入力電力は、AC主電源によって供給されるAC主電源電力である。したがって、AC主電源電力の存在と、AC/DC変換器126の活力および動作可能性とを監視し、SSCB100の意図された適切な動作を保証し、AC入力電力が失われたおよび/またはAC/DC電力変換器126が故障した場合に適切な対策を行うことが重要である。本発明の一実施形態において、AC入力電力の存在は、継続的に監視され、AC/DC変換器126の活力、有効性、および動作可能性も監視される。AC入力電力が存在しないと判断され、および/またはAC/DC変換器126が故障したと判断されたかもしくは故障している可能性があると判断された場合、MCU102は、(必要ならば、エアギャップ切断キャパシタ117内に蓄積されたエネルギーを使用して)電力用FET116をオフに切り替えるように感知および駆動回路104に指示する。
図13は、この方法1300をさらに説明するフローチャートである。ステップ1302においてAC/DC変換器126のDC出力電圧VDCを監視している間、決定1304において、MCU102は、VDCがある所定の低いDCしきい値VDC(しきい値)未満であるかどうかを判定し、すなわち、VDC<VDC(しきい値)であるかどうかを判定する。MCU102が、VDCがしきい値VDC(しきい値)よりも低下し(決定1304において「YES」)、VDCがある所定の持続時間よりも長い間しきい値を下回ったままであったと判断し、決定1306において、MCU102がまた、AC電力がAC/DC変換器126の入力において存在すると判断した場合、MCU102は、AC/DC変換器126が故障したかまたは故障している可能性があると適切に結論付けることができる。したがって、ステップ1312において、MCU102は、電力用FET116をオフに切り替えるように感知および駆動回路104に指示し、エアギャップ切断ユニット108に係合解除させてエアギャップ接点スイッチ114を開かせるソレノイドトリガ信号を生成し、電気技師またはエンジニアが、SSCB100を交換するか、または故障したもしくは故障しているAC/DC変換器126を取り外して機能するものと交換するために派遣され得るまで、電力用FET116をオンに切り替えてエアギャップ切断ユニット108を再係合させるいかなるさらなる試みも防止する。決定1306において、MCU102が、AC電力がAC/DC変換器126の入力において存在しないと判断した場合、MCU102は、故障したまたは故障しているAC/DC変換器126のために、VDCがしきい値VDC(しきい値)未満に低下したと結論付けることができない。AC電力が回復した場合にSSCB100がその通常動作を再開することができるように、ステップ1312において、SSCB100の現在の状態は、SSCB100のCRM103のフラッシュメモリ部分内に記憶され得る。
【0028】
エアギャップ切断ユニット108は、SSCB100が許容できないほど長い持続時間の故障または過負荷を検出したときに、負荷を直流的に絶縁するように設計される。エアギャップを横切るアーク放電を防止するために、エアギャップ切断ユニット108がラインイン端子110とラインアウト端子112との間にエアギャップを形成するのを完了する前に、電力用FET116をオフに切り替えることが好ましい。この安全装置を達成するために、本発明の一実施形態において、MCU102は、電力用FET116の活力、有効性、および動作可能性を継続的に監視するようにプログラムされる。次いで、電力用FET116のうちの1つまたは複数が故障した(または故障している可能性がある)と判断すると、MCU102は、エアギャップ接点スイッチ114を開くようにエアギャップ切断ユニット108をトリガするソレノイドトリガ信号を生成することを禁止される。
図14は、この方法1400をより詳細に示すフローチャートである。まず、ステップ1402において、FET電力モジュール内の電力用FET116は、オフに切り替えられる。次いで、ステップ1404および1406において、電流/電圧センサ154および156は、FET電力モジュール106のラインイン側とラインアウト側の両方において各相について電圧を感知/測定する。次いで、測定された電圧を使用して、ステップ1408において、MCU102は、電力用FET116のいずれか1つのドレイン-ソース端子にわたる電圧降下ΔVが存在するかどうかを決定する。電力用FET116は、ステップ1402においてオフに切り替えられているので、電圧ΔVが存在するはずである。電圧ΔVが存在すると決定された場合(決定1410において「YES」)、MCU102は、電力用FET116が実際にオフに切り替えられ、意図された通りに動作していると適切に結論付けることができ、方法1400は、終了する。しかしながら、MCU102が、電圧降下ΔVが電力用FET116のいずれか1つのドレイン-ソース端子のいずれか1つにわたって現れないか、または非常に小さい電圧降下ΔVのみが現れると判断した場合(決定1410において「NO」)、MCU102は、電力用FET116のうちの1つまたは複数が閉じて故障した(または閉じて故障した可能性があるかもしくは閉じて故障している)と結論付けることができる。ステップ1412におけるこの決定に従って、次いで、MCU102は、エアギャップ切断ユニット108が係合解除するのを防止し(したがって、ラインイン端子110とラインアウト端子112との間にアーク放電が発生する可能性がない)、電力用FET116をオンに切り替えるいかなるさらなる試みも防止する。最後に、ステップ1414において、MCU102は、電力用FET116のうちの1つまたは複数が故障した(または故障した可能性があるかもしくは故障している)ことをシステム監視者に報告し、および/または電力用FET116のうちの1つまたは複数が故障した(または故障した可能性があるかもしくは故障している)ことを示すようにSSCB100の電子ディスプレイに指示する。
【0029】
図14に示されている方法1400の代替として、決定1410においてΔVがゼロに等しいかまたはゼロよりもわずかに大きいと決定した後、MCU102は、エアギャップ切断ユニット108がエアギャップアーク露出のある所定の最大数をまだ超えていない場合にのみ、エアギャップをトリガおよび形成するようにエアギャップ切断ユニット108に命令するようにプログラムされる。このようにして、電力用FET116のうちの1つまたは複数が閉じて故障した場合、およびエアギャップアーク露出の最大数に達していない限り、負荷を直流的に絶縁するために、ラインイン端子110とラインアウト端子112との間にエアギャップが有益に形成され得る。
図15は、この代替方法1500を示すフローチャートである。まず、決定1410においてΔVがゼロよりも大きくないと決定したのち、決定1502において、MCU102は、エアギャップアークの所定の最大数に達したかどうかを判定する。そうでない場合(決定1502において「NO」)、ステップ1504において、MCU102は、電力用FET116のうちの1つまたは複数が閉じて故障した可能性があるという事実にもかかわらず、またラインイン端子110とラインアウト端子112との間に場合によってはアークが発生する可能性があるにもかかわらず、ラインイン端子110とラインアウト端子112との間にエアギャップを形成するようにエアギャップ切断ユニット108に命令する。次いで、ステップ1506において、MCU102は、可能性が高い電力用FETの故障をシステム監視者に報告する、および/または電力用FET116のうちの1つもしくは複数が故障したもしくは故障した可能性があることを示すようにSSCB100の電子ディスプレイ113に指示する。他方において、決定1502において、MCU102が、エアギャップアークの所定の最大数に達したと判断した場合(決定1502において「YES」)、ステップ1508において、MCU102は、エアギャップ切断ユニット108が再係合され得ないことを保証するために、機械的ロックアウト機構160をトリガする。
【0030】
SSCB100の好ましい実施形態において、正温度係数(PTC)サーミスタ152(
図1を参照)が、電力用FET116の各々に可能な限り近く、FET電力モジュール106内に取り付けられる。サーミスタ152は、電力用FET116のリアルタイムの動作温度を測定および報告するように構成され、MCU102は、
図16に示されている方法1600に従って、温度測定値を受信してそれに応答するように構成される。具体的には、サーミスタ152によって感知/測定され、MCU102に報告された(ステップ1602)感知/測定された電力用FET接合部温度に応答して、ステップ1604において、MCU102は、電力用FET116のうちのいずれか1つの感知/測定された接合部温度T
Jが所定の最高許容接合部温度T
MAXよりも高いかどうか、すなわち、T
J>T
MAXであるかどうかを判定する。そうでない場合(決定1604において「NO」)、方法1600は、ステップ1602にループバックする。しかしながら、MCU102が、電力用FET116のうちのいずれか1つの感知/測定された接合部温度T
Jが所定の最高許容接合部温度T
MAXよりも高いと判断した場合(決定1604において「YES」)、MCU102は、あり得る熱暴走状態が電力用FET116のうちの1つまたは複数において発生していると結論付けることができる。電力用FET116および/または場合によってはSSCB100内の他の構成要素への損傷を防止するために、ステップ1606において、MCU102は、係合解除して電力用FET116を通る電流の流れを遮断するようにエアギャップ切断ユニット108に命令し、ステップ1608において、MCU102は、熱暴走状態が発生した可能性があることをシステム監視者に報告し、および/または可能性が高い熱暴走状態が発生した可能性があることを示すようにSSCB100の電子ディスプレイ113に指示する。それに加えて(または代替的に)、MCU102はまた、電力用FET116をオフに切り替えるように感知および駆動回路104に指示し得る。
【0031】
本明細書で開示されているSSCB100の例示的な実施形態において、ラインインおよびラインアウト電流および電圧(電流/電圧)センサ(たとえば、ホール効果センサ)154および156は、FET電力モジュール106の入力および出力の近くまたはそれらにおいて構成される。これらの測定は、MCU102が、(上記で説明されているように)電力用FET116のうちのいずれか1つが閉じて故障したかどうかを判定することを可能にする。本発明の一実施形態において、MCU102は、他の電力用FETと比較して1つの電力用FETにわたるVdropの不均衡が存在するかどうかを判定することによって、電力用FET116のうちの1つまたは複数が故障した(または故障している可能性がある)ことをさらに判定するようにプログラムされる。通常動作条件下では、線間電圧のRMS値は、実質的に同じであるべきであるので、任意の所与の時点において、3つの電力用FET116のすべてにわたるVdropのRMS値も、実質的に同じであるべきである。3つの相の間のVdropにおける任意の有意な不均衡は、電力用FET116のうちの1つまたは複数が故障したかまたは場合によっては故障していることの指標を提供する。
図17は、そのような不均衡を検出するためにMCU102が実行する方法1700と、Vdropにおける不均衡が存在すると決定されたときにとるステップとを強調するフローチャートである。まず、すべての電力用FET116がオンの状態で、ステップ1702および1704において、ラインインおよびラインアウト電流/電圧センサは、3つの電力用FET116のすべてについて、FET電力モジュール106の入力および出力において存在するラインイン電圧およびラインアウト電圧を感知/測定し、報告する。次に、感知/測定された電圧を使用して、ステップ1706において、MCU102は、各電力用FET116にわたるVdropを計算する。決定1708において、Vdropの値が3つの電力用FET116のすべてについて同じである場合(決定1708において「NO」)、方法1700は、ステップ1702に戻る。しかしながら、MCU102が、他の電力用FET116と比較して1つの電力用FET116におけるVdropの著しい不均衡が存在すると判断した場合(決定1708における「YES」)、MCU102は、電力用FET116のうちの1つまたは複数が故障したかまたは故障している可能性があると結論付けることができる。したがって、ステップ1710において、MCU102は、電力用FET116をオフに切り替えるように感知および駆動回路104に指示し、ラインイン端子110とラインアウト端子112との間にエアギャップを形成するようにエアギャップ切断ユニット108に命令する。次いで、ステップ1712において、MCU102は、電力用FET116のうちの1つもしくは複数が故障したかもしくは故障している可能性があることをシステム監視者に報告し、および/または電力用FET116のうちの1つもしくは複数が故障したかもしくは故障している可能性があることを示すようにSSCB100の電子ディスプレイ113に指示する。
【0032】
この
図17を参照して説明されている方法1700において、MCU102は、3つの電力用FET116の間にVdropの不均衡が存在すると判断したときに、電力用FET116のうちの1つまたは複数が故障した(または故障している可能性がある)と判断することができるようにプログラムされる。単一の電力用FETのみが用いられるSSCB100の単相バージョンにおいて、MCU102は、(再びリアルタイムのラインイン電圧測定およびラインアウト電圧測定からであるが、単一の電力用FETにわたる)Vdropを計算し、Vdropに基づいて、単一の電力用FETが故障したかどうかを判定するようにプログラムされる。この方法1800は、
図18において提示されているフローチャートにおいて示されている。まず、ステップ1802および1804において、電力用FET116のラインイン側とラインアウト側の両方における電流/電圧センサが、感知/測定され、MCU102に報告される。次いで、ステップ1806において、MCU102は、単一の電力用FET116にわたるVdropを計算し、決定1808において、単一の電力用FET116を流れる測定された電流と、電力用FETの既知の動作特性(たとえば、SSCB100の設計中の電力用FETの特性から、および/または電力用FET製造者によって提供される動作特性から得られる)とに基づいて、Vdrop>Vds(期待値)であるかどうかを判定する。VdropがVds(期待値)に近い場合、方法1800は、ステップ1802に戻る。しかしながら、MCU102が、決定1708において、VdropがVds(期待値)と著しく異なると決定した場合、MCU102は、単一の電力用FET116が故障したかまたは故障している可能性があると適切に結論付けることができる。したがって、ステップ1810において、MCU102は、電力用FET116をオフに切り替えるように感知および駆動回路104に指示し、および/または係合解除してラインイン端子とラインアウト端子との間にエアギャップを形成するようにエアギャップ切断ユニット108に命令する。最後に、ステップ1812において、MCU102は、SSCB100を新しいSSCBと交換するか、または欠陥のある電力モジュール106を除去して、適切に機能する電力用FET116を有する新しい電力モジュール106と交換するために、その後、電気技師またはエンジニアが現場に派遣され得るように、電力用FET116が故障したかまたは故障している可能性があることをシステム監視者に警告する。それに加えて(または代替的に)、MCU102は、電力用FET116が故障したかまたは故障している可能性があることを示すようにSSCB100の電子ディスプレイに指示することができる。
【0033】
SSCB100の好ましい実施形態において、ラインアウト電流/電圧センサ156は、導体を通って流れる電流によりラインアウト導体の各々の周りに形成される磁場に比例するホール電圧を生成するホール効果センサを含む。磁場の強さは、ラインアウト導体を通って流れる電流の大きさに正比例するので、ホール電圧は、電力用FET116がオンに切り替えられ、エアギャップ切断ユニット108が係合されている(エアギャップ接点スイッチ114が閉じられている)ときに、SSCB100を流れる電流の大きさを表す。正確なホール効果測定は、SSCB100の適切な動作に不可欠であるので、本発明の一実施形態において、MCU102は、性能を監視し、任意の電流感知障害を診断するようにプログラムされる。この点についてSSCB100およびMCU102が実行する例示的な方法1900が
図19に示されている。まず、すべての電力用FET116がオンであり、エアギャップ切断ユニット108が係合している状態で、ステップ1902において、ラインアウト電流/電圧センサ156内のホール効果センサが、ラインアウト端子112から流れ出る線路電流を感知/測定する。好ましくは、ホール効果測定(ホール電圧)は、リアルタイムで実行され、必要ならば増幅され、MCU102に報告される。決定1904において、MCU102は、ホール電圧に基づいて、3つの感知/測定された電流のうちのいずれか1つのRMSが他の2つと有意に異なるかどうかを判定する。「YES」の場合、MCU102は、ホール効果センサのうちの1つが故障したかまたは故障していると結論付けることができるので、ステップ1906において、電力用FET116をオフに切り替えるように感知および駆動回路104に指示し、および/または係合解除してラインイン端子110とラインアウト端子112との間にエアギャップを形成するようにエアギャップ切断ユニット108をトリガするために、エアギャップ切断ユニット108用のソレノイドトリガ信号を生成する。次いで、ステップ1908において、MCU102は、現在のセンサの故障をシステム監視者に報告し、および/またはSSCB100の電子ディスプレイ113に、現在のセンサのうちの1つもしくは複数が故障したかもしくは故障している可能性があることを示させる。決定1904において、MCU102は、3つの感知/測定された電流が平衡している(3つの感知/測定された電流のすべてが実質的に同じ)(決定1904において「NO」)と判断した場合、その決定は、ラインインおよび/またはラインアウト電流/電圧センサ154および156のうちの1つまたは複数が故障したかまたは場合によっては故障している可能性がある可能性を完全には排除しないので、ステップ1910から1914および決定1916が実行される。具体的には、ステップ1910および1912において、ラインイン電圧およびラインアウト電圧が、FET電力モジュール106の入力および出力における3つの相のすべてについて測定される。次いで、ステップ1914において、MCU102は、3つの相のすべてについて、Vdrop=V(ラインイン)-V(ラインアウト)を計算する。最後に、決定1916において、MCU102が、任意の所与の相について、電流がローである間、V(ラインイン)およびV(ラインアウト)の両方がハイであり、Vdropが期待値よりも高いと判断した場合(決定1916において「YES」)、MCU102は、ラインインおよび/またはラインアウト電流/電圧センサ154および156のうちの1つまたは複数が故障したかまたは故障している可能性があると結論付けることができ、ステップ1906および1908が実行される。そうでない場合(決定1916において「NO」)、方法は、ステップ1902に戻る。
【0034】
本明細書で説明されているSSCB100の例示的な実施形態は、エアギャップ切断ユニット108を手動で再係合し、ラインイン端子110とラインアウト端子112との間のエアギャップを閉じるために人が押下することができるリセットボタン144を含む。リセットボタン144が押下され、エアギャップ接点スイッチ114が閉じられた後、次いで、人は、電力用FET116をオンに切り替え、それによって、SSCB100を完全にオンの状態にするために、緑色のオンボタン107を押下することができる。任意の理由のために、リセットボタン144を押下することがエアギャップ切断ユニット108を正常に再係合させず、次いで、人が電力用FET116をオンに切り替えるためにオンボタン107を押下した場合、機構が解放されたときに、エアギャップ切断スイッチ114のうちの1つまたは複数を横切って望ましくないアーク放電が発生する可能性がある。この問題を回避するために、本発明の一実施形態において、MCU102およびSSCB100の他の協働構成要素は、エアギャップ係合検証方法2000を実行するように構成され、その例示的な実施形態は、
図20に示されている。このエアギャップ係合検証方法2000は、人がエアギャップ切断ユニット108を係合するためにリセットボタン144を押下するときはいつでも、プランジャ128がエアギャップ切断ユニット108をラッチして再係合するようにソレノイドのハウジングから押し出されるときに、ソレノイドのプランジャ128の動きがソレノイド118のコイル内に小さい電気パルスを発生させるという事実に基づいて動作する。このパルスの存在および形状は、エアギャップ切断ユニット108が実際に適切に係合されたことを検証するために、エアギャップ係合検証方法2000においてMCU102によって使用される。具体的には、ステップ2002において、リセットボタン144が押下されると、ソレノイド118のコイルの端子において現れるパルスが増幅され、フィルタリングされ、MCU102の入力に向けられる。次に、決定2004において、受信されたパルスは、MCU102によって、期待されるパルスと比較される。受信されたパルスが期待されるパルスと一致する場合(決定2004において「YES」)、MCU102は、エアギャップ切断ユニット108が適切に係合したと結論付けることができ、結果として、電力用FET116をオンに切り替えるためにオンボタン107が押下されることを可能にする。他方において、受信されたパルスが期待されるパルスと一致しない場合(または、リセットボタン144が押下されたときにMCU102によってパルスが受信されない場合)(決定2004において「NO」)、ステップ2008において、MCU102は、電力用FET116をオンに切り替えるためのオンボタン107のいかなる押下も防止する。このようにして、電力用FET116が他の方法でオンに切り替えられることができる場合、アーク放電がエアギャップ接点スイッチ114を横切って発生することが防止される。最後に、ステップ2010において、MCU102は、エアギャップ切断ユニット108が開いて故障した可能性があることをシステム監視者に報告し、および/またはエアギャップ切断ユニット108が開いて故障した可能性があることを示すようにSSCB100の電子ディスプレイ113に指示する。
【0035】
本発明の一実施形態において、SSCB100の3つの相の各々は、
図21に示されているように、単一の電力用FETのみではなく、一対のバックトゥバック電力用FET116を含む。バックトゥバック電力用FET構成は、上記に言及されており、同一出願人による米国特許第10,541,530号において説明されているものと同様に、他の属性の中でも、誘導性モータ負荷のソフトスタートを容易にするので、いくつかの用途において望ましい。瞬時トリップ状態の間(たとえば、線路電流のうちの1つまたは複数がSSCB100の定格電流I
RATEDのある倍数(たとえば、I
RATEDの6倍)を超えるとき)、感知および駆動回路104は、電力用FET116をオフに切り替える。この状況において電力用FET116がオフに切り替えられると、SSCB100全体にわたって、具体的には、バックトゥバック電力用FET116のうちの1つまたは複数のドレイン-ドレイン間に、高電圧のリンギングが発生する可能性がある。
図21に示されているFET電力モジュール106のバージョンにおいて、サージ保護デバイス(SPD)2102、たとえば、金属酸化物バリスタ(MOV)または過渡電圧抑制(TVS)ダイオードが、各相におけるバックトゥバック電力用FET116の各対にわたって接続される。SPD2102は、瞬時トリップ状態の間、SPD2102にわたって発生された電圧がある所定のしきい値を超える場合、オンになる。オンになると、SPD2102は、高電圧リンギングを防止するために、各バックトゥバック電力用FET構成のドレイン-トレインにわたる電圧をクランプする。しかしながら、SPD2102は、劣化が始まり、最終的に故障する前に、そのような多くの高電圧抑制にしか耐えることができない。本発明の一実施形態において、MCU102は、(たとえば、1つまたは複数の故障または劣化したSPD2102を交換することによって)SSCB100にサービスを提供するか、またはSSCB100を新しいSPD2102を有する新しいSSCB100と交換するために、その後、電気技師またはエンジニアが現場に派遣され得るように、SPD2102の正常性を監視する方法2200を実行し、SPD2102のうちの1つまたは複数が故障したかまたは十分に劣化した場合、SSCB100を封鎖するように構成される。
図22は、このSPD正常性監視方法2200の例示的な実施形態を示すフローチャートである。まず、ステップ2202において、MCU102は、SSCB100の入力および出力におけるラインイン電圧とラインアウト電圧とを常時監視する。次に、決定2204において瞬時トリップ状態が発生していると判断すると(決定2204において「YES」)、感知および駆動回路104は、ステップ2206において電力用FET116をオフに切り替える。電力用FET116がオフに切り替えられると、決定2208において、MCU102は、(ラインインおよびラインアウト電流/電圧センサ154および156によってとられた電圧測定値に基づいて)バックトゥバック電力用FET116の任意の対にわたる電圧降下Vdrop、すなわち、任意のSPD2102にわたる電圧降下Vdropが、ある所定の最小電圧しきい値未満(1つの例示的な実施形態において、SPDの公称電圧降下の60%未満)であるかどうかを判定する。(各SPD2102は、その関連するバックトゥバック電力用FET116のドレイン-ドレインにわたって接続されているので、バックトゥバック電力用FET116の各対にわたるVdropは、その関連するSPD2102にわたって降下する電圧と同じであることに留意されたい。)本発明の一実施形態において、各相についてのVdropは、瞬時トリップ状態イベント中にとられた一連の瞬時電圧降下測定値に基づいて決定された平均電圧降下Vdrop(平均)である。各相について、MCU102の各実行サイクルにおいて、絶対瞬時電圧降下測定値がとられ、MCU102は、瞬時値を前の値に対してチェックすることによってプラトーを探す。バックトゥバック電力用FET116の各対について平均電圧降下Vdrop(平均)を決定するために、プラトー領域内の絶対瞬時電圧降下測定値は、所与の電圧レベルに関するアキュムレータに追加される。このループは、プラトーの時間期間もカウントする。次いで、カウントされた時間期間とアキュムレータ値とを使用して、平均電圧降下Vdrop(平均)が、定義された電流に対して計算される。これは、3つの相すべてについて繰り返され、結果として、3つの相のプラトー領域の平均クランプ電圧レベルと時間期間とを生じる。3相システムの性質により、SPD2102のうちの2つは、瞬時トリップ状態イベントの間、同様の方法で影響を受ける。決定2208が実行されているとき、影響をうけた2つの相は、電流を測定することによって識別され、識別されると、MCU102は、識別された2つの層のいずれかについてのVdrop(平均)が所定の最小電圧しきい値未満に低下したかどうかを判定する。MCU102が、決定2208において、すべてのSPD2102が意図された通りに依然として作動していると判断した場合(すなわち、決定2208において「NO」)、ステップ2210において、MCU102は、エアギャップ切断ユニット108に、係合解除させ、ラインイン端子110とラインアウト端子112との間にエアギャップを形成させ、それによって、決定2204において前に検出された瞬時トリップ状態に応答するために、ソレノイドトリガ信号を生成する。他方において、MCU102が、決定2208において、3つの相のうちのいずれかにおけるVdrop(平均)が所定の最小電圧しきい値よりも低いレベルに低下したと判断した場合(すなわち、決定2208において「YES」)、MCU102は、SPD2102のうちの1つまたは複数が故障した可能性があるか、または(多すぎる電圧サージを抑制したために)十分に劣化し、それらが交換されるべきであると適切に結論付けることができる。したがって、決定2208における「YES」が結果として生じた場合、ステップ2212において、MCU102は、エアギャップ切断ユニット108に係合解除させてラインイン端子110とラインアウト端子112との間にエアギャップを形成させるために、ソレノイドトリガ信号を生成する。最後に、ステップ2214において、MCU102は、SSCB100内のSPD2102のうちの1つもしくは複数が故障した可能性があるか、もしくは交換される必要がある点まで十分に劣化したことをシステム監視者に警告し、および/またはSPD2102のうちの1つもしくは複数が故障した可能性があるか、もしくは交換される必要がある点まで十分に劣化したことをSSCB100の電子ディスプレイ113に示させる。
【0036】
上記で詳細に説明されているように、エアギャップを横切ってアーク放電が発生しないように、エアギャップを形成する前に、最初にFET電力モジュール106内の電力用FET116をオフにすることが好ましい。この動作を容易にするために、本発明の一実施形態において、リリースボタン122(
図1~
図3および
図5を参照)は、リリースボタン122の物理的変位に応じて開閉するマイクロスイッチを備える。(SSCB100の好ましい実施形態において、2つの触覚機械式スイッチ115(
図3を参照)が使用される(冗長性のために2つ)。)マイクロスイッチは、MCU102と電気的に通信しており、MCU102がその状態、すなわち、開いているかまたは閉じているかを監視することを可能にする。リリースボタン122がその自然な状態にある(押されていない)限り、マイクロスイッチは、閉じたままである。しかしながら、人がリリースボタン122を押下し、リリースボタンがSSCB筐体内に移動すると、マイクロスイッチが開く。MCU102は、マイクロスイッチの状態におけるこの変化を検出すると、FET電力モジュール106内の電力用FET116をオフに切り替えるように感知および駆動回路104に指示することによってすぐに応答する。電力用FET116は、エアギャップ切断ユニット108がエアギャップを形成することを完了することができるよりもかなり前に、このプロセスにおいて非常に迅速にオフに切り替えられる。このようにして、エアギャップを横切るアーク放電が防止される。
【0037】
本発明の一実施形態において、CRM103内に記憶され、MCU102によって検索および実行されるコンピュータプログラム命令は、MCU102が1つまたは複数のマイクロスイッチ115の動作状態を監視することを可能にするだけでなく、それらは、MCU102が、1つまたは複数のマイクロスイッチ115が故障したかどうかを判定し、たとえば、SSCB100を封鎖することによって、任意の決定された故障に応答し、任意の故障をシステム監視者に通知することを可能にする命令をさらに含む。
図23は、本発明のこの特定の態様による、MCU102が実行する方法2300を示すフローチャートである。まず、SSCB100の入力における電圧が崩壊したが、内部電源のDC電力における電力が崩壊していない直後に(ステップ2302)、決定2304において、MCU102は、人がリリースボタン122を押下したことを示す1つまたは複数のマイクロスイッチ115からの状態信号における変化を受信したかどうかを判断する。決定2304において「YES」の場合、MCU102は、ステップ2306において、リリースボタン122が実際に押下されたと適切に結論付けることができ、ステップ2308において、故障状態に入る(電力用FET116がオフに切り替えられ、エアギャップ切断ユニット108が係合解除される)。他方において、MCU102が1つまたは複数のマイクロスイッチ115から信号を受信しない場合(決定2304において「NO」)、人がリリースボタン122を押下したが、何らかの理由のために、MCU102が、リリースボタン122が押下されたことを示す信号を受信しなかった可能性が依然として残っている。リリースボタン122が実際に押下されたが、1つまたは複数のマイクロスイッチ115が故障した可能性があるかどうかを判定するために、決定2310が実行される。具体的には、決定2310において、MCU102は、ラインイン電圧センサ154がSSCB入力における電圧崩壊を検出したときに、SSCB100が(ソレノイド118をトリガすることによって自動的に)エアギャップ切断ユニット108をトリガするコマンドを開始したかどうかに関して問い合わせる。そうした場合(決定2310において「YES」)、ステップ2312において、MCU102は、(人がリリースボタン122を押下することなく)SSCB100が故障に自動的に応答したと結論付け、ステップ2314において、故障状態(電力用FET116がオフに切り替えられ、エアギャップ切断ユニット108が係合解除される)に入るようにSSCB100に命令する。他方において、MCU102が1つまたは複数のマイクロスイッチ115から状態変化信号を受信せず(決定2304において「NO」)、MCU102が、エアギャップ切断ユニット108をトリガするコマンドを開始しなかった(決定2310において「NO」)場合、MCU102は、ステップ2316において、人が実際にリリースボタン122を押下したが、いくつかの理由のために、MCU102が、リリースボタン122が押下されたときに1つまたは複数のマイクロスイッチ115から信号を受信しなかったと結論付ける。言い換えれば、ステップ2216において、MCU102は、人が実際にリリースボタン122を押下したが、1つまたは複数のマイクロスイッチ115が故障した可能性があると適切に結論付けることができる。この決定を行った後、ステップ2318において、MCU102は、電力用FET116をオフに切り替え、エアギャップ切断ユニット108を係合解除するようにトリガし、SSCB100の電子ディスプレイ113上に、1つまたは複数のマイクロスイッチ115が故障した可能性があることを示すように、感知および駆動回路104に指示する。最後に、ステップ2320において、MCU102は、1つまたは複数のマイクロスイッチ115が故障した可能性があり、交換される必要があることを(通信/制御バス124を介して)システム監視者に報告する。
【0038】
上記で説明されている発明の例示的な実施形態において、SSCB100は、いかなる人の介入もなしに、様々な診断、保守、および自己保護方法を実行することができるように設計される。本発明のいくつかの実施形態において、SSCB100は、上記で説明されている様々な方法の多くがオンデマンドでも(または代替的に)実行され、すなわち、ユーザによって、たとえば、電気技師、エンジニア、または電気事業者によって開始され得るように設計される。SSCB100が分電盤2402(
図24を参照)内に設置されたときにこのオンデマンド能力を促進するために、SSCB100、特にそのMCU102は、分電盤2402内に構成された有線(またはワイヤレス)ヘッドエンドインターフェース2404を介して外部ユーザコンピュータ2406と通信するようにプログラムされる。
図25は、ユーザコンピュータ2406の主要な構成要素を示す図面であり、ユーザコンピュータ2406は、サーバ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォン、または任意の他のタイプのコンピューティングデバイスを備え得る。図面(
図25)に示されているように、ユーザコンピュータ2406は、マイクロプロセッサ2502と、CRM2504と、ユーザがユーザコンピュータ2406と対話することができるヒューマンマシンインターフェース(HMI)2506と、電子ディスプレイ2508と、オプションの大容量記憶デバイス2510(たとえば、磁気ハードドライブまたは固体ドライブ)とを含む。CRM2504は、マイクロプロセッサ2502がどのように動作するかを指示するコンピュータプログラム命令を記憶するように構成される。これらのコンピュータプログラム命令は、ヘッドエンドインターフェース2404を介して通信/制御バス124を介して様々なSSCB100内のMCU102と通信する能力をマイクロプロセッサ2502に提供する命令およびプロトコルと、マイクロプロセッサ2502がSSCB100の各々を個別にアドレス指定することを可能にする命令と、マイクロプロセッサ2502が様々なSSCB100内のMCU102と通信する時間を制御する命令とを含む。本発明の一実施形態において、ユーザコンピュータ2406によって提供されるユーザ対話能力は、ユーザ対話型グラフィカルユーザインターフェース(GUI)の形態において提示され、ユーザコンピュータ2406のCRM2504内に記憶されたコンピュータプログラム命令は、1つまたは複数のGUIウィンドウまたはページを生成し、ユーザコンピュータの電子ディスプレイ2508上に表示するようにマイクロプロセッサ2502に指示する命令を含む。好ましくは、電子ディスプレイ2508は、タッチスクリーン技術を備え、タッチスクリーン技術は、ユーザコンピュータ2406のユーザが、電子ディスプレイ2508のスクリーンにタッチすることによって、またはスタイラスを使用することによってGUIウィンドウまたはページと対話することを可能にする。1本または複数の指を使用する単純なジェスチャまたはマルチタッチジェスチャを使用して、ユーザは、スクロールし、ズームし、情報などを入力し、電子ディスプレイ2508上に表示されているGUIウィンドウまたはページおよびコンテンツを制御することができる。GUIおよび電子ディスプレイ2508は、代替的に(または追加的に)、ユーザがマウス、タッチパッド、または他の非タッチスクリーン入力デバイスを使用してGUIウィンドウまたはページおよびコンテンツと対話することができるように構成され得る。ユーザ対話性を促進するために、GUIウィンドウまたはページは、好ましくは、ラジオボタン、スライダー、スピナー、ドロップダウンリスト、メニュー、コンボボックスおよびテキストボックス、スクロールバーなどのアイコンおよびウィジェットを含む。GUIを生成するためにマイクロプロセッサ2502が実行するコンピュータプログラム命令は、好ましくは、ローカルゲートウェイ上でホストされるアプリを含むが、代替的には、ローカルサーバ上またはリモート(たとえば、クラウド内)にインストールされたウェブサービスを含むことができる。好ましくは、GUIは、ユーザが診断および/または保守の定期的な発生をスケジュールすることを可能にするカレンダーと、ユーザがオンデマンドの診断および/または保守を開始することを可能にするユーザ対話型アイコンおよび/またはウィジェットとを含む。スケジュールされたかオンデマンドであるかにかかわらず、ユーザコンピュータ2406のマイクロプロセッサ202は、好ましくは、任意の診断および/または保守の実行の結果と、任意の所与のS
SCB100の様々な構成要素のいずれかの任意の故障(または予測される故障)と、推奨される是正措置とを表示するGUIウィンドウまたはページを報告するようにプログラムされる。オンデマンドの診断および/または保守をさらに促進するために、本発明の一実施形態において、SSCB100は、オンデマンド診断ボタン(たとえば、「テスト」とラベル付けされている)をさらに含み、または代替的には、スタンバイボタン111は、押下されたときにオンデマンド診断および/もしくは保守プロセスを開始する二重目的ボタンとして機能するように構成される。
【0039】
本発明の様々な実施形態が説明されてきたが、それらは、例として提示されており、限定として提示されているものではない。本発明の真の要旨および範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態に対して形態および詳細における様々な変更がなされ得ることが当業者には明らかであろう。したがって、本発明の範囲は、例示的な実施形態の詳細によって限定されるべきではなく、代わりに、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲を含む添付の特許請求の範囲によって決定されるべきである。
【符号の説明】
【0040】
100 固体回路遮断器(SSCB)
102 マイクロコントローラユニット(MCU)
103 CRM、コンピュータ可読メモリ(CRM)
104 感知および駆動回路、感知および駆動回路基板、エアギャップ接点スイッチ
105 制御基板
106 電界効果トランジスタ(FET)電力モジュール、電力用FET
107 オンボタン、オン(緑色)ボタン
108 エアギャップ切断ユニット
109 オフボタン、スタンバイボタン
110 ラインイン端子
111 スタンバイボタン、オフ赤色ボタン
112 ラインアウト端子
113 電子ディスプレイ
114 エアギャップ接点スイッチ、エアギャップ切断スイッチ
115 マイクロスイッチ
116 電力用FET
117 エアギャップ切断キャパシタ
118 ソレノイド、一次ソレノイド、エアギャップ切断ユニットソレノイド
119 リボンケーブル
120 スイッチ
122 リリースボタン
123 キャップバイパススイッチ
124 通信および制御(通信/制御)バス
126 AC/DC変換器、AC/DC電力変換器
128 プランジャ
130 ラッチ、回転ラッチ
132 上部リップ
136 ホルスター
138 切断ばね
140 連結部材
142 カム面
144 リセットボタン
146 ロックアウト-タグアウト(LOTO)穴
150 通信および制御(通信/制御)バスシールド
152 正温度係数(PTC)サーミスタ
154 電流および電圧センサ、ラインイン電流/電圧センサ、電圧センサ、ラインイン電圧センサ
156 電流および電圧センサ、電圧センサ、ラインアウト電流/電圧センサ、ラインアウト電圧センサ
160 ロックアウト機構、二次ロックアウト機構、機械的ロックアウト機構
1202 外部「ウォッチドッグ」、ウォッチドッグ
2102 サージ保護デバイス(SPD)
2402 分電盤
2404 ヘッドエンドインターフェース
2406 外部ユーザコンピュータ
2502 マイクロプロセッサ
2504 CRM
2506 ヒューマンマシンインターフェース(HMI)
2508 電子ディスプレイ
2510 大容量記憶デバイス
【国際調査報告】